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特表2023-525821圧力調節を有する、電池セルを循環させるためのシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-19
(54)【発明の名称】圧力調節を有する、電池セルを循環させるためのシステム
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/00 20060101AFI20230612BHJP
   G01R 31/36 20200101ALI20230612BHJP
【FI】
G01R31/00
G01R31/36
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022568919
(86)(22)【出願日】2021-05-07
(85)【翻訳文提出日】2022-11-11
(86)【国際出願番号】 CA2021050642
(87)【国際公開番号】W WO2021226705
(87)【国際公開日】2021-11-18
(31)【優先権主張番号】3080727
(32)【優先日】2020-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CA
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507381363
【氏名又は名称】ハイドロ-ケベック
(74)【代理人】
【識別番号】100158920
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 英樹
(72)【発明者】
【氏名】モンタンボー, サージ
(72)【発明者】
【氏名】モラン, フランソワ
(72)【発明者】
【氏名】リヴァール, テティエンヌ
(72)【発明者】
【氏名】ペロー, クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ザグヒブ, カリム
【テーマコード(参考)】
2G036
2G216
【Fターム(参考)】
2G036AA12
2G036AA13
2G036AA18
2G036AA28
2G036BB08
2G216BA01
2G216BA17
(57)【要約】
圧力調節を有する、電池セルを循環させるためのシステムが開示される。本システムは、軸方向の圧力をセルへ印加するためにコントローラにより作動されるアクチュエータにより互いに対して移動する顎を有するクランピング配置内に挿入する電池セルを収容するための支持体を含む。圧力センサはセルへ印加される圧力を測定する一方で、セルへ接続された循環モジュールは、セルの循環を行い、それらの充電及び放電レベルを測定する。プログラム可能処理ユニットは、プログラムされた循環モードに従ってセルへ印加される圧力及び必要に応じ温度の制御を行い、圧力及び他の循環測定結果を表すデータを記録する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池セルを循環させるためのシステムであって、
前記電池セルの1つを収容するための筐体を画定する少なくとも1つの支持体;
(i)前記電池セルのうちの1つを収容する前記少なくとも1つの支持体がその間に挿入可能である圧力印加軸方向に互いに対して可動である下顎及び上顎、及び(ii)各支持体内に収容された前記セルへ圧力を印加するための圧力印加面であって、前記圧力印加面のうちの1つは、前記顎が圧力印加位置に在る場合に圧力を前記セルの活性区域に対しかけるように意図された圧力印加面を有するクランピング配置;
制御信号に従って前記顎のクランピングを制御するために前記クランピング配置へ作動可能に結合されたアクチュエータ;
前記セルに対し前記顎によりかけられる圧力を指示する信号を生成するために前記セルへ作動可能に関連付けられた圧力センサ;
前記セルを循環させるための循環モジュールであって、プログラムされた循環モードに従って前記セルを充放電するための前記セルへ接続可能なインターフェースを有し前記セルの充放電のレベルを測定する循環モジュール;
前記アクチュエータを制御するとともに圧力設定信号に従って前記顎の前記クランピングを制御する制御信号を生成するための制御モジュール;並びに
前記循環モジュール、前記アクチュエータの前記制御モジュール、及び前記圧力センサへ接続する処理ユニットであって、前記セルの前記循環モードをプログラムするとともに前記循環モードを前記循環モジュールへ送信するように、前記セルへ印加される前記圧力のフィードバックループを形成するために前記セルへ印加される圧力をプログラムするように、及び前記圧力センサにより測定された圧力に従って前記圧力設定信号を生成するように、及び前記セルへ印加される前記圧力及び前記セルの充放電の前記レベルを表すデータを記録するように構成された、処理ユニット、を含むシステム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの支持体は前記電池セルのうちの多くを収容するためのいくつかの支持体を含み;
