(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-19
(54)【発明の名称】伸縮可能な電極セット
(51)【国際特許分類】
A61B 5/271 20210101AFI20230612BHJP
A61B 5/291 20210101ALI20230612BHJP
【FI】
A61B5/271
A61B5/291
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022570497
(86)(22)【出願日】2021-05-21
(85)【翻訳文提出日】2022-12-23
(86)【国際出願番号】 EP2021063681
(87)【国際公開番号】W WO2021234156
(87)【国際公開日】2021-11-25
(32)【優先日】2020-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517288818
【氏名又は名称】バイオセレニティ
【氏名又は名称原語表記】BIOSERENITY
【住所又は居所原語表記】ICM-IPEPS, 47 boulevard de l’Hopital, 75013 Paris France
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】アルファウイ,ナディア
(72)【発明者】
【氏名】アリスティデス,アレクサンドル
(72)【発明者】
【氏名】フルアン,マーク
(72)【発明者】
【氏名】ゲルモンプレズ,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】コカ,エキン
(72)【発明者】
【氏名】メルシェ,メイリス
(72)【発明者】
【氏名】パリゼル,ファビアン
(72)【発明者】
【氏名】プロト,ピエール
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127LL04
4C127LL15
4C127LL18
(57)【要約】
本発明は、伸縮可能な電極セットに関し、伸縮する電極セットを使用する方法、電極セットシステム、および電極セット(100)を製造する方法が本明細書で説明される。電極セット(100)の様々な例は、電極セットの変形を可能にする形状を有するコネクタ(104)によって互いに物理的に接続されたノード(102)を含む。コネクタ(104)の形状および材料は、監視対象の身体部位にアライメントマーカを配置すると、測定が行われる身体部位上の正しい位置にノード(102)が至るように、一貫した変形を提供するように設計される。電極セット(100)は、様々な構成においてセンサ、エミッタ、またはセンサおよびエミッタを含んでよい。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極セット(100)であって、前記電極セット(100)は、
少なくとも1つの第1のノード(102)および1つの第2のノード(102)を備える複数のノード(102)であって、前記第1のノード(102)は、研究対象の部位の第1の部分から電磁エネルギを受け取るための第1のパッド(402)を備え、前記第2のノード(102)は、前記研究対象の部位の第2の部分から電磁エネルギを受け取るため、または前記研究対象の部位の第1の部分に信号を送信するための第2のパッド(402)を備える、ノード(102)と、
前記第1のノード(102)を前記第2のノード(102)に接続する少なくとも1つのコネクタ(104)であって、前記コネクタ(104)は、前記第1のノード(102)または前記第2のノード(102)に引張力が付与される際に、前記第1のノード(102)と前記第2のノード(102)との間の第1の距離から、前記第1のノード(102)と前記第2のノード(102)との間の1つ以上の第2の距離への一貫した変形を提供する形状から形成され、未変形状態において、前記第1のノード(102)および前記第2のノード(102)は平面状であり、変形状態において、前記第1のノード(102)および前記第2のノード(102)は非平面状であり、前記コネクタ(104)の長さは前記未変形状態から前記変形状態まで一定である、コネクタ(104)と、
前記第1のノード(102)または前記第2のノード(102)のどちらかに固定された少なくとも1つのアライメントマーカ(110)であって、前記少なくとも1つのアライメントマーカ(110)は、前記研究対象の部位の被験体上のランドマークに取外し可能に固定され、前記アライメントマーカ(110)が前記ランドマークに固定されている際に、前記第1のノード(102)または前記第2のノード(102)のどちらかに前記引張力を伝達するように構成される、アライメントマーカ(110)と、
前記コネクタ(104)内の第1のワイヤ(302)であって、前記第1のワイヤ(302)は、前記第1のノード(102)の第1のパッド(402)と電気的に連通し、測定リード(106)まで延びる、第1のワイヤ(302)と、
前記コネクタ(104)内の第2のワイヤ(302)であって、前記第2のワイヤ(302)は、前記第2のノード(102)の第2のパッド(402)と電気的に連通しかつ前記測定リード(106)まで延び、前記測定リード(106)は、監視/入力デバイス内に挿入される測定コネクタ(104)を終端とする、第2のワイヤ(302)と、
を備える、電極セット(100)。
【請求項2】
複数の第3のノード(102)であって、前記複数の第3のノード(102)の少なくとも一部が、前記研究対象の部位の複数の第3の部分から電磁エネルギを受け取るための第3のパッド(402)を備える、第3のノード(102)と、
前記複数の第3のノード(102)の少なくとも1つを前記第1のノード(102)または前記第2のノード(102)のどちらかに接続する複数の第2のコネクタ(104)であって、前記複数の第2のコネクタ(104)は、前記少なくとも1つのアライメントマーカ(110)に引張力が付与されると、前記複数の第3のノード(102)の少なくとも一部の間の第1の距離から、前記複数の第3のノード(102)の少なくとも一部の間の1つ以上の第2の距離への一貫した変形を提供する形状から形成され、未変形状態において、前記複数の第3のノード(102)は平面状であり、変形状態において、前記複数の第3のノード(102)は非平面状である、第2のコネクタ(104)と、
を更に備える、請求項1に記載の電極セット。
【請求項3】
前記複数の第3のノード(102)の1つ以上に固定された複数の第2のアライメントマーカ(110)を更に備え、前記複数の第2のアライメントマーカ(110)は、前記研究対象の部位の被験体上の複数の第2のランドマークに取外し可能に固定され前記複数の第2のアライメントマーカ(110)は、前記ランドマークに固定されると、前記複数の第3のノード(102)の少なくとも一部に前記引張力を伝達するように構成される、請求項2に記載の電極セット。
【請求項4】
前記第1のノード(102)に固定された第1のパッド補強材(406)を更に備え、前記第1のパッド補強材(406)は、前記第1のパッド(402)と前記第1のワイヤ(302)との間の電気接続を確保する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電極セット。
【請求項5】
