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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-19
(54)【発明の名称】懸濁液安定化剤
(51)【国際特許分類】
   B01J 13/00 20060101AFI20230612BHJP
【FI】
B01J13/00 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022568880
(86)(22)【出願日】2021-05-11
(85)【翻訳文提出日】2022-11-11
(86)【国際出願番号】 BR2021050197
(87)【国際公開番号】W WO2021226694
(87)【国際公開日】2021-11-18
(31)【優先権主張番号】63/023,056
(32)【優先日】2020-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521023425
【氏名又は名称】スザノ・エス.エー.
【氏名又は名称原語表記】SUZANO S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【弁理士】
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】マイ、エステバン・フリジーニ
(72)【発明者】
【氏名】シケイラ、ジェルマーノ・アンドラーデ
(72)【発明者】
【氏名】ギマランイス、マテウス・アントゥネス
(72)【発明者】
【氏名】ビエイラ、リチェリ・テレス
【テーマコード(参考)】
4G065
【Fターム(参考)】
4G065AB06X
4G065BA07
4G065BA09
4G065BA15
4G065BB01
4G065CA11
4G065DA01
4G065DA02
4G065DA06
4G065DA08
4G065EA01
4G065EA03
(57)【要約】
本発明は、粒子を含む液体組成物の製造における、懸濁液安定化剤、ネットワーク構造化剤又はネットワーク構造化添加物としてのミクロフィブリル化セルロースの使用に関する。好ましくは、ミクロフィブリル化セルロースは、安定化された液体組成物中に0.5%~5.0%存在する。安定化された液体組成物は、多数の粒、多数のカプセル又はそれらの混合物を有する粒子も有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子を含む液体組成物における懸濁液安定化剤としてのミクロフィブリル化セルロースの使用。
【請求項2】
粒子を含む液体組成物におけるネットワーク構造化剤としてのミクロフィブリル化セルロースの使用。
【請求項3】
安定化された粒子を含む液体組成物を提供するネットワーク構造化添加物としての、請求項1又は2に記載のミクロフィブリル化セルロースの使用。
【請求項4】
安定化された液体組成物中の0.5%~5.0%、好ましくは1.0%の、請求項1~3のいずれか一項に記載のミクロフィブリル化セルロースの使用。
【請求項5】
直径が0.02μm~2μm、好ましくは0.6μmである、請求項1~4のいずれか一項に記載のミクロフィブリル化セルロース。
【請求項6】
液体組成物中の粒子の粒子保護剤としてのミクロフィブリル化セルロースの使用。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の液体組成物での、0.5%~5.0%、好ましくは1.0%のミクロフィブリル化セルロースの使用。
【請求項8】
