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特表2023-526072アレイに原子を配置するための方法および装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-20
(54)【発明の名称】アレイに原子を配置するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   B82B 3/00 20060101AFI20230613BHJP
   G02B 3/14 20060101ALI20230613BHJP
   G02F 1/01 20060101ALI20230613BHJP
   B82Y 40/00 20110101ALI20230613BHJP
【FI】
B82B3/00
G02B3/14
G02F1/01 B
B82Y40/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022569579
(86)(22)【出願日】2021-05-11
(85)【翻訳文提出日】2023-01-13
(86)【国際出願番号】 US2021031709
(87)【国際公開番号】W WO2021231378
(87)【国際公開日】2021-11-18
(31)【優先権主張番号】63/023,461
(32)【優先日】2020-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522445055
【氏名又は名称】クエラ コンピューティング インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】QUERA COMPUTING INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】1284 Soldiers Field Road, Boston, Massachusetts 02135, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】キム,トンギュ
(72)【発明者】
【氏名】イングランド,ダーク
(72)【発明者】
【氏名】ジャーマルク,ネイサン
(72)【発明者】
【氏名】バイラインスキー,アレクセイ
(72)【発明者】
【氏名】グライナー,マーカス
【テーマコード(参考)】
2K102
【Fターム(参考)】
2K102AA21
2K102AA30
2K102BA00
2K102BA05
2K102BA10
2K102BB01
2K102BB04
2K102BC01
2K102DB08
2K102DC07
2K102DD02
2K102DD03
2K102EA18
2K102EA19
2K102EA21
2K102EB02
2K102EB22
(57)【要約】
本出願は、原子をアレイ状に配置するための方法および装置を開示する。3次元空間内に原子を配置するためのシステムは、3次元空間内に複数の切り替え可能な光トラップを生成するように操作可能な光学システム、複数の切り替え可能な光トラップ内の原子を検出するように構成されたセンサ、複数の切り替え可能な光トラップ内で多数の原子を同時に動かすように操作可能なスキャナ、および複数の切り替え可能な光トラップ内の原子を原子の所望の構成に分類するために、光学システムおよびスキャナを操作するように構成された少なくとも1つのコントローラであって、光学システムおよびスキャナの操作は、複数の切り替え可能な光トラップ内の原子を検出するセンサによって生成されるセンサデータに少なくとも部分的に基づく、前記コントローラを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元空間内に原子を配置するためのシステムであって、該システムは:
3次元空間内に複数の切り替え可能な光トラップを生成するように操作可能な光学システム;
複数の切り替え可能な光トラップ内の原子を検出するように構成されたセンサ;
複数の切り替え可能な光トラップ内で多数の原子を同時に動かすように操作可能なスキャナ;および
複数の切り替え可能な光トラップ内の原子を原子の所望の構成に分類するために、光学システムおよびスキャナを操作するように構成された少なくとも1つのコントローラであって、光学システムおよびスキャナの操作は、複数の切り替え可能な光トラップ内の原子を検出するセンサによって生成されるセンサデータに少なくとも部分的に基づく、前記コントローラ
を含む、前記システム。
【請求項2】
光学システムが、操作時に、複数の切り替え可能な光トラップのうちの1以上の切り替え可能な光トラップを非アクティブ化する少なくとも1つの空間光変調器(SLM)を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
少なくとも1つのコントローラが、少なくとも1つのSLMを操作して、1以上の切り替え可能な光トラップをアクティブ化または非アクティブ化するようにさらに構成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
光学システムが、光学システムによって生成される切り替え可能な光トラップのアレイよりも浅いトラップポテンシャルを有する、3次元空間内に複数の静的光トラップを生成するように操作可能な第2の空間光変調器(SLM)をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
静的光トラップのアレイが、3次元空間内の2次元平面において規則的間隔のアレイを形成する、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
センサが、光学カメラを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
原子の所望の構成が、最密構成である、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
スキャナが、ミラー検流計および焦点調整可能レンズを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
少なくとも1つのコントローラが:
センサによって生成されたセンサデータを受信する;および
センサからセンサデータをさらに受信することなく、複数の操作を実行するために光学システムとスキャナを操作し、複数の操作のそれぞれにおいて、複数の原子が3次元空間内で動かされる、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
複数の切り替え可能な光トラップが、規則的間隔のn位置アレイに配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
少なくとも1つのコントローラが:
センサによって生成されたセンサデータに基づいて、切り替え可能な光トラップのアレイ内に捕捉された複数の原子のそれぞれを動かして、原子を規則的間隔のn位置アレイ内の所望の構成に分類するいくつかの位置を決定する;および
複数の原子のそれぞれについて決定されたいくつかの位置に基づいて、スキャナを使用して、複数の原子を3次元空間の初期位置から3次元空間の最密位置まで動かす、一連の操作を生成するように構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
一連の操作のうちの少なくとも1つの操作中に、複数の原子のうちの少なくとも2つがスキャナを使用して同時に動かされる、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
複数の原子のそれぞれのいくつかの位置が、2進数で表され、少なくとも1つのコントローラが:
最下位ビットから最上位ビットまでの2進数のそれぞれのビットを、ビットが1であるかゼロであるかに基づいて原子を動かす命令または動かさない命令として解釈することにより、複数の原子のそれぞれの原子に対して、一連の操作を生成するように構成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
少なくとも1つのコントローラが:
スキャナを使用して複数の原子のそれぞれの原子lを動かすためのいくつかの位置d(l)を決定し、原子を所望の構成に分類する;
複数の原子のそれぞれについて決定されたいくつかの位置d(l)をmビットの2進数として表す、ここでm=round(log(n-1));
スキャナを操作して、それぞれの原子lをいくつかの位置dl,k=al,kだけ動かす、ここで、al,k∈{0,1}は、それぞれの原子lの2進数のビットk;および
それぞれの原子lの移動をm回繰り返し、k=0からk=k+1ずつ毎回インクリメントするように構成される、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
少なくとも1つのコントローラが:
センサによって生成されたセンサデータに基づいて、切り替え可能な光トラップのアレイ内に捕捉された複数の原子のそれぞれを動かすためのいくつかの位置を決定し、原子を規則的間隔のn位置アレイ内の所望の構成に分類する;および、
複数の原子のそれぞれについて決定されたいくつかの位置に基づいて、複数の原子がスキャナを使用して3次元空間内の最密位置から3次元空間内のターゲット位置に動かされる一連の操作を生成するように構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項16】
一連の操作の少なくとも1つの操作中に、複数の原子のうちの少なくとも2つが、スキャナを使用して同時に動かされる、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
複数の原子のそれぞれのいくつかの位置が、2進数で表され、少なくとも1つのコントローラが:
最上位ビットから最下位ビットまでの2進数のそれぞれのビットを、ビットが1であるかゼロであるかに基づいて原子を動かす命令または動かさない命令として解釈することにより、複数の原子のそれぞれの原子に対して、一連の操作を生成するように構成される、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
少なくとも1つのコントローラが:
スキャナを使用して複数の原子のそれぞれの原子lを動かすためのいくつかの位置f(l)を決定し、原子を規則的間隔のn位置アレイ内の所望の構成に分類する;
複数の原子のそれぞれについて決定されたいくつかの位置f(l)をmビットの2進数として表す、ここでm=round(log(n-1));
スキャナを操作して、それぞれの原子lをいくつかの位置fl,k=al,kだけ動かす、ここで、al,k∈{0,1}は、それぞれの原子lの2進数のビットk;および
それぞれの原子lの移動を繰り返し、k=0まで毎回デクリメントするように構成される、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
少なくとも1つのコントローラが:
センサによって生成されたセンサデータに基づいて、切り替え可能な光トラップのアレイ内に捕捉された複数の原子のそれぞれを動かすためのいくつかの位置を決定し、原子を規則的間隔のn位置アレイ内の所望の構成に分類する;および、
複数の原子のそれぞれについて決定されたいくつかの位置に基づいて、複数の原子がスキャナを使用して3次元空間内の初期位置から3次元空間内のn位置アレイよりも高い分解能を有する、切り替え可能な高解像度光トラップの規則的間隔のh位置アレイ内のターゲット位置に動かされる一連の操作を生成するように構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項20】
一連の操作の少なくとも1つの操作中に、複数の原子のうちの少なくとも2つが、スキャナを使用して同時に動かされる、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
複数の原子のそれぞれのいくつかの位置が、2進数で表され、少なくとも1つのコントローラが:
最下位ビットから最上位ビットまでの2進数のそれぞれのビットを、ビットが1であるかゼロであるかに基づいて原子を動かす命令または動かさない命令として解釈することにより、複数の原子のそれぞれの原子に対して、一連の操作を生成するように構成される、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
少なくとも1つのコントローラが:
スキャナを使用して複数の原子のそれぞれの原子lを動かすためのいくつかの位置g(l)を決定し、原子を規則的間隔のh位置アレイ内の所望の構成に分類する;
複数の原子のそれぞれについて決定されたいくつかの位置g(l)をuビットの2進数として表す、ここでu=round(log(h-1));
スキャナを操作して、それぞれの原子lをいくつかの位置gl,k=al,kだけ動かす、ここで、al,k∈{0,1}は、それぞれの原子lの2進数のビットk;および
それぞれの原子lの移動をu回繰り返し、k=0からk=k+1ずつ毎回インクリメントするように構成される、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
3次元空間内に原子を配置するための方法であって、該方法は:
光学システムを操作して、3次元空間内に複数の切り替え可能な光トラップを生成すること;
センサを使用し、複数の切り替え可能な光トラップ内に補足された原子を検出すること;
スキャナを操作して、複数の切り替え可能な光トラップ内で多数の原子を同時に動かすこと;および
少なくとも1つのコントローラを使用して、複数の切り替え可能な光トラップ内の原子を原子の所望の構成に分類するために、光学システムおよびスキャナを操作し、光学システムおよびスキャナの操作は、複数の切り替え可能な光トラップ内の原子を検出するセンサによって生成されるセンサデータに少なくとも部分的に基づくこと、
を含む、前記方法。
【請求項24】
複数の切り替え可能な光トラップのうちの1以上の切り替え可能な光トラップを非アクティブ化する少なくとも1つの空間光変調器(SLM)を操作することをさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
第2の空間光変調器(SLM)を操作して、光学システムによって生成される複数の切り替え可能な光トラップよりも浅いトラップポテンシャルを有する、3次元空間内の静的光トラップの規則的間隔のn位置アレイを生成することをさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
静的光トラップのアレイが、3次元空間内の2次元平面において規則的間隔のアレイを形成する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
センサが、光学カメラを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
所望の構成が最密構成である、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
スキャナが、ミラー検流計および焦点調節可能レンズを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項30】
少なくとも1つのコントローラによって、センサによって生成されたセンサデータを受信すること;および
少なくとも1つのコントローラによって、センサからセンサデータをさらに受信することなく、複数の操作を実行するために光学システムとスキャナを操作し、複数の操作のそれぞれにおいて、複数の原子が3次元空間内で動かされることさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項31】
複数の切り替え可能な光トラップが、規則的間隔のn位置アレイに配置される、請求項23に記載の方法。
【請求項32】
少なくとも1つのコントローラによって、センサによって生成されたセンサデータに基づいて、切り替え可能な光トラップのアレイ内に捕捉された複数の原子のそれぞれを動かすためのいくつかの位置を決定し、原子を規則的間隔のn位置アレイ内の所望の構成に分類すること;および、
少なくとも1つのコントローラによって、複数の原子のそれぞれについて決定されたいくつかの位置に基づいて、複数の原子がスキャナを使用して3次元空間内の初期位置から3次元空間内の最密位置に動かされる一連の操作を生成することをさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
一連の操作のうちの少なくとも1つの操作中に、複数の原子のうちの少なくとも2つが、スキャナを使用して同時に動かされる、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
複数の原子のそれぞれのいくつかの位置が、2進数で表され、方法が:
少なくとも1つのコントローラによって、最下位ビットから最上位ビットまでの2進数のそれぞれのビットを、ビットが1であるかゼロであるかに基づいて原子を動かす命令または動かさない命令として解釈することにより、複数の原子のそれぞれの原子に対して、一連の操作を生成することをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
少なくとも1つのコントローラによって:
スキャナを使用して複数の原子のそれぞれの原子lを動かすためのいくつかの位置d(l)を決定し、原子を所望の構成に分類する;
