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特表2023-526071車両内装システム用のOLEDディスプレイデバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-20
(54)【発明の名称】車両内装システム用のOLEDディスプレイデバイス
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20230613BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20230613BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20230613BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20230613BHJP
   H10K 59/10 20230101ALI20230613BHJP
【FI】
G09F9/00 350Z
G09F9/30 308A
G09F9/30 365
B60K35/00 Z
H10K50/10
H10K59/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022569203
(86)(22)【出願日】2021-05-06
(85)【翻訳文提出日】2023-01-12
(86)【国際出願番号】 US2021031085
(87)【国際公開番号】W WO2021231172
(87)【国際公開日】2021-11-18
(31)【優先権主張番号】63/025,503
(32)【優先日】2020-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】バダー,アメイ ガンパット
(72)【発明者】
【氏名】チャァ,カイカイ
(72)【発明者】
【氏名】ラヨーニ,カレド
(72)【発明者】
【氏名】パク,ジョン セ
(72)【発明者】
【氏名】カラウシュ,ユスフ カイエド
【テーマコード(参考)】
3D344
3K107
5C094
5G435
【Fターム(参考)】
3D344AA14
3D344AA19
3D344AA27
3D344AB01
3D344AD01
3K107AA01
3K107BB01
3K107BB08
3K107CC41
3K107CC45
3K107EE61
3K107EE63
3K107FF02
3K107FF15
5C094AA02
5C094AA44
5C094AA47
5C094BA27
5C094DA05
5C094DA06
5C094HA05
5C094JA07
5C094JA08
5G435AA01
5G435AA17
5G435BB05
5G435EE04
5G435EE13
5G435HH05
5G435HH18
5G435LL17
(57)【要約】
車両内装システム用のディスプレイデバイスを開示している。このディスプレイデバイスは、ガラス基板と、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイと、支持部材とを有するディスプレイモジュールを含んでいる。ガラス基板は、第1の主面と、この第1の主面と反対側の第2の主面とを有している。OLEDディスプレイは、ガラス基板の第2の主面に配置されており、支持部材は、第1の支持面と、この第1の支持面と反対側の第2の支持面とを含んでいる。OLEDディスプレイは、第1の支持面に配置されている。また、ディスプレイデバイスは、支持部材の第2の支持面に配置された組付け要素も含んでいる。支持部材および組付け要素は、各々の第1の剛性および第2の剛性を有している。第1の剛性は、少なくとも100N/mmであり、第1の剛性と第2の剛性との有効剛性は、270N/mm以下である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両内装システム用のディスプレイデバイスであって、
ディスプレイモジュールであって、
第1の主面と、該第1の主面と反対側に位置する第2の主面とを備えるガラス基板と、
前記ガラス基板の前記第2の主面に配置された有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイと、
第1の支持面と、該第1の支持面と反対側に位置する第2の支持面とを備える支持部材であって、前記OLEDディスプレイは、前記第1の支持面に配置されている、支持部材と
を備えるディスプレイモジュールと、
前記支持部材の前記第2の支持面に配置された組付け要素と
を備え、
前記支持部材は、第1の剛性を有し、前記組付け要素は、第2の剛性を有し、
前記第1の剛性は、少なくとも100N/mmであり、
前記第1の剛性と前記第2の剛性との有効剛性が、270N/mm以下である、
ディスプレイデバイス。
【請求項2】
前記第1の剛性は、1000N/mm以下である、請求項1記載のディスプレイデバイス。
【請求項3】
前記第2の剛性は、200N/mm~4500N/mmである、請求項2記載のディスプレイデバイス。
【請求項4】
前記ディスプレイモジュールは、10Nm~500Nmの曲げ剛性を有する、請求項1から3までのいずれか1項記載のディスプレイデバイス。
【請求項5】
前記支持部材は、前記ディスプレイモジュールの前記曲げ剛性の少なくとも80%を占めている、請求項4記載のディスプレイデバイス。
【請求項6】
前記OLEDディスプレイは、前記ディスプレイモジュールの前記曲げ剛性の5%以下を占めている、請求項4記載のディスプレイデバイス。
【請求項7】
前記ガラス基板は、前記ディスプレイモジュールの前記曲げ剛性の20%以下を占めている、請求項4記載のディスプレイデバイス。
【請求項8】
前記OLEDディスプレイは、1mm以下のディスプレイ厚さを有し、前記ガラス基板は、前記第1の主面と前記第2の主面との間に0.3mm~2.0mmのガラス厚さを有する、請求項1から3までのいずれか1項記載のディスプレイデバイス。
【請求項9】
前記組付け要素は、車両内装ベースに取り付けるように構成された少なくとも1つのブラケットを備え、該少なくとも1つのブラケットの各々は、前記第2の支持面に配置された第1のアームと、前記車両内装ベースに取り付けるように構成された第2のアームと、前記第1のアームを前記第2のアームに接続する横方向部材とを有するC字形である、請求項1から3までのいずれか1項記載のディスプレイデバイス。
【請求項10】
前記支持部材の前記第1の支持面は、湾曲を有し、前記ガラス基板は、前記支持部材の前記湾曲に合致するように冷間成形されており、前記OLEDディスプレイは、前記支持部材の前記湾曲に合致するように冷間成形されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のディスプレイデバイス。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
この出願は、米国特許法第119条のもと、2020年5月15日に出願された米国仮特許出願第63/025,503号の優先権の利益を主張し、その内容は本明細書の依拠するところであって、その内容全体を参照により本明細書に援用するものとする。
【技術分野】
【0002】
本開示は、車両内装システム用のディスプレイデバイスに関し、より詳細には、ヘッドフォーム衝撃試験要件を満たすように構成された有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
車両内装は湾曲面を含んでおり、このような湾曲面には、ディスプレイを組み込むことができる。このような湾曲面を形成するために使用される材料は、典型的には、ガラスのような耐久性および光学性能を示さないポリマーに限定されている。したがって、特にディスプレイ用のカバーとして使用される場合には、湾曲したガラス基板が所望されている。このような湾曲したガラス基板を形成する既存の方法、例えば熱成形は、高いコスト、光学的な歪みおよび表面マーキングを含む欠点を有している。したがって、出願人は、車両内装システムに対して、湾曲したガラス基板を高い費用対効果でかつガラス熱成形プロセスに典型的に関連する問題なしに組み込むことができる必要性を認識してきている。
【発明の概要】
【0004】
一態様によれば、本開示の実施形態は、車両内装システム用のディスプレイデバイスに関する。このディスプレイデバイスは、ガラス基板と、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイと、支持部材とを有するディスプレイモジュールを含んでいる。ガラス基板は、第1の主面と第2の主面とを有している。この第2の主面は、第1の主面と反対側に位置している。OLEDディスプレイは、ガラス基板の第2の主面に配置されており、支持部材は、第1の支持面と第2の支持面とを含んでいる。この第2の支持面は、第1の支持面と反対側に位置している。OLEDディスプレイは、第1の支持面に配置されている。また、ディスプレイデバイスは、支持部材の第2の支持面に配置された組付け要素も含んでいる。支持部材は、第1の剛性を有しており、組付け要素は、第2の剛性を有している。第1の剛性は、少なくとも100N/mmであり、第1の剛性と第2の剛性との有効剛性は、270N/mm以下である。
【0005】
別の態様によれば、本開示の実施形態は、車両内装システム用のディスプレイデバイスに関する。このディスプレイデバイスは、10Nm~500Nmの曲げ剛性を有するディスプレイモジュールを含んでいる。このディスプレイモジュールは、ガラス基板と、OLEDディスプレイと、支持部材とを含んでいる。ガラス基板は、第1の主面と第2の主面とを有している。この第2の主面は、第1の主面と反対側に位置している。OLEDディスプレイは、ガラス基板の第2の主面に配置されている。支持部材は、第1の支持面と第2の支持面とを有している。この第2の支持面は、第1の支持面と反対側に位置している。OLEDディスプレイは、第1の支持面に配置されている。支持部材の第2の支持面には、組付け要素が配置されている。ディスプレイデバイスが、FMVSS 201に準ずるヘッドフォーム衝撃試験に供されたとき、ヘッドフォームは、3ms超にわたって連続して80g(78453.2cm/s)の減速度を超過しない。
【0006】
さらに別の態様によれば、本開示の実施形態は、ディスプレイデバイスを製作する方法に関する。この方法では、OLEDディスプレイが、支持部材の第1の支持面に接着される。支持部材の第2の支持面には、組付け要素が取り付けられている。第2の支持面は、第1の支持面と反対側に位置している。OLEDディスプレイは、ガラス基板に接着されており、これによって、OLEDディスプレイが、ガラス基板と支持部材との間に配置されている。支持部材と組付け要素とは、270N/mm以下の有効剛性(K)を有している。
