(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-20
(54)【発明の名称】可変ドメイン欠失E2ポリペプチドを含むC型肝炎核酸ワクチン
(51)【国際特許分類】
A61K 39/29 20060101AFI20230613BHJP
C12N 15/861 20060101ALI20230613BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20230613BHJP
A61K 35/76 20150101ALI20230613BHJP
A61K 35/761 20150101ALI20230613BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20230613BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20230613BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20230613BHJP
C12N 15/40 20060101ALN20230613BHJP
C12N 15/86 20060101ALN20230613BHJP
C12N 15/863 20060101ALN20230613BHJP
【FI】
A61K39/29
C12N15/861 Z
A61K48/00
A61K35/76
A61K35/761
A61P1/16
A61P31/14
A61P37/04
C12N15/40 ZNA
C12N15/86 Z
C12N15/863 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022568765
(86)(22)【出願日】2021-05-11
(85)【翻訳文提出日】2022-12-27
(86)【国際出願番号】 AU2021050437
(87)【国際公開番号】W WO2021226664
(87)【国際公開日】2021-11-18
(32)【優先日】2020-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510332958
【氏名又は名称】マクファーレン バーネット インスティテュート フォー メディカル リサーチ アンド パブリック ヘルス リミテッド
【氏名又は名称原語表記】MACFARLANE BURNET INSTITUTE FOR MEDICAL RESEARCH AND PUBLIC HEALTH LTD
(71)【出願人】
【識別番号】511301083
【氏名又は名称】ザ チャンセラー,マスターズ アンド スカラーズ オブ ザ ユニバーシティ オブ オックスフォード
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100196966
【氏名又は名称】植田 渉
(72)【発明者】
【氏名】ドラマー,ヘイディー
(72)【発明者】
【氏名】バーネス,エラナー ジェーン
(72)【発明者】
【氏名】チンナカナン,センティル クマール
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4C087
【Fターム(参考)】
4C084AA13
4C084NA14
4C084ZA75
4C084ZB09
4C084ZB33
4C085AA03
4C085BA92
4C085BB23
4C085CC33
4C085EE01
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC83
4C087CA12
4C087NA14
4C087ZA75
4C087ZB09
4C087ZB33
(57)【要約】
HCVの可変ドメイン欠失E2ポリペプチド(例えば、E2Delta123)をコードする核酸分子を含む、医薬組成物。組成物は、HCV感染症の治療又は予防における使用に、使用に、又はそれにおいて使用される場合に好適である。核酸分子は、DNA若しくはRNA、又は修飾若しくは合成形態であり得るか、あるいはプラスミド、ワクチン接種のためのウイルスベクター若しくは非ウイルスベクター、ポリヌクレオチド発現カセット、又はベクター増殖のための細胞内に含まれ得る。プライム及びブーストワクチンとしての投与の方法も提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
HCV感染症の治療又は予防に使用するための、又はそれにおいて使用される場合の、HCVの可変ドメイン欠失E2ポリペプチドをコードする核酸分子を含む組成物であって、前記使用が、前記核酸を対象に投与することを含み、可変ドメイン欠失E2タンパク質が、前記対象において産生され、前記対象におけるHCVに対する機能的B細胞応答を含む免疫応答を生成する、組成物。
【請求項2】
HCVの可変ドメイン欠失E2をコードする前記核酸分子が、ワクチン接種のためのウイルスベクター又は非ウイルスベクター内に含まれる、請求項1に記載の使用のための組成物。
【請求項3】
HCVの可変ドメイン欠失E2をコードする核酸分子が、RNA若しくはDNA又はそれらの修飾若しくは合成形態である、請求項1に記載の使用のための組成物。
【請求項4】
前記ウイルスベクターが、アデノウイルスベクター、又はポックスウイルスベクターである、請求項2に記載の使用のための組成物。
【請求項5】
前記核酸分子が、2つ又は3つ全ての表面に露出された可変ドメインを欠失したHCVの可変ドメイン欠失E2(Delta23E2、Delta123E2)をコードする、請求項1~4のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項6】
前記核酸分子が、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するHCV E2ポリペプチドをコードする、請求項1~5のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項7】
前記核酸分子が、配列番号2に記載の配列を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項8】
前記機能的B細胞応答が、高分子量可変ドメイン欠失E2ポリペプチド(例えば、HMWDelta123)の対応する投与後に生成された総抗体力価よりも低い前記総抗体力価を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項9】
前記機能的B細胞応答が、高分子量可変ドメイン欠失E2ポリペプチド(例えば、HMWDelta123)の対応する投与後に生成された前記機能的B細胞応答に相当する、請求項1~8のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項10】
前記機能的免疫応答が、高分子量可変ドメイン欠失E2ポリペプチド(HMWDelta123)の対応する投与後に生成されたCD81阻害力価に相当するか、又はそれより高い、前記CD81阻害力価を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項11】
別の治療的又は予防的活性成分を更に含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項12】
HCV感染症の治療又は予防のための核酸又は核酸ベクター医薬品における、又はその製造における、HCVの可変ドメイン欠失E2ポリペプチドをコードする核酸分子の、使用。
【請求項13】
HCVの可変ドメイン欠失E2ポリペプチドをコードする前記核酸分子が、ワクチン接種のためのウイルスベクター又は非ウイルスベクター内に含まれる、請求項12に記載の使用。
【請求項14】
HCVの可変ドメイン欠失E2をコードする前記核酸分子が、RNA若しくはDNA、又はそれらの修飾形態である、請求項12又は13に記載の使用。
【請求項15】
前記ウイルスベクターが、アデノウイルスベクター又はMVAなどのポックスウイルスベクターである、請求項13に記載の使用。
【請求項16】
前記核酸分子が、2つ又は3つ全ての表面に露出された可変ドメインを欠失したHCVの可変ドメイン欠失E2(例えば、Delta123E2)をコードする、請求項12~15のいずれか一項に記載の使用。
【請求項17】
前記核酸分子が、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するHCV E2ポリペプチドをコードする、請求項12~16のいずれか一項に記載の使用。
【請求項18】
前記核酸分子が、前記核酸分子が、配列番号2に記載の配列を含む、請求項12~17のいずれか一項に記載の使用。
【請求項19】
HCV感染症の治療又は予防の方法であって、対象におけるHCVに対する機能的B細胞応答を生成する期間及び条件下での前記対象への請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物の投与を含む、方法。
【請求項20】
前記組成物が、プライムワクチン接種として、又はプライム及びブーストワクチン接種として投与される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記組成物が、プライムワクチン接種、続く2回のブースターワクチン接種として投与される、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記組成物が、プライムワクチン接種として投与され、ブースターワクチン接種が、HCVの高分子量可変ドメイン欠失E2ポリペプチドを含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、対象において発現され、HCVに対する機能的及び交差保護免疫応答を刺激する抗原をコードする核酸分子の形態の修飾されたHCV E2ワクチン抗原を使用する、C型肝炎ウイルス(HCV)の治療又は予防に関する。
【背景技術】
【0002】
C型肝炎ウイルスは、フラビウイルス科内の固有のヘパシウイルス属に属する小型のエンベロープを有するプラスセンスRNAウイルスである。HCVは7つの遺伝子型(GT1~7)に分類され、遺伝子型1~3が世界的に分布している。感染した個体は、準種(quasispecies)と称される密接に関連するウイルスの群を抱えている。この配列変動の程度は、HIV及びインフルエンザについて観察されたものを超えており、ワクチン開発に大きな課題をもたらす。HCVは、シグナルペプチダーゼによってウイルスポリタンパク質から切断される2つの構造エンベロープ糖タンパク質、E1及びE2をコードする。E1E2は、ウイルスの侵入を媒介するヘテロ二量体として機能する。E2は、その受容体結合ドメイン(RBD)を介して、細胞受容体、CD81及びスカベンジャー受容体クラスB型1への付着を媒介する。E1の機能、は現在不明である。
【0003】
HCVのゲノムは、3,010~3,033アミノ酸残基の単一のポリタンパク質をコードする1つの大きなオープンリーディングフレーム(ORF)のみを有する、約9,600ヌクレオチドの一本鎖プラスセンスRNAである。HCV ORFは、ウイルス複製に必要とされる高度に保存された5’及び3’非翻訳領域(5’UTR及び3’UTR)に隣接している。5’-UTRは、広範な二次構造を形成し、内部リボソーム侵入部位(IRES)に依存する様式で翻訳開始を調節する。しかしながら、ピコルナウイルスとは対照的に、HCV IRESは、任意の他の正規の翻訳開始因子の非存在下で40Sリボソームサブユニットに直接結合することができ、それによって、ORFの真正な開始因子AUGコドンを正確にリボソームのP部位に位置付ける。3’-UTRは、ポリ(A)尾部を欠き、RNA複製に関与することになっている3つの配列要素、非保存可変領域(30~50ヌクレオチド)、ポリ(U・C)ストレッチ(20~200ヌクレオチド)、及び3つのステムループ(SL)構造を形成する3’X領域と称される保存された98ヌクレオチド配列からなる。
【0004】
C型肝炎ウイルスは、7,000万人超に影響を及ぼし、毎年70万人超が死亡している。3500万人が未診断の感染症を有していると推定されており、ウイルスの継続的な拡散の手段となっている。急性C型肝炎は、曝露の1~2週間以内での血清中のHCV RNAの出現、続く血清アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)の上昇、次いで黄疸の症状によって特徴付けられる。HCVに対する抗体(抗HCV)は、遅れて生じる傾向にある。急性肝炎の解消では、HCV RNAが除去され、血清ALTレベルが正常に低下する。しかしながら、55%~85%の患者がウイルスを除去せず、慢性C型肝炎を発症する。慢性C型肝炎は多くの場合、無症候性であるが、通常、ALTレベルの持続的又は変動的な上昇と関連している。C型肝炎の慢性後遺症には、進行性肝線維症、肝硬変、及び肝細胞がん(腫)が含まれる。肝外症状には、自己免疫疾患、乾燥症候群、クリオグロブリン血症、糸球体腎炎、及び晩発性皮膚ポルフィリン症が含まれる。直接作用する抗ウイルス薬は、90%超の症例においてHCV感染症を治癒することができるが、抗ウイルス剤だけでは、その高いコスト、再感染のリスク、及び感染しているほとんどの人々がHCVと診断されていないという事実のため、HCV排除を達成する可能性は低い。HCV感染症の顕著な低減を達成するために、伝染を制限するワクチンが必要であると主張されている。
【0005】
HCVワクチンの潜在的な成功の中心は、7つの循環HCV遺伝子型に対して広範で効果的な保護を付与する能力である。各遺伝子型は、タンパク質レベルで約30%の変動を示し、それ自体がタンパク質レベルで約20%の変動を示す67を超える亜型を含む。最近の研究は、感染症を自発的に除去するヒトは、感染症の早期に広域中和抗体(bNAb)を生成し、ヒトbNAbでの動物の受動免疫化が、HCVチャレンジからそれらを保護することができることを示した。
【0006】
中和抗体応答は、主に、E2ウイルスエンベロープ糖タンパク質の受容体結合ドメイン(RBD)に対して指向されている(Drummer et al.,Microbiol.5:329,2014)。しかしながら、HCV E2は、bNAbの生成を制限するための複数の免疫回避機序を示し、それは、例えば、グリカン遮蔽、bNAbエピトープの提示をアロステリックに抑制する超可変領域(HVR)における集中されたアミノ酸配列進化、及び免疫逃避及び非中和抗体を駆動する単離特異的NAbを優先的に生成するエピトープの免疫優位性を含む(Drummerら、上記)。
【0007】
発明者が以前に決定したように、天然のHCV E2形態では、超可変領域は、協調して作用して、広域中和抗体(bNAb)を決定する保存されたエピトープを閉塞し、これにより、bNAbの生成を防止する。代わりに、可変領域中の単離特異的エピトープ及び非中和エピトープが抗体応答を支配する。WO2008/022401及びWO2012/0168637に記載されているように、発明者は、HCV E2の修飾形態、特に、3つの表面露出HVRがRBDから欠失されている修飾形態(Delta123E2661と称される)を開発している。このHVR枯渇形態のE2を野生型E2と比較し、単量体、二量体、三量体、及びより高次反復形態を含む分子の種々の提示と比較した。Hepatology 65(4),2017で報告されているように、3つの超可変領域(D123HMW)を欠くE2の高分子量ジスルフィド連結オリゴマーは、実験動物においてHCVの7つの遺伝子型全てを中和することができる高力価bNAbを誘発する。E2のHMWオリゴマー形態は、HVRが枯渇した場合でさえ非中和抗体を刺激するE2の単量体又は二量体形態よりもはるかに効果的であった。この研究の前に、HCV E2の単量体形態は、最適なワクチン構築物を提供すると仮定された。例えば、哺乳動物発現細胞培養において同定された高分子量種の性質は、十分に特徴付けられておらず、ワクチンに対するそれらの重要性は理解されなかった。
【0008】
しかしながら、D123HMW E2(超可変領域HVR1、HVR2及びigVRを欠くE2の高分子量オリゴマー形態)は、非常に低収率で哺乳動物細胞発現中に自発的に産生されるため、ワクチンとしての使用に好適な形態で産生することに問題がある。実際、発明者は、E2が、単量体、二量体、オリゴマー、及び他の立体配座を含む、複数の不均一な形態で哺乳動物細胞発現中に産生されることを決定した。したがって、D123HMW E2を他の望ましくない形態のE2から分離するために、複雑な単離手順が必要であろう。別の選択肢は、ヒト試験のために均質なHMWD123HCV E2のインビトロタンパク質産生を単純化しようとすることであろう。発明者によって記載される1つの驚くべき効果的なアプローチ(国際公開第2018/058177号を参照されたく、かつ国際公開第2012/016290号に記載される発明に基づく)は、HCV E2 D123ポリペプチドのシステイン修飾形態を生成することであり、これは、ほぼ完全に単量体E2 D123として発現され、次いで、インビトロで単量体HCV E2を処理して、ワクチン接種研究に好適な均質HMW E2ポリペプチドを形成する。