前記圧力印加面は、前記顎の面と前記支持体のうちの2つの間に延伸する圧力伝達プレートの面とにより形成され、各圧力伝達プレートは前記圧力印加軸方向に自由に可動である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記クランピング配置は前記圧力印加軸方向の前記顎間に延伸する一組のガイドロッドを含み、前記ガイドロッドは、各圧力伝達プレートが前記圧力印加軸方向にだけ可動であるように各圧力伝達プレート内の対応開口を貫通する、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
各圧力伝達プレートは、前記支持体の下部が嵌合可能な位置決め空洞を画定する上面を有する、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記クランピング配置は、前記顎が解放位置に在る場合に、セルを収容する1つの支持体の少なくとも高さの距離だけ前記顎と各圧力伝達プレートとが互いに離されるように、前記顎と各圧力伝達プレートとの間に延伸するバネを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
前記下顎は、前記少なくとも1つの支持体内の前記セルへ前記顎により印加された圧力を前記圧力センサが測定するように、前記圧力センサを収容するようにされた形状を有する空洞を画定する上面を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記下顎は前記クランピング配置の基礎部を形成する、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記上顎は前記圧力印加軸方向に自由に可動な圧力伝達プレートにより形成され、
前記アクチュエータは、モータユニット、前記モータユニットへ送信される前記制御信号に従って前記モータユニットへ結合されて前記圧力印加軸方向に移動可能なピストン、及び前記下顎から固定距離に前記モータユニットを支持するための支持構造を含み、
前記ピストンは、前記顎が前記圧力印加位置に在る場合に、前記上顎を形成する前記圧力伝達プレートに対し圧力をかける端を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記圧力印加面は、ほぼ平らであり、前記圧力印加軸に対し垂直に延伸する、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記処理ユニットはメモリへ結合されたプロセッサを含み、
前記メモリは、前記プロセッサにより実行可能な指令と入力として受信された前記システムの動作パラメータとを格納し、
前記動作パラメータは、前記プロセッサにより実行され前記印加される圧力を規定する前記指令により使用される試験プロトコルを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記試験プロトコルは、一定期間中に印加され維持される一連の圧力を規定し、
前記アクチュエータの前記制御モジュールへ送信される前記圧力設定信号は、前記循環モードの実行中の前記セルの体積変動を補償するために前記処理ユニットにより規制される、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記指令は、前記セルの充電及び放電サイクル又は速度に応じて印加され維持される前記一連の圧力を動的に変更するための指令を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記セルの温度を指示する信号を生成するために前記セルへ作動可能に関連付けられた温度センサであって、前記処理ユニットは前記温度センサへ接続され、前記処理ユニットは、前記セルの温度を指示する前記信号に従って前記セルの温度を表すデータを記録するように構成され、前記圧力設定信号は前記温度センサにより測定された温度に従って調節される、温度センサをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
