(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-19
(54)【発明の名称】車両位置推定システム及び方法
(51)【国際特許分類】
G01C 21/28 20060101AFI20230612BHJP
G01S 13/86 20060101ALI20230612BHJP
G01S 13/931 20200101ALI20230612BHJP
G01S 13/87 20060101ALI20230612BHJP
【FI】
G01C21/28
G01S13/86
G01S13/931
G01S13/87
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022571152
(86)(22)【出願日】2021-05-20
(85)【翻訳文提出日】2023-01-12
(86)【国際出願番号】 CA2021050687
(87)【国際公開番号】W WO2021232160
(87)【国際公開日】2021-11-25
(32)【優先日】2020-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522452237
【氏名又は名称】プロファウンド ポジショニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】サクル,モスタファ
(72)【発明者】
【氏名】ムッサ,アデル
(72)【発明者】
【氏名】エルシェイク,モハメド
(72)【発明者】
【氏名】アブデルファタハ,ワリド
(72)【発明者】
【氏名】エル-シェイミー,ナセル
【テーマコード(参考)】
2F129
5J070
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB03
2F129BB19
2F129BB33
2F129BB47
5J070AC01
5J070AF03
5J070BD08
(57)【要約】
車両位置推定システム及び方法は、第1のセンサから車両の第1の航法状態を示す第1のデータを取得することと、第2のセンサから車両付近の環境を示す第2のデータを取得することと、第1のセンサ及び第2のセンサに通信可能に接続されたプロセッサを使用して、第2のデータを環境の既知の地図に一致させることに基づいて第2の航法状態を発生させることと、プロセッサを使用して、第1の航法状態及び第2の航法状態に基づいて現在の航法状態を発生させることとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のための位置推定システムであって、
前記車両の第1の航法状態を示す第1のデータを発生させるように構成された第1のセンサと、
前記車両付近の環境を示す第2のデータを発生させるように構成された第2のセンサと、
前記第1のセンサ及び前記第2のセンサに通信可能に接続されたプロセッサであって、
前記環境の既知の地図に前記第2のデータを一致させることに基づいて第2の航法状態を発生し、
前記第1の航法状態及び前記第2の航法状態に基づいて現在の航法状態を発生させるように構成された、プロセッサを含む、システム。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記第2のデータに基づいて点群を発生させるように構成され、前記第2の航法状態は、前記点群と前記既知の地図を一致させることに基づく、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記点群は、前記車両付近の対象を示す複数の反射点を含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記プロセッサは、動的対象を示す反射点を除去するように構成される、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記第1のデータから引き出された相対車両姿勢変換を使用して、共通基準フレームに前記第2のデータを蓄積することに基づいて前記点群を発生させるように構成される、請求項2~4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記共通基準フレームは、前記航法基準フレームである、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1の航法状態は、第1の車両位置及び第1の車両の向きを含む、第1の車両姿勢を含む、請求項5又は6に記載のシステム。
【請求項8】
前記相対車両姿勢変換は、前の車両姿勢から前記第1の車両姿勢への車両姿勢の変化である、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記プロセッサは、前記既知の地図に一致するように前記点群を変換することに基づいて、地図変換関数を発生させるように構成される、請求項1~8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記第2の航法状態は、前記地図変換関数に基づく、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記変換は、変換パラメータを含む反復変換である、請求項9又は10に記載のシステム。
【請求項12】
前記変換パラメータは、反復の最大数及び最小反復ステップを含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記変換パラメータは地図解像度を含む、請求項11又は12に記載のシステム。
【請求項14】
前記プロセッサは、前記点群と前記既知の地図との間の一致に基づいて一致尤度スコアを発生させるように構成される、請求項9~13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記一致尤度スコアは、ベイズマッチング法又は点群登録方法に基づいて発生される、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記点群登録方法は、反復最接近点方法又は正規分布変換方法である、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記既知の地図は、前記環境内の対象を表す複数の地図要素を含む、請求項1~16のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
前記複数の地図要素は、線分、点、又は多角形の少なくとも1つを含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記プロセッサは、前記第1の車両航法状態に基づいた前記既知の地図から見えない地図要素を除去するように構成される、請求項17又は18に記載のシステム。
【請求項20】
前記プロセッサは、新しい地図に隣接した境界領域内で前記第1の航法状態を検出することに基づいて、前記新しい地図を獲得するように構成される、請求項17~19のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項21】
前記第1のセンサは、第1の基準フレーム内に前記第1のデータを発生させるように構成され、前記第2のセンサは、第2の基準フレーム内に前記第2のデータを発生させるように構成される、請求項1~20のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項22】
前記プロセッサは、前記第1のデータ及び前記第2のデータを車両基準フレームに変換するように構成される、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記第2のセンサは測距センサであり、前記第2のデータは前記測距センサによって発生された測距データである、請求項1~22のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項24】
前記測距センサは、無線探知及び測距(RADAR)センサであり、前記測距データは前記RADARセンサによって発生されたRADARデータである、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記RADARセンサは複数のRADARセンサである、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記RADARデータは、測距情報及び方位情報を含む、請求項24又は25に記載のシステム。
