(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-21
(54)【発明の名称】標的産物を養殖するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/00 20120101AFI20230614BHJP
A01K 61/00 20170101ALN20230614BHJP
【FI】
G06Q50/00
A01K61/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022568721
(86)(22)【出願日】2021-05-11
(85)【翻訳文提出日】2022-12-26
(86)【国際出願番号】 US2021031833
(87)【国際公開番号】W WO2021231471
(87)【国際公開日】2021-11-18
(32)【優先日】2020-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522440027
【氏名又は名称】ランニング タイド テクノロジーズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】オドリン,マシュー ジョーダン
(72)【発明者】
【氏名】マーティン-フィリッピ,マルゴー
(72)【発明者】
【氏名】トンプソン,アンドリュー クライド
(72)【発明者】
【氏名】メリル,ナサニエル
(72)【発明者】
【氏名】チャルフィン,マックス
(72)【発明者】
【氏名】ドノバン,フィニアン クラドック
【テーマコード(参考)】
2B104
5L049
【Fターム(参考)】
2B104CG07
2B104FA18
5L049CC60
(57)【要約】
気候に焦点を当てた海洋標的産物を養殖又は蓄積するためのシステム及び方法が本明細書中で説明される。その標的産物は、バイオレメディエーション、最終養殖又は二酸化炭素の隔離という目的のための、微細藻類、大型海藻、プランクトン、海洋細菌もしくは海洋古細菌、濾過摂食者(例えば、カキ又はハマグリ)又は甲殻類であり得るか、あるいはその標的産物は、炭素又は炭素含有生物の直接的な化学的蓄積又は生物学的蓄積であり得る。このシステムは、主に、水柱の領域及び標的産物の集団を最もよく蓄積する水中の空間領域に標的産物を保持するように設計された浮遊装置である。いくつかの実施形態において、このシステムは、深海への最終的な受動的沈降(浮遊装置から沈降装置への変換)を達成するように設計されている。いくつかの実施形態において、このシステムには、システム上で生じる様々な生物学的及び機械的プロセスを計測及び定量化するために、目的に応じて選択されたセンサが備え付けられている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置に標的産物種を種付けする工程、
前記標的産物を成長させ、集団を蓄積させる工程、
前記標的産物が、少なくとも所定の量の集団を蓄積した後、前記標的産物を海底に沈ませる工程、及び
前記標的産物の沈降によって隔離された炭素量を測定する工程
を含む、方法。
【請求項2】
前記装置を海洋に設置する工程
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記標的産物を所定の深さより下に沈ませる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記所定の深さが、炭素の永続的な隔離にとって十分である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記所定の深さが、少なくとも約1000メートルである、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記標的産物を撮像して、前記集団に関連する炭素量を測定する工程
をさらに含む、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記標的産物によって隔離された炭素量に関連する炭素クレジットを販売する工程
をさらに含む、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
標的産物を養殖するための装置であって、前記装置は、
前記装置に浮力を提供するように構成された第1の部材、及び
前記第1の部材に連結された第2の部材であって、標的産物種が種付けされている、第2の部材
を備え、
前記第1の部材は、所定の時間が経過した後、浮力を失うことにより、前記標的産物が海底に沈むことが可能になるように構成されている、
装置。
【請求項9】
前記第1の部材が、多孔性である、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記第1の部材が、実質的に中空である、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記第1の部材が、ブイである、請求項8から10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記第1の部材が、所定の時間が経過した後、分解するように構成されている、請求項8から11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記第1の部材が、気体を含む内部体積を規定する、請求項8から12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
前記第1の部材が、所定の時間が経過した後、前記気体を放出するように構成された機械式タイマーを備える、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記第1の部材が、所定の時間が経過した後、前記気体を放出するように構成された生物学的タイマーを備える、請求項13に記載の装置。
【請求項16】
前記第1の部材が、第1の分解速度で分解する材料で作られた第1の部分、及び前記第1の分解速度とは異なる第2の分解速度で分解する材料で作られた第2の部分を含む、請求項8から15のいずれか1項に記載の装置。
【請求項17】
前記第1の部材が、前記第1の部材のほかの部分よりも速い速度で分解する工学的欠陥を含む、請求項8から16のいずれか1項に記載の装置。
【請求項18】
前記工学的欠陥が、薄肉化された壁部分である、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記第2の部材が、繊維性材料を含む、請求項8から18のいずれか1項に記載の装置。
【請求項20】
前記第2の部材が、糸である、請求項8から19のいずれか1項に記載の装置。
【請求項21】
前記第2の部材が、前記第1の部材に直接連結されている、請求項8から20のいずれか1項に記載の装置。
【請求項22】
前記標的産物の成長に関係する特徴を検知するように構成された検知モジュール
をさらに備える、請求項8から21のいずれか1項に記載の装置。
【請求項23】
前記特徴が、水温、放射度、溶存酸素濃度、栄養分濃度、溶存炭素濃度及び/又は塩分濃度を含む、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記検知モジュールが、深度センサを備える、請求項22又は23に記載の装置。
【請求項25】
前記検知モジュールが、カメラを備える、請求項22から24のいずれか1項に記載の装置。
【請求項26】
前記カメラが、光合成有効放射センサを備える、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
信号を受信し、外部デバイスに送信するように構成された通信モジュール
をさらに備える、請求項8から26のいずれか1項に記載の装置。
【請求項28】
前記通信モジュールが、前記標的産物の成長に関係する特徴を読み取るように構成されている、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記通信モジュールが、前記養殖装置又は前記標的産物の特徴を代表する信号を外部デバイスに送信するように構成されている、請求項27又は28に記載の装置。
【請求項30】
前記通信モジュールが、前記検知モジュールの前記養殖装置を制御するように動作可能な信号を外部デバイスから受信するように構成されている、請求項27から29のいずれか1項に記載の装置。
【請求項31】
前記通信モジュールが、追跡デバイスを備える、請求項27から30のいずれか1項に記載の装置。
【請求項32】
標的産物を養殖するための装置であって、前記装置は、
前記装置に浮力を提供するように構成された第1の部材、
前記第1の部材に連結された第2の部材であって、標的産物種が種付けされている、第2の部材、及び
所定の時間が経過した後、分解することにより、前記標的産物が海底に沈むことが可能になるように構成されている、解放部品
を備える、装置。
【請求項33】
前記解放部品が、前記第1の部材を前記第2の部材に連結し、前記解放部品の分解により、前記第1の部材が前記第2の部材から切り離される、請求項32に記載の装置。
【請求項34】
前記解放部品が、前記第1の部材に連結されており、前記解放部品の分解により、前記第1の部材が浮力を失うことが可能になる、請求項32に記載の装置。
【請求項35】
前記解放部品が、予測可能な速度で分解する材料から作られている、請求項32から34のいずれか1項に記載の装置。
【請求項36】
前記解放部品が、亜鉛を含む、請求項35に記載の装置。
【請求項37】
前記解放部品が、第1の部分及び第2の部分を含み、前記第1の部分は、第1の分解速度で分解する材料を含み、前記第2の部分は、第2の分解速度で分解する材料を含み、前記第2の分解速度は、前記第1の分解速度より速い、請求項32から36のいずれか1項に記載の装置。
【請求項38】
前記第2の部分が、アルカリ金属を含む、請求項37に記載の装置。
【請求項39】
前記解放部品が、堆肥化可能なポリマーを含む、請求項32から38のいずれか1項に記載の装置。
【請求項40】
前記解放部品が、セルロースベースの材料を含む、請求項32から39のいずれか1項に記載の装置。
【請求項41】
前記解放部品が、開口部を規定するハウジングを備え、前記第2の部材が、前記開口部を介して前記解放部品に連結されている、請求項32から40のいずれか1項に記載の装置。
【請求項42】
前記ハウジングが、分解性材料を包んでいる、請求項41に記載の装置。
【請求項43】
標的産物を養殖するための装置であって、前記装置は、
ある期間にわたって前記装置に浮力を提供するように構成された第1の部材、及び
前記第1の部材に連結された第2の部材であって、標的産物種が種付けされている、第2の部材
を備え、
前記第1の部材は、前記期間が経過した後、前記標的産物の成長及び集団の蓄積に応じて少なくとも部分的に沈むように構成されている、
装置。
【請求項44】
前記第1の部材が、前記期間が経過した後、分解し、浮力を失うように構成されている、請求項43に記載の装置。
【請求項45】
前記第1の部材が、沈降による圧力上昇に応じて破裂するように構成されている、請求項43に記載の装置。
【請求項46】
標的産物を養殖するための装置であって、前記装置は、
第1の標的産物種が種付けされた第1の部材であって、前記第1の標的産物種は、成熟すると正の浮力を示すようになる、第1の部材、
第2の標的産物種が種付けされた第2の部材であって、前記第2の標的産物種は、成熟すると負の浮力を示すようになる、第2の部材、及び
前記第1の部材を前記第2の部材に連結する中間部材であって、前記中間部材は、分解し、前記第1の部材を前記第2の部材から切り離すように構成されている、中間部材
を備える、装置。
【請求項47】
前記中間部材が、所定の期間をかけて分解するように構成されている、請求項46に記載の装置。
【請求項48】
前記中間部材が、所定の環境条件下において分解するように構成されている、請求項46又は47に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
[0001] 本願は、2020年5月11日に出願された「Systems and Methods for the Cultivation of Macroalgae(大型藻類の培養システム及び培養方法)」と題する米国仮特許出願第63/022,765号の利益を主張する。この仮特許の開示は、その全体が参照により本明細書中に援用される。
【0002】
[0002] 本願は、2020年9月15日に出願された「Systems and Methods for the Cultivation of Macroalgae(大型藻類の培養システム及び培養方法)」と題する米国仮特許出願第63/078,690号の利益も主張する。この仮特許の開示は、その全体が参照により本明細書中に援用される。
【背景技術】
【0003】
[0003] 近年、海産物の養殖及びそれに伴う海洋からのいわゆる「ブルーカーボン」の分離に大きな関心が集まっている。微細藻類、大型海藻、甲殻類及び濾過摂食者は、食品又は飼料のために、食品加工添加物、包装材料、肥料として、及びバイオ燃料、化粧品、医薬品、バイオレメディエーション、炭素捕捉などの原材料として、使用することができる。これらを総合すると、それらは今後の有望な資源と考えられる。この海産物の養殖又は蓄積には多くの利点がある。陸上での植物栽培に比べて、これらの海産物の養殖は、生産性が高い。その上、不足している農地又は淡水を必要とせず、海洋での養殖では、栄養分の追加も必要ない。さらに、海洋種を標的にした養殖は、海洋生物多様性の保護もしくは拡大、及び/又は人為的起源の温室効果ガス排出(例えば、二酸化炭素など)の悪影響の軽減に大きく貢献することができる。しかしながら、一部の養殖方法は、労働集約的、非効率的且つ/又は高コストであり得る。したがって、これらの海洋種を養殖又は蓄積するため、並びに海洋から二酸化炭素を捕捉するための改善されたシステム及び方法が必要である。
【発明の概要】
【0004】
[0004] 標的産物を養殖又は蓄積するためのシステム及び方法が本明細書中で説明され、それらは、バイオレメディエーション、最終養殖もしくは二酸化炭素の隔離という目的のための、又は炭素もしくは炭素含有生物の直接的な化学的蓄積もしくは生物学的蓄積のための、微細藻類、大型海藻、プランクトン、海洋細菌、古細菌、濾過摂食者(例えば、カキ又はハマグリ)又は甲殻類をはじめとした多種多様の種を包含する。このシステムは、主に、水柱の領域及び標的産物の集団を最もよく蓄積する水中の空間領域に標的産物を保持するように設計された浮遊装置である。
【0005】
[0005] いくつかの実施形態において、ある方法は、装置に標的産物種を種付けする工程、その標的産物を成長させ、集団(mass)を蓄積させる工程、その標的産物が少なくとも所定の量の集団を蓄積した後、その標的産物を海底に沈ませる工程、及び標的産物の沈降によって隔離された炭素量を測定する工程を含む。
【0006】
[0006] いくつかの実施形態において、システムは、装置に浮力を提供するように構成された第1の部材、及び第1の部材に連結された、標的産物種を養殖又は蓄積する第2の部材を有する、標的産物を養殖又は蓄積するための装置を備え、第1の部材は、所定の時間が経過した後、浮力を失うことにより、標的産物が海底に沈むことが可能になるように構成されている。
【0007】
[0007] いくつかの実施形態において、システムは、標的産物を養殖又は蓄積するための装置を備え、その装置は、その装置に浮力を提供するように構成された第1の部材、第1の部材に連結された、標的産物種を養殖又は蓄積する第2の部材、及び所定の時間が経過した後、分解することにより、標的産物が海底に沈むことが可能になるように構成された解放部品を有する。
【0008】
[0008] いくつかの実施形態において、システムは、標的産物を養殖又は蓄積するための装置を備え、その装置は、ある期間にわたってその装置に浮力を提供するように構成された第1の部材、及び第1の部材に連結された、標的産物種を養殖又は蓄積する第2の部材を有し、第1の部材は、その期間が経過した後、標的産物の成長及び集団の蓄積に応じて少なくとも部分的に沈むように構成されている。
【0009】
[0009] いくつかの実施形態において、システムは、標的産物を養殖又は蓄積するための装置を備え、その装置は、第1の標的産物種が成熟すると正の浮力を示すようになる第1の標的産物種を養殖又は蓄積するための第1の部材、成熟すると負の浮力を示すようになる第2の標的産物種を養殖又は蓄積するための第2の部材、及び分解して第1の部材を第2の部材から切り離すように構成された中間部材を有する。
【0010】
[0010] いくつかの実施形態において、ある方法は、装置に大型海藻種を種付けする工程、その大型海藻を成長させ、バイオマスを蓄積させる工程、その大型海藻が、少なくとも所定の量のバイオマスを蓄積した後、その大型海藻を海底に沈ませる工程、及び大型海藻の沈降によって隔離された炭素量を測定する工程を含む。
【0011】
[0011] いくつかの実施形態において、システムは、大型海藻を養殖するための装置を備え、その装置は、その装置に浮力を提供するように構成された第1の部材、及び第1の部材に連結された、大型海藻種が種付けされた第2の部材を有し、第1の部材は、所定の時間が経過した後、浮力を失うことにより、大型海藻が海底に沈むことが可能になるように構成されている。
【0012】
[0012] いくつかの実施形態において、システムは、大型海藻を養殖するための装置を備え、その装置は、その装置に浮力を提供するように構成された第1の部材、第1の部材に連結された、大型海藻種が種付けされた第2の部材、及び所定の時間が経過した後、分解することにより、大型海藻が海底に沈むことが可能になるように構成された解放部品を有する。
【0013】
[0013] いくつかの実施形態において、システムは、大型海藻を養殖するための装置を備え、その装置は、ある期間にわたってその装置に浮力を提供するように構成された第1の部材、及び第1の部材に連結された、大型海藻種が種付けされた第2の部材を有し、第1の部材は、その期間が経過した後、大型海藻の成長及びバイオマスの蓄積に応じて少なくとも部分的に沈むように構成されている。
【0014】
[0014] いくつかの実施形態において、システムは、大型海藻を養殖するための装置を備え、その装置は、成熟すると正の浮力を示すようになる、第1の大型海藻種が種付けされた第1の部材、成熟すると負の浮力を示すようになる、第2の大型海藻種が種付けされた第2の部材、及び分解して第1の部材を第2の部材から切り離すように構成された中間部材を有する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】[0015] 一実施形態に係る、対象製品の模式図である。
【
図2】[0016] 一実施形態に係る、対象製品の模式図である。
【
図3】[0017] 一実施形態に係る、対象製品の模式図である。
【
図4】[0018] 一実施形態に係る、対象製品の模式図である。
【
図5A】[0019] 一実施形態に係る、第1の部材及び対象製品の解放部品の正面図を示している。
【
図5B】[0020]
図5Aに示されている対象製品の解放部品の詳細な正面図を示している
【
図5C】[0020]
図5Aに示されている対象製品の解放部品の詳細な斜視図を示している。
【
図6A】[0021] 一実施形態に係る、第1の部材及び対象製品の連結機構の斜視図を示している。
【
図6B】[0021] 一実施形態に係る、第1の部材及び対象製品の連結機構の正面図を示している。
【
図7】[0022] 一実施形態に係る、対象製品の検知モジュールの模式図である。
【
図8】[0023] 一実施形態に係る、対象製品の検知モジュールの模式図である。
【
図9】[0024] 一実施形態に係る、対象製品の検知モジュールの模式図である。
【
図10A】[0025] 一実施形態に係る、対象製品の検知モジュールの正面図を示している。
【
図10B】[0025] 一実施形態に係る、対象製品の検知モジュールの斜視図を示している。
【
図11A】[0026] 一実施形態に係る、対象製品の斜視図である。
【
図11B】[0026] 一実施形態に係る、対象製品の斜視図である。
【
図12A】[0027] 一実施形態に係る、対象製品のライフサイクルの模式図である。
【
図12B】[0027] 一実施形態に係る、対象製品のライフサイクルの模式図である。
【
図12C】[0027] 一実施形態に係る、対象製品のライフサイクルの模式図である。
【
図12D】[0027] 一実施形態に係る、対象製品のライフサイクルの模式図である。
【
図13】[0028] 一実施形態に係る、対象製品の模式図である。
【
図14】[0029] 一実施形態に係る、ある量の二酸化炭素を隔離するために対象製品を運用する方法例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[0030] 有害な人為的起源の温室効果ガスの排出を抑制するには、大気的に意味あるものにするために数ギガトン規模の炭素隔離技術の開発が必要である。多くの標的産物(例えば、大型海藻)は、その野生成長が現在、海底への自然発生的な炭素隔離に寄与しているので、炭素隔離経路として有望である。標的産物の養殖は、これらの自然発生的な現象と比べて養殖生産性及び沈降/隔離速度が高いことに起因して、この隔離速度を大幅に向上させる可能性がある。さらに、この技術は、世界的な炭素クレジット市場の価格が上昇し続けるにつれて、ますます望ましいものになり得る。例えば、いくつかの実施態様では、標的産物の単位当たりで隔離できる炭素の量を計算し、標的産物の単位が炭素を隔離する能力の計算値と結びつけられたクレジット、及び/又は他の方法でその計算値と関連付けられたクレジットとして、炭素クレジット市場(又は他の適切な市場)において販売することができる。
【0017】
[0031] 標的産物を生育する及び/又は養殖もしくは蓄積するためのいくつかの既知の方法には、延縄を使用するものがあるが、延縄は、仕掛けた後に手入れをし、成長期間が終了した後に回収する必要があるため、法外に高い人件費がかかる。そのため、延縄を必要としないがゆえに仕掛けた後の手入れがほとんど又は全く不要で、隔離作業のみ、回収作業のみ、及び/又は隔離と回収の両方に使用でき、大規模な炭素捕捉のための製造及び運用の観点から非常に拡張性の高い解決策となる可能性をもたらす、標的産物の養殖システム及び養殖方法に対するニーズが存在する。
【0018】
[0032] 標的産物を養殖又は蓄積するためのシステム及び方法が本明細書中で説明され、それらは、バイオレメディエーション、最終養殖もしくは二酸化炭素の隔離という目的のための、又は炭素もしくは炭素含有生物の直接的な化学的蓄積もしくは生物学的蓄積のための、微細藻類、大型海藻、プランクトン、海洋細菌、古細菌、濾過摂食者(例えば、カキ又はハマグリ)又は甲殻類をはじめとした多種多様の種を包含する。このシステムは、主に、水柱の領域及び標的産物の集団を最もよく蓄積する水中の空間領域に標的産物を保持するように設計された浮遊装置である。
【0019】
[0033] 標的産物を養殖又は蓄積するためのシステム及び方法が、本明細書中で説明される。いくつかの実施形態において、そのシステムは、標的産物を養殖又は蓄積するための装置を備え、その装置は、その装置の様々な部品に浮力を提供するように構成された第1の部材(「ブイ」とも称される)、1つ以上の標的産物種を養殖又は蓄積するように構成された第2の部材、及び必要に応じて、分解して第1の部材を第2の部材から分離する、外す、解放する及び/又は切り離すように構成された解放部品を有する。いくつかの実施形態において、その装置は、必要に応じて、その装置に機械的及び/又は電子的に連結された検知モジュール及び通信モジュールを備えることができる。検知モジュールは、装置上に配置された標的産物の成長に関連する1つ以上の特徴を検知、検出、計測及び/又は定量化するように構成され得る。通信モジュールは、標的産物の成長に関連する1つ以上の特徴を読み取り、標的産物の成長の特徴を代表する信号を解析のために1つ以上の外部デバイスに送信するように構成され得る。いくつかの実施形態において、通信モジュールは、解放部品及び/又は検知モジュールを制御するために動作可能な1つ以上の信号を外部デバイスから受信することができる。
【0020】