【0009】
複製欠損アデノウイルスベクターは、非構造的(NS)HCVタンパク質に対する持続的T細胞応答をプライムすることが以前に示されている。ヒトにおけるワクチン接種の場合、ワクチンの有効性を妨げる可能性のある前から存在する抗ベクター免疫応答を回避するために、まれな(低血清有病率)のデノウイルスベクター又はチンパンジーアデノウイルスベクターが用いられる。T細胞応答をブーストする必要がある場合、ブーストレジメンは、修飾されたポックスウイルスベクターなどの異なるベクターを含むことが提案される。
【0010】
特に発展途上国における流行性HCV感染症の世界的な問題を考えると、有効なHCVワクチン及び少なくとも高レベルの機能的中和抗体及び低レベルの非機能的抗体を誘発するワクチンに対する緊急の満たされていない必要性が存在する。
【発明の概要】
【0011】
本明細書全体を通して、「含む(comprise)」、又は「含む(comprises)」若しくは「含む(comprising)」などのバリエーションは、記載された要素、整数若しくはステップ、又は要素、整数若しくはステップの群の包含を意味するが、任意の他の要素、整数若しくはステップ、又は要素、整数若しくはステップの群の除外を意味するものではないことが理解されるであろう。
【0012】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が別途明確に指示しない限り、複数の態様を含む。したがって、例えば、「組成物(a composition)」への言及は、単一の組成物、及び2つ以上の組成物を含み、「薬剤(an agent)」への言及は、1つの薬剤、及び2つ以上の薬剤を含み、「本開示(the disclosure)」への言及は、本開示の単一及び複数の態様などを含む。
【0013】
「及び/又は」という用語、例えば「X及び/又はY」は、「X及びY」又は「X又はY」のいずれかを意味するものと理解され、両方の意味又はいずれかの意味の明示的な支持を提供するものと理解される必要がある。
【0014】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、逆に述べられない限り、指定された値の+/-10%、又は+/-5%を指す。
【0015】
「欠失した可変領域」という用語は、欠失又は置換されたHCV E2の可変領域のうちの1、2、又は3つを含む。可変ドメインを欠失させることによって例示されるが、当業者は、領域の置換又は変異が欠失と同じ結果を達成する可能性があることを理解するであろう。
【0016】
天然HCV E2ポリペプチドを修飾して、有効な機能的抗体及び低レベルの非機能的抗体を生じさせることができる均質なワクチン候補としての高分子量(HMW又は>3/4/5の高次)可変領域欠失(例えば、Delta123)HCV E2ポリペプチドを産生するには、高レベルのヒト介入が必要であった。当該技術分野では、Delta123 E2単量体をコードする核酸分子が、発現時に、HMW Delta123 E2と同様に振る舞い、哺乳動物宿主への投与時に非機能的抗体よりも優先的に機能的抗体を生じさせることは予想されなかったであろう。インビトロで真核細胞株によって発現された組換えHCV E2糖タンパク質は、概して、単量体、二量体、三量体及び高次形態の混合物として存在することが知られている。抗原の単量体形態の存在は、機能的抗体産生を犠牲にして高レベルの非機能的抗体を誘発することが日常的に予想されていたであろう。本開示によれば、本発明者らは、Delta123E2のコード核酸形態の投与後の中和力価が驚くほど高く、Delta123HMW E2ポリペプチドがタンパク質形態で単独で投与される場合よりも、中和抗体がより交差反応性であることを決定した。したがって、HCV E2ワクチンを、ウイルスベクター又は非ウイルスベクター中などの核酸形態で投与することが提案され、したがって、実行可能であり、低コストであるが、効果的な、タンパク質単独の投与に対する代替物を提供する。
【0017】
したがって、一態様では、本発明は、Delta123E2などのHCVの可変ドメイン欠失E2ポリペプチドをコードするウイルス発現ベクターを含む医薬組成物を提供する。一実施形態では、ウイルスベクターは、その合成バージョンを含むアデノウイルス発現ベクターである。一実施形態では、ウイルスベクターは、その合成バージョン及び前駆体を含む、弱毒化ワクシニアゲノムベクターなどのポックスウイルス又はワクシニアベースの発現ベクターである。例示的な発現ベクター及び発現カセットは、
図20及び
図27~35などの図に示されているが、多くのバージョン又は代替要素(シャトルプラスミド、リーダー配列、プロモーター、ポリアデニル化配列、薬物耐性オペレーター部位、BACゲノム、及び制限部位)が、当該技術分野で既知である。好適な細胞株におけるウイルス救出及び増殖も当該技術分野で既知である。
【0018】
一実施形態では、ウイルスベクターは、アデノウイルスゲノムベースのウイルスベクターである。
【0019】
一実施形態では、ウイルスベクターは、ポックスウイルス又はワクシニアゲノムベースのウイルスベクターである。
【0020】
実施形態では、本発明は、本明細書に記載の可変ドメイン欠失E2ポリペプチドをコードするウイルスベクターを発現する細胞株の細胞を提供する。したがって、一実施形態では、ウイルスベクターは、弱毒化アデノウイルスベクター又は弱毒化ワクシニアベクターであり得る。
【0021】
一実施形態では、本発明は、核酸/ウイルスベクターベースのワクチン若しくは免疫原性組成物、又はそれらを含む医薬組成物若しくは生理学的組成物の製造における本明細書に記載のベクター、又は本明細書に記載の可変ドメイン欠失E2ポリペプチドをコードするウイルスベクターを発現する細胞の使用を提供する。
【0022】
一態様では、本開示は、対象におけるHCV感染症の治療又は予防の方法であって、Delta123E2又はそのバリアントなどの可変ドメイン欠失HCV E2タンパク質性分子をコードする核酸分子を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0023】
したがって、一態様では、本開示は、既知の薬学的製造技法に従って好都合に調製される生理学的組成物又は医薬組成物を提供する。これらの組成物は、活性物質のうちの1つに加えて、薬学的に許容される賦形剤、担体、緩衝剤、安定剤、又は当該技術分野において周知の他の物質を含み得る。かかる材料は無毒である必要があり、有効成分の有効性を妨げてはならない。担体は、例えば、これらに限定されないが、療法で使用するため、又はHCV感染症の治療若しくは予防のための静脈内、鼻腔内、皮内、経口又は非経口の投与のために所望の製剤の形態に応じて多種多様な形態をとることができ、核酸は、対象に投与され、可変ドメイン欠失E2タンパク質が産生され、対象におけるHCVに対する機能的B細胞応答を含む免疫応答を生成する。組成物は、生物学的又は他の点で望ましくないものではない、生理学的又は薬理学的又は薬学的に許容されるビヒクルを含む。本明細書に記載の化合物の薬理学的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、又は誘導体は、生物学的に又はその他の点で望ましくないものではない塩、エステル、プロドラッグ、又は誘導体である。
【0024】
ベクター及び発現カセットは、内因性ヒト細胞、すなわち、ヒト治療又はワクチンレシピエントにおける可変ドメイン欠失E2の発現に好適であるか、又は適応している。
【0025】
一実施形態では、組成物は、ワクチンとして療法で使用するためのものである。
【0026】
一実施形態では、本発明は、HCV感染症の治療又は予防に使用するための、又はそれにおいて使用される場合の、HCVの可変ドメイン欠失E2ポリペプチドをコードする核酸分子を含む医薬組成物を含む組成物を可能にし、使用は、核酸を対象に投与することを含み、可変ドメイン欠失E2タンパク質が、対象において産生され、対象におけるHCVに対する機能的B細胞応答を含む免疫応答を生成する。
【0027】
この態様では、使用は、中和B細胞応答を増強するのに使用するためであってもよく、核酸分子は、発現された場合、対象において、HMW Delta123E2を使用して生成されたものと比較して増強されたB細胞応答を生成する。
【0028】
Delta123で例示されるが、Delta23もまた、野生型E2よりも中和差反応性B細胞応答に影響を与えることが想定される。
【0029】
一実施形態では、核酸投与は、可変ドメイン欠失E2をコードするウイルスベクターでプライムすること、及び可変ドメイン欠失E2、又は高分子量可変ドメイン欠失E2ポリペプチド(例えば、HMWDelta123)をコードする同じ又は異種のベクター又は核酸でブーストすることを含む。
【0030】
一実施形態では、核酸分子は、
図20及び
図27~35に記載されるChadOX1又はMVAなどのウイルスベクターによって発現される。
【0031】
一実施形態では、核酸分子は、コードされた糖タンパク質に対するT細胞応答を更に生じさせる。
【0032】
本明細書で使用される、HCVに対する「機能的」B細胞応答とは、HCVウイルスによる宿主細胞侵入を低減することができる交差反応性中和抗体の産生、及び非中和抗体の産生が低い又は産生がないことを意味する。主に非機能的B細胞応答は、HCVのRBDを認識しないか、又は交差中和可能性を有しない抗体の産生を意味する。例えば、単量体野生型E2ポリペプチドが投与された場合、交差中和可能性を有するコアドメインを認識する低レベルの抗体、非中和であり、他のバリアントとの交差反応性が乏しい高レベルの抗体を誘発する。
【0033】
「コードする」及び「発現することができる」という用語は、本明細書では互換的に使用される。
【0034】
一実施形態では、HCVの可変ドメイン欠失E2をコードする核酸分子は、投与及び/又は細胞内送達のためのウイルスベクター又は非ウイルスベクター内に含まれるか、又はそれに付着している。
【0035】
一実施形態では、HCVの可変ドメイン欠失E2をコードする核酸分子は、RNA若しくはDNA若しくはRNA:DNAハイブリッド又はそれらの修飾若しくは合成形態である。
【0036】
一実施形態では、ベクターは、ウイルスベクター又は非ウイルスベクターである。ベクターとして有用であるウイルスには、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、及びレンチウイルス、並びにそれらの弱毒化形態が含まれるが、これらに限定されず、それらの各々は、当該技術分野で既知の独自の利点及び欠点を有する。ウイルスベクターとしては、アデノウイルスベクター及びポックスウイルスベクターが特に挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
非ウイルスベクター又は付着/コンジュゲートには、脂質、炭水化物、タンパク質、ペプチド、ナノ粒子、リポソーム、ウイルス様粒子、ビロソーム、エマルジョンが含まれる。脂質などの両親媒性薬剤は、水溶液中のミセル、不溶性単層、液晶又はラメラ層として凝集体で存在し得る。
【0038】
一実施形態では、核酸分子は、3つ全ての表面に露出された可変ドメインを欠失したHCVの可変ドメイン欠失E2(例えば、Delta123E2)をコードする。他のバリアントには、欠失された1つ又は2つの可変ドメインが含まれ得る。一実施形態では、HVR1(394~408)は欠失されない。一実施形態では、HVR2(460~495)及びigVR(570~580)領域は、実質的に又は完全に欠失される。
【0039】
一実施形態では、本明細書に記載の核酸分子は、可変ドメイン欠失を有しないHCVゲノム又は完全長E2ポリペプチドをコードしない。
【0040】
一非限定的な実施形態では、核酸分子は、実施例で用いられるDelta123 E2のタンパク質配列である、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するHCV E2ポリペプチドをコードする。
【0041】
別の実施形態では、発明者によってWO2012/016290に記載された受容体結合ドメインのシステイン修飾バージョンが可能である。したがって、配列番号1又は2のバージョンは、C581~C620から選択される少なくとも4つの変異又は破壊されたシステインがコードされ、コードされたポリペプチドはCD81結合を保持することが企図される。WO2012/016290に記載のE2のシステイン修飾バージョンは、単量体として組換えられて発現され、高分子量形態に再び折り畳まれ得る。
【0042】
一実施形態では、核酸分子は、ヒト発現に最適化されたDelta123E2コドンのヌクレオチド配列である、配列番号2に記載のHCVベースの配列を含む。一実施形態では、核酸分子は、任意の他のエンベロープタンパク質をコードしない。一実施形態では、核酸分子は、配列番号2に記載の配列、又はG2、G3、G4、G5、G6、若しくはG7などのHCVの任意の遺伝子型由来の対応する配列を含む。81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性を含む、少なくとも80%の配列同一性を有する配列番号2のバリアントが企図される。
【0043】
バリアントへの言及には、部分、誘導体、及び化学類似体が含まれる。企図される化学類似体には、側鎖の修飾、合成中の非天然アミノ酸及び/又はそれらの誘導体の組み込み、並びにリンカー若しくは架橋剤の使用、又はとりわけ立体構造的制約を課すための他の方法が含まれる。
【0044】
より高い又はより低いレベルへの言及は、適切な対照と比較して、顕著に高い又はより低いレベル、例えば、少なくとも50%、75%、100%、3倍、4倍、5倍以上又はそれ以下の抗体又はアイソタイプを意味する。総抗体力価、アイソタイプ、及び中和抗体力価は、実施例に記載のものなどの技術分野で認識される技法によって測定される。
【0045】
一実施形態では、機能的B細胞応答は、高分子量可変ドメイン欠失E2ポリペプチド(例えば、HMWDelta123)の対応する投与後に生成された総抗体力価よりも低い総抗体力価を含む。
【0046】
一実施形態では、機能的B細胞応答は、高分子量可変ドメイン欠失E2ポリペプチド(HMWDelta123)の対応する投与後に生成された機能的B細胞応答に相当する。
【0047】
いくつかの実施形態では、機能的免疫応答は、高分子量可変ドメイン欠失E2ポリペプチド(HMWDelta123)の対応する投与後に生成されたCD81阻害力価に相当するか、又はそれより高い、CD81阻害力価を含む。
【0048】
一実施形態では、組成物は、別の生理学的、治療的又は予防的活性成分を含む。
【0049】
したがって、本開示は、対象におけるHCV感染症の治療又は予防のための、NA又はNAベクター医薬品における、又はその製造における、HCVの可変ドメイン欠失E2ポリペプチドをコードする核酸分子の使用を可能にする。
【0050】
一実施形態では、可変ドメインデルタE2を発現するウイルスベクターによってプライムされたB細胞応答は、HCVに対する免疫応答を増強する。
【0051】
一実施形態では、E2を投与された核酸は、HMW Delta123E2によって提供される免疫応答を上回ってHCVに対する免疫応答を増強する。
【0052】
本明細書で使用される場合、本記載で企図される「対象」は、実験室動物又は技術分野で許容される試験動物又はビヒクル動物を含むヒト又は動物である。一実施形態では、対象は、哺乳動物である。好ましくは、対象は、ヒトであるが、本記載は、霊長類及び実験室試験動物(例えば、マウス、ウサギ、ラット、モルモット)を含む他の哺乳動物患者の治療及び/又は予防に及ぶ。
【0053】
いくつかの実施形態では、HCVの可変ドメイン欠失E2ポリペプチドをコードする核酸分子は、ワクチン接種のためのウイルスベクター又は非ウイルスベクター内に含まれる。
【0054】
一実施形態では、HCVの可変ドメイン欠失E2をコードする核酸分子は、RNA若しくはDNA、又はそれらの修飾形態である。
【0055】
一実施形態では、核酸配列は、ヒト細胞における発現のために最適化されたコドンである。
【0056】
一実施形態では、ウイルスベクターは、アデノウイルスベクターである。一実施形態では、ウイルスベクターは、MVAなどのポックスウイルスベクターである。
【0057】
一実施形態では、核酸分子は、3つ全ての表面に露出された可変ドメインを欠失したHCVの可変ドメイン欠失E2(Delta123E2)をコードする。一実施形態では、核酸分子は、配列番号1に記載のアミノ酸配列、又はHCV遺伝子型2~7の株由来の対応する配列を有するHCV E2ポリペプチドをコードする。例示的な実施形態では、核酸分子は、配列番号2に記載の配列又はそれと少なくとも80%の同一性を有する配列を含む。
【0058】
本開示はまた、対象におけるHCVに対する機能的B細胞応答を生成する期間及び条件下での対象へのHCVの可変ドメイン欠失E2ポリペプチドをコードする核酸分子を含む組成物の投与を含む、HCV感染症の治療又は予防の方法を可能にする。
【0059】
本開示はまた、対象におけるHCVに対する機能的B細胞応答を生成する期間及び条件下での対象へのHCVの可変ドメイン欠失E2ポリペプチドをコードする核酸分子を含む組成物の投与を含む、対象におけるHCVに対する機能的B細胞応答を誘導する方法を可能にする。