【請求項27】
前記RADARデータは相対速度情報を含む、請求項24~26のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項28】
前記測距センサは、光検出及び測距(LiDAR)センサであり、前記測距データは、前記LIDARセンサによって発生されたLIDARデータである、請求項23に記載のシステム。
【請求項29】
前記第1のセンサは、航法データを発生させるように構成された航法センサである、請求項1~28のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項30】
前記航法センサは、ホイールティック・エンコーダ、慣性センサ、及びハンドルセンサを含む、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
前記航法センサは、カメラを更に含む、請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
前記カメラは、複数のカメラである、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
前記航法センサは、GNSSデバイスを更に含む、請求項30~32のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項34】
前記プロセッサに通信可能に接続されたメモリを更に含み、前記既知の地図は前記メモリに記憶される、請求項1~33のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項35】
前記メモリは、前記システムに対してローカル、前記システムに対してリモート、又はそれらの組み合わせである、請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
車両位置推定のためのコンピュータ実装方法であって、
第1のセンサから車両の第1の航法状態を示す第1のデータを取得することと、
第2のセンサから前記車両付近の環境を示す第2のデータを取得することと、
前記第1のセンサ及び前記第2のセンサに通信可能に接続されたプロセッサを使用して、前記第2のデータを前記環境の既知の地図に一致させることに基づいて第2の航法状態を発生させることと、
前記プロセッサを使用して、前記第1の航法状態及び前記第2の航法状態に基づいて現在の航法状態を発生させることを含む、コンピュータ実装方法。
【請求項37】
前記プロセッサを使用して、前記第2のデータを蓄積することに基づいて点群を発生させることを更に含み、前記第2の航法状態を発生させることは、前記点群を前記既知の地図に一致させることに基づく、請求項36に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項38】
前記プロセッサを使用して、前記第1の航法状態と前の第1の航法状態との間の航法状態の変化に基づいた相対車両姿勢変換を発生させることを更に含み、
前記プロセッサは、前記第1の航法状態に関して前記第2のデータを蓄積するために、前記相対車両姿勢変換を使用することに基づいて前記点群を発生させる、請求項37に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項39】
前記既知の地図は複数の対象を含み、
前記既知の地図を複数のセルに細分化するために前記プロセッサを使用することと、対応するセルを占有する前記複数の対象の対応する部分集合を示す対応する確率分布関数を発生させるために、それぞれの前記セルを評価することとを更に含む、請求項37又は38に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項40】
前記点群と前記既知の地図を一致させることは、前記複数のセルのそれぞれに対して前記対応する確率分布関数に対して前記点群を評価することに基づく、請求項39に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項41】
前記点群を前記既知の地図に一致させることは、
前記点群を繰り返し変換することと、前記既知の地図に一致する各反復点群の尤度を評価することとを更に含み、前記第2の航法状態は、前記既知の地図に一致する最高尤度を有する前記反復点群に基づく、請求項37~40のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項42】
前記一致する尤度を評価することは、正規分布変換法を含む、請求項41に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項43】
前記現在の航法状態は、ベイズフィルタを使用して前記第1の航法状態と前記第2の航法状態を融合することに基づく、請求項36~42のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項44】
前記第1のセンサは航法センサであり、前記第2のセンサは無線探知及び測距(RADAR)センサである、請求項36~43のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項45】
前記RADARセンサは、複数のRADARセンサである、請求項44に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項46】
コンピュータによって実行される時に、請求項36~45のいずれか一項に記載の方法を実行するコンピュータ実行可能命令をその上に記憶する、コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本開示は、一般に車両位置推定システム及び方法に関し、より詳細には、車両位置推定のための航法センサと組み合わせた測距センサを使用することに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
GNSS受信機は、屋外の車両位置を決定するための最も一般的な解決策である。GNSS受信機は、異なるモード及び操作条件に基づいて数センチメートルから数メートルまで異なることがある精度を提供する。例えば異なるモード(これはローバGNSS受信機若しくは仮想基準局ネットワークから特定距離内のローカル基準局を必要とする)又は高精度単独測位(PPP)モードのいずれかで操作するGNSS受信機は、センチメートル、デシメートル又はサブメートルレベルの精度を提供することができる。しかしGNSS受信機は、空が見渡せて、同時に複数の人工衛星に直接視線が届かなければ、それらの精度を維持できない。その結果、GNSSの性能は、高層ビルのある都市領域では、地下トンネルを通過している時、陸橋の下を進んでいる時、又は林冠若しくは他の障害物の下を運転している時に非常に低減する。
【0003】
自動運転及びコネクテッドカーは、GNSSのみの手法に固有の制限を克服するために、車両位置推定のためのマルチセンサ融合法を利用することがある。このようなマルチセンサ融合法は、GNSSからのデータを慣性センサ、カメラ、及びLiDARデバイスなどの他のセンサシステムと組み合わせてもよい。この手法は、同様に(夜又は霧環境による)視界不良、雨(雨はLiDAR信号を分散させ、カメラレンズを覆う可能性がある)、及び雪(雪はカメラレンズ及びLiDAR送信機を遮る可能性がある)などの操作条件に基づいて性能が変わることに悩まされる。
【0004】
車両位置推定に対する更なる手法は、車両を観察及び追跡するために、環境に埋め込まれた外部センサ・インフラストラクチャに依拠する。この手法は、閉鎖した若しくは制御された屋内又は屋外環境で広く行われている。しかし特化したインフラストラクチャを関心領域に設置して維持することが必要であるために、車両位置推定システムの費用及び複雑性が非常に増し、それらの適用は、必要な外部センサ・インフラストラクチャを有する特定領域に限定される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
公知の技法の欠点を克服し、追加の利点を提供するために、車両位置推定の更なる改良及び進歩を発展させることが依然として望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本章は、本開示に関連することがある、当技術分野の様々な態様を導くことを意図する。この検討は、本開示の特定の態様をより良く理解するために骨組みを提供する支援をすると考えられる。従って本章はこの観点で読むべきであり、必ずしも先行技術の許可として読むべきではないことを理解するべきである。
