(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-20
(54)【発明の名称】CARD9のスプライス調節のためのオリゴヌクレオチド
(51)【国際特許分類】
C12N 15/113 20100101AFI20230613BHJP
C12Q 1/02 20060101ALI20230613BHJP
A61K 31/7088 20060101ALI20230613BHJP
A61K 47/61 20170101ALI20230613BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20230613BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20230613BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20230613BHJP
A61P 1/18 20060101ALI20230613BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20230613BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20230613BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20230613BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
C12N15/113 Z ZNA
C12Q1/02
A61K31/7088
A61K47/61
A61K48/00
A61P1/04
A61P1/16
A61P1/18
A61P3/10
A61P9/00
A61P13/12
A61P35/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022570622
(86)(22)【出願日】2020-05-22
(85)【翻訳文提出日】2022-11-18
(86)【国際出願番号】 EP2020064285
(87)【国際公開番号】W WO2021233551
(87)【国際公開日】2021-11-25
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ. ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(71)【出願人】
【識別番号】507229331
【氏名又は名称】ベーリンガー・インゲルハイム・インターナショナル・ゲーエムベーハー
【住所又は居所原語表記】Binger Strasse 173,55216 Ingelheim Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100196243
【氏名又は名称】運 敬太
(72)【発明者】
【氏名】ヘーイドーン,ピーダ
(72)【発明者】
【氏名】ヨーンソン,ラース
(72)【発明者】
【氏名】フーイ,アニャ・モールハート
(72)【発明者】
【氏名】ビケッサ,ヨーナス
(72)【発明者】
【氏名】バーン,ファーガス
(72)【発明者】
【氏名】ファイン,ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ムボウ,ムハマドウ
(72)【発明者】
【氏名】ワーレ,ジョー・アダム
(72)【発明者】
【氏名】クライン,エリオット・サンフォード
(72)【発明者】
【氏名】サイ,クリスティナ・メアリー
(72)【発明者】
【氏名】シェン,フェイ
【テーマコード(参考)】
4B063
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QQ42
4B063QR08
4B063QR55
4B063QR62
4B063QR77
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4C086AA01
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4C086ZA81
4C086ZB26
4C086ZC35
(57)【要約】
本発明は、CARD9 mRNAへのCARD9エクソン11の包含を阻害するための、CARD9プレmRNAに相補的なスプライス調節オリゴヌクレオチド(オリゴマー)に関する。本発明のオリゴヌクレオチドは、IBDなどの炎症性疾患の処置に有用である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物のCARD9プレmRNA転写物のスプライシングを調節するためのアンチセンスオリゴヌクレオチドであって、前記オリゴヌクレオチドが10~40ヌクレオチドの長さを有し、配列番号1に対して少なくとも90%の相補性の少なくとも10ヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列を含む、アンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項2】
前記オリゴヌクレオチドが、10~25ヌクレオチドの長さを有する、請求項1に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項3】
前記連続ヌクレオチド配列が、配列番号1に対して100%の相補性を有する、請求項1に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項4】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列が、配列番号6に対して相補的であり、例えば完全に相補的である、請求項1に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項5】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列が、配列番号7に対して相補的であり、例えば完全に相補的である、請求項1に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項6】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列が、配列番号8に対して相補的であり、例えば完全に相補的である、請求項1に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項7】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列が、配列番号9に対して相補的であり、例えば完全に相補的である、請求項1に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項8】
前記連続ヌクレオチド配列が、配列番号559、560、561、562、563、564又は565に対して相補的であり、例えば完全に相補的であるヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項9】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列が、配列番号11~284からなる群から選択される配列に対して相補的である、請求項1~8のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項10】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、Δ11CARD9の発現を増強することができる、請求項1~9のいずれか一項記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項11】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、WTCARD9の発現を低下させることができる、請求項1~9のいずれか一項記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項12】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、WTCARD9の発現を低下させ、Δ11CARD9の発現を増強することができる、請求項1~9のいずれか一項記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項13】
前記オリゴヌクレオチドが、アンチセンスオリゴヌクレオチドのミックスマー(mixmer)又はトータルマー(totalmer)であるか、又はアンチセンスオリゴヌクレオチドのミックスマー(mixmer)又はトータルマー(totalmer)を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項14】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列が、10~20ヌクレオチド長である、請求項1~13のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項15】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチドの前記連続ヌクレオチド配列が、配列番号285~558から選択される配列を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項16】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、ここに提供されるオリゴヌクレオチド、例えば化合物ID NO#285_1~#558_1からなる群から選択される化合物を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドと、前記オリゴヌクレオチドに共有結合した少なくとも1つのコンジュゲート部分とを含む、コンジュゲート。
【請求項18】
請求項1~16のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド又は請求項17に記載のコンジュゲートの、薬学的に許容され得る塩。
【請求項19】
請求項1~16のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド又は請求項17に記載のコンジュゲートと、薬学的に許容され得る希釈剤、溶媒、担体、塩、及び/又はアジュバントとを含む、医薬組成物。
【請求項20】
CARD9を発現している標的細胞においてCARD9プレmRNAのスプライシングを調節するためのインビボ又はインビトロ方法であって、請求項1~16のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又は請求項17に記載のコンジュゲート、又は請求項18若しくは19に記載の医薬組成物を有効量で前記細胞に投与することを含む、方法。
【請求項21】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチドの投与が、CARD9Δ11バリアントの発現増強をもたらす、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、WTCARD9の発現低下をもたらす、請求項20又は21に記載の方法。
【請求項23】
前記細胞がヒト細胞又は哺乳動物細胞のいずれかである、請求項20~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記CARD9がヒトCARD9である、請求項20~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
治療有効量又は予防有効量の、請求項1~16のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又は請求項17に記載のコンジュゲート、又は請求項18若しくは19に記載の塩若しくは医薬組成物を、炎症性疾患、例えば炎症性腸疾患(クローン病及び潰瘍性大腸炎など);又は、膵炎、IgA腎症、原発性硬化性胆管炎、心血管疾患、がん及び糖尿病からなる群から選択される疾患に罹患しているか又は罹患しやすい対象に投与することを含む、炎症性疾患を処置又は予防するための方法。
【請求項26】
医薬として使用するための、請求項1~16のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又は請求項17に記載のコンジュゲート、又は請求項18若しくは19に記載の塩若しくは医薬組成物。
【請求項27】
炎症性疾患、例えば炎症性腸疾患(クローン病及び潰瘍性大腸炎など);又は、膵炎、IgA腎症、原発性硬化性胆管炎、心血管疾患、がん及び糖尿病からなる群から選択される疾患の処置における使用のための、請求項1~16のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又は請求項17に記載のコンジュゲート、又は請求項18若しくは19に記載の塩若しくは医薬組成物。
【請求項28】
炎症性疾患、例えば炎症性腸疾患(クローン病及び潰瘍性大腸炎など);又は、膵炎、IgA腎症、原発性硬化性胆管炎、心血管疾患、がん及び糖尿病からなる群から選択される疾患を処置又は予防するための医薬を調製するための、請求項1~16に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又は請求項17に記載のコンジュゲート、又は請求項18若しくは19に記載の塩若しくは医薬組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表の参照
本出願において提出された電子的に提出された配列表(名称:P35120_Sequence_listing_project_ST25.txt;サイズ:130,099バイト;作成日2020年5月5日)の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は、成熟CARD9 mRNAへのCARD9エクソン11の取り込みを減少させる、CARD9プレmRNAに相補的なスプライス調節オリゴヌクレオチド(オリゴマー)に関する。本発明のオリゴヌクレオチドは、炎症性疾患、例えば炎症性腸疾患(クローン病又は潰瘍性大腸炎など);又は、膵炎、IgA腎症、原発性硬化性胆管炎、心血管疾患、がん及び糖尿病からなる群から選択される疾患を含む様々な医学的障害の処置に有用である。
【背景技術】
【0003】
背景
CARD9(カスパーゼ動員ドメイン含有タンパク質(Caspase recruitment domain-containing protein)9)は、C型レクチン受容体を介した抗真菌自然免疫シグナル伝達の中心的構成要素である。これは、NF-κBの活性化による自然免疫応答において重要な役割を果たすCARDファミリーのメンバーである。CARD9は、TNFα、IL-6及びIL-1βを含む炎症促進性サイトカイン産生を媒介し、それによってTh1及びTh17細胞の応答を調節する。
【0004】
CARD9は、多くの疾患及び障害に関連している。例えば、CARD9発現は、心血管疾患、自己免疫疾患、がん及び肥満に関連している(Zhong et al.Cell Death and Disease(2018)9:52)。
【0005】
さらに、CARD9は、炎症性腸疾患(IBD)、強直性脊椎炎、原発性硬化性胆管炎及びIgA腎症のリスクに関連する遺伝子として同定されている(Cao et al.,Immunity 2015 Oct 20;43(4):715-726)。
