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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-21
(54)【発明の名称】バッテリー及び受電機器
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/204 20210101AFI20230614BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20230614BHJP
   H01M 10/615 20140101ALI20230614BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20230614BHJP
   H01M 10/6554 20140101ALI20230614BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20230614BHJP
【FI】
H01M50/204 401H
H01M10/613
H01M10/615
H01M10/625
H01M10/6554
H01M10/6556
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022568630
(86)(22)【出願日】2021-05-13
(85)【翻訳文提出日】2022-11-10
(86)【国際出願番号】 CN2021093694
(87)【国際公開番号】W WO2022037143
(87)【国際公開日】2022-02-24
(31)【優先権主張番号】202021767491.X
(32)【優先日】2020-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼ ▲海▼奇
(72)【発明者】
【氏名】▲鄭▼ ▲敏▼捷
(72)【発明者】
【氏名】黄 小▲騰▼
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ ▲興▼▲遠▼
(72)【発明者】
【氏名】洪 家▲榮▼
【テーマコード(参考)】
5H031
5H040
【Fターム(参考)】
5H031KK01
5H031KK08
5H040AA28
5H040AA29
5H040AS07
5H040AT06
(57)【要約】
本願は、バッテリーエネルギー技術分野に関し、バッテリー及び受電機器を提供する。バッテリーは、バッテリーセルと、熱管理装置と、絶縁アセンブリとを含み、前記熱管理装置及び前記絶縁アセンブリは、それぞれ前記バッテリーセル上に設けられている。前記バッテリーセルには電極端子が設けられており、前記絶縁アセンブリは前記電極端子に接続され、前記絶縁アセンブリは、前記バッテリー端子と前記熱管理装置とを隔離することにより、前記熱管理装置の動作時に生じる結露が前記電極端子に影響を及ぼすことを回避し、バッテリーの安全性を高める。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極端子(11)が設けられたバッテリーセル(10)と、
前記バッテリーセル(10)上に設けられ、バッテリーセル(10)に対して温度制御を行うための熱管理装置(30)と、
前記バッテリーセル(10)上に設けられ、前記電極端子(11)に接続され、前記熱管理装置(30)と前記電極端子(11)とを絶縁するための絶縁アセンブリ(20)と、を含む、バッテリー。
【請求項2】
前記バッテリーセル(10)の数が複数であり、前記バッテリーセル(10)の各々がカバープレート(12)を含み、
前記電極端子(11)は、前記カバープレート(12)に設けられ、前記熱管理装置(30)は、前記カバープレート(12)と貼り合わせるために用いられる、請求項1に記載のバッテリー。
【請求項3】
前記バッテリーセル(10)の各々の前記電極端子(11)の数が少なくとも2つであり、前記熱管理装置(30)は、少なくとも2つの前記電極端子(11)の間に設けられている、請求項2に記載のバッテリー。
【請求項4】
