IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ロレアルの特許一覧

特表2023-526217脂肪媒体中にグラフトされたポリヒドロキシアルカノエートコポリマーを含む化粧用組成物
<>
  • 特表-脂肪媒体中にグラフトされたポリヒドロキシアルカノエートコポリマーを含む化粧用組成物 図1
  • 特表-脂肪媒体中にグラフトされたポリヒドロキシアルカノエートコポリマーを含む化粧用組成物 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-21
(54)【発明の名称】脂肪媒体中にグラフトされたポリヒドロキシアルカノエートコポリマーを含む化粧用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/85 20060101AFI20230614BHJP
   A61Q 1/04 20060101ALI20230614BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20230614BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20230614BHJP
【FI】
A61K8/85
A61Q1/04
A61Q5/00
A61Q1/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022568635
(86)(22)【出願日】2021-06-23
(85)【翻訳文提出日】2022-11-10
(86)【国際出願番号】 EP2021067264
(87)【国際公開番号】W WO2021260079
(87)【国際公開日】2021-12-30
(31)【優先権主張番号】2006594
(32)【優先日】2020-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】サンドリーヌ・チョドロウスキー-キメ
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン・ポルタル
(72)【発明者】
【氏名】ロマン・ギャルコン
(72)【発明者】
【氏名】エティエンヌ・サヴォネ
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB131
4C083AB231
4C083AB431
4C083AC011
4C083AC102
4C083AC351
4C083AC371
4C083AC391
4C083AC421
4C083AC791
4C083AD091
4C083BB23
4C083BB24
4C083BB25
4C083BB51
4C083BB53
4C083CC11
4C083CC31
4C083DD28
4C083DD32
4C083DD33
4C083EE06
4C083EE07
4C083FF01
(57)【要約】
本発明は、a)下記の単位(A)及び(B)から選択される少なくとも2つの異なる繰り返しポリマー単位:-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]-単位 (A)-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]-単位 (B)を含有する、好ましくはそれらからなる1種以上のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)コポリマー、並びにまたそれらの光学異性体又は幾何異性体、それらの有機酸若しくは鉱酸又は塩基塩、及び水和物などのそれらの溶媒和物:b)25℃で及び大気圧で好ましくは液体である1種以上の脂肪性物質を含む脂肪媒体を含む化粧用組成物であって、(A)は(B)とは異なることが理解される化粧用組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)下記の単位(A)及び(B)から選択される少なくとも2つの異なる繰り返しポリマー単位:
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(A)
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(B)
(ポリマー単位(A)及び(B)において:
- Rは、i)直鎖状若しくは分岐状の(C~C28)アルキル、ii)直鎖状若しくは分岐状の(C~C28)アルケニル、iii)直鎖状若しくは分岐状の(C~C28)アルキニルから選択される炭化水素ベースの鎖を表し;好ましくは、前記炭化水素ベースの基は直鎖状であり;
前記炭化水素ベースの鎖は、
・ a)塩素若しくは臭素などのハロゲン、b)ヒドロキシル、c)チオール、d)(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ、e)(チオ)カルボキシ、f)(チオ)カルボキサミド-C(O)-N(R又は-C(S)-N(R、f)シアノ、g)イソ(チオ)シアネート、h)フェニル、ナフチル又はフリルなどの(ヘテロ)アリール、及びi)酸無水物、又はエポキシドなどの(ヘテロ)シクロアルキル、j)光学的光沢剤に由来するものなどの着色した若しくは着色していない、蛍光若しくは非蛍光発色団、又はUVA及び/若しくはUVBスクリーニング剤に由来する発色団、老化防止活性薬剤並びに香料から選択される化粧用活性薬剤;k)R-X[Rは、α)シクロヘキシルなどのシクロアルキル、β)ヘテロシクロアルキル、例えば糖、好ましくはグルコースなどの単糖、γ)フェニルなどの(ヘテロ)アリール、δ)前に定義されたような化粧用活性薬剤から選択される基を表し、Xは、a’)O、S、N(R)若しくはSi(R)(R)、b’)S(O)、若しくは(チオ)カルボニル、c’)又はa’)と、b’)(チオ)エステル、(チオ)アミド、(チオ)尿素などとの組合せを表し;rは1若しくは2に等しく、Rは、水素原子、又は(C~C)アルキル基若しくはベンジルなどのアリール(C~C)アルキル基を表し、好ましくはRは水素原子を表し;同一であっても異なっていてもよい、R及びRは、(C~C)アルキル又は(C~C)アルコキシ基、特にただ1つの置換基を表す]から選択される;好ましくはb)ハロゲン、及びj)例えばエポキシドなどから選択される1つ以上の原子又は基で置換されており;並びに/又は
・ 1つ以上のヘテロ原子a’)O、S、N(R)及びSi(R)(R)など、b’)S(O)若しくは(チオ)カルボニル、c’)又はa’)と、b’)(チオ)エステル、(チオ)アミド、(チオ)尿素などとの組合せ(r及びRは、前に定義された通りであり、好ましくはRは、水素原子を表し、R及びRは、前に定義された通りである)で割り込まれており;
- Rは、特に直鎖状若しくは分岐状の(C~C28)アルキル及び直鎖状若しくは分岐状の(C~C28)アルケニル、特に直鎖状の炭化水素ベースの基、より特に(C~C20)アルキル又は(C~C20)アルケニルから選択される;3~30個の炭素原子を含む環式若しくは非環式の、直鎖状若しくは分岐状の、飽和若しくは不飽和の炭化水素ベースの基を表し;好ましくは、前記炭化水素ベースの基は、それから少なくとも1個の炭素原子が差し引かれる基Rの炭素原子の数に相当する、好ましくはそれから少なくとも2個の炭素原子が差し引かれる基Rの炭素原子の数に相当する炭素数を有する)
を含有する、好ましくはそれらからなる1種以上のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)コポリマー、並びにまたそれらの光学異性体又は幾何異性体、それらの有機酸若しくは鉱酸又は塩基塩、及び水和物などのそれらの溶媒和物と;
b)25℃で及び大気圧で好ましくは液体である;1種以上の脂肪性物質を含む脂肪媒体と
を含む、組成物、とりわけ化粧用組成物であって、
(A)は(B)とは異なることが理解される化粧用組成物。
【請求項2】
前記PHAコポリマーは、a)式(I):
【化1】
(式(I)中:
・ R及びRは、請求項1において定義された通りであり、
・ m及びnは、1以上の整数であり;好ましくは合計n+mは、両端を含んで450~1400であり;
好ましくはm<nである)
の繰り返し単位、並びにまたそれらの光学異性体又は幾何異性体、それらの有機酸若しくは鉱酸又は塩基塩、及び水和物などのそれらの溶媒和物を含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記PHAコポリマーa)は、3つの異なる繰り返しポリマー単位(A)、(B)及び(C)を含有し、好ましくは下記の3つの異なるポリマー単位(A)、(B)及び(C):
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(A)
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(B)
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(C)
(ポリマー単位(A)、(B)及び(C)において:
- R及びRは、請求項1において定義された通りであり;
- Rは、1~30個の炭素原子を含む環式若しくは非環式の、直鎖状若しくは分岐状の、飽和若しくは不飽和の炭化水素ベースの基を表し;
- 1つ以上の原子又は基a)~l)で任意選択的に置換された及び/又は請求項1においてRについて定義されたような1つ以上のヘテロ原子又は基a’)~c’)で任意選択的に割り込まれた;特に、直鎖状若しくは分岐状の、置換された及び/又は割り込まれた(C~C28)アルキル及び直鎖状若しくは分岐状の(C~C28)アルケニル、特に直鎖状の炭化水素ベースの基、より特に(C~C20)アルケニルから選択される炭化水素ベースの基を表し;好ましくは、前記炭化水素ベースの基は、基Rの炭素原子の数に相当する、或いはそれから少なくとも3個の炭素原子が差し引かれる基Rの炭素の数に相当する、好ましくはそれから4個の炭素原子が差し引かれる基Rの炭素原子の数に相当する炭素数を有する)、
並びにまたそれらの光学異性体又は幾何異性体、及び水和物などのそれらの溶媒和物からなり;
下記:
- (A)は(B)及び(C)とは異なり、(B)は(A)及び(C)とは異なり、(C)は(A)及び(B)とは異なり;
好ましくは、とりわけRがアルキル基を表し、及び/又はRがアルキル基を表し;好ましくはRが、それから2個の炭素原子が差し引かれるRの炭素数に相当する炭素数のアルキル基を表す場合に、単位(A)のモル百分率は、単位(B)のモル百分率未満及び単位)C)のモル百分率未満であり;
好ましくは、前記PHAコポリマーa)は、式(II):
【化2】
(式(II)中:
・ R、R及びRは、前に定義された通りであり;
・ m、n及びpは、1以上の整数であり;好ましくは、合計n+m+pは、両端を含んで450~1400であり;
・ 好ましくは、m<n+pであり、好ましくはRは、それから2個の炭素原子が差し引かれるRの炭素数に相当する炭素数のアルキル基を表す)
の繰り返し単位、並びにまたそれらの光学異性体又は幾何異性体、それらの有機酸若しくは無機酸又は塩基塩、及び水和物などのそれらの溶媒和物を含む
ことが理解される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記PHAコポリマーa)は、4つの異なる繰り返しポリマー単位(A)、(B)、(C)及び(D)を含有し、好ましくは、下記の4つの異なるポリマー単位(A)、(B)、(C)及び(D):
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(A)
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(B)
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(C)
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(D)
(ポリマー単位(A)、(B)、(C)及び(D)において:
- R、R及びRは、請求項1~3において定義された通りであり;
- Rは、1つ以上の原子又は基a)~l)で任意選択的に置換された及び/又はRについて定義されたような1つ以上のヘテロ原子又は基a’)~c’)で任意選択的に割り込まれた、3~30個の炭素原子を含む環式若しくは非環式の、直鎖状若しくは分岐状の、飽和の炭化水素ベースの基を表し;それは、特に、1つ以上の原子又は基a)~l)で置換された及び/又はRについて定義されたような1つ以上のヘテロ原子又は基a’)~c’)で割り込まれた直鎖状若しくは分岐状の(C~C28)アルキルから選択される炭化水素ベースの基を表す)、
並びにまたそれらの光学異性体又は幾何異性体、それらの有機酸若しくは鉱酸又は塩基塩、及び水和物などのそれらの溶媒和物からなり;
下記:
- (A)は(B)、(C)及び(D)とは異なり、(B)は(A)、(C)及び(D)とは異なり、(C)は(A)、(B)及び(D)とは異なり、(D)は(A)、(B)及び(C)とは異なり;
- 好ましくは、とりわけRがアルキル基を表し、及び/又はRがアルキル基を表し;Rが置換された及び/又は割り込まれたアルキル、任意選択的に置換された及び/又は任意選択的に割り込まれたアルケニル或いは任意選択的に置換された及び/又は任意選択的に割り込まれたアルキニル基を表す場合に、単位(A)のモル百分率は、単位(B)のモル百分率未満及び単位(C)のモル百分率未満であり;好ましくは、Rは、それから2個の炭素原子が差し引かれるRの炭素数に相当する炭素数のアルキル基を表し、Rは、それから2個の炭素原子が差し引かれるRの炭素数に相当する炭素数の、任意選択的に置換された及び/又は割り込まれたアルキル、任意選択的に置換された及び/又は割り込まれたアルケニル或いは任意選択的に置換された及び/又は割り込まれたアルキニル基を表し;
好ましくは、前記PHAコポリマーa)は、式(III):
【化3】
(式(III)中:
・ R、R、R及びRは、前に定義された通りであり;
・ m、n、p及びvは、1以上の整数であり;好ましくは、合計n+m+p+vは、両端を含んで450~1400であり;
・ 好ましくは、n>m+vであり;より優先的にはn+p>m+vであり、- 好ましくはRは、それから2個の炭素原子が差し引かれるRの炭素数に相当する炭素数のアルキル基を表し、Rは、それから2個の炭素原子が差し引かれるRの炭素数に相当する炭素数の、任意選択的に置換された及び/又は任意選択的に割り込まれたアルキル、任意選択的に置換された及び/又は任意選択的に割り込まれたアルケニル或いは置換された及び/又は任意選択的に割り込まれたアルキニル基を表す)
の繰り返し単位、並びにまたそれらの光学異性体又は幾何異性体、それらの有機酸若しくは無機酸又は塩基塩、及び水和物などのそれらの溶媒和物を含む
ことが理解される、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記PHAコポリマーa)は、5つの異なる繰り返しポリマー単位(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)を含有し、好ましくは、下記の5つの異なるポリマー単位(A)、(B)、(C)、(D)及び(E):
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(A)
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(B)
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(C)
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(D)
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(E)
(ポリマー単位(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)において:
- R、R、R及びRは、請求項1~4において定義された通りであり;
- Rは、1つ以上の原子又は基a)~l)で任意選択的に置換された及び/又はRについて定義されたような1つ以上のヘテロ原子又は基a’)~c’)で任意選択的に割り込まれた、3~30個の炭素原子を含む環式若しくは非環式の、直鎖状若しくは分岐状の、飽和の炭化水素ベースの基を表し;それは、特に、1つ以上の原子又は基a)~l)で置換された及び/又はRについて定義されたような1つ以上のヘテロ原子又は基a’)~c’)で割り込まれた直鎖状若しくは分岐状の(C~C28)アルキルから選択される炭化水素ベースの基を表し;好ましくは、前記炭化水素ベースの基は、それから少なくとも1個の炭素原子が差し引かれる基Rの炭素原子の数に相当する、好ましくはそれから少なくとも2個の炭素原子が差し引かれる基Rの炭素原子の数に相当する炭素数を有する)、
並びにまたそれらの光学異性体又は幾何異性体、それらの有機酸若しくは鉱酸又は塩基塩、及び水和物などのそれらの溶媒和物からなり;
下記:
- (A)は(B)、(C)、(D)及び(E)とは異なり;(B)は(A)、(C)、(D)及び(E)とは異なり;(C)は(A)、(B)、(D)及び(E)とは異なり;(E)は(A)、(B、(C)及び(D)とは異なり;
- 好ましくは、とりわけRがアルキル基を表し、及び/又はRがアルキル基を表し;R及びRが任意選択的に置換された及び/又は割り込まれたアルキル、任意選択的に置換された及び/又は任意選択的に割り込まれたアルケニル或いは任意選択的に置換された及び/又は任意選択的に割り込まれたアルキニル基を表す場合に、単位(A)のモル百分率は、単位(B)のモル百分率未満及び単位(C)のモル百分率未満であり;好ましくはRは、それから2個の炭素原子が差し引かれるRの炭素数に相当する炭素数のアルキル基を表し、Rは、それから2個の炭素原子が差し引かれるRの炭素数に相当する炭素数の、任意選択的に置換された及び/又は任意選択的に割り込まれたアルケニル或いは任意選択的に置換された及び/又は任意選択的に割り込まれたアルキニル基を表し、Rは、それから4個の炭素原子が差し引かれるRの炭素数に相当する炭素数の、任意選択的に置換された及び/又は任意選択的に割り込まれたアルケニル或いは任意選択的に置換された及び/又は任意選択的に割り込まれたアルキニル基を表し;
好ましくは、前記PHAコポリマーは、式(IV):
【化4】
(式(IV)中:
・ R、R、R、R及びRは、前に定義された通りであり;
・ m、n、p、v及びzは、1以上の整数であり;好ましくは、合計n+m+p+v+zは、両端を含んで450~1400であり;
・ 好ましくは、Rが、置換された及び/又は割り込まれたアルキル、任意選択的に置換された及び/又は任意選択的に割り込まれたアルケニル或いは任意選択的に置換された及び/又は任意選択的に割り込まれたアルキニル基を表す場合、R及びRはアルキル基を表し、基R及びRは、任意選択的に置換された及び/又は任意選択的に割り込まれたアルキル、任意選択的に置換された及び/又は任意選択的に割り込まれたアルケニル或いは任意選択的に置換された及び/又は任意選択的に割り込まれたアルキニル基を表し、そのとき、n>m+v+zであり;より優先的にはn+p>m+v+zであり;好ましくはRは、それから2個の炭素原子が差し引かれるRの炭素数に相当する炭素数のアルキル基を表し、Rは、それから2個の炭素原子が差し引かれるRの炭素数に相当する炭素数の、任意選択的に置換された及び/又は任意選択的に割り込まれたアルケニル或いは任意選択的に置換された及び/又は任意選択的に割り込まれたアルキニル基を表し、Rは、それから4個の炭素原子が差し引かれるRの炭素数に相当する炭素数の、任意選択的に置換された及び/又は任意選択的に割り込まれたアルケニル或いは任意選択的に置換された及び/又は任意選択的に割り込まれたアルキニル基を表す)
の繰り返し単位、並びにまたそれらの光学異性体又は幾何異性体、それらの有機酸若しくは無機酸又は塩基塩、及び水和物などのそれらの溶媒和物を含む
ことが理解される、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
は、直鎖状若しくは分岐状の、好ましくは直鎖状の、(C~C28)アルキル炭化水素ベースの鎖を表し;より特に、Rは、1つ以上の原子又は基a)~k)で置換されたアルキル基であり、前記アルキル基は、5~12個、好ましくは6~10個の炭素原子、より優先的にはn-オクチルなどの7~9個の炭素原子を含み;好ましくは、Rは、b)ヒドロキシル、c)チオール、d)(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ、好ましくはアミノ、e)カルボキシル、i)酸無水物、又はエポキシドなどの(ヘテロ)シクロアルキル、j)光学的光沢剤、UVスクリーニング剤などの着色した若しくは着色していない、蛍光若しくは非蛍光発色団から選択される化粧用活性薬剤、h)フェニル又はフリルなどの(ヘテロ)アリール、k)R-X[Rは、α)シクロヘキシルなどのシクロアルキル、β)ヘテロシクロアルキル、例えば糖、好ましくはグルコースなどの単糖、γ)フェニルなどの(ヘテロ)アリール、δ)前に定義されたような化粧用活性薬剤から選択される基を表し、Xは、a’)O、S、N(R)、b’)カルボニル、c’)又はa‘)のそれらとb‘)エステル、アミド若しくは尿素などとの組合せを表し;Rは、水素原子又は(C~C)アルキル若しくはベンジルなどのアリール(C~C)アルキル基を表し、好ましくはRは水素原子を表す]から選択される1つ以上(好ましくは1つ)の基で置換された、炭化水素ベースの鎖を表し;さらにより優先的には、前記PHAコポリマーは、Rが、b)ヒドロキシル、d)(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ、好ましくはアミノ、e)カルボキシル、i)エポキシドなどの(ヘテロ)シクロアルキル、h)フェニル又はフリルなどの(ヘテロ)アリール、k)R-X[Rは、α)シクロヘキシルなどのシクロアルキル、β)ヘテロシクロアルキル、例えば糖、好ましくはグルコースなどの単糖、γ)フェニルなどの(ヘテロ)アリールから選択される基を表し、Xは、a’)O、S若しくはN(R)、好ましくはSを表し;Rは、水素原子又は(C~C)アルキル基を表し、好ましくはRは水素原子を表す]から選択される1つ以上(好ましくは1つ)の基で置換されている、炭化水素ベースの鎖、とりわけ前に定義されたようなアルキル基を表し;さらにより良好には、前記炭化水素ベースの鎖Rが、前記基Rを担持する炭素原子の反対側の鎖の末端で置換されているようなものである、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
は、O、S、N(R)(Rは、請求項1~6において定義された通りである)、カルボニル、又はそれらとエステル、アミド若しくは尿素などとの組合せから選択される1つ以上(好ましくは1つ)の原子又は基で割り込まれている、炭化水素ベースの鎖、とりわけアルキル、特にC~C20、より特にC~C18、及びさらにいっそう特にC~C16アルキルを表し;好ましくは、Rは、水素原子;好ましくはO及びSから選択される1つ以上の原子で、より優先的にはO又はS、とりわけS原子で割り込まれているアルキル基を表し、前記割り込まれた炭化水素ベースの鎖は直鎖状である、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
は、次式-(CH-X-(ALK)-G[Xは、請求項1又は6において前に定義された通りであり、特にO、S若しくはN(R)、好ましくはSを表し、ALKは、直鎖状若しくは分岐状の、好ましくは直鎖状の、(C~C10)アルキレン、より特に(C~C)アルキレン鎖を表し、rは、両端を含んで6~11、好ましくは8などの7~10の整数を表し;uは、0若しくは1に等しく;Gは、水素原子又はヒドロキシル、カルボキシル、(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ、(ヘテロ)アリール、特にフェニルなどのアリール、シクロヘキシルなどのシクロアルキル、又は糖、特に、アシルなどの1つ以上の基で任意選択的に保護されている単糖から選択される基を表し、好ましくは、Sugは、ReがRf-C(O)-(Rfは、メチルなどの(C1~C4)アルキル基を表す)を表す
【化5】
を表し;好ましくは、uが0に等しい場合、Gは、シクロヘキシルなどのシクロアルキル基、又は前にお定義されたような糖を表し;別の有利な変形によれば、uが1に等しい場合、Gは、水素原子又はヒドロキシル、カルボキシル、(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ若しくは(ヘテロ)アリール、特にフェニルなどのアリールから選択される基を表す]を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記PHAコポリマーa)は、Rが、直鎖状若しくは分岐状の(C~C28)アルキル、及び直鎖状若しくは分岐状の(C~C28)アルケニル、特に直鎖状の炭化水素ベースの鎖、特に(C~C20)アルキル又は(C~C20)アルケニルから選択されるようなものである、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記PHAコポリマーa)は、基Rが、直鎖状若しくは分岐状の、好ましくは直鎖状の、(C~C)アルキル、特に(C~C)アルキル、好ましくは、n-ペンチル又はn-ヘキシルなどの(C~C)アルキル基であるようなものである、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記PHAコポリマーa)は、
-前記単位(A)が、単位(A)の0.1%~99%の範囲のモル百分率、好ましくは0.5%~50%の範囲のモル百分率、より優先的には1%~40%の範囲のモル百分率、さらにいっそう優先的には2%~30%の範囲のモル百分率、さらにより良好には5%~20%の範囲のモル百分率、さらにいっそう良好には10%~30%の範囲のモル百分率で存在し;
-前記単位(B)が、単位(B)の1%~40%の範囲のモル百分率、優先的には2%~10%の範囲のモル百分率、より優先的には5%~35%の範囲のモル百分率で存在し、及び/又は
-前記単位(C)が、単位(C)の0.5%~20%の範囲のモル百分率、優先的には1%~7%の範囲のモル百分率、より優先的には0.5%~7%で存在する
ようなものである、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記PHAコポリマーa)は、それらが以下の繰り返し単位:
【化6】
【表1】
(m及びnは、前に定義された通りであり、Halは、臭素などのハロゲン原子を表し、tは、1~10、好ましくは、6などの3~8の整数を表し。
Arは、フェニルなどの(ヘテロ)アリール基を表し;
Ar’は、t-ブチルフェニルなどの(C~C)アルキル(ヘテロ)アリール基、好ましくは4-t-ブチルフェニルを表し;
Cyclは、シクロヘキシル基を表し;
Furは、フリル基、好ましくは2-フリルを表し;
Sugは、糖基、特に、アシルなどの1つ以上の基で任意選択的に保護された単糖を表し;好ましくは、Sugは、
【化7】
を表す)、
並びにまたそれらの光学異性体又は幾何異性体、それらの有機酸若しくは無機酸又は塩基塩、及び水和物などのそれらの溶媒和物を含むようなものであり;、
優先的には、前記PHAコポリマーは、以下の式:
【化8】
【表2】
(m、n、Hal、t、Ar、Ar’、Cycl、Fur及びSugは、化合物(1)~(14)について前に定義された通りである)
【化9】
【表3】
【化10】
【表4】
【表5】
(m、n、Hal、t、Ar、Ar’、Cycl、Fur及びSugは、化合物(1)~(14)について前に定義された通りである)、
並びにまたそれらの光学異性体、それらの有機酸若しくは無機酸又は塩基塩、及び水和物などのそれらの溶媒和物を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記脂肪媒体は、
□分岐状のC~C16アルカン、例えば、イソドデカン、イソデカン又はイソヘキサデカンなどの石油起源のC~C16イソアルカン(イソパラフィンとしても知られる);
□直鎖状のC~C16アルカン、例えばn-ドデカン(C12)及びn-テトラデカン(C14)、及びまたそれらの混合物、ウンデカン-トリデカン混合物、n-ウンデカン(C11)とn-トリデカン(C13)との混合物、並びにそれらの混合物;
□グリセロールの脂肪酸エステル(前記脂肪酸は、C~C24の多様な鎖長を有し得、これらの鎖は、場合により直鎖状若しくは分岐状、飽和若しくは不飽和である)からなるトリグリセリドなどの、植物起源の油から特に選択されるエステル油;これらの油は、とりわけヘプタン酸又はオクタン酸トリグリセリドである。植物起源の油は、小麦胚芽油、サンフラワー油、グレープシードオイル、ゴマ種子油、アメリカホドイモ油、コーンオイル、アンズ油、ヒマシ油、シアバターノキ油、アボガド油、オリーブ油、大豆油、スイートアーモンドオイル、ヤシ油、菜種油、綿実油、ココナツオイル、ヘーゼルナッツ油、くるみ油、米油、アマニ油、マカダミアオイル、ムラサキウマゴヤシ油、ケシ油、カボチャ油、ゴマ種子油、マローオイル、菜種油、クロフサスグリオイル、マツヨイグサ油、キビ油、大麦油、キノアオイル、ライムギ油、サフラワー油、ククイノキ油、トケイソウ油、ジャコウバラ油及びアルガン油;シアバター;又は代わりにカプリル酸/カプリン酸トリグリセリドから選択され得;
□式R-C(O)-OR10(式中、R+R10≧9個炭素原子及び好ましくは29個未満の炭素原子という条件で、Rは、5~19個の炭素原子を含む直鎖状若しくは分岐状の炭化水素ベースの鎖を表し、R10は、4~20個の炭素原子を含有する直鎖状若しくは分岐状の、とりわけ分岐状の、炭化水素ベースの鎖を表す)のモノエステル油、例えばパルミテート、アジペート、ミリステート及びベンゾエート、とりわけジイソプロピルアジペート及びイソプロピルミリステート;セテアリールオクタノエート(ピュアセリンオイル)、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、ヘキシルラウレート、イソノニルイソノナノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、イソステアリルイソステアレート、2-ヘキシルデシルラウレート、2-オクチルデシルパルミテート、2-オクチルドデシルミリステート、2-エチルヘキシルヘキサノエート、イソノニルヘキサノエート、ネオペンチルヘキサノエート、カプリリルヘプタノエート又はオクチルオクタノエート;
□乳酸とC10~C20アルコールとのエステル、例えば、イソステアリルラクテート、2-オクチルドデシルラクテート、ミリスチルラクテート、C12~C13アルキルラクテート、セチルラクテート又はラウリルラクテート;
□リンゴ酸とC10~C20アルコールとのジエステル、例えば、ジイソステアリルマレート、ジ(C12~C13)アルキルマレート、ジブチルオクチルマレート、ジエチルヘキシルマレート又はジオクチルドデシルマレートなど;
□ペンタエリスリトールとC~C22カルボン酸とのエステル(特に、テトラエステル又はジエステル)、例えば、ペンタエリスリチルテトラオクタノエート、ペンタエリスリチルテトライソステアレート、ペンタエリスリチルテトラベヘネート、ペンタエリスリチルテトラカプリレート/テトラカプレート、ペンタエリスリチルテトラココエート、ペンタエリスリチルテトラエチルヘキサノエート、ペンタエリスリチルテトライソノナノエート、ペンタエリスリチルテトラステアレート、ペンタエリスリチルテトライソステアレート、ペンタエリスリチルテトララウレート、ペンタエリスリチルテトラミリステート、ペンタエリスリチルテトラオレエート又はペンタエリスリチルジステアレート;
□式R11-O-C(=O)-R12-C(=O)-O-R13[同一であっても異なっていてもよい、R11及びR13は、少なくとも1つの飽和若しくは不飽和の、好ましくは飽和の環を任意選択的に含有する、直鎖状若しくは分岐状の、飽和若しくは不飽和の(好ましくは飽和の)C~C12、優先的にはC~C10アルキル鎖を表し、R12は、飽和若しくは不飽和のC~C、好ましくはC~Cアルキレン鎖、例えばスクシネートに由来するアルキレン鎖(この場合、R12は飽和のCアルキレン鎖である)、マレエートに由来するアルキレン鎖(この場合、R12は不飽和のCアルキレン鎖である)、グルタレートに由来するアルキレン鎖(この場合、R12は飽和のCアルキレン鎖である)、又はアジペートに由来するアルキレン鎖(この場合、R12は飽和のCアルキレン鎖である)を表し;特に、R11及びR13は、イソブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、ネオヘプチル、2-エチルヘキシル、オクチル、ノニル及びイソノニルから選択される]のジエステル;優先的には、ジカプリリルマレエート又はジ(2-エチルヘキシル)スクシネートが挙げられ得る;
□式R14-C(=O)-O-R15-O-C(=O)-R16(同一であっても異なっていてもよい、R14及びR16は、直鎖状若しくは分岐状の、飽和若しくは不飽和の(好ましくは飽和の)C~C12、優先的にはC~C10アルキル鎖を表し、R15は、飽和若しくは不飽和のC~C、好ましくはC~Cアルキレン鎖を表す)のジエステル、とりわけ1,3-プロパンジオールジカプリレート(CとしてのR14及びC)としてのR16)、又はジプロピレングリコールジカプリレート;
□カーボネート油は、次式R17-O-C(O)-O-R18(同一であっても異なっていてもよい、R17及びR18は、直鎖状若しくは分岐状のC~C12、優先的にはC~C10アルキル鎖を表す)のカーボネートから選択され得;カーボネート油は、ジカプリリルカーボネート(つまりジオクチルカーボネート)、ビス(2-エチルヘキシル)カーボネート、ジブチルカーボネート、ジネオペンチルカーボネート、ジペンチルカーボネート、ジネオヘプチルカーボネート、ジヘプチルカーボネート、ジイソノニルカーボネート又はジノニルカーボネート、好ましくはジオクチルカーボネートであり得る;
□並びにそれらの混合物
から選択される1種以上の物質を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記脂肪媒体は、前記組成物の総質量に対して、2質量%~99.9質量%の範囲の、好ましくは5質量%~90質量%の範囲の、好ましくは10質量%~80質量%の範囲の、好ましくは前記組成物の総質量に対して20質量%~80質量%の範囲の含有量で1種以上の脂肪性物質を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記脂肪媒体は、1種以上の溶媒、好ましくは、水以外の、極性の及び/又はプロトン性溶媒、より優先的には、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール及びヘキサノール、好ましくはエタノールから選択されるものなどの、C~Cアルカノールを含み;より特に、溶媒は、溶媒混合物の総質量に対して0~10%、優先的には0.5%~8%、より特に、前記組成物の総質量に対して2%などの、1%~5%の質量百分率で前記組成物中に存在する、請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