【0060】
一実施形態では、アデノウイルスゲノムベースのウイルスベクターは、
図27に記載のChAdOx1のポリヌクレオチド配列、
図27に記載のChAdOx1-TPA-E2D123のポリヌクレオチド配列、
図28に配置されるベクター、
図29に記載のポリヌクレオチド配列、
図30の免疫原カセットのレイアウト、
図31に記載の免疫原カセット配列のうちの1つ又は2つ以上、
図32のポリヌクレオチド配列のうちの1つ以上を含む。
【0061】
一実施形態では、ワクシニアゲノムベースのウイルスベクターは、
図33に記載のMVAのポリヌクレオチド配列、
図33に記載のMVA-TPA-E2Delta123のポリヌクレオチド配列、
図34のベクターのレイアウト、又は
図35に記載の配列による要素のうちの1つ又は2つ以上のうちの1つ以上を含む。
【0062】
一実施形態では、E2 D123配列をコードするチンパンジーアデノウイルスベクターは、0日目(d0)に投与され、任意選択で、続いて、後続の1~6ヶ月にわたって同じものの1回以上のブーストが実施される。
【0063】
一実施形態では、遺伝子型1a E2 D123配列をコードするチンパンジーアデノウイルスベクターは、0日目(d0)に投与され、任意選択で、続いて、後続の1~6ヶ月にわたって同じものの1回以上のブーストが実施される。
【0064】
一実施形態では、E2 D123配列をコードするチンパンジーアデノウイルスベクターは、0日目(d0)に投与され、任意選択で、続いて、後続の1~6ヶ月にわたって1回以上のブーストが実施される。
【0065】
一実施形態では、遺伝子型1a E2 D123配列をコードするチンパンジーアデノウイルスベクターは、0日目(d0)に投与され、任意選択で、続いて、後続の1~6ヶ月にわたって1回以上のブーストが実施される。
【0066】
一実施形態では、ブースト投与は、可溶性の精製された高分子量E2 D123タンパク質を含む組成物のものであり得る。
【0067】
一実施形態では、ブースト投与は、E2 D123タンパク質をコードする異種(非アデノウイルス)ウイルスベクターを含む組成物のものであり得る。
【0068】
一実施形態では、異種ウイルスベクターは、ワクシニアゲノムベースのウイルスベクターなどの脊索動物ゲノムベースのウイルスベクターである。
【0069】
一実施形態では、ブーストは、可溶性の精製された高分子量E2 D123タンパク質を用いてである。
【0070】
本方法の一実施形態では、HCV E2 Delta123をコードする核酸を含む組成物は、プライムワクチン接種として、又はプライム及びブーストワクチン接種として投与される。
【0071】
一実施形態では、組成物は、プライムワクチン接種、続く2回のブースターワクチン接種として投与される。
【0072】
一実施形態では、プライムワクチン接種は、MVAを用いてであり、ブースターワクチン接種は、同じものを用いて、又は可溶性高分子量可変ドメイン欠失E2タンパク質を含む組成物を用いてである。
【0073】
一実施形態では、プライムワクチン接種は、MVAを用いてであり、ブースターワクチン接種は、同じものを用いて、かつ/又は可溶性高分子量可変ドメイン欠失E2タンパク質を含む組成物を用いてである。
【0074】
一実施形態では、プライムワクチン接種は、MVAを用いてであり、ブースターワクチン接種は、同じものを用いて、かつ/又は可溶性の精製された高分子量可変ドメイン欠失E2タンパク質を用いてである。
【0075】
一実施形態では、プライムワクチン接種は、MVAを用いてであり、ブースターワクチン接種は、同じものを用いて、又は可溶性の精製された高分子量可変ドメイン欠失E2タンパク質を用いてである。
【0076】
一実施形態では、プライムワクチン接種は、MVAを用いてであり、ブースターワクチン接種は、同じものを用いて、又は可溶性の精製された高分子量E2 D123タンパク質を用いてである。
【0077】
一実施形態では、組成物は、プライムワクチン接種として投与され、ブースターワクチン接種は、HCVの高分子量可変ドメイン欠失E2ポリペプチドを含む。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【
図1】チンパンジーアデノウイルス1内にコードされたD123(群1)及び同じものでブーストされた免疫原性、又は高分子量可溶性タンパク質及び同じものでブーストされた場合(群2)、又はチンパンジーアデノウイルス1内にコードされたD123でのプライム、及び高分子量可溶性タンパク質でのブースト(群3)を比較する、C57Bl6マウスにおいて実施された免疫化実験の概略図を示す。
【
図2】実験群別にグラフ化された全ての時点での、チンパンジーアデノウイルス1内にコードされたD123でワクチン接種され(群1)、同じものでブーストされた、又は高分子量可溶性タンパク質及び同じものでブーストされた場合(群2)、又はチンパンジーアデノウイルス1内にコードされたD123でのプライム、及び高分子量可溶性タンパク質でブーストされた(群3)動物において生成された相互抗体力価を示す。*p<0.0332、**p<0.0021、***p<0.002、****p<0.0001。
【
図3】ワクチンのスケジュール別にグラフ化された全ての時点での、チンパンジーアデノウイルス1内にコードされたD123でワクチン接種され(群1)、同じものでブーストされた、又は高分子量可溶性タンパク質及び同じものでブーストされた場合(群2)、又はチンパンジーアデノウイルス1内にコードされたD123でのプライム、及び高分子量可溶性タンパク質でブーストされた(群3)動物において生成された相互抗体力価を示す。*p<0.0332、**p<0.0021、***p<0.002、****p<0.0001。
【
図4】実験群別にグラフ化された、チンパンジーアデノウイルス1内にコードされたD123でワクチン接種され(群1)、同じものでブーストされた、又は高分子量可溶性タンパク質及び同じものでブーストされた場合(群2)、又はチンパンジーアデノウイルス1内にコードされたD123でのプライム、及び高分子量可溶性タンパク質でブーストされた(群3)動物において生成された56日目の抗体応答曲線を示す。
【
図5】実験群別にグラフ化された、チンパンジーアデノウイルス1内にコードされたD123でワクチン接種され(群1)、同じものでブーストされた、又は高分子量可溶性タンパク質及び同じものでブーストされた場合(群2)、又はチンパンジーアデノウイルス1内にコードされたD123でのプライム、及び高分子量可溶性タンパク質でブーストされた(群3)動物において生成された56日目の抗体力価を示す。*p<0.0332、**p<0.0021、***p<0.002、****p<0.0001。
【
図6】56日目に生成された免疫血清がHCV細胞受容体CD81とE2受容体結合ドメインとの間の相互作用を阻害する能力を示す。免疫血清がE2のCD81への結合を50%(A)又は80%(B)阻害する能力を12点希釈曲線から計算した。*p<0.0332、**p<0.0021、***p<0.002、****p<0.0001。
【
図7】チンパンジーアデノウイルス1内にコードされたD123でワクチン接種され(群1)、同じものでブーストされた、又は高分子量可溶性タンパク質及び同じものでブーストされた場合(群2)、又はチンパンジーアデノウイルス1内にコードされたD123でのプライム、及び高分子量可溶性タンパク質でブーストされた(群3)動物において生成されたHCV E2の408~428領域に対する56日目の抗体力価を示す。*p<0.0332、**p<0.0021、***p<0.002、****p<0.0001。
【
図8】チンパンジーアデノウイルス1内にコードされたD123でワクチン接種され(群1)、同じものでブーストされた、又は高分子量可溶性タンパク質及び同じものでブーストされた場合(群2)、又はチンパンジーアデノウイルス1内にコードされたD123でのプライム、及び高分子量可溶性タンパク質でブーストされた(群3)動物において生成されたHCV E2の430~451領域に対する56日目の抗体力価を示す。*p<0.0332、**p<0.0021、***p<0.002、****p<0.0001。
【
図9】チンパンジーアデノウイルス1内にコードされたD123でワクチン接種され(群1)、同じものでブーストされた、又は高分子量可溶性タンパク質及び同じものでブーストされた場合(群2)、又はチンパンジーアデノウイルス1内にコードされたD123でのプライム、及び高分子量可溶性タンパク質でブーストされた(群3)動物において生成されたHCV E2の523~549領域に対する56日目の抗体力価を示す。*p<0.0332、**p<0.0021、***p<0.002、****p<0.0001。
【
図10】チンパンジーアデノウイルス1内にコードされたD123でワクチン接種され(群1)、同じものでブーストされた、又は高分子量可溶性タンパク質及び同じものでブーストされた場合(群2)、又はチンパンジーアデノウイルス1内にコードされたD123でのプライム、及び高分子量可溶性タンパク質でブーストされた(群3)動物における56日目の相同中和力価を示す。*p<0.0332、**p<0.0021、***p<0.002、****p<0.0001。
【
図11】チンパンジーアデノウイルス1内にコードされたD123でワクチン接種され(群1)、同じものでブーストされた、又は高分子量可溶性タンパク質及び同じものでブーストされた場合(群2)、又はチンパンジーアデノウイルス1内にコードされたD123でのプライム、及び高分子量可溶性タンパク質でブーストされた(群3)動物における遺伝子型3a HCVに対する56日目の異種中和力価を示す。
【
図12】チンパンジーアデノウイルス1内にコードされたD123でワクチン接種され(群1)、同じものでブーストされた、又は高分子量可溶性タンパク質及び同じものでブーストされた場合(群2)、又はチンパンジーアデノウイルス1内にコードされたD123でのプライム、及び高分子量可溶性タンパク質でブーストされた(群3)動物における遺伝子型5a HCVに対する56日目の異種中和力価を示す。
【
図13】チンパンジーアデノウイルス1内にコードされたD123でワクチン接種され(群1)、同じものでブーストされた、又は高分子量可溶性タンパク質及び同じものでブーストされた場合(群2)、又はチンパンジーアデノウイルス1内にコードされたD123でのプライム、及び高分子量可溶性タンパク質でブーストされた(群3)動物において56日目に生成された抗体のアイソタイプを示す。アイソタイプを、マウスアイソタイピングキットを使用して測定し、観察された総抗体アイソタイプに対する割合として表した。
【
図14】チンパンジーアデノウイルス1内にコードされたD123でワクチン接種され(群1)、同じものでブーストされた、又は高分子量可溶性タンパク質及び同じものでブーストされた場合(群2)、又はチンパンジーアデノウイルス1内にコードされたD123でのプライム、及び高分子量可溶性タンパク質でブーストされた(群3)動物において56日目に生成された抗体のアイソタイプを示す。アイソタイプを、マウスアイソタイピングキットを使用して測定し、観察された総抗体アイソタイプに対する割合として円グラフで表した。これは、円グラフに示される
図13に示されるものと同じデータである。
【
図15】チンパンジーアデノウイルス1内にコードされたD123でワクチン接種され(群1)、同じものでブーストされた、又は高分子量可溶性タンパク質及び同じものでブーストされた場合(群2)、又はチンパンジーアデノウイルス1内にコードされたD123でのプライム、及び高分子量可溶性タンパク質でブーストされた(群3)動物において56日目に生成された抗体のアイソタイプを比較する。アイソタイプを、マウスアイソタイピングキットを使用して測定し、総抗体アイソタイプに対する割合として表した。*p<0.033、**p<0.002、***p<0.001。
【
図16】例示のみを目的として、この研究において使用されるD123のタンパク質及びDNA配列を示す。
【
図17】チンパンジーアデノウイルス(ChAd又はChAdOx1)内にコードされたD123でワクチン接種され(群1)、同じものでブーストされた、又は高分子量可溶性タンパク質及び同じものでブーストされた場合(群2)、又はチンパンジーアデノウイルス内にコードされたD123でのプライム、及び高分子量可溶性タンパク質でブーストされた(群3)動物において生成されたHCV E2の遺伝子型3a(S52分離株)の408~428エピトープI領域、430~451エピトープII領域、及び523~549CD81結合ループ領域(エピトープIII)に対する56日目の交差反応性抗体力価を示す。*p<0.0332、**p<0.0021、***p<0.002、****p<0.0001。
【
図18】IgG1力価の関数として計算され、IgG1 log10力価をIgG2a log10力価で割ったもの(IgG1/IgG2a)として表示される免疫血清のIgG2a力価を示す。力価が低いほど、IgG2a対IgG1比は1:1に近くなり、IgG1のIgG2aへのクラススイッチングを示す。相互力価(1/IgG1:IgG2a)を、C/P/P及びP/P/Pを受けた動物由来の免疫血清のHCVpp ID50力価に対してプロットし、任意の相関を決定した。全てのバーは中央値であり、四分位範囲が表示されている。D’Agostino及びPearson検定を使用して、データ分布の正規性を決定し、複数の比較を伴うKruskal-Wallisを実施して、95%信頼区間での2つの群中央値間の有意差を決定した。P値は、<0.05*、<0.01**、<0.001***、<0.0001****の場合、群間の有意差を示す。IgG2aがIgG1力価の関数として(IgG1/IgG2a)発現された場合、ChAd-E2Δ123免疫血清(群1及び群3)は、E2Δ123
HMW免疫血清と比較して、有意に低い相互力価を有し、GCクラススイッチングの増加を示した(群1対群2について、p<0.0001****、群2対群3について、p=0.0014**)。E2Δ123
HMW免疫血清(群2及び3を合わせたもの)について、IgG1:IgG2aの相互力価は、HCVpp中和力価と正の相関がある(r=0.3974、p=0.0492)。
【
図19】機能的抗体指数を示した、全体のAb力価の関数としての免疫血清の相互ID50阻害力価を示す。機能的抗体指数を、CD81遮断として示されるE2-CD81阻害の両方について計算した。機能的抗体指数を、中和として示される相同偽型ウイルスのウイルス侵入の阻害について計算した。相互ID50力価(CD81阻害及びHCVpp)が全体のAb力価(機能的抗体指標)と関連して解釈される場合、ChAd-E2Δ123免疫血清(群1及び3)は、E2Δ123
HMW免疫血清と比較して有意に高い機能的指標を有し、総Ab力価に対して、ワクチンで誘導されたAb応答の中和能力が高いことを示した。
【
図20】E2D123の発現を駆動するために使用されるウイルスベクターの概略図を示す。A.ChAdOx1中のD123の発現カセットの概略図。B.ChAdOx1中のRBDの発現カセットの概略図。C.MVA中のD123の発現カセットの概略図。
【
図21】ChAd-E2Δ123プライム、続く4週目のMVA-E2Δ123ブーストを受けた動物の免疫化スケジュールを示す。ブーストの2週間後に動物を出血させ、抗体及びT細胞反応性を測定した。動物に、0週目のChAd-E2D123プライム(40uLの滅菌PBS中、10
8感染単位[IU])、続く4週目のMVA-E2D123(40uLの滅菌PBS中、10
7プラーク形成単位[PFU])を投与した。
【
図22】
図22Aは、
図21示すように、ChAd-E2Δ123/MVA-E2Δ123での免疫化に対して惹起した免疫血清の反応性を示す。免疫血清を、E2Δ123単量体に対してELISAにおいて評価した。免疫血清の連続希釈液をE2Δ123単量体コーティングプレートに適用し、ホースラディッシュペルオキシダーゼにコンジュゲートされた抗マウス免疫グロブリン及びTMD基質で結合された抗体を検出した。バックグラウンド結合の10倍を達成するために必要な相互力価を計算した。結果は、ChAd-E2Δ123/MVA-E2Δ123がE2に対して高い力価抗体反応性を生成することを示す。
図22Bは、56日目に生成された免疫血清がHCV細胞受容体CD81とE2受容体結合ドメインとの間の相互作用を阻害する能力を示す。免疫血清がE2のCD81への結合を50%阻害する能力を連続希釈曲線から計算した。結果は、ChAd-E2Δ123/MVA-E2Δ123が、相同E2とCD81との間の結合を阻害することができる高力価抗体を生成することを示す。
【
図23】
図23Aは、
図21示すように、ChAd-E2Δ123/MVA-E2Δ123での免疫化に対して惹起した免疫血清の、AS412(E2
408-428)、AS434(E2
430-451)、CD81結合ループ(E2
523-549)への反応性を示す。バックグラウンド結合の10倍を達成するために必要な相互力価を連続希釈曲線から計算した。結果は、全ての動物が、広域中和抗体の標的である3つの異なるエピトープに結合することができる抗体を生成したことを示す。
