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特表2023-526255可撓性プローブとの組み合わせにおける標的化された蛍光マーカーの使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-21
(54)【発明の名称】可撓性プローブとの組み合わせにおける標的化された蛍光マーカーの使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 49/00 20060101AFI20230614BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20230614BHJP
   A61K 47/64 20170101ALI20230614BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20230614BHJP
   A61B 1/267 20060101ALI20230614BHJP
   A61B 1/045 20060101ALI20230614BHJP
   G01N 21/64 20060101ALI20230614BHJP
【FI】
A61K49/00
A61K47/68
A61K47/64
A61B1/00 511
A61B1/267
A61B1/045 618
A61B1/00 620
G01N21/64 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022568807
(86)(22)【出願日】2020-09-24
(85)【翻訳文提出日】2023-01-10
(86)【国際出願番号】 US2020052415
(87)【国際公開番号】W WO2021230903
(87)【国際公開日】2021-11-18
(31)【優先権主張番号】63/023,855
(32)【優先日】2020-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/998,587
(32)【優先日】2020-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515251827
【氏名又は名称】オン ターゲット ラボラトリーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】クララトネ, スミス エー.
(72)【発明者】
【氏名】ラングレン, ベンジャミン
【テーマコード(参考)】
2G043
4C076
4C085
4C161
【Fターム(参考)】
2G043AA03
2G043BA16
2G043EA06
2G043HA05
2G043JA01
2G043KA01
2G043KA02
2G043LA03
4C076AA95
4C076CC41
4C076EE41
4C076EE59
4C085HH11
4C085JJ01
4C085KA01
4C085KA03
4C085KA27
4C085KB82
4C085LL01
4C085LL03
4C085LL05
4C085LL11
4C085LL12
4C085LL18
4C161AA07
4C161CC06
4C161DD04
4C161GG15
4C161HH51
4C161HH56
4C161HH57
4C161JJ09
4C161QQ03
4C161WW02
4C161WW08
4C161WW10
4C161WW12
4C161WW17
(57)【要約】
本開示は、化合物または上記化合物を含む組成物と可撓性プローブとを使用して、介入手順を実施する方法に関し、ここで上記化合物は、標的化部分(ここで上記標的化部分は、レセプター、抗原、または抗体を標的化する)および蛍光画像化剤を含む。別の局面において、上記化合物は、上記可撓性プローブのナビゲーションを増強する。さらなる局面において、上記増強されたナビゲーションは、上記可撓性プローブが、上記生物学的組織または介入部位の最終的な空間または距離にアクセスすることを可能にする。さらに別の局面において、上記最終的な空間または距離は、上記生物学的組織または介入部位の端部から1~3cmである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
介入手順を実施する方法であって、前記方法は、
(a)ヒトまたは動物被験体の生物学的組織と、化合物または化合物を含む組成物とを接触させる工程、
(b)前記生物学的組織内に前記化合物が分布する時間を許容する工程;
(c)可撓性プローブを前記生物学的組織へとガイドする工程;
(d)前記生物学的組織を照らす工程;および
(e)前記化合物によって発せられる光学的シグナルを検出する工程、
を包含する、方法。
【請求項2】
前記方法は、前記ヒトまたは動物被験体において外科的手順、化学療法、免疫療法、または放射線療法に対する応答をモニタリングするために使用され得る、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
介入手順を実施する方法であって、前記方法は、
(a)化合物または化合物を含む組成物を、ヒトまたは動物被験体に投与する工程であって、ここで前記化合物は、標的化部分および蛍光画像化剤を含み、ここで前記標的化部分は、レセプター、抗原、または抗体を標的化する、工程;
(b)前記化合物が、前記被験体の介入部位において分布する時間を許容する工程;
(c)可撓性プローブを前記介入部位へとガイドする工程;
(d)前記介入部位において生物学的組織を照らす工程;および
(e)前記介入部位において前記生物学的組織の介入を実施する工程、
を包含する、方法。
【請求項4】
前記化合物は、薬学的に受容可能な塩の形態にある、前述の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記薬学的に受容可能な塩は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リチウム、コリン酸塩、リジニウム、またはアンモニウムからなる群より選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記化合物は、前記可撓性プローブのナビゲーションを増強した、前述の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記増強されたナビゲーションは、前記可撓性プローブが、前記生物学的組織または介入部位の最終的な空間または距離にアクセスすることを可能にする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記最終的な空間または距離は、前記生物学的組織または介入部位の端部から1~3cmである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記光学的シグナルは、インビボで画像化される、前述の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記光学的シグナルは、画像化システムまたは画像化ソフトウェアを使用して検出される、前述の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記介入手順は、非侵襲的、最小限に侵襲的、または侵襲的である、前述の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記可撓性プローブは、可撓性の内視鏡、蛍光内視鏡画像化プローブ、ファイバースコープ、ビデオスコープ、胃カメラ、大腸内視鏡、気管支鏡、喉頭鏡、膀胱鏡、十二指腸内視鏡、腸内視鏡、尿管鏡、S状結腸鏡、腸内視鏡、コレドスコープ、鼻咽喉鏡、血管内視鏡、または子宮鏡である、前述の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記蛍光内視鏡画像化プローブは、約400nm~900nmの間の最大吸収および最大発光を有する波長を検出するために装備される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記生物学的組織の介入は、iBiopsy、iKnife、iLaser、iBurner、電気切断ループ、回転ブレード、曲刃、拡張式ブレード、切断ブレードを有する解剖器具、剥離鉗子、ピンチャー、電解可能要素、生検用ニードル、マイクロ波アブレーションプローブ、ラジオ波アブレーションプローブ、冷凍アブレーションプローブ、またはレーザーを使用して実施される、前述の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記生物学的組織は、腫瘍、小結節、転移性病変、同期性病変、腫瘍周縁部、またはリンパ節である、前述の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記腫瘍、転移性病変、同期性病変、腫瘍周縁部、またはリンパ節は、肺、卵巣、腎臓、子宮内膜、乳房、結腸、前立腺、甲状腺、膵臓、消化管、肝臓、結腸/直腸、子宮頚部、口腔、頭/頚部、胆嚢、脳、胃上皮、または食道の中またはその付近にある、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記腫瘍、転移性病変、同期性病変、腫瘍周縁部、またはリンパ節は、前記ヒトまたは動物被験体の肺の中またはその付近にあり、気管支鏡検査の間にアクセスされる、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記気管支鏡検査は、非侵襲的である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記気管支鏡検査は、手動でまたはロボット支援技術を使用して実施され得る、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
前記気管支鏡検査は、生検、アブレーション、切除、切開、または焼灼を含む、請求項17~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記方法は、原発性腫瘍、転移性腫瘍、リンパ節、同期性病変、腫瘍周縁部の蛍光ガイド手術または蛍光ガイド腫瘍切除において使用される、前述の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記方法は、原発性腫瘍または前記原発性腫瘍の外科的除去の後の残留腫瘍の蛍光ガイドアブレーションにおいて使用される、前述の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記方法は、転移性腫瘍、リンパ節、同期性病変、または腫瘍周縁部の蛍光ガイドアブレーションにおいて使用される、前述の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記標的化部分は、葉酸レセプター、グルタミン酸カルボキシペプチダーゼII、前立腺特異的膜抗原、炭酸脱水酵素IX(CA IX)、線維芽細胞活性化タンパク質α、グルコーストランスポーター1、またはコレシストキニン-2を標的化する、前述の請求項のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本特許出願は、2020年5月12日出願の米国仮特許出願第63/023,855号(その内容は、それらの全体において本開示に参考として援用される)の優先権の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
背景
内視鏡検査法は、器官または体腔の中空の内側を調べるための最小限に侵襲性または非侵襲性の手順である。一般的な内視鏡検査手順としては、肛門鏡検査、関節鏡検査、気管支鏡検査、大腸内視鏡、腟鏡検査、膀胱鏡検査、食道鏡検査、胃内視鏡検査、腹腔鏡検査、喉頭鏡検査、神経内視鏡検査、直腸鏡検査、S状結腸鏡検査、および胸腔鏡検査が挙げられる。このような手順は、可撓性の内視鏡(標的組織を照らしかつ可視化するために、光ファイバーおよび電荷結合デバイスを併せ持つ機器)で実施され得る。
【0003】
内視鏡検査は、独立型の診断手順または調査手順であり得るか、または標的組織の介入(生検、アブレーション、切除など)と結びつけられ得る。例えば、内視鏡検査法は、卵巣、腎臓、肺、子宮内膜、乳房、結腸、前立腺、肝臓、膵臓、食道、脳、子宮頚部、および上皮における悪性病変、腫瘍、および小結節の切除または除去を含み得る。可撓性の内視鏡は、価値ある診断および介入ツールであるが、オフターゲット組織からの非特異的バックグラウンド、介入部位への局在化の制限、およびいくらかの病変の不均質な性質に起因して、がんの病変を特定することは難題であり得る。従って、可撓性の内視鏡検査と、特有の分子シグネチャ(例えば、病的細胞の表面で発現される特異的タンパク質の過剰発現)に基づいて標的組織を特定することと結びつけることは、有利であり得る。正常細胞とがん性細胞との間の分子コントラストは、蛍光標識された分子標的での腫瘍検出の効率的方法を提供し得る。特有のがん分子シグネチャの例としては、以下が挙げられる: 卵巣、腎臓、肺、子宮内膜、乳房、および結腸のがんにおいて発現される葉酸レセプター(FR);前立腺がんおよび他の固形腫瘍の新生血管系で発現される前立腺特異的膜抗原(PSMA);甲状腺、膵臓、肺、消化管、結腸、および肝臓のがんにおいて発現されるコレシストキニン-2(CCK-2);乳房、肺、腎臓、結腸/直腸、子宮頚部、口腔、頭/頚部、胆嚢、肝臓、脳、膵臓、および胃上皮のがんにおいて発現される炭酸脱水酵素IX(CA IX);肝臓、膵臓、乳房、食道、脳、腎臓、肺、結腸/直腸、子宮内膜、卵巣、および子宮頚部のがんにおいて発現されるグルコーストランスポーター1(GLUT1);消化管、膵臓、乳房、および卵巣のがんにおいて発現される線維芽細胞活性化タンパク質α(FAP-α);ならびに乳房および前立腺のがんにおいて発現されるグルタミン酸カルボキシペプチダーゼII(GCPII)/前立腺特異的膜抗原(PSMA)。
【0004】
肺がん(小細胞肺がん、非小細胞肺がん、および肺の小結節を含む)は、米国および全世界でがん関連死の第1位の原因である。肺がんの早期検出は、患者予後を改善し得るが、がん性の肺組織の検出および局在化は、既存の診断技術では難題のままである。例えば、低線量コンピューター断層撮影法(CT)でのスクリーニングでは、結果として、特定された小結節のうちの96.4%が偽陽性であるが、それらのうちの90.4%は、診断を確定するためにさらなる調査を必要とする。
【0005】
非侵襲性の診断手順は、代表的には、腫瘍、病変、および小結節に関して肺組織および末梢肺組織を評価するために、可撓性の気管支鏡検査を要する。気管支鏡検査の間に、可撓性の内視鏡は、患者の鼻または口の中に挿入される。その遠位端部において画像化、照明、および/または操縦する能力が装備されると、可撓性の内視鏡は、その患者の気道(気管支)を通ってガイドされる。慣用的な可撓性の気管支鏡検査の制限としては、亜区域気管支を越えてアクセスし、気管支内付属組織にナビゲーションすることができないことに起因して、小さな(2cm未満)および/または末梢の病変にアクセスするのが困難であることが挙げられる。診断技術の進歩としては、バーチャル気管支鏡検査および電磁ナビゲーション気管支鏡検査が挙げられる。
【0006】
バーチャル気管支鏡検査(VB)は、肺の病変、特に、亜区域気管支を越えるものを調査する1つの方法である。VBは、術前のCT画像化を使用して、患者の気管気管支樹の3Dマッピングのシミュレーションを提供し、従って、リアルタイム気管支鏡検査と同じビューおよび角度を提供する。VBがリアルタイム気管支鏡検査に付随する場合、それは、血液、粘液、または気道腫脹に起因して、気管気管支樹のリアルタイム動画配信を介して入手可能でない場合もある気道情報を提供し得る。しかし、VBは、CT画像の品質によって制限され、より小さな気管支を経て実施者をガイドできない可能性がある。さらにそれは、リアルタイムの位置を説明することができず、病変情報も提供できない。
【0007】
