(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-19
(54)【発明の名称】軌道敷設機械を用いて軌道を作業するための制御および操作システム
(51)【国際特許分類】
E01B 29/16 20060101AFI20230612BHJP
【FI】
E01B29/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022570571
(86)(22)【出願日】2021-04-21
(85)【翻訳文提出日】2022-11-18
(86)【国際出願番号】 EP2021060393
(87)【国際公開番号】W WO2021233637
(87)【国際公開日】2021-11-25
(32)【優先日】2020-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514318345
【氏名又は名称】プラッサー ウント トイラー エクスポート フォン バーンバウマシーネン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Plasser & Theurer, Export von Bahnbaumaschinen, Gesellschaft m.b.H.
【住所又は居所原語表記】Johannesgasse 3, A-1010 Wien, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】クラウス フロイデンターラー
(72)【発明者】
【氏名】ニコラウス マッツィンガー
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ビュアガー
(72)【発明者】
【氏名】ゲラルト ツァウナー
【テーマコード(参考)】
2D057
【Fターム(参考)】
2D057BA11
(57)【要約】
本発明は、軌道敷設機械(1)を用いて軌道(4)を作業するための制御および操作システムに関し、このシステムは、軌道台車(3)上で移動可能な少なくとも1つの機械フレーム(2)を備えており、機械フレーム(2)は、作業装置(A,9,10,11,12)と、作業装置(A,9,10,11,12)の姿勢データを決定しかつ軌道(4)の対象物、特に枕木(6)、レール(5)、および場合によっては障害物を識別するためのセンサおよび測定システム(13)とを備え、さらに作業装置(A,9,10,11,12)および作業領域を光学的に識別するためのカメラ(14)からなる配列要素を備えている。ここでは、各作業装置(A,9,10,11,12)への視野の利かない操作ステーション(15)が、軌道敷設機械(1)の内部または外部の箇所に設置されており、操作ステーション(15)は、軌道敷設機械(1)の仮想操作、制御、および/または監視用の表示装置(16)を備えることが想定されている。これにより、作業現場におけるより高い柔軟性および制御/操作手段の拡張性が、作業ステーションにおける安全性の向上と人間工学的な向上とのもとで達成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道敷設機械(1)を用いて軌道(4)を作業するための制御および操作システムであって、軌道台車(3)上で移動可能な少なくとも1つの機械フレーム(2)を備えており、該機械フレーム(2)は、作業装置(A,9,10,11,12)と、該作業装置(A,9,10,11,12)の姿勢データを決定しかつ前記軌道(4)の対象物、特に枕木(6)、レール(5)、および場合によっては障害物を識別するためのセンサおよび測定システム(13)とを備え、さらに前記作業装置(A,9,10,11,12)および作業領域を光学的に識別するためのカメラ(14)からなる配列要素を備えている、システムにおいて、
各作業装置(A,9,10,11,12)への視野の利かない操作ステーション(15)が、前記軌道敷設機械(1)の内部または外部の箇所に設置されており、前記操作ステーション(15)は、前記軌道敷設機械(1)の仮想操作、制御、および/または監視用の表示装置(16)を備えていることを特徴とする、システム。
【請求項2】
前記操作ステーション(15)は、ビデオ/画像記録および/または操作者支援用の付加的情報を表示するために設置された表示装置(16)を備えている、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
表示装置(16)が、少なくとも1つの産業用パネル、フラットスクリーンモニタ、および/またはビデオプロジェクタから構成されている、請求項2記載のシステム。
【請求項4】
