(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-20
(54)【発明の名称】オレイン酸を放出するコンタクトレンズ
(51)【国際特許分類】
G02C 7/04 20060101AFI20230613BHJP
【FI】
G02C7/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022577288
(86)(22)【出願日】2021-12-09
(85)【翻訳文提出日】2022-12-15
(86)【国際出願番号】 GB2021053223
(87)【国際公開番号】W WO2022129870
(87)【国際公開日】2022-06-23
(32)【優先日】2020-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521013611
【氏名又は名称】クーパーヴィジョン インターナショナル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(72)【発明者】
【氏名】シ アーウィン シー
(72)【発明者】
【氏名】ケイアー ナンシー ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】バストカール サンダー ラオ スバム
(72)【発明者】
【氏名】ロジャーズ ヴィクトリア
(72)【発明者】
【氏名】ジ ユアン
(72)【発明者】
【氏名】リウ ユウェン
(72)【発明者】
【氏名】リ ヒョ ジャン
【テーマコード(参考)】
2H006
【Fターム(参考)】
2H006BB01
2H006BB03
2H006BB05
2H006BB07
2H006BC07
(57)【要約】
オレイン酸を放出するコンタクトレンズ及びその製造方法が開示される。オレイン酸を放出するコンタクトレンズは、ポリマーレンズ本体に放出可能に付着されたオレイン酸を含み、放出媒体中で、1時間後に、2μg~25μgのオレイン酸を放出する。オレイン酸を放出するコンタクトレンズは、症候性のコンタクトレンズ着用者によって快適に着用され得て、症候性のコンタクトレンズ着用者における快適なレンズ着用時間の持続時間を増大し得て、及び/または、レンズ意識イベントを低減し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッケージング溶液内に浸漬され、パッケージ内に密封された、未着用の滅菌されたシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズであって、
(a)少なくとも1つのシロキサンモノマー、並びに、少なくとも1つの親水性モノマー、または少なくとも1つの親水性ポリマー、または少なくとも1つの親水性モノマー及び少なくとも1つの親水性ポリマーの両方、を含む重合性組成物の反応生成物であるポリマーレンズ本体と、
(b)前記ポリマーレンズ本体に放出可能に付着された所定量のオレイン酸と、
を備え、
当該コンタクトレンズは、PBS中の30体積%エタノールからなる放出媒体中において、1時間で2μg~25μgのオレイン酸の放出を含む放出プロファイルを有する
ことを特徴とするコンタクトレンズ。
【請求項2】
前記ポリマーレンズ本体に放出可能に付着された前記所定量のオレイン酸は、約25μg~約500μgである
ことを特徴とする請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項3】
前記ポリマーレンズ本体に放出可能に付着された前記所定量のオレイン酸は、約100μg~約300μgである
ことを特徴とする請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項4】
当該コンタクトレンズは、前記放出媒体中において、少なくとも8時間、オレイン酸の放出を持続する
ことを特徴とする請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項5】
前記放出プロファイルは、
30分で 2μg~10μgのオレイン酸の累積的放出を有し、
1時間で 7μg~20μgのオレイン酸の累積的放出を有し、
3時間で15μg~45μgのオレイン酸の累積的放出を有し、
6時間で25μg~65μgのオレイン酸の累積的放出を有し、
9時間で35μg~75μgのオレイン酸の累積的放出を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項6】
前記放出プロファイルは、前記放出媒体中において、少なくとも9時間、1時間あたり3μg~20μgのオレイン酸の放出を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項7】
前記ポリマーレンズ本体は、オレイン酸の持続的な放出を促進する第三級アミン基を含む
ことを特徴とする請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項8】
前記ポリマーレンズ本体は、約1.0%~約10.0%のカチオン含有量を有する
ことを特徴とする請求項7に記載のコンタクトレンズ。
【請求項9】
前記重合性組成物は、非環状第三級アミンモノマーを含む
ことを特徴とする請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項10】
前記重合性組成物は、2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート(DMAEMA)を含む
ことを特徴とする請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項11】
前記パッケージは、
(a)前記パッケージング溶液を保持するキャビティを有するベース部材と、
(b)前記ベース部材と液密シールを形成するカバーと、
を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項12】
請求項1に記載のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを製造する方法であって、
(a)前記重合性組成物をコンタクトレンズ型内で重合化して前記ポリマーレンズ本体を得る工程と、
(b)前記ポリマーレンズ本体を前記コンタクトレンズ型から取り出す工程と、
(c)約500ppm~約2000ppmのオレイン酸を含む有機溶媒中で前記ポリマーレンズ本体を抽出する工程と、
(d)水和液中で前記ポリマーレンズ本体を水和して、前記シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを得る工程と、
(e)前記シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズをパッケージング溶液と共にパッケージ内で密封する工程と、
(f)前記パッケージをオートクレーブする工程と、
を備えたことを特徴とする方法。
【請求項13】
症候性のコンタクトレンズ着用者の視力矯正方法であって、
前記症候性のコンタクトレンズ着用者が請求項1に記載のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを着用する工程
を含むことを含む方法。
【請求項14】
前記症候性のコンタクトレンズ着用者は、対照レンズと比較して、快適なコンタクトレンズ着用時間の増大された持続時間を有する
ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記症候性のコンタクトレンズ着用者は、対照レンズと比較して、日中において、レンズ意識が低減される、及び/または、「レンズ意識イベント」が少ない
ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記症候性のコンタクトレンズ着用者は、オレイン酸を含まない最初のコンタクトレンズを4時間以上着用し、当該最初のコンタクトレンズを前記シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズに交換して、当該症候性のコンタクトレンズ着用者の一日の終わりの快適さを増大させる
ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項17】
コンタクトレンズの快適さを向上させるための所定量のオレイン酸の使用であって、
前記オレイン酸は、前記コンタクトレンズのポリマーレンズ本体に放出可能に付着される
ことを特徴とする使用。
【請求項18】
前記コンタクトレンズは、請求項1に記載のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズである
ことを特徴とする請求項17に記載の使用。
【請求項19】
症候性のコンタクトレンズ着用者においてレンズ意識の感覚が低減され、それによって、症候性のコンタクトレンズ着用者におけるコンタクトレンズの快適性を向上させる、及び/または、症候性のコンタクトレンズ着用者における快適なコンタクトレンズ着用時間の持続時間を増大させる
ことを特徴とする請求項18に記載の使用。
【請求項20】
症候性のコンタクトレンズ着用者におけるレンズ意識の感覚を低減し、それによって、症候性のコンタクトレンズ着用者におけるコンタクトレンズの快適性を向上させ、及び/または、症候性のコンタクトレンズ着用者における快適なコンタクトレンズ着用時間の持続時間を増大させる際に使用される組成物であって、
(a)少なくとも1つのシロキサンモノマー、並びに、少なくとも1つの親水性モノマー、または少なくとも1つの親水性ポリマー、またはそれらの両方、を含む重合性組成物の反応生成物であるポリマーレンズ本体と、
(b)前記ポリマーレンズ本体に放出可能に付着された所定量のオレイン酸と、
を備えたことを特徴とする組成物。
【請求項21】
当該組成物は、PBS中の30体積%エタノールからなる放出媒体中において、1時間で2μg~25μgのオレイン酸の放出を含む放出プロファイルを有する
