(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-19
(54)【発明の名称】ST2抗原結合タンパク質
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20230612BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20230612BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20230612BHJP
C12N 15/86 20060101ALI20230612BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20230612BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20230612BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20230612BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20230612BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20230612BHJP
C07K 16/44 20060101ALI20230612BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20230612BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20230612BHJP
A61P 11/02 20060101ALI20230612BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20230612BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230612BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20230612BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20230612BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20230612BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20230612BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20230612BHJP
A61P 19/00 20060101ALI20230612BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20230612BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20230612BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20230612BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20230612BHJP
【FI】
C12N15/13
C07K16/28 ZNA
C12N15/63 Z
C12N15/86 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C07K19/00
C07K16/44
A61K39/395 N
A61P11/06
A61P11/02
A61P37/08
A61P29/00
A61P11/00
A61P1/04
A61P17/00
A61P17/06
A61P19/02
A61P29/00 101
A61P19/00
A61P1/16
A61P3/10
A61P9/00
A61P37/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022568971
(86)(22)【出願日】2021-05-11
(85)【翻訳文提出日】2023-01-06
(86)【国際出願番号】 CN2021093066
(87)【国際公開番号】W WO2021228091
(87)【国際公開日】2021-11-18
(31)【優先権主張番号】202010397572.3
(32)【優先日】2020-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】516089784
【氏名又は名称】チア タイ ティエンチン ファーマシューティカル グループ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Chia Tai Tianqing Pharmaceutical Group Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.369 Yuzhou South Rd.,Lianyungang,Jiangsu 222062 China
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】張 正 平
(72)【発明者】
【氏名】應 樹 松
(72)【発明者】
【氏名】徐 宏 江
(72)【発明者】
【氏名】楊 玲
(72)【発明者】
【氏名】張 喜 全
(72)【発明者】
【氏名】郭 峻
(72)【発明者】
【氏名】施 偉
(72)【発明者】
【氏名】宋 偉
(72)【発明者】
【氏名】周 云 燕
【テーマコード(参考)】
4B065
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA83X
4B065AA86X
4B065AA87X
4B065AA87Y
4B065AA88X
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA25
4B065CA44
4B065CA46
4C085AA14
4C085BB11
4C085BB41
4C085BB43
4C085CC23
4C085DD63
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA75
4H045DA76
4H045EA20
4H045EA50
4H045FA74
(57)【要約】
ST2抗原結合タンパク質、例えば、ST2に特異的結合するマウス、ヒト、キメラ又はヒト化の抗体又はその抗原結合断片を提供し、また、上記抗体及びその抗原結合断片をコードする核酸分子、並びに前記抗体又はその抗原結合断片を発現するための発現ベクター及び宿主細胞を提供する。さらに、前記の抗抗体及びその抗原結合断片の調製方法及び使用方法を提供し、前記使用方法にはIL33/ST2を介した関連疾患及び病症を治療及び予防することが含まれる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分離されたST2抗体又はその抗原結合断片であって、
前記抗体又はその抗原結合断片には、
(i)下記の重鎖CDR1、重鎖CDR2及び重鎖CDR3;
(1)重鎖CDR1には、配列番号11で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2には、配列番号15で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び重鎖CDR3には、配列番号20で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含む;
(2)重鎖CDR1には、配列番号11で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2には、配列番号16で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び重鎖CDR3には、配列番号21で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含む;
(3)重鎖CDR1には、配列番号12で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2には、配列番号17で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び重鎖CDR3には、配列番号22で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含む;
(4)重鎖CDR1には、配列番号13で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2には、配列番号18で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び重鎖CDR3には、配列番号23で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含む;
(5)重鎖CDR1には、配列番号14で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2には、配列番号19で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び重鎖CDR3には、配列番号22で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含む;或いは
(6)重鎖CDR1には、配列番号11で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2には、配列番号18で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び重鎖CDR3には、配列番号24で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含む;
(ii)下記の軽鎖CDR1、軽鎖CDR2及び軽鎖CDR3;
(1)軽鎖CDR1には、配列番号25で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2には、配列番号29で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び軽鎖CDR3には、配列番号32で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含む;
(2)軽鎖CDR1には、配列番号26で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2には、配列番号30で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び軽鎖CDR3には、配列番号34で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含む;
(3)軽鎖CDR1には、配列番号27で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2には、配列番号30で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び軽鎖CDR3には、配列番号34で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含む;或いは
(4)軽鎖CDR1には、配列番号28で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2には、配列番号31で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び軽鎖CDR3には、配列番号33で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含む;
又は、
(iii)(i)で示される重鎖CDR1、重鎖CDR2及び重鎖CDR3、並びに(ii)で示される軽鎖CDR1、軽鎖CDR2及び軽鎖CDR3が含まれる。ここで、配列番号17のアミノ酸配列は、AIDPETGDTVYX
1X
2KFX
3Gであり、X1=N又はA、X2=Q,E又はK、X3=K又はQである。
配列番号30のアミノ酸配列は、QX
4SNLASであり、X
4=M又はLである。
【請求項2】
配列番号17のアミノ酸配列は、AIDPETGDTVYX
1X
2KFX
3Gであり、
(i)X
1=N又はA、X
2=Q、X
3=K又はQ;
(ii)X
1=N又はA、X
2=E、X
3=K又はQであり;或いは
(iii)X
1=N又はA、X
2=K、X
3=K又はQである、請求項1に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項3】
前記抗体又はその抗原結合断片には、下記の重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2及び軽鎖CDR3を含み、
(1)重鎖CDR1には、配列番号11で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2には、配列番号15で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3には、配列番号20で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1には、配列番号25で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2には、配列番号29で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び軽鎖CDR3には、配列番号32で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含む;
(2)重鎖CDR1には、配列番号11で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2には、配列番号16で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3には、配列番号21で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1には、配列番号26で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2には、配列番号30で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び軽鎖CDR3には、配列番号34で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含む;
(3)重鎖CDR1には、配列番号12で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2には、配列番号17で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3には、配列番号22で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1には、配列番号27で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2には、配列番号30で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び軽鎖CDR3には、配列番号34で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含む;
(4)重鎖CDR1には、配列番号13で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2には、配列番号18で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3には、配列番号23で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1には、配列番号27で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2には、配列番号30で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び軽鎖CDR3には、配列番号34で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含む;
(5)重鎖CDR1には、配列番号14で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2には、配列番号19で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3には、配列番号22で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1には、配列番号27で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2には、配列番号30で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び軽鎖CDR3には、配列番号34で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含む;或いは
(6)重鎖CDR1には、配列番号11で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2には、配列番号18で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3には、配列番号24で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1には、配列番号28で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2には、配列番号31で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び軽鎖CDR3には、配列番号33で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含む;
ただし、配列番号17のアミノ酸配列は、AIDPETGDTVYX
1X
2KFX
3Gであり、
(i)X
1=N又はA、X
2=Q、X
3=K又はQ;
(ii)X
1=N又はA、X
2=E、X
3=K又はQ;或いは
(iii)X
1=N又はA、X
2=K、X
3=K又はQである。
そして、配列番号30のアミノ酸配列は、QX
4SNLASであり、X
4=M又はLである、請求項1又は2に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項4】
前記抗体又はその抗原結合断片はキメラ又はヒト化されたものである、請求項1~3のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項5】
分離されたST2抗体又はその抗原結合断片であって、
前記抗体又はその抗原結合断片には、
(i)下記の重鎖可変領域;
前記重鎖可変領域には、配列番号35、37、39、41、43、45、71又は73で示される配列を含む、又は配列番号35、37、39、41、43、45、71又は73で示される配列と比較して、少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含む;
(ii)下記の軽鎖可変領域;
前記軽鎖可変領域には、配列番号36、38、40、42、44、46又は79で示される配列を含む、又は配列番号36、38、40、42、44、46又は79で示される配列と比較して、少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含む;又は
(iii)(i)で示される重鎖可変領域および(ii)で示される軽鎖可変領域;
が含まれる。
【請求項6】
前記抗体又はその抗原結合断片には、下記の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域が含まれる;ここで、
(1)前記重鎖可変領域には、配列番号35で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び前記軽鎖可変領域には、配列番号36で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含む;
(2)前記重鎖可変領域には、配列番号37で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び前記軽鎖可変領域には、配列番号38で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含む;
