(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-21
(54)【発明の名称】mRNA送達のための脂質ナノ粒子製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/7105 20060101AFI20230614BHJP
A61K 9/127 20060101ALI20230614BHJP
A61K 47/24 20060101ALI20230614BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20230614BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20230614BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20230614BHJP
A61K 47/28 20060101ALI20230614BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20230614BHJP
A61K 38/45 20060101ALN20230614BHJP
【FI】
A61K31/7105
A61K9/127
A61K47/24
A61K47/26
A61K47/36
A61K47/10
A61K47/28
A61K47/44
A61K38/45
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022569038
(86)(22)【出願日】2021-05-14
(85)【翻訳文提出日】2023-01-06
(86)【国際出願番号】 US2021032513
(87)【国際公開番号】W WO2021231901
(87)【国際公開日】2021-11-18
(32)【優先日】2020-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】517316797
【氏名又は名称】トランスレイト バイオ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】シュリラン・カルヴ
(72)【発明者】
【氏名】フランク・デロサ
(72)【発明者】
【氏名】ナタリア・ヴァルガス・モントヤ
(72)【発明者】
【氏名】アサド・カーンモハメド
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA19
4C076DD51
4C076DD63
4C076DD67
4C076DD69
4C076DD70
4C076EE23
4C076EE30
4C084AA03
4C084BA44
4C084DC25
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA24
4C086NA10
(57)【要約】
本発明は、とりわけ、治療的使用におけるmRNA送達のための、可燃性溶媒を使用しない、メッセンジャーRNAを脂質ナノ粒子に封入する方法、およびこれらの方法によって製造された組成物を提供する。本発明は、一部は、両親媒性ポリマーの存在下で、エタノール溶媒を使用しないで、mRNAを高い効率で封入することができるという驚くべき発見に基づく。よって、本発明は、大規模製造プロセスから、ならびに治療用途のための低容量製剤においてLNP製剤を製造する安全で、費用対効果が高く、効率的な方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メッセンジャーRNA(mRNA)を脂質ナノ粒子(LNP)に封入する方法であって、(a)1つまたはそれ以上のmRNAを含むmRNA溶液を(b)1つまたはそれ以上のカチオン性脂質、1つまたはそれ以上の非カチオン性脂質、および1つまたはそれ以上のPEG修飾脂質を含む脂質溶液と混合する工程を含み、mRNA溶液と脂質溶液を混合する工程は、両親媒性ポリマーの存在下で混合して、LNP製剤溶液中でLNP内に封入されたmRNA(mRNA-LNP)を形成することを含む、方法。
【請求項2】
両親媒性ポリマーは、pluronic、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール(PEG)、またはこれらの組合せを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
PEGは、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(mTEG)、メトキシポリエチレングリコールmPEG、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、ペンタエチレングリコールモノメチルエーテル、またはこれらの組合せから選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
PEGはトリエチレングリコールモノメチルエーテル(mTEG)である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
mRNA溶液と脂質溶液を混合する工程は25%体積/体積超の濃度のPEGをもたらす、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
mRNA溶液と脂質溶液を混合する工程は約50%体積/体積の濃度のPEGを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
mRNA溶液は5mM未満のシトレートを含み、mRNA-LNPは60%超の封入効率を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
mRNA溶液および/または脂質溶液はほぼ周囲温度である、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
周囲温度は約35℃未満、約30℃未満、約26℃未満、約23℃未満、約21℃未満、約20℃未満、または約18℃未満である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
周囲温度は約18~32℃、約21~26℃、または約23~25℃の範囲である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
1つまたはそれ以上の非カチオン性脂質は、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)、パルミトイルオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(POPE)、ジオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン4-(N-マレイミドメチル)-シクロヘキサン-1-カルボキシレート(DOPE-mal)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジミリストイルホスホエタノールアミン(DMPE)、ジステアロイル-ホスファチジル-エタノールアミン(DSPE)、ホスファチジルセリン、スフィンゴ脂質、セレブロシド、ガングリオシド、16-O-モノメチルPE、16-O-ジメチルPE、18-1-トランスPE、1-ステアロイル-2-オレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(SOPE)、またはこれらの混合物から選択される、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
1つまたはそれ以上の非カチオン性脂質はジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)である、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
mRNA溶液はトレハロースをさらに含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
混合工程の前にmRNA溶液と脂質溶液を加熱する工程を要さない、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
mRNA溶液は、mRNA溶液12L当たりmRNA約1g超を含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
mRNA溶液は、mRNA溶液8L当たりmRNA約1gを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
mRNA溶液は、mRNA溶液4L当たりmRNA約1gを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
mRNA溶液は、mRNA溶液2L当たりmRNA約1gを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
mRNA溶液中のmRNAの濃度は約0.125mg/mL超、約0.25mg/mL超、約0.5mg/mL超、または約1.0mg/mL超である、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
mRNA溶液と脂質溶液は2:1~6:1の間の比(v/v)で混合される、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
mRNA溶液と脂質溶液は約4:1の比(v/v)で混合される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
mRNA溶液は3.0~5.0の間のpHを有する、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
mRNA溶液は約3.5、4.0、または4.5のpHを有する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
混合の工程は約3~10mLの間の総容量で行われる、請求項1~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
混合の工程は約3mLの総容量で行われる、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
アルコールを含まない、請求項1~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
mRNA-LNPをインキュベートする工程をさらに含む、請求項1~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
mRNA-LNPは21℃~65℃の間の温度でインキュベートされる、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
mRNA-LNPは約26℃、約30℃、または約65℃の温度でインキュベートされる、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
mRNA-LNPは約20分間、約30分間、約60分間、約90分間、または約120分間超インキュベートされる、請求項27~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
mRNA-LNPは約60分間インキュベートされる、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
脂質溶液はアルコールを含まない、請求項1~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
脂質溶液は1つまたはそれ以上のコレステロール系脂質をさらに含む、請求項1~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
mRNA-LNPはタンジェンシャルフローフィルトレーションによって精製される、請求項1~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
mRNA-LNPは150nm未満、100nm未満、80nm未満、60nm未満、または40nm未満の平均径を有する、請求項1~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
mRNA-LNPは40~70nmの範囲の平均径を有する、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
脂質ナノ粒子は約0.3未満、約0.2未満、約0.18未満、約0.15未満、約0.1未満のPDIを有する、請求項1~36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
mRNA-LNPの封入効率は約70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%超である、請求項1~37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
mRNA-LNPは1~10の間のN/P比を有する、請求項1~38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
mRNA-LNPは2~6の間のN/P比を有する、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
mRNA-LNPは約4のN/P比を有する、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
mRNA 5gもしくはそれ以上、10gもしくはそれ以上、20gもしくはそれ以上、50gもしくはそれ以上、100gもしくはそれ以上、または1kgもしくはそれ以上は単一バッチで脂質ナノ粒子に封入される、請求項1~41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
mRNA溶液と脂質溶液はパルスレスフローポンプによって混合される、請求項1~42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
ポンプはギアポンプである、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
ポンプは遠心ポンプである、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
mRNA溶液は、約150~250ml/分、250~500ml/分、500~1000ml/分、1000~2000ml/分、2000~3000ml/分、3000~4000ml/分、または4000~5000ml/分の範囲の流量で混合される、請求項1~45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
mRNA溶液は、約800ml/分、約1000ml/分、または約12000ml/分の流量で混合される、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
脂質溶液は、約25~75ml/分、約75~200ml/分、約200~350ml/分、約350~500ml/分、約500~650ml/分、約650~850ml/分、または約850~1000ml/分の範囲の流量で混合される、請求項1~47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
脂質溶液は、約100ml/分、約150ml/分、約200ml/分、約250ml/分、約300ml/分、約350ml/分の流量で混合される、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
mRNA溶液の流量は脂質溶液の流量より2倍、4倍、または6倍大きい、請求項46~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
mRNAは揮発性有機化合物を含まない方法で精製される、請求項1~50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
mRNAはアルコールを含まない方法で精製される、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