複数の原子のそれぞれについて決定されたいくつかの位置d(l)をmビットの2進数として表す、ここでm=round(log(n-1));
スキャナを操作して、それぞれの原子lをいくつかの位置dl,k=al,kだけ動かす、ここで、al,k∈{0,1}は、それぞれの原子lの2進数のビットk;および
それぞれの原子lの移動をm回繰り返し、k=0からk=k+1ずつ毎回インクリメントする
ことをさらに含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
少なくとも1つのコントローラによって:
センサによって生成されたセンサデータに基づいて、切り替え可能な光トラップのアレイ内に捕捉された複数の原子のそれぞれを動かすためのいくつかの位置を決定し、原子を規則的間隔のn位置アレイ内の所望の構成に分類する;および、
複数の原子のそれぞれについて決定されたいくつかの位置に基づいて、複数の原子がスキャナを使用して3次元空間内の最密位置から3次元空間内のターゲット位置に動かされる一連の操作を生成することをさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項37】
一連の操作の少なくとも1つの操作中に、複数の原子のうちの少なくとも2つが、スキャナを使用して同時に動かされる、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
複数の原子のそれぞれのいくつかの位置が、2進数で表され、少なくとも1つのコントローラが:
最上位ビットから最下位ビットまでの2進数のそれぞれのビットを、ビットが1であるかゼロであるかに基づいて原子を動かす命令または動かさない命令として解釈することにより、複数の原子のそれぞれの原子に対して、一連の操作を生成するように構成される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
少なくとも1つのコントローラによって:
スキャナを使用して複数の原子のそれぞれの原子lを動かすためのいくつかの位置f(l)を決定し、原子を規則的間隔のn位置アレイ内の所望の構成に分類する;
複数の原子のそれぞれについて決定されたいくつかの位置f(l)をmビットの2進数として表す、ここでm=round(log(n-1));
スキャナを操作して、それぞれの原子lをいくつかの位置fl,k=al,kだけ動かす、ここで、al,k∈{0,1}は、それぞれの原子lの2進数のビットk;および
それぞれの原子lの移動を繰り返し、k=0まで毎回デクリメントk=k-1することをさらに含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
少なくとも1つのコントローラによって:
センサによって生成されたセンサデータに基づいて、切り替え可能な光トラップのアレイ内に捕捉された複数の原子のそれぞれを動かすためのいくつかの位置を決定し、原子を規則的間隔のn位置アレイ内の所望の構成に分類する;および、
複数の原子のそれぞれについて決定されたいくつかの位置に基づいて、複数の原子がスキャナを使用して3次元空間内の初期位置から3次元空間内のn位置アレイよりも高い分解能を有する、切り替え可能な高解像度光トラップの規則的間隔のh位置アレイ内のターゲット位置に動かされる一連の操作を生成することをさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項41】
一連の操作の少なくとも1つの操作中に、複数の原子のうちの少なくとも2つが、スキャナを使用して同時に動かされる、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
複数の原子のそれぞれのいくつかの位置が、2進数で表され、少なくとも1つのコントローラが:
最下位ビットから最上位ビットまでの2進数のそれぞれのビットを、ビットが1であるかゼロであるかに基づいて原子を動かす命令または動かさない命令として解釈することにより、複数の原子のそれぞれの原子に対して、一連の操作を生成するように構成される、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
少なくとも1つのコントローラによって:
スキャナを使用して複数の原子のそれぞれの原子lを動かすためのいくつかの位置g(l)を決定し、原子を規則的間隔のh位置アレイ内の所望の構成に分類する;
複数の原子のそれぞれについて決定されたいくつかの位置g(l)をuビットの2進数として表す、ここでu=round(log(h-1));
スキャナを操作して、それぞれの原子lをいくつかの位置gl,k=al,kだけ動かす、ここで、al,k∈{0,1}は、それぞれの原子lの2進数のビットk;および
それぞれの原子lの移動をu回繰り返し、k=0からk=k+1ずつ毎回インクリメントすることをさらに含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
命令を含む少なくとも1つの非一時的なコンピュータ可読媒体であって、該命令は、実行されると、3次元空間内に配置された複数の光トラップ内に原子を配置する方法を実行し、該方法は:
光学システムを操作して、3次元空間内に複数の切り替え可能な光トラップを生成すること;
センサを使用し、複数の切り替え可能な光トラップ内に補足された原子を検出すること;
スキャナを操作して、複数の切り替え可能な光トラップ内で多数の原子を同時に動かすこと;および
少なくとも1つのコントローラを使用して、複数の切り替え可能な光トラップ内の原子を原子の所望の構成に分類するために、光学システムおよびスキャナを操作し、光学システムおよびスキャナの操作は、複数の切り替え可能な光トラップ内の原子を検出するセンサによって生成されるセンサデータに少なくとも部分的に基づくこと、
を含む、前記少なくとも1つの非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項45】
方法が、複数の切り替え可能な光トラップのうちの1以上の切り替え可能な光トラップを非アクティブ化する少なくとも1つの空間光変調器(SLM)を操作することをさらに含む、請求項44に記載の少なくとも1つの非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項46】
方法が、第2の空間光変調器(SLM)を操作して、光学システムによって生成される複数の切り替え可能な光トラップよりも浅いトラップポテンシャルを有する、3次元空間内の静的光トラップの規則的間隔のn位置アレイを生成することをさらに含む、請求項44に記載の少なくとも1つの非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項47】
静的光トラップのアレイが、3次元空間内の2次元平面において規則的間隔のアレイを形成する、請求項46に記載の少なくとも1つの非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項48】
センサが、光学カメラを含む、請求項44に記載の少なくとも1つの非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項49】
所望の構成が最密構成である、請求項44に記載の少なくとも1つの非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項50】
スキャナが、ミラー検流計および焦点調節可能レンズを含む、請求項44に記載の少なくとも1つの非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項51】
方法が:
少なくとも1つのコントローラによって、センサによって生成されたセンサデータを受信すること;および
少なくとも1つのコントローラによって、センサからセンサデータをさらに受信することなく、複数の操作を実行するために光学システムとスキャナを操作し、複数の操作のそれぞれにおいて、複数の原子が3次元空間内で動かされることさらに含む、請求項44に記載の少なくとも1つの非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項52】
複数の切り替え可能な光トラップが、規則的間隔のn位置アレイに配置される、請求項44に記載の少なくとも1つの非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項53】
方法が:
少なくとも1つのコントローラによって、センサによって生成されたセンサデータに基づいて、切り替え可能な光トラップのアレイ内に捕捉された複数の原子のそれぞれを動かすためのいくつかの位置を決定し、原子を規則的間隔のn位置アレイ内の所望の構成に分類すること;および、
少なくとも1つのコントローラによって、複数の原子のそれぞれについて決定されたいくつかの位置に基づいて、複数の原子がスキャナを使用して3次元空間内の初期位置から3次元空間内の最密位置に動かされる一連の操作を生成することをさらに含む、請求項52に記載の少なくとも1つの非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項54】
一連の操作のうちの少なくとも1つの操作中に、複数の原子のうちの少なくとも2つが、スキャナを使用して同時に動かされる、請求項53に記載の少なくとも1つの非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項55】
複数の原子のそれぞれのいくつかの位置が、2進数で表され、方法が:
少なくとも1つのコントローラによって、最下位ビットから最上位ビットまでの2進数のそれぞれのビットを、ビットが1であるかゼロであるかに基づいて原子を動かす命令または動かさない命令として解釈することにより、複数の原子のそれぞれの原子に対して、一連の操作を生成することをさらに含む、請求項54に記載の少なくとも1つの非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項56】
方法が、少なくとも1つのコントローラによって:
スキャナを使用して複数の原子のそれぞれの原子lを動かすためのいくつかの位置d(l)を決定し、原子を所望の構成に分類する;
複数の原子のそれぞれについて決定されたいくつかの位置d(l)をmビットの2進数として表す、ここでm=round(log(n-1));
スキャナを操作して、それぞれの原子lをいくつかの位置dl,k=al,kだけ動かす、ここで、al,k∈{0,1}は、それぞれの原子lの2進数のビットk;および
それぞれの原子lの移動をm回繰り返し、k=0からk=k+1ずつ毎回インクリメントすることをさらに含む、請求項55に記載の少なくとも1つの非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項57】
方法が、少なくとも1つのコントローラによって:
センサによって生成されたセンサデータに基づいて、切り替え可能な光トラップのアレイ内に捕捉された複数の原子のそれぞれを動かすためのいくつかの位置を決定し、原子を規則的間隔のn位置アレイ内の所望の構成に分類する;および、
複数の原子のそれぞれについて決定されたいくつかの位置に基づいて、複数の原子がスキャナを使用して3次元空間内の最密位置から3次元空間内のターゲット位置に動かされる一連の操作を生成することをさらに含む、請求項52に記載の少なくとも1つの非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項58】
一連の操作の少なくとも1つの操作中に、複数の原子のうちの少なくとも2つが、スキャナを使用して同時に動かされる、請求項57に記載の少なくとも1つの非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項59】
複数の原子のそれぞれのいくつかの位置が、2進数で表され、少なくとも1つのコントローラが:
最上位ビットから最下位ビットまでの2進数のそれぞれのビットを、ビットが1であるかゼロであるかに基づいて原子を動かす命令または動かさない命令として解釈することにより、複数の原子のそれぞれの原子に対して、一連の操作を生成するように構成される、請求項58に記載の少なくとも1つの非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項60】
方法が、少なくとも1つのコントローラによって:
スキャナを使用して複数の原子のそれぞれの原子lを動かすためのいくつかの位置f(l)を決定し、原子を規則的間隔のn位置アレイ内の所望の構成に分類する;
複数の原子のそれぞれについて決定されたいくつかの位置f(l)をmビットの2進数として表す、ここでm=round(log(n-1));
スキャナを操作して、それぞれの原子lをいくつかの位置fl,k=al,kだけ動かす、ここで、al,k∈{0,1}は、それぞれの原子lの2進数のビットk;および
それぞれの原子lの移動を繰り返し、k=0まで毎回デクリメントすることをさらに含む、請求項59に記載の少なくとも1つの非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項61】
方法が、少なくとも1つのコントローラによって:
センサによって生成されたセンサデータに基づいて、切り替え可能な光トラップのアレイ内に捕捉された複数の原子のそれぞれを動かすためのいくつかの位置を決定し、原子を規則的間隔のn位置アレイ内の所望の構成に分類する;および、
複数の原子のそれぞれについて決定されたいくつかの位置に基づいて、複数の原子がトラップ内に補足されたを使用して3次元空間内の初期位置から3次元空間内のn位置アレイよりも高い分解能を有する、切り替え可能な高解像度光トラップの規則的間隔のh位置アレイ内のターゲット位置に動かされる一連の操作を生成することをさらに含む、請求項44に記載の少なくとも1つの非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項62】
一連の操作の少なくとも1つの操作中に、複数の原子のうちの少なくとも2つが、スキャナを使用して同時に動かされる、請求項61に記載の少なくとも1つの非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項63】
複数の原子のそれぞれのいくつかの位置が、2進数で表され、少なくとも1つのコントローラが:
最下位ビットから最上位ビットまでの2進数のそれぞれのビットを、ビットが1であるかゼロであるかに基づいて原子を動かす命令または動かさない命令として解釈することにより、複数の原子のそれぞれの原子に対して、一連の操作を生成するように構成される、請求項62に記載の少なくとも1つの非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項64】
方法が、少なくとも1つのコントローラによって:
スキャナを使用して複数の原子のそれぞれの原子lを動かすためのいくつかの位置g(l)を決定し、原子を規則的間隔のh位置アレイ内の所望の構成に分類する;
複数の原子のそれぞれについて決定されたいくつかの位置g(l)をuビットの2進数として表す、ここでu=round(log(h-1));
スキャナを操作して、それぞれの原子lをいくつかの位置gl,k=al,kだけ動かす、ここで、al,k∈{0,1}は、それぞれの原子lの2進数のビットk;および
それぞれの原子lの移動をu回繰り返し、k=0からk=k+1ずつ毎回インクリメントすることをさらに含む、請求項63に記載の少なくとも1つの非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項65】
3次元空間内に原子を配置するためのシステムであって、該システムは:
3次元空間内に光トラップの規則的間隔のn位置アレイを形成する光格子を生成するように操作可能な第1の光学システム;
規則的間隔のn位置アレイ内に切り替え可能な光トラップのアレイを生成するように操作可能な第2の光学システム;
光トラップの規則的間隔のn位置アレイ内に捕捉された原子を検出するように構成されたセンサ;
光格子の位相を調整して、光トラップの規則的間隔のn位置アレイ内に捕捉された多数の原子を同時に動かすように操作可能な位相変調器;および
規則的間隔のn位置アレイ内の原子を原子の所望の構成に分類するために、光学システムおよび位相変調器を操作するように構成された少なくとも1つのコントローラであって、光学システムおよび位相変調器の操作は、規則的間隔のn位置アレイ内に補足された原子を検出するセンサによって生成されるセンサデータに少なくとも部分的に基づく、前記コントローラ
を含む、前記システム。
【請求項66】
3次元空間内に配置された複数の光トラップ内に原子を配置する方法であって、該方法は:
少なくとも1つのプロセッサを使用して、3次元空間内の初期位置から3次元空間内のターゲット位置まで複数の原子が複数の光トラップ間で動かされる一連の操作を生成し、一連の操作の少なくとも1つの操作中に、複数の原子のうちの少なくとも2つが、複数の光トラップのトラップ間で同時に動かされること;および
スキャナを操作して、生成された一連の操作に従って、複数の光トラップのトラップ間で複数の原子のうちの1以上を動かすこと
を含む、前記方法。
【請求項67】
センサを使用して、複数の光トラップ内の複数の原子の位置を表すセンサデータを生成すること;および
複数の光トラップ内の複数の原子の位置を表すさらなるセンサデータを生成することなく、一連の操作を実行するためにスキャナを操作すること
をさらに含む、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