前記表示装置(16)は、操作者入力用のタッチスクリーン機能を備えた産業用パネルおよび/またはフラットスクリーンモニタを介して構成されている、請求項3記載のシステム。
【請求項5】
前記操作ステーション(15)には、複数の操作要素(18)の他に、2人の機械操作者用の座席(17)が設置されている、請求項1から4までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項6】
前記操作ステーション(15)には、複数の操作要素(18)の他に、1人の機械操作者用の座席(17)が設置されている、請求項1から4までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項7】
前記作業装置(A,9,10,11,12)および前記作業領域を光学的に識別するための前記カメラ(14)は、計算ユニット(19)に結合され、該計算ユニット(19)は、さらに、上位のコンピュータシステム(21)を用いて機械制御部(20)に結合されている、請求項1から6までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項8】
光学的に識別するための前記カメラ(14)は、いわゆる3Dカメラとして構成されている、請求項1から7までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項9】
前記操作ステーション(15)と前記上位のコンピュータシステム(21)との間で前記軌道敷設機械(1)の制御、操作、および監視用の情報交換およびデータ交換のために、安全な伝送形態、特にVPNルータを介したVPNトンネルが設置されている、請求項1から8までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか1項記載のシステムを動作させるための方法であって、
軌道敷設機械(1)が操作ステーション(15)を介して仮想的に操作、制御、および/または監視されることを特徴とする、方法。
【請求項11】
前記操作ステーション(15)において、カメラ(14)によってビデオ/画像記録が捕捉された後、計算ユニット(19)を介して編成され、修正され、ならびに歪み補正された作業装置(A,9,10,11,12)の描写が表示装置(16)を介して表示される、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記操作ステーション(15)において、前記カメラ(14)のビデオ/画像記録が前記表示装置(16)を介してリアルタイムで表示される、請求項10または11記載の方法。
【請求項13】
前記操作ステーション(15)において、現在の作業プロセスに対する付加的情報、指示、および/または警告が、テキスト形式、シンボル形式、および/またはあらゆる種類のグラフィック処理された描写で表示装置(16)を介して操作者支援のために挿入される、請求項10から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
センサおよび測定システム(13)によって捕捉された姿勢データに関して上位のコンピュータシステム(21)により評価がなされ、設定値と比較され、機械制御部(20)を介してアルゴリズムにより、前記作業装置(A,9,10,11,12)の完全に自動化された駆動制御が実施される、請求項10から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
前記センサおよび測定システム(13)によって捕捉された前記姿勢データに関して前記上位のコンピュータシステム(21)により評価がなされ、前記設定値と比較され、前記アルゴリズムにより、前記作業装置(A,9,10,11,12)の後続する作業ステップが、前記表示装置(16)にテキスト形式および/またはグラフィック形式で描写され、前記機械制御部(20)の操作者による確認後および/または変更後に初めて、前記作業装置(A,9,10,11,12)の対応する駆動制御によって実施される、請求項10から13までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軌道敷設機械を用いて軌道を作業するための制御および操作システムに関し、このシステムは、軌道台車上で移動可能な少なくとも1つの機械フレームを備えており、機械フレームは、作業装置と、作業装置の姿勢データを決定しかつ軌道対象物、特に枕木、レール、および場合によっては障害物を識別するためのセンサおよび測定システムとを備え、さらに作業装置および作業領域を光学的に識別するためのカメラからなる配列要素を備えている。さらに、本発明は、システムを動作させるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