組成物であって、請求項1~52のいずれか1項に記載の方法によって製造された脂質ナノ粒子に封入されたmRNAを含む組成物。
【請求項54】
mRNA 5gもしくはそれ以上、10gもしくはそれ以上、20gもしくはそれ以上、50gもしくはそれ以上、100gもしくはそれ以上、または1kgもしくはそれ以上を含む、請求項53に記載の組成物。
【請求項55】
mRNAは1つまたはそれ以上の修飾ヌクレオチドを含む、請求項53または54に記載の組成物。
【請求項56】
mRNAは未修飾である、請求項51または52に記載の組成物。
【請求項57】
mRNAは約0.5kb、1kb、2kb、3kb、4kb、5kb、8kb、10kb、20kb、30kbまたは40kb超である、請求項53~56のいずれか1項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その開示全体を参照によって本明細書に組み入れる、2020年5月15日に出願された米国仮特許出願第63/025,355号の利益および優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
メッセンジャーRNA(mRNA)治療は、様々な疾患を処置するためのますます重要なアプローチになっている。メッセンジャーRNA治療は、治療を必要とする患者の体内でmRNAによってコードされるタンパク質を産生するための、メッセンジャーRNAの患者への投与を伴う。脂質ナノ粒子(LNP)組成物などの脂質に封入されたmRNA製剤は、高程度の細胞取り込みおよびタンパク質発現を示す。脂質ナノ粒子製剤は、その後にmRNA溶液と混合される脂質溶液用の溶媒としてエタノールを伝統的に使用する。
【0003】
しかしながら、エタノールなどの可燃性溶媒の使用は、安全上のリスクを高め、特に大規模用途において製造コストを増加させる。さらに、投薬により適しており、下流処理容量およびコストを減少させる低容量LNP製剤はまた、溶媒としてエタノールを使用して得るのが現在困難である。低容量LNP製剤はまた、他の投与経路、例えば、皮下または筋肉内を含むためのベッドサイド混合を可能にするので、望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
治療的使用における効率的な送達のための高いmRNA封入効率を有する安定で、安全で、費用対効果が高いエタノールフリーLNP製剤が必要とされている。本発明は、とりわけ、治療用途におけるメッセンジャーRNA送達ための高い封入効率を有するLNPをもたらす、可燃性溶媒を使用しない、mRNAを脂質ナノ粒子に封入する安定で、安全で、費用対効果が高い方法を提供する。一態様では、本発明は、大規模製造プロセスのためのより安全でより費用対効果が高い方法を提供する。別の態様では、本発明は、製造における下流処理を減少させるだけでなく、投薬ならびに皮下および筋肉内を含む複数の投与経路を容易にするベッドサイド混合にも適した低容量のLNP製剤を製造する方法を提供する。本発明は、両親媒性ポリマーの存在下でのmRNA溶液と脂質溶液の混合により、LNP製剤溶液中でLNP内に封入されたmRNA(mRNA-LNP)が形成されるという驚くべき発見に基づく。本発明は、とりわけ、mRNA搭載脂質ナノ粒子を含む組成物を製造する安全で、効率的で、費用対効果が高い方法を提供する。
【0005】
一態様では、本発明は、メッセンジャーRNA(mRNA)を脂質ナノ粒子(LNP)に封入する方法であって、(a)1つまたはそれ以上のmRNAを含むmRNA溶液を(b)1つまたはそれ以上のカチオン性脂質、1つまたはそれ以上の非カチオン性脂質、および1つまたはそれ以上のPEG修飾脂質を含む脂質溶液と混合する工程を含み、mRNA溶液と脂質溶液を混合する工程は、両親媒性ポリマーの存在下で混合して、LNP製剤溶液中でLNP内に封入されたmRNA(mRNA-LNP)を形成することを含む、方法を提供する。一部の実施形態では、脂質溶液は3つの脂質成分を含む。一部の実施形態では、脂質溶液は4つの脂質成分を含む。特定の実施形態では、脂質溶液の4つの脂質成分は、PEG修飾脂質、カチオン性脂質(例えば、ML-2またはMC-3)、コレステロール、およびヘルパー(例えば、非カチオン性)脂質(例えば、DSPCまたはDOPE)である。
【0006】
一部の実施形態では、両親媒性ポリマーは、pluronic、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール(PEG)、またはこれらの組合せを含む。したがって、一部の実施形態では、両親媒性ポリマーはpluronicを含む。一部の実施形態では、両親媒性ポリマーはポリビニルピロリドンを含む。一部の実施形態では、両親媒性ポリマーはポリエチレングリコールを含む。
【0007】
一部の実施形態では、PEGはトリエチレングリコールモノメチルエーテル(mTEG)である。一部の実施形態では、PEGはメトキシポリエチレングリコール(mPEG)である。一部の実施形態では、PEGはテトラエチレングリコールモノメチルエーテルである。一部の実施形態では、PEGはペンタエチレングリコールモノメチルエーテルである。一部の実施形態では、PEGは、mTEG、mPEG、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、および/またはペンタエチレングリコールモノメチルエーテルの組合せである。
【0008】
一部の実施形態では、mRNA溶液と脂質溶液を混合する工程は25%体積/体積超の濃度のPEGをもたらす。
【0009】
一部の実施形態では、mRNA溶液と脂質溶液を混合する工程は約50%体積/体積の濃度のPEGを含む。一部の実施形態では、mRNA溶液と脂質溶液を混合する工程は約45%体積/体積の濃度のPEGを含む。一部の実施形態では、mRNA溶液と脂質溶液を混合する工程は約40%体積/体積の濃度のPEGを含む。一部の実施形態では、mRNA溶液と脂質溶液を混合する工程は約35%体積/体積の濃度のPEGを含む。一部の実施形態では、mRNA溶液と脂質溶液を混合する工程は約30%体積/体積の濃度のPEGを含む。一部の実施形態では、mRNA溶液と脂質溶液を混合する工程は約25%体積/体積の濃度のPEGを含む。一部の実施形態では、mRNA溶液と脂質溶液を混合する工程は約20%体積/体積の濃度のPEGを含む。一部の実施形態では、mRNA溶液と脂質溶液を混合する工程は約15%体積/体積の濃度のPEGを含む。一部の実施形態では、mRNA溶液と脂質溶液を混合する工程は約10%体積/体積の濃度のPEGを含む。一部の実施形態では、mRNA溶液と脂質溶液を混合する工程は約5%体積/体積の濃度のPEGを含む。一部の実施形態では、mRNA溶液と脂質溶液を混合する工程は約1%体積/体積の濃度のPEGを含む。特定の実施形態では、PEGはmTEGである。mRNA-LNP製剤中のmTEGの特に適切な最終濃度は約55~65%体積/体積、例えば約50%体積/体積である。実施例に示されるように、mTEGのこの最終濃度は、mRNA溶解度および安定性を維持し、処理容量減少および大規模での製剤の容易な製造を可能にする。
【0010】
一部の実施形態では、mRNA溶液は5mM未満のシトレートを含み、mRNA-LNPは60%超の封入効率を有する。一部の実施形態では、mRNA溶液は5mM未満のシトレートを含み、mRNA-LNPは70%超の封入効率を有する。一部の実施形態では、mRNA溶液は5mM未満のシトレートを含み、mRNA-LNPは80%超の封入効率を有する。一部の実施形態では、mRNA溶液は5mM未満のシトレートを含み、mRNA-LNPは90%超の封入効率を有する。一部の実施形態では、mRNA溶液は5mM未満のシトレートを含み、mRNA-LNPは95%超の封入効率を有する。一部の実施形態では、mRNA溶液は5mM未満のシトレートを含み、mRNA-LNPは99%超の封入効率を有する。
【0011】
一部の実施形態では、mRNA溶液および/または脂質溶液はほぼ周囲温度である。
【0012】
一部の実施形態では、周囲温度は約35℃未満である。一部の実施形態では、周囲温度は約32℃未満である。一部の実施形態では、周囲温度は約30℃未満である。一部の実施形態では、周囲温度は約28℃未満である。一部の実施形態では、周囲温度は約26℃未満である。一部の実施形態では、周囲温度は約25℃未満である。一部の実施形態では、周囲温度は約24℃未満である。一部の実施形態では、周囲温度は約23℃未満である。一部の実施形態では、周囲温度は約22℃未満である。一部の実施形態では、周囲温度は約21℃未満である。一部の実施形態では、周囲温度は約20℃未満である。一部の実施形態では、周囲温度は約19℃未満である。一部の実施形態では、周囲温度は約18℃未満である。一部の実施形態では、周囲温度は約16℃未満である。
【0013】
一部の実施形態では、周囲温度は約15~35℃の範囲である。一部の実施形態では、周囲温度は約16~32℃の範囲である。一部の実施形態では、周囲温度は約17~30℃の範囲である。一部の実施形態では、周囲温度は約18~30℃の範囲である。一部の実施形態では、周囲温度は約18~32℃の範囲である。一部の実施形態では、周囲温度は約20~28℃の範囲である。一部の実施形態では、周囲温度は約20~26℃の範囲である。一部の実施形態では、周囲温度は約20~25℃の範囲である。一部の実施形態では、周囲温度は約23~25℃の範囲である。一部の実施形態では、周囲温度は約21~24℃の範囲である。一部の実施形態では、周囲温度は約21~23℃の範囲である。一部の実施形態では、周囲温度は約21~26℃の範囲である。
【0014】
一部の実施形態では、周囲温度は約16℃である。一部の実施形態では、周囲温度は約18℃である。一部の実施形態では、周囲温度は約20℃である。一部の実施形態では、周囲温度は約21℃である。一部の実施形態では、周囲温度は約22℃である。一部の実施形態では、周囲温度は約23℃である。一部の実施形態では、周囲温度は約24℃である。一部の実施形態では、周囲温度は約25℃である。一部の実施形態では、周囲温度は約26℃である。一部の実施形態では、周囲温度は約27℃である。一部の実施形態では、周囲温度は約28℃である。一部の実施形態では、周囲温度は約30℃である。一部の実施形態では、周囲温度は約31℃である。一部の実施形態では、周囲温度は約32℃である。一部の実施形態では、周囲温度は約35℃である。
【0015】
一部の実施形態では、1つまたはそれ以上の非カチオン性脂質はジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)から選択される。一部の実施形態では、1つまたはそれ以上の非カチオン性脂質はジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)である。一部の実施形態では、1つまたはそれ以上の非カチオン性脂質はジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)である。一部の実施形態では、1つまたはそれ以上の非カチオン性脂質はジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)である。一部の実施形態では、1つまたはそれ以上の非カチオン性脂質はジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)である。一部の実施形態では、1つまたはそれ以上の非カチオン性脂質はジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)である。一部の実施形態では、1つまたはそれ以上の非カチオン性脂質はパルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)である。一部の実施形態では、1つまたはそれ以上の非カチオン性脂質はパルミトイルオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(POPE)である。一部の実施形態では、1つまたはそれ以上の非カチオン性脂質はジオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン4-(N-マレイミドメチル)-シクロヘキサン-l-カルボキシレート(DOPE-mal)である。一部の実施形態では、1つまたはそれ以上の非カチオン性脂質はジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)である。一部の実施形態では、1つまたはそれ以上の非カチオン性脂質はジミリストイルホスホエタノールアミン(DMPE)である。一部の実施形態では、1つまたはそれ以上の非カチオン性脂質はジステアロイル-ホスファチジル-エタノールアミン(DSPE)である。一部の実施形態では、1つまたはそれ以上の非カチオン性脂質はホスファチジルセリンである。一部の実施形態では、1つまたはそれ以上の非カチオン性脂質はスフィンゴ脂質である。一部の実施形態では、1つまたはそれ以上の非カチオン性脂質はセレブロシドである。一部の実施形態では、1つまたはそれ以上の非カチオン性脂質はガングリオシドである。一部の実施形態では、1つまたはそれ以上の非カチオン性脂質は16-O-モノメチルPEである。一部の実施形態では、1つまたはそれ以上の非カチオン性脂質は16-O-ジメチルPEである。一部の実施形態では、1つまたはそれ以上の非カチオン性脂質は18-1-トランスPEである。一部の実施形態では、1つまたはそれ以上の非カチオン性脂質はl-ステアロイル-2-オレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(SOPE)である。
【0016】
一部の実施形態では、mRNA溶液はトレハロースをさらに含む。一部の実施形態では、mRNA溶液は20%トレハロースを含む。一部の実施形態では、mRNA溶液は15%トレハロースを含む。一部の実施形態では、mRNA溶液は10%トレハロースを含む。一部の実施形態では、mRNA溶液は5%トレハロースを含む。
【0017】
一部の実施形態では、本方法は、混合工程の前にmRNA溶液と脂質溶液を加熱する工程を要さない。
【0018】
一部の実施形態では、mRNA溶液は、mRNA溶液12L当たりmRNA約1g超を含む。一部の実施形態では、mRNA溶液は、mRNA溶液10L当たりmRNA約1g超を含む。一部の実施形態では、mRNA溶液は、mRNA溶液8L当たりmRNA約1gを含む。一部の実施形態では、mRNA溶液は、mRNA溶液6L当たりmRNA約1g超を含む。一部の実施形態では、mRNA溶液は、mRNA溶液4L当たりmRNA約1gを含む。一部の実施形態では、mRNA溶液は、mRNA溶液2L当たりmRNA約1gを含む。一部の実施形態では、mRNA溶液は、mRNA溶液1L当たりmRNA約1g超を含む。
【0019】
一部の実施形態では、mRNA溶液中のmRNAの濃度は約0.05mg/mL超である。一部の実施形態では、mRNA溶液中のmRNAの濃度は約0.1mg/mL超である。一部の実施形態では、mRNA溶液中のmRNAの濃度は約0.125mg/mL超である。一部の実施形態では、mRNA溶液中のmRNAの濃度は約0.25mg/mL超である。一部の実施形態では、mRNA溶液中のmRNAの濃度は約0.5mg/mL超である。一部の実施形態では、mRNA溶液中のmRNAの濃度は約1.0mg/mL超である。一部の実施形態では、mRNA溶液中のmRNAの濃度は約1.5mg/mL超である。一部の実施形態では、mRNA溶液中のmRNAの濃度は約2.0mg/mL超である。一部の実施形態では、mRNA溶液中のmRNAの濃度は約0.05mg/mL~約0.5mg/mLの間である。特定の実施形態では、mRNA溶液中のmRNAの濃度は約0.1mg/mL~約0.5mg/mLの間、例えば約0.1mg/mLまたは約0.35mg/mLである。
【0020】