前記絶縁アセンブリ(20)は、前記電極端子(11)の外に覆設された防水部材(21)を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のバッテリー。
【請求項5】
前記防水部材(21)の数が前記電極端子(11)の数と同じであり、前記防水部材(21)の各々は、対応する1つの前記電極端子(11)の周囲に覆設されている、請求項4に記載のバッテリー。
【請求項6】
前記絶縁アセンブリ(20)は、さらに、通し穴(222)が設けられたセパレータ(22)を含み、
前記セパレータ(22)は、前記防水部材(21)上に設けられ、前記防水部材(21)を前記バッテリーセル(10)上に固定するために用いられ、前記通し穴(222)は、前記電極端子(11)を貫通させるために用いられる、請求項4~5のいずれか一項に記載のバッテリー。
【請求項7】
前記セパレータ(22)の前記バッテリーセル(10)の方を向いた面に取付溝(224)が設けられ、前記防水部材(21)は、前記取付溝(224)内に設けられている、請求項6に記載のバッテリー。
【請求項8】
前記防水部材(21)が発泡体である、請求項4~7のいずれか一項に記載のバッテリー。
【請求項9】
前記熱管理装置(30)の表面に絶縁スプレー層が設けられている、請求項1~8のいずれか一項に記載のバッテリー。
【請求項10】
前記熱管理装置(30)と前記バッテリーセル(10)との間に熱伝導性接着剤が設けられている、請求項1~8のいずれか一項に記載のバッテリー。
【請求項11】
前記バッテリーセル(10)には、防爆弁(14)が設けられており、前記熱管理装置(30)は、少なくとも一部が前記防爆弁(14)を覆い、
前記バッテリーは、前記バッテリーセル(10)と前記熱管理装置(30)との間に設けられており、前記熱伝導性接着剤が前記防爆弁(14)に入ることを防止するための接着剤防止部材(50)をさらに含む、請求項10に記載のバッテリー。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載のバッテリーを含む、受電機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2020年8月21日に中国特許局に提出された、出願番号202021767491.X、発明の名称を「バッテリー及び受電機器」とする中国特許出願の優先権を主張し、そのすべての内容は引用により本願に組み込まれる。
【0002】
本願は、バッテリーエネルギー技術分野に関し、特にバッテリー及び受電機器に関する。
【背景技術】
【0003】
新しいエネルギー技術の発展に伴い、バッテリーのエネルギー密度が高くなっており、その用途の範囲も広範になっている。バッテリーが温度に対して極めて敏感であり、温度が低すぎると、低温のためにバッテリーの電解液が動きにくくなり、バッテリーの電極において凝固し、バッテリーの充放電能力に影響を及ぼす。温度が高すぎると、バッテリーの電解液の化学的性質が非常に活発になり、燃焼しやすくなる。バッテリーの温度を精密に制御するために、通常、バッテリーのトップカバーに熱管理装置が設けられている。熱管理装置は、バッテリーの温度が高すぎる場合には、バッテリーに対して降温処理を行い、バッテリーの温度が低すぎる場合には、バッテリーに対して昇温処理を行うために用いられ、これにより、バッテリーの動作が所定の温度で行われることを保証し、バッテリーの温度が高すぎたり低すぎたりすることを回避する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願の発明者は、本願を実現する過程において、熱管理装置が降温処理を行う際に、その表面に結露が発生しやすいため、結露による安全上の問題を解決する必要があることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の技術的課題を解決するために、本願の実施例は、結露によりバッテリーの絶縁不良の問題を回避可能なバッテリー及び受電機器を提供する。
【0006】
本願の実施例は、その技術的課題を解決するために、次の技術手法を採用する。
【0007】
