(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-20
(54)【発明の名称】フルベンダゾールを含む医薬組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4184 20060101AFI20230613BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230613BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20230613BHJP
A61P 17/02 20060101ALI20230613BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20230613BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20230613BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20230613BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230613BHJP
A61P 19/06 20060101ALI20230613BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20230613BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230613BHJP
A61P 31/10 20060101ALI20230613BHJP
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A61P 33/00 20060101ALI20230613BHJP
A61P 33/02 20060101ALI20230613BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20230613BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230613BHJP
A61K 31/522 20060101ALI20230613BHJP
A61K 31/4164 20060101ALI20230613BHJP
A61K 31/138 20060101ALI20230613BHJP
A61K 31/427 20060101ALI20230613BHJP
A61K 31/135 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
A61K31/4184
A61K45/00
A61P21/00
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A61P25/00
A61P25/28
A61P1/16
A61P43/00 111
A61P19/06
A61P37/06
A61P29/00
A61P31/10
A61P31/12
A61P31/18
A61P31/04
A61P33/00
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A61P35/00
A61K31/522
A61K31/4164
A61K31/138
A61K31/427
A61K31/135
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022577381
(86)(22)【出願日】2020-08-12
(85)【翻訳文提出日】2022-12-15
(86)【国際出願番号】 GB2020051920
(87)【国際公開番号】W WO2022034275
(87)【国際公開日】2022-02-17
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】521358268
【氏名又は名称】ゼファファーム リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126354
【氏名又は名称】藤田 尚
(72)【発明者】
【氏名】テイラー,ジョン
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084MA02
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4C206ZB38
4C206ZC20
4C206ZC41
4C206ZC75
(57)【要約】
医薬品に使用するための、フルベンダゾール又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド若しくはプロドラッグと、中程度又は強力なシトクロムP450 1A2アイソエンザイム(CYP1A2)阻害剤と、を含む医薬組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フルベンダゾール又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド若しくはプロドラッグと、中程度又は強力なシトクロムP450 1A2アイソエンザイム(CYP1A2)阻害剤と、を含む医薬組成物。
【請求項2】
前記中程度又は強力なCYP1A2阻害剤が、フラフィリン、シプロフロキサシン、エノキサシン、フルボキサミン、ザフィルルカスト、8-フェニルテオフィリン、メトキサレン、チアベンダゾール、メキシレチン及びシメチジン、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド、プロドラッグ若しくは活性代謝産物から選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記強力なCYP1A2阻害剤が、フルボキサミン、チアベンダゾール、フラフィリン、メキシレチン、8-フェニルテオフィリン、シプロフロキサシン、エノキサシン及びザフィルルカスト、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド、プロドラッグ若しくは活性代謝産物から選択される、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記強力なCYP1A2阻害剤が、フルボキサミン、チアベンダゾール、フラフィリン、及びメキシレチン、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド、プロドラッグ若しくは活性代謝産物から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記中程度のCYP1A2阻害剤が、シメチジン及びメトキサレンから選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
フルベンダゾールのエクスビボ固有クリアランスが、中程度又は強力なCYP1A2阻害剤の非存在下でのフルベンダゾールと比較して少なくとも2分の1にまで低下する、請求項1から5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
フルベンダゾールのエクスビボ固有クリアランスが、強力なCYP1A2阻害剤の非存在下でのフルベンダゾールと比較して少なくとも5分の1にまで低下する、請求項1から6のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記フルベンダゾールが、中程度又は強力なCYP1A2阻害剤の非存在下におけるフルベンダゾールと比較して、より大きいインビボ曲線下面積(AUC)を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記フルベンダゾールが、中程度又は強力なCYP1A2阻害剤の非存在下におけるフルベンダゾールよりも少なくとも2倍大きいインビボAUCを有する、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記フルベンダゾールが、強力なCYP1A2阻害剤の非存在下におけるフルベンダゾールよりも少なくとも5倍大きいインビボAUCを有する、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記フルベンダゾールが、中程度又は強力なCYP1A2阻害剤の非存在下でのフルベンダゾールよりも長いインビボ半減期を有する、請求項1から10のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記フルベンダゾールの前記インビボ半減期が、前記中程度又は強力なCYP1A2阻害剤の非存在下でのフルベンダゾールのインビボ半減期の2、3、4、6、8、10、12、14、16、18又は20倍を超えて延長される、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記中程度又は強力なCYP1A2阻害剤が、中程度又は強力なCYP1A2阻害剤の非存在下でのフルベンダゾールと比較して、フルベンダゾールのエクスビボ固有クリアランスを少なくとも2分の1にまで減少させる、請求項1から12のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記強力なCYP1A2阻害剤が、強力なCYP1A2阻害剤の非存在下でのフルベンダゾールと比較して、フルベンダゾールのエクスビボ固有クリアランスを少なくとも5分の1にまで減少させる、請求項1から13のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記中程度又は強力なCYP1A2阻害剤が、中程度又は強力なCYP1A2阻害剤の非存在下でのフルベンダゾールと比較してフルベンダゾールのインビボAUCを増加させる、請求項1から14のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記中程度又は強力なCYP1A2阻害剤が、中程度又は強力なCYP1A2阻害剤の非存在下のフルベンダゾールよりも少なくとも2倍以上フルベンダゾールの前記インビボAUCを増加させる、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記強力なCYP1A2阻害剤が、強力なCYP1A2阻害剤の非存在下のフルベンダゾールよりも少なくとも5倍以上フルベンダゾールの前記インビボAUCを増加させる、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記中程度又は強力なCYP1A2阻害剤が、フルベンダゾールのインビボ半減期を延長させる、請求項1から17のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記中程度又は強力なCYP1A2阻害剤が、フルベンダゾールの前記インビボ半減期を、中程度又は強力なCYP1A2阻害剤の非存在下でのフルベンダゾールのインビボ半減期の2、3、4、6、8、10、12、14、16、18又は20倍を超えて延長させる、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
医薬品に使用するための、請求項1から19のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項21】
微小管の構造及び機能の阻害及び/又は破壊によって治療可能な疾患を治療する方法に使用するための、請求項1から20のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項22】
請求項1から19のいずれか一項に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む、対象における微小管の構造及び機能の阻害及び/又は破壊によって治療可能な疾患を治療する方法。
【請求項23】
微小管の構造及び機能の阻害及び/又は破壊によって治療可能な前記疾患が癌であり、任意で前記癌が血液癌又は固形腫瘍である、請求項21に記載の医薬組成物、又は請求項22に記載の方法。
【請求項24】
微小管の構造及び機能の阻害及び/又は破壊によって治療可能な前記疾患が感染性疾患である、請求項21に記載の使用のための医薬組成物、又は請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記感染性疾患が寄生虫症である、請求項24に記載の使用のための医薬組成物又は請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記寄生虫症が蠕虫性疾患である、請求項25に記載の使用のための医薬組成物、又は請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記蠕虫性疾患がフィラリア病である、請求項26に記載の使用のための医薬組成物、又は請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記寄生虫症が原虫性疾患である、請求項25に記載の使用のための医薬組成物、又は請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記感染性疾患が、細菌性疾患又はウイルス性疾患である、請求項24に記載の使用のための医薬組成物、又は請求項24に記載の方法。
【請求項30】
前記ウイルス性疾患がHIV感染症である、請求項29に記載の使用のための医薬組成物、又は請求項29に記載の方法。
【請求項31】
微小管の構造及び機能の阻害及び/又は破壊によって治療可能な前記疾患が真菌性疾患である、請求項21に記載の使用のための医薬組成物、又は請求項22に記載の方法。
【請求項32】
微小管の構造及び機能の阻害及び/又は破壊によって治療可能な前記疾患が増殖性疾患である、請求項21若しくは請求項23に記載の使用のための医薬組成物、又は請求項22若しくは請求項23に記載の方法。
【請求項33】
微小管の構造及び機能の阻害及び/又は破壊によって治療可能な前記疾患が炎症性疾患である、請求項21に記載の使用のための医薬組成物、又は請求項22に記載の方法。
【請求項34】
前記炎症性疾患が自己免疫疾患である、請求項33に記載の使用のための医薬組成物、又は請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記炎症性疾患が痛風である、請求項33に記載の使用のための医薬組成物又は請求項33に記載の方法。
【請求項36】
微小管の構造及び機能の阻害及び/又は破壊によって治療可能な前記疾患が線維性疾患である、請求項21に記載の使用のための医薬組成物、又は請求項22に記載の方法。
【請求項37】
上皮間葉転換(EMT)の障害又は復帰によって治療可能な疾患を治療する方法に使用するための、請求項1から19のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項38】
請求項1から19のいずれか一項に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む、対象におけるEMTの障害又は復帰によって治療可能な疾患を治療する方法。
【請求項39】
EMTの障害又は復帰によって治療可能な前記疾患が癌であり、任意で前記癌が固形腫瘍又は血液癌である、請求項37に記載の使用のための医薬組成物、又は請求項38に記載の方法。
【請求項40】
EMTの障害又は復帰によって治療可能な前記疾患が増殖性疾患である、請求項37若しくは請求項39に記載の使用のための医薬組成物、又は請求項38若しくは請求項39に記載の方法。
【請求項41】
EMTの障害又は復帰によって治療可能な前記疾患が炎症性疾患である、請求項37に記載の使用のための医薬組成物、又は請求項38に記載の方法。
【請求項42】
前記炎症性疾患が自己免疫疾患である、請求項41に記載の使用のための医薬組成物、又は請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記炎症性疾患が痛風である、請求項41に記載の使用のための医薬組成物、又は請求項41に記載の方法。
【請求項44】
EMTの障害又は復帰によって治療可能な前記疾患が線維性疾患である、請求項37に記載の使用のための医薬組成物、又は請求項38に記載の方法。
【請求項45】
神経発生疾患を治療する方法に使用するための、請求項1から19のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項46】
対象の神経変性疾患を治療する方法であって、請求項1から19のいずれか一項に記載の医薬組成物を前記対象に投与することを含む、対象の神経変性疾患を治療する方法。
【請求項47】
前記神経変性疾患が、アルツハイマー病、又は加齢関連疾患若しくは状態である、請求項45に記載の使用のための医薬組成物、又は請求項46に記載の方法。
【請求項48】
肝疾患を治療する方法において使用するための、請求項1から19のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項49】
対象の肝疾患を治療する方法であって、請求項1から19のいずれか一項に記載の医薬組成物を前記対象に投与することを含む、対象の肝疾患を治療する方法。
【請求項50】
脊髄損傷を治療する方法に使用するための、請求項1から19のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項51】
対象の脊髄損傷を治療する方法であって、請求項1から19のいずれか一項に記載の医薬組成物を前記対象に投与することを含む、対象の脊髄損傷を治療する方法。
【請求項52】
ミオパシーを治療する方法において使用するための、請求項1から19のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項53】
対象のミオパシーを治療する方法であって、請求項1から19のいずれか一項に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む、対象のミオパシーを治療する方法。
【請求項54】
前記方法が、フルベンダゾール又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド若しくはプロドラッグを、前記中程度又は強力なCYP1A2阻害剤と同時に、別々に、又は逐次的に対象に投与することを含む、請求項20から53のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物、又は請求項20から53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記癌が、固形癌又は血液癌であり、任意で前記癌が、気管支腫瘍、中枢神経系癌、中枢神経系胚芽腫、癌腫、急性骨髄性白血病(AML)、カルチノイド腫瘍、虫垂癌、星細胞腫、脊索腫、非定型奇形腫/ラブドイド腫瘍、肉腫、膀胱癌、甲状腺癌、原発性中枢神経系(CNS)リンパ腫、頭蓋外胚細胞腫瘍、食道癌、AIDS関連癌、肝細胞(肝臓)癌、陰茎癌、胸膜肺芽腫、胆嚢癌、横紋筋肉腫、ワルデンストロームマクログロブリン血症、唾液腺癌、中枢神経系胚細胞腫瘍、形質細胞性腫瘍、口唇癌及び口腔癌、精巣癌、肝外胆管癌、非浸潤性乳管癌(DCIS)、鼻咽頭癌、鼻腔及び副鼻腔癌、骨癌、乳癌、神経膠腫、毛状細胞白血病、ランゲルハンス細胞組織球症、口腔癌、上衣腫、皮膚T細胞リンパ腫、妊娠性栄養膜疾患、眼癌、カポジ肉腫、性腺外生殖細胞腫瘍、胃(Gastric)(胃(Stomach))癌、消化管間質腫瘍(GIST)、乳頭腫症、小腸癌、脳脊髄腫瘍、ワルデンストロームマクログロブリン血症、膵癌、咽頭癌、口腔咽頭癌、神経節腫、非黒色腫皮膚癌、骨髄異形成/骨髄増殖性腫瘍、扁平上皮癌、悪性線維性組織球腫、黒色腫、セザリー症候群、メルケル細胞癌、下垂体腫瘍、骨及び骨肉腫の悪性線維性組織球腫、卵巣癌、副甲状腺癌、皮膚癌、菌性真菌症、生殖細胞腫瘍、ファロピウス管癌、眼内黒色腫、白血病、膵神経内分泌腫瘍(膵島細胞腫瘍)、子宮内膜癌、リンパ腫、前立腺癌、腎盂及び尿管癌、骨肉腫(骨癌)、非ホジキンリンパ腫、非小細胞肺癌、基底細胞癌、喉頭癌、多発性骨髄腫/形質細胞性腫瘍、膣癌、扁平上皮頸癌、多発性骨髄腫、NUT遺伝子が関与している中索癌、頭頸部癌、心臓癌、眼内(眼)癌、腎細胞(腎臓)癌、骨の悪性線維性組織球腫、肝臓癌、直腸癌、結腸癌、悪性中皮腫、低悪性度腫瘍、口癌、軟部肉腫、下咽頭癌、ウィルムス腫瘍、上皮癌、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、網膜芽細胞腫、ホジキンリンパ腫、脳腫瘍/癌、精巣芽細胞腫、胚性腫瘍、子宮頸癌、慢性骨髄増殖性腫瘍、膵神経内分泌腫瘍、尿管癌及び腎骨盤癌、肛門癌、尿道癌、脳幹癌、外陰癌、慢性リンパ性白血病(CLL)、子宮肉腫、胃(Stomach)(胃(Gastric))癌、脳幹神経膠腫、多発性内分泌腫瘍症候群、骨髄異形成症候群、頭蓋咽頭腫、小細胞肺癌、口唇癌及び口腔癌、皮膚T細胞リンパ腫、神経芽腫、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、ランゲルハンス細胞組織球症、乳癌、消化管カルチノイド腫瘍、副鼻腔及び鼻腔癌、褐色細胞腫、原発性扁平上皮癌、男性乳癌、腎臓(Kidney)(腎臓(Renal))癌、肺癌、膵島細胞腫瘍、肝外胆管癌、子宮内膜癌、慢性骨髄増殖性腫瘍、腎骨盤及び尿路の移行細胞癌、胸腺腫及び胸腺癌、咽頭癌、ユーイング肉腫、慢性骨髄性白血病(CML)、結腸直腸癌、結腸癌、心臓(Cardiac)(心臓(Heart))腫瘍、バーキットリンパ腫、原発不明癌、中枢神経系非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍、小児癌、及び非ホジキンリンパ腫、副腎皮質癌、副腎皮質腺癌、副腎皮質腺腫、腎臓(Kidney)(腎臓(Renal))癌、及びP-gp発現多剤耐性腫瘍から選択される、請求項23若しくは39に記載の使用のための医薬組成物、又は請求項23若しくは請求項39に記載の方法。
