IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エージーシー グラス ユーロップの特許一覧

特表2023-526119自動車車両のための検出装置のバッフル
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-20
(54)【発明の名称】自動車車両のための検出装置のバッフル
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/481 20060101AFI20230613BHJP
   G01S 7/03 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
G01S7/481 A
G01S7/03 246
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022571781
(86)(22)【出願日】2021-05-21
(85)【翻訳文提出日】2022-12-07
(86)【国際出願番号】 EP2021063632
(87)【国際公開番号】W WO2021239615
(87)【国際公開日】2021-12-02
(31)【優先権主張番号】20176248.1
(32)【優先日】2020-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510191919
【氏名又は名称】エージーシー グラス ユーロップ
【氏名又は名称原語表記】AGC GLASS EUROPE
【住所又は居所原語表記】Avenue Jean Monnet 4, 1348 Louvain-la-Neuve, Belgique
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【弁理士】
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】リ, メイジエ
(72)【発明者】
【氏名】サルトナエ, ヤニック
【テーマコード(参考)】
5J070
5J084
【Fターム(参考)】
5J070AC02
5J070AC06
5J070AC11
5J070AF03
5J070AF06
5J070AK28
5J084AA05
5J084AC02
5J084AC04
5J084BA20
(57)【要約】
本発明は、検出装置に関する。この検出装置は、波長範囲内で作動するセンシング装置と、作動波長範囲において透明なカバーと、そのような一体化されたセンシング装置の実装設計に対する影響が全くないか又は限定された状態で反射ノイズを効率的に低減するために配置されたバッフルとを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.センシング装置(2)であって、
i.発信軸に沿って発信するエミッタ、
ii.受信軸に沿って受信するレシーバ
を含み、前記エミッタ及び前記レシーバの両方は、一定の波長範囲内で作動し、前記センシング装置(2)は、前記発信軸と前記受信軸との間の中心軸として画定されるセンシング軸(21)を有し、前記センシング装置(2)は、一定の視野を有し、前記センシング装置(2)は、前記波長範囲内の波が通過する開口部を有する、センシング装置(2)、
b.前記センシング装置(2)の前記開口部に面するカバー(3)であって、前記センシング装置(2)の前記センシング軸(21)に対して角度Aを画定し、前記センシング装置(2)の前記作動波長範囲において透明であるカバー(3)、
c.前記センシング装置(2)の前記開口部で測定して、前記センシング装置(2)の前記センシング軸(21)から距離dに配置されたバッフル(4)であって、前記カバー(3)に向かって延在し、前記カバー(3)に対して角度Bを画定し、且つ前記センシング装置(2)の前記センシング軸(21)に対して角度Cを画定し、前記センシング装置(2)の前記視野の外側に配置されるバッフル(4)
を含む検出装置(1)において、
前記距離dは、前記バッフルによって散乱(43)されて前記カバー(3)に戻り、その後、前記カバー(3)によって反射(32)されて、前記センシング装置(2)の前記レシーバによって検出される波の強度が、前記センシング装置(2)の前記エミッタによって発信(23)され、その後、前記カバー(3)によって前記バッフル(4)に向かって反射(34)される波の強度の最大50%、好ましくは20%、より好ましくは10%、さらにより好ましくは0%であるように決定されることを特徴とする検出装置(1)。
