IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ マジック リープ, インコーポレイテッドの特許一覧

特表2023-526019屈折光学系と回折接眼レンズ導波管ディスプレイの統合のための方法およびシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-20
(54)【発明の名称】屈折光学系と回折接眼レンズ導波管ディスプレイの統合のための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20230613BHJP
   G02B 1/111 20150101ALI20230613BHJP
   G02B 1/18 20150101ALI20230613BHJP
   G02B 5/18 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G02B1/111
G02B1/18
G02B5/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022568558
(86)(22)【出願日】2021-05-13
(85)【翻訳文提出日】2023-01-04
(86)【国際出願番号】 US2021032332
(87)【国際公開番号】W WO2021231789
(87)【国際公開日】2021-11-18
(31)【優先権主張番号】63/025,069
(32)【優先日】2020-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514108838
【氏名又は名称】マジック リープ, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Magic Leap,Inc.
【住所又は居所原語表記】7500 W SUNRISE BLVD,PLANTATION,FL 33322 USA
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】オ, チュルウ
(72)【発明者】
【氏名】コマンドゥリ, ラヴィ クマール
(72)【発明者】
【氏名】シン, ビクラムジト
(72)【発明者】
【氏名】ヤン, シューチャン
(72)【発明者】
【氏名】シュー, フランク ワイ.
【テーマコード(参考)】
2H199
2H249
2K009
【Fターム(参考)】
2H199CA12
2H199CA42
2H199CA53
2H199CA66
2H199CA67
2H199CA82
2H249AA06
2H249AA13
2H249AA40
2H249AA43
2H249AA50
2H249AA55
2H249AA64
2K009AA10
2K009BB11
2K009CC02
2K009CC03
2K009CC22
2K009DD04
2K009DD15
2K009EE05
(57)【要約】
本発明は、概して、導波管ディスプレイのための方法およびシステムに関する。より具体的には、本発明の実施形態は、導波管ディスプレイとも称される、回折接眼レンズ導波管ディスプレイと屈折光学系を統合する、方法およびシステムを提供する。接眼レンズ導波管が、世界側およびユーザ側を有する、導波管層のセットを含む。接眼レンズ導波管はまた、第1の光学屈折力を有し、導波管層のセットの世界側に隣接して配置される、第1のカバープレートと、第2の光学屈折力を有し、導波管層のセットのユーザ側に隣接して配置される、第2のカバープレートとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接眼レンズ導波管であって、
世界側およびユーザ側を有する導波管層のセットと、
第1の光学屈折力を有し、前記導波管層のセットの前記世界側に隣接して配置される第1のカバープレートと、
第2の光学屈折力を有し、前記導波管層のセットの前記ユーザ側に隣接して配置される第2のカバープレートと
を備える、接眼レンズ導波管。
【請求項2】
前記導波管層のセットは、3つの導波管層を備え、前記3つの導波管層のそれぞれは、赤色、緑色、または青色波長と関連付けられている、請求項1に記載の接眼レンズ導波管。
【請求項3】
前記第1の光学屈折力は、正であり、前記第2の光学屈折力は、負である、請求項1に記載の接眼レンズ導波管。
【請求項4】
前記第1の光学屈折力および前記第2の光学屈折力の絶対値は、等しい、請求項3に記載の接眼レンズ導波管。
【請求項5】
前記第1のカバープレートまたは前記第2のカバープレートのうちの少なくとも1つは、ナノ特徴を備える、請求項1に記載の接眼レンズ導波管。
【請求項6】
前記ナノ特徴は、反射防止構造を備える、請求項5に記載の接眼レンズ導波管。
【請求項7】
前記反射防止構造は、前記第1のカバープレートまたは前記第2のカバープレートの平面表面上に配置される、請求項6に記載の接眼レンズ導波管。
【請求項8】
前記第1の光学屈折力は、開口と関連付けられ、前記第1のカバープレートは、前記開口に隣接する平面領域を備える、請求項1に記載の接眼レンズ導波管。
【請求項9】
前記第2の光学屈折力は、前記開口と関連付けられ、前記第2のカバープレートは、前記開口に隣接する前記平面領域を備える、請求項8に記載の接眼レンズ導波管。
【請求項10】
前記第1のカバープレートは、1μm~1mmの距離だけ、前記導波管層のセットの前記世界側から分離され、前記第2のカバープレートは、1μm~1mmの距離だけ、前記導波管層のセットの前記ユーザ側から分離される、請求項1に記載の接眼レンズ導波管。
【請求項11】
前記第1のカバープレートは、1mm未満の最大厚を有し、前記第2のカバープレートは、1mm未満の最大厚を有する、請求項1に記載の接眼レンズ導波管。
【請求項12】
前記第1のカバープレートは、第1の基板と、前記第1の基板に結合され、5nm~600nmの最小厚を特徴とする第1の成型フィルムとを備え、前記第2のカバープレートは、第2の基板と、前記第2の基板に結合され、5nm~600nmの最小厚を特徴とする第2の成型フィルムとを備える、請求項11に記載の接眼レンズ導波管。
【請求項13】
光学要素を加工する方法であって、前記方法は、
基板を提供することと、
前記基板に結合される鋳造可能材料を形成することと、
金型を使用して、前記鋳造可能材料を鋳造することと、
前記鋳造可能材料を硬化させることと、
前記金型を除去することと
を含む、方法。
【請求項14】
前記基板は、カバーガラスを備える、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記カバーガラスは、平面である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記基板は、平面ポリマー構造を備える、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記鋳造可能材料は、UV硬化樹脂を備える、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記金型は、吸着防止コーティングを備える、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記吸着防止コーティングは、疎水性である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記吸着防止コーティングは、酸化シリコンまたは窒化シリコンを備える、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記鋳造可能材料を鋳造することは、前記鋳造可能材料においてナノ特徴を形成することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項22】
前記ナノ特徴は、前記鋳造可能材料の界面において反射を低減させる回折特徴である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
光学要素を加工する方法であって、前記方法は、
金型プレートを有する金型セットを提供することと、
前記金型プレートの間に成型可能材料を設置することと、
前記金型プレートを継合することと、
前記光学要素を形成するために、前記成型可能材料を硬化させることと、
前記金型セットから前記光学要素を除去することと
を含む、方法。
【請求項24】
前記光学要素は、負の光学屈折力を特徴とする、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記光学要素は、正の光学屈折力を特徴とする、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記金型プレートのうちの1つは、平面表面を特徴とする、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記成型可能材料は、UV硬化性樹脂を備える、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
前記金型プレートのうちの少なくとも1つは、ナノ特徴を備える、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
前記光学要素は、平面領域と、前記平面領域に隣接し、光学屈折力を特徴とする開口とを備える、請求項23に記載の方法。
【請求項30】
前記金型は、吸着防止コーティングを備える、請求項23に記載の方法。
【請求項31】
前記吸着防止コーティングは、疎水性である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記吸着防止コーティングは、酸化シリコンまたは窒化シリコンを備える、請求項30に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、その開示が、参照することによってその全体としてあらゆる目的のために、本明細書に組み込まれる、2020年5月14日に出願され、「Method and System for Integration of Refractive Optics with a Diffractive Eyepiece Waveguide Display」と題された、米国仮特許出願第63/025,069号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
