(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-19
(54)【発明の名称】電源伝送ラインを含むフレキシブル回路基板
(51)【国際特許分類】
H05K 3/46 20060101AFI20230612BHJP
H01P 1/00 20060101ALI20230612BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20230612BHJP
【FI】
H05K3/46 N
H01P1/00 Z
H05K1/02 C
H05K1/02 N
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022569231
(86)(22)【出願日】2021-11-25
(85)【翻訳文提出日】2022-11-14
(86)【国際出願番号】 KR2021017535
(87)【国際公開番号】W WO2022119241
(87)【国際公開日】2022-06-09
(31)【優先権主張番号】10-2020-0167467
(32)【優先日】2020-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514182333
【氏名又は名称】ギガレーン カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GIGALANE CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョ ビョン フン
(72)【発明者】
【氏名】キム イク ス
(72)【発明者】
【氏名】キム ビョン ヨル
(72)【発明者】
【氏名】チョン ヒ ソク
【テーマコード(参考)】
5E316
5E338
5J011
【Fターム(参考)】
5E316AA15
5E316AA35
5E316AA43
5E316BB03
5E316BB11
5E316CC02
5E316HH22
5E338AA02
5E338AA03
5E338AA12
5E338BB16
5E338BB51
5E338BB75
5E338CC04
5E338CD40
5E338EE01
5E338EE11
5J011CA15
(57)【要約】
本発明は、第1誘電体層の一面に形成される第1電源ラインおよび前記第1誘電体層の底面に前記第1誘電体層と離隔して形成される第2誘電体層の一面に形成される第2電源ラインを含むフレキシブル回路基板を提供する。前記第1電源ラインと前記第2電源ラインが重畳された重畳領域が存在し、前記重畳領域の第1端部で前記第1電源ラインと前記第2電源ラインが一ビアホールを通じて連結され、前記重畳領域の第2端部で前記第1電源ラインと前記第2電源ラインが他のビアホールを通じて連結される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1誘電体層の一面に形成される第1電源ライン;および
前記第1誘電体層の底面に前記第1誘電体層と離隔して形成される第2誘電体層の一面に形成される第2電源ライン;を含み、
前記第1電源ラインと前記第2電源ラインが重畳された重畳領域が存在し、
前記重畳領域の第1端部で前記第1電源ラインと前記第2電源ラインが一ビアホールを通じて連結され、前記重畳領域の第2端部で前記第1電源ラインと前記第2電源ラインが他のビアホールを通じて連結されて、
前記第1電源ラインと前記第2電源ラインは並列で連結され、
前記第1電源ラインの長さは前記重畳領域の長さより長く形成されて前記第1電源ラインが前記第2電源ラインに重畳しない非重畳領域が存在し、
前記重畳領域の幅は前記非重畳領域の幅より狭く形成される、フレキシブル回路基板。
【請求項2】
第1誘電体層の一面に形成される第1電源ライン;
前記第1誘電体層の底面に前記第1誘電体層と離隔して形成される第2誘電体層の一面に形成される第2電源ライン;および
前記第2誘電体層の底面に前記第2誘電体層と離隔して形成される第3誘電体層の一面に形成される第3電源ライン;を含み、
前記第2電源ラインは前記第1電源ラインに対応するように形成され、
前記第2電源ラインと前記第3電源ラインが重畳された重畳領域が存在し、
前記第1、第2、第3電源ラインの中から選択される少なくとも二つ以上の電源ラインは並列で連結され、
前記第2電源ラインの長さは前記重畳領域の長さより長く形成されて前記第2電源ラインが前記第3電源ラインに重畳しない非重畳領域が存在し、
前記重畳領域の幅は前記非重畳領域の幅より狭く形成される、フレキシブル回路基板。
【請求項3】
前記第2電源ラインの両端部で前記第1電源ラインと前記第2電源ラインを連結する第1ビアホール;および
前記第2電源ラインの一部分の両端部で前記第1、第2、第3電源ラインを連結する第2ビアホール;を含む、請求項2に記載のフレキシブル回路基板。
【請求項4】
前記第3誘電体層の底面に前記第3誘電体層と離隔して形成される第4誘電体層の一面に形成される第4電源ライン;をさらに含み、