汎用マルチプルタイタンパーとは、直線軌道区間の突き固めにも分岐器区間の突き固めにも使用される軌道敷設機械と理解される。後者の用途領域で使えるようにするためには、特別な構造形式の作業ユニットや追加装置も必要になる。そのような機械の操作や制御にかかる労力は著しく大きく、大規模な育成の他に相応の習熟や訓練も必要である。
【0003】
そのような軌道敷設機械は、通常、2つの運転ブースと2つの作業ブースとから構成されている。そのため、操作者領域は、それぞれのユニットや装置を操作するための場所的に2つに分かれた作業ステーションを意味する。機械の複雑さや構造のために、操作者にとっていつでも様々な作業領域への見通しが与えられるものではなく、場合によっては限られた見通ししか与えられないこともある。操作者は、2つに分かれた作業ブースに起因して、インターホンを介して相互に通信しなければならない。
【0004】
作業プロセスにおいて見通しが限られている場合でもできるだけ良好な見通しを得るためには、作業ブースを作業ユニットの間近に位置決めする必要がある。これは、限られた構造空間を招き、操作者にとって誤操作リスクがさらに高まるような狭くて人間工学的にも乏しさの目立つ作業状況に甘んじなければならなくなる。これには危険性の高いブースアクセスも加わる。なぜなら、これらのブースは、一部で連動する機械装置上にも配置されるからである。巻き込まれるリスクが高まるのであれば、アクセスは、機械と作業装置とが停止状態にある場合にしかできない。このような作業領域におけるブースの密な配置によれば、操作者も、絶え間のない加速度過程、振動、衝撃による高い身体的なストレスにさらされる。
【0005】
オーストリア国特許出願公開第519739号明細書には、軌道敷設機械、特に分岐器用または汎用マルチプルタイタンパーを制御するための方法が記載されており、ここでは、センサ装置を用いて軌道対象物(枕木、レール、障害物)の姿勢データが捕捉される。カメラは、リアルタイム映像を操作ブースの表示装置に伝送するために、機械の作業ユニットに配向されている。さらに、作業ユニットの作業位置がセンサ装置によって求められ、同様に表示装置にも表示されるので、作業ユニットの作業位置を、まだ作業過程を実施する前に操作要素を介して変更可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が基礎とする課題は、冒頭に述べたタイプの軌道敷設機械のために、作業現場におけるより高い柔軟性および制御/操作手段の拡張性ならびに従来技術に比べて改善された操作人員の支援を提供することにある。さらに、作業ステーションにおける大幅な安全性の向上と人間工学的向上とが達成されるべきである。さらに、本システムを用いて実施される軌道を作業するための方法が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、これらの課題は、請求項1記載のシステムおよび請求項10記載の方法によって解決される。従属請求項は、本発明の好適な実施形態に関している。
【0008】
ここでは、各作業装置への視野の利かない操作ステーションが、軌道敷設機械の内部または外部の箇所に設置されており、操作ステーションは、軌道敷設機械の仮想操作、制御、および/または監視用の表示装置を備えていることが想定される。各作業装置および作業領域への操作者の視覚的見通しに依存しない操作ステーションの配置は、機械操作者用の作業ステーションとして明確に広い空間性および/またはブースの使用を提供する。より改善された設計手段により、作業ステーションの快適性および人間工学性の大幅な向上がもたらされ、これによって、操作者による誤操作のリスクも低減される。軌道敷設機械自体の構成部品としての古典的な配置のもとで、操作人員にとって、ここではほぼすべての機械変形形態において、危険領域外にある作業ステーションへの安全なアクセスが保証される。
【0009】
作業装置の包括的な概念のもとでは、例えば軌道を突き固める突き固めユニット、バラスト上部構造を圧縮する圧縮ユニットなどの複雑なユニットだけでなく、例えばバラスト材料分配のためのリフティングフックまたはスクレーパーブレードなどの簡単な装置から搬送および駆動装置までもが考察される。
【0010】
さらなる発展形態では、操作ステーションは、ビデオ/画像記録および/または操作者支援用の付加的情報を表示するために設置された表示装置を含むことが想定される。これにより、操作者は、リアルタイム記録によって作業装置および作業領域への見通しを利かせることがかなう。任意選択的に、異なるビューや描写の間で選択を行うことができる。加えて、操作者には、それぞれ現在使用中の作業装置についての支援情報が表示される。これらは、例えば、作業領域内の障害物、作業装置や工具の可能な移動経路、作業プロセスのための限界値、警告、指示、あらゆる種類のオーバーレイなどのグラフィックマーキングである。
