(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-21
(54)【発明の名称】複数の免疫グロブリンアイソタイプのためのダブルマルチプレックスアッセイ
(51)【国際特許分類】
G01N 33/53 20060101AFI20230614BHJP
G01N 33/543 20060101ALI20230614BHJP
【FI】
G01N33/53 N
G01N33/543 501D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022568444
(86)(22)【出願日】2021-05-18
(85)【翻訳文提出日】2022-11-09
(86)【国際出願番号】 US2021033027
(87)【国際公開番号】W WO2021236688
(87)【国際公開日】2021-11-25
(32)【優先日】2020-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522348712
【氏名又は名称】アディテックス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100095832
【氏名又は名称】細田 芳徳
(74)【代理人】
【識別番号】100187850
【氏名又は名称】細田 芳弘
(72)【発明者】
【氏名】チェン,グー
(72)【発明者】
【氏名】シャバハン,シャーロク
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ホン
(57)【要約】
本開示は、抗体をアッセイするための方法、ならびに関連のある組成物、システムおよびキットを提供する。より具体的に、該開示は、複数の異なる抗原に対する複数の免疫グロブリンアイソタイプを同時に検出するダブルマルチプレックスアッセイに関する。ダブルマルチプレックスアッセイは、単一の試験試料を使用して実施され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験試料中の少なくとも2つの抗原に対する抗体の少なくとも2つのアイソタイプを検出するダブルマルチプレックスアッセイ法であって:
a) 試験抗体を含む試験試料と、少なくとも2種類の同定可能に標識された微小粒子の混合物を合わせる工程、ここでそれぞれの種類の同定可能に標識された微小粒子は異なる抗原にコンジュゲートして、抗原に特異的に結合する試験抗体との微小粒子-免疫グロブリン複合体を形成する;
b) 微小粒子-免疫グロブリン複合体と、少なくとも2つの異なる免疫グロブリンアイソタイプに対する検出可能に標識された抗Ig-アイソタイプ抗体を合わせて、微小粒子-免疫グロブリン-抗Ig-アイソタイプ複合体を形成する工程;
c) 微小粒子-免疫グロブリン-抗Ig-アイソタイプ複合体について、同定可能に標識された微小粒子型および抗Ig-アイソタイプ抗体型を検出して、検出データを作成する工程;
d) 検出データを合わせるかまたは分析して、少なくとも4つの異なるデータ点を作成する工程、ここでそれぞれのデータ点は、試験抗体アイソタイプと抗原特異性の異なる組み合わせに対応する;
e) データ点を使用して、試験試料特性を決定する工程
を含む、ダブルマルチプレックスアッセイ法。
【請求項2】
異なる抗原が単一の生物学的供給源由来のものであり、試験試料特性が、被験体が生物学的供給源に対する抗体について陽性であるかまたは陰性であるかというものである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
少なくとも3つの異なる抗原が、少なくとも3種類の同定可能に標識された微小粒子にコンジュゲートし、少なくとも(at against least)3つの異なる免疫グロブリンアイソタイプに対する検出可能に標識された抗Ig-アイソタイプ抗体が、少なくとも9個の異なる種類のデータ点を作成するために使用される、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
試験試料がヒト被験体由来のものである、前記請求項いずれか記載の方法。
【請求項5】
試験試料が0.1~20.0μLの体積を有する、前記請求項いずれか記載の方法。
【請求項6】
試験試料が、全血、血清、血漿、鼻分泌物、痰、気管支洗浄物、尿、便または唾液である、前記請求項いずれか記載の方法。
【請求項7】
生物学的試料が全血、血清または血漿である、前記請求項いずれか記載の方法。
【請求項8】
全血、血清または血漿が指穿刺により得られる、請求項7記載の方法。
【請求項9】
少なくとも2種類の同定可能に標識された微小粒子の混合物と合わされる前に試験試料が希釈される、前記請求項いずれか記載の方法。
【請求項10】
希釈された生物学的試料が20~50μlの体積を有する、請求項9記載の方法。
【請求項11】
同定可能に標識された微小粒子がマイクロスフィアである、前記請求項いずれか記載の方法。
【請求項12】
微小粒子が0.001μm~1000μmの長さの断面を有する、前記請求項いずれか記載の方法。
【請求項13】
同定可能に標識された微小粒子が、サイズ、磁性特性、蛍光、紫外線励起蛍光波長、紫線励起蛍光波長、蛍光強度、金属同位体またはそれらの任意の組合せにより同定可能である、前記請求項いずれか記載の方法。
【請求項14】
検出可能に標識された抗Ig-アイソタイプ抗体が、蛍光特性、発光特性もしくは比色定量特性またはそれらの任意の組合せにより同定可能である、前記請求項いずれか記載の方法。
【請求項15】
抗Ig-アイソタイプ抗体が、IgG、IgM、IgAまたはそれらの任意の組合せに対する抗体を含む、前記請求項いずれか記載の方法。
【請求項16】
抗Ig-アイソタイプ抗体が、IgGサブタイプに対する抗体を含む、前記請求項いずれか記載の方法。
【請求項17】
抗原が、ウイルス、細菌、移植された臓器もしくは組織、腫瘍または癌由来のものである、請求項15または16記載の方法。
【請求項18】
抗Ig-アイソタイプ抗体がIgEサブタイプに対する抗体を含む、請求項1~14いずれか記載の方法。
【請求項19】
抗原がアレルゲン由来のものである、請求項18記載の方法。
【請求項20】
微小粒子-免疫グロブリン複合体が、検出可能に標識された抗Ig-アイソタイプ抗体の混合物と合わされる、前記請求項いずれか記載の方法。
【請求項21】
微小粒子-免疫グロブリン複合体が、検出可能に標識された抗Ig-アイソタイプ抗体のそれぞれの種類と、連続工程において別々に合わされる、請求項1~19いずれか記載の方法。
【請求項22】
検出工程が、フローサイトメトリーまたはマスサイトメトリーを使用して行われる、前記請求項いずれか記載の方法。
【請求項23】
工程a)~c)が、約30分~3時間の時間で行われる、前記請求項いずれか記載の方法。
【請求項24】
それぞれのテータ点についての少なくとも1つの精度の標識を決定する工程をさらに含む方法であって、精度の標識が、感度、特異性、一致(相関)、正の予測値、負の予測値、偽陽性率または偽陰性率である、前記請求項いずれか記載の方法。
【請求項25】
試験試料特性が、特定の抗体アイソタイプの試験抗体についての試験試料の陽性または陰性であり、陽性または陰性が、全ての抗原に対する抗体アイソタイプについてのデータ点の一致により決定される、前記請求項いずれか記載の方法。
【請求項26】
試験試料特性が、特定の抗原に対する試験抗体についての試験試料の陽性または陰性であり、陽性または陰性が、全ての抗体アイソタイプについての抗原に対する抗体についてのデータ点の一致により決定される、請求項1~24いずれか記載の方法。
【請求項27】
試験試料特性についての少なくとも1つの精度の標識を決定する工程をさらに含む方法であって、精度の標識が、感度、特異性、一致(相関)、正の予測値、負の予測値、偽陽性率または偽陰性率である、請求項24または25記載の方法。
【請求項28】
試験試料特性を決定するために単一の種類のデータ点のみを使用する対応するアッセイと比較して、試験試料特性の特異性が、感度の減少なく増加する、請求項27記載の方法。
【請求項29】
試験試料特性を決定するために単一の種類のデータ点のみを使用する対応するアッセイと比較して、特異性が少なくとも10倍増加する、請求項28記載の方法。
【請求項30】
少なくとも2つの抗原に対する抗体の少なくとも2つのアイソタイプについての試験試料のダブルマルチプレックス化アッセイのためのシステムであって:
a) 少なくとも2つの抗原にコンジュゲートした少なくとも2種類の同定可能に標識された微小粒子、ここで同定可能に標識された微小粒子のそれぞれの種類は、異なる抗原にコンジュゲートする;
b) 少なくとも2種類の微小粒子-免疫グロブリン複合体、ここで微小粒子-免疫グロブリン複合体のそれぞれの種類は、抗原および抗原に特異的に結合する試験試料由来の試験抗体にコンジュゲートした同定可能に標識された微小粒子を含む;ならびに
c) 少なくとも2種類の微小粒子-免疫グロブリン-抗Ig-アイソタイプ複合体、ここで微小粒子-免疫グロブリン-抗Ig-アイソタイプ複合体のそれぞれの種類は、抗原、抗原に特異的に結合する試験試料由来の試験抗体、および試験抗体に結合する少なくとも1つの検出可能に標識された抗Ig-アイソタイプ抗体にコンジュゲートした、同定可能に標識された微小粒子を含む、
を含む、システム。
【請求項31】
微小粒子-免疫グロブリン-抗Ig-アイソタイプ複合体のそれぞれの種類が、試験抗体に結合した少なくとも2種類の検出可能に標識された抗Ig-アイソタイプ抗体を含む、請求項30記載のシステム。
【請求項32】
少なくとも2つの抗原に対する抗体の少なくとも2つのアイソタイプについての試験試料のダブルマルチプレックス化アッセイのためのキットであって:
a) 1種類以上の同定可能に標識された微小粒子、ここで微小粒子のそれぞれの種類は異なる抗原にコンジュゲートする;および
b) 2種類以上の検出可能に標識された抗Ig-アイソタイプ抗体、ここで抗Ig-アイソタイプ抗体のそれぞれの種類は、異なる免疫グロブリンアイソタイプまたはサブタイプに結合する、
を含む、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本開示は、抗体をアッセイするための方法、ならびに関連のある組成物、システムおよびキットを提供する。より具体的に、該開示は、複数の異なる抗原に対する複数の免疫グロブリンアイソタイプを同時に検出するダブルマルチプレックスアッセイに関する。ダブルマルチプレックスアッセイは、単一の試験試料を使用して実施され得る。
【背景技術】
【0002】
背景
現在、ほとんどの抗体または免疫グロブリン試験は、それぞれのアイソタイプについておよび単一の抗原に対して一度に、別々の反応において行われる。このプロセスは、1つより多くのアイソタイプの抗体の検出についてまたは1つより多くに対して複数の反応を必要とする。抗体の検出のための現在の試験は、主に、ELISA(酵素標識イムノソルベント検定法)またはLFA(ラテラルフローアッセイ)プラットホーム(platform)に基づき、それらは、特に複数の抗原に対する複数の免疫グロブリンアイソタイプまたは抗体の検出が望ましい場合には、実施するには比較的高価であり、時間を消費する。Luminexにより販売されるビーズベースのプラットホームなどの他のアッセイは、シングルマルチプレックスであり、複数の抗原に対する抗体の検出を可能にするが、免疫グロブリンアイソタイプ(isotypes)を識別しないかまたは一度に1つの免疫グロブリンアイソタイプの検出を可能にするのみであるかのいずれかである。
【発明の概要】
【0003】
簡単な概要