顔料、直接染料及びそれらの混合物、好ましくは顔料から選択される1種以上の着色剤をまた含み;より優先的には、本発明の前記顔料は、カーボンブラック、酸化鉄、とりわけ黒色酸化鉄、及び酸化鉄で被覆されたマイカ、トリアリールメタン顔料、とりわけ、Blue 1 Lakeなどの、青色及び紫色トリアリールアミン顔料、アゾ顔料、とりわけ、D&C Red 7などの、赤色アゾ顔料、リソールレッドBのカルシウム塩などの、リソールレッドのアルカリ金属塩、さらにより優先的には弁柄から選択される、請求項1~15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載の組成物の適用による、ケラチン物質、好ましくはα)ケラチン繊維、とりわけ毛髪などのヒトケラチン、又はβ)ヒト皮膚、特に唇の処理方法。
【請求項18】
請求項8~12のいずれか一項に規定されるコポリマーPHAであって、好ましくは、Rが次式-(CH-X-(ALK)-G[ALKは、直鎖状若しくは分岐状の、好ましくは直鎖状の、(C~C)アルキレンを表す]を有するコポリマーPHA、好ましくは、コポリマーPHAが化合物(7)及び/又は(7’)とは異なり、好ましくは化合物(7)とは異なるコポリマーPHA。
【請求項19】
a)~g):
a)下記のスキーム1:
【化11】
(スキーム1において:
- R、m及びnは、1~5、9、10及び12において定義された通りであり;
- Yは、塩素若しくは臭素などのHal(ハライド)、ヒドロキシル、チオール、(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ、R-X[Rは、α)シクロヘキシルなどのシクロアルキル、β)ヘテロシクロアルキル、例えば糖、好ましくはグルコースなどの単糖、γ)フェニルなどの(ヘテロ)アリール;δ)前に定義されたような化粧用活性薬剤;ε)(C~C20)アルキル、(C~C20)アルケニル、(C~C20)アルキニルから選択される基を表し、Xは、a’)O、S、前に定義されたようなR、R及びRの、N(R)若しくはSi(R)(R)又はe)直鎖状若しくは分岐状の(C~C20)アルキルを表す]から選択される基を表し;
- q’は、両端を含んで2~20、好ましくは3~10、より優先的には、6などの4~8、さらにより良好には3~8、好ましくは、5などの、4~6の整数を表す)
に従って、不飽和の炭化水素ベースの鎖を有するPHAコポリマーであって;
A)不飽和を持ったコポリマーPHAはまた、
粒子、化合物又はポリマーでのラジカル付加、マイケル付加、求電子付加、ディールス-アルダーなどの、付加反応、ハロゲン化、水和は又は水素化反応、好ましくはヒドロチオ化反応によって、化学的に修飾され得る。
特に、ヒドロチオ化反応は、熱開始剤、レドックス開始剤又は光化学開始剤の及び、とりわけ、
- 1~14個の炭素原子を含む、直鎖状の、分岐状の、環式又は芳香族アルカンチオール;
- チオール官能基を有するオルガノシロキサン;
- チオールベースのシリコーンオイル;
- アミン、アルコール、酸、ハロゲン、チオール、エポキシド、ニトリル、イソシアネート、ヘテロ原子などの、反応性の官能基を有するチオールベースのオリゴマー又はポリマー、及び
- フェニルジスルフィド又はフリルジスルフィドなどのジスルフィド還元から得られ得るチオール
から選択される、スルフヒドリル基を有する有機化合物の存在下で行われ;
B)不飽和を持ったコポリマーPHAはまた、側鎖の末端位にヒドロキシル、エポキシド若しくはカルボキシル基を有する新規物質を得ることを可能にする、例えば、濃厚若しくは希薄アルカリ剤の過マンガン酸塩での、制御されてもされなくてもよい、酸化反応、又はオゾン分解、還元剤の存在下での酸化によって化学的に修飾され得る;
b)下記のスキーム2:
【化12】
(スキーム2において、Y、m、n、q’及びRは、スキーム1において定義された通りである)
に従って、エポキシ基を含有する炭化水素ベースの鎖を有するPHAコポリマー;
c)下記のスキーム3:
【化13】
(スキーム3において、Y、m、n、q’及びRは、スキーム1において定義された通りであり、Mは、求核基で置換され得る、有機又は無機の離核性基に相当し;好ましくは、前記求核試薬は、O、S又はNなどの、+I及び/又は+M効果によって電子供与性であるヘテロ原子であり;好ましくは、前記離核性基Mは、Brなどのハロゲン、及びメシレート、トシレート又はトリフレート基から選択される)
に従って、離核性基を含有する炭化水素ベースの鎖を有するPHAコポリマー;
d)下記のスキーム4:
【化14】
(スキーム4において、Y、m、n、q’及びR2は、スキーム1において定義された通りであり;
第1のステップi)において、シアノつまりニトリル基を含有する側鎖を有するPHAコポリマーは、オルガノ-アルカリ金属又はオルガノマグネシウム化合物Y-MgHal、Y-Li又はY-Naと反応し、これに加水分解が続いてケトン官能基でグラフトされた基Yを含有する側鎖を有するPHAコポリマーを与え;ケトン官能基は、例えば、アミンの存在下でSでの、又はローソン試薬でのチオ化によりチオケトンに変換され得;前記チオケトンは、全還元(ii)(例えばクレメンゼン還元による)後に、アルキレン基でグラフトされた基Yを含有する側鎖を有するPHAコポリマーをもたらし;或いは、
前記チオケトンは、従来の還元剤での制御された還元iii)を受けて、ヒドロキシアルキレン基でグラフトされた基Yを含有する側鎖を有するPHAポリマーを与え得;
出発PHAコポリマーの前記シアノ基は、水と反応して、加水分解v)後にアミド誘導体、又は加水分解iv)後にカルボキシル誘導体を与えることができ;
前記出発PHAコポリマーの前記シアノ基はまた、還元vi)後に、アミン誘導体又はケトン誘導体を与え得る)
に従って、シアノ基を含有する炭化水素ベースの鎖を有するPHAコポリマー;
e)下記のスキーム5:
【化15】
(スキーム5において、R、R、m、n及びYは、前に定義された通りであり、R’は、i)直鎖状若しくは分岐状の(C~C20)アルキル、ii)直鎖状若しくは分岐状の(C~C20)アルケニル、iii)直鎖状若しくは分岐状の(C~C20)アルキニルから選択される炭化水素ベースの鎖を表し;好ましくは、炭化水素ベースの基は直鎖状であり;前記炭化水素ベースの鎖は、a)塩素若しくは臭素などのハロゲン、b)ヒドロキシル、c)チオール、d)(ジ))(C~C)(アルキル)アミノ、e)(チオ)カルボキシル、f)(チオ)カルボキサミド-C(O)-N(R又は-C(S)-N(R、f)シアノ、g)イソ(チオ)シアネート、h)フェニル又はフリルなどの(ヘテロ)アリール、及びi)酸無水物、又はエポキシドなどの(ヘテロ)シクロアルキル、j)光学的光沢剤に由来するものなどの着色した若しくは着色していない、蛍光若しくは非蛍光発色団、又はUVA及び/若しくはUVBスクリーニング剤に由来する発色団、及び老化防止活性薬剤から選択される化粧用活性薬剤から選択される1つ以上の原子又は基で置換されている)
に従って、鎖末端に炭化水素ベースの鎖を有するPHAコポリマー;或いは
f)スキーム6:
【化16】
(スキーム6において、R’、R、m、n及びYは、前に定義された通りであり、
X’は、求電子性E又は求核性Nu原子又は基と反応してΣ共有結合を生み出すことができる反応性原子又は基を表し;X’が求電子性又は離核性基である場合、それは、試薬R’-Nuと反応してΣ共有結合を生み出することができ;X’が求核基Nuである場合、それは、R’-Eと反応してΣ共有結合を生み出すことができ;求電子試薬と求核試薬との縮合から、生成し得る前記Σ共有結合又は結合基は、下記の表:
【表6】
【表7】
にリストアップされている)
に従って反応性原子又は基を持ったPHAコポリマー;
g)スキーム7において記載されているように第2の段階で鎖末端グラフト化を行うために、側鎖上で官能化されているPHAであって;鎖末端グラフト化が第1の段階で行われ、引き続き第2の段階で官能化可能な側鎖の官能化を行う、逆もまた真実であるPHA
【化17】
(スキーム7において、R’、R、m、n及びYは、前に定義された通りである)
から選択される、PHAコポリマーから出発する、請求項1~18に規定されるコポリマーPHAの調製方法。
【請求項20】
先行請求項8~12のいずれか一項に規定されるコポリマーPHAの美容的使用、好ましくは、Rが次式-(CH-X-(ALK)-G[ALKは、直鎖状若しくは分岐状の、好ましくは直鎖状の、(C~C)アルキレンを表す]を有するコポリマーPHAであって、コポリマーPHAが化合物(7)及び/又は(7’)とは異なる、好ましくは化合物(7)とは異なるコポリマーPHAの美容的使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グラフトされた又は官能化された炭化水素ベースの基を有するポリヒドロキシアルカノエートコポリマーを含む化粧用組成物に、及びまたそのような組成物を使用するケラチン物質の処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炭化水素ベースの油などの、有機媒体中で送達することができる皮膜形成性ポリマーを、化粧品に使用することは公知の慣行である。ポリマーは、とりわけ、マスカラ、アイライナー、アイシャドウ又は口紅などのメーキャップ製品に皮膜形成剤として使用されている。
【0003】
(特許文献1)は、ポリ(ヒドロキシブチレート-co-ヒドロキシバレレート)などの、C~C21ポリヒドロキシアルカノエートで被覆された顔料を含む化粧用組成物を記載している。
【0004】
(特許文献2)は、4-カルボキシ-2-ピロリジノンエステル誘導体と、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシバレレート及びポリヒドロキシブチレート-co-ポリヒドロキシバレレートなどの、ポリヒドロキシアルカノエートであってもよい皮膜形成性ポリマーとを含む化粧用組成物を記載している。
【0005】
(特許文献3)は、水性分散系中の、ポリヒドロキシアルカノエートなどの、熱可塑性樹脂と、シリコーンエラストマーとを含む化粧用組成物を記載している。その一方で、(特許文献4)は、皮脂などの、油性物質を吸収するために、組成物の総質量に対して0.1質量%~30質量%の量で、0.1μm~100μmの平均直径(d50)の粒子の形態での少なくとも1種のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含む化粧品組成物を記載している。しかしながら、ほとんどのPHAは、イソドデカンのような揮発性油などの脂肪性物質に満足のいくように可溶化されない。
【0006】
ポリヒドロキシアルカノエートの大半は、ほとんどの部分に関して同一である及び同じ炭素源又は基質から誘導されるポリマー繰り返し単位の重縮合に由来するポリマーである。これらの公文書は、脂肪族基質又は第1の炭素源と、1個以上の反応性官能基を含み、その化学的性質が第1の炭素源のそれとは異なる、第1のものとは異なる少なくとも1種の第2の基質とを使用する重縮合に由来するコポリマーの使用を記載していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】仏国特許出願公開第A-2964663号明細書
【特許文献2】国際公開第2011/154508号パンフレット
【特許文献3】米国特許出願公開第2015/274972号明細書
【特許文献4】国際公開第2018/178899号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、多様な官能性を持った、又は親油性若しくは非親油性薬剤で官能化可能であり、それらを活性にし、且つ、脂肪相に可溶性にすることができるPHAを含む組成物が必要とされている。これは、良好な化粧用特性、とりわけ良好な耐油性及び耐皮脂性を有する、皮膜をケラチン物質上に得ること、並びにまた光沢又は艶消し性を改質できることを可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本出願人は、下記に定義されるような、特定のグラフトされた又は官能化された炭化水素ベースの基を有するポリヒドロキシアルカノエートコポリマーが脂肪媒体中で容易に使用され得、こうして、均質な組成物を得ることを可能にすることを発見した。さらに、本発明によるPHAは、皮膜形成性ポリマーである。本組成物は、とりわけ室温(25℃)での1ヵ月間保管後に良好な安定性を示す。組成物は、とりわけケラチン物質への適用後に、良好な化粧特性、特に、良好な耐油性及び耐皮脂性、並びにまた艶消し又は光沢外観を有する皮膜を得ることを可能にする。さらに、グラフトすることにより、ポリマー活性薬剤中へ、とりわけ有機活性薬剤、例えば、UV-スクリーニング剤、蛍光若しくは非蛍光発色団、老化防止活性薬剤を導入することが可能であり、前記活性薬剤は、そのとき、それらがいったんグラフトされたら、より耐性になり、とりわけ、耐油性、耐水性及び耐皮質性になる。
【0010】
したがって、本発明の主な主題は、
a)下記の単位(A)及び(B)から選択される少なくとも2つの異なる繰り返しポリマー単位:
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(A)
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(B)
(ポリマー単位(A)及び(B)において:
- Rは、i)直鎖状若しくは分岐状の(C~C28)アルキル、ii)直鎖状若しくは分岐状の(C~C28)アルケニル、iii)直鎖状若しくは分岐状の(C~C28)アルキニルから選択される炭化水素ベースの鎖を表し;好ましくは、炭化水素ベースの基は直鎖状であり;
前記炭化水素ベースの鎖は、
・ a)塩素若しくは臭素などのハロゲン、b)ヒドロキシル、c)チオール、d)(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ、e)(チオ)カルボキシ、f)(チオ)カルボキサミド-C(O)-N(R又は-C(S)-N(R、g)シアノ、h)イソ(チオ)シアネート、i)フェニル、ナフチル又はフリルなどの(ヘテロ)アリール、及びj)酸無水物、又はエポキシドなどの(ヘテロ)シクロアルキル、k)化粧用活性薬剤、l)R-X[Rは、α)シクロヘキシルなどのシクロアルキル、β)ヘテロシクロアルキル、例えば糖、好ましくはグルコースなどの単糖、γ)フェニルなどの(ヘテロ)アリール、δ)前に定義されたような化粧用活性薬剤から選択される基を表し、Xは、a’)O、S、N(R)若しくはSi(R)(R)、b’)S(O)、若しくは(チオ)カルボニル、c’)又はa’)と、b’)(チオ)エステル、(チオ)アミド、(チオ)尿素若しくはスルホンアミドなどとの組合せを表し;Rは、水素原子、又は(C~C)アルキル基若しくはベンジルなどのアリール(C~C)アルキル基を表し、好ましくはRは水素原子を表し;同一であっても異なっていてもよい、R及びRは、(C~C)アルキル又は(C~C)アルコキシ基、特にただ1つの置換基を表す]から選択される;好ましくはb)ハロゲン、及びj)エポキシドなどから選択される1つ以上の原子又は基で置換されており;並びに/又は
・ 1つ以上のヘテロ原子a’)O、S、N(R)及びSi(R)(R)など、b’)S(O)、(チオ)カルボニル、c’)又はa’)と、b’)(チオ)エステル、(チオ)アミド、(チオ)尿素、スルホンアミドなどとの組合せ(rは、1又は2に等しく、Rは、前に定義された通りであり、好ましくはRは水素原子を表し、R及びRは、前に定義された通りである)で割り込まれており;
- Rは、特に、直鎖状若しくは分岐状の(C~C28)アルキル及び直鎖状若しくは分岐状の(C~C28)アルケニル、特に直鎖状の炭化水素ベースの基、より特に(C~C20)アルキル又はC~C20)アルケニルから選択される;3~30個の炭素原子を含む環式若しくは非環式の、直鎖状若しくは分岐状の、飽和若しくは不飽和の炭化水素ベースの基を表し;好ましくは、炭化水素ベースの基は、それから少なくとも1個の炭素原子が差し引かれる基Rの炭素原子の数に相当する、好ましくはそれから少なくとも2個の炭素原子が差し引かれる基Rの炭素原子の数に相当する炭素原子の数を有する)
を含有する、及び好ましくはそれらからなる1種以上のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)コポリマー、並びにまたそれらの光学異性体又は幾何異性体、それらの有機酸若しくは鉱酸又は塩基塩、及び水和物などのそれらの溶媒和物と;
b)25℃で及び大気圧で好ましくは液体である;1種以上の脂肪性物質を含む脂肪媒体と
を含む組成物であって;
(A)が(B)とは異なることが理解される
組成物である。
【0011】
本発明の別の主題は、化粧品において、前に定義されたようなa)1種以上のPHAコポリマーと前に定義されたようなb)1種以上の脂肪性物質との化粧品での使用である。
【0012】
本発明の別の主題は、前に定義されたようなa)1種以上のPHAコポリマーと前に定義されたようなb)1種以上の脂肪性物質とを使用する、ケラチン物質、好ましくはα)ケラチン物質、とりわけ、毛髪などのヒトケラチン繊維、又はβ)ヒト皮膚、特に唇の処理方法である。
【0013】
本発明の別の主題は、新規なグラフトされたPHAコポリマーである。
【0014】
さらに特に、本発明の主題は、前に定義されたような組成物のケラチン物質への適用を含む、ケラチン物質の非治療的な美容的処理方法である。処理方法は、特に、ケラチン物質をケアする又はメーキャップするための方法である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】フェッドバッチ成長発酵モードのためのアセンブリであって、発酵培地を、溶存酸素の温度-圧力及びpHの観点から調節する(示されていない)。
図2】0.5mLのオリーブ油又は皮脂を、配合物のフィルムに塗布する。5分後に、オリーブ油又は皮脂を、脱脂綿で15回拭うことにより除去する。オリーブ油又は皮脂との接触後のフィルムの劣化をこうして調べる。(Scotch(登録商標)型の)接着テープのストリップを、配合物のフィルムに適用する。ある質量を30秒間前記テープのストリップに加える。次いで、接着テープを取り除き、結果を観察するためにスライドホルダーで監視する。支持体へのフィルムの付着をこうして評価する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の目的のためには、特に明記しない限り:
- 「化粧用活性薬剤」という用語は、この効果が即時であるか繰り返し適用により提供されるかに関わりなく、ケラチン物質に効果を与えるために化粧用組成物中へ組み込むことができる有機又はオルガノシリコン化合物の基を意味する。化粧用活性薬剤の例として、光学的光沢剤に由来するものなどの着色した若しくは着色していない、蛍光若しくは非蛍光発色団、又はUVA及び/若しくはUVBスクリーニング剤に由来する発色団、老化防止活性薬又はバリア機能への作用を有する活性薬剤、鉱物粒子以外の脱臭性薬剤、鉱物粒子以外の制汗性活性薬剤、落屑性活性薬剤、酸化防止性活性薬剤、保湿活性薬剤、皮脂-調整活性薬剤、皮膚の光沢の制限を意図する活性薬剤、汚染の効果への対抗を意図する活性薬剤、抗菌性又殺菌性活性薬剤、ふけ防止活性薬剤などの皮膚に便益を提供することを意図する活性薬剤、並びに香料が言及され得る。
- 「(ヘテロ)アリール」という用語は、アリール又はヘテロアリール基を意味する;
- 「(ヘテロ)シクロアルキル」という用語は、シクロアルキル又はヘテロシクロアルキル基を意味する;
- 「アリール」若しくは「ヘテロアリール」基又は基のアリール若しくはヘテロアリール部分は、
・ C~C、好ましくはC~Cアルキル基;
・ 塩素、フッ素若しくは臭素などのハロゲン原子;
・ ヒドロキシル基、
・ C~Cアルコキシ基;C~C(ポリ)ヒドロキシアルコキシ基;
・ アミノ基;
・ 1つ若しくは2つの同一の若しくは異なるC~C、好ましくはC~Cアルキル基で置換されたアミノ基;
・ アシルアミノ基(-NR-COR’)(式中、基Rは水素原子;
・ C~Cアルキル基であり、基R’がC~Cアルキル基である;カルバモイル基((R)N-CO-)(式中、同一であっても異なっていてもよい基Rは、水素原子又はC~Cアルキル基を表す);
・ アルキルスルホニルアミノ基(R’-S(O)-N(R)-)(式中、基Rは、水素原子又はC~Cアルキル基を表し、基R’は、C~Cアルキル基、又はフェニル基を表す);
・ アミノスルホニル基((R)N-S(O)-)(式中、同一であってもなっていてもよい、基Rは、水素原子又はC~Cアルキル基を表す);
・ 酸又は塩化形態のカルボキシル基(好ましくは、アルカリ金属又は置換若しくは非置換のアンモニウムで塩化されている)、
・ シアノ基(CN);
・ ポリハロ(C~C)アルキル基、優先的にはトリフルオロメチル(CF
から選択される、炭素原子により担持される少なくとも1つの置換基で置換されていてもよく;
- 非芳香族基の環式又は複素環式部分は、基:
・ ヒドロキシル、
・ C~Cアルコキシ、C~C(ポリ)ヒドロキシアルコキシ;
・ アルキルカルボニルアミノ(RCO-NR’-)(式中、基R’は、水素原子又はC~Cアルキル基であり、基Rは、C~Cアルキル基又は1つ若しくは2つの同一の若しくは異なるC~Cアルキル基で置換されたアミノ基である);
・ アルキルカルボニルオキシ(RCO-O-)(式中、基Rは、C~Cアルキル基又は1つ若しくは2つの同一の若しくは異なるC~Cアルキル基で置換されたアミノ基である);
・ アルコキシカルボニル((RO-CO-)(式中、基Rは、C~Cアルキル基又は1つ若しくは2つの同一の若しくは異なるC~Cアルキル基で置換されたアミノ基である)
から選択される少なくとも1つの置換基で置換されてもよく;
- 環式若しくは複素環式基、又はアリール若しくはヘテロアリール基の非芳香族部分はまた、1つ以上のオキソ基で置換されてもよく;
- 炭化水素ベースの鎖は、1つ以上の二重結合及び/又は1つ以上の三重結合を含む場合に不飽和であり;
- 「アリール」基は、6~22個の炭素原子を含む単環式又は縮合若しくは非縮合多環式の炭化水素ベースの基を表し、その少なくとも1つの環は、芳香族であり;優先的には、アリール基は、フェニル、ビフェニル、ナフチル、インデニル、アントラセニル又はテトラヒドロナフチルであり;好ましくはフェニルであり;
- 「ヘテロアリール」基は、窒素、酸素、硫黄及びセレン原子から選択される1~6つのヘテロ原子と、芳香族である少なくとも1つの環とを含む、単環式又は縮合若しくは非縮合の多環式の、5~22員基を表し;優先的には、ヘテロアリール基は、アクリジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾビストリアゾリル、ベンゾピラゾリル、ベンゾピリダジニル、ベンゾキノリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンズオキサゾリル、ピリジル、テトラゾリル、ジヒドロチアゾリル、イミダゾピリジル、イミダゾリル、インドリル、イソキノリル、ナフトイミダゾリル、ナフトオキサゾリル、ナフトピラゾリル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、オキサゾロピリジル、フェナジニル、フェノキサゾリル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリリル、ピラゾイルトリアジル、ピリジル、ピリジノイミダゾリル、ピロリル、キノリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、チアゾロピリジル、チアゾイルイミダゾリル、チオピリリル、トリアゾリル及びキサンチリルから選択され;
- 「環式」又は「シクロアルキル」基は、1つ以上の不飽和を含んでいてもよい、5~22個の炭素原子を含有する単環式又は縮合若しくは非縮合多環式の、非芳香環式炭化水素ベースの基であり;シクロアルキルは、好ましくはシクロヘキシル基であり;
- 「複素環式」又は「ヘテロシクロアルキル」基は、窒素、酸素、硫黄及びセレン原子から選択される1~4つヘテロ原子を含む、単環式又は縮合若しくは非縮合多環式の3~9員の非芳香族環式基であり;好ましくは、ヘテロシクロアルキルは、エポキシド、ピペラジニル、ピペリジニル及びモルホリニルから選択され;
- 「アルキル」基は、直鎖状若しくは分岐状の、特にC~C、好ましくはC~C飽和炭化水素ベースの基であり;
- 「アルケニル」基は、1つ以上の共役若しくは非共役の二重結合を含む直鎖状若しくは分岐状の不飽和炭化水素ベースの基であり;
- 「アルキニル」基は、1つ以上の共役若しくは非共役の三重結合を含む直鎖状若しくは分岐状の不飽和炭化水素ベースの基であり;
- 「アルコキシ基」は、アルキル基が直鎖状若しくは分岐状のC~C、優先的にはC~C炭化水素ベースの基である、アルキル-オキシ基であり;
- 「糖」基は、単糖又は多糖基、及び(C~C)アルキルカルボン酸の糖エステル、例えば酢酸の糖エステルなどのそれのO-保護糖誘導体、アミン基を含有する糖、及びメチル誘導体、例えばメチルグルコースなどの、(C~C)アルキル誘導体である。言及され得る糖基としては、スクロース、グルコース、ガラクトース、リボース、フコース、マルトース、フルクトース、マンノース、アラビノース、キシロース、ラクトースが挙げられる。
- 「単糖類」という用語は、5以上の整数であるxの式C(HO)の少なくとも5個の炭素原子を含む単糖糖を指し、好ましくはxは6以上であり、特にxは5~7(両端を含む)であり、好ましくはx=6であり、それらは、D又はL立体配置のもの、及びアルファ又はベータアノマー、並びにまたそれらの塩及び水和物などのそれらの溶媒和物のものであり得る。
- 「多糖類」という用語は、O-オサイド(oside)によって結合している幾つかのサッカリドから構成されるポリマーである多糖糖(前記ポリマーは、前に定義されたような単糖単位から構成され、前記単糖単位は、少なくとも5個、好ましくは6個の炭素原子を含み;特に、単糖単位は、α(アルファ)又はβ(β)アノマーとして1,4又は1,6結合を介して結合しており、各オサイド単位がL又はD立体配置のものであることが可能である)、並びにまた、それらの塩及び前記単糖類の水和物などのそれらの溶媒和物を指し;より特に、それらは、一般式:-[C(HO))]-(ここで、xは5以上の整数であり、好ましくは、xは6以上であり、特にxは5~7(両端を含む)であり、好ましくはx=6であり、yは、x-1を表す整数であり、wは、2以上の整数、特に3~3000(両端を含む)、より特に5~2500、優先的には10~2300のものである)を有する一定数のサッカリド(つまり単糖類)から形成されるポリマーであり;
- 「アミノ基を有する糖」という用語は、糖基が、1つ以上のアミノ基NRで置換されている、すなわち、糖基の少なくとも1つのサッカリド単位のヒドロキシル基の少なくとも1つが、基NR[同一であっても異なっていてもよい、R及びRは、i)水素原子、ii)(C~C)アルキル基、iii)フェニルなどのアリール基、iv)ベンジルなどのアリール(C~C)アルキル基、vii)-C(Y)-(Y’)-R’(同一であっても異なっていてもよい、Y及びY’は、酸素原子、硫黄原子又はN(R’)、好ましくは酸素を表し、f=0又は1、好ましくは0であり;R’及びR’は、前に定義されたR及びRのi)~vi)を表し、特にR’は、メチルなどの(C~C)アルキル基を意味する)を表す]で置き換えられていることを意味する。好ましくは、R及びRは、水素原子又はアセチルなどの(C~C)アルキルカルボニル基を表し;
- 「有機酸又は鉱酸塩」という用語は、より具体的には、i)塩酸HCl、ii)臭化水素酸HBr、iii)硫酸HSO、iv)アルキルスルホン酸:Alk-S(O)OH、例えばメチルスルホン酸及びエチルスルホン酸;v)アリールスルホン酸:Ar-S(O)OH、例えばベンゼンスルホン酸及びトルエンスルホン酸;vi)アルコキシスルフィン酸:Alk-O-S(O)OH、例えばメトキシスルフィン酸及びエトキシスルフィン酸;vii)アリールオキシスルフィン酸、例えばトルエンオキシスルフィン酸及びフェノキシスルフィン酸;viii)リン酸HPO;ix)トリフル酸CFSOH並びにx)テトラフルオロホウ酸HBF;xi)有機カルボン酸R°-C(O)-OH(I’)(式(I’)中、R°は、フェニルなどの(ヘテロ)アリール基、ベンジルなどの(ヘテロ)アリール(C~C)アルキル基、又は(C~C10)アルキルを表し、前記アルキル基は、好ましくは1つ以上のヒドロキシル基又はアミノ若しくはカルボキシル基で任意選択的に置換されており、R°は、好ましくは、1、2又は3つのヒドロキシル又はカルボキシル基で任意選択的に置換された(C~C)アルキル基を意味し;より優先的には、式(I’)のモノカルボン酸は、酢酸、グリコール酸、乳酸、及びそれらの混合物から、より特に酢酸及び乳酸から選択され;ポリカルボン酸は、酒石酸、コハク酸、フマル酸、クエン酸及びそれらの混合物から選択され;並びにxii)γ-カルボキシグルタミン酸、アスパラギン酸又はグルタミン酸、特にγ-カルボキシグルタミン酸などの、アミノ基よりも多いカルボン酸基を含むアミノ酸から誘導される塩から特に選択される有機酸又は鉱酸塩を意味し;
- 「アニオン対イオン」は、カチオン電荷と関連しているアニオン又はアニオン基であり;より具体的には、アニオン対イオンは、i)クロリド又はブロミドなどのハライド;ii)ナイトレート;iii)C~Cアルキルスルホネート:Alk-S(O)、例えばメタンスルホネートつまりメシレート及びエタンスルホネートなどの、スルホネート;iv)アリールスルホネート:Ar-S(O)、例えばベンセンスルホネート及びトルエンスルホネートつまりトシレート;v)シトレート;vi)スクシネート;vii)タータレート;viii)ラクテート;ix)アルキルスルフェート:Alk-O-S(O)O、例えばメチルスルフェート及びエチルスルフェート;x)アリールスルフェート:Ar-O-S(O)O、例えばベンセンスルフェート及びトルエンスルフェート;xi)アルコキシスルフェートなど;xi)アルコキシスルフェート:Alk-O-S(O)、例えばメトキシスルフェート及びエトキシスルフェート;xii)アリールオキシスルフェート:Ar-O-S(O);xiii)ホスフェート;xiv)アセテート;xv)トリフレート;並びにxvi)ボレート、例えばトリフルオロボレートなどから選択される。
- 「溶媒和物」は、水和物及びまた直鎖状若しくは分岐状のC~Cアルコール、例えばエタノール、イソプロパノール又はn-プロパノールとの組合せを表す。
「発色団」という用語は、250~800nmの波長λabsでのUV及び/又は可視放射線範囲で吸収することができる無色の又は着色した化合物に由来する基を意味する。好ましくは、発色団は着色している、すなわち、それは、可視範囲、すなわち好ましくは400~800nmにおける波長を吸収する。好ましくは、発色団は、特に400~700nmで、見た目には着色しているように見える(Ullmann’s Encyclopedia,2005,Wiley-VcH,Verlag“Dyes,General Survey”,§2.1 Basic Principle of Color);
- 「蛍光発色団」という用語は、400~800nmの、及び好ましくはストークスシフトで、吸収波長よりも高い発光波長λemで可視範囲において再放射することがまたできる発色団を意味する、すなわち、最大吸収波長と放射波長との差は少なくとも10nmである。好ましくは、蛍光発色団は、可視範囲λabsにおいて、すなわち、400~800nmの波長で吸収することができ、400~800nmの可視範囲λemで再放射することができる蛍光染料に由来する。より優先的には、蛍光発色団は、420nm~550nmのλabsで吸収することができ、470~600nmの可視範囲λemで再放射することができる;
- 「蛍光増白発色団」という用語は、蛍光増白化合物又は「光学的光沢剤、光学的増白剤(OBA)」又は「蛍光増白剤(FBA)」又は「蛍光ホワイトニング剤(FWA)」、すなわちUV放射線を、すなわち250~
350nmの波長λabsで吸収し、その後400~600nm、すなわち、青範囲に最大を持った青-紫~青-緑の波長範囲の放射波長λemで可視範囲における蛍光によってこのエネルギーを再放射する試剤に由来する発色団を意味する。蛍光増白発色団は、したがって見た目には無色であり;
- 「UV-Aスクリーニング剤」という用語は、320~400nmの波長でのUV-A紫外線を排除する(つまり吸収する)化合物に由来する発色団を意味する。(320~340nmの波長で光線を吸収する)短UV-Aスクリーニング剤と(340~400nmの波長で光線を吸収する)長UV-Aスクリーニング剤との区別が行われてもよく;
- 「UV-Bスクリーニング剤」という用語は、280~3200nmの波長でのUV-B紫外線を排除する(つまり吸収する)化合物に由来する発色団を意味する。
さらに、特に明記しない限り、値の範囲の程度を定める限界は値のその範囲に含まれる。
【0017】
a)PHAコポリマー
本発明の組成物は、第1の成分として、前に定義されたような単位(A)及び(B)から選択される少なくとも2つの異なる繰り返しポリマー単位を含有する、又は好ましくはそれらからなるa)1種以上のPHAコポリマーを含む。
【0018】
「コポリマー」という用語は、前記ポリマーが、互いに異なる繰り返しポリマー単位の重縮合から誘導され、すなわち前記ポリマーが繰り返しポリマー単位(A)と(B)との重縮合から誘導されことを意味し、ポリマー単位(A)がポリマー単位(B)とは異なることが理解される。
【0019】
本発明の特定の実施形態によれば、PHAコポリマーは、前に定義されたような単位(A)及び(B)から選択される2つの異なる繰り返しポリマー単位からなる。
【0020】
より具体的には、本発明によるPHAコポリマーは、式(I):
【化1】
(式(I)中:
・ R及びRは、前に定義された通りであり、
・ m及びnは、1以上の整数であり、好ましくは合計n+mは、両端を含んで450~1400であり、
好ましくはm<nである)
の繰り返し単位、並びにまたそれらの光学異性体又は幾何異性体、それらの有機酸若しくは鉱酸又は塩基塩、及び水和物などのそれらの溶媒和物を含む。
【0021】
特定の実施形態によれば、組成物のPHAコポリマーa)は、3つの異なる繰り返しポリマー単位(A)、(B)及び(C)を含有し、好ましくは下記の3つの異なるポリマー単位(A)、(B)及び(C):
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(A)
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(B)