【0011】
一実施形態では、表示装置は、少なくとも1つの産業用パネル、フラットスクリーンモニタおよび/またはビデオプロジェクタから構成されていることが想定される。好適には、ここでは、産業用パネルまたはフラットスクリーンモニタが使用される。なぜなら、これらは、場合によっては影響を与える直射日光/昼光、または反射などの環境条件にも関わらず良好な画像再生を提供するからである。操作ステーションにおけるスペース要件、多種多様に使用される空間性における望ましい柔軟性、または作業開始のための一時的な使用のみが必要な場合、ビデオプロジェクタは表示装置としても使用される。
【0012】
ここでは、好適には、表示装置は、操作者入力のためのタッチスクリーン機能を備えた産業用パネルおよび/またはフラットスクリーンモニタを介して構成されている。そのような入力手段は、操作ステーション近傍の手が届くようなところに配置された表示装置の場合、他の操作要素の他に、値および/または予め定められたコマンドの付加的で直感的な選択および/または入力を操作者に提供する。そのため、例えば、指示の確認、機械パラメータの設定、仮想的に定められた作業領域の選択などが行われる。
【0013】
好適には、操作ステーションには、複数の操作要素の他に、2人の機械操作者用の座席が設置されている。より大型の軌道敷設機械から大規模な改造および保守管理列車まで、高い機能性に基づくフル稼働では、複数の操作者を必要とする。そのため、それぞれ選択された座席に依存することなく異なる作業装置から操作される。これは、同じ作業プロセスを、一方の座席だけで操作することも、他方の座席だけで操作することも、あるいは両方の座席で一緒に操作することも可能であることを意味する。さらに、操作ステーションのこの構成は、新たな操作人員にとって、育成および訓練モードの際に特別な利点が提供される。作業プロセスにおける、第2の操作者による並行支援介入はその一例であろう。かつては、軌道敷設機械上の分離された作業ブースに基づいて必要であった作業者間の通信用のインターホンは、もはや必要なくなる。複数の座席や操作要素を1つの操作ステーションのみに集中させることも、製造コストの節約という点で優れている。また、相互に分離された操作者ステーション間の費用のかかる配線作業が不要になり、大幅な材料節約が達成される。それと同様に、コンピュータシステム、計算および制御ユニットなどのITの中核コンポーネントを同じ場所に集中的に設置することにも意味がある。
【0014】
さらなる解決手段では、操作ステーションには、複数の操作要素の他に、1人の機械操作者用の座席が設置されていることが想定されている。機械の種類または限られた操作場所が要求される場合には、1つの座席のみが利用可能である。他のケースでは、それぞれ1つの座席しか有さない2つ以上の操作者ステーションが異なる場所で運用される。
【0015】
有意な発展形態では、作業装置および作業領域を光学的に識別するためのカメラは、計算ユニットに結合され、計算ユニットはさらに、上位のコンピュータシステムを用いて機械制御部に結合される。
【0016】
これは、不明瞭な領域または視認性の悪い領域のない、より広い画像/ビデオ区分の捕捉を可能にさせる。ここでは、個々のカメラ画像が歪み補正されるかあるいは編成されて、作業装置および/または作業領域の現実的な全体描写が行われる。
【0017】
さらに、好適には、光学的に識別するためのカメラは、いわゆる3Dカメラとして構成されている。3Dカメラを用いれば、対象物の大きさや空間内での位置が捕捉される。それにより、センサおよび測定システムに対する支援または代替手段として、軌道位置および/または作業領域内の障害物が求められる。3Dカメラの記録は、3Dモデル、いわゆるデジタルツインに統合することができ、これにより、操作者は、視点を自分で選択し、操作中にいつでも変更することができるようになる。
【0018】
操作ステーションと上位のコンピュータシステムとの間の軌道敷設機械の制御、操作、および監視用の情報交換およびデータ交換のための実施形態は、安全な伝送形態、特にVPNルータを介したVPNトンネルを含む。機械への安全で保護されたリモートアクセスのために、好適には、VPNトンネルを用いた安定した接続が選択される。特に、これは、軌道敷設機械から離れて配置されたシステムセンターの操作ステーションの場合に役立つ。
【0019】
システムを動作させるための本発明による方法では、軌道敷設機械が、操作ステーションを介して仮想的に操作、制御、および/または監視される。これにより、1人以上の操作者が、すべての自身の作業装置と作業領域とを備えた軌道敷設機械を完全に制御および監視することが可能になる。操作ステーションの設置は、任意の場所で可能である。