セルの温度を指示する信号を生成するために前記セルへ作動可能に関連付けられた温度センサ、及び前記温度センサにより生成される温度を指示する前記信号及び前記処理ユニットにより生成される温度設定点に応じて前記セルの周囲に流動可能な熱交換素子に対して働く温度調節モジュールをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記少なくとも1つの支持体は、前記セルの前記活性区域の上に延伸し前記筐体の輪郭を越える加圧プレートを含み、前記活性区域上の前記圧力印加面は前記筐体の前記輪郭を越える前記加圧プレートの一部を収容するようにされた形状を有する空洞を画定する、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記空洞はほぼ平坦な底部を有する、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記少なくとも1つの支持体はさらに:
前記筐体の底部に対して延伸する絶縁接触プレートであって、前記接触プレートは、前記筐体の前記輪郭の開口において突出するタブであって、前記開口を突き抜ける、前記筐体内の前記接触プレート上に搭載された前記セルの端子の機械的支持体を形成するタブを有する、絶縁接触プレート;及び
前記セルの上に延伸するスペーサであって、前記スペーサは、ほぼ平らであり且つ前記セルの前記活性区域に整合する中央部と、前記中央部の周辺において突出するとともに、前記セルの前記活性区域上の前記中央部の位置決めを規定するために前記筐体の前記輪郭に寄り掛かるアームとを有し、前記加圧プレートは前記スペーサの前記中央部に対し延伸し、前記加圧プレートは、前記顎が前記圧力印加位置に在る場合に前記クランピング配置の前記セルの前記活性区域上の前記圧力印加面に接している、スペーサを含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記筐体は、前記セルの端子が前記支持体の外部の接続のために突き抜ける開口を有する輪郭を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記圧力印加軸方向に機械的弾力性を導入するために前記圧力印加面間に挿入された弾性配置をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、電池セルを循環させるための機器に関し、具体的には、圧力調節を有する、電池セルを循環させるためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
新しい電池が、特に電気自動車の範囲を増加するために絶えず開発されている。リチウムイオンなどの液体電解質を有する電池に加えて、探求はまた、固体電池及びハイブリッド型(液体及び固体電解質)電池に焦点を合わせている。固体電池は、特に電気自動車業界及び住宅及び工業用エネルギー貯蔵において液体電解質電池を有利に置換するとともに次世代の電池を形成するとますます考えられている。電池化学に取り組むチームはセル(効率的製品に到達するために開発する)を循環させるためのシステムを必要とする。とりわけ、固体電池セルの化学及びアーキテクチャは、電池の最適性能を得るために精密圧力に付されるということに関与する。したがって、最適性能を取得するためにセルへ印加される圧力値を判断することが重要である。固体電池の場合、最適圧力はたとえ最小圧力が望まれても著しく大きい(例えば数百PSI、そしてさらには4000PSI)かもしれない。
【0003】
加圧下の循環のための現在のシステムは、使用される電池化学に依存して、電池の性能を最適化するパラメータを判断するためには不適切である。現在のシステムは、伝熱液体を有するデバイスを使用することにより温度を規制し得るが、セルに対する一般的には数PSIの(しかし約100PSIを越えない)の中圧印加を許容するだけである。したがって、現在のシステムは、固体電池に必要とされる著しいレベルの圧力を印加することを許容しない、プログラム可能可変圧力を印加することを許容しない、そして圧力印加機能を制御することを許容しない。また、現在のシステムは、調節するのが複雑である、重い、又は柔軟性が殆ど無い。さらに、現在のシステムは電池の試験温度を固定値(例えばリチウムイオン型電池に関して27℃(80°F))に維持するように構成された温度調節回路を有するが、可変温度が電池の化学に依存して好ましい可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一実施形態によると、電池セルを循環させるためのシステムが提供される。本システムは、
電池セルの1つを収容するための筐体を画定する少なくとも1つの支持体;
(i)電池セルのうちの1つを収容する前記少なくとも1つの支持体がその間に挿入可能である圧力印加軸方向に互いに対して可動である下顎及び上顎と、(ii)各支持体内に収容されたセルへ圧力を印加するための圧力印加面であって、そのうちの1つは、顎が圧力印加位置に在る場合に圧力をセルの活性区域に対しかけるように意図された圧力印加面とを有するクランピング配置;