【請求項2】
前記バッフル(4)は、前記センシング装置(2)の前記センシング軸(21)に平行であることを特徴とする、請求項1に記載の検出装置(1)。
【請求項3】
前記バッフル(4)は、前記センシング装置(2)又は前記センシング装置(2)の周囲構成要素を一体化するためのブラケットの一部であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の検出装置(1)。
【請求項4】
前記センシング装置(2)は、レーダーであることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の検出装置(1)。
【請求項5】
前記センシング装置(2)は、ライダー、より好ましくはソリッドステートライダーであることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の検出装置(1)。
【請求項6】
前記センシング装置(2)の前記波長範囲は、750nm~1650nmであることを特徴とする、請求項5に記載の検出装置(1)。
【請求項7】
前記カバー(3)は、ガラス製であることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の検出装置(1)。
【請求項8】
前記カバー(3)は、750~1650nmの波長範囲において、15m-1より低い吸収係数を有することを特徴とする、請求項7に記載の検出装置(1)。
【請求項9】
前記カバー(3)は、自動車用グレージング又は自動車用付属品若しくは自動車用トリム要素の少なくとも一部であることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の検出装置(1)。
【請求項10】
前記カバー(3)は、自動車用グレージング又は自動車用付属品若しくは自動車用トリム要素の背後に配置されることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の検出装置(1)。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の検出装置(1)の使用において、前記検出装置(1)は、自動車車両に設置されることを特徴とする使用。
【請求項12】
前記センシング装置(2)は、ライダー、より好ましくはソリッドステートライダーであることを特徴とする、請求項11に記載の検出装置(1)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センシング装置と、カバーと、バッフルとを含む、決められた波長範囲内の波で作動する検出装置に関する。カバーは、センシング装置の作動波長範囲において透明である。
【0002】
より詳細には、本発明は、センシング装置としてのライダー(光検出及び測距)に関する。
【背景技術】
【0003】
今日、自律走行車両を使用する傾向がある。自律走行車両は、ドライバーレス車両、自動運転車両又はロボット車両とも呼ばれ、人間の入力なしに自ら環境を解析して航行することができる車両である。自動推進車両には、車、バン、ローリー、オートバイ、バス、路面電車、電車、飛行機、ヘリコプター等が含まれる。
【0004】
自律走行車両は、レーダー、ライダー、カメラ、ソナーなどの様々なセンシング装置を用いて周囲環境を検出する。次に、これらのセンシング装置を介して受信された情報は、車両の航行経路を決定するために処理され、車両がその環境の固定物及び移動体に衝突することなく航行することを可能にする。
【0005】
ADAS(先進運転支援システム)は、車両の周囲の状況に基づいてドライバーを支援するための検出技術も必要とする。
【0006】
あらゆる検出技術の中でも、ライダーは、解像度の高い3次元画像を提供する非常に有用なものである。ライダーは、ターゲットにレーザー光を照射し、その反射光をセンサーで測定することでターゲットまでの距離を測定する技術である。レーザーの戻り時間及び波長の差を利用して、ターゲットをデジタル3Dで表現することができる。ライダーは、3Dレーザースキャンとも呼ばれる。ライダーには、走査型ライダー、回転型ライダー、点滅型ライダー、ソリッドステートライダーなどのいくつかの種類がある。走査型ライダー及び回転型ライダーは、連続したレーザーを使用するのに対して、点滅型ライダー及びソリッドステートライダーは、レーザーパルスを使用する。
【0007】