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(C)
(ポリマー単位(A)、(B)及び(C)において:
- R及びRは、前に定義された通りであり;
- Rは、1~30個の炭素原子を含む環式若しくは非環式の、直鎖状若しくは分岐状の、飽和若しくは不飽和の炭化水素ベースの基を表し;
- 1つ以上の原子又は基a)~l)で任意選択的に置換された及び/又はRについて定義されたような1つ以上のヘテロ原子又は基a’)~c’)で任意選択的に割り込まれた;特に、置換された及び/又は割り込まれた、直鎖状若しくは分岐状の(C~C28)アルキル及び直鎖状若しくは分岐状の(C~C28)アルケニル、特に直鎖状の炭化水素ベースの基、より特に(C~C20)アルケニルから選択される炭化水素ベースの基を表し;好ましくは、炭化水素ベースの基は、基Rの炭素原子の数に相当する、或いはそれから少なくとも3個の炭素原子が差し引かれる基Rの炭素の数に相当する、好ましくはそれから4個の炭素原子が差し引かれる基Rの炭素原子の数に相当する炭素数を有する)、
並びにまたそれらの光学異性体又は幾何異性体、及び水和物などのそれらの溶媒和物からなり;
下記:
- (A)は(B)及び(C)とは異なり、(B)は(A)及び(C)とは異なり、(C)は(A)及び(B)とは異なり;
- 好ましくは、とりわけRがアルキル基を表し、及び/又はRがアルキル基を表し;好ましくはRが、それから2個の炭素原子が差し引かれるRの炭素数に相当する炭素数のアルキル基を表す場合に、単位(A)のモル百分率は、単位(B)のモル百分率未満及び単位)C)のモル百分率未満である
ことが理解される。
【0022】
本発明の特定の実施形態によれば、PHAコポリマーは、式(II):
【化2】
(式(II)中:
・ R、R及びRは、前に定義された通りであり;
・ m、n及びpは、1以上の整数であり;好ましくは、合計n+m+pは、両端を含んで450~1400であり;
- 好ましくは、m<n+pであり、好ましくはRは、それから2個の炭素原子が差し引かれるRの炭素数に相当する炭素数のアルキル基を表す)
の繰り返し単位、並びにまたそれらの光学異性体又は幾何異性体、それらの有機酸若しくは鉱酸又は塩基塩、及び水和物などのそれらの溶媒和物を含む。
【0023】
特定の実施形態によれば、組成物のPHAコポリマーa)は、繰り返しポリマー単位(A)、(B)、(C)及び(D)を含有し、好ましくは、下記の4つの異なるポリマー単位(A)、(B)、(C)及び(D):
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(A)
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(B)
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(C)
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(D)
(ポリマー単位(A)、(B)、(C)及び(D)において:
- R、R及びRは、前に定義された通りであり;
- Rは、1つ以上の原子又は基a)~l)で任意選択的に置換された及び/又はRについて定義されたような1つ以上のヘテロ原子又は基a’)~c’)で任意選択的に割り込まれた、3~30個の炭素原子を含む環式若しくは非環式の、直鎖状若しくは分岐状の、飽和の炭化水素ベースの基を表し;それは、特に、1つ以上の原子又は基a)~l)で任意選択的に置換された及び/又はRについて定義されたような1つ以上のヘテロ原子又は基a’)~c’)で割り込まれた直鎖状若しくは分岐状の(C~C28)アルキルから選択される炭化水素ベースの基を表す)、
並びにまたそれらの光学異性体又は幾何異性体、それらの有機酸若しくは無機酸又は塩基塩、及び水和物などのそれらの溶媒和からなり;
下記:
- (A)は(B)、(C)及び(D)とは異なり、(B)は(A)、(C)及び(D)とは異なり、(C)は(A)、(B)及び(D)とは異なり、(D)は(A)、(B)及び(C)とは異なり;
- 好ましくは、とりわけRがアルキル基を表し、及び/又はRがアルキル基を表し;及びRが、置換された及び/又は割り込まれたアルキル、任意選択的に置換された及び/又は任意選択的に割り込まれたアルケニル或いは任意選択的に置換された及び/又は任意選択的に割り込まれたアルキニル基を表す場合に、単位(A)のモル百分率は、単位(B)のモル百分率未満及び単位(C)のモル百分率未満であり;好ましくは、Rは、それから2個の炭素原子が差し引かれるRの炭素数に相当する炭素数のアルキル基を表し、Rは、それから2個の炭素原子が差し引かれるRの炭素数に相当する炭素数の、任意選択的に置換された及び/又は割り込まれたアルキル、任意選択的に置換された及び/又は割り込まれたアルケニル或いは任意選択的に置換された及び/又は割り込まれたアルキニル基を表す
ことが理解される。
【0024】
本発明の特定の実施形態によれば、PHAコポリマーは、式(III):
【化3】
(式(III)中:
・ R、R、R及びRは、前に定義された通りであり;
・ m、n、p及びvは、1以上の整数であり;
好ましくは、合計n+m+p+vは、両端を含んで450~1400であり;
- 好ましくは、n>m+vであり;より優先的にはn+p>m+vであり、-好ましくはRは、それから2個の炭素原子が差し引かれるRの炭素数に相当する炭素数のアルキル基を表し、Rは、それから2個の炭素原子が差し引かれるRの炭素数に相当する炭素数の、任意選択的に置換された及び/又は任意選択的に割り込まれたアルケニル或いは置換された及び/又は任意選択的に割り込まれたアルキニル基を表す)
の繰り返し単位、並びにまたそれらの光学異性体又は幾何異性体、それらの有機酸若しくは無機酸又は塩基塩、及び水和物などのそれらの溶媒和物を含む。
【0025】
より特定の実施形態によれば、組成物のPHAコポリマーa)は、5つの異なる繰り返しポリマー単位(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)を含有し、好ましくは下記の5つの異なるポリマー単位(A)、(B)、(C)、(D)及び(E):
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(A)
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(B)
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(C)
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(D)
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(E)
(ポリマー単位(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)において:
- R、R、R及びRは、前に定義された通りであり;
- Rは、1つ以上の原子又は基a)~l)で任意選択的に置換された及び/又はRについて定義されたような1つ以上のヘテロ原子又は基a’)~c’)で任意選択的に割り込まれた3~30個の炭素原子を含む環式若しくは非環式の、直鎖状若しくは分岐状の、飽和の炭化水素ベースの基を表し;それは、特に、1つ以上の原子又は基a)~l)で任意選択的に置換された及び/又はRについて定義されたような1つ以上のヘテロ原子又は基a’)~c’)で割り込まれた直鎖状若しくは分岐状の(C~C28)アルキルから選択される炭化水素ベースの基を表し;好ましくは、炭化水素ベースの基は、それから少なくとも1個の炭素原子が差し引かれる基Rの炭素原子の数に相当する、好ましくはそれから少なくとも2個の炭素原子が差し引かれる、好ましくはそれから2個の炭素原子が差し引かれる基Rの炭素原子の数に相当する炭素数を有する)、
並びにまたそれらの光学異性体又は幾何異性体、それらの有機酸若しくは無機酸又は塩基塩、及び水和物などのそれらの溶媒和物からなり;
下記:
- (A)は(B)、(C)、(D)及び(E)とは異なり;(B)は(A)、(C)、(D)及び(E)とは異なり;(C)は(A)、(B)、(D)及び(E)とは異なり;(D)は(A)、(B)、(C)及び(E)とは異なり;(E)は(A)、(B、(C)及び(D)とは異なり;
- 好ましくは、とりわけRがアルキル基を表し、及び/又はRがアルキル基を表し;R及びRが任意選択的に置換された及び/又は割り込まれたアルキル、任意選択的に置換された及び/又は任意選択的に割り込まれたアルケニル或いは任意選択的に置換された及び/又は任意選択的に割り込まれたアルキニル基を表す場合に、単位(A)のモル百分率は、単位(B)のモル百分率未満及び単位(C)のモル百分率未満であり;好ましくはRは、それから2個の炭素原子が差し引かれるRの炭素数に相当する炭素数のアルキル基を表し、Rは、それから2個の炭素原子が差し引かれるRの炭素数に相当する炭素数の、任意選択的に置換された及び/又は任意選択的に割り込まれたアルケニル或いは任意選択的に置換された及び/又は任意選択的に割り込まれたアルキニル基を表し、Rは、それから4個の炭素原子が差し引かれるRの炭素数に相当する炭素数の、任意選択的に置換された及び/又は任意選択的に割り込まれたアルケニル或いは任意選択的に置換された及び/又は任意選択的に割り込まれたアルキニル基を表す
ことが理解される。
【0026】
本発明の特定の実施形態によれば、PHAコポリマーは、式(IV):
【化4】
(式(IV)中:
・ R、R、R、R及びRは、前に定義された通りであり;
・ m、n、p、v及びzは、1以上の整数であり;好ましくは、合計n+m+p+v+zは、両端を含んで450~1400であり;
- 好ましくは、Rが、置換された及び/又は割り込まれたアルキル、任意選択的に置換された及び/又は任意選択的に割り込まれたアルケニル或いは任意選択的に置換された及び/又は任意選択的に割り込まれたアルキニル基を表す場合、R及びRはアルキル基を表し、基R及びRは、任意選択的に置換された及び/又は任意選択的に割り込まれたアルキル、任意選択的に置換された及び/又は任意選択的に割り込まれたアルケニル或いは任意選択的に置換された及び/又は任意選択的に割り込まれたアルキニル基を表し、そのとき、n>m+v+zであり;より優先的にはn+p>m+v+zであり;好ましくはRは、それから2個の炭素原子が差し引かれるRの炭素数に相当する炭素数のアルキル基を表し、Rは、それから2個の炭素原子が差し引かれるRの炭素数に相当する炭素数の、任意選択的に置換された及び/又は任意選択的に割り込まれたアルケニル或いは任意選択的に置換された及び/又は任意選択的に割り込まれたアルキニル基を表し、Rは、それから4個の炭素原子が差し引かれるRの炭素数に相当する炭素数の、任意選択的に置換された及び/又は任意選択的に割り込まれたアルケニル或いは任意選択的に置換された及び/又は任意選択的に割り込まれたアルキニル基を表す)
の繰り返し単位、並びにまたそれらの光学異性体又は幾何異性体、それらの有機酸若しくは無機酸又は塩基塩、及び水和物などのそれらの溶媒和物を含む。
【0027】
好ましくは、Rは、直鎖状若しくは分岐状の、好ましくは直鎖状の、(C~C28)アルキル炭化水素ベースの鎖を表す。本発明による組成物の一実施形態によれば、PHAコポリマーは、基Rが、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-オクチル又はn-ノニルなどの、5~14個、好ましくは6~12個の炭素原子、より優先的には7~10個の炭素原子を含む置換アルキル基であるようなものである。
【0028】
別の実施形態によれば、本発明の基Rの炭化水素ベースの鎖は、1)置換されているか、2)割り込まれているか、3)又は置換されている及び割り込まれているかのいずれかである。
【0029】
本発明の特定の実施形態によれば、PHAコポリマーは、Rが、O、S、N(R)(Rは、前に定義された通りであり、好ましくはRは水素原子を表す)及びカルボニル、又はエステル、アミド若しくは尿素などのそれらの組合せから選択される1つ以上(好ましくは1つ)の原子又は基で割り込まれている、炭化水素ベースの鎖、とりわけ前に定義されたようなアルキル鎖を表し;好ましくは、Rが、O及びS原子から選択される1つ以上の原子で、より優先的にはO又はS原子、とりわけS原子で割り込まれているアルキル基を表すようなものである。特に、それが割り込まれた炭化水素ベースの鎖、とりわけアルキルを表す場合、Rは、C~C20、より特にC~C18、さらにいっそう特にC~C16である。好ましくは、前記割り込まれた炭化水素ベースの鎖、とりわけアルキルは、直鎖状である。
【0030】
本発明の別の実施形態によれば、PHAコポリマーは、Rが、前に定義されたようなa)~k)から選択される1つ以上(好ましくは1つ)の原子又は基で置換された、炭化水素ベースの鎖、とりわけ前に定義されたようなアルキル基を表すようなものである。好ましくは、前記炭化水素ベースの鎖は、前に定義されたようなa)~k)から選択されるただ1つの原子又は基で置換されている。
【0031】
本発明の特定の実施形態によれば、PHAコポリマーは、Rが、b)ヒドロキシル、c)チオール、d)(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ、好ましくはアミノ、e)カルボキシル、i)酸無水物、又はエポキシドなどの(ヘテロ)シクロアルキル、j)光学的光沢剤、UV-スクリーニング剤などの着色した若しくは着色していない、蛍光若しくは非蛍光発色団、老化防止活性薬剤などの化粧用活性薬剤、h)フェニル又はフリルなどの(ヘテロ)アリール、k)R-X[Rは、α)シクロヘキシルなどのシクロアルキル、β)ヘテロシクロアルキル、例えば糖基、好ましくはグルコースなどの単糖、γ)フェニルなどの(ヘテロ)アリール、δ)前に定義されたような有機活性薬剤から選択される基を表し、Xは、a’)O、S、N(R)、b’)カルボニル、c’)又はa’)と、b’)エステル、アミド若しくは尿素などとの組合せを表し;Rは、水素原子又は(C~C)アルキル若しくはベンジルなどのアリール(C~C)アルキル基を表し、好ましくはRは水素原子を表す]から選択される1つ以上(好ましくは1つ)の基で置換されている、炭化水素ベースの鎖、とりわけ前に定義されたようなアルキル基を表すようなものである。
【0032】
さらにいっそう優先的には、PHAコポリマーは、Rが、b)ヒドロキシル、d)(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ、好ましくはアミノ、e)カルボキシル、i)エポキシドなどの(ヘテロ)シクロアルキル、h)フェニル又はフリルなどの(ヘテロ)アリール、k)R-X[Rは、α)シクロヘキシルなどのシクロアルキル、β)ヘテロシクロアルキル、例えば糖、好ましくはグルコースなどの単糖、γ)フェニルなどの(ヘテロ)アリールから選択される基を表し、Xは、a’)O、S又はN(R)、好ましくはSを表し;Rは、水素原子又は(C~C)アルキル基を表し、好ましくはRは水素原子を表す]から選択される1つ以上(好ましくは1つ)の基で置換されている、炭化水素ベースの鎖、とりわけ前に定義されたようなアルキル基であるようなものである。
【0033】
好ましくは、前記置換炭化水素ベースの鎖、とりわけアルキルは、直鎖状である。
【0034】
本発明の別の特定の実施形態によれば、本発明の基R1の炭化水素ベースの鎖は、置換されている及び割り込まれている。
【0035】
本発明の特定の実施形態によれば、本発明の基Rの炭化水素ベースの鎖(とりわけ、前に定義されたようなアルキル基)は、
- b)ヒドロキシル、c)チオール、d)(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ、好ましくはアミノ、e)カルボキシル、i)酸無水物、又はエポキドなどの(ヘテロ)シクロアルキル、j)光学的光沢剤、UV-スクリーニング剤などの着色した若しくは着色していない、蛍光若しくは非蛍光発色団から選択される化粧用活性薬剤、h)フェニル又はフリルなどの(ヘテロ)アリール、k)R-X[Rは、α)シクロヘキシルなどのシクロアルキル、β)ヘテロシクロアルキル、例えば糖、好ましくはグルコースなどの単糖、γ)フェニルなどの(ヘテロ)アリール、δ)前に定義されたような化粧用活性薬剤から選択される基を表し、Xは、a’)O、S又はN(R)、b’)カルボニル、c’)又はa’)とb’)エステル、アミド若しくは尿素などとの組合せを表し;Rは、水素原子又は(C~C)アルキル若しくはベンジルなどのアリール(C~C)アルキル基を表し、好ましくはRは水素原子を表す]から選択される1つ以上(好ましくは1つ)の基で置換されている、並びに
- O、S、N(R)(Rは、前に定義された通りであり、好ましくはRは、水素原子;好ましくは、O及びS原子から選択される1つ以上の原子で、より優先的にはO又はS原子、とりわけS原子で割り込まれているアルキル基を表す)及びカルボニル、又はそれらとエステル、アミド若しくは尿素などとの組合せから選択される1つ以上(好ましくは1つ)の原子又は基で割り込まれている。特に、それが割り込まれた炭化水素ベースの鎖、とりわけアルキルを表す場合、Rは、C~C20、より特にC~C18、さらにいっそう特にC~C16である。
【0036】
本発明の好ましい実施形態によれば、本発明の基Rの炭化水素ベースの鎖(とりわけ、前に定義されたようなアルキル)は、
- b)ヒドロキシル、d)(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ、好ましくはアミノ、e)カルボキシル、i)エポキシドなどの(ヘテロ)シクロアルキル、h)フェニル又はフリルなどの(ヘテロ)アリール、k)R-X[Rは、α)シクロヘキシルなどのシクロアルキル、β)ヘテロシクロアルキル、例えば糖、好ましくはグルコースなどの単糖、γ)フェニルなどの(ヘテロ)アリールから選択される基を表し、Xは、a’)O、S又はN(R)、好ましくはSを表し;Rは、水素原子又は(C~C)アルキル基を表し、好ましくはRは水素原子を表す]から選択される1つ以上(好ましくは1つ)の基で置換されている;並びに
- O、S、N(R)(Rは、前に定義された通りであり、好ましくはRは、水素原子;好ましくは、O及びS原子から選択される1つ以上の原子で、より優先的にはO又はS原子、とりわけS原子で割り込まれているアルキル基を表す)及びカルボニル、又はそれらとエステル、アミド若しくは尿素などとの組合せから選択される1つ以上(好ましくは1つ)の原子又は基で割り込まれている。特に、それが割り込まれた炭化水素ベースの鎖、とりわけアルキルを表す場合、Rは、C~C20、より特にC~C18、さらにいっそう特にC~C16である。
【0037】
好ましくは、前記置換された及び割り込まれた炭化水素ベースの鎖、とりわけアルキルは、直鎖状である。
【0038】
より優先的には、前記炭化水素ベースの鎖Rが置換されている場合、それは、前記基Rを有する炭素原子の反対側の鎖の末端で置換されている。
【0039】
本発明の一実施形態によれば、前記炭化水素ベースの鎖Rは、次式-(CH-X-(ALK)-G[Xは、前に定義された通りであり、特にO、S又はN(R)、好ましくはSを表し、ALKは、直鎖状若しくは分岐状の、好ましくは直鎖状の、(C~C10)アルキレン、より特に(C~C)アルキレン鎖を表し、rは、両端を含んで6~11、好ましくは8などの7~10の整数を表し;uは、0又は1に等しく;Gは、水素原子又はヒドロキシル、カルボキシル、(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ、(ヘテロ)アリール、特にフェニルなどのアリール、シクロヘキシルなどのシクロアルキル、若しくは糖、特に、アシルなどの1つ以上の基で任意選択的に保護されている単糖から選択される基を表し、好ましくは、Sugは、
【化5】
を表す]を有する。
【0040】
本発明の別の特定の実施形態によれば、PHAコポリマーは、Rが、フッ素、塩素若しくは臭素などの1つ以上のハロゲン原子で置換された(C~C30)アルキル、より特に、臭素などのハロゲンで置換された、直鎖状の(C~C20)アルキル、さらにいっそう特に(C~C13)アルキルを表すようなものである。好ましくは、ハロゲン原子は、前記アルキル基の末端で置換されている。より優先的には、Rは、1-ブロモ-5-イルなどの1-ハロ-5-イルを表す。
【0041】
本発明の別の特定の実施形態によれば、PHAコポリマーは、Rが、a)シアノから選択される1つ以上の基で置換された(C~C30)アルキル基を表す、より特に、シアノ基で置換された、好ましくは直鎖状である、(C~C13)アルキル基、例えば1-シアノ-3-プロピルを表すようなものである。
【0042】
本発明の別の特定の実施形態によれば、PHAコポリマーは、Rが、vii)(ヘテロ)アリール(C~C)アルキル、より特にアリール(C~C)アルキル基、好ましくはフェニルエチルを表すようなものである。
【0043】
本発明の別の特定の実施形態によれば、PHAコポリマーは、Rが、c)(ヘテロ)シクロアルキルから選択される1つ以上の基で置換された(C~C30)アルキル基を表すようなものである。より特に、Rは、エポキシドなどのヘテロシクロアルキル基で置換された、好ましくは直鎖状である、(C~C13)アルキル基を表す。
【0044】
特に、PHAコポリマーは、Rが、直鎖状若しくは分岐状の(C~C28)アルキル、及び直鎖状若しくは分岐状の(C~C28)アルケニル、特に直鎖状の炭化水素ベースの基、特に(C~C20)アルキル又は(C~C20)アルケニルから選択されるようなものであり;好ましくは、炭化水素ベースの基は、それから少なくとも1個の炭素原子が差し引かれる基Rの炭素原子の数に相当する、好ましくはそれから少なくとも2個の炭素原子が差し引かれる基Rの炭素原子の数に相当する炭素数を有する。
【0045】
本発明の一実施形態によれば、PHAコポリマーは、基Rが、直鎖状若しくは分岐状の、好ましくは直鎖状の、(C~C)アルキル、特に(C~C)アルキル、好ましくは、n-ペンチル又はn-ヘキシルなどの(C~C)アルキル基であるようなものである。
【0046】
本発明による組成物の別の実施形態によれば、PHAコポリマーは、分岐状の(C~C)アルキル、特に(C~C)アルキル基R、好ましくは、イソブチルなどの分岐状の(C~C)アルキル基を含む。
【0047】
本発明による組成物の別の実施形態によれば、本発明のPHAコポリマーは、前に定義されたようなアルキル基Rを有する単位(A)と、前に定義されたような単位(B)と、好ましくは直鎖状であり、ただ1つの不飽和を鎖末端に含む、直鎖状若しくは分岐状の(C~C20)アルケニル、特に-(C~C14)アルケニル、より特に(C~C10)アルケニル基、特に、[CR(R)]-C(R)=C(R)-R[同一であっても異なっていてもよい、R、R、R、R及びRは、水素原子又はメチルなどの(C~C)アルキル基、好ましくは水素原子を表し、qは、両端を含んで2~20、好ましくは3~10、より優先的には、6などの4~8の整数を表し、例えば-[CH-CH=CHなど、qは、両端を含んで3~8、好ましくは5などの4~6の整数を表す]を有する単位(C)とを含む。
【0048】
本発明による組成物の一実施形態によれば、本発明のPHAコポリマーは、ヒドロキシル、(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ、カルボキシル、及び前に定義されたようなR-X-、好ましくはR-S-(Rは、シクロヘキシルなどのシクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル、例えば糖、より優先的にはグルコースなどの単糖、(C~C)(アルキル)ベンジル若しくはフェニルエチルなどの任意選択的に置換されたアリール(C~C)アルキル、又は、フリルメチルなどのヘテロアリール(C~C)アルキルを表す)から選択される1つ以上(好ましくは1つ)の基で置換された8~16個の炭素原子を含むアルキル基Rを有する単位(A)を含む。
【0049】
本発明による組成物の一実施形態によれば、コポリマーは、直鎖状若しくは分岐状の、好ましくは直鎖状の、(C~C)アルキル、特に(C~C)アルキル、好ましくはペンチルなどの(C~C)アルキル基Rを有する単位Bを含む。
【0050】
本発明による組成物の別の実施形態によれば、PHAコポリマーは、前に定義されたようなアルキル基Rを含有する単位(A)と、前に定義されたような単位(B)と、-[CH-CH=CHなどの好ましくは直鎖状であり、鎖末端にただ1つの不飽和を含む直鎖状若しくは分岐状の(C~C20)アルケニル、特に(C~C14)アルケニル基、より特に(C~C10)アルケニル基を含有する単位(C)とを含み、pは、両端を含んで3~8、好ましくは、5などの、4~6の整数を表す。
【0051】
本発明の特定の実施形態によれば、PHAコポリマーにおいて、単位(A)は、前に定義されたような、置換された及び/又は割り込まれたアルキル、置換された及び/又は割り込まれたアルケニル、或いは置換された及び/又は割り込まれたアルキニル基である炭化水素ベースの鎖Rを含み、前記単位(A)は、0.1%~50%の範囲のモル百分率、より優先的には0.5%~40%の範囲のモル百分率、さらにいっそう優先的には1%~40%の範囲のモル百分率、さらにより良好には2%~30%の範囲のモル百分率、又は5%~20%の範囲のモル百分率で存在する。
【0052】
好ましくは、単位(A)のRが、置換された及び/又は割り込まれたアルキル、置換された及び/又は割り込まれたアルケニル或いは置換された及び/又は割り込まれたアルキニル炭化水素ベースの鎖である場合、前記単位(A)は、30%以下、より特に20%未満、好ましくは8%~13%のモル百分率で存在する。
【0053】
本発明のより特定の実施形態によれば、PHAコポリマーにおいて、単位(A)は、0.1mol%~99mol%の範囲のモル百分率、優先的には0.5mol%~50mol%の範囲のモル百分率、より優先的には1mol%~40mol%の範囲のモル百分率、さらにいっそう優先的には2mol%~30mol%の範囲のモル百分率、より良好には5mol%~20mol%の範囲のモル百分率;さらにより良好には10mol%~30mol%の単位(A)の範囲のモル百分率で存在し;単位(B)は、1mol%~40mol%の範囲のモル百分率;優先的には2mol%~10mol%の範囲のモル百分率、より優先的には5mol%~35mol%の単位(B)の範囲のモル百分率で存在し;及び/又は単位(C)は、0.5mol%~20mol%の範囲のモル百分率、優先的には1mol%~7mol%の範囲のモル百分率、より優先的には0.5mol%~7mol%の単位(C)で存在する。
【0054】
本発明のより特定の実施形態によれば、PHAコポリマーにおいて、単位(A)は、0.1%~50%の範囲のモル百分率、より優先的には0.5%~40%の範囲のモル百分率、さらにいっそう優先的には1%~40%の範囲のモル百分率、さらにより良好には5%~30%の範囲のモル百分率、8%~20%の範囲のモル百分率で存在し;単位(B)は、70%~99.5%の範囲のモル百分率、好ましくは60%~95%で存在し;単位(C)は、合計に対して、0%~30%の範囲のモル百分率、好ましくは1%~25%、より優先的には5%~24%で存在し、単位(D)は、合計に対して0%~10%の範囲のモル百分率、好ましくは0.1%~5%、より優先的には0.5%~2%で存在し、単位(E)は、合計及び単位に対して0%~10%、好ましくは0.1%~5%、より優先的には0.5%~2%である。有利には、本発明のPHAコポリマーは、70mol%~90mol%の単位(B);及び6mol%~24mol%の単位(C)を含む。
【0055】
PHAコポリマーの単位(A)、(B)及び(C)のモル百分率の値は、コポリマーがいかなる追加の単位(C)も含まない場合、(A)+(B)の総モル数に対して計算され;それとは違って、本発明のコポリマーが3つの異なる単位(A)、(B)及び(C)を含有する場合、モル百分率は、モル(A)+(B)+(C)の総数に対して計算され;それとは違って、本発明のコポリマーが4つの異なる単位(A)、(B)、(C)及び(D)を含有する場合、モル百分率は、モル(A)+(B)+(C)+(D)の総数に対して計算され;それとは違って、本発明のコポリマーが4つの異なる単位(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)を含有する場合、モル百分率は、モル(A)+(B)+(C)+(D)+(E)の総数に対して計算される。
【0056】
優先的には、本発明のPHAコポリマーは、以下の繰り返し単位、並びにまたそれらの光学異性体又は幾何異性体、それらの有機酸若しくは鉱酸又は塩基塩、及び水和物などのそれらの溶媒和物を含む。
【化6】
【0057】
【表1】
【0058】
m及びnは、前に定義された通りであり、Halは、臭素などのハロゲン原子を表し、tは、1~10、好ましくは、6などの3~8の整数を表す。
Arは、フェニルなどの(ヘテロ)アリール基を表し;
Ar’は、t-ブチルフェニル、好ましくは4-t-ブチルフェニルなどの(C~C)アルキル(ヘテロ)アリール基を表し;
Cyclは、シクロヘキシル基を表し;
Furは、フリル基、好ましくは2-フリルを表し;
Sugは、糖基、特に、アシルなどの1つ以上の基で任意選択的に保護され単糖を表し;好ましくは、Sugは、
【化7】
を表す。
【0059】
特に、基R及びRを有する炭素原子の立体化学は、同じ(R)又は(S)立体配置のもの、好ましくは(R)立体配置のものである。
より特に、基R、R及びRを有する炭素原子の立体配置は、同じ(R)又は(S)立体配置のもの、好ましくは(R)立体配置のものである。
より特に、基R、R、R及びRを有する炭素原子の立体配置は、同じ(R)又は(S)立体配置のもの、好ましくは(R)立体配置のものである。
より特に、基R、R、R、R及びRを有する炭素原子の立体配置は、同じ(R)又は(S)立体配置のもの、好ましくは立体配置のものである。
より優先的には、PHAコポリマーは、以下の式、並びにまたそれらの光学異性体、それらの有機酸若しくは鉱酸又は塩基塩、及び水和物などのそれらの溶媒和物を含む:
【化8】
【0060】
【表2】
【0061】
M、n、Hal、t、Ar、Ar’、Cycl、Fur及びSugは、化合物(1)~(14)について前に定義された通りである。
【化9】
【0062】
【表3】
【0063】
【化10】
【0064】
【表4】
【0065】
【化11】
【0066】
【表5】
【0067】
【化12】
【0068】
【表6】
【0069】
【表7】
【0070】
【表8】
【0071】
本発明のPHAコポリマーは、好ましくは、50,000~150,000の範囲の数平均分子量を有する。
一実施形態によれば、本発明のPHAコポリマーは、好ましくは、化合物(7)及び/又は(7’)とは異なり、より好ましくは本発明のPHAコポリマーは、化合物(7)とは異なる。
一実施形態によれば、好ましくは、PHAコポリマーは、式-(CH-X-(ALK)-G(式中、r、u及びXは、前に定義された通りであり、ALKは、直鎖状若しくは分岐状の、好ましくは直鎖状の、(C~C)アルキレンを表す)のRを有する。
【0072】
分子量は、とりわけ、サイズ排除クロマトグラフィにより測定されてもよい。方法は、以下に実施例において説明される。
【0073】
PHAコポリマーは、本発明による組成物中に、組成物の総質量に対して0.1質量%~30質量%の範囲、好ましくは0.1質量%~25質量%の範囲の含有量で特に存在する。
【0074】
PHAコポリマーは、好ましくは、50,000~150,000の範囲の数平均分子量を有する。
【0075】
分子量は、とりわけ、サイズ排除クロマトグラフィにより測定され得る。方法は、以下に実施例において説明される。
【0076】
コポリマーは、本発明による組成物中に、組成物の総質量に対して0.1質量%~30質量%、好ましくは0.1質量%~25質量%の範囲の含有量で存在し得る。
【0077】
PHAコポリマーの調製方法
本発明のPHAコポリマーの調製方法は、当業者に公知である。とりわけ、「官能化可能な」PHA産生微生物菌株の使用が言及され得る。
【0078】
「官能化可能な」という用語は、PHAコポリマーが、-「反応性原子又は反応性基」とも言われる-別の試薬と化学的に反応して前記試薬により官能化されたΣ共有結合を与えることができる1つ以上の原子又は基を含む炭化水素ベースの鎖を含むことを意味する。試薬は、例えば、少なくとも1つの求核基を含む化合物であり、前記官能化炭化水素ベースの鎖は、少なくとも1つの求電子性又は離核性原子又は基を含み、求核基は、求電子基と反応して試薬を共有結合でグラフトΣする。求核試薬はまた、アルケニル基の1つ以上の不飽和と反応して官能化炭化水素ベースの鎖と前記試薬との共有結合によるフラフトをもたらす。付加反応はまた、ラジカルベースの、マルコフニコフ又は逆-マルコフニコフ型の付加、又は求核若しくは求電子置換であり得る。付加又は縮合反応は、不活性雰囲気下又は酸素下で、1気圧超の圧力下に、好ましくは100℃以下に加熱しながら、触媒又は酵素を使用して又は使用せずに、ラジカルルートによって行われてもよいし、行われなくてもよい。
【0079】
「求核性」という用語は、誘起効果+I及び/又はメソメリー効果+Mにより電子供与性である任意の原子又は基を指す。言及され得る電子供与性基としては、ヒドロキシル、チオール及びアミノ基が挙げられる。
【0080】
「求電子性」という用語は、誘起効果-I及び/又はメソメリー効果-Mにより電子求引性である任意の原子又は基を指す。言及され得る電子求引性化学種としては、挙げられる。
【0081】
とりわけ炭化水素ベースのC~C鎖を有する本発明のPHAを産生する微生物は、細菌界、例えばネンジュモ(Nostocales)目のシアノバクテリア(例えば:ノストック・ムスコラム(Nostoc muscorum)、シネコシスティス(Synechocystis)及びシネココッカス(Synechococcus))により、しかし主にプロテオバクテリア(Proteobacteria)、例えば、
- バークホルデリア(Burkholderiales)目の、ベータ-プロテオバクテリア(Proteobacteria)(カプリアビダス・ネカトール(Cupriavidus negator)同義語ラルストニア・ユートロファRalstonia eutropha))
【0082】
- ロドバクター(Rhodobacteriales)目の、アルファ-プロテオバクテリア(Proteobacteria)(ロドバクター・カプスラツス(Rhodobacter capsulatus)海生及び光合成の)
【0083】
- モラクセラ(Moraxellaceae)科のシュードモナレス(Pseudomonales)目の、ガンマ-プロテオバクテリア(Proteobacteria)(アシネトバクター・ジュニイ(Acinetobacter junii))により自然に産生され得る。
【0084】