第1の態様は、電極端子が設けられたバッテリーセルと、バッテリーセル上に設けられ、バッテリーセルに対して温度制御を行うための熱管理装置と、バッテリーセル上に設けられ、電極端子に接続され、熱管理装置と電極端子とを絶縁するための絶縁アセンブリとを含む、バッテリーを提供する。
【0008】
いくつかの実施例において、バッテリーセルの数は複数であり、各バッテリーセルはカバープレートを含み、電極端子はカバープレートに設けられ、熱管理装置はカバープレートに貼り合わされている。
【0009】
いくつかの実施例において、各バッテリーセルの電極端子の数は少なくとも2つであり、熱管理装置は、少なくとも2つの電極端子の間に設けられている。
【0010】
いくつかの実施例において、絶縁アセンブリは、防水部材を含み、防水部材は、電極端子の外に覆設されている。
【0011】
いくつかの実施例では、防水部材の数は電極端子の数と同じであり、各防水部材は、対応する1つの電極端子の周囲に覆設されている。
【0012】
いくつかの実施例において、絶縁アセンブリは、電極端子を貫通させるための通し穴が設けられ、防水部材上に設けられ、防水部材をバッテリーセル上に固定するためのセパレータをさらに含む。
【0013】
いくつかの実施例において、セパレータのバッテリーセルの方を向いた面に取付溝が設けられ、防水部材は、取付溝内に設けられている。
【0014】
いくつかの実施例において、防水部材は発泡体である。
【0015】
いくつかの実施例において、熱管理装置の表面に絶縁スプレー層が設けられている。
【0016】
いくつかの実施例において、熱管理装置とバッテリーセルとの間に熱伝導性接着剤が設けられている。
【0017】
いくつかの実施例において、バッテリーセルには、防爆弁が設けられており、熱管理装置は、少なくとも一部が防爆弁を覆い、バッテリーは、バッテリーセルと熱管理装置との間に設けられており、熱伝導性接着剤が防爆弁に入ることを防止するための接着剤防止部材をさらに含む。
【0018】
第2の態様において、上記のいずれか一項に記載のバッテリーを含む受電機器を提供する。
【発明の効果】
【0019】
従来技術と比較し、本願の実施例におけるバッテリーセル上には絶縁アセンブリが設けられており、絶縁アセンブリは電極端子に接続され、絶縁アセンブリは、電極端子と熱管理装置とを隔離することにより、熱管理装置の動作時に生じる結露が電極端子に影響を及ぼすことを回避し、バッテリーの安全性を高める。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本願の実施例又は先行技術における技術手法をより明瞭に説明するために、次に実施例又は先行技術の記述における用いることが必要な図面について簡単に紹介する。次の記述における図面は、本願の実施例の一部にすぎず、当業者にとって、創造的な労働を行わない前提の下で、これらの図面に基づきその他の図面をさらに得ることができることは自明のことである。
【0021】
図1】本願の1つの実施例で提供する受電機器の構造模式図である。
図2図1に示した受電機器のバッテリーの構造模式図である。
図3図2に示したバッテリーの構造分解図である。
図4図2に示したバッテリー中のバッテリーセルの構造模式図である。
図5図2に示したバッテリー中の絶縁アセンブリの構造模式図である。
図6図2に示したバッテリー中の熱管理装置の構造模式図である。
図7図2に示したバッテリーのA方向における部分断面図であり、一部の素子は省略されている。
図8図2に示したバッテリー中のバッテリーセル及び熱管理装置の構造模式図である。
図9】本願の別の実施例で提供するバッテリーの構造模式図である。
図10図9に示したバッテリーの構造分解図である。