前記第1、第2、第3、第4電源ラインから選択される少なくとも二つ以上の電源ラインは並列で連結される、請求項2に記載のフレキシブル回路基板。
【請求項5】
前記第4電源ラインは前記第3電源ラインに対応するように形成され、
前記第2電源ラインの両端部で前記第1電源ラインと前記第2電源ラインを連結する第1ビアホール;および
前記第2電源ラインの一部分の両端部で前記第1、第2、第3、第4電源ラインを連結する第2ビアホール;をさらに含む、請求項4に記載のフレキシブル回路基板。
【請求項6】
前記第1電源ラインの一端に連結されて第1信号処理部に連結される第1コネクタ;および
前記第1電源ラインの他端に連結されて第2信号処理部に連結される第2コネクタ;をさらに含む、請求項1または請求項2に記載のフレキシブル回路基板。
【請求項7】
前記第1コネクタと前記第2コネクタを連結する信号ライン;をさらに含み、
前記第1電源ラインは前記信号ラインの一側に配置される、請求項6に記載のフレキシブル回路基板。
【請求項8】
第1誘電体層の一面に形成される第1電源ライン;および
前記第1電源ラインに互いに離隔して形成される複数のスリット;を含み、
前記複数のスリットそれぞれの配向は前記第1電源ラインの長さ方向に沿い、
前記第1電源ラインに一方向に電流が流れるように形成され、
前記複数のスリットは前記一方向への長さおよびこれより短い幅を有するように形成され、
前記複数のスリットの長さ方向は前記第1電源ラインに流れる電流の方向と並んでいるものを含む、フレキシブル回路基板。
【請求項9】
前記複数のスリットは、
前記第1電源ラインに許容される電流量を増加させるための長いスリットと、
前記第1電源ラインの熱膨張による形状の変化を最小化するための短いスリットを含む、請求項8に記載のフレキシブル回路基板。
【請求項10】
前記第1誘電体層および前記第1電源ラインを貫通する貫通ホールが形成され、
前記長いスリットのうち少なくとも一部は、前記貫通ホールの周辺に、前記貫通ホールの一部分を囲むように形成される、請求項9に記載のフレキシブル回路基板。
【請求項11】
前記第1誘電体層の底面に前記第1誘電体層と離隔して形成される第3誘電体層の一面に形成される第3電源ライン;をさらに含み、
前記第1、第3電源ラインは互いに並列で連結される、請求項8に記載のフレキシブル回路基板。
【請求項12】
前記第1電源ラインの中間領域の幅は前記第1電源ラインの両端領域の幅より狭く、
前記第3電源ラインは前記第1電源ラインの中間領域にのみ対向するように形成される、請求項11に記載のフレキシブル回路基板。
【請求項13】
前記第1電源ラインの両端領域は、前記第1誘電体層の一面上で前記第1電源ラインの中間領域に対して曲げられる、請求項12に記載のフレキシブル回路基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施例は、電源伝送ラインを含むフレキシブル回路基板に関する。
【背景技術】
【0002】
基地局システムは、デジタル信号処理を担当するデジタル信号処理部(Digital Unit;DU)およびアンテナとデジタル信号処理部の間でデジタル信号をRF信号に変換したりRF信号をデジタル信号に変換して送受信するRF信号処理部(Radio Unit;RU)を含む。
【0003】
このようなデジタル信号処理部とRF信号処理部の送受信には同軸ケーブルが使われる。ところが、最近5G環境では100個以上の同軸ケーブルが必要となって、信号伝送装置の小型化の具現化が困難になった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は前記のような問題点を改善するために考え出されたもので、多数の同軸ケーブルの代わりに単一のフレキシブル回路基板(FPCB、flexible printed circuit board)で信号伝送装置を製作することによって、小型化された信号伝送装置を提供しようとする。
【0005】
具体的には、信号伝送装置で、デジタル信号処理部側とRF信号処理部側を連結する電源伝送ラインの面積を最小化したフレキシブル回路基板を提供することを目的とする。
【0006】
しかし、このような課題は例示的なものであり、これによって本発明の範囲が限定されるものではない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施例に係るフレキシブル回路基板は、第1誘電体層の一面に形成される第1電源ラインおよび前記第1誘電体層の底面に前記第1誘電体層と離隔して形成される第2誘電体層の一面に形成される第2電源ラインを含み、前記第1電源ラインと前記第2電源ラインが重畳された重畳領域が存在し、前記重畳領域の第1端部で前記第1電源ラインと前記第2電源ラインが一ビアホールを通じて連結され、前記重畳領域の第2端部で前記第1電源ラインと前記第2電源ラインが他のビアホールを通じて連結されて、前記第1電源ラインと前記第2電源ラインは並列で連結され、前記第1電源ラインの長さは前記重畳領域の長さより長く形成されて前記第1電源ラインが前記第2電源ラインに重畳しない非重畳領域が存在し、前記重畳領域の幅は前記非重畳領域の幅より狭く形成され得る。
