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特表2023-526125燃料電池システムに燃料供給する方法および燃料電池システム集合体
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  • 特表-燃料電池システムに燃料供給する方法および燃料電池システム集合体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-20
(54)【発明の名称】燃料電池システムに燃料供給する方法および燃料電池システム集合体
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04082 20160101AFI20230613BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20230613BHJP
   H01M 8/04298 20160101ALI20230613BHJP
   H01M 8/04313 20160101ALI20230613BHJP
   H01M 8/0444 20160101ALI20230613BHJP
   H01M 8/04955 20160101ALI20230613BHJP
   H01M 8/043 20160101ALI20230613BHJP
   H01M 8/04746 20160101ALI20230613BHJP
   H01M 8/04858 20160101ALI20230613BHJP
【FI】
H01M8/04082
H01M8/04 J
H01M8/04298
H01M8/04313
H01M8/0444
H01M8/04955
H01M8/043
H01M8/04746
H01M8/04858
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022571862
(86)(22)【出願日】2021-04-14
(85)【翻訳文提出日】2022-11-22
(86)【国際出願番号】 EP2021059624
(87)【国際公開番号】W WO2021239315
(87)【国際公開日】2021-12-02
(31)【優先権主張番号】102020206698.1
(32)【優先日】2020-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】クラウゼ,クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】オルブリッヒ,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】シュトラール,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】マンガ,ビルゲ
【テーマコード(参考)】
5H127
【Fターム(参考)】
5H127AB03
5H127AB04
5H127AB14
5H127AB17
5H127AC07
5H127DA05
5H127DB02
5H127DB04
5H127DB08
5H127DB82
5H127DC02
5H127DC08
5H127DC42
5H127DC50
5H127DC90
(57)【要約】
本発明は、複数の燃料電池システム(SysA、SysB)の集合体(10)において動作する燃料電池システム(SysA、SysB)に燃料供給する方法、および燃料電池システム集合体(10)に関する。本発明により、燃料供給過程の実行中に、集合体(10)によって動作する負荷(100)を、燃料電池システム(SysA、SysB)の燃料電池(FC1、FC2)に割り当てられた燃料供給装置20で引き続き動作させることができる方法が提供される。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池(FCx)に燃料を給送するための複数の燃料供給装置(20)であって、前記燃料供給装置(20)の各々が前記燃料電池(FCx)のうちの少なくとも1つに割り当て可能であるか、または割り当てられている複数の燃料供給装置と、燃料電池(FCx)および燃料供給装置(20)の動作を監視および制御するために用いられる制御装置(50)と、を備える、複数の燃料電池システム(SYSA、SYSB)の集合体(10)において動作する燃料電池システム(SYSA、SYSB)に燃料供給する方法であって、前記集合体(10)によって少なくとも1つの負荷(100)に電力が供給され、前記燃料電池システム(SYSA、SYSB)がそれぞれ少なくとも1つの燃料電池(FCx)を有し、
前記方法は、
