(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-20
(54)【発明の名称】ドライ真空ポンプ
(51)【国際特許分類】
F04C 29/00 20060101AFI20230613BHJP
F04C 25/02 20060101ALI20230613BHJP
F04C 18/18 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
F04C29/00 B
F04C29/00 D
F04C25/02 K
F04C18/18 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022562441
(86)(22)【出願日】2021-05-10
(85)【翻訳文提出日】2022-12-06
(86)【国際出願番号】 EP2021062383
(87)【国際公開番号】W WO2021228793
(87)【国際公開日】2021-11-18
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2020/063009
(32)【優先日】2020-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500119813
【氏名又は名称】アテリエ ビスク ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】Atelier Busch SA
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ムラー,ディディエ
(72)【発明者】
【氏名】イルチェフ,デオドール
(72)【発明者】
【氏名】バッハマン,アルトゥア
【テーマコード(参考)】
3H129
【Fターム(参考)】
3H129AA06
3H129AA15
3H129AB06
3H129BB42
3H129BB43
3H129CC05
3H129CC16
(57)【要約】
本発明は、ドライ真空ポンプに関する。ドライ真空ポンプは、駆動シャフト3を含む駆動装置1と、ローター部11、12が設けられたローターシャフト9、10をそれぞれ有する、少なくとも2つの平行なローター7、8とを備え、駆動シャフト3の一端部には、少なくとも1つのベルト5を作動させるように設けられた少なくとも1つの駆動ホイール4が固定され、ローターシャフト9、10は、ベルト5によって回転駆動することができるとともに、その軸方向端部の一方に歯付きホイール13、14が設けられている。このポンプは、駆動ホイール4及びベルト5が平滑であり、ローター7、8の各シャフト9、10が、ベルト5と協働するように配置された少なくとも1つの平滑セクション16、17を有し、ローター7、8のシャフト9、10の歯付きホイール13、14が、互いに噛み合うように寸法決めされて配置されるという特徴を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動シャフト(3)を含む駆動装置(1)と、
ローター部(11、12)が設けられたローターシャフト(9、10)をそれぞれ有する、少なくとも2つの平行なローター(7、8)と
を備え、
前記駆動シャフト(3)の一端部には、少なくとも1つのベルト(5)を作動させるように設けられた少なくとも1つの駆動ホイール(4)が固定され、
前記ローターシャフト(9、10)は、前記ベルト(5)によって回転駆動することができるとともに、その軸方向端部の一方に歯付きホイール(13、14)が設けられ、
前記駆動ホイール(4)及び前記ベルト(5)は平滑であり、
前記ローター(7、8)の各シャフト(9、10)は、前記ベルト(5)と協働するように配置された少なくとも1つの平滑セクション(16、17)を有し、
前記ローター(7、8)の前記シャフト(9、10)の前記歯付きホイール(13、14)は、互いに噛み合うように寸法決めされて配置されることを特徴とする、ドライ真空ポンプ。
【請求項2】
前記歯付きホイール(13、14)は、前記ローターシャフト(9、10)が非同期で回転駆動されるときにのみ、それぞれの前記歯付きホイールの歯に負荷がかかるように配置される、請求項1に記載のドライ真空ポンプ。
【請求項3】