【0008】
本発明の一実施例に係るフレキシブル回路基板は、第1誘電体層の一面に形成される第1電源ライン、前記第1誘電体層の底面に前記第1誘電体層と離隔して形成される第2誘電体層の一面に形成される第2電源ラインおよび前記第2誘電体層の底面に前記第2誘電体層と離隔して形成される第3誘電体層の一面に形成される第3電源ラインを含み、前記第2電源ラインは前記第1電源ラインに対応するように形成され、前記第2電源ラインと前記第3電源ラインが重畳された重畳領域が存在し、前記第1、第2、第3電源ラインの中から選択される少なくとも二つ以上の電源ラインは並列で連結され、前記第2電源ラインの長さは前記重畳領域の長さより長く形成されて前記第2電源ラインが前記第3電源ラインに重畳しない非重畳領域が存在し、前記重畳領域の幅は前記非重畳領域の幅より狭く形成され得る。
【0009】
一実施例によると、前記フレキシブル回路基板は、前記第2電源ラインの両端部で前記第1電源ラインと前記第2電源ラインを連結する第1ビアホールおよび前記第2電源ラインの一部分の両端部で前記第1、第2、第3電源ラインを連結する第2ビアホールを含むことができる。
【0010】
一実施例によると、前記フレキシブル回路基板は、前記第3誘電体層の底面に前記第3誘電体層と離隔して形成される第4誘電体層の一面に形成される第4電源ラインをさらに含み、前記第1、第2、第3、第4電源ラインから選択される少なくとも二つ以上の電源ラインは並列で連結され得る。
【0011】
一実施例によると、前記第4電源ラインは前記第3電源ラインに対応するように形成され、前記フレキシブル回路基板は、前記第2電源ラインの両端部で前記第1電源ラインと前記第2電源ラインを連結する第1ビアホールおよび前記第2電源ラインの一部分の両端部で前記第1、第2、第3、第4電源ラインを連結する第2ビアホールをさらに含むことができる。
【0012】
一実施例によると、前記フレキシブル回路基板は前記第1電源ラインの一端に連結されて第1信号処理部に連結される第1コネクタおよび前記第1電源ラインの他端に連結されて第2信号処理部に連結される第2コネクタをさらに含むことができる。
【0013】
一実施例によると、前記フレキシブル回路基板は前記第1コネクタと前記第2コネクタを連結する信号ラインをさらに含み、前記第1電源ラインは、前記信号ラインの一側に配置され得る。
【0014】
本発明の一実施例に係るフレキシブル回路基板は、第1誘電体層の一面に形成される第1電源ラインおよび前記第1電源ラインに互いに離隔して形成される複数のスリットを含み、前記複数のスリットそれぞれの配向は前記第1電源ラインの長さ方向に沿い、前記第1電源ラインに一方向に電流が流れるように形成され、前記複数のスリットは前記一方向への長さおよびこれより短い幅を有するように形成され、前記複数のスリットの長さ方向は前記第1電源ラインに流れる電流の方向と並んでいるものを含むことができる。
【0015】
一実施例によると、前記複数のスリットは、前記第1電源ラインに許容される電流量を増加させるための長いスリットと、前記第1電源ラインの熱膨張による形状の変化を最小化するための短いスリットを含むことができる。
【0016】
一実施例によると、前記第1誘電体層および前記第1電源ラインを貫通する貫通ホールが形成され、前記長いスリットのうち少なくとも一部は、前記貫通ホールの周辺に、前記貫通ホールの一部分を囲むように形成され得る。
【0017】
一実施例によると、前記フレキシブル回路基板は、前記第1誘電体層の底面に前記第1誘電体層と離隔して形成される第3誘電体層の一面に形成される第3電源ラインをさらに含み、前記第1、第3電源ラインは互いに並列で連結され得る。
【0018】
一実施例によると、前記第1電源ラインの中間領域の幅は前記第1電源ラインの両端領域の幅より狭く、前記第3電源ラインは前記第1電源ラインの中間領域にのみ対向するように形成され得る。
【0019】
一実施例によると、前記第1電源ラインの両端領域は、前記第1誘電体層の一面上で前記第1電源ラインの中間領域に対して曲げられ得る。
【0020】
前述したもの以外の他の側面、特徴、利点が、以下の図面、特許請求の範囲および発明の詳細な説明から明確となるであろう。
【発明の効果】
【0021】
前述したようになされた本発明の一実施例によると、フレキシブル回路基板で電源伝送ラインの面積を最小化することによってフレキシブル回路基板の面積も最小化することができる。
【0022】
また、限定された面積内で電源伝送ラインが許容する電流量を増加させることができる。
【0023】
また、工程過程で電源伝送ラインの熱膨張を最小化して不良を防止することができる。
【0024】