現代のコンピューティングおよびディスプレイ技術は、いわゆる「仮想現実」または「拡張現実」体験のためのシステムの開発を促進しており、デジタル的に再現された画像またはその一部が、それらが現実のように見える、またはそのように知覚され得る様式において、視認者に提示される。仮想現実、すなわち、「VR」シナリオは、典型的には、他の実際の実世界視覚的入力に対する透過性を伴わずに、デジタルまたは仮想画像情報の提示を伴う。拡張現実、すなわち、「AR」シナリオは、典型的には、視認者の周囲の実世界の可視化に対する拡張として、デジタルまたは仮想画像情報の提示を伴う。
【0003】
これらのディスプレイ技術において成された進歩にもかかわらず、当技術分野において、拡張現実システム、特に、ディスプレイシステムに関する改良された方法およびシステムの必要性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、概して、導波管ディスプレイのための方法およびシステムに関する。より具体的には、本発明の実施形態は、導波管ディスプレイとも称される、回折接眼レンズ導波管ディスプレイと屈折光学系を統合する、方法およびシステムを提供する。本発明は、コンピュータビジョンおよび画像ディスプレイシステムにおいて、種々の用途に適用可能である。
【0005】
本明細書に説明されるように、本発明の実施形態が、拡張現実ディスプレイデバイスの一部を形成する、回折接眼レンズ導波管とともに利用され得る、光学屈折力を有する、積層レンズおよび光学要素を加工するための方法およびシステムに関する。本明細書に説明されるように、複合現実ディスプレイのための導波管光学コンバイナとのレンズ統合の方法が、提供される。特定の実施形態では、一対のレンズが、実世界物体の深度平面を保存しながら、仮想画像深度平面を作成するために利用される。対のレンズは、レンズ効果を世界ビューのために補償しながら、対のレンズにおけるレンズの間の距離を低減させることによって、非常に薄く、コンパクトなウェアラブル形状因子を提供し、高光学透過率を含む、ユーザ経験を改良するために、導波管層と統合される。
【0006】
本発明のある実施形態によると、光学要素を加工する方法が、提供される。本方法は、基板を提供するステップと、基板に結合される鋳造可能材料を形成するステップと、金型を使用して、鋳造可能材料を鋳造するステップとを含む。本方法はまた、鋳造可能材料を硬化させるステップと、金型を除去するステップとを含む。
【0007】
本発明の別の実施形態によると、光学要素を加工する方法が、提供される。本方法は、金型プレートを有する金型セットを提供するステップと、金型プレートの間に成型可能材料を設置するステップとを含む。本方法はまた、金型プレートを継合するステップと、光学要素を形成するために、成型可能材料を硬化させるステップと、金型セットから光学要素を除去するステップとを含む。
【0008】
本発明の具体的実施形態によると、接眼レンズ導波管が、提供される。接眼レンズ導波管は、世界側およびユーザ側を有する、導波管層のセットを含む。接眼レンズ導波管はまた、第1の光学屈折力を有し、導波管層のセットの世界側に隣接して配置される、第1のカバープレートと、第2の光学屈折力を有し、導波管のセットのユーザ側に隣接して配置される、第2のカバープレートとを含む。
【0009】
多数の利益が、従来の技法に優る本発明の方法によって達成される。例えば、本発明の実施形態が、カバープレートおよびレンズの両方として機能する、統合された積層レンズまたは光学要素を伴う、コンパクトな接眼レンズ導波管システムを提供する、方法およびシステムを提供する。さらに、本発明の実施形態は、接眼レンズ導波管と統合される対のレンズが、相互に近接して位置付けられることを可能にするため、光学収差が、従来の技法と比較として低減される。発明のこれらおよび他の実施形態は、その利点および特徴の多くとともに、下記の文章および添付の図と併せて、さらに詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A図1Aは、本発明のある実施形態による、接眼レンズ導波管および積層レンズ対を含む、視認光学系アセンブリを図示する、簡略化された断面図である。
【0011】
図1B図1Bは、本発明のある実施形態による、光学屈折力を伴う接眼レンズ導波管およびカバープレートのセットを含む、視認光学系アセンブリを図示する、簡略化された断面図である。
【0012】
図2A図2A-2Cは、本発明のある実施形態による、積層レンズを加工するためのプロセスを図示する、簡略化された断面図である。
図2B図2A-2Cは、本発明のある実施形態による、積層レンズを加工するためのプロセスを図示する、簡略化された断面図である。
図2C図2A-2Cは、本発明のある実施形態による、積層レンズを加工するためのプロセスを図示する、簡略化された断面図である。
【0013】
図2D図2Dは、本発明の別の実施形態による、積層レンズを加工するためのプロセスを図示する、簡略化された断面図である。
【0014】
図3A図3A-3Dは、本発明のある実施形態による、マスタを使用して、積層レンズを加工するためのプロセスを図示する、簡略化された断面図である。
図3B図3A-3Dは、本発明のある実施形態による、マスタを使用して、積層レンズを加工するためのプロセスを図示する、簡略化された断面図である。
図3C図3A-3Dは、本発明のある実施形態による、マスタを使用して、積層レンズを加工するためのプロセスを図示する、簡略化された断面図である。
図3D図3A-3Dは、本発明のある実施形態による、マスタを使用して、積層レンズを加工するためのプロセスを図示する、簡略化された断面図である。
【0015】
図4図4は、本発明のある実施形態による、積層レンズの簡略化された断面図である。
【0016】
図5図5は、本発明のある実施形態による、接眼レンズ導波管の要素を覆う積層レンズの簡略化された平面図である。
【0017】
図6図6A-6Cは、本発明のある実施形態による、正の光学屈折力を伴う積層レンズを加工するためのプロセスを図示する、簡略化された断面図である。
【0018】
図7図7A-7Cは、本発明の別の実施形態による、正の光学屈折力を伴う積層レンズを加工するためのプロセスを図示する、簡略化された断面図である。
【0019】
図8図8は、本発明のある実施形態による、複数の積層レンズを形成するためのシステムの簡略化された斜視図である。
【0020】
図9A図9A-9Dは、本発明のある実施形態による、光学要素を加工するためのプロセスを図示する、簡略化された断面図である。
図9B図9A-9Dは、本発明のある実施形態による、光学要素を加工するためのプロセスを図示する、簡略化された断面図である。
図9C図9A-9Dは、本発明のある実施形態による、光学要素を加工するためのプロセスを図示する、簡略化された断面図である。
図9D図9A-9Dは、本発明のある実施形態による、光学要素を加工するためのプロセスを図示する、簡略化された断面図である。
【0021】
図10図10は、本発明のある実施形態による、吸着防止コーティングを伴う金型を図示する、簡略化された断面図である。
【0022】
図11A図11Aは、本発明のある実施形態による、光学要素の平面側上で加工されるナノ特徴を伴う光学要素を図示する、簡略化された断面図である。
【0023】
図11B図11Bは、本発明のある実施形態による、光学要素の湾曲側上で加工されるナノ特徴を伴う光学要素を図示する、簡略化された断面図である。
【0024】
図11C図11Cは、本発明のある実施形態による、光学要素の平面側および湾曲側の両方上で加工されるナノ特徴を伴う光学要素を図示する、簡略化された断面図である。
【0025】
図12図12は、本発明のある実施形態による、接眼レンズ導波管および光学要素のセットを含む、VOAを図示する、簡略化された断面図である。
【0026】
図13A図13Aは、本発明のある実施形態による、両凸積層レンズを図示する、簡略化された断面図である。
【0027】
図13B図13Bは、本発明のある実施形態による、凸面メニスカスレンズを図示する、簡略化された断面図である。
【0028】
図13C図13Cは、本発明のある実施形態による、アクロマート積層レンズを図示する、簡略化された断面図である。
【0029】
図13D図13Dは、本発明のある実施形態による、アポクロマート積層レンズを図示する、簡略化された断面図である。
【0030】
図14A図14Aは、本発明のある実施形態による、第1の金型を図示する、簡略化された斜視図である。
【0031】
図14B図14Bは、本発明のある実施形態による、第1の成型物を図示する、簡略化された斜視図である。
【0032】
図14C図14Cは、本発明のある実施形態による、剥離層コーティングプロセスの前および後の成型物の一部の簡略化された側面図である。
【0033】
図14D図14Dは、本発明のある実施形態による、コーティングされた第1の成型物を図示する、斜視図である。
【0034】
図14E図14Eは、本発明のある実施形態による、第2の成型物を図示する、簡略化された斜視図である。
【0035】
図14F図14Fは、本発明のある実施形態による、コーティングされた第2の成型物を図示する、斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
詳細な説明
本発明は、概して、ウェアラブルディスプレイに関する、方法およびシステムに関する。より具体的には、本発明の実施形態が、導波管ディスプレイとも称される、回折接眼レンズ導波管ディスプレイと屈折光学系を統合する、方法およびシステムを提供する。本発明は、コンピュータビジョンおよび画像ディスプレイシステムにおける種々の用途に適用可能である。
【0037】
図1Aは、本発明のある実施形態による、接眼レンズ導波管および積層レンズ対を含む、視認光学系アセンブリを図示する、簡略化された断面図である。図1Aに図示されるように、視認光学系アセンブリ(VOA)100は、接眼レンズ導波管110と、第1の積層レンズ112と、第2の積層レンズ114とを含む。ある実施形態では、接眼レンズ導波管は、無限距離において起こるように現れる、仮想画像を発生させるように設計される。ユーザが、仮想画像が非無限深度平面において起こっていると知覚することを可能にするために、負の光学屈折力を有する、第1の積層レンズ112は、接眼レンズ導波管110によって発生される光線を発散するために利用され、ユーザから所定の距離(例えば、1メートルまたは0.3メートル)に、深度平面から起こるように現れる、接眼レンズ導波管110によって発生される仮想画像をもたらす。いくつかの実装では、第1の積層レンズ112は、ユーザに面している接眼レンズ導波管の側上に位置付けられるため、内側レンズまたはユーザ側レンズと称される。
【0038】