前記歯付きホイール(13、14)の角度方向の遊びが、前記ローター部(11、12)の角度方向の遊びよりも少ない、請求項1又は2に記載のドライ真空ポンプ。
【請求項4】
前記ローター(7、8)の各シャフト(9、10)の前記平滑セクション(16、17)は、前記シャフト(9、10)の一端部に位置する、請求項1~3のいずれか1項に記載のドライ真空ポンプ。
【請求項5】
前記平滑セクション(16、17)は、前記ローター(7、8)の各シャフト(9、10)上において、前記歯付きホイール(13、14)の直径よりも小さい直径を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載のドライ真空ポンプ。
【請求項6】
前記2つの歯付きホイール(13、14)は、同じ直径であり、
前記2つの平滑セクション(16、17)は、同じ直径である、請求項1~5のいずれか1項に記載のドライ真空ポンプ。
【請求項7】
前記ベルト(5)は、前記平滑セクション(16、17)のうちの一方の平滑セクション(16)を部分的に囲み、他方の平滑セクション(17)によって下方に押される、請求項1~6のいずれか1項に記載のドライ真空ポンプ。
【請求項8】
ローター(7、8)のシャフト(9、10)の前記歯付きホイール(13、14)及び前記平滑セクション(16、17)は、前記シャフト(9、10)の同じ軸方向端部に位置する、請求項1~7のいずれか1項に記載のドライ真空ポンプ。
【請求項9】
各平滑セクション(16、17)は、円板状部分(19、20)の周面に位置する、請求項1~8のいずれか1項に記載のドライ真空ポンプ。
【請求項10】
前記円板状部分(19、20)及び前記駆動ホイール(4)は、実質的に同じ平面にある、請求項9に記載のドライ真空ポンプ。
【請求項11】
前記ローター(7、8)の前記シャフト(9、10)の回転軸及び前記駆動シャフト(3)の回転軸の投影から生じる点は、それらの回転軸に対して垂直な平面上に整列している、請求項1~10のいずれか1項に記載のドライ真空ポンプ。
【請求項12】
前記駆動シャフト(3)と、前記駆動シャフト(3)に最も近い前記ローターシャフト(10)との間の距離は、調整可能である、請求項1~11のいずれか1項に記載のドライ真空ポンプ。
【請求項13】
前記ドライ真空ポンプは、前記ローター部(11、12)が互いに嵌合するローブの形態を有したドライ真空ポンプである、請求項1~12のいずれか1項に記載のドライ真空ポンプ。
【請求項14】
前記ドライ真空ポンプは、ルーツポンプ、スクリューポンプ、又はクローポンプである、請求項1~12のいずれか1項に記載のドライ真空ポンプ。
【請求項15】
前記ドライ真空ポンプは、単段式又は多段式である、請求項1~14のいずれか1項に記載のドライ真空ポンプ。
【請求項16】
前記駆動装置(1)は、駆動シャフト(3)を備え、
前記駆動シャフト(3)の一端部には、2つのベルト(5a、5b)を作動させるように設けられる少なくとも1つの駆動ホイール(4)が固定される、請求項1~15のいずれか1項に記載のドライ真空ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライ真空ポンプ、例えば、いわゆるホワイトルーム又はクリーンルームにおいて使用されるドライ圧縮真空ポンプ等に関する。より具体的には、本発明は、ベルトによる駆動部を備えるドライ真空ポンプに関する。更に具体的には、本発明は、例えば容積型のドライ真空ポンプに関し、特に、潤滑液の使用を必要とせずとも、ローターの回転の最適な同期を保証する駆動装置を備えるルーツポンプ型のドライ真空ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
ルーツポンプ等のドライ真空ポンプは、現行の技術水準においてよく知られている。そのようなポンプは、概して、ポンプチャンバー内に配置される2つのローター部を備え、これらのローター部は、ルーツポンプにおいてはローブの形態のローター部として設計される。各ローター部は、駆動装置によって回転駆動されるローターシャフトによって支持される。
【0003】
従来から知られる多くのポンプにおいて、駆動装置は、ローターシャフトのうちの一方にそれぞれ取り付けられ互いに噛み合う2つの歯付きホイールによって構成される。2つのシャフトのうちの一方は、モーター、例えば電気モーターによって回転駆動され、歯付きホイールによって第2のローターシャフトを駆動する。
