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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-20
(54)【発明の名称】バルーン支援注入技法
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/10 20130101AFI20230613BHJP
   A61B 17/3209 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
A61M25/10 510
A61M25/10 542
A61B17/3209
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022551350
(86)(22)【出願日】2021-02-24
(85)【翻訳文提出日】2022-10-20
(86)【国際出願番号】 US2021019493
(87)【国際公開番号】W WO2021173733
(87)【国際公開日】2021-09-02
(31)【優先権主張番号】62/980,992
(32)【優先日】2020-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518271846
【氏名又は名称】トランジット サイエンティフィック,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100147511
【弁理士】
【氏名又は名称】北来 亘
(72)【発明者】
【氏名】フォジティク,ショーン ピー.
(72)【発明者】
【氏名】メソド,グレッグ
【テーマコード(参考)】
4C160
4C267
【Fターム(参考)】
4C160MM32
4C267AA07
4C267AA08
4C267BB12
4C267BB27
4C267CC08
4C267DD01
4C267EE03
4C267EE07
(57)【要約】
対象者の身体の中へ流体を注入するためのシステムが、拡張可能な医療デバイスとバルーンカテーテルを含んでいる。拡張可能な医療デバイスは、拡張及び収縮させることができて拡張時には対象者の身体内の脈管又は別の開放空間の壁をスコアリングすることができる拡張可能区分を含んでいる。バルーンカテーテルは、加圧時に拡張して拡張可能区分を拡張させることのできるバルーンを含んでいる。バルーン内の圧力が下げられたとき、拡張可能区分は弾性的にバルーンを収縮させることができる。バルーンは拡張可能区分よりも短く、バルーンが拡張可能区分の長さに沿った複数の場所に位置決めされ且つ拡張可能区分を複数の異なる構成へ拡張させることを可能にすることもできる。システムは、注入流体が身体内の目標場所を越えて流れることを制限するのに使用でき及び/又は流体を目標場所の中へ押し進めるのに使用できる。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の身体の中へ流体を注入するためのシステムにおいて、
拡張可能区分を有する拡張可能な医療デバイスと、
前記対象者の前記身体内の開放空間の壁に対してシールすることのできる外側表面を有するバルーンを含んでいるバルーンカテーテルであって、前記バルーンは、前記バルーンが前記拡張可能な医療デバイスの前記拡張可能区分内の複数の離散場所に位置決めされ且前記拡張可能区分を複数の異なる構成へ拡張させることを可能にする長さを有している、バルーンカテーテルと、
前記流体と、を備えるシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記バルーンの長さは前記拡張可能区分の長さの最大でも50%である、システム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記バルーンの長さは前記拡張可能区分の長さの最大でも25%である、システム。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載のシステムにおいて、前記拡張可能な医療デバイスは、前記流体を前記拡張可能区分へ搬送するカテーテルを含み、前記流体は前記拡張可能区分から前記拡張可能な医療デバイスを出て前記開放空間に進入することができる、システム。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一項に記載のシステムであって、
