(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-21
(54)【発明の名称】流体管理システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/3205 20060101AFI20230614BHJP
A61B 17/42 20060101ALI20230614BHJP
A61B 17/94 20060101ALI20230614BHJP
【FI】
A61B17/3205
A61B17/42
A61B17/94
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022566732
(86)(22)【出願日】2021-05-19
(85)【翻訳文提出日】2022-11-01
(86)【国際出願番号】 US2021070583
(87)【国際公開番号】W WO2021237242
(87)【国際公開日】2021-11-25
(32)【優先日】2020-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521000895
【氏名又は名称】メディトリーナ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】トルカイ,チャバ
(72)【発明者】
【氏名】トルカイ,タマス ジェイ.
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160FF23
(57)【要約】
子宮鏡下手術または類似の処置において流体流を流すための少なくとも1つの蠕動ポンプを搭載した単回使用装置。内視鏡処置において組織を切除するために使用するモーター駆動のカッターと一体型の蠕動ポンプとを備えた単回使用のハンドヘルド装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モーター駆動部を搭載するハンドルと、
同ハンドルに結合された長尺状をなすスリーブアセンブリーであって、組織を受承するための遠位側開口部を有する外側スリーブ、およびその遠位端の窓部で受承する組織を切除するように構成された可動内側スリーブを有する、長尺状をなすスリーブアセンブリーと、
前記ハンドルに搭載される蠕動ポンプと、前記ハンドルに搭載される組織トラップと、
を備え、
前記モーター駆動部が、組織を切除するために前記内側スリーブを動かすように構成され、また、前記内側スリーブ内の通路を通して流体および切除した組織を前記組織トラップ内に吸引するために前記通路に負圧を加えるように構成されている、組織切除装置。
【請求項2】
前記モーター駆動部は、前記内側スリーブを回転可能に移動させる、請求項1に記載の組織切除装置。
【請求項3】
前記モーター駆動部は、前記内側スリーブを軸線方向に移動させる、請求項1に記載の組織切除装置。
【請求項4】
前記モーター駆動部は、前記内側スリーブを軸線方向および回転方向に移動させる、請求項1に記載の組織切除装置。
【請求項5】
前記組織トラップは、前記モーター駆動部に対して近位側に配置される、請求項1に記載の組織切除装置。
【請求項6】
前記蠕動ポンプが、前記モーター駆動部に対して遠位側に配置される、請求項1に記載の組織切除装置。
【請求項7】
前記蠕動ポンプは、前記モーター駆動部のシャフトの回転軸線と一致する回転軸線を有する、請求項1に記載の組織切除装置。
【請求項8】
前記組織トラップが前記ハンドルから取り外し可能である、請求項1に記載の組織切除装置。
【請求項9】
前記組織トラップが透明な材料を含む、請求項1に記載の組織切除装置。
【請求項10】
前記モーター駆動部が、複数の選択された速度で作動し、それによって、対応する複数の選択されたレベルの負圧を加えるように構成されている、請求項1に記載の組織切除装置。
【請求項11】
前記モーター駆動部は、100rpm乃至5,000rpmの選択された速度で前記内側スリーブを回転させるように構成されている、請求項1に記載の組織切除装置。
【請求項12】
前記モーター駆動部が、10ml/分乃至1,000ml/分の流出速度を引き起こす負圧を加えるように構成されている、請求項1に記載の組織切除装置。
【請求項13】
前記モーター駆動部が一方向に回転している状態で前記内側スリーブを揺動回転させるギア機構をさらに備える、請求項1に記載の組織切除装置。
【請求項14】
流体源から前記スリーブアセンブリー内のチャネルを通ってその遠位端に流体を流入させるように構成された、前記ハンドルに搭載される第2の蠕動ポンプをさらに備える、請求項1に記載の組織切除装置。
【請求項15】
ハウジングと、