電磁ナビゲーション気管支鏡検査(ENB)(VBと併せて使用される)は、電磁放射体および追跡ボードを利用して、患者の胸部の周りに磁場を発する。センサは、気管気管支樹の平面、配向、位置などに関する情報を収集するために、気管支鏡の作業チャネルを通過される。上記情報は、コンピューターソフトウェアによって分析される。気管支鏡検査の間に、ENBをVB画像に連結させると、実施者が上記手順の異なるステージでの多数のビューから選択して、標的組織へとナビゲーションすることが可能になる。標的で一旦局在化された後、上記気管支鏡の作業チャネルはロックされ、上記可撓性プローブが外され、その後の介入ツールのために、適所にシースを残す。ENBの診断率(すなわち、診断手順を受けている患者の総数から、医療技術が診断を生じた患者の割合)は、CTスキャンで肺病変へと正しく進んでいる気道として定義される、気管支徴候の存在に相関する。CT画像化上で気管支徴候が存在しない場合、ENBの診断率は、急激に減少する。
【0008】
VBおよびENBの両方の限界は、肺病変の明確な定義または線引きを提供するものが何もないことである。これは、胸膜に対する相対的な位置および病変が部分的に気管支内にあるのかまたは全体的に肺実質にあるのかが判別しがたい小さな病変または末梢病変には特に問題である。
【0009】
従って、気管支鏡検査の間に肺病変の境界および位置を定義するニーズが未だにある。このような技術は、肺がんの診断、画像化、および介入にとって有利である。それは、卵巣、腎臓、子宮内膜、乳房、結腸、前立腺、甲状腺、膵臓、消化管、肝臓、結腸/直腸、子宮頚部、口腔、頭/頚部、胆嚢、脳、胃上皮、および食道の融通の利く内視鏡調査および/または介入に同様に適用可能である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
簡潔な要旨
本技術の一局面は、介入手順を実施する方法であって、上記方法は、(a)ヒトまたは動物被験体の生物学的組織と、化合物または上記化合物を含む組成物とを接触させる(contract)工程であって、ここで上記化合物は、標的化部分および蛍光画像化剤を含み、ここで上記標的化部分は、レセプター、抗原、または抗体を標的化する、工程;(b)上記生物学的組織内に上記化合物が分布する時間を許容する工程;(c)可撓性プローブを上記生物学的組織へとガイドする工程;(d)上記生物学的組織を照らす工程;ならびに(e)上記化合物によって発せられる光学的シグナルを検出する工程、を包含する方法である。
【0011】
本技術の別の局面は、介入手順を実施する方法であって、上記方法は、(a)化合物または上記化合物を含む組成物を、ヒトまたは動物被験体に投与する工程であって、ここで上記化合物は、標的化部分および蛍光画像化剤を含み、ここで上記標的化部分は、レセプター、抗原、または抗体を標的化する、工程;(b)上記被験体の介入部位に上記化合物が分布する時間を許容する工程;(c)可撓性プローブを上記介入部位へとガイドする工程;(d)上記介入部位において生物学的組織を照らす工程;ならびに(e)上記介入部位において上記生物学的組織の介入を実施する工程、を包含する方法である。
【0012】
さらなる局面において、上記方法は、上記ヒトまたは動物被験体において、外科的手順、化学療法、免疫療法、または放射線療法への応答をモニタリングするために使用され得る。
【0013】
別の局面において、上記化合物は、薬学的に受容可能な塩の形態にある。さらに別の局面において、上記薬学的に受容可能な塩は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リチウム、コリン酸塩(cholinate)、リジニウム(lysinium)、およびアンモニウムからなる群より選択される。
【0014】
別の局面において、上記化合物は、上記可撓性プローブのナビゲーションを増強する。さらなる局面において、上記増強されたナビゲーションは、上記可撓性プローブが、上記生物学的組織または介入部位の最終的な空間または距離にアクセスすることを可能にする。さらに別の局面において、上記最終的な空間または距離は、上記生物学的組織または介入部位の端部から1~3cmである。
【0015】
別の局面において、上記光学的シグナルは、インビボで画像化される。さらに別の局面において、上記光学的シグナルは、画像化システムまたは画像化ソフトウェアを使用して検出される。
【0016】
別の局面において、上記介入手順は、非侵襲的、最小限に侵襲的、または侵襲的である。
【0017】
別の局面において、上記可撓性プローブは、可撓性の内視鏡、蛍光内視鏡画像化プローブ、ファイバースコープ、ビデオスコープ、胃カメラ、大腸内視鏡、気管支鏡、喉頭鏡、膀胱鏡、十二指腸内視鏡、腸内視鏡(enteroscope)、尿管鏡、S状結腸鏡、腸内視鏡、コレドスコープ(choleodoscope)、鼻咽喉鏡(rhinolaryngoscope)、血管内視鏡、または子宮鏡である。さらに別の局面において、上記蛍光内視鏡画像化プローブは、約400nm~900nmの間の最大吸収および最大発光を有する波長を検出するために装備される。
【0018】
別の局面において、上記生物学的組織の介入は、iBiopsy、iKnife、iLaser、iBurner、電気切断ループ、回転ブレード、曲刃(curved blade)、拡張式ブレード、切断ブレードを有する解剖器具、剥離鉗子(blunt dissector)、ピンチャー(pincher)、電解可能要素(electrolyzable element)、生検用ニードル、マイクロ波アブレーションプローブ、ラジオ波アブレーションプローブ、冷凍アブレーションプローブ、またはレーザーを使用して実施される。
【0019】
別の局面において、上記生物学的組織は、腫瘍、小結節、転移性病変、同期性病変(synchronouslesion)、腫瘍周縁部、またはリンパ節である。さらに別の局面において、上記腫瘍、転移性病変、同期性病変、腫瘍周縁部、またはリンパ節は、肺、卵巣、腎臓、子宮内膜、乳房、結腸、前立腺、甲状腺、膵臓、消化管、肝臓、結腸/直腸、子宮頚部、口腔、頭/頚部、胆嚢、脳、胃上皮、または食道の中またはその付近にある。さらなる局面において、上記腫瘍、転移性病変、同期性病変、腫瘍周縁部、またはリンパ節は、上記ヒトまたは動物被験体の肺の中またはその付近にあり、気管支鏡検査の間にアクセスされる。さらに別の局面において、上記気管支鏡検査は、非侵襲的である。別の局面において、上記気管支鏡検査は、手動でまたはロボット支援技術を使用して実施され得る。さらなる局面において、上記気管支鏡検査は、生検、アブレーション、切除、切開、または焼灼を含む。
【0020】
別の局面において、上記方法は、原発性腫瘍、転移性腫瘍、リンパ節、同期性病変、腫瘍周縁部の蛍光ガイド手術または蛍光ガイド腫瘍切除において使用される。
【0021】
別の局面において、上記方法は、原発性腫瘍または上記原発性腫瘍の外科的除去の後の残留腫瘍の蛍光ガイドアブレーションにおいて使用される。
【0022】
さらに別の局面において、上記方法は、転移性腫瘍、リンパ節、同期性病変、または腫瘍周縁部の蛍光ガイドアブレーションにおいて使用される。
【0023】
別の局面において、上記標的化部分は、葉酸レセプター、グルタミン酸カルボキシペプチダーゼII、前立腺特異的膜抗原、炭酸脱水酵素IX(CA IX)、線維芽細胞活性化タンパク質α、グルコーストランスポーター1、またはコレシストキニン-2を標的化する。
【0024】
別の局面において、蛍光画像化剤は、近赤外線範囲における励起スペクトルおよび発光スペクトルを有する。さらなる局面において、上記蛍光画像化剤は、約600nm~850nmの間の最大吸収および最大発光を有する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図面の簡単な説明
本開示の上述のおよび他の特徴、ならびにそれらを達成する様式は、より明らかになり、本開示自体は、添付の図面とともに理解される本開示の実施形態の以下の説明に言及することによって、よりよく理解される。
【0026】
図1-1】図1A~1Dは、マウスの同所性肺腫瘍モデルにおける葉酸標的化NIR画像化剤のインビボ有効性および特異性を図示する。可撓性プローブは、上記プローブを肺腫瘍へと誘導するために、NIRシグナルによってガイドされる。
【0027】
図1Aは、IVIS画像システムからの、インタクトな同所性肺腫瘍を有するマウスの半身の蛍光画像の代表である。
【0028】
図1Bは、IVIS画像システムからの、同所性肺腫瘍を有するマウスの切開された肺組織の代表的な蛍光画像である。
【0029】
図1-2】図1Cは、10nmolの葉酸標的化NIR画像化剤を投与して2時間後の、IVIS画像システムからの、同所性肺腫瘍を有するマウスの解剖した肺組織の白色光画像の代表的な蛍光画像である。