センサデータが、複数の光トラップのどれが複数の原子の1つを含有するかを示す、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
複数の光トラップが、3次元空間において規則的間隔のアレイを生成する、請求項66に記載の方法。
【請求項70】
複数の光トラップが、3次元空間内の2次元平面において規則的間隔のアレイを生成する、請求項66に記載の方法。
【請求項71】
少なくとも1つの空間光変調器(SLM)を操作することによって、複数の光トラップを生成することをさらに含む、請求項66に記載の方法。
【請求項72】
スキャナが、複数の光トラップよりも低いポテンシャルを有する複数の可動トラップを3次元空間内に生成するように構成されている、請求項66に記載の方法。
【請求項73】
センサによって生成されたセンサデータに基づいて、少なくとも1つのプロセッサによって、複数の光トラップのトラップ間で複数の原子のそれぞれを動かして、原子を所望の構成に分類するためのいくつかの位置を決定することさらに含む、請求項66に記載の方法。
【請求項74】
少なくとも1つのプロセッサを使用して、複数の原子のそれぞれについて決定されたいくつかの位置を2進数として表現すること;および
少なくとも1つのプロセッサを使用して、複数の原子のそれぞれの原子について、一連の操作を生成し、最下位ビットから最上位ビットまでの2進数のそれぞれのビットを、ビットが1であるかゼロであるかに基づいて、原子を動かす命令または動かさない命令として解釈すること
をさらに含む、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
複数の光トラップが、3次元空間において規則的間隔のn位置アレイを生成し、方法が、少なくとも1つのプロセッサを使用して:
複数の原子のそれぞれの原子lを複数の光トラップのトラップ間で動かすためのいくつかの位置d(l)を決定して、原子を所望の構成に分類する;
複数の原子のそれぞれについて決定されたいくつかの位置d(l)をmビットの2進数として表す、ここでm=round(log(n-1));
スキャナを操作して、それぞれの原子lをいくつかの位置dl,k=al,kだけ動かす、ここで、al,k∈{0,1}は、それぞれの原子lの2進数のビットk;および
それぞれの原子lの移動をm回繰り返し、k=0からk=k+1ずつ毎回インクリメントすることを含む、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
所望の構成が、最密構成である、請求項73に記載の方法。
【請求項77】
実行されると、3次元空間内に配置された複数の光トラップ内に原子を配置する方法を実行する、少なくとも1つの非一時的なコンピュータ可読媒体であって、方法は:
少なくとも1つのプロセッサを使用して、3次元空間内の初期位置から3次元空間内のターゲット位置まで複数の原子が複数の光トラップ間で動かされる一連の操作を生成し、一連の操作の少なくとも1つの操作中に、複数の原子のうちの少なくとも2つが、複数の光トラップのトラップ間で同時に動かされること;および
スキャナを操作して、生成された一連の操作に従って、複数の光トラップのトラップ間で複数の原子のうちの1以上を動かすこと
を含む、前記少なくとも1つの非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項78】
方法が:
センサを使用して、複数の光トラップ内の複数の原子の位置を表すセンサデータを生成すること;および
複数の光トラップ内の複数の原子の位置を表すさらなるセンサデータを生成することなく、一連の操作を実行するためにスキャナを操作すること
をさらに含む、請求項77に記載の少なくとも1つの非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項79】
センサデータが、複数の光トラップのどれが複数の原子の1つを含有するかを示す、請求項78に記載の少なくとも1つの非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項80】
複数の光トラップが、3次元空間において規則的間隔のアレイを生成する、請求項77に記載の少なくとも1つの非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項81】
複数の光トラップが、3次元空間内の2次元平面において規則的間隔のアレイを生成する、請求項77に記載の少なくとも1つの非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項82】
方法が、少なくとも1つの空間光変調器(SLM)を操作することによって、複数の光トラップを生成することをさらに含む、請求項77に記載の少なくとも1つの非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項83】
スキャナが、複数の光トラップよりも低いポテンシャルを有する複数の可動トラップを3次元空間内に生成するように構成されている、請求項77に記載の少なくとも1つの非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項84】
方法が、センサによって生成されたセンサデータに基づいて、少なくとも1つのプロセッサによって、複数の光トラップのトラップ間で複数の原子のそれぞれを動かして、原子を所望の構成に分類するためのいくつかの位置を決定することさらに含む、請求項77に記載の少なくとも1つの非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項85】
方法が:
少なくとも1つのプロセッサを使用して、複数の原子のそれぞれについて決定されたいくつかの位置を2進数として表現すること;および
少なくとも1つのプロセッサを使用して、複数の原子のそれぞれの原子について、一連の操作を生成し、最下位ビットから最上位ビットまでの2進数のそれぞれのビットを、ビットが1であるかゼロであるかに基づいて、原子を動かす命令または動かさない命令として解釈すること
をさらに含む、請求項84に記載の少なくとも1つの非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項86】
複数の光トラップが、3次元空間において規則的間隔のn位置アレイを生成し、方法が、少なくとも1つのプロセッサを使用して:
複数の原子のそれぞれの原子lを複数の光トラップのトラップ間で動かすためのいくつかの位置d(l)を決定して、原子を所望の構成に分類する;
複数の原子のそれぞれについて決定されたいくつかの位置d(l)をmビットの2進数として表す、ここでm=round(log(n-1));
スキャナを操作して、それぞれの原子lをいくつかの位置dl,k=al,kだけ動かす、ここで、al,k∈{0,1}は、それぞれの原子lの2進数のビットk;および
それぞれの原子lの移動をm回繰り返し、k=0からk=k+1ずつ毎回インクリメントすることを含む、請求項85に記載の少なくとも1つの非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項87】
所望の構成が、最密構成である、請求項84に記載の少なくとも1つの非一時的なコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、「原子をアレイに配置するための方法および装置」と題された、2020年5月12日に出願された米国仮出願第63/023,461号の35U.S.C.§119(e)に基づく利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
低温原子は、量子計測や量子情報処理などの量子技術に優れたプラットフォームを提供する。決定論的に原子を配置する最近の開発により、量子計算と量子シミュレーションに不可欠なリソースである欠陥のない原子ジオメトリ(規則的間隔の原子配列など)を作成できる。このようなアレイを作成するための典型的なアプローチは、原子を光磁気トラップ(MOT)から再構成可能な光ピンセットにロードし、ロードされたピンセットをターゲット原子ジオメトリに再配置することである。M. Endres, H. Bernien, A. Keesling, H. Levine, E. R. Anschuetz, A. Krajenbrink, C. Senko, V. Vuletic, M. Greiner, and M. D. Lukin, Atom-by-atom assembly of defect-free one-dimensional cold atom arrays, Science vol. 354 (6315) p. 1024-1027 (2016)を参照されたく、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような再構成可能な光ピンセットを生成するために、さまざまなタイプの空間光変調器(SLM)が使用されている。一例では、音響光学偏向器(AOD)を使用して、このようなピンセットアレイを作成する。AODは、入射レーザービームを複数のビームに偏向する。それぞれのビームの偏向角度は、偏向器に適用される音波周波数によって制御される。周波数を連続的に変化させると、レーザービームの偏向角度が変化し、ピンセットビームが1次元で再構成される。また、2つの交差したAODにより、原子を2次元(2D)に配置できることも示されている。具体的には、レーザービームを第1のAODに通すことによって、N個のビームが生成される。第2のAOD(第1のAODに対して90°の向き)では、N個のビームのそれぞれが別のM個のビームに分割され、合計MxN個のビームが作成される。
【0004】
ただし、これらのアプローチでは、ピンセットビームの作成と移動が複雑であり、ピンセットの配置に必要な実行時間が長くなるため、大規模な2D原子配列を作成することが困難である。たとえば、2交差AODアプローチではMxNピンセットビームが作成されるが、自由度はM+Nしかないため、ピンセットビームを順番に配置するには実行時間が長くなる。光ピンセットがバックグラウンドの原子ガス衝突によって制限される有限時間原子を保持できることを考えると、そのような延長された実行時間は、欠陥のない原子アレイのスケールを制限する。
【0005】
したがって、原子をアレイに配置する際の継続的な改善が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書で開示される様々な実施形態は、原子をアレイに配置するための方法および装置に関する。1以上の実施形態によれば、3次元空間内に原子を配置するためのシステムは、3次元空間内に複数の切り替え可能な光トラップを生成するように操作可能な光学システム、複数の切り替え可能な光トラップ内の原子を検出するように構成されたセンサ、複数の切り替え可能な光トラップ内で多数の原子を同時に動かすように操作可能なスキャナ、および複数の切り替え可能な光トラップ内の原子を原子の所望の構成に分類するために、光学システムおよびスキャナを操作するように構成された少なくとも1つのコントローラであって、光学システムおよびスキャナの操作は、複数の切り替え可能な光トラップ内の原子を検出するセンサによって生成されるセンサデータに少なくとも部分的に基づく、前記コントローラを含む。いくつかの実施形態において、光学システムは、操作時に、複数の切り替え可能な光トラップのうちの1以上の切り替え可能な光トラップを非アクティブ化する少なくとも1つの空間光変調器(SLM)を含むことができる。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのコントローラは、少なくとも1つのSLMを操作して、1以上の切り替え可能な光トラップをアクティブ化または非アクティブ化するようにさらに構成することができる。特定の実施形態において、光学システムは、光学システムによって生成される切り替え可能な光トラップのアレイよりも浅いトラップポテンシャルを有する、3次元空間内に複数の静的光トラップを生成するように操作可能な第2の空間光変調器(SLM)をさらに含むことができる。いくつかの実施形態において、静的光トラップのアレイは、3次元空間内の2次元平面において規則的間隔のアレイを形成することができる。特定の実施形態において、センサは、光学カメラを含むことができる。いくつかの実施形態において、原子の所望の構成は、最密構成であることができる。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのコントローラは、センサによって生成されたセンサデータを受信する、およびセンサからセンサデータをさらに受信することなく、複数の操作を実行するために光学システムとスキャナを操作し、複数の操作のそれぞれにおいて、複数の原子が3次元空間内で動かされることができる。特定の実施形態において、複数の切り替え可能な光トラップは、規則的間隔のn位置アレイに配置されることができる。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのコントローラは、センサによって生成されたセンサデータに基づいて、切り替え可能な光トラップのアレイ内に捕捉された複数の原子のそれぞれを動かして、原子を規則的間隔のn位置アレイ内の所望の構成に分類するいくつかの位置を決定する、および複数の原子のそれぞれについて決定されたいくつかの位置に基づいて、スキャナを使用して、複数の原子を3次元空間の初期位置から3次元空間の最密位置まで動かす、一連の操作を生成するように構成されることができる。これらの実施形態の特定のものにおいて、一連の操作のうちの少なくとも1つの操作中に、複数の原子のうちの少なくとも2つがスキャナを使用して同時に動かされることができる。これらの実施形態のいくつかにおいて、複数の原子のそれぞれのいくつかの位置は、2進数で表され、少なくとも1つのコントローラが、最下位ビットから最上位ビットまでの2進数のそれぞれのビットを、ビットが1であるかゼロであるかに基づいて原子を動かす命令または動かさない命令として解釈することにより、複数の原子のそれぞれの原子に対して、一連の操作を生成するように構成される。これらの実施形態の特定のものにおいて、少なくとも1つのコントローラは、スキャナを使用して複数の原子のそれぞれの原子lを動かすためのいくつかの位置d(l)を決定し、原子を所望の構成に分類する、複数の原子のそれぞれについて決定されたいくつかの位置d(l)をmビットの2進数として表す、ここでm=round(log(n-1))、スキャナを操作して、それぞれの原子lをいくつかの位置dl,k=al,kだけ動かす、ここで、al,k∈{0,1}は、それぞれの原子lの2進数のビットk、およびそれぞれの原子lの移動をm回繰り返し、k=0からk=k+1ずつ毎回インクリメントするように構成されることができる。
【0007】
複数の切り替え可能な光トラップが規則的間隔のn位置アレイに配置される特定の他の実施形態において、少なくとも1つのコントローラが、センサによって生成されたセンサデータに基づいて、切り替え可能な光トラップのアレイ内に捕捉された複数の原子のそれぞれを動かすためのいくつかの位置を決定し、原子を規則的間隔のn位置アレイ内の所望の構成に分類する、および、複数の原子のそれぞれについて決定されたいくつかの位置に基づいて、複数の原子がスキャナを使用して3次元空間内の最密位置から3次元空間内のターゲット位置に動かされる一連の操作を生成するように構成されることができる。これらの実施形態のいくつかにおいて、一連の操作の少なくとも1つの操作中に、複数の原子のうちの少なくとも2つが、スキャナを使用して同時に動かされる。これらの実施形態の特定のものにおいて、複数の原子のそれぞれのいくつかの位置が、2進数で表されることができ、少なくとも1つのコントローラが、最上位ビットから最下位ビットまでの2進数のそれぞれのビットを、ビットが1であるかゼロであるかに基づいて原子を動かす命令または動かさない命令として解釈することにより、複数の原子のそれぞれの原子に対して、一連の操作を生成するように構成されることができる。これらの実施形態のいくつかにおいて、少なくとも1つのコントローラが、スキャナを使用して複数の原子のそれぞれの原子lを動かすためのいくつかの位置f(l)を決定し、原子を規則的間隔のn位置アレイ内の所望の構成に分類する、複数の原子のそれぞれについて決定されたいくつかの位置f(l)をmビットの2進数として表す、ここでm=round(log(n-1))、スキャナを操作して、それぞれの原子lをいくつかの位置fl,k=al,kだけ動かす、ここで、al,k∈{0,1}は、それぞれの原子lの2進数のビットk、およびそれぞれの原子lの移動を繰り返し、k=0まで毎回デクリメントするように構成されることができる。
【0008】
