(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-19
(54)【発明の名称】超音波工具、および工具を製造するための方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/32 20060101AFI20230612BHJP
B23D 71/10 20060101ALI20230612BHJP
B23B 29/12 20060101ALI20230612BHJP
B23Q 11/10 20060101ALI20230612BHJP
B23P 15/28 20060101ALI20230612BHJP
B23B 1/00 20060101ALI20230612BHJP
B25J 13/08 20060101ALI20230612BHJP
A61B 17/14 20060101ALI20230612BHJP
【FI】
A61B17/32 510
B23D71/10
B23B29/12 A
B23B29/12 Z
B23Q11/10 D
B23P15/28 Z
B23B1/00 C
B25J13/08 Z
A61B17/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022570395
(86)(22)【出願日】2021-05-18
(85)【翻訳文提出日】2023-01-06
(86)【国際出願番号】 EP2021063044
(87)【国際公開番号】W WO2021233856
(87)【国際公開日】2021-11-25
(32)【優先日】2020-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520513082
【氏名又は名称】ボソニック・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】BOSONIC AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソッタス,ロイク
(72)【発明者】
【氏名】トッリアーニ,ローラン
(72)【発明者】
【氏名】アッシェリマン,マルセル
(72)【発明者】
【氏名】ハーシ,アントワーヌ
【テーマコード(参考)】
3C011
3C045
3C046
3C050
3C707
4C160
【Fターム(参考)】
3C011EE06
3C045AA03
3C046MM07
3C046MM08
3C050CA00
3C707AS12
3C707CY13
3C707CY34
3C707KS29
3C707KS34
3C707KX07
3C707LU01
4C160JJ42
4C160LL04
(57)【要約】
超音波器具において用いるための超音波切削工具であって、この工具は、管状ブランクの一部分を扁平にすることによってブランクから製造されるブレード(10)であり、このブレード(10)は、切削に用いられるように設計された扁平部(11)と、管状部(13)と、扁平部(11)を管状部(13)に接合する遷移部(12)とを備え、管状部(13)は、ブレード(10)を超音波発生器に取り付けるための取付部(14)に接合されるか、またはこの取付部(14)を含み、冷却液を遠位端に導くかまたは手工具における粒子を吸引するための導管である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波器具において用いるための超音波切削工具であって、前記工具は、管状ブランクの一部分を扁平にすることによって前記ブランクから製造されるブレード(10)であり、前記ブレード(10)は、
切削に用いられるように設計された扁平部(11)と、
管状部(13)と、
前記扁平部(11)を前記管状部(13)に接合する遷移部(12)と、
を備え、
前記管状部(13)は、前記ブレード(10)を超音波発生器に取り付けるための取付部(14)に接合されるか、または前記取付部(14)を含む、工具。
【請求項2】
前記扁平部(11)は、前記ブレード(10)の内部に沿って流体を誘導するのに適した1つまたは複数のチャネル(20)を形成する、請求項1に記載の工具。
【請求項3】
前記扁平部(11)は、前記1つまたは複数のチャネル(20)と流体連通する1つまたは複数の孔(22)を含む、請求項1または2に記載の工具。
【請求項4】
前記扁平部(11)の1つまたは複数の縁部(25)、(26)、(27)は歯を含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の工具。