【0004】
ローターシャフトのうちの一方の駆動トルクを他方のローターシャフトに伝達する歯付きホイールを備える駆動装置は、そのようなホイールの使用により、2つのローターシャフトの回転を自動的に同期することを可能にするという利点を有する。効率的な圧縮プロセス及び良好な出力を得るためには、ローター部間の隙間を低減することが必要であり、そのためには非常に正確な同期が必要とされる。さらに、意図的であるか故障が原因であるかにかかわらず、ポンプが停止した場合、歯付きホイールは「ランディングギア」として機能するため、ローター部に対する損傷を防止することが可能である。
【0005】
この種の装置の欠点は、歯付きホイール間に存在し、潤滑を必要とする、駆動トルクの伝達に必要な恒常的な接触にある。実際、潤滑がなければ、歯付きホイールはすぐに摩耗してしまい、それにより、ローターシャフトの同期が失われ、ポンプの効率が低下し、最終的にはローター部に損傷を与えることになる。残念なことに、多くの用途において潤滑液の使用は望ましくない。なぜなら、排気される真空チャンバーの汚染につながるからである。これは、例えば、半導体分野において繰り返される問題であり、半導体分野では、そのような汚染は、採用される製造プロセスと非常に単純に相性がよくない。
【0006】
真空ポンプのローターシャフトの同期を可能にする別の手法が、特許文献1に開示されている。特許文献1には、ローターシャフトが固有の電気モーターによってそれぞれ駆動され、シャフトの角度位置がレゾルバによって決定されるドライスクリューポンプについて記載されている。ローターシャフトのモーターは、レゾルバの信号に基づいて電子的に同期される。この手法は、ローターシャフトの効率的な同期を可能にするが、2つの別個のモーター及び電子システムの使用を必要とし、これらの使用は、多くの用途において好ましくない。
【0007】
特許文献2において、ドライスクリューポンプのローターシャフトを駆動するために、駆動装置の歯付きホイールによって作動する歯付きベルトを使用することが提案されている。これには、ローターシャフトに取り付けられる歯付きホイールを分離することを可能にするという利点がある。歯付きホイール間の接触がないため、潤滑はもはや必要ない。
【0008】
それにもかかわらず、歯付きベルトを用いたこのタイプの駆動は、ローターシャフトの同期を十分に取ることができないという大きな欠点を有している。ローターシャフトの脱同期に起因したローター部の損傷を防止するために、特許文献2では、遊びがより大きいローター部を使用することが提案されている。残念なことに、このことは、このタイプの駆動部を使用するポンプは、はるかに長いローター部を設け、より多数の圧縮ポケットを有しなくては、通常のポンプと同じ圧縮率を得ることができないことを意味する。
【0009】
したがって、本発明の目的は、潤滑を不要としながらも、ルーツポンプ等の従来のドライ真空ポンプにおいて使用することができるように、ローターシャフトの十分な同期を保証する駆動装置を備えるドライ真空ポンプを提案することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1054160号
【特許文献2】国際公開第2018/224409号
【発明の概要】
【0011】
本発明は、従来技術のポンプよりも効率的なローター駆動機構を備えるドライ真空ポンプを提案することを主な目的とする。
【0012】
本発明によれば、これらの目的は、独立請求項の主題を通して達成される。本発明のより具体的な態様は、従属請求項及び本明細書に記載される。
【0013】
より具体的には、本発明の目的は、駆動シャフトを含む駆動装置と、ローター部が設けられたローターシャフトをそれぞれ有する、少なくとも2つの平行なローターとを備え、駆動シャフトの一端部には、少なくとも1つのベルトを作動させるように設けられた少なくとも1つの駆動ホイールが固定され、ローターシャフトは、ベルトによって回転駆動することができるとともに、その軸方向端部の一方に歯付きホイールが設けられ、駆動ホイール及びベルトは平滑であり、ローターの各シャフトは、ベルトと協働するように配置された少なくとも1つの平滑セクションを有し、ローターのシャフトの歯付きホイールは、互いに噛み合うように寸法決めされて配置されることを特徴とする、ドライ真空ポンプを通して達成される。
