(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-19
(54)【発明の名称】電池及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H01M 50/591 20210101AFI20230612BHJP
H01M 50/586 20210101ALI20230612BHJP
H01M 50/536 20210101ALI20230612BHJP
H01M 50/417 20210101ALI20230612BHJP
H01M 4/02 20060101ALI20230612BHJP
H01M 4/13 20100101ALI20230612BHJP
H01M 10/04 20060101ALI20230612BHJP
H01M 50/449 20210101ALI20230612BHJP
H01M 50/403 20210101ALI20230612BHJP
H01M 50/46 20210101ALI20230612BHJP
H01M 10/052 20100101ALN20230612BHJP
H01M 10/0587 20100101ALN20230612BHJP
【FI】
H01M50/591 101
H01M50/586
H01M50/536
H01M50/417
H01M4/02 Z
H01M4/13
H01M10/04 W
H01M50/449
H01M50/403 A
H01M50/46
H01M10/052
H01M10/0587
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022569200
(86)(22)【出願日】2021-04-30
(85)【翻訳文提出日】2022-11-18
(86)【国際出願番号】 CN2021091517
(87)【国際公開番号】W WO2021227896
(87)【国際公開日】2021-11-18
(31)【優先権主張番号】202010393415.5
(32)【優先日】2020-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202020953044.7
(32)【優先日】2020-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202021145599.5
(32)【優先日】2020-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522442283
【氏名又は名称】チューハイ コスミクス バッテリー カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】シエ,ビン
(72)【発明者】
【氏名】フー,シャオフー
(72)【発明者】
【氏名】ペン,ニン
(72)【発明者】
【氏名】ジュー,ユチ
(72)【発明者】
【氏名】シュー,テンフェイ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,フアン
【テーマコード(参考)】
5H021
5H028
5H029
5H043
5H050
【Fターム(参考)】
5H021EE04
5H028AA05
5H028BB05
5H028BB07
5H028CC05
5H028CC07
5H028CC08
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5H028HH05
5H029AJ12
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5H029HJ07
5H029HJ12
5H043AA04
5H043BA19
5H043CA12
5H043EA02
5H043EA06
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5H043GA25
5H043HA11E
5H043JA01
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5H043LA21E
5H050AA15
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5H050BA17
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5H050FA05
5H050FA15
5H050GA07
5H050GA09
5H050GA22
5H050HA03
5H050HA12
(57)【要約】
本願の実施例は、電池及び電子機器を提供し、電池技術分野に関する。当該電池は第1の極板、第2の極板及びセパレータを含み、セパレータは第1の極板と第2の極板との間に位置し、第1の極板は、第1の集電体と第1のタブを含み、第1の集電体は第1の表面と第2の表面を含み、第1の表面と第2の表面にはいずれも第1の活物質層が設けられており、第1の活物質層には第1の溝と第2の溝が設けられており、第1の溝と第2の溝はそれぞれ第1の表面と第2の表面に位置し、且つ位置が対向し、第1のタブは第1の溝内に溶接され、第1の溝は、少なくとも1層の絶縁層で覆われており、第2の溝は、少なくとも1層の絶縁層で覆われている。これにより、第1の溝と第2の溝領域に短絡の問題が発生するのを防止するだけでなく、第1の溝と第2の溝にリチウム析出問題が発生するのを防止することに有利であり、さらに電池の安全性能を向上させるのに役立つ。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池であって、第1の極板、第2の極板及びセパレータを含み、前記第1の極板、前記セパレータ及び前記第2の極板は順次に積層されて巻かれて設置され、
前記第1の極板は、第1の集電体と第1のタブを含み、前記第1の集電体は第1の表面と第2の表面を含み、前記第1の表面と前記第2の表面にはいずれも第1の活物質層が設けられており、前記第1の活物質層には第1の溝と第2の溝が設けられており、前記第1の溝と前記第2の溝はそれぞれ、前記第1の表面と前記第2の表面に位置し、且つ位置が対向し、前記第1のタブは前記第1の溝内に溶接され、前記第1の溝は、少なくとも1層の絶縁層で覆われており、前記第2の溝は、少なくとも1層の絶縁層で覆われていることを特徴とする電池。
【請求項2】
前記第1の溝は、少なくとも2層の絶縁層で覆われていることを特徴とする請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記第2の溝は、1層の絶縁層で覆われ、前記第2の極板において、前記第2の溝に対向する領域には、少なくとも1層の絶縁層が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の電池。
【請求項4】
前記第2の極板において、前記第2の溝に対向する領域の絶縁層の長さ及び/又は幅は、前記第2の溝での絶縁層の対応する長さ及び/又は幅よりも大きくないことを特徴とする請求項3に記載の電池。
【請求項5】
前記第2の溝は、少なくとも2層の絶縁層で覆われていることを特徴とする請求項2に記載の電池。
【請求項6】
前記第1の溝での少なくとも2層の絶縁層のうち、絶縁層の一部または全部は、前記第1の溝を覆うことを特徴とする請求項2に記載の電池。
【請求項7】
前記第2の極板は第2の集電体と第2のタブを含み、前記第2の集電体の対向する両面には、いずれも第2の活物質層が設けられており、前記第2の活物質層には、第3の溝と第4の溝がそれぞれ設けられており、前記第3の溝と前記第4の溝は、それぞれ前記第2の集電体の対向する両面に位置し、且つ位置が対向し、
前記第2のタブは前記第3の溝内に溶接され、前記第3の溝と前記第4の溝はいずれも1層の絶縁層で覆われており、前記第1の極板において、前記第3の溝に対向する領域には1層の絶縁層が設けられており、前記第1の極板において、前記第4の溝に対向する領域には1層の絶縁層が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の電池。
【請求項8】
前記第1の溝、前記第2の溝、前記第3の溝、前記第4の溝及び前記絶縁層は、いずれも方形であり、前記絶縁層は接着紙であることを特徴とする請求項7に記載の電池。
【請求項9】
