(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-21
(54)【発明の名称】単独療法及び併用療法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/519 20060101AFI20230614BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230614BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230614BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20230614BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230614BHJP
A61K 31/5025 20060101ALI20230614BHJP
A61K 31/454 20060101ALI20230614BHJP
A61K 31/7068 20060101ALI20230614BHJP
A61K 31/282 20060101ALI20230614BHJP
A61K 31/17 20060101ALI20230614BHJP
A61K 31/44 20060101ALI20230614BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20230614BHJP
A61K 31/704 20060101ALI20230614BHJP
【FI】
A61K31/519
A61K45/00
A61P35/00
A61P35/02
A61P43/00 121
A61K31/5025
A61K31/454
A61K31/7068
A61K31/282
A61K31/17
A61K31/44
A61K39/395 T
A61K31/704
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022569035
(86)(22)【出願日】2021-05-12
(85)【翻訳文提出日】2023-01-11
(86)【国際出願番号】 US2021032094
(87)【国際公開番号】W WO2021231653
(87)【国際公開日】2021-11-18
(32)【優先日】2020-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518346476
【氏名又は名称】リキュリウム アイピー ホールディングス リミテッド ライアビリティー カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サマター,アフメド アブディ
(72)【発明者】
【氏名】リ,ジアリ
(72)【発明者】
【氏名】ファン,ピーター キンファ
(72)【発明者】
【氏名】バンカー,ケビン デュアン
(72)【発明者】
【氏名】ドネイト,フェルナンド
(72)【発明者】
【氏名】ボーレン,ブラント クレイトン
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZC202
4C084ZC412
4C085AA14
4C085BB11
4C085EE03
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC36
4C086CB05
4C086CB09
4C086CB22
4C086EA10
4C086EA17
4C086GA07
4C086GA12
4C086GA16
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206HA26
4C206JB16
4C206MA02
4C206MA04
4C206NA05
4C206ZB26
4C206ZB27
4C206ZC75
(57)【要約】
がんなどの疾患又は病態を治療するための化合物及び化合物の組み合わせが本明細書に開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
疾患又は病態を治療するための化合物の組み合わせの使用であって、前記組み合わせが、有効量の化合物(A)、及び有効量の化合物(B)のうちの1つ以上、又は前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩、を含み、
前記化合物(A)が、以下の構造を有し、
【化1】
式中、
R
1が、水素、ハロゲン、及び置換又は非置換のC
1~C
6アルキルからなる群から選択され、
環Aが、置換又は非置換のフェニル、及び置換又は非置換の5~6員単環式ヘテロアリールからなる群から選択され、
環Bが、置換又は非置換の単環式5~7員カルボシクリル、及び置換又は非置換の5~7員単環式ヘテロシクリルからなる群から選択され、
R
2が、
【化2】
からなる群から選択され、
mが、0、1、2、又は3であり、
R
3が、ハロゲン、及び置換又は非置換のC
1~C
6アルキルからなる群から選択され、
Xが、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、置換又は非置換の4~6員単環式ヘテロシクリル、置換又は非置換のアミン(C
1~C
6アルキル)、置換又は非置換の-NH-(CH
2)
1~6-アミン、一置換アミン、二置換アミン、アミノ、置換又は非置換のC
1~C
6アルキル、置換又は非置換のC
1~C
6アルコキシ、置換又は非置換のC
3~C
6シクロアルコキシ、置換又は非置換の(C
1~C
6アルキル)アシル、置換又は非置換のC-アミド、置換又は非置換のN-アミド、置換又は非置換のC-カルボキシ、置換又は非置換のO-カルボキシ、置換又は非置換のO-カルバミル、及び置換又は非置換のN-カルバミルからなる群から選択され、
Yが、CH又はNであり、
Y
1が、CR
4A又はNであり、
Y
2が、CR
4B又はNであり、
環Cが、置換又は非置換のC
6~C
10アリール、置換又は非置換の単環式5~10員ヘテロアリール、置換又は非置換の単環式5~7員カルボシクリル、置換又は非置換の5~7員単環式ヘテロシクリル、及び置換又は非置換の7~10員二環式ヘテロシクリルか
らなる群から選択され、
R
4A及びR
4Bが、独立して、水素、ハロゲン、及び非置換のC
1~4アルキルからなる群から選択され、
R
5が、置換又は非置換の5~7員単環式ヘテロシクリルであり、
前記化合物(B)のうちの1つ以上が、PARP阻害剤、PD1阻害剤、PD-L1阻害剤、及び化学療法剤、又は前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩からなる群から選択され、
前記PARP阻害剤が、オラパリブ、ニラパリブ、ルカパリブ、タラゾパリブ、ベリパリブ、パミパリブ(BGB-290)、イニパリブ(BSI201)、E7016(Esai)及びCEP-9722、並びに前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩からなる群から選択され、
前記PD1阻害剤が、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、セミプリマブ、スパルタリズマブ、ABBV-181、ロダポリマブ、ジンベレリマブ、トリパリマブ(Tuoyi)、チスレリズマブ、カムレリズマブ、シンチリマブ(Tyvyt)、GB226、AK105、HLX-10、AK103、BAT-1306、GSL-010、CS1003、LZM009及びSCT-I10A、並びに前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩からなる群から選択され、
前記PD-L1阻害剤が、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、KN035、CS1001、SHR-1316、TQB2450、BGB-A333、KL-A167、KN046、MSB2311及びHLX-20、並びに前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩からなる群から選択され、
前記化学療法剤が、カルボプラチン、シスプラチン、パクリタキセル、ドセタキセル、ペグ化リポソームドキソルビシン、ドキソルビシン、ゲムシタビン、シタラビン、フルダラビン、フルオロウラシル(5-FU)、イリノテカン、トポテカン、テモゾロミド、トリアピン、5-アザシチジン、カペシタビン、AraC-FdUMP[10](CF-10)、クラドリビン、デシタビン、ヒドロキシウレア及びオキサリプラチン、並びに前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩からなる群から選択される、使用。
【請求項2】
疾患又は病態を治療するための、放射線と組み合わせた、有効量の化合物(A)、又はその薬学的に許容される塩の使用であって、
前記化合物(A)が、以下の構造を有し、
【化3】
式中、
R
1が、水素、ハロゲン、及び置換又は非置換のC
1~C
6アルキルからなる群から選択され、
環Aが、置換又は非置換のフェニル、及び置換又は非置換の5~6員単環式ヘテロアリールからなる群から選択され、
環Bが、置換又は非置換の単環式5~7員カルボシクリル、及び置換又は非置換の5~7員単環式ヘテロシクリルからなる群から選択され、
R
2が、
【化4】
からなる群から選択され、
mが、0、1、2、又は3であり、
R
3が、ハロゲン、及び置換又は非置換のC
1~C
6アルキルからなる群から選択され、
Xが、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、置換又は非置換の4~6員単環式ヘテロシクリル、置換又は非置換のアミン(C
1~C
6アルキル)、置換又は非置換の-NH-(CH
2)
1~6-アミン、一置換アミン、二置換アミン、アミノ、置換又は非置換のC
1~C
6アルキル、置換又は非置換のC
1~C
6アルコキシ、置換又は非置換のC
3~C
6シクロアルコキシ、置換又は非置換の(C
1~C
6アルキル)アシル、置換又は非置換のC-アミド、置換又は非置換のN-アミド、置換又は非置換のC-カルボキシ、置換又は非置換のO-カルボキシ、置換又は非置換のO-カルバミル、及び置換又は非置換のN-カルバミルからなる群から選択され、
Yが、CH又はNであり、
Y
1が、CR
4A又はNであり、
Y
2が、CR
4B又はNであり、
環Cが、置換又は非置換のC
6~C
10アリール、置換又は非置換の単環式5~10員ヘテロアリール、置換又は非置換の単環式5~7員カルボシクリル、置換又は非置換の5~7員単環式ヘテロシクリル、及び置換又は非置換の7~10員二環式ヘテロシクリルからなる群から選択され、
R
4A及びR
4Bが、独立して、水素、ハロゲン、及び非置換のC
1~4アルキルからなる群から選択され、
R
5が、置換又は非置換の5~7員単環式ヘテロシクリルである、使用。
【請求項3】
前記化合物(A)が、
【化5】
又は前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩からなる群から選択される、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
前記化合物(A)が、
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
又は前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩からなる群から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
前記化合物(A)が、
【化11】
又はその薬学的に許容される塩である、請求項1~4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
前記化合物(A)が、
【化12】
又はその薬学的に許容される塩である、請求項1~4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
前記化合物が、
【化13】
又はその薬学的に許容される塩である、請求項1~4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
前記化合物が、
【化14】
又はその薬学的に許容される塩である、請求項1~4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項9】
前記化合物が、
【化15】
又はその薬学的に許容される塩である、請求項1~4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項10】
前記化合物が、
【化16】
又はその薬学的に許容される塩である、請求項1~4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項11】
前記疾患又は病態が、脳がん、大脳頸部がん、食道がん、甲状腺がん、肺がん、乳がん、胃(stomach)がん、胆嚢/胆管がん、肝がん、膵臓がん、胃(gastric)がん、結腸がん、直腸がん、卵巣がん、子宮内膜がん、絨毛がん、子宮体がん、子宮頸がん、腎盂/尿管がん、膀胱がん、前立腺がん、陰茎がん、精巣がん、胎児がん、子宮がん、ウィルムスがん、皮膚がん、悪性黒色腫、神経芽細胞腫、骨肉腫、ユーイング腫瘍、軟部肉腫、頭頸部扁平上皮細胞がん、膠芽腫、急性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、真性多血症、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、ホジキンリンパ腫、及び非ホジキンリンパ腫からなる群から選択される、請求項1~10のいずれか一項に記載の使用。
【請求項12】
前記疾患又は病態が、肺がんである、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
前記肺がんが、小細胞肺がん(SCLC)である、請求項12に記載の使用。
【請求項14】
前記肺がんが、非小細胞肺がん(NSCLC)である、請求項12に記載の使用。
【請求項15】
前記疾患又は病態が、乳がんである、請求項11に記載の使用。
【請求項16】
前記乳がんが、トリプルネガティブ乳がんである、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
前記疾患又は病態が、胃(gastric)がんである、請求項11に記載の使用。
【請求項18】
前記疾患又は病態が、結腸がんである、請求項11に記載の使用。
【請求項19】
前記疾患又は病態が、直腸がんである、請求項11に記載の使用。
【請求項20】
前記疾患又は病態が、卵巣がんである、請求項11に記載の使用。
【請求項21】
前記乳がんが、TP53変異卵巣がんである、請求項20に記載の使用。
【請求項22】
前記疾患又は病態が、子宮がんである、請求項11に記載の使用。
【請求項23】
前記疾患又は病態が、子宮内膜がんである、請求項11に記載の使用。
【請求項24】
前記子宮内膜がんが、子宮漿液性がんである、請求項23に記載の使用。
【請求項25】
前記疾患又は病態が、頭頸部扁平上皮細胞がんである、請求項11に記載の使用。
【請求項26】
前記疾患又は病態が、膠芽腫である、請求項11に記載の使用。
【請求項27】
前記疾患又は病態が、骨肉腫である、請求項11に記載の使用。
【請求項28】
前記組み合わせが、相同組換え欠損(HRD)陽性状態を有すると決定された対象に使用されている、請求項1に記載の使用。
【請求項29】
前記組み合わせが、相同組換え欠損(HRD)陰性状態を有すると決定された対象に使用されている、請求項1に記載の使用。
【請求項30】
前記化合物(B)のうちの1つ以上、又はその薬学的に許容される塩が、PARP阻害剤、又はその薬学的に許容される塩である、請求項28又は29に記載の使用。
【請求項31】
前記PARP阻害剤、又はその薬学的に許容される塩が、ニラパリブ、又はその薬学的に許容される塩である、請求項30に記載の使用。
【請求項32】
前記疾患又は病態が、卵巣がん、乳がん、前立腺がん、卵管がん、及び原発性腹膜がんからなる群から選択される、請求項28~31のいずれか一項に記載の使用。
【請求項33】
前記卵巣がんが、再発性卵巣がんである、請求項32に記載の使用。
【請求項34】
前記乳がんが、トリプルネガティブ乳がん及び転移性乳がんからなる群から選択される、請求項32に記載の使用。
【請求項35】
前記前立腺がんが、転移性去勢抵抗性前立腺がんである、請求項32に記載の使用。
【請求項36】
疾患又は病態の治療に使用するための化合物、又はその薬学的に許容される塩であって、前記化合物が、以下の構造を有する化合物(A)であり、
【化17】
式中、
R
1が、水素、ハロゲン、及び置換又は非置換のC
1~C
6アルキルからなる群から選択され、
環Aが、置換又は非置換のフェニル、及び置換又は非置換の5~6員単環式ヘテロアリールからなる群から選択され、
環Bが、置換又は非置換の単環式5~7員カルボシクリル、及び置換又は非置換の5~7員単環式ヘテロシクリルからなる群から選択され、
R
2が、
【化18】
からなる群から選択され、
mが、0、1、2、又は3であり、
R
3が、ハロゲン、及び置換又は非置換のC
1~C
6アルキルからなる群から選択され、
Xが、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、置換又は非置換の4~6員単環式ヘテロシクリル、置換又は非置換のアミン(C
1~C
6アルキル)、置換又は非置換の-NH-(CH
2)
1~6-アミン、一置換アミン、二置換アミン、アミノ、置換又は非置換のC
1~C
6アルキル、置換又は非置換のC
1~C
