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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-21
(54)【発明の名称】粉体層から物体を付加製造する方法
(51)【国際特許分類】
   B22F 10/366 20210101AFI20230614BHJP
   B29C 64/153 20170101ALI20230614BHJP
   B29C 64/268 20170101ALI20230614BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20230614BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20230614BHJP
   B22F 10/28 20210101ALI20230614BHJP
   B22F 12/40 20210101ALI20230614BHJP
【FI】
B22F10/366
B29C64/153
B29C64/268
B33Y10/00
B33Y30/00
B22F10/28
B22F12/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022568831
(86)(22)【出願日】2021-05-11
(85)【翻訳文提出日】2022-11-11
(86)【国際出願番号】 FR2021050807
(87)【国際公開番号】W WO2021229172
(87)【国際公開日】2021-11-18
(31)【優先権主張番号】2004677
(32)【優先日】2020-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517160927
【氏名又は名称】アッドアップ
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】デナヴィット フランク
(72)【発明者】
【氏名】ブランシェ エティエンヌ
【テーマコード(参考)】
4F213
4K018
【Fターム(参考)】
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL03
4F213WL13
4F213WL44
4F213WL78
4K018AA06
4K018AA09
4K018AA14
4K018AA24
4K018AA33
4K018BA03
4K018BA04
4K018BA08
4K018BA13
4K018BA17
4K018BB04
4K018CA44
4K018EA60
(57)【要約】
粉体層から物体を付加的に製造するための方法であって、本方法は、粉体を溶融させるために、粉体層の表面にスポットの形態のエネルギービームを投射するステップ(200)と、スポットが、走査長手方向への並進運動と、揺動方向への少なくとも1つの成分を有する揺動運動とからなる運動で表面上を移動するように、エネルギービームで表面を走査するステップ(202)と、走査長手方向への並進運動に応じて、しかし揺動方向への揺動運動の成分を考慮することなく、走査中にエネルギービームの焦点を調整するステップ(204)と、を含む。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体層から物体を付加製造するための方法であって、
-粉体を溶融させるように前記粉体層の表面にスポットの形態のエネルギービームを投射するステップ(200)と、
-前記スポットが走査長手方向への並進運動と、揺動方向への少なくとも1つの成分を有する揺動運動とからなる運動で前記表面上を移動するように、前記エネルギービームで前記表面を走査するステップ(202)と、
-前記走査長手方向への前記並進運動に応じて、しかし前記揺動方向への前記揺動運動の前記成分を考慮することなく、前記走査中に前記エネルギービームの焦点を調整するステップ(204)と、を含む
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記揺動運動は、前記走査長手方向に対して垂直な走査横方向における横方向成分を含み、前記エネルギービームの前記焦点は、前記揺動運動の横方向成分を考慮することなく調整される、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記揺動運動の前記横方向成分は、少なくとも1kHzの周波数で振動する、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記揺動運動の前記横方向成分は、100マイクロメートルから2ミリメートルの間の振幅で振動する、