前記少なくとも1つのコネクタ(104)は、プラスチック基板、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、または非導電性ポリエステルまたはポリマを備える、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電極セット。
【請求項6】
前記形状は、正弦波形状を備える、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電極セット。
【請求項7】
前記形状は、螺旋形状、二重螺旋形状、馬蹄形状、または角張った形状を備える、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電極セット。
【請求項8】
前記パッド(402)は、導電性または半導電性の材料を備える、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の電極セット。
【請求項9】
前記第1のパッド(402)および/または前記第2のパッド(402)は、銅、アルミニウム、ステンレス鋼、金、銀、またはそれらの合金を備える、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の電極セット。
【請求項10】
前記第1のワイヤ(302)および/または前記第2のワイヤ(302)は、銅、アルミニウム、ステンレス鋼、金、銀、またはそれらの合金を備える、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の電極セット。
【請求項11】
前記第1のパッド(402)は第1の通過孔(408)を備え、前記第2のパッド(402)は第2の通過孔(408)を備え、前記第1の通過孔(408)および前記第2の通過孔(408)は、皮膚との電気接触を高める導電性材料の注入を可能にする開口部である、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の電極セット。
【請求項12】
前記電磁エネルギは、近赤外光、赤外光、または可視光である、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の電極セット。
【請求項13】
第4のノード(102)を更に備え、前記第4のノード(102)は、前記第3のパッド(402)からの電磁伝送によって生じる電磁エネルギを受け取るための第4のパッド(402)を備える、請求項2乃至12のいずれか1項に記載の電極セット。
【請求項14】
少なくとも1つの第3のノード(102)は、センサを受け入れるために構成される、請求項2乃至13のいずれか1項に記載の電極セット。
【請求項15】
被験体の部位の電気生理信号を測定する方法であって、前記方法は、
請求項1乃至14のいずれか1項に記載の電極セット(100)を、測定対象の部位に近接して配置することと、
前記少なくとも1つのアライメントマーカ(110)を、前記研究対象の部位の被験体上のランドマークに固定することと、
測定リード(106)を監視/入力デバイスに接続することと、
前記監視/入力デバイスにおいて監視アプリケーションをインスタンス化し、前記被験体の部位の電気生理信号の測定を開始することと、
を備える、方法。
【請求項16】
前記第1のパッド(402)の第1の通過孔(408)および前記第2のパッド(402)の第2の通過孔を介して導電性、音波、または光透過性の材料を注入することを更に備える、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
センサセットシステム(500)であって、
-前記監視/入力デバイスは、前記第1のパッドまたは前記第2のパッドから受信した電気生理信号のデータを受信するように構成される、請求項1乃至14のいずれか1項に記載のセンサセット(100)と、
-前記電気生理信号のデータを受信するため、または前記監視/入力デバイスに命令を送信するために、前記監視/入力デバイスと通信する監視サービスと、
を備える、センサセットシステム(500)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被験者から生理信号を取得するためのシステムおよび方法の分野に関する。特に、本発明は、電気生理信号を測定するための電極のセットに関する。
【背景技術】
【0002】
電気生理信号の取得は、現在の医療技術において非常に重要である。心臓(心電
図ECG)、脳(脳波
図EEG)、神経(筋電
図EMG)、または妊婦(胎児心電図またはfECG)の電気活動や他の電気測定(目に関する眼電図(EOG)、腸活動に関するERG EEGなど)は、一般に、診断または監視の目的で記録される。また、電気信号による刺激や被験者の身体の一部のインピーダンス測定に基づく撮像(EIT:電気インピーダンストモグラフィ)は、医療行為において急速に普及している。電気生理信号の正確な測定を実現するためには、測定用電極を正確に設置することが必要である。刺激または撮像のための電極を正しく配置することが、正確な読取りのために必要である。
【0003】
同様に、所与の病状により、特定の配置の電極(または他のセンサ)と、発光ダイオードや感光体またはシリコン集積セル(MEMS)を用いて作られたセンサなどの他の種類の皮膚接触型センサとの相互配置が必要である場合、多くの医療事例において、正しい測定のために、正確な位置精度の実現が必要とされる。
【発明の概要】
【0004】
したがって本発明は、
-第1のノードおよび第2のノードであって、第1のノードは、研究対象の部位の第1の部分から電磁エネルギを受け取るための第1のパッドを備え、第2のノードは第2のパッドを備える、第1のノードおよび第2のノードと、
-第1のノードを第2のノードに接続するコネクタであって、コネクタは、第1のノードまたは第2のノードに引張力が付与される際に、第1のノードと第2のノードとの間の第1の距離から、第1のノードと第2のノードとの間の1つ以上の第2の距離への一貫した変形を提供する形状から形成され、未変形状態において第1のノードおよび第2のノードは平面状であり、変形状態において第1のノードおよび第2のノードは非平面状であり、コネクタの長さは未変形状態から変形状態まで一定である、コネクタと、
-第1のノードまたは第2のノードのどちらかに固定された少なくとも1つのアライメントマーカであって、少なくとも1つのアライメントマーカは、研究対象の部位の被験体上のランドマークに取外し可能に固定され、少なくとも1つのアライメントマーカがランドマークに固定されている際に、第1のノードまたは第2のノードのどちらかに引張力を伝達するように構成される、アライメントマーカと、
を備える電極セットに関する。
一貫した変形を提供する形状から形成されたコネクタという表現は、コネクタが、一貫した変形を提供するように構成された形状を有すると理解されてもよい。有利には、本開示の電極セットは、その未変形状態において平面状であり、多数の電極セットの小型格納を可能にする。この態様は特に、たとえば多数の異なる医療システム/デバイスを移動のために格納しなければならない救急車のために関心が高い。
【0005】
1つの実施形態によると、第2のパッドは、研究対象の部位の第2の部分から電磁エネルギを受け取るため、または研究対象の部位の第1の部分に信号を送信するためのものである。
【0006】
1つの実施形態によると、電極セットは更に、第1のノードの第1のパッドと電気的に連通し、測定リードまで延びる、コネクタ内の第1のワイヤを備える。