[0034] いくつかの実施形態において、システムは、海流に自由に浮くことがある。他では、システムは、錨又は船舶に係留又は繋留され得る。システムは、最終的に再捕捉又は回収するように設計され得る。システムは、そのシステムの運動特性(例えば、位置、深度又は加速度)、システムの機械的特性(例えば、浮力又は歪み)、又は標的産物の蓄積を(例えば、イメージング、ソーナー又は代理測定を介して)計測するように設計されたデバイス、電子機器又はゲージを装着している場合がある。そのような実施形態では、システムには、遠隔測定を目的とするハードウェア及びソフトウェアも備え付けられている場合がある。
【0021】
[0035] いくつかの実施形態において、システムは、正の浮力から負の浮力に切り替わって、浮遊装置から沈降装置へ変換するように設計され得る。この変換は、受動的に、且つ調整可能な時間が経過した後に(例えば、特定の欠陥の導入、発展中の化学プロセスなどによって)生じることがある。沈降の際、システムは、水柱、特に海洋の水温躍層を通って、炭素の不連続、急速又は定量可能な動きを実現するように設計され得る。いくつかの実施形態において、システムは、深部に恒久的に存在するように設計され得る。他では、システムは、そのような深度まで沈み、その後、再浮上するように設計される場合もある(例えば、圧力解放浮揚のメカニズムによって、及び/又は沈降時に達成された最大深度及び深部でのシステムの進展を観察する目的で)。
【0022】
[0036] いくつかの実施形態において、ある方法は、標的産物を「養殖」するための装置を設計する工程を含む。その装置には、標的産物種(例えば、大型海藻)の配偶体又は胞子が種付けされている場合があり、その後、標的産物を成長させて集団を蓄積させる。その装置は、標的産物による取り込みのために設計された栄養分ペイロードでさらに強化されてもよい。そのような栄養分ペイロードは、すでに活性であってもよいし、水で活性化されるものであってもよい(例えば、酸化して、装置周辺の水に酸化鉄を放出する、鋼成分の含有)。その装置は、標的産物にとっての共生種(cospecies)でさらに強化されてもよく、その共生種には、1つ以上の微生物共生種、及び代謝的に窒素を固定するものが含まれ、それらの存在は、標的種の健康状態、機能又は集団の蓄積を改善することを目的としている。
【0023】
[0037] いくつかの実施形態において、ある方法は、装置の周りの周囲水から標的産物を「蓄積」する装置を設計する工程を含む。その標的産物は、生化学的手段(例えば、特別に選択された光及び又はフェロモンを用いるもの)によって装置にひき寄せられる有機物(例えば、微細藻類、植物プランクトン又は細菌)であり得る。標的産物は、物理的手段又は化学的手段(例えば、pH勾配、海洋風化又は電気化学を介したもの)によって装置上に蓄積する溶存有機炭素又は溶存無機炭素の化学種であり得る。
【0024】
[0038] いくつかの実施形態において、ある方法は、標的産物種を養殖又は蓄積するための装置を設計する工程、標的産物を成長させる及び/又は集団を蓄積させる工程、標的産物が少なくとも所定の量の集団を蓄積した後、又は所定の長さの時間が経過した後、標的産物を海底に沈ませる工程、並びに標的産物の沈降によって隔離された炭素量を測定する工程を含む。
【0025】
[0039] いくつかの実施形態において、システムは、装置の寿命にわたって1つ以上の機能(養殖、蓄積、浮遊、沈降)を果たすたった1つの部材からなる、標的産物を養殖又は蓄積するための装置を備える(例えば、浮遊物への標的産物の直接の種付け)。他の実施形態において、システムは、機能が特化されていることがある複数の部材であって、互いに対する機械的関係が装置の寿命にわたって変化するように設計されていることがある複数の部材を備え得る。
【0026】
[0040] いくつかの実施形態において、システムは、それがなければ中性浮力又は正の浮力を示すシステムに負の浮力を提供するように設計された部材を備える。これらの部材は、固体の重り(例えば、金属又はセラミックの部品)であってもよいし、海水から質量を動的に蓄積する部品(例えば、犠牲陽極)であってもよい。
【0027】
[0041] いくつかの実施形態において、システムは、所定の期間が経過した後、受動的に浮力を失うように設計された部材を備える。この浮力の喪失は、一時的な「栓」を介して生じることがあり、これがなくなると部材は水で満たされ、沈む。その栓の寿命は、機械的又は電子的な仕様によって較正されることがあり、電気化学的腐食、生分解、紫外線による分解を通じて全うし得るか、又はその栓は、折りたたみ可能であってもよいし、放出のために機械式又は電気式タイマーを装備していてもよい。
【0028】
[0042] 装置が栄養分又は成長促進剤のペイロードを備えるいくつかの実施形態において、そのようなペイロードは、放出期間を延長する生分解性又は機械式の台を用いて、ゆっくり又は断続的に放出するように設計され得る。
【0029】
[0043] 装置が他の海洋生物の生息地に存在する場合があるいくつかの実施形態において、システムは、他の動物相との相互作用を軽減する機能を有する部材を備え得る。例えば、システムは、クジラ及び他の種が巻き込まれないように又はそれらの邪魔をしないように、これらの生態系のメンバーに装置の存在を知らせるための色付きのバンドを備え得る。
【0030】
[0044] 本明細書中で説明されるシステム及び方法は、海洋、湖沼、河川及び/又は他の任意の好適な水域で使用することができる。いくつかの実施形態において、システムは、標的産物種を蓄積又は養殖するように構成された少なくとも1つの装置を備え、その装置は、その標的産物種が成熟すると正又は負の浮力を示すようになり、回収及び/又は隔離することができる装置である。
【0031】
[0045] 次に図面を参照すると、
図1は、一実施形態に係る、標的産物の養殖装置100の模式図である。本明細書中で説明されるように、標的産物は、バイオレメディエーション、最終養殖又は二酸化炭素の隔離という目的のための、微細藻類、大型海藻、プランクトン、海洋細菌、古細菌、濾過摂食者(例えば、カキ又はハマグリ)又は甲殻類をはじめとした多種多様な種を含む及び/又は包含する。標的産物の養殖装置100(本明細書中で「養殖装置」又は「装置」とも称される)は、装置100の様々な部品に浮力を提供するように構成された第1の部材120(「ブイ」とも称される)、1つ以上の標的産物種を養殖又は蓄積するように構成された第2の部材140、及び必要に応じて、第1の部材120を第2の部材140から分離する、外す、解放する及び/又は切り離すように構成された解放部品160(本明細書中で「中間部材」とも称される)を備える。いくつかの実施形態において、養殖装置100は、必要に応じて、検知モジュール170及び通信モジュール180に連結され得るか又は関連付けられ得る。検知モジュール170は、養殖装置100に機械的に連結され得、養殖装置100上に配置された標的産物種に関連する1つ以上の特徴及び/又は画像を検知、検出、計測及び/又は定量化するように構成され得る。通信モジュール180は、検知モジュール170及び/又は養殖装置100に電気的且つ/又は機械的に連結され得、本明細書中でさらに説明されるように、(1)標的産物に関連する1つ以上の特徴及び/もしくは画像を読み取る、(2)前記標的産物の特徴を代表する信号を1つ以上の外部デバイスに送信する、並びに/又は(3)養殖装置100の解放部品160及び/もしくは検知モジュール170を制御するために動作可能な信号を1つ以上の外部デバイスから受信するように構成され得る。
【0032】
[0046] 養殖装置100の第1の部材120は、任意の好適な形状、サイズ及び/又は外形であり得る。例えば、いくつかの実施形態において、第1の部材120は、環状の形状、三角形の形状、平円板、球、円柱、円錐、トロイド、立方体、多面体又は他の任意の幾何学的形状であり得る。いくつかの実施形態において、第1の部材120は、不規則な形状であり得る。いくつかの実施形態において、第1の部材120の1つ以上の部分は、装置100の様々な部品に浮力を提供するように構成された多孔性且つ/又は中空の材料から形成され得る。いくつかの実施形態において、第1の部材120の1つ以上の部分は、標的産物の成長を可能にするために、酸素、二酸化炭素、水及び水溶性栄養分に対して比較的透過性の材料から形成され得る。いくつかの実施形態において、第1の部材120の1つ以上の部分は、可視光の吸収を可能にするように構成された比較的透明の材料から形成され得る。例えば、いくつかの実施形態において、第1の部材120は、空気などの気体及び/又は標的産物を配置するのに適した内部体積を規定する、プラスチック、ガラス、石英及び/又はセラミックの材料などの高密度且つ/又は水不透過性の材料で作られた、中空の外部構造又は外殻から形成され得る。他の実施形態において、第1の部材120は、ポリウレタンの外皮又は外殻などの剛性で耐摩耗性の層によって囲まれた、菌糸体又は独立気泡ポリエチレンフォームなどの多孔性材料で作られたコア構造から形成され得る。
【0033】
[0047] いくつかの実施形態において、養殖装置100の第1の部材120は、任意のタイプのブイ、例えば、ナビゲーションブイ、係留ブイ、ショットブイ、スパーブイなどであり得る。いくつかの実施形態において、第1の部材120は、空気及び/又は他の気体を含み得る。いくつかの実施形態において、その空気及び/又は気体は、加圧されている場合がある。いくつかの実施形態において、養殖装置100の第1の部材120は、意図された寿命のある最小期間が経過した後に分解して、含まれている空気及び/又は他の気体を逃がすことができるように構成され得る。例えば、いくつかの実施形態において、第1の部材120は、標的産物の成長の意図されたある最小の期間が経過した後に腐食して沈むように設計された海洋適合性材料から形成され得る。いくつかの実施形態において、第1の部材120全体又はその一部は、ジュート、サイザルアサ、綿、麻、ポリグリコリド、ポリラクチド、ポリヒドロキソブチレート、キトサン、ヒアルロン酸、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)、ポリ(カプロラクトン)、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリ(乳酸)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(オルトエステル)、ポリシアノアクリル酸、アルミニウム、炭素鋼、ステンレス鋼、亜鉛メッキ鋼及び/もしくは真鍮並びに/又はそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない海洋適合性材料で作ることができる。いくつかの実施形態において、第1の部材120は、膨張可能な浮嚢又は小胞であり得る。いくつかの実施形態において、浮嚢は、所定の期間が経過した後又は標的産物が成長した後、その浮嚢に含まれている気体を放出することにより、それが浮力を失って海底に沈むように構成された機械式又は生物学的タイマー/バルブを備え得る。
【0034】
[0048] いくつかの実施形態において、第1の部材120は、第1の分解速度で分解する材料で作られた第1の部分、及び第2の分解速度で分解する材料で作られた第2の部分を有し得る。第1の部分が分解すると、水が第1の部材120に入ることができ、それにより、浮力を失って海底に沈む。海底に沈んだ後、第1の部材120の第2の部分は、より長い時間をかけて第2の分解速度で分解し得る。いくつかの実施形態において、第1の部材120は、第1の部材120のほかの部分よりも速い速度で分解する工学的「欠陥」を含み得る。例えば、工学的欠陥は、第1の部材120の薄肉化された壁部分、又は応力破壊を含み得る。工学的欠陥は、第1の部材120全体が分解する前に、第1の部材120に浮力を失わせることができる。
【0035】
[0049] いくつかの実施形態において、養殖装置100の第1の部材120は、必要に応じて、1つ以上の標的産物種を蓄積又は養殖するように構成され得る。例えば、いくつかの実施形態において、第1の部材120の1つ以上の部分は、標的産物の成長に適した栄養分を提供するように構成された成長基材(図示せず)を備え得る。いくつかの実施形態において、第1の部材120の成長基材は、濃縮海水培地、低温殺菌海水、濾過海水、硝酸ナトリウム(NaNO3)溶液、リン酸二水素カリウム(KH2PO4)溶液を含むがこれらに限定されない緩衝液と混合された海水などを含み得る。いくつかの実施形態において、第1の部材120の成長基材は、その成長基材への標的産物の付着を容易にするように構成された結合剤を含み得る。いくつかの実施形態において、第1の部材120の成長基材は、第1の部材120への標的産物の付着を容易にするように構成された繊維性材料から形成され得る。いくつかの実施形態において、第1の部材120の成長基材は、標的産物の配偶体及び/又は胞子体の汚染を抑制及び/又は低減するように配合された添加剤を含み得る。例えば、いくつかの実施形態において、第1の部材120の成長基材は、二酸化ゲルマニウム(GeO2)を含み得る。
【0036】
[0050] いくつかの実施形態において、成長基材を含む、第1の部材120の1つ以上の部分には、空気中の窒素分子(N2)をアンモニア(NH3)に変換する(例えば、窒素を固定する)ことができる、単細胞古細菌生物、細菌、例えば、シアノバクテリア、アゾトバクター、根粒菌、フランキアなど(例えば、マイクロバイオータ)を含む複数のジアゾ栄養微生物が接種され得る。いくつかの実施形態において、第1の部材120の1つ以上の部分には、標的産物種の配偶体及び/又は胞子体の成長を加速するように、並びにレオロジー改変剤、凝集剤及び他の添加物(グリセロール、糖蜜、高分子量多糖類、及びポリエチレンオキシドなどの他のポリマー材料を含む)を導入することによって第1の部材120への標的産物種の接着を改善するように、配合された成長促進剤が噴霧され得る。
【0037】
[0051] 養殖装置100の第1の部材120は、熱積層、カプセル化、回転成形、鋳造、真空形成及び/又は射出成形などの当分野で周知の1つ以上の手法及び/又は方法を用いて製作され得る。例えば、いくつかの実施形態において、第1の部材120は、棒又は円柱などの内部の鋼鉄構造又は中央の構造の周りに巻かれた独立気泡ポリエチレンフォームのシートを熱積層し、次いで、得られた材料を強靱で耐磨耗性のポリウレタン外皮の層でコーティング及び/又はカプセル化することを含むプロセスによって製作され得る。他の実施形態において、第1の部材120は、所定の幾何学的形状、サイズ及び外形を有するフレームを射出成形し、作製されたフレームの少なくとも一部を低密度発泡材料で囲み、得られた構造体を高密度で耐摩耗性の外皮又は外殻でカプセル化、被覆及び/又はコーティングすることによって製作され得る。いくつかの実施形態において、養殖装置100の第1の部材120及び第2の部材140は、別個の製作手順で作製され得、次いで、ネジ、ボルト留め具、溶接、ろう付け、接着剤又はそれらの任意の組み合わせを含むがこれらに限定されない1つ以上の連結機構を用いて直接接合及び/又は連結され得る。あるいは、いくつかの実施形態において、養殖装置100の第1の部材120及び第2の部材140はそれぞれ、本明細書中でさらに説明されるように、自由選択の解放部品160に連結及び/又は接合され得る。
【0038】
[0052] いくつかの実施形態において、第1の部材120の直径は、30インチ未満、20インチ未満、15インチ未満、10インチ未満、10.5インチ未満、8インチ未満、7インチ未満、6インチ未満、5インチ未満であり得る。いくつかの実施形態において、第1の部材120の直径は、約5インチ~約15インチ、約6インチ~約20インチ、約9インチ~約30インチ、約6インチ~約10.5インチ(それらの間のすべての値及び範囲を含む)の範囲内であり得る。
【0039】
[0053] いくつかの実施形態において、第1の部材120は、約0.02インチ、約0.03インチ、約0.04インチ、約0.05インチ、約0.06インチ、約0.125インチ、約0.141インチ、約0.156インチ、約0.172インチ、約0.188インチ、約0.250インチ、約0.313インチ又は約0.406インチの厚さを有する材料で作られたブイであり得る。いくつかの実施形態において、第1の部材120は、約0.02インチ~約0.125インチ、約0.04インチ~約0.250インチ、約0.141インチ~約0.406インチ(それらの間のすべての値及び範囲を含む)の範囲内の厚さを有する材料で作られたブイであり得る。
【0040】
[0054] いくつかの実施形態において、第1の部材120の体積は、900立方インチ未満、800立方インチ未満、700立方インチ未満、600立方インチ未満、500立方インチ未満、400立方インチ未満、300立方インチ未満、150立方インチ未満であり得る。いくつかの実施形態において、第1の部材120の体積は、約100立方インチ~約200立方インチ、約200立方インチ~約400立方インチ、約300立方インチ~約700立方インチ、約500立方インチ~約900立方インチ(それらの間のすべての値及び範囲を含む)の範囲内であり得る。
【0041】
[0055] 養殖装置100の第2の部材140は、任意の好適な形状、サイズ及び/又は外形であり得る。例えば、いくつかの実施形態において、第2の部材140は、標的産物の配偶体及び/又は胞子体を付着させる、固定する及び/又はしっかり固定するように構成された繊維性材料又は種付糸から形成され得る。いくつかの実施形態において、第2の部材140は、第1の部材120に機械的に連結されることにより、第2の部材140に付着させた標的産物に浮力を提供することができる。いくつかの実施形態において、第2の部材140は、タイノット、シンブルキット、フック及び/又は同様のアンカーポイントデバイスを用いて第1の部材120に機械的に連結され得る。いくつかの実施形態において、種付糸は、ジュート、サイザルアサ、綿、麻、ポリグリコリド、ポリラクチド、ポリヒドロキソブチレート、キトサン、ヒアルロン酸、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)、ポリ(カプロラクトン)、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリ(乳酸)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(オルトエステル)、ポリシアノアクリル酸、アルミニウム、炭素鋼、ステンレス鋼、亜鉛メッキ鋼、真鍮などを含む海洋適合性材料で作ることができる。他の実施形態において、第2の部材140は、本明細書中でさらに説明されるように、自由選択の解放部品160に機械的に連結され得る。
【0042】
[0056] 第2の部材140は、1つ以上の標的産物種の配偶体及び/又は胞子体を蓄積又は養殖するように構成され得る。例えば、いくつかの実施形態において、第2の部材140の1つ以上の部分は、標的産物の成長に適した栄養分を提供するように構成された成長基材(図示せず)を備え得る。いくつかの実施形態において、第2の部材140の成長基材は、その成長基材への付着を容易にするように構成された結合剤を含み得る。いくつかの実施形態において、第2の部材140は、標的産物の配偶体及び/又は胞子体の汚染を抑制するように配合された添加剤を含み得る。例えば、いくつかの実施形態において、第2の部材140は、二酸化ゲルマニウム(GeO2)を含み得る。いくつかの実施形態において、種付糸は、装置100に負の浮力を提供するために、並びに/又は標的産物の配偶体及び/もしくは胞子体に鉄(Fe)栄養源を提供するために、鉄、又は鉄を含むスレッド、フィラメントもしくは紐と、共巻きされ得る、巻き付けられ得る、及び/又は編み合わせられ得る。
【0043】
[0057] いくつかの実施形態において、第2の部材140の1つ以上の部分には、空気中の窒素分子(N2)をアンモニア(NH3)に変換する(例えば、窒素を固定する)ことができる、単細胞古細菌生物、細菌、例えば、シアノバクテリア、アゾトバクター、根粒菌、フランキアなど(例えば、マイクロバイオータ)を含む複数のジアゾ栄養微生物が接種され得る。いくつかの実施形態において、第2の部材140の1つ以上の部分には、標的産物種の配偶体及び/又は胞子体の成長を加速するように、並びにレオロジー改変剤、凝集剤及び他の添加物(グリセロール、糖蜜、高分子量多糖類、及びポリエチレンオキシドなどの他のポリマー材料を含む)を導入することによって第2の部材140への標的産物種の接着を改善するように、配合された成長促進剤が噴霧され得る。
【0044】
[0058] いくつかの実施形態において、第2の部材140の形状、サイズ及び/又は外形は、第1の部材120の形状、サイズ及び/又は外形と類似又は実質的に同じであり得る。例えば、いくつかの実施形態において、第2の部材140は、環状の形状、三角形の形状、平円板、球、円柱、円錐、トロイド、立方体、多面体又は他の任意の幾何学的形状であり得る。いくつかの実施形態において、第2の部材140は、不規則な形状であり得る。いくつかの実施形態において、第2の部材140の1つ以上の部分は、浮力を提供するように構成された多孔性且つ/又は中空の材料から形成され得る。いくつかの実施形態において、第2の部材140の1つ以上の部分は、標的産物の成長を可能にするために、酸素、二酸化炭素、水及び水溶性栄養分に対して比較的透過性の材料から形成され得る。いくつかの実施形態において、第2の部材140の1つ以上の部分は、可視光の吸収を可能にするように構成された比較的透明の材料から形成され得る。
【0045】
[0059] いくつかの実施形態において、第2の部材140の1つ以上の部分は、標的産物の成長に適した栄養分を提供するように構成された成長基材(図示せず)を備え得る。いくつかの実施形態において、第2の部材140の成長基材は、濃縮海水培地、低温殺菌海水、濾過海水、硝酸ナトリウム(NaNO3)溶液、リン酸二水素カリウム(KH2PO4)溶液を含むがこれらに限定されない緩衝液と混合された海水などを含み得る。いくつかの実施態様において、第2の部材140の成長基材の組成は、自由選択の第1の部材120の成長基材の組成と類似又は実質的に同じであり得る。他の実施態様において、第2の部材140の成長基材の組成は、第1の部材120の成長基材と異なり得る。例えば、いくつかの実施態様において、第1の部材120の成長基材の組成は、第1の種グループに関連する所望の特徴に基づいて調整及び/又は選択され得る一方で、第2の部材140の成長基材の組成は、第1の部材120の成長基材の組成上の特徴と類似していても異なっていてもよい、第2の種グループに関連する所望の特徴に基づいて調整及び/又は選択され得る。
【0046】
[0060] 養殖装置100は、回収作業及び/又は炭素隔離に利用され得る標的産物種を種付けするために使用することができる。例えば、いくつかの実施形態において、第1の部材120は、装置100に浮力を提供するように構成され得、第2の部材140は、1つ以上の標的産物種の配偶体及び/又は胞子体を蓄積又は養殖し得る。まず、養殖装置100に、選択された標的産物種を種付けし、次いで、それを海洋、湖沼、河川及び/又は他の任意の好適な水域に設置し得る。養殖装置100は、最初に海洋、湖沼、河川及び/又は他の任意の適切な水域に設置されたときに正の浮力を示すように、且つ装置100に配置された選ばれた標的産物種の成長を促進するためにある期間にわたって正の浮力を示したままであるように構成され得る。いくつかの実施形態において、養殖装置100は、本明細書中にさらに開示されるように、標的産物を回収する目的のために、通信モジュール180を介して追跡、位置特定及び/又はアクセスされるようにさらに構成され得る。いくつかの場合において、養殖装置100は、所定の期間が経過した後、又は選択された標的産物種の所定の量の成長が達成された後、回収目的のためにアクセスされ得る。あるいは、他の場合において、養殖装置100は、本明細書中にさらに開示されるように、所定の長さの時間が経過した後、及び/又は選択された標的産物種が成長し、所定の量の集団を得た後、完全に沈み、成長した標的産物に関連する二酸化炭素を効果的に隔離するようにさらに構成され得る。
【0047】