ことを特徴とする請求項20に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年12月15日に出願された米国特許仮出願第63/125,419号の35U.S.C.§119(e)に基づく利益及び/または優先権を主張し、当該出願は、その全体において、当該参照によって本明細書に組み込まれる(incorporated by reference)。
【0002】
本発明の分野は、コンタクトレンズに関しており、特には、症候性のコンタクトレンズ着用者にとってより快適なコンタクトレンズに関する。
【背景技術】
【0003】
全てのコンタクトレンズ着用者の推定50%が、レンズ着用中に不快感を経験し、これらの症候性の(有症状の)コンタクトレンズ着用者の約25%が、レンズ着用を永久に中止している。レンズ意識の感覚は、症候性のコンタクトレンズ着用者におけるコンタクトレンズの不満の主要な理由である.コンタクトレンズ材料の進歩にもかかわらず、現在市販されているコンタクトレンズを着用している間にはレンズ意識の感覚を経験してしまうようなコンタクトレンズ着用者が、快適に着用することができる改良されたコンタクトレンズのニーズが存在する。
【0004】
角膜は体内で最も密に神経支配された組織であり、A-デルタ、及び、C一次求心性神経線維、によって排他的に神経支配されている。C神経線維は無髄であり、A-デルタ線維は僅かに有髄であるが、角膜に入るとミエリン鞘を失って、角膜を透明に保っている。従って、どちらのタイプの神経線維も、角膜の扁平上皮層に達すると、神経終末が露出される。これらの神経終末には、温度、化学物質、痛み、及び接触、を感知するための受容体が位置している。これらの神経終末に存在することが示されている痛み受容体(侵害受容器)は、TRPV1である。
【発明の概要】
【0005】
本発明の特徴は、レンズ着用中にオレイン酸を放出し得るヒドロゲルコンタクトレンズを提供することである。
【0006】
本発明の更なる特徴は、症候性の(有症状の)コンタクトレンズ着用者によって快適に着用され得るコンタクトレンズを提供することである。
【0007】
本発明の更なる特徴は、症候性のコンタクトレンズ着用者において、快適なレンズ着用時間の持続時間を増大させる、及び/または、レンズ意識イベントを低減させる、ことである。
【0008】
本発明の更なる特徴及び利点が、以下の説明において部分的に記載され、当該説明から部分的に明らかになる、あるいは、本発明の実践によって学習され得る。本発明の目的及び他の利点は、明細書及び添付の特許請求の範囲で特に指摘される要素及び組み合わせによって、実現及び達成される。
【0009】
これら及び他の利点を達成するために、本発明の目的に従って、本明細書で具体化されて且つ広く説明されるように、本発明は、部分的に、当該レンズに放出可能に付着された所定量のオレイン酸を含むヒドロゲルコンタクトレンズであって、症候性のコンタクトレンズ着用者におけるコンタクトレンズの快適性を向上させ、及び/または、症候性のコンタクトレンズ着用者における快適なコンタクトレンズ着用時間の持続時間を増大させる、ヒドロゲルコンタクトレンズに関する。一実施例において、ヒドロゲルコンタクトレンズは、少なくとも1つの非環状第三級アミンモノマーを含む非シリコーンヒドロゲル用の重合性組成物の反応生成物であるポリマーレンズ本体を含むシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズである。
【0010】
一実施例において、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中に30体積%エタノールを含むインビトロ放出媒体中において、1時間で2μg~25μgのオレイン酸を放出することができる。
【0011】
更に、本発明は、本発明のシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズの製造方法に関する。当該方法は、(a)(本明細書に記載されるような)重合性組成物をコンタクトレンズ型内で重合化してポリマーレンズ本体を得る工程と、(b)前記ポリマーレンズ本体を前記コンタクトレンズ型から取り出す工程と、(c)約500ppm~約2000ppmのオレイン酸を含む有機溶媒中で前記ポリマーレンズ本体を抽出する工程と、(d)水和液中で前記ポリマーレンズ本体を水和して、前記シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを得る工程と、(e)前記シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズをパッケージング溶液と共にパッケージ内で密封する工程と、(f)前記パッケージをオートクレーブする工程と、を備える。
【0012】
更に、本発明は、症候性のコンタクトレンズ着用者の視力矯正方法であって、症候性のコンタクトレンズ着用者にオレイン酸を放出するシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを提供する工程を含み、前記オレイン酸を放出するシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、オレイン酸を含まない対照レンズと比較して、快適なコンタクトレンズ着用時間の持続時間を増大し、及び/または、症候性のコンタクトレンズ着用者のレンズ意識イベントを低減する、という方法に関する。
【0013】
更に、本発明は、症候性のコンタクトレンズ着用者による、オレイン酸を放出するヒドロゲルコンタクトレンズの使用であって、オレイン酸を含まない最初のコンタクトレンズを4時間以上着用し、前記オレイン酸を放出するヒドロゲルコンタクトレンズで前記最初のコンタクトレンズを交換して、当該症候性のコンタクトレンズ着用者の一日の終わりの快適さを増大させる、という使用に関する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
着用中にオレイン酸を放出するヒドロゲルコンタクトレンズ、及び、その製造方法が、本明細書に記載されている。当該コンタクトレンズは、本明細書では、オレイン酸放出コンタクトレンズとも呼ばれ得る。オレイン酸は、TRPV1アンタゴニストであり、症候性のコンタクトレンズ着用者のコンタクトレンズ着用の快適さを向上させる量が着用中に当該レンズから放出されて、症候性のコンタクトレンズ着用者がコンタクトレンズを快適に着用し得る持続時間を増大させ得る。特に、本発明のオレイン酸放出レンズは、症候性の患者において、レンズ着用の一日の終わりの快適さを増大させ得る。
【0015】
オレイン酸放出コンタクトレンズは、ポリマーレンズ本体と、当該ポリマーレンズ本体に放出可能に付着された所定量のオレイン酸と、を含む。一実施例として、コンタクトレンズは、非シリコーンヒドロゲル用の重合性組成物の反応生成物である。非シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、典型的には、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)またはビニルアルコールなどの、1または複数の親水性モノマーの重合から形成され、必要に応じて、他のモノマーと組み合わされ得るが、シロキサン分子は含まない。
【0016】
一実施例として、コンタクトレンズは、少なくとも1つのシロキサンモノマー、並びに、少なくとも1つの親水性モノマー及び/または少なくとも1つの親水性ポリマー、を含む重合性組成物の反応生成物であるポリマーレンズ本体を含む。好都合なことに、以下でより詳細に説明されるように、シリコーンヒドロゲル用の硬化ポリマーレンズ本体がオレイン酸を含む抽出溶媒内で抽出され得て、これは、所望の量のオレイン酸がポリマーレンズ本体に付着することに帰結する。オレイン酸は、カチオン性及び/または疎水性の相互作用によってポリマーレンズ本体に付着され得て、及び/または、ポリマーレンズ本体のポリマーネットワークによって物理的に捕捉され得る。代替的または付加的に、オレイン酸は、重合性組成物に添加され得る。
【0017】
ポリマーレンズ本体に「放出可能に付着された」所定量のオレイン酸は、以下の実施例1に記載されたイソプロピルアルコール(IPA)抽出法によってコンタクトレンズから抽出され得るオレイン酸の総量を指す。一実施例では、ポリマーレンズ本体に放出可能に付着されたオレイン酸の所定量は、少なくとも約25μgまたは50μgから、最大で約150μg、250μg、または500μgであり得て、例えば約100μg~約300μgであり得る。本明細書で使用される場合、別段の指示がない限り、特定の持続時間に亘ってオレイン酸放出コンタクトレンズから放出されるオレイン酸の量への言及、すなわち、オレイン酸の「放出プロファイル」への言及は、インビトロ放出媒体(PBS中30vol%のEtOH)及び以下の実施例3に記載された方法を用いて測定される、レンズから放出されたオレイン酸の量を指す。一実施例では、放出媒体中に1時間後にコンタクトレンズから放出されるオレイン酸の累積量は、2μg~25μgのオレイン酸、または7μg~20pgのオレイン酸、または2μg~18pgのオレイン酸、または2μg~15μgのオレイン酸、または2μg~10μgのオレイン酸、または5μg~12μgのオレイン酸、である。別の一実施例では、コンタクトレンズが有するオレイン酸放出プロファイルにおいて、30分で合計2μg~10μgのオレイン酸が放出され(累積的に)、1時間で合計7μg~20μgのオレイン酸が放出され(累積的に)、3時間で合計15μg~45μgのオレイン酸が放出され(累積的に)、6時間で合計25μg~65μgのオレイン酸が放出され(累積的に)、9時間で合計35μg~75μgのオレイン酸が放出される(累積的に)。一実施例では、コンタクトレンズが有する持続的な放出プロファイルにおいて、少なくとも8時間または少なくとも9時間、1時間あたり約3μg~約20μgのオレイン酸が放出される。ポリマーレンズ本体が、オレイン酸の取り込みを促進すると共に、コンタクトレンズからのオレイン酸のバースト放出を防止して当該レンズからのオレイン酸放出の持続時間を延長する荷電基を有する場合、持続的な放出プロファイルが達成され得る。レンズ挿入後30分以内に約12μgを超えるようなオレイン酸の「バースト放出」は、刺すような痛みや不快感に帰結し得る。従って、一実施例において、オレイン酸放出コンタクトレンズは、30分で10μg未満、または8μg未満、のオレイン酸を放出する(実施例3のインビトロ放出方法を用いて試験される場合)。