センシング装置は、独立したデバイスとして車両に一体化され得る。それは、次に、カバーを含む保護筐体で囲まれる。それらは、フロントガラス、後部ガラス、サイドガラスなど、既存のカバーの後ろに一体化することもできる。それらは、トリム要素の後ろに一体化することもできる。自動車用トリム要素は、その魅力を高めるか、又は車両の美観を損ねる部分を隠すために、車両の内装又は外装に追加することができる物品を指す。
【0008】
一体化のタイプに応じて、カバーは、センシング装置の作動波長範囲に対して透明である限り、ガラス、プラスチック及び/又は他の材料で作ることができる。それは、様々な形状をとることができる。それは、平らであるか又は曲げられ得る。カバーは、センシング装置のセンシング軸に対して垂直に又は所定の角度で配置することができる。
【0009】
センシング装置の前にカバーがあると、センシング装置から発信される信号の反射が生じる。この信号がセンシング装置に反射することで、強い反射ノイズが発生し、実際の検出信号を乱すことがある。
【0010】
センシング装置を車両に一体化すると、センシング装置自体の近くにバッフルが存在することになり得る。このバッフルは、センシング装置を一体化するためのブラケットの一部であるか、又はブラケットがない場合には周囲の部品であり得る。バッフルは、より一般的には、センシング装置を保護するために使用される筐体及び/又はパッケージの一部であり得る。このバッフルの表面は、センシング装置によって発信された信号を散乱及び/又は反射させ、さらなる反射ノイズを引き起こす可能性がある。
【0011】
この反射ノイズを回避するために、反射防止コーティングなどの処理をカバーに施すことにより、カバーの反射及び/又は散乱を低減させる努力がなされている。しかしながら、表面反射を完全に回避することは、現実的に困難である。反射ノイズは、低減され得るが、完全に除去されることはほとんどない。また、表面処理を行うと、製造の難易度が上がり、コストも高くなる。さらに、表面処理は、カバーの機械的又は熱的耐性を低下させるなど、カバーの特定の特性に影響を与える可能性がある。
【0012】
ノイズを低減する別の可能性は、バッフル表面の散乱プロファイル及び反射効率を修正することである。しかしながら、反射ノイズが実際の検出信号よりはるかに強い場合、これは、有効でない。さらに、バッフル表面の修正は、製品の設計及び製造に制約をもたらし、製造コストを増加させる可能性がある。
【0013】
反射ノイズに対処する別の方法は、カバーに対するセンシング装置の向きを調整することである。しかしながら、この方法は、センシング装置を車両に一体化することに起因する制約と両立しないことが多い。
【発明の概要】
【0014】
本発明は、このような一体型センシング装置の実装設計に対する影響が全くないか又は限定された状態でこの反射ノイズを効率的に低減するための解決策を提案する。
【0015】
本発明は、検出装置に関する。この検出装置は、センシング装置を含む。このセンシング装置は、発信軸に沿って発信する1つ又は複数のエミッタと、受信軸に沿って受信する1つ又は複数のレシーバとを含む。エミッタ及びレシーバの両方は、一定の波長範囲内で作動する。検出装置は、発信軸と受信軸との間の中心軸として画定されるセンシング軸を有する。センシング装置は、一定の視野及び一定の波長範囲内の波が通過する開口部も有する。
【0016】
検出装置は、その開口部に面するカバーをさらに含む。カバーは、センシング装置のセンシング軸に対して角度Aを画定する。カバーは、センシング装置の作動波長範囲において明らかに透明である。
【0017】
検出装置は、バッフルも含む。このバッフルは、センシング装置の開口部で測定して、センシング装置のセンシング軸から距離dに配置される。バッフルは、カバーに向かって延在する。バッフルは、カバーに対して角度Bを画定し、且つセンシング装置のセンシング軸に対して角度Cを画定する。バッフルは、明らかにセンシング装置の視野の外側に配置される。バッフルは、平らであるか、傾いているか又は曲がっていることができる。
【0018】
距離dは、バッフルによって散乱されてカバーに戻り、その後、カバーによって反射されて、センシング装置の受信機によって検出される波の強度が、センシング装置のエミッタによって発信され、その後、カバーによってバッフルに向かって反射される波の強度の最大50%、好ましくは20%、より好ましくは10%、さらにより好ましくは0%であるように決定される。
【0019】