制御信号に従って顎のクランピングを制御するためにクランピング配置へ作動可能に結合されたアクチュエータ;
顎によりセルにかけられる圧力を指示する信号を生成するためにセルへ作動可能に関連付けられた圧力センサ;
セルを循環させるための循環モジュールであって、プログラムされた循環モードに従ってセルを充放電するためのセルへ接続可能なインターフェースを有し、そしてセルの充放電のレベルを測定する循環モジュール;
アクチュエータを制御するとともに圧力設定信号に従って顎のクランピングを制御する制御信号を生成するための制御モジュール;並びに
循環モジュール、アクチュエータの制御モジュール、及び圧力センサへ接続する処理ユニットであって、セルの循環モードをプログラムするとともにこの循環モードを循環モジュールへ送信するように、セルへ印加される圧力のフィードバックループを形成するためにセルへ印加される圧力をプログラムするように、そして圧力センサにより測定された圧力に従って圧力設定信号を生成するように、そしてセルへ印加される圧力及びセルの充放電のレベルを表すデータを記録するように構成された、処理ユニット、を含む。
【0005】
好適には、本発明によるシステムは、本システムにより試験される動作及び使用のそれらの化学及び様々な条件(充放電の速度及び通過される電流の密度を含む)に従ってセルの最適性能を取得するために、電池セルへ印加される圧力の1つ又はいくつかの精密値並びにそれらの振る舞い及び操作に影響を及ぼす1つ又は複数の精密温度などの他の可能なパラメータを判断するためのツールとして使用され得る。本システムは、セルの動作及び使用の様々な条件に応じて電池の性能を最適化するために印加される圧力と維持及び変更される温度とを制御するために、例えばBMS(「電池管理システム:Battery Management System」)又はVCU(「車両制御ユニット:Vehicle Control Unit」)においてセルを循環して低圧から高圧下で試験されることと実装可能なリアルタイム管理アルゴリズムを開発することとを可能にする。
【0006】
本発明の好ましい実施形態の詳細説明が、以下の添付図面を参照して以下に与えられる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態による電池循環システムを示すブロック図である。
図2】本発明の一実施形態に従って圧力をセルへ印加するための圧力印加デバイスの透視及び分解図である。
図3】本発明の一実施形態によるデバイス内のそれらの位置決めに先立つ、セル支持体を有する圧力印加デバイスの透視図である。
図4図3に示すデバイス及びセル支持体の別の角度からの透視図である。
図5】本発明の一実施形態によるデバイス内へのそれらの挿入中のセル支持体を有する圧力印加デバイスの透視及び部分的分解図である。
図6】本発明の一実施形態による圧力印加デバイスの一部の透視及び分解図である。
図7】本発明の一実施形態によるセル支持体が挿入された圧力印加デバイスの透視図である。
図8図7に示す圧力印加デバイスの別の角度の透視図である。
図9】本発明の一実施形態によるセル支持体の透視及び分解図である。
図10】本発明の一実施形態によるセル支持体の透視図である。
図11A-11C】それぞれ本発明の一実施形態による電池セルの循環プロトコルの例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1を参照すると、本発明の一実施形態による電池セル2を循環させるためのシステムが示される。
【0009】
図2図8を参照すると、本システムは、電池セル2のうちの1つを収容するための筐体6(図9に示すように)を画定する1つ又は複数の支持体4を含む。以下の説明を簡単にするために、参照は概して、いくつかの支持体4及びいくつかのセル2に対しなされることになるが、図6における支持体無しに示される配置のようにただ1つの支持体4及びただ1つのセル2が存在し得るということを理解すべきである。
【0010】
特に図2を参照すると、クランピング配置8は、電池セル2を収容する支持体4がその間に挿入可能である下顎及び上顎10、12を有する。顎10、12は矢印14により描写される圧力印加軸方向に互いに対して可動である。クランピング配置8はまた、各支持体4内に収容されるセル2への圧力の印加のための圧力印加面16、18を有する。一実施形態によると、圧力印加面18は、顎10、12が圧力印加位置に在る場合にセル2の活性区域(例えば図9に示すようなアノードカソード電解質複合体)20上に圧力をかけるように意図されている。面16が活性区域20に圧力をかけるように意図された逆の実施形態も可能である。圧力印加面16、18は、顎10、12の表面と、2つの支持体4間に延伸する圧力伝達プレート42であって、それぞれが圧力印加軸14方向に自由に可動である圧力伝達プレート42の表面とにより形成され得る。