前記バルーン内の圧力を制御する加圧構成要素、を更に備えるシステム。
【請求項6】
対象者の身体の中へ流体を導入するためのシステムにおいて、
前記対象者の前記身体内の開放空間内の所望場所へ前進させることのできる拡張可能区分を有する拡張可能な医療デバイスと、
前記拡張可能な医療デバイスの前記拡張可能区分によって受け入れることのできるバルーンを有するバルーンカテーテルと、
前記バルーン及び前記拡張可能区分を拡張させ且つ前記開放空間の壁に接触させるために前記バルーンを加圧するための手段と、
前記バルーンの一方の側の前記開放空間の中へ流体を導入するための手段であって、前記バルーンは、前記バルーンと前記壁の間の前記流体の流れ及び前記バルーンの反対側への前記流体の流れを制限している、流体を導入するための手段と、を備えるシステム。
【請求項7】
請求項6に記載のシステムにおいて、前記バルーンの拡張は、前記開放空間の前記壁をスコアリングするやり方で前記拡張可能区分を拡張させる、システム。
【請求項8】
請求項6又は7に記載のシステムにおいて、前記バルーンを加圧するための前記手段は、前記流体の量及び/又は前記流体が前記バルーンと前記壁の間を流れることのできる速度を定義するための手段を備える、システム。
【請求項9】
請求項6乃至8の何れか一項に記載のシステムにおいて、前記バルーンは、前記バルーン及び前記拡張可能要素が拡張されたときに、前記拡張可能区分の開口部を通って露出され前記壁に対してシールする所定の部分、を有する外側表面を有している、システム。
【請求項10】
請求項9に記載のシステムにおいて、前記バルーンは、前記バルーンの前記外側表面の所定の部分が前記壁に対してシールしたときに、前記流体が前記バルーンと前記壁の間を流れるのを実質的に妨げる、システム。
【請求項11】
請求項6乃至10の何れか一項に記載のシステムにおいて、前記バルーンを加圧するための前記手段は、前記流体が前記バルーンと前記壁の間を流れるのを許容するために前記バルーン内の圧力を下げる、システム。
【請求項12】
請求項11に記載のシステムにおいて、前記バルーンを加圧するための前記手段は、前記バルーンに前記流体を前記壁の中へ押し進めさせるために、及び/又は、前記バルーンに前記拡張可能区分を前記壁に押し付けて前記壁の中への前記流体の導入を容易にするように前記壁をスコアリングさせるために、前記バルーン内の圧力を増加させる、システム。
【請求項13】
請求項6乃至12の何れか一項に記載のシステムにおいて、前記開放空間内の前記拡張可能区分の位置を維持しながら、前記拡張可能区分が複数の異なる構成へ拡張されることを可能にするために、前記バルーンは前記拡張可能区分の長さに沿った複数の離散場所へ可動である、システム。
【請求項14】
請求項13に記載のシステムにおいて、前記バルーンを加圧するための前記手段は、前記拡張可能区分の前記長さに沿った前記バルーンの運動を容易にするために前記バルーン内の圧力を下げる、システム。
【請求項15】
請求項14に記載のシステムにおいて、前記バルーンを加圧するための前記手段は、前記バルーンの運動後に前記バルーンを再度膨らませる、システム。
【請求項16】
対象者の身体の中へ流体を導入するための方法において、
前記対象者の前記身体内の開放空間内の所望場所へ拡張可能な医療デバイスの拡張可能区分を導入する工程と、
前記拡張可能な医療デバイスの前記拡張可能区分の中へバルーンカテーテルのバルーンを導入する工程と、
前記バルーン及び前記拡張可能区分を拡張させ且つ前記開放空間の壁に接触させるために前記バルーンを加圧する工程と、
前記バルーンの一方の側の前記開放空間の中へ流体を導入する工程であって、前記バルーンは前記バルーンと前記壁の間の流体の流れ及び前記バルーンの反対側への前記流体の流れを制限している、流体を導入する工程と、を備える方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法において、前記バルーンを加圧する工程は、前記開放空間の前記壁をスコアリングするやり方で前記拡張可能区分を拡張させる、方法。
【請求項18】
請求項16又は17に記載の方法において、前記バルーンを加圧する工程は、前記流体の量及び/又は前記流体が前記バルーンと前記壁の間を流れることのできる速度を定義する工程を備える、方法。
【請求項19】