距離dは、実際に、センシング装置に送り返されるバッフル反射ノイズがないか又は少ないように、最大距離(maximal distance)(最大距離(max.distance))と呼ばれる特定の値未満であることが要求される。最大距離は、センシング装置の設計、バッフル表面形状及び散乱/反射特性、カバーとのバッフル角度B、センシング装置のセンシング軸とのバッフル角度C、カバー形状及び表面反射特性、センシング装置とカバーとの間の距離s並びにカバーとセンシング装置のセンシング軸との角度Aのようなシステム設計に依存する。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、バッフルは、センシング装置のセンシング軸に平行である。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、バッフルは、センシング装置又はセンシング装置の任意の周囲構成要素を一体化するためのブラケットの一部であり得る。バッフルは、より一般的には、センシング装置を保護するために使用される筐体及び/又はパッケージングの一部であり得る。
【0022】
本発明の一実施形態によれば、センシング装置は、レーダーである。レーダーは、周囲の物体の範囲、角度又は速度を決定するために電波を使用する検出システムである。レーダーは、周囲の物体の特性を決定するために、少なくとも電波(又はマイクロ波)のエミッタ及びレシーバを含む。エミッタからの電波(パルス又は連続)が物体に反射してレシーバに戻ると、その物体の位置及び速度に関する情報が得られる。ドライバーレス車両の出現により、レーダーは、自動化プラットフォームがその環境を監視することを支援し、その結果、望ましくない事故を防止することが期待される。
【0023】
本発明の一実施形態によれば、センシング装置は、ライダーである。あらゆる検出技術の中でも、ライダーは、良好な解像度を有する3D画像を提供するのに非常に有用である。ライダーは、ターゲットにレーザー光を照射し、その反射光をセンサーで測定することでターゲットまでの距離を測定する技術である。レーザーの戻り時間及び波長の差を利用して、ターゲットをデジタル3Dで表現することができる。
【0024】
ライダーは、走査型、回転型、点滅型又はソリッドステートライダーであり得る。レーダーと同様に、ライダーは、少なくともエミッタ及びレシーバを含むが、電磁スペクトルの他の部分を利用する。ライダーは、光波、より一般的にはレーザーからの赤外線を使用する。
【0025】
本発明の好ましい実施形態によれば、ライダーの波長範囲は、750nm~1650nmである。この範囲は、不可視且つ人間の目に対する安全性を保ちながら、車両に対する通常の障害物の良好な検出を可能にする。
【0026】
本発明の一実施形態によれば、カバーは、ガラス製である。ガラス板は、当然のことながら、センシング装置の作動波長範囲に対して依然として透明でなければならない。ガラスの使用は、例えば、ガラス自体の霜取り又は除湿のために効率的に加熱される可能性を提供する。ガラスは、外部環境に対するその機械的耐性及び化学的耐久性の点からも選択され得る。しかしながら、カバーは、センシング装置の作動波長範囲に対して透明である限り、プラスチック又は他の材料で作られ得る。
【0027】
好ましくは、カバー又はガラス板は、750~1650nmの波長範囲において、15m-1より低い吸収係数を有する。したがって、ガラスは、ソーダ石灰シリカ型ガラス、アルミノケイ酸、ホウケイ酸等であり得る。好ましくは、ガラス板は、エクストラクリアガラスである。
【0028】
本発明の一実施形態によれば、カバーは、フロントガラス、サイドガラス、後部ガラスなどの自動車用グレージングの一部である。国際公開第2018015312号パンフレット(参照により本明細書に組み込まれる)は、そのような種類の自動車用グレージングを示している。代替的に、カバーは、自動車用グレージングの背後に配置され得る。
【0029】
カバーは、バンパー、ルーフ、フェンダーなどの自動車付属品又は自動車トリム要素の一部でもあり得る。国際公開第2018015313A1号パンフレット(参照により本明細書に組み込まれる)は、そのような種類のトリム要素を示している。
【0030】
代替的に、カバーは、自動車付属品又は自動車トリム要素の背後に配置され得る。
【0031】
本発明は、自動車車両における本発明の検出装置の使用にも関する。検出装置のセンシング装置は、好ましくは、ライダー、より好ましくはソリッドステートライダーである。
【0032】