【0011】
アクチュエータ22が、制御信号24に従って顎10、12のクランピングを制御するようにクランピング配置8へ作動可能に結合される(図1に示すように)。
【0012】
圧力センサ26が、セル2に対し顎10、12によりかけられる圧力を指示する信号28(図1に示すように)を生成するためにセル2へ作動可能に関連付けられる。
【0013】
図1に戻って参照すると、本発明によるシステムは、セル2を循環させるための循環モジュール30(電池循環器とも呼ばれる)を含む。循環モジュール30は、プログラムされた試験循環モード又は循環プロトコルに従ってセル2を充放電するための、そして、例えばセル2に対する電圧及び電流測定によりセル2の充放電のレベルを測定するためのセル2へ接続可能なインターフェース32を有する。充電モードでは、循環モジュール30は、所望充電速度に依存した強度を有する電流を注入する。この強度はCで定性化され得る。1Cの値はセル2が1時間で充電されるということを意味し、2Cの値はセル2が30分で充電されるということを意味し、そしてC/2の値はセル2が2時間で充電されるということを意味する、等々である。同様に、放電モードでは、循環モジュール30は、セル2内に蓄積されたエネルギーを消費し、そして、またCで測定され得る所望放電速度に依存した強度を有する電流をそれから抽出する。モータコントローラとも呼ばれるアクチュエータ22を制御するための制御モジュール34は、圧力設定信号36に従って顎10、12(例えば図2に示される)のクランピングを制御する制御信号24を生成する。処理ユニット38は、循環モジュール30へ、アクチュエータ22の制御モジュール34へ、そして圧力センサ26へ接続する。処理ユニット38は、例えば充電及び放電のレベル又は速度に応じて又はセル2へ課せられるサイクルの数に応じて、セル2の循環モードをプログラムし、そしてそれを循環モジュール30へ送信するように、セル2へ印加される圧力をプログラムするように、セル2へ印加される圧力のフィードバックループを形成するように圧力センサ26により測定された圧力に従って圧力設定信号36を生成するように、そしてセル2へ印加される圧力及びセル2の充放電のレベルを表すデータを記録するように構成される。処理ユニット38は、例えば循環システムの機能のパラメータを設定し、そして処理ユニット38により記録されたデータを送信するために本システムの様々な部品及び外部と通信するためのインターフェース40を有する。処理ユニット38は、例えば循環モジュール30により管理される2つのパラメータ(すなわち、セル2の電圧レベルに応じて循環モジュール30により測定され評価されるセル2の充電/放電のレベル、及び循環モジュール30とセル2との間を通される電流の強度に応じて循環モジュール30により測定され評価される充電速度)に応じて、セル2へ印加される圧力を変調することを可能にする。確立された試験プロトコルに応じて、充電/放電のレベル及び充電/放電の速度に関する帰還が、アクチュエータ22及びクランピング配置8により印加された圧力の値を調節するために、アクチュエータ22の制御モジュール34を介し送信された圧力値変動指示をコーディネートする処理ユニット38へ送信される。
【0014】
図11Aを参照すると、セル2により到達されるサイクルの数とその充電/放電レベルの値とに応じた制御モジュール34によりアクチュエータ22へ送信される制御信号24を形成する圧力値指令の例が示される。可能な試験プロトコル104に従って、高く且つ一定圧力がセル2の充電期間中に印加される一方で、低く且つ一定圧力がセル2の放電期間中に印加される。別の可能な試験プロトコル106によると、同じ一定圧力が、同じサイクルの間セル2の充放電段階中に印加され、そして次に、圧力値は、例えばセル2の有効寿命の予測低下に応じてサイクル毎に若干増加される。他の試験プロトコルが当然ながら可能である。
【0015】
図11Bを参照すると、処理ユニット38は、循環モジュール30とセル2との間を通される電流の強度により測定された充電/放電速度の値の増加に応じて、セル2へ印加される圧力の平均値を増加するように、試験プロトコル108に関係する指令をアクチュエータ22の制御モジュール34と循環モジュール30との間でコーディネートし得る。したがって、圧力を変調することにより、セル2の性能は、数Cの放電速度に関与する電流要求などのより大きな応答条件下で最大化され得る。この圧力変調はまた、ただならぬ動作条件中のセル2の早期劣化を防止するために使用され得る。
【0016】
