(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-21
(54)【発明の名称】室内空気からアルデヒド型VOCを除去するフィルタ及び方法
(51)【国際特許分類】
A61L 9/01 20060101AFI20230614BHJP
C08L 1/00 20060101ALI20230614BHJP
C08L 39/06 20060101ALI20230614BHJP
C08K 5/13 20060101ALI20230614BHJP
C08K 5/42 20060101ALI20230614BHJP
【FI】
A61L9/01 E
A61L9/01 H
C08L1/00
C08L39/06
C08K5/13
C08K5/42
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022538796
(86)(22)【出願日】2020-11-19
(85)【翻訳文提出日】2022-08-10
(86)【国際出願番号】 EP2020082639
(87)【国際公開番号】W WO2021129985
(87)【国際公開日】2021-07-01
(32)【優先日】2019-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522248696
【氏名又は名称】エアー テック グループ,エスエルユー
【氏名又は名称原語表記】AIR TECH GROUP, SLU
【住所又は居所原語表記】Afores, s/n 43424 Sarral (Tarragona) (ES)
(74)【代理人】
【識別番号】100105131
【氏名又は名称】井上 満
(74)【代理人】
【識別番号】100105795
【氏名又は名称】名塚 聡
(72)【発明者】
【氏名】ヴィララサ ローレンス,ジョーム
(72)【発明者】
【氏名】ボッシュ ヘリュー,ルイス
(72)【発明者】
【氏名】トレンチ ロカ,ルイス
【テーマコード(参考)】
4C180
4J002
【Fターム(参考)】
4C180AA02
4C180BB06
4C180BB07
4C180BB08
4C180CC01
4C180CC02
4C180CC12
4C180CC15
4C180EB06X
4C180EB14Y
4J002AB011
4J002BJ001
4J002EJ036
4J002EJ046
4J002EV237
4J002GD02
(57)【要約】
室内空気からアルデヒド型VOCを除去するためのフィルタ及び方法が開示される。フィルタは、容器として作用するケーシングを含む。容器はある体積の前記室内空気が流れる2つの空気透過性の対向する壁を含み、1つ又は複数の天然ポリフェノール及び触媒剤を収容する。フィルタは、室内空気のアルデヒド型VOCと不可逆的に反応する吸着フィルタとして作用する。天然ポリフェノールは、レスベラトロール(3,4’,5-トリヒドロキシスチルベン)、レゾルシノール(1,3-ベンゼンジオール)、ピロガロール(1,2,3-ベンゼントリオール)、フロログルシノール(1,3,5-ベンゼントリオール)及びヒドロキノン(1,4-ベンゼンジオール)又はそれらの組み合わせから選択される粉末ポリフェノールである。触媒剤は固体スルホン酸である。天然ポリフェノールと前記触媒剤との混合物は、圧縮ブロック要素として容器内に存在する。フィルタを備える空気浄化/除染装置も開示される。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内空気からアルデヒド型揮発性有機化合物(VOC)を除去するためのフィルタであって、前記フィルタ(1)は容器として作用する少なくとも1つのケーシング(10)を含み、前記容器(10)はある体積の前記室内空気が流れる2つの空気透過性の対向する壁(12、13)を含み、前記ケーシングは1つ又は複数の天然ポリフェノール及び触媒剤を収容し、前記フィルタは吸着フィルタとして作用し、前記室内空気のアルデヒド型VOCと不可逆的に反応し、
前記1つ又は複数の天然ポリフェノールは粉末ポリフェノールであり、レスベラトロール(3,4’,5-トリヒドロキシスチルベン)、レゾルシノール(1,3-ベンゼンジオール)、ピロガロール(1,2,3-ベンゼントリオール)、フロログルシノール(1,3,5-ベンゼントリオール)及びヒドロキノン(1,4-ベンゼンジオール)又はこれらの組み合わせを含む群から選択され、
前記触媒剤は固体スルホン酸であり、
前記1つ又は複数の天然ポリフェノールと前記触媒剤との混合物が、圧縮ブロック要素(11)として前記容器内に存在する
ことを特徴とする、フィルタ。
【請求項2】
前記圧縮ブロック要素(11)は、顆粒の形態又はペレットの形態である、請求項1に記載のフィルタ。
【請求項3】
前記顆粒は0.8mm~1.2mm、好ましくは1mmの直径を有し、前記ペレットは、2.5mm~3.5mm、好ましくは3mmの直径を有する、請求項2に記載のフィルタ。
【請求項4】
前記圧縮ブロック要素(11)は、前記1つ又は複数の天然ポリフェノール及び前記触媒剤の室温での加圧圧縮プロセスによって得られる、請求項1~3のいずれか1項に記載のフィルタ。
【請求項5】
前記圧縮ブロック要素(11)が、セルロース、その誘導体、又は、ポビドン又はPVPとも称されるポリ(1-ビニルピロリジン-2-オン)の中から選択される少なくとも1つのバインダ又はバインダ剤を添加した、前記1つ又は複数の天然ポリフェノール及び前記触媒剤の室温での加圧圧縮プロセスによって得られる、請求項1~3のいずれか1項に記載のフィルタ。
【請求項6】
前記触媒剤として使用される前記固体スルホン酸が、
-p-トルエンスルホン酸(TsOH・H
2O又はTsOH)又はベンゼンスルホン酸(BsOH)等の任意のアレーンスルホン酸(Ar-SO
3H)、
-10-カンファースルホン酸(CSA)等の任意のアルカンスルホン酸(R-SO
3H)、
-細粒化された粉末として添加された強酸イオン交換樹脂、又はスルホン酸ポリマー等の任意のスルホン酸樹脂、
-酸性のチモールブルー及び関連するトリフェニルメタンスルホン酸染料、
-(アルラレッド(E129)又はポンソー4R(E124)及び関連するアゾ誘導体等の)酸性の食品染料、若しくは
-それぞれ酸性の一般的な洗浄剤及び界面活性剤等の任意の長鎖アルキル硫酸水素塩(RO-SO
3H)又はアリール硫酸水素塩(ArO-SO
3H)
を含む群から選択される、請求項1~5のいずれか1項に記載のフィルタ。
【請求項7】
前記ポリフェノール及びスルホン酸が、それぞれ1.0~2.0及び0.1~1.0w/w比で、より好ましくは1.0~0.2w/w比で使用される、請求項1~6のいずれか1項に記載のフィルタ。