請求項16乃至18の何れか一項に記載の方法において、前記バルーンを加圧する工程は、前記拡張可能区分の開口部を通って露出される前記バルーンの外側表面の所定の部分を前記壁に対してシールさせる工程を備える、方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法において、前記拡張可能区分の前記開口部を通って露出される前記バルーンの外側表面の所定の部分を前記壁に対してシールさせる工程は、前記流体が前記バルーンと前記壁の間を流れるのを実質的に妨げる工程を備える、方法。
【請求項21】
請求項16乃至20の何れか一項に記載の方法であって、
前記流体が前記バルーンと前記壁の間を流れるのを許容するために前記バルーン内の圧力を下げる工程、を更に備える方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法であって、
前記バルーンに前記流体を前記壁の中へ押し進めさせるため及び/又は前記壁の中への前記流体の導入を容易にするように前記壁をスコアリングさせるために、前記バルーン内の圧力を増加させる工程、を更に備える方法。
【請求項23】
請求項16乃至22の何れか一項に記載の方法であって、
前記開放空間内の前記拡張可能区分の位置を維持しながら、前記拡張可能区分内で近位方向及び/又は遠位方向に前記バルーンを動かす工程、を更に備える方法。
【請求項24】
請求項23に記載の方法であって、
前記バルーンを動かす工程の前に前記バルーン内の圧力を下げる工程、を更に備える方法。
【請求項25】
請求項24に記載の方法であって、
前記バルーンを動かす工程の後に前記バルーンを再度膨らませる工程、を更に備える方法。
【請求項26】
請求項23乃至25の何れか一項に記載の方法であって、
前記開放空間内の前記拡張可能区分の位置を維持しながら、再び前記拡張可能区分内で近位方向及び/又は遠位方向に前記バルーンを動かす工程、を更に備える方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
「バルーン支援注入技法」(BALLOON-ASSISTED INFUSION TECHNIQUES)と題された米国仮特許出願第62/980,992号(「992号仮出願」の出願日である2020年2月24日に対する優先権の恩典を求める主張をこれにより行う。992号仮出願の開示全体をこれにより本明細書に援用する。
【0002】
本開示は、概括的には、バルーンカテーテルと、バルーンと共に拡張及び収縮するようにバルーンを覆って配置させることのできる医療デバイスと、を含んでいるシステムに関する。本開示は、更に、注入薬物及び他の物質を対象者(被施術者)の身体の中へ送達するのにバルーンカテーテルと拡張可能収縮可能な医療デバイスとを含むシステムを使用するための技法に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願第16/174,205号明細書
【特許文献2】米国特許出願第16/540,046号明細書
【特許文献3】米国特許出願第16/579,770号明細書
【発明の概要】
【0004】
本開示によるシステムは、バルーンカテーテルと、拡張可能な医療デバイスと、を含むものとすることができる。バルーンカテーテルは、経皮的血管形成術(PTA)バルーンカテーテルなどを備えていてもよい。拡張可能な医療デバイスは、バルーンカテーテルのバルーンを覆って嵌る拡張可能区分であってバルーンと共に拡張及び収縮する拡張可能区分を含んでおり、バルーンは拡張可能区分から取り出されることができる。
【0005】
幾つかの実施形態では、拡張可能な医療デバイスの拡張可能区分の長さは、拡張可能な医療デバイスが覆って配置されるバルーンカテーテルのバルーンの長さを超えていてもよい。その様な配置は、バルーンひいては拡張可能区分が拡張状態にあるときでさえ、バルーンが拡張可能区分内で前後に滑走することを可能にすることができる。
【0006】
本開示によるシステムを使用する方法では、バルーンカテーテル及び拡張可能な医療デバイスは対象者(被施術者)の身体の中へ導入され、拡張可能な医療デバイスの拡張可能区分とバルーンカテーテルのバルーンが対象者の身体内の所望場所又は目標場所へ進められることになる。次いでバルーンカテーテルのバルーンが拡張されて、拡張可能な医療デバイスの拡張可能区分を拡張させることになる。バルーン及び拡張可能区分が拡張された状態で、流体が脈管又は他の空間の中へ導入されると、流体の流れはバルーンによって妨げられ又は制限されることになる。流体は、拡張可能な医療デバイスとバルーンカテーテルの間に導入され、拡張可能区分の近位端にて拡張可能な医療デバイスを出てゆくことができる。