【請求項5】
前記扁平部(11)の1つまたは複数の縁部(25)、(26)、(27)は、刃先を構成するように機械加工される、先行する請求項のいずれか1項に記載の工具。
【請求項6】
前記扁平部(11)の1つまたは複数の縁部(25)、(26)、(27)は、前記1つまたは複数のチャネル(20)と液体連通する開口部を構成する1つまたは複数のノッチ(21)を含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の工具。
【請求項7】
前記扁平部(11)の外面は、特に歯または溝を有する構造化表面(23)を含むように機械加工される、先行する請求項のいずれか1項に記載の工具。
【請求項8】
前記扁平部(11)は、特に、前記扁平部(11)が延在する長手方向に沿って延びる、1つまたは複数の溶接線(24)を含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の工具。
【請求項9】
前記1つまたは複数の溶接線(24)は、前記扁平部(11)が延在する方向に別個の長手方向チャネル(20)を生成する、先行する請求項のいずれか1項に記載の工具。
【請求項10】
前記1つまたは複数の溶接線(24)は、前記扁平部(11)の遠位端の方向に流れる冷却剤を、前記扁平部(11)の側面に向けて分配するように配置される、先行する請求項のいずれか1項に記載の工具。
【請求項11】
前記取付部(14)は雌ねじまたは雄ねじ(15)を備える、先行する請求項のいずれか1項に記載の工具。
【請求項12】
前記取付部(14)は、前記管状部(13)の内側と液体連通する長手方向の導管(32)を備える、先行する請求項のいずれか1項に記載の工具。
【請求項13】
先行する請求項のいずれか1項に記載のブレード(10)を製造するための方法であって、前記方法は、
・ 管状ブランクを設けること、
・ 前記扁平部(11)を形成するように前記ブランクの遠位端を押圧し、前記ブランクの近位端を管状形状で残し、前記管状部(13)を構成すること、
・ 前記ブランクの前記近位端を機械加工して、前記取付部(14)を形成するか、または前記近位端に取付要素を取り付けて、前記取付部(14)を形成すること、
を含む、方法。
【請求項14】
前記扁平部(11)が形成される前に、前記扁平部(11)の表面は機械加工され、および/または1つもしくは複数の孔(22)が作成され、および/または1つもしくは複数のノッチ(21)が作成される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記扁平部(11)が形成された後に、前記扁平部(11)の表面は機械加工され、および/または1つもしくは複数の孔(22)が作成され、および/または1つもしくは複数のノッチ(21)が作成される、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか1項に記載の切削工具を装備するように構成されたロボットシステムであって、前記ロボットシステムは、前記工具を適用して、物体または工作物を機械加工するようプログラムされる、ロボットシステム。
【請求項17】
前記工具が取り付けられ、前記工具を動かすことが可能なマニピュレータアームを備え、前記工具は、前記マニピュレータアームを通じて冷却液を提供され、特に、前記マニピュレータアームの少なくとも1つの最も遠位のリンクのケーシング内部に冷却液導管が配置される、請求項16に記載のロボットシステム。
【請求項18】
前記工具が前記工作物に適用される領域から前記工具を回収することなく、前記工作物を中断なしで順次機械加工するように前記工具を適用するようにプログラムされた、請求項16または17に記載のロボットシステム。
【請求項19】
前記工具を回収することなく前記工具の2つ以上の異なる機能を用いて前記工作物を機械加工するように前記工具を適用するようにプログラムされ、特に、前記機能は、材料の切削、鋸引き、やすりがけ、および吸引である、請求項18に記載のロボットシステム。
【請求項20】
前記工作物の異なる側面、特に、前記工作物の表面法線が互いに45°超または90°超の角度に向けられた工作物の表面を、機械加工するように工具を適用するようにプログラムされた、請求項16~19のいずれか1項に記載のロボットシステム。
【請求項21】
前記工作物を、少なくとも2分または3分または4分または5分または6分間、中断なしで順次機械加工するように前記工具を適用するようにプログラムされた、請求項16~20のいずれか1項に記載のロボットシステム。