【請求項8】
前記圧縮ブロック要素(11)が前記1つ又は複数の天然ポリフェノール及び前記触媒剤の加圧圧縮プロセスによって得られる顆粒の形態であり、
-前記顆粒に使用されるポリフェノールは10%~75%のレスベラトロールと75%~10%のレゾルシノールの割合のレスベラトロールとレゾルシノールの混合物であって、固形スルホン酸TsOH・H
2O(p-トルエンスルホン酸)は約15%の割合で存在するか、又は、
-前記顆粒に使用されるポリフェノールは30%~40%のレスベラトロールと40%~30%のレゾルシノールの割合のレスベラトロールとレゾルシノールの混合物であって、固形スルホン酸TsOH・H
2Oは約30%の割合で存在する、
請求項1に記載のフィルタ。
【請求項9】
前記圧縮ブロック要素(11)が、セルロース、その誘導体、又は、ポビドン又はPVPとも称されるポリ(1-ビニルピロリジン-2-オン)の中から選択される少なくとも1つのバインダ又はバインダ剤が添加された前記1つ又は複数の天然ポリフェノールと前記触媒剤との室温での加圧圧縮法によって得られるペレットの形態であり、前記ペレットに使用されるポリフェノールが20%~35%の間のレスベラトロールと35%~20%の間のレゾルシノールの比率のレスベラトロールとレゾルシノールとの混合物であって、前記固形スルホン酸(TsOH・H
2O)が30%の比率で存在し、前記バインダ又はバインダ剤が15~20%の比率で存在する、請求項1に記載のフィルタ。
【請求項10】
ハニカム形状に配置された複数のケーシング(10)をさらに備え、前記2つの空気透過性の対向する壁(12,13)は、2つのウェブによって画定される、請求項1~9のいずれか1項に記載のフィルタ。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載のフィルタを含む、空気浄化又は空気除染装置。
【請求項12】
室内空気からアルデヒド型揮発性有機化合物(VOC)を除去するための方法であって、汚染された室内空気の制御された空気流が容器として作用するケーシングを含むエアフィルタを通過し、前記容器はある体積の前記汚染された室内空気が流れる2つの空気透過性の対向する壁を含み、前記ケーシングは1つ又は複数の天然ポリフェノール及び触媒剤を収容し、前記アルデヒド型VOCは前記触媒剤の存在下で前記1つ又は複数の天然ポリフェノールと反応し、ポリマーポリフェノール-アルデヒド樹脂を生成し、これは、前記フィルタ内に保持され、
前記1つ又は複数の天然ポリフェノールは粉末状であり、レスベラトロール(3,4’,5-トリヒドロキシスチルベン)、レゾルシノール(1,3-ベンゼンジオール)、ピロガロール(1,2,3-ベンゼントリオール)、フロログルシノール(1,3,5-ベンゼントリオール)及びヒドロキノン(1,4-ベンゼンジオール)又はこれらの組み合わせを含む群から選択され、
前記触媒剤が固体スルホン酸であり、
前記1つ又は複数の天然ポリフェノールと前記触媒剤との混合物が、圧縮ブロック要素として前記容器内に存在する、方法。
【請求項13】
前記VOCが、アミン型VOC及びアンモニアをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記アルデヒド型VOCが、ホルムアルデヒド(HCHO、メタナール)、アセトアルデヒド(エタナール)、グリオキサール(エタンジアール)、プロピオンアルデヒド(プロパナール)、アクロレイン(プロペナール)、プロパルギルアルデヒド(プロピナール)、メチルグリオキサール(2-オキソプロパナール)、グリオキシル酸及びそれらのアルキルエステル、ブチルアルデヒド(ブタナール)、イソブチルアルデヒド(2-メチルプロパナール)、メチルアクロレイン(2-メチルプロペナール)、クロトンアルデヒド(2-ブテナール)の両方の異性体、バレルアルデヒド(ペンタナール)及びイソバレルアルデヒド(3-メチルブタナール)を含む群から選択される、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記圧縮ブロック要素は顆粒の形態又はペレットの形態で提供され、前記顆粒は0.8mm~1.2mm、好ましくは1mmの直径を有し、前記ペレットは2.5mm~3.5mm、好ましくは3mmの直径を有する、請求項12~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記フィルタのインジケータが飽和レベルに達すると、前記エアフィルタが除去され、置換され、前記インジケータは、
-ホルムアルデヒド及び関連するVOCと前記フィルタに使用される前記ポリフェノール又はポリフェノール混合物との反応が完了した場合のホルムアルデヒド及び関連するVOCと前記フィルタに含まれる前記ポリフェノール又はポリフェノール混合物とのスルホン酸触媒反応、又は
-酸基がアミン型VOC、アンモニア又はアルデヒドアミン誘導体によって中和されたときの、スルホン酸の形態で使用される、チモールブルー及び関連する染料又は食用色素及び関連するアゾ染料の色の変化
の結果として動作する、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、居住区域、病院、レジャー区域及び作業空間区域での使用に適した、室内空気から汚染物質を除去又は実質的に排除するための、特に空気浄化又は空気除染装置のためのエアフィルタに関する。フィルタは、容器として作用するケーシングと、1つ又は複数の天然ポリフェノールと、触媒剤とを含む。天然ポリフェノールと触媒剤との混合物は、圧縮ブロック要素(又は、密集ブロック要素/コンパクト化ブロック要素)として容器内に存在する。
【0002】
エアフィルタは特に、アルデヒド型揮発性有機化合物(VOC)を捕捉又は除去するのに適したフィルタに関し、室内空気から捕捉又は除去される主なアルデヒド型VOCは、ホルムアルデヒド(HCHO、メタナール)である。
【0003】
さらに、開示されたエアフィルタは、アミン型VOC及びアンモニア、並びにアルデヒドとの反応から生じるイミン及びアミナールを、室内空気から除去又は排除することもできる。
【0004】
本明細書を通じて、「揮発性有機化合物」という用語の代わりに、「VOC」又は「VOCs」という頭文字を使うことができる。
【背景技術】
【0005】
