(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-19
(54)【発明の名称】濾過カセット及び濾過システム
(51)【国際特許分類】
A61M 1/00 20060101AFI20230612BHJP
【FI】
A61M1/00 170
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022568459
(86)(22)【出願日】2021-05-10
(85)【翻訳文提出日】2022-12-02
(86)【国際出願番号】 US2021031600
(87)【国際公開番号】W WO2021231311
(87)【国際公開日】2021-11-18
(32)【優先日】2020-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520306831
【氏名又は名称】ミネトロニクス ニューロ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】MINNETRONIX NEURO,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ダルバンディ、ベジャン マイケル
(72)【発明者】
【氏名】マッケイブ、アーロン アール.
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ、ジャスティン チャールズ
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA16
4C077BB02
4C077EE04
(57)【要約】
濾過カセット、濾過システム、及びそれらを使用するための方法が開示される。例示的な濾過カセットは、カセットハウジングを含み得る。入口はカセットハウジングに連結され得る。入口は、カテーテルから脳脊髄液を受けるように構成され得る。出口はカセットハウジングに連結され得る。出口は、濾過された脳脊髄液をカテーテルに向かって案内するように構成され得る。一つ以上のフィルタがカセットハウジング内に配置され得る。弓形面はカセットハウジングの外縁に沿って規定され得る。弓形面は、カセットハウジングがコントローラアセンブリに取りつけられるとき、コントローラアセンブリに係合するように構成され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カセットハウジングと、
前記カセットハウジングに連結され、カテーテルから脳脊髄液を受けるように構成される入口と、
前記カセットハウジングに連結され、濾過された脳脊髄液を前記カテーテルに向かって案内するように構成される出口と、
前記カセットハウジング内に配置された一つ以上のフィルタと、
前記カセットハウジングの外縁に沿って規定され、前記カセットハウジングがコントローラアセンブリに取り付けられるとき、前記コントローラアセンブリに係合するように構成される弓形面と、を備える、濾過カセット。
【請求項2】
前記カセットハウジングに連結されるカバーをさらに備える、請求項1に記載の濾過カセット。
【請求項3】
前記カバーは一つ以上のフランジを含む、請求項2に記載の濾過カセット。
【請求項4】
前記カバーはハンドル部材を含む、請求項2及び請求項3のいずれか一項に記載の濾過カセット。
【請求項5】
前記カセットハウジングが、上部と、底部と、対向する側部と、を含み、前記弓形面は、前記対向する側部のうちの第1の側部に沿って配置される、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の濾過カセット。
【請求項6】
前記対向する側部のうちの第2の側部は、前記上部と前記底部との間において実質的に直線状に延在する、請求項5に記載の濾過カセット。
【請求項7】
前記一つ以上のフィルタはタンジェンシャルフローフィルタを含む、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の濾過カセット。
【請求項8】