複数の切り替え可能な光トラップが規則的間隔のn位置アレイに配置されるいくつかの他の実施形態において、少なくとも1つのコントローラは、センサによって生成されたセンサデータに基づいて、切り替え可能な光トラップのアレイ内に捕捉された複数の原子のそれぞれを動かすためのいくつかの位置を決定し、原子を規則的間隔のn位置アレイ内の所望の構成に分類する、および、複数の原子のそれぞれについて決定されたいくつかの位置に基づいて、複数の原子がスキャナを使用して3次元空間内の初期位置から3次元空間内のn位置アレイよりも高い分解能を有する、切り替え可能な高解像度光トラップの規則的間隔のh位置アレイ内のターゲット位置に動かされる一連の操作を生成するように構成されることができる。これらの実施形態の特定のものにおいて、一連の操作の少なくとも1つの操作中に、複数の原子のうちの少なくとも2つが、スキャナを使用して同時に動かされることができる。これらの実施形態のいくつかにおいて、複数の原子のそれぞれのいくつかの位置は、2進数で表されることができ、少なくとも1つのコントローラは、最下位ビットから最上位ビットまでの2進数のそれぞれのビットを、ビットが1であるかゼロであるかに基づいて原子を動かす命令または動かさない命令として解釈することにより、複数の原子のそれぞれの原子に対して、一連の操作を生成するように構成されることができる。これらの実施形態の特定のものにおいて、少なくとも1つのコントローラは、スキャナを使用して複数の原子のそれぞれの原子lを動かすためのいくつかの位置g(l)を決定し、原子を規則的間隔のh位置アレイ内の所望の構成に分類する、複数の原子のそれぞれについて決定されたいくつかの位置g(l)をuビットの2進数として表す、ここでu=round(log(h-1))、スキャナを操作して、それぞれの原子lをいくつかの位置gl,k=al,kだけ動かす、ここで、al,k∈{0,1}は、それぞれの原子lの2進数のビットk、および、それぞれの原子lの移動をu回繰り返し、k=0からk=k+1ずつ毎回インクリメントするように構成されることができる。
【0009】
1以上の実施形態に従って、3次元空間内に原子を配置するための方法は、光学システムを操作して、3次元空間内に複数の切り替え可能な光トラップを生成すること、センサを使用し、複数の切り替え可能な光トラップ内に補足された原子を検出すること、スキャナを操作して、複数の切り替え可能な光トラップ内で多数の原子を同時に動かすこと、および、少なくとも1つのコントローラを使用して、複数の切り替え可能な光トラップ内の原子を原子の所望の構成に分類するために、光学システムおよびスキャナを操作し、光学システムおよびスキャナの操作は、複数の切り替え可能な光トラップ内の原子を検出するセンサによって生成されるセンサデータに少なくとも部分的に基づくことを含む。いくつかの実施形態において、方法は、複数の切り替え可能な光トラップのうちの1以上の切り替え可能な光トラップを非アクティブ化する少なくとも1つの空間光変調器(SLM)を操作することをさらに含むことができる。特定の実施形態において、方法は、第2の空間光変調器(SLM)を操作して、光学システムによって生成される複数の切り替え可能な光トラップよりも浅いトラップポテンシャルを有する、3次元空間内の静的光トラップの規則的間隔のn位置アレイを生成することをさらに含むことができる。これらの実施形態のいくつかにおいて、静的光トラップのアレイは、3次元空間内の2次元平面において規則的間隔のアレイを形成することができる。特定の実施形態において、センサは、光学カメラを含むことができる。いくつかの実施形態において、所望の構成は最密構成であることができる。特定の実施形態において、スキャナは、ミラー検流計および焦点調節可能レンズを含むことができる。いくつかの実施形態において、方法は、少なくとも1つのコントローラによって、センサによって生成されたセンサデータを受信すること、および、少なくとも1つのコントローラによって、センサからセンサデータをさらに受信することなく、複数の操作を実行するために光学システムとスキャナを操作し、複数の操作のそれぞれにおいて、複数の原子が3次元空間内で動かされることさらに含むことができる。特定の実施形態において、複数の切り替え可能な光トラップは、規則的間隔のn位置アレイに配置されることができる。これらの実施形態のいくつかにおいて、方法は、少なくとも1つのコントローラによって、センサによって生成されたセンサデータに基づいて、切り替え可能な光トラップのアレイ内に捕捉された複数の原子のそれぞれを動かすためのいくつかの位置を決定し、原子を規則的間隔のn位置アレイ内の所望の構成に分類すること、および、少なくとも1つのコントローラによって、複数の原子のそれぞれについて決定されたいくつかの位置に基づいて、複数の原子がスキャナを使用して3次元空間内の初期位置から3次元空間内の最密位置に動かされる一連の操作を生成することをさらに含むことができる。これらの実施形態の特定のものにおいて、一連の操作のうちの少なくとも1つの操作中に、複数の原子のうちの少なくとも2つが、スキャナを使用して同時に動かされることができる。これらの実施形態のいくつかにおいて、複数の原子のそれぞれのいくつかの位置は、2進数で表されることができ、方法は、少なくとも1つのコントローラによって、最下位ビットから最上位ビットまでの2進数のそれぞれのビットを、ビットが1であるかゼロであるかに基づいて原子を動かす命令または動かさない命令として解釈することにより、複数の原子のそれぞれの原子に対して、一連の操作を生成することをさらに含むことができる。これらの実施形態の特定のものにおいて、方法は、少なくとも1つのコントローラによって、スキャナを使用して複数の原子のそれぞれの原子lを動かすためのいくつかの位置d(l)を決定し、原子を所望の構成に分類する、複数の原子のそれぞれについて決定されたいくつかの位置d(l)をmビットの2進数として表す、ここでm=round(log(n-1))、スキャナを操作して、それぞれの原子lをいくつかの位置dl,k=al,kだけ動かす、ここで、al,k∈{0,1}は、それぞれの原子lの2進数のビットk、および、それぞれの原子lの移動をm回繰り返し、k=0からk=k+1ずつ毎回インクリメントすることをさらに含むことができる。
【0010】
複数の切り替え可能な光トラップが規則的間隔のn位置アレイに配置される特定の他の実施形態において、方法は、少なくとも1つのコントローラによって、センサによって生成されたセンサデータに基づいて、切り替え可能な光トラップのアレイ内に捕捉された複数の原子のそれぞれを動かすためのいくつかの位置を決定し、原子を規則的間隔のn位置アレイ内の所望の構成に分類する、および、複数の原子のそれぞれについて決定されたいくつかの位置に基づいて、複数の原子がスキャナを使用して3次元空間内の最密位置から3次元空間内のターゲット位置に動かされる一連の操作を生成することをさらに含むことができる。これらの実施形態のいくつかにおいて、一連の操作の少なくとも1つの操作中に、複数の原子のうちの少なくとも2つが、スキャナを使用して同時に動かされることができる。これらの実施形態の特定のものにおいて、複数の原子のそれぞれのいくつかの位置は、2進数で表されることができ、少なくとも1つのコントローラは、最上位ビットから最下位ビットまでの2進数のそれぞれのビットを、ビットが1であるかゼロであるかに基づいて原子を動かす命令または動かさない命令として解釈することにより、複数の原子のそれぞれの原子に対して、一連の操作を生成するように構成されることができる。これらの実施形態のいくつかにおいて、方法は、少なくとも1つのコントローラによって、スキャナを使用して複数の原子のそれぞれの原子lを動かすためのいくつかの位置f(l)を決定し、原子を規則的間隔のn位置アレイ内の所望の構成に分類する、複数の原子のそれぞれについて決定されたいくつかの位置f(l)をmビットの2進数として表す、ここでm=round(log(n-1))、スキャナを操作して、それぞれの原子lをいくつかの位置fl,k=al,kだけ動かす、ここで、al,k∈{0,1}は、それぞれの原子lの2進数のビットk、および、それぞれの原子lの移動を繰り返し、k=0まで毎回デクリメントすることをさらに含むことができる。
【0011】
複数の切り替え可能な光トラップが規則的間隔のn位置アレイに配置されるいくつかの他の実施形態において、方法は、少なくとも1つのコントローラによって、センサによって生成されたセンサデータに基づいて、切り替え可能な光トラップのアレイ内に捕捉された複数の原子のそれぞれを動かすためのいくつかの位置を決定し、原子を規則的間隔のn位置アレイ内の所望の構成に分類する、および、複数の原子のそれぞれについて決定されたいくつかの位置に基づいて、複数の原子がスキャナを使用して3次元空間内の初期位置から3次元空間内のn位置アレイよりも高い分解能を有する、切り替え可能な高解像度光トラップの規則的間隔のh位置アレイ内のターゲット位置に動かされる一連の操作を生成することをさらに含むことができる。これらの実施形態の特定のものにおいて、一連の操作の少なくとも1つの操作中に、複数の原子のうちの少なくとも2つが、スキャナを使用して同時に動かされることができる。これらの実施形態のいくつかにおいて、複数の原子のそれぞれのいくつかの位置は、2進数で表されることができ、少なくとも1つのコントローラは、最下位ビットから最上位ビットまでの2進数のそれぞれのビットを、ビットが1であるかゼロであるかに基づいて原子を動かす命令または動かさない命令として解釈することにより、複数の原子のそれぞれの原子に対して、一連の操作を生成するように構成されることができる。これらの実施形態の特定のものにおいて、方法は、少なくとも1つのコントローラによって、スキャナを使用して複数の原子のそれぞれの原子lを動かすためのいくつかの位置g(l)を決定し、原子を規則的間隔のh位置アレイ内の所望の構成に分類する、複数の原子のそれぞれについて決定されたいくつかの位置g(l)をuビットの2進数として表す、ここでu=round(log(h-1))、スキャナを操作して、それぞれの原子lをいくつかの位置gl,k=al,kだけ動かす、ここで、al,k∈{0,1}は、それぞれの原子lの2進数のビットk、および、それぞれの原子lの移動をu回繰り返し、k=0からk=k+1ずつ毎回インクリメントすることをさらに含むことができる。
【0012】
1以上の実施形態において、少なくとも1つの非一時的なコンピュータ可読媒体は、命令を含み、該命令は、実行されると、3次元空間内に配置された複数の光トラップ内に原子を配置する方法を実行し、該方法は、光学システムを操作して、3次元空間内に複数の切り替え可能な光トラップを生成すること、センサを使用し、複数の切り替え可能な光トラップ内に補足された原子を検出すること、スキャナを操作して、複数の切り替え可能な光トラップ内で多数の原子を同時に動かすこと、および、少なくとも1つのコントローラを使用して、切り替え可能な光トラップのアレイ内の原子を原子の所望の構成に分類するために、光学システムおよびスキャナを操作し、光学システムおよびスキャナの操作は、複数の切り替え可能な光トラップ内の原子を検出するセンサによって生成されるセンサデータに少なくとも部分的に基づくことを含む。この方法のさらなる実施形態は、上述のように実行することができる。
【0013】
1以上の実施形態において、3次元空間内に原子を配置するためのシステムは、3次元空間内に光トラップの規則的間隔のn位置アレイを形成する光格子を生成するように操作可能な第1の光学システム、規則的間隔のn位置アレイ内に切り替え可能な光トラップのアレイを生成するように操作可能な第2の光学システム、光トラップの規則的間隔のn位置アレイ内に捕捉された原子を検出するように構成されたセンサ、光格子の位相を調整して、光トラップの規則的間隔のn位置アレイ内に捕捉された多数の原子を同時に動かすように操作可能な位相変調器、および、規則的間隔のn位置アレイ内の原子を原子の所望の構成に分類するために、光学システムおよび位相変調器を操作するように構成された少なくとも1つのコントローラであって、光学システムおよび位相変調器の操作は、規則的間隔のn位置アレイ内に補足された原子を検出するセンサによって生成されるセンサデータに少なくとも部分的に基づく、前記コントローラを含む。
【0014】
1以上の実施形態に従って、3次元空間内に配置された複数の光トラップ内に原子を配置する方法は、少なくとも1つのプロセッサを使用して、3次元空間内の初期位置から3次元空間内のターゲット位置まで複数の原子が複数の光トラップ間で動かされる一連の操作を生成し、一連の操作の少なくとも1つの操作中に、複数の原子のうちの少なくとも2つが、複数の光トラップのトラップ間で同時に動かされること、および、スキャナを操作して、生成された一連の操作に従って、複数の光トラップのトラップ間で複数の原子のうちの1以上を動かすことを含む。いくつかの実施形態において、方法は、センサを使用して、複数の光トラップ内の複数の原子の位置を表すセンサデータを生成すること、および、複数の光トラップ内の複数の原子の位置を表すさらなるセンサデータを生成することなく、一連の操作を実行するためにスキャナを操作することをさらに含むことができる。これらの実施形態の特定のものにおいて、センサデータは、複数の光トラップのどれが複数の原子の1つを含有するかを示すことができる。いくつかの実施形態において、複数の光トラップは、3次元空間において規則的間隔のアレイを生成することができる。特定の実施形態において、複数の光トラップは、3次元空間内の2次元平面において規則的間隔のアレイを生成することができる。いくつかの実施形態において、方法は、少なくとも1つの空間光変調器(SLM)を操作することによって、複数の光トラップを生成することをさらに含むことができる。特定の実施形態において、スキャナは、複数の光トラップよりも低いポテンシャルを有する複数の可動トラップを3次元空間内に生成するように構成されてることができる。いくつかの実施形態において、方法は、センサによって生成されたセンサデータに基づいて、少なくとも1つのプロセッサによって、複数の光トラップのトラップ間で複数の原子のそれぞれを動かして、原子を所望の構成に分類するためのいくつかの位置を決定することさらに含むことができる。これらの実施形態の特定のものにおいて、方法は、少なくとも1つのプロセッサを使用して、複数の原子のそれぞれについて決定されたいくつかの位置を2進数として表現すること、および、少なくとも1つのプロセッサを使用して、複数の原子のそれぞれの原子について、一連の操作を生成し、最下位ビットから最上位ビットまでの2進数のそれぞれのビットを、ビットが1であるかゼロであるかに基づいて、原子を動かす命令または動かさない命令として解釈することをさらに含むことができる。いくつかの実施形態において、複数の光トラップは、3次元空間において規則的間隔のn位置アレイを生成することができ、方法は、少なくとも1つのプロセッサを使用して:複数の原子のそれぞれの原子lを複数の光トラップのトラップ間で動かすためのいくつかの位置d(l)を決定して、原子を所望の構成に分類する、複数の原子のそれぞれについて決定されたいくつかの位置d(l)をmビットの2進数として表す、ここでm=round(log(n-1))、スキャナを操作して、それぞれの原子lをいくつかの位置dl,k=al,kだけ動かす、ここで、al,k∈{0,1}は、それぞれの原子lの2進数のビットk、および、それぞれの原子lの移動をm回繰り返し、k=0からk=k+1ずつ毎回インクリメントすることを含むことができる。これらの実施形態の特定のものにおいて、所望の構成は最密構成であることができる。
【0015】
1以上の実施形態において、少なくとも1つの非一時的なコンピュータ可読媒体は、実行されると、3次元空間内に配置された複数の光トラップ内に原子を配置する方法を実行し、該方法は、少なくとも1つのプロセッサを使用して、3次元空間内の初期位置から3次元空間内のターゲット位置まで複数の原子が複数の光トラップ間で動かされる一連の操作を生成し、一連の操作の少なくとも1つの操作中に、複数の原子のうちの少なくとも2つが、複数の光トラップのトラップ間で同時に動かされること、および、スキャナを操作して、生成された一連の操作に従って、複数の光トラップのトラップ間で複数の原子のうちの1以上を動かすことを含む。
【0016】
本明細書に記載のシステムおよび方法を使用してアレイ内に原子を配置することは、原子の数に対数的に比例する時間内に、3D平面に数多くの原子(たとえば、数百万の原子)を配置できるため、多くの利点がある。
【0017】
前述の装置および方法の実施形態は、上述の、または以下でさらに詳細に説明される態様、特徴、および動作の任意の適切な組み合わせで実装され得る。本教示のこれらおよび他の態様、実施形態、および特徴は、添付の図面と併せて以下の説明からより完全に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
前述のことは、添付の図面に示されているように、例示的な実施形態の以下のより具体的な説明から明らかになるであろう。図面は必ずしも縮尺通りではなく、代わりに実施形態を示すことに重点が置かれている。
【0019】
図1】1以上の実施形態に従って原子をアレイに配置する方法のフローチャートを示す。
【0020】
図2図2は、1以上の実施形態による最密配列で原子を配置することを概略的に示す図である。
【0021】
図3図3は、1以上の実施形態による、原子の複数の列を最密配列に配置することを概略的に示す図である。
【0022】
図4図4は、1以上の実施形態による、原子の複数の行を最密配列で配置することを概略的に示す。
【0023】
図5A図5Aは、1以上の実施形態による、3次元空間内の原子の複数の行を最密配列で配置することを概略的に示す図である。
図5B図5Bは、1以上の実施形態による、3次元空間内の原子の複数の行を最密配列で配置することを概略的に示す図である。
図5C図5Cは、1以上の実施形態による、3次元空間内の原子の複数の行を最密配列で配置することを概略的に示す図である。
図5D図5Dは、1以上の実施形態による、3次元空間内の原子の複数の行を最密配列で配置することを概略的に示す図である。
図5E図5Eは、1以上の実施形態による、3次元空間内の原子の複数の行を最密配列で配置することを概略的に示す図である。
図5F図5Fは、1以上の実施形態による、3次元空間内の原子の複数の行を最密配列で配置することを概略的に示す図である。
