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特表2023-526205物体をコーティングするための方法、ナノ粒子の使用およびコーティングされた表面を備えた物体
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  • 特表-物体をコーティングするための方法、ナノ粒子の使用およびコーティングされた表面を備えた物体 図1
  • 特表-物体をコーティングするための方法、ナノ粒子の使用およびコーティングされた表面を備えた物体 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-21
(54)【発明の名称】物体をコーティングするための方法、ナノ粒子の使用およびコーティングされた表面を備えた物体
(51)【国際特許分類】
   C09D 1/00 20060101AFI20230614BHJP
   A61L 2/232 20060101ALI20230614BHJP
   C23C 14/06 20060101ALI20230614BHJP
【FI】
C09D1/00
A61L2/232
C23C14/06 L
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022568450
(86)(22)【出願日】2021-05-05
(85)【翻訳文提出日】2023-01-06
(86)【国際出願番号】 EP2021061836
(87)【国際公開番号】W WO2021228646
(87)【国際公開日】2021-11-18
(31)【優先権主張番号】102020122574.1
(32)【優先日】2020-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102020123494.5
(32)【優先日】2020-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102020112602.6
(32)【優先日】2020-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513228719
【氏名又は名称】グローエ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Grohe AG
【住所又は居所原語表記】58675 Hemer, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】トルステン マイヤー
(72)【発明者】
【氏名】マティアス ナウス
【テーマコード(参考)】
4C058
4J038
4K029
【Fターム(参考)】
4C058AA01
4C058BB07
4C058JJ04
4J038AA011
4J038HA061
4J038HA161
4J038MA02
4J038MA14
4J038NA01
4J038PA15
4J038PC02
4K029AA02
4K029AA21
4K029BA04
4K029BA08
4K029BA18
4K029BA43
4K029BA49
4K029BA64
4K029CA05
4K029CA06
4K029DC39
(57)【要約】
建物に装備するための物体(1)、特に金具をコーティングするための方法であって、少なくとも、a)物体(1)を提供するステップと、b)物体(1)の表面(2)に層(3)をコーティングするステップであって、該コーティングするステップを、抗菌性または抗ウィルス性のナノ粒子(4)が少なくとも部分的に層(3)内に取り込まれるPVD法によって行う、ステップと、を有している方法。さらに、特に物体(1)の表面(2)をコーティングするためのPVD法のためのナノ粒子の使用ならびにコーティングされた表面(2)を備えた物体(1)が開示されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の構造体に装備するための物体(1)、特に金具をコーティングするための方法であって、少なくとも、
a)前記建物の前記構造体に装備するための前記物体(1)を提供するステップと、
b)前記物体(1)の表面(2)に層(3)をコーティングするステップであって、該コーティングするステップを、抗菌性または抗ウィルス性のナノ粒子(4)が少なくとも部分的に前記層(3)内に取り込まれるPVD法によって行う、ステップと、
を有している方法。
【請求項2】