前記カセットハウジングは接続突出部を含む、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の濾過カセット。
【請求項9】
弓形壁領域を備えるカセットソケットを有するコントローラアセンブリと、
前記カセットソケット内に配置される濾過カセットであって、
カセットハウジングと、
前記カセットハウジングに連結され、カテーテルから脳脊髄液を受けるように構成される入口と、
前記カセットハウジングに連結され、濾過された脳脊髄液を前記カテーテルに向かって案内するように構成される出口と、
前記カセットハウジング内に配置される一つ以上のフィルタと、
前記カセットハウジングの外縁に沿って規定される弓形面と、を備える前記濾過カセットと、を備え、
前記弓形面は、前記カセットハウジングが前記コントローラアセンブリ内に配置されるとき、前記弓形壁領域に係合するように構成される、濾過システム。
【請求項10】
前記カセットハウジングに連結されるカバーをさらに備える、請求項9に記載の濾過システム。
【請求項11】
前記カバーは一つ以上のフランジを含む、請求項10に記載の濾過システム。
【請求項12】
前記カバーはハンドル部材を含む、請求項10及び請求項11のいずれか一項に記載の濾過システム。
【請求項13】
前記カセットハウジングは、上部と、底部と、対向する側部と、を含み、前記弓形面は、前記対向する側部のうちの第1の側部に沿って配置される、請求項9から請求項12のいずれか一項に記載の濾過システム。
【請求項14】
前記対向する側部のうちの第2の側部は、前記上部と前記底部との間において実質的に直線状に延在する、請求項13に記載の濾過システム。
【請求項15】
前記カセットソケットは、前記対向する側部のうちの前記第2の側部に係合するように構成される直線状の壁領域を含む、請求項14に記載の濾過システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は中枢神経系に沿って治療するための濾過カセット、濾過システム、及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多種多様な医療デバイスが医療用途のために開発されてきている。これらのデバイスのいくつかは、ガイドワイヤ、及びカテーテル等を含む。これらのデバイスは、様々な異なる製造方法のいずれか一つによって製造され、様々な方法のいずれか一つに従って使用され得る。既知の医療デバイス及び方法の各々は、特定の利点と欠点とを有する。代替的な医療デバイス及び医療デバイスを製造及び使用するための代替的な方法を提供することが継続的に必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、医療デバイスのための設計、材料、製造方法、及び使用の代替物を提供する。濾過カセットが開示される。前記濾過カセットは、カセットハウジングと、前記カセットハウジングに連結され、カテーテルから脳脊髄液を受けるように構成される入口と、前記カセットハウジングに連結され、濾過された脳脊髄液を前記カテーテルに向かって案内するように構成される出口と、前記カセットハウジング内に配置される一つ以上のフィルタと、前記カセットハウジングの外縁に沿って規定され、前記カセットハウジングがコントローラアセンブリに取り付けられるとき、前記コントローラアセンブリに係合するように構成される弓形面と、を備える。
【0004】
上記実施形態のいずれかの代わりに又は加えて、前記カセットハウジングに連結されるカバーをさらに備える。
【0005】
上記実施形態のいずれかの代わりに又は加えて、前記カバーは、一つ以上のフランジを含む。
【0006】
上記実施形態のいずれかの代わりに又は加えて、前記カバーはハンドル部材を含む。
【0007】
上記実施形態のいずれかの代わりに又は加えて、前記カセットハウジングは、上部と、底部と、対向する側部と、を含み、前記弓形面は、前記対向する側部のうちの第1の側部に沿って配置される。
【0008】
上記実施形態のいずれかの代わりに又は加えて、前記対向する側部のうちの第2の側部は、前記上部と前記底部との間において実質的に直線状に延在する。