【0007】
次に添付図面を参照して、例のみとして実施形態について記載する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図面の簡単な説明
【
図1】本明細書に開示されたようなRADARに基づいた車両位置推定システム、及び車両に具備されたRADARセンサによって発生されたRADARデータに基づいた、対応するポイントマップで操作する車両の略図である。
【
図2】
図1に描かれた車両に具備された、RADARに基づいた車両位置推定システムの実施形態のブロック図である。
【
図3】各RADARセンサの基準フレーム、車両基準フレーム、及び航法基準フレームに対するx-y座標系のオーバレイを含む、
図1に描かれた車両の略図である。
【
図4A】本明細書に開示されたような車両位置推定システム及び方法による、車両に1つ又は複数のRADARセンサを提供する実施形態である。
【
図4B】本明細書に開示されたような車両位置推定システム及び方法による、車両に1つ又は複数のRADARセンサを提供する実施形態である。
【
図4C】本明細書に開示されたような車両位置推定システム及び方法による、車両に1つ又は複数のRADARセンサを提供する実施形態である。
【
図4D】本明細書に開示されたような車両位置推定システム及び方法による、車両に1つ又は複数のRADARセンサを提供する実施形態である。
【
図5】RADARセンサデータ、相対車両姿勢変換、及びタイムエポックを記憶するために使用する、FIFO構造実施形態の略図である。
【
図6A】複数の対象を含む既知の地図の実施形態である。
【
図6B】4つの地図領域に更に分割した、
図6Aに例示された既知の地図である。
【
図6D】車両から見た際に見える及び見えない地図要素を含む、
図6Cに描かれた地図領域の例示である。
【
図6E】各セルに対する確率分布関数を発生させるためにセルに更に細分化された、
図6Dに描かれた地図領域を例示する。
【
図7】異なる地図及び異なる地図領域への遷移を決定する際に使用するために、
図6A及び6Bに例示された既知の地図に対する状態遷移図の実施形態である。
【
図8】
図2に例示された車両位置推定システムに基づいた、RADARに基づいた車両位置推定方法のブロック図である。
【
図9】
図8に描かれたRADARに基づいた、車両位置推定方法の更なるステップを例示するシステム及びブロック図である。
【
図10】
図11に例示された試験軌跡を進む車両に使用された、高密度点群として表された地下駐車場用の既知の地図であり、車両は、本明細書の開示によるRADARに基づいた車両位置推定システムの実施形態を具備する。
【
図11】
図10に例示された高密度点群上の車両試験軌跡のオーバレイである。車両は、本明細書に開示されたようなRADARに基づいた車両位置推定システムの実施形態を具備した試験軌跡を走行した。
【
図12A】
図11に例示された車両試験軌跡のコースの上に生成された未加工のRADAR点群を例示する。
【
図12B】ノイズを除去するために処理された、
図12Aに描かれたRADAR点群を例示する。
【
図13A】
図12Bに印を付けたように、試験軌跡に離散点で一定時間(25秒)に発生したRADARデータに基づいた点群である。
【
図13B】
図12Bに印を付けたように、試験軌跡に離散点で一定時間(60秒)に発生したRADARデータに基づいた点群である。
【
図14】第2の車両試験に使用された環境を例示する。環境は、屋内領域の地図、屋外領域の地図、及び屋内領域と屋外領域が相互接続するランプの2つの地図を含む、4つの地図として例示されている。本明細書に開示されたような車両位置推定システム及び方法を具備された車両は、
図15に更に例示されたような4つの領域を走行した。
【
図15】
図14に例示された4つの地図上に重ねた車両軌跡を例示する。車両軌跡は、車両に提供された車両位置推定システム及び方法から生じた航法状態を反映する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面を通して、図に見える要素の例の1つのみ又は全てより少ない要素が、簡略にし、混乱を避けるだけのために、リード線及び基準特性によって示されていることがある。しかしこのような例では、対応する記載に従って、全ての他の例が同様に対応する記載に従って示されて包含されることが理解されよう。
【0010】
詳細な説明
以下は、本明細書に開示されたような車両位置推定システム及び方法の例である。
【0011】
一態様では、本明細書に開示された車両位置推定システムは、車両の第1の航法状態を示す第1のデータを発生させるように構成された第1のセンサと、車両付近の環境を示す第2のデータを発生させるように構成された第2のセンサと、第1のセンサ及び第2のセンサに通信可能に接続されたプロセッサであって、プロセッサは、環境の既知の地図に第2のデータを一致させることに基づいて第2の航法状態を発生し、第1の航法状態及び第2の航法状態に基づいて現在の航法状態を発生させるように構成された、プロセッサとを含む。
【0012】
一実施形態では、プロセッサは、第2のデータに基づいて点群を発生させるように構成され、第2の航法状態は、点群と既知の地図を一致させることに基づく。一実施形態では、点群は、車両付近の対象を示す複数の反射点を含む。一実施形態では、プロセッサは、動的対象を示す反射点を除去するように構成される。一実施形態では、プロセッサは、第1のデータから引き出された相対車両姿勢変換を使用して、共通基準フレームに第2のデータを蓄積することに基づいて点群を発生させるように構成される。一実施形態では、共通基準フレームは、航法基準フレームである。
【0013】
一実施形態では、第1の航法状態は、第1の車両位置及び第1の車両の向きを含む、第1の車両姿勢を含む。一実施形態では、相対車両姿勢変換は、前の車両姿勢から第1の車両姿勢への車両姿勢の変化である。
【0014】
一実施形態では、プロセッサは、既知の地図に一致するように点群を変換することに基づいて、地図変換関数を発生させるように構成される。一実施形態では、第2の航法状態は、地図変換関数に基づく。一実施形態では、変換は、変換パラメータを含む反復変換である。一実施形態では、変換パラメータは、反復の最大数及び最小反復ステップを含む。一実施形態では、変換パラメータは地図解像度を含む。
【0015】
一実施形態では、プロセッサは、点群と既知の地図との間の一致に基づいて一致尤度スコアを発生させるように構成される。一実施形態では、一致尤度スコアは、ベイズマッチング法すなわち点群登録方法に基づいて発生される。一実施形態では、点群登録方法は、反復最接近点方法又は正規分布変換方法である。
【0016】
一実施形態では、既知の地図は、環境内の対象を表す複数の地図要素を含む。一実施形態では、複数の地図要素は、線分又は点の少なくとも1つを含む。一実施形態では、プロセッサは、第1の車両航法状態に基づいた既知の地図から見えない地図要素を除去するように構成される。一実施形態では、プロセッサは、新しい地図に隣接した境界領域内で第1の航法状態を検出することに基づいて新しい地図を獲得するように構成される。
【0017】
一実施形態では、第1のセンサは、第1の基準フレーム内に第1のデータを発生させるように構成され、第2のセンサは、第2の基準フレーム内に第2のデータを発生させるように構成される。一実施形態では、プロセッサは、第1のデータ及び第2のデータを車両基準フレームに変換するように構成される。
【0018】
一実施形態では、第2のセンサは測距センサであり、第2のデータは測距センサによって発生された測距データである。
【0019】
一実施形態では、測距センサは、無線探知及び測距(RADAR)センサであり、測距データはRADARセンサによって発生されたRADARデータである。一実施形態では、RADARセンサは複数のRADARセンサである。一実施形態では、RADARデータは、測距情報及び方位情報を含む。一実施形態では、RADARデータは相対速度情報を含む。
【0020】
一実施形態では、測距センサは、光検出及び測距(LiDAR)センサであり、測距データは、LIDARセンサによって発生されたLIDARデータである。
【0021】
一実施形態では、第1のセンサは、航法データを発生させるように構成された航法センサである。一実施形態では、航法センサは、ホイールティック・エンコーダ、慣性センサ、及びハンドルセンサを含む。一実施形態では、航法センサは、カメラを更に含む。一実施形態では、カメラは複数のカメラである。一実施形態では、航法センサは、GNSSデバイスを更に含む。
