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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-20
(54)【発明の名称】近視治療のための電気切替可能眼鏡
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/00 20060101AFI20230613BHJP
   G02C 7/02 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
A61F9/00
G02C7/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022568805
(86)(22)【出願日】2021-05-13
(85)【翻訳文提出日】2022-12-28
(86)【国際出願番号】 US2021032162
(87)【国際公開番号】W WO2021231684
(87)【国際公開日】2021-11-18
(31)【優先権主張番号】63/024,379
(32)【優先日】2020-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.MATLAB
2.Blu-ray
(71)【出願人】
【識別番号】520501023
【氏名又は名称】アキュセラ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】窪田 良
(72)【発明者】
【氏名】グプタ, アミタヴァ
(57)【要約】
眼の屈折異常を治療するための装置は、眼の屈折異常を治療するための光散乱または屈折力提供構成と、通常の視認を可能に可能にするための略透明構成との間で切り替わるように構成される、電気活性コンポーネントを備える。電気活性コンポーネントは、レンズの中心軸から離れたレンズ上に位置し、網膜の周辺領域に光を提供し、近視の進行を減少させることができる。電気活性コンポーネントは、電気活性コンポーネントが光を散乱させる間、装着者が光学区域を通して物体を視認するために、レンズの中心軸から離れたレンズ上に位置することができる。電気活性コンポーネントは、略透明構成に切り替わり、光が電気活性コンポーネントを通して通過することを可能にし、レンズが光を屈折させることを可能にし、視力を補正し、レンズを通した通常の視認を可能にするように構成されることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼の屈折異常を治療するための装置であって、前記装置は、
光学区域を備えるレンズと、
前記光学区域の周囲に延在する切替可能区域であって、前記切替可能区域は、光を実質的に散乱させるかまたは脱焦点化させるための第1の構成と、前記レンズを通して光を略透明に透過させるための第2の構成との間で切替可能な電気活性材料を含む、切替可能区域と
を備える、装置。
【請求項2】
前記切替可能区域は、前記第1の構成において略半透明であり、前記第2の構成において略透明である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の構成における前記切替可能区域を通して視認される像は、不鮮明に見える、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記光学区域の屈折力は、前記切替可能区域の第1の構成および第2の構成に関して実質的に固定されたままである、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記切替可能区域は、粒子を備え、前記粒子および前記電気活性材料の屈折率の間の差異に応答して、前記視認される像を不鮮明にする、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
切替可能区域は、前記切替可能区域の屈折力を変動させるように構成される液晶材料を含み、前記第1の構成における前記屈折力は、前記第2の構成の屈折力と異なる、請求項3に記載の装置。
【請求項7】
前記切替可能区域は、前記屈折力を変動させるための複数の切替可能レンズレットを備え、前記複数の切替可能レンズレットは、前記屈折力を変動させ、前記第1の構成において光を脱焦点化させるために、光学表面プロファイルまたは電極プロファイルのうちの1つまたはそれを上回るものを備える、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記切替可能区域は、光学表面プロファイルを備える1つまたはそれを上回る光学構造を備え、前記1つまたはそれを上回る光学構造の屈折率と前記電気活性材料の屈折率との間の差異に応答して、前記視認される像を不鮮明にする、請求項3に記載の装置。
【請求項9】
前記光学表面プロファイルは、回折光学プロファイルを備え、前記1つまたはそれを上回る光学構造の屈折率および前記電気活性材料の屈折率における差異に応答して、屈折力を提供する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記回折光学プロファイルは、複数のエシュレット格子を備える、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記切替可能区域は、前記第1の構成において前記網膜の前方または後方に物体の像を集束させ、前記第2の構成において前記網膜上に前記物体の像を集束させるように構成される、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記切替可能区域は、電極プロファイルを備え、第1の場所における前記電気活性材料の第1の屈折率と第2の場所における前記電気活性材料の第2の屈折率との間の差異に応答して、回折を伴って前記視認される像を不鮮明にし、前記第1の場所は、前記第2の場所よりも前記電極に近接する、請求項3に記載の装置。
【請求項13】
電極プロファイルは、屈折力を前記切替可能区域に提供し、前記第1の構成において前記網膜から離れるように光を集束させるように構成される、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
電極プロファイルは、前記第1の場所における前記第1の屈折率と前記第2の場所における前記第2の屈折率との間の差異に関連する回折を伴う正の屈折力および負の屈折力を発生させるように構成される、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
電極プロファイルは、前記電気活性材料の第2の場所に対応する複数の間隙を備える、請求項12に記載の装置。
【請求項16】
電極プロファイルは、前記電気活性材料の第1の場所に対応する基板に沿って延在する電極トレースを備え、前記電極プロファイルは、前記電極のトレースによって画定される複数の間隙を備える、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記電気活性材料の第2の場所は、複数の第2の場所を備え、前記複数の間隙は、前記電気活性材料の複数の第2の場所に対応する、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記レンズは、屈折力を備え、前記光学区域は、前記屈折力を備え、前記切替可能区域は、前記レンズ上に位置し、前記第2の構成において前記屈折力を伴う光を透過させる、請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記レンズは、第1の側と、第2の側とを備え、前記切替可能区域は、前記第1の側上に位置し、前記第2の側は、前記レンズの屈折力の大部分を提供するための曲率を備える、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記切替可能区域は、電圧が前記区域に印加されるときの前記第1の構成と、前記区域に印加される前記電圧を伴わない前記第2の構成とを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項21】
前記切替可能区域は、電圧が前記区域に印加されるときの前記第2の構成と、前記区域に印加される前記電圧を伴わない前記第1の構成とを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項22】
前記切替可能区域は、環状区域を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項23】
前記光学区域は、中心光学区域を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項24】
前記切替可能区域は、前記眼の屈折異常を補正するように構成される前記レンズの一部上に位置する、請求項1に記載の装置。
【請求項25】
前記光学区域は、前記眼の屈折異常を補正するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項26】
前記光学区域は、前記眼の入射瞳を基準にして12度~20度の範囲内の角度において光を透過させるようにサイズ決定される、請求項1に記載の装置。
【請求項27】
前記角度は、14~16度の範囲内である、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記角度は、半角を備える、請求項26に記載の装置。
【請求項29】
前記切替可能区域は、前記眼の入射瞳を基準にして15度~50度の範囲内の角度において光を透過させるようにサイズ決定される、請求項1に記載の装置。
【請求項30】
前記切替可能区域は、内側境界と、外側境界とを備え、前記内側境界は、前記眼の入射瞳を基準にして15度~20度の範囲内の内側角度に対応し、前記外側境界は、前記眼の入射瞳を基準にして25度~50度の範囲内の外側角度に対応する、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記レンズは、前記眼の角膜までの頂点距離を提供するために、眼鏡フレーム上に搭載され、前記頂点距離、前記内側境界、および前記外側境界は、前記眼の入射瞳を基準にして前記内側角度および前記外側角度を提供するように寸法決定される、請求項30に記載の装置。
【請求項32】
切替可能区域は、液晶材料と、前記液晶材料内の粒子とを含み、前記粒子は、前記第2の構成よりも前記第1の構成においてより多くの量の光を散乱させる、請求項1に記載の装置。
【請求項33】
粒子は、微小球を備える、請求項32に記載の装置。
【請求項34】
粒子は、1ミクロン~1,000ミクロンの範囲内、および随意に、5ミクロン~500ミクロンの範囲内、および随意に、10ミクロン~250ミクロンの範囲内の直径を備える、請求項32に記載の装置。
【請求項35】
前記粒子は、1ミクロン~1,000ミクロンの範囲内、および随意に、5ミクロン~500ミクロンの範囲内、および随意に、10ミクロン~250ミクロンの範囲内で横断する最大距離を備える、請求項32に記載の装置。
【請求項36】
前記粒子は、粒子の大部分が少なくとも5ミクロンを横断し、500ミクロン以下を横断し、随意に、少なくとも10ミクロンを横断し、250ミクロン以下を横断するサイズ分布を備え、随意に、前記粒子は、球体を備え、前記寸法は、直径を備える、請求項32に記載の装置。
【請求項37】