一態様によると、本開示は、試験試料中の少なくとも2つの抗原に対する抗体の少なくとも2つのアイソタイプを検出するためのダブルマルチプレックスアッセイ法を提供する。該方法は、試験抗体を含む試験試料と、少なくとも2種類の同定可能に標識された微小粒子の混合物を合わせて、抗原に特異的に結合する試験抗体と微小粒子-免疫グロブリン複合体を形成する工程を含み、ここで同定可能に標識された微小粒子のそれぞれの種類は、異なる抗原にコンジュゲートされる。次に、該方法は、微小粒子-免疫グロブリン複合体と、少なくとも2つの異なる免疫グロブリンアイソタイプに対する検出可能に標識された抗Ig-アイソタイプ抗体を合わせて、微小粒子-免疫グロブリン-抗Ig-アイソタイプ複合体を形成する工程を含む。該方法はさらに、微小粒子-免疫グロブリン-抗Ig-アイソタイプ複合体について、同定可能に標識された微小粒子型および抗Ig-アイソタイプ抗体型を検出して、検出データを作成する工程を含む。該方法はさらに、検出データを合わせるかまたは分析して、少なくとも4つの別個のデータ点を作成する工程を含み、それぞれのデータ点は、試験抗体アイソタイプと抗原特異性の異なる組み合わせに対応する。該方法はまた、データ点を使用して、試験試料特性を決定する工程を含む。
【0004】
該開示は、1つ以上の以下のさらなる特徴を有するより具体的な態様を提供し、これらは互いにおよび実施例を含む本明細書の他の要素と合わされ得る。
【0005】
異なる抗原は、単一の生物学的供給源由来であり得、試験試料特性は、被験体が生物学的供給源に対する抗体について陽性であるかまたは陰性であるかということであり得る。
【0006】
少なくとも3つの異なる抗原は、少なくとも3種類の同定可能に標識された微小粒子にコンジュゲートされ得、少なくとも3つの(at against least three)異なる免疫グロブリンアイソタイプに対する検出可能に標識された抗Ig-アイソタイプ抗体は、少なくとも9個の別個の種類のデータ点を作成するために使用され得る。
【0007】
試験試料は、ヒト被験体由来であり得る。
【0008】
試験試料は、0.1~20.0μLの体積を有し得る。
【0009】
試験試料は、全血、血清、血漿、鼻分泌物、痰、気管支洗浄物、尿、便または唾液、特に全血、血清または血漿、およびより具体的には指穿刺(finger-stick)により得られる全血、血清または血漿であり得る。
【0010】
試験試料は、少なくとも2種類の同定可能に標識された微小粒子の混合物と合わせる前に希釈され得る。より具体的に、希釈された生物学的試料は、20~50μlの体積を有し得る。
【0011】
同定可能に標識された微小粒子はマイクロスフィアであり得る。
【0012】
微小粒子は、0.001μm~1000μmの長さの断面を有し得る。
【0013】
同定可能に標識された微小粒子は、サイズ、磁性特性、蛍光、紫外線励起蛍光波長、紫線励起(violet-excited)蛍光波長、蛍光強度、金属同位体またはそれらの任意の組合せにより同定可能であり得る。
【0014】
検出可能に標識された抗Ig-アイソタイプ抗体は、蛍光特性、発光特性もしくは比色定量特性またはそれらの任意の組合せにより同定可能であり得る。
【0015】
抗Ig-アイソタイプ抗体は、IgG、IgM、IgAまたはそれらの任意の組合せに対する抗体を含み得、より具体的に、抗原は、ウイルス、細菌、移植された臓器もしくは組織、腫瘍または癌由来のものであり得る。
【0016】
抗Ig-アイソタイプ抗体は、IgGサブタイプに対する抗体を含み得、より具体的に、抗原は、ウイルス、細菌、移植された臓器もしくは組織、腫瘍または癌由来のものであり得る。
【0017】
抗Ig-アイソタイプ抗体は、IgEサブタイプに対する抗体を含み得、より具体的に、抗原は、アレルゲン由来のものであり得る。
【0018】
微小粒子-免疫グロブリン複合体は、検出可能に標識された抗Ig-アイソタイプ抗体の混合物と合わされ得る。
【0019】
代替的に、微小粒子-免疫グロブリン複合体は、連続工程において検出可能に標識された抗Ig-アイソタイプ抗体のそれぞれの種類と別々に合わされ得るか、または微小粒子-免疫グロブリン複合体は、1つのサブ混合物当たり1工程で、連続工程において抗Ig-アイソタイプ抗体の全てではないがいくつかのサブ混合物と別々に合わされ得る。
【0020】
検出工程は、フローサイトメトリーまたはマスサイトメトリーを使用して行われ得る。
【0021】
データ点を作成する工程による第1の組合せは、約30分~3時間の時間で行われ得る。
【0022】
該方法はさらに、それぞれのデータ点についての精度の少なくとも1つの指標を決定する工程を含み得、ここで精度の指標は、感度、特異性、一致(相関)、正の予測値、負の予測値、偽陽性率または偽陰性率である。
【0023】
試験試料特性は、特定の抗体アイソタイプの試験抗体についての試験試料の陽性または陰性であり得、陽性または陰性は、全ての抗原に対する抗体アイソタイプについてのデータ点の一致により決定され得る。
【0024】
代替的にまたは付加的に、試験試料特性は、特定の抗原に対する試験抗体についての試験試料の陽性または陰性であり得、陽性または陰性は、全ての抗体アイソタイプについての抗原に対する抗体についてのデータ点の一致により決定され得る。
【0025】
該方法はさらに、試験試料特性についての精度の少なくとも1つの指標を決定する工程を含み得、ここで精度の指標は、感度、特異性、一致(相関)、正の予測値、負の予測値、偽陽性率または偽陰性率である。
【0026】
試験試料特性の特異性は、試験試料特性を決定するために単一の種類のデータ点のみを使用する対応するアッセイと比較して、感度の減少なく増加され得る。
【0027】
代替的にまたは付加的に、試験試料特性の特異性は、試験試料特性を決定するために単一の種類のデータ点のみを使用する対応するアッセイと比較して、少なくとも10倍増加され得る。
【0028】
別の態様において、本開示はさらに、少なくとも2つの抗原に対する抗体の少なくとも2つのアイソタイプについての試験試料のダブルマルチプレックス化アッセイについてのシステムを提供する。該システムは、少なくとも2つの抗原にコンジュゲートされた少なくとも2種類の同定可能に標識された微小粒子、ここで同定可能に標識された微小粒子のそれぞれの種類は異なる抗原にコンジュゲートされる;少なくとも2種類の微小粒子-免疫グロブリン複合体、ここで微小粒子-免疫グロブリン複合体のそれぞれの種類は、抗原および抗原に特異的に結合する試験試料由来の試験抗体にコンジュゲートされた同定可能に標識された微小粒子を含む;ならびに少なくとも2種類の微小粒子-免疫グロブリン-抗Ig-アイソタイプ複合体、ここで微小粒子-免疫グロブリン-抗Ig-アイソタイプ複合体のそれぞれの種類は、抗原、抗原に特異的に結合する試験試料由来の試験抗体および試験抗体に結合する少なくとも1つの検出可能に標識された抗Ig-アイソタイプ抗体にコンジュゲートされた同定可能に標識された微小粒子を含む、を含む。
【0029】
システムのより具体的な態様において、微小粒子-免疫グロブリン-抗Ig-アイソタイプ複合体のそれぞれの種類は、試験抗体に結合した少なくとも2種類の検出可能に標識された抗Ig-アイソタイプ抗体を含む。
【0030】
該システムは、上述の方法または本明細書に開示される任意の他の方法のいずれかを実施するように操作可能であり得、本明細書に開示される任意の組成物を含み得る。
【0031】
さらなる態様において、本開示はまた、少なくとも2つの抗原に対する抗体の少なくとも2つのアイソタイプについての試験試料のダブルマルチプレックス化アッセイのためのキットを提供する。該キットは、1種類以上の同定可能に標識された微小粒子、ここで微小粒子のそれぞれの種類は異なる抗原にコンジュゲートされる;および2種類以上の検出可能に標識された抗Ig-アイソタイプ抗体、ここで抗Ig-アイソタイプ抗体のそれぞれの種類は、異なる免疫グロブリンアイソタイプまたはサブタイプに結合する、を含む。キットはさらに、上述の方法もしくは本明細書に開示される任意の他の方法のいずれかに従った使用のため、または上述のシステムのいずれかもしくは本明細書に開示される任意の他のシステムもしくは組成物を形成するための指示書を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図面の簡単な説明
【
図1】
図1は、本開示による例示的なダブルマルチプレックスアッセイのフローチャートである。
【
図2】
図2は、ダブルマルチプレックスアッセイに有用な材料の概略図である。
【
図3】
図3は、SARS-CoV-2曝露陰性試験試料およびSARS-CoV-2陽性試験試料におけるウイルススパイク(S)タンパク質の受容体結合ドメイン(RBD)である1つのSARS-CoV-2抗原に対する3つの免疫グロブリンアイソタイプ(IgG、IgMおよびIgA)についての比較シングルマルチプレックスアッセイを使用して得られたメジアン蛍光強度(MFI)測定値を示す。3つの免疫グロブリンアイソタイプに対応する3つの個々の試料を示す。
【
図4】
図4は、ELISAと本明細書に記載されるダブルマルチプレックスアッセイ(DM-Ab)の間のアッセイ感度の比較を示す。信号対雑音比(S/N)は、3つのSARS-CoV-2抗原(スパイクタンパク質S1(S1)、RBDおよび核タンパク質(NP))のそれぞれに対する3つの免疫グロブリンアイソタイプ(IgG、IgMおよびIgA)についてのダブルマルチプレックスアッセイにおいて定量化される。
【
図5A】
図5は、本開示のダブルマルチプレックスアッセイにより決定された情報を含む例示的な報告を示す。
【
図5B】
図5は、本開示のダブルマルチプレックスアッセイにより決定された情報を含む例示的な報告を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
詳細な説明
本開示は、抗体をアッセイするための方法、ならびに関連のある組成物、システムおよびキットを提供する。より具体的に、本開示は、複数の異なる抗原に対する複数の免疫グロブリンアイソタイプを同時に検出して、異なる抗原と免疫グロブリンアイソタイプの組合せについての別個の種類のデータ点を提供するダブルマルチプレックスアッセイに関する。ダブルマルチプレックスアッセイは、単一のアッセイにおいて被験体由来の単一の試験試料を使用して実施され得る。ダブルマルチプレックスアッセイは、データ点を使用して試験試料特性に関する情報を提供し得る。
【0034】
具体的な態様において、異なる抗原は、単一の生物学的供給源由来のものであり、試験試料特性は、被験体が生物学的供給源に対する抗体について陽性であるかまたは陰性であるかということである。
【0035】
次いで、試験試料特性に関する情報をさらに使用して、被験体を診断し得る。例えば、情報は、被験体が以前に、異なる抗原の少なくとも2つと関連のある感染性の剤に曝露されたか、またはそうであれば曝露後の日数、強壮な免疫応答が生じたかどうか、保護的免疫応答が生じたかどうか、複数の曝露が起こる可能性があったかどうか、感染性の剤が被験体の実際の感染を生じたかどうか、またはそうであれば、感染が現在起こっているか、感染の病期もしくは重症度、感染が解決されたかどうか、または感染が解決してからどのくらいたったかを決定するために使用され得る。
【0036】
また、同じ被験体由来の異なる試験試料から収集された試験試料特性はまた、同じ型または異なる型(the same type of different types)のいずれにせよ、被験体を診断するために同時にまたは経時的に使用され得る。例えば同じ被験体から収集された異なる型の試験試料は、特に試料が被験体の異なる位置から得られるかもしくは異なる種類である(例えば血液および別の試料として痰)場合に感染の程度、または感染性の剤への曝露に対する免疫応答の程度、あるいはいずれかの場合において免疫応答が強壮であるかまたは保護的であるかを同時に示し得る。別の例として、同じ被験体から収集された同じ型の試験試料は経時的に、感染が広がったかどうか、有効な免疫応答が生じたかどうか、免疫応答が適切に解決しているかどうか、または強壮もしくは保護的な免疫応答が備わった(mounted)かどうかもしくは維持されているかどうかを示し得る。