【0024】
図6A-D】図6A-Dは、1以上の実施形態による、原子の複数の列を最密アレイに配置し、それらをターゲットパターンにアンパッキングすることを概略的に示す図である。
【0025】
図7A図7Aは、1以上の実施形態による、原子の複数の列をターゲットパターンにアンパッキングすることを概略的に示す図である。
図7B図7Bは、1以上の実施形態による、原子の複数の列をターゲットパターンにアンパッキングすることを概略的に示す図である。
【0026】
図8A-C】図8A-Cは、1以上の実施形態による、ターゲットパターンからより高解像度のターゲットパターンへの原子のアンパッキングを概略的に示す図である。
図8D-E】図8D-Eは、1以上の実施形態による、ターゲットパターンからより高解像度のターゲットパターンへの原子のアンパッキングを概略的に示す図である。
【0027】
図9A図9Aは、1以上の実施形態による、原子をアレイに配置するためのシステムを概略的に示す。
【0028】
図9B図9Bは、1以上の実施形態による、アレイ内に原子を配置するための別のシステムを概略的に示す。
【0029】
図9C図9Cは、1以上の実施形態による、アレイ内に原子を配置するためのさらに別のシステムを概略的に示す。
【0030】
図9D図9Dは、1以上の実施形態による、原子をアレイに配置するためのシステムのための一連のビームスプリッタを概略的に示す。
【0031】
図9E図9Eは、1以上の実施形態による、原子をアレイに配置するためのシステムの制御システムおよびデータフローを概略的に示す。
【0032】
図10A図10Aは、1以上の実施形態による、光格子を含むアレイ内に原子を配置するためのシステムを概略的に示す。
【0033】
図10B図10Bは、1以上の実施形態による、原子をアレイ状に配置するための光格子を概略的に示す。
【0034】
図11図11は、1以上の実施形態による、静的および動的双極子トラップ内の原子のエネルギー図を概略的に示す。
【0035】
図12A-D】図12A-Dは、1以上の実施形態による、原子をより深い静的双極子トラップのターゲットパターンに配置することを概略的に示す図である。
【0036】
図13図13は、1以上の実施形態による組合せ最適化問題の4つのグラフアンサンブルを概略的に示す。
【0037】
図14図14は、1以上の実施形態による組み合わせ最適化問題のグラフアンサンブルの実験/計算の4つの結果を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
上述のように、本明細書で開示される様々な実施形態は、原子をアレイ状に配置するための方法および装置に関する。本明細書に記載のシステムおよび方法は、低温原子の非常に大きなアレイ(例えば、100以上)の生成を可能にする。中性原子は、大規模な量子システムの構成要素として機能する。それらは環境から十分に隔離できるため、長寿命の量子メモリが可能になる。内部状態および運動状態の初期化、制御、および読み出しは、過去40年間に開発された共鳴法によって達成される。単一原子の光学制御を維持しながら、数多くの同一の原子を含むアレイを迅速に組み立てることができる。これらのボトムアップアプローチは、蒸発冷却によって調製された超低温原子を搭載した光学格子を含む方法を補完し、一般に数マイクロメートルの原子分離をもたらす。原子間の制御可能な相互作用を導入して、これらのアレイを量子シミュレーションと量子情報処理に利用できる。これは、強力な長距離相互作用を示す高度に励起されたリュードベリ状態(Rydberg states)へのコヒーレント結合によって実現できる。このアプローチは、高速マルチキュービット(qubit)量子ゲート、イジング型スピンモデルの量子シミュレーション、メゾスコピックアンサンブルにおける集団挙動の研究など、多くの応用に強力なプラットフォームを提供する。
【0039】
1以上の実施形態に従って、図1に示されるフローチャートに図示された、3次元空間内に原子を配置するための方法100は、光学システムを操作して、3次元空間内に複数の切り替え可能な光トラップを生成すること(110)、センサを使用し、複数の切り替え可能な光トラップ内に補足された原子を検出すること(120)、スキャナを操作して、複数の切り替え可能な光トラップ内で多数の原子を同時に動かすこと(150)、および、少なくとも1つのコントローラを使用して、複数の切り替え可能な光トラップ内の原子を原子の所望の構成に分類するために、光学システムおよびスキャナを操作し(160)、光学システムおよびスキャナの操作160は、複数の切り替え可能な光トラップ内の原子を検出するセンサによって生成されるセンサデータに少なくとも部分的に基づくことを含む。以下でさらに説明するように、センサは、例えば、光学カメラとすることができる。切り替え可能な光トラップは、コントローラを使用してオンとオフを切り替えることができる光トラップである。特定の実施形態において、スキャナは、以下でさらに説明するように、ミラー検流計および焦点調整可能レンズを含むことができる。方法は、少なくとも1つのコントローラによって、センサによって生成されたセンサデータを受信すること、および、少なくとも1つのコントローラによって、センサからセンサデータをさらに受信することなく、複数の操作を実行するために光学システムとスキャナを操作し、複数の操作のそれぞれにおいて、複数の原子が3次元空間内で動かされることさらに含むことができる。いくつかの実施形態において、方法は、複数の切り替え可能な光トラップのうちの1以上の切り替え可能な光トラップを非アクティブ化する少なくとも1つの空間光変調器(SLM)を操作すること(130)をさらに含むことができる。非アクティブ化された切り替え可能な光トラップは、トラップされた原子を含まない光トラップであるか、または、操作(150)が10μ秒から100μ秒の範囲の時間内に完了した場合、スキャナの特定の操作中に静止したままの原子を含む光トラップであり、この操作に続いて、それぞれの切り替え可能な光トラップを再アクティブ化することにより、静止原子が再びトラップされる。代替的に、この方法は、以下でさらに説明するように、第2の空間光変調器(SLM)を操作して、3次元空間内に、光学システムによって生成された切り替え可能な光トラップのアレイよりも浅いトラップ電位を有する静的光トラップの規則的間隔のn位置アレイを生成すること(140)をさらに含むことができる。オプションの静的光トラップは、スキャナの特定の操作中に静止原子をトラップするため、スキャナ操作のタイミング要件が緩和される。
【0040】
複数の切り替え可能な光トラップは、図2に示される9位置アレイ(すなわち、n=9)など、規則的間隔のn位置アレイに配置することができる。方法は、少なくとも1つのコントローラによって、センサによって生成されたセンサデータに基づいて、切り替え可能な光トラップのアレイ内に捕捉された複数の原子のそれぞれを動かすためのいくつかの位置を決定し、原子を規則的間隔のn位置アレイ内の所望の構成に分類すること、および、少なくとも1つのコントローラによって、複数の原子のそれぞれについて決定されたいくつかの位置に基づいて、複数の原子がスキャナを使用して3次元空間内の初期位置から3次元空間内の最密位置に動かされる一連の操作を生成することをさらに含むことができる。図2に示される例における9位置アレイ(n=9)内の5個の原子など、n位置アレイ内の原子の移動は、以下:n位置配列内で下から数えて原子l=1,2,3,4,5の位置y(l)をイメージングすること、それぞれ原子lが最密配列のn位置配列内で動かされる位置の数d=y(l)-lを計算し、ここでdは表1にリストされていること、ビット数mを計算し、ここでm=round(log(n-1))、round(x)結果xを次に小さい整数に丸め、この例ではm=3(9-1=8=2)となること、dをmビットの2進数として表すこと、それぞれの原子lをいくつかの位置dl,k=al,kだけ移動すること、および、k=0から毎回k=k+1ずつインクリメントしながら、それぞれの原子lの移動をm回繰り返すことを含む。このように、複数の原子のそれぞれのいくつかの位置は、2進数で表され、方法は、少なくとも1つのコントローラによって、最下位ビットから最上位ビットまでの2進数のそれぞれのビットを、ビットが1であるかゼロであるかに基づいて原子を動かす命令または動かさない命令として解釈することにより、複数の原子のそれぞれの原子に対して、一連の操作を生成することができる。図2に示されるように、k=0では、原子l=3とl=4とがそれぞれ1位置(a3,0=a4,0=1、2=1)ずつ移動し、k=1では、原子l=3とl=4とがそれぞれ2位置(a3,1=a4,1=1、2=2)ずつ移動し、そして最後に、k=2では、原子l=5だけが4位置(a5,2=1、2=4)だけ移動し、これは、他のすべてのビットが0であるため、他のすべてのal,2=0であるためである。いくつかの実施形態において、図1に示すk=0などの少なくとも1つの操作中に、図2に示すように、一連の操作のうち、原子l=3およびl=4などの複数の原子のうちの少なくとも2つが、スキャナを使用して同時に動かされる。

【表1】
【0041】
いくつかの実施形態によれば、プロセスは、図3に示されるように、複数の列に同時に適用することができ、原子lを表2に列挙されたいくつかの位置dだけ動かす。
【表2】
【0042】
結果的な最密構成は、図4に示すように、その後、他の次元x(l)で最密にすることができる。以下に示すように、どの移動においても、原子l+1は原子lを通過したり、配列内の同じ位置を占有したり(つまり、衝突したり)しない。k=0で有限距離を移動する必要がある位置y(l)にある下から1番目の原子(lでインデックス付け)を考える。これは、図2に示される位置y(l)=6でl=3である。カメラ画像は、原子lが最密配列内の位置n<y(l)に距離d=y(l)-nだけ移動しなければならないことを示しており、これは、d=Σk=0,1l,kと表すことができ、ここで、すべてのl、kに対してal,k∈{0,1}である。図2の場合、その距離はd=6-3=3である。位置y(l+1)>y(l)にある次に高い原子l+1を考え、これは、距離dl+1=y(l+1)-(n+1)に渡って位置n+1に移動する必要がある。図2の場合、その距離はd=7-4=3である。最密配列の場合、n=1であることに注意されたい。
【0043】
k=0から開始する。
【0044】
(al,k,al+1,k)には4つの可能な値がある。
【0045】
(al,k,al+1,k)=(0,0):動きがないため、衝突はない。
【0046】
(al,k,al+1,k)=(1,1):原子lとl+1の両方が下に移動するため、衝突は発生しない。
【0047】
(al,k,al+1,k)=(1,0):原子lだけが下に移動するため、原子l+1との衝突はなく、仮定によりy(l)-1は占有されていないため、原子lには移動する余地がある。
【0048】
(al,k,al+1,k)=(0,1):原子l+1の移動の2つの可能性を考えると:
a.y(l+1)≦y(l)+2の場合、k=0の場合、y(l+1)=y(l)+1を意味し(つまり、原子lとl+1は隣り合っており)、dl+1=y(l+1)-(l+1)=y(l)+1-l-1=y(l)-l=dとなるため、al+1,0=al,0となり、これは(0,1)命題の矛盾となる;または
b.y(l+1)>y(l)+2の場合、原子l+1が移動する余地が原子lの上にあるため、衝突は発生しない。
【0049】
ここで、原子lおよびl+1のk=0後の新しい距離dを考える。原子lとl+1の最下位ビット(k=0ビット)だけが、それぞれal,0=0とal+1,0=0に変更され、他のすべてのビットは変更されていないことに注意されたい。例えば、図2に示すように、dとdは、開始時の両方の011(表1を参照)から、k=0の後の両方の010(6-4=5-3=2=2)に変更された。
【0050】
次にk=1に進む。
【0051】
ここでも、(al,k,al+1,k)には4つの可能性があるが、衝突を引き起こす可能性があるのは(al,1,al+1,1)=(0,1)だけである。ここでも、原子l+1の移動の2つの可能性を考える。
a.y(l+1)≦y(l)+2の場合、原子lとl+1のいずれかが隣り合っており、これは、それらの位置がy(l+1)=y(l)+1であることを意味し、上記のようにdl+1=dになり、したがって、al+1,1=al,1であり、これは(0,1)命題の矛盾であるか、または、原子lとl+1とが2より小さい数の位置で区切られていることになり、この例では、1つの位置で区切られており、つまり、そのいくつかの位置に対して原子l+1だけシフトする必要があることを意味し、つまり、下位ビットj<kの場合、ここではj=0、al+1、j=1であることを意味し、これは、前述のk=0の後に最下位ビットが0に変化することと矛盾する。
b.y(l+1)>y(l)+2の場合、原子l+1が移動する余地が原子lの上にあるため、衝突は発生しない。
【0052】
ここで、原子lおよびl+1のk=1後の新しい距離dlを考える。原子lとl+1のk=1ビットのみがal,1=0に変更され、他のすべてのビットは変更されないことに注意されたい。例えば、図2に示すように、dおよびdは、k=0の後に両方とも010であったのから、k=1の後に両方とも000に変化した。このプロセスは、衝突なしでk=2、3、4..に対して繰り返すことができる。
【0053】
原子を、図5Aおよび5Bに示される4つの規則的間隔のn位置アレイ505、Z1、Z2、Z3、およびZNなどの3次元空間内の初期位置から、y軸(n=8)に沿って最密位置に移動することは3つのステップを含み、図5Cに示すk=0、図5Dに示すk=1、および図5Eに示されるk=2、図5Fに示される最密構成である。明確にするために、図5Bおよび5Fではそれぞれのn位置アレイ505における1つの原子510のみを標識し、明確にするために図5C~5Eでは1つの切り替え可能な光トラップ520のみを標識する。このプロセスは、図5A~5Fに示すように、複数の列を有する複数の平面に同時に適用することができる。原子は、スキャナの後続の操作でx軸に沿って、また、たとえば焦点調整可能レンズの後続の操作によって選択された異なるn位置アレイ505のy軸に沿って最密にすることができる。
【0054】
図6Aに示されるパターンのように、規則的間隔のn位置アレイ内のランダムに分散されたパターンから原子の任意の配置を生成するために、方法は、少なくとも1つのコントローラによって、センサによって生成されたセンサデータに基づいて、切り替え可能な光トラップのアレイ内に捕捉された複数の原子のそれぞれを動かすためのいくつかの位置を決定し、原子を規則的間隔のn位置アレイ内の所望の構成に分類すること、および、複数の原子のそれぞれについて決定されたいくつかの位置に基づいて、複数の原子がスキャナを使用して3次元空間内の最密位置から3次元空間内のターゲット位置に動かされる一連の操作を生成すること、明確にするために1つのターゲット位置610のみがラベル付けされている図6Bに示されるn位置アレイ内の任意のパターンを形成するために、原子lのターゲット位置t(l)を提供すること、図6Bに示されるように、上記で説明され、図3に示される方法を使用して、アレイを最密にすること、原子lの位置y(l)をイメージングすること、n位最密配列内の上から数えること、図6Cに示すように、任意のパターンを形成するためにそれぞれの原子lがn位置アレイ内で動かされる位置f=y(l)-t(l)の数を計算すること、fをmビットの2進数として表現し、ここで表3に示すように、また、図7Aおよび7Bに示すように、m=round(log(f))であること、それぞれの原子lをいくつかの位置fl,k=al,kだけ移動し、ここで、al,k∈{0,1}は、それぞれの原子lに対するfの2進数表現のビットkであり、k=round(log(f))であること、図7Aに示す例において、k=3から開始すること、および、図6Dおよび7Bに示される任意のパターンを形成するために、k=0になるまで、毎回k=k-1をデクリメントしながら、それぞれの原子lの移動を繰り返すことをさらに含むことができる。図6C、6D、7A、および7Bはまた、明確にするために1つのターゲット位置610、710のみを示し、図6B~6Dおよび7A~7Bにおける他のターゲット位置は破線のターゲットとして示される。このように、複数の原子のそれぞれのいくつかの位置は、2進数として表すことができ、少なくとも1つのコントローラは、複数の原子のそれぞれの原子について、最上位ビットから最下位ビットまでの2進数のそれぞれビットを、ビットが1であるかゼロであるかに基づいて、原子を動かす命令または動かさない命令として解釈する。図7Aに示すように、一連の操作のうちの少なくとも1つの操作中に、複数の原子のうちの少なくとも2つが、スキャナを使用して同時に動かされる。このプロセスは、上で説明した規則的間隔のn位置アレイの3次元配置で、複数の列を持つ複数の平面に同時に適用できる。
【表3】
【0055】