【0006】
Yamamoto-Furushoは、CARD9の発現が潰瘍性大腸炎(UC)の活動型と寛解型を区別することができることを示した。したがって、CARD9は、UC患者における標的として提案された(Journal of Inflammation(2018)15:13)。
【0007】
さらに、CARD9発現が重症急性膵炎(SAP)患者において上方制御されることが示された。タウロコール酸ナトリウムで刺激したSAPラットにおけるCARD9発現レベルを低下させるために、低分子干渉RNA(siRNA)が用いられた。非処置群と比較した場合、siRNA処置を受けたコホートは、膵臓損傷、好中球浸潤、ミエロペルオキシダーゼ活性及び炎症促進性サイトカインの有意な減少を示した。したがって、CARD9は急性膵炎の処置の標的として示唆された(Yang et al.,J Cell Mol Med.2016;21(6):1085-1093)。
【0008】
さらに、CARD9は、好中球性皮膚疾患の処置の標的として提案された(Tartey et al.,The Journal of Immunology September 15,2018,201(6)1639-1644)。
【0009】
複雑な疾患のほとんどの遺伝的危険因子とは異なり、CARD9対立遺伝子は、IBDの素因型と保護型の両方で存在する。素因型バリアントであるCARD9 S12Nは、ゲノムワイド関連解析(GWAS)によって同定された一般的なコード一塩基多型であり、CARD9 mRNAの発現増加に関連する(Cao et al.,Immunity 2015 Oct 20;43(4):715-726)。保護型バリアントであるCARD9 S12NΔ11は、CARD9のエクソン11が欠失している稀なスプライスバリアントである。GWAS遺伝子座のディープ・シーケンシングによって同定されたこの対立遺伝子は、C末端がトランケートされたタンパク質をもたらし、疾患に対する強力な保護を付与する(P<10-16)(Beaudoin et al.,PLoS Genet.2013;9:e1003723;Rivas et al.,Nat Genet.2011;43:1066-1073)。
【0010】
小分子阻害剤は、CARD9エクソン11スプライシング事象を直接標的化して保護的e CARD9 S12NΔ11バリアントを模倣し、小分子阻害剤を使用してIBDからの保護に関連するCARD9突然変異の抗炎症機能を再現することの実現可能性を決定するために使用されている(Leshchiner et al.,Proc Natl Acad Sci USA.2017 Oct 24;114(43):11392-11397)。
【0011】
アンチセンス媒介スプライシング調節は、稀な遺伝性疾患の潜在的治療を提供するためにいくつかの方法で利用することができるツールである。このアプローチは、デュシェンヌ型筋ジストロフィー及び脊髄性筋萎縮症のための承認された治療法をもたらした-アンチセンスオリゴヌクレオチドを使用したスプライス調節のための様々なアプローチの総説については、Arechavala-Gomeza et al.,Appl Clin Genet.2014;7:245-252を参照のこと。
【0012】
本発明者らは、CARD9エクソン11を標的とするスプライススイッチング化合物を開発した。本発明の化合物は、CARD9 mRNAへのCARD9エクソン11の包含を調節し、それによってdΔ11 CARD9 mRNAの発現を増強する。
【0013】
本発明の目的
本発明は、CARD9エクソン11の包含を調節し、それによってCARD9 dΔ11バリアントの発現を増強することができる、CARD9プレmRNAに相補的なスプライス調節オリゴヌクレオチド(オリゴマー)を提供する。CARD9 dΔ11タンパク質バリアントは、炎症性腸疾患からの保護を提供することが示されているCARD9バリアントである。別の言い方をすると、本発明のオリゴヌクレオチドは、CARD9プレmRNAのプロセシングにおいてエクソン11のスキップをもたらし、CARD9エクソン11配列の一部又は全部を欠く成熟mRNAをもたらすスプライススイッチングオリゴヌクレオチドである。得られたCARD9 dΔ11転写物の発現は、CARD9 dΔ11タンパク質の発現又は発現増加をもたらす。
【0014】
本発明のオリゴヌクレオチドは、本明細書に開示される様々な医学的障害、例えば炎症性腸疾患(クローン病及び潰瘍性大腸炎など);又は、膵炎、IgA腎症、原発性硬化性胆管炎、心血管疾患、がん及び糖尿病からなる群から選択される疾患の処置に有用である。
【発明の概要】
【0015】
発明の概要
本発明は、CARD9核酸に相補的であり、その発現を調節することができるアンチセンスオリゴヌクレオチド、及び医学におけるその使用を提供する。
【0016】
本発明は、CARD9プレmRNAのスプライシングの調節をもたらす注目すべき標的部位である、アンチセンスオリゴヌクレオチドによる標的化に適した、CARD9核酸内に存在する有利な標的部位配列の同定に関する。
【0017】
遊離には、本発明のオリゴヌクレオチドは、CARD9プレmRNAのプロセシングにおいてエクソン11のスキップを増強させることができ、CARD9エクソン11配列の一部又は全部を欠く成熟mRNAをもたらす。得られたCARD9 dΔ11転写物の発現は、炎症性腸疾患などの炎症症状を保護又は緩和するタンパク質バリアントであるCARD9 dΔ11タンパク質(CARD9Δ11)の発現又は発現増加をもたらす。
【0018】
本発明は、野生型CARD9(WTCARD9)タンパク質の発現を減少させる、CARD9プレmRNAに相補的なスプライス調節オリゴヌクレオチド(オリゴマー)を提供する。WT CARD9タンパク質の減少は、CARD9Δ11 mRNAなどの代替転写物の産生によって達成され得る。いくつかの実施形態では、WTCARD9の発現の減少は、転写物の脱安定化(例えば、ナンセンス媒介性の崩壊を介する)によるものであり得る。
【0019】
本発明はさらに、炎症性腸疾患(クローン病及び潰瘍性大腸炎など)、膵炎、IgA腎症、原発性硬化性胆管炎、心血管疾患、がん及び糖尿病からなる群から選択される疾患の予防又は処置に使用するためのアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0020】
本発明はさらに、炎症性腸疾患(例えばクローン病及び潰瘍性大腸炎)などの炎症性障害の予防又は処置に使用するためのアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0021】
有利には、本発明のオリゴヌクレオチドは、CARD9プレmRNA(例えば、配列番号1)のエクソン11配列の包含を阻害するように、CARD9プレmRNA上のスプライシングを調節することができる。
【0022】
本発明者らは、CARD9プレmRNAのエクソン11、例えば本明細書において配列番号6、7、8、9、559、560、561、562、563、564又は565として特定される標的部位のスプライシングを調節するために、アンチセンスオリゴヌクレオチドによる標的化に対して特に感受性であるヒトCARD9プレmRNAの領域(本明細書において配列番号1として示される)を特定した。
【0023】
本発明は、CARD9プレmRNAのスプライシングを調節することができるアンチセンスオリゴヌクレオチドであって、標的部位に相補的であり、例えば配列番号6に完全に相補的である、少なくとも10ヌクレオチド長、例えば約10~約40ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0024】
本発明は、CARD9プレmRNAのスプライシングを調節することができるアンチセンスオリゴヌクレオチドであって、配列番号7に相補的であり、場合によっては完全に相補的である、少なくとも10ヌクレオチド長、例えば10~40ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0025】
本発明は、CARD9プレmRNAのスプライシングを調節することができるアンチセンスオリゴヌクレオチドであって、配列番号8に相補的であり、例えば完全に相補的である、少なくとも10ヌクレオチド長、例えば10~40ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0026】
本発明は、CARD9プレmRNAのスプライシングを調節することができるアンチセンスオリゴヌクレオチドであって、配列番号9に相補的であり、例えば完全に相補的である、少なくとも10ヌクレオチド長、例えば10~40ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0027】
本発明は、CARD9プレmRNAのスプライシングを調節することができるアンチセンスオリゴヌクレオチドであって、配列番号559に相補的であり、例えば完全に相補的である、少なくとも10ヌクレオチド長、例えば10~40ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0028】
本発明は、CARD9プレmRNAのスプライシングを調節することができるアンチセンスオリゴヌクレオチドであって、配列番号560に相補的であり、例えば完全に相補的である、少なくとも10ヌクレオチド長、例えば10~40ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0029】
本発明は、CARD9プレmRNAのスプライシングを調節することができるアンチセンスオリゴヌクレオチドであって、配列番号561に相補的であり、例えば完全に相補的である、少なくとも10ヌクレオチド長、例えば10~40ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0030】
本発明は、CARD9プレmRNAのスプライシングを調節することができるアンチセンスオリゴヌクレオチドであって、配列番号562に相補的であり、例えば完全に相補的である、少なくとも10ヌクレオチド長、例えば10~40ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0031】
本発明は、CARD9プレmRNAのスプライシングを調節することができるアンチセンスオリゴヌクレオチドであって、配列番号563に相補的であり、例えば完全に相補的である、少なくとも10ヌクレオチド長、例えば10~40ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0032】
本発明は、CARD9プレmRNAのスプライシングを調節することができるアンチセンスオリゴヌクレオチドであって、配列番号564に相補的であり、例えば完全に相補的である、少なくとも10ヌクレオチド長、例えば10~40ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0033】
本発明は、CARD9プレmRNAのスプライシングを調節することができるアンチセンスオリゴヌクレオチドであって、配列番号565に相補的であり、例えば完全に相補的である、少なくとも10ヌクレオチド長、例えば10~40ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0034】
いくつかの実施形態では、連続ヌクレオチド配列は、配列番号1、6、7、8、9、559、560、561、562、563、564又は565からなる群から選択される標的配列などの標的配列に完全に相補的な10~25ヌクレオチド長又は10~20ヌクレオチド長である。
【0035】
本発明は、CARD9プレmRNAのスプライシングを調節することができるアンチセンスオリゴヌクレオチドであって、配列番号6に相補的であり、例えば完全に相補的である、少なくとも10ヌクレオチド長、例えば10~20ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0036】
本発明は、CARD9プレmRNAのスプライシングを調節することができるアンチセンスオリゴヌクレオチドであって、配列番号7に相補的であり、例えば完全に相補的である、少なくとも10ヌクレオチド長、例えば10~20ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0037】
本発明は、CARD9プレmRNAのスプライシングを調節することができるアンチセンスオリゴヌクレオチドであって、配列番号8に相補的であり、例えば完全に相補的である、少なくとも10ヌクレオチド長、例えば10~20ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0038】
本発明は、CARD9プレmRNAのスプライシングを調節することができるアンチセンスオリゴヌクレオチドであって、配列番号9に相補的であり、例えば完全に相補的である、少なくとも10ヌクレオチド長、例えば10~20ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0039】
本発明は、CARD9プレmRNAのスプライシングを調節することができるアンチセンスオリゴヌクレオチドであって、配列番号559に相補的であり、例えば完全に相補的である、少なくとも10ヌクレオチド長、例えば10~20ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0040】
本発明は、CARD9プレmRNAのスプライシングを調節することができるアンチセンスオリゴヌクレオチドであって、配列番号560に相補的であり、例えば完全に相補的である、少なくとも10ヌクレオチド長、例えば10~20ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0041】
本発明は、CARD9プレmRNAのスプライシングを調節することができるアンチセンスオリゴヌクレオチドであって、配列番号561に相補的であり、例えば完全に相補的である、少なくとも10ヌクレオチド長、例えば10~20ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0042】
本発明は、CARD9プレmRNAのスプライシングを調節することができるアンチセンスオリゴヌクレオチドであって、配列番号562に相補的であり、例えば完全に相補的である、少なくとも10ヌクレオチド長、例えば10~20ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0043】
本発明は、CARD9プレmRNAのスプライシングを調節することができるアンチセンスオリゴヌクレオチドであって、配列番号563に相補的であり、例えば完全に相補的である、少なくとも10ヌクレオチド長、例えば10~20ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0044】
本発明は、CARD9プレmRNAのスプライシングを調節することができるアンチセンスオリゴヌクレオチドであって、配列番号564に相補的であり、例えば完全に相補的である、少なくとも10ヌクレオチド長、例えば10~20ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0045】
本発明は、CARD9プレmRNAのスプライシングを調節することができるアンチセンスオリゴヌクレオチドであって、配列番号565に相補的であり、例えば完全に相補的である、少なくとも10ヌクレオチド長、例えば10~20ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0046】