本発明及び先行技術に対して達成された利点を要約する目的で、本発明の特定の目的及び利点を本明細書で上述した。当然のことながら、必ずしもすべてのそのような目的又は利点が本発明の任意の特定の実施形態に従って達成され得るわけではないことを理解されたい。したがって、例えば、当業者は、本明細書で教示又は示唆され得る他の目的又は利点を必ずしも達成することなく、本明細書で教示される1つの利点又は利点の群を達成又は最適化する方法で本発明が具体化又は実施され得ることを認識するであろう。
【0033】
本発明の上記及び他の態様は、以下に記載する実施形態を参照することにより明らかとなり、解明されるであろう。
【0034】
ここで、本発明を、添付の図面を参照して例としてさらに記載し、同様の参照数字は、様々な図において同様の要素を指す。これらの例は、説明のために提供されるものであり、限定するものではない。図面は、概略的な表現であり、縮尺に忠実ではない。図面は、本発明を何ら限定するものではない。より多くの利点は、例を用いて説明される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1a】本発明の一実施形態の全体図である。
図1b】本発明の他の実施形態である。
図2】本発明の他の実施形態である。
図3】バッフルによる信号の散乱を概略的に示す。
図4a-4b】バッフルによる信号の後方散乱を概略的に示す。
図5-6】数値シミュレーションの結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明を、特定の実施形態に関して且つ特定の図面を参照して記載するが、本発明は、それに限定されるものではない。
【0037】
本明細書を通して、「一実施形態」又は「実施形態」への言及は、その実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造又は特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書中の様々な箇所における「一実施形態において」又は「実施形態において」という語句の出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態を指すわけではないが、その可能性もある。さらに、特定の特徴、構造又は特性は、本開示から当業者に明らかであるように、1つ又は複数の実施形態において任意の適切な方法で組み合わされ得る。
【0038】
同様に、本発明の例示的な実施形態の記載において、本開示を合理化し、様々な発明的態様の1つ又は複数の理解を促進する目的のため、本発明の様々な特徴は、単一の実施形態、図又はその記載においてグループ化され得ることを理解されたい。しかしながら、この開示方法は、特許請求される本発明が、各請求項に明示的に記載されている以上の特徴を必要とするという意図を反映するものと解釈してはならない。むしろ、以下の請求項が反映するように、発明的態様は、単一の前述の開示された実施形態のすべての特徴よりも少ない特徴に存在する。したがって、詳細な説明に続く請求項は、この詳細な説明に明示的に組み込まれ、各請求項は、本発明の別個の実施形態としてそれ自体で成り立っている。
【0039】
図1aに示すように、検出装置(1)は、一定の波長範囲内で作動するセンシング装置(2)を含む。センシング装置(2)は、一般に、発信軸(図示せず)に沿って発信するエミッタ(図示せず)と、受信軸(図示せず)に沿って受信するレシーバ(図示せず)とを有する。センシング軸(21)は、エミッタ軸とレシーバ軸との間の中心軸として画定される。また、センシング装置(2)は、決められた視野と、一定の波長範囲内の波が通過する開口部とを有する。この波は、センシング軸(21)に沿って伝搬する。
【0040】
検出装置(1)は、センシング装置(2)の開口部に面し、センシング装置(2)のセンシング軸(21)に対して角度Aを画定するカバー(3)も含む。カバー(3)は、センシング装置(2)の作動波長範囲において透明である。
【0041】
検出装置(1)は、バッフル(4)も含む。この実施形態では、バッフルは、センシング装置の開口部で測定して、センシング装置(2)のセンシング軸(21)から距離dにおいて、センシング装置(2)の下に少なくとも部分的に配置される。バッフル(4)は、カバー(3)に向かって延在する。バッフル(4)は、カバー(3)に対して角度Bを画定し、センシング装置(2)のセンシング軸(21)に対して角度Cを画定する。バッフル(4)は、明らかにセンシング装置(2)の視野の外側に配置される。