図11図10に示したバッテリーの絶縁アセンブリ、バスバー及び回路基板の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本願の理解の便宜上、以下、図面及び具体的な実施例を合わせて、本願についてさらに詳細に説明する。なお、素子が別の素子に「固定されている」/「取り付けられている」と表現されるときに、別の素子に直接であっても、その間に1つ以上の中間素子が存在していてもよい。1つの素子が別の素子に「接続されている」と表現されるときに、別の素子に直接接続されていても、その間に1つ以上の中間素子が存在していてもよい。本明細書で使用する「上」、「下」、「内」、「外」、「垂直な」、「水平な」などの用語が示す方位又は位置関係は、図面で示す方位又は位置関係に基づき、本願の説明及び簡素化した説明の便宜上用いられているにすぎず、それが指す装置又は素子が必ず特定の方位を有し、特定の方位で構造及び操作する必要があることを指示又は暗示するものではないため、本願に対する制限と理解することはできない。また、「第1の」、「第2の」などの用語は、説明を目的として用いられているにすぎず、相対的な重要性を指示又は暗示するものであると理解することはできない。
【0023】
別段の定義がある場合を除き、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本願の技術分野に属する当業者が通常理解する意味と同じである。本願の明細書において使用される用語は、具体的な実施例を記述する目的のためのものにすぎず、本願を限定するためのものではない。本明細書で使用する「及び/又は」という用語は、1つまたは複数の列記された関連する項目の任意のすべての組み合わせを含む。
【0024】
また、以下に記載する本願の種々の実施例にかかる技術的特徴は、互いの間で矛盾がなければ、互いに組み合わせることができる。
【0025】
図1に示すように、本願の1つの実施例は、受電機器に電気エネルギーを提供するためのバッテリー100を含む受電機器を提供する。受電機器は、船舶、航空機、車両などであってよく、車両は、ガソリン自動車、天然ガス自動車又は新エネルギー自動車などであってよく、新エネルギー自動車は、純電気自動車、ハイブリッド自動車又はレンジエクステンダー式電気自動車などであってよい。以下、受電機器が車両400であるものを例として説明する。
【0026】
車両400の内部には、バッテリー100が設けられており、バッテリー100は、車両400の底部又は前部又は後部に設けてよく、バッテリー100は、車両400への給電に用いられる。バッテリー100は、車両400の操作電源としても、車両400の駆動電源として、ガソリン又は天然ガスに代えて、又はその一部に代えて、車両400に駆動動力を提供してもよい。さらに、車両400は、コントローラ200とモータ300とをさらに含んでもよく、バッテリー100、コントローラ200及びモータ300は、順に接続され、コントローラ200は、バッテリー100によるモータ300への給電を制御するために用いられ、車両400の始動、ナビゲーション及び運転の際の動作電力の要求を実現するために用いられる。
【0027】
図2及び図3に示すように、バッテリー100は、バッテリーセル10と、絶縁アセンブリ20と、熱管理装置30とを含む。絶縁アセンブリ20及び熱管理装置30は、それぞれバッテリーセル10上に設けられており、熱管理装置30は、バッテリーセル10に対して温度管理を行うために用いられる。例えば、バッテリーの温度が高すぎる場合には、バッテリーに対して放熱降温を行い、バッテリーの温度が低すぎる場合には、バッテリーに対して加熱昇温を行う。熱管理装置30がバッテリーセル10を放熱する過程において温度差によって結露が生じることがあるため、絶縁アセンブリ20は、バッテリーセル10と熱管理装置30とを隔離して絶縁するために用いられ、結露がバッテリーセル10の電極端子11に流れ、電極端子11と熱管理装置30との導通、又は2つ以上の電極端子11の導通がもたらされることを回避し、安全上の問題をもたらさないようにし、バッテリー100の安全な使用を保証する。
【0028】
いくつかの実施例において、バッテリーセル10の数は複数であり、複数のバッテリーセル10が並設され、熱管理装置30は、同時に複数のバッテリーセル10に対して温度管理を行い、絶縁アセンブリ20は、複数のバッテリーセル10と熱管理装置30とを絶縁するために用いられる。もちろん、この複数のバッテリーセル10に対する温度管理をより良好に行い、熱管理装置30と複数のバッテリーセル10との間の絶縁性能を保持するために、複数のバッテリーセル10を複数の列に並べてもよい。それに応じて、絶縁アセンブリ20も複数個配置し、各列のバッテリーセル10上にいずれも1つ以上の絶縁アセンブリ20を設け、その列のバッテリーセル10の電極端子11と熱管理装置30とを隔離するために用いてもよい。熱管理装置30を1つ配置して、1つの熱管理装置30が同時に複数列のバッテリーセル10に対して温度管理を行っても、熱管理装置30を複数個配置して、各熱管理装置30が1つの列のバッテリーセル10に対して温度管理を行ってもよい。図2に示すように、以下、2列のバッテリーセル10、2つの熱管理装置30及び2つの絶縁アセンブリ20を例として説明する。