前記粒子は、400nmにおける第1の量および750nmにおける第2の量を伴って、前記眼の入射瞳の中に光を散乱させるように構成される粒子サイズの分布を備え、前記第1の量は、前記第2の量の25%以内である、請求項32に記載の装置。
【請求項38】
前記粒子の分布は、400nm~750nmの波長の範囲にわたって略均一に光を散乱させるように構成され、前記範囲にわたる散乱の量は、約25%以下で変動する、請求項37に記載の装置。
【請求項39】
前記液晶材料は、1.5~1.65の範囲内の屈折率を備え、前記液晶材料は、0.10~0.25の範囲内の量だけ前記屈折率を変化させるように構成される、請求項32に記載の装置。
【請求項40】
前記粒子は、1.5~1.7の範囲内の屈折率を備え、随意に、前記屈折率は、約589nmにおいてナトリウムD線に対応する、請求項32に記載の装置。
【請求項41】
前記粒子は、イオンドープガラス、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリ芳香族、ポリスルホン、ポリイミド、ポリアミド、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、または多環オレフィンのうちの1つまたはそれを上回るものを含む、請求項32に記載の装置。
【請求項42】
前記液晶材料は、光を実質的に散乱させるための前記第1の構成における第1の屈折率から、光を略透明に透過させるための前記第2の構成における第2の屈折率に切替可能であり、前記第2の屈折率は、前記粒子の屈折率により近く、前記第2の構成において前記粒子からの光散乱を減少させる、請求項32に記載の装置。
【請求項43】
前記第1の屈折率は、前記粒子の屈折率と少なくとも0.05だけ異なり、光を実質的に散乱させ、前記第2の屈折率は、前記粒子の屈折率と0.02以下だけ異なり、光を略透明に透過させる、請求項42に記載の装置。
【請求項44】
前記液晶材料は、0.10~0.25の範囲内の屈折率の変化を提供するように構成される、請求項32に記載の装置。
【請求項45】
前記液晶材料は、摂氏-10度を下回るガラス遷移温度および摂氏100度を上回る融点を伴う透明材料を含み、随意に、前記液晶材料は、ネマチック相、コレステリック相、またはスメクチック相のうちの1つまたはそれを上回るものを備える、請求項32に記載の装置。
【請求項46】
前記切替可能区域は、
接着剤層と、
耐擦傷性層と、
前記接着剤層と前記耐擦傷性層との間の切替可能層であって、前記切替可能層は、液晶材料と、粒子、光学表面プロファイル、または電極プロファイルのうちの1つまたはそれを上回るものとを備える、切替可能層と
を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項47】
前記接着剤層は、前記レンズに接着される、請求項46に記載の装置。
【請求項48】
前記接着剤層、前記耐擦傷性層、および前記切替可能層は、0.1mm~2mmの範囲内、随意に、0.1mm~1mmの範囲内の組み合わせられた厚さを備える、請求項46に記載の装置。
【請求項49】
前記耐擦傷性層は、10ミクロン~100ミクロンの範囲内の厚さを備え、前記接着剤層は、10ミクロン~100ミクロンの範囲内の厚さを備え、前記切替可能層は、25ミクロン~1,000ミクロンの範囲内の厚さを備える、請求項46に記載の装置。
【請求項50】
前記耐擦傷性層は、前記切替可能層に向かって配向される略透明電極を備え、前記接着剤層は、前記切替可能層に向かって配向される略透明電極を備える、請求項46に記載の装置。
【請求項51】
前記略透明電極はそれぞれ、25~250オングストロームの範囲内の厚さを備え、随意に、前記略透明電極はそれぞれ、インジウムスズ酸化物(ITO)電極を備える、請求項50に記載の装置。
【請求項52】
前記切替可能区域に電圧を印加するための電源をさらに備え、随意に、前記電源は、再充電可能バッテリを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項53】
前記切替可能区域の構成を制御するために前記切替可能区域に結合される回路をさらに備え、前記回路は、前記切替可能区域の構成を制御するためのプロセッサ、マイクロコントローラ、センサ、または論理回路のうちの1つまたはそれを上回るものを備え、随意に、前記切替可能区域は、前記回路への入力に応答して、前記第1の構成または前記第2の構成を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項54】
前記回路は、前記切替可能区域の光散乱の量を変動させ、実質的に散乱される光の量を変動させるように構成され、随意に、前記第1の構成は、それぞれが異なる量の光を散乱させるように構成される複数の構成を備える、請求項53に記載の装置。
【請求項55】
前記回路は、前記切替可能区域の屈折力の量を変動させるように構成され、随意に、前記第1の構成は、それぞれが異なる量の屈折力を提供するように構成される複数の構成を備える、請求項53に記載の装置。
【請求項56】
前記電気活性材料は、液晶材料を含み、前記液晶材料は、1.5~1.65の範囲内の屈折率を備え、前記液晶材料は、前記屈折率を0.10~0.25の範囲内の量だけ変化させるように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項57】
前記切替可能区域は、略透明基板材料の表面上に光学表面プロファイルまたは電極プロファイルのうちの1つまたはそれを上回るものを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項58】
前記基板材料は、1.5~1.7の範囲内の屈折率を備え、随意に、前記屈折率は、約589nmにおいてナトリウムD線に対応する、請求項57に記載の装置。
【請求項59】
前記基板材料は、イオンドープガラス、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリ芳香族、ポリスルホン、ポリイミド、ポリアミド、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、または多環オレフィンのうちの1つまたはそれを上回るものを含む、請求項57に記載の装置。
【請求項60】
前記液晶材料は、屈折力を提供するための前記第1の構成における第1の屈折率から、前記基板材料を通して光を略透明に透過させるための前記第2の構成における第2の屈折率に切替可能であり、前記第2の屈折率は、前記第2の構成における前記基板材料の屈折率により近い、請求項57に記載の装置。
【請求項61】
前記第1の屈折率は、前記基板材料の屈折率と少なくとも0.05だけ異なり、屈折力を提供し、前記第2の屈折率は、前記基板材料の屈折率と0.02以下だけ異なり、光を略透明に透過させる、請求項60に記載の装置。
【請求項62】
前記液晶材料は、0.10~0.25の範囲内の屈折率の変化を提供するように構成される、請求項57に記載の装置。
【請求項63】
前記液晶材料は、摂氏-10度を下回るガラス遷移温度および摂氏100度を上回る融点を伴う透明材料を含み、随意に、前記液晶材料は、ネマチック相、コレステリック相、またはスメクチック相のうちの1つまたはそれを上回るものを備える、請求項57に記載の装置。
【請求項64】
眼の屈折異常を治療するためのレンズとの併用のための電気活性コンポーネントであって、前記電気活性コンポーネントは、
レンズに接着するように構成される接着剤層と、
耐擦傷性層と、
前記接着剤層と前記耐擦傷性層との間の切替可能層であって、前記切替可能層は、液晶材料と、粒子、光学表面プロファイル、または電極プロファイルのうちの1つまたはそれを上回るものとを備える、切替可能層と
を備える、電気活性コンポーネント。
【請求項65】
前記切替可能層は、前記レンズ上に光学区域を提供するようにサイズ決定および成形される中心部分にわたって延在しない、請求項64に記載の電気活性コンポーネント。
【請求項66】
前記切替可能区域の構成を制御するために前記切替可能区域に結合される回路をさらに備え、前記回路は、前記切替可能区域の構成を制御するためのプロセッサ、マイクロコントローラ、センサ、または論理回路のうちの1つまたはそれを上回るものを備え、随意に、前記切替可能区域は、前記回路への入力に応答して、前記第1の構成または前記第2の構成を備える、請求項64に記載の電気活性コンポーネント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、本参照によってその全体として組み込まれる、2020年5月13日に出願され、「ELECTRO-SWITCHABLE SPECTACLES FOR MYOPIA TREATMENT」と題された、米国仮特許出願第63/024,379号の35 U.S.C. § 119(e)(米国特許法第119条(e))下の利益を主張する。
【0002】
本願の主題は、その全開示が、参照することによって本明細書に組み込まれる、2020年7月31日に出願され、「DEVICE FOR PROJECTING IMAGES ON THE RETINA」と題され、2021年2月4日に第WO/2021/022193号として公開された、第PCT/US2020/044571号に関連する。
【背景技術】
【0003】
本開示に関連する研究は、周辺網膜への近視眼的に脱焦点化された光が近視の進行を減少させ得ることを示唆する。しかしながら、従来のアプローチのうちの少なくともいくつかは、少なくともいくつかの点においてあまり理想的ではない場合がある。例えば、従来のアプローチのうちの少なくともいくつかは、理想的であろうものよりも複雑であり得、あまり理想的ではない治療結果を提供し得る。また、従来のアプローチのうちの少なくともいくつかは、理想的であろうものよりも視力を低下させ得る。
【0004】
上記に照らして、従来のアプローチの限界のうちの少なくともいくつかを改善する、屈折異常を治療するための改良された方法および装置が、必要とされる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
いくつかの実施形態では、眼鏡光学系等の一方または両方の眼の屈折力を治療するための装置は、屈折力を補正するためのレンズと、切替可能光学コンポーネントとを備える。切替可能光学コンポーネントは、眼の屈折異常を治療するために、屈折力または光散乱を提供するための電気活性材料を用いて構成されることができる。切替可能光学コンポーネントは、電子制御システムを使用して、手動で、または自動的にオンおよびオフになるように構成されることができる。オフ状態では、付加的光学コンポーネントは、いかなる実質的な屈折力または光散乱も伴わない略透明光学層として機能する。オン状態では、光学コンポーネントは、固定された、または制御可能な量の屈折力または固定された、または制御可能な量の光散乱のいずれかに切り替えられる。いくつかの実施形態では、切替可能コンポーネントは、ピクセル等の複数の光学要素を備える、電気活性光学系を備える。いくつかの実施形態では、電気活性光学コンポーネントは、回折光学系またはパターン化電極等の切替可能光学要素を備える。いくつかの実施形態では、偏光非感受性液晶ベースの回折光学系は、電気活性光学コンポーネントの内面上に回折面レリーフを備える。いくつかの実施形態では、電気活性光学要素は、パターン化電極を備え、パターン化電極は、液晶材料内に一時的な屈折率変調を提供し、これは、正の屈折力等の回折屈折力を提供する。いくつかの実施形態では、電気活性コンポーネントの切替可能光学要素は、電気活性コンポーネントの光学要素の一部または全てが、追加されたプラスの屈折力等の屈折力を提供するためにオンに切り替えられ得るように、ピクセルを備える。いくつかの実施形態では、電気活性コンポーネントは、透明な中心区域を囲繞する環の形態において加工されてもよい。いくつかの実施形態では、切替可能光学コンポーネントは、追加されたプラスの屈折力等の屈折力の変化を提供するために、電子制御システムを使用して手動で、または自動的に切り替えられる、液体レンズを備えてもよい。