【0007】
付加的な特徴および利点は、以下の詳細な説明に記載してあり、部分的にその説明から当業者に容易に明らかであるか、または以下の詳細な説明、特許請求の範囲ならびに添付の図面を含め、本明細書に記載した実施形態を実施することによって認識される。
【0008】
当然ながら、前述の概説および以下の詳細な説明は、両方とも単なる一例にすぎず、特許請求の範囲の本質および特徴を理解するための概要または枠組みを提供することを意図している。添付の図面は、更なる理解を提供するために含まれており、本明細書に組み込まれ、その一部を構成している。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本明細書に組み込まれ、その一部を成す添付の図面は、本発明の幾つかの態様を示しており、本明細書と共に本発明の原理を説明するために役立つ。
図1】例示的な実施形態によるOLEDディスプレイモジュールを有する車両内装システムを備えた車両内装の斜視図である。
図2A】例示的な実施形態によるV字形のディスプレイモジュールの側面図である。
図2B】例示的な実施形態によるC字形のディスプレイモジュールの側面図である。
図3A】LCDモジュールを示す図である。
図3B】LCDモジュール用の構成要素によって分類された曲げ剛性のグラフである。
図4A】例示的な実施形態によるOLEDディスプレイモジュールを示す図である。
図4B】例示的な実施形態によるOLEDディスプレイモジュール用の構成要素によって分類された曲げ剛性のグラフである。
図5A】ヘッドフォーム衝撃試験に曝されている例示的な実施形態によるOLEDディスプレイデバイスを示す図である。
図5B】例示的な実施形態による図5AのOLEDディスプレイデバイスの分解図である。
図6】ヘッドフォーム衝撃試験基準を満たすためのLCDモジュールと比較した例示的な実施形態によるOLEDディスプレイモジュールの設計ウィンドウのグラフである。
図7】例示的な実施形態によるOLEDディスプレイモジュールを製作するための冷間成形に適したガラス基板を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、添付の図面に示した例を含む種々の実施形態を詳細に参照する。概して、これらの種々の実施形態は、ヘッドフォーム衝撃試験に関する脆性要件を満たすように構成された組付け構造体を備えた有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイモジュールを有する車両内装システムに関する。従来の液晶ディスプレイ(LCD)またはバックライトLEDディスプレイと比較して、OLEDディスプレイは極めて肉薄であり、バックライトユニットを必要としない。したがって、OLEDディスプレイの剛性は、LCDまたはバックライトLEDディスプレイの剛性よりも著しく低い。したがって、OLEDディスプレイは、車両内装システムにおいて従来の組付け構造体と共に使用することができず、ヘッドフォーム衝撃試験に対する関連要件を相変わらず満たすことができない。したがって、本明細書に開示したディスプレイモジュールおよび組付け構造体の実施形態は、ヘッドフォーム衝撃試験に対する関連基準を満たすために必要な剛性を提供している。本明細書に記載した実施形態は例示として提供するものであり、限定として提供するものではない。
【0011】
概して、車両内装システムは、透明であるように設計された種々異なる湾曲面、例えば湾曲したディスプレイ面を含んでいてよい。湾曲した車両面をガラス材料から形成することによって、従来車両内装に認められる典型的な湾曲したプラスチックパネルと比較して、数多くの利点が提供される。例えば、ガラスは、典型的には、プラスチックカバー材料と比較して、多くの湾曲したカバー材料用途、例えばディスプレイ用途およびタッチスクリーン用途において向上させられた機能およびユーザエクスペリエンスを提供すると考えられている。
【0012】
図1には、車両内装システム100,200,300の3つの異なる実施形態を含む例示的な車両内装1000が示してある。車両内装システム100は、OLEDディスプレイ130を含む湾曲面120を備えた、センターコンソールベース110として示したフレームを含んでいる。車両内装システム200は、OLEDディスプレイ230を含む湾曲面220を備えた、ダッシュボードベース210として示したフレームを含んでいる。ダッシュボードベース210は、典型的には、OLEDディスプレイを含んでもよいインストルメントパネル215を含んでいる。車両内装システム300は、湾曲面320とOLEDディスプレイ330とを備えた、ステアリングホイールベース310として示したフレームを含んでいる。1つ以上の実施形態では、車両内装システムは、アームレスト、ピラー、シートバック、フロアボード、ヘッドレスト、ドアパネルまたは湾曲面を含む車両の内装の任意の部分であるフレームを含んでいる。別の実施形態では、フレームは、自立型のディスプレイ(つまり、車両の一部に常時接続されていないディスプレイ)用のハウジングの一部である。
【0013】
本明細書に記載したOLEDディスプレイデバイスの実施形態は、特に、車両内装システム100,200,300の各々に使用されてよい。幾つかのこのような実施形態では、本明細書に記載したOLEDディスプレイデバイスは、ダッシュボード用、センターコンソール用、ドアパネル用等のディスプレイ面でない面も覆うカバーガラス基板を含んでいてよい。このような実施形態では、ガラス材料はその重量、審美的な外観等に基づき選択されてよく、ガラス製の構成要素と、これに隣り合ったガラス製でない構成要素とを視覚的に調和させるために、所定のパターン(例えばブラッシュメタルの外観、木目調の外観、皮革の外観、着色した外観等)を備えたコーティング(例えばインクコーティングまたは顔料コーティング)を備えていてよい。特定の実施形態では、このようなインクコーティングまたは顔料コーティングは、OLEDディスプレイが作動していない場合、デッドフロント機能または色調和機能を提供する透明度レベルを有していてよい。
【0014】
実施形態では、湾曲面120,220,320は、それぞれ任意の種々の湾曲形状、例えば、図2Aおよび図2Bに示したようなV字形またはC字形であってよい。まず、図2Aを参照すると、V字形のOLEDディスプレイモジュール10の実施形態の側面図が示してある。V字形のOLEDディスプレイモジュール10は、第1の主面14と、この第1の主面14と反対側の第2の主面16と、第1の主面14を第2の主面16に繋ぐ副面18とを有するガラス基板12を含んでいる。第1の主面14と第2の主面16とは、ガラス基板12の厚さTを規定している。実施形態では、このガラス基板12の厚さTは、0.3mm~2mm、特に0.5mm~1.1mmである。車両では、第1の主面14は、車両の乗員に向けられている。
【0015】
実施形態では、第1の主面14および/または第2の主面16は、1つ以上の表面処理を含んでいる。第1の主面14および第2の主面16の一方または両方に適用されてよい表面処理の例は、アンチグレアコーティング、反射防止コーティング、タッチ機能を提供するコーティング、装飾(例えばインクコーティングまたは顔料コーティング)および易洗浄コーティングを含んでいる。
【0016】
図2Aに認めることができるように、ガラス基板12は、第1の平坦な区分22aと第2の平坦な区分22bとの間に配置された湾曲領域20を有している。実施形態では、この湾曲領域20は、50mmないし実質的に平坦または平らに満たない曲率半径(例えばR=10m)である曲率半径Rを有している。概して、より急な曲率半径は、比較的肉薄のガラス厚さにおいて達成しやすい。さらに、図2Aに示したように、湾曲領域20は、凹状の曲線を規定しているが、しかしながら、別の実施形態では、その代わりに、湾曲領域20は、凸状の曲線である。図2AのV字形のOLEDディスプレイモジュール10では、OLEDディスプレイ24が、例えば光学的に透明な接着剤または感圧性の接着剤を用いて湾曲領域20における第2の主面16に結合されている。実施形態では、OLEDディスプレイ24は、2mm以下、特に1mm以下、より詳細には0.5mm以下の厚さを有している。さらに、OLEDディスプレイ24には、支持部材26が結合されており、これによって、OLEDディスプレイ24が、ガラス基板12と支持部材26との間に配置されている。以下でより詳細に説明するように、支持部材26は、ヘッドフォーム衝撃試験の要件を満たすために必要な曲げ剛性をOLEDディスプレイモジュール10に部分的に提供している。
【0017】
図2Bには、C字形のOLEDディスプレイモジュール10が示してある。図2AのV字形のOLEDディスプレイモジュール10と比較して、図2BのC字形のOLEDディスプレイモジュール10は、より大きな湾曲領域20と、より短い平坦な区分22a,22bとを有している。V字形とC字形とは、本開示により形成することができる湾曲したディスプレイモジュールの2つの例でしかない。別の実施形態では、ディスプレイモジュールは、特に、S字形を形成するために互いに反対側の湾曲を有する湾曲領域20と、J字形を形成するために平坦な区分22aが続く湾曲領域20と、U字形を形成するために平坦な区分22aによって分離された湾曲領域20とを含んでいてよい。
【0018】
OLEDディスプレイモジュール10の利点には、従来のLCDおよびバックライトLEDディスプレイと比較した場合の相対的な薄さと、急な曲げ半径を有する曲率に合致させるためのOLEDディスプレイの可撓性とが含まれている。しかしながら、薄さと可撓性とは、従来のフレームおよび組付け要素と対を成す場合、剛性および曲げ剛性の低下にも繋がる。図3A図3B図4A図4Bとの比較には、従来のLCDモジュールと、本開示のOLEDディスプレイモジュール10とに対する曲げ剛性の顕著な差が示してある。
【0019】
図3Aには、ガラス基板91と、光学的に透明な接着剤層92と、LCD93と、バックライトユニット94と、支持部材95とから成る従来のLCDモジュール90が示してある。このようなLCDモジュール90では、ガラス基板91は、例えば0.55mm~2.0mmの厚さを有していてよい。光学的に透明な接着剤92は、1mm以下の厚さを有していてよい。LCD93は、数mm(例えば約2mm~20mm)の厚さである、幾つかの構成要素層のスタックから成っている。さらに、バックライトユニット94も数mm(例えば約2mm~20mm)の厚さであり、支持部材95は、約3mmの厚さである。LCDモジュール90の厚さの主な部分は、LCD93とバックライトユニット94とに因ると考えられているので、これらの構成要素が、図3Bに示したように、LCDモジュール90の曲げ剛性に大きく関与している。