a)前記制御装置(50)によって、センサ信号またはパラメータの予め定められた値をもとにして前記燃料供給装置(20)のうちの少なくとも1つの燃料供給の必要性を認識するステップ(S1)と、
b)前記燃料供給されるべき燃料供給装置(20)が割り当てられている燃料電池(単数または複数)(FCx)が属する燃料電池システム(SYSA、SYSB)の出力電力を前記燃料電池システム(SYSA、SYSB)の集合体(10)から分離するステップ(S2)と、
c)残った前記燃料電池システム(SYSA、SYSB)の集合体(10)によって前記負荷(100)を動作させて、当該それぞれの燃料供給装置(20)の燃料供給を実行するステップ(S3)と、
d)前記当該燃料供給装置(20)の燃料供給過程を終了するステップ(S4)と、
e)前記先に分離された燃料電池システム(SYSA、SYSB)を前記燃料電池システム集合体(10)と再び接続するステップ(S5)と、
を包含する方法。
【請求項2】
f)ステップa)を新たに実行して別の燃料供給装置(20)の燃料供給の必要性が認識される場合、前記ステップa)~e)を新たに実行する、さらなるステップを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ステップa)~e)もしくはa)f)の実行中、前記燃料電池システム(SysA、SysB)の集合体(10)によって連続的に電力が生成および利用可能にされる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
燃料供給中に前記燃料電池システム(SysA、SysB)の集合体(10)によって利用可能にされた電力によって、とりわけ前記燃料供給された燃料供給装置(20)に割り当てられた燃料電池システム(SysA、SysB)の機能装置(BoPx)および/またはタンクステーションに供給される、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つの燃料電池システム(SysA、SysB)は、燃料供給装置(20)の燃料供給中に燃料供給されない、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
それぞれ少なくとも1つの燃料電池(FCx)を有する複数の燃料電池システム(SysA、SysB)が設けられ、かつ少なくとも1つの負荷(100)に電力を供給するように設定されている燃料電池システム集合体(10)であって、
前記燃料電池(FCx)に燃料を給送する複数の燃料供給装置(20)であって、前記燃料供給装置(20)の各々が、前記燃料電池(FCx)のうちの少なくとも1つに割り当て可能であるか、または割り当てられている、複数の燃料供給装置と、前記燃料電池システム(SysA、SysB)および燃料供給装置(20)の動作を監視および制御する制御装置(50)と、を備え、前記制御装置(50)が、前記燃料供給装置(20)のうちの少なくとも1つに燃料供給するために、この燃料供給装置に割り当てられた前記当該燃料電池システム(SYSA、SYSB)の燃料電池(FCx)を前記燃料電池システム(SysA、SysB)の集合体(10)から電気的に分離し、場合によってはオフにするのに対して、残った集合体としてのその他の燃料電池システム(SysA、SysB)の少なくとも一部は前記負荷に電力を十分に供給する、燃料電池システム集合体。
【請求項7】
燃料供給装置(20)は、少なくとも2つの燃料電池(FCx)からなるそれぞれ1つの燃料電池システム(SysA、SysB)に割り当てられている、請求項6に記載の燃料電池システム集合体(10)。
【請求項8】
前記燃料供給装置(20)の各々が、同じ数の燃料電池(FCx)に割り当てられている、請求項6または7に記載の燃料電池システム集合体(10)。
【請求項9】
前記燃料電池システム集合体(10)の前記燃料電池システム(SysA、SysB)の各々は、前記負荷(100)に単独で十分に供給するのに足りるように企図および形成されている、請求項6から8までのいずれか1項に記載の燃料電池システム集合体(10)。
【請求項10】
少なくとも1つの充填レベル、少なくとも1つの濃度、前記集合体(10)からの燃料電池システム(SysA、SysB)の分離、またはその遮断、あるいは燃料供給装置(20)の燃料供給の状況の少なくとも有無を検出する、および信号で伝えるセンサ装置(60)を有するように企図および設定されている、請求項6から9までのいずれか1項に記載の燃料電池システム集合体(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池に燃料を給送するための複数の燃料供給装置であって、燃料供給装置の各々が燃料電池のうちの少なくとも1つに割り当て可能であるか、または割り当てられている複数の燃料供給装置と、燃料電池および燃料供給装置の動作を監視および制御するために用いられる制御装置と、を備える、複数の燃料電池システムの集合体において動作する燃料電池システムに燃料供給する方法であって、集合体によって少なくとも1つの負荷にエネルギーが供給され、燃料電池システムがそれぞれ少なくとも1つの燃料電池を有する、方法に関する。