【0006】
いくつかの実施形態では、眼の屈折異常を治療するための装置は、眼の屈折異常を治療するための光散乱構成と、通常の視認を可能にするための略透明構成との間で切り替わるように構成される、電気活性コンポーネントを備える。電気活性コンポーネントは、近視等の屈折異常の進行を減少させるために、レンズの中心軸から離れたレンズ上に位置し、網膜の周辺領域に散乱光を提供することができる。電気活性コンポーネントは、電気活性コンポーネントが光を散乱させる間、装着者が光学区域を通して物体を視認するために、レンズの中心軸から離れた場所におけるレンズ上に位置することができる。電気活性コンポーネントは、略透明構成に切り替わり、光が電気活性コンポーネントを通して通過することを可能にし、レンズが光を屈折させることを可能にし、視力を補正し、レンズを通した通常の視認を可能にするように構成されることができる。レンズは、装着者の屈折異常を補正するように構成されるレンズ等の任意の好適なレンズを備えてもよい。
(参照による組み込み)
【0007】
本明細書に参照および識別される、全ての特許、出願、および刊行物は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれ、本願の別の場所で参照される場合でも、参照することによって完全に組み込まれるものと見なされるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本開示の特徴、利点、および原理のより深い理解は、例証的実施形態を記載する、以下の詳細な説明と、付随の図面とを参照することによって取得されるであろう。
【0009】
図1図1は、いくつかの実施形態による、眼の屈折異常を治療するための装置を示す。
【0010】
図2図2は、いくつかの実施形態による、眼の正面に設置される、図1におけるような装置を示す。
【0011】
図3図3は、いくつかの実施形態による、電気活性コンポーネントおよび関連付けられる回路を示す。
【0012】
図4図4は、いくつかの実施形態による、切替可能な屈折率を伴う偏光独立媒体を開発するためのドーパントの有無別のコレステリック液晶を示す。
【0013】
図5A図5Aは、いくつかの実施形態による、LC電極がオフである、少なくとも1つの波長の光に関する粒子と液晶(LC)材料との間の屈折率合致を示す。
【0014】
図5B図5Bは、LC電極がオンである、図5AにおけるようなLC材料の屈折率の変化を示す。
【0015】
図6A図6Aは、いくつかの実施形態による、LC電極がオフである、ある範囲の波長にわたる粒子とLC材料との間の屈折率合致を示す。
【0016】
図6B図6Bは、LC電極がオンである、図6Bにおけるようなある範囲の波長にわたる粒子とLC材料との間の減少された屈折率合致を示す。
【0017】
図7図7は、いくつかの実施形態による、電気活性切替可能層の構造を示す。
【0018】
図8A図8Aは、いくつかの実施形態による、周辺視野切替可能光学系を示す。
【0019】
図8B図8Bは、いくつかの実施形態による、全視野切替可能光学系を示す。
【0020】
図9図9は、いくつかの実施形態による、屈折力を提供するための基板材料における光学表面プロファイルを示す。
【0021】
図10A図10Aは、いくつかの実施形態による、屈折力を提供するため電極プロファイルの正面図を示す。
【0022】
図10B図10Bは、図10Aの電極プロファイルの側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
詳細な説明
以下の詳細な説明は、本明細書に開示される実施形態による、本開示に説明される本発明の特徴および利点のより深い理解を提供する。詳細な説明は、多くの具体的実施形態を含むが、これらは、実施例としてのみ提供され、本明細書に開示される本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0024】
本開示される方法および装置は、屈折異常の治療のために非常に適している。本開示される方法および装置は、近視、乱視、および遠視等の1つまたはそれを上回るタイプの屈折異常の進行を減少させるために使用されることができ、眼鏡、コンタクトレンズ、拡張現実(AR)ディスプレイ、仮想現実(VR)ディスプレイ等の従来のデバイスとの組み合わせのために非常に適している。
【0025】
本開示される方法および装置は、多くのタイプの屈折異常を治療するために使用されることができるが、本開示される方法および装置は、例えば、近視の進行を治療するために非常に適している。
【0026】
本開示に関連する研究は、散乱光または脱焦点化された像等の好適な刺激が、近視等の屈折異常の進行を減少させ得、いくつかの事例では、眼の屈折異常を改善することが可能であり得ることを示唆する。屈折異常は、刺激に応答して、眼の軸方向長または脈絡膜厚およびそれらの組み合わせを改変することによって変化させられることができる。
【0027】
図1は、眼の屈折異常を治療するための装置100を示す。いくつかの実施形態では、装置100は、眼の屈折異常を治療するためのレンズ102等のレンズ102を備える。レンズ102は、眼鏡フレーム104等の支持体を用いて患者上で支持されるが、単眼鏡、ストラップ、ゴーグル、および同等物等の他の支持体および頭部搭載型構成も、使用されることができる。
【0028】
レンズ102は、多くの方法で構成されることができ、眼の近視、遠視、または乱視のうちの1つまたはそれを上回るものを治療するように構成されることができる。レンズ102は、光学的に透過性の材料を含み、視力を装着者に提供するように成形されることができる。装置100は、屈折異常の進行を治療するための光散乱構成と、光が切替可能区域110を通して屈折することを可能にするための光屈折構成との間で切り替わるように構成される、切替可能区域110を備える。いくつかの実施形態では、切替可能区域110は、レンズ102上に設置される、電気活性コンポーネント112の層を備える。電気活性コンポーネント112は、例えば、液晶材料等の電気活性材料を含む。いくつかの実施形態では、電気活性コンポーネント112は、例えば、電圧の印加を伴うと略透明材料に変化させられ得る(逆もまた同様である)、略半透明構成を備える。いくつかの実施形態では、電気活性コンポーネント112は、電圧の印加を伴うと半透明になり、電圧の印加を伴わないと略透明になるように構成される。代替として、電気活性コンポーネント112は、電圧の印加を伴うと略透明になり、電圧の印加を伴わないと略半透明になるように構成されることができる。
【0029】
いくつかの実施形態では、切替可能区域110は、光学区域108の周囲に延在する。切替可能区域110は、切替可能区域110が、光屈折構成においてユーザに実質的に不可視であるように、光学区域108に類似する屈折を伴う光を提供するように構成される、レンズ102の一部上に位置することができる。本アプローチは、通常の視認条件下で、すなわち、切替可能区域110が治療を実施していないとき、レンズがユーザに対して正常に見える利点を有する。
【0030】
いくつかの実施形態では、切替可能区域110は、散乱光を網膜の周辺部分に提供するように寸法決定される。いくつかの実施形態では、網膜の周辺部分は、ユーザが前を見て、切替可能区域110が周辺網膜上に光を散乱させるとき、黄斑に明確な視界を提供するように、黄斑の外側の網膜の領域を備える。切替可能区域110は、内側境界に対応する内側寸法120、例えば、環の内径と、切替可能区域110の外側境界に対応する外側寸法121、例えば、環の外径とを備えてもよい。切替可能区域110は、多くの方法でサイズ決定および成形されることができるが、いくつかの実施形態では、切替可能区域110は、内径および外径を伴う環状形状を備える。環状形状が、言及されるが、切替可能区域110は、多角形、正方形、三角形等の他の形状を用いて構成されることができ、適切な場所において光学区域108の周囲に位置する、複数の離散的切替可能区域を備えてもよい。
【0031】
いくつかの実施形態では、装置100は、切替可能区域110を制御するための回路130を備える。回路130は、支持体上の任意の好適な場所に、例えば、眼鏡フレーム104の延在部に沿って、レンズ102の周辺部分上に、または装着者の鼻にわたって延在するようにサイズ決定されるブリッジ上等のレンズの間に搭載されることができる。
【0032】
装置100は、多くの方法で構成されることができるが、いくつかの実施形態では、装置100は、装着者の両眼を治療するための両眼デバイスとして構成される。例えば、本デバイスは、第1の眼を治療するために使用されるコンポーネントと同様に、装着者の第2の眼を治療するように構成される、第2のレンズと、第2の光学区域と、第2の電気活性コンポーネントと、第2の切替可能区域とを備えてもよい。
【0033】
図2は、眼200の正面に設置される、図1におけるような装置100を示す。眼200は、瞳孔202と、角膜204とを備える。装置100のコンポーネントは、眼200を基準にして設置および配列される。レンズ102の後面は、角膜204の頂点からのある距離に設置される。レンズ102の後面220は、レンズ102の屈折力の大部分を備えてもよい。後面220は、例えば、近視装着者に明確な視野を提供するために、負の屈折力を伴う凹状面を備えてもよい。光学区域は、患者が前方を見るとき、眼200の通視線と整合される、中心を備える。
【0034】
眼200の瞳孔202が、眼200の外側から視認されるとき、眼200の角膜204は、瞳孔202の物理的位置からわずかに前方にある、瞳孔202の虚像を形成する。いくつかの実施形態では、瞳孔202の本虚像は、眼の入射瞳を備える。
【0035】
切替可能区域110は、切替可能区域110によって散乱された光が、網膜の周辺領域に指向されるように、眼の入射瞳に光を提供するように寸法決定される。切替可能区域110は、散乱光が、斜め角度において眼の入射瞳に入射し、網膜の周辺領域、例えば、黄斑の外側に指向されるように、眼200の正面の距離210に設置される。
【0036】
光学区域および切替可能区域110の寸法は、多くの方法で構成されることができる。いくつかの実施形態では、光学区域は、例えば、眼200の入射瞳を基準にして12度~20度の範囲内または14~16度の範囲内の角度において光を透過させるようにサイズ決定される。いくつかの実施形態では、角度は、光学区域の中心、入射瞳の中心、および光学区域の境界の間の角度等の半角を備える。いくつかの実施形態では、切替可能区域110は、例えば、眼の入射瞳を基準にして15度~50度の範囲内の角度において光を透過させるようにサイズ決定される。いくつかの実施形態では、切替可能区域110は、内側境界と、外側境界とを備え、内側境界は、眼の入射瞳を基準にして15度~20度の範囲内の内側境界角度212に対応し、外側境界は、眼の入射瞳を基準にして25度~50度の範囲内の外側境界角度214に対応する。いくつかの実施形態では、レンズ102は、眼の角膜までの頂点距離210を提供するために、眼鏡フレーム104上に搭載され、頂点距離210、内側境界、および外側境界は、眼の入射瞳202を基準にして内側境界角度212および外側境界角度214を提供するように寸法決定される。