一部の実施形態では、mRNA溶液と脂質溶液は1:1~10:1の間の比(v/v)で混合される。一部の実施形態では、mRNA溶液と脂質溶液は2:1~6:1の間の比(v/v)で混合される。一部の実施形態では、mRNA溶液と脂質溶液は約2:1の比(v/v)で混合される。一部の実施形態では、mRNA溶液と脂質溶液は約3:1の比(v/v)で混合される。一部の実施形態では、mRNA溶液と脂質溶液は約4:1の比(v/v)で混合される。一部の実施形態では、mRNA溶液と脂質溶液は約5:1の比(v/v)で混合される。一部の実施形態では、mRNA溶液と脂質溶液は約6:1の比(v/v)で混合される。一部の実施形態では、mRNA溶液と脂質溶液は約2:1超の比(v/v)で混合される。一部の実施形態では、mRNA溶液と脂質溶液は約3:1超の比(v/v)で混合される。一部の実施形態では、mRNA溶液と脂質溶液は約4:1超の比(v/v)で混合される。一部の実施形態では、mRNA溶液と脂質溶液は約5:1超の比(v/v)で混合される。一部の実施形態では、mRNA溶液と脂質溶液は約6:1超の比(v/v)で混合される。一部の実施形態では、mRNA溶液と脂質溶液(例えば、約100% mTEG脂質溶液)は1~8:1、例えば1~4:1の比(v/v)で混合される。特定の実施形態では、mRNA溶液と脂質溶液(例えば、約100% mTEG脂質溶液)は約1:1の比(v/v)で混合される。実施例に示されるように、mRNA溶液と脂質溶液のこの比は、mRNA溶解度および安定性を維持し、処理容量減少および大規模での製剤の容易な製造を可能にする。
【0021】
一部の実施形態では、mRNA溶液は2.5~5.5の間のpHを有する。一部の実施形態では、mRNA溶液は3.0~5.0の間のpHを有する。一部の実施形態では、mRNA溶液は3.5~4.5の間のpHを有する。一部の実施形態では、mRNA溶液は約3.0のpHを有する。一部の実施形態では、mRNA溶液は約3.5のpHを有する。一部の実施形態では、mRNA溶液は約4.0のpHを有する。一部の実施形態では、mRNA溶液は約4.5のpHを有する。一部の実施形態では、mRNA溶液は約5.0のpHを有する。一部の実施形態では、mRNA溶液は約5.5のpHを有する。
【0022】
一部の実施形態では、混合の工程は約3~10mLの間の総容量で行われる。一部の実施形態では、混合の工程は約1~10mLの間の総容量で行われる。一部の実施形態では、混合の工程は約1~15mLの間の総容量で行われる。一部の実施形態では、混合の工程は約1mLの総容量で行われる。一部の実施形態では、混合の工程は約2mLの総容量で行われる。一部の実施形態では、混合の工程は約3mLの総容量で行われる。一部の実施形態では、混合の工程は約4mLの総容量で行われる。一部の実施形態では、混合の工程は約5mLの総容量で行われる。一部の実施形態では、混合の工程は約6mLの総容量で行われる。一部の実施形態では、混合の工程は約7mLの総容量で行われる。一部の実施形態では、混合の工程は約8mLの総容量で行われる。一部の実施形態では、混合の工程は約9mLの総容量で行われる。一部の実施形態では、混合の工程は約10mLの総容量で行われる。一部の実施形態では、混合の工程は約12mLの総容量で行われる。一部の実施形態では、混合の工程は約13mLの総容量で行われる。一部の実施形態では、混合の工程は約14mLの総容量で行われる。一部の実施形態では、混合の工程は約15mLの総容量で行われる。
【0023】
一部の実施形態では、本方法はアルコールを含まない。
【0024】
一部の実施形態では、本方法はmRNA-LNPをインキュベートする工程をさらに含む。一部の実施形態では、本方法は混合後にmRNA-LNPをインキュベートする工程をさらに含む。一部の実施形態では、mRNA-LNPは21℃~65℃の間の温度でインキュベートされる。一部の実施形態では、mRNA-LNPは25℃~60℃の間の温度でインキュベートされる。一部の実施形態では、mRNA-LNPは30℃~55℃の間の温度でインキュベートされる。一部の実施形態では、mRNA-LNPは35℃~50℃の間の温度でインキュベートされる。一部の実施形態では、mRNA-LNPは約26℃の温度でインキュベートされる。一部の実施形態では、mRNA-LNPは約30℃の温度でインキュベートされる。一部の実施形態では、mRNA-LNPは約31℃の温度でインキュベートされる。一部の実施形態では、mRNA-LNPは約32℃の温度でインキュベートされる。一部の実施形態では、mRNA-LNPは約35℃の温度でインキュベートされる。一部の実施形態では、mRNA-LNPは約36℃の温度でインキュベートされる。一部の実施形態では、mRNA-LNPは約38℃の温度でインキュベートされる。一部の実施形態では、mRNA-LNPは約40℃の温度でインキュベートされる。一部の実施形態では、mRNA-LNPは約42℃の温度でインキュベートされる。一部の実施形態では、mRNA-LNPは約45℃の温度でインキュベートされる。一部の実施形態では、mRNA-LNPは約50℃の温度でインキュベートされる。一部の実施形態では、mRNA-LNPは約55℃の温度でインキュベートされる。一部の実施形態では、mRNA-LNPは約60℃の温度でインキュベートされる。一部の実施形態では、mRNA-LNPは約65℃の温度でインキュベートされる。
【0025】
一部の実施形態では、mRNA-LNPは約20分間超インキュベートされる。一部の実施形態では、mRNA-LNPは約30分間超インキュベートされる。一部の実施形態では、mRNA-LNPは約40分間超インキュベートされる。一部の実施形態では、mRNA-LNPは約50分間超インキュベートされる。一部の実施形態では、mRNA-LNPは約60分間超インキュベートされる。一部の実施形態では、mRNA-LNPは約70分間超インキュベートされる。一部の実施形態では、mRNA-LNPは約80分間超インキュベートされる。一部の実施形態では、mRNA-LNPは約90分間超インキュベートされる。一部の実施形態では、mRNA-LNPは約100分間超インキュベートされる。一部の実施形態では、mRNA-LNPは約120分間超インキュベートされる。一部の実施形態では、mRNA-LNPは約30分間インキュベートされる。一部の実施形態では、mRNA-LNPは約40分間インキュベートされる。一部の実施形態では、mRNA-LNPは約50分間インキュベートされる。一部の実施形態では、mRNA-LNPは約60分間インキュベートされる。一部の実施形態では、mRNA-LNPは約70分間インキュベートされる。一部の実施形態では、mRNA-LNPは約80分間インキュベートされる。一部の実施形態では、mRNA-LNPは約90分間インキュベートされる。一部の実施形態では、mRNA-LNPは約100分間インキュベートされる。一部の実施形態では、mRNA-LNPは約120分間インキュベートされる。一部の実施形態では、mRNA-LNPは約150分間インキュベートされる。一部の実施形態では、mRNA-LNPは約180分間インキュベートされる。
【0026】
一部の実施形態では、脂質溶液はアルコールを含まない。
【0027】
一部の実施形態では、脂質溶液は1つまたはそれ以上のコレステロール系脂質をさらに含む。
【0028】
一部の実施形態では、mRNA-LNPはタンジェンシャルフローフィルトレーションによって精製される。
【0029】
一部の実施形態では、mRNA-LNPは200nm未満の平均径を有する。一部の実施形態では、mRNA-LNPは150nm未満の平均径を有する。一部の実施形態では、mRNA-LNPは100nm未満の平均径を有する。一部の実施形態では、mRNA-LNPは95nm未満の平均径を有する。一部の実施形態では、mRNA-LNPは90nm未満の平均径を有する。一部の実施形態では、mRNA-LNPは85nm未満の平均径を有する。一部の実施形態では、mRNA-LNPは80nm未満の平均径を有する。一部の実施形態では、mRNA-LNPは75nm未満の平均径を有する。一部の実施形態では、mRNA-LNPは70nm未満の平均径を有する。一部の実施形態では、mRNA-LNPは65nm未満の平均径を有する。一部の実施形態では、mRNA-LNPは60nm未満の平均径を有する。一部の実施形態では、mRNA-LNPは55nm未満の平均径を有する。一部の実施形態では、mRNA-LNPは50nm未満の平均径を有する。一部の実施形態では、mRNA-LNPは45nm未満の平均径を有する。一部の実施形態では、mRNA-LNPは40nm未満の平均径を有する。一部の実施形態では、mRNA-LNPは35nm未満の平均径を有する。一部の実施形態では、mRNA-LNPは35nm~65nmの範囲の平均径を有する。一部の実施形態では、mRNA-LNPは40~70nmの範囲の平均径を有する。一部の実施形態では、mRNA-LNPは40nm~60nmの範囲の平均径を有する。一部の実施形態では、mRNA-LNPは45nm~55nmの範囲の平均径を有する。
【0030】
一部の実施形態では、脂質ナノ粒子は約0.3未満のPDIを有する。一部の実施形態では、脂質ナノ粒子は約0.2未満のPDIを有する。一部の実施形態では、脂質ナノ粒子は約0.18未満のPDIを有する。一部の実施形態では、脂質ナノ粒子は約0.15未満のPDIを有する。一部の実施形態では、脂質ナノ粒子は約0.12未満のPDIを有する。一部の実施形態では、脂質ナノ粒子は約0.10未満のPDIを有する。
【0031】
一部の実施形態では、mRNA-LNPの封入効率は約60%超である。一部の実施形態では、mRNA-LNPの封入効率は約65%超である。一部の実施形態では、mRNA-LNPの封入効率は約70%超である。一部の実施形態では、mRNA-LNPの封入効率は約75%超である。一部の実施形態では、mRNA-LNPの封入効率は約80%超である。一部の実施形態では、mRNA-LNPの封入効率は約85%超である。一部の実施形態では、mRNA-LNPの封入効率は約90%超である。一部の実施形態では、mRNA-LNPの封入効率は約95%超である。一部の実施形態では、mRNA-LNPの封入効率は約96%超である。一部の実施形態では、mRNA-LNPの封入効率は約97%超である。一部の実施形態では、mRNA-LNPの封入効率は約98%超である。一部の実施形態では、mRNA-LNPの封入効率は約99%超である。
【0032】
一部の実施形態では、mRNA-LNPは1~10の間のN/P比を有する。一部の実施形態では、mRNA-LNPは2~6の間のN/P比を有する。一部の実施形態では、mRNA-LNPは約4のN/P比を有する。一部の実施形態では、mRNA溶液と脂質溶液は1~10の間のN/P比で混合される。一部の実施形態では、mRNA溶液と脂質溶液は2~6の間のN/P比で混合される。一部の実施形態では、mRNA溶液と脂質溶液は約2のN/P比で混合される。一部の実施形態では、mRNA溶液と脂質溶液は約4のN/P比で混合される。一部の実施形態では、mRNA溶液と脂質溶液は約6のN/P比で混合される。特定の実施形態では、mRNA溶液と脂質溶液は約4のN/P比で混合される。実施例に示されるように、このようなN/P比は治療的使用に適した径および封入効率のLNPをもたらした。
【0033】
一部の実施形態では、mRNA 5gまたはそれ以上は単一バッチで脂質ナノ粒子に封入される。一部の実施形態では、mRNA 10gまたはそれ以上は単一バッチで脂質ナノ粒子に封入される。一部の実施形態では、mRNA 15gまたはそれ以上は単一バッチで脂質ナノ粒子に封入される。一部の実施形態では、mRNA 20gまたはそれ以上は単一バッチで脂質ナノ粒子に封入される。一部の実施形態では、mRNA 25gまたはそれ以上は単一バッチで脂質ナノ粒子に封入される。一部の実施形態では、mRNA 30gまたはそれ以上は単一バッチで脂質ナノ粒子に封入される。一部の実施形態では、mRNA 40gまたはそれ以上は単一バッチで脂質ナノ粒子に封入される。一部の実施形態では、mRNA 50gまたはそれ以上は単一バッチで脂質ナノ粒子に封入される。一部の実施形態では、mRNA 75gまたはそれ以上は単一バッチで脂質ナノ粒子に封入される。一部の実施形態では、mRNA 100gまたはそれ以上は単一バッチで脂質ナノ粒子に封入される。一部の実施形態では、mRNA 150gまたはそれ以上は単一バッチで脂質ナノ粒子に封入される。一部の実施形態では、mRNA 200gまたはそれ以上は単一バッチで脂質ナノ粒子に封入される。一部の実施形態では、mRNA 250gまたはそれ以上は単一バッチで脂質ナノ粒子に封入される。一部の実施形態では、mRNA 500gまたはそれ以上は単一バッチで脂質ナノ粒子に封入される。一部の実施形態では、mRNA 750gまたはそれ以上は単一バッチで脂質ナノ粒子に封入される。一部の実施形態では、mRNA 1kgまたはそれ以上は単一バッチで脂質ナノ粒子に封入される。一部の実施形態では、mRNA 5kgまたはそれ以上は単一バッチで脂質ナノ粒子に封入される。一部の実施形態では、mRNA 10kgまたはそれ以上は単一バッチで脂質ナノ粒子に封入される。
【0034】
一部の実施形態では、mRNA溶液と脂質溶液はパルスレスフローポンプによって混合される。一部の実施形態では、ポンプはギアポンプである。一部の実施形態では、ポンプは遠心ポンプである。
【0035】
一部の実施形態では、mRNA溶液は、約150~250ml/分、250~500ml/分、500~1000ml/分、1000~2000ml/分、2000~3000ml/分、3000~4000ml/分、4000~5000ml/分、6000~8000ml/分、8000~10000ml/分または10000~12000ml/分の範囲の流量で混合される。
【0036】
一部の実施形態では、mRNA溶液は、約100ml/分、約200ml/分、約500ml/分、約800ml/分、約1000ml/分、約1200ml/分、約2000ml/分、約3000ml/分、約4000ml/分、約5000ml/分、約6000ml/分、約8000ml/分、約10000ml/分、約12000ml/分、または約15000ml/分の流量で混合される。
【0037】
一部の実施形態では、mRNA溶液は約100ml/分の流れで混合される。一部の実施形態では、mRNA溶液は約200ml/分の流れで混合される。一部の実施形態では、mRNA溶液は約400ml/分の流れで混合される。一部の実施形態では、mRNA溶液は約500ml/分の流れで混合される。一部の実施形態では、mRNA溶液は約600ml/分の流れで混合される。一部の実施形態では、mRNA溶液は約800ml/分の流れで混合される。一部の実施形態では、mRNA溶液は約1000ml/分の流れで混合される。一部の実施形態では、mRNA溶液は約1200ml/分の流れで混合される。一部の実施形態では、mRNA溶液は約1400ml/分の流れで混合される。一部の実施形態では、mRNA溶液は約1600ml/分の流れで混合される。一部の実施形態では、mRNA溶液は約1800ml/分の流れで混合される。一部の実施形態では、mRNA溶液は約2000ml/分の流れで混合される。一部の実施形態では、mRNA溶液は約2400ml/分の流れで混合される。一部の実施形態では、mRNA溶液は約3000ml/分の流れで混合される。一部の実施形態では、mRNA溶液は約4000ml/分の流れで混合される。一部の実施形態では、mRNA溶液は約5000ml/分の流れで混合される。一部の実施形態では、mRNA溶液は約6000ml/分の流れで混合される。一部の実施形態では、mRNA溶液は約7000ml/分の流れで混合される。一部の実施形態では、mRNA溶液は約8000ml/分の流れで混合される。一部の実施形態では、mRNA溶液は約9000ml/分の流れで混合される。一部の実施形態では、mRNA溶液は約10000ml/分の流れで混合される。一部の実施形態では、mRNA溶液は約12000ml/分の流れで混合される。一部の実施形態では、mRNA溶液は約15000ml/分の流れで混合される。
【0038】
一部の実施形態では、脂質溶液は、約25~75ml/分、約75~200ml/分、約200~350ml/分、約350~500ml/分、約500~650ml/分、約650~850ml/分、または約850~1000ml/分の範囲の流量で混合される。一部の実施形態では、脂質溶液は、約50ml/分、約100ml/分、約150ml/分、約200ml/分、約250ml/分、約300ml/分、約350ml/分、約400ml/分、約450ml/分、約500ml/分、約550ml/分、約600ml/分、約650ml/分、約700ml/分、約750ml/分、約800ml/分、約850ml/分、約900ml/分、約950ml/分、約1000ml/分、約1200ml/分、または約1500ml/分の流量で混合される。
【0039】