【0022】
一実施形態では、車両位置推定システムは、プロセッサに通信可能に接続されたメモリを更に含み、既知の地図はメモリに記憶される。一実施形態では、メモリは、データベース、リモートサーバ、又はクラウドサーバである。一実施形態では、メモリは、システムに対してローカル、システムに対してリモート、又はそれらの組み合わせである。
【0023】
一態様では、車両位置推定のためのコンピュータ実装方法は、第1のセンサから車両の第1の航法状態を示す第1のデータを取得することと、第2のセンサから車両付近の環境を示す第2のデータを取得することと、第1のセンサ及び第2のセンサに通信可能に接続されたプロセッサを使用して、第2のデータを環境の既知の地図に一致させることに基づいて第2の航法状態を発生させることと、プロセッサを使用して、第1の航法状態及び第2の航法状態に基づいて現在の航法状態を発生させることとを含む。
【0024】
一実施形態では、コンピュータ実装車両位置推定方法は、プロセッサを使用して、第2のデータを蓄積することに基づいて点群を発生させることを更に含み、第2の航法状態を発生させることは、点群を既知の地図に一致させることに基づく。
【0025】
一実施形態では、コンピュータ実装車両位置推定方法は、プロセッサを使用して、第1の航法状態と前の第1の航法状態との間の航法状態の変化に基づいた相対車両姿勢変換を発生させることを更に含み、プロセッサは、第1の航法状態に関して第2のデータを蓄積するために、相対車両姿勢変換を使用することに基づいて点群を発生させる。
【0026】
一実施形態では、既知の地図は複数の対象を含み、コンピュータ実装車両位置推定方法は、既知の地図を複数のセルに細分化するためにプロセッサを使用することと、対応するセルを占有する複数の対象の対応する部分集合を示す対応する確率分布関数を発生させるために、それぞれのセルを評価することとを更に含む。
【0027】
一実施形態では、点群と既知の地図を一致させることは、複数のセルのそれぞれに対して対応する確率分布関数に対して点群を評価することに基づく。一実施形態では、点群を既知の地図に一致させることは、点群を繰り返し変換することと、既知の地図に一致する各反復点群の尤度を評価することとを更に含み、第2の航法状態は、既知の地図に一致する最高尤度を有する反復点群に基づく。一実施形態では、一致する尤度を評価することは、正規分布変換法を含む。
【0028】
一実施形態では、現在の航法状態は、ベイズフィルタを使用して第1の航法状態と第2の航法状態を融合することに基づく。
【0029】
一実施形態では、第1のセンサは航法センサであり、第2のセンサは無線探知及び測距(RADAR)センサである。一実施形態では、RADARセンサは複数のRADARセンサである。
【0030】
一態様は、コンピュータによって実行される時に、本明細書の開示による車両位置推定のためのコンピュータ実装方法を行う、コンピュータで実行可能な命令をその上に記憶するコンピュータ可読媒体である。
【0031】
説明を単純にするために、本明細書に提供された記載及び例示は、二次元x-y直交座標系に関連し、概してローカルセンサ基準フレーム、車両基準フレーム、及び/又は航法基準フレームに関して表される。しかし本発明はそのように限定されず、本明細書に開示されたような車両位置推定システム及び方法は、本開示の教示から逸脱することなく、異なる自由度、異なる座標系、及び異なる基準フレームで実行されてもよいことが当業者には認識されよう。
【0032】
本明細書に開示されたような車両位置推定システム及び方法は、継ぎ目のない屋内屋外の車両位置推定へのマルチセンサ法を含む。システム及び方法は、車両の航法状態を示すデータを発生させるために、車両上に第1のセンサを提供することと、車両付近の環境を示すデータを発生させるために、車両上に第2のセンサを提供することとを含む。第1のセンサ及び第2のセンサと通信可能に接続されたプロセッサは、第1及び第2の車両航法状態を発生させるように構成される。第1の車両航法状態は、第1のセンサデータに基づき、第2のセンサと無関係に引き出される。第2の車両航法状態は、第1の航法状態及び第1のセンサデータから引き出された変換関数を使用して、既知の地図と共通の基準フレームに第2のセンサデータを蓄積することに基づく。蓄積された第2のセンサデータは、第2の航法状態の推定を発生させる際に使用するために、環境の既知の地図に対して評価される。プロセッサは、次に第1及び第2の車両航法状態を評価することに基づいて、現在の車両状態を発生させる。本明細書に開示された車両位置推定システム及び方法は、GNSSを必要とせず、周囲環境に埋め込まれた前から存在するセンサ・インフラストラクチャも必要としない。しかしそのような位置決めシステム及びセンサが利用できる場合、本明細書に開示されたシステム及び方法は、それにもかかわらずそのようなシステム及びセンサを使用してもよい。第1のセンサは、これに限定されないが、ホイールティック・エンコーダ、慣性測定ユニット、加速度計、ジャイロスコープ、1つ若しくは複数のカメラ、ハンドルセンサ、GNSS受信機、及びそれらの組み合わせを含む、航法センサを含んでもよい。第2のセンサは、これに限定されないが、無線探知及び測距(RADAR)センサ、光検出及び測距(LiDAR)センサ、及びそれらの組み合わせを含む、飛行時間型センサを含む測距センサを含んでもよい。
【0033】
本明細書に開示されたシステム及び方法は、リアルタイムで第1及び第2のセンサデータを発生させる。プロセッサは、複数のタイムエポックを表す時間のウィンドウに対するセンサデータを蓄積することがある。時間のウィンドウは、スライディング・ウィンドウが重複しないスライディング・ウィンドウである実施形態、及びスライディング・ウィンドウが重複するスライディング・ウィンドウである実施形態を含む、固定幅のスライディング・ウィンドウであってよい。プロセッサは、第1のセンサデータから直接、又は間接に、例えば第1の航法状態を発生させるために第1のセンサデータを車両運動モデルに入力することにより、第1の車両航法状態を獲得してもよい。プロセッサは、2つのタイムエポックの間の車両航法状態の変化に基づいて、車両姿勢変換関数を更に引き出してもよい。プロセッサは、第2のセンサデータに適合して蓄積するために、車両姿勢変換関数を使用する。プロセッサは、蓄積された第2のセンサデータを既知の地図と共通の基準フレームに変換するために第1の航法状態を使用する。一実施形態では、既知の地図は、航法基準フレームで表される。
【0034】
一例として、プロセッサは、第1の航法状態を発生させる際に使用するために、現在のタイムエポックに対する第1のセンサデータを受信してもよい。プロセッサは、第1の航法状態と前の航法状態との間の車両航法状態の変化に基づいて、車両姿勢変換関数を更に発生させる。プロセッサは、前の航法状態に蓄積された第2のセンサデータを第1の航法状態に変換するために、車両姿勢変換関数を使用する。このやり方で、本明細書に開示されたシステム及び方法は、車両姿勢の対応する変化を使用して、第2のセンサデータを繰り返し変換することにより、第2のセンサデータを共通の基準フレームに蓄積する。
【0035】
蓄積する第2のセンサデータは、例示的に雲に似ていることがある。例えばRADARデータは、所与の対象に対する複数の反射点を含むことがある。そのような反射点を継時的に蓄積することにより、反射点の雲をもたらすことがあり、それによってRADARデータは、対象のぼやけた又は雲状の型に似ている。そのような点群は、反射点を記載し及び/又は例示する1つの方法に過ぎない。例えば生のRADARデータは、反射点を線分、多角形、又は他の構造に変換するために、処理するステップを受けてもよい。従って点群は、データを点の群として表すことに限定されず、むしろ点群は、データが点、線分、多角形、又はその他として表される、継時的なデータの蓄積を包含する。
【0036】
本明細書に開示されたシステム及び方法は、点群を環境の既知の地図と比較する。比較は、既知の地図に一致させるために点群を変換することに基づく。一実施形態では、比較は、既知の地図と一致する尤度を最大にするために、異なる車両姿勢を使用して点群を変換することに基づく。一実施形態では、一致することは、反復最接近点(ICP)又は正規分布変換(NDT)法を含む、点群登録方法に基づく。得られる車両姿勢変換は、第2の車両航法状態の見積を特徴付ける。第1及び第2の航法状態は、現在の車両航法状態を発生させるために評価される。一実施形態では、第1及び第2の航法状態は、ベイズ法に基づいて一緒に融合される。本明細書に更に開示されたような実施形態は、確実な第2の航法状態を見積もる際に使用するために、点群が既知の地図に一致する尤度に基づいて尤度スコアを発生させることを含む。