【0037】
電気活性コンポーネント112およびレンズ102は、多くの方法で配列されることができるが、いくつかの実施形態では、切替区域を備える電気活性コンポーネント112は、レンズ102の前側222上に位置し、レンズ102の屈折力の大部分は、レンズ102の後側220上に位置する。
【0038】
図3は、電気活性コンポーネント112および関連付けられる回路130を示す。いくつかの実施形態では、電気活性コンポーネント112は、接着剤層302と、耐擦傷性層304と、切替可能層306とを備える。接着剤層302は、電気活性コンポーネント112をレンズ102に接着させるための接着剤を備える。接着剤層302は、レンズ102に接着するために好適な任意の好適な接着剤を備えてもよい。耐擦傷性層304は、電気活性コンポーネント112の外面の擦傷および光学的劣化を防止するために、外面上での使用のために好適な耐擦傷性材料を含んでもよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、回路130は、電気活性コンポーネント112の切替を制御するために、電気導体316によって等、電気活性コンポーネント112に動作的に結合される。回路130は、切替可能区域110の構成を制御するために、切替可能区域110に結合されることができる。回路130は、多くの方法で構成されることができ、光散乱のための第1の構成または光の略透明な透過のための第2の構成等の切替可能区域110の構成を制御するためのプロセッサ310、マイクロコントローラ、センサ314、または論理回路のうちの1つまたはそれを上回るものを備えてもよい。切替可能区域110の構成は、スイッチまたはソフトウェアアプリケーション(例えば、アプリ)からのユーザ入力または保健医療提供者によって提供される入力等の回路130への入力に応答して制御されることができる。いくつかの実施形態では、回路130は、電圧を切替可能区域110に印加するために、電源312を備える。電源は、再充電可能バッテリを備えてもよい。
【0040】
いくつかの実施形態では、回路130は、切替可能区域110の光散乱の量を変動させ、実質的に散乱された光の量を変動させるように構成され、第1の構成は、そのそれぞれが異なる量の光を散乱させるように構成される、複数の構成を備えてもよい。
【0041】
電極308aが、接着剤層302上に位置し、別の電極308bが、耐擦傷性層304上に位置し、液晶材料320および粒子322が、2つの電極308の間に位置することができる。電極308は、インジウムスズ酸化物(ITO)等の任意の好適な材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、電極308は、略透明である。いくつかの実施形態では、耐擦傷性層304は、切替可能層306に向かって配向される、略透明電極308aを備え、接着剤層302は、切替可能層306に向かって配向される、略透明電極308bを備える。略透明電極308はそれぞれ、25~250オングストロームの範囲内の厚さを備えてもよい。
【0042】
液晶材料320は、2つの電極308の間の電圧および対応する電場に応答して、その屈折率を変動させるように構成されることができる。第1の構成では、液晶材料320の屈折率は、粒子322が光を散乱させるために、粒子322の屈折率と実質的に異なる。第2の構成では、液晶材料320の屈折率は、レンズ102を用いて光を屈折させるために、粒子322の屈折率と実質的に類似する。
【0043】
層は、任意の適切な厚さを伴って寸法決定されることができる。いくつかの実施形態では、接着剤層302、耐擦傷性層304、および切替可能層306は、0.1mm~2mmの範囲内の組み合わせられた厚さを備えるが、本範囲は、より小さい、例えば、0.1mm~1mmであり得る。いくつかの実施形態では、耐擦傷性層304は、10ミクロン~100ミクロンの範囲内の厚さを備え、接着剤層302は、10ミクロン~100ミクロンの範囲内の厚さを備え、切替可能層306は、25ミクロン~1,000ミクロンの範囲内の厚さを備える。
【0044】
電気活性である液晶以外の材料もまた、切替可能媒体を構築するために使用されてもよい。例えば、ケイ皮酸およびアゾベンゼンおよびその誘導体等の線形分子構成および高い分極率を伴う芳香族材料が、使用されてもよい。
【0045】
切替可能区域110は、多くの方法で構成されることができる。いくつかの実施形態では、切替可能区域110は、液晶材料320と、液晶材料320内の粒子322とを備え、粒子322は、第2の構成よりも第1の構成においてより多くの量の光を散乱させる。粒子322は、不規則な粒子、フィラメント、楕円形粒子、球体、または微小球のうちの1つまたはそれを上回るもの等の任意の好適な形状を備えてもよい。
【0046】
粒子322は、任意の好適な寸法を伴ってサイズ決定されることができる。いくつかの実施形態では、粒子322は、1ミクロン~1,000ミクロンの範囲内、または5ミクロン~500ミクロンの範囲内、例えば、10ミクロン~250ミクロンの範囲内の直径を備える。粒子322は、非球状または球状粒子を備えてもよく、粒子322は、1ミクロン~1,000ミクロンの範囲内、および随意に、5ミクロン~500ミクロンの範囲内、および随意に、10ミクロン~250ミクロンの範囲内で横断する最大距離を備える。
【0047】
粒子322は、サイズの分布を備えてもよい。いくつかの実施形態では、粒子322は、粒子322の大部分が少なくとも5ミクロンを横断し、500ミクロン以下を横断するサイズ分布を備える。いくつかの実施形態では、粒子322の大部分は、少なくとも10ミクロンであり、250ミクロン以下である。これらのサイズの分布を伴う粒子322は、球体を備えてもよく、寸法は、直径を備えるが、粒子322は、本明細書に説明されるような他の形状を備えてもよい。
【0048】
いくつかの実施形態では、粒子322は、400nmにおける第1の量および750nmにおける第2の量を伴って、眼200の入口の中に光を散乱させるように構成される、粒子サイズの分布を備え、第1の量は、第2の量の25%以内である。装着者によって知覚されるような散乱の本均一性は、網膜の周辺領域により均一な刺激を提供するために有用であり得る。いくつかの実施形態では、粒子322の分布は、400nm~750nmの波長の範囲にわたって略均一に光を散乱させるように構成され、範囲にわたる散乱の量は、約25%以下で変動する。
【0049】
粒子322のサイズおよび分布は、多くの方法で構成され、例えば、ミー散乱またはレイリー散乱のうちの1つまたはそれを上回るものを提供することができる。粒子322のサイズおよびサイズの分布に応じて、散乱は、例えば、ミー散乱と、レイリー散乱とを備えてもよい。いくつかの実施形態では、粒子サイズの分布は、可視光の波長(400~750nm)よりも小さい粒子サイズを備え、また、最大波長を上回る粒子サイズを含む。そのような分布に関して、光散乱は、例えば、レイリー散乱およびミー散乱の両方を伴う。
【0050】
粒子322は、多くの方法で構成されることができ、光学的に透過性の材料または光エネルギーの吸収を伴う材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、微小球であり得る、粒子322は、400nm~750nmの範囲内の可視光を吸収する。周囲環境からの光が、光散乱区域を通して透過される際、散乱光の一部は、粒子322によって吸収され、本区域の外観を灰色にし得る。
【0051】
粒子322は、任意の好適な屈折率を備えてもよく、液晶材料320等の電気切替可能材料は、任意の好適な屈折率を備えてもよい。いくつかの実施形態では、粒子322は、1.5~1.7の範囲内の屈折率を備え、屈折率は、約589nmにおいてナトリウムD線に対応してもよい。いくつかの実施形態では、液晶材料320は、1.50~1.65の範囲内の非活性状態(例えば、電極への電圧を伴わない)における屈折率を備え、液晶材料の屈折率は、電極の間の電圧の印加を伴うと、約0.1~約0.25の範囲内の量だけ変化する、例えば、約0.15だけ変化するように構成される。
【0052】
粒子322は、イオンドープガラス、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリ芳香族、ポリスルホン、ポリイミド、ポリアミド、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、または多環オレフィンのうちの1つまたはそれを上回るものを含んでもよい。
【0053】
いくつかの実施形態では、液晶材料320は、摂氏-10度を下回るガラス遷移温度および摂氏100度を上回る融点を伴う略透明材料を含む。液晶材料320は、ネマチック相、コレステリック相、またはスメクチック相のうちの1つまたはそれを上回るものを備えてもよい。液晶材料は、ダイクロイック染料を伴うコレステリック液晶を含んでもよい。ダイクロイック染料は、光の配向依存吸収率を有してもよい、またはこれは、配向依存平均屈折率を有してもよい。ダイクロイック染料のそのような性質は両方とも、本明細書に開示される電気活性要素の構築において使用されてもよい。
【0054】
いくつかの実施形態では、本明細書に説明される電気活性コンポーネント112は、所望の範囲の空間周波数を網羅する散乱のパターンを投影するために、パターン化される液晶を含んでもよい。例えば、空間周波数の範囲は、形状認識および運動の検出に主に関与する空間周波数に相当する、1ミリメートルあたり1線対(「lp/mm」)~10lp/mmの範囲内であってもよい。いくつかの実施形態では、入射光の散乱は、該光によって形成され得る像の空間周波数から独立する。液晶材料内の粒子322が、言及されるが、ホログラフィックまたは他の構造が、療法のために適切な空間周波数分布を伴う光を提供するために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、構造が、構造の屈折率がLC材料320の屈折率と実質的に合致しないとき、空間周波数を提供し、屈折率が本明細書に説明されるように実質的に合致するとき、略透明視力補正を提供するように、構造は、LC材料320中に浸漬される周期的構造を備える。
【0055】
電気活性コンポーネント112は、多くの方法で構成されることができる。例えば、電気活性コンポーネント112は、レンズ102の製造の間、好適な時間におけるレンズ102上への設置のために構成される、アセンブリを備えてもよい。例えば、コンポーネント112は、湾曲屈折面がレンズ102上に研磨される前または後のいずれかにおいて、レンズ102上への設置のために構成される、独立型コンポーネント112を備えてもよい。回路130は、本明細書に説明されるように、好適なコネクタを用いて電気活性コンポーネント112に結合され、好適な場所において、眼鏡フレーム104等の支持体上に搭載されることができる。
【0056】
図4は、切替可能な屈折率を伴う偏光独立媒体を開発するためのドーパントの有無別のあるタイプの液晶材料320である、コレステリック液晶402を示す。光学的回転角は、ピッチ(「p」)の長さにわたる液晶に関して0~360度で示される。いくつかの実施形態では、本アプローチは、埋設された粒子の屈折率を合致させるために、コレステリック液晶(CLC)402を利用する。いくつかの実施形態では、CLC402の単一の層が、オフ状態においてp≦lであるときに偏光非感受性であり、オン状態において本質的に偏光非感受性であり、lは、電極308の間の距離である。切替可能区域110は、多くの方法で構成されることができるが、いくつかの実施形態では、CLCデバイスは、2つのみの電気接続/デバイスを備える。