一部の実施形態では、mRNA溶液の流量は脂質溶液の流量と同じである。一部の実施形態では、mRNA溶液の流量は脂質溶液の流量より2倍大きい。一部の実施形態では、mRNA溶液の流量は脂質溶液の流量より3倍大きい。一部の実施形態では、mRNA溶液の流量は脂質溶液の流量より4倍大きい。一部の実施形態では、mRNA溶液の流量は脂質溶液の流量より4.5倍大きい。一部の実施形態では、mRNA溶液の流量は脂質溶液の流量より5倍大きい。一部の実施形態では、mRNA溶液の流量は脂質溶液の流量より5.5倍大きい。一部の実施形態では、mRNA溶液の流量は脂質溶液の流量より6倍大きい。一部の実施形態では、mRNA溶液の流量は脂質溶液の流量より8倍大きい。一部の実施形態では、mRNA溶液の流量は脂質溶液の流量より10倍大きい。
【0040】
一部の実施形態では、脂質ナノ粒子に封入されたmRNAを含む組成物は本方法によって製造される。
【0041】
一部の実施形態では、組成物はmRNA 1gまたはそれ以上を含む。一部の実施形態では、組成物はmRNA 5gまたはそれ以上を含む。一部の実施形態では、組成物はmRNA 10gまたはそれ以上を含む。一部の実施形態では、組成物はmRNA 15gまたはそれ以上を含む。一部の実施形態では、組成物はmRNA 20gまたはそれ以上を含む。一部の実施形態では、組成物はmRNA 25gまたはそれ以上を含む。一部の実施形態では、組成物はmRNA 50gまたはそれ以上を含む。一部の実施形態では、組成物はmRNA 75gまたはそれ以上を含む。一部の実施形態では、組成物はmRNA 100gまたはそれ以上を含む。一部の実施形態では、組成物はmRNA 125gまたはそれ以上を含む。一部の実施形態では、組成物はmRNA 150gまたはそれ以上を含む。一部の実施形態では、組成物はmRNA 250gまたはそれ以上を含む。一部の実施形態では、組成物はmRNA 500gまたはそれ以上を含む。一部の実施形態では、組成物はmRNA 1kgまたはそれ以上を含む。
【0042】
一部の実施形態では、mRNAは1つまたはそれ以上の修飾ヌクレオチドを含む。
【0043】
一部の実施形態では、mRNAは未修飾である。
【0044】
一部の実施形態では、mRNAは約0.5kb超である。一部の実施形態では、mRNAは約1kb超である。一部の実施形態では、mRNAは約2kb超である。一部の実施形態では、mRNAは約3kb超である。一部の実施形態では、mRNAは約4kb超である。一部の実施形態では、mRNAは約5kb超である。一部の実施形態では、mRNAは約6kb超である。一部の実施形態では、mRNAは約8kb超である。一部の実施形態では、mRNAは約10kb超である。一部の実施形態では、mRNAは約20kb超である。一部の実施形態では、mRNAは約30kb超である。一部の実施形態では、mRNAは約40kb超である。一部の実施形態では、mRNAは約50kb超である。
【0045】
一部の実施形態では、脂質溶液は4つの脂質成分を含む。一部の実施形態では、脂質溶液は、PEG修飾脂質、カチオン性脂質(例えば、ML-2またはMC-3)、ヘルパー(例えば、非カチオン性)脂質(例えば、DSPCまたはDOPE)、および場合によりコレステロールを含む。一部の実施形態では、LNP中のカチオン性脂質と非カチオン性脂質とコレステロール系脂質とPEG修飾脂質の比は35~55:5~35:20~40:1~15である。特定の実施形態では、溶媒としてmTEG(例えば、100% mTEG)を含む脂質溶液とmRNAの水溶液(例えば、クエン酸緩衝液)は1:1~4(例えば、約1:1)の容量比で混合され、mRNAの最終濃度は約0.05~0.5mg/mLであり、LNP中のカチオン性脂質と非カチオン性脂質とコレステロール系脂質とPEG修飾脂質の比は35~55:25~35:20~40:1~15(例えば、約40:30:25:5)であり、結果としてカチオン性脂質とmRNAのN/P比は約2~6(例えば、約4)である。実施例に示されるように、これらの製造は、適切なmRNA-LNP径および封入効率を確保するので、本発明の製剤に使用するのに特に適している。さらに、高い脂質およびmRNA濃度を有するこのようなmRNA-LNP製剤は、処理容量を減少させ、それによって、製造における処理の容易さを増加させるのに有利である。
【0046】
一部の実施形態では、mRNAは、少量の揮発性有機化合物を使用して、または揮発性有機化合物を使用しないで精製される。一部の実施形態では、mRNAは揮発性有機化合物を含まない方法で精製される。一部の実施形態では、mRNAはアルコールを含まない方法で精製される。一部の実施形態では、mRNAはイソプロピルアルコールフリーの方法を使用して精製される。一部の実施形態では、mRNAはベンジルアルコールフリーの方法を使用して精製される。
【0047】
一部の実施形態では、mRNAは揮発性有機化合物を含まない方法で精製およびLNPに封入される。一部の実施形態では、mRNAはアルコールを含まない方法で精製およびLNPに封入される。一部の実施形態では、mRNAは揮発性有機化合物を含まない方法でLNPに封入される。一部の実施形態では、mRNAはアルコールを含まない方法でLNPに封入される。
【0048】
本発明の他の機能、目的、および利点は、以下の詳細な説明、図面および特許請求の範囲で明らかである。しかしながら、詳細な説明、図面、および特許請求の範囲は、本発明の実施形態を示しているが、単なる例として与えられるものであって、限定として与えられるものではないことが理解されるべきである。本発明の範囲内の様々な変更および修正が当業者に明らかになるだろう。
【0049】
以下の図面は例示目的のためのものにすぎず、限定のためのものではない。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】エタノールフリー製剤(すなわち、mTEG)に封入された、またはエタノール含有製剤に封入されたホタルルシフェラーゼ(FFL)mRNA-LNPを投与されたマウスからの平均放射輝度p/秒/cm
2/srを示すグラフである。さらに、データはまた、高容量(1:4脂質溶液対mRNA溶液)または低容量(1:1脂質溶液対mRNA溶液)で製造された製剤から得られたデータを示す。
【
図2】エタノールフリー製剤(すなわち、mTEG)に封入されたオルニチントランスカルバミラーゼ(OTC) mRNA-LNPを投与されたマウスからの総タンパク質の総OTC(ng/mg)を示すグラフである。データはまた、高容量(1:4脂質溶液対mRNA溶液)または低容量(1:1脂質溶液対mRNA溶液)で製造された製剤から得られたデータを示す。
【発明を実施するための形態】
【0051】
定義
本発明がより容易に理解されるようにするために、ある特定の用語をまず以下に定義する。以下の用語および他の用語についての追加の定義は本明細書を通して示される。本発明の背景を説明し、その実施に関する追加の詳細を提供するために本明細書で参照される刊行物および他の参考資料は参照によって本明細書に組み入れる。
【0052】
「またはそれ以上」、「少なくとも」、「超」などの用語、例えば「少なくとも1つ」は、それだけに限らないが、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149もしくは150、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000、3000、4000、5000または言及される値超を含むと理解される。いずれのより大きな数またはその間の分数も含まれる。
【0053】
逆に、「以下」という用語は、言及される値未満の各値を含む。例えば、「100ヌクレオチド以下」は、100、99、98、97、96、95、94、93、92、91、90、89、88、87、86、85、84、83、82、81、80、79、78、77、76、75、74、73、72、71、70、69、68、67、66、65、64、63、62、61、60、59、58、57、56、55、54、53、52、51、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、および0ヌクレオチドを含む。いずれのより小さな数またはその間の分数も含まれる。
【0054】
「複数」、「少なくとも2つ」、「2つまたはそれ以上」、「少なくとも第2の」などの用語は、それだけに限らないが、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149もしくは150、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000、3000、4000、5000またはそれ以上を含むと理解される。いずれのより大きな数またはその間の分数も含まれる。
【0055】
アミノ酸:本明細書で使用される場合、「アミノ酸」という用語は、最も広義の意味で、ポリペプチド鎖に組み込まれる任意の化合物および/または物質を指す。一部の実施形態では、アミノ酸は一般構造H2N-C(H)(R)-COOHを有する。一部の実施形態では、アミノ酸は天然に存在するアミノ酸である。一部の実施形態では、アミノ酸は合成アミノ酸であり;一部の実施形態では、アミノ酸はd-アミノ酸であり;一部の実施形態では、アミノ酸はl-アミノ酸である。「標準アミノ酸」は、天然に存在するペプチドに一般的に見られる20種の標準l-アミノ酸のいずれかを指す。「非標準アミノ酸」は、合成的に製造されるか、天然の供給源から得られるかにかかわらず、標準アミノ酸以外の任意のアミノ酸を指す。本明細書で使用される場合、「合成アミノ酸」は、それだけに限らないが、塩、アミノ酸誘導体(アミドなど)、および/または置換を含む化学修飾アミノ酸を包含する。ペプチド中のカルボキシ-および/またはアミノ末端アミノ酸を含むアミノ酸は、メチル化、アミド化、アセチル化、保護基、および/またはその活性に悪影響を及ぼすことなくペプチドの循環半減期を変化させることができる他の化学基による置換によって修飾される。アミノ酸はジスルフィド結合に参加することができる。アミノ酸は、1つまたはそれ以上の化学実体(例えば、メチル基、酢酸基、アセチル基、リン酸基、ホルミル部分、イソプレノイド基、硫酸基、ポリエチレングリコール部分、脂質部分、炭水化物部分、ビオチン部分等)との会合などの1つまたはそれ以上の翻訳後修飾を含むことができる。「アミノ酸」という用語は、「アミノ酸残基」と互換的に使用され、遊離アミノ酸および/またはペプチドのアミノ酸残基を指す。この用語が遊離アミノ酸を指すか、ペプチドの残基を指すかは、この用語が使用される文脈から明らかになる。
【0056】
動物:本明細書で使用される場合、「動物」という用語は、動物界の任意のメンバーを指す。一部の実施形態では、「動物」は、任意の発達段階のヒトを指す。一部の実施形態では、「動物」は、任意の発達段階の非ヒト動物を指す。ある特定の実施形態では、非ヒト動物は、哺乳動物(例えば、齧歯類、マウス、ラット、ウサギ、サル、イヌ、ネコ、ヒツジ、ウシ、霊長類、および/またはブタ)である。一部の実施形態では、動物は、それだけに限らないが、哺乳動物、鳥類、爬虫類、両生類、魚類、昆虫、および/または虫を含む。一部の実施形態では、動物は、トランスジェニック動物、遺伝子組換え動物、および/またはクローンである。
【0057】
およそまたは約:本明細書で使用される場合、「およそ」または「約」という用語は、目的の1つまたはそれ以上の値に適用される場合、言及される参照値に類似の値を指す。ある特定の実施形態では、「およそ」または「約」という用語は、言及される値の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%、0.01%、または0.001%以内であることを指す。文脈から特に明らかでない限り、本明細書で提供される全ての数値は、「およそ」または「約」という用語によって修飾される。
【0058】
バッチ:本明細書で使用される場合、「バッチ」という用語は、例えば、同じ製造サイクル中に単一製造順序に従って精製される、一度に精製されるmRNAの含量または量を指す。バッチは、一反応で精製されるmRNAの量を指すことができる。
【0059】
生物学的に活性:本明細書で使用される場合、「生物学的に活性」という句は、生物系において、特に生物において活性を有する任意の薬剤の特徴を指す。例えば、生物に投与されると、その生物に生物学的効果を及ぼす薬剤は生物学的に活性と考えられる。
【0060】
含む:本明細書で使用される場合、「含む(comprising)」という用語、または「含む(comprises)」もしくは「含んでいる(comprising)」などの変形は、言及される要素、整数もしくは工程、または要素、整数もしくは工程の群の包含を意味するが、任意の他の要素、整数もしくは工程、または要素、整数もしくは工程の群の排除を意味するものではないと理解される。
【0061】
合わせる:本明細書で使用される場合、「合わせる」という用語は、混合するまたはブレンドすると互換的に使用される。合わせるは、別個の特性を有する離散的LNP粒子を同じ溶液にまとめる、例えば、mRNA-LNPと空のLNPを合わせて、mRNA-LNP組成物を得ることを指す。一部の実施形態では、2つのLNPを合わせることが、合わせられる成分の特定の比で実施される。一部の実施形態では、合わせることから得られた結果として生じる組成物は、その成分のいずれか一方または両方と異なる特性を有する。
【0062】
送達:本明細書で使用される場合、「送達」という用語は、局所送達と全身送達の両方を包含する。例えば、mRNAの送達は、mRNAが標的組織に送達され、コードされるタンパク質が発現されて標的組織内に保持される状況(「局所分配」または「局所送達」とも呼ばれる)、およびmRNAが標的組織に送達され、コードされるタンパク質が発現されて患者の循環系(例えば、血清)内に分泌され、全身に分配され、他の組織によって取り込まれる状況(「全身分配」または「全身送達」とも呼ばれる)を包含する。一部の実施形態では、送達は、例えば噴霧を含む、肺送達である。
【0063】
dsRNA:本明細書で使用される場合、「dsRNA」という用語は、インビトロ転写(IVT)反応中の相補的RNA配列の産生を指す。相補的RNA配列は、例えば、新生RNA鎖中の相補的配列にハイブリダイズすることができる短い中断転写産物、RNA依存性DNA非依存性RNA転写のためのプライマーとして作用する短い中断転写産物、および考えられるRNAポリメラーゼ鋳型反転を含む様々な理由のために産生される。
【0064】
効能:本明細書で使用される場合、「効能」という用語、または文法上同等物は、関連するタンパク質またはペプチドをコードするmRNAの送達に関連する、生物学的に関連するエンドポイントの改善を指す。
【0065】
封入:本明細書で使用される場合、「封入」という用語、またはその文法上同等物は、核酸分子をナノ粒子内に閉じ込めるプロセスを指す。
【0066】
発現:本明細書で使用される場合、核酸配列の「発現」は、mRNAのポリペプチド(例えば、抗体の重鎖または軽鎖)への翻訳、複数のポリペプチド(例えば、抗体の重鎖または軽鎖)のインタクトタンパク質(例えば、抗体)への組み立て、および/またはポリペプチドもしくは完全に組み立てられたタンパク質(例えば、抗体)の翻訳後修飾を指す。本出願において、「発現」および「産生」という用語、ならびに文法上同等物は互換的に使用される。
【0067】
機能的:本明細書で使用される場合、「機能的」生物学的分子は、それによって特徴付けられる特性および/または活性を示す形態の生物学的分子である。
【0068】
改善する、増加させる、または減少させる:本明細書で使用される場合、「改善する」、「増加させる」もしくは「減少させる」という用語、または文法上同等物は、本明細書に記載される処置の開始前の同じ個体における測定値、または本明細書に記載される処置の非存在下の対照となる対象(または複数の対照となる対象)における測定値などの、ベースライン測定値に対する値を示す。「対照となる対象」は、処置される対象とほぼ同じ年齢の、処置される対象と同じ形態の疾患に罹患している対象である。
【0069】
不純物:本明細書で使用される場合、「不純物」という用語は、標的材料または化合物の化学組成とは異なる、限られた量の液体、気体、または固体内部の物質を指す。不純物は、「汚染物質」とも呼ばれる。
【0070】
インビトロ:本明細書で使用される場合、「インビトロ」という用語は、多細胞生物内ではなく、人工的な環境、例えば、試験管または反応容器、細胞培養物等で起こるイベントを指す。
【0071】
インビボ:本明細書で使用される場合、「インビボ」という用語は、ヒトおよび非ヒト動物などの多細胞生物内で起こるイベントを指す。細胞系の文脈においては、この用語は、生細胞内で起こるイベントを指すために使用される(例えば、インビトロ系と対照的に)。
【0072】