【0030】
図1Dは、同所性腫瘍を有するマウスの同所性肺組織の代表的H&E染色である。
【0031】
図2-1】図2A~2Cは、同所性卵巣腫瘍モデルにおける葉酸標的化NIR画像化剤のインビボ有効性および特異性を図示する。可撓性プローブは、上記プローブを卵巣腫瘍へと誘導するために、NIRシグナルによってガイドされる。
【0032】
図2Aは、IVIS画像システムからの、同所性卵巣腫瘍を有するマウスのインタクトな卵巣の代表的な白色光全身画像である。
【0033】
図2Bは、同所性卵巣腫瘍を有するマウスの解剖した卵巣の白色光画像である。
【0034】
図2-2】図2Cは、10nmolの葉酸標的化NIR画像化剤を投与して2時間後の、卵巣腫瘍を有する同じマウスの組織生体分布分析である。
【0035】
図3-1】図3A~3Cは、同所性前立腺腫瘍モデルにおけるPSMA標的化NIR画像化剤のインビボ有効性および特異性を図示する。可撓性プローブは、上記プローブを前立腺腫瘍へと誘導するために、上記NIRシグナルによってガイドされる。
【0036】
図3Aは、10nmolのPSMA標的化NIR画像化剤を投与して2時間後の、同所性腫瘍を有するマウスのAMI画像システムからの代表的蛍光画像である。
【0037】
図3-2】図3Bおよび3Cは、(注射後2時間での)同じマウスの組織生体分布分析を図示する。注: *原発性腫瘍は、図(c)中の前立腺であり、K=腎臓である。注: PT=原発性腫瘍、SC=続発性腫瘍、およびSV=精嚢。
【発明を実施するための形態】
【0038】
詳細な説明
本発明が、本明細書で記載される特定の方法論、プロトコール、細胞株、構築物、および試薬に限定されず、よって変動し得ることは、理解されるべきである。本明細書で記載される用語法が、特定の実施形態を記載する目的に過ぎず、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される本発明の範囲を限定するとは意図されないことはまた、理解されるべきである。
【0039】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a(1つの、ある)」、「an(1つの、ある)」および「the(上記、この、その)」とは、文脈が別段明らかに示さなければ、複数形への言及を含む。
【0040】
本明細書で別段規定されなければ、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者に一般に理解されるものと同じ意味を幽する。本明細書で記載されるものに類似または等価な任意の方法、デバイス、および材料は、本発明の実施または試験において使用され得るが、好ましい方法、デバイス、および材料は、ここで記載される。
【0041】
本明細書で言及される全ての刊行物および特許は、例えば、ここで記載される発明と関連して使用され得る、刊行物の中で記載される構築物および方法論を記載および開示する目的で、本明細書に参考として援用される。本明細書で考察される刊行物は、本出願の出願日より前のそれらの開示に関して提供されるに過ぎない。本発明者らが、先行する発明によって、または任意の他の理由から、このような開示に先立つ資格がないという承認として構築されるべきものは何も存在しない。
【0042】
用語「官能基(functional group)」、「活性部分(active moiety)」、「活性化基(activating group)」、「脱離基(leaving group)」、「反応性部位(reactive site)」、「化学的に反応性の基(chemically reactive group)」および「化学的に反応性の部分(chemically reactive moiety)」とは、分子の別個の、定義可能な部分または単位に言及するために、当該分野および本明細書で使用される。上記用語は、化学分野ではいくぶん同義であり、ある種の機能または活性を発揮し、他の分子と反応する、分子の一部を示すために本明細書で使用される。
【0043】
用語「アミノ酸」とは、天然に存在するアミノ酸および天然に存在しないアミノ酸、ならびに天然に存在するアミノ酸の類似する様式で機能するアミノ酸アナログおよびアミノ酸摸倣物に言及する。天然にコードされるアミノ酸は、20種の一般的なアミノ酸(アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、およびバリン)、ならびにピロリジンおよびセレノシステインである。アミノ酸アナログとは、天然に存在するアミノ酸と同じ基本的な化学構造、すなわち、水素、カルボキシル基、アミノ基、およびR基に結合したα炭素を有する化合物(例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウム)に言及する。このようなアナログは、改変されたR基(例えば、ノルロイシン)または改変されたペプチド骨格を有するが、天然に存在するアミノ酸と同じ基本的な化学構造を保持する。
【0044】
アミノ酸は、それらの一般に公知の三文字記号またはIUPAC-IUB Biochemical Nomenclature Commissionによって推奨される一文字記号のいずれかによって本明細書中で言及され得る。
【0045】
本発明のいくつかの局面において、上記化合物は、画像ガイド手術、腫瘍画像化、リンパ節画像化、炎症性疾患、アテローム性動脈硬化症、感染性疾患、法医学的適用、ミネラル適用、歯科、ゲル染色、DNA配列決定法、神経染色、または形成外科手術のために使用され得る。
【0046】
本発明のいくつかの局面において、上記化合物は、タンパク質もしくはポリペプチド(例えば、抗体)、またはその生物学的に活性なフラグメント(好ましくは、モノクローナル抗体)、低分子、アプタマー、DNA、もしくはRNAを含み得る標的化部分へと組み込まれ得る。本開示の方法の実施において使用される補助的な蛍光を発する標的化構築物はまた、フルオロフォアでタグ付けされたポリクローナル抗体もしくはモノクローナル抗体であり得るか、またはこれらを含み得る。用語「抗体」とは、本開示で使用される場合、インタクトな分子およびエピトープ決定基を結合し得るその機能的フラグメント(例えば、Fab、F(ab’)2、およびFv)を含む。これらのフラグメントを作製する方法は、当該分野で公知である(例えば、Harlow & Lane, Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, New York, 1988(本明細書に参考として援用される)を参照のこと)。本開示で使用される場合、用語「エピトープ」とは、抗体のパラトープが結合する抗原上の任意の抗原性決定基を意味する。エピトープ決定基は通常、アミノ酸または糖側鎖のような分子の化学的に活性な表面グループからなる。通常、それらは、特異的な三次元構造特性、ならびに特異的な電荷特性を有する。
【0047】
いくつかの局面において、化合物は、画像化されることになる腫瘍または組織(例えば、アテローム性動脈硬化症、感染、心血管疾患、神経変性疾患、免疫学的疾患、自己免疫疾患、呼吸器疾患、代謝疾患、遺伝病、感染性疾患、骨疾患、および環境的な疾患などの部位)上の他のレセプターまたは抗原に結合する他の蛍光を発する標的化構築物(例えば、フルオロフォアが結合された抗体またはその生物学的に活性なフラグメント)とともに組み込まれ得るかまたは使用され得る。腫瘍または組織上の特定の部位を特異的に標的化する任意のさらなる標的化部分は、これがモニタリングされるべき部位に対して特異的であることを条件として使用され得る。上記さらなる蛍光を発する標的化構築物の目的は、モニタリングされるべき部位における蛍光の強度を増大させ、それによって、身体部分における病的なまたは異常な組織の検出を補助することである。例えば、所定の腫瘍は、多くのマーカーを有し得る。本開示の化合物に加えて、蛍光部分のカクテルが提供され、これは、その所定の腫瘍に対して特異的であり、その結果、上記腫瘍から発せられるシグナルは、目的の腫瘍部位に標的化および局在化されている1より多くの化合物または蛍光部分によって生成される。
【0048】
