(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-21
(54)【発明の名称】チューブの適切な配置を検証するための筋肉刺激及び/またはインピーダンス測定のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61N 1/36 20060101AFI20230614BHJP
A61N 1/05 20060101ALI20230614BHJP
A61M 25/01 20060101ALI20230614BHJP
【FI】
A61N1/36
A61N1/05
A61M25/01
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022568426
(86)(22)【出願日】2021-05-11
(85)【翻訳文提出日】2022-11-09
(86)【国際出願番号】 US2021031755
(87)【国際公開番号】W WO2021236375
(87)【国際公開日】2021-11-25
(32)【優先日】2020-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514300557
【氏名又は名称】アヴェント インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジュルボ、カール・トーマス
(72)【発明者】
【氏名】シェピス、エリック・エー
(72)【発明者】
【氏名】タシターノ、ジェームス・エフ
【テーマコード(参考)】
4C053
4C267
【Fターム(参考)】
4C053CC10
4C053JJ24
4C267AA05
(57)【要約】
電子カテーテル誘導システムと共に使用するチューブアセンブリが、カテーテルと、刺激電極アセンブリと、刺激波形を刺激電極アセンブリに送達するための電気接続部とを含む。カテーテルは、近位端及び遠位端を有し、長手方向に延在し、近位端及び遠位端の間にルーメンを画定する。さらに、カテーテルは、患者の消化管内に配置されるように構成される。刺激電極アセンブリは、電気刺激を組織に送達するように構成される。消化管内にカテーテルを正しく配置するためのカテーテル誘導システム及び方法も提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チューブアセンブリであって、
近位端及び遠位端を有し、長手方向に延在するカテーテルであって、前記近位端及び前記遠位端の間にルーメンを画定し、前記カテーテルが患者の消化管内に配置されるように構成される、該カテーテルと、
組織に電気刺激を送達するように構成された刺激電極アセンブリと、
刺激波形を前記刺激電極アセンブリに送達するための電気接続部とを備える、チューブアセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載のチューブアセンブリであって、
前記刺激電極アセンブリは、アノードとカソードとを含み、前記アノード及び前記カソードは、前記カテーテルの前記遠位端の外壁に配置される、チューブアセンブリ。
【請求項3】
請求項1に記載のチューブアセンブリであって、
前記刺激電極アセンブリは、前記カテーテルの外壁に配置された第1の電極と、皮膚の表面に配置するように構成された第2の電極とを備える、チューブアセンブリ。
【請求項4】
請求項1に記載のチューブアセンブリであって、
記録電極アセンブリをさらに備える、チューブアセンブリ。
【請求項5】
請求項4に記載のチューブアセンブリであって、
前記記録電極アセンブリは、アクティブ記録電極、非アクティブ記録電極、及び基準電極を含む、チューブアセンブリ。
【請求項6】
請求項5に記載のチューブアセンブリであって、
前記アクティブ記録電極、前記非アクティブ記録電極、及び前記基準電極は、前記カテーテルの前記遠位端の外壁に配置される、チューブアセンブリ。
【請求項7】
請求項5に記載のチューブアセンブリであって、
前記アクティブ記録電極、前記非アクティブ記録電極、及び前記基準電極は、皮膚の表面に配置するように構成される、チューブアセンブリ。
【請求項8】
請求項4に記載のチューブアセンブリであって、
前記記録電極アセンブリは、前記刺激波形に応答して前記組織によって誘発される電気的活動を監視し、前記組織によって誘発される前記電気的活動をプロセッサにリアルタイムで伝達するように構成される、チューブアセンブリ。
【請求項9】
請求項8に記載のチューブアセンブリであって、
前記刺激電極アセンブリは、前記プロセッサへの有線接続または無線接続用に構成される、チューブアセンブリ。
【請求項10】
請求項9に記載のチューブアセンブリであって、
前記有線接続は、ワイヤまたはプリントされたコンジットを含む、チューブアセンブリ。
【請求項11】
カテーテル誘導システムであって、
(a)プロセッサと、
(b)電源と、
(c)刺激装置と、
(d)チューブアセンブリとを含み、
前記チューブアセンブリは、
近位端及び遠位端を有し、長手方向に延在するカテーテルであって、前記近位端及び前記遠位端の間にルーメンを画定する、該カテーテルと、
組織に電気刺激を送達するように構成された刺激電極アセンブリと、
記録電極アセンブリであって、前記電気刺激の刺激波形に応答して前記組織によって誘発される電気的活動を監視し、前記組織によって誘発される前記電気的活動を前記プロセッサにリアルタイムで伝達するように構成される、該記録電極アセンブリとを備え、
前記カテーテル誘導システムは、前記カテーテルが患者の消化管に正しく配置されていることに関する注意喚起、または前記患者の気道に前記カテーテルが誤って配置されていることに関する注意喚起をユーザに対して提供するように構成される、カテーテル誘導システム。
【請求項12】
請求項11に記載のカテーテル誘導システムであって、
表示装置をさらに備え、
前記表示装置は前記プロセッサに接続され、前記組織によって誘発され、前記記録電極アセンブリによって前記プロセッサに伝達される電気的活動のグラフを表示する、カテーテル誘導システム。
【請求項13】
請求項11に記載のカテーテル誘導システムであって、
命令を保存するためのメモリデバイスをさらに備え、
前記命令は、前記プロセッサによって実行されることによって、(i)前記プロセッサが、前記組織によって誘発され、前記記録電極アセンブリによって伝達される電気的活動を解釈し、(ii)前記プロセッサによって操作された前記カテーテル誘導システムが、前記組織によって誘発される前記電気的活動の前記解釈に基づいて、前記カテーテル誘導システムが、前記カテーテルが前記患者の前記消化管に正しく配置されていることに関する注意喚起、または前記患者の気道に前記カテーテルが誤って配置されていることに関する注意喚起を前記ユーザに対して提供する、方法。
【請求項14】
請求項11に記載のカテーテル誘導システムであって、
前記刺激電極アセンブリは、アノードとカソードとを含み、前記アノード及び前記カソードは、前記カテーテルの前記遠位端の外壁に配置される、カテーテル誘導システム。
【請求項15】
請求項11に記載のカテーテル誘導システムであって、
前記刺激電極アセンブリは、前記カテーテルの外壁に配置された第1の電極と、皮膚の表面に配置するように構成された第2の電極とを備える、カテーテル誘導システム。
【請求項16】
請求項11に記載のカテーテル誘導システムであって、
前記記録電極アセンブリは、アクティブ記録電極、非アクティブ記録電極、及び基準電極を含む、カテーテル誘導システム。
【請求項17】
請求項16に記載のカテーテル誘導システムであって、
前記アクティブ記録電極、前記非アクティブ記録電極、及び前記基準電極は、前記カテーテルの前記遠位端の外壁に配置される、カテーテル誘導システム。
【請求項18】
請求項16に記載のカテーテル誘導システムであって、
前記アクティブ記録電極、前記非アクティブ記録電極、及び前記基準電極は、皮膚の表面に配置するように構成される、カテーテル誘導システム。
【請求項19】
カテーテルが患者の身体のなかの消化管の内部に配置されているか否かを判定するための方法であって、
(a)チューブアセンブリの遠位端を前記身体の開口部に挿入するステップであって、前記チューブアセンブリは、(i)近位端及び遠位端を有し、長手方向に延在する前記カテーテルであって、前記近位端及び前記遠位端の間にルーメンを画定する、該カテーテルと、(ii)刺激電極アセンブリと、(iii)記録電極アセンブリとを有する、該ステップと、
(b)前記刺激電極アセンブリを刺激装置に電気的に接続し、前記記録電極アセンブリをプロセッサに電気的に接続するステップと、
(c)前記刺激装置を介して刺激波形を生成するステップと、
(d)前記カテーテルが前記身体の内部を前記開口部から離れる方向に前進する際に、前記刺激電極アセンブリを介して組織に前記刺激波形を送達するステップと、
(e)前記刺激波形に応答して前記組織によって誘発される電気的活動を前記記録電極アセンブリが監視している間に、前記記録電極アセンブリを起動するステップであって、前記組織によって誘発される前記電気的活動を前記プロセッサにリアルタイムで伝達する、該ステップと、
(f)前記プロセッサに接続された表示装置で前記電気的活動のグラフを観察するステップであって、前記表示装置は、前記カテーテルが前記患者の前記消化管に正しく配置されていることに関する注意喚起、または前記患者の気道に前記カテーテルが誤って配置されていることに関する注意喚起をユーザに対して提供する、該ステップとを含む、方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法であって、