単離された:本明細書で使用される場合、「単離された」という用語は、(1)(天然および/または実験設定のいずれにせよ)最初に産生された際に会合していた成分の少なくとも一部から分離された、ならびに/または(2)人の手によって産生、製造、および/もしくは製作された、物質および/または実体を指す。単離された物質および/または実体は、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約99%超のこれらが最初に会合していた他の成分から分離される。一部の実施形態では、単離された薬剤が、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約99%超純粋である。本明細書で使用される場合、物質は、他の成分を実質的に含まない場合に、「純粋」である。本明細書で使用される場合、単離された物質および/または実体のパーセント純度の計算は賦形剤(例えば、緩衝剤、溶媒、水等)を含むべきでない。
【0073】
リポソーム:本明細書で使用される場合、「リポソーム」という用語は、任意の層状、多層状、または固体ナノ粒子小胞を指す。典型的には、リポソームは、本明細書で使用される場合、1つもしくはそれ以上の脂質を混合することによって、または1つもしくはそれ以上の脂質とポリマーを混合することによって形成される。一部の実施形態では、本発明に適したリポソームは、カチオン性脂質および場合により非カチオン性脂質、場合によりコレステロール系脂質、および/または場合によりPEG修飾脂質を含有する。
【0074】
局所分配または送達:本明細書で使用される場合、「局所分配」、「局所送達」という用語、または文法上同等物は、組織特異的送達または分配を指す。典型的には、局所分配または送達は、mRNAによってコードされるペプチドまたはタンパク質(例えば、酵素)が、患者の循環系に入るのを回避する細胞内でまたは限られた分泌で翻訳および発現されることを要する。
【0075】
メッセンジャーRNA(mRNA):本明細書で使用される場合、「メッセンジャーRNA(mRNA)」という用語は、少なくとも1つのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを指す。mRNAは、本明細書で使用される場合、修飾RNAと未修飾RNAの両方を包含する。mRNAは、1つまたはそれ以上のコード領域および非コード領域を含有する。mRNAは、天然供給源から精製する、組換え発現系を使用して産生し、場合により精製する、化学的に合成すること等が可能である。適切な場合、例えば化学的に合成した分子の場合には、mRNAは、化学修飾塩基または糖、骨格修飾等を有する類似体などのヌクレオシド類似体を含むことができる。mRNA配列は、特に指示しない限り、5’から3’方向に提示される。一部の実施形態では、mRNAは、天然ヌクレオシド(例えば、アデノシン、グアノシン、シチジン、ウリジン);ヌクレオシド類似体(例えば、2-アミノアデノシン、2-チオチミジン、イノシン、ピロロ-ピリミジン、3-メチルアデノシン、5-メチルシチジン、C-5プロピニル-シチジン、C-5プロピニル-ウリジン、2-アミノアデノシン、C5-ブロモウリジン、C5-フルオロウリジン、C5-ヨードウリジン、C5-プロピニル-ウリジン、C5-プロピニル-シチジン、C5-メチルシチジン、2-アミノアデノシン、7-デアザアデノシン、7-デアザグアノシン、8-オキソアデノシン、8-オキソグアノシン、O(6)-メチルグアニン、2-チオシチジン、シュードウリジン、および5-メチルシチジン);化学修飾塩基;生物修飾塩基(例えば、メチル化塩基);挿入塩基;修飾糖(例えば、2’-フルオロリボース、リボース、2’-デオキシリボース、アラビノース、およびヘキソース);および/または修飾リン酸基(例えば、ホスホロチオエートおよび5’-N-ホスホロアミダイト結合)であるか、またはこれらを含む。
【0076】
mRNA完全性:本明細書で使用される場合、「mRNA完全性」という用語は、一般的に、mRNAの質を指す。一部の実施形態では、mRNA完全性は、精製プロセス後に分解されていないmRNAのパーセンテージを指す。mRNA完全性は、当技術分野で周知の方法を使用して、例えば、RNAアガロースゲル電気泳動によって決定される(例えば、Ausubelら、John Weley&Sons,Inc.、1997、Current Protocols in Molecular Biology)。
【0077】
N/P比:本明細書で使用される場合、「N/P比」という用語は、脂質ナノ粒子内に封入されたmRNA中の負に帯電した分子単位に対するその脂質ナノ粒子中のカチオン性脂質中の正に帯電した分子単位のモル比を指す。よって、N/P比は、典型的には脂質ナノ粒子内に封入されたmRNA中のリン酸基のモルに対するその脂質ナノ粒子中のカチオン性脂質中のアミン基のモルの比として計算される。例えば、mRNA 1mol当たり4倍モル過剰のカチオン性脂質は約4の「N/P比」と呼ばれる。
【0078】
核酸:本明細書で使用される場合、「核酸」という用語は、最も広義の意味で、ポリヌクレオチド鎖に組み込まれるか、または組み込むことができる任意の化合物および/または物質を指す。一部の実施形態では、核酸は、ホスホジエステル結合を介してポリヌクレオチド鎖に組み込まれるか、または組み込むことができる化合物および/または物質である。一部の実施形態では、「核酸」は、個々の核酸残基(例えば、ヌクレオチドおよび/またはヌクレオシド)を指す。一部の実施形態では、「核酸」は、個々の核酸残基を含むポリヌクレオチド鎖を指す。一部の実施形態では、「核酸」は、RNAならびに一本鎖および/または二本鎖DNAおよび/またはcDNAを包含する。さらに、「核酸」、「DNA」、「RNA」という用語、および/または同様の用語は、核酸類似体、すなわち、ホスホジエステル骨格以外を有する類似体を含む。例えば、当技術分野で公知であり、骨格中にホスホジエステル結合の代わりにペプチド結合を有する、いわゆる「ペプチド核酸」は本発明の範囲内にあると考えられる。「アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列」という用語は、互いの縮重バージョンである、および/または同じアミノ酸配列をコードする全てのヌクレオチド配列を含む。タンパク質をコードするヌクレオチド配列および/またはRNAはイントロンを含む。核酸は、天然供給源から精製する、組換え発現系を使用して産生し、場合により精製する、化学合成すること等が可能である。適切な場合、例えば化学的に合成した分子の場合には、核酸は、化学修飾塩基または糖、骨格修飾等を有する類似体などのヌクレオシド類似体を含むことができる。核酸配列は、特に指示しない限り、5’から3’方向に提示される。一部の実施形態では、核酸は、天然ヌクレオシド(例えば、アデノシン、チミジン、グアノシン、シチジン、ウリジン、デオキシアデノシン、デオキシチミジン、デオキシグアノシン、およびデオキシシチジン);ヌクレオシド類似体(例えば、2-アミノアデノシン、2-チオチミジン、イノシン、ピロロ-ピリミジン、3-メチルアデノシン、5-メチルシチジン、C-5プロピニル-シチジン、C-5プロピニル-ウリジン、2-アミノアデノシン、C5-ブロモウリジン、C5-フルオロウリジン、C5-ヨードウリジン、C5-プロピニル-ウリジン、C5-プロピニル-シチジン、C5-メチルシチジン、2-アミノアデノシン、7-デアザアデノシン、7-デアザグアノシン、8-オキソアデノシン、8-オキソグアノシン、O(6)-メチルグアニン、および2-チオシチジン);化学修飾塩基;生物修飾塩基(例えば、メチル化塩基);挿入塩基;修飾糖(例えば、2’-フルオロリボース、リボース、2’-デオキシリボース、アラビノース、およびヘキソース);および/または修飾リン酸基(例えば、ホスホロチオエートおよび5’-N-ホスホロアミダイト結合)であるか、またはこれらを含む。一部の実施形態では、本発明は、具体的には、送達を容易にするまたは達成するために化学的に修飾されていない核酸(例えば、ヌクレオチドおよび/またはヌクレオシドを含む、ポリヌクレオチドおよび残基)を意味する「未修飾核酸」に関する。
【0079】
患者:本明細書で使用される場合、「患者」または「対象」という用語は、提供される組成物を、例えば、実験、診断、予防、化粧、および/または治療目的で投与することができる任意の生物を指す。典型的な患者には、動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長類、および/またはヒトなどの哺乳動物)が含まれる。一部の実施形態では、患者がヒトである。ヒトには、出生前および出生後形態が含まれる。
【0080】
薬学的に許容される:「薬学的に許容される」という用語は、本明細書で使用される場合、信頼できる医学的判断の範囲内で、合理的なベネフィット/リスク比と釣り合って、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症なしに、ヒトおよび動物の組織と接触して使用するのに適した物質を指す。
【0081】
薬学的に許容される塩:薬学的に許容される塩は当技術分野で周知である。例えば、S.M.Bergeらは、J.Pharmaceutical Sciences(1977)66:1~19において薬学的に許容される塩を詳細に記載している。本発明の化合物の薬学的に許容される塩には、適切な無機および有機酸ならびに塩基から誘導されるものが含まれる。薬学的に許容される、非毒性の酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸および過塩素酸などの無機酸により、または酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸もしくはマロン酸などの有機酸により、またはイオン交換などの当技術分野で使用される他の方法を使用することによって形成されるアミノ基の塩である。他の薬学的に許容される塩には、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが含まれる。適切な塩基から誘導される塩には、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩およびN+(C1~4アルキル)4塩が含まれる。代表的なアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩には、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが含まれる。さらなる薬学的に許容される塩には、適切な場合、非毒性アンモニウム、第四級アンモニウム、ならびにハライド、ヒドロキシド、カルボキシレート、サルフェート、ホスフェート、ニトレート、スルホネートおよびアリールスルホネートなどの対イオンを使用して形成されるアミンカチオンが含まれる。さらなる薬学的に許容される塩には、適切な求電子試薬、例えばハロゲン化アルキルを使用してアミンを四級化して、四級化アルキル化アミノ塩を形成することから形成される塩が含まれる。
【0082】
沈殿:本明細書で使用される場合、「沈殿」という用語(またはその任意の文法上同等物)は、溶液中での固体の形成を指す。mRNAに関連して使用される場合、「沈殿」という用語は、液体中での不溶性または固体形態のmRNAの形成を指す。
【0083】
早期中断RNA配列:「早期中断RNA配列」、「短い中断RNA種」、「ショートマー(shortmer)」、および「長い中断RNA種」という用語は、本明細書で使用される場合、mRNA合成反応(例えば、インビトロ合成反応)の不完全な産物を指す。様々な理由のために、RNAポリメラーゼがDNA鋳型の転写をいつも完了するとは限らない;例えば、RNA合成が早期に終結する。RNA合成の早期終結の考えられる原因としては、DNA鋳型の質、鋳型中に存在する特定のポリメラーゼについてのポリメラーゼ終結配列、分解緩衝液、温度、リボヌクレオチドの枯渇、およびmRNA二次構造が挙げられる。早期中断RNA配列は、所望の転写産物の意図した長さより短い任意の長さである。例えば、早期中断mRNA配列は、1000塩基未満、500塩基未満、100塩基未満、50塩基未満、40塩基未満、30塩基未満、20塩基未満、15塩基未満、10塩基未満またはそれ以下である。
【0084】
塩:本明細書で使用される場合、「塩」という用語は、酸と塩基との間の中和反応から生じるか、または生じることができるイオン性化合物を指す。
【0085】
全身分配または送達:本明細書で使用される場合、「全身分配」、「全身送達」という用語、または文法上同等物は、全身または生物全体に影響を及ぼす送達または分配の機序またはアプローチを指す。典型的には、全身分配または送達は、体の循環系、例えば血流を介して達成される。「局所分配または送達」の定義と比較されたい。
【0086】
対象:本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、ヒトまたは任意の非ヒト動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウマまたは霊長類)を指す。ヒトには、出生前および出生後形態が含まれる。多くの実施形態では、対象はヒトである。対象は、疾患の診断または処置のために医療提供者にかかっているヒトを指す患者であることができる。「対象」という用語は、本明細書において、「個体」または「患者」と互換的に使用される。対象は、疾患または障害に罹患することができるか、またはかかりやすいが、疾患または障害の症状を示していても、示していなくてもよい。
【0087】
実質的に:本明細書で使用される場合、「実質的に」という用語は、目的の特徴または特性の全部または全部に近い程度または度合いを示す定量的状態を指す。生物分野の当業者であれば、生物および化学現象が、完了するおよび/または完了まで進行するまたは絶対的な結果を達成するもしくは回避することがあったとしてもまれであることを理解するだろう。したがって、「実質的に」という用語は、多くの生物および化学現象に固有の完全性の潜在的な欠如をとらえるために本明細書で使用される。
【0088】
実質的に含まない:本明細書で使用される場合、「実質的に含まない」という用語は、除去される物質(例えば、早期中断RNA配列)が比較的わずかな量しかまたは全く存在しない状態を指す。例えば、「早期中断RNA配列を実質的に含まない」は、早期中断RNA配列がおよそ5%、4%、3%、2%、1.0%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%未満またはそれ以下(w/w)の不純物のレベルで存在することを意味する。あるいは、「早期中断RNA配列を実質的に含まない」は、早期中断RNA配列が約100ng、90ng、80ng、70ng、60ng、50ng、40ng、30ng、20ng、10ng、1ng、500pg、100pg、50pg、10pg未満、またはそれ以下のレベルで存在することを意味する。
【0089】
標的組織:本明細書で使用される場合、「標的組織」という用語は、処置される疾患に罹患している任意の組織を指す。一部の実施形態では、標的組織は、疾患に関連する病態、症状、または機能を示す組織を含む。
【0090】
治療上有効量:本明細書で使用される場合、治療剤の「治療上有効量」という用語は、疾患、障害、および/または状態に罹患しているまたはかかりやすい対象に投与した場合に、疾患、障害、および/または状態の症状を処置する、診断する、予防する、および/またはその発症を遅延させるのに十分な量を意味する。治療上有効量は、典型的には少なくとも1単位用量を含む投薬レジメンを介して投与されることが当業者によって認識されよう。
【0091】
処置すること:本明細書で使用される場合、「処置する」、「処置」、または「処置すること」という用語は、特定の疾患、障害、および/または状態の1つまたは複数の症状または機能を部分的または完全に軽減する、改善する、緩和する、阻害する、予防する、その発症を遅延させる、その重症度を減少させる、および/またはその発生を減少させるために使用される任意の方法を指す。処置は、疾患に関連する病態を発症するリスクを減らす目的で、疾患の徴候を示していない、および/または疾患の早期徴候のみを示す対象に投与することができる。
【0092】
収率:本明細書で使用される場合、「収率」という用語は、出発物質としての全mRNAと比較した封入後に回収されたmRNAのパーセンテージを指す。一部の実施形態では、「回収率」という用語が「収率」という用語と互換的に使用される。
【0093】