(3)前記重鎖可変領域には、配列番号39で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び前記軽鎖可変領域には、配列番号40で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含む;
(4)前記重鎖可変領域には、配列番号41で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び前記軽鎖可変領域には、配列番号42で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含む;
(5)前記重鎖可変領域には、配列番号43で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び前記軽鎖可変領域には、配列番号44で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含む;
(6)前記重鎖可変領域には、配列番号45で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び前記軽鎖可変領域には、配列番号46で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含む;
(7)前記重鎖可変領域には、配列番号71で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び前記軽鎖可変領域には、配列番号79で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含む;或いは
(8)前記重鎖可変領域には、配列番号73で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び前記軽鎖可変領域には、配列番号79で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含む、
請求項5に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項7】
分離されたST2抗体又はその抗原結合断片であって、
前記抗体又はその抗原結合断片には、
(i)下記の重鎖;
前記重鎖には、配列番号47、51、55、59、63、67、75又は77で示される配列を含むか、又は配列番号47、51、55、59、63、67、75又は77で示される配列と比較して、少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含む;
(ii)下記の軽鎖;
前記軽鎖には、配列番号49、53、57、61、65、69又は81で示される配列を含むか、又は配列番号49、53、57、61、65、69又は81で示される配列と比較して、少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含む;或いは
(iii)(i)で示される重鎖及び(ii)で示される軽鎖;
が含まれる。
【請求項8】
前記抗体又はその抗原結合断片は、下記の重鎖及び軽鎖が含まれる;ここで、
(1)前記重鎖には、配列番号47で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び前記軽鎖には、配列番号49で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含む;
(2)前記重鎖には、配列番号51で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び前記軽鎖には、配列番号53で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含む;
(3)前記重鎖には、配列番号55で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び前記軽鎖には、配列番号57で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含む;
(4)前記重鎖には、配列番号59で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び前記軽鎖には、配列番号61で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含む;
(5)前記重鎖には、配列番号63で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び前記軽鎖には、配列番号65で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含む;
(6)前記重鎖には、配列番号67で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び前記軽鎖には、配列番号69で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含む;
(7)前記重鎖には、配列番号75で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び前記軽鎖には、配列番号81で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含む;或いは
(8)前記重鎖には、配列番号77で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び前記軽鎖には、配列番号81で示される配列又はそれと少なくとも80%同一性を有するアミノ酸配列を含む、
請求項7に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項9】
前記抗体又はその抗原結合断片は、モノクローナル抗体、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、dAb、分離されたCDR領域、単鎖Fv分子又はそれらの組み合わせから選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項10】
前記抗体又はその抗原結合断片は、ヒト又はサルのST2と特異的に結合し、IL33/ST2の結合及びそのシグナル伝導を阻害する、請求項1~9のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項11】
前記抗体又はその抗原結合断片は、実質的にIL1R1、IL1R2、IL1R3、IL1R7、IL1R8及びIL1R9と結合しない、請求項1~10のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項12】
前記抗体又はその抗原結合断片は、CD4
+T細胞でのIL33/ST2によって誘導されるIL5分泌を阻害する、請求項1~11のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片をコードする分離された核酸分子。
【請求項14】
請求項13に記載の核酸分子を含む発現ベクター。
【請求項15】
請求項13に記載の核酸分子又は請求項14に記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
【請求項16】
請求項1~12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片を含むポリペプチド融合体又は多重特異性分子。
【請求項17】
請求項1~12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片をコードする核酸分子又は請求項13に記載の核酸分子を含むウイルスベクター。
【請求項18】
請求項1~12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片、並びに1つ又は複数の薬学的に許容される賦形剤、希釈剤又は担体を含む医薬組成物。
【請求項19】
被験者由来のサンプルにおけるST2発現量の検出方法であって、前記方法には、請求項1~12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片及びST2が複合体を形成する条件下で、前記抗体又はその抗原結合断片を前記サンプルに接触させる手順が含まれる、方法。
【請求項20】
必要のある被験者でIL33/ST2を介した関連疾患及び病症を治療又は寛解する方法であって、前記方法には、前記被験者に治療有効量の請求項1~12のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片又は請求項13に記載の核酸分子を投与することが含まれる、方法。
【請求項21】
前記IL33/ST2を介した関連疾患及び病症には、喘息、アレルギー性鼻炎、慢性閉塞性肺疾患、好酸球性細気管支炎、好酸球性食道炎、アトピー性皮膚炎、乾癬、全身性エリテマトーデス、類天疱瘡、関節リウマチ、強直性脊椎炎、炎症性腸疾患、肺線維症、肝線維症、全身性硬化症、サルコイドーシス、移植片対宿主病(GVHD)、糖尿病性疾患、心血管疾患、又はそれらの組み合わせが含まれる、請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連アプリケーションへの相互参照
本公開は、2020年5月12日に中国に出願した特許出願202010397572.3号に基づき優先権を主張し、その全ての内容を全体として本公開に援用しており、あらゆる目的で使用する。
【0002】
技術分野
本公開は、分離された抗体に関与する。具体的には、本公開は、ST2に特異的結合するマウス、キメラ及びヒト化モノクローナル抗体又はその抗原結合断片、並びに前記抗体又はその抗原結合断片を生産するための核酸、発現ベクター、宿主細胞を提供する。本公開は、さらに、前記抗体又はその抗原結合部分を含むポリペプチド融合体、多重特異性分子、ウイルスベクター及び医薬組成物、並びに前記抗体又はその抗原結合断片を用いた診断と治療方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
背景技術
インターロイキン33(Interleukin 33、IL33)は、IL-1サイトカインファミリーのメンバーであり、組織内皮細胞又は上皮細胞によって発現され、細胞がストレス、感染及び損傷などの刺激を受けると、IL33が損傷した細胞で「alarmin」として発現され、外部の抗原刺激シグナルをTh2経路に伝達する。IL33の受容体は、IL-1受容体関連タンパク質(IL-1RL1、ST2)及びIL-1受容体補助タンパク質(IL-1RAP)の2種のタンパク質から構成されている。IL-1RAPの関与により、IL33とST2の結合はシグナル伝達を誘導できるが、IL-1RAPはIL33又はST2と直接結合することができない(Chackerian et al.,(2007)J Immunol.179:2551-2555)。
【0004】
ST2は、膜貫通ST2L、可溶性sST2及び変異型ST2Vの3つのサブタイプを備えるToll/IL1受容体ファミリーに属している。ここで、ST2Lは、主にIL33の細胞内シグナル応答を媒介する。ST2Lは、主にTh2型細胞、ILC2細胞、肥満細胞、Treg細胞の表面で発現されており、NK細胞、NKT細胞、マクロファージ、好酸球及び好塩基球の表面でも発現されている。
【0005】
IL33は、細胞表面のST2Lと結合し、IL-1RAcPを動員することで、MyD88/NFκB細胞経路を活性化し、肥満細胞、Th2細胞、Treg細胞及ILC2などの細胞にIL-5、IL-6、IL-13、TNF、INF-γなどの炎症性因子、及びCCL17、CCL22、CXCL8などのケモカインの分泌を誘導し、炎症反応を誘発する。IL-33は、例えば、アレルギー性鼻炎(Kamekura R et al.,(2012)Clin Exp Allergy.42:218-28)、関節リウマチ、強直性脊椎炎、アトピー性皮膚炎(Savinko T et al.,(2012)J Invest Dermatol.132:1392-1400)、乾癬などの粘膜組織の炎症、関節炎症、及び慢性皮膚炎症の疾患における発現が異常に上昇し、且つIL33/ST2伝達経路の調節不全は、喘息、慢性閉塞性肺疾患(Hacker,Lambers et al.,(2009)J Clin Lab Anal.23:372-9、気管支炎、炎症性腸疾患(Beltran CJ et al.,(2010)Inflamm Bowel Dis.16:1097-107)、全身性エリテマトーデス、肝線維症、全身性硬化症などの免疫を介した疾患と密切的に関連している。遺伝子レベルの分析により、IL33及びST2遺伝子には、好塩基球の数に関連し、アトピー性皮膚炎及び喘息類疾患の発生に密切的に関連しているいくつかの一塩基多型(SNP)部位がある(Shimizu M et al.,(2005)Hum Mol Genet.14:2919-27;Gudbjartsson DF et al.,(2009)Nat Genet.41:342-7)。したがって、IL33とST2との結合をブロックし、IL33/ST2シグナル経路とその誘発性炎症反応を阻害することは、炎症性免疫関連疾患治療の重要な方向になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発明の概要
本公開は、IL33/ST2を介した関連疾患の治療に適した、高親和力、高特異的、高い生理活性を持つST2抗体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本公開は、分離された抗体、例えば、ST2と結合(例えば、ヒトST2及びサルST2)するマウス、ヒト、キメラ又はヒト化のモノクローナル抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0008】
本公開の抗体又はその抗原結合断片には、ST2タンパク質の検出、並びにIL33/ST2を介した関連疾患及び病症の治療及び予防など様々な用途がある。前記IL33/ST2を介した関連疾患及び病症には、喘息、アレルギー性鼻炎、慢性閉塞性肺疾患、好酸球性細気管支炎、好酸球性食道炎、アトピー性皮膚炎、乾癬、全身性エリテマトーデス、類天疱瘡、関節リウマチ、強直性脊椎炎、炎症性腸疾患、肺線維症、肝線維症、全身性硬化症、サルコイドーシス、移植片対宿主病(GVHD)、糖尿病性疾患、心血管疾患、又はそれらの組み合わせが含まれる。
【0009】
一側面では、本公開は、重鎖CDRが含まれる、分離された抗体又はその抗原結合断片を提供する。前記重鎖CDRは、重鎖CDR1、重鎖CDR2及び重鎖CDR3を含む。ここで、(1)重鎖CDR1には、配列番号11で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2には、配列番号15で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び重鎖CDR3には、配列番号20で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含む;(2)重鎖CDR1には、配列番号11で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2には、配列番号16で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び重鎖CDR3には、配列番号21で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含む;(3)重鎖CDR1には、配列番号12で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2には、配列番号17で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び重鎖CDR3には、配列番号22で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含む;(4)重鎖CDR1には、配列番号13で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2には、配列番号18で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び重鎖CDR3には、配列番号23で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含む;(5)重鎖CDR1には、配列番号14で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2には、配列番号19で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び重鎖CDR3には、配列番号22で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含む;或いは(6)重鎖CDR1には、配列番号11で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2には、配列番号18で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び重鎖CDR3には、配列番号24で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0010】
いくつかの具体的な実施形態において、前記分離された抗体又はその抗原結合断片は、ST2と結合する。ここで、配列番号17のアミノ酸配列は、AIDPETGDTVYX1X2KFX3Gであり、X1=N又はA、X2=Q,E又はK、X3=K又はQである。
【0011】
いくつかの具体的な実施形態において、前記分離された抗体又はその抗原結合断片は、ST2と結合する。ここで、配列番号17のアミノ酸配列は、AIDPETGDTVYX1X2KFX3Gであり、X1=N又はA、X2=Q、X3=K又はQ;X1=N又はA、X2=E、X3=K又はQであり;或いはX1=N又はA、X2=K、X3=K又はQである。
【0012】
いくつかの具体的な実施形態において、前記分離された抗体又はその抗原結合断片は、ST2と結合する。ここで、配列番号17のアミノ酸配列は、AIDPETGDTVYX1X2KFX3Gであり、X1=N、X2=Q、X3=K又はQ;X1=A、X2=Q、X3=K又はQ;X1=N、X2=E、X3=K又はQ;X1=A、X2=E、X3=K又はQ;X1=N、X2=K、X3=K又はQであり;或いはX1=A、X2=K、X3=K又はQである。
【0013】
いくつかの具体的な実施形態において、前記分離された抗体又はその抗原結合断片は、ST2と結合する。ここで、配列番号17のアミノ酸配列は、AIDPETGDTVYX1X2KFX3Gであり、X1=N、X2=Q、X3=K;X1=A、X2=E、X3=Q;或いはX1=A、X2=K、X3=Kである。
【0014】
いくつかの具体的な実施形態において、前記分離された抗体又はその抗原結合断片は、ST2と結合する。そして、それはモノクローナル抗体(例えば、マウス、キメラ又はヒト化抗体)である。
【0015】
いくつかの実施形態において、前記分離された抗体又はその抗原結合断片は、重鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列には、配列番号35、37、39、41、43、45、71又は73で示される配列を含むか;或いは配列番号35、37、39、41、43、45、71又は73で示される配列と比較して、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0016】
いくつかの具体的な実施形態において、前記分離された抗体又はその抗原結合断片は、ST2と結合する。そして、それはモノクローナル抗体(例えば、マウス、キメラ又はヒト化抗体)である。
【0017】
いくつかの具体的な実施形態において、配列番号71で示されるアミノ酸は、配列番号72で示される核酸によってコードされてよく、配列番号73で示されるアミノ酸は、配列番号74で示される核酸によってコードされてよい。
【0018】