同ハウジングに搭載され、処置部位に流体を流入させるように構成された第1の蠕動ポンプであって、同第1の蠕動ポンプは流体源から延びる可撓性を備えたチューブに係合する、第1の蠕動ポンプと、
前記処置部位から流体を流出させるように構成された、前記ハウジングに搭載される第2の蠕動ポンプであって、同第2の蠕動ポンプは、組織捕捉部まで延びる可撓性を備えたチューブに係合する、第2の蠕動ポンプと、
前記第1の蠕動ポンプおよび前記第2の蠕動ポンプを操作するために前記ハウジングに搭載される少なくとも1つのモーターと、
を備える、単回使用の流体管理システム。
【請求項16】
前記少なくとも1つのモーターが、10ml/分乃至1,000ml/分の流入速度および流出速度を提供するように構成されている、請求項15に記載の単回使用の流体管理システム。
【請求項17】
前記流体の流入の流体圧力を測定するように構成された圧力センサーをさらに備える、請求項15に記載の単回使用の流体管理システム。
【請求項18】
前記圧力センサーからの信号に応答して作業空間内の設定圧力を維持するように構成された制御部をさらに備える、請求項17に記載の単回使用の流体管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、子宮鏡下手術または同様の処置において流体流を流すための少なくとも1つの蠕動ポンプを搭載する単回使用の装置に関し、一態様において、内視鏡処置において組織の切除に使用されるモーター駆動のカッターおよび一体型の蠕動ポンプを備えた単回使用のハンドヘルド装置を含む。
【背景技術】
【0002】
本開示は、組織切除装置およびその使用方法を含む。例えば、一態様による組織切除装置は、モーター駆動部を搭載したハンドルを備えることができる。組織切除装置は、ハンドルに結合された長尺状をなすスリーブアセンブリーをさらに備えることができる。長尺状をなすスリーブは、組織を受承するための遠位側開口部を有する外側スリーブを有することができる。長尺状をなすスリーブは、内側スリーブの遠位端にある窓部で受承した組織を切除するように構成された可動式内側スリーブをさらに有することができる。組織切除装置は、ハンドルに搭載される蠕動ポンプおよび組織トラップをさらに備えることができる。
【0003】
モーター駆動部は、内側スリーブを移動させるとともに組織を切除するように構成することができる。また、モーター駆動部は、内側スリーブの通路に負圧を加え、これにより、通路を通して組織トラップ内に流体および切除した組織を吸引するように構成することができる。モーター駆動部は、内側スリーブを軸線方向、回転方向、またはその両者に移動させることができる。組織トラップは、モーター駆動部に対して近位側または遠位側に位置させることができる。蠕動ポンプは、回転軸線をモーター駆動部のシャフトの回転軸線と一致させることができる。組織トラップはハンドルから取り外すことができる。組織トラップは、透明な材料を含むことができる。
【0004】
モーター駆動部は、複数の選択された速度で作動し、それによって対応する複数の選択されたレベルの負圧を加えるようにさらに構成することができる。モーター駆動部は、内側スリーブを100rpm乃至5,000rpmの間で選択された速度で回転させるように構成することができる。モーター駆動部は、10ml/分乃至1,000ml/分の流出速度を生じさせる負圧を加えるように構成することも可能である。
【0005】
組織切除装置は、ギア機構をさらに備えることができる。ギア機構は、モーター駆動部が一方向に回転することで、内側スリーブの揺動回転を行うことができる。組織切除装置は、ハンドルに搭載される第2の蠕動ポンプをさらに備えることができる。第2の蠕動ポンプは、流体源からスリーブアセンブリー内のチャネルを介してその遠位端に流体を流入させるように構成することができる。
【0006】
本開示は、流体管理システムをさらに含む。例えば、一態様によるこのような流体管理は、ハウジングと、第1の蠕動ポンプと、第2の蠕動ポンプと、少なくとも1つのモーターとを備えることができる。第1の蠕動ポンプは、ハウジングに搭載することができ、処置部位に流体を流入させるように構成することができる。第1の蠕動運動は、流体源から延びる可撓性チューブに係合することができる。第2の蠕動ポンプは、ハウジングに搭載可能であり、処置部位からの流体を流出させるように構成することができる。第2の蠕動ポンプは、組織捕捉部まで延びる可撓性を備えたチューブに係合することができる。少なくとも1つのモーターは、ハウジングに搭載することができ、第1および第2の蠕動ポンプを作動させることができる。
【0007】