【0007】
1つの実施形態によると、電極セットは更に、第2のノードの第2のパッドと電気的に連通し、監視/入力デバイス内に挿入される測定コネクタを終端とする測定リードまで延びる、コネクタ内の第2のワイヤを備える。
【0008】
1つの実施形態によると、電極セットは更に、複数の第3のノードであって、複数の第3のノードの少なくとも一部が研究対象の部位の複数の第3の部分から電磁エネルギを受け取るための第3のパッドを備える、第3のノードと、複数の第3のノードの少なくとも1つを第1のノードまたは第2のノードのいずれかに接続する複数の第2のコネクタであって、複数の第2のコネクタは、少なくとも1つのアライメントマーカに引張力が付与される際に、複数の第3のノードの少なくとも一部の間の第1の距離から、複数の第3のノードの少なくとも一部の間の1つ以上の第2の距離への一貫した変形を提供する形状から形成され、未変形状態において複数の第3のノードが平面状であり、変形状態において複数の第3のノードが非平面状である、第2のコネクタとを備える。
【0009】
1つの実施形態によると、電極セットは更に、複数の第3のノードの1つ以上に固定された複数の第2のアライメントマーカを備え、複数の第2のアライメントマーカは、研究対象の部位の被験体上の複数の第2のランドマークに取外し可能に固定され、複数の第2のアライメントマーカは、ランドマークに固定されると、複数の第3のノードの少なくとも一部に引張力を伝達するように構成される。
【0010】
1つの実施形態によると、電極セットは更に、第1のノードに固定された第1のパッド補強材を備え、パッド補強材は、パッドと第1のワイヤとの間の電気接続を確保する。
【0011】
1つの実施形態によると、コネクタは、プラスチック基板、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、または非導電性ポリエステルまたはポリマを備える。
【0012】
1つの実施形態によると、形状は、正弦波形状を備える。この実施形態は、有利には、コネクタがどの程度引張されるかに依存して、ノード間の間隔が第1の距離から1つ以上の第2の距離に変更されることを可能にする。
【0013】
1つの実施形態によると、形状は、螺旋形状、二重螺旋形状、馬蹄形状、または角張った形状を備える。
【0014】
1つの実施形態によると、第1のパッドおよび/または第2のパッドは、導電性または半導電性の材料を備える。
【0015】
1つの実施形態によると、第1のパッドおよび/または第2のパッドは、銅、アルミニウム、ステンレス鋼、金、銀、またはそれらの合金を備える。
【0016】
1つの実施形態によると、第1のワイヤおよび/または第2のワイヤは、銅、アルミニウム、ステンレス鋼、金、銀、またはそれらの合金を備える。
【0017】
1つの実施形態によると、第1のパッドは第1の通過孔を備え、第2のパッドは第2の通過孔を備え、第1の通過孔および第2の通過孔は、皮膚との電気接触を高める導電性材料の注入を可能にする開口部である。
【0018】
1つの実施形態によると、電極セットは更に第3のノードを備え、第3のノードは、電磁エネルギを伝送するための第3のパッドを備える。
【0019】
1つの実施形態によると、電磁エネルギは、近赤外光、赤外光、または可視光である。
【0020】
1つの実施形態によると、電極セットは更に第4のノードを備え、第4のノードは、第3のパッドからの電磁伝送によって生じる電磁エネルギを受け取るための第4のパッドを備える。
【0021】
1つの実施形態によると、電極セットは更に、センサを受け入れるための第3のノードを備える。
【0022】
また本発明は、被験体の部位の信号を測定する方法にも関し、その方法は、
-電極セットを、測定対象の部位に近接して配置することであって、電極セットは、
-第1のノードおよび第2のノードであって、第1のノードは、研究対象の部位の第1の部分から電磁エネルギを受け取るための第1のパッドを備える、第2のノードは、研究対象の部位の第2の部分から電磁エネルギを受け取るための第2のパッドを備える、第1のノードおよび第2のノードと、
-第1のノードを第2のノードに接続するコネクタであって、コネクタは、第1のノードまたは第2のノードに引張力が付与される際に、第1のノードと第2のノードとの間の第1の距離から、第1のノードと第2のノードとの間の1つ以上の第2の距離への一貫した変形を提供する形状から形成され、未変形状態において第1のノードおよび第2のノードは平面状であり、変形状態において第1のノードおよび第2のノードは非平面状であり、コネクタの長さは未変形状態から変形状態まで一定である、コネクタと、
-第1のノードまたは第2のノードのいずれかに固定された少なくとも1つのアライメントマーカであって、少なくとも1つのアライメントマーカは、研究対象の部位の被験体上のランドマークに取外し可能に固定され、少なくとも1つのアライメントマーカは、ランドマークに固定されている際に、第1のノードまたは第2のノードのどちらかに引張力を伝達するように構成される、アライメントマーカと、
-コネクタ内の第1のワイヤであって、第1のワイヤは、第1のノードの第1のパッドと電気的に連通しかつ測定リードまで延びる、第1のワイヤと、
-コネクタ内の第2のワイヤであって、第2のワイヤは、第2のノードの第2のパッドと電気的に連通しかつ測定リードまで延び、測定リードは、監視/入力デバイス内に挿入される測定コネクタを終端とする、第2のワイヤと、
を備える電極セットを、測定対象の部位に近接して配置することと、
・少なくとも1つのアライメントマーカをランドマークに固定することと、
・測定リードを監視/入力デバイスに接続することと、
・監視/入力デバイスにおいて監視アプリケーションをインスタンス化し、被験体の部位の電気生理信号の測定を開始することと、
を備える。
【0023】
1つの実施形態によると、方法は更に、第1のパッドの第1の通過孔および第2のパッドの第2の通過孔を介して導電性、音波、または光透過性の材料を注入することを備える。
【0024】
1つの実施形態によると、コネクタは、プラスチック基板、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、または非導電性ポリエステルまたはポリマを備える。
【0025】
1つの実施形態によると、形状は、正弦波形状を備える。
【0026】
1つの実施形態によると、形状は、螺旋形状、二重螺旋形状、馬蹄形状、または角張った形状を備える。
【0027】
1つの実施形態によると、第1のパッドおよび/または第2のパッドは、導電性または半導電性の材料を備える。
【0028】
1つの実施形態によると、第1のパッドおよび/または第2のパッドは、銅、アルミニウム、ステンレス鋼、金、銀、またはそれらの合金を備える。
【0029】
また本発明は、
監視/入力デバイスが、第1のパッドまたは第2のパッドから受信した電気生理信号のデータを受信するように構成される、上述した実施形態のいずれか1つに記載のセンサセット(100)と、
電気生理信号のデータを受信するため、または監視/入力デバイスに命令を送信するために、監視/入力デバイスと通信する監視サービスと、
を備えるセンサセットシステムにも関する。
【0030】