前記第1の極板において、前記第3の溝に対向する領域の絶縁層の長さ及び/又は幅は、前記第3の溝での絶縁層の対応する長さ及び/又は幅よりも大きくなく、前記第1の極板において、前記第4の溝に対向する領域の絶縁層の長さ及び/又は幅は、前記第4の溝での絶縁層の対応する長さ及び/又は幅よりも大きくないことを特徴とする請求項7に記載の電池。
【請求項10】
前記第1の極板は負極板であり、前記第2の極板は正極板であり、前記第1の溝と前記第2の極板との間の前記セパレータには、前記第1の溝を覆う絶縁層が設けられ、前記絶縁層は、リチウムイオンの通過を阻止するために使用されることを特徴とする請求項1に記載の電池。
【請求項11】
前記絶縁層は、前記セパレータの前記第1の極板に向かっている面に位置し、及び/又は、
前記絶縁層は、前記セパレータの前記第2の極板に向かっている面に位置することを特徴とする請求項10に記載の電池。
【請求項12】
前記絶縁層は、第1の接着剤層を介して前記セパレータに接着され、前記第1の接着剤層は常温で粘着性のないホットメルト接着剤層であることを特徴とする請求項11に記載の電池。
【請求項13】
前記絶縁層の前記セパレータと反対する面には、第2の接着剤層が設置されており、前記第2の接着剤層は、電解液によって膨潤可能な感圧接着剤層であることを特徴とする請求項12に記載の電池。
【請求項14】
前記絶縁層は、スプレーコーティングにより前記セパレータの表面に付着されることを特徴とする請求項11に記載の電池。
【請求項15】
前記絶縁層はポリエステル樹脂を含み、及び/又は、
前記絶縁層の厚さは10μm~20μmであることを特徴とする請求項10~14のいずれか1項に記載の電池。
【請求項16】
前記セパレータは、ポリエチレン類又はポリプロピレン類から選択され、前記セパレータは、前記第1の溝を覆う部分が加熱処理された後に前記絶縁層を形成し、及び/又は、
前記第2の極板は、第2の集電体と第2の活物質層を含み、前記第2の活物質層は、前記第2の集電体の表面を覆い、且つ前記第2の集電体には非活物質層領域が設けられており、前記非活物質層領域は前記第1の溝に対向していることを特徴とする請求項10~14のいずれか1項に記載の電池。
【請求項17】
前記第1の溝の面積は、前記第2の溝の面積よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の電池。
【請求項18】
第1の表面と第2の表面との接続線の方向において、前記第1の溝の投影は、前記第2の溝の投影を完全に覆うことを特徴とする請求項17に記載の電池。
【請求項19】
前記第1の溝と前記第2の溝の断面はいずれも長方形又は円形であり、前記断面は、前記第1の表面と前記第2の表面との接続線に垂直な平面であることを特徴とする請求項17に記載の電池。
【請求項20】
前記第1の溝と前記第2の溝の断面がいずれも長方形である場合、前記第1の溝の辺の長さは、前記第2の溝の辺の長さよりも大きく、前記第1の溝の辺の幅は、前記第2の溝の辺の幅よりも大きいことを特徴とする請求項17に記載の電池。
【請求項21】
前記第2の溝の面積は前記第1の溝の面積の60~90%であることを特徴とする請求項17に記載の電池。
【請求項22】
前記第1の溝の中軸線と前記第2の溝の中軸線からなる平面は、前記第1の表面と前記第2の表面との接続線と重なる又は平行であることを特徴とする請求項17項に記載の電池。
【請求項23】
前記第1の溝と前記第2の溝の隣接辺の最小距離はnであり、0.5mm≦n≦3.5mmであることを特徴とする請求項17に記載の電池。
【請求項24】
前記第1の溝と前記第2の溝の隣接辺の最大距離はxであり、0.5mm≦x≦3.5mmであることを特徴とする請求項17に記載の電池。
【請求項25】
前記第2の極板は第2の集電体と第2のタブを含み、前記第2の集電体の対向する両面には、いずれも第2の活物質層が設けられており、前記第2の活物質層には、第3の溝と第4の溝がそれぞれ設けられており、前記第3の溝と前記第4の溝は、それぞれ前記第2の集電体の対向する両面に位置し、且つ位置が対向し、前記第2のタブは前記第3の溝内に溶接され、前記第3の溝の面積は前記第4の溝の面積よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の電池。
【請求項26】
電子機器であって、前記電子機器は請求項1~25のいずれか1項に記載の電池を含むことを特徴とする電子機器。
【請求項27】
電池の巻取コアの製造方法であって、
正極板、絶縁層、負極板及びセパレータを提供することであって、前記負極板は、第1の集電体と第1のタブを含み、前記第1の集電体の対向する両面にはいずれも第1の活物質層が設けられており、前記第1の活物質層には第1の溝が設けられており、前記第1のタブは前記第1の溝内に溶接されることと、
前記絶縁層の一方の面に常温で粘着性のないホットメルト接着剤層である第1の接着剤層を設けて、前記絶縁層の他方の面に第2の接着剤層を設けることと、
前記絶縁層の第2の接着剤層が設けられた面を前記正極板の所定位置に接着することと、
前記正極板の前記絶縁層が接着された面の上に、前記セパレータと前記負極板を、前記第1の溝が前記セパレータに向くように順次積層することと、
前記積層構造を、リチウムイオンの通過を阻止するための前記絶縁層が前記第1の溝を覆うように巻いて、巻取コアを形成することと、
前記絶縁層の第1の接着剤層が設けられた面を前記セパレータに接着させるように、前記巻取コアを熱圧着処理することと、を含むことを特徴とする電池の巻取コアの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、電池技術分野に関し、特に電池及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電池極板は、集電体、活物質層及びタブを含み、活物質層は集電体の表面を覆い、タブは集電体に溶接される。タブの溶接を容易にするために、電池極板の表面と裏面に活物質層の一部を除去して溝を形成し、集電体を溝内に露出させ、タブを溝内の集電体に溶接する必要がある。
【0003】
しかし、電池極板上の溝領域には、短絡やリチウム析出の問題が発生しやすく、電池の安全性能に影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の技術的問題を解決するために、本願は、電池極板の溝領域に短絡やリチウム析出の問題が生じることを避けて、電池の安全性能を向上させることに有利である電池及び電子機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本願の実施例は、以下の技術手段を提供する。
【0006】
第1の態様では、本願の実施例は電池を提供し、前記電池は、第1の極板、第2の極板及びセパレータを含み、前記第1の極板、前記セパレータ及び前記第2の極板は順次に積層されて巻かれて設置され、前記第1の極板は、第1の集電体と第1のタブを含み、前記第1の集電体は、第1の表面と第2の表面を含み、前記第1の表面と前記第2の表面には、いずれも第1の活物質層が設けられており、前記第1の活物質層には、第1の溝と第2の溝が設けられており、前記第1の溝と前記第2の溝はそれぞれ前記第1の表面と前記第2の表面に位置し、且つ位置が対向し、前記第1のタブは前記第1の溝内に溶接され、前記第1の溝は、少なくとも1層の絶縁層で覆われており、前記第2の溝は、少なくとも1層の絶縁層で覆われている。
【0007】
本願の実施例によって提供される電池は、第1の溝に少なくとも1層の絶縁層を覆うとともに、第2の溝に少なくとも1層の絶縁層を覆うことにより、第1の溝と第2の溝の領域に短絡問題が発生するのを防止するだけでなく、第1の溝と第2の溝にリチウム析出問題が発生するのを防止することができ、さらに電池の安全性能を向上させるのに役立つ。
【0008】
選択的に、前記第1の溝は、少なくとも2層の絶縁層で覆われている。
【0009】
選択的に、前記第2の溝は、1層の絶縁層で覆われ、前記第2の極板において、前記第2の溝に対向する領域には、少なくとも1層の絶縁層が設けられている。
【0010】
選択的に、前記第2の極板において、前記第2の溝に対向する領域の絶縁層の長さ及び/又は幅は、前記第2の溝での絶縁層の対応する長さ及び/又は幅よりも大きくない。
【0011】
選択的に、前記第2の溝は、少なくとも2層の絶縁層で覆われている。
【0012】
選択的に、前記第1の溝での少なくとも2層の絶縁層のうち、絶縁層の一部または全部は、前記第1の溝を覆う。
【0013】