さらに、本発明は、それぞれ少なくとも1つの燃料電池を有する複数の燃料電池システムにより少なくとも1つの負荷にエネルギーを供給するように企図および設定されている燃料電池システム集合体に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池もしくは燃料電池システムは、今では広く使用されている。これは、車両の分野では、車両の駆動装置のみならず、例えば貨物を冷却するために電力を必要とする様々な構造物にも当てはまる。
【0003】
燃料電池では化学反応によって電流が生成される。その際、燃料と酸化剤が反応生成物としての電気エネルギーと水に変換される。この場合、燃料電池は、実質的にアノード部と膜とカソード部とからなる。化学反応で放出された電子は電流として、例えば自動車の電気モータなどの消費機器を通って流れる。
【0004】
このような燃料電池システムは、例えば特許文献1から知られている。
【0005】
他の技術分野においても、燃料電池もしくは燃料電池システムを、例えばサーバファームでは、とりわけそれらの性能自体のために、そして冷却タスクにも用いることができ、船舶航行では、例えばクルーズ船やコンテナ船の補助電源装置が想起され得る。
【0006】
例えば車両に使用されるような燃料電池システムについて考えると、安全技術上の理由から、燃料供給中はシステムをオフにする必要がある。これは、燃料供給過程中に燃料電池システムから電力を出力してはならないか、またはすることができないことを意味する。しかしその一方で、燃料供給過程中に必要な機能性(例えばシステム内のH濃度の監視など)を提供するために、燃料電池システムに電力が供給されることが保証されるべきでさえあるので、通常、車両に存在する、場合によってはそれ用に定めて設けられた車載のバッテリが使用される。他の形態では、例えばタンクステーション自体によって供給を確保することもできる。この場合、上記の形態は両方とも、供給装置の保有に関する、ならびにそれらの管理および保守のコストを上昇させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】独国特許発明第10028331号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明により、有利にも、燃料電池に割り当てられた、それぞれの燃料を供給するための燃料供給装置をより低いコストで実行することができ、それと同時に燃料電池システムによって動作させる負荷の中断のない動作を保証することができる、燃料電池システムに燃料供給する方法、および燃料電池システムの集合体が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、上記の利点は請求項1の特徴を有する方法によって実現される。
【0010】
したがって、本発明の根底をなす思想は、冒頭で述べた種類の方法において、以下のステップ、
a)制御装置によって、センサ信号またはパラメータの予め定められた値をもとにして燃料供給装置のうちの少なくとも1つの燃料供給の必要性を認識するステップ、
b)燃料供給されるべき燃料供給装置が割り当てられている燃料電池(単数または複数)が属する燃料電池システムの出力電力(Leistungsabgabe)を燃料電池システムの集合体から分離するステップ、
c)残った燃料電池システムの集合体によって()を動作させて、当該それぞれの燃料供給装置の燃料供給を実行するステップ、
d)当該燃料供給装置の燃料供給過程を終了するステップ、
e)先に分離された燃料電池システムを燃料電池システム集合体と再び接続するステップ、が実行されるということである。
【0011】
それに応じて、本発明による方法では、まず、動作中、すなわち少なくとも1つの負荷を動作させている間、燃料電池システムに割り当てられた燃料供給装置に、例えば連続的にその充填レベルに関して照会されるか、または少なくとも1つのセンサの相応の、継続的に更新されるセンサ信号が恒久的に存在する。それぞれの負荷の恒久的に一定の消費量が既知である場合、燃料供給装置の燃料供給の必要性を特定期間の経過から簡単に明らかにすることもできる。制御装置は、これに提供されたパラメータをもとにして、燃料供給過程の必要性を検知することができる。例えば、供給されるべき負荷について、途中時間での燃料供給過程が必要ないか、またはありそうにないと思わせる比較的長い動作が計画されているという状況からもこの必要性を明らかにすることができる。