【0037】
図1及び2は、本明細書に開示されたような、RADARに基づいた車両位置推定システム及び方法を例示する。
図1は、複数の対象142を含む環境140で操作する車両110を例示する。対象は、本来静的又は動的であってもよい。静的対象は、これに限定されないが、柱、壁、柵、塀、木、及び駐車した車両を含んでもよい。動的対象は、これに限定されないが、人々、動物、及び動いている車両を含んでもよい。車両110は、プロセッサ150に通信可能に接続された第1のセンサ120を含む、車両位置推定システム100を具備する。第1のセンサ120は、車両の航法状態を示すデータを発生させる。
図2に描かれたように、第1のセンサ120は、慣性センサ122a、ホイールティック・エンコーダ122b、ハンドルセンサ122c、GNSSデバイス122d、及び1つ又は複数のカメラ122eを含む、複数の航法センサ122を含む。他の実施形態は、加速度計及びジャイロスコープを含む慣性測定ユニットなどの独立型航法センサ122を含む。航法センサ122は、ローカルセンサ基準フレーム、車両基準フレーム、又は航法基準フレームなどの基準フレームに関する車両航法データを発生させる。車両航法データは、これに限定されないが、絶対車両位置(例えば経度、緯度、及び高度)、相対車両位置、車両配向(例えばピッチ、ロール、ヨー)、車両速度、及び車両姿勢を含んでもよい。例えばGNSSデバイス122dは、地理基準フレームに絶対車両位置を示す航法データを発生してもよく、慣性センサ122aは、車両位置及び配向の変化を示す航法データを発生してもよく、ハンドルセンサ122cは、車両の向きの変更を示す航法データを発生してもよい、その他などである。プロセッサ150は、ローカルメモリ152a又はリモートメモリ152bなどのメモリ152に記憶するための、航法センサ122からの航法データを受信する。リモートメモリ152bは、これに限定されないが、携帯機器、データベース、リモートサーバ、又はクラウドサーバの記憶装置を含む。プロセッサは、航法データから直接又は間接に車両の第1の航法状態を発生してもよい。車両航法状態は、これに限定されないが、車両姿勢(位置及び向き)を含む。
【0038】
第1の航法状態を発生させる例として、ホイールティック・エンコーダ122bは、車両の変位及び向きを含む車両航法状態を示す航法データを発生させるように構成されてもよい。プロセッサ122bは、航法データから直接、又は航法データを位置若しくは相対位置にマッピングするための車両運動モデルに基づいて、第1の航法状態を発生してもよい。車両運動モデルは、デッドレコニング・システムの場合にあり得るように、前の航法状態からの相対変化に基づいて第1の航法状態を発生させることを含んでもよい。ホイールティック・エンコーダ122bは、車輪の回転データを捕獲し、プロセッサ150は、車輪の回転データを車輪の既知のパラメータと組み合わせて車両航法状態の相対変化を発生させることができる。例えばプロセッサ150は、以下の方程式(1)-(4)に従って前の航法状態から車両の変位及び向きの相対変化を引き出すことができる。車両の変位及び向きの相対変化は、ホイールティック・エンコーダ・データ及び既知の車輪パラメータから引き出し得るように、左後輪の変位の変化ΔdL及び右後輪の変位の変化ΔdRに基づく。
ΔdL=NLSL (1)
ΔdR=NRSR (2)
【0039】
N
L及びN
Rは、左及び右車輪のそれぞれに対する前の航法状態からの車輪パルスカウントの変化である。S
L及びS
Rは、左及び右車輪のそれぞれに対する単位(m/パルス)で画定されたホイールスケールである。車輪の変位の変化Δd
L及びΔd
Rを使用して、プロセッサ150は、方程式(3)及び(4)に基づいて、前の航法状態に関して車両の距離の変化Δd及び向きの変化Δθを決定することができる。
【数1】
【0040】
式中bは車輪又は車輪軌道の間の距離であり、これは所与の車両に対して定数である。プロセッサ150は、こうして前の航法状態に関して車両の距離の変化Δd及び車両の向きの変化Δθに基づいて第1の航法状態を発生させるために、ホイールティック・エンコーダ122bによって発生された航法データを使用することができる。
【0041】
図3に例示されたように、データは、ローカルRADARセンサ基準フレームO
r1、O
r2、O
r3、及びO
r4、車両基準フレームO
v、並びに航法基準フレームO
nなどの異なる基準フレームで表されてもよい。その結果として、更なるステップは、第1及び第2のセンサデータを航法基準フレームO
nなどの異なる基準フレームに変換する必要があることがある。例えば車両の向きθは、車両基準フレームO
vのy軸と航法基準フレームO
nのy軸との間の角度として表されてもよい。従来車両基準フレームO
vが航法基準フレームO
nと一致する時に、車両の向きθは、ゼロ度である。向きの正の変化Δθは、従来時計回りの車両の回転を示す。他の慣習も可能である。記載された慣習を使用して、第1の航法状態は、方程式(5)~(7)に従って航法基準O
nで表されてもよい。
θ
k=θ
k-1+Δθ
k-1 (5)
x
k=x
k-1+Δd
k-1sin(θ
k-1) (6)
y
k=y
k-1+Δd
k-1cos(θ
k-1) (7)
【0042】
式中xk及びykは、航法基準Onの水平車両位置であり、θkは対応する車両の向きである。車両位置(x,y)及び向きθは、対応する車両航法状態に対する車両姿勢を集合的に表す。方程式(5)~(7)は、こうして前のタイムエポックk-1からの前の車両姿勢に基づいて現在の車両姿勢を発生させる。
【0043】
車両110は、プロセッサ150に通信可能に接続された第2のセンサ130を更に具備する。第2のセンサ130は、車両付近の環境を示すデータを発生させる。
図2及び3に具体的に例示されたように、車両110は、車両110上の4つのそれぞれの場所111、112、113、及び114に提供された、第1、第2、第3、及び第4のRADARセンサ131、132、133、及び134のそれぞれを含む、第2のセンサ130を具備する。車両110上にRADARセンサを提供することについての更なる実施形態は、
図4A~4Dに例示されており、それぞれは単一のRADARセンサの実施形態、2つのRADARセンサの実施形態、異なる2つのRADARセンサの実施形態、及び3つのRADARセンサの実施形態を描く。センサが車両付近の環境を走査するために車両に具備された手法は、本明細書に開示された実施形態にそれほど限定されないことが当業者には認識されよう。例えば第2のセンサ130は、5つ以上のRADARセンサを含んでもよく、又は車両上の異なる場所にRADARセンサを置いてもよい。
【0044】
各RADARセンサ131、132、133、及び134は、それぞれのローカルセンサ基準フレームOr1、Or2、Or3、及びOr4に関してRADARデータを発生させる際に使用するためにRADAR信号を送受信する。本明細書に開示されたシステム及び方法は、対応するローカルセンサ基準フレームOr1、Or2、Or3、及びOr4からのRADARデータを車両基準フレームOvに、続いて既知の地図と比較するために航法基準フレームOnに変換することを更に含む。変換は、RADARデータを異なる基準フレームに変換する際に使用するために、ローカルセンサ基準フレームOr1、Or2、Or3、及びOr4の構成から引き出された較正データを組み込んでもよい。較正データは、例えば車両110の操作前及び/又は車両110の操作中に獲得されてもよい。
【0045】
RADARセンサ131、132、133、及び134は信号を送信し、対象142に反射した、送信された信号の反射を受信する。反射した信号は、RADARデータを発生させるように処理される。RADARデータは、これに限定されないが、対象の範囲、方向、角度、及び/又は相対速度などの測距データを含んでもよい。そのようにRADARセンサ131、132、133、及び134は、車両110付近の環境140を示す対応するRADARデータを発生させるために、車両110付近の対象を検出して特徴付けることができる。プロセッサ150は、メモリ152に記憶するために、及び他の車両位置推定ステップで使用するために、RADARデータを受信する。例えばプロセッサ150は、第2の車両航法状態を発生させる際に使用するために、点群160を発生させるためにRADARデータを変換するように航法データを使用する。第1及び第2の車両航法状態は、現在の車両航法状態を発生させるために使用される。一実施形態では、プロセッサ150は、RADARデータをまず対応するローカルセンサ基準フレームOr1、Or2、Or3、及びOr4から航法センサ122と共通の基準フレームに変換する。