メモリデバイスが、命令を保存し、前記命令が前記プロセッサによって実行されると、(i)前記プロセッサが、前記組織によって誘発され、前記記録電極アセンブリによって伝達される電気的活動を解釈し、(ii)前記組織によって誘発される前記電気的活動の前記解釈に基づいて、前記表示装置が、前記カテーテルが前記患者の前記消化管に正しく配置されているか否かを知らせる、方法。
【請求項21】
請求項19に記載の方法であって、
前記組織によって誘発される前記電気的活動が、1回以上の誘発電位の発生である場合、前記カテーテルが前記消化管に配置されていることが確認され、
前記組織によって誘発される前記電気的活動が、1回以上の誘発電位の発生でない場合、前記カテーテルは前記消化管に配置されていないことが確認される、方法。
【請求項22】
請求項19に記載の方法であって、
前記記録電極アセンブリは、前記刺激電極アセンブリまたは記録電極アセンブリに設けられた1つ以上の電気接点を介してインピーダンスレベルを測定することにより、前記組織によって誘発される前記電気的活動を監視し、
インピーダンスの第1レベルは、前記カテーテルが前記消化管に配置されていることを示し、インピーダンスの第2レベルは、前記カテーテルが前記消化管に配置されていないことを示す、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年5月22日出願の米国特許出願第16/881,223号を基礎とする優先権を主張し、その内容全体は参照により本明細書の一部とする。本発明は、チューブの適切な配置を検証するための筋肉刺激及び/またはインピーダンス測定のためのシステム及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
医師やその他の医療提供者は、カテーテルを使用して患者を治療することが多い。既知のカテーテルは、人体に挿入されるチューブを含む。ある特定のカテーテルは、消化管または胃腸管を治療するために患者の鼻または口から挿入される。経腸カテーテルと称することもあるこれらのカテーテルは、通常は栄養チューブを含む。栄養チューブは胃または腸に配置され、栄養バッグが、液体栄養剤、液体薬、またはその両方を患者に供給する。
【0003】
このようなカテーテルを使用する場合、カテーテルの端部を人体の適切な位置に配置することが重要である。カテーテルの先端を誤って配置すると、患者を傷つけることや、その他の害を及ぼす可能性がある。例えば医療提供者が、腸管カテーテルを、栄養素や薬を送達するために食道を通して胃に、さらに消化管内の目的の場所に到達させるのでなく、誤って患者の気管、肺、または呼吸器系または気道の他の解剖学的領域に配置した場合、液体が肺に侵入し、有害な、さらには致命的な結果をもたらす可能性がある。特に、消化管の食道と呼吸器系の気管は互いに近接しており、カテーテルを配置する間に医療提供者から見えないため、誤ったカテーテル配置の危険性が生じる。
【0004】
場合によっては、医療提供者がX線装置を使用して体内のカテーテルの位置に関する情報を収集する。X線装置の使用にはいくつかの欠点がある。例えば、X線装置は比較的サイズや重量が大きく、比較的大量のエネルギーを消費し、患者を比較的高い放射線量にさらす可能性がある。また、これらの装置は通常はそのサイズのために特別なX線室に設置されているため、即座に使用することができない。このX線室は病室から遠く離れている場合がある。このため、医療提供者が、カテーテル処置にこれらの機械を使用するのが不便であると感じることがある。さらに、X線技術の使用は費用がかかり、時間のかかる作業であり、重要な栄養素を患者に提供する際に不必要な遅延が発生する可能性がある。
【0005】
したがって、これらの欠点のそれぞれを克服する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的及び利点は、以下の説明で部分的に説明されるか、または説明から自明であるか、または本発明の実施を通じて知ることができよう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
特定の実施形態では、本発明はチューブアセンブリを対象とする。前記チューブアセンブリは、近位端及び遠位端を有し、長手方向に延在するカテーテルであって、前記近位端及び前記遠位端の間にルーメンを画定し、前記カテーテルが患者の消化管内に配置されるように構成される、該カテーテルと、組織に電気刺激を送達するように構成された刺激電極アセンブリと、刺激波形を前記刺激電極アセンブリに送達するための電気接続部とを備える。
【0008】
別の実施形態では、前記刺激電極アセンブリは、アノードとカソードとを含み、前記アノード及び前記カソードは、前記カテーテルの前記遠位端の外壁に配置されるように構成され得る。
【0009】
さらに別の実施形態では、前記刺激電極アセンブリは、前記カテーテルの外壁に配置された第1の電極と、皮膚の表面に配置するように構成された第2の電極とを備えるように構成され得る。
【0010】
さらに別の実施形態では、記録電極アセンブリをさらに備えることができる。また、前記記録電極アセンブリは、アクティブ記録電極、非アクティブ記録電極、及び基準電極を含むことができる。また、前記アクティブ記録電極、前記非アクティブ記録電極、及び前記基準電極は、前記カテーテルの前記遠位端の外壁に配置されることができる。あるいは、前記アクティブ記録電極、前記非アクティブ記録電極、及び前記基準電極は、皮膚の表面に配置するように構成されることができる。
【0011】
いくつかの実施形態では、前記記録電極アセンブリは、前記刺激波形に応答して前記組織によって誘発される電気的活動を監視し、前記組織によって誘発される前記電気的活動をプロセッサにリアルタイムで伝達するように構成され得る。
【0012】
さらなる実施形態では、前記刺激電極アセンブリは、前記プロセッサへの有線接続または無線接続用に構成され得る。また、前記有線接続は、ワイヤまたはプリントされたコンジットを含むことができる。
【0013】
別の特定の実施形態では、本発明はカテーテル誘導システムを対象とする。前記カテーテル誘導システムは、(a)プロセッサと、(b)電源と、(c)刺激装置と、(d)チューブアセンブリとを含む。さらに、前記チューブアセンブリは、近位端及び遠位端を有し、長手方向に延在するカテーテルであって、前記近位端及び前記遠位端の間にルーメンを画定する、該カテーテルと、組織に電気刺激を送達するように構成された刺激電極アセンブリと、記録電極アセンブリであって、前記電気刺激の刺激波形に応答して前記組織によって誘発される電気的活動を監視し、前記組織によって誘発される前記電気的活動を前記プロセッサにリアルタイムで伝達するように構成される、該記録電極アセンブリとを備え、前記カテーテル誘導システムは、前記カテーテルが患者の消化管に正しく配置されていることに関する注意喚起、または前記患者の気道に前記カテーテルが誤って配置されていることに関する注意喚起をユーザに対して提供するように構成される。
【0014】
一実施形態では、前記システムは、表示装置をさらに備えることができ、前記表示装置は前記プロセッサに接続され、前記組織によって誘発され、前記記録電極アセンブリによって前記プロセッサに伝達される電気的活動のグラフを表示する。
【0015】
さらに別の実施形態では、前記システムが、命令を保存するためのメモリデバイスをさらに備え、前記命令は、前記プロセッサによって実行されることによって、(i)前記プロセッサが、前記組織によって誘発され、前記記録電極アセンブリによって伝達される電気的活動を解釈し、(ii)前記プロセッサによって操作された前記カテーテル誘導システムが、前記組織によって誘発される前記電気的活動の前記解釈に基づいて、前記カテーテル誘導システムが、前記カテーテルが患者の消化管に正しく配置されていることに関する注意喚起、または前記患者の気道に前記カテーテルが誤って配置されていることに関する注意喚起を前記ユーザに対して提供するように構成される。
【0016】
さらに別の実施形態では、前記刺激電極アセンブリは、アノードとカソードとを含み、前記アノード及び前記カソードは、前記カテーテルの前記遠位端の外壁に配置され得る。
【0017】
いくつかの実施形態では、前記刺激電極アセンブリは、前記カテーテルの外壁に配置された第1の電極と、皮膚の表面に配置するように構成された第2の電極とを備えることができる。
【0018】
さらに別の実施形態では、前記記録電極アセンブリは、アクティブ記録電極、非アクティブ記録電極、及び基準電極を含むことができる。また、前記アクティブ記録電極、前記非アクティブ記録電極、及び前記基準電極は、前記カテーテルの前記遠位端の外壁に配置され得る。あるいは、前記アクティブ記録電極、前記非アクティブ記録電極、及び前記基準電極は、皮膚の表面に配置するように構成され得る。
【0019】
本発明のいくつかの実施形態では、カテーテルが患者の身体のなかの消化管の内部に配置されているか否かを判定するための方法が提供される。前記方法は、(a)チューブアセンブリの遠位端を前記身体の開口部に挿入するステップであって、前記チューブアセンブリは、(i)近位端及び遠位端を有し、長手方向に延在する前記カテーテルであって、前記近位端及び前記遠位端の間にルーメンを画定する、該カテーテルと、(ii)刺激電極アセンブリと、(iii)記録電極アセンブリとを有する、該ステップと、(b)前記刺激電極アセンブリを刺激装置に電気的に接続し、前記記録電極アセンブリをプロセッサに電気的に接続するステップと、(c)前記刺激装置を介して刺激波形を生成するステップと、(d)前記カテーテルが前記身体の内部を前記開口部から離れる方向に前進する際に、前記刺激電極アセンブリを介して組織に前記刺激波形を送達するステップと、(e)前記刺激波形に応答して前記組織によって誘発される電気的活動を前記記録電極アセンブリが監視している間に、前記記録電極アセンブリを起動するステップであって、前記組織によって誘発される前記電気的活動を前記プロセッサにリアルタイムで伝達する、該ステップと、(f)前記プロセッサに接続された表示装置で前記電気的活動のグラフを観察するステップであって、前記表示装置は、前記カテーテルが前記患者の前記消化管に正しく配置されていることに関する注意喚起、または前記患者の気道に前記カテーテルが誤って配置されていることに関する注意喚起をユーザに対して提供する、該ステップとを含む。