【0018】
ポリマーレンズ本体は、コンタクトレンズ材料としての使用に適した任意のヒドロゲル材料を含み得る。コンタクトレンズ用のシリコーンヒドロゲル材料は、典型的には、少なくとも1つのシロキサンモノマー及び少なくとも1つの親水性モノマー、または少なくとも1つの親水性ポリマー、またはそれらの組み合わせを含む重合性組成物(すなわち、モノマー混合物)を硬化することによって形成される。本明細書で使用される場合、「シロキサンモノマー」という用語は、少なくとも1つのSi-O基、及び、少なくとも1つの重合性基を含む分子である。コンタクトレンズ組成物において使用されるシロキサンモノマーは、当該技術分野で周知である(例えば、米国特許第8,658,747号及び米国特許第6,867,245号を参照)。(本明細書において言及される全ての特許及び刊行物は、当該参照によりその全体の内容が本明細書の一部に組み込まれる(incorporated by reference)。)幾つかの実施例では、重合性組成物は、少なくとも、10重量%、20重量%または30重量%から、約40重量%、50重量%、60重量%または70重量%までの、シロキサンモノマーの総量を含む。別段の指定が無い限り、本明細書で使用される場合、重合性組成物のある成分の所与の重量パーセント(重量%)は、当該重合性組成物中の全ての重合性成分及びIPNポリマー(以下で更に説明する)の総重量に対するものである。最終的なコンタクトレンズ製品には取り込まれない成分、例えば希釈剤など、が寄与する重合性組成物の重量は、重量%の計算には含まれない。
【0019】
特定の実施例では、重合性組成物は、親水性ビニルモノマーを含む。本明細書で使用される場合、「親水性ビニルモノマー」という用語は、アクリル基の一部では無いその分子構造中に重合性の(重合可能な)炭素-炭素二重結合(すなわち、ビニル基)を有する、シロキサンを含まない(すなわち、Si-O基を含まない)親水性モノマーである。当該ビニル基の炭素-炭素二重結合は、フリーラジカル重合下で重合可能なメタクリレート基に存在する炭素-炭素二重結合よりも反応性が低い。本明細書で使用される場合、「アクリル基」という用語は、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、等に存在する重合性基である。従って、炭素-炭素二重結合は、アクリレート基及びメタクリレート基にも存在するが、本明細書で使用される場合、そのような重合性基はビニル基とはみなされない。更に、本明細書で使用されるように、標準的な振とうフラスコ法を使用して視覚的に判定されるように、少なくとも50グラムのモノマーが20℃で1リットルの水に完全に溶解する場合(すなわち、水に約5%溶解する場合)、当該モノマーは「親水性」である。様々な実施例において、親水性ビニルモノマーは、N-ビニル-N-メチルアセトアミド(VMA)、N-ビニルピロリドン(NVP)、1,4-ブタンジオールビニルエーテル(BVE)、エチレングリコールビニルエーテル(EGVE)、ジエチレングリコールビニルエーテル(DEGVE)、または、それらの任意の組み合わせ、である。一実施例では、重合性組成物は、少なくとも、10重量%、15重量%、20重量%または25重量%から、約45重量%、60重量%または75重量%までの、親水性ビニルモノマーを含む。本明細書で使用される場合、重合性組成物中の特定のクラスの成分(例えば、親水性ビニルモノマー、シロキサンモノマー、等)の所与の重量パーセントは、当該クラスに該当する当該組成物中の各成分の重量%の合計に等しい。従って、例えば、5重量%のBVEと25重量%のNVPとを含み他の親水性ビニルモノマーを含まない重合性組成物は、30重量%の親水性ビニルモノマーを含むと称される。一実施例では、親水性ビニルモノマーは、ビニルアミドモノマーである。例示的な親水性ビニルアミドモノマーは、VMA及びNVPである。特定の実施例では、重合性組成物は、少なくとも25重量%のビニルアミドモノマーを含む。別の特定の実施例では、重合性組成物は、約25重量%から約75重量%までの、VMA、NVP、またはそれらの組み合わせ、を含む。重合性組成物に含まれ得る追加の親水性モノマーは、N,N-ジメチルアクリルアミド(DMA)、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、エトキシエチルメタクリルアミド(EOEMA)、エチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(EGMA)、及び、それらの組み合わせ、である。
【0020】
親水性モノマーに対して付加的または代替的に、重合性組成物は、非重合性親水性ポリマーを含み得て、これは、非重合性親水性ポリマーがシリコーンヒドロゲルポリマーマトリックスと相互貫入した相互貫入ポリマーネットワーク(IPN)を含むポリマーレンズ本体に帰結する。この実施例では、非重合性親水性ポリマーは、IPNポリマーと呼ばれ、これは、コンタクトレンズの内部湿潤剤として作用する。対照的に、重合性組成物中に存在するモノマーの重合によって形成されるシリコーンヒドロゲルネットワーク内のポリマー鎖は、IPNポリマーとはみなされない。IPNポリマーは、例えば約50,000~約500,000ダルトンの高分子量親水性ポリマーであり得る。特定の実施例では、IPNポリマーは、ポリビニルピロリドン(PVP)である。他の実施例では、重合性組成物は、ポリビニルピロリドンまたは他のIPNポリマーを実質的に含まない。一実施例として、IPNポリマーは、第三級アミン基及び/または第四級アミン基などの、1または複数の正に荷電された部位を含み得る。それは、オレイン酸とイオン複合体を形成し得て、ポリマーレンズ本体によるオレイン酸の取り込みを増大させ得て、及び/または、その放出を持続させ得る。
【0021】
選択肢(オプション)として、1または複数の非シリコン含有疎水性モノマーが、重合性組成物の一部として存在し得る。疎水性モノマーとは、標準的な振盪フラスコ法を用いて、50グラムの当該モノマーが20℃で1リットルの水に視覚的に完全に溶解できないという、任意のモノマーであると理解され得る。好適な疎水性モノマーの例は、メチルアクリレート、またはエチルアクリレート、またはプロピルアクリレート、またはイソプロピルアクリレート、またはシクロヘキシルアクリレート、または2-エチルヘキシルアクリレート、またはメチルメタクリレート(MMA)、またはエチルメタクリレート、またはプロピルメタクリレート、またはブチルアクリレート、または2-ヒドロキシブチルメタクリレート、または酢酸ビニル、またはプロピオン酸ビニル、または酪酸ビニル、または吉草酸ビニル、スチレン、またはクロロプレン、または塩化ビニル、または塩化ビニリデン、またはアクリロニトリル、または1-ブテン、またはブタジエン、またはメタクリロニトリル、またはビニルトルエン、またはビニルエチルエーテル、またはパーフルオロヘキシルエチルチオカルボニルアミノエチルメタクリレート、またはイソボルニルメタクリレート(IBM)、またはトリフルオロエチルメタクリレート、またはヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート、またはテトラフルオロプロピルメタクリレート、またはヘキサフルオロブチルメタクリレート、またはそれらの任意の組み合わせ、を含む。
【0022】
使用される場合、疎水性モノマーは、重合性組成物の反応生成物中において、重合性組成物の総重量に基づいて、1重量%~約30重量%の量、例えば、1重量%~25重量%の量、1重量%~20重量%の量、1重量%~15重量%の量、2重量%~20重量%の量、3重量%~20重量%の量、5重量%~20重量%の量、5重量%~15重量%の量、1重量%~10重量%の量、で存在し得る。
【0023】
重合性組成物にカチオン性モノマーを含めることによって、ポリマーレンズ本体によって取り込まれ得るオレイン酸の量が、増大され得る。例えば、第三級アミン基及び/または第四級アミン基を含む1または複数のモノマーが、重合性組成物に含められ得る。得られるポリマーレンズ本体は、当該ポリマーレンズ本体によるオレイン酸の取り込み及び/または持続的な放出を促進する正に荷電した荷電基を含む。
【0024】
一実施例では、重合性組成物は、少なくとも1つの非環状第三級アミンモノマーを、重合性組成物の総重量に基づいて、2重量%~約15重量%の量、例えば、2重量%~14重量%の量、2重量%~12重量%の量、2重量%~10重量%の量、2重量%~7重量%の量、2重量%~5重量%の量、5重量%~15重量%の量、6重量%~15重量%の量、8重量%から15重量%の量、で含む。非環状第三級アミンモノマーに関して、本明細書で使用される場合、少なくとも1つの非環状第三級アミンモノマーは、単一の非環状第三級アミンモノマーを含むか、または、2以上(例えば、2、3、または、4以上)の非環状第三級アミンから構成される非環状第三級アミンモノマー成分を含むものと理解され得る。非環状第三級アミンモノマーとは、第三級アミン基の窒素が環構造の一部ではないモノマーであり、当該モノマー自体は環構造を含み得る(例えば、N-(2-アミノエチル)アミノメチルスチレン)。「第三級アミン基」という用語は、炭素原子がいずれもカルボニル基の一部ではないという条件で、3つの炭素原子に直接結合された窒素原子を指すと理解される。
【0025】
