(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-19
(54)【発明の名称】容器の無菌充填用のシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
B67C 7/00 20060101AFI20230612BHJP
B08B 1/02 20060101ALI20230612BHJP
A61L 2/07 20060101ALI20230612BHJP
B65B 55/04 20060101ALI20230612BHJP
B65B 55/06 20060101ALI20230612BHJP
B65B 55/24 20060101ALI20230612BHJP
【FI】
B67C7/00
B08B1/02
A61L2/07
B65B55/04 C
B65B55/06 Z
B65B55/04 M
B65B55/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022568466
(86)(22)【出願日】2021-05-05
(85)【翻訳文提出日】2022-12-16
(86)【国際出願番号】 EP2021061885
(87)【国際公開番号】W WO2021228661
(87)【国際公開日】2021-11-18
(32)【優先日】2020-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515116009
【氏名又は名称】グリフォルス・ワールドワイド・オペレーションズ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GRIFOLS WORLDWIDE OPERATIONS LIMITED
【住所又は居所原語表記】Grange Castle Business Park,Grange Castle,Clondalkin,Dublin 22,IRELAND
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ホルディ・ボイラ・ボノラ
(72)【発明者】
【氏名】カルロス・ロウラ・サリエッティ
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・パジェス・ベセッラ
【テーマコード(参考)】
3B116
3E079
4C058
【Fターム(参考)】
3B116AA23
3B116AB14
3B116BB22
3B116CC03
3E079AA10
3E079AB01
3E079BB05
3E079FF01
3E079GG01
3E079GG02
4C058AA25
4C058BB05
4C058CC01
4C058CC06
4C058JJ01
4C058JJ26
(57)【要約】
本発明は、容器を滅菌するための装置と、滅菌された容器に充填するための機械とを備える、医薬品のための容器の無菌充填用のシステムであって、容器を滅菌するための装置が、少なくとも1つのオートクレーブを備え、システムが、自動化された容器集積装置と、オートクレーブの中で滅菌された容器を、前記オートクレーブから前記容器集積装置を経由して容器充填機まで自動的に搬送するための手段とを備える、システムに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬品のための容器を無菌充填するためのシステムであって、前記容器を滅菌するための装置と、滅菌された前記容器のための容器充填機と、を備える前記システムにおいて、
容器を滅菌するための前記装置が、少なくとも第1のオートクレーブを備えており、
前記システムが、自動化された容器集積装置と、前記容器集積装置を介して前記第1のオートクレーブから前記容器充填機に至るまで、前記オートクレーブで滅菌された前記容器を自動的に搬送するための手段と、を備えていることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記容器集積装置が、集積プレートを備えていることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記容器集積装置が、バッファを備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記システムが、前記第1のオートクレーブに対して並列して位置決めされている第2のオートクレーブを備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項5】