【請求項22】
前記工具は、やすり、鋸またはナイフのうちの少なくとも2つの機能を含むように成形される、請求項16~21のいずれか1項に記載のロボットシステム。
【請求項23】
前記工具は、同じ機能であるが異なるパラメータを有する少なくとも2つの変形を含むように成形される、請求項22に記載のロボットシステム。
【請求項24】
前記工作物に対し前記工具によって加えられる工具力を測定するように構成された検知ユニットを備え、測定された前記工具力に従って前記工具の動きを制御するように構成された、請求項16~23のいずれか1項に記載のロボットシステム。
【請求項25】
前記工具に冷却液を間欠的に、特に、冷却液が提供される第1の持続時間と、冷却液が提供されない第2の持続時間とを交互にして提供するように構成され、特に、第1の持続時間がその後に生じる期間は、1~10秒、特に、2~5秒である、請求項16~24のいずれか1項に記載のロボットシステム。
【請求項26】
工具温度を測定するように構成された検知ユニットと、測定された工具温度に従って前記工具への冷却液の流れを制御するように構成された制御ユニットとを備える、請求項16~25のいずれか1項に記載のロボットシステム。
【請求項27】
前記検知ユニットは、前記工具のドライバ振動周波数に基づいて前記工具温度を決定するように構成され、前記ドライバ振動周波数は、前記工具の実際の共振周波数に対し連続的に適合される、請求項26に記載のロボットシステム。
【請求項28】
前記超音波ドライバの実際の動作周波数に従って前記工具への冷却液の流れを制御するように構成された、請求項16~27のいずれか1項に記載のロボットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波器具の分野に関する。本発明は、超音波器具において用いるための、特に切削または研磨機械加工のための超音波工具、およびこの工具を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波器具は、超音波エネルギーの発生器と、その近位端が発生器から超音波エネルギーを受信し、これをチップの遠位端に伝達する細長いチップまたは工具またはブレードとを有する。用途に応じて、遠位端は、プローブとして用いられる、および/または軟組織を貫通する、骨組織を切削、加工する等のための機器のために成形することができる。
【0003】
冷却液のための導管を有する超音波工具を提供することが知られている。流体は、水、または水とエタノールおよび/もしくは消毒液との混合物とすることができる。流体は、ブレードを冷却し、切削された材料を洗い流すために用いられる。米国特許第4515583号および米国特許第6165150号に示されているように、導管は流体材料を吸引するための更なる導管を提供するために二重の壁とすることができる。さらに、導管は、米国特許第5188102号におけるように、開口部を出る場合に複数に分岐する冷却水チャネルを有するか、または米国特許出願公開第2015/0005774号におけるように、超音波切削ブレードの表面を通じて水が出ることを可能にする、多孔焼結材料から作製されることが知られている。骨の切削中にブレードの効率的な冷却を得ることは、依然として今日の課題である。これらの状況において、冷却剤はブレードの周りに霧を放出し、これにより外科医の手術中の視界が乱れる。
【0004】
米国特許第5836595号は、水晶体超音波乳化吸引のための、フェイコチップとも呼ばれる眼球内手術用の超音波チップを開示している。これは、円筒形管を圧着することによって作成される扁平端を有する。
【0005】
米国特許出願公開第2019/254731号は、心臓アブレーションのためのアブレーションパッドを示している。ここで、2つのプレートを共に溶接することができ、溶接線が流体媒体のための壁およびチャネルを形成する。
【0006】
WO2018220515は、切削具と延長ロッドとの間のねじ接続を有し、延長ロッドは次にハンドピースに取り付けられる、骨切り術用の超音波切削デバイスを示す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これらのデバイスは、一般的に、機械加工または焼結等の緻密なまたは時間のかかるプロセスによって製造され、これによってコストが高くなる。効率的かつ経済的に製造することができる単純な構造の超音波切削器具が必要とされている。
【0008】