【0057】
CLC402は、多くの方法で構成されることができるが、いくつかの実施形態では、CLC402は、偏光非感受性のために約1.4ミクロンのピッチを提供するために、カイラルドーパントを備える。LC材料の屈折率は、多くの方法で構成されることができるが、いくつかの実施形態では、LC材料、例えば、CLC材料402は、2つの屈折率、例えば、1.667(n)と1.53(n)との間で切り替わるように構成され、nは、異常屈折率であり、nは、通常屈折率である。
【0058】
表1は、Merckから商業的に入手可能な液晶調合物および屈折率等のその材料性質を示す。
【表1】
【0059】
具体的液晶材料が、言及されるが、当業者は、多くの適合および変形例が行われ得ることを認識するであろう。
【0060】
図5A、5B、6A、および6Bは、いくつかの実施形態による、液晶と粒子との間の屈折率合致を示す。
【0061】
図5Aは、電極208等のLC電極がオフである、少なくとも1つの波長の光に関する粒子とLC材料との間の屈折率合致を示す。少なくとも1つの波長、例えば、550nmに関して、LC材料の屈折率は、粒子の屈折率と合致し、したがって、デルタn=0である。図5Aに示されるように、LC材料の屈折率は、粒子の屈折率(「n」)と異なる。図5Bは、LC電極がオンである、図5AにおけるようなLC材料の屈折率の変化を示す。電極電圧および対応する電場は、屈折率が合致した波長、例えば、図5Aにおける550nmにおいて粒子の間の屈折率の差異をもたらす。550nmにおける屈折率の差異(Δn)は、Δλ/hに等しく、hは、当業者に公知であるような配向子である。いくつかの実施形態では、電極電圧を伴っても、屈折率は、別の波長において合致し得る。本構成は、いくつかの実施形態では、あまり理想的ではない場合があるが、本開示に関連する研究は、そのような構成が療法的利益を提供し得ることを示唆する。
【0062】
図6Aは、LC電極がオフである、ある範囲の波長にわたる粒子とLC材料との間の屈折率合致を示す。いくつかの実施形態では、LC材料の屈折率は、400nm~750nmの波長の範囲等の広い範囲の光の可視波長にわたる粒子の屈折率の0.02以内である。本構成では、電気活性層は、例えば、層がオフに切り替えられたとき、略透明である。
【0063】
図6Bは、LC電極がオンである、図6Bにおけるようなある範囲の波長にわたる粒子とLC材料との間の減少された屈折率合致を示す。LC材料と粒子との間の屈折率の有意な差異が、存在する。本構成では、電気活性層は、本明細書に説明されるように、光散乱および屈折異常の療法的治療を提供するように、物体がそれを通して視認されるときに霞んで見える、半透明材料を含む。いくつかの実施形態では、粒子の屈折率は、約400nm~約750nmの波長の範囲にわたって少なくとも0.05だけ層の屈折率と異なる。
【0064】
図6Aおよび6Bに示される光学性質は、最適により近く、第1の時間において散乱光を用いた療法的治療を提供し、装着者が、例えば、20/20またはより良好な視力(メトリック6/6)を伴って、本明細書に説明されるような第2の時間においてレンズ102を通して鮮明な明確な物体を視認することを可能にし得る。
【0065】
図5A、5B、5C、および6Bは、増加された散乱のためにオンに切り替えられ、減少された散乱のためにオフに切り替えられる電極に言及するが、これは、光が、例えば、異なる屈折率を伴う粒子を使用することによって、電極がオンである状態よりも電極がオフである状態でより散乱するように、代替実施形態において逆転されることができる。
【0066】
図7は、電気活性切替可能層306の構造を示す。いくつかの実施形態では、電位差(電圧)が、透明電極308、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)によって送達される。電極は、20nm~200nmの範囲内の厚さを備えてもよい。金属は、5nm~30nmの範囲内の厚さを有する、SiO層702等の基板の整合された層上に堆積されてもよい。いくつかの実施形態では、SiO層702の整合は、斜め堆積によって達成される。いくつかの実施形態では、SiO層702の整合は、LC分子の整合をより低い電圧で駆動する。
【0067】
コーティング厚は、多くの方法で構成されることができるが、いくつかの実施形態では、厚さは、最適化を用いて決定される。例えば、シミュレーションが、ITO-SiOコーティングを伴う透過を最適化するために実施されることができる。ガラス基板704上のITO-SiO層に関して、本開示に関連する研究は、それぞれ、20nmおよび230nmの厚さが、法線入射において、550nmにおける光であり得る光706に関する最大透過率を提供し得ることを示唆する。透過率は、例えば、80%またはそれを上回る、任意の好適な量であり得るが、計算された透過率は、例えば、空気/ITO界面に関して、法線入射において、約93.35%であり得る。1.67の屈折率を有する基板材料として、SiO(ガラス)が、言及されるが、基板材料は、例えば、異なる屈折率を伴うガラスまたはプラスチック等の任意の好適な屈折率を伴う任意の好適な材料を含んでもよい。
【0068】
光散乱を用いた近視等の屈折異常の治療が、言及されるが、本開示のコンポーネントおよび実施形態は、網膜上に脱焦点化された像を提供し、眼の軸方向長または眼の脈絡膜厚のうちの1つまたはそれを上回るものに対する変化を刺激するように、網膜の前方または後方に集束される像を用いて屈折異常を治療する使用のために非常に適している。本開示に関連する研究は、網膜の前方または網膜の後方に集束される像が、眼の軸方向長または脈絡膜厚のうちの1つまたはそれを上回るものを変化させることによって、眼の屈折異常を変化させるための好適な刺激を提供し得ることを示唆する。本開示によると、本明細書に説明されるような液晶材料および1つまたはそれを上回るコンポーネントは、眼に屈折力の変化を提供するために、光学表面プロファイルまたは電極プロファイルのうちの1つまたはそれを上回るものと組み合わせられることができる。
【0069】
いくつかの実施形態では、切替可能区域は、切替可能区域の屈折力を変動させるように構成される、液晶材料を含み、第1の構成における屈折力は、第2の構成の屈折力と異なる。
【0070】
いくつかの実施形態では、切替可能層は、切替可能屈折力、例えば、プラスの屈折力を提供する、偏光非感受性切替可能光学系を備える。切替可能屈折力は、表面レリーフプロファイルまたはパターン化電極によって提供されることができる。いくつかの実施形態では、表面レリーフプロファイルは、電気活性層の壁の表面上にエッチングされる回折パターンを備え、屈折力、例えば、正の屈折力を提供する。いくつかの実施形態では、屈折力は、液晶材料およびガラスまたはプラスチック等の任意の好適な材料を含み得る壁材料の屈折率の不整合を生じさせることによって活性化される。屈折力は、正または負の屈折力、例えば、最大+6Dの正の屈折力等の任意の好適な屈折力を備えてもよい。本屈折力は、商業的に入手可能な液晶材料等の好適な液晶材料を用いて、0.1~0.2の範囲内、例えば、約0.15の液晶材料と壁材料との間の屈折率差を用いて発生されることができる。
【0071】
図8Aは、本明細書に説明されるような装置の切替可能区域としての組み込みのために好適な周辺視野切替可能光学系800を示す。光学系810は、切替可能区域110と、電気活性コンポーネント112とを備える。切替可能区域110内に位置する電気活性コンポーネントは、複数の切替可能光学要素810、例えば、ピクセルを備え、そのそれぞれは、第1の構成において屈折力を提供し、第2の構成において実質的にいかなる屈折力も提供しないように構成される。透明区域が、本明細書に説明されるような光学系の中心に位置し、切替可能区域110は、透明区域の周囲に位置するが、他の構成も、可能性として考えられ、本開示に従って想定される。切替可能区域110は、本明細書に説明されるように、周辺網膜を刺激するために、光学系の中心から離れて位置することができる。光学要素810を通して遠方の物体から透過された光は、概して、本明細書に説明されるように、周辺網膜に向かって指向される。
【0072】
図8Bは、いくつかの実施形態による、全視野切替可能光学系802を示す。本開示に関連する研究は、周辺網膜の脱焦点化刺激が、例えば、中心窩および黄斑の脱焦点化刺激と組み合わせられ得ることを示唆する。いくつかの実施形態では、切替可能区域110および光学要素810を備える電気活性コンポーネント112は、レンズの中心区域を横断して延在し、光学系は、限定された時間にわたって治療のための屈折力を提供するように構成される。本構成は、療法の間の限定された時間、例えば、1~2時間にわたって眼を近視または遠視にし得るが、これは、治療のために有用であり得る。切替可能区域110内に位置する電気活性コンポーネント112は、複数の切替可能光学要素810、例えば、ピクセルを備え、そのそれぞれは、第1の構成において屈折力を提供し、第2の構成において、例えば、通常の視認のために実質的にいかなる屈折力も提供しないように構成される。
【0073】
電気活性コンポーネント112を備える切替可能区域110は、任意または全てのピクセルが同時に活性化され得るように、アドレス指定可能な光学要素、例えば、ピクセルを伴って構成されることができる。本アプローチは、レンズおよび網膜の対応する領域に対する脱焦点化の選択的領域を提供することができ、近視性脱焦点化等の汎網膜また周辺脱焦点化、およびそれらの組み合わせを提供することができる。網膜の黄斑および周辺領域の刺激を提供する汎網膜脱焦点化は、治療のために脱焦点化の間に明確な中心視を阻害し得るが、本開示に関連する研究は、患者が効果的に治療され得るように、治療時間が持続時間において十分に短くあり得ることを示唆する。
【0074】
アドレス指定可能な光学要素、例えば、ピクセルを用いて、脱焦点化の領域は、網膜の周辺または黄斑領域のうちの1つまたはそれを上回るものを備え得る、網膜の適切な領域に治療を提供するように、本明細書に説明されるようなプロセッサを用いてもたらされることができる。
【0075】
いくつかの実施形態では、切替可能区域は、屈折力を変動させるための複数の切替可能レンズレットを備え、複数の切替可能レンズレットは、屈折力を変動させ、第1の構成、例えば、オン構成において光を脱焦点化させるために、光学表面プロファイルまたは電極プロファイルのうちの1つまたはそれを上回るものを備える。
【0076】
いくつかの実施形態では、切替可能区域は、光学表面プロファイルを備える、1つまたはそれを上回る光学構造を備え、1つまたはそれを上回る光学構造の屈折率と電気活性材料の屈折率との間の差異に応答して、視認される像を不鮮明にする。
【0077】
いくつかの実施形態では、光学表面プロファイルは、回折光学プロファイルを備え、1つまたはそれを上回る光学構造の屈折率および電気活性材料の屈折率における差異に応答して、屈折力を提供する。
【0078】
いくつかの実施形態では、回折光学プロファイルは、複数のエシュレット格子を備える。
【0079】
いくつかの実施形態では、切替可能区域は、第1の構成において網膜の前方または後方に物体の像を集束させ、第2の構成において網膜上に物体の像を集束させるように構成される。
【0080】