前記システムが、前記第2のオートクレーブと、前記第1のオートクレーブに対して並列して配置されている第3のオートクレーブと、を備えていることを特徴とする請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記システムが、自動化されたオートクレーブ排出装置を備えており、
前記オートクレーブ排出装置と前記容器充填機とが、前記容器集積装置を介して接続されていることを特徴とする請求項4又は5に記載のシステム。
【請求項7】
前記システムが、前記第1のオートクレーブ及び前記第2のオートクレーブを充填するための集積器を備えており、
前記集積器が、自動化された容器方向転換装置と、前記第1のオートクレーブが動作している場合に前記容器を第2のオートクレーブに導くように構成されている制御手段と、を備えていることを特徴とする請求項4から6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記システムが、オートクレーブそれぞれの出力端にバッファを備えていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記システムが、容器洗浄装置と、洗浄された前記容器を少なくとも1つのオートクレーブに自動的に搬送するための手段と、を備えていることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記システムが、容器をキャッピングするための装置を前記容器充填機の下流に備えていることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記容器が、薬瓶であることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
医薬品のための容器を無菌充填するための方法であって、
前記容器を洗浄する洗浄ステップと、
洗浄された前記容器を滅菌する滅菌ステップと、
滅菌された前記容器を清浄域に充填する充填ステップと、
を備えている前記方法において、
洗浄された前記容器を滅菌する前記滅菌ステップが、少なくとも1つのオートクレーブで実行され、
洗浄された前記容器が、自動搬送手段によって、前記洗浄ステップから前記滅菌ステップに、及び前記滅菌ステップから前記充填ステップに導かれ、
前記容器が、集積プレートを具備する集積装置によって、前記滅菌ステップから前記充填ステップに導かれることを特徴とする方法。
【請求項13】
前記容器が、バッファを具備する集積装置によって、前記滅菌ステップから前記充填ステップに導かれることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記方法が、洗浄された前記容器が第1のオートクレーブで滅菌されている際に洗浄された新規の容器が第2のオートクレーブに充填されるように、第2のオートクレーブを第1のオートクレーブに対して並列して配置させるステップを備えていることを特徴とする請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記方法が、充填された前記容器をキャッピングするステップをさらに備えていることを特徴とする請求項12から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記容器が、薬瓶であることを特徴とする請求項12から15のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、容器の無菌充填用のシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
適切に滅菌されるべき薬又は生産物については、これらの無菌生産物の容器も、生産物中の微生物又は粒子による汚染のリスクを最小化するために滅菌することが重要である。従って、最終的に滅菌を必要とする生産物の容器は、清浄域において充填されるべきである。これらの清浄域は、容器を滅菌するための適切なレベルの清浄度を有する。特に無菌生産中には、これらの清浄域における人数は最小限にするべきである。