【0009】
上記実施形態のいずれかの代わりに又は加えて、前記一つ以上のフィルタは、タンジェンシャルフローフィルタを含む。
【0010】
上記実施形態のいずれかの代わりに又は加えて、前記カセットハウジングは、接続突出部を含む。
【0011】
濾過システムが開示される。前記濾過システムは、弓形壁領域を備えるカセットソケットを有するコントローラアセンブリと、前記カセットソケット内に配置される濾過カセットであって、カセットハウジングと、前記カセットハウジングに連結され、カテーテルから脳脊髄液を受けるように構成される入口と、前記カセットハウジングに連結され、濾過された脳脊髄液を前記カテーテルに向かって案内するように構成される出口と、前記カセットハウジング内に配置される一つ以上のフィルタと、前記カセットハウジングの外縁に沿って規定される弓形面と、を含む前記濾過カセットと、を備え、前記弓形面は、前記カセットハウジングが前記コントローラアセンブリ内に配置されるとき、前記弓形壁領域に係合するように構成される。
【0012】
上記実施形態のいずれかの代わりに又は加えて、前記カセットハウジングに連結されるカバーをさらに備える。
【0013】
上記実施形態のいずれかの代わりに又は加えて、前記カバーは、一つ以上のフランジを含む。
【0014】
上記実施形態のいずれかの代わりに又は加えて、前記カバーはハンドル部材を含む。
【0015】
上記実施形態のいずれかの代わりに又は加えて、前記カセットハウジングは、上部と、底部と、対向する側部と、を含み、前記弓形面は、前記対向する側部のうちの第1の側部に沿って配置される。
【0016】
上記実施形態のいずれかの代わりに又は加えて、前記対向する側部のうちの第2の側部は、前記上部と前記底部との間において実質的に直線状に延在する。
【0017】
上記実施形態のいずれかの代わりに又は加えて、前記カセットソケットは、前記対抗する側部のうちの前記第2の側部に係合するように構成される直線状の壁領域を含む。
【0018】
上記実施形態のいずれかの代わりに又は加えて、前記カセットハウジングは、接続突出部を含む。
【0019】
上記実施形態のいずれかの代わりに又は加えて、前記カセットソケットは、接続突出部を受けるように構成される開口部を含む。
【0020】
上記実施形態のいずれかの代わりに又は加えて、前記一つ以上のフィルタは、タンジェンシャルフローフィルタを含む。
【0021】
濾過カセットが開示される。前記濾過カセットは、上部と、底部と、第1の側部と、第2の側部と、を含むカセットハウジングと、前記カセットハウジング内に配置される一つ以上のフィルタと、前記カセットハウジングに連結され、カテーテルから流体を受けるように構成される入口コネクタと、前記カセットハウジングに連結され、濾過された流体を前記カテーテルに戻すように構成される出口コネクタと、を備え、前記第1の側部は、前記カセットハウジングの前記上部と前記底部との間において非直線経路に沿って延在する取り付け領域を規定する。
【0022】
上記実施形態のいずれかの代わりに又は加えて、前記カセットハウジングに連結されるカバーをさらに備える。
【0023】
上記実施形態のいずれかの代わりに又は加えて、前記カバーは、一つ以上のフランジを含む。
【0024】
上記実施形態のいずれかの代わりに又は加えて、前記カバーは、ハンドル部材を含む。
【0025】
上記実施形態のいずれかの代わりに又は加えて、前記取付け領域は、弓形である。
【0026】
上記実施形態のいずれかの代わりに又は加えて、前記一つ以上のフィルタは、タンジェンシャルフローフィルタを含む。
【0027】
上記実施形態のいずれかの代わりに又は加えて、前記カセットハウジングは、接続突出部を含む。
【0028】
脳脊髄液を濾過するための濾過カセットが開示される。前記濾過カセットは、カセットハウジングと、前記カセットハウジングに連結され、患者から脳脊髄液を受けるように構成される入口と、前記カセットハウジングに連結され、濾過された脳脊髄液を前記患者に向かって案内するように構成される出口と、前記カセットハウジング内に配置される一つ以上のフィルタと、前記カセットハウジングの外縁に沿って規定され、前記カセットハウジングが前記コントローラアセンブリに取りつけられるとき、コントローラアセンブリに係合するように構成される弓形面と、を備える。