【0020】
別の実施形態では、メモリデバイスが、命令を保存し、前記命令が前記プロセッサによって実行されると、(i)前記プロセッサが、前記組織によって誘発され、前記記録電極アセンブリによって伝達される電気的活動を解釈し、(ii)前記組織によって誘発される前記電気的活動の前記解釈に基づいて、前記表示装置が、前記カテーテルが前記患者の前記消化管に正しく配置されているか否かを知らせる。
【0021】
さらに別の実施形態では、前記組織によって誘発される前記電気的活動が、1回以上の誘発電位の発生である場合、前記カテーテルが前記消化管に配置されていることが確認され、前記組織によって誘発される前記電気的活動が、1回以上の誘発電位の発生でない場合、前記カテーテルは前記消化管に配置されていないことが確認され得る。
【0022】
さらに別の実施形態では、使用されるカテーテル誘導システムにおいて、前記記録電極アセンブリは、前記刺激電極アセンブリまたは記録電極アセンブリに設けられた1つ以上の電気接点を介してインピーダンスレベルを測定することにより、前記組織によって誘発される前記電気的活動を監視し、インピーダンスの第1レベルは、前記カテーテルが前記消化管に配置されていることを示し、インピーダンスの第2レベルは、前記カテーテルが前記消化管に配置されていないことを示すように構成され得る。
【0023】
本発明の上記の及び他の特徴、態様及び利点は、以下の説明及び特許請求の範囲の記載を参照することにより、一層よく理解されるであろう。本出願の一部である図面は、本発明の実施形態を図示し、説明と併せて、本発明の原理を表すものである。
【0024】
当業者を対象とする、最良の実施形態を含む本発明の完全かつ有効な開示は、後述の実施形態の図面を参照してなされる説明に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、本発明によるカテーテル誘導システムの斜視図であり、本発明の一実施形態において患者の体内に配置されているときの表示装置及び電子カテーテルユニットが示されている。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態によるカテーテル誘導システムの電子的構成の概略ブロック図であり、システムが備えるプロセッサ、メモリデバイス、カテーテル、刺激電極、記録電極、刺激装置、入力デバイス、出力デバイス、及び任意選択で設けられる信号発生アセンブリが示されている。
【
図3】
図3は、電子カテーテルユニット及び表示装置の平面図であり、カテーテルを人体内に挿入することを含む経腸栄養の例と、刺激装置から刺激電極に送達される波形に応じ、記録電極から記録された情報(例えば、グラフ)が表示装置に表示されている。
【
図4】
図4は、電子カテーテルユニットの斜視図であり、種々の構成要素がより詳細に示されている。
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態による電子カテーテルユニットの電極及び任意選択で設けられる信号発生器部分の斜視図である。
【
図6】
図6は、本発明の一実施形態による電子カテーテルユニットの電極及び任意選択で設けられる信号発生器部分の側面図である。
【
図7A】
図7Aは、電子カテーテルユニットの一部の上面図または平面図であり、この図では患者の喉頭蓋を通過して食道にカテーテルが挿入されており、体内のカテーテルの解剖学的位置は、刺激装置から本発明の刺激電極に送達される波形に応じて発生し、本発明の記録電極から記録された情報を介して監視することができる。
【
図7B】
図7Bは、本発明のカテーテル誘導システムの記録電極によって記録された波形データのグラフ図であり、この図は、
図7Aのカテーテルが喉頭蓋を通過して挿入されるときのリアルタイムの波形で、刺激装置から刺激電極に送達される刺激波形が、食道にカテーテルが配置されたことを示す誘発電位を誘発するのに不十分なものである場合を示す。
【
図7C】
図7Cは、本発明のカテーテル誘導システムの記録電極によって記録された波形データのグラフ図であり、この図は、
図7Aのカテーテルが喉頭蓋を通過して挿入されるときのリアルタイムの波形で、刺激装置から刺激電極に送達される刺激波形が、食道にカテーテルが配置されたことを示す誘発電位を誘発するのに十分なものである場合を示す。
【
図7D】
図7Dは、本発明のカテーテル誘導システムの記録電極によって記録された波形データの別のグラフ図であり、この図は、
図7Aのカテーテルが食堂に挿入されるときのリアルタイムの波形で、刺激装置から刺激電極に送達される刺激波形が、食道にカテーテルが配置されたことを示す誘発電位を誘発するのに十分なものである場合を示す。
【
図7E】
図7Eは、本発明のカテーテル誘導システムの記録電極によって記録された波形データのさらに別のグラフ図であり、この図は、
図7Aのカテーテルが喉頭蓋を通過して挿入されるときのリアルタイムの波形で、刺激装置から刺激電極に送達される刺激波形が、食道にカテーテルが配置されたことを示す誘発電位を誘発するのに十分なものである場合を示す。
【
図7F】
図7Fは、本発明のカテーテル誘導システムの記録電極によって記録された波形データのさらに別のグラフ図であり、この図は、
図7Aのカテーテルが喉頭蓋を通過して挿入されるときのリアルタイムの波形で、刺激装置から刺激電極に送達される刺激波形が、食道にカテーテルが配置されたことを示す誘発電位を誘発するのに十分なものである場合を示す。
【
図7G】
図7Gは、本発明のカテーテル誘導システムの記録電極によって記録された波形データの別のグラフ図であり、この図は、
図7Aのカテーテルが喉頭蓋を通過して挿入されるときのリアルタイムの波形で、刺激装置から刺激電極に送達される刺激波形(逆極性)が、食道にカテーテルが配置されたことを示す誘発電位を誘発するのに十分なものである場合を示す。
【
図7H】
図7Hは、本発明のカテーテル誘導システムの記録電極によって記録された波形データのさらに別のグラフ図であり、この図は、
図7Aのカテーテルが喉頭蓋を通過して挿入されるときのリアルタイムの波形で、刺激装置から刺激電極に送達される刺激波形(逆極性)が、食道にカテーテルが配置されたことを示す誘発電位を誘発するのに十分なものである場合を示す。
【
図8A】
図8Aは、電子カテーテルユニットの一部の上面図または平面図であり、この図では患者の喉頭蓋を通過して食道にカテーテルが挿入されており、体内のカテーテルの解剖学的位置は、刺激装置から本発明の刺激電極に送達される波形に応じて発生し、本発明の記録電極から記録された情報を介して監視することができる。
【
図8B】
図8Bは、本発明のカテーテル誘導システムの記録電極によって記録された波形データのグラフ図であり、この図は、
図8Aのカテーテルが喉頭蓋を通過して挿入されるときのリアルタイムの波形で、刺激装置から刺激電極に送達される刺激波形が、食道にカテーテルが配置されたことを示す誘発電位を誘発するのに十分なものである場合を示し、誘発電位がない場合には気管内にカテーテルが配置されたことが示される。
【
図9A】
図9Aは、電気接点で測定された異なる周波数でのインピーダンスのグラフ図であり、
図7Aのカテーテルが喉頭蓋を通過して挿入されるときのリアルタイムで測定値を示し、測定されたインピーダンス値の特性は、刺激装置からカテーテルに配信されるノイズ信号に応じたものであり、食道にカテーテルが配置されたことを示している。
【
図9B】
図9Bは、電気接点で測定された異なる周波数でのインピーダンスのグラフ図であり、
図8Aのカテーテルが喉頭蓋を通過して挿入されるときのリアルタイムで測定値を示し、測定されたインピーダンス値の特性は、刺激装置からカテーテルに配信されるノイズ信号に応じたものであり、誤って気管にカテーテルが配置されたことを示している。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明し、その1つ以上の実施例を図面に示す。各実施形態、実施例は、本発明を限定するものではなく、本発明を説明するために提供される。実際、当業者であれば、本発明の範囲または精神から逸脱することなく、本発明にさまざまな改変及び一部変更を加えて実施できることは明らかであろう。例えば、一実施形態の一部として図示または説明された特徴を別の実施形態と共に使用して、さらに別の実施形態とすることができる。したがって、本発明は、特許請求の範囲及びその均等物の範囲内に入るように改変及び一部変更した実施形態を包含する。
【0027】
本明細書で使用するとき、「約」、「およそ」、または「概ね」という用語は、示した数値からずれた数値の範囲を表すために使用される場合、示した数値の上下5%の数値範囲であって、開示された実施形態の範囲内に収まる数値範囲を示す。さらに、複数の数値範囲が開示されている場合、複数の範囲のそれぞれの最小値及び最大値の任意の組み合わせが、本発明を特定する条件となり得る。例えば、明細書中に「約20%~約80%」及び「約30%~約70%」の範囲が記載されている場合、「約20%~約70%」の範囲または「約30%~約70%」の範囲もまた、開示された発明を特定する条件であり得る。