【0003】
容器の無菌充填用のシステムが知られている。前記システムでは、容器は、最初に、洗浄によって清掃するための装置に通される。次に、容器は滅菌装置に送られて滅菌される。次いで、容器は、充填機に搬送されて無菌的に充填される。前記システムの滅菌装置は、脱パイロジェンオーブン又は脱パイロジェントンネルである。
【0004】
脱パイロジェントンネルは、乾式加熱によって滅菌する滅菌装置である。滅菌及び脱パイロジェンのトンネルは、エンドレス可変速コンベアと、予熱モジュール、滅菌モジュール、冷却モジュール及び安定化モジュールを含む可変の空気モジュールと、電気システムと、計器装備及び制御装置とを備え、パイロジェンレベルにおける少なくとも3logの低下を可能にするものである。脱パイロジェントンネルにおける容器の流れは一方向の層流である。脱パイロジェントンネルの利点の1つに、容器の流れが連続していることがある。このタイプのオーブンの特性のために、プロセスは、通常は約250℃の高温において実行されるべきである。脱パイロジェントンネルの短所の1つは、容器を閉じてから滅菌する必要があり、高いプロセス温度が容器に構造的損傷をもたらす可能性があることである。
【0005】
知られている別の滅菌装置に、オートクレーブがある。オートクレーブでは、プロセスが不連続的に実行され、一度に特定数の容器に対する滅菌が、バッチで周期的に行われる。オートクレーブのメインサイクルは、1.1バールで約122℃において1時間動作し、事前の加熱/冷却サイクル及び最終的な冷却サイクルもある。
【0006】
オートクレーブには、作業者が、容器を装填するドアと、前記容器を取り出す別のドアがある。両方のドアが、異なるISO等級を有する部屋の中へと通じている。通常、作業者は、洗浄装置から容器を収集して、オートクレーブの中へ搬送するために、容器を段違いカート又は他の移動可能な支持体に入れる。一旦、作業者がオートクレーブに装填すると、前記容器が滅菌される。滅菌後に、作業者は、オートクレーブの他のドアから滅菌済の容器を取り出して、容器充填システムのラインに持って行く。次に、容器を閉めるためにキャッピングが実行される。この、人の相互作用の存在は、微生物による、及び作業に関与する人の防護衣からの粒子による汚染のリスクを伴い、オートクレーブに容器を出し入れするプロセスにおいて前記容器が汚染される。これらの清浄域に携わるすべての要員(清掃要員や保全要員を含む)は、無菌生産物の正確な製造において特別な訓練を受ける必要があり、厳密な個人衛生及び清浄度管理を実行しなければならず、微生物による、及び防護衣からの粒子による汚染を最小限にするために高品質の衣類を装着する必要もある。
【0007】
従って、オートクレーブは滅菌中に完全に閉じていなければならないので、オートクレーブの中の容器の滅菌は不連続プロセスである。これは、容器充填機に対して容器の不連続の入力流があることを意味し、そのため、容器充填機が作動していないときには空き時間が生じ、負荷がその公称運転負荷を上回るときには、充填機はこれらのピーク作業負荷を吸収することができない。これは、医療物質を充填するための機械にとっては、前記物質の特性に起因して、機械ノズルが完全に乾き、容器に注入される物質に悪影響を及ぼすので、特に問題である。従って、容器の無菌充填用のシステムの滅菌装置としてオートクレーブを使用することは最適ではない。
【0008】
オートクレーブは、脱パイロジェントンネルに対して、容器に対してそれほど苛酷でなく、プロセス中に容器が開いていることを許容するので、前記容器を前もって閉じておく必要性が回避され、既に明示したようにバッチ運転が可能になる、といった幾つかの利点を有する。この不連続動作により、万一滅菌に障害が生じたとしても、影響を受けるのは容器の1つのバッチのみであるため、リスクが最小限になる。オートクレーブを、自動搬送手段及び好ましくは集積装置とともに使用すると、そのすべての利点を維持しながら不連続動作の短所を回避することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的の1つは、充填機に対して容器が不連続的に入力されることの短所なしで、滅菌装置としてのオートクレーブを備える、容器の無菌充填用のシステムを開示することである。
【0010】