少なくとも1つのモーターは、10ml/分乃至1,000ml/分の流入速度および流出速度を生じさせるように構成することができる。単回使用の流体管理システムは、流体流入における流体圧力を測定するように構成された圧力センサーをさらに備えることができる。単回使用の流体管理システムは、圧力センサーからの信号に応答して作業空間内の設定圧力を維持するように構成された制御部をさらに備えることができる。
本明細書に記載された説明は、本明細書に記載された発明の実施例である。特定の実施形態、特定の態様、または特定の実施形態自体の組み合わせは、本開示の範囲内であることが企図される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、長尺状をなすシャフトアセンブリーの遠位側作業端で管状カッターを回転させるように構成されたモーター駆動部を搭載するハンドルを含む単回使用の組織切除装置を示す斜視図であり、モーター駆動部は、治療部位から流体および切除された組織を吸引するように構成された、ハンドル内の蠕動ポンプを同時に作動させるように構成されている。
【
図2】
図2は、長尺状をなすシャフトアセンブリーの作業端の拡大図とともに、蠕動ポンプ、モーター駆動部、および組織捕捉部を示すためにハンドルを部分的に分解した
図1および
図2の装置を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1のハンドルの内部の構成要素を示す分解斜視図であり、蠕動ポンプ、モーター駆動部、および組織捕捉部を示している。
【
図4】
図4は、
図1乃至3のものと同様の別例による装置を示す分解図であり、ハンドルの内部の構成要素は、流入蠕動ポンプ、流出蠕動ポンプ、モーター駆動部、組織捕捉部、およびモーターシャフトの一方向の回転をシャフトアセンブリーの作業端における管状切断部材の振動回転運動に変換するように構成されたギアアセンブリーを含んでいる。
【
図5】
図5は、
図2の作業端と同様の
図4の装置の作業端を示す拡大斜視図であり、流入蠕動ポンプと連通する流体流入チャネルを示し、さらに、流出蠕動ポンプと連通する組織抽出チャネルを示す図である。
【
図6】
図6は、ハウジングが流入蠕動ポンプ、流出蠕動ポンプ、モーター駆動部、および組織捕捉部を担持する、単回使用の流体管理システムを示す分解図である。
【
図7】
図7は、
図6の単回使用の流体管理システムを示す概略図である。
【
図8】
図8は、ロールスタンド上に取り付けられたシステム構成要素を示す、
図6および
図7の単回使用の流体管理システムを示す別の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の追加の態様は、例示的な実施形態の以下の説明および添付の図面から明らかになるであろう。
【0010】
図1乃至3は、ポリープ、子宮筋腫、または他の異常な子宮組織を切除するための子宮鏡手術において、通常単回使用に設計されたモーター駆動の切除装置100を示す。当該技術分野で周知のように、モーター駆動部を備えた再使用可能なハンドルの滅菌は複雑かつ高価である。滅菌にかかるコストおよび装置の不適切な滅菌による感染症のリスクを考えると、滅菌可能な装置を使用する場合と比較して、単回使用の装置は病院や医院にとって安価であると言える。
【0011】
図1および
図2を参照すると、ハンドルまたはハンドピース104は、モーター駆動部105を含み、長手方向軸線112を中心に延びる長尺状をなすシャフトまたはスリーブアセンブリー110に結合される。シャフトアセンブリー110は、回転可能なハブ114から作業端115まで遠位方向に延びている。一態様において、長尺状をなすシャフトアセンブリー110は、遠位側窓部122を有する外側スリーブ120と、その中に窓部128を有する、モーター駆動の回転する内側スリーブ125とを備える(
図2および
図5を参照のこと)。モーター駆動部105は、電源135に結合され、以下にさらに説明するように内側スリーブ125を回転させるように構成されている。(
図2および
図3を参照のこと)。このようなタイプの管状カッターは、回転する内側スリーブ125が、内側スリーブ窓部128が高速で回転または振動する際に外側スリーブ120内の窓部122との界面となる組織を切断する、当該技術分野において周知のものである。窓部122および窓部128のいずれか一方または両者に切削歯を構成してもよく、
図2には、外側窓部122上の歯136および内側窓部128上の歯138が図示されている。
【0012】
図1および
図2から理解され得るように、シャフトアセンブリー110の回転ハブ114は、医師が、ハンドル104を直立または安定した位置に維持しながら、組織を切断するための任意の回転方向へシャフトアセンブリー110および作業端115をハンドル104に対して回転させ得るようにハンドル104に結合される。ハンドル104は、モーター駆動部105を作動させるための作動ボタン(図示しない)を含むことができ、あるいはフットスイッチを使用することができる。