粒子を含む液体組成物の製造における粒子保護剤としてのミクロフィブリル化セルロースの形態の懸濁液安定化剤の使用。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の液体組成物の製造における、0.5%~5.0%、好ましくは1.0%のミクロフィブリル化セルロースの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子を含む液体組成物の製造における、懸濁液安定化剤、ネットワーク構造化剤又はネットワーク構造化添加物としてのミクロフィブリル化セルロースの使用に関する。したがって、粒子を含む液体組成物の製造における粒子保護剤としてのミクロフィブリル化セルロースの形態の懸濁液安定化剤の使用も提供される。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2009/135765号には、細菌に由来するミクロフィブリルセルロースを最大で0.2%含有する液体組成物の製造方法が記載されている。同じ化学構造を有していても、細菌が産生するミクロフィブリルセルロースは、コストとスケーラビリティの点で課題に直面している。一方、機械的に得られるミクロフィブリル化セルロースは、はるかに競争力のあるコストで大規模に製造できる。
【0003】
再生可能な安定化剤中に粒子系を有する液体組成物を安定化する必要性が依然として存在する。安定化された液体組成物の製造におけるMFCの効率的な使用は、完全に調合された消費者向け製品としての使用できる。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、粒子を含む液体組成物の製造における、懸濁液安定化剤、ネットワーク構造化剤又はネットワーク構造化添加物としてのミクロフィブリル化セルロースの使用に関する。好ましくは、ミクロフィブリル化セルロースは、安定化された液体組成物中に0.5%~5.0重量%存在する。安定化された液体組成物は粒子も含む。粒子は、多数の粒、多数のカプセル又はそれらの混合物を有する。
【0005】
液体組成物中の粒子の粒子保護剤として、ミクロフィブリル化セルロースを、好ましくは安定化された液体組成物の総重量の0.5%~5.0%で使用することも提供される。したがって、粒子を含む液体組成物の製造における粒子保護剤としてのミクロフィブリル化セルロースの形態の懸濁液安定化剤の使用も提供される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、本発明の目的物であり、それぞれ、0.5%、1%及び2%のミクロフィブリル化セルロース、並びに0.5%のカプセルを含む、安定化された液体組成物MLC0.5;MLC1及びMLC2と、0.5%のカプセルを含む液体組成物LCの、混合直後の比較を示す。
図2図2は、本発明の目的物であり、それぞれ、0.5%、1%及び2%のミクロフィブリル化セルロース、並びに0.5%のカプセルを含む、安定化された液体組成物MLC0.5;MLC1及びMLC2と、0.5%のカプセルを含む液体組成物LCの、混合から15日後の比較を示す。
図3図3は、混合直後(当初)及び混合から15日後(15日目)の、0.5%のカプセルを含む液体組成物LCの上部、中間部及び底部の顕微鏡写真である。
図4図4は、混合直後(当初)及び混合から15日後(15日目)の、0.5%のカプセル及び0.5%のミクロフィブリル化セルロースを含む安定化された液体組成物MLC0.5の上部、中間部及び底部の顕微鏡写真である。
図5図5は、混合直後(当初)及び混合から15日後(15日目)の、0.5%のカプセル及び1%のミクロフィブリル化セルロースを含む安定化された液体組成物MLC1の上部、中間部及び底部の顕微鏡写真である。
図6図6は、混合直後(当初)及び混合から15日後(15日目)の、0.5%のカプセル及び2%のミクロフィブリル化セルロースを含む安定化された液体組成物MLC2の上部、中間部及び底部の顕微鏡写真である。
図7図7は、液体組成物LCの上部、中間部及び底部におけるカプセル濃度の分布を示すグラフである。
図8図8は、0.5%のカプセル及び0.5%のミクロフィブリル化セルロースを含む安定化された液体組成物MLC0.5の上部、中間部及び底部におけるカプセル濃度の分布を示すグラフである。
図9図9は、0.5%のカプセル及び1%のミクロフィブリル化セルロースを含む安定化された液体組成物MLC1の上部、中間部及び底部におけるカプセル濃度の分布を示すグラフである。