したがって、本発明の目的は、上述した欠点を克服する、最初に述べたタイプの超音波工具を作成することである。更なる目的は、工具を製造するための方法を生成することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
これらの目的は、特許請求の範囲による、超音波工具およびこの工具を製造するための方法によって達成される。
【0010】
1つの利点は、冷却剤および洗浄液が工具の内部から供給されることである。これにより、作業エリア内での水の大きな噴流の発生を回避し、それによって作業エリアにおける視認性を改善することができる。
【0011】
超音波器具において用いるための超音波切削工具は、管状ブランクの一部分を扁平にすることによってこのブランクから製造されるブレードであり、このブレードは、
切削に用いられるように設計された扁平部と、
管状部と、
扁平部を管状部に接合する遷移部と、
を備え、
管状部は、ブレードを超音波発生器に取り付けるための取付部に接合されるか、またはこの取付部を含む。
【0012】
工具は、切削または研磨機械加工のためのブレードとして超音波振動発生器に結合された超音波器具において用いることができる。工具は、長手方向に沿って工具に冷却剤を流すことによって内部から冷却することができる。逆に、工具の付近から材料を吸引することができる。扁平部は、切削工具を形成するように製造することができる。特に、扁平な平面は、やすりまたは石目やすりを構成するように成形することができ、および/または扁平部の縁部は、やすりまたは石目やすりまたはナイフを構成するように成形することができる。
【0013】
実施形態において、扁平部は、ブレードの内部に沿って流体を誘導するのに適した1つまたは複数のチャネルを形成する。チャネルは、冷却液をブレードの端部に移送することができ、および/またはブレードを通じて液体もしくは粒子を吸引することができる。
【0014】
これによって、冷却液をブレード、特に扁平部の内部を通じてこれに沿って誘導することが可能になる。そしてこれがブレードおよびその周囲を冷却する役割を果たすことができる。外部冷却と比較して、作業エリアにおける視認性がより良好である。
【0015】
流体が取付領域および扁平部の内部を通じて誘導されることによって、工具が、工具を保持し動かすロボットと組み合わせて用いるために特に適したものとなる。なぜなら、冷却剤を提供するための外部のチューブまたはホースがなくなるためである。
【0016】
同じブランクから扁平部および管状部を成形することにより、多岐にわたる長さを有する工具、特に、比較的長い工具を単純な方式で作成することが可能になる。工具の長さは、例えば、20mm~200mm、特に、40mm~150mm、特に80mm~120mmとすることができる。
【0017】
実施形態において、扁平部は、1つまたは複数のチャネルと流体連通する1つまたは複数の孔を含む。
【0018】
実施形態において、扁平部の1つまたは複数の縁部は歯を含む。
実施形態において、扁平部の1つまたは複数の縁部は、刃先を構成するように機械加工される。
【0019】
実施形態において、扁平部の1つまたは複数の縁部は、1つまたは複数のチャネルと液体連通する開口部を構成する1つまたは複数のノッチを含む。
【0020】
実施形態において、扁平部の外面は、特に歯または溝を有する構造化表面を含むように成形される。構造化表面はやすりとして機能することができる。
【0021】
歯および/または刃先および/またはノッチおよび/または構造化表面および/または孔の存在により、切削および/または研磨の効率を改善することができる。特に、孔の縁部は、切削および/または研磨に関与することができる。チャネルと液体連通した孔および/またはノッチは、切削および/または研磨が行われる場所、および冷却効果が最も必要とされ得る場所に液体を誘導する役割を果たす。
【0022】
実施形態において、扁平部は、特に、扁平部が延在する長手方向に沿って延びる、1つまたは複数の溶接線を含む。
【0023】
1つまたは複数の溶接線は、それらの間に別個の長手方向チャネルを生成することができる。
【0024】
実施形態において、取付部は雌ねじまたは雄ねじを含む。
実施形態において、取付部は、管状部の内側と液体連通する長手方向の導管を備える。
【0025】
長手方向の導管は、取付部を通じて流体を管状部内にまたは管状部の外に誘導する役割を果たすことができる。
【0026】
先行する請求項のいずれか1項に記載の工具を製造するための方法であって、本方法は、
・ 管状ブランクを設けること、
・ 扁平部を形成するようにブランクの遠位端を押圧し、ブランクの近位端を管状形状で残し、管状部を構成すること、