請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記揺動運動は、前記走査長手方向における長手方向成分を含み、前記エネルギービームの前記焦点は、前記揺動運動の前記長手方向成分を考慮することなく調整される、
請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記揺動運動の前記横方向成分は、少なくとも1kHzの周波数で振動する、
請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記揺動運動の前記長手方向成分は、100マイクロメートルから2ミリメートルの間の振幅で振動する、
請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記経路は、前記走査長手方向に互いにオフセットされた一連のループからなる、
請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記ビームの前記焦点は、前記エネルギービームの投射の前に計算された事前計算集束パラメータ値を用いて調整され、前記事前計算集束パラメータ値の各々は、前記表面上の前記スポットの位置に関連付けられる、
請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
粉体層から物体を付加製造するための装置であって、前記装置は、粉体を溶融させるようにスポットの形態で前記粉体層の表面にエネルギービームを投射するように構成されたエネルギー供給源を備え、前記エネルギー供給源は、
-前記スポットが、走査長手方向への並進運動と、揺動方向への少なくとも1つの成分を有する揺動運動とからなる運動で前記表面上を移動するように、前記エネルギービームを用いて前記表面を走査するように命令し、
-前記走査の間に、前記走査長手方向への前記並進運動に応じて前記エネルギービームの焦点を調整するが、前記揺動方向の前記揺動運動の成分を考慮しない、
ように構成された制御ユニットを備える、
ことを特徴とする装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体層から物体を付加製造する方法、及びそのような方法を実施するのに適した装置に関する。
【背景技術】
【0002】
付加製造は、互いに重ね合わせた粉体層を溶融させることによって物体を製造するものである。これらの層は、製造される物体の様々な断面に対応する。
【0003】
粉体層を溶融させるために、エネルギー供給源は、この粉体層の表面にエネルギービームを投射し、このような溶融が起こるスポットを形成する。その後、この溶融を層の表面全体に広げるために、表面を走査するようにエネルギービームを制御する。
従来、エネルギービームは、表面の様々なゾーンを長手方向に、往路方向(outbound sense)と復路方向(return sense)とに交互に走査していた。
【0004】
さらに、スポットが長手方向に完全に直線的な並進運動ではなく、長手方向の並進運動と揺動(wobbling)運動からなる運動で表面上を進むように、エネルギー供給源を制御することが提案されている。揺動運動は、溶融プールを広げるように、特に横方向に高い周波数及び小さな振幅で振動する。揺動運動は、通常、ビームを振り子のような方法で所定の角度範囲で配向することによって得られる。
【0005】
さらに、単位面積当たりの層へのエネルギー付与量が過度に変動しないように、スポットサイズを細かく制御することが望ましい。スポットサイズは、エネルギー供給源と表面との間でビームが進む距離に依存し、それ自体は、表面に対するビームの傾斜角によって変化する。従って、揺動運動は、スポットサイズを高い周波数で変化させることに貢献する。これを説明するために、図1は、表面に投射されたエネルギービームの経路を、長手方向に垂直な平面で示す。図1では、横方向は水平である。ビームの経路は、長手方向と平行な軸の周りを動くことができ、固定点Pを通過する。表記法は以下の通りである。
・Sは、ビームが表面に投射される形態のスポットの中心である。
・rは、点PとSとの間の最小距離である。
・αは、ビームの揺動の半角である。
・Lは、点Pと、角度αで傾斜したビームが進む表面Sとの間の距離である。
・Aは、表面上の点Sの横方向への揺動の半振幅である。