【0020】
図3Bは、約114Nmの曲げ剛性を有するLCDモジュール90を考えている。曲げ剛性は、以下の等式1、つまり、
D=ET/12(1-ν
に従って決定されてよい。
【0021】
式中、Dは、曲げ剛性であり、Eは、材料のヤング率であり、Tは、厚さであり、νは、材料のポアソン比である。
【0022】
1.1mmの厚さを有するガラス基板91は、曲げ剛性に8.1Nm関与し、残りの曲げ剛性は、LCD93と、バックライトユニット94と、2.8mmの厚さを有する支持部材95との間で実質的に分けられる。図示したように、著しく肉薄のOLEDディスプレイ24は、バックライトユニットを必要とせず、OLEDディスプレイモジュール10の曲げ剛性にほとんど関与しない。
【0023】
これに関して、図4Aには、OLEDディスプレイモジュール10の例示的な実施形態が示してある。実施形態では、OLEDディスプレイモジュール10は、10Nm~500Nmの範囲の曲げ剛性を有するように構成されている。特定の実施形態では、OLEDディスプレイモジュール10の曲げ剛性は、100Nm~120Nmの範囲内にある。図4Aに示したように、OLEDディスプレイモジュールは、カバー材料としてのガラス基板12と、このガラス基板12に(例えば光学的に透明な接着剤または感圧性の接着剤を用いて)接着されたOLEDディスプレイ24と、支持部材26と、OLEDディスプレイ24および/またはガラス基板12を(例えば、OLEDディスプレイ24を取り囲む領域で)支持部材26に結合する接着剤層27(例えば構造接着剤層)とを含んでいる。考えられている実施形態では、ガラス基板12は、1.1mmの厚さを有していた。OLEDディスプレイ24は、0.36mmの厚さを有していて、例えばポリイミドおよび有機発光コーティングの層から成っており、接着剤層27は、1.0mm未満の厚さを有していた。図3AのLCDモジュール90と等しい曲げ剛性(約114Nm)を達成するために、支持部材26は、約4mmの厚さを有していた。
【0024】
図4Bに認めることができるように、支持部材26は、ディスプレイモジュール10に105Nm(例えば少なくとも80%、特に少なくとも90%)の曲げ剛性を提供する。ガラス基板12は、8.1Nm(例えば20%以下、特に10%以下)の曲げ剛性を提供し、OLEDディスプレイ24は、薄さおよびバックライトユニットの欠落のため、曲げ剛性に約1.0Nm(5%以下、特に2%以下)しか関与していない。
【0025】
ヘッドフォーム衝撃試験の要件を満たすために、OLEDディスプレイモジュール10は、3ms超にわたって連続して80g(78453.2cm/s)の力を防止するようにヘッドフォームを減速させるのに十分に低い曲げ剛性を有しつつ、ガラス基板12の破壊を招いてしまうほどの曲げを防止するのに十分に高い曲げ剛性を有していなければならない。これに関して、曲げ剛性は剛性に関係しており、OLEDディスプレイモジュール10の剛性は、支持部材26と、以下に記載するように、OLEDディスプレイモジュール10を車両内装ベースに接合する組付け要素との材料特性および/または幾何学形状を変えることによって変えられてよい。
【0026】
曲げ剛性を剛性に関係させる式は、以下の等式2、つまり、
K=48Dw(1-ν)/l
によって与えられる。
【0027】
式中、Kは、剛性であり、Dは、曲げ剛性であり、wは、ディスプレイモジュールの幅であり、lは、ディスプレイモジュールの長さであり、νは、ポアソン比である。等式1および等式2から、OLEDディスプレイモジュール10の幾何学形状(つまり、幅w、長さlおよび厚さTの特定の選択)および材料特性(つまり、ヤング率およびポアソン比)が、曲げ剛性および剛性に実質的な影響を与えることを認めることができる。概して、幅および長さは、厚さ(D∝T)および材料特性(ヤング率Eおよびポアソン比ν)を、所望の剛性および曲げ剛性を達成するために操作する可能性のある変数としたまま、特定の用途および顧客仕様によって規定される。
【0028】
図5Aには、ディスプレイモジュール10と組付け要素30とを含むディスプレイデバイス28の実施形態が示してある。また、図5Aには、ヘッドフォーム衝撃試験を実施するために使用されるようなヘッドフォーム32も示してある。ディスプレイデバイス28は、ヘッドフォーム衝撃試験(北米:FMVSS 201;欧州連合:ECE R21;中国:GB 11552 2009)に準ずる要件を満たすように構成されている。特に、ディスプレイデバイス28は、ディスプレイモジュール10と組付け要素30とによって与えられる、ヘッドフォーム衝撃試験の要件を満たすのに十分である有効剛性(K)を有している。
【0029】
OLEDディスプレイモジュール10の剛性の実質的な部分は、支持部材26によって与えられるので、以下の記載では、支持部材26の第1の剛性(K)について言及することにする。これに関して、支持部材26は、OLEDディスプレイモジュール10の剛性を操作するためのカスタマイズ可能な幾つかの態様を提供する。さらに、以下の記載では、有効剛性Kについての言及は、支持部材26の第1の剛性Kおよび組付け要素30の第2の剛性Kにも基づいている。第1の剛性Kと第2の剛性Kとは、ディスプレイデバイス28に対する有効剛性Kを以下の等式3、つまり、
=K/(K+K
に従って規定している。
【0030】
こうして、OLEDディスプレイデバイス28の動的応答は、支持部材の剛性Kと組付け要素30の剛性Kとに関係している。したがって、ディスプレイモジュール10の支持部材26および/または組付け要素30の幾何学形状および/または材料特性を変えることによって、有効剛性Kを操作することができる。図5Bに示した実施形態では、支持部材26は、アルミニウム製の支持プレートである。所与のアルミニウム合金の支持プレートでは、剛性は、例えば、支持プレートの厚さを変えることによって等式1および等式2に従って変えられてよい。特に、厚さを増やすと、剛性が高められる。さらに、特定の支持プレート厚さでは、剛性は、例えば、支持プレートを形成する材料を変えることによって変えられてよい。特に、支持部材26の剛性は、支持部材26を形成する材料の弾性率が高められるにつれて高められる(例えば、剛性は、鋼製の支持部材26では、同一の幾何学形状を有するアルミニウム製の支持部材26よりも高くなる)。
【0031】
また、組付け要素30の剛性Kは、組付け要素30の幾何学形状および/または機械的な特性を変えることによって変えられてよい。図5Bに示した実施形態では、組付け要素30は、複数、特に4つの組付けブラケット34である。図5Bの実施形態における各々の組付けブラケット34は、第1のアーム36と、第2のアーム38と、第1のアーム36と第2のアーム38とを繋ぐ横方向部材40とを有するU字形である。第2のアーム38は、支持部材26の背面に固定(締結、溶接、接着、連結、嵌合等)されており、第1のアーム36は、車両内装ベース(例えば、図1のセンターコンソールベース110、ダッシュボードベース210またはハンドルベース310)に取り付けるように構成されている。このような実施形態では、組付け要素30の剛性Kは、ブラケット34の材料(つまり、弾性率)、ブラケット34の個数、ブラケット34の位置またはブラケット34の形状を変えることでアーム36,38と横方向部材40との厚さを変えることによって調整されてよい。別の実施形態では、組付け要素30は、任意の種々の別の適切な構造体であってよく、任意の種々の金属合金、プラスチック、複合材料またはこれらの1つ以上の組合せから製作されてよい。
【0032】
最終的には、支持部材26および組付け要素30の特定の形状および材料は限定されるものではなく、それどころか、以下に説明するように、有効剛性Kを提供するように設計される。説明のために、表1は、アルミニウム製の支持プレートである支持部材26(E=68GPa;ν=0.33;密度=2.7g/cm)と、組付け要素30としての鋼製のブラケット34(E=205GPa;ν=0.29;密度=7.85g/cm)とを有するOLEDディスプレイモジュール10の例を提供している。表1に示したように、各々の支持プレートおよびブラケットの厚さは、種々の剛性K,Kを達成するために変えられている。
【0033】
【表1】
【0034】
支持部材26に対する剛性値Kと組付け要素30に対する剛性値Kとを用いて、FMVSS 201に準ずるヘッドフォーム衝撃試験(HIT)下でのOLEDディスプレイの動的応答を研究するために、明示的な動的有限要素モデルが開発された。数値シミュレーション結果は、ヘッドフォーム32の減速度に対する表2およびカバーガラス12に加えられる最大主応力に対する表3にそれぞれ示してある。イタリック体のデータ点は、HIT規制を満たさない剛性の組合せである。なぜならば、ヘッドフォーム32が、3msよりも長い期間にわたって80g(78453.2cm/s)超の減速度を被ったからである。
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
【0037】
表3から認めることができるように、全てのガラス基板12は、数値モデリングに使用される特定のガラスに対する破壊点に対応する900MPa未満の最大主応力を被った。
【0038】
表2から得られたデータを用いて、支持部材26の剛性Kを組付け要素30の剛性Kに対して図6のグラフにプロットし、ディスプレイデバイス28用の設計ウィンドウを規定する曲線を形成した。特に、270N/mm以下の有効剛性Kが、ヘッドフォーム衝撃試験に合格したOLEDディスプレイデバイスを提供することが特定された。図6に認めることができるように、曲線の上方(右上)への剛性K,Kの組合せは、270N/mm超の有効剛性Kを生じさせ、3ms超の期間にわたって80g(78453.2cm/s)超の減速度を被り、ひいては、ヘッドフォーム衝撃試験に不合格となる。曲線の下方(左下)への剛性K,Kの組合せは、270N/mm以下の有効剛性Kを生じさせ、ヘッドフォーム衝撃試験に合格となる。実施形態では、支持部材26の剛性Kは、破壊を招いてしまうほどにガラス基板12を著しく曲げることを防止するために、少なくとも100N/mmであるように設計されている。
【0039】
図6には、図3AのLCDモジュール90に対する有効剛性曲線もプロットしてある。図6に認めることができるように、本開示のOLEDディスプレイモジュール10用の設計ウィンドウは、LCDモジュール90用の設計ウィンドウよりも大きい。
【0040】