なおまた、本発明の別の目的は、人の存在を最小限にして汚染のリスクを最小限にするために、全体のシステムを自動化することである。しかしながら、(断続的な)滅菌プロセスと(連続的な)洗浄プロセス及び充填プロセスとの異なる性質のために、プロセスの自動化が複雑になる。
【0011】
より具体的には、本発明は、オートクレーブと自動搬送手段とを組み合わせることによって容器が滅菌される斬新なシステムを開示する。前記構成により、容器充填機は、容器を連続的に投入して動作することができる。好ましくは、容器の、この連続流は、並列のオートクレーブ、容器集積装置、容器の自動搬送用のシステム及び/又はそれらの組合せを使用することにより達成される。
【課題を解決するための手段】
【0012】
より具体的には、本発明は、容器を滅菌するための装置及び滅菌された容器のための充填機を備える医薬品のための容器の無菌充填用のシステムであって、容器を滅菌するための装置が少なくとも第1のオートクレーブを備える、及び、このシステムが、自動化された容器集積装置と、オートクレーブの中で滅菌された容器を、前記オートクレーブから前記容器集積装置を経由して容器充填機まで自動的に搬送するための手段とを備えるという特別な特色を有する、システムを開示する。好ましくは、集積装置は集積プレートを備える。
【0013】
より好ましくは、集積装置はバッファを備える。
【0014】
あるいは、システムは、前記第1のオートクレーブに対して並列に配置された第2のオートクレーブも備える。好ましくは、システムは、前記第2のオートクレーブと、前記少なくとも1つのオートクレーブに対して並列の第3のオートクレーブとを備える。より好ましくは、システムは、集積装置を介して容器充填機に接続された、オートクレーブを自動的に空にする装置を備える。さらにより好ましくは、システムは、オートクレーブに充填するための集積器を備え、前記集積器は、容器を自動的に方向転換する装置と、第1のオートクレーブが動作中の場合、容器を第2のオートクレーブへ導くように構成された制御手段とを備える。
【0015】
説明された、オートクレーブと集積装置との並列システムを備えるシステムにより、オートクレーブからの出力が不連続であっても、滅菌された容器に充填する機械に対して薬瓶を連続投入する流れを得ることが可能になる。これによって、オートクレーブのプロセスを充填プロセスから分離することが可能になる。このように、システムは、オートクレーブに、計量式給送プロセスが停止するような障害が生じて、並列の構成でなければ充填機のノズルが劣化するような場合、並列の構成により、他のオートクレーブを使用して動作を継続することができる。
【0016】
並列運転により、前記容器の無菌充填用のシステムはまた、人の介入なしで、より急速かつより安全に実行することが可能になり、容器を滅菌するとき、より高い信頼性を与える。
【0017】
この構成により、従来技術における、滅菌された容器の第1のセットがオートクレーブから取り出されて、滅菌されるべき容器の新規のセットが前記オートクレーブに送り込まれる時間に相当する、オートクレーブが動作していない空き時間をなくすことができる。従って、本発明によるシステムにより、容器充填プロセスの全体的な速度が増加され得る。加えて、本発明により、自動化された滅菌システムが、容器の滅菌ステップ中に人との接触を回避することも可能になる。この自動化により、生産物又は材料の中の微生物又は粒子による汚染のリスクを最小限にすることが可能になる。
【0018】
好ましくは、システムは、バッファと、上で説明されたように第1のオートクレーブに対して並列に配置された第2のオートクレーブとを備える。
【0019】
より好ましくは、バッファは、第1及び第2のオートクレーブを自動的に空にする装置と集積プレートとの間に配置される。
【0020】
好ましくは、システムは、各オートクレーブの出力端にバッファを備える。
【0021】
好ましくは、システムは、容器洗浄装置と、洗浄された容器を少なくとも1つのオートクレーブに自動的に搬送するための手段とを備える。より好ましくは、充填機は計量式給送装置である。さらにより好ましくは、システムは、充填機の下流に、容器をキャッピングするための装置を備える。
【0022】
好ましくは、容器は瓶である。より好ましくは、容器は薬瓶である。
【0023】
本発明は、医薬品のための容器の無菌充填のための方法であって、