いくつかの実施形態において、前記分離された抗体又はその抗原結合断片は軽鎖CDRを含む。前記軽鎖CDRは、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2及び軽鎖CDR3を含む。ここで、(1)軽鎖CDR1には、配列番号25で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2には、配列番号29で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び軽鎖CDR3には、配列番号32で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含む;(2)軽鎖CDR1には、配列番号26で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2には、配列番号30で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び軽鎖CDR3には、配列番号34で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含む;(3)軽鎖CDR1には、配列番号27で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2には、配列番号30で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び軽鎖CDR3には、配列番号34で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含む;或いは(4)軽鎖CDR1には、配列番号28で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2には、配列番号31で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び軽鎖CDR3には、配列番号33で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0019】
いくつかの具体的な実施形態において、前記分離された抗体又はその抗原結合断片は、ST2と結合する。ここで、配列番号30のアミノ酸配列は、QX4SNLAS、X4=M又はLである。
【0020】
いくつかの具体的な実施形態において、前記分離された抗体又はその抗原結合断片は、ST2と結合する。そして、それはモノクローナル抗体(例えば、マウス、キメラ又はヒト化抗体)である。
【0021】
いくつかの実施形態において、前記分離された抗体又はその抗原結合断片には軽鎖可変領域を含む。前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列には、配列番号36、38、40、42、44、46又は79で示される配列を含むか;或いは、配列番号36、38、40、42、44、46又は79で示される配列と比較して、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0022】
いくつかの具体的な実施形態において、前記分離された抗体又はその抗原結合断片は、ST2と結合する。そして、それはモノクローナル抗体(例えば、マウス、キメラ又はヒト化抗体)である。
【0023】
いくつかの具体的な実施形態において、配列番号79で示されるアミノ酸は、配列番号80で示される核酸によってコードされてよい。
【0024】
いくつかの実施形態において、前記分離された抗体又はその抗原結合断片は、重鎖CDR1、重鎖CDR2及び重鎖CDR3、並びに軽鎖CDR1、軽鎖CDR2及び軽鎖CDR3を含む。ここで、(1)重鎖CDR1には、配列番号11で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2には、配列番号15で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3には、配列番号20で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1には、配列番号25で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2には、配列番号29で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び軽鎖CDR3には、配列番号32で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含む;(2)重鎖CDR1には、配列番号11で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2には、配列番号16で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3には、配列番号21で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1には、配列番号26で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2には、配列番号30で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び軽鎖CDR3には、配列番号34で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含む;(3)重鎖CDR1には、配列番号12で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2には、配列番号17で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3には、配列番号22で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1には、配列番号27で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2には、配列番号30で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び軽鎖CDR3には、配列番号34で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含む;(4)重鎖CDR1には、配列番号13で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2には、配列番号18で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3には、配列番号23で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1には、配列番号27で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2には、配列番号30で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び軽鎖CDR3には、配列番号34で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含む;(5)重鎖CDR1には、配列番号14で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2には、配列番号19で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3には、配列番号22で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1には、配列番号27で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2には、配列番号30で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び軽鎖CDR3には、配列番号34で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含む;或いは(6)重鎖CDR1には、配列番号11で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2には、配列番号18で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3には、配列番号24で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1には、配列番号28で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2には、配列番号31で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び軽鎖CDR3には、配列番号33で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0025】
いくつかの具体的な実施形態において、前記分離された抗体又はその抗原結合断片は、ST2と結合する。ここで、配列番号17のアミノ酸配列は、AIDPETGDTVYX1X2KFX3Gであり、X1=N又はA、X2=Q,E又はK、X3=K又はQである。そして、配列番号30のアミノ酸配列は、QX4SNLASであり、X4=M又はLである。
【0026】
いくつかの具体的な実施形態において、前記分離された抗体又はその抗原結合断片は、ST2と結合する。ここで、配列番号17のアミノ酸配列は、AIDPETGDTVYX1X2KFX3Gであり、X1=N又はA、X2=Q、X3=K又はQ;X1=N又はA、X2=E、X3=K又はQ;X1=N又はA、X2=K、X3=K又はQである。そして、配列番号30のアミノ酸配列は、QX4SNLASであり、X4=M又はLである。
【0027】
いくつかの具体的な実施形態において、前記分離された抗体又はその抗原結合断片は、ST2と結合する。ここで、配列番号17のアミノ酸配列は、AIDPETGDTVYX1X2KFX3Gであり、X1=N、X2=Q、X3=K又はQ;X1=A、X2=Q、X3=K又はQ;X1=N、X2=E、X3=K又はQ;X1=A、X2=E、X3=K又はQ;X1=N、X2=K、X3=K又はQであり;或いはX1=A、X2=K、X3=K又はQである。そして、配列番号30のアミノ酸配列は、QX4SNLASであり、X4=M又はLである。
【0028】
いくつかの具体的な実施形態において、前記分離された抗体又はその抗原結合断片は、ST2と結合する。ここで、配列番号17のアミノ酸配列は、AIDPETGDTVYX1X2KFX3Gであり、X1=N、X2=Q、X3=K;X1=A、X2=E、X3=Q;或いはX1=A、X2=K、X3=Kである;そして、配列番号30のアミノ酸配列は、QX4SNLASであり、X4=M又はLである。
【0029】
いくつかの具体的な実施形態において、前記分離された抗体又はその抗原結合断片は、ST2と結合する。そして、それはモノクローナル抗体(例えば、マウス、キメラ又はヒト化抗体)である。
【0030】
いくつかの実施形態において、前記分離された抗体又はその抗原結合断片には、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域が含まれる。ここで、(1)前記重鎖可変領域には、配列番号35で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び前記軽鎖可変領域には、配列番号36で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含む;(2)前記重鎖可変領域には、配列番号37で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び前記軽鎖可変領域には、配列番号38で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含む;(3)前記重鎖可変領域には、配列番号39で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び前記軽鎖可変領域には、配列番号40で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含む;(4)前記重鎖可変領域には、配列番号41で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び前記軽鎖可変領域には、配列番号42で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含む;(5)前記重鎖可変領域には、配列番号43で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び前記軽鎖可変領域には、配列番号44で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含む;(6)前記重鎖可変領域には、配列番号45で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び前記軽鎖可変領域には、配列番号46で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含む;(7)前記重鎖可変領域には、配列番号71で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び前記軽鎖可変領域には、配列番号79で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含む;或いは(8)前記重鎖可変領域には、配列番号73で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び前記軽鎖可変領域には、配列番号79で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0031】
いくつかの具体的な実施形態において、前記分離された抗体又はその抗原結合断片は、ST2と結合する。そして、それはモノクローナル抗体(例えば、マウス、キメラ又はヒト化抗体)である。
【0032】
いくつかの実施形態において、前記分離された抗体又はその抗原結合断片は重鎖を含む。前記重鎖のアミノ酸配列には、配列番号47、51、55、59、63、67、75又は77で示される配列を含むか;或いは配列番号47、51、55、59、63、67、75又は77で示される配列と比較して、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0033】
いくつかの具体的な実施形態において、前記分離された抗体又はその抗原結合断片は、ST2と結合する。そして、それはモノクローナル抗体(例えば、マウス、キメラ又はヒト化抗体)である。
【0034】
いくつかの具体的な実施形態において、前記配列番号47、51、55、59、63、67、75及び77で示されるアミノ酸は、それぞれ配列番号48、52、56、60、64、68、76及び78で示される核酸によってコードされてもよい。
【0035】
いくつかの実施形態において、前記分離された抗体又はその抗原結合断片は軽鎖を含む。前記軽鎖のアミノ酸配列には、配列番号49、53、57、61、65、69又は81で示される配列を含むか;或いは、配列番号49、53、57、61、65、69又は81で示される配列と比較して、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0036】
いくつかの具体的な実施形態において、前記分離された抗体又はその抗原結合断片は、ST2と結合する。そして、それはモノクローナル抗体(例えば、マウス、キメラ又はヒト化抗体)である。
【0037】
いくつかの具体的な実施形態において、前記配列番号49、53、57、61、65、69及び81で示されるアミノ酸は、それぞれ配列番号50、54、58、62、66、70及び82で示される核酸によってコードされてもよい。
【0038】
いくつかの実施形態において、前記分離された抗体又はその抗原結合断片は、重鎖及び軽鎖を含む。ここで、(1)前記重鎖には、配列番号47で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び前記軽鎖には、配列番号49で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含む;(2)前記重鎖には、配列番号51で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び前記軽鎖には、配列番号53で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含む;(3)前記重鎖には、配列番号55で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び前記軽鎖には、配列番号57で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含む;(4)前記重鎖には、配列番号59で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び前記軽鎖には、配列番号61で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含む;(5)前記重鎖には、配列番号63で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び前記軽鎖には、配列番号65で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含む;(6)前記重鎖には、配列番号67で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び前記軽鎖には、配列番号69で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含む;(7)前記重鎖には、配列番号75で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び前記軽鎖には、配列番号81で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含む;或いは(8)前記重鎖には、配列番号77で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び前記軽鎖には、配列番号81で示される配列又はそれと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0039】
いくつかの具体的な実施形態において、前記分離された抗体又はその抗原結合断片は、ST2と結合する。そして、それはモノクローナル抗体(例えば、マウス、キメラ又はヒト化抗体)である。
【0040】
いくつかの実施形態において、前記分離された抗体(例えば、マウス、キメラ又はヒト化抗体)又はその抗原結合断片は、重鎖及び軽鎖を含む。前記重鎖には、重鎖可変領域及び重鎖定常領域が含まれる。前記軽鎖には、軽鎖可変領域及び軽鎖定常領域が含まれる。ここで、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域は上記アミノ酸配列を含む。重鎖定常領域は、ヒトIgG1、IgG2又はIgG4定常領域を有し、好ましくはヒトIgG2定常領域を有する。軽鎖定常領域は、ヒトκ定常領域又はλ定常領域を有する。ここで、この抗体又は抗原結合断片は、ST2と結合する。
【0041】
いくつかの実施形態において、本公開の抗体は、2つの重鎖及び2つの軽鎖を含む、又は2つの重鎖及び2つの軽鎖から構成される。重鎖及び軽鎖はジスルフィド結合によって連結されている。ここで、各々の重鎖は、上記重鎖定常領域、重鎖可変領域又はCDR配列を含み、各々の軽鎖は、上記軽鎖定常領域、軽鎖可変領域又はCDR配列を含む。ここで、重鎖可変領域のC-末端は、重鎖定常領域のN-末端に連結されており、軽鎖可変領域のC-末端は、軽鎖定常領域のN-末端に連結されている。本公開の抗体は、例えば、IgG1、IgG2又はIgG4アイソタイプの全長抗体であってもよい。別の実施形態において、本公開の抗体は、単鎖抗体(scFv)、又は、例えば、Fab、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、dAb又は分離されたCDR領域などの抗体断片であってもよい。
【0042】
一側面では、本公開は、本公開の抗体又はその抗原結合断片、並びに他の機能的分子を含むポリペプチド融合体を提供する。前記他の機能的分子は、ペプチド又はタンパク質又は非タンパク質であってもよい。前記ポリペプチド融合体には、ST2と結合する機能、並びに1つ又は複数の他の機能がある。一側面では、本公開は、さらに本公開の抗体又はその抗原結合断片、並びに前記抗体又は抗原結合断片の特異性と異なると少なくとも1つ他の機能部分を含む多重特異性分子を提供する。前記他の機能部分は、別のペプチド又はタンパク質であってもよく、前記多重特異性分子は、ST2及び少なくとも1つの他の疾患関連タンパク質、例えば、IgEと結合することができる。一方、本公開のST2抗体又はその抗原結合断片は、ウイルスベクターによってコードされる又はウイルスベクターによって担持される。
【0043】
一側面では、本公開は、さらに本公開の抗体又はその抗原結合断片、本公開の多重特異性分子、ポリペプチド融合体、又はウイルスベクター、並びに薬学的に許容される賦形剤、希釈剤又は担体を含む医薬組成物を提供する。
【0044】