図10図10は、0.5%のカプセル及び2%のミクロフィブリル化セルロースを含む安定化された液体組成物MLC2の上部、中間部及び底部におけるカプセル濃度の分布を示すグラフである。
図11図11は、LCカプセルの詳細を示す走査型電子顕微鏡写真である。
図12図12は、0.5%カプセルを含むMLC0.5のカプセルの詳細を示す走査型電子顕微鏡写真である。
図13図13は、混合直後及び15日後の0.5%のカプセルを含む液体組成物LCを示す。
図14図14は、混合直後及び15日後の、1%のミクロフィブリル化セルロース及び0.5%のカプセルを含む本発明の安定化された液体組成物MLC1を示す。
図15図15は、LCカプセル(0.5%カプセル)の詳細を示す走査型電子顕微鏡写真である。
図16図16は、0.5%のカプセルを含む1%のMFCを有するMLC1のカプセルの詳細を示す走査型電子顕微鏡写真である。
図17図17は、組成物LCの3つの異なる懸濁液の高さ(上部、中間部及び底部)における粒子の数を表す。
図18図18は、組成物MLC1の3つの異なる懸濁液の高さ(上部、中間部及び底部)における粒子の数を表す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、粒子を含む液体組成物における懸濁液安定化剤及びネットワーク構造化剤としての、及び安定化された粒子を含む液体組成物の製造において添加される構造化添加物としての、ミクロフィブリル化セルロースの使用と、粒子を含む液体組成物に微細構造を提供する方法に関する。
【0008】
ミクロフィブリル化セルロースは、単純な機械的方法、化学的方法と機械的方法の組合せ、又は酵素的方法といった、さまざまな方法によって、植物細胞壁から製造してもよい。
【0009】
セルロースミクロフィブリルを得るために、広葉樹、針葉樹、大豆、綿、麦わら、細菌セルロース、サイザル麻、麻、砂糖バガスなど、いくつかのセルロース源が使用されている。木材は、ミクロフィブリル化セルロースが機械的方法で豪快に抽出されるセルロース繊維の最も重要な工業的供給源である。セルロース繊維懸濁液にせん断力を加えることにより、解繊された繊維は、適度に微細化され、その部分構造であるフィブリルとミクロフィブリルとなる。フィブリルとその凝集体は高度に絡み合って本質的につながっており、機械的に強力なネットワークとゲルを形成する。固有の相互作用により、水とフィブリル間の弱い水素結合のみによって形成されるゲルよりもはるかに強力なゲルが得られる。さらに、単純な機械的方法に加えて、酵素的方法及び/又は化学的方法(酸化、カルボキシメチル化など)などのさまざまな前処理により、エネルギー消費が少ない方法でMFCを得ることができる。
【0010】
第一の側面では、本発明は、粒子を含む液体組成物において、ミクロフィブリル化セルロースを懸濁液安定化剤として使用することにより達成される。
【0011】
液体組成物中の粒子は、一般に、組成物が入った容器の底で合着又は沈着(ケーキング)する傾向があり、浮遊して上澄みを形成する傾向もある。懸濁液安定化剤としてのミクロフィブリル化セルロースの使用は、粒子の凝集を防止し、安定化された液体組成物を形成する。ミクロフィブリル化セルロースは、液体組成物に使用した場合、本発明に従って、混合の間、粒子の分散を維持する。
【0012】
別の態様では、粒子を含む液体組成物中でネットワーク構造を提供して、安定化された液体組成物を提供するための、ミクロフィブリル化セルロースの使用も開示する。
【0013】
液体組成物中の粒子は、合着、凝集、沈降又は浮遊する傾向がある。液体組成物でのミクロフィブリル化セルロースの使用は、粒子が合着し、凝集し、沈降し又は浮遊するのを防ぐネットワーク構造を提供し、安定化された液体組成物を形成する。
【0014】
別の態様では、粒子を含む安定化された液体組成物の製造における、懸濁液安定化剤としての、又は構造化添加物として作用するネットワーク構造化剤として、ミクロフィブリル化セルロースの使用も開示する。
【0015】