6アルコキシ、置換又は非置換のC
3~C
6シクロアルコキシ、置換又は非置換の(C
1~C
6アルキル)アシル、置換又は非置換のC-アミド、置換又は非置換のN-アミド、置換又は非置換のC-カルボキシ、置換又は非置換のO-カルボキシ、置換又は非置換のO-カルバミル、及び置換又は非置換のN-カルバミルからなる群から選択され、
Yが、CH又はNであり、
Y
1が、CR
4A又はNであり、
Y
2が、CR
4B又はNであり、
環Cが、置換又は非置換のC
6~C
10アリール、置換又は非置換の単環式5~10員ヘテロアリール、置換又は非置換の単環式5~7員カルボシクリル、置換又は非置換の5~7員単環式ヘテロシクリル、及び置換又は非置換の7~10員二環式ヘテロシクリルからなる群から選択され、
R
4A及びR
4Bが、独立して、水素、ハロゲン、及び非置換C
1~4アルキルからなる群から選択され、
R
5が、置換又は非置換の5~7員単環式ヘテロシクリルである、化合物。
【請求項37】
前記化合物(A)が、
【化19】
又はその薬学的に許容される塩である、請求項36に記載の化合物。
【請求項38】
前記化合物(A)が、
【化20】
又はその薬学的に許容される塩である、請求項36に記載の化合物。
【請求項39】
前記化合物が、
【化21】
又はその薬学的に許容される塩である、請求項36に記載の化合物。
【請求項40】
前記化合物が、
【化22】
又はその薬学的に許容される塩である、請求項36に記載の化合物。
【請求項41】
前記化合物が、
【化23】
又はその薬学的に許容される塩である、請求項36に記載の化合物。
【請求項42】
前記化合物が、
【化24】
又はその薬学的に許容される塩である、請求項36に記載の化合物。
【請求項43】
前記疾患又は病態が、乳がんである、請求項36~42のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項44】
前記乳がんが、トリプルネガティブ乳がんである、請求項43に記載の化合物。
【請求項45】
前記疾患又は病態が、卵巣がんである、請求項36~42のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項46】
前記卵巣がんが、TP53変異卵巣がんである、請求項45に記載の化合物。
【請求項47】
前記疾患又は病態が、子宮内膜がんである、請求項36~42のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項48】
前記子宮内膜がんが、子宮漿液性がんである、請求項47に記載の化合物。
【請求項49】
前記疾患又は病態が、頭頸部扁平上皮細胞がんである、請求項36~42のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項50】
前記疾患又は病態が、膠芽腫である、請求項36~42のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項51】
前記疾患又は病態が、骨肉腫である、請求項36~42のいずれか一項に記載の化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(任意の優先権出願を参照することによる組み込み)
例えば、本出願とともに提出される出願データシート又は請求において、2020年5月15日に出願された米国仮出願第63/025,490号、2020年6月18日に出願された同第63/040,832号、2020年10月8日に出願された同第63/089,419号、2021年3月12日に出願された同第63/160,325,号、及び2021年3月16日に出願された同第63/161,828号を含む、外国又は国内の優先権の主張が確認されるあらゆる出願が、37 CFR1.57並びに規則4.18及び20.6に基づき、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本出願は、化学、生化学、及び医学の分野に関する。より具体的には、本明細書に開示されるのは、併用療法、並びに、本明細書に記載の併用療法を用いて疾患及び/又は病態を治療する方法である。
【背景技術】
【0003】
がんは、身体の他の部分に浸潤又は拡散する可能性がある異常な細胞増殖を伴う疾患群である。今日のがん治療には、手術、ホルモン療法、放射線、化学療法、免疫療法、標的療法、及びそれらの組み合わせが含まれる。生存率は、がんの種類によって、かつがんが診断されるステージによって変化する。2019年には、米国において約180万人ががんと診断され、推定606,880人ががんで死亡している。したがって、有効ながん治療の必要性が依然として存在する。
【発明の概要】
【0004】
本明細書に記載のいくつかの実施形態は、有効量の化合物(A)、又はその薬学的に許容される塩と、有効量の化合物(B)のうちの1つ以上、又は前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩とを含み得る、化合物の組み合わせに関する。
【0005】
本明細書に記載のいくつかの実施形態は、疾患又は病態を治療するための化合物の組み合わせの使用に関し、組み合わせは、有効量の化合物(A)、又はその薬学的に許容される塩と、有効量の化合物(B)のうちの1つ以上、又は前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩とを含む。本明細書に記載の他の実施形態は、疾患又は病態を治療するための薬品の製造における化合物の組み合わせの使用に関し、組み合わせは、有効量の化合物(A)、又はその薬学的に許容される塩と、有効量の化合物(B)のうちの1つ以上、又は前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩とを含む。
【0006】
いくつかの実施形態では、疾患又は病態は、本明細書に記載のがんであってよい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2-1】
図2は、PARP阻害剤の例を提供する。
【
図6】TOV112D細胞株におけるタラゾパリブを含む又は含まない化合物(1A)の研究の結果を示す。
【
図7】MDA-MB-436細胞株におけるニラパリブを含む又は含まない化合物(1A)の研究の結果を示す。
【
図8】TOV21G異種移植モデルにおけるカルボプラチンを含む又は含まない化合物(1A)の研究の結果を示す。
【
図9】SJSA-1異種移植モデルにおけるゲムシタビンを含む又は含まない化合物(1A)の研究の結果を示す。
【
図10】OVCAR3異種移植モデルにおけるタラゾパリブを含む又は含まない化合物(1A)の研究の結果を示す。
【
図11】MC38同系腫瘍モデルにおける抗PD-1を含む又は含まない化合物(1A)の研究の結果を示す。
【
図12】MC38同系腫瘍モデルにおける抗PD-1を含む又は含まない化合物(1A)の研究の結果を示す。
【
図13】A427 NSCLC異種移植モデルにおける単剤としての化合物(1A)の有効性研究の結果を示す。
【
図14】H1755 NSCLC腫瘍モデルにおける単剤としての化合物(1A)の有効性研究の結果を示す。
【
図15】SKUT-1子宮平滑筋肉腫腫瘍モデルにおける単剤としての化合物(1A)の有効性研究の結果を示す。
【
図16】OVCAR3卵巣腫瘍モデルにおける単剤としての化合物(1A)の有効性研究の結果を示す。
【
図17】MDA-MB-468 TNBC(トリプルネガティブ乳がん)腫瘍モデルにおける単剤としての化合物(1A)の有効性研究の結果を示す。
【
図18】x2 MDA-MB-468 TNBC(トリプルネガティブ乳がん)腫瘍モデルにおける、単剤として、又は組み合わせでの化合物(1A)及びニラパリブの有効性研究の結果を示す。
【
図19】Fadu頭頸部腫瘍モデルにおける、単剤として、又は組み合わせでの化合物(1A)及び放射線の有効性研究の結果を示す。
【
図20】UWB1.289細胞に対するヒドロキシウレア(hydroxyurea、HU)と組み合わせた化合物(1A)による細胞増殖の阻害を示し、データは、相対発光単位(relative light unit、RLU)によって表される。
【
図21】UWB1.289細胞に対するヒドロキシウレア(HU)と組み合わせた化合物(1A)による細胞増殖の阻害を示す。データは、HUとの化合物(1A)の組み合わせの相乗効果を示すために、各ヒドロキシウレア濃度について正規化された相対発光単位(RLU)として表される。
【
図22】OVCAR3細胞に対するヒドロキシウレア(HU)と組み合わせた化合物(1A)による細胞増殖の阻害を示し、データは、相対発光単位(RLU)によって表される。
【
図23】OVCAR3細胞に対するヒドロキシウレア(HU)と組み合わせた化合物(1A)による細胞増殖の阻害を示す。データは、HUとの化合物(1A)の組み合わせの相乗効果を示すために、各ヒドロキシウレア濃度について正規化された相対発光単位(RLU)として表される。
【
図24】KMS-12-BM細胞株における化合物(1A)及びゲムシタビンの組み合わせを示す。
【
図25】OPM-2細胞株における化合物(1A)及びゲムシタビンの組み合わせを示す。
【
図26】MOLP-8細胞株における化合物(1A)及びゲムシタビンの組み合わせを示す。
【
図27】A427細胞増殖研究における、単剤として、かつ組み合わせでの化合物(1A)及びトリアピンの準最適用量の結果を示す。
【
図28】OVCAR3卵巣腫瘍モデルにおけるドキソルビシンと組み合わせた化合物(1A)の有効性研究の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
定義
別段の定めがない限り、本明細書で使用される全ての技術及び科学用語は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で参照される全ての特許、出願、公開出願、及び他の出版物は、別段明記しない限り、参照によりそれらの全体が組み込まれる。本明細書のある用語に対して複数の定義が存在する場合、別段明記しない限り、この節にある定義が優先される。
【0009】
ある基が「任意選択的に置換」されていると記載されるときはいつでも、その基は、非置換であってもよく、又は示された置換基のうちの1つ以上で置換されていてもよい。同様に、ある基が「非置換又は置換」であると記載されるとき、置換の場合は、置換基が指示された置換基のうちの1つ以上から選択されてよい。置換基が指示されていない場合、指示された「任意選択的に置換された」又は「置換された」基が、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリール(アルキル)、シクロアルキル(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、ヘテロシクリル(アルキル)、ヒドロキシ、アルコキシ、アシル、シアノ、ハロゲン、チオカルボニル、O-カルバミル、N-カルバミル、O-チオカルバミル、N-チオカルバミル、C-アミド、N-アミド、S-スルホンアミド、N-スルホンアミド、C-カルボキシ、O-カルボキシ、ニトロ、スルフェニル、スルフィニル、スルホニル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、ハロアルコキシ、アミノ、一置換アミン基、二置換アミン基、及びアミン(C1~C6アルキル)から個々に、かつ独立して選択された1つ以上の基(例えば、1、2、又は3個の基)で置換されていてよいことを意味する。
【0010】
本明細書で使用される場合、「a」及び「b」が整数である「Ca~Cb」は、基における炭素原子の数を指す。示された基は、「a」~「b」個(a及びbを含む)の炭素原子を含有することができる。したがって、例えば、「C1~C4アルキル」基は、1~4個の炭素を有する全てのアルキル基、つまり、CH3-、CH3CH2-、CH3CH2CH2-、(CH3)2CH-、CH3CH2CH2CH2-、CH3CH2CH(CH3)-、及び(CH3)3C-を指す。「a」及び「b」が指定されない場合、これらの定義に記載される最も広い範囲が想定されるものとする。
【0011】
2つの「R」基が「一緒になって」いると記載される場合、R基とR基が結合する原子とは、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、又は複素環を形成することができる。例えば、限定することなく、NRaRb基のRa及びRbが「一緒になって」いると示される場合、それらが互いに共有結合して環を形成することを意味する。
【0012】
【0013】
本明細書で使用される場合、「アルキル」という用語は、完全に飽和した脂肪族炭化水素基を指す。アルキル部分は、分枝鎖又は直鎖であってよい。分枝鎖アルキル基の例とし
ては、イソ-プロピル、sec-ブチル、t-ブチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。直鎖アルキル基の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-へキシル、n-ヘプチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。アルキル基は、1~30個の炭素原子を有し得る(本明細書中に現れる場合は常に、「1~30」などの数値範囲は、所与の範囲内の各整数を指し、例えば、「1~30個の炭素原子」は、アルキル基が、1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子など、最大30個の炭素原子からなり得ることを意味するが、本定義は、数値範囲が指定されていない「アルキル」という用語の場合も包含する)。アルキル基はまた、1~12個の炭素原子を有する中間サイズのアルキルであってよい。アルキル基はまた、1~6個の炭素原子を有する低級アルキルであってよい。アルキル基は、置換されていても非置換であってもよい。
【0014】
本明細書で使用される場合、「アルケニル」という用語は、1-プロペニル、2-プロペニル、2-メチル-1-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニルなどが挙げられるが、これらに限定されない、炭素二重結合を含有する2~20個の炭素原子の一価直鎖又は分枝鎖ラジカルを指す。アルケニル基は、非置換であっても置換されていてもよい。
【0015】
本明細書で使用される場合、「アルキニル」という用語は、1-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニルなどが挙げられるが、これらに限定されない、炭素三重結合を含有する2~20個の炭素原子の一価直鎖又は分枝鎖ラジカルを指す。アルキニル基は、非置換であっても置換されていてもよい。
【0016】
本明細書で使用される場合、「シクロアルキル」は、完全に飽和した(二重結合又は三重結合なし)単環式又は多環式炭化水素環系を指す。2つ以上の環からなる場合、環は、縮合、架橋、又はスピロ様式で一緒に結合されてよい。本明細書で使用される場合、「縮合」という用語は、2個の原子及び1つの結合を共有する2つの環を指す。本明細書で使用される場合、「架橋シクロアルキル」という用語は、シクロアルキルが、非隣接原子を接続する1個以上の原子の連結を含有する、化合物を指す。本明細書で使用される場合、「スピロ」という用語は、1個の原子を共有する2つの環を指し、2つの環は、架橋によって結合されていない。シクロアルキル基は、環中に3~30個の原子、環中に3~20個の原子、環中に3~10個の原子、環中に3~8個の原子、又は環中に3~6個の原子を含有することができる。シクロアルキル基は、非置換であっても置換されていてもよい。モノ-シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロへキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルが挙げられるが、決してこれらに限定されない。縮合シクロアルキル基の例は、デカヒドロナフタレニル、ドデカヒドロ-1H-フェナレニル、及びテトラデカヒドロアントラセニルであり、架橋シクロアルキル基の例は、ビシクロ[1.1.1]ペンチル、アダマンタニル、及びノルボルナニルであり、スピロシクロアルキル基の例としては、スピロ[3.3]ヘプタン及びスピロ[4.5]デカンが挙げられる。
【0017】
本明細書で使用される場合、「シクロアルケニル」は、少なくとも1つの環中に1つ以上の二重結合を含有する、単環式又は多環式炭化水素環系を指すが、2つ以上が存在する場合、二重結合は、全ての環全体にわたって完全に非局在化したπ電子系を形成することができない(そうでなければ、その基は、本明細書に定義される「アリール」である)。シクロアルケニル基は、環中に3~10個の原子、環中に3~8個の原子、又は環中に3~6個の原子を含有することができる。2つ以上の環からなる場合、環は、縮合、架橋、又はスピロ様式で一緒に接続されてよい。シクロアルケニル基は、非置換であっても置換されていてもよい。
【0018】
本明細書で使用される場合、「カルボシクリル」は、非芳香族単環式又は多環式炭化水
素環系を指す。2つ以上の環からなる場合、環は、本明細書に記載のとおり、縮合、架橋、又はスピロ様式で一緒に結合されてよい。カルボシクリル基は、環中に3~30個の原子、環中に3~20個の原子、環中に3~10個の原子、環中に3~8個の原子、又は環中に3~6個の原子を含有することができる。カルボシクリル基は、非置換であっても置換されていてもよい。カルボシクリル基の例としては、本明細書に定義のとおり、シクロアルキル基及びシクロアルケニル基、並びに1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、2,3-ジヒドロ-1H-インデン、5,6,7,8-テトラヒドロキノリン、及び6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリジンの非芳香族部分が挙げられるが、決してこれらに限定されるものではない。