特に定義しない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本出願が属する分野の当業者によって一般的に理解され、本出願が属する分野で一般的に使用されるのと同じ意味を有する;このような技術全体を参照によって組み入れる。矛盾する場合には、定義を含む本明細書が優先する。
【0094】
詳細な説明
本発明は、とりわけ、製剤にエタノールも他の可燃性の溶媒も使用しない、脂質ナノ粒子に封入されたmRNAを含む製剤のための方法および組成物を提供する。したがって、本開示は、治療的使用のための効率的なmRNA送達のための高いmRNA封入効率を有する安定で、安全で、費用対効果が高いエタノールフリーLNP製剤を作製および使用する方法を提供する。
【0095】
本発明の様々な態様を以下の節に詳細に説明する。節の使用は本発明を限定することを意図するものではない。各節を本発明の任意の態様に適用することができる。本出願では、「または」の使用は、特に明記しない限り「および/または」を意味する。
【0096】
mRNAを封入したリポソーム(mRNA-LNP)
本明細書に開示されるmRNAを脂質ナノ粒子に封入する方法は、当技術分野で現在公知の様々な技術に適用することができる。様々な方法は、米国特許出願公開第2011/0244026号、米国特許出願公開第2016/0038432号、米国特許出願公開第2018/0153822号、米国特許出願公開第2018/0125989号および2019年7月23日に出願された米国仮特許出願第62/877,597号に記載されており、本発明を実施するために使用することができ、これらの全てを参照によって本明細書に組み入れる。mRNAを封入する慣用的な方法は、方法Aとしても知られる、米国特許出願公開第2016/0038432号に記載される、脂質を脂質ナノ粒子に最初に事前形成することなく、mRNAを脂質の混合物と混合する工程を含む。あるいは、米国特許出願公開第2018/0153822号に記載される、事前形成脂質ナノ粒子をmRNAと混合することによってメッセンジャーRNA(mRNA)を封入する別の方法は、方法Bとして知られている。
【0097】
核酸を送達するために、高い封入効率を達成することが、原薬(例えば、mRNA)を保護し、インビボでの活性の喪失を減少させるために重要である。よって、mRNAによってコードされるタンパク質またはペプチドの発現およびその治療効果の増強はmRNA封入効率と高度に相関している。
【0098】
方法Aを使用して高い封入効率を達成するために、方法は、典型的には、10mMクエン酸緩衝液中溶液の1つまたはそれ以上を加熱するかまたはこれに熱を加えて、周囲温度より高い温度を達成するかまたはこれを維持することを含む。米国特許出願公開第2016/0038432号に記載されるように、1つまたはそれ以上の溶液を加熱することにより、mRNA封入効率および回収率が増加する。さらに、方法Aは、典型的には、mRNAおよび/または脂質溶液中に緩衝剤として10~100mMシトレートを含む。あるいは、mRNA溶液中低濃度のシトレート(すなわち、5mM以下)を使用することによって、混合前にmRNAおよび/または脂質溶液を加熱しない方法で、高い封入率を達成することができる。
【0099】
mRNA溶液
様々な方法を使用して本発明に適したmRNA溶液を製造することができる。一部の実施形態では、mRNAを本明細書に記載される緩衝液に直接溶解することができる。一部の実施形態では、mRNA溶液は、mRNAストック溶液を封入用の脂質溶液と混合する前に緩衝液と混合することによって作製することができる。一部の実施形態では、mRNA溶液は、mRNAストック溶液を封入用の脂質溶液と混合する直前に緩衝液と混合することによって作製することができる。一部の実施形態では、適切なmRNAストック溶液は、約0.2mg/ml、0.4mg/ml、0.5mg/ml、0.6mg/ml、0.8mg/ml、1.0mg/ml、1.2mg/ml、1.4mg/ml、1.5mg/ml、もしくは1.6mg/ml、2.0mg/ml、2.5mg/ml、3.0mg/ml、3.5mg/ml、4.0mg/ml、4.5mg/ml、もしくは5.0mg/mlまたはそれを超える濃度で水中にmRNAを含有することができる。一部の実施形態では、適切なmRNAストック溶液は、約1mg/ml、約10mg/ml、約50mg/ml、もしくは約100mg/mlまたはそれを超える濃度でmRNAを含有する。一部の実施形態では、mRNAストック溶液は、約0.05mg/mL~約0.5mg/mLの間の濃度で水中にmRNAを含有する。特定の実施形態では、mRNAストック溶液は、約0.1mg/mL~約0.5mg/mL、例えば約0.1mg/mLまたは約0.35mg/mLの濃度で水中にmRNAを含有する。
【0100】
典型的には、適切なmRNA溶液は、緩衝剤および/または塩を含有することもできる。一般的に、緩衝剤は、HEPES、硫酸アンモニウム、重炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸カリウムおよびリン酸ナトリウムを含むことができる。一部の実施形態では、緩衝剤の適切な濃度は、約0.1mM~100mM、0.5mM~90mM、1.0mM~80mM、2mM~70mM、3mM~60mM、4mM~50mM、5mM~40mM、6mM~30mM、7mM~20mM、8mM~15mM、または9~12mMの範囲であることができる。一部の実施形態では、緩衝剤の適切な濃度は、2.0mM~4.0mMの範囲であることができる。
【0101】
一部の実施形態では、緩衝液は約5mM未満のシトレートを含む。一部の実施形態では、緩衝液は約3mM未満のシトレートを含む。一部の実施形態では、緩衝液は約1mM未満のシトレートを含む。一部の実施形態では、緩衝液は約0.5mM未満のシトレートを含む。一部の実施形態では、緩衝液は約0.25mM未満のシトレートを含む。一部の実施形態では、緩衝液は約0.1mM未満のシトレートを含む。一部の実施形態では、緩衝液はシトレートを含まない。
【0102】
例示的な塩には、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、および塩化カリウムが含まれる。一部の実施形態では、mRNA溶液中の塩の適切な濃度は、約1mM~500mM、5mM~400mM、10mM~350mM、15mM~300mM、20mM~250mM、30mM~200mM、40mM~190mM、50mM~180mM、50mM~170mM、50mM~160mM、50mM~150mM、または50mM~100mMの範囲であることができる。適切なmRNA溶液中の塩濃度は、約1mM、5mM、10mM、20mM、30mM、40mM、50mM、60mM、70mM、80mM、90mM、もしくは100mMである、またはそれを超える。
【0103】
一部の実施形態では、緩衝液は約300mM NaClを含む。一部の実施形態では、緩衝液は約200mM NaClを含む。一部の実施形態では、緩衝液は約175mM NaClを含む。一部の実施形態では、緩衝液は約150mM NaClを含む。一部の実施形態では、緩衝液は約100mM NaClを含む。一部の実施形態では、緩衝液は約75mM NaClを含む。一部の実施形態では、緩衝液は約50mM NaClを含む。一部の実施形態では、緩衝液は約25mM NaClを含む。
【0104】
一部の実施形態では、適切なmRNA溶液は、約3.5~6.5、3.5~6.0、3.5~5.5、3.5~5.0、3.5~4.5、4.0~5.5、4.0~5.0、4.0~4.9、4.0~4.8、4.0~4.7、4.0~4.6、または4.0~4.5の範囲のpHを有することができる。一部の実施形態では、適切なmRNA溶液は、約3.5、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.2、5.4、5.6、5.8、6.0、6.1、6.3、および6.5またはそれ以下のpHを有することができる。
【0105】
一部の実施形態は、緩衝液は約5.0のpHを有する。一部の実施形態では、緩衝液は約4.8のpHを有する。一部の実施形態では、緩衝液は約4.7のpHを有する。一部の実施形態では、緩衝液は約4.6のpHを有する。一部の実施形態では、緩衝液は約4.5のpHを有する。一部の実施形態では、緩衝液は約4.4のpHを有する。一部の実施形態では、緩衝液は約4.3のpHを有する。一部の実施形態では、緩衝液は約4.2のpHを有する。一部の実施形態では、緩衝液は約4.1のpHを有する。一部の実施形態では、緩衝液は約4.0のpHを有する。一部の実施形態では、緩衝液は約3.9のpHを有する。一部の実施形態では、緩衝液は約3.8のpHを有する。一部の実施形態では、緩衝液は約3.7のpHを有する。一部の実施形態では、緩衝液は約3.6のpHを有する。一部の実施形態では、緩衝液は約3.5のpHを有する。一部の実施形態では、緩衝液は約3.4のpHを有する。
【0106】
一部の実施形態では、mRNAストック溶液はポンプを使用して緩衝液と混合される。例示的なポンプには、それだけに限らないが、パルスレスフローポンプ、ギアポンプ、蠕動ポンプおよび遠心ポンプが含まれる。
【0107】
典型的には、緩衝液は、mRNAストック溶液の流量を超える流量で混合される。例えば、緩衝液は、mRNAストック溶液の流量より少なくとも1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、または20倍大きい流量で混合される。一部の実施形態では、緩衝液は、約100~6000ml/分(例えば、約100~300ml/分、300~600ml/分、600~1200ml/分、1200~2400ml/分、2400~3600ml/分、3600~4800ml/分、4800~6000ml/分、または60~420ml/分)の間の範囲の流量で混合される。一部の実施形態では、緩衝液は、約60ml/分、100ml/分、140ml/分、180ml/分、220ml/分、260ml/分、300ml/分、340ml/分、380ml/分、420ml/分、480ml/分、540ml/分、600ml/分、1200ml/分、2400ml/分、3600ml/分、4800ml/分、もしくは6000ml/分またはそれを超える流量で混合される。
【0108】
一部の実施形態では、mRNAストック溶液は、約10~600ml/分(例えば、約5~50ml/分、約10~30ml/分、約30~60ml/分、約60~120ml/分、約120~240ml/分、約240~360ml/分、約360~480ml/分、または約480~600ml/分)の間の範囲の流量で混合される。一部の実施形態では、mRNAストック溶液は、約5ml/分、10ml/分、15ml/分、20ml/分、25ml/分、30ml/分、35ml/分、40ml/分、45ml/分、50ml/分、60ml/分、80ml/分、100ml/分、200ml/分、300ml/分、400ml/分、500ml/分、もしくは600ml/分またはそれを超える流量で混合される。
【0109】
一部の実施形態では、mRNAストック溶液は、約10~30ml/分、約30~60ml/分、約60~120ml/分、約120~240ml/分、約240~360ml/分、約360~480ml/分、または約480~600ml/分の間の範囲の流量で混合される。一部の実施形態では、mRNAストック溶液は、約20ml/分、約40ml/分、約60ml/分、約80ml/分、約100ml/分、約200ml/分、約300ml/分、約400ml/分、約500ml/分、または約600ml/分の流量で混合される。
【0110】
一部の実施形態では、mRNA溶液は周囲温度である。一部の実施形態では、mRNA溶液は約20~25℃の温度である。一部の実施形態では、mRNA溶液は約21~23℃の温度である。一部の実施形態では、mRNA溶液は脂質溶液と混合する前に加熱されない。一部の実施形態では、mRNA溶液は周囲温度で維持される。
【0111】
脂質溶液
本発明によると、脂質溶液は、mRNAを封入するための脂質ナノ粒子を形成するのに適した脂質の混合物を含有する。本発明によると、一部の実施形態では、適切な脂質溶液は、エタノールも、イソプロパノールも、任意の他の可燃性有機溶媒も含有しない。
【0112】
適切な脂質溶液は、様々な濃度で所望の脂質の混合物を含有することができる。例えば、適切な脂質溶液は、約0.1mg/ml、0.5mg/ml、1.0mg/ml、2.0mg/ml、3.0mg/ml、4.0mg/ml、5.0mg/ml、6.0mg/ml、7.0mg/ml、8.0mg/ml、9.0mg/ml、10mg/ml、15mg/ml、20mg/ml、30mg/ml、40mg/ml、50mg/ml、もしくは100mg/mlまたはそれを超える総濃度で所望の脂質の混合物を含有することができる。一部の実施形態では、適切な脂質溶液は、約0.1~100mg/ml、0.5~90mg/ml、1.0~80mg/ml、1.0~70mg/ml、1.0~60mg/ml、1.0~50mg/ml、1.0~40mg/ml、1.0~30mg/ml、1.0~20mg/ml、1.0~15mg/ml、1.0~10mg/ml、1.0~9mg/ml、1.0~8mg/ml、1.0~7mg/ml、1.0~6mg/ml、または1.0~5mg/mlの範囲の総濃度で所望の脂質の混合物を含有することができる。一部の実施形態では、適切な脂質溶液は、最大約100mg/ml、90mg/ml、80mg/ml、70mg/ml、60mg/ml、50mg/ml、40mg/ml、30mg/ml、20mg/ml、または10mg/mlの総濃度で所望の脂質の混合物を含有することができる。
【0113】
任意の所望の脂質を、mRNAを封入するのに適した任意の比で混合することができる。一部の実施形態では、適切な脂質溶液は、カチオン性脂質、ヘルパー脂質(例えば、非カチオン性脂質および/またはコレステロール脂質)、両親媒性ブロックコポリマー(例えば、ポロキサマー)および/またはPEG化脂質を含む所望の脂質の混合物を含有する。一部の実施形態では、適切な脂質溶液は、1つまたはそれ以上のカチオン性脂質、1つまたはそれ以上のヘルパー脂質(例えば、非カチオン性脂質および/またはコレステロール脂質)および1つまたはそれ以上のPEG化脂質を含む所望の脂質の混合物を含有する。一部の実施形態では、脂質溶液は3つの脂質成分を含む。一部の実施形態では、脂質溶液は4つの脂質成分を含む。特定の実施形態では、脂質溶液の3つまたは4つの脂質成分は、PEG修飾脂質、カチオン性脂質(例えば、ML-2またはMC-3)、ヘルパー(例えば、非カチオン性)脂質(例えば、DSPCまたはDOPE)、および場合によりコレステロールである。
【0114】
一部の実施形態では、脂質溶液は周囲温度である。一部の実施形態では、脂質溶液は約20~25℃の温度である。一部の実施形態では、脂質溶液は約21~23℃の温度である。一部の実施形態では、脂質溶液は脂質溶液と混合する前に加熱されない。一部の実施形態では、脂質溶液は周囲温度で維持される。
【0115】
ある特定の実施形態では、提供される組成物は、mRNAがリポソームの両表面上に会合されており、同リポソーム内に封入されているリポソームを含む。例えば、本発明の組成物の製造中、カチオン性リポソームは、静電的相互作用を通してmRNAと会合することができる。
【0116】
一部の実施形態では、本発明の組成物および方法はリポソームに封入されたmRNAを含む。一部の実施形態では、1つまたはそれ以上のmRNA種は同じリポソームに封入される。一部の実施形態では、1つまたはそれ以上のmRNA種は異なるリポソームに封入される。一部の実施形態では、mRNAは、その脂質組成、脂質成分のモル比、径、電荷(ゼータ電位)、標的化リガンドおよび/またはこれらの組合せが異なる1つまたはそれ以上のリポソームに封入される。一部の実施形態では、1つまたはそれ以上のリポソームは、ステロール系カチオン性脂質、中性脂質、PEG修飾脂質および/またはこれらの組合せの異なる組成を有することができる。一部の実施形態では、1つまたはそれ以上のリポソームは、リポソームを作製するために使用されるコレステロール系カチオン性脂質、中性脂質、およびPEG修飾脂質の異なるモル比を有することができる。
【0117】
封入方法
本明細書で使用される場合、mRNA搭載脂質ナノ粒子(mRNA-LNP)を形成する方法は、「mRNA封入」という用語またはその文法上同等物と互換的に使用される。一部の実施形態では、mRNA-LNPは、mRNA溶液を脂質溶液と混合することによって形成され、mRNA溶液および/または脂質溶液は混合する前に周囲温度で維持される。
【0118】