・容器を洗浄するステップと、
・洗浄された容器を滅菌するステップと、
・滅菌された容器を清浄域において充填するステップとを含み、
洗浄された容器を滅菌するステップが、少なくとも1つのオートクレーブの中で実行されること、及び洗浄された容器が、自動搬送手段によって、洗浄ステップから滅菌ステップへと、また滅菌ステップから充填ステップへと導かれ、前記容器が、集積プレートを備える集積装置によって、滅菌ステップから充填ステップへと導かれることという特別な特色を有する、方法を開示する。好ましくは、容器は、バッファを備える集積装置によって、滅菌ステップから充填ステップへと導かれる。
【0024】
より好ましくは、方法は、洗浄された容器が第1のオートクレーブの中で滅菌されている間に新規の洗浄された容器が第2のオートクレーブに装填されるように、第1のオートクレーブに対して第2のオートクレーブを並列に配置するステップを含む。さらにより好ましくは、方法は、充填された容器をキャッピングする追加のステップを含む。
【0025】
好ましくは、容器は瓶である。より好ましくは、容器は薬瓶である。
【0026】
さらなる理解のために、添付図面は、本発明の一実施形態を説明する非限定的な例を示す。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】2つの並列のオートクレーブを有する、医薬品のための容器の無菌充填用のシステムの第1の実施形態の図である。
【
図2】2つの並列のオートクレーブを有する、医薬品のための容器の無菌充填用のシステムの第2の実施形態の図である。
【
図3】2つの並列のオートクレーブを有する、医薬品のための容器の無菌充填用のシステムの第3の実施形態の図である。
【
図4】オートクレーブの出力端にバッファを有する、医薬品のための容器の無菌充填用のシステムの第4の実施形態の図である。
【
図5】オートクレーブの出力端にバッファを有する、医薬品のための容器の無菌充填用のシステムの第5の実施形態の図である。
【
図6】2つの並列のオートクレーブ及び単一のバッファを有する、医薬品のための容器の無菌充填用のシステムの第6の実施形態の図である。
【
図7】2つの並列のオートクレーブ及び単一のバッファを有する、医薬品のための容器の無菌充填用のシステムの第7の実施形態の図である。
【
図8】2つの並列のオートクレーブと、各オートクレーブの出力端にバッファとを有する、医薬品のための容器の無菌充填用のシステムの第8の実施形態の図である。
【
図9】2つの並列のオートクレーブと、各オートクレーブの出力端にバッファとを有する、医薬品のための容器の無菌充填用のシステムの第9の実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1、
図2及び
図3は、医薬品のための容器の無菌充填用のシステムを開示する。
【0029】
図1及び
図2のシステムは、容器の無菌充填用のシステムの第1及び第2の実施形態を示すものであり、容器は、液体の医薬物質、生産物又は薬で充填される。示された例では、容器は薬瓶である。
図3のシステムは容器の無菌充填用のシステムを示すものであり、容器は、液体の物質、生産物又は薬で充填され、これは、続いて凍結乾燥される。凍結乾燥プロセスは任意の既知のタイプでよく、この特許では詳述されない。図において、同一又は類似の参照数字は、各実施形態における類似の要素を指す。
【0030】
図1の無菌充填用のシステムは、第1のオートクレーブ3aである、容器を滅菌するための装置と、滅菌された容器に充填するための機械6とを備える。加えて、システムは、第1のオートクレーブ3aに対して並列に配置又は設置された第2のオートクレーブ3bを備える。システムは、第1及び第2のオートクレーブに対して並列に接続された少なくとも1つの追加のオートクレーブ(図示せず)をも備え得る。
【0031】
図1及び
図2のシステムでは、容器は、オートクレーブ3a、3bにおける滅菌の前に、コンベアベルト又は別の搬送装置であり得る自動搬送手段によって、少なくとも1つの洗浄装置に配置された洗浄ステーションを通って搬送される。この容器洗浄ステーションでは、容器の上に認められ得るあらゆる物質又は粒子を除去するように、容器を洗浄して乾燥させる。洗浄ステーションは、
図1に示されるように、幾つかの洗浄及び/若しくは乾燥の装置1を備えてもよく、又は、