選択的に、前記第2の極板は第2の集電体と第2のタブを含み、前記第2の集電体の対向する両面には、いずれも第2の活物質層が設けられており、前記第2の活物質層には、第3の溝と第4の溝がそれぞれ設けられており、前記第3の溝と前記第4の溝は、それぞれ前記第2の集電体の対向する両面に位置し、且つ位置が対向し、前記第2のタブは前記第3の溝内に溶接され、前記第3の溝と前記第4の溝はいずれも1層の絶縁層で覆われており、前記第1の極板において、前記第3の溝に対向する領域には1層の絶縁層が設けられており、前記第1の極板において、前記第4の溝に対向する領域には1層の絶縁層が設けられている。
【0014】
選択的に、前記第1の溝、前記第2の溝、前記第3の溝、前記第4の溝及び前記絶縁層はいずれも方形であり、前記絶縁層は接着紙である。
【0015】
選択的に、前記第1の極板において、前記第3の溝に対向する領域の絶縁層の長さ及び/又は幅は、前記第3の溝での絶縁層の対応する長さ及び/又は幅よりも大きくなく、前記第1の極板において、前記第4の溝に対向する領域の絶縁層の長さ及び/又は幅は、前記第4の溝での絶縁層の対応する長さ及び/又は幅よりも大きくない。
【0016】
選択的に、前記第1の極板は負極板であり、前記第2の極板は正極板であり、前記第1の溝を覆う前記絶縁層は、前記第1の溝と前記第2の極板との間のセパレータに設けられており、前記絶縁層は、リチウムイオンの通過を阻止するために使用される。
【0017】
選択的に、前記絶縁層は、前記セパレータの前記第1の極板に向かっている面に位置し、及び/又は、前記絶縁層は、前記セパレータの前記第2の極板に向かっている面に位置する。
【0018】
選択的に、前記絶縁層は、第1の接着剤層を介して前記セパレータに接着され、前記第1の接着剤層は常温で粘着性のないホットメルト接着剤層である。
【0019】
選択的に、前記絶縁層の前記セパレータと反対する面には、第2の接着剤層が設置されており、前記第2の接着剤層は、電解液によって膨潤可能な感圧接着剤層である。
【0020】
選択的に、前記絶縁層は、スプレーコーティングにより前記セパレータの表面に付着される。
【0021】
選択的に、前記絶縁層はポリエステル樹脂を含み、及び/又は、前記絶縁層の厚さは10μm~20μmである。
【0022】
選択的に、前記セパレータは、ポリエチレン類又はポリプロピレン類から選択され、前記セパレータの、前記第1の溝を覆う部分が加熱処理された後に前記絶縁層を形成し、及び/又は、前記第2の極板は、第2の集電体と第2の活物質層を含み、前記第2の活物質層は、前記第2の集電体の表面を覆い、且つ前記第2の集電体には非活物質層領域が設けられており、前記非活物質層領域は前記第1の溝に対向している。
【0023】
選択的に、前記第1の溝の面積は、前記第2の溝の面積よりも大きい。
【0024】
選択的に、第1の表面と第2の表面との接続線の方向において、前記第1の溝の投影は、前記第2の溝の投影を完全に覆う。
【0025】
選択的に、前記第1の溝と前記第2の溝の断面はいずれも長方形又は円形であり、前記断面は、前記第1の表面と前記第2の表面との接続線に垂直な平面である。
【0026】
選択的に、前記第1の溝と前記第2の溝の断面が長方形である場合、前記第1の溝の辺の長さは、前記第2の溝の辺の長さよりも大きく、前記第1の溝の辺の幅は、前記第2の溝の辺の幅よりも大きい。
【0027】
選択的に、前記第2の溝の面積は、前記第1の溝の面積の60~90%である。
【0028】
選択的に、前記第1の溝の中軸線と前記第2の溝の中軸線からなる平面は、前記第1の表面と前記第2の表面との接続線と重なる又は平行である。
【0029】
選択的に、前記第1の溝と前記第2の溝との隣接辺の最小距離はnであり、ここで、0.5mm≦n≦3.5mmとする。
【0030】
選択的に、前記第1の溝と前記第2の溝との隣接辺の最大距離はxであり、ここで、0.5mm≦x≦3.5mmとする。
【0031】
選択的に、前記第2の極板は第2の集電体と第2のタブを含み、前記第2の集電体の対向する両面には、いずれも第2の活物質層が設けられており、前記第2の活物質層には、第3の溝と第4の溝がそれぞれ設けられており、前記第3の溝と前記第4の溝は、それぞれ前記第2の集電体の対向する両面に位置し、且つ位置が対向し、前記第2のタブは前記第3の溝内に溶接され、前記第3の溝の面積は前記第4の溝の面積よりも大きい。
【0032】
第2の態様では、本願の実施例は電子機器を提供し、前記電子機器は、上記のいずれか1項に記載の電池を含む。
【0033】
本願の実施例によって提供される電子機器は電池を含み、電池の安全性能が向上した場合には、当該電池を含む電子機器の安全性能も向上した。
【0034】
第3の態様では、本願の実施例は、電池の巻取コアの製造方法を提供し、前記方法は、正極板、絶縁層、負極板及びセパレータを提供することであって、前記負極板は、第1の集電体と第1のタブを含み、前記第1の集電体の対向する両面にはいずれも第1の活物質層が設けられており、前記第1の活物質層には第1の溝が設けられており、前記第1のタブは前記第1の溝内に溶接されることと、前記絶縁層の一方の面に第1の接着剤層を設けて、前記絶縁層の他方の面に第2の接着剤層を設けることであって、前記第1の接着剤層は常温で粘着性のないホットメルト接着剤層であることと、前記絶縁層の第2の接着剤層が設けられた面を前記正極板の所定位置に接着することと、前記正極板の前記絶縁層が接着された面の上に、前記セパレータと前記負極板を、前記第1の溝が前記セパレータに向くように順次積層することと、前記積層構造を、リチウムイオンの通過を阻止するための前記絶縁層が前記第1の溝を覆うように巻いて、巻取コアを形成することと、前記絶縁層の第1の接着剤層が設けられた面を前記セパレータに接着させるように、前記巻取コアを熱圧着処理することと、を含む。
【発明の効果】
【0035】
本願の実施例によって提供される電池の巻取コアの製造方法は、絶縁層が第1の溝をよりよく覆うことに有利であり、それによって第1の溝領域に短絡とリチウム析出の問題が発生することを防止することに有利であり、さらに電池の安全性能を向上させることに有利である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
以下、本願の実施例の技術案をより明確に説明するために、実施例に必要な図面について簡単に説明し、理解すべきものとして、以下の図面は、本願の特定の実施例のみを示すものであるので、範囲に対する限定と見なされるべきではなく、当業者にとっては、創造的な労働がない前提で、これらの図面に基づいて他の関連図面を得ることもできる。
【
図1】本願の実施例によって提供される第1の極板の上面の概略図である。
【
図2】本願の実施例によって提供される第1の極板の概略断面図である。
【
図3】本願の実施例によって提供される巻取コアの概略図である。
【
図4】本願の実施例によって提供される第2の極板の上面の概略図である。
【
図5】本願の実施例によって提供される別の第1の極板の概略図である。
【
図6】本願の実施例によって提供される電池の部分構造の概略
図1である。
【
図7】本願の実施例によって提供される電池の部分構造の概略
図2である。
【
図8】本願の実施例によって提供される電池の部分構造の概略
図3である。
【
図9】本願の実施例によって提供される電池の部分構造の概略
図4である。
【
図10】本願の実施例によって提供される電池極板の概略構造図である。
【
図11】本願の実施例によって提供される電池極板の側面図である。
【
図12】本願の実施例によって提供される電池極板の第1の側面の概略構造図である。
【
図13】本願の実施例によって提供される電池極板の第2の側面の概略構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本願の実施例の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下では、本願の実施例における図面を参照して、本願の実施例における技術案を明確かつ完全に説明する。明らかに、説明した実施例は、全ての実施例ではなく、本願の一部の実施例である。通常、本明細書の図面で一般に説明され図示される本願の実施例の構成要素は、様々な異なる構成で配置及び設計されることができる。
【0038】
したがって、図面に提供される本願の実施例の以下の詳細な説明は、特許請求される本願の範囲を限定することを意図するものではなく、本願の特定の実施例のみを示すものである。本願の実施例に基づいて、当業者が創造的な労働がなしに取得する他のすべての実施例は、すべて本願の特許請求の範囲に属する。