VOAの世界側からVOA100上に入射する光が、世界における種々の物体と関連付けられる特定の距離において現れることが可能になるために、第2の積層レンズ114が、第1の積層レンズ112の光学屈折力を補償するために利用される。したがって、図1Aに図示されるように、第2の積層レンズ114は、第1の積層レンズ112の負の光学屈折力に等しいおよびそれと反対である、正の光学屈折力を有する。いくつかの実装では、第2の積層レンズ114は、世界に面している、接眼レンズ導波管の側上に位置付けられるため、外側レンズまたは世界側レンズと称される。当業者に明白であろうように、第1の積層レンズ112および第2の積層レンズ114をともにより近く位置付けるための能力は、補償対を形成するために、これらのレンズの能力における改良を可能にする。積層レンズとしてレンズを加工することによって、屈折要素とカバープレートとの間の間隔は、屈折要素が、カバープレート上に形成されるため、排除される。さらに、積層レンズの厚さは、従来のレンズと比較して、低減され、これは、ARウェアラブルデバイスのために有利である。
【0039】
図1Bは、本発明のある実施形態による、接眼レンズ導波管および光学要素のセットを含む、視認光学系アセンブリを図示する、簡略化された断面図である。本明細書により完全に説明されるように、光学要素は、光学屈折力を伴う、カバープレートまたはカバーガラスと称されることができる。これらの光学要素またはカバープレートは、ガラスまたは有機材料、例えば、限定されないが、ポリカーボネート、テレフタル酸ポリエチレン、シクロオレフィンポリマー等のポリマー、または同等物を含む、種々の材料から加工されることができる。
【0040】
図1Bを参照すると、VOA150は、接眼レンズ導波管160と、第1の光学要素162と、第2の光学要素164とを含む。光学要素は、機械的機能(すなわち、導波管層を保護する)と、光学機能(すなわち、入射光を集束または脱集束させる)との両方を提供するため、光学要素は、光学屈折力を伴うカバープレートと称されることができる。ある実施形態では、接眼レンズ導波管は、無限距離において起こるように現れる、仮想画像を発生させるように設計される。ユーザが、仮想画像が非無限深度平面において起こっていると知覚することを可能にするために、負の光学屈折力を有する、第1の光学要素162は、接眼レンズ導波管160によって発生される光線を発散するために利用され、ユーザから所定の距離(例えば、1メートルまたは0.3メートル)に、深度平面から起こるように現れる、接眼レンズ導波管160によって発生される仮想画像をもたらす。いくつかの実装では、第1の光学要素162は、ユーザに面している接眼レンズ導波管の側上に位置付けられるため、内側カバープレートまたはユーザ側カバープレートと称される。
【0041】
VOAの世界側からVOA150上に入射する光が、世界における種々の物体と関連付けられる特定の距離において現れることが可能になるために、第2の光学要素164が、第1の光学要素162の光学屈折力を補償するために利用される。したがって、図1Bに図示されるように、第2の光学要素164は、第1の光学要素162の負の光学屈折力に等しいおよびそれと反対である、正の光学屈折力を有する。いくつかの実装では、第2の光学要素164は、世界に面している、接眼レンズ導波管の側上に位置付けられるため、外側カバープレートまたは世界側カバープレートと称される。当業者に明白であろうように、第1の光学要素162および第2の光学要素164をともにより近く位置付けるための能力は、補償対を形成するために、光学屈折力を伴うこれらのカバープレートの能力における改良を可能にする。
【0042】
典型的には、その機械的剛性を維持するために、約2mm~3mmの最薄厚を有する、別個および独立した内側および外側レンズを利用し、それによって、約7mm厚であるVOAをもたらす、従来の設計とは対照的に、本明細書に説明される光学屈折力を伴う積層レンズおよびカバープレートは、非常に薄い厚さ、例えば、約<1mm、例えば、約600μmを有し、ある場合には、7mmから<3mmまで薄くされ、VOAの厚さを低減させ、したがって、従来のアプローチを使用して達成可能なものより軽くかつより小さいVOAをもたらすことができる。さらに、光学要素は、相互に近接して位置付けられるため、VOAに直交する縦軸に沿って測定されるように、本発明の実施形態は、光学屈折力を伴うレンズのセットまたはカバープレートによって提供される補償が、従来のアプローチを使用するシステムに対して改良されるため、ユーザのためのより高い光学品質を特徴とする。
【0043】
図2A-2Cは、本発明のある実施形態による、積層レンズを加工するためのプロセスを図示する、簡略化された断面図である。図2Aを参照すると、基板210は、金型220とともに、提供される。いくつかの実施形態では、ガラス基板が、基板210として利用されるが、これは、本発明に関して要求されない。他の実施形態では、プラスチック基板、ポリマー基板、成型フォトレジスト基板、それらの組み合わせ、または同等物を含む、好適な機械的剛性、光学透過性、および同等物を伴う、他の基板も、基板210として利用される。基板210は、少なくとも1つの平面表面を有する成型フィルムを形成するために好適な平面基板であるが、図2Dに関連して説明されるように、湾曲基板が、本発明のいくつかの実施形態に従って、利用されることができる。基板210は、酸性または塩基性ピラニア溶液、酸性または塩基性または中性水ベースの超音波処理プロセス、水スピン浣濯乾燥方法のような基板洗浄プロセス、または類似プロセスを用いて、洗浄されることができる。金型複製物が鋳造/硬化されることになる、清浄な表面を伴う基板210は、限定ではないが、蒸気処理、スロットダイ、噴霧、スピンコーティング、インクジェット、スクリーンコーティング等のコーティングプロセスを使用して、コーティングされ得る、薄い接着剤中間架橋層(例えば、<10nm未満)を用いて処理されることができる。そのような接着剤コーティングは、成型材料が中間接着力層との化学、h接合、または物理的接合を形成することを可能にし、成型レンズが、複製後の破損または剥離瑕疵を有しないことを可能にし、経時的に、ウェアラブルの使用に伴って、成型部品の信頼性を確実にする。
【0044】
基板210はまた、例えば、レンズ成型プロセスの間、曲率における機械的変化を与えないように、真空チャック上で平面表面に機械的に拘束され得る。実施例として、金型220は、合致する、または所望される、所定の曲率を有する成型フィルム、すなわち、R=0.5665mの曲率半径を伴う金型と、R=-0.515mの曲率半径を伴う成型フィルムとを加工するために、例えば、約10%の材料体積収縮を考慮するように組み込まれるバイアスを有し得る、所定の曲率を有するように加工されることができる。n=1.53の屈折率では、成型レンズは、したがって、-1,000mmの焦点深度を有するであろう。図2Aに図示される実施形態では、金型220は、平凹成型フィルムを形成するために使用される凸面金型であるが、他の実装では、他の曲率も、利用される。鋳造可能材料または硬化性樹脂212は、未反応または半反応形態で堆積され、例えば、基板210上または金型上で、低~高粘度(10cP~1,000cP)の液体として分注される(後に説明されるように)。鋳造可能材料212は、成型フィルムに、固定幾何学形状および高光学透過性を提供するために、紫外線(UV)放射を使用して硬化される、樹脂、すなわち、UV硬化性樹脂、UV硬化性フォトレジスト、または同等物であることができる。鋳造可能材料または硬化性樹脂212を分注するための堆積プロセスは、限定されないが、シリンジポンプ、ピペット操作、または同等物のような、マイクロ噴射容積式システムを含むことができる。
【0045】
図2Bに図示されるように、金型220は、基板210と近接され、鋳造可能材料212は、金型と基板との間で圧縮され、それによって、金型に面する鋳造可能材料の表面を合致する所定の曲率に成形する。図示される実施例では、金型220は、凸面曲率を有し、それによって、金型220に面する鋳造可能材料212の表面のための凹面曲率を生成する。基板210は、図2A-2Cに図示される実施形態では、平面であるため、基板210に面する鋳造可能材料212の表面は、平面である。当業者に明白であろうように、鋳造可能材料の成形は、鋳造可能材料の表面が、硬化後、積層レンズに関して所望される光学効果(例えば、所定の焦点距離)に適切な曲率を有するような様式において、実施される。
【0046】
金型220と基板210との間に配置される、成形された鋳造可能材料212は、金型および基板によって鋳造可能材料上にインプレスされる形状に、鋳造可能材料を硬化させるために、UV放射230に暴露される。UV硬化は、波長の異なるUV-Vis範囲下で暴露される種々のUV硬化性材料に関して、例えば、数十秒、例えば、数分~1分未満、例えば、30秒の規模の時間で、実施されることができる。金属ハライドランプ、水銀ランプ、または望ましい波長スペクトルを有するLEDのバンクを含む、硬化ランプが、使用されることができる。
【0047】
図2Cは、いったん鋳造可能材料が硬化された時点の、成型フィルム214からの金型220の分離を図示する。したがって、図2A-2Cに図示されるプロセスを使用して、基板210に取り付けられる、およびそれによって支持される成型フィルム214が、提供される。成型フィルム214の曲率は、特定の用途に必要に応じて、例えば、非球面光学要素として、加工され得るが、これは、要求されず、球面もまた、加工されることができる。概して、光学軸に沿って測定される、成型フィルム214の厚さは、図2Aにおいてz-軸と整合される、縦軸とも称され、平凹レンズの本実施例では、x-y平面において測定される、ゼロまたはほぼゼロから、例えば、成型フィルム214の中心において、数ミクロン、最大側方範囲において、約300μmのナノメートルの規模に及ぶ。したがって、本発明の実施形態を利用して、基板210によって機械的に支持される、極度に薄い成型フィルムが、生成され、従来の射出成型プロセスを使用して生成され得るものより薄いレンズ構造の生成を可能にすることができる。これは、従来の自己支持型レンズと対比されるべきである。実施例として、平凹レンズが、利用される場合、平凹レンズの中心の厚さと、厚さの関数として生じる平凹レンズの機械的剛性とは、レンズ厚さを減少させるための能力を限定するであろう。対照的に、本発明の実施形態は、数ナノメートル~数ミクロンの厚さを含む、ゼロと同じくらい薄い成型フィルムの厚さを利用することができ、これは、成型フィルムが、基板によって支持されるため、成型フィルムの中心において約ゼロであると見なされ得る。故に、積層レンズの厚さは、(例えば、約1mmまたはそれより薄い)基板の厚さと、光学屈折力とによって決定され、これは、平凹レンズに関して縁に、かつ平凸レンズに関して中心(例えば、600μm)において、成型フィルムの厚さに影響を及ぼす。
【0048】