本発明は、CARD9プレmRNAのスプライシングを調節することができるアンチセンスオリゴヌクレオチドであって、配列番号11~284からなる群から選択される配列に相補的であり、例えば完全に相補的である、少なくとも10ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0047】
本発明は、CARD9プレmRNAのスプライシングを調節することができるアンチセンスオリゴヌクレオチドであって、配列番号11~284からなる群から選択される配列に相補的であり、例えば完全に相補的である、少なくとも12ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0048】
本発明は、CARD9プレmRNAのスプライシングを調節することができるアンチセンスオリゴヌクレオチドであって、配列番号11~284からなる群から選択される配列に相補的であり、例えば完全に相補的である、少なくとも14ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0049】
本発明は、配列番号285~558から選択される配列の領域と同一である少なくとも10ヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列を含む、CARD9プレmRNAのスプライシングを調節することができるアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0050】
本発明は、配列番号285~558から選択される配列に存在する少なくとも10ヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列を含む、CARD9プレmRNAのスプライシングを調節することができるアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0051】
本発明は、配列番号285~558から選択される配列と同一である連続ヌクレオチド配列を含む、CARD9プレmRNAのスプライシングを調節することができるアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0052】
本発明は、配列番号285~558から選択される連続ヌクレオチド配列を含む、CARD9プレmRNAのスプライシングを調節することができるアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0053】
本発明は、化合物ID No #285~#558からなる群から選択されるアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。化合物を実施例セクションの「化合物及びデータ表」に示す(「オリゴ_構造」のカラムを参照)。
【0054】
本発明のオリゴヌクレオチドは、1つ以上のコンジュゲート基を含んでもよく、すなわち、オリゴヌクレオチドは、アンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲートであってもよい。
【0055】
本発明は、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、並びに、薬学的に許容され得る希釈剤、担体、塩、及び/又はアジュバントを含む、医薬組成物を提供する。
【0056】
本発明は、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドの薬学的に許容され得る塩を提供する。いくつかの実施形態では、薬学的に許容され得る塩は、ナトリウム塩、カリウム塩又はアンモニウム塩である。
【0057】
本発明は、本発明のオリゴヌクレオチドと、リン酸緩衝生理食塩水などの薬学的に許容され得る溶媒とを含む、本発明のオリゴヌクレオチドの薬学的溶液を提供する。
【0058】
本発明は、凍結乾燥粉末の形態などの固体粉末形態の本発明のオリゴヌクレオチドを提供する。
【0059】
典型的には、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、少なくとも10ヌクレオチド長、例えば10~30ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含み、連続ヌクレオチド配列は、CARD9標的核酸、例えば配列番号1、6、7、8、9、559、560、561、562、563、564又は565に対して少なくとも90%相補的であり、例えば完全に相補的である。いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドのすべてのヌクレオシドは、連続ヌクレオチド配列を形成する。
【0060】
いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、30ヌクレオチドまでの長さを有し、少なくとも10ヌクレオチド長、例えば10~30ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含み、連続ヌクレオチド配列は、配列番号1などのCARD9標的核酸、又はその中の標的部位、例えば配列番号6、7、8、9、559、560、561、562、563、564若しくは565からなる群から選択される標的部位(標的配列)に少なくとも90%相補的であり、例えば完全に相補的である。
【0061】
有利には、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、ヒトCARD9プレmRNAのスプライシングを調節することができ、例えば、CARD9 mRNAへのエクソン11 CARD9プレmRNAの包含を阻害又は減少させることができる。これにより、Δ11CARD9バリアント(本明細書では配列番号5として提供されるアミノ酸配列として示される)の発現がもたらされる。
【0062】
本発明は、CARD9プレmRNAを発現している標的細胞において、本発明のオリゴヌクレオチド又は組成物を有効量で前記細胞に投与することによって、哺乳動物CARD9プレmRNAのスプライシングを調節するためのインビボ又はインビトロ方法であって、オリゴヌクレオチドの投与が、細胞におけるCARD9Δ11 mRNAの発現又は発現の増加をもたらす方法を提供する(例示のために配列番号4に示される)。細胞におけるCARD9Δ11 mRNAの発現は、CARD9Δ11タンパク質(本明細書において配列番号5として提供されるアミノ酸配列として示される)の発現又は発現増強をもたらす。本明細書の他の箇所に記載されるように、CARD9Δ11 mRNA又はタンパク質の発現は、未処理対照細胞と比較して増加し得る。
【0063】
いくつかの実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチド又は組成物の投与は、CARD9 WT mRNA(配列番号2)又はタンパク質(例示については配列番号3を参照)の発現の減少をもたらす。いくつかの実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチド又は組成物の投与は、CARD9 mRNAの選択的スプライスバリアントの比の変化、例えば、WTCARD9 mRNAと比較したCARD9Δ11 mRNAの発現比(すなわち、CARD9エクソン11配列を含むCARD9 mRNA)の増加をもたらす。
【0064】
したがって、CARD9発現の調節は、CARD9のスプライスバリアント転写物の比の変化、例えばWTCARD9 mRNA(例えば配列番号2によって示される)のレベルの減少及び/又はCARD9Δ11 mRNA(例えば配列番号4によって示される)のレベルの増加を指し得る。いくつかの実施形態では、エクソン11を含むWTCARD9 mRNAのレベルに対するCARD9Δ11 mRNAのレベルの比は増加する。したがって、本発明のオリゴヌクレオチドは、標的細胞中に存在する場合、上記比を増加させることができる。
【0065】
CARD9発現の調節はまた、スプライスバリアント転写物によってコードされるタンパク質の比の変化、例えば、WTCARD9タンパク質(例えば配列番号3によって示される)のレベルの減少及び/又はCARD9Δ11タンパク質(例えば配列番号5によって示される)のレベルの増大を指し得る。いくつかの実施形態では、WTCARD9タンパク質のレベルに対するCARD9Δ11タンパク質のレベルの比が増加する。したがって、本発明のオリゴヌクレオチドは、標的細胞中に存在する場合、上記比を増加させることができる。
【0066】
スプライス調節オリゴヌクレオチドは、典型的には、分解機構(RNaseH媒介阻害など)を介するのではなく、占有に基づく機構を介して作用する。しかしながら、スプライス調節は、例えば、非センス媒介性崩壊を介して、代替転写物の分解をもたらし得る。
【0067】
配列表
本出願と共に提出された配列表は、参照により本明細書に組み込まれる。配列表と明細書又は図面との間に不一致がある場合、明細書(図面を含む)に開示された情報は正しいと見なされる。標的核酸又は標的配列又は標的部位に関して、本明細書に開示される配列は、ゲノム又はcDNA配列に由来するDNA配列を指し、インビトロ又はインビボで細胞内の核酸の表現として提供され、例えばRNA分子であり得る(例えば、RNA標的配列では、添付のDNA配列に示されるチミン(T)の代わりにウラシル(U)が存在する)ことが理解されよう。配列番号6~9、11~284、559~565などの標的核酸は、参照標的配列から転写されたRNA配列(配列番号1又はその天然バリアントなど)を含む。
CARD9参照配列
【表1】
【0068】
ヒトCARD9プレmRNAの例示的なエクソン領域及びイントロン領域-配列番号1を参照して例示する
【表2】
【表3】
【0069】
したがって、CARD9Δ11 mRNAは、配列番号1のヌクレオチド8465~8541によって例示されるようなエクソン11領域又はその少なくとも一部を欠く。いくつかの実施形態では、CARD9Δ11 mRNAにおいてエクソン11全体が欠いており、したがって、いくつかの実施形態では、Δ11 CARD9 mRNAは、エクソン10及びエクソン12にわたって形成された連続配列を有することを特徴とし得るいくつかの実施形態では、CARD9Δ11 mRNAは、エクソン1~10、12及び13を含むが、エクソン11を欠く。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【
図1】例示的なアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いたCARD9エクソン11プレmRNAのスプライス調節。X軸は、配列番号1に対する各オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションの位置を表す(位置)。Y軸は、(CARD9Δ11
T/CARD9WT
T)/(CARD9Δ11
C/CARD9WT
C)として計算された応答を表し、式中、CARD9Δ11
T 及びCARD9WT
Tは、それぞれオリゴ処理細胞から測定されたCARD9Δ11 mRNA及びCARD9WT mRNAのレベルであり、CARD9Δ11
C及びCARD9WT
Cは、それぞれ未処理(対照)細胞から測定されたCARD9Δ11 mRNA及びCARD9WT mRNAのレベルである(実施例参照)。明るい灰色のバーは、セリン及びアルギニンリッチのスプライシング因子(SRSF)に対する潜在的な結合部位を表す。潜在的な結合部位は以下の通りである:CGGCGGG、AGCCCGA、CAGCCCU、CACCAGG、AGCAGGU、CCCAUGU、GGCUGCCU、GUUUUGCG、AACCCCCA、UGCAGC、UGCACC及びUGCGGA。
【0071】
定義
オリゴヌクレオチド
本明細書で用いられる「オリゴヌクレオチド」という用語は、2つ以上の共有結合したヌクレオシドを含む分子として当業者に一般に理解されるように定義される。このような共有結合したヌクレオシドはまた、核酸分子又はオリゴマーとも称されうる。オリゴヌクレオチドは、通常、固相化学合成と、その後の精製及び単離によって研究室内で作製される。オリゴヌクレオチドの配列に言及する場合には、共有結合したヌクレオチド又はヌクレオシドの核酸塩基部分の配列又は順序、若しくはその修飾が言及される。本発明のオリゴヌクレオチドは、人工のものであり、化学的に合成され、通常は精製又は単離される。本発明のオリゴヌクレオチドは、例えば2’糖修飾ヌクレオシドなどの1つ以上の修飾ヌクレオシドを含んでもよい。本発明のオリゴヌクレオチドは、1以上のホスホロチオエートのヌクレオシド間結合のような、1以上の修飾ヌクレオシド間結合を含むことができる。
【0072】
アンチセンスオリゴヌクレオチド
本明細書で用いられる「アンチセンスオリゴヌクレオチド」という用語は、標的核酸、特に標的核酸上の連続配列にハイブリダイズすることによって標的遺伝子の発現を調節することができるオリゴヌクレオチドとして定義される。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、本質的に二本鎖ではなく、したがってsiRNA又はshRNAではない。本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは一本鎖であってもよい。本発明の単鎖オリゴヌクレオチドは、自己内又は自己間の相補性の程度がオリゴヌクレオチドの全長にわたって約50%未満である限り、ヘアピン又は分子間二重構造(同じオリゴヌクレオチドの2つの分子間の二重鎖)を形成することができるものと理解される。
【0073】
いくつかの実施形態では、本発明の一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドは、RNAヌクレオシドを含まなくてもよい。
【0074】
有利には、本発明のオリゴヌクレオチドは、例えば2’糖修飾ヌクレオシドなどの1つ以上の修飾ヌクレオシド又はヌクレオチドを含む。さらに、本発明のいくつかのアンチセンスオリゴヌクレオチドでは、修飾されていないヌクレオシドがDNAヌクレオシドであることが有利であり得る。
【0075】
連続ヌクレオチド配列
「連続ヌクレオチド配列」という用語は、標的核酸に相補的なオリゴヌクレオチドの領域を指す。この用語は、本明細書で「連続核酸塩基配列」という用語及び「オリゴヌクレオチドモチーフ配列」という用語と互換的に用いられる。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドのすべてのヌクレオシドが連続ヌクレオチド配列を構成する。連続ヌクレオチド配列は、標的核酸又は標的配列に相補的であり、場合によっては完全に相補的である本発明のオリゴヌクレオチド中のヌクレオチドの配列である。
【0076】
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、F-G-F’ギャップマー領域又はスプライス調節領域のような連続ヌクレオチド配列を含み、任意には、さらなるヌクレオチド(複数可)、例えば、官能基(例えば、コンジュゲート基)を連続ヌクレオチド配列に結合するために使用され得るヌクレオチドリンカー領域を含み得る。ヌクレオチドリンカー領域は、標的核酸に相補的であっても相補的でなくてもよい。オリゴヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列は、それ自体としてオリゴヌクレオチドより長くなることはできないことと、オリゴヌクレオチドは連続ヌクレオチド配列より短くなることはできないことと、が理解される。
【0077】
ヌクレオチド及びヌクレオシド