[0061] あるいは、いくつかの実施形態では、養殖装置100の第1の部材120及び/又は第2の部材140に、まず、1つ以上の標的産物種の配偶体及び/又は胞子体を種付けし、次いで、それを海洋、湖沼、河川及び/又は他の任意の好適な水域に設置し得る。装置100は、最初に海洋、湖沼、河川及び/又は他の任意の好適な水域に設置されたとき正の浮力を示すように、且つ装置100に配置された選ばれた標的産物種の成長を促進するためにある時間にわたって正の浮力を示したままであるように構成され得る。いくつかの実施形態において、養殖装置100の解放部品160は、さらに本明細書中で説明されるように、所定の長さの時間が経過した後、選択された標的産物種が成長し、所定の集団を得た後、及び/又は解放部品160を作動させるために動作可能な信号又は信号群が通信モジュール180によって受信された後、分解して、第1の部材120を第2の部材140から機械的に分離する、外す、脱離する、解放する及び/又は切り離すことにより、第1の部材120が浮き、第2の部材140が沈むように構成され得る。次いで、第1の部材120は、回収及び/又は再利用され得、第2の部材140は、海底に沈み、成長した標的産物に関連する二酸化炭素を隔離する。
【0048】
[0062] いくつかの実施形態において、装置100の第1の部材120は、成熟すると正の浮力を示すようになる標的産物種を蓄積又は養殖することができ、装置100の第2の部材140は、成熟すると負の浮力を示すようになる標的産物種を蓄積又は養殖することができる。いくつかの実施形態では、まず、装置100に、正及び負の浮力を示す標的産物の配偶体及び/又は胞子体を種付けし、次いで、それを海洋、湖沼、河川及び/又は他の任意の好適な水域に設置し得る。装置100は、最初に海洋、湖沼、河川及び/又は他の任意の好適な水域に設置されたとき、正の浮力を示すようにさらに構成され得る。いくつかの実施形態において、装置100は、海洋、湖沼、河川及び/又は他の任意の水域に設置された後、所定の期間にわたって浮かび、その後、負の浮力を示す標的産物を種付けした第2の部材140が成長し、質量を得るにつれて徐々に沈むように構成され得る。
【0049】
[0063] 養殖装置100の解放部品160は、任意の好適な形状、サイズ及び/又は外形であり得る。例えば、いくつかの実施形態において、解放部品160は、環状の形状、三角形の形状、球、平円板、円柱、円錐、トロイド、立方体、多面体又は他の任意の幾何学的形状であり得る。いくつかの実施形態において、解放部品160は、第1の部材120に含まれている空気及び/又は他の気体がある期間にわたって逃げるのを防ぐ気密シールを維持するように構成されていて、第1の部材120に機械的に連結されている、栓、ストッパー、コルクなどであり得る。いくつかの実施形態において、解放部品160は、圧力継手、ねじ込み式サイト、膨張栓などによって第1の部材120に機械的に連結され得る。いくつかの実施形態において、解放部品160は、第1の部材120上の穴をある期間にわたってシールするように構成された、接着剤パッチ、のり又はペーストであり得る。いくつかの実施形態において、解放部品160は、意図された寿命のある最小期間が経過した後に腐食して、含まれている空気及び/又は他の気体が第1の部材120から逃げる又は放出され、養殖装置100を沈ませるように構成された海洋適合性材料から形成され得る。例えば、いくつかの実施形態において、解放部品160又はその一部は、予測可能且つ再現性のある速度で分解又は腐食して、空気が第1の部材120から逃げること及び/又は水が第1の部材120に浸透するもしくは染み込むことを可能にして装置100を沈ませる、亜鉛などの材料で作ることができる。あるいは、いくつかの実施形態において、解放部材160は、予測可能且つ再現性のある速度で分解又は腐食する、亜鉛などの材料で作られた第1の部分又は部品、及び(1)第1の部分又は部品に機械的に連結された、及び(2)アルカリ金属、例えば、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、リチウム(Li)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、フランシウム(Fr)又はそれらの組み合わせを含む、第2の部分又は部品であって、勢いよく且つ激しく水と反応して解放部品160を破砕して、空気が第1の部材120から逃げること及び/又は水が第1の部材120に浸透することを可能にして装置100を沈ませる、第2の部分又は部品を含むように構成され得る。
【0050】
[0064] いくつかの実施形態において、解放部品160の1つ以上の部分は、少なくともある期間にわたって第1の部材120を第2の部材140に機械的に連結するように構成され得る。換言すれば、いくつかの実施形態において、解放部品160は、少なくともある期間にわたって養殖装置100の第1の部材120と第2の部材140とを接合、相互接続及び/又は連結するように構成され得る。いくつかの実施形態において、解放部品160(又はその一部)は、分解して、第1の部材120を第2の部材140から機械的に分離する、外す、脱離する、解放する及び/又は切り離すように構成され得る。いくつかの実施形態において、解放部品160の1つ以上の部分は、任意の好適な分解性材料、例えば、具体的な実施形態に関して本明細書中で説明されるものから形成され得る。しかしながら、解放部品160は、任意の好適な材料から形成され得るので、解放部品160の材料は、本明細書中に示される及び説明されるそれらの材料に限定されないと意図されていると理解されるべきである。例えば、いくつかの実施形態において、解放部品160の1つ以上の部分は、ポリグリコリド、ポリラクチド、ポリヒドロキソブチレート、キトサン、ヒアルロン酸、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)、ポリ(カプロラクトン)、ポリヒドロキシアルカノエート又は他の任意の海洋適合性材料から形成され得る。他の実施形態において、解放部品160の1つ以上の部分は、ecoflex(登録商標)、ecovio(登録商標)又は他の任意の堆肥化可能なコポリエステルから形成され得る。いくつかの実施形態において、解放部品160は、セルロースベースの材料から形成され得る。
【0051】
[0065] いくつかの実施形態において、解放部品160は、第1の部材120及び/又は第2の部材140の形状及びサイズと実質的に類似又は同じ形状及びサイズであり得る。いくつかの実施形態において、解放部品160は、帯状又はストリップ状の形状であり得る。いくつかの実施形態において、解放部品160の1つ以上の部分は、第1の部材120を解放部品160に機械的に連結するように構成された、接着剤、のり、ペースト、セメントから形成され得る。いくつかの実施形態において、解放部品160の1つ以上の部分は、第2の部材140を解放部品中間体160に機械的に連結するように構成された、接着剤、のり、ペースト、セメントから形成され得る。言い換えれば、いくつかの実施形態において、解放部品160は、少なくともある期間にわたって養殖装置100の第1の部材120と第2の部材140とを接合、相互接続及び/又は連結するように構成され得る。
【0052】
[0066] 上で説明されたように、いくつかの実施形態において、解放部品160は、意図された寿命のある最小期間が経過した後に分解するように構成され得る。例えば、いくつかの実施形態において、解放部品160は、標的産物の成長の意図されたある最小の期間が経過した後、腐食して、第1の部材120を第2の部材140から分離する、外す、脱離する、解放する及び/又は切り離すように設計された海洋適合性材料から形成され得る。いくつかの実施形態において、解放部品160は、ある最小量の集団が第2の部材140上に蓄積した後に分解するように構成され得る。いくつかの実施形態において、解放部品160は、温度、圧力、UV及び/又は可視光への曝露を含むがこれらに限定されない所定の環境条件下において分解するように構成され得る。いくつかの実施形態において、解放部品160は、分解して第1の部材120を第2の部材140から切り離すことにより、第1の部材120が浮き、第2の部材140が海底に沈み、負の浮力を示す標的産物に関連する炭素を効果的に隔離するように構成され得る。いくつかの実施形態において、浮遊している第1の部材120は、回収作業を容易にする。
【0053】
[0067] 養殖装置100は、必要に応じて、養殖装置100上に配置された標的産物種に関連する1つ以上の特徴を検知、検出、計測及び/又は定量化するように構成された検知モジュール170に連結され得るか又は関連付けられ得る。いくつかの実施形態において、検知モジュール170は、養殖装置100(例えば、第1の部材120)に機械的に連結され得る。いくつかの実施形態において、検知モジュール170は、養殖装置100に光学的に連結され得る。いくつかの実施形態において、検知モジュール170は、養殖装置100に電子的に連結され得る。いくつかの実施形態において、検知モジュール170は、水温、放射度、溶存酸素濃度、栄養分濃度、溶存炭素濃度、塩分濃度、及び/又は標的産物の成長に関係する他の特徴を検知、検出及び/又は計測するように構成された1つ以上のセンサを備え得る。植物のサイズ、植物の密度、水温、放射度、溶存酸素濃度、栄養分濃度、溶存炭素濃度、塩分濃度、及び/又は標的産物の成長に関係する他の特徴が、1つ以上のセンサによって検知及び/又は検出され得る。いくつかの実施形態において、検知モジュール170のセンサの出力に関連するデータは、通信モジュール180によって読み取られ、外部デバイスに送信され得る。次いで、送信されたデータは、解析される(例えば、制御システム、解析ユニット及び/又は他の計算デバイスによって)ことにより、標的産物の成長を測定し、集団の生産量及び/又は集団の収量を定量化し得る。換言すれば、検知モジュール170の1つ以上のセンサによって出力されたデータを、本明細書中でさらに説明されるように、解析することにより、標的産物の成長、集団の生産量、炭素の捕捉及び/又は隔離の速度、量もしくは容量などを測定することができる。
【0054】
[0068] いくつかの実施形態において、検知モジュール170は、装置100に標的産物の配偶体及び/又は胞子体を種付けし、それを海洋、湖沼、河川及び/又は他の任意の好適な水域に設置した後、装置100の沈降速度を時間に応じて計測及び/又は記録するように構成された圧力解放型深度センサを備え得る。圧力解放型深度センサは、装置100の沈降速度を計測し、装置100が所定の深度閾値に達したら装置100から切り離し、記録された沈降速度情報を、衛星を介して(通信モジュール180を介して)発信し、水面に戻るように構成され得る。いくつかの場合において、装置100の沈降速度を用いることにより、捕捉及び/又は隔離された集団及び関係する炭素を定量化することができる。いくつかの場合において、検知モジュール170の圧力解放型深度センサを用いることにより、装置100が、永続的な炭素隔離に関連する及び/又は適した所定の深さ又は閾値より下に沈んだかを判定することができる。
【0055】
[0069] いくつかの実施形態において、検知モジュール170は、装置100に標的産物を種付けし、それを海洋、湖沼、河川及び/又は他の任意の好適な水域に設置された際に、標的産物の成長、集団の生産量及び/又は集団の収量を検知、検出及び/又はモニタするように構成され得る。いくつかの実施形態において、検知モジュール170は、植物及び/又は不等毛類(heterokonts)(例えば、ケルプ、標的産物など)の数、不等毛類1つ当たりの葉状体の数、葉状体の寸法及び/又は標的産物の成長に関連する密度を撮像、記録及び/又はモニタするように構成された水中カメラ又は他の撮像技術を備え得る。例えば、いくつかの実施形態において、検知モジュール170は、人間の両眼視をまねるがゆえに深さを知覚できる画像の取得を容易にする別個の画像センサを含む2つ以上のレンズが備え付けられた立体カメラシステムを備え得る。
【0056】
[0070] いくつかの実施形態において、立体カメラシステムには、養殖装置100上で成長中の標的産物の詳細な画像を生成するように構成された、レクティリニアレンズ、魚眼レンズ及び/又はアナモルフィックレンズが備え付けられ得る。いくつかの実施形態において、立体カメラシステムは、複数の画像後処理工程を行うように構成され得る。例えば、いくつかの実施形態において、立体カメラシステムは、レンズによって生成された画像を解析し、例えばLavenberg-Marquardtソルバーの使用を通じ、ゆがみパラメータ及びカメラ行列を推定するアルゴリズムを用いて、ゆがみを特定及び/又は補正する、後処理工程を含み得る。いくつかの実施形態において、立体カメラシステムは、複数の後処理工程、例えば、色補正、輝度/コントラスト、鮮明度、後方散乱除去、トリミングなどを含み得る。
【0057】
[0071] いくつかの実施形態において、検知モジュール170は、400~700nmの範囲の空気中及び水中の光合成光レベルを計測するように構成された光合成有効放射(PAR)センサが備え付けられたカメラも備え得る。PARセンサは、光合成光子束密度(PPFD)、又は可視光スペクトル範囲の電磁放射線のパワーを1平方メートルあたり1秒あたりの光子のマイクロモルを単位として計測するように構成され得る。PARセンサによって捕捉されたデータを用いることにより、装置100上に配置された標的産物が光合成に利用可能な太陽光の強度を推定、測定及び/又は定量化することができるので、標的産物の相対的な健康状態並びに/又は標的産物及び他の海洋生物の成長速度を推定及び/又は推量することができる。
【0058】
[0072] 検知モジュール170のカメラによって記録された画像を用いることにより、養殖装置100上に蓄積された集団を定量化すること、並びに集団の変化(例えば、集団の蓄積の速度)を推定し、標的産物の相対的な健康状態の評価を容易にする洞察を与えることができる。いくつかの実施形態において、検知モジュールによって記録された画像は、解析のために通信モジュール180によって外部デバイスに送信され得る。いくつかの場合では、検知モジュール170によって記録された画像を、手動で解析することにより(例えば、ユーザによる手動の注釈付け)、装置100上の集団の量、標的産物の成長速度、及び/又は装置100上に蓄積した集団によって効果的に捕捉されるCO2量を測定することができる。例えば、いくつかの実施形態において、検知モジュール170は、画像キャプチャを開始し(例えば、養殖装置100上に配置された標的産物の画像及び/又は動画を異なる時点において記録し)、それらの画像を後処理し(例えば、色、明るさ/コントラスト、鮮明度の調整、後方散乱除去、ノイズ除去、トリミングなどを行い)、ユーザによるデータの抽出用又は注釈付け用及び抽出されたデータの統計解析用に通信モジュール180を介してそれらの画像及び/又は動画を送信し得る。他の場合では、検知モジュール170によって記録された画像は、コンピュータビジョンアルゴリズムを使用して解析又は注釈付けされ得る。
【0059】
[0073] いくつかの実施形態において、検知モジュール170は、海洋微生物、植物、藻類又は小動物の蓄積及び/又は成長、並びにそのような海洋微生物の代謝産物によって発生する微生物誘起腐食(MIC)に起因する検知モジュール170の様々な部品の分解を検出、防止及び/又は最小化するように構成された防汚システムが備え付けられたカメラを備え得る。いくつかの実施形態において、その防汚システムは、紫外線(250~280nm)範囲の光線を水中カメラのレンズ及び/又は他の部品に向け、微生物、植物、藻類又は小動物のフルオロフォアによる蛍光の発光を誘発するように構成された発光ダイオード(LED)ランプなどの検出光源を備え得る。その検出光源を用いることにより、検知モジュール170上に堆積した海洋微生物の蛍光応答を引き起こすことができ、その蛍光応答は、電荷結合素子(CCD)、電子増倍電荷結合素子(EM-CCD)及び/又は相補型金属酸化膜半導体(CMOS)検出器などの好適な検出器が備え付けられた1つ以上のカメラによって検出され得る。それらのカメラは、検知モジュール170上の海洋微生物の蓄積を評価するために使用することができる蛍光シグナルの強度を定量化することができる。場合によっては、検出光源によって生成される強烈なUV照射に対する微生物の耐性が低いため、その検出光源を使用することにより、検知モジュール170上に蓄積された海洋微生物の少なくとも一部を除去することができる。
【0060】
[0074] いくつかの実施形態において、防汚システムは、海洋微生物に有害な環境を提供する1つ以上の化学的殺菌剤又は防汚殺生物剤を含み得る。いくつかの実施形態において、検知モジュール170の部品は、2-メチルチオ-4-tertiary-ブチルアミノ-6-シクロプロピルアミノ-s-トリアジン(Irgarol1051)、1-(3,4-ジクロロフェニル)-3,3-ジメチル尿素(ジウロン)、4,5-ジクロロ-2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン(DCOIT)、N-ジクロロフルオロメチルチオ-N’,N’-ジメチル-N-フェニルスルファミド(ジクロフルアニド)、N-ジクロロフルオロメチルチオ-N’,N’-ジメチル-N-p-トリルスルファミド(トリルフルアニド)、2,4,5,6-テトラクロロイソフタロニトリル(クロロタロニル)、ビス(1ヒドロキシ-2(1H)-ピリドチオナト-O,S)-T-4亜鉛(亜鉛ピリチオン)、ビス(1ヒドロキシ-2(1H)-ピリドチオナト-O,S)-T-4銅(銅ピリチオン)、2-(チオシアノメチルチオ)ベンズチアゾール(TCMTB)、2,3,5,6-テトラクロロ-4-(メチルスルホニル)ピリジン(TCMSピリジン)、ピリジン-トリフェニルボラン(TPBP)、チオシアン酸第一銅、三酸化ヒ素、ジネブ、ホルペット、チラム、オキシテトラサイクリン塩酸塩、ジラム、マンネブ及び/又はそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない1つ以上の防汚殺生物剤を含む保護層でコーティングされ得る。
【0061】
[0075] いくつかの実施形態において、防汚システムは、レンズを含む検知モジュール170及びカメラの露出した部品の表面エネルギーを低下させる(例えば、疎水性表面を生成する)ように設計された1つ以上のコーティングを含み得る。これらのコーティングは、検知モジュール170の部品の露出表面に堆積して、微生物が前記部品に接着する能力を制限することができる。例えば、いくつかの実施形態において、検知モジュール170の部品上に配置されるコーティングには、フルオロポリマー及びPDMSシリコーンエラストマーなどのシリコーンを含む、低摩擦係数及び低表面エネルギーを有する無毒性の化学物質(例えば、疎水性及び超疎水性である低表面エネルギーコーティング)が含まれ得る。いくつかの場合において、検知モジュール170の部品は、表面エネルギーを低下させるコーティングであって1つ以上の殺生物剤を含むコーティングで処理され得る。他の実施形態では、付着物を防止するために検知モジュール170の部品上に配置されるコーティングには、表面上に殺生物剤を有する自己研磨樹脂が含まれ得る。最も一般的なコーティング系は、酸化第一銅をはじめとした金属及び亜鉛ピリチオンなどの共殺生物剤に基づくものである。いくつかの実施形態において、付着物を防止するために検知モジュール170の部品上に配置されるコーティングには、環境への影響を低減する、ヘキソースオキシダーゼ、グルコアミラーゼ及びデンプンの過酸化物生成系などの酵素ベースのコーティングが含まれ得る。
【0062】
[0076]
図1を参照して上で説明されたように、いくつかの実施形態において、養殖装置100は、必要に応じて、通信モジュール180に連結され得るか又はそれと関連付けられ得る。いくつかの実施形態において、通信モジュール180は、養殖装置100(例えば、第1の部材120)及び/又は検知モジュール170に機械的に連結され得る。いくつかの実施形態において、通信モジュール180は、養殖装置100の第1の部材120に機械的に連結され得る。他の実施形態において、通信モジュール180は、養殖装置の第2の部材140に機械的に連結され得る。いくつかの実施形態において、通信モジュール180は、専用の浮遊デバイス、例えば、発泡樹脂製品、補助ブイなどに連結され得る。いくつかの実施形態において、その浮遊デバイスは、衛星アンテナを含むがこれに限定されない通信モジュールといった他の部品又はバッテリもしくはソーラーパネルなどの電源に対する支持構造体としても働き得る。いくつかの実施形態において、通信モジュール180は、養殖装置100及び/又は検知モジュール170に電子的に連結され得る(すなわち、有線又は無線)。いくつかの実施形態において、通信モジュール180は、1つ以上のソーラーパネルから給電され得る。例えば、いくつかの実施形態において、通信モジュール180は、通信モジュール180の様々な部品に電力を供給するように構成された20Wソーラーパネルから給電され得る。あるいは、いくつかの実施形態において、通信モジュール180は、任意の好適な電源及び/又はエネルギー貯蔵デバイスを有し得る。いくつかの実施形態において、通信モジュール180の電源は、1つ以上の蓄電池を含み得る。いくつかの実施形態において、通信モジュール180は、補助電源及び/又はバックアップ電源としての外部電源と通信モジュール180との接続を可能にする1つ以上のポートを備え得る。いくつかの実施形態において、通信モジュール180は、(1)標的産物に関連する1つ以上の特徴を読み取る、(2)養殖装置100及び/もしくは標的産物の特徴を代表する信号を1つ以上の外部デバイスに送信する、並びに/又は(3)養殖装置100の解放部品160及び/もしくは検知モジュール170を制御するために動作可能な信号を1つ以上の外部デバイスから受信するように構成され得る。いくつかの実施形態において、装置100は、標的産物を種付けされ、海洋、湖沼、河川及び/又は他の任意の好適な水域に設置されたときの装置100の相対位置に関連する信号を生成及び/又は送信するように構成された1つ以上の追跡デバイスを備え得る。装置100の位置及び/又は軌跡は、送信、記録及び/又は保存され得(例えば、制御システム、解析ユニット及び/又は他の計算デバイスによって)、それを遠隔検知デバイスがさらに使用することにより、標的産物の成長、集団の生産量及び/又は炭素捕捉を測定及び/又は定量化することができる(直接又は間接的に)。例えば、いくつかの場合において、装置100は、装置100の地理的位置を測定、記録及び/又は送信するように構成された全地球測位システム(GPS)追跡デバイスを備え得る。他の場合において、装置100は、装置100の地理的位置を測定、記録及び/又は送信するように構成された無線周波数認識(RFID)デバイスを備え得る。あるいは、いくつかの実施形態において、通信モジュール180は、衛星アンテナを備え得る。装置100の地理的位置は、遠隔検知手法によってさらに使用されることにより、標的産物の成長を測定し、集団の生産量、集団の収量及び炭素捕捉を定量化することができる。例えば、いくつかの場合において、近赤外航空写真、SPOTマルチスペクトル画像、地上較正された航空デジタルマルチスペクトルイメージングシステム(DMSC)、及び/又は空中ハイパースペクトルシステムなどの遠隔検知手法を用いることにより、集団の生産量、集団の収量及び炭素捕捉を定量化することができる。いくつかの場合において、軌跡データを用いることにより、水面又は水面下の条件(例えば、風、潮流など)を水面下の集団の動きなどと比較することによって集団の成長を測定、計算及び/又は推量することができる。
【0063】
[0077] いくつかの実施態様において、任意の数の種付け済み装置100の養殖場又はシステムに関連する、標的産物の単位集団あたりの集団の生産量、集団の収量、標的産物の成長、炭素の隔離容量などを、比較的少量のサンプルに基づいて計算、測定、予測、予見、推定することなどができる。いくつかのそのような実施態様において、そのような方法又はプロセスは、例えば、装置100に標的産物を種付けすること、装置100を海洋、湖沼、河川及び/又は他の任意の好適な水域に設置すること、装置100の質量が増加するにつれて装置100を沈ませること、及びその後、所定の長さの時間が経過した後に装置100を回収して、成長した標的産物の重量及び寸法を計測することを含み得る。例えば、いくつかの場合において、海洋、湖沼、河川及び/又は他の任意の好適な水域に設置した後、所定の長さの時間が経過した後に装置100を回収し、成長した標的産物の湿重量(すなわち、装置100から回収されたときの標的産物の重量)、乾燥重量(すなわち、所定の条件下で乾燥させた後の標的産物の重量)及び全体寸法を計測及び定量化することができる。
【0064】