【請求項56】
前記真菌性疾患又は寄生虫症が、蠕虫性疾患及び原虫性疾患から選択され、場合により、フィラリア病、オンコセルカ症、鉤虫症、エキノコックス症、回虫症、及び腸蟯虫症、釣頭虫類(Acanthocephalans)、プラスモディウム属種(Plasmodium spp)、アフリカトリパノソーム(African trypanosomes)、トリパノソーマ・クルーズ(Trypanosoma cruzi)、リーシュマニア属種(Leishmania)、ジアルジア属種(Giardia)、膣トリコモナス(Trichomonas vaginalis)、エントアメーバ・ヒストリチカ(Entamoeba histolytica)、エンセファリトゾーン種(Encephalitozoon spp)、アカントアメーバ・カステラーニ(Acanthamoeba castellani)、及びエンセイトゾーン・ビエネウシ(Enterocytozoon bieneusi)、並びに真菌性疾患、例えばクリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)及び他のクリプトコッカス種から選択される、請求項25から28若しくは31のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物、又は請求項25から28若しくは31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記方法が、前記組成物をヒトに投与することを含む、請求項20から56のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物、又は請求項20から56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記方法が、前記医薬組成物を経口、静脈内、筋肉内又は皮下投与することを含む、請求項20から57のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物、又は請求項20から57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
フルベンダゾール又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド、若しくはプロドラッグを、中程度又は強力なCYP1A2阻害剤と組み合わせることを含む、フルベンダゾールの薬物動態を改善するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品で使用するためのフルベンダゾールと、中程度又は強力なシトクロムP450 1A2アイソエンザイム(CYP1A2)阻害剤とを含む医薬組成物に関する。本発明はまた、微小管の構造及び機能の阻害及び/又は破壊によって治療可能な疾患を治療する方法に使用するためのフルベンダゾール及びCYP1A2阻害剤を含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ベンズイミダゾール化合物は、ある範囲の疾患の治療に関連する生物学的標的において活性を有することが公知である薬理学的に活性な化合物のクラスを表す。ベンズイミダゾール、例えばフルベンダゾール、メベンダゾール、ノコダゾール、ベノミル、カルベンダジム、オキシフェンダゾール(オキシフェンダゾール)、アルベンダゾール、リコベンダゾール(アルベンダゾールスルホキシド)、チアベンダゾール、フェンベンダゾール及びトリクラベンダゾールは、チューブリン重合に影響を及ぼしながら、細胞内の微小管構造及び機能の阻害剤及び/又は破壊剤として作用することが公知である。これらの効果は当分野において周知である(例えば、Spagnuolo et al.,2010;Michaelis et al.,2015;Oh et al.,2018;Lin et al.,2019)。
【0003】
ベンズイミダゾールは、癌細胞を含む動物細胞並びに寄生虫細胞及び真菌細胞の微小管に作用し、細胞増殖の停止/阻害をもたらす(Spagnuolo et al.,2010;Oh et al.,2018)。ベンズイミダゾールは、駆虫活性及び抗原虫活性を含む抗寄生虫活性並びに抗真菌活性を有することが公知である。フルベンダゾールを含むベンズイミダゾール化合物はまた、更なる作用機序、例えばあらゆる種類の癌/腫瘍、他の非癌性増殖性疾患、自己免疫性炎症性疾患及び痛風を含む炎症性疾患、及び線維性疾患に関連する上皮間葉転換(EMT)の障害又は復帰を有することが見出されている(例えば、Cronstein and Terkeltaub,2006;Kalluri and Weinberg,2009;Dinarello,2010;Hou et al.,2015;Wildenberg et al.,2017;Kralova et al.,2018;Yang et al.,2020)。
【0004】
フルベンダゾールの他の治療標的及び/又は機構には、キューティクル関連遺伝子発現の調節不全(O’Neill et al.,2016)、細胞アポトーシス及びHER2シグナル伝達を誘発することによる抗腫瘍作用(Zhou et al.,2018;Tao et al.,2019)、p53媒介性アポトーシス(Michaelis et al.,2015)、NF-κBシグナル伝達経路の抑制による抗腫瘍作用(Tao et al.,2019)、STAT3シグナル伝達を遮断し、オートファジーを活性化することによる抗腫瘍作用(ATG4B及びEVA1Aを標的とすることを含む)(Chauhan et al.,2015;Panda et al.,2019;Agrotis and Ketteler.,2019;Zhen et al.,2020;Lin et al.,2019)、循環血液中のMMP-2及びMMP-9レベルの減少と同時に、腫瘍成長、血管新生並びに肺及び肝臓転移の阻害を伴う、トリプルネガティブ乳癌細胞におけるG2/M期蓄積、カスパーゼ-3/-7活性化及びSTAT3活性化の調節不全を伴うアポトーシスの誘導(Oh et al.,2018)、癌幹様細胞の抑制(Hou et al.,2015)、グリア線維性酸性タンパク質の活性化の阻害、サイクリンB1発現及びブルトン型チロシンキナーゼ活性化の低下、B細胞の活性化/増殖及び炎症、並びにB細胞自己免疫応答の低下(Yu et al.,2019)が含まれることが示されている。
【0005】
フルベンダゾール(IUPAC名:メチルN-[6-(4-フルオロベンゾイル)-1H-ベンズイミダゾール-2-イル]カルバメート)は、腫瘍細胞を含む哺乳動物細胞、並びに寄生虫細胞及び真菌細胞において、微小管阻害及び/又は破壊によって強力な抗増殖活性を有することが示されている。フルベンダゾールは、EMTの障害又は復帰を引き起こすことも公知である。
【0006】
フルベンダゾール及びその医薬特性の様々な研究が行われてきた。フルベンダゾールは、Dr.Janssenらの研究チームによって最初に発見及び開発され、1980年に、回虫とも呼ばれる、土壌伝染性蠕虫を治療するためのヒトへの使用が最初に承認された(Lachau-Durand et al.,2019)。
【0007】
フルベンダゾールは、寄生虫、真菌細胞、腫瘍細胞及び非腫瘍細胞を含む増殖細胞を強力に阻害する。フルベンダゾールの長年確立された作用機序は、哺乳動物細胞チューブリン、並びに蠕虫、原虫及び真菌細胞チューブリンを含む動物チューブリンの結合による微小管阻害及び/又は破壊である。
【0008】
チューブリンは細胞分裂に不可欠であり、したがって、パクリタキセル、コルヒチン、及びビンクリスチンを含むいくつかの広く使用されている化学療法薬の癌標的である。フルベンダゾールの抗寄生虫作用は、チューブリンの重合を防止するように作用する微小管破壊剤としてのその作用によるものであり、寄生生物を死滅させる。フルベンダゾールは抗真菌活性も有する。フルベンダゾールは、様々な疾患に対する治療活性を有する他の作用機序を有することが示されている。
【0009】
フルベンダゾールの潜在的な治療用途にもかかわらず、診療所におけるその適用は、多くの薬物動態学的(PK)並びに忍容性の課題及び限界によって深刻に妨げられてきた。フルベンダゾール製剤の低い全身バイオアベイラビリティ、不適切なPK、又は不適切な安全性プロファイルは、公開された文献(例えば、Ceballos et al.,2011;Ceballos et al.,2014;O’Neill et al.,2016;Nixon et al.,2018;Geary et al.,2019)で論じられているように、フルベンダゾールに基づく全身臨床/治療処置の開発を制限している。フルベンダゾールは、消化管を介した全身吸収が少なすぎるため、これまで様々な製剤においてバイオアベイラビリティが不十分であると考えられてきた。更に、フルベンダゾールは、非経口投与した場合、注射部位及び注射部位周辺で局所的に忍容されなかった。毒性及び/又は不活性代謝産物の形成を制限しながら、治療濃度のフルベンダゾールの適切な全身PKを必要とする臨床治療は、長年にわたる様々な研究活動の後に見出されていない。少なくともこれらの理由から、様々な疾患の治療のためのフルベンダゾール開発プログラムは終了しており、したがって、抗寄生虫、抗真菌、及び抗癌治療並びにフルベンダゾールによって治療可能な他の疾患の治療のためのフルベンダゾールの臨床開発のための新規アプローチが必要とされている。
【0010】
フルベンダゾールの治療有用性を改善するための以前の試みは成功していない。背景として、フルベンダゾールの第I相代謝には、以下に示すように、脱炭酸(加水分解フルベンダゾール)及びフルベンダゾールのカルボニル還元(還元フルベンダゾール)を伴うカルバモイルメチル部分の加水分解が含まれる。
【化1】
(図は、Nobilis et al.,2007からコピーした。)
【0011】
還元フルベンダゾールの形成におけるカルボニルレダクターゼ1(CBR1)の関与は、以前の研究で示されている(Kubicek et al.,2019;and Stuchlikova et al.,2018)。しかし、重要なことに、臨床的安全性の観点から、CBR1は悪性挙動及びEMTを阻害し、頭頸部扁平上皮癌の転移も阻害することが示されているため、CBR1の阻害はフルベンダゾールの実現可能なPK改善戦略ではないことが見出された。CBR1は、肝臓、腎臓、乳房、卵巣及び血管内膜細胞を含む様々な臓器に存在し、高反応性脂質アルデヒドの不活性化を介して酸化ストレスから細胞を保護すること、及び脂肪酸代謝の制御に重要な役割を果たす(Kajimura et al.,2019;Yun et al.,2020)。したがって、CBR1の阻害は、フルベンダゾールの治療有用性を改善するための臨床的に実行可能な選択肢ではない。
【0012】
フルベンダゾールには全身バイオアベイラビリティが低いという問題があり、非晶質製剤(Vialpando et al.,2016;Geary et al.,2019;Lachau-Durand et al.,2019)並びに神経毒性の問題を誘発し、その開発の終了をもたらしたフルベンダゾールのプロドラッグ(UMF-078)(Geary et al.,2019)を含む新しい製剤の広範な研究開発につながった。フルベンダゾール及びその代謝産物の安全な曝露レベルでのフィラリア線虫の治療においてヒトに有効性を提供するであろうフルベンダゾール治療レジメンを選択することはできないとJanssenによって結論付けられた(Lachau-Durand et al.,2019)。
【0013】
フルベンダゾールの非経口製剤が開発されており、動物モデルにおいて優れた有効性を示しているが、フルベンダゾール製剤の筋肉内注射は、患者において有意な有害な局所注射部位反応を誘発し、したがってPKが延長された非経口製剤の更なる開発を妨げる(Geary et al.,2019;Lachau-Durand et al.,2019;Sjoberg et al.,2019)。皮下投与後の動物においても、有害な局所注射部位反応が観察されている(Ceballos et al.,2015)。
【0014】
フルベンダゾール及びその毒性代謝産物の用量に起因する許容できない局所有害作用又は全身作用のいずれかが、様々な治療的全身使用のための開発を終了させた。例えば、Janssenは、2012年の無視される熱帯性疾患に関するロンドン宣言(プレスリリース、Titusville,N.J.,2017年3月30日)へのコミットメントを果たすための会社(Janssen/Johnson&Johnson)による最善の努力をしたにもかかわらず、安全性の懸念を考慮して2017年にオンコセルカ症を治療するためのフルベンダゾールの経口製剤の開発を中止した。
【0015】
過去40年超にわたるフルベンダゾールの薬物開発活動は、より良好な及び/又は許容可能な利益:フルベンダゾールの治療的使用のリスクシナリオの開発を可能にするために、フルベンダゾール及びその代謝産物への全身曝露の程度及び変動性の問題をより大きな程度まで克服することができなかった(例えば、Janssenの2017年におけるオンコセルカ症を治療するためのフルベンダゾールの経口製剤の開発の中止)。したがって、フルベンダゾールの新しい全身使用は、寄生虫、真菌、癌及び他の疾患の臨床的に重要な治療には不可能であった。O’Neill et al.(2016)によって述べられているように、経口レジメンを用いて非経口フルベンダゾールの高い有効性を再現するための再製剤化努力の目標は依然として存在する。
【0016】
要約すると、フルベンダゾールの有望な治療可能性にもかかわらず、全身バイオアベイラビリティが低いため、診療所での使用が制限されている。フルベンダゾールは、消化管を介した吸収が非常に不十分であり、その後肝臓で吸収されたフルベンダゾールの初回通過代謝が続くため、様々な製剤では生物学的利用性が不十分であると以前に考えられていた。更に、フルベンダゾールは、非経口投与した場合に局所的に忍容されないことが示されている。毒性及び/又は治療的に不活性な代謝産物の形成を制限しながら、治療濃度のフルベンダゾールへの長期間の曝露を含む十分な全身曝露を必要とする患者の臨床治療は、今日まで見出されていない。上記の理由から、様々な疾患のためのフルベンダゾールの開発プログラムは終了しており、したがって治療的使用のためのフルベンダゾールの臨床開発のための新規アプローチが必要とされている。
【0017】
驚くべきことに、本発明者らは、フルベンダゾールのPKが、中程度又は強力なCYP1A2阻害剤との併用によって有意に改善(増強)されることを見出した。この新規機構によるフルベンダゾールのPKの改善は、有利かつ予想外に、その安全性及び有効性(治療効果)並びにフルベンダゾールの全身バイオアベイラビリティを必要とする疾患の治療における利益:リスクを改善する。
【0018】
経口投与後のフルベンダゾールの全身バイオアベイラビリティは、その低い可変的な経口吸収及びその迅速で広範囲の可変的な初回通過肝(内因性)クリアランスに基づいて、治療濃度での全身アベイラビリティを必要とする任意の疾患の治療にとって特に問題であった。本発明者らは、ヒト肝細胞及び肝ミクロソームを利用してフルベンダゾール代謝に対するCYP1A2阻害剤の効果を具体的に初めて研究し、予想外にも全身バイオアベイラビリティの問題を解決し、この薬物のPKを改善した。
【0019】
固有クリアランスを低下させることによって達成されるPKの改善は、治療濃度でフルベンダゾールの全身曝露を延長することによって疾患の治療的処置を有利に改善する。フルベンダゾールへの長期全身曝露は、様々な疾患、例えばフィラリア病における有効性のために重要であると考えられている(例えば、O’Neill et al.,2016;Sjoberg et al.,2019)。更なる利点は、これに対応して、フルベンダゾール代謝産物への曝露が減少することであり、これは患者にとって重要な安全上の利益を有する。したがって、本発明者によって同定された新規なCYP1A2阻害機構は、フルベンダゾールへの改善された及び/又は持続的な曝露によって治療可能な疾患の治療のための全く新しいアプローチを提供する。
【0020】
本発明者は、驚くべきことに、フルベンダゾールのPKがCYP1A2の中程度又は強力な阻害によって有意に改善され得ることを発見した。本発明は、かなりの現実世界の臨床的利点を提供し、同時に、従来技術における試みを妨げてきた臨床的安全性の懸念を回避又は低減する。
【0021】
したがって、フルベンダゾールの改善された治療的使用は、中程度又は強力なCYP1A2阻害剤との同時投与によって達成され得る。本発明によって達成される利点には、以下が含まれる。
・フルベンダゾールのPKを改善し、それにより活性部分の全身濃度を増加させ、その半減期を延長させる。
・フルベンダゾールの治療的全身濃度を延長、維持及び改善しながら、活性薬剤としてのフルベンダゾールのより低用量の投与。
・患者に見られる可変CYP1A2活性の阻害に基づくフルベンダゾール全身曝露の変動性の減少及び/又は排除。これは、CYP1A2活性の個体内及び個体間変動(遺伝的CYP1A2多型を含む)、及び例えば喫煙によるCYP1A2誘導の可能性のために特に重要である。
・寄生虫症、真菌性疾患、癌、及び他の疾患の治療を含む様々な治療用途における耐性の問題を克服する可能性。
・全身循環中のフルベンダゾール治療濃度を維持/延長しながら、そのPK増強による親薬物(フルベンダゾール)と比較した代謝産物の割合の減少、及び代謝産物の毒性副作用の付随する減少。
・毎日必要とされる個々の用量(例えば、錠剤、カプセル剤、経口液剤/懸濁剤)の数の減少及び投与頻度の減少。関連する利点は、患者の服薬アドヒアランスの向上である。
・経口製剤中のフルベンダゾールのより低い用量又は濃度を使用することによって達成される胃腸吸収の改善。フルベンダゾールは溶解度が低く、より高い濃度で胃腸環境中でその沈殿電位が上昇する(Ceballos et al.,2015)。
【0022】
今日まで、フルベンダゾールについての刊行物は、PK改善のための中程度又は強力なCYP1A2阻害剤であることが公知である薬物との同時投与(安全上の理由から必要とされる用量減少を含む)を考慮又は推奨していない。具体的には、フルベンダゾールがCYP1A2によって代謝され、他のCYPアイソエンザイムによって有意な程度まで代謝されないことは、これまで研究によって確立されていない。したがって、フルベンダゾールと強力又は中程度のCYP1A2阻害剤とを含む医薬組成物を使用してフルベンダゾールのPKを改善するための方法の本発見はまた、臨床医、他の医療専門家及び患者に、この組合わせのこれまで予見できなかった薬物-薬物相互作用リスクについて助言するのに役立つ。本発明は、本明細書に記載の試験に示すように、中程度又は強力なCYP1A2阻害剤の同時投与によってフルベンダゾール投与後のフルベンダゾールの固有クリアランスを減少させ、全身治療濃度を延長させ、毒性代謝産物及び/又は治療的に不活性な代謝産物への曝露を同時に減少させるのに役立つ。したがって、本発明によって達成されるPK改善の新規な形態は、はるかに改善された患者利益:リスク比を提供する。
【0023】
意外にも、フルベンダゾールは、CYP反応表現型決定調査において、非常に特異的なCYP1A2基質であることが初めて示された。フルベンダゾールは、CYP1A2組換え酵素の存在下で2.34分という驚くほど短い半減期値を与えた。更に、このCYP1A2特異性を確認した、ヒト肝ミクロソーム及びヒト凍結保存肝細胞を用いた新たな研究は、フルベンダゾールの代謝がCYP1A2阻害剤によって顕著又は完全に阻害されることを再現的に示した。