【0037】
例えば、免疫グロブリンアイソタイプは、身体内の抗原に対する抗体応答の間に、異なる機能、局在化および動力学を示す。したがって、免疫グロブリンアイソタイプの識別において、本開示のダブルマルチプレックスアッセイは、全免疫グロブリンを非特異的に測定するアッセイと比較して、特有の包括的なデータを提供し得る。
【0038】
本明細書に記載されるいくつかのダブルマルチプレックスアッセイのさらなる利益は、試験試料中に存在する異なる抗原についての免疫グロブリンの異なるアイソタイプの量を定量化する能力であり、これは、多くの従来の試験法では提供されない、免疫の質および持続時間に関する情報を提供し得る。
【0039】
本明細書に示される態様はしばしば、感染性疾患抗原を検出するために使用される場合のダブルマルチプレックスアッセイに焦点を当てるが、他の抗原も検出され得ることが理解される。例えば、癌抗原に対する抗体を検出して、癌、癌の進行もしくは寛解、癌に対する免疫応答の詳細、または癌の治療に対する応答を診断し得る。別の例として、自己抗原に対する自己抗体を検出して、自己免疫疾患、自己免疫応答の詳細または自己免疫疾患の治療に対する応答を診断し得る。同様に、抗体を使用して、チェックポイント遮断阻害剤を受ける癌患者において形成される自己抗体などの免疫制御療法の有害な効果を検出し得る。別の例として、アレルゲンに対する抗体、特にIgEアイソタイプの抗体を検出して、治療に対するアレルギーまたは応答、例えば耐性の発生を診断し得る。さらに別の例として、移植のための臓器および組織に対する抗体を検出して、移植の適切さ、拒絶関連免疫応答が実際の拒絶を引き起こす潜在的に前の拒絶関連免疫応答の発生、または耐性の発生などの抗拒絶治療に対する応答を決定し得る。抗原の適切な単一の生物学的供給源は、それぞれの例において選択され得る。例えば、ウイルス、細菌、真菌、寄生生物、腫瘍、癌細胞、アレルゲン、自己組織、移植された臓器またはワクチン抗原(1つまたは複数)または他のワクチン構成成分は、単一の生物学的供給源であり得る。他のアッセイにおいて、複数の生物学的供給源から抗原を一度に検出するために単一アッセイを行うことが有益であり得る。
【0040】
本開示のダブルマルチプレックスアッセイに適切な試験試料サイズは、小さすぎて、対応する別々のELISAまたはLFAを、全ての抗原と免疫グロブリンアイソタイプの組合せについて実施することができないので、ダブルマルチプレックスアッセイから得られるデータ点の種類の総数は、異なる抗原と免疫グロブリンアイソタイプの組合せのいくつかを同じサイズの試験試料を使用した別々のELISAまたはLFAにより評価することにより得られ得るものよりも多くあり得る。
【0041】
データ点または試験試料特性のそれぞれの種類に関する情報は、それぞれの異なる抗原と免疫グロブリンアイソタイプの組合せを別々のELISAまたはLFAにより評価することにより得られる予測値と、少なくとも同等に良好であるかまたはそれよりも良好である予測値を有し得る。
【0042】
本明細書に記載されるダブルマルチプレックスアッセイの別の潜在的な利点は、複数の種類のデータ点を使用して試験試料特性を決定することが、対応する感度を犠牲とすることなく、アッセイ特異性を増加し得ることである。特異性は、正確に同定される陽性試験試料の数の測定値である。より多くの種類のデータ点を評価することは、アッセイが真の陽性を正確に同定して、それにより特異性を高める可能性を増加する。感度は、正確に同定される陰性試験試料の数の測定値である。典型的に、アッセイが真の陽性結果の最大数を同定する能力は、偽陰性結果の数の増加という犠牲を払って生じる(comes at the cost)。すなわち、特異性の増加はしばしば、感度の低下を生じる。しかしながら、本明細書に開示される方法において、複数の種類のデータ点のそれぞれについての陽性閾値は個々に決定される。したがって、マルチプレックスな様式では作動しない多くの従来のアッセイとは異なり、本明細書に記載されるダブルマルチプレックスアッセイは、優れた感度および優れた特異性の両方を提供する。
【0043】
本開示のいくつかのダブルマルチプレックスアッセイはまた、複数の病因病原体に対する種々の免疫グロブリンアイソタイプまたは抗体の存在を評価するために、複数のアッセイではなく単一のアッセイを行うことにより、従来の方法と比較して、試験試料特性を決定するための時間または費用を低減し得る。
【0044】
さらに、本開示のいくつかのダブルマルチプレックスアッセイにおいて小さい体積の試験試料を使用する能力は、従来のアッセイと比較して、より高頻度でより侵襲性でない試料の収集を容易にし得る。小さい体積の試験試料、および特にマイクロリットル以下(sub-microliter)の試験試料の使用はまた消費者に直接的な用途および非医学的設定における試料収集への該アッセイの適合を容易にする。
【0045】
ここで、本開示の全ての他の局面と組み合され得る
図1~2に示される態様を参照すると、
図1は、本開示によるダブルマルチプレックスアッセイ100のフローチャートを提供する。
図2は、
図1のダブルマルチプレックスアッセイにおいて使用されるかまたはそれにより作製される組成物の概略図を提供する。
図1~2の態様は3つの抗原を使用して、3つの免疫グロブリンアイソタイプを検出し、9種類のデータ点を得るが、該態様は、2つほどの少ない抗原を使用して、2つほどの少ない免疫グロブリンアイソタイプを検出し、4種類のデータ点を得るため、またはより多くの異なる抗原もしくは免疫グロブリンアイソタイプを検出して、より多くの種類のデータ点を得るために本開示の教示を使用して、容易に適合され得る。
【0046】
本明細書で使用する場合、用語「抗原」は、被験体において免疫応答を引き起こし得るタンパク質 ポリペプチド、ペプチド、DNA、RNA、ポリ核酸、核酸またはアレルゲンをいう。抗原は、細菌、ウイルスもしくは真菌などの疾患を引き起こす因子に関連し得るかまたは被験体においてアレルギーまたは自己免疫の反応を引き起こし得るタンパク質もしくはペプチドであり得る。
【0047】
本明細書で使用する場合、用語「抗体」および「免疫グロブリン」は交換可能であり、宿主被験体の体内でまたは組織培養方法により、標的抗原に対する親和性を有するように創出される免疫学的タンパク質をいう。抗体または免疫グロブリンは、それが親和性を有する抗原に「対する」かまたは抗原に「結合する」と言われる。免疫グロブリン(Ig)は、IgG、IgM、IgA、IgEおよびIgDなどの複数のアイソタイプで生じる。特定のアイソタイプはサブタイプにさらに分けられる。例えばIgGアイソタイプは、サブタイプIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4を含む。本明細書で使用する場合、用語「アイソタイプ」は、アイソタイプおよびアイソタイプのサブタイプの両方を含む。
【0048】
本明細書で使用する場合、用語「エピトープ」は、抗体が結合する任意の抗原の一部をいう。1つの抗原は複数のエピトープを含み得、同じ抗原に対する異なる抗体は、該抗原の同じまたは異なるエピトープに結合し得る。本明細書における議論は、異なる抗原を使用したダブルマルチプレックスアッセイに焦点を当てるが、同じ抗原が、抗原全体ではなくエピトープに特異的である数種類のデータ点を得るために有用である場合にも、同じ抗原の2つ以上の異なるエピトープを使用して、同様のアッセイを行い得る。
【0049】
本明細書で使用する場合、用語「試験試料」は、標的抗原(1つまたは複数)に結合する免疫グロブリンの存在についてアッセイされる試料をいう。試験試料は、被験体由来の生物学的試料である。試験試料の例としては、限定されないが、全血、血清、血漿、鼻分泌物、痰、気管支洗浄物、尿、便、唾液、汗および膜免疫グロブリンを有する細胞(例えば記憶B細胞)が挙げられる。
【0050】
本明細書で使用する場合、用語「約」は、そうではないと示されない限り、示される範囲、値または構造の±20%を意味する。
【0051】
用語「a」および「an」は、本明細書で使用される場合、数えられた構成成分の「1つ以上」をいうことが理解されるべきである。選択肢(例えば「または」)の使用は、選択肢のいずれか1つ、両方またはそれらの任意の組合せを意味すると理解されるべきである。
【0052】
本明細書で使用する場合、「アッセイ」は、時々「試験」とも称され得る。
【0053】
図1のダブルマルチプレックスアッセイ100は、試験試料中の試験抗体を検出する。工程110において、被験体由来の試験試料は、それぞれが異なるコンジュゲートされた抗原を有する少なくとも2種類の同定可能に標識された微小粒子と、試験試料中の試験抗体を、試験抗体が微小粒子-免疫グロブリン複合体を形成するような親和性を有する同定可能に標識された微小粒子上の任意の抗原に特異的に結合させる条件下で合わされる。
【0054】
いくつかの態様において、同定可能に標識された微小粒子は、微小粒子-免疫グロブリン複合体の形成を容易にする時間、試験試料と合わされる。例えば、工程110の時間は、1分、2分、5分、10分、20分またはこれらの時間のいずれかの間の間隔であり得る。
【0055】
いくつかの態様において、試験試料は、被験体由来の全血、血清、血漿、間質液、鼻分泌物、痰、気管支洗浄物、尿、便、唾液または汗である。ある態様において、試験試料は、全血、血清または血漿である。試験試料は、0.1μl以上の体積、例えば0.1~0.5μl、0.1~0.7μl、0.1~0.9μl、0.1~2.0μL、0.1~3.0μL. 0.1~5.0μL、0.1~10.0μL、0.1~15.0μLまたは0.1~20.0μLの体積を有し得る。いくつかの態様において、生物学的試料の体積は、0.1μl、0.2μl、0.3μl、0.4μl、0.5μl、0.6μl、0.7μl、0.8μl、0.9μl、1.0μl、1.1μl、1.2μl、1.3μl、1.4μl、1.5μl、1.6μl、1.7μl、1.8μl、1.9μl、2.0μl、2.1μl、2.2μl、2.3μl、2.4μl、2.5μl、2.6μl、2.7μl、2.8μl、2.9μl、3.0μl、3.1μl、3.2μl、3.3μl、3.4μl、3.5μl、3.6μl、3.7μl、3.8μl、3.9μl、4.0μl、4.1μl、4.2μl、4.3μl、4.4μl、4.5μl、4.6μl、4.7μl、4.8μl、4.9μl、5.0μl、5.5μl、10μl、10.5μl、11μl、11.5μl、12μl、12.5μl、13μl、13.5μl、14μl、14.5μl、15μl、15.5μl、16μl、16.5μl、17μl、17.5μl、18μl、18.5μl、19μl、19.5μlまたは20μlである。試験試料は、収集バイアル中に見られる安定化剤などの不変のものまたは構成成分として使用され得、収集プロセスの間に試験試料と混合され得る。構成成分が収集プロセスの間に試験試料と混合される例において、試験試料体積は、収集プロセスの間に構成成分と混合された後の体積ではなく、被験体から実際に得られた体積である。かかる例において、試験試料体積は、収集プロセスの間に試料と混合された構成成分に起因すると推定される任意の体積を、かかる混合の後に存在する体積から差し引くことにより推定され得る。
【0056】
いくつかの態様において、試験試料は、アッセイされる前に希釈される。例えば試験試料は、1:40、1:30、1:20、1:10、1:5、1:2または1:1に希釈され得る。試料希釈のための適切なバッファは、当該技術分野において周知である。いくつかの態様において、試験試料は、1%ウシ血清アルブミン(BSA)を含むPBSバッファ中に希釈される。試験試料体積は任意の希釈剤体積を含まない。
【0057】