詳細な説明は、添付図面を参照して記載される。図面において、参照番号の左端の桁(単数または複数)は、その参照番号が最初に出現する図を示す。異なる図面における同じ参照番号の使用は、同様または同一の項目または機能を示す。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本開示のいくつかの例に係る、非展開状態における伸縮可能な電極セットを示す。
【
図2】本開示のいくつかの例に係る、展開状態における電極セットを示す。
【
図3】本開示のいくつかの例に係る、伸縮可能な電極セット内の電気配線を示す。
【
図4】本開示のいくつかの例に係る、伸縮可能な電極セットにおいて使用されるノード例の拡大図である。
【
図5】本開示のいくつかの例に係る、電極セットシステムを示す概略図である。
【
図6】本開示のいくつかの例に係る、伸縮可能な電極セットを使用する方法を示すフローチャートである。
【
図7】本開示のいくつかの例に係る、伸縮可能な電極セットを製造する方法を示すフローチャートである。
【
図8】本開示のいくつかの例に係る、本明細書で説明されるシステムおよび方法と共に使用するための監視/入力デバイスの構成要素レベルの図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本開示の例は、伸縮可能なセンサセットを提供および使用するためのシステムおよび方法を備え得る。従来のセンサセットを用いて3次元の身体部位を測定する場合、可能な限り正確な読取り値を得ようとするために患者の身体(部位)上の正しい位置にセンサを適切に配置することは、困難であることが多い。これにより、従来のセンサセットの使用は、設置のための技術者がいる病院などの施設に限定されることが多い。従来のセンサセットを設置するためには専門家が必要であり、従来のセンサセットを使用する費用は非常に高価で、かつ不便であるため、多くの医療事例で取得可能なデータを活用する能力が制限されることになる。留意すべき点として、図面のいくつかは、第2の人物による被験者への設置の観点から説明されるが、本開示の主題事項はそのような方法に限定されず、本開示の主題事項の様々な例は、被験者自身によって設置されてよい。
【0033】
図1は、非展開状態における伸縮可能な電極セット100の上面図を示す。留意すべき点として、本明細書における説明の一部は「電極」または「電極セット」に関して説明されるが、電極を用いた説明は単に典型的および例示的であるため、本開示の主題事項は電極に限定されるものではない。本明細書で使用される場合、「非展開または未展開」とは、電極セット100が身体部位に設置されていない状態を意味し、「展開」とは、電極セット100が部分的または全体的に身体部位に設置された状態を意味する。
図2を参照すると、電極セット100は、展開状態において示される。
図1に示す非展開状態において、電極セット100は略平坦であり、これは、平坦な表面に載置された時、平坦な表面に近接する電極セット100の底面の全てまたはほぼ全てがその表面と接触することを意味する。
図2に示す展開状態において、電極セット100は部分的に変形し、研究対象の患者または被験者の3D身体部位に巻き付けられる。いくつかの例において、変形は「撓曲」と称される場合があり、2つの用語は置換可能である。たとえば、コネクタ104Eによって接続されたノード102Hおよび102Iは、
図1において、ノード102Iと102Hとの間に距離D1を有するように示されるが、
図2において、ノード102Iと102Hとの間の距離は、D1よりも大きいD2である。
【0034】
再び
図1を参照すると、電極セット100は、(本明細書において集合的に「ノード102」と称され、個々に「ノード102A」、「ノード102B」などと称される)ノード102A~102Fと、(本明細書において集合的に「コネクタ104」と称され、個々に「コネクタ104A」、「コネクタ104B」などと称される)コネクタ104A~104Eとを含む。
図1は、符号のない追加のノードおよびコネクタを含み、これは単なる例示目的であることに留意する。ノード102およびコネクタ104の内部構造は、
図3および
図4においてより詳しく説明される。使用の際、ノード102は、特定の身体部位の電気活動の結果である電気生理信号を感知(測定または検出)するために使用される。
図1に示す電極セット100の様々な構成要素の形状は単に典型例であり、特定の用途に依存して異なる形状を有してよいことに留意する。たとえば、ノード102は
図1に示すような円形であってよいが、楕円形、卵形、正方形、長方形、および/または多角形、またはその組み合わせであってもよい。いくつかの例において、ノード102は、インピーダンスを測定するために試験される被験者に電流を流すために使用され得る。電気または電磁デバイスとしてのノード102のこれらの用途および他の用途は、本開示の主題事項の範囲内であると考えられる。
【0035】
電極セット100は更に、測定リード線106Aおよび106Bと、測定コネクタ108Aおよび108Bとを含む。測定リード線106Aおよび106Bは、コネクタ104を介してノード102からの電気信号を受信する。測定リード線106Aおよび106Bは、その内部に、ノード102から測定リード線106Aおよび106Bに走るノード102の各々からのワイヤを有する。測定リード線106Aおよび106Bは、ノード102からの電気信号を測定するデバイスに接続される(
図2により詳しく示す)。
【0036】
上述したように、従来の電極セットでは、電極セットの身体部位への適切な配置を確実にするために、技術者または他の有資格者が必要であることが多い。その理由は、身体電気活動を測定するノードは、可能な限り正確な読取り値を得るために、身体上の特定のポイントに配置する必要があるためである。
図1の電極セット100は、訓練されていない人々を含む様々なユーザが、身体部位(たとえば妊婦の頭部や腹部)に電極セット100を適切に配置することを可能にする様々な機構を提供する。
【0037】
身体部位への電極セット100の適切な配置を可能にする第1の機構は、(本明細書において集合的に「アライメントマーカ110」と称され、個々に「アライメントマーカ110A」、「アライメントマーカ110B」などと称される)アライメントマーカ110A~110Dである。アライメントマーカ110は、電極セット100を適切に位置合わせするために、電極セット100を設置する人物によって使用される。アライメントマーカ110は、研究対象の人間の予め定められた解剖学的ランドマークに接触して置かれるように構成される。ランドマークは、電気生理信号を正確に記録するようにノード102を配置するために医学界によって定義された基準を含む様々な要因に基づいてよい。そのようなシステムは、ECG、EEG、EMG、および/またはfECGまたは他の電気生理信号、ならびに他の測定技術のための他のセンサソースの配置のために存在する。しかし、本開示の主題事項は、特定のランドマークの使用を必要とせず、身体上の他の位置が使用され、本開示の主題事項の範囲内であると考えられ得る。たとえば、耳、鼻、へそ、または他のランドマークが、電極セット100の適切な配置のために使用され得る。また留意すべき点として、電極セット100は人間に対する使用に限定されず、人間以外の被験体にも使用され得る。
図1に示す例において、アライメントマーカ110は、国際的な10~20のシステムまたはその変形例におけるナジオン、イニオン、および両耳毛の解剖学的ランドマークに従って配置されるが、本明細書で言及するように、他のランドマークが使用されてよく、本開示の主題事項の範囲内であると考えられる。