【0024】
1μMフルベンダゾールの治療関連濃度でのヒト肝ミクロソームでは、フルベンダゾールの半減期は、阻害剤なしの27.6分から、選択的に強力なCYP1A2阻害剤である10μMフラフィリンによる394分(6.6時間)へと延長されることが本明細書で示された(すなわち、半減期の14倍超の増加)。
【0025】
1μMのフルベンダゾールの治療に関連する濃度を使用したヒト凍結保存肝細胞では、内因性(肝臓)クリアランス値は、3μM以上のフラフィリン、3μM以上のフルボキサミン、3μM以上のチアベンダゾール及び10μM以上のメキシレチンの治療に関連する濃度で、フルベンダゾール代謝の強い(5倍以上)又は完全な阻害を示した。1μMのフルベンダゾールは、ヒト凍結保存肝細胞において10μMのシメチジンという治療上妥当な濃度でその代謝の中程度(2倍以上5倍未満)の阻害を示す固有クリアランス値を与えた。
【0026】
本発明者は、驚くべきことに、フルベンダゾールがCYP1A2によって迅速に代謝され、CYP1A2組換え酵素の存在下で2.34分の非常に短い半減期値を有することを見出した。ヒト肝ミクロソーム及びヒト肝細胞におけるフルベンダゾールの代謝は、中程度及び強力なCYP1A2阻害剤によって著しく阻害される。
【0027】
本発明による中程度又は強力なCYP1A2阻害剤には、フラフィリン、フルボキサミン、チアベンダゾール、メキシレチン、8-フェニルテオフィリン、シプロフロキサシン、エノキサシン、ザフィルルカスト、シメチジン、及びメトキサレン、あるいはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド、プロドラッグ又は活性代謝産物が含まれるが、これらに限定されない。
【0028】
国際出願番号PCT/GB2020/050287に詳述されているように、本発明者は驚くべきことに、リコベンダゾール(アルベンダゾールスルホキシド)代謝が、強力なCYP1A2阻害剤であるフラフィリンによって同程度に阻害されないことを見出し、したがって中程度又は強力なCYP1A2阻害剤による全てのベンズイミダゾールのPK増強が予測可能ではないことを実証した。リコベンダゾールはヒト肝ミクロソームでの代謝回転が低く、CYP1A2阻害剤(フラフィリン及びシメチジン)の添加による効果は限られていた。強力なCYP1A2阻害剤であるフラフィリンを用いて最大でもヒト肝ミクロソームにおけるリコベンダゾールの固有クリアランスの0~2.2倍の阻害が観察され、これは、本明細書で以下に要約するフラフィリンによるヒト肝ミクロソームにおけるフルベンダゾールの固有クリアランスの強力な(14.3倍までの)CYP1A2阻害と著しく対照的であった。リコベンダゾールはまた、組換えCYP酵素による低い代謝回転を示し、したがって、特定のCYPアイソフォームのリコベンダゾールの代謝への寄与は決定的ではなく、CYP1A2による非常に限られた代謝回転のいくつかの証拠しかなかった。これは、フルベンダゾールについて以下に示すデータと著しく対照的である。ベンズイミダゾールのPKの所望の増加を示すベンズイミダゾール及びCYP1A2阻害剤の組み合わせを同定するには、様々な阻害剤薬物及び基質薬物と組み合わせた、異なるヒトCYP、ヒト肝ミクロソーム及びヒト肝細胞の評価による広範な研究が必要であった。本発明者は、フルベンダゾールを驚くほど感受性のCYP1A2基質として同定した。
【0029】
フルベンダゾールの固有クリアランスは、本明細書では、ヒト凍結保存肝細胞において、3μM以上のフラフィリン、3μM以上のフルボキサミン、3μM以上のチアベンダゾール、及び10μM以上のメキシレチンの治療関連濃度で強力に(5倍以上)又は完全に阻害されることが示されている。フルベンダゾールの固有クリアランスは、本明細書では、ヒト凍結保存肝細胞において、10μMのシメチジンの治療関連濃度で中程度(≧2~<5倍)に阻害されることが示されている。
【0030】
フルベンダゾールのこれらのCYP1A2代謝所見は予想外であり、驚くべきものである。更に、それらは、カルボニルレダクターゼがフルベンダゾール代謝に関与する主な酵素であるという以前の刊行物(例えばCeballos et al.,2014)、並びにCharles University,Hradec Kralove,Czechia(Kubicek V et al.,2019)の研究者によって行われた最近の研究からの結論と矛盾すると思われる。これらの以前の研究の知見は、フルベンダゾールのヒト肝細胞(固有)クリアランスが中程度及び強力なCYP1A2阻害剤によって有意に阻害されることを実証する本明細書に記載の研究の知見とは対照的である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0031】
【非特許文献1】Spagnuolo et al.,2010
【非特許文献2】Michaelis et al.,2015
【非特許文献3】Oh et al.,2018
【非特許文献4】Lin et al.,2019
【非特許文献5】Cronstein and Terkeltaub,2006
【非特許文献6】Kalluri and Weinberg,2009
【非特許文献7】Dinarello,2010;Hou et al.,2015
【非特許文献8】Wildenberg et al.,2017
【非特許文献9】Kralova et al.,2018
【非特許文献10】Yang et al.,2020
【非特許文献11】O’Neill et al.,2016
【非特許文献12】Zhou et al.,2018;Tao et al.,2019
【非特許文献13】Tao et al.,2019
【非特許文献14】Chauhan et al.,2015
【非特許文献15】Panda et al.,2019
【非特許文献16】Agrotis and Ketteler.,2019
【非特許文献17】Zhen et al.,2020
【非特許文献18】Hou et al.,2015
【非特許文献19】Yu et al.,2019
【非特許文献20】Lachau-Durand et al.,2019
【非特許文献21】Ceballos et al.,2011
【非特許文献22】Ceballos et al.,2014
【非特許文献23】Nixon et al.,2018
【非特許文献24】Geary et al.,2019
【非特許文献25】Nobilis et al.,2007
【非特許文献26】Kubicek et al.,2019;and Stuchlikova et al.,2018
【非特許文献27】Kajimura et al.,2019;Yun et al.,2020
【非特許文献28】Vialpando et al.,2016
【非特許文献29】Lachau-Durand et al.,2019
【非特許文献30】Sjoberg et al.,2019
【非特許文献31】Ceballos et al.,2015
【非特許文献32】Ceballos et al.,2015
【非特許文献33】Kubicek V et al.,2019
【発明の概要】
【0032】
本発明は、フルベンダゾール又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド若しくはプロドラッグと、中程度又は強力なシトクロムP450 1A2アイソエンザイム(CYP1A2)阻害剤と、を含む医薬組成物を提供する。
【0033】
一実施形態では、中程度又は強力なCYP1A2阻害剤は、フラフィリン、シプロフロキサシン、エノキサシン、フルボキサミン、ザフィルルカスト、8-フェニルテオフィリン、メトキサレン、チアベンダゾール、メキシレチン及びシメチジン、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド、プロドラッグ若しくは活性代謝産物から選択される。
【0034】
一実施形態では、強力なCYP1A2阻害剤は、フルボキサミン、チアベンダゾール、フラフィリン、メキシレチン、8-フェニルテオフィリン、シプロフロキサシン、エノキサシン及びザフィルルカスト、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド、プロドラッグ若しくは活性代謝産物から選択される。
【0035】
一実施形態では、強力なCYP1A2阻害剤は、フルボキサミン、チアベンダゾール、フラフィリン、及びメキシレチン、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド、プロドラッグ若しくは活性代謝産物から選択される。
【0036】
一実施形態では、中程度のCYP1A2阻害剤は、シメチジン及びメトキサレンから選択される。
フルベンダゾールのエクスビボ固有クリアランスは、好ましくはヒト肝細胞を用いて測定される。
【0037】
一実施形態では、フルベンダゾールのエクスビボ固有クリアランスは、中程度又は強力なCYP1A2阻害剤の非存在下でのフルベンダゾールと比較して少なくとも2分の1にまで低下する。一実施形態では、フルベンダゾールのエクスビボ固有クリアランスは、強力なCYP1A2阻害剤の非存在下でのフルベンダゾールと比較して少なくとも5分の1にまで低下する。
【0038】
一実施形態では、フルベンダゾールは、中程度又は強力なCYP1A2阻害剤の非存在下におけるフルベンダゾールと比較して、より大きいインビボ曲線下面積(AUC)を有する。一実施形態では、フルベンダゾールは、中程度又は強力なCYP1A2阻害剤の非存在下におけるフルベンダゾールよりも少なくとも2倍大きいインビボAUCを有する。一実施形態では、フルベンダゾールは、強力なCYP1A2阻害剤の非存在下におけるフルベンダゾールよりも少なくとも5倍大きいインビボAUCを有する。
【0039】
一実施形態では、フルベンダゾールは、中程度又は強力なCYP1A2阻害剤の非存在下でのフルベンダゾールよりも長いインビボ半減期を有する。一実施形態では、フルベンダゾールのインビボ半減期は、中程度又は強力なCYP1A2阻害剤の非存在下でのフルベンダゾールのインビボ半減期の2、3、4、6、8、10、12、14、16、18又は20倍を超えて延長される。
【0040】
一実施形態では、中程度又は強力なCYP1A2阻害剤は、中程度又は強力なCYP1A2阻害剤の非存在下でのフルベンダゾールと比較して、フルベンダゾールのエクスビボ固有クリアランスを少なくとも2分の1にまで減少させる。一実施形態では、強力なCYP1A2阻害剤は、強力なCYP1A2阻害剤の非存在下でのフルベンダゾールと比較して、フルベンダゾールのエクスビボ固有クリアランスを少なくとも5分の1にまで減少させる。
【0041】
一実施形態では、中程度又は強力なCYP1A2阻害剤は、中程度又は強力なCYP1A2阻害剤の非存在下でのフルベンダゾールと比較してフルベンダゾールのインビボAUCを増加させる。一実施形態では、中程度又は強力なCYP1A2阻害剤は、中程度又は強力なCYP1A2阻害剤の非存在下のフルベンダゾールよりも少なくとも2倍以上フルベンダゾールのインビボAUCを増加させる。一実施形態では、強力なCYP1A2阻害剤は、強力なCYP1A2阻害剤の非存在下におけるフルベンダゾールよりもフルベンダゾールのインビボAUCを少なくとも5倍増加させる。
【0042】
一実施形態では、中程度又は強力なCYP1A2阻害剤は、フルベンダゾールのインビボ半減期を延長する。一実施形態では、中程度又は強力なCYP1A2阻害剤は、フルベンダゾールのインビボ半減期を、中程度又は強力なCYP1A2阻害剤の非存在下でのフルベンダゾールのインビボ半減期の2、3、4、6、8、10、12、14、16、18又は20倍を超えて延長させる。
【0043】
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、医薬品に使用するためのものである。
【0044】
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、微小管の構造及び機能の阻害及び/又は破壊によって治療可能な疾患を治療する方法で使用するためのものである。本発明はまた、対象における微小管の構造及び機能の阻害及び/又は破壊によって治療可能な疾患を治療する方法を提供し、方法は、対象に本発明の医薬組成物を投与することを含む。
【0045】
一実施形態では、微小管の構造及び機能の阻害及び/又は破壊によって治療可能な疾患は癌であり、任意で癌は血液癌又は固形腫瘍である。
【0046】
一実施形態では、微小管の構造及び機能の阻害及び/又は破壊によって治療可能な疾患は、感染性疾患である。一実施形態では、感染性疾患は寄生虫症である。一実施形態では、寄生虫症は蠕虫性疾患である。一実施形態では、蠕虫性疾患はフィラリア病である。一実施形態では、寄生虫症は原虫性疾患である。一実施形態では、感染性疾患は細菌性疾患又はウイルス性疾患である。一実施形態では、ウイルス性疾患はHIV感染症である。
【0047】
一実施形態では、微小管の構造及び機能の阻害及び/又は破壊によって治療可能な疾患は、真菌性疾患である。
【0048】
一実施形態では、微小管の構造及び機能の阻害及び/又は破壊によって治療可能な疾患は増殖性疾患である。
【0049】
一実施形態では、微小管の構造及び機能の阻害及び/又は破壊によって治療可能な疾患は、炎症性疾患である。一実施形態では、炎症性疾患は自己免疫疾患である。一実施形態では、炎症性疾患は痛風である。
【0050】
一実施形態では、微小管の構造及び機能の阻害及び/又は破壊によって治療可能な疾患は線維性疾患である。
【0051】
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、上皮間葉転換(EMT)の障害又は復帰によって治療可能な疾患を治療する方法に使用するためのものである。本発明はまた、対象においてEMTの障害又は復帰によって治療可能な疾患を治療する方法を提供し、方法は、対象に本発明の医薬組成物を投与することを含む。
【0052】
一実施形態では、EMTの障害又は復帰によって治療可能な疾患は癌であり、任意で癌は固形腫瘍又は血液癌である。
【0053】
一実施形態では、EMTの障害又は復帰によって治療可能な疾患は増殖性疾患である。
【0054】
一実施形態では、EMTの障害又は復帰によって治療可能な疾患は炎症性疾患である。一実施形態では、炎症性疾患は自己免疫疾患である。一実施形態では、炎症性疾患は痛風である。
【0055】
一実施形態では、EMTの障害又は復帰によって治療可能な疾患は線維性疾患である。
【0056】
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、神経発生疾患を治療する方法で使用するためのものである。本発明はまた、対象の神経変性疾患を治療する方法を提供し、方法は、対象に本発明の医薬組成物を投与することを含む。
【0057】
一実施形態では、神経変性疾患は、アルツハイマー病、又は加齢関連疾患若しくは状態である。
【0058】
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、肝疾患を治療する方法で使用するためのものである。本発明はまた、対象の肝疾患を治療する方法を提供し、方法は、対象に本発明の医薬組成物を投与することを含む。
【0059】
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、脊髄損傷を治療する方法で使用するためのものである。本発明はまた、対象の脊髄損傷を治療する方法を提供し、方法は、対象に発明の医薬組成物を投与することを含む。
【0060】
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、ミオパシーを治療する方法で使用するためのものである。本発明はまた、対象のミオパシーを治療する方法を提供し、方法は、対象に本発明の医薬組成物を投与することを含む。
【0061】
一実施形態では、方法は、フルベンダゾール又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド若しくはプロドラッグを、中程度又は強力なCYP1A2阻害剤と同時に、別々に又は逐次的に対象に投与する工程を含む。
【0062】
一実施形態では、癌は、固形癌又は血液癌であり、任意で癌は、気管支腫瘍、中枢神経系癌、中枢神経系胚芽腫、癌腫、急性骨髄性白血病(AML)、カルチノイド腫瘍、虫垂癌、星細胞腫、脊索腫、非定型奇形腫/ラブドイド腫瘍、肉腫、膀胱癌、甲状腺癌、原発性中枢神経系(CNS)リンパ腫、頭蓋外胚細胞腫瘍、食道癌、AIDS関連癌、肝細胞(肝臓)癌、陰茎癌、胸膜肺芽腫、胆嚢癌、横紋筋肉腫、ワルデンストロームマクログロブリン血症、唾液腺癌、中枢神経系胚細胞腫瘍、形質細胞性腫瘍、口唇癌及び口腔癌、精巣癌、肝外胆管癌、非浸潤性乳管癌(DCIS)、鼻咽頭癌、鼻腔及び副鼻腔癌、骨癌、乳癌、神経膠腫、毛状細胞白血病、ランゲルハンス細胞組織球症、口腔癌、上衣腫、皮膚T細胞リンパ腫、妊娠性栄養膜疾患、眼癌、カポジ肉腫、性腺外生殖細胞腫瘍、胃(Gastric)(胃(Stomach))癌、消化管間質腫瘍(GIST)、乳頭腫症、小腸癌、脳脊髄腫瘍、ワルデンストロームマクログロブリン血症、膵癌、咽頭癌、口腔咽頭癌、神経節腫、非黒色腫皮膚癌、骨髄異形成/骨髄増殖性腫瘍、扁平上皮癌、悪性線維性組織球腫、黒色腫、セザリー症候群、メルケル細胞癌、下垂体腫瘍、骨及び骨肉腫の悪性線維性組織球腫、卵巣癌、副甲状腺癌、皮膚癌、菌性真菌症、生殖細胞腫瘍、ファロピウス管癌、眼内黒色腫、白血病、膵神経内分泌腫瘍(膵島細胞腫瘍)、子宮内膜癌、リンパ腫、前立腺癌、腎盂及び尿管癌、骨肉腫(骨癌)、非ホジキンリンパ腫、非小細胞肺癌、基底細胞癌、喉頭癌、多発性骨髄腫/形質細胞性腫瘍、膣癌、扁平上皮頸癌、多発性骨髄腫、NUT遺伝子が関与している中索癌、頭頸部癌、心臓癌、眼内(眼)癌、腎細胞(腎臓)癌、骨の悪性線維性組織球腫、肝臓癌、直腸癌、結腸癌、悪性中皮腫、低悪性度腫瘍、口癌、軟部肉腫、下咽頭癌、ウィルムス腫瘍、上皮癌、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、網膜芽細胞腫、ホジキンリンパ腫、脳腫瘍/癌、精巣芽細胞腫、胚性腫瘍、子宮頸癌、慢性骨髄増殖性腫瘍、膵神経内分泌腫瘍、尿管癌及び腎骨盤癌、肛門癌、尿道癌、脳幹癌、外陰癌、慢性リンパ性白血病(CLL)、子宮肉腫、胃(Stomach)(胃(Gastric))癌、脳幹神経膠腫、多発性内分泌腫瘍症候群、骨髄異形成症候群、頭蓋咽頭腫、小細胞肺癌、口唇癌及び口腔癌、皮膚T細胞リンパ腫、神経芽腫、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、ランゲルハンス細胞組織球症、乳癌、消化管カルチノイド腫瘍、副鼻腔及び鼻腔癌、褐色細胞腫、原発性扁平上皮癌、男性乳癌、腎臓(Kidney)(腎臓(Renal))癌、肺癌、膵島細胞腫瘍、肝外胆管癌、子宮内膜癌、慢性骨髄増殖性腫瘍、腎骨盤及び尿路の移行細胞癌、胸腺腫及び胸腺癌、咽頭癌、ユーイング肉腫、慢性骨髄性白血病(CML)、結腸直腸癌、結腸癌、心臓(Cardiac)(心臓(Heart))腫瘍、バーキットリンパ腫、原発不明癌、中枢神経系非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍、小児癌、及び非ホジキンリンパ腫、副腎皮質癌、副腎皮質腺癌、副腎皮質腺腫、腎臓(Kidney)(腎臓(Renal))癌、及びP-gp発現多剤耐性腫瘍から選択される。
【0063】
一実施形態では、真菌性疾患又は寄生虫症は、蠕虫性疾患及び原虫性疾患から選択され、場合により、フィラリア病、オンコセルカ症、鉤虫症、エキノコックス症、回虫症、及び腸蟯虫症、釣頭虫類(Acanthocephalans)、プラスモディウム属種(Plasmodium spp)、アフリカトリパノソーム(African trypanosomes)、トリパノソーマ・クルーズ(Trypanosoma cruzi)、リーシュマニア属種(Leishmania)、ジアルジア属種(Giardia)、膣トリコモナス(Trichomonas vaginalis)、エントアメーバ・ヒストリチカ(Entamoeba histolytica)、エンセファリトゾーン種(Encephalitozoon spp)、アカントアメーバ・カステラーニ(Acanthamoeba castellani)、及びエンセイトゾーン・ビエネウシ(Enterocytozoon bieneusi)、並びに真菌性疾患、例えばクリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)及び他のクリプトコッカス種から選択される。
【0064】
一実施形態では、本方法は、組成物をヒトに投与することを含む。
【0065】