試験試料は、被験体からの試験試料の収集の直後、約5分以内、約10分以内、約30分以内、約60分以内、約2時間以内、約12時間以内、約24時間以内、約48時間以内またはこれらの時点のおよそいずれかの間の時間間隔の間にダブルマルチプレックスアッセイの工程110において使用され得る。特にダブルマルチプレックスアッセイの工程110における収集と使用の間により長い時間が経過する場合に、適切な安定化または保存構成成分が試験試料に添加され得る。必要な場合は、試験試料は凍結され得る。
【0058】
試験試料はまた、患者から直接得られるような試料の処理により生じ得る。例えば試験試料が血漿である場合、血漿は、患者から直接得られるような全血試料を遠心分離することにより得られ得る。
【0059】
試験試料は、任意の適切な方法および容器を使用して収集され得る。例えば、全血、血清または血漿は、真空チューブ中での静脈穿刺により収集され得る。全血、血清または血漿は、指穿刺および毛細管作用デバイスによっても収集され得る。全血、血清、血漿または間質液は、グルコースモニタリングにおいて一般的に使用される腕穿刺(stick)などの代替的な部位の穿刺および毛細管作用デバイスを使用して収集され得る。被験体により分泌または放出される試料は、標準的な実験室プロセスおよび設備を使用して簡単に収集され得る。気管支肺胞洗浄試料は気管支鏡を使用して収集され得る。気管支肺胞洗浄液の限定的な例において、試験試料体積は、試験試料を得るために気道に導入される流体を含み得る。
【0060】
試験試料は、同定可能に標識された微小粒子と合わせる前に希釈され得る。いくつかの態様において、これは、20~50μlの体積まで希釈され得る。
【0061】
工程110において使用される微小粒子は、
図2に図示される微小粒子200を含み得る。微小粒子200は、ダブルマルチプレックスアッセイ100における使用のための任意の適切なサイズおよび形状のものであり得、マイクロメートルまたはナノメートルのスケールの断面寸法を有し得る。微小粒子はビーズとも称され得る。ある態様において、微小粒子200は、0.001μm~1000μmの長さ、0.01μm~100μmの長さ、0.1μm~50μmの長さ、0.1μm~10μmの長さ、1μm~10μmの長さ、1μm~6μmの長さ、1μm~5μmの長さまたは1μm~3μmの長さの断面を有する。ある態様において、微小粒子は、球状またはほぼ球状であり、かかる場合において、断面は、直径の(diametric)断面であり得、微小粒子はマイクロスフィアと称され得る。微小粒子は、分子が結合され得る表面を有する。かかる結合された分子は、微小粒子にコンジュゲートされていると称される。
【0062】
本明細書で使用する場合、用語「同定可能に標識される」は、異なる種類の微小粒子または分子が識別されることを可能にする化学的または物理的特徴を有する微小粒子または分子をいう。例えば、所定の種類のそれぞれの同定可能に標識された微小粒子は、異なる種類の同定可能に標識された微小粒子から識別され得る。サイズ、磁性特性、蛍光特性(例えば紫外線励起または紫線励起を使用した励起または放射の波長または強度)および金属同位体特性などの任意の適切な同定可能な標識が使用され得る。同定可能な標識は、微小粒子もしくは分子自体の特性であり得るか、または標識の、微小粒子もしくは分子へのコンジュゲーションにより生じ得る。微小粒子に結合する異なる抗原を有するそれぞれの異なる種類の微小粒子は、異なるおよび別個の同定可能な標識を有する。
【0063】
図2に図示される態様において、3種類の同定可能に標識された微小粒子である型200a、型200bおよび型200cが図示される。同定可能に標識された微小粒子型200aは、同定可能に標識された微小粒子型200bおよび同定可能に標識された微小粒子型200cとは異なる同定可能な標識を有する。同定可能に標識された微小粒子型200bおよび200cは同様に、異なるおよび別個の同定可能な標識を有する。
【0064】
同定可能に標識された微小粒子のそれぞれの種類は、抗原210が結合する表面を有し得る。いくつかの態様において、同定可能に標識された微小粒子のそれぞれの種類は、異なる結合された抗原を有し得る。例えば、
図2における異なる種類の同定可能に標識された微小粒子200a、200bおよび200cはそれぞれ、結合された異なる種類の抗原210a、210bおよび210cのそれぞれを有する。いくつかの態様において、
図2に図示されるものなどの同定可能に標識された微小粒子のそれぞれの種類は、1つのみの結合された別個の抗原を有する。
【0065】
抗原210は、直接またはペプチドもしくはポリペプチドを介して表面に結合された同定可能に標識された微小粒子200の表面にコンジュゲートされ得る。抗原210は、イオン結合、水素結合、共有結合、ファン・デル・ワールスおよび親水性/疎水性相互作用などの任意の種類の結合相互作用により表面にコンジュゲートされ得る。それぞれの同定可能に標識された微小粒子は、その抗原の複数のコピーにコンジュゲートされ得る。微小粒子200にコンジュゲートされ得る抗原210の種類としては、ポリペプチド、タンパク質および核酸が挙げられる。
【0066】
いくつかの態様において、同定可能に標識された微小粒子200についての異なるおよび別個の標識は、抗原210の微小粒子200へのコンジュゲーションの前または後のいずれかに抗原210に結合されることにより、微小粒子にコンジュゲートされ得る。
【0067】
少なくとも2つの異なる抗原を有する少なくとも2種類の同定可能に標識された微小粒子200は、ダブルマルチプレックスアッセイ工程110において試験試料と合わされる。いくつかの態様において、2~500種類の同定可能に標識された微小粒子200の3、2~4、2~5、2~6、2~7、2~8、2~9、2~10、2~20、2~50、2~100が、ダブルマルチプレックスアッセイ工程110において試験試料と合わされる。いくつかの態様において、2~500の異なる抗原210の2~4、2~5、2~6、2~7、2~8、2~9、2~10、2~20、2~50、2~100が、ダブルマルチプレックスアッセイ工程110において試験試料と合わされる同定可能に標識された微小粒子200にコンジュゲートされる。
【0068】
ダブルマルチプレックスアッセイ工程110の間に、同定可能に標識された微小粒子上の抗原に対する試験試料中の試験抗体220は、該抗原に特異的に結合して、微小粒子-免疫グロブリン複合体230を形成する。
【0069】
試験試料中の試験抗体220は、1つのみのアイソタイプまたは複数のアイソタイプのものであり得る。
図2に図示される態様において、試験抗体220は、IgG 220a、IgM 220bおよびIgA 220cを含む。図示されない他の可能なアイソタイプとしては、IgEおよびIgDが挙げられる。微小粒子免疫グロブリン複合体230は全て、それぞれの抗原210に結合される試験抗体220の3つのアイソタイプを含む。しかしながら、微小粒子免疫グロブリン複合体230は、試験試料が他のアイソタイプを含まない場合は、試験抗体220の1つのみのアイソタイプを含み得る。例えば、抗原を含む感染性剤への被験体の免疫応答の初期に、IgMアイソタイプはアイソタイプスイッチングなしでB細胞により発現され得るので、試験試料はIgMアイソタイプのみを含み得る。
【0070】
抗原210に応じて、ある種類の同定可能に標識された微小粒子が、1つのみの抗体アイソタイプを含む微小粒子-免疫グロブリン複合体230を形成し得、一方で異なる抗原を有する異なる種類の同定可能に標識された微小粒子が、さらなる抗体アイソタイプを含む微小粒子-免疫グロブリン複合体を形成し得ることが可能であり得る。かかる状況は、例えば第1の種類の同定可能に標識された微小粒子上の抗原が、被験体が最近曝露された感染性剤のみに対して特有であり、そのために該感染性剤に対するIgMのみを生じ、一方で第2の種類の同定可能に標識された微小粒子上の抗原が、被験体が過去に長期間曝露された最近の感染性剤および別の感染性剤の両方に共通である場合に生じ得、B細胞アイソタイプスイッチングを可能にする。
【0071】
典型的に、同定可能に標識された微小粒子200のそれぞれは、試験試料中に見有られる抗原210に対する試験抗体220の全てのアイソタイプが形成された微小粒子-免疫グロブリン複合体230の大部分中にも存在することを可能にするのに十分な抗原210のコピーを含む。
【0072】
工程110の終了の際に、ダブルマルチプレックスアッセイのいくつかの態様において、微小粒子-免疫グロブリン複合体は、複合体を実質的に崩壊させない条件下で洗浄される。例えば、微小粒子-免疫グロブリン複合体は、リン酸緩衝化食塩水(PBS)により洗浄され得る。これは、微小粒子-免疫グロブリン複合体から結合しなかった試験試料構成成分を除去し得、次いでさらなるPBSなど、該複合体を維持するのに適切な液体中に配置され得る。
【0073】
ダブルマルチプレックスアッセイ100の他の態様において、ダブルマルチプレックスアッセイは、洗浄なしで工程110から工程120へと直接進行する。
【0074】
工程120において、微小粒子-免疫グロブリン複合体は、抗Ig-アイソタイプ抗体が、抗Ig-アイソタイプ抗体が親和性を有する微小粒子-免疫グロブリン複合体中の試験抗体に特異的に結合して、微小粒子-免疫グロブリン-抗Ig-アイソタイプ複合体を形成させるのに十分なものを形成する条件下で、2つの異なるIgアイソタイプに対する抗Ig-アイソタイプ抗体と合わされる。
【0075】
抗Ig-アイソタイプ抗体は、単一の工程において抗体の混合物として、複数の連続工程において複数の混合物としてまたは連続工程において一度に1つで、微小粒子-免疫グロブリン複合体と合わされ得る。例えば、微小粒子-免疫グロブリン複合体は、最初に抗IgG抗体と合わされ得、次いで全ての所望の抗Ig-アイソタイプ抗体が微小粒子-免疫グロブリン複合体と合わされるまで、抗IgM抗体、次いで抗IgA抗体などと合わされ得る。連続工程の場合、いくつかの態様において、微小粒子-免疫グロブリン複合体は工程の間に洗浄され得る。
【0076】
いくつかの態様において、微小粒子-免疫グロブリン複合体は、混合物としてまたは連続工程が使用される場合、それぞれの工程においてのいずれかで、抗Ig-アイソタイプ抗体と、微小粒子-免疫グロブリン-抗Ig-アイソタイプ複合体の形成を容易にする時間合わされる。例えば工程120の時間は、1分、2分、5分、10分、20分またはこれらの時間のいずれかの間の間隔であり得る。
【0077】
図2に示される態様において、3種類の異なる抗Ig-アイソタイプ抗体240が提供される。抗Ig抗体240aは、IgM抗体に特異的に結合する。抗Ig抗体240bは、IgG抗体に特異的に結合する。抗Ig抗体240cは、IgA抗体に特異的に結合する。しかしながら、工程120の抗Ig-アイソタイプ抗体240は、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つまたは少なくとも8つの免疫グロブリンアイソタイプまたはサブタイプに対するものであり得る。
【0078】
例示的な微小粒子-免疫グロブリン-抗Ig-アイソタイプ複合体250も
図2に示す。これらの例において、工程110で使用されるそれぞれの同定可能に標識された微小粒子200について、試験抗体220の3つのアイソタイプおよび3種類の抗Ig抗体240cも含む微小粒子-免疫グロブリン-抗Ig-アイソタイプ複合体250が形成される。しかしながら、抗原210に応じて、1種類の同定可能に標識された微小粒子が、1つのみの試験抗体アイソタイプおよび結果的に1種類のみの抗Ig抗体を含む微小粒子-免疫グロブリン-抗Ig-アイソタイプ複合体250を形成し得、一方で異なる抗原を有する異なる種類の同定可能に標識された微小粒子が、さらなる試験抗体アイソタイプおよび結果的にさらなる抗Ig抗体を含む微小粒子-免疫グロブリン-抗Ig-アイソタイプ複合体を形成し得ることが可能であり得る。
【0079】