【0020】
本方法のさらなる発展形態では、操作ステーションにおいて、カメラによってビデオ/画像記録が捕捉された後、計算ユニットを介して編成され、修正され、ならびに歪み補正された作業装置の描写が表示装置を介して表示される。これにより、操作者は、それぞれの作業状況の関連する現実的な撮像を受け取り、作業装置も作業領域も視野に入れる。ビデオ/画像記録を処理するこの形態により、深度情報をより良好に知覚する能力が達成される。
【0021】
好適には、操作ステーションにおいて、カメラのビデオ/画像記録が、表示装置を介してリアルタイムで表示される。これにより、作業プロセスを制御および監視する際の迅速な識別と対応とが可能になる。
【0022】
本方法のさらなる実施形態では、操作ステーションにおいて、進行中の作業プロセスに対する付加的情報、指示、および/または警告が、テキスト形式、シンボル形式、および/またはあらゆる種類のグラフィック処理された描写で表示装置を介して操作者支援のために挿入されることが想定される。リアルタイム情報のこの補足により、進行中の作業プロセス中に付加的な支援が操作者に提供され、機械の誤操作の確率が大幅に低減される。これらの挿入は、例えば、臨界的な機械およびプロセスパラメータを際立たせたり、あるいは撮像された作業領域において操作者による手動介入もしくは確認が必要である特別な箇所をマーキングしたりする。
【0023】
一実施形態では、さらに好適には、センサおよび測定システムによって捕捉された姿勢データに関して上位のコンピュータシステムにより評価がなされ、設定値と比較され、機械制御部を介してアルゴリズムにより、作業装置の完全に自動化された駆動制御が実施される。機械の種類とそれぞれの作業装置とに応じて、異なる実際値が求められる。これは、作業装置の位置、姿勢、または状態に関する多種多様な情報であってもよいし、作業プロセスのパラメータであってもよく、格納された目標値と比較される。完全に自動化された動作では、アルゴリズムは、データの評価後、作業装置を操作者の手助けなしで直接駆動制御する。システムによって例えば作業領域内の障害物などの異常が識別されたり、パラメータ限界値に達したりした場合、作業プロセスは直ちに停止され、機械が停止状態にもたらされる。
【0024】
発展形態では、センサおよび測定システムによって捕捉された姿勢データに関して上位のコンピュータシステムにより評価がなされ、設定値と比較され、アルゴリズムにより、作業装置の後続する作業ステップが、表示装置にテキスト形式および/またはグラフィック形式で描写され、機械制御部の操作者による確認後および/または変更後に初めて、作業装置の対応する駆動制御によって実施されることが想定される。これにより、作業ユニットの自動化された駆動制御の利点を失うことなく、保留中の作業プロセスの検査と、求められた作業位置の検査とが可能になる。このようにして操作者は、必要に応じて補正介入が可能になる。
【0025】
以下では、本発明を添付の図面を参照しながら例示的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】これまでの操作ブース配列を備えた、軌道を作業するための軌道敷設機械を概略的に描写した側面図である(従来技術)。
【
図2】新たな操作ブース配列を備えた、軌道を作業するための軌道敷設機械を概略的に描写した側面図である。
【
図3】システム構成を概略的に描写したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1に示されている軌道敷設機械1は、軌道4を突き固めるために非連続的に動作する軌道突き固め機械の従来技術を示す。軌道とは、一般に、レール5、枕木6、上部構造、バラスト、分岐器部分、架線、信号装置からなる全体を意味するものと理解される。本発明には、様々な軌道敷設機械に関連してバラスト上部構造の他に、上部構造構成の第2の変形形態、いわゆるスラブ軌道も関わっている。
【0028】
図1に示されている例に対して代替的に、連続的に動作する軌道突き固め機械では、車両フレームが軌道台車3上に支持され、可動サテライトは機械フレーム2を含む。両端面にそれぞれ運転ブース7が配置されている。本軌道敷設機械1の簡単な変形形態では、機械フレーム2に対して調整可能に配置された作業装置Aへの展望を有する操作ブース8が設けられている。それにもかかわらず、操作ブース8の操作人員からはすべての作業装置Aや作業領域が完全に見通せるわけではない。作業領域として、各作業装置9,10,11,12がそれらの姿勢や位置を自由に操作できる領域が定められている。
【0029】