非環状第三級アミンモノマーの例は、2-(ジメチルアミノ)エチルアクリレート、または2-(ジエチルアミノ)エチルアクリレート、または3-(ジメチルアミノ)プロピルアクリレート、または3-(ジエチルアミノ)プロピルアクリレート、または2-(ジエチルアミノ)プロピルアクリレート、または2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、または2-(ジエチルアミノ)エチルメタクリレート、または3-(ジメチルアミノ)プロピルメタクリレート、または3-(ジエチルアミノ)プロピルメタクリレート、またはN-(2-(ジメチルアミノ)エチル)アクリルアミド、またはN-(2-(ジエチルアミノ)エチル)アクリルアミド、またはN-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)アクリルアミド、またはN-(3-(ジエチルアミノ)プロピル)アクリルアミド、またはN-(2-(ジメチルアミノ)エチル)メタクリルアミド、またはN-(2-(ジエチルアミノ)エチル)メタクリルアミド、またはN-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)メタクリルアミド、またはN-(3-(ジエチルアミノ)プロピル)メタクリルアミド、または3-(ジエチルアミノ)プロピルビニルエーテル、または3-(ジメチルアミノ)プロピルビニルエーテル、またはそれらの任意の組み合わせ、を含むが、これらに限定されない。
【0026】
非環状第三級アミンモノマーのより具体的な例は、2-(ジエチルアミノ)エチルメタクリレートであり、これは、重合化組成物中に、0.1重量%~15重量%の量、または、1重量%~10重量%の量、で存在し得る(重合性組成物の総重量に基づく)。
【0027】
一般に、非環状第三級アミンモノマー(及びポリマーレンズ本体の一部)は、より低いpH、及び/または、より低いイオン強度の溶液、例えば、8.0未満、または7未満、のpH、または、pH6以下(例えば、pH4~6)の酸性状態下で、荷電された部位を形成する。これらの状態下で、非環状第三級アミン基はプロトン化され、レンズ材料に正に荷電された部位を形成する。これらの正に荷電された部位が、オレイン酸とイオン複合体を形成し得る。
【0028】
有利には、1または複数の第三級アミンモノマーが重合性組成物に含まれて、約1.0%、または約2.0%、または約3.0%から、約5.0%、または約7.0%、または約10.0%まで、のカチオン含有量を有するポリマーレンズ本体を提供する。
使用される場合、「カチオン含有量」とは、以下の式Iによって決定される値である:
Σ(an1 ×bn1/cn1)×157=%カチオン含有量 (I)
ここで、an1は、以下に定義されるように、モノマー混合物中で使用されるカチオン性モノマーn1の重量パーセントであり、bn1は、モノマーn1の第三級アミン基の数であり、cn1は、第三級アミン含有モノマーn1の分子量である。2以上の第三級アミン含有モノマーが重合性組成物に使用される場合、得られるポリマーレンズ本体の第三級アミン含有量%は、各第三級アミン含有モノマー(すなわち、n1、n2など)によって提供される%イオン含有量の合計である。重合性組成物中の第三級アミン含有モノマーn1の重量パーセントは、ヒドロゲルに組み込まれるモノマー混合物の全成分の重量に対するものである。換言すれば、製造プロセス中にヒドロゲルから除去される希釈剤など、最終ヒドロゲル製品に組み込まれないモノマー混合物の成分は、重量パーセントの決定には含まれない。式Iは、157の分子量を有し第三級アミン基を1つ有する例示的な第三級アミン含有モノマーである2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレートに対する分子量及び電荷の差を調整する。
【0029】
重合性組成物は、少なくとも1つの架橋剤を更に含み得る。本明細書で使用される場合、「架橋剤」という用語は、少なくとも2つの重合性基を有する分子である。従って、架橋剤は、2以上のポリマー鎖上の官能基と反応し得て、1つのポリマーを別のポリマーに架橋し得る。当該架橋剤は、アクリル基、ビニル基、または、アクリル基とビニル基との両方、を含み得る。特定の実施例では、架橋剤は、シロキサン部分を含まない、すなわち、非シロキサン架橋剤である。シリコーンヒドロゲル重合性組成物での使用に適した様々な架橋剤が、当該技術分野で知られている(例えば、米国特許第8,231,218号を参照。当該特許は、当該参照により、本明細書に組み込まれる)。適切な架橋剤の例は、トリエチレングリコールジメタクリレートやジエチレングリコールジメタクリレート等の低級アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリ(低級アルキレン)グリコールジ(メタ)アクリレート、低級アルキレンジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジビニルエーテルやジエチレングリコールジビニルエーテルや1,4-ブタンジオールジビニルエーテルや1,4-シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル等のジビニルエーテル、ジビニルスルホン、ジビニルベンゼン及びトリビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、フタル酸トリアリル、1,3-ビス(3-メタクリロキシプロピル)テトラメチルジシロキサン、ジアリルフタレート、並びに、それらの組み合わせ、を含むが、これらに限定されない。
【0030】
当業者に理解されるように、重合性組成物は、重合開始剤、UV吸収剤、着色剤、脱酸素剤、連鎖移動剤、等のうちの1または複数など、コンタクトレンズ配合に従来から使用されている追加の重合性または非重合性の成分を含み得る。幾つかの実施例では、重合性組成物は、光学的に透明なレンズが得られるように、当該重合性組成物の親水性成分と疎水性成分との間の相分離を防止または最小化する量で有機希釈剤を含み得る。コンタクトレンズ配合に一般的に使用される希釈剤は、ヘキサノール、エタノール、及び/または、他のアルコール、を含む。他の実施例では、重合性組成物は、有機希釈剤を含まないか、または、実質的に含まない(例えば、500ppm未満)。このような実施例では、ポリエチレンオキシド基、ペンダントヒドロキシル基、または他の親水性基、等の親水性部分を含むシロキサンモノマーの使用が、重合性組成物に希釈剤を含めることを不要にし得る。重合性組成物に含まれ得るこれらの成分及び追加の成分の非限定的な例が、米国特許第8,231,218号に提供されている。
【0031】
使用され得るシリコーンヒドロゲルの非限定的な例は、コンフィルコンA、ファンフィルコンA、ステンフィルコンA、セノフィルコンA、セノフィルコンC、ソモフィルコンA、ナラフィルコンA、デレフィルコンA、ナラフィルコンA、ロトラフィルコンA、ロトラフィルコンB、バラフィルコンA、サムフィルコンA、ガリフィルコンA、アスモフィルコンA、を含む。
【0032】
本発明のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの具体的な一実施例は、25重量%~55重量%のシロキサンモノマーと、30重量%~55重量%の、NVP、VMA、またはそれらの組み合わせ、から選択されるビニルモノマーと、任意選択的に約1重量%~約20重量%の、N,N-ジメチルアクリルアミド(DMA)、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、エトキシエチルメタクリルアミド(EOEMA)、エチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(EGMA)、または、それらの任意の組み合わせ、から選択される親水性モノマーと、任意選択的に約1重量%~約20重量%の、メチルメタクリレート(MMA)、イソボルニルメタクリレート(IBM)、2-ヒドロキシブチルメタクリレート(HOB)、またはそれらの任意の組み合わせ、から選択される疎水性モノマーと、を含む重合性組成物に基づくものである。重合性組成物の当該具体的実施形態から製造されるシリコーンヒドロゲル材料は、ステンフィルコンA、コンフィルコンA、ソモフィルコンA、ファンフィコンA、及び、エンフィルコンAを含む。前述のベースとなる重合性組成物は、例えば2重量%~10重量%の2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレートなどの、0.1重量%~15重量%の少なくとも1つの非環状第三級アミンを追加的に含むように修正されて、カチオン性ポリマーレンズ本体を提供するべく硬化される。
【0033】
本発明のコンタクトレンズを製造するために、従来の方法が利用され得る。一実施例として、シリコーンヒドロゲル組成物のための重合可能な成分が、コンタクトレンズの前面を画定する凹面を有する雌型部材内に分配される。コンタクトレンズの後面、すなわち角膜接触面、を画定する凸面を有する雄型部材が、前記雌型部材と組み合わされて、コンタクトレンズ型アセンブリが形成され、これがUVまたは熱硬化条件などの硬化条件にさらされる。当該硬化条件下で、硬化性組成物が、ポリマーレンズ本体に形成される。雌型部材及び雄型部材は、非極性型または極性型であり得る。型アセンブリは、分解され(すなわち脱型され)、高分子レンズ本体が、当該型から取り出されて、溶媒、例えば、エタノールなどの有機溶媒、と接触させられて、当該レンズ本体から未反応成分が抽出される。当該抽出後、レンズ本体は、水や水溶液のような1または複数の水和液中で水和されてパッケージ化される。シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを製造する例示的な方法は、米国特許第8,865,789号に記載されている。
【0034】
オレイン酸は、典型的には、抽出工程中にポリマーレンズ内にロード(装填)される。一般に、硬化後に、オレイン酸を含むエタノールなどの抽出溶媒中で、ポリマーレンズ本体が膨潤される。続いて、抽出されたポリマーレンズ本体が脱イオン水のような水和溶液内に入れられ、抽出溶媒が除去されるが、オレイン酸はポリマーレンズ本体に付着されたままである。
【0035】
