(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-19
(54)【発明の名称】自動化対応の取り外し可能な蓋及び使用方法
(51)【国際特許分類】
G01N 35/02 20060101AFI20230612BHJP
【FI】
G01N35/02 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022569527
(86)(22)【出願日】2021-05-14
(85)【翻訳文提出日】2022-12-13
(86)【国際出願番号】 US2021032569
(87)【国際公開番号】W WO2021231938
(87)【国際公開日】2021-11-18
(32)【優先日】2020-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505243216
【氏名又は名称】メソ スケール テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ミルチェフ,スラヴィ
(72)【発明者】
【氏名】ローレンス,ノエル
(72)【発明者】
【氏名】コチャー,マニッシュ
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058CA01
2G058CA02
2G058CE02
2G058EA08
(57)【要約】
自動化対応の取り外し可能な蓋が提供される。取り外し可能な蓋は、周縁リムによって取り囲まれた上面を含む。取り外し可能な蓋は、そこを通して挿入されるピペットチップなどの抽出器を受容するように構成された隔膜部分を更に含む。隔膜部分は、蓋の取り外しを容易にするように抽出器を把持するように更に構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動化システムにおける使用のために適合された蓋であって、
上面、
前記上面の周縁部に配置されたリムであって、周縁部及び少なくとも1つのスカートを備え、前記周縁部は、容器のリップ部分に静置するように構成されている、リム、
前記上面の切り込みパターンによって画定され、かつ前記上面の隔膜部分を画定する、前記上面の複数の角セグメントであって、抽出器が前記切り込みパターンを通して挿入されることを可能にするように、かつ、前記抽出器が前記容器から引き離されるとき、前記蓋が前記容器から取り外されるような摩擦力によって前記抽出器を把持するように構成されている、複数の角セグメント、を備える、蓋。
【請求項2】
前記蓋の質量は、約5グラム未満である、請求項1に記載の蓋。
【請求項3】
前記蓋の質量は、約2.5グラム未満である、請求項2に記載の蓋。
【請求項4】
前記蓋の質量は、約1グラム未満である、請求項1に記載の蓋。
【請求項5】
前記蓋の質量は、約0.75グラム未満である、請求項1に記載の蓋。
【請求項6】
前記抽出器は、少なくとも1つのピペットチップを備える、請求項1に記載の蓋。
【請求項7】
前記角セグメントは、摩擦強化材料でコーティングされている、請求項1に記載の蓋。
【請求項8】
前記複数の角セグメントは、前記抽出器が前記切り込みパターンを通して挿入されるときに塑性変形するように構成されている、請求項1に記載の蓋。
【請求項9】
穿通可能な液密層を更に備える、請求項1に記載の蓋。
【請求項10】
前記上面は、実質的に透明、不透明、又はUV耐性のうちの少なくとも1つの材料を含む、請求項1に記載の蓋。
【請求項11】
前記上面は、疎水性材料又は疎水性コーティングを含む、請求項1に記載の蓋。
【請求項12】
高密度ポリエチレン又はポリ塩化ビニルを更に含む、請求項1に記載の蓋。
【請求項13】
導電性材料、帯電防止材料、及び静電気散逸性材料のうちの少なくとも1つを更に含む、請求項1に記載の蓋。
【請求項14】
前記上面は、約0.0025インチ~約0.030インチの厚さを有する、請求項1に記載の蓋。
【請求項15】
自動化システムでの使用のための物質収容システムであって、
前記物質を収容するように構成された容器と、
前記容器を覆うように構成された蓋と、を備え、前記蓋は、
上面、
前記上面の周縁部に配置されたリムであって、周縁部及び少なくとも1つのスカートを備え、前記周縁部は、前記容器のリップ部分に静置するように構成されている、リム、
前記上面の切り込みパターンによって画定され、かつ前記上面の隔膜部分を画定する、前記上面の複数の角セグメントであって、抽出器が前記切り込みパターンを通して挿入されることを可能にするように、かつ、前記抽出器が前記容器から引き離されるとき、前記蓋が前記容器から取り外されるような摩擦力によって前記抽出器を把持するように構成されている、複数の角セグメント、を備える、物質収容システム。
【請求項16】
前記容器は、試薬又は試料を収容するように構成されている、請求項15に記載の物質収容システム。
【請求項16】
前記抽出器を把持する前記摩擦力は、前記蓋の重量よりも大きい、請求項14に記載の物質収容システム。
【請求項17】
前記抽出器を把持する前記摩擦力は、前記蓋の重量と、前記リムと前記容器との間のリム容器摩擦力と、によって提供される結合力よりも大きい、請求項14に記載の物質収容システム。
【請求項18】
自動化システムにおいて容器から蓋を取り外すための方法であって、
前記容器内の試料又は試薬を覆うために前記容器上に蓋を載置することであって、前記蓋は、切り込みパターンを備える、載置することと、
前記切り込みパターンを通して、抽出器で前記蓋を穿通することと、
前記抽出器を、摩擦力によって前記蓋が前記抽出器に取り付けられている状態で、前記容器から動かして離すことと、
前記抽出器及び前記蓋を廃棄することと、を含む、方法。
【請求項19】
前記容器内の前記少なくとも1つの試薬又は試料からの蒸発を低減することを更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記容器内の前記試薬又は試料への光曝露を低減することを更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記試料又は試薬は、揮発性又は感光性である、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記蓋は、実質的に透明、不透明、又はUV耐性である、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記抽出器は、少なくとも1つのピペットチップを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