一実施形態では、方法は、医薬組成物を経口、静脈内、筋肉内又は皮下投与することを含む。
【0066】
本発明はまた、フルベンダゾールの薬物動態を改善するための方法を提供し、方法は、フルベンダゾール又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド、若しくはプロドラッグを、中程度又は強力なCYP1A2阻害剤と組み合わせることを含む。
【0067】
本発明はまた、治療によるヒト又は動物対象の治療方法に使用するための、フルベンダゾール又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド若しくはプロドラッグと、強又は中程度のCYP1A2阻害剤とを含む医薬組成物を提供する。
【0068】
本発明はまた、治療によるヒト又は動物対象の治療方法において使用するためのフルベンダゾール又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド若しくはプロドラッグを提供し、方法は、強力又は中程度のCYP1A2阻害剤の同時、別個又は逐次投与を含む。
【0069】
本発明はまた、治療によるヒト又は動物対象の治療方法で使用するための強力又は中程度のCYP1A2阻害剤を提供し、治療方法は、フルベンダゾールを含む医薬組成物の同時、別個又は逐次投与を含む。
【0070】
本発明はまた、治療によるヒト又は動物対象の治療のための医薬品の製造におけるフルベンダゾール又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド若しくはプロドラッグ及び強又は中程度のCYP1A2阻害剤の使用を提供する。
【0071】
本発明は、フルベンダゾール又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド若しくはプロドラッグと、強又は中程度のCYP1A2阻害剤との同時、別々又は逐次投与を含む、治療によるヒト又は動物対象の治療方法を提供する。
【0072】
本発明はまた、改善されたフルベンダゾール製剤を製造する方法を提供し、方法は、フルベンダゾールを強又は中程度のCYP1A2阻害剤と組み合わせることを含む。
【0073】
驚くべきことに、フルベンダゾールの固有(肝臓)クリアランス及び代謝産物の形成を減少させることによって達成されるフルベンダゾールのPKの改善(増強)は、CYP1A2によるフルベンダゾール代謝の阻害によって達成されることが発見された。本発明は、フルベンダゾールを強力又は中程度のCYP1A2阻害剤と組み合わせることによってフルベンダゾールの改善されたPKを達成する。本発明は、フルベンダゾールのPKを改善し、延長されたインビボ治療活性を含む改善されたインビボ治療活性をもたらす手段を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【
図1】実施例1のCYP1A2組換えP450アイソフォームの存在下でのフルベンダゾールの安定性を示す図である。
【
図2】実施例1のCYP2B6組換えP450アイソフォームの存在下でのフルベンダゾールの安定性を示す図である。
【
図3】実施例1のCYP2C8組換えP450アイソフォームの存在下でのフルベンダゾールの安定性を示す図である。
【
図4】実施例1のCYP2C9組換えP450アイソフォームの存在下でのフルベンダゾールの安定性を示す図である。
【
図5】実施例1のCYP2C19組換えP450アイソフォームの存在下でのフルベンダゾールの安定性を示す図である。
【
図6】実施例1のCYP2D6組換えP450アイソフォームの存在下でのフルベンダゾールの安定性を示す図である。
【
図7】実施例1のCYP3A4組換えP450アイソフォームの存在下でのフルベンダゾールの安定性を示す図である。
【
図8】実施例2のCYP1A2阻害剤の非存在下でのヒト肝ミクロソームにおけるフルベンダゾールの安定性を示す図である。
【
図9】実施例2のそれぞれ3μM、10μM、及び30μMのフラフィリン(強力なCYP1A2阻害剤)の存在下でのヒト肝ミクロソームにおけるフルベンダゾールの安定性を示す図である。
【
図12】実施例3のヒト肝細胞における、アッセイ1でのフルベンダゾールの安定性を示す図である。
【
図13】実施例3のCYP1A2阻害剤の非存在下でのヒト肝細胞における、アッセイ2でのフルベンダゾールの安定性を示す図である。
【
図14】実施例3のそれぞれ1μM、3μM、10μM、及び30μMのフラフィリン(強力なCYP1A2阻害剤)の存在下での、ヒト肝細胞におけるアッセイ2でのフルベンダゾールの安定性を示す図である。
【
図18】実施例3のそれぞれ3μM、10μM、30μM、及び100μMのチアベンダゾール(強力なCYP1A2阻害剤)の存在下での、ヒト肝細胞におけるアッセイ2でのフルベンダゾールの安定性を示す図である。
【
図22】実施例3のそれぞれ3μM、10μM、30μM、及び100μMのフルボキサミン(強力なCYP1A2阻害剤)の存在下での、ヒト肝細胞におけるアッセイ2でのフルベンダゾールの安定性を示す図である。
【
図26】実施例3のCYP1A2阻害剤の非存在下でのヒト肝細胞における、アッセイ3でのフルベンダゾールの安定性を示す図である。
【
図27】実施例3のそれぞれ10μM、100μM、及び300μMのシメチジン(中程度のCYP1A2阻害剤)の存在下での、ヒト肝細胞におけるアッセイ3でのフルベンダゾールの安定性を示す図である。
【
図30】実施例3のそれぞれ10μM、30μM、100μM及び300μMのメキシレチン(強力なCYP1A2阻害剤)の存在下での、ヒト肝細胞におけるアッセイ3でのフルベンダゾールの安定性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0075】
本発明の特定の特徴を以下により詳細に説明する。
【0076】
以下の説明では、本発明の組成物の「活性成分」という用語は、フルベンダゾール及び強又は中程度のCYP1A2阻害剤を指す。
【0077】
本発明の組成物の活性成分は、不斉中心又はキラル中心を含有し得、したがって、異なる立体異性体形態で存在する。別段の指定がない限り、ジアステレオマー、エナンチオマー及びアトロプ異性体、並びにラセミ混合物等のそれらの混合物を含むがこれらに限定されない活性成分の全ての立体異性体が、本発明の組成物の一部を形成し得ることが意図される。別段特定されない限り、1つ又はそれを超えるキラル中心を含有する活性成分は、エナンチオマー的若しくはジアステレオ異性的に純粋な形態で、又は異性体の混合物の形態で使用され得る。活性成分が名称(例えば、INN又は薬物の商品名)によって言及される場合、及びその名称が1つの特定のジアステレオマー、エナンチオマー又はアトロプ異性体を指すものとして製薬技術分野で一般に認識されている場合、言及される活性成分は、典型的にはその特定のジアステレオマー、エナンチオマー又はアトロプ異性体である。
【0078】
本発明の組成物の活性成分は、異なる互変異性形態で存在してもよく、特に明記しない限り、そのような形態は全て本発明の範囲内に包含される。「互変異性体」又は「互変異性体」という用語は、低エネルギー障壁を介して相互変換可能な異なるエネルギーの構造異性体を指す。例えば、プロトン互変異性体(プロトン互変異性体としても公知)は、プロトンの移動を介した相互変換、例えばケト-エノール互変異性化を含む。原子価互変異性体は、結合電子の一部の再編成による相互変換を含む。
【0079】
固体状態の本発明の組成物の有効成分は、異なる非晶質又は結晶形態(例えば多形体)で存在してもよく、そのような形態は全て本発明の範囲内に含まれる。
【0080】
本明細書で使用される場合、活性成分の薬学的に許容される塩は、活性成分を、ヒト又は動物対象への投与に許容される塩基又は酸と組み合わせることによって調製され得る活性成分の塩を指す。
【0081】
本明細書で使用される場合、活性成分の薬学的に許容される溶媒和物は、活性成分と、ヒト又は動物対象への投与に許容される溶媒の分子とを含む固体状態の複合体を指す。活性成分は、溶媒に溶解して溶液を形成してもよく、又は溶媒に懸濁して懸濁液を形成してもよい。溶液又は懸濁液は、医薬品として使用するためのものであり得る。
【0082】
本明細書で使用される場合、活性成分の薬学的に許容される水和物は、溶媒が水である溶媒和物を指す。
【0083】
本明細書で使用される場合、活性成分の薬学的に許容されるN-オキシドは、その非酸化状態の活性成分が塩基性アミン又はイミンを含む活性成分の酸化物を指す。
【0084】
本明細書で使用される場合、活性成分の薬学的に許容されるプロドラッグは、ヒト又は動物患者に投与された場合にインビボで活性成分に変換され得る薬学的に許容される物質を指す。活性成分のプロドラッグは、活性成分の部分をプロ部分でマスクすることによって形成され得る。プロドラッグは、Pro-drugs as Novel Delivery Systems,Vol.14,ACS Symposium Series(T.Higuchi及びW.Stella)並びにBioreversible Carriers in Drug Design,Pergamon Press,1987(ed.E.B.Roche,American Pharmaceutical Association)に更に詳細に記載されている。
【0085】
本明細書で使用される場合、薬学的に許容される活性代謝産物は、成分がヒト又は動物対象に投与された場合にインビボで形成され、所望の薬理活性を有する薬学的に許容される物質を指す。
【0086】
本明細書で使用される場合、「ベンズイミダゾール化合物」という用語は、ベンズイミダゾール部分を含む薬理学的に活性な化合物を指す。フルベンダゾールは、細胞内の微小管構造及び機能を阻害及び/又は破壊することによってその主な治療活性を発揮し、チューブリン重合に影響を及ぼす。フルベンダゾールの治療効果には、微小管の構造及び機能の阻害及び/又は破壊の直接効果、並びに微小管の構造及び機能の阻害及び/又は破壊から生じる下流効果が含まれる。したがって、本発明の組成物は、微小管の構造及び機能の阻害及び/又は破壊から生じる下流効果を含むフルベンダゾールの他の薬理学的作用によって治療可能な疾患を含む、微小管の構造及び機能の阻害及び/又は破壊によって治療可能な疾患の治療に使用するためのものであり得る。一実施形態では、本発明の組成物は、癌/腫瘍疾患(固形腫瘍及び血液癌を含む)、寄生虫症、真菌性疾患、非癌増殖性疾患、自己免疫性炎症性疾患及び痛風を含む炎症性疾患、並びに線維性疾患の治療に使用するためのものである(例えば、Cronstein and Terkeltaub,2006;Kalluri and Weinberg,2009;Dinarello,2010;Hou et al.,2015;Wildenberg et al.,2017;Kralova et al.,2018;Yang et al.,2020)。
【0087】
フルベンダゾール(その薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド又はプロドラッグを含む)を本発明の組成物に使用する。
【0088】
本発明者は、組換えヒトP450酵素、ヒト肝ミクロソーム研究、及びヒト肝細胞研究を使用して、フルベンダゾールがCYP1A2によって代謝されることを発見した。「CYP1A2によって代謝される」とは、CYP1A2がインビボでフルベンダゾールの代謝に少なくとも部分的に関与していることを意味する。フルベンダゾールは、CYP1A2組換え酵素の存在下で2.34分という驚くほど非常に短い半減期値を与えた。
【0089】
当業者は、本発明によって達成される薬物動態学的改善が、微小管構造及び/又は機能の阻害及び/又は破壊を伴わない作用機序にも適用されることを理解するであろう。いくつかの実施形態では、フルベンダゾールは、限定するものではないが、以下を含む1つ又はそれ以上の機序を介して活性を有する。
-抗真菌活性(Nixon et al.,2018)
-β-チューブリン結合(Nixon et al.,2018;Sjoberg et al.,2019)
-細胞死をもたらすチューブリン重合の阻害(Spagnuolo et al.,2010;Michaelis et al.,2015)
-キューティクル関連遺伝子発現の調節不全(O’Neill et al.,2016)
-微小管構造の破壊(Spagnuolo et al.,2010;Oh et al.,2018)
-細胞増殖の停止/阻害(Spagnuolo et al.,2010;Oh et al.,2018)
-細胞アポトーシス、微小管機能の阻害、及びHER2シグナル伝達を誘発することによる抗腫瘍作用(Zhou et al.,2018;Tao et al.,2019)
-p53媒介性アポトーシス(Michaelis et al.,2015)
-NF-κBシグナル伝達経路の抑制による抗腫瘍作用(Tao et al.,2019)
-STAT3シグナル伝達を遮断し、オートファジーを活性化することによる抗腫瘍作用(ATG4B及びEVA1Aを標的とすることを含む)(Chauhan et al.,2015;Panda et al.,2019;Agrotis and Ketteler.,2019;Zhen et al.,2020;Lin et al.,2019)
-循環血液中のMMP-2及びMMP-9レベルの減少と同時に、腫瘍成長、血管新生並びに肺及び肝臓転移の阻害を伴う、トリプルネガティブ乳癌細胞におけるG2/M期蓄積、カスパーゼ-3/-7活性化及びSTAT3活性化の調節不全を伴うアポトーシスの誘導(Oh et al.,2018)
-癌幹様細胞の抑制、EMT復帰(Hou et al.,2015)
-グリア線維酸性タンパク質の活性化の阻害、サイクリンB1発現及びブルトンチロシンキナーゼ活性化の減少、B細胞の活性化/増殖及び炎症、並びにB細胞自己免疫応答の減少(Yu et al.,2019)
【0090】
フルベンダゾールは市販されているか、又は公知の方法によって、又は公知の方法と同様に調製することができる。例えば、フルベンダゾールは、Sigma-Aldrich(登録商標)を含む商業的供給業者から入手可能である。
【0091】
CYP1A2阻害剤
本発明の組成物のCYP1A2阻害剤は、以下により詳細に記載される。
【0092】
本発明によるCYP1A2阻害剤は、中程度のCYP1A2阻害剤又は強力なCYP1A2阻害剤である。いくつかの実施形態では、CYP1A2阻害剤は中程度のCYP1A2阻害剤である。いくつかの実施形態では、CYP1A2阻害剤は強力なCYP1A2阻害剤である。好ましくは、CYP1A2阻害剤は強力なCYP1A2阻害剤である。
【0093】
ここで実施され、本明細書で以下に要約される試験では、試験されたCYP1A2の全ての阻害剤は、驚くべきことに、エクスビボでのヒト肝細胞におけるフルベンダゾールの代謝の中程度又は強力な阻害を示した。
【0094】
本明細書中で使用される場合、CYP1A2阻害剤は、CYP1A2によるフルベンダゾールの代謝、すなわち固有クリアランス(CLint)を阻害することができる物質である。フルベンダゾールの代謝阻害は、フルベンダゾールのインビボ曲線下面積(AUC)を増加させ、フルベンダゾールのインビボ半減期を増加させる。
【0095】
本明細書で使用される場合、中程度のCYP1A2阻害剤は、CYP1A2阻害剤の非存在下でのエクスビボでのヒト肝細胞におけるフルベンダゾールの固有クリアランスと比較して、エクスビボでのヒト肝細胞におけるフルベンダゾールの固有クリアランスを2倍以上~5倍未満阻害するCYP1A2阻害剤である。中程度のCYP1A2阻害剤は、典型的には、CYP1A2阻害剤の非存在下でのフルベンダゾールのインビボAUCと比較して、フルベンダゾールのインビボAUCを2倍以上5倍未満増加させる。本発明による中程度のCYP1A2阻害剤の例としては、シメチジン及びメトキサレンが挙げられる。
【0096】
本明細書で使用される場合、強力なCYP1A2阻害剤は、CYP1A2阻害剤の非存在下でのエクスビボでのヒト肝細胞におけるフルベンダゾールの固有クリアランスと比較して、エクスビボでのヒト肝細胞におけるフルベンダゾールの固有クリアランス(CLint)を5倍以上阻害するCYP1A2阻害剤である。強力なCYP1A2阻害剤は、典型的には、フルベンダゾールのインビボAUCを、CYP1A2阻害剤の非存在下でのフルベンダゾールのインビボAUCと比較して5倍以上増加させる。本発明による強力なCYP1A2阻害剤の例としては、フラフィリン及び8-フェニルテオフィリン等のキサンチン誘導体、並びにシプロフロキサシン、エノキサシン、フルボキサミン、ザフィルルカスト、メキシレチン、及びチアベンダゾールが挙げられる。
【0097】
本発明の中程度又は強力なCYP1A2阻害剤は、フルベンダゾールのインビボ半減期を、中程度又は強力なCYP1A2阻害剤の非存在下でのフルベンダゾールのインビボ半減期の2、3、4、6、8、10、12、14、16、18又は20倍を超えて延長させる。
【0098】
本発明の中程度又は強力なCYP1A2阻害剤は、フラフィリン、フルボキサミン、チアベンダゾール、メキシレチン、8-フェニルテオフィリン、シプロフロキサシン、エノキサシン、ザフィルルカスト、シメチジン、若しくはメトキサレン、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド、プロドラッグ若しくは活性代謝産物から選択され得る。
【0099】
一実施形態では、本発明による強力なCYP1A2阻害剤はフラフィリンである。一実施形態では、本発明による強力なCYP1A2阻害剤はフルボキサミンである。一実施形態では、本発明による強力なCYP1A2阻害剤はチアベンダゾールである。一実施形態では、本発明による強力なCYP1A2阻害剤はメキシレチンである。一実施形態では、本発明による強力なCYP1A2阻害剤は、8-フェニルテオフィリンである。一実施形態では、本発明による強力なCYP1A2阻害剤はシプロフロキサシンである。一実施形態では、本発明による強力なCYP1A2阻害剤はエノキサシンである。一実施形態では、本発明による強力なCYP1A2阻害剤はザフィルルカストである。一実施形態では、本発明の中程度のCYP1A2阻害剤はシメチジンである。一実施形態では、本発明の中程度のCYP1A2阻害剤は、メトキサレンである。
【0100】
本明細書中下記に示されるように、メキシレチン、チアベンダゾール、フラフィリン及びフルボキサミンは、驚くべきことにフルベンダゾール代謝の強力なCYP1A2阻害剤であることが見出されたが、シメチジンは、驚くべきことにフルベンダゾール代謝の中程度のCYP1A2阻害剤であることが見出された。これらのデータは、フルベンダゾールが、実施された試験においてこれらのCYP1A2阻害剤に対して驚くほど感受性の基質であることを実証している。
【0101】
チアベンダゾールは、本発明による好ましい強力なCYP1A2阻害剤である。チアベンダゾールは、ヒト用の駆虫薬として承認されており、現在、獣医学用(動物用)駆虫薬として使用されている。チアベンダゾールは、インビボで抗腫瘍活性を示し、血管破壊特性を有する(Cha et al.,2012)。チアベンダゾールのCYP1A2阻害に対する阻害定数(Ki)値は1.54μMであり、CYP1A2阻害に対するIC50値は0.83μMである(Bapiro et al.,2005;Thelingwani et al.,2009)。
【0102】
チアベンダゾールは、本明細書の以下の実施例で報告された試験に基づいて、上記の強力なCYP1A2阻害剤の定義に従って、フルベンダゾール代謝の強力な阻害剤であることが現在示されている。更に、チアベンダゾールは、フルベンダゾールと同様に、抗癌活性及び抗寄生虫活性を含む抗増殖性を有するベンズイミダゾール薬である。したがって、潜在的な薬力学的相乗効果(抗腫瘍及び/又は抗増殖効果)並びに薬物動態学的相乗効果(フルベンダゾール代謝のCYP1A2阻害)は、本発明のフルベンダゾール-チアベンダゾールの組合わせで観察され得る。
【0103】
フラフィリンは、本発明による好ましい強力なCYP1A2阻害剤である。現在、フラフィリンは、ヒト肝細胞におけるフルベンダゾール代謝の強力なCYP1A2阻害剤として、及びヒト肝細胞における比較剤としてCYP1A2阻害剤であるシメチジンを使用して、エキソビボでヒト肝ミクロソームに使用されている。CYP1A2の驚くべき感受性基質として、フルベンダゾール固有クリアランスはシメチジンによって中程度に阻害され、フラフィリンによって強く阻害された。
【0104】