現在の技術水準では、アルデヒド官能基、主にホルムアルデヒドを含有するVOCを捕捉することができる広範囲のエアフィルタが市販されており、例えば、文献米国特許出願公開第2016/228811号明細書に開示されており、このフィルタは液体アミンと、1つ又は複数のフィルタシートに配置された1つ又は複数の粒状固体支持材料(シリカ、粘土、アルミナ、炭素、ポリマー、繊維又はそれらの組み合わせを含む)とから構成される固体により支持されるアミン濾過媒体を含み、フィルタ中に存在するアミンと、前記フィルタ媒体を通って流れる空気中に存在するホルムアルデヒドとの間の相互作用を提供する。
【0006】
文献国際公開第2017/114687号パンフレットは、触媒を含む第1の層と、アミンを含む第2の層と、吸湿性材料などの吸水及び放出材料から構成される任意選択の第3の層とから構成される多層エアフィルタを開示している。
【0007】
レゾルシノールのようなポリフェノールは、ポリマー(又は、高分子)化学の開始以来、塩基性条件下で加熱することによって、ホルムアルデヒド(ホルモル又はホルマリンとして知られるポリマー性のもの)の水溶液から得られるホルムアルデヒドモノマーと反応することが知られている。一般にフェノール樹脂としても知られるフェノール-ホルムアルデヒド(PF)ポリマー、及び特にレゾルシノール-ホルムアルデヒド樹脂(レゾールとして知られる)は、多くの工業製品において見出され、段階成長重合によって形成される。
【0008】
文献米国特許出願公開第2013/052113号明細書は空気を浄化するための方法及び空気を浄化するために使用される空気浄化器を開示し、空気浄化器は、光触媒作用コーティングを有する繊維構造を有するフィルタと、空気をフィルタに強制的に通過させ、VOCを除去するファン又はタービンとを備える。空気浄化器はフェノール化合物(例えば、レゾルシノール)などのスカベンジャー媒体をさらに含むことができる。
【0009】
文献中国特許第107321328号明細書にはVOC吸着剤及びそのようなVOC吸着剤を得るための方法が開示されており、その組成はポリ(ビニルアルコール)、水、植物ポリフェノール、カオリン、酸性液体及び消泡剤を含む。
【0010】
文献特開平11-226100は、ホルムアルデヒド吸収材、すなわち植物ポリフェノール、特にフラバン-3-オール及び/又はフラバン-3-オール誘導体のような茶由来ポリフェノールを含有するフィルタを開示している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は1つ以上のポリフェノール物質と触媒剤又は触媒との混合物を、圧縮ブロック剤としてエアフィルタの容器に添加し、次いで、重要な屋内汚染物質であるアルデヒド型VOC、主にホルムアルデヒドと反応させることによって、市場で入手可能なエアフィルタに関する特定の問題を改善し、解決することを目的とする。フェノール-ホルムアルデヒドポリマーの形成の上述の反応は、好都合にかつ革新的に開発され、ppm(百万分率)濃度でホルムアルデヒドガスを除去することを可能にした。フィルタの構成要素の1つは、任意の空気流(尿型臭気)中に存在するアンモニア及びアミン型VOC、並びにアルデヒドと前記窒素化合物との反応から生じるイミン及びアミナールを捕捉することも可能にする。
【0012】
ホルムアルデヒドは毒性、アレルギー性及び発癌性であるとともに反応性が高く、特定のレベルで室内空気中に存在する場合、重大な安全上の危険をもたらし、複数の健康上の問題につながる。0.1ppm(百万分率)を超える濃度のホルムアルデヒドは眼に刺激を引き起こすことがあり、一方、前記空気を吸入することは、頭痛、咽喉の炎症及び息切れ(SOB)を引き起こすこともある。室内空気中に5ppm又はそれ以上の濃度で存在するホルムアルデヒドは死に至ることがある。
【0013】
ホルムアルデヒド及びその誘導体はこれらの健康上の危険性の全てを引き起こすが、それらはi)樹脂及び接着剤、とりわけ、床を敷く及びカーペットを敷く間に、又は家具を製造するプロセスにおいて使用され、これらの工業的に調製された樹脂及び接着剤が一旦建物に適用されると、微量のホルムアルデヒドを室内空気中に徐々に放出し得、熱に曝されると、例えば、近くに位置する加熱源(ラジエータ)又は日光に起因してプロセスが加速される、ii)病院又はクリーンルームの手術室及び他の部屋において主に使用される水溶液中に存在する場合、存在し得る大部分の細菌及び真菌を死滅させる、消毒剤、iii)病院、博物館(又は、美術館)及び生物学研究所における生物学的器官のための、ホルマリン又はホルモルとして知られる、保存水溶液、等の広範な用途において依然として広く使用されている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
したがって、本発明は第1の態様によれば、室内空気からVOC、特にアルデヒド型VOC、及び特定の実施形態ではアミン型VOCも除去するための空気浄化又は空気除染装置で使用するためのエアフィルタを開示する。エアフィルタは、容器として作用する少なくとも1つのケーシングを含む。容器は、ある体積の室内空気が流れる2つの空気透過性の対向する壁を備える。ケーシングは、1つ又は複数の天然ポリフェノール及び触媒剤を収容する。
【0015】
エアフィルタは、室内空気のアルデヒド型VOCと不可逆的に反応する吸収フィルタとして作用する。この不可逆反応のために、エアフィルタは室内空気中に存在する微量のホルムアルデヒドを非常に迅速に吸収することができ、ホルムアルデヒドよりも低い反応性、揮発性、毒性がある他のアルデヒド型VOCを(それほど迅速ではないが)吸収することができる。
【0016】
粉末状態で存在する1つ又は複数の天然ポリフェノール(すなわち、粉末ポリフェノール)に関して、それらは、特に、レスベラトロール(3,4’,5-トリヒドロキシスチルベン、赤ブドウの皮及び赤ワインに非常に豊富な天然産物)、レゾルシノール(1,3-ベンゼンジオール)、ピロガロール(1,2,3-ベンゼントリオール)、フロログルシノール(1,3,5-ベンゼントリオール)及びヒドロキノン(1,4-ベンゼンジオール)又はこれらの組み合わせを含む群から選択される。
【0017】
加えて、触媒剤は固体スルホン酸である。
【0018】
提案されたエアフィルタによれば、前記1つ又は複数の天然ポリフェノールと前記触媒剤との混合物が、圧縮ブロック要素として容器内に存在する。
【0019】
本発明によれば、圧縮ブロック要素は、顆粒の形態であってもペレットの形態であり得る。
【0020】
顆粒は0.8mm~1.2mm、好ましくは1mmの直径を有することができ、一方、ペレットは、2.5mm~3.5mm、好ましくは3mmの直径を有することができる。
【0021】
一実施形態では、圧縮ブロック要素は、1つ又は複数のポリフェノール及び触媒剤の加圧圧縮プロセスによって得られる。
【0022】