図2に示されるように、単一の洗浄及び乾燥する装置10を備えてもよい。薬瓶のサイズに応じて、幾つかの洗浄及び乾燥する装置を有するステーションを有することが望ましい。通常は、薬瓶に入れる物質が液体の物質である場合、使用される薬瓶は粉状の物質用よりも大きいので、幾つかの洗浄装置があることが推奨される。
【0032】
自動搬送手段は、容器をオートクレーブ3a、3bに搬送する。これらの自動搬送手段は、第1のオートクレーブ3aが動作中の場合、薬瓶を第2のオートクレーブ3bへ導くように構成されている。加えて、システムは集積器を備え得る。この集積器は、オートクレーブ3a、3bへの薬瓶の自動給送を促進する。好ましくは、集積器は、容器を自動的に方向転換する装置と、第1のオートクレーブ3aが動作中の場合、薬瓶が第2のオートクレーブ3bに導かれることを促進するように構成された制御手段とを備える。
【0033】
オートクレーブに薬瓶を供給するプロセスを自動化すると、オートクレーブに手動で出し入れするときに生じる空き時間をなくすことができる。従って、一旦、第1のオートクレーブ3aに薬瓶が装填されると、その滅菌が開始される。第1のオートクレーブ3aが動作中であると、集積装置2は、第2のオートクレーブ3bに薬瓶を充填し、第1のオートクレーブ3aが取り出されている間、第2のオートクレーブ3bが動作することを可能にする。2つのオートクレーブが並列して存在するため、薬瓶の滅菌プロセスがより速くなり、どちらのオートクレーブも動作していない空き時間はなくなる。オートクレーブのこの交番は一定間隔で実行され得る。
【0034】
この自動化により、作業者が、オートクレーブに薬瓶を絶え間なく出し入れする必要性もなくなる。これによって、オートクレーブの中の容器が微生物及び防護衣からの粒子で汚染されるリスクが最小限になる。
【0035】
システムは、第1の及び第2のオートクレーブ3a、3bに対して並列に配置された追加のオートクレーブをさらに有し得る。追加のオートクレーブの存在により、プロセスをさらに合理化することができる。
【0036】
オートクレーブの中で薬瓶が一旦滅菌されると、オートクレーブを自動的に空にする装置4は、薬瓶を、両方のオートクレーブから、集積プレート5である容器集積装置へと導く。この集積プレート5は、両方のオートクレーブから滅菌された薬瓶を受け取り、自動搬送手段によって、前記薬瓶を容器充填機6に導く。前記自動搬送手段は、コンベアベルト又は別の搬送装置でよい。
【0037】
自動搬送手段と集積装置とを組み合わせると、プレートから容器充填機6への容器の流れを一定にすることができ、前記充填機6の効率を最適化する。
【0038】
充填機6は、既知のタイプの計量式給送装置であってよく、薬瓶に無菌充填する。
図1及び
図2の例では、充填ステップに続いて、薬瓶は、キャッピング装置7において適切にキャッピングされる。
図3の例では、薬瓶はトレイ配置装置70においてトレイ上に置かれ、次いで、前記薬瓶は、この特許で説明されたシステムの外部でキャッピングされる。薬瓶のキャッピングは、滅菌されたキャップを使用する無菌プロセスとして、又は無菌区域の外部の清浄なプロセスとして実行され得る。キャッピングプロセスにおける、必要な条件を保証し、人の直接的な介入を最小限にするために、利用制限障壁及び絶縁装置が有益であり得る。
【0039】
図2は、容器洗浄装置10を1つだけ有する、
図1のものに類似の容器充填システムを示す。
【0040】
図3は、トレイ配置装置70を有する、
図2及び
図3のものに類似の容器充填システムを示す。前記トレイ配置装置70は、凍結乾燥プロセスの前、及び例えば凍結乾燥されたものなどの粉状の物質の薬瓶をキャッピングした後、移動ステージとして使用される。この場合、キャッピングは、幾つかのステップで実行され、このキャッピングは既知のタイプのものであり、特許の目的ではない。通常、続いて凍結乾燥される薬瓶は、凍結乾燥を必要としない薬瓶よりも小さく、従って、
図3のシステムは単一の容器洗浄装置10を備える。
【0041】
図4及び
図5は、単一のオートクレーブ3を備える、医薬品のための容器の無菌充填用のシステムを示すものであり、集積装置は中間貯蔵庫又はバッファ8を備える。
図4及び
図5に示されるように、集積装置は、集積プレート5に加えてバッファ8を備える。これらの図では、