【0006】
揺動の間、点Pと点Sの間のビームが進む距離は、次のような距離のズレdによって変わる。
このズレdの値は非常に小さい。例示的に、r=700mm、A=0.3mmの場合、d=0.06μmが得られる。
【0007】
走査の間、スポットサイズを完全に一定に維持するためには、集束装置は、揺動を考慮する必要があり、従って、この非常に小さな距離のズレdを考慮する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の1つの目的は、物体の付加製造中にエネルギービームによって粉体層に付与される単位面積当たりのエネルギー量に対して微調整を行うことができ、一方でそれと同時に、エネルギービームを放出するエネルギー供給源が早期消耗することなく、拡大した溶融プールを得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的のために、本発明の第1の態様は、粉体層から物体を付加製造のための方法を提案し、本方法は、
-粉体を溶融させるように粉体層の表面にスポットの形態のエネルギービームを投射するステップと、
-スポットが、走査長手方向への並進運動と、揺動方向への少なくとも1つの成分を有する揺動運動とからなる運動で表面上を移動するように、エネルギービームで表面を走査するステップと、
-走査長手方向への並進移動に応じて、しかし揺動方向への揺動運動の成分を考慮することなく、走査中にエネルギービームの焦点を調整するステップと、
を含む。
【0010】
揺動に応じてエネルギービームの焦点を調整する集束装置は、理論的には経時的に不変のスポットサイズを得ることを可能にする。しかしながら、本発明者らは、このように構成された集束装置は、揺動振動の周波数が高く振幅が小さいため、早期に消耗してしまうことを見出している。
【0011】
従って、第1の態様による方法のように、走査の過程で、揺動運動の揺動方向の成分を考慮することなくエネルギービームの焦点を調整することにより、そのような早期消耗を回避することが可能になる。
それにもかかわらず、長手方向の並進運動に応じてエネルギービームの焦点を調整することは、並進運動によって引き起こされるスポットサイズの著しい変動を制限することを可能にする。従って、第1の態様による方法を用いて単位面積当たりに付与されるエネルギー量は、依然として許容される割合で変化する。
【0012】
第1の態様による方法は、それが技術的に可能である場合、以下の任意の特徴を、別々に又は組み合わせて有することができる。
好ましくは、揺動運動は、走査長手方向に対して垂直な走査横方向における横方向成分を含み、エネルギービームの焦点は、揺動運動の横方向成分を考慮することなく調整される。
【0013】
好ましくは、揺動運動の横方向成分は、少なくとも1kHzの周波数で振動する。
【0014】
好ましくは、揺動運動の横方向成分は、100マイクロメートルから2ミリメートルの間の振幅で振動する。
【0015】
好ましくは、揺動運動は、走査長手方向における長手方向成分を含み、エネルギービームの焦点は、揺動運動の長手方向成分を考慮することなく調整される。
【0016】
好ましくは、揺動運動の横方向成分は、少なくとも1kHzの周波数で振動する。
【0017】
好ましくは、揺動運動の長手方向成分は、100マイクロメートルから2ミリメートルの間の振幅で振動する。
【0018】
好ましくは、経路は、走査長手方向に互いにオフセットされた一連のループからなる。
【0019】
好ましくは、ビームの焦点は、エネルギービームの投射の前に計算された事前計算集束パラメータ値を用いて調整され、事前計算集束パラメータ値の各々は、表面上のスポットの位置に関連付けられる。
【0020】
同様に、本発明の第2の態様は、粉体層から物体を付加製造するための装置を提案し、本装置は、
-粉体を溶融させるようにスポットの形態で粉体層の表面にエネルギービームを投射し、-スポットが、走査長手方向への並進運動と、揺動方向への少なくとも1つの成分を有する揺動運動とからなる運動で表面上を移動するように、エネルギービームで表面を走査するように命令し、
-走査の間、走査長手方向への並進運動に応じてエネルギービームの焦点を調整するが、揺動方向の揺動運動の成分を考慮しない、
ように構成されたエネルギー供給源を備える。
【0021】
本発明の他の特徴、目的及び利点は、添付図面を参照して読む必要がある以下の単に例示的かつ非限定的な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】上述のように、表面上に投射されるエネルギーの揺動ビームの横方向への移動を図式的に示す。