ヌクレオチド及びヌクレオシドは、オリゴヌクレオチド及びポリヌクレオチドの構成単位であり、本発明の目的のために、天然に存在するヌクレオチド及びヌクレオシドと、天然に存在しないヌクレオチド及びヌクレオシドとの両方を含む。本来、DNAヌクレオチド及びRNAヌクレオチドなどのヌクレオチドは、リボース糖部分、核酸塩基部分、及び1つ以上のリン酸基(ヌクレオシドには存在しない)を含む。ヌクレオシド及びヌクレオチドはまた、互換的に「単位」又は「モノマー」と呼ぶことができる。
【0078】
修飾ヌクレオシド
本明細書で用いられる「修飾ヌクレオシド」又は「ヌクレオシド修飾」という用語は、糖部分又は(核酸)塩基部分の1つ以上の修飾の導入によって、同等のDNA又はRNAヌクレオシドと比較して修飾されたヌクレオシドを指す。有利には、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドの修飾ヌクレオシドの1つ以上は、修飾された糖部分を含む。修飾ヌクレオシドという用語はまた、「ヌクレオシド類似体」又は修飾「ユニット」又は修飾「モノマー」という用語と互換的に使用されてもよい。非修飾DNA又はRNA糖部分を有するヌクレオシドは、本明細書ではDNA又はRNAヌクレオシドと称される。DNA又はRNAヌクレオシドの塩基領域に修飾を有するヌクレオシドは、それらがワトソン・クリック塩基対合可能な場合には、依然として一般的にDNA又はRNAと称される。本発明の化合物に使用され得る例示的な修飾ヌクレオシドには、LNA、2’-O-MOE及びモルホリノヌクレオシド類似体が含まれる。
【0079】
修飾ヌクレオシド間結合
「修飾ヌクレオシド間結合」という用語は、2つのヌクレオシドを共に共有結合する、ホスホジエステル(PO)結合以外の結合として当業者に一般的に理解されるように定義される。したがって、本発明のオリゴヌクレオチドは、1以上のホスホロチオエートのヌクレオシド間結合のような、1以上の修飾ヌクレオシド間結合を含むことができる。
【0080】
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列の少なくとも50%のヌクレオシド間結合がホスホロチオエートであり、オリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列の少なくとも60%、例えば少なくとも70%、例えば少なくとも75%、例えば少なくとも80%又は例えば少なくとも90%のヌクレオシド間結合が、ホスホロチオエートである。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列のヌクレオシド間結合のすべてが、ホスホロチオアートである。
【0081】
有利には、オリゴヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列のすべてのヌクレオシド間結合がホスホロチオエートであるか、又はオリゴヌクレオチドのすべてのヌクレオシド間結合がホスホロチオエート結合である。
【0082】
EP 2 742 135に開示されているように、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、他のヌクレオシド間結合(ホスホジエステル及びホスホロチオエート以外の)、例えばアルキルホスホネート/メチルホスホネートヌクレオシド間結合を含んでもよいことが認識され、これはEP 2 742 135によれば、例えば別のDNAホスホロチオエートのギャップ領域内で耐性であり得る。
【0083】
核酸塩基
核酸塩基という用語は、ヌクレオシド及びヌクレオチドに存在するプリン(例えばアデニン及びグアニン)及びピリミジン(例えばウラシル、チミン及びシトシン)部分を含み、これらは核酸ハイブリダイゼーションにおいて水素結合を形成する。本発明の文脈において、核酸塩基という用語は、天然に存在する核酸塩基とは異なり得るが、核酸ハイブリダイゼーションの際に機能的である修飾核酸塩基も包含する。この文脈において、「核酸塩基」とは、アデニン、グアニン、シトシン、チミジン、ウラシル、キサンチン、及びヒポキサンチンなどの天然に存在する核酸塩基と、天然に存在しないバリアントとの両方を指す。このようなバリアントは、例えば、Hirao et al(2012)Accounts of Chemical Research vol 45 page 2055及びBergstrom(2009)Current Protocols in Nucleic Acid Chemistry Suppl.37 1.4.1に記載されている。
【0084】
いくつかの実施形態では、核酸塩基部分は、プリン又はピリミジンを修飾プリン又はピリミジン、例えば置換プリン又は置換ピリミジン、例えばイソシトシン、シュードイソシトシン、5-メチルシトシン、5-チオゾロ-シトシン、5-プロピニル-シトシン、5-プロピニル-ウラシル、5-ブロモウラシル5-チアゾロ-ウラシル、2-チオ-ウラシル、2’-チオ-チミン、イノシン、ジアミノプリン、6-アミノプリン、2-アミノプリン、2,6-ジアミノプリン及び2-クロロ-6-アミノプリンから選択される核酸塩基に変えることにより修飾される。
【0085】
核酸塩基部分は、対応する各核酸塩基についての文字コード、例えば、A、T、G、C又はUにより示されてもよく、ここで、各文字は、任意に等価機能の改変された核酸塩基を含んでもよい。例えば、例示したオリゴヌクレオチドにおいて、核酸塩基部分は、A、T、G、C、及び5-メチルシトシンから選択される。任意に、LNAギャップマーについて、5-メチルシトシンLNAヌクレオシドが使用され得る。
【0086】
修飾オリゴヌクレオチド
修飾オリゴヌクレオチドという用語は、1つ以上の糖修飾ヌクレオシド及び/又は修飾ヌクレオシド間結合を含むオリゴヌクレオチドを表す。「キメラオリゴヌクレオチド」という用語は、糖修飾ヌクレオシド及びDNAヌクレオシドを含むオリゴヌクレオチドを記述するために文献で使用されている用語である。いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドがキメラオリゴヌクレオチドであることが有利であり得る。
【0087】
相補性
「相補性」という用語は、ヌクレオシド/ヌクレオチドのワトソン・クリック塩基対合能力を説明する。ワトソン・クリック塩基対は、グアニン(G)-シトシン(C)及びアデニン(A)-チミン(T)/ウラシル(U)である。オリゴヌクレオチドは修飾核酸塩基を有するヌクレオシドを含んでいてもよく、例えば5-メチルシトシンは、しばしばシトシンの代わりに用いられ、したがって、相補性という用語は、非修飾核酸塩基と修飾核酸塩基との間のワトソン・クリック塩基対合を包含することが理解されよう(例えば、Hirao et al(2012)Accounts of Chemical Research vol 45 page 2055 and Bergstrom(2009)Current Protocols in Nucleic Acid Chemistry Suppl.37 1.4.1を参照されたい)。
【0088】
用語「%相補的」とは、本明細書で使用される場合、連続ヌクレオチド配列にわたって参照配列(例えば、標的配列又は配列モチーフ)に相補的である、核酸分子(例えば、オリゴヌクレオチド)の連続ヌクレオチド配列のヌクレオチドの割合(パーセント)を指す。したがって、相補性のパーセンテージは、2つの配列間(標的配列5’-3’と3’-5’からのオリゴヌクレオチド配列とを整列させた場合)で相補的である(ワトソン・クリック塩基対から)整列した核酸塩基の数を数え、その数をオリゴヌクレオチド中のヌクレオチドの総数で割り、100を掛けることによって計算される。このような比較において、整列(塩基対を形成)しない核酸塩基/ヌクレオチドは、ミスマッチと称される。挿入及び欠失は、連続ヌクレオチド配列の%相補性の計算において許容されない。相補性の決定において、核酸塩基の化学的修飾は、核酸塩基がワトソン・クリック塩基対合を形成する機能的能力が保持される限り、無視されることが理解されるであろう(例えば、5-メチルシトシンは、%同一性の計算の目的のために、シトシンと同一であると見なされる)。
【0089】
「完全に相補的な」という用語は、100%の相補性を指す。
【0090】
同一性
本明細書で使用される「同一性」という用語は、連続ヌクレオチド配列にわたって参照配列(例えば、配列モチーフ)と同一である、核酸分子(例えば、オリゴヌクレオチド)内の連続ヌクレオチド配列のヌクレオチドの割合(パーセントで表される)を指す。したがって、同一性のパーセンテージは、2つの配列(本発明の化合物の連続ヌクレオチド配列及び参照配列における)の間で同一の(一致する)整列された核酸塩基の数を数え、その数をオリゴヌクレオチドのヌクレオチドの総数で割り、100を掛けることにより計算される。したがって、同一性の百分率=(一致数×100)/整列領域(例えば、連続ヌクレオチド配列)の長さ。挿入及び欠失は、連続ヌクレオチド配列の同一性の百分率の計算において許容されない。同一性の決定において、核酸塩基の化学的修飾は、核酸塩基がWatson Crick塩基対を形成する機能的能力が保持される限り、無視されることが理解されよう(例えば、5-メチルシトシンは、同一性%の計算の目的のために、シトシンと同一であると見なされる)。
【0091】
ハイブリダイゼーション
本明細書で用いられる「ハイブリダイズ」又は「ハイブリダイズする」という用語は、2つの核酸鎖(例えば、オリゴヌクレオチド及び標的核酸)が対向する鎖上の塩基対間に水素結合を形成することにより二重鎖を形成することと理解されるべきである。2つの核酸鎖の間の結合の親和性は、ハイブリダイゼーションの強度である。これは、オリゴヌクレオチドの半分が標的核酸と二重鎖を形成する温度として定義される、融解温度(Tm)によって説明されることが多い。生理学的条件では、Tmは親和性に厳密に比例しない(Mergny and Lacroix,2003,Oligonucleotides 13:515-537)。標準状態ギブス自由エネルギーΔG°は、結合親和性をより正確に表し、ΔG°=-RTln(Kd)によって反応の解離定数(Kd)に関連付けられ、式中、Rは気体定数であり、Tは絶対温度である。したがって、オリゴヌクレオチドと標的核酸との間の反応の非常に低いΔG°は、オリゴヌクレオチドと標的核酸との間の強いハイブリダイゼーションを反映している。ΔG°は、水性濃度が1M、pHが7、温度が37℃の反応に関連したエネルギーである。標的核酸へのオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションは、自発反応であり、自発反応の場合、ΔG°はゼロ未満である。ΔG°は、Hansenら,1965,Chem.Comm.36-38、及びHoldgateら,2005,Drug Discov Todayに記載されているように、例えば等温滴定熱量測定(ITC)により、実験的に測定し得る。当業者は、ΔG°測定のために市販の装置が入手可能であることを知るであろう。ΔG°は、SantaLucia,1998,Proc Natl Acad Sci USA.95:1460-1465 に記載の最近接モデを用いて、Sugimoto et al.,1995,Biochemistry 34:11211-11216及びMcTigue et al.,2004,Biochemistry 43:5388-5405に記載される適切に得られる熱力学的パラメータを使用し、数値的に推定し得る。いくつかの実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドは、10~30ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドに対して-10kcal未満の概算ΔG°値で標的核酸にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、ハイブリダイゼーションの程度又は強度は、標準状態ギブス自由エネルギーΔG°により測定される。オリゴヌクレオチドは、8~30ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドに対して-10kcalの範囲未満、例えば-15kcal未満、例えば-20kcal未満、及び例えば-25kcal未満の概算ΔG°値で標的核酸にハイブリダイズし得る。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、-10から-60kcal、例えば-12から-40、例えば-15から-30kcal、又は-16から-27kcal、例えば-18から-25kcalの推定ΔG°値で、標的核酸にハイブリダイズする。
【0092】
標的
本明細書で使用される「標的」という用語は、本明細書ではCARD9と呼ばれ、当該技術分野でCANDF2;hCARD9としても知られている哺乳動物カスパーゼ動員ドメインファミリーメンバー9を指すために使用される。CARD9、遺伝子ID番号64170は、本明細書において配列番号1として例示するヒト染色体9:136363956..136373681逆鎖(GRCh38.p12,NC_000009.12)にコードされている。ヒトCARD9タンパク質の例は、本明細書では配列番号3として提供される。本発明の文脈において、CARD9エクソン11によってコードされるアミノ酸配列を含むCARD9タンパク質は、WT CARD9と呼ばれる。
【0093】
標的核酸
本発明によれば、標的核酸は、哺乳動物CARD9、例えばヒトCARD9をコードする核酸であり、例えば遺伝子、RNA、mRNA、及びプレmRNA、成熟mRNA又はcDNA配列であり得る。したがって、標的は、CARD9標的核酸と称され得る。インビトロ及びインビボ使用のために、好ましい標的核酸は、配列番号1によって例示されるCARD9をコードするプレmRNA又はその天然に存在するバリアントである。
【0094】
WTCARD9
WTCARD9は、本明細書において、CARD9のエクソン11によってコードされるアミノ酸配列を含むCARD9タンパク質として定義される野生型CARD9を指す。したがって、WTCARD9タンパク質は、エクソン11を含むCARD9 mRNAによってコードされるタンパク質であるものとする。いくつかの実施形態では、WTCARD9タンパク質は、エクソン1~13(上記のエクソン表に提供される)を含むCARD9 mRNAによってコードされる。
【0095】
CARD9Δ11
CARD9Δ11は、CARD9エクソン11によってコードされる1つ又は複数のアミノ酸を欠くCARD9タンパク質(CARD9Δ11バリアント)であり、場合によっては、CARD9エクソン11によってコードされるアミノ酸の全部又は本質的に全部を欠く。例示のために、配列番号1のエクソン11は、配列番号10に示されるアミノ酸をコードする。Δ11 CARD9は、WTCARD9ではない。Δ11CARD9及びCARD9Δ11という用語は、本明細書では互換的に使用される。いくつかの実施形態では、CARD9Δ11タンパク質は、エクソン11を欠くCARD9 mRNAによってコードされる。
【0096】
異なる転写産物(例えば、WTCARD9対Δ11CARD9)の比の変化は、mRNAレベル又は対応するタンパク質産物のレベルを比較することによって測定され得る。CARD9に対して産生されたモノクローナル抗体又はポリクローナル抗体を使用して、CARD9及びCARD9Δ11のタンパク質レベルをアッセイするために使用され得る抗CARD9抗体(例えば、Abcamsから入手可能:CARD9のC末端に対して産生されたAb55950若しくはAb133560、又はRD Systems及びNovusによってそれぞれ販売されているポリクローナル抗体AF5248-SP及びNBP1-76679)。例として、配列番号5に示されるCARD9Δ11は、ウエスタンブロット分析システム、Protein Simple又は従来のウエスタンブロット分析を使用して、WT CARD9(62kDa、配列番号3)及び2つのアイソフォームよりもおよそ3kDa小さい質量を有する。