【0019】
本明細書で使用される場合、「アリール」は、全ての環全体にわたって完全に非局在化したπ電子系を有する、炭素環式(全てが炭素の)単環式又は多環式芳香環系(2つの炭素環が化学結合を共有する縮合環系を含む)を指す。アリール基中の炭素原子の数は異なり得る。例えば、アリール基は、C6~C14アリール基、C6~C10アリール基、又はC6アリール基であってよい。アリール基の例としては、ベンゼン、ナフタレン、及びアズレンが挙げられるが、これらに限定されない。アリール基は、置換されていても非置換であってもよい。
【0020】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアリール」は、1個以上のヘテロ原子(例えば、1、2、又は3個のヘテロ原子)、つまり、窒素、酸素、及び硫黄が挙げられるが、これらに限定されない、炭素以外の元素を含有する、単環式又は多環式芳香環系(完全に非局在化したπ電子系を有する環系)を指す。ヘテロアリール基の環中の原子の数は異なり得る。例えば、ヘテロアリール基は、環中に4~14個の原子、環中に5~10個の原子、又は環中に5~6個の原子を含有することができ、例えば、9個の炭素原子及び1個のヘテロ原子;8個の炭素原子及び2個のヘテロ原子;7個の炭素原子及び3個のヘテロ原子;8個の炭素原子及び1個のヘテロ原子;7個の炭素原子及び2個のヘテロ原子;6個の炭素原子及び3個のヘテロ原子;5個の炭素原子及び4個のヘテロ原子;5個の炭素原子及び1個のヘテロ原子;4個の炭素原子及び2個のヘテロ原子;3個の炭素原子及び3個のヘテロ原子;4個の炭素原子及び1個のヘテロ原子;3個の炭素原子及び2個のヘテロ原子;又は2個の炭素原子及び3個のヘテロ原子などである。更に、「ヘテロアリール」という用語は、少なくとも1つのアリール環及び少なくとも1つのヘテロアリール環、又は少なくとも2つのヘテロアリール環など、2つの環が少なくとも1つの化学結合を共有する、縮合環系を含む。ヘテロアリール環の例としては、フラン、フラザン、チオフェン、ベンゾチオフェン、フタラジン、ピロール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、チアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、ベンゾチアゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、インドール、インダゾール、ピラゾール、ベンゾピラゾール、イソオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、イソチアゾール、トリアゾール、ベンゾトリアゾール、チアジアゾール、テトラゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、プリン、プテリジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、キノキサリン、シンノリン、及びトリアジンが挙げられるが、これらに限定されない。ヘテロアリール基は、置換されていても非置換であってもよい。
【0021】
本明細書で使用される場合、「ヘテロシクリル」又は「ヘテロアリシクリル」は、炭素原子と1~5個のヘテロ原子が一緒に当該環系を構成する、3員、4員、5員、6員、7員、8員、9員、10員、最大18員の単環式、二環式、及び三環式環系を指す。複素環は、そのように位置している1つ以上の不飽和結合を任意選択的に含有し得るが、完全に非局在化したπ電子系は、全ての環全体にわたって発生しない。ヘテロ原子は、酸素、硫黄、及び窒素が挙げられるが、これらに限定されない、炭素以外の元素である。複素環は、ラクタム、ラクトン、環状イミド、環状チオイミド、及び環状カルバメートなどのオキソ系及びチオ系を含むように定義するために、1つ以上のカルボニル又はチオカルボニル官能基を更に含有してよい。2つ以上の環からなる場合、環は、縮合、架橋、又はスピロ様式で一緒に結合されてよい。本明細書で使用される場合、「縮合」という用語は、2個の原子及び1つの結合を共有する2つの環を指す。本明細書で使用される場合、「架橋ヘテロシクリル」又は「架橋ヘテロアリシクリル」という用語は、ヘテロシクリル又はヘテロアリシクリルが非隣接原子を接続する1個以上の原子の連結を含有する、化合物を指す。本明細書で使用される場合、「スピロ」という用語は、1個の原子を共有する2つの環を指し、2つの環は、架橋によって結合されていない。ヘテロシクリル及びヘテロアリシクリル基は、環中に3~30個の原子、環中に3~20個の原子、環中に3~10個の原子、環中に3~8個の原子、又は環中に3~6個の原子を含有することができる。例えば、5個の炭素原子及び1個のヘテロ原子;4個の炭素原子及び2個のヘテロ原子;3個の炭素原子及び3個のヘテロ原子;4個の炭素原子及び1個のヘテロ原子;3個の炭素原子及び2個のヘテロ原子;2個の炭素原子及び3個のヘテロ原子;1個の炭素原子及び4個のヘテロ原子;3個の炭素原子及び1個のヘテロ原子;又は2個の炭素原子及び1個のヘテロ原子。加えて、ヘテロアリシクリル(heteroalicyclic)中の任意の窒素は、四級化されてよい。ヘテロシクリル又はヘテロアリシクリル基は、置換されていても非置換であってもよい。そのような「ヘテロシクリル」又は「ヘテロアリシクリル」基の例としては、1,3-ジオキシン、1,3-ジオキサン、1,4-ジオキサン、1,2-ジオキソラン、1,3-ジオキソラン、1,4-ジオキソラン、1,3-オキサチアン、1,4-オキサチイン、1,3-オキサチオラン、1,3-ジチオール、1,3-ジチオラン、1,4-オキサチアン、テトラヒドロ-1,4-チアジン、2H-1,2-オキサジン、マレイミド、スクシンイミド、バルビツール酸、チオバルビツール酸、ジオキソピペラジン、ヒダントイン、ジヒドロウラシル、トリオキサン、ヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン、イミダゾリン、イミダゾリジン、イソオキサゾリン、イソオキサゾリジン、オキサゾリン、オキサゾリジン、オキサゾリジノン、チアゾリン、チアゾリジン、モルホリン、オキシラン、ピペリジンN-オキシド、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、アゼパン、ピロリドン、ピロリジオン、4-ピペリドン、ピラゾリン、ピラゾリジン、2-オキソピロリジン、テトラヒドロピラン、4H-ピラン、テトラヒドロチオピラン、チアモルホリン、チアモルホリンスルホキシド、チアモルホリンスルホン、及びそれらのベンゾ縮合類似体(例えば、ベンズイミダゾリジノン、テトラヒドロキノリン、及び/又は3,4-メチレンジオキシフェニル)が挙げられるが、これらに限定されない。スピロヘテロシクリル基の例としては、2-アザスピロ[3.3]ヘプタン、2-オキサスピロ[3.3]ヘプタン、2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプタン、2,6-ジアザスピロ[3.3]ヘプタン、2-オキサスピロ[3.4]オクタン、及び2-アザスピロ[3.4]オクタンが挙げられる。
【0022】
本明細書で使用される場合、「アラルキル」及び「アリール(アルキル)」は、低級アルキレン基を介して置換基として接続されるアリール基を指す。アラルキルの低級アルキレン及びアリール基は、置換されていても非置換であってもよい。例としては、ベンジル、2-フェニルアルキル、3-フェニルアルキル、及びナフチルアルキルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアラルキル」及び「ヘテロアリール(アルキル)」は、低級アルキレン基を介して置換基として接続されるヘテロアリール基を指す。ヘテロアラルキルの低級アルキレン及びヘテロアリール基は、置換されていても非置換であってもよい。例としては、2-チエニルアルキル、3-チエニルアルキル、フリルアルキル、チエニルアルキル、ピロリルアルキル、ピリジルアルキル、イソオキサゾリルアルキル、及びイミダゾリルアルキル、並びにそれらのベンゾ縮合類似体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
「ヘテロアリシクリル(アルキル)」及び「ヘテロシクリル(アルキル)」は、低級アルキレン基を介して置換基として接続されるヘテロアリシクリル又はヘテロアリシクリル基を指す。(ヘテロアリシクリル)アルキルの低級アルキレン及びヘテロシクリルは、置換されていても非置換であってもよい。例としては、テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル(メチル)、ピペリジン-4-イル(エチル)、ピペリジン-4-イル(プロピル)、テトラヒドロ-2H-チオピラン-4-イル(メチル)、及び1,3-チアジナン-4-イル(メチル)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
本明細書で使用される場合、「低級アルキレン基」は、直鎖-CH2-連結基であり、それらの末端炭素原子を介して分子断片を接続するように結合を形成する。例としては、メチレン(-CH2-)、エチレン(-CH2CH2-)、プロピレン(-CH2CH2CH2-)、及びブチレン(-CH2CH2CH2CH2-)が挙げられるが、これらに限定されない。低級アルキレン基は、シクロアルキル基(例えば、
【0026】
【化2】
)で、低級アルキレン基の1つ以上の水素を置き換えることによって、かつ/又は同じ炭素上の両方の水素を置換することによって置換されていてよい。
【0027】
本明細書で使用される場合、「ヒドロキシ」という用語は、-OH基を指す。
【0028】
本明細書で使用される場合、「アルコキシ」は、式-ORを指し、式中、Rは、本明細書に定義されるアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)である。アルコキシの非限定的なリストは、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、1-メチルエトキシ(イソプロポキシ)、n-ブトキシ、イソ-ブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、フェノキシ、及びベンゾキシである。アルコキシは、置換されていても非置換であってもよい。
【0029】
本明細書で使用される場合、「アシル」は、カルボニル基を介して置換基として接続される水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、及びヘテロシクリル(アルキル)を指す。例としては、ホルミル、アセチル、プロパノイル、ベンゾイル、及びアクリルが含まれる。アシルは、置換されていても非置換であってもよい。
【0030】
「シアノ」基は、「-CN」基を指す。
【0031】
本明細書で使用される場合、「ハロゲン原子」又は「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素などの元素周期律表の第7列の放射安定性原子のうちのいずれか1つを意味する。
【0032】
「チオカルボニル」基は、「-C(=S)R」基を指し、式中、Rは、O-カルボキシに関して定義されるものと同じであってよい。チオカルボニルは、置換されていても非置換であってもよい。
【0033】
「O-カルバミル」基は、「-OC(=O)N(RARB)」基を指し、式中、RA及
びRBは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってよい。O-カルバミルは、置換されていても非置換であってもよい。
【0034】
「N-カルバミル」基は、「ROC(=O)N(RA)-」基を指し、式中、R及びRAは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってよい。N-カルバミルは、置換されていても非置換であってもよい。
【0035】
「O-チオカルバミル」基は、「-OC(=S)-N(RARB)」基を指し、式中、RA及びRBは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってよい。O-チオカルバミルは、置換されていても非置換であってもよい。
【0036】
「N-チオカルバミル」基は、「ROC(=S)N(RA)-」基を指し、式中、R及びRAは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってよい。N-チオカルバミルは、置換されていても非置換であってもよい。
【0037】
「C-アミド」基は、「-C(=O)N(RARB)」基を指し、式中、RA及びRBは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってよい。C-アミドは、置換されていても非置換であってもよい。
【0038】
「N-アミド」基は、「RC(=O)N(RA)-」基を指し、式中、R及びRAは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってよい。N-アミドは、置換されていても非置換であってもよい。
【0039】
「S-スルホンアミド」基は、「-SO2N(RARB)」基を指し、式中、RA及びRBは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってよい。S-スルホンアミドは、置換されていても非置換であってもよい。
【0040】
「N-スルホンアミド」基は、「RSO2N(RA)-」基を指し、式中、R及びRAは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってよい。N-スルホンアミドは、置換されていても非置換であってもよい。
【0041】
「O-カルボキシ」基は、「RC(=O)O-」基を指し、式中、Rは、本明細書に定義される水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル
、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってよい。O-カルボキシは、置換されていても非置換であってもよい。
【0042】
「エステル」及び「C-カルボキシ」という用語は、「-C(=O)OR」基を指し、式中、Rは、O-カルボキシに関して定義されるものと同じであってよい。エステル及びC-カルボキシは、置換されていても非置換であってもよい。
【0043】
「ニトロ」基は、「-NO2」基を指す。
【0044】
「スルフェニル」基は、「-SR」基を指し、式中、Rは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってよい。スルフェニルは、置換されていても非置換であってもよい。
【0045】
「スルフィニル」基は、「-S(=O)-R」基を指し、式中、Rは、スルフェニルに関して定義されるものと同じであってよい。スルフィニルは、置換されていても非置換であってもよい。
【0046】
「スルホニル」基は、「SO2R」基を指し、式中、Rは、スルフェニルに関して定義されるものと同じであってよい。スルホニルは、置換されていても非置換であってもよい。
【0047】
本明細書で使用される場合、「ハロアルキル」は、水素原子のうちの1個以上がハロゲンによって置き変えられたアルキル基を指す(例えば、モノ-ハロアルキル、ジ-ハロアルキル、トリ-ハロアルキル、及びポリハロアルキル)。そのような基としては、クロロメチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、1-クロロ-2-フルオロメチル、2-フルオロイソブチル、及びペンタフルオロエチルが挙げられるが、これらに限定されない。ハロアルキルは、置換されていても非置換であってもよい。
【0048】
本明細書で使用される場合、「ハロアルコキシ」は、水素原子のうちの1個以上がハロゲンによって置き換えられたアルコキシ基を指す(例えば、モノ-ハロアルコキシ、ジ-ハロアルコキシ、及びトリ-ハロアルコキシ)。そのような基としては、クロロメトキシ、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、1-クロロ-2-フルオロメトキシ、及び2-フルオロイソブトキシが挙げられるが、これらに限定されない。ハロアルコキシは、置換されていても非置換であってもよい。
【0049】
本明細書で使用される場合、「アミノ」という用語は、-NH2基を指す。
【0050】
「一置換アミン」基は、「-NHRA」基を指し、式中、RAは、本明細書に定義されるアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってよい。RAは、置換されていても非置換であってもよい。一置換アミノ基の例としては、-NH(メチル)、-NH(フェニル)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0051】
「二置換アミン」基は、「-NRARB」基を指し、式中、RA及びRBは、独立して、本明細書に定義されるアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、
アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってよい。RA及びRBは、独立して、置換されていても非置換であってもよい。二置換アミノ基の例としては、-N(メチル)2、-N(フェニル)(メチル)、-N(エチル)(メチル)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