図9は、切替可能屈折力を提供するために、基板材料において光学表面レリーフプロファイル910を備える、光学要素900、例えば、ピクセルを示す。表面レリーフプロファイルは、光学的に透過性の基板材料、例えば、本明細書に説明されるような透明基板材料において形成されることができる。光学要素900は、本明細書に説明されるような液晶材料を含む。第1の電極308aは、第1の基板702において形成される表面レリーフプロファイル910に沿って延在し、第2の電極308bは、第2の基板702、例えば、略平面基板に沿って延在する。液晶材料は、表面レリーフプロファイルを用いて屈折力を提供するために、本明細書に説明されるような屈折率の変化を受けることができる。表面レリーフプロファイル910は、多くの方法で構成されることができるが、いくつかの実施形態では、表面レリーフプロファイルは、回折光学表面を備える。回折光学表面は、複数のエシュレット格子を備えてもよい。複数のエシュレット格子は、本明細書に説明されるように、基板材料および液晶材料の屈折率の間の差異に応答して、屈折力を提供するために、エシュレット格子を通して通過する光に位相の変化を提供するように構成されることができる。
【0081】
表面レリーフ光学要素は、多くの方法で構成されることができるが、いくつかの実施形態では、各光学要素は、2つの電極を備え、第1の電極および第2の電極は、個別の基板のそれぞれの面積にわたって実質的に連続的に延在する。電極は、多くの方法で堆積されることができるが、いくつかの実施形態では、電極は、リソグラフィを伴わずに、例えば、薄膜堆積を用いて堆積される。表面レリーフ光学要素は、高い光学効率、例えば、網膜の前方または後方に意図される屈折力を用いて像を形成する要素を通して透過される光の90%またはそれを上回るものを提供するように構成されることができる。表面レリーフプロファイルは、多くの材料で形成されることができるが、いくつかの実施形態では、表面レリーフプロファイルは、プラスチック表面に沿って延在するが、他の材料も、本明細書に使用されるように使用されることができる。表面レリーフプロファイルは、平坦面上に、または湾曲面上に形成されることができる。いくつかの実施形態では、表面レリーフプロファイルは、平坦面上に形成され、電極および液晶材料および基板は、ともに接着され、次いで、アセンブリは、湾曲面上に設置される。
【0082】
いくつかの実施形態では、パターン化電極層が、電気活性光学層の壁上に堆積される。パターン化電極は、電圧差のパターンを作成するように電気的に活性されることができ、これは、ひいては、液晶材料内に屈折率差のパターンを生成する。本アプローチは、オフまたはオンに切り替えられ得る回折光学系を作成する。屈折力は、正または負の屈折力、例えば、最大+6Dの正の屈折力等の任意の好適な屈折力を備えてもよい。本屈折力は、本明細書に説明されるような商業的に入手可能な液晶材料等の好適な液晶材料を用いて、0.1~0.2の範囲内、例えば、約0.15の屈折率差を提供されることができる。
【0083】
図10Aは、屈折力を提供するための電極プロファイルを備える、光学要素1000の正面図を示し、図10Bは、図10Aの電極プロファイルの側面図を示す。電極プロファイルは、回折次数、例えば、+1、+2等および-1、-2等に関連する回折および対応する屈折力を提供するために、第1の基板と第2の基板との間に液晶材料の屈折率の差異を発生させることができる。1つまたはそれを上回る基板上の1つまたはそれを上回る電極が、多くの方法で構成されることができるが、いくつかの実施形態では、基板のうちの1つの上の1つまたはそれを上回る電極は、球状屈折力に対応する、略環状パターンにおいて配置される、複数のトレースを備える。1つまたはそれを上回る電極は、複数のトレース308a-1、308a-2、および308a-3を備えてもよい。1つまたはそれを上回る間隙307a-1、307a-2が、第1の基板702上のトレースの間に延在することができる。例えば、間隙307a-1および307a-2は、それぞれ、トレース308a-1と308a-2との間、および308a-2と308a-3との間に延在する。いくつかの実施形態では、第2の電極308bが、第2の基板上に位置し、第2の電極は、第2の基板の表面に沿って延在する、略連続的電極を備える。電極トレース308a-1、308a-2、および308a-3の間の間隙は、第1の基板702上の電極308aと第2の基板702上の電極308bとの間の電圧に応答して、屈折率の減少された変化の領域を画定するように、液晶材料内の減少された電場強度の領域に対応する。
【0084】
屈折力を提供する光学要素、例えば、ピクセルは、多くの方法で寸法決定されることができる。表面レリーフプロファイル光学要素および電極プロファイル光学要素は、類似する寸法を備えてもよい。眼鏡レンズでは、光学要素はそれぞれ、例えば、約3mm~約10mmの範囲内の横断する最大寸法、例えば、直径を備えてもよい。その上に光学要素が設置される、眼鏡レンズ等のレンズは、約60mm~約90mmの範囲内、例えば、約70mm~約80mmの範囲内の横断する最大距離を有することができる。電気活性コンポーネント112を備える切替可能区域110は、任意の好適な数の切替可能光学要素、例えば、約10~約1000個の範囲内の切替可能光学要素、例えば、約40~500個の範囲内の切替可能光学要素を備えてもよい。各切替可能光学要素に印加される電圧は、屈折力の実質的に固定された変化を提供するために、実質的に固定された電圧を備えてもよいが、いくつかの実施形態では、連続的に可変の電圧が、光学要素に印加され、屈折率の連続的に可変の変化を提供し、複数の光学要素毎に屈折力の連続的に可変の変化を提供することができる。
【0085】
いくつかの実施形態では、切替可能区域は、電極プロファイルを備え、第1の場所における電気活性材料の第1の屈折率と第2の場所における電気活性材料の第2の屈折率との間の差異に応答して、回折を伴って視認される像を不鮮明にし、第1の場所は、第2の場所よりも電極に近接する。
【0086】
いくつかの実施形態では、電極プロファイルを備えるパターンは、第1の構成、例えば、オン構成において網膜から離れるように光を集束させるために、切替可能区域に屈折力を提供するように構成される。いくつかの実施形態では、電極プロファイルを備えるパターンは、第1の場所における第1の屈折率と第2の場所における第2の屈折率との間の差異に関連する回折を伴う正の屈折力および負の屈折力を発生させるように構成される。
【0087】
いくつかの実施形態では、電極プロファイルを備えるパターンは、電気活性材料の第2の場所に対応する複数の間隙を備える。
【0088】
電極は、多くの方法で構成されることができるが、いくつかの実施形態では、電極プロファイルは、電気活性材料の第1の場所に対応する基板に沿って延在する、電極トレースを備え、電極プロファイルは、電極のトレースによって画定される、複数の間隙を備える。
【0089】
いくつかの実施形態では、電気活性材料の第2の場所は、複数の第2の場所を備え、複数の間隙は、電気活性材料の複数の第2の場所に対応する。
【0090】
本明細書に説明される回路を参照すると、いくつかの実施形態では、回路は、切替可能区域の屈折力の量を変動させるように構成され、随意に、第1の構成は、それぞれ、異なる量の屈折力を提供するように構成される、複数の構成を備える。
【0091】
電気活性材料は、切替可能光学要素を提供するために、多くの方法で構成されることができる。いくつかの実施形態では、電気活性材料は、液晶材料を含み、液晶材料は、1.5~1.65の範囲内の屈折率を備え、液晶材料は、屈折率を0.10~0.25の範囲内の量だけ変化させるように構成される。
【0092】
いくつかの実施形態では、切替可能区域は、略透明基板材料の表面上に光学表面プロファイルまたは電極プロファイルのうちの1つまたはそれを上回るものを備える。いくつかの実施形態では、基板材料は、1.5~1.7の範囲内の屈折率を備え、随意に、屈折率は、約589nmにおいてナトリウムD線に対応する。いくつかの実施形態では、基板材料は、イオンドープガラス、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリ芳香族、ポリスルホン、ポリイミド、ポリアミド、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、または多環オレフィンのうちの1つまたはそれを上回るものを含む。
【0093】
いくつかの実施形態では、液晶材料は、屈折力を提供するための第1の構成における第1の屈折率から、基板材料を通して光を略透明に透過させるための第2の構成における第2の屈折率に切替可能であり、第2の屈折率は、第2の構成における基板材料の屈折率により近い。
【0094】
いくつかの実施形態では、第1の屈折率は、基板材料の屈折率と少なくとも0.05だけ異なり、屈折力を提供し、第2の屈折率は、基板材料の屈折率と0.02以下だけ異なり、光を略透明に透過させる。
【0095】
いくつかの実施形態では、液晶材料は、0.10~0.25の範囲内の屈折率の変化を提供するように構成される。いくつかの実施形態では、液晶材料は、摂氏-10度を下回るガラス遷移温度および摂氏100度を上回る融点を伴う透明材料を含み、随意に、液晶材料は、ネマチック相、コレステリック相、またはスメクチック相のうちの1つまたはそれを上回るものを備える。
【0096】
レンズとの併用のための電気活性コンポーネントに関して、電気活性層は、レンズに接着するための接着剤層と、耐擦傷性層と、接着剤層と耐擦傷性層との間の切替可能層とを備えてもよい。切替可能層は、液晶材料と、粒子、光学表面プロファイル、または電極プロファイルのうちの1つまたはそれを上回るものとを備えてもよい。
【0097】
表面レリーフプロファイルまたはある形状パターンを伴う電極を備える、切替可能光学要素が、言及されるが、他のアプローチも、本開示に従って使用されることができる。例えば、切替可能光学コンポーネントは、屈折力の変化を提供するように配列される、1つまたはそれを上回る液体レンズを備えてもよい。例えば、液体レンズは、屈折力の増加を提供するために、液体を用いて膨張されることができ、レンズは、本明細書に説明されるような表面レリーフプロファイルまたは成形された電極プロファイルパターンを備える、切替可能光学要素と同様に位置することができる。いくつかの実施形態では、プラスの屈折力等の切替可能屈折力は、液体レンズを備える光学層を追加することによって生成されることができる。液体レンズは、最大4.0Dのプラスの屈折力等の任意の好適な屈折力を提供するように活性化されることができ、屈折力において手動で調節されることができるか、またはこれは、電気的に駆動され得るかのいずれかである。
【0098】
当業者は、本開示に従って、好適なソフトウェアを用いて表面レリーフプロファイルおよび成形された電極を設計することができる。例えば、Zemax光学設計ソフトウェアが、本明細書に説明されるようなレンズ等の屈折コンポーネントを設計するために使用されることができる。また、実施例として、virtual labソフトウェアまたはMatLabソフトウェアが、表面レリーフプロファイルおよびパターン化電極のプロファイルを設計し、電圧および本明細書に説明されるようなコンポーネントの種々の構成に応答した屈折率の変化をモデル化するために使用されることができる。
【0099】
透明中心光学区域を備える実施形態では、透明光学区域の屈折力は、第1の構成、例えば、オン、および切替可能区域の第2の構成、例えば、オフに関して、実質的に固定された、例えば、一定のままであってもよい。
【0100】