【0046】
点群160を発生させる前に、プロセッサ150は、RADARデータをリファインし、フィルタリングし、又は別法により前処理してもよい。例えばプロセッサ150は、ノイズを除去し、外れ値データを除去し、ダウンサンプリングし、及び/又は有効な対象を同定するために、RADARデータを評価してもよい。有効な対象は静的対象のみを含んでもよい。それに応じて、本明細書に開示された実施形態は、点群160を発生させる前にRADARデータを前処理するためにプロセッサ150を構成することを含む。前処理の利点には、これに限定されないが、RADARデータを記憶するために必要なメモリのサイズを低減すること、及びRADARデータの品質を向上することが含まれ、それに対応して車両位置推定の見積を向上させることがある。
【0047】
一実施形態では、プロセッサ150は、
図6Aに例示された既知の地
図180などの既知の地図と比較するために、航法基準フレームO
nに点群160を発生させるように構成される。点群160は、車両110付近の環境140を示す、継時的に蓄積された複数の対象の反射点162を含む。対象の反射点162は、RADARデータに基づき、RADARデータは、RADARセンサ131、132、133、及び134によって検出された対象142上のデータを含む。プロセッサ150は、既知の地
図180と同じ基準フレームに複数の対象の反射点162を一般的に表すように、RADARデータを航法基準フレームO
nに蓄積して変換するために航法データを使用することに基づいて点群160を発生させる。この手法では、複数のタイムエポックにわたって取得したRADARデータは、車両航法状態の対応する変化に従って変換されて蓄積される。
【0048】
一実施形態では、プロセッサ150は、
図5の例示的実施形態に描かれたように、キューなどの先入先出(FIFO)データ構造170を使用して、データをメモリ152に仕切るように構成される。データ構造170は、データのリアルタイムのスライディング・ウィンドウとして機能することがある。データ構造170は、データのN個の基準フレーム又はユニットを保持するために、固定したウィンドウサイズ又は長さNを有してもよい。データ構造170は、第1の基準フレームi=0から最後の基準フレームi=N-1まで連続して索引を付けられてもよく、各基準フレームはタイムエポックtに対応する。実例として、連続したタイムエポック間の差Δtは、センサの走査速度に反比例することがある。こうしてセンサの走査速度20Hzは、長さ0.05秒のタイムエポックに対応することがある。それに応じて、データ構造のサイズN=40は、2秒のウィンドウを提供するはずである。データ構造のサイズN=20は、1秒のウィンドウを提供するはずである。以下同様である。その結果として、点群160は、特定の長さ又はウィンドウの時間にわたって獲得された対象の反射点162を表す。こうしてウィンドウサイズNを選択することは、総合的な作業である。RADARセンサ131、132、133、及び134は、対象の反射点162の十分な密度を有するRADARデータを発生させるために数回の走査が必要であることがある一方で、リアルタイムの処理及びハードウェアの制約は、データ構造170のサイズを限定することがある。
【0049】
一実施形態では、RADARデータ174は、車両航法データ175を更なるステップで使用するために車両基準フレームOvで表される。プロセッサ150は、メモリ152の記憶装置に複数のRADARデータ基準フレームFk-Fk-N+1を含む第1のFIFOデータ構造171にRADARデータ174を仕切る。各RADARデータ基準フレームFk-Fk-N+1は、対応するタイムエポックtk-tk-N+1に対して発生されたRADARデータ174を表す。各RADARデータ基準フレームFk-Fk-N+1は、対象の反射点162などの可変の複数m個の対象の反射点pを含む。例えばRADARデータ基準フレームFkは、現在のタイムエポックtkの間に取得された複数m(k)の対象の反射点p、すなわちFk={p0,…,pm-1}を含む。同様にRADARデータ基準フレームFk-1は、現在のタイムエポックtkの前のタイムエポックtk-1の間に取得された複数m(k-1)の対象の反射点p、すなわちFk-1={p0,…,pm-1}を含む。各タイムエポックtに対する対象の反射点pの数mは、対応するタイムエポックの間にRADARセンサ131、132、133、及び134によって発生されたRADARデータ174に依存して異なる。
【0050】
航法データ175は、RADARデータを航法基準フレームO
nに変換する際に使用するために車両航法状態を示すデータを含む。相対車両姿勢変換は、航法状態の間の変化を評価することによって引き出されてもよい。例えば第1のタイムエポックに対する航法データ175は、第1の車両姿勢を含み、第2のタイムエポックに対する航法データ175は、第2の車両姿勢を含む。相対車両姿勢変換は、第1の車両姿勢から第2の車両姿勢までの車両姿勢の変化に基づく。それに応じて、プロセッサは、第2のタイムエポック及び第2の車両姿勢で収集されたデータを蓄積するために、第1のタイムエポック及び第1の車両姿勢で収集されたRADARデータ174を変換する際に使用するために、タイムエポックtの間の相対車両姿勢変換Tを発生させるために航法データ175を評価する。プロセッサ150は、次のタイムエポックにRADARデータを連続して蓄積するために、車両姿勢変換を再帰的に引き出してもよい。この手法では、プロセッサ150は、メモリ152の記憶装置に複数の相対車両姿勢変換
【数2】
~
【数3】
を含む、第2のFIFOデータ構造172に航法データ175を仕切る。各車両姿勢変換
【数4】
~
【数5】
は、2つの連続したタイムエポックtの間の相対姿勢変換を表す。例えば車両姿勢変換
【数6】
は、タイムエポックt
kとt
k-1との間の相対車両姿勢変換を表す。プロセッサ150は、現在の車両姿勢P
kに関して航法基準フレームO
nにRADARデータ174を蓄積するために対応する車両姿勢変換
【数7】
~
【数8】
を使用して、各RADARデータ基準フレームF
k-F
k-N+1を再帰的に変換してもよく、それによって以下の疑似コードにより点群160を発生させる。
入力:車両姿勢P
K
N個のレーダ点群基準フレームの組{F
k,…,F
k-N+1}
N個の相対変換逆数の組
【数9】
出力:現在の車両姿勢PC
kにおけるレーダ点群PC
K
【数10】
2 for i←0 to N-1 do
3 エポックk-iにおける姿勢を評価する:
【数11】
4 for all p∈F
k-1 do
5 点pをその対応する姿勢P
k-iに変換する:p
k-i←P
k-i×p
6 点p
k-iを点群PC
kに加える:PC
k←PC
kUp
k-i
7 end for
8 エポックkからエポックk-i-1への変換を評価する:
【数12】
9 end for
【0051】
プロセッサ150は、対応する新しいRADARデータ基準フレームを蓄積する際に使用し、新しい車両姿勢Pkに関して点群を表すために、新しい相対車両姿勢変換を反復して発生させる。
【0052】
プロセッサ150は、更なる車両位置推定ステップで使用するために、点群160を周囲環境140の既知の地
図180と比較する。本明細書に開示されたシステム及び方法は、ローカルメモリ152a又はリモートメモリ152bなどのメモリ152内に既知の地
図180を予め取得して記憶してもよい。一実施形態では、既知の地
図180はリアルタイムで取得される。一実施形態では、メモリ152に通信可能に接続された通信デバイス154は、携帯機器、データベース、リモートサーバ、又はクラウドサーバなどのリモートメモリ152bから既知の地
図180を獲得する。プロセッサ150は、点群と容易に比較可能なフォーマットに既知の地
図180を表すために、既知の地
図180をフォーマットする必要があることがある。比較可能なフォーマットは、これに限定されないが、シェープファイルフォーマットを含む地理空間ベクトル地図又は点群を含んでもよい。
【0053】
図6A及び6Bの例示された実施形態に描かれたように、既知の地
図180は、航法基準フレームに提供された二次元x-y座標系に表され、更にその上に重ねた車両110を含む。既知の地