別の実施形態では、圧縮ブロック要素は、とりわけ、(1つ又は複数の)バインダ(又は、結合剤)又はバインダ剤、例えばセルロース、その誘導体、又はポリ(1-ビニルピロリジン-2-オン)(ポビドン、PVP)の添加を伴う、上記1つ又は複数の天然ポリフェノール及び触媒剤の室温での加圧圧縮プロセスによって調製される。
【0023】
特定の実施形態ではエアフィルタがハニカム構成に配置された複数のケーシングを含むことができ、前記2つの空気透過性の対向する壁は2つのウェブによって画定される。
【0024】
エアフィルタの特定の実施形態では、スルホン酸成分の割合を増加させることによって、フィルタは、アミンとアルデヒドとの反応から生じるイミン及びアミナールと同様に、有意な量のアミン型VOC及びアンモニアを吸収することもできる。
【0025】
混合物中に含まれるポリフェノールは、室内空気中に存在するアルデヒド型VOCを除去するために選択され、これにはアセトアルデヒド(エタナール)、グリオキサール(エタンジアール)、プロピオンアルデヒド(プロパナール)、アクロレイン(プロペナール)、プロパルギルアルデヒド(プロピナール)、メチルグリオキサール(2-オキソプロパナール)、グリオキシル酸及びそれらのアルキルエステル、ブチルアルデヒド(ブタナール)、イソブチルアルデヒド(2-メチルプロパナール)、メチルアクロレイン(2-メチルプロペナール)、クロトンアルデヒド(2-ブテナール)の両方の異性体、バレルアルデヒド(ペンタナール)及びイソバレルアルデヒド(3-メチルブタナール)、特にホルムアルデヒド(HCHO、メタナール)が含まれるが、これらに限定されない。化粧品産業で使用されるもののような、より長鎖のアルデヒド(すなわち、言及されたものよりも高い分子量のアルデヒド)もまた、ゆっくりと吸収され得るが、それらは心地よい臭いを有し、それらの捕捉は必要であるとは見なされない。
【0026】
これらのアルデヒド型VOCは、石油産業からの不飽和炭化水素及び空気清浄剤として使用されるいくつかの精油及び天然香料等のオレフィンと、外部から来るか、又はレーザープリンター、写真複写機、イオン空気清浄機、アーク溶接機又はモーターブラシによって内部で生成されるオゾンとの反応の結果として、室内空気を汚染し得る。(アルコール飲料からの)エタノール蒸気及び(香料からの)他の短鎖第一級アルコールの大気酸化もまた、アルデヒド型VOCを生成し得る。
【0027】
触媒剤として使用されるスルホン酸は、以下のいずれかから選択することができる:
-p-トルエンスルホン酸(TsOH・H2O又はTsOH)又はベンゼンスルホン酸(BsOH)等の任意のアレーンスルホン酸(Ar-SO3H)、
-10-カンファースルホン酸(CSA)等のアルカンスルホン酸(R-SO3H)、
-細粒化された粉末として添加された強酸イオン交換樹脂、又はスルホン酸ポリマー等の任意のスルホン酸樹脂
-酸性のチモールブルー及び関連するトリフェニルメタンスルホン酸染料、
-(アルラレッド(E129)又はポンソー4R(E124)及び関連するアゾ誘導体等の)酸性の食品染料、若しくは
-それぞれ酸性の一般的な洗浄剤及び界面活性剤等の任意の長鎖アルキル硫酸水素塩(RO-SO3H)又は(ArO-SO3H)アリール硫酸水素塩。
【0028】
一実施形態では、ポリフェノール及びスルホン酸が、それぞれ、1.0-2.0及び0.1-1.0w/w比で、より好ましくは1.0から0.2w/w比で使用される。
【0029】
一実施形態では、ポリフェノールはレスベラトロールである。
【0030】
別の実施形態では特に、圧縮ブロック要素として顆粒を使用する場合、用語「ポリフェノール」は固形スルホン酸、TsOH・H2O(p-トルエンスルホン酸)の15%w/wと、レスベラトロール10%から75%及びレゾルシノール75%から10%の割合のレスベラトロールとレゾルシノールとの混合物を指す。ペレットを使用する場合、これらのパーセンテージは、15-20%w/wのバインダの添加のために減らすことができる。
【0031】
さらに別の実施形態では、特に、圧縮ブロック要素として顆粒を使用する場合、使用されるポリフェノールは、レスベラトロール30%から40%の間及びレゾルシノール40%から30%の間の割合のレスベラトロールとレゾルシノールとの混合物である。この最後の例では、固形スルホン酸TsOH・H2Oは30%の割合で存在する。ペレットを使用する場合、ペレットに使用されるポリフェノールは、好ましくは、レスベラトロール20%から35%の間、及びレゾルシノール35%から20%の間の割合のレスベラトロールとレゾルシノールとの混合物であり、ここで、固体スルホン酸は30%の割合で存在し、バインダ又はバインダ剤は15-20%の割合で存在することができる。
【0032】
別の態様では、本発明はまた、本発明の第1の態様のエアフィルタを含む空気浄化又は空気除染装置を提供する。
【0033】
さらに別の態様では、本発明は、室内空気からVOC、特にアルデヒド型VOCを除去するための方法をさらに開示し、汚染された室内空気の制御された空気流が容器として作用するケーシングを含むエアフィルタを通過し、前記容器はある体積の前記汚染された室内空気が流れる2つの空気透過性の対向する壁を含み、前記ケーシングは1つ又は複数の天然ポリフェノール及び触媒剤を収容し、前記アルデヒド型VOCは前記触媒剤の存在下で前記1つ又は複数の天然ポリフェノールと反応し、ポリマーポリフェノール-アルデヒド樹脂を生成し、これがフィルタ内に保持される。
【0034】
提案された方法によれば、1つ又は複数の天然ポリフェノールは粉末状態であり、レスベラトロール(3,4’,5-トリヒドロキシスチルベン)、レゾルシノール(1,3-ベンゼンジオール)、ピロガロール(1,2,3-ベンゼントリオール)、フロログルシノール(1,3,5-ベンゼントリオール)及びヒドロキノン(1,4-ベンゼンジオール)又はこれらの組み合わせを含む群から選択される。触媒剤は固体スルホン酸である。前記1つ又は複数の天然ポリフェノールと前記触媒剤との混合物は、前記アルデヒド型VOCを捕捉する圧縮ブロック要素(顆粒又はペレットの形態のいずれか)として容器内に存在する。
【0035】
提案された方法によれば、VOCは、アミン型VOC及びアンモニア、並びにアルデヒド型VOCとのそれらの反応から生じるイミン及びアミナールも含むことができる。
【0036】
室内空気中に存在するアルデヒド型VOCのために、フィルタ中で起こる反応はある時点で飽和レベルに達し、したがって効果がなくなり、したがって、この方法は視覚的インジケータによって示されるように、一旦飽和レベルに達すると、エアフィルタが除去され、交換される追加のステップをさらに含む。
【0037】