OLEDディスプレイモジュール10の構造および特性を説明してきたが、OLEDディスプレイモジュールを製作するための方法の実施形態が提供される。実施形態では、OLEDディスプレイモジュール10は、冷間成形または冷間曲げによって製作される。「冷間成形」または「冷間曲げ」とは、湾曲領域20が、ガラスの軟化温度未満の温度でガラス基板12のカバー材料に導入されることを意味している。より詳細には、冷間成形は、200℃未満、100℃未満または室温でさえ行われる。
【0041】
冷間成形中には、ガラス基板12に圧力が加えられ、これによって、ガラス基板12が、チャックまたは型に合致させられる。圧力は、種々異なる形態、例えば真空圧、機械式のプレス、ローラ等で加えられてよい。OLEDディスプレイ24の可撓性を考えると、OLEDディスプレイ24は、冷間成形前(つまり、ガラス基板12が平坦な構成にある場合)または冷間成形後(つまり、ガラス基板12がチャックまたは型にわたって曲げられた場合)にガラス基板12に結合されてよい。実施形態では、次いで、支持部材26が、接着剤層27を介してOLEDディスプレイ24に接着される。支持部材26の第1の支持面は、ガラス基板12とOLEDディスプレイ24とを曲げることで生じる曲率を規定している。実施形態では、接着剤27が硬化する(少なくとも支持部材26からのガラス基板12とOLEDディスプレイ24との剥離を防止するのに十分となる)まで、圧力が、ガラス基板12に対して維持される。硬化中、ガラス基板12とOLEDディスプレイ24とは、両者の各々の曲率を支持部材26の曲率の10%以内、より詳細には5%以内、最も詳細には2%以内に維持している。
【0042】
実施形態では、組付け要素30は、OLEDディスプレイ24とガラス基板12とへの支持部材26の結合に先だって、支持部材の、第1の支持面と反対側に位置する第2の支持面に接合されてもよいし、冷間成形が完了した後に支持部材26の第2の支持面に接合されてもよい。その後、湾曲したOLEDディスプレイモジュール10が形成され、このOLEDディスプレイモジュール10を車両内装システムの一部として出荷しかつ/または設置することができる。
【0043】
冷間曲げによって、本開示によるOLEDディスプレイモジュール10の組立てに対して確かな利点が提供される。特に、冷間曲げが実施される低い温度によって、プロセスが、従来の熱間成形プロセスよりも廉価になる。さらに、熱間成形プロセスに関連する温度は、表面処理を熱的に崩壊または劣化させるかまたは光学的な歪みを生じさせることが知られている。このため、表面処理は、通常、湾曲したガラス物品に適用され、このことは、表面処理適用プロセスの複雑さを増大させていた。冷間成形は、従来の熱間成形よりも著しく低い温度で行われるので、曲げ操作が表面処理の熱的な崩壊または劣化を招いてしまうという心配なしに、ガラス基板が平坦に構成されている間に表面処理を適用することができる。
【0044】
以下の段落では、ガラス基板12の種々の幾何学的な特性、機械的な特性および強化特性ならびにガラス基板の組成物が提供される。図7を参照すると、ガラス基板12は、このガラス基板12の幅および長さにわたって実質的に一定である、第1の主面14と第2の主面16との間の距離として規定された厚さT1を有している。種々の実施形態では、T1は、ガラス基板の平均厚さまたは最大厚さを指していてよい。さらに、ガラス基板12は、厚さT1に対して直交する、第1または第2の主面14,16のうちの一方の第1の最大寸法として規定された幅W1と、厚さおよび幅の両方に対して直交する、第1または第2の主面14,16のうちの一方の第2の最大寸法として規定された長さL1とを含んでいる。別の実施形態では、W1およびL1は、それぞれガラス基板12の平均幅および平均長さであってよく、別の実施形態では、W1およびL1は、それぞれガラス基板12の最大幅および最大長さであってよい(例えば、可変の幅または長さを有するガラス基板12の場合)。
【0045】
種々の実施形態では、厚さT1は2mm以下である。特に、厚さT1は、0.30mm~2.0mmである。例えば、厚さT1は、約0.30mm~約2.0mm、約0.40mm~約2.0mm、約0.50mm~約2.0mm、約0.60mm~約2.0mm、約0.70mm~約2.0mm、約0.80mm~約2.0mm、約0.90mm~約2.0mm、約1.0mm~約2.0mm、約1.1mm~約2.0mm、約1.2mm~約2.0mm、約1.3mm~約2.0mm、約1.4mm~約2.0mm、約1.5mm~約2.0mm、約0.30mm~約1.9mm、約0.30mm~約1.8mm、約0.30mm~約1.7mm、約0.30mm~約1.6mm、約0.30mm~約1.5mm、約0.30mm~約1.4mm、約0.30mm~約1.4mm、約0.30mm~約1.3mm、約0.30mm~約1.2mm、約0.30mm~約1.1mm、約0.30mm~約1.0mm、約0.30mm~約0.90mm、約0.30mm~約0.80mm、約0.30mm~約0.70mm、約0.30mm~約0.60mmまたは約0.30mm~約0.40mmの範囲内にあってよい。別の実施形態では、T1は、この段落に記載した正確な数値範囲のいずれか1つに含まれている。
【0046】
種々の実施形態では、幅W1は、5cm~250cm、約10cm~約250cm、約15cm~約250cm、約20cm~約250cm、約25cm~約250cm、約30cm~約250cm、約35cm~約250cm、約40cm~約250cm、約45cm~約250cm、約50cm~約250cm、約55cm~約250cm、約60cm~約250cm、約65cm~約250cm、約70cm~約250cm、約75cm~約250cm、約80cm~約250cm、約85cm~約250cm、約90cm~約250cm、約95cm~約250cm、約100cm~約250cm、約110cm~約250cm、約120cm~約250cm、約130cm~約250cm、約140cm~約250cm、約150cm~約250cm、約5cm~約240cm、約5cm~約230cm、約5cm~約220cm、約5cm~約210cm、約5cm~約200cm、約5cm~約190cm、約5cm~約180cm、約5cm~約170cm、約5cm~約160cm、約5cm~約150cm、約5cm~約140cm、約5cm~約130cm、約5cm~約120cm、約5cm~約110cm、約5cm~約110cm、約5cm~約100cm、約5cm~約90cm、約5cm~約80cmまたは約5cm~約75cmの範囲内にある。別の実施形態では、W1は、この段落に記載した正確な数値範囲のいずれか1つに含まれている。
【0047】
種々の実施形態では、長さL1は、約5cm~約1500cm、約50cm~約1500cm、約100cm~約1500cm、約150cm~約1500cm、約200cm~約1500cm、約250cm~約1500cm、約300cm~約1500cm、約350cm~約1500cm、約400cm~約1500cm、約450cm~約1500cm、約500cm~約1500cm、約550cm~約1500cm、約600cm~約1500cm、約650cm~約1500cm、約650cm~約1500cm、約700cm~約1500cm、約750cm~約1500cm、約800cm~約1500cm、約850cm~約1500cm、約900cm~約1500cm、約950cm~約1500cm、約1000cm~約1500cm、約1050cm~約1500cm、約1100cm~約1500cm、約1150cm~約1500cm、約1200cm~約1500cm、約1250cm~約1500cm、約1300cm~約1500cm、約1350cm~約1500cm、約1400cm~約1500cmまたは約1450cm~約1500cmの範囲内にある。別の実施形態では、L1は、この段落に記載した正確な数値範囲のいずれか1つに含まれている。
【0048】
種々の実施形態では、ガラス基板12の1つ以上の曲率半径(例えば図2A図2Bに示したR)は、約50mm以上である。例えば、Rは、約50mm~約10,000mm、約60mm~約10,000mm、約70mm~約10,000mm、約80mm~約10,000mm、約90mm~約10,000mm、約100mm~約10,000mm、約120mm~約10,000mm、約140mm~約10,000mm、約150mm~約10,000mm、約160mm~約10,000mm、約180mm~約10,000mm、約200mm~約10,000mm、約220mm~約10,000mm、約240mm~約10,000mm、約250mm~約10,000mm、約260mm~約10,000mm、約270mm~約10,000mm、約280mm~約10,000mm、約290mm~約10,000mm、約300mm~約10,000mm、約350mm~約10,000mm、約400mm~約10,000mm、約450mm~約10,000mm、約500mm~約10,000mm、約550mm~約10,000mm、約600mm~約10,000mm、約650mm~約10,000mm、約700mm~約10,000mm、約750mm~約10,000mm、約800mm~約10,000mm、約900mm~約10,000mm、約950mm~約10,000mm、約1000mm~約10,000mm、約1250mm~約10,000mm、約50mm~約1400mm、約50mm~約1300mm、約50mm~約1200mm、約50mm~約1100mm、約50mm~約1000mm、約50mm~約950mm、約50mm~約900mm、約50mm~約850mm、約50mm~約800mm、約50mm~約750mm、約50mm~約700mm、約50mm~約650mm、約50mm~約600mm、約50mm~約550mm、約50mm~約500mm、約50mm~約450mm、約50mm~約400mm、約50mm~約350mm、約50mm~約300mmまたは約50mm~約250mmの範囲内にあってよい。別の実施形態では、Rは、この段落に記載した正確な数値範囲のいずれか1つに含まれている。
【0049】
車両内装システムの種々の実施形態は、車両、例えば列車、自動車(例えば乗用車、トラック、バスおよびこれに類するもの)、船舶(ボート、船、潜水艦およびこれに類するもの)および航空機(例えばドローン、飛行機、ジェット機、ヘリコプタおよびこれに類するもの)に組み込まれてよい。
【0050】
強化ガラス特性
OLEDディスプレイデバイスに使用されるガラス基板12は強化されていてよい。1つ以上の実施形態では、ガラス基板12は、表面から圧縮深さ(DOC)に及ぶ圧縮応力を含むように強化されていてよい。圧縮応力領域は、引張応力を示す中央部分によって平衡にされていてよい。DOCでは、応力が、正の(圧縮)応力から負の(引張)応力に移行している。