図23Bは、ChAd-E2Δ123/MVA-E2Δ123を惹起した免疫血清(
図21)の相同(G1a)及び異種(G3a)中和力価を示す。50%のウイルス侵入を阻害するために必要な免疫血清の相互力価を連続希釈曲線から計算した。結果は、7/10の動物が、Huh7細胞株への相同遺伝子型1aのC型肝炎ウイルスの侵入を防止することができる抗体を生成し、6/10の動物が、異種遺伝子型3aウイルスのHuh7肝臓細胞株への侵入を防止することができる抗体を生成したことを示す。検出限界は点線で示されている。
【
図24】
図21に示すように、ChAd-E2Δ123/MVA-E2Δ123で免疫化したマウスにおけるT細胞応答を示す。脾細胞を6週目に採取し、HCVプロテオーム(A及びC)の長さ及びペプチドプール(B及びD)についてカバーするHCVペプチド(11aa重複する15mer)を使用してエクスビボで刺激した。gt-1a(H77)、gt-1b(J4)、又はgt-3a(k3a650)について、Core-E1-E2、NS3-4、及びNS5。IFNg
+CD4
+(A及びB)及びIFNg
+CD8
+(C及びD)のT細胞頻度を、それぞれ総CD4
+T細胞頻度又はCD8
+T細胞頻度のパーセンテージとして、細胞内サイトカイン染色及びフローサイトメトリーによって決定した。全てのデータは、中央値及び四分位範囲としてプロットされる。結果は、coreE1E2領域内のエピトープ、おそらくE2に焦点を当て、動物が相同ペプチドに対するCD4+及びCD8+T細胞の両方を生成したことを示す。2/7の試験した動物が遺伝子型1bに対する交差反応性CD4+T細胞応答を保有したが、CD8+交差反応性は観察されなかった。
【
図25】
図21に示すように、ChAd-E2Δ123/MVA-E2Δ123で免疫化したマウスにおけるE2特異的T細胞応答を示す。脾細胞を6週目に採取し、E2領域の長さをカバーする遺伝子型1a(11aa重複する15mer)由来のE2ペプチドプールを使用してエクスビボで刺激した。データは、ChAd-E2Δ123/MVA-E2Δ123でワクチン接種したマウスが、E2特異的IFNg+T細胞を生成することを示す。
【
図26】
図21に示すように、ChAd-E2Δ123/MVA-E2Δ123で免疫化したマウスにおける多機能T細胞応答の分析を示す。産生されたサイトカイン、IFNg、TNFa、及びIL-2を検出するために、gt-1a(H77)についてのHCVプロテオームの長さをカバーするHCVペプチド(11aa重複する15mer)を使用して、脾細胞刺激後のICS及びフローサイトメトリーを介して、ワクチンで誘導されたT細胞の多機能性を決定した。円の基本は、中央値であり、Pestle及びSPICEソフトウェアを使用して計算されている。全てのデータは、中央値及び四分位範囲としてプロットされる。結果は、ChAd-E2Δ123/MVA-E2Δ123でのワクチン接種が、高度に多機能的なCD4+及びCD8+T細胞応答を生成することを示す。
【
図27-1】ChAdOx1-TPA-E2D123の例示的なヌクレオチド配列を提供する。
【
図28】ChAdOx1-TPA-E2D123のレイアウトマップを提供する。
【
図29-1】ChAdOx1ポリヌクレオチド配列5’からTPA-E2D123免疫原カセットを提供する。
【
図30】TPA-E2D123免疫原カセットのレイアウトを提供する。
【
図31-1】TPA-E2D123免疫原カセット配列、Tetオペレーター配列を有するCMVプロモーター、余剰配列、Kozak配列、TPA配列、TPAアミノ酸配列、E2D123配列、E2D123アミノ酸配列、余剰配列、ウシ成長ホルモン(BGH)ポリA配列を提供する。
【
図32-1】ChAdOx1配列5’からTPA-E2D123免疫原カセットのポリヌクレオチド配列を提供する。
【
図33】MVA-TPA-E2D123のポリヌクレオチド配列を提供する。
【
図34】MVA-TPA-E2D123のレイアウトを提供する。
【
図35-1】MVA-TTPA-E2D123の配列情報、F11-L-フランク配列、mH5プロモーター配列、TPA配列、TPAアミノ酸配列、E2D123配列、及びF11-R-フランク配列を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0079】
配列表への鍵
配列番号1 トリプシンリーダー配列を含むD123タンパク質配列。
配列番号2 ヒト発現のために最適化されたコドンのD123DNA配列。
配列番号3
図27~35からの配列情報。
【0080】
異種HCV遺伝子型に対する機能的B細胞応答を誘発することができる可変領域欠失HCV E2抗原を、HCV抗原をコードする核酸の形態で投与することができることが、本発明に従って同定されている。驚くべきことに、核酸分子は、レシピエントにおいて複数のHCV遺伝子型に対して機能的なB細胞応答を生じることができた。例示的な実施形態では、可変領域欠失HCV E2 RBDをコードする核酸は、ウイルスベクター中で投与された。マウスワクチン接種研究では、可変領域欠失HCV E2 RBDをコードするDNAが、タンパク質単独又はタンパク質とDNAとの組み合わせの投与と比較して最も低いレベルの抗体応答を生成したが、これらの抗体応答は、その細胞受容体CD81へのE2の結合を防止することによってなどの感染症を予防することができる最も高いレベルの機能的抗体を示したことが実証されている。DNAワクチンはまた、IgG1及びIgG2bのより強い刺激因子であり、ウイルス除去を補助する補体の強力な活性化因子であった。支持するデータを、実施例1及び
図1~
図16に示す。更なる支持するデータを、本明細書に記載の実施例2及び3並びに
図17~26に示す。本明細書は、ChAdD123でワクチン接種し、次いで2つのタンパク質ブーストした動物における交差反応性抗体特異性の生成(
図17)、並びにタンパク質単独と比較したChAdD123での3回のワクチン接種又はChAdD123でのプライム接種に続くHMW E2D123での2つのタンパク質ブーストのいずれかを受けた動物におけるより高いレベルの機能的抗体(
図19)のより多くの証拠を提供する。クラススイッチングの証拠は、B細胞応答の成熟を示す。ChAd-D123は、タンパク質ワクチン接種単独に対して異なるクラススイッチングを誘導するようであり、中和と相関する(
図18)。実施例3は、D123がまたMVAウイルスベクター中で送達され得るという証拠を記載する(
図20~26)。マウスをChAdD123でプライムし、次いでMVA-D123でブーストすることによって実験を実施した。動物は、E2に対する抗体を産生し(
図22A)、それはE2とCD8122bとの間の相互作用を阻害すし、3つ全ての主要な中和エピトープに指向された(
図23A)。抗体は、相同ウイルス(23B LHS)及び異種G3aウイルス(23B RHS)の両方に対して中和した。
【0081】
なお更に、G1aペプチドに対してCD4+T細胞応答が生成され、いくつかはG3aペプチドに対して交差反応性であった(
図24A)。CD4+T細胞応答は、CoreE1E2領域に指向されており(
図24B)、いくつかはG3aに交差反応性であった(
図24B)。G1aペプチドに対してCD8+T細胞応答が生成された(
図24A)。CD8+T細胞応答はCoreE1E2領域に指向された(
図24B)。全てのT細胞はE2ペプチドに指向された(
図25)。多機能的CD4+T細胞応答が生成され、主にTNFαを生成した3つのサイトカイン及びCD8+T細胞応答を生成した(
図26)。
【0082】
したがって、本明細書では、核酸ベースのワクチンの投与に基づいて、現在又は将来のHCV感染症に対して対象にワクチンを接種するための組成物及び方法が開示される。
【0083】
一態様では、本開示は、対象におけるHCV感染症を予防又は低減する方法であって、可変ドメイン欠失HCV E2タンパク質性分子をコードする核酸分子を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0084】
一態様では、本開示は、療法に使用するため、又はHCV感染症の治療若しくは予防のため、又は免疫応答を誘導するための、HCVの可変ドメイン欠失E2ポリペプチドをコードする核酸分子を含む組成物を提供し、核酸は、対象に投与され、可変ドメイン欠失E2タンパク質は、対象において産生され、HCVに対する機能的B細胞応答を含む免疫応答を生成する。
【0085】
したがって、一実施形態では、組成物は、宿主において、したがって宿主間のウイルス増殖を低減又は防止することができる有効な機能的B細胞応答を生じさせる、予防的又は治療的ワクチンとして使用するためのものである。
【0086】
したがって、一実施形態では、組成物は、宿主において、したがって宿主間のウイルス増殖を防止するためのワクチンとして使用するためのものである。
【0087】
「C型肝炎ウイルス」又は「HCV」は、フラビウイルス科のヘパシウイルス属に属する小型のエンベロープを有するプラスセンスの一本鎖RNAウイルスである。本明細書で使用される場合、その用語は、任意の遺伝子型のHCV、例えば、これらに限定されないが、HCV遺伝子型1(G1)、HCV遺伝子型2(G2)、HCV遺伝子型3(G3)、HCV遺伝子型4(G4)、HCV遺伝子型5(G5)、HCV遺伝子型6(G6)、HCV遺伝子型7(G7)、HCV遺伝子型8(G8)の株を指し、任意の亜型又は準種、例えば、亜型a、b、c、d、eなどを含み得る。HCVは、宿主細胞へのウイルス侵入に必要な2つの糖タンパク質E1及びE2をコードする。「HCV E2糖タンパク質」、「E2糖タンパク質」、「E2二量体」、「E2三量体」又は「E2」、「E2単量体」、「HCV E2」などの用語は、HCVの任意の遺伝子型又は単離物由来のE2糖タンパク質を含む。この用語は、完全長E2糖タンパク質の部分を含む天然に生じないバリアントを更に含み、例えば、受容体結合を媒介するか、又は立体構造及び/若しくは他のエピトープを認識する1つ以上の抗体による中和抗体結合を媒介するか、又はE1E2二量体形成を媒介するものを含む。
【0088】
HCV E2糖タンパク質は、約11個の主に保存されたN連結グリコシル化部位及び不安定なジスルフィドを形成する18個の保存されたシステインを含有する。受容体結合ドメイン(RBD)は、他のE1E2配列とは独立して折り畳まれ、NAb結合部位の大部分を含有する。RBDは、アミノ酸残基384~661(G1)までまたがっている。RBDは、残基661を超えて、E2の外部ドメインのC末端境界まで延びる可能性がある。E2 RBDの異種発現は、CD81と結合する能力を保持する可溶性タンパク質の分泌をもたらす。RBD内には、3つの高度可変領域又はHVR、HVR1(アミノ酸384~410)、HVR2(アミノ酸460~481)、及びigVR(遺伝子型間可変領域、570~580)が位置する(McCaffrey et al.J.Virol.81:9584-9590,2007)。可変領域は、基礎となる保存残基を遮蔽する免疫おとりとして機能するため、免疫回避において主要な役割を果たす。「免疫グロブリン中和面」又は「中和面」は、E2のCD81への結合を阻害する免疫グロブリンを生成するE2の面を指す。3つの可変領域は、それらが保存されたコアドメインの外側にあることを示すその天然の折り畳みを破壊することなく、RBDから同時に欠失させることができる。RBDは、本来、保存されたC末端ステムを介して膜貫通ドメインに連結している。X線結晶学及び電子顕微鏡法は、RBDコアがコンパクトな免疫グロブリン様折り畳みを採用することを明らかにした。全てのHCV株の主要な細胞受容体であるCD81の結合部位は、bNAbエピトープと重複する4つの高度に保存された表面に露出したセグメントを含む(Drummer et al,J.Virol.76:11143-11147,2002)。結晶構造は、以前に提案されたように、HVR2及びigVRが、ジスルフィド結合した表面に露出したループを形成することを裏付ける。
【0089】
HCV E2は、高い免疫原性であるが、HCV E2に対して産生された抗体のうち、感染症予防に有効なものはほとんどない。N末端HVR1に対して指向された抗体は、免疫優性であるが、HCVの異種株及び遺伝子型を中和する能力が制限された単離物特異的である。結果として、HVR1に対する抗体は、免疫逃避を駆動し、HVR1は、免疫おとりであることが提案されている。エピトープがCD81結合に関与する配列と重複する中和抗体は、概して、この領域における高程度の配列保存に起因して広域に中和するが、通常、感染症の慢性期中にのみ出現する。CD81結合を遮断するヒトNAbは、4つの免疫原性ドメイン内に位置するエピトープを認識する。HVR1特異的抗体は、CD81結合部位及びその中の保存されたNAbエピトープを遮蔽することができ、結合活性を競合し、ドメインEへのNAbの有効性を低減させる。非NAbの高い力価は、天然の免疫応答及びワクチンで生成された免疫応答の両方において生成され、CD81結合部位からE2の反対側の面に位置するドメインAにマッピングされる。これらの非NAbは免疫優性であり、E2-CD81結合を防止することができず、複数の遺伝子型に対して交差反応性であり、NAbの活性を妨げる。これらの研究は、HCVに対する効果的な保護抗体応答が、感染症を予防するために相乗的に作用する選択された抗体特異性の生成を必要とすることを明らかにした。
【0090】
本明細書で使用される場合、「CD81」は、分化クラスター81を指し、テトラスパニンスーパーファミリーの膜貫通タンパク質であり、種々のHCV株の主要な宿主細胞受容体である。
【0091】
本明細書で使用される場合、「Δ123E2」又はDelta123E2」は、McCaffrey et al.2012において概して記載されているとおり、HVR1、HVR2、及びigVR/VR3が除去又は欠失されており、任意選択で、リンカーで置き換えられているE2ポリペプチドを指す。一実施形態では、本発明は、E2Delta123をコードする核酸で示されており、可変ドメインコード領域の各々が除去されている。しかしながら、この実施形態は、最も有効である可能性が高いが、可変領域をコードするポリヌクレオチドのいくつかの部分領域又は部分は、可変領域を含む完全なままの対照E2ポリペプチドと比較して、保持され、依然として中和及び減少した非中和抗体応答を誘発し得ることが理解され、これらの実施形態は包含される。したがって、例えば、一実施形態では、総可変領域ポリヌクレオチド配列の1%~50%が保持され得、依然として本発明の範囲内であることが想定される。一実施形態では、30%未満、29%、28%、27%、26%、25%、24%、23%、22%、21%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、又は1%未満のE2可変ドメインポリヌクレオチドが保持される。一実施形態では、20%未満、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、又は1%未満のE2可変ドメインポリヌクレオチドが保持される。一実施形態では、10%未満、又は5%未満、4%、3%、2%、1%、又は1%未満のE2可変ドメインポリヌクレオチドが保持される。Δ123ポリペプチドは、CD81の結合能力を保持し、単量体、二量体、三量体、及び様々なオリゴマー形態で存在し得る。一実施形態では、HMW形態は、HMW1又はHMW2であり得る。本明細書で使用される場合、「HMW1」は、約2402kDaの分子量を有するΔ123のオリゴマー形態を指す。本明細書で使用される場合、「HMW2」は、約239.3kDaの分子量を有するΔ123のオリゴマー形態を指す。
【0092】
HCV E2糖タンパク質の一例示的な形態は、遺伝子型H77 laのアミノ酸384~661(E2661)又は別のHCV遺伝子型由来の対応する部分を含むE2糖タンパク質の受容体結合部分である。
【0093】
本明細書で使用される場合、「遺伝子型特異的抗体」は、単一のHCV遺伝子型又は2つの非常に類似した遺伝子型に結合する抗体を指す。当業者は、HCV遺伝子型が任意のHCV遺伝子型であり得ることを理解するであろう。一実施形態では、HCV遺伝子型は、G1、G2、G3、G4、G5、G6、及びG7のうちの1つ以上から選択される。
【0094】
一実施形態では、E2タンパク質は、E2661Δ123(AHVR123、本明細書ではΔ123、D123、AHVRl+2+3、D123E266i-his、DI23Ε2661、Δ123E2661及びΔ123E2661-hisとも称される)である。いくつかの実施形態では、Ε2661Δ123 E2は、可変領域1及び2並びにigVR(3)が、短いリンカーモチーフで置き換えられた(AHVR123)HCV H77cのアミノ酸384~661を含む。本発明の他の実施形態は、短いリンカーによって欠失又は置き換えられたHVR1、HVR2、又はigVRの任意の組み合わせを有するHCV E2タンパク質を含む。これらは、Δ1、Δ1,2(Δ12)、Δ2、Δ2,3(Δ23)、Δ3、及びΔ1,3(Δ13)と略すことができる。
【0095】