・ ブランクの近位端を機械加工して、取付部を形成すること、または近位端に取付要素を取り付けて、取付部を形成すること、
を含む。
【0027】
取付部は、遠位端の押圧前または押圧後に形成することができる。
実施形態において、扁平部が形成される前に、扁平部の構造化表面が作成され、および/または1つもしくは複数の孔が作成され、および/または1つもしくは複数のノッチもしくは歯が作成される。
【0028】
実施形態において、扁平部が形成された後に、扁平部の構造化表面が作成され、および/または1つもしくは複数の孔が作成され、および/または1つもしくは複数のノッチもしくは歯が作成される。
【0029】
実施形態において、構造化表面および/または1つもしくは複数の孔および/または1つもしくは複数のノッチもしくは歯は、ブランクを扁平にして扁平部を形成するプロセスにおいて作成される。
【0030】
実施形態において、扁平管が、湾曲した扁平管を形成するように曲げられる。
実施形態において、扁平管の輪郭、特にその遠位端が、非矩形の輪郭に成形される。例えば、円形、テーパ状、2つの遠位端点を有する分岐した輪郭を有する等があり得る。これにより、更なる機能性を有する工具を提供することができる。
【0031】
本発明の態様によれば、本明細書に記載の切削工具を備えるように構成されたロボットシステムが提供され、ロボットシステムは、物体または工作物を機械加工するよう工具を適用するようにプログラムされる。
【0032】
実施形態において、工作物は、動物または人間の組織の一片、特に骨である。
実施形態において、ロボットシステムは、工作物を機械加工する間、切削工具に流体冷却剤を供給するように構成される。
【0033】
工具が内部的に冷却されることにより、工具の連続的冷却をより効率的な方式で、冷却の、このため工具の温度のより良好な制御を有して行うことが可能になる。そしてこれにより、より長い機械加工時間窓が可能になる。
【0034】
そして、より長い機械加工時間窓により、工具を回収することなく工作物を機械加工することが可能になる。そうでない場合、工具を再挿入することになり、精密性が損なわれる。さらに、同じ工具を用いた異なる機能を、工具を回収することなく実施することができる。そのような機能は、材料の切削、鋸引き、やすりがけ、冷却および吸引である。
【0035】
工具をロボットマニピュレータと組み合わせることにより、それぞれ3次元切削部および形状の制御された切削または機械加工が可能になる。
【0036】
実施形態において、ロボットシステムは、工具が取り付けられ、工具を動かすことが可能なマニピュレータアームを備え、工具は、マニピュレータアームを通じて冷却液を提供され、特に、マニピュレータアームの少なくとも1つの最も遠位のリンクのケーシング内部に冷却液導管が配置される。
【0037】
実施形態において、ロボットシステムは、工具が工作物に適用される領域から工具を回収することなく、工作物を中断なしで順次機械加工するように工具を適用するようにプログラムされる。
【0038】
実施形態において、ロボットシステムは、工具を回収することなく工具の2つ以上の異なる機能を用いて工作物を機械加工するように工具を適用するようにプログラムされ、特に、機能は、材料の切削、鋸引き、やすりがけ、および吸引である。
【0039】
実施形態において、ロボットシステムは、工作物の異なる側面、特に、工作物の表面法線が互いに45°超または90°超の角度に向けられた工作物の表面を、機械加工するように工具を適用するようにプログラムされる。
【0040】
すなわち、工具を用いて、工具の2つ以上の異なる側面を機械加工する。
実施形態において、ロボットシステムは、工作物を、少なくとも2分または3分または4分または5分または6分間、中断なしで順次機械加工するように工具を適用するようにプログラムされる。
【0041】
実施形態において、工具は、やすり、鋸またはナイフのうちの少なくとも2つの機能を含むように成形される。
【0042】
例えば、工具は、やすりおよび鋸、または鋸およびナイフ等を含むことができる。これにより、機械動作を中断して工具を回収する必要なく工具を適用することが可能になる。
【0043】
実施形態において、工具は、同じ機能であるが異なるパラメータを有する少なくとも2つの変形を含むように成形される。
【0044】
例えば、工具は、粗いやすりおよび精細なやすり、または粗い鋸および精細な鋸を含むことができる。
【0045】