【0014】
ベルトによる駆動及び歯付きホイールによるローターの自動的な同期により、ローター部間の遊びを最小限にすることが可能になり、それにより、ポンプのローター、ローター部、及び/又はステーターを変更する必要なく、ポンプの最大効率、特にその圧縮率が保証される。換言すれば、本発明の駆動装置は、ローター部及びステーターを変更することなく、効率を損なうことなく、既存のポンプに適合することができる。
【0015】
実際、ローターシャフトの歯付きホイールは、ローターシャフトの回転の自動的な同期を可能にする。例えば、ベルトの滑りに起因してローターシャフトの脱同期が生じた場合、歯付きホイールは、ローターシャフトを自動的に再同期させることを可能にする。再同期が必要なときにのみ歯付きホイールに負荷がかかるため、これらのホイールには潤滑は必要ない。2つのシャフトが同期している場合、歯付きホイールは、互いに噛み合うものの負荷はかからず、それにより、歯付きホイールの摩滅が回避される。実際、公知の従来技術のポンプとは異なり、歯付きホイールではなくベルトによって回転トルクが伝達される。
【0016】
さらに、例えば、ベルトが破損した場合、ローターシャフトの歯付きホイールによって構成される歯車は、これら2つのローターシャフトの一体的な回転を維持することを可能にする。したがって、歯付きホイールは、「ランディングギア」、すなわち安全ギアとして機能する。ベルトの故障の場合、歯付きホイールは、ローターが接触することなく及び損傷を引き起こすことなく、ポンプが停止するまで減速することを可能にする。
【0017】
したがって、本発明に係るポンプでは、ローターシャフトの最適な同期を保証しながら、潤滑の必要性を無くすことが可能である。最後に、本発明に係るポンプは、例えば、ベルトの破損又は停電の際にポンプの駆動が突然停止した場合でも、ローター部に対する損傷を回避することを可能にする。本発明に係るポンプは、駆動ホイールを駆動する任意のタイプのモーターを備えることができることに留意することが重要である。このモーターは、例えば、電気モーター又は熱モーターであってもよい。
【0018】
本発明の好ましい実施形態において、歯付きホイールは、ローターシャフトが非同期で回転駆動されるときにのみ、それぞれの歯付きホイールの歯に負荷がかかるように配置される。これにより、歯付きホイールの摩耗損傷を最小限にし、駆動装置の耐用寿命をより長くすることが可能になる。
【0019】
本発明の別の好ましい実施形態において、歯付きホイールの角度方向の遊びが、ローター部の角度方向の遊びよりも少ない。これにより、ローター部が互いに接触する前に歯付きホイールに負荷がかかるようにし、これにより、ポンプが急に停止した場合でも、ローター部が損傷を受けないようにすることができる。
【0020】
本発明に係る好ましい実施形態において、各ローターシャフトの平滑セクションは、このシャフトの一端部に位置する。これにより、ローターシャフトによって支持されるローター部によって、排出される流体が効果的に移送及び圧縮されるための圧縮ゾーンと、ローターシャフトの駆動装置、特に、各ローターシャフトの平滑セクション及びベルトを含む駆動ゾーンとを容易に分離することができる。その結果、圧縮ゾーンが駆動ゾーンによって汚染されることを防止できる。
【0021】
本発明の別の好ましい実施形態において、平滑セクションは、各ローターシャフト上において、歯付きホイールの直径よりも小さい直径を有する。
【0022】
本発明に係る好ましい実施形態において、2つの歯付きホイールは、同じ直径であり、2つの平滑セクションは、同じ直径である。これにより、ローターシャフトの回転の同期を容易にすることが可能になる。実際、同一の直径にすることにより、ローターシャフトを同じ速さで容易に回転させることができる。
【0023】
本発明の更に別の好ましい実施形態において、ベルトは、平滑セクションのうちの一方の平滑セクションを部分的に囲み、他方の平滑セクションによって下方に押される。これにより、2つのローターシャフトを逆回転に容易に駆動することができる。従来から公知のドライ真空ポンプ、例えば、スクリューポンプ、ルーツポンプ、又はクローポンプ等では、通常、互いに反対方向に回転駆動されることが予定されるローターシャフトが採用されており、本発明に係るポンプの駆動装置は、このような従来から公知のポンプを駆動するのに適用することができる。