「単離された」及び「精製された」という用語は、その天然状態において通常それに付随する構成要素を実質的に又は本質的に含まない材料を意味する。例えば、「単離された核酸分子」は、天然に生じる状態でそれに隣接する配列から単離された核酸又はポリヌクレオチド、例えば、断片に通常隣接する配列から取り出されたDNA断片を指す。特に、単離されたHCV E2は、その天然の細胞環境、及び細胞の他の構成要素との会合からのタンパク質のインビトロ単離及び/又は精製を含む。限定されないが、単離された核酸、ポリヌクレオチド、ペプチド、又はポリペプチドは、精製によって単離される天然配列、又は組換え若しくは合成手段によって産生される配列を指し得る。
【0096】
本明細書で使用される場合、「広域中和抗体」は、免疫原/HCVの複数の遺伝子型又は亜型に対する交差保護を提供する抗体を指す。一実施形態では、広域中和抗体は、HCVの2つ以上の遺伝子型及び/又は亜型を認識する。一実施形態では、広域中和抗体は、少なくとも3つ、又は少なくとも4つ、又は少なくとも5つ、又は少なくとも6つ、又は少なくとも7つ、又は少なくとも8つのHCV遺伝子型を認識する。一実施形態では、HCV遺伝子型は、G1、G2、G3、G4、G5、G6、G7から選択される。一実施形態では、広域中和抗体は、3つのHCV遺伝子型に結合する。一実施形態では、広域中和抗体は、4つのHCV遺伝子型に結合する。一実施形態では、広域中和抗体は、5つのHCV遺伝子型に結合する。一実施形態では、広域中和抗体は、6つのHCV遺伝子型に結合する。一実施形態では、広域中和抗体は、7つのHCV遺伝子型に結合する。一実施形態では、広域中和抗体は、他のHCV遺伝子型に結合する。当業者は、広域中和抗体が、対象において発達するのに数週間又は数ヶ月を要し得ることを理解するであろう。
【0097】
本明細書に記載の核酸分子は、インビトロ転写されたRNA若しくは合成RNA、mRNA若しくはPNA、又はそれらの混合物を含む、DNA又はRNAなどの任意の形態であり得る。核酸には、ゲノムDNA、cDNA、mRNA、組換えによって産生され、化学的に合成された分子、及びそれらの修飾形態が含まれる。核酸分子は、一本鎖又は二本鎖であってもよく、直鎖又は環を形成するように共有結合で閉じられていてもよい。RNAは、安定化配列、キャッピング、及びポリアデニル化によって修飾され得る。RNA又はDNAであり、かつ抗原を発現し、免疫応答を誘導するためのプラスミドとして送達され得る。RNAベースのアプローチが、概して好ましく、これらは増幅又は非自己増幅構築物を含み得る。
【0098】
いくつかの実施形態では、一過性インビボトランスフェクションによって投与されるポリヌクレオチドは、化学修飾されたRNAであり、それは少なくとも1つの種類のヌクレオチド、例えば、シトシンの割合(例えば、10%、30%、50%、又は100%)がインビボでその安定性を増加させるように化学修飾されている。例えば、いくつかの場合でが、修飾されたシストシンは、5-メチルシトシンである。かかるポリヌクレオチドは、特にトランスフェクション/送達剤と組み合わせた場合に、インビボで細胞への送達/トランスフェクションに特に有用である。いくつか場合では、化学修飾されたRNAは、シストシンの大部分(例えば、全て)が5-メチルシトシンであり、ウラシルの大部分(例えば、全て)がプソイドウラシルである化学修飾されたRNAである。かかる修飾されたRNAの合成及び使用は、例えば、WO2011/130624に記載されている。DNA及びRNAポリヌクレオチドのインビボトランスフェクションのための方法は、例えば、Liuら(2015)及びYounら(2015)に要約されているように、当該技術分野で既知である。
【0099】
「RNA」という用語は、リボヌクレオチド残基を含み、好ましくは、完全に又は実質的にリボヌクレオチド残基からなる分子に関する。「リボヌクレオチド」は、β-D-リボフラノシル基の2’位にヒドロキシル基を有するヌクレオチドに関する。この用語は、二本鎖RNA、一本鎖RNA、部分的に精製されたRNAなどの単離されたRNA、本質的に純粋なRNA、合成RNA、組換えにより産生されたRNA、並びに1つ以上のヌクレオチドの付加、欠失、置換及び/又は変更によって天然に生じるRNAとは異なる修飾されたRNAを含む。かかる変更は、RNAの末端、又は内部、例えば、RNAの1つ以上のヌクレオチドなどでの非ヌクレオチド材料の付加を含み得る。RNA分子中のヌクレオチドはまた、天然に生じないヌクレオチド又は化学的に合成されたヌクレオチド又はデオキシヌクレオチドなどの非標準的なヌクレオチドを含み得る。これらの変更されたRNAは、天然に生じるRNAの類似体又は類似体と称され得る。
【0100】
したがって、一実施形態では、核酸コード領域のコード領域のG/C含量は、その特定の野生型コード配列、すなわち、修飾されていないmRNAのコード領域のG/C含量と比較して、修飾され、特に増加する。mRNAのコードされたアミノ酸配列は、特定の野生型mRNAのコードされたアミノ酸配列と比較して修飾されないことが好ましい。
【0101】
最適化されたmRNAベースの組成物は、当該技術分野で既知のように翻訳効率及び細胞内安定性を最適化する5’及び3’非翻訳領域(5’-UTR、3’-UTR)、並びに可変領域欠失HCV E2をコードするオープンリーディングフレームを含み得る。一実施形態では、キャップされていない5’-トリホスフェートの除去は、RNAをホスファターゼで処理することによって達成され得る。RNAは、その安定性を増加させ、及び/又は細胞傷害性を低減させるために、修飾されたリボヌクレオチドを有し得る。例えば、一実施形態では、RNAにおいて、5-メチルシチジンが、シチジンと部分的又は完全に置換される。代替的又は追加的に、プソイドウリジンが、ウリジンと部分的又は完全、好ましくは完全に置換される。これらの修飾はまた、RNAの翻訳を妨げ得る無差別な免疫不活性化を低減し得る。一実施形態では、「修飾」という用語は、5’キャップ又は5’キャップ類似体を有するRNAを提供することに関する。「5’キャップ」という用語は、mRNA分子の5’末端に見出されるキャップ構造を指し、概して、普通にはない5’から5’へのトリホスフェート連結を介してmRNAに接続したグアノシンヌクレオチドからなる。一実施形態では、このグアノシンは、7位でメチル化されている。「従来の5’キャップ」という用語は、天然に生じるRNA5’キャップ、好ましくは7-メチルグアノシンキャップを指す。「5’キャップ」という用語は、RNAキャップ構造に似ており、RNAを安定化し、及び/又はRNAの翻訳を増強する能力を有するように修飾される5’キャップ類似体を含む。5’キャップ又は5’キャップ類似体を有するRNAの提供は、当該5’キャップ又は5’キャップ類似体の存在下でのDNA鋳型のインビトロ転写によって達成され得、当該5’キャップは、生成されたRNA鎖に同時転写的に組み込まれるか、又はRNAは、例えば、インビトロ転写によって生成され得、5’キャップは、例えば、ワクシニアウイルスのキャッピング酵素を使用して、転写後のRNAに結合され得る。
【0102】
RNAの更なる修飾は、X領域尾部などの天然に生じるUTRの伸長若しくは切断、又は当該RNAのコード領域に関連しないUTRの導入などの5’若しくは3’非翻訳領域(UTR)の変更、例えば、アルファ2-グロビン、アルファ-グロビン、ベータ-グロビンなどのグロビン遺伝子に由来する1つ以上、好ましくは2つのコピーの3’-UTRとの既存の3’-UTRの交換又は挿入であり得る。マスクされていないポリA配列を有するRNAは、マスクされたポリA配列を有するRNAよりも効率的に翻訳される。
【0103】
「ポリ(A)尾部」又は「ポリA配列」という用語は、RNA分子の3’末端に位置し得るアデニル(A)残基の配列に関するものであり、「マスクされていないポリA配列」とは、RNA分子の3’末端のポリA配列がポリA配列のAで終わり、ポリA配列の3’末端、すなわち下流に位置するA以外のヌクレオチドが続かないことを意味する。更に、約120塩基対の長いポリA配列は、RNAの最適な転写安定性及び翻訳効率をもたらす。
【0104】
したがって、RNAの安定性及び/又は発現を増加させるために、好ましくは10~500、より好ましくは30~300、更により好ましくは65~200、及び特に100~150のアデノシン残基の長さを有する異種ポリA配列と併せて存在するように修飾され得る。特に好ましい実施形態では、ポリA配列は、約120個のアデノシン残基の長さを有する。本発明に従って使用されるRNAの安定性及び/又は発現を更に増加させるために、ポリA配列は、マスクされなくてもよい。
【0105】
加えて、3’非翻訳領域(UTR)をRNA分子の3’非翻訳領域に組み込むことにより、翻訳効率の向上がもたらされ得る。相乗効果は、かかる3’非翻訳領域のうちの2つ以上を組み込むことによって達成され得る。3’非翻訳領域は、それらが導入されるRNAに対して自己又は異種であり得る。特定の一実施形態では、3’非翻訳領域は、ヒトβ-グロビン遺伝子に由来する。
【0106】
上述の修飾の組み合わせ、すなわち、任意選択でのポリA配列の組み込み、ポリA配列のマスキングなし、及び1つ以上の3’非翻訳領域の組み込みは、RNAの安定性及び翻訳効率の増加に相乗的に影響する。
【0107】
RNAの発現を増加させるために、GC含有量を増加させて、mRNA安定性を増加させ、コドン最適化を行い、したがって、細胞内の翻訳を向上させるために、コード領域内を修飾し得る。修飾されたmRNAは、酵素的に合成され、脂質ナノ粒子などのナノ粒子にパッケージ化され、例えば、筋肉内で投与され得る。自己複製RNA又はプロタミン複合体化RNAアプローチはまた、ウイルス感染に対する免疫応答を生成することが示されている。
【0108】
核酸分子は、例えば、コアセルベーション技法によって、又は界面重合によって調製されたマイクロカプセル、コロイド薬物送達系(例えば、リポソーム、マイクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子、及びナノカプセル)、又はマクロエマルジョンに封入され得る。かかる技法は当該技術分野で既知であり、Remington,the Science and Practice of Pharmacy,20th Edition,Remington,J.,ed.(2000)に開示されている。
【0109】
ナノ粒子又はコロイド系としての核酸の全身投与のための様々なアプローチが既知である。非ウイルスアプローチでは、カチオン性リポソームを使用して、DNA/RNA凝縮を誘導し、細胞の取り込みを促進する。カチオン性リポソームは、通常、DOTAPのようなカチオン性脂質、及びDOPEのような1つ以上のヘルパー脂質からなる。いわゆる「リポプレックス」は、カチオン性(正に帯電した)リポソーム及びアニオン性(負に帯電した)核酸から形成することができる。最も単純な場合、リポプレックスは、特定の混合プロトコルで核酸とリポソームとを混合することによって自発的に形成されるが、様々な他のプロトコルが適用されてもよい。一実施形態では、RNAリポプレックスなどのナノ粒子RNA製剤は、定義された粒子サイズで産生され、粒子の正味電荷はゼロ又は負に近い。例えば、RNA及びリポソームからの電気的に中性又は負に荷電したリポプレックスは、WO2013/143683に開示されているように、全身投与後に脾臓又は免疫細胞において実質的なRNA発現をもたらす。一実施形態では、ナノ粒子は、少なくとも1つの脂質を含む。一実施形態では、ナノ粒子は、少なくとも1つのカチオン性脂質を含む。カチオン性脂質は、モノカチオン性又はポリカチオン性であり得る。任意のカチオン性両親媒性分子、例えば、少なくとも1つの親水性及び親油性部分を含む分子は、本発明の意味の範囲内のカチオン性脂質である。一実施形態では、正電荷は、少なくとも1つのカチオン性脂質によって寄与され、負電荷は、RNAによって寄与される。一実施形態では、ナノ粒子は、少なくとも1つのヘルパー脂質を含む。ヘルパー脂質は、中性又は陰イオン性脂質であり得る。ヘルパー脂質は、リン脂質若しくは天然脂質の類似体などの天然脂質、又は天然脂質との類似性を有さない完全に合成された脂質若しくは脂質様分子であり得る。一実施形態では、カチオン性脂質及び/又はヘルパー脂質は、二重層形成脂質である。
【0110】
一実施形態では、少なくとも1つのカチオン性脂質は、l,2-ジ-0-オクタデセニル-3-トリメチルアンモニウムプロパン(DOTMA)若しくはその類似体若しくは誘導体、及び/又は1,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(DOTAP)若しくはその類似体若しくは誘導体を含む。
一実施形態では、少なくとも1つのヘルパー脂質は、1,2-ジ(9Z-オクタデセノイル)-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)若しくはその類似体若しくは誘導体、コレステロール(Choi)若しくはその類似体若しくは誘導体、及び/又はl,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)若しくはその類似体若しくは誘導体を含む。
【0111】
一実施形態では、少なくとも1つのカチオン性脂質と少なくとも1つのヘルパー脂質とのモル比は、10:0~3:7、好ましくは9:1~3:7、4:1~1:2、4:1~2:3、7:3~1:1、又は2:1~1:1、好ましくは約1:1である。一実施形態では、この比率において、カチオン性脂質のモル量は、カチオン性脂質のモル量にカチオン性脂質内の正電荷の数を乗じて得られる。本明細書に記載のナノ粒子において、脂質は、RNAと複合体を形成し得、及び/又はRNAを封入し得る。一実施形態では、ナノ粒子は、リポプレックス又はリポソームを含む。一実施形態では、脂質は、当該RNAを封入する小胞に含まれる。小胞は、多層小胞、単層小胞、又はそれらの混合物であり得る。小胞は、リポソームであり得る。
【0112】
抗原コード配列は、任意の好適なベクターに挿入され得る。ベクターの目的は、少なくとも一実施形態では、コード核酸を宿主環境に送達し、タンパク質発現及び宿主免疫応答への提示を促進することである。ベクターは、複製であり得るか、又は非複製であり得る。
【0113】
本明細書で使用される「ベクター」という用語は、抗原コード配列が少なくとも挿入される任意の送達部分を含み、これには、プラスミドベクター、コスミドベクター、ラムダファージなどのファージベクター、ウイルス様粒子、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、アルファウイルス、フラビウイルス、単純ヘルペスウイルス(HSV)、麻疹ウイルス、CMV、ラブドウイルス、レトロウイルス、レンチウイルス、ニューカッスル病ウイルス(NDV)、ポックスウイルス、及びピコルナウイルスなどのウイルスベクター若しくはバキュロウイルスベクター、又は細菌人工染色体(BAC)、酵母人工染色体(YAC)、若しくはPI人工染色体(PAC)などの人工染色体ベクターが含まれる。ベクターは、発現ベクター及びクローニングベクターを含む。発現ベクターは、プラスミド及びウイルスベクターを含み、概して、所望のコード配列及び特定の宿主生物(例えば、細菌、酵母、植物、昆虫、又は哺乳動物)又はインビトロ発現系において作動可能に連結されたコード配列の発現に必要な適切なDNA配列を含む。クローニングベクターは、概して、特定の所望のDNA断片を操作及び増幅するために使用され、所望のDNA断片の発現に必要な機能的配列を欠いていてもよい。
【0114】
発現ベクターは、概して、E2ポリペプチドをコードする核酸分子に作動可能に連結された転写及び翻訳調節核酸を含む。この文脈における「作動可能に連結された」とは、転写及び翻訳調節DNAが、転写が開始されるような様式で、E2ポリペプチドのコード配列に対して位置付けられることを意味する。概して、これは、プロモーター及び転写開始又は開始配列がタンパク質コード領域に対して5’に配置されることを意味する。転写及び翻訳調節核酸は、概して、外来タンパク質を発現するために使用される細胞に適切であり、例えば、哺乳動物細胞、特にヒト由来の転写及び翻訳調節核酸配列は、好ましくは、哺乳動物及びヒトにおいてタンパク質を発現するために使用される。多数の種類の適切な発現ベクター、及び好適な制御配列が当該技術分野で既知である。
【0115】
ウイルスベクターは、修飾されたワクシニアアンカラ(MVA)を含み得る。ウイルスベクターは、プライムブーストレジメンにおいてワクチンブーストとして使用する場合、MVAを含み得る。ウイルスベクターは、アデノ随伴ウイルス(AAV)又はレンチウイルスを含み得る。ウイルスベクターは、弱毒化ウイルスベクターであり得る。
【0116】
別段に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと類似又は同等のあらゆる材料及び方法を使用して、本開示を実践又は試験することができる。実践者は、特に、当技術分野の定義及び用語並びに当業者に既知の他の方法について、及びAusubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology,Supplement 47,John Wiley & Sons,New York,1999、Colowick and Kaplan,eds.,Methods In Enzymology,Academic Press,Inc.、Weir and Blackwell,eds.,Handbook of Experimental Immunology,Vols.I-IV,Blackwell Scientific Publications,1986、Remington,the Science and Practice of Pharmacy,20th Edition,Remington,J.,ed.(2000)に指示されている。