実施において、当業者は、本開示の化合物を単独でまたは標的化する検出可能な部分のカクテルの一部としてのいずれかで投与し、これらの化合物および標的化部分が、調査中の部位に存在し得る任意の標的組織に結合するおよび/またはその標的組織によって取り込まれることを可能にし、次いで、光源の供給を提供する。代表的には、本開示の化合物および任意のさらなる標的化部分は、外科手術または最小限に侵襲的なもしくは非侵襲的な手順の前に、ある時間にわたって、本開示の蛍光化合物および任意のさらなる蛍光構築物が上記標的組織によって取り込まれることを可能にする組成物中で投与される。
【0049】
当業者は、逐次的に投与される蛍光を発する標的化構築物(その各々は、上記標的部位に特異的に結合する)の組み合わせを考案することが可能である。上記標的組織を特定するためにこのようなカクテルの中で使用される蛍光を発する標的化構築物の全てが、本開示の方法の実施において使用される異なる標的化構築物の全てから、同時の蛍光を励起するために使用される必要がある異なる光源の数を最小化するために、本開示の化合物と同じ波長帯または同じ波長で蛍光を発するフルオロフォア(例えば、本開示の化合物における光の近赤外線波長に感受性の蛍光物(fluorescing))を含むことは、好ましい。しかし、本開示の化合物以外のさらなる標的化部分が、本開示の蛍光化合物に由来するものとは異なる色の(すなわち、異なる波長を有する)照射光に応じて蛍光を発し得ることが、企図される。本開示の化合物から発せられる蛍光の色および上記さらなる標的化化合物の色の差異は、病的な組織または標的組織の位置およびサイズを決定するにあたって観察者を補助し得る。いくらかの例では、病的な組織と正常組織との間のコントラストが、上記病的な組織の位置およびサイズを決定するにあたって観察者をさらに補助するためにさらに増強されるように、正常組織に標的化される標的化構築物および病的な組織に標的化される本開示の化合物の中にフルオロフォアを含めることは、望ましいことであり得る。本開示の化合物に加えて、このようなさらなるフルオロフォアおよび標的化剤を使用することは、正常組織から発せられる任意の天然の蛍光が、身体部分における正常組織に標的化される補助的な標的化構築物のフルオロフォアから発せられる蛍光によって不明瞭にされるという利点を提供する。正常組織から発せられる蛍光と標的組織から発せられる蛍光との間の色の差異が大きくなるほど、観察者が、標的組織の輪郭およびサイズを可視化することはより容易になる。例えば、本開示の化合物から赤外線を生じるフルオロフォアを含む蛍光を発する標的化構築物を、標的組織(すなわち、異常な組織)に、および緑色の光を生じるフルオロフォアを健常組織に標的化することは、標的組織を正常組織から区別するにあたって観察者を補助する。当業者は、明瞭な視覚的な色のコントラストを呈するフルオロフォアの組み合わせを容易に選択し得る。
【0050】
本開示の方法の実施において使用される光のスペクトルは、標的化構築物の、または標的化構築物内に含まれる生物学的に適合性の蛍光を発する部分の優勢な励起波長に相当する少なくとも1つの波長を含むように選択される。
【0051】
しかし、異なる波長で蛍光を発する標的化リガンドの組み合わせが、本開示の実施において使用される場合、その励起光のスペクトルは、使用されるフルオロフォアの各々に関して少なくとも1つの励起波長を提供するために十分に広くなければならない。例えば、異なる色のフルオロフォアが、正常組織を病的な組織から区別するために選択される場合に、その光の励起スペクトルが、正常組織および標的組織に標的化されるフルオロフォアの励起波長を含むことは、特に有益である。
【0052】
本開示の1つの局面において、上記化合物は、生物学的サンプルとこのような化合物とを、ある時間にわたっておよび標的細胞タイプのうちの少なくとも1個の細胞への上記化合物の結合を可能にする条件下で接触させることによって、生物学的サンプル中の標的細胞タイプを特定するために使用される。次いで、その結合した化合物は、光学的に検出され、その結果、その結合され、標的化された本開示の化合物から発せられる近赤外線波長の蛍光の存在が、上記標的細胞タイプが上記生物学的サンプル中に存在することを示した。従って、この方法は、評価されている組織における標的化された細胞タイプの画像を提供する。最も好ましくは、標的化された細胞タイプは、腫瘍細胞、または腫瘍細胞が拡がっているリンパ節である。
【0053】
これらの方法は、有利なことには、被験体に対して画像ガイド手術を実施する改善された方法を提供する。なぜなら上記化合物が所定の手術部位において蓄積されるために十分な条件下および時間にわたる本開示の化合物を含む組成物の投与は、除去されるべき組織を視覚化するにあたって、外科医を補助するからである。好ましくは、上記組織は、腫瘍組織であり、上記組織によって取り込まれた上記化合物を照らすことは、赤外光を使用して上記化合物の近赤外線蛍光による上記腫瘍の可視化を容易にする。上記腫瘍の部位への本開示の化合物の標的化によって可視化が容易にされるという助力があれば、赤外光による励起の際に蛍光を発する領域の外科的切除は、さらに小さな腫瘍の、改善されかつ正確な除去を可能にする。
【0054】
本開示の一局面は、介入手順を実施する方法であって、上記方法は、(a)ヒトまたは動物被験体の生物学的組織と、化合物、上記化合物の薬学的に受容可能な塩、上記化合物または上記化合物の薬学的に受容可能な塩を含む組成物とを接触させる工程であって、ここで上記化合物は、標的化部分および蛍光画像化剤を含み、ここで上記標的化部分は、レセプター、抗原、または抗体を標的化する、工程;(b)上記生物学的組織内に上記化合物が分布する時間を許容する工程;(c)可撓性プローブを上記生物学的組織へとガイドする工程;(d)上記生物学的組織を照らす工程;ならびに(e)上記化合物によって発せられる上記光学的シグナルを検出する工程、を包含する方法を提供する。この方法は、上記ヒトまたは動物被験体において外科的手順、化学療法、免疫療法、または放射線療法に対する応答をモニタリングするために使用され得る。
【0055】
本開示の別の局面は、介入手順を実施する方法であって、上記方法は、(a)化合物または上記化合物を含む組成物を、ヒトまたは動物被験体に投与する工程であって、ここで上記化合物は、標的化部分および蛍光画像化剤を含み、ここで上記標的化部分は、レセプター、抗原、または抗体を標的化する、工程;(b)上記被験体の介入部位において上記化合物が分布する時間を許容する工程;(c)可撓性プローブを上記介入部位へとガイドする工程;(d)上記介入部位において生物学的組織を照らす工程;ならびに(e)上記介入部位において上記生物学的組織の介入を実施する工程、を包含する方法を提供する。
【0056】
いくつかの局面において、上記介入手順は、非侵襲的、最小限に侵襲的、または侵襲的である。用語「侵襲的介入手順」は、本明細書で使用される場合、介入部位に達するために切開する(すなわち、ある方法で皮膚を切る)ことを要求する介入手順に言及し、外科手術を含み得る。用語「最小限に侵襲的な介入の」とは、本明細書で使用される場合、必要とされる切開のサイズを制限し、よって、創傷治癒時間、関連する疼痛および感染リスクを減少させる技術を使用し、外科手術を含み得る。用語「非侵襲的介入手順」とは、本明細書で使用される場合、切開を要求せず、かつ介入部位に達するために皮膚を切らない介入手順に言及する。非侵襲的介入手順は、介入部位における組織の操作を含み得る。
【0057】
いくつかの局面において、上記化合物は、薬学的に受容可能な塩の形態にある。上記薬学的に受容可能な塩は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リチウム、コリン酸塩、リジニウム、またはアンモニウムからなる群より選択され得る。
【0058】
本発明者らは驚くべきことに、上記化合物の使用が、上記可撓性プローブのナビゲーションを増強することを発見した。具体的には、上記化合物は、上記生物学的組織または介入部位の最終的な空間または距離(例えば、上記生物学的組織または介入部位の端部から1cm、あるいは上記生物学的組織または介入部位の端部から2cm、あるいは上記生物学的組織または介入部位の端部から3cm)にアクセスするにあたって特に有用であることを証明する。
【0059】
1つの局面において、上記光学画像は、インビボで画像化され、画像化システムまたは画像化ソフトウェアを使用して検出され得る。
【0060】