レンズを機械的に支持する、および光学屈折力を提供するために好適な寸法で加工される、従来のレンズとは対照的に、本発明の実施形態が、機械的剛性および支持を提供するために基板を利用する一方、光学屈折力を提供するために成型フィルムを利用する。したがって、これらの2つの機能を2つの構造/材料に分離することによって、本発明の実施形態が、従来のレンズの寸法のある割合であるパッケージにおいて、類似機械的および光学的機能性、特に、光学または縦軸に沿った厚さを提供することが可能である。実施例として、剛性ガラス基板を使用して、剛性がはるかに少なく、自己支持型ではない成型フィルムが、剛性ガラス基板上に形成され、約300μm~600μmの成型フィルムの厚さを達成し得、これは、レンズが、成型フィルムとして利用される材料から加工されなかった場合、不可能であろう。
【0049】
単一レンズが、図2A-2Cに図示されるプロセスを使用して加工されるが、本発明の実施形態は、本明細書に説明される方法およびシステムを使用する、単一レンズの加工に限定されないことを理解されたい。むしろ、金型220は、凸面曲率の複数の領域を特徴とし、それによって、並行して、または同時に、マルチレンズ金型を使用して、複数のレンズを形成することができる。したがって、例えば、図2A-2Cにおいて、また他の図でも、単一レンズ金型を使用する、単一レンズの加工を示す例証が、単に、例証を容易にするために提供され、本発明の実施形態を限定するように意図されない。
【0050】
本発明者らは、樹脂材料の硬化の間、レンズ幾何学形状のような鋳造される材料の機械的および体積的材料収縮が生じることを、決定している。しかしながら、本機械的収縮は、予測可能であり、レンズ設計プロセスの間、考慮され、(該当する場合)基板内の望ましくない撓み/歪曲を排除し、金型の曲率がレンズの所望の曲率に対して修正された状態で、基板内に機械的に拘束し、望ましくない基板または金型移動を回避し、成型および機械的収縮が、生じた後、所望の曲率を特徴としているレンズをもたらすことができる。さらに、異なる屈折率を特徴とする、異なる鋳造可能材料が、本明細書に説明されるプロセスと併せて利用され得るため、単一金型が、異なる焦点距離を伴う積層レンズを生成するために、利用されることができる。本発明者らは、約1.5~1.75で変動するその屈折率を伴う鋳造可能材料を利用することによって、約0.85F~約1.1Fで変動する焦点距離が、生成され得る(Fは、焦点距離(例えば、1/3.5ジオプタ)である)ことを決定している。
【0051】
図2Dは、本発明の別の実施形態による、積層レンズを加工するためのプロセスを図示する、簡略化された断面図である。図2Dは、図2Aといくつかの類似点を共有し、図2Aに関連して提供される説明は、必要に応じて、図2Dに適用可能である。図2Dに図示されるように、基板240は、湾曲幾何学形状を特徴とし、2つの湾曲表面、この場合、凸面下側表面242と、凹面上側表面244とを有する成型フィルムの加工を可能にし、それによって、金型220および基板240の曲率に応じて、正または負のレンズのいずれかを形成する。
【0052】
図2Dを参照すると、可撓性プラスチック基板(例えば、例として、PC、PET、PEN、または同等物から成る有機材料)上に屈折レンズを成型するプロセスが、図示される。そのようなプラスチック基板は、例えば、より高い弾性率を有する、薄いガラス基板(例えば、ソーダ石灰、石英ガラス、または同等物)と異なり、10GPaを下回る弾性率を有する。プラスチック基板はまた、そのような基板を使用して、ウェブまたはシートプロセスにおいて使用するためのロールで現れ得、プラスチック基板が、図2Dが例証的目的のために提供される例示的断面である、均一厚を伴う事前に定義された曲率を有し得る。
【0053】
図2Dを参照すると、基板240は、金型220とともに、提供される。いくつかの実施形態では、ガラス基板が、基板240として利用されるが、これは、本発明に関して要求されない。他の実施形態では、プラスチック基板、ポリマー基板、成型フォトレジスト基板、それらの組み合わせ、または同等物を含む、好適な機械的剛性、光学透過性、および同等物を伴う、他の基板も、基板240として利用される。実施例として、金型220は、合致する、または所望される、所定の曲率を有する成型フィルム、すなわち、R=0.5665mの曲率半径を伴う金型と、R=-0.515mの曲率半径を伴う成型フィルムとを加工するために、例えば、約10%の材料体積収縮を考慮するように組み込まれるバイアスを有し得る、所定の曲率を有するように加工されることができる。n=1.53の屈折率では、成型レンズは、したがって、-1,000mmの焦点深度を有するであろう。図2Dに図示される実施形態では、金型220は、凹凸面成型フィルムを形成するために使用される凸面金型であるが、他の実装では、他の曲率も、利用される。鋳造可能材料または硬化性樹脂212は、未反応または半反応形態で堆積され、例えば、基板210上または金型上で、低~高粘度(10cP~1,000cP)の液体として分注される(後に説明されるように)。鋳造可能材料212は、成型フィルムに、固定幾何学形状および高光学透過性を提供するために、紫外線(UV)放射を使用して硬化される、樹脂、すなわち、UV硬化性樹脂、UV硬化性フォトレジスト、または同等物であることができる。鋳造可能材料または硬化性樹脂212を分注するための堆積プロセスは、限定されないが、シリンジポンプ、ピペット操作、または同等物のような、マイクロ噴射容積式システムを含むことができる。
【0054】
図2Bおよび2Cに関連して議論されるように、金型220は、基板240と近接され、鋳造可能材料212は、金型と基板との間で圧縮され、それによって、金型に面する鋳造可能材料の表面を合致する所定の曲率に成形する。金型220と基板240との間に配置される、成形された鋳造可能材料212は、次いで、金型および基板によって鋳造可能材料上にインプレスされる形状に、鋳造可能材料を硬化させるために、UV放射に暴露される。UV硬化は、種々のUV硬化性材料に関して、例えば、数十秒、例えば、数分~1分未満、例えば、30秒の規模の時間で、実施されることができる。
【0055】
硬化後、金型220は、湾曲基板を伴う積層レンズを生成するために、成型フィルムから分離される。
【0056】
図3A-3Dは、本発明のある実施形態による、マスタを使用して、積層レンズを加工するためのプロセスを図示する、簡略化された断面図である。本プロセスでは、マスタ金型と反対の性質の中間サブマスタが、作成される。下記に説明されるように、図3Cに図示される、成型フィルム314を伴う基板310は、マスタとして使用される、金型320と同一のレンズ性質を作成するために使用される、中間金型またはサブマスタであると見なされ得る。換言すると、金型320から始まって、その中で図3Dに図示される鋳造可能材料334が、金型320の厚さのある割合であるサブマスタを使用することによって、成型フィルムを提供するために成型される、プロセスが、提供される。例えば、図3Dを参照すると、成型フィルム314および吸着防止コーティング316は、典型的には、2mmを超える厚さを有する、金型320の厚さと比較して、1mm未満の組み合わせられた厚さを有することができる。
【0057】
図3Aを参照すると、基板310は、金型320とともに、提供される。いくつかの実施形態では、ガラス基板が、基板310として利用されるが、これは、本発明に関して要求されない。他の実施形態では、プラスチック基板、ポリマー基板、成型フォトレジスト基板、それらの組み合わせ、または同等物を含む、好適な機械的剛性、光学透過性、および同等物を伴う他の基板も、基板310として利用される。基板310は、少なくとも1つの平面表面を有する成型フィルムを形成するために好適な平面基板であるが、湾曲基板が、本発明のいくつかの実施形態に従って、利用されることができる。金型320は、合致する所定の曲率、すなわち、R=1mの曲率半径を伴う金型を有する成型フィルムと、R=-1mの曲率半径を伴う成型フィルムとを加工するために、所定の曲率を有するように加工される。図3Aに図示される実施形態では、金型320は、平凹成型フィルムを形成するために使用される凸面金型であるが、他の実装では、他の曲率も、利用される。鋳造可能材料312は、基板310上で堆積され、例えば、液体として分注される。鋳造可能材料312は、成型フィルムに、固定幾何学形状および高光学透過性を提供するために、紫外線(UV)放射を使用して硬化される、樹脂、すなわち、UV硬化性樹脂、UV硬化性フォトレジスト、または同等物であることができる。
【0058】
図3Bに図示されるように、金型320は、基板310と近接され、鋳造可能材料312は、金型と基板との間で圧縮され、それによって、金型に面する鋳造可能材料の表面を合致する所定の曲率に成形する。図示される実施例では、金型320は、凸面曲率を有し、それによって、金型320に面する鋳造可能材料312の表面のための凹面曲率を生成する。基板310は、図3A-3Cに図示される実施形態では、平面であるため、基板310に面する鋳造可能材料312の表面は、平面である。当業者に明白であろうように、鋳造可能材料の成形は、鋳造可能材料の表面が、硬化後、積層レンズに関して所望される光学効果(例えば、所定の焦点距離)に適切な曲率を有するような様式において、実施される。
【0059】
金型320と基板310との間に配置される、成形された鋳造可能材料312は、金型および基板によって鋳造可能材料上にインプレスされる形状に、鋳造可能材料を硬化させるために、UV放射330に暴露される。UV硬化は、種々のUV硬化性材料に関して、例えば、数十秒、例えば、数分~1分未満、例えば、30秒の規模の時間で、実施されることができる。
【0060】
図3Cは、いったん鋳造可能材料が、硬化された時点の、成型フィルム314からの金型320の分離を図示する。したがって、図3A-3Cに図示されるプロセスを使用して、基板に取り付けられる、およびそれによって支持される成型フィルムが、提供される。
【0061】
図3Dは、吸着防止コーティング316を用いてコーティングされた後、それによって、サブマスタを形成する、成型フィルム314を図示する。実施例として、吸着防止コーティング316は、酸化物または窒化物、例えば、二酸化ケイ素または窒化シリコン等の無機層を使用して、加工され、例えば、大気圧プラズマ増強化学蒸着(APPECVD)プロセスを使用して、堆積されることができる。加えて、吸着防止コーティング316は、離型表面として好適である、金属層または他の有機フルオロポリマーまたはシランベースのポリマー材料を使用して、加工されることができる。無機コーティング材料は、限定されないが、SiO、SiC、Al、Si、TiN、Cr、Ag、Au、Cu、Ir、Pt、Pd等を含むことができる。プラズマ増強低圧CVD、原子層堆積、蒸発、スパッタリング等のようなCVDまたはPVDプロセス等の半導体ベースの処理が、そのような吸着防止コーティングを堆積するために使用されることができる。噴霧(霧化)、インクジェット、ナイフエッジコーティング、低圧、または大気蒸気コーティング等のコーティング方法が、フルオロポリマー、シロキサン(シリコーン)、または他のポリマーベースのコーティングをコーティングするために、使用されることができる。したがって、本発明の実施形態は、Au、Al、または同等物等の金属を含む、無機材料、またはSiO、Al、TiN、または同等物等の誘電材料を含む、剥離層材料とも称される、幅広い種々の吸着防止材料を利用することができる。さらに、本発明の実施形態は、例えば、トリクロロ(1H、1H、2H、2H-ペルフルオロオクチル)シラン、または同等物を使用して、フッ素化表面剥離化学処理等の化学処理プロセスを利用することができる。