方法は、センサによって生成されたセンサデータに基づいて、一定間隔のn位置アレイ内で原子を所望の構成に分類するために、切り替え可能な光トラップのアレイ内に捕捉された複数の原子のそれぞれを動かすためのいくつかの位置を少なくとも1つのコントローラによって決定することによって、切り替え可能な光トラップのn位置アレイよりも高い分解能を有する切り替え可能な光トラップのh位置アレイを生成すること、および、複数の原子のそれぞれについて決定された位置の数に基づいて、スキャナを使用して、3次元空間内のn位置アレイよりも高い解像度を有する、切り替え可能な高解像度光トラップの規則的間隔のh位置アレイにおいて、複数の原子を3次元空間の初期位置からターゲット位置まで移動させる一連の操作を生成することをさらに含むことができる。方法は、原子lを最密配列にパッキングすることから始まり、次に、上記のパッキングおよびアンパッキングのステップを使用して、図8Aに示す低解像度の任意のパターンにそれらをアンパッキングする。次いで、方法は、図8Aに示されるように、高解像度の任意のパターンを形成するために、原子lのターゲット位置t2(l)を提供し、ここで、1つの高解像度ターゲット位置810のみが明確にするためにラベル付けされ、n位置アレイに基づいて(ΔD by ΔD)サブエリア815を定義し、それぞれのサブエリア815は、水平線820および垂直線830によって画定され、明確にするために、図8Bではそれぞれの1つだけがラベル付けされており、それぞれのサブエリア815は、最大で1つの原子lのみを含み、図8Cに示されるように、高解像度の任意のパターンに一致する、より細かいグリッド間隔Δd(d<D)を有する高解像度のh位置アレイを生成する。そして方法は、図8Dに示す例の高解像度任意パターンを形成するために、それぞれの原子lがh位置アレイのそれぞれのサブエリア815内でx方向とy方向に沿って移動するいくつかの位置g(l)を計算すること、g(l)をu=round(log(h-1))であるuビットの2進数として表し、それぞれの原子lをいくつかの位置gl,k=al,kだけ動かし、ここで、al,k∈{0,1}は、それぞれの原子lに対するg(l)の2進数表現のビットkであること、および、k=0から毎回k=k+1ずつインクリメントしながら、それぞれの原子lの移動をk回繰り返すことを含む。x方向およびy方向に沿った4つのサブエリアに高解像度の任意パターンを形成する例を図8Eに示す。このように、複数の原子のそれぞれの位置の数は、2進数として表すことができ、少なくとも1つのコントローラは、複数の原子のそれぞれの原子について、最下位ビットから最上位ビットまでの2進数のそれぞれのビットを、ビットが1であるかゼロであるかに基づいて、原子を動かす命令または動かさない命令として解釈するように構成することができる。図8Eに示すように、一連の操作の少なくとも1つの操作中に、複数の原子のうちの少なくとも2つが、スキャナを使用して同時に動かされる。このプロセスは、上記の規則的間隔のn位置アレイの3次元配置と同様に、規則的間隔のh位置アレイの3次元配置で複数の列を持つ複数の平面に同時に適用できる。このプロセスは、上記の規則的間隔のn位置アレイの3次元配置と同様に、規則的間隔のh位置アレイの3次元配置で複数の列を持つ複数の平面に同時に適用できる。
【0056】
3次元空間内に原子を配置するためのシステム900において1以上の実施形態に従って上述の方法を実施するために、図9A、9B、および9Cに示されるシステム900は、原子蒸気セル945内の3次元空間940内に複数の切り替え可能な光トラップ925を生成するように操作可能な光学システム920を含む。光学システム920は、複数の切り替え可能な光トラップ925を生成することができる、強度または位相SLMなどの様々なタイプの空間光変調器(SLM)920を備えることができる。適切なSLM920は、典型的には高いオンオフコントラストを有する数百万のピクセルを有するデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を含み、それによって多数のビーム925を生成する。いくつかの実施形態において、適切なSLM920は、強誘電性液晶(FLC)SLM、液晶オンシリコン(LCOS)SLM、多重量子ウェルアレイ、変形可能なマイクロミラーアレイ、表面弾性波(SAW)トランスデューサのアレイ、音響光学偏向器(AOD)のアレイ、光磁気SLM、または調整可能なマイクロキャビティアレイであることができる。適切なSLMは、Digital Light Innovations (e.g., Model V-7001, Austin TX), Ajile Light Industries (e.g., Model AJD-4500, Ottawa, Ontario, CA), Hamamatsu (e.g., Model X13138, Bridgewater NJ), Santec (e.g., Model SLM-100, Hackensack NJ), Holoeye Photonics (e.g., Model GAEA-2, Berlin Germany), or Meadowlark Optics (e.g., 1920x1152 SLM, Frederick, CO)から入手することができる。
【0057】
いくつかの実施形態において、光学システム920は、以下でさらに説明するように、入力レーザービームを受け取るように構成される。他の実施形態において、2020年2月21日に出願された「LARGE-SCALE UNIFORM OPTICAL FOCUS ARRAY GENERATION WITH A PHASE SPATIAL LIGHT MODULATOR」というタイトルのPCT出願番号PCT/US2020/019309に記載されているように、例えば、マイクロレンズアレイ、回折光学システム、または追加の位相SLM(図示せず)を通してレーザービームを誘導することによって、静的光焦点アレイが生成され、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。静的光焦点アレイは、個々の光焦点をオンおよびオフに切り替えて切り替え可能な光トラップ925を生成するSLM920上に結像され、それによって限られたレーザー出力のより効率的な使用を可能にする。
【0058】
システム900は、複数の切り替え可能な光トラップ925内の原子を検出するように構成されたセンサ930をさらに含む。適切なセンサ930は、複数の切り替え可能な光トラップ925内の原子を検出することができる単一ピクセルおよびイメージング検出器を含む、いくつかの光検出器930を含む。集束されたレーザービームが3次元空間940を横切って走査されるレーザー走査イメージング技術は、単一画素光検出器930と共に使用することができる。代替的に、光検出器アレイ930(例えば、アバランシェフォトダイオードアレイ)を使用して、複数の切り替え可能な光トラップ925内の原子を検出することができる。いくつかの実施形態では、光学カメラ930(例えば、EM-CCDまたはCMOS光学カメラ)を使用して、複数の切り替え可能な光トラップ925内の原子を検出することができる。
【0059】
適切なシステム900は、複数の切り替え可能な光トラップ925内で複数の原子を同時に動かすように操作可能なスキャナ990をさらに含む。特定の実施形態では、スキャナ990は、音響光学偏向器(AOD)、電気光学偏向器(EOD)、焦点調整可能レンズ、またはミラー検流計であることができる。適切なスキャナは、Cambridge Technology((Lightning II Digital、Bedford MA など)、または(Conoptics (Model 311A、Danbury CT など) から入手できる。
【0060】
システム900はさらに、以下でさらに説明するように、光学システム920およびスキャナ990を操作して、複数の切り替え可能な光トラップ925内の原子を原子の所望の構成に分類するように構成された、少なくとも1つのコントローラ905を含む。光学システム920およびスキャナ990の操作は、複数の切り替え可能な光トラップ925内の原子を検出するセンサ930によって生成されるセンサデータに少なくとも部分的に基づく。
【0061】
1以上の実施形態によれば、図9Bおよび9Cに示されるように、光学システム920は、レーザービーム910が、本明細書ではポッケルスセルとも呼ばれる電気光学(EO)偏光回転子915を通過した後に、第1の空間光変調器(SLM)920からのs偏光レーザービーム910を反射することによって生成された、多数のビームの強度を制御することによって、複数の切り替え可能な光トラップ925を生成する。光学システム920は、複数の切り替え可能な光トラップ925を生成することができる、強度または位相SLMなどの様々なタイプの空間光変調器(SLM)920を含むことができる。適切なSLM920は、典型的には高いオンオフコントラストを有する数百万のピクセルを有するデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を含み、それによって多数のビーム925を生成する。いくつかの実施形態では、適切なSLM920は、強誘電性液晶(FLC)SLM、液晶オンシリコン(LCOS)SLM、多重量子ウェルアレイ、変形可能なマイクロミラーアレイ、表面弾性波(SAW)トランスデューサのアレイ、音響光学偏向器(AOD)のアレイ、磁気光学SLM、または調整可能なマイクロキャビティアレイであることができる。適切なSLMは、上記のメーカーから入手できる。ビームのアレイは、上流のEO変調器915によって制御される比率で、偏光ビームスプリッタ(PBS)950によって分割される。s偏光アーム925は、スキャナ990によって偏向され、ビームスプリッタ970から反射された後、原子蒸気セル945内の3次元空間940上に結像される。任意選択で、ビームのp偏光アーム985は、第2のSLM980から反射され、ミラー960によって反射され、原子蒸気セル945内の3次元空間940上に結像される。以下でさらに説明するように、第2のSLM980の後に少なくとも1つのビームスプリッタステージが続き、第2のSLM980によって作成された静的光トラップのn位置アレイのコピーを作成することができる。いくつかの実施形態では、第2のSLM980は強度SLMであることができる。他の実施形態では、第2のSLM980は位相SLMであることができる。特定の実施形態では、第2のSLM980は、回折光学素子(DOE)、強誘電性液晶(FLC)SLM、液晶オンシリコン(LCOS)SLM、多重量子ウェルアレイ、変形可能なマイクロミラーアレイ、表面弾性波(SAW)トランスデューサのアレイ、音響光学偏向器(AOD)のアレイ、磁気光学SLM、または調整可能なマイクロキャビティアレイであることができる。適切なSLMは、上記のメーカーから入手できる。特定の実施形態では、スキャナ990は、音響光学偏向器(AOD)、電気光学偏向器(EOD)、焦点調整可能レンズ、またはミラー検流計であることができる。適切なスキャナは、上記のメーカーから入手できる。ビーム925および985は、原子蒸気セル945内の低温原子のクラウドに向けられ、それらに原子をランダムにロードする。例えば光学カメラ930などのセンサ930は、3次元空間940を画像化して、第1のSLM920によって作成された切り替え可能な光トラップ925のn位置アレイ内の単一原子を含むトラップを見つけ、スキャナ990は、以下でさらに説明するように、いくつかの位置だけ原子を移動させる。任意選択で、第2のSLM980は、n位置アレイの静的双極子トラップ985内に原子をトラップする。以下でさらに説明するように、静的双極子トラップ985は、第1のSLM920によって生成される切り替え可能な光トラップのアレイよりも浅いトラップ電位を有する。分かりやすくするために、図9Bおよび9Cでは、切り替え可能な925トラップビームおよび静的985トラップビームのそれぞれ1つのみがラベル付けされている。第1の920SLMと第2の980SLMにそれぞれs偏光とp偏光を使用すると、切り替え可能925および静的985トラップビームアレイの間の光学的干渉を回避できる。
【0062】
図2に戻って、図9Bに示される要素を使用したk=2での移動が示され、3次元空間内に原子を配置するためのシステム900は、複数の切り替え可能な光トラップ210を生成する第1の空間光変調器(SLM)920を含む光学システムを含み、例えば、図2に示される9個の切換可能な光トラップ210(n=9)など、図2に示される1次元アレイの例が示され、明確にするために、図2ではy(1)=9の切り替え可能な光トラップ210のみがラベル付けされている。カメラ930は、n位置アレイ内の原子lの位置y(l)を画像化する。次に、コントローラ905は、第1のSLM920を操作して、y(1)=9の切り替え可能な光トラップ220を除くすべての切り替え可能な光トラップを非アクティブ化する。次に、図11に示すように、原子1130は、y(l)=9からy(l)=5への移動の開始時および終了時に、切り替え可能な光トラップ1120間を断熱的に移動する。本明細書で使用される断熱移動は、トラップ周波数と比較して遅いレートで双極子トラップポテンシャルの形状をゆっくりと変更することによる、y(l)=9とy(l)=5との間の切り替え可能な光トラップ1120の移動中に、原子がその運動基底状態のままであることを意味する。スキャナ990が切り替え可能な光トラップ1120をy(l)=9からy(l)=5に変換するとき、原子1130は切り替え可能な光トラップ1120内にトラップされたままである。スキャナ990の操作が約10μsecから約100μsecの範囲の時間で達成される限り、原子l=1、2、3、および4は、原子l=4の移動中、位置y(l)=1、2、3、および4で静止したままであり、その後、コントローラはy(l)=1、2、3、および4で切り替え可能な光トラップを再度アクティブにして、原子l=1、2、3、および4、ならびにl=5を再びトラップする。任意選択で、上述のように、第2のSLM980は、n位置アレイの静的双極子トラップ985内に原子をトラップする。次に、y(l)=9で、ポッケルスセル(Pockels cell)915は、入射光の偏光を回転させて、より多くの光を切り替え可能な光トラップ1120に向け、これにより、切り替え可能な光トラップ1120の深さは、静的双極子トラップ1110の深さよりも深くなる。図11に示すように、静的双極子トラップ1110は、切り替え可能な光トラップ1120より浅いトラップ電位を有する。原子1131がより深いトラップにあるとき、より低いエネルギーEを有すると仮定すると、これは、原子1131を静的双極子トラップ1110から切り替え可能な光トラップ1120に断熱的に転送することになり、そこで原子は原子1130として示される。y(l)=5で、切り替え可能な光トラップ1120内の原子1130は、同様に、ポッケルスセル915を使用して、より多くの光を静的双極子トラップ1110に向けることで、静的双極子トラップ1110に断熱的に戻される。図2に戻って、スキャナ990は、原子lをn位置アレイ内の位置dl=y(l)-lの数だけ動かし、ここで、dはコントローラ905によってmビットの2進数として表され、m=round(log(n-1))であり、スキャナ990は、原子lをいくつかの位置dl,k=al,kだけ段階的に動かすように構成され、ここで、al,k∈{0,1}は、それぞれの原子lに対するdの2進数表現のビットkであり、k=0,1,..,mである。第1のSLM920が、同時に動かされる多くの原子を捕捉できるDMDである場合、スキャナ990(例えば、検流計)は、捕捉されたすべての原子lを同時に動かす。切り替え可能な光トラップ210を形成する2N個のピンセット1Dビーム内のN個の原子の場合、カメラフレームの数はn=round[log(N-1)]であり、スキャナ990の必要な解像度もnビットである。図3および4に示すように、アレイが2次元(2D)アレイの場合、スキャナ990は、交差した(つまり、互いに対して90°の向き)音響光学偏向器(AOD)の組、交差した電気光学偏向器(EOD)、ミラーガルバノメーター、フォーカス調整可能レンズの組、または、すべての原子lをx方向またはy方向に動かせるクロスミラー検流計の組であることができる。アレイが3次元アレイである場合、図5A~5Fに示されるように、スキャナ990は、ミラー検流計および焦点調整可能レンズの組、音響光学偏向器(AOD)および焦点調整可能レンズの組、または電気光学偏向器(EOD)とフォーカスチューナブルレンズの組であることができる。適切なミラー検流計は、Cambridge Technology(Lightning II Digital、Bedford MA など)から入手できる。適切な焦点調整可能レンズは、Optotune(Dietikon、スイス)または Applied Scientific Instrumentation(Eugene、OR)から入手できる。
【0063】
特定の実施形態において、図9Cに示すように、システム900は、図12A~12Dに示されるように、n位置アレイ内の静的双極子トラップ985のターゲットパターンと重複し、より深いトラップ深さを有する静的双極子トラップのターゲットパターンを形成する、静的双極子トラップ958内に原子をトラップする第3のSLM955をさらに含む。適切なSLMは、上記のメーカーから入手できる。図9Cに示すように、この実施形態では、ミラー960が、第2のSLM980からのn位置アレイ内の静的双極子トラップ985のターゲットパターンを、第3のSLM955からの静的双極子トラップ958の追加のターゲットパターンと組み合わせるビームスプリッタ965に置き換えられる。第2のレーザービーム951は、第3のSLM955を照射する。静的双極子トラップ985と958との間の干渉を回避するために、レーザービーム951の周波数は、レーザービーム910の周波数と異なっていてもよいし、周波数は、位相変調器952によってシフトされてもよい。適切な位相変調器は、AdvR(たとえば、KTP 位相変調器、Bozeman MT)、またはJenoptik(たとえば、PMXXX シリーズ(PM635、PM705、PM830、PM1064、PM1550)、Jena Germany)から入手できる。図12Aに示されるように、新しい静的双極子トラップ1210は、図12B~12D(n=26×8)に示されるn位置アレイ内の静的双極子トラップ1220よりも深いトラップ深さを有し、原子1230は、より深いトラップ1210に断熱輸送される。新しいターゲットパターンアレイ1210を作成するこのアプローチは、図12Aに示される静的双極子トラップ1210と1220との間の少なくとも部分的な重複を必要とするが、図8A~8Dに示し、上述したプロセスによって静的双極子トラップの新しい高解像度アレイを作成するよりも高速である。