図2】1つの実施形態による付加製造装置の概略図である。
図3】1つの実施形態による付加製造方法のステップを示すフローチャートである。
図4図3に関連する方法の実施中に、表面へのエネルギービームの投射によって生じるスポットがたどる経路を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
全ての図面において、類似の要素には同一の参照符号が付与されている。
付加製造装置
図2を参照すると、付加製造装置は、エネルギー供給源1及び支持体140を備える。
支持体140は、長手方向と長手方向に垂直な横方向との2方向に広がる、典型的には平面である自由表面を有する。以下では、長手方向を慣習的にXと表記し、横方向をYと表記する。
【0024】
支持体140の自由表面は、粉体層150又は互いに積層された複数の層150のための支持面140として機能することが意図される。
一般に、エネルギー供給源1は、支持体140に向かってエネルギービームを投射するように設計されている。粉体層150が支持体140上に堆積されると、このエネルギービームは、スポットの形態でこの層150の上面に投射される。
【0025】
エネルギー供給源1は、特に、エネルギービームを発生させるように構成された発生器110を備える。発生器110は、例えば、レーザー光源であり、発生するビームは、光子を含むレーザービーム、換言すると光ビームである。あるいは、発生器110は、電子ビームを発生するように設計されたEBM(電子ビーム溶融)タイプである。以下において、非限定的に、レーザービームが考慮されることになる。
【0026】
エネルギー供給源1は、光ビームの焦点を調整するように設計された集束装置をさらに備える。従って、この集束装置は、ビームが支持体140上に堆積された粉体層150の上面に投影される形態のスポットのサイズを変えることができる。
【0027】
集束装置は、例えば、集束素子1102と、集束素子に対してレンズの光軸と平行に並進移動可能な集束レンズ1101とを備える。集束レンズ1101は、ビーム発生器110の下流に配置される。以下、用語「上流」及び「下流」は、発生器110から支持体140までの光学経路上のエネルギービームの伝搬方向を暗示的に指す。
集束装置は、集束レンズ1101を集束素子1102に対して移動させるためのアクチュエータを備える。
【0028】
エネルギー供給源1は、このビームが投射される形態のスポットが、支持体140に対して、層150の表面上で、長手方向及び横方向に対して移動できるように、エネルギーのビームを配向するように設計された走査装置130をさらに備える。
走査装置130は、集束装置の下流に配置される。
【0029】
走査装置130は、例えば、第1の回転軸133の周りで支持体140に対して回転移動可能な第1の走査ミラー131と、第1の回転軸とは異なる第2の回転軸134の周りで支持体140に対して回転移動可能な第2の走査ミラー132とを備える。2つの走査ミラー131、132のうちの一方は、他の走査ミラーの下流に配置され、発生器110からのエネルギービームは、支持体140の方に向けられる前に、2つの走査ミラーで順に反射されるようになっている。
【0030】
変形例として、走査装置130は、第1の回転軸133及び第2の回転軸134の周りで支持体140に対して回転運動可能な単一の走査ミラーを備える。その場合、この単一の走査ミラーは、発生器110からのエネルギービームが、支持体140の方に向かって放射される前に、この走査ミラーで反射されるようになっている。
【0031】
さらに、走査装置130は、少なくとも1つのアクチュエータ(使用される各走査ミラーに対して1つ)を備える。各アクチュエータの目的は、走査ミラーを少なくとも1つの回転軸の周りで走査角の範囲にわたって回転移動させることである。
走査角の範囲は、例えば、スポットが層150の全表面又は少なくともその大部分をカバーすることができるように調整される。
【0032】
走査装置の所定の構成について、発生器110から生じるビームの中心軸は、特定の点で支持体140の表面と交差する。従って、その点の座標(x、y)と走査ミラー131、132の角度位置との間には、数学的関係が存在する。
【0033】
走査装置130は、詳細には、粉体層150の表面に投射されたスポットの複合運動を引き起こすように構成されている。この複合運動は、走査長手方向の並進である、往路方向の並進及び往路方向とは逆の復路方向の並進を含み、これらは互いに交互に行われ、走査長手方向は、支持体140の長手方向及び横方向から独立して選択される。