【0062】
吸着防止コーティング316の厚さは、ピンホールを防止し、金型剥離を提供するほど十分に厚いが、成型フィルム314の曲率半径に影響を及ぼさないほど十分に薄い、厚さである、約数ナノメートル、例えば、1nm、2nm、3nm、または同等物であり得、または、数十ナノメートル、例えば、10nm、20nm、30nm、または同等物でもあり得、または数百ナノメートル、例えば、100nm、200nm、300nm、または同等物であり得る。
【0063】
吸着防止コーティング316を使用する、成型フィルム314のコーティングは、マスタに、所定の曲率と、成型フィルム314と同一の材料を使用して作製される、付加的成型フィルムを成型するために使用される能力とを提供する。当業者に明白であろうように、成型フィルム314が、鋳造可能材料334と直接接触させられる場合、それらが同一材料から作製されると仮定して、鋳造可能材料334は、UV硬化後、成型フィルム314に接合されるであろう。したがって、吸着防止コーティング316を使用することは、成型フィルム314が、複数の成型フィルム(例えば、成型フィルム334から作製される鋳造可能材料)の加工の間、マスタとして使用されることを可能にする。さらに、いくつかの実施形態では、UV硬化は、鋳造可能材料の収縮をもたらし得る。この場合、吸着防止コーティングの存在は、鋳造可能材料がより容易に流動することを可能にする、疎水性表面を提供し、UV鋳造プロセスを使用して取得される結果を改良することができる。さらに、吸着防止材料の使用は、硬化後、金型から硬化された成型フィルムの層間剥離を促進する。吸着防止コーティング316は、マスタの加工および図3Dに関連して議論されるが、吸着防止コーティングは、本明細書に説明される金型、例えば、図2Aに図示される金型220および図3Aに図示される金型320に利用され得ることを理解されたい。当業者は、多くの変形例、修正、および代替を認識するであろう。
【0064】
再び、図3Dを参照すると、成型フィルム314および吸着防止コーティング316は、基板340によって支持される平凸成型フィルム334を形成するために使用され得る、凹面マスタを形成する。故に、本実施形態では、図3A-3Cに図示されるプロセスを使用して形成される、成型フィルムが、コーティングされ、次いで、相補的曲率を伴う付加的レンズを形成するために、マスタとして利用されることができる。
【0065】
図4は、本発明のある実施形態による、積層レンズの簡略化された断面図である。図4に図示されるように、積層レンズ400は、カバープレート405と、成型フィルム410とを含む。いくつかの例示的実施形態では、z-軸に沿って測定された、積層レンズ400の厚さは、<1mmであり、約0.3μm~0.4μmである、カバープレート405の厚さと、成型フィルムの最厚部分において、約300μm~500μmである、成型フィルム410の厚さとを伴う。図11A-11Cに関連してより完全に議論されるように、表面411の曲率をもたらす屈折性質に加え、ナノ特徴が、例えば、領域412内で表面411上にインプリントされ得る。
【0066】
図5は、本発明のある実施形態による、接眼レンズ導波管の要素を覆う積層レンズの簡略化された平面図である。図5を参照すると、積層レンズは、典型的には、直交瞳エキスパンダ(OPE)および射出瞳エキスパンダ(EPE)によって実施される機能を実装する、組み合わせられた瞳エキスパンダ(CPE)(図示せず)を覆う、領域510を含む。領域510は、図9Dにおける部分915または図12における部分1212または部分1222と比較されることができる。積層レンズは、内部結合格子(ICG)502を覆う、領域505を含む場合とそうではない場合がある。
【0067】
図6A-6Cは、本発明のある実施形態による、正の光学屈折力を伴う積層レンズを加工するためのプロセスを図示する、簡略化された断面図である。図6Aを参照すると、基板610は、金型620とともに、提供される。いくつかの実施形態では、ガラス基板が、基板610として利用されるが、これは、本発明に関して要求されない。他の実施形態では、プラスチック基板、ポリマー基板、成型フォトレジスト基板、それらの組み合わせ、または同等物を含む、好適な機械的剛性、光学透過性、および同等物を伴う、他の基板も、基板610として利用される。基板610は、少なくとも1つの平面表面を有する成型フィルムを形成するために好適な平面基板であるが、湾曲基板が、本発明のいくつかの実施形態に従って、利用されることができる。金型620は、合致する所定の曲率、すなわち、R=-1mの曲率半径を伴う金型を有する成型フィルムと、R=1mの曲率半径を伴う成型フィルムとを加工するために、所定の曲率を有するように加工される。図6Aに図示される実施形態では、金型620は、平凸成型フィルムを形成するために使用される凹面金型であるが、他の実装では、他の曲率も、利用される。鋳造可能材料612は、基板610上に堆積され、例えば、液体として分注される。鋳造可能材料612は、成型フィルムに、固定幾何学形状および高光学透過性を提供するために、紫外線(UV)放射を使用して硬化される、樹脂、すなわち、UV硬化性樹脂、UV硬化性フォトレジスト、または同等物であることができる。
【0068】
図6Bに図示されるように、金型620は、基板610と近接され、鋳造可能材料612は、金型と基板との間で圧縮され、それによって、金型に面する鋳造可能材料の表面を合致する所定の曲率に成形する。図示される実施例では、金型620は、凹面曲率を有し、それによって、金型620に面する鋳造可能材料612の表面のための凸面曲率を生成する。基板610は、図6A-6Cに図示される実施形態では、平面であるため、基板610に面する鋳造可能材料612の表面は、平面である。当業者に明白であろうように、鋳造可能材料の成形は、鋳造可能材料の表面が、硬化後、積層レンズに関して所望される光学効果(例えば、所定の焦点距離)に適切な曲率を有するような様式において、実施される。
【0069】
金型620と基板610との間に配置される、成形された鋳造可能材料612は、金型および基板によって鋳造可能材料上にインプレスされる形状に、鋳造可能材料を硬化させるために、UV放射630に暴露される。UV硬化は、種々のUV硬化性材料に関して、例えば、数十秒、例えば、数分~1分未満、例えば、30秒の規模の時間で、実施されることができる。
【0070】
図6Cは、いったん鋳造可能材料が、硬化された時点の、成型フィルム214からの金型620の分離を図示する。したがって、図6A-6Cに図示されるプロセスを使用して、基板に取り付けられる、およびそれによって支持される成型フィルムが、提供される。成型フィルム614の曲率は、特定の用途に必要に応じて、例えば、非球面光学要素として、加工され得るが、これは、要求されず、球面もまた、加工されることができる。
【0071】
図7A-7Cは、本発明の別の実施形態による、正の光学屈折力を伴う積層レンズを加工するためのプロセスを図示する、簡略化された断面図である。図7Aを参照すると、金型710は、基板720とともに、提供される。いくつかの実施形態では、ガラス基板が、基板720として利用されるが、これは、本発明に関して要求されない。他の実施形態では、プラスチック基板、ポリマー基板、成型フォトレジスト基板、それらの組み合わせ、または同等物を含む、好適な機械的剛性、光学透過性、および同等物を伴う他の基板も、基板720として利用される。基板720は、少なくとも1つの平面表面を有する成型フィルムを形成するために好適な平面基板であるが、湾曲基板が、本発明のいくつかの実施形態に従って、利用されることができる。
【0072】
金型710は、合致する所定の曲率、すなわち、R=-1mの曲率半径を伴う金型を有する成型フィルムと、R=1mの曲率半径を伴う成型フィルムとを加工するために、所定の曲率を有するように加工される。図7Aに図示される実施形態では、金型710は、平凸成型フィルムを形成するために使用される凹面金型であるが、他の実装では、他の曲率も、利用される。鋳造可能材料712は、金型710上で堆積され、例えば、液体として分注される。鋳造可能材料712は、成型フィルムに、固定幾何学形状および高光学透過性を提供するために、紫外線(UV)放射を使用して硬化される、樹脂、すなわち、UV硬化性樹脂、UV硬化性フォトレジスト、または同等物であることができる。
【0073】
図7Bに図示されるように、基板720は、金型710と近接され、鋳造可能材料712は、基板と金型との間で圧縮され、それによって、基板に面する鋳造可能材料の表面を無限曲率を伴う平面表面に成形する。図示される実施例では、金型710は、凹面曲率を有し、それによって、金型710内に配置される鋳造可能材料712の表面に関する凹面曲率を生成する。基板720は、図7A-7Cに図示される実施形態では、平面であるため、基板710に面する鋳造可能材料712の表面は、平面である。当業者に明白であろうように、鋳造可能材料の成形は、鋳造可能材料の表面が、硬化後、積層レンズに関して所望される光学効果(例えば、所定の焦点距離)に適切な曲率を有するような様式において、実施される。
【0074】
金型710と基板720との間に配置される、成形された鋳造可能材料712は、金型および基板によって鋳造可能材料上にインプレスされる形状に、鋳造可能材料を硬化させるために、UV放射730に暴露される。UV硬化は、種々のUV硬化性材料に関して、例えば、数十秒、例えば、数分~1分未満、例えば、30秒の規模の時間で、実施されることができる。
【0075】
図7Cは、いったん鋳造可能材料が硬化された時点の、成型フィルム714からの金型710の分離を図示する。したがって、図7A-7Cに図示されるプロセスを使用して、基板に取り付けられる、およびそれによって支持される成型フィルムが、提供される。
【0076】