図11Cを参照すると、本発明による循環システムが評価することを可能にする電池の性能に関する圧力の印加の効果の1つが示される。例えば、試験プロトコル110は、低い値の圧力がセル2へ印加される試験プロトコル112に対しセル2のより多い数の充放電サイクルを実現することを可能にし、これによりセル2の有効寿命を迅速に低減する。セル2を損傷することが無い充電/放電電流の強度、循環中のセル2の容量の維持、低温におけるセル2の性能、含まれるデンドライトの伝搬などのセル2の性能に対する他の効果は、充放電中の圧力の値と必要に応じ温度の値とを変更することにより観測され得る。
【0017】
図2に戻って参照すると、一実施形態によると、クランピング配置8は、圧力印加軸14方向に顎10、12間に延伸する一組のガイドロッド44を含む。ガイドロッド44は、各圧力伝達プレート42が圧力印加軸14方向にだけ可動であるように各圧力伝達プレート42内の対応開口45を貫通する。
【0018】
一実施形態によると、上顎12は、圧力印加軸14方向に自由に可動な圧力伝達プレート42などの圧力伝達プレートにより形成される。アクチュエータ22は、モータユニット46と、モータユニット46へ送信される制御信号24(図1に示す)に従ってモータユニット46へ結合されて、そして圧力印加軸14方向に移動可能なピストン48とを含む。アクチュエータ22は、線型タイプのものであり、そして油圧又は空気圧式ジャックにより、又は好適には、恐らく、より精密で、コンパクトで、制御することがより簡単で、且つより速い応答時間を有する電気的ジャックにより具現化され得る。アクチュエータ22はまた、下顎10から固定距離にモータユニット46を支持するための支持構造50を含む。ピストン48は、顎10、12が圧力印加位置に在る場合に、上顎12を形成する圧力伝達プレートに対し圧力をかける端52を有する。支持構造50は、ガイドロッド44により下顎10へ接続されるプレート54の形式を取り得る。モータユニット46はプレート54上に取り付けられる。プレート54は、上顎12を形成する圧力伝達プレートに対する圧力を印加するためにピストン48が貫通する中央孔56を有する。
【0019】
図4を参照すると、一実施形態によれば、各圧力伝達プレート42は、支持体4の下部が嵌合可能な位置決め空洞58を画定する上面16を有する。
【0020】
一実施形態によると、クランピング配置8は、顎10、12が解放位置に在る場合に、セル2を収容する1つの支持体4の少なくとも高さの距離だけ顎10、12と圧力伝達プレート42とが互いに離されこれによりクランピング配置8内への支持体4の挿入を容易にするように、顎10、12と各圧力伝達プレート42との間に延伸するバネ60を含む。
【0021】
図2を再び参照すると、一実施形態によれば、下顎10は、支持体4内のセル2へ顎10、12により印加された圧力を圧力センサ26が測定するように、圧力センサ26を収容するようにされた形状を有する空洞62を画定する上面16を有する。下顎10は有利には、クランピング配置8の基礎部として働き得る又はそれを形成し得る。
【0022】
一実施形態によると、圧力印加面16、18は、概して平らであり、そして圧力印加軸14に対し垂直に延伸する。
【0023】
図1に戻って参照すると、処理ユニット38は、プロセッサ64により実行可能な指令と、例えば入力/出力インターフェース40を介し入力68により受信された循環システムの動作パラメータとを格納するメモリ66へ結合されたプロセッサ64を含み得る。動作パラメータは、プロセッサ64により実行され、そして印加される圧力を規定する指令により使用される試験プロトコルを含み得る。熱規制又は制御が考慮される場合、指令は、例えば、指令と、処理ユニット38と通信状態にあるセル2の循環モジュール30へ関連付けられた測定値とから導出される充放電のレベル及び速度に応じて到達されるセル2の温度値を規定し得る。試験プロトコルは、一定期間中に印加され維持される一連の圧力(例えば必要に応じ0PSI~4000PSI又はさらにはそれ以上まで)を定義し得る。アクチュエータ22の制御モジュール34へ送信される圧力設定信号36は、循環モードの実行中のセル2の体積の変動を補償するために処理ユニット38により規制され得る。セル2の厚さ、距離又は位置センサ(示されない)が、循環中にそれらの厚さ又は厚さの変動を指示する信号を生成するようにセル2へ作動可能に関連付けられ得る。この信号は、厚さセンサにより測定された厚さを表すデータを記録し得る処理ユニット38へ送信され得る。測定された厚さは、例えばセル2へ印加される圧力がセル2の温度又は体積の変動の存在下ですら固定されて維持されるようにフィードバックループ内の圧力の規制のために使用され得る。プロセッサ64により実行される指令は、セル2の充電のサイクル及び放電のサイクル、電力要求、実現されるサイクルの数などに応じて印加され維持される一連の圧力を動的に変更するための指令を含み得る。指令は、制御モジュール34を介したアクチュエータ22の規制制御アルゴリズムであって、圧力センサ26により測定された圧力の帰還による規制制御アルゴリズムを含み得る。印加される圧力はまた、アクチュエータ22が油圧若しくは空気圧式ジャックの場合は油又は流体の圧力に、又はモータユニット46が電気的である場合は電流に依存し得る。