典型的に、同定可能に標識された微小粒子200のそれぞれは、試験試料に見られ、抗Ig-アイソタイプ抗体に特異的に結合する抗原210に対する試験抗体220の全てのアイソタイプが、形成された微小粒子-免疫グロブリン-抗Ig-アイソタイプ複合体250の大部分中にも存在することを可能にするのに十分な抗原210のコピーを含む。
【0080】
抗Ig-アイソタイプ抗体240は、工程120における使用の前に検出可能に標識される。本明細書で使用する場合、用語「検出可能に標識される」は、粒子または分子の存在または量が検出されることを可能にする化学的または物理的特性を有する粒子または分子をいう。検出可能な標識としては、限定されないが、蛍光特性、発光特性および比色定量特性が挙げられる。例えば、識別可能な標識は、特定の蛍光の強度、周波数または周波数の組合せであり得る。蛍光特性を有する標識の例は、緑色蛍光タンパク質、フルオレセインおよびフィコエリトリンである。それぞれの異なる種類の抗Ig-アイソタイプ抗体は、抗体の識別を可能にする、異なるおよび別個の検出可能な標識を有する。
【0081】
図2に図示される態様において、3種類の検出可能に標識された抗Ig-アイソタイプ抗体240である型240a、型240bおよび型240cが図示される。検出可能に標識された抗Ig-アイソタイプ抗体型240aは、検出可能に標識された抗Ig-アイソタイプ抗体型240bおよび抗Ig-アイソタイプ抗体型240cとは異なる検出可能な標識を有する。検出可能に標識された抗Ig-アイソタイプ抗体型200bおよび200cは同様に、異なるおよび別個の同定可能な標識を有する。
【0082】
工程120の終了時に、いくつかの態様において、微小粒子-免疫グロブリン-抗Ig-アイソタイプ複合体は、複合体を実質的に崩壊させない条件下で洗浄される。例えば微小粒子-免疫グロブリン-抗Ig-アイソタイプ複合体は、リン酸緩衝化食塩水(PBS)で洗浄され得る。これは、微小粒子-免疫グロブリン-抗Ig-アイソタイプ複合体から結合しない抗Ig-アイソタイプ抗体を除去し得、次いで複合体を維持するかまたは工程130における検出を可能にするのに適切な液体、例えばさらなるPBS中に配置され得る。
【0083】
ダブルマルチプレックスアッセイ100の他の態様において、ダブルマルチプレックスアッセイは、洗浄なしで工程120から工程130へと直接進行する。
【0084】
工程130において、微小粒子-免疫グロブリン-抗Ig-アイソタイプ複合体は、個々の微小粒子-免疫グロブリン-抗Ig-アイソタイプ複合体について、同定可能な標識を検出することにより微小粒子型および検出可能な標識を検出することにより抗Ig-アイソタイプを検出して、検出データを作成する検出器に配置される。それぞれの検出された微小粒子-免疫グロブリン-抗Ig-アイソタイプ複合体中の同定可能に標識された微小粒子の同一性、およびアッセイされたそれぞれのアイソタイプに対する抗Ig-アイソタイプ抗体の存在もしくは非存在またはより典型的にその量は、それぞれの複合体について別々に収集もしくは保存され得るかまたは同定可能に標識された微小粒子型に基づいて総計で収集もしくは保存され得る。代替的にまたは付加的に、それぞれの検出された微小粒子-免疫グロブリン-抗Ig-アイソタイプ複合体中の抗Ig-アイソタイプ抗体の同一性、およびダブルマルチプレックスアッセイに使用される同定可能に標識された微小粒子のそれぞれの種類の存在もしくは非存在またはより典型的にその数は、それぞれの複合体について別々に収集もしくは保存され得るか、または抗Ig-アイソタイプ抗体型に基づいて総計で収集もしくは保存され得る。この文脈における収集および保存は、検出器と連絡するかまたはその一部であるプロセッサまたはメモリの使用を含む。
【0085】
ある態様において、微小粒子-免疫グロブリン-抗Ig-アイソタイプ複合体は、分類されるかまたは計数される。いくつかの態様において、検出器はフローサイトメーターである。例えば、同定可能に標識された微小粒子のそれぞれの種類は、その識別特性に基づいて識別され得、抗Ig-アイソタイプ抗体または同定可能に標識された微小粒子の所定の種類を有する複合体中の抗体は、それらの検出可能な標識に基づいて同定され得る。いくつかの態様において、微小粒子は、蛍光特性により同定可能に標識され、抗Ig-アイソタイプ抗体は、蛍光的に標識され、分析は、マルチカラーフローサイトメトリーを使用して実行される。いくつかの態様において、微小粒子は、紫外線励起または紫線励起蛍光特性により同定可能に標識され、抗Ig-アイソタイプ抗体は蛍光的に標識され、分析は、マルチカラーフローサイトメトリーを使用して実行される。
【0086】
いくつかの態様において、微小粒子は、金属同位体により同定可能に標識され、抗Ig-アイソタイプ抗体は金属同位体で標識され、検出器は、複数金属同位体マスサイトメーターである。
【0087】
いくつかの態様において、検出器は、マスサイトメトリー法、例えばCyTOF(登録商標)(Fluidigm, California)を使用する。飛行時間(time of flight)によるサイトメトリーとしても知られるCyTOF(登録商標)は、誘導的に連結された血漿質量分析法および飛行時間質量分析法に基づく技術である。この技術において、同位体的に純粋な元素、例えば重金属は、抗体にコンジュゲートされる。次いで、特有のマスサイン(mass signature)は、飛行時間質量分析法により分析される。
【0088】
本明細書で使用する場合、用語「対照」は、参照標準をいう。陽性対照は、陽性の試験結果を提供することが知られる。陰性対照は、陰性の試験結果を提供することが知られる。陽性および陰性の対照試料、微小粒子および抗Ig-アイソタイプ抗体も、ダブルマルチプレックスアッセイに含まれ得、適切な場合に工程130においてまたは別のダブルマルチプレックスアッセイにおいて検出され、さらなる検出データを提供し得る。
【0089】
工程140において、検出データは、合わされるかまたは分析されて、異なる抗原および抗体アイソタイプについて少なくとも4つの異なる種類のデータ点が作成される。組合せまたは分析は、検出データを提供された適切にプログラムされたプロセッサにより実施され得る。データ点は、プロセッサに関連するメモリに保存され得る。
【0090】
異なる抗原についての異なる同定可能に標識された微小粒子と検出可能に標識された抗Ig-アイソタイプ抗体の組合せは、標的抗原(1つまたは複数)に結合する、試験試料中に存在する試験抗体だけでなく、存在するこれらの試験抗体のアイソタイプまたはサブタイプの検出も可能にする。さらに、本明細書に開示される方法は、免疫グロブリンの存在を検出するだけでなく、別のデータ点として、試験抗原のそれぞれに結合する免疫グロブリンのそれぞれのアイソタイプまたはサブタイプのレベルに関する定量的または半定量的データも提供する。
【0091】
抗原と免疫グロブリンアイソタイプのそれぞれの可能な組合せは、別の種類のデータ点を生じる。その最も単純な形態において、ダブルマルチプレックスアッセイは、少なくとも2つの異なる抗原に対する試験抗体を検出し、試験抗体の少なくとも2つの異なる免疫グロブリンアイソタイプも同時に検出する。かかるダブルマルチプレックスアッセイは、試験試料中に存在する試験抗体に関するデータ点の4種類の全てを提供する。
図2の材料を使用するダブルマルチプレックスアッセイなどの例示的なより複雑なバリエーションにおいて、アッセイは、抗体の少なくとも3つの異なる免疫グロブリンアイソタイプを同時に検出しながら、3つの異なる抗原に対する試験抗体を検出し得る。かかるダブルマルチプレックスアッセイは、試験試料中に存在する試験抗体に関する9種類のデータ点の全てを提供する。
【0092】
一般的に、入手可能なデータ点の種類の数 = 同定可能な微小粒子上の異なる抗原の数 x 検出された異なる免疫グロブリンアイソタイプの数である。データ点の種類の最大数は、主に検出器の検出能力により制限され、50、100または1000などかなり高くあり得る。ダブルマルチプレックスアッセイは、それぞれの入手可能なデータ点に対応する微小粒子-免疫グロブリン-抗Ig-アイソタイプ複合体を作成し得るが、該アッセイは、工程130においてそれぞれの微小粒子-免疫グロブリン-抗Ig-アイソタイプ複合体を検出するかまたは工程140においてそれぞれのかかる複合体についてのデータ点を提供する必要は必ずしもない。例えば、いくつかの例において、特定の抗原-抗体アイソタイプ組合せは単純に、価値のあるものではあり得ず、検出され得ないかまたはデータ点を作成するように使用され得ない。これは、目的のデータ点の種類の精度を向上し得るかまたはより速いアッセイ結果を可能にし得る。
【0093】
いくつかの態様において、工程130および140は、検出器もしくは検出器ならびに検出器と連絡されたプロセッサおよびメモリにより、同時に、ほぼ同時にまたは説明できない様式で実施され得る。
【0094】
いくつかの特定の態様において、工程130または組み合された工程130および140において、同定可能に標識された微小粒子のそれぞれの種類は、その特有の特徴(例えばサイズまたは蛍光の強度または重金属同位体)により識別およびゲートで制御され(gated)、複数の蛍光色素の蛍光強度(FI)または微小粒子-免疫グロブリン-抗Ig-アイソタイプ複合体の重金属強度(HMI)は、測定され、同じ抗原に対する試験抗体の対応するアイソタイプの濃度と比例的に相関される。
【0095】
工程110から140の時間は、約5分、約10分、約30分、約60分、約2時間、約3時間、約6時間、約12時間、約24時間、約48時間またはこれらの時点のおよそいずれかの間の時間間隔であり得る。具体的な態様において、工程110から140の時間は、1時間~2時間または30分~3時間であり得る。
【0096】
次いで、工程150において、データ点は、試験試料特性を決定するために使用される。試験試料特性は、データ点を、陽性または陰性(positive of negative)状態を決定するための閾値に対する比較などのさらなる数学的分析に供することにより決定され得る。
【0097】
例えば、試験試料が、感染性の疾患に曝露され得た被験体由来である場合、データ点は、データ点が実際に疾患に曝露された被験体と一致するかどうかを決定するためのさらなる数学的分析に供され得る。他の関連のある試験試料特性は、被験体が疾患に対して強壮な免疫応答を備えたかどうか、または被験体が疾患に対して保護的な免疫応答を備えたかどうかを含む。
【0098】
別の例として、試験試料特性は、被験体が自己抗体を含むかどうかまたは自己抗体が有害な自己免疫応答と相関する可能性がある量および種類で存在するかどうかであり得る。
【0099】
本明細書に記載される他の試験試料特性も決定され得る。
【0100】
試験試料特性についてのダブルマルチプレックスアッセイ精度に関して、いくつかの測定基準は、「感度」、「特異性」、「一致」、「正の予測値」、「負の予測値」、「偽陽性率」および「偽陰性率」などの記述子として本明細書において使用され得る。所定のアッセイを使用して決定された単純な陽性または陰性の試験試料特性についてのこれらの測定基準は、「真陽性」(TP)、「真陰性」(TN)、「偽陽性」(FP)および「偽陰性」(FN)の症例の数の関数として、以下の式:
感度 = TP/(TP+FN);
特異性 = TN/(TN+FP);
一致(相関) = (TP+TN)/(TP+TN+FP+FN)、
正の予測値 = TP/(TP+FP);
負の予測値 = FN/(FN+TN);
偽陽性率 = FP/(TP+FP);および
偽陰性率 = FN/(TN+FN)
により定義され得る。本明細書で使用する場合、「予測値」は、正の予測値および負の予測値の両方を含む。
【0101】