図180は複数の対象142を含み、4つのそれぞれの地図領域180a、180b、180c、及び180dに分割され、それぞれは既知の地
図180内の異なる領域を表す。
図6Cに具体的に例示されたように、地図領域180aは、正方形の柱142a、142b、142c、及び142d、2側面の障壁142e、並びに柵142fを描く、複数の対象142を含み、各対象は複数の地図要素144、つまり線分146として表されている。地図要素は、これに限定されないが、線分、点、多角形、点群、及び地図に表された対象の一部若しくは全てを表す、又は別法により作成する他の構造を含んでもよい。
【0054】
車両110は、プロセッサ150を含み、更に既知の地
図180を評価するように構成された、本明細書に開示されたような車両位置推定システムを具備する。例えばプロセッサ150は、車両110がどの地図領域を占有するかを査定するために車両航法状態を評価してもよい。
図6A及び6Bに例示されたように、車両110は既知の地
図180の地図領域180aを占有する。プロセッサは、車両110に見える地図要素144aの部分集合を発生させるために、車両航法状態も評価し得る。
図6Cは地図領域180aを例示し、
図6Dは、車両航法状態に基づいて見える地図要素144a及び見えない地図要素144bの組を例示する。このような前処理ステップは、好都合なことに次の車両位置推定ステップにおけるコンピュータによる計算の複雑性を低減し、更に車両航法状態の見積を向上させることがある。更に点群160を見える地図要素144aの組に一致させることは、既知の地
図180に一致させるために点群160を変換しやすく向上させることがある。例えばRADARセンサ131、132、133、134は、それらの視野内にない対象又は対象の一部に対してRADARデータを発生させるそれらの機能が限定されることがある。その結果として、点群160は、所与の航法状態でRADARセンサに見えない対象及び/又は対象の一部を本質的に除外することがある。点群160は、こうして見える地図要素144aの組とより容易に一致させることがあり、見える地図要素144aの組は、同様に同じ航法状態から車両に見えない対象及び/又は対象の一部を除外する。
【0055】
車両110が動くにつれて、プロセッサ150は、新しい車両航法状態に基づいて見える地図要素144aの組を再発生し若しくは更新することがある。プロセッサは、新しい地図が評価に必要かどうか、又は異なる地図領域が評価に必要かどうかを決定するために、車両航法状態も評価することがある。例えばプロセッサは、車両110が新しい地図に動くことを見越して、車両が既知の地
図180の縁部又は境界領域にあるかどうかを決定するために、車両航法状態を評価することができる。同様に、プロセッサは、車両110が新しい地図領域若しくは新しい地図に車両が動くことを見越して、車両が地図領域の縁部又は境界領域にあるかどうかを決定するために、車両航法状態を評価することができる。地図又は異なる地図領域の間を車両が遷移すると、プロセッサ150は、点群160と比較するために使用する地図要素の組を更新する。一実施形態では、プロセッサ150は、車両が現在の地図と新しい地図が重なる遷移領域に留まっている間、新しい地図要素及び現在の地図要素に対して点群160を評価する。一実施形態では、プロセッサ150は、車両が現在の地図領域と新しい地図領域が重なる遷移領域に留まっている間、新しい地図要素及び現在の地図に対して点群160を評価する。新しい地図及び現在の地図が異なる基準フレームに提供されることがあるので、本明細書に開示されたような実施形態は、車両航法状態及び点群を新しい地図と共通の基準フレームに変換することを含む。
【0056】
新しい地図は、同様にプロセッサ150に通信可能に接続されたローカルメモリ152aに予め読み込まれ若しくは記憶されてもよく、又は携帯機器、データベース、リモートサーバ、若しくはクラウドサーバなどのリモートメモリ152bから回収されてもよい。一実施形態では、地図間及び地図領域間の関係は、状態遷移グラフなどのグラフ構造に符号化されてもよい。
図7は、
図6A及び6Bに例示された既知の地
図180に対する状態遷移グラフ185の例示的実施形態である。各頂点180a、180b、180c、及び180dは、既知の地
図180に対応する地図領域を表す。各指向性縁部181、182、及び183は、地図領域の間の可能な遷移を表す。頂点190は、異なる既知の地
図190を表し、指向性縁部184は、地
図190と既知の地
図180の地図領域180dとの間の可能な遷移を表す。それに応じて、車両が地図領域180a内で操作する時に、プロセッサ150は、車両110が地図領域180a内に留まっているかどうか、車両が地図領域180aと地図領域180bとの間の遷移領域にあるかどうか、又は車両が地図領域180aと地図領域180cとの間の遷移領域にあるかどうかを決定するために車両航法状態を評価することができる。同様に車両110が地図領域180c内で操作する時に、プロセッサ150は、車両110が地図領域180c内に留まっているかどうか、又は車両が地図領域180cと地図領域180aとの間の遷移領域にあるかどうかを決定するために車両航法状態を評価することができる。以下同様である。
【0057】
本明細書に開示されたシステム及び方法は、第2の車両航法状態を発生させるために、点群160を既知の地
図180と比較する。比較は、既知の地
図180に一致するように点群160を変換することに基づく。一実施形態では、比較は、点群160が既知の地
図180と一致する尤度を最大にするために、点群160を反復して変換することに基づき、変換パラメータは、反復の最大数及び最小の変換の反復を含む。得られる点群の変換は、第2の航法状態を特徴付ける。点群は最初に第1の航法状態に基づいて表されるので、点群を変換することは、本来第1の航法状態の変換を反映する。一実施形態では、プロセッサは、点群160を既知の地
図180と一致することから得られる変換で、第1の航法状態を変換することに基づいて第2の航法状態を発生させるように構成される。一実施形態では、プロセッサ150は、それぞれの反復点群の変換に対する尤度スコアを生成し、尤度スコアは、反復点群160が既知の地
図180に一致する尤度を反映する。一実施形態では、更に本明細書に開示されたように、尤度スコアは、反復最接近点(ICP)法又は正規分布変換(NDT)を含む、点群登録法に基づく。一実施形態では、既知の地
図180は地図領域である。
【0058】
一実施形態では、プロセッサ150は、ベイズ法を使用して尤度スコアを評価するように構成される。一実施形態では、プロセッサは、点群登録方法を使用して尤度スコアを評価するように構成される。一実施形態では、点群登録方法は、反復最接近点法(ICP)又は正規分布変換(NDT)法である。例えば正規分布変換は、
図6Eに更に例示されたように、既知の地図を複数のセル148に分割することを含む。各セル148に対する確率分布関数149は、各セル148内の対応する対象142を見出す確率を特徴付ける。この手法では、プロセッサは、一致の尤度を評価するために、特定のセルに対応する点群内の点をそのセルの確率分布関数で評価する。一実施形態では、複数のセルは等しい大きさの正方形である。
【0059】
一実施形態では、確率分布関数は、多変量正規分布として表されてもよく、点群内の個々の点pが分布に属し、ひいてはセル内の対応する障害点に一致する尤度p(x
i)は、以下の方程式(8)に従って決定されてもよい。
【数13】
【0060】
式中μ及びΣは、それぞれセルの内側の障害点確立密度関数の平均値及び偏差である。更に、x
iは点pの座標であり、例えばx
i=(x
i,y
i)であり、セルの平均値μ及び偏差Σは、方程式9及び10に従って評価されてもよい。
【数14】
式中y
jはセル内の障害点jの位置であり、mはセルの内側の障害点の数である。NDTアルゴリズムの目的は、各点の尤度関数фを最大にする手法で点群内の点を変換するために、車両の姿勢P
vを見出すことである。
【数15】
【0061】
式中nは点群内の点の数であり、T(Pv,xi)は、姿勢Pvを使用して点xiを変換するための関数である。
【0062】
図8及び9は、
図2に例示された車両位置推定システム100などの、本明細書に開示されたような車両位置推定システムによりRADARに基づいた車両位置推定方法200を例示する。方法は、以下のステップ、すなわち210航法データを取得することと、220航法データに基づいて第1の車両航法状態を発生させることと、230RADARデータを取得することと、240第1の航法状態を使用して、RADARデータを蓄積することに基づいて点群を発生させることと、250既知の地図を前処理することと、260点群と既知の地図を比較することに基づいて第2の車両航法状態を発生させることと、270第1及び第2の車両航法状態を融合することに基づいて現在の車両航法状態を発生させることを含む。