【0029】
脳脊髄液を濾過するための濾過システムが開示される。前記濾過システムは、弓形壁領域を備えるカセットソケットを有するコントローラアセンブリと、前記カセットソケット内に配置される濾過カセットであって、カセットハウジングと、前記カセットハウジングに連結され、患者から脳脊髄液を受けるように構成される入口と、前記カセットハウジングに連結され、濾過された脳脊髄液を前記患者に向かって案内するように構成される出口と、前記カセットハウジング内に配置される一つ以上のフィルタと、前記カセットハウジングの外縁に沿って規定される弓形面と、を含む前記濾過カセットと、を備え、前記弓形面は、前記カセットハウジングが前記コントローラアセンブリ内に配置されるとき、前記弓形壁領域に係合するように構成される。
【0030】
濾過カセットが開示される。前記濾過カセットは、上部と、底部と、第1の側部と、第2の側部と、を含むカセットハウジングと、前記カセットハウジング内に配置される一つ以上のフィルタと、前記カセットハウジングに連結され、患者から流体を受けるように構成される入口コネクタと、前記カセットハウジングに連結され、濾過された流体を前記患者に戻すように構成される出口コネクタと、を備え、前記第1の側部は、前記カセットハウジングの前記上部と前記底部との間において非直線経路に沿って延在する取り付け領域を規定する。
【0031】
濾過カセットが開示される。前記濾過カセットは、カセットハウジングと、前記カセットハウジングに連結され、カテーテルから脳脊髄液を受けるように構成される入口と、前記カセットハウジングに連結され、濾過された脳脊髄液を前記カテーテルに向かって案内するように構成される出口と、前記カセットハウジング内に配置される一つ以上のフィルタと、前記カセットハウジングに連結される廃棄物出口と、を備える。
【0032】
いくつかの実施形態の上記概要は、本開示のそれぞれの開示された実施形態又は全ての実施を説明することを意図しない。以下の図面及び詳細な説明は、これらの実施形態をより具体的に例示する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
本開示は、添付の図面に関連して以下の詳細な説明を考慮することにより、より完全に理解され得る。
【0034】
【0035】
本開示は、様々な修正及び代替の形態を受け入れ可能であるが、それらの詳細は、例によって図面に示されており、詳細に記載されるであろう。しかし、その意図が本開示を記載される特定の実施形態に限定することではないことは理解されるべきである。対照的に、その意図は本開示の趣旨及び範囲に収まる全ての変更、均等物及び代替物を対象とするものである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
明確に示されているか否かに関わらず、全ての数値は本明細書において用語「約(about)」によって修飾されることが想定される。用語「約(about)」は、一般に、当業者が列挙された値と均等である(例えば、同じ機能又は結果を有する)と考えるであろう数の範囲を参照する。多くの例では、用語「約(about)」は、最も近い有効数字に丸められた数を含み得る。
【0037】
両端が定められている数値範囲の列挙は、その範囲内の全ての数字を含む(例えば、1から5は、1,1.5,2,2.75,3,3.80,4,及び5を含む)。
【0038】
本明細書及び添付の特許請求の範囲に用いられるとき、単数形「一つの(a)」、「一つの(an)」及び「その(the)」は、内容が明確に他のことを指示しない限り、複数の指示対象を含む。本明細書及び添付の特許請求の範囲に用いられるとき、用語「又は(or)」は、内容が明確に他のことを指示しない限り、「及び/又は(and/or)」を含む意味において一般に用いられる。
【0039】