特定の実施形態では、インジケータが、ホルムアルデヒド及び関連するVOCと、フィルタに含まれるポリフェノール又はポリフェノール混合物とのスルホン酸触媒反応の結果であり、これはホルムアルデヒド及び関連するVOCと、フィルタに使用されるポリフェノール又はポリフェノール混合物との反応が完了したときに、赤色又は赤褐色のポリマーを生じる。他の実施形態では、インジケータが、チモールブルー及び関連する染料又は食用色素及び関連するアゾ染料の色の変化の結果であってもよく、それらのすべてはそれらのスルホン酸形態で、すなわち、酸基がアンモニア、アミン型VOC、及び/又はアルデヒド及びアンモニア又はアミンの誘導体によって中和された場合に使用される。
【0038】
与えられる任意の範囲の値は極値において最適ではなく、これらの極値への本発明の適応を必要とし、そのような適応は当業者の手の届く範囲内であることが理解されるであろう。
【0039】
本発明の他の特徴は、以下の実施形態の詳細な説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
上記及び他の利点及び特徴は、添付の図面を参照した実施形態の以下の詳細な説明からより完全に理解され、例示的かつ非限定的な方法で解釈される。
【
図1A-1C】
図1A~
図1Cは、本発明の一実施形態による、室内空気からアルデヒド型VOCを除去するためのエアフィルタの一例を図で示す。
【
図2】
図2は、フィルタによって吸収又は捕捉されたホルムアルデヒド(HCHO又はCH
2O、メタナール)の分量/量(Y軸)を、前記フィルタを通過したHCHOの累積量(X軸)に対して比較する第1のグラフを示す
【
図3】
図3は経過した時間(X軸)に対して第1のサイクル(Y軸)の間にフィルタによって吸収されたHCHOの量を示す第2のグラフを示し、このグラフでは、
図2に示すグラフと同等の、5ppm~4.41ppmのHCHO濃度を有する汚染空気の流れが導入される。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1A、
図1B、
図1Cを参照すると、その中に空気浄化又は空気除染装置のための提案されたエアフィルタ1の実施形態が示されている。本実施形態によれば、エアフィルタ1は、ハニカム構成で配置された複数のケーシング10を備えている。提案されたエアフィルタ1の各ケーシング10は、この特定の場合ではペレットの形態の、複数の圧縮ブロック要素11の容器として作用するが、図示されていないが、他の実施形態では圧縮ブロック要素11は顆粒の形態であり得る。室内空気からVOC、特にアルデヒド型VOC(すなわち、アルデヒド型のVOC)、及び特定の実施形態ではアミン型VOC、アンモニア、並びにアルデヒド型VOCとの反応から生じるイミン及びアミナールを除去するために、様々なサイズの顆粒又はペレットを使用することができるが、本発明の好ましい実施形態では顆粒の直径は約1mmであり、ペレットの直径は約3mmである。
図1A-1Cにも見られるように、エアフィルタ1はまた、2つのウェブ12,13によって画定される2つの空気透過性の対向する壁を含む。
【0042】
圧縮ブロック要素11は、1種又は複数種の天然粉末ポリフェノールと触媒又は触媒剤との混合物によって形成される。
【0043】
好ましい又は特定の実施形態では、圧縮ブロック要素11が1種又は複数種の天然粉末ポリフェノールとスルホン酸の室温での加圧圧縮プロセスを実施することによって、顆粒として調製される。別の好ましい又は特定の実施形態では、圧縮ブロック要素11がペレットの形態で調製される。この場合、相補的に、セルロース、セルロース誘導体及び/又はポビドン又はとりわけポリ(1-ビニルピロリジン-2-オン)等の1つ又は複数のバインダ又はバインダ剤も添加して、室温での押出プロセスによって対応するペレット11を調製する。
【0044】
他の実施形態では、あまり好ましくないが、ペレットは上に挙げたバインダ剤を添加することなく調製することができることに留意されたい。同様に、他の実施形態では、顆粒が1種又は複数種の天然粉末ポリフェノールと触媒剤との混合物に1つ又は複数のバインダ又はバインダ剤を添加することによって調製することができる。
【0045】
本明細書で考察される、
図2及び
図3に示されるグラフは、ある所定の条件下で実施された実験室実験で得られた結果を示し、通常0.75ppm~1.0ppmの間(約0.1ppmのホルムアルデヒドの濃度もまた知覚されることができ、ヒトに影響を及ぼし得る(例えば、臭気及び/又は刺激)ことを考慮に入れる)、及びはるかに小さいスケールに設定される、長期間の間、ヒトに対して推奨される許容曝露限界をはるかに超える約5ppmまでのホルムアルデヒドの濃度への曝露の増加である。これらのグラフは、第1サイクル中のHCHOの吸収のみを示す。
【0046】
HCHOを吸収する能力に関してエアフィルタの有効性を試験するために使用した条件は、レスベラトロール(2.5g)、レゾルシノール(2.5g)、活性成分としてのTsOH・H2O(1.0g)、及びバインダ又はバインダ剤としてのセルロース(1.5g)及びポビドン(0.5g)から室温で調製したペレットを充填した直径2.5cmのカラム中で、高さ又は厚さ4.0cmで行った。
【0047】
汚染された空気を、約2.0L/分の空気流量及び0.42m/秒の速度でこれらのペレットに通した。カラムを通って流れる汚染空気は、4.360ppmのホルムアルデヒド濃度を有していた。
【0048】
グラフに示されるように、これらの条件について、カラム内部のフィルタによって吸収又は捕捉されるHCHOの量は、最初の100~150分の間に最も効果的であり、フィルタは、フィルタを通って流れる空気の流れ中に存在するHCHOの約100%を吸収する(既に最初のサイクルの間に)。いったんこの最大パーセンテージに達すると、吸収又は捕捉されたHCHOの量に関してこれらのグラフに示された勾配の傾向は徐々に小さくなり、フィルタをシミュレートするカラム内部のペレットが飽和しつつあり、したがってHCHOをあまり効果的に吸収しないことを示す。加えて、フィルタがその高効率の一部を減少させるように見えるとき、一定期間の休憩期間の後、フィルタがしばらくその潜在能力を回復させることも観察することができる。
【0049】
好ましい実施形態では、エアフィルタのケーシングが次の寸法(cm)を有する:長さ40×幅20×高さ4。しかしながら、これらの寸法は非限定的であり、エアフィルタが、あらゆる種類の空気浄化又は空気除染装置に適切に挿入され得るよう、それに応じて変化させても良い。
【0050】