1つの局面において、上記可撓性プローブは、可撓性の内視鏡、蛍光内視鏡画像化プローブ、ファイバースコープ、ビデオスコープ、胃カメラ、大腸内視鏡、気管支鏡、喉頭鏡、膀胱鏡、十二指腸内視鏡、腸内視鏡、尿管鏡、S状結腸鏡、腸内視鏡、コレドスコープ、鼻咽喉鏡、血管内視鏡、または子宮鏡である。他の局面において、上記蛍光内視鏡画像化プローブは、約400nm~900nmの間の最大吸収および最大発光を有する波長を検出するために装備される。
【0061】
いくつかの局面において、上記介入手順は、近赤外線で実行可能な可撓性の内視鏡を使用する、被験体内の標的組織の生検、アブレーション、切除、切開、切断、および/または焼灼を含み得る。いくつかの局面において、上記標的組織は、腫瘍床からの生検、アブレーション、切除、切開、および/または焼灼を必要とする腫瘍であり得る。このような方法は、当該分野で公知のツールおよび技術(例えば、iBiopsy(リアルタイム(すなわち、介入手順の間に)スペクトル測定および組織の組織学検査を可能にするニードルシースを含む「インテリジェント」生検デバイス)、iKnife(エアロゾル化された組織のリアルタイム組織検査のために急速蒸発イオン化質量分析法(REIMS)を使用する「インテリジェント」ナイフ)、iLaserプローブ、iBurner、および電気切断ループを装備した可撓性の内視鏡、回転ブレード、曲刃、拡張式ブレード、切断ブレードを有する解剖器具、剥離鉗子、ピンチャー、焼灼もしくは切除のための電解可能要素、ブレード、外科用メス、生検用ニードル、マイクロ波アブレーションプローブ、ラジオ波アブレーションプローブ、冷凍アブレーションプローブ、レーザーなどが挙げられるが、これらに限定されない)を使用して行われ得る。いくつかの局面において、このような手順は、共焦点レーザー内視鏡検査を使用して実施され得る。
【0062】
ある特定の局面において、画像ガイド生検、アブレーション、切除、切開、切断、および/または焼灼は、原発性肺腫瘍小結節、転移性の肺病変、および限局性の転移性の肺リンパ節に対して実施され得る。本明細書で開示される化合物を、近赤外線で実行可能な可撓性の内視鏡と組み合わせて使用すると、実施者は、内視鏡のアタッチメント(例えば、生検用ニードル、アブレーションプローブ、焼灼プローブなど)が、処置を開始する前に、介入部位(例えば、腫瘍小結節または腫瘍床)において正確に位置づけられることを確実にし得る。いくつかの局面において、肺腫瘍小結節、転移性の肺病変、および限局性の転移性の肺リンパ節の画像ガイド生検、アブレーション、切除、切開、切断、および/または焼灼は、気管支鏡検査の間に実施され得る。ある特定の局面において、腫瘍床の画像ガイド焼灼は、腫瘍除去後に明確な周縁部を確実にするために、アブレーション処置と併せて実施され得る。いくつかの局面において、これらの方法は、iSiteまたはiVisionを使用し得る。
【0063】
よって、病的な組織(および結合されたまたは取り込まれた標的化構築物)は、励起光(例えば、内部位置への光の内視鏡による送達)に「曝され」る。これらの画像化方法の開示は、被験体の内部部位(例えば、生来の体腔または外科的に作った開口部の中)に位置した病的な組織のインビボでの検出に特に適しており、ここで上記病的な組織は、本開示の化合物の取り込みによって強調されている領域の生検または外科的切除の手順を容易にするために、「はっきり見える(in plain view)」(すなわち、人の目に曝されている)。上記病的なまたは炎症した組織の正確な位置および/または表面領域が、本開示の化合物の取り込みによって容易に決定されることから、本開示の化合物を使用する方法は、診断および画像化、ならびに必要な場合には、手術のために、炎症した領域の塊の正確な輪郭、サイズなどをリアルタイムで「見る」必要がある病理学者、免疫学者、技術者および外科医などに価値あるガイドを提供する。推定上の病的な部位が、生来の体腔または外科的に作った内側部位にある場合には、内視鏡アタッチメントが、励起光を上記部位に送達し、体腔内の上記部位から発せられる蛍光を受容するために、および上記病的な組織からの蛍光の直接画像の形成を補助するために使用され得る。例えば、内視鏡アタッチメントの中のレンズは、上記画像の形成の補助として検出される蛍光に焦点を合わせるために使用され得る。
【0064】
いくつかの局面において、上記生物学的組織は、腫瘍、小結節、転移性病変、同期性病変、腫瘍周縁部、またはリンパ節である。別の局面において、上記腫瘍、転移性病変、同期性病変、腫瘍周縁部、またはリンパ節は、肺、卵巣、腎臓、子宮内膜、乳房、結腸、前立腺、甲状腺、膵臓、消化管、肝臓、結腸/直腸、子宮頚部、口腔、頭/頚部、胆嚢、脳、胃上皮、または食道の中またはその付近にある。
【0065】
別の局面において、上記生物学的組織(すなわち、腫瘍、転移性病変、同期性病変、腫瘍周縁部、またはリンパ節)が、上記ヒトまたは動物被験体の肺の中またはその近辺にある場合、それは、気管支鏡検査の間にアクセスされ得る。さらなる局面において、上記気管支鏡検査は、非侵襲的である。さらに別の局面において、上記気管支鏡検査は、手動でまたはロボット支援技術を使用して実施され得る。上記気管支鏡検査はまた、生検、アブレーション、切除、切開、または焼灼を含み得る。いくつかの局面において、このような手順は、被験体の鼻または口を通して挿入され、気管支鏡検査の間に、本明細書で開示される化合物を使用して標的組織へとナビゲーションされる近赤外線で実行可能な可撓性の内視鏡を使用して実施され得る。このような方法が被験体において疾患を診断するために使用され得ることは、企図される。
【0066】
いくつかの局面において、上記方法は、原発性腫瘍、転移性腫瘍、リンパ節、同期性病変、腫瘍周縁部の蛍光ガイド手術または蛍光ガイド腫瘍切除において使用される。別の局面において、上記方法は、原発性腫瘍または上記原発性腫瘍の外科的除去の後の残留腫瘍の蛍光ガイドアブレーションにおいて使用される。さらに別の局面において、上記方法は、転移性腫瘍、リンパ節、同期性病変、または腫瘍周縁部の蛍光ガイドアブレーションにおいて使用される。
【0067】
いくつかの局面において、上記標的化部分は、葉酸レセプター、グルタミン酸カルボキシペプチダーゼII、前立腺特異的膜抗原、炭酸脱水酵素IX(CA IX)、線維芽細胞活性化タンパク質α、グルコーストランスポーター1、またはコレシストキニン-2を標的化する。いくつかの局面において、上記標的化部分は、アミノ酸連結基に結合体化される。別の局面において、上記標的化部分は、アミノ酸連結基に結合体化されたプテロイルリガンド(pteroyl ligand)、PSMA標的化化合物、またはCA IX標的化分子から構成される群より選択される。
【0068】
いくつかの局面において、上記画像化剤は、可視光スペクトルの外側で検出可能である。いくつかの局面において、上記画像化剤は、可視光スペクトルより大きい。いくつかの局面において、蛍光画像化剤は、近赤外線範囲の中の励起スペクトルおよび発光スペクトルを有する。上記蛍光画像化剤は、約600nm~1000nmの間に、あるいは、約600nm~850nmの間に、あるいは約650nm~850nmの間に最大吸収および最大発光を有し得る。
【0069】
600nm~850nmの波長範囲を有する光は、約400nm~約500nmの範囲内にある可視光とは対照的に、スペクトルの近赤外線範囲内にある。従って、本開示の方法の実施において使用される励起光は、赤外線波長において組織を照らして、上記化合物を励起する光の少なくとも1つの波長を含み、その結果、本開示の化合物の取り込みを有する領域から得られた蛍光は、明らかに目に見え、周りの組織の自家蛍光とは異なる。上記励起光は、単色であっても、多色であってもよい。このようにして、本開示の化合物は、蛍光プローブが約600nm未満の波長で蛍光を発するものである場合に、所望の診断画像を得るために使用されるフィルタリング機構の使用の必要性を排除することから、有利である。このようにして、本開示の化合物は、健常組織から反射され、蛍光画像の解像度の喪失を引き起こす波長の励起光の結果として生成される不明瞭な診断画像を回避する。
【0070】