【0064】
図9Dに示されるように、システム900は、第2のSLM980の後に、少なくとも1つの50:50ビームスプリッタ928、図9Dに示される7つのビームスプリッタ928を含むことができる。ミラー945と組み合わせて、一連のビームスプリッタ928は、図13に示されるn位置静的双極子トラップアレイのコピー、図9Dに示されるビームの4つのコピー、ターゲットトラップアレイ1310の4つのコピー(アンサンブル1-4)を生成することができる。アンサンブルはできるだけ同一にする必要がある。この原子の配置により、たとえば、最大独立集合(MIS)の組み合わせ最適化問題の単位円盤グラフ実装をエンコードし、以下でさらに説明するように、逐次的または同時に解を見つけるための実験を実行できる。
【0065】
図9Eに示される制御システムおよびデータフローのブロック図に示されるように、第1のSLM920およびスキャナ990は、コントローラ905によって同期される。コントローラ905は、カメラ930から原子940の蛍光画像を読み取り、第1のSLM920制御ボードに転送される第1のSLM920の2進数画像のセットを生成する。コントローラ905はまた、スキャナ990制御ボードに転送される走査角度ステップを生成する。コントローラ905はまた、ポッケルスセル915を他のデバイスと同期して制御し、それぞれ図9Bに示す切り替え可能925および静的985双極子トラップアレイ間でレーザー光910の強度を分配する。このようにして、コントローラ905は、センサ930によって生成されたセンサデータを受信し、光学システム920およびスキャナ990を操作して、センサ930からさらなるセンサデータを受信することなく、複数の操作を実行するように構成することができ、複数の操作のそれぞれにおいて、複数の原子が3次元空間内で動かされる。
【0066】
上記の技術は、低温原子の非常に大きなアレイ生成を可能にし:デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)などのSLMは、約100万(1M)原子に対して1000x1000トラップのオーダーで生成できる。この膨大な数のキュービットを使用して、非常に大規模な量子プログラムを実行できるが、これには長い回路深度が必要になるため、ゲートの忠実度の高さが必要となり、おそらくエラー修正が必要になる。ただし、短期的には、この大規模なアレイは、多数の実験を同時に実行するのにすでに非常に役立つ。特に、2019年8月30日に出願された「QUANTUM OPTIMIZATION FOR MAXIMUM INDEPENDENT SET USING RYDBERG ATOM ARRAYS」という名称のPCT出願番号PCT/US2019/49115で説明されているように、最大独立集合(MIS)の組み合わせ最適化問題の単位円盤グラフ実装(unit-disk-graph implementation)をエンコードするための原子の配置を検討し、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0067】
レーザー出力が制限されている場合、以下のように多数の実験を短時間で連続して実行できる。
a.約1Mのトラップサイトにランダムに読み込まれる約0.5Mの原子から始めて、これらの原子を各アレイの100個の原子の約1,000ブロックに読み込む。残りの原子を破棄する。
b.ブロック#1に量子回路(例えば、量子近似最適化アルゴリズム(QAOA)回路)のレーザーパルスシーケンスを適用する。これには約1~10μs掛かる。この実験の結果を、この実験に残っている原子の基底状態にエンコードするために、リュードベリ状態の原子のアンチトラップを使用する。このゲートシーケンスは、単位ディスクグラフMISグラフ問題に対して、音響光学偏向器または電気光学偏向器などの高速ビーム偏向器を使用して、図12に示されるアンサンブル#1に向けられる、単一のレーザービームのみを使用して実現できる。
c.デフレクターを使用してリュードベリゲートのビームを他のブロックに向け、残りの999個のアンサンブルに対して手順(b)を繰り返す。4つのアンサンブルから得られた結果を図13に示す。
d.蛍光読み出しを使用して、すべての実験からのすべてのキュービットにわたってすべてのキュービットの状態を同時に測定する。
e.この時点で、同一のQAOA条件を使用した1000の実験が1~10ミリ秒程度の時間で完了する。これは、この提案された並列化されたプロセスがない場合よりも約1000倍高速である。(d)の測定値に基づいて、QAOAシーケンスを更新し、ステップ(a)からのプロセスを繰り返す。実験は連続して実行されたため、近くのブロック間のリュードベリ原子がクロストークを経験したことがないことに注意されたい。
【0068】
レーザー出力に制限がなければ、すべての実験を同時に行うことができる。隣接するアンサンブル(ensembles)のリュードベリ状態間にクロストーク(cross-talk)がある場合、実験は、たとえばそれぞれ10~100個のアンサンブルのスーパーブロックで実行できる。
【0069】
他の実施形態において、アンサンブル間のQAOAシーケンスを更新するために、実験の途中で蛍光読み出しを散在させることができる。測定は、カメラから関心のある領域のみを測定するか、アバランシェ(avalanche)フォトダイオードのアレイなどのより高速な検出器によって実行できる。
【0070】
測定を行わなくても、――例えば、QAOA MISパフォーマンスの勾配を測定する場合など、途中でQAOAシーケンスを変更することができる。
【0071】
いくつかの実施形態において、ユニットディスクグラフでの単純なQAOA MIS実験ではなく、individual-qubit gate sequencesなど、他の多くのタイプのアルゴリズムを実装することができる。
【0072】
リュードベリゲートの電力が制限されていない場合、リュードベリゲートパルスを多くのブロックに空間的にコピーして、同時に実装することができる。実用的な目的では、約1M量子ビット配列の準備ステップと約1M量子ビット読み出しステップの間に、同時に実行される実験と時間的に分離された実験の間には、おそらく満足のいく媒体があるであろう。
【0073】
1以上の実施形態によれば、図10Aおよび10Bに示されるように、3次元空間内に原子を配置するためのシステム1000は、3次元空間内に光トラップの規則的間隔のn位置アレイを形成する光格子を生成するように動作可能な第1の光学システムであって、ミラー1065から形成される前記第1の光学系と、位相変調器1070と、および、原子蒸気セル1045内に原子1040をトラップする双極子トラップ1047のn位置アレイを生成する光格子1047を生成する、再帰反射器1075と、規則的間隔のn位置アレイ内に切り替え可能な光トラップのアレイを生成するように動作可能な第2の光学システムであって、レーザービーム1010を複数のレーザービーム1025に分割する第1の空間光変調器(SLM)1020を含み、n位置アレイ1047内の切り替え可能な光トラップ内に原子1041をトラップする第2のSLM1080上に結像される、前記第2の光学システムと、n位置アレイ1047内の原子lの位置y(l)を画像化する光学カメラ1030など、光トラップの一定間隔のn位置アレイ内に補足された原子を検出するように構成されたセンサ1030と、原子l1040が、n位置アレイ1047内で位置d=y(l)-lの数だけ移動するように、レーザー光の周波数をシフトし、光格子1047の位相Δを調整するように構成された位相変調器1070と、ここで、dはmビットの2進数として表され、m=round(log(n-1))であり、位相変調器1070は、原子l1040をいくつかの位置dl,k=al,kだけ段階的に移動させるように構成され、ここで、al,k∈{0,1}は、それぞれの原子lに対するdの2進数表現のビットkであり、k=0,1,..,mである、前記位相変調器1070とを含んでいる。図10Bに示されるように、原子1041は、ビーム1025内に捕捉され、位相変調器1070が光格子1047の波長の最小値である半分だけ光格子1047の位相φを調整するので、原子1040が動いても、動かない。コントローラ1005はまた、ポッケルスセル1015を他のデバイスと同期して制御し、レーザー光1010を光格子1047と切り替え可能な1025双極子トラップアレイとの間で分配する。このように、コントローラ1005は、光学システムおよび位相変調器を操作して、規則的間隔のn位置アレイ内の原子を原子の所望の構成に分類するように構成され、光学システムおよび位相変調器の動作は、光トラップの規則的間隔のn位置アレイ内に捕捉された原子を検出するセンサによって生成されたセンサデータに少なくとも部分的に基づく。いくつかの実施形態では、第1のSLM1020および第2のSLM1080はそれぞれ、強度SLMであり得る。他の実施形態では、第1のSLM1020および第2のSLM1080はそれぞれ位相SLMであることができる。特定の実施形態では、第1のSLM1020および第2のSLM1080はそれぞれ、デジタルミラーデバイス(DMD)、強誘電性液晶(FLC)SLM、液晶オンシリコン(LCOS)SLM、多重量子ウェルアレイ、変形可能なマイクロミラーアレイ、表面弾性波(SAW)トランスデューサのアレイ、音響光学偏向器(AOD)のアレイ、磁気光学SLM、または調整可能なマイクロキャビティアレイであることができる。適切なSLMは、上記のメーカーから入手できる。いくつかの実施形態では、位相変調器1070は、3次元光格子1047の位相Δを調整する3つの電気光学変調器(EOM)であり得る。適切な位相変調器は、上記のメーカーから入手できる。特定の実施形態では、アレイは2次元(2D)アレイであることができる。いくつかの実施形態では、光格子1047は、2次元(2D)光格子1047であることができる。これらの実施形態のいくつかでは、位相変調器1070は、2次元光格子1047の位相Δを調整する1対の電気光学変調器(EOM)であり得る。
【0074】
さらなる例示的な実施形態
例1は、3次元空間内に原子を配置するためのシステムであって、該システムは、3次元空間内に複数の切り替え可能な光トラップを生成するように操作可能な光学システム、複数の切り替え可能な光トラップ内の原子を検出するように構成されたセンサ、複数の切り替え可能な光トラップ内で多数の原子を同時に動かすように操作可能なスキャナ、および、複数の切り替え可能な光トラップ内の原子を原子の所望の構成に分類するために、光学システムおよびスキャナを操作するように構成された少なくとも1つのコントローラであって、光学システムおよびスキャナの操作は、複数の切り替え可能な光トラップ内の原子を検出するセンサによって生成されるセンサデータに少なくとも部分的に基づく、前記コントローラを含む。
【0075】
例2は、例1の主題を含み、光学システムが、操作時に、複数の切り替え可能な光トラップのうちの1以上の切り替え可能な光トラップを非アクティブ化する少なくとも1つの空間光変調器(SLM)を含む。
【0076】
例3は、例2の主題を含み、少なくとも1つのコントローラが、少なくとも1つのSLMを操作して、1以上の切り替え可能な光トラップをアクティブ化または非アクティブ化するようにさらに構成されることができる。
【0077】
例4は、例1~3のいずれかの主題を含み、光学システムが、光学システムによって生成される切り替え可能な光トラップのアレイよりも浅いトラップポテンシャルを有する、3次元空間内に複数の静的光トラップを生成するように操作可能な第2の空間光変調器(SLM)をさらに含むことができる。
【0078】
例5は、例4の主題を含み、静的光トラップのアレイが、3次元空間内の2次元平面において規則的間隔のアレイを形成することができる。
【0079】
例6は、例1~5のいずれかの主題を含み、センサが、光学カメラを含むことができる。
【0080】
例7は、例5~6のいずれかの主題を含み、原子の所望の構成が、最密構成であることができる。
【0081】
例8は、例1~7のいずれかの主題を含み、スキャナが、ミラー検流計および焦点調整可能レンズを含むことができる。
【0082】
例9は、例1~8のいずれかの主題を含み、少なくとも1つのコントローラが、センサによって生成されたセンサデータを受信し、および、センサからセンサデータをさらに受信することなく、複数の操作を実行するために光学システムとスキャナを操作し、複数の操作のそれぞれにおいて、複数の原子が3次元空間内で動かされるように構成することができる。
【0083】
例10は、例1~9のいずれかの主題を含み、複数の切り替え可能な光トラップが、規則的間隔のn位置アレイに配置されることができる。
【0084】
例11は、例10の主題を含み、少なくとも1つのコントローラが、センサによって生成されたセンサデータに基づいて、切り替え可能な光トラップのアレイ内に捕捉された複数の原子のそれぞれを動かして、原子を規則的間隔のn位置アレイ内の所望の構成に分類するいくつかの位置を決定し、および、複数の原子のそれぞれについて決定されたいくつかの位置に基づいて、スキャナを使用して、複数の原子を3次元空間の初期位置から3次元空間の最密位置まで動かす、一連の操作を生成するように構成されることができる。
【0085】
例12は、例10~11のいずれかの主題を含み、一連の操作のうちの少なくとも1つの操作中に、複数の原子のうちの少なくとも2つがスキャナを使用して同時に動かされることができる。
【0086】
例13は、例10~12のいずれかの主題を含み、複数の原子のそれぞれのいくつかの位置が、2進数で表され、少なくとも1つのコントローラが、最下位ビットから最上位ビットまでの2進数のそれぞれのビットを、ビットが1であるかゼロであるかに基づいて原子を動かす命令または動かさない命令として解釈することにより、複数の原子のそれぞれの原子に対して、一連の操作を生成するように構成されることができる。
【0087】
例14は、例10~13のいずれかの主題を含み、少なくとも1つのコントローラが、スキャナを使用して複数の原子のそれぞれの原子lを動かすためのいくつかの位置d(l)を決定し、原子を所望の構成に分類する、複数の原子のそれぞれについて決定されたいくつかの位置d(l)をmビットの2進数として表す、ここでm=round(log(n-1))、スキャナを操作して、それぞれの原子lをいくつかの位置dl,k=al,kだけ動かす、ここで、al,k∈{0,1}は、それぞれの原子lの2進数のビットk、および、それぞれの原子lの移動をm回繰り返し、k=0からk=k+1ずつ毎回インクリメントするように構成されることができる。
【0088】
例15は、例10の主題を含み、少なくとも1つのコントローラが、センサによって生成されたセンサデータに基づいて、切り替え可能な光トラップのアレイ内に捕捉された複数の原子のそれぞれを動かすためのいくつかの位置を決定し、原子を規則的間隔のn位置アレイ内の所望の構成に分類する、および、複数の原子のそれぞれについて決定されたいくつかの位置に基づいて、複数の原子がスキャナを使用して3次元空間内の最密位置から3次元空間内のt位置に動かされる一連の操作を生成するように構成されることができる。
【0089】
例16は、例15の主題を含み、一連の操作の少なくとも1つの操作中に、複数の原子のうちの少なくとも2つが、スキャナを使用して同時に動かされることができる。
【0090】
例17は、例15~16のいずれかの主題を含み、複数の原子のそれぞれのいくつかの位置が、2進数で表されることができ、少なくとも1つのコントローラが、最上位ビットから最下位ビットまでの2進数のそれぞれのビットを、ビットが1であるかゼロであるかに基づいて原子を動かす命令または動かさない命令として解釈することにより、複数の原子のそれぞれの原子に対して、一連の操作を生成するように構成されることができる。
【0091】
例18は、例17の主題を含み、少なくとも1つのコントローラが、スキャナを使用して複数の原子のそれぞれの原子lを動かすためのいくつかの位置f(l)を決定し、原子を規則的間隔のn位置アレイ内の所望の構成に分類する、複数の原子のそれぞれについて決定されたいくつかの位置f(l)をmビットの2進数として表す、ここでm=round(log(n-1))、スキャナを操作して、それぞれの原子lをいくつかの位置fl,k=al,kだけ動かす、ここで、al,k∈{0,1}は、それぞれの原子lの2進数のビットk、およびそれぞれの原子lの移動を繰り返し、k=0まで毎回デクリメントするように構成される
【0092】
例19は、例10の主題を含み、少なくとも1つのコントローラが、センサによって生成されたセンサデータに基づいて、切り替え可能な光トラップのアレイ内に捕捉された複数の原子のそれぞれを動かすためのいくつかの位置を決定し、原子を規則的間隔のn位置アレイ内の所望の構成に分類する、および、複数の原子のそれぞれについて決定されたいくつかの位置に基づいて、複数の原子がスキャナを使用して3次元空間内の初期位置から3次元空間内のn位置アレイよりも高い分解能を有する、切り替え可能な高解像度光トラップの規則的間隔のh位置アレイ内のターゲット位置に動かされる一連の操作を生成するように構成されることができる。