細菌界の微生物の中で、属アゾトバクター(Azotobacter)、水素細菌(Hydrogenomonas)又はクロマチウム(Chromatium)が、PHA産生有機体を最も代表するものである。
【0085】
~C炭化水素ベースの鎖をとりわけ有するPHAを自然に産生する有機体は、とりわけ、プロテオバクテリア(Proteobacteria)、例えばガンマ-プロテオバクテリア(Proteobacteria)、より特に、シュードモナス(Pseudomonas)科のシュードモナレス(Pseudomonales)目、例えばシュードモナス・レジノボランス(Pseudomonas resinovorans)、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)、シュードモナス・エルギノーザ(Pseudomonas aeruginosa)、シュードモナス・シトロネロリス(Pseudomonas citronellolis)、シュードモナス・メンドシナ(Pseudomonas mendocina)、シュードモナス・クロロラフィス(Pseudomonas chlororaphis)、好ましくはシュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)GPo1及びシュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)KT2440、好ましくはシュードモナス・プチダ及びシュードモナス・プチダ、特にシュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)GPo1及びシュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)KT2440である。
【0086】
ある種の有機体、例えはコマモナス(Comamonadaceae)科のバークホルデリア(Burkholderiales)目のベータ-プロテオバクテリア(beta-Proteobacteria)綱に属するコマモナス・テストステローニ(Commamonas testosteroni)などもまた、シュードモナレス(Pseudomonales)目に属することなくPHAを自然に産生する。
【0087】
本発明によるPHA産生微生物は、3-酸化PHAシンターゼ代謝経路が存在する場合には組換え株でもあり得る。3-酸化PHAシンターゼ代謝経路は、主として4つのクラスの酵素、EC:2.3.1 B2、EC:2.3.1 B3、EC:2.3.1 B4及びEC:2.3.1 B5で表される。
【0088】
組換え株は、細菌界、例えば大腸菌(Escherichia coli)から、又は植物界、例えばクロレラ・ピレノイドサ(Chlorella pyrenoidosa):International Journal of Biological Macromolecules,116,552-562“Influence of nitrogen on growth,biomass composition,production,and properties of polyhydroxyalkanoates(PHAs) by microalgae”)から、又は菌界、例えばサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)若しくはヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica):Applied Microbiology and Biotechnology 91,1327-1340(2011)“Engineering polyhydroxyalkanoate content and monomer composition in the oleaginous yeast Yarrowia lipolytica by modifying the β-oxidation multifunctional protein”)からのものであり得る。
【0089】
例えば、PHAの産生を増加させること、及び/又は酸素消費能力を高めること、及び/又は自己消化を減らすこと及び/又はモノマー比を変更することを可能にし得る、遺伝子組換え微生物がまた使用され得る。
【0090】
PHAについて、全生産コストの大部分が、培養培地に、主として基質/炭素源に費やされることは公知である。それらの成長のためにより少量の栄養素(炭素源)を利用する遺伝子組換え微生物、例えば生来光独立栄養的である、すなわち光及びCOを主なエネルギー源として利用する微生物がしたがって使用され得る。
【0091】
コポリマーは、生合成による公知の方法で、例えば、シュードモナス(Pseudomonas)属に属する微生物、例えば、シュードモナス・レジノボランス(Pseudomonas resinovorans)、シュードモナス・プチダ(Pseudomomonas putida)、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)、シュードモナス・エルギノーザ(Pseudomonas aeruginosa)、シュードモナス・シトロネロリス(Pseudomonas citronellolis)、シュードモナス・メンドシナ(Pseudomonas mendocina)、シュードモナス・クロロラフィス(Pseudomonas chlororaphis)、好ましくはシュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)を使って;並びにC~C20、好ましくはC~C18カルボン酸、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、ドデカン酸;単糖、例えば、フルクトース、マルトース、ラクトース、キシロース、アラビノース等);
n-アルカン、例えば、ヘキサン、オクタン若しくはドデカン;n-アルコール、例えば、メタノール、エタノール、オクターノール若しくはグリセロール;メタン又は二酸化炭素であり得る炭素源を使って得られ得る。
【0092】
生合成は、任意選択的に、β-酸化経路の阻害剤、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、プロピオン酸、桂皮酸、サリチル酸、ペンテン酸、2-ブチン酸、2-オクチン酸又はフェニルプロピオン酸、好ましくはアクリル酸の存在下に行われ得る。
【0093】
一実施形態によれば、本発明のPHAの調製方法は、遺伝子組換え微生物(GMO)によってPHAを産生する、微生物細胞を使用する。遺伝子組換えは、PHAの産生を増加させ、酸素吸収能力を高め、溶媒の毒性に対する耐性を高め、自己消化を減らし、PHAコモノマー比を変更し得る、及び/又はそれらの任意の組合せであり得る。これらの実施形態のいくつかにおいて、単位(A)のコモノマー比の変更は、得られる、本発明のPHAの(B)に対して主要モノマーの量を増加させる。別の実施形態において、PHA産生微生物細胞は、自然に再生される。
【0094】
遺伝子組換えPHA産生微生物菌株の例は、シュードモナス・エントモフィラ(Pseudomonas entomophila)LAC23である(Adv.Healthcare Mater.2017,1601017(DOI:10.1002/adhm.201601017)。
【0095】
例として、言及され得る、官能化可能である又は反応基を含むPHSA産生遺伝子組換え微生物菌株は、シュードモナス・エントモフィラ(Pseudomonas entomophila)LAC23である(Biomacromolecules.2014 Jun 9;15(6):2310-9.doi:[10.1021:bm500669s]。
【0096】
100%PHOを産生する(刊行物dx.doi.org/10.1021/bm2001999|Biomacromolecules 2011,12,2126-2136によれば)野生型株を使用することも可能である。
【0097】
フェニル吉草酸-co-3-ヒドロキシドデカン酸コポリマーHDDを産生する遺伝子組換え微生物(Sci.China Life Sci.,Shen R.et al.,57 No.1,(2014))を、菌株:シュードモナス・エントモフィラ(Pseudomonas entomophila)LAC23と一緒に使用することも可能である。
【0098】
窒素、リン、硫黄、マグネシウム、ナトリウム、カリウム及び鉄をベースとする水溶性塩などの、栄養素も、この生合成のために使用され得る。
【0099】
公知の適切な温度、pH及び溶存酸素(O)条件が、微生物の培養のために用いられ得る。
【0100】
微生物は、連続又は回分モードで、フェッド又はアンフェッドモードでなどの、培養の任意の公知の方法に従って培養され得る。
【0101】
本発明により用いられるポリマーの生合成は、とりわけ、論文“Biosynthesis and Properties of Medium-Chain-Length Polyhydroxyalkanoates with Enriched Content of the Dominant Monomer”,Xun Juan et al.,Biomacromolecules 2012,13,2926-2932に、及び特許出願国際公開第2011/069244号パンフレットに記載されている。
前に定義されたような、官能化可能である又は反応基を含むPHAを産生する微生物菌株は、例えば、シュードモナス(Pseudomonas)属、例えばP.シコリイ(P.cichorii)YN2、P.シトロネロリス(P.citronellolis)、P.ジェッセニイ(P.jessenii)のもの、及び、より一般的にはシュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)の種、例えばシュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)GPo1(シュードモナス・オレオボランス(Pseudomonas oleovorans)の同義語)、P.プチダ(P.putida)KT2442、P.プチダ(P.putida)KCTC 2407、P.プチダ(P.putida)BM01と一緒である。
【0102】
炭素源
本発明のPHAへのアクセスを得るための一手段は、一種以上の有機化合物であって、この又はこれらの有機化合物が、アルカン、アルケン、アルコール、カルボン酸及びそれらの混合物から好ましくは選択される炭素源を表す有機化合物を培養培地へ導入することである。
【0103】
一実施形態において、有機化合物は、好ましくは、アルコール、カルボン酸及びそれらの混合物から選択されるであろう。
【0104】
炭素源は、以下の通り分類され得る:
1)培地中へ導入される1種以上の有機化合物による炭素源:
本発明のPHAへのアクセスを得るための一手段は、一種以上の有機化合物であって、この有機化合物が、アルカン、アルケン、アルコール、カルボン酸及びそれらの混合物から好ましくは選択される炭素源である有機化合物を培養培地へ導入することである。
【0105】
本発明の特定の実施形態によれば、有機化合物は、アルコール、特に(C~C20)アルカノール、及び/又はカルボン酸、特に(C~C20)アルカン酸から選択される。
【0106】
炭素源は、3つのグループに分類され得る:
- グループA:有機化合物は、産生菌の成長を助け、及び有機化合物に構造上結合したPHAの産生を助け得る。
- グループB:有機化合物は、菌株の成長を助け得るが、有機化合物に構造上結合したPHAの産生に関与しない。
- グループC:有機化合物は、菌株の成長に関与しない。
【0107】
そのような微生物学的プロセスは、当業者に、とりわけ科学文献において公知である。下記が言及され得る: International Journal of Biological Macromolecules 28,23-29(2000);The Journal of Microbiology,45,No.2,87-97(2007)。
【0108】
一変形によれば、本発明のPHAの反応性原子に又は反応基に構造上結合する基質の組込みは、微生物成長に好適な培地中の唯一の炭素源として培地中へ直接導入される。(例:P.プチダ(P.putida)GPo1用のグループA:アルケン酸、とりわけ末端の)。
【0109】
別の変形によれば、本発明のPHAの反応性原子、とりわけハロゲンに、又は反応基に構造上結合する基質の組込みは、微生物成長に好適な培地中の、PHAに構造上また結合する共基質としての第2の炭素源と一緒に炭素源として培地中へ直接導入される。(例:P.プチダ(P.putida)GPo1用のグループB:好ましくは末端であるハロアルカン酸、例えば末端ブロモアルカン酸)。
【0110】
その上別の変形によれば、本発明のPHAの反応性原子、とりわけハロゲンに、又は反応基に構造上結合する基質の組込みは、微生物成長に好適な培地中の、PHAに構造上また結合する共基質としての第2の炭素源及び微生物成長に好適な培地中の、PHAに構造上結合しない共基質としての第3の炭素源と一緒に炭素源として培地中へ直接導入され得る。(例:グループCグルコース又はスクロース)。
【0111】
一実施形態において、β-酸化経路阻害剤は、アクリル酸、2-ブチン酸、2-オクチン酸、フェニルプロピオン酸、プロピオン酸、トランス-桂皮酸、サリチル酸、メタクリル酸、4-ペンテン酸又は3-メルカプトプロピオン酸である。
【0112】
第1の態様の一実施形態において、官能化脂肪酸は、官能化ヘキサン酸、官能化ヘプタン酸、官能化オクタン酸、官能化ノナン酸、官能化デカン酸、官能化ウンデカン酸、官能化ドデカン酸又は官能化テトラデカン酸である。
【0113】
官能化は、アルコール及び/又はカルボン酸カテゴリーの前駆体から選択される有機化合物を用いて導入され得、とりわけ
- 分岐状のアルキル基でのPHAの官能化については:例えば、Applied and Environmental Microbiology, 60,No.9,3245-325(1994)を参照されたい;
- 末端シクロヘキシル単位を含む直鎖状のアルキル基でのPHAの官能化については:例えば、doi.org/10.1016/S0141-8130(01)00144-1を参照されたい;
- 好ましくは末端である不飽和のアルキル基でのPHAの官能化については:例えばdoi.org/10.1021/bm8005616)を参照されたい;
- 好ましくは炭化水素ベースの鎖の末端にハロゲンを含む直鎖状のアルキル基でのPHAの官能化について(doi.org/10.1021/ma00033a002);
- (ヘテロ)芳香族アルキル基、例えばフェニル、ベンゾイル、フェノキシでのPHAの官能化については、例えばJ.Microbiol.Biotechnol,11,3,435-442(2001)を参照されたい;
- とりわけ炭化水素ベースの鎖の末端にヘテロ原子を含む直鎖状のアルキル基でのPHAの官能化については、例えばDOI 10.1007/s00253-011-3099-4を参照されたい;
- とりわけ炭化水素ベースの鎖の末端にシアノ官能基を含む直鎖状のアルキル基でのPHAの官能化については、例えばdoi.org/10.1111/j.1574-6968.1992.tb05839.xを参照されたい;
- とりわけ炭化水素ベースの鎖の末端にエポキシ官能基を含む直鎖状のアルキル基でのPHAの官能化については、例えばdoi.org/10.1016/S1381-5148(97)00024-2を参照されたい;
レビューInternational Microbiology 16:1-15(2013)doi:10.2436/20.1501.01.175)はまた、官能化された自生のPHAの大半に言及している。
【0114】
本発明の特定の実施形態において、グループAからの脂肪酸は、11-ウンデセン酸、10-エポキシウンデカン酸、5-フェニル吉草酸、シトロネロール及び5-シアノペンタン酸から選択される。
【0115】
本発明の特定の実施形態において、グループBからの脂肪酸は、8-ブロモオクタン酸などのハロオクタン酸及び11-ブロモウンデカン酸から選択される。
【0116】
本発明の特定の実施形態において、グループCからの炭素源は、単糖、好ましくはグルコースである。
【0117】
2)培地中へ導入される酸化阻害剤の存在下での炭素源:
本発明の別の態様は、微生物成長に好適である培地中でのPHA産生微生物菌株の使用であって、前記培地が、PHAに構造上結合する基質と;PHAに構造上結合しない炭素源と;少なくとも1種の酸化、とりわけβ-酸化経路阻害剤とを含む使用である。これは、微生物細胞の成長が前記培地中で行われ、微生物細胞が本発明のPHAポリマーを合成し;好ましくはコポリマーがβ-酸化経路阻害剤の不在下で得られるものとは異なる単位(A)と単位(B)とのコモノマー比を有する、95%超の同一の単位を特に含有することを可能にする。
【0118】
下記のスキーム1に従って、不飽和の炭化水素ベースの鎖を有するa)PHAコポリマーから出発する本発明によるPHAコポリマーの官能化の例:
【化13】
スキーム1において:
- R、m及びnは、前に定義された通りであり;
- Yは、塩素若しくは臭素などのHal、ヒドロキシル、チオール、(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ、R-X[Rは、α)シクロヘキシルなどのシクロアルキル、β)ヘテロシクロアルキル、例えば糖、好ましくはグルコースなどの単糖、γ)フェニルなどの(ヘテロ)アリール;δ)前に定義されたような化粧用活性薬剤;ε)(C~C20)アルキル、(C~C20)アルケニル、(C~C20)アルキニルから選択される基を表し、Xは、a’)O、S、又はN(R)若しくはSi(R)(R)(前に定義されたようなR、R及びRの)、又はe)直鎖状若しくは分岐状の(C~C20)アルキルを表す]から選択される基を表し;
- q’は、両端を含んで2~20、好ましくは3~10、より優先的には、6などの4~8、さらにより良好には3~8、好ましくは、5などの、4~6の整数を表す。
【0119】
他の反応は、制御されてもされなくてもよい、マイケル付加又はディールス-アルダー付加、ラジカル付加、触媒的(とりわけPd又はNiを使った)若しくは非触媒的水素化、とりわけ臭素での、ハロゲン化、水和又は酸化、及び下記に図式的に表されるような求電子試薬への反応などの、二重若しくは三重不飽和を用いて行われ得る。
【0120】
本発明の特定の実施形態によれば、PHAコポリマーは、合計5~30個の炭素原子、好ましくは6~20個の炭素原子、より特に7~11個の炭素原子を含む、Rについて前に定義されたような基で置換された及び/又は割り込まれた、直鎖状若しくは分岐状の、飽和の炭化水素ベースの鎖Rを含み、Rの炭化水素ベースの鎖は、好ましくは直鎖状であり、鎖末端にただ1つの不飽和を含む、直鎖状若しくは分岐状の(C~C20)アルケニル、特に(C~C14)アルケニル、より特に(C~C10)アルケニル基、特に-[CR(R)]-C(R)=C(R)-R(同一であっても異なっていてもよい、R、R、R、R及びRは、水素原子又は、メチルなどの(C~C)アルキル基、好ましくは水素原子を表し、qは、両端を含んで2~20、好ましくは3~10、より優先的には、6などの4~8の整数を表す)、例えば-[CH-CH=CHを表し、qは、3~8、好ましくは、5などの、4~6を表し、1%~99%、優先的には2%~50%、さらにいっそう優先的には3%~40%の不飽和、さらにいっそう特に3%~30%の不飽和、さらにより良好には5%~20%の不飽和を含む。
【0121】
A)不飽和を持ったコポリマーPHAは、
粒子、化合物又はポリマーでのラジカル付加、マイケル付加、求電子付加、ディールス-アルダーなどの、付加反応、ハロゲン化、水和又は水素化反応、好ましくはヒドロチオ化反応によって、化学的に修飾され得る。
特に、ヒドロチオ化反応は、熱開始剤、レドックス開始剤又は光化学開始剤の及び、とりわけ
- メタン-、エタン-、プロパン-、ペンタン-、シクロペンタン-チオール、好ましくはヘキサン-、シクロヘキサン-、ヘプタン-、オクタン-、フェニルエタン-、4-tert-ブチルフェニルメタン-又は2-フランメタン-チオールなどの、1~14個の炭素原子を含む、直鎖状の、分岐状の、環式又は芳香族アルカンチオール;
- チオール官能基を有するオルガノシロキサン、例えば(3-メルカプトプロピル)トリメトキシシラン、(3-メルカプトプロピル)メチルジメトキシシラン、2-(トリエトキシシリル)エタンチオール又はメルカプトプロピル-イソブチル-POSS;
- チオールベースのシリコーンオイル、とりわけ公文書DOI 10.1016:j.actbio.2015.01.020)に記載されているもの;
- アミン、アルコール、酸、ハロゲン、チオール、エポキシド、ニトリル、イソシアネート、ヘテロ原子などの、反応性官能基を有するチオールベースのオリゴマー又はポリマー、好ましくはシステイン、システアミン、N-アセチルシステアミン、2-メルカプトエタノール、1-メルカプト-2-プロパノール、8-メルカプト-1-オクタノール、チオ乳酸、チオグリコール酸、3-メルカプトプロピオン酸、11-メルカプトウンデカン酸、ポリエチレングリコールジチオール、3-メルカプトプロピオニトリル、1,3-プロパンジチオール、4-シアノ-1-ブタンチオール、3-クロロ-1-プロパンチオール、1-チオ-β-D-グルコーステトラアセテートなどの、反応性官能基を有するチオールベースのオリゴマー又はポリマー;及び
- フェニルジスルフィド又はフリルジスルフィドなどの、ジスルフィド還元から得られ得るチオール
から選択される、スルフヒドリル基を有する有機化合物の存在下で行われ得る。
【0122】
言及され得る開始剤の例としては:tert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、クメンペルピバレート、tert-ブチルペルオキシラウレート、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、オクタノイルペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシド、tert-ブチルクミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,4-ビス(tert-ブチルペルオキシカルボニル)シクロヘキサン、2,2-ビス(tert-ブチルペルオキシ)オクタン、n-ブチル4,4-ビス(tert-ブチルペルオキシ)バレレート、2,2-ビス(tert-ブチルペルオキシ)ブタン、1,3-ビス(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、ジ-tert-ブチルジペルオキシイソフタレート、2,2-ビス(4,4-ジ-tert-ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、ジ-tert-ブチルペルオキシ-α-メチルスクシネート、ジ-tert-ブチルペルオキシジメチルグルタレート、ジ-tert-ブチルペルオキシヘキサヒドロテレフタレート、ジ-tert-ブチルペルオキシアゼレート、2,5-ジメチル-2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、ジエチレングリコールビス(tert-ブチルペルオキシカーボネート)、ジ-tert-ブチルペルオキシトリメチルアジペート、トリス(tert-ブチルペルオキシ)トリアジン、ビニルトリス(tert-ブチルペルオキシ)シラン フェノチアジン、テトラセン、ペリレン、アントラセン、9,10-ジフェニルアントラセン、チオキサントン、ベンゾフェノン、アセトフェノン、キサントン、フルオレノン、アントラキノン、9,10-ジメチルアントラセン、2-エチル-9,10-ジメチルオキシアントラセン、2,6-ジメチルナフタレン、2,5-ジフェニル-1,3,4-オキサジアゾール、キサントピナコール、1,2-ベンズアントラセン、9-ニトロアントラセンが挙げられる。これらの開始剤のそれぞれは、単独で又は他の組合せで使用され得る。
-前に述べられている化学反応は、当業者に公知である。とりわけ、以下の公文書が言及され得る:Synthesis and preparation of PHAs modified with polyethylene glycol dithiol:10.1021/acs.biomac.9b00479;Biomacromolecules,19,3536-3548(2018);
-Synthesis and preparation of PHAs modified with mercaptohexanol:10.1021/acs.biomac.8b01257;Biomacromolecules,20,2,645-652(2019);
-Synthesis and preparation of PHAs modified with hydroxycinnamic acid sulfate,and zosteric acid:10.1021/bm049962e;Biomacromolecules,5,4,1452-1456(2004);
-Radical addition of methyl methacrylate to a PHOUn:10.1002/1521-3935(20010701)202:11<2281:AID-MACP2281>3.0.CO;2-9;Macromolecular Chemistry and Physics,vol.202,11,2281-2286(2001);Synthesis and preparation of PHAs modified with a polysilsesquioxane(POSS):10.1016/j.polymer.2005.04.020;Polymer Vol.46,14,5025-5031(2005);
-Grafting of thio-beta-glucose to saturated side chains:1022-1336/99/0202-0091$17.50+.50/0;Macromol.Rapid Commun.,20,91-94(1999)
【0123】
B)不飽和を持ったコポリマーPHAはまた、例えば、濃厚若しくは希薄アルカリ性試剤の過マンガン酸塩、又はオゾン分解、還元剤の存在下の酸化での、制御されてもされなくてもよい、酸化反応によって化学的に修飾され得、側鎖の末端位にヒドロキシル、エポキシド又はカルボキシル基を有する新規材料を得ることを可能にする。
【0124】
スキーム2:側鎖の末端位に不飽和を有するPHAの酸化による化学的修飾の2、3の例
前に述べられた化学反応は、当業者に公知である。とりわけ、以下の公文書が言及され得る:10.1021/bm049337;Biomacromolecules,vol.6,2,891-896(2005);10.1016/S0032-3861(99)00347-X;Polymer,vol.41,5,1703-1709(2000);10.1021/ma9714528及び10.1016/S1381-5148(97)00024-2;Macromolecules,23,15,3705-3707(1990);10.1016/S0032-3861(01)00692-9;Polymer,vol.43,4,1095-1101(2002);10.1016/S0032-3861(99)00347-X;Polymer,vol.41,5,1703-1709(2000);並びに10.1021/bm025728h;Biomacromolecules,vol.4,2,193-195(2003)。
【0125】
下記のスキーム2に従って、b)エポキシド基を含有する炭化水素ベースの鎖を有するPHAコポリマーから出発する本発明によるPHAコポリマーの官能化の例:
【化14】
【0126】
スキーム2において、Y、m、n、q’及びR2は、スキーム1において定義された通りである。
【0127】
エポキシド構造は、バイオテクノロジー的プロセスによってか、前に述べられたような不飽和の酸化などの化学的プロセスによって、当業者に公知の従来法によって得られ得る。ペルオキシド基は、カルボン酸、無水マレイン酸、アミン、アルコール、チオール又はイソシアネート(全てのこれらの試薬は、少なくとも1つの直鎖状若しくは分岐状の、環式若しくは非環式の、飽和若しくは不飽和のC~C20炭化水素ベースの鎖を含むか、或いはオリゴマー又はポリマー、特にキトサンから誘導される化合物などのアミノ(ポリ)サッカリド及び(ポリ)シラン(シロキサン)によって担持されている);3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン 3-(トリメトキシシリル)プロピルカルバミン酸、ジエタノールアミン、又は、ナトリウムなどのアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属塩の3-メルカプト-1-プロパンスルホネートと反応し得る。エポキシド基はまた、水とも反応し得る。
【0128】
とりわけ、以下の公文書が言及され得る:
- Preparation of PHA bearing charges starting with diethanolamine:10.1021/bm8005616,Biomacromolecules,vol.9,8,2091-2096(2008);
- Preparation of PHA bearing charges starting with sodium 3-mercapto-1-propanesulfonate:10.1021/acs.biomac.9b00870 Biomacromolecules,vol.20,9,3324-3332(2019);
- Preparation of PHA including a native epoxide unit:10.1016/S1381-5148(97)00024-2);Reactive and Functional Polymers,vol.34,1,65-77(1997)
【0129】
下記のスキーム3に従って、離核性基を含有する炭化水素ベースの鎖を有するPHAコポリマーから出発する本発明によるPHAコポリマーの官能化の例:
【化15】
【0130】
スキーム3において、Y、m、n、q’及びRは、スキーム1において定義された通りである。Mは、求核基で置換されていてもよい、有機又は無機の離核性基に相当し、前記求核試薬は、O、S又はNなどの+I及び/又は+M効果によって電子供与性であるヘテロ原子である。好ましくは、離核性基Mは、Brなどのハロゲン原子、メシレート、トシレート又はトリフレート基から選択される。これは、当業者に公知の反応である。例えば、以下の公文書が言及され得る:10.1016/j.ijbiomac.2016.11.118、International Journal of Biological Macromolecules,vol.95,796-808(2017)。
【0131】
下記のスキーム4に従って、d)シアノ基を含有する炭化水素ベースの鎖を有するPHAコポリマーから出発する本発明によるPHAコポリマーの官能化の例:
【化16】
【0132】
スキーム4において、Y、m、n、q’及びR2は、スキーム1において定義された通りである。
【0133】
第1のステップにおいて、シアノ又はニトリル基を含有する側鎖を有するPHAコポリマーは、オルガノ-アルカリ金属つまりオルガノマグネシウム化合物Y-MgHal、Y-Li又はY-Naと反応し、これに加水分解が続いてケトン官能基でグラフトされた基Yを含有する側鎖を有するPHAコポリマーを与える。ケトン官能基は、例えば、アミンの存在下でS8での、又はローソン試薬でのチオ化によりチオケトンに変換され得る。前記チオケトンは、全還元(ii)(例えばクレメンゼン還元による)後に、アルキレン基でグラフトされた基Yを含有する側鎖を有するPHAコポリマーをもたらす。或いは、前記チオケトンは、従来の還元剤での制御された還元iii)を受けて、ヒドロキシアルキレン基でグラフトされた基Yを含有する側鎖を有するPHAポリマーを与え得る。出発PHAコポリマーのシアノ基は、水と反応して、加水分解v)後にアミド誘導体を与えるか、又は加水分解iv)後にカルボキシル誘導体を与えることができる。出発PHAコポリマーのシアノ基はまた、還元vi)後にアミン誘導体又はケトン誘導体を与え得る。ニトリル官能基を含有する炭化水素ベースの側鎖を有するPHAコポリマーは、当業者に公知の従来法によって調製される。例えば、公文書:10.1016/0378-1097(92)90311-B,FEMS Microbiology Letters,vol.103,2-4,207-214(1992)が言及され得る。
【0134】
下記のスキーム5に従って、e)鎖末端に炭化水素ベースの鎖を有するPHAコポリマーから出発する本発明によるPHAコポリマーの官能化の例:
【化17】
【0135】
スキーム5において、R、R、m、n及びYは、前に定義された通りであり、R’は、i)直鎖状若しくは分岐状の(C~C20)アルキル、ii)直鎖状若しくは分岐状の(C~C20)アルケニル、iii)直鎖状若しくは分岐状の(C~C20)アルキニルから選択される炭化水素ベースの鎖を表し;好ましくは、炭化水素ベースの鎖は直鎖状であり;前記炭化水素ベースの鎖は、a)塩素若しくは臭素などのハロゲン、b)ヒドロキシル、c)チオール、d)(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ、e)(チオ)カルボキシル、f)(チオ)カルボキサミド-C(O)-N(R又は-C(S)-N(R、f)シアノ、g)イソ(チオ)シアネート、h)フェニル又はフリルなどの(ヘテロ)アリール、及びi)酸無水物、又はエポキシドなどの(ヘテロ)シクロアルキル、j)光学的光沢剤に由来するものなどの着色した若しくは着色していない、蛍光若しくは非蛍光発色団、又はUVA及び/若しくはUVBスクリーニング剤に由来する発色団、及び老化防止活性薬剤から選択される化粧用活性薬剤から選択される1つ以上の原子又は基で置換されている。
【0136】
PHAポリマーに関するこれらの鎖末端グラフト剤は、当業者に公知である。例えば、以下の公文書が言及され得る:
- Preparation of PHA oligomers by thermal degradation:10.1021/bm0156274;Biomacromolecules,vol.3,1,219-224(2002);
- Preparation of PHA oligomers by transesterification:10.1021/ma011420r,Macromolecules,vol.35,3,684-689(2002);
- Preparation of PHA oligomers by hydrolysis:10.1016/0032-3861(94)90590-8 Polymer vol.35,19,4156-4162(1994);
- Preparation of PHA oligomers by methanolysis:10.1021/bm060981t,Biomacromolecules,vol.8,4,1255-1265(2007).