一部の実施形態では、mRNA溶液および脂質溶液は、mRNAが脂質ナノ粒子に封入されるように、溶液に混合される。このような溶液は製剤または封入溶液とも呼ばれる。
【0119】
一部の実施形態では、例えば、本発明によるエタノールを含まないLNP製剤を、エタノールなどの溶媒を含む従来のエタノールLNP製剤または封入溶液と比較することができる。溶媒としてエタノールを使用した以前のLNP製剤では、製剤は約10%~40%容量でエタノールを含んでいた。他の以前のLNP製剤は、約10%~約40%容量で溶媒としてイソプロピルアルコールを使用した。対照的に、一部の実施形態では、本発明は、可燃性溶媒を含まないLNP封入方法を提供する。
【0120】
したがって、一部の実施形態では、本発明の適切な製剤または封入溶液は可燃性溶媒を含まない。一部の実施形態では、適切な製剤または封入溶液はエタノールを含まない。
【0121】
一部の実施形態では、適切な製剤または封入溶液は緩衝剤または塩も含有することができる。例示的な緩衝剤には、HEPES、硫酸アンモニウム、重炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸カリウムおよびリン酸ナトリウムが含まれる。例示的な塩には、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、および塩化カリウムが含まれる。
【0122】
一部の実施形態では、エタノール、クエン酸緩衝液、および他の不安定化剤はmRNAの添加中に存在せず、したがって、製剤はいずれのさらなる下流処理も要しない。一部の実施形態では、製剤溶液はトレハロースを含む。不安定化剤の欠如およびトレハロース溶液の安定性は、製剤の規模拡大およびmRNA封入脂質ナノ粒子の製造の容易さを増加させる。
【0123】
一部の実施形態では、脂質溶液は、1つまたはそれ以上のカチオン性脂質、1つまたはそれ以上の非カチオン性脂質、および1つまたはそれ以上のPEG脂質を含有する。一部の実施形態では、脂質は1つまたはそれ以上のコレステロール脂質も含有する。
【0124】
一部の実施形態では、脂質溶液とmRNA溶液はポンプシステムを使用して混合される。一部の実施形態では、ポンプシステムはパルスレスフローポンプを含む。一部の実施形態では、ポンプシステムはギアポンプである。一部の実施形態では、適切なポンプは臑動ポンプである。一部の実施形態では、適切なポンプは遠心ポンプである。一部の実施形態では、ポンプシステムを使用した方法は大規模で実施される。例えば、一部の実施形態では、本方法は、本明細書に記載されるポンプを使用して、mRNA少なくとも約1mg、5mg、10mg、50mg、100mg、500mg、1g、10g、50g、もしくは100gまたはそれ以上の溶液を脂質溶液と混合して、脂質ナノ粒子に封入されたmRNAを製造することを含む。一部の実施形態では、mRNA溶液と脂質溶液を混合する方法は、封入されたmRNA少なくとも約1mg、5mg、10mg、50mg、100mg、500mg、1g、10g、50g、もしくは100gまたはそれ以上を含有する本発明による組成物を提供する。
【0125】
一部の実施形態では、脂質ナノ粒子が封入するmRNAを脂質溶液と合わせる工程はポンプシステムを使用して実施される。このような合わせる工程はポンプを使用して実施される。一部の実施形態では、mRNA溶液と脂質溶液は、約25~75ml/分、約75~200ml/分、約200~350ml/分、約350~500ml/分、約500~650ml/分、約650~850ml/分、または約850~1000ml/分の範囲の流量で混合される。一部の実施形態では、mRNA溶液と脂質溶液は、約50ml/分、約100ml/分、約150ml/分、約200ml/分、約250ml/分、約300ml/分、約350ml/分、約400ml/分、約450ml/分、約500ml/分、約550ml/分、約600ml/分、約650ml/分、約700ml/分、約750ml/分、約800ml/分、約850ml/分、約900ml/分、約950ml/分、または約1000ml/分の流量で混合される。
【0126】
一部の実施形態では、mRNA溶液を脂質溶液と混合する工程はポンプの非存在下で実施される。
【0127】
一部の実施形態では、本発明による方法は、脂質を含む溶液、mRNAを含む溶液および脂質ナノ粒子に封入されたmRNAを含む混合溶液の1つまたはそれ以上を周囲温度で維持する(すなわち、熱源からの熱を溶液に加えない)ことを含む。一部の実施形態では、本方法は、混合工程前に、mRNA溶液と脂質溶液の一方または両方を周囲温度で維持する工程を含む。一部の実施形態では、本方法は、混合工程中に、脂質を含む溶液とmRNAを含む溶液の1つまたはそれ以上を周囲温度で維持することを含む。一部の実施形態では、本方法は、混合工程後に、脂質ナノ粒子に封入されたmRNAを周囲温度で維持する工程を含む。一部の実施形態では、溶液の1つまたはそれ以上を維持する周囲温度は、約35℃、30℃、25℃、20℃、もしくは16℃またはそれ未満である。一部の実施形態では、溶液の1つまたはそれ以上を維持する周囲温度は、約15~35℃、約15~30℃、約15~25℃、約15~20℃、約20~35℃、約25~35℃、約30~35℃、約20~30℃、約25~30℃または約20~25℃の範囲である。一部の実施形態では、溶液の1つまたはそれ以上を維持する周囲温度は20~25℃である。
【0128】
一部の実施形態では、本発明による方法は、mRNA溶液と脂質溶液を混合してmRNAを封入した脂質ナノ粒子を形成する工程を周囲温度で実施することを含む。
【0129】
一部の実施形態では、精製されたナノ粒子の約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%超は、約150nm未満(例えば、約145nm、約140nm、約135nm、約130nm、約125nm、約120nm、約115nm、約110nm、約105nm、約100nm、約95nm、約90nm、約85nm、約80nm、約75nm、約70nm、約65nm、約60nm、約55nm、または約50nm未満)の径を有する。一部の実施形態では、精製されたナノ粒子の実質的に全ては、150nm未満(例えば、約145nm、約140nm、約135nm、約130nm、約125nm、約120nm、約115nm、約110nm、約105nm、約100nm、約95nm、約90nm、約85nm、約80nm、約75nm、約70nm、約65nm、約60nm、約55nm、または約50nm未満)の径を有する。一部の実施形態では、精製されたナノ粒子の約70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%超は50~150nmの範囲の径を有する。一部の実施形態では、精製されたナノ粒子の実質的に全ては50~150nmの範囲の径を有する。一部の実施形態では、精製されたナノ粒子の約70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%超は80~150nmの範囲の径を有する。一部の実施形態では、精製されたナノ粒子の実質的に全ては80~150nmの範囲の径を有する。
【0130】
一部の実施形態では、本発明による方法は、約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%超の封入率をもたらす。一部の実施形態では、本発明による方法は、約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%超のmRNAの回収率をもたらす。
【0131】
一部の実施形態では、本発明による製剤におけるmRNA-LNP封入効率は、エタノールLNP製剤におけるmRNA-LNP封入効率と同じである。
【0132】
一部の実施形態では、本発明による製剤におけるmRMA-LNP封入効率は、エタノールLNP製剤と比較して少なくとも2%高い。一部の実施形態では、本発明による製剤におけるmRNA-LNP封入効率は、エタノールLNP製剤と比較して少なくとも4%高い。一部の実施形態では、本発明による製剤におけるmRNA-LNP封入効率は、エタノールLNP製剤と比較して少なくとも5%高い。一部の実施形態では、本発明による製剤におけるmRNA-LNP封入効率は、エタノールLNP製剤と比較して少なくとも8%高い。一部の実施形態では、本発明による製剤におけるmRNA-LNP封入効率は、エタノールLNP製剤と比較して少なくとも10%高い。一部の実施形態では、本発明による製剤におけるmRNA-LNP封入効率は、エタノールLNP製剤と比較して少なくとも12%高い。一部の実施形態では、本発明による製剤におけるmRNA-LNP封入効率は、エタノールLNP製剤と比較して少なくとも15%高い。一部の実施形態では、本発明による製剤におけるmRNA-LNP封入効率は、エタノールLNP製剤と比較して少なくとも20%高い。
【0133】
一部の実施形態では、本発明による方法は、混合後にmRNA-LNPをインキュベートする工程を含む。混合後にmRNA-LNPをインキュベートする工程は、2019年5月14日に出願された米国仮特許出願第62/847,837号に記載されており、本発明を実施するために使用することができ、その全てを参照によって本明細書に組み入れる。
【0134】
精製
一部の実施形態では、mRNA-LNPは精製および/または濃縮される。様々な精製方法を使用することができる。一部の実施形態では、mRNA-LNPはタンジェンシャルフローフィルトレーション(TFF)法によって精製される。一部の実施形態では、mRNA-LNPは重力式ノーマルフローフィルトレーション(NFF)によって精製される。一部の実施形態では、mRNA-LNPは任意の他の適切な濾過方法によって精製される。一部の実施形態では、mRNA-LNPは遠心分離によって精製される。一部の実施形態では、mRNA-LNPはクロマトグラフィー法によって精製される。
【0135】
送達ビヒクル
本発明によると、本明細書に記載されるタンパク質またはペプチド(例えば、タンパク質またはペプチドの完全長、フラグメント、または一部)をコードするmRNAは、裸のRNA(非パッケージング)としてまたは送達ビヒクルを介して送達される。本明細書で使用される場合、「送達ビヒクル」、「導入ビヒクル」、「ナノ粒子」という用語または文法上同等物は互換的に使用される。
【0136】
送達ビヒクルは、1つもしくはそれ以上の追加の核酸、担体、標的化リガンドもしくは安定化試薬と組み合わせて、または適切な賦形剤と混合される薬理学的組成物に製剤化される。例えば、mRNAを封入するリポソームは上記のように形成される。薬物を製剤化および投与するための技術は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、Mack Publishing Co.、ペンシルバニア州イーストン、最新版に見られる。特定の送達ビヒクルは、標的細胞への核酸のトランスフェクションを容易にする能力に基づいて選択される。
【0137】
一部の実施形態では、少なくとも1つのタンパク質またはペプチドをコードするmRNAは単一送達ビヒクルを介して送達される。一部の実施形態では、少なくとも1つのタンパク質またはペプチドをコードするmRNAは、それぞれ異なる組成の1つまたはそれ以上の送達ビヒクルを介して送達される。一部の実施形態では、1つまたはそれ以上のmRNAは同じ脂質ナノ粒子内に封入される。一部の実施形態では、1つまたはそれ以上のmRNAは別々の脂質ナノ粒子内に封入される。一部の実施形態では、脂質ナノ粒子は空である。
【0138】
様々な実施形態によると、適切な送達ビヒクルには、それだけに限らないが、ポリマー系担体、例えばポリエチレンイミン(PEI)、脂質ナノ粒子およびリポソーム、ナノリポソーム、セラミド含有ナノリポソーム、プロテオリポソーム、天然由来と合成由来の両方のエキソソーム、天然、合成および半合成ラメラ体、ナノ粒子、カルシウムケイ酸蛍光体ナノ粒子、リン酸カルシウムナノ粒子、二酸化ケイ素ナノ粒子、ナノ結晶粒子、半導体ナノ粒子、ポリ(D-アルギニン)、ゾル-ゲル、ナノデンドリマー、デンプンベースの送達システム、ミセル、エマルジョン、ニオソーム、マルチドメインブロックポリマー(ビニルポリマー、ポリプロピルアクリル酸ポリマー、ダイナミックポリコンジュゲート)、乾燥粉末製剤、プラスミド、ウイルス、リン酸カルシウムヌクレオチド、アプタマー、ペプチドおよび他の方向性タグが含まれる。適切な導入ビヒクルとしてのバイオナノカプセルおよび他のウイルスカプシドタンパク質集合体の使用も企図される(Hum.Gene Ther.2008年9月;19(9):887-95)。
【0139】
リポソーム送達ビヒクル
一部の実施形態では、適切な送達ビヒクルはリポソーム送達ビヒクル、例えば脂質ナノ粒子である。本明細書で使用される場合、リポソーム送達ビヒクル、例えば脂質ナノ粒子は、通常、1つまたはそれ以上の二重層の膜によって外側媒体から隔離された内部水空間を有する顕微鏡的小胞として特徴付けられる。リポソームの二重層膜は、典型的には空間的に分離された親水性ドメインおよび疎水性ドメインを含む合成または天然起源の脂質などの両親媒性分子によって形成される(Lasic、Trends Biotechnol.、16:307~321、1998)。リポソームの二重層膜はまた、両親媒性ポリマーおよび界面活性剤によっても形成される(例えば、ポリマーソーム、ニオソーム等)。本発明の文脈において、リポソーム送達ビヒクルは、典型的には所望の核酸(例えば、mRNA)を標的細胞または組織に輸送するのに役立つ。一部の実施形態では、ナノ粒子送達ビヒクルはリポソームである。一部の実施形態では、リポソームは、1つもしくはそれ以上のカチオン性脂質、1つもしくはそれ以上の非カチオン性脂質、1つもしくはそれ以上のコレステロール系脂質、または1つもしくはそれ以上のPEG修飾脂質を含む。一部の実施形態では、リポソームは3つ以下の別個の脂質成分を含む。一部の実施形態では、1つの別個の脂質成分はステロール系カチオン性脂質である。
【0140】
カチオン性脂質
本明細書で使用される場合、「カチオン性脂質」という句は、生理学的pHなどの選択されたpHで正味の正の電荷を有するいくつかの脂質種のいずれかを指す。
【0141】
本発明の組成物および方法に使用するのに適したカチオン性脂質には、参照によって本明細書に組み入れる、国際公開第2010/144740号に記載されるカチオン性脂質が含まれる。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、
【化1】
の化合物構造を有する、カチオン性脂質、(6Z,9Z,28Z,31Z)-ヘプタトリアコンタ-6,9,28,31-テトラエン-19-イル4-(ジメチルアミノ)ブタノエート、およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0142】
本発明の組成物および方法に使用するのに適した他のカチオン性脂質には、参照によって本明細書に組み入れる、国際公開第2013/149140号に記載されるイオン化可能なカチオン性脂質が含まれる。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の式:
【化2】
の1つのカチオン性脂質またはその薬学的に許容される塩(式中、R
1およびR
2は、水素、場合により置換された、可変的に飽和または不飽和のC
1~C
20アルキルおよび場合により置換された、可変的に飽和または不飽和のC
6~C
20アシルからなる群からそれぞれ独立に選択され;L
1およびL
2は、水素、場合により置換されたC
1~C
30アルキル、場合により置換された、可変的に不飽和のC
1~C
30アルケニル、および場合により置換されたC
1~C
30アルキニルからなる群からそれぞれ独立に選択され;mおよびoは0および任意の正の整数からなる群からそれぞれ独立に選択され(例えば、mは3である);nは0または任意の正の整数である(例えば、nは1である))を含む。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、
【化3】
の化合物構造を有する、カチオン性脂質(15Z,18Z)-N,N-ジメチル-6-(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イル)テトラコサ-15,18-ジエン-1-アミン(「HGT5000」)およびその薬学的に許容される塩を含む。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、