【0024】
本発明の別の好ましい実施形態において、ローターシャフトの歯付きホイール及び平滑セクションは、このシャフトの同じ軸方向端部に位置する。これにより、エネルギー損失及びベルトの破損のリスクを防止する、ベルトの単純な幾何形状を提供することが可能になる。
【0025】
本発明の別の好ましい実施形態において、各平滑セクションは、円板状部分の周面に位置する。これにより、特に、ベルトとローターシャフトとの間の接触面を大きくすることができ、ベルトによるローターシャフトの駆動を最適化することが可能になる。加えて、平滑セクションに対するベルトの滑りのリスクが低減され、ローターシャフトの脱同期のリスクを低減できる。
【0026】
本発明に係る好ましい実施形態において、円板状部分及び駆動ホイールは、実質的に同じ平面にある。これにより、ベルトを同じ平面内に位置するようにして、ベルトの破損のリスクを減少することが可能になる。
【0027】
本発明の別の好ましい実施形態において、ローターシャフトの回転軸及び駆動シャフトの回転軸の投影から生じる点は、それらの回転軸に対して垂直な平面上に整列している。このため、ローターシャフトの平滑セクションにおけるベルトの圧力は等しくなり、それにより、最適な駆動同期を実現できる。
【0028】
本発明の更に別の好ましい実施形態において、駆動シャフトと、駆動シャフトに最も近いローターシャフトとの間の距離は、調整可能である。これにより、駆動ベルトの張力を調整し、ローターシャフトの駆動を最適化することが可能になる。ベルトの張力を調整することにより、ローターシャフトの脱同期のリスクを最小限に抑え、したがって、同期を再確立するために歯付きホイールが接触することを防止することが可能である。
【0029】
本発明の更に別の好ましい実施形態において、ドライ真空ポンプは、ローター部がローブの形態を有して互いに嵌合する、ドライ真空ポンプである。
【0030】
本発明に係る好ましい実施形態において、真空ポンプは、ルーツポンプ、スクリューポンプ、又はクローポンプである。
【0031】
本発明の別の好ましい実施形態において、真空ポンプは、単段式又は多段式である。
【0032】
また、本発明の別の好ましい実施形態において、駆動装置は、駆動シャフトを備え、駆動シャフトの一端部には、2つのベルトを作動させるように設けられる少なくとも1つの駆動ホイールが固定される。
【0033】
本発明の他の利点及び特徴を、以下を概略的に示す添付図面を参照して、以下に詳細に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】
図1は、本発明の第1の好ましい実施形態に係るドライ真空ポンプ、ここではドライルーツポンプの上面斜視図である。
【
図3】
図3は、ポンプハウジングを見えなくした、
図1の真空ポンプの一部の図である。
【
図5】
図5は、本発明の第2の好ましい実施形態に係るドライ真空ポンプ、ここではドライルーツポンプの上面斜視図である。
【
図8】
図8は、
図7の平面A-Aに沿った断面における真空ポンプの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明に係るドライ真空ポンプは、駆動シャフト3を回転駆動する、通常は電気モーターであるモーター2を含む駆動装置1を備えるアセンブリであり、当該駆動シャフト3の前端部には、少なくとも1つのベルト5を作動させるように設けられた、少なくとも1つの駆動ホイール4が固定されている。
【0036】
図1に、本発明の第1の好ましい実施形態に係るドライ真空ポンプであって、ドライルーツポンプ型のドライ真空ポンプを示す。かかるドライ真空ポンプは、駆動シャフト3を回転駆動する、通常は電気モーターであるモーター2を含む駆動装置1を備えるアセンブリであり、当該駆動シャフト3の前端部には、ベルト5を作動させるように設けられた、駆動ホイール4が固定されている。
【0037】