図示された機械の実施形態は、作業装置Aとして、回転可能でかつ変位可能なユニットサスペンション9、突き固めユニット10、リフトおよび矯正ユニット11、ならびに分岐器処理用の追加リフトユニット12を備えている。より大型の軌道敷設機械または大規模な軌道改造/修復列車の場合、さらなる作業装置の他に追加の操作ブースも使用される。カメラ14の簡単な配列が作業装置Aの領域に設置されており、そのため、軌道敷設機械1の作業方向で見て前方端面(図面描写では右方端面)にも設置されている。これらのカメラ14を用いることにより、作業領域および軌道4の限られた部分が捕捉され、操作ブース8に伝送される。組み込まれたセンサおよび測定システム13は、一方では軌道の幾何学形状を捕捉し、また軌道4上のすべての物体、特にレール5、枕木6、ならびに作業領域内に存在し得る障害物も捕捉する。センサおよび測定システム13を介して、動作パラメータや作業装置Aの姿勢位置も求められる。
【0030】
図2では、
図1の作業装置Aの領域に配置された操作ブース8は省かれている。作業装置Aに関する機械装備は、
図1の軌道敷設機械1と同一に構成されている。操作ブース8の省略により、ここでは操作人員にとって安全で快適な操作ステーション15が、軌道敷設機械1の保護された内部領域に設置されている。この操作ステーション15の周りには、とりわけ、表示装置16、座席17、および操作要素18が、操作者によって人間工学的に使用または操作できるように配置されている。より大規模な軌道敷設機械の場合、この操作ステーション15は、2つ以上の座席17も備えることが可能である。複数のカメラ14からなる拡張された配列が、軌道敷設機械1のすべての作業領域と両端面とを撮像し、これらのビデオ/画像データを中央に配置された計算ユニット19に伝送する。同様に、機械制御部20と上位のコンピュータシステム21がそこにも集中的に配置されている。
【0031】
図3において、システム構成のブロック図は、システムコンポーネントの相互作用を記述している。操作ステーション15を起点として、好適には操作者に表示装置16のタッチスクリーン入力機能が与えられる。このケースでは、表示装置16だけでなく、操作ステーション15における操作要素18も、制御および操作命令の入力のために機械制御部20に結合されている。操作要素18の構成は多種多様であり、ここでは多軸ジョイスティック状の入力機器、スイッチ、ボタン、タッチ要素、および/またはキーボードを使用することができる。複数のカメラ14から得られたビデオ/画像データが、操作者の設定に応じて、未処理のあるいは処理済みの(例えば編成および歪み補正された)ビデオ情報としてほぼリアルタイムで表示装置16に伝送される。これらのカメラ14は、直射日光の特に強い多くの使用国での要件に応じて、いわゆるHDR(High Dynamic Range)カメラまたはxHDRカメラとして構成されてよい。この構造方式は、捕捉すべき画像領域内の大きな輝度差を人間の目よりも良好に補償することができる。この結果、情報量が多くてコントラストの十分な撮像となる。
【0032】
センサおよび測定システム13のコンポーネントは機械制御部20に結合され、さらに、進行中の作業工程に対して受け取ったすべての情報をアルゴリズムによって処理し評価する上位のコンピュータシステム21にも結合されている。作業装置Aの駆動制御および監視のために、これらは機械制御部20に結合され、ここで、駆動制御は、手動モードでは操作要素18を介して操作者によって直接行われ、あるいは自動化されたモードでは、機械制御部20および/または上位のコンピュータシステム21によって直接行われる。計算ユニット19も機械制御部20も、それぞれ最上位のインスタンスとして上位のコンピュータシステム21に直接接続されている。
【0033】
リアルタイム記録に対して補足的に操作者支援として表示装置16を介して挿入される進行中または保留中の作業プロセスに対する情報(例えば、警告、グラフィック処理された描写)は、上位のコンピュータシステム21に端を発する。そこでは、カメラ14と、センサおよび測定システム13とによって投入されたデータおよび信号(例えば識別された障害物)が処理される。この評価の結果は、計算ユニット19を介して表示装置16に出力され、そこで操作者に相応する画像またはビデオオーバーレイとして重畳されて表示される。
【0034】
軌道敷設機械1の外部に配置された操作ステーション15の場合、操作、制御、および表示に必要なすべての情報およびデータストリームがクライアント22において捕捉され、データ接続24を介して軌道敷設機械1の上位のコンピュータシステム21と双方向に結合される。この結合は、好適には、2つの伝送ユニット23間で安全なVPNトンネル接続を介して行われる。
【国際調査報告】