フラフィリンは、もともと呼吸器疾患の治療のために開発されることが意図されていた、1980年代半ばに臨床開発中であったメチルキサンチン誘導体である。フラフィリンは、感受性CYP1A2基質であるカフェインの代謝を強く阻害することが以前に示されており、ヒトにおけるカフェインの排出半減期が5~7時間から50時間に7~10倍増加する(Tarrus et al.,1987)。フラフィリンは、CYP1A2阻害の非競合的阻害剤であり、フェナセチン-O-デエチラーゼ活性のCYP1A2阻害について、ヒト肝ミクロソームにおいて0.027μM及び0.07μMのIC50値を有する(Sesardic et al.,1990;Obach et al.,2007)。フラフィリンは、感受性CYP1A2基質であるカフェインの代謝の強力な阻害によって示されるように、CYP1A2の強力かつ選択的な時間依存性阻害剤及び強力なCYP1A2阻害剤である。フラフィリンは、本明細書中以下の実施例で報告されるヒト肝細胞及びヒト肝臓ミクロソームのエクスビボ試験に基づいて、フルベンダゾール代謝の強力な阻害剤であることが現在示されており、上に提供される強力なCYP1A2阻害剤の定義に従って、強力な濃度関連阻害が観察された。
【0105】
フルボキサミンも、本発明による好ましい強力なCYP1A2阻害剤である。フルボキサミンは、本明細書の以下の実施例で報告された試験に基づいて、上記の強力なCYP1A2阻害剤の定義に従って、フルベンダゾール代謝の強力な阻害剤であることが現在示されている。フルボキサミンは、0.035μM及び0.029μMのCYP1A2阻害及び0.011μMのKiのIC50値を有するヒト肝ミクロソームを使用して、CYP1A2フェナセチンO-脱エチル化を強力に阻害することが以前に示されている(Obach et al.,2006;and Karjalainen et al.,2008)。薬物標識によれば、フルボキサミンは、インビトロ及びインビボで強力なCYP1A2阻害剤である。
【0106】
更に、フルボキサミンは、神経膠芽腫の遊走及び浸潤の抑制につながるアクチン重合を破壊することによって、神経膠芽腫に対する抗腫瘍活性を示している(Hayashi et al.,2016)。したがって、潜在的な薬力学的相乗効果(抗腫瘍及び/又は抗増殖効果)並びに薬物動態学的相乗効果(フルベンダゾール代謝のCYP1A2阻害)は、本発明のフルベンダゾール-フルボキサミンの組合わせで観察され得る。
【0107】
メキシレチンも、本発明による好ましい強力なCYP1A2阻害剤である。
【0108】
フルベンダゾール(以下、CYP1A2基質として確立される)のエクスビボでのヒト肝細胞における固有クリアランス(CLint)の2倍以上(例えば5倍以上)の阻害、又はインビボでのフルベンダゾールのAUCの2倍以上の増加(例えば5倍以上)をもたらすこのCYP1A2代謝経路において可能な任意の化合物は、本発明による中程度又は強力なCYP1A2阻害剤であると考えられる。中程度又は強力なCYP1A2阻害剤は、例えば、中程度又は強力なCYP1A2阻害活性を有することが公知である化合物であり得る。しかしながら、本発明の組成物はこれに限定されず、中程度又は強力なCYP1A2阻害剤は、現在、中程度又は強力なCYP1A2阻害剤であることが知られていない公知の物質であってもよく、あるいは中程度又は強力なCYP1A2阻害剤である新規な化合物であってもよい。
【0109】
本明細書に提示されるデータによって示されるように、シメチジン(以前は弱いCYP1A2阻害剤として記載されていた)は、予想外にも、CYP1A2によるフルベンダゾール代謝の中程度の阻害剤として作用することが示されており、フルベンダゾールが驚くほど感受性のCYP1A2基質であることを実証している。
【0110】
弱いCYP1A2阻害剤、中程度のCYP1A2阻害剤及び強力なCYP1A2阻害剤は、欧州医薬品庁(EMA)により発行された、Drug Interactions&Labelling-Drug Development and Drug Interactions:Table of Substrates,Inhibitors and Inducers,published by the United States Food and Drug Administration(US FDA)及びGuideline CPMP/EWP/560/95/Rev.1 Corr.2、Committee for Human Medicinal Products(CHMP)に記載されている。
【0111】
本明細書で使用される場合、弱いCYP1A2阻害剤は、CYP1A2阻害剤の非存在下でのフルベンダゾールのエクスビボヒト肝細胞における固有クリアランスと比較して、フルベンダゾールのエクスビボヒト肝細胞における固有クリアランス(CLint)を2倍未満阻害するか、又はCYP1A2阻害剤の非存在下でのフルベンダゾールのインビボAUCと比較して、フルベンダゾールのインビボAUC血漿値を2倍未満増加させる物質である。上記の強力、中程度及び弱いCYP1A2阻害剤の定義から、本発明の組成物中の強力又は中程度のCYP1A2阻害剤は、弱いCYP1A2阻害剤、又はその塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド、プロドラッグ若しくは活性代謝産物ではない。
【0112】
本発明による好ましいCYP1A2阻害剤は、フラフィリン、フルボキサミン、チアベンダゾール、メキシレチン、8-フェニルテオフィリン、シプロフロキサシン、エノキサシン、及びザフィルルカストから選択される強力なCYP1A2阻害剤、並びにその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド、プロドラッグ又は活性代謝産物である。
【0113】
強力又は中程度のCYP1A2阻害剤は市販されているか、又は公知の方法によって、又は公知の方法と同様に調製することができる。例えば、フラフィリン、チアベンダゾール、フルボキサミン及びメキシレチンは、Sigma-Aldrich(登録商標)を含む商業的供給業者から入手可能である。
【0114】
治療方法
ヒト又は動物の対象の治療による治療方法は、以下により詳細に論じられる。本明細書で使用される場合、「治療方法」という用語は、ヒト又は動物の対象の治療による処置を指す。
【0115】
フルベンダゾールを強力又は中程度のCYP1A2阻害剤と組み合わせることにより、本発明の組成物はフルベンダゾールのPKを改善する。本発明によって提供される利点には、全身バイオアベイラビリティの予測可能性の改善、曝露の延長、個々の対象(患者)間及び対象内ベースでのフルベンダゾールの全身バイオアベイラビリティの変動性の減少、したがってフルベンダゾールの有効性/治療活性の改善が含まれる。本発明はまた、毒性代謝産物の形成を減少させることによって改善された治療安全性を達成する。
【0116】
したがって、フルベンダゾールの低い全身利用可能性は、ヒトで見られるように、以前に考えられていたよりもはるかに大きな程度まで代謝(特に初回通過肝代謝中のCYP1A2代謝による)に起因し得る。フルベンダゾールの全身バイオアベイラビリティ及びPKは、本発明による強力又は中程度のCYP1A2阻害剤との投与によって有利に改善される。弱いCYP1A2阻害剤の使用ではなく、中程度又は強力なCYP1A2阻害剤の使用によるフルベンダゾールの代謝の阻害は、フルベンダゾールの全身治療濃度の対象内及び対象間(患者)変動を有利に低減し、毒性代謝産物の形成を低減する。対象内変動は、例えば、CYP1A2を誘導するタバコの煙及び経口避妊ステロイドを含む食事性及び環境性化合物への曝露によって起こり得る(Zhou et al.,2009)。CYP1A2酵素活性の対象間の変動は、環境因子並びに遺伝子多型の結果として起こる(Kapelyukh et al.,2019)。
【0117】
本発明の組成物は、フルベンダゾールが全身的に所望の作用機序を達成することを可能にし、並びに全身的に毒性代謝産物及び不活性代謝産物の形成を減少させるために使用することができる。したがって、いくつかの実施形態では、治療方法は、全身的に、以下を含むがこれらに限定されない1つ又はそれ以上の機構を含み得る。
-抗真菌活性(Nixon et al.,2018)
-β-チューブリン結合(Nixon et al.,2018;Sjoberg et al.,2019)
-細胞死をもたらすチューブリン重合の阻害(Spagnuolo et al.,2010;Michaelis et al.,2015)
-キューティクル関連遺伝子発現の調節不全(O’Neill et al.,2016)
-微小管構造の破壊(Spagnuolo et al.,2010;Oh et al.,2018)
-細胞増殖の停止/阻害(Spagnuolo et al.,2010;Oh et al.,2018)
-細胞アポトーシス、微小管機能の阻害、及びHER2シグナル伝達を誘発することによる抗腫瘍作用(Zhou et al.,2018;Tao et al.,2019)
-p53媒介性アポトーシス(Michaelis et al.,2015)
-NF-κBシグナル伝達経路の抑制による抗腫瘍作用(Tao et al.,2019)
-STAT3シグナル伝達を遮断し、オートファジーを活性化することによる抗腫瘍作用(ATG4B及びEVA1Aを標的とすることを含む)(Chauhan et al.,2015;Panda et al.,2019;Agrotis and Ketteler.,2019;Zhen et al.,2020;Lin et al.,2019)
-循環血液中のMMP-2及びMMP-9レベルの減少と同時に、腫瘍成長、血管新生並びに肺及び肝臓転移の阻害を伴う、トリプルネガティブ乳癌細胞におけるG2/M期蓄積、カスパーゼ-3/-7活性化及びSTAT3活性化の調節不全を伴うアポトーシスの誘導(Oh et al.,2018)
-癌幹様細胞の抑制、EMT復帰(Hou et al.,2015)
-グリア線維酸性タンパク質の活性化の阻害、サイクリンB1発現及びブルトンチロシンキナーゼ活性化の減少、B細胞の活性化/増殖及び炎症、並びにB細胞自己免疫応答の減少(Yu et al.,2019)
【0118】
本発明は、医薬品に使用するためのフルベンダゾールと、中程度又は強力なCYP1A2阻害剤と、を含む医薬組成物を提供する。
【0119】
本発明は、フルベンダゾールによって治療可能な疾患を治療する方法に使用するための、フルベンダゾール及び中程度又は強力なCYP1A2阻害剤を含む医薬組成物を提供する。本発明はまた、フルベンダゾールによって治療可能な疾患を治療又は予防する方法であって、フルベンダゾールと、中程度又は強力なCYP1A2阻害剤と、を含む医薬組成物を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0120】
本発明は、微小管の構造及び機能の阻害及び/又は破壊によって治療可能な疾患を治療する方法に使用するための、フルベンダゾールと、中程度又は強力なCYP1A2阻害剤とを含む医薬組成物を提供する。
【0121】
本発明はまた、対象の微小管の構造及び機能の阻害及び/又は破壊によって治療可能な疾患を治療する方法であって、フルベンダゾールと、中程度又は強力なCYP1A2阻害剤と、を含む医薬組成物を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0122】
一実施形態では、微小管の構造及び機能の阻害及び/又は破壊によって治療可能な疾患は癌である。一実施形態では、癌は血液癌又は固形腫瘍である。
【0123】
一実施形態では、微小管の構造及び機能の阻害及び/又は破壊によって治療可能な疾患は、寄生虫症又は真菌性疾患である。
【0124】
一実施形態では、微小管の構造及び機能の阻害及び/又は破壊によって治療可能な疾患は、脊髄損傷である。
【0125】
一実施形態では、フルベンダゾールは、チューブリン、場合によりβ-チューブリンに結合する。
【0126】
一実施形態では、本発明の方法は、チューブリン重合の阻害を含む。一実施形態では、本方法は、チューブリン解重合の促進を含む。一実施形態では、本方法は、微小管構造及び/又は機能の破壊を含む。一実施形態では、本方法は、血管新生の阻害を含む。
【0127】
本発明は、癌を治療する方法で使用するためのフルベンダゾールと、中程度又は強力なCYP1A2阻害剤と、を含む医薬組成物を提供する。一実施形態では、組成物は、血液癌、例えば、白血病、リンパ腫又は骨髄腫の治療に使用するためのものである。本発明はまた、対象の癌を治療する方法を提供し、方法は、フルベンダゾールと、中程度又は強力なCYP1A2阻害剤とを含む医薬組成物を対象に投与することを含む。一実施形態では、癌を治療する方法は、血液癌、例えば、白血病、リンパ腫又は骨髄腫を治療する方法である。一実施形態では、癌を治療する方法は、固形腫瘍を治療する方法である。
【0128】
一実施形態では、本発明の方法は、細胞増殖を停止又は阻害することを含む。一実施形態では、本方法は、アポトーシス、任意でp53媒介性アポトーシスを誘導することを含む。一実施形態では、本方法は、細胞遊走を阻害することを含む。一実施形態では、本方法は、腫瘍成長を阻害することを含む。一実施形態では、本方法は、NF-κBシグナル伝達経路を抑制することを含む。一実施形態では、本方法はオートファジーを活性化することを含み、任意で、当該方法はSTAT3シグナル伝達経路を遮断することを含む。一実施形態では、本方法は、ATG4B及びEVA1Aを標的とすることによってオートファジーを活性化することを含む。
【0129】
本発明は、神経変性疾患を治療する方法に使用するためのフルベンダゾールと、中程度又は強力なCYP1A2阻害剤とを含む医薬組成物を提供する。一実施形態では、組成物は、アルツハイマー病又は加齢関連障害若しくは状態の治療に使用するためのものである。本発明はまた、対象の神経変性疾患を治療する方法を提供し、方法は、フルベンダゾールと、中程度又は強力なCYP1A2阻害剤とを含む医薬組成物を対象に投与することを含む。一実施形態では、神経変性疾患は、アルツハイマー病又は加齢関連障害若しくは状態である。
【0130】
本発明は、上皮間葉転換(EMT)の障害又は復帰によって治療可能な疾患を治療する方法において使用するための、フルベンダゾール及び中程度又は強力なCYP1A2阻害剤を含む医薬組成物を提供する。本発明はまた、対象におけるEMTの障害又は復帰によって治療可能な疾患を治療する方法を提供し、方法は、フルベンダゾール及び中程度又は強力なCYP1A2阻害剤を含む医薬組成物を対象に投与することを含む。
【0131】
一実施形態では、EMTの障害又は復帰によって治療可能な疾患は癌である。一実施形態では、EMTの障害又は復帰によって治療可能な疾患は、固形腫瘍又は血液癌である。一実施形態では、EMTの障害又は復帰によって治療可能な疾患は腫瘍である。一実施形態では、EMTの障害又は復帰によって治療可能な疾患は、非癌増殖性疾患である。一実施形態では、EMTの障害又は復帰によって治療可能な疾患は、炎症性疾患、例えば、自己免疫疾患又は痛風である。一実施形態では、EMTの障害又は復帰によって治療可能な疾患は線維性疾患である。
【0132】
本発明は、肝疾患を治療する方法に使用するための、フルベンダゾールと、中程度又は強力なCYP1A2阻害剤とを含む医薬組成物を提供する。本発明はまた、対象の肝疾患を治療する方法を提供し、方法は、フルベンダゾールと、中程度又は強力なCYP1A2阻害剤とを含む医薬組成物を対象に投与することを含む。
【0133】
本発明は、ミオパシーを治療する方法で使用するためのフルベンダゾールと、中程度又は強力なCYP1A2阻害剤と、を含む医薬組成物を提供する。本発明はまた、対象のミオパシーを治療する方法を提供し、方法は、フルベンダゾールと、中程度又は強力なCYP1A2阻害剤とを含む医薬組成物を対象に投与することを含む。
【0134】
本発明は、脊髄損傷を治療する方法で使用するためのフルベンダゾールと、中程度又は強力なCYP1A2阻害剤と、を含む医薬組成物を提供する。本発明はまた、対象の脊髄損傷を治療する方法を提供し、方法は、フルベンダゾールと、中程度又は強力なCYP1A2阻害剤とを含む医薬組成物を対象に投与することを含む。フルベンダゾールを使用して、グリア線維性酸性タンパク質の活性化の抑制、サイクリンB1発現及びブルトンチロシンキナーゼ活性化の減少、B細胞の活性化/増殖及び炎症、並びにB細胞自己免疫応答の減少によって脊髄損傷を治療することができる(Yu et al.,2019)。
【0135】
本発明は、HIV感染症を含む、感染性疾患、例えば、細菌性疾患又はウイルス性疾患を治療又は予防する方法に使用するためのフルベンダゾール及び中程度又は強力なCYP1A2阻害剤を含む医薬組成物を提供する。本発明はまた、対象におけるHIV感染症を含む、感染性疾患、例えば、細菌性疾患又はウイルス性疾患を治療又は予防する方法を提供し、方法は、フルベンダゾールと、中程度又は強力なCYP1A2阻害剤とを含む医薬組成物を対象に投与することを含む。
【0136】
本発明は、感染性疾患、例えば、寄生虫症を治療又は予防する方法に使用するためのフルベンダゾールと、中程度又は強力なCYP1A2阻害剤とを含む医薬組成物を提供する。本発明はまた、対象における感染性疾患、例えば、寄生虫症を治療又は予防する方法を提供し、方法は、フルベンダゾールと、中程度又は強力なCYP1A2阻害剤とを含む医薬組成物を対象に投与することを含む。
【0137】
一実施形態では、寄生虫症は蠕虫性疾患である。蠕虫性疾患は、線虫、条虫又は吸虫によって引き起こされ得る。一実施形態では、寄生虫症は、フィラリア病である。一実施形態では、寄生虫症はオンコセルカ症である。一実施形態では、寄生虫症は鉤虫症である。一実施形態では、寄生虫症はエキノコックス症である。一実施形態では、寄生虫症は回虫症である。一実施形態では、寄生虫症は腸蟯虫症である。一実施形態では、寄生虫症は旋毛虫症である。一実施形態では、寄生虫症は鉤頭虫症である。
【0138】
一実施形態では、寄生虫症は原虫性疾患である。一実施形態では、原虫性疾患は、プラスモディウム属種(Plasmodium spp)、アフリカトリパノソーム(African trypanosomes)、トリパノソーマ・クルーズ(Trypanosoma cruzi)、リーシュマニア属種(Leishmania)、ジアルジア属種(Giardia)、膣トリコモナス(Trichomonas vaginalis)、エントアメーバ・ヒストリチカ(Entamoeba histolytica)、エンセファリトゾーン種(Encephalitozoon)、アカントアメーバ・カステラーニ(Acanthamoeba castellani)、又はエンセイトゾーン・ビエネウシ(Enterocytozoon bieneusi)によって引き起こされる。
【0139】
一実施形態では、疾患は真菌性疾患である。一実施形態では、真菌性疾患は、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)又は他のクリプトコッカス種によって引き起こされる。
【0140】
治療方法は、フルベンダゾールが活性である生物学的標的での作用によって改善されやすい疾患を治療する方法であり得る。フルベンダゾールが活性である生物学的標的での作用によって改善されやすい疾患には、血液癌、癌を含む固形腫瘍、他の非癌増殖性疾患、自己免疫性炎症性疾患及び痛風を含む炎症性疾患、線維性疾患、蠕虫性疾患(線虫、条虫、吸虫)を含む寄生虫症、例えばフィラリア病、オンコセルカ症、鉤虫症、エキノコックス症、回虫症、腸蟯虫症、及びトリキネラ・スピラリス(Trichinella spiralis)、並びに釣頭虫類(Acanthocephalans)及び原虫性疾患、例えばプラスモディウム属種(Plasmodium spp)、アフリカトリパノソーム(African trypanosomes)、トリパノソーマ・クルーズ(Trypanosoma cruzi)、リーシュマニア属種(Leishmania)、ジアルジア属種(Giardia)、膣トリコモナス(Trichomonas vaginalis)、エントアメーバ・ヒストリチカ(Entamoeba histolytica)、エンセファリトゾーン種(Encephalitozoon)、アカントアメーバ・カステラーニ(Acanthamoeba castellani)、又はエンセイトゾーン・ビエネウシ(Enterocytozoon bieneusi)、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)及び他のクリプトコッカス種(Cryptococcus)を含む真菌性疾患、細菌性疾患、及びウイルス性疾患が含まれるがこれらに限定されない。
【0141】
フルベンダゾールはまた、癌(ATG4B及びEVA1Aを標的とすることによることを含む)、アルツハイマー病を含む神経変性疾患、加齢に伴う障害及び状態、細菌性疾患及びウイルス性疾患を含む炎症性疾患及び感染性疾患、例えば、HIV感染症、肝疾患、ミオパシーの治療の可能性を有するオートファジーを活性化するために使用され得る(Chauhan et al.,2015;Panda et al.,2019;Agrotis and Ketteler.,2019;Zhen et al.,2020)。