ダブルマルチプレックスアッセイにおいて入手可能またはさらなる数学的分析に使用されるデータ点の数および種類は、試験試料特性が少なくとも最少精度を伴って決定され得るように選択され得る。いくつかの態様において、試験試料は、マルチプレックス化されないELISAまたはLFAならびに試験試料特性の決定における同じ精度を提供する能力の全てまたはそれを伴う、同じ種類の試験試料、抗原および免疫グロブリンアイソタイプの検出方法を使用して同じ数の種類のデータ点を得るために必要とされるものよりも、小さくあり得る。
【0102】
別の例において、データ点の数および種類は、ダブルマルチプレックスアッセイが、少なくとも最少の予測値を有するように選択され得る。いくつかの態様において、この最小の精度は、少なくとも、同じ種類の試験試料、抗原および免疫グロブリンアイソタイプの検出方法を使用してマルチプレックス化されないELISAまたはLFAにより提供されるものと同程度に高くあり得る。試験試料特性が単純な陽性または陰性であるいくつかの例において、本開示のダブルマルチプレックスアッセイは、ELISAもしくはLFAの対応する組または試験試料特性を決定するために単一の種類のデータ点が使用される他の対応するアッセイよりも10倍または100倍高い特異性を有し得る。一般的に、試験試料特性の特異性は、試験試料特性を決定するために単一の種類のデータ点のみを使用する対応するアッセイと比較して、感度の減少なく増加される。
【0103】
より複雑な試験試料特性は、異なる抗原に対する試料抗体の比、試料抗体のアイソタイプの比および組み合されたデータ点の比などのより複雑な特性などのデータ点を使用しても決定され得る。
【0104】
試料試験特性は、工程140で作成されたデータ点の全て、またはデータ点の全てより少ない1つ以上の組を使用して決定され得る。例えば典型的に、所定の抗原に対応する試験試料特性は、該抗原を含む微小粒子-免疫グロブリン-抗Ig-アイソタイプ複合体から作成されたデータ点の組のみを使用して決定される。別の例として、試験試料特性は、精度の指標についての所定の閾値を満たすデータ点のみを使用して決定され得る。
【0105】
いくつかの態様において、工程150において単一の試験試料特性のみが決定されるが、他の態様において、工程150において2つ以上の試験試料特性が決定される。工程150において2つ以上の試験試料特性が決定される場合、それらは、いくつかの態様において同じデータ点または他の態様においてデータ点の異なる組を使用して決定され得る。
【0106】
例えば、同じ組のデータ点を使用して、試験試料が特定の抗原に対する抗体について陽性または陰性のいずれであるか、また別の試験試料特性として、特定の抗原に対する抗体アイソタイプの相対量、特定の抗原に対する優勢な抗体アイソタイプ、試験試料を提供する被験体が最初に抗原に曝露されてからの時間の推定量または試験試料を提供する被験体が抗原に再度曝露された場合に有効な免疫応答に達する可能性があるかどうかが決定され得る。
【0107】
別の例において、所定の抗原に対するIgG、IgAおよびIgM免疫グロブリンアイソタイプについてのデータ点の全てを使用して、試験試料が、抗原に対する抗体について陽性または陰性であるかが決定され得るが、いくつかの態様において、IgAおよびIgGについてのデータ点のみを使用して、試験試料を提供する被験体が、抗原に再度曝露された場合に有効な免疫応答に達する可能性があるかどうかが決定され得る。
【0108】
別の例において、所定のアレルゲンに対する複数の抗体アイソタイプについてのデータ点を使用して、被験体がアレルゲンに曝露されたかどうかを決定し得るが、IgEまたはIgEと他の特定のアイソタイプの組合せのみを使用して、患者が、アレルゲンに対して有害なアレルギー応答を有する可能性があるかどうかが決定され得る。
【0109】
さらに、試験試料特性は、他の試験試料特性に応じて決定され得る。例えば、全て同じ抗原に対する異なる抗体アイソタイプに対応するデータ点を使用して、データ点を相関させることにより、該抗原についての陽性または陰性の状態の試験試料特性を決定し得る。ダブルマルチプレックスアッセイにおけるそれぞれの抗原についての陽性および陰性の状態は、別の試験試料特性として決定され得、次いでこれらの試験試料特性を使用して、被験体が、該抗原の全てを発現するウイルスまたは腫瘍などの全ての抗原の共通の供給源に対する抗体を有するかどうかの最終試験試料特性を決定し得る。
【0110】
精度の種々の指標はまた、このプロセスのそれぞれの反復で陽性および陰性の状態について計算され得、最終的な陽性または陰性の曝露決定についての最終的な精度データを作成するために使用され得る。計算される精度の指標は、一致する結果、一致しない結果、相対的な感度、相対的な特異性、一致、正の予測値、負の予測値、偽陽性率(100%-正の予測値)および偽陰性率(100%-負の予測値)である。計算におけるデータ点の重みづけまたはデータ点の種類などの精度の指標が、より複雑な数学的分析において使用され得る。それらは、任意の試験試料特性決定から精度閾値を満たさない特定のデータ点を排除するためにも使用され得る。最終的に、精度の指標は、データ点から計算される試験試料特性または他の試験試料特性についての精度の指標を達成するためにさらに処理され得る。
【0111】
データ点の相関は、データ点についての生のデータを考慮し得るいくつかの種類の数学的分析のいずれか、該データ点についての単純な陽性または陰性の指標および精度の1つ以上の指標を含み得る。
【0112】
一態様において、データ点は、第1の抗原に対する免疫グロブリンアイソタイプを反映し得る。試験試料は、データ点の一致に基づいて第1の抗原について陽性または陰性であるとみなされ得る。例えば、3つの免疫グロブリンアイソタイプをアッセイした場合、試験試料は、それぞれの免疫グロブリンアイソタイプについての陽性または陰性の状態の単純な一致に基づいて、第1の抗原について陽性または陰性であるとみなされ得る。そのため、免疫グロブリンアイソタイプの2つについてのデータ点が陰性である場合、試験試料は、第1の抗原に対する抗体について陰性であるとみなされる。
【0113】
例えば1つの免疫グロブリンアイソタイプについての結果が別の免疫グロブリンアイソタイプについてよりも重く重みづけされる場合、より複雑な分析も実施され得る。重みづけは、あらかじめ設定され得るか、またはそれぞれのアイソタイプについてのデータ点の相対的な精度を反映するように調整され得る。かかる重みづけは、偶数のデータ点またはデータ点の種類の場合の一致決定において特に有用であり得る。
【0114】
試料の例示的な態様を使用して、試験試料は、アッセイされる複数の抗原の供給源に対する曝露について、陽性または陰性であるとみなされ得る。例えば、第2の抗原が存在する場合、該抗原について陽性または陰性の状態が決定され得る。次いで、試験試料は、いずれかの抗原に対する抗体について陽性である場合に、両方の抗原の供給源への曝露について全体的に陽性または陰性であるとみなされ得る。別のバリエーションにおいて、第3の抗原がアッセイされ得、試料は、抗原特異的な結果の一致に基づいて、3つ全ての抗原の供給源への曝露について全体的に陽性または陰性であるとみなされ得る。単一の抗原についての免疫グロブリンアイソタイプ特異的な結果に関して上述されるものと同様のより複雑な分析も使用され得る。
【0115】
試験試料特性の決定は、検出データまたはデータ点を提供された適切にプログラムされたプロセッサにより実施され得る。試験試料特性は、プロセッサに関連するメモリに保存され得る。
【0116】
省略され得る工程160において、いくつかの態様において、被験体は、工程150において決定された少なくとも1つの試験試料特性を使用して診断される。例えば、被験体は、感染性の疾患を有する、感染性の疾患に曝露された、感染性の疾患に対して強壮な免疫応答を備えたまたは感染性の疾患について保護的な免疫応答を生じたと診断され得る。本明細書に記載される他の診断はまた、試験試料特性を使用してなされ得る。
【0117】
別の例において、診断は、同時にまたは異なる時間に被験体から採取された複数の試験試料の分析を含み得る。かかる分析は、適切にプログラムされたプロセッサを使用するさらなる数学的分析を含み得る。例えば診断は、患者における抗原に対する試験抗体の持続時間の決定または患者における経時的な抗原に対する試験抗体のアイソタイプもしくは量の決定を含み得る。
【0118】
いくつかの態様において、本開示は、異なる抗原と免疫グロブリンアイソタイプの組合せについての別の種類のデータ点を提供するように、複数の異なる抗原に対する複数の免疫グロブリンアイソタイプを同時に検出するキットを提供する。かかるキットは、ダブルマルチプレックスアッセイの文脈において上に記載されるようなおよびより具体的に
図2に示されるような材料を含み得る。いくつかの態様において、該キットは、少なくとも2種類の同定可能に標識された微小粒子を含む。いくつかの態様において、同定可能に標識された微小粒子のそれぞれの種類は異なる抗原にコンジュゲートされ得る。異なる抗原は、キットに含まれ得るかまたはユーザーにより提供され得る。かかるコンジュゲーションのための試薬はキット内に提供され得る。他の態様において、同定可能に標識された微小粒子のそれぞれの種類は、異なる抗原にコンジュゲートされる。キットはまた、少なくとも2つの免疫グロブリンアイソタイプに対する少なくとも2つの抗Ig-アイソタイプ抗体を含む。いくつかの態様において、抗Ig-アイソタイプ抗体のそれぞれの種類は、異なる検出可能な標識を有する。他の態様に対して、抗Ig-アイソタイプ抗体のそれぞれの種類は、検出可能な標識にコンジュゲートされ得る。検出可能な標識は、キットに含まれ得るかまたはユーザーにより提供され得る。かかるコンジュゲーションのための試薬はキット内に提供され得る。
【0119】
いくつかの態様において、キットはさらに、陽性もしくは陰性の対照試料、指穿刺針もしくはブレード、試料収集容器、分析のための試料を戻すための供給体、例えば宅配業者による輸送に適した郵便キットもしくは容器、使用の指示書、またはそれらの任意の組合せを含み得る。
【0120】
具体的な態様において、ダブルマルチプレックスアッセイは、被験体のSARS-CoV-2への曝露、SARS-CoV-2に対する強壮な免疫応答の発生またはSARS-CoV-2に対する保護的な免疫応答の発生を検出する。本明細書で具体的に議論されないこの態様の局面は、本明細書に記載される任意の様式内にあり得る。SARS-CoV-2アッセイにおいて、抗原は、SARS-CoV-2の少なくとも2つの抗原を含む。より具体的に、抗原はS1、RBDおよびNPである。同定可能に標識された微小粒子は、蛍光的に標識されたマイクロスフィアである。抗Ig-アイソタイプ抗体は、抗IgG、抗IgMおよび抗IgAであり、蛍光的に標識される。検出は、マイクロスフィアおよび抗Ig-抗体上の全ての蛍光標識の蛍光を検出し得るフローサイトメーターを使用する。検出の間に取得される蛍光データは、それぞれの同定可能に標識されたマイクロスフィアの特有の蛍光サインについて別々にゲートで制御され、それによりデータを、単一の種類の同定可能に標識されたマイクロスフィア、およびそのために単一の抗原および該抗原に対する試験抗体に関連するものに制限する。同定可能に標識されたマイクロスフィアのそれぞれの種類に対応するゲートで制御されたデータセット内で、抗Ig-アイソタイプ抗体複合体のそれぞれの種類に関連する蛍光強度が同定され、同定可能に標識されたマイクロスフィアの特定の種類および抗Ig-アイソタイプ、ならびにそのために特定の抗原および免疫グロブリンアイソタイプに関連するデータ点を作成するために使用される。次いでデータ点をデータ点の種類についての閾値と比較して、試験試料は、特定の免疫グロブリン型を有する特定の抗原に対する試験抗体について陽性または陰性であるとみなされる。
【0121】
次いでデータ点を3つの抗原に対する同じ抗体アイソタイプについてのデータ点と相関させ、試験試料は、結果の一致に基づいてSARS-CoV-2に対する該アイソタイプの抗体に関して陽性または陰性であるとみなされる。例えば、試験試料の場合、S1 IgGについてのデータ点が陰性であり、RBD IgGについてのデータ点が陰性であり、NP IgGについてのデータ点が陽性であった場合、試験試料は、一致のために、SARS-CoV-2に対するIgG抗体について陰性であるとみなされる。