実施形態において、ロボットシステムは、工作物に対し工具によって加えられる工具力を測定するように構成された検知ユニットを備え、測定された工具力に従って工具の動きを制御するように構成される。
【0046】
これによって、所望の機械加工力を維持するために、工具の動きを制御することが可能になる。そして、これを用いて、機械加工速度を最適化し、および/または工具の過剰な加熱を阻止することができる。
【0047】
実施形態において、ロボットシステムは、工具に冷却液を間欠的に、特に、冷却液が提供される第1の持続時間と、冷却液が提供されない第2の持続時間とを交互にして提供するように構成された冷却剤供給ユニットを備え、特に、第1の持続時間がその後に生じる期間は、1~10秒、特に、2~5秒である。
【0048】
換言すれば、冷却液が提供される第1の持続時間は、冷却液のパルスに対応し、パルスは、期間に応じた期間長で繰り返すことができる。
【0049】
冷却液の流れが間欠的であることによって、流体の緩衝物が生成され、工具と工作物との間に維持され、それによって工具の動作が阻害されることが阻止される。冷却剤パルス中、工具の動作からのデブリを洗い流すことができる。
【0050】
実施形態において、ロボットシステムまたは冷却剤供給ユニットは、工具温度を測定するように構成された検知ユニットと、測定された工具温度に従って工具への冷却液の流れを制御するように構成された制御ユニットとを備える。
【0051】
これによって、冷却剤の流れを実際の冷却要件に適合させることが可能になり、そしてこれは、工具と工作物との間の作動条件に依拠する。
【0052】
流れの制御は、流れを連続的に変動させることによって、または特に、流れをオンおよびオフにすることによって、すなわち脈動流によって別個のステップにより行うことができる。後者の場合、コントローラは、パルス幅、またはパルス周波数または冷却剤パルスを設定することができる。
【0053】
実施形態において、検知ユニットは、工具のドライバ振動周波数に基づいて工具温度を決定するように構成され、ドライバ振動周波数は、工具の実際の共振周波数に対し連続的に適合される。
【0054】
これは、工具の温度が工具の機械特性、特にその長さに、したがって工具の実際の更新周波数に影響を及ぼすという観測に基づいている。実際の共振周波数は、その動作周波数を工具の実際の共振周波数に自動的に適合させる超音波ドライバを用いることによって決定することができる。この自動周波数適合は、多くの既存の超音波ドライバの特徴である。
【0055】
結果として、冷却剤の流れは、超音波ドライバの実際の動作周波数に従って制御することができる。
【0056】
本明細書に記載のように、工具に冷却液を間欠的に提供し、および/または流体の流れを制御し、および/または温度を測定することは、ロボットシステムが存在しない設定の一部である冷却剤供給ユニットによって実施することもできる。
【0057】
更なる実施形態は、従属請求項から明らかである。方法請求項の特徴は、デバイス請求項の特徴と組み合わせることができ、逆もまた同様である。
【0058】
本発明の主題を、添付の図面に示される例示的な実施形態を参照して以下の本文でより詳細に説明する。添付の図面は以下を概略的に示す。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【
図3】1つの実施形態によるブレードの扁平部の横方向の断面および立面図。
【
図4】1つの実施形態によるブレードの扁平部の横方向の断面および立面図。
【発明を実施するための形態】
【0060】
原則として、同一の部品は図面において同じ参照符号を設けられる。
図1はブレード10の斜視図を示し、
図2はブレードの長手方向の断面を示す。ブレード10は、遷移部12を介して管状部13に接続された作動部である扁平部11を備え、そして管状部13は取付部14に接続される。扁平部11、遷移部12、管状部13および任意選択で取付部14も、単一の管状ブランクから形成される。
【0061】
扁平部11において、管のかつての(former)管腔が長手方向チャネル20を形成し、これを用いて、管状部13を介して提供される冷却剤を誘導、分配および分注することができる。長手方向の導管32は、取付部14を通じて冷却剤を管状部13に供給するように配置される。
【0062】
取付部14によって、ブレード10は、例えば、示すように雄ねじ15によって、または雌ねじによって超音波振動発生器に取り付けることができる。
【0063】
流体の移送および分注は、ブレード10、特に扁平部11および/または遷移部12の超音波振動によって生じるポンピング効果によって向上させるかまたは促進することができる。