一側面では、本公開は、さらに本公開の抗体又はその抗原結合断片をコードする分離された核酸分子、前記核酸分子を含む発現ベクター、並びに前記発現ベクターを含む宿主細胞を提供する。
【0045】
一側面では、本公開は、さらにST2抗体又はその抗原結合断片を調製する方法を提供する。その方法には以下の手順が含まれる:(i)宿主細胞に抗体又はその抗原結合断片を発現させること、及び(ii)宿主細胞又はその細胞培養物から抗体又はその抗原結合断片を分離すること。
【0046】
一方、本公開は、被験者由来のサンプルにおけるST2発現量を検出する方法を提供する。この方法には、本公開の抗体又はその抗原結合断片とST2との結合可能な条件下で(又はST2と複合体を形成する条件下で)、前記サンプルを抗体又はその抗原結合断片と接触する手順が含まれる。
【0047】
一方、本公開は、必要のある被験者でIL33/ST2を介した関連疾患及び病症を治療又は寛解する方法を提供する。前記IL33/ST2を介した関連疾患及び病症には、喘息、アレルギー性鼻炎、慢性閉塞性肺疾患、好酸球性細気管支炎、好酸球性食道炎、アトピー性皮膚炎、乾癬、全身性エリテマトーデス、類天疱瘡、関節リウマチ、強直性脊椎炎、炎症性腸疾患、肺線維症、肝線維症、全身性硬化症、サルコイドーシス、移植片対宿主病(GVHD)、糖尿病性疾患、心血管疾患、又はそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。その方法には、前記被験者に治療有効量の本公開の抗体又はその抗原結合断片、又はその医薬組成物を投与することが含まれる。いくつかの実施形態において、この方法には、前記被験者に治療有効量の本公開の抗体又はその抗原結合断片をコードする核酸分子を投与することが含まれる。いくつかの実施形態において、この方法には、前記被験者に治療有効量の本公開のポリペプチド融合体、多重特異性分子、ウイルスベクター、又はその医薬組成物を投与することが含まれる。いくつかの実施形態において、前記多重特異性分子は、ST2及び少なくとももう1つの疾患関連タンパク質、例えば、TSLP、IgE、IL4、IL13又はIL-5と結合できる。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの他の抗体は、本公開の抗体又はその抗原結合断片と一緒に使用される。例えば、TSLP抗体、TSLPR抗体、IL4抗体、IL4R抗体、IgE抗体である。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの別の医薬は、本公開の抗体又はその抗原結合断片と一緒に使用される。例えば、抗喘息薬、抗慢性閉塞性肺疾患薬、抗潰瘍性大腸炎薬、抗アブノマル皮膚炎薬、又は抗乾癬薬である。
【0048】
次の特定の説明と実施形態に基づいて、この開示の他の特性と利点はより明確になり、特定の説明と実施形態を制限的と解釈すべきではない。本公開に引用されているすべての文献、GenBankレコード、特許及びすでに公開された特許出願の内容は、参照を通じて本公開に明確に含まれている。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1】
図1:ELISA検出による一定の濃度範囲内におけるキメラ抗ST2抗体とhST2との結合である。
図1は、キメラ抗体xi17E2、xi8F4、xi26A1、xi31C8、xi3C6、xi7D1はhST2との結合を示し、RG6149の結合をコントロールとして示している。
【
図2】
図2:ELISA検出による一定の濃度範囲内におけるキメラ抗ST2抗体とcyno-ST2との結合である。
図2は、キメラ抗体xi17E2、xi8F4、xi26A1、xi31C8、xi3C6、xi7D1はcyno-ST2との結合を示し、RG6149の結合をコントロールとして示している。
【
図3】
図3:ELISA検出による一定の抗体濃度範囲内におけるキメラ抗ST2抗体のIL33/ST2結合に対する阻害作用。
図3は、キメラ抗体xi26A1、xi7D1、xi17E2、xi31C8、xi3C6、xi8F4のIL33/ST2結合に対する阻害を示し、RG6149の阻害をコントロールとして示している。
【
図4】
図4:ELISA検出による一定の濃度範囲内におけるヒト化抗ST2抗体とhST2との結合である。
図4は、ヒト化抗体hz31C8-1.1及びhz31C8-1.2はhST2との結合を示し、キメラ抗体xi31C8、RG6149及びGSK3772847の結合をコントロールとして示し、IgG2の結合をネガティブコントロールとして示している。
【
図5】
図5:ELISA検出による一定の濃度範囲内におけるヒト化抗ST2抗体とcyno-ST2との結合である。
図5は、ヒト化抗体hz31C8-1.1及びhz31C8-1.2はcyno-ST2との結合を示し、キメラ抗体xi31C8、RG6149及びGSK3772847の結合をコントロールとして示し、IgG2の結合をネガティブコントロールとして示している。
【
図6】
図6:ELISA検出による一定の抗体濃度範囲内におけるヒト化抗ST2抗体のIL33/ST2結合に対する阻害作用。
図6は、ヒト化抗体hz31C8-1.1及びhz31C8-1.2のIL33/ST2結合に対する阻害を示し、キメラ抗体xi31C8、RG6149及びGSK3772847の阻害をコントロールとして示している。
【
図7】
図7:FACS検出による一定の抗体濃度範囲内におけるキメラ抗ST2抗体のhST2過剰発現細胞に対する結合作用。
図7は、キメラ抗体xi31C8、xi26A1、xi7D1、xi3C6、xi8F4、xi17E2がhST2過剰発現HEK293T-hST2-NFκB-Luciferase細胞との結合を示し、RG6149の結合をコントロールとして示し、IgG4の結合をネガティブコントロールとして示している。
【
図8】
図8:FACS検出による一定の抗体濃度範囲内におけるキメラ抗ST2抗体のcyno-ST2過剰発現細胞に対する結合作用。
図8は、キメラ抗体xi31C8、xi26A1、xi7D1、xi3C6、xi8F4、xi17E2がcyno-ST2過剰発現HEK293T-Cyno-ST2-NFκB-Luciferase細胞との結合を示し、RG6149の結合をコントロールとして示し、IgG4の結合をネガティブコントロールとして示している。
【
図9】
図9:細胞活性検出による一定の抗体濃度範囲内におけるキメラ抗ST2抗体のIL33/ST2結合に対する阻害作用。
図9は、キメラ抗体xi31C8、xi26A1、xi7D1、xi3C6による、IL33タンパク質とhST2発現HEK293T-hST2-NFκB-Luciferase細胞との相互作用の阻害を示し、RG6149の阻害をコントロールとして示している。
【
図10】
図10:FACS検出による一定の抗体濃度範囲内におけるヒト化抗ST2抗体のhST2過剰発現細胞に対する結合作用。
図10は、ヒト化抗体hz31C8-1.1及びhz31C8-1.2がhST2過剰発現HEK293T-hST2-NFκB-Luciferase細胞との結合を示し、キメラ抗体xi31C8、RG6149及びGSK3772847の結合をコントロールとして示し、IgG2の結合をネガティブコントロールとして示している。
【
図11】
図11:細胞活性検出による一定の抗体濃度範囲内におけるヒト化抗ST2抗体のIL33/ST2結合に対する阻害作用。
図11は、ヒト化抗体hz31C8-1.1及びhz31C8-1.2による、IL33タンパク質とhST2発現HEK293T-hST2-NFκB-Luciferase細胞との相互作用の阻害を示し、キメラ抗体xi31C8、RG6149及びGSK3772847の阻害をコントロールとして示し、IgG2の阻害をネガティブコントロールとして示している。
【
図12】
図12:細胞活性検出による一定の抗体濃度範囲内におけるヒト化抗ST2抗体のIL33/ST2結合に対する阻害作用。
図12は、ヒト化抗体hz31C8-1.1及びhz31C8-1.2による、IL33タンパク質とhST2発現KU812-NFκB-Luciferasae細胞との相互作用の阻害を示し、キメラ抗体xi31C8、RG6149及びGSK3772847の阻害をコントロールとして示し、IgG2の阻害をネガティブコントロールとして示している。
【
図13】
図13:細胞活性検出による一定の抗体濃度範囲内における、CD4
+T細胞上でのIL33/ST2によって誘導されるIL5分泌に対するヒト化抗ST2抗体の阻害。
図13は、ヒト化抗体hz31C8-1.1及びhz31C8-1.2がCD4
+T細胞上でIL33/ST2によって誘導されるIL5分泌を阻害することを示し、キメラ抗体xi31C8、RG6149及びGSK3772847の阻害をコントロールとして示している。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本公開で使用される用語は、制限を目的としたものではなく、特定の例を説明するためだけのものであることを理解すべきである。特に定義されていない限り、本公開に使用されているすべての技術的及び科学用語の意味は、当業者が通常理解しているものと同じである。
【0051】
「ST2」には、ST2改変体、相同体、ホモログ及びオーソログを含む。例えば、いくつかの実施形態において、ヒトST2タンパク質に特異的な抗体は、場合によっては別の生物種(例えば、サル)のST2タンパク質と交差反応することができる。いくつかの実施形態において、ヒトST2タンパク質に特異的な抗体は、他の生物種又はその他タイプのタンパク質と特異的に交差反応せず、ヒトST2タンパク質に特異的に交差反応することができ、或いは全ての他の生物種のST2タンパク質と交差反応せず、ある特定の生物種と交差反応できる。
【0052】
「ヒトST2」又は「hST2」という用語などは、本開示で交換可能であり、ヒトST2アミノ酸配列、例えば配列番号1で示されるヒトST2アミノ酸配列を有するタンパク質を意味する。前記タンパク質は、いくつかのドメインで構成されている:アミノ酸1-18番目は、リーダー配列に対応し、アミノ酸19-331番目は、細胞外ドメインに対応し、アミノ酸332-350番目は、膜貫通ドメインに対応し、アミノ酸351-556番目は、細胞内ドメインに対応する。「サルST2」又は「cyno-ST2」という用語などは、本開示で交換可能であり、サルST2アミノ酸配列、例えば配列番号10で示されるサルST2アミノ酸配列を有するタンパク質を意味する。
【0053】
本公開の「抗体」には、全長抗体及びその任意の抗原結合断片(即ち、「抗原結合部分」)又は単鎖を含む。全長抗体には、2つの重(H)鎖及び2つの軽(L)鎖を含む糖タンパク質であり、重鎖及び軽鎖はジスルフィド結合によって連結されている。それぞれの重鎖は重鎖可変領域(VH)及び重鎖定常領域から構成される。重鎖定常領域は、3つのドメイン、即ち、CH1、CH2及びCH3から構成される。それぞれの軽鎖は、軽鎖可変領域(VL)及び軽鎖定常領域から構成される。軽鎖定常領域は、1つのドメインCLから構成される。VH及びVL区は、さらに超可変領域、即ち、相補性決定領域(CDR)、及び配列が相対保存的なフレームワーク領域(FR)に分けられる。各VH及びVLは、3つのCDR及び4つのFRから構成される。アミノ基端からカルボキシル基端までは、それぞれFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の通りである。重鎖及び軽鎖の可変領域には、抗原と相互作用する結合ドメインが含まれる。抗体の定常領域は、免疫グロブリンと宿主組織又は因子との結合を媒介することができる。前記宿主組織又は因子には、免疫系の複数の細胞(例えば、効果細胞)及び古典的な補体系の第1の成分(C1q)が含まれる。
【0054】
抗体の「抗原結合断片」又は「抗体結合部分」は、抗体の1つ又は複数の断片を指し、抗原(例えば、ST2タンパク質)との特異的結合機能を保持する。抗体の抗原結合機能は、全長抗体の断片を通して実施することがすでに確認されている。抗体の「抗原結合部分/断片」という用語に含まれる例示には、(i)Fab断片:VL、VH、CL及びCH1ドメインから構成される単価断片;(ii)F(ab’)2断片:ヒンジ領域におけるジスルフィド架橋で連結された2つのFab断片が含まれる二価断片;(iii)VH及びCH1ドメインから構成されるFd断片;(iv)抗体の一方のアームにおけるVL及びVHドメインから構成されるFv断片;(v)VHドメインから構成されるdAb断片(Ward et al.,Nature.341:544-546(1989)を参照);(vi)分離された相補性決定領域(CDR);並びに(vii)ナノ抗体:単一の可変ドメイン及び2つの定常ドメインを含む重鎖可変領域;がある。また、Fv断片の2つのドメインVL及びVHは異なる遺伝子によってコードされるが、組換えの方法を用いてリンカーを合成し、VH及びVLを単一のタンパク質鎖に連結できる。ここで、VL及びVHは、ペアリングして単価の分子(単鎖Fv(scFv)と呼ばれる;例えば、Bird et al.,Science.242:423-426(1988);Huston et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.85:5879-5883(1988)を参照)を形成する。これらの単鎖抗体も、抗原結合部分/断片という用語に含まれている。これらの抗体断片は、当業者で既知の従来技術によって得られることができ、且つ断片は全長抗体と同じ方法で機能スクリーニングにより得られる。
【0055】
「分離された抗体」は、実質的に異なる抗原特異性を持つ他の抗体を含まない抗体を意味する(例えば、ST2タンパク質と特異的に結合する分離された抗体は実質的にST2以外の抗原に特異的結合するタンパク質を含まない抗体である)。しかし、ヒトST2タンパク質と特異的結合する、分離された抗体は、他の抗原(例えば、他の生物種由来するST2タンパク質)と交差結合性を持っている可能性がある。また、分離された抗体は、実質的に他の細胞成分及び/又は化学物質を含まないことである。
【0056】
「マウス抗体」又は「マウス由来抗体」は、可変領域でのフレームワーク領域及びCDR領域は全てマウス系免疫グロブリン配列から由来する抗体を意味する。また、抗体に定常領域が含まれば、定常領域もマウス系免疫グロブリン配列から由来する。本公開のマウス抗体には、マウス系免疫グロブリン配列によってコードされるアミノ酸残基(例えば、in vitroでのランダム又は点変異又はin vivoでの細胞変異を通じて導入された変異)が含まれてもよいが、「マウス抗体」には、マウスのフレームワーク配列に他の哺乳類からのCDR配列が挿入された抗体が含まない。
【0057】
「キメラ抗体」は、非ヒトからの遺伝的物質とヒトからの遺伝的物質を組み合わせて作られた抗体を意味する。或いは、より一般的に言えば、キメラ抗体は、ある種の生物種の遺伝的物質及びと別の生物種的遺伝的物質からの抗体である。本公開において、キメラ抗体も「Xi」と表される。
【0058】
「ヒト化抗体」は、非ヒト生物種からの抗体であるが、そのタンパク質配列が人間によって自然に生成される抗体の類似性を高めるために修正されている抗体を意味する。本公開において、ヒト化抗体も「hz」と表される。
【0059】
「アイソタイプ」は、重鎖定常領域遺伝子によってコードされる抗体カテゴリ(例えば、IgM又はIgG1)を意味する。
【0060】
「抗原を認識する抗体」及び「抗原に特異的な抗体」は、本公開において、「抗原と特異的結合した抗体」という用語と相互交換的に使える。
【0061】
「ヒトST2と特異的結合する」抗体は、ヒトST2タンパク質(さらに他の非ヒト生物種のST2タンパク質もあり得る)と結合するが、実質的に非ST2タンパク質と結合しない抗体を意味する。好ましくは、抗体は、「高親和力」でヒトST2と結合する。即ち、KDが5.0×10-8M以下であり、1.0×10-8M以下であり、好ましくは5.0×10-9M以下であり、1.0×10-9M以下であり、より好ましくは5.0×10-10M以下であり、1.0×10-10M以下である。
【0062】
タンパク質又は細胞に「実質的に結合しない」という用語は、タンパク質又は細胞と結合しない、又は高親和力でそれと結合しない。即ち、タンパク質又は細胞と結合するKDが1.0×10-6M以上であり、好ましくは1.0×10-5M以上であり、1.0×10-4M以上であり、より好ましくは1.0×10-3M以上であり、1.0×10-2M以上である。
【0063】
IgGの場合、「高親和力」という用語は、KDが1.0×10-6M以下であり、1.0×10-7M以下であり、好ましくは1.0×10-8M以下であり、5.0×10-9M以下であり、より好ましくは1.0×10-9M以下である。しかし、他の抗体アイソタイプの場合、「高親和力」で結合することが前記意味ではない。例えば、IgMアイソタイプの「高親和力」で結合するとは、KDが10-6M以下であり、好ましくは10-7M以下であり、より好ましくは10-8M以下である。
【0064】
「同一性」は、2つの核酸配列間又は2つのポリペプチド間の類似性を意味する。本公開の配列同一性は、少なくとも80%、85%、90%又は95%であり、好ましくは少なくとも95%である。非制限性の例には、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%が含まれる。2つの配列間の配列対比及び同一性比率の測定は、National Center For Biotechnology InstituteWebサイト上のBLASTN/BLASTPアルゴリズムのデフォルト設定によって実行できる。
【0065】
「EC50値」という用語は、半分の有効濃度とも言われ、特定の暴露時間の後に、最大効果の50%に達した抗体濃度を意味する。
【0066】
「IC50値」という用語は、半分の抑制性濃度とも言われ、抗体のない場合と比較して、規定の生物学・生化学機能の50%が阻害された抗体濃度を意味する。
【0067】
「抑制」又は「阻害」という用語は相互交換的に使え、且つ部分的及び完全に抑制/阻害が含まれる。いくつかの実施形態において、ST2抗体は、IL33/ST2の結合を少なくとも約50%抑制し、例えば、少なくとも約60%、70%、80%、90%、95%、99%又は100%抑制する。
【0068】
「被験者」という用語は、任意の人又は非ヒト動物が含まれる。「非ヒト動物」という用語は、全ての脊椎動物、例えば、哺乳動物及非哺乳動物が含まれ、好ましくは哺乳動物であり、例えば、非ヒトの霊長類動物、ヒツジ、犬、ネコ、ウシ及びウマである。
【0069】
「治療有効量」という用語は、疾患又は病症の予防又は改善に十分な量、及び/又は疾患又は病症の厳重性を軽減する量を意味し、病気の重症度の低下、無症候性期間の頻度と持続時間の増加、病気によって引き起こされる損傷又は無能を予防できる量ことが好ましい。治療有効量は、治療された疾患に関連しており、当業者は実際の有効量を簡単に決定できる。
【0070】
特に説明しない限り、単一数の使用には複数形が含まれる。特に説明しない限り、それ以外の場合、「1つ」又は「1種類」という言葉は、「少なくとも1つ」又は「少なくとも1種類」を意味する。特に説明しない限り、「少なくとも1つ」は、「1つ又は複数の」の意味に相当し、「及び/又は」の使用は「及び」或いは「又は」を意味する。
【0071】
この開示の多くの側面については、より具体的に以下で説明する。
【0072】
抗ST2抗体がST2と特異的に結合してIL33/ST2の相互作用を阻害し、並びに、他の有益な機能特徴
本公開のST2抗体又はその抗原結合断片は、高親和力でヒトST2と特異的に結合する。本公開のST2抗体又はその抗原結合断片は、ST2(例えば、ヒトST2及びサルST2)に特異的結合して、IL33/ST2の結合及びそのシグナル伝導を阻害する。本公開のST2抗体又はその抗原結合断片は、CD4+T細胞上でIL33/ST2によって誘導されたIL5の分泌を阻害する。本公開のST2抗体又はその抗原結合断片は、実質的に他のIL-1Rファミリー受容体、例えば、IL1R1、IL1R2、IL1R3、IL1R7、IL1R8及びIL1R9と結合しない。本公開のST2抗体又はその抗原結合断片は、良好的な物理的安定性(例えば、熱安定性)を有する。本公開のST2抗体又はその抗原結合断片は、長い体内半減期を持っている。
【0073】
好ましくは、本公開のST2抗体はモノクローナル抗体である。また、抗体は、例えば、マウス、キメラ又はヒト化モノクローナル抗体であってもよい。
【0074】
ST2モノクローナル抗体
好ましくは、本公開のST2抗体又はその抗原結合断片は、以下で説明する構造と化学的特性の抗体である。ST2抗体又はその抗原結合断片は、重鎖CDR領域及び軽鎖CDR領域が含まれる。ここで、表1及び表2に重鎖CDR配列、並びに軽鎖CDR配列を例示的に提供する。ST2抗体又はその抗原結合断片には、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域が含まれる。ここで、表3に、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を例示的に提供する。一部の抗体には同じCDRがあり、一部の抗体には同じVH又はVLがある。抗体の重鎖定常領域は、ヒトIgG2重鎖定常領域であっても良く、抗体の軽鎖定常領域は、ヒトκ軽鎖定常領域であってもよい。これらの抗体は、さらにマウスIgG1又はIgG4重鎖定常領域及び/又はマウスκ軽鎖定常領域が含まれることができる。