前記蓋を穿通すると、自動化機器内の自動化取り扱いサブシステムは、工程(b)~(d)を実施する、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自動化システムのための取り外し可能な蓋、及びそのような蓋を取り外すための方法に関する。蓋及び方法の目的は、自動化機器で使用される容器内に格納された試薬又は試料の蒸発を最小限に抑えること、及びそのような機器内の試薬及び試料を光から保護することを含み得る。
【背景技術】
【0002】
多くの自動化システムは、容器を覆うために使用される蓋の取り外しを必要とする。そのような自動化システムは、自動化機器内で使用され得る。そのような自動化機器はまた、マルチウェルプレート、プレート蓋、ピペットチップ、及び他の消耗品を操作するための、ロボットグリッパアーム、ロボットピペッティングシステム、又は他の取り扱い機構を含み得る。それらは、長引く実験の間、容器内に格納された試料及び試薬を操作し得る。これらの実験は、最大8時間以上延長され得る。開放容器内に入れられた液体、試料、又は他の試薬は、内部若しくは周囲(例えば、外部)の雰囲気に曝露され、蒸発するか、又は光に曝露される可能性がある。
【0003】
蒸発は、試薬又は試料に含まれる成分、例えば、揮発性成分の損失を引き起こし、それによって、試薬又は試料中の溶解物質の濃度を変化させる。光への曝露は、感光性である試薬又は試料の成分に有害な影響を与える可能性もある。これらの影響は、試薬又は試料の活性及び/又は量に影響を与える可能性がある。特定の試薬又は試料については、開放容器が、使用される前の数時間、システム内に置かれるときに特に重要となり得る。また、エタノール及びアセトニトリルなどの高蒸気圧を有する成分を含む試薬又は試料については、蒸発の影響は、はるかに短い期間で顕著であり得る。同様に、感光性の試薬又は試料については、光への曝露は、光に対する成分の感度に応じて、短期間又は長期間経つと有害であり得る。
【0004】
自動化液体取り扱いシステムを補完するための追加ロボットハードウェアを用いて、試薬の蒸発を制御するための様々なアプローチが試みられている。例えば、自動化分析デバイスは、蓋の開閉ハードウェアを含み得る。そのようなハードウェアは、例えば、蓋開けを容易にするように構成された機械システム及びロボットコンポーネントを含み得る。しかしながら、自動化分析システム内の試薬容器の蓋を開閉する追加ロボットハードウェアを有することは、更なる複雑さを付加する。
【0005】
本明細書で提供される実施形態は、蓋を通して試薬及び他の物質を添加することと、蓋の自動取り外しとの両方を容易にする蓋を提供する際の、これらの前述の欠点に対処する。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、システム、例えば、アッセイシステムにおける使用のために適合された物質収容システムに関する。物質収容システムは、試薬又は試料を保持するように適合された本体を有する容器と、容器上に載置するように構成された少なくとも1つの蓋と、を含む。
【0007】
一実施形態では、自動化システムにおける使用のために適合された蓋が提供される。蓋は、上面と、上面の周縁部に配置されたリムであって、周縁部及び少なくとも1つのスカートを備え、周縁部は、容器のリップ部分に静置するように構成されている、リムと、上面の切り込みパターンによって画定され、かつ上面の隔膜部分を画定する、上面の複数の角セグメントであって、抽出器が切り込みパターンを通して挿入されることを可能にするように、かつ、抽出器が容器から引き離されるとき、蓋が容器から取り外されるような摩擦力によって抽出器を把持するように構成されている複数の角セグメントと、を含む。
【0008】
一実施形態では、自動化システムで使用するための物質収容システムが提供される。物質収容システムは、物質を収容するように構成された容器と、容器を覆うように構成された蓋と、を含み、蓋は、上面と、上面の周縁部に配置されたリムであって、周縁部及び少なくとも1つのスカートを備え、周縁部は、容器のリップ部分に静置するように構成されている、リムと、上面の切り込みパターンによって画定され、かつ上面の隔膜部分を画定する、上面の複数の角セグメントであって、抽出器が切り込みパターンを通して挿入されることを可能にするように、かつ、抽出器が容器から引き離されるとき、蓋が容器から取り外されるような摩擦力によって抽出器を把持するように構成されている複数の角セグメントと、を備える。
【0009】
蓋の質量は、約5グラム未満、好ましくは約2.5グラム又は約1グラム未満、より好ましくは約0.75グラム未満であり得る。抽出器は、少なくとも1つのピペットチップを備え得る。角セグメントは、好ましくは、摩擦強化材料でコーティングされている。1つの実施形態では、少なくとも1つの蓋は、4つの角セグメントを備える。別の実施形態では、少なくとも1つの蓋は、複数の使い捨て蓋を備える。少なくとも1つの蓋は、穿通可能な液密層に取り付けられ得る。
【0010】
本明細書に記載の容器に収容される試薬又は試料は、液体であり得、分析されるべき試料、試薬、希釈剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。一実施形態では、少なくとも1つの蓋は、実質的に透明、不透明な材料、又はUV耐性である。少なくとも1つの蓋は、疎水性材料から作製され得るか、又は疎水性コーティングでコーティングされ得る。少なくとも1つの蓋は、高密度ポリエチレン又はポリ塩化ビニルから作製され得、好ましくは、約0.0025インチ~約0.030インチの厚さを有する。一実施形態では、蓋は、導電性ポリマーブレンド又は帯電防止又は静電気散逸性材料から作製され得る。そのような組成物は、蓋での静電荷の蓄積、並びに、蓋の意図しない動き又は蓋の取り扱い及び載置の困難を引き起こし得る、蓋と他の物体との間の結果として生じる引力又は反発力の影響を軽減し得る。
【0011】