【0013】
図1および
図2を参照すると、一態様において、組織切除装置100は、2mm乃至6mmの直径を有するシャフトアセンブリー110を備え、よりしばしば、直径は3mm乃至5mmである。シャフトアセンブリー110は、内視鏡視認システムまたは他の導入具の作業チャネルと協働するような直径および長さを有する。
【0014】
従来技術で周知のように、典型的な子宮鏡下切除術では、内視鏡で観察できるように患者の子宮腔を拡張するために流体管理システムが使用される。
図1および
図2に示す一態様では、切除装置100は、ハンドル104の内部に担持された蠕動ポンプ140を含み、これにより流体管理システムの構成要素を構成している。より詳細には、蠕動ポンプ140は、処置部位から流体を流出させるように構成されており、流体の流入は、吊り下げられた生理食塩水バッグからの重力流などの単純な流体流入機構によって行われ得る。
【0015】
図2は、モーター駆動部105および蠕動ポンプ140を示すために外殻142の第1の側部を取り除いた
図1のハンドル104を示す。一態様では、ハンドル104は、その使い捨てを可能にする安価なDC電気モーター駆動部105を搭載する。
図3の分解図から視認されるように、モーター駆動部105は、駆動シャフト144を有し、これは、駆動シャフト144の軸線112と整列した、ローラー148を有する蠕動ポンプ140の中央シャフト145に接続する。蠕動ポンプ140は、局部透視図で示される可撓性を備えたチューブ150と係合するように構成された3つまたは4つのローラーを有する従来の設計のものである。可撓性チューブ150は、回転可能なハブ114のハウジング部分155内の継手154に結合する遠位端152を有する。可撓性チューブ150は、ハンドル104に空間を設けて配置することもできるし、ハンドルの下面に設けられた保持クリップで固定することも可能である。チューブ150の内部ルーメンは、回転内側スリーブ125(
図3)の近位端162の流体ポート160に開口しているハウジング155内のチャンバー158と連通している。
図3において、さらに、内側スリーブ125の近位端162が蠕動ポンプ140の中央シャフト145に固定されていることが視認される。したがって、
図2および
図3の態様では、モーター駆動部105は、内側スリーブ125および蠕動ポンプ140を同じ回転数で回転させるように構成されており、この回転数は100RPM乃至5,000RPMとすることができる。一態様では、モーター駆動部105は、10ml/分乃至1,000ml/分の流出速度を生じさせるように負圧を加える。
【0016】
再び
図2および
図3を参照すると、ハンドル104は、当技術分野で周知のタイプの組織トラップ170をさらに担持し、ここで、流体流出および組織片が蠕動ポンプ140によって組織トラップ170内に担持され、組織トラップが、切除された組織片をフィルターに捕捉するフィルターを有し、これにより、組織片を生検目的のために収集可能である。一態様では、組織トラップ170は、組織片を視認することができるように、透明な材料で形成されている。
図3において、流体の流出方向は、チューブ150の矢印で示されている。チューブの近位端172は、組織トラップ170内の継手174に接続されている。別の長さのチューブ175は、組織トラップ170の近位側継手176に結合し、これは、遠隔回収リザーバー180(
図1および
図2)に延びる。
【0017】
図4は、別例による切除装置200を示す分解斜視図であり、
図5は、
図4の装置200の作業端205を示す拡大図である。本態様では、シャフトアセンブリー210は、組織を切除するためのモーター駆動の内側スリーブ225および窓部228を備えるとともに外側スリーブ220および窓部222を備えた状態を保持する。
【0018】
図4および
図5の切除装置200が先の実施形態と異なる点は、ハンドル236内に、一方向の回転ではなく、内側スリーブ225を揺動回転させるためのギア機構235が担持されている点にある。さらに、ハンドル236は、上述したように、流体を流入させるための第1の蠕動ポンプ240Aおよび流体を流出させるための第2の蠕動ポンプ240Bを担持している。本発明の一態様では、装置200は、流入ポンプおよび流出ポンプの両者と組織捕捉部242とを備える流体管理システムのすべての構成要素を担持する。
図4の分解図において、第1の流入蠕動ポンプ240Aは、生理食塩水バッグなどの流体源245と流体連通している。ポンプ240Aは、流体源245に延びる可撓性チューブ250Aに係合する。流出蠕動ポンプ240Bは、上述したように作動する可撓性チューブ250Bと係合し、流出チューブ250Bの遠位端252は、内側スリーブ225(