一般に、混合物を形成する異なる成分(すなわち、ポリフェノール及び触媒剤)は、それぞれ1.0-2.0及び0.1-1.0のw/w比で使用することができる。特定の実施形態において、ポリフェノール及び触媒剤は、1.0-0.2w/w比で使用される。
【0051】
種々の試験により、提案されたエアフィルタは、アミン及び/又はNH3(尿臭)によって引き起こされる悪臭の除去にも非常に効果的であり得ることが証明された。この目的のために、1つのポリフェノールの損失(又は、不利益/detriment)に対し使用されるスルホン酸の割合を増加させることが好ましいことも注目されている。従って、以下の割合:40%のレスベラトロール、50%のレゾルシノール及び10%のスルホン酸の、以前に言及した顆粒(バインダ剤を含まない)の典型的な組成を考慮すると、限定されない単なる一例として、アルデヒド型VOCを濾過し、同時に上述の悪臭を除去するのに非常に有効なエアフィルタを提供する、レゾルシノールが30%に制限され、レスベラトロールが40%に維持される場合には、スルホン酸を30%まで増加させることができる。
【0052】
バインダ剤を含有するペレットについては、アミン及び関連する窒素化化合物の除去にとって、1つのポリフェノールの損失に対し使用されるスルホン酸の割合を増加させることが好ましいことも注目されている。従って、35%のレゾルシノール、35%のレスベラトロール、15%のp-トルエンスルホン酸及び15%のバインダを含む典型的な組成物を考慮すると、限定されない単なる例として、レゾルシノールのパーセンテージ又はレスベラトロールのパーセンテージを20%に減少させ、スルホン酸を30%に増加させて、アルデヒド型VOCを除去し、同時に関連する悪臭を除去するのに非常に有効なエアフィルタを提供することができる。
【0053】
様々な例示的な実施形態が上記で説明されているが、特許請求の範囲によって説明される本発明の範囲から逸脱することなく、様々な実施形態に対していくつかの変更のいずれかを行うことができる。例えば、様々な説明された方法ステップが実行される順序は代替の実施形態においてしばしば変更されてもよく、他の代替の実施形態において、1つ又は複数の方法ステップは完全にスキップされてもよい。フィルタ実施形態の任意選択の特徴は、いくつかの実施形態に含まれてもよく、他の実施形態に含まれなくてもよい。したがって、前述の説明は、主に例示目的のために提供され、特許請求の範囲に記載されている本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【手続補正書】
【提出日】2022-08-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内空気からアルデヒド型揮発性有機化合物(VOC)を除去するためのフィルタであって、前記フィルタ(1)は容器として作用する少なくとも1つのケーシング(10)を含み、前記容器(10)はある体積の前記室内空気が流れる2つの空気透過性の対向する壁(12、13)を含み、前記ケーシングは1つ又は複数の天然ポリフェノール及び触媒剤を収容し、前記フィルタは吸着フィルタとして作用し、前記室内空気のアルデヒド型VOCと不可逆的に反応し、
前記1つ又は複数の天然ポリフェノールは粉末ポリフェノールであり、レスベラトロール(3,4’,5-トリヒドロキシスチルベン)、レゾルシノール(1,3-ベンゼンジオール)、ピロガロール(1,2,3-ベンゼントリオール)、フロログルシノール(1,3,5-ベンゼントリオール)及びヒドロキノン(1,4-ベンゼンジオール)又はこれらの組み合わせを含む群から選択され、
前記触媒剤は固体スルホン酸であり、
前記1つ又は複数の天然ポリフェノールと前記触媒剤との混合物が、圧縮ブロック要素(11)として前記容器内に存在する
ことを特徴とする、フィルタ。
【請求項2】
前記圧縮ブロック要素(11)は、顆粒の形態又はペレットの形態である、請求項1に記載のフィルタ。
【請求項3】
前記顆粒は0.8mm~1.2mm、好ましくは1mmの直径を有し、前記ペレットは、2.5mm~3.5mm、好ましくは3mmの直径を有する、請求項2に記載のフィルタ。
【請求項4】
前記圧縮ブロック要素(11)は、前記1つ又は複数の天然ポリフェノール及び前記触媒剤の室温での加圧圧縮プロセスによって得られる、請求項1~3のいずれか1項に記載のフィルタ。
【請求項5】
前記圧縮ブロック要素(11)が、セルロース、その誘導体、又は、ポビドン又はPVPとも称されるポリ(1-ビニルピロリジン-2-オン)の中から選択される少なくとも1つのバインダ又はバインダ剤を添加した、前記1つ又は複数の天然ポリフェノール及び前記触媒剤の室温での加圧圧縮プロセスによって得られる、請求項1~3のいずれか1項に記載のフィルタ。
【請求項6】
前記触媒剤として使用される前記固体スルホン酸が、
-p-トルエンスルホン酸(TsOH・H
2O又はTsOH)又はベンゼンスルホン酸(BsOH)等の任意のアレーンスルホン酸(Ar-SO
3H)、
-10-カンファースルホン酸(CSA)等の任意のアルカンスルホン酸(R-SO
3H)、
-細粒化された粉末として添加された強酸イオン交換樹脂、又はスルホン酸ポリマー等の任意のスルホン酸樹脂、
-酸性のチモールブルー及び関連するトリフェニルメタンスルホン酸染料、
-(アルラレッド(E129)又はポンソー4R(E124)及び関連するアゾ誘導体等の)酸性の食品染料、若しくは
-それぞれ酸性の一般的な洗浄剤及び界面活性剤等の任意の長鎖アルキル硫酸水素塩(RO-SO
3H)又はアリール硫酸水素塩(ArO-SO
3H)
を含む群から選択される、請求項1に記載のフィルタ。
【請求項7】
前記ポリフェノール及びスルホン酸が、それぞれ1.0~2.0及び0.1~1.0w/w比で、より好ましくは1.0~0.2w/w比で使用される、請求項1に記載のフィルタ。
【請求項8】
前記圧縮ブロック要素(11)が前記1つ又は複数の天然ポリフェノール及び前記触媒剤の加圧圧縮プロセスによって得られる顆粒の形態であり、
-前記顆粒に使用されるポリフェノールは10%~75%のレスベラトロールと75%~10%のレゾルシノールの割合のレスベラトロールとレゾルシノールの混合物であって、固形スルホン酸TsOH・H
2O(p-トルエンスルホン酸)は約15%の割合で存在するか、又は、
-前記顆粒に使用されるポリフェノールは30%~40%のレスベラトロールと40%~30%のレゾルシノールの割合のレスベラトロールとレゾルシノールの混合物であって、固形スルホン酸TsOH・H
2Oは約30%の割合で存在する、
請求項1に記載のフィルタ。
【請求項9】