もちろん、このような効果によって本発明の範囲が限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の一実施例に係る電源ラインを含むフレキシブル回路基板100の断面図である。
【
図2】本発明の一実施例に係る電源ラインを含むフレキシブル回路基板100aの断面図である。
【
図3】本発明の一実施例に係る電源ラインを含むフレキシブル回路基板100bの断面図である。
【
図4】本発明の一実施例に係る電源ラインを含むフレキシブル回路基板100cの断面図である。
【
図5】本発明の一実施例に係る多重信号伝送用装置200の斜視図である。
【
図6】
図5に図示された多重信号伝送用装置200のA1とA2間の領域の内部拡大図である。
【
図7】本発明の一実施例に係る多重信号伝送用装置200に含まれる第1誘電体層150および第1誘電体層150上に形成された第1電源ライン110の上面図である。
【
図8】本発明の一実施例に係る多重信号伝送用装置200に含まれ得る第2誘電体層160および第2誘電体層160上に形成された第2電源ライン120の上面図である。
【
図9】本発明の一実施例に係る多重信号伝送用装置200に含まれ得る第3誘電体層170および第3誘電体層170上に形成された第3電源ライン130の上面図である。
【
図10】本発明の一実施例に係る多重信号伝送用装置200に含まれ得る第4誘電体層180および第4誘電体層180上に形成された第4電源ライン140の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は多様な変換を加えることができ、多様な実施例を有することができるところ、特定実施例を図面に例示し詳細な説明に詳細に説明しようとする。本発明の効果および特徴、そしてそれらを達成する方法は、図面と共に詳細に後述されている実施例を参照すると明確となるであろう。しかし、本発明は以下で開示される実施例に限定されるものではなく多様な形態で具現化され得る。
【0027】
以下、添付された図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明することにし、図面を参照して説明する時に同一または対応する構成要素は同じ図面番号を付し、これに対する重複する説明は省略することにする。
【0028】
以下の実施例において、第1、第2等の用語は限定的な意味ではなく一つの構成要素を他の構成要素と区別する目的で使われた。
【0029】
以下の実施例において、単数の表現は文脈上明白に異なって意味しない限り、複数の表現を含む。
【0030】
以下の実施例において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、または構成要素が存在することを意味するものであって、一つ以上の他の特徴または構成要素が付加される可能性をあらかじめ排除するものではない。
【0031】
図面では、説明の便宜のために構成要素がその大きさが誇張または縮小され得る。例えば、図面に示された各構成の大きさおよび厚さは説明の便宜のために任意に示したものであり、本発明は必ずしも図示されたものに限定されない。
【0032】
以下の実施例において、領域、層、構成要素などの部分が他の部分の上にまたは上にあるとする時、他の部分の真上にある場合だけでなく、その中間に他の領域、層、構成要素などが介在している場合も含む。
【0033】
以下の実施例において、構成要素などが連結されたとする時、構成要素が直接的に連結された場合だけでなく構成要素の中間に他の構成要素が介在して間接的に連結された場合も含む。
【0034】
以下の実施例に係るフレキシブル回路基板100、100a、100b、100cは信号伝送用フレキシブル回路基板、例えば多重信号伝送用フレキシブル回路基板に適用され得る。しかし、これに限定されるものではない。
【0035】
以下の図面と実施例において、y方向は電源ライン110、120、130、140の長さ方向を示し、z方向はフレキシブル回路基板100、100a、100b、100cに垂直な方向を示し、x方向は電源ライン110、120、130、140の幅(width)方向を示す。しかし、このような方向の説明は位置関係の説明を助けるためのものであるのでこれを限定解釈してはならず、視覚の方向により流動的であることを明らかにしておく。
【0036】
また、
図1~
図4において、説明の簡素化のために電源ライン110、120、130、140を直線で示したが、本発明で電源ラインの形態はこれに限定されない。本発明の多様な実施例で電源ライン110、120、130、140は多様なパターンで形成され得る。例えば
図7および
図8に図示された通り、電源ライン110、120は「U」字状に形成されてもよく、他の実施例(図示されず)によると、電源ラインは「L」字状に形成されてもよい。
【0037】
図1は、本発明の一実施例に係る電源ラインを含むフレキシブル回路基板100の断面図である。
【0038】