図3参照)のポート260から流体および組織片を受承するハウジング255内のチャンバー(図示しない)と連通している。
【0019】
図4および
図5から理解できるように、流入チューブ250の遠位端262は、外側スリーブ220のボア内の環状空間および内側スリーブ225の外面の外側(
図5)からなるシャフトアセンブリー210の流入チャネル265内とさらに連通するハウジング255内の通路264に接続される。作業端205を示す
図5に目を向けると、流体の流入が矢印AAで示されており、流体が内側スリーブ225と外側スリーブ220との間の空間から出ることが分かる。モーター駆動部270は、10ml/分乃至1,000ml/分の流入速度および流出速度を生じさせるように構成することができる。モーター駆動部270は、ハンドル内のバッテリーまたは遠隔バッテリーもしくは電源であってよい電源275に作動的に結合される。システムの駆動は、ハンドルに設けられたスイッチ276やフットスイッチによって行うことができる。
【0020】
図4を参照すると、蠕動ポンプ240Aおよび240Bの両者は、それぞれ3つまたは4つのローラーが可撓性チューブ250Aおよび250Bに係合する従来の設計とすることができる。ポンプ240Aおよび240Bの両者は、モーター駆動部270のモーターシャフト266に接続することができる。
図4に視認されるように、ポンプ240Aおよび240Bは、同じ方向に回転することができるが、可撓性チューブ250Aおよび250Bは、チューブ内の反対方向に流体が流れるように、ポンプのローラー272aおよび272bの周囲に反対方向(すなわち、一方は時計回り、他方は反時計回り)に配置されることができる。他の変形例では、ハンドル232は、ポンプを各々反対方向に駆動するための単一のモーターと、ギア機構とを備えることができ、またはハンドルは、各ポンプのための個別のモーターを備えることができる。図面には蠕動ポンプ240Aおよび240Bが示されているが、ピストンポンプ、インペラーポンプ、ベーンポンプなど、他のタイプのポンプを使用できることが理解されよう。
【0021】
再び
図4を参照すると、ハンドル236の分解図は、モーター駆動シャフト266の一方向の回転を内側スリーブ225の振動回転に変換し、これにより、装置200の作業端205において内側スリーブの切断窓部228を振動移動させるギア機構235を示す(
図5を参照)。組織切除の分野において周知のように、管状カッターは、内側回転スリーブおよび内側切断窓部228が、例えば、ある回転方向に数回転した後に反対方向に同数の回転をして振動するときに最適に作動する。この振動により、切断部材を一方向に回転させる装置と比較して、切断性能を向上させることができる。ギア機構235は、2019年11月8日に出願された、発明の名称がENDOSCOPE AND METHOD OF USEである共通して所有する米国特許出願第16/678,647号明細書にさらに十分に記載されており、これはその全体が本明細書に開示されたものとする。ギア機構235は、任意の適切な回転速度、例えば、100RPM乃至5,000RPM以上で作動することができる。
【0022】
本発明の別の態様では、切除装置200の蠕動ポンプ240Aおよび240Bは、異なる流速を生じさせることができ、一方の流速(流入速度または流出速度)は、他方の流速の50%乃至100%とすることができる。このように変化した流入速度および流出速度は、流入チューブ250Aおよび流出チューブ250Bの内腔径を変化させることにより、任意の一定のポンプ回転速度で生じさせることが可能である。これに代えて、ギア機構を設けて、任意のモーター回転数に対して、異なる回転数でポンプを回転させることも可能である。
【0023】
別の任意の態様において、
図4のような装置200は、ポンプ240Aから遠位側の流入ライン250A内の圧力を測定するように配置された圧力センサー280を含むことができる。圧力センサー280は、圧力信号をプロセッサーまたは制御部285に送信するように構成することができ、その結果、ポンプを作動させるための制御アルゴリズムを含むことができる。別例では、装置200は、対応するポンプ240Aおよび240Bに結合された第1および第2のモーター駆動部(図示しない)を備えることができ、制御部285は、圧力センサー280による圧力測定値に基づいて処置部位における設定圧力を維持するためにポンプの作動を独立して制御することができる。
【0024】
図4は、2つの個別の蠕動ポンプ240Aおよび240Bを示しているが、長尺状をなすローラーを有する1つの蠕動ポンプが、流入および流出させるためにローラーを中心として回転方向を反対にして配置された流入および流出チューブを備えて構成されてもよいことが理解されるべきである。