図1、
図2及び
図3に示されたものに類似の要素は、同一又は類似の参照数字を用いて示されている。
【0042】
以前の図と同様に、容器は、オートクレーブ3における滅菌の前に、コンベアベルト又は別の搬送装置であり得る自動搬送手段によって、少なくとも1つの洗浄装置に配置された洗浄ステーションを通って搬送される。洗浄ステーションは、
図4に示されるように、幾つかの洗浄及び/若しくは乾燥の装置1を備えてもよく、又は、
図5に示されるように、単一の洗浄及び乾燥する装置10を備えてもよい。自動搬送手段は、容器をオートクレーブ3に搬送する。
【0043】
薬瓶は、一旦、オートクレーブ3の中で滅菌されると、集積器又はバッファ8と、集積プレート5とを通過してから、容器充填機6へと導かれる。集積器8は、滅菌された容器の全体のグループ又はバッチを取り出し、前記容器を、集積プレート5へのさらなる連続流に導く。この集積プレート5は、両方のオートクレーブから薬瓶を受け取り、コンベアベルト又は別の搬送装置によって、前記薬瓶を容器充填機6に導く。
【0044】
集積器又はバッファ8は、オートクレーブ3の出力端に配置され、人の相互作用なしで、オートクレーブから容器を自動的に取り出すことを可能にする。バッファ8と集積プレート5との組合せにより、滅菌された容器が、充填機6に絶え間なく供給され得る。容器を自動的に取り出すことにより、オートクレーブから容器をより速く取り出すことができるため、オートクレーブに新規のバッチを、再び、より迅速に装填することも可能になり、容器の無菌充填を合理化する。
【0045】
システムは、
図1、
図2及び
図3のシステムとは異なり、オートクレーブの入力端における集積器も、その出力端に方向転換装置も備えない。
【0046】
図4は、幾つかの洗浄及び/又は乾燥の装置1ならびにキャッピング装置7を有する容器充填システムを示す一方、
図5は、単一の洗浄及び乾燥する装置10と、充填機6の出力端に配置されたトレイ配置装置70とを有する、容器充填システムの構成を示す。示されていない他の構成も可能であり得る。
【0047】
図6及び
図7は、医薬品のための容器の無菌充填用のシステムを示し、これは、2つのオートクレーブ3a及び3aを備え、第2のオートクレーブ3bは、第1のオートクレーブ3aに対して並列に配置されている。システムは、バッファ8及び集積プレート5を備える集積装置も備える。これらの図では、以前の図に示されたものに類似の要素は、同一又は類似の参照数字を用いて示されている。
【0048】
以前の図と同様に、容器は、オートクレーブ3における滅菌の前に、コンベアベルト又は別の搬送装置であり得る自動搬送手段によって、少なくとも1つの洗浄装置に配置された洗浄ステーションを通って搬送される。洗浄ステーションは、
図6に示されるように、幾つかの洗浄及び/若しくは乾燥の装置1を備えてもよく、又は、
図7に示されるように、単一の洗浄及び乾燥する装置10を備えてもよい。自動搬送手段は、オートクレーブ3a、3bに容器を、好ましくはオートクレーブ3a、3bへの薬瓶の自動給送を促進する入力集積器を通して搬送し、入力集積器は、容器を自動的に方向転換する装置と、第1のオートクレーブ3aが動作中の場合、薬瓶が第2のオートクレーブ3bに導かれることを促進するように構成された制御手段とを備える。システムは、第1及び第2のオートクレーブ3a、3bに対して並列に配置された追加のオートクレーブをさらに有し得る。
【0049】
容器は、オートクレーブのうちの1つで滅菌された後に、オートクレーブから、好ましくはオートクレーブを自動的に空にする装置によって、バッファ8及び集積プレート5を備える容器集積装置へと取り出される。あるいは、バッファ8は、第1及び第2のオートクレーブを空にする装置と、集積プレートとの間に配置される(
図6及び
図7を参照されたい)。この場合、集積プレート5の容量よりも大きい容量のバッファ8を前記プレート5と組み合わせると、オートクレーブから充填機6への、
図1、
図2及び
図3に示されたものよりも多くの容器の流れが可能になる。以前の実施形態と同様に、集積プレート5は、滅菌された薬瓶を、自動搬送手段によって容器充填機6に導く。これらの自動搬送手段は、コンベアベルト又は別の搬送装置であってよい。
【0050】
図6は、幾つかの洗浄及び/又は乾燥の装置1ならびにキャッピング装置7を有する容器充填システムを示し、