抽出プロセス及び水和プロセスで使用される抽出溶媒及び水和液体の例は、変性エタノール、変性エタノールと脱イオン水の50/50(体積による)混合物、及び、脱イオン水、からなり得る。一実施例として、抽出プロセス及び水和プロセスは、変性エタノール中及びこれに続くエタノールと水との50:50混合物中での少なくとも1回の抽出工程と、これに続く脱イオン水中での少なくとも1回の水和工程と、を含み得て、抽出工程及び水和工程の各々は、約20℃~約30℃までの温度で、約15分~約3時間、継続し得る。抽出溶媒は、ポリマーレンズ本体へのオレイン酸のアップロードを達成するようにオレイン酸を含有し得る。ポリマーレンズ本体がカチオン基を含む場合などの幾つかの実施例では、抽出溶媒のpHを7以下、例えば約4~約6.5、とするように調整することによって、ポリマーレンズ本体によって取り込まれるオレイン酸の量が増大され得る。
【0036】
オレイン酸のためのアップロード液として使用される抽出溶媒は、少なくとも50ppmの濃度のオレイン酸を含み得る。この濃度は、少なくとも100ppm、少なくとも250ppm、少なくとも500ppm、少なくとも750ppm、少なくとも1000ppm、少なくとも1250ppm、少なくとも1500ppm、少なくとも1750ppm、または少なくとも2000ppm、のオレイン酸であり得る。一実施例では、抽出溶媒中のオレイン酸の濃度は、約500~約2000ppmである。
【0037】
幾つかの実施例では、オレイン酸は、一度ポリマーレンズ本体に付着されると安定であり、パッケージング溶液中に未着用のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを含む密封されたコンタクトレンズパッケージのオートクレーブ中、または、そのパッケージング溶液内での保管中、実質的にポリマーレンズ本体から放出されたり分解したりしないが、レンズ着用中には放出される。従って、オートクレーブ前、オートクレーブ直後、その1日後、その30日後、その60日後、または、その120日後に、コンタクトレンズが浸漬されたパッケージング溶液は、当該コンタクトレンズから当該パッケージング溶液中に放出された10ppm未満のオレイン酸を有するか、5ppm未満のオレイン酸を有するか、1ppm未満のオレイン酸を有するか、または、0ppmのオレイン酸を有する。オレイン酸が、オートクレーブ中または保存中にコンタクトレンズから放出されるか否かは、液体クロマトグラフィー質量分析法(LCMS)、または他の好適な分析方法、を用いて、パッケージング溶液内でのオレイン酸の存在を試験することによって、判定され得る。
【0038】
本発明の一部として、コンタクトレンズは、コンタクトレンズパッケージ内に密封され得る。コンタクトレンズパッケージ内に密封されるパッケージング溶液は、任意の従来のコンタクトレンズ適合溶液であり得る。一実施例では、パッケージング溶液は、緩衝剤及び/または等張化剤の水溶液を含むか、それらからなるか、または本質的にそれらからなる。別の実施例では、パッケージング溶液は、1または複数の追加の抗菌剤、及び/または快適剤、及び/または親水性ポリマー、及び/または界面活性剤、及び/または他の有用剤、などの追加の助剤を含む。幾つかの実施例では、パッケージング溶液は、多糖類(例えば、ヒアルロン酸、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなど)、または、ポリビニルピロリドンなどの他の高分子量ポリマー、を含み得る。それらは、眼科用溶液及びコンタクトレンズパッケージング溶液において快適ポリマーまたは増粘剤として、一般的に使用されている。他の実施例では、パッケージング溶液は、眼科用薬剤(点眼薬)を含み得る。パッケージング溶液は、約6.8または7.0から約7.8または8.0までの範囲のpHを有し得る。一実施例では、パッケージング溶液は、リン酸緩衝液またはホウ酸緩衝液を含む。別の実施例では、パッケージング溶液は、塩化ナトリウムまたはソルビトールから選択される等張化剤を、約200~400mOsm/kg、典型的には約270mOsm/kg~約310mOsm/kg、の範囲に浸透圧を維持する量で含む。
【0039】
コンタクトレンズパッケージに関して、このパッケージは、コンタクトレンズ及びパッケージング溶液を保持するように構成されたキャビティと、当該キャビティの周りに外向きに延在するフランジ領域と、を含むプラスチックベース部材を備え得る。密封されたコンタクトレンズパッケージを提供するために、取り外し可能なホイルがフランジ領域に取り付けられる。そのようなコンタクトレンズパッケージは、一般に「ブリスターパック」と呼ばれ、当該技術分野で周知である(例えば、米国特許第7,426,993号)。
【0040】
当該密封されたコンタクトレンズパッケージを製造するために従来の製造方法が利用され得ることが理解されるであろう。コンタクトレンズパッケージを製造する方法において、当該方法は、レセプタクル(容器)内に未着用のコンタクトレンズとコンタクトレンズパッケージング溶液とを入れる工程と、レセプタクル上にカバーを置く工程と、レセプタクル上でカバーを密封する工程と、を含み得る。一般に、レセプタクルは、単一のコンタクトレンズと、当該コンタクトレンズを完全に覆うのに十分な量、典型的には約0.5~1.5ml、のパッケージング溶液と、を受容するように構成される。レセプタクルは、ガラスやプラスチックなどの、任意の適切な材料から製造され得る。一実施例では、レセプタクルは、コンタクトレンズ及びパッケージング溶液を保持するように構成されたキャビティと、当該キャビティの周りに外向きに延在するフランジ領域と、を含むプラスチックベース部材を備え、カバーは、密封されたコンタクトレンズパッケージを提供するためにフランジ領域に取り付けられる取り外し可能なホイルを有する。取り外し可能なホイルは、ヒートシールまたは接着などの、任意の従来の手段によって密封(シール)され得る。別の実施例では、レセプタクルは、複数のネジ部を含むプラスチックベース部材の形態であり、カバーは、当該ベース部材のネジ部と係合するための適合性のあるネジ部のセットを含むプラスチックキャップ部材を含み、それによって再密封可能なカバーを提供する。再密封可能なパッケージを提供するために、他のタイプのパッケージングも利用され得ることを理解されたい。例えば、コンタクトレンズパッケージは、レセプタクルの適合する特徴部と係合して締まり嵌めを形成する特徴部を含むプラスチックカバーを含み得る。密封されたコンタクトレンズパッケージを製造する方法は、密封されたコンタクトレンズパッケージをオートクレーブすることによって未着用のコンタクトレンズを滅菌する工程を更に含み得る。オートクレーブ処理工程は、一般に、密封されたコンタクトレンズパッケージを少なくとも121℃の温度に少なくとも20分間さらす工程を含む。
【0041】
当該コンタクトレンズは、未使用で提供され得て(すなわち、患者によって以前に使用されていない、新しいコンタクトレンズ)、パッケージング溶液内に浸漬され、パッケージ内に密封される。パッケージは、ブリスターパッケージ、ガラスバイアル、または、他の適切な容器、であり得る。パッケージは、パッケージング溶液と、未着用のコンタクトレンズと、を収容するためのキャビティを有するベース部材を備える。密封されたパッケージは、オートクレービング、ガンマ線放射、電子ビーム放射、紫外線放射、等のような、熱または蒸気を含む所定量の放射線滅菌によって、滅菌され得る。
【0042】
特定の実施例では、パッケージング(包装)されたコンタクトレンズは、オートクレーブによって滅菌される。
【0043】
最終製品は、眼科的に許容可能な表面湿潤性を有する、滅菌されてパッケージング(包装)されたコンタクトレンズ(例えばシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ)であり得る。
【0044】
本明細書に記載されたオレイン酸放出ヒドロゲルコンタクトレンズは、症候性のコンタクトレンズ装用者の視力を矯正するために使用され得る。例えば、本発明のオレイン酸放出ヒドロゲルコンタクトレンズは、症候性のコンタクトレンズ着用者における快適なコンタクトレンズ着用時間の持続を増大させ得る。本明細書における「症候性のコンタクトレンズ着用者」または「症候性の被験者」という言及は、Chalmersらによって記述されたCLDEQ-8を使用して症候性と分類されるレンズ着用者を指す(Chalmers等、コンタクトレンズドライアイ質問事項-8(Contact Lens Dry Eye Questionnaire-8)(CLDEQ-8)及びコンタクトレンズ性能の意見(opinion of contact lens performance)、Optom Vis Sci 2012;89(10):1435-1442を参照)。
【0045】
本明細書に記載されたオレイン酸放出ヒドロゲルコンタクトレンズは、症候性のコンタクトレンズ着用者によって着用され得て、対照レンズ、すなわち、症候性のコンタクトレンズ着用者の常用レンズと比較して、レンズ意識を低下させ、及び/または、日中の「レンズ意識イベント」をより少なくし得る。本明細書における「対照レンズ」という言及は、オレイン酸を含まないがそれ以外は比較対象のオレイン酸放出レンズと同一である、というコンタクトレンズを指す。コンタクトレンズ着用中のレンズ意識、及び/または、レンズ意識イベントの低減は、Readらによって記述された「レンズ意識ロガー」を用いて判定され得る(Read等、手首取り付け電子ロガーを用いた眼の不快感のモニタリング(Monitoring ocular discomfort using a wrist-mounted electronic logger)、Contact Lens and Anterior Eye Vol.43(2020)476-485を参照)。
【0046】
症候性のコンタクトレンズ着用者は、レンズ着用の全時間中、本発明のオレイン酸放出レンズを着用し得る。他の例では、症候性のコンタクトレンズ着用者は、オレイン酸を含まない最初のコンタクトレンズを4時間以上着用し、当該最初のコンタクトレンズを本発明のオレイン酸放出ヒドロゲルコンタクトレンズと交換して、当該症候性のコンタクトレンズ着用者の一日の終わりの快適さを増大させ得る。
【0047】
以下の実施例は、本発明の特定の態様及び利点を説明するものであるが、それによって限定されるものではないと理解されるべきである。