前記ナノ粒子(4)が1nm~10nmの直径(5)を有している、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ナノ粒子(4)が少なくとも部分的に銀から成っている、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記ナノ粒子(4)が少なくとも部分的に銅から成っている、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記ナノ粒子(4)が少なくとも部分的に亜鉛または酸化亜鉛から成っている、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記ナノ粒子(4)が、少なくとも銀、銅、亜鉛または酸化亜鉛を含む合金から成っている、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記層(3)が、前記物体(1)の、ユーザが接触するための接触面(6)を少なくとも部分的に形成する、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記物体(1)の少なくとも前記表面(2)が、金属から成っている、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記物体(1)が、照明スイッチ、郵便受け、窓、ドア、特に巻上げドア、回転ドアまたは長手方向側で旋回可能に支承されたドアのための操作要素である、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記物体(1)が、衛生物品、特に衛生継手、該衛生継手のための操作要素、トイレまたは該トイレのための操作要素である、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
少なくとも銀、銅、亜鉛、酸化亜鉛またはこれらの合金を含むナノ粒子の、建物の構造体に装備するための物体(1)の表面(2)の少なくとも抗菌性または抗ウィルス性の層(3)を形成するための使用。
【請求項12】
表面(2)を有する建物を装備するための物体(1)であって、前記表面(2)が層(3)でコーティングされており、該層(3)内に少なくとも部分的に抗菌または抗ウィルス性のナノ粒子(4)が取り込まれている、物体(1)。
【請求項13】
請求項1から10までのいずれか1項記載の方法を用いて製造された、請求項12記載の物体(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体をコーティングするための方法と、特に物体をコーティングするためのナノ粒子の使用と、コーティングされた表面を備えた物体とに関する。物体は、特に、建物を装備するための物体または建築金物または衛生物品であってよい。
【背景技術】
【0002】
窓、ドアおよびゲートならびに例えば人および/または車両の通行または空気の交換のために建物内の通路を開閉するための同様の装置は、通常、例えば操作レバー、操作スイッチおよび/または操作ボタンのような操作要素を有しており、これらの操作要素には、使用時にユーザが接触する。操作要素には、病気の原因となることがある細菌および/またはウィルスが蓄積してしまう。細菌および/またはウィルスが様々なユーザに媒介することを阻止するために、操作要素は、手間を掛けて消毒しなければならないことが多い。このことは特に、病院や高齢者宿泊施設に設置されている場合、顕著である。
【0003】
本発明による物体は、衛生物品であってもよい。衛生物品は、特に、液体を洗面台、シャワー、浴槽および/またはトイレにおいて放出可能である衛生継手であってよい。
【0004】
このような衛生物品は、通常、例えば操作レバー、操作スイッチおよび/または操作ボタンのような操作要素を有しており、これらの操作要素には使用時にユーザが接触する。操作要素には、病気の原因となることがある細菌および/またはウィルスが蓄積してしまう。細菌および/またはウィルスが様々なユーザに媒介することを阻止するために、衛生物品は、手間を掛けて消毒しなければならないことが多い。このことは特に、病院や高齢者宿泊施設に設置されている場合、顕著である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の課題は、先行技術に関して説明した問題を少なくとも部分的に解決し、特に、物体を消毒するための手間を少なくとも減らすことができる、物体をコーティングするための方法を提供することである。さらに、物体の表面をコーティングするためのPVD法の使用が記載されることが望ましく、これにより、物体を消毒するための手間を少なくとも減らすことができる。さらに、消毒のための手間が少なくとも低減する物体が記載されることが望ましい。上述の物体は、建物の構造体に装備するための物体または金具であってよい。物体は、建物、または建物の構造体に結合されていてよい。例えば、建物は、住宅、オフィスビル、または工場であってよい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