安定化された液体組成物の製造において液体組成物に添加する構造化添加物としてのミクロフィブリル化セルロースの使用は、撹拌及び混合で粒子に加えられるせん断力から粒子を保護する。
【0016】
別の態様では、本発明は、粒子を含む液体組成物の製造において、懸濁液安定化剤、ネットワーク構造化剤又はネットワーク構造化添加物として、ミクロフィブリル化セルロースを、安定化された液体組成物の総重量の0.5%~5.0%で、好ましくは1.0%で使用することにより達成される。
【0017】
さらに、本発明は、安定化された粒子を含む液体組成物を製造するための、ミクロフィブリル化セルロースの形態の懸濁液安定化剤の使用も提供する。好ましくは、この使用は、安定化された液体組成物の製造で、0.5%~5.0%、好ましくは0.5%~2.5%、より好ましくは1.0%のミクロフィブリル化セルロースを考慮する。
【0018】
本発明のミクロフィブリル化セルロースの直径は、0.02μm~2μm、好ましくは0.02~1μm、より好ましくは0.6μmであることが好ましい。
【0019】
本発明の安定化された液体組成物は、
- ミクロフィブリル化セルロース、及び
- 粒子系 を含む
- 懸濁液
を含む。
【0020】
粒子の基本成分の主な特徴は、安定化の対象となる粒、カプセル又はマイクロカプセルを意味する基本成分によって、周囲環境との界面を有することである。一般に、本発明の粒子系は、液体組成物の選択された希釈剤中である程度の安定性を有し、容易に溶解又は溶媒和しない。通常、希釈剤に粒子を分散すると、合着したり、底に堆積(ケーキング)したり、上澄みを形成することがある。
【0021】
粒子を液体に分散させる場合、通常、容易く分散しないことがあり、何らかの混合操作を行う必要がある。そして、混合操作をやめると、粒子は凝集することがある。
【0022】
粒子の例は、多数の粒、カプセル、球又はそれらの混合物である。一般に、粒子の基本成分は分離している。それは、粒などの単一の連続したマトリックス、又はリザーバーなどの1つ以上のとぎれを含むマトリックスであってもよい。粒子の基本成分は、球状、棒状又は非晶質の場合もある、さまざまな構造であってもよい。
【0023】
さらに、粒子の粒又はカプセルは、もろいか、水分によって活性化されるか、熱によって活性化されるか、又はそれらの組合せである。また、粒子の粒又はカプセルは、香料、調味料、柔軟剤、布地調節剤、ビタミン、有機酸、医薬活性成分、美容活性成分、帯電防止剤、脱毛防止剤、撥水剤、粘着防止剤、皮膚冷却剤、抗菌剤、消毒剤、抗しわ剤、忌避剤、UV保護剤、皮膚調節剤、皮膚栄養剤、又はそれらの混合物から選択される放出要素を含んでいてもよい。
【0024】
粒子の粒の形態は、粉末、マイクロファイバー、マイクロ粒子、マイクロスフェア、又はそれらの混合物であってもよく、粒子のカプセルの形態は、カプセル、マイクロカプセル、又はそれらの混合物であってもよい。
【0025】
安定化された液体組成物の希釈剤は、水、エタノール又はその混合物を含んでいてもよい。
【0026】
安定化された液体組成物は、完全に調合された消費者向け製品として使用でき、1つ以上の成分を添加して再調合する消費者向け製品として使用できる。さらに、安定化された液体組成物は、染料、ポリマー、界面活性剤、ビルダー、染料移動防止剤、分散剤、酵素、漂白活性化剤、ポリマー分散剤、再分布防止剤、泡抑制剤、乳濁剤、及びそれらの混合物を含んでいてもよい。
【0027】
界面活性剤を含む場合、それは陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0028】
加えて、安定化された液体組成物は、安定化液体ホームケア組成物、安定化液体洗浄組成物、安定化液体ティッシュケア組成物、安定化液体化粧料組成物、安定化液体医薬組成物であることができる。
【0029】
安定化液体ホームケア組成物は、食器用洗剤組成物、自動食器洗浄機用洗剤、表面クリーナー、又はそれらの混合物であることができる。
【0030】
安定化液体ホームケア組成物は、界面活性剤、アジュバント、補助洗浄剤、酸洗浄剤、金属キレート剤、カルシウム捕捉剤、漂白剤、研磨剤、殺生物剤、腐食防止剤、酵素及び離型剤を含んでいてもよい。