【0142】
いくつかの実施形態では、癌は、例えば、固形癌又は血液癌であり、任意で癌は、気管支腫瘍、中枢神経系癌、中枢神経系胚芽腫、癌腫、急性骨髄性白血病(AML)、カルチノイド腫瘍、虫垂癌、星細胞腫、脊索腫、非定型奇形腫/ラブドイド腫瘍、肉腫、膀胱癌、甲状腺癌、原発性中枢神経系(CNS)リンパ腫、頭蓋外胚細胞腫瘍、食道癌、AIDS関連癌、肝細胞(肝臓)癌、陰茎癌、胸膜肺芽腫、胆嚢癌、横紋筋肉腫、ワルデンストロームマクログロブリン血症、唾液腺癌、中枢神経系胚細胞腫瘍、形質細胞性腫瘍、口唇癌及び口腔癌、精巣癌、肝外胆管癌、非浸潤性乳管癌(DCIS)、鼻咽頭癌、鼻腔及び副鼻腔癌、骨癌、乳癌、神経膠腫、毛状細胞白血病、ランゲルハンス細胞組織球症、口腔癌、上衣腫、皮膚T細胞リンパ腫、妊娠性栄養膜疾患、眼癌、カポジ肉腫、性腺外生殖細胞腫瘍、胃(Gastric)(胃(Stomach))癌、消化管間質腫瘍(GIST)、乳頭腫症、小腸癌、脳脊髄腫瘍、ワルデンストロームマクログロブリン血症、膵癌、咽頭癌、口腔咽頭癌、神経節腫、非黒色腫皮膚癌、骨髄異形成/骨髄増殖性腫瘍、扁平上皮癌、悪性線維性組織球腫、黒色腫、セザリー症候群、メルケル細胞癌、下垂体腫瘍、骨及び骨肉腫の悪性線維性組織球腫、卵巣癌、副甲状腺癌、皮膚癌、菌性真菌症、生殖細胞腫瘍、ファロピウス管癌、眼内黒色腫、白血病、膵神経内分泌腫瘍(膵島細胞腫瘍)、子宮内膜癌、リンパ腫、前立腺癌、腎盂及び尿管癌、骨肉腫(骨癌)、非ホジキンリンパ腫、非小細胞肺癌、基底細胞癌、喉頭癌、多発性骨髄腫/形質細胞性腫瘍、膣癌、扁平上皮頸癌、多発性骨髄腫、NUT遺伝子が関与している中索癌、頭頸部癌、心臓癌、眼内(眼)癌、腎細胞(腎臓)癌、骨の悪性線維性組織球腫、肝臓癌、直腸癌、結腸癌、悪性中皮腫、低悪性度腫瘍、口癌、軟部肉腫、下咽頭癌、ウィルムス腫瘍、上皮癌、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、網膜芽細胞腫、ホジキンリンパ腫、脳腫瘍/癌、精巣芽細胞腫、胚性腫瘍、子宮頸癌、慢性骨髄増殖性腫瘍、膵神経内分泌腫瘍、尿管癌及び腎骨盤癌、肛門癌、尿道癌、脳幹癌、外陰癌、慢性リンパ性白血病(CLL)、子宮肉腫、胃(Stomach)(胃(Gastric))癌、脳幹神経膠腫、多発性内分泌腫瘍症候群、骨髄異形成症候群、頭蓋咽頭腫、小細胞肺癌、口唇癌及び口腔癌、皮膚T細胞リンパ腫、神経芽腫、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、ランゲルハンス細胞組織球症、乳癌、消化管カルチノイド腫瘍、副鼻腔及び鼻腔癌、褐色細胞腫、原発性扁平上皮癌、男性乳癌、腎臓(Kidney)(腎臓(Renal))癌、肺癌、膵島細胞腫瘍、肝外胆管癌、子宮内膜癌、慢性骨髄増殖性腫瘍、腎骨盤及び尿路の移行細胞癌、胸腺腫及び胸腺癌、咽頭癌、ユーイング肉腫、慢性骨髄性白血病(CML)、結腸直腸癌、結腸癌、心臓(Cardiac)(心臓(Heart))腫瘍、バーキットリンパ腫、原発不明癌、副腎皮質癌、副腎皮質腺癌、副腎皮質腺腫、中枢神経系非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍、小児癌、非ホジキンリンパ腫、腎臓(Kidney)(腎臓(Renal))癌、及びP-gp発現多剤耐性腫瘍から選択される。
【0143】
いくつかの実施形態では、癌は、肉腫、卵巣癌、腎臓(Kidney)(腎臓(Renal))癌、黒色腫、結腸直腸癌、結腸癌、肺癌、脳腫瘍/癌、副腎皮質癌、副腎皮質腺癌、副腎皮質腺腫、P-gp発現多剤耐性腫瘍、又は神経芽腫であり得る。
【0144】
いくつかの実施形態では、フルベンダゾール及び中程度又は強力なCYP1A2阻害剤を含む医薬組成物は、非癌性増殖性疾患、自己免疫性炎症性疾患及び痛風を含む炎症性疾患、線維性疾患、寄生虫症又は真菌性疾患を治療する方法で使用するためのものである。
【0145】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、ヒトの治療に使用するためのものであり得るか、又は治療方法の対象はヒトであり得る。ヒトは成人のヒトであってもよい。ヒトは、まだ成人レベルの活性に達していなくても、CYP1A2アイソエンザイムが活性である小児であってもよい。世界保健機関(WHO/CDS/CPE/PVC/2002.4、2002)は、メベンダゾール(フルベンダゾールと構造的に関連し、同様に代謝されることが示されているベンズイミダゾール)の代謝及び異化が、10ヶ月~24ヶ月齢の小児において成人レベルの活性を達成すると述べている。したがって、いくつかの実施形態において、ヒト対象は、10月齢以上の小児(例えば24ヶ月以上)であり得る。いくつかの実施形態において、ヒト対象は、CYP1A2活性の証拠を有する10ヶ月未満の小児であり得る。
【0146】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、非ヒト動物の治療に使用するためのものであり得るか、又は治療方法の対象は、非ヒト動物、例えば哺乳動物若しくは鳥類であり得る。非ヒト動物は、典型的には、CYP1A2が発現される動物である。CYP1A2が発現される動物には、マウス、ラット、ウズラ、ウサギ、ニワトリ、ネコ、イヌ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ及びサルが含まれ、CYP1A2発現が動物種全体で広く保存されていることを示している。
【0147】
本発明の組成物は、種々の剤形で、例えば錠剤、カプセル剤、糖衣錠若しくはフィルムコーティング錠、液剤若しくは懸濁剤の形態等で経口的に、又は非経口的に、例えば筋肉内、静脈内又は皮下に投与することができる。したがって、組成物は、注射、注入、又は吸入若しくは噴霧によって投与され得る。組成物は、好ましくは経口投与され得る。
【0148】
本発明の組成物は、好ましくは(例えば適切には)経口投与用である。
【0149】
本発明の組成物中の各活性成分の投与量は、患者の年齢、体重及び状態並びに投与経路を含む様々な因子に依存する。毎日の投与量は、広い範囲内で変えることができ、それぞれの特定の場合に個々の要件に合わせて調整される。しかしながら、典型的には、化合物を成人に単独で投与する場合の各投与経路に採用される投与量は、0.0001~650mg/kg又は0.001~650mg/kg、最も一般的には0.001~75mg/kg、0.01~75mg/kg又は0.001から10mg/kg体重の範囲である。例えば、化合物を単独で成人に投与する場合の各投与経路に採用される投与量は、0.05~25mg/kg又は0.01~1mg/kgであり得る。そのような投与量は、例えば、1日1~5回投与され得る。静脈内注射の場合、適切な1日用量は、0.0001~50mg/kg体重、0.0001~10mg/kg体重又は0.0001~1mg/kg体重である。好ましくは、静脈内注射の場合、適切な1日用量は、0.01~50mg/kg体重、又は好ましくは0.05~25mg/kg体重である。1日投与量は、単回投与として、又は分割投与スケジュールに従って投与することができる。錠剤又はカプセル剤等の単位用量形態は、通常、1~500mg又は1~250mgの活性成分を含有する。例えば、本発明の組成物の活性成分のいずれかは、1日1回、1日2回又は3回のいずれかで、1~1500mg、1~1000mg、1~500mg又は100~250mgの用量でヒト患者に投与することができる。非ヒト動物の投与量は、上記のヒト投与量の記載に基づいて計算することができる。
【0150】
本発明の組成物中の強力又は中程度のCYP1A2阻害剤の投与量は、典型的には、フルベンダゾールの代謝(固有クリアランス)の満足のいく阻害を達成するために必要な最低投与量である。本発明の組成物中の強又は中程度のCYP1A2阻害剤の用量は、典型的には、CYP1A2阻害剤がCYP1A2阻害以外の治療標的(複数可)に対する単一の有効成分として投与されていた場合に使用されるよりも低い。強力又は中程度のCYP1A2阻害剤を、典型的には強力又は中程度のCYP1A2阻害剤が単一の有効成分として投与された場合よりも低いレベルで投与する能力は、強力又は中程度のCYP1A2阻害剤に起因する副作用の有利な軽減を提供し得る。しかしながら、特定の状況では、CYP1A2阻害剤(例えばフルボキサミン又はチアベンダゾール)は、フルベンダゾール代謝の満足のいくCYP1A2阻害を達成するために必要とされる量を超えて、更なる治療活性を達成するためにより高い用量を必要とする治療活性(例えば、抗癌活性又は抗寄生虫活性)を有し得る。そのような状況下では、CYP1A2阻害剤の投与量は、CYP1A2阻害のみに必要とされる治療レベルを超えるまで増加され得る。
【0151】
本発明の医薬組成物は、薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤又は担体を更に含み得る。適切な医薬製剤の選択及び調製のための従来の手順は、例えば、Pharmaceuticals-The Science of Dosage Form Designs,M.E.Aulton,Churchill Livingstone,1988に記載されている。
【0152】
投与様式に応じて、医薬組成物は、好ましくは0.05~99%w/w(重量パーセント)、より好ましくは0.05~80%w/w、更により好ましくは0.10~70%w/w、更により好ましくは0.10~50%w/wの有効成分の合計重量を含み、全ての重量パーセントは総組成物に基づく。本発明は更に、本発明の医薬組成物を調製するためのプロセスを提供し、本明細書中上記のような活性成分を薬学的に許容され得るアジュバント、希釈剤又は担体と混合することを含む。
【0153】
本発明の組成物は、様々な剤形で投与され得る。したがって、それらは、例えば錠剤、カプセル、トローチ、ドロップ剤、水性又は油性懸濁液、溶液、分散性粉末又は顆粒として経口投与することができる。本発明の組成物はまた、皮下、静脈内、筋肉内、胸骨内、経皮、注入技術によって、又は吸入若しくは噴霧によって、非経口的に投与され得る。組成物はまた、坐剤として投与され得る。本発明の医薬組成物の固体経口形態は、活性化合物と共に、希釈剤、例えばラクトース、デキストロース、サッカロース、セルロース、コーンスターチ又はジャガイモデンプン;潤滑剤、例えばシリカ、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム若しくはステアリン酸カルシウム、及び/又はポリエチレングリコール;結合剤;例えば、デンプン、アラビアガム、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース又はポリビニルピロリドン;崩壊剤、例えばデンプン、アルギン酸、アルギナート又はデンプングリコール酸ナトリウム;発泡混合物;染料;甘味料;湿潤剤、例えばレシチン、ポリソルベート、ラウリルサルフェート;一般に、医薬製剤に使用される非毒性及び薬理学的に不活性な物質を含有し得る。そのような医薬製剤は、例えば、混合、造粒、打錠、糖コーティング、又はフィルムコーティングプロセスによって公知の方法で製造することができる。
【0154】
経口投与のための液体分散液は、溶液、シロップ、エマルジョン及び懸濁液であり得る。シロップは、担体として、例えば、サッカロース又はグリセリン及び/若しくはマンニトール及び/若しくはソルビトールを含むサッカロースを含有し得る。
【0155】
懸濁液及び乳濁液は、担体として、例えば天然ゴム、寒天、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、プロピレングリコール又はポリビニルアルコールを含有し得る。筋肉内注射用の懸濁液又は溶液は、活性化合物と共に、薬学的に許容される担体、例えば滅菌水、オリーブ油、オレイン酸エチル、グリコール、例えばプロピレングリコール、及び必要に応じて適切な量の塩酸リドカインを含有し得る。懸濁液に更に適した担体としては、滅菌水、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリソルベート80、ポリビニルピロリドン(PVP)、エアロゾルAOT(すなわち、ナトリウム1,2-ビス(2-エチルヘキソキシカルボニル)エタンスルホナート)、D-α-トコフェロールポリエチレングリコール1000スクシネート、プルロニックF127及び/又はカプチゾール(すなわち、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン)が挙げられる。
【0156】
本発明の化合物は、例えば、以下の賦形剤の1つ又は複数を含有する担体中の水性懸濁液又は水溶液として、以下のような濃度で製剤化され得る。
(i)0.5%w/vのヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC);
(ii)0.67%w/vのポリビニルピロリドン(PVP)/0.33%w/vのエアロゾルAOT(1,2-ビス(2-エチルヘキソキシカルボニル)エタンスルホン酸ナトリウム);
(iii)1%w/vのプルロニックF127;
(iv)30%w/vのプロピレングリコール;
(v)40%w/vのヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン;
(vi)40%w/vのβ-シクロデキストリン;
(vii)40%w/vのメチル-β-シクロデキストリン;
(viii)40%w/vのカプチゾール(すなわち、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン)。
(ix)0.5%w/vのポリソルベート80;及び
(x)10%w/vのポリエチレングリコール(PEG)
(xi)20%w/vのD-α-トコフェロールポリエチレングリコール1000スクシネート
【0157】
担体は、当分野の技術者に公知の標準的な手順によって調製され得る。例えば、担体(i)~(xi)の各々は、必要量の賦形剤を適切な容器に秤量し、最終体積の約80%の水を添加し、溶液が形成されるまで磁気的又は機械的に撹拌することによって調製され得る。次いで、担体を水で一定量にする。組成物の活性成分の水性懸濁液は、必要量の各活性成分を適切な容器に秤量し、必要量の担体を100%添加し、磁気的又は機械的に撹拌することによって調製され得る。注射又は注入のための溶液は、担体として、例えば滅菌水を含有してもよく、又は好ましくは滅菌水性等張食塩水の形態であってもよい。
【0158】
一実施形態では、フルベンダゾール又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド若しくはプロドラッグは、強又は中程度のCYP1A2阻害剤と同時に対象に投与される。
【0159】
一実施形態では、フルベンダゾール又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド若しくはプロドラッグは、強又は中程度のCYP1A2阻害剤とは別個に対象に投与される。
【0160】
一実施形態では、フルベンダゾール又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド若しくはプロドラッグは、強力又は中程度のCYP1A2阻害剤の投与まで連続的に対象に投与される。
【実施例】
【0161】
実施例1:組換え酵素を使用した試験化合物フルベンダゾールのシトクロムP450反応表現型決定を調査するための試験
この試験の目的は、CYP1A2、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6及びCYP3A4の組換えシトクロムP450酵素の存在下での試験化合物フルベンダゾールの安定性を決定することであった。
【0162】
フルベンダゾール(1μM)を組換え酵素及びNADPHと共に45分間インキュベートし、必要な時点で試料を採取した。各時点で残存している試験化合物の量をLC-MS/MSによって分析した。非酵素的媒介安定性を評価するために、対照組換え酵素でのインキュベーションも行った。各アイソフォームに適切な対照化合物もインキュベートし、適切な結果を得た。
【0163】
各P450アイソフォーム、0.1M リン酸緩衝液pH7.4及び試験化合物(最終フルベンダゾール基質濃度1μM)について、Bactosomes(商標)(ヒトNADPHシトクロムP450レダクターゼと同時発現させたcDNA発現ヒトP450酵素調製物)を37℃でプレインキュベートした後、NADPH(最終濃度1mM)を添加して反応を開始させた。任意の非酵素的分解を明らかにするために、対照Bactosomes(商標)(シトクロムP450酵素が存在しない)も使用してインキュベーションを行った。各P450アイソフォームによって特異的に代謝されることが公知の対照化合物を含めた。全てのインキュベーションを、各試験化合物について単独で行った。各化合物を各アイソフォームと共に0、5、15、30及び45分間インキュベートした。1:3の比で、インキュベート液の一定分量を移すことによって反応を停止させて、適切な時点で溶媒をクエンチした。終止プレートを3,000rpmで20分間4℃で遠心分離してタンパク質を沈殿させた。タンパク質沈殿後、試料上清を、内部標準(内部標準に対して1:1の上清)と共にLC-MS/MSを用いて分析した。対照化合物は、アッセイで予想されるように挙動した。フルベンダゾールについての結果を表1に、具体的には
図1のCYP1A2についての結果を見出すことができる。
【0164】
対照Bactosomes(商標)とのインキュベーションにおける損失の補正後、時間に対するlnピーク面積比(化合物ピーク面積/内部標準ピーク面積)のプロットから、線の勾配を決定した。続いて、以下の式を使用して半減期(t
1/2)を計算した。
【数1】
【0165】
マイナスの半減期値は、フルベンダゾールが代謝されていないと解釈される。
【0166】
フルベンダゾールは、CYP1A2組換え酵素の存在下で2.34分という驚くほど非常に短い半減期値を与えた。CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6又はCYP3A4の組換え酵素の存在下では、フルベンダゾールの代謝回転半減期(t
1/2)≧147分)はほとんど又は全くなかった。
【表1】
【0167】
CYP1A2組換えP450アイソフォームの存在下でのフルベンダゾールの安定性を
図1に示し、他のCYPアイソフォームについては
図2~7に示す。
【0168】
結論として、フルベンダゾールはCYP1A2組換え酵素によって非常に迅速に代謝された。CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6又はCYP3A4の組換え酵素の存在下では、フルベンダゾールの代謝回転半減期(t1/2≧147分)はほとんど又は全くなかった。
【0169】
実施例2:阻害剤フラフィリンの非存在下及び存在下でのヒト肝ミクロソームにおける試験化合物フルベンダゾールの安定性を調べるための試験
この研究の目的は、阻害剤の非存在下及びCYP1A2阻害剤フラフィリン(3、10及び30μM)の存在下で、ヒト肝ミクロソームにおけるフルベンダゾールの安定性を決定し、比較評価することであった。
【0170】
フルベンダゾール(1μM)をヒト肝ミクロソーム(阻害剤の非存在下及び存在下)及びNADPHと45分間インキュベートし、必要な時点で試料を採取した。各時点で残存している試験化合物の量をLC-MS/MSによって分析した。NADPHの非存在下でのインキュベーションも行って、非CYP媒介安定性を評価した。
【0171】
プレスクリーニングアッセイでは、試験した各化合物にマイナス補因子対照インキュベーションを含め、0.1Mリン酸緩衝液pH7.4(最終基質濃度1μM)を37℃でプレインキュベートした後、NADPH(最終濃度1mM)を添加して反応を開始した。試験した各化合物について、NADPH(マイナスNADPH)の代わりに0.1Mリン酸緩衝液pH7.4を添加したマイナス補因子対照インキュベーションを含めた。各試験化合物を0、5、15、30及び45分間インキュベートした。対照(マイナスNADPH)を45分間のみインキュベートした。LC-MS/MSを使用してフルベンダゾールについて試料を分析した。このプレスクリーニングアッセイでは、適切な対照化合物(デキストロメトルファン及びベラパミル)もインキュベートし、適切な結果を得た。
フルベンダゾールは、プレスクリーニングアッセイにおいて、ヒト肝ミクロソーム中で阻害剤の非存在下で43.7μL/分/mg タンパク質の固有クリアランス(CLint)値を与えた。
【0172】