駆動装置1の隣には、ハウジングが固定される。ハウジングは、下側部分6及び上側部分(図示せず)を有し、内部に少なくとも2つのローター7、8が、自由に回転するように取り付けられる。各ローター7、8は、図示する例ではローブ11、12として形成されたローター部が設けられ、ベルト5によって回転駆動されるローターシャフト9、10を備えている。各ローターシャフト9、10は、軸方向端部のうちの一方、好ましくは前端部に、歯付きホイール13、14が設けられる。
【0038】
図2に示すように、2つのローター7、8のローターシャフト9、10の回転軸は、互いに対して平行であり、通常は同様に、駆動シャフト3の回転軸に対して平行である。
【0039】
ローブ11、12は、概して同一であり、ローター7、8のローターシャフト9、10の回転軸間の距離は、当業者によく知られているように、これらのローブ11、12が、排出される流体の容積移送及び圧縮を成し得るように、相互に作用することが可能となるように選択される。ローター7、8は、互いに反対方向に回転するように設けられるため、そのローブ11、12は、互いに対して90°の角度で回転する(
図3を参照)。
【0040】
空気等の流体の入口オリフィス(図示せず)が、ハウジングの後部に設けられ、この流体の出口オリフィス(図示せず)が、前部に設けられる。したがって、ローブ11、12の回転は、流体の循環及び圧縮をもたらす。
【0041】
本発明によれば、ベルト5は、駆動ホイール4と同じく平滑であり、すなわち、この駆動ホイール4は、平滑な軸方向周面15を有する。
【0042】
平滑な駆動ホイール4は、駆動ホイール4に密着して、モーター2のシャフト3の回転によって作動させることができるベルト5と協働するようにしている。
【0043】
ベルト5は、同様に、ローター7、8のローターシャフト9、10を回転させて、ローターシャフト9、10に作用するように設けられており、これらのローターシャフト9、10は、ベルト5を受けて、ベルト5に密着させられる平滑な軸方向周面を有するセクションを備えている。したがって、これらの平滑セクション16、17は、ローター7、8のシャフト9、10の前端部に位置する。
【0044】
特に
図4に示すように、ベルト5は、駆動ホイール4から第1のローターシャフト、すなわち、駆動ホイール4から最も遠いローターシャフト9までのループを形成する。したがって、ベルト5は、駆動ホイール4の平滑な軸方向周面15及びローターシャフト9の平滑セクション16に掛けられて、このローターシャフト9とこの駆動ホイール4との間に延在している。
【0045】
しかしながら、第1のローターシャフト9と駆動ホイール4との間に配置される第2のローターシャフト10も駆動することができるように、ベルト5は、この第2のローターシャフト10の平滑セクション17に接触して密着する必要がある。このことは、シャフトが1本である場合には台形となる、ベルト5の経路を変形させることで達成される。そのため、第2のローターシャフト10の平滑セクション17の下側にベルト5を通すように、ベルト5の経路が曲げられる。
【0046】
したがって、ベルト5は、駆動装置1のホイール4及び第1のローターシャフト9の平滑セクション16を部分的に囲み、第2のローターシャフト10の平滑セクション17によって下方に押される。
【0047】
図4に描かれている線Lによって示されているように、ローター7、8のローターシャフト9、10の回転軸及び駆動シャフト3の回転軸の投影から生じる点は、それらの回転軸に対して垂直な平面上に整列していることが好ましい。
【0048】
ベルト5の長さ及び/又は駆動装置1とハウジングとの間の距離は、ローター7、8の第1のローターシャフト9及び第2のローターシャフト10を回転駆動する役割を果たすことが可能であるように、ベルト5が十分に延びた状態が維持されるように選択される。
【0049】
また、駆動装置1(又は駆動シャフト3)とハウジング(又はローター8の第2のローターシャフト10)との間の距離を調節可能とし、それにより、可変長のベルトを使用することを可能にし、ベルト5の張力を最適に調整できるようにしてもよい。
【0050】
ローター7、8のローターシャフト9、10は、回転駆動を容易にするために、ローターシャフト9、10の直径を増大させる円板状部分19、20をそれぞれ有するのが好ましく、円板状部分19、20の軸方向周面は、平滑であり、ローターシャフト9、10の平滑セクション16、17を構成する。円板状部分は、プーリーであることが好ましい。円板状部分19、20及び駆動ホイール4は、ベルト5と効果的に協働することが可能であるように、実質的に同じ平面にある。円板状部分19、20及び駆動ホイール4の軸方向厚さは、概ね、ベルト5の軸方向の厚さと少なくとも等しい。