次のステップにおいて、燃料供給されるべき燃料供給装置によって燃料が供給される、すなわち燃料供給されるべき燃料供給装置が割り当てられた燃料電池を有する燃料電池システムの出力電力が、燃料電池システムの集合体から分離される。この場合、当該燃料電池システムは、周知のように、少なくとも1つの燃料電池を有してもよいし、複数の燃料電池を有してもよい。この場合、重要なのは、1つまたは複数の燃料電池を有するそれぞれの燃料電池システムを、集合体の出力電力から分離することであり、例えば、相応の安全要求があるので、燃料供給過程の間、それぞれの燃料電池システムをすべてオフにすることも考えられる。次のステップにおいて、負荷への出力電力から分離された燃料電池システム、もしくはその燃料電池に割り当てられた当該燃料供給装置の燃料供給が実行され、負荷を残った燃料電池システムの集合体によって引き続き動作させ、すなわち電気エネルギー(電力)が引き続き供給される。当該燃料供給装置の燃料供給過程が終了した後に、さらなるステップにおいて、燃料電池システムの集合体から分離された燃料電池システムが再びこれと接続される。
【0012】
従属請求項において、本発明の有利な実施形態および改良形態が見いだされる。
【0013】
燃料供給装置の十分な燃料供給を恒久的に確保するための本発明による方法の有利な一変形形態は、上記の方法ステップのうちの第1の方法ステップにおいて、燃料供給装置のうちの1つの燃料供給の必要性が新たに認識されるという条件のもとで、上記の方法ステップが新たに実行される方法ステップであり得る。この場合、基本的に、燃料電池システムの集合体の燃料供給装置のどれもが問題になり得る。すなわち、有利には、制御装置の側から燃料供給装置のうちの1つが燃料供給過程を必要とするかどうかの照会が行われ、それによりシステムの側で適時に必要な措置を開始することができる。これは、例えば、燃料電池システムの集合体のすべての燃料供給装置に自動的に順次燃料供給されるか、あるいは同時に必要な出力電力が保証されている限りで、所定のパターンまたはスキームに従って、さらには任意累積的に複数の燃料供給装置に同時に燃料供給することができるということにつながり得る。
【0014】
本発明による方法の好ましい発展形態では、上記の方法ステップの実行中に、燃料電池システムの集合体の側で電力が連続的に生成され、少なくとも1つの負荷に提供され、それにより後者を中断のない連続動作で動作させることができる。
【0015】
場合によっては外部から提供されるエネルギー源に依存しない本発明による方法の別の有利な一変形形態では、燃料供給中に燃料電池システムの集合体によって提供される電力によって、とりわけ、燃料供給された燃料供給装置に割り当てられた燃料電池システムの機能装置および/またはタンクステーションに供給することができる。上記の機能装置が対象として含む機能性は、例えばそれぞれの燃料電池システム内のH2濃度の監視であり得、それによりこのためにいつもなら設けられるバッテリを省略することができる。さらに、他の基本的に任意の電動の機能装置も考えられる。さらに、それぞれの1つまたは複数の燃料供給装置に燃料を給送するタンクステーションを提供された電力により供給/動作させることもさらに可能である。
【0016】
電力の恒久的な供給は、少なくとも1つの燃料電池システムが燃料供給装置の燃料供給中に燃料供給されない本発明による方法の別の有利な変形形態により確保される。その場合、制御装置のタスクは、燃料電池システムの集合体の少なくとも1つの燃料電池システムの出力電力が恒久的に行われ、このようにして恒久的な電力供給が確保されるように燃料電池システムの集合体を監視することであり得る。
【0017】
同様に有利にも、本発明を用いて、制御装置が、燃料供給装置のうちの少なくとも1つに燃料供給するためにこの燃料供給装置に割り当てられた燃料電池システムを燃料電池システムの集合体から(電気的に)分離し、場合によってはオフにするのに対して、その他の燃料電池システムの少なくとも一部は、残った集合体として、負荷に十分にエネルギー供給する、冒頭で述べた種類の燃料電池システムの集合体が提供される。
【0018】
本発明による燃料電池システムの集合体の有利な一実施形態では、燃料供給装置は、少なくとも2つの燃料電池からなるそれぞれ1つの燃料電池システムに割り当てられている。それぞれの燃料電池システムに基本的に1つの燃料電池のみを企図および設定できる場合でも、故障安全性(Ausfallsicherheit)を高めるという意味で、このために少なくとも2つの燃料電池を設けることが合目的的である。
【0019】
本発明による燃料電池システムの集合体の好ましい一実施形態は、燃料供給装置の各々が同じ数の燃料電池に割り当てられるように企図および設定され得る。このようにして、例えば、燃料電池システムに2つの燃料電池を設定することができ、これらの燃料電池に共通の1つの燃料供給装置が割り当てられるのに対して、集合体は、これらの複数の燃料電池システムから構成されている。集合体にそれぞれ複数の同じ燃料電池システムを設定することは、集合体のスケーラビリティ(Skalierbarkeit)を促進し、そのこともまたシステム全体(集合体)の故障安全性を高めることができる。