【0042】
図1bに示すように、バッフル(4)は、センシング装置(2)の上方に配置することも可能である。より一般的には、バッフル(4)は、センシング装置(2)のセンシング軸(21)の全周に配置され得る。
【0043】
好ましい実施形態では、図2に示すように、バッフル(4)は、センシング装置(2)のセンシング軸(21)に平行であり、バッフル(4)は、カバー(3)まで延在する。
【0044】
図3、4a、4bは、波の経路を単に概略的に示す。複数の反射及び散乱を含む完全な経路は、示唆されているに過ぎない。
【0045】
図3は、バッフル(4)による信号の散乱を概略的に示す。反射ノイズへの主な寄与は、センシング装置(2)によって発信され(23)、その後、カバー(3)によってバッフル(4)に向かって反射され(34)、その後、バッフル(4)によってセンシング装置(2)に向かって散乱される(42)信号であると一般に考えられる。しかしながら、この経路は、一般に、センシング装置(2)のレシーバの検出範囲の外側であるように見える。
【0046】
図4a及び4bは、バッフル(4)による信号の後方散乱を概略的に示す。反射ノイズの大部分は、センシング装置(2)によって発信され(23)、その後、カバー(3)によってバッフル(4)に向かって反射(34)され、その後、散乱されて(43)カバー(3)に戻り、その後、カバー(3)によってセンシング装置(2)のレシーバに反射される(32)信号によるものである。
【0047】
図4bでは、便宜上及び視認性のために、後方散乱信号(43)は、単一の矢印として描かれ、散乱信号(43及び32)を発信信号(23及び34)と区別するために、その経路がシフトされた状態で描かれている。
【0048】
後方散乱信号が反射ノイズに寄与している可能性があることが確認された。この発見は、反射ノイズが除去、少なくとも低減されるように距離dの最大距離を決定するための、センシング装置(2)、カバー(3)及びバッフル(4)の数値シミュレーションを容易にする。このような数値シミュレーションは、電磁放射の場合、フレネル係数及びレイトレーシングに基づくことができる。
【0049】
例えば、センシング装置(2)は、水平方向のFOVが30°であり、垂直方向のFOVが10°のライダーである。カバー(3)は、ライダーの作動波長範囲に対して透明なガラス板であり、水平方向135mm、垂直方向75mmの寸法である。バッフル(4)の反射率は、5%のランバート散乱と定義される。
【0050】
図5は、数値シミュレーションの結果を示し、カバー(3)と、ライダー(2)の光軸(21)との間の角度Aは、25°に固定されている。ライダー(2)からカバー(3)までの距離sは、35mm~115mmで変化する。シミュレーションの結果、カバー(3)をライダー(2)から離して配置する場合、バッフル(4)をライダー(2)に近づけて配置する必要があることが分かった。すなわち、ライダー(2)とカバー(3)との間の距離sが大きくなると、ライダー(2)とバッフル(4)との間の距離dは、反射ノイズをカットするか又は少なくとも低減するために小さくなる。
【0051】
図6は、ライダー(2)からカバー(3)までの距離sを75mmに固定し、カバー(3)と、ライダー(2)の光軸(21)との間の角度Aを20°~80°で変化させた別のシミュレーションの結果を示す。シミュレーションは、角度Aが20°から50°に広がるにつれて、バッフル(4)がライダー(2)から少し離れて配置される可能性があることを示した。50°を超えると、バッフル(4)をライダー(2)に近づけて配置する必要がある。
【0052】
フロントガラスの背後にライダー(2)を一体化することに関して、フロントガラスの傾斜は、通常、25°~40°である。ライダー(2)は、フロントガラスより通常5°小さい角度で設置されるため、角度Aは、20°~35°である。そのため、距離dの最大距離は、25mm~40mmで選択される。
【0053】
本発明は、図面及び前述の記載において詳細に図示及び記載されているが、このような図示及び記載は、説明に役立つためのもの又は例示的なものであるとみなされ、限定的なものではない。前述の記載は、本発明の特定の実施形態を詳述するものである。しかしながら、前述が文章でどのように詳細に現れても、本発明は、多くの方法で実施され得ることが理解されるであろう。本発明は、開示された実施形態に限定されるものではない。
図1a
図1b
図2
図3
図4a-4b】
図5-6】
【国際調査報告】