【0007】
幾つかの実施形態では、拡張されたバルーン及び拡張可能な医療デバイスは、それらが設置された脈管(例えば、血管など)又は他の空間(例えば、中空器官の内部など)の壁に対してシールし、流体がバルーン及び拡張可能区分を越えて遠位方向に進むのを妨げることができる。代替的には、バルーン及び拡張可能区分は、流体がバルーン及び拡張可能区分を越えて遠位方向に流れることを可能にする(例えば、バルーン内の圧力を制御することによる)やり方で、但し流体がバルーン及び拡張可能区分を越えて遠位方向に流れる程度を制御する(例えば、流体がバルーン及び拡張可能区分を越えて遠位方向に流れる速度を制御する、バルーン及び拡張可能区分を越えて遠位方向に流れる流体の量を制御するなどの)やり方で、膨らまされてもよい。
【0008】
幾つかの実施形態では、流体が拡張可能区分とバルーン及び拡張可能区分が設置された脈管又は他の空間の隣接する(単数又は複数の)壁との間を流れるのを可能にするために、及び、流体が(単数又は複数の)壁の中へ進入するのを(例えば、流体を壁の中へ物理的に押し進めること、(単数又は複数の)壁を拡張可能区分で繰り返しスコアリングすること(切れ目をつけること,scoring)などによって)後押しするために、一度又は反復的に、バルーンはわずかに萎まされ再度膨らまされてもよい。
【0009】
注入が完了したら、バルーン及び拡張可能区分は収縮され、対象者の身体から引き出されてもよい。
【0010】
拡張可能な医療デバイスの拡張可能区分の長さがバルーンカテーテルのバルーンの長さを超える実施形態では、バルーンは拡張可能区分内で前後に動かされることができる。その様な運動は、バルーンカテーテルが拡張可能な医療デバイスの拡張可能区分に対して遠位方向に押し出され及び近位方向に引かれることで起こり得る。例えば、バルーンは、拡張可能区分内の遠位位置から中間位置へ、次いで近位位置へ動かされ、その後、中間位置へ戻され、次いで遠位位置へ戻されてもよい。代替的には、その様な運動は、近位位置から、中間位置へ、そして遠位位置へ至り、そしてまた中間位置へ戻り、近位位置へ戻るというのであってもよい。別の代替形として、その様な運動は、本質的に蠕動性であって、バルーンが遠位方向及び又は近位方向に動かされる際の複数の異なる中間位置を含んでいてもよい。更に別の代替形では、その様な運動は、単純に近位位置と遠位位置を交互していてもよい。バルーンの運動は、バルーン内の圧力を低下させること(即ち、部分的に萎ませること)、脈管又は他の空間内及び/又は拡張可能な医療デバイスの拡張可能区分内のバルーンの場所を変更すること、及びバルーン内の圧力を増加させること(即ち、更に膨らませること)を含み得る。拡張可能区分内でのバルーンの運動は、流体(例えば、薬物、別の物質など)を、バルーン及び拡張可能区分が位置付けられた脈管又は他の空間の壁に向かって及び/又は壁の中へ押し進めることができ、或いは流体が脈管又は他の空間の壁の中へ流れるように後押しすることができる。
【0011】
当業者には、上記開示の考察を通して、開示の他の態様並びに開示されている主題の様々な態様の特徴及び利点が明らかにあるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】脈管内のバルーンカテーテル及び拡張可能な医療デバイスを含むシステムの或る実施形態を描いており、バルーンカテーテルのバルーンは拡張可能な医療デバイスの拡張可能区分の中に位置付けられていて、バルーンと拡張可能区分は未拡張状態又は収縮状態にある。
図2図1のシステムの実施形態を描いており、バルーンカテーテルのバルーン及び拡張可能な医療デバイスの拡張可能区分は拡張状態にあり、拡張可能区分は脈管の壁に押し付けられている。
図3】バルーン及び拡張可能区分の近位側から脈管の中への医薬品の様な流体の導入を示しており、バルーン及び拡張可能区分は流体が脈管の中へ近位方向に流れるのを妨げている。
図4図1のシステムの実施形態のバルーン及び拡張可能区分を拡張がわずかに少ない状態で描写しており、この状態は、図3に示されている流体の一部がバルーンと脈管の壁との間を近位方向に流れることを許容し、且つ流体の一部がシステムを越えて近位方向に流れることを許容している。