【0075】
表1における重鎖CDR領域及び表2における軽鎖CDR領域は、Kabat番号システムで定義される。しかし、本分野で公知しているように、CDR領域は、重/軽鎖可変領域配列に基づき、他の番号システム例えば、Chothia、IMGT、AbM又はContact番号システム/方法によって決定される。
【0076】
【0077】
【0078】
【0079】
【0080】
【0081】
【0082】
【0083】
【0084】
【0085】
【0086】
ヒトST2と結合する他の抗ST2抗体のVH及び/又はVL配列(又はCDR配列)は、本公開の抗体のVH及び/又はVL配列(又はCDR配列)と「組合せ、ペアリング」することができる。好ましくは、VH及びVL鎖(又はそのCDR)を組合せ、ペアリングする場合には、特定のVH/VLペアにおけるVH配列は、似ている構造を持つVH配列に置き換えることができる。同様に、好ましくは特定のVH/VLペアにおけるVL配列を似ている構造を持つVL配列に置き換えることができる。
【0087】
したがって、一実施形態において、本公開の抗体又はその抗原結合断片には、
(a)表3に示されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;及び
(b)表3に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、又はヒトST2と特異的に結合するもう1つのST2抗体のVL;が含まれる。
【0088】
別の実施形態において、本公開の抗体又はその抗原結合断片には、
(a)表1に示される重鎖CDR1、CDR2及びCDR3;及び
(b)表2に示される軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3、又はヒトST2と特異的に結合するもう1つのST2抗体のCDRs;が含まれる。
【0089】
別の実施形態において、本公開の抗体又はその抗原結合断片には、本公開のST2抗体の重鎖CDR2と、ヒトST2と結合する他の抗体のCDR、例えば他のST2抗体の重鎖CDR1及び/又はCDR3、及び/又は軽鎖CDR1、CDR2及び/又はCDR3とが含まれる。
【0090】
また、本分野で既知のように、CDR3ドメインはCDR1及び/又はCDR2ドメインと無関係であり、同種抗原に対する抗体の結合特異性を独立して決定することができ、且つ該CDR3配列に基づき同じ結合特異性を持つ複数の抗体を生成できると予測できる。例えば、Klimka et al.,British J. of Cancer.83(2):252-260(2000);Beiboer et al.,J.Mol.Biol.296:833-849(2000);Rader et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.95:8910-8915(1998);Barbas et al.,J.Am.Chem.Soc.116:2161-2162(1994);Barbas et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.92:2529-2533(1995);Ditzel et al.,J. Immunol.157:739-749(1996);Berezov et al.,BIAjournal 8:Scientific Review 8(2001);Igarashi et al.,J.Biochem(Tokyo).117:452-7(1995);Bourgeois et al.,J. Virol.72:807-10(1998);Levi et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.90:4374-8(1993);Polymenis and Stoller,J.Immunol.152:5218-5329(1994)and Xu and Davis,Immunity.13:37-45(2000);U.S.Pat.Nos.6,951,646;6,914,128;6,090,382;6,818,216;6,156,313;6,827,925;5,833,943;5,762,905及び5,760,185を参照してください。これらの参考文献はすべて参照によりこの公開に引用される。
【0091】
別の実施形態において、本公開の抗体又はその抗原結合断片は、本公開のST2抗体の重鎖CDR2、並びに少なくとも本公開のST2抗体の重鎖及び/又は軽鎖CDR3、又はヒトST2と特異的に結合するもう1つのST2抗体の重鎖及び/又は軽鎖CDR3を含む。好ましくは、これらの抗体と本公開のST2抗体とは(a)ST2と競合に結合する;(b)機能特徴を維持する;(c)同じ的エピトープと結合する;及び/又は(d)本公開が有する同様な結合親和力を持っている。別の実施形態において、本公開の抗体又はその抗原結合断片には、さらに本公開のST2抗体の軽鎖CDR2、又はヒトST2と特異的に結合するもう1つのST2抗体の軽鎖CDR2を含む。本公開の抗体又はその抗原結合断片は、さらに本公開のST2抗体の重及び/又は軽鎖CDR1、又はヒトST2と特異的に結合するもう1つのST2抗体の重及び/又は軽鎖CDR1を含む。
【0092】
保存的修飾
別の実施形態において、本公開の抗体又はその抗原結合断片には、本公開のST2抗体に対して1つ又は複数の保存的修飾された重鎖可変領域及び/又は軽鎖可変領域のCDR1、CDR2及びCDR3配列を含む。本分野で理解されるべきものは、いくつかの保存的な配列の修正は、抗原結合を消滅させない。例えば、Brummell et al.,Biochem 32:1180-8(1993);de Wildt et al.,Prot.Eng.10:835-41(1997);Komissarov et al.,J.Biol.Chem.272: 26864-26870(1997);Hall et al.,J.Immunol.149:1605-12(1992);Kelley and O’Connell Biochem.32:6862-35(1993);Adib-Conquy et al.,Int.Immunol.10:341-6(1998);Beers et al.,Clin.Can.Res.6:2835-43(2000)を参照してください。
【0093】
したがって、一実施形態において、抗体には、重鎖可変領域及び/又は軽鎖可変領域が含まれる、前記重鎖可変領域及び軽鎖可変領域には、それぞれCDR1、CDR2及びCDR3が含まれる。その中で、
(a)重鎖可変領域のCDR1配列には、表1に示される配列、及び/又はその保存的修飾が含まれる;及び/又は
(b)重鎖可変領域のCDR2配列には、表1に示される配列、及び/又はその保存的修飾が含まれる;及び/又は
(c)重鎖可変領域のCDR3配列には、表1に示される配列、及び/又は及びその保存的修飾が含まれる;及び/又は
(d)軽鎖可変領域のCDR1及び/又はCDR2及び/又はCDR3配列には、表2に示される配列;及び/又はその保存的修正が含まれる;且つ
(e)抗体は、ヒトST2と特異的に結合する。
【0094】
本公開の抗体には、例えば、ヒトST2に対する高親和力、並びにIL33/ST2の結合及びそのシグナル伝導の阻害など1つ又は複数の機能特性を持っている。
【0095】
複数の実施形態において、抗体は、マウス、キメラ又はヒト化抗体又はその抗原結合断片であってもよい。
【0096】
本公開で使用される「保存の配列修飾」という用語は、抗体結合特性に大きな影響を与えないアミノ酸修飾を意味する。このような保存的修飾には、アミノ酸置換、添加及び欠失が含まれる。本分野で已知している標準的な技術、例えば点変異及びPCRを介した変異などによって、修飾は、本公開の抗体に導入される。保存的アミノ酸置換は、アミノ酸残基が類似した側鎖のアミノ酸残基に置換されることを指す。類似した側鎖のアミノ酸残基ファミリーは、本分野で知られている。これらのアミノ酸残基ファミリーには、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、電極なし側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン、トリプトファン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)、β分枝側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)及び芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸が含まれる。したがって、本公開の抗体のCDR領域中の1つ又は複数のアミノ酸残基は、同じ側鎖ファミリーにおける他のアミノ酸残基に置換されることができ、また、得られた抗体は、本公開に記載の機能テストを使用して保留機能(即ち、上記的機能)を検出することができる。
【0097】
エンジニアリング及び修飾の抗体
本公開の抗体は、本公開のST2抗体の1つ又は複数のVH/VL配列を有する抗体を出発材料として、エンジニアリングにより修飾された抗体を生成する。抗体は、1つ又は2つの可変領域(即ち、VH及び/又はVL)内(例えば、1つ又は複数のCDR領域及び/又は1つ又は複数のフレームワーク領域)の1つ又は複数の残基に遺伝学的修飾を行うことができる。また、或いは、抗体では、定常領域における残基にエンジニアリング修飾、例えば、抗体のエフェクター機能の改変を行うことができる。
【0098】
いくつかの実施形態において、CDR移植は、抗体の可変領域に対する遺伝学的修飾に使用できる。抗体は、主に、6つの重鎖及び軽鎖相補性決定領域(CDR)に位置するアミノ酸残基と標的抗原との相互作用によるものである。したがって、各抗体CDR内のアミノ酸配列は、CDR外の配列よりも多様である。CDR配列は主な抗体-抗原相互作用を担当するためので、発現ベクターを構築することで、特定の天然抗体のCDR配列を異なる特性を持つ異なる抗体のスケルトンシーケンスに移植され、特定の天然抗体の特性を疑似した組換え抗体を発現させる(Riechmann et al., Nature.332:323-327(1998);Jones et al., Nature.321:522-525(1986);Queen et al.,Proc.Natl.Acad;U.S.A.86:10029-10033(1989);U.S.Pat.Nos.5,225,539;5,530,101;5,585,089;5,693,762と6,180,370)。
【0099】
したがって、本公開の別の実施形態は、重鎖可変領域及び/又は軽鎖可変領域が含まれる、分離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合断片に関する。重鎖可変領域には、本公開の上記配列のCDR1、CDR2及びCDR3を含み、軽鎖可変領域には、本公開の上記配列のCDR1、CDR2及びCDR3が含まれる。これらの抗体には、本公開のモノクローナル抗体のVH及びVL的CDR配列が含まれているが、それらが異なるスケルトンシーケンスを含むことができる。
【0100】
このようなスケルトンシーケンスは、生殖系抗体遺伝子配列を含むオープンDNAデータベース又は公開参考文献から取得できる。例えば、ヒト重鎖可変領域及び軽鎖可変領域遺伝子に使用される生殖系DNA配列は、Vbaseヒト系配列データベース(www.mrc-cpe.cam.ac.uk/vbase)、並びにKabat et al.,(1991)(前記と同じ)から取得でき、Tomlinson et al.,J.Mol.Biol.227:776-798(1992);及びCox et al.,Eur.J.Immunol.24:827-836(1994)から取得できる。別の実施形態において、ヒト重鎖可変領域及び軽鎖可変領域遺伝子に使用される生殖系DNA配列は、Genbankデータベースから取得できる。
【0101】
当業者で知られているGapped BLASTの配列の類似性の検索方法の1つ(Altschul et al.,(1997)、上記と同様である)を用いて、抗体タンパク質配列をタンパク質配列データベースと比較する。
【0102】
本公開の抗体のスケルトンシーケンスは、本公開の抗体で使用されるスケルトンシーケンスの構造に類似しているものが好ましい。VH CDR1、CDR2及びCDR3配列を該スケルトンシーケンスが得られる系免疫グロブリン遺伝子と同じ配列を持つフレームワーク領域に移植する、或いはCDR配列を系配列と比較して1つ又は複数の変異を有するフレームワーク領域に移植することができる。例えば、場合によっては、フレームワーク領域中の残基を変異させるのが有益であり、抗体の抗原結合能を維持又は増強することができる(例えば、U.S.Pat.Nos.5,530,101;5,585,089;5,693,762及び6,180,370を参照)。
【0103】
別のタイプの可変領域修飾は、VH及び/又はVL的CDR1、CDR2及び/又はCDR3領域内のアミノ酸残基を変異させて、目標抗体の1つ又は複数の特性(例えば、親和力、物理化学的性質)を改善することである。突然変異は、部位指向の突然変異誘発又はPCRを介した突然変異誘発によって導入することができ、抗体結合又は他の機能的特性に対する変異の効果は、本分野で知られているin vitro又はin vivoアッセイを通じて評価できる。好ましくは、本分野で知られている保存的な修飾が導入されている。アミノ酸の置換、追加又は欠失であり得、好ましくは置換である。また、通常、各CDR内の1、2、3、4、又は5つ以下の残基が変更される。
【0104】
また、別の実施形態において、本公開は、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域が含まれる、分離されたST2モノクローナル抗体又はその抗原結合断片を提供する。それは、以下のものを含む:(a)本公開の配列、又は1、2、3、4又は5つのアミノ酸置換、欠失又は添加を有するアミノ酸配列、を含むVH CDR1領域;(b)本公開の配列、又は1、2、3、4又は5つのアミノ酸置換、欠失又は添加を有するアミノ酸配列、を含むVH CDR2領域;(c)本公開の配列、又は1、2、3、4又は5つのアミノ酸置換、欠失又は添加を有するアミノ酸配列、を含むVH CDR3領域;(d)本公開の配列、又は1、2、3、4又は5つのアミノ酸置換、欠失又は添加を有するアミノ酸配列、を含むVL CDR1領域;(e)本公開の配列、又は1、2、3、4又は5つのアミノ酸置換、欠失又は添加を有するアミノ酸配列、を含むVL CDR2領域;(f)本公開の配列、又は1、2、3、4又は5つのアミノ酸置換、欠失又は添加を有するアミノ酸配列、を含むVL CDR3領域。
【0105】
本公開の遺伝子組み換え抗体には、抗体の特性を改善するためにVH及び/又はVLのフレームワーク領域が修飾された抗体が含まれている。一般に、このようなフレームワーク領域の修飾は、抗体の免疫原性を低下させる可能性がある。例えば、1つ以上のフレームワーク残基は、対応する生殖系列シーケンスへ「復帰変異」する。より具体的には、体細胞変異を受けている抗体には、得られた抗体生殖細胞配列とは異なるフレームワーク領域残基が含まれている場合がある。これらの残基は、抗体フレームワーク配列を得られた抗体の生殖線配列と比較することにより特定できる。
【0106】
別のタイプのフレームワークの修飾には、T細胞エピトープを除去するためにフレームワーク領域の1つ又は複数の残基を変異させることや1つ又は複数のCDRを変異させることにより、抗体によるある免疫原性を減少させることが含まれる。この方法は「脱免疫」としても知られており、米国特許公開20030153043で詳細に説明されている。
【0107】
また、フレームワーク領域又はCDR領域の修飾のほか、別のタイプの修飾として、遺伝子工学に基づくここで開示された抗体のFC領域の修飾は、一般的に抗体の1つ以上の機能的特性、例えば、血清半減期、補体固定、FC受容体結合、及び/又は抗原依存性細胞毒性などを変更するために使用される。また、本公開の抗体は、化学的に修飾される(例えば、1つ以上の化学官能基と結合する)やそのグリコシル化を変更するように修飾されるなど、抗体の1つ以上の機能的特性を変化させるために修飾することもできる。
【0108】
一実施形態において、例えば、ヒンジ領域のシステイン残基の数を増加又は減少させることにより、CH1ヒンジ領域が修飾される。この方法については、米国特許No.5,677,425で詳細に説明している。例えば、CH1ヒンジ領域のシステイン残基の数を変更すると、軽鎖と重鎖のアセンブリを促進したり、抗体の安定性を改善又は低下させたりする可能性がある。
【0109】
別の実施形態において、抗体のFc-ヒンジ領域は変異して、抗体の生物学的半減期を増加又は減少させる。より具体的には、天然FCヒンジドメインに対してブドウ球菌タンパク質A(SpA)との結合を減少させるように、FC-ヒンジ領域のCH2-CH3領域に1つ以上のアミノ酸変異が導入される。この方法については、米国特許No.6,165,745で詳細に説明している。
【0110】
別の実施形態において、抗体のグリコシル化が修飾される。例えば、脱グリコシル化抗体(即ち、この抗体がグリコシル化を欠いている)を調製できる。このようなグリコシル化修飾は、例えば、抗体配列内の1つ以上のグリコシル化部位を改変することによって達成することができる。例えば、1つ又は複数のアミノ酸置換を行うと、1つ以上の可変領域フレームワークのグリコシル化部位を排除するため、それらの部位でのグリコシル化を行うことができる。このような脱グリコシル化は、抗原に対する抗体の親和性を高める可能性がある。例えば、米国特許No.5,714,350及び6,350,861を参照してください。
【0111】
また、フコース残基の減少を伴う低フコシル化抗体、又は二等分GlcNac構造の増加を伴う抗体など、グリコシル化の変化を伴う抗体を調製できる。グリコシル化の変化により、抗体のADCC活性が増加することが実証されている。このようなグリコシル化の修飾は、例えば、グリコシル化システムが変更されている宿主細胞で抗体を発現することにより達成できる。グリコシル化システムとは、周知であり、ここで本公開の組換え抗体を発現するための宿主細胞として使用して、グリコシル化の変化を伴う抗体を産生できる。例えば、細胞株MS704、MS705、及びMS709がフコシルトランスフェラーゼ遺伝子FuT8(α(1,6)-フコシルトランスフェラーゼ)を欠いているため、MS704、MS705及びMS709細胞株で発現する抗体はフコースを欠いている。Ms704、Ms705及びMs709FUT8-/-細胞株は、2つの代替ベクターを使用してCHO/DG44細胞のFuT8遺伝子の標的破壊によって調製された。(米国特許20040110704及びOhnuki et al.,Biotechnol Bioeng.87:614-22(2004)を参照)。別の例として、EP1,176,195では、FUT8遺伝子機能が破壊された細胞株を説明している。この遺伝子はフコシルトランスフェラーゼをコードし、そのような細胞株で発現した抗体は、α-1,6結合関連酵素を減少又は除去することにより低フコシル化を示しる。EP1,176,195では、抗体のFc領域に結合したN-アセチルグルコサミンにフコースを添加するための酵素活性が低い又は存在しない細胞株、例えば、ラット骨髄腫細胞株Yb2/0を説明している(ATCC CRL 1662)。WO03/035835は、CHOバリアント細胞株であるLEC13細胞を説明している。これは、フコースをAsn(297)関連糖に追加する能力を低下させ、宿主細胞によって発現する抗体のフコシル化が低いことをもたらす。(Shields et al.,J.Biol.Chem.277:26733-26740(2002)を参照)。WO06/089231に記載されているように、グリコシル化特性の変化を伴う抗体も卵で調製できる。或いは、レムナなどの植物細胞では、グリコシル化特性が変化した抗体を調製できる。WO99/54342は、細胞株で発現した抗体がGlcNac構造を増加させることでADCC活性を増強するように、糖タンパク質を修飾するグリコシルトランタンゼ(例えば、β(1,4)-N-アセチルグルコサミントランスフェラーゼIII(GNTIII))を発現するように遺伝的に操作される細胞株を開示している。(Umana et al.,Nat.Biotech.17:176-180(1999)を参照)。或いは、フコシダーゼは抗体のフコース残基を切断するために使用される。例えば、α-L-フコシダーゼは抗体からフコース残基を除去する。(Tarentino et al.,Biochem.14:5516-23(1975))。
【0112】