【0029】
複数のバッテリーセル10は、2組のバッテリーユニットをなすように並べられ、2組のバッテリーユニットは、第1の方向に沿って配置され、互いに当接する。各組のバッテリーユニットの複数のバッテリーセル10は、第2の方向に沿って配置され、複数のバッテリーセル10は、順に当接され、電気的に接続されている。各バッテリーセル10上には、対応する2つの絶縁アセンブリ20と、対応する1つの熱管理装置30が設けられており、熱管理装置30は、2つの絶縁アセンブリ20の間に設けられている。ここで、第1の方向と第2の方向は、互いに垂直である。
【0030】
図2から図4に示すように、各バッテリーセル10は、セル(図示せず)と、セルケースと、電極端子11とを含み、セルケースは、カバープレート12とハウジング13とを含む。ハウジング13には、収容スペース(図示せず)が設けられており、セルは、収容スペース内に収容され、カバープレート12は、ハウジング13に被せられ、且つカバープレート12は、セル上に設けられている。電極端子11は、カバープレート12上に設けられており、且つ電極端子11は、セルに電気的に接続されている。電極端子11は、絶縁アセンブリ20に接続され、カバープレート12は、熱管理装置30に貼り合わせられ、熱管理装置30は、カバープレート12を介してバッテリーセル10内で熱交換を行うことにより、バッテリーセル10に対して温度管理を行う。
【0031】
本実施例において、各バッテリーセル10の電極端子11の数は2つであり、2つの電極端子11はそれぞれカバープレート12の両側に設けられており、2つの電極端子11は、それぞれセルに電気的に接続されている。2つの電極端子11のうち、一方の電極端子11は正極端子であり、他方の電極端子11は負極端子である。熱管理装置30は、複数のバッテリーセル10上に取り付けられており、熱管理装置30は、各バッテリーセル10の2つの電極端子11の間に設けられている。理解すべきことは、他のいくつかの実施例では、各バッテリーセルの電極端子の数は、3つ、4つなど、少なくとも2つであればよく、実際の必要に応じて増やしてもよく、熱管理装置30は、少なくとも2つの電極端子11の間に設けられている。
【0032】
各バッテリーセル10上には、防爆弁14がさらに設けられており、防爆弁14は、2つの電極端子11の間に設けられており、防爆弁14の口はカバープレート12上に設けられている。セルに熱暴走が発生した場合、高温高圧のガスが大量に生じ、熱暴走が発生した箇所の高温高圧のガスが防爆弁14を突き破り、バッテリーセル10の外部に排出されることにより、バッテリーセル10内部に短時間で大量の高温高圧ガスが蓄積されてバッテリーセル10の爆発を引き起こすことを回避することができる。
【0033】
図5及び図7に示すように、絶縁アセンブリ20は、防水部材21を含み、防水部材21は環状構造であり、電極端子11の外に覆設され、カバープレート12に当接され、結露が電極端子11に接触することを阻止するために用いられる。本実施例では、防水部材21の数は電極端子11の数と同じであり、各防水部材21は、対応する1つの電極端子11の周囲に覆設されている。防水部材21は、発泡体、ゴム、プラスチック、シリカゲルなどの絶縁材料であってよく、本実施例では、防水部材21は発泡体であり、発泡体は、緩衝、耐振動、断熱、耐湿、耐化学的腐食などの長所を有する。理解すべきことは、他のいくつかの実施例では、防水部材21の数は、実際の必要に応じて設けてもよく、各防水部材21は、2つ以上の電極端子11に対応してもよく、例えば、2つの防水部材21を設け、各防水部材21が同じ側の複数の電極端子11上を覆設してもよい。このような設置形態によって、絶縁アセンブリ20の組み立て工程を簡素化し、絶縁アセンブリ20をバッテリーセル10に取り付ける効率を高めることができる。