一実施形態では、自動化システムにおいて容器から蓋を取り外すための方法が提供される。方法は、容器内の試料又は試薬を覆うために容器に蓋を載置することであって、蓋は切り込みパターンを備える、載置することと、切り込みパターンを通して、抽出器で蓋を穿通することと、抽出器を、摩擦力によって蓋が取り付けられている状態で、容器から動かして離すことと、抽出器及び蓋を廃棄することと、を含む。
【0012】
方法は、容器内の少なくとも1つの試薬又は試料からの蒸発を最小限に抑えるステップを更に含み得る。方法はまた、容器内の少なくとも1つの試薬又は試料への光曝露を最小限に抑えるステップも含み得る。試料又は試薬は、揮発性又は感光性とすることができ、蓋は、好ましくは、実質的に透明、不透明、又はUV耐性である。システムは、ステップ(b)~(d)を実施する自動化取り扱いサブシステムを含み得る。
【0013】
抽出器は、少なくとも1つのピペットチップを備え得、少なくとも1つの容器は、別の蓋で覆われ得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
添付の図面は、非限定的な例示的な実施形態を示し、本明細書の一部を形成し、それと併せて読み取られ、様々な図において、同様の参照番号を使用して同様の部分を示す。
【0015】
【
図1】切り込みパターンを有しかつ試薬の容器を覆う蓋を貫通しているピペットチップを示す。
【
図2(a)】本明細書の実施形態による容器及び取り外し可能な蓋の断面図である。
【
図2(b)】本明細書の実施形態による取り外し可能な蓋の上面図である。
【
図2(c)】本明細書の実施形態による容器及び取り外し可能な蓋の分解図である。
【
図3(a)】本明細書の実施形態による取り外し可能な蓋の上面斜視図である。
【
図3(b)】本明細書の実施形態による取り外し可能な蓋の蓋の側面図である。
【
図3(c)】本明細書の実施形態による取り外し可能な蓋の上面斜視図である。
【
図3(d)】本明細書の実施形態による、線3(d)に沿った
図3(c)の取り外し可能な蓋の断面図である。
【
図3(e)】本明細書の実施形態による、線3(e)に沿った
図3(c)の取り外し可能な蓋の断面図である。
【
図4(a)】本明細書の実施形態による、変位した隔膜部分を有する取り外し可能な蓋の3D応力プロットである。
【
図4(b)】本明細書の実施形態による、変位した隔膜部分を有する取り外し可能な蓋の3D変位プロットである。
【
図4(c)】本明細書の実施形態による、変位した隔膜部分を有する取り外し可能な蓋の3D応力プロットである。
【
図4(d)】本明細書の実施形態による、変位した隔膜部分を有する取り外し可能な蓋の3D変位プロットである。
【
図4(e)】本明細書の実施形態による、変位した隔膜部分を有する取り外し可能な蓋の3D応力プロットである。
【
図4(f)】本明細書の実施形態による、変位した隔膜部分を有する取り外し可能な蓋の3D変位プロットである。
【
図5(a)】本明細書の実施形態による、マルチウェルプレートのためにサイズ決定及び寸法決定された取り外し可能な蓋の分解図である。
【
図5(b)】本明細書の実施形態による、マルチウェルプレートのためにサイズ決定及び寸法決定された取り外し可能な蓋の分解図である。
【
図6】本明細書の実施形態による取り外し可能な蓋の複合体の分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
自動化機器は、分析されるべき試料、アッセイ消耗品、又は試薬が装填された後、実質的に技術者からの入力なしに、指示に従って分析又はアッセイを実行する機器である。そのような自動化機器は、多くの場合、自動化液体取り扱いシステムを含む。自動化機器によって実施される分析又はアッセイの継続時間は、数時間延長され得、その間、トリプロピルアミン(TPA)、エタノール、及びアセトニトリルなどの試薬、又は試料のうちの一部は、蒸発し得る。他の試薬又は試料は、光に対して感受性であり得る。したがって、自動化計装システムの使用に関連付けられた試薬容器、試料容器(例えば、アッセイプレート)、トラフ、及び他の容器は、頻繁に、蓋を必要とする。
【0017】
蓋を取り外すための従来の方法、システム、及びデバイスは、いくつかの欠点を導入し得る。第一に、いくつかの既存のシステムにおいて蓋を取り外すために採用されるロボットアーム(又は他のロボット蓋取り外しデバイス)は、これらのシステムにおける自動化ピペッティングヘッドに衝突するか、又は別様に干渉し得る。自動化ロボット蓋取り外しデバイス及び自動化ピペッタは両方とも、独立して動作し得るが、それらは、同じ体積内で動作し得、したがって、互いに接触、衝突、又は別様に干渉するリスクが生じ得る。
【0018】
第ニに、システム実行時間(例えば、アッセイの全てのステップを実行する時間)は、アッセイ実行中に蓋を取り外すためのロボット蓋取り外しデバイスを導入する必要性の故に、著しく長引き得る。蓋は、開放容器によって発生する蒸発及び他の問題を低減するために、できるだけ長くシステム内の容器に留められ得る。したがって、ピペッティング動作は、ロボット蓋取り外しデバイスによる蓋の取り外しを可能にするために一時的に中断されなければならない。場合によっては、ロボット蓋取り外しデバイスと自動化ピペッタとが干渉しないことを確実にするために、自動化ピペッタは、ロボット蓋取り外しデバイスの導入を可能にするために、作業体積から取り外され得る。作業体積内の2つの自動化コンポーネントの前後にスワップさせることは、アッセイ実行に、かなりの時間を付加する可能性がある。
【0019】
第三に、ロボット蓋取り外しデバイスと自動化ピペッタとの間の切り替えにより、ピペッティングが起こる前に、試薬、試料、及び他の流体が蓋のない環境に曝露される時間が長くなる。したがって、蓋は、容器を覆っている間に蒸発を防止するにもかかわらず、自動化コンポーネントを切り替えるのにかかる時間は、蒸発が生じ得る時間帯を作り出す。
【0020】
第四に、いくつかのシステムでは、ロボット蓋取り外しデバイスは、特定の特徴を有する特定の種類の蓋で動作するように設計及び最適化されている。これにより、特定のシステムにおける特定の蓋の使用が必要となる。したがって、異なるタイプの製品に供給され得る異なるタイプの蓋の使用は、限定され得る。
【0021】