【0097】
標的配列
本明細書で使用される用語「標的配列」は、本発明のオリゴヌクレオチドに相補的な核酸塩基配列を含む、標的核酸中に存在するヌクレオチドの配列を指す。いくつかの実施形態では、標的配列は、本発明のオリゴヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列に相補的な核酸塩基配列を有する標的核酸上の領域からなる。標的核酸のこの領域は、互換的に標的ヌクレオチド配列、標的配列、又は標的領域と称され得る。いくつかの実施形態では、標的配列は、単一オリゴヌクレオチドの相補的配列よりも長く、例えば本発明のいくつかのオリゴヌクレオチドによって標的化され得る標的核酸の好ましい領域を表すことができる。
【0098】
いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列は、配列番号6、7~9、11~284、又は559~565からなる群から選択される標的配列に相補的である。
【0099】
いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列は、配列番号6に示される配列を有する標的配列に相補的である。
【0100】
いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列は、配列番号7に示される配列を有する標的配列に相補的である。
【0101】
いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列は、配列番号8に示される配列を有する標的配列に相補的である。
【0102】
いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列は、配列番号9に示される配列を有する標的配列に相補的である。
【0103】
いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列は、配列番号559に示される配列を有する標的配列に相補的である。
【0104】
いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列は、配列番号560に示される配列を有する標的配列に相補的である。
【0105】
いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列は、配列番号561に示される配列を有する標的配列に相補的である。
【0106】
いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列は、配列番号562に示される配列を有する標的配列に相補的である。
【0107】
いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列は、配列番号563に示される配列を有する標的配列に相補的である。
【0108】
いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列は、配列番号564に示される配列を有する標的配列に相補的である。
【0109】
いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列は、配列番号565に示される配列を有する標的配列に相補的である。
【0110】
標的細胞
本明細書で使用される用語「標的細胞」は、標的核酸を発現している細胞を指す。いくつかの実施形態では、標的細胞は、インビボ又はインビトロであり得る。いくつかの実施形態では、標的細胞は、哺乳動物細胞、例えばげっ歯類細胞、例えばマウス細胞若しくはラット細胞、又は霊長類細胞、例えばサル細胞若しくはヒト細胞である。いくつかの実施形態では、標的細胞は、ヒトCARD9標的核酸を発現しているトランスジェニック動物細胞である。
【0111】
実験的評価のために、標的配列を含む核酸を発現する標的細胞が使用され得る。インビトロ評価のために、及びオリゴヌクレオチドがCARD9プレmRNAのスプライシングを調節する能力をアッセイするために、例えば、標的細胞はTHP-1細胞であり得る。
【0112】
いくつかの実施形態では、標的細胞は骨髄細胞又は骨髄系細胞である。いくつかの実施形態では、標的細胞はマクロファージである。いくつかの実施形態では、標的細胞は腸細胞である。
【0113】
典型的には、標的細胞は、CARD9プレmRNAを発現し、それが細胞内で成熟CARD9 mRNAにプロセシングされて、CARD9タンパク質(WTCARD9)の発現をもたらす。有利には、本発明の化合物は、CARD9プレmRNAのスプライシングを調節して、CARD9エクソン11(又はエクソン11の一部)を欠く成熟CARD9 mRNAを産生し、CARD9Δ11バリアントの発現をもたらす。
【0114】
いくつかの実施形態では、標的核酸は、配列番号1、又はその天然に存在するバリアントである。
【0115】
天然に存在するバリアント
用語「天然に存在するバリアント」とは、標的核酸と同じ遺伝子座に由来するが、例えば、同じアミノ酸をコードする多数のコドンを引き起こす遺伝コードの縮重のために、又はプレmRNAの選択的スプライシング、又は多型、例えば単一ヌクレオチド多型(SNP)の存在に起因して異なり得るCARD9遺伝子又は転写産物のバリアント、及び対立遺伝子バリアントを指す。オリゴヌクレオチドに対する十分な相補的な配列の存在に基づいて、本発明のオリゴヌクレオチドは、したがって、標的核酸及びその天然に存在するバリアントを標的とし得る。
【0116】
いくつかの実施形態では、天然に存在するバリアントは、配列番号1などの哺乳動物CARD9標的核酸に対して少なくとも95%、又はいくつかの実施形態では少なくとも98%、又はいくつかの実施形態では少なくとも99%の相同性を有する。いくつかの実施形態では、天然に存在するバリアントは、配列番号1のヒトCARD9標的核酸に対して少なくとも99%相同性を有する。
【0117】
WTCARD9の発現の阻害
いくつかの実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドは、標的細胞に存在する場合、WTCARD9の発現を阻害する、すなわち減少させる。本明細書で使用される「発現の阻害」という用語は、標的細胞においてWTCARD9を阻害する、すなわちその量又は活性を減少させるオリゴヌクレオチドの能力の全体的な用語として理解されるべきである。いくつかの実施形態では、量又は活性の減少は、対照細胞の減少と比較して、少なくとも10%、20%、30%、40%又は50%である。活性の阻害は、WTCARD9 mRNAのレベルを測定することによって、又は細胞中のWTCARD9のレベル若しくは活性を測定することによって、測定することができる。したがって、発現の阻害をインビトロ又はインビボで決定することができる。スプライス調節は、細胞におけるWTCARD9の発現の阻害をもたらし得ることが理解されよう。
【0118】
典型的には、発現の阻害は、有効量のアンチセンスオリゴヌクレオチドを標的細胞に投与した後、コードされたタンパク質産物中に存在する標的核酸のレベル又はコードされたタンパク質産物の活性を決定し、そのレベルを、アンチセンスオリゴヌクレオチドを投与せずに標的細胞から得られた参照レベル(対照実験)又は既知の参照レベル(例えば、有効量のアンチセンスオリゴヌクレオチドの投与前の発現レベル、又は所定の若しくはその他の公知の発現レベル)と比較することによって決定される。
【0119】
CARD9Δ11/CARD9Δ11エンハンサーの発現増強
いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、標的細胞に存在する場合、CARD9プレmRNAにおけるエクソン11のスプライシングの調節を介して、CARD9Δ11 mRNA又はCARD9Δ11タンパク質の発現を増強し得る。エクソン11スプライシングの調節は、オリゴ処理細胞及び未処理対照細胞におけるCARD9Δ11 mRNA又はCARD9Δ11タンパク質の量を測定することによって決定することができる。したがって、標的細胞中のCARD9Δ11 mRNA又はCARD9Δ11タンパク質の量は、対照細胞中の量と比較して増加する。いくつかの実施形態では、CARD9Δ11 mRNA又はCARD9Δ11タンパク質の量の増加は、対照細胞の量と比較して少なくとも10%、20%、30%、40%又は50%である。いくつかの実施形態では、CARD9Δ11 mRNA又はCARD9Δ11タンパク質の量の増加は、対照細胞の量と比較して少なくとも100%である。いくつかの実施形態では、CARD9Δ11 mRNA又はCARD9Δ11タンパク質の量の増加は、対照細胞の量と比較して少なくとも150%である。いくつかの実施形態では、CARD9Δ11 mRNA又はCARD9Δ11タンパク質の量の増加は、対照細胞の量と比較して少なくとも200%である。いくつかの実施形態では、CARD9Δ11 mRNA又はCARD9Δ11タンパク質の量の増加は、対照細胞の量と比較して少なくとも250%である。
【0120】
したがって、本発明のオリゴヌクレオチドは、Δ11CARD9エンハンサー、すなわち、有効量のオリゴヌクレオチドを標的細胞に投与した後にΔ11CARD9 mRNA又はタンパク質の発現増加をもたらすオリゴヌクレオチドである。
【0121】
Δ11CARD9エンハンサーは、対照細胞と比較してΔ11CARD9 mRNA若しくはΔ11 CARD9タンパク質の発現増加を測定することによって、又はmRNA若しくはタンパク質レベルでWTCARD9と比較してΔ11CARD9の発現増加比を測定することによって同定され得る。実施例に示すように、これは、Δ11CARD9エンハンサーで処理した細胞におけるΔ11CARD9/WTCARD9 mRNAの発現比を未処理細胞におけるΔ11CARD9/WTCARD9 mRNAの発現比と比較することによって決定することができる(未処理対照応答=1)。比較は、処理細胞における比と未処理細胞の比との間の比を計算することによって行われ得る。例えば、この比は、以下のように計算することができる。
(CARD9Δ11T/CARD9WTT)/(CARD9Δ11C/CARD9WTC)
式中、
● CARD9Δ11Tは、オリゴ処理細胞において測定されたCARD9Δ11 mRNAのレベルである
● CARD9WTTは、オリゴ処理細胞において測定されたCARD9WT mRNAのレベルである
● CARD9Δ11Cは、未処理細胞(対照)で測定されたCARD9Δ11 mRNAのレベルである
● CARD9WTCは、未処理細胞(対照)で測定されたCARD9WT mRNAのレベルである
【0122】
したがって、応答>1は、有効なΔ11CARD9エンハンサーを示す。有利には、Δ11CARD9エンハンサーは、約1.5超、又は約2超、又は約2.5超の応答を誘発することができる。
【0123】
例えば、Δ11CARD9 mRNA又はタンパク質の発現の増加を、THP-1細胞において決定することができる(例えば、実施例に示される)。したがって、CARD9Δ11 mRNA又はCARD9Δ11タンパク質の増加があるかどうかを評価するために、オリゴ処理細胞及び未処理対照細胞を実施例のセクションに記載されるように培養することができる。
【0124】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、i)標的細胞中のCARD9Δ11 mRNA又はCARD9Δ11タンパク質の量を増加させること、及びii)標的細胞中のWTCARD9 mRNA及びWTCARD9タンパク質の量を減少させることの両方が可能である。
【0125】
対照細胞
適切な対照細胞の選択は、実験設定の日常的な部分である。例えば、対照細胞は、標的細胞に対応するが、本発明のオリゴヌクレオチドを含まない細胞、すなわち本発明のオリゴヌクレオチドと接触していない細胞であり得る。例えば、対照細胞は、未処理のTHP-1細胞であり得る。対照細胞は、本明細書に記載のオリゴヌクレオチドを含む標的細胞と等しい条件下で培養されることを理解されたい。
【0126】
スプライス調節
スプライス調節を使用して、潜在的スプライシングを修正し、選択的スプライシングを調節し、オープンリーディングフレームを回復させ、タンパク質ノックダウンを誘導することができる。本発明との関連において、好ましい調節は、選択的スプライシングを調節してCARD9Δ11 mRNAを生成し、それによってCARD9Δ11タンパク質の発現を増強することである。
【0127】
スプライス調節は、プレmRNAの異なるスプライス産物の定量的評価を可能にするRNAシーケンシング(RNA-Seq)によってアッセイすることができる。本発明のいくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、エクソン11を含む成熟CARD9 mRNA(WTCARD9 mRNA)のレベルを低下させ、エクソン11を欠く成熟CARD9 mRNA(Δ11CARD9 mRNA)のレベルの発現を増加させるように、CARD9プレmRNAのスプライシングを調節する。
【0128】
高親和性修飾ヌクレオシド
高親和性修飾ヌクレオシドは、修飾されたヌクレオチドであり、これは、オリゴヌクレオチドに組み込まれる場合、例えば融解温度(Tm)によって測定されるように、その相補的標的に対するオリゴヌクレオチドの親和性を高める。本発明の高親和性修飾ヌクレオシドは、修飾ヌクレオシドあたり+0.5~+12oC、場合によっては+1.5~+10oC、他の場合では+3~+8oCの融解温度の上昇をもたらし得る。数多くの高親和性修飾ヌクレオシドが当該技術分野において知られており、例えば、多くの2’置換ヌクレオシド及びロックド核酸(LNA)が挙げられる(例えば、Freier&Altmann;Nucl.Acid Res.,1997,25,4429-4443及びUhlmann;Curr.Opinion in Drug Development,2000,3(2),293-213を参照されたい)。
【0129】
糖修飾
本発明のオリゴマーは、修飾された糖部分、すなわち、DNA及びRNAに見られるリボース糖部分と比較して、糖部分が修飾された1つ以上のヌクレオシドを含み得る。
【0130】
リボース糖部分の修飾を有する数多くのヌクレオシドは、親和性及び/又はヌクレアーゼ耐性などのオリゴヌクレオチドのある特定の性質を改善することを主な目的として作製されてきた。
【0131】
そのような修飾には、例えば、ヘキソース環(HNA)又は二環式環(典型的には、リボース環(LNA)のC2とC4炭素の間にビラジカル架橋を有する)、又は典型的にはC2とC3炭素の間の結合を欠く非結合リボース環(例えば、UNA)で置き換えることにより、リボース環構造が修飾されているものが含まれる。他の糖修飾ヌクレオシドには、例えばビシクロヘキソース核酸(国際公開第2011/017521号)又は三環式核酸(国際公開第2013/154798号)が含まれる。修飾ヌクレオシドにはまた、糖部分が例えばペプチド核酸(PNA)又はモルホリノ核酸の場合には非糖部分で置き換えられているヌクレオシドが含まれる。
【0132】
糖修飾にはまた、リボース環上の置換基を、水素以外の基、又はDNA及びRNAヌクレオシド中に天然に存在する2’-OH基に変更することによってなされる修飾も含まれる。置換基は、例えば2’、3’、4’、又は5’位で導入され得る。
【0133】
2’糖修飾ヌクレオシド