【0048】
[実施例1.オレイン酸装填ステンフィルコンAコンタクトレンズ]
【0049】
シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズが、ポリプロピレンコンタクトレンズ型の中で、ステンフィルコンA用の配合物を硬化させることによって、調製された。硬化されたステンフィルコンAは、型から取り出され、表1に示す濃度でオレイン酸(88.5%純度、Croda International Plc)を含有するエタノール(EtOH)に215分間浸漬させることによって、抽出された。レンズがEtOHから取り出され、50/50(体積比)のEtOH/水の混合液で約30分間洗浄され、その後、3回の脱イオン水の交換が、それぞれ、約6分間、30分間、30分間、で続いた。レンズは、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を含む約1.5mlのパッケージング溶液と共に、MyDay(登録商標)ブランドのコンタクトレンズ用に使用されるプラスチックブリスターにパッケージ(包装)された。
【0050】
各レンズ(n=3)のオレイン酸(OA)の量は、レンズをイソプロパノール(IPA)で抽出し、抽出物中のオレイン酸を液体クロマトグラフィー質量分析法(LCMS)によって測定することによって、判定(決定)された。簡潔に説明すれば、各レンズがそのブリスターパックから取り出され、余剰のパッケージング溶液を除去するために軽く吸い取られ、10mLの100%イソプロパノール(IPA)を含む20mLのガラスバイアル内に入れられた。当該バイアルは、室温で一晩(約16時間)300rpmのベンチトップシェーカー上に置かれた。ステンフィルコンAの場合、レンズから実質的に全てのオレイン酸を抽出するには、一晩の単一の抽出工程で十分である。より疎水性の高いシリコーンヒドロゲルレンズ材料は、全てのオレイン酸を抽出するために、2度目の一晩の抽出を必要とし得る。この場合、最初の抽出工程で得たIPAが除去され、3mLの新鮮なIPAと交換され、室温で300rpmで一晩振とうされる。各レンズからのIPA抽出物中のオレイン酸の量は、液体クロマトグラフィー質量分析(LCMS)によって判定(決定)される。レンズあたりのオレイン酸の装填濃度と平均オレイン酸取り込み量とが、表1に示されている。
【0051】
【0052】
[実施例2.臨床結果]
【0053】
実施例1からのコンタクトレンズB及びCが、コンタクトレンズ着用者によって着用された(各レンズについてn=3)。オレイン酸の装填濃度が最も高いレンズCは、レンズ挿入時、最初の軽度の灼熱感/刺痛感覚を引き起こしたが、すぐに治まった。実施例3に記載されたEtOH放出方法を用いて、レンズCが最初の1時間で約22μgのオレイン酸を放出することが判定された。実施例1からのコンタクトレンズBは、最初の1時間で約12μgのオレイン酸を放出することが判定され(実施例3に記載された放出方法を用いて)、最初の挿入時に灼熱感/刺痛感覚を引き起こすことがなく、更なる臨床評価のために選択された。レンズBは、実施例3に記載された放出方法を用いて、オレイン酸の放出を約6時間持続することが判定された。
【0054】
25人の被験者が、2日間、バイラテラルで、10時間のクロスオーバー試験に登録された。被験者のうち12人が、症候性のコンタクトレンズ着用者として分類され、乾燥(0=非常に乾燥、100=全く乾燥していない)及び/または不快感(0=非常に悪い快適さ、100=優れた快適さ)について、視覚的アナログスケールで、両方の調査日で7時間の常習のレンズ着用後、100点中、85点以下の評価を報告した。13人の被験者が、無症候性のコンタクトレンズ着用者として分類され、乾燥(0=非常に乾燥、100=全く乾燥していない)及び/または不快感(0=非常に悪い快適さ、100=優れた快適さ)について、視覚的アナログスケールで、常習のコンタクトレンズ着用でのいずれかの調査日で、100点中、85点を超える評価を報告した。全ての被験者は、常習のレンズを7時間着用するよう求められた。次いで、レンズが、実施例1のレンズB(試験レンズ)またはMyDay(登録商標)ブランド(対照)のレンズと交換され、被験者はこれを3時間着用した。症候性被験者12人中9人が、試験レンズを好み、残りの3人の症候性被験者は対照レンズを好んだ。無症候性被験者のうち5人が対照レンズを好み、3人が試験レンズを好み、残りの5人の無症候性被験者はどちらのレンズも好まなかった。当該データは、オレイン酸含有レンズが症候性の被験者の間で圧倒的に好まれることを示唆している。試験レンズの好みを報告した症候性の被験者については、6人の被験者がレンズ意識が少ないと報告し、3人の被験者が乾燥が少ないと報告した。
【0055】
[実施例3.シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズからのオレイン酸放出プロファイルの判定]
【0056】
人工涙液膜(ATF)がインビトロ放出媒体として使用された場合、1時間の放出後に実施例1のレンズB及びレンズCによって放出されたオレイン酸の量は、統計的に差がなく、レンズCは1時間後に平均24.6μgのオレイン酸放出であり、レンズBは1時間後に平均24.1μgのオレイン酸放出であった。しかし、レンズBとレンズCの放出プロファイルの間には、2時間の時点と6時間の時点とで、統計的に有意な差があった。レンズCは、実施例2に記載された臨床試験において、最初の挿入時に刺すような痛みを生じたので、以下に記載される(放出媒体としてリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中の30体積%EtOHを使用する)インビトロ放出方法が開発されて、ATFが放出媒体である場合よりも初期時点での放出プロファイルがより遅くその変動がより小さい。この方法は、レンズBが平均11.9μgのオレイン酸を放出し、レンズCが平均22.5μgのオレイン酸を放出するという、1時間の時点での実施例1のレンズBとレンズCの放出プロファイル間の統計上の有意な差を提示した。
【0057】
オレイン酸含有シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの放出プロファイルを決定するために、レンズがそれらのパッケージから取り出され、余剰のパッケージング溶液がレンズから振り落とされる。各レンズが、35℃のPBS中30体積%エタノールの3mLを含む6mLガラスバイアル(本明細書では「EtOH放出媒体」と呼ばれる)に移される。当該バイアルが、35℃のインキュベーター内で125rpmのシェーカー上に置かれて、各時間時点(例えば、30分、1時間、2時間、3時間、4時間、6時間、及び、9時間)において、2.5mlのEtOH放出媒体が各バイアルから取り出されて分析のために提供され、2.5mlの新鮮なEtOH放出媒体が各バイアルに添加される。放出実験の終わりに、レンズがバイアルから取り出され得て、DI水(脱イオン水)ですすがれ得て(4×3秒/すすぎ)、実施例1に記載されたようにIPA抽出に供されて、レンズ内に残っているオレイン酸の量が判定され得る。
【0058】
[実施例4.第三級アミン基を含むシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズからのオレイン酸放出]
【0059】
シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズが、ステンフィルコンA用の重合性配合物を変更して約4.5重量%のメタクリル酸を約4.5重量%の2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレートで置換したことを除いて、実施例1と同様に調製された。
また、この実施例で使用されたオレイン酸は、Sigmaから入手され(99.4%純度)、表2に示される濃度で使用された。
【0060】
【0061】
実施例3に記載された方法を用いて、レンズD、E及びFについて、放出媒体としてリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中の30体積%EtOHを使用するインビトロ放出プロファイルが得られた。結果が表3に示されており、各時点での累積オレイン酸放出(T=0から)が示されている。
【0062】
【0063】
本発明は、以下の態様/実施形態/特徴を、任意の順序及び/または任意の組み合わせで、含み得る。
1. 未着用の滅菌されたシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズであって、任意選択的にパッケージング溶液内に浸漬されてパッケージ内に密封されており、
当該コンタクトレンズは、
(a)少なくとも1つのシロキサンモノマー、並びに、少なくとも1つの親水性モノマー、または少なくとも1つの親水性ポリマー、または少なくとも1つの親水性モノマー及び少なくとも1つの親水性ポリマーの両方、を含む重合性組成物の反応生成物であるポリマーレンズ本体と、
(b)前記ポリマーレンズ本体に放出可能に付着された所定量のオレイン酸と、
を備え、
当該コンタクトレンズは、任意選択的に、PBS中の30体積%エタノールからなる放出媒体中において、1時間で2μg~25μgのオレイン酸の放出を含む放出プロファイルを有する
ことを特徴とするコンタクトレンズ。
2. 前記ポリマーレンズ本体に放出可能に付着された前記所定量のオレイン酸は、約25μg~約500μgである
ことを特徴とする、前述または後述のいずれかの実施形態/特徴/態様のコンタクトレンズ。
3. 前記ポリマーレンズ本体に放出可能に付着された前記所定量のオレイン酸は、約100μg~約300μgである
ことを特徴とする、前述または後述のいずれかの実施形態/特徴/態様のコンタクトレンズ。
4. 当該コンタクトレンズは、前記放出媒体中において、少なくとも8時間、オレイン酸の放出を持続する
ことを特徴とする、前述または後述のいずれかの実施形態/特徴/態様のコンタクトレンズ。
5. 前記放出プロファイルは、
30分で 2μg~10μgのオレイン酸の累積的放出を有し、
1時間で 7μg~20μgのオレイン酸の累積的放出を有し、