図5図1のシステムの実施形態を、脈管の中への流体の導入に続く収縮状態で描いており、バルーンカテーテルのバルーンからは圧力が取り除かれ(即ち、バルーンは萎まされ)、拡張可能なデバイスの拡張可能区分が脈管からのシステムの取り出しを容易にするために収縮できるようになったところである。
図6】拡張可能な医療デバイスの拡張可能区分の長さがバルーンカテーテルのバルーンの長さを超えていて、拡張可能区分内でのバルーンの位置を変更できるシステムの実施形態を描写しており、拡張可能区分内で遠位位置にあるバルーンを示している。
図7図6の実施形態において、拡張可能区分内で中間位置にあるバルーンを示している。
図8図6の実施形態において、拡張可能区分内で近位位置にあるバルーンを示している。
図9図6の実施形態において、拡張可能区分内で中間位置に戻されたバルーンを示している。
図10図6の実施形態において、拡張可能区分内の遠位位置に戻されたバルーンを示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示によるシステム10の或る実施形態が図1に示されている。システム10は、バルーンカテーテル30と、拡張可能な医療デバイス40と、を含んでいてもよい。加えて、システム10は、バルーンカテーテル30及び/又は拡張可能な医療デバイス40が対象者(被施術者)の身体の中へ進むのを容易にすることのできるガイドワイヤ20を含んでいてもよい。
【0014】
バルーンカテーテル30は、経皮的血管形成術(PTA)バルーンカテーテルなどを備えていてもよい。バルーンカテーテル30は、カテーテル31を含み、カテーテル31上の遠位場所にバルーン32を含んでいる。バルーン32の内部はカテーテル31のルーメンと連通していて、カテーテル31のルーメンから流体(例えば、気体又は気体の混合物、液体など)を受け取ることができる。バルーン32の内部へ流体が導入されると、バルーン32の内部の中の圧力が増加し、バルーン32を拡張させ又は膨らませる。流体がバルーン32の内部から(例えば、カテーテル31のルーメンなどを通して)除去されると、バルーン32の内部の中の圧力が減少し、バルーン32を収縮させ又は萎ませる。
【0015】
拡張可能な医療デバイス40は外骨格デバイスを備えていてもよい。限定するわけではないが、拡張可能な医療デバイス40は、2019年10月28日出願の「スコアリングのための拡張可能区分を有する外骨格デバイス」(EXOSKELETON DEVICE WITH EXPANDABLE SECTION FOR SCORING)と題された米国特許出願第16/174,205号;2019年8月13日出願の「スコアリングのための拡張可能区分を有する外骨格デバイス」(EXOSKELETON DEVICE WITH EXPANDABLE SECTION FOR SCORING)と題された米国特許出願第16/540,046号;及び、2019年9月23日出願の「拡張可能な外骨格デバイス」(EXPANDABLE EXOSKELETON DEVICES)と題された米国特許出願第16/579,770号、によって開示されている型式の外骨格デバイスを備えていてもよく、上記米国特許出願の開示全体をこれにより本明細書に援用する。その様な拡張可能な医療デバイス40は、米国ユタ州ソルトレイクシティのトランジットサイエンティフィックLLC社からXO SCOREシースプラットフォームとして入手可能である。
【0016】
拡張可能な医療デバイス40は、拡張可能区分42を有するカテーテル41を備えていてもよい。拡張可能区分42は、カテーテル41の遠位端に又は遠位端に隣接して配置されていてもよい。拡張可能な医療デバイス40のカテーテル41のルーメンが、バルーンカテーテル30のバルーンを萎んだ状態又は収縮状態にしたまま、バルーンカテーテル30を受け入れることができる。バルーンカテーテル30及び拡張可能な医療デバイス40が完全に組み立てられたとき、バルーンカテーテル30のカテーテル31は、拡張可能な医療デバイス40のカテーテル41内に存在し、且つバルーンカテーテル30のバルーン32は拡張可能な医療デバイス40の拡張可能区分42内に存在しているだろう。バルーン32が拡張してゆくと、拡張可能区分42も拡張することになる(例えば、その構造及び/又は材料などに因る)。拡張可能区分42が収縮してゆくと(例えば、その構造及び/又は材料などによる復元力に因る)、拡張可能区分42はバルーン32もつぶすことになる。バルーン32は、拡張可能区分42内で可動であり得る。バルーン32は、更に、拡張可能区分42から取り出し可能であり、バルーンカテーテル30は拡張可能な医療デバイス40から取り出し可能であり得る。