【0137】
当業者に公知の他の方法にも言及され得る:
- Synthesis and characterization of PHA grafted with ascorbic acid:10.1016/j.ijbiomac.2018.11.052;International Journal of Biological Macromolecules,vol.123:7(2019);
- Preparation of PHB-b-PHO copolymers by polycondensation with divinyl adipate catalysed with a lipase: 10.1021/bm9011634,Biomacromolecules,vol.10,12,3176-3181(2009);
- Synthesis of PHB-b-PHO copolymers coupled via a diisocyanate junction: 10.1021/ma012223v;Macromolecules,vol.35,13,4946-4950(2002);
- Preparation of PHO oligomers on chitosan by condensation between the carboxylic acid end of the PHO and the amine functions of the chitosan: 10.1002/app.24276;Journal of Applied Polymer Science,vol.103,1,(2006);
- Transesterification of PHAs with propargyl alcohol in order to produce PHA oligomers that are modifiable by“click”chemistry:10.1016/j.reactfunctpolym.2011.12.005;Reactive and Functional Polymers,vol.72,2,160-167(2012);
- Preparation of PHO-b-PCL copolymer:10.1002/mabi.200400104;Macromolecular Bioscience,vol.4,11(2004);
- Preparation of PHO-b-PEG copolymer:10.1002/macp.201000562;Macromolecular Chemistry and Physics;vol.212,3,(2010);
- Epoxidation of chain-end unsaturation and chain-end grafting of acid:10.14314/polimery.2017.317;Polimery,vol.62,4,317-322(2017);
- Grafting of organosiloxane unit at chain end onto PHA:10.1016/j.reactfunctpolym.2014.09.008;Reactive and Functional Polymers,vol.84,53-59(2014)。
【0138】
スキーム6に従って、f)反応性原子又は基を有するPHAから出発する、前に記載された本発明のグラフトされたPHAコポリマーの組合せ:
【化18】
【0139】
スキーム6において、R’、R、m、n及びYは、前に定義された通りであり、
X’は、求電子性E又は求核性Nu原子又は基と反応してΣ共有結合を生み出すことができる反応性原子又は基を表し;X’が求電子性又は離核性基である場合、それは、試薬R’-Nuと反応してすることができ;X’が求核基Nuである場合、それは、R’-Eと反応してΣ共有結合を生み出すことができる;
【0140】
例として、求電子試薬と求核試薬との縮合からの、生成し得るΣ共有結合物又は結合基は、下記の表にリストアップされる:
【0141】
【表9】
【0142】
【表10】
【0143】
g)側鎖上で官能化されたPHAから出発して、スキーム7において記載されるように第2の段階で鎖末端グラフトを行うことも可能である。鎖末端グラフトされたが第1の段階で行われ、引き続き第2の段階で官能化可能な側鎖の官能化を行い得る、逆もまた真実である。
【化19】
スキーム7において、R’、R、m、n及びYは、前に定義された通りである、及び
【0144】
全てのこれらの化学反応は、当業者に公知である。例えば、以下の公文書が言及され得る:
- Synthesis and preparation of PHAs modified with thiol-ene followed by reaction on the new grafted function: 10.1021/ma0304426;Macromolecules,vol.37,2,385-389(2004);
- Grafting of PEG and of PLA onto PHAs functionalized with acids:10.1002/marc.200900803及び10.1002/mabi.200390033;
- Synthesis and preparation of PHAs modified with polyethylene glycol dithiol:10.1021/acs.biomac.9b00479。
【0145】
b)脂肪媒体
組成物は、第2の成分として、好ましくは油状脂肪媒体を含む。
【0146】
組成物はまた水を含み得る。好ましくは、本発明の組成物は、水の質量量に対して質量ベースで1種以上の脂肪性物質を主に含む。
【0147】
「脂肪性物質」という用語は、常温(25℃)で及び大気圧(760mmHg)で水に不溶性(5%未満、好ましくは1%未満、さらにいっそう優先的には0.1%未満の溶解度)である有機化合物を意味する。それらは、少なくとも6個の炭素原子又は少なくとも2個のシロキサン基のシーケンスを含む、少なくとも1つの炭化水素ベースの鎖をそれらの構造内に有する。加えて、脂肪性物質は、一般に、同じ温度及び圧力条件下で有機溶媒、例えばクロロホルム、エタノール、ベンゼン、液状ワセリン又はデカメチルシクロペンタシロキサンに可溶性である。
【0148】
本発明の脂肪性物質は、天然又は合成起源、好ましくは天然起源のもの、より優先的には植物起源のものである。これらの脂肪性物質は、好ましくは、ポリオキシエチレン化もポリグリセロール化もされていない。塩化脂肪酸は、水性媒体に一般に可溶性である石鹸を構成するので、それらは脂肪酸とは異なる。
【0149】
本発明の特定の実施形態によれば、組成物は、25℃で及び大気圧で液体ではない1種以上の脂肪性物質を含む。
【0150】
ワックス
特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、1種以上のワックスを含む。
【0151】
「ワックス」という用語は、200℃以下、とりわけ120℃以下であり得る、30℃以上の融点を有する、状態が可逆的固/液変化する、室温(25℃)で固体である親油性化合物を意味する。
【0152】
特に、本発明での使用に適切であるワックスは、45℃以上の、特に55℃以上の融点を有し得る。
【0153】
本発明による組成物は、好ましくは、組成物の総質量に対して3質量%~20質量%、特に5%~15%、より特に6%~15%の範囲の含有量のワックスを含む。
【0154】
本発明の特定の形態によれば、本発明の組成物は、固体であり、特に無水である。それは、そのときスティック形態にあり得;固体組成物における層の存在を低減する又は排除するために、少なくとも2に等しいアスペクト比の、及び70℃~110℃、好ましくは70℃~100℃の範囲の融点の結晶子の形態でのポリエチレンマイクロワックスが使用されるであろう。針状形態でのこれらの結晶子、とりわけそれらの寸法は、以下の方法に従って視覚的に特性評価され得る。
【0155】
ペースト状化合物
特定の一実施形態によれば、本発明の組成物は、1種以上のペースト状化合物を含む。
【0156】
本発明の目的のためには、「ペースト状化合物」という用語は、固体状態で異方性結晶構成を有し、且つ23℃の温度で、液体画分と固体画分とを含む、状態の可逆的固体/液体変化を受ける親油性の脂肪性化合物を意味する。
【0157】
好ましくは、脂肪媒体は、1種以上の液体脂肪性物質を含み;特に、液体脂肪性物質は、非シリコーンオイルから選択され;好ましくは、液体脂肪性物質は、
□エステル油、カーボネート油;
□好ましくは1/99~10/90の範囲のモノアルコール/非極性分岐状炭化水素ベースの油の質量比で2~6個の炭素原子を含有するモノアルコールとの混合物としての、8~14個の炭素原子を含有する非極性分岐状炭化水素ベースの油
から選択される。
【0158】

好ましくは、組成物は、1種以上の油を含む。
【0159】
「油」という用語は、室温(25℃)で及び大気圧(1気圧又は760mmHg)で液体である疎水性の(すなわち水-非混和性の)脂肪性(すなわち非水性)物質を意味する。
【0160】
「液体脂肪性物質」という用語は、とりわけ、20℃で7000センチポアズ以下の粘度を好ましくは有する液体脂肪性物質を意味する。
【0161】
本発明の液体脂肪性物質は、より特に、25℃の温度及び1s-1の剪断速度で2Pa.s以下、より特に1Pa.s以下、さらにいっそう特に0.1Pa.s以下、より優先的には0.09Pa.s以下の粘度を有する。
【0162】
本発明の特定の実施形態によれば、液体脂肪性物質は、25℃の温度及び1s-1の剪断速度で0.001Pa.s~2Pa.s、より特に両端を含んで0.01~1Pa.s、さらにいっそう特に両端を含んで0.014~0.1Pa.s、より優先的には両端を含んで0.015~0.09Pa.sの粘度を有する。
【0163】
本発明によるPHAコポリマーは、25℃で及び大気圧で液体脂肪性物質に可溶性である。
【0164】
本発明によれば、媒体は、炭素ベースの媒体の総質量に対して、少なくとも50質量%、とりわけ50質量%~100質量%、例えば60質量%~99質量%、或いは65質量%~95質量%、又は70質量%~90質量%さえの、25℃で液体である、炭素ベースの化合物を含む場合、炭素ベースと言われる。
【0165】
好ましくは、液体脂肪性物質は、20(MPa)1/2以下のハンセン溶解度空間に従う総合的溶解度パラメータ、又はそのような化合物の混合物を有する。
【0166】
ハンセン溶解度空間に従う包括的溶解度パラメータδは、書籍“Polymer Handbook”,3rd Edition,Chapter VII,pages 519-559のGrulkeによる論文“Solubility parameter values”において、関係式δ=(dD+dP+dH1/2で定義されており、式中、
- dは、分子衝突中に誘発される双極子の形成に由来するLondon分散力を特徴付け;
- dは、永久双極子間のDebye相互作用力を特徴付け;
- dは、特異的な相互作用(水素結合、酸/塩基、供与体/受容体等)の力を特徴付ける。
【0167】
ハンセン三次元溶解度空間における溶媒の定義は、Hansenによる論文:“The three-dimensional solubility parameters”,J.Paint Technol.39,105(1967)に記載されている。
【0168】
20(MPa)1/2以下のハンセン溶解度空間による総合的溶解度パラメータを有する液体炭素ベースの化合物の中で、液体脂肪性物質、とりわけ、単独で又は混合物として、任意選択的にフッ素化されている、及び任意選択的に分岐状である、天然又は合成の、炭素ベースの、又は炭化水素ベースの油から選択され得る、油が言及され得る。
【0169】
液体脂肪性物質は、とりわけ、C~C16炭化水素又は16個超の炭素原子及び60個までの炭素原子を含む炭化水素、特にアルカン、動物起源の油、植物起源の油、合成起源のグリセリド又はフルオロオイル、脂肪アルコール、脂肪酸及び/又は脂肪アルコールエステル、非シリコーンワックス、並びにシリコーンから選択される。
【0170】
本発明の目的のためには、脂肪アルコール、脂肪エステル及び脂肪酸は、特に1個以上(特に1~4個)のヒドロキシル基で、任意選択的に置換されている、6~30個の炭素原子を含む1つ以上の直鎖状若しくは分岐状の、飽和若しくは不飽和の炭化水素ベースの基をより特に含有することが想起される。それらが不飽和である場合、これらの化合物は、1~3つの共役若しくは非共役の炭素-炭素二重結合を含み得る。
【0171】
~C16アルカンに関しては、それらは、直鎖状若しくは分岐状であり、場合により環式である。言及され得る例としては、ヘキサン、ドデカン並びにイソヘキサデカン及びイソデカンなどのイソパラフィンが挙げられる。16個超の炭素原子を含有する直鎖状若しくは分岐状の炭化水素は、流動パラフィン、ワセリン、液状ワセリン、ポリデセン、及び水添ポリイソブテンから選択され得る。
【0172】
特定の実施形態によれば、本発明の方法に使用される脂肪性物質は、揮発性の直鎖状アルカンから選択される。
【0173】
「1つ以上の揮発性の直鎖状アルカン」という用語は、区別せずに、「1つ以上の揮発性の直鎖状アルカン油」を意味する。
【0174】
本発明での使用に好適である揮発性の直鎖状アルカンは、室温(約25℃)及び大気圧(101 325 Pa又は760mmHg)で液体である。
【0175】
本発明での使用に好適である用語「揮発性の直鎖状アルカン」は、室温(約25℃)及び大気圧(101 325Pa)で、1時間未満で皮膚に触れると蒸発することができる、とりわけ、室温(約25℃)及び大気圧(101 325Pa)で、0.01~15mg/cm/分の範囲の蒸発速度を有する、室温で液体である、直鎖状アルカンを意味する。
【0176】
好ましくは、本発明での使用に好適である揮発性の直鎖状アルカンは、室温(約25℃)及び大気圧(101 325Pa)で、0.01~3.5mg/cm/分、さらにより良好には0.01~1.5mg/cm/分の範囲の蒸発速度を有する。
【0177】
より好ましくは、本発明での使用に好適である揮発性の直鎖状アルカンは、室温(約25℃)及び大気圧(101 325Pa)で、0.01~0.8mg/cm/分、優先的には0.01~0.3mg/cm/分、さらにいっそう優先的には0.01~0.12mg/cm/分の範囲の蒸発速度を有する。
【0178】
本発明に従った揮発性のアルカンの(より一般的には揮発性の溶媒の)蒸発速度は、とりわけ、国際公開第06/013413号パンフレットに記載されたプロトコルによって、より特に以下に記載されるプロトコルによって評価され得る。
【0179】
15gの揮発性の炭化水素ベースの溶媒を、調節された温度(25℃)及び湿度測定(50%の相対湿度)の約0.3mのチャンバ中にある天秤上に置かれた結晶皿(直径:7cm)中に入れる。
【0180】
揮発性の炭化水素ベースの溶媒を含有する結晶皿の上方に垂直位置に置かれた、羽根が、結晶皿の底から20cm離れて、結晶皿の方に向けられているファン(2700rpmで回転する、Papst-Morten、参照番号(reference)8550N)による換気を提供しながら、揮発性の炭化水素ベースの溶媒を、撹拌することなく、自由に蒸発させる。
【0181】
結晶皿内に残っている揮発性の炭化水素ベースの溶媒の質量を、規則的な時間間隔で測定する。
【0182】
次いで、蒸発した生成物の量(mg/cm単位での)の曲線を、時間(分単位での)の関数としてプロットすることにより、溶媒の蒸発プロファイルを得る。
【0183】
次いで、得られた曲線の原点に対する正接に相当する、蒸発速度を計算する。蒸発速度は、単位面積(cm)当たり、及び単位時間(分)当たり蒸発した揮発性の溶媒のmgで表す。
【0184】
好ましい実施形態によれば、本発明での使用に好適である揮発性の直鎖状アルカンは、室温で、非ゼロの蒸気圧(飽和蒸気圧としても知られている)、特に0.3Pa~6000Paの範囲の蒸気圧を有する。
【0185】
好ましくは、本発明での使用に好適である揮発性の直鎖状アルカンは、室温(25℃)で0.3~2000Pa、さらにより良好には0.3~1000Paの範囲の蒸気圧を有する。
【0186】
より好ましくは、本発明での使用に好適である揮発性の直鎖状アルカンは、室温(25℃)で、0.4~600Pa、優先的には1~200Pa、さらにいっそう優先的には3~60Paの範囲の蒸気圧を有する。
【0187】
一実施形態によれば、本発明での使用に好適である揮発性の直鎖状アルカンは、30~120℃、より特に40~100℃の範囲内にある引火点を有し得る。引火点は、特に、標準ISO 3679に従って測定される。
【0188】
一実施形態によれば、本発明での使用に好適である揮発性の直鎖状アルカンは、7~15個の炭素原子、好ましくは8~14個の炭素原子、さらにより良好には9~14個の炭素原子を含む直鎖状アルカンであり得る。
【0189】
より好ましくは、本発明での使用に好適である揮発性の直鎖状アルカンは、10~14個の炭素原子、さらにいっそう優先的には11~14個の炭素原子を含む直鎖状アルカンであり得る。
本発明での使用に好適である揮発性の直鎖状アルカンは、有利には植物起源のものであり得る。
【0190】
本発明の特定の実施形態によれば、組成物の脂肪媒体は油状である。より特に、組成物は、1種以上の油、好ましくは非シリコーンオイル、とりわけ炭化水素ベースの油を含む。
【0191】
「炭化水素ベースの油」という用語は、炭素原子及び水素原子から構成される油を意味する。
【0192】
好ましくは、本発明の液体脂肪性物質は、炭化水素、脂肪アルコール、脂肪エステル、シリコーン及び脂肪エーテル、又はそれらの混合物から選択される。より特に、本発明の脂肪性物質は、(ポリ)オキシアルキレン化されていない。
【0193】
「液体炭化水素」という用語は、常温(25℃)で及び大気圧(760mmHg;すなわち1.013×10Pa)で液体である、炭素原子及び水素原子だけから構成される炭化水素を意味する。
【0194】
より特に、液体炭化水素は、
- 直鎖状若しくは分岐状の、任意選択的に環式の、C~C16アルカン。言及され得る例としては、ヘキサン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、並びにイソパラフィン、例えばイソヘキサデカン、イソドデカン及びイソデカンが挙げられ得る;
- 16個超の炭素原子を含有する、鉱物、動物又は合成起源の直鎖状若しくは分岐状の炭化水素、例えば流動パラフィン、流動ワセリン、ポリデセン、Parleam(登録商標)などの水添ポリイソブテン、及びスクアラン
から選択される。
【0195】
好ましい変形おいて、液体炭化水素は、流動パラフィン及び流動ワセリンから選択される。
【0196】
「液体脂肪アルコール」という用語は、常温(25℃)で及び大気圧(760mmHg;すなわち1.013×10Pa)で液体である、グリセロール化されていない、及びオキシアルキレン化されていない脂肪アルコールを意味する。
【0197】
好ましくは、本発明の液体脂肪アルコールは、8~30個の炭素原子、より優先的にはC10~C22、さらにいっそう優先的にはC14~C20、さらにより良好にはC16~C18を含む。
【0198】
本発明の液体脂肪アルコールは、飽和若しくは不飽和であり得る。
【0199】
飽和液体脂肪アルコールは、好ましくは分岐状である。それらは、それらの構造内に、少なくとも1つの芳香環又は非芳香環を任意選択的に含み得る。好ましくは、それらは非環式である。
【0200】
より特に、本発明の飽和液体脂肪アルコールは、オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール及び2-ヘキシルデカノールから選択される。
【0201】
本発明の別の変形形態によれば、脂肪性物質は、液体不飽和脂肪アルコールから選択される。これらの液体不飽和脂肪アルコールは、それらの構造中に少なくとも1個の二重結合又は三重結合を含有する。好ましくは、本発明の脂肪アルコールは、それらの構造中に1つ以上の二重結合を有する。いくつかの二重結合が存在する場合、好ましくは2つ又は3つの二重結合が存在し、それらは、共役していても共役していなくてもよい。
【0202】
これらの不飽和脂肪アルコールは、直鎖又は分岐鎖であり得る。
【0203】
それらは、それらの構造中に、少なくとも1つの芳香環又は非芳香環を任意選択的に含み得る。好ましくは、それらは、非環式である。
【0204】
よりに特に、本発明の液体不飽和脂肪アルコールは、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール及びウンデシレニルアルコールから選択される。
【0205】
オレイルアルコールが最も特に好ましい。
【0206】
「液体脂肪エステル」又は「エステル油」という用語は、脂肪酸に及び/又は脂肪アルコールに由来する1つ以上のエステル基を含み、及び常温(25℃)で及び大気圧(760mmHg;すなわち1.013×10Pa)で液体である化合物を意味する。
【0207】
エステルは、好ましくは、飽和若しくは不飽和の、直鎖状若しくは分岐状のC~C26脂肪族モノ酸若しくはポリ酸と、飽和若しくは不飽和の、直鎖状若しくは分岐状のC~C26脂肪族モノアルコール若しくはポリアルコールとの液体エステルであり、エステル中の炭素原子の総数は10以上である。
【0208】
好ましくは、モノアルコールのエステルに関して、本発明のエステルがそれらから誘導されるアルコール及び酸の中からの少なくとも1つは、分岐状である。
【0209】
モノ酸の及びモノアルコールのモノエステルの中で、エチルパルミテート、イソプロピルパルミテート、イソプロピルミリステート又はエチルミリステートなどのアルキルミリステート、イソセチルステアレート、2-エチルヘキシルイソノナノエート、イソデシルネオペンタノエート、イソステアリルネオペンタノエート、及びC10~C22、好ましくは、イソプロピルイソステアレートなどのC12~C20アルキル(イソ)ステアレートが言及され得る。
【0210】
~C22ジカルボン酸又はトリカルボン酸と、C~C22アルコールとのエステル、及びモノカルボン酸、ジカルボン酸又はトリカルボン酸と、非糖C~C26ジヒドロキシ、トリヒドロキシ、テトラヒドロキシ又はペンタヒドロキシアルコールとのエステルもまた使用され得る。
【0211】
とりわけ、ジエチルセバケート、ジイソプロピルセバケート、ビス(2-エチルヘキシル)セバケート、ジイソプロピルアジペート、ジ-n-プロピルアジペート、ジオクチルアジペート、ビス(2-エチルヘキシル)アジペート、ジイソステアリルアジペート、ビス(2-エチルヘキシル)マレエート、トリイソプロピルシトレート、トリイソセチルシトレート、トリイソステアリルシトレート、グリセリルトリラクテート、グリセリルトリオクタノエート、トリオクチルドデシルシトレート、トリオレイルシトレート、ネオペンチルグリコールジヘプタノエート、及びジエチレングリコールジイソノナノエートが言及され得る。
【0212】
組成物はまた、液体脂肪族エステルとして、C~C30、好ましくはC12~C22脂肪酸の、糖エステル及びジエステルを含み得る。「糖」という用語は、アルデヒド又はケトン官能基あり又はなしの、幾つかのアルコール官能基を有する、及び少なくとも4個の炭素原子を含む酸素を有する炭化水素ベースの化合物を意味することが想起される。これらの糖は、単糖、オリゴ糖又は多糖であり得る。
【0213】
言及され得る好適な糖の例としては、スクロース、グルコース、ガラクトース、リボース、フコース、マルトース、フルクトース、マンノース、アラビノース、キシロース及びラクトース、並びにそれらの誘導体、とりわけ、メチル誘導体などの、アルキル誘導体、例えばメチルグルコースが挙げられる。
【0214】
脂肪酸の糖エステルは、とりわけ、前に記載された糖と、直鎖状若しくは分岐状の、飽和若しくは不飽和のC~C30、好ましくはC12~C22脂肪酸とのエステル又はエステルの混合物を含む群から選択され得る。それらが不飽和である場合、これらの化合物は、1~3つの共役若しくは非共役の炭素-炭素二重結合を含み得る。
【0215】
この変形によるエステルはまた、モノ-、ジ-、トリ-及びテトラエステル、ポリエステル並びにそれらの混合物から選択され得る。
【0216】
これらのエステルは、例えば、オレエート、ラウレート、パルミテート、ミリステート、ベヘネート、ココエート、ステアレート、リノレエート、リノレネート、カプレート及びアラキドネート、又は、とりわけ、オレオパルミテート、オレオステアレート及びパルミトステアレート混合エステルなどのそれらの混合物であり得る。
【0217】
より特に、モノエステル及びジエステル、とりわけスクロース、グルコース又はメチルグルコースのモノオレエート若しくはジオレエート、ステアレート、ベヘネート、オレオパルミテート、リノレエート、リノレネート又はオレオステアレートが使用される。
【0218】
言及され得る例は、メチルグルコースジオエートである、Amerchol社により名称Glucate(登録商標)DOで販売されている製品である。
【0219】
最後に、モノ酸、ジ酸若しくはトリ酸の天然若しくは合成グリセロールエステルも利用され得る。
【0220】
これらの中で、植物油が言及され得る。
【0221】
液体脂肪エステルとして本発明の組成物に使用され得る植物起源又は合成トリグリセリドの油として、言及され得る例としては、
- 6~30個の炭素原子を含む液体脂肪酸トリグリセリドなどの、植物又は合成起源のトリグリセリド油、例えばヘプタン酸若しくはオクタン酸トリグリセリド、又は代わりに、例えば、ヒマワリ油、コーンオイル、大豆油、マローオイル、グレープシードオイル、ゴマ種子油、ヘーゼルナッツ油、アンズ油、マカダミアオイル、アララオイル、ヒマワリ油、ヒマシ油、アボカド油、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、例えばStearineries Dubois社により販売されているもの又はDynamit Nobel社により名称Miglyol(登録商標)810、812及び818で販売されているもの、ホホバ油及びシアバター油が挙げられる。
【0222】
好ましくは、本発明によるエステルとして、モノアルコールから誘導される液体脂肪エステルが使用されるであろう。
【0223】
イソプロピルミリステート又はイソプロピルパルミテートが好ましい。
【0224】
液体脂肪エーテルは、ジカプリリルエーテルなどの液体ジアルキルエーテルから選択される。
【0225】
本発明の好ましい実施形態によれば、組成物は、8~16個の炭素原子を含有する1種以上の炭化水素ベースの油を含む。
【0226】
より具体的には、8~16個の炭素原子を含有する炭化水素ベースの油は、
□分岐状のC~C16アルカン、例えば石油起源のC~C16イソアルカン(イソパラフィンとしても知られる)、例えばイソドデカン(2,2,4,4,6-ペンタメチルヘプタンとしても知られる)、イソデカン、イソヘキサデカン及び、例えば、Isopar又はPermethyl商品名で販売されている油、
□直鎖状のC~C16アルカン、例えば、それぞれ、参照番号Parafol 12-97及びParafol 14-97並びにまたそれらの混合物でSasolにより販売されているn-ドデカン(C12)及びn-テトラデカン(C14)、ウンデカン-トリデカン混合物、Cognis社からの特許出願国際公開第2008/155059号パンフレットの実施例1及び2において得られるn-ウンデカン(C11)とn-トリデカン(C13)との混合物、並びにそれらの混合物
から選択される。
【0227】
「エステル油」という用語は、その化学構造中に1つ以上のエステル基を含有する油状化合物を意味する。
【0228】
エステル油は、特に:
□植物起源の油、例えば、グリセロールの脂肪酸エステルから構成されるトリグリセリド(脂肪酸は、C~C24の多様な鎖長を有し得、これらの鎖は、場合により、直鎖状若しくは分岐状、及び飽和若しくは不飽和である);これらの油は、とりわけ、ヘプタン酸又はオクタン酸トリグリセリドである。植物起源の油は、小麦胚芽油、サンフラワー油、グレープシードオイル、ゴマ種子油、アメリカホドイモ油、コーンオイル、アンズ油、ヒマシ油、シアバターノキ油、アボガド油、オリーブ油、大豆油、スイートアーモンドオイル、ヤシ油、菜種油、綿実油、ココナツオイル、ヘーゼルナッツ油、くるみ油、米油、アマニ油、マカダミアオイル、ムラサキウマゴヤシ油、ケシ油、カボチャ油、ゴマ種子油、マローオイル、菜種油、クロフサスグリオイル、マツヨイグサ油、キビ油、大麦油、キノアオイル、ライムギオイル、サフラワー油、ククイノキ油、トケイソウ油、ジャコウバラ油及びアルガン油;シアバター;又は代わりに、Stearinerie Dubois社により販売されているもの又はDynamit Nobel社により名称Miglyol 810(登録商標)、812(登録商標)及び818(登録商標)で販売されているものなどのカプリル酸/カプリン酸トリグリセリドから選択され得る;
□式R-C(O)-OR10(式中、R+R10≧9個の炭素原子、好ましくは29個未満の炭素原子という条件で、Rは、5~19個の炭素原子を含む直鎖状若しくは分岐状の炭化水素ベースの鎖を表し、R10は、4~20個の炭素原子を含有する直鎖状若しくは分岐状の、とりわけ分岐状の、炭化水素ベースの鎖を表す)のモノエステル油、例えばパルミテート、アジペート、ミリステート及びベンゾエート、とりわけジイソプロピルアジペート及びイソプロピルミリステート;セテアリールオクタノエート(ピュアセリンオイル)、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、ヘキシルラウレート、イソノニルイソノナノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、イソステアリルイソステアレート、2-ヘキシルデシルラウレート、2-オクチルデシルパルミテート、2-オクチルドデシルミリステート、2-エチルヘキシルヘキサノエート、イソノニルヘキサノエート、ネオペンチルヘキサノエート、カプリリルヘプタノエート又はオクチルオクタノエート;
□乳酸とC10~C20アルコールとのエステル、例えば、イソステアリルラクテート、2-オクチルドデシルラクテート、ミリスチルラクテート、C12~C13アルキルラクテート(Sasol製のCosmacol(登録商標)Eli)、セチルラクテート、又はラウリルラクテート;
□リンゴ酸とC10~C20アルコールとのジエステル、例えば、ジイソステアリルマレート、ジ(C12~C13)アルキルマレート(Sasol製のCosmacol(登録商標)EMI)、ジブチルオクチルマレート、ジエチルヘキシルマレート又はジオクチルドデシルマレート;
□ペンタエリスリトールとC~C22カルボン酸とのエステル(特に、テトラエステル又はジエステル)、例えば、ペンタエリスリチルテトラオクタノエート、ペンタエリスリチルテトライソステアレート、ペンタエリスリチルテトラベヘネート、ペンタエリスリチルテトラカプリレート/テトラカプレート、ペンタエリスリチルテトラココエート、ペンタエリスリチルテトラエチルヘキサノエート、ペンタエリスリチルテトライソノナノエート、ペンタエリスリチルテトラステアレート、ペンタエリスリチルテトライソステアレート、ペンタエリスリチルテトララウレート、ペンタエリスリチルテトラミリステート、ペンタエリスリチルテトラオレエート又はペンタエリスリチルジステアレート;