複合運動はさらに、支持体140上に堆積した粉体層150の表面上で、スポットの少なくとも1つの方向の揺動運動を含む。
【0034】
レーザー光源110及び走査装置130は、例えば、表面溶融速度、すなわち単位時間当たりレーザースポットによってカバーされる粉体層150の面積が、1000cm2/minより大きく、例えば2000cm2/minより大きく、例えば4000cm2/minより大きく、例えば15000cm2/minより小さく、例えば10000cm2/minより小さく、例えば6000cm2/minの程度にできるよう配置されている。
走査装置130は、例えば、0.5から10m/sの間、例えば1から5m/sの間、例えば1又は2m/sに等しいスポットの移動速度を可能にするように構成されている。
【0035】
エネルギー供給源1は、集束装置及び走査装置130を制御するように構成された制御ユニットをさらに備える(制御ユニットは図示されていない)。この制御ユニットは、詳細には、これらの様々な装置のそれぞれのアクチュエータを制御するように構成されている。
【0036】
制御ユニットは、支持体140の自由表面の平面における座標(x、y)の様々なペアに対して事前に計算された集束パラメータ値のテーブルを記憶するメモリを備えること又はそれに接続することができる。従って、スポットが支持体の表面の座標(x、y)の点に中心を置く場合、制御ユニットは、事前に計算された値のテーブル内のそのペアに関連する集束パラメータ値を用いて集束装置に命令するように構成されている。
【0037】
付加製造方法
図3を参照すると、本明細書に記載された装置を用いた付加製造方法は、以下のステップを含む。
図1に示すように、少なくとも1つの粉体層150を支持体140上に堆積する。粉体層150は、支持体の長手方向及び支持体の横方向に広がる自由表面を有する。
【0038】
粉体の粒子は、例えば10から100μmの間、例えば20から60μmの間、例えば40μmに等しい粒径を有する。
粉体層150又は各粉体層150の材料は、例えば0.5から10J/mm2の間、例えば1から5J/mm2の間、例えば2J/mm2に等しい流動性を有する。
【0039】
粉体層150又は各粉体層150の材料は、チタン及び/又はアルミニウム及び/又はインコネル及び/又はステンレス鋼及び/又はマルエージング鋼を含むことができる。
【0040】
発生器110は、エネルギービームを放射するように作動される。このエネルギービームは、集束装置及び走査装置130を通過し、スポットの形態で粉体層150の自由表面上に投射される(ステップ200)。従って、粉体層150は、このスポットの領域で、その粒子の溶融点まで加熱される。
【0041】
走査装置130は、スポットが表面上の走査長手方向に並進的に移動するようにビームを配向する(ステップ202)。
ステップ202の間、走査装置130は、この並進運動が揺動運動によって変調されるように、エネルギービームを揺動させる。従って、スポットは、上記の複合運動で移動する。
【0042】
揺動運動は、多くの方法で具現化することができる。
第1の実施形態では、揺動運動は走査横方向のみに行われ、この走査横方向は走査長手方向に対して垂直である。従って、スポットがたどる経路はジグザグ経路である。
【0043】
第2の実施形態では、揺動運動は、走査横方向の揺動成分と走査長手方向の揺動成分とを含み、走査横方向は走査長手方向と垂直である。換言すると、この揺動運動は、スポットに、走査横方向だけでなく、走査長手方向にも粉体層150の表面で揺動するようにさせる。
【0044】
これら2つの成分の組み合わせにより、2次元の揺動運動を規定すること、従って、走査長手方向に互いにオフセットした一連のパターンからなるスポット経路を規定することができ、これらのパターンの形状は、これら2つの成分の特定のパラメータ、特にその周波数、その振幅及びその位相シフトに依存する。
【0045】
例えば、揺動の2つの成分が同じ周波数で振動する場合、揺動運動は円形又は楕円形になることができる。この円形又は楕円形の動きと、走査装置130によって行われる上記の並進とを組み合わせることによって、図4に示されるように、層150の表面において、スポットは、長手方向に互いにオフセットした一連のループからなる経路をたどるように工夫することができる。図4において、点線の矢印は、長手方向における走査装置の上述の並進移動を表す。
【0046】