【0117】
別の実施形態では、組成物は、薬学的又は生理学的に許容される担体又は希釈剤を更に含む。
【0118】
医薬組成物は、従来の薬学的配合技法に従って好都合に調製される。例えば、Remington,the Science and Practice of Pharmacy,20th Edition,Remington,J.,ed.(2000)以降の版を参照されたい。これらの組成物は、活性物質のうちの1つに加えて、薬学的に許容される賦形剤、担体、緩衝剤、安定剤、又は当該技術分野において周知の他の物質を含み得る。かかる材料は無毒である必要があり、有効成分の有効性を妨げてはならない。担体は、例えば、静脈内、経口又は非経口の投与に所望される調製物の形態に応じて多種多様な形態をとり得る。
【0119】
本明細書に記載のワクチン組成物は、他のワクチン又は治療と組み合わせ得る。既存の抗HCV薬物治療は、非常に効果的であり、当該技術分野で既知である。例えば、チェックポイント阻害剤による、又は他のアジュバント型分子を含むことによる免疫応答を改善する薬剤は、主題のワクチンと組み合わせて使用することが企図される。
【0120】
一実施形態では、核酸分子は、アジュバントと組み合わせて投与される。
【0121】
一実施形態では、核酸分子は、従来使用されてきたワクチンアジュバントなしで投与される。
【0122】
1つ以上のアジュバントとの混合物として投与する場合、免疫原に対する免疫応答を増強することができる。免疫アジュバントは、典型的には、以下の方法のうちの1つ以上で機能する:(1)免疫調節(2)強化された提示(3)CTL産生(4)標的化、及び/又は(5)デポ生成。
【0123】
含んでもよく、又は含まなくてもよい例示的なアジュバントとしては、粒子状又は非粒子状アジュバント、完全フロイントアジュバント(CFA)、アルミニウム塩、エマルジョン、ISCOMS、MPLなどのLPS誘導体、及び3D-MPL、GLA、及びAGPなどのそれらの誘導体、ムラミルジペプチド又はムラミルトリペプチドなどのマイコバクテリア由来タンパク質、QS21、QS7、及びISCOPREP(商標)サポニンなどのQuillaja saponaria由来の特定のサポニン、ISCOMATRIX(商標)アジュバント、並びにサイモシンα1などのペプチドが挙げられる。サポニン構成要素に加えて、アジュバントは、ベータ-シトステロール、スチグマステロール、エルゴステロール、エルゴカルシフェロール、及びコレステロールなどのステロールを含み得る。いくつかの実施形態では、アジュバントは、例えば、スクアレン、アルファ-トコフェロール、及び界面活性剤(例えば、W095/17210を参照されたい)を含む水中油エマルジョンの形態で、又はリポソームの形態で提示される。「リポソーム」という用語は、本明細書で使用される場合、水性内部を囲む単一又は多層脂質構造を指す。リポソーム及びリポソーム製剤は、当技術分野で周知である。リポソーム提示は、例えば、WO96/33739及びWO2007/068907に記載されている。リポソームを形成することができる脂質には、脂肪又は脂肪様の特性を有する全ての物質が含まれる。動的レーザー光散乱は、当業者に周知のリポソームのサイズを測定するために使用される方法である。アジュバントの詳細な説明は、Cox and Coulter,“Advances in Adjuvant Technology and Application”,in Animal Parasite Control Utilizing Biotechnology,Chapter 4,Ed.Young,W.K.,CRC Press 1992,and in Cox and Coulter,Vaccine 15(3):248-256,1997に見出すことができる。
【0124】
これらの実施形態によれば、組成物は、概して、機能的E2特異的抗体の生成を含む免疫応答を誘発するのに十分な時間及び条件下で投与される。本発明の組成物は、単回用量又は適用として投与され得る。代替的には、組成物は、反復投与又は適用を伴ってもよく、例えば、組成物は、2、3、4、5、6、7、8、9、10回又はそれよりも多く投与され得る。
【0125】
本出願によって企図されるワクチン接種レジメンの例は以下のとおりである。最初のワクチン接種の後、対象は、典型的には、2~4週間の間隔、例えば、3週間の間隔の後にブーストを受け、任意選択で、反復ブーストを受ける。
【0126】
いくつかの実施形態では、核酸ワクチン接種対象は、補体を活性化し、補体媒介機序を介してウイルスを除去する能力を示すIgG1及び/又はIgG3抗体の存在について試験される。一実施形態では、ワクチン接種された対象は、ワクチン接種された対象が非機能的抗体ではなく機能的抗体応答を産生する能力を示すIgG2a、3及び/又はIgMの存在について試験される。
【0127】
いくつかの実施形態では、インビボで発現されたE2ポリペプチドに対して生成された抗体は、宿主細胞侵入又はウイルス出芽などのHCVライフサイクルの重要な部分を少なくとも部分的又は実質的に中和する抗体を含む。機能的抗体は、食作用又は細胞傷害性、又は補体媒介除去を促進することによって、そのライフサイクル遮断効果を示し得る。
【0128】
一実施形態では、本明細書は、HCV感染症の治療又は予防のための、核酸ベースの医薬品における、又はその製造における、HCVの可変ドメイン欠失E2ポリペプチドをコードする核酸分子の使用について提供する。「製造」という用語は、産生又はスクリーニングを含む。
【0129】
別の実施形態では、本開示は、対象又は患者における体液性免疫応答を誘発する方法を提供し、本方法は、HCVの可変ドメイン欠失E2ポリペプチドを発現することができる核酸分子の有効量を対象に投与することを含む。
【0130】
一実施形態では、可変欠失E2は、Delta123である。一実施形態では、E2 Delta 123などの可変欠失E2は、C581~C620から選択される少なくとも4つの変異又は破壊されたシステインを有する。
【0131】
関連する態様では、本開示は、対象の集団にHCVに対するワクチン接種する方法であって、HCVの可変ドメイン欠失E2ポリペプチドを発現することができる核酸分子の有効量を対象に投与することを含み、ワクチンは、例えば、
図6に示されるような機能的抗体力価における対象間の可変性によって、又は
図7若しくは
図8若しくは
図9に示されるようなペプチド結合によって測定可能な集団内で実質的に均一な抗体応答を産生する、方法を提供する。
【0132】
関連する実施形態では、本発明は、対象におけるC型肝炎感染症を治療するための、又は対象をC型肝炎感染症に対して免疫化するための方法であって、HCVの可変ドメイン欠失E2ポリペプチドをコードする核酸分子を含む組成物の有効量を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0133】
本明細書で使用される「治療有効量」及び「予防有効量」を含む「有効量」という用語は、少なくともいくつかの対象において所望の治療効果、予防効果、又は生理学的効果を提供する、単回用量、又は一連の若しくは徐放系の一部のいずれかとしての本発明の組成物の十分な量を意味する。望ましくない効果、例えば、副作用は、時には所望の治療効果とともに現れることがあり、したがって、実践者は、適切な「有効量」を決定する際に潜在的な利益と潜在的なリスクとのバランスを取る。
【0134】
必要とされる組成物の正確な量は、対象の種、年齢及び全身状態、投与様式などに応じて、対象ごとに変化するだろう。したがって、正確な「有効量」を特定することができない場合がある。しかしながら、任意の個々の場合における適切な「有効量」は、日常的な技術又は実験を使用して、当業者によって決定され得る。当業者であれば、組成物又は他の薬剤の以前の投与、対象のサイズ、対象の症状の重症度、又は感染集団における症状の重症度、ウイルス量、及び選択される特定の組成物又は投与経路などのかかる因子に基づいて、必要量を決定することができるであろう。
【0135】
「治療」という用語は、少なくともいくつかの対象におけるHCVの1つ以上の症状、又はHCVの進行症状の発症のリスク、又はHCVの伝染のリスクの測定可能又は統計学的に有意な改善を指す。
【0136】
「予防(prevention)」及び「予防(prophylaxis)」などの用語は、互換的に使用され、後続の感染症を予防若しくは減弱させる、又は感染するリスクを低減させる、又はHCV感染症に関連する状態若しくは状態の徴候の重症度若しくは発症を低減させる目的で、HCVに感染したことが知られていない対象に本発明の組成物を投与することを含む。
【0137】
ワクチン組成物の投与は、概して、予防目的である。組成物の予防的投与は、任意の後続の感染症を予防又は減弱させる役割を果たす。「薬理学的に許容される」組成物は、レシピエント患者によって容認される組成物である。有効量のワクチンが投与されることが企図される。「有効量」は、ライフサイクルの少なくとも1つの段階を遮断するのに十分な体液性免疫を誘導するような所望の生物学的効果を達成するのに十分な量である。これは、ワクチンの種類、レシピエントの年齢、性別、健康、及び体重に依存し得る。所望の生物学的効果の例として、無症状の産生、症状の低減、組織又は鼻腔分泌物中のウイルス力価の低減、C型肝炎ウイルスによる感染症に対する完全な保護、及びC型肝炎ウイルスによる感染症に対する部分的な保護、集団免疫の改善、肝炎、肝細胞がんなどの慢性感染症の結果に対する保護が挙げられるが、これらに限定されない。
【0138】
典型的には、ウイルスベクターの場合、約5×107~5×1012個のウイルス粒子、典型的には、約5×109~5×1010個のウイルス粒子が投与される。
【0139】
Delta123HCV E2をコードする活性剤mRNAに好適な用量は、これに限定されるものではないが、患者当たり約10ng~1g、100ng~100mg、1マイクログラム~10マイクログラム、又は30~300マイクログラムのmRNAの範囲であり得る。一実施形態では、組成物は、それに応じて、1回用量、2回用量、3回用量、又は更に多くの用量を含むように製剤化される。
【0140】
HVC E2をコードする核酸分子の静脈内投与に好適な投薬量範囲は、概して約0.001~10マイクログラムの核酸である。鼻腔内投与に好適な投薬量範囲は、概して、約0.01pg/kg体重~10mg/kg体重である。有効用量は、インビトロ又は動物モデル試験系に由来する用量応答曲線から推定することができる。坐剤は、概して、0.5重量%~10重量%の範囲の活性成分を含有し、経口組成物は、好ましくは、10%~95%の活性成分を含有する。
【0141】
いくつかの態様では、核酸ワクチンの投与及び/又はブースター投与は、繰り返されてもよく、かかる投与は、少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、10日、15日、30日、45日、2ヶ月、75日、例えば1~5日、1~10日、5~15日、10~20日、15~25日、20~30日、25~35日、30~50日、40~60日、50~70日、1~75日、又は1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、又は少なくとも6、7、8、9、10、11、12ヶ月、18ヶ月、24ヶ月、30ヶ月、36ヶ月、1年、2年、3年、5年、10年、15年、20年、30年、40年、50年、60年、又はそれ以上、隔ててもよい。特定の態様では、本発明のワクチンは、対象に単回用量として年に1回投与され得る。
【0142】
特定の態様では、核酸ワクチンは、直接的な抗ウイルス薬治療の投与前に、例えば、抗ウイルス薬療法の少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、10日、15日、30日、45日、2ヶ月、75日、例えば1~5日、1~10日、5~15日、10~20日、15~25日、20~30日、25~35日、30~50日、40~60日、50~70日、1~75日、又は1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、又は少なくとも6、7、8、9、10、11、若しくは12ヶ月前に、感染した対象に少なくとも1回、好ましくは2回以上投与され得る。次いで、第2の又は更なる用量は、治療の前に、治療と同時に又は治療の後に直接投与され得る。
【0143】
いくつかの実施形態では、本発明のワクチン又は組成物は、その存在が、感染性C型肝炎ウイルスの少なくとも1つの株に対する少なくとも1つの一次又は二次体液性応答を増強するか、又はその増強を示すレシピエント患者の生理学における検出可能な変化をもたらす場合、生理学的に有意である。ワクチン組成物は、ウイルス感染症から保護するために投与される。「保護」は絶対的である必要はなく、すなわち、対照集団又は患者のセットと比較して統計学的に有意な改善がある場合、C型肝炎感染症を完全に予防又は根絶する必要はない。保護は、C型肝炎ウイルス感染症の症状の発症の重症度又は急速さを低減することに限定されてもよい。
【0144】
一実施形態では、本発明のワクチン組成物は、感染症の発症前(予想される感染症を予防又は減弱させるため)又は感染症の開始後のいずれかに対象に提供され、それによってウイルス感染症から保護される。いくつかの実施形態では、本発明のワクチン組成物は、対象間のウイルス伝染を低減させるために、感染症の発症の前又は後に対象に提供される。
【0145】
本発明の組成物は、唯一の活性薬剤として投与され得るか、又は1つ以上の薬剤と組み合わせて使用して、C型肝炎感染症又はHCV感染症に関連する症状を治療又は予防することができることが更に理解されるであろう。本発明の組成物又は組成物の組み合わせと組み合わせて投与される他の薬剤は、HCV感染症によって引き起こされる疾患のための療法、又は直接的若しくは間接的な機序によってHCVウイルス複製を抑制する療法を含む。これらの薬剤には、宿主免疫調節剤(例えば、インターフェロンアルファ、PEG化インターフェロンアルファ、コンセンサスインターフェロン、インターフェロンベータ、インターフェロンガンマ、CpGオリゴヌクレオチドなど);イノシン一リン酸デヒドロゲナーゼなどの宿主細胞機能を阻害する抗ウイルス化合物(例えば、リバビリンなど);免疫機能を調節するサイトカイン(例えば、インターロイキン2、インターロイキン6、及びインターロイキン12);1型ヘルパーT細胞応答の発達を増強する化合物;干渉RNA;アンチセンスRNA;HCV抗原又はHCVに対して指向された抗原アジュバントの組み合わせを含むワクチン;宿主細胞成分と相互作用して、HCVウイルス複製の内部リボソーム侵入部位(IRES)開始翻訳ステップを阻害することによってウイルスタンパク質合成を遮断するか、又は膜タンパク質のビロポリンファミリーを標的とする薬剤でウイルス粒子の成熟及び放出を遮断する、薬剤、例えば、HCV P7など;並びに、NS3 NS4Aプロテアーゼ、NS3ヘリカーゼ、NS5Bポリメラーゼ、NS4Aタンパク質、及びNS5Aタンパク質の阻害剤など、ウイルス複製に関与するウイルスゲノムの他のタンパク質を標的とすることによってHCVの複製を阻害し、及び/又は他のウイルス標的の機能を妨害する任意の薬剤又は薬剤の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0146】
更に別の実施形態によれば、本発明の医薬組成物は、ヘリカーゼ、ポリメラーゼ、メタロプロテアーゼ、NS4Aタンパク質、NS5Aタンパク質、及び内部リボソーム侵入部位(IRES)を含むがこれらに限定されない、HCVライフサイクルにおける標的の他の阻害剤を更に含み得る。
【0147】
投与は、概して、機能的E2特異的抗体の生成を含む免疫応答を誘発するのに十分な時間及び条件下である。免疫原性組成物は、肺、経口、静脈内(水溶性である場合)、腹腔内、筋肉内、皮下、皮内、髄腔内、若しくは坐剤経路、又は移植(例えば、徐放、製剤を使用する)などの好都合な方法で投与され得る。投与は、全身又は局所であってもよいが、全身の方が好都合である。他の企図される投与経路は、パッチ、細胞移植、インプラント、舌下、眼内、局所、経口、直腸、膣、経鼻、又は経皮によるものである。投与は、インビボ又はエクスビボ、インビトロであり得る。エレクトロポレーション、遺伝子ガン、超音波又は高圧注射を利用する方法を、例えば、細胞へのヌクレオチドの直接送達のために適用し得る。
【0148】
本明細書で使用される場合、「免疫応答」は、抗体を作製し、組成物に対する免疫を発達させることを含む、本発明の組成物の存在に対する身体全体の反応を指す。したがって、抗原に対する免疫応答はまた、目的の抗原に対する体液性免疫応答及び/又は細胞性免疫応答の対象における発達も含む。「体液性免疫応答」は、形質細胞によって産生された抗体によって媒介される。「細胞性免疫応答」は、Tリンパ球及び/又は他の白血球によって媒介される免疫応答である。