【0034】
いくつかの実施例において、絶縁アセンブリ20は、防水部材21上に設けられ、防水部材21をカバープレート12上に固定するために用いられるセパレータ22をさらに含み、防水部材21がカバープレート12と密接可能なことを保証することにより、結露と電極端子11との接触を有効に回避する。
【0035】
具体的には、セパレータ22上にセパレータ22を貫通する通し穴222が設けられている。セパレータ22がカバープレート12上に取り付けられたとき、電極端子11が通し穴222を貫通する。本実施例では、通し穴222の数は電極端子11の数と同じであり、各電極端子11は、対応する1つの通し穴222を貫通する。理解すべきことは、他のいくつかの実施例では、通し穴222の数は、実際の必要に応じて設けてもよく、各通し穴222は、2つ以上の電極端子11に対応してもよく、例えば、セパレータ22上に通し穴222を1つのみ設け、複数の電極端子11を1つの通し穴222に貫通させてもよく、絶縁アセンブリ20と電極端子11との間の装着の要求を満たすことができればよい。
【0036】
セパレータ22のカバープレート12の方を向いた面に、防水部材21を取り付けるための取付溝224が設けられている。本実施例では、取付溝224の数は防水部材21の数と同じであり、各防水部材21は、対応する1つの取付溝224内に設けられている。理解すべきことは、他のいくつかの実施例では、取付溝224の数は、実際の必要に応じて設けてもよく、各取付溝224は、2つ以上の防水部材21に対応してもよく、例えば、セパレータ22上に取付溝224を1つのみ設け、複数の防水部材21を1つの取付溝224内に設けてもよく、セパレータ22と防水部材21との間の装着の要求を満たすことができればよい。
【0037】
絶縁アセンブリ20の取り付けの便宜上、防水部材21を取付溝224内に先に取り付け、接着、熱融着などの方式で防水部材21をセパレータ22に接続させてから、防水部材21及びセパレータ22を一緒にカバープレート12上に取り付けてもよい。
【0038】
図6及び図8に示すように、熱管理装置30は、バッテリーセル10のカバープレート12に貼り合わせられた冷却プレート31を含み、冷却プレート31は、少なくとも一部がバッテリーセル10の防爆弁14を覆う。冷却プレート31内部には、凝縮通路(図示せず)が設けられており、凝縮通路内にはバッテリーセル10と熱交換を行うために用いられる熱交換媒体が充填される。任意に、冷却プレート31内部の熱交換媒体は、さらに、消火性を有し、セルに熱暴走が発生したときに、高温高圧のガスが冷却プレート31を破壊し、熱交換媒体が防爆弁14の口からバッテリーセル10内部に流れ込んで消火を行うことにより、バッテリーセル内の火が蔓延することを有効に抑制することができる。熱交換媒体は、例えば、ハロゲン化アルキル、リン酸エステル又はハイドロフルオロエーテルなど、難燃、降温、熱交換などの特性を有する物質を選ぶ。本実施例では、迅速に火を消すことができるようにして安全性を高めるために、熱交換媒体は、フッ素系液体である。フッ素系液体は、沸騰して熱交換することにより、熱暴走が発生したバッテリーセル10を降温させることができるとともに、フッ素系液体の沸騰相変化過程において生じた大量のガスが、バッテリーセル10の排気の温度を下げ、バッテリーの安全性を高めることができる。また、フッ素系液体の相変化後に生じたガスは、有効に空気を断絶することもでき、バッテリーセルの熱暴走後に火が蔓延することを阻止する効果をさらに高めることができる。いくつかの実施例において、冷却プレート31の表面には、熱管理装置30とバッテリーセル10との間をさらに絶縁することができるとともに、熱管理装置30が腐食する可能性を低下させることが可能な絶縁スプレー層(図示せず)がさらに設けられている。
【0039】
冷却プレート31の両端には、コネクタ32がそれぞれ設けられており、2つのコネクタ32は、それぞれ凝縮通路に連通しており、2つのコネクタ32は、それぞれ外部の熱交換媒体貯蔵装置に接続されており、これにより、熱交換媒体が凝縮通路と外部の熱交換媒体貯蔵装置との間を循環して流れることができる。