図8は、本発明のある実施形態による、複数の積層レンズを形成するためのシステムの簡略化された斜視図である。図8に図示されるように、カバープレートを形成し得る、カバープレート材料のシートまたはウェブが、右から左に給送される。樹脂分注器が、シートまたはウェブ上に鋳造可能材料を分注するために、位置付けられる。分注の体積および幾何学形状は、特定の用途に必要に応じて、選択されることができる。上部および底部金型は、図8に図示される実施形態では、利用されるが、いくつかの実施形態では、上部金型のみが、シートまたはウェブの底部に適用される機械的支持とともに利用される。随意の加熱を伴う、UV硬化を利用して、鋳造可能材料は、所望の形状を有する金型フィルムの中に形成される。UV硬化後、金型フィルムは、VOAの中への組立のためのシートまたはウェブから分離されることができる。
【0077】
図9A-9Dは、本発明のある実施形態による、光学要素を加工するためのプロセスを図示する、簡略化された断面図である。図9A-9Dに図示される実施形態では、基板上に堆積されるフィルムを成型/鋳造するのではなく、接眼レンズ導波管とともに利用されるカバーガラスは、光学屈折力を含むように加工される。図9Aを参照すると、第1の金型910および第2の金型920が、図示される。図9Aに図示される実施形態では、第1の金型910は、平面成型表面を提供するように加工され、第2の金型920は、成型表面の第1の部分にわたって所定の曲率、および成型表面の第2の部分にわたって平面成型表面を有するように加工される。したがって、第2の金型920は、有限曲率、例えば、非球面曲率を有する第1の部分922と、平面である第2の部分924とを含む。
【0078】
図9Bに示されるように、鋳造可能材料912は、金型910上で堆積され、例えば、液体として分注される。鋳造可能材料912は、UV放射を使用して硬化される樹脂、すなわち、UV硬化性樹脂、または同等物であることができる。
【0079】
図9Cに図示されるように、第1の金型910は、第2の金型920と近接され、鋳造可能材料912は、第1の金型と第2の金型との間で圧縮され、それによって、金型に面する鋳造可能材料の表面を、必要に応じて、合致する所定の表面曲率および平面特徴に成形する。図示される実施例では、第2の金型920の第1の部分922は、凸面曲率を有し、それによって、第2の金型920の第1の部分922に面する鋳造可能材料912の表面のための凹面曲率を生成する。第1の金型910および第2の金型920の第2の部分924は、図9A-9Dに図示される実施形態では、平面であるため、第1の金型910に面する鋳造可能材料912の表面および第2の金型920の第2の部分924は、平面である。当業者に明白であろうように、鋳造可能材料の成形は、鋳造可能材料の表面が、硬化後、光学要素に関して所望される光学効果(例えば、所定の焦点距離または平面性)に適切な曲率を有するような様式において、実施される。
【0080】
第1の金型910と第2の金型920との間に配置される、成形された鋳造可能材料912は、金型によって鋳造可能材料上にインプレスされる形状に鋳造可能材料を硬化させるために、UV放射930に暴露される。UV硬化は、種々のUV硬化性材料に関して、例えば、約30秒の時間で実施されることができる。
【0081】
図9Dに図示されるように、いったん鋳造可能材料が、硬化された時点の、第2の金型920からの第1の金型910の分離は、金型からの光学要素914の剥離をもたらす。したがって、図9A-9Dに図示されるプロセスを使用して、平面および湾曲表面の両方を有する、光学要素が、生成される。いくつかの実施形態では、平面領域916は、光学要素914が、図12に図示されるように、接眼レンズ導波管に機械的に継合され得るように、機械的取付領域を提供するために利用される。湾曲領域915は、本明細書に説明されるように、屈折効果を提供するために利用される。図5を参照すると、いくつかの実装では、光学屈折力を伴わない、平面領域916は、ICG502上に入射する光が、光学要素914を通して通過するにつれて、集束されないように、位置付けられることができる。したがって、機械的取付における使用に加え、平面領域916は、同様に光学効果を達成するために、利用されることができる。
【0082】
光学要素914はまた、図1Bに関連して議論されるように、ユーザから所定の距離において仮想深度平面を作成するために、図9Dにおいて図示される平凹設計において、光線を発散するために利用され得る、湾曲領域915を含む。したがって、湾曲領域915の曲率は、特定の用途に必要に応じて、例えば、非球面光学要素として、加工され得るが、これは、要求されず、球面もまた、加工されることができる。概して、図9Aにおいてz-軸と整合される、光学軸に沿って測定される、光学要素914の厚さは、平凹湾曲領域915の本実施例では、x-y平面において測定される、湾曲領域915の中心における300μmの基部厚さにわたる数ミクロンから、基部厚さを含め、約600μmである、最大側方範囲における約300μmに及ぶ。
【0083】
実施例として、いくつかの接眼レンズ導波管が、ポリマー材料を使用して加工される、導波管層を含む。本タイプの接眼レンズ導波管は、カバー層と、レンズ機能との両方を提供し得る光学要素を形成するように、ポリマー材料を使用して加工される、および直接成型/鋳造されるカバー層と併用するために好適である。故に、ポリマー接眼レンズ導波管と、ポリマー光学要素との両方を利用して、機械的支持を光学要素に提供する導波管層を伴う、コンパクトかつ機械的に剛性の挟着構造(例えば、一貫した熱性質を伴う)が、加工され得、これは、導波管層から独立して、それ自体を支持するために十分に機械的に強くなくてもよい。光学要素に面する接眼レンズ導波管の表面と光学要素との間の間隙は、約100μmまたはそれ未満であることができる。
【0084】
さらに、異なる屈折率を特徴とする、異なる鋳造可能材料が、本明細書に説明されるプロセスと併せて利用され得るため、単一金型が、異なる焦点距離を伴う積層レンズを生成するために利用されることができる。本発明者らは、約1.5~1.75で変動する、その屈折率を伴う鋳造可能材料を利用することによって、+/-1m~0.690mの焦点距離から変動する焦点距離が、0.515mの例示的曲率半径に関して生成され得ることを決定している。
【0085】
図10は、本発明のある実施形態による、吸着防止コーティングを伴う金型を図示する、簡略化された断面図である。図10に図示されるように、金型920は、反転された位置において、吸着防止コーティング1012を用いてコーティングされている。図3Dに関連して議論されるように、種々の材料が、吸着防止コーティング1012を形成するために、単独で、または組み合わせてのいずれかで利用されることができる。例えば、吸着防止コーティング1012は、SiO、Si、TiN、Al、Al、Ag、Ni、それらの組み合わせを含むことができる、またはフルオロベースまたはシロキサンベースのポリマー、または同等物が、使用されることができる。当業者に明白であろうように、図10に図示される吸着防止コーティングはまた、図3Dにおいて吸着防止コーティング316を使用するために好適である。
【0086】
いくつかの実施形態では、それらのナノメートルスケールインプリント技法を使用して形成されるものを含む、ナノ特徴が、材料表面の曲率と関連付けられる屈折性質に加え、付加的光学機能性(すなわち、回折光学効果)を提供するために、本明細書に説明される積層レンズの表面または光学要素上に形成されることができる。実施例として、平凹または平凸レンズプロファイルと関連付けられる屈折に加え、反射防止効果が、材料表面上に形成されるナノ特徴を使用して、生成されることができる。反射防止効果に加え、他の回折光学効果も、達成されることができる。当業者は、多くの変形例、修正、および代替を認識するであろう。
【0087】
図11Aは、本発明のある実施形態による、光学要素の平面表面上に加工される、ナノ特徴を伴う光学要素を図示する、簡略化された断面図である。図11Aに図示されるように、ナノ特徴1116、例えば、回折格子、メタ表面、または同等物が、光学要素1110の平面表面1114上に形成されることができる。したがって、光が、光ビーム1120によって図示されるように、光学要素1110上に入射するにつれて、光は、凹面表面1112を通して通過し、ナノ特徴1116の存在によって生成される、平面表面1114における反射の低減を被る(すなわち、回折効果によって生成される、反射防止効果)につれて、脱集束される(すなわち、屈折効果)。したがって、凹面表面1112を特徴とする曲率の結果としての屈折集束に加え、光は、ナノ特徴1116を含む、平面表面1114を通して通過するにつれて、回折効果を被る。
【0088】
ナノ特徴は、利用されているナノ特徴の特定の設計に応じて、複屈折または非複屈折であることができる。実施例として、非複屈折であり、レンズ界面において反射の低減を提供する、ナノ構造が、100nm~140nmのピッチおよび約100nmの高さにおいて配置される、柱を使用して、加工されることができる。代替として、孔が、類似ピッチおよび深度を伴う光学要素内に、形成されることができる。
【0089】
再び、図9A-9Dを参照すると、本発明の実施形態は、それぞれ、表面曲率と、光学要素914の湾曲領域915によって図示されるような湾曲表面(図11Aにおける凹面表面1112に対応する)および図11Aにおけるナノ特徴1116によって図示されるようなナノ特徴を形成するための、ナノパターニングとの両方を含む、金型を利用する。故に、図9Aに図示される第2の金型920の第1の部分922が、凸面曲率のみを有するものとして図示されるが、第1の部分922はまた、例えば、図11A-11Cに図示されるナノ特徴を形成することが可能であり得る、ナノパターニングを含み得ることを理解されたい。したがって、図9A-9Dに図示される単一加工プロセスでは、屈折および回折光学効果の両方を生成する光学要素は、単一プロセスフローで加工されることができる。これはまた、図2C、3C、3D、4、6C、7C、13A、13B、13C、13D、14A、14B、14D、14E、および14Fに示されるように、基板(例えば、ガラスまたはプラスチック)上に成型された曲率表面に印加されることができる。実施例として、光学屈折力および反射防止性質の両方を伴うカバープレートが、反射防止性質を達成するために、後続コーティングの必要性を伴わずに、単一プロセスフローで加工されることができる。
【0090】
図11Bは、本発明のある実施形態による、光学要素の湾曲表面上に加工されるナノ特徴を伴う光学要素を図示する、簡略化された断面図である。平面表面上のナノ特徴の形成に加え、ナノ特徴が、本発明の実施形態による、湾曲表面上に形成されることができる。図11Bに図示されるように、ナノ特徴1134、例えば、メタ表面が、光学要素の湾曲表面上に形成されることができる。したがって、光が、光ビーム1140によって図示されるように、光学要素1130上に入射するにつれて、光は、凹面表面1132を通して通過するにつれて、脱集束させる(すなわち、屈折効果)ことと、ナノ特徴1134の存在によって生成される、凹面表面1132における反射の低減を被る(すなわち、回折効果によって生成される、反射防止効果)こととの両方を受ける。したがって、屈折および回折効果の両方は、光学要素1130の1つの表面上のナノ特徴の形成によって、達成されることができる。