【実施例1】
【0039】
図1は本願の実施例によって提供される第1の極板の上面の概略図であり、
図2は本願の実施例によって提供される第1の極板の概略断面図であり、
図3は本願の実施例によって提供される巻取コアの概略図であり、
図4は本願の実施例によって提供される第2の極板の上面の概略図であり、
図5は本願の実施例によって提供される別の第1の極板の概略図である。
【0040】
図1~
図5を参照する。本実施例は電池を提供し、第1の極板11、第2の極板12、第1のタブ111及びセパレータを含み、第1の極板11、セパレータ及び第2の極板12は、順次に積層されて巻かれて設置され、第1の極板11は第1の集電体を含み、第1の集電体の上面及び下面には、いずれも第1の活物質層が設けられており、第1の活物質層には第1の溝112及び第2の溝が設けられており、第1の溝112及び第2の溝は、対向して設けられ、且つ第1の集電体の上面及び下面にそれぞれ位置し、第1のタブ111は第1の溝112に溶接され、第1の溝112は少なくとも2層の絶縁層で覆われ、タブが溶接されていない第2の溝は、少なくとも1層の絶縁層で覆われている。
【0041】
本実施例では、第1の溝112は第1の集電体の上面に位置し、第1の溝の領域は活物質を除去し、且つ第1の溝の底部は第1の集電体である。第2の溝は第1の集電体の下面に位置し、第2の溝の領域は活物質を除去し、且つ第2の溝の底部は第1の集電体である。第1の溝112は第2の極板12に対向し、第2の溝は第2の極板12に対向する。第1の極板11は、通常、電池構造における正極板を指し、第2の極板12は、通常、電池構造における負極板を指す。
【0042】
第1の溝112は少なくとも2層の絶縁層で覆われ、当該少なくとも2層の絶縁層はプロセスポカヨケのために使用される。その中の1層の絶縁層が予め設定された基準によって貼り付けられていない場合、絶縁層貼り付け機器は、第2層の絶縁層を貼り付ける時に第1層の絶縁層の規範に合わない貼り付けを検出し、直ちに補正することができる。その中の1層の絶縁層が貼り付けられない又は剥離される場合、前記第1の溝112は少なくとも1層の他の絶縁層によってさらに覆われる。これにより、電池構造の安全性能及び信頼性が向上し、第1の溝112がより強固に覆われる。絶縁層貼り付け機器はもっと簡単で、機器の修理はもっと簡単である。
【0043】
第1の溝112が2層の絶縁層で覆われることを例に挙げて説明すると、当該2層の絶縁層は、第1の絶縁サブ層と第2の絶縁サブ層であり、第1の絶縁サブ層のサイズは第2の絶縁サブ層のサイズよりも大きくても小さくてもよく、第1の絶縁サブ層のサイズは第2の絶縁サブ層のサイズと等しくてもよく、本実施例はこれに限定されるものではなく、第1の絶縁サブ層又は第2の絶縁サブ層は前記第1の溝112を完全に覆うことができればよい。このように、絶縁層の間で、サイズと位置関係に対する設定が比較的緩く、比較的厳しい位置合わせとサイズ関係による累積誤差を回避し、電池内部短絡のリスクを低下させ、電池構造の安全性が比較的高く、コアの整合性と安定性が比較的高く、絶縁層のサイズをより小さく設定することができ、コアのエネルギー密度を向上させる。
【0044】
一選択的な実施形態として、第2の溝は1層の絶縁層で覆われており、第2の極板12の中の第2の溝に対向する領域には少なくとも1層の絶縁層が設けられている。
【0045】
第2の溝は、第2の極板12に対向しており、第2の溝を覆う一方の絶縁層は、第1の極板11上に位置し、第2の溝を覆う他方の絶縁層は、第2の極板12上に位置している。
【0046】
一選択的な実施形態として、第2の極板12における第2の溝に対向する領域の絶縁層の長さ及び/又は幅は、第2の溝での絶縁層の対応する長さ及び/又は幅よりも大きくない。当該実施形態は、電池にリチウム析出が発生する可能性を低減し、電池構造の安全性を向上させる。
【0047】
一選択的な実施形態として、第2の溝は少なくとも2層の絶縁層で覆われている。
【0048】
当該実施形態では、第1の溝112は少なくとも2層の絶縁層で覆われ、タブが溶接されていない第2の溝は少なくとも2層の絶縁層で覆われ、第1の溝112と第2の溝を覆う絶縁層は、
図3に符号113で示され、いずれも第1の極板11上に位置する。同様に、第2の溝での絶縁層間のサイズ及び位置関係の設定が緩く、より厳しい位置合わせ及びサイズ関係による累積誤差が回避され、電池内部短絡のリスクが低減され、コアの整合性が高い。当該実施形態は、タブが絶縁層を突き破って電池内部短絡を引き起こすリスクを低減する。
【0049】
一選択的な実施形態として、第1の溝112での少なくとも2層の絶縁層の一部又は全部は、前記第1の溝112を覆う。
【0050】
当該実施形態では、第1の溝112での少なくとも2層の絶縁層の一部は、第1の溝112を覆っており、電池構造のエネルギー密度が高い。あるいは、第1の溝112での少なくとも2層の絶縁層の全ては、前記第1の溝112を覆っており、第1の溝112がより強固に覆われている。
【0051】
一選択的な実施形態として、第2の極板12は第2の集電体を含み、第2の集電体の上面及び下面には、いずれも第2の活物質層が設けられており、第2の活物質層には、第3の溝121と第4の溝が設けられており、第3の溝121と第4の溝は、対向して配置され、第2の集電体の上面及び下面にそれぞれ位置し、第3の溝121に第2のタブ122が溶接され、第3の溝121と第4の溝は、いずれも1層の絶縁層で覆われており、第1の極板11における第3の溝121に対向する領域には、1層の絶縁層が設けられ、第1の極板11における第4の溝に対向する領域には、1層の絶縁層が設けられている。
【0052】
第1の集電体と第2の集電体の構成成分は同じであってもよく、第1の活物質層と第2の活物質層の構成成分は同じであってもよい。第3の溝121は、第2の集電体の上面に位置し、第3の溝121の領域は活物質を除去し、且つ第3の溝121の底部は第2の集電体である。第4の溝は第2の集電体の下面に位置し、第4の溝の領域は活物質を除去し、且つ第4の溝の底部は第2の集電体である。第3の溝121は第1の極板11に対向し、第4の溝は第1の極板11に対向する。
【0053】
第3の溝121と第4の溝はいずれも、
図3に符号123で示すように、1層の絶縁層で覆われている。第1の極板11における第3の溝121に対向する領域には、1層の絶縁層が設けられ、第1の極板11における第4の溝に対向する領域には、1層の絶縁層が設けられ、
図3に符号114で示す。第3の溝121を覆う一方の絶縁層は第2の極板12上に位置し、第3の溝121を覆う他方の絶縁層は第1の極板11上に位置する。第4の溝を覆う一方の絶縁層は第2の極板12上に位置し、第4の溝を覆う他方の絶縁層は第1の極板11に位置する。
【0054】
一選択的な実施形態として、第1の溝112、第2の溝、第3の溝121、第4の溝及び絶縁層は、いずれも方形であり、絶縁層は接着紙である。
【0055】
当該実施形態では、第1の溝112、第2の溝、第3の溝121、第4の溝及び絶縁層はいずれも方形であるので、溝の被覆を容易にし、接着紙の貼り付け難度を低下させ、溝の被覆の正確性を向上させ、電池の安全性能を向上させる。
【0056】
一選択的な実施形態として、第1の極板11における第3の溝121に対向する領域の絶縁層の長さ及び/又は幅は、第3の溝121での絶縁層の対応する長さ及び/又は幅よりも大きくなく、第1の極板11における第4の溝に対向する領域の絶縁層の長さ及び/又は幅は、第4の溝での絶縁層の対応する長さ及び/又は幅よりも大きくない。
【0057】
当該実施形態は、電池にリチウム析出が発生する可能性を低減し、電池構造の安全性能を向上させる。溝での絶縁層がすべて自身の極板に位置する場合、絶縁層間のサイズと位置関係の設定は緩やかである。溝での絶縁層がそれぞれ異なる極板に位置する場合、絶縁層間のサイズと位置関係の設定は厳しい。
【0058】
図1の符号115、
図2の符号116、
図3の符号113、114及び123、
図4の符号124、
図5の符号116は、いずれも絶縁層である。
【0059】