【0040】
いくつかの実施例において、熱管理装置30の自動運転を実現できるようにするため、熱管理装置30は、凝縮通路に連通した熱交換器(図示せず)と、温度センサ(図示せず)と、それぞれ熱交換器及び温度センサに接続したコントローラ(図示せず)とをさらに含む。温度センサは、バッテリーセル10上に設けられており、バッテリーセル10の温度変化を感知するために用いられ、コントローラと通信接続する。バッテリーセル10の温度が所定温度よりも高いことを温度センサが感知した場合には、コントローラが熱交換器を制御して熱交換媒体を冷却することによって、熱交換媒体にバッテリーセル10を冷却させる。バッテリーセル10の温度が所定温度よりも低いことを温度センサが感知した場合には、コントローラが熱交換器を制御して熱交換媒体を加熱することによって、熱交換媒体にバッテリーセル10を加熱させる。これにより、熱管理装置30にバッテリーセル10の自動温度管理機能を実現させる。
【0041】
いくつかの実施例では、熱管理装置30とバッテリーセル10との間に、熱管理装置30とバッテリーセル10との間の熱伝導性を高めるための熱伝導性接着剤(図示せず)が設けられている。具体的には、熱伝導性接着剤は、カバープレート12と冷却プレート31との間に接着され、カバープレート12と冷却プレート31との間の熱伝導性を高めるとともに、冷却プレート31とカバープレート12の安定した接続も保証することができる。
【0042】
図9から図11に示すように、他のいくつかの実施例では、バッテリー100は、バッテリーセル10と熱管理装置30との間に設けられた、熱伝導性接着剤が防爆弁14に入って防爆弁14を塞いでガスをよどみなく排出できなくなることを回避するための接着剤防止部材50をさらに含む。具体的には、接着剤防止部材50は、カバープレート12と冷却プレート31との間であって、防爆弁14の周りに設けられており、熱伝導性接着剤は、接着剤防止部材50の周囲に設けられている。
【0043】
いくつかの実施例では、接着剤防止部材50は、ストッパ51を含み、ストッパ51の数は複数であり、複数のストッパ51が順に接続されている。ストッパ51の数は防爆弁14の数と同じであり、各ストッパ51は、対応する1つの防爆弁14上に覆設されている。理解すべきことは、他のいくつかの実施例では、接着剤防止部材50の複数のストッパ51間は接続されていなくてもよく、各接着剤防止部材50上のストッパ51の数は、実際の必要に応じて設けてもよく、各ストッパ51は、2つ以上の防爆弁14に対応してもよく、例えば、接着剤防止部材50上にストッパ51を1つのみ設け、ストッパ51は、バッテリーセルの複数の防爆弁14の周りにあってもよく、熱伝導性接着剤が防爆弁14を塞ぐことを阻止できればよい。
【0044】
いくつかの実施例において、バッテリー100は、絶縁アセンブリ20上に設けられ、バッテリーセル10に接続されたバスバー60をさらに含む。バスバー60の数は複数であり、各バスバー60は、2つの電極端子11に対応する。各バスバー60は、2つの隣接するバッテリーセル10の電極端子11に接続されることによって、2つのバッテリーセル10の間を電気的に接続する。
【0045】
いくつかの実施例において、バスバー60を絶縁アセンブリ20上に取り付ける便宜上、セパレータ22のバッテリーセル10の方を向いていない面に、さらに、通し穴222に連通した収容溝226が設けられており、バスバー60は、収容溝226内に取り付けられている。バスバー60は、電極端子11にはんだ付けされ、セパレータ22はバッテリーセル10上に固定されている。
【0046】
いくつかの実施例において、バッテリー100は、複数のバスバー60を接続することによって、複数のバッテリーセル10の間を電気的に接続する回路基板70をさらに含む。任意に、回路基板70は、フレキシブルプリント基板であり、体積が小さく、配置に便利である。
【0047】