【0028】
本発明は、総じて、近位端及び遠位端を有し、長手方向に延在し、前記近位端及び前記遠位端の間にルーメンを画定するカテーテルを備えるチューブアセンブリを対象とする。さらに、前記カテーテルは、患者の消化管内に配置されるように構成される。前記チューブアセンブリはまた、電気刺激を組織(例えば、横紋筋などの食道組織、または軟骨、結合組織、及び気管筋などの気管内の組織)に送達するように構成された刺激電極アセンブリと、刺激波形を刺激電極アセンブリに送達するための電気接続部とを備える。消化管内にカテーテルを正しく配置するためのカテーテル誘導システム及び方法も提供される。
【0029】
前記刺激電極アセンブリに加えて、本発明のチューブアセンブリは、記録電極アセンブリも含み得る。前記記録電極アセンブリは、前記刺激波形に応じて前記組織によって誘発される電気的活動を監視し、前記組織によって誘発される前記電気的活動をプロセッサにリアルタイムで伝達するように構成される。例えば、刺激波形(例えば、単相または二相方形波パルス)に応じて前記組織によって誘発される前記電気的活動が、1回以上の誘発電位の発生である場合、前記カテーテルが前記消化管に配置されていることを確認できる。一方、前記組織によって誘発される前記電気的活動が、1回以上の誘発電位の発生でない場合、前記カテーテルは前記消化管に配置されていないことを確認できる。あるいは、刺激波形(例えば、電気ノイズ信号、単一周波数波形、互いの上に重ね合わされた複数周波数波形など)に応じたインピーダンスを測定することにより、前記組織によって誘発される前記電気的活動が監視される場合、インピーダンスの第1レベルは、前記カテーテルが前記消化管に配置されていることを示し、インピーダンスの第2レベルは、前記カテーテルが前記消化管に配置されていないことを示す。本発明者らは、本明細書でより詳細に説明されるチューブアセンブリ、カテーテル誘導システム及び方法が、前記刺激電極アセンブリによって送達され、前記刺激電極アセンブリを介してリアルタイムで捕捉される刺激波形に応じて組織によって誘発される前記電気的活動を用いて、前記カテーテルの遠位端が、呼吸器系(気管、気管支、肺など)のなかに誤って配置される(この場合、患者に対して有害な、さらには致命的な結果をもたらす可能性がある)のではなく、消化管(喉頭蓋、食道、胃、腸など)の内部に正しく配置されているか否かを判断できること、を発見した。さらに本発明者らは、前記記録電極アセンブリが測定値を取得し、それらの測定値をプロセッサに伝達し、最終的に表示装置または他の通信デバイス(例えば電話、ポケットベルなど)にリアルタイムで伝達できることから、前記カテーテルが正しく配置されていることを、カテーテル配置処置のなかの数秒以内に確認でき、これにより、貴重な時間、リソース、及びコストを節約できると同時に、カテーテルの誤配置が発生した場合の患者のリスクを低減できること、を発見した。
【0030】
具体的には、本発明者らは、消化管(食道、胃、腸など)に沿った所定の位置に配置されるべきカテーテルの遠位端で、刺激波形に応じて組織によって誘発された電気的活動をリアルタイムで捕捉及び監視すること(本発明のカテーテル誘導システムの刺激電極アセンブリ及び記録電極アセンブリによって容易に行える)により、低コストで消化管内にカテーテルを効率的かつ正しく配置することが可能となること、を発見した。例えば、前記チューブアセンブリの前記記録電極アセンブリは、医療提供者によって患者の身体に導入されている途中のカテーテル内で、電気パルス波形またはランダムノイズ信号波形の形態の刺激に応じて組織によって誘発される電気的活動に関連するデータを捕捉することができ、記録された電気的活動(例えば、誘発電位、電気接点間で測定された組織のインピーダンスなどの形で)は、プロセッサを介して表示装置に送信できる。次いで、前記医療提供者は、前記組織によって誘発された前記電気的活動を前記表示装置上で確認して、前記カテーテルが消化管に正しく配置されたか、呼吸器系の解剖学的領域(例えば、気管、気管支、気管支、肺など)に誤って配置されたかを判断できる。代替的または追加的に、前記記録電極アセンブリからのデータを処理するために、プロセッサが、機械可読命令及び1つ以上のコンピュータプログラム(例えば、複数のアルゴリズムを含み得る)を格納するためのメモリデバイスを使用することができ、次いで、前記表示装置が、前記カテーテルが消化管に正しく配置されているか、または例えば呼吸器系の一部のなかに誤って配置されているかを示す信号としてカテーテル情報を医療提供者に対して示すことができる。例えば、表示装置の画面上に、緑色のチェックマークまたは「YES」という語を画面に表示して、消化管または胃腸管内にカテーテルが正しく配置されていることを示し、赤い円に「X」または「NO」という語を画面に表示して、呼吸器系の内部などへの誤った配置を示すことができる。
【0031】
以下、本発明のカテーテル誘導システムのさまざまな特徴について詳細に説明する。
【0032】
図面を参照すると、
図1~
図4に示される実施形態において、本発明によるカテーテル誘導システム2は、(a)コントローラまたはプロセッサ20及び表示装置22を支持するハウジング18を有する装置10と、(b)装置10を電源25に接続する電源コード27と、(c)装置10に接続され、カテーテル位置情報を示す図等を有する用紙を印刷するためのプリンタ28と、(d)ワイヤ、ケーブル、信号データ接続部または信号キャリア63によってプロセッサ20に電子的に接続された、任意選択で設けられる非侵襲的な可動送受信器すなわちトランシーバ32と、(e)ワイヤ、ケーブル、コード、または電気延長部34によって装置10と通信し、さらに任意選択でプロセッサ20に動作可能に接続された侵襲的な電子カテーテルユニット12と、を備え、前記電子カテーテルユニット12は、カテーテル50を含むチューブアセンブリ14と、刺激電極アセンブリ46と、記録電極アセンブリ48と、刺激装置128と、システム2が非侵襲性の可動送受信器またはトランシーバ32を含む場合に任意選択で設けられる信号発生器58を備える。
【0033】
図2に最もよく示されているように、一実施形態によるシステム2は、(a)1つ以上の制御ボタン29、タッチスクリーン31、及び任意選択で設けられるトランシーバ32など、システム2に入力信号を供給するための複数の入力デバイス17と、(b)刺激電極アセンブリ46と、(c)チューブアセンブリ14のカテーテル50付近の組織によって誘発された電気的活動をリアルタイムで連続的に捕捉できる記録電極アセンブリ48と、(d)刺激電極アセンブリ46を介して波形の形で電気信号を送出する刺激装置128と、(e)トランシーバ32によって受信される電子信号を生成または発生する、選択に応じて設けられる信号発生器58と、(f)記録電極アセンブリによって捕捉された電気的活動データを処理すると共に、信号発生器58によって生成され、存在する場合にはトランシーバ32によって送信された信号データを処理するプロセッサ20によって使用される、機械可読命令及び1つ以上のコンピュータプログラム(例えば、複数のアルゴリズム23を含み得る)を格納するメモリデバイス21と、(g)データ取得システム132と、(h)信号増幅器134と、(i)グラフ37(
図1参照)などの形式で医療提供者にカテーテル情報を示す表示装置22及びプリンタ28などの複数の出力装置19と、を備える。表示装置22としては、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、陰極線管ディスプレイ(CRT)、またはプラズマスクリーン等が挙げられるが、表示装置22は、これらに限定されないあらゆる適切な表示機器であり得る。
【0034】
特定の実施形態では、メモリデバイス21は命令を格納し得る。前記命令は、プロセッサ20によって実行されることによって、(i)プロセッサ20が、刺激電極アセンブリ46及び任意選択で設けられる信号発生アセンブリ16(信号発生器58及び非侵襲性トランシーバ32を含む)を介して刺激装置128から送達される刺激に対する組織の応答に基づいて記録電極アセンブリ48によって決定され伝達されたカテーテル50の配置及び/または位置の情報を解釈し、(ii)次いで、プロセッサ20からの指示よってシステム2が、表示装置22や聴覚信号などを介してカテーテル50が正しく配置されているか、または誤った配置をされているかに関する注意喚起を医療提供者に提供する。
【0035】
医療提供者は、さまざまなカテーテル用途においてシステム2を使用できる。
図1に示す例では、
図3に示すように、システム2は経腸栄養の用途で使用されている。この場合、電子カテーテルユニット12の一部が、患者の鼻または口などの患者の開口部72を通して配置される。電子カテーテルユニット12の遠位端すなわち先端部60は、最終的に胃74の内部に配置することができる。医療提供者が電子カテーテルユニット12のカテーテル50を患者の胃74に向かって前進させると、刺激装置128が起動されて、刺激電極アセンブリ46に刺激波形を送達することができる一方で、記録電極アセンブリ48は、カテーテル50の遠位端(先端部60)付近の組織によって誘発される電気的活動を連続的に監視することができる。医療提供者によってカテーテル50が挿入されるときに、刺激電極アセンブリ46内の少なくとも1つの電極が
図1及び
図4に示されるように配置される。刺激電極アセンブリ46及び記録電極アセンブリ48はそれぞれ、
図5及び
図6を参照して後で詳細に説明するように、複数の電極を有することができ、刺激及び/または電気的活動の記録が経皮的に行えるようにするため、