本公開の抗体の別のタイプの修飾はPEG化(pegylation)である。例えば、抗体のPEG化は、抗体の生物学的(例えば、血清)半減期を増加させる可能性がある。PEG化抗体を得るために、抗体又はその断片を、例えば、1つ以上のPEG基が抗体又は抗体フラグメントに付着するような条件下で、ポリエチレングリコール(PEG)、例えばPEGの反応性エステル又はアルデヒド誘導体と反応させる。好ましくは、PEG化は、活性PEG分子(又は同様の反応性水溶性ポリマー)を使用したアシル化又はアルキル化によって実行される。本公開で使用される「ポリエチレングリコール」という用語には、モノ(C1-C10)アルコキシ-又はアリロキシポリエチレングリコール又はポリエチレングリコールマレイミドなど、他のタンパク質誘導体を生成するためのあらゆる形態のPEGが含まれている。いくつかの実施形態において、PEG化される抗体は脱グリコシル化抗体である。PEG化の方法は周知であり、ここで開示された抗体に適用できる。例えば、EP0154316及びEP0401384を参照してください。
【0113】
抗体の物理的性質
本公開の抗体は、それらの様々な物理的特性によって特徴付けられる可能性があるため、それらが属するカテゴリは決定及び/又は識別される。例えば、抗体は、軽鎖又は重鎖可変領域の1つ以上のグリコシル化部位を含むことができる。これらのグリコシル化部位は、抗体の免疫原性の増加、又は抗原結合の変化によって引き起こされる抗体のPK値の変化をもたらす可能性がある(Marshall et al., Annu Rev Biochem.41:673-702(1972);Gala&Morrison.J Immunol.172:5489-94(2004);Wallick et al.,J Exp Med.168:1099-109(1988);Spiro,Glycobiology.12:43R-56R(2002);Parekh et al.,Nature 316:452-7(1985);Mimura et al.,Mol Immunol 37:697-706(2000))。グリコシル化は、N-X-S/Tシーケンスを含むモチーフで発生することが知られている。特定のケースでは、ST2抗体が可変領域のグリコシル化を含まないことが好ましい。これは、可変領域にグリコシル化モチーフを含まない抗体を選択するか、グリコシル化領域内の残基を変異させることによって達成できる。
【0114】
1つの好適な実施形態において、抗体はアスパラギン異性化部位を含まないことである。アスパラギンの脱アミド化は、N-G又はD-Gシーケンスで発生し、イソアスパギン酸残基の産生をもたらし、安定性を低下させる可能性がある。
【0115】
各抗体には、通常は6~9.5のpH範囲内で、ユニークな等電点(pI)がある。IgG1抗体のpIは通常、7~9.5のpH範囲内にあるが、IgG4抗体のpIは通常6~8のpH範囲内である。正常範囲外のpI値を持つ抗体は、in vivo条件下で展開し、不安定になる可能性があると推測されている。したがって、正常範囲内にpI値を持つST2抗体が好ましい。これは、正常範囲内にpI値を持つ抗体を選択するか、表面残基を変異させることによって達成できる。
【0116】
本公開抗体をコードする核酸分子
一方、本開示は、本公開抗体の重鎖及び/又は軽鎖可変領域又はCDRをコードする核酸分子を提供する。核酸は、無傷の細胞、細胞溶解物、又は部分的に精製又は実質的に純粋な形に存在する場合がある。標準的な技術を使用して、他の細胞核酸又はタンパク質など、他の細胞成分又は他の汚染物質から精製すると、核酸は「分離」又は「実質的に純粋」である。本明細書に開示されている核酸は、例えば、DNA又はRNAである可能性があり、イントロンシーケンスを含む場合と含まない場合がある。1つの好適な実施形態において、核酸はcDNA分子である。
【0117】
本公開の核酸は、標準的な分子生物学技術を使用して得ることができる。ハイブリドーマ(例えば、ヒト免疫グロブリン遺伝子を保有するトランスジェニックマウスから調製したハイブリドーマ)によって発現する抗体については、ハイブリドーマから調製された抗体をコードする軽鎖及び重鎖cDNAは、標準のPCR増幅又はcDNAクローン化技術を使用して得ることができる。免疫グロブリン遺伝子ライブラリーから得られた抗体(例えば、ファージディスプレイ技術の使用)の場合、そのような抗体をコードする核酸を遺伝子ライブラリーから回収できる。
【0118】
好ましくは、本公開の核酸分子には、ここで開示されているST2モノクローナル抗体のVH及びVLシーケンス又はCDRをコードするものが含まれている。VH及びVLフラグメントをコードするDNAフラグメントが取得されると、可変領域遺伝子を完全長抗体鎖遺伝子、FABフラグメント遺伝子又はscFv遺伝子に変換するなどの操作は、標準的な組換えDNA技術を使用してさらに実施できる。これらの操作では、VL又はVHをコードするDNAフラグメントは、別のタンパク質、例えば、抗体定常領域又は柔軟なリンカーをコードする別のDNAフラグメントに操作可能に連結している。本公開で使用される「操作可能に連結」という用語は、2つのDNAフラグメントによってコードされるアミノ酸配列がインフレームのままであるように、2つのDNAフラグメントが連結されることを意味する。
【0119】
VH領域をコードする分離されたDNAは、VHをコードするDNAを、重鎖定常領域(CH1、CH2、及びCH3)をコードする別のDNA分子に操作可能に連結することにより、完全な長さの重鎖遺伝子に変換できる。ヒト重鎖定常領域遺伝子の配列は周知であり、DNAフラグメントは標準のPCR増幅を取得できる。重鎖定常領域は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgE、IgM、又はIgD定常領域である可能性があるが、IgG2定常領域で最も好ましい。Fabフラグメント重鎖遺伝子の場合、VHをコードするDNAは、重鎖CH1定常領域のみをコードする別のDNA分子に操作可能に連結できる。
【0120】
VL領域をコードする分離されたDNAは、VLをコードするDNAを、軽鎖定常領域(CL)をコードする別のDNA分子に操作可能に連結することにより、完全な長さの軽鎖遺伝子(及びFab軽鎖遺伝子)に変換できる。ヒトの軽鎖定常領域遺伝子の配列は周知であり、DNAフラグメントは標準のPCR増幅を取得できる。好適な実施形態において、軽鎖定常領域はκ又はλ軽鎖定常領域である可能性がある。
【0121】
scFv遺伝子を調製するために、VH及びVLをコードしたDNAフラグメントを、アミノ酸配列(Gly4-Ser)3などの柔軟なリンカーをコードする別の断片に操作可能に連結することにより、VH及びVLシーケンスを連続単一鎖タンパク質として発現できる。ここで、このVL及びVH領域は柔軟なリンカーを介して連結されている(例えば、Bird et al.,Science 242:423-426(1988);Huston et al.,Proc Nat.Acad.Sci.USA85:5879-5883(1988);McCafferty et al.,Nature 348:552-554(1990)を参照)。
【0122】
本公開のモノクローナル抗体の調製
本公開のモノクローナル抗体(mAb)は、Kohler及びMilsteinNature.256:495(1975)の自然の体細胞ハイブリダイゼーション(ハイブリドーマ)技術を使用して調製できる。モノクローナル抗体を調製するための他の実施形態には、Bリンパ球のウイルス形質転換及びファージ表示技術が含まれる。キメラ又はヒト化された抗体も本分野でよく知られている。例えば、米国特許4,816,567;5,225,539;5,530,101;5,585,089;5,693,762及び6,180,370を参照してください。
【0123】
モノクローナル抗体のトランスフェクトーマの調製
本公開の抗体は、例えば、組換えDNA技術と遺伝子トランスフェクション法の組み合わせを使用して、宿主細胞トランスフェクトーマで産生することもできる(例えば、Morrison、S.Science 229:12021985)。一実施形態において、標準的な分子生物学技術を使用して得られた部分又は全長の軽鎖及び重鎖をコードするDNAが、転写及び翻訳の制御配列に操作可能に連結するように、1つ以上の発現ベクターに挿入される。この場合、「操作可能に連結」という用語は、ベクターの転写及び翻訳制御配列が抗体遺伝子の転写と翻訳を調節する規定の機能を果たすように、抗体遺伝子をベクターに連結することを指す。
【0124】
「制御配列」という用語には、抗体遺伝子の転写又は翻訳を制御するプロモーター、エンハンサー、及びその他の発現制御因子(例えば、ポリアデニル化シグナル)が含まれる。このような制御配列は、Goeddel(Gene Expression Technology.Methods in Enzymology 185、Academic Press、San Diego、CA(1990))で説明されている。好ましくは、哺乳類の宿主細胞での発現の制御配列には、サイトメガロウイルス(CMV)、Simianウイルス40(SV40)、例えば、アデノウイルスメジャー後期プロモーター(AdMLP)などのアデノウイルス由来プロモーターやエンハンサーなど哺乳類細胞の高レベルのタンパク質発現を行うウイルス元素が含まれる。或いは、ユビキチンプロモーターやβ-グロビンプロモーターなどの非ウイルス制御配列が使用される。また、調節因子は、SV40初期プロモーターからの配列とヒトT細胞白血病ウイルス 1 型の長い末端反復配列を含むシーケンスからなるSRαプロモーターシステムなど、異なる起源の配列で構成されている(Takebe et al.,Mol(Cell.Biol.8:466-472(1988))。発現ベクター及び発現制御配列は、使用される発現宿主細胞と適合するように選択される。
【0125】
抗体軽鎖遺伝子と抗体重鎖遺伝子は、同じ発現ベクター又は異なる発現ベクターに挿入できる。好適な実施形態において、VHをベクター内のCHに作動可能に連結され、VLをベクター内のCLに作動可能に連結されているように、可変領域を、所望のアイソタイプの重鎖定常領域及び軽鎖定常領域をコードしている発現ベクターへ挿入することによって、完全長抗体遺伝子を作成できる。あるいは、組換え発現ベクターは、宿主細胞からの抗体鎖の分泌を促進するシグナルペプチドをコードすることができる。シグナルペプチドが抗体鎖遺伝子のアミノ末端にインフレームで連結されるように、抗体鎖遺伝子をベクターにクローニングすることができる。シグナルペプチドは、免疫グロブリンシグナルペプチド又は異種シグナルペプチド(即ち、非免疫グロブリンタンパク質由来のシグナルペプチド)であり得る。
【0126】
抗体鎖遺伝子と制御配列に加えて、本公開の組換え発現ベクターは、宿主細胞のベクターの複製(複製開始点など)や選択可能なマーカー遺伝子を調節するシーケンスなど、他の配列を保有ことができる。選択可能なマーカー遺伝子を使用して、ベクトルが導入された宿主細胞を選択できる(例えば、米国特許4,399,216;4,634,665及び5,179,017を参照)。例えば、選択可能なマーカー遺伝子は通常、ベクターが導入された宿主細胞にG418、ヒグロマイシン、又はメトトレキサートなどの薬物に対する耐性を与える。好ましい選択可能なマーカー遺伝子には、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(dhfr)遺伝子(DHFR宿主細胞のメトトレキサート選択/増幅用)及びneo遺伝子(G418選択用)が含まれる。
【0127】
軽鎖と重鎖を発現するために、宿主細胞には、標準的な技術を使用して、重鎖と軽鎖をコードする発現ベクトルをトランスフェクトする。「トランスフェクト」という用語には、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿、DEAE-デキストラントランスフェクションなどの原核生物又は真核生物の宿主細胞に外因性DNAを導入するための様々な技術が含まれる。原核生物又は真核生物の宿主細胞でここで本公開の抗体を発現することは理論的に実現可能であるが、真核細胞で抗体を発現することが好ましく、哺乳類宿主細胞で抗体を発現することが最も好ましい。これは、真核細胞、特に哺乳類細胞が、原核細胞よりも適切に折り畳まれ、免疫学的に活性な抗体を組み立てて分泌する可能性が高いためである。
【0128】
ここで開示されている組換え抗体を発現するための好ましい哺乳類宿主細胞には、中国のハムスター卵巣細胞(CHO細胞)(DHFR選択可能なマーカーで投与されたdhfr-CHO細胞を含む。例えば、Urlaub及びChasin,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216-4220(1980)で説明されている通りである。DHFRは、それらのDHFR選択マーカーは、例えば、RJ Kaufman及びPA Sharp.J.Mol.Biol.159:601-621(1982)で説明されている通りである)、NSO骨髓瘤細胞、COS細胞及びSP2細胞が含まれる。特にNSO骨髄腫細胞を使用する場合の別の適宜の発現システムは、WO87/04462、WO89/01036及びEP338,841で開示されているGS遺伝子発現システムである。抗体遺伝子をコードする組換え発現ベクターが哺乳類の宿主細胞に導入されると、抗体は、宿主細胞の抗体の発現を可能にするのに十分な期間宿主細胞を培養することにより、又は抗体の分泌を宿主細胞が成長させる培地に十分に許可することにより調製される。抗体は、タンパク質精製法を使用して培地から回収できる。
【0129】
ポリペプチド融合体
一方、本公開は、1つ又は複数の本公開の抗体又はその抗原結合断片を含むポリペプチド融合体を関与する。ここで、本公開の抗体又はその抗原結合断片は、少なくとも1つ他の機能的分子に連結されている。前記他の機能的分子は、ペプチド又はタンパク質又は非タンパク質である可能性がある。一実施形態において、本公開のポリペプチド融合体には、免疫コンジュゲートが含まれる。前記免疫コンジュゲートには、1つ又は複数の本公開の抗体又はその抗原結合断片が含まれ、並びに少なくとも本公開の抗体又はその抗原結合断片に連結されたステロイドなどの治療剤が含まれる。一実施形態において、本公開のポリペプチド融合体には複機能分子が含まれる。前記複機能分子には、1つ又は複数の本公開の抗体又はその抗原結合断片、並びに少なくとも本公開の抗体又はその抗原結合断片に連結された免疫サイトカイン又は受容体配体が含まれる。前記免疫サイトカイン又は受容体リガンドは、IgE、IL-4、IL-4R、IL-5、IL-5R、IL-6、IL-9、IL13、IL13R、IL-17、IL-23、IL-33、OX40配体(OX40L)、GM-CSF又はTSLP、TSLPR/IL7Rに対するものであってもよい。一実施形態において、複機能分子は、FC受容体結合機能とST2結合機能に加えて第3の機能を持っている。前記第3の機能はIgE、IL-4、IL-4R、IL-5、IL-5R、IL-6、IL-9、IL13、IL13R、IL-17、IL-23、IL-33、OX40配体(OX40L)、GM-CSF又はTSLP、TSLPR/IL7Rに対するものであってもよい。本明細書で使用されるように、「複機能分子」には、3つ以上の機能を持つ分子が含まれる。他の実施形態において、ここで明らかにされたポリペプチド融合には、他の形態も含まれている。これら及び他の形態のポリペプチド融合体は、遺伝子工学法、化学的方法などによって調製できる。
【0130】
多重特異性分子
一方、本公開は、1つ又は複数の本公開の抗体又はその抗原結合断片を含む多重特異性分子に関与する。ここで、本公開の抗体又はその抗原結合断片は、本明細書に開示された抗体又は抗原結合フラグメントとは異なる特異性を持つ少なくとも1つの他の官能部分に連結されている。前記他の機能部分には、もう1つのペプチド又はタンパク質(例えば、もう1つの抗体又はその抗原結合断片)が含まれる。そうすると、少なくとも2つの異なる結合部位又は標的に結合する多重特異性分子を生成する。したがって、本公開で使用される「多重特異性分子」は、2種類の特異性(即ち、二重特異的分子)、3種類の特異性(即ち、三重特異的分子)、4種類の特異性(即ち、四重特異的分子)又はそれ以上の複数の特異的分子が含まれる。
【0131】
1つの特定の実施形態において、本公開の多重特異性分子では、抗FC結合特異性とST2結合特異性に加えて、1つ以上の他の特異性を持つ場合がある。例示的には、前記他の特異性は、IgE、IL4、IL4R、IL5、IL5R、IL6、IL9、IL13、IL13R、IL17、IL23、IL33又はTSLP、TSLPR/IL7Rに対することであってもよい。
【0132】
1つの特定の実施形態において、多重特異性分子が様々な形とサイズで存在する場合がある。例示的には、サイズスペクトルの一端では、二重特異性分子は従来の抗体フォーマットを保持するが、違いなのは、2つの結合アームが同じ特異性ではなく、異なる特異性を持っていることでありい、もう一方の端には、ペプチド鎖によって結合された2つの単鎖抗体フラグメント(scFv’s)からなる二重特異性分子、いわゆるBs(scFv)2構築物である。中間サイズの二重特異性分子には、ペプチジル リンカーによって連結された2つの異なるF(ab)フラグメントが含まれる。これら及び他のフォーマットの二重特異性分子は、遺伝子工学、体細胞ハイブリダイゼーション、又は化学的方法によって調製することができる。例えば、Kufer et al.,cited supra;Cao and Suresh,Bioconjugate Chemistry.9(6).635-644(1998);及びvan Spriel et al.,Immunology Today.21(8):391-397(2000)を参照してください。
【0133】
ウイルスベクター
一方、本公開の抗体又はその抗原結合断片は、ウイルスベクターによってコードされる;又はウイルスベクターによって担持される。また、本公開の抗体又はその抗原結合断片は、ウイルスベクターと共に使用できる;又は、抗体又はその抗原結合断片をコード又は担持しているウイルスベクターを人体に導入できる。
【0134】
本公開は、さらに、本公開のポリペプチド融合体、多重特異性分子、ウイルスベクター、並びに薬学的に許容される賦形剤、希釈剤又は担体を含む医薬組成物を提供する。
【0135】
医薬組成物
一方、本公開は、本明細書に開示される抗体またはその抗原結合断片を、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤または担体と共に製剤化してなる医薬組成物を提供する。上記医薬組成物は、別の抗体や薬物、例えば、別のST2抗体、抗IgE抗体、別の抗炎薬、抗喘息薬、抗慢性閉塞性肺疾患薬、抗潰瘍性大腸炎薬、抗アブノマル皮膚炎薬又は抗乾癬薬などの1つ又は複数の薬学的に有効な成分を含んでよい。
【0136】
好ましくは、医薬組成物は、静脈内、筋肉内、皮下、非経口、脊髄又は表皮投与(例えば、注射又は注入による)に適している。投与経路に応じて、有効成分を不活性化する可能性のある酸や他の自然条件の作用から保護するために、有効成分を材料で封入することができます。「非経口投与」という用語は、経腸及び局所投与以外の投与様式を意味し、通常は注射によるものであり、静脈内、筋肉内、動脈内、くも膜下腔内、被膜内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、硬膜外及び胸骨内への注射及び注入が含まれるが、これらに限定されない。あるいは、本公開の医薬組成物は、例えば、鼻腔内、経口、膣内、直腸内、舌下又は局所などの外用、表皮又は粘膜投与経路などの非経口経路を介して投与することができる。
【0137】
医薬組成物は、滅菌水溶液又は分散液の形態であることができる。それらはまた、マイクロエマルション、リポソーム、又は高薬物濃度に適した他の秩序構造に処方することもできる。
【0138】
投薬レジメンは、最適な所望の応答(例えば、治療応答)を提供するように調整される。例えば、単回ボーラス用量を投与してもよいし、複数の分割用量を経時的に投与してもよく、又は治療状況の緊急性によって示されるように、用量を比例的に減少又は増加させることができる。投与を容易にし、投与量を均一にするために、投与単位形態で非経口投与される組成物を処方することが特に有利である。本明細書で使用される投与単位形態は、治療される対象に対する単位投与量として適切な物理的に別個の単位を指し、各単位は、必要な薬学的担体と関連して所望の治療効果を生み出すように計算された所定の量を含む。あるいは、抗体は持続放出製剤として投与されてもよく、この場合、必要な投与頻度は少なくなる。
【0139】
組成物を投与する場合、投与量は、宿主の体重1kg当たり約0.0001~100mg、より通常は0.01~5mgの範囲であり得る。例えば、投与量は、0.3mg/kg体重、1mg/kg体重、3mg/kg体重、5mg/kg体重、又は10mg/kg体重、又は1~10mg/kg体重の範囲内であり得る。例示的な治療計画は、週に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、1ヶ月に1回、3ヶ月に1回、又は3~6ヶ月に1回の投与が必要がある。
【0140】