本明細書で使用される場合、「アミン(アルキル)」基は、-(アルキレン)-NR’R”ラジカルを指し、式中、R’及びR”は、独立して、本明細書に定義される水素又はアルキルである。アミン(アルキル)は、置換されていても非置換であってもよい。アミン(アルキル)基の例としては、-CH2NH(メチル)、-CH2NH(フェニル)、-CH2CH2NH(メチル)、-CH2CH2NH(フェニル)、-CH2N(メチル)2、-CH2N(フェニル)(メチル)、-NCH2(エチル)(メチル)、-CH2CH2N(メチル)2、-CH2CH2N(フェニル)(メチル)、-NCH2CH2(エチル)(メチル)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】
置換基の数が指定されない場合(例えば、ハロアルキル)、1つ以上の置換基が存在してよい。例えば、「ハロアルキル」は、同じ又は異なるハロゲンのうちの1つ以上を含んでもよい。別の例として、「C1~C3アルコキシフェニル」は、1、2、又は3個の原子を含有する同じ又は異なるアルコキシ基のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0054】
本明細書で使用される場合、ラジカルは、ラジカルを含有する種が別の種に共有結合され得るような、単一の不対電子を有する種を示す。したがって、これに関して、ラジカルは必ずしもフリーラジカルではない。むしろ、ラジカルは、より大きい分子の特定の部分を示す。「ラジカル」という用語は、「基」という用語と互換的に使用され得る。
【0055】
「薬学的に許容される塩」という用語は、それが投与される生物に著しい刺激をもたらさず、かつ化合物の生物活性及び特性を無効にしない化合物の塩を指す。いくつかの実施形態では、塩は、化合物の酸付加塩である。薬学的塩は、化合物を無機酸、例えば、ハロゲン化水素酸(hydrohalic acid)(例えば、塩酸又は臭化水素酸)、硫酸、硝酸、及び
リン酸(2,3-ジヒドロキシプロピルニ水素リン酸塩など)と反応させることによって得られ得る。薬学的塩はまた、化合物を有機酸、例えば、脂肪族又は芳香族のカルボン酸又はスルホン酸、例えば、ギ酸、酢酸、コハク酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、ニコチン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、安息香酸、サリチル酸、2-オキソペンタン二酸、又はナフタレンスルホン酸と反応させることによって得ることもできる。薬学的塩はまた、化合物を塩基と反応させて、塩、例えば、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、例えば、ナトリウム、カリウム、又はリチウム塩、アルカリ土類金属塩、例えば、カルシウム又はマグネシウム塩、炭酸塩の塩、重炭酸塩の塩、有機塩基の塩、例えば、ジシクロヘキシルアミン、N-メチル-D-グルカミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、C1~C7アルキルアミン、シクロへキシルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、並びにアルギニン及びリシンなどのアミノ酸を有する塩を形成することによって得ることができる。当業者は、窒素ベースの基(例えば、NH2)のプロトン化によって塩が形成される場合、窒素ベースの基が正電荷と会合し得(例えば、NH2がNH3
+になり得る)、正電荷が負の電荷を持つ対イオン(Cl-など)によってバランスがとられ得ることを理解する。
【0056】
1つ以上のキラル中心を有する本明細書に記載の任意の化合物において、絶対立体化学が明示的に示されない場合、各中心が独立して、R配置若しくはS配置、又はこれらの混合物であってよいことが理解される。したがって、本明細書に提供される化合物は、鏡像異性的に純粋な化合物、鏡像異性的に富化された化合物、ラセミ混合物、ジアステレオマー的に純粋な化合物、ジアステレオマー的に富化された化合物、又は立体異性混合物であってよい。加えて、E又はZと定義され得る幾何異性体を生成する1つ以上の二重結合を有する、本明細書に記載の任意の化合物において、各二重結合が独立して、E又はZ、これらの混合物であってよいことが理解される。同様に、記載の任意の化合物において、全ての互変異性型もまた含まれるよう意図されることが理解される。
【0057】
本明細書に開示される化合物が充填されていない原子価を有する場合、その原子価が、水素又はその同位体、例えば、水素-1(軽水素)及び水素-2(重水素)で充填されることを理解されたい。
【0058】
本明細書に記載の化合物が同位体で標識され得ることが理解される。重水素などの同位体での置換は、例えば、インビボ半減期の増加又は必要投与量の低減など、より大きい代謝安定性に起因するある特定の治療上の利点をもたらし得る。化合物構造中に表される各化学元素は、当該元素の任意の同位体を含んでもよい。例えば、化合物構造において、水素原子は、化合物中に存在すると明確に開示され得るか、又は理解され得る。水素原子が存在し得る化合物の任意の位置において、水素原子は、水素-1(軽水素)及び水素-2(重水素)が挙げられるが、これらに限定されない、水素の任意の同位体であってよい。したがって、本明細書における化合物に対する言及は、文脈が明確にそうでないと示さない限り、全ての可能な同位体形態を包含する。
【0059】
本明細書に記載の方法及び組み合わせが、結晶形態(多形体としても既知であり、化合物の同じ元素組成の異なる結晶充填配置を含む)、非晶相、塩、溶媒和物、及び水和物を含むことが理解される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物は、水、エタノールなどの薬学的に許容される溶媒を有する溶媒和形態で存在する。他の実施形態では、本明細書に記載の化合物は、非溶媒和形態で存在する。溶媒和物は、化学量論量又は非化学量論量のいずれかの溶媒を含有し、水、エタノールなどの薬学的に許容される溶媒での結晶化プロセス中に形成されてよい。溶媒が水である場合に水和物が形成されるか、又は溶媒がアルコールである場合にアルコラートが形成される。加えて、本明細書に提供される化合物は、非溶媒和形態並びに溶媒和形態で存在することができる。概して、溶媒和形態は、本明細書に提供される化合物及び方法の目的で、非溶媒和形態と同等であるとみなされる。
【0060】
値の範囲が提供される場合、上限及び下限、並びにその範囲の上限と下限との間に介在する各値が、実施形態内に包含されることが理解される。
【0061】
本出願で使用される用語及び語句並びにこれらの変化形、特に添付の特許請求の範囲にあるものは、別段明記しない限り、限定的ではなく非限定的であると解釈されるべきである。上記の例として、「含むこと」という用語は、「限定することなく含むこと」、「含むが、これらに限定されないこと」などを意味するよう解釈されるべきである。本明細書で使用される場合、「備えること」という用語は、「含むこと」、「含有すること」、又は「特徴とする」と同義語であり、包括的又は非限定的であり、追加の列挙されていない要素又は方法の工程を除外しない。「有すること」という用語は、「少なくとも有すること」と解釈されるべきである。「含む」という用語は、「含むが、これらに限定されない」と解釈されるべきである。「例」という用語は、考察中の項目の徹底的又は限定的なリストではなく例示的な実例を提供するために使用される。「好ましくは」、「好ましい」、「所望の」、又は「望ましい」のような用語、並びに同様の意味の単語の使用は、ある特定の特徴がその構造又は機能にとって重大、本質的、又は重要でさえあるということを暗示するものとして理解されるべきではなく、むしろ単に特定の実施形態で利用されてもされなくてもよい代替又は追加の特徴を強調することを目的とする。加えて、「備えること」という用語は、「少なくとも有すること」又は「少なくとも含むこと」という語句の同意語として解釈されるものとする。化合物、組成物、又はデバイスの文脈で使用される場合、「備えること」という用語は、化合物、組成物、又はデバイスが少なくとも列挙された特徴又は構成要素を含むが、追加の特徴又は構成要素も含んでもよいことを意味する。
【0062】
本明細書の実質的にいかなる複数形及び/又は単数形の用語の使用に関しても、当業者は、文脈及び/又は用途に応じて適切に、複数形から単数形、及び/又は単数形から複数形に変換することができる。様々な単数形/複数形の入れ替えは、明確にするために本明細書で明示的に記載され得る。不定冠詞「a」又は「an」は、複数を除外しない。ある特定の手段が相互に異なる従属請求項に列挙されるという単なる事実は、利益を得るためにこれらの手段の組み合わせを使用することができないということを示すものではない。請求項中のいかなる参照符号も、その範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0063】
化合物
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、疾患又は病態を治療するための化合物の組み合わせの使用に関し、組み合わせは、有効量の化合物(A)、又はその薬学的に許容される塩と、有効量の化合物(B)のうちの1つ以上、又は前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩とを含んでもよく、化合物(A)は、以下の構造を有し、
【0064】
【化3】
式中、R
1は、水素、ハロゲン、及び置換又は非置換のC
1~C
6アルキルから選択されてよく、環Aは、置換又は非置換のフェニル、及び置換又は非置換の5~6員単環式ヘテロアリールから選択されてよく、環Bは、置換又は非置換の単環式5~7員カルボシクリル、及び置換又は非置換の5~7員単環式ヘテロシクリルから選択されてよく、R
2は、
【0065】
【化4】
から選択されてよく、mは0、1、2、又は3であってよく、R
3は、ハロゲン及び置換又は非置換のC
1~C
6アルキルから選択されてよく、Xは、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、置換又は非置換の4~6員単環式ヘテロシクリル、置換又は非置換のアミン(C
1~C
6アルキル)、置換又は非置換の-NH-(CH
2)
1~6-アミン、一置換アミン、二置換アミン、アミノ、置換又は非置換のC
1~C
6アルキル、置換又は非置換のC
1~C
6アルコキシ、置換又は非置換のC
3~C
6シクロアルコキシ、置換又は非置換の(C
1~C
6アルキル)アシル、置換又は非置換のC-アミド、置換又は非置換のN-アミド、置換又は非置換のC-カルボキシ、置換又は非置換のO-カルボキシ、置換
又は非置換のO-カルバミル、及び置換又は非置換のN-カルバミルから選択されてよく、Yは、CH又はNであってよく、Y
1は、CR
4A又はNであってよく、Y
2は、CR
4B又はNであってよく、環Cは、置換又は非置換のC
6~C
10アリール、置換又は非置換の単環式5~10員ヘテロアリール、置換又は非置換の単環式5~7員カルボシクリル、置換又は非置換の5~7員単環式ヘテロシクリル、及び置換又は非置換の7~10員二環式ヘテロシクリルから選択されてよく、R
4A及びR
4Bは、独立して、水素、ハロゲン、及び非置換C
1~4アルキルから選択されてよく、R
5は、置換又は非置換の5~7員単環式ヘテロシクリルであってよく、化合物(B)のうちの1つ以上は、PARP阻害剤、PD-L1阻害剤、及び化学療法剤、又は前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩であってよい。
【0066】
いくつかの実施形態では、R1は、ハロゲン及び置換又は非置換のC1~C6アルキルから選択されてよい。いくつかの実施形態では、環Aは、置換又は非置換のフェニル、及び置換又は非置換の5~6員単環式ヘテロアリールから選択されてよい。いくつかの実施形態では、環Bは、置換又は非置換の単環式5~7員カルボシクリル、及び置換又は非置換の5~7員単環式ヘテロシクリルから選択されてよい。いくつかの実施形態では、R2は、
【0067】
【化5】
から選択されてよい。いくつかの実施形態では、mは0、1、2、又は3であってよい。いくつかの実施形態では、R
3は、ハロゲン及び置換又は非置換のC
1~C
6アルキルから選択されてよい。いくつかの実施形態では、Xは、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、置換又は非置換の4~6員単環式ヘテロシクリル、置換又は非置換のアミン(C
1~C
6アルキル)、置換又は非置換の-NH-(CH
2)
1~6-アミン、一置換アミン、二置換アミン、アミノ、置換又は非置換のC
1~C
6アルキル、置換又は非置換のC
1~C
6アルコキシ、置換又は非置換のC
3~C
6シクロアルコキシ、置換又は非置換の(C
1~C
6アルキル)アシル、置換又は非置換のC-アミド、置換又は非置換のN-アミド、置換又は非置換のC-カルボキシ、置換又は非置換のO-カルボキシ、置換又は非置換のO-カルバミル、及び置換又は非置換のN-カルバミルから選択されてよい。いくつかの実施形態では、Yは、CH又はNであってよい。いくつかの実施形態では、Y
1は、CR
4A又はNであってよい。いくつかの実施形態では、Y
2は、CR
4B又はNであってよい。いくつかの実施形態では、環Cは、置換又は非置換のC
6~C
10アリール、置換又は非置換の単環式5~10員ヘテロアリール、置換又は非置換の単環式5~7員カルボシクリル、置換又は非置換の5~7員単環式ヘテロシクリル、及び置換又は非置換の7~10員二環式ヘテロシクリルから選択されてよい。いくつかの実施形態では、R
4A及びR
4Bは、独立して、水素、ハロゲン、及び非置換C
1~4アルキルから選択される。
【0068】
いくつかの実施形態では、R1は、水素、ハロゲン、及びC1~C6アルキルから選択されてよい。いくつかの実施形態では、R1は、水素であってよい。他の実施形態では、R1は、ハロゲンであってよい。いくつかの実施形態では、R1は、フルオロであってよい。更に他の実施形態では、R1は、非置換C1~C6アルキル(メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、t-ブチル、ペンチル(直鎖又は分枝鎖)、又はヘキシル(直鎖又は分枝鎖)など)であってよい。いくつかの実施形態では、R1は、非置換メチルであってよい。いくつかの実施形態では、R1
は、置換C1~C6アルキル、例えば、本明細書に記載のものであってよい。いくつかの実施形態では、R1は、非置換C1~C6ハロアルキル(C1~C6フルオロアルキル、C1~C6クロロアルキル、又はC1~C6クロロフルオロアルキルなど)であってよい。いくつかの実施形態では、R1は、-CHF2、-CF3、-CF2CH3、又は-CH2CF3であってよい。
【0069】
いくつかの実施形態では、環Aは、置換又は非置換のフェニル及び置換又は非置換の5~6員単環式ヘテロアリールから選択されてよい。
【0070】
いくつかの実施形態では、環Aは、置換フェニルであってよい。他の実施形態では、環Aは、非置換フェニルであってよい。
【0071】
いくつかの実施形態では、環Aは、置換5~6員単環式ヘテロアリールであってよい。いくつかの実施形態では、環Aは、非置換5~6員単環式ヘテロアリールであってよい。いくつかの実施形態では、環Aは、置換又は非置換のピロール、置換又は非置換のフラン、置換又は非置換のチオフェン、置換又は非置換のイミダゾール、置換又は非置換のピラゾール、置換又は非置換のオキサゾール、置換又は非置換のチアゾール、置換又は非置換のピリジン、置換又は非置換のピラジン、置換又は非置換のピリミジン、及び置換又は非置換のピリダジンから選択されてよい。
【0072】
置換されている場合、環Aは、ハロゲン、非置換C1~C4ハロアルキル、及び非置換C1~C4アルキルから選択される1つ以上の置換基で置換されていてよい。いくつかの実施形態では、環Aは、ハロゲン(例えば、フルオロ)で一置換されている。
【0073】
いくつかの実施形態では、
【0074】
【0075】
【化7】
から選択されてよく、上述の基のそれぞれは、置換又は非置換である。いくつかの実施
形態では、
【0076】
【0077】
【0078】
【0079】
【化11】
であってよく、ここで、環Aは、非置換である。他の実施形態では、
【0080】
【0081】
【0082】
【0083】
【化15】
から選択されてよい。本明細書に記載のとおり、
【0084】
【0085】
いくつかの実施形態では、環Bは、置換又は非置換の単環式5~7員カルボシクリル、及び置換又は非置換の5~7員単環式ヘテロシクリルから選択されてよい。
【0086】
いくつかの実施形態では、環Bは、置換又は非置換の単環式5~7員カルボシクリルであってよい。いくつかの実施形態では、環Bは、置換又は非置換の単環式5員カルボシクリルであってよい。他の実施形態では、環Bは、置換又は非置換の単環式6員カルボシクリルであってよい。更に他の実施形態では、環Bは、置換又は非置換の単環式7員カルボシクリルであってよい。
【0087】
いくつかの実施形態では、
【0088】
【0089】
【化18】
から選択されてよく、上述の基のそれぞれは、置換又は非置換である。
【0090】
いくつかの実施形態では、環Bは、置換又は非置換の単環式5~7員ヘテロシクリルであってよい。いくつかの実施形態では、環Bは、置換又は非置換の単環式5員ヘテロシクリルであってよい。他の実施形態では、環Bは、置換又は非置換の単環式6員ヘテロシクリルであってよい。更に他の実施形態では、環Bは、置換又は非置換の単環式7員ヘテロシクリルであってよい。
【0091】
いくつかの実施形態では、
【0092】
【0093】