【0149】
本発明の実施形態はまた、組成物に対する機能的免疫応答を評価するためのアッセイを提供する。アッセイは、抗体応答及び遅延型過感受性応答を測定するアッセイなどのインビボアッセイを含み得る。一実施形態では、抗体応答を測定するためのアッセイは、主にB細胞機能及びB細胞/T細胞相互作用を測定し得る。抗体応答アッセイについて、血液中の抗体力価は、抗原性チャレンジ後に比較され得る。これらのレベルは、例えば、IgG、IgGl、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA、又はIgDのような抗体の型に従って定量され得る。また、抗原刺激なしの血液中の抗体及びリンパ球のレベルを決定することによって、免疫系の発達を評価し得る。
【0150】
また、一実施形態では、表現型細胞アッセイを実施して、特定の細胞型の頻度を決定し得る。末梢血液細胞計数は、血液中のリンパ球又はマクロファージの数を決定するために実施され得る。CD4細胞数及びCD4/CD8比を決定する非限定的な例として、抗体を使用して末梢血リンパ球をスクリーニングして、特定の抗原を発現する細胞のパーセントを決定し得る。
【0151】
これらの実施形態によれば、組成物は、概して、E2特異的抗体又は機能的免疫応答、補体活性化、食作用及び細胞傷害性などの生成を含む免疫応答を誘発するのに十分な時間及び条件下で投与される。本発明の組成物は、単回用量又は適用として投与され得る。代替的には、組成物は、反復投与又は適用を伴ってもよく、例えば、組成物は、2、3、4、5、6、7、8、9、10回又はそれよりも多く投与され得る。複数の投与は、2ヶ月以上の間隔又はより頻繁に投与され得る。
【0152】
「薬学的に許容される担体及び/又は希釈剤」は、その他の点で望ましくないものではない、すなわち、それ自体又は活性組成物との実質的な有害反応を引き起こす可能性が低い材料からなる薬学的ビヒクルである。担体は、全ての溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、張性を調整する、吸収率又は除去率の増加又は減少するための薬剤、pHを維持するための緩衝剤、キレート剤、膜又はバリア横断剤を含み得る。薬学的に許容される塩は、その他の点で望ましくないものではない塩である。薬剤又は薬剤を含む組成物は、酸付加塩又は金属錯体などの薬学的に許容される非毒性塩の形態で投与され得る。
【0153】
経口投与のために、組成物は、カプセル、丸薬、錠剤、ロゼンジ、粉末、懸濁液、又はエマルジョンなどの固体又は液体製剤に製剤化され得る。経口剤形の組成物の調製では、経口液体調製物(例えば、懸濁液、エリキシル剤、及び溶液など)の場合は、例えば、水、グリコール、油、アルコール、香味剤、保存剤、着色剤、懸濁化剤、又は経口固体調製物(例えば、粉末、カプセル、及び錠剤など)の場合は、デンプン、糖、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などの担体などの通常の医薬媒体のうちのいずれかを用いてもよい。錠剤及びカプセルは、それらの投与の容易さのために、最も有利な単位経口剤形を表し、その場合、固体薬学的担体が明らかに用いられる。錠剤は、トラガカント、トウモロコシデンプン若しくはゼラチンなどの結合剤、アルギン酸などの崩壊剤、及びステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤を含有し得る。所望の場合、錠剤は、標準的な技法によって糖コーティング又は腸溶性コーティングされ得る。活性組成物は、消化管を通過するのを安定させるために封入され得る。例えば、国際特許出願公開第96/11698号を参照されたい。
【0154】
非経口投与の場合、組成物は担体に溶解され、溶液又は懸濁液として投与され得る。経粘膜又は経皮(パッチを含む)送達の場合、組成物を送達するために当該技術分野で既知の適切な浸透剤が使用される。吸入の場合、乾燥粉末エアロゾル、液体送達系、エアジェットネブライザー、推進剤系などの任意の好都合な系を使用する。例えば、製剤は、エアロゾル又はミストの形態で投与され得る。組成物はまた、持続送達又は持続放出形式で送達され得る。例えば、生分解性微粒子若しくはカプセル、又は持続的送達が可能な他のポリマー構成が製剤に含まれ得る。製剤は、薬物動態及び生体分布を変化させるように修飾され得る。薬物動態学の一般的な議論については、例えば、Remingtonのもの(上記)を参照されたい。いくつかの実施形態では、製剤は、リポソーム又はミセルなどの脂質単層又は二重層に組み込まれ得る。当該技術分野で既知の標的療法を使用して、薬剤をより特異的に特定の種類の細胞又は組織に送達し得る。
【0155】
投与される活性剤の実際の量、及び投与の速度及び時間経過は、疾患の性質及び重症度に依存するであろう。治療の処方、例えば、投薬量、タイミングなどの決定は一般医師又は専門医の責任の範囲内であり、典型的には、個々の患者の状態、送達部位、投与の方法、及び医師に既知の他の因子を考慮に入れる。技法及びプロトコルの例は、Remingtonのもの(上記)において見出され得る。
【0156】
調製され得る持続放出製剤は、免疫応答を誘導するのに特に好都合である。持続放出製剤の例としては、ポリペプチドを含有する固体疎水性ポリマーの半透過性マトリックスが挙げられ、マトリックスは成形品、例えば、フィルム又はマイクロカプセルの形態である。持続放出マトリックスの例としては、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)、又はポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド、L-グルタミン酸及びエチル-L-グルタミン酸塩のコポリマー、非分解性エチレン-酢酸ビニル、分解性乳酸-グリコール酸コポリマー、並びにポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸が挙げられる。エチレン-酢酸ビニル及び乳酸-グリコール酸などのポリマーは、100日超の間分子の放出を可能にするが、特定のヒドロゲルは、より短い期間、タンパク質を放出する。脂質含有量が約30%超のコレステロールであり、選択された割合は最適な療法のために調整される、小さい(約200~800オングストローム)単層型のリポソームが使用され得る。
【0157】
別の態様では、本発明は、HCVの可変ドメイン欠失E2ポリペプチドをコードする核酸分子を含む、キットを提供する。本発明のキット又は基質は、診断、予後、治療又は予防の用途で使用するため、並びにHCV E2結合分子又はHCV受容体結合分子の設計及び/又はスクリーニングで使用するために企図されている。
【0158】
一実施形態では、本出願は、ウイルスベクター又は非ウイルスベクター内で、又はそれらに付着した主題の核酸分子を産生する方法を提供し、本方法は、主題の核酸分子又はそれらの相補配列を好適なウイルスベクター又は非ウイルスベクターに付着又は組み込むことを含む。ベクターは、使用前に保管又は凍結されてもよく、又は使用の取扱説明書とともにキットに組み込まれてもよい。
【0159】
ポリペプチドの「バリアント」は、参照配列と比較した場合、置換、好ましくは保存的置換のアミノ酸を含み得る(例えば、1~25、特に1~10、及び特に1個などの1~50個のアミノ酸残基変化し得る)。好適には、かかる置換は、エピトープの領域では生じず、したがって、抗原の免疫原性の特性に重大な影響を及ぼさない。「保存的アミノ酸置換」という用語は、1つのかかる群に由来するアミノ酸の、同じ群に由来する異なるアミノ酸での(概念的に、又はその他での)置換を指す。個々のアミノ酸間の共通の特性を定義するための機能的方法は、相同性生物の対応するタンパク質間のアミノ酸変化の正規化された頻度を分析することである(Schulz,G.E.and R.H.Schinner.,Principles of Protein Structure,Springer-Verlag)。かかる分析によれば、アミノ酸の群は、群内のアミノ酸が互いに優先的に交換し、したがって、タンパク質構造全体への影響において互いに最も類似している場合に定義され得る。この方法で定義されるアミノ酸の群のセットの一例としては、(i)Glu及びAsp、Lys、Arg及びHisからなる荷電の群、(ii)Lys、Arg及びHisからなる正荷電の群、(iii)Glu及びAspからなる負荷電の群、(iv)Phe、Tyr及びTrpからなる芳香族の群、(v)His及びTrpからなる窒素環の群、(vi)Val、Leu及びHeからなる大脂肪族非極性の群、(vii)Met及びCysからなる微極性の群、(viii)Ser、Thr、Asp、Asn、Gly、Ala、Glu、Gin及びProからなる小さな残基の群、(ix)Val、Leu、He、Met及びCysからなる脂肪性の群、並びに(x)Ser及びThrからなる小さなヒドロキシルの群が挙げられる。タンパク質バリアントはまた、参照配列と比較して追加のアミノ酸が挿入されるものも含み得、例えば、かかる挿入は、1~10個の位置(1~5個の位置、好適には1個の位置又は2個の位置、特に1個の位置など)で生じ得、例えば、各位置で50個以下(20個以下、特に10個以下、特に5個以下など)のアミノ酸の付加を伴い得る。好適には、かかる挿入は、エピトープの領域では生じず、したがって、抗原の免疫原性の特性に重大な影響を及ぼさない。バリアントにはまた、参照配列と比較してアミノ酸が欠失しているものも含まれ、例えば、かかる欠失は、1~10個の位置(1~5個の位置、好適には1個の位置又は2個の位置、特に1個の位置など)で生じ得、例えば、各位置で50個以下(20個以下、特に10個以下、特に5個以下など)のアミノ酸の欠失を伴い得る。好適には、かかる欠失は、エピトープの領域では生じず、したがって、抗原の免疫原性の特性に重大な影響を及ぼさない。当業者は、特定のタンパク質バリアントが、置換、欠失、及び付加(又はそれらの任意の組み合わせ)を含み得ることを認識するであろう。バリアントは、好ましくは、関連する参照配列と少なくとも約70%の同一性、より好ましくは少なくとも約80%の同一性、及び最も好ましくは少なくとも約90%の同一性(少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%など)を示す。配列同一性及び配列類似性パーセントを判定するのに好適なアルゴリズムの例は、BLAST及びBLAST2.0アルゴリズムであり、それらは、Altschul et al.,Nuc.Acids Res.25:3389-3402(1977)及びAltschul et al.,J.Mol.Biolに記載されている。
【0160】
本明細書は、図及び図の凡例と併せて読まれる以下の情報によって更に例示される。
【0161】
実施例1
免疫化の略図及びこの研究で使用した動物群を
図1に提供する。12匹の群の8週齢の雌のC57Bl6マウスを、以下のいずれかで免疫化した。(群1)0日目(d0)に、10
8I.U.の遺伝子型1a E2 D123配列(
図16も参照されたい)の遺伝子をコードするチンパンジーアデノウイルス1で免疫化、続くd26及びd46に同じものでのブースト、又は(群2)0日目、26日目及び46日目に20ugの可溶性の精製された高分子量E2 D123タンパク質、又は(群3)動物に、0日目に、10
8I.U.の遺伝子型1a E2 D123配列の遺伝子をコードするチンパンジーアデノウイルス1でプライムを与え、続いて26日目及び46日目に20ugの可溶性の精製された高分子量E2 D123タンパク質のブーストを与えたプライムブーストプロトコル。56日目に全ての動物を屠殺し、血液及び脾臓を採取した。
【0162】
3週目(wk)(プライム後)、6週目(プライム後及び1回のブースト)及び8週目(プライム後及び2回のブースト)の単量体D123タンパク質に対する相互抗体力価を、
図2に示す。相互希釈は、12ポイントの希釈曲線から10倍のバックグラウンドを与えるのに必要な血清の希釈として計算された。多重比較の一元配置Kruskal-wallis検定を使用してデータを分析した。この図において、データを、各プロトコル内で生成された相対的抗体力価を経時的に比較するために、群別に配置した。データは、抗体力価が8週目でピークに達し、3週目(第2及び3群)又は6週目(第1群)での抗体力価よりも有意に高かったことを示す。
【0163】
図3は、3週目(wk)(プライム後)、6週目(プライム後及び1回のブースト)及び8週目(プライム後及び2回のブースト)の単量体D123タンパク質に対する相互抗体力価を示す。相互希釈は、12ポイントの希釈曲線から10倍のバックグラウンドを与えるのに必要な血清の希釈として計算された。多重比較の一元配置Kruskal-Wallis検定を使用してデータを分析した。この図において、データを、所与の時点での各ワクチン接種プロトコルによって生成された相対的抗体力価を比較するために、週別に配置した。データは、3週目で、タンパク質単独を受けた動物(群2)が、群1及び3と比較して有意に低い抗体力価を有したことを示している。6週目及び8週目では、ChAd-D123単独を受けた動物(群1)は、タンパク質単独(群2)又はウイルスプライム、タンパク質ブースト(x2)(群3)を受けた動物と比較して、有意に低い抗体力価を有した。ChAd-E2D123での3回のワクチン接種を受けた動物は、6週目及び8週目に最も低い抗体力価を有した。
【0164】
図4は、56日目に得られた血清の単量体E2D123タンパク質に対する希釈曲線を示す。データは、ChAd-E2D123プライム(群1及び3)が、3回のタンパク質ワクチン接種(群2)と比較して異なる滴定曲線を生成することを示す。しかしながら、ChAd-E2D123プライム/ブースト(群1)及びChAd-E2D123プライムに続くタンパク質ブースト(群3)は、動物においてより均一な抗体応答を生成した。
【0165】
図5は、単量体D123タンパク質に対する56日目の血清の相互抗体力価を示す。データは、ChAd-E2D123での3回のワクチン接種を受けた動物が、タンパク質のみ又はChAd-E2D123プライム及び2つのタンパク質ブーストをそれぞれ受けた群2及び3の動物よりも有意に低い抗体力価を生成したことを示している。
【0166】
図6は、組換えCD81タンパク質の完全なままのE2受容体結合ドメインへの結合を(A)50%又は(B)80%阻害するために必要な抗体の相互希釈を示す。データは、3回のChAd-E2D123ウイルスワクチン接種を受け、E2 D123への反応性の総抗体の最も低い力価を誘発した群1にもかかわらず、その細胞受容体CD81へのE2結合を防止することができる機能的抗体の総量は、3回のタンパク質ワクチン接種を受け、ほぼ100倍の抗体を生成した群2と相当であったことを示している。E2がその細胞受容体CD81に結合することを防止することができる機能的抗体の最も高い力価を生成した群は、1回のChAd-E2D123ウイルスプライム、続く2回のタンパク質ブーストを受けた群3であった。この態様の方法は、例えば、Vietheer,P.T.;Boo,I.;Gu,J.;McCaffrey,K.;Edwards,S.;Owczarek,C.;Hardy,M.P.;Fabri,L.;Center,R.J.;Poumbourios,P.;Drummer,H.E.,The core domain of hepatitis C virus glycoprotein E2 generates potent cross-neutralizing antibodies in guinea pigs.Hepatology 2017,65,(4),1117-1131に記載されている。
加えて、免疫応答の変動は、3回のタンパク質ワクチン接種(群2)を受けた動物(それぞれ、75~470c.w.0.15~111の範囲)と比較して、ChAd-E2D123ウイルスプライム、続く2回のタンパク質ブーストにおいて小さかった。
【0167】
図7は、アミノ酸408~428を含む合成ペプチドに対して指向された抗体の相互力価を示す。この合成ペプチドは、HCV1、MAb24、及び他のbNAbによって認識される非常に重要な広域中和抗体(bNAb)エピトープにわたる。結果は、全てのワクチン接種スケジュールが、このペプチドに反応する抗体を生成し、3回のタンパク質ワクチン接種(第2群)又はChAd-E2D123ウイルスプライム、続く2回のタンパク質ブースト(第3群)のいずれかを受けた動物において観察された最も高い力価を示し、これらは互いに有意に異なるものではなかった。
【0168】
図8は、アミノ酸430~451を含む合成ペプチドに対して指向された抗体の相互力価を示す。この合成ペプチドは、HCV84.1及びHCV84.27、並びに他のbNAbによって認識される非常に重要なbNAbエピトープにわたる。結果は、全てのワクチン接種スケジュールが、このペプチドに反応する抗体を生成し、3回のタンパク質ワクチン接種(第2群)又はChAd-E2D123ウイルスプライム、続く2回のタンパク質ブースト(第3群)のいずれかを受けた動物において観察された最も高い力価を示し、これらは互いに有意に異なるものではなかった。