いくつかの実施例において、バッテリー100は、さらに、エンドプレート80を含み、エンドプレート80の数は2つであり、2つのエンドプレート80は、それぞれ複数のバッテリーセル10の両端に設けられ、複数のバッテリーセル10を固定するために用いられる。
【0048】
なお、最後に、以上の各実施例は、本願の技術手法を説明するためのものに過ぎず、それを限定するためのものではない。本願の構想の下、以上の実施例又は様々な実施例における技術的特徴を組み合わせてもよく、手順は任意の順序で実現することができ、上記の本願の様々な態様のようなその他多くの変化が存在するが、簡素化するために、詳細において提供していない。前記実施例を参照して本願について詳細に説明しているにもかかわらず、当業者は、依然として前記各実施例に記載の技術手法を変更するか、またはその一部の技術的特徴について同等の差し替えを行うことができ、これらの変更または差し替えは、対応する技術手法の本質を本願の各実施例の技術手法の範囲から逸脱させるものではないことを理解できるはずである。
【符号の説明】
【0049】
10 バッテリーセル
11 電極端子
12 カバープレート
13 ハウジング
14 防爆弁
20 絶縁アセンブリ
21 防水部材
22 セパレータ
30 熱管理装置
31 冷却プレート
32 コネクタ
50 接着剤防止部材
51 ストッパ
60 バスバー
70 回路基板
80 エンドプレート
100 バッテリー
200 コントローラ
222 通し穴
224 取付溝
226 収容溝
300 モータ
400 車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2022-11-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極端が設けられたバッテリーセと、
前記バッテリーセ上に設けられ、バッテリーセに対して温度制御を行うための熱管理装と、
前記バッテリーセ上に設けられ、前記電極端に接続され、前記熱管理装と前記電極端とを絶縁するための絶縁アセンブと、を含む、バッテリー。
【請求項2】
前記バッテリーセの数が複数であり、前記バッテリーセの各々がカバープレーを含み、
前記電極端は、前記カバープレーに設けられ、前記熱管理装は、前記カバープレーと貼り合わせるために用いられる、請求項1に記載のバッテリー。
【請求項3】
前記バッテリーセの各々の前記電極端の数が少なくとも2つであり、前記熱管理装は、少なくとも2つの前記電極端の間に設けられている、請求項2に記載のバッテリー。
【請求項4】
前記絶縁アセンブは、前記電極端の外に覆設された防水部を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のバッテリー。
【請求項5】
前記防水部の数が前記電極端の数と同じであり、前記防水部の各々は、対応する1つの前記電極端の周囲に覆設されている、請求項4に記載のバッテリー。
【請求項6】
前記絶縁アセンブは、さらに、通しが設けられたセパレーを含み、
前記セパレーは、前記防水部上に設けられ、前記防水部を前記バッテリーセ上に固定するために用いられ、前記通しは、前記電極端を貫通させるために用いられる、請求項4~5のいずれか一項に記載のバッテリー。
【請求項7】
前記セパレーの前記バッテリーセの方を向いた面に取付が設けられ、前記防水部は、前記取付内に設けられている、請求項6に記載のバッテリー。
【請求項8】
前記防水部が発泡体である、請求項4~7のいずれか一項に記載のバッテリー。
【請求項9】
前記熱管理装の表面に絶縁スプレー層が設けられている、請求項1~8のいずれか一項に記載のバッテリー。
【請求項10】
前記熱管理装と前記バッテリーセとの間に熱伝導性接着剤が設けられている、請求項1~8のいずれか一項に記載のバッテリー。
【請求項11】
前記バッテリーセには、防爆が設けられており、前記熱管理装は、少なくとも一部が前記防爆を覆い、
前記バッテリーは、前記バッテリーセと前記熱管理装との間に設けられており、前記熱伝導性接着剤が前記防爆に入ることを防止するための接着剤防止部をさらに含む、請求項10に記載のバッテリー。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載のバッテリーを含む、受電機器。
【国際調査報告】