本明細書における「一つの実施形態(an embodiment)」、「いくつかの実施形態(some embodiments)」、「他の実施形態(other embodiments)」等への言及は、記載される実施形態が一つ以上の特定の特徴、構造、及び/又は特性を含み得ることを示すことに注意されたい。しかし、そのような記述は、全ての実施形態が特定の特徴、構造、及び/又は特性を含むことを必ずしも意味しない。加えて、特定の特徴、構造、及び/又は特性が一つの実施形態と関連して記載されるとき、そのような特徴、構造、及び/又は特性はまた、明確に反対に述べられない限り、明示的に記載されるか否かに関わらず、他の実施形態に関連して用いられ得ることは理解されるべきである。
【0040】
以下の詳細な説明は、図面を参照して読まれるべきであり、異なる図面における類似の要素は同じ番号が付けられる。図面は、必ずしも縮尺通りではなく、例示的な実施形態を示しており、本発明の範囲を限定することを意図していない。
【0041】
脳脊髄液(CSF)は、脳室に位置する脈絡叢内において産生される水と同様の粘度を有する、一般に透明で無色の流体である。総CSF量は、健康な成人において、約150から300ミリリットルの範囲であると推定されている。脈絡叢は、毒素及び代謝産物を除去するべく、CSFの洗い流し又は再利用に対応するために、1日に約500ミリリットルのCSFを産生することが信じられる。CSFの合計量は、睡眠周期及び他の活動の間に、一日に数回又は場合によってはそれ以上補充される。CSFはまた、アルキメデスの原理によって繊細な脳組織を浮かせることに役立ち、組織を緩衝することによって、突然の動きから脳を保護する。CSFは、脈絡叢から脳及び脊柱の周囲の空間内へ、一連の開口部を通ってゆっくり流れ、次に、くも膜顆粒、篩板、硬膜リンパ管、脊髄神経根スリーブ、及び可能性のある脳組織内への他の経路を含む複数の流出経路を通って体の中に流れる。CSFは、軟膜とくも膜との間の、くも膜下腔として知られる空間に見いだされ、脳の脳室システム内及び脳の外部に位置する一連の槽にも位置する。CSFの流れの正味の生成及び吸収に加えて、CSFは心臓及び呼吸周期と同期して前後の動きで変動する。これらの変動の大きさは、CSFの特定の領域に応じて変わる。CSFの流れはまた、バルサルバ、咳、くしゃみ、楽器の演奏、及び運動活動のような様々な動作に基づいて断続的に変わり得る。健康な成人におけるCSF圧は、仰臥位において、およそ10ミリリットル水銀である。CSF圧は、立位において、CSFシステムに沿った静水圧勾配により変わり、咳のような動作によって一時的に影響を受け得る。
【0042】
研究は、CSFの生物学的組成の変化が、多くの中枢神経系の疾患状態の病理学的プロセスにおいて示され得ること及び/又は関与し得ることを示している。例えば、脳卒中又は他の脳外傷が発生した場合、血液はCSFシステムに入り、血液凝固及び他の生物学的プロセスにより、その後の脳へ損傷を与え得る。筋萎縮性側索硬化症という状況下において、複数の化学物質(炎症性タンパク質又はCHIT1のようなサイトカイン)は、異常に高められ、疾患病態に潜在的に寄与することが見出されている。同様に、多発性硬化タンパク質において、サイトカイン及びケモカインは高められ、潜在的な疾患進行の基礎となることが見出されている。従って、原則では、異常な生物学的組成を有するCSFを取り除くことは有益であり得るが、比較的少量のみが安全に取り出せるように、CSFを直接取り除くことは制限される。従って、第1の位置(例えば、脊柱の頸部領域、又は脳室)からCSFを取り除き、それを変更し(例えば、濾過)、それを第2の位置(例えば、脊柱の腰部領域)においてCSF空間に戻すことが望ましい可能性がある。このプロセスは、同様の総CSF量を維持しながら、望ましくない生物学的生成物を取り除くために用いられ得る。
【0043】