【化20】
から選択されてよく、上述の基のそれぞれは、任意の-NH基を含む、置換又は非置換である。
【0094】
いくつかの実施形態では、環Bは、
【0095】
【化21】
から選択されてよく、上述の基のそれぞれは、任意の-NH基を含む、置換又は非置換である。いくつかの実施形態では、環Bは、置換又は非置換の
【0096】
【0097】
いくつかの実施形態では、環Bが置換されている場合、環Bは、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、非置換N-結合アミド(例えば、-NHC(O)C1~C6アルキル)、非置換C1~C6ハロアルキル(本明細書に記載のものなど)、及び置換又は非置換のC1~C6アルキル(本明細書に記載のものなど)から独立して選択される1、2、又は3つの置換基で置換されていてよい。いくつかの実施形態では、環Bが置換されている場合、環Bは、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、非置換N-結合アミド(例えば、-NHC(O)C1~C6アルキル)、及び置換又は非置換のC1~C6アルキル(本明細書に記載のものなど)から独立して選択される1、2、又は3つの置換基で置換されていてよい。いくつかの実施形態では、環Bは、フルオロ、ヒドロキシ、アミノ、非置換-NHC(O)C1~C6アルキル、非置換C1~C6ハロアルキル(本明細書に記載のものなど)、及び非置換C1~C6アルキル(本明細書に記載のものなど)から独立して選択される1、2、又は3つの置換基で置換されていてよい。いくつかの実施形態では、環Bは、フルオロ、ヒドロキシ、-CF3、-CHF2、-CF2CH3、非置換メチル、非置換エチル、及び-NHC(O)CH3から独立して選択される1又は2つの置換基で置換されていてよい。
【0098】
いくつかの実施形態では、
【0099】
【0100】
【化24】
から選択されてよく、上述の基のそれぞれは、任意の-NH基を含む、置換又は非置換である。
【0101】
いくつかの実施形態では、
【0102】
【0103】
【化26】
から選択されてよく、上述の基のそれぞれは、置換又は非置換である。いくつかの実施形態では、
【0104】
【0105】
【化28】
から選択されてよく、上述の基のそれぞれは、置換又は非置換である。いくつかの実施形態では、
【0106】
【0107】
【化30】
であってよい。いくつかの実施形態では、
【0108】
【0109】
【0110】
環A及び環Bはいずれも、置換されていても非置換であってもよい。いくつかの実施形態では、
【0111】
【化33】
の環A及び環Bは、独立して、置換されていても非置換であってもよい。いくつかの実施形態では、
【0112】
【化34】
の環A及び環Bは、両方とも非置換であってよい。いくつかの実施形態では、
【0113】
【化35】
の環A及び環Bは、両方とも独立して置換されていてよい。いくつかの実施形態では、
【0114】
【0115】
【化37】
の環Bは、非置換であってよい。いくつかの実施形態では、
【0116】
【0117】
【化39】
の環Bは、置換されていてよい。いくつかの実施形態では、
【0118】
【0119】
【化41】
の環Bは、ハロゲン、ヒドロキシ、及び置換又は非置換のC
1~C
6アルキル(本明細書に記載のものなど)から独立して選択される1、2、又は3つの置換基で置換されていてよい。いくつかの実施形態では、
【0120】
【0121】
【化43】
の環Bは、フルオロ、ヒドロキシ、アミノ、非置換N-結合アミド(例えば、-NHC(O)C
1~C
6アルキル)、非置換C
1~C
6ハロアルキル(本明細書に記載のものなど)、及び非置換C
1~C
6アルキル(本明細書に記載のものなど)から独立して選択される1、2、又は3つの置換基で置換されていてよい。いくつかの実施形態では、
【0122】
【0123】
【化45】
の環Bは、フルオロ、ヒドロキシ、アミノ、-CF
3、-CHF
2、-CF
2CH
3、非置換メチル、非置換エチル、及び-NHC(O)CH
3から独立して選択される1又は2つの置換基で置換されていてよい。
【0124】
いくつかの実施形態では、R2は、
【0125】
【化46】
から選択されてよい。いくつかの実施形態では、R
2は、
【0126】
【化47】
であってよい。いくつかの実施形態では、R
2は、
【0127】
【0128】
いくつかの実施形態では、Yは、CH又はN(窒素)であってよい。いくつかの実施形態では、Yは、CHであってよい。いくつかの実施形態では、Yは、N(窒素)であってよい。
【0129】
いくつかの実施形態では、R3は、ハロゲン及び置換又は非置換のC1~C6アルキル(本明細書に記載のものなど)から選択されてよい。いくつかの実施形態では、R3は、ハロゲンであってよい。いくつかの実施形態では、R3は、置換C1~C6アルキル(本明細書に記載のものなど)であってよい。いくつかの実施形態では、R3は、非置換C1~C6アルキル(本明細書に記載のものなど)であってよい。
【0130】
いくつかの実施形態では、mは0、1、2、又は3であってよい。いくつかの実施形態では、mは0であってよい。いくつかの実施形態では、mは1であってよい。いくつかの実施形態では、mは2であってよい。いくつかの実施形態では、mは3であってよい。mが2又は3である場合、R3基は、互いに同じであっても異なっていてもよい。
【0131】
いくつかの実施形態では、Xは、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、置換又は非置換の4~6員単環式ヘテロシクリル、置換又は非置換のアミン(C1~C6アルキル)、置換又は非置換の-NH-(CH2)1-6-アミン、一置換アミン、二置換アミン、アミノ、置換又は非置換のC1~C6アルキル(本明細書に記載のものなど)、置換又は非置換のC1~C6アルコキシ(メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、t-ブトキシ、ペントキシ(直鎖又は分枝鎖)、又はヘキソキシ(直鎖又は分枝鎖)など)、置換又は非置換のC3~C6シクロアルコキシ(シクロプロポキシ、シクロブトキシ、シクロペントキシ、又はシクロヘキソキシなど)、置換又は非置換の(C1~C6アルキル)アシル、置換又は非置換のC-アミド、置換又は非置換のN-アミド、置換又は非置換のC-カルボキシ、置換又は非置換のO-カルボキシ、置換又は非置換のO-カルバミル、及び置換又は非置換のN-カルバミルから選択されてよい。
【0132】
いくつかの実施形態では、Xは、水素であってよい。他の実施形態では、Xは、ハロゲンであってよい。いくつかの実施形態では、Xは、フルオロであってよい。いくつかの実施形態では、Xは、クロロであってよい。更に他の実施形態では、Xは、ヒドロキシであってよい。なお更に他の実施形態では、Xは、シアノであってよい。いくつかの実施形態では、Xは、アミノであってよい。
【0133】
いくつかの実施形態では、Xは、非置換C1~C6アルキル(本明細書に記載のものなど)であってよい。いくつかの実施形態では、Xは、非置換メチル、非置換エチル、又は非置換イソプロピルであってよい。いくつかの実施形態では、Xは、置換C1~C6アルキル(本明細書に記載のものなど)であってよい。いくつかの実施形態では、Xは、非置換C1~C6ハロアルキル(C1~C6フルオロアルキル、C1~C6クロロアルキル、又はC1~C6クロロフルオロアルキルなど)であってよい。いくつかの実施形態では、Xは、-CHF2、-CF3、-CF2CH3、及び-CH2CF3から選択されてよい。いくつかの実施形態では、Xは、非置換C1~C6ヒドロキシアルキル(C1~C6モノヒドロキシアルキル又はC1~C6ジヒドロキシアルキルなど)であってよい。いくつかの実施形態では、Xは、-CH2OH、-CH2CH2OH、-CH(OH)CH3、及び-C(OH)(CH3)2から選択されてよい。いくつかの実施形態では、Xは、非置換C1~C6シアノアルキル(C1~C6モノシアノアルキル又はC1~C6ジシアノアルキルなど)であってよい。いくつかの実施形態では、Xは、
【0134】
【化49】
から選択されてよい。いくつかの実施形態では、Xは、非置換C
1~C
6アルコキシアルキル(C
1~C
6モノアルコキシアルキル又はC
1~C
6ジアルコキシアルキルなど)であってよい。いくつかの実施形態では、Xは、
【0135】
【化50】
から選択されてよい。いくつかの実施形態では、Xは、
【0136】
【化51】
から選択される置換C
1~C
6アルキルであってよい。
【0137】
いくつかの実施形態では、Xは、非置換C1~C6アルコキシ(本明細書に記載のものなど)であってよい。いくつかの実施形態では、Xは、非置換メトキシ、非置換エトキシ、又は非置換イソプロポキシであってよい。いくつかの実施形態では、Xは、置換C1~C6アルコキシ(本明細書に記載のものなど)であってよい。いくつかの実施形態では、Xは、ハロゲン、アミノ、一置換アミン(本明細書に記載のものなど)、及び二置換アミン(本明細書に記載のものなど)から独立して選択される1、2、又は3つの置換基で置換されたC1~C6アルコキシであってよい。いくつかの実施形態では、Xは、ハロゲン、アミノ、一置換アミン(本明細書に記載のものなど)、及び二置換アミン(本明細書に記載のものなど)から選択される1つの置換基で置換されたC1~C6アルコキシであってよい。
【0138】
いくつかの実施形態では、Xは、
【0139】
【0140】
いくつかの実施形態では、Xは、置換C3~C6シクロアルコキシ(本明細書に記載のものなど)であってよい。いくつかの実施形態では、Xは、非置換C3~C6シクロアルコキシ(本明細書に記載のものなど)であってよい。
【0141】
いくつかの実施形態では、Xは、置換(C1~C6アルキル)アシル、例えば、置換-(CO)-CH3であってよい。いくつかの実施形態では、Xは、非置換(C1~C6アルキル)アシル、例えば、非置換-(CO)-CH3であってよい。
【0142】
いくつかの実施形態では、Xは、置換4~6員単環式ヘテロシクリルであってよい。いくつかの実施形態では、Xは、非置換4~6員単環式ヘテロシクリルであってよい。いくつかの実施形態では、Xは、アゼチジン、オキセタン、ジアゼチジン、アザオキセタン、ピロリジン、テトラヒドロフラン、イミダゾリン、ピラゾリジン、ピペリジン、テトラヒドロピラン、ピペラジン、モルホリン、及びジオキサンから選択されてよく、上述の基のそれぞれは、任意の-NH基を含む、置換又は非置換である。いくつかの実施形態では、Xは、
【0143】
【化53】
から選択されてよく、上述の基のそれぞれは、任意の-NH基を含む、置換又は非置換である。
【0144】
いくつかの実施形態では、Xは、ハロゲン、置換又は非置換のC1~C6アルキル(本明細書に記載のものなど)、一置換アミン(本明細書に記載のものなど)、二置換アミン(本明細書に記載のものなど)、アミノ、置換又は非置換のアミン(C1~C6アルキル)、及び置換又は非置換の(C1~C6アルキル)アシルから独立して選択される1又は2つの置換基で置換された4~6員単環式ヘテロシクリル(本明細書に記載のものなど)であってよい。いくつかの実施形態では、Xは、フルオロ、非置換メチル、非置換エチル、非置換イソプロピル、-CH2OH、及び-N(CH3)2から独立して選択される1又は2つの置換基で置換された4~6員単環式ヘテロシクリルであってよい。いくつかの実施形態では、Xは、
【0145】
【0146】
いくつかの実施形態では、Xは、置換アミン(C1~C6アルキル)であってよい。いくつかの実施形態では、Xは、非置換アミン(C1~C6アルキル)であってよい。いくつかの実施形態では、Xは、
【0147】
【化55】
から選択されてよく、上述の基のそれぞれは、任意の-NH基を含む、置換又は非置換
である。
【0148】
いくつかの実施形態では、Xは、置換-NH-(CH2)1-6アミンであってよい。いくつかの実施形態では、Xは、非置換-NH-(CH2)1-6アミンであってよい。いくつかの実施形態では、Xは、
【0149】
【化56】
から選択されてよく、上述の基のそれぞれは、任意の-NH基を含む、置換又は非置換である。
【0150】
いくつかの実施形態では、Xは、一置換アミンであってよい。いくつかの実施形態では、一置換アミンの置換基は、非置換C1~C6アルキル(本明細書に記載のものなど)又は非置換C3~C6シクロアルキル(シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルなど)である。
【0151】
いくつかの実施形態では、Xは、二置換アミンであってよい。いくつかの実施形態では、二置換アミンの2つの置換基は、独立して、非置換C1~C6アルキル(本明細書に記載のものなど)及び非置換C3~C6シクロアルキル(本明細書に記載のものなど)から選択される。
【0152】
いくつかの実施形態では、Xは、
【0153】
【0154】
いくつかの実施形態では、Xは、置換又は非置換のC-アミドであってよい。いくつかの実施形態では、Xは、置換又は非置換のN-アミドであってよい。いくつかの実施形態では、Xは、置換又は非置換のC-カルボキシであってよい。いくつかの実施形態では、Xは、置換又は非置換のO-カルボキシであってよい。いくつかの実施形態では、Xは、置換又は非置換のO-カルバミルであってよい。いくつかの実施形態では、Xは、置換又は非置換のN-カルバミルであってよい。いくつかの実施形態では、Xは、非置換C1~C6ヒドロキシアルコキシ(本明細書に記載のものなど)で一置換されていてよい。
【0155】
いくつかの実施形態では、Y1は、CR4A又はN(窒素)であってよい。いくつかの実施形態では、Y1は、CR4Aであってよい。いくつかの実施形態では、Y1は、N(窒素)であってよい。
【0156】
いくつかの実施形態では、Y2は、CR4B又はN(窒素)であってよい。いくつかの実施形態では、Y2は、CR4Bであってよい。いくつかの実施形態では、Y2は、N(窒素)であってよい。
【0157】
いくつかの実施形態では、Y1及びY2は、それぞれN(窒素)であってよい。いくつかの実施形態では、Y1はCR4Aであってよく、Y2はCR4Bであってよい。いくつかの実施形態では、Y1はCR4Aであってよく、Y2はN(窒素)であってよい。いくつかの実施形態では、Y1はN(窒素)であってよく、Y2はCR4Bであってよい。
【0158】
いくつかの実施形態では、R4Aは、水素であってよい。いくつかの実施形態では、R4Aは、ハロゲンであってよい。いくつかの実施形態では、R4Aは、非置換C1~4アルキル(本明細書に記載されるものなど)であってよい。
【0159】
いくつかの実施形態では、R4Bは、水素であってよい。いくつかの実施形態では、R4Bは、ハロゲンであってよい。いくつかの実施形態では、R4Bは、非置換C1~4アルキル(本明細書に記載されるものなど)であってよい。
【0160】
いくつかの実施形態では、R4A及びR4Bは、それぞれ水素であってよい。いくつかの実施形態では、R4A及びR4Bは、それぞれハロゲンであってよい(ここで、ハロゲンは、互いに同じであっても異なっていてもよい)。いくつかの実施形態では、R4A及びR4Bは、それぞれ非置換C1~4アルキル(本明細書に記載されるものなど、ここで、C1~4アルキルは、互いに同じであっても異なっていてもよい)であってよい。いくつかの実施形態では、R4A及びR4Bのうちの一方が水素であってよく、R4A及びR4Bのうちの他方がハロゲンであってよい。いくつかの実施形態では、R4A及びR4Bのうちの一方が水素であってよく、R4A及びR4Bのうちの他方が非置換C1~4アルキル(本明細書に記載されるものなど)であってよい。いくつかの実施形態では、R4A及びR4Bのうちの一方がハロゲンであってよく、R4A及びR4Bのうち他方が非置換C1~4アルキル(本明細書に記載されるものなど)であってよい。
【0161】
いくつかの実施形態では、R2は、
【0162】
【0163】
【0164】
【化60】
であるとき、いくつかの実施形態では、R
5は、置換5~7員単環式ヘテロシクリルであってよい。他の実施形態では、R
5は、非置換5~7員単環式ヘテロシクリルであってよい。R
5基の例としては、置換又は非置換のピペリジニル、置換又は非置換のピロリジニル、及び置換又は非置換のアゼパニルが挙げられる。置換されている場合、R
5基の導入可能な置換基としては、非置換C
1~4アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、及び非置換C
1~4ハロアルキルが挙げられる。
【0165】
いくつかの実施形態では、環Cは、置換又は非置換のC6~C10アリール、置換又は非置換の単環式5~10員ヘテロアリール、置換又は非置換の単環式5~7員カルボシクリル、置換又は非置換の5~7員単環式ヘテロシクリル、及び置換又は非置換の7~10員二環式ヘテロシクリルから選択されてよい。
【0166】
いくつかの実施形態では、環Cは、置換C6~C10アリールであってよい。いくつかの実施形態では、環Cは、非置換C6~C10アリールであってよい。いくつかの実施形態では、環Cは、置換C6アリールであってよい。いくつかの実施形態では、環Cは、非置換C6アリールであってよい。
【0167】
いくつかの実施形態では、環Cは、置換5~10員ヘテロアリールであってよい。いくつかの実施形態では、環Cは、非置換5~10員ヘテロアリールであってよい。いくつかの実施形態では、環Cは、置換5~6員ヘテロアリールであってよい。いくつかの実施形態では、環Cは、非置換5~6員ヘテロアリールであってよい。いくつかの実施形態では、環Cは、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、チアゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、インドール、ピラゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、及びキノキサリンから選択されてよく、上述の基のそれぞれは、任意の-NH基を含む、置換又は非置換である。