本開示の態様は、これらの欠点の各々に対処する。本開示は、トラフ、試薬容器、アッセイプレート、及び他の容器のための取り外し可能な蓋、並びにそれらの使用方法を対象とする。本明細書に開示されるように、蓋及び容器は、物質収容システムを構成し得る。蓋は、ロボット又は自動化ピペッタなどの、自動化、半自動化、又は手動の操作システムによって容器から取り外されるように構成されている。そのようなロボットシステムは、自動化機器の一部であり得る。
【0022】
本明細書に開示され、以下により詳細に説明されるように、取り外し可能な蓋は、ピペットチップなどの1つ以上の抽出器が蓋を貫通することを可能にするように屈曲する角セグメントを画定することによって、蓋の隔膜部分を作成又は画定するスリット又は切り込みを含む。角セグメントは、抽出器の進入後に抽出器を把持するように更に構成されている。抽出器又はピペットヘッドが持ち上げられて容器から離されると、蓋も、角セグメントの把持力により、持ち上げられて離れる。実施形態では、自動化操作システムが抽出器を固体廃棄物容器内に放出すると、蓋も廃棄される。したがって、本明細書に開示される取り外し可能な蓋は、自動化ピペッティングシステムのピペットヘッドによる持ち上げ及び取り外しを可能にするように構成されている。
【0023】
したがって、取り外し可能な蓋は、蓋の取り外しを達成するための特定のロボット蓋取り外しデバイスの使用の必要性を排除することによって、上で考察される問題に対処する。蓋取り外しのタスクに自動化ピペッティングシステムを採用することにより、自動化蓋取り外しシステムに関連付けられた欠点のうちの多くが、低減又は排除され得る。第一に、ロボット蓋取り外しデバイス及び自動化ピペッティングシステムの両方を同じ作業体積内で動作させる必要がないので、そのようなシステム間の衝突、接触、及び/又は干渉の可能性は、大幅に低減され得る。第ニに、ロボット蓋取り外しデバイス及び自動化ピペッティングシステムの両方を同じ作業体積内で動作させる必要がないので、1つの自動化コンポーネントと別の自動化コンポーネントとの間で切り替える必要がない。これにより、そのような切り替えによって生じる余分な実行時間が排除される。第三に、蓋を取り外すために使用される自動化ピペッティングシステムは、作業体積内の自動化システムを切り替える必要なしに、ピペッティングの目的で直ちに使用され得るので、蒸発が低減され得る。最後に、本明細書に開示の取り外し可能な蓋は、増加された普遍性を提供し得る。本明細書に開示の取り外し可能な蓋は、ピペッティングヘッドによって取り外すように構成されているので、それらは、対応するように特別に設計/構成されたロボットグリッパ又は蓋取り外しデバイスの必要性を排除し得る。したがって、本明細書に記載されるような取り外し可能な蓋は、より多くの既存システムに対応し得る。
【0024】
ピペットヘッドが貫通することを可能にする特徴部を有する蓋が確実に取り付けられているいくつかの試薬容器が存在するが、これらは、本実施形態に開示される蓋とは著しく異なる。ピペットチップなどのプローブは、これらの取り付けられた蓋を押し分けて容器内の液体試薬にアクセスする。これらの蓋は、自動化システムの動作中ずっと、試薬容器上に留まる必要がある。そのような蓋が、本明細書に記載の実施形態と一致する様態でピペットヘッドを把持する場合、それらは意図されたようには動作せず、システム及びアッセイの実行失敗を引き起こし得る。スリットを有するそのような取り付けられた蓋の欠点は、それらが試薬容器に着設されたまま又は付着したままであること、その中の液体内容物にアクセスするには、分析のために液体試薬が必要とされるたびに、プローブをスリットにしっかりと位置合わせする必要があること、及びエラストマー性蓋の通過特徴部を押し分けるために、相対的に大きな力が必要であることである。
【0025】
本明細書で考察される実施形態は、抽出器としてのピペットヘッドの使用に関して記載されるが、ピペットヘッドの形状及びサイズを有する任意のデバイス又は構造を含む、他の好適な抽出器が使用され得る。システムに追加材料を追加する必要がないので便利であり得るが、抽出器がピペットヘッドである必要はない。いくつかの実施形態は、ピペットヘッドの特徴部の全てを有さずに、自動化ピペッティングシステムで使用するように構成された構造を含み得る。例えば、そのような構造は、固体コアを有し得、かつ/又はピペットヘッドとは異なる材料から作製され得る。
【0026】
本開示は更に、自動化機器を含むが、これに限定されない、システム又は機器内の容器から蓋を取り外すための方法を対象とする。方法は、例えば、自動化システム又は機器内での蒸発又は光曝露を最小限に抑えること、並びにいくつかのロボット蓋取り外しデバイス及び/又はシステムに関連付けられた上述の欠点を低減することに有用であり得る。開示された方法において、試薬又は試料の容器のリップ又は上方部分に取り外し可能に嵌合する蓋が提供される。システム又は機器の操作員は、実験器具をシステム又は機器に装填する前に、これらの容器の上に蓋を載置し得る。蓋は、蒸発又は光への曝露を最小限に抑えるために、容器内の試料又は試薬を使用するまで、適所に留められ得る。抽出器、好ましくは自動化ピペッティングシステム又は液体取り扱い/操作システムに取り付けられた使い捨てピペットチップを使用して、切り込みパターン又は隔膜部分において蓋を突き抜き得る。抽出器と蓋との間の摩擦力又は把持力が、蓋を、抽出器に取り付けられたまま又は付着したままにする。抽出器が持ち上げられて容器から離れると、蓋が取り外され、抽出器が放出されるとき、蓋は廃棄される。開示の方法の利点は、従来技術に記載の、複雑な、退去用又は蓋取り外し装置を必要としないことである。更に、発明の方法は、抽出器としてのピペットチップなどの、自動化アッセイ機器に通常含まれる消耗品を利用して蓋を取り外し、それによって、蓋の取り外しプロセスを簡略化する。
【0027】
非限定的な実施形態では、開示された本開示の蓋は、これらに限定されないが、部分的に自動化された、例えば、1つ以上のモジュール式機器、又は完全統合型自動化機器を含む自動化技術において使用され得る。代替的に、開示された蓋は、任意のアッセイ又は液体取り扱い若しくは操作システムにおいて使用され得る。
【0028】