【0024】
温度センサ70はセル2の温度を指示する信号を生成するためにセル2へ作動可能に関連付けられ得る。処理ユニット38は温度センサ70へ接続される。処理ユニット38は、セル2の温度を指示する信号に従ってセル2の温度を表すデータを記録するように構成される。次に、圧力設定信号36は温度センサ70により測定された温度に従って調節され得る。本システムは、温度センサ70により測定される温度信号100及び処理ユニット38により生成される温度設定点102に応じて1つのセル2から別のセル2まで、例えば一様温度を維持するために、クランピング配置8内のセル2を中心に流動可能な熱交換素子98に作用するためにそのインターフェース40を介し処理ユニット38へ接続される温度調節モジュール96を含み得る。セル2の温度を動的に制御するための熱交換素子98の作用は、支持体4(例えば図2に示される)の環境の通気の形式を取り得る(例えば、様々な温度における循環を可能にする加熱室(不図示)内のセル2を含むクランピング配置8又はその一部を配置することにより)。循環中に印加される温度の値は、処理ユニット38内でプログラムされ、そして電池に対する試験中に温度調節モジュール96を介し制御され得る。熱交換素子98の作用はまた、支持体4を貫通するパイプ(不図示)のネットワークを介し実施され得、パイプ内では、セル2の温度を、セル2の充放電のレベル及び速度並びにセル2へ課せられるサイクルの数などの循環パラメータに応じて又はこれに関わらず一定期間中にセル2へ印加される圧力又は温度の値を定義し得る、例えば試験プロトコルの指令との関係で動的やり方で制御するための熱交換液体が流れる。温度調節モジュール96は、ポンプ、タンク、サーボ弁、流量計、パイプ、及び試験プロトコルの温度値設定点に応答し、そしてデバイスの要素をこれに従って制御するように構成されたマイクロコントローラを含むデバイスにより具現化され得る。
【0025】
試験プロトコルのプログラミングは、セル2の充電/放電のレベル(電圧)、充電/放電の速度(電流強度)、電池により経験されるサイクルの数、電池の残留容量、厚さの変動などに応じて経時的に変わり得る、例えば印加される圧力の値、温度の値などを入力することを可能にするユーザフレンドリグラフィックユーザインターフェースを表示するために、メモリ66内に蓄積されたソフトウェアを介し実現され、そしてプロセッサ64により実行され得る。設定点をアクチュエータ22の制御モジュール34へ、セル2の循環モジュール30へ、そして温度調節モジュール96へ送信するためのソフトウェアが使用され得る。設定点に到達するための制御は、ソフトウェアへのフィードバックループ内に取り込むそのインターフェース40を介し処理ユニット38により、圧力センサ26、温度センサ70から来る帰還と循環モジュール30を介し行われた測定(電圧、電流、時間)との統合を介し、実現される。ソフトウェアは、いくつかの例が図11A、11B、11Cに示される試験プロトコルに関係する設定点の合成の源であり得る。
【0026】
図9を参照すると、一実施形態によれば、各支持体4は、セル2の活性区域20の上に延伸し、そして筐体6の輪郭72を越える加圧プレート94を含む。
【0027】
図3を参照すると、活性区域20上の圧力印加面18(例えば図9に示す)は筐体6の輪郭72(例えば図9に示す)を越える加圧プレート94の一部を収容するようにされた形状を有する空洞74を画定する。パウチ型セル2に関して、空洞74は概して平らな底部76を有し得る。
【0028】
図9に戻って参照すると、筐体6の輪郭72は、例えばワニ口クリップ(不図示)を有する支持体4の外側の電気的接続のためのセル2の端子80がその中を突出する開口78を有し得る。他のタイプの電気的接続が必要に応じ使用され得る。一実施形態によると、各支持体4はまた、筐体6の底部84に対して延伸する絶縁接触プレート82を含む。接触プレート82は、図10においてよりうまく示すように、筐体6の輪郭72の開口78において突出するタブ86であって、筐体6内の接触プレート82上に搭載されたセル2の端子80の機械的支持体を形成するタブ86を有し得る。タブ86はまた、セル2の端子80を互いに対し電気的に絶縁するために使用され得る。セル2の上に延伸するスペーサ88は、支持体4内の要素の精密位置決めのために、そしてセル2の活性区域20に対する圧力を均等にするために使用され得る。