【0038】
電極セット100を設置する人物は、1つ以上の位置(たとえば解剖学的ランドマーク)に1つ以上のアライメントマーカ110を配置し、(テープまたは身体での使用に適した他の接着剤を用いて)一時的に固定する。
図1に示す例において、4つのアライメントマーカ110が存在するが、上述したように、電極セット100の特定の構成に依存して4より多いまたは少ない数が存在してよい。アライメントマーカ110の1つを解剖学的ランドマークに配置する時、有利には、アライメントマーカ110の配置により、(本明細書において集合的に「マーカコネクタ112」と称され、個々に「マーカコネクタ112A」、「マーカコネクタ112B」などと称される)マーカコネクタ112A~112Dを介して、アライメントマーカ110に最も近いノード102に力が加わる。1つの有利な例において、アライメントマーカ110Cの配置により、マーカコネクタ112Cを介して、ノード102Bに、力ベクトルXEに概ね沿った方向に引張力が加わる。同様に、アライメントマーカ110Aの配置により、力ベクトルXNに概ね沿った力が加わり、アライメントマーカ110Bの配置により、力ベクトルXWに概ね沿った力が加わり、アライメントマーカ110Dの配置により、力ベクトルXSに概ね沿った力が加わる。
【0039】
2つ以上の力ベクトル(たとえばXE、XN、XW、およびXSなど)の方向に電極セット100を引張する作用により、電極セット100は撓曲または変形する。本明細書で使用される場合、「撓曲」とは、(
図1に示すような)平面状態から(
図2の例によって示すような)3次元状態に変形された材料を指す。電極セット100は、ノード102を1つ以上の解剖学的ランドマークに正しく位置合わせするために引張力に対抗する適切な伸縮力を提供する材料で設計される。たとえば、弾性力(すなわち変形した物体が元の状態に戻ろうとする時に生じる力)が低すぎると、様々なノードが特定の方向に容易に引き寄せられる場合がある。この例では、電極セット100と、そのノード102およびコネクタ104との構造の剛性は、電極セット100のノード102の制御された特定の展開を提供するためには不十分である。他の例において、電極セット100の剛性が過度に大きい、すなわち弾性力が比較的大きい場合、様々な不利益の中でも特に、電極セット100の構造が、アライメントマーカ110を定位置に維持するために強度の接着剤または粘着剤を必要とし、電極セット100の材料に過度の負担をかける可能性がある。
【0040】
したがって、電極セット100およびその構成要素、特にコネクタ104の構造は、剛性と可撓性とのバランスを保つように設計される。
図1に示す例において、特定の材料で構成された正弦波形状が、有利にこのバランスを実現する。形状および材料は例であり、他の形状および材料が使用され得ることを理解すべきである。たとえば、螺旋形状、二重螺旋形状、馬蹄形状、または角張った形状などの他の形状が使用され得る。電極セットのコネクタ104の形状は、展開されていない時に平面構成を可能にする一方で使用中に非平面構成を可能にするように設計される。
【0041】
有利には、正弦波形状は、コネクタ104がどの程度引張されるかに依存して、ノード102の間隔が第1の距離から1つ以上の第2の距離に変更されることも可能にする。1つ以上の第2の距離は、様々な用途において電極セット100が展開されることを可能にするために使用され得る。1つの実施形態において、展開構成における、たとえばコネクタ104Hによって接続されたノード102Bおよび102Fなどのコネクタによって結合された2つのノード間の第1の距離の、未展開構成における同じコネクタ要素によって結合された同じ2つのノード間の距離に対する比は、1.05より大きく、いくつかの例では1.05~最大2.0の比であるが、特定の材料、寸法などに依存して更に大きな比が実現可能であり得る。
【0042】
また、コネクタ104によって提供される所定の弾性力を伴う正弦波形状は、有利には、電極セット100が様々なサイズおよび形状の身体部位で使用されることを可能にする。たとえば、電極セット100は、頭蓋骨または腹部、ならびに様々な文化および民族の身体部位を含む異なる形状の身体部位に使用され得る。電極セット100が身体部位に設置されると、正弦波形状および弾性力により、電極セット100は所定の方法で変形する。たとえば、電極セット100が身体部位に沿うように変形すると、弾性力および正弦波形状により、電極セット100のノード102は、力ベクトルの方向に離間し、測定対象の身体部位の位置にノード102を適切に配置することが可能になる。これは、電極セット100は、設置された時、変形前の距離またはその付近で束にされたままであるノード102の領域や、変形後の距離またはその付近で過度に離れて広がっている他のノード102を有さないことを意味する。全ての力ベクトルにわたる一貫した変形により、電極セット100は、様々な身体サイズおよび形状で使用されることが可能である。未変形状態から変形状態への過程で、コネクタ104の長さは同じに保たれ、これは、コネクタ104が伸長するのではなく、それらの形状が正弦波形状から直線形状に変化することを意味する。
【0043】
いくつかの例では、コネクタ104は、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、または他の完全または部分的に絶縁性のポリマを用いて構成される。いくつかの例では、(たとえば銅トラックまたは配線などの任意の内部構成要素を含む)コネクタ104は、好適には、90μm~200μmの範囲内、100μm~170μmの範囲内の厚さ、より好適な構成では118μm~122μmの厚さ範囲を有する。いくつかの例では、コネクタ104の厚さは120μmであり、20パーセント(20%)の公差を有する。コネクタ104の厚さは、同様の弾性力を提供するために使用される特定の材料に依存して変化し得ることに留意すべきである。
【0044】
再び
図2を参照すると、監視/入力デバイス200も示される。いくつかの例では、監視/入力デバイス200は、ノード102が、研究対象の人間の部位202、たとえば
図2に例として示す頭部によって生成される電気生理信号を検出するために使用されることを可能にするために、電力を提供する。部位202を撮像するためにノード102が使用される例において、監視/入力デバイス200は、撮像を可能にするために測定リード106Aおよび106Bを介して電力を提供する。図示するように、測定リード106Aおよび106Bは、測定コネクタ108Aおよび108Bを監視/入力デバイス202の適切なポート(不図示)に挿入することによって監視/入力デバイス200に接続される。監視/入力デバイス200は、診断/測定のために後にシステムに転送するためにデータを記録してよく、および/または監視/入力デバイス200が使用のためにデータを送信することを可能にする内部通信機能を有してよい(
図5により詳しく説明される)。
【0045】
図3は、本開示のいくつかの例に係る、電極セット100内の電気配線を示す。
図3には、測定リード106Aおよびノード104が示される。ノード104および測定リード106A(測定リード106Bは同様に構成される)内には、
図4により詳しく示すように、ノード102(たとえば
図3におけるノード102J)を測定リード106Aと電気的に連通させるワイヤが存在する。
【0046】