【0051】
本発明によれば、好ましくはローターシャフト9、10の前端部で、ローターシャフト9、10に支持される歯付きホイール13、14は、互いに噛み合う寸法で、同一平面上に位置している。したがって、これらの歯付きホイール13、14の半径の合計は、歯の寸法を考慮すると、ローター7、8のローターシャフト9、10の2つの回転軸間の距離に実質的に等しい。
【0052】
本発明によれば、歯付きホイール13、14は、ローターシャフト9、10の回転が非同期のときにのみ、これらのホイールの歯に負荷がかかるような寸法になっていることに留意することが重要である。それ以外のときには、歯付きホイール13、14は、互いに良好に噛み合い、それらの歯は負荷を受けない。実際、歯付きホイール13、14によって形成される歯車は、公知の従来技術のポンプとは異なり、一方のローターシャフトから他方のローターシャフトにトルクを伝達する機能を有しない。歯付きホイール13、14は、専ら、ローターシャフト9、10の回転を自動的に同期させる機能を有する。したがって、歯付きホイール13、14は、潤滑する必要がなく、ポンプの駆動装置全体に潤滑液を使用しないことができる。
【0053】
ローターシャフト9、10の最適な同期、ひいてはローター7、8の最適な同期を保証することにより、歯付きベルトが設けられた従来技術のポンプに存在する遊びと比較して、ローター部11、12間の遊び、及びポンプのハウジング、より具体的にはポンプのステーター部分との間の遊びが少ないローター部11、12を予期することが可能になる。ローター部11、12間の遊びを少なくすることにより、ローター部11、12の回転によって形成される圧縮チャンバーを、漏れが少なく、したがって、同じポンプサイズに対して圧縮率がより大きなものとすることができる。
【0054】
加えて、ベルト5が破損した場合やポンプが停止した場合であっても、歯付きホイール13、14によって形成される歯車は、「ランディングギア」として機能し、これにより、ローブ11、12が互いに擦れることを防止し、ローブ11、12の損傷を回避することができる。実際、歯付きホイール13、14は、同期されたローター7、8を損傷することなく、停止させることができる。
【0055】
ローター7、8のローターシャフト9、10の平滑セクション16、17は、これらのシャフト9、10によって支持される歯付きホイール13、14の直径よりも小さい直径を有するようにするのが好ましい。
【0056】
歯付きホイール13、14は、概ね同じ直径であり、2つの平滑セクション16、17も、円板状部分19、20上に位置するか否かにかかわらず、概ね同じ直径である。
【0057】
図5に、本発明の第2の好ましい実施形態に係るドライ真空ポンプであって、ドライルーツポンプ型のドライ真空ポンプを示す。かかるドライ真空ポンプは、駆動シャフト3を回転駆動する、通常は電気モーターであるモーター2を含む駆動装置1を備えるアセンブリであり、当該駆動シャフト3の前端部には、2つのベルト5a、5bを作動させるように設けられた、少なくとも1つの駆動ホイール4が固定されている。
【0058】
この実施形態によれば、2つのベルト5a、5bは、駆動ホイール4と同じく平滑であり、すなわち、駆動ホイール4は、平滑な軸方向周面15を有する。
【0059】
平滑な駆動ホイール4は、駆動ホイール4に平行に密着して、モーター2のシャフト3の回転によって作動させることができる2つのベルト5a、5bと協働するようにしている。この実施形態において、平滑な駆動ホイール4は、2つのベルト5a、5bのそれぞれを軸方向に受けて保持するように意図される、2つの平滑な領域の境界を定める分離溝を有している。
【0060】
一変形形態によれば、駆動装置1は、駆動シャフト3を含み、駆動シャフト3の前端部には、2つのベルト5a、5bを作動させるように設けられた、2つの駆動ホイール4が固定されている。
【0061】