図1を参照すると、本発明の一実施例に係るフレキシブル回路基板100は、第1誘電体層150、第1誘電体層150の一面に形成される第1電源ライン110、第1誘電体層150の底面に第1誘電体層150と離隔して形成される第2誘電体層160、および第2誘電体層160の一面に形成される第2電源ライン120を含むことができる。また、フレキシブル回路基板100で第1電源ライン110と第2電源ライン120が重なる区間が存在し得る。一実施例によると、前記重なる区間の第1端部で前記第1電源ライン110と前記第2電源ライン120が一ビアホールVH11を通じて連結され、前記重なる区間の第2端部で前記第1電源ライン110と前記第2電源ライン120が他のビアホールVH12を通じて連結され得る。
【0039】
一般的に、フレキシブル回路基板の限定された空間に電源伝送ラインを形成するために電源伝送ラインの幅を狭くする場合、電源伝送ラインが許容する電流量よりさらに多量の電流が流れる問題が発生する。電源伝送ラインが許容する電流量よりさらに多量の電流が流れる場合、漏洩とショートの問題が発生し得る。これを防止するために電源伝送ラインの幅を広くする場合、フレキシブル回路基板の面積が広くなる短所がある。
【0040】
これと関連して、本発明の一実施例に係るフレキシブル回路基板100は、互いに異なる層に形成された第1電源ライン110と第2電源ライン120を含み、電流が第1電源ライン110と第2電源ライン120に分かれて流れるようにすることによって、第1、第2電源ライン110、120が占める面積を最小化するとともに多くの電流量を流すことができる。具体的には、本発明の一実施例に係るフレキシブル回路基板100は第1電源ライン110と第2電源ライン120が重なる区間を含み、前記重なる区間の両端部でそれぞれ第1電源ライン110と第2電源ライン120を互いに異なるビアホールVH11、VH12で連結することによって、限定された面積内で許容する電流量を増加させることができる。これを通じてショートと漏洩を防止することができる。
【0041】
図2は、本発明の一実施例に係る電源ラインを含むフレキシブル回路基板100aの断面図である。
【0042】
図2を参照すると、第2電源ライン120は第1電源ライン110の一部分101にのみオーバーラップされるように形成され得る。したがって、第2電源ライン120の長さは第1電源ライン110の長さより短くてもよい。この時、第2電源ライン120がオーバーラップされる第1電源ライン110の前記一部分101の幅は、第1電源ライン110の残り部分102の幅より狭くてもよい。因みに、図面で幅方向はx方向である。
【0043】
例えば
図2で、第2電源ライン120が第1電源ライン110の中間領域にのみ対向するように(または重なるように)形成されるので、第1電源ライン110の前記中間領域の幅は第1電源ライン110の両端領域の幅より狭くてもよい。
【0044】
本文書で電源ラインの幅は、電源ラインの長さ方向に垂直な幅を示す。例えば、
図1~
図4のように電源ラインが直線である実施例では電源ラインの幅が電源ラインのx方向の長さを示すことができる。他の例として、
図7および
図8のように電源ラインが「U」字状の実施例では、電源ラインの幅は電源ラインの該当部分の長さ方向に垂直な幅を示す。
【0045】
例えば
図7を参照すると、第1電源ライン110の中間領域の幅は第1電源ライン110の両端領域の幅より狭い。この場合、第1誘電体層150の底面に形成される少なくとも一つの他の電源ライン(例:
図9の第3電源ライン130)は第1電源ライン110の前記中間領域に重なるように(または対向するように)形成され得る。
【0046】
一実施例によると、第1電源ライン110の両端領域を後述するコネクタ201、202に連結させるために前記両端領域の経路を第1電源ライン110の中間領域に対して曲げることができ、前記両端領域の幅を前記中間領域の幅より広く形成することができる。また、フレキシブル回路基板の長さ方向に沿って配置される前記中間領域の幅を狭く形成することによって、フレキシブル回路基板の幅を減らすことができる。
【0047】
一実施例によると、第1電源ライン110の幅が狭くなる一部分101に対応する第2電源ライン120を形成することによって、第1電源ライン110の幅が狭くなる一部分101でも漏洩やショートなしに、電流が第2電源ライン120に分かれて流れることができる。また、第1電源ライン110の幅が狭くなる任意の区間には前記区間に対応するように第2電源ライン120を形成すればよいので、フレキシブル回路基板の形に合うように第1電源ライン110の形を自由に形成することができる。
【0048】
図3は、本発明の一実施例に係る電源ラインを含むフレキシブル回路基板100bの断面図である。
【0049】
図3を参照すると、フレキシブル回路基板100bは、
図1に図示されたフレキシブル回路基板100に比べて、第2誘電体層160の底面に第2誘電体層160と離隔して形成される第3誘電体層170と、第3誘電体層170の一面に形成される第3電源ライン130をさらに含むことができる。ここで、第1、第2、第3電源ライン110、120、130の中から選択される少なくとも二つ以上の電源ラインは並列で連結され得る。第3電源ライン130をさらに含むことによって、限定された領域に対して電源伝送ラインが許容する電流量をさらに増加させることができる。