課題は、独立請求項に記載された特徴による方法、使用および物体によって解決される。本発明の別の有利な構成は、従属請求項に記載されている。従属請求項に個別に記載された特徴を、任意の技術的に有意な形式で互いに組み合わせることができ、本発明の別の構成を定義することに留意されたい。さらに、請求項に示された特徴は、本発明の別の好適な構成が示されている本明細書においてより詳細に説明される。
【0007】
課題を解決するためには、建物の構造体に装備するための物体をコーティングするための方法であって、少なくとも以下のステップを有している方法が寄与する。
a)建物の構造体、例えば衛生物品に装備するための物体を提供するステップ;および
b)物体の表面に層をコーティングするステップであって、コーティングを、抗菌性または抗ウィルス性のナノ粒子が少なくとも部分的に層内に取り込まれるPVD法によって行うステップ。
【0008】
建物の構造体に装備するための物体は、建築金物のような金具、例えばドア金具または窓金具であってもよい。窓金具は、特に窓ハンドルまたは窓アジャスタまたは窓ヒンジであってよい。ドア金具は、ドアハンドルまたはドアヒンジもしくはヒンジプレートであってよい。さらに、建物の構造体に装備するための物体は、建物の所属する構造体の入口または敷地境界(例えば、壁、フェンス)に装備するための物体であるか、またはドアベル、照明スイッチまたは郵便受け等のための操作要素であってよい。物体は、ユーザが接触することができる物体であってよい。建物の構造体という用語は、例えば、壁もしくは隔壁、あるいはドアまたは窓のような、壁もしくは隔壁または床に少なくとも実質的に固定的に結合されている建物の部分に関していてよい。
【0009】
衛生物品は、特に、給水および/または排水の働きをする技術的な構成要素である。特に、衛生物品は、洗面台、流し台、シャワー、浴槽および/またはトイレに必要に応じて給水する働きをすることができる。さらに、衛生物品は、このような技術的な構成要素のためのケーシング、または例えば操作レバー、操作ボタン、操作プレートおよび/または回転要素のような操作要素であってよい。衛生物品は、少なくとも部分的にプラスチックから成っているか、または例えば亜鉛ダイカストのような金属から成っていてよい。
【0010】
物体、例えば物体の表面は、金属を有しているか、または金属から形成されていてよい。
【0011】
本発明の任意の実施形態によれば、物体は、他方では、必ずしも衛生物品または衛生継手または水を運ぶ物体ではない、建物の構造体に装備するための物体であってよい。
【0012】
物体、例えば少なくとも物体の表面は、例えば真鍮、鋼、青銅、アルミニウム、マグネシウム等のような金属を有しているか、または金属から成っていてよい。
【0013】
物体は、ドアハンドルまたはドアヒンジのようなドア金具であってよい。ドアハンドルは、特に、ドアのロックの開閉および/またはドア枠に対するドアの運動のために働く技術的な構成要素である。さらに、ドアハンドルは、例えば操作レバー、操作ボタン、ドアつまみ、ドアノブ、操作プレートおよび/または回転要素のような操作要素であってよい。ドアハンドルは、少なくとも部分的にプラスチックから成っているか、または例えば真鍮、鋼、青銅、アルミニウム、マグネシウム等のような金属から成っていてよい。本発明によるドアハンドルは、特に、ユーザの手によって操作されるように構成されている。本発明の実施形態によれば、ドアハンドルという用語は、ドアからドアハンドルへの移行部に配置されている所属するカバーまたは所属するロゼットを含むこともできる。
【0014】
窓金具は、窓ハンドルまたは窓ヒンジであってよい。窓ハンドルは、特に窓のロックの開閉および/または、窓枠に対する窓の運動のために働く技術的な構成要素である。さらに、窓ハンドルは、例えば操作レバー、操作ボタン、操作プレートおよび/または回転要素のような操作要素であってもよい。窓ハンドルは、少なくとも部分的または全体的に、例えば真鍮、鋼、青銅、アルミニウム、マグネシウム等のような金属から成っていてよい。本発明による窓ハンドルは、特に、ユーザの手によって操作されるように構成されている。本発明の実施形態によれば、窓ハンドルという用語は、窓から窓ハンドルへの移行部に配置されている所属するカバーまたは所属するロゼットを含むこともできる。窓金具は、さらに窓調節器または窓枠であってよい。
【0015】