Neurapheresisと呼ばれるプロセスが、CSFからの物質の変更(例えば、微生物、細胞、ウイルス、異物、薬物、及びその組み合わせ等の除去、又は薬理学的薬剤のような物質の循環及び/又は添加)を行うことは理解され得る。上記及び他の治療技術は、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、様々な原因の脳炎、様々な原因の髄膜炎、ギラン-バレー症候群(GBS)、多発性硬化症(MS)、HIV関連神経認知障害、脊髄損傷、外傷性脳損傷、脳血管けいれん、脳卒中及び他の疾患又は状態のような、多くの神経疾患及び状態を治療するために用いられ得る。さらに、濾過プロセス又はシステム(例えば、Neurapheresisプロセス又はシステム)は、例えば、手術中にCSFに入り得る血液を取り除くために、切開又は内視鏡を用いた脊椎手術又は脳の手術の間に用いられ得る。
【0044】
図1は例示的な濾過システム、例えば、Neurapheresis濾過システム10を示す。システム10は、コントローラアセンブリ12及び濾過カセット16を含み得る。少なくともいくつかの例において、コントローラアセンブリ12は、病院及び/又は診療所のための資本設備と見なされ得る。言い換えると、コントローラアセンブリ12は、繰り返し/複数の使用のために設計され、及び/又は繰り返し/複数の介入のために設計され、及び/又は繰り返し/複数の患者のために設計される。これらの例及び他の例のうちのいくつかにおいて、濾過カセット16は、使い捨て製品であると見なされ得る。従って、濾過カセット16は、所与の介入のためにコントローラアセンブリ12に取り付けられ/連結され、介入のために使用され、次に、介入が完了したときに、コントローラアセンブリ12から取り外されるように設計され得る。コントローラアセンブリ12は、新しい濾過カセット16をそれに取り付け/連結することにより、後の介入において再使用され得る。(例えば濾過カセット16のような)濾過カセット(複数)のコントローラアセンブリ12への取り付け/連結及び/又は取り外しを効率的に対応するために、コントローラアセンブリ12は、濾過カセット16と嵌合するように及び/又は他の方法で濾過カセット16を収容するように設計された取り付け領域又はソケット14を含み得る。ソケット14は、濾過カセット16(例えば、本明細書により詳細に記載される)の対応する形状の面/ハウジングと共に、濾過カセット16の取り付け/連結及び/又は取り外しを臨床医にとって比較的容易な手順にするのに役立つ。
【0045】
少なくともいくつかの例では、濾過カセット16は、一般的にCSFを濾過するように設計された一つ以上のフィルタ(例えば、タンジェンシャルフローフィルタ、デッドエンドフィルタ、エレクトロフィルタ、及び/又はこれらの組み合わせ等)を含む。チューブは濾過カセット16に連結され得る。いくつかの例では、チューブは、濾過カセット16に連結され得る吸引又は入口領域18を含み得る。入口領域18は、カテーテル(図示無し)に連結されてもよく、CSFが患者から取り除かれ、濾過カセット16によって処理/濾過され得る経路を規定してもよい。いくつかの例では、チューブは、濾過カセット16に連結され得る、返送又は出口領域20を含み得る。返送領域20は、CSF(例えば、濾過されたCSF)を患者に戻すために使用され得る。返送領域20は、カテーテル(図示無し)に連結されてもよく、処理/濾過されたCSFが患者に戻され得る経路を規定してもよい。
【0046】
濾過カセット16に連結されたチューブはまた、例えば、濾過カセット16から延在し得る、第1のポンプ領域22を含み得る。第1のポンプ領域22は、ポンプヘッド(図示無し)に係合するように設計されてもよく、それにより、CSFは、濾過カセット16を通って送り出され/循環されることが可能であり、最終的に、濾過されたCSFは患者に戻され得る。濾過カセット16に連結されたチューブは、例えば、濾過カセット16から延在し得る、第2のポンプ領域24を含み得る。第2のポンプ領域24は、別のポンプヘッド(図示無し)と係合するように設計されてもよく、それにより、廃棄物質を濾過カセット16から送り出すことができる。
【0047】
使用時、システム10は、カテーテル(図示無し)をシステム10に連結し、カテーテルを脳脊髄空間内に/それに沿って(例えば、腰部脊髄空間に沿って)配置することによって使用され得る。CSFは、カテーテルを使用して取り除かれ/吸引されてもよく、取り除かれたCSFは、濾過カセット16を使用して処理/濾過されてもよい。次に、濾過/調整されたCSFは、カテーテルを使用して患者に戻され得る。