図4は、本開示のいくつかの例に係る、電極セット100において使用されるノード102Jの拡大図である。
図4に示すノードは、パッド402、パッド安定材404、およびパッド補強材406を含む。パッド402は、銅、アルミニウム、ステンレス鋼などを含むがこれに限定されない様々な導電性および半導電性材料で構成され得る。パッド402の活性領域(すなわち、研究対象の被験者の一部の表面に接触または近接して配置される領域)は、銀、塩化銀、導電性シリコン、導電性ポリマ、またはたとえば炭素などの導電性材料が充填されたプラスチックを備えてよい。パッド402は、円形の形状として図示されるが、たとえば螺旋形状、二重螺旋形状、馬蹄形状、または角張った形状などであるがこれに限定されない他の形状が使用されてよく、本開示の主題事項の範囲内であると考えられる。パッド402は、パッド安定材404によって安定し、コネクタ104Rに取り付けられる。パッド安定材は、パッド402の少なくとも一部を封入するが、測定または検出対象の皮膚または他の表面と接触して配置されるように設計されたパッド402の表面は、できればほぼ材料を有さない。他の例において、パッドの1つ以上およびパッド自体は、たとえば磁気共鳴撮像などの用途で有利に使用され得る(たとえば炭素などの)磁性導体で構成され得る。
【0047】
パッド補強材406は、パッド402とワイヤ302Aとの間の電気接続を補強または固定するために使用される。ワイヤ302Bは、他のノード102によって使用される。ワイヤ302Aは、研究対象の被験者の電気活動を検出するために(受動構成)、または代替構成において、電気エネルギを供給するために(能動構成)、測定デバイスによって使用される。たとえば、受動構成において、ノード402は、研究対象の被験者からの電気活動を検出するために使用され得る。能動構成において、ノード402は、電気信号で被験者を刺激することによって身体の一部の撮像を可能にするために、ワイヤ302Aから十分な電気エネルギを受け取ってよい。たとえば、ノード102Jを展開し、ワイヤ302Aを介してパッド402に電流を流し、電位を記録し、ノード102Jおよび他のノード102の電位から画像を再構成することによって、身体部位が撮像され得る。
【0048】
ノード102Jのパッド402は更に、通過孔408を含む。通過孔408は、パッド402を貫通する開口部であり、パッド402が研究対象の被験者の皮膚に近接している時、パッド402の活性領域と研究対象の被験者の皮膚の一部との間に導電性材料の層を導入するために通過孔408を通る注入を可能にするために有利に使用される。導電性材料の種類は、EEGまたはECGカップ電極と共に使用されるゲルであってよいが、他の種類の導電性材料が使用されてよく、本開示の主題事項の範囲内であると考えられる。この実施形態は特に、導電性ゲルをパッドと被験者の皮膚との間に導入することが可能であり、信号品質が向上するために有利である。研究対象の部分が頭部である場合、導電性ゲルは、被験者の頭髪を介してパッドと被験者の皮膚との間の接触をもたらすことが可能である。ノード102Jのパッド402は更に、オリフィス410を含む。オリフィス410は、様々な用途の中でも特に、通過孔408と同様にノード102Jを貼り付ける手段を提供するために使用されてよく、または、ノード102Jが貼り付けられる時に空気を逃がすために使用され得る。またクリームまたはゲルは十分な量が使用されると通過孔408を通って漏れ出すことがあるので、通過孔408は、十分なゲルまたはクリームが投与されたかを決定するためにも用いられ得る。ノード102Jは、より多いまたは少ない数のオリフィス410およびより多い数の通過孔408を含んでよく、または通過孔408を含まなくてもよい。代替設計において、この通過孔408は存在せず、ゲルは、ゲルを注入するために電極を持ち上げることによって電極の下に投与され得る。1つの実施形態によると、ユーザは、どのノードを電極として使用するかを、それらのノードのパッド402のみに導電性ゲルを塗布することによって選択することができる。たとえば被験者の頭髪と接触している導電性ゲルのないパッドは、低信号または無信号を収集し、これはソフトウェア動作によって更に破棄され得る。
【0049】
図5は、本開示のいくつかの例に係る、電極セットシステム500を示す概略図である。様々な例において、電極セット100は、人間の身体の部位202を監視または測定するために使用され得る。電極セット100は、監視/入力デバイス200と電気的に連通している。
図2に示すように、電極セット100は、測定リード106Aおよび106Bを監視/入力デバイス200に挿入することによって監視/入力デバイス200に接続される。本開示の主題事項は、取外し可能な測定リードに限定されず、いくつかの構成は、予め設置された測定リードを含んでよいことに留意する。これらの構成および他の構成は、本開示の主題事項の範囲内であると考えられる。
【0050】
電極セットシステム500は更に、ネットワーク504を介して監視/入力デバイス200に通信可能に接続された監視サービス502を含む。ネットワーク504は、Wi-Fiネットワーク、ローカルエリアネットワーク、またはセルラネットワークを含むがこれに限定されない、監視/入力デバイス200を監視サービス502に通信可能に接続する任意の種類のネットワークであってよい。当業者は、本明細書で説明されるシステムおよび方法が、様々なネットワークで使用することも可能であることを認識する。
【0051】
使用中、電極セット100のユーザは、監視および/または測定対象の身体に電極セットを取り付ける。電極セット100は、監視/入力デバイス200に接続される。監視/入力デバイス200は、監視サービス502に接続される。いくつかの例では、監視/入力デバイス200は、使用中にデータをローカルに格納する。更なる例において、監視/入力デバイス200は、電極セット100の使用中またはその後の任意の時間に、監視サービス502にデータを送信する。また更なる例において、監視サービス502は、監視/入力デバイス200の動作を構成するために監視/入力デバイス200に命令を送信する。たとえば、監視/入力デバイス200が身体信号を検出している間、監視サービス502は、異常を検出してよい。監視サービス502は、監視/入力デバイス200に命令を送信し、その構成を測定または検出モードから撮像モードに変更し、異常に関するより多くの情報を決定しようと試みる。
【0052】
図6は、本開示のいくつかの例に係る、伸縮可能な電極セットを使用するプロセス600を示すフローチャートである。プロセス600および本明細書で説明される他のプロセスは、フローグラフ例として示され、その各動作は、ハードウェア、ソフトウェア、またはその組み合わせで実装され得る動作のシーケンスを表してよい。ソフトウェアの文脈において、動作は、1つ以上のプロセッサによって実行されると記載された動作を行う、1つ以上のコンピュータ可読記憶媒体に格納されたコンピュータ実行可能命令を表す。一般に、コンピュータ実行可能命令は、特定の機能を行う、または特定の抽象データ型を実装するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含む。動作が説明される順序は、限定的なものと解釈されることは意図されておらず、任意の数の説明された動作が任意の順序で、および/または並行して組み合わせられ、プロセスを実施してよい。
【0053】