【0031】
安定化液体化粧料組成物は、シャンプー、コンディショナー、プレシャンプー、液体石鹸、又は洗浄、スキンケア若しくはヘアケアに適した他の組成物であることができる。
【0032】
安定化液体医薬組成物は、水不溶性医薬品である粒子を含む。
【0033】
本発明の別の態様は、安定化された液体組成物を製造する方法であり、以下の工程を含む:
a) 希釈剤、粒子及びミクロフィブリル化セルロースを提供する工程;
b) 希釈剤、粒子及びミクロフィブリル化セルロースを混合し、ミクロフィブリル化セルロース液体組成物を製造する工程。
【0034】
本発明の別の態様は、安定化された液体組成物の製造方法であって、希釈剤と粒子を混合して液体粒子混合物を形成し、続いてミクロフィブリル化セルロースの添加及び混合により、安定化された液体組成物を形成する方法である。
【0035】
本発明の別の態様は、安定化された液体組成物の製造方法であって、希釈剤とミクロフィブリル化セルロースを混合して、希釈剤とミクロフィブリル化セルロースの混合物を形成し、続いて粒子の添加及び混合により、安定化された液体組成物を形成する方法である。さらに別の方法では、ミクロフィブリル化セルロースと希釈剤を混合して、粒子にさらに添加するためのプレミックスを提供する。
【0036】
本発明の別の態様は、安定化された液体組成物の製造方法であって、ミクロフィブリル化セルロースと粒子を混合して、ミクロフィブリル化セルロースと粒子の混合物を形成し、続いて希釈剤の添加及び混合により、安定化された液体組成物を形成する方法である。
【実施例
【0037】
実施例1
図1は、本発明の目的物であり、それぞれ、0.5%、1%及び2重量%のミクロフィブリル化セルロース、並びに0.5%のカプセルを含む、微細構造化液体組成物MLC0.5;MLC1及びMLC2と、0.5%のカプセルを含みミクロフィブリル化セルロースを含まない液体組成物LCの、混合直後の比較を示す。
【0038】
図2は、本発明の目的物であり、それぞれ、0.5%、1%及び2重量%のミクロフィブリル化セルロース、並びに0.5%のカプセルを含む、微細構造化液体組成物MLC0.5;MLC1及びMLC2と、0.5%のカプセルを含みミクロフィブリル化セルロースを含まない液体組成物LCの、混合から15日後の比較を示す。
【0039】
各試料の比較は、ミクロフィブリル化セルロースの量が多いほど、液体組成物の分散がより安定であることを示する。15日後のLCの結果は、粒子が容器の上部で凝集していることを示す。この凝集の測定結果を図7に示す。混合後の1日で認められた急速な凝集は、この粒子系では回避できなかった。
【0040】
図8~10は、15日目においても粒子が安定に分散している、本発明の微細構造化液体組成物の分散能を示す。0.5%のミクロフィブリル化セルロースの使用は、0.5重量%のカプセルを分散させるのに有効であった。
【0041】
ミクロフィブリル化セルロースの粒子を分散させる能力は、図3~6で確認できる。図3は、ミクロフィブリル化セルロースを含まない液体組成物LCの、容器の上部、中間部及び底部の顕微鏡写真である。混合物の当初の顕微鏡写真は、15日目には消滅する均一な分散を明白に示す。
【0042】
図4~6は、それぞれ、0.5%、1%及び2重量%のミクロフィブリル化セルロース並びに0.5%のカプセルを含む液体組成物MLC0.5、MLC1及びMLC2の、容器の上部、中間部及び底部の顕微鏡写真である。混合物の15日目の顕微鏡検査では、分散の均一性の低下は見られない。
【0043】
実施例2
浮遊する傾向がある粒子だけでなく、底に堆積する傾向がある高密度の粒子も安定化するMFCの能力を評価するために、同じ量(0.5重量%)の粒子:
・懸濁液1 - MFCが添加されていない参照 - LC
・懸濁液2 - 1重量%のMFCが添加された参照 - MLC
を使用して2つの実験を行った。
【0044】
懸濁液1及び2の安定性を15日間評価し、3つの異なる高さから試料を採取し、粒子数を数えた(図13及び14)。