【0048】
チューブは、一般に、濾過カセット16のチューブに沿って配置される一つ以上のサンプリングポート、例えば、サンプリングポート26a、26bを含み得る。所与のサンプリングポートの位置が、収集されるCSFサンプルの種類に影響を与え得ることは理解され得る。例えば、サンプリングポート26aは、濾過カセット16に隣接して配置され、入口領域18と連通し得るため、サンプリングポート26aにおいて収集されたサンプルは患者から直接収集されたCSF(例えば、「未濾過」又は「未処理」CSF)を示す。従って、サンプリングポート26aにおいて収集されたサンプルは、CSFの分析、CSF内の一つ以上の物質(例えば、病原体、原核生物、真核生物、ウイルス、汚染物質、及び/又は薬物等)の定量化、CSF内の薬物レベルの監視、治療の進行の監視、及び/又はそれらの組み合わせ等を行うために使用され得る。サンプリングポート26bは、濾過カセット16に隣接して配置され得るため、廃棄物質(例えば、CSFから除去/濾過された物質)が収集及び/又は分析され得る。従って、サンプリングポート26bが、廃棄物出口(例えば、廃棄物が輸送される濾過カセット16からの経路)に連通することは理解され得る。システム10は、臨床医がNeurapheresis処置中に濾過を評価することを可能にする追加のポートを含み得る。そのようなサンプリングポートは、返送領域20に沿って、又は返送領域20と連通して配置され得る。例えば、一つ以上の追加のサンプリングポートが、返送領域20と連通し得るため、このサンプリングポートにおいて収集されたサンプルは濾過/処理されたCSFを示す。一つ以上の追加のサンプリングポートが、入口領域18と連通し得るため、このサンプリングポートにおいて収集されたサンプルは濾過されていないCSFを示す。従って、集合的に、サンプリングポートは、(a)濾過されていないCSF、(b)濾過/処理されたCSF、及び/又は(c)廃棄物質を収集するために使用され得ることが考えられる。
【0049】
図2は、濾過カセット16のないコントローラアセンブリ12を示す。
図2に示される図は側面図であることが理解され、コントローラアセンブリ12の前面(例えば、一つ以上の入力/ボタン、一つ以上のディスプレイ等を含み得る)が、完全には示されず/見られない。この側面図から、濾過カセット16を受けるためのソケット14が見られ得る。ソケット14が、コントローラアセンブリ12上の任意の適切な場所(例えば、上部、後部、反対側、正面等)に位置付けられることが理解され得る。少なくともいくつかの例では、ソケット14は弓形壁面28を含み得る。弓形壁面28は、濾過カセット16上の対応する表面(例えば、本明細書に記載されるような濾過カセット16の弓形面)に合致するように成形され得る。さらに、ソケット14は開口部30を含み得る。開口部30は、開口部30に係合する対象(例えば、濾過カセット16等)を(例えば、電気的接続により)コントローラアセンブリ12に連結することを可能にするコネクタを含み得る。
【0050】
図3は、濾過カセット16を示す。ここで、濾過カセット16がカセットハウジング32を含むことがわかる。カセットハウジング32は、上部34、底部36、第1の側部38、及び第2の側部40を含み得る。少なくともいくつかの例では、第1の側部38は、上部34と底部36との間において非直線的に延在する。従って、第1の側部38は、非直線又は非垂直面、例えば弓形面であることが理解され得る。弓形の第1の側部38は、一般に、コントローラアセンブリ12の弓形壁面28に係合する、又は他の方法により対応するように設計される。少なくともいくつかの例では、対向する第2の側部40は、上部34と底部36との間に直接、直線状に延在する。言い換えると、第2の側部40は、直線又は垂直面であることが理解され得る。弓形の第1の側部38と直線状/垂直の第2の側部40との組み合わせは、カセットハウジング32に少なくとも部分的に非対称な形状を与え得る。従って、濾過カセット16のコントローラアセンブリ12との係合が効率的に達成され得る。