【0051】
種々の実施形態では、ガラス基板12は、物品の、圧縮応力領域を形成するための部分と、引張応力を示す中央領域を形成するための部分と間の熱膨張係数のミスマッチを利用することによって機械的に強化されていてよい。幾つかの実施形態では、ガラス基板は、ガラスをガラス転移点を上回る温度に加熱し、次いで、迅速に急冷することによって熱的に強化されていてよい。
【0052】
種々の実施形態では、ガラス基板12は、イオン交換によって化学的に強化されていてよい。イオン交換プロセスでは、ガラス基板の表面のイオンまたは表面付近のイオンが、同じ原子価または酸化状態を有するより大きなイオンと置き換えられるかまたは交換される。ガラス基板がアルカリアルミノケイ酸塩ガラスを含む実施形態では、物品の表面層におけるイオンと、より大きなイオンとは、一価のアルカリ金属カチオン、例えばLi、Na、K、RbおよびCsである。代替的には、表面層における一価のカチオンは、アルカリ金属カチオンと異なる一価のカチオン、例えばAgまたはこれに類するものと置き換えられてよい。このような実施形態では、ガラス基板内へ交換される一価のイオン(またはカチオン)が、応力を発生させる。
【0053】
イオン交換プロセスは、典型的には、ガラス基板内のより小さなイオンと交換されるように、より大きなイオンを含む溶融塩浴(または2つ以上の溶融塩浴)内にガラス基板を浸漬することによって行われる。念のために付言しておくと、水性塩浴が使用されてもよい。さらに、浴の組成物は、1つよりも多くのタイプのより大きなイオン(例えばNaおよびK)または1つのより大きなイオンを含んでいてよい。当業者に自明であるように、限定するものではないが、浴組成物および浴温度、浸漬時間、塩浴(または浴)内へのガラス基板の浸漬の回数、多種の塩浴の使用、付加的なステップ、例えばアニーリング、洗浄およびこれに類することを含む、イオン交換プロセスのパラメータは、通常、(物品の組織および存在する任意の結晶相を含む)ガラス基板の組成物と、強化の結果としてのガラス基板の所望のDOCおよびCSとによって決定される。例示的な溶融浴組成物は、より大きなアルカリ金属イオンの硝酸塩、硫酸塩および塩化物を含んでいてよい。典型的な硝酸塩は、KNO、NaNO、LiNO、NaSOおよびこれらの組合せを含んでいる。溶融塩浴の温度は、典型的には、約380℃~最大約450℃の範囲内にあるが、浸漬時間は、ガラス基板の厚さ、浴の温度およびガラス(または一価のイオン)の拡散率に応じて、約15分~最大約100時間の範囲内にある。しかしながら、上述した温度および浸漬時間と異なる温度および浸漬時間が利用されてもよい。
【0054】
1つ以上の実施形態では、ガラス基板は、約370℃~約480℃の温度を有する、NaNO100%、KNO100%またはNaNOとKNOとの組合せの溶融塩浴内に浸漬されてよい。幾つかの実施形態では、ガラス基板は、約5%~約90%のKNOと、約10%~約95%のNaNOとを含む溶融混合塩浴内に浸漬されてよい。1つ以上の実施形態では、ガラス基板は、第1の浴内への浸漬後、第2の浴内に浸漬されてよい。第1および第2の浴は、互いに異なる組成物および/または温度を有していてよい。第1および第2の浴内への浸漬時間は、互いに異なっていてよい。例えば、第1の浴内への浸漬が、第2の浴内への浸漬よりも長くてよい。
【0055】
1つ以上の実施形態では、ガラス基板は、約420℃未満(例えば約400℃または約380℃)の温度を有する、NaNOおよびKNO(例えば49%/51%、50%/50%、51%/49%)を含む溶融混合塩浴内に約5時間未満または約4時間以下にわたってさえ浸漬されてよい。
【0056】
イオン交換条件は、「スパイク」を提供するようにまたは結果的に得られるガラス基板の表面または表面付近の応力分布の傾きを増加させるように適合させられてよい。スパイクによって、より大きな表面CS値を得ることができる。このスパイクは、本明細書に記載したガラス基板に使用されるガラス組成物の固有の特性によって、単一の組成物または混合された組成物を有する単一の浴または複数の浴によって達成することができる。
【0057】
1つよりも多くの一価のイオンがガラス基板内へ交換される1つ以上の実施形態では、異なる一価のイオンは、ガラス基板の内部のそれぞれ異なる深さまで交換され(、ガラス基板の内部のそれぞれ異なる深さにそれぞれ異なる大きさの応力を発生させ)てよい。応力を発生させるイオンの、結果的に生じる相対的な深さを決定することができ、応力分布の種々異なる特性を生じさせることができる。
【0058】
CSは、当該技術分野において知られている手段、例えば表面応力計(FSM)、市販されている機器、例えば、Orihara Industrial Co., Ltd.社(日本)により製作されたFSM-6000を用いて測定される。表面応力測定は、ガラスの複屈折に関係する応力光学係数(SOC)の正確な測定に依存している。そして、SOCは、当該技術分野において知られている方法、例えば、「Standard Test Method for Measurement of Glass Stress-Optical Coefficient」と題するASTM規格 C770-98 (2013)に記載されていて、その内容全体を参照により本明細書に援用するものとするファイバおよび4点曲げ法と、バルクシリンダ法とによって測定される。本明細書で使用するとき、CSとは、圧縮応力層の内部で測定される最も高い圧縮応力値である「最大圧縮応力」であってよい。幾つかの実施形態では、最大圧縮応力は、ガラス基板の表面に位置している。別の実施形態では、最大圧縮応力は、表面よりも下方の深さで生じてよく、圧縮分布に「埋没したピーク」の外観を与える。
【0059】
DOCは、強化する方法および条件に応じて、FSMまたは散乱光偏光器(SCALP)(例えばGlasstress Ltd.社(エストニア、タリン在)から入手可能なSCALP-04散乱光偏光器)によって測定されてよい。ガラス基板がイオン交換処理によって化学的に強化される場合には、どのイオンがガラス基板内へ交換されるかに応じて、FSMまたはSCALPが使用されてよい。ガラス基板における応力が、カリウムイオンをガラス基板内へ交換することによって発生させられる場合には、FSMを使用してDOCが測定される。応力が、ナトリウムイオンをガラス基板内へ交換することによって発生させられる場合には、SCALPを使用してDOCが測定される。ガラス基板における応力が、カリウムイオンおよびナトリウムイオンの両方をガラス内へ交換することによって発生させられる場合には、DOCはSCALPによって測定される。なぜならば、ナトリウムの交換深さがDOCを示し、カリウムイオンの交換深さが圧縮応力の大きさの変化(ただし、圧縮から引張への応力の変化ではない)を示すと考えられているからである。このようなガラス基板におけるカリウムイオンの交換深さは、FSMによって測定される。内部引張応力またはCTは最大引張応力であり、SCALPによって測定される。
【0060】
1つ以上の実施形態では、ガラス基板は、(本明細書に記載したような)ガラス基板12の厚さT1のほんの一部として記載したDOCを示すように強化されてよい。例えば、1つ以上の実施形態では、DOCは、約0.05T1以上、約0.1T1以上、約0.11T1以上、約0.12T1以上、約0.13T1以上、約0.14T1以上、約0.15T1以上、約0.16T1以上、約0.17T1以上、約0.18T1以上、約0.19T1以上、約0.2T1以上、約0.21T1以上であってよい。幾つかの実施形態では、DOCは、約0.08T1~約0.25T1、約0.09T1~約0.25T1、約0.18T1~約0.25T1、約0.11T1~約0.25T1、約0.12T1~約0.25T1、約0.13T1~約0.25T1、約0.14T1~約0.25T1、約0.15T1~約0.25T1、約0.08T1~約0.24T1、約0.08T1~約0.23T1、約0.08T1~約0.22T1、約0.08T1~約0.21T1、約0.08T1~約0.2T1、約0.08T1~約0.19T1、約0.08T1~約0.18T1、約0.08T1~約0.17T1、約0.08T1~約0.16T1または約0.08T1~約0.15T1の範囲内にあってよい。場合により、DOCは、約20μm以下であってよい。1つ以上の実施形態では、DOCは、約40μm以上(例えば約40μm~約300μm、約50μm~約300μm、約60μm~約300μm、約70μm~約300μm、約80μm~約300μm、約90μm~約300μm、約100μm~約300μm、約110μm~約300μm、約120μm~約300μm、約140μm~約300μm、約150μm~約300μm、約40μm~約290μm、約40μm~約280μm、約40μm~約260μm、約40μm~約250μm、約40μm~約240μm、約40μm~約230μm、約40μm~約220μm、約40μm~約210μm、約40μm~約200μm、約40μm~約180μm、約40μm~約160μm、約40μm~約150μm、約40μm~約140μm、約40μm~約130μm、約40μm~約120μm、約40μm~約110μmまたは約40μm~約100μm)であってよい。別の実施形態では、DOCは、この段落に記載した正確な数値範囲のいずれか1つに含まれている。
【0061】
1つ以上の実施形態では、強化されたガラス基板は、約200MPa以上、300MPa以上、400MPa以上、約500MPa以上、約600MPa以上、約700MPa以上、約800MPa以上、約900MPa以上、約930MPa以上、約1000MPa以上または約1050MPa以上の(表面またはガラス基板の内部の深さにおいて認められてよい)CSを有していてよい。
【0062】
1つ以上の実施形態では、強化されたガラス基板は、約20MPa以上、約30MPa以上、約40MPa以上、約45MPa以上、約50MPa以上、約60MPa以上、約70MPa以上、約75MPa以上、約80MPa以上または約85MPa以上の最大引張応力または内部引張応力(CT)を有していてよい。幾つかの実施形態では、最大引張応力または内部引張応力(CT)は、約40MPa~約100MPaの範囲内にあってよい。別の実施形態では、CSは、この段落に記載した正確な数値範囲内に含まれている。
【0063】
ガラス組成物
ガラス基板12に使用するための適切なガラス組成物は、ソーダ石灰ガラス、アルミノケイ酸塩ガラス、ホウケイ酸塩ガラス、ホウアルミノケイ酸塩ガラス、アルカリ含有アルミノケイ酸塩ガラス、アルカリ含有ホウケイ酸塩ガラスおよびアルカリ含有ホウアルミノケイ酸塩ガラスを含んでいる。
【0064】
特段規定しない限り、本明細書に開示したガラス組成物は、酸化物ベースで分析されるモルパーセント(モル%)で記載してある。