図5及び6に示すように記録電極アセンブリ48内の電極の1つ以上及び/または刺激電極アセンブリ46の表面電極46cは皮膚98の表面上に配置され得ることは理解されよう。表示装置22及び/またはプリンタ28は、記録電極アセンブリ48によって取得された電気的活動データに基づく身体78内の電子カテーテルユニット12の部分の位置に関連する情報、さらに、システムが信号発生器58及び関連する非侵襲性トランシーバ32を利用する信号発生アセンブリ16を備える場合には、カテーテルユニット12が進行する経路の形状に関連する情報を示すことができる。但し、医療提供者の支援のためには、システム2は、カテーテルユニット12の正確な位置または経路を示す必要はないことを理解されたい。
【0036】
図4~
図6を参照すると、一実施形態では、電子カテーテルユニット12は、カテーテル50と、刺激電極アセンブリ46の少なくとも一部と、任意選択で記録電極アセンブリ48の少なくとも一部とを含むチューブアセンブリ14を備える。カテーテル50は、近位端162と遠位端164との間にルーメン70を画定するカテーテル本体160を有し、カテーテル50は概ね長手方向Lに延びる。さらに、一実施形態では、
図4に示すように、刺激電極アセンブリ46の少なくとも一部及び記録電極アセンブリ48の少なくとも一部は、カテーテルの外壁52上に、カテーテル50の遠位端164に、または電子カテーテルユニット12の先端部60に配置することができる。しかし、刺激電極アセンブリ46によって組織の領域に送達される刺激波形が電気的反応を誘発するのに十分なレベルで組織の領域に到達でき、かつ刺激波形に応じて組織によって誘発された電気的活動は、記録電極アセンブリ48によって適切に記録することができる限り、刺激電極アセンブリ46の一部及び記録電極アセンブリ48の全部または一部は、皮膚98の表面上に配置することが可能である、ということも理解されよう。
【0037】
例えば、一実施形態では、刺激電極アセンブリ46の表面電極46c及び記録電極アセンブリ48の1つ以上の電極を、皮膚98の表面に配置することができる。表面電極46cは、電気刺激波形が単極方式で刺激電極アセンブリ46によって送達されるときに使用でき、一方、カテーテル50の外壁52に配置されたカソード46a及びアノード46bは、刺激電極アセンブリ46からの電気刺激波形が双極方式で送出される場合に使用できる。さらに、記録電極アセンブリ48は、アクティブ記録電極48a、非アクティブ記録電極48b、及び表面電極46c(基準電極)を含むことができ、これらの各々はまた、カテーテルの外壁52上の長さ方向に沿った任意の位置に配置するか、または皮膚98の表面上に配置することができる。さらに、
図11~
図13に示すように、電極のいずれかがカテーテル50の外壁52上に配置される場合、電極(例えば、刺激電極アセンブリ46及び/または記録電極アセンブリ48)は、ワイヤまたは印刷された経路であり得る電極電気接続部68を介して装置10に電気的に接続され得る。しかし、接続部が無線接続によって実現され得ることも理解されたい。さらに、電極のいずれかが経皮刺激及び/または記録のために皮膚98の表面上に配置される場合、電極(例えば、刺激電極アセンブリ46及び/または記録電極アセンブリ48)は、ワイヤ56を介して56装置10に電気的に接続され得る。但し、この接続部は無線接続によって実現され得ることも理解されたい。
【0038】
図5及び
図6を参照すると、刺激電極アセンブリ46は、カテーテル50の遠位端164においてカテーテル50の外壁52上に配置することができ、一方、記録電極アセンブリ48は、遠位端164に配置することができ、あるいは近位端162と遠位端164との間のカテーテル50の長さ方向に沿った任意の場所に配置することもできる。いずれにしても、刺激電極アセンブリ46のカソード46a及びアノード46b、並びに記録電極アセンブリ48のアクティブ記録電極48a、非アクティブ記録電極48b、及び基準電極48cは、それぞれが、例えば、約0.1mm~約10mm、約0.25mm~約5mm、または約0.5mm~約2.5mmの範囲の幅を有し、またリング、ステント状の形態、または膨張可能なバルーンなどの形態で、カテーテルの外壁52の全部または一部を取り囲むことができる。さらに、カソード46a及びアノード46bは、例えば、約1mm~約10mm、約2mm~約8mm、または約4mm~約6mmの範囲の距離D1だけ離隔させることができる。さらに、刺激電極アセンブリ46及び記録電極アセンブリは、例えば、約8.4mm~約12mm、約4.4mm~約16mm、または約2.4mm~約20mmの範囲の距離D2だけ離隔させることができる。最後に、アクティブ記録電極48aと基準電極48c、及び非アクティブ記録電極48bと基準電極48cのそれぞれは、例えば、約1mm~約10mm、約2mm~約8mm、または約4mm~約6mmの範囲の距離D3だけ離隔させることができる。
【0039】
さらに、刺激電極アセンブリ46、記録電極アセンブリ48、及び他のあらゆる電気関連要素は、カテーテル誘導システム2が、磁気部品が使用できないMRI検査または他の診断検査を受ける患者にも使用できるように、MRI適合材料から形成することができる。例えば、カーボンまたは他の非磁性材料を使用することができる。
【0040】
図4~
図5に最もよく示されているように、一実施形態では、例えば、(本発明で想定されている刺激電極アセンブリ46及び/または記録電極アセンブリ48がバッテリまたは他の電源を備える形態の無線接続とは異なる、物理的電極電気接続部68を介した接続などの)有線接続が刺激電極アセンブリ46及び記録電極アセンブリ48をプロセッサ20に電気的に接続する場合があり、この場合は、チューブアセンブリ14がさらに(a)チューブまたはチューブ状絶縁体40と、(b)チューブ状絶縁体40を受容する中間コネクタまたは結合装置42と、(c)結合装置42に取り付け可能なマルチポートコネクタまたはY字型ポートコネクタ44と、(d)Y字型ポートコネクタ44に接続される栄養チューブなどのカテーテル50と、(e)カテーテル50の遠位端すなわち先端部60とを含むことができる。このとき、刺激電極アセンブリ46の少なくとも一部、及び任意選択で記録電極アセンブリ48を外壁52に配置することができ、あるいは記録電極アセンブリ48を、カテーテル50の長さ方向に沿った上流領域のいずれの場所にも配置することができる。(a)~(c)の要素はまた、以下でより詳細に説明するように、任意選択で設けられる信号発生器58を、ワイヤアセンブリ62を介して電気的に接続するために使用することができる。
【0041】
一実施形態では、チューブ状絶縁体40はコントローラカプラの取り付け部材すなわちネック108に取り付け可能な近位端100と、結合装置42が受容できるように構成された遠位端102とを有するチューブを含み、チューブ状絶縁体40が有する内径は、そのチューブ状絶縁体40がワイヤアセンブリ62及び電極電気接続部68の上をスライドするように、ワイヤアセンブリ62及び電極電気接続部68の外径と実質的に等しいかそれより大きい内径である。また、これらワイヤアセンブリ62及び電極電気接続部68は刺激電極アセンブリ46の部分と、カテーテル50の外壁52上に存在する記録電極アセンブリ48、信号発生器58、及びプロセッサ20との間の有線の電気的接続をなす。別の実施形態では、チューブ状絶縁体40が電極電気接続部68及びワイヤアセンブリ62の上に比較的しっかりと嵌合し得るように構成される。
【0042】
図4に最もよく示されているように、一実施形態では、結合装置42は、(a)近位端116と、(b)遠位端118と、(c)近位端116及び遠位端118との間に配置された位置アジャスタ、エクステンダ、または細長いネック120と、(d)ユーザが結合装置42を把持して操作するのを助けるために、遠位端118に隣接して配置された握り部材または把持部材122と、(e)Y字型ポートコネクタ44によって受容される構成で、把持部材122に隣接して配置されたインサート124とを備える。組み立て時には、結合装置42の近位端116が、チューブ状絶縁体40の遠位端102に結合される。
【0043】
一実施形態では、マルチポートすなわちY字型ポートコネクタ44は、(a)本体140と、(b)患者に薬剤、医薬物質または他の薬液を分配するために本体140に取り付けられた分岐部分である液体送達ブランチ、薬剤送達ブランチまたは薬剤ブランチ142と、(c)本体140に取り付けられ、結合装置42のインサート124を受容する大きさに構成された栄養送達ブランチまたは供給ブランチ144と、(d)カテーテル50に取り付けられた栄養チューブ接続ブランチまたはカテーテル接続ブランチ146と、(e)本体140に取り付けられた可撓性アームまたは可動アーム148と、(f)本体140に取り付けられた可撓性または可動アーム150とを備える。代替的実施形態では、Y字型ポートコネクタ44は、さまざまな栄養素または薬を身体78に投与するためのさらに別のブランチを含む。別の代替的実施形態では、Y字型ポートコネクタ44は、供給ブランチ144及びカテーテル接続ブランチ146のみを含む。アーム148はストッパ152を有し、アーム150はストッパ154を有する。ストッパ152及び154は、ブランチ142及び144がそれぞれストッパ152及び154で塞がれた後に、流体がブランチ142及び144を通過するのを防止するサイズに構成される。さらに、アーム150は、チューブサイズアダプタ156をアーム150に固定する留め具155を備える。チューブサイズアダプタ156により、さまざまな直径を有する流体送達チューブ(図示せず)を、Y字型ポートコネクタ44の供給ブランチ144に接続できるようになる。
【0044】