【0045】
MFCによる粒子の「カプセル化」を検証するために、走査型電子顕微鏡も使用した(図15及び16)。
【0046】
図17と18のグラフは、3つの異なる懸濁液の高さ(上部、中間部及び底部)における粒子の数を表す。この測定結果は、顕微鏡写真を支持しおり、図17(LC)のグラフは、フラスコの底に向かう浮遊粒子の「移動」を示す。言い換えると、グラフのこの曲線は、望ましくない現象である懸濁液の不安定性を示す。これらの結果は、SEM画像(図15及び16)による観察を裏付けている。
【0047】
反対に、図18(MLC1)のグラフのように、1重量%のMFCを懸濁液に添加した場合、15日後でも懸濁液全体で粒子は安定であり、つまり、粒子はフラスコの底に向けて移動しない。これは、粒子の堆積(ケーキング、沈降)を抑制するMFCの能力を示している。
【0048】
実施例3
さらに、図4~6は、安定化された粒子を含む液体組成物中のミクロフィブリル化セルロースのネットワーク構造も示し、これは図12で確認できる。ネットワークは、粒子を構造化し、粒子の局所的な安定性だけではなく、局所的な微小分散も維持する。比較のために、図11は、ミクロフィブリル化セルロースを含まず、液体中を自由に移動する液体組成物LC中のカプセルである。
【0049】
さらに、図12から、ミクロフィブリル化セルロースが粒子の基本成分を保護する特徴が認められる。ミクロフィブリル化セルロースは、本明細書で開示する量で使用する場合、粒子の基本成分をせん断力及び撹拌衝撃から保護すると同時に、液体組成物に対して良好な混合特性を提供する。
【0050】
この意味で、本発明の別の目的は、液体組成物中の粒子の粒子保護剤としてのミクロフィブリル化セルロースの使用を提供することである。保護剤は、粒又はカプセルなどの粒子の基本成分を、せん断力又は衝撃から物理的に保護できる薬剤である。物理的耐性は、例えば、撹拌機からの衝撃、又は撹拌中の撹拌機若しくは媒体からの物理的摩耗に対して提供される。
【0051】
粒子を含む液体組成物は、通常、粒子と希釈剤とを混合することによって製造される。混合操作は、通常、高せん断及び/又は撹拌下で行われる。通常、撹拌機は、撹拌機の動きと撹拌機を取り巻く媒体の乱流によって引き起こされる高せん断又は撹拌を提供するために使用される。撹拌機の高速の動きは、媒体を撹拌し、混合は希釈剤と粒子で構成される。しかし、高速で剪断力がかかると、撹拌機は粒子を崩壊し、腐食し、粒子の基本成分に媒体への悪影響をもたらす原因となり、最終製品の損失や量の不均一も引き起こす。液体組成物中の粒子の粒子保護剤としてのミクロフィブリル化セルロースの使用は、撹拌機の影響から粒子の基本成分を保護し、粒又はカプセルの完全性を維持し、粒又はカプセルの内容物が媒体に流出することによる処理コストや不正確な有効成分につながる早期の崩壊を回避する。粒子の保護剤としてのミクロフィブリル化セルロースの使用により、液体組成物の中程度/高度のせん断力による撹拌が可能になり、希釈剤や方法により長時間の混合が必要な場合に、混合時間を短縮するか、壊れやすい粒子を保護する。
【0052】
この意味で、ミクロフィブリル化セルロースは、撹拌機又は乱流媒体によって引き起こされる摩耗に対する保護剤でもある。媒体中での撹拌は、粒子の基本成分、周囲の液体、又は両者の間のせん断力につながる液体の乱流を引き起こし、これは粒子の基本成分の摩耗の別の原因となる可能性がある。ミクロフィブリル化セルロースは、粒又はカプセルのいずれか、又は両者の混合物である粒子の基本成分の摩耗に対する保護剤として作用し、過度の損失から保護し、過度の損失を回避する。このような組成物を達成するために、本発明は、粒子を含む液体組成物の製造における衝撃保護剤としてのミクロフィブリル化セルロースの使用を、好ましくは全組成物の重量に対し0.5%~5.0%、より好ましくは1.0%のミクロフィブリル化セルロースで、提供する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【国際調査報告】