化学的阻害剤(フラフィリン)によるシトクロムP450反応の表現型決定のために、ヒト肝ミクロソーム(最終タンパク質濃度0.5mg/mL)、CYP1A2特異的(強力、時間依存性)阻害剤(3、10又は30μMフラフィリン;最終メタノール濃度0.08%)、0.1M リン酸緩衝液pH7.4及びNADPH(最終濃度1mM)を37℃でプレインキュベートした後、フルベンダゾール又はフェナセチン(最終基質濃度、1μM;最終DMSO濃度0.25%)を添加して反応を開始させた。試験化合物(フルベンダゾール又はCYP1A2基質、フェナセチン)を阻害剤なしで、及び各特異的阻害剤濃度の存在下でインキュベートした。試験した各化合物について、補因子(マイナスNADPH)の代わりに0.1Mリン酸緩衝液pH7.4を添加したマイナス補因子対照インキュベーションを含めた。各試験化合物を0、5、15、30及び45分間インキュベートした。対照(マイナスNADPH)を45分間のみインキュベートした。試料を、LC-MS/MSを使用してフルベンダゾール又はフェナセチン(陽性対照CYP1A2基質)について分析した。インキュベーションの一定分量を適切な時点でアセトニトリルに1:3の比で移すことによって反応を停止させた。終止プレートを3,000rpmで20分間4℃で遠心分離してタンパク質を沈殿させた。タンパク質沈殿後、試料上清を、内部標準(内部標準に対して1:1の上清)と共にLC-MS/MSを用いて分析した。
【0173】
時間に対するlnピーク面積比(化合物ピーク面積/内部標準ピーク面積)のプロットから、線の勾配を決定した。続いて、以下の式を使用して半減期及び固有クリアランスを計算した。
【数2】
【0174】
フルベンダゾールクリアランスは、ヒト肝ミクロソームにおいて、阻害剤の非存在下での50.3μL/分/mgタンパク質と比較して、3、10及び30μMフラフィリンの存在下でそれぞれ14.6、3.52及び5.39μL/分/mgタンパク質の固有クリアランス値で、フラフィリンの存在下で顕著な減少を示した。これらの結果を
図8~
図11に示す。
【0175】
陽性対照CYP1A2プローブ基質であるフェナセチンは、ヒト肝ミクロソームにおいて阻害剤の非存在下で38.6μL/分/mgタンパク質の固有クリアランス値を与えた。フェナセチンクリアランスは、フルベンダゾールで見られたように、3、10及び30μMのフラフィリンの存在下でそれぞれ5.45、2.41及び2.88μL/分/mg タンパク質の固有クリアランス値で同様の顕著な減少を示した。
【0176】
【0177】
結論として、ヒト肝ミクロソームにおけるフルベンダゾール固有クリアランスは、強力なCYP1A2阻害剤フラフィリンの存在下で14.3分の1まで大幅に減少した。これは、CYP1A2プローブ基質であるフェナセチンと非常に同等であり、ヒト肝ミクロソームにおける固有クリアランスは、強力なCYP1A2阻害剤フラフィリンの存在下で16分の1まで大幅に減少した。
【0178】
実施例3:阻害剤シメチジン、メキシレチン、チアベンダゾール、フルボキサミン及びフラフィリンの非存在下及び存在下でのヒト凍結保存肝細胞における試験化合物フルベンダゾールの安定性を調べるための試験
この研究の目的は、フラフィリン(1、3、10及び30μM)、フルボキサミン(3、10、30及び100μM)、チアベンダゾール(3、10、30及び100μM)、メキシレチン(10、30、100及び300μM)及びシメチジン(10、30、100及び300μM)の非存在下及び存在下でのヒト凍結保存肝細胞の存在下での試験化合物フルベンダゾールの安定性を決定することであった。
【0179】
最初のプレスクリーニングアッセイ(アッセイ1)の後、フルベンダゾール(1μM)を、アッセイ2において、1、3、10及び30μMのフラフィリン、3、10、30及び100μMのフルボキサミン、又は3、10、30及び100μMのチアベンダゾールの非存在下及び存在下で、凍結保存ヒト肝細胞と60分間インキュベートし、必要な時点(0、5、10、20、40及び60分)で試料を採取した。フルベンダゾール(1μM)をアッセイ3で、凍結保存したヒト肝細胞と共に、10、30、100及び300μM メキシレチン、並びに10、30、100及び300μM シメチジンの非存在下及び存在下で60分間インキュベートし、必要な時点(0、5、10、20、40及び60分)で試料を採取した。各アッセイにおいて、各時点で残存している試験化合物の量をLC-MS/MSによって分析した。適切な対照化合物もエトキシクマリンと共にインキュベートし、これを同じ濃度のフラフィリン、フルボキサミン、チアベンダゾール、メキシレチン又はシメチジンの非存在下及び存在下でインキュベートした。
【0180】
これらのヒト肝細胞安定性研究では、2mM L-グルタミン及び25mM HEPES、試験化合物(最終基質濃度1μM;最終DMSO濃度0.25%)、及び適用可能な場合は選択された阻害剤(1、3、10及び30μM フラフィリン、3、10、30及び100μM フルボキサミン、3、10、30及び100μM チアベンダゾール、10、30、100及び300μM メキシレチン、並びに10、30、100及び300μM シメチジン、最終メタノール濃度0.08%)を補充したウィリアムズE培地を37℃でプレインキュベートした後、凍結保存肝細胞の懸濁液(2mM Lグルタミン及び25mM HEPESを補充したウィリアムズE培地中の最終細胞密度0.5×106生存細胞/mL)を添加して反応を開始した。最終インキュベーション体積は500μLであった。適切なビヒクル対照と共に、2つの対照化合物(ベラパミル及びウンベリフェロン)を含めた。CYP1A2に対する陽性対照化合物であるエトキシクマリン(CYP1A2基質として)を含めた。陽性対照化合物を阻害剤なしで、基質としてフルベンダゾールと共に使用したのと同じ濃度で各阻害剤の存在下でインキュベートした。適切な時点(0、5、10、20、40及び60分)で、50μL インキュベート液を内部標準を含む100μL アセトニトリルに移すことによって反応を停止させた。終止プレートを2500rpm、4℃で30分間遠心分離してタンパク質を沈殿させた。タンパク質沈殿後、試料上清をLC-MS/MSによって分析し、フルベンダゾールの分析に最適化した。
【0181】
2つの対照化合物(ベラパミル及びウンベリフェロン)をアッセイに含め、これらの化合物の値が指定された限界(利用可能な場合)内にない場合、結果を拒絶し、実験を繰り返した。これらのアッセイでは、対照化合物は許容可能な結果を与えた。観察された場合、マイナスの半減期値は、フルベンダゾールが代謝されていないと解釈される。
【0182】
CYP1A2基質陽性対照化合物、エトキシクマリン、並びに2つの対照化合物は、アッセイで予想されたように挙動し、全ての固有クリアランス値は許容限界内であった。
【0183】
時間に対するlnピーク面積比(化合物ピーク面積/内部標準ピーク面積)のプロットから、線の勾配を決定した。続いて、半減期(t
1/2)及び固有クリアランス(CL
int)を以下の式を使用して計算した。
【数3】
【0184】
フルベンダゾールは、
図12に示すように、アッセイ1(プレスクリーニングアッセイ)で凍結保存ヒト肝細胞によって代謝され、フルベンダゾールは、ヒト凍結保存肝細胞の存在下で15.2±1.09μL/分/10
6細胞の固有クリアランス値を与えた。
【0185】
Verampamil及びウンベリフェロンは、ヒト凍結保存肝細胞の存在下で76.5±4.78及び129±2.93μL/分/106細胞の固有クリアランス値を与えた。
【0186】
アッセイ2では、フルベンダゾールは、ヒト凍結保存肝細胞において、阻害剤の非存在下で8.62±2.23μL/分/10
6細胞の固有クリアランス値を与えた。陽性対照化合物(エトキシクマリン、ベラパミル、ウンベリフェロン)は、アッセイで予想されるように挙動し、全ての固有クリアランス値は許容範囲内であった。Verampamil及びウンベリフェロンは、ヒト凍結保存肝細胞の存在下で78.5±1.92及び136±8.14μL/分/10
6細胞の固有クリアランス値を与えた。フルベンダゾールは、ヒト凍結保存肝細胞において、1、3、10及び30μM フラフィリンの存在下でそれぞれ2.05±2.04、1.70±0.885、-3.07±1.05*及び-3.30±0.869*μL/分/10
6細胞、3、10、30及び100μM チアベンダゾールの存在下でそれぞれ-4.27±0.987*、2.96±1.17、-12.5±2.43*及び-10.2±1.59*μL/分/10
6細胞、並びに3、10、30及び100μM フルボキサミンの存在下でそれぞれ-0.256±0.329*、3.95±0.941、-0.0753±0.999*及び-3.77±0.389*μL/分/10
6細胞の固有クリアランス値を与えた。結果を表3及び表4並びに
図13~
図25に示す(*マイナス値は、フルベンダゾールがアッセイで代謝されなかったことを示す)。
【0187】
アッセイ3では、フルベンダゾールは、ヒト凍結保存肝細胞において、阻害剤の非存在下で16.7±2.06μL/分/10
6細胞の固有クリアランス値を与えた。陽性対照化合物(エトキシクマリン、ベラパミル、ウンベリフェロン)は、アッセイで予想されるように挙動し、全ての固有クリアランス値は許容範囲内であった。Verampamil及びウンベリフェロンは、ヒト凍結保存肝細胞の存在下で73.1±4.70及び131±9.59μL/分/10
6細胞の固有クリアランス値を与えた。フルベンダゾールは、ヒト凍結保存肝細胞において、10、30、100及び300μM シメチジンの存在下でそれぞれ5.43±1.90、-5.17±1.93*、10.9±1.27及び9.19±1.70μL/分/10
6細胞、並びに10、30、100及び300μM メキシレチンの存在下でそれぞれ0.861±0.522、-9.75±1.79**、-4.44±1.16**及び5.85±1.25μL/分/10
6細胞の固有クリアランス値を与えた。結果を表5及び表6、並びに
図26~
図33に示す。
*シメチジンを使用して実験を行った以前の経験に基づいて、30μMデータは外れ値であると考えられる。更に、表6のエトキシクマリンを基質として使用した30μM シメチジンの結果は、予想される結果を与える(**マイナス値は、フルベンダゾールがアッセイで代謝されなかったことを示す)。
【0188】
全体として、結果を表3、表4、表5及び表6、並びに
図12~
図33に示す。
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【0189】
陽性対照化合物(エトキシクマリン、ベラパミル、ウンベリフェロン)は、アッセイで予想されるように挙動し、全ての固有クリアランス値は許容範囲内であった。フルベンダゾールは、凍結保存したヒト肝細胞によって代謝された。代謝は、フラフィリン(少なくとも4.2分の1、3μMで5未満分の1にまで減少)、チアベンダゾール(少なくとも2.9分の1、3μMで5未満分の1に減少)、フルボキサミン(少なくとも2.2分の1、3μMで5未満分の1にまで減少)、メキシレチン(少なくとも2.9分の1、10μMで5未満分の1にまで減少)及びシメチジン(1.5分の1~3.1分の1)の存在下で減少した。結論として、フラフィリン、チアベンダゾール、フルボキサミン、及びメキシレチンは全てフルベンダゾールの強力なCYP1A2阻害剤として挙動し、シメチジンはフルベンダゾールの中程度のCYP1A2阻害剤として挙動した。これらのデータは、基質としてのフルベンダゾールの中程度又は強力なCYP1A2阻害剤による2倍を超えるフルベンダゾールの固有クリアランスの阻害を伴う、これらのデータに基づく感受性CYP1A2基質としてのフルベンダゾールについての驚くべき結果を裏付けている。
【0190】
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【手続補正書】
【提出日】2022-12-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フルベンダゾール又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、
若しくはN-オキシ
ドと、中程度又は強力なシトクロムP450 1A2アイソエンザイム(CYP1A2)阻害剤と、を含む医薬組成物
であって、
(a)前記中程度のCYP1A2阻害剤が、
(i)ヒト肝細胞におけるフルベンダゾールのエクスビボ固有クリアランスを、CYP1A2阻害剤の非存在下のヒト肝細胞におけるフルベンダゾールのエクスビボ固有クリアランスと比較して、少なくとも2分の1から5未満分の1にまで減少させるCYP1A2阻害剤であり、及び/又は、
(ii)CYP1A2阻害剤の非存在下でのフルベンダゾールのインビボ曲線下面積(AUC)と比較して、AUCを2倍以上から5倍未満増加させるCYP1A2阻害剤であり;かつ
(b)前記強力なCYP1A2阻害剤が、
(i)ヒト肝細胞におけるフルベンダゾールのエクスビボ固有クリアランスを、CYP1A2阻害剤非存在下でのヒト肝細胞におけるフルベンダゾールのエクスビボ固有クリアランスと比較して、少なくとも5分の1にまで減少させるCYP1A2阻害剤であり、及び/又は
(ii)CYP1A2阻害剤の非存在下でのフルベンダゾールのインビボAUCと比較して、フルベンダゾールのインビボAUCを5倍以上増加させる、CYP1A2阻害剤である、医薬組成物。
【請求項2】
前記中程度又は強力なCYP1A2阻害剤が、フラフィリン、シプロフロキサシン、エノキサシン、フルボキサミン、ザフィルルカスト、8-フェニルテオフィリン、メトキサレン、チアベンダゾール、メキシレチン及びシメチジン、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、
又はN-オキシ
ドから選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記強力なCYP1A2阻害剤が、フルボキサミン、チアベンダゾール、フラフィリン、メキシレチン、8-フェニルテオフィリン、シプロフロキサシン、エノキサシン及びザフィルルカスト、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、
又はN-オキシ
ドから選択され
、
任意で、前記強力なCYP1A2阻害剤が、フルボキサミン、チアベンダゾール、フラフィリン、及びメキシレチン、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、又はN-オキシドから選択される、請求項1
又は2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記中程度のCYP1A2阻害剤が、シメチジン及びメトキサレンから選択される、請求項1から
3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記中程度又は強力なCYP1A2阻害剤が、フルベンダゾールのインビボ半減期を
、中程度又は強力なCYP1A2阻害剤の非存在下でのフルベンダゾールのインビボ半減期の2、3、4、6、8、10、12、14、16、18又は20倍を超えて延長させる、請求項
1から4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
医薬品に使用するための、請求項1から
5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
微小管の構造及び機能の阻害及び/又は破壊によって治療可能な疾患を治療する方法に使用するための、請求項1から
6のいずれか一項に記載の医薬組成物
であって、微小管の構造及び機能の阻害及び/又は破壊によって治療可能な前記疾患が、
(a)癌であり、任意で、前記癌が血液癌又は固形腫瘍であり、及び/若しくは、増殖性疾患であり、
(b)感染性疾患であり、任意で、前記感染性疾患が、細菌性疾患又はウイルス性疾患であり、任意で、前記ウイルス性疾患がHIV感染症であり、
(c)真菌性疾患であり、
(d)炎症性疾患であり、任意で、前記炎症性疾患が、
(i)自己免疫疾患であり、若しくは、
(ii)痛風であり、又は、
(e)線維性疾患である、医薬組成物。
【請求項8】
前記感染性疾患が寄生虫症であり、任意で、前記寄生虫症が、
(a)蠕虫性疾患であり、任意で、前記蠕虫性疾患が、フィラリア病であり、又は
(b)原虫性疾患である、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
上皮間葉転換(EMT)の障害又は復帰によって治療可能な疾患を治療する方法に使用するための、請求項1から
5のいずれか一項に記載の医薬組成物
であって、
EMTの障害又は復帰によって治療可能な前記疾患が、
(a)癌であり、任意で前記癌が固形腫瘍又は血液癌であり、及び/若しくは、増殖性疾患であり、
(b)炎症性疾患であり、任意で前記炎症性疾患が、
(i)自己免疫疾患であり、若しくは
(ii)痛風であり、又は
(c)線維性疾患である、請求項1から5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
(a)神経変性疾患であって、任意で、前記神経変性疾患は、アルツハイマー病である、神経変性疾患、
(b)肝疾患
(c)脊髄損傷、又は
(d)ミオパシー
を治療する方法において使用するための、請求項1から
5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記方法が、フルベンダゾール又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、
若しくはN-オキシ
ドを、前記中程度又は強力なCYP1A2阻害剤と同時に、別々に、又は逐次的に対象に投与することを含む、請求項
6から
10のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成
物。
【請求項12】
前記癌が、固形癌又は血液癌であり、任意で前記癌が、気管支腫瘍、中枢神経系癌、中枢神経系胚芽腫、癌腫、急性骨髄性白血病(AML)、カルチノイド腫瘍、虫垂癌、星細胞腫、脊索腫、非定型奇形腫/ラブドイド腫瘍、肉腫、膀胱癌、甲状腺癌、原発性中枢神経系(CNS)リンパ腫、頭蓋外胚細胞腫瘍、食道癌、AIDS関連癌、肝細胞(肝臓)癌、陰茎癌、胸膜肺芽腫、胆嚢癌、横紋筋肉腫、ワルデンストロームマクログロブリン血症、唾液腺癌、中枢神経系胚細胞腫瘍、形質細胞性腫瘍、口唇癌及び口腔癌、精巣癌、肝外胆管癌、非浸潤性乳管癌(DCIS)、鼻咽頭癌、鼻腔及び副鼻腔癌、骨癌、乳癌、神経膠腫、毛状細胞白血病、ランゲルハンス細胞組織球症、口腔癌、上衣腫、皮膚T細胞リンパ腫、妊娠性栄養膜疾患、眼癌、カポジ肉腫、性腺外生殖細胞腫瘍、胃(Gastric)(胃(Stomach))癌、消化管間質腫瘍(GIST)、乳頭腫症、小腸癌、脳脊髄腫瘍、ワルデンストロームマクログロブリン血症、膵癌、咽頭癌、口腔咽頭癌、神経節腫、非黒色腫皮膚癌、骨髄異形成/骨髄増殖性腫瘍、扁平上皮癌、悪性線維性組織球腫、黒色腫、セザリー症候群、メルケル細胞癌、下垂体腫瘍、骨及び骨肉腫の悪性線維性組織球腫、卵巣癌、副甲状腺癌、皮膚癌、菌性真菌症、生殖細胞腫瘍、ファロピウス管癌、眼内黒色腫、白血病、膵神経内分泌腫瘍(膵島細胞腫瘍)、子宮内膜癌、リンパ腫、前立腺癌、腎盂及び尿管癌、骨肉腫(骨癌)、非ホジキンリンパ腫、非小細胞肺癌、基底細胞癌、喉頭癌、多発性骨髄腫/形質細胞性腫瘍、膣癌、扁平上皮頸癌、多発性骨髄腫、NUT遺伝子が関与している中索癌、頭頸部癌、心臓癌、眼内(眼)癌、腎細胞(腎臓)癌、骨の悪性線維性組織球腫、肝臓癌、直腸癌、結腸癌、悪性中皮腫、低悪性度腫瘍、口癌、軟部肉腫、下咽頭癌、ウィルムス腫瘍、上皮癌、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、網膜芽細胞腫、ホジキンリンパ腫、脳腫瘍/癌、精巣芽細胞腫、胚性腫瘍、子宮頸癌、慢性骨髄増殖性腫瘍、膵神経内分泌腫瘍、尿管癌及び腎骨盤癌、肛門癌、尿道癌、脳幹癌、外陰癌、慢性リンパ性白血病(CLL)、子宮肉腫、胃(Stomach)(胃(Gastric))癌、脳幹神経膠腫、多発性内分泌腫瘍症候群、骨髄異形成症候群、頭蓋咽頭腫、小細胞肺癌、口唇癌及び口腔癌、皮膚T細胞リンパ腫、神経芽腫、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、ランゲルハンス細胞組織球症、乳癌、消化管カルチノイド腫瘍、副鼻腔及び鼻腔癌、褐色細胞腫、原発性扁平上皮癌、男性乳癌、腎臓(Kidney)(腎臓(Renal))癌、肺癌、膵島細胞腫瘍、肝外胆管癌、子宮内膜癌、慢性骨髄増殖性腫瘍、腎骨盤及び尿路の移行細胞癌、胸腺腫及び胸腺癌、咽頭癌、ユーイング肉腫、慢性骨髄性白血病(CML)、結腸直腸癌、結腸癌、心臓(Cardiac)(心臓(Heart))腫瘍、バーキットリンパ腫、原発不明癌、中枢神経系非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍、小児癌、及び非ホジキンリンパ腫、副腎皮質癌、副腎皮質腺癌、副腎皮質腺腫、腎臓(Kidney)(腎臓(Renal))癌、及びP-gp発現多剤耐性腫瘍から選択される、請求項