3時間で15μg~45μgのオレイン酸の累積的放出を有し、
6時間で25μg~65μgのオレイン酸の累積的放出を有し、
9時間で35μg~75μgのオレイン酸の累積的放出を有する
ことを特徴とする、前述または後述のいずれかの実施形態/特徴/態様のコンタクトレンズ。
6. 前記放出プロファイルは、前記放出媒体中において、少なくとも9時間、1時間あたり3μg~20μgのオレイン酸の放出を有する
ことを特徴とする、前述または後述のいずれかの実施形態/特徴/態様のコンタクトレンズ。
7. 前記ポリマーレンズ本体は、オレイン酸の持続的な放出を促進する第三級アミン基を含む
ことを特徴とする、前述または後述のいずれかの実施形態/特徴/態様のコンタクトレンズ。
8. 前記ポリマーレンズ本体は、約1.0%~約10.0%のカチオン含有量を有する
ことを特徴とする、前述または後述のいずれかの実施形態/特徴/態様のコンタクトレンズ。
9. 前記重合性組成物は、非環状第三級アミンモノマーを含む
ことを特徴とする、前述または後述のいずれかの実施形態/特徴/態様のコンタクトレンズ。
10. 前記重合性組成物は、2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート(DMAEMA)を含む
ことを特徴とする、前述または後述のいずれかの実施形態/特徴/態様のコンタクトレンズ。
11. 当該コンタクトレンズは、パッケージング溶液内に浸漬されてパッケージ内に密封されており、
前記パッケージは、
(a)前記パッケージング溶液を保持するキャビティを有するベース部材と、
(b)前記ベース部材と液密シールを形成するカバーと、
を有する
ことを特徴とする、前述または後述のいずれかの実施形態/特徴/態様のコンタクトレンズ。
12. 前述または後述のいずれかの実施形態/特徴/態様のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを製造する方法であって、
(a)前記重合性組成物をコンタクトレンズ型内で重合化して前記ポリマーレンズ本体を得る工程と、
(b)前記ポリマーレンズ本体を前記コンタクトレンズ型から取り出す工程と、
(c)約500ppm~約2000ppmのオレイン酸を含む有機溶媒中で前記ポリマーレンズ本体を抽出する工程と、
(d)水和液中で前記ポリマーレンズ本体を水和して、前記シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを得る工程と、
(e)前記シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズをパッケージング溶液と共にパッケージ内で密封する工程と、
(f)前記パッケージをオートクレーブする工程と、
を備えたことを特徴とする方法。
13. 症候性のコンタクトレンズ着用者の視力矯正のための、前述または後述のいずれかの実施形態/特徴/態様のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの使用。
14. 症候性のコンタクトレンズ着用者の視力矯正方法であって、
前記症候性のコンタクトレンズ着用者が、前述または後述のいずれかの実施形態/特徴/態様のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを着用する工程
を含むことを含む方法。
15. コンタクトレンズの快適さを向上させる方法であって、
前記コンタクトレンズのポリマーレンズ本体に所定量のオレイン酸を放出可能に付着させる工程
を備えたことを特徴とする方法。
16. コンタクトレンズの快適さを向上させるための所定量のオレイン酸の使用であって、
前記オレイン酸は、前記コンタクトレンズのポリマーレンズ本体に放出可能に付着される
ことを特徴とする使用。
17. 前記コンタクトレンズは、前述または後述のいずれかの実施形態/特徴/態様のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズである
ことを特徴とする、15.または16.の実施形態/特徴/態様の方法または使用。
18. 症候性のコンタクトレンズ着用者においてレンズ意識の感覚が低減され、それによって、症候性のコンタクトレンズ着用者におけるコンタクトレンズの快適性を向上させる、及び/または、症候性のコンタクトレンズ装用者における快適なコンタクトレンズ着用時間の持続時間を増大させる
ことを特徴とする、前述または後述のいずれかの実施形態/特徴/態様の方法または使用。
19. 症候性のコンタクトレンズ着用者におけるレンズ意識の感覚を低減し、それによって、任意選択的に、症候性のコンタクトレンズ着用者におけるコンタクトレンズの快適性を向上させ、及び/または、症候性のコンタクトレンズ着用者における快適なコンタクトレンズ着用時間の持続時間を増大させる際に使用される組成物であって、
(a)少なくとも1つのシロキサンモノマー、並びに、少なくとも1つの親水性モノマー、または少なくとも1つの親水性ポリマー、またはそれらの両方、を含む重合性組成物の反応生成物であるポリマーレンズ本体と、
(b)前記ポリマーレンズ本体に放出可能に付着された所定量のオレイン酸と、
を備えたことを特徴とする組成物。
20. 症候性のコンタクトレンズ着用者におけるレンズ意識の感覚を低減し、それによって、任意選択的に、症候性のコンタクトレンズ着用者におけるコンタクトレンズの快適性を向上させ、及び/または、症候性のコンタクトレンズ着用者における快適なコンタクトレンズ着用時間の持続時間を増大させる際に使用される、オレイン酸を含む組成物であって、
前記オレイン酸は、少なくとも1つのシロキサンモノマー、並びに、少なくとも1つの親水性モノマー、または少なくとも1つの親水性ポリマー、またはそれらの両方、を含む重合性組成物の反応生成物であるポリマーレンズ本体に、放出可能に付着されている
ことを特徴とする組成物。
21. 未着用の滅菌されたシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの形態である、前述または後述のいずれかの実施形態/特徴/態様の組成物。
22. 当該組成物は、PBS中の30体積%エタノールからなる放出媒体中において、1時間で2μg~25μgのオレイン酸の放出を含む放出プロファイルを有する
ことを特徴とする、前述または後述のいずれかの実施形態/特徴/態様の組成物。
23. 前記ポリマーレンズ本体に放出可能に付着された前記所定量のオレイン酸は、約25μg~約500μgである
ことを特徴とする、前述または後述のいずれかの実施形態/特徴/態様の組成物。
24. 前記ポリマーレンズ本体に放出可能に付着された前記所定量のオレイン酸は、約100μg~約300μgである
ことを特徴とする、前述または後述のいずれかの実施形態/特徴/態様の組成物。
25. 当該コンタクトレンズは、前記放出媒体中において、少なくとも8時間、オレイン酸の放出を持続する
ことを特徴とする、前述または後述のいずれかの実施形態/特徴/態様の組成物。
26. 前記放出プロファイルは、
30分で 2μg~10μgのオレイン酸の累積的放出を有し、
1時間で 7μg~20μgのオレイン酸の累積的放出を有し、
3時間で15μg~45μgのオレイン酸の累積的放出を有し、
6時間で25μg~65μgのオレイン酸の累積的放出を有し、
9時間で35μg~75μgのオレイン酸の累積的放出を有する
ことを特徴とする、前述または後述のいずれかの実施形態/特徴/態様の組成物。
27. 前記放出プロファイルは、前記放出媒体中において、少なくとも9時間、1時間あたり3μg~20μgのオレイン酸の放出を有する
ことを特徴とする、前述または後述のいずれかの実施形態/特徴/態様の組成物。
28. 前記ポリマーレンズ本体は、オレイン酸の持続的な放出を促進する第三級アミン基を含む
ことを特徴とする、前述または後述のいずれかの実施形態/特徴/態様の組成物。
29. 前記ポリマーレンズ本体は、約1.0%~約10.0%のカチオン含有量を有する
ことを特徴とする、前述または後述のいずれかの実施形態/特徴/態様の組成物。
30. 前記重合性組成物は、非環状第三級アミンモノマーを含む
ことを特徴とする、前述または後述のいずれかの実施形態/特徴/態様の組成物。
31. 前記重合性組成物は、2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート(DMAEMA)を含む
ことを特徴とする、前述または後述のいずれかの実施形態/特徴/態様の組成物。
32. 当該組成物は、パッケージング溶液内に浸漬されてパッケージ内に密封されている
ことを特徴とする、前述または後述のいずれかの実施形態/特徴/態様の組成物。
33. 前記症候性のコンタクトレンズ着用者は、対照レンズと比較して、快適なコンタクトレンズ着用時間の増大された持続時間を有する
ことを特徴とする、前述または後述のいずれかの実施形態/特徴/態様の、使用、方法または組成物。
34. 前記症候性のコンタクトレンズ着用者は、対照レンズと比較して、日中において、レンズ意識が低減される、及び/または、「レンズ意識イベント」が少ない
ことを特徴とする、前述または後述のいずれかの実施形態/特徴/態様の、使用、方法または組成物。
35. 前記症候性のコンタクトレンズ着用者は、オレイン酸を含まない最初のコンタクトレンズを4時間以上着用し、当該最初のコンタクトレンズを前記シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズに交換して、当該症候性のコンタクトレンズ着用者の一日の終わりの快適さを増大させる
ことを特徴とする、前述または後述のいずれかの実施形態/特徴/態様の、使用、方法または組成物。
【0064】
本発明は、文章及び/または段落で説明されたように、前述された及び/または後述される(特許請求の範囲で説明される)様々な特徴または実施形態の任意の組み合わせを含み得る。本明細書に開示された特徴の任意の組み合わせが、本発明の一部とみなされる。組み合わせ可能な特徴に関して、限定は全く意図されていない。
【0065】