【0017】
図1によって描写されている様な幾つかの実施形態では、拡張可能な医療デバイス40の拡張可能区分42は、バルーンカテーテル30のバルーン32の長さをわずかに超える長さを有していてもよい。そういうものとして、バルーン32は実質的に拡張可能区分42の内部の長さに沿って延びることができる。図6から図10によって描写されている様な他の実施形態では、バルーン32は拡張可能区分42よりも著しく短く、バルーン32が拡張可能区分42の長さに沿って複数の異なる場所に位置決めされることを可能にすることができる。限定するわけではないが、バルーン32は、拡張可能区分の約90%、約80%、約75%、約70%、約3分の2、約50%、約40%、約3分の1、約30%、約25%、約20%、又は約10%の長さであってもよいし、又は上記値の何れかの間の長さの範囲内であってもよいし、又は上記値が極大値(例えば、最大でも90%、最大でも80%、最大でも75%)を表す長さの範囲内であってもよい。
【0018】
図1は、対象者の身体内の脈管又は他の空間V内の所望場所又は目標場所にあるシステム10、より具体的にはバルーン32及び拡張可能区分42を描いている。図1では、バルーン32及び拡張可能区分42は、未拡張状態又は収縮状態にある。それぞれが未拡張状態にある間は拡張可能区分42の少なくとも一部は脈管又は他の空間Vの壁Wから離間されている。
【0019】
図2では、システム10の、バルーンカテーテル30のバルーン32及び拡張可能な医療デバイス42の拡張可能区分42は、拡張状態にある。より具体的には、バルーン32の内部へ圧力が導入されるにつれて(即ち、バルーン32が膨らまされるにつれて)、バルーン32の外側表面が強制的に拡張可能区分42を外方へ拡張させる。バルーン32及び拡張可能区分42の拡張が、拡張可能区分42と脈管又は他の空間Vの壁Wとの間の間隔を減少させ又は隙間を閉じる。バルーン32内の圧力は、拡張可能区分42に壁Wをスコアリングさせる(切れ目をつけさせる)のに十分であってもよい。バルーン32内の圧力は、拡張可能区分42の開口部48を通って露出されたバルーン32の外側表面38の所定の部分が壁Wに対して実質的にシールする(即ち、耐容量の漏出などしか許容しない)のに十分であってもよいし、又は壁Wに対してシールするのに十分であってもよい。
【0020】
バルーン32の外側表面38の一部が脈管又は他の空間Vの壁Wに対して実質的にシールされた状態又はシールされた状態で、バルーン32は流体がバルーン32を過ぎて流れてゆくのを実質的に妨げる(即ち、耐容量の漏出などしか許容しない)又は防止することができる。図3によって描写されている様に、バルーン32が膨らまされ、外側表面38の一部が脈管又は他の空間Vの壁Wに対してシールされたとき、薬物又は別の物質の様な流体50が脈管又は他の空間Vの中へ導入されてもよい。図3に示されている様に、流体50は、バルーン32の近位側34及び拡張可能区分42の近位側44にて又はそれら近位側に隣接して脈管又は他の空間Vの中へ導入されてもよい。代替的には、流体50は、バルーン32の遠位側36及び拡張可能区分42の遠位側44にて又はそれら遠位側に隣接して脈管又は他の空間Vの中へ導入されてもよい。幾つかの実施形態では、流体50は、拡張可能な医療デバイス40のカテーテル41を通って脈管又は他の空間Vの中へ導入され、バルーン32の近位側34で張可能区分42の近位側44の場所にて拡張可能な医療デバイス40を出ることができる。
【0021】
これより図4を参照して、幾つかの実施形態では、バルーン32の外側表面38の一部を脈管又は他の空間Vの壁Wに対してシールさせて流体(例えば、流体50など)がバルーン32を過ぎて流れることを実質的に防げる又は防止することに対する或る代替形として、バルーン32は、流体がバルーン32を過ぎて流れることを許容するがバルーン32を過ぎて流れることのできる流体50の量又は流体50もしくは何れかの他の流体がバルーン32を過ぎて流れることができる速さに対する制御を提供できる程度まで、加圧され又は膨らまされてもよい。他の実施形態では、流体50が脈管又は他の空間Vの中へ導入されたら、流体50がバルーン32を越えて流れることを許容するためにバルーン32内の圧力が下げられてもよい。前述の実施形態の両型式では、バルーン32の外側表面38の一部が脈管又は他の空間Vの壁Wに対してシールすることなしに壁Wに接触していてもよく又はバルーン32の外側表面38は壁Wから離間されていてもよい。バルーン32の内部の中の圧力は、バルーン32に沿って及び随意的にはバルーン32を越えて流れることのできる流体(例えば、流体50など)の量を制限するように制御されてもよい。図4によって描かれている様に、バルーン32内の圧力が下げられた状態で、流体(例えば、流体50など)は、バルーン32の外側表面38と壁Wとの間を流れることができ、同様にバルーン32の反対側(例えば、バルーン32の近位側36及び拡張可能区分42の近位側36など)へと流れることもできるだろう。