【0050】
一実施例によると、フレキシブル回路基板100bで第2電源ライン120は第1電源ライン110に対応するように形成され、第3電源ライン130は第2電源ライン120の一部分101に対応するように形成され得る。この時、第2電源ライン120の前記一部分101の幅は第2電源ライン120の残り部分102の幅より狭くてもよい。
【0051】
第1、第2電源ライン110、120の幅が狭くなる前記一部分101にのみ対応する第3電源ライン130を形成することによって、第1、第2電源ライン110、120の幅が狭くなる一部分101でも漏洩やショートなしに、電流が第3電源ライン130に分かれて流れることができる。
【0052】
一実施例に係るフレキシブル回路基板100bは、第2電源ライン120の両端部で第1電源ライン110と第2電源ライン120を連結する第1ビアホールVH1、および第2電源ライン120の前記一部分101の両端部で前記第1、第2、第3電源ライン110、120、130を連結する第2ビアホールVH2を含むことができる。
【0053】
互いに異なる位置に第1ビアホールVH1および第2ビアホールVH2を具備することによって、第1、第2、第3電源ライン110、120、130のうち少なくとも一部は異なる長さで形成することができ、電源ラインのパターンの設計自由度を高めることができる。
【0054】
図4は、本発明の一実施例に係る電源ラインを含むフレキシブル回路基板100cの断面図である。
【0055】
図4を参照すると、フレキシブル回路基板100cは、
図3に図示されたフレキシブル回路基板100bに比べて、第3誘電体層170の底面に第3誘電体層170と離隔して形成される第4誘電体層180と、第4誘電体層180の一面に形成される第4電源ライン140をさらに含むことができる。ここで、第1、第2、第3、第4電源ライン110、120、130、140から選択される少なくとも二つ以上の電源ラインは並列で連結され得る。第4電源ライン140をさらに含むことによって、限定された領域に対して電源伝送ラインが許容する電流量をさらに増加させることができる。
【0056】
一実施例によると、フレキシブル回路基板100cで第2電源ライン120は第1電源ライン110に対応するように形成され、第3電源ライン130は第2電源ライン120の一部分101にだけ対応するように形成され、第4電源ライン140は第3電源ライン130に対応するように形成され得る。この時、フレキシブル回路基板100cは、第2電源ライン120の両端部で前記第1電源ライン110と前記第2電源ライン120を連結する第1ビアホールVH1、および第2電源ライン120の前記一部分101の両端部で第1、第2、第3、第4電源ライン110、120、130、140を一度に連結する第2ビアホールVH2をさらに含むことができる。
【0057】
互いに異なる位置に第1ビアホールVH1および第2ビアホールVH2を具備することによって、第1、第2、第3、第4電源ライン110、120、130、140のうち少なくとも一部は異なる長さで形成することができ、電源ラインのパターンの設計自由度を高めることができる。
【0058】
図5は、本発明の一実施例に係る多重信号伝送用装置200の斜視図である。
図6は
図5に図示された多重信号伝送用装置200のA1とA2間の領域の内部拡大図である。
【0059】
図5を参照すると、一実施例に係る多重信号伝送用装置200は、フレキシブル部200Fおよびフレキシブル部200F両端のリジッド部200Rを含むことができる。一実施例によると、前述した多様な実施例に係るフレキシブル回路基板100、100a、100b、100cの中間部はフレキシブル部200Fを形成し、フレキシブル回路基板100、100a、100b、100cの両端部に高い強度を有する他の層を粘着してリジッド部200Rを形成することができる。
【0060】
フレキシブル部200F両端のリジッド部200Rにはそれぞれ第1コネクタ201および第2コネクタ202が形成され得る。
【0061】
図6を参照すると、多重信号伝送用装置200に含まれたフレキシブル回路基板は、第1コネクタ201と第2コネクタ202を連結する信号ラインSLを含むことができる。例えば、前述した第1誘電体層150の一面に信号ラインSLおよび信号ラインSLの間のグラウンドラインGLが形成され得、信号ラインSLの一側に前述した第1電源ライン110が配置され得る。前述した通り、第1電源ライン110は第1誘電体層150の一面に形成される。第1電源ライン110と信号ラインSLの間には側面グラウンドラインGL1が形成され得る。
図6に図示されてはいないが、第1誘電体層150の底面に第2電源ライン120および第2誘電体層160が形成され得る。第2電源ライン120は第1電源ライン110に少なくとも一部分が重なるように形成され得る。