図6を参照すると、プロセス600は動作602を開始し、電極セットが、研究対象の人間/動物/物体の部位202に近接して配置される。理解すべき点として、本開示の主題事項の様々な態様は、人間の被験者に関して説明されるが、本開示の主題事項は、人間の被験者への仕様に限定されないことを理解すべきである。
【0054】
プロセス600は動作604に続き、アライメントマーカ110が、部位202または研究対象の被験者の他の位置におけるランドマークに固定される。電極セット100の特定の構成に依存して、1つ以上のアライメントマーカ110が存在してよい。アライメントマーカ110が特定のランドマークに配置される時、コネクタ104が引っ張られ、電極セット100の少なくとも一部の撓曲を生じさせる。この撓曲により、電極セット100は、未展開の平面(または平坦)構成から、展開された3次元構成に変形し、監視/撮像対象の部位202の全体形状に一致することができる。
【0055】
プロセス600は動作606に続き、測定コネクタ108が監視/入力デバイス200に接続される。いくつかの例では、監視/入力デバイス200は、(以下で
図8においてより詳しく説明される)監視アプリケーションまたは撮像アプリケーションを実行してよい。
【0056】
プロセス600は動作608に続き、部位202の監視または撮像が開始される。その後、プロセス600は、動作610で終了する。
【0057】
図7は、本開示のいくつかの例に係る、電極セット100を製造するためのプロセス700を示すフローチャートである。
【0058】
プロセス700は動作702で開始し、電極セット100の型が作られる。型は、様々な材料を用いる様々なプロセスを用いて作られ得る。型は、電極セット100構造の形状である。たとえば
図1において、型は、コネクタ104、アライメントマーカ110などに関連する形状を含む。一例において、型は、たとえばポリイミドなどの基材の平面層から切り取られる。基層は、絶縁性または部分的に導電性の層であってよく、この上に他の材料が配置され得る。いくつかの例では、型は、単一のシート状の材料を備え、他の例では、型は、2つ以上の個別片の材料で構成される。いくつかの例では、型は、多層材料であってよい。留意すべき点として、動作702が最初に行われるのではなく、動作702は、プロセス700の様々な他の動作の後または前に行われてもよい。
【0059】
プロセス700は動作704に続き、ワイヤ302が型(または動作702の前に行われる場合は基材)にメッキされる。ワイヤ302は、個々のノード102を、測定リード106Aおよび106Bを介して監視/入力デバイス200に接続する。ワイヤ302は、様々なメッキまたは堆積技術を用いて形成され得る。ワイヤ302は、たとえば銅、アルミニウム、金、銀、およびそれらの合金などであるがこれに限定されない様々な導電性または半導電性材料から形成され得る。ワイヤ302の厚さは変動し得るが、いくつかの例では、0.3~0.5μmである。
【0060】
プロセス700は動作706に続き、ノード104が型に固定される。ノードは、たとえば銅、アルミニウム、金、銀、およびそれらの合金などであるがこれに限定されない様々な導電性または半導電性材料の事前形成された金属ディスクであってよい。
【0061】
プロセス700は動作708に続き、ノード104は、ノード102の各々に関するパッド補強材406を介してワイヤ302に固定される。パッド補強材406は、ワイヤ302とパッド402との間の接続に十分な構造支持を提供するポリイミドまたは他のポリマを含む様々な材料から形成され得る。
【0062】
プロセス700は、動作710で終了する。
【0063】
図8は、本開示のいくつかの例に係る、本明細書で説明されるシステムおよび方法と共に使用するための監視/入力デバイスを示す。
図8は、例として、
図2および
図5の監視/入力デバイス200を示す。監視/入力デバイス200は、セルラネットワーク、インターネットマルチメディアサブシステム、および/またはIPネットワーク上で、またはそれらと通信することが可能な任意のコンピューティング構成要素であってよい。当業者は、本明細書で説明されるシステムおよび方法が、たとえばタブレットコンピュータ、デスクトップ、サーバ、および他のネットワーク接続型デバイスなどの様々な電子デバイスと共に使用することも可能であることを認識する。
【0064】
監視/入力デバイス200は、様々な上述の機能を実行するためのいくつかの構成要素を備えてよい。監視/入力デバイス200は、オペレーティングシステム(OS)804および1つ以上の標準アプリケーション806を含むメモリを備えてよい。標準アプリケーション806は、監視/入力デバイス200の様々な構成要素を制御するためのアプリケーションを含んでよい。この例では、標準アプリケーション806は、監視アプリケーション830および撮像アプリケーション832も備えてよい。監視アプリケーション830は、身体から発生する信号を検出するための監視/入力デバイス200の動作を制御するようにインスタンス化され得る。制御は、どのノードがどのような信号を受信するかの決定と、そのデータの格納とも含んでよい。撮像アプリケーション832は、監視/入力デバイス200を撮像デバイスとして機能するように構成するようにインスタンス化されてよく、それによってノードの1つ以上が電気エネルギを入力するために通電される。たとえば、インスタンス化されると、撮像アプリケーション832は、監視/入力デバイス200に、ノードの1つ以上に電流を印加させ、電流を受信していないノードの電位を記録させ、電位から画像を構成させてよい。
【0065】
この方法において、監視/入力デバイス200または監視サービス502(または他のデバイス)は、電流が印加されるノード102のサブセットを定義する。その後、監視/入力デバイス200は、電流を受信しないノード102での電位を記録する。任意選択的に、異なるパターンを有するノード102のいくつかのサブセットが連続的に定義され、その結果の電位が連続的に記録される。言い換えると、ノード102のセットは変更され、電流の印加は、異なるノード102で繰り返される。監視/入力デバイス200または監視サービス502は、たとえば画像再構成アルゴリズムによって、被験者の身体の一部202の画像を決定する。そのような方法は、たとえば絶対値(a-EIT)、時間差(td-EIT)、または多周波(MF-EIT)モードでの電気インピーダンストモグラフィ(EIT)などの非侵襲的撮像に適している。この方法で、特に肺、筋肉、胸部、頸部、脳、膀胱、または四肢など、様々な身体部位が撮像され得る。この方法は、特に血流または灌流下での身体部位の体積変動を撮像するために用いられ得る。
【0066】
他の例において、ノード102のパッド402の1つ以上は、たとえば赤外線、可視光、または近赤外線発光ダイオード(LED)などの他の種類の電磁エネルギエミッタと置き換えられ得る。いくつかの例では、上述したように、ノード102は、エミッタ、センサ、またはエミッタ/センサの結合体であってよい。たとえば結合されたエミッタ/センサは、非自己放出型生理信号の場合に信号を取得するために使用され得る。近赤外線エミッタは、たとえば近赤外線分光法または光コヒーレンストモグラフィなどのプロセスにおいて使用され得る。標準アプリケーション806は、上述の