図4に示されているように、一実施形態では、カテーテル50は本体160を有し、本体160は、Y字型ポートコネクタ44のカテーテル接続ブランチ146に取り付けられた近位端162と、遠位端164とを有する栄養チューブまたはカテーテル50である。近位端162は、Y字型ポートコネクタ44のカテーテル接続ブランチ146に挿入可能であり、この挿入により、カテーテル50がY字型ポートコネクタ44と連通する。
【0045】
図4に示されているように、一実施形態では、端部部材、ボーラスまたは先端部60は、カテーテル50の遠位端164に取り付けられる。先端部60は、カラー174及び端部部材176を有する本体172を含む。本体172は、通路178及び開口部180を画定する。開口部180は、カラー174と端部部材176との間に配置される。端部部材176の一部分177を丸みを帯びた形状としてもよい。先端部60の通路178及び開口部180の形状は、開口部180が詰まる可能性を減らすと共に、カテーテル50から患者の体内への流体がより流れやすくなるように構成される。
【0046】
チューブ状絶縁体40、結合装置42、Y字型ポートコネクタ44、カテーテル50、及び先端部60は、任意の適切なポリマーまたはプラスチック材料から作ることができ、そのような材料の例としては、限定しないが、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、シリコーン、ポリアクリロニトリルが挙げられる。
【0047】
次に、刺激電極アセンブリ46、記録電極アセンブリ48(一部の実施形態の場合)、及び任意選択の信号発生器58のシステム2への接続の詳細に目を向け、
図1、
図4、及び
図5を参照すると、電気コネクタまたはコントローラカプラ36は、電気延長部34に動作可能に接続することができ、電極電気接続部68は、電気コネクタまたはコントローラカプラ36に動作可能に結合することができ、これによりシステム2の電極アセンブリ、プロセッサ20、及び他の電気関連要素の間の有線接続が形成される。加えて、細長いワイヤアセンブリ62を電気コネクタまたはコントローラカプラ36に動作可能に結合して、信号発生器58とプロセッサ20との間の有線接続を形成することができるが、これらの電気的接続はすべて無線接続でも可能であることを理解されたい。さらに、ワイヤまたは細長い補強材39をコネクタまたはコントローラカプラ36に取り付けることができ、これは、ワイヤアセンブリ62がカテーテル50の本体160に挿入されるときにワイヤアセンブリ62の支持体として機能することができる。さらに、上記のチューブ状絶縁体40は、ワイヤアセンブリ62の部分41と、コネクタまたはコントローラカプラ36に隣接して配置された記録電極アセンブリ48(電極接続部)とを覆うことができる。いずれの場合も、アセンブリが電極電気接続部68を介してカテーテル誘導システム2に有線接続されているとき、電気コネクタまたはコントローラカプラ36は、装置10と、刺激電極アセンブリ46並びに記録電極アセンブリ48との間の電気接続を形成することができる。
【0048】
さらに、一実施形態では、
図4及び
図7Aに示すように、カテーテル本体160は、その外面に沿って等間隔に配置された複数のマーキング112を有することができ、これを刺激電極アセンブリ46及び記録電極アセンブリ48と共に使用することで、(i)カテーテル50の正しい配置を判定することが可能となり、及び/または(ii)刺激電極アセンブリ46を介して刺激装置128から刺激波形を送出する適切な時間を決定すること、並びに記録電極アセンブリ48を介して患者の食道91付近の組織によって誘発される電気活動の記録を開始する適切な時間を決定することが可能となる。これらのマーキング112は、カテーテル50が患者の身体78内に配置される深さを評価する際にユーザを支援する配置マーカーとして機能し得る。例えば、刺激電極アセンブリ46がカテーテル50の遠位端164に配置される場合、マーキング112は、電子カテーテルユニット12の先端部60(遠位端)またはカテーテル50の遠位端164から、典型的な患者の気管92と鼻孔87との間の平均距離に対応するカテーテル50上のポイント126までの領域に存在することができる。カテーテル50が鼻孔87を介して身体78に挿入されるとき、マーキング112が身体78の外部には見えなくなると、ユーザが注意喚起を受けて、(i)刺激電極アセンブリ46を介して刺激装置128から電気刺激波形の送達を開始するか、(ii)表示装置22上のグラフ37の監視を開始して、刺激に応じて組織によって誘発された電気的活動に関連する記録電極アセンブリ48によって記録されたデータを観察するか、または(iii)カテーテル50が正しい位置(例えば、消化管)または誤った位置(例えば、気道)に挿入されたことの視覚的表示、聴覚的表示、またはその両方の監視を開始する。例えば、遠位端164付近の組織への刺激波形の送達に応じた誘発電位が出現していないことが表示装置22上に示された場合、またはマーキング112が身体78の外側で見えなくなると、インピーダンス-時間グラフが特定の特性を示す場合、ユーザは、カテーテル50が食道91ではなく気管92に不適切に挿入されたことを判定でき、カテーテル50を即座に引き抜くことができる。別の実施形態では、これらのマーキング112によって、ユーザによる、患者への、または患者からの液体の流れまたは分布の測定が補助される。
【0049】
カテーテル誘導システム2の主たる構成要素を詳細に説明したので、以下、
図7A~
図9Bを参照して、本発明による、消化管における経腸栄養のために使用されるカテーテル50の正しい配置を検証するためにカテーテル誘導システム2を使用する方法を詳細に説明する。
【0050】
一般的に、カテーテル50が消化管(例えば、患者の身体78の食道)内に正しく配置されているか否かを判定する方法は、チューブアセンブリ14の遠位端(例えば、カテーテル50の遠位端164または電子カテーテルユニット12の先端部60)を、患者の鼻孔87など身体78の開口部72に挿入することを含む。上述のように、チューブアセンブリ14は、カテーテル50と、刺激電極アセンブリ46の少なくとも一部(皮膚98の表面に経皮的に配置することができる部分)と、記録電極アセンブリ48(または、代わりに、皮膚98の表面に経皮的に配置することができる記録電極アセンブリ48の全体また一部分)と、任意選択で信号発生器58と、を含み得る。チューブアセンブリ14が身体78の開口部72に挿入されると、刺激電極アセンブリ46、記録電極アセンブリ48、及び任意選択の信号発生器58は、電極の電気接続部68及びワイヤアセンブリ62などの有線接続を介してプロセッサ20に電気的に接続することができるが、本発明の範囲には、電極電気接続部68、ワイヤアセンブリ62、またはコントローラカプラ36を不要にする無線接続を介する形態も包含される。
【0051】
次に、刺激電極アセンブリ46に接続された刺激装置128への電力供給などにより刺激電極アセンブリ46を作動させると、刺激電極アセンブリ46が、刺激電極アセンブリ46を介して、カテーテルの遠位端164/電子カテーテルユニット12の先端または先端部60(遠位端)の近傍の組織への刺激波形の送達を開始する。同時に、記録電極アセンブリ48を作動させて、刺激波形に応じて組織によって誘発された電気的活動(例えば、活動電位、インピーダンス測定などの形での筋肉活動または筋肉の連続的な動き)の記録を開始させることができる。次いで、記録電極アセンブリ48は、有線接続(例えば、接続部68)または無線接続を介してプロセッサ20と通信し、取得した電気的活動データをプロセッサ20にリアルタイムで伝達する。
【0052】
刺激波形は、監視する電気的活動に応じてさまざまな特徴を有し得る。例えば、刺激に応じた筋肉の電気的活動を監視すると、(i)筋肉の電気的活動は、食道91内の電子カテーテルユニット12の先端部60(遠位端)の存在に関連する、横紋筋を含む筋肉組織の活性化を示す誘発電位の形である場合か、または(ii)筋肉組織の活性化が、電子カテーテルユニット12の先端部60(遠位端)が気管に挿入されたことを示すには不十分である場合(軟骨を含むことで誘発電位が存在しない場合も含む)に、刺激波形は、定電流または定電圧の方形波形(単相または二相)とすることができる。例えば、刺激波形が有する刺激振幅は、約1V超かつ150V未満までの範囲(例えば、約1.01V~約100Vの範囲、約1.05V~約50Vの範囲、まあは1.1V~約25Vの範囲)であり得る。あるいは、刺激波形は、50mA未満(例えば、約0.5mAから約50mAまで、約1mA~約25mAの範囲、または約1.5mA~約10mAの範囲)の波形を有することができる。さらに、刺激波形は、約0.01Hz~約100Hzの範囲(例えば、約0.1Hz~約75Hzの範囲、約0.5Hz~約50Hzの範囲など)の周波数を有しすることができる。また、刺激波形は、25m/s未満(例えば、約0.5m/s~約20m/sの範囲、約1m/s~約15m/sの範囲、約5m/s~約10m/sの範囲など)のパルス幅を有することができる。
【0053】
一方、食道91または気管92内のカテーテル50の存在に基づく組織内のインピーダンスの変化を監視する場合、刺激波形は、0Hz超で約500kHz以下の範囲(例えば、約1kHz~約300kHzの範囲、約5kHz~約150kHzの範囲、10kHz~約125kHzの範囲など)の周波数を有し、上記と同じ刺激振幅を有するノイズ信号の形態であり得る。食道組織と気管組織のインピーダンスは異なる特性を持っているため、さらに、カテーテル50の遠位端164/電子カテーテルユニット12の遠位端または先端部60が食道に配置されているか、気管に配置されているかを決定することができる。
【0054】