2’糖修飾ヌクレオシドは、2’位にH又は-OH以外の置換基を有するか(2’置換ヌクレオシド)、又は2’炭素とリボース環上の第2の炭素との間に架橋を形成することができる2’結合ビラジカルを含むヌクレオシド、例えばLNA(2’-4’ビラジカル架橋)ヌクレオシドである。
【0134】
実際、2’糖置換ヌクレオシドの開発には多くの注目が集まっており、数多くの2’置換ヌクレオシドが、オリゴヌクレオチドに組み込まれた際に有益な特性を有することが見出されている。例えば、2’修飾糖は、高められた結合親和性及び/又は増大されたヌクレアーゼ耐性をオリゴヌクレオチドにもたらすことができる。2’置換修飾ヌクレオシドの例は、2’-O-アルキル-RNA、2’-O-メチル-RNA、2’-アルコキシ-RNA、2’-O-メトキシエチル-RNA(MOE)、2’-アミノ-DNA、2’-フルオロ-RNA及び2’-F-ANAヌクレオシドである。さらなる例については、例えばFreier&Altmann;Nucl.Acid Res.,1997,25,4429-4443及びUhlmann;Curr.Opinion in Drug Development,2000,3(2),293-213、及びDeleavey and Damha,Chemistry and Biology 2012,19,937を参照されたい。以下は、いくつかの2’置換修飾ヌクレオシドの例示である。
【化1】
【0135】
本発明に関して、2’置換糖修飾ヌクレオシドは、LNAのような2’架橋ヌクレオシドを含まない。
【0136】
ロックド核酸ヌクレオシド(LNAヌクレオシド)
「LNAヌクレオシド」は、上記ヌクレオシドのリボース糖環のC2’とC4’とを結合するバイラジカル(「2’-4’架橋」とも称される)を含む2’修飾ヌクレオシドであり、これはリボース環のコンホメーションを制限又は固定する。これらのヌクレオシドはまた、文献において、架橋核酸又は二環式核酸(BNA)とも称されている。リボースの立体配座の固定は、LNAが相補的RNA又はDNA分子のオリゴヌクレオチドに組み込まれる場合、ハイブリダイゼーションの親和性の向上(二重鎖の安定化)に関連している。これは、オリゴヌクレオチド/相補二重鎖の融解温度を測定することによって、日常的に決定されうる。
【0137】
非限定的で例示的なLNAヌクレオシドは、国際公開第99/014226、国際公開第00/66604、国際公開第98/039352、国際公開第2004/046160、国際公開第00/047599、国際公開第2007/134181、国際公開第2010/077578、国際公開第2010/036698、国際公開第2007/090071、国際公開第2009/006478、国際公開第2011/156202、国際公開第2008/154401、国際公開第2009/067647、国際公開第2008/150729、Morita et al.,Bioorganic&Med.Chem.Lett.12,73-76、Seth et al.J.Org.Chem.2010,Vol 75(5)pp.1569-81、及びMitsuoka et al.,Nucleic Acids Research 2009,37(4),1225-1238、及びWan and Seth,J.Medical Chemistry 2016,59,9645-9667に開示されている。
【0138】
さらなる非限定的な例示的LNAヌクレオシドを、スキーム1に開示する。
【化2】
【0139】
特定のLNAヌクレオシドは、ベータ-D-オキシ-LNA、6’-メチル-ベータ-D-オキシLNA、例えば(S)-6’-メチル-ベータ-D-オキシ-LNA(ScET)及びENAである。
【0140】
いくつかの実施形態では、LNAはβ-D-オキシ-LNAである。
【0141】
モルホリノオリゴヌクレオチド
いくつかの実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドは、モルホリノヌクレオシドを含むか、又はそれからなる(すなわち、モルホリノオリゴマーであり、ホスホロジアミデートモルホリノオリゴマー(PMO)として)。スプライス調節モルホリノオリゴヌクレオチドは、臨床使用が承認されており、例えば、デュシェンヌ型筋ジストロフィーの処置に使用される、DMDのフレームシフト変異を標的とする30ntモルホリノオリゴヌクレオチドである、エテプリルセンを参照のこと。モルホリノオリゴヌクレオチドは、例えば、以下の4つの連続するモルホリノヌクレオチドの説明に示されるように、ホスホロジアミデート基を介して連結されたメチレンモルホリン環など、リボースではなく6員のモルホリン環に結合した核酸塩基を有する。
【化3】
【0142】
いくつかの実施形態では、本発明のモルホリノオリゴヌクレオチドは、例えば、20~40モルホリノヌクレオチド長、例えば、25~35モルホリノヌクレオチド長であり得る。
【0143】
RNase Hの活性及び動員
アンチセンスオリゴヌクレオチドのRNase H活性とは、相補的RNA分子との二重鎖にあるときにRNアーゼHを動員する能力を指す。国際公開第01/23613号は、RNaseH活性を決定するインビトロ方法を提供し、これはRNaseHを動員する能力の決定に使用され得る。典型的には、オリゴヌクレオチドが、相補的標的核酸配列が提供された場合に、試験されている修飾オリゴヌクレオチドと同じ塩基配列を有するが、オリゴヌクレオチド中のすべてのモノマー間にホスホロチオアート結合を有するDNAモノマーのみを含有するオリゴヌクレオチドを使用し、国際公開第01/23613号(参照により本明細書に組み込まれる)の実施例91~95により提供される方法論を使用したときに決定された初期速度の少なくとも5%、少なくとも10%、又は20%超のpmol/l/分で測定された初期速度を有する場合に、このオリゴヌクレオチドはRNase Hを動員し得ると見なされる。DNAオリゴヌクレオチドは、2’糖修飾ヌクレオシド、典型的には高親和性2’糖修飾ヌクレオシド、例えば2-O-MOE及び/又はLNAを含む領域が5’及び3’に隣接するDNAヌクレオシド(典型的には少なくとも5又は6個の連続するDNAヌクレオシド)の領域を含むギャップマーオリゴヌクレオチドと同様に、RNaseHを効果的に動員することが公知である。スプライシングの効果的な調節のために、プレmRNAの分解は望ましくなく、したがって、標的のRNaseH分解を回避することが好ましい。したがって、本発明のスプライス調節オリゴヌクレオチドは、好ましくはギャップマーオリゴヌクレオチドではない。RNaseH動員は、オリゴヌクレオチド中の連続するDNAヌクレオチドの数を制限することによって回避され得、したがって、効果的なスプライス調節のために、ミックスマー(mimxer)及びトータルマー(totalmer)設計が使用され得る。
【0144】
ミックスマー(Mixmer)及びトータルマー(Totalmer)
スプライス調節のために、RNAaseHを動員しないアンチセンスオリゴヌクレオチドを使用することがしばしば有利である。RNaseH活性はDNAヌクレオチドの連続配列を必要とするので、アンチセンスオリゴヌクレオチドのRNaseH活性は、3個を超える又は4個を超える連続DNAヌクレオシドの領域を含まないアンチセンスオリゴヌクレオチドを設計することによって達成され得る。これは、2’糖修飾ヌクレオシドなどの糖修飾ヌクレオシドと、1、2若しくは3個のDNAヌクレオシドなどのDNAヌクレオシドの短い領域とを含むアンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオシド領域をミックスマー設計で使用することによって達成され得る。ミックスマーは、本明細書において、ヌクレオシドが1個のLNAヌクレオシドと1個のDNAヌクレオシドとの間で交互である2個毎の設計(例えば5’及び3’末端がLNAヌクレオシドであるLDLDLDLDLDLDLDLL)、並びに、3個毎にヌクレオシドがLNAヌクレオシドであるLDDLDDLDDLDDLDDLなどの3個毎の設計によって例示される。
【0145】
トータルマーは、DNA又はRNAヌクレオシドを含まないアンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列であり、例えば、治療的使用のための効果的なスプライス調節因子であると報告されている完全MOEホスホロチオエート、例えばMMMMMMMMMMMMMMMMMMMM(M=2’-O-MOE)などの2’-O-MOEヌクレオシドのみを含んでもよい。あるいは、ミックスマーは、MLMLMLMLMLMLMLMLMLML(L=LNA及びM=2’-O-MOEヌクレオシド)などの修飾ヌクレオシドの混合物を含み得る。
【0146】
有利には、ミックスマー及びトータルマー中のヌクレオシド間ヌクレオシドはホスホロチオエートであってもよく、又はミックスマー中のヌクレオシド結合の大部分はホスホロチオエートであってもよい。ミックスマー及びトータルマーは、例として、ホスホジエステル又はホスホロジチオエートなどの他のヌクレオシド間結合を含み得る。
【0147】
オリゴヌクレオチド内の領域D’又はD’’
本発明のオリゴヌクレオチドは、いくつかの実施形態では、標的核酸に相補的なオリゴヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列、例えばミックスマー(mixmer)又はトータルマー(toalmer)、並びにさらに5’及び/又は3’ヌクレオシドを含むか、又はそれからなり得る。さらなる5’及び/又は3’ヌクレオシドは、標的核酸に完全に相補的であっても、完全に相補的でなくてもよい。このような更なる5’及び/又は3’ヌクレオシドは、本明細書では領域D’及びD’’と称され得る。
【0148】
領域D’又はD’’の付加は、連続ヌクレオチド配列、例えばミックスマー(mixmer)又はトータルマー(totoalmer)をコンジュゲート部分又は別の官能基に連結する目的のために使用され得る。連結に用いられる場合、コンジュゲート部分を有する連続ヌクレオチド配列は、生体切断可能なリンカーとしての役割を果たしうる。あるいは、それはエキソヌクレアーゼ保護を提供するために、若しくは合成又は製造を容易にするために使用されてもよい。
【0149】
領域D’又はD’’は、独立して、1、2、3、4又は5個の追加のヌクレオチドを含むか、又はそれからなり、標的核酸に相補的であっても、相補的でなくてもよい。F又はF’領域に隣接するヌクレオチドは、DNA又はRNAなどの糖修飾ヌクレオチドではなく、若しくはこれらの塩基修飾バージョンでもない。D’又はD’領域は、ヌクレアーゼ感受性の生体切断可能なリンカーとしての役割を果たしうる(リンカーの定義を参照されたい)。いくつかの実施形態では、追加の5’及び/又は3’末端ヌクレオチドは、ホスホジエステル結合で結合されており、DNA又はRNAである。領域D’又はD’’としての使用に好適なヌクレオチドベースの生体切断性リンカーは、国際公開第2014/076195号に開示されており、これには例としてホスホジエステル結合DNAジヌクレオチドが含まれる。ポリオリゴヌクレオチド構築物における生体切断可能なリンカーの使用は国際公開第WO2015/113922号に開示されており、それらは複数のアンチセンス構築物を単一のオリゴヌクレオチド内で結合するのに使用されている。
【0150】
一実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドは、ミックスマー(mixmer)又はトータルマー(totalmer)を構成する連続ヌクレオチド配列に加えて、領域D’及び/又はD’’を含む。
【0151】
いくつかの実施形態では、領域D’又はD’’とミックスマー又はトータルマー領域との間に位置するヌクレオシド間結合は、ホスホジエステル結合である。
【0152】
コンジュゲート
本明細書で用いられるコンジュゲートという用語は、非ヌクレオチド部分(コンジュゲート部分又は領域C又は第3の領域)に共有結合したオリゴヌクレオチドを指す。コンジュゲート部分は、任意に領域D’又はD’’などのリンカー基を介して、アンチセンスオリゴヌクレオチドに共有結合していてもよい。
【0153】
オリゴヌクレオチドコンジュゲート及びそれらの合成については、Manoharan in Antisense Drug Technology,Principles,Strategies,and Applications,S.T.Crooke,ed.,Ch.16,Marcel Dekker,Inc.,2001及びManoharan,Antisense and Nucleic Acid Drug Development,2002,12,103の包括的なレビューでも報告されている。
【0154】
いくつかの実施形態では、非ヌクレオチド部分(コンジュゲート部分)は、炭水化物(例えば、GalNAc)、細胞表面受容体リガンド、原薬、ホルモン、親油性物質、ポリマー、タンパク質、ペプチド、毒素(例えば、細菌毒素)、ビタミン、ウイルスタンパク質(例えば、カプシド)又はそれらの組合せからなる群から選択される。
【0155】
リンカー
結合又はリンカーは、1つ以上の共有結合を介して目的の1つの化学基又はセグメントを目的の別の化学基又はセグメントに連結する、2つの原子間の接続である。コンジュゲート部分は、直接又は連結部分(例えば、リンカー又はテザー)を介してオリゴヌクレオチドに結合させることができる。リンカーは、第3の領域、例えばコンジュゲート部分(領域C)を、第1の領域、例えば、標的核酸に相補的なオリゴヌクレオチド又は連続ヌクレオチド配列(領域A)に共有結合する役割を果たす。
【0156】
本発明の幾つかの実施形態では、本発明のコンジュゲート又はオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、任意に、標的核酸に相補的なオリゴヌクレオチド又は連続ヌクレオチド配列(領域A又は第1の領域)と、コンジュゲート部分(領域C又は第3の領域)との間に位置するリンカー領域(第2の領域又は領域B及び/又は領域Y)を含みうる。
【0157】
領域Bは、哺乳動物の体内で通常遭遇する又は遭遇するものに類似した条件下で切断可能である生理学的に不安定な結合を含むか、又はそれからなる生体切断可能なリンカーを指す。生理学的に不安定なリンカーが化学的変換(例えば、切断)を受ける条件には、pH、温度、酸化又は還元条件、若しくは薬剤などの化学条件、並びに哺乳動物の細胞で見られる又は遭遇するものに類似した塩濃度が含まれる。哺乳動物の細胞内条件には、タンパク質分解酵素又は加水分解酵素又はヌクレアーゼなどの哺乳動物細胞に通常存在する酵素活性の存在も含まれる。一実施形態では、生体切断可能なリンカーは、S1ヌクレアーゼ切断の影響を受けやすい。いくつかの実施形態では、ヌクレアーゼ感受性リンカーは、少なくとも2つの連続するホスホジエステル結合を含むDNAヌクレオシドなどの1~5個のヌクレオシドを含む。ホスホジエステルを含む生体切断可能なリンカーは、国際公開第2014/076195号により詳細に記載されている。
【0158】
領域Yは、必ずしも生体切断可能ではないが、主にコンジュゲート部分(領域C又は第3の領域)をオリゴヌクレオチド(領域A又は第1の領域)に共有結合させるのに役立つリンカーを指す。領域Yリンカーは、鎖構造、又はエチレングリコール、アミノ酸単位若しくはアミノアルキル基などの繰返し単位のオリゴマーを含み得る。本発明のオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、以下の局所要素A-C、A-B-C、A-B-Y-C、A-Y-B-C又はA-Y-Cから構築することができる。いくつかの実施形態では、リンカー(領域Y)は、例えばC6~C12アミノアルキル基を含むC2~C36アミノアルキル基などのアミノアルキルである。いくつかの実施形態では、リンカー(領域Y)は、C6アミノアルキル基である。