【0091】
図11Cは、本発明のある実施形態による、光学要素の平面表面および湾曲表面の両方上に加工される、ナノ特徴を伴う光学要素を図示する、簡略化された断面図である。図11Aおよび11Bに図示される設計の延長として、ナノ特徴1156および1158、例えば、メタ表面が、光学要素の湾曲表面および平面表面の両方上に形成されることができる。したがって、光が、光ビーム1160によって図示されるように、光学要素1150上に入射するにつれて、光は、凹面表面1152を通して通過するにつれて、脱集束される(すなわち、屈折効果)ことと、ナノ特徴1156の存在によって生成される、凹面表面1152における反射の低減を被る(すなわち、回折効果によって生成される、反射防止効果)こととの両方を受ける。さらに、光は、同一または付加的回折効果、例えば、光学要素1150の平面表面1154上に加工されるナノ特徴1158の結果として、反射の付加的低減を被ることができる。
【0092】
図12は、本発明のある実施形態による、接眼レンズ導波管および光学要素のセットを含む、VOAを図示する、簡略化された断面図である。図12では、VOA1200は、接眼レンズ導波管1230と、一対の光学要素と、世界側光学要素1220と、ユーザ側光学要素1210とを含む。図1Bに関連して説明されるように、光学要素は、機械的機能(すなわち、導波管層を保護する)と、光学機能(すなわち、入射光を集束または脱集束させる)との両方を提供するため、光学要素は、光学屈折力を伴うカバープレートと称されることができる。
【0093】
図1Bに関連して議論されるように、接眼レンズ導波管1200は、無限距離において起こるように現れる、仮想画像を発生させるように設計されることができる。ユーザが、仮想画像が非無限深度平面において起こっていると知覚することを可能にするために、部分1212内に負の光学屈折力を有する、第1の光学要素1210は、接眼レンズ導波管1230によって発生される光線を発散するために利用され、ユーザから所定の距離(例えば、1メートルまたは0.3メートル)に、深度平面から起こるように現れる、接眼レンズ導波管1230によって発生される仮想画像をもたらす。いくつかの実装では、第1の光学要素1210は、ユーザに面している接眼レンズ導波管の側上に位置付けられるため、内側カバープレートまたはユーザ側カバープレートと称される。負の光学屈折力を有する部分1212に加え、第1の光学要素1210はまた、平面部分1214を含む。典型的実装では、部分1214は、ユーザの視認エリア外にあり得、部分1212および1214の側方寸法が、図12に類似して図示されるが、これは、本発明によって要求されず、部分1214は、部分1212の側方サイズのある割合の側方サイズを有することができる。したがって、部分1214は、ユーザの視認エリアと関連付けられるクリアな場に影響を及ぼさずに、接眼レンズ導波管1230への第1の光学要素1210の機械的搭載を可能にするために、提供される。加えて、接眼レンズ導波管の光学設計に応じて、ICGは、部分1214と側方に重複するように、接眼レンズ導波管1230上に位置付けられ、部分1212内の湾曲表面によって集束されないように、光がプロジェクタからICG上に入射することを可能にし得る。したがって、図5を参照すると、部分1214は、接眼レンズ導波管1230のICG502と側方に重複することができ、部分1212は、接眼レンズ導波管1230のCPEと側方に重複することができる。部分1214が、本設計では平面として図示されるが、これは、本発明によって要求されず、部分1214は、機械的整合のために使用されるインデントおよび/または突出部、または同等物を含んでもよい。当業者は、多くの変形例、修正、および代替を認識するであろう。
【0094】
VOAの世界側からVOA1200上に入射する光が、世界における種々の物体と関連付けられる特定の距離において現れることが可能になるために、第2の光学要素1220が、第1の光学要素1210の光学屈折力を補償するために利用される。したがって、図12に図示されるように、第2の光学要素1220は、第1の光学要素1210の負の光学屈折力に等しいおよびそれと反対である、正の光学屈折力を有する。いくつかの実装では、第2の光学要素1220は、世界に面している、接眼レンズ導波管の側上に位置付けられるため、外側カバープレートまたは世界側カバープレートと称される。当業者に明白であろうように、第1の光学要素1210および第2の光学要素1220をともにより近く位置付けるための能力は、補償対を形成するために、光学屈折力を伴うこれらのカバープレートの能力における改良を可能にする。
【0095】
正の光学屈折力を有する部分1222に加え、第2の光学要素1220はまた、平面部分1224を含む。典型的実装では、部分1224は、ユーザの視認エリア外にあり得、部分1222および1224の側方寸法が、図12に類似して図示されるが、これは、本発明によって要求されず、部分1224は、部分1222の側方サイズのある割合の側方サイズを有することができる。したがって、部分1224は、ユーザの視認エリアと関連付けられるクリアな場に影響を及ぼさずに、接眼レンズ導波管1230への第2の光学要素1220の機械的搭載を可能にするために、提供される。部分1224は、本設計では平面として図示されるが、これは、本発明によって要求されず、部分1224は、機械的整合のために使用されるインデントおよび/または突出部、または同等物を含んでもよい。当業者は、多くの変形例、修正、および代替を認識するであろう。
【0096】
再び、図12を参照すると、VOA1200の種々の要素の寸法が、図示される。図12に図示されるように、光学要素と接眼レンズ導波管との間の間隔Dは、約数十ミクロン、例えば、約100μm~約1μmであり、それによって、非常に小さな間隙を提供する一方、依然として、光学屈折力を伴う、接眼レンズ導波管とカバープレートとの間の空隙を提供することができる。当業者に明白であろうように、空隙の保存は、光が導波管層の内側の全内部反射(TIR)によって伝搬することを可能にする。接着剤、マイクロ球体、または他の好適なスペーサ、所定の厚さを伴う接着剤テープ、または同等物を含む、種々の技法が、光学要素と接眼レンズ導波管との間の間隔Dを維持するために、利用されることができる。1mm未満、例えば、約600μmの厚さ(縦方向寸法に沿って測定された)を有し得る、光学屈折力を伴うカバープレートと、約2mmの厚さを伴う接眼レンズ導波管とを利用して、VOAの総厚は、従来の設計を使用して加工される、VOAの厚さの約半分である、約3mmであることができる。
【0097】
図13Aは、本発明のある実施形態による、両凸積層レンズを図示する、簡略化された断面図である。図13Aに図示されるように、カバープレート1310は、カバープレートの第1の側上の成型フィルム1312に、カバープレートの対向側上の成型フィルム1314に、機械的支持を提供する。したがって、図3Cに図示されるような平凹積層レンズに加え、本発明の実施形態が、両凸積層レンズを加工するために利用されることができる。両凸積層レンズに加え、両凹積層レンズは、カバープレート1310上に凹面成型フィルムを形成することによって、提供され得ることに留意されたい。
【0098】
図13Bは、本発明のある実施形態による、凸面メニスカスレンズを図示する、簡略化された断面図である。図13Bに図示されるように、カバープレート1320は、カバープレートの第1の側上の成型フィルム1322および成型フィルム1322を覆う成型フィルム1324に、機械的支持を提供する。異なる屈折率を伴う2つの異なる成型フィルムを利用することによって、凸面メニスカスレンズが、積層レンズフォーマットにおいて形成される。成型フィルム1322および1324の材料および厚さは、特定の用途に応じて、選択されることができる。積層レンズフォーマットにおける凸面メニスカスレンズに加え、凹面メニスカスレンズが、カバープレート1320上に凹面成型フィルムを形成することによって、提供され得ることに留意されたい。
【0099】
図13Cは、本発明のある実施形態による、アクロマート積層レンズを図示する、簡略化された断面図である。図13Cに図示されるように、カバープレート1340は、カバープレートの第1の側上の成型フィルム1342および成型フィルム1342を覆う成型フィルム1344に、機械的支持を提供する。本実施形態では、成型フィルム1342は、低屈折率の屈折材料であり、成型フィルム1344は、(成型フィルム1342と比較して)高屈折率の屈折材料であり、それによって、アクロマートレンズを形成する。したがって、異なる屈折率を伴う2つの異なる成型フィルムを利用することによって、アクロマートレンズが、積層レンズフォーマットにおいて形成される。成型フィルム1342および1344の材料および厚さは、特定の用途に応じて、選択されることができる。積層レンズフォーマットにおける凸面アクロマートレンズに加え、凹面アクロマートレンズが、カバープレート1340上に凹面成型フィルムを形成することによって、提供され得ることに留意されたい。
【0100】
図13Dは、本発明のある実施形態による、アポクロマート積層レンズを図示する、簡略化された断面図である。図13Dに図示されるように、カバープレート1350は、カバープレートの第1の側上の成型フィルム1352と、成型フィルム1352を覆う成型フィルム1354と、成型フィルム1354を覆う成型フィルム1356とに、機械的支持を提供する。本実施形態では、成型フィルム1354は、成型フィルム1352および成型フィルム1356と比較して、低屈折率の屈折材料であり、それによって、三重層を形成する。したがって、より低い屈折率を伴う成型フィルムの両側上に、より高い屈折率の成型フィルムを伴う3つの異なる成型フィルムを利用することによって、アポクロマートレンズが、積層レンズフォーマットにおいて形成される。成型フィルム1352、1354、および1356の材料および厚さは、特定の用途に応じて、選択されることができる。積層レンズフォーマットにおける凸面アポクロマートレンズに加え、凹面アポクロマートレンズが、カバープレート1350上に凹面成型フィルムを形成することによって、提供され得ることに留意されたい。
【0101】