【0065】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、約66モル%~約80モル%、約67モル%~約80モル%、約68モル%~約80モル%、約69モル%~約80モル%、約70モル%~約80モル%、約72モル%~約80モル%、約65モル%~約78モル%、約65モル%~約76モル%、約65モル%~約75モル%、約65モル%~約74モル%、約65モル%~約72モル%または約65モル%~約70モル%の範囲内ならびにその間の全ての範囲内および部分範囲内の量のSiOを含んでいてよい。
【0066】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、約4モル%超または約5モル%超の量のAlを含んでいる。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、約7モル%超~約15モル%、約7モル%超~約14モル%、約7モル%~約13モル%、約4モル%~約12モル%、約7モル%~約11モル%、約8モル%~約15モル%、約9モル%~約15モル%、約10モル%~約15モル%、約11モル%~約15モル%または約12モル%~約15モル%の範囲内ならびにその間の全ての範囲内および部分範囲内のAlを含んでいる。1つ以上の実施形態では、Alの上限は、約14モル%、14.2モル%、14.4モル%、14.6モル%または14.8モル%であってよい。
【0067】
1つ以上の実施形態では、ガラス物品は、アルミノケイ酸塩ガラス物品として記載してあるかまたはアルミノケイ酸塩ガラス組成物を含んでいるものとして記載してある。このような実施形態では、ガラス組成物またはガラス組成物から形成された物品は、SiOおよびAlを含んでおり、ソーダ石灰ケイ酸塩ガラスではない。これに関して、ガラス組成物またはガラス組成物から形成された物品は、約2モル%以上、2.25モル%以上、2.5モル%以上、約2.75モル%以上、約3モル%以上の量のAlを含んでいる。
【0068】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、B(例えば約0.01モル%以上)を含んでいる。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、約0モル%~約5モル%、約0モル%~約4モル%、約0モル%~約3モル%、約0モル%~約2モル%、約0モル%~約1モル%、約0モル%~約0.5モル%、約0.1モル%~約5モル%、約0.1モル%~約4モル%、約0.1モル%~約3モル%、約0.1モル%~約2モル%、約0.1モル%~約1モル%、約0.1モル%~約0.5モル%の範囲内ならびにその間の全ての範囲内および部分範囲内の量のBを含んでいる。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、Bを実質的に含んでいない。
【0069】
本明細書で使用するとき、組成物の成分に関して「実質的に含んでいない」という表現は、成分が、初期の計量中に組成物に能動的または意図的に添加されないものの、約0.001モル%未満の量で不純物として存在していてよいことを意味している。
【0070】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、P(例えば約0.01モル%以上)を任意選択的に含んでいる。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、0超~2モル%、1.5モル%、1モル%または0.5モル%以下の量のPを含んでいる。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、Pを実質的に含んでいない。
【0071】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、約8モル%以上、約10モル%以上または約12モル%以上である総量のRO(アルカリ金属酸化物、例えばLiO、NaO、KO、RbOおよびCsOの総量である)を含んでいてよい。幾つかの実施形態では、ガラス組成物は、約8モル%~約20モル%、約8モル%~約18モル%、約8モル%~約16モル%、約8モル%~約14モル%、約8モル%~約12モル%、約9モル%~約20モル%、約10モル%~約20モル%、約11モル%~約20モル%、約12モル%~約20モル%、約13モル%~約20モル%、約10モル%~約14モル%または11モル%~約13モル%の範囲内ならびにその間の全ての範囲内および部分範囲内の総量のROを含んでいる。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、RbO、CsOまたはRbOおよびCsOの両方を実質的に含んでいなくてよい。1つ以上の実施形態では、ROは、LiO、NaOおよびKOだけの総量を含んでいてよい。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、LiO、NaOおよびKOから選択される少なくとも1種のアルカリ金属酸化物を含んでいてよく、このアルカリ金属酸化物は、約8モル%よりも多くの量で存在している。
【0072】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、約8モル%以上、約10モル%以上または約12モル%以上の量のNaOを含んでいる。1つ以上の実施形態では、組成物は、約8モル%~約20モル%、約8モル%~約18モル%、約8モル%~約16モル%、約8モル%~約14モル%、約8モル%~約12モル%、約9モル%~約20モル%、約10モル%~約20モル%、約11モル%~約20モル%、約12モル%~約20モル%、約13モル%~約20モル%、約10モル%~約14モル%または11モル%~約16モル%の範囲内ならびにその間の全ての範囲内および部分範囲内のNaOを含んでいる。
【0073】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、約4モル%未満のKO、約3モル%未満のKOまたは約1モル%未満のKOを含んでいる。場合により、ガラス組成物は、約0モル%~約4モル%、約0モル%~約3.5モル%、約0モル%~約3モル%、約0モル%~約2.5モル%、約0モル%~約2モル%、約0モル%~約1.5モル%、約0モル%~約1モル%、約0モル%~約0.5モル%、約0モル%~約0.2モル%、約0モル%~約0.1モル%、約0.5モル%~約4モル%、約0.5モル%~約3.5モル%、約0.5モル%~約3モル%、約0.5モル%~約2.5モル%、約0.5モル%~約2モル%、約0.5モル%~約1.5モル%または約0.5モル%~約1モル%の範囲内ならびにその間の全ての範囲内および部分範囲内の量のKOを含んでいてよい。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、KOを実質的に含んでいなくてよい。
【0074】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、LiOを実質的に含んでいない。
【0075】
1つ以上の実施形態では、組成物中のNaOの量は、LiOの量よりも多くてよい。場合により、NaOの量は、LiOとKOとの総量よりも多くてよい。1つ以上の代替的な実施形態では、組成物中のLiOの量は、NaOの量またはNaOとKOとの総量よりも多くてよい。
【0076】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、約0モル%~約2モル%の範囲内の総量のRO(アルカリ土類金属酸化物、例えばCaO、MgO、BaO、ZnOおよびSrOの総量である)を含んでいてよい。幾つかの実施形態では、ガラス組成物は、0超~最大約2モル%の量のROを含んでいる。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、約0モル%~約1.8モル%、約0モル%~約1.6モル%、約0モル%~約1.5モル%、約0モル%~約1.4モル%、約0モル%~約1.2モル%、約0モル%~約1モル%、約0モル%~約0.8モル%、約0モル%~約0.5モル%の範囲内ならびにその間の全ての範囲内および部分範囲内の量のROを含んでいる。
【0077】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、約1モル%未満、約0.8モル%未満または約0.5モル%未満の量のCaOを含んでいる。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、CaOを実質的に含んでいない。
【0078】
幾つかの実施形態では、ガラス組成物は、約0モル%~約7モル%、約0モル%~約6モル%、約0モル%~約5モル%、約0モル%~約4モル%、約0.1モル%~約7モル%、約0.1モル%~約6モル%、約0.1モル%~約5モル%、約0.1モル%~約4モル%、約1モル%~約7モル%、約2モル%~約6モル%または約3モル%~約6モル%の範囲内ならびにその間の全ての範囲内および部分範囲内の量のMgOを含んでいる。
【0079】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、約0.2モル%以下、約0.18モル%未満、約0.16モル%未満、約0.15モル%未満、約0.14モル%未満、約0.12モル%未満の量のZrOを含んでいる。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、約0.01モル%~約0.2モル%、約0.01モル%~約0.18モル%、約0.01モル%~約0.16モル%、約0.01モル%~約0.15モル%、約0.01モル%~約0.14モル%、約0.01モル%~約0.12モル%または約0.01モル%~約0.10モル%の範囲内ならびにその間の全ての範囲内および部分範囲内のZrOを含んでいる。
【0080】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、約0.2モル%以下、約0.18モル%未満、約0.16モル%未満、約0.15モル%未満、約0.14モル%未満、約0.12モル%未満の量のSnOを含んでいる。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、約0.01モル%~約0.2モル%、約0.01モル%~約0.18モル%、約0.01モル%~約0.16モル%、約0.01モル%~約0.15モル%、約0.01モル%~約0.14モル%、約0.01モル%~約0.12モル%または約0.01モル%~約0.10モル%の範囲内ならびにその間の全ての範囲内および部分範囲内のSnOを含んでいる。