□次式(II)R11-O-C(O)-R12-C(O)-O-R13のジエステル(同一であっても異なっていてもよい、R11及びR13は、任意選択的に少なくとも1つの飽和若しくは不飽和の、好ましくは飽和の環を含有する、直鎖状若しくは分岐状の、飽和若しくは不飽和の(好ましくは飽和の)C~C12、優先的にはC~C10アルキル鎖を表し、R12は、飽和若しくは不飽和のC~C、好ましくはC~Cアルキレン鎖、例えばスクシネートに由来するアルキレン鎖(この場合にR12は、飽和のCアルキレン鎖である)、マレエートに由来するアルキレン鎖(この場合にR12は、不飽和のCアルキレン鎖である)、グルタレートに由来するアルキレン鎖(この場合にR12は、飽和のCアルキレン鎖である)又はアジペートに由来するアルキレン鎖(この場合にR12は、飽和のCアルキレン鎖である)を表し;特に、R11及びR13は、イソブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、ネオヘプチル、2-エチルヘキシル、オクチル、ノニル、及びイソノニルから選択される);優先的には、ジカプリリルマレエート又はビス(2-エチルヘキシル)スクシネートが言及され得る;
□次式(III)R14-C(O)-O-R15-O-C(O)-R16のジエステル(同一であっても異なっていてもよい、R14及びR16は、直鎖状若しくは分岐状の、飽和若しくは不飽和の(好ましくは飽和の)C~C12、優先的にはC~C10アルキル鎖を表し、R15は、飽和若しくは不飽和のC~C、好ましくはC~Cアルキレン鎖を表す)。とりわけ、Stearinierie Dubois社により名称Dub Zenoatで販売されている、1,3-プロパンジオールジカプリレート(CとしてのR14及びCとしてのR16)、又はジプロピレングリコールジカプリレートが言及され得る;
□カーボネート油は、式R17-O-C(O)-O-R18のカーボネート(同一であっても異なっていてもよい、R17及びR18は、直鎖状若しくは分岐状のC~C12、優先的にはC~C10アルキル鎖を表す)から選択され得;カーボネート油は、BASF社により名称Cetiol CC(登録商標)で販売されている、ジカプリリルカーボネート(つまりジオクチルカーボネート)、Evonik社により名称Tegosoft DEC(登録商標)で販売されている、ビス(2-エチルヘキシル)カーボネート、ジプロピルヘプチルカーボネート(BASF製のCetiol4 AII)、ジブチルカーボネート、ジネオペンチルカーボネート、ジペンチルカーボネート、ジネオヘプチルカーボネート、ジヘプチルカーボネート、ジイソノニルカーボネート又はジノニルカーボネート、好ましくはジオクチルカーボネートであり得る
から選択される。
【0229】
特に、脂肪性物質b)は、
- ポリオールの脂肪酸エステル、特にトリグリセリドにより形成される植物油、例えばヒマワリ油、ゴマ油、菜種油、マカデミア油、大豆油、スイートアーモンドオイル、テリハボク油、ヤシ油、グレープシードオイル、コーンオイル、アララオイル、綿実油、アンズ油、アボカド油、ホホバ油、オリーブ油又は穀物胚芽油;
- 6個超の炭素原子、とりわけ6~30個の炭素原子を含有する直鎖状、分岐状若しくは環式のエステル、とりわけイソノニルイソノナノエート;より特に式R-C(O)-O-R’(式中、Rは、7~19個の炭素原子を含む高級脂肪酸残基を表し、R’は、3~20個の炭素原子を含む炭化水素ベースの鎖を表す)のエステル、例えばパルミテート、アジペート、ミリステート及びベンゾエート、とりわけジイソプロピルアジペート及びイソプロピルミリステート;
- 任意選択的に揮発性である、C~C60イソパラフィンなどの、炭化水素、とりわけ揮発性若しくは不揮発性の、直鎖状、分岐状及び/又は環式のアルカン、例えばイソドデカン、Parleam(水添ポリイソブテン)、イソヘキサデカン、シクロヘキサン若しくはIsopars;或いは流動パラフィン、液状ワセリン、又は水添ポリイソブチレン;
- 6~30個の炭素原子を含有するエーテル;
- 6~30個の炭素原子を含有するケトン;
- 炭化水素ベースの鎖がいかなる置換基も含まない、6~30個の炭素原子を含有する脂肪族脂肪モノアルコール、例えばオレイルアルコール、デカノール、ドデカノール、オクタデカノール、オクチルドデカノール及びリノレイルアルコール;
- 6~30個の炭素原子を含有するポリオール、例えばヘキシレングリコール;並びに
- それらの混合物
から選択される。
【0230】
好ましくは、組成物は、脂肪媒体中に、
- ポリオールの脂肪酸エステル、特にトリグリセリドによって形成される植物油、
- 式RC(O)-OR’(式中、Rは、7~19個の炭素原子を含む高級脂肪酸残基を表し、R’は、3~20個の炭素原子を含む炭化水素ベースの鎖を表す)のエステル;
- 揮発性若しくは不揮発性の、直鎖状若しくは分岐状のC~C30アルカン;
- 揮発性若しくは不揮発性の、非芳香族環式のC~C12アルカン;
- 7~30個の炭素原子を含有するエーテル;
- 8~30個の炭素原子を含有するケトン;
- 炭化水素ベースの鎖がいかなる置換基も含まない、12~30個の炭素原子を含有する脂肪族脂肪モノアルコール;及び
- それらの混合物
から選択される、少なくとも1種の油を含む。
【0231】
好ましくは、コポリマーが、アルキル基Rが6~9個の炭素原子を含むようなものである場合、脂肪性物質b)は、2~6個の炭素原子を含有するモノアルコールの不在下で8~14個の炭素原子を含有する非極性の炭化水素ベースの油から選択される。
【0232】
好ましくは、コポリマーが、アルキル基Rが9個の炭素原子を含むようなものである場合、脂肪性物質b)は、水添ポリイソブチレンから選択される。
【0233】
特に、単位(A)のモル百分率は、単位(B)のモル百分率超である。
【0234】
特に、脂肪性物質は非シリコーンオイルから選択され;好ましくは、液体脂肪性物質は、
- 好ましくは1/99~10/90の範囲のモノアルコール/分岐状の非極性の炭化水素ベースの油質量比で
2~6個の炭素原子を含有するモノアルコールとの混合物としての
- エステル油、カーボネート油;及び
- 8~14個の炭素原子を含有する分岐状の非極性の炭化水素ベースの油
から選択される。
【0235】
有利には、組成物は、とりわけ25℃で及び大気圧で液体である、1種以上の脂肪性物質、好ましくは、脂肪媒体の、1種以上の油を、組成物の総質量に対して、2質量%~99.9質量%の範囲、好ましくは5質量%~90%質量%の範囲、好ましくは10質量%~80質量%の範囲、好ましくは20質量%~80質量%の範囲の含有量で含む。
【0236】
本発明の一実施形態によれば、組成物は水性相を含む。組成物は、とりわけ、水性ローションとして、又は油中水型若しくは水中油型エマルションとして、又は多重エマルション(油中水中油型又は水中油中水型三重エマルション(そのようなエマルションは公知であり、例えば、C.Foxにより“Cosmetics and Toiletries”-November 1986-Vol.101-pages 101-112に記載されている))として配合される。
【0237】
組成物の水性相は、水及び、以下(追加の溶媒を参照されたい)に定義されるような極性の非プロトン性溶媒などの一般に他の水溶性又は水混和性溶媒を含有する。
【0238】
本発明による組成物は、選択される支持体に応じて、好ましくは、3~9の範囲のpHを有する。
【0239】
本発明の特定の実施形態によれば、組成物のpHは、中性又はわずかに酸性でさえある。好ましくは、組成物のpHは6~7である。これらの組成物のpHは、化粧品において通常使用される酸性化剤若しくは塩基性化剤を用いて、又は代わりに標準的な緩衝系を使用して、所望の値に調整され得る。
【0240】
「塩基性化剤」又は「塩基」という用語は、それが存在する組成物のpHを高めるための任意の試剤を意味する。塩基性化剤は、ブレンステッド、ラウリー又はルイス塩基である。それは、無機であっても有機であってもよい。特に、前記試剤は、a)アンモニア水、b)(重)炭酸塩、c)アルカノールアミン、例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン及びそれらの誘導体、d)オキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化エチレンジアミン、e)有機アミン、f)無機若しくは有機水酸化物、g)アルカリ金属シリケート、例えばメタケイ酸ナトリウム、h)アミノ酸、好ましくは塩基性アミノ酸、例えばアルギニン、リジン、オルニチン、シトルリン及びヒスチジン、並びにi)下式(F):
【化20】
(式(F)中:
- Wは、1つ以上のヒドロキシル基で任意選択的に置換された及び/又はO又はNRなどの1つ以上のヘテロ原子で任意選択的に割り込まれた二価のC~Cアルキレン基又はC~Cアルキル基であり;
- 同一であっても異なっていてもよい、R、R、R、R及びRは、水素原子又はC~Cアルキル、C~Cヒドロキシアルキル若しくはC~Cアミノアルキル基を表す)
の化合物から選択される。
【0241】
言及され得る式(E)のアミンの例としては、1,3-ジアミノプロパン、1,3-ジアミノ-2-プロパノール、スペルミン及びスペルミジンが挙げられる。
【0242】
「アルカノールアミン」という用語は、第一級、第二級又は第三級アミン官能基と、1つ以上のヒドロキシル基を有する、1つ以上の直鎖状若しくは分岐状のC~Cアルキル基とを含む有機アミンを意味する。
【0243】
無機若しくは有機水酸化物の中で、a)アルカリ金属の水酸化物、b)アルカリ土類金属の水酸化物、例えば、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム、c)遷移金属の水酸化物、d)ランタニド又はアクチニドの水酸化物、水酸化第四級アンモニウム及び水酸化グアニジニウムから選択されるものが言及され得る。無機若しくは有機水酸化物a)及びb)が好ましい。
【0244】
本発明で使用される組成物のための酸性化剤の中で、言及され得る例としては、鉱酸若しくは有機酸、例えば塩酸、オルトリン酸、硫酸、カルボン酸、例えば酢酸、酒石酸、クエン酸若しくは乳酸、又はスルホン酸が挙げられる。
【0245】
前に定義されたような塩基性化剤及び酸性化剤は、好ましくは、それらを含有する組成物の質量に対して0.001質量%~20質量%、より特に組成物の0.005質量%~8質量%を表す。
【0246】
本発明の好ましい実施形態によれば、組成物は、組成物の総質量に対して10質量%以下の量の水を含む。さらにいっそう優先的には、組成物は、5質量%以下、さらにより良好には2%未満、なおいっそうさらにより良好には0.5%未満の量の水を含み、とりわけ水を含まない。適切な場合、そのような少量の水は、とりわけ、残留量の水を含有する可能性がある組成物の成分により導入される可能性がある。
【0247】
さらにいっそう優先的には、組成物は、いかなる水も含まない。
【0248】
有利には、本発明による組成物は、生理学的に許容される媒体を含む。特に、組成物は、化粧用組成物である。
【0249】
「生理学的に許容される媒体」という用語は、ヒトケラチン物質、例えば皮膚、唇、爪、まつげ、眉毛又は毛髪と相性が良い媒体を意味する。
【0250】
「化粧用組成物」という用語は、感じのよい色、匂い及び感触を有し、消費者にその使用をやめさせがちであるいかなる許容できない不快感(ヒリつき、つっぱり又は発赤)も生じさせない、ケラチン物質と相性が良い組成物を意味する。
【0251】
「ケラチン物質」という用語は、皮膚(ボディ、顔、目の輪郭、頭皮)、頭髪、まつげ、眉毛、体毛、爪又は唇を意味する。
【0252】
本発明による組成物は、水、香料、保存剤、充填剤、着色剤、UV-スクリーニング剤、油、ワックス、界面活性剤、モイスチャーライザー、ビタミン、セラミド、酸化防止剤、フリーラジカル捕捉剤、ポリマー及び増粘剤から選択される化粧品添加剤を含み得る。
【0253】
本発明の特定の実施形態によれば、組成物は、a)顔料、直接染料及びそれらの混合物から選択される着色剤、好ましくはa)顔料を含む。
【0254】
「顔料」という用語は、ケラチン物質に色を与える合成起源又は天然起源の任意の顔料を意味する。25℃での及び大気圧(760mmHg)での水中への顔料の溶解度は、0.05質量%未満、好ましくは0.01質量%未満である。
【0255】
それらは、化粧品において通常用いられる親水性及び親油性液相に元々不溶性であるか、或いは必要に応じて、レーキの形態での配合により不溶性にされている白色の又は着色した固体粒子である。より具体的には、顔料は、水性-アルコール性媒体にほとんど又は全く溶解しない。
【0256】
使用され得る顔料は、とりわけ、当技術分野において公知の有機及び/又は無機顔料、とりわけ、Kirk-Othmer’s Encyclopedia of Chemical Technologyに及びUllmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistryに記載されているものから選択される。とりわけ言及され得る顔料としては、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry“Pigments,organic”,2005 Wiley-VCH Verlag GmbH&Co.KGaA,Weinheim 10.1002/14356007.a20 371及び同書、“Pigments,Inorganic,1.General”2009 Wiley-VCH Verlag GmbH&Co.KGaA,Weinheim10.1002/14356007.a20_243.pub3に定義されている及び記載されているものなどの有機及び無機顔料が挙げられる。
【0257】
これらの顔料は、顔料粉末又はペースト形態にあり得る。それらは、被覆されていても被覆されていなくてもよい。
【0258】
顔料は、例えば、無機顔料、有機顔料、レーキ、真珠光沢剤又は光輝フレークなどの特殊効果を持った顔料、及びそれらの混合物から選択され得る。
【0259】
顔料は、無機顔料であり得る。「無機顔料」という用語は、Ullmann’s encyclopediaにおける無機顔料に関する章での定義を満たす任意の顔料を指す。本発明に有用である無機顔料の中で、酸化鉄、酸化クロム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、クロム水和物、フェリックブルー及び酸化チタンが言及され得る。
【0260】
顔料は、有機顔料であり得る。「有機顔料」という用語は、Ullmann’s encyclopediaにおける有機顔料に関する章での定義を満たす任意の顔料を指す。有機顔料は、とりわけ、ニトロソ、ニトロ、アゾ、キサンテン、キノリン、アントラキノン、フタロシアニン、金属錯体型、イソインドリノン、イソインドリン、キナクリドン、ペリノン、ペリレン、ジケトピロロピロール、チオインジゴ、ジオキサジン、トリフェニルメタン及びキノフタロン化合物から選択され得る。
【0261】
特に、白色又は着色した有機顔料は、カーマイン、カーボンブラック、アニリンブラック、アゾイエロー、キナクリドン、フタロシアニンブルー、ソルガムレッド、カラーインデックスにおいての参照番号CI 42090、69800、69825、73000、74100、74160の下で分類される青色顔料、カラーインデックスにおいて参照番号CI 11680、11710、15985、19140、20040、21100、21108、47000、47005の下で分類される黄色顔料、カラーインデックスにおいて参照番号CI 61565、61570、74260の下で分類される緑色顔料、カラーインデックスにおいて参照番号CI 11725、15510、45370、71105の下で分類される橙色顔料、カラーインデックスにおいて参照番号CI 12085、12120、12370、12420、12490、14700、15525、15580、15620、15630、15800、15850、15865、15880、17200、26100、45380、45410、58000、73360、73915、75470の下で分類される赤色顔料、仏国特許第2679771号明細書に記載されているようなインドール又はフェノール誘導体の酸化重合により得られる顔料から選択され得る。
【0262】
本発明の特定の実施形態によれば、使用される顔料は、有機顔料の顔料ペースト、例えばHoechst社から以下の名称:
- Cosmenyl Yellow IOG:ピグメントイエロー 3(CI 11710);
- Cosmenyl Yellow G:ピグメントイエロー 1(CI 11680);
- Cosmenyl Orange GR:ピグメントオレンジ 43(CI 71105);
- Cosmenyl Red R:ピグメントレッド 4(CI 12085);
- Cosmenyl Carmine FB:ピグメントレッド 5(CI 12490);
- Cosmenyl Violet RL:ピグメントバイオレット 23(CI 51319);
- Cosmenyl Blue A2R;ピグメントブルー 15.1(CI 74160);
- Cosmenyl Green GG:ピグメントグリーン 7(CI 74260);
- Cosmenyl Black R:ピグメントブラック 7(CI 77266)
で販売されている製品である。
【0263】
本発明に従った顔料は、欧州特許第1184426号明細書に記載されているような、複合顔料の形態にあり得る。これらの複合顔料は、とりわけ、
- 鉱物質コア、
- そのコアに有機顔料を固定するための少なくとも1種のバインダー、及び
- そのコアを少なくとも部分的に被覆する少なくとも1種の有機顔料
を含む粒子から構成され得る。
【0264】
「レーキ」という用語は、不溶性の粒子上に吸着された染料を指し、このようにして得られる集成体は、使用中に不溶性のままである。その上に染料が吸着される鉱物基材は、例えば、アルミナ、シリカ、ホウケイ酸カルシウムナトリウム又はホウケイ酸カルシウムアルミニウム及びアルミニウムである。有機染料の中で、コチニールカルミンが言及され得る。
【0265】
言及され得るレーキの例としては、以下の名称:D&C Red 21(CI 45 380)、D&C Orange 5(CI 45 370)、D&C Red 27(CI 45 410)、D&C Orange 10(CI 45 425)、D&C Red 3(CI 45 430)、D&C Red 7(CI 15 850:1)、D&C Red 4(CI 15 510)、D&C Red 33(CI 17 200)、D&C Yellow 5(CI 19 140)、D&C Yellow 6(CI 15 985)、D&C Green(CI 61 570)、D&C Yellow 10(CI 77 002)、D&C Green 3(CI 42 053)又はD&C Blue 1(CI 42 090)で知られる製品が挙げられる。
【0266】
その上に染料が吸着される鉱物基材は、例えば、アルミナ、シリカ、ホウケイ酸カルシウムナトリウム又はホウケイ酸カルシウムアルミニウム及びアルミニウムである。
【0267】
染料の中で、コチニールカルミンが言及され得る。以下の名称:D&C Red 21(CI 45 380)、D&C Orange 5(CI 45 370)、D&C Red 27(CI 45 410)、D&C Orange 10(CI 45 425)、D&C Red 3(CI 45 430)、D&C Red 4(CI 15 510)、D&C Red 33(CI 17 200)、D&C Yellow 5(CI 19 140)、D&C Yellow 6(CI 15 985)、D&C Green (CI 61 570)、D&C Yellow 10(CI 77 002)、D&C Green 3(CI 42 053)、D&C Blue 1(CI 42 090) で知られる染料も言及され得る。
【0268】
言及され得るレーキの例は、以下の名称:D&C Red 7(CI 15850:1)で知られる製品である。
【0269】
顔料はまた、特殊効果を持った顔料であり得る。
【0270】
「特殊効果を持った顔料」という用語は、一様でない、及び観測の条件(光、温度、観測角等)に応じて変化する着色した外観(特定の色合い、特定の精彩及び特定レベルの輝度で特徴付けられる)を一般に生み出す顔料を意味する。それによって、それらは、標準的な一様な不透明、半透明又は透明の色合いを呈する、着色した顔料とは異なる。
【0271】
特殊効果を持った幾つかのタイプの顔料:蛍光顔料、フォトクロミック顔料又はサーモクロミック顔料などの、低屈折率のもの、及び真珠光沢剤又は光輝フレークなどの、高屈折率のものが存在する。
【0272】
言及され得る特殊効果を持った顔料の例としては、真珠箔系顔料、例えば酸化鉄で被覆されたチタンマイカ、酸化鉄で被覆されたマイカ、オキシ塩化ビスマスで被覆されたマイカ、酸化クロムで被覆されたチタンマイカ、とりわけ上述のタイプの有機染料で被覆されたチタンマイカ、及びまたオキシ塩化ビスマスをベースとする真珠箔系顔料が挙げられる。それらはまた、その表面で金属酸化物の及び/又は有機染料の少なくとも2つの連続層が重ね合わせられている、マイカ粒子であってもよい。
【0273】
真珠光沢剤は、より特に、黄色、桃色、赤色、青銅色、橙色、茶色、金色及び/又は銅色の色又は色合いを有し得る。
【0274】
本発明との関連で使用され得る真珠光沢剤の例示として、とりわけ、名称Gold 222C(Cloisonne)、Sparkle gold(Timica)、Gold 4504(Chromalite)及びMonarch gold 233X(Cloisonne)でBASF社により販売されている金色の真珠光沢剤;とりわけ、名称Bronze fine(17384)(Colorona)及びBronze(17353)(Colorona)でMerck社により、名称Prestige BronzeでEckart社により並びに名称Super bronze(Cloisonne)でBASF社により販売されている青銅色真珠光沢剤;とりわけ、名称Orange 363C(Cloisonne)及びOrange MCR 101(Cosmica)でBASF社により並びに名称Passion orange(Colorona)及びMatte orange(17449)(Microna)でMerck社により販売されている橙色真珠光沢剤;とりわけ、名称Nu-antique copper 340XB(Cloisonne)及びBrown CL4509(Chromalite)でBASF社により販売されている茶色の真珠光沢剤;とりわけ、名称Copper 340A(Timica)でBASF社により、及び名称Prestige CopperでEckart社により販売されている銅色合いの真珠光沢剤;とりわけ、名称Sienna fine(17386)(Colorona)でMerck社により販売されている赤色色合いの真珠光沢剤;とりわけ、名称Yellow(4502)(Chromalite)でBASF社により販売されている黄色色合いの真珠光沢剤;とりわけ、名称Sunstone G012(Gemtone)でBASF社により販売されている金色色合いの赤色の真珠光沢剤;とりわけ、名称Nu antique bronze 240 AB(Timica)でBASF社により販売されている金色色合いの黒色真珠光沢剤;とりわけ、名称Matte blue(17433)(Microna)、Dark Blue(117324)(Colorona)でMerck社により販売されている青色真珠光沢剤;とりわけ、名称Xirona SilverでMerck社により販売されている銀色色合いの白色真珠光沢剤;並びにとりわけ、名称Indian summer(Xirona)で販売されている金-緑色 桃色-橙色の真珠光沢剤、並びにそれらの混合物が言及され得る。
【0275】
マイカ担体上の真珠光沢剤に加えて、アルミナ、シリカ、ホウケイ酸ナトリウムカルシウム又はホウケイ酸カルシウムアルミニウム、及びアルミニウムなどの合成基材に基づく多層顔料も想定され得る。
【0276】
基材に結合していない、干渉効果を持った顔料、例えば液晶(Wacker製のHelicones HC)又は干渉ホログラム光輝フレーク(Spectratek製のGeometric Pigments又はSpectra f/x)も言及され得る。特殊効果を持った顔料はまた、蛍光顔料(これらは、昼光において蛍光を発する物質又は紫外蛍光を生み出す物質のいずれかである)、燐光顔料、フォトクロミック顔料、サーモクロミック顔料及び、例えばQuantum Dots Corporation社より販売されている、量子ドットを含む。
【0277】
本発明に使用され得る顔料の多様性は、広範囲の色、及びまた金属効果又は干渉効果などの特定の光学効果を得ることを可能にする。
【0278】
本発明による化粧用組成物に使用される顔料のサイズは、一般に、10nm~200μm、好ましくは20nm~80μm、より好ましくは30nm~50μmである。
【0279】
顔料は、分散剤によって製品中に分散させられ得る。
【0280】
「分散剤」という用語は、分散した粒子が塊になる又は凝集するのを防ぐことができる化合物を指す。この分散剤は、分散させられるべき粒子の表面に対して強い親和性を持った1つ以上の官能基を有する、界面活性剤、オリゴマー、ポリマー又はそれらの幾つかの混合物であり得る。特に、それらは、顔料の表面に物理的に又は化学的に結合することになり得る。これらの分散剤はまた、連続媒体と相性が良いか又は連続媒体に可溶性である少なくとも1つの官能基を含有する。前記試剤は、電荷を有し得る:それは、アニオン性、カチオン性、両性イオン性又は中性であり得る。
【0281】
本発明の特定の実施形態によれば、使用される分散剤は、およそ750g/molの分子量のポリ(12-ヒドロキシステアリン酸)ステアレートなどの、12-ヒドロキシステアリン酸、より特にC~C20脂肪酸と、グリセロール又はジグリセロールなどのポリオールとのエステル、例えば、Avecia社により名称Solsperse 21000で販売されている製品、Henkel社により参照番号Dehymyls PGPHで販売されているポリグリセリル-2 ジポリヒドロキシステアレート(CTFA名称)、又はUniqema社により参照番号Arlacel P100で販売されている製品などのポリヒドロキシステアリン酸、並びにそれらの混合物である。
【0282】
本発明の組成物に使用され得る他の分散剤として、重縮合した脂肪酸の第四級アンモニウム誘導体、例えばAvecia社により販売されているSolsperse 17000、並びにポリジメチルシロキサン/オキシプロピレン混合物、例えば参照番号DC2-5185及びDC2-5225 CでDow Corning社により販売されているものが言及され得る。
【0283】
本発明による化粧用組成物に使用される顔料は、有機剤で表面処理され得る。
【0284】
したがって、本発明に関連して有用である、予め表面処理されている顔料は、本発明に従って組成物中に分散させられる前に、とりわけCosmetics and Toiletries,February 1990,Vol.105,pages 53-64に記載されているものなどの有機剤で、化学的、電子的、電気化学的、機械化学的又は機械的な性質の表面処理を全体的に又は部分的に受けている顔料である。これらの有機剤は、例えば、アミノ酸;ワックス、例えばカルナバワックス及び蜜蝋;脂肪酸、脂肪アルコール及びそれらの誘導体、例えば、ステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、ステアリルアルコール、ヒドロキシステアリルアルコール及びラウリン酸、並びにそれらの誘導体;アニオン界面活性剤;レシチン;脂肪酸のナトリウム、カリウム、マグネシウム、鉄、チタン、亜鉛又はアルミニウム塩、例えばステアリン酸アルミニウム又はラウリン酸アルミニウム;金属アルコキシド;多糖類、例えばキトサン、セルロース及びそれらの誘導体;ポリエチレン;(メタ)アクリルポリマー、例えばポリメチルメタクリレート;アクリレート単位を含有するポリマー及びコポリマー;タンパク質;アルカノールアミン;シリコーン化合物、例えばシリコーン、ポリジメチルシロキサン、アルコキシシラン、アルキルシラン及びシロキシシリケート;有機フッ素化合物、例えばペルフルオロアルキルエーテル;フルオロシリコーン化合物から選択され得る。
【0285】
本発明による化粧用組成物に有用である表面処理された顔料はまた、これらの化合物の混合物で処理されていてもよい及び/又は幾つかの表面処理を受けていてもよい。
【0286】
本発明に関連して有用である表面処理された顔料は、当業者に周知である表面処理技法に従って調製され得るか、又は現品で業的に入手可能であり得る。
【0287】
好ましくは、表面処理された顔料は、有機層で被覆されている。
【0288】
それで顔料が処理される有機剤は、溶媒の蒸発、表面剤の分子間の化学反応、又は表面剤と顔料との間の共有結合の生成により、顔料上に堆積させられ得る。
【0289】
したがって、表面処理は、例えば、表面剤と顔料の表面との化学反応、及び表面剤と顔料又は充填剤との間の共有結合の生成により行われ得る。この方法は、とりわけ、米国特許第4578266号明細書に記載されている。
【0290】
顔料に共有結合する有機剤が好ましく使用されるであろう。
【0291】
表面処理のための試剤は、表面処理される顔料の総質量に対して0.1質量%~50質量%、好ましくは0.5質量%~30質量%、さらにいっそう優先的には1質量%~10質量%を表し得る。
【0292】
好ましくは、顔料の表面処理剤は、以下の処理剤:
- PEG-シリコーン処理剤、例えばLCWにより販売されているAQ表面処理剤;
- キトサン処理剤、例えばLCWにより販売されているCTS表面処理剤;
- トリエトキシカプリリルシラン処理剤、例えばLCWにより販売されているAS表面処理剤;
- メチコン処理剤、例えばLCWにより販売されているSI表面処理剤;
- ジメチコン処理剤、例えばLCWにより販売されているCovasil 3.05表面処理剤;
- ジメチコン/トリメチルシロキシシリケート処理剤、例えばLCWにより販売されているCovasil 4.05表面処理剤;
- ラウロイルリシン処理剤、例えばLCWにより販売されているLL表面処理剤;
- ラウロイルリシンジメチコーン処理剤、例えばLCWにより販売されているLL/SI表面処理剤;
- ミリスチン酸マグネシウム処理剤、例えばLCWにより販売されているMM表面処理剤;
- ジミリスチン酸アルミニウム処理剤、例えば三好化成株式会社により販売されているMI表面処理剤;
- ペルフルオロポリメチルイソプロピルエーテル処理剤、例えばLCWにより販売されているFHC表面処理;
- イソステアリルセバケート処理剤、例えば三好化成株式会社により売されているHS表面処理剤;
- 二ナトリウムステアロイルグルタメート処理剤、例えば三好化成株式会社により販売されているNAI表面処理剤;
- ジメチコン/二ナトリウムステアロイルグルタメート処理剤、例えば好化成株式会社により販売されているSA/NAI表面処理剤;
- ペルフルオロアルキルホスフェート処理剤、例えば大東化成工業株式会社により販売されているPF表面処理剤;