2つのベルト5a、5bも、ローター7、8のローターシャフト9、10を回転させて、ローターシャフト9、10に作用するように設けられており、これらのローターシャフト9、10は、2つのベルト5a、5bを平行に受けて、2つのベルト5a、5bに密着させられる平滑な軸方向周面を有するセクションを備えている。したがって、これらの平滑セクション16、17は、ローター7、8のシャフト9、10の前端部に位置し、2つのベルト5a、5bのそれぞれを軸方向に受けて保持するようにされた、各ローターシャフト9、10の2つの平滑部の境界を定める分離溝を有する。
【0062】
特に
図5に見ることができるように、2つのベルト5a、5bは、それぞれ、駆動ホイール4から第1のローターシャフト、すなわち、駆動ホイール4から最も遠いローターシャフト9までのループを平行に形成する。したがって、2つのベルト5a、5bは、それぞれ、駆動ホイール4の平滑な軸方向周面15及びローターシャフト9の平滑セクション16に平行に掛けられて、ローターシャフト9と駆動ホイール4との間に延在している。
【0063】
しかしながら、第1のローターシャフト9と駆動ホイール4との間に配置される第2のローターシャフト10も駆動することができるように、2つのベルト5a、5bは、第2のローターシャフト10の平滑セクション17に接触して平行に密着する必要がある。このことは、シャフトが1本である場合には台形となる、2つのベルト5a、5bの経路を変形させることで達成される。そのため、第2のローターシャフト10の平滑セクション17の下側に2つのベルト5a、5bを通すように、2つのベルト5a、5bの経路が曲げられる(
図5及び
図6を参照)。
【0064】
したがって、ベルト5a、5bは、駆動装置1のホイール4及び第1のローターシャフト9の平滑セクション16を部分的に囲み、第2のローターシャフト10の平滑セクション17によって下方に押される(
図6を参照)。
【0065】
ローター7、8のローターシャフト9、10は、回転駆動を容易にするために、ローターシャフト9、10の直径を増大させる円板状部分19、20をそれぞれ有することが好ましく、円板状部分19、20の軸方向周面は、平滑であり、2つのベルト5a、5bのそれぞれを軸方向に受けて保持するように意図される2つの平滑ゾーンの境界を定める分離溝を有する。また、円板状部分19、20は、ローターシャフト9、10の平滑セクション16、17を構成する(
図7を参照)。
【0066】
一変形形態では、ローター7、8のローターシャフト9、10は、それぞれ、2つの円板状部分19、20を有する。
【0067】
円板状部分19、20及び駆動ホイール4は、2つのベルト5a、5bと効果的に協働することが可能であるように、実質的に同じ平面にある。円板状部分19、20及び駆動ホイール4の軸方向厚さは、概ね、2つのベルト5a、5bの軸方向の厚さと少なくとも等しい(
図7を参照)。
【0068】
図6及び
図8に示されている実施形態において、円板状部分19、20は、シール軸受、玉軸受、又は深溝玉軸受等の軸受21a、21bを備える。
【0069】
概して、ベルトが滑るリスクは、円板状部分におけるベルトのトルク及びグリップ角度に関係する。
有利な態様において、本発明の第2の好ましい実施形態によれば、2つのベルト5a、5bは、それぞれが独立して滑るリスクにさらされることから、歯付きホイールの再同期の作業を更に低減することができる。したがって、2つのベルト5a、5bを使用することによって滑りのリスクを保証することで、歯付きホイールの脱同期及び摩耗損傷のリスクを低減及び制限することができる。
【0070】
本発明は、実施に当たり、多くの変形が可能であることが明らかである。2つの非限定的な実施形態を例として記載したが、全ての可能な変形を網羅的に特定するように想定可能ではないことが十分理解される。当然ながら、本発明の範囲から逸脱することなく、記載された手段を同等の手段に置き換えることが可能である。これらの変更の全ては、真空ポンプの分野における当業者の共通の知識の一部を形成する。特に、当業者であれば、本発明のベルトによる駆動装置が、潤滑式であるかドライ式であるかにかかわらず、又は単段式であるか多段式であるかにかかわらず、回転駆動される2つのローターを採用する、例えば、スクリューポンプ又はクローポンプ等の、任意の種類の容積型ポンプにおいて使用することができることが容易に理解されよう。
【国際調査報告】