さらに、表示装置22をプロセッサ20に接続し、医療提供者がカテーテル挿入処置のなかで使用するために、記録電極アセンブリ48によってプロセッサ20に伝達された電気的活動データを表示させることができ、この場合、データはまず増幅器134を通過して目的の周波数を増幅し、データ取得システム132を通過して記録された信号をデジタル化する。次に、データを表示装置22上に表示することができ、この際、記録電極アセンブリ48によって記録された消化管及び気道へのカテーテル挿入に関連する、刺激電極アセンブリ46によって送達される刺激波形への応答の差違は、医療提供者であれば、表示装置22に表示されたグラフ37に基づいて容易に識別できる。代替的または追加的に、メモリデバイス21は命令を格納することができ、この命令が、プロセッサ20によって実行されると、プロセッサ20が、任意選択で設けられる信号発生アセンブリ16及び非侵襲性トランシーバ32によって決定及び伝達されたカテーテル50の位置及び/または位置情報を解釈し、次いで、プロセッサ20からの指示によってシステム2が、医療提供者に対し、表示装置22や聴覚信号などを介してカテーテル50が正しく配置されているか否かに関する注意喚起を行う。
【0055】
具体的には、電気刺激が方形波パルス波形の形態である場合、表示装置22上に表示される振幅-時間グラフ37上の誘発電位が現れることで、消化管内にカテーテル50が配置されることが示され、この場合、この誘発電位は、電子カテーテルユニット12の先端部60(遠位端)付近の食道91内の筋肉の活性化に関連したものである。一方、方形波パルス波形が送出されたとき表示装置22上に示される振幅-時間グラフ37上にそのような誘発電位が現れないことは、カテーテルが呼吸器系((例えば、気管92、気管支93、肺94など、または患者の気道の他の解剖学的領域))に誤って配置されていることを示している可能性があり、このときは挿入処置を直ちに停止し、チューブアセンブリ14を気道から抜き取って、患者に害を与える可能性を回避するべきである。さらに、そのような情報を表示装置22に表示させるか、伝達するために、メモリデバイス21は命令を格納しており、この命令は、プロセッサ20によって実行されると、(i)プロセッサ20が、記録電極アセンブリ48によって伝達されたデータを解釈し、(ii)この電気活動データの解釈に基づいて、表示装置22が、カテーテル50が患者の消化管内に正しく配置されているか否かを伝達、表示する。
【0056】
あるいは、電気刺激がノイズ信号の形である場合、単一の周波数波形または複数の周波数で、刺激電極アセンブリまたは記録電極アセンブリ48を形成する1つ以上の電気接点を利用して、接触している組織のインピーダンスを測定し、表示装置22上のインピーダンス-時間グラフ37上に示されるインピーダンス測定値は、消化管(例えば、食道91)にカテーテル50が正しく配置されていること、または呼吸器系(例えば、気管92、気管支93、肺94など、または患者の気道の他の解剖学的領域)に誤って配置されていることを示すことができ、誤配置の場合、患者に害を与える可能性を回避するために、挿入処置を直ちに停止し、チューブアセンブリ14を気道から引き抜くべきである。さらに、そのような情報を表示装置22に表示させるか、伝達するために、メモリデバイス21は命令を格納しており、この命令は、プロセッサ20によって実行されると、(i)プロセッサ20が、記録電極アセンブリ48によって伝達されたデータを解釈し、(ii)この電気活動データの解釈に基づいて、表示装置22が、カテーテル50が患者の消化管内に正しく配置されているか否か伝達、表示する。
【0057】
本発明者らは、電子カテーテルユニット12またはカテーテル50の遠位端または先端部60が消化管内、または呼吸器系内に配置され得る場合、電子カテーテルユニット12の先端部60(遠位端)の開口部180とカテーテル50から伝播する、組織によって誘発される電気的活動の差違(例えば、食道の筋肉によって誘発される電気的活動と、気管の軟骨及び/または筋肉によって誘発される電気的活動との差違)により、経腸栄養カテーテル50が消化管に正しく配置されているか否かという、結果が命に関わり得る判定(カテーテルを呼吸器系に誤って配置すると、液体が肺に送られ、致命的な結果を招く可能性がある)を効率的に行えることを発見した。
【0058】
例えば、
図7A~
図7Hに示すように、電子カテーテルユニット12及びカテーテル50の遠位端または先端部60が、患者の鼻孔87に挿入され、鼻腔88を通り、鼻咽頭89を通り過ぎて、喉頭蓋90を通り過ぎて食道91に進められているとき、記録電極アセンブリ48が、電子カテーテルユニット12の先端部60(遠位端)及び刺激電極アセンブリ46が配置されているカテーテル50の近くの組織によって誘発された電気的活動を連続的に受信、記録、及び/または処理しているので、プロセッサ20によって表示装置22などを介して表示、あるいは伝達される振幅-時間スペクトログラムグラフ37(
図7Bの71)は、刺激波形の振幅が特定のしきい値を超えていれば、電子カテーテルユニット12またはカテーテル50の遠位端または先端部60は消化管内に移動し、呼吸器系内には移動していない場合の誘発電位の存在を示すことができる。例えば、
図7Bの1Vの刺激振幅は、刺激波形に応じて食道91の筋肉による誘発電位を引き出すには十分ではなかったが、刺激振幅が、1.1V(
図7C)、1.25V(
図7D)、1.5V(
図7E)、2.25V(
図7F)、4.5Vで逆極性(
図7G)、及び8.85Vで逆極性(
図7H)の刺激波形であれば食道の筋肉から誘発電位を引き出すのに十分であった。
【0059】
一方、
図8A及び
図8Bに示すように、電子カテーテルユニット12及びカテーテル50の遠位端または先端部60が、患者の鼻孔87に挿入され、鼻腔88を通り、鼻咽頭89を通り過ぎて、喉頭蓋90を通り過ぎて気管92に入り、気管支93または肺94に進められているとき、記録電極アセンブリ48が、電子カテーテルユニット12の先端部60(遠位端)及び刺激電極アセンブリ46が配置されているカテーテル50の近くの組織によって誘発された電気的活動を連続的に受信、記録、及び/または処理しているので、プロセッサ20によって表示装置22などを介して表示、あるいは伝達される振幅-時間スペクトログラムグラフ37(
図8B)は、刺激波形の振幅が特定のしきい値を超えていれば、電子カテーテルユニット12またはカテーテル50の遠位端または先端部60は消化管内に移動し、呼吸器系内には移動していない場合の誘発電位が存在しないことを示すことができる。例えば、
図8Bの7.25Vの刺激振幅は、刺激波形に応じた誘発電位を引き出すには十分ではなかったが、刺激振幅が、1.1V(
図7C)、1.25V(
図7D)、1.5V(
図7E)、2.25V(
図7F)、4.5Vで逆極性(
図7G)、及び8.85Vで逆極性(
図7H)の刺激波形であれば食道の筋肉から誘発電位を引き出すのに十分であった。このことは、
図8Aのカテーテル50が、食道91に留置されておらず、代わりに気管92に挿入されていることを示している。この時点で、医療提供者は注意喚起を提供されて、呼吸器系からチューブアセンブリ14を引き抜いて、電子カテーテルユニット12またはカテーテル50の遠位端または先端部60を経腸栄養のために消化管内に正しく配置するための処置を新たに開始する。
【0060】
本発明者らは、カテーテル上のさまざまな電気電極によって収集された組織のインピーダンス測定値の差違(例えば、食道に配置された電極から収集されるインピーダンスデータと、気管に配置された電極から収集されたインピーダンスデータとの差違)により、電子カテーテルユニット12またはカテーテル50の遠位端または先端部60が消化管内、または呼吸器系内に配置され得る場合、電子カテーテルユニット12の先端部60(遠位端)の開口部180とカテーテル50から伝播する、組織によって誘発される電気的活動の差違の区別(例えば、食道の筋肉によって誘発される電気的活動と、気管の軟骨及び/または筋肉によって誘発される電気的活動との差違)により、経腸栄養カテーテル50が消化管に正しく配置されているか否かという、結果が命に関わり得る判定(カテーテルを呼吸器系に誤って配置すると、液体が肺に送られ、致命的な結果を招く可能性がある)を効率的に行えることを発見した。
【0061】
具体的には、
図9Aは、
図7Aの電子カテーテルユニット12及びカテーテル50が喉頭蓋を通過して挿入されるときにリアルタイムで取得される、さまざまな周波数で電子カテーテルユニット12またはカテーテル50上に配置されたときに電気接点(例えば、刺激電極アセンブリ46または記録電極アセンブリ48の一部であるいくつかの電極のいずれか)で測定された組織のインピーダンスのグラフ図であり、測定されたインピーダンス値の特性は、刺激装置によって生成され、接点を介してカテーテルに送達されるノイズ信号に応じたものであり、食道内にカテーテルが配置されていることを示している。図示されるように、0Hz超で約50,000Hz以下の周波数範囲にわたるインピーダンス値(単位はΩ)は、食道組織に特徴的なさまざまなピーク及び谷を示すインピーダンス特性を示す。
図9Aは、ノイズ信号が組織に送達されたときに測定されたインピーダンス値を示すが、インピーダンスは、単一の周波数(例えば、5kHz、10kHz、25kHz、または50kHzなど)で測定することも、あるいは複数の周波数(例えば、刺激装置128から送達される複数の正弦波)の波を重ね合わせて1つの波形として送出して測定することも可能であることを理解されたい。
【0062】
一方、
図9Bは、