- アクリレート/ジメチコンコポリマー及びペルフルオロアルキルホスフェート処理剤、例えば大東化成工業株式会社により販売されているFSA表面処理剤;
- ポリメチルヒドロゲノシロキサン/ペルフルオロアルキルホスフェート処理剤、例えば大東化成工業株式会社により販売されているFS01表面処理剤;
- ラウロイルリジン/三ステアリン酸アルミニウム処理剤、例えば大東化成工業により販売されているLL-StAl表面処理剤;
- オクチルトリエチルシラン処理剤、例えば大東化成工業株式会社により販売されているOTS表面処理剤;
- オクチルトリエチルシラン/ペルフルオロアルキルホスフェート処理剤、例えば大東化成工業株式会社により販売されているFOTS表面処理剤;
- アクリレート/ジメチコンコポリマー処理剤、例えば大東化成工業株式会社により販売されているASC表面処理剤;
- トリイソステアリン酸イソプロピルチタン処理剤、例えば大東化成工業株式会社により販売されているITT表面処理剤;
- 微晶質セルロース及びカルボキシメチルセルロース処理剤、例えば大東化成工業株式会社により販売されているAC表面処理剤;
- セルロース処理剤、例えば大東化成工業株式会社により販売されているC2表面処理剤;
- アクリレートコポリマー処理剤、例えば大東化成工業株式会社により販売されているAPD表面処理剤;
- ペルフルオロアルキルホスフェート/トリイソステアリン酸イソプロピルチタン処理剤、例えば大東化成工業株式会社により販売されているPF+ITT表面処理剤
から選択される。
- 本発明に従った組成物は、さらに、表面処理されていない1種以上の顔料を含み得る。
- 本発明の特定の実施形態によれば、顔料は、無機顔料である。
- 本発明の別の特定の実施形態によれば、顔料は、真珠光沢剤から選択される。
【0293】
本発明の特定の実施形態によれば、分散剤は、サブミクロンサイズの粒子状形態で有機又は無機顔料と共に存在する。
【0294】
「サブミクロン」又は「サブミクロンの」という用語は、微粉化方法により微粉化されている粒径を有し、1マイクロメートル(μm)未満、特に0.1~0.9μm、好ましくは0.2~0.6μmの平均粒径を有する顔料を指す。
【0295】
一実施形態によれば、分散剤及び顔料は、0.5:1~2.1、特に0.75:1~1.5:1、又はさらにより良好には0.8:1~1.2:1の量(分散剤:顔料)で存在する。
【0296】
特定の実施形態によれば、分散剤は、顔料を分散させるのに好適であり、且つ縮合-硬化性配合物と相性が良い。
【0297】
「相性が良い」という用語は、例えば、前記分散剤が、組成物の又は顔料を含有する分散系の油性相に混和性であり、且つそれが硬化を妨害しない又は低減しないことを意味する。分散剤は、好ましくは、カチオン性である。
【0298】
それ故、分散剤は、シリコーンポリエーテル及びアミノシリコーン型の分散剤などの、シリコーン骨格であり得る。言及され得る好適な分散剤の中に、
- アミノシリコーン、すなわち1つ以上のアミノ基を含むシリコーン、例えばBYKにより名称及び参照番号:BYK LPX 21879で販売されているもの、Genesee Polymersにより販売されている、GP-4、GP-6、GP-344、GP-851、GP-965、GP-967及びGP-988-1、
- シリコーンアクリレート、例えばEvonikにより販売されている、Tego(登録商標)RC 902、Tego(登録商標)RC 922、Tego(登録商標)RC 1041及びTego(登録商標)RC 1043、
- カルボキシル基を有するポリジメチルシロキサン(PDMS)シリコーン、例えば信越化学工業株式会社によるX-22162及びX-22370、エポキシシリコーン、例えばGenesee PolymersによるGP-29、GP-32、GP-502、GP-504、GP-514、GP-607、GP-682、及びGP-695、又はEvonikによるTego(登録商標)RC 1401、Tego(登録商標)RC 1403、Tego(登録商標)RC 1412
がある。
【0299】
特定の実施形態によれば、分散剤は、アミノシリコーン型のものであり、正に荷電している。
【0300】
油性相の試薬と反応することができ、したがってアミノシリコーンから形成される3Dネットワークを改良することができる化学基を有する分散剤も言及され得る。例えば、エポキシシリコーン顔料の分散剤は、アミノシリコーンプレポリマーアミノ基と化学的に反応して、顔料を含むアミノシリコーンフィルムの凝集力を増大させることができる。
【0301】
好ましくは、顔料は、カーボンブラック、酸化鉄、とりわけ黒色酸化鉄、及び酸化鉄で被覆されたマイカ、トリアリールメタン顔料、とりわけ青色及び紫色トリアリールメタン顔料、例えばBlue 1 Lake、アゾ顔料、とりわけ赤色アゾ顔料、例えばD&C Red 7、リソールレッドのアルカリ金属塩、例えばリソールレッドBのカルシウム塩、さらにいっそう優先的には弁柄から選択される。
【0302】
着色剤は、直接染料から選択され得る。
【0303】
「直接染料」という用語は、酸化染料以外の天然及び/又は合成染料を意味する。これらは、繊維上に表面的に広がるだろう染料である。
【0304】
それらは、すなわち唯一の染料として、イオン性又は非イオン性、好ましくはカチオン性又は非イオン性染料であり得る。
【0305】
これらの直接染料は、例えば、中性、酸性又はカチオン性ニトロベンゼン直接染料、中性、酸性又はカチオン性アゾ直接染料、テトラアザペンタメチン染料、中性、酸性又はカチオン性キノン、特にアントラキノン直接染料、アジン直接染料、トリアリールメタン直接染料、アゾメチン直接染料及び中性直接染料から選択される。
【0306】
言及され得る好適な直接染料の例としては、単独での又は混合物としての、アゾ直接染料;シアニン、ヘミシアニン及びスチリル染料などの(ポリ)メチン染料;カルボニル染料;アジン染料;ニトロ(ヘテロ)アリール染料;トリ(ヘテロ)アリールメタン染料;ポルフィリン染料;フタロシアニン染料、並びに天然直接染料が挙げられ得る。
【0307】
優先的には、直接染料は、少なくとも1つの第四級化カチオン発色団又は第四級化若しくは第四級化可能なカチオン性基を有する少なくとも1つの発色団を含有する。
【0308】
本発明の特定の実施形態によれば、直接染料は、少なくとも1つの第四級化カチオン発色団を含む。
【0309】
本発明による直接染料として、以下の染料:アクリジン;アクリドン;アントラントロン;アントラピリミジン;アントラキノン;アジン;(ポリ)アゾ、ヒドラゾノ又はヒドラゾン、特にアリールヒドラゾン;アゾメチン;ベンズアントロン;ベンズイミダゾール;ベンズイミダゾロン;ベンズインドール;ベンゾオキサゾール;ベンゾピラン;ベンゾチアゾール;ベンゾキノン;ビスアジン;ビス-イソインドリン;カルボキサニリド;クマリン;アザカルボシアニン、ジアザカルボシアニン、ジアザヘミシアニン、ヘミシアニン、又はテトラアザカルボシアニンなどのシアニン;ジアジン;ジケトピロロピロール;ジオキサジン;ジフェニルアミン;ジフェニルメタン;ジチアジン;フラバントロン及びフラボンなどのフラボノイド;フルオリンジン;ホルマザン;インダミン;インダントロン;インジゴイド及びシュードインジゴイド;インドフェノール;インドアニリン;イソインドリン;イソインドリノン;イソビオラントロン;ラクトン;スチルベン又はスチリル型のジメチンなどの(ポリ)メチン;ナフタルイミド;ナフトアニリド;ナフトラクタム;ナフトキノン;ニトロ、とりわけニトロ(ヘテロ)芳香族;オキサジアゾール;オキサジン;ペリロン(perilone);ペリノン;ペリレン;フェナジン;フェノキサジン;フェノチアジン;フタロシアニン;ポリエン/カロチノイド;ポルフィリン;ピラントロン;ピラゾラントロン;ピラゾロン;ピリミジノアントロン;ピロニン;キナクリドン;キノリン;キノフタロン;スクアラン;テトラゾリウム;チアジン、チオインジゴ;チオピロニン;トリアリールメタン;又はキサンテンが言及され得る。
【0310】
カチオン性アゾ染料について、特に、Kirk-Othmer’s Encyclopedia of Chemical Technology,“Dyes,Azo”,J.Wiley&Sons,updated on April 19,2010に記載されているカチオン染料に由来するものが言及され得る。
【0311】
本発明に従って使用され得るアゾ染料の中で、特許出願国際公開第95/15144号パンフレット、国際公開第95/01772号パンフレット及び欧州特許第714954号明細書に記載されているカチオン性アゾ染料が言及され得る。
【0312】
本発明の好ましい実施形態によれば、直接染料は、「塩基性染料」として知られるカチオン染料から選択される。
【0313】
Colour Index International第3版に記載されているアゾ染料の中で、とりわけ、以下の化合物:
- Basic Red 22
- Basic Red 76
- Basic Yellow 57
- Basic Brown 16
- Basic Brown 17
が言及され得る。
【0314】
カチオン性キノン染料の中で、上述のColour Index Internationalに言及されているものが使用に好適であり、これらの中で、とりわけ、以下の染料:
- Basic Blue 22
- Basic Blue 99
が言及され得る。
使用に好適であるアジン染料の中で、Colour Index Internationalにリストアップされているもの、例えば以下の染料:
- Basic Blue 17
- Basic Red 2
が言及され得る。
本発明に従って使用され得るカチオン性トリアリールメタン染料の中で、Colour Indexにリストアップされているものに加えて、以下の染料:
- Basic Green 1
- Basic Violet 3
- Basic Violet 14
- Basic Blue 7
- Basic Blue 26
が言及され得る。
【0315】
米国特許第5888252号明細書、欧州特許第1133975号明細書、国際公開第03/029359号パンフレット、欧州特許第860636号明細書、国際公開第95/01772号パンフレット、国際公開第95/15144号パンフレット及び欧州特許第714954号明細書に記載されているカチオン染料も言及され得る。K.Venkataramanによる百科事典“The Chemistry of Synthetic Dyes”,1952,Academic Press,vol.1~7に、“Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology”において、章“Dyes and Dye Intermediates”,1993,Wiley and Sonsに、及び“Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry”,7th edition,Wiley and Sonsの様々な章にリストアップされているものも言及され得る。
【0316】
好ましくは、カチオン性直接染料は、アゾ及びヒドラゾノ型の染料に由来するものから選択される。
【0317】
特定の実施形態によれば、直接染料は、欧州特許第850636号明細書、仏国特許第2788433号明細書、欧州特許第920856号明細書、国際公開第99/48465号パンフレット、仏国特許第2757385号明細書、欧州特許第850637号明細書、欧州特許918053号明細書、国際公開第97/44004号パンフレット、仏国特許第2570946号明細書、仏国特許第2285851号明細書、独国特許第2538363号明細書、仏国特許第2189006号明細書、仏国特許第1560664号明細書、仏国特許第1540423号明細書、仏国特許第1567219号明細書、仏国特許第1516943号明細書、仏国特許第1221122号明細書、独国特許第4220388号明細書、独国特許第4137005号明細書、国際公開第01/66646号パンフレット、米国特許第5708151明細書、国際公開第95/01772号パンフレット、国際公開第515144号パンフレット、英国特許第1195386号明細書、米国特許第3524842号明細書、米国特許第5879413号明細書、欧州特許第1062940号明細書、欧州特許第1133976号明細書、英国特許第738585号明細書、独国特許第2527638号明細書、仏国特許第2275462号明細書、英国特許出願公開第1974-27645号明細書、Acta Histochem,(1978),61(1),48-52;Tsitologiya(1968),10(3),403-5;Zh.Obshch.Khim.(1970),40(1),195-202;Ann.Chim.(Rome)(1975),65(5-6),305-14;Journal of the Chinese Chemical Society(Taipei)(1998),45(1),209-211;Rev.Roum.Chim.(1988),33(4),377-83;Text.Res.J.(1984),54(2),105-7;Chim.Ind.(Milan)(1974),56(9),600-3;Khim.Tekhnol.(1979),22(5),548-53;Ger.Monatsh.Chem.(1975),106(3),643-8;MRL Bull.Res.Dev.(1992),6(2),21-7;Lihua Jianyan,Huaxue Fence(1993),29(4),233-4;Dyes Pigm.(1992),19(1),69-79;Dyes Pigm.(1989),11(3),163-72に記載されている、カチオン性アゾ染料である。
【0318】
好ましくは、カチオン性直接染料は、第四級アンモニウム基を含み;より優先的には、カチオン電荷は、環内にある。
【0319】
これらのカチオン性基は、例えば、
- 環外(ジ/トリ)(C1~C8)アルキルアンモニウム電荷を有する、又は
- アクリジニウム、ベンズイミダゾリウム、ベンゾビストリアゾリウム、ベンゾピラゾリウム、ベンゾピリダジニウム、ベンゾキノリウム、ベンゾチアゾリウム、ベンゾトリアゾリウム、ベンゾオキサゾリウム、ビピリジニウム、ビス-テトラゾリウム、ジヒドロチアゾリウム、イミダゾピリジニウム、イミダゾリウム、インドリウム、イソキノリウム、ナフトイミダゾリウム、ナフトキオキサゾリウム、ナフトピラゾリウム、オキサジアゾリウム、オキサゾリウム、オキサゾロピリジニウム、オキソニウム、フェナジニウム、フェノオキサゾリウム、ピラジニウム、ピラゾリウム、ピラゾイルトリアゾリウム、ピリジニウム、ピリジノイミダゾリウム、ピロリウム、ピリリウム、キノリウム、テトラゾリウム、チアジアゾリウム、チアゾリウム、チアゾロピリジニウム、チアゾイルイミダゾリウム、チオピリリウム、トリアゾリウム又はキサンチリウム
から選択されるカチオン性ヘテロアリール基を含むなどの、環内電荷を有する
カチオン性基である。
【0320】
下記の式(III)及び(IV)のヒドラゾノカチオン染料並びに式(V)及び(VI):
【化21】
(式(III)~(VI)において:
・ Hetは、優先的には環内カチオン電荷を有する、カチオン性ヘテロアリール基、例えば優先的にはメチルなどの少なくとも1つの(C~C)アルキル基で任意選択的に置換されている、イミダゾリウム、インドリウム又はピリジニウムを表し;
・ Arは、環外カチオン電荷、優先的にはアンモニウム、特に、トリメチルアンモニウムなどのトリ(C~C)アルキルアンモニウムを有する、フェニル又はナフチルなどの、アリール基を表し;
・ Arは、優先的には1つ以上の電子供与性基、例えばi)任意選択的に置換された(C~C)アルキル、ii)任意選択的に置換された(C~C)アルコキシ、iii)アルキル基がヒドロキシル基で任意選択的に置換された(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ、iv)アリール(C~C)アルキルアミノ、v)任意選択的に置換されたN-(C~C)アルキル-N-アリール(C~C)アルキルアミノで、任意選択的に置換されているアリール基、とりわけフェニルを表すか、又は代わりに、Arは、ジュロリジン基を表し;
・ Ar’’は、任意選択的に置換された(ヘテロ)アリール基、例えば優先的には1つ以上の(C~C)アルキル、ヒドロキシル、(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ、(C~C)アルコキシ又はフェニル基で任意選択的に置換されている、フェニル又はピラゾリルを表し;
・ 同一であっても異なっていてもよい、R及びRは、水素原子又は、優先的にはヒドロキシル基で任意選択的に置換されている、(C~C)アルキル基を表し;
・ 或いは、Hetの置換基と一緒に置換基R及び/又はArの置換基と一緒にRは、それらを担持する原子と一緒になって(ヘテロ)シクロアルキルを形成し;特に、R及びRは、水素原子又は、ヒドロキシル基で任意選択的に置換された(C~C)アルキル基を表し;
・ Qは、ハライド又はアルキルスルフェートなどの、有機又は無機アニオン性対イオンを表す)
のアゾカチオン染料が言及され得る。
【0321】
特に、前に定義されたような式(III)~(VI)の環内カチオン電荷を有するアゾ及びヒドラゾノ直接染料が言及され得る。より具体的には、特許出願国際公開第95/15144号パンフレット、国際公開第95/01772号パンフレット及び欧州特許第714954号明細書に記載されている、環内カチオン電荷を有する式(III)~(VI)のカチオン性直接染料。優先的には、以下の直接染料:
【化22】
(式(III-1)及び(V-1)において:
- Rは、メチルなどの(C~C)アルキル基を表し;
- 同一であっても異なっていてもよい、R及びRは、水素原子又は、メチルなどの、(C~C)アルキル基を表し;
- Rは、水素原子又は、電子供与性基、例えば任意選択的に置換された(C~C)アルキル、任意選択的に置換された(C~C)アルコキシ、又はアルキル基がヒドロキシル基で任意選択的に置換された(ジ)(C~C)(アルキル)アミノを表し;特に、Rは素原子であり、
- Zは、CH基又は窒素原子、優先的にはCHを表し、
- Qは、前に定義されたようなアニオン性対イオン、特に、クロリドなどの、ハライド、又はメチルスルフェートなどの、アルキルスルフェート若しくはメシチルである)。
【0322】
特に、式(III-1)及び(V-1)の染料は、Basic Red 51,Basic Yellow 87及びBasic Orange 31又はそれらの誘導体:
【化23】
(Qは、前に定義されたようなアニオン性対イオン、特に、クロリドなどの、ハライド、又はメチルスルフェートなどの、アルキルスルフェート若しくはメシチルである)
から選択される。
【0323】
本発明の特定の実施形態によれば、直接染料は、蛍光を発する、すなわち,それらは、前に定義されたように少なくとも1つの蛍光発色団を含有する。
【0324】
言及され得る蛍光染料としては、以下の染料:アクリジン、アクリドン、ベンズアントロン、ベンゾイミダゾール、ベンズイミダゾロン、ベンズインドール、ベンゾオキサゾール、ベンゾピラン、ベンゾチアゾール、クマリン、ジフルオロ{2-[(2H-ピロール-2-イリデン-kN)メチル]-1H-ピロラト-kN}ホウ素(BODIPY(登録商標))、ジケトピロロピロール、フルオリンジン、(ポリ)メチン(とりわけシアニン及びスチリル/ヘミシアニン)、ナフタルイミド、ナフトアニリド、ナフチルアミン(ダンシルなど)、オキサジアゾール、オキサジン、ペリロン、ペリノン、ペリレン、ポリエン/カロテノイド、スクアラン、スチルベン及びキサンテンに由来する基を含む。
【0325】
欧州特許第1 133 975号明細書、国際公開第03/029359号パンフレット、欧州特許第860 636号明細書、国際公開第95/01772号パンフレット、国際公開第95/15144号パンフレット及び欧州特許第714 954号明細書に記載されている蛍光染料、並びにK.Venkataramanによる百科事典“The Chemistry of Synthetic Dyes”,1952,Academic Press,vol.1~7に、“Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology”において、章“Dyes and Dye Intermediates”,1993,Wiley and Sonsに、並びに“Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry”,7th edition,Wiley and Sonsの様々な章に、及びハンドブック-“A Guide to Fluorescent Probes and Labeling Technologies”,10th Ed.,Molecular Probes/Invitrogen-Oregon 2005にリストアップされた、インターネット上で又は先行する印刷版で閲覧されるものも挙げられ得る。
【0326】
本発明の好ましい変形によれば、蛍光染料は、カチオン性であり、以下の式(XV):
【化24】
(式(VII)において、
・ W+は、とりわけ1つ以上のヒドロキシル基で任意選択的に置換された、1つ以上の(C~C)アルキル基で任意選択的に置換された第四級アンモニウムを特に含む、カチオン性の複素環式又はヘテロアリール基を表し;
・ Arは、優先的にはi)塩素若しくはフッ素などの1つ以上のハロゲン原子;ii)好ましくはメチルなどのC~C基の、1つ以上の(C~C)アルキル基;iii)1つ以上のヒドロキシル基;iv)メトキシなどの1つ以上の(C~C)アルコキシ基;v)ヒドロキシエチルなどの1つ以上のヒドロキシ(C~C)アルキル基、vi)1つ以上のアミノ基又は、(ジ)ヒドロキシエチルアミノなどの、1つ以上のヒドロキシル基で任意選択的に置換されたC~Cアルキル部分を好ましくは持った(ジ)(C~C)アルキルアミノ基、vii)1つ以上のアシルアミノ基で;viii)ピペラジニル、ピペリジルなどの1つ以上のヘテロシクロアルキル基、又はピロリジニル、ピリジル及びイミダゾリニルなどの5又は6員ヘテロアリールで任意選択的に置換された、フェニル又はナフチルなどのアリール基を表し;
・ m’は、1~4の範囲の整数を表し;特に、mは、1又は2、より優先的には1であり;
・ 同一であっても又は異なっていてもよい、R及びRは、水素原子又は、優先的にはC~Cの、任意選択的に置換された(C~C)アルキル基を表すか、又は代わりには、Wと隣接するR及び/又はArと隣接するRは、それらを担持する原子と一緒になって(ヘテロ)シクロアルキルを形成し;特に、RはWと隣接しており、それらは、シクロヘキシルなどの(ヘテロ)シクロアルキルを形成し;
・ Qは、前に定義されたような有機又は無機アニオン性対イオンである)
のものなどの、少なくとも1つの第四級アンモニウム基を含む。
【0327】
本発明に従って使用され得る天然の直接染料の中で、ローソン、ジュグロン、アリザリン、プルプリン、カルミン酸、ケルメス酸、プルプロガリン、プロトカテクアルデヒド、インジゴ、イサチン、クルクミン、スピヌロシン、アピゲニジン、オルセインが言及され得る。また、これらの天然染料を含む抽出物又は煎出物、とりわけ、ヘナ-ベースの湿布剤又は抽出物も使用され得る。
【0328】
本発明の特定の実施形態によれば、着色剤、とりわけ顔料の量は、組成物及びそれらを含む分散系の質量に対して0.5%~40%、好ましくは1%~20%の範囲である。
【0329】
有利には、本発明による組成物は、メーキャップ用組成物、特に、唇メーキャップ用組成物、マスカラ、アイライナー、アイシャドウ又はファンデーションである。
【0330】
追加の溶媒
本発明の特定の実施形態によれば、組成物は、主に脂肪媒体中に水以外の、好ましくは極性及び/又はプロトン性である、1種以上の溶媒を含む。
【0331】
水以外の、好ましくは極性及び/又はプロトン性である、溶媒は、溶媒混合物の総質量に対して0~10%、優先的には組成物の総質量に対して0.5%~8%、より特に2質量%などの、1%~5%の質量百分率で組成物中に存在する。好ましくは、溶媒は、アルカノールなどの極性溶媒、より優先的にはエタノールなどの、C~Cアルカノールである。
【0332】
補助剤
本発明による組成物はまた、とりわけ組成物の総質量に対して0.01質量%~30質量%の範囲、好ましくは0.01質量%~20質量%の範囲の含有量で1種以上の充填剤を含み得る。「充填剤」という用語は、組成物が製造される温度にかかわらず、組成物の媒体に不溶性である、任意の形状の無色又は白色の、鉱物粒子又は合成粒子を意味すると理解されるべきである。これらの充填剤は、とりわけ、組成物のレオロジー又はテクスチャーを変更するのに役立つ。
【0333】
本発明による組成物はまた、ビタミン、増粘剤、微量元素、軟化剤、金属イオン封鎖剤、香料、保存剤、日焼け止め剤、界面活性剤、酸化防止剤、損失対策剤、ふけ防止剤及び噴射剤、又はそれらの混合物などの、化粧品に一般に使用される成分を含有し得る。
【0334】
本発明による組成物は、無水組成物、油中水型エマルション、又は水中油型エマルションの形態にあり得る。
【0335】
「無水組成物」という用語は、2質量%未満の水、又はさらには0.5%未満の水を含有する、及びとりわけ水を含まない組成物を意味する。適切な場合、そのような少量の水は、とりわけ、残留量の水を含有する可能性がある組成物の成分により導入される可能性がある。
【0336】
本発明は、以下の実施例においてより詳細に例示される。量は、質量百分率として示される。
【実施例
【0337】
様々な実施例において例示されるPHAは、β-酸化経路阻害剤が使用されるかどうかに応じて、3リットルのケモスタット及び/又は5リットルのフェルンバッハフラスコ中で調製した。PHAの単離は、得られる実施例全てについて同様である。
【0338】
第1のステップにおいて、微生物はPHAを生成し、それは、細胞内顆粒において保存され、その割合は、培養培地の温度又は種類などの適用条件に応じて変わる。PHA顆粒の生成は、微生物の種類に応じて微生物の成長と関連し得るし、又は関連し得ない。第2のステップ中に、PHAを含有するバイオマスを単離する、すなわち、発酵培地から分離し、次いで乾燥させる。PHAをバイオマスから抽出し、その後、必要ならば、精製する。
【0339】
ある種の実施例については、飽和及び不飽和の炭素源が、得られるPHAの安定のために必要である。
【0340】
【表11】
【0341】
【表12】
【0342】
実施例1:直鎖状の10%不飽和のn-オクテニル基を表す側鎖Rとn-ペンチル基を表すRとを有するPHA
【化25】
実施例1の化合物の合成方法は、論文:Fed-batch production of unsaturated medium-chain-length polyhydroxyalkanoates with controlled composition by Pseudomonas putida KT2440,Z.Sun,J.A.Ramsay,M.Guay,B.A. Ramsay,Applied Microbiology Biotechnology,82,657-662,2009からアレンジする。
【0343】
使用される微生物は、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)KT2440 ATCC(登録商標)47054TMである。培養方法は、2.5Lの培養培地を含有する3Lのケモスタットにおいて速度μ=0.15h-1で炭素源の混合物を含有する維持溶液を使ってフェッドバッチ成長無菌条件下で行う。
システムを、30%の飽和の名目溶存酸素(O)値に向けて0.5vvmの空気の流れで曝気する。pHを、15%アンモニア水溶液で調整する。発酵培地の温度を30℃で調節する。
【0344】
フェッドバッチ成長発酵モードのためのアセンブリ
発酵培地を、溶存酸素の温度-圧力及びpHの観点から調節する(示されていない)。
【0345】
図1を参照されたい。
産生プロセスを、3つの異なる培養培地を使用して行う。CM1「植菌」と定義される、第1の培養培地を、前培養物の調製のために使用する。CM2「バッチ」と定義される、第2の培養培地を、フェルンバッハフラスコ中で一次炭素源と共に微生物のアンフェッドバッチ成長のために使用する。CM3「維持」と定義される、第3の培養培地を、微生物の成長に応じて較正される流量で興味ある炭素源と共にフェッドバッチ又は維持発酵モードのために使用する。
【0346】
1リットル当たりのグラム単位での組成
【0347】
【表13】
【0348】
質量百分率としての、栄養ブロスの組成は、37.5%牛肉エキス及び62.5%ペプトンである。参照番号233000 DIFCOTM
【0349】
1リットル当たりのグラム単位での微量元素の組成:
【0350】
【表14】
【0351】
250mLのフェルンバッハフラスにおいて2N NaOHで6.8に調整されたpHの100mLの「植菌」培養培地で1mLの菌株を含有するクライオチューブを懸濁させ、次いで、30℃、150rpmで24時間培養することにより、100mLの前培養物を調製する。前もって滅菌された3Lのケモスタット中に入れられた1.9LのCM2「バッチ」培養培地に、100mLの前培養物をOD=0.1で植菌する。30℃、850rpmで4時間後に、維持培地の導入を、方程式1により定められる流量を適用することにより行う。
【0352】
導入の終わりに、バイオマスを遠心分離により単離し、次いで水で3回洗浄する。バイオマスを凍結乾燥により乾燥させ、その後24時間酢酸エチルで抽出する。懸濁液をGF/Aフィルター(Whatman(登録商標))上での濾過により浄化する。濾液、酢酸エチルに溶解したPHA化合物を蒸発により濃縮し、次いで一定の質量まで40℃で高真空下に乾燥させる。
【0353】
PHAは、一連の溶解及び例えば、酢酸エチル/エタノール 70%メタノール系からの沈澱により任意選択的に精製し得る。
【0354】
PHAは、分光法及び分光分析法により完全に特徴解明され、予期される化学構造に従っている。
【0355】
実施例2:チオ乳酸で100%グラフトされた10%不飽和を含有するポリ(3-ヒドロキシオクタノエート-co-ウンデセノエート)(チオ乳酸TLAでグラフトされた実施例1の化合物):
【化26】
1gの実施例1の化合物と150mgのチオ乳酸とを撹拌しながら室温で20mLの酢酸エチルに溶解させた。20mgの2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(Irgacure 651)を混合物に添加した。次いで、媒体に、少なくとも10分間、365nm(基準)での100W UVランプ下で及び撹拌しながら照射した。
【0356】
次いで、20mLの反応媒体を、70/30v/vエタノール/水の200mL混合物から沈澱させた。粘着性のある白色の沈殿物を得た。このステップは、繰り返され得る。こうして得られた生成物を最小量の酢酸エチルに溶解させ、テフロン(登録商標)プレート上へ注ぎ、次いで40℃で動的真空下に乾燥させて均質なフィルムを得た。
【0357】
実施例2のグラフトされたPHAは、分光法及び分光分析法により完全に特徴解明され、予期される化学構造に従っている。
【0358】