図7は、単一の洗浄及び乾燥する装置10と、充填機6の出力端に配置されたトレイ配置装置70とを有する、容器充填システムの構成を示す。示されていない他の構成も可能であり得る。
【0051】
図8及び
図9は、
図6及び
図7のシステムに類似の、2つのオートクレーブ3a及び3bを備える、医薬品のための容器の無菌充填用のシステムを示す。この場合、集積装置は、オートクレーブ3a、3bの各々の出力端に配置されたバッファ8a、8bを備える。この場合、オートクレーブを自動的に空にする装置は、容器を、バッファ8a、8bから取り出し、前記容器を集積プレート5に導く。
【0052】
各オートクレーブにバッファ8a、8bがあることの利点の1つには、バッチごとにより少数の容器でオートクレーブを空にすることが可能で、第2のバッファのメンテナンス中には、オートクレーブとバッファのセットのうち1つとで動作することも可能になることがある。
【0053】
これらの図では、以前の図に示されたものに類似の要素は、同一又は類似の参照数字を用いて示されている。
【0054】
本発明は、医薬品のための容器の無菌充填のための方法も開示する。本発明による方法は、上で説明され、図の実施形態において示されたシステムのうちのいずれかを使用して実行される。
【0055】
方法は、容器洗浄ステーションの中で容器を洗浄するステップ(単一の装置10を使用する1つのステップにおいて、又は2つの装置1を有するシステムを使用する2つのステップにおいて実行され得る)であって、前記容器の搬送が、少なくとも1つのオートクレーブ3へ、好ましくは、互いに並列に配置された少なくとも2つのオートクレーブ3a、3bへの自動搬送手段による、ステップと、オートクレーブ3、3a、3bの中で容器を滅菌するステップと、集積装置の中での蓄積ステップであって、前記集積装置が、集積プレート5、好ましくは少なくとも1つのバッファ8、8a、8bを備える、ステップと、容器を集積プレート5に導く、オートクレーブを自動的に空にする装置4によって、オートクレーブを空にする好ましいステップと、容器を、自動搬送手段によって、集積プレート5から、計量式給送装置であり薬瓶を無菌充填する容器充填機6に、搬送するステップと、前記容器充填機6に容器を充填するステップと、容器をキャッピングするステップと、を含む。充填ステップは、注入される物質、生産物又は薬が、続いて凍結乾燥されるべき液体である場合と、前記物質、生産物又は薬が凍結乾燥を必要としない場合との両方で、類似の仕方で実行される。
【0056】
コンベアベルトを使用する、充填ステップから少なくとも1つのオートクレーブへの容器の搬送は、集積装置によって実行され得る。2つ以上のオートクレーブがある場合、集積装置は、容器を、互いに並列に配置された2つのオートクレーブ3a、3bのうち1つに導くように構成された制御手段を有する自動方向転換装置をも備え得る。
【0057】
滅菌ステップは、並列に配置された任意数のオートクレーブの中で実行され得る。上で言及されたオートクレーブ3a、3bに対して、追加のオートクレーブを使用すると、全体的な容器の滅菌時間がさらに改善される。
【0058】
オートクレーブ3には、容器の出し入れがバッチ又はロットで実行され、充填機6がピーク作業負荷を吸収することができないという課題がある。プロセスを自動化すると、充填機6に容器が絶え間なく到着することが可能になる。
【0059】
なおまた、容器の滅菌ステップ中に品質管理が実行され得る。この品質管理では、作業者が、オートクレーブの中の滅菌プロセスと、既に滅菌された容器の品質とを、視覚的又は自動的に検査する。
【0060】
幾つかの代表的な例を基に、本発明が説明され、示されてきたが、前記実施形態は一例であって本発明を限定するものではなく、従って、直接含まれる、又は添付の特許請求の範囲の内容における等価性によって含まれる、あらゆる変形形態が、本発明の範囲に含まれるとみなすべきであることが理解されよう。
【符号の説明】
【0061】
1 洗浄及び/又は乾燥の装置
3 オートクレーブ
3a 第1のオートクレーブ
3b 第2のオートクレーブ
4 オートクレーブを自動的に空にする装置
5 集積プレート
6 充填機
7 キャッピング装置
8 バッファ
8a バッファ
8b バッファ
10 容器洗浄装置
70 トレイ配置装置
【国際調査報告】