【0025】
図4は、ポンプ240Aおよび240B、ギア機構235、モーター270、および組織捕捉部242が特定の長手方向配置で位置決めされるハンドル設計の一態様を示しているが、これらの構成要素は、ハンドル236内に任意の適切な方法で配置することができる。
【0026】
図6、
図7、および
図8は、診断処置に使用することができる、または切除処置において
図7に示す個別の切除装置302と組み合わせて使用することができる単回使用の流体管理システム300を構成する本発明の別例を概略的に示すものである。子宮鏡下診断では、流体の流入ラインおよび流出ラインの両者が内視鏡に接続されることになる。切除術の場合、流体の流入ラインは内視鏡に、流出ラインは切除装置に接続されることになる。
【0027】
図6において、流体管理システム300は、先に説明したシステムのポンプと同様である蠕動ポンプ部320Aおよび320Bを駆動するモーターシャフト306を有するモーター駆動部305を担持するハウジング304からなることが視認可能である。蠕動ポンプ320Aおよび320Bは、対応するチューブの組325Aおよび325Bと係合し、流体を流入および流出させる。流体源245および回収リザーバー180は、以前のシステムと同様に設けられている。組織捕捉部330も、上述したものと同様である。ポンプ320Aから流入した流体は、
図7に示すように、子宮腔などの作業空間332に流入するように構成される。流入は、
図7に示すように、イメージセンサー336を有する電子内視鏡335の流入チャネルを経由して誘導することができる。内視鏡335は、ディスプレイ338に結合されている。モーター駆動部305は、ハウジング304内のバッテリーまたは遠隔バッテリーもしくは電源である電源275に接続されており、これは、以下にさらに説明する制御部285に接続することができる。
【0028】
図6および
図7の流体管理システム300において、圧力センサー340は、再び、ポンプ320Aから遠位側の流入ライン325A内の圧力を測定するように配置される。圧力センサー340は、プロセッサーまたは制御部285に圧力信号を送信するように構成されている。本態様では、制御部285は、単回使用に構成されてもよいし、再使用可能であってもよく、バッテリーまたは電源275も担持可能な好適なハウジングに担持され得る。制御部285は、センサー340からの圧力信号に応答して、子宮腔などの作業空間332内の設定圧力を維持するためのポンプ320Aおよび320Bを駆動するための制御アルゴリズムを含んでいる。
【0029】
流体管理システム300を操作するために、制御パッド350が制御部285に結合され、これは、ポンプを作動させるためのON/OFFボタン355を含むことができる。さらに、制御パッド350は、設定圧力を増加および減少させるためのボタン356および358を含むことができる。別のボタン(図示しない)が、作業空間332を洗浄するために流体流速をより高いレベルまで増加させる「洗浄」モードのために設けられてもよい。制御パッドは、診断処置を行う際に内視鏡335のハンドルに使い捨てで取り付けることができ、また、切除処置の際に切除装置302のハンドルに取り付けることができる。使用時には、
図8に示すように、流体源245と回収リザーバー(例えば、ビニール袋)180とからなる生理食塩水バッグをスタンド360に吊るすことができる。制御部285は、生理食塩水バッグ245を担持するスタンド360にも取り付け可能な小型のハウジングで構成することができる。単回使用の使い捨て流体管理システム300は、内視鏡335に、および任意に切除装置302に結合するための任意の適切な箇所に配置され得る。システムは、したがって、市販の流体管理システムと比較して非常に小さな設置面積で済む。
【0030】
図8に示す一態様では、スタンド360は、生理食塩水バッグ245(流体源)を担持する第1のフック372に作動的に接続された第1の荷重センサー370と、回収リザーバー180を担持する第2のフック376に接続された第2の荷重センサー375とを含み得、両者の荷重センサーは制御部285に信号を送信する。制御部285は、続いて当該技術分野で周知のような制御部アルゴリズムを使用して、流体欠損を計算することができる。他の変形例としては、当該技術分野で周知のように、生理食塩水バッグ245および回収リザーバー180の両者を計量する単一の荷重センサーを使用することが含まれ得る。別例では、システムは、ドレープ380と、ドレープ380によって回収された流体を回収リザーバー180に送り出すための個別のポンプ385とを含むことができ、これにより、流体欠損をより正確に計算することができるようになる。
【0031】