[0078] いくつかの場合において、標的産物の湿重量、乾燥重量、乾燥重量-湿重量比及び/又は寸法を用いることにより、所与の環境変数セットに対する標的産物の成長の特徴を定量化及び/又は測定することができる。いくつかのそのような実施態様では、上で説明されたセンサのいずれかを、例えば、成長期の間、使用することにより、環境変数セット(例えば、水温、放射度、溶存酸素濃度、栄養分濃度、溶存炭素濃度、塩分濃度、水流条件、細菌の異常発生、エルニーニョ又はラニーニャ振動相など)の計算及び/又は測定を可能にするデータを検知、検出及び/又はその他の方法で提供することができる。さらに、いくつかの場合において、標的産物の炭素含有量、標的産物の単位集団あたりに存在する炭素のパーセンテージなどを測定するために、さらなる解析を行うことができる。標的産物の単位集団あたりに存在する炭素のパーセンテージをさらに用いることにより、標的産物の単位集団あたりに存在する炭素の原子量、酸素の原子量及び炭素の質量を考慮することによって、捕捉及び/又は隔離された二酸化炭素の質量を計算することができる。
【0065】
[0079] 例えば、いくつかの場合において、標的産物(乾燥)の単位集団あたりの炭素のパーセンテージは、約30%~40%、約33%~約39%及び/又は約34%~約38%であり得る。いくつかの場合において、標的産物の単位集団あたりの炭素のパーセンテージは、34.8%~約37.4%であり得る。したがって、37.4%の炭素含有量における乾燥標的産物1kgに対して、隔離される炭素の質量は、0.374kgの炭素となる。炭素及び酸素の原子質量を用いると、0.374kg質量の炭素は、1.37kgのCO2に相当すると求めることができる。次いで、算出された標的産物の乾湿比を用いることにより、湿った標的産物の単位集団あたりの隔離されたCO2の質量を求めることができる。いくつかの場合において、そのような計算値をさらに用いることにより、例えば、標的産物の単位長さ当たりの隔離されたCO2の質量、及び/又は他の任意の好適な特徴を測定することができる。次に、これらの特徴を、検知、測定及び/又は検出された環境変数と関連付けることができ、成長及び/又は炭素隔離性能を環境変数に相関させることができる。さらに、サンプルの計算値、データ及び/又は性能に基づいて、養殖場全体(又はその一部、例えば、マイクロ養殖場、任意の数の装置100のアセンブリなど)の特徴、性能などを測定、推量、モデル化することなどができる。
【0066】
[0080] いくつかの場合において、そのような計算、導出、相関などは、所望のレベルの予測可能性、予見可能性などにつながる及び/又はそれらをもたらすことができる。装置100(及び/又は多数の装置100を含む養殖場)の成長及び/もしくは性能の特徴を予測及び/もしくは予見する能力、並びに/又は炭素もしくは二酸化炭素を隔離する能力は、例えば、その能力を商品などとして売買することを可能にし得る。例えば、標的産物の単位集団及び/又は単位長さあたりの隔離容量を測定することにより、その容量を炭素クレジット市場において炭素クレジットとして販売することが可能になり得る。いくつかの場合において、標的産物及び/又は炭素の隔離容量は、例えば、商品市場、先物市場及び/又は他の任意の好適な市場において売買され得る。
【0067】
[0081]
図2は、一実施形態に係る、標的産物の養殖装置200を図示している。本明細書中で説明されるように、標的産物は、バイオレメディエーション、最終養殖又は二酸化炭素の隔離という目的のための、微細藻類、大型海藻、プランクトン、海洋細菌、古細菌、濾過摂食者(例えば、カキ又はハマグリ)又は甲殻類をはじめとした多種多様の種を含む及び/又は包含する。標的産物の養殖装置200(本明細書中で「養殖装置」又は「装置」とも称される)は、
図1に照らして上で説明された養殖装置100と機能が類似している場合がある。例えば、養殖装置100に関連して上で説明されたように、養殖装置200は、回収作業及び/又は炭素隔離に利用され得る標的産物種を種付けするために使用することができる。装置200は、装置200の様々な部品に浮力を提供するように構成された第1の部材220(「ブイ」とも称される)、及び1つ以上の標的産物種244を蓄積又は養殖するように構成された第2の部材240を備え得る。
【0068】
[0082] 養殖装置200の第1の部材220は、任意の好適な形状及び/又はサイズの浮遊デバイスであり得る。いくつかの実施形態において、第1の部材220の1つ以上の部分は、装置200の様々な部品に浮力を提供するように構成された多孔性且つ/又は中空の材料から形成され得る。いくつかの実施形態において、第1の部材220は、任意のタイプのブイ、例えば、ナビゲーションブイ、係留ブイ、ショットブイ、スパーブイなどであり得る。いくつかの実施形態において、第1の部材220は、空気及び/又は他の気体を含み得る。いくつかの実施形態において、その空気及び/又は気体は、加圧されている場合がある。いくつかの実施形態において、第1の部材220の1つ以上の部分は、可視光の透過を可能にして標的産物244による光の吸収を容易にするように構成された比較的透明の材料から形成され得る。
【0069】
[0083] いくつかの実施形態において、第1の部材220は、意図された寿命のある最小期間が経過した後に分解して、含まれている空気及び/又は他の気体が逃げられるように構成され得る。例えば、いくつかの実施形態において、第1の部材220は、標的産物の成長の意図されたある最小の期間が経過した後に腐食して沈むように設計された海洋適合性材料から形成され得る。いくつかの実施形態において、第1の部材220全体又はその一部は、ジュート、サイザルアサ、綿、麻、ポリグリコリド、ポリラクチド、ポリヒドロキシブチレート、キトサン、ヒアルロン酸、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)、ポリ(カプロラクトン)、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリ(乳酸)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(オルトエステル)、ポリシアノアクリル酸、アルミニウム、炭素鋼、ステンレス鋼、亜鉛メッキ鋼、真鍮及び/又はそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない海洋適合性材料で作ることができる。いくつかの実施形態において、第1の部材220は、膨張可能な浮嚢又は小胞(図示せず)であり得る。いくつかの実施形態において、浮嚢は、所定の期間が経過した後又は標的産物が成長した後、その浮嚢に含まれている気体を放出することにより、それが浮力を失って海底に沈むように構成された機械式又は生物学的タイマー/バルブを備え得る。
【0070】
[0084] いくつかの実施形態において、第1の部材220は、第1の分解速度で分解する材料で作られた第1の部分、及び第2の分解速度で分解する材料で作られた第2の部分を有し得る。第1の部分が分解すると、水が第1の部材220に入ることができ、それにより、浮力を失って海底に沈む。海底に沈んだ後、第1の部材220の第2の部分は、より長い時間をかけて第2の分解速度で分解し得る。いくつかの実施形態において、第1の部材220は、第1の部材220のほかの部分よりも速い速度で分解する工学的「欠陥」を含み得る。例えば、工学的欠陥は、第1の部材220の薄肉化された壁部分、又は応力破壊を含み得る。工学的欠陥は、第1の部材220全体が分解する前に、第1の部材220に浮力を失わせることができる。
【0071】
[0085] 養殖装置200の第2の部材240は、任意の好適な形状、サイズ及び/又は外形であり得る。第2の部材240は、標的産物244の付着に適した任意のタイプの材料であり得る。いくつかの実施形態において、第2の部材240は、
図2に示されているように、標的産物244の付着を容易にするように構成された繊維性材料又は種付糸から形成され得る。第2の部材240は、第1の部材220に機械的に連結されることにより、種付糸に付着させた標的産物に浮力を提供することができる。いくつかの実施形態において、第2の部材240は、タイノット、シンブルキット、フック及び/又は同様のアンカーポイントデバイスを用いて第1の部材220に機械的に連結され得る。他の実施形態において、第2の部材240は、ネジ、ボルト留め具、溶接、ろう付け、接着剤又はそれらの任意の組み合わせを含むがこれらに限定されない1つ以上の連結機構を用いて第1の部材220に機械的に連結され得る。第2の部材240及び/又はアンカーポイントデバイスは、ジュート、サイザルアサ、綿、麻、ポリグリコリド、ポリラクチド、ポリヒドロキシブチレート、キトサン、ヒアルロン酸、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)、ポリ(カプロラクトン)、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリ(乳酸)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(オルトエステル)、ポリシアノアクリル酸、アルミニウム、炭素鋼、ステンレス鋼、亜鉛メッキ鋼、真鍮などを含む海洋適合性材料で作ることができる。
図2に示されているように、第2の部材240は、第1の部材220に連結された単一の種付糸を備え得る。いくつかの実施形態において、第2の部材240は、第1の部材220に連結された第1の種付糸、並びに標的産物の付着のために利用可能な空間の大きさを拡張するように構成された、第1の種付糸及び/又は第1の部材220に連結されたさらなる種付糸(図示せず)を備え得る。
【0072】
[0086] 上に開示されたように、第2の部材240は、1つ以上の第2の標的産物種244を蓄積又は養殖するように構成され得る。いくつかの実施形態において、第2の部材240は、第2の部材240への244の付着を補強するように構成された結合剤を含み得る。いくつかの実施形態において、第2の部材240は、標的産物244の汚染を抑制するように配合された添加剤を含み得る。例えば、いくつかの実施形態において、第2の部材240は、二酸化ゲルマニウム(GeO2)を含み得る。いくつかの実施形態において、第2の部材240は、装置200に負の浮力を提供するため、及び/又は標的産物244に鉄(Fe)栄養源を提供するために、鉄、又は鉄を含むスレッド、フィラメントもしくは紐と、共巻きされ得る、巻き付けられ得る、及び/又は編み合わせられ得る。いくつかの実施形態において、第2の部材240の1つ以上の部分には、空気中の窒素分子(N2)をアンモニア(NH3)に変換する(例えば、窒素を固定する)ことができる、単細胞古細菌生物、細菌、例えば、シアノバクテリア、アゾトバクター、根粒菌、フランキアなど(例えば、マイクロバイオータ)を含む複数のジアゾ栄養微生物が接種され得る。いくつかの実施形態において、第2の部材240の1つ以上の部分には、標的産物種244の成長を加速するように、並びにレオロジー改変剤、凝集剤及び他の添加物(グリセロール、糖蜜、高分子量多糖類、及びポリエチレンオキシドなどの他のポリマー材料を含む)を導入することによって第2の部材240への標的産物種244の接着を改善するように、配合された成長促進剤が噴霧され得る。
【0073】
[0087] 養殖装置100に関連して上で説明されたように、養殖装置200は、回収作業及び/又は炭素隔離に利用され得る標的産物種を種付けするために使用することができる。いくつかの実施形態において、養殖装置200は、1つ以上の標的産物種244を蓄積又は養殖することができ、その後、海洋、湖沼、河川及び/又は他の任意の好適な水域に設置され得る。装置200は、最初に海洋、湖沼、河川及び/又は他の任意の適切な水域に設置されたとき、標的産物の成長に関連する及び/又は標的産物の成長を促進するUV光、O2及び/又は栄養分の吸収を容易にするために水線Wの水面上又は水面付近に浮かぶように構成され得る。いくつかの実施形態において、養殖装置200は、所定の期間が経過した後、又は選択された標的産物種の所定の量の成長が達成された後、標的産物の回収目的のためにアクセスされるように構成され得る。あるいは、他の実施形態において、第1の部材220(又はその一部)は、所定の最小量の標的産物が第2の部材240上に蓄積した後、分解して装置200全体を沈ませ、標的産物の集団に関連する炭素を隔離するように構成され得る。
【0074】
[0088] いくつかの実施形態において、養殖装置200は、装置200の第1の部材220に連結された第2の部材240によって発揮される最大閾値の下向きの力(例えば、沈下力)を打ち消すように及び/又はそれと釣り合うように動作可能な所定の最大規模の浮力を示すように構成された第1の部材220を備え得る。換言すれば、第1の部材220は、第2の部材240を維持し、浮遊させるように動作可能な最大浮力量を有するように構成され得る。いくつかの実施形態において、養殖装置200は、負の浮力を示す1つ以上の標的産物種を蓄積又は養殖することができ、その後、海洋、湖沼、河川及び/又は他の任意の好適な水域に設置され得る。装置200は、最初に海洋に設置されたとき、水線Wの水面上又は水面付近に浮かぶように構成され得る。それらの状況下において、第1の部材220は、標的産物及び/又は装置200の第2の部材240によって第1の部材220に対して発揮される下向きの力(例えば、沈下力)を超える及び/又はそれに匹敵する浮力を示すことができる。標的産物の質量が増加すると、第2の部材240の重量及び/又は負の浮力を示す標的産物によって発揮される下向きの力は、最終的に第1の部材220の最大浮力又は最大浮力量に匹敵する及び/又はそれを超えて、装置200の沈降を始めさせることができる。
【0075】
[0089] いくつかの実施形態において、第1の部材220は、最大量の圧力Pmに耐えるように構成され得、その後、第1の部材220は漏れ始め、浮力を緩めることができる。いくつかの場合において、養殖装置200は、最初に海洋、湖沼、河川及び/又は他の任意の好適な水域に設置されたとき、水面上又は水面付近に浮かび、その後、第2の部材240に配置された負の浮力を示す標的産物の質量が増加するのに応じて、水面より下の第1の深さまで沈むように構成され得る。その時点において、標的産物の任意のさらなる成長により、養殖装置200は第2の深さまで沈むことがあり、その深さでは、第1の部材220にかかる外圧が最大圧力Pmを超えることにより、第1の部材220が漏れるか又は破裂して、海底に急速に沈む。
【0076】
[0090] いくつかの実施形態では、養殖装置200に、正の浮力を示す1つ以上の標的産物種244を種付けし、次いで、それを海洋、湖沼、河川及び/又は他の任意の好適な水域に設置し得る。装置200は、海洋、湖沼、河川及び/又は他の任意の水域に設置されたとき、標的産物244の正の浮力及び第1の部材220の浮力量に起因して、水線Wの水面上又は水面付近に浮かぶように構成され得る。いくつかの実施形態において、養殖装置200は、所定の期間が経過した後、又は選択された標的産物の所定の成長量が達成された後、標的産物を回収する目的のためにアクセスされるように構成され得る。標的産物244は、正の浮力を示すので、標的産物244は、ボート及び/又は船舶から回収できる。あるいは、他の実施形態において、第1の部材220(又はその一部)は、分解する、衰える及び/又は漏れることにより、負の浮力を示すように構成され得る。例えば、いくつかの実施形態において、第1の部材220(又はその一部)は、分解して、含まれている空気及び/又は他の気体が第1の部材220から逃げ(又は放出され)、水が第1の部材220に入り、その水のせいで第1の部材が負の浮力を示すようになり(例えば、錨のように作用し)、養殖装置200を沈ませ、標的産物の集団に関連する炭素を隔離するように構成され得る。
【0077】
[0091]
図3は、一実施形態に係る、標的産物の養殖装置300を図示している。本明細書中で説明されるように、標的産物は、バイオレメディエーション、最終養殖又は二酸化炭素の隔離という目的のための、微細藻類、大型海藻、プランクトン、海洋細菌、古細菌、濾過摂食者(例えば、カキ又はハマグリ)又は甲殻類をはじめとした多種多様の種を含む及び/又は包含する。標的産物の養殖装置300(本明細書中で「養殖装置」又は「装置」とも称される)は、上で説明された養殖装置100及び/又は200と形態及び/又は機能が類似している場合がある。例えば、養殖装置100に関連して上で説明されたように、養殖装置300は、回収作業及び/又は炭素隔離に利用され得る標的産物種を種付けするために使用することができる。装置300は、装置300の様々な部品に浮力を提供するように構成された第1の部材320(「ブイ」とも称される)、1つ以上の標的産物種344を蓄積又は養殖するように構成された第2の部材340、及び外部環境から第1の部材320を遮断するように構成された解放部品360を備え得る。
【0078】
[0092] 第1の部材320は、任意の好適な形状及び/又はサイズの浮遊デバイスであり得る。いくつかの実施形態において、第1の部材320の1つ以上の部分は、装置300の様々な部品に浮力を提供するように構成された多孔性且つ/又は中空の材料から形成され得る。いくつかの実施形態において、第1の部材320は、任意のタイプのブイ、例えば、ナビゲーションブイ、係留ブイ、ショットブイ、スパーブイなどであり得る。いくつかの実施形態において、第1の部材320は、空気及び/又は他の気体を含み得る。いくつかの実施形態において、その空気及び/又は気体は、加圧されている場合がある。いくつかの実施形態において、第1の部材320の1つ以上の部分は、可視光の透過を可能にして標的産物344による光の吸収を容易にするように構成された比較的透明の材料から形成され得る。いくつかの実施形態において、第1の部材320又はその一部は、ポリグリコリド、ポリラクチド、ポリヒドロキシブチレート、キトサン、ヒアルロン酸、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)、ポリ(カプロラクトン)、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリ(乳酸)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(オルトエステル)、ポリシアノアクリル酸、アルミニウム、炭素鋼、ステンレス鋼、亜鉛メッキ鋼、真鍮及び/又はそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない海洋適合性材料で作ることができる。
【0079】
[0093] 養殖装置300の第2の部材340は、任意の好適な形状、サイズ及び/又は外形であり得る。第2の部材340は、標的産物344の付着に適した任意のタイプの材料であり得る。いくつかの実施形態において、第2の部材340は、
図3に示されているように、標的産物344の付着を容易にするように構成された繊維性材料又は種付糸から形成され得る。第2の部材340は、第1の部材320に機械的に連結されることにより、種付糸に付着させた標的産物に浮力を提供することができる。いくつかの実施形態において、第2の部材340は、タイノット、シンブルキット、フック及び/又は同様のアンカーポイントデバイスを用いて第1の部材320に機械的に連結され得る。他の実施形態において、第2の部材340は、ネジ、ボルト留め具、溶接、ろう付け、接着剤又はそれらの任意の組み合わせを含むがこれらに限定されない1つ以上の連結機構を用いて第1の部材320に機械的に連結され得る。第2の部材340及び/又はアンカーポイントデバイスは、ジュート、サイザルアサ、綿、麻、ポリグリコリド、ポリラクチド、ポリヒドロキシブチレート、キトサン、ヒアルロン酸、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)、ポリ(カプロラクトン)、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリ(乳酸)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(オルトエステル)、ポリシアノアクリル酸、アルミニウム、炭素鋼、ステンレス鋼、亜鉛メッキ鋼、真鍮などを含む海洋適合性材料で作ることができる。
図3に示されているように、第2の部材340は、第1の部材320に連結された単一の種付糸を備え得る。いくつかの実施形態において、第2の部材340は、第1の部材320に連結された第1の種付糸、並びに標的産物の付着のために利用可能な空間の大きさを拡張するように構成された、第1の種付糸及び/又は第1の部材320に連結されたさらなる種付糸(図示せず)を備え得る。
【0080】
[0094] 上に開示されたように、第2の部材340は、1つ以上の第2の標的産物種344を蓄積又は養殖するように構成され得る。いくつかの実施形態において、第2の部材340は、第2の部材340への344の付着を補強するように構成された結合剤を含み得る。いくつかの実施形態において、第2の部材340は、標的産物344の汚染を抑制するように配合された添加剤を含み得る。例えば、いくつかの実施形態において、第2の部材340は、二酸化ゲルマニウム(GeO2)を含み得る。いくつかの実施形態において、第2の部材340は、装置300に負の浮力を提供するため、及び/又は標的産物344に鉄(Fe)栄養源を提供するために、鉄、又は鉄を含むスレッド、フィラメントもしくは紐と、共巻きされ得る、巻き付けられ得る、及び/又は編み合わせられ得る。いくつかの実施形態において、第2の部材340の1つ以上の部分には、空気中の窒素分子(N2)をアンモニア(NH3)に変換する(例えば、窒素を固定する)ことができる、単細胞古細菌生物、細菌、例えば、シアノバクテリア、アゾトバクター、根粒菌、フランキアなど(例えば、マイクロバイオータ)を含む複数のジアゾ栄養微生物が接種され得る。いくつかの実施形態において、第2の部材340の1つ以上の部分には、標的産物種344の成長を加速するように、並びにレオロジー改変剤、凝集剤及び他の添加物(グリセロール、糖蜜、高分子量多糖類、及びポリエチレンオキシドなどの他のポリマー材料を含む)を導入することによって第2の部材340への標的産物種344の接着を改善するように、配合された成長促進剤が噴霧され得る。
【0081】
[0095] 養殖装置300の解放部品360は、任意の好適な形状、サイズ、形状又は外形であり得る。いくつかの実施形態において、解放部品360は、第1の部材320に含まれている空気及び/又は他の気体が逃げるのを防ぐ気密シールを維持するように構成されていて、第1の部材320に機械的に連結されている、栓、ストッパー、コルクなどであり得る。いくつかの実施形態において、解放部品360は、圧力継手、ねじ込み式サイト、膨張栓などによって第1の部材320に機械的に連結され得る。いくつかの実施形態において、解放部品360は、第1の部材320上の穴をある期間にわたってシールするように構成された、接着剤パッチ、のり又はペーストを含み得る。いくつかの実施形態において、解放部品360は、意図された寿命のある最小期間が経過した後に腐食して、含まれている空気及び/又は他の気体が第1の部材320から逃げ、養殖装置300を沈ませるように構成された海洋適合性材料から形成され得る。例えば、いくつかの実施形態において、解放部品360又はその一部は、予測可能且つ再現性のある速度で分解又は腐食して、空気が第1の部材320から逃げること及び/又は水が第1の部材320に浸透するもしくは染み込むことを可能にして装置300を沈ませる、亜鉛などの材料で作ることができる。いくつかの実施形態において、解放部材360は、予測可能且つ再現性のある速度で分解又は腐食する、亜鉛などの材料で作られた第1の部分又は部品、並びに(1)第1の部分又は部品に機械的に連結された、及び(2)アルカリ金属、例えば、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、リチウム(Li)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、フランシウム(Fr)又はそれらの組み合わせを含む第2の部分又は部品であって、勢いよく且つ激しく水と反応して解放部品360を破砕して、空気が第1の部材320から逃げること及び/又は水が第1の部材320に浸透することを可能にして装置300を沈ませる、第2の部分又は部品を含むように構成され得る。
【0082】
[0096] いくつかの実施形態において、解放部品360は、最小量の集団が第2の部材340上に蓄積した後に分解するように構成され得る。いくつかの実施形態において、解放部品360は、温度、圧力、UV及び/又は可視光への曝露を含むがこれらに限定されない所定の環境条件下において分解するように構成され得る。