【0063】
方法ステップ210の実施形態は、航法センサ122などの1つ又は複数の航法センサから車両航法状態を示す航法データを取得することを含む。方法ステップ220は、ステップ210で獲得した航法データに基づいて、航法基準フレームに第1の車両航法状態を発生させることを含む。第1の車両航法状態は、航法データから直接獲得されることがあり、又は前の航法状態に関する変化を決定するために、デッドレコニングの方法ステップ222などの追加の処理ステップを必要とすることがある。方法ステップ224は、第1の航法状態と前の車両航法状態との間の車両姿勢の相対変化に基づいて、相対車両姿勢変換を引き出すことを含む。相対車両姿勢変換を対応するRADARデータに適用することにより、点群を発生させるためのRADARデータを適合させて蓄積する。一実施形態では、方法ステップ226は、FIFO構造において方法ステップ224で発生した相対車両姿勢変換を記憶することを含む。
【0064】
RADARデータを取得する方法ステップ230の実施形態は、車両上に提供される1つ又は複数のRADARセンサ131、132、135、その他から、RADARデータを取得することを含む、車両付近の環境を示す。実施形態は、方法ステップ232、234、及び/又は236を通して取得したRADARデータを処理することを含む。方法ステップ232は、RADARデータを車両基準フレームに変換することを含む。方法ステップ234は、静的対象を同定し、動的対象に関連するRADARデータを処分し、削除し、又は除去するために、RADARデータを評価することを含む。方法ステップ236は、RADARデータをFIFOデータ構造内に記憶することを含む。
【0065】
方法ステップ240は、方法ステップ224で引き出された相対車両姿勢変換を使用して、RADARデータを蓄積すること、更に方法ステップ220で引き出された第1の航法状態を使用して、蓄積されたRADARデータを航法基準フレームに変換することに基づいて点群を発生させる。
【0066】
方法ステップ250は、概して既知の地図を前処理することに関し、ローカルメモリ152a又はリモートメモリ152bなどのメモリ152から既知の地図を回収する方法ステップ252を含む。実施形態は、方法ステップ220で引き出された第1の航法状態に基づいて既知の地図から見えない地図要素を除去するために、方法ステップ254を通して既知の地図を処理することを更に含んでもよい。方法ステップ256は、既知の地図を複数のセルに細分化することと、各セル内の障害点の対応する確率密度関数(PDF)を発生させることとを含む。一実施形態では、各セルは、等しい幅の正方形である。
【0067】
方法ステップ260は、方法ステップ240によって発生された点群を方法ステップ250によって出力された既知の地図と比較することを含む。比較は、既知の地図に一致させるために点群を変換することに基づく。得られる点群変換は、第2の航法状態を特徴付ける。点群は最初に第1の航法状態で表されるので、第2の航法状態は、第1の航法状態の変換を本質的に反映する。一実施形態では、方法ステップ260は、既知の地図に一致させるために点群を繰り返し変換することを含み、尤度スコアは、反復点群が既知の地図に一致する尤度を評価するために、各反復に対して発生される。一実施形態では、方法ステップ260は、点群と既知の地図が一致する尤度を最大にすることを含み、変換パラメータは、反復の最大数及び最小変換反復を含む。
【0068】
方法ステップ270は、方法ステップ220によって出力された第1の航法状態及び方法ステップ260によって出力された第2の車両航法状態に基づいて、現在の車両航法状態を発生させることを含む。更なる実施形態は、第1と第2の車両航法状態を融合するためにベイズフィルタを使用することを含む。
【0069】
図10~13は、本明細書の本開示による車両位置推定システムを具備した、地下駐車場で操作する車両の第1の作業例に関する。
図10は、二次元点群地図の形の地下駐車場の既知の地図を例示し、
図11は、
図10に例示された既知の地図に重ねた車両試験軌跡を含む。車両試験軌跡は、約3分間にわたって約300メートル広がった。車両試験軌跡は開始点Aで始まり、次いで概ね地図の西から北東角に向かう。車両は、北東角で複数点の回転を完了し、次いで南に動いた後に概ね西に向かい、終了点Bに向かう。
【0070】
車両は、本明細書に開示されたシステム及び方法に従って車両位置を推定する際に使用するために、4つのRADARセンサ及びデッドレコニング・システムを具備した。具体的には4つのRADARセンサは、
図3に同様に例示されたように、車両の4つの異なる角に装着された。デッドレコニング・システムは、ホイールエンコーダを備えた。
図12Aは、車両試験軌跡の全体にわたって発生された未加工のRADAR点群を例示する。
図12Bは、ノイズを除去するために処理された、
図12Aに描かれたRADAR点群を例示する。
図13A及び13Bは、
図12Bに13A及び13Bとそれぞれの印を付けた車両軌跡に25秒及び60秒の2つの離散したタイムエポックに対するRADAR点群を例示する。
【0071】
図14及び15は、本明細書に開示されたような車両位置推定システム及び方法を具備した、多層式屋内屋外環境における車両操作の第2の作業例に関する。具体的には
図14は、屋内領域、屋外領域、及び屋内と屋外の領域を相互接続する2つのランプに対する4つの相互接続した地図を例示する。
図15は、車両が地図を通して進んで、実装された位置推定システム及び方法から引き出された、得られる車両軌跡を例示する。軌跡は、屋内の地図上の点Xで始まり、完了するループを含む。ループは、車両が屋外領域に遷移するために出口ランプに向かって概ね東に進んで継続する。ループは、屋外領域に続き、車両は入口ランプに向かって概ね西に進み、屋内領域に戻って第1のループを完了する。車両は運転を続け、2回目のループを完了し、Yと印を付けた地点に隣接して車両を駐車することを達成する。車両軌跡は、具体的には屋内環境と屋外環境との間に継ぎ目がない遷移を含む、異なる地図と高度との間の継ぎ目がない車両航法状態を解決するために、車両位置推定システム及び方法の機能を例示する。
【0072】
前の記述では説明のために、多くの詳細が実施形態の完全な理解を提供するために記載されている。しかしこれらの特定の詳細は必要ないことが当業者には明らかになろう。他の例では、周知の電気構造及び回路は、理解を曖昧にしないためにブロック図の形で示されている。例えば特定の詳細は、本明細書に記載された実施形態が、ソフトウェアルーチン、ハードウェア回路、ファームウェア、又はそれらの組み合わせとして実装されているように提供されていない。特許請求の範囲は、本明細書に示された具体的な実施形態によって限定されるべきではなく、全体として本明細書と一致する手法に解釈されるべきである。
【0073】
本開示の実施形態は、機械可読媒体(コンピュータ可読媒体、プロセッサ可読媒体、又はその中に埋め込まれたコンピュータ可読プログラムコードを有するコンピュータ使用可能媒体とも呼ばれる)に記憶されたコンピュータプログラム製品として表すことができる。機械可読媒体は、ディスケット、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、記憶装置(揮発性若しくは不揮発性)、又は類似記憶機構を含む、磁気、光学、或いは電子記憶媒体を含む、あらゆる適切な有形の非一時的媒体であることが可能である。機械可読媒体は、命令、符号系列、構成情報、又は他のデータの様々な組を含有することができ、これらにより、実行した時にプロセッサは本開示の実施形態による方法でステップを行う。記載された実装形態を実行するために必要な他の命令及び操作も、機械可読媒体に記憶させることができることが当業者には認識されよう。機械可読媒体に記憶された命令は、プロセッサ又は他の適切な処理デバイスによって実行することができ、記載された課題を行うために回路とインターフェースをとることができる。
【0074】
上記の実施形態は、例に過ぎないことを意図する。本明細書に添付された特許請求の範囲によってのみ定義される範囲から逸脱することなく、当業者によって特定の実施形態に代替、修正及び変更を行うことができる。
【国際調査報告】