(モジュール式及び完全統合型の)例示的な自動化システム又は自動化機器は、以下の自動化サブシステムを含み得る:ハードウェア(例えば、パーソナルコンピュータ、ラップトップ、ハードウェアプロセッサ、ディスク、キーボード、ディスプレイ、プリンタ)、ソフトウェア(例えば、ドライバ、ドライバコントローラ、及びデータアナライザなどのプロセス)、並びにデータベースを含み得るコンピュータサブシステム;液体取り扱い又は操作サブシステム、例えば、試料取り扱い及び試薬取り扱い、例えば、ロボットピペッティングヘッド、シリンジ、攪拌装置、超音波混合装置、磁気混合装置;試料、試薬、及び消耗品の保管及び取り扱いサブシステム、例えば、ロボットマニピュレータ、チューブ又は蓋又は箔穿通装置、蓋取り外し装置、線形及び円形コンベヤなどの運搬装置、並びにロボットマニピュレータ、チューブラック、プレート搬送器、トラフ搬送器、ピペットチップ搬送器、プレート振盪器;例えば流体ベース並びに(チューブ及びマルチウェルプレートなどの)消耗品ベースのアッセイ反応サブシステム;容器及び消耗品洗浄サブシステム、例えばプレート洗浄装置;例えば、フローセル、チューブ、及びプレートタイプの、磁気分離器又は磁性粒子濃縮サブシステム;比色、蛍光、及びECL検出器などの検出サブシステム;温度制御サブシステム、例えば、空気取り扱い、空気冷却、空気加温、ファン、送風機、水浴;廃棄物サブシステム、例えば、液体及び固体廃棄物容器;グローバル固有識別子(GUI)検出サブシステム、例えば、フラットベッド及びペン型などの1D及び2Dバーコードスキャナ、並びにRFID読み取りデバイス。
【0029】
試料調製を実行するシステム又はモジュールは、アッセイを実行する、検出を実行する、又はその両方を実行するシステム又はモジュールと組み合わせられ得る(あるいは、それらに付加されるか、又は隣接するか、又はロボット的にリンク若しくは結合され得る)。同種の複数のモジュール式システムが、スループットを増加させるために組み合わされ得る。モジュール式システムは、化学分析、生化学分析、及び核酸分析などの他のタイプの分析を行うモジュールと組み合わされ得る。
【0030】
本開示と一致する自動化システムは、バッチ、ランダムアクセス、及びポイントオブケアのワークフロー、並びに単一の、中位の、及び高い試料スループットを可能にし得る。システムは、例えば、以下のデバイスのうちの1つ以上を備え得る:プレートシーラ(例えば、Skymark)、プレート洗浄器(例えば、TECAN、Biotech)、試薬ディスペンサ及び/又は自動化ピペッティングステーション及び/又は液体取り扱いステーション(例えば、Skymark、Lab systems、Beckman、TECAN)、インキュベータ(例えば、Skymark)、プレート振盪器(例えば、Skymark)、化合物ライブラリ若しくは試料保管器並びに/又は化合物及び/若しくは試料回収モジュール。これらのデバイスのうちの1つ以上が、発明の装置にロボットアセンブリを介して結合され、したがって、アッセイプロセス全体を自動的に実行することができる。更なる実施形態によれば、容器(例えば、プレート)は、それら(例えば、プレートのスタック)を手動で移動させることによって、装置と様々なデバイスとの間で手動で移動される。
【0031】
自動化システムは、以下の機能のうちの1つ以上を実行するように構成され得る:(a)プレートなどの消耗品を検出サブシステム内に、内で、及び外に移動させること、(b)消耗品を他のサブシステム間で移動させること、(c)消耗品を保管すること、(d)(例えば、試薬を混合するように、及び/又は試薬を消耗品内に導入するように適合された)試料及び試薬の取り扱い、(e)(例えば、試薬を混合するための、及び/又は反応速度を増加させるための)消耗品の振盪、(f)消耗品の洗浄(例えば、プレートを洗浄すること、及び/又はアッセイ洗浄ステップ(例えば、ウェル吸引)を実行すること)、(g)フローセル、又はチューブ若しくはプレートなどの消耗品内のECLを測定すること。自動化システムは、96又は384ウェルプレートなどのマルチウェルプレートを取り扱うように構成され得る。
【0032】
例示的な自動化システムは、上で考察される「Integrated Consumable Data Management System & Platform」と題された共同所有の国際特許出願公開第2018/017156号及び第2017/015636号、並びに「High Throughput System for Performing Assays Using Electrochemiluminescence including a Consumable Shaking Apparatus」と題された国際特許出願公開第2016/164477号に、考察及び記載されている。これらの3つの参考文献は、参照により、それらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0033】
図2(a)及び
図2(b)は、本明細書の実施形態と一致する、容器及び取り外し可能な蓋を例解する。蓋(10a)及び容器(14a)は、物質収容システム(5a)を構成する。取り外し可能な蓋(10a)は、その外周又は周囲に配置されたリム(27a)を有する上面(13a)を含む。上面(13a)は、材料のほぼ平面の部分である。取り外し可能な蓋(10a)は、隔膜部分(17a)を画定し、かつ容器(14a)を覆うように構成された少なくとも1つの交差切り込みパターン(12)を更に含む。交差切り込みパターン(12)は、取り外し可能な蓋(10a)の上面(13a)を貫通する少なくとも2本の交差する切り込み線を含み、複数の角セグメント(16a)を生成する星形パターンを形成して隔膜部分(17a)を画定し得る。例解されるように、蓋(10a)は、ロボット又は自動化ピペットシステムからの、
図1に例解されるピペットチップ(1021)などの抽出器が、それを通して挿入されることを可能にするための切り込みパターン(12a)を含み得る。蓋(10a)は、以下に説明されるように、蓋(10a)が容器(14a)の上に確実に静置することを可能にする深さ(d)で構成されている。十字形切り込みを通して挿入されたときの抽出器/ピペットチップ(1021)は、蓋(10a)を容器(14a)から持ち上げて輸送し、それを固体廃棄物容器内に廃棄するために使用され得る。
【0034】