【0064】
図3~4は、ブレード10の扁平部の横方向の断面および立面図を示し、長手方向の溶接線24が別個のチャネル20を生成する。扁平部11の主平面は、歯または溝等の構造化表面23を含む。横方向の断面の8形状は、管を扁平にするとき、その後溶接されない場合であっても得ることができる。
【0065】
通常、第1の長手方向の縁部25、第2の長手方向の縁部26および前縁部27は、ノッチ21、歯、鋸歯状の縁を有して、もしくはブレードとして、またはこれらのおよび更には他の要素との組み合わせで、異なる形で成形されても、同じ方式で成形されてもよい。
【0066】
図5~6は、ブレード10の扁平部の横方向の断面および立面図を示し、チャネル20に対する開口部を構成する孔22が存在する。孔の縁部は切削効果を有することができる。孔22の直径は、扁平部11の長さに沿った冷却剤の分配を制御するために、長手方向に沿って変動する。これは、流れを均一に分配する役割を果たすことができる。
【0067】
図7~8は、ブレード10の扁平部の横方向の断面および立面図を示し、第1の縁部25および/または第2の縁部26および/または前縁部27のうちの1つまたは複数にノッチ21が存在する。ノッチ21は、一方で切削のための鋸歯状縁としての役割を果たし、他方で、冷却剤をチャネル20から出す導管としての役割を果たす。
【0068】
図3~8は、溶接線24、構造化表面23、孔22およびノッチ21等の要素を別個に示す。他の実施形態において、これらは組み合わされる。例えば、
図9によれば、ノッチ21は第1の縁部25に存在し、孔22は第2の縁部26の近くに配置され、第2の縁部26は刃先として成形することができる。
【0069】
更なる実施形態において、2つ以上の溶接線24が存在し、それらの間に対応する数のチャネル20が生成される。溶接線24を用いて、扁平部11の構造を強化し、それによってその固有振動周波数を変更することができる。
図10は、冷却剤を出口、この事例ではノッチ21に分配する溶接線24を示す。
【0070】
図11は、元はブランク内で同軸に配置されていたが、扁平化後にブレード10において、特に扁平部11において別個の長手方向チャネルを構成する内管33を有する更なる実施形態を示す。
【0071】
孔22およびノッチ21等の切欠きは、例えば、打抜きまたはレーザ切削によって機械加工することができる。構造化表面23等の他のより小さな構造を、レーザ彫刻またはエッチングによって作成することができる。切欠きおよび他の構造は、ブランクを扁平にして扁平部11を形成する前、またはその後にブランク上に作成することができる。
【0072】
構造化表面23および/またはノッチ21は、ブランクを扁平にして扁平部11を形成するプロセスにおいて作成することができる。
【0073】
ブレード10は、別個のチャネルを含むことができる。別個のチャネルは、扁平部11に沿って冷却剤を均一に配分するために用いることができる。代替的にまたは加えて、これらを異なる目的で用いることができる。少なくとも1つの冷却剤チャネルは、冷却剤を扁平部11に提供するために用いることができ、少なくとも1つの吸引チャネルは、扁平部11を取り囲む領域から材料を吸引するために用いることができる。
【0074】
図3に示すように、別個のチャネルは、扁平部11の対向する部分を接合する1つまたは複数の溶接線24によって形成することができる。
図11に示すように、別個のチャネルは、ブレード10内に配置され、その長手方向に延在する内管33によって形成することができる。
【0075】
特定の実施形態において、4ミリメートルの外径および約3.5ミリメートルの内径を有するステンレススチールが、チタンから作製された取付部14に圧入により接続される。取付部14は、寸法M4の、すなわち、6ミリメートルの外径を有するねじ15を有する。ブレード10の全体長は約100ミリメートルであり、扁平部11の厚みは約0.9ミリメートルである。ブレード10は、26kHzの動作周波数を有する超音波ドライバで動作することができる。ブレード自体は、約26kHzの共振周波数を有する。
【0076】
この周波数は、長手方向の振動に関し、このため、全体としてのブレード10および特に扁平部11の長手方向軸の方向における振動に関する。
【0077】
本発明は、本実施形態において説明されたが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の適用範囲内で別様に様々な形で具現化および実施することができるが明確に理解される。
【国際調査報告】