本実施例では、電池は、第1の極板11、第2の極板12、第1のタブ111及びセパレータを含み、第1の極板11、セパレータ及び第2の極板12は、順次に積層されて巻かれて設置され、第1の極板11は第1の集電体を含み、第1の集電体の上面と下面には、いずれも第1の活物質層が設けられており、第1の活物質層には第1の溝112と第2の溝が設けられており、第1の溝112と第2の溝は、対向して設けられ、且つ第1の集電体の上面及び下面にそれぞれ位置し、第1のタブ111は第1の溝112に溶接され、第1の溝112は少なくとも2層の絶縁層で覆われ、タブが溶接されていない第2の溝は、少なくとも1層の絶縁層で覆われている。これにより、従来技術のように第1の溶接シームを覆う第3の絶縁層及び第4の絶縁層が第2の極板上に設けられ、且つ絶縁層のサイズ及び位置による累積誤差によって電池内部短絡のリスクをもたらしやすいのに比べて、本実施例は、電池構造の安全性能を向上させることができる。
【実施例2】
【0060】
巻取コアを有する電池では、通常、タブ中付け技術が採用し、即ち、極板表面の一部領域の活物質層を特定の工程で除去して、極板の活物質層除去後に露出した集電体上にタブを溶接し、しかしながら、タブを極板の集電体に溶接した後に露出した集電体を完全に覆うことはなく、つまり、タブの週りにはまだ露出した集電体が存在している。リチウムイオン電池は、充電中にリチウム析出現象があり、負極板上の露出した集電体とは反対側の正極板上に活物質層が存在すると、活物質層からのリチウムイオンが正極板と負極板との間のセパレータを通して、負極板の露出した集電体表面に金属リチウムを析出し、リチウムイオン電池の熱暴走や安全事故を引き起こす可能性がある。
【0061】
図6は、本願の実施例によって提供される電池の部分構造の概略
図1であり、
図7は、本願の実施例によって提供される電池の部分構造の概略
図2であり、
図8は、本願の実施例によって提供される電池の部分構造の概略
図3であり、
図9は、本願の実施例によって提供される電池の部分構造の概略
図4である。
【0062】
図6~
図9を参照する。上記の技術的問題を解決するために、本実施例は、正極板10、負極板20及び正極板10と負極板20との間に位置するセパレータ30を含む電池を提供し、ここで、セパレータ30は、巻取コアの正極板10と負極板20を互いに絶縁することができ、且つセパレータ30には、リチウムイオンが通過するポアがあり、巻取コアを有するリチウムイオン電池が正常に動作することが保証される。
【0063】
具体的に、リチウムイオン電池が充電する場合、リチウムイオンは、正極材料の結晶格子から放出され、電解液とともにセパレータを通過した後、負極材料の結晶格子に挿入することで、負極はリチウムに富み、正極はリチウムに乏しい。リチウムイオン電池が放電する場合、リチウムイオンは、負極材料の結晶格子から放出され、電解液とともにセパレータを通過した後、正極材料の結晶格子に挿入することで、正極はリチウムに富み、負極はリチウムに乏しい。
【0064】
本実施例の負極板20は、負極集電体21、負極活物質層22及び負極集電体21の表面に配置された負タブ23を含み、負タブ23は、溶接の形態で負極集電体21の表面に配置されてもよいし、他の形態で負極集電体21の表面に配置されてもよい。具体的に、負極活物質層22は、負極集電体21の表面を覆い、且つ負極活物質層22は、負タブ23を避ける第1の溝24を有し、即ち、第1の溝24に位置する負極集電体21の表面は、負極活物質層22を覆わなく、負タブ23は第1の溝24に位置している。
【0065】
通常、負タブ23を負極集電体の表面の第1の溝24に配置しやすくするために、第1の溝24の面積を、第1の溝24に位置する負タブ23の面積よりも大きいように設置し、つまり、第1の溝24に配置された負タブ23が、第1の溝24に露出した負極集電体21を完全に覆うことはないため、負タブ23の周りに露出した負極集電体21がある。リチウムイオン電池のサイクル中、特にリチウムイオン電池の充電中に、電解液におけるリチウムイオンが、負タブ23の周りの露出した負極集電体21の表面に金属リチウムを析出させ、これによりリチウムイオン電池が熱暴走して安全事故を引き起こす可能性がある。
【0066】
本実施例の第1の溝24と正極板10との間のセパレータには、第1の溝24を覆う絶縁層31が設けられており、当該絶縁層31により、第1の溝24の反対側に位置する正極板10上のリチウムイオンが絶縁層31を通して第1の溝24に入ることを防止することができ、これによりリチウムイオンが第1の溝24に金属リチウムを析出して負タブ23の周りの露出した負極集電体21の表面に付着することを回避することができ、さらに、リチウムイオン電池の熱暴走による安全事故の防止に寄与する。
【0067】
理解すべきものとして、第1の溝24を覆うように絶縁層31を設けることは、絶縁層31のサイズを第1の溝24のサイズよりも大きくする必要があり、これにより、コアの巻取完了後に絶縁層31が第1の溝24を完全に覆うことができ、リチウムイオンが第1の溝24に入ることを防止することができる。
【0068】
具体的に実現する場合、リチウムイオン電池の巻取コアは、正極板10、負極板20及び正極板10と負極板20との間に位置するセパレータ30を含むように設けられ、負極板20は、負極集電体21及び負極集電体の表面を覆う負極活物質層22を含み、負極集電体21の表面には、負極活物質層22によって覆われていない第1の溝24があり、負タブ23は、第1の溝24の負極集電体21の表面に設けられ、これにより巻取コアがリチウムイオン電池において正常に機能することを確保する。リチウムイオン電池の充電中に、第1の溝24の反対側に位置する正極板10から放出されたリチウムイオンが、第1の溝24に入り込んで負極集電体21の表面に金属リチウムが析出することを防止するために、第1の溝24と正極板10との間に位置するセパレータには、第1の溝24を覆う絶縁層31が設けられ、絶縁層31は、正極板10から放出されたリチウムイオンが第1の溝24に入り込むことを阻止し、リチウムイオンが第1の溝24の負極集電体21の表面に金属リチウムが析出することを回避することができ、これによりリチウムイオン電池の熱暴走による安全事故の防止に有利であり、さらに、リチウムイオン電池が急速充電中に金属リチウムを析出することによる安全リスクを低減するのに有利である。
【0069】
本実施例の巻取コアは、正極板10、負極板20及び正極板10と負極板20との間に位置するセパレータ30を含み、セパレータ30は、正極板10と負極板20との間の絶縁を確保するために使用され、負極板20は、負極集電体21、負極活物質層22及び負極集電体21の表面に設けられた負タブ23を含み、負極活物質層22は負極集電体21の表面を覆っており、且つ負極活物質層22はタブ23を避ける第1の溝24を有しており、負極集電体21の表面に設けられた負タブ23は第1の溝24に位置し、第1の溝24と正極板10との間のセパレータ30に、リチウムイオンの通過を阻止する絶縁層31を設けて、絶縁層31が第1の溝24を覆う。即ち、絶縁層31のサイズが第1の溝24のサイズよりも大きくすることにより、第1の溝24を完全に覆うことができるので、正極板10のリチウムイオンが絶縁層31を通過して第1の溝24に入ることを阻止することができ、リチウムイオンが第1の溝24に金属リチウムを析出して負極集電体21に付着することを回避し、リチウムイオン電池の熱暴走による安全事故を防止するのに有利であり、さらにリチウムイオン電池が急速充電中に金属リチウムを析出することによる安全リスクを低減するのに有利である。
【0070】
第1の溝24と正極板10との間に第1の溝24を覆う絶縁層31を設ける実施形態は、以下の3つの実行可能な実施形態を含むが、これらに限定されない。
【0071】
第1の実行可能な実施形態では、
図6に示すように、絶縁層31をセパレータ30の正極板10に向ける面に設置し、具体的に実現する場合、正極板10から放出されたリチウムイオンがセパレータ30を通過する前に絶縁層31によって阻止されるため、リチウムイオンが絶縁層31を通過して第1の溝24に入り込むことができず、さらに、リチウムイオンが第1の溝24の負極集電体21の表面に金属リチウムを析出して、リチウムイオン電池の熱暴走による安全事故を回避することができる。
【0072】
第2の実行可能な実施形態では、
図7に示すように、絶縁層31をセパレータ30の負極板20に向ける面に設置し、具体的に実現する場合、正極板10から放出されたリチウムイオンがセパレータ30を通過した後に絶縁層31によって阻止されるため、リチウムイオンが絶縁層31を通過して第1の溝24に入り込むことができず、さらに、リチウムイオンが第1の溝24の負極集電体21の表面に金属リチウムを析出して、リチウムイオン電池の熱暴走による安全事故を回避することができる。