本明細書の開示は、特定の図示された実施例に言及しているが、これらの実施例は、限定ではなく例示として提示されていることが理解されるべきである。前述の詳細な説明の意図は、例示的な実施例について論じているが、当該実施例の全ての修正、代替、均等物、を包含すると解釈されるべきである。それらは、本発明の精神及び範囲内に入り得て、付加的な開示として定義され得る。
【0066】
本明細書において、「実施例」、「特定の実施例」、「態様」、「実施形態」、または、それらと同様の語句への言及は、オレイン酸を放出するシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ、その構成要素、密封されたコンタクトレンズパッケージ、その構成要素、または、オレイン酸を放出するシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの製造方法、の1または複数の特徴を紹介することが意図されている(文脈に応じて)。それらは、特定の特徴の組み合わせが相互に排他的でない限り、あるいは、文脈がそうでないことを示さない限り、前述されるまたは後述される、実施例、態様、実施形態(すなわち、特徴)の任意の組み合わせと組み合わされ得る。更に、本明細書で使用されるように、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明示的にそうでないことを示さない限り、複数の指示対象(例えば、少なくとも1または複数)を含む。従って、例えば、「a」「コンタクトレンズ」という言及は、単一のレンズ、及び、同一または異なる2以上のレンズ、を含む。
【0067】
本開示における全ての引用文献の全内容が、本開示と矛盾しない限りにおいて、参照により本明細書に組み込まれる(incorporated by reference)。
【0068】
本発明の他の実施形態が、本明細書の考察及び本明細書に開示された本発明の実践から、当業者には明らかである。本明細書及び実施例は、例示的であると見なされることが意図されている。本発明の真の範囲及び精神は、特許請求の範囲及びその均等物によって示される。
【手続補正書】
【提出日】2022-12-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッケージング溶液内に浸漬され、パッケージ内に密封された、未着用の滅菌されたシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズであって、
(a)少なくとも1つのシロキサンモノマー、並びに、少なくとも1つの親水性モノマー、または少なくとも1つの親水性ポリマー、または少なくとも1つの親水性モノマー及び少なくとも1つの親水性ポリマーの両方、を含む重合性組成物の反応生成物であるポリマーレンズ本体と、
(b)前記ポリマーレンズ本体に放出可能に付着された所定量のオレイン酸と、
を備え、
当該コンタクトレンズは、PBS中の30体積%エタノールからなる放出媒体中において、1時間で2μg~25μgのオレイン酸の放出を含む放出プロファイルを有する
ことを特徴とするコンタクトレンズ。
【請求項2】
前記ポリマーレンズ本体に放出可能に付着された前記所定量のオレイン酸は、約25μg~約500μgである
ことを特徴とする請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項3】
前記ポリマーレンズ本体に放出可能に付着された前記所定量のオレイン酸は、約100μg~約300μgである
ことを特徴とする請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項4】
当該コンタクトレンズは、前記放出媒体中において、少なくとも8時間、オレイン酸の放出を持続する
ことを特徴とする請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項5】
前記放出プロファイルは、
30分で 2μg~10μgのオレイン酸の累積的放出を有し、
1時間で 7μg~20μgのオレイン酸の累積的放出を有し、
3時間で15μg~45μgのオレイン酸の累積的放出を有し、
6時間で25μg~65μgのオレイン酸の累積的放出を有し、
9時間で35μg~75μgのオレイン酸の累積的放出を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項6】
前記放出プロファイルは、前記放出媒体中において、少なくとも9時間、1時間あたり3μg~20μgのオレイン酸の放出を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項7】
前記ポリマーレンズ本体は、オレイン酸の持続的な放出を促進する第三級アミン基を含む
ことを特徴とする請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項8】
前記ポリマーレンズ本体は、約1.0%~約10.0%のカチオン含有量を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項9】
前記重合性組成物は、非環状第三級アミンモノマーを含む
ことを特徴とする請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項10】
前記重合性組成物は、2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート(DMAEMA)を含む
ことを特徴とする請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項11】
前記パッケージは、
(a)前記パッケージング溶液を保持するキャビティを有するベース部材と、
(b)前記ベース部材と液密シールを形成するカバーと、
を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項12】
請求項1に記載のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを製造する方法であって、
(a)前記重合性組成物をコンタクトレンズ型内で重合化して前記ポリマーレンズ本体を得る工程と、
(b)前記ポリマーレンズ本体を前記コンタクトレンズ型から取り出す工程と、
(c)約500ppm~約2000ppmのオレイン酸を含む有機溶媒中で前記ポリマーレンズ本体を抽出する工程と、
(d)水和液中で前記ポリマーレンズ本体を水和して、前記シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを得る工程と、
(e)前記シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズをパッケージング溶液と共にパッケージ内で密封する工程と、
(f)前記パッケージをオートクレーブする工程と、
を備えたことを特徴とする方法。
【請求項13】
症候性のコンタクトレンズ着用者の視力矯正方法であって、
前記症候性のコンタクトレンズ着用者が請求項1に記載のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを着用する工程
を含むことを含む方法。
【請求項14】
前記症候性のコンタクトレンズ着用者は、対照レンズと比較して、快適なコンタクトレンズ着用時間の増大された持続時間を有する
ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記症候性のコンタクトレンズ着用者は、対照レンズと比較して、日中において、レンズ意識が低減される、及び/または、「レンズ意識イベント」が少ない
ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記症候性のコンタクトレンズ着用者は、オレイン酸を含まない最初のコンタクトレンズを4時間以上着用し、当該最初のコンタクトレンズを前記シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズに交換して、当該症候性のコンタクトレンズ着用者の一日の終わりの快適さを増大させる
ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項17】
請求項1に記載のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの快適さを向上させるための所定量のオレイン酸の使用であって、
前記オレイン酸放出ヒドロゲルコンタクトレンズは、オレイン酸を含まないがそれ以外は同一である対照レンズと比較して、症候性のコンタクトレンズ着用者における快適なコンタクトレンズ着用時間の持続時間を増大させ、及び/または、症候性のコンタクトレンズ着用者におけるレンズ意識イベントを低減させる
ことを特徴とする使用。
【請求項18】
症候性のコンタクトレンズ着用者においてレンズ意識の感覚が低減され、それによって、症候性のコンタクトレンズ着用者におけるコンタクトレンズの快適性を向上させる、及び/または、症候性のコンタクトレンズ着用者における快適なコンタクトレンズ着用時間の持続時間を増大させる
ことを特徴とする請求項17に記載の使用。
【請求項19】
オレイン酸を含まないがそれ以外は同一である対照レンズと比較して、症候性のコンタクトレンズ着用者におけるレンズ意識の感覚を低減し、それによって、症候性のコンタクトレンズ着用者におけるコンタクトレンズの快適性を向上させ、及び/または、症候性のコンタクトレンズ着用者における快適なコンタクトレンズ着用時間の持続時間を増大させる際に使用される組成物であって、
(a)少なくとも1つのシロキサンモノマー、並びに、少なくとも1つの親水性モノマー、または少なくとも1つの親水性ポリマー、またはそれらの両方、を含む重合性組成物の反応生成物であるポリマーレンズ本体と、
(b)前記ポリマーレンズ本体に放出可能に付着された所定量のオレイン酸と、
を備え、
当該組成物は、PBS中の30体積%エタノールからなる放出媒体中において、1時間で2μg~25μgのオレイン酸の放出を含む放出プロファイルを有する
ことを特徴とする組成物。
【国際調査報告】