【0051】
濾過カセット16はまた、カバー42を含み得る。カバー42は、一つ以上のフランジ又はフランジ付き領域44を含み得る。カバー42は、ハンドル又はハンドル部材46を含み得る。ハンドル46は、使用者が濾過カセット16をコントローラアセンブリ12に固定することを助け得る。いくつかの例では、カバー42はカセットハウジング32から取り外し可能であり得る。他の例では、カバー42はカセットハウジング32に実質的に固定/定着され得る。濾過カセット16及び/又はコントローラアセンブリ12は、濾過カセット16をコントローラアセンブリ12に固定するのに役立つ一つ以上の構造的特徴を含み得る。これは、ハンドル46上の領域又はコントローラアセンブリ12上のリップ付き表面に係合するように設計される濾過カセットの他の部分を含み得る。いくつかの例では、一つ以上の電気コネクタが、濾過カセット16及び/又はコントローラアセンブリ12に沿って配置され得る。例えば、電気コネクタは、濾過カセット16の部分36/36/38/40に沿って配置され得る。代わりに、濾過カセット16は、コントローラアセンブリ12に沿って対応するソケットとインターフェース又は係合するように設計されたフランジ又は突出部を含み得る。電気コネクタは、フランジに沿って及び/又はソケットに沿って配置され得る。
【0052】
図4は、カバー42が取り外された濾過カセット16を示す。ここで、濾過カセット16を通る流体の経路が見られ得る。例えば、流体は、カテーテル(図示無し)から入口領域18まで/入口領域18に沿い、第1のポンプ領域22に向かって、第1のフィルタ48まで移動し得る。いくつかの例では、流体はカテーテルを用いて患者から取り除かれた脳脊髄液である。第1のフィルタ48は、流体を濾液と残余分とに分離し得る。流体が脳脊髄液であるとき、濾液が、濾過された又は調整された脳脊髄液であることは理解され得る。濾液は、濾液経路50に沿って出口領域20(例えば、流体が患者に戻され得る場所)に向かって進行し得る。残余分はさらに濾過され得る。従って、残余分は、残余分経路52に沿って第2のフィルタ54に進行し得る。第2のフィルタ54からの濾液は、第2の濾液経路56に沿って進行し、濾液経路50と合流し、次に、(例えば、濾液経路50に沿って移動する流体と共に)出口領域20に向かって進行し得る。流体が脳脊髄液であるとき、第2のフィルタ54からの濾液が、濾過された又は調整された脳脊髄液であることは理解され得る。第2のフィルタ54からの残余分(例えば、廃棄物)は、第2の残余分経路58に沿って第2のポンプ領域24に向かって進行し得る。
【0053】
図4には、濾過カセット16が一つ以上のセンサ60を含み得ることも示される。センサ60は濾過カセット16を通る流れ、容積、及び/又は濾過カセット16内の圧力を測定するために用いられてよく、それにより濾過カセット16を通る適切な流れが維持され得る。いくつかの例では、濾過カセット16は、その中に一つ以上のポンプ(例えば、インラインポンプ)又はポンプ機構(図示無し)を含み得る。
【0054】
図5は、濾過カセット16の後面62を示す。ここで、濾過カセット16が突出部64を含み得ることが見られ得る。突出部64は、コネクタ及び/又は一つ以上の電気接点を含み得る。突出部64は、一般に、コントローラアセンブリ12のソケット14内の開口部30内に嵌合する、又はその他の方法により係合するように構成される。いくつかの例では、突出部64は、センサ60からの情報がコントローラアセンブリ12へ/コントローラアセンブリ12から送信されることを可能にし得る。
【0055】
本開示が、多くの点において例示的なものにすぎないことは理解されるべきである。本開示の範囲を逸脱することなく、詳細に、特に形状、大きさ、及び工程の配置に関して変更され得る。これは、適切な範囲で、他の実施形態に使用されている一つの例示的な実施形態の特徴のいずれかの使用を含み得る。本発明の範囲は、言うまでもなく、添付の特許請求の範囲が表現される言語において定義される。
【国際調査報告】