【0083】
[0097] 上で説明されたように、養殖装置300は、回収作業及び/又は炭素隔離に利用され得る標的産物種を種付けするために使用することができる。いくつかの実施形態では、まず、養殖装置300に1つ以上の標的産物種344を種付けし、次いで、それを海洋、湖沼、河川及び/又は他の任意の好適な水域に設置し得る。装置300は、最初に海洋、湖沼、河川及び/又は他の任意の適切な水域に設置されたとき、標的産物の成長に関連する及び/又は標的産物の成長を促進するUV光、O2及び/又は栄養分の吸収を容易にするために水線Wの水面上又は水面付近に浮かぶように構成され得る。いくつかの実施形態において、養殖装置300は、所定の期間が経過した後、又は選択された標的産物種の所定の量の成長が達成された後、標的産物の回収目的のためにアクセスされるように構成され得る。いくつかの実施形態において、解放部品360は、最小量の標的産物が第2の部材340上に蓄積した後、分解して、第1の部材320に含まれている空気及び/もしくは他の気体が逃げること並びに/又は水が第1の部材340に浸透することを可能にして養殖装置300を海底に沈め、標的産物の集団に関連する炭素を効果的に隔離するように構成され得る。
【0084】
[0098]
図4は、一実施形態に係る、標的産物の養殖装置400を図示している。本明細書中で説明されるように、標的産物は、バイオレメディエーション、最終養殖又は二酸化炭素の隔離という目的のための、微細藻類、大型海藻、プランクトン、海洋細菌、古細菌、濾過摂食者(例えば、カキ又はハマグリ)又は甲殻類をはじめとした多種多様の種を含む及び/又は包含する。標的産物の養殖装置400(本明細書中で「養殖装置」又は「装置」とも称される)は、上で説明された養殖装置100、200及び/又は300と形態及び/又は機能が類似している場合がある。例えば、養殖装置100に関連して上で説明されたように、養殖装置400は、回収作業及び/又は炭素隔離に利用され得る標的産物種を種付けするために使用することができる。装置400は、装置400の様々な部品に浮力を提供するように構成された第1の部材420(「ブイ」とも称される)、1つ以上の標的産物種444を蓄積又は養殖するように構成された第2の部材440、並びに第1の部材420を第2の部材440から分離する、外す、解放する及び/又は切り離すように構成された解放部品460(本明細書中で「中間部品」とも称される)を備え得る。いくつかの実施形態において、養殖装置400の一部及び/又は態様は、
図3に照らして上で説明された養殖装置300の一部及び/又は態様と類似及び/又は実質的に同じであり得る。したがって、そのような類似の一部及び/又は態様は、本明細書中でさらに詳細に説明されないことがある。
【0085】
[0099] 第1の部材420は、任意の好適な形状及び/又はサイズの浮遊デバイスであり得る。いくつかの実施形態において、第1の部材420の1つ以上の部分は、浮力を提供するように構成された多孔性且つ/又は中空の材料から形成され得る。いくつかの実施形態において、第1の部材420は、任意のタイプのブイ、例えば、ナビゲーションブイ、係留ブイ、ショットブイ、スパーブイなどであり得る。いくつかの実施形態において、第1の部材420は、空気及び/又は他の気体を含み得る。いくつかの実施形態において、その空気及び/又は気体は、加圧されている場合がある。いくつかの実施形態において、第1の部材420の1つ以上の部分は、可視光の透過を可能にして標的産物444による光の吸収を容易にするように構成された比較的透明の材料から形成され得る。いくつかの実施形態において、第1の部材420は、ポリグリコリド、ポリラクチド、ポリヒドロキシブチレート、キトサン、ヒアルロン酸、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)、ポリ(カプロラクトン)、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリ(乳酸)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(オルトエステル)、ポリシアノアクリル酸、アルミニウム、炭素鋼、ステンレス鋼、亜鉛メッキ鋼、真鍮及び/又はそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない海洋適合性材料で作ることができる。
【0086】
[00100] 養殖装置400の第2の部材440は、任意の好適な形状、サイズ及び/又は外形であり得る。第2の部材440は、標的産物444の付着に適した任意のタイプの材料であり得る。第2の部材440は、標的産物444の付着を容易にするように構成された結合剤を含む繊維性材料又は種付糸から形成され得る。第2の部材440は、タイノット、シンブルキット、フック及び/又は類似のアンカーポイント(
図4に示されていない)を用いて解放部品460に機械的に連結され得る。
図4に示されているように、第2の部材440は、解放部品460に連結された単一の種付糸を備え得る。他の実施形態において、第2の部材440は、解放部品460に連結された第1の種付糸、並びに標的産物の付着のために利用可能な空間の大きさを拡張するように構成された、第1の種付糸及び/又は解放部品460に連結されたさらなる種付糸(図示せず)を備え得る。
【0087】
[00101] 上に開示されたように、第2の部材440は、1つ以上の第2の標的産物種444を蓄積又は養殖するように構成され得る。いくつかの実施形態において、第2の部材440は、第2の部材440への444の付着を補強するように構成された結合剤を含み得る。いくつかの実施形態において、第2の部材440は、標的産物444の汚染を抑制するように配合された添加剤を含み得る。例えば、いくつかの実施形態において、第2の部材440は、二酸化ゲルマニウム(GeO2)を含み得る。いくつかの実施形態において、第2の部材440は、装置400に負の浮力を提供するため、及び/又は標的産物444に鉄(Fe)栄養源を提供するために、鉄、又は鉄を含むスレッド、フィラメントもしくは紐と、共巻きされ得る、巻き付けられ得る、及び/又は編み合わせられ得る。いくつかの実施形態において、第2の部材440の1つ以上の部分には、空気中の窒素分子(N2)をアンモニア(NH3)に変換する(例えば、窒素を固定する)ことができる、単細胞古細菌生物、細菌、例えば、シアノバクテリア、アゾトバクター、根粒菌、フランキアなど(例えば、マイクロバイオータ)を含む複数のジアゾ栄養微生物が接種され得る。いくつかの実施形態において、第2の部材440の1つ以上の部分には、標的産物種444の成長を加速するように、並びにレオロジー改変剤、凝集剤及び他の添加物(グリセロール、糖蜜、高分子量多糖類、及びポリエチレンオキシドなどの他のポリマー材料を含む)を導入することによって第2の部材440への標的産物種の接着を改善するように、配合された成長促進剤が噴霧され得る。
【0088】
[00102] 養殖装置400の解放部品460は、任意の好適な形状、サイズ及び/又は外形であり得る。例えば、いくつかの実施形態において、解放部品460は、第1の部材420を第2の部材440に可逆的に連結するように構成された環、シャックル、スイベル、継手などであり得る。いくつかの実施形態において、解放部品460は、タイノット、シンブルキット、フック及び/又は類似のアンカーポイントを用いて第1の部材420と第2の部材440とを接合、相互接続及び/又は連結するように構成され得る。上で説明されたように、アンカーポイントは、例えば、ポリグリコリド、ポリラクチド、ポリヒドロキシブチレート、キトサン、ヒアルロン酸、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)、ポリ(カプロラクトン)、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリ(乳酸)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(オルトエステル)、ポリシアノアクリル酸、アルミニウム、炭素鋼、ステンレス鋼、亜鉛メッキ鋼、真鍮などを含む海洋適合性材料で作ることができる。解放部品460は、意図された寿命のある最小期間が経過した後に腐食して、第1の部材420を第2の部材440から分離する、外す及び/又は切り離すがゆえに第2の部材440及び付着させた標的産物を海底に沈ませるように構成された海洋適合性材料からも形成され得る。いくつかの実施形態において、第1の部材420は、水線Wの水面上で分解する及び/又は腐食するように構成され得る。いくつかの実施形態において、第1の部材420は、分解して海底に沈むようにすることもできる。いくつかの実施形態において、第1の部材420は、回収され、再利用されるように構成され得る。
【0089】
[00103] 上で説明されたように、養殖装置400は、回収作業及び/又は炭素隔離に利用され得る標的産物種を種付けするために使用することができる。いくつかの実施形態では、まず、養殖装置400に1つ以上の標的産物種の配偶体及び/又は胞子体を種付けし、次いで、それを海洋、湖沼、河川及び/又は他の任意の好適な水域に設置し得る。装置400は、標的産物の成長に関連する及び/又は標的産物の成長を促進するUV光、O2及び/又は栄養分の吸収を容易にするために水線Wの水面付近に浮かぶように構成され得る。いくつかの実施形態において、養殖装置400は、所定の期間が経過した後、又は選択された標的産物種の所定の量の成長が達成された後、標的産物の回収目的のためにアクセスされるように構成され得る。いくつかの実施形態において、解放部品460は、意図された寿命の最小期間が経過した後及び/又は最小量の標的産物が第2の部材440上に蓄積した後、分解して第1の部材420を第2の部材440から切り離すことにより、第1の部材420を浮かばせ、第2の部材440及び付着させた標的産物を海底に沈ませて、標的産物の集団に関連する炭素を効果的に隔離するように構成され得る。
【0090】
[00104]
図5Aから
図5Cは、一実施形態に係る、標的産物の養殖装置の第1の部材520及び解放部品560を図示している。標的産物の養殖装置(本明細書中で「養殖装置」又は「装置」とも称される)は、上で説明された養殖装置100、200、300及び/又は400と形態及び/又は機能が類似している場合がある。例えば、養殖装置100に関連して上で説明されたように、この実施形態に係る養殖装置は、回収作業及び/又は炭素隔離に利用され得る標的産物種を種付けするために使用することができる。いくつかの実施形態において、この実施形態に係る第1の部材520及び解放部品560の一部及び/又は態様は、
図4に照らして上で説明された、第1の部材420及び解放部品460の一部及び/又は態様と類似及び/又は実質的に同じであり得る。したがって、そのような類似の一部及び/又は態様は、本明細書中でさらに詳細に説明されないことがある。
図5Aに示されているように、第1の部材520は、空気及び/又は他の気体を含み、装置500の様々な部品に浮力を提供するように構成された、任意のタイプのブイ、例えば、ナビゲーションブイ、係留ブイ、ショットブイ、スパーブイなどであり得る。
【0091】
[00105]
図5Bは、解放部品560が、第1の部材520に含まれている空気及び/又は他の気体が逃げるのを防ぐ気密シールを維持するために、第1の部材520に連結されるように構成され得ることを示している。いくつかの実施形態において、解放部品560は、連結チャンバー及び/又は連結部分563、分解性材料層564、並びに開口部565を規定する部分及び/又は区分を含むハウジング562を備え得る。ハウジング562は、ガラス、金属、金属合金及び/又は他の海洋適合性材料を含むがこれらに限定されない任意の好適な材料で作ることができる。いくつかの実施形態において、連結チャンバー及び/又は連結部分563は、第1の部材520のねじ山のある端部521に接続、適合及び/又は連結され得る、同様にねじ山のある端部を含み得る。いくつかの実施形態において、連結チャンバー及び/又は連結部分563は、第1の部材520に接続する及び/又は取り付けるように構成された、ネジ、ボルト留め具、釘、接着剤などを備え得る。いくつかの実施形態において、解放部品560の連結チャンバー及び/又は連結部分563は、クイックコネクトアダプター、圧力継手、金属ガスケット面シール継手などを備え得る。あるいは、他の実施形態において、ハウジング562は、第1の部材520に連結され、シールするように構成された、栓、ストッパー、コルクなどとして形づくられ得る。
【0092】
[00106] 分解性材料層564は、連結チャンバー及び/又は連結部分563の内側に及び/又はそれらに隣接して配置され得る。いくつかの実施形態において、分解性材料層564は、解放部品560のハウジング562並びに/又は連結チャンバー及び/もしくは連結部分563に適切にフィットするワッシャー、ガスケット及び/又は他の任意の形状として形づくられ得る。いくつかの実施形態において、分解性材料層564は、第1の部材520の内部に含まれる気体を密封するように構成されたガスケットとして形づくられ得る。いくつかの実施形態において、分解性材料層564は、意図された寿命のある最小期間が経過した後、分解して第1の部材520と解放部品560との間のシールを破壊及び/又は破損することにより、含まれている空気及び/又は他の気体が第1の部材520から逃げる(又は放出される)ことを可能にして、養殖装置500を沈ませるように構成され得る。いくつかの実施形態において、例えば
図5Cに示されているように、ハウジング562は、海水への分解性材料層564の曝露を容易にして、分解性材料層564の分解を引き起こすことにより、養殖装置の沈降をもたらす、1つ以上の穴566を備え得る。いくつかの実施形態において、分解性材料層564は、予測可能且つ再現性のある速度で分解又は腐食して、空気が第1の部材520から逃げること及び/又は水が第1の部材520に浸透するもしくは染み込むことを可能にして、所定の長さの時間が経過した後、装置を沈ませる、亜鉛などの材料で作ることができる。いくつかの実施形態において、分解性材料層564は、予測可能且つ再現性のある速度で分解又は腐食する、亜鉛などの材料で作られた第1の部分又はコーティング、及びアルカリ金属、例えば、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、リチウム(Li)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、フランシウム(Fr)又はそれらの組み合わせを含む第2の部分又は内部コアであって、勢いよく且つ激しく水と反応して解放部品560を機械的に破壊及び/又は破砕して、空気が第1の部材520から逃げること及び/又は水が第1の部材520に浸透することを可能にして養殖装置を沈ませる、第2の部分又は内部コアを備え得る。
【0093】
[00107] 上で説明されたように、ハウジング562は、第2の部材(図示されていない種付糸)をつなぎ留めるように構成され得る開口部565を規定する部分及び/又は区分も含み得る。いくつかの実施形態において、開口部565は、アイボルト、スイベルリンク、ホイストリングなどであり得る。いくつかの実施形態において、第2の部材540(例えば、種付糸)は、ハウジング562によって規定される開口部565を介して解放部品560に連結され得る。いくつかの実施形態において、ハウジング562の開口部565を使用することにより、解放部品160に関して上で説明されたように、タイノット、シンブルキット、フック及び/又は類似のアプローチを用いて第2の部材540に直接連結することができる。
【0094】
[00108]
図6Aから
図6Bは、一実施形態に係る、標的産物の養殖装置の第1の部材620及び解放部品660を図示している。標的産物の養殖装置(本明細書中で「養殖装置」又は「装置」とも称される)は、上で説明された養殖装置100、200、300及び/又は400と形態及び/又は機能が類似している場合がある。例えば、養殖装置100に関連して上で説明されたように、この実施形態に係る養殖装置は、回収作業及び/又は炭素隔離に利用され得る標的産物種を種付けするために使用することができる。いくつかの実施形態において、この実施形態に係る第1の部材620及び解放部品660の一部及び/又は態様は、
図4に照らして上で説明された第1の部材420及び解放部品460の一部及び/又は態様と類似及び/又は実質的に同じであり得る。したがって、そのような類似の一部及び/又は態様は、本明細書中でさらに詳細に説明されないことがある。
【0095】
[00109]
図6Aは、第1の部材620が、養殖装置に浮力を提供するように構成された中空の内部を含む平円板及び又は円柱として形づくられ得ることを示している。いくつかの実施形態において、第1の部材620は、ガラスなどの海洋適合性材料で作ることができる。他の実施形態において、第1の部材620は、ポリグリコリド、ポリラクチド、ポリヒドロキシブチレート、キトサン、ヒアルロン酸、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)、ポリ(カプロラクトン)、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリ(乳酸)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(オルトエステル)、ポリシアノアクリル酸、アルミニウム、炭素鋼、ステンレス鋼、亜鉛メッキ鋼、真鍮及び/又はそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない他の海洋適合性材料で作ることができる。
【0096】
[00110]
図6Bは、解放部品660が、第1の部材620の下側の部分又は区分に連結されたハウジング662を備え得ることを示している。ハウジング662は、ガラス、金属、金属合金及び/又は他の海洋適合性材料を含むがこれらに限定されない任意の好適な材料で作ることができる。いくつかの実施形態において、ハウジング662は、第1の部材620を密封して、第1の部材620に含まれている空気及び/又は他の気体が逃げるのを防ぐように、及び/又は水が第1の部材620に浸透して、養殖装置を沈ませるのを妨げるように、構成され得る。
図6Bに示されているように、ハウジング662は、連結部分663、分解性材料層664、及び開口部665を規定する構造体を備え得る。ハウジング662は、分解性材料層664を介して第1の部材620に連結され得る。例えば、
図6Bに示されているように、分解性材料層664は、ハウジング662内に配置された(例えば、2つのワッシャーの間及び/又はハウジング層662の間に挟まれた)単一の平円板として形づくられ得る。さらに、分解性材料664の平円板の縁及び/又は外側部分は、第1の部材620の引っ込んだ構造内に支持され得る及び/又は包まれ得る。結果として、分解性材料664の平円板が第1の部材620を少なくとも部分的に密封するので、ハウジング662は、第1の部材620の内側に吊され得る。あるいは、いくつかの実施形態において、ハウジング662は、ネジ、ボルト留め具、釘、接着剤などを介して第1の部材620に連結され得る。
【0097】
[00111] 上で説明されたように、分解性材料層664は、第1の部材620に連結されるように構成されたワッシャー、ガスケット及び/又は平円板として形づくられ得る。いくつかの実施形態において、分解性材料の平円板664は、意図された寿命のある最小期間が経過した後、分解して第1の部材620と解放部品660との間のシールを破壊及び/又は破損することにより、含まれている空気及び/又は他の気体が第1の部材620から逃げる(又は放出される)ことを可能にして、養殖装置を沈ませるように構成され得る。いくつかの実施形態において、分解性材料の平円板664は、予測可能且つ再現性のある速度で分解又は腐食して、空気が第1の部材620から逃げること及び/又は水が第1の部材620に浸透するもしくは染み込むことを可能にして、所定の長さの時間が経過した後、装置を沈ませる、亜鉛などの材料で作ることができる。いくつかの実施形態において、分解性材料の平円板664は、予測可能且つ再現性のある速度で分解又は腐食する、亜鉛などの材料で作られた第1の部分又はコーティング、及びアルカリ金属、例えば、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、リチウム(Li)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、フランシウム(Fr)又はそれらの組み合わせを含む第2の部分又は内部コアであって、勢いよく且つ激しく水と反応して解放部品660を機械的に破壊及び/又は破砕して、空気が第1の部材620から逃げること及び/又は水が第1の部材620に浸透することを可能にして装置を沈ませることができる、第2の部分又は内部コアを備え得る。あるいは、いくつかの実施形態において、解放部品660は、ハウジング662に連結された及び/又は取り付けられた第1の分解性材料の平円板664、並びに縁及び/又は外側部分が第1の部材620の引っ込んだ構造内に支持される及び/又は包まれるようにされた第2の平円板を備え得る。次いで、ハウジング662に連結された第1の分解性材料664は、第2の平円板と連動することにより、第1の部材620をしっかり固定する及び/又は密封することができる。第1の分解性材料の平円板が分解すると、第1の部材620のシールが損なわれ、空気が第1の部材620から逃げること及び/又は水が第1の部材620に浸透することが可能となり、養殖装置が沈む。
【0098】
[00112] 上で説明されたように、解放部品660のハウジング662は、連結部分663、及び開口部665を規定する構造体も含み得る。
図6Bに示されているように、連結部分6630は、ねじ山のあるアイボルト、フック、ホイストリングなどに連結されるように構成されたねじ山を備え得る。いくつかの実施形態において、ねじ山のあるアイボルトは、開口部665を備え得る及び又は規定し得る。いくつかの実施形態において、第2の部材640(例えば、種付糸)は、開口部665を介して解放部品660に連結され得る。いくつかの実施形態において、ハウジング562の開口部665を使用することにより、解放部品160に関して上で説明されたように、タイノット、シンブルキット、フック及び/又は類似のアプローチを用いて第2の部材640に直接連結することができる。
【0099】
[00113]
図7は、一実施形態に係る、標的産物の養殖装置700を図示している。本明細書中で説明されるように、標的産物は、バイオレメディエーション、最終養殖又は二酸化炭素の隔離という目的のための、微細藻類、大型海藻、プランクトン、海洋細菌、古細菌、濾過摂食者(例えば、カキ又はハマグリ)又は甲殻類をはじめとした多種多様の種を含む及び/又は包含する。標的産物の養殖装置700(本明細書中で「養殖装置」又は「装置」とも称される)は、上で説明された養殖装置100、200、300及び/又は400と形態及び/又は機能が類似している場合がある。例えば、養殖装置100に関連して上で説明されたように、養殖装置700は、回収作業及び/又は炭素隔離に利用され得る標的産物種を播種するために使用することができる。装置700は、装置700の様々な部品に浮力を提供するように構成された第1の部材720(「ブイ」とも称される)、1つ以上の標的産物種744を受け取るように構成された第2の部材720、並びに必要に応じて、第1の部材720を第2の部材740から分離する、外す、解放する及び/又は切り離すように構成された解放部品760を備え得る。さらに、装置700は、検知モジュール770及び通信モジュール780を備える。検知モジュール770は、養殖装置700に連結され得るか又はそれと関連付けられ得、養殖装置700上に配置された標的産物種に関連する1つ以上の特徴及び/又は画像を検知、検出、計測及び/又は定量化するように構成され得る。
【0100】
[00114] いくつかの実施形態において、検知モジュール770は、養殖装置700(例えば、第1の部材720)に機械的に連結され得る。いくつかの実施形態において、検知モジュール770は、養殖装置700に光学的に連結され得る。いくつかの実施形態において、検知モジュール770は、養殖装置700に電子的に連結され得る。通信モジュール780は、検知モジュール770及び/又は養殖装置700に電気的且つ機械的に連結され得、(1)標的産物に関連する1つ以上の特徴及び/もしくは画像を読み取る、(2)前記標的産物の特徴及び/もしくは画像を代表する信号を1つ以上の外部デバイスに送信する、並びに/又は(3)検知モジュール770を制御するために動作可能な信号を1つ以上の外部デバイスから受信するように構成され得る。いくつかの実施形態において、養殖装置700の一部及び/又は態様は、