変形例では、この揺動運動は、他の形状、例えば8の字の形状又は無限記号の形状(つまり8の字を横にした形状)とすることができる。その場合、スポットは、単純なループよりも複雑な一連のパターンからなる経路をたどる。
【0047】
揺動運動が横方向成分を有する場合、この横方向成分は、好ましくは、少なくとも1kHzの周波数で振動する。この周波数は、典型的には、エネルギービームがレーザービームである場合には、1kHzから10kHzの間であり、エネルギービームが電子ビームである場合には、1kHzから100kHzの間である。さらに、揺動運動の横方向成分は、100マイクロメートルから2ミリメートルの間の振幅で振動することができる。
【0048】
同様に、揺動運動が長手方向成分を有する場合には、この長手方向成分は、好ましくは、少なくとも1kHzの周波数で振動する。この周波数は、典型的には、エネルギービームがレーザービームである場合には、1kHzから10kHzの間であり、エネルギービームが電子ビームである場合には、1kHzから100kHzの間である。さらに、揺動運動の横方向成分は、100マイクロメートルから2ミリメートルの間の振幅で振動することができる。
【0049】
走査の間、集束装置は、エネルギービームの焦点を調整する必要がある。このような調整を行うために、集束レンズ1101は、集束要素1102に対して並進移動し、これは、粉体層150の表面に対し供給源1によって形成される光学系の像焦点面を移動させる効果を有する。
【0050】
集束装置によって行われる集束調整は、走査装置130によって行われる、スポットを長手方向に並進移動させる走査を考慮する。従って、走査に起因するスポットサイズの変動は、この調整によって制限される。
より具体的には、焦点調節によって調整されるビーム焦点距離は、走査装置の走査ミラーの角度位置に応じて変化する。
【0051】
上述のように、走査装置130の所定の構成について、供給源1によって投射されたエネルギービームの中心軸は、座標(x、y)を有する特定の点で支持体140の表面と交差する。従って、その点の座標(x、y)と走査ミラーの角度位置との間には数学的関係が存在する。基材上に堆積した層150の平均厚さを考慮することにより、走査の過程でビームの焦点を修正するために集束装置が使用するパラメータ値を事前に計算し、これらを制御ユニットが使用するメモリに格納することが可能である。従って、制御ユニットは、集束装置に命令を出すために計算を行う必要がない。
【0052】
対照的に、集束装置が行う焦点調整は、走査装置130によって生じる揺動を考慮しない。より具体的には、ビーム焦点距離は、揺動によってもたらされるビーム角度位置に依存しない。
換言すると、集束装置は、ビームの揺動が存在しないかのように動作するように構成されている。
【0053】
上述のステップは、走査横方向における表面の複数の隣接するゾーン上で繰り返される。これらのゾーンは、走査長手方向に走査されるが、粉体層150の表面の2次元走査プロセスを加速するために、互いに交互になる往路方向と復路方向とで走査される。
【0054】
上述した方法は、他の変形例の対象とすることができる。
第1に、エネルギービームは、本明細書で説明した装置120以外の他のタイプの揺動誘発装置によって揺動させることができ、本明細書で説明した装置以外の他のタイプの集束装置によって集束させることができる。上述の方法は、エネルギー供給源の内部構造、詳細には複合運動の様々な成分の生成を可能にする構造に無関係に、スポットの形態で表面上に投射されるエネルギービームの焦点を変更し、この表面上の並進運動及び揺動運動からなる複合運動でこのスポットを動かすことができる何らかのタイプのエネルギー供給源に適用することができる。
【0055】
第2に、好ましい実施形態である本明細書に記載された方法の実施形態では、エネルギービームの焦点を調整するために、揺動運動のどの成分も考慮されない。このことは、光源、特に集束装置の早期消耗を回避する利点を提供する。変形例として、揺動運動が横方向及び長手方向の2つの成分を有する場合、ビームの集束が揺動運動の2つの成分のうちの一方にだけに依存することを想定することができる。確かに、これは、供給源の大きな消耗をもたらすが、ビームに対する焦点の制御はより正確になる。
【0056】
第3に、集束パラメータ値を事前に計算することは、大きな計算負担を避けるために非常に有利であるが、そのような値は、走査中にその場で計算することが依然として可能である。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】