ステップa)では、建物の構造体に装備するための物体を提供する。これは特に、PVD法(「Physical Vapour Deposition」法)を実施するように構成された反応器のコーティングチャンバ内に物体を配置することを含んでいてよい。PVD法は、物理的な気相成長による(薄膜)コーティング法である。物体は、コーティングチャンバ内で、例えば、ターンテーブル等のようなキャリアまたは回転要素上に、またはキャリアまたは回転要素に配置することができ、このキャリアまたは回転要素によって、物体はコーティング中に回転可能である。これにより、物体の表面上に均一な層を形成することができる。
【0016】
ステップb)では、物体の表面に層を形成するPVD法による物体の表面のコーティングを行う。層は、互いに上下に重なり合った複数の個別層から形成されていてよく、かつ/または1nm(ナノメートル)~20μm(マイクロメートル)の層厚を有していてよい。実際のコーティングの前に、反応器のコーティングチャンバに特に真空または制御された雰囲気を形成することができる。コーティング時に、層が構成されるべき材料が、例えば気体、蒸気および/または粒子の形態で、反応器のコーティングチャンバ内に提供される。気体、蒸気および/または粒子は、物体の、コーティングすべき表面に接触し、この表面上に析出する。材料は、例えば、純金属、合金、窒化物、炭窒化物および/または酸化物であってよい。
【0017】
表面のコーティング中に、形成された層内に抗菌性および/または抗ウィルス性のナノ粒子が取り込まれ、これによりナノ粒子は、物体の使用時に層上に達した、例えば細菌やウィルスのような病原体を無害化することができる。このために、層中のナノ粒子の質量割合は、例えば、1%~80%であってよい。ナノ粒子は、直接に反応器のコーティングチャンバ内に、または付加的な容器に提供かつ/または形成することができる。このために、コーティングチャンバは、例えば1つの通路を介して付加的な容器に接続されていてよい。通路は弁を有していてよく、この弁により、コーティングチャンバ内へのナノ粒子の供給が制御可能である。物体の表面上での層の形成時に、ナノ粒子は層と接触し、これにより少なくとも部分的に層内に取り込まれる。これにより、ナノ粒子は、結果としてコーティングされるべき物体の表面に取り付けられる。
【0018】
ナノ粒子の形成は、例えば、固体、液体または気体状の出発材料の気化、溶発、プラズマ形成または剥離によって行うことができる。出発材料は、ナノ粒子を含んでいてよく、またはナノ粒子が形成されるべき材料と同一の材料から成っていてよい。出発材料の気化は、例えば、加熱、またはマグネトロンスパッタリングとして知られている技術によって行うことができる。出発物質の気化は、代替的にはイオンビームまたは電子ビームの照射(IB-PVD法またはEB-PVD法)またはパルス高出力レーザビーム(レーザビーム気化)により行うこともできる。ナノ粒子の形成後に、ナノ粒子を反応器のコーティングチャンバ内に搬送することができる。これは、例えば、重力、圧力差によって、かつ/またはキャリアガスまたはキャリア液体の流れによって行うことができる。ナノ粒子およびキャリアガスまたはキャリア液体のこのような流れは、イオン源またはプラズマ源あるいは種々異なる供給システムによって反応器に供給することもできる。代替的に、ナノ粒子の形成は直接に反応器内で行うこともできる。この場合、ナノ粒子または出発材料が、反応器のコーティングチャンバ内かつ/または物体のためのキャリアまたは回転要素上に提供される。
【0019】
ナノ粒子の抗菌性および/または抗ウィルス性の効果により、物体のコーティングされた表面の消毒が不要であるか、または物体を消毒するための手間を少なくとも減らすことが可能である。
【0020】
ナノ粒子は、1nm~10nmの直径を有していてもよい。
【0021】
ナノ粒子は、少なくとも部分的に銀から成っていてよい。特に、コロイド銀であってよい。
【0022】
ナノ粒子は、少なくとも部分的に銅から成っていてよい。
【0023】
ナノ粒子は、少なくとも部分的に亜鉛または酸化亜鉛から成っていてよい。
【0024】
ナノ粒子は、少なくとも銀、銅、亜鉛および/または酸化亜鉛を含む合金から成っていてよい。
【0025】
層は、少なくとも部分的に物体の接触面を形成することができる。特に、接触面は、ユーザによる物体の使用時に接触可能であるか、または接触される面である。
【0026】
物体は、窓、ドア、または建物や敷地へのアクセスを制御するためのゲートまたは類似の障害物のための操作要素であってよい。特に、ドアハンドルは、ドアやゲートのための構成要素であってもよい。
【0027】
別の態様によれば、物体の表面を層でコーティングするためのPVD法の使用も提案され、抗菌性または抗ウィルス性のナノ粒子が、少なくとも部分的に層中に取り込まれる。
【0028】