図1~8において説明したような1つ以上の機能または動作も含んでよい。いくつかの更なる例において、ノード102の1つ以上は、たとえばエコー検査用途などの用途で使用するために結合された超音波トランスデューサであってよい。本明細書で使用される場合、超音波トランスデューサは、送信器、受信器、および/またはトランシーバであってよい。
【0067】
監視/入力デバイス200は、1つ以上のプロセッサ812と、取外し可能ストレージ814、非取外し可能ストレージ816、トランシーバ(単数または複数)818、出力デバイス(単数または複数)820、および入力デバイス(単数または複数)822の1つ以上とも備えてよい。様々な実装において、メモリ802は、(たとえばランダムアクセスメモリ(RAM)などの)揮発性、(たとえば読取専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリなどの)不揮発性、またはそれら2つの何らかの組み合わせであってよい。メモリ802は、電極セット100から受信した様々なデータおよび/またはネットワーク504を介して監視サービス502から受信したデータを格納するために使用され得る。
【0068】
メモリ802は、OS804も含んでよい。OS804は、たとえばタスクのスケジューリング、アプリケーションの実行、および周辺機器の制御などの基本機能をサポートするモジュールおよびソフトウェアを含む。いくつかの例では、OS804は、監視アプリケーション830、撮像アプリケーション832を有効化し、トランシーバ(単数または複数)818を介して上述したような他の機能を提供してよい。またOS804は、監視/入力デバイス200を有効化し、他のデータを送信および検索し、他の機能を行ってもよい。留意すべき点として、本開示の主題事項の1つ以上の機能は、たとえばファームウェア/FPGA/ASICなど、OS804以外のシステムによって実行されてもよい。
【0069】
監視/入力デバイス200は、1つ以上のプロセッサ812も備えてよい。いくつかの実装において、プロセッサ(単数または複数)812は、限定ではなく一例として、中央処理ユニット(CPU)、グラフィック処理ユニット(GPU)、CPUおよびGPUの両方、またはたとえば特定用途向け集積回路(ASIC)やフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などの他の任意の処理ユニットであってよい。監視/入力デバイス200は、たとえば磁気ディスク、光ディスク、またはテープなどの追加のデータストレージデバイス(取外し可能および/または非取外し可能)も含んでよい。そのような追加のストレージは、取外し可能ストレージ814および非取外し可能ストレージ816によって
図8に示される。
【0070】
非一時的コンピュータ可読媒体は、たとえばコンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、または他のデータなど、情報を格納するための技術で実装された、揮発性および不揮発性、取外し可能および非取外し可能な有形物理媒体を含んでよい。メモリ802、取外し可能ストレージ814、および非取外し可能ストレージ816は全て、非一時的コンピュータ可読媒体の例である。非一時的コンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、電子的消去可能プログラマブルROM(EEPROM)、フラッシュメモリまたは他のメモリ技術、コンパクトディスクROM(CD-ROM)、デジタルバーサタイルディスク(DVD)または他の光ストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージまたは他の磁気ストレージデバイス、または所望の情報を格納するために使用可能であり、監視/入力デバイス200によってアクセス可能な他の任意の有形物理媒体を含むが、これに限定されない。任意のそのような非一時的コンピュータ可読媒体は、監視/入力デバイス200の一部であってよく、または個別のデータベース、データバンク、遠隔サーバ、またはクラウドベースのサーバであってよい。
【0071】
いくつかの実装において、トランシーバ(単数または複数)818は、当技術分野で知られている任意のトランシーバを含む。いくつかの例では、トランシーバ(単数または複数)818は、(たとえば監視/入力デバイス200とネットワーク504との間の)他の構成要素、インターネット、および/またはイントラネット、ならびにネットワークアダプタや他の対応機器との無線接続を容易にするための無線モデム(単数または複数)を含んでよい。
【0072】
トランシーバ(単数または複数)818は、アンテナ(たとえばWi-FiまたはBluetooth(登録商標))を介して無線周波数通信を送受信する機能を行う1つ以上の無線トランシーバを含んでもよい。他の例において、トランシーバ(単数または複数)818は、1つ以上の有線ネットワークを介して通信するための、たとえば有線モデムまたはイーサネットポートなどの有線通信構成要素を含んでよい。トランシーバ(単数または複数)818は、監視/入力デバイス200がファイルをダウンロードし、ウェブアプリケーションにアクセスし、上述したシステムおよび方法に関連する他の通信を提供することを可能にし得る。
【0073】
いくつかの実装において、出力デバイス(単数または複数)820は、たとえばディスプレイ(たとえば液晶または薄膜トランジスタ(TFT)ディスプレイ)、タッチスクリーン、スピーカ、振動機構、または触覚フィードバック機構など、当技術分野で知られている任意の出力デバイスを含む。したがって、出力デバイス(単数または複数)は、スクリーンまたはディスプレイを含んでよい。出力デバイス(単数または複数)820は、音声通話やビデオ通話の受信時に音または呼出音を再生するためのスピーカまたは同様のデバイスも含んでよい。出力デバイス(単数または複数)820は、たとえばヘッドフォン、周辺スピーカ、または周辺ディスプレイなどの1つ以上の周辺デバイスのためのポートも含んでよい。
【0074】
様々な実装において、入力デバイス(単数または複数)822は、当技術分野で知られている任意の入力デバイスを含む。たとえば、入力デバイス(単数または複数)822は、電極セット100の1つ以上の構成要素を含んでよい。他の例において、入力デバイス(単数または複数)822は、カメラ、マイクロフォン、またはキーボード/キーパッドを含んでよい。入力デバイス(単数または複数)822は、ユーザが特にデータを入力し、要求を行って(たとえばウェブブラウザ内で)ウェブアプリケーションを介して応答を受信し、音声およびビデオ通話を発信し、標準アプリケーション806を使用することを可能にするためのタッチ感知式ディスプレイまたはキーボードを含んでよい。たとえば、監視/入力デバイス200は、電極セット100からのデータを受信することが可能な入力ポートを有する携帯電話であってよい。タッチ感知式ディスプレイまたはキーボード/キーパッドは、(たとえば従来のQWERTYキーボードなどの)標準プッシュボタン英数字マルチキーキーボード、タッチスクリーン上の仮想制御装置、または1つ以上の他の種類のキーやボタンであってよく、ジョイスティック、ホイール、および/または指定ナビゲーションボタンなども含んでよい。
【0075】
本開示の例は、全ての点において、例示的であって限定的ではないと考えられる。本開示の範囲は、上記説明ではなく添付の特許請求の範囲によって示されており、均等物の意味および範囲に含まれる全ての変更は、本明細書に包含されることが意図されている。
【国際調査報告】