【0062】
一方、第1コネクタ201および第2コネクタ202を連結する信号ラインSLを最短距離で形成し、第1電源ライン110を信号ラインSLの一側に配置することによって、信号伝送品質を高めることができる。
【0063】
第1コネクタ201は第1電源ライン110の一端に連結され、第1信号処理部(図示されず)に連結され得る。第2コネクタ202は第1電源ライン110の他端に連結され、第2信号処理部(図示されず)に連結され得る。第1信号処理部と第2信号処理部のうち一つはデジタル信号処理部であり、残りの一つはRF信号処理部であり得る。したがって、信号ラインSLはデジタル信号処理部とRF信号処理部の間の送受信を遂行できる。また、第1電源ライン110がデジタル信号処理部とRF信号処理部間を連結することができる。この時、同軸ケーブルを使わないことによって多重信号伝送用装置200を小型化することができる。
【0064】
図7は、本発明の一実施例に係る多重信号伝送用装置200に含まれる第1誘電体層150および第1誘電体層150上に形成された第1電源ライン110の上面図である。
【0065】
図8は、本発明の一実施例に係る多重信号伝送用装置200に含まれ得る第2誘電体層160および第2誘電体層160上に形成された第2電源ライン120の上面図である。
【0066】
図9は、本発明の一実施例に係る多重信号伝送用装置200に含まれ得る第3誘電体層170および第3誘電体層170上に形成された第3電源ライン130の上面図である。
【0067】
図10は、本発明の一実施例に係る多重信号伝送用装置200に含まれ得る第4誘電体層180および第4誘電体層180上に形成された第4電源ライン140の上面図である。
【0068】
【0069】
本発明の一実施例に係る多重信号伝送用装置200に含まれたフレキシブル回路基板は、第1誘電体層150、第1誘電体層150の一面に形成される第1電源ライン110、および第1電源ライン110に互いに離隔して形成される複数のスリットを含むことができる。複数のスリットそれぞれの配向は、第1電源ライン110の長さ方向に沿い得る。ここでスリットが第1電源ライン110の長さ方向に沿うという記載は、スリットが前記の長さ方向に平行な場合だけでなく、スリットが前記の長さ方向を略沿う場合も含む。
【0070】
複数のスリットは、長いスリット(LS、long slit)および短いスリット(SS、short slit)を含むことができる。長いスリットLSは第1電源ライン110が許容する電流量を増加させることができる。短いスリットSSは第1電源ライン110の熱膨張による形状の変化を最小化することができる。第1電源ライン110が長く形成されるので、第1電源ライン110の長さ方向に沿って複数のスリットを配置することによって、第1電源ライン110の熱膨張の影響を最も最小化することができる。
【0071】
多重信号伝送用装置200に含まれたフレキシブル回路基板には、多重信号伝送用装置200を外部に固定させるのに使われる貫通ホールTHが形成され得る。例えば、第1電源ライン110にも貫通ホールTHが形成され得る。このような貫通ホールTHによって、第1電源ライン110の幅が一時的に狭くなる区間が発生する。このように第1電源ライン110の幅が一時的にのみ狭くなる小面積の区間では、許容電流量を増加させるために他の層に並列で他の電源ラインを形成することが非効率的であり得る。
【0072】
したがって、第1電源ライン110のうち一時的にのみ幅が狭くなる小面積の区間では、第1電源ライン110に長いスリットLSを形成することによって、前記小面積の区間が許容する電流量を増加させることができる。
【0073】
例えば、長いスリットLSのうち少なくとも一部は、貫通ホールTHの周辺に、貫通ホールTHの一部分を囲むように形成され得る。したがって、貫通ホールTHによって第1電源ライン110が狭くなる区間でも、長いスリットLSの存在によって許容電流量が減少しないことができる。
【0074】
本発明の一実施例に係る多重信号伝送用装置200は、第1電源ライン110と他の層に、第1電源ライン110と少なくとも一部分が重なる他の電源ラインをさらに含むことができる。例えば、
図7に図示された第1電源ライン110と他の層に、
図8の第2電源ライン120、
図9の第3電源ライン130、
図10の第4電源ライン140の中で選択される一つ以上の電源ラインがさらに形成され得る。
【0075】
また、第1、第2、第3、第4電源ライン110、120、130、140の中から選択される少なくとも二つ以上の電源ラインは、ビアホールを通じて並列で連結され得る。ビアホールは例えば、第1領域R1および第2領域R2のうち少なくとも一部に形成され得る。ビアホールは許容する電流量を増加させるように複数個形成され得る。第2領域R2は幅が狭くなる開始位置に形成され得る。
【0076】