さらに、物体の表面の少なくとも1つの抗菌性の層または抗ウィルス性の層を形成するための、少なくとも銀、銅、亜鉛、酸化亜鉛またはこれらの合金を含むナノ粒子の使用が提案される。
【0029】
さらに別の態様によれば、抗菌性のナノ粒子または抗ウィルス性のナノ粒子が少なくとも部分的に取り込まれている層でコーティングされている表面を備えた物体も提案される。
【0030】
使用または物体に関する別の詳細のために、方法の説明が包括的に参照される。
【0031】
本発明および技術的な環境を、以下に図面に基づき詳細に説明する。なお、図面は本発明の特に好適な実施形態を示しているが、この実施形態に限定されるものではないことに留意されたい。図中で同一の構成要素には同一の参照符号を付している。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】方法を実施するための装置を示す概略図である。
図2】本発明の1つの実施形態によるドアハンドルを概略的に示す(部分)断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、建物の構造体に装備するための物体1をコーティングするための方法を実施するための装置7を示しており、図1に示した実施形態では、物体はドアハンドルである。しかし、以下に説明する方法により、建物の構造体に装備するための別の物体もコーティングすることができる。装置7は、コーティングチャンバ9を備えた反応器8を有しており、コーティングチャンバ9内で、ドアハンドル1は、例えば一種のターンテーブルである回転要素10上に回転可能に提供されている。ドアハンドル1は、ここではドアに対するドアハンドルの回転によってドアを解錠するために構成されたドアハンドルである。図2に示したドアハンドル1の表面2に、同様に図2に示した層3をコーティングするために、PVD法が使用される。このために、反応器8のコーティングチャンバ9内に真空または制御された雰囲気を形成することができる。コーティング時に、層3が形成されるべき材料は、例えば気体、蒸気および/または粒子の形態で、反応器8のコーティングチャンバ9内で提供される。これらの材料は、ドアハンドル1のコーティングすべき表面2に接触し、表面に付着する。したがって、層3は、ドアハンドル1の表面2上での材料の析出によって形成される。層3は、互いに異なる種類、厚さおよび密度であってよく、かつ/または、材料の互いに重なり合った層が構成されていてよい。
【0034】
反応器8のコーティングチャンバ9は、通路11を介して付加的な容器12に接続されている。容器12は、本実施形態では反応器8の外側に位置している。しかし、代替的には、容器12が反応器8のコーティングチャンバ9内に配置されていてもよい。容器12は、図2に示す抗菌性または抗ウィルス性のナノ粒子4を提供する働きをする。反応器8のコーティングチャンバ9と容器12との接続は、通路11内の弁13によって中断することができる。したがって、弁13によって、反応器8のコーティングチャンバ9内へのナノ粒子4の流れは、可能にされるか、または完全にもしくは部分的に阻止することができる。ドアハンドル1の表面2のコーティング中に、弁13は少なくとも部分的に開いているので、ナノ粒子4が反応器8内に到達し、層3と接触する。これにより、ナノ粒子4は、少なくとも部分的に層3に取り込まれ、したがってコーティングすべき表面2に取り付けられる。
【0035】
ナノ粒子4は、例えば、容器12内で形成することができる。これは、例えば、固体、液体、または気体状の出発材料14の気化、溶発、プラズマ形成または剥離によって行うことができる。ナノ粒子4の形成後、ナノ粒子4は、弁13が少なくとも部分的に開いている場合に、通路11を介して反応器8内に搬送される。これは、例えば、重力、圧力差によって、かつ/またはキャリアガスやキャリア液体の流れによって行うことができる。
【0036】
図2は、図1に示す切断ラインII-IIに沿った断面図でドアハンドル1を示している。図2では特に、ドアハンドル1の、層3でコーティングされた表面2を確認することができる。ナノ粒子4は、少なくとも部分的に層3内に取り込まれている。これにより、ナノ粒子4は、ドアハンドル1の、層3によって形成されている接触面6において抗菌および/または抗ウィルス効果を有していてよい。ナノ粒子4は、例えば、1nm~10nmであってよい直径5を有している。
【0037】
本実施形態によれば、ドアハンドルを消毒するための手間を減らすことができる。
【符号の説明】
【0038】
1 建物の構造体に装備するための物体/ドアハンドル
2 表面
3 層
4 ナノ粒子
5 直径
6 接触面
7 装置
8 反応器
9 コーティングチャンバ
10 回転要素
11 通路
12 容器
13 弁
14 出発材料
図1
図2
【国際調査報告】