実施例3:オクタンチオールで100%グラフトされた10%不飽和を含有するポリ(3-ヒドロキシオクタノエート-co-ウンデセノエート)(n-オクタンチオールでグラフトされた実施例1の化合物)
【化27】
0.5gの実施例1の化合物と125mgのオクタンチオールとを撹拌しながら室温で10mLの酢酸エチルに溶解させた。15mgの2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(Irgacure 651)を混合物に添加した。次いで、媒体に、少なくとも10分間、365nm(基準)での100W UVランプ下で及び撹拌しながら照射した。
【0359】
次いで、反応媒体を、70/30v/vエタノール/水の100mL混合物から沈澱させた。粘着性のある白色の沈殿物を得た。このステップは、繰り返され得る。こうして得られた生成物を最小量の酢酸エチルに溶解させ、テフロン(登録商標)プレート上へ注ぎ、次いで40℃で動的真空下に乾燥させて均質なフィルムを得た。
【0360】
実施例3のグラフトされたPHAは、分光法及び分光分析法により完全に特徴解明され、予期される化学構造に従っている。
【0361】
実施例4:8-メルカプト-1-オクタノールで75%グラフトされた10%不飽和を含有するポリ(3-ヒドロキシオクタノエート-co-ウンデセノエート)(8-メルカプト-1-オクタノールでグラフトされた実施例1の化合物)
【化28】
50mgの実施例1の化合物と10mgの8-メルカプト-1-オクタノールとを撹拌しながら室温で5mLの酢酸エチルに溶解させた。2mgの2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(Irgacure 651)を混合物に添加した。次いで、媒体に、少なくとも10分間、365nm(基準)での100W UVランプ下で及び撹拌しながら照射した。
【0362】
次いで、反応媒体を、70/30v/vエタノール/水の50mL混合物から沈澱させた。粘着性のある白色の沈殿物を得た。このステップは、繰り返され得る。こうして得られた生成物を最小量の酢酸エチルに溶解させ、テフロン(登録商標)プレート上へ注ぎ、次いで40℃で動的真空下に乾燥させて均質なフィルムを得た。
【0363】
実施例4のグラフトされたPHAは、分光法及び分光分析法により完全に特徴解明され、予期される化学構造に従っている。全体で75%又は7.5%の官能基へのグラフト。
【0364】
実施例5:システアミンで32%グラフトされた10%不飽和を含有するポリ(3-ヒドロキシオクタノエート-co-ウンデセノエート)(システアミンでグラフトされた実施例1の化合物)
【化29】
0.5gの実施例1の化合物と54mgのシスチアミンとを撹拌しながら室温で10mLのジクロロメタンと2mLのエタノールとの混合物に溶解させた。10mgの2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(Irgacure 651)を混合物に添加した。次いで、媒体に、少なくとも10分間、365nm(基準)での100W UVランプ下で及び撹拌しながら照射した。
【0365】
次いで、反応媒体を、70/30v/vエタノール/水の100mL混合物から沈澱させた。粘着性のある白色の沈殿物を得た。このステップは、繰り返され得る。こうして得られた生成物を最小量の酢酸エチルに溶解させ、テフロン(登録商標)プレート上へ注ぎ、次いで40℃で動的真空下に乾燥させて均質なフィルムを得た。
【0366】
実施例5のグラフトされたPHAは、分光法及び分光分析法により完全に特徴解明され、予期される化学構造に従っている。全体で32%(下のスペクトルを参照されたい)つまり3.2%の官能基へのグラフト。
【0367】
実施例6:シクロヘキサンチオールで73%グラフトされた10%不飽和を含有するポリ(3-ヒドロキシオクタノエート-co-ウンデセノエート)(CHTでグラフトされた実施例1の化合物)
【化30】
100mgの実施例1の化合物と26mgのシクロヘキサンチオールとを撹拌しながら室温で5mLのジクロロメタンに溶解させた。5mgの2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(Irgacure 651)を混合物に添加した。次いで、媒体に、少なくとも10分間、365nm(基準)での100W UVランプ下で及び撹拌しながら照射した。
【0368】
次いで、反応媒体を、70/30v/vエタノール/水の50mL混合物から沈澱させた。粘着性のある白色の沈殿物を得た。このステップは、繰り返され得る。こうして得られた生成物を最小量の酢酸エチルに溶解させ、テフロン(登録商標)プレート上へ注ぎ、次いで40℃で動的真空下に乾燥させて均質なフィルムを得た。
【0369】
実施例6のグラフトされたPHAは、分光法及び分光分析法により完全に特徴解明され、予期される化学構造に従っている。全体で73%つまり7.3%の官能基へのグラフト。
【0370】
実施例7:2-フランメタンチオール(FT)で66%グラフトされた10%不飽和を含有するポリ(3-ヒドロキシオクタノエート-co-ウンデセノエート)(FTでグラフトされた実施例1の化合物)
【化31】
100mgの実施例1の化合物と26mgの2-フランメタンチオールとを撹拌しながら室温で5mLのジクロロメタンに溶解させた。5mgの2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(Irgacure 651)を混合物に添加した。次いで、媒体に、少なくとも10分間、365nm(基準)での100W UVランプ下で及び撹拌しながら照射した。
【0371】
次いで、反応媒体を、70/30v/vエタノール/水の50mL混合物から沈澱させた。粘着性のある白色の沈殿物を得た。このステップは、繰り返され得る。こうして得られた生成物を最小量の酢酸エチルに溶解させ、テフロン(登録商標)プレート上へ注ぎ、次いで40℃で動的真空下に乾燥させて均質なフィルムを得た。
【0372】
実施例7のグラフトされたPHAは、分光法及び分光分析法により完全に特徴解明され、予期される化学構造に従っている。全体で66%つまり6.6%の官能基へのグラフト。
【0373】
実施例8:1-チオ-β-D-グルコーステトラアセテートで66%グラフトされた10%不飽和を含有するポリ(3-ヒドロキシオクタノエート-co-ウンデセノエート)(TGTでグラフトされた実施例1の化合物)
【化32】
100mgの実施例1の化合物と26mgの1-チオ-β-D-グルコーステトラアセテートとを撹拌しながら室温で5mLのジクロロメタンに溶解させた。5mgの2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(Irgacure 651)を混合物に添加した。次いで、媒体に、少なくとも10分間、365nm(基準)での100W UVランプ下で及び撹拌しながら照射した。
【0374】
次いで、反応媒体を、70/30v/vエタノール/水の50mL混合物から沈澱させた。粘着性のある白色の沈殿物を得た。このステップは、繰り返され得る。こうして得られた生成物を最小量の酢酸エチルに溶解させ、テフロン(登録商標)プレート上へ注ぎ、次いで40℃で動的真空下に乾燥させて均質なフィルムを得た。
【0375】
実施例8のグラフトされたPHAは、分光法及び分光分析法により完全に特徴解明され、予期される化学構造に従っている。全体で70%つまり7%の官能基へのグラフト。
【0376】
実施例9:2-フェニルエタンチオール(PT)で50%グラフトされた10%不飽和を含有するポリ(3-ヒドロキシオクタノエート-co-ウンデセノエート)(PTでグラフトされた実施例1の化合物)
【化33】
100mgの実施例1の化合物と26mgの2-フェニルエタンチオールとを撹拌しながら室温で5mLのジクロロメタンに溶解させた。5mgの2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(Irgacure 651)を混合物に添加した。次いで、媒体に、少なくとも10分間、365nm(基準)での100W UVランプ下で及び撹拌しながら照射した。
【0377】
次いで、反応媒体を、70/30v/vエタノール/水の50mL混合物から沈澱させた。粘着性のある白色の沈殿物を得た。このステップは、繰り返され得る。こうして得られた生成物を最小量の酢酸エチルに溶解させ、テフロン(登録商標)プレート上へ注ぎ、次いで40℃で動的真空下に乾燥させて均質なフィルムを得た。
【0378】
実施例9のグラフトされたPHAは、分光法及び分光分析法により完全に特徴解明され、予期される化学構造に従っている。全体で50%つまり5%の官能基へのグラフト。
【0379】
実施例10:4-tert-ブチルベンジルメルカプタン(TBM)で64%グラフトされた10%不飽和を含有するポリ(3-ヒドロキシオクタノエート-co-ウンデセノエート)(TBMでグラフトされた実施例1の化合物)
【化34】
100mgの実施例1の化合物と26mgの4-tert-ブチルベンジルメルカプタンとを撹拌しながら室温で5mLのジクロロメタンに溶解させた。5mgの2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(Irgacure 651)を混合物に添加した。次いで、媒体に、少なくとも10分間、365nm(基準)での100W UVランプ下で及び撹拌しながら照射した。
【0380】
次いで、反応媒体を、70/30v/vエタノール/水の50mL混合物から沈澱させた。粘着性のある白色の沈殿物を得た。このステップは、繰り返され得る。こうして得られた生成物を最小量の酢酸エチルに溶解させ、テフロン(登録商標)プレート上へ注ぎ、次いで40℃で動的真空下に乾燥させて均質なフィルムを得た。
【0381】
実施例10のグラフトされたPHAは、分光法及び分光分析法により完全に特徴解明され、予期される化学構造に従っている。全体で64%つまり6.4%の官能基へのグラフト。
【0382】
実施例11:チオ乳酸で100%グラフトされた10%不飽和を含有するポリ(3-ヒドロキシノナノエート-co-ウンデセノエート)
【化35】
0.1gの実施例1の化合物と15mgのチオ乳酸とを撹拌しながら室温で5mLのクロロホルムに溶解させた。5mgの2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(Irgacure 651)を混合物に添加した。次いで、媒体に、少なくとも10分間、365nm(基準)での100W UVランプ下で及び撹拌しながら照射した。
【0383】
次いで、反応媒体を、70/30v/vエタノール/水の50mL混合物から沈澱させた。粘着性のある白色の沈殿物を得た。このステップは、繰り返され得る。こうして得られた生成物を最小量の酢酸エチルに溶解させ、テフロン(登録商標)プレート上へ注ぎ、次いで40℃で動的真空下に乾燥させて均質なフィルムを得た。
【0384】
実施例11のグラフトされたPHAは、分光法及び分光分析法により完全に特徴解明され、予期される化学構造に従っている。100%へのグラフト。
【0385】
実施例12:オクタンチオールで100%グラフトされた5%不飽和を含有するポリ(3-ヒドロキシノナノエート-co-ウンデセノエート)
【化36】
実施例1’:n-ヘキシル基を表す側鎖Rとn-ヘキシル基を表すRとを有するPHAのコポリマーの調製
【化37】
実施例1の産生プロセスを、実施例1のオクタン酸炭素源をn-ノナン酸で置き換えて、実施例1’のそれにアレンジする。
【0386】
実施例1’のPHAコポリマーは、分光法及び分光分析法により完全に特徴解明され、5%の不飽和度で、予期される化学構造に従っている。
【0387】
1gの実施例1’のPHAコポリマーと150mgのオクタンチオールとを撹拌しながら室温で15mLの酢酸エチルに溶解させた。20mgの2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(Irgacure 651)を混合物に添加した。次いで、媒体に、少なくとも10分間、365nm(基準)での100W UVランプ下で及び撹拌しながら照射した。
【0388】
次いで、反応媒体を、70/30v/vエタノール/水の500mL混合物から沈澱させた。粘着性のある白色の沈殿物を得た。このステップは、繰り返され得る。こうして得られた生成物を最小量の酢酸エチルに溶解させ、テフロン(登録商標)プレート上へ注ぎ、次いで40℃で動的真空下に乾燥させて均質なフィルムを得た。
【0389】
実施例12のグラフトされたPHAは、分光法及び分光分析法により完全に特徴解明され、予期される化学構造に従っている。100%へのグラフト。
【0390】
実施例13:100%エポキシ化された5%不飽和を含有するポリ(3-ヒドロキシノナノエート-co-ウンデセノエート)
【化38】
20gの実施例1’のPHAコポリマーを80mLの無水ジクロロメタンに溶解させた。1.9gの77%m-CPBAの懸濁液を、20mLの無水ジクロロメタンで調製し、室温で少なくとも120時間、撹拌しながら混合物に添加した。
【0391】
次いで、反応媒体を、70/30v/vエタノール/水の500mL混合物から沈澱させた。粘着性のある白色の沈殿物を得た。このステップは、繰り返され得る。こうして得られた生成物を最小量の酢酸エチルに溶解させ、テフロン(登録商標)プレート上へ注ぎ、次いで40℃で動的真空下に乾燥させて均質なフィルムを得た。
【0392】
実施例13のPHAは、分光法及び分光分析法により完全に特徴解明され、予期される化学構造に従っている。100%へのエポキシ化。
【0393】
実施例14:100%エポキシ化された10%不飽和を含有するポリ(3-ヒドロキシノナノエート-co-ウンデセノエート)
10gの実施例1’のそれに同一の、しかし10%の不飽和度のPHAコポリマーを、40mLの無水ジクロロメタンに溶解させた。1.9gの77%m-CPBAの懸濁液を、10mLの無水ジクロロメタンで調製し、室温で少なくとも120時間、撹拌しながら混合物に添加した。
【0394】
次いで、反応媒体を、70/30v/vエタノール/水の500mL混合物から沈澱させた。粘着性のある白色の沈殿物を得た。このステップは、繰り返され得る。こうして得られた生成物を最小量の酢酸エチルに溶解させ、テフロン(登録商標)プレート上へ注ぎ、次いで40℃で動的真空下に乾燥させて均質なフィルムを得た。
【0395】
実施例14のPHAは、分光法及び分光分析法により完全に特徴解明され、予期される化学構造に従っている。100%へのエポキシ化。
【0396】
実施例15:100%エポキシ化された30%不飽和を含有するポリ(3-ヒドロキシノナノエート-co-ウンデセノエート)
10gの実施例1’のそれに同一の、しかし30%の不飽和度のPHAコポリマーを、40mLの無水ジクロロメタンに溶解させた。6.2gの77%m-CPBAの懸濁液を、10mLの無水ジクロロメタンで調製し、室温で少なくとも120時間、撹拌しながら混合物に添加した。
【0397】
次いで、反応媒体を、70/30v/vエタノール/水の250mL混合物から沈澱させた。粘着性のある白色の沈殿物を得た。このステップは、繰り返され得る。こうして得られた生成物を最小量の酢酸エチルに溶解させ、テフロン(登録商標)プレート上へ注ぎ、次いで40℃で動的真空下に乾燥させて均質なフィルムを得た。
【0398】
実施例15のPHAは、分光法及び分光分析法により完全に特徴解明され、予期される化学構造に従っている。100%へのエポキシ化。
【0399】
実施例16:4-tert-ブチルベンジルメルカプタン(TBM)で100%グラフトされた5%不飽和を含有するポリ(3-ヒドロキシノナノエート-co-ウンデセノエート)(TBMでグラフトされた実施例1’の化合物)
【化39】
2gの実施例1’のPHAコポリマーと300mgの4-tert-ブチルベンジルメルカプタンとを撹拌しながら室温で25mLの酢酸エチルに溶解させた。25mgの2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(Irgacure 651)を混合物に添加した。次いで、媒体に、少なくとも10分間、365nm(基準)での100W UVランプ下で及び撹拌しながら照射した。
【0400】
次いで、反応媒体を、70/30v/vエタノール/水の500mL混合物から沈澱させた。粘着性のある白色の沈殿物を得た。このステップは、繰り返され得る。こうして得られた生成物を最小量の酢酸エチルに溶解させ、テフロン(登録商標)プレート上へ注ぎ、次いで40℃で動的真空下に乾燥させて均質なフィルムを得た。
【0401】
実施例16のPHAは、分光法及び分光分析法により完全に特徴解明され、予期される化学構造に従っている。100%へのグラフト。
【0402】
実施例17:5%直鎖状の8-ブロモ-n-オクタノイル基を表す側鎖Rとn-ヘキシル基を表すRとを有するPHA
【化40】
実施例1の化合物の合成方法は、論文:Fed-batch production of unsaturated medium-chain-length polyhydroxyalkanoates with controlled composition by Pseudomonas putida KT2440,Z.Sun,J.A.Ramsay,M.Guay,B.A.Ramsay,Applied Microbiology Biotechnology,82,657-662,2009からアレンジする。
【0403】
使用される微生物は、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)KT2440 ATCC(登録商標)47054TMである。培養方法は、2.5Lの培養培地を含有する3Lのケモスタットにおいて速度μ=0.15h-1で炭素源の混合物を含有する維持溶液を使ってフェッドバッチ成長無菌条件下で行う。
【0404】
システムを、30%の飽和の溶存酸素(O)値に向けて0.5vvmの空気の流れで曝気する。pHを、それぞれ15%及び40%の最終質量のアンモニア及びグルコースからなる溶液で調整する。発酵培地の温度を30℃で調節する。
【0405】
フェッドバッチ成長発酵モードのためのアセンブリ:
発酵培地を、溶存酸素の温度-圧力及びpHの観点から調製する(示されていない)。
【0406】
図1を参照されたい。
【0407】
産生プロセスを、3つの異なる培養培地を使用して行う。CM1「植菌」と定義される、第1の培養培地を、前培養物の調製のために使用する。CM2「バッチ」と定義される、第2の培養培地を、フェルンバッハフラスコ中で一次炭素源と共に微生物のアンフェッドバッチ成長のために使用する。CM3「維持」と定義される、第3の培養培地を、微生物の成長に応じて較正される流量での興味ある炭素源と共に発酵のバッチフィーディング、又は維持フィーディングのために使用する。
【0408】
【表15】
【0409】
質量百分率としての、栄養ブロスの組成は、37.5%牛肉エキス及び62.5%ペプトンである。参照番号 233000 DIFCOTM
【0410】
【表16】
【0411】
250mLのフェルンバッハフラスコ中で2N NaOHで6.8に調整されたpHの100mLの「植菌」培養培地で1mLの菌株を含有するクライオチューブを懸濁させ、次いで、30℃、150rpmで24時間培養することにより、100mLの前培養物を調製する。前もって滅菌された3Lのケモスタット中に入れられた1.9LのCM2「バッチ」培養培地に、100mLの前培養物をOD=0.1で植菌する。30℃、850rpmで4時間後に、維持培地の導入を、方程式1により定められる流量を適用することにより行う。
【0412】
導入の終わりに、バイオマスを遠心分離により単離し、次いで水で3回洗浄する。バイオマスを凍結乾燥により乾燥させ、その後24時間酢酸エチルで抽出する。懸濁液をGF/Aフィルター(Whatman(登録商標))上での濾過により浄化する。酢酸エチル中に溶解したPHAからなる、濾液を蒸発により濃縮し、次いで一定の質量まで40℃で高真空下に乾燥させる。
【0413】
PHAは、例えば酢酸エチル/エタノール 70%メタノール系への一連の溶解及び沈澱により任意選択的に精製し得る。
【0414】
PHAは、分光法及び分光分析法により完全に特徴解明され、予期される化学構造:R=n-ヘキシル(71%)及びn-ブチル(24%)である95モル%の単位(B)並びにR=8-ブロモ-n-オクタニル(5.9%)及び6-ブロモ-n-ヘキシル(0.2%)である5モル%の単位(A)に従っている。
【0415】
評価
第1の段階において、フィルムをフィルムスプレッダー(スピード:50mm/s-シリンダー:100μm)を使ってコントラストカード上に調製する。フィルムを室温で24時間乾燥させる。いったん乾燥すると、フィルムは、約40μmの厚さを有する。
【0416】
イソドデカン又はイソドデカン/エタノール混合物に可溶性である実施例1~4のPHAコポリマーについては、乾燥フィルムに関する化粧品特性の評価を行った。
【0417】
第1の段階において、フィルムをフィルムスプレッダー(スピード:50mm/s-シリンダー:100μm)を使ってコントラストカード上に調製する。フィルムを室温で24時間乾燥させる。いったん乾燥すると、フィルムは、約40μmの厚さを有する。
【0418】
3つの評価:耐脂肪性、光沢及び粘着性を乾燥フィルムに関して行う。
【0419】
耐脂肪性の測定
3滴のオリーブ油若しくは皮脂又は水を、コントラストカードの黒色部分上に存在する乾燥フィルム上に置く。各滴は、約10μLのオリーブ油に相当する(マイクロピペットの使用)。
【0420】
滴を、2つの時間:5分及び30分乾燥フィルムと接触したままにする。時間が経過するとすぐに、オリーブ油若しくは皮脂又は水の滴を拭き取り、ポリマーフィルムの劣化の観察を行う。フィルムがオリーブ油若しくは皮脂又は水の滴により損傷した場合、ポリマーフィルムは、耐オリーブ油性又は耐皮脂性がないと見なす。
【0421】
耐水性、耐油性及び耐皮脂性についてのイソドデカン及びイソドデカン/エタノールにただ単に可溶性であるポリマーの評価:
【0422】
【表17】
【0423】
本発明のPHAコポリマーは、特に耐水性、耐オリーブ油性及び耐皮脂性がある、乾燥した、均質なフィルムを得ることを可能にすることが分かる。
【0424】
光沢の測定
コントラストカードの黒色部分上での光沢計を使った光沢の測定。光沢は、20°の角度(最も優れた識別力を持つ角度)で読み取る。
【0425】
イソドデカン及びイソドデカン/エタノールにもっぱら可溶性であるポリマーに関する光沢の評価:
【0426】
【表18】
【0427】
タックは、乾燥フィルムに指で触ることにより感覚的及び定性的なやり方で評価した。
【0428】
試験された実施例13が粘着性の感触を持たないことが分かる。
耐水性/耐油性及び耐接着テープ性の大きさも評価することができる。
イソドデカン又はイソドデカン/エタノールに溶解されたポリマーと顔料との3500rpmで2分間の混合 評価はBioSkinで行う。第1の段階において、各配合物のフィルムをフィルムスプレッダーによってBioSkinサンプル上に堆積させる。湿潤フィルムの厚さは100μmである。フィルムを室温で24時間乾燥させる。フィルムが乾燥するとすぐに、試験を行い得る。
【0429】
耐オリーブ油/皮脂性
0.5mLのオリーブ油又は皮脂を、配合物のフィルムに塗布する。5分後に、オリーブ油又は皮脂を、脱脂綿で15回拭うことにより除去する。オリーブ油又は皮脂との接触後のフィルムの劣化をこうして調べる(図2を参照されたい)。
【0430】
耐接着テープ性
(Scotch(登録商標)型の)接着テープのストリップを、配合物のフィルムに適用する。ある質量を30秒間前記テープのストリップに加える。次いで、接着テープを取り除き、結果を観察するためにスライドホルダーで監視する。支持体へのフィルムの付着をこうして評価する(図2を参照されたい)。
【0431】
実施例18:5%(PHNUn5)を持った及び2-(トリメチルシリル)エタンチオールで100%グラフトされたポリ(3-ヒドロキシノナノエート-co-ウンデセノエート)(PHNUn5-g-TMS)
【化41】
5%で不飽和の直鎖状の側鎖R=Cアルケニル基及びRn-ヘキシルを持った中間体mcl-PHA(PHNUn5)を合成するために、本方法は、実施例11に開示されたものと同一である。
【0432】
ポリ(3-ヒドロキシノナノエート-co-ウンデセノエート)を、5%不飽和で、2-(トリメチルシリル)エタンチオールで官能化する(2-(トリメチルシリル)エタンチオールでグラフトされたPHNUn5)
1gの(PHNUn5)と300mgの2-(トリメチルシリル)エタンチオール(TMS)とを撹拌しながら室温で10mLの酢酸エチルに溶解させる。次いで、20mgの2,2-ジメトキシ2-フェニルアセトフェノン(IRGACURE 651)を混合物に添加する。次いで、媒体に、少なくとも10分間、365nm(基準)での100W UVランプ下で及び撹拌しながら照射する。
【0433】
次いで、反応媒体を、70/30v/vエタノール/水の100mL混合物から沈澱させる。粘着性のある白色の沈殿物を得る。後者のステップは、必要ならば繰り返す。こうして得られた生成物を最小量の酢酸エチルに溶解させ、テフロン(登録商標)プレート上へ注ぎ、次いで40℃で動的真空下に乾燥させて均質なフィルムを得る。
【0434】
2-(トリメチルシリル)エタンチオールでグラフトされたPHAは、分光法及び分光分析法により完全に特徴解明され、予期される化学構造に従っており、100%グラフトされていた。
【0435】
実施例19:チオ乳酸で100%グラフトされた1%不飽和を持ったポリ(3-ヒドロキシノナノエート-co-ウンデセノエート)(TLAでグラフトされたPHNUn1)
【化42】
【0436】
直鎖状の側鎖R=Cアルケニル及びR=n-ヘキシル並びに1%で不飽和を持ったmcl-PHA(PHNUn1)の調製
【化43】
PHNUn1を得るための方法は、論文:Applied Microbiololy Biotechnology,Z.Sun,et al.,82,657-662.(2009)からアレンジする。
【0437】
使用される微生物は、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)KT2440 ATCC(登録商標)47054TMである。培養モードは、2.5Lの培養培地を含有する3Lのケモスタットにおいてμ=0.15h-1の速度で炭素源の混合物を含有する維持溶液をフィードする不連続成長で無菌条件下に実施する。維持フィードポンプの流量は、方程式1に従って微生物の成長に比例する。
【数1】
【0438】
産生プロセスは、3種の別個の培養培地を使用して実施する。MC1「植菌」と定義される第1の培養培地を、前培養物の調製のために使用する。CM2「バッチ」と定義される、第2の培養培地を、フェルンバッハフラスコ中で一次炭素源と共に微生物のノン-フェッド不連続成長のために使用する。CM3「維持」と定義される、第3の培養培地を、微生物の成長に応じて較正される速度での興味ある炭素源と共に発酵の、バッチフィーディング、又は維持のために使用する。
3種の培地の1リットル当たりのグラム単位での組成を表10に記載する:
【0439】
【表19】
【0440】
前培養及び維持のための培養培地の1リットル当たりのグラム単位での組成。
【0441】
質量百分率での栄養ブロスの組成は、37.5%牛肉エキス及び62.5%ペプトンである。参照番号233000 DIFCOTM1リットル当たりのグラム単位での微量元素の溶液の組成を表7に記載する。
【0442】
250mLのフェルンバッハフラスコ中で2N NaOHで6.8に調整されたpHの100mLの「植菌」培養培地で1mLの菌株を含有するクライオチューブを懸濁させ、次いで、30℃、150rpmで24時間培養することにより、100mLの前培養物を調製する。前もって滅菌された3Lのケモスタット中に入れられた1.9Lの「バッチ」CM2培養培地に、100mLの前培養物をOD=0.1で植菌する。30℃、850rpmで4時間後に、維持培地の導入を、方程式1により定められる流量を適用することにより行う。
【0443】
導入の終わりに、バイオマスを遠心分離により単離し、次いで水で3回洗浄する。バイオマスを凍結乾燥により乾燥させ、その後24時間酢酸エチルで抽出する。懸濁液をGF/Aフィルター(Whatman(登録商標))を通しての濾過により浄化し、酢酸エチルに溶解したPHAからなる、濾液を蒸発により濃縮し、次いで一定の質量まで40℃で高真空下に乾燥させる。PHAは、可溶化及び酢酸エチル/エタノール 70%メタノールなどの一連の沈澱により任意選択的に精製することができる。
【0444】
次いで、1gの(PHNUn1)と40mgのチオ乳酸とを撹拌しながら室温で10mLの酢酸エチルに溶解させる。10mgの2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(IRGACURE 651)を混合物に添加する。次いで、媒体に、少なくとも10分間、365nm(基準)での100W UVランプ下で及び撹拌しながら照射する。次いで、反応媒体を、70/30v/vエタノール/水の100mL混合物から沈澱させる。粘着性のある白色の沈殿物を得た。このステップは繰り返すことができる。こうして得られた生成物を最小量の酢酸エチルに溶解させ、テフロン(登録商標)プレート上へ注ぎ、次いで40℃で動的真空下に乾燥させて均質なフィルムを得る。
【0445】
チオ乳酸でグラフトされた実施例19のPHAは、分光分析法により特徴解明され、不飽和に特有のシグナルは完全に消失していることを示す。100%グラフト。
【0446】
実施例20:ダンシルカダベリンでグラフトされたチオ乳酸で1%グラフトされたポリ(3-ヒドロキシノナノエート-co-ウンデセノエート)(PHNUn1-g-TLA-g-ダンシルカダベリン)
【化44】
1gの先行実施例19と、12mgのO-(1H-6-クロロベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HCTU)と、10mgの4-メチルモルホリン(NMM)と12mgのダンシルカダベリンとを24時間撹拌しながら室温で10mLのクロロホルムに溶解させる。
【0447】
次いで、反応媒体を、70/30v/vエタノール/水の100mL混合物から沈澱させる。粘着性のある、わずかに黄色無色の沈殿物を得る。このステップは、必要ならば繰り返される。こうして得られた生成物を最小量の酢酸エチルに溶解させ、テフロン(登録商標)プレート上へ注ぎ、次いで40℃で動的真空下に乾燥させて均質なフィルムを得る。
【0448】
PHAは、分光法及び分光分析法により完全に特徴解明され、予期される化学構造に従っている。
【0449】
耐水性、耐油性及び耐皮脂性についてのイソドデカン及びイソドデカン/エタノールにただ単に可溶性であるポリマーの評価
【0450】
【表20】
【0451】
本発明のPHAコポリマーは、特に耐水性、耐オリーブ油性及び耐皮脂性がある、乾燥した、均質なフィルムを得ることを可能にすることが分かる。
【0452】
さらに、実施例20のPHAを、UVランプ下での耐水性、及び耐皮脂性について評価する。後者の実験は、実施例20のフィルムの強い及び持続する蛍光を示す。
図1
図2
【国際調査報告】