前記圧縮ブロック要素(11)が、セルロース、その誘導体、又は、ポビドン又はPVPとも称されるポリ(1-ビニルピロリジン-2-オン)の中から選択される少なくとも1つのバインダ又はバインダ剤が添加された前記1つ又は複数の天然ポリフェノールと前記触媒剤との室温での加圧圧縮法によって得られるペレットの形態であり、前記ペレットに使用されるポリフェノールが20%~35%の間のレスベラトロールと35%~20%の間のレゾルシノールの比率のレスベラトロールとレゾルシノールとの混合物であって、前記固形スルホン酸(TsOH・H
2O)が30%の比率で存在し、前記バインダ又はバインダ剤が15~20%の比率で存在する、請求項1に記載のフィルタ。
【請求項10】
ハニカム形状に配置された複数のケーシング(10)をさらに備え、前記2つの空気透過性の対向する壁(12,13)は、2つのウェブによって画定される、請求項1に記載のフィルタ。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載のフィルタを含む、空気浄化又は空気除染装置。
【請求項12】
室内空気からアルデヒド型揮発性有機化合物(VOC)を除去するための方法であって、汚染された室内空気の制御された空気流が容器として作用するケーシングを含むエアフィルタを通過し、前記容器はある体積の前記汚染された室内空気が流れる2つの空気透過性の対向する壁を含み、前記ケーシングは1つ又は複数の天然ポリフェノール及び触媒剤を収容し、前記アルデヒド型VOCは前記触媒剤の存在下で前記1つ又は複数の天然ポリフェノールと反応し、ポリマーポリフェノール-アルデヒド樹脂を生成し、これは、前記フィルタ内に保持され、
前記1つ又は複数の天然ポリフェノールは粉末状であり、レスベラトロール(3,4’,5-トリヒドロキシスチルベン)、レゾルシノール(1,3-ベンゼンジオール)、ピロガロール(1,2,3-ベンゼントリオール)、フロログルシノール(1,3,5-ベンゼントリオール)及びヒドロキノン(1,4-ベンゼンジオール)又はこれらの組み合わせを含む群から選択され、
前記触媒剤が固体スルホン酸であり、
前記1つ又は複数の天然ポリフェノールと前記触媒剤との混合物が、圧縮ブロック要素として前記容器内に存在する、方法。
【請求項13】
前記VOCが、アミン型VOC及びアンモニアをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記アルデヒド型VOCが、ホルムアルデヒド(HCHO、メタナール)、アセトアルデヒド(エタナール)、グリオキサール(エタンジアール)、プロピオンアルデヒド(プロパナール)、アクロレイン(プロペナール)、プロパルギルアルデヒド(プロピナール)、メチルグリオキサール(2-オキソプロパナール)、グリオキシル酸及びそれらのアルキルエステル、ブチルアルデヒド(ブタナール)、イソブチルアルデヒド(2-メチルプロパナール)、メチルアクロレイン(2-メチルプロペナール)、クロトンアルデヒド(2-ブテナール)の両方の異性体、バレルアルデヒド(ペンタナール)及びイソバレルアルデヒド(3-メチルブタナール)を含む群から選択される、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記圧縮ブロック要素は顆粒の形態又はペレットの形態で提供され、前記顆粒は0.8mm~1.2mm、好ましくは1mmの直径を有し、前記ペレットは2.5mm~3.5mm、好ましくは3mmの直径を有する、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項16】
前記フィルタのインジケータが飽和レベルに達すると、前記エアフィルタが除去され、置換され、前記インジケータは、
-ホルムアルデヒド及び関連するVOCと前記フィルタに使用される前記ポリフェノール又はポリフェノール混合物との反応が完了した場合のホルムアルデヒド及び関連するVOCと前記フィルタに含まれる前記ポリフェノール又はポリフェノール混合物とのスルホン酸触媒反応、又は
-酸基がアミン型VOC、アンモニア又はアルデヒドアミン誘導体によって中和されたときの、スルホン酸の形態で使用される、チモールブルー及び関連する染料又は食用色素及び関連するアゾ染料の色の変化
の結果として動作する、請求項13に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0053
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0053】
様々な例示的な実施形態が上記で説明されているが、特許請求の範囲によって説明される本発明の範囲から逸脱することなく、様々な実施形態に対していくつかの変更のいずれかを行うことができる。例えば、様々な説明された方法ステップが実行される順序は代替の実施形態においてしばしば変更されてもよく、他の代替の実施形態において、1つ又は複数の方法ステップは完全にスキップされてもよい。フィルタ実施形態の任意選択の特徴は、いくつかの実施形態に含まれてもよく、他の実施形態に含まれなくてもよい。したがって、前述の説明は、主に例示目的のために提供され、特許請求の範囲に記載されている本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
下記は、本願の出願当初に記載の発明である。
<請求項1>
室内空気からアルデヒド型揮発性有機化合物(VOC)を除去するためのフィルタであって、前記フィルタ(1)は容器として作用する少なくとも1つのケーシング(10)を含み、前記容器(10)はある体積の前記室内空気が流れる2つの空気透過性の対向する壁(12、13)を含み、前記ケーシングは1つ又は複数の天然ポリフェノール及び触媒剤を収容し、前記フィルタは吸着フィルタとして作用し、前記室内空気のアルデヒド型VOCと不可逆的に反応し、
前記1つ又は複数の天然ポリフェノールは粉末ポリフェノールであり、レスベラトロール(3,4’,5-トリヒドロキシスチルベン)、レゾルシノール(1,3-ベンゼンジオール)、ピロガロール(1,2,3-ベンゼントリオール)、フロログルシノール(1,3,5-ベンゼントリオール)及びヒドロキノン(1,4-ベンゼンジオール)又はこれらの組み合わせを含む群から選択され、
前記触媒剤は固体スルホン酸であり、
前記1つ又は複数の天然ポリフェノールと前記触媒剤との混合物が、圧縮ブロック要素(11)として前記容器内に存在する
ことを特徴とする、フィルタ。
<請求項2>
前記圧縮ブロック要素(11)は、顆粒の形態又はペレットの形態である、請求項1に記載のフィルタ。
<請求項3>
前記顆粒は0.8mm~1.2mm、好ましくは1mmの直径を有し、前記ペレットは、2.5mm~3.5mm、好ましくは3mmの直径を有する、請求項2に記載のフィルタ。