【0020】
本発明による燃料電池システムの集合体の特に好ましい実施形態では、これは、それぞれの使用目的に応じて、燃料電池システムの集合体の燃料電池システムのうちの1つだけでも、負荷に十分に供給するのに足りるように企図および設定され得る。この実施形態では、その他の、この燃料電池システムの燃料電池に割り当てられていない燃料供給装置の全部を同時に燃料供給する可能性と組み合わせて、高い故障安全性を見いだすことができる。
【0021】
燃料電池の集合体の別の有利な実施形態では、集合体は、少なくとも1つの充填レベル、少なくとも1つの濃度、集合体からの燃料電池システムの分離、またはその遮断、あるいは燃料供給装置の燃料供給の状況の少なくとも有無を検出する、および信号で伝えるセンサ装置を有するように企図および設定されている。すなわち、通常、制御装置に割り当てられたセンサ装置は、実質的に、燃料供給装置のうちの少なくとも1つの燃料供給過程のために重要であり得る情報を制御装置に提供するように企図されている。すでに述べたように、これは一方では、燃料供給の必要性の確認に関して、または安全面の点で重要であり得る充填レベル情報または濃度情報であり得る。他方では、これは、燃料供給装置の少なくとも1つの燃料供給過程自体と結びつく情報、すなわち、例えば当該燃料供給装置が燃料電池システムの集合体から決められたとおりに分離されたかどうか、または燃料供給過程が実行中であるのか、終了したのかどうかであり得る。これは、例えば、燃料電池システムの集合体のすべての燃料供給装置の燃料供給の効率的な実行のために重要であり得る。
【0022】
すなわち上記の本発明による方法および本発明による燃料電池システムの集合体をもってすれば、燃料電池に割り当てられた燃料供給装置にそれぞれの燃料をより低いコストで供給すること、それと同時に、燃料電池システムによって動作させる負荷の中断のない動作を保証することが可能である。
【0023】
以下、実施例をもとに添付の図面の図を参照して本発明を詳しく説明する。この場合、部分的にかなり模式化した図で示される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】燃料電池を有する燃料電池システムとこれらに割り当てられた燃料供給装置の集合体の図である。
図2】本発明による方法を実行する方法ステップの図である。
図3図2による方法の一部としての図1による燃料供給装置の燃料供給過程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図において、反対のことが何も示されない限り、同じ参照符号は同じか、または同じ機能のコンポーネントを示す。
【0026】
図1において、全体を10で示した燃料電池システムSysA、SysBの集合体の本発明による一実施例が見て取れ、図示された2つの燃料電池システムSysA、SysBは並べて、しかし互いに離間して配置されている。その場合、2つの燃料電池システムSysA、SysBの各々には、消費機器BoPyが割り当てられたそれぞれ1つのタンクy(y=A、B)を有する燃料供給装置20が割り当てられ、これらの燃料供給装置はまた、これらに割り当てられる、消費機器BoPxが割り当てられた燃料電池FCx(x=1、2、3、4)に燃料を供給する。消費機器BoPxは、これらがそれぞれ割り当てられている、例えば燃料電池の機能装置であり得る。この場合、各燃料電池システムSysA、SysBにそれぞれ2つの燃料電池FCxが割り当てられ、これらはそれぞれ同じ燃料供給装置20によって、すなわちここでは、例えばFC1およびFC2がタンクAを有する燃料供給装置20によって、FC3およびFC4がタンクBを有する燃料供給装置20によって供給されることが良好に見て取れる。したがって、この構成では、燃料供給されるべき一方の燃料電池システムSysA、SysBを集合体10から分離した場合、それぞれもう一方の燃料電池システムSysB、SysAが残った集合体10として、負荷100の供給を単独で十分に担うことができるのに対して、燃料供給される燃料電池システムSysA、SysBは、負荷100への出力電力から分離される。すなわち図1は、それぞれの消費機器BoPxを有する燃料電池システムFCxと、それぞれのタンクyとそのそれぞれの消費機器BoPyを有する燃料供給装置20と、を示す。タンクAを有する燃料供給装置20に燃料供給されるべき場合、燃料電池システムSysAを分離もしくは遮断することができる。すなわちその場合、FC1およびFC2をオフにすることができる。燃料電池システムSysAの燃料供給中、燃料電池システムBは、燃料電池システムSysA、SysBの集合体10の残った、分離されていない部分として負荷100に引き続き電力を提供することができる。