いくつかの局面において、照射される身体部分から発せられる蛍光を生成するために、単一のタイプの蛍光部分に依拠する。他の局面において、複数の(すなわち、2種、3種、4種、またはこれより多くの)標的化構築物が診断画像を得るために使用されることが、企図される。異なる波長で蛍光を発する標的化リガンドの組み合わせが、本開示の実施において使用される場合、励起光のスペクトルは、使用されるフルオロフォアの各々に対して少なくとも1つの励起波長を提供するために十分広くなければならない。
【0071】
いくつかの局面において、検出されている細胞、組織、および/または腫瘍は、被験体の皮膚より5mmより深く下にある。あるいは、検出されている細胞、組織、および/または腫瘍は、被験体の皮膚より6mm、7mm、8mm、9mm、または10mmより深く下にある。いくつかの局面において、上記被験体は哺乳動物である。他の局面において、上記哺乳動物はヒトである。
【0072】
いくつかの局面において、上記腫瘍は、少なくとも1000mmの容積を有する。いくつかの局面において、上記腫瘍の容積は、1000mm未満である。いくつかの局面において、上記腫瘍の容積は、950mm未満である。いくつかの局面において、上記腫瘍の容積は、900mm未満である。いくつかの局面において、上記腫瘍の容積は、850mm未満である。いくつかの局面において、上記腫瘍の容積は、800mm未満である。いくつかの局面において、上記腫瘍の容積は、750mm未満である。いくつかの局面において、上記腫瘍の容積は、700mm未満である。いくつかの局面において、上記腫瘍の容積は、650mm未満である。いくつかの局面において、上記腫瘍の容積は、600mm未満である。いくつかの局面において、上記腫瘍の容積は、550mm未満である。いくつかの局面において、上記腫瘍の容積は、500mm未満である。いくつかの局面において、上記腫瘍の容積は、450mm未満である。いくつかの局面において、上記腫瘍の容積は、400mm未満である。いくつかの局面において、上記腫瘍の容積は、350mm未満である。いくつかの局面において、上記腫瘍の容積は、300mm未満である。いくつかの局面において、上記腫瘍の容積は、250mm未満である。いくつかの局面において、上記腫瘍の容積は、200mm未満である。いくつかの局面において、上記腫瘍の容積は、150mm未満である。いくつかの局面において、上記腫瘍の容積は、100mm未満である。1つの局面において、上記腫瘍の容積は、少なくとも75mmである。別の局面において、上記腫瘍の容積は、75mm未満である。別の局面において、上記腫瘍の容積は、70mm未満である。別の局面において、上記腫瘍の容積は、65mm未満である。別の局面において、上記腫瘍の容積は、60mm未満である。別の局面において、上記腫瘍の容積は、55mm未満である。1つの局面において、上記腫瘍の容積は、少なくとも50mmである。別の局面において、上記腫瘍は、50mm未満である。別の局面において、上記腫瘍の容積は、45mm未満である。他の局面において、上記腫瘍の容積は、40mm未満である。別の実施形態において、上記腫瘍の容積は、35mm未満である。さらに別の局面において。上記腫瘍の容積は、30mm未満である。別の局面において、上記腫瘍の容積は、25mm未満である。さらに別の局面において、上記腫瘍の容積は、20mm未満である。別の局面において、上記腫瘍の容積は、15mm未満である。さらに別の局面において、上記腫瘍の容積は、10mm未満である。さらに別の局面において、上記腫瘍の容積は、12mm未満である。さらに別の局面において、上記腫瘍の容積は、9mm未満である。さらに別の局面において、上記腫瘍の容積は、8mm未満である。さらに別の局面において、上記腫瘍の容積は、7mm未満である。さらに別の局面において、上記腫瘍の容積は、6mm未満である。さらに別の局面において、上記腫瘍の容積は、5mm未満である。
【0073】
いくつかの局面において、これらの方法は、5mm未満の腫瘍を検出する。他の局面において、上記方法は、4mm未満の腫瘍を検出する。いくつかの局面において、本明細書中の方法は、3mm未満の腫瘍を検出する。別の局面において、上記腫瘍は、少なくとも6mmの長さを有する。さらに別の局面において、上記腫瘍は、少なくとも7mmの長さを有する。さらに別の局面において、上記腫瘍は、少なくとも8mmの長さを有する。別の局面において、上記腫瘍は、少なくとも9mmの長さを有する。さらに別の局面において、上記腫瘍は、少なくとも10mmの長さを有する。さらに別の局面において、上記腫瘍は、少なくとも11mmの長さを有する。さらなる局面において、上記腫瘍は、少なくとも12mmの長さを有する。なおさらなる局面において、上記腫瘍は、少なくとも13mmの長さを有する。なおさらなる局面において、上記腫瘍は、少なくとも14mmの長さを有する。別の局面において、上記腫瘍は、少なくとも15mmの長さを有する。さらに別の局面において、上記腫瘍は、少なくとも16mmの長さを有する。さらに別の局面において、上記腫瘍は、少なくとも17mmの長さを有する。さらなる局面において、上記腫瘍は、少なくとも18mmの長さを有する。まださらなる局面において、上記腫瘍は、少なくとも19mmの長さを有する。なおさらなる局面において、上記腫瘍は、少なくとも20mmの長さを有する。別の局面において、上記腫瘍は、少なくとも21mmの長さを有する。さらに別の局面において、上記腫瘍は、少なくとも22mmの長さを有する。さらに別の局面において、上記腫瘍は、少なくとも23mmの長さを有する。さらなる局面において、上記腫瘍は、少なくとも24mmの長さを有する。なおさらなる局面において、上記腫瘍は、少なくとも25mmの長さを有する。まださらなる局面において、上記腫瘍は、少なくとも30mmの長さを有する。
【0074】
本明細書で開示される化合物がまた、以前の手術部位または介入部位の光学画像化を実施して、腫瘍進行もしくは退縮、または処置もしくは手術への応答をモニタリングするために、被験体に投与され得ることは、さらに企図される。このようなモニタリングは、近赤外線で実行可能な可撓性の内視鏡で実施され得る。肺組織がモニタリングされる場合、光学画像化は、気管支鏡検査の間に実施され得る。
【0075】
本開示の方法によって検出される疾患または異常状態は、特異的結合リガンドが既知である既知の標的組織の存在によって特徴づけられる任意のタイプであり得る。上記標的組織は、結合リガンドが既知である表面抗原、または細胞内マーカー(すなわち、抗原)(なぜなら多くの標的化構築物は、細胞膜を透過するからである)のいずれかを生じる細胞によって特徴づけられ得ることが企図される。代表的な疾患としては、異なるタイプの腫瘍、細菌感染、真菌感染およびウイルス感染などのような種々の状態が挙げられる。本明細書で使用される場合、「病的な(diseased)」または「異常な(abnormal)」組織としては、前がん状態、壊死組織もしくは虚血組織、および前がん状態と関連する組織、ならびにがんなどが挙げられる。
【0076】
本開示の方法のうちのいずれかにおいて、本開示の化合物が、外科的切開が行われる前に、または外科的腔(surgical cavity)および腫瘍の部位が、手術によって現された後にすら、投与され得ることは、理解されるべきである。
【0077】
本開示の診断または画像化方法によって、外科医/実施者が生検または外科的切除の手順を容易にするために、外科的開口部を経て病的なまたは異常な組織を同時に(contemporaneously)見る(see)/検分する(view)/可視化する(visualize)ことが可能にされることが、企図される。病的な組織の位置および/または表面領域が、本明細書で記載される化合物を使用する本開示の診断手順によって容易に決定されることから、本開示の方法は、手術が進むにつれて、例えば、切除のために、腫瘤(mass)の正確な輪郭、サイズなどを知る必要がある外科医に対する価値あるガイドである。特に、本開示の化合物が、以前に記載されるものより大きな強度まで近赤外範囲において蛍光を発することが、注記される。よって、有利なことには、診断画像化を達成するために、より少ない上記化合物が必要とされることが企図される。さらに、本開示の化合物は、腫瘍へと深く透過し、よって、本開示は、腫瘍が除去されたことのより高い正確さを可能にする。
【0078】