【0073】
第3の実行可能な実施形態では、
図8に示すように、セパレータ30の正極板10に向ける面及びセパレータ30の負極板20に向ける面には、いずれも絶縁層31が設けられており、具体的に実現する場合、正極板10から放出されたリチウムイオンがセパレータ30を通過する前に絶縁層31によって阻止されるため、リチウムイオンが絶縁層31を通過して第1の溝24に入り込むことができず、正極板10とセパレータ30との間及び負極板20とセパレータ30との間には、いずれも絶縁層31が設けられており、リチウムイオンが第1の溝24に入り込むことをより良く回避することができ、これによりリチウムイオンが第1の溝24の負極集電体21表面に金属リチウムを析出して、リチウムイオン電池の熱暴走による安全事故を回避することができる。
【0074】
具体的に、第1の溝24と正極板10との間のセパレータ30に絶縁層31を設ける実施形態は、以下の3つの可能な実現形態を含むが、これらに限定されない。
第1の実現形態では、絶縁層31をセパレータ30の表面に接着し、例えば、絶縁層31のセパレータ30に向ける面に第1の接着剤層を設けることにより、第1の接着剤層を介して絶縁層31をセパレータ30と接着することができる。絶縁層31は、セパレータ30の正極板10に向ける面に接着されてもよいし、セパレータ30の負極板20に向ける面に接着されてもよいし、セパレータ30の両面に接着されてもよい。第1の接着剤層は常温で粘着性のないホットメルト接着剤層であってもよく、ここで、常温とは、通常の環境での室温であり、つまり、室温環境においてホットメルト接着剤層が粘着性を有さず、第1の接着剤層は、絶縁層31をセパレータ30に接着することができる他の接着剤層であってもよく、ここでは説明を省略する。
【0075】
具体的に実現する場合、コアを巻き取る過程に、絶縁層31をセパレータ30の第1の溝24に対応する位置に接着し、セパレータ30の正極板10に向ける面に接着しても、セパレータ30の負極板20に向ける面に接着しても、又はセパレータ30の両面に接絶縁層31が接着されても、絶縁層31は、巻取コアの巻取が完了した後に第1の溝24を覆うことができればよく、これにより、リチウムイオンが絶縁層31を通過して第1の溝24に入り込むことを阻止することができ、さらに、リチウムイオンが第1の溝24の負極集電体21の表面に金属リチウムを析出して、リチウムイオン電池の熱暴走による安全事故を回避することができる。
【0076】
さらに、絶縁層31のセパレータ30と反対する面に第2の接着剤層を設けて、第2の接着剤層を、電解液によって膨潤可能な感圧接着剤層として設けてもよく、電解液によって膨潤可能な感圧接着剤層は、電解液に遭遇すると膨潤し、接着物から離脱する。ここで、電解液によって膨潤可能な感圧接着剤層は、接着剤としてエポキシ類、ポリウレタン類、アクリル類又はゴム類を用いることで、当該電解液によって膨潤可能な感圧接着剤層が電解液に浸漬された後、接着力が初期状態の5%以内に下がることができ、即ち、初期接着力は0.1~0.3N/mm、電解液浸漬後の接着力は0.015N/mm未満、好ましくは0.010N/mm以下である。
【0077】
具体的に実現する場合、絶縁層31が正極板10とセパレータ30との間に位置することを例にとると、コアを巻き取る過程には、絶縁層31の電解液によって膨潤可能な感圧接着剤層である第2の接着剤層が設けられた面を、正極板10の所定位置に貼り付けて巻き取り、ここで、所定位置は、コアの巻取が完了した後の正極板10における第1の溝24と位置合わせする位置であり、即ち、所定位置に貼り付けされた絶縁層31は、コアの巻取が完了した後に第1の溝24を覆い、且つ絶縁層31の常温で粘着性のないホットメルト接着剤層である第1の接着剤層が設けられた面は、セパレータ30に接触しており、巻取が完了した後、巻取が完了したコアに対して熱プレスを行い、熱プレス温度は30℃~90℃であってもよく、熱プレスは、セパレータ30と接触する第1の接着剤層、即ち常温で粘着性のないホットメルト接着剤層の粘着性を増大させ、これによりセパレータ30と接着させ、巻取コアをシェルに封入して電解液を注入した後、電解液は、電解液によって膨潤可能な感圧接着剤層である第2の接着剤層を膨潤させ正極板10から離脱させ、最終的に絶縁層31をセパレータ30に接着することで、正極板10の性能を阻害することはない。ここで、絶縁層31を正極板10に接着することにより、絶縁層31をよりよく位置決めすることができ、巻取が完了した後に絶縁層31が第1の溝24を比較的正確に覆うのを確保し、第1の接着剤層を常温で粘着性のないホットメルト接着剤層とすることにより、巻取の過程で絶縁層31が機器の搬送ローラに接着されて、接着剤層が脱落する又は極板が引き裂くことを防止することができるとともに、絶縁層31の表面に粉塵が吸着しすぎて、電池の安全性能に悪影響を及ぼすことを防止することもできる。
【0078】
第2の実現形態では、絶縁層31は、スプレーコーティングの形態でセパレータ30の表面に付着されていてもよく、具体的に、絶縁層31は、セパレータ30の正極板10に向ける面に付着されていてもよいし、セパレータ30の負極板20に向ける面に向ける面に付着されていてもよいし、セパレータ30の両面にはいずれも絶縁層31がスプレーコーティングされてもよい。スプレーコーティングの形態で形成された絶縁層は、ポリプロピレン層、ポリエチレン層又は他のポリマー層であってもよいし、金属層又は他の無機物層などであってもよい。
【0079】
なお、絶縁層31は、他の形態でセパレータ30の表面に設けられてもよい。あるいは、絶縁層31は、実際の需要に応じて、セパレータ30と正極板10との間、又はセパレータ30と負極板20との間に設けられてもよい。
【0080】
選択的に、絶縁層31を加工形成する材料はポリエステル樹脂を含んでいてもよいし、本実施例の絶縁層31に関する要求を満たすことができる他の材料を含んでいてもよいので、ここでは説明を省略する。
【0081】
本実施例の絶縁層31の厚さは、絶縁層31の厚さが巻取コアの性能に悪影響を及ぼさないのを確保するために、10μm~20μmに設定されることができる。
【0082】
第3の実現形態では、セパレータ30の第1の溝24を覆う部分を加熱処理して絶縁層31を形成することができる。ここで、セパレータ30は、ポリエチレン類又はポリプロピレン類から選択され、ポリエチレン類又はポリプロピレン類のセパレータ30は、加熱処理を経た後、セパレータ30におけるリチウムイオンが通過するポアを閉じることができ、これによりリチウムイオンの通過を阻止できる絶縁層31として形成される。
【0083】
ここで、セパレータ30の第1の溝24を覆う部分を加熱処理する形態は、接触式加熱であってもよく、例えば、セパレータ30の第1の溝24を覆う部分を加熱板で直接接触して加熱することにより、セパレータ30の第1の溝24を覆う部分を閉孔させ、あるいは非接触式加熱であってもよく、例えば、セパレータ30の第1の溝24を覆う部分を赤外線ランプを照射して加熱することにより、セパレータ30の第1の溝24を覆う部分を閉孔させ、セパレータ30の第1の溝24を覆う部分を加熱処理する温度は120℃~250℃で、加熱処理する時間は1s~5sであってもよい。
【0084】
さらに、正極板10は、正極集電体110と正極活物質層120を含み、正極活物質層120は正極集電体110の表面を覆っており、且つ正極集電体110には非活物質層領域13が設けられ、非活物質層領域13が第1の溝24に対向することにより、第1の溝24に対向する正極板10にはリチウムイオンを生成する活物質がないようにすることで、第1の溝24に対向する正極板10から放出されたリチウムイオンが第1の溝24に入り込み、第1の溝24の負極集電体21の表面に金属リチウムを析出することを回避することができ、さらに、リチウムイオン電池の熱暴走による安全事故を防止するのに有利であり、同時にリチウムイオン電池が急速充電中に金属リチウムを析出することによる安全リスクを低減するのに有利である。
【0085】
本実施例はさらに、以下のステップを含む電池の巻取コアの製造方法を提供する。
【0086】
正極板、絶縁層、負極板及びセパレータを提供し、負極板は、負極集電体、負極活物質層及び負極集電体の表面に設けられる負タブを含み、負極活物質層は負極集電体の表面を覆っており、且つ負極活物質層には負タブを避ける第1の溝があり、負タブは第1の溝に位置しており、例えば負タブは第1の溝に溶接されていてもよい。