図2(a)に示すように、蓋(10a)は、容器の垂直側面に著しく密着、接触、又は把持することなく、容器(14a)の上縁部の上に取り外し可能に着座し得る。蓋(10a)は、上周縁部(11a)、外側スカート(18a)、及び内側スカート(19a)を含むリム(27a)を含む。内側スカート(19a)は、蓋(10a)の上面(13a)の外周縁部からほぼ垂直上向きに突出している。上周縁部(11a)は、内側スカート(19a)から水平に延在して、環状表面を作り出している。外側スカート(18a)は、上周縁部(11a)の外周縁部からほぼ垂直下向きに突出している。したがって、リム(27a)は、容器(14a)の上部リム(25a)上に静置するのに好適な直径で構成された環状凹部(28a)を画定する。上周縁部(11a)の下面は、容器(14a)上に静置するように構成され、リム(27a)は、容器(14a)を把持しないように、又は容器(14a)に別様に取り付けられないように構成され得る。外側スカート(18a)は、容器(14a)の上部リム(25a)の直径よりも大きい直径を有し得る。内側スカート(19a)は、容器(14a)の上部リム(25a)の直径よりも小さい直径を有し得る。したがって、リム(27a)と容器(10a)との間の摩擦接触は、ゼロ又はほぼゼロに最小化又は低減される。
【0035】
例解されるように、切り込みパターン(12a)は、隔膜部分(17a)の4つの角セグメント(16a)を形成する2つの交差線分切り込みを含み得る。切り込みパターン(12a)は、任意の好適な数の交差線分、例えば、3本、4本、又は5本などの線分と、対応する数の角セグメント(16a)、例えば、6つ、8つ、又は10個などの角セグメントと、を有し得る。蓋(10a)の材料及び表面粗さは、持ち上げ動作中に、セグメント(16a)が抽出器を把持することができるように、抽出器と角セグメント(16a)との間の摩擦力が、蓋(10a)の重量を保持するのに十分であるように、ピペットチップ(1021)などの抽出器の材料及び表面粗さと併せて選択される。周縁部(11a)と容器(14a)との間、及びスカート(18a、19a)と容器(14a)との間の摩擦力は、あったとしても、容器(14a)上の蓋(10a)の嵌合の遊びにより、最小又はほぼゼロである。試料又は試薬が蓋(10a)を濡らす場合、容器に収容される試料又は試薬と蓋(10a)との間に少量の表面張力が存在し得る。角セグメント(16a)は、抽出器と併せて、蓋(10a)の重量に、容器(14a)に対して蓋(10a)を保持する任意の摩擦又は表面張力を加えたものよりも大きい持ち上げ力を生成するように構成されている。
【0036】
更なる実施形態では、上部リム(25a)は、蓋(10a)の重量に付加されたときに、蓋(10a)を持ち上げるために使用される抽出器によって隔膜部分(17a)を介して生成される力よりも小さい、容器(14a)にかかる把持力又は摩擦力を提供するように構成され得る。更なる実施形態では、内側スカート(19a)及び外側スカート(18a)は、蓋(10a)及び周縁部(11a)から、蓋(10a)に対してほぼ垂直以外の角度で突出し得る。更なる実施形態では、蓋(10a)は、円形以外の形状、例えば、正方形及び/又は長方形であり得る。そのような実施形態では、周縁部(10a)は、環状の形状ではない場合があるが、どのような形状であっても、蓋(10a)の外周に適合するように成形され得る。
【0037】
更なる実施形態では、角セグメント(16a)は、接着剤などの摩擦強化材料でコーティングされて、それらの粘着性を増加させ得る。抽出器が切り込みパターン(12a)を通して挿入された後、摩擦強化層は摩擦係数を増加させ、それによって、蓋(10a)が取り外されるときに加えられる摩擦力を増加させる。摩擦強化層が使用されるとき、より大きい重量を有する蓋が持ち上げられ得る。代替的に、摩擦強化層は、抽出器に、又は抽出器及び切り込みパターンの両方に、コーティングされ得る。
【0038】
蓋(10a)は、ポリエステル、高密度ポリエチレン(HDPE)、又はポリカーボネートなどの相対的に剛性の材料又は非エラストマー性材料から作製され得る。したがって、蓋(10a)の可撓性は、切り込みパターンによって提供され得る。蓋(10a)は、熱成形又は真空形成され得、切り込みパターン(12a)は、打ち抜きされ得る。熱成形は、プラスチックシートを加熱し、その形状を、金型上に空気圧を用いて成形するプロセスであり、真空成形は、同様のプロセスであるが、空気圧の代わりに真空を使用する。蓋(10a)は、ポリスチレン、ポリプロピレン、環状オレフィンコポリマー(COC)、又は生物学的研究で一般的に使用される任意の他の材料から作製され得る。更に、蓋10(a)は、導電性、静電気防止、及び/又は静電気散逸性材料から作製され得る。
【0039】
一貫性のない蒸発及び凝縮を更に最小限に抑えるために、蓋(10a)は、疎水性ポリマー及び/又は他の疎水性材料から作製され得る。実施形態では、蓋(10a)の底部は、疎水性コーティングでコーティングされ得るか、又は別様に疎水性にされ得る。
【0040】
本明細書に開示の蓋の質量は、通常、例えば、約5グラム未満又は約2.5グラム未満であり得る。蓋の質量は更に、約1グラム未満又は約0.75グラム未満であり得る。例えば、
図3(a)及び
図3(b)に例解される蓋(10c)は、約0.67グラムの質量を有し得る。蓋の重量は、単に、海面における重力定数約9.8m/s
2の質量倍である。
図3(a)及び
図3(b)に示される蓋(10c)の重量は、約0.006566キロポンド(又は重量キログラム)であり、これは、0.0144452lbf又は0.231重量オンスに相当する。1重量ポンド(lbf)は、海面における重力を1ポンド質量倍した積である。
【0041】
本明細書に開示されるような蓋は、約1.5重量オンス未満、好ましくは約1.25重量オンス未満の重量を有し得る。実施例では、重量は、約1重量オンス未満、約0.75重量オンス未満、又は約又は0.5重量オンス未満であり得る。
【0042】
本明細書の実施形態と一致する蓋は、約0.0025インチ~約0.030インチ、約0.005インチ~約0.020インチ、若しくは約0.0125インチ~約0.0175インチ、又は約0.015インチの上面厚さを有する高密度ポリエチレン(HDPE)又はポリ塩化ビニル(PVC)から作製され得る。蓋は、装填の前に容器内に試薬が存在するかどうかを目視で確認することを可能にするために、PVCなどの透明なプラスチックから作製され得る。蓋は、試薬が感光性である場合、高衝撃性ポリスチレンなどの不透明材料から作製され得る。蓋はまた、UV(紫外線)耐性であり得、例えば、UV耐性材料から作製され得るか、又はUV耐性コーティングでコーティングされ得る。