以上、本発明の特定の実施形態について詳細に説明したが、この説明は単に例示のためのものであり、本発明の上記説明は網羅的なものではないことが理解されよう。本発明の特定の要素は、いくつかの図面に示され、他の図面には示されていないが、これは便宜上のものであり、任意の要素は、本発明に従って別のものと組み合わされることができる。当業者であれば、複数の変形例および代替例が明らかになるであろう。このような代替例および変形例は、特許請求の範囲に含まれることを意図している。従属項に示される特定の要素は、組み合わせることができ、本発明の範囲内にある。また、本発明は、従属項がこれに代えて他の独立項に対して複数の従属項の形式で記述されているかのような実施形態も包含する。
【0032】
以上、本発明の特定の実施形態について詳細に説明したが、この説明は単に例示のためのものであり、本発明の上記説明は網羅的なものではないことが理解されよう。本発明の特定の要素は、いくつかの図面に示され、他の図面には示されていないが、これは便宜上のものであり、任意の要素は、本発明に従って別のものと組み合わされることができる。当業者であれば、複数の変形例および代替例が明らかになるであろう。このような代替例および変形例は、特許請求の範囲に含まれることを意図している。従属項に示される特定の要素は、組み合わせることができ、本発明の範囲内にある。また、本発明は、従属項がこれに代えて他の独立項に対して複数の従属項の形式で記述されているかのような実施形態も包含する。
【0033】
その他の変形例は、本発明の趣旨の範囲内にある。したがって、本発明は様々な変形および代替的構造の影響を受けやすいが、その特定の例示的な実施形態が図面に示され、詳細に上述されている。しかしながら、本発明を開示された特定の1つ以上の形態に限定する意図はなく、逆に、添付の特許請求の範囲で定義された本発明の趣旨および範囲に属するすべての変形、代替的構造、および均等物を対象とする意図があることが理解されるべきである。
【0034】
本発明を説明する文脈における(特に以下の特許請求の範囲の文脈における)用語「a」および「an」および「the」並びに同様の参照語の使用は、本明細書において別途示されるかまたは文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数および複数の両者をカバーするように解釈されるものとする。用語「comprising」、「having」、「including」、および「containing」は、特に断りのない限り、オープンエンドの用語(すなわち、「~を含むが、~に限定されない」という意味)として解釈されるものとする。「接続されている」という用語は、たとえ何かが介在していても、その一部または全体が内部に含まれ、取り付けられ、または接合されていると解釈される。本明細書における値の範囲の記載は、本明細書で特に指示されない限り、範囲内に入る各個別の値を個別に参照するための省略法として機能することを意図しているのみであり、各個別の値は、本明細書に個別に記載されているかのように本明細書に組み込まれている。本明細書に記載されたすべての方法は、本明細書に特に示されない限り、または文脈によって明らかに矛盾する場合を除き、任意の適切な順序で実行することができる。本明細書で提供される任意のおよびすべての例、または例示的な文言(例えば、「など」)の使用は、単に本発明の実施形態をより良く照らすことを意図しており、特に特許請求の範囲に記載のない限り、本発明の範囲に制限をもたらすものではない。本願明細書のいかなる文言も、非請求項の要素が発明の実施に不可欠であると解釈されるべきではない。
【0035】
以下、本発明を実施するための本発明者らに周知の最良の態様を含む、本発明の好ましい実施形態について説明する。それらの好ましい実施形態の変形は、前述の説明を読めば、当業者には明らかになるであろう。本発明者らは、当業者がこのような変形を適宜採用することを期待しており、本発明者らは、本明細書に具体的に記載された以外の方法で本発明が実施されることを意図している。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲に記載された主題の、適用される法律によって許容されるすべての変更および均等物を含むものである。さらに、そのすべての可能な変形における上述した要素の任意の組み合わせは、本明細書に別途示されるか、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、本発明によって包含される。
【0036】
本明細書において引用された刊行物、特許出願、および特許を含むすべての文献は、各文献が参照により組み込まれることが個別にかつ明確に示され、その全体が本明細書に記載された場合と同じ程度まで、参照により組み込まれるものとする。
【国際調査報告】