スペーサ88は、概して平らであり且つセル2の活性区域20に整合する中央部90を有し得る。スペーサ88はセル2の表面欠陥に適応するようにナイロン、テフロン(登録商標)、プラスチックなどの柔軟性材料で作られ得る。中央部90の周辺において突出するアーム92は、セル2の活性区域20上の中央部90の位置決めを規定するように筐体6の輪郭72の内面に寄り掛かりながら来る。加圧プレート94は、スペーサ88の中央部90に対して延伸し、そして顎10、12が圧力印加位置に在る場合に圧力をクランピング配置8のセル2の活性区域20上に対し印加する圧力印加面18(例えば図3に示す)に接している。上述の支持体4の構造は、セル2の全面に対する一様圧力印加と、クランピング配置8内のセル2及び支持体4の精密位置決めとを保証する。実施される循環モードとセル2へ印加される圧力とに依存して、圧力印加軸方向に機械的弾力性を導入する弾性配置(例えば示されたケースのバネ95の配置)が圧力印加面18(図2に示す)と加圧プレート94との間に、又は接触プレート82と筐体6の底部84との間に、又はさらには筐体6と圧力印加面18との間に挿入され得る。弾性配置は必要に応じ別の形式(例えば弾性素子又はゴム円盤)を取り得る。このような弾性配置は、力がアクチュエータ22(図2に示す)により印加される場合の顎10、12(図2に示す)間に含まれるパーツの垂直変位の遊びを提供する。力の伝達チェーンにおけるこのような遊びは、アクチュエータ22のレベルにおける介在を必要することなく循環中のセル2の厚さの或る変動を吸収及び許容し、そしてこのような場合にセル2を損傷することを防止するために有益かもしれない。
【0029】
再び図1を参照すると、本発明によるシステムはしたがって、プログラムされた循環モードに対する電池の応答;圧力の様々な精密且つ規制された値;及び、妥当な場合、その化学的性質、そのアーキテクチャ及び動作及び使用のその条件に依存した電池の最適性能を取得するために電池のセル2へ印加される1つ又は複数の圧力と1つ又は複数の温度などの他のあり得る物理的パラメータとを判断するために動作及び使用のあり得る条件を表す電池のセル2へ印加される温度、を試験することを可能にする。本システムは、或る範囲(例えば0~4000PSI又はそれ以上)の様々な著しい圧力を、例えば50mm×50mmの活性区域20(図9に示す)を有するセル2へ印加することを可能にする。その処理ユニット38及びその他の部品を有する本システムは、処理ユニット38においてプログラムされた試験プロトコルに応じて、一定の圧力及び妥当な場合は充放電段階におけるセルの体積変動(体積変動の約25%を表し得る)にもかかわらず温度を維持することを可能にするとともにセル2へ印加される圧力又は温度をリアルタイムに且つ人間介在無しに変更することを可能にする制御され且つプログラム可能なアセンブリを形成する。本システムは、使用される様々な化学的性質に関するセル2の性能及びそれらの結果振る舞いに対する圧力の効果及び好適にはまた温度の効果を評価することを可能にする。本システムは、いくつかのセル2を循環させることを、加熱室内で使用される又は別の温度調節手段が設けられる場合に様々な圧力値において、そして様々な温度値において同時に可能にする。これにより、本システムは、電池の様々な使用条件(充電、放電、電力要求、デンドライトの形成に対し脆弱な条件、極端な気候条件における使用、セル2により経験されるサイクルの数)のセル2の性能に対する圧力及び好適にはまた温度のリアルタイム調節の効果を判断することを可能にする。特定化学的性質を有する電池のセル2の最適動作パラメータの知識が、電池に固有な制御アルゴリズムをコード化することを可能にする。
【0030】
図2を再び参照すると、圧力の一様分布を可能にするために、セル2は、力を印加するピストン48の下にそれらを精密に配置するように支持体4内に配置される(例えば図9に示す一実施形態にしたがって)。1つ又はいくつかのセル2は、支持体4が直列に配置されるシステムにおいて同時に試験/循環され得る。様々な厚さのセル2が本システムに対する修正無しに循環され得る。本システムは、様々な部品の寸法を適合化することによりセル2の様々なジオメトリに関して働く。いくつかのクランピング配置8が、様々な圧力において、そして様々な温度において試験を行うために同時に使用され得る。本システムは試験されるセル2の迅速な取り付けを可能にする。
【0031】
本発明の実施形態は添付図面に示され、そして上に説明されたが、修正及び追加形態が本発明から逸脱することなくこれらの実施形態へもたらされ得るということが当業者にとって明らかになる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
【国際調査報告】