7若しくは
9に記載の使用のための医薬組成
物。
【請求項13】
前記真菌性疾患又は寄生虫症が、蠕虫性疾患及び原虫性疾患から選択され、場合により、フィラリア病、オンコセルカ症、鉤虫症、エキノコックス症、回虫症、及び腸蟯虫症、釣頭虫類(Acanthocephalans)、プラスモディウム属種(Plasmodium spp)、アフリカトリパノソーム(African trypanosomes)、トリパノソーマ・クルーズ(Trypanosoma cruzi)、リーシュマニア属種(Leishmania)、ジアルジア属種(Giardia)、膣トリコモナス(Trichomonas vaginalis)、エントアメーバ・ヒストリチカ(Entamoeba histolytica)、エンセファリトゾーン種(Encephalitozoon spp)、アカントアメーバ・カステラーニ(Acanthamoeba castellani)、及びエンセイトゾーン・ビエネウシ(Enterocytozoon bieneusi)、並びに真菌性疾患、例えばクリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)及び他のクリプトコッカス種から選択される、請求項
7又は8に記載の使用のための医薬組成
物。
【請求項14】
前記方法が、
(a)前記組成物をヒトに投与すること
、及び/又は
(b)前記医薬組成物を経口、静脈内、筋肉内又は皮下投与することを含む、請求項
6から
13のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成
物。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0032】
本開示は、以下の[1]から[59]を含む。
[1]フルベンダゾール又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド若しくはプロドラッグと、中程度又は強力なシトクロムP450 1A2アイソエンザイム(CYP1A2)阻害剤と、を含む医薬組成物。
[2]上記中程度又は強力なCYP1A2阻害剤が、フラフィリン、シプロフロキサシン、エノキサシン、フルボキサミン、ザフィルルカスト、8-フェニルテオフィリン、メトキサレン、チアベンダゾール、メキシレチン及びシメチジン、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド、プロドラッグ若しくは活性代謝産物から選択される、上記[1]に記載の医薬組成物。
[3]上記強力なCYP1A2阻害剤が、フルボキサミン、チアベンダゾール、フラフィリン、メキシレチン、8-フェニルテオフィリン、シプロフロキサシン、エノキサシン及びザフィルルカスト、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド、プロドラッグ若しくは活性代謝産物から選択される、上記[1]又は[2]に記載の医薬組成物。
[4]上記強力なCYP1A2阻害剤が、フルボキサミン、チアベンダゾール、フラフィリン、及びメキシレチン、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド、プロドラッグ若しくは活性代謝産物から選択される、上記[1]から[3]のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[5]上記中程度のCYP1A2阻害剤が、シメチジン及びメトキサレンから選択される、上記[1]から[4]のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[6]フルベンダゾールのエクスビボ固有クリアランスが、中程度又は強力なCYP1A2阻害剤の非存在下でのフルベンダゾールと比較して少なくとも2分の1に低下する、上記[1]から[5]のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[7]フルベンダゾールのエクスビボ固有クリアランスが、強力なCYP1A2阻害剤の非存在下でのフルベンダゾールと比較して少なくとも5分の1に低下する、上記[1]から[6]のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[8]上記フルベンダゾールが、中程度又は強力なCYP1A2阻害剤の非存在下におけるフルベンダゾールと比較して、より大きいインビボ曲線下面積(AUC)を有する、上記[1]から[7]のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[9]上記フルベンダゾールが、中程度又は強力なCYP1A2阻害剤の非存在下におけるフルベンダゾールよりも少なくとも2倍大きいインビボAUCを有する、上記[8]に記載の医薬組成物。
[10]上記フルベンダゾールが、強力なCYP1A2阻害剤の非存在下におけるフルベンダゾールよりも少なくとも5倍大きいインビボAUCを有する、上記[8]に記載の医薬組成物。
[11]上記フルベンダゾールが、中程度又は強力なCYP1A2阻害剤の非存在下でのフルベンダゾールよりも長いインビボ半減期を有する、上記[1]から[10]のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[12]上記フルベンダゾールの上記インビボ半減期が、上記中程度又は強力なCYP1A2阻害剤の非存在下でのフルベンダゾールのインビボ半減期の2、3、4、6、8、10、12、14、16、18又は20倍を超えて延長される、上記[11]に記載の医薬組成物。
[13]上記中程度又は強力なCYP1A2阻害剤が、中程度又は強力なCYP1A2阻害剤の非存在下でのフルベンダゾールと比較して、フルベンダゾールのエクスビボ固有クリアランスを少なくとも2分の1に減少させる、上記[1]から[12]のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[14]上記強力なCYP1A2阻害剤が、強力なCYP1A2阻害剤の非存在下でのフルベンダゾールと比較して、フルベンダゾールのエクスビボ固有クリアランスを少なくとも5分の1に減少させる、上記[1]から[13]のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[15]上記中程度又は強力なCYP1A2阻害剤が、中程度又は強力なCYP1A2阻害剤の非存在下でのフルベンダゾールと比較してフルベンダゾールのインビボAUCを増加させる、上記[1]から[14]のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[16]上記中程度又は強力なCYP1A2阻害剤が、中程度又は強力なCYP1A2阻害剤の非存在下のフルベンダゾールよりも少なくとも2倍以上フルベンダゾールの上記インビボAUCを増加させる、上記[15]に記載の医薬組成物。
[17]上記強力なCYP1A2阻害剤が、強力なCYP1A2阻害剤の非存在下のフルベンダゾールよりも少なくとも5倍以上フルベンダゾールの上記インビボAUCを増加させる、上記[15]に記載の医薬組成物。
[18]上記中程度又は強力なCYP1A2阻害剤が、フルベンダゾールのインビボ半減期を延長させる、上記[1]から[17]のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[19]上記中程度又は強力なCYP1A2阻害剤が、フルベンダゾールの上記インビボ半減期を、中程度又は強力なCYP1A2阻害剤の非存在下でのフルベンダゾールのインビボ半減期の2、3、4、6、8、10、12、14、16、18又は20倍を超えて延長させる、上記[18]に記載の医薬組成物。
[20]医薬品に使用するための、上記[1]から[19]のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[21]微小管の構造及び機能の阻害及び/又は破壊によって治療可能な疾患を治療する方法に使用するための、上記[1]から[20]のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[22]上記[1]から[19]のいずれか一項に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む、対象における微小管の構造及び機能の阻害及び/又は破壊によって治療可能な疾患を治療する方法。
[23]微小管の構造及び機能の阻害及び/又は破壊によって治療可能な上記疾患が癌であり、任意で上記癌が血液癌又は固形腫瘍である、上記[21]に記載の医薬組成物、又は上記[22]に記載の方法。
[24]微小管の構造及び機能の阻害及び/又は破壊によって治療可能な上記疾患が感染性疾患である、上記[21]に記載の使用のための医薬組成物、又は上記[22]に記載の方法。
[25]上記感染性疾患が寄生虫症である、上記[24]に記載の使用のための医薬組成物又は上記[24]に記載の方法。
[26]上記寄生虫症が蠕虫性疾患である、上記[25]に記載の使用のための医薬組成物、又は上記[25]に記載の方法。
[27]上記蠕虫性疾患がフィラリア病である、上記[26]に記載の使用のための医薬組成物、又は上記[26]に記載の方法。
[28]上記寄生虫症が原虫性疾患である、上記[25]に記載の使用のための医薬組成物、又は上記[25]に記載の方法。
[29]上記感染性疾患が、細菌性疾患又はウイルス性疾患である、上記[24]に記載の使用のための医薬組成物、又は上記[24]に記載の方法。
[30]上記ウイルス性疾患がHIV感染症である、上記[29]に記載の使用のための医薬組成物、又は上記[29]に記載の方法。
[31]微小管の構造及び機能の阻害及び/又は破壊によって治療可能な上記疾患が真菌性疾患である、上記[21]に記載の使用のための医薬組成物、又は上記[22]に記載の方法。
[32]微小管の構造及び機能の阻害及び/又は破壊によって治療可能な上記疾患が増殖性疾患である、上記[21]若しくは上記[23]に記載の使用のための医薬組成物、又は上記[22]若しくは上記[23]に記載の方法。
[33]微小管の構造及び機能の阻害及び/又は破壊によって治療可能な上記疾患が炎症性疾患である、上記[21]に記載の使用のための医薬組成物、又は上記[22]に記載の方法。
[34]上記炎症性疾患が自己免疫疾患である、上記[33]に記載の使用のための医薬組成物、又は上記[33]に記載の方法。
[35]上記炎症性疾患が痛風である、上記[33]に記載の使用のための医薬組成物又は上記[33]に記載の方法。
[36]微小管の構造及び機能の阻害及び/又は破壊によって治療可能な上記疾患が線維性疾患である、上記[21]に記載の使用のための医薬組成物、又は上記[22]に記載の方法。
[37]上皮間葉転換(EMT)の障害又は復帰によって治療可能な疾患を治療する方法に使用するための、上記[1]から[19]のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[38]上記[1]から[19]のいずれか一項に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む、対象におけるEMTの障害又は復帰によって治療可能な疾患を治療する方法。
[39]EMTの障害又は復帰によって治療可能な上記疾患が癌であり、任意で上記癌が固形腫瘍又は血液癌である、上記[37]に記載の使用のための医薬組成物、又は上記[38]に記載の方法。
[40]EMTの障害又は復帰によって治療可能な上記疾患が増殖性疾患である、上記[37]若しくは上記[39]に記載の使用のための医薬組成物、又は上記[38]若しくは上記[39]に記載の方法。
[41]EMTの障害又は復帰によって治療可能な上記疾患が炎症性疾患である、上記[37]に記載の使用のための医薬組成物、又は上記[38]に記載の方法。
[42]上記炎症性疾患が自己免疫疾患である、上記[41]に記載の使用のための医薬組成物、又は上記[41]に記載の方法。
[43]上記炎症性疾患が痛風である、上記[41]に記載の使用のための医薬組成物、又は上記[41]に記載の方法。
[44]EMTの障害又は復帰によって治療可能な上記疾患が線維性疾患である、上記[37]に記載の使用のための医薬組成物、又は上記[38]に記載の方法。
[45]神経発生疾患を治療する方法に使用するための、上記[1]から[19]のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[46]対象の神経変性疾患を治療する方法であって、上記[1]から[19]のいずれか一項に記載の医薬組成物を上記対象に投与することを含む、対象の神経変性疾患を治療する方法。
[47]上記神経変性疾患が、アルツハイマー病、又は加齢関連疾患若しくは状態である、上記[45]に記載の使用のための医薬組成物、又は上記[46]に記載の方法。
[48]肝疾患を治療する方法において使用するための、上記[1]から[19]のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[49]対象の肝疾患を治療する方法であって、上記[1]から[19]のいずれか一項に記載の医薬組成物を上記対象に投与することを含む、対象の肝疾患を治療する方法。
[50]脊髄損傷を治療する方法に使用するための、上記[1]から[19]のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[51]対象の脊髄損傷を治療する方法であって、上記[1]から[19]のいずれか一項に記載の医薬組成物を上記対象に投与することを含む、対象の脊髄損傷を治療する方法。
[52]ミオパシーを治療する方法において使用するための、上記[1]から[19]のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[53]対象のミオパシーを治療する方法であって、上記[1]から[19]のいずれか一項に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む、対象のミオパシーを治療する方法。
[54]上記方法が、フルベンダゾール又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド若しくはプロドラッグを、上記中程度又は強力なCYP1A2阻害剤と同時に、別々に、又は逐次的に対象に投与することを含む、上記[20]から[53]のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物、又は上記[20]から[53]のいずれか一項に記載の方法。
[55]上記癌が、固形癌又は血液癌であり、任意で上記癌が、気管支腫瘍、中枢神経系癌、中枢神経系胚芽腫、癌腫、急性骨髄性白血病(AML)、カルチノイド腫瘍、虫垂癌、星細胞腫、脊索腫、非定型奇形腫/ラブドイド腫瘍、肉腫、膀胱癌、甲状腺癌、原発性中枢神経系(CNS)リンパ腫、頭蓋外胚細胞腫瘍、食道癌、AIDS関連癌、肝細胞(肝臓)癌、陰茎癌、胸膜肺芽腫、胆嚢癌、横紋筋肉腫、ワルデンストロームマクログロブリン血症、唾液腺癌、中枢神経系胚細胞腫瘍、形質細胞性腫瘍、口唇癌及び口腔癌、精巣癌、肝外胆管癌、非浸潤性乳管癌(DCIS)、鼻咽頭癌、鼻腔及び副鼻腔癌、骨癌、乳癌、神経膠腫、毛状細胞白血病、ランゲルハンス細胞組織球症、口腔癌、上衣腫、皮膚T細胞リンパ腫、妊娠性栄養膜疾患、眼癌、カポジ肉腫、性腺外生殖細胞腫瘍、胃(Gastric)(胃(Stomach))癌、消化管間質腫瘍(GIST)、乳頭腫症、小腸癌、脳脊髄腫瘍、ワルデンストロームマクログロブリン血症、膵癌、咽頭癌、口腔咽頭癌、神経節腫、非黒色腫皮膚癌、骨髄異形成/骨髄増殖性腫瘍、扁平上皮癌、悪性線維性組織球腫、黒色腫、セザリー症候群、メルケル細胞癌、下垂体腫瘍、骨及び骨肉腫の悪性線維性組織球腫、卵巣癌、副甲状腺癌、皮膚癌、菌性真菌症、生殖細胞腫瘍、ファロピウス管癌、眼内黒色腫、白血病、膵神経内分泌腫瘍(膵島細胞腫瘍)、子宮内膜癌、リンパ腫、前立腺癌、腎盂及び尿管癌、骨肉腫(骨癌)、非ホジキンリンパ腫、非小細胞肺癌、基底細胞癌、喉頭癌、多発性骨髄腫/形質細胞性腫瘍、膣癌、扁平上皮頸癌、多発性骨髄腫、NUT遺伝子が関与している中索癌、頭頸部癌、心臓癌、眼内(眼)癌、腎細胞(腎臓)癌、骨の悪性線維性組織球腫、肝臓癌、直腸癌、結腸癌、悪性中皮腫、低悪性度腫瘍、口癌、軟部肉腫、下咽頭癌、ウィルムス腫瘍、上皮癌、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、網膜芽細胞腫、ホジキンリンパ腫、脳腫瘍/癌、精巣芽細胞腫、胚性腫瘍、子宮頸癌、慢性骨髄増殖性腫瘍、膵神経内分泌腫瘍、尿管癌及び腎骨盤癌、肛門癌、尿道癌、脳幹癌、外陰癌、慢性リンパ性白血病(CLL)、子宮肉腫、胃(Stomach)(胃(Gastric))癌、脳幹神経膠腫、多発性内分泌腫瘍症候群、骨髄異形成症候群、頭蓋咽頭腫、小細胞肺癌、口唇癌及び口腔癌、皮膚T細胞リンパ腫、神経芽腫、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、ランゲルハンス細胞組織球症、乳癌、消化管カルチノイド腫瘍、副鼻腔及び鼻腔癌、褐色細胞腫、原発性扁平上皮癌、男性乳癌、腎臓(Kidney)(腎臓(Renal))癌、肺癌、膵島細胞腫瘍、肝外胆管癌、子宮内膜癌、慢性骨髄増殖性腫瘍、腎骨盤及び尿路の移行細胞癌、胸腺腫及び胸腺癌、咽頭癌、ユーイング肉腫、慢性骨髄性白血病(CML)、結腸直腸癌、結腸癌、心臓(Cardiac)(心臓(Heart))腫瘍、バーキットリンパ腫、原発不明癌、中枢神経系非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍、小児癌、及び非ホジキンリンパ腫、副腎皮質癌、副腎皮質腺癌、副腎皮質腺腫、腎臓(Kidney)(腎臓(Renal))癌、及びP-gp発現多剤耐性腫瘍から選択される、上記[23]若しくは[39]に記載の使用のための医薬組成物、又は上記[23]若しくは上記[39]に記載の方法。
[56]上記真菌性疾患又は寄生虫症が、蠕虫性疾患及び原虫性疾患から選択され、場合により、フィラリア病、オンコセルカ症、鉤虫症、エキノコックス症、回虫症、及び腸蟯虫症、釣頭虫類(Acanthocephalans)、プラスモディウム属種(Plasmodium spp)、アフリカトリパノソーム(African trypanosomes)、トリパノソーマ・クルーズ(Trypanosoma cruzi)、リーシュマニア属種(Leishmania)、ジアルジア属種(Giardia)、膣トリコモナス(Trichomonas vaginalis)、エントアメーバ・ヒストリチカ(Entamoeba histolytica)、エンセファリトゾーン種(Encephalitozoon spp)、アカントアメーバ・カステラーニ(Acanthamoeba castellani)、及びエンセイトゾーン・ビエネウシ(Enterocytozoon bieneusi)、並びに真菌性疾患、例えばクリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)及び他のクリプトコッカス種から選択される、上記[25]から[28]若しくは[31]のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物、又は上記[25]から[28]若しくは[31]のいずれか一項に記載の方法。
[57]上記方法が、上記組成物をヒトに投与することを含む、上記[20]から[56]のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物、又は上記[20]から[56]のいずれか一項に記載の方法。
[58]上記方法が、上記医薬組成物を経口、静脈内、筋肉内又は皮下投与することを含む、上記[20]から[57]のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物、又は上記[20]から[57]のいずれか一項に記載の方法。
[59]フルベンダゾール又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド、若しくはプロドラッグを、中程度又は強力なCYP1A2阻害剤と組み合わせることを含む、フルベンダゾールの薬物動態を改善するための方法。
本発明は、フルベンダゾール又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、N-オキシド若しくはプロドラッグと、中程度又は強力なシトクロムP450 1A2アイソエンザイム(CYP1A2)阻害剤と、を含む医薬組成物を提供する。
【国際調査報告】