【0043】
図2(c)は、本明細書の実施形態と一致する蓋(10b)及び容器(14b)を例解する。蓋(10b)及び容器(14b)は、物質収容システム(5b)を構成する。蓋(10b)は、
図2(a)及び
図2(b)に例解される蓋(10a)と同様であり、明示的に記載されている場合を除き、蓋(10a)の全ての特徴及び機能性を含む。蓋(10b)は、リム(27a)のものと同様の内側スカート(19b)及び周縁部(11b)を有するが、外側スカートは含まない、リム(27b)を含む。内側スカート(19b)は、蓋(10b)の外周から上方に突出している。周縁部(11b)は、内側スカート(19b)から水平に突出する環状表面を提供し、容器(14b)の上縁部(25b)に静置する表面を提供する。更なる実施形態では、内側スカート(19a)は、蓋(10b)から、蓋(10b)に対してほぼ垂直以外の角度で突出し得る。蓋(10b)は、上述した蓋(10a)と同じ様態で、抽出器によって操作され得る。
【0044】
摩擦力は、よく理解されており、法線力、すなわち接触面に垂直な合力を、互いに接触している2つの表面間の摩擦係数倍した積である。この実施例では、抽出器はセグメント(16b)と実質的に静的接触しているので、摩擦係数は静的係数である。法線力は、セグメント(16b)によって抽出器に加えられるばね様の力によって提供される。
【0045】
図3(a)及び
図3(b)は、本開示と一致する取り外し可能な蓋(10c)の追加の実施形態を例解する。蓋(10c)は、好適な容器(図示せず)と併せて、物質収容システム(図示せず)を構成し得る。蓋(10c)は、蓋(10a)及び蓋10(b)と同様であり、明示的に記載されている場合を除き、蓋(10a)及び蓋(10b)の全ての特徴及び機能性を含む。蓋(10c)は、長方形プリズム形状を有する試薬容器に嵌合するようにサイズ決定及び寸法決定されており、その上面(13c)に2つの隔膜部分(17c)を画定する二組の切り込みパターン(12c)を有する。
図3(a)及び
図3(b)の蓋は、
図1に例解される容器(1018)などの容器に嵌合するように設計されている。ロボットピペッティングシステム又は自動化ロボットアームによって制御される2つのピペットチップ(1021)が、蓋(10c)に挿入され得る。次いで、蓋は、摩擦力によってピペットチップに固定又は取り付けられ、ピペットチップ(1021)が持ち上げられて容器(1018)から離れると、蓋(10c)も持ち上げられて離れる。ピペットチップ(1018)が放出され、廃棄されるとき、蓋(10c)もそうなる。次いで、ロボットピペッティングシステムは、開放容器(1018)内の試料又は試薬を引き出すための追加ピペットチップを取得して、アッセイ又は分析を実施又は継続し得る。
図3(a)及び
図3(b)に示される蓋(10c)は、上面(13c)の外周を取り囲む周縁部(11c)と、周縁部(11c)から突出する外側スカート(18c)と、を含むが、内側スカートは含まない、リム(27c)を含む。外側スカート(18c)は、蓋(10c)が載置される容器の上縁部を取り囲むように更に構成されている。外側スカート(18c)は、蓋(10c)が容器から滑り落ちること又は離れ落ちることを防止するのに役立ち得る。
【0046】
図3(c)~
図3(e)は、本明細書の実施形態と一致する取り外し可能な蓋(10d)及び容器(14d)を例解する。蓋(10d)及び容器(14d)は、物質収容システム(5d)を構成する。蓋(10d)は、蓋(10a)、蓋10(b)、及び蓋10(c)と同様であり、明示的に記載されている場合を除き、蓋(10a)、蓋10(b)、及び蓋10(c)の全ての特徴及び機能性を含む。
図3(c)~
図3(e)は、リム(27d)の全体が、蓋(10d)によって覆われる容器(14d)のリップの周縁部の内側に静置するように構成される実施形態を例解する。
【0047】
リム(27d)は、蓋(10d)の周囲で、蓋(10d)の上面(13d)からほぼ垂直下向きに突出する内側スカート(19d)と、内側スカート(19d)から全ての方向にほぼ水平に突出する周縁部(11d)と、周縁部(11d)の周囲で、周縁部(11d)からほぼ垂直上向きに突出する外側スカート(19d)とによって形成されている。更に、蓋(10d)は、外側スカート(18d)からほぼ水平に突出する外側リップ(35)を含む。蓋(10d)は、リム(27d)が容器(14d)の内側に配置されている間、外側リップ(35)が容器(14d)の上縁部に静置することができるように構成されている。更に、外側リップ(35)は、それが容器(14d)の上縁部(25d)を越えて延在しないように構成され得る。このようにして、複数の容器(14)が、並べて配置され得る。リム(27)のサイズは、容器の上の蓋(10d)に、確実ではあるが取り外し可能な嵌合を提供するように構成され得る。リム(27d)は、外側スカート(18d)と容器(14d)の内縁部との間の摩擦力と組み合わされた蓋の重量が、取り外し動作中に角セグメント(16d)によって提供される、抽出器にかかる摩擦力よりも小さくなるように構成され得る。
【0048】
実施形態では、外側スカート(18d)は、容器(14d)の内縁部に接触するように構成され得る。更なる実施形態では、外側スカート(18d)は、蓋(10d)が、外側スカート(18d)と容器(14d)との間の接触なしで、容器(14d)の上縁部に静置することができるように構成及びサイズ決定され得る。実施形態では、内側スカート(19d)、外側スカート(18d)、周縁部(11d)、及び外側リップ(35)は、蓋(10d)を容器(14d)の上に依然として好適に維持しながら、上記のものとは異なる角度で突出し得る。
【0049】
図4(a)~
図4(f)は、本明細書の実施形態と一致し、かつ4つの角セグメントを有する、簡略化された蓋設計に実施された有限要素分析(FEA)の結果を示す。分析は、切り込みパターンの周りの領域、例えば隔膜部分に限定され、切り込みパターンに加えられる力0.2lbfに基づく。角セグメントと抽出器/ピペットチップとの間の摩擦係数は、約0.250である。応力のプロット(4(a)、4(c)、4(e))は、最大プロット値が、モデル化されたような蓋の材料及び厚さの降伏強度に等しくなるように正規化されている。材料の降伏強度又は降伏点は、材料が塑性的に変形し始める応力として定義される。降伏点に到達する前、材料は、弾性的に変形し、加えられた応力が除去されると、元の形状に戻る。いったん降伏点を通過すると、変形の一部は、恒常的かつ不可逆的になる。