【0168】
いくつかの実施形態では、環Cは、置換又は非置換の単環式5員カルボシクリルであってよい。いくつかの実施形態では、環Cは、置換又は非置換の単環式6員カルボシクリルであってよい。いくつかの実施形態では、環Cは、置換又は非置換の単環式7員カルボシクリルであってよい。
【0169】
いくつかの実施形態では、環Cは、環Cであってよく、置換又は非置換の5員単環式ヘテロシクリルであってよい。いくつかの実施形態では、環Cは、置換又は非置換の6員単環式ヘテロシクリルであってよい。いくつかの実施形態では、環Cは、置換又は非置換の7員単環式ヘテロシクリルであってよい。いくつかの実施形態では、環Cは、イミダゾリン、イミダゾリジン、イソオキサゾリン、イソオキサゾリジン、オキサゾリン、オキサゾリジン、オキサゾリジノン、チアゾリン、チアゾリジン、モルホリン、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、ピロリドン、4-ピペリドン、ピラゾリン、ピラゾリジン、テトラヒドロピラン、アゼピン、オキゼピン、及びジアゼピンから選択されてよく、上述の基のそれぞれは、任意の-NH基を含む、置換又は非置換である。
【0170】
いくつかの実施形態では、環Cは、置換又は非置換の7員二環式ヘテロシクリル(例え
ば、縮合、架橋又はスピロヘテロシクリル)であってよい。いくつかの実施形態では、環Cは、置換又は非置換の8員二環式ヘテロシクリル、例えば、縮合、架橋又はスピロヘテロシクリルであってよい。いくつかの実施形態では、環Cは、置換又は非置換の9員二環式ヘテロシクリル(例えば、縮合、架橋又はスピロヘテロシクリル)であってよい。いくつかの実施形態では、環Cは、置換又は非置換の10員二環式ヘテロシクリル(縮合、架橋又はスピロヘテロシクリルなど)であってよい。いくつかの実施形態では、環Cは、ピロリジジン、インドリン、1,2,3,4テトラヒドロキノリン、2-アザスピロ[3.3]ヘプタン、2-オキサスピロ[3.3]ヘプタン、2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプタン、2,6-ジアザスピロ[3.3]ヘプタン、2-オキサスピロ[3.4]オクタン、及び2-アザスピロ[3.4]オクタンから選択されてよく、上述の基のそれぞれは、任意の-NH基を含む、置換又は非置換である。
【0171】
いくつかの実施形態では、環Cは、非置換C1~C6アルキル(本明細書に記載される)及び非置換(C1~C6アルキル)アシルから独立して選択される1つ以上の置換基で置換されていてよい。いくつかの実施形態では、環Cは、非置換C1~C6アルキル(本明細書に記載される)及び非置換(C1~C6アルキル)アシルから選択される1つの置換基で置換されていてよい。
【0172】
いくつかの実施形態では、R2は、
【0173】
【化61】
から選択されるであってよく、上述の基のそれぞれは、置換されていても非置換であってもよい。
【0174】
化学療法剤の非限定的なリストは、本明細書に記載されており、
図1に提供されるものを含む。PARP阻害剤の例は、本明細書に記載されており、
図2に提供されるものを含む。PD-1阻害剤の例は、本明細書に記載されており、
図3に提供されるものを含む。例示的なPD-L1は、本明細書に記載されており、
図4に提供されるものを含む。
【0175】
化合物(A)の例としては、
【0176】
【0177】
【0178】
【0179】
【0180】
【化66】
又は前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩が挙げられる。
【0181】
化合物(A)は、その薬学的に許容される塩とともに、本明細書及び、その全体が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2019/173082号に記載されているように調製することができる。国際公開第2019/173082号に記載されているように、化合物(A)は、WEE1阻害剤である。
【0182】
化合物(A)及び化合物(B)(前述の薬学的に許容される塩を含む)の組み合わせの実施形態を表1に提供する。例えば、表1において、3:5Aによって表される組み合わせは、パクリタキセル及び
【0183】
【化67】
(前述の薬学的に許容される塩を含む)の組み合わせに対応する。化合物(A)の例としては、
図5に提供されるものが挙げられる。
【0184】
【0185】
【0186】
【0187】
【0188】
本明細書に記載の組み合わせにおける化合物の投与の順序は、変化し得る。いくつかの
実施形態では、その薬学的に許容される塩を含む化合物(A)は、全ての化合物(B)又はその薬学的に許容される塩の前に投与することができる。他の実施形態では、その薬学的に許容される塩を含む化合物(A)は、少なくとも1つの化合物(B)又はその薬学的に許容される塩の前に投与することができる。更に他の実施形態では、その薬学的に許容される塩を含む化合物(A)は、化合物(B)又はその薬学的に許容される塩と同時に投与することができる。なお更に他の実施形態では、その薬学的に許容される塩を含む化合物(A)は、少なくとも1つの化合物(B)又はその薬学的に許容される塩の投与に続いて投与することができる。いくつかの実施形態では、その薬学的に許容される塩態を含む化合物(A)は、全ての化合物(B)又はその薬学的に許容される塩の投与に続いて投与することができる。
【0189】
本明細書に記載の化合物の組み合わせの使用について、いくつかの利点が存在し得る。例えば、複数の経路を同時に攻撃する化合物を組み合わせることは、組み合わせの化合物が単独療法として使用される場合と比較して、本明細書に記載されるものなどのがんの治療においてより有効であり得る。
【0190】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される、その薬学的に許容される塩を含む化合物(A)と、化合物(B)のうちの1つ以上、又はその薬学的に許容される塩との組み合わせは、本明細書に記載される、化合物(B)、又はその薬学的に許容される塩などの化合物に起因し得る副作用の数及び/又は重症度を減少させることができる。
【0191】
本明細書に記載の化合物の組み合わせを使用すると、相加効果、相乗効果、又は強い相乗効果をもたらすことができる。本明細書に記載の化合物の組み合わせは、拮抗的ではない効果をもたらし得る。
【0192】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される、その薬学的に許容される塩を含む化合物(A)と、化合物(B)のうちの1つ以上、又はその薬学的に許容される塩との組み合わせは、相加効果をもたらし得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される、その薬学的に許容される塩を含む化合物(A)と、化合物(B)のうちの1つ以上、又はその薬学的に許容される塩との組み合わせは、相乗効果をもたらし得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される、その薬学的に許容される塩を含む化合物(A)と、化合物(B)のうちの1つ以上、又はその薬学的に許容される塩との組み合わせは、強い相乗効果をもたらし得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される、その薬学的に許容される塩を含む化合物(A)と、化合物(B)のうちの1つ以上、又はその薬学的に許容される塩との組み合わせは、拮抗的ではない。
【0193】
本明細書で使用される場合、「拮抗的」という用語は、化合物を組み合わせた場合の活性が、各化合物の活性を個々に(すなわち、単一の化合物として)決定した場合のその組み合わせの各化合物の活性の総和と比較してより低いことを意味する。本明細書で使用される場合、「相乗効果」という用語は、化合物を組み合わせた場合の活性が、各化合物の活性を個々に決定した場合のその組み合わせの各化合物の個々の活性の総和より高いことを意味する。本明細書で使用される場合、「相加効果」という用語は、化合物を組み合わせた場合の活性が、各化合物の活性を個々に決定した場合のその組み合わせの各化合物の個々の活性の総和にほぼ等しいことを意味する。
【0194】
本明細書に記載の組み合わせを利用する潜在的な利点は、各化合物が単独療法として投与される場合と比較して、本明細書に開示される疾患病態を治療するのに有効な化合物の必要量が低減することであり得る。例えば、本明細書に記載の組み合わせで使用される化合物(B)、又はその薬学的に許容される塩の量は、単独療法として投与される場合に疾患マーカー(例えば、腫瘍サイズ)の同じ減少を達成するために必要な化合物(B)、又
はその薬学的に許容される塩の量と比較して、より少ない場合がある。本明細書に記載される組み合わせを利用する別の潜在的な利点は、異なる作用機構を有する2つ以上の化合物の使用が、化合物が単独療法として投与される場合と比較して、耐性の発生に対してより高い障害となり得ることである。本明細書に記載の組み合わせを用いる更なる利点として、本明細書に記載の組み合わせの各化合物間にほとんど又は全く交差耐性がないこと、本明細書に記載の組み合わせの各化合物の排出(elimination)の経路が異なること、及
び/又は本明細書に記載の組み合わせの各化合物間の重複毒性(overlapping toxicity)がほとんどないこと、を挙げることができる。
【0195】
医薬組成物
その薬学的に許容される塩を含む化合物(A)は、医薬組成物中に提供され得る。同様に、その薬学的に許容される塩を含む化合物(B)は、医薬組成物中に提供され得る。
【0196】
「医薬組成物」という用語は、本明細書に開示される1つ以上の化合物及び/又は塩と、希釈剤、担体、及び/又は賦形剤などの他の化学構成成分との混合物を指す。医薬組成物は、生物への化合物の投与を容易にする。医薬組成物はまた、化合物を、無機又は有機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、及びサリチル酸と反応させることによって得られ得る。医薬組成物は、一般に、意図される具体的な投与経路に合わせて調整される。
【0197】
本明細書で使用される場合、「担体」は、細胞又は組織への化合物の組み込みを促進する化合物を指す。例えば、限定することなく、ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide、DMSO)は、対象の細胞又は組織への多くの有機化合物の取り込みを促進する、一般的に利用される担体である。
【0198】
本明細書で使用される場合、「希釈剤」は、明らかな薬理活性はないが、薬学的に必要又は望ましくあり得る、医薬組成物中の成分を指す。例えば、希釈剤は、製造及び/又は投与には質量が小さ過ぎる、効力のある薬物のかさ増しのために使用されてよい。それはまた、注射、摂取、又は吸入によって投与される薬物を溶解させるための液体であってよい。当該技術分野において一般的な希釈剤の形態は、限定するものではないが、ヒト血液のpH及び等張性を模したリン酸緩衝生理食塩水などの、緩衝水溶液である。
【0199】
本明細書で使用される場合、「賦形剤」は、限定するものではないが、かさ、稠度、安定性、結合能力、潤滑、崩壊能力などを組成物に提供するために、医薬組成物に添加される、本質的に不活性の物質を指す。例えば、酸化防止剤及び金属キレート剤などの安定剤は、賦形剤である。ある実施形態では、医薬組成物は、酸化防止剤及び/又は金属キレート剤を含む。「希釈剤」は、ある種の賦形剤である。
【0200】
いくつかの実施形態では、化合物(B)は、その薬学的に許容される塩とともに、その薬学的に許容される塩を含む化合物(A)を含む医薬組成物中に提供され得る。他の実施形態では、化合物(B)は、その薬学的に許容される塩とともに、その薬学的に許容される塩を含む化合物(A)を含む医薬組成物とは別の医薬組成物で投与することができる。
【0201】
本明細書に記載の医薬組成物は、ヒト患者にそれ自体で、あるいはそれらが、併用療法におけるような他の活性成分、又は担体、希釈剤、賦形剤、若しくはそれらの組み合わせと混合される医薬組成物において、投与することができる。適切な製剤は、選択される投与経路による。本明細書に記載の化合物の製剤及び投与のための技術は、当業者に既知である。
【0202】
本明細書に開示される医薬組成物は、例えば、従来の混合、溶解、顆粒化、ドラジェ作
製、水簸、乳化、封入、捕捉、又は錠剤化プロセスによって、それ自体が既知である方式で製造され得る。加えて、活性成分が、その意図した目的を達成するために有効な量で含有される。本明細書に開示される薬剤の組み合わせで使用される化合物の多くは、薬学的に適合する対イオンを有する塩として提供されてよい。
【0203】
筋肉内、皮下、静脈内、髄内注射、くも膜下、直接心室内、腹腔内、鼻腔内、及び眼内注射を含む、経口、直腸、肺内、局所、エアロゾル、注射、注入、及び非経口送達が挙げられるが、これらに限定されない、化合物、塩、及び/又は組成物を投与する複数の技術が当該技術分野において存在する。いくつかの実施形態では、その薬学的に許容される塩を含む化合物(A)は、経口投与することができる。いくつかの実施形態では、その薬学的に許容される塩を含む化合物(A)は、化合物(B)及びその薬学的に許容される塩と同じ投与経路によって、対象に提供され得る。他の実施形態では、その薬学的に許容される塩を含む化合物(A)は、化合物(B)及びその薬学的に許容される塩と異なる投与経路によって、対象に提供され得る。
【0204】
また、全身的な方式ではなく局所的な方式で、例えば、多くの場合、デポー製剤又は持続放出製剤として化合物を患部に直接注射する又は埋め込むことによって化合物、塩、及び/又は組成物を投与してよい。更に、標的化した薬物送達システムで、例えば、組織特異的抗体でコーティングされたリポソームで化合物を投与することができる。リポソームは、臓器に対して標的化され、かつ臓器により選択的に取り込まれる。例えば、呼吸器の疾患又は病態を標的とするための鼻腔内又は肺内送達が望ましい場合がある。
【0205】
組成物は、所望される場合、活性成分を含有する1つ以上の単位剤形を含み得る、パック又はディスペンサデバイス中に提供されてよい。パックは、例えば、ブリスタパックなどの金属又はプラスチック箔を含んでもよい。パック又はディスペンサデバイスには、投与に関する指示書が添付されていてもよい。パック又はディスペンサはまた、薬剤の製造、使用、又は販売を規制する行政機関によって規定された形式の、容器に関連付けられた注意書きが添付されていてもよく、その注意書きは、ヒト又は動物投与のための薬物の形態の機関による承認を反映する。そのような注意書きは、例えば、処方薬に関し米国食品医薬品局によって承認されたラベル、又は承認された製品添付文書であってよい。適合する薬学的担体中で製剤化される本明細書に記載の化合物及び/又は塩を含むことができる組成物はまた、示された病態の治療のために調製され、適切な容器内に配置され、かつラベル付けされてよい。
【0206】
使用及び治療方法
本明細書で提供されるように、いくつかの実施形態では、有効量の、その薬学的に許容される塩を含む化合物(A)と、有効量の、化合物(B)のうちの1つ以上、又は前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩とを含む化合物との組み合わせを使用して、疾患又は病態を治療することができる。
【0207】
いくつかの実施形態では、疾患又は病態は、脳がん、大脳頸部(cervicocerebral)が
ん、食道がん、甲状腺がん、肺がん、乳がん、胃(stomach)がん、胆嚢/胆管がん、肝
がん、膵臓がん、胃(gastric)がん、結腸がん、直腸がん、卵巣がん、子宮内膜がん、
絨毛がん、子宮体がん、子宮頸がん、腎盂/尿管がん、膀胱がん、前立腺がん、陰茎がん、精巣がん、胎児がん、子宮がん、ウィルムスがん、皮膚がん、悪性黒色腫、神経芽細胞腫、骨肉腫、ユーイング腫瘍、軟部肉腫、頭頸部扁平上皮細胞がん、膠芽腫、急性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、真性多血症、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、ホジキンリンパ腫、及び非ホジキンリンパ腫から選択することができる。
【0208】
いくつかの実施形態では、疾患又は病態は、肺がん(小細胞肺がん(small cell lung
cancer、SCLC)及び/又は非小細胞肺がん(non-small cell lung cancer、NSCLC)など)、乳がん(トリプルネガティブ乳がんを含む)、胃(gastric)がん、結腸が
ん、直腸がん、卵巣がん(例えば、TP53変異卵巣がん)、子宮がん、子宮内膜がん、頭頸部扁平上皮細胞がん、及び/又は膠芽腫であり得る。いくつかの実施形態では、子宮内膜がんは、子宮漿液性がんであり得る。いくつかの実施形態では、疾患又は病態は、骨肉腫であり得る。
【0209】
DNA損傷修復(DNA damage repair、DDR)遺伝子は、ヒトゲノム安定性を維持す