薬学組成物は、インプラント、経皮パッチ、及びマイクロカプセル化送達システムを含む制御放出製剤であり得る。エチレンビニルアセテート、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルソエステル、及びポリ乳酸などの生分解性、生体適合性ポリマーを使用することができる。
【0141】
いくつかの実施形態において、本公開の抗体は、インビボでの適切な分布を確実にするように処方することができる。例えば、本公開の抗体が血液脳関門を通過することを確実にするために、それらをリポソームに製剤化することができ、特定の細胞又は臓器への選択的輸送を増強するためのターゲティング部分をさらに含むことができる。
【0142】
本公開の用途及び方法
本公開の抗体又はその抗原結合断片(コード化核酸分子、医薬組成物、ポリペプチド融合体、多分子分子、又はウイルスベクター)は、診断に関連する様々なin vitro及びin vivoの用途がある。IL33/ST2を介した関連疾患及び病状の治療及び/又は予防に関与する。前記IL33/ST2を介した関連疾患及び病症には、喘息、アレルギー性鼻炎、慢性閉塞性肺疾患、好酸球性細気管支炎、好酸球性食道炎、アトピー性皮膚炎、乾癬、全身性エリテマトーデス、類天疱瘡、関節リウマチ、強直性脊椎炎、炎症性腸疾患、肺線維症、肝線維症、全身性硬化症、サルコイドーシス、移植片対宿主病(GVHD)、糖尿病性疾患、心血管疾患、又はそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。本公開の抗体又は抗原結合断片を被験者に適用して、前記疾患又は病症を軽減、緩和、又は治療することができる。診断中に、本公開の抗体及びST2が複合体を形成する条件下で、前記抗体又はその抗原結合断片を前記サンプルに接触させることで、被験者サンプルのST2タンパク質の量を検出できる。
【0143】
これら及びその他の方法の開示については、以下でさらに説明する。
【0144】
併用療法
本公開は、本公開のST2抗体又はその抗原結合断片(コード核酸分子、医薬組成物、ポリペプチド融合体、多重特異性分子又はウイルスベクター)を1つ又は多種類の他の抗体又は医薬と共同に投与することを提供し、それは、被験者のIL33/ST2を介した関連疾患及び病症を軽減、緩和、又は治療することができる。前記IL33/ST2を介した関連疾患及び病症には、喘息、アレルギー性鼻炎、慢性閉塞性肺疾患、好酸球性細気管支炎、好酸球性食道炎、アトピー性皮膚炎、乾癬、全身性エリテマトーデス、類天疱瘡、関節リウマチ、強直性脊椎炎、炎症性腸疾患、肺線維症、肝線維症、全身性硬化症、サルコイドーシス、移植片対宿主病(GVHD)、糖尿病性疾患、心血管疾患、又はそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。一実施形態において、本公開は、被験者の喘息、慢性閉塞性肺疾患、アトピー性皮膚炎を治療する方法を提供する。ここで、本公開は、ST2抗体又はその抗原結合断片、並びに1つ又は多種類の他の抗体一緒に使用される。例えば、TSLP抗体、TSLPR抗体、IL4抗体、IL4R抗体、IL13抗体、IL13R抗体、IL5抗体、IL5R抗体及び/又はIgE抗体である。別の実施形態において、本公開は、被験者の喘息、慢性閉塞性肺疾患、アトピー性皮膚炎を治療する方法を提供する。ここで、本公開のST2抗体又はその抗原結合断片は少なくとも1つの別の医薬と一緒に使用される。例えば、抗喘息薬、抗慢性閉塞性肺疾患薬、抗アブノマル皮膚炎薬である。いくつかの実施形態において、被験者は人である。ここで開示されたST2抗体又はその抗原結合断片と組み合わせて使用できる他の治療法には、アレルゲン曝露の削減又は回避、ホルモン療法、手術なども含まれる。
【0145】
この公開で議論されている治療薬の組み合わせ(即ち、併用)は、薬学的に許容される担体の単一組成として同時に投与することができる。又は、各薬剤が医薬品に許容できる担体にある別々の組成として同時に投与することができる。別の実施形態において、治療薬の組み合わせを順番に適用できる。
【0146】
また、併用療法が複数回投与され、薬剤が順次に投与されると、各時点でのシーケンシャル投与の配列を逆転又は維持することができ、順次投与を同時投与又はその任意の組み合わせと組み合わせることができる。
【0147】
目的を明確に理解するためには、前記の発明は例と実施形態を通じて詳細に説明されているが、この公衆の教義によれば、この分野の普通の技術者は、精神的及び特許の範囲から逸脱することなく、この一般にいくつかの変更と修正を行うことができることが明らかである。本公開は、以下の例の説明によってさらに説明されているが、これは制限されることを意図していない。このアートに熟練したものは、実質的に類似した結果を生み出すために変更又は変更される可能性のある様々な非批判的なパラメーターを容易に識別する。
【0148】
特に示されない限り、現在の開示の操作は、本分野の範囲でタンパク質化学、生化学、組換えDNA技術、及び薬理学における従来の方法を採用する。
【実施例】
【0149】
実施例1、ST2抗原及び検出用タンパク質の調製
ヒトUniProt Interleukin-1receptor-like 1(ST2)isoform A(配列番号1)の全長遺伝子(hST2)を本公開のST2のテンプレートとして使用して、本開示の抗原および検出用タンパク質をコードする遺伝子配列を取得した。マウスの免疫化または後のスクリーニングアッセイのために、マウス抗体重鎖Fcフラグメント(マウスIgG2aなど)と組換えてhST2-mFcを形成できるか、またはヒト抗体重鎖Fcと組換えてhST2-hFcを形成するできる。マウス抗体重鎖Fcタグを備えたhST2細胞外ドメインを含む組換えタンパク質(hST2-ECD-mFc、配列番号2)をコードしたcDNAと、ヒト抗体重鎖Fcタグを含むhST2細胞外ドメインを含む組換えタンパク質(hST2-ECD-hFc、配列番号4)をコードするcDNA(それぞれ配列番号3及び5)は、遺伝子合成によって取得し、それぞれpcDNA3.1発現ベクター(Invitrogen、V-790)にサブクローニングした。Expi293細胞(Thermo、A14527)に上記で構築したベクターをトランスフェクトして一過性発現させた。次いで、hST2-ECD-mFcおよびhST2-ECD-hFc組換えタンパク質をプロテインAカラム(GEヘルスケア)にて精製した。
【0150】
avitagを含むヒトIL33を含む組換えタンパク質をコードしたcDNA(配列番号7)は、遺伝子合成によって取得し、GSTタグ付き発現ベクターにクローニングされた。上記で構築されたベクターは、誘導発現のためのBL21コンピテントセルに形質転換した。GST-IL33avitagグタンパク質をGST精製カラムで精製し、トロンビン酵素(シグマ社製、T4648-1KU)で消化し、GSTを除去してhIL33avitag(配列番号6)を得た。
【0151】
ヒトIL33組換えタンパク質(配列番号9)をコードしたcDNAは、遺伝子合成によって取得し、GSTタグ付き発現ベクターにクローン化された。上記で構築されたベクターは、誘導発現のためのBL21コンピテントセルに形質転換した。GST-IL33グタンパク質をGST精製カラムで精製し、トロンビン酵素(シグマ社製、T4648-1KU)で消化し、GSTを除去してhIL33タンパク質(配列番号8)を得た。
【0152】
実施例中のST2抗体RG6149は、社内で調製されたCN104334582中の抗体AB2を指し、その重鎖と軽鎖のアミノ酸配列は、本開示の配列番号83及び配列番号84に記載されている通りである。ST2抗体GSK3772847は、社内で調製されたCN104411333中の抗体STLM208を指し、その重鎖と軽鎖のアミノ酸配列は、本開示の配列番号85及び配列番号86に記載されている通りである。
【0153】
実施例2、抗ST2ハイブリドーマモノクローナル抗体の調製
精製されたhST2-ECD-mFc組換えタンパク質(100μg/マウス)を同容積の完全なフロイントのアジュバント(Sigma,F5881-10X10ML)(初回免疫)又は不完全なフロイントのアジュバント(Sigma,F5506-10X10ML)(追加免疫)とよく混合して乳化させ、BALB/Cマウスに対して2週間ごとに計8週間皮下免疫した。融合の3日前に、アジュバントフリーのhST2-ECD-mFc抗原(50μg/マウス)をブースター免疫として腹腔内注射した。免疫マウス由来の脾臓細胞(1×108)とSP2/0骨髄腫細胞(2×107)とを、PEG媒介融合ステップにて融合させて、ハイブリドーマ細胞を得た。融合後、細胞をHAT完全培地(Gibco、21060017)に再懸濁し、0.1mL/ウェルで96ウェルプレートに分注して、37℃、5%CO2インキュベーターで培養した。一般に、融合から約10~15日間後、細胞培養上清についてELISAによりST2結合活性を測定し(実施例5を参照)、ポジティブホールの細胞培養上清を選択し、ELISA法により、IL33/ST2結合に対するブロッキング活性を測定した(実施例6を参照)。
【0154】
ST2が特異的に結合され、IL33/ST2結合にブロックできるウェルが選択され、細胞密度に応じて24ウェルプレートに拡大された。24ウェルプレートに転移された細胞株が再テストされた後、保存と最初のサブクローニングが行われた。最初のサブクローニング中、陽性と判定された細胞株を保存したうえで、第2のサブクローニングが実行された。第2のサブクローニング中、陽性と判定された細胞株を保存したうえで、タンパク質の発現に供した。
【0155】
実施例3、抗ST2抗体のcDNA獲得とキメラ抗体構造の構築
全RNA抽出キットを使用して、上記の結合及びブロッキング機能を備えているハイブリッド腫瘍細胞から全RNAを分離し、テンプレートとして使用して、指示書によると、第1鎖のcDNAがSuperScript III逆転写酵素(Thermo、18080051)によって合成された。次に、縮重マウスIgGプライマーを使用して、PCR反応を介して抗体の可変領域配列を増幅した。
【0156】
PCR混合物は、0.5μg/mL臭化エチジウム含有の1%アガロース/トリスホウ酸ゲル中で電気泳動した。予想されるサイズのDNAフラグメント(重鎖と軽鎖の場合は約500bp)をゲルから切除し、精製した。精製されたPCR産物をpMD-19Tベクター(Takara、6013)にクローニングし、DH5αコンピテント大腸菌(Takara、9057)に形質転換した。5つのコロニーがLB培養プレートから選ばれ、DNAシーケンスに供した。抗体の重鎖可変領域配列、並びに軽鎖可変領域配列:7D1(配列番号35、36)、3C6(配列番号37、38)、31C8(配列番号39、40)、26A1(配列番号41、42)、8F4(配列番号43、44)、17E2(配列番号45、46)が得られた。
【0157】
キメラ抗体の構築と発現について、マウスVL領域遺伝子合成フラグメントは、二重消化によりヒトκ鎖定常領域に連結され、キメラ軽鎖を構築した。マウスVH領域遺伝子合成フラグメントは、二重消化によりヒトIgG2定常領域に連結され、キメラ重鎖を構築した。
【0158】
上記キメラ軽鎖を含むDNAベクター及び上記キメラ重鎖を含むDNAベクターは、Expi CHO細胞(50mL体系、6×106/mL細胞、1μg/mLDNA)にコトランスフェクトし、一過性発現させ、7日間培養した。次に、細胞培養上清中のキメラ抗体を、Protein Aカラム(GE healthcare)で精製した。
【0159】
実施例4、hST2抗原に対する抗ST2抗体の親和性の測定
抗マウスIgG抗体(ヒトST2抗原の捕獲用、Cytiva、29215281)又は抗his抗体(Cynomolgus Monkey ST2抗原の捕獲用、Cytiva、29234602)を、製品の指示書に記載されている方法を使用してCM5バイオチップ(Cytiva、BR-1000-12)に結合し、一連の濃度(32.8nM、16.4nM、8.2nM、4.1nM、2.05nM、1.0259nM、0.51297nM)の抗ST2抗体をチップ表面上に流し、反応信号は、Biacore機器(Cytiva、BiacoreT200)を使用してリアルタイムで検出され、その後、結合-解離曲線が得られた。各サイクルで解離が完了した後、バイオチップは次のキャプチャのための再生ソリューションで再生された。この手順は、それぞれのST2抗体の親和性が決定されるまで繰り返された。得られたデータは、1:1(langmuir)結合モデルを備えたGE BIAvaluationソフトウェアを使用して最終的に分析して、結合速度定数ka(kon)及び解離速度定数kd(koff)を測定し、KD=kd/kaによって解離定数KDを計算した。抗ST2抗体のヒトST2抗原(hST2-ECD-mFc)、Cynomolgus Monkey ST2抗原(Cyno-ST2-his、Sino biologica1、90915-C08H)に対する親和性、及び抗ST2キメラ抗体のST2に対する親和性については、表5に示された。
【0160】
【0161】
実施例5、ELISAによる抗ST2抗体の結合分析
ST2結合スクリーニングおよび抗体の分析は、hST2-ECD-mFc(キメラおよびヒト化抗体の測定用)、hST2-ECD-hFcタンパク質(ハイブリドーマ抗体の測定用)、およびCyno-ST2-his(Sino biological、90915-C08H)を抗原として用いてELISAにより行った。2μg/mL hST2-ECD-mFcまたはCyno-ST2-his抗原を100μL/ウェルで高吸着96ウェルプレート(Costar、9018)にコーティングし、4℃で一晩インキュベートした。吸着していない抗原をよく洗い流した後、非特異的結合部位をブロッキングバッファー(2%ウシ血清アルブミン含有PBS)でブロックした。プレートを洗浄バッファー(0.05%(v/v)Tween 20を含むPBS)で3回洗浄した後、抗ST2抗体(初期濃度10nMからの8つの濃度:3.333nM、1.111nM、0.370nM、0.123nM、0.041nM、0.014nM、0.005nM、および0.002nM)を100μL/ウェルで添加し、プレートを室温で1時間インキュベートした。プレートを洗浄バッファーで洗浄した後、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合二次抗体を添加し、プレートをさらに60分間インキュベートした。プレートを洗浄バッファーで洗浄した後、基質TMB溶液(Thermo、00-4201-56)を100μL/ウェルで加え、プレートを室温で2分間インキュベートした。停止液(2N H
2SO
4)を100μL/ウェルで添加し、反応を終了させた。比色シグナルを生成し、マイクロプレートリーダー(PE、Envision)を使用して450nmで読み取りした。データはGraphPad Prism5を使用して分析され、EC50値が計算された。抗ST2キメラ抗体とhST2及びCyno-ST2との結合のEC50値を表6及び
図1-2に示す通りである。
【0162】
【0163】
実施例6、ELISAによる抗ST2抗体のブロッキング分析
抗ST2抗体がhIL33のhST2への結合をブロックできるかどうかは、ELISAに基づいて決定された。2 μg/mL hST2-ECD-hFcを100μL/ウェルで高吸着96ウェルプレートにコーティングし、4℃で一晩インキュベートした。吸着していない抗原をよく洗い流した後、非特異的結合部位をブロッキングバッファー(1%ウシ血清アルブミン含有PBST)でブロックした。プレートを洗浄バッファー(PBST、0.05%(v/v)Tween 20を含むPBS)で3回洗浄した後、抗ST2抗体(初期濃度66.67nMから8つの濃度に2倍希釈)を100μL/ウェルで添加して、37℃で1時間インキュベートした。プレートを洗浄バッファーで3回洗浄した後、各ウェルに100μlのビオチン標識hIL33 Avitag(0.1μg/mLの濃度)を加え、37℃で1時間インキュベートした。プレートを洗浄バッファーで3回洗浄した後、1:1000希釈のアビジンHRP二次抗体(Jackson immunoresearch、016-030-084)を100μl/wellで添加し、室温で1時間インキュベートした。プレートを洗浄バッファーで洗浄した後、基質TMB溶液(Thermo、00-4201-56)を100μL/ウェルで加え、プレートを室温で3分間インキュベートした。反応を終了するために、50μLの停止溶液(2N H
2SO
4)を加えた。比色シグナルを生成し、マイクロプレートリーダー(PE、Envision)を使用して450nmで読み取りした。データはGraphPad Prism5を使用して分析され、IC50値が計算された。抗ST2キメラ抗体のIL33/ST2結合をブロッキングするIC50値を表7及び
図3に示す。
【0164】
【0165】
実施例7、抗ST2抗体の細胞ベースの結合分析
FACS方法に基づいて、hST2(配列番号1)を過剰発現するHEK293T細胞株(HEK293T-hST2-NFκB-Luciferase)とカニクイザルST2(配列番号10)を過剰発現するHEK293T細胞株(HEK293T-Cyno-ST2-NFκB-Luciferase)との結合アッセイで、抗ST2抗体とhST2過剰発現細胞株、cyno-ST2過剰発現細胞株との結合能を分析した。レンチウイルストランスフェクション系を使用して、pLenti6.3-hST2プラスミド及びpLenti6.3-NFκB-luciferasaeプラスミドをHEK293細胞にトランスフェクトして、細胞株HEK293T-hST2-NFκB-luciferasaeを構築した。HEK293T細胞にpLenti6.3-cynoST2及びpLenti6.3-NFκB-luciferasaeプラスミドをトランスフェクトして、細胞株HEK293T-Cyno-ST2-NFκB-Luciferaseを構築した。
【0166】
3×10
5のHEK293T-hST2-NFκB-Luciferase又はHEK293T-Cyno-ST2-NFκB-Luciferase細胞を96ウェル培養プレートに加えた。段階希釈した抗ST2抗体(HEK293T-hST2-NFκB-Luciferase細胞との結合試験において、抗ST2抗体の初期濃度が667nMであり、4倍濃度勾配に従って8つの濃度を希釈した。HEK293T-Cyno-ST2-NFκB-Luciferaseとの結合実験において、抗ST2抗体の初期濃度が400nMであり、4倍濃度勾配に従って8つの濃度を希釈した)を細胞懸濁液に加えた。プレートを室温で60分間インキュベートした後、細胞をPBSで3回洗浄した。1:200希釈したPE goat-anti-human-IgG二次抗体(Jackson immunoresearch、109-116-170)を100μL/ウェルで添加し、プレートを室温で30分間インキュベートした。細胞をPBSで3回洗浄し、100ulLのPBSに再懸濁し、その後、蛍光シグナルを分析し、フローサイトメーター(BD、Accuri C6)を使用して検出した。細胞株表面上のhST2及びcyno-ST2に対する抗ST2抗体の結合能力は、染色の平均蛍光強度(MFI)から測定された。データはGraphPad Prism5にて分析され、EC50値が計算された。細胞レベルでのhST2及びcyno-ST2に対する抗ST2キメラ抗体の結合のEC50値を表8及び
図7~8に示す。
【0167】
【0168】
実施例8、IL33タンパク質とhST2過剰発現細胞株(HEK293T-hST2-NFκB-Luciferase)の間の相互作用をブロックする抗ST2抗体のアッセイ
HEK293T細胞は、自然にIL1RAcPタンパク質を高レベルで発現する。そして、レンチウイルストランスフェクションシステムを使用して、pLenti6.3-hST2プラスミド及びpLenti6.3-NFκB-LuciferasaeプラスミドをHEK293細胞に、トランスフェクトして、安定的なトランスフェクトされた細胞系HEK293T-hST2-NFκB-Luciferaseを構築した。IL33はST2に結合すると、IL-1RAcPを募集して、下流のNFκBシグナル伝達経路を活性化できるため、ルシフェラーゼの発現が開始される。系に抗-ST2抗体がある場合、IL33とST2の結合がブロックされ、そしてLuciferaseの発現がブロックされることになる。抗ST2抗体のブロッキング活性は、反応基質の蛍光の強度の変化を検出することにより評価された。
【0169】
良好な状態の対数期のHEK293T-hST2-NFκB-Luciferasae細胞を採取し、2.5×10
5細胞/mLに希釈した。細胞希釈液を384ウェルプレート(Thermo、262360)に20μL/ウェルで添加しました。次に、段階希釈した抗ST2抗体(初期濃度667nMから4倍に段階希釈)を15μL/ウェルで添加した。プレートを37℃で30分間インキュベートした。インキュベーション後、15μLのhIL33タンパク質を各ウェルに加えた(最終濃度50pM)。混合物をよく混合し、37℃で5時間インキュベートした。次に、50μlのONE-Glo