【0169】
図9は、アミノ酸523~549を含む合成ペプチドに対して指向された抗体の相互力価を示す。この合成ペプチドは、MAb44及び他のNAbによって認識され、CD81結合ループを構成する、非常に重要な中和抗体(NAb)エピトープにわたる。結果は、全てのワクチン接種スケジュールが、このペプチドに反応する抗体を生成し、3回のタンパク質ワクチン接種(第2群)又はChAd-E2D123ウイルスプライム、続く2回のタンパク質ブースト(第3群)のいずれかを受けた動物において観察された最も高い力価を示し、これらは互いに有意に異なるものではなかった。
【0170】
図10は、56日目の免疫血清の相同中和力価を示す。このデータは、中和抗体が産生され、ChAd-E2D123ウイルスプライム、続く2回のタンパク質ブーストを受けた群3で最も生成され、これが群1及び2で観察される応答よりも有意に高かったことを示す。
【0171】
図11は、遺伝子型3aウイルスに対する56日目の免疫血清の異種中和力価を示す。データは、中和抗体が産生され、3つの群全てにおいて類似していることを示す。これは、低い抗体力価が群1によって生成されたが、タンパク質のみ又はウイルスプライムタンパク質ブーストスケジュールと同じ量の機能的抗体を作るように見えることを考えると驚くべきことである。
【0172】
図12は、遺伝子型5aウイルスに対する56日目の免疫血清の異種中和力価を示す。データは、中和抗体が産生され、3つの群全てにおいて類似していることを示す。これは、低い抗体力価が群1によって生成されたが、タンパク質のみ又はウイルスプライムタンパク質ブーストスケジュールと同じ量の機能的抗体を作るように見えることを考えると驚くべきことである。
【0173】
図13は、ワクチン接種スケジュールの各々において生成された抗体のアイソタイプを示す。IgG1は、全てのワクチンによって生成された優性アイソタイプであり、続いてIgG2bであった。IgG2a、IgG3及びIgMは、少数派のアイソタイプであった。生成された各アイソタイプの割合を比較すると、データは、3回のワクチン接種全て(群1)、又はプライムのみ(群3)のいずれかにおけるChAdウイルスでのワクチン接種が、タンパク質ワクチン接種単独(群2)よりも高い割合のIgG2a、3及びMを生成したことを示す。IgG1及びIgG3抗体は、補体のより強力な活性化因子であり、これはウイルス除去を助け得る。パーセンテージとして、IgG3は非常に小さい。それは第2群より多い。
【0174】
図14は、明確にするために円グラフとして
図13に提示されているのと同じデータを示す。
【0175】
図15は、各ワクチン接種レジメンで生成された各アイソタイプのパーセンテージを比較する。データは、ChAdワクチンでプライムとして、続く2回のタンパク質ブーストでD123を受けた動物(群3)、又はChAdとして3回全てのワクチン接種を受けた動物(群1)と比較して、3回全てのワクチン接種で可溶性HMWD123でワクチン接種された動物(群2)において産生されたIgG1が、有意に多かったことを示している。ChAdとして3回全てのワクチン接種を受けた(群1)、又はChAd-D123でのプライム、続く2回のタンパク質ブーストを受けた(群3)動物よりも
可溶性HMWD123タンパク質で3回のワクチン接種を受けた動物(群2)において、IgG2a及びIgG2bは、有意に少なかった。可溶性HMWD123(群2)で3回のワクチン接種を受けた動物は、3回のChAd-D123ワクチン接種を受けた動物(群1)と比較して、IgG3が有意に少なかった。
【0176】
図16は、例示のみを目的として、この研究において使用されるHCV D123 E2のタンパク質及びDNA配列を示す。
【0177】
実施例2
生成されたデータは、ChAdD123でワクチン接種し、次いで2つのタンパク質ブーストした動物における交差反応性抗体特異性の生成(
図17)、並びにChAdD123で3回のワクチン接種を受けた動物におけるより高いレベルの機能的抗体(
図19)の更なる証拠を提供する。また、データは、B細胞応答の成熟を示すクラススイッチングの証拠を提供する。ChAd-D123は、タンパク質ワクチン接種単独に対して異なるクラススイッチングを誘導するようであり、これは中和と相関する(
図18)。
【0178】
図17は、チンパンジーアデノウイルス(ChAd又はChAdOx1)内にコードされたD123でワクチン接種され(群1)、同じものでブーストされた、又は高分子量可溶性タンパク質及び同じものでブーストされた場合(群2)、又はチンパンジーアデノウイルス内にコードされたD123でのプライム、及び高分子量可溶性タンパク質でブーストされた(群3)動物において生成されたHCV E2の遺伝子型3a(S52分離株)の408~428エピトープI領域、430~451エピトープII領域、及び523~549CD81結合ループ領域(エピトープIII)に対する56日目の交差反応性抗体力価を示す。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。データは、ChAd-E2D123でのプライム、続くHMW E2D123での2回のタンパク質ブーストが、3回のChAd-E2D123ワクチン接種と比較して、エピトープI及びIIIに対する交差反応性抗体のより高い力価を生成することを示す。ウイルスベクターを作製する方法は、当該技術分野で既知であり、例えば、von Delft,A.;Donnison,T.A.;Lourenco,J.;Hutchings,C.;Mullarkey,C.E.;Brown,A.;Pybus,O.G.;Klenerman,P.;Chinnakannan,S.;Barnes,E.,The generation of a simian adenoviral vectored HCV vaccine encoding genetically conserved gene segments to target multiple HCV genotypes.Vaccine 2018,36,(2),313-321において提供される。
【0179】
図18は、IgG1力価の関数として計算され、IgG1 log10力価をIgG2a log10力価で割ったもの(IgG1/IgG2a)として表示される免疫血清のIgG2a力価を示す。力価が低いほど、IgG2a対IgG1比は1:1に近くなり、IgG1のIgG2aへのクラススイッチングを示す。相互力価(1/IgG1:IgG2a)を、C/P/P及びP/Pを受けた動物由来の免疫血清のHCVpp ID50力価に対してプロットし、任意の相関を決定した。全てのバーは中央値であり、四分位範囲が表示されている。D’Agostino及びPearson検定を使用して、データ分布の正規性を決定し、複数の比較を伴うKruskal-Wallisを実施して、95%信頼区間での2つの群中央値間の有意差を決定した。P値は、<0.05*、<0.01**、<0.001***、<0.0001****の場合、群間の有意差を示す。IgG2aがIgG1力価の関数として(IgG1/IgG2a)発現された場合、ChAd-E2Δ123免疫血清(群1及び群3)は、E2Δ123
HMW免疫血清と比較して、有意に低い相互力価を有し、GCクラススイッチングの増加を示した(群1対群2について、p<0.0001****、群2対群3について、p=0.0014**)。E2Δ123
HMW免疫血清(群2及び3を合わせたもの)について、IgG1:IgG2aの相互力価は、HCVpp中和力価と正の相関がある(r=0.3974、p=0.0492)。
【0180】
図19は、機能的抗体指数を示した、全体のAb力価の関数としての免疫血清の相互ID50阻害力価を示す。機能的抗体指数を、CD81遮断として示されるE2-CD81阻害の両方について計算した。機能的抗体指数を、中和として示される相同偽型ウイルスのウイルス侵入の阻害について計算した。相互ID50力価(CD81阻害及びHCVpp)が全体のAb力価(機能的抗体指標)と関連して解釈される場合、ChAd-E2Δ123免疫血清(群1及び3)は、E2Δ123
HMW免疫血清と比較して有意に高い機能的指標を有し、総Ab力価に対して、ワクチンで誘導されたAb応答の中和能力が高いことを示した。
【0181】
実施例3-HCV D123 E2はまた、MVAウイルスベクターにおける免疫化のために成功裏に送達され得る。
図20は、E2D123の発現を駆動するために使用されるウイルスベクターの概略図を示す。A.ChAdOx1中のD123の発現カセットの概略図。B.ChAdOx1中のRBDの発現カセットの概略図。C.MVA中のD123の発現カセットの概略図。これらの発現系は、例示的であり、バリエーションは当該技術分野において既知である。当該技術分野で既知のように、誘導性発現系も用いられ得る。例示的な方法は、von Delft,A.;Donnison,T.A.;Lourenco,J.;Hutchings,C.;Mullarkey,C.E.;Brown,A.;Pybus,O.G.;Klenerman,P.;Chinnakannan,S.;Barnes,E.,The generation of a simian adenoviral vectored HCV vaccine encoding genetically conserved gene segments to target multiple HCV genotypes.Vaccine 2018,36,(2),313-321、及びSwadling,L.;Capone,S.;Antrobus,R.D.;Brown,A.;Richardson,R.;Newell,E.W.;Halliday,J.;Kelly,C.;Bowen,D.;Fergusson,J.;Kurioka,A.;Ammendola,V.;DelSorbo,M.;Grazioli,F.;Esposito,M.L.;Siani,L.;Traboni,C.;Hill,A.;Colloca,S.;Davis,M.;Nicosia,A.;Cortese,R.;Folgori,A.;Klenerman,P.;Barnes,E.,A human vaccine strategy based on chimpanzee adenoviral and MVA vectors that primes,boosts,and sustains functional HCV-specific T cell memory.Sci Transl Med 2014,6,(261),261ra153を含む、当該技術分野で提供される。
【0182】
図21は、ChAd-E2Δ123プライム、続く4週目のMVA-E2Δ123ブーストを受けた動物の免疫化スケジュールを示す。ブーストの2週間後に動物を出血させ、抗体及びT細胞反応性を測定した。動物に、0週目のChAd-E2D123プライム(40uLの滅菌PBS中、10
8感染単位[IU])、続く4週目のMVA-E2D123(40uLの滅菌PBS中、10
7プラーク形成単位[PFU])を投与した。
【0183】
図22Aは、
図21示すように、ChAd-E2Δ123/MVA-E2Δ123での免疫化に対して惹起した免疫血清の反応性を示す。誤解を避けるために、デルタ記号「Δ」又は「Delta」という単語は、「欠失」を指すために互換的に使用される。免疫血清を、E2Δ123単量体に対してELISAにおいて評価した。免疫血清の連続希釈液をE2Δ123単量体コーティングプレートに適用し、ホースラディッシュペルオキシダーゼにコンジュゲートされた抗マウス免疫グロブリン及びTMD基質で結合された抗体を検出した。バックグラウンド結合の10倍を達成するために必要な相互力価を計算した。結果は、ChAd-E2Δ123/MVA-E2Δ123がE2に対して高い力価抗体反応性を生成することを示す。
図22Bは、56日目に生成された免疫血清がHCV細胞受容体CD81とE2受容体結合ドメインとの間の相互作用を阻害する能力を示す。免疫血清がE2のCD81への結合を50%阻害する能力を連続希釈曲線から計算した。結果は、ChAd-E2Δ123/MVA-E2Δ123が、相同E2とCD81との間の結合を阻害することができる高力価抗体を生成することを示す。
【0184】
図23Aは、
図21示すように、ChAd-E2Δ123/MVA-E2Δ123での免疫化に対して惹起した免疫血清の、AS412(E2
408-428)、AS434(E2
430-451)、CD81結合ループ(E2
523-549)への反応性を示す。バックグラウンド結合の10倍を達成するために必要な相互力価を連続希釈曲線から計算した。結果は、全ての動物が、広域中和抗体の標的である3つの異なるエピトープに結合することができる抗体を生成したことを示す。
図23Bは、ChAd-E2Δ123/MVA-E2Δ123を惹起した免疫血清(
図21)の相同(G1a)及び異種(G3a)中和力価を示す。50%のウイルス侵入を阻害するために必要な免疫血清の相互力価を連続希釈曲線から計算した。結果は、7/10の動物が、Huh7細胞株への相同遺伝子型1aのC型肝炎ウイルスの侵入を防止することができる抗体を生成し、6/10の動物が、異種遺伝子型3aウイルスのHuh7肝臓細胞株への侵入を防止することができる抗体を生成したことを示す。検出限界は点線で示されている。遺伝子型3aに対する交差中和抗体応答は、AS412(E2
408-428)、AS434(E2
430-451)、CD81結合ループ(E2
523-549)に対する交差反応抗体が、ChAd-E2Δ123/MVA-E2Δ123で動物にワクチン接種することによって生成されたという観察と一致する。
【0185】
図24は、
図21に示すように、ChAd-E2Δ123/MVA-E2Δ123で免疫化したマウスにおけるT細胞応答を示す。脾細胞を6週目に採取し、HCVプロテオーム(A及びC)の長さ及びペプチドプール(B及びD)についてカバーするHCVペプチド(11aa重複する15mer)を使用してエクスビボで刺激した。gt-1a(H77)、gt-1b(J4)、又はgt-3a(k3a650)について、Core-E1-E2、NS3-4、及びNS5。IFNg
+CD4
+(A及びB)及びIFNg
+CD8
+(C及びD)のT細胞頻度を、それぞれ総CD4
+T細胞頻度又はCD8
+T細胞頻度のパーセンテージとして、細胞内サイトカイン染色及びフローサイトメトリーによって決定した。全てのデータは、中央値及び四分位範囲としてプロットされる。結果は、coreE1E2領域内のエピトープ、おそらくE2に焦点を当て、動物が相同ペプチドに対するCD4+及びCD8+T細胞の両方を生成したことを示す。2/7の試験した動物が遺伝子型1bに対する交差反応性CD4+T細胞応答を保有したが、CD8+交差反応性は観察されなかった。
【0186】
図25は、
図21に示すように、ChAd-E2Δ123/MVA-E2Δ123で免疫化したマウスにおけるE2特異的T細胞応答を示す。脾細胞を6週目に採取し、E2領域の長さをカバーする遺伝子型1a(11aa重複する15mer)由来のE2ペプチドプールを使用してエクスビボで刺激した。データは、ChAd-E2Δ123/MVA-E2Δ123でワクチン接種したマウスが、E2特異的IFNg+T細胞を生成することを示す。
【0187】
図26は、
図21に示すように、ChAd-E2Δ123/MVA-E2Δ123で免疫化したマウスにおける多機能T細胞応答の分析を示す。産生されたサイトカイン、IFNg、TNFa、及びIL-2を検出するために、gt-1a(H77)についてのHCVプロテオームの長さをカバーするHCVペプチド(11aa重複する15mer)を使用して、脾細胞刺激後のICS及びフローサイトメトリーを介して、ワクチンで誘導されたT細胞の多機能性を決定した。円の基本は、中央値であり、Pestle及びSPICEソフトウェアを使用して計算されている。全てのデータは、中央値及び四分位範囲としてプロットされる。結果は、ChAd-E2Δ123/MVA-E2Δ123でのワクチン接種が、高度に多機能的なCD4+及びCD8+T細胞応答を生成することを示す。CD4応答は、3つ全てのサイトカインの産生によって特徴付けられ、一方でCD8+応答は、主にTNFアルファに対してであった。
【0188】
本明細書に引用又は参照された全ての文書、並びに本明細書に言及されている、又は参照により本明細書に組み込まれている任意の文書における任意の製品についての製造業者の指示、説明、製品仕様、及び製品シートとともに文書を引用して本明細書に引用又は参照された全ての文書は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0189】
当業者は、本開示に照らして、本発明の範囲から逸脱することなく、例示された特定の実施形態において様々な修正及び変更を行うことができることを認識するであろう。かかる全ての修正及び変更は、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図される。したがって、本実施形態は、全ての点で例示的であり、限定的ではないとみなされるべきである。
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