本開示は、本開示の化合物を含む組成物を被験体に投与し、病的な組織を含む被験体のインビボでの身体部分を、約600nm~約850nmの範囲の少なくとも1つの励起波長を有する光で照射し、上記身体部分における病的な組織に特異的に結合したおよび/または上記病的な組織によって取り込まれた、上記被験体に投与された標的化構築物(ここで上記標的化構築物は、上記少なくとも1つの励起波長に応じて蛍光を発する)から発せられる蛍光を直接検分し、上記被験体における病的な組織の位置および/または表面領域を決定し、上記腫瘍組織のうちの少なくとも一部を除去することによって、必要性のある被験体において手術の間に診断手順を利用するための方法を提供する。
【0079】
本開示の方法において使用される化合物および組成物は、「有効量」で投与される。有効量は、被験体において調査中の身体部分に位置した任意の標的組織の直接的可視化を補助するために必要な標的化構築物の量である。「被験体」は、任意の哺乳動物(例えば、飼い慣らされたペット、家畜、または動物園の動物)を含むことが企図されるが、好ましくは、ヒトである。診断上の使用のために有効な量は、当然のことながら、調査されるべき身体部分のサイズおよび位置、標的組織に対する標的化構築物の親和性、標的組織のタイプ、ならびに投与経路に依存する。標的化構築物の局所投与は、代表的には、全身投与の任意の様式より小さい投与量を必要とするが、標的化構築物の局所濃度は、症例によっては、局所投与後に、全身投与の際の安全性で達成され得るものより高いこともある。
【0080】
投与されるべき結合体化合物の有効量は、手術の状態(例えば、血液喪失)、処置されている疾患状態、結合体の分子量、その投与経路および組織分布、ならびに放射線療法、または化学療法、放射線療法のような治療的処置との共使用の可能性を含む患者の状態に依存する。患者に投与されるべき有効量は、体表面積、患者の体重、および医師による患者状態の評価に基づく。種々の例示的実施形態において、有効用量の量は、賦形剤/キャリア(食塩水が挙げられるが、これに限定されない)が伴っていてもよいし、伴っていなくてもよい。個々の被験体は、症状の重篤度において広い変動を呈することがあり、各標的化構築物は、その特有の診断特性(標的に対する標的化構築物の親和性、身体のプロセスによる標的化構築物のクリアランスの速度、構築物中に含まれるフルオロフォアの特性などが挙げられる)を有することから、当業者は、上記要因に重み付けをし、それに応じて投与量を変動させ得る。
【0081】
種々の変更が、本開示において、その趣旨および範囲から逸脱することなく行われ得ることは、当業者にとって明らかであり、従って、本開示は、本明細書中で具体的に開示されるものに追加して、しかし添付の特許請求の範囲において示されるとおりであるのみの実施形態を包含する。
【0082】
以下の実施例は、本開示の特定の実施形態を例証する目的で提供されるに過ぎず、添付の特許請求の範囲の範囲に限定されることは意図されない。本明細書で考察されるように、本開示の化合物および方法の特定の特徴は、それらが提供する操作性または利点に必要でない種々の方法で改変され得る。例えば、上記化合物は、上記化合物が使用される特定の用途に依存して、種々のアミノ酸およびアミノ酸誘導体、ならびに標的化リガンドを組み込み得る。当業者は、このような改変が、添付の特許請求の範囲の範囲内に包含されることを認識する。
【実施例
【0083】
実施例: 腫瘍標的化色素での画像ガイド介入手術
【0084】
全身の画像化および組織生体分布: 同所性腫瘍に関して、マウス1匹あたり2×10ヒト卵巣がんまたは前立腺がん細胞を、7週齢の雌性または雄性のSCIDマウスの卵巣または前立腺の中に外科的に移植した。同所性肺腫瘍のために、マウス1匹あたり2×10ヒト肺がん細胞を、7週齢の雌性SCIDマウスの尾静脈に静脈内注射した。簡潔には、同所性前立腺腫瘍に関しては、SCIDマウスに、麻酔のために1~5% イソフルランを与え、5mg/kg メロキシカムの皮下注射を、痛覚脱失のために手術前に与えた。上記マウスを、背側を上にして置き、前立腺の上をクロルヘキシジンスクラブで洗浄して、切開のための殺菌した領域を確実にした。外科用メスを使用して、皮膚を経て挿入部を作製した後、腹膜内層(peritoneal lining)を持ち上げて、鋏を使用して小さな切開を作製し、鉗子を使用して拡げた。背葉(dorsal lobe)を露出させ、濡らした(PBS)綿棒で穏やかに安定化させた。22Rv1細胞(10μLの10% HC-マトリゲル中)を、28ゲージ針を使用して前立腺へと注射した。前立腺を腹膜へと戻した後、腹壁を縫合し、体壁を、3-0または4-0バイクリルを使用して閉じ、皮膚を、ステープルを使用して閉じた。動物を、試験のためにそれらを使用するまでモニタリングした。同所性卵巣腫瘍移植のために、類字の手順にしたがった。
【0085】
1ヶ月後、上記動物に、葉酸標的化またはPSMA標的化NIR画像化剤(マウス1匹あたり100μL 食塩水中10nmol)のいずれかを投与し、CO窒息によって2時間後に安楽死させ、AMI画像システムを使用して画像化した。全身の画像化および生体分布試験のために、動物を、CO窒息によって腫瘍標的化NIR画像化剤の投与の2時間後に安楽死させた。全身の画像化の後に、動物を解剖し、選択した組織を、IVISまたはAMI画像システムを使用して蛍光活性に関して分析し、組織のROIを、Living Image 4.0ソフトウェアまたはAMI View Image Analysis Softwareを使用して計算した。
【0086】
免疫組織病理(IHC)試験のために、選択した腫瘍組織(肺、卵巣、または前立腺)を、4% ホルマリンを含むバイアルの中に集めた。ホルマリン固定した組織を10μm厚の切片へと切り出し、Superfrost PlusTMスライド(Fisher Scientific, Pittsburgh PA)上に載せた。上記スライドをH&Eで染色した後、その組織のIHC分析を行った。
【0087】
図1A~Dは、同所性肺腫瘍モデルにおける葉酸標的化NIR画像化剤のインビボ有効性および特異性を図示する。同所性肺腫瘍を有するマウスを示すIVIS画像システムからの代表的画像:(図1A)インタクトな肺腫瘍を有するマウスの半身の蛍光画像化、(図1B)腫瘍を有する解剖した肺組織の蛍光画像化、および(図1C)10nmolの葉酸標的化NIR画像化剤を投与して2時間後の腫瘍を有する解剖した肺組織の白色光画像。図1Dは、同所性腫瘍を有する同所性肺組織の代表的H&E染色である。可撓性プローブは、プローブを肺腫瘍へと誘導するために、NIRシグナルによってガイドされる。
【0088】
図2A~2Cは、同所性卵巣腫瘍モデルにおける葉酸標的化NIR画像化剤のインビボ有効性および特異性を図示する。同所性卵巣腫瘍を有するマウスを示すIVIS画像システムからの代表的蛍光画像:(図2A)腫瘍を有するインタクトな卵巣を有する白色光の全身画像化、(図2B)解剖した卵巣の白色光画像、および(図2C)10nmolの葉酸標的化NIR画像化剤を投与して2時間後の卵巣腫瘍を有する同じマウスの組織生体分布分析。可撓性プローブは、プローブを卵巣腫瘍へと誘導するために、NIRシグナルによってガイドされる。
【0089】
図3A~3Cは、同所性前立腺腫瘍モデルにおいてPSMA標的化NIR画像化剤のインビボ有効性および特異性を図示する。(図3A)10nmolのPSMA標的化NIR画像化剤を投与して2時間後の同所性腫瘍を有するマウスを示すAMI画像システムからの代表的蛍光画像。。注射の2時間後での同じマウスの組織生体分布分析(図3Bおよび3C)。注: 原発性腫瘍は、図(c)において前立腺にあり、K=腎臓である。注: PT=原発性腫瘍、SC=続発性腫瘍、およびSV=精嚢。可撓性プローブは、プローブを前立腺腫瘍へと誘導するために、NIRシグナルによってガイドされる。
【0090】
本発明は、ある特定の局面を参照しながら記載されてきたが、種々の変更が行われ得、均等物が本発明の範囲から逸脱することなく置換され得ることは、当業者によって理解される。さらに、多くの改変が、特定の状況または材料を、本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の教示に適合させるために行われ得る。従って、本発明は特定の開示される実施形態に限定されるのではなく、本発明は添付の特許請求の範囲の範囲内に入る全ての局面を包含することが、意図される。
図1-1】
図1-2】
図2-1】
図2-2】
図3-1】
図3-2】
【国際調査報告】