【0081】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、ガラス物品に色または色合いを付与する酸化物を含んでいてよい。幾つかの実施形態では、ガラス組成物は、ガラス物品が紫外線に曝されたときにガラス物品の変色を防止する酸化物を含んでいる。このような酸化物の例は、限定するものではないが、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ce、WおよびMoの酸化物を含んでいる。
【0082】
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、Feとして表されるFeを含んでおり、Feは、最大約1モル%(約1モル%を含む)の量で存在している。幾つかの実施形態では、ガラス組成物は、Feを実質的に含んでいない。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、約0.2モル%以下、約0.18モル%未満、約0.16モル%未満、約0.15モル%未満、約0.14モル%未満、約0.12モル%未満の量のFeを含んでいる。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、約0.01モル%~約0.2モル%、約0.01モル%~約0.18モル%、約0.01モル%~約0.16モル%、約0.01モル%~約0.15モル%、約0.01モル%~約0.14モル%、約0.01モル%~約0.12モル%または約0.01モル%~約0.10モル%の範囲内ならびにその間の全ての範囲内および部分範囲内のFeを含んでいる。
【0083】
ガラス組成物がTiOを含んでいる場合、このTiOは、約5モル%以下、約2.5モル%以下、約2モル%以下または約1モル%以下の量で存在していてよい。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、TiOを実質的に含んでいなくてよい。
【0084】
例示的なガラス組成物は、約65モル%~約75モル%の範囲内の量のSiOと、約8モル%~約14モル%の範囲内の量のAlと、約12モル%~約17モル%の範囲内の量のNaOと、約0モル%~約0.2モル%の範囲内の量のKOと、約1.5モル%~約6モル%の範囲内の量のMgOとを含んでいる。任意選択的には、SnOは、本明細書に開示した以外の量で含まれていてよい。当然ながら、前述したガラス組成物に関する段落は近似的な範囲を表しているが、別の実施形態では、ガラス基板12は、上述した正確な数値範囲のいずれか1つに該当する任意のガラス組成物から形成されてよい。
【0085】
本開示の態様(1)は、車両内装システム用のディスプレイデバイスであって、ディスプレイモジュールであって、第1の主面と、この第1の主面と反対側に位置する第2の主面とを備えるガラス基板と、ガラス基板の第2の主面に配置された有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイと、第1の支持面と、この第1の支持面と反対側に位置する第2の支持面とを備える支持部材であって、OLEDディスプレイが、第1の支持面に配置されている、支持部材とを備えるディスプレイモジュールと、支持部材の第2の支持面に配置された組付け要素とを備え、支持部材が、第1の剛性を有し、組付け要素が、第2の剛性を有し、第1の剛性が、少なくとも100N/mmであり、第1の剛性と第2の剛性との有効剛性が、270N/mm以下である、ディスプレイデバイスに関する。
【0086】
本開示の態様(2)は、第1の剛性が、1000N/mm以下である、態様(1)記載のディスプレイデバイスに関する。
【0087】
本開示の態様(3)は、第2の剛性が、200N/mm~4500N/mmである、態様(1)または(2)記載のディスプレイデバイスに関する。
【0088】
本開示の態様(4)は、ディスプレイモジュールが、10Nm~500Nmの曲げ剛性を有する、態様(1)から態様(3)までのいずれか1つ記載のディスプレイデバイスに関する。
【0089】
本開示の態様(5)は、支持部材が、ディスプレイモジュールの曲げ剛性の少なくとも80%を占めている、態様(4)記載のディスプレイデバイスに関する。
【0090】
本開示の態様(6)は、OLEDディスプレイが、ディスプレイモジュールの曲げ剛性の5%以下を占めている、態様(4)または態様(5)記載のディスプレイデバイスに関する。
【0091】
本開示の態様(7)は、ガラス基板が、ディスプレイモジュールの曲げ剛性の20%以下を占めている、態様(4)から態様(6)までのいずれか1つ記載のディスプレイデバイスに関する。
【0092】
本開示の態様(8)は、OLEDディスプレイが、1mm以下のディスプレイ厚さを有する、態様(1)から態様(7)までのいずれか1つ記載のディスプレイデバイスに関する。
【0093】
本開示の態様(9)は、ガラス基板が、第1の主面と第2の主面との間に0.3mm~2.0mmのガラス厚さを有する、態様(1)から態様(8)までのいずれか1つ記載のディスプレイデバイスに関する。
【0094】
本開示の態様(10)は、組付け要素が、車両内装ベースに取り付けるように構成された少なくとも1つのブラケットを備える、態様(1)から態様(9)までのいずれか1つ記載のディスプレイデバイスに関する。
【0095】
本開示の態様(11)は、少なくとも1つのブラケットの各々が、第2の支持面に配置された第1のアームと、車両内装ベースに取り付けるように構成された第2のアームと、第1のアームを第2のアームに接続する横方向部材とを有するC字形である、態様(10)記載のディスプレイデバイスに関する。
【0096】
本開示の態様(12)は、ディスプレイデバイスが、FMVSS 201に準ずるヘッドフォーム衝撃試験に供されたとき、ヘッドフォームが、3ms超にわたって連続して80g(78453.2cm/s)の減速度を超過しない、態様(1)から態様(11)までのいずれか1つ記載のディスプレイデバイスに関する。
【0097】
本開示の態様(13)は、支持部材の第1の支持面が、湾曲を有し、ガラス基板が、支持部材の湾曲に合致するように冷間成形されている、態様(1)から態様(12)までのいずれか1つ記載のディスプレイデバイスに関する。
【0098】
本開示の態様(14)は、OLEDディスプレイが、支持部材の湾曲に合致するように冷間成形されている、態様(13)記載のディスプレイデバイスに関する。
【0099】
本開示の態様(15)は、車両内装システム用のディスプレイデバイスであって、10Nm~500Nmの曲げ剛性を有するディスプレイモジュールであって、第1の主面と、この第1の主面と反対側に位置する第2の主面とを備えるガラス基板と、ガラス基板の第2の主面に配置された有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイと、第1の支持面と、この第1の支持面と反対側に位置する第2の支持面とを備える支持部材であって、OLEDディスプレイが、第1の支持面に配置されている、支持部材とを備えるディスプレイモジュールと、支持部材の第2の支持面に配置された組付け要素とを備え、ディスプレイデバイスが、FMVSS 201に準ずるヘッドフォーム衝撃試験に供されたとき、ヘッドフォームが、3ms超にわたって連続して80g(78453.2cm/s)の減速度を超過しない、ディスプレイデバイスに関する。
【0100】
本開示の態様(16)は、支持部材が、第1の剛性を有し、組付け要素が、第2の剛性を有し、第1の剛性が、少なくとも100N/mmである、態様(15)記載のディスプレイデバイスに関する。
【0101】
本開示の態様(17)は、第1の剛性と第2の剛性との有効剛性が、270N/mm以下である、態様(16)記載のディスプレイデバイスに関する。
【0102】
本開示の態様(18)は、第1の剛性が、1000N/mm以下である、態様(16)または態様(17)記載のディスプレイデバイスに関する。
【0103】
本開示の態様(19)は、第2の剛性が、200N/mm~4500N/mmである、態様(16)から態様(18)までのいずれか1つ記載のディスプレイデバイスに関する。
【0104】
本開示の態様(20)は、支持部材が、ディスプレイモジュールの曲げ剛性の少なくとも80%を占めている、態様(15)から態様(19)までのいずれか1つ記載のディスプレイデバイスに関する。
【0105】
本開示の態様(21)は、OLEDディスプレイが、ディスプレイモジュールの曲げ剛性の5%以下を占めている、態様(20)記載のディスプレイデバイスに関する。
【0106】
本開示の態様(22)は、ガラス基板が、ディスプレイモジュールの曲げ剛性の20%以下を占めている、態様(20)または態様(21)記載のディスプレイデバイスに関する。
【0107】
本開示の態様(23)は、ディスプレイデバイスを製作する方法であって、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイを支持部材の第1の支持面に接着するステップを含み、支持部材の、第1の支持面と反対側に位置する第2の支持面に組付け要素が取り付けられており、OLEDディスプレイが、ガラス基板に接着されており、これによって、OLEDディスプレイが、ガラス基板と支持部材との間に配置されており、支持部材と組付け要素とが、270N/mm以下の有効剛性(K)を有する、方法に関する。
【0108】
本開示の態様(24)は、第1の支持面が、第1の曲率半径を有し、方法が、ガラス基板を、第2の曲率半径を有する湾曲面にわたって曲げ加工するステップであって、曲げ加工が、200℃以下の温度で実施され、第2の曲率半径が、第1の曲率半径に10%以内で合致している、曲げ加工するステップと、OLEDディスプレイを支持部材の第1の支持面に接着するステップに先だって、OLEDディスプレイをガラス基板に接着するステップとをさらに含む、態様(23)記載の方法に関する。
【0109】
本開示の態様(25)は、支持部材が、100N/mm~1000N/mmの第1の剛性(K)を有する、態様(23)または態様(24)記載の方法に関する。
【0110】
本開示の態様(26)は、組付け要素が、200N/mm~4500N/mmの第2の剛性(K)を有する、態様(25)記載の方法に関する。
【0111】
本開示の態様(27)は、有効剛性(K)が、
/(K+K
に等しい、態様(26)記載の方法に関する。
【0112】
本開示の態様(28)は、ガラス基板と、OLEDディスプレイと、支持部材とが、10Nm~500Nmの曲げ剛性を有する、態様(23)から態様(27)までのいずれか1つ記載の方法に関する。