【0087】
絶縁層の片面には第1の接着剤層を設けて、第1の接着剤層は、常温で粘着性のないホットメルト接着剤層であってもよく、具体的に、第1の接着剤層は絶縁層の表面に塗布されていてもよいし、絶縁層の表面に貼り付けされてもよいし、他の形態で絶縁層の表面に設けられてもよい。絶縁層の他方の面に第2の接着剤層を設けて、第2の接着剤層は、電解液によって膨潤可能な感圧接着剤層であってもよいし、絶縁層を正極板と接着することができる他の接着剤層であってもよく、具体的に、第2の接着剤層は、絶縁層の表面に塗布されていてもよいし、絶縁層の表面に貼り付けされてもよいし、他の形態で絶縁層の表面に設けられてもよい。
【0088】
絶縁層の第2の接着剤層が設けられた面を正極板の所定位置に接着し、ここで、所定位置とは、コア巻取が完了した後に正極板上の第1の溝と位置合わせする位置であり、即ち、所定位置に貼り付けられた絶縁層は、コア巻取が完了した後に第1の溝を覆う。
【0089】
正極板の絶縁層が接着された面にセパレータと負極板を順次積層し、負極板上の第1の溝をセパレータに向け、このとき、絶縁層の常温で粘着性のないホットメルト接着剤層である第1の接着剤層が設けられた面は、セパレータに接触し、ホットメルト接着剤層は常温で粘着性がないため、絶縁層はセパレータと接着することはなく、これにより、後続の巻取プロセスに悪影響を及ぼすことを回避することができる。
【0090】
正極板、セパレータ及び負極板からなる積層構造を巻き取って巻取コアを形成し、このとき、正極板に貼り付けられた絶縁層が第1の溝を覆うことができ、リチウムイオンが絶縁層を通過して第1の溝に進入するのを阻止することができる。
【0091】
巻取コアを熱プレス処理し、熱プレス処理は、セパレータと接触する常温で粘着性のないホットメルト接着剤層の粘着性を増大させ、これにより絶縁層のホットメルト接着剤層が設けられた面を、セパレータと接着させることができ、絶縁層が第1の溝を比較的確実に覆うようにする。
【0092】
具体的に実現する場合、まず絶縁層を正極板に接着することは、絶縁層に対して良い位置決めを行うことができ、コア巻取が完了した後に絶縁層が正確に第1の溝を覆うことができることを保証する。絶縁層のセパレータと接触する面を常温で粘着性のないホットメルト接着剤層として設置することは、巻き取り原料供給の過程で正極板に接着した絶縁層が機器の搬送ローラに接着し、接着剤層が脱落する又は正極板が引き裂くことを防止することができるとともに、絶縁層の表面に粉塵が吸着しすぎて、電池の安全性能に悪影響を及ぼすことを防止することもできる。
【0093】
さらに、第2の接着剤層は、電解液によって膨潤可能な感圧接着剤層として設けられることができ、即ち、巻取コアをシェルに封入して電解液を注入した後、電解液は、絶縁層上に設けられた電解液によって膨潤可能な感圧接着剤層を膨潤させて正極板から離脱させ、これにより最終的に絶縁層をセパレータに接着させるため、正極板の性能を阻害しない。
【実施例3】
【0094】
図10は、本願の実施例によって提供される電池極板の概略構造図であり、
図11は、本願の実施例によって提供される電池極板の側面図であり、
図12は、本願の実施例によって提供される電池極板の第1の側面の概略構造図であり、
図13は、本願の実施例によって提供される電池極板の第2の側面の概略構造図である。
【0095】
図10~
図13を参照する。本実施例は電池を提供し、極板1とタブ2を含み、極板1は集電体を含み、集電体は、第1の表面3及び第2の表面4を含み、第1の表面3及び第2の表面4には、いずれも第1の活物質層が設けられ、第1の活物質層には第1の溝5及び第2の溝6が設けられ、第1の溝5及び第2の溝6は、第1の表面3及び第2の表面4に対向して設けられており、タブ2は第1の溝5の中に電気的に接続されており、第1の溝5の面積は第2の溝6の面積よりも大きい。
【0096】
上記の電池極板は、第1の溝5の面積が第2の溝6の面積よりも大きくするように設けられていることで、第1の表面3を除去する際に、第1の活物質層と溝との段差による除去不良や極板の破損を回避し、除去作業を簡素化することができる。
【0097】
具体的に、当該実施形態では、第1の表面3と第2の表面4との接続線方向において、第1の溝5の投影は第2の溝6の投影を完全に覆い、好ましくは、第2の溝6の面積は第1の溝5の面積の60~90%である。例えば、第1の溝5と前記第2の溝6との隣接する辺の最小距離をnとすると、0.5mm≦n≦3.5mmを満たす必要がある。第1の溝5と第2の溝6との隣接する辺の最大距離をxとすると、0.5mm≦x≦3.5mmを満たす必要がある。説明すべきものとして、ここでは例示に過ぎず、限定するものではなく、変換可能に、他の実行可能な実施例において、上述の面積比をある程度で調整することもできる。
【0098】
理解できるものとして、集電体とは、電流を集める構造や部品を指し、リチウムイオン電池では主に金属箔、例えば銅箔、アルミニウム箔を指す。第1の活物質層は、第1の活物質を含むコーティングであり、変換可能に、第1の活物質層は、複数のコーティングからなる多層構造であり、ここで、少なくとも1層のコーティングが第1の活物質を含む。
【0099】
実際の作業では、スクレーパーを用いて極板本体1上の第1の活物質層を物理的方法で除去して、表面状態の良好な集電体を露出させ、溝を集電体の基材に接続させる必要がある。本実施例で言及される第1の活物質層はペーストである。
【0100】
選択的に、極板1は正極板及び/又は負極板を含む。当該実施形態では、正極板を例に取って説明する。しかし、本実施例はこれに限定されるものではなく、変換可能な実施形態として、他の実行可能な実施例において、上記の第1の溝5及び第2の溝6を負極板に設けてもよい。別の実行可能な実施例において、上記の第1の溝5及び第2の溝6を同時に正極板及び負極板に設けてもよい。
【0101】
なお、説明すべきものとして、当該実施形態では、正極板には上記の第1の溝5及び第2の溝6が設けられているが、本実施例では、設けられる溝の個数を特に限定するものではなく、ここでは、例示して説明するためのものに過ぎない。変換可能な実施形態として、他の実行可能な実施例において、同じ正極板に2つ又は他の個数の溝を設けてもよい。その具体的な個数は、具体的な使用状況によって決定される。
【0102】
設置のとき、第1の表面3と第2の表面4との接続線の方向において、第1の溝5の投影が第2の溝6の投影を完全に覆うことを満たす必要がある。
【0103】
選択的に、第1の溝5及び第2の溝6の断面は長方形である。本実施形態における断面とは、第1の表面3と第2の表面4との接続線に垂直な平面である。
【0104】
具体的に言えば、当該実施形態では、第1の溝5及び第2の溝6の断面を長方形として設置するのを例に取って説明する。ここで、第1の溝5及び第2の溝6の断面が長方形である場合、第1の溝5を長方形の第1の面と見なし、第2の溝6を長方形の第2の面と見なし、このとき、当該長方形の第1の面の長さは第2の面の長さよりも大きく、当該長方形の第1の面の幅は第2の面の幅よりも大きい。変換可能に、溝の断面は、平行四辺形又は正方形などの他の規則的な多角形であってもよい。ただし、どのような規則的な多角形であっても、タブ2を埋め込むことができるのを満足する必要がある。
【0105】
変換可能な実施形態として、別の実行可能な実施例では、第1の溝5及び第2の溝6の断面はまた、不規則な多角形であってもよく、ここで、断面は、第1の表面3と第2の表面4との接続線に垂直な平面である。
【0106】
具体的に言えば、当該実施形態では、第1の溝5及び第2の溝6の断面は、第1の表面3が台形で、第2の表面4が方形であるように設置するのを例に取って説明する。ここで、当該台形の面積は、方形の面積よりも大きいべきである。変換可能に、第1の溝5及び第2の溝6の断面はまた、他の不規則な多角形であってもよいが、どのような不規則な多角形であっても、当該台形と方形との隣接する第1の溝5と第2の溝6との辺の最小差が0mmよりも大きく、タブ2を埋め込むことができるのを満足する必要がある。
【0107】
変換可能な実施形態として、別の実行可能な実施例では、第1の溝5及び第2の溝6の断面は円形であり、断面は、第1の表面3と第2の表面4との接続線に垂直な平面である。
【0108】
具体的に言えば、当該実施形態では、第1の溝5及び第2の溝6の断面を円形として設置するのを例に取って説明する。ここで、第1の溝5及び第2の溝6の断面は円形である場合、第1の溝5を円形の第1の面と見なし、第2の溝6を円形の第2の面と見なし、このとき、当該円形の第1の面の半径は、第2の面の半径よりも大きい。