図8Aの電子カテーテルユニット12及びカテーテル50が喉頭蓋を通過して挿入されるときにリアルタイムで取得される、さまざまな周波数で電子カテーテルユニット12またはカテーテル50上に配置されたときに電気接点(例えば、刺激電極アセンブリ46または記録電極アセンブリ48の一部であるいくつかの電極のいずれか)で測定された組織のインピーダンスのグラフ図であり、測定されたインピーダンス値の特性は、刺激装置によって生成され、接点を介してカテーテルに送達されるノイズ信号に応じたものであり、気管内にカテーテルが誤って配置されていることを示している。図示されるように、0Hz超で約50,000Hz以下の周波数範囲にわたるインピーダンス値(単位はΩ)は、気管組織に対応するインピーダンスシグネチャ(例えば、インピーダンス値が周波数の増加に伴って指数関数的に減少する)を示す。
図9Bは、ノイズ信号が組織に送達されたときに測定されたインピーダンス値を示すが、インピーダンスは、単一の周波数(例えば、5kHz、10kHz、25kHz、または50kHzなど)で測定することも、あるいは複数の周波数(例えば、刺激装置128から送達される複数の正弦波)の波を重ね合わせて1つの波形として送出して測定することも可能であることを理解されたい。
【0063】
例えば、1000Hzの刺激周波数を有する波形を利用する特定の一実施形態では、組織(例えば、食道組織または気管組織)と形成されたさまざまな電気接点(例えば、刺激電極アセンブリ46または記録電極アセンブリ48の一部であるいくつかの電極のいずれか)におけるインピーダンス値は、カテーテル50の位置に応じて変化し得る。カテーテル50が食道に挿入され、インピーダンス値が刺激電極アセンブリ46のカソード46aとアノード46bとの間で決定されるとき、インピーダンスは、例えば500Ω~600Ωであり得る。さらに、インピーダンス値が記録電極アセンブリ48のアクティブな記録電極48aと基準電極48cとの間で決定されるとき、インピーダンスは900Ω~1000Ωであり得る。インピーダンス値が非アクティブ記録電極48bと基準電極48cとの間で決定されるとき、インピーダンスは950Ω~1050Ωであり得る。さらに、インピーダンス値がアクティブ記録電極48aと非アクティブ記録電極48bとの間で決定されるとき、インピーダンスは、約1000Ω~1100Ωであり得る。したがって、食道内の組織(例えば、上皮、筋肉など)のインピーダンスを決定するときに使用される電気接点がいずれであるかに関係なく、一般的に食道組織のインピーダンスは一貫している。
【0064】
一方、カテーテル50を気管に挿入してインピーダンス値を、刺激電極アセンブリ46のカソード46aとアノード46bとの間、アクティブな記録電極48aと記録電極アセンブリ48の基準電極48cとの間、非アクティブな記録電極48bと基準電極48cとの間、またはアクティブな記録電極48aと非アクティブ記録電極48bとの間のいずれかで測定すると、インピーダンスは約2000Ωで、断続的になる。このことは、食道に配置された電極から収集されたインピーダンスシグネチャは、気管に配置された電極から収集されたインピーダンスシグネチャとは異なり、刺激波形に応じたインピーダンス測定値を利用して、気道内にカテーテルが適切に配置されていることを判定できることを示している。特定の理論に限定されないが、本発明者らは、気管は軟骨組織の存在により硬くなっているため、気管内の組織のインピーダンスシグネチャは最小であるか、興奮性組織との接触がないために指数関数的に減少することを発見した。一方、食道組織のインピーダンスは一般的に一貫しており、食道内の組織(収縮可能な筋肉など)の興奮性に応じて値が増加する。
【0065】
一般的に、食道で収集されたインピーダンスの、気管で収集されたインピーダンス値に対する比は、約1.1超(例えば約1.25~約5、約1.5~約4、または約1.75~約3)であり得る。
【0066】
さらに、刺激波形の送達に応じて誘発された電気的活動を記録する代わりに、またはそれに加えて、医療提供者は、カテーテル50の外面に沿って均一に離間して配置された複数のマーキング112の有無を観察することにより、気管92ではなく食道91にカテーテル50が正しく配置されていることを確認することができる。上記のように、そのようなマーキング112は、カテーテル50の配置の正しさを判定するために、刺激電極アセンブリ46及び記録電極アセンブリ48と併せて使用することができる。これらのマーキング112は、カテーテル50が患者の身体78内に配置される深さを評価する際にユーザを支援する配置マーカーとして機能し得る。例えば、刺激電極アセンブリ46が電子カテーテルユニット12またはカテーテル50の先端部60(遠位端)に配置される場合、マーキング112は、カテーテル50の先端部60(遠位端)から、典型的な患者の気管92と鼻孔87との間の平均距離に対応するカテーテル50上のポイント126までの領域に存在することができる。カテーテル50が鼻孔87を介して身体78に挿入されるとき、マーキング112が体78の外部には見えなくなると、医療提供者が注意喚起を受けて、(i)刺激電極アセンブリ46を介して送達され刺激に応じて誘発され、記録電極アセンブリ48によって測定された電気活動データからプロットされた、時間に対する振幅またはインピーダンスを観察するか、または(ii)カテーテル50が正しい位置(例えば、消化管)または誤った位置(例えば、気道)に挿入されたことの視覚的表示、聴覚的表示、またはその両方の監視を開始する。例えば、マーキング112が身体78の外側から見えなくなった後、表示装置22に示される振幅-時間スペクトログラムに誘発電位が存在しない場合、ユーザは、カテーテル50が食道91ではなく気管92に不適切に挿入されたことを判定でき、カテーテル50を即座に引き抜くべき状態になる。
【0067】
カテーテル50の適切な配置を判定するためにどの方法を用いるかに関係なく、電子カテーテルユニット12またはカテーテル50の遠位端または先端部60が消化管内の所望の位置内に正しく配置されると、次に医療提供者は、治療目的で身体(例えば、消化管)に流体を導入するために医薬及び栄養送達チューブをY字型ポートコネクタ44に取り付けることができる。
【0068】
さらに、本明細書に記載の刺激電極アセンブリ46及び記録電極アセンブリ48に関連する構成として、本発明では、システム2が任意選択で設けられる信号発生器58及びそれに関連するトランシーバ32を使用してカテーテル50を患者の身体78に挿入することも想定されている。一実施形態では、信号発生器58は、電子カテーテルユニット12の先端部60(遠位端)に配置され、電気コネクタまたはコントローラカプラ36及びワイヤアセンブリ62を介して装置10に接続することができ(
図1、3、及び4参照)、複数のワイヤの螺旋すなわちコイルによって形成することができる。さらに、装置10は、電流がコイルによって形成される円形経路を流れるように、ワイヤを通して電流を流す構成にできる。この電流の円運動が電磁界を生成する。動作中、装置10が信号発生器58のコイルに電流を送ると、コイルは非侵襲性トランシーバ32によって検出可能な信号または電磁場を送信する。次いでトランシーバ32が、患者の身体78内の信号発生器58によって生成された電磁場または信号を検出し、システム2は、得られた情報を分析して表示装置22及びプリンタ28に追加のグラフィックスを生成させ、この追加のグラフィックスは、記録電極アセンブリ48によって取得された電気的活動データと併せて、医療提供者のカテーテル配置処置を支援することができる。例えば、システム2は、機械可読命令及び1つ以上のコンピュータプログラム(例えば複数種のアルゴリズム23を含み得る)を格納したメモリデバイス21を含むことができ、これらの命令及びコンピュータプログラムを使用して、プロセッサ20により、信号発生器によって生成されてトランシーバ32によって送信された信号データが処理され、その後、処理されたデータは、患者の身体78の内部におけるカテーテル50の先端部60(遠位端)の位置に対応するグラフィックの形で表示装置22上に表示される。特定の実施形態では、トランシーバ32を使用して、信号発生器58のトランシーバ32からの距離と、患者の身体78内での深さを決定し、プロセッサ20を介して表示装置22に伝達して、被験者の身体でない物体の画像である基準画像と共に、表示装置22上に現れる信号発生器58の画像を表示することができる。
【0069】
本発明のチューブアセンブリ、電子カテーテルユニット、及びカテーテル誘導システムは、さまざまなカテーテル処置及び用途で使用可能であることも理解されたい。そのような処置には、消化管または胃腸管または人体の他の部分の処置も含まれ得る。またそのような処置には、医師、医師助手、看護師、またはその他の医療提供者による人間の治療が含まれる場合がある。さらに、このような処置には、獣医師、研究者などによる他の哺乳類や動物の処置が含まれる場合もある。
【0070】
本発明を特定の実施形態に関連して説明してきたが、当業者には多くの代替的な実施形態、実施形態の改変、及び実施形態の一部変更が可能であることは明らかである。したがって、本発明は、請求項で特定される技術的範囲のなかに含まれる、あらゆる代替的な実施形態、改変あれた実施形態、及び一部変更された実施形を包含する。
【0071】
本明細書は、最良の実施形態を含む本発明の例示的な実施形態を使用した説明を開示し、また参照した当業者が、本発明を実施(あらゆる装置またはシステムの製造及び使用、及び包含される方法を含む)できるようにする内容を開示する。特許可能な本発明の範囲は、特許請求の範囲の請求項によって特定され、それは当業者が想到可能な他の実施形態も含み得る。そのような他の実施形態は、請求項の文言が示す通りの要素を含む場合、または請求項の文言が示すものと実質的には異なることのない均等な要素を含む場合に、請求項の範囲内にある。
【国際調査報告】