図4に照らして上で説明された養殖装置400の一部及び/又は態様と類似及び/又は実質的に同じであり得る。したがって、そのような類似の一部及び/又は態様は、本明細書中でさらに詳細に説明されないことがある。
【0101】
[00115] 第1の部材720は、任意の好適な形状及び/又はサイズの浮遊デバイスであり得る。いくつかの実施形態において、第1の部材720の1つ以上の部分は、浮力を提供するように構成された多孔性且つ/又は中空の材料から形成され得る。いくつかの実施形態において、第1の部材720は、任意のタイプのブイ、例えば、ナビゲーションブイ、係留ブイ、ショットブイ、スパーブイなどであり得る。いくつかの実施形態において、第1の部材720は、空気及び/又は他の気体を含み得る。
【0102】
[00116] 養殖装置700の第2の部材740は、任意の好適な形状、サイズ及び/又は外形であり得る。第2の部材740は、標的産物744の付着に適した任意のタイプの材料であり得る。第2の部材740は、標的産物744の付着を容易にするように構成された結合剤を含む繊維性材料又は種付糸から形成され得る。第2の部材740は、タイノット、シンブルキット、フック及び/又は類似のアンカーポイント(
図7に示されていない)を用いて解放部品770に機械的に連結され得る。
【0103】
[00117] 第2の部材740は、1つ以上の第2の標的産物種744を受け取るように構成され得る。いくつかの実施形態において、第2の部材740は、第2の部材740への標的産物744の付着を補強するように構成された結合剤を含み得る。いくつかの実施形態において、第2の部材740は、標的産物744の汚染を抑制するように配合された添加剤を含み得る。例えば、いくつかの実施形態において、第2の部材740は、二酸化ゲルマニウム(GeO2)を含み得る。いくつかの実施形態において、第2の部材740は、装置700に負の浮力を提供するため、及び/又は標的産物744に鉄(Fe)栄養源を提供するために、鉄、又は鉄を含むスレッド、フィラメントもしくは紐と、共巻きされ得る、巻き付けられ得る、及び/又は編み合わせられ得る。いくつかの実施形態において、第2の部材740の1つ以上の部分には、空気中の窒素分子(N2)をアンモニア(NH3)に変換する(例えば、窒素を固定する)ことができる、単細胞古細菌生物、細菌、例えば、シアノバクテリア、アゾトバクター、根粒菌、フランキアなど(例えば、マイクロバイオータ)を含む複数のジアゾ栄養微生物が接種され得る。いくつかの実施形態において、第2の部材740の1つ以上の部分には、標的産物種744の成長を加速するように、並びにレオロジー改変剤、凝集剤及び他の添加物(グリセロール、糖蜜、高分子量多糖類、及びポリエチレンオキシドなどの他のポリマー材料を含む)を導入することによって第2の部材740への標的産物種の接着を改善するように、配合された成長促進剤が噴霧され得る。
【0104】
[00118] 解放部品760は、任意の好適な形状、サイズ及び/又は外形であり得る。例えば、いくつかの実施形態において、解放部品760は、第1の部材720を第2の部材740に可逆的に連結するように構成された環、シャックル、スイベル、継手などであり得る。いくつかの実施形態において、解放部品760は、タイノット、シンブルキット、フック及び/又は類似のアンカーポイントを用いて第1の部材720と第2の部材740とを接合、相互接続及び/又は連結するように構成され得る。解放部品760は、意図された寿命のある最小期間が経過した後に腐食して、第1の部材720を第2の部材740から分離する、外す及び/又は切り離すがゆえに第2の部材740及び付着させた標的産物を海底に沈ませるように構成された海洋適合性材料からも形成され得る。
【0105】
[00119] 検知モジュール770は、養殖装置700上に配置された標的産物種744に関連する1つ以上の特徴及び/又は画像を検知、検出、計測及び/又は定量化するように構成された複数のセンサを備え得る。いくつかの実施形態において、検知モジュール770は、水温、放射度、溶存酸素濃度、栄養分濃度、溶存炭素濃度、塩分濃度、及び/又は標的産物の成長に関係する他の特徴を検知、検出及び/又は計測するように構成された1つ以上のセンサを備え得る。植物のサイズ、植物の密度、水温、放射度、溶存酸素濃度、栄養分濃度、溶存炭素濃度、塩分濃度、及び/又は標的産物の成長に関係する他の特徴が、1つ以上のセンサによって検知及び/又は検出され得る。いくつかの実施形態において、検知モジュール770のセンサの出力に関連するデータは、通信モジュール780によって読み取られ、外部デバイスに送信され得る。次いで、送信されたデータは、解析される(例えば、制御システム、解析ユニット及び/又は他の計算デバイスによって)ことにより、標的産物の成長を測定し、集団の生産量及び/又は集団の収量を定量化し得る。換言すれば、検知モジュール770の1つ以上のセンサによって出力されたデータを解析することにより、標的産物の成長、集団の生産量、炭素の捕捉及び/又は隔離の速度、量又は容量などを測定することができる。
【0106】
[00120] いくつかの実施形態において、検知モジュール770は、装置700に標的産物744を種付けし、それを海洋、湖沼、河川及び/又は他の任意の好適な水域に設置した後、装置700の沈降速度を時間に応じて計測及び/又は記録するように構成された圧力解放型深度センサを備え得る。圧力解放型深度センサは、装置700の沈降速度を計測し、装置700が所定の深度閾値に達したら装置700から切り離し、記録された沈降速度情報を、衛星を介して(通信モジュール780を介して)発信し、水面に戻るように構成され得る。いくつかの場合において、装置700の沈降速度を用いることにより、捕捉及び/又は隔離された集団並びに関係する炭素を定量化することができる。いくつかの場合において、検知モジュール770の圧力解放型深度センサを用いることにより、装置700が、永続的な炭素隔離に関連する及び/又はそれに適した所定の深さ又は閾値より下に沈んだかを判定することができる。いくつかの実施形態において、永続的な炭素隔離に関連する及び/又はそれに適した所定の深さ又は閾値は、水面から約500メートル、約600メートル、約700メートル、約800メートル、約900メートル、約1,000メートル、約1,000メートル、約1,100メートル、約1,200メートル、約1,300メートル、約1,400メートル、約1,500メートル、約1,600メートル、約1,700メートル、約1,800メートル、約1,900メートル又は約2,000メートルを超え得る。
【0107】
[00121] いくつかの実施形態において、検知モジュール770は、標的産物の成長又は蓄積を数、密度、空間的寸法及びそれらの変化の程度又は速度について撮像、記録及び/又はモニタするように構成された水中カメラ又は他の撮像技術を備え得る。例えば、いくつかの実施形態において、検知モジュール770は、人間の両眼視をまねるがゆえに深さを知覚できる画像の取得を容易にする別個の画像センサを含む2つ以上のレンズが備え付けられた立体カメラシステムを備え得る。
【0108】
[00122] いくつかの実施形態において、立体カメラシステムには、養殖装置700上で成長中の標的産物の詳細な画像を生成するように構成された、レクティリニアレンズ、魚眼レンズ及び/又はアナモルフィックレンズが備え付けられ得る。いくつかの実施形態において、立体カメラシステムは、複数の画像後処理工程を行うように構成され得る。例えば、いくつかの実施形態において、立体カメラシステムは、レンズによって生成された画像を解析し、例えばLavenberg-Marquardtソルバーの使用を通じ、ゆがみパラメータ及びカメラ行列を推定するアルゴリズムを用いて、ゆがみを特定及び/又は補正する、後処理工程を含み得る。いくつかの実施形態において、立体カメラシステムは、複数の後処理工程、例えば、色補正、輝度/コントラスト、鮮明度、後方散乱除去、トリミングなどを含み得る。
【0109】
[00123] いくつかの実施形態において、検知モジュール770は、400~700nmの範囲の空気中及び水中の光合成光レベルを計測するように構成された光合成有効放射(PAR)センサが備え付けられたカメラも備え得る。PARセンサは、光合成光子束密度(PPFD)、又は可視光スペクトル範囲の電磁放射線のパワーを1平方メートルあたり1秒あたりの光子のマイクロモルを単位として計測するように構成され得る。PARセンサによって捕捉されたデータを用いることにより、装置700上に配置された標的産物が光合成に利用可能な太陽光の強度を推定、測定及び/又は定量化することができるので、標的産物の相対的な健康状態並びに/又は標的産物及び他の海洋生物の成長速度を推定及び/又は推量することができる。
【0110】
[00124] 検知モジュール770のカメラによって記録された画像を用いることにより、養殖装置700上に蓄積された集団を定量化すること、並びに集団の変化(例えば、集団の蓄積の速度)を推定し、標的産物の相対的な健康状態の評価を容易にする洞察を与えることができる。いくつかの実施形態において、検知モジュール770によって記録された画像は、解析のために通信モジュール780によって外部デバイスに送信され得る。いくつかの場合では、検知モジュール770によって記録された画像を、手動で解析することにより(例えば、ユーザによる手動の注釈付け)、装置700上の集団の量、標的産物の成長速度、及び/又は装置700上に蓄積した集団によって効果的に捕捉されるCO2量を測定することができる。例えば、いくつかの実施形態において、検知モジュール770は、画像キャプチャを開始し(例えば、異なる時点において養殖装置700上に配置された標的産物の画像及び/又は動画を記録し)、それらの画像を後処理し(例えば、色、明るさ/コントラスト、鮮明度の調整、後方散乱除去、ノイズ除去、トリミングなどを行い)、ユーザによるデータの抽出用又は注釈付け用及び抽出されたデータの統計解析用に通信モジュール780を介してそれらの画像及び/又は動画を送信し得る。他の場合では、検知モジュール770によって記録された画像は、コンピュータビジョンアプローチを使用して解析又は注釈付けされ得る。
【0111】
[00125] いくつかの実施形態において、検知モジュール770又は通信モデル780に搭載されたソフトウェアは、電力を消費する高価な衛星テレメトリの使用を最小限に抑えるストラテジを採用することがある。これらのストラテジは、データ圧縮を含み得る。これらのストラテジは、データサブセットの選択を含み得る。これらのストラテジは、送信されるデータのサブサンプリング又は要約を行うための機械学習モデルの使用を含み得る。いくつかの実施形態において、装置は、双方向遠隔測定通信を利用して、送信されるデータを動的に選択するため、又はデータの使用様式もしくはデータのモデリング様式を切り替えるための取扱説明書を受信し得る。
【0112】
[00126]
図7に示されているように、検知モジュール770は、検知モジュール770の1つ以上のカメラ774a、774b(カメラ774と総称される)及び/又は通信モジュール780に機械的支持を提供するように構成されたフレーム772を備える。フレーム772は、任意の適切な形状及び/又はサイズであり得る。フレーム772は、検知モジュール770及び通信モジュール780の部品の安定性及び長寿命を確保するために、潮浪及び海流に耐えるのに十分な機械的強度を有し得る。いくつかの実施形態において、フレーム772は、任意の数のストラット(例えば、棒状の要素)から形成される剛性構造体であり得る。他の実施形態において、フレーム772は、任意の数のプレート及び/又はパネルから形成され得る。フレーム772のプレートは、検知モジュール770の様々な部品(例えば、カメラ774及び必要な他のハードウェア)を収容する、支持する及び/又は取り付けるために使用することができる閉ループ形状を規定し得る。例えば、
図7に示されているように、フレーム772は、実質的に楕円形又は円形の形状を有する支持構造体を形成するプレートのアセンブリであり得る。プレートは、プレートの長さに沿って配置された1つ以上のタブ、ブレース及び/又はブラケットを備えることができ、これらは、他の部品又はプレートをフレーム772に連結するための装着点として機能することができる。このように、フレーム772は、モジュール式であり得る。フレーム772は、様々な連結機構、例えば、ストラップ、ブラケット、フックなどを用いて、第1の部材720に連結され得る。フレーム772を形成するプレートは、アルミニウム、アルミニウム、鋼、ステンレス鋼、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリ(メタクリル酸メチル)、繊維ガラス、炭素繊維などを含むがこれらに限定されない様々な金属、プラスチック及び複合物で作ることができる。本明細書中でさらに説明されるように、塩水及び/又は淡水に対するフレーム772の耐腐食性を改善するために、コーティングを適用することもできる。
【0113】
[00127] 検知モジュール770のカメラ774は、ネジ、ボルト留め具、溶接、ろう付け、接着剤又はそれらの任意の組み合わせを含むがこれらに限定されない様々な連結機構を用いてフレーム772に連結され得る。いくつかの実施形態において、カメラ774は、養殖装置700上に配置された標的産物の画像の捕捉を容易にするために、種々の向きに装着され得る。いくつかの実施形態において、カメラ774は、固定された角度で装着され得る。他の実施形態において、カメラ774は、電動アクセサリ(図示せず)がカメラ774の向きを変えること(例えば、レンズが向く角度の調整)ができるようにフレーム772に装着され得る。
【0114】
[00128] いくつかの実施形態において、検知モジュール770は、海洋微生物、植物、藻類又は小動物の蓄積及び/又は成長、並びにそのような海洋微生物の代謝産物によって発生する微生物誘起腐食(MIC)に起因する検知モジュール770の様々な部品の分解を検出、防止及び/又は最小化するように構成された防汚システムが備え付けられたカメラ774を備え得る。いくつかの実施形態において、その防汚システムは、紫外線(250~280nm)範囲の光線を水中カメラのレンズ及び/又は他の部品に向けて、微生物、植物、藻類又は小動物のフルオロフォアによる蛍光の発光を誘発するように構成された発光ダイオード(LED)ランプなどの検出光源を備え得る。その検出光源を用いることにより、検知モジュール770上に堆積した海洋微生物の蛍光応答を引き起こすことができ、その蛍光応答は、電荷結合素子(CCD)、電子増倍電荷結合素子(EM-CCD)及び/又は相補型金属酸化膜半導体(CMOS)検出器などの好適な検出器が備え付けられた1つ以上のカメラによって検出され得る。カメラ774は、検知モジュール770上の海洋微生物の蓄積を評価するために使用することができる蛍光シグナルの強度を定量化することができる。場合によっては、検出光源によって生成される強烈なUV照射に対する微生物の耐性が低いため、その検出光源を使用することにより、検知システム770上に蓄積された海洋微生物の少なくとも一部を除去することができる。
【0115】
[00129] いくつかの実施形態において、防汚システムは、海洋微生物に有害な環境を提供する1つ以上の化学的殺菌剤又は防汚殺生物剤を含み得る。いくつかの実施形態において、レンズ、カメラシャーシ及び周辺のハードウェアを含む検知モジュール770の部品は、2-メチルチオ-4-tertiary-ブチルアミノ-6-シクロプロピルアミノ-s-トリアジン(Irgarol1051)、1-(3,4-ジクロロフェニル)-3,3-ジメチル尿素(ジウロン)、4,5-ジクロロ-2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン(DCOIT)、N-ジクロロフルオロメチルチオ-N’,N’-ジメチル-N-フェニルスルファミド(ジクロフルアニド)、N-ジクロロフルオロメチルチオ-N’,N’-ジメチル-N-p-トリルスルファミド(トリルフルアニド)、2,4,5,6-テトラクロロイソフタロニトリル(クロロタロニル)、ビス(1ヒドロキシ-2(1H)-ピリドチオナト-O,S)-T-4亜鉛(亜鉛ピリチオン)、ビス(1ヒドロキシ-2(1H)-ピリドチオナト-O,S)-T-4銅(銅ピリチオン)、2-(チオシアノメチルチオ)ベンズチアゾール(TCMTB)、2,3,5,6-テトラクロロ-4-(メチルスルホニル)ピリジン(TCMSピリジン)、ピリジン-トリフェニルボラン(TPBP)、チオシアン酸第一銅、三酸化ヒ素、ジネブ、ホルペット、チラム、オキシテトラサイクリン塩酸塩、ジラム、マンネブ及び/又はそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない1つ以上の防汚殺生物剤を含む保護層でコーティングされ得る。
【0116】
[00130] 通信モジュール780は、検知モジュール770に連結され得るか又はそれと関連付けられ得る。いくつかの実施形態において、通信モジュール780は、養殖装置700(例えば、第1の部材720)及び/又は検知モジュール770に機械的に連結され得る。いくつかの実施形態において、通信モジュール780は、養殖装置700の第1の部材720に機械的に連結され得る。他の実施形態において、通信モジュール780は、養殖装置の第2の部材740に機械的に連結され得る。いくつかの実施形態において、通信モジュール780は、専用の浮遊デバイス、例えば、発泡樹脂製品、補助ブイなどに連結され得る。いくつかの実施形態において、その浮遊デバイスは、衛星アンテナを含むがこれに限定されない通信モジュールといった他の部品又はバッテリもしくはソーラーパネルなどの電源に対する支持構造体としても働き得る。いくつかの実施形態において、通信モジュール780は、養殖装置700及び/又は検知モジュール770に電子的に連結され得る(すなわち、有線又は無線)。いくつかの実施形態において、通信モジュール780は、1つ以上のソーラーパネルから給電され得る。例えば、いくつかの実施形態において、通信モジュール780は、通信モジュール780の様々な部品に電力を供給するように構成された20Wソーラーパネルから給電され得る。あるいは、いくつかの実施形態において、通信モジュール780は、任意の好適な電源及び/又はエネルギー貯蔵デバイスを有し得る。いくつかの実施形態において、通信モジュール780の電源は、1つ以上の蓄電池を含み得る。いくつかの実施形態において、通信モジュールは、補助電源及び/又はバックアップ電源としての外部電源と通信モジュール780との接続を可能にする1つ以上のポートを備え得る。いくつかの実施形態において、通信モジュール780は、(1)標的産物に関連する1つ以上の特徴を読み取る、(2)養殖装置700及び/もしくは標的産物の特徴を代表する信号を1つ以上の外部デバイスに送信する、並びに/又は(3)養殖装置700の検知モジュール770を制御するために動作可能な信号を1つ以上の外部デバイスから受信するように構成され得る。いくつかの実施形態において、装置700は、標的産物の配偶体及び/又は胞子体が種付けされ、海洋、湖沼、河川及び/又は他の任意の好適な水域に設置されたときの装置700の相対位置に関連する信号を生成及び/又は送信するように構成された1つ以上の追跡デバイスを備え得る。装置700の位置及び/又は軌跡は、送信、記録及び/又は保存され得(例えば、制御システム、解析ユニット及び/又は他の計算デバイスによって)、標的産物の成長、集団の生産量及び/又は炭素捕捉を測定及び/又は定量化する(直接又は間接的に)ために遠隔検知デバイスによってさらに使用され得る。例えば、いくつかの場合において、装置700は、装置700の地理的位置を測定、記録及び/又は送信するように構成された全地球測位システム(GPS)追跡デバイスを備え得る。他の場合において、装置700は、衛星を利用した機器によって遠隔で追跡される、適切な角度を成すレーダー反射器を備え得る。他の場合において、装置700は、装置700の地理的位置を測定、記録及び/又は送信するように構成された無線周波数認識(RFID)デバイスを備え得る。あるいは、いくつかの実施形態において、通信モジュール780は、衛星アンテナを備え得る。装置700の地理的位置は、遠隔検知手法によってさらに使用されることにより、標的産物の成長を測定し、集団の生産量、集団の収量及び炭素捕捉を定量化することができる。例えば、いくつかの場合において、近赤外航空写真、SPOTマルチスペクトル画像、地上較正された航空デジタルマルチスペクトルイメージングシステム(DMSC)、及び/又は空中ハイパースペクトルシステムなどの遠隔検知手法を用いることにより、集団の生産量、集団の収量及び炭素捕捉を定量化することができる。いくつかの場合において、軌跡データを用いることにより、水面又は水面下の条件(例えば、風、潮流など)を水面下の集団の動きなどと比較することによって集団の成長を測定、計算及び/又は推量することができる。
【0117】
[00131] 上で説明されたように、養殖装置700は、回収作業及び/又は炭素隔離に利用され得る標的産物種を種付けするために使用することができる。いくつかの実施形態では、まず、養殖装置700に、1つ以上の標的産物種を種付けし、次いで、それを海洋、湖沼、河川及び/又は他の任意の好適な水域に設置し得る。装置700は、標的産物の成長に関連する及び/又は標的産物の成長を促進するUV光、O2及び/又は栄養分の吸収を容易にするために水面付近に浮かぶように構成され得る。いくつかの実施形態において、養殖装置700は、所定の期間が経過した後、又は選択された標的産物種の所定の量の成長が達成された後、標的産物の回収目的のためにアクセスされるように構成され得る。いくつかの実施形態において、解放部品760は、意図された寿命の最小期間が経過した後及び/又は最小量の標的産物が第2の部材740上に蓄積した後、分解して第1の部材720を第2の部材740から切り離すことにより、第1の部材720を浮かばせ、第2の部材740及び付着させた標的産物を海底に沈ませて、標的産物の集団に関連する炭素を効果的に隔離するように構成され得る。
【0118】
[00132]
図8は、一実施形態に係る、標的産物の養殖装置800を図示している。本明細書中で説明されるように、標的産物は、バイオレメディエーション、最終養殖又は二酸化炭素の隔離という目的のための、微細藻類もしくは大型海藻、プランクトン、海洋細菌、古細菌、濾過摂食者(例えば、カキ又はハマグリ)又は甲殻類をはじめとした多種多様の種を含む及び/又は包含する。標的産物の養殖装置800(本明細書中で「養殖装置」又は「装置」とも称される)は、上で説明された養殖装置100、200、300、400及び/又は700と形態及び/又は機能が類似している場合がある。例えば、養殖装置100に関連して上で説明されたように、養殖装置800は、回収作業及び/又は炭素隔離に利用され得る標的産物種を種付けするために使用することができる。装置800は、装置800の様々な部品に浮力を提供するように構成された第1の部材820(「ブイ」とも称される)、1つ以上の標的産物種844を蓄積又は養殖するように構成された第2の部材820、及び必要に応じて、第1の部材820を第2の部材840から分離する、外す、解放する及び/又は切り離すように構成された解放部品860を備え得る。さらに、装置800は、検知モジュール870及び通信モジュール880を備える。検知モジュール870は、養殖装置800に連結され得るか又はそれと関連付けられ得、養殖装置800上に配置された標的産物種に関連する1つ以上の特徴及び/又は画像を検知、検出、計測及び/又は定量化するように構成され得る。いくつかの実施形態において、検知モジュール870は、養殖装置800(例えば、第1の部材820)に機械的に連結され得る。いくつかの実施形態において、検知モジュール870は、養殖装置800に光学的に連結され得る。いくつかの実施形態において、検知モジュール870は、養殖装置800に電子的に連結され得る。通信モジュール880は、検知モジュール870及び/又は養殖装置800に電気的且つ機械的に連結され得、(1)標的産物に関連する1つ以上の特徴及び/もしくは画像を読み取る、(2)前記標的産物の特徴及び/もしくは画像を代表する信号を1つ以上の外部デバイスに送信する、並びに/又は(3)検知モジュール870を制御するために動作可能な信号を1つ以上の外部デバイスから受信するように構成され得る。いくつかの実施形態において、養殖装置800の一部及び/又は態様は、