【0109】
選択的に、当該実施形態では、第1の溝5の中軸線と第2の溝6の中軸線からなる平面は、第1の表面3と前記第2の表面4との接続線と重なり又は平行である。タブ2をよりよく第1の溝5に埋め込むことができる。しかし、本実施例はこれに限定されるものではなく、変換可能に、他の実行可能な実施例において、第1の溝5と第2の溝6の中軸線を、第1の表面3と第2の表面4との接続線と平行にすることもできる。
【実施例4】
【0110】
実施例1~実施例3に基づいて、本実施例は電子機器を提供し、当該電子機器は電池を含む。
【0111】
本実施例における電池は、実施例1~実施例3で提供される電池の構造と同じであり、同じ又は類似の技術的効果を奏するので、ここでは繰り返さなく、具体的には上記実施例の説明を参照してもよい。
【0112】
本願の説明において、さらに説明すべきものとして、「設置」、「取り付け」、「接続」、「連接」という用語は、別段の明確な規定および限定がない限り、広く理解されるべきであり、例えば、固定接続、取り外し可能な接続、又は一体接続であってもよく、機械的接続又は電気的接続であってもよく、直接的接続、中間媒体を介した間接的接続、又は2つの要素の内部の連通であってもよい。当業者にとって、上記の用語の本願における具体的な意味は、具体的には理解され得る。
【0113】
説明すべきものとして、本明細書では、第1の及び第2のなどの関係用語は、1つのエンティティ又は動作を他のエンティティ又は動作から区別するためにのみ使用され、必ずしも、これらのエンティティ又は動作の間にそのような実際の関係又は順序が存在することを要求又は示唆するものではない。
【0114】
以上のことは、本願の具体的な実施形態に過ぎず、本願の保護範囲はこれに限定されるものではなく、本願に開示される技術的範囲内で、当業者によって容易に考えられる任意の変更又は置換は、本願の保護範囲内に含まれるべきである。したがって、本願の保護範囲は、特許請求の範囲によって定義されるものとする。
【0115】
本願は、2020年05月11日に中国特許庁に提出された、出願番号が202010393415.5で、出願名称が「巻取コア及びその製造方法、電池及び電子製品」である中国特許出願、2020年05月29日に中国特許庁に提出された、出願番号が202020953044.7で、出願名称が「電池構造及び電子機器」である中国特許出願、及び2020年06月19日に中国特許庁に提出された、出願番号が202021145599.5で、出願名称が「電池極板及び電池」である中国特許出願の優先権を主張する。上記の各出願の全部内容は、すべて援用により本願に組み込まれる。
【手続補正書】
【提出日】2022-11-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池であって、第1の極板、第2の極板及びセパレータを含み、前記第1の極板、前記セパレータ及び前記第2の極板は順次に積層されて巻かれて設置され、
前記第1の極板は、第1の集電体と第1のタブを含み、前記第1の集電体は第1の表面と第2の表面を含み、前記第1の表面と前記第2の表面にはいずれも第1の活物質層が設けられており、前記第1の活物質層には第1の溝と第2の溝が設けられており、前記第1の溝と前記第2の溝はそれぞれ、前記第1の表面と前記第2の表面に位置し、且つ位置が対向し、前記第1のタブは前記第1の溝内に溶接され、前記第1の溝は、少なくとも1層の絶縁層で覆われており、前記第2の溝は、少なくとも1層の絶縁層で覆われていることを特徴とする電池。
【請求項2】
前記第1の溝は、少なくとも2層の絶縁層で覆われていることを特徴とする請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記第2の溝は、1層の絶縁層で覆われ、前記第2の極板において、前記第2の溝に対向する領域には、少なくとも1層の絶縁層が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の電池。
【請求項4】
前記第2の極板において、前記第2の溝に対向する領域の絶縁層の長さ及び/又は幅は、前記第2の溝での絶縁層の対応する長さ及び/又は幅よりも大きくないことを特徴とする請求項3に記載の電池。
【請求項5】
前記第1の溝での少なくとも2層の絶縁層のうち、絶縁層の一部または全部は、前記第1の溝を覆うことを特徴とする請求項2に記載の電池。
【請求項6】
前記第2の極板は第2の集電体と第2のタブを含み、前記第2の集電体の対向する両面には、いずれも第2の活物質層が設けられており、前記第2の活物質層には、第3の溝と第4の溝がそれぞれ設けられており、前記第3の溝と前記第4の溝は、それぞれ前記第2の集電体の対向する両面に位置し、且つ位置が対向し、
前記第2のタブは前記第3の溝内に溶接され、前記第3の溝と前記第4の溝はいずれも1層の絶縁層で覆われており、前記第1の極板において、前記第3の溝に対向する領域には1層の絶縁層が設けられており、前記第1の極板において、前記第4の溝に対向する領域には1層の絶縁層が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の電池。
【請求項7】
前記第1の極板において、前記第3の溝に対向する領域の絶縁層の長さ及び/又は幅は、前記第3の溝での絶縁層の対応する長さ及び/又は幅よりも大きくなく、前記第1の極板において、前記第4の溝に対向する領域の絶縁層の長さ及び/又は幅は、前記第4の溝での絶縁層の対応する長さ及び/又は幅よりも大きくないことを特徴とする請求項
6に記載の電池。
【請求項8】
前記第1の極板は負極板であり、前記第2の極板は正極板であり、前記第1の溝と前記第2の極板との間の前記セパレータには、前記第1の溝を覆う絶縁層が設けら
れることを特徴とする請求項1に記載の電池。
【請求項9】
前記絶縁層は、第1の接着剤層を介して前記セパレータに接着され、前記第1の接着剤層は常温で粘着性のないホットメルト接着剤層である
、及び/又は
前記絶縁層の前記セパレータと反対する面には、第2の接着剤層が設置されており、前記第2の接着剤層は、電解液によって膨潤可能な感圧接着剤層である
ことを特徴とする請求項
8に記載の電池。
【請求項10】
前記セパレータは、ポリエチレン類又はポリプロピレン類から選択され、前記セパレータは、前記第1の溝を覆う部分が加熱処理された後に前記絶縁層を形成し、及び/又は、
前記第2の極板は、第2の集電体と第2の活物質層を含み、前記第2の活物質層は、前記第2の集電体の表面を覆い、且つ前記第2の集電体には非活物質層領域が設けられており、前記非活物質層領域は前記第1の溝に対向していることを特徴とする請求項
8又は9に記載の電池。
【請求項11】
第1の表面と第2の表面との接続線の方向において、前記第1の溝の投影は、前記第2の溝の投影を完全に覆う
、及び/又は
前記第1の溝の中軸線と前記第2の溝の中軸線からなる平面は、前記第1の表面と前記第2の表面との接続線と重なる又は平行である
ことを特徴とする請求項
1に記載の電池。
【請求項12】
前記第1の溝と前記第2の溝の断面がいずれも長方形である場合、前記第1の溝の辺の長さは、前記第2の溝の辺の長さよりも大きく、前記第1の溝の辺の幅は、前記第2の溝の辺の幅よりも大きい
、及び/又は
前記第2の溝の面積は前記第1の溝の面積の60~90%である
、及び/又は
前記第1の溝と前記第2の溝の隣接辺の最小距離をnとすると、0.5mm≦n≦3.5mmである、及び/又は
前記第1の溝と前記第2の溝の隣接辺の最大距離をxとすると、0.5mm≦x≦3.5mmである
ことを特徴とする請求項
1に記載の電池。
【請求項13】
前記第2の極板は第2の集電体と第2のタブを含み、前記第2の集電体の対向する両面には、いずれも第2の活物質層が設けられており、前記第2の活物質層には、第3の溝と第4の溝がそれぞれ設けられており、前記第3の溝と前記第4の溝は、それぞれ前記第2の集電体の対向する両面に位置し、且つ位置が対向し、前記第2のタブは前記第3の溝内に溶接され、前記第3の溝の面積は前記第4の溝の面積よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の電池。
【請求項14】
電子機器であって、前記電子機器は請求項1~
13のいずれか1項に記載の電池を含むことを特徴とする電子機器。
【国際調査報告】