【0122】
次いで3つのアイソタイプ抗原の試験抗体についての試験試料の陽性または陰性の状態を、被験体のSARS-CoV-2への以前の曝露に関する試験試料の全体的な陽性または陰性の状態と相関させる。例えば、試験試料がSARS-CoV-2に対する3つの抗体アイソタイプのいずれかについて陽性である場合、試験試料は、SARS-CoV-2抗体について全体的に陽性であると指定され得、患者のSARS-CoV-2への曝露が示される。
【0123】
SARS-CoV-2に対する強壮な免疫応答またはSARS-CoV-2に対する保護的な免疫応答についての陽性または陰性の状態は、同様の様式で決定され得るが、より高く必要とされる抗体レベルの閾値量または単純にIgM抗体とは対照的にIgGおよびIgA抗体についてより大きな要件を伴う。
【0124】
このSARS-CoV-2アッセイにおける抗体レベルは、異なる時間で得られた試料に対する少なくとも2つのアッセイを使用して比較され得、典型的に全体的なIgM抗体レベルの減少、全体的なIgGもしくはIgAレベルまたはIgMレベルに対するIgGもしくはIgAレベルの増加、あるいはさらなる抗原に対する抗体の創出のために、被験体が、より成熟したかまたは強壮な免疫応答を生じているかが決定され得る。
【0125】
このアッセイの感度は、1つの免疫グロブリンアイソタイプのレベルが1つの抗原について低くあり得、該アイソタイプのレベルが他の2つの抗原についてより高くあり得るために、従来のELISAと比較して高められ、偽陰性の機会が低減される。
【0126】
種々の精度の指標はまた、このプロセスのそれぞれの反復での陽性および陰性の状態について計算され、最終的な陽性または陰性の曝露決定についての最終的な精度データを作成するために使用される。計算された精度の指標は、一致する結果、一致しない結果、相対的な感度、相対的な特異性、一致、正の予測値、負の予測値、偽陽性率および偽陰性率である。
【0127】
関連のある特定の態様において、第1の別個の蛍光標識で標識され、SARS-CoV-2 S1抗原にコンジュゲートされた第1の種類のマイクロスフィア、第2の別個の蛍光標識で標識され、SARS-CoV-2 RBD抗原にコンジュゲートされた第2の種類のマイクロスフィア、および第3の別個の蛍光標識で標識された第3の種類のマイクロスフィアを含む、SARS-CoV-2への曝露を検出するためのキットが提供される。該キットはまた、第4の別個の蛍光標識を有する抗IgG抗体、第5の別個の蛍光標識を有する抗IgA抗体および第6の別個の蛍光標識を有する抗IgM抗体を含む。該キットは、それぞれの抗原についてのそれぞれの抗体アイソタイプについての陽性または陰性の状態(positive of negative status)に関連する9種類のデータ点を作成するために、試験試料と共に使用され得、該データ点は、試験試料を提供した被験体がSARS-CoV-2に曝露されたかどうかを示す。
【0128】
該キットは、洗浄、バッファおよび試料収集器具をさらに含み得る。
【0129】
具体的な態様において、該キットは:
● 対照調製のための指示書を含む使用のための指示書
● 100回の試験を行うための試薬
○ 試薬#1:SARS-CoV-2抗原でコーティングされたマイクロスフィア
○ 試薬#2:試料希釈バッファ
○ 試薬#3:蛍光タグ付加二次抗体
を含み得る。
【0130】
必要とされるがキット内に提供されない構成成分は:
● フローサイトメーター
● 標準洗浄バッファ
● 標準フローサイトメトリー懸濁バッファ
● マイクロタイタープレート
● ピペット
● 陽性および陰性の対照試料
を含む。
【実施例】
【0131】
実施例
実施例1
単一抗原に対する複数の免疫グロブリンアイソタイプの同時検出
抗原がRBDであった蛍光サインを有する単一抗原コンジュゲートマイクロスフィアを試験試料とインキュベートして、試料中に存在する免疫グロブリンを、マイクロスフィアの表面上の抗原に結合させた。試験試料は、SARS-CoV-2患者(n=5、RT-PCRにより確認された陽性状態)または陰性対照患者n=5由来の血漿試料であり、試料はSARS-CoV-2の出現の2年前に収集した)。
【0132】
洗浄後、マイクロスフィアを連続して、異なる蛍光色素を有する抗Ig-アイソタイプ抗体とインキュベートして、微小粒子-免疫グロブリン-抗Ig-アイソタイプ複合体を形成した。さらなる洗浄後、マイクロスフィアを、マルチカラーフローサイトメーター上で取得した。適切なフローサイトメーターとしては、FACSLyricTMまたはFACSCanto IITMフローサイトメトリーシステム(Becton Dickinson, New Jersey)が挙げられる。ここではFACSCanto IIを使用した。0~75,000単位の範囲のMFIとして値を測定した。
【0133】
単一抗原コンジュゲートマイクロスフィアを、それらの蛍光特徴によりゲート制御(gate)して、抗原-免疫グロブリン-蛍光抗Ig-アイソタイプ抗体複合体のそれぞれの種類の蛍光色素の蛍光強度を測定し、同じ抗原に対する他のIg-アイソタイプ抗体複合体の蛍光強度と比例的に相関させた。
【0134】
結果を
図3に示す。それぞれRBD SARS-CoV-2抗原に応答して産生された3つの免疫グロブリンアイソタイプに相当する3つの個々の試料を示す。これらの結果により、微小粒子-免疫グロブリン-抗Ig-アイソタイプ複合体が、アッセイ条件下で予測されるように形成され、試料中の試験抗体の予測される存在または非存在を正確に反映する蛍光データを得るために使用され得ることを確認する。
【0135】
実施例2
SARS-CoV-2曝露のためのダブルマルチプレックスアッセイ
被験体のSARS-COV-2への曝露後に、免疫応答の結果として、抗SARS-CoV-2抗体が血液中に現れ得る。通常、IgM抗体は、曝露または症状開始の5~10日後に検出され得、一方でIgGおよびIgAは数日後に検出され得る。
【0136】
本明細書に記載されるダブルマルチプレックスアッセイは、単一試験を使用する同じウェル中で、3つの異なるSARS-CoV-2抗原(RBD、S1およびNP)に対する3つの抗体アイソタイプ(IgM、IgGおよびIgA)の存在を同時に検出し得る。フローサイトメーターにより結果を測定し、それぞれの抗体アイソタイプと抗原の組合せについてのメジアン蛍光強度(MFI、0~262,144 MFIの範囲)データ点において示す。
【0137】
静脈穿刺を使用して、Stanford Universityで全ての末梢血試料を収集した。79個の陰性試料を、COVID-19パンデミックの2年前に収集し、30個の陽性試料を、RT-PCR試験提出した鼻咽頭スワブを使用して、SARS-CoV-2感染による確認後の試験に差し向けられる患者から収集した。使用した30個の陽性試料を、the Stanford Health Center Clinical Virology Labで使用されるEUA承認RT-PCR試験により確認した。41個の回復期の試料を、RT-PCTを使用してSARS-CoV-2感染が確認された被験体から収集した。
【0138】
標準EDTAチューブに血液を収集し;血漿を分離して、試験のために等分した。同定可能に標識されたマイクロスフィアの混合物を試験試料と合わせて、試験試料中の試験抗体を、マイクロスフィアの表面上のSARS-CoV-2抗原に結合させる。簡潔に、5μlのマイクロスフィア混合物を、96ウェルプレートのそれぞれの試験ウェルに添加した。次いで、50μlの希釈した試験試料をそれぞれのウェルに添加して混合した。プレートを室温で30分間インキュベートして、微小粒子-免疫グロブリン複合体を形成させた。複合体を150μlのPBSバッファで3回洗浄した後、フィコエリトリン(PE)-抗IgG抗体、アロフィコシアニン(APC)-抗IgM抗体およびフルオレセインイソチオシアネート(FITC)-抗IgA抗体の100μlの混合物をそれぞれのウェルに添加して、微小粒子-免疫グロブリン-抗Ig-アイソタイプ複合体を形成させる。複合体の、150μlのPBSバッファでの3回の洗浄後、複合体を150μlのPBSバッファに再懸濁して、BD FACSLyricTMフローサイトメーターで取得する。
【0139】
同定可能に標識されたマイクロスフィアのそれぞれの種類を識別して、その特有の特徴(サイズまたは蛍光の強度)によりゲート制御して、抗原-免疫グロブリン-蛍光抗Ig-アイソタイプ抗体複合体の複数の蛍光色素の蛍光強度を測定して、同じ抗原に対する対応するIg-アイソタイプの濃度と比例的に相関させた。この分析は、BD FACSuiteTMソフトウェアを用いて行い、該ソフトウェアは、同定可能に標識されたマイクロスフィアのそれぞれの種類について少なくとも25個の微小粒子-免疫グロブリン-抗Ig-アイソタイプ複合体を必要とし、マイクロスフィア型に基づいて複合体のそれぞれの集団についてのPE、APCおよびFITSの蛍光強度を読み取る。
【0140】
具体的に、蛍光値は、0~250,000単位の範囲の平均蛍光強度(MFI)として測定される。閾値MFIレベルは、既知の陰性試料の平均+3SDに基づいて計算されたそれぞれの抗原に対するそれぞれの免疫グロブリンについて確立された。
【0141】
ダブルマルチプレックスアッセイは、合計9個のデータ点-それぞれ3つのSARS-CoV-2抗原(RBD、S1およびNP)に応答して産生された3つの免疫グロブリンアイソタイプ(IgM、IgG、IgA)についての個々の値を提供する。値は、0~262,144単位の範囲のメジアン蛍光強度(MFI)として測定した。閾値は、既知の陰性試料の平均+3SDに基づいて計算されたそれぞれの抗原に対するそれぞれの免疫グロブリンについて確立された。
【0142】
試験試料についてのデータ点を表1~3に提供する。表1~3において、NPA%は負の予測値を示し、PPA%は正の予測値を示す。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表2】
【表3-1】
【表3-2】
【0143】
データ点のそれぞれの種類についての結果を数え上げ、感度、特異性、一致および予測値を、表4~12に示されるように計算した。表中の結果は平均+3SDである。
【表4】
【0144】
150個の試験試料から、139個の一致した結果および11個の一致しない結果があった。精度のさらなる指標は以下の通りであった:
感度:85.9%
特異性:98.7%
一致(相関):0.927
正の予測値:98.4%
負の予測値:88.6%
偽陽性率:1.6%
偽陰性率:11.4%
【表5】
【0145】
150個の試験試料から101個の一致した結果および49個の一致しない結果があった。精度のさらなる指標は以下の通りであった:
感度:32.4%
特異性:98.7%
一致(相関):0.673
正の予測値:95.8%
負の予測値:61.9%
偽陽性率:4.2%
偽陰性率:38.1%。
【表6】
【0146】
150個の試験試料から125個の一致した結果および25個の一致しない結果があった。精度のさらなる指標は以下の通りであった:
感度:67.6%
特異性:97.5%
一致(相関):0.833
正の予測値:96.0%
負の予測値:77.0%
偽陽性率:4.0%
偽陰性率:23.0%
【表7】
【0147】
150個の試験試料から147個の一致した結果および3個の一致しない結果があった。精度のさらなる指標は以下の通りであった:
感度:98.6%
特異性:97.5%
一致(相関):0.980
正の予測値:97.2%
負の予測値:98.7%
偽陽性率:2.8%
偽陰性率:1.3%
【表8】
【0148】
150個の試験試料から138個の一致した結果および12個の一致しない結果があった。精度のさらなる指標は以下の通りであった:
感度:87.3%
特異性:96.2%
一致(相関):0.920
正の予測値:95.4%
負の予測値:89.4%
偽陽性率:4.6%
偽陰性率:10.6%
【表9】
【0149】
150個の試験試料から142個の一致した結果および8個の一致しない結果があった。精度のさらなる指標は以下の通りであった:
感度:91.5%
特異性:97.5%
一致(相関):0.947
正の予測値:97.0%
負の予測値:92.8%
偽陽性率:3.0%
偽陰性率:7.2%
【表10】
【0150】
150個の試験試料から148個の一致した結果および2個の一致しない結果があった。精度のさらなる指標は以下の通りであった:
感度:98.6%
特異性:98.7%
一致(相関):0.987
正の予測値:98.6%
負の予測値:98.7%
偽陽性率:1.4%
偽陰性率:1.3%
【表11】
【0151】
150個の試験試料から111個の一致した結果および39個の一致しない結果があった。精度のさらなる指標は以下の通りであった:
感度:46.5%
特異性:98.7%
一致(相関):0.740
正の予測値:97.1%
負の予測値:67.2%
偽陽性率:2.9%
偽陰性率:32.8%
【表12】
【0152】
150個の試験試料から111個の一致した結果および39個の一致しない結果があった。精度のさらなる指標は以下の通りであった:
感度:49.3%
特異性:96.2%
一致(相関):0.740
正の予測値:92.1%
負の予測値:67.9%
偽陽性率:7.9%
偽陰性率:32.1%
【0153】
データ点をさらに使用して、所定のアイソタイプの特定の抗SARS-CoV-2抗体について、試験試料が陽性であったかまたは陰性であったかを決定した。この決定は、3つの別々の抗原についてのデータ点の一致に基づいた。2つの抗原についての特定のアイソタイプについて陽性の結果があった場合、試験試料は、SARS-Co-V2に対する該アイソタイプの抗体について陽性であると決定された。2つの抗原についての特定のアイソタイプについて陰性の結果があった場合、試験試料は、SARS-Co-V2に対する該アイソタイプについての抗体について陰性であると決定された。したがって、3つの別々のウイルス抗原に対する免疫グロブリンアイソタイプのレベルの測定は、3つの抗原に対する交差反応性についての機会が1つの抗原よりも低いと推定されるので、特異性を高めた。免疫グロブリンアイソタイプのレベルは1つの抗原については低くあり得るが、これらのレベルは、他の2つの抗原については高くあり得るので、感度が高められ、そのために偽陰性の機会が低減された。この方法は、他方を犠牲にして一方ではなく、特異性および感度の増強を一緒に可能にするという利点を有する。
【0154】
COVID-19についてのダブルマルチプレックスアッセイの全体的な特異性および感度の評価を表13に示す。
【表13】
【0155】
150個の試験試料から150個の一致した結果および1個の一致しない結果があった。精度のさらなる指標は以下の通りであった:
感度:98.6%
特異性:100.0%
一致(相関):0.993
正の予測値:100.0%
負の予測値:98.8%
偽陽性率:0.0%
偽陰性率:1.3%
【0156】
ダブルマルチプレックスアッセイの全体的な感度は、該アッセイにより3つの異なる抗原に対する3つの異なる免疫グロブリンアイソタイプのレベルが測定されたので、高かった。任意の個々の患者について陽性である結果を同定するために、少なくとも2つの抗原のそれぞれに対する少なくとも1つの免疫グロブリンアイソタイプについてのカットポイントより高いMFI値を要求することにより、特異性はさらに増加した。該方法の高い感度および特異性のために、あいまいな範囲は必要とされなかった。
【0157】
9個の可能性のある種類のデータ点のそれぞれについてダブルマルチプレックスアッセイについての陰性対照を確立した。データ点のそれぞれの種類について閾値MFIレベルの<50%のMFI結果を有する血清試料は。データ点のそれぞれの種類について最低のあり得るMFIを有する試料を使用した。5試料の最低値を使用してプールを作成した。試料を注意深く混合して、泡の形成を回避した。少なくとも200μLのアリコートをこの血清プールから調製して、-20摂氏度またはそれ以下で凍結保存した。これらのアリコートを使用して、標準的な品質管理を行った。Westgard規則を使用して管理範囲を確立し、アッセイ管理をモニタリングした。一旦融解されると、アリコートは、冷蔵保存する場合に1週間安定であった。
【0158】
データ点の9個のあり得る種類のそれぞれについて、ダブルマルチプレックスアッセイのための陽性対照も確立した。9個の報告可能な結果のそれぞれについてのカットオフレベルの>5倍のMFI結果を有する血清試料をプールした。5試料の最小値を使用してプールを作成した。試料を注意深く混合して、泡の形成を回避した。プールされた陰性血清(プール基準については上述の陰性対照を参照)を添加して必要な場合にアッセイプールを希釈して、9種類のデータ点のそれぞれについての閾値の3~20倍のMFI値を得た。この試料プールから少なくとも200μLのアリコートを調製して、-20摂氏度またはそれ以下で凍結保存した。Westgard規則を使用して、管理範囲を確立して、アッセイ管理をモニタリングした。一旦融解されると、アリコートは、冷蔵保存する場合に1週間安定であった。
【0159】
同定可能に標識されたマイクロスフィアおよび試験バッファは、標準操作プロトコルおよびQCシステムに基づいて製造する。
【0160】
微小粒子、抗原および二次抗体には安定性試験を行った。以下の表1~4は、安定性試験の結果を示す。これらの結果に基づいて、4摂氏度または-80摂氏度で、保存後から4カ月まで活性の喪失がないことを観察した。
【0161】
実施例3
比較分析:ELISAと比較したダブルマルチプレックス技術の特異性および感度
ELISAは、抗ウイルス抗体を検出および定量するために一般的に使用されるプレート系の技術である。該方法は、プラスチックマイクロタイタープレート上にコーティングされたウイルスタンパク質抗原を使用して、特に血液、血清および痰などのいくつかの体液に由来し得る試料中の抗ウイルス抗体を捕捉する。試料は、コーティングされた抗原と接触したままにされ、関連のある抗体を結合させ、その後プレートを数回洗浄する。捕捉された抗体は、適切な基質を提供される場合に測定可能な出力を生じるレポーター酵素と複合体化された二次種特異的抗体により検出される。
【0162】
実施例2のダブルマルチプレックスアッセイの感度および特異性を、ELISAのものと比較した。
【0163】
2つのSARS-CoV-2抗原であるRBDおよびNPに対するIgアイソタイプ(IgG、IgMおよびIgA)は、従来のELISA形式を使用して検出し、ここでマルチプレックス化はなく、単一の抗原および抗Ig-アイソタイプのみがそれぞれの試料中に存在する。結果を表14に示す。-群、n=70、+群、n=30。示されるパーセンテージは結果の予測値である。太字および斜体は、緊急使用許可(Emergency Use Authorization) (EUA)についてのFDA要件を満たさない値を示す。PPAは正の予測値を示し、NPAは負の予測値を示す。
【表14】
【0164】
これらの結果が示すように、ELISA系の試験は、特にSARS-CoV-2への曝露の直後に存在する可能性のあるIgM抗体に関して、十分に正確な結果を生じ得ない。
【0165】
実施例2からの結果を圧縮された形態で表15に提供する。-群、n=70、+群、n=30、回復期の患者群(C群)、n=41。示されるパーセンテージは結果の予測値である。太字および斜体は、+群および-群の状況における緊急使用許可(EUA)についてのFDA要件を満たさない値を示す。
【表15】
【0166】
【0167】
これらの結果が示すように、本開示のダブルマルチプレックスアッセイは、少なくともELISAと同程度に良好に、陽性試料中のSARS-CoV-2抗原に対する抗体を検出し得る。また、単一のアッセイにおいて複数の抗原に対する複数の免疫グロブリンアイソタイプを別々に検出することにより、該アッセイは、SARS-CoV-2に曝露された患者、特に回復期の患者についての陽性の結果を、ELISAよりもさらに生じやすくなる。
【0168】
実施例4
予防接種された被験体におけるダブルマルチプレックスアッセイ
実施例2に記載されるダブルマルチプレックスアッセイは、SARS-CoV-2についての予防接種の前およびその3週間後の被験体由来のさらなる患者試料を使用して行われた。得られたデータを表16および17に提供する。データによりさらに、アッセイの特異性および感度が確認され、アッセイが予防接種された被験体において抗体を検出し得ることが示される。
【表16】
【表17】
【0169】
このデータは、予防接種された被験体において抗体産生を検出するダブルマルチプレックスアッセイの能力を示す。
【0170】
実施例5
SARS-COV-2アッセイ報告
図5は、SARS-CoV-2に対する抗体についてのダブルマルチプレックスアッセイからの例示的な報告である。該報告は、試験試料を提供した被験体に対する診断を提供するために使用され得る。例示的な報告は、「検出されない」および「検出される」の欄の下の報告の「異なるSARS-CoV-2抗原に対する抗体」の部分における測定値の形態の試験試料に関連するデータ点を提供する。これらのデータ点の陽性または陰性についての閾値も示す。含まれるデータ点の理解および同定を補助するために、データ点の種類(例えば抗SARS-CoV-2 RBD IgG)および測定値の種類(MFI)も提供する。
【0171】
例示的な報告はさらに、2つの試験試料特性について陽性(「はい」)または陰性(「いいえ」の標識)の形態で、「SARS-CoV-2ウイルスまたはワクチンへの以前の曝露の証拠はあるか?」および「強壮な応答が生じた証拠はあるか?」の情報を提供する。これらの試験試料特性は、データ点への参照により決定される。例示的な報告はさらに、「コメント」の形態の診断情報を含む。かかる診断情報は、被験体により直接、または医療専門家からのさらなるアドバイスと組み合わせて使用され得る。
【0172】
例示的な試験報告に含まれるさらなる情報は、診断の提供におけるさらなる使用またはさらなる試験試料特性を導き出すためのものであり得る。例えば提供される「以前の結果」は、現在の結果と比較されて、さらなる診断情報または試験試料特性を決定し得る。
【0173】
図5の例において、さらなる試験、特にRT-PCR試験および中和抗体試験からの結果も提供され、ダブルマルチプレックスアッセイからの結果と合わされて、被験体に診断情報を提供し得る。
【0174】
上記の種々の態様は、さらなる態様を提供するために合わされ得る。本明細書に引用されるかまたは出願データシートに列挙される米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願および非特許刊行物の全て、例えば2020年5月19日に出願された米国仮特許出願第63/027,102号および2020年11月23日に出願された米国仮特許出願第63/117,400号は、それらの全体において参照により本明細書に援用される。該態様の局面は、種々の特許、出願および公開の考えを使用する必要がある場合に改変されて、なおさらなる態様を提供し得る。
【0175】
上述の詳細な説明に鑑みて、これらおよび他の変更が態様に対してなされ得る。一般に、以下の特許請求の範囲において、使用される用語は、特許請求の範囲を、明細書および特許請求の範囲に開示される特定の態様に限定するように解釈されるべきではなく、かかる特許請求の範囲に権利が与えられる均等物の全範囲と共に、全てのあり得る態様を含むように解釈されるべきである。したがって、特許請求の範囲は、該開示により限定されない。
【国際調査報告】