(商標) Luciferase Assay(Promega,E6120)を各ウェルに加え、混合物を2~5分間暗所で反応させた。化学発光信号は、マイクロプレートリーダー(PE,Envision)を使用して読み取られた。データはGraphPad Prism5にて分析され、IC50値が計算された。細胞レベルでのIL33/ST2シグナル伝達の抗ST2キメラ抗体のブロッキングのIC50値を表9及び
図9に示す。
【0170】
【0171】
実施例9、IL 33タンパク質とhST2((KU812-NFκB-Luciferasae)を自然に発現する細胞間の相互作用をブロックする抗ST2抗体のアッセイ
KU812細胞は、ST2及びIL1RAcPタンパク質を自然に発現する。レンチウイルストランスフェクションシステムを使用して、pLenti6.3-NFκB-LuciferasaeをKu812細胞にトランスフェクトして、安定的なトランスフェクトされた細胞株KU812-NFκB-Luciferasaeを構築した。実験原理は実施例8に参照してください。良好な状態の対数期のKU812-NFκB-Luciferasae細胞を採取し、2.5×105細胞/mLに希釈した。細胞希釈液を384ウェルプレート(Thermo、262360)に20μL/ウェルで添加しました。次に、段階希釈した抗ST2抗体(初期濃度667nMから4倍に段階希釈)を15μL/ウェルで添加した。プレートを37℃で30分間インキュベートした。インキュベーション後、15μLのhIL33タンパク質を各ウェルに加えた(最終濃度200 pM)。混合物をよく混合し、37℃で5時間インキュベートした。次に、50μlのONE-Glo(商標) Luciferase Assay(Promega,E6120)を各ウェルに加え、混合物を2~5分間暗所で反応させた。化学発光信号は、マイクロプレートリーダー(PE,Envision)を使用して読み取られた。データはGraphPad Prism5にて分析され、IC50値が計算された。
【0172】
実施例10、IL33とIL2共刺激CD4+T細胞との相互作用をブロックする抗ST2抗体のアッセイ
IL33及びIL2による共刺激下では、IL33はCD4+T細胞表面のST2に結合し、下流のシグナル伝達経路を活性化してサイトカインIL5の分泌を誘導する。抗ST2抗体が系に存在する場合、IL33のCD4+T細胞のST2への結合をブロックし、IL5分泌を阻害する。IL33とIL2共刺激CD4+T細胞間の相互作用をブロックする抗ST2抗体の能力を、IL5含有量を測定することにより分析した。
【0173】
ヒトCD4+T細胞選別キット(stemcell、17952)を用い、ヒトPBMCからCD4+T細胞を選別し、2.5×105個細胞/ウェルで96孔U底細胞培養プレートに播種し、60μL/ウェルにした。次に、15μL/ウェルで希釈した抗ST2抗体(53nMの初期濃度からの3倍希釈)を加えた。プレートを37℃で30分間インキュベートした。インキュベーション後、15μLのhIL33タンパク質(最終濃度4ng/mL)及び15μLのIL2(最終濃度10ng/mL)(PrimeGene、GMP-101-02)を各ウェルに加えた。よく混合し、37℃で48時間インキュベートした。インキュベーション後、上清を収集して、IL5アッセイキット(R&D、DY205)の指示書に従い、上清のIL5含有量を測定した。OD450値は、マイクロプレートリーダー(PE、Envision)を使用して読み取られた。データはGraphPad Prism5にて分析され、IC50値が計算された。抗ST2キメラ抗体の、IL33/ST2によるCD4+T細胞でのIL5誘導分泌のブロッキングのIC50値の結果を表10に示す。
【0174】
【0175】
実施例11、抗ヒトST2ハイブリドーマモノクローナル抗体のヒト化
31C8(重鎖可変領域配列の配列番号39;軽鎖可変領域配列の配列番号40)が人化設計に選択された。確立されたCDR移植法が採用され、マウス抗体のヒト化に使用できるヒト抗体フレームワーク領域が選択された。マウス抗体可変領域のアミノ酸に対する最高の配列同一性(即ち、配列類似性)を備えたヒト生殖系抗体又はそのサブタイプが選択された。マウス抗体の重鎖可変領域CDRと軽鎖可変領域CDRを選択したフレームワーク領域に挿入し、フレームワーク領域の残基を変異させた。一部のCDRは、物理化学的特性や制剤性など、抗体の特性を改善するためにさらに変異した。ヒト化抗体hz31C8-1.1及びhz31C8-1.2が得られた。ここで、hz31C8-1.1の重鎖可変領域と軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号71及び配列番号79であった。ヒト化抗体hz31C8-1.1の重鎖可変領域と軽鎖可変領域をコードするDNA配列は、それぞれ配列番号72及び配列番号80であった。ヒト化抗体hz31C8-1.2の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号73及び配列番号79であった。ヒト化抗体hz31C8-1.2重鎖可変領域及び軽鎖可変領域をコードするDNA配列は、それぞれ配列番号74及び配列番号80であった。
【0176】
ヒト化されたVL領域遺伝子合成フラグメントは、二重消化によりヒトκ鎖定常領域に連結され、ヒト化された軽鎖を構築し、ヒト領域の遺伝子合成断片を、二重消化によりヒトIgG2定常領域に連結され、ヒト化された重鎖を構築した。発現ベクターに、各抗体に対応するヒト化重鎖及び軽鎖DNAをトランスフェクトした。ExpiCHO発現システムを使用して、タンパク質発現を実行した。次に、細胞培養上清中のヒト化された抗体をProtein Aカラムを介して精製した。
【0177】
実施例12、ヒト化抗ST2抗体の生物学的機能アッセイ
実施例4、実施例5、実施例6、実施例7、実施例8、実施例9及び実施例10の方法に従って、ヒト化抗体hz31C81-1.1(重鎖配列配列番号75、軽鎖配列配列番号81)及びhz31C8-1.2(重鎖配列配列番号77、軽鎖配列配列番号81)に対して親和力、結合、阻害及細胞機能の分析を行った。本公開において、「hz」及び「xi」は、それぞれヒト化抗体及びキメラ抗体を示し、例えば、「hz31C81-1.1」及び「hz31C81-1.2」は、ヒト化の31C81-1.1及び31C81-1.2抗体を示し、「xi31C8」はキメラの31C8抗体を示す。
【0178】
抗ST2ヒト化抗体とST2の親和力結果は表11に示す。抗ST2ヒト化抗体がELISA実験におけるhST2及びCyno-ST2と結合したEC50値を表12及び
図4-5に示す。抗ST2ヒト化抗体がELISAにおけるIL33/ST2の結合を阻害したIC50値を表13及び
図6に示す。抗ST2ヒト化抗体が細胞レベルのhST2と結合したEC50値を表14及び
図10に示す。抗ST2ヒト化抗体が細胞レベルのIL33/ST2シグナル伝導作用を阻害するIC50値を表15及び
図11-12に示す。抗ST2ヒト化抗体がCD4
+T細胞でIL33/ST2によって誘導されたIL5分泌作用を阻害するIC50値を表16及び
図13に示す。
【0179】
【0180】
【0181】
【0182】
【0183】
【0184】
【0185】
実施例13、ヒト化抗ST2抗体の安定性アッセイ
それぞれの抗体の熱安定性は、DSC(Differential scanning calorimetry、示差走査熱量測定)によって決定された。サンプルはPBSバッファー(pH 7.4)に溶解し、MicroCal VP-Capillary DSC(Malvern Panalytical)を使用して測定を実施した。表17に示すように、本開示のヒト化抗ST2抗体hz31C8-1.1及びhz31C8-1.2はどちらも優れた熱安定性を示し、コントロールとしての抗ST2抗体RG6149及びGSK3772847よりも優れていた。
【0186】
【0187】
抗体について、特定の濃度条件でSEC-HPLC法にて周期的な安定性を測定した。例えば、抗体濃度が約1mg/mlで制御され、PBSバッファー(pH 7.2)で40℃で2週間保存したときの安定性を比較した。LC-20ADXR/DGU(Shimadzu)を使用して実行された。表18に示すように、本開示のヒト化抗ST2抗体hz31C8-1.1及びhz31C8-1.1はどちらも良好な安定性を示した。
【0188】
【0189】
抗ST2抗体をPBS緩衝液で1.5mg/mLの濃度に希釈して、72℃で5分間処理された後、ELISAによって抗原との結合活性について測定した。ELISA手順は次の通りである。96ウェルプレートは、2μg/mlの抗原としてのhST2-ECD-mFcで100μL/ウェルコーティングされ、4℃で一晩インキュベートされた。吸着されていない抗原が十分に洗い流された後、非特異的結合部位はブロッキングバッファー(1%ウシ血清アルブミンを含むPBST)でブロックされた。プレートを洗浄バッファー(0.05%(v/v)Tween 20を含むPBS、PBST)で3回洗浄した後、抗ST2抗体(初期濃度から1.5μg/mlから8つの濃度に3倍希釈した。)を100μl/wellで加え、プレートを37℃で1時間インキュベートした。プレートを洗浄バッファーで洗浄した後、抗ヒトIgGFcγ二次抗体(Jackson ImmunoResearch、109-035-008)を加え、プレートを37℃で1時間インキュベートした。プレートを洗浄バッファーで洗浄した後、発色のために、基質TMB溶液(Thermo、00-4201-56)を100μL/ウェルで添加した。プレートを室温で5分間インキュベートした後、反応を停止するために停止溶液(2N H2SO4)を加えた。プレートリーダー(PE、Envision)を使用して、450nmで信号を読み取り、GraphPad Prism5でデータを分析し、EC50値が計算されたところ、表19に示すように、本開示のヒト化抗ST2抗体hz31C8-1.1及びhz31C8-1.1はどちらも優れた熱安定性を示した。
【0190】
【0191】
実施例14、IL1Rファミリー受容体を使用したヒト化抗ST2抗体の交差反応性
ST2はIL1R受容体ファミリーに属する。IL1Rファミリー受容体との抗ST2抗体の交差反応性は、ELISAによって決定された。前記IL1Rファミリー受容体には、cIL1R1/CD121a (Sino biological,10126-H08H)、IL1R2/CD121b(Sino biological, 10111-H08H)、IL1R3/IL1RAP(Sino biological, 10121-H08H)、IL1R7/IL-18RAcP(Sino biological, 10176-H08H)、IL1R8/IL1RAPL1 (Sino biological, 10177-H08H)、IL1R9/IL1RAPL2(Sino biological, 10156-H08H)が含まれる。ELISAアッセイは、上記のタンパク質を抗原(2μg/ml)として使用して実行した。具体的なELISA手順については、実施例13を参照してください。非結合とは、最高濃度の抗体が抗原と結合しないままであることを意味する。弱い結合とは、最高濃度の抗体が、抗原に弱く結合し、低濃度の抗体が結合しないことを意味する。強い結合とは、非常に良好な結合曲線に適合する結合データであることを意味する。
【0192】
【0193】
実施例15、ヒト化抗ST2抗体の薬物動態評価
実験には、南京大学モデルの動物から購入した18匹のBalb/cマウスを使用して、各グループに6個とし、12/12時間の視野調整、自由に飲料水を食べさせる。実験日に、マウスにはそれぞれ、10mg/kgで静脈内注射により1mg/mlのサンプルを投与した。眼窩血液は、投与前に(0分、又は投与前に1日以上)及び投与後30分、8時間、24時間、2d(48時間)、4d(96時間)、7日、及び14日血清を採集され、ELISA法により抗体濃度を測定した。ELISAの手順は次の通りである。96ウェルプレートは、100μL/ウェルの抗原として2μg/mLのST2-His(シノビオロジー、10105-H08H)でコーティングされ、4℃で一晩インキュベートされた。吸着されていない抗原が十分に洗い流された後、非特異的結合部位はブロッキングバッファー(1%ウシ血清アルブミンを含むPBST)でブロックされた。プレートを洗浄バッファー(0.05%(v/v)Tween 20を含むPBS、PBST)で3回洗浄した後、100μlの被検血清を加え、プレートを37℃で1時間インキュベートした。プレートを洗浄バッファーで洗浄した後、抗マウスIgGFcγ二次抗体を加え、プレートを37℃で1時間インキュベートした。プレートを洗浄バッファーで洗浄した後、発色のために、基質TMB溶液(Thermo、00-4201-56)を100μL/ウェルで添加した。プレートを室温で5分間インキュベートした後、反応を停止するために停止溶液(2N H2SO4)を加えた。プレートリーダー(PE、Envision)を使用して、450nmで信号を読み取り、GraphPad Prism5でデータを分析した。表21を参照すると、PK分析では、本開示のヒト化抗ST2抗体hz31C8-1.1及びhz31C8-1.1の半減期が約9.7dと7.33dであり、コントロールとしての抗ST2抗体RG6149よりも優れたことが示されている。
【0194】
【0195】
本開示は、一般的な説明と特定の実施形態を通じて上記で詳細に説明されているが、本開示に基づいて修正又は改善を行うことができることが当業者に明らかになりる。したがって、本公開の精神から離れることなく行われたこのような修正と改善はすべて、本公開の保護範囲内にある。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2023-01-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0166
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0166】
3×10
5のHEK293T-hST2-NFκB-Luciferase又はHEK293T-Cyno-ST2-NFκB-Luciferase細胞を96ウェル培養プレートに加えた。段階希釈した抗ST2抗体(HEK293T-hST2-NFκB-Luciferase細胞との結合試験において、抗ST2抗体の初期濃度が667nMであり、4倍濃度勾配に従って8つの濃度を希釈した。HEK293T-Cyno-ST2-NFκB-Luciferaseとの結合実験において、抗ST2抗体の初期濃度が400nMであり、4倍濃度勾配に従って8つの濃度を希釈した)を細胞懸濁液に加えた。プレートを室温で60分間インキュベートした後、細胞をPBSで3回洗浄した。1:200希釈したPE goat-anti-human-IgG二次抗体(Jackson immunoresearch、109-116-170)を100μL/ウェルで添加し、プレートを室温で30分間インキュベートした。細胞をPBSで3回洗浄し、100
μLのPBSに再懸濁し、その後、蛍光シグナルを分析し、フローサイトメーター(BD、Accuri C6)を使用して検出した。細胞株表面上のhST2及びcyno-ST2に対する抗ST2抗体の結合能力は、染色の平均蛍光強度(MFI)から測定された。データはGraphPad Prism5にて分析され、EC50値が計算された。細胞レベルでのhST2及びcyno-ST2に対する抗ST2キメラ抗体の結合のEC50値を表8及び
図7~8に示す。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0177
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0177】
実施例12、ヒト化抗ST2抗体の生物学的機能アッセイ
実施例4、実施例5、実施例6、実施例7、実施例8、実施例9及び実施例10の方法に従って、ヒト化抗体hz31C8-1.1(重鎖配列配列番号75、軽鎖配列配列番号81)及びhz31C8-1.2(重鎖配列配列番号77、軽鎖配列配列番号81)に対して親和力、結合、阻害及細胞機能の分析を行った。本公開において、「hz」及び「xi」は、それぞれヒト化抗体及びキメラ抗体を示し、例えば、「hz31C8-1.1」及び「hz31C8-1.2」は、ヒト化の31C8-1.1及び31C8-1.2抗体を示し、「xi31C8」はキメラの31C8抗体を示す。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0187
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0187】
抗体について、特定の濃度条件でSEC-HPLC法にて周期的な安定性を測定した。例えば、抗体濃度が約1mg/mlで制御され、PBSバッファー(pH 7.2)で40℃で2週間保存したときの安定性を比較した。LC-20ADXR/DGU(Shimadzu)を使用して実行された。表18に示すように、本開示のヒト化抗ST2抗体hz31C8-1.1及びhz31C8-1.2はどちらも良好な安定性を示した。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0189
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0189】
抗ST2抗体をPBS緩衝液で1.5mg/mLの濃度に希釈して、72℃で5分間処理された後、ELISAによって抗原との結合活性について測定した。ELISA手順は次の通りである。96ウェルプレートは、2μg/mlの抗原としてのhST2-ECD-mFcで100μL/ウェルコーティングされ、4℃で一晩インキュベートされた。吸着されていない抗原が十分に洗い流された後、非特異的結合部位はブロッキングバッファー(1%ウシ血清アルブミンを含むPBST)でブロックされた。プレートを洗浄バッファー(0.05%(v/v)Tween 20を含むPBS、PBST)で3回洗浄した後、抗ST2抗体(初期濃度から1.5μg/mlから8つの濃度に3倍希釈した。)を100μl/wellで加え、プレートを37℃で1時間インキュベートした。プレートを洗浄バッファーで洗浄した後、抗ヒトIgGFcγ二次抗体(Jackson ImmunoResearch、109-035-008)を加え、プレートを37℃で1時間インキュベートした。プレートを洗浄バッファーで洗浄した後、発色のために、基質TMB溶液(Thermo、00-4201-56)を100μL/ウェルで添加した。プレートを室温で5分間インキュベートした後、反応を停止するために停止溶液(2N H2SO4)を加えた。プレートリーダー(PE、Envision)を使用して、450nmで信号を読み取り、GraphPad Prism5でデータを分析し、EC50値が計算されたところ、表19に示すように、本開示のヒト化抗ST2抗体hz31C8-1.1及びhz31C8-1.2はどちらも優れた熱安定性を示した。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0193
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0193】
実施例15、ヒト化抗ST2抗体の薬物動態評価
実験には、南京大学モデルの動物から購入した18匹のBalb/cマウスを使用して、各グループに6個とし、12/12時間の視野調整、自由に飲料水を食べさせる。実験日に、マウスにはそれぞれ、10mg/kgで静脈内注射により1mg/mlのサンプルを投与した。眼窩血液は、投与前に(0分、又は投与前に1日以上)及び投与後30分、8時間、24時間、2d(48時間)、4d(96時間)、7日、及び14日血清を採集され、ELISA法により抗体濃度を測定した。ELISAの手順は次の通りである。96ウェルプレートは、100μL/ウェルの抗原として2μg/mLのST2-His(シノビオロジー、10105-H08H)でコーティングされ、4℃で一晩インキュベートされた。吸着されていない抗原が十分に洗い流された後、非特異的結合部位はブロッキングバッファー(1%ウシ血清アルブミンを含むPBST)でブロックされた。プレートを洗浄バッファー(0.05%(v/v)Tween 20を含むPBS、PBST)で3回洗浄した後、100μlの被検血清を加え、プレートを37℃で1時間インキュベートした。プレートを洗浄バッファーで洗浄した後、抗マウスIgGFcγ二次抗体を加え、プレートを37℃で1時間インキュベートした。プレートを洗浄バッファーで洗浄した後、発色のために、基質TMB溶液(Thermo、00-4201-56)を100μL/ウェルで添加した。プレートを室温で5分間インキュベートした後、反応を停止するために停止溶液(2N H2SO4)を加えた。プレートリーダー(PE、Envision)を使用して、450nmで信号を読み取り、GraphPad Prism5でデータを分析した。表21を参照すると、PK分析では、本開示のヒト化抗ST2抗体hz31C8-1.1及びhz31C8-1.2の半減期が約9.7dと7.33dであり、コントロールとしての抗ST2抗体RG6149よりも優れたことが示されている。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】変更
【補正の内容】
【配列表】
【国際調査報告】