【0159】
処置
本明細書で使用される「処置」という用語は、既存の疾患(例えば、本明細書で言及される疾患又は障害)の処置、又は疾患の予防(prevention)、すなわち予防法(prophylaxis)の両方を指す。したがって、本明細書で言及される処置は、いくつかの実施形態において、予防的であり得ることが認識されよう。
【発明を実施するための形態】
【0160】
発明の詳細な説明
本発明のオリゴヌクレオチド
本発明は、哺乳動物CARD9プレmRNA転写物のスプライシングを調節するための10~40、例えば10~30ヌクレオチド長のアンチセンスオリゴヌクレオチドであって、配列番号1に対して少なくとも90%の相補性、場合によっては100%の相補性を有する少なくとも10ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0161】
本発明は、哺乳動物CARD9プレmRNA転写物のスプライシングを調節するための10~40、例えば10~30ヌクレオチド長のアンチセンスオリゴヌクレオチドであって、配列番号2に対して少なくとも90%の相補性、場合によっては100%の相補性を有する少なくとも10ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【0162】
いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列は、配列番号6に相補的であり、場合によっては完全に相補的である。
【0163】
いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列は、配列番号7に相補的であり、場合によっては完全に相補的である。
【0164】
いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列は、配列番号8に相補的であり、場合によっては完全に相補的である。
【0165】
いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列は、配列番号9に相補的であり、場合によっては完全に相補的である。
【0166】
いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列は、配列番号559に相補的であり、場合によっては完全に相補的である。
【0167】
いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列は、配列番号560に相補的であり、場合によっては完全に相補的である。
【0168】
いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列は、配列番号561に相補的であり、場合によっては完全に相補的である。
【0169】
いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列は、配列番号562に相補的であり、場合によっては完全に相補的である。
【0170】
いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列は、配列番号563に相補的であり、場合によっては完全に相補的である。
【0171】
いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列は、配列番号564に相補的であり、場合によっては完全に相補的である。
【0172】
いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列は、配列番号565に相補的であり、場合によっては完全に相補的である。
【0173】
いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列が、配列番号11~284からなる群から選択される配列に対して相補的である。
【0174】
いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、CARD9Δ11の発現を増強することができる。
【0175】
いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、WTCARD9の発現を低下させることができる。
【0176】
いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、アンチセンスオリゴヌクレオチドのミックスマー(mixmer)又はトータルマー(totalmer)であるか、又はアンチセンスオリゴヌクレオチドのミックスマー(mixmer)又はトータルマー(totalmer)を含む。
【0177】
いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、モルホリノオリゴヌクレオチドである。
【0178】
いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、2’-O-MOEオリゴヌクレオチドであり、すなわち、1つ以上の2’-O-MOEヌクレオシドを含む。
【0179】
いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、LNAオリゴヌクレオチドであり、すなわち、1つ以上のLNAヌクレオシドを含む。
【0180】
いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列は、10~25又は10~20ヌクレオチド長である。
【0181】
いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列は、CGGCGGG、AGCCCGA、CAGCCCU、CACCAGG、AGCAGGU、CCCAUGU、GGCUGCCU、GUUUUGCG、AACCCCCA、UGCAGC、UGCACC及びUGCGGAからなる群から選択される配列に相補的である、例えば完全に相補的である1つ又は複数のヌクレオチド配列を含む。これらの6~9nt配列が配列番号6(配列番号6のヌクレオチド200~280)の有利な領域(標的部位配列)内に存在し、これらの配列のいくつかがこの標的部位配列内で重複することが理解されよう。したがって、いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号6のヌクレオチド200~280に相補的、例えば完全に相補的である、10~40ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含み得る。したがって、いくつかの実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号6のヌクレオチド200~280に相補的、例えば完全に相補的である、12~25ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含み得る。連続ヌクレオチド配列の領域は、AGCCCGA、CAGCCCU、CACCAGG、AGCAGGU、CCCAUGU、GGCUGCCU、GUUUUGCG、AACCCCCA、UGCAGC、UGCACC及びUGCGGAからなる群から選択される配列の1つを超える相補体を含み得ることが認識されるであろう。いくつかの実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドは、AGCCCGA、CAGCCCU、CACCAGG、AGCAGGU、CCCAUGU、GGCUGCCU、GUUUUGCG、AACCCCCA、UGCAGC、UGCACC及びUGCGGAからなる群から選択される配列の少なくとも2個又は少なくとも3個の完全相補体を含み得る。
【0182】
いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列は、配列番号285~558から選択される配列からなるか、又はそれを含む。
【0183】
いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、本明細書中に提供されるオリゴヌクレオチド、例えば、化合物ID NO #285_1~#558_1からなる群から選択される化合物からなるか、又はそれを含む(実施例の節の表を参照のこと)。
【0184】
いくつかの有利な実施形態では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、医薬的に許容され得る塩、例えば、ナトリウム塩又はカリウム塩の形態である。
【0185】
本発明はさらに、本発明によるアンチセンスオリゴヌクレオチド又はコンジュゲートの薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0186】
本発明はさらに、本発明に従ったアンチセンスオリゴヌクレオチドと、上記オリゴヌクレオチドに共有結合した少なくとも1つのコンジュゲート部分とを含む、コンジュゲートを提供する。
【0187】
本発明はさらに、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はコンジュゲート、並びに、薬学的に許容され得る希釈剤、溶媒、担体、塩、及び/又はアジュバントを含む、医薬組成物を提供する。
【0188】
本発明は、CARD9を発現している細胞(例えば、標的細胞)におけるCARD9プレmRNAのスプライシングを調節する方法であって、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はコンジュゲート又は医薬組成物を有効量で前記細胞に投与することを含む方法を提供する。本発明は、インビトロ方法又はインビボ方法であり得る。
【0189】
本発明の方法のいくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドの投与は、CARD9Δ11バリアントの発現増強をもたらす。
【0190】
本発明の方法のいくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドの投与は、WTCARD9の発現低下をもたらす。
【0191】
いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドの投与は、WTCARD9の発現低下及びCARD9Δ11バリアントの発現増強をもたらす。
【0192】
いくつかの実施形態では、標的細胞などの細胞は哺乳動物細胞である。いくつかの実施形態では、細胞はヒト細胞である。
【0193】
いくつかの実施形態では、CARD9標的はヒトCARD9である。いくつかの実施形態では、CARD9標的核酸は、配列番号1として例示されるヒトCARD9プレmRNAである。
【0194】
本発明は、炎症性疾患、例えば炎症性腸疾患に罹患しているか又は罹患しやすい対象に、治療有効量又は予防有効量の本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はコンジュゲート又は医薬組成物を投与することを含む、炎症性疾患を処置又は予防する方法を提供する。
【0195】
本発明は、医薬として使用するための本発明のオリゴヌクレオチド又はコンジュゲート又は医薬組成物を提供する。
【0196】
本発明は、炎症性腸疾患などの炎症性疾患の処置に使用するための本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はコンジュゲート又は医薬組成物を提供する。
【0197】
本発明は、炎症性腸疾患などの炎症性疾患を処置又は予防するための医薬の調製に使用するための本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はコンジュゲート又は医薬組成物の使用を提供する。
【0198】
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、10~30ヌクレオチド長の連続配列を含み、これは、標的核酸又は標的配列の領域と、少なくとも90%相補的であり、例えば少なくとも91%、例えば少なくとも92%、例えば少なくとも93%、例えば少なくとも94%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも96%、例えば少なくとも97%、例えば少なくとも98%、又は100%相補的である。
【0199】
本発明のオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列は、標的核酸の領域に完全に相補的(100%相補的)である場合、又はいくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドと標的核酸との間に1つ又は2つのミスマッチを含み得る場合に有利である。
【0200】
連続核酸塩基配列(モチーフ配列)は、例えばヌクレアーゼ耐性及び/又は標的核酸に対する結合親和性を増大させるために修飾され得ることが理解される。
【0201】
修飾ヌクレオシド(高親和性修飾ヌクレオシドなど)がオリゴヌクレオチド配列に組み込まれるパターンは、一般にオリゴヌクレオチド設計と称される。
【0202】
本発明のオリゴヌクレオチドは、修飾ヌクレオシド及びDNAヌクレオシドを用いて設計される。いくつかの例では、高親和性修飾ヌクレオシドが使用される。
【0203】
好適な修飾は、「修飾ヌクレオシド」、「高親和性修飾ヌクレオシド」、「糖修飾」、「2’糖修飾」、及びロックド核酸(LNA)の「定義」セクションに記載されている。
【0204】
一実施形態では、オリゴヌクレオチドは、1つ以上の糖修飾ヌクレオシド、例えば2’糖修飾ヌクレオシドを含む。好ましくは、本発明のオリゴヌクレオチドは、2’-O-アルキル-RNA、2’-O-メチル-RNA、2’-アルコキシ-RNA、2’-O-メトキシエチル-RNA、2’-アミノ-DNA、2’-フルオロ-DNA、アラビノ核酸(ANA)、2’-フルオロ-ANA及びLNAヌクレオシドからなる群から独立して選択される1つ以上の2’糖修飾ヌクレオシドを含む。いくつかの実施形態では、修飾ヌクレオシド(複数可)の1つ又は複数は、ロックド核酸(LNA)であってもよい。
【0205】
さらなる実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの修飾ヌクレオシド間結合を含む。好適なヌクレオシド間修飾は、「修飾ヌクレオシド間結合」の「定義」セクションに記載されている。本発明のいくつかのオリゴヌクレオチドでは、連続ヌクレオチド配列内のヌクレオシド間結合の少なくとも75%がホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列中のヌクレオチド間結合のすべてがホスホロチオエート結合である。
【0206】
いくつかの実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドは、例えば、インビボ又はインビトロのいずれかで、CARD9標的を発現している細胞(標的細胞)におけるWTCARD9標的の発現を阻害することができる。
【0207】
本発明のオリゴヌクレオチドの核酸塩基の連続配列は、典型的には、オリゴヌクレオチドの長さにわたって測定した場合に、任意に、ミスマッチを除いて、及び任意に、コンジュゲートなどの任意の官能基にオリゴヌクレオチドを連結し得るヌクレオチドベースのリンカー領域、又は他の非相補的末端ヌクレオチド(例えば、領域D’又はD’’)を除いて、配列番号1などのCARD9標的核酸又はその標的配列(例えば、配列番号6、7、8、9、559、560、561、562、563、564又は565からなる群から選択される配列)若しくは標的部位領域(例えば、配列番号10~285からなる群から選択される配列)に相補的である。