【0027】
さらに、図1は、場合によっては遮断された燃料電池FCxを有するそれぞれ分離された燃料電池システムSysA、SysBの消費機器BoPxの動作のために使用することができる高電圧バッテリ70も示す。しかし、必要な電力がそれぞれもう一方の分離されていない燃料電池システムB、Aによって提供されるので、このバッテリ70を省略することもできる。
【0028】
図2において、集合体10によって少なくとも1つの負荷100に電気エネルギーが供給される複数の燃料電池システムSysA、SysBの集合体10において動作させる燃料電池システムSysA、SysBに燃料供給する、本発明による方法を示す図が見て取れる。その場合、ステップS1において、詳しくは図示されない制御装置50によって、センサ信号またはパラメータの予め定められた値をもとにして燃料供給装置20のうちの少なくとも1つの燃料供給の必要性が認識される。ステップS2において、燃料電池システムSysA、SysBの集合体10の、それぞれのタンクAを有する燃料供給されるべき燃料供給装置20が割り当てられた燃料電池FC1、FC2が属する燃料電池システムAが出力電力から分離される。ステップS3において、残った燃料電池システムの集合体10としての燃料電池システムSysBによって負荷100を動作させて、それぞれの燃料供給装置20の燃料供給が実行される。ステップS4において、当該燃料供給装置20の燃料供給過程が終了し、その後、ステップS5において、先に分離された燃料電池システムSysAが燃料電池システム集合体10と再び接続される。ステップS5の完了後、燃料供給の必要性の認識過程が新たに開始されることが破線で示唆される。S1において現在時点での必要性の存在が否定されるという状況についても同じことが当てはまる。
【0029】
図3において、図1による燃料電池の集合体の図2によるステップS2~S5が、すべての燃料供給装置に順次燃料供給される一変形形態でさらに詳しく示される模式図が見て取れる。例えば図面の各図に詳しく示されないセンサ装置60を、同様に詳しく示されない制御装置50と共に用いて常時走査し、ステップS1の結果として、まずタンクAを有する燃料供給装置20に燃料供給されるべきであることを(図2のステップS1の結果として)信号で伝えることができる。ステップS21において、集合体10からの燃料電池システムAの出力電力の分離、およびステップS22において、燃料電池FC1およびFC2がオフにされる。ステップS31において、負荷100は、集合体10の別の燃料電池システムBにより出力電力下に確保され、その後、ステップS32において、タンクAと図示されないタンクステーション装置(Tanstelleinrichtung)との接続が解放されることによって燃料供給が実行される。ステップS41における燃料供給過程の終了後、ステップS42において、先に解放されたタンクAとの接続が再び遮断され、それにより次に、ステップS51において、ステップS52において燃料電池システムSysAを燃料電池システムSysA、SysBの集合体10と再び接続するために、場合によってはまず燃料電池FC1およびFC2を再び作動させる。燃料電池システムBの燃料供給装置20のタンクSysBにも燃料供給が必要な場合、集合体10のそれぞれ別の装置で同じ過程が行われる。
【0030】
すなわち集合体10において複数の燃料電池システムSysA、SysBを動作させる場合、集合体10の一部である燃料電池システムSysA、SysBのうちの1つに、例えば水素が供給される間、例えば連続動作が可能であり、電力が連続的に生成される。したがって、燃料供給中、バッテリも使用されない。それどころか、タンクステーション自体に電力を供給することさえできる。電力の連続的生成と、これによって可能にされる当該負荷の連続動作は、冒頭で述べた例では、例えば車両の場合、これが燃料供給中に引き続き走行できること、車両の構造物(例えば貨物の冷却装置)を引き続き動作させることができること、サーバファームに燃料電池システムで供給される場合、燃料供給中、燃料電池システムの集合体が故障安全性をもたらすことができること、そしてさらに、燃料供給中、港でクルーズ船またはコンテナ船を引き続き動作させることができることを意味する。
【0031】
本発明を好ましい実施例をもとにして説明したが、本発明はそれらに限定されず、様々に変更可能である。
【符号の説明】
【0032】
10 集合体
20 燃料供給装置
50 制御装置
60 センサ装置
70 高電圧バッテリ
100 負荷
FC1、FC2 燃料電池
SysA、SysB 燃料電池システム
BoPx、BoPy 消費機器
図1
図2
図3
【国際調査報告】