図7に照らして上で説明された養殖装置700の一部及び/又は態様と類似及び/又は実質的に同じであり得る。したがって、そのような類似の一部及び/又は態様は、本明細書中でさらに詳細に説明されないことがある。
【0119】
[00133] 第1の部材820は、任意の好適な形状及び/又はサイズの浮遊デバイスであり得る。いくつかの実施形態において、第1の部材820の1つ以上の部分は、浮力を提供するように構成された多孔性且つ/又は中空の材料から形成され得る。いくつかの実施形態において、第1の部材820は、任意のタイプのブイ、例えば、ナビゲーションブイ、係留ブイ、ショットブイ、スパーブイなどであり得る。いくつかの実施形態において、第1の部材820は、空気及び/又は他の気体を含み得る。
【0120】
[00134] 養殖装置800の第2の部材840は、任意の好適な形状、サイズ及び/又は外形であり得る。第2の部材840は、標的産物844の付着に適した任意のタイプの材料であり得る。第2の部材840は、標的産物844の付着を容易にするように構成された結合剤を含む繊維性材料又は種付糸から形成され得る。第2の部材840は、タイノット、シンブルキット、フック及び/又は類似のアンカーポイント(
図8に示されていない)を用いて解放部品860に機械的に連結され得る。
【0121】
[00135] 第2の部材840は、1つ以上の第2の標的産物種844を蓄積又は養殖するように構成され得る。いくつかの実施形態において、第2の部材840は、第2の部材840への844の付着を補強するように構成された結合剤を含み得る。いくつかの実施形態において、第2の部材840は、標的産物844の汚染を抑制するように配合された添加剤を含み得る。
【0122】
[00136] 養殖装置800の解放部品860は、任意の好適な形状、サイズ及び/又は外形であり得る。例えば、いくつかの実施形態において、解放部品860は、第1の部材820を第2の部材840に可逆的に連結するように構成された環、シャックル、スイベル、継手などであり得る。いくつかの実施形態において、解放部品860は、タイノット、シンブルキット、フック及び/又は類似のアンカーポイントを用いて第1の部材820と第2の部材840とを接合、相互接続及び/又は連結するように構成され得る。解放部品860は、意図された寿命のある最小期間が経過した後に腐食して、第1の部材820を第2の部材840から分離する、外す及び/又は切り離すがゆえに第2の部材840及び付着させた標的産物を海底に沈ませるように構成された海洋適合性材料からも形成され得る。
【0123】
[00137] 検知モジュール880は、養殖装置800上に配置された標的産物種844に関連する1つ以上の特徴及び/又は画像を検知、検出、計測及び/又は定量化するように構成された複数のセンサを備え得る。いくつかの実施形態において、検知モジュール870は、水温、放射度、溶存酸素濃度、栄養分濃度、溶存炭素濃度、塩分濃度、及び/又は標的産物の成長に関係する他の特徴を検知、検出及び/又は計測するように構成された1つ以上のセンサを備え得る。
【0124】
[00138] いくつかの実施形態において、検知モジュール870は、植物及び/又は不等毛類(例えば、ケルプ、標的産物など)の数、不等毛類1つ当たりの葉状体の数、葉状体の寸法及び/又は標的産物の成長に関連する密度を撮像、記録及び/又はモニタするように構成された水中カメラ又は他の撮像技術を備え得る。例えば、いくつかの実施形態において、検知モジュール870は、人間の両眼視をまねるがゆえに深さを知覚できる画像の取得を容易にする別個の画像センサを含む2つ以上のレンズが備え付けられた立体カメラシステムを備え得る。
【0125】
[00139]
図8は、検知モジュール870が、検知モジュール870の1つ以上のカメラ874、及び/又は通信モジュール880に機械的支持を提供するように構成されたロッド872(本明細書中で「ビーム」又は「スティック」とも称される)を備え得ることを示している。ロッド872は、検知モジュール870及び通信モジュール880の部品の安定性及び長寿命を確保するために、潮浪及び海流に耐えるのに十分な機械的強度を有し得る。ロッド872は、様々な連結機構、例えば、ストラップ、ブラケット、フックなどを用いて、第1の部材820に連結され得る。検知モジュール870のカメラは、ネジ、ボルト留め具、溶接、ろう付け、接着剤又はそれらの任意の組み合わせを含むがこれらに限定されない様々な連結機構を用いてロッド872に連結され得る。いくつかの実施形態において、カメラ874は、養殖装置800上に配置された標的産物の画像の捕捉を容易にするために、種々の向きに装着され得る。いくつかの実施形態において、ロッド872は、カメラが視野及び他の撮像条件を変更できるようにするテレスコープ型の可動部を有し得る。
【0126】
[00140] いくつかの実施形態において、検知モジュール870は、装置800に関連して上で説明されたように、海洋微生物、植物、藻類又は小動物の蓄積及び/又は成長、並びにそのような海洋微生物の代謝産物によって発生する微生物誘起腐食(MIC)に起因する検知モジュール870の様々な部品の分解を検出、防止及び/又は最小化するように構成された防汚システムが備え付けられたカメラ874を備え得る。
【0127】
[00141] 通信モジュール880は、検知モジュール870に連結され得るか又はそれと関連付けられ得る。いくつかの実施形態において、通信モジュール880は、養殖装置800(例えば、第1の部材820)及び/又は検知モジュール870に機械的に連結され得る。いくつかの実施形態において、通信モジュール880は、養殖装置800の第1の部材820に機械的に連結され得る。他の実施形態において、通信モジュール880は、養殖装置の第2の部材840に機械的に連結され得る。いくつかの実施形態において、通信モジュール880は、専用の浮遊デバイス、例えば、発泡樹脂製品、補助ブイなどに連結され得る。いくつかの実施形態において、その浮遊デバイスは、衛星アンテナを含むがこれに限定されない通信モジュール880の他の部品又はバッテリもしくはソーラーパネルなどの電源に対する支持構造体としても働き得る。いくつかの実施形態において、通信モジュール880は、養殖装置800及び/又は検知モジュール870に電子的に連結され得る(すなわち、有線又は無線)。いくつかの実施形態において、通信モジュール880は、1つ以上のソーラーパネルから給電され得る。例えば、いくつかの実施形態において、通信モジュール880は、通信モジュール880の様々な部品に電力を供給するように構成された20Wソーラーパネルから給電され得る。あるいは、いくつかの実施形態において、通信モジュール880は、任意の好適な電源及び/又はエネルギー貯蔵デバイスを有し得る。いくつかの実施形態において、通信モジュール880の電源は、1つ以上の蓄電池を備え得る。いくつかの実施形態において、通信モジュール880は、補助電源及び/又はバックアップ電源としての外部電源と通信モジュール880との接続を可能にする1つ以上のポートを備え得る。いくつかの実施形態において、通信モジュール880は、(1)標的産物に関連する1つ以上の特徴を読み取る、(2)養殖装置800及び/もしくは標的産物の特徴を代表する信号を1つ以上の外部デバイスに送信する、並びに/又は(3)検知モジュール870を制御するために動作可能な信号を1つ以上の外部デバイスから受信するように構成され得る。いくつかの実施形態において、装置800は、標的産物を種付けされ、海洋、湖沼、河川及び/又は他の任意の好適な水域に設置されたときの装置800の相対位置に関連する信号を生成及び/又は送信するように構成された1つ以上の追跡デバイスを備え得る。装置800の位置及び/又は軌跡は、送信、記録及び/又は保存され得(例えば、制御システム、解析ユニット及び/又は他の計算デバイスによって)、標的産物の成長、集団の生産量及び/又は炭素捕捉を測定及び/又は定量化する(直接又は間接的に)ために遠隔検知デバイスによってさらに使用され得る。
【0128】
[00142] 上で説明されたように、養殖装置800は、回収作業及び/又は炭素隔離に利用され得る標的産物種を種付けするために使用することができる。いくつかの実施形態では、まず、養殖装置800に1つ以上の標的産物種を種付けし、次いで、それを海洋、湖沼、河川及び/又は他の任意の好適な水域に設置し得る。装置800は、標的産物の成長に関連する及び/又は標的産物の成長を促進するUV光、O2及び/又は栄養分の吸収を容易にするために水面付近に浮かぶように構成され得る。いくつかの実施形態において、養殖装置800は、所定の期間が経過した後、又は選択された標的産物種の所定の量の成長が達成された後、標的産物の回収目的のためにアクセスされるように構成され得る。いくつかの実施形態において、解放部品860は、意図された寿命の最小期間が経過した後及び/又は最小量の標的産物が第2の部材840上に蓄積した後、分解して第1の部材820を第2の部材840から切り離すことにより、第1の部材820を浮かばせ、第2の部材840及び付着させた標的産物を海底に沈ませて、標的産物の集団に関連する炭素を効果的に隔離するように構成され得る。
【0129】
[00143]
図9は、一実施形態に係る、標的産物の養殖装置900を図示している。本明細書中で説明されるように、標的産物は、バイオレメディエーション、最終養殖又は二酸化炭素の隔離という目的のための、微細藻類、大型海藻、プランクトン、海洋細菌、古細菌、濾過摂食者(例えば、カキ又はハマグリ)又は甲殻類をはじめとした多種多様の種を含む及び/又は包含する。標的産物の養殖装置900(本明細書中で「養殖装置」又は「装置」とも称される)は、上で説明された養殖装置100、200、300、400、700及び/又は800と形態及び/又は機能が類似している場合がある。例えば、養殖装置100に関連して上で説明されたように、養殖装置900は、回収作業及び/又は炭素隔離に利用され得る標的産物種を種付けするために使用することができる。装置900は、装置900の様々な部品に浮力を提供するように構成された第1の部材920(「ブイ」とも称される)、1つ以上の標的産物種944を蓄積又は養殖するように構成された第2の部材920、及び必要に応じて、第1の部材920を第2の部材940から分離する、外す、解放する及び/又は切り離すように構成された解放部品960を備え得る。さらに、装置900は、検知モジュール970及び通信モジュール980を備える。検知モジュール970は、養殖装置900に連結され得るか又はそれと関連付けられ得、養殖装置800上に配置された標的産物種に関連する1つ以上の特徴及び/又は画像を検知、検出、計測及び/又は定量化するように構成され得る。いくつかの実施形態において、検知モジュール970は、養殖装置900(例えば、第1の部材920)に機械的に連結され得る。いくつかの実施形態において、検知モジュール970は、養殖装置900に光学的に連結され得る。いくつかの実施形態において、検知モジュール970は、養殖装置900に電子的に連結され得る。通信モジュール980は、検知モジュール970及び/又は養殖装置900に電気的且つ機械的に連結され得、(1)標的産物に関連する1つ以上の特徴及び/もしくは画像を読み取る、(2)前記標的産物の特徴及び/もしくは画像を代表する信号を1つ以上の外部デバイスに送信する、並びに/又は(3)養殖装置900の検知モジュール870を制御するために動作可能な信号を1つ以上の外部デバイスから受信するように構成され得る。いくつかの実施形態において、養殖装置900の一部及び/又は態様は、
図7及び8に照らして上で説明された養殖装置700及び800の一部及び/又は態様と類似及び/又は実質的に同じであり得る。したがって、そのような類似の一部及び/又は態様は、本明細書中でさらに詳細に説明されないことがある。
【0130】
[00144] 第1の部材920は、任意の好適な形状及び/又はサイズの浮遊デバイスであり得る。いくつかの実施形態において、第1の部材920の1つ以上の部分は、浮力を提供するように構成された多孔性且つ/又は中空の材料から形成され得る。いくつかの実施形態において、第1の部材920は、任意のタイプのブイ、例えば、ナビゲーションブイ、係留ブイ、ショットブイ、スパーブイなどであり得る。いくつかの実施形態において、第1の部材920は、空気及び/又は他の気体を含み得る。
【0131】
[00145] 養殖装置900の第2の部材940は、任意の好適な形状、サイズ及び/又は外形であり得る。第2の部材940は、標的産物944の付着に適した任意のタイプの材料であり得る。第2の部材940は、標的産物944の付着を容易にするように構成された結合剤を含む繊維性材料又は種付糸から形成され得る。第2の部材940は、タイノット、シンブルキット、フック及び/又は類似のアンカーポイント(
図8に示されていない)を用いて解放部品960に機械的に連結され得る。
【0132】
[00146] 第2の部材940は、1つ以上の第2の標的産物種944を蓄積又は養殖するように構成され得る。いくつかの実施形態において、第2の部材940は、第2の部材940への944の付着を補強するように構成された結合剤を含み得る。いくつかの実施形態において、第2の部材940は、標的産物944の汚染を抑制するように配合された添加剤を含み得る。
【0133】
[00147] 養殖装置900の解放部品960は、任意の好適な形状、サイズ及び/又は外形であり得る。例えば、いくつかの実施形態において、解放部品960は、第1の部材920を第2の部材940に可逆的に連結するように構成された環、シャックル、スイベル、継手などであり得る。いくつかの実施形態において、解放部品960は、タイノット、シンブルキット、フック及び/又は類似のアンカーポイントを用いて第1の部材920と第2の部材940とを接合、相互接続及び/又は連結するように構成され得る。解放部品960は、意図された寿命のある最小期間が経過した後に腐食して、第1の部材920を第2の部材940から分離する、外す及び/又は切り離すがゆえに第2の部材940及び付着させた標的産物を海底に沈ませるように構成された海洋適合性材料からも形成され得る。
【0134】
[00148] 検知モジュール970は、養殖装置900上に配置された標的産物種944に関連する1つ以上の特徴及び/又は画像を検知、検出、計測及び/又は定量化するように構成された複数のセンサを備え得る。いくつかの実施形態において、検知モジュール970は、水温、放射度、溶存酸素濃度、栄養分濃度、溶存炭素濃度、塩分濃度、及び/又は標的産物の成長に関係する他の特徴を検知、検出及び/又は計測するように構成された1つ以上のセンサを備え得る。
【0135】
[00149] いくつかの実施形態において、検知モジュール970は、植物及び/又は不等毛類(例えば、ケルプ、標的産物など)の数、不等毛類1つ当たりの葉状体の数、葉状体の寸法及び/又は標的産物の成長に関連する密度を撮像、記録及び/又はモニタするように構成された水中カメラ又は他の撮像技術を備え得る。例えば、いくつかの実施形態において、検知モジュール970は、人間の両眼視をまねるがゆえに深さを知覚できる画像の取得を容易にする別個の画像センサを含む2つ以上のレンズが備え付けられた立体カメラシステムを備え得る。
【0136】
[00150]
図9に示されているように、検知モジュール970は、カメラ974及び/又は通信モジュール980に機械的支持を提供するように構成されたレール972(本明細書中で「支持構造体」とも称される)を備え得る。レール972は、任意の好適な形状及び/又はサイズであり得る。レール972は、検知モジュール970及び通信モジュール980の部品の安定性及び長寿命を確保するために、潮浪及び海流に耐えるのに十分な機械的強度を有し得る。養殖装置700に関して上で説明されたように、レール972は、任意の数のストラット(例えば、棒状の要素)、プレート又はパネルから形成される剛性構造体であり得る。これらのストラット、プレート又はパネルは、それらの長さに沿って配置された1つ以上のタブ、ブレース及び/又はブラケットを備え得、これらは、他の部品又はレール972を連結するための装着点として機能することができる。このように、レール972は、モジュール式であり得る。レール972は、カメラ974又はカメラを装着するのに適した通り道を規定することができる。いくつかの実施形態において、カメラ974は、電動式であり得る。いくつかの実施形態において、カメラ974は、養殖装置900が設置され得る水域の水面から種々の深さにおいて配向され得る。いくつかの実施形態において、複数のカメラ974は、異なる深さに置かれ得る。いくつかの実施形態において、カメラ974は、レール972に沿って移動可能であることにより、種々の深さにおいて画像を捕捉することができる。いくつかの実施形態において、カメラ974は、通信モジュール980を介して外部デバイスによって制御され得る。
【0137】
[00151] 通信モジュール980は、検知モジュール970に連結され得るか又はそれと関連付けられ得る。いくつかの実施形態において、通信モジュール980は、養殖装置900(例えば、第1の部材920)及び/又は検知モジュール970に機械的に連結され得る。いくつかの実施形態において、通信モジュール980は、養殖装置900の第1の部材920に機械的に連結され得る。他の実施形態において、通信モジュール980は、養殖装置の第2の部材940に機械的に連結され得る。いくつかの実施形態において、通信モジュール980は、専用の浮遊デバイス、例えば、発泡樹脂製品、補助ブイなどに連結され得る。いくつかの実施形態において、その浮遊デバイスは、衛星アンテナを含むがこれに限定されない通信モジュールといった他の部品又はバッテリもしくはソーラーパネルなどの電源に対する支持構造体としても働き得る。いくつかの実施形態において、通信モジュール980は、養殖装置900及び/又は検知モジュール970に電子的に連結され得る(すなわち、有線又は無線)。いくつかの実施形態において、通信モジュール980は、1つ以上のソーラーパネルから給電され得る。例えば、いくつかの実施形態において、通信モジュール980は、通信モジュール980の様々な部品に電力を供給するように構成された20Wソーラーパネルから給電され得る。あるいは、いくつかの実施形態において、通信モジュール980は、任意の好適な電源及び/又はエネルギー貯蔵デバイスを有し得る。いくつかの実施形態において、通信モジュール980の電源は、1つ以上の蓄電池を備え得る。いくつかの実施形態において、通信モジュール980は、補助電源及び/又はバックアップ電源としての外部電源と通信モジュール980との接続を可能にする1つ以上のポートを備え得る。いくつかの実施形態において、通信モジュール980は、(1)標的産物に関連する1つ以上の特徴を読み取る、(2)養殖装置900及び/もしくは標的産物の特徴を代表する信号を1つ以上の外部デバイスに送信する、並びに/又は(3)検知モジュール970を制御するために動作可能な信号を1つ以上の外部デバイスから受信するように構成され得る。いくつかの実施形態において、装置900は、標的産物を種付けされ、海洋、湖沼、河川及び/又は他の任意の好適な水域に設置されたときの装置900の相対位置に関連する信号を生成及び/又は送信するように構成された1つ以上の追跡デバイスを備え得る。装置900の位置及び/又は軌跡は、送信、記録及び/又は保存され得(例えば、制御システム、解析ユニット及び/又は他の計算デバイスによって)、標的産物の成長、集団の生産量及び/又は炭素捕捉を測定及び/又は定量化する(直接又は間接的に)ために遠隔検知デバイスによってさらに使用され得る。
【0138】
[00152] 上で説明されたように、養殖装置900は、回収作業及び/又は炭素隔離に利用され得る標的産物種を種付けするために使用することができる。いくつかの実施形態では、まず、養殖装置900に1つ以上の標的産物種を種付けし、次いで、それを海洋、湖沼、河川及び/又は他の任意の好適な水域に設置し得る。装置900は、標的産物の成長に関連する及び/又は標的産物の成長を促進するUV光、O2及び/又は栄養分の吸収を容易にするために水面付近に浮かぶように構成され得る。いくつかの実施形態において、養殖装置900は、所定の期間が経過した後、又は選択された標的産物種の所定の量の成長が達成された後、標的産物の回収目的のためにアクセスされるように構成され得る。いくつかの実施形態において、解放部品960は、意図された寿命の最小期間が経過した後及び/又は最小量の標的産物が第2の部材940上に蓄積した後、分解して第1の部材920を第2の部材940から切り離すことにより、第1の部材920を浮かばせ、第2の部材940及び付着させた標的産物を海底に沈ませて、標的産物の集団に関連する炭素を効果的に隔離するように構成され得る。
【0139】
[00153]
図10A及び
図10Bは、一実施形態に係る、標的産物の養殖装置の検知モジュール1070を図示している。標的産物の養殖装置(本明細書中で「養殖装置」又は「装置」とも称される)は、上で説明された養殖装置100、200、300、400、700、800及び/又は900と形態及び/又は機能が類似している場合がある。例えば、養殖装置100に関連して上で説明されたように、この実施形態に係る養殖装置は、回収作業及び/又は炭素隔離に利用され得る標的産物種を種付けするために使用することができる。いくつかの実施形態において、この実施形態に係る検知モジュール1070の部分及び/又は態様は、
図7に照らして上で説明された検知モジュール770の一部及び/又は態様と類似及び/又は実質的に同じであり得る。したがって、そのような類似の一部及び/又は態様は、本明細書中でさらに詳細に説明されないことがある。
【0140】
[00154]
図10Aから
図10Bは、検知モジュール1070が、1つ以上のカメラ1074a、1074b、及び1074c(カメラ1074と総称される)に機械的支持を提供するように構成されたフレーム1072を備え得ることを示している。
図10Aは、フレーム1072が、カメラの上方の種付糸に付着させた標的産物の画像を捕捉するために第2の部材1040(例えば、種付糸)の遠位端に配置され得ることを示している。いくつかの実施形態において、フレーム1072は、鎖、輪、管状構造体及び他の任意の好適な構造体を介して第1の部材1040に連結され得る。例えば、
図10Aに示されているように、フレーム1072は、第1の部材1020の下方、且つ第2の部材1040と平行又は第2の部材1040に隣接して垂直に配置された管状構造体1073を介して第1の部材1020に連結され得る。いくつかの実施形態において、フレーム1072は、種々の照明角度、焦点距離、視野などにおいて画像を捕捉する目的で、カメラ1074の配向(例えば、標的産物に向かうカメラの位置及び角度を変えること)を容易にするように構成され得る。いくつかの実施形態において、フレーム1072は、複数のアームを有することができ、各アームは、第2の部材1040上に配置された標的産物の種々の区分の画像を捕捉するように構成された水中カメラに備え付けられている及び/又は接続されている。例えば、
図10Aに示されているように、フレーム1072は、種付糸から放射状方向に伸びる3本のアーム又はビームを備えることができ、各アームは、アームの端部に装着されたカメラ1074を備える。いくつかの実施形態において、カメラ1074は、カメラによって捕捉された画像を外部デバイスに転送することを容易にするために、通信モジュール1080に配線され得る。例えば、いくつかの実施形態において、カメラは、カメラ1074を通信モジュール1080に接続できる1つ以上のイーサネットケーブルを収容する及び又は備えるように構成された管状構造体(図示せず)を使用して配線され得る。
【0141】
[00155]
図11Aから