【0208】
有利には、本発明のオリゴヌクレオチドの核酸塩基の連続配列は、配列番号285~558又はその少なくとも10個の連続ヌクレオチドから選択される配列に示される配列モチーフを含む。
【0209】
有利には、本発明のオリゴヌクレオチドの核酸塩基の連続配列は、配列番号285~558又はその少なくとも12個の連続ヌクレオチドから選択される配列に示される配列モチーフを含む。
【0210】
有利には、本発明のオリゴヌクレオチドの核酸塩基の連続配列は、配列番号285~558又はその少なくとも14個の連続ヌクレオチドから選択される配列に示される配列モチーフを含む。
【0211】
いくつかの実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドの核酸塩基の連続配列は、配列番号290、294、295、297、300、301、306、307、308、312、317、318、319、322、329、333、337、341、352、353、358、373、374、378、379、380、387、393、394、396、399、400、405、406、407、408、409、411、413、413、414、414、414、415、415、415、416、417、417、417、418、422、424、425、426、429、430、431、433、434、435、436、439、440、441、442、443、446、447、448、449、450、452、453、454、455、456、458、459、460、461、462、464、471、472、490、519、530、533、541、542、546、及び548又はその少なくとも12個の連続ヌクレオチドから選択される配列に示される配列モチーフを含む。
【0212】
いくつかの実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドの核酸塩基の連続配列は、配列番号319、322、396、405、408、413、414、414、429、431、440、442、446、448、449、450、452、453、454、455、456、459、460、及び461又はその少なくとも12個の連続ヌクレオチドから選択される配列に示される配列モチーフを含む。
【0213】
いくつかの実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドの核酸塩基の連続配列は、配列番号413、414、448、449、450、454、456、459、及び460又はその少なくとも12個の連続ヌクレオチドから選択される配列に示される配列モチーフを含む。
【0214】
いくつかの実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドは、290_1、294_1、295_1、297_1、300_1、301_1、306_1、307_1、308_1、312_1、317_1、318_1、319_1、322_1、329_1、333_1、337_1、341_1、352_1、353_1、358_1、373_1、374_1、378_1、379_1、380_1、387_1、393_1、394_1、396_1、399_1、400_1、405_1、406_1、407_1、408_1、409_1、411_1、413_1、413_2、414_1、414_2、414_3、415_1、415_2、415_3、416_1、417_1、417_2、417_3、418_1、422_1、424_1、425_1、426_1、429_1、430_1、431_1、433_1、434_1、435_1、436_1、439_1、440_1、441_1、442_1、443_1、446_1、447_1、448_1、449_1、450_1、452_1、453_1、454_1、455_1、456_1、458_1、459_1、460_1、461_1、462_1、464_1、471_1、472_1、490_1、519_1、530_1、533_1、541_1、542_1、546_1、及び548_1からなる群から選択される。
【0215】
いくつかの実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドは、319_1、322_1、396_1、405_1、408_1、413_2、414_2、414_3、429_1、431_1、440_1、442_1、446_1、448_1、449_1、450_1、452_1、453_1、454_1、455_1、456_1、459_1、460_1、及び461_1からなる群から選択される。
【0216】
いくつかの実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドは、413_2、414_2、448_1、449_1、450_1、454_1、456_1、459_1、及び460_1からなる群から選択される。
【0217】
薬学的に許容され得る塩
さらなる態様では、本発明は、アンチセンスオリゴヌクレオチド又はそのコンジュゲートの薬学的に許容され得る塩、例えば薬学的に許容され得るナトリウム塩又はカリウム塩を提供する。
【0218】
製造方法
さらなる態様では、本発明は、ヌクレオチド単位を反応させ、それによってオリゴヌクレオチドからなる共有結合された連続ヌクレオチド単位を形成することを含む、本発明のオリゴヌクレオチドを製造する方法を提供する。好ましくは、この方法は、ホスホロアミダイト化学を使用する(例えば、Caruthersら(1987年)「Methods in Enzymology」第154巻第287~313頁を参照のこと)。さらなる実施形態では、この方法は、連続ヌクレオチド配列を結合(conjugating)部分(リガンド)と反応させて、コンジュゲート部分をオリゴヌクレオチドに共有結合させることを更に含む。さらなる態様では、本発明のオリゴヌクレオチド又はコンジュゲートしたオリゴヌクレオチドを、薬学的に許容され得る希釈剤、溶媒、担体、塩、及び/又はアジュバントと混合することを含む、本発明の組成物を製造する方法が提供される。
【0219】
医薬組成物
さらなる態様では、本発明は、前述のオリゴヌクレオチド及び/又はオリゴヌクレオチドコンジュゲート又はその塩のいずれかと、薬学的に許容され得る希釈剤、担体、塩及び/又はアジュバントとを含む医薬組成物を提供する。薬学的に許容され得る希釈剤には、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)が含まれ、薬学的に許容され得る塩には、限定するものではないが、ナトリウム塩及びカリウム塩が含まれる。いくつかの実施形態において、薬学的に許容され得る希釈剤は、無菌リン酸緩衝生理食塩水である。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、50~300μM溶液の濃度で薬学的に許容され得る希釈剤中で使用される。
【0220】
用途
本発明のオリゴヌクレオチドは、例えば、診断、治療及び予防法のための研究試薬として利用され得る。
【0221】
研究では、そのようなオリゴヌクレオチドを使用して、細胞(例えば、インビトロ細胞培養物)及び実験動物におけるCARD9タンパク質の合成を特異的に調節し、それによって標的の機能分析又は治療的介入の標的としてのその有用性の評価を促進することができる。典型的には、標的調節は、タンパク質を生成するmRNAを分解又は阻害し、それによりタンパク質形成を防止することによって、又はタンパク質を生成する遺伝子若しくはmRNAのモジュレータを分解若しくは阻害することによって達成される。
【0222】
本発明のオリゴヌクレオチドを研究又は診断に使用する場合、標的核酸は、DNA又はRNAに由来するcDNA又は合成核酸であり得る。
【0223】
本発明は、CARD9を発現している標的細胞におけるCARD9発現の調節(例えばスプライス調節)のためのインビボ又はインビトロ方法を提供し、この方法は、本発明のオリゴヌクレオチドを前記細胞に有効量で投与することを含む。
【0224】
いくつかの実施形態では、標的細胞は、哺乳動物細胞、特にヒト細胞である。標的細胞は、哺乳動物の組織の一部を形成するインビトロ細胞培養物又はインビボ細胞であってよい。いくつかの実施形態では、標的細胞は骨髄細胞又は骨髄系細胞である。いくつかの実施形態では、標的細胞はマクロファージである。いくつかの実施形態では、標的細胞は、腸組織中に存在するか、腸組織から単離されるか、又は腸組織に由来する。
【0225】
診断では、オリゴヌクレオチドを使用して、ノーザンブロッティング、in-situハイブリダイゼーション又は同様の技術により、細胞及び組織におけるCARD9発現を検出及び定量することができる。
【0226】
治療のために、オリゴヌクレオチドは、CARD9の発現を調節することによって処置することができる病気又は疾患を有することが疑われる動物又はヒトに投与することができる。そのような疾患又は障害には、炎症性腸疾患(クローン病及び潰瘍性大腸炎など)、膵炎、IgA腎症、原発性硬化性胆管炎、心血管疾患、がん及び糖尿病が含まれる。
【0227】
本発明は、疾患又は障害、例えば、炎症性腸疾患(例えば、クローン病及び潰瘍性大腸炎)、膵炎、IgA腎症、原発性硬化性胆管炎、心血管疾患、がん及び糖尿病からなる群から選択される疾患又は障害に罹患しているか又は罹患しやすい対象に、治療有効量又は予防有効量の本発明のオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチドコンジュゲート又は医薬組成物を投与することを含む、疾患又は障害を処置又は予防する方法を提供する。
【0228】
本発明の方法は、好ましくは、CARD9の異常なレベル及び/又は活性によって引き起こされる病気の処置又は予防法のために使用される。
【0229】
いくつかの実施形態では、疾患は、炎症性疾患である。
【0230】
いくつかの実施形態では、疾患は、炎症性腸疾患である。例えば、炎症性腸疾患はクローン病である。あるいは、炎症性腸疾患は潰瘍性大腸炎である。
【0231】
投与
いくつかの実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチド又は医薬組成物は、例えば、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内又は筋肉内注射若しくは注入を含む非経口経路によって投与され得る。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、静脈内投与される。別の実施形態では、オリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、皮下投与される。
【0232】
いくつかの実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチド又は医薬組成物は、経口投与又は直腸投与される。いくつかの実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチド又は医薬組成物は、クローン病又は潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患の処置のために経口投与又は直腸投与される。
【0233】
併用療法
いくつかの実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチドコンジュゲート、又は医薬組成物は、別の治療薬との併用処置で使用するためのものである。治療薬は、例えば、上記の疾患又は障害の標準的な治療薬であり得る。
【実施例】
【0234】
実施例1
オリゴヌクレオチド#285_1~#558_1を合成し、WTCARD9 mRNAと比較してΔ11CARD9 mRNAの比率を高めるためにCARD9プレmRNAのスプライシングを調節するそれらの能力を評価した。具体的には、オリゴヌクレオチドが、未処理細胞におけるΔ11CARD9 mRNAのレベルと比較してΔ11CARD9 mRNAのレベルを増強するかどうかを評価した。
【0235】
材料及び方法
細胞:50.000個のTHP-1細胞を96ウェルプレートに播種し、オリゴ(表1)を添加してジムノティック(gymnotic)取り込みを得た。培地中の最終オリゴ濃度は25μMであった。細胞を37℃及び5% CO2で7日間インキュベートした。タイリングされたミックスマーによってカバーされた標的配列は、配列番号6を標的とするオリゴである。対照として、未処理のTHP-1細胞を使用した。
【0236】
液滴デジタルPCRを、以下のプライマー及びプローブを使用してBioRads QX200液滴デジタルPCR(ddPCRTM)システムで行った:
RNA投入のためのローディング対照:
Hs.PT.58v.45621572-HTRP1のエクソン8~9を標的とする予め設計されたHEXに基づくアッセイ。
【0237】
CARD9Δ11転写について:
Hs.CARD9Δ11プローブ /56-FAM/CTCAGACAA/ZEN/AGGACGCAGGCCTG/3IABkFQ/
プライマー1 AGTTCTCAAAACTCTCTTTGAGGC
プライマー2 GGAAGATGGCTCACCCAG
【0238】
応答は以下の式によって計算した:
(CARD9Δ11T/CARD9WTT)/(CARD9Δ11C/CARD9WTC)
式中、
● CARD9Δ11Tは、オリゴ処理細胞において測定されたCARD9Δ11 mRNAのレベルである
● CARD9WTTは、オリゴ処理細胞において測定されたCARD9WT mRNAのレベルである
● CARD9Δ11Cは、未処理細胞(対照)で測定されたCARD9Δ11 mRNAのレベルである
● CARD9WTCは、未処理細胞(対照)で測定されたCARD9WT mRNAのレベルである
【0239】
応答を
図1に示す(濃い灰色のバーを参照)。原則として、この応答は、未処理対照と比較したCARD9Δ11 mRNAの割合の増加を反映している。したがって、応答2は、未処理対照細胞と比較して2倍のCARD9d11 mRNAが処理細胞に存在することを示し、応答3は未処理対照でのレベルの3倍である。言い換えれば、応答は、未処理細胞と比較した、オリゴ処理細胞のCARD9Δ11スキップの増加を指す(THP-1細胞では、オリゴ処理なしで見られるいくつかのCARD9Δ11事象がある)。
【0240】
化合物及びデータ表
オリゴヌクレオチド中の核酸塩基のモチーフを配列番号285~558として示す。化合物は、オリゴヌクレオチド構造(5’-3’)を有する化合物ID番号(#)として命名され、大文字はβ-D-オキシLNAヌクレオシドを指定し、小文字はDNAヌクレオシドを指定し、大文字Cは5-メチルシトシンβ-D-オキシLNAヌクレオシドを指定し、小文字cの前の上付き文字mは5-メチルシトシンDNAヌクレオシドを表し(例えば、配列番号294を参照)、すべてのヌクレオシド間結合はホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【表4-4】
【表4-5】
【表4-6】
【表4-7】
【表4-8】
【表4-9】
【0241】
データは、
図1に例示されるように、驚くべきことに、エクソン11配列内を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドが、例えば、隣接するイントロン配列又はイントロン/エクソン境界を標的とする場合と比較して、Δ11CARD9バリアントの産生を増強するためにCARD9プレmRNAのスプライシングを調節するのに特に効果的であることを例示する。
【配列表】
【国際調査報告】