図7を参照すると、第1電源ライン110の両端領域の幅より、第1電源ライン110の中間領域の幅がさらに狭くてもよい。したがって、第1電源ライン110の前記中間領域で許容電流量を増やすために、一実施例に係る多重信号伝送用装置200に含まれたフレキシブル回路基板は、第1誘電体層150の底面に第1誘電体層150と離隔して形成される第3誘電体層170と、第3誘電体層170の一面に形成される第3電源ライン130をさらに含むことができる(
図9参照)。例えば、第3電源ライン130は第1電源ライン110の前記中間領域にのみ対向するように形成され得る。この実施例で第1電源ライン110および第3電源ライン130は、領域R2に形成されたビアホールを通じて並列で連結され得る。換言すると、第1電源ライン110と第3電源ライン130が重なる区間の両端部(すなわち、第1端部および第2端部)である、領域R2に形成されるビアホールを通じて第1電源ライン110と第3電源ライン130が互いに連結され得る。
【0077】
一実施例によると、第1電源ライン110の前記両端領域は、第1誘電体層150の一面上で第1電源ライン110の前記中間領域に対して曲げられ得る。
【0078】
第1電源ライン110の両端領域をコネクタ201、202に連結させるために、前記両端領域の経路を第1電源ライン110の中間領域に対して曲げることができる。また、フレキシブル回路基板の長さ方向に沿って配置される前記中間領域の幅を狭く形成することによって、フレキシブル回路基板の幅を減らすことができる。第1電源ライン110の幅を自由に調節しながら、第1電源ライン110の両端領域を曲げてコネクタに連結できるため、設計の自由度を高めることができる。
【0079】
一方、
図7~
図11を参照すると、本発明の一実施例に係る多重信号伝送用装置200は、第1誘電体層150、第1誘電体層150の一面に形成される第1電源ライン110、第1誘電体層150の底面に第1誘電体層150と離隔して形成される第2誘電体層160、第2誘電体層160の一面に形成される第2電源ライン120、第2誘電体層160の底面に第2誘電体層160と離隔して形成される第3誘電体層170、第3誘電体層170の一面に形成される第3電源ライン130、第3誘電体層170の底面に第3誘電体層170と離隔して形成される第4誘電体層180、第4誘電体層180の一面に形成される第4電源ライン140をすべて含むこともできる。
【0080】
この実施例によると、
図7~
図10に図示された誘電体層150、160、170、180が積層されて多重信号伝送用装置200に含まれたフレキシブル回路基板を形成することができる。この実施例で、
図7~
図10に図示されたB1とB2の間の断面図は
図11と同一であってもよい。
【0081】
図7~
図11を参照すると、第1電源ライン110と第2電源ライン120は互いに対応し、第3電源ライン130は第2電源ライン120の一部分にのみ対応し、第4電源ライン140は第3電源ライン130に対応し得る。
【0082】
例えば、第2電源ライン120の両端部である領域R1で、第1ビアホールVH1を通じて第1電源ライン110と第2電源ライン120が連結され得る。また、第2電源ライン120の前記一部分の両端部である領域R2で、第2ビアホールVH2を通じて第1、第2、第3、第4電源ライン110、120、130、140が連結され得る。
【0083】
一方、
図7~
図10を参照すると、第2、第3、第4電源ライン120、130、140にも前述した第1電源ライン110と同様に、長いスリットLSと短いスリットSSを含む複数のスリット、および貫通ホールTHが形成され得る。
【0084】
電流の方向が変わる第2領域R2では斜線方向のスリットが形成され得る。斜線方向のスリットは例えば短いスリットSSであり得る。電流の方向が変わる第2領域R2に形成される斜線方向のスリットは、電流が流れる方向が電源ラインの方向に沿って、滑らかに変更され得るようにする。
【0085】
本発明は図面に図示された一実施例を参照して説明したが、これは例示的なものに過ぎず、当該分野で通常の知識を有する者であればこれから多様な変形および実施例の変形が可能であることが理解できるであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、添付された特許請求の範囲の技術的思想によって定められるべきである。
【0086】
[この発明を支援した国家研究開発事業]
【0087】
[課題固有番号]1711116794
【0088】
[課題番号]2020-0-00915-001
【0089】
[部署名]科学技術情報通信部
【0090】
[課題管理(専門)機関名]情報通信企画評価院
【0091】
[研究事業名]5G基盤装備端末部品およびデバイス技術開発
【0092】
[研究課題名]5G RU-DU間多配線10Gbps信号伝送のためのPI基盤多チャンネル柔軟伝送部品開発
【0093】
[寄与率]1/1
【0094】
[課題遂行機関名](株)ギガレイン
【0095】
[研究機関]20200401~20201231
【国際調査報告】