図14Aは、本発明のある実施形態による、第1の金型を図示する、簡略化された斜視図である。図14Aに図示されるように、第1の金型1410は、マルチレンズ金型であり、並行して、または同時に、複数のレンズを加工する際に使用するために好適である。本明細書に説明される他の金型は、マルチレンズ金型として実装され得、単一レンズ金型を使用する単一レンズの加工を示す例証が、単に、例証を容易にするために提供され、本発明の実施形態を限定することを意図されないことを理解されたい。他の実施形態では、第1の金型1410は、単一レンズ金型として実装される。当業者は、多くの変形例、修正、および代替を認識するであろう。図14Aに図示されるように、第1の金型1410は、第1の金型1410の表面を横断して分散される、複数の平凹陥凹1412を含む。平凹陥凹1412が、図14Aに図示されるが、本発明の実施形態が、本特定の光学フォーマットに限定されず、凸面特徴は、他の実施形態では、第1の金型1410の上部表面上に形成されることができる。さらに、1つまたはそれを上回る平凹陥凹および1つまたはそれを上回る凸面特徴の組み合わせが、特定の用途に必要に応じて、第1の金型1410を使用して、実装されることができる。
【0102】
ガラス、プラスチック、金属、または同等物を含む、種々の材料が、第1の金型1410において利用されることができる。材料の組み合わせを含む、機械的剛性およびUV放射による劣化への抵抗を特徴とする、好適な材料が、利用されることができる。
【0103】
図14Bは、本発明のある実施形態による、第1の成型物を図示する、簡略化された斜視図である。図14Bに図示される第1の成型物1420は、図2A-2Cに関連して議論されるものに類似するプロセスによって形成されるが、図2A-2Cに関連して議論される凸面金型ではなく、凹面の第1の金型1410を利用する。故に、第1の成型物1420は、第1の金型1410の中に未反応または半反応形態で堆積される、鋳造可能材料または硬化性樹脂を使用して、形成され、所望のレンズ形状を形成し、第1の成型物1420を形成するためにUV硬化させるために、基板(図示せず)と近接される。
【0104】
第1の成型物1420は、例えば、視認光学系アセンブリにおいて、本明細書に説明されるような平凸レンズとして利用されることができる、または付加的成型物の成型の間、金型として使用するために好適な、可撓性金型として利用されることができる。本後者の使用は、図14Dに関連して図示される。
【0105】
図14Bに図示されるように、第1の成型物1420は、図14Aに示される平凹陥凹1412に実質的に合致する、平凸特徴1422を有する。上記に議論されるように、鋳造される材料の機械的および体積的材料収縮が、UV硬化の間、生じ得るが、本機械的収縮は、予測可能であり、レンズ設計プロセスの間、考慮され得、機械的および体積的材料収縮の結果として、平凸特徴1422の曲率が、平凹陥凹1412の曲率に対して修正されている。故に、平凸特徴1422が、成型および機械的および体積的収縮が生じた後の所望の曲率を特徴とするであろう。
【0106】
図14Cは、本発明のある実施形態による、剥離層コーティングプロセスの前および後の成型物の一部の簡略化された側面図である。図14Cに図示される剥離層コーティングプロセスは、本明細書全体を通してより完全に説明されるように、吸着防止コーティングを形成する際に使用するために好適である。図14Cを参照すると、成型物1430が、提供され、堆積プロセスが、成型物1430上で、剥離層コーティングとも称される、吸着防止コーティング1432を形成するために利用される。図14Bを参照すると、吸着防止コーティングが、吸着防止コーティングを用いてコーティングされた、複数の凸面特徴を形成するために、第1の成型物1420上に堆積され、これは、金型としてコーティングされた成型物の使用後、後続材料が剥離されることを可能にすることができる。
【0107】
吸着防止コーティング1432は、酸化物または窒化物、例えば、二酸化ケイ素、窒化シリコン、または他の誘電体等の無機層を使用して加工され、例えば、大気圧プラズマ増強化学蒸着(APPECVD)プロセスを使用して、堆積されることができる。加えて、吸着防止コーティング1432は、離型表面として好適である、金属層または他の有機フルオロポリマーまたはシランベースのポリマー材料を使用して、加工されることができる。例えば、トリクロロ(1H、1H、2H、2H-ペルフルオロオクチル)シラン、または同等物を使用する、フッ素化表面剥離化学処理を含む、有機処理プロセスが、使用されることができる。無機コーティング材料は、限定されないが、SiO、SiC、Al、Si、TiN、Cr、Ag、Au、Al、Cu、Ir、Pt、Pd等を含むことができる。プラズマ増強低圧CVD、原子層堆積、物理的水蒸気堆積、蒸発、スパッタリング等のようなCVDまたはPVDプロセス等の半導体ベースの処理が、そのような吸着防止コーティングを堆積するために使用されることができる。噴霧(霧化)、インクジェット、ナイフエッジコーティング、低圧、または大気蒸気コーティング等のコーティング方法が、フルオロポリマー、シロキサン(シリコーン)、または他のポリマーベースのコーティングをコーティングするために、使用されることができる。
【0108】
吸着防止コーティング1432の厚さは、ピンホールを防止し、金型剥離を提供するほど十分に厚いが、生成される成型フィルムの曲率半径に影響を及ぼさないほど十分に薄い、厚さである、約数ナノメートル、例えば、1nm、2nm、3nm、または同等物であり得、または、数十ナノメートル、例えば、10nm、20nm、30nm、または同等物でもあり得、または数百ナノメートル、例えば、100nm、200nm、300nm、または同等物であり得る。
【0109】
図14Dは、本発明のある実施形態による、コーティングされた第1の成型物を図示する、斜視図である。したがって、図14Cに関連して議論される材料およびプロセスは、第1の成型物1420をコーティングするために使用されており、コーティングされた第1の成型物1440の加工をもたらす。コーティングされた第1の成型物1440は、金型、例えば、可撓性金型として利用されることができ、金型特徴が、第1の金型1410上に存在する金型特徴に基づくため、第1の子金型と称されることができる。図14Dに図示されるように、コーティングされた第1の成型物1440は、図14Bに示される平凸特徴1422に実質的に合致する、平凸特徴1442を有し、吸着防止または剥離層コーティングを用いてコーティングされる。
【0110】
図14Eは、本発明のある実施形態による、第2の成型物を図示する、簡略化された斜視図である。第2の成型物1450は、図14Bに図示される第1の成型物1420に関して議論されるものに類似する様式において、加工される。したがって、図14Eに図示される第2の成型物1450は、基板(図示せず)上に未反応または半反応形態で堆積される、鋳造可能材料または硬化性樹脂を使用して形成され、所望のレンズ形状を形成し、第2の成型物1450を形成するために図2A-2Cに図示されるものに類似する様式において、UV硬化させるために、コーティングされた第1の成型物1440に近接する。コーティングされた第1の成型物1440上の吸着防止コーティングの存在は、加工後、第2の成型物1450がコーティングされた第1の成型物1440から取り外されることを可能にする。
【0111】
第2の成型物1450は、例えば、視認光学系アセンブリにおいて、本明細書に説明されるような平凹レンズとして利用されることができる、または付加的成型物の成型の間、金型として使用するために好適な、可撓性金型として利用されることができる。本後者の使用は、図14Fに関連して図示される。
【0112】
平凸特徴1422の曲率に関連して上記に議論されるように、第2の成型物1450は、図14Dに示される平凸特徴1442に実質的に合致する、平凹陥凹1452を有する。上記に議論されるように、鋳造される材料の機械的および体積的材料収縮は、UV硬化の間、生じ得るが、本機械的収縮は、予測可能であり、レンズ設計プロセスの間、考慮され得、機械的および体積的材料収縮の結果として、平凹陥凹1452の曲率が、平凸特徴1442の曲率に対して修正されている。故に、平凹陥凹1452が、成型および機械的および体積的収縮が生じた後の所望の曲率を特徴とするであろう。
【0113】
図14Bおよび14Eを検討すると、それぞれ、正または負のレンズとして使用され得る光学要素を有する、2セットの相補的成型物が、本発明の実施形態によって提供される。成型物の表面と関連付けられる、表面特徴は、所定の曲率の球面または非球面レンズを提供するために制御されることができる。さらに、これらの相補的成型物はそれぞれ、上記の図14Dまたは下記の図14Fに関連して議論されるように、付加的金型を加工するために利用されることができる。
【0114】
図14Fは、本発明のある実施形態による、コーティングされた第2の成型物を図示する、斜視図である。図14Fを参照すると、図14Cに関連して議論される材料およびプロセスは、第2の成型物1450をコーティングするために使用され、コーティングされた第2の成型物1460の加工をもたらす。コーティングされた第2の成型物1460は、金型、例えば、可撓性金型として利用されることができ、金型特徴が、第2の成型物1450上に存在する金型特徴に基づくため、第2の子金型と称されることができる。図14Fに図示されるように、コーティングされた第2の成型物1460は、図14Eに示される平凹特徴1452に実質的に合致する、平凹特徴1462を有し、吸着防止または剥離層コーティングを用いてコーティングされる。
【0115】
図14Dおよび14Fを検討すると、それぞれ、負または正のレンズの加工の間、使用され得る金型特徴を有する、2つの相補的金型、すなわち、コーティングされた成型物が、本発明の実施形態によって提供される。金型の表面と関連付けられる、表面特徴は、金型に所定の曲率の球面または非球面レンズを提供するために制御されることができる。第1の金型1410を特徴とする表面特徴を効果的に複製して、コーティングされた第1の成型物1430およびコーティングされた第2の成型物1460の加工に付随する機械的および体積的材料収縮を前提として、反対曲率特徴の2つの相補的金型が、レンズの加工の間、利用され、それによって、第1の金型1410の耐用期間を延長させることができる。
【0116】
本明細書に説明される実施例および実施形態は、例証的目的のみであって、それに照らした種々の修正または変更が、当業者に示唆され、本願の精神および権限および添付の請求項の範囲に含まれるべきであることもまた、理解される。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図10
図11A
図11B
図11C
図12
図13A
図13B
図13C
図13D
図14A
図14B
図14C
図14D
図14E
図14F
【国際調査報告】