図11Bは、別の実施形態に係る、標的産物の養殖装置1100を図示している。本明細書中で説明されるように、標的産物は、バイオレメディエーション、最終養殖又は二酸化炭素の隔離という目的のための、微細藻類もしくは大型海藻、プランクトン、海洋細菌、古細菌、濾過摂食者(例えば、カキ又はハマグリ)又は甲殻類をはじめとした多種多様の種を含む及び/又は包含する。標的産物の養殖装置11000(本明細書中で「養殖装置」又は「装置」とも称される)は、上で説明された養殖装置100、200、300、400、700、800、及び/又は900と少なくとも形態及び/又は機能が類似している場合がある。例えば、養殖装置100に関連して上で説明されたように、養殖装置1100は、回収作業及び/又は炭素隔離に利用され得る標的産物種を種付けするために使用することができる。標的産物の養殖装置1100は、第1の標的産物種1124を蓄積又は養殖するように構成された第1の部材1120、第2の標的産物種1144を蓄積又は養殖するように構成された第2の部材1140、並びに第1の部材1120を第2の部材1140から分離する、外す、解放する及び/又は切り離すように構成された解放部品1160を備える。いくつかの実施形態において、養殖装置1100は、第1の部材1120、第2の部材1140及び/又は解放部品1160の1つ以上の部分が、(例えば、エンドユーザによって)機械的に連結されることにより、集合的に標的産物の養殖装置1100を形成し得る、モジュールの配置で配列され得る。他の実施形態において、標的産物の養殖装置1100は、モジュール式である必要はない。例えば、いくつかの実施形態において、標的産物の養殖装置1100は、製造中及び/又はエンドユーザに引き渡される前に予め連結され得る。
【0142】
[00156] 養殖装置1100の第1の部材1120は、任意の好適な形状、サイズ及び/又は外形であり得る。例えば、
図11A及び
図11Bに示されているように、第1の部材1120は、環状の形状であり得る。他の実施形態において、第1の部材1120は、平円板、三角形の形状、球、円柱、円錐、トロイド、立方体、多面体又は他の任意の幾何学的形状であり得る。いくつかの実施形態において、第1の部材1120の1つ以上の部分は、浮力を提供するように構成された多孔性且つ/又は中空の材料から形成され得る。いくつかの実施形態において、第1の部材1120の1つ以上の部分は、標的産物の成長を可能にするために、酸素、二酸化炭素、水及び水溶性栄養分に対して比較的透過性の材料から形成され得る。いくつかの実施形態において、第1の部材1120の1つ以上の部分は、可視光の吸収を可能にするように構成された比較的透明の材料から形成され得る。
【0143】
[00157] 養殖装置1100は、回収作業及び/又は炭素隔離に利用され得る標的産物種を種付けするために使用することができる。例えば、いくつかの実施形態において、装置1100の第1の部材1120は、成熟すると正の浮力を示すようになる標的産物種を蓄積又は養殖することができ、装置1100の第2の部材1140は、成熟すると負の浮力を示すようになる標的産物種を蓄積又は養殖することができる。いくつかの実施形態では、まず、装置1100に、正及び負の浮力を示す標的産物を種付けし、次いで、それを海洋、湖沼、河川及び/又は他の任意の好適な水域に設置し得る。装置1100は、最初に海洋、湖沼、河川及び/又は他の任意の好適な水域に設置されたとき、正の浮力を示すようにさらに構成され得る。いくつかの実施形態において、装置1100は、海洋、湖沼、河川及び/又は他の任意の水域に設置された後、所定の期間にわたって浮かび、その後、負の浮力を示す標的産物を種付けされた第2の部材1140が成長し、質量を得るにつれて徐々に沈むように構成され得る。
【0144】
[00158] 本明細書中で説明されるように、養殖装置900の第1の部材1120は、第1の標的産物種を蓄積又は養殖するように構成され得る。いくつかの実施形態において、第1の部材1120の1つ以上の部分は、標的産物の成長に必要な栄養分を提供するように構成された成長基材を備え得る。例えば、
図11A及び
図11Bに示されているように、第1の部材1120は、表面1122を備えることができ、その一部は、成長基材を形成及び/又は規定するように配列及び構成されている。いくつかの実施形態において、第1の部材1120の成長基材は、濃縮海水培地、低温殺菌海水、濾過海水、硝酸ナトリウム(NaNO
3)溶液、リン酸二水素カリウム(KH
2PO
4)溶液を含むがこれらに限定されない緩衝液と混合された海水などを含み得る。いくつかの実施形態において、第1の部材1120の成長基材は、その成長基材への標的産物の付着を容易にするように構成された結合剤を含み得る。いくつかの実施形態において、第1の部材1120の成長基材は、第1の部材1120への標的産物の付着を容易にするように構成された繊維性材料から形成され得る。いくつかの実施形態において、第1の部材1120の成長基材は、標的産物の汚染を抑制するように配合された添加剤を含み得る。例えば、いくつかの実施形態において、第1の部材920の成長基材は、二酸化ゲルマニウム(GeO
2)を含み得る。
【0145】
[00159] 養殖装置1100の第2の部材1120は、任意の好適な形状、サイズ及び/又は外形であり得る。いくつかの実施形態において、第2の部材1140の形状は、第1の部材1120の形状と実質的に類似又は同じであり得る。例えば、
図11A及び
図11Bに示されているように、第2の部材1140は、第1の部材1120と類似の環状の形状であり得る。他の実施形態において、第2の部材1140は、平円板、三角形の形状、球、円柱、円錐、トロイド、立方体、多面体又は他の任意の幾何学的形状であり得る。いくつかの実施形態において、第2の部材1140は、不規則な形状であり得る。いくつかの実施形態において、第2の部材1140の1つ以上の部分は、浮力を提供するように構成された多孔性且つ/又は中空の材料から形成され得る。いくつかの実施形態において、第2の部材1140の1つ以上の部分は、標的産物の成長を可能にするために、酸素、二酸化炭素、水及び水溶性栄養分に対して比較的透過性の材料から形成され得る。いくつかの実施形態において、第2の部材1140の1つ以上の部分は、可視光の吸収を可能にするように構成された比較的透明の材料から形成され得る。いくつかの実施形態において、第2の部材1140は、さらなる負の浮力を提供するために自由選択の金属環の重り(図示せず)を備えることができる。
【0146】
[00160] 本明細書中で説明されるように、第2の部材1140は、第2の標的産物種を蓄積又は養殖するように構成され得る。いくつかの実施形態において、第2の部材1140の1つ以上の部分は、標的産物の成長に必要な栄養分を提供するように構成された成長基材を備え得る。例えば、
図11A及び
図11Bに示されているように、第2の部材1140は、表面1142を備えることができ、その一部は、成長基材を形成及び/又は規定するように配列及び構成されている。いくつかの実施形態において、第2の部材1140成長基材の組成は、第1の部材1120の成長基材の組成と実質的に類似又は同じであり得る。したがって、第2の部材1140成長基材の組成は、本明細書中でさらに詳細に説明されないことがある。いくつかの実施形態において、第2の部材1140の成長基材は、その成長基材への付着を容易にするように構成された結合剤を含み得る。いくつかの実施形態において、第2の部材1140は、標的産物の付着を容易にするように構成された繊維性材料から形成され得る。いくつかの実施形態において、第2の部材1140は、標的産物の汚染を抑制するように配合された添加剤を含み得る。例えば、いくつかの実施形態において、第2の部材1140は、二酸化ゲルマニウム(GeO
2)を含み得る。いくつかの実施形態において、第2の部材1140の1つ以上の部分には、空気中の窒素分子(N
2)をアンモニア(NH
3)に変換する(例えば、窒素を固定する)ことができる、単細胞古細菌生物、細菌、例えば、シアノバクテリア、アゾトバクター、根粒菌、フランキアなど(例えば、マイクロバイオータ)を含む複数のジアゾ栄養微生物が接種され得る。いくつかの実施形態において、第2の部材1140の1つ以上の部分には、標的産物種の成長を加速するように、並びにレオロジー改変剤、凝集剤及び他の添加物(グリセロール、糖蜜、高分子量多糖類、及びポリエチレンオキシドなどの他のポリマー材料を含む)を導入することによって第2の部材1140への標的産物種の接着を改善するように、配合された成長促進剤が噴霧され得る。
【0147】
[00161] 養殖装置1100の解放部品1160は、任意の好適な形状、サイズ及び/又は外形であり得る。いくつかの実施形態において、解放部品1160の形状及びサイズは、第1の部材1120及び/又は第2の部材1140の形状及びサイズと実質的に類似又は同じであり得る。例えば、
図11A及び
図11Bに示されているように、解放部品1160は、第1の部材1120及び第2の部材1140より小さいサイズの環状の形状であり得る。他の実施形態において、解放部品1160は、平円板、三角形の形状、球、円柱、円錐、トロイド、立方体、多面体又は他の任意の幾何学的形状であり得る。いくつかの実施形態において、解放部品1160は、不規則な形状であり得る。いくつかの実施形態において、解放部品1160は、帯状又はストリップ状の形状であり得る。いくつかの実施形態において、解放部品1160の1つ以上の部分は、第1の部材1120を解放部品1160に機械的に連結するように構成された、接着剤、のり、ペースト、セメントなどから形成され得る。いくつかの実施形態において、解放部品1160の1つ以上の部分は、第2の部材1140を解放部品1160に機械的に連結するように構成された、接着剤、のり、ペースト、セメントなどから形成され得る。換言すれば、解放部品1160は、少なくともある期間にわたって第1の部材1120を第2の部材1140に機械的に連結するように構成され得る。
【0148】
[00162] 解放部品1160(又はその一部)は、分解して第1の部材1120を第2の部材1140から機械的に切り離すように構成され得る。解放部品1160の1つ以上の部分は、
図1に照らして上で説明された解放部品160の分解性材料と類似及び/又は実質的に同じ任意の好適な分解性材料から形成され得る。したがって、解放部品1160を形成している材料は、本明細書中でさらに詳細に説明されないことがある。解放部品1160は、意図された寿命のある最小期間が経過した後に分解するように構成され得る。例えば、いくつかの実施形態において、解放部品1160は、標的産物の成長の意図されたある最小の期間が経過した後、腐食して、第1の部材1120を第2の部材1140から切り離すように設計された海洋適合性材料から形成され得る。いくつかの実施形態において、解放部品1160は、ある最小量の集団が第1の部材1120及び第2の部材1140上に蓄積した後に分解するように構成され得る。いくつかの実施形態において、解放部品1160は、温度、圧力、UV及び/又は可視光への曝露を含むがこれらに限定されない所定の環境条件下において分解するように構成され得る。
【0149】
[00163]
図12Aから
図12Dは、一実施形態に係る、標的産物の養殖装置1200のライフサイクルを図示している。本明細書中で説明されるように、標的産物は、バイオレメディエーション、最終養殖又は二酸化炭素の隔離という目的のための、微細藻類もしくは大型海藻、プランクトン、海洋細菌、古細菌、濾過摂食者(例えば、カキ又はハマグリ)又は甲殻類をはじめとした多種多様の種を含む及び/又は包含する。標的産物の養殖装置1200(本明細書中で「養殖装置」又は「装置」とも称される)は、上で説明された装置100、200、300、400、700、800、900及び1100と少なくとも形態及び/又は機能が類似している場合がある。例えば、養殖装置1200は、回収作業及び/又は炭素隔離に利用され得る標的産物種を蓄積又は養殖し得る。標的産物の養殖装置1200は、第1の標的産物種1224を蓄積又は養殖するように構成された第1の部材1220、第2の標的産物種1244を蓄積又は養殖するように構成された第2の部材1240、並びに第1の部材1220を第2の部材1240から分離する、外す、解放する及び/又は切り離すように構成された解放部品1260を備える。
図12Aに示されているように、養殖装置1200に正及び負の浮力を示す標的産物を種付けし、それを水域(例えば、海洋、湖沼、河川及び/又は他の任意の好適な水域)に設置する。示されているように、装置1200は、最初に設置されたとき、水線Wの水面上又は水面付近に浮かぶ。さらに、養殖装置1200は、水域に設置された後、第1の部材1220が水線Wに面し、第2の部材1240が水域の底(すなわち、海底SB)に面するように構成され得る。
【0150】
[00164] 次に
図12Bを参照すると、第1の期間の後、第2の標的産物種1244が、第2の部材1240上で成長し始め、その負の浮力に起因して、装置1200を水柱の中へ水線Wより下に引き下ろす。同様に、第1の期間の後、第1の標的産物種1224種は、第1の部材1220上で成長し始め、その正の浮力に起因して、第1の部材1220から水線Wに向かって成長する。いくつかの実施形態において、装置1200は、第2の標的産物種1244の成長速度が第1の標的産物種1224の成長速度を超えることにより、第2の標的産物種1244がさらなる質量を得るにつれて装置1200を徐々に沈ませ、水没するように構成され得る。いくつかの実施形態において、装置1200は、第2の標的産物種1244が、第1の期間の第1の部分の間に成長を開始し、第1の標的産物種1224が、第1の期間の第2の部分の間に成長を開始するように構成され得る。換言すれば、装置1200は、装置が少なくとも部分的に水線Wより下に水没するまで第1の標的産物種2124が成長を開始しないように構成され得る。いくつかの実施形態において、装置1200は、最初に第1の部材1220上に種付けされた第1の標的産物種1224より高い密度で第2の標的産物種1244が最初に第2の部材1240上に種付けされるように構成され得る。このより高い種付け密度により、第2の標的産物種1224が、第1の標的産物種1224より速い速度で成長すること及び/又はより大きな集団をより速く蓄積することができ、それにより、標的産物1224、1244が成長するにつれて装置1200が徐々に沈み、水没する。いくつかの実施形態において、第1の標的産物種1224は、第2の標的産物種1244の天然の負の浮力と比較して、より小さい正の浮力を天然に有し得る。いくつかの実施形態において、第2の標的産物種1244は、第1の標的産物種1224よりも速い成長速度を有するように選択され得る。
【0151】
[00165] 次に
図12Cを参照すると、第2の期間の後、第1の標的産物種1224及び第2の標的産物種1244は、成長し始め、より大きな集団を蓄積した。示されているように、装置1200は、
図12Bにおける位置と比べて実質的に類似の水柱内位置に存在する。しかしながら、いくつかの実施形態において、装置1200は、第1の標的産物種1224及び第2の標的産物種1244の相対浮力、標的産物1224、1244の相対質量、装置1200の付着物などを含むいくつかの因子のいずれかに応じて、第2の期間の後に水柱内のより高い又はより低い位置に存在し得る。また、
図12Cに示されているように、第2の期間の後、解放部品12601060が、分解を開始して、第2の部材1240からの第1の部材1220の機械的切り離しを開始する。本明細書中で説明されるように、解放部品1260は、意図された寿命の所定の最小期間が経過した後、分解するように構成され得る。いくつかの実施形態において、解放部品1260は、所定の最小量の第1の標的産物種1224が第1の部材1220上に蓄積した後、及び/又はある最小量の第2の標的産物種1244が第2の部材1240上に蓄積した後に分解するように構成され得る。いくつかの実施形態において、解放部品1260は、温度、圧力、UV及び/又は可視光への曝露などを含むがこれらに限定されない所定の環境条件下において分解するように構成され得る。
【0152】
[00166] 次に
図12Dを参照すると、第3の期間の後、解放部品1260が、分解し、第1の部材1220が、第2の部材1240から切り離されることにより、第2の部材1240に付着させた第2の標的産物種1244から第1の部材1220に付着させた第1の標的産物種1224が効果的に分離される。いくつかの実施形態において、第1の部材1220は、第2の部材1240から機械的に切り離された後、水線Wに浮いて残ることにより、第1の標的産物種1224の回収作業を容易にするように構成されている。いくつかの実施形態において、第2の部材1240は、第1の部材1220から機械的に切り離された後、海底SBに沈むことにより、第2の標的産物種1244の集団に関連する炭素を効果的に隔離するように構成されている。
【0153】
[00167]
図13は、一実施形態に係る、標的産物の養殖システム13000を図示している。本明細書中で説明されるように、標的産物は、バイオレメディエーション、最終養殖又は二酸化炭素の隔離という目的のための、微細藻類もしくは大型海藻、プランクトン、海洋細菌、古細菌、濾過摂食者(例えば、カキ又はハマグリ)又は甲殻類をはじめとした多種多様の種を含む及び/又は包含する。標的産物の養殖システム13000(本明細書中で「養殖システム」とも称される)は、上で説明された装置100、200、300、400、700、800、900、1100及び/又は1200と少なくとも形態及び/又は機能が類似している場合があるので本明細書中でさらに詳細に説明されていない、複数の養殖装置1300を備える。例えば、装置100、200、300、400、700、800、900、1100及び1200に関連して上で説明されたように、養殖システム13000を用いることにより、大規模な回収作業及び/又は炭素隔離に利用され得る標的産物種を種付けすることができる。養殖システム13000は、複数の養殖装置1300に加えて、閉じ込め防材1302及び複数のブイ1304を備える。
【0154】
[00168] いくつかの実施形態において、閉じ込め防材1302は、任意の好適な形状、サイズ及び/又は外形であり得る。例えば、いくつかの実施形態において、閉じ込め防材1302は、円形の形状又は他の任意の幾何学的形状であり得る。いくつかの実施形態において、閉じ込め防材1302は、複数の浮遊セグメント、スカート、チェーンバラスト、テンションケーブル及び/又はエンドコネクターを備え得る。いくつかの実施形態において、閉じ込め防材1302は、耐久性があり再利用可能な材料から形成され得る。例えば、いくつかの実施形態において、閉じ込め防材1302は、高強度ファブリックで密封され得る耐久性のある被包された独立気泡ポリエチレンフォームから形成された浮遊セグメントを備え得る。いくつかの実施形態において、閉じ込め防材1302は、養殖装置を囲むバリアを提供するように構成されたPVC及び/又はナイロンを含む高耐性ファブリックから形成されたスカートを含み得る。いくつかの実施形態において、閉じ込め防材1302は、スカートに取り付けられ、スカートを垂直位置に維持するための重りを提供するように構成された亜鉛メッキチェーンバラストを含み得る。いくつかの実施形態において、閉じ込め防材1302は、海流、風及び/又は曳航を含む外力によって閉じ込め防材1302に課される軸方向荷重を支えるように構成されたステンレス鋼テンションケーブルを備え得る。いくつかの実施形態において、閉じ込め防材1302は、引張強さの高いアルミニウムエンドコネクターを備え得る。
【0155】
[00169] いくつかの実施形態において、ブイ1304は、任意の好適な形状、サイズ及び/又は外形であり得る。例えば、いくつかの実施形態において、ブイ1304は、平円盤の形状、トロイド、円錐、球、スキフ、円材又は他の任意の形状であり得る。いくつかの実施形態において、ブイ1304は、つなぎ留められるように又は自由浮遊するように構成され得る。いくつかの実施形態において、ブイ1304は、例えば、木材、鋼、アルミニウム、並びに/又はファイバーグラス、高密度ポリエチレン、ポリスチレン及びポリウレタンエラストマーを含む合成材料、並びに/又は本明細書中で説明される任意のものなどの他の任意の好適な材料を含むいくつかの材料のいずれかで作ることができるか、又はこれらを含み得る。いくつかの実施形態において、ブイ1304は、再利用可能であるように構成され得る。いくつかの実施形態において、ブイ1304は、標的産物の成長、回収作業及び/又は炭素隔離に必要な自動化プロセスを追跡及び実施することができるように構成され得る。いくつかの実施形態において、ブイ1304は、養殖システム13000上に蓄積された標的産物の集団の重量に関係する情報を提供するために、閉じ込め防材1304内に配置され得る。
【0156】
[00170]
図14は、本明細書中で説明されるシステム及び養殖装置を使用する方法の一例を表している。方法1400は、1401において、1つ以上の標的産物種を装置に種付けする工程を含む。1つ以上の標的産物種が、装置上に配置されると、方法1400は、1402において、装置を水域に設置する工程を含む。いくつかの実施形態において、その装置は、海洋、湖沼、河川及び/又は他の任意の好適な水域に設置され得る。方法14000は、1403において、1つ以上の標的産物種を成長させ、集団を蓄積させる工程を含む。いくつかの場合では、植物及び/又は不等毛類(例えば、ケルプ、標的産物など)の数、不等毛類1つ当たりの葉状体の数、葉状体の寸法及び/又は標的産物の成長に関連する密度の解析のために、標的産物を経時的に撮像できる水中カメラ及び/又は他の撮像技術を用いて、成長及び集団の蓄積を記録及び/又はモニタすることができる。
【0157】
[00171] 方法1400は、1404において、集団の蓄積によって捕捉された炭素量を測定する工程をさらに含む。いくつかの実施形態において、その方法は、水中カメラによって記録された画像を、通信モジュールを介して外部デバイスに送信する工程を含み得る。いくつかの場合では、送信された画像を解析して、標的産物の成長及び装置によって捕捉された関連する炭素量を測定することができる。いくつかの実施態様において、その方法は、水中カメラによって記録された画像を手動で解析する工程を含み得る。他の場合において、方法は、マシンビジョンアルゴリズムを用いて画像を解析する工程を含み得る。他の場合では、種付けされた装置を所定の長さの時間にわたって水域に設置した後、その装置を回収して、湿重量(すなわち、装置から回収されたときの標的産物の重量)、乾燥重量(すなわち、所定の条件下で乾燥させた後の標的産物の重量)及び成長した標的産物の全体寸法を計測することによって、その装置に関連する標的産物の単位集団あたりの集団の蓄積、集団の収量、標的産物の成長及び炭素の隔離容量を推定することができる。1405において、方法1400は、微細藻類を海底に沈ませる工程を含む。いくつかの実施形態において、装置は、意図された寿命の最小期間が経過した後及び/又は最小量の標的産物が装置上に蓄積した後、海底に沈むように構成された第1の部材を含み得る。方法1400は、必要に応じて、1406において、隔離された炭素量に関連する炭素クレジットを販売する工程を含む。
【0158】
[00172] 様々な実施形態を特に示し、説明してきたが、それらは、単に例として提示されたものであり、限定するものではないことが理解されるべきである。別段、明示的に述べられない限り、本開示の趣旨から逸脱することなく、且つ/又はその機能及び/もしくは利点を変更することなく、形態及び/又は詳細の様々な変更を行うことができる。上で説明された概略図及び/又は実施形態が、ある特定の部品がある特定の配向で又は位置に配置されていることを示している場合、それらの部品の配置を変更することができる。
【0159】
[00173] 様々な実施形態を、特定の特色及び/又は構成要素の組み合わせを有するものとして説明してきたが、相互排他的な組み合わせを除いて、本明細書中で説明される実施形態のいずれかからの任意の特色及び/又は構成要素の組み合わせを有する他の実施形態も可能である。本明細書中で説明された実施形態は、説明された異なる実施形態の機能、構成要素及び/又は特色の様々な組み合わせ及び/又は下位の組み合わせを含むことができる。
【0160】
[00174] また、様々な部品の具体的な配置を変化させることもできる。例えば、様々な部品のサイズ及び具体的な形状は、本明細書中で説明されるような機能を提供しつつ、示される実施形態とは異なることが可能である。より詳細には、それらの様々な部品のサイズ及び形状を、所望の又は意図される使用法に応じて具体的に選択することができる。したがって、文脈が明示的に他のことを示さない限り、実施形態及び/又はその部品のサイズ、形状及び/又は配置は、所与の用途に適合させることができると理解されるべきである。
【0161】
[00175] 上で説明された方法及び/又は事象が、ある特定の事象及び/又は手順がある特定の順序で発生することを示す場合、その特定の事象及び/又は手順の順序は、変更されることがある。さらに、ある特定の事象及び/又は手順は、上で説明されたように連続的に行われるだけでなく、可能であれば並列のプロセスで同時に行われてもよい。
【国際調査報告】