【0113】
本開示の態様(29)は、支持部材が、曲げ剛性の少なくとも80%を占めている、態様(28)記載の方法に関する。
【0114】
本開示の態様(30)は、OLEDディスプレイが、曲げ剛性の5%以下を占めている、態様(29)記載の方法に関する。
【0115】
本開示の態様(31)は、ガラス基板が、曲げ剛性の20%以下を占めている、態様(30)記載の方法に関する。
【0116】
本開示の態様(32)は、ディスプレイデバイスが、FMVSS 201に準ずるヘッドフォーム衝撃試験に供されたとき、ヘッドフォームが、3ms超にわたって連続して80g(78453.2cm/s)の減速度を超過しない、態様(23)から態様(31)までのいずれか1つ記載の方法に関する。
【0117】
特段明記しない限り、本明細書に記載したあらゆる方法が、そのステップが特定の順序で実施されることを要求するものとして解釈されることは決して意図していない。したがって、方法の請求項が、そのステップが従うべき順序を実際に列挙していないか、またはステップが特定の順序に限定されるべきことを特許請求の範囲または明細書に特段詳述していない場合、任意の特定の順序が推論されることは決して意図していない。さらに、本明細書で使用するとき、冠詞「a」は、1つまたは1つよりも多くの構成要素または要素を含むことを意図しており、1つだけを意味するものとして解釈されることは意図していない。
【0118】
当業者に明らかであるように、開示した実施形態の趣旨または範囲から逸脱することなしに、種々の変更および変形が行われてよい。当業者は、開示した実施形態の趣旨および内容を組み込んだ実施形態の変更、組合せ、部分的な組合せおよび変形に想到し得るので、開示した実施形態は、添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲内のあらゆる事項を含んでいると解釈すべきものである。
【0119】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0120】
実施形態1
車両内装システム用のディスプレイデバイスであって、
ディスプレイモジュールであって、
第1の主面と、該第1の主面と反対側に位置する第2の主面とを備えるガラス基板と、
前記ガラス基板の前記第2の主面に配置された有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイと、
第1の支持面と、該第1の支持面と反対側に位置する第2の支持面とを備える支持部材であって、前記OLEDディスプレイは、前記第1の支持面に配置されている、支持部材と
を備えるディスプレイモジュールと、
前記支持部材の前記第2の支持面に配置された組付け要素と
を備え、
前記支持部材は、第1の剛性を有し、前記組付け要素は、第2の剛性を有し、
前記第1の剛性は、少なくとも100N/mmであり、
前記第1の剛性と前記第2の剛性との有効剛性が、270N/mm以下である、
ディスプレイデバイス。
【0121】
実施形態2
前記第1の剛性は、1000N/mm以下である、実施形態1記載のディスプレイデバイス。
【0122】
実施形態3
前記第2の剛性は、200N/mm~4500N/mmである、実施形態1または2記載のディスプレイデバイス。
【0123】
実施形態4
前記ディスプレイモジュールは、10Nm~500Nmの曲げ剛性を有する、実施形態1から3までのいずれか1つ記載のディスプレイデバイス。
【0124】
実施形態5
前記支持部材は、前記ディスプレイモジュールの前記曲げ剛性の少なくとも80%を占めている、実施形態4記載のディスプレイデバイス。
【0125】
実施形態6
前記OLEDディスプレイは、前記ディスプレイモジュールの前記曲げ剛性の5%以下を占めている、実施形態4または5記載のディスプレイデバイス。
【0126】
実施形態7
前記ガラス基板は、前記ディスプレイモジュールの前記曲げ剛性の20%以下を占めている、実施形態4から6までのいずれか1つ記載のディスプレイデバイス。
【0127】
実施形態8
前記OLEDディスプレイは、1mm以下のディスプレイ厚さを有する、実施形態1から7までのいずれか1つ記載のディスプレイデバイス。
【0128】
実施形態9
前記ガラス基板は、前記第1の主面と前記第2の主面との間に0.3mm~2.0mmのガラス厚さを有する、実施形態1から8までのいずれか1つ記載のディスプレイデバイス。
【0129】
実施形態10
前記組付け要素は、車両内装ベースに取り付けるように構成された少なくとも1つのブラケットを備える、実施形態1から9までのいずれか1つ記載のディスプレイデバイス。
【0130】
実施形態11
前記少なくとも1つのブラケットの各々は、前記第2の支持面に配置された第1のアームと、前記車両内装ベースに取り付けるように構成された第2のアームと、前記第1のアームを前記第2のアームに接続する横方向部材とを有するC字形である、実施形態10記載のディスプレイデバイス。
【0131】
実施形態12
前記ディスプレイデバイスが、FMVSS 201に準ずるヘッドフォーム衝撃試験に供されたとき、前記ヘッドフォームは、3ms超にわたって連続して80g(78453.2cm/s)の減速度を超過しない、実施形態1から11までのいずれか1つ記載のディスプレイデバイス。
【0132】
実施形態13
前記支持部材の前記第1の支持面は、湾曲を有し、前記ガラス基板は、前記支持部材の前記湾曲に合致するように冷間成形されている、実施形態1から12までのいずれか1つ記載のディスプレイデバイス。
【0133】
実施形態14
前記OLEDディスプレイは、前記支持部材の前記湾曲に合致するように冷間成形されている、実施形態13記載のディスプレイデバイス。
【0134】
実施形態15
車両内装システム用のディスプレイデバイスであって、
10Nm~500Nmの曲げ剛性を有するディスプレイモジュールであって、
第1の主面と、該第1の主面と反対側に位置する第2の主面とを備えるガラス基板と、
前記ガラス基板の前記第2の主面に配置された有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイと、
第1の支持面と、該第1の支持面と反対側に位置する第2の支持面とを備える支持部材であって、前記OLEDディスプレイは、前記第1の支持面に配置されている、支持部材と
を備えるディスプレイモジュールと、
前記支持部材の前記第2の支持面に配置された組付け要素と
を備え、
前記ディスプレイデバイスが、FMVSS 201に準ずるヘッドフォーム衝撃試験に供されたとき、前記ヘッドフォームは、3ms超にわたって連続して80g(78453.2cm/s)の減速度を超過しない、
ディスプレイデバイス。
【0135】
実施形態16
前記支持部材は、第1の剛性を有し、前記組付け要素は、第2の剛性を有し、前記第1の剛性は、少なくとも100N/mmである、実施形態15記載のディスプレイデバイス。
【0136】
実施形態17
前記第1の剛性と前記第2の剛性との有効剛性が、270N/mm以下である、実施形態16記載のディスプレイデバイス。
【0137】
実施形態18
前記第1の剛性は、1000N/mm以下である、実施形態16または17記載のディスプレイデバイス。
【0138】
実施形態19
前記第2の剛性は、200N/mm~4500N/mmである、実施形態16から18までのいずれか1つ記載のディスプレイデバイス。
【0139】
実施形態20
前記支持部材は、前記ディスプレイモジュールの前記曲げ剛性の少なくとも80%を占めている、実施形態15から19までのいずれか1つ記載のディスプレイデバイス。
【0140】
実施形態21
前記OLEDディスプレイは、前記ディスプレイモジュールの前記曲げ剛性の5%以下を占めている、実施形態20記載のディスプレイデバイス。
【0141】
実施形態22
前記ガラス基板は、前記ディスプレイモジュールの前記曲げ剛性の20%以下を占めている、実施形態20または21記載のディスプレイデバイス。
【0142】
実施形態23
ディスプレイデバイスを製作する方法であって、
有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイを支持部材の第1の支持面に接着するステップを含み、
前記支持部材の、前記第1の支持面と反対側に位置する第2の支持面に組付け要素が取り付けられており、
前記OLEDディスプレイは、ガラス基板に接着されており、これによって、前記OLEDディスプレイが、前記ガラス基板と前記支持部材との間に配置されており、
前記支持部材と前記組付け要素とは、270N/mm以下の有効剛性(K)を有する、
方法。
【0143】
実施形態24
前記第1の支持面は、第1の曲率半径を有し、前記方法は、
前記ガラス基板を、第2の曲率半径を有する湾曲面にわたって曲げ加工するステップであって、前記曲げ加工は、200℃以下の温度で実施され、前記第2の曲率半径は、前記第1の曲率半径に10%以内で合致している、曲げ加工するステップと、
前記OLEDディスプレイを前記支持部材の前記第1の支持面に接着する前記ステップに先だって、前記OLEDディスプレイを前記ガラス基板に接着するステップと
をさらに含む、実施形態23記載の方法。
【0144】
実施形態25
前記支持部材は、100N/mm~1000N/mmの第1の剛性(K)を有する、実施形態23または24記載の方法。
【0145】
実施形態26
前記組付け要素は、200N/mm~4500N/mmの第2の剛性(K)を有する、実施形態25記載の方法。
【0146】
実施形態27
前記有効剛性(K)は、
/(K+K
に等しい、実施形態26記載の方法。
【0147】
実施形態28
前記ガラス基板と、前記OLEDディスプレイと、前記支持部材とは、10Nm~500Nmの曲げ剛性を有する、実施形態23から27までのいずれか1つ記載の方法。
【0148】
実施形態29
前記支持部材は、前記曲げ剛性の少なくとも80%を占めている、実施形態28記載の方法。
【0149】
実施形態30
前記OLEDディスプレイは、前記曲げ剛性の5%以下を占めている、実施形態29記載の方法。
【0150】
実施形態31
前記ガラス基板は、前記曲げ剛性の20%以下を占めている、実施形態30記載の方法。
【0151】
実施形態32
前記ディスプレイデバイスが、FMVSS 201に準ずるヘッドフォーム衝撃試験に供されたとき、前記ヘッドフォームは、3ms超にわたって連続して80g(78453.2cm/s)の減速度を超過しない、実施形態23から31までのいずれか1つ記載の方法。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
【国際調査報告】