【0050】
図4(a)は、約0.010インチの厚さを有するHDPEの蓋の3D応力プロットを示し、
図4(b)は、その3D変位プロットを示す。
図4(c)及び
図4(d)は、0.010インチの厚さを有するPVCの蓋に基づく同様のプロットであり、
図4(e)及び
図4(f)は、0.005インチの厚さを有するPVCの蓋に基づく同様のプロットである。
図4(a)、
図4(c)及び
図4(e)は、これらの実施例の各々について、角セグメントの変位が塑性及び弾性の両方であることを示す。変形が弾性である部分は、角セグメントが、それを通して挿入された抽出器に力を提供し続け得ることを示す。変形が塑性である部分は、抽出器が取り外されると、角セグメントが元の位置に戻らないことを示す。蓋は、廃棄され、もはやカバーとして使用されないことを意図しているので、角セグメントが元の位置に戻る必要はない。
【0051】
いくつかの従来の製品では、それを通して穿刺された蓋の材料及び設計が弾性的に元の形状に戻り、したがって、弾性変形形態のままであることが要求される。カバーとしての蓋の継続的な動作のためには、そのようなことが必要である。これらに限定されないが、非エラストマー性材料を使用すること、より薄い材料を使用すること、及び蓋を容器の上に維持するために蓋と容器との間に緊密な嵌合を有する必要性を排除することなどを含む、弾性変形態様のままである蓋設計を必要としないことによって、節約が実現され得る。したがって、実施形態では、蓋の角セグメントは、抽出器がそれを通して挿入されるときに塑性変形するように構成され得る。
【0052】
図5(a)及び
図5(b)は、本明細書の実施形態と一致する蓋(10e)及び容器(14e)を例解する。蓋(10e)及び容器(14e)は、物質収容システム(5e)を構成する。蓋(10e)は、蓋10(c)と同様であり、明示的に記載されている場合を除き、蓋(10c)の全ての特徴及び機能性を含む。蓋(1010)は、容器(14e)の上に緩やかに嵌合するようにサイズ決定及び寸法決定され得る。この実施形態では、容器は、マルチウェルプレート(20)であり得る。マルチウェルプレート(20)は、試薬及び試料が充填されたとき、共同所有のWO2018/017156及びWO2017/015636、並びにWO2016/164477に開示されているものなどの振盪器/加熱器上で、かなりの量の時間、インキュベートされ得る。マルチウェルプレート(20)上に載置された蓋(10e)は、試薬及び試料の蒸発及び/又は光への曝露を低減し得る。先の実施形態と同様に、
図5(a)に例解される蓋(10e)は、上で考察されるように、抽出器又はピペットチップ(1021)によって穿通され、持ち上げられるように適合された隔膜部分(17e)を画定する少なくとも1つの(図示のように、2つの)切り込みパターン(12e)及び角セグメント(16e)を含む。蓋(10e)は、上面(13e)の外周を取り囲む外周縁部(11e)と、周縁部(11e)から突出する外側スカート(18e)と、を有するが、内側スカートを含まない、リム(27e)を含む。外側スカート18(e)は、蓋(10e)がマルチウェルプレート(20)上に載置されているとき、マルチウェルプレート(20)の上部を取り囲むように構成されている。
図5(b)に示されるように、蓋(10e)は、下向きに配向されたディンプル(35)を更に含み得る。下向きに配向されたディンプルは、蒸発した水分が凝縮し、マルチウェルプレート(20)のウェル内に滴下して戻り得る表面を提供することによって、蒸発を更に低減するのに役立ち得る。各切り込みパターン(12e)は、単一のディンプル(35)の領域内に配置される。
【0053】
図6は、本明細書の実施形態と一致する取り外し可能な蓋及び容器を例解する。
図6(b)は、蓋10(f)を断面で例解する。蓋(10f)は、容器としての試薬ボトル(21)上に設置するように構成されている。蓋(10f)及び試薬ボトル(21)は、物質収容システム(5f)を構成する。蓋(10f)は、蓋10(a)、10(b)、10(c)、10(d)、及び10(e)と同様であり、明示的に記載されている場合を除き、これらの蓋の全ての特徴及び機能性を含む。蓋(10f)は、隔膜部分(図示せず)を画定する、その上面13(f)にある切り込み線(12f)及び角セグメント(16f)と、リム(27f)と、を含む。リム(27f)は、容器(14f)の上縁部に接触し、蓋(10f)が容器(14f)上に静置することを可能にするように構成された外側スカート(18f)及び周縁部(11f)を含む。蓋(10f)は、蓋(10f)に固定された穿通可能又は脆弱な材料を含む、上面(13f)の下側に付着された封止層(26)を更に含む。封止層(26)は、蓋(10f)と容器(14f)の上部との間に封止を提供する。使用中、ピペット又は抽出器は、隔膜部分を通しての挿入の間、封止層を穿通し得る。実施形態では、蓋(10f)は、試薬ボトル(21)に予め設置され、キャップ(22)によって適所に保持されて、試薬ボトル(21)に液密封止を提供し得る。
【0054】
封止層(26)は、蓋(10f)が試薬ボトル21の上に載置されているときに、試薬ボトル21の上部を封止するように構成されている。封止層(26)は、上面13(f)と共延在的に延在し得、かつ/又は適切な封止を提供するために、より遠くに若しくはより少なく、延在し得る。実施形態では、封止層(26)は、切り込みパターン12(f)を覆うためだけに延在し得る。
【0055】
更なる実施形態では、蓋(10f)は、試薬ボトル(21)のキャップ(22)が取り外された後、例えば調製ステップ中にアッセイシステム内に置かれる前に、試薬ボトル(21)上に載置され得る。
【0056】
本明細書に開示される発明の例解的な実施形態が、上述の目的を達成することは明らかであるが、多数の改変及び他の実施形態が、当業者によって考案され得ることが理解される。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の趣旨及び範囲内に含まれるであろう全てのそのような改変及び実施形態を含むことが意図されることが理解されよう。
【国際調査報告】