る際に重要な役割を果たすことができる。DDR機能の喪失は、逆に、がんリスク、進行、及び/又は治療応答の重要な決定要因である。DDR遺伝子は、遺伝的、生化学的、及び機構的基準によって定義される機能的経路にグループ化することができる。同じ経路のタンパク質は、特定の種類のDNA損傷を修復するために協調して機能することが多い。塩基除去修復(base excision repair、BER)、ヌクレオチド除去修復(nucleotide excision repair、NER)、及び直接損傷反転/修復(damage reversal/repair、DR)経路は、DNA塩基損傷を修復する。ミスマッチ修復(mismatch repair、MMR)は、反復配列DNAにしばしば見られる塩基誤対合及び小さなループを補正することができる。相同性依存性組換え(homology-dependent recombination、HR)、非相同末端結合(non-homologous end joining、NHEJ)、ファンコニ貧血(Fanconi anemia、FA)経路、及び損傷乗り越えDNA合成(translesion DNA synthesis、TLS)は、鎖間架橋などのDNA鎖切断及び複合体事象を修復するために単独で又は一緒に作用することができる。FA経路を除いて、全ての主要なDDR経路は、実質的に全ての生物で特定されている。これは、DNAの化学的不安定性に対抗し、本明細書に記載のものなどの追加の損傷を修復するための普遍的必要性を反映する。
【0210】
研究により、相同組換え欠損(homologous recombination deficiency、HRD)スコ
アが、BRCA1及び/又はBRCA2遺伝子における欠陥を予測することができることが示された。対象のHRDスコアと対象の抗がん剤に対する感受性との間の潜在的な相関関係を決定するために、いくつかの研究が行われてきた。Sharma et al.,Annals of Oncology(2018)29(3):645-660,Frey at al.,Gynecologic Oncology Research and Practice(2017)4:4,Hoppes et al.,J Natl Cancer Inst(2018)110(7):704-713及びLedermann et al.,Eur J Cancer(2016)60:49-58を参照されたい。対象がHRD陽性状態を有すると決定される場合、対象のDNAは修復できない場合がある。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法及び/又は使用を利用する対象は、相同組換え欠損(HRD)陽性状態を有すると決定されている可能性がある。他の実施形態では、本明細書に記載の方法及び/又は使用を利用する対象は、相同組換え欠損(HRD)陰性状態を有すると決定されている可能性がある。いくつかの実施形態では、対象は、卵巣がん(再発性卵巣がんを含む)、乳がん(トリプルネガティブ乳がん及び/又は転移性乳がんなど)、前立腺がん(例えば、転移性去勢抵抗性前立腺がん)、卵管がん、及び原発性腹膜がんから選択されるがんと診断されている。いくつかの実施形態では、相同組換え欠損(HRD)陽性状態を有すると決定された対象は、女性であり得る。いくつかの実施形態では、相同組換え欠損(HRD)陽性状態を有すると決定された対象は、男性であり得る。
【0211】
いくつかの実施形態では、化合物(1A)及びPARP阻害剤(化合物(1A)及び/又はPARP阻害剤の薬学的に許容される塩を含む)の組み合わせを使用して、相同組換え欠損(HRD)陽性状態を有する対象を治療することができる。他の実施形態では、化合物(1A)及びPARP阻害剤(化合物(1A)及び/又はPARP阻害剤の薬学的に許容される塩を含む)の組み合わせを使用して、相同組換え欠損(HRD)陰性状態を有
する対象を治療することができる。いくつかの実施形態では、化合物(1A)及びニラパリブの組み合わせを、前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩とともに使用して、相同組換え欠損(HRD)陽性状態を有する対象を治療することができる。他の実施形態では、化合物(1A)及びニラパリブの組み合わせを、前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩とともに使用して、相同組換え欠損(HRD)陰性状態を有する対象を治療することができる。
【0212】
いくつかの実施形態では、化合物(1A)及びニラパリブの組み合わせ(化合物(1A)及び/又はPARP阻害剤の薬学的に許容される塩を含む)を使用して、相同組換え欠損(HRD)陽性状態を有する対象における卵巣がんを治療することができる。他の実施形態では、化合物(1A)及びニラパリブの組み合わせ(化合物(1A)及び/又はPARP阻害剤の薬学的に許容される塩を含む)を使用して、相同組換え欠損(HRD)陰性状態を有する対象における卵巣がんを治療することができる。いくつかの実施形態では、化合物(1A)及びニラパリブの組み合わせを、前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩とともに使用して、相同組換え欠損(HRD)陽性状態を有する対象における乳がんを治療することができる。他の実施形態では、化合物(1A)及びニラパリブの組み合わせを、前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩とともに使用して、相同組換え欠損(HRD)陰性状態を有する対象における乳がんを治療することができる。いくつかの実施形態では、化合物(1A)及びニラパリブの組み合わせを(前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩とともに)使用して、相同組換え欠損(HRD)陽性状態を有する対象における前立腺がんを治療することができる。他の実施形態では、化合物(1A)及びニラパリブの組み合わせを(前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩とともに)使用して、相同組換え欠損(HRD)陰性状態を有する対象における前立腺がんを治療することができる。いくつかの実施形態では、化合物(1A)及びニラパリブの組み合わせを、前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩を含めて使用して、相同組換え欠損(HRD)陽性状態を有する対象における転移性乳がんを治療することができる。他の実施形態では、化合物(1A)及びニラパリブの組み合わせを、前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩を含めて使用して、相同組換え欠損(HRD)陰性状態を有する対象における転移性乳がんを治療することができる。いくつかの実施形態では、化合物(1A)及びニラパリブの組み合わせを(前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩とともに)使用して、相同組換え欠損(HRD)陽性状態を有する対象における卵管がんを治療することができる。他の実施形態では、化合物(1A)及びニラパリブの組み合わせを(前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩とともに)使用して、相同組換え欠損(HRD)陰性状態を有する対象における卵管がんを治療することができる。いくつかの実施形態では、化合物(1A)、又はその薬学的に許容される塩、及びニラパリブ、又はその薬学的に許容される塩の組み合わせを使用して、相同組換え欠損(HRD)陽性状態を有する対象における原発性腹膜がんを治療することができる。他の実施形態では、化合物(1A)、又はその薬学的に許容される塩、及びニラパリブ、又はその薬学的に許容される塩の組み合わせを使用して、相同組換え欠損(HRD)陰性状態を有する対象における原発性腹膜がんを治療することができる。いくつかの実施形態では、化合物(1A)及びニラパリブの組み合わせを、前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩とともに使用して、相同組換え欠損(HRD)陽性状態を有する対象における再発性卵巣がんを治療することができる。他の実施形態では、化合物(1A)及びニラパリブの組み合わせを、前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩とともに使用して、相同組換え欠損(HRD)陰性状態を有する対象における再発性卵巣がんを治療することができる。いくつかの実施形態では、化合物(1A)及びニラパリブの組み合わせ(前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩を含む)を使用して、相同組換え欠損(HRD)陽性状態を有する対象における転移性去勢抵抗性前立腺がんを治療することができる。他の実施形態では、化合物(1A)及びニラパリブの組み合わせ(前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩を含む)を使用して、相同組換え欠損(HRD)陰性状態を有する対象における転移性去勢抵
抗性前立腺がんを治療することができる。
【0213】
本明細書で使用される場合、「対象」とは、治療、観察、又は実験の対象である動物を指す。「動物」には、冷血及び温血の脊椎動物及び無脊椎動物、例えば、魚、甲殻類、爬虫類、及び特に、哺乳動物が含まれる。「哺乳動物」には、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、イヌ、ネコ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ウマ、霊長類、例えば、サル、チンパンジー、及び類人猿、並びに特に、ヒトが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、対象は、ヒトであり得る。いくつかの実施形態では、対象は、小児及び/又は乳児、例えば、発熱した小児又は乳児であり得る。他の実施形態では、対象は、成人であり得る。
【0214】
本明細書で使用される場合、「治療する」、「治療すること」、「治療」、「治療的」、及び「療法」という用語は、必ずしも疾患又は病態の完全な治癒又は消滅を意味するとは限らない。疾患又は病態の任意の望ましくない徴候又は症状の任意の程度の任意の緩和が、治療及び/又は療法とみなされ得る。更に、治療は、対象の健康又は外観についての総合的な感覚を悪化させ得る行為を含み得る。
【0215】
「有効量」という用語は、示される生物学的又は医学的応答を誘発する、活性化合物又は薬剤の量を示すために使用される。例えば、有効量の化合物、塩、又は組成物は、疾患又は病態の症状を予防、緩和、若しくは改善するか、又は治療される対象の生存を延長するために必要な量であってよい。この応答は、組織、系、動物、又はヒトにおいて生じ得、治療されている疾患又は病態の徴候又は症状の緩和を含む。有効量の決定は、本明細書に提供される本開示を考慮して、十分当業者の能力の範囲内である。用量として必要とされる本明細書に開示される化合物の有効量は、投与経路、治療されているヒトを含む動物の種類、及び考慮中の特定の動物の身体特性に依存する。用量は、所望の効果を達成するように調整され得るが、体重、食生活、併用投薬、及び医療分野の当業者が認識するであろう他の要因などの要因に依存する。
【0216】
例えば、化合物又は放射線の有効量は、(a)がんによって引き起こされる1つ以上の症状の軽減、緩和、若しくは消失、(b)腫瘍サイズの低減、(c)腫瘍の除去、及び/又は(d)腫瘍の長期疾患安定化(増殖停止)、をもたらす量である。
【0217】
治療で使用するために必要とされる化合物、塩、及び/又は組成物の量は、選択された特定の化合物又は塩だけはなく、投与経路、治療されている疾患又は病態の性質及び/又は症状、並びに患者の年齢及び病態によっても変化し、最終的に、主治医又は臨床医の判断による。薬学的に許容される塩の投与の場合、投与量は、遊離塩基として計算され得る。当業者によって理解されるように、ある特定の状況において、特に進行性の疾患又は病態を有効かつ積極的に治療するために、本明細書に記載の投与量範囲を超えるか、又ははるかに超えさえする量で、本明細書に開示される化合物を投与することが必要であり得る。
【0218】
当業者には容易に明らかになるように、投与される有用なインビボ投与量及び特定の投与方法は、年齢、体重、苦痛の重症度、治療される哺乳動物種、用いられる特定の化合物、及びこれらの化合物が用いられる特定の用途に応じて異なる。有効な投与量レベル、つまり所望の結果を達成するために必要な投与量レベルの決定は、日常的な方法、例えば、ヒト臨床試験、インビボ研究、及びインビトロ研究を使用して、当業者によって達成され得る。例えば、式(A)及び/若しくは(B)の化合物、又は前述の薬学的に許容される塩の有用な投与量は、動物モデルにおけるそれらのインビトロ活性及びインビボ活性を比較することによって決定され得る。そのような比較は、シスプラチン及び/又はゲムシタビン)などの確立された薬物との比較によって行われ得る。
【0219】
投与量及び間隔は、活性部分が調節作用又は最小有効濃度(minimal effective concentration、MEC)を維持するのに十分である血漿レベルを提供するように、個々に調節
されてよい。MECは、化合物毎に異なるが、インビボ及び/又はインビトロデータから推定され得る。MECを達成するために必要な投与量は、個々の特性及び投与経路に依存する。しかしながら、血漿濃度を決定するためにはHPLCアッセイ又はバイオアッセイが使用され得る。投与間隔もまた、MEC値を使用して決定され得る。組成物は、10~90%の期間、好ましくは30~90%、及び最も好ましくは50~90%にわたって、MECを超える血漿レベルを維持するレジメンを使用して投与されるべきである。局所投与又は選択的取り込みの場合、薬物の有効局所濃度は、血漿濃度に関係しない場合がある。
【0220】
毒性又は臓器機能不全による、投与の終了、中断、又は調節の方法及び時期については、主治医が承知しているであろうことに留意されたい。反対に、主治医は、臨床応答が適切ではない(毒性を除外する)場合、治療をより高いレベルに調節することも承知しているであろう。対象となる疾患の管理において投与される用量の大きさは、治療しようとする疾患又は病態の重症度並びに投与経路によって変動する。疾患又は病態の重症度は、例えば、ある程度は、標準的な予後評価方法によって評価されてよい。更に、用量及び恐らく投薬回数はまた、個々の患者の年齢、体重、及び応答によっても変動する。上記で考察されるものに相当するプログラムが、獣医学で使用されてよい。
【0221】
本明細書に開示される化合物、塩、及び組成物は、既知の方法を使用して有効性及び毒性に関して評価され得る。例えば、ある特定の化学部分を共有する特定の化合物又は化合物のサブセットについての毒性学は、哺乳動物の細胞株、好ましくはヒトの細胞株などの細胞株に対するインビトロ毒性を決定することによって確立され得る。そのような研究の結果は、多くの場合、哺乳動物、又は特にヒトなどの動物における毒性を予測する。代替的に、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、又はサルなどの動物モデルにおける特定の化合物の毒性は、既知の方法を使用して決定され得る。特定の化合物の有効性は、インビトロ方法、動物モデル、又はヒト臨床試験などのいくつかの認められている方法を使用して確立され得る。有効性を決定するためのモデルを選択する場合、当業者は、適切なモデル、用量、投与経路、及び/又はレジメンを選択するに当たり最先端の技術を指針とすることができる。
【実施例】
【0222】
特許請求の範囲を決して限定するものではない、更なる実施形態が、以下の実施例において更に詳細に開示される。
【0223】
CTGアッセイ
15%ウシ胎仔血清を含有する完全増殖培地と、最終濃度1.5g/Lの重炭酸ナトリウムを含むMCDB105培地及び最終濃度2.2g/Lの重炭酸ナトリウムを含む199培地の1:1混合物の基本培地とで、TOV112D細胞を培養した。MDA-MB-436細胞を、10%ウシ胎仔血清を含有するRPMI-1640培地で培養した。細胞が指数増殖期にあるとき、細胞を96細胞プレートに播種し、示された濃度の単剤又は組み合わせの示された化合物で処理した。試験化合物の抗増殖効果を、CellTiter-Glo発光細胞生存率アッセイ(Promega)によって測定した。Graphpad Prismソフトウェアを使用して、IC
50値を生成した。
図6では、最上線は化合物1A+タラゾパリブであり、円で示されている中間線は化合物1A単独であり、四角形で示される下の線はタラゾパリブである。TOV112D及びMDA-MB-436細胞株の結果を
図6(タラゾパリブ-PARP阻害剤、TOV112D細胞株)、
図7(ニラパリブ-PARP阻害剤、MDA-MB-436細胞株)に示す。
図6~
図7は、PARP阻害剤を含む又は含まない、化合物(A)、化合物1Aの組み合わせが、細胞増殖を有効に阻害することを実証する。疑義を避けるために、本明細書で使用される「化合物1A」及び「化合物(1A)」は、同じ化合物を表し、2つの間の不一致は暗示されず、推測されるべきでもない。
【0224】
細胞増殖は、CellTiter-Glo(登録商標)発光細胞生存率アッセイを使用して測定した。このアッセイは、血清を補充した培地で培養された細胞への単一の試薬(CellTiter-Glo(登録商標)試薬)の直接の添加を伴った。KMS-12-BM、OPM-2、及びMOLP8細胞を、DSMZ推奨に従って培養し、ウェル当たり20,000個の細胞を播種した。評価した各化合物を、DMSO原液(10mM)として調製した。化合物を各プレートで3回試験し、各表に単一濃度を示した。10倍の濃度の各化合物から、化合物処理(10.0μL)を、細胞に追加した。次いで、プレートを37℃、5%CO
2でインキュベートした。72時間後、細胞プレートを室温(room temperature、rt)で約30分間平衡化した。等量のCellTiter-Glo(登録商標)試薬(100μL)を各ウェルに添加した。プレートをオービタルシェーカで2分間混合して細胞溶解を誘導し、次いで、室温で10分間インキュベートして、発光シグナルを安定化させた。CellTiter-Gloプロトコルに従ってSpectraMax、M5eプレートリーダーを使用して、発光を記録した。表2(及び