【0022】
幾つかの実施形態では、流体(例えば、流体50など)が拡張可能区分42と脈管又は他の空間Vの隣接する壁Wとの間を流れることを可能にするために、及び、流体が壁Wに進入することを(例えば、流体を壁Wの中つまり拡張された拡張可能区分によって壁Wに形成されたスコアの中へ物理的に押し進めること、壁Wを拡張可能区分42で繰り返しスコアリングすること、などによって)後押しするために、一度又は反復的に、バルーン32はわずかに萎まされ再度膨らまされてもよい。
【0023】
注入が完了したら、バルーン32及び拡張可能区分42は図5に示されている様に収縮され、次いで脈管又は他の空間Vから、ひいては対象者の身体から引き出されてもよい。
【0024】
これより図6図10を参照して、拡張可能な医療デバイス40の拡張可能区分42の長さがバルーンカテーテル30のバルーン32の長さを著しく超える実施形態では、バルーン32が拡張可能区分42を複数の異なる拡張状態又は拡張構成へ拡張するのを可能にするために、バルーン32は拡張可能区分42内で複数の離散場所へ動かされることができる。その様な運動は前後であってもよい。例えば、その様な運動は、バルーンカテーテル30が拡張可能な医療デバイス40の拡張可能区分42に対して遠位方向に押し出され及び近位方向に引かれることで起こり得る。例えば、バルーンは、拡張可能区分42内の遠位位置(図6参照)から、拡張可能区分42内の中間位置(図7参照)へ、次いで拡張可能区分42内の近位位置(図8参照)へ動かされ、その後、拡張可能区分42内の中間位置(図9参照)へ戻され、次いで拡張可能区分42内の遠位位置(図10参照)へ戻されてもよい。別の実施例として、その様な運動は、拡張可能区分42内の近位位置(図8参照)から、中間位置(図9参照)へ、そして遠位位置(図10参照)へ至り、そしてまた中間位置(図9参照)へ戻り、近位位置(図8参照)へ戻るというのであってもよい。別の代替形として、その様な運動は、本質的に蠕動性であって、バルーンが遠位方向及び又は近位方向に動かされる際の複数の異なる中間位置を含んでいてもよい。更に別の代替形では、その様な運動は、単純に近位位置と遠位位置を交互していてもよい。バルーンの運動は、バルーン内の圧力を低下させること(即ち、部分的に萎ませること)、脈管又は他の空間内及び/又は拡張可能な医療デバイスの拡張可能区分内のバルーンの場所を変更すること、及びバルーン内の圧力を増加させること(即ち、更に膨らませること)を含み得る。拡張可能区分内でのバルーンの運動は、流体(例えば、薬物、別の物質など)を、バルーン及び拡張可能区分が位置付けられた脈管又は他の空間の壁に向かって及び/又は壁の中へ押し進めることができ、或いは流体が脈管又は他の空間の壁の中へ流れるように後押しすることができる。
【0025】
上記説明は多くの明細事項を提供しているが、これらは付随の特許請求の範囲の請求項の何れかの範囲を限定するものと解釈されるのではなく、付随の特許請求の範囲による範囲内に入り得る幾つかの特定の実施形態に関する情報を提供しているにすぎないと解釈されるべきである。異なる実施形態からの特徴同士が組み合わせて採用されてもよい。加えて、付随の特許請求の範囲による範囲は他の実施形態も包含し得る。開示されている主題に対する追加、削除、及び修正で、特許請求の範囲による範囲内に入る全ての追加、削除、及び修正は、特許請求の範囲によって網羅されるものとする。
【符号の説明】
【0026】
10 システム
20 ガイドワイヤ
30 バルーンカテーテル
31 カテーテル
32 バルーン
34 近位側
36 遠位側
38 外側表面
40 拡張可能な医療デバイス
41 カテーテル
42 拡張可能区分
44 近位側
46 遠位側
48 開口部
50 流体
V 脈管又は他の空間
W 壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】