<請求項4>
前記圧縮ブロック要素(11)は、前記1つ又は複数の天然ポリフェノール及び前記触媒剤の室温での加圧圧縮プロセスによって得られる、請求項1~3のいずれか1項に記載のフィルタ。
<請求項5>
前記圧縮ブロック要素(11)が、セルロース、その誘導体、又は、ポビドン又はPVPとも称されるポリ(1-ビニルピロリジン-2-オン)の中から選択される少なくとも1つのバインダ又はバインダ剤を添加した、前記1つ又は複数の天然ポリフェノール及び前記触媒剤の室温での加圧圧縮プロセスによって得られる、請求項1~3のいずれか1項に記載のフィルタ。
<請求項6>
前記触媒剤として使用される前記固体スルホン酸が、
-p-トルエンスルホン酸(TsOH・H2O又はTsOH)又はベンゼンスルホン酸(BsOH)等の任意のアレーンスルホン酸(Ar-SO3H)、
-10-カンファースルホン酸(CSA)等の任意のアルカンスルホン酸(R-SO3H)、
-細粒化された粉末として添加された強酸イオン交換樹脂、又はスルホン酸ポリマー等の任意のスルホン酸樹脂、
-酸性のチモールブルー及び関連するトリフェニルメタンスルホン酸染料、
-(アルラレッド(E129)又はポンソー4R(E124)及び関連するアゾ誘導体等の)酸性の食品染料、若しくは
-それぞれ酸性の一般的な洗浄剤及び界面活性剤等の任意の長鎖アルキル硫酸水素塩(RO-SO3H)又はアリール硫酸水素塩(ArO-SO3H)
を含む群から選択される、請求項1~5のいずれか1項に記載のフィルタ。
<請求項7>
前記ポリフェノール及びスルホン酸が、それぞれ1.0~2.0及び0.1~1.0w/w比で、より好ましくは1.0~0.2w/w比で使用される、請求項1~6のいずれか1項に記載のフィルタ。
<請求項8>
前記圧縮ブロック要素(11)が前記1つ又は複数の天然ポリフェノール及び前記触媒剤の加圧圧縮プロセスによって得られる顆粒の形態であり、
-前記顆粒に使用されるポリフェノールは10%~75%のレスベラトロールと75%~10%のレゾルシノールの割合のレスベラトロールとレゾルシノールの混合物であって、固形スルホン酸TsOH・H2O(p-トルエンスルホン酸)は約15%の割合で存在するか、又は、
-前記顆粒に使用されるポリフェノールは30%~40%のレスベラトロールと40%~30%のレゾルシノールの割合のレスベラトロールとレゾルシノールの混合物であって、固形スルホン酸TsOH・H2Oは約30%の割合で存在する、
請求項1に記載のフィルタ。
<請求項9>
前記圧縮ブロック要素(11)が、セルロース、その誘導体、又は、ポビドン又はPVPとも称されるポリ(1-ビニルピロリジン-2-オン)の中から選択される少なくとも1つのバインダ又はバインダ剤が添加された前記1つ又は複数の天然ポリフェノールと前記触媒剤との室温での加圧圧縮法によって得られるペレットの形態であり、前記ペレットに使用されるポリフェノールが20%~35%の間のレスベラトロールと35%~20%の間のレゾルシノールの比率のレスベラトロールとレゾルシノールとの混合物であって、前記固形スルホン酸(TsOH・H2O)が30%の比率で存在し、前記バインダ又はバインダ剤が15~20%の比率で存在する、請求項1に記載のフィルタ。
<請求項10>
ハニカム形状に配置された複数のケーシング(10)をさらに備え、前記2つの空気透過性の対向する壁(12,13)は、2つのウェブによって画定される、請求項1~9のいずれか1項に記載のフィルタ。
<請求項11>
請求項1~10のいずれか1項に記載のフィルタを含む、空気浄化又は空気除染装置。
<請求項12>
室内空気からアルデヒド型揮発性有機化合物(VOC)を除去するための方法であって、汚染された室内空気の制御された空気流が容器として作用するケーシングを含むエアフィルタを通過し、前記容器はある体積の前記汚染された室内空気が流れる2つの空気透過性の対向する壁を含み、前記ケーシングは1つ又は複数の天然ポリフェノール及び触媒剤を収容し、前記アルデヒド型VOCは前記触媒剤の存在下で前記1つ又は複数の天然ポリフェノールと反応し、ポリマーポリフェノール-アルデヒド樹脂を生成し、これは、前記フィルタ内に保持され、
前記1つ又は複数の天然ポリフェノールは粉末状であり、レスベラトロール(3,4’,5-トリヒドロキシスチルベン)、レゾルシノール(1,3-ベンゼンジオール)、ピロガロール(1,2,3-ベンゼントリオール)、フロログルシノール(1,3,5-ベンゼントリオール)及びヒドロキノン(1,4-ベンゼンジオール)又はこれらの組み合わせを含む群から選択され、
前記触媒剤が固体スルホン酸であり、
前記1つ又は複数の天然ポリフェノールと前記触媒剤との混合物が、圧縮ブロック要素として前記容器内に存在する、方法。
<請求項13>
前記VOCが、アミン型VOC及びアンモニアをさらに含む、請求項12に記載の方法。
<請求項14>
前記アルデヒド型VOCが、ホルムアルデヒド(HCHO、メタナール)、アセトアルデヒド(エタナール)、グリオキサール(エタンジアール)、プロピオンアルデヒド(プロパナール)、アクロレイン(プロペナール)、プロパルギルアルデヒド(プロピナール)、メチルグリオキサール(2-オキソプロパナール)、グリオキシル酸及びそれらのアルキルエステル、ブチルアルデヒド(ブタナール)、イソブチルアルデヒド(2-メチルプロパナール)、メチルアクロレイン(2-メチルプロペナール)、クロトンアルデヒド(2-ブテナール)の両方の異性体、バレルアルデヒド(ペンタナール)及びイソバレルアルデヒド(3-メチルブタナール)を含む群から選択される、請求項12又は13に記載の方法。
<請求項15>
前記圧縮ブロック要素は顆粒の形態又はペレットの形態で提供され、前記顆粒は0.8mm~1.2mm、好ましくは1mmの直径を有し、前記ペレットは2.5mm~3.5mm、好ましくは3mmの直径を有する、請求項12~14のいずれか1項に記載の方法。
<請求項16>
前記フィルタのインジケータが飽和レベルに達すると、前記エアフィルタが除去され、置換され、前記インジケータは、
-ホルムアルデヒド及び関連するVOCと前記フィルタに使用される前記ポリフェノール又はポリフェノール混合物との反応が完了した場合のホルムアルデヒド及び関連するVOCと前記フィルタに含まれる前記ポリフェノール又はポリフェノール混合物とのスルホン酸触媒反応、又は
-酸基がアミン型VOC、アンモニア又はアルデヒドアミン誘導体によって中和されたときの、スルホン酸の形態で使用される、チモールブルー及び関連する染料又は食用色素及び関連するアゾ染料の色の変化
の結果として動作する、請求項13に記載の方法。
【国際調査報告】