本明細書に説明されるように、本明細書に説明および/または図示されるコンピューティングデバイスおよびシステムは、広義には、本明細書に説明されるモジュール内に含有されるもの等のコンピュータ可読命令を実行することが可能な任意のタイプまたは形態のコンピューティングデバイスまたはシステムを表す。それらの最も基本的な構成では、これらのコンピューティングデバイスは、それぞれ、少なくとも1つのメモリデバイスと、少なくとも1つの物理的プロセッサとを備えてもよい。
【0101】
本明細書に使用されるような用語「メモリ」または「メモリデバイス」は、概して、データおよび/またはコンピュータ可読命令を記憶することが可能な任意のタイプまたは形態の揮発性または不揮発性記憶デバイスまたは媒体を表す。一実施例では、メモリデバイスは、本明細書に説明されるモジュールのうちの1つまたはそれを上回るものを記憶、ロード、および/または維持してもよい。メモリデバイスの実施例は、限定ではないが、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)、光ディスクドライブ、キャッシュ、同一物のうちの1つまたはそれを上回るものの変形例または組み合わせ、または任意の他の好適な記憶メモリを備える。
【0102】
加えて、本明細書に使用されるような用語「プロセッサ」または「物理的プロセッサ」は、概して、コンピュータ可読命令を解釈および/または実行することが可能な任意のタイプまたは形態のハードウェア実装処理ユニットを指す。一実施例では、物理的プロセッサは、上記に説明されるメモリデバイス内に記憶される1つまたはそれを上回るモジュールにアクセスする、および/またはそれを修正してもよい。物理的プロセッサの実施例は、限定ではないが、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、中央処理ユニット(CPU)、ソフトコアプロセッサを実装するフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、同一物のうちの1つまたはそれを上回るものの部分、同一物のうちの1つまたはそれを上回るものの変形例または組み合わせ、または任意の他の好適な物理的プロセッサを備える。プロセッサは、分散型プロセッサシステム、例えば、並列プロセッサの起動、またはサーバ等の遠隔プロセッサ、およびそれらの組み合わせを備えてもよい。
【0103】
別個の要素として図示されるが、本明細書に説明および/または図示される方法ステップは、単一のアプリケーションの部分を表し得る。加えて、いくつかの実施形態では、これらのステップのうちの1つまたはそれを上回るものは、コンピューティングデバイスによって実行されると、コンピューティングデバイスに、方法ステップ等の1つまたはそれを上回るタスクを実施させ得る、1つまたはそれを上回るソフトウェアアプリケーションまたはプログラムを表す、またはそれに対応し得る。
【0104】
加えて、本明細書に説明されるデバイスのうちの1つまたはそれを上回るものは、データ、物理的デバイス、および/または物理的デバイスの表現を、1つの形態から別の形態に変換してもよい。加えて、または代替として、本明細書に列挙されるモジュールのうちの1つまたはそれを上回るものは、コンピューティングデバイス上で実行すること、コンピューティングデバイス上にデータを記憶すること、および/または別様にコンピューティングデバイスと相互作用することによって、プロセッサ、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、および/または物理的コンピューティングデバイスの任意の他の部分を、1つの形態のコンピューティングデバイスから別の形態のコンピューティングデバイスに変換してもよい。
【0105】
本明細書に使用されるような用語「コンピュータ可読媒体」は、概して、コンピュータ可読命令を記憶または搬送することが可能な任意の形態のデバイス、キャリア、または媒体を指す。コンピュータ可読媒体の実施例は、限定ではないが、搬送波等の伝送型媒体、および磁気記憶媒体(例えば、ハードディスクドライブ、テープドライブ、およびフロッピー(登録商標)ディスク)、光学記憶媒体(例えば、コンパクトディスク(CD)、デジタルビデオディスク(DVD)、およびBLU-RAYディスク)、電子記憶媒体(例えば、ソリッドステートドライブおよびフラッシュメディア)、および他の分散システム等の非一過性型媒体を備える。
【0106】
当業者は、本明細書に開示される任意のプロセスまたは方法が、多くの方法で修正され得ることを認識するであろう。本明細書に説明および/または図示されるプロセスパラメータおよびステップのシーケンスは、実施例としてのみ与えられ、所望に応じて変動されることができる。例えば、本明細書に図示および/または説明されるステップは、特定の順序で示される、または議論され得るが、これらのステップは、必ずしも図示または議論される順序で実施される必要はない。
【0107】
本明細書に説明および/または図示される種々の例示的方法はまた、本明細書に説明または図示されるステップのうちの1つまたはそれを上回るものを省略する、または開示されるものに加えて、付加的ステップを含んでもよい。さらに、本明細書に開示されるような任意の方法のステップが、本明細書に開示されるような任意の他の方法のいずれか1つまたはそれを上回るステップと組み合わせられることができる。
【0108】
本明細書に説明されるようなプロセッサは、本明細書に開示される任意の方法の1つまたはそれを上回るステップを実施するように構成されることができる。代替として、または組み合わせて、プロセッサは、本明細書に開示されるような1つまたはそれを上回る方法の1つまたはそれを上回るステップを組み合わせるように構成されることができる。
【0109】
別様に記述されない限り、本明細書および請求項に使用されるような用語「~に接続される」および「~に結合される」(およびそれらの派生語)は、直接および間接的(すなわち、他の要素またはコンポーネントを介した)接続の両方を可能にするものとして解釈されるものである。加えて、本明細書および請求項に使用されるような用語「a」または「an」は、「~のうちの少なくとも1つ」を意味するものとして解釈されるものである。最後に、使用を容易にするために、本明細書および請求項に使用されるような用語「~を含む(including)」および「~を有する(having)」(およびそれらの派生語)は、単語「~を備える(comprising)」と同義的であり、それと同一の意味を有するものとする。
【0110】
本明細書に開示されるようなプロセッサは、本明細書に開示されるような任意の方法のいずれか1つまたはそれを上回るステップを実施するための命令とともに構成されることができる。
【0111】
用語「第1」、「第2」、「第3」等が、事象の任意の特定の順序またはシーケンスを指すことなく、種々の層、要素、コンポーネント、領域、または区分を説明するために本明細書に使用され得ることを理解されたい。これらの用語は、単に、1つの層、要素、コンポーネント、領域、または区分を別の層、要素、コンポーネント、領域、または区分と区別するために使用される。本明細書に説明されるような第1の層、要素、コンポーネント、領域、または区分は、本開示の教示から逸脱することなく、第2の層、要素、コンポーネント、領域、または区分と称され得る。
【0112】
本明細書に使用されるように、用語「または」は、代替として、および組み合わせて、項目を指すために包括的に使用される。
【0113】
本明細書に使用されるように、数字等の文字は、同様の要素を指す。
【0114】
本開示は、以下の付番された付記を含む。
【0115】
付記1.眼の屈折異常を治療するための装置であって、光学区域を備える、レンズと、光学区域の周囲に延在する、切替可能区域であって、切替可能区域は、光を実質的に散乱させる、または脱焦点化させるための第1の構成と、レンズを通して光を略透明に透過させるための第2の構成との間で切替可能な電気活性材料を含む、切替可能区域とを備える、装置。
【0116】
付記2.切替可能区域は、第1の構成において略半透明であり、第2の構成において略透明である、付記1に記載の装置。
【0117】
付記3.第1の構成における切替可能区域を通して視認される像は、不鮮明に見える、付記1に記載の装置。
【0118】
付記4.光学区域の屈折力は、切替可能区域の第1の構成および第2の構成に関して実質的に固定されたままである、付記1に記載の装置。
【0119】
付記5.切替可能区域は、粒子を備え、粒子および電気活性材料の屈折率の間の差異に応答して、視認される像を不鮮明にする、付記3に記載の装置。
【0120】
付記6.切替可能区域は、切替可能区域の屈折力を変動させるように構成される、液晶材料を含み、第1の構成における屈折力は、第2の構成の屈折力と異なる、付記3に記載の装置。
【0121】
付記7.切替可能区域は、屈折力を変動させるための複数の切替可能レンズレットを備え、複数の切替可能レンズレットは、屈折力を変動させ、第1の構成において光を脱焦点化させるために、光学表面プロファイルまたは電極プロファイルのうちの1つまたはそれを上回るものを備える、付記6に記載の装置。
【0122】
付記8.切替可能区域は、光学表面プロファイルを備える、1つまたはそれを上回る光学構造を備え、1つまたはそれを上回る光学構造の屈折率と電気活性材料の屈折率との間の差異に応答して、視認される像を不鮮明にする、付記3に記載の装置。
【0123】
付記9.光学表面プロファイルは、回折光学プロファイルを備え、1つまたはそれを上回る光学構造の屈折率および電気活性材料の屈折率における差異に応答して、屈折力を提供する、付記7に記載の装置。
【0124】
付記10.回折光学プロファイルは、複数のエシュレット格子を備える、付記8に記載の装置。
【0125】
付記11.切替可能区域は、第1の構成において網膜の前方または後方に物体の像を集束させ、第2の構成において網膜上に物体の像を集束させるように構成される、付記8に記載の装置。
【0126】
付記12.切替可能区域は、電極プロファイルを備え、第1の場所における電気活性材料の第1の屈折率と第2の場所における電気活性材料の第2の屈折率との間の差異に応答して、回折を伴って視認される像を不鮮明にし、第1の場所は、第2の場所よりも電極に近接する、付記3に記載の装置。
【0127】
付記13.電極プロファイルは、屈折力を切替可能区域に提供し、第1の構成において網膜から離れるように光を集束させるように構成される、付記11に記載の装置。
【0128】
付記14.電極プロファイルは、第1の場所における第1の屈折率と第2の場所における第2の屈折率との間の差異に関連する回折を伴う正の屈折力および負の屈折力を発生させるように構成される、付記12に記載の装置。
【0129】
付記15.電極プロファイルは、電気活性材料の第2の場所に対応する複数の間隙を備える、付記11に記載の装置。
【0130】
付記16.電極プロファイルは、電気活性材料の第1の場所に対応する基板に沿って延在する、電極トレースを備え、電極プロファイルは、電極のトレースによって画定される、複数の間隙を備える、付記14に記載の装置。
【0131】
付記17.電気活性材料の第2の場所は、複数の第2の場所を備え、複数の間隙は、電気活性材料の複数の第2の場所に対応する、付記15に記載の装置。
【0132】
付記18.レンズは、屈折力を備え、光学区域は、屈折力を備え、切替可能区域は、レンズ上に位置し、第2の構成において屈折力を伴う光を透過させる、付記1に記載の装置。
【0133】