【0093】
例20は、例19の主題を含み、一連の操作の少なくとも1つの操作中に、複数の原子のうちの少なくとも2つが、スキャナを使用して同時に動かされることができる。
【0094】
例21は、例19~20のいずれかの主題を含み、複数の原子のそれぞれのいくつかの位置が、2進数で表されることができ、少なくとも1つのコントローラが、最下位ビットから最上位ビットまでの2進数のそれぞれのビットを、ビットが1であるかゼロであるかに基づいて原子を動かす命令または動かさない命令として解釈することにより、複数の原子のそれぞれの原子に対して、一連の操作を生成するように構成されることができる。
【0095】
例22は、例19~21のいずれかの主題を含み、少なくとも1つのコントローラが、スキャナを使用して複数の原子のそれぞれの原子lを動かすためのいくつかの位置g(l)を決定し、原子を規則的間隔のh位置アレイ内の所望の構成に分類する、複数の原子のそれぞれについて決定されたいくつかの位置g(l)をuビットの2進数として表す、ここでu=round(log(h-1))、スキャナを操作して、それぞれの原子lをいくつかの位置gl,k=al,kだけ動かす、ここで、al,k∈{0,1}は、それぞれの原子lの2進数のビットk、および、それぞれの原子lの移動をu回繰り返し、k=0からk=k+1ずつ毎回インクリメントするように構成されることができる。
【0096】
例23は、3次元空間内に原子を配置するための方法であって、光学システムを操作して、3次元空間内に複数の切り替え可能な光トラップを生成すること、センサを使用し、複数の切り替え可能な光トラップ内に補足された原子を検出すること、スキャナを操作して、複数の切り替え可能な光トラップ内で多数の原子を同時に動かすこと、および、少なくとも1つのコントローラを使用して、複数の切り替え可能な光トラップ内の原子を原子の所望の構成に分類するために、光学システムおよびスキャナを操作し、光学システムおよびスキャナの操作は、複数の切り替え可能な光トラップ内の原子を検出するセンサによって生成されるセンサデータに少なくとも部分的に基づくことを含むことができる。
【0097】
例24は、例23の主題を含み、複数の切り替え可能な光トラップのうちの1以上の切り替え可能な光トラップを非アクティブ化する少なくとも1つの空間光変調器(SLM)を操作することをさらに含むことができる。
【0098】
例25は、例23~24のいずれかの主題を含み、第2の空間光変調器(SLM)を操作して、光学システムによって生成される複数の切り替え可能な光トラップよりも浅いトラップポテンシャルを有する、3次元空間内の静的光トラップの規則的間隔のn位置アレイを生成することをさらに含むことができる。
【0099】
例26は、例25の主題を含み、静的光トラップのアレイが、3次元空間内の2次元平面において規則的間隔のアレイを形成することができる。
【0100】
例27は、例23~26のいずれかの主題を含み、センサが、光学カメラを含むことができる。
【0101】
例28は、例23~27のいずれかの主題を含み、所望の構成が最密構成であることができる。
【0102】
例29は、例23~28のいずれかの主題を含み、スキャナが、ミラー検流計および焦点調節可能レンズを含むことができる。
【0103】
例30は、例23~29のいずれかの主題を含み、少なくとも1つのコントローラによって、センサによって生成されたセンサデータを受信すること、および、少なくとも1つのコントローラによって、センサからセンサデータをさらに受信することなく、複数の操作を実行するために光学システムとスキャナを操作し、複数の操作のそれぞれにおいて、複数の原子が3次元空間内で動かされることさらに含むことができる。
【0104】
例31は、例23~30のいずれかの主題を含み、複数の切り替え可能な光トラップが、規則的間隔のn位置アレイに配置されることができる。
【0105】
例32は、例31の主題を含み、少なくとも1つのコントローラによって、センサによって生成されたセンサデータに基づいて、切り替え可能な光トラップのアレイ内に捕捉された複数の原子のそれぞれを動かすためのいくつかの位置を決定し、原子を規則的間隔のn位置アレイ内の所望の構成に分類すること、および、少なくとも1つのコントローラによって、複数の原子のそれぞれについて決定されたいくつかの位置に基づいて、複数の原子がスキャナを使用して3次元空間内の初期位置から3次元空間内の最密位置に動かされる一連の操作を生成することをさらに含む。
【0106】
例33は、例32の主題を含み、一連の操作のうちの少なくとも1つの操作中に、複数の原子のうちの少なくとも2つが、スキャナを使用して同時に動かされる。
【0107】
例34は、例33の主題を含み、複数の原子のそれぞれのいくつかの位置が、2進数で表されることができ、方法が、少なくとも1つのコントローラによって、最下位ビットから最上位ビットまでの2進数のそれぞれのビットを、ビットが1であるかゼロであるかに基づいて原子を動かす命令または動かさない命令として解釈することにより、複数の原子のそれぞれの原子に対して、一連の操作を生成することをさらに含むことができる。
【0108】
例35は、例32~34のいずれかの主題を含み、少なくとも1つのコントローラによって、スキャナを使用して複数の原子のそれぞれの原子lを動かすためのいくつかの位置d(l)を決定し、原子を所望の構成に分類する、複数の原子のそれぞれについて決定されたいくつかの位置d(l)をmビットの2進数として表す、ここでm=round(log(n-1))、スキャナを操作して、それぞれの原子lをいくつかの位置dl,k=al,kだけ動かす、ここで、al,k∈{0,1}は、それぞれの原子lの2進数のビットk、および、それぞれの原子lの移動をm回繰り返し、k=0からk=k+1ずつ毎回インクリメントすることをさらに含むことができる。
【0109】
例36は、例31の主題を含み、少なくとも1つのコントローラによって、センサによって生成されたセンサデータに基づいて、切り替え可能な光トラップのアレイ内に捕捉された複数の原子のそれぞれを動かすためのいくつかの位置を決定し、原子を規則的間隔のn位置アレイ内の所望の構成に分類する、および、複数の原子のそれぞれについて決定されたいくつかの位置に基づいて、複数の原子がスキャナを使用して3次元空間内の最密位置から3次元空間内のターゲット位置に動かされる一連の操作を生成することをさらに含むことができる。
【0110】
例37は、例36の主題を含み、一連の操作の少なくとも1つの操作中に、複数の原子のうちの少なくとも2つが、スキャナを使用して同時に動かされる。
【0111】
例38は、例36~37のいずれかの主題を含み、複数の原子のそれぞれのいくつかの位置が、2進数で表されることができ、少なくとも1つのコントローラが、最上位ビットから最下位ビットまでの2進数のそれぞれのビットを、ビットが1であるかゼロであるかに基づいて原子を動かす命令または動かさない命令として解釈することにより、複数の原子のそれぞれの原子に対して、一連の操作を生成するように構成されることができる。
【0112】
例39は、例36~38のいずれかの主題を含み、少なくとも1つのコントローラによって、スキャナを使用して複数の原子のそれぞれの原子lを動かすためのいくつかの位置f(l)を決定し、原子を規則的間隔のn位置アレイ内の所望の構成に分類する、複数の原子のそれぞれについて決定されたいくつかの位置f(l)をmビットの2進数として表す、ここでm=round(log(n-1))、スキャナを操作して、それぞれの原子lをいくつかの位置fl,k=al,kだけ動かす、ここで、al,k∈{0,1}は、それぞれの原子lの2進数のビットk、および、それぞれの原子lの移動を繰り返し、k=0まで毎回デクリメントすることをさらに含むことができる。
【0113】
例40は、例31の主題を含み、少なくとも1つのコントローラによって、センサによって生成されたセンサデータに基づいて、切り替え可能な光トラップのアレイ内に捕捉された複数の原子のそれぞれを動かすためのいくつかの位置を決定し、原子を規則的間隔のn位置アレイ内の所望の構成に分類する、および、複数の原子のそれぞれについて決定されたいくつかの位置に基づいて、複数の原子がスキャナを使用して3次元空間内の初期位置から3次元空間内のn位置アレイよりも高い分解能を有する、切り替え可能な高解像度光トラップの規則的間隔のh位置アレイ内のターゲット位置に動かされる一連の操作を生成することをさらに含む。
【0114】
例41は、例40の主題を含み、一連の操作の少なくとも1つの操作中に、複数の原子のうちの少なくとも2つが、スキャナを使用して同時に動かされる。
【0115】
例42は、例40~41のいずれかの主題を含み、複数の原子のそれぞれのいくつかの位置が、2進数で表されることができ、少なくとも1つのコントローラが、最下位ビットから最上位ビットまでの2進数のそれぞれのビットを、ビットが1であるかゼロであるかに基づいて原子を動かす命令または動かさない命令として解釈することにより、複数の原子のそれぞれの原子に対して、一連の操作を生成するように構成されることができる。
【0116】
例43は、例40~42のいずれかの主題を含み、少なくとも1つのコントローラによって、スキャナを使用して複数の原子のそれぞれの原子lを動かすためのいくつかの位置g(l)を決定し、原子を規則的間隔のh位置アレイ内の所望の構成に分類する、複数の原子のそれぞれについて決定されたいくつかの位置g(l)をuビットの2進数として表す、ここでu=round(log(h-1))、スキャナを操作して、それぞれの原子lをいくつかの位置gl,k=al,kだけ動かす、ここで、al,k∈{0,1}は、それぞれの原子lの2進数のビットk、および、それぞれの原子lの移動をu回繰り返し、k=0からk=k+1ずつ毎回インクリメントすることをさらに含むことができる。
【0117】
例44は、命令を含む少なくとも1つの非一時的なコンピュータ可読媒体であって、該命令は、実行されると、3次元空間内に配置された複数の光トラップ内に原子を配置する方法を実行し、該方法は、光学システムを操作して、3次元空間内に複数の切り替え可能な光トラップを生成すること、センサを使用し、複数の切り替え可能な光トラップ内に補足された原子を検出すること、スキャナを操作して、複数の切り替え可能な光トラップ内で多数の原子を同時に動かすこと、および、少なくとも1つのコントローラを使用して、切り替え可能な光トラップのアレイ内の原子を原子の所望の構成に分類するために、光学システムおよびスキャナを操作し、光学システムおよびスキャナの操作は、複数の切り替え可能な光トラップ内の原子を検出するセンサによって生成されるセンサデータに少なくとも部分的に基づくことを含む。
【0118】
例45は、3次元空間内に原子を配置するためのシステムであって、該システムは、3次元空間内に光トラップの規則的間隔のn位置アレイを形成する光格子を生成するように操作可能な第1の光学システム、規則的間隔のn位置アレイ内に切り替え可能な光トラップのアレイを生成するように操作可能な第2の光学システム、光トラップの規則的間隔のn位置アレイ内に捕捉された原子を検出するように構成されたセンサ、光格子の位相を調整して、光トラップの規則的間隔のn位置アレイ内に捕捉された多数の原子を同時に動かすように操作可能な位相変調器、および、規則的間隔のn位置アレイ内の原子を原子の所望の構成に分類するために、光学システムおよび位相変調器を操作するように構成された少なくとも1つのコントローラであって、光学システムおよび位相変調器の操作は、規則的間隔のn位置アレイ内に補足された原子を検出するセンサによって生成されるセンサデータに少なくとも部分的に基づく、前記コントローラを含む。
【0119】
例46は、3次元空間内に配置された複数の光トラップ内に原子を配置する方法であって、少なくとも1つのプロセッサを使用して、3次元空間内の初期位置から3次元空間内のターゲット位置まで複数の原子が複数の光トラップ間で動かされる一連の操作を生成し、一連の操作の少なくとも1つの操作中に、複数の原子のうちの少なくとも2つが、複数の光トラップのトラップ間で同時に動かされること、および、スキャナを操作して、生成された一連の操作に従って、複数の光トラップのトラップ間で複数の原子のうちの1以上を動かすことを含む。
【0120】
例47は、例46の主題を含み、センサを使用して、複数の光トラップ内の複数の原子の位置を表すセンサデータを生成すること、および、複数の光トラップ内の複数の原子の位置を表すさらなるセンサデータを生成することなく、一連の操作を実行するためにスキャナを操作することをさらに含む。
【0121】
例48は、例47の主題を含み、センサデータが、複数の光トラップのどれが複数の原子の1つを含有するかを示す。
【0122】
例49は、例46~48のいずれかの主題を含み、複数の光トラップが、3次元空間において規則的間隔のアレイを生成する。
【0123】
例50は、例46~49のいずれかの主題を含み、複数の光トラップが、3次元空間内の2次元平面において規則的間隔のアレイを生成する。
【0124】
例51は、例46~50のいずれかの主題を含み、少なくとも1つの空間光変調器(SLM)を操作することによって、複数の光トラップを生成することをさらに含む。
【0125】
例52は、例46~51のいずれかの主題を含み、スキャナが、複数の光トラップよりも低いポテンシャルを有する複数の可動トラップを3次元空間内に生成するように構成されている。
【0126】
例53は、例46~52のいずれかの主題を含み、センサによって生成されたセンサデータに基づいて、少なくとも1つのプロセッサによって、複数の光トラップのトラップ間で複数の原子のそれぞれを動かして、原子を所望の構成に分類するためのいくつかの位置を決定することさらに含む。
【0127】
例54は、例46~53のいずれかの主題を含み、少なくとも1つのプロセッサを使用して、複数の原子のそれぞれについて決定されたいくつかの位置を2進数として表現すること、および、少なくとも1つのプロセッサを使用して、複数の原子のそれぞれの原子について、一連の操作を生成し、最下位ビットから最上位ビットまでの2進数のそれぞれのビットを、ビットが1であるかゼロであるかに基づいて、原子を動かす命令または動かさない命令として解釈することをさらに含む。
【0128】
例55は、例54の主題を含み、複数の光トラップが、3次元空間において規則的間隔のn位置アレイを生成することができ、方法が、少なくとも1つのプロセッサを使用して、複数の原子のそれぞれの原子lを複数の光トラップのトラップ間で動かすためのいくつかの位置d(l)を決定して、原子を所望の構成に分類する、複数の原子のそれぞれについて決定されたいくつかの位置d(l)をmビットの2進数として表す、ここでm=round(log(n-1))、スキャナを操作して、それぞれの原子lをいくつかの位置dl,k=al,kだけ動かす、ここで、al,k∈{0,1}は、それぞれの原子lの2進数のビットk、および、それぞれの原子lの移動をm回繰り返し、k=0からk=k+1ずつ毎回インクリメントすることを含む。
【0129】
例56は、55の主題を含み、所望の構成が、最密構成である。
【0130】
例57は、少なくとも1つの非一時的なコンピュータ可読媒体であって、実行されると、3次元空間内に配置された複数の光トラップ内に原子を配置する方法を実行し、該方法は、少なくとも1つのプロセッサを使用して、3次元空間内の初期位置から3次元空間内のターゲット位置まで複数の原子が複数の光トラップ間で動かされる一連の操作を生成し、一連の操作の少なくとも1つの操作中に、複数の原子のうちの少なくとも2つが、複数の光トラップのトラップ間で同時に動かされること、および、スキャナを操作して、生成された一連の操作に従って、複数の光トラップのトラップ間で複数の原子のうちの1以上を動かすことを含む。
【0131】
均等物
このようにいくつかの例示的な実施形態を説明してきたが、様々な変更、修正、および改良が当業者に容易に想起されることを理解されたい。そのような変更、修正、および改良は、本開示の一部を形成することを意図しており、本開示の精神および範囲内にあることを意図している。本明細書に提示されるいくつかの例は、機能または構造要素の特定の組み合わせを含むが、それらの機能および要素は、同じまたは異なる目的を達成するために、本開示に従って他の方法で組み合わせられ得ることが理解されるべきである。特に、一実施形態に関連して説明された動作、要素、および特徴は、他の実施形態における同様のまたは他の役割から除外されることを意図していない。さらに、本明細書に記載の要素および構成要素は、追加の構成要素にさらに分割するか、一緒に結合して、同じ機能を実行するより少ない構成要素を形成することができる。
【0132】
例示的な実施形態の前述の説明は、例示および説明の目的で提示されたものである。網羅的であること、または本開示を開示された正確な形態に限定することは意図されていない。この開示に照らして、多くの修正および変形が可能である。本開示の範囲は、この詳細な説明によってではなく、添付の特許請求の範囲によって限定されることが意図されている。本出願の優先権を主張する今後出願される出願は、開示された主題を異なる方法で主張することができ、一般に、本明細書でさまざまに開示または実証されるように、1以上の制限の任意のセットを含むことができる。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図6A-D】
図7A
図7B
図8A-C】
図8D-E】
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図10A
図10B
図11
図12A-D】
図13
図14
【国際調査報告】