図24)は、KMS-12-BM細胞株における化合物(1A)及びゲムシタビンの組み合わせが、単剤処理と比較して相乗的細胞増殖阻害を示したことを示す。
【0225】
【0226】
表3(及び
図25)は、OPM-2細胞株における化合物(1A)及びゲムシタビンの組み合わせが、単剤処理と比較して相乗的細胞増殖阻害を示したことを示す。
【0227】
【0228】
表4(及び
図26)は、MOLP-8細胞株における化合物(1A)及びゲムシタビンの組み合わせが、単剤処理と比較して相乗的細胞増殖阻害を示したことを示す。
【0229】
【0230】
WEE1阻害剤に対して中程度の感受性を有する卵巣細胞株(UWB1.289及びOVCAR3)を、ヒドロキシウレア(すなわち、複製ストレスの誘導因子)及び化合物(1A)で処理した。96ウェルプレートにウェル当たり5,000個の細胞を播種した。化合物をDMSO(化合物(1A)中、10μMの開始濃度で、1:3の希釈範囲で調製した。ヒドロキシウレアを0、10、30、100、300、又は1000μM(マトリックス)で細胞に添加した。次いで、細胞を37℃、5%CO
2でインキュベートした。CTGアッセイを、3日後(UWB1.289細胞)又は5日後(OVCAR3細胞)に実施した。ルシフェラーゼ(相対発光単位、RLU)生カウント及び正規化データを
図20~
図23に示す。
【0231】
図20は、UWB1.289細胞に対するヒドロキシウレア(HU)と組み合わせた化合物(1A)による細胞増殖の阻害を示す。データは、相対発光単位(RLU)によって表される。データは、UWB1.289細胞における化合物(1A)と組み合わせたヒドロキシウレアの相乗効果を示す。HU0μm条件(円を含む上の線)は、参照として化合物(1A)による単独療法を示す。HU100μm条件は、円を含む下の線から3番目であり、HU1000μm条件は、円を含む下の線である。
【0232】
図21は、UWB1.289細胞に対するヒドロキシウレア(HU)と組み合わせた化合物(1A)による細胞増殖の阻害を示す。データは、全てのヒドロキシウレア濃度に対して正規化された相対発光単位(RLU)として表され、UWB1.289細胞における化合物(1A)及びHUの組み合わせの相乗効果を示す。HU0μm条件(円を含む上の線)は、参照として化合物(1A)による単独療法を示す。
【0233】
図22は、OVCAR3細胞に対するヒドロキシウレア(HU)と組み合わせた化合物(1A)による細胞増殖の阻害を示す。データは、相対発光単位(RLU)によって表される。データは、OVCAR3細胞における化合物(1A)と組み合わせたヒドロキシウレアの相乗効果を示す。HU0μm条件(円を含む上の線)は、参照として化合物(1A)による単独療法を示す。HU100μm条件は、円を含む下の線から3番目であり、HU1000μm条件は、円を含む下の線である。
【0234】
図23は、OVCAR3細胞に対するヒドロキシウレア(HU)と組み合わせた化合物(1A)による細胞増殖の阻害を示す。データは、全てのヒドロキシウレア濃度に対して正規化された相対発光単位(RLU)として表され、OVCAR3細胞における化合物(1A)及びHUの組み合わせの相乗効果を示す。HU0μm条件(円を含む上の線)は、参照として化合物(1A)による単独療法を示す。
【0235】
実験方法:3000個のA427細胞を、96ウェルプレートに播種し、一晩接着させた。化合物(1A)及び/又はトリアピンでの処理を翌日追加した。細胞を、6日目に採取し、Hoechst33258を使用してDNA含有量についてアッセイした。蛍光強度を、プレートリーダーを使用して励起346nM及び発光460nMで読み取った。
図27に示されるデータは、3つの独立した実験(生の蛍光読み取り)を表す。
図27によ
って実証されるように、単剤としての化合物(1A)及びトリアピンの準最適用量は、A427細胞増殖を阻害しない。対照的に、化合物(1A)及びトリアピンの組み合わせは、A427細胞における細胞増殖を相乗的に阻害する。
【0236】
異種移植腫瘍モデル
TOV21G異種移植モデルを、200μLのTOV-21G腫瘍細胞懸濁液(5×106細胞/マウス、50%マトリゲルを含む)をBALB/cヌードマウスの右腋窩下に皮下接種することによって確立した。腫瘍が約100~150mm
3に達したとき、腫瘍担持動物を、それぞれ10匹の動物の治療群にランダムに分布させた。動物に、ビヒクル又は60mg/kgの化合物(1A)を19日間経口投与し、50mg/kgのカルボプラチンを1週間に1回腹腔内注射し、カルボプラチンと組み合わせた化合物(1A)治療を行った。腫瘍体積を週に2回評価して、腫瘍体積を経時的に計算し、マウスを毒性の徴候の代わりとして週に2回秤量した。結果を
図8に提供する。
図8に示すように、化合物(1A)のカルボプラチンとの併用治療は、TGI値117%の有意な腫瘍退縮を誘導し、単剤としての化合物(1A)及びカルボプラチンは、それぞれTGI値94.4%及び89.75%の抗腫瘍活性をもたらす。
【0237】
SJSA-1肉腫皮下異種移植片有効性研究では、マウスの右脇腹に、SJSA-1腫瘍細胞を皮下接種した。平均腫瘍サイズが約150~200mm
3に達したとき、動物を、それぞれ10匹の動物の治療群にランダムに分布させ、示された投与量及び頻度で、ビヒクル及び示された化合物を投与した。腫瘍体積を週に2回評価して、腫瘍体積を経時的に計算し、マウスを毒性の徴候の代わりとして週に2回秤量した。SJSA-1腫瘍モデルにおける有効性の結果を
図9に示す。
図9では、最上線はビヒクルであり、ひし形で示される次の最上線は化合物1A単独であり、円で示される次の線はゲムシタビン単独であり、下の線は化合物1A+ゲムシタビンである。
【0238】
OVCAR3異種移植有効性研究では、マウスの右脇腹に、OVCAR3腫瘍細胞を皮下移植した。腫瘍が約106mm
3に達したとき、動物を、それぞれ10匹の動物の治療群にランダムに分布させ、示された投与量及び頻度で、ビヒクル及び示された化合物を投与した。腫瘍体積を週に2回評価して、腫瘍体積を経時的に計算し、マウスを毒性の徴候の代わりとして週に2回秤量した。OVCAR3腫瘍モデルの結果を
図10に示す。
図10では、最上線はビヒクルであり、円で示される次の最上線はタラゾパリブ単独であり、四角形で示される次の線は化合物1A単独であり、「x」で示される下の線は化合物1A+タラゾパリブである。
【0239】
MC-38同系異種移植有効性研究では、マウスの中央右脇腹に、MC38腫瘍細胞を皮下移植した。腫瘍が約102mm
3に達したとき、動物を、それぞれ10匹の動物の治療群にランダムに分布させ、示された投与量及び頻度で、ビヒクル及び示された化合物又は抗PD-1抗体(Pharmaronから供給される(BioXCell))を投与した。腫瘍体積を週に2回評価して、腫瘍体積を経時的に計算し、マウスを毒性の徴候の代わりとして週に2回秤量した。MC38同系腫瘍モデルの結果を
図11及び
図12に示す。
図11では、最上線はビヒクルであり、三角形で示される次の最上線は化合物1A単独であり、白抜きの四角形で示される次の線は抗PD1抗体単独であり、逆三角形で示される下の線は化合物1A+抗PD1である。
図12では、最も左端の実線はビヒクルであり、均一なダッシュで示される次の左端の線は化合物1Aであり、次の線の実線は抗PD1単独であり、ドット及びダッシュが交互で示される次の線は化合物1A+抗PD1である。
【0240】
図8~
図11に示されるように、PARP阻害剤(タラゾパリブ)、又はカルボプラチン及びゲムシタビンを含む化学療法剤、又は抗PD1抗体との化合物(A)、化合物1A
の組み合わせは、腫瘍サイズを低減するのに有効である。更に、化合物(A)、化合物1A、及び抗PD1抗体の組み合わせは、
図12に示すように単剤単独よりも優れた生存利益を示す。化合物(A)、化合物1Aはまた、単独治療剤としても有効である。例えば、
図8は、化合物(A)、化合物1Aが、腫瘍体積を大幅に低減させることを実証する。
【0241】
A-427腫瘍細胞株を、空気中5%CO
2の雰囲気下、37℃にて、10%ウシ胎仔血清、400ng/mLピューロマイシンを補充したMEM培地中の単層培養としてインビトロで維持した。指数増殖期の増殖している細胞を採取し、腫瘍接種のためにカウントした。各NOD/SCIDマウスの右脇腹に、腫瘍発生のために血清を含まない100μLのMEMマトリゲル混合物(1:1比)中の95%生存腫瘍細胞(1×10
7)の単細胞懸濁液を皮下接種した。平均腫瘍サイズが約224mm
3に達したときに治療を開始した。次いで、マウスを群にランダム化し、ビヒクル又は80mg/kgの化合物(1A)を28日間経口投与した。腫瘍体積を週に2回評価して、腫瘍体積を経時的に計算し、マウスを毒性の徴候の代わりとして週に2回秤量した。結果を
図13に示し、図においてビヒクルは上の線であり、下の線は80mg/kgの化合物(1A)である。
図13のデータによって示されるように、化合物(1A)治療は、TGI値132.7%の有意な抗腫瘍活性を達成した。
【0242】
NCI-H1755 NSCLC細胞を、空気中5%CO
2の雰囲気下、37℃にて、10%ウシ胎仔血清を補充したRPMI1640培地中で培養した。指数増殖期の増殖している細胞を採取し、腫瘍接種のためにカウントした。各NOD SCIDマウスの右脇腹に、腫瘍発生のために血清を含まない100μLのRPMI1640マトリゲル混合物(1:1比)中の95%生存腫瘍細胞(1×10
7)の単細胞懸濁液を皮下接種した。平均腫瘍サイズが176mm
3に達したときに治療を開始した。マウスを治療群(群当たり10匹のマウス)にランダム化した。ビヒクル又は80mg/kgの化合物(1A)を、腫瘍担持マウスに28日間経口投与した。腫瘍体積を週に2回評価して、腫瘍体積を経時的に計算し、マウスを毒性の徴候の代わりとして週に2回秤量した。結果を
図14に示し、図においてビヒクルは上の線であり、下の線は80mg/kgの化合物(1A)である。結果は、単剤としての化合物(1A)治療が、TGI値89.6%の有意な抗腫瘍活性を達成したことを実証する。
【0243】
SK-UT-1腫瘍細胞株を、空気中5%CO
2の雰囲気下、37℃にて、10%ウシ胎仔血清を補充したEMEM中の単層培養としてインビトロで維持した。指数増殖期の増殖している細胞を採取し、腫瘍接種のためにカウントした。各BALB/cヌードマウスの右脇腹に、腫瘍発生のために血清を含まない100μLのEMEMマトリゲル混合物(1:1比)中の95%生存腫瘍細胞(1×10
7)の単細胞懸濁液を皮下接種した。平均腫瘍サイズが193mm
3に達したときに治療を開始した。マウスを治療群(群当たり10匹のマウス)にランダム化した。ビヒクル又は80mg/kgの化合物(1A)を、腫瘍担持マウスに、1日オン6日オフの投与スケジュールで4サイクル投与した。腫瘍体積を週に2回評価して、腫瘍体積を経時的に計算し、マウスを毒性の徴候の代わりとして週に2回秤量した。結果を
図15に示し、図においてビヒクルは上の線であり、下の線は80mg/kgの化合物(1A)である。
図15に示されるように、化合物(1A)単独療法は、TGI値98%の有意な抗腫瘍活性を達成した。
【0244】
OVCAR-3腫瘍細胞株を、空気中5%CO
2の雰囲気下、37℃にて、20%ウシ胎仔血清を補充したRPMI1640中の単層培養としてインビトロで維持した。指数増殖期の増殖している細胞を採取し、腫瘍接種のためにカウントした。各NOD/SCIDマウスの右脇腹に、腫瘍発生のために血清を含まない200μLのRPMI1640マトリゲル混合物(1:1比)中の95%生存腫瘍細胞(2×10
7)の単細胞懸濁液を皮下接種した。平均腫瘍サイズが111mm
3に達した15日目に治療を開始した。マウスを
治療群(群当たり10匹のマウス)にランダム化し、ビヒクル及び80mg/kgの化合物(1A)を28日間経口投与した。腫瘍体積を週に2回評価して、腫瘍体積を経時的に計算し、マウスを毒性の徴候の代わりとして週に2回秤量した。結果を
図16に示し、図においてビヒクルは上の線であり、下の線は80mg/kgの化合物(1A)である。
図16に示すように、化合物(1A)は、TGI値91.3%の堅牢な抗腫瘍活性を実証した。
【0245】
x2-MDA-MB-468細胞(ATCC-Chempartner)を、空気中5%のCO
2の雰囲気下、37℃にて、10%FBS、100U/mLペニシリン、及び100μg/mLストレプトマイシンを添加したDMEM培地中の単層培養としてインビトロで維持した。各CB-17SCIDマウスの右脇腹に、腫瘍発生のためにRPMI1640培地とBDマトリゲル(基本培地:マトリゲル=100ul:100ul)との0.2mLの混合物中の1x10
7x2-MDA-MD-468細胞を皮下移植した。平均腫瘍サイズが約196mm
3に達したとき、動物をそれぞれ10匹の動物の治療群にランダムに分布させ、ビヒクル、80mg/kgの化合物(1A)を56日間経口投与した。腫瘍体積を週に2回評価して、腫瘍体積を経時的に計算し、マウスを毒性の徴候の代わりとして週に2回秤量した。結果を
図17に示す。
図17に示されるように、化合物(1A)治療は、TGI値87.1%の有意な抗腫瘍活性をもたらした。
【0246】
x2-MDA-MB-468細胞(ATCC-Chempartner)を、空気中5%のCO
2の雰囲気下、37℃にて、10%FBS、100U/mLペニシリン、及び100μg/mLストレプトマイシンを添加したDMEM培地中の単層培養としてインビトロで維持した。各マウスの右脇腹に、腫瘍発生のためにRPMI1640培地とBDマトリゲル(基本培地:マトリゲル=100uL:100uL)との0.2mLの混合物中の1x10
7x2-MDA-MD-468細胞を皮下移植した。平均腫瘍サイズが約196mm
3に達したとき、動物をそれぞれ10匹の動物の治療群にランダムに分布させ、ビヒクル、60mg/kgの化合物(1A)、45mg/kgのニラパリブ、及びニラパリブと組み合わせた化合物(1A)を経口投与した。化合物(1A)又はニラパリブを、単剤として7日オン7日オフのレジメンで4サイクル投与した。組み合わせ群では、動物に、交互投与スケジュールでニラパリブ及び化合物(1A)を投与し、ニラパリブを、1週目、3週目、5週目、及び7週目に投与し、化合物(1A)を、2週目、4週目、6週目、8週目に投与した。腫瘍体積を週に2回評価して、腫瘍体積を経時的に計算し、マウスを毒性の徴候の代わりとして週に2回秤量した。結果を
図18に示す。
図18に示されるように、ニラパリブとの化合物(1A)の併用治療は、単独治療としての化合物(1A)及びニラパリブと比較して有意な抗腫瘍活性を誘導した。化合物(1A)単独治療、ニラパリブ単独治療、及びニラパリブと組み合わせた化合物(1A)は、それぞれTGI値52.6%、47.7%、及び70.7%の抗腫瘍活性をもたらした。
【0247】
Fadu細胞を、空気中5%のCO
2雰囲気下、37℃にて、20%ウシ胎仔血清を補充したEMEM培地中増殖させた。BALB/cヌードマウスの右脇腹に、10%FBSを含む100μLのEMEM中の95%生存腫瘍細胞(5×10
6)の単細胞懸濁液を皮下移植した。腫瘍が約138mm
3に達したとき、動物を、それぞれ10匹の動物の治療群にランダムに分布させ、ビヒクルを25日間投与し、化合物(1A)を1日に1回40mg/kgで30日間経口投与し、X線治療を2Gy/マウスで5日オン、7日オフ、続いて5日オン、2日オフの分割放射線スケジュールで3サイクルして、X線と組み合わせた化合物(1A)を行った。腫瘍体積を週に2回評価して、腫瘍体積を経時的に計算し、マウスを毒性の徴候の代わりとして週に2回秤量した。結果を
図19に示す。
図19に示されるように、化合物(1A)及びX線の組み合わせは、単独治療としての化合物(1A)及びX線と比較して腫瘍サイズを低減するのにより有効である。化合物(1A)単独治療、X線単独治療、及びX線と組み合わせた化合物(1A)は、それぞれTGI値58.
7%、70.7%、及び82.6%の抗腫瘍活性をもたらした。
【0248】
OVCAR3異種移植モデルを、200μLのOVCAR3腫瘍細胞懸濁液(1×10
7細胞/マウス、50%マトリゲルを含む)をBABL/cヌードマウスの右腋窩下に皮下接種することによって確立した。腫瘍が約180.8mm
3に達したとき、腫瘍担持動物を、それぞれ10匹の動物の治療群にランダムに分布させた。動物に、ビヒクル又は40mg/kg又は60mg/kgの化合物(1A)を28日間経口投与し、2.5mg/kgのドキソルビシンを1週間に1回4週間腹腔内注射し、ドキソルビシンと組み合わせた化合物(1A)治療を行った。腫瘍体積を週に2回評価して、腫瘍体積を経時的に計算し、マウスを毒性の徴候の代わりとして週に2回秤量した。結果を
図28に示す。2.5mg/kgのドキソルビシンとの40mg/kg又は60mg/kgでの化合物(1A)の併用治療は、TGI値63.47%及び82.57%の、改善された抗腫瘍活性を誘導した。比較すると、単剤としての40mg/kg又は60mg/kgの化合物(1A)及び2.5mg/kgのドキソルビシンは、それぞれTGI値51.66%、73.48%、及び43.11%の抗腫瘍活性をもたらす。ペグ化リポソームドキソルビシン中の活性薬学的成分がドキソルビシンであるため、化合物(1A)と組み合わせたペグ化リポソームドキソルビシンが同様の結果を示すと仮定することは妥当である。
【0249】
更に、上文は、明確さ及び理解のために、図及び実施例としてある程度詳細に記述されているが、本開示の趣旨を逸脱することなく数多くの様々な修正がなされ得ることが、当業者によって理解される。したがって、本明細書に開示される形態は例示にすぎず、本開示の範囲を限定することは意図されていないが、それどころか本発明の真の範囲及び趣旨に沿った全ての修正及び代替形態を包含することも明確に理解するべきである。
【国際調査報告】