付記19.レンズは、第1の側と、第2の側とを備え、切替可能区域は、第1の側上に位置し、第2の側は、レンズの屈折力の大部分を提供するための曲率を備える、付記17に記載の装置。
【0134】
付記20.切替可能区域は、電圧が区域に印加されるときの第1の構成と、区域に印加される電圧を伴わない第2の構成とを備える、付記1に記載の装置。
【0135】
付記21.切替可能区域は、電圧が区域に印加されるときの第2の構成と、区域に印加される電圧を伴わない第1の構成とを備える、付記1に記載の装置。
【0136】
付記22.切替可能区域は、環状区域を備える、付記1に記載の装置。
【0137】
付記23.光学区域は、中心光学区域を備える、付記1に記載の装置。
【0138】
付記24.切替可能区域は、眼の屈折異常を補正するように構成される、レンズの一部上に位置する、付記1に記載の装置。
【0139】
付記25.光学区域は、眼の屈折異常を補正するように構成される、付記1に記載の装置。
【0140】
付記26.光学区域は、眼の入射瞳を基準にして12度~20度の範囲内の角度において光を透過させるようにサイズ決定される、付記1に記載の装置。
【0141】
付記27.角度は、14~16度の範囲内である、付記25に記載の装置。
【0142】
付記28.角度は、半角を備える、付記25に記載の装置。
【0143】
付記29.切替可能区域は、眼の入射瞳を基準にして15度~50度の範囲内の角度において光を透過させるようにサイズ決定される、付記1に記載の装置。
【0144】
付記30.切替可能区域は、内側境界と、外側境界とを備え、内側境界は、眼の入射瞳を基準にして15度~20度の範囲内の内側角度に対応し、外側境界は、眼の入射瞳を基準にして25度~50度の範囲内の外側角度に対応する、付記28に記載の装置。
【0145】
付記31.レンズは、眼の角膜までの頂点距離を提供するために、眼鏡フレーム上に搭載され、頂点距離、内側境界、および外側境界は、眼の入射瞳を基準にして内側角度および外側角度を提供するように寸法決定される、付記29に記載の装置。
【0146】
付記32.切替可能区域は、液晶材料と、液晶材料内の粒子とを含み、粒子は、第2の構成よりも第1の構成においてより多くの量の光を散乱させる、付記1に記載の装置。
【0147】
付記33.粒子は、微小球を備える、付記31に記載の装置。
【0148】
付記34.粒子は、1ミクロン~1,000ミクロンの範囲内、および随意に、5ミクロン~500ミクロンの範囲内、および随意に、10ミクロン~250ミクロンの範囲内の直径を備える、付記31に記載の装置。
【0149】
付記35.粒子は、1ミクロン~1,000ミクロンの範囲内、および随意に、5ミクロン~500ミクロンの範囲内、および随意に、10ミクロン~250ミクロンの範囲内で横断する最大距離を備える、付記31に記載の装置。
【0150】
付記36.粒子は、粒子の大部分が少なくとも5ミクロンを横断し、500ミクロン以下を横断し、随意に、少なくとも10ミクロンを横断し、250ミクロン以下を横断するサイズ分布を備え、随意に、粒子は、球体を備え、寸法は、直径を備える、付記31に記載の装置。
【0151】
付記37.粒子は、400nmにおける第1の量および750nmにおける第2の量を伴って、眼の入射瞳の中に光を散乱させるように構成される、粒子サイズの分布を備え、第1の量は、第2の量の25%以内である、付記31に記載の装置。
【0152】
付記38.粒子の分布は、400nm~750nmの波長の範囲にわたって略均一に光を散乱させるように構成され、範囲にわたる散乱の量は、約25%以下で変動する、付記36に記載の装置。
【0153】
付記39.液晶材料は、1.5~1.65の範囲内の屈折率を備え、液晶材料は、0.10~0.25の範囲内の量だけ屈折率を変化させるように構成される、付記31に記載の装置。
【0154】
付記40.粒子は、1.5~1.7の範囲内の屈折率を備え、随意に、屈折率は、約589nmにおいてナトリウムD線に対応する、付記31に記載の装置。
【0155】
付記41.粒子は、イオンドープガラス、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリ芳香族、ポリスルホン、ポリイミド、ポリアミド、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、または多環オレフィンのうちの1つまたはそれを上回るものを含む、付記31に記載の装置。
【0156】
付記42.液晶材料は、光を実質的に散乱させるための第1の構成における第1の屈折率から、光を略透明に透過させるための第2の構成における第2の屈折率に切替可能であり、第2の屈折率は、粒子の屈折率により近く、第2の構成において粒子からの光散乱を減少させる、付記31に記載の装置。
【0157】
付記43.第1の屈折率は、粒子の屈折率と少なくとも0.05だけ異なり、光を実質的に散乱させ、第2の屈折率は、粒子の屈折率と0.02以下だけ異なり、光を略透明に透過させる、付記41に記載の装置。
【0158】
付記44.液晶材料は、0.10~0.25の範囲内の屈折率の変化を提供するように構成される、付記31に記載の装置。
【0159】
付記45.液晶材料は、摂氏-10度を下回るガラス遷移温度および摂氏100度を上回る融点を伴う透明材料を含み、随意に、液晶材料は、ネマチック相、コレステリック相、またはスメクチック相のうちの1つまたはそれを上回るものを備える、付記31に記載の装置。
【0160】
付記46.切替可能区域は、接着剤層と、耐擦傷性層と、接着剤層と耐擦傷性層との間の切替可能層であって、切替可能層は、液晶材料と、粒子、光学表面プロファイル、または電極プロファイルのうちの1つまたはそれを上回るものとを備える、切替可能層とを備える、付記1に記載の装置。
【0161】
付記47.接着剤層は、レンズに接着される、付記45に記載の装置。
【0162】
付記48.接着剤層、耐擦傷性層、および切替可能層は、0.1mm~2mmの範囲内、随意に、0.1mm~1mmの範囲内の組み合わせられた厚さを備える、付記45に記載の装置。
【0163】
付記49.耐擦傷性層は、10ミクロン~100ミクロンの範囲内の厚さを備え、接着剤層は、10ミクロン~100ミクロンの範囲内の厚さを備え、切替可能層は、25ミクロン~1,000ミクロンの範囲内の厚さを備える、付記45に記載の装置。
【0164】
付記50.耐擦傷性層は、切替可能層に向かって配向される、略透明電極を備え、接着剤層は、切替可能層に向かって配向される、略透明電極を備える、付記45に記載の装置。
【0165】
付記51.略透明電極はそれぞれ、25~250オングストロームの範囲内の厚さを備え、随意に、略透明電極はそれぞれ、インジウムスズ酸化物(ITO)電極を備える、付記49に記載の装置。
【0166】
付記52.切替可能区域に電圧を印加するための電源をさらに備え、随意に、電源は、再充電可能バッテリを備える、付記1に記載の装置。
【0167】
付記53.切替可能区域の構成を制御するために切替可能区域に結合される、回路をさらに備え、回路は、切替可能区域の構成を制御するためのプロセッサ、マイクロコントローラ、センサ、または論理回路のうちの1つまたはそれを上回るものを備え、随意に、切替可能区域は、回路への入力に応答して、第1の構成または第2の構成を備える、付記1に記載の装置。
【0168】
付記54.回路は、切替可能区域の光散乱の量を変動させ、実質的に散乱される光の量を変動させるように構成され、随意に、第1の構成は、それぞれが異なる量の光を散乱させるように構成される、複数の構成を備える、付記52に記載の装置。
【0169】
付記55.回路は、切替可能区域の屈折力の量を変動させるように構成され、随意に、第1の構成は、それぞれが異なる量の屈折力を提供するように構成される、複数の構成を備える、付記52に記載の装置。
【0170】
付記56.電気活性材料は、液晶材料を含み、液晶材料は、1.5~1.65の範囲内の屈折率を備え、液晶材料は、屈折率を0.10~0.25の範囲内の量だけ変化させるように構成される、付記1に記載の装置。
【0171】
付記57.切替可能区域は、略透明基板材料の表面上に光学表面プロファイルまたは電極プロファイルのうちの1つまたはそれを上回るものを備える、付記1に記載の装置。
【0172】
付記58.基板材料は、1.5~1.7の範囲内の屈折率を備え、随意に、屈折率は、約589nmにおいてナトリウムD線に対応する、付記56に記載の装置。
【0173】
付記59.基板材料は、イオンドープガラス、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリ芳香族、ポリスルホン、ポリイミド、ポリアミド、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、または多環オレフィンのうちの1つまたはそれを上回るものを含む、付記56に記載の装置。
【0174】
付記60.液晶材料は、屈折力を提供するための第1の構成における第1の屈折率から、基板材料を通して光を略透明に透過させるための第2の構成における第2の屈折率に切替可能であり、第2の屈折率は、第2の構成における基板材料の屈折率により近い、付記56に記載の装置。
【0175】
付記61.第1の屈折率は、基板材料の屈折率と少なくとも0.05だけ異なり、屈折力を提供し、第2の屈折率は、基板材料の屈折率と0.02以下だけ異なり、光を略透明に透過させる、付記59に記載の装置。
【0176】
付記62.液晶材料は、0.10~0.25の範囲内の屈折率の変化を提供するように構成される、付記56に記載の装置。
【0177】
付記63.液晶材料は、摂氏-10度を下回るガラス遷移温度および摂氏100度を上回る融点を伴う透明材料を含み、随意に、液晶材料は、ネマチック相、コレステリック相、またはスメクチック相のうちの1つまたはそれを上回るものを備える、付記56に記載の装置。
【0178】
付記64.眼の屈折異常を治療するためのレンズとの併用のための電気活性コンポーネントであって、レンズに接着するように構成される、接着剤層と、耐擦傷性層と、接着剤層と耐擦傷性層との間の切替可能層であって、切替可能層は、液晶材料と、粒子、光学表面プロファイル、または電極プロファイルのうちの1つまたはそれを上回るものとを備える、切替可能層とを備える、電気活性コンポーネント。
【0179】
付記65.切替可能層は、レンズ上に光学区域を提供するようにサイズ決定および成形される、中心部分にわたって延在しない、付記63に記載の電気活性コンポーネント。
【0180】
付記66.切替可能区域の構成を制御するために切替可能区域に結合される、回路をさらに備え、回路は、切替可能区域の構成を制御するためのプロセッサ、マイクロコントローラ、センサ、または論理回路のうちの1つまたはそれを上回るものを備え、随意に、切替可能区域は、回路への入力に応答して、第1の構成または第2の構成を備える、付記63に記載の電気活性コンポーネント。
【0181】
本開示の実施形態が、本明細書に記載されるように示され、説明されたが、実施例としてのみ提供される。当業者は、本開示の範囲から逸脱することなく、多数の適合、変更、変形例、および代用を認識するであろう。本明細書に開示される実施形態のいくつかの代替および組み合わせが、本開示および本明細書に開示される発明の範囲から逸脱することなく、利用されてもよい。したがって、本開示される発明の範囲は、添付される請求項およびその均等物の範囲によってのみ定義されるものとする。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
【国際調査報告】