【化4】
の化合物構造を有する、カチオン性脂質(15Z,18Z)-N,N-ジメチル-6-((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イル)テトラコサ-4,15,18-トリエン-1-アミン(「HGT5001」)およびその薬学的に許容される塩を含む。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、
【化5】
の化合物構造を有する、カチオン性脂質および(15Z,18Z)-N,N-ジメチル-6-((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イル)テトラコサ-5,15,18-トリエン-1-アミン(「HGT5002」)およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0143】
本発明の組成物および方法に使用するのに適した他のカチオン性脂質には、参照によって本明細書に組み入れる、国際公開第2010/053572号にアミノアルコールリピドイドとして記載されるカチオン性脂質が含まれる。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、
【化6】
の化合物構造を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0144】
本発明の組成物および方法に使用するのに適した他のカチオン性脂質には、参照によって本明細書に組み入れる、国際公開第2016/118725号に記載されるカチオン性脂質が含まれる。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、
【化7】
の化合物構造を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0145】
本発明の組成物および方法に使用するのに適した他のカチオン性脂質には、参照によって本明細書に組み入れる、国際公開第2016/118724号に記載されるカチオン性脂質が含まれる。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、
【化8】
の化合物構造を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0146】
本発明の組成物および方法に使用するのに適した他のカチオン性脂質には、14,25-ジトリデシル15,18,21,24-テトラアザ-オクタトリアコンタンの式を有するカチオン性脂質、およびその薬学的に許容される塩が含まれる。
【0147】
本発明の組成物および方法に使用するのに適した他のカチオン性脂質には、その各々を参照によって本明細書に組み入れる、国際公開第2013/063468号および国際公開第2016/205691号に記載されるカチオン性脂質が含まれる。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の式:
【化9】
のカチオン性脂質またはその薬学的に許容される塩(式中、R
Lの各例は独立に、場合により置換されたC
6~C
40アルケニルである)を含む。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、
【化10】
の化合物構造を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、
【化11】
の化合物構造を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、
【化12】
の化合物構造を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、
【化13】
の化合物構造を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0148】
本発明の組成物および方法に使用するのに適した他のカチオン性脂質には、参照によって本明細書に組み入れる、国際公開第2015/184256号に記載されるカチオン性脂質が含まれる。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の式:
【化14】
のカチオン性脂質またはその薬学的に許容される塩(式中、各Xは独立に、OまたはSであり;各Yは独立に、OまたはSであり;各mは独立に、0~20であり;各nは独立に、1~6であり;各R
Aは独立に、水素、場合により置換されたC1~50アルキル、場合により置換されたC2~50アルケニル、場合により置換されたC2~50アルキニル、場合により置換されたC3~10カルボシクリル、場合により置換された3~14員ヘテロシクリル、場合により置換されたC6~14アリール、場合により置換された5~14員ヘテロアリールまたはハロゲンであり;各R
Bは独立に、水素、場合により置換されたC1~50アルキル、場合により置換されたC2~50アルケニル、場合により置換されたC2~50アルキニル、場合により置換されたC3~10カルボシクリル、場合により置換された3~14員ヘテロシクリル、場合により置換されたC6~14アリール、場合により置換された5~14員ヘテロアリールまたはハロゲンである)を含む。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、
【化15】
の化合物構造を有する、カチオン性脂質、「標的23」およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0149】
本発明の組成物および方法に使用するのに適した他のカチオン性脂質には、参照によって本明細書に組み入れる、国際公開第2016/004202号に記載されるカチオン性脂質が含まれる。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化16】
を有するカチオン性脂質またはその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化17】
を有するカチオン性脂質またはその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化18】
を有するカチオン性脂質またはその薬学的に許容される塩を含む。
【0150】
本発明の組成物および方法に使用するのに適した他のカチオン性脂質には、参照によって本明細書に組み入れる、米国仮特許出願第62/758,179号に記載されるカチオン性脂質が含まれる。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の式:
【化19】
のカチオン性脂質またはその薬学的に許容される塩(式中、各R
1およびR
2は独立に、HまたはC
1~C
6脂肪族であり;各mは独立に、1~4の値を有する整数であり;各Aは独立に、共有結合またはアリーレンであり;各L
1は独立に、エステル、チオエステル、ジスルフィド、または無水物基であり;各L
2は独立に、C
2~C
10脂肪族であり;各X
1は独立に、HまたはOHであり;各R
3は独立に、C
6~C
20脂肪族である)を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の式:
【化20】
のカチオン性脂質またはその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の式:
【化21】
のカチオン性脂質またはその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の式:
【化22】
のカチオン性脂質またはその薬学的に許容される塩を含む。
【0151】
本発明の組成物および方法に使用するのに適した他のカチオン性脂質には、参照によって本明細書に組み入れる、J.McClellan、M.C.King、Cell 2010、141、210~217およびWhiteheadら、Nature Communications(2014)5:4277に記載されるカチオン性脂質が含まれる。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法のカチオン性脂質は、
【化23】
の化合物構造を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0152】
本発明の組成物および方法に使用するのに適した他のカチオン性脂質には、参照によって本明細書に組み入れる、国際公開第2015/199952号に記載されるカチオン性脂質が含まれる。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化24】
を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化25】
を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化26】
を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化27】
を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化28】
を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化29】
を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化30】
を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化31】
を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化32】
を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化33】
を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化34】
を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化35】
を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化36】
を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0153】
本発明の組成物および方法に使用するのに適した他のカチオン性脂質には、参照によって本明細書に組み入れる、国際公開第2017/004143号に記載されるカチオン性脂質が含まれる。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化37】
を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化38】
を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化39】
を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化40】
を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化41】
を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化42】
を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化43】
を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化44】
を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化45】
を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化46】
を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化47】
を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化48】
を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化49】
を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化50】
を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化51】
を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化52】
を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化53】
を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0154】
本発明の組成物および方法に使用するのに適した他のカチオン性脂質には、参照によって本明細書に組み入れる、国際公開第2017/075531号に記載されるカチオン性脂質が含まれる。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の式:
【化54】
のカチオン性脂質またはその薬学的に許容される塩(式中、L
1またはL
2の一方は-O(C=O)-、-(C=O)O-、-C(=O)-、-O-、-S(O)
x、-S-S-、-C(=O)S-、-SC(=O)-、-NR
aC(=O)-、-C(=O)NR
a-、NR
aC(=O)NR
a-、-OC(=O)NR
a-、または-NR
aC(=O)O-であり;L
1またはL
2の他方は-O(C=O)-、-(C=O)O-、-C(=O)-、-O-、-S(O)
x、-S-S-、-C(=O)S-、SC(=O)-、-NR
aC(=O)-、-C(=O)NR
a-、NR
aC(=O)NR
a-、-OC(=O)NR
a-または-NR
aC(=O)O-または直接結合であり;G
1およびG
2はそれぞれ独立に、非置換C
1~C
12アルキレンまたはC
1~C
12アルケニレンであり;G
3はC
1~C
24アルキレン、C
1~C
24アルケニレン、C
3~C
8シクロアルキレン、C
3~C
8シクロアルケニレンであり;R
aはHまたはC
1~C
12アルキルであり;R
1およびR
2はそれぞれ独立に、C
6~C
24アルキルまたはC
6~C
24アルケニルであり;R
3はH、OR
5、CN、-C(=O)OR
4、-OC(=O)R
4または-NR
5C(=O)R
4であり;R
4はC
1~C
12アルキルであり;R
5はHまたはC
1~C
6アルキルであり;xは0、1または2である)を含む。
【0155】
本発明の組成物および方法に使用するのに適した他のカチオン性脂質には、参照によって本明細書に組み入れる、国際公開第2017/117528号に記載されるカチオン性脂質が含まれる。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化55】
を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化56】
を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、化合物構造:
【化57】
を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0156】
本発明の組成物および方法に使用するのに適した他のカチオン性脂質には、参照によって本明細書に組み入れる、国際公開第2017/049245号に記載されるカチオン性脂質が含まれる。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法のカチオン性脂質は、以下の式:
【化58】
の1つの化合物およびその薬学的に許容される塩を含む。これらの4つの式のいずれか1つについて、R
4は-(CH
2)
nQおよび-(CH
2)
nCHQRから独立に選択され;Qは-OR、-OH、-O(CH
2)
nN(R)
2、-OC(O)R、-CX
3、-CN、-N(R)C(O)R、-N(H)C(O)R、-N(R)S(O)
2R、-N(H)S(O)
2R、-N(R)C(O)N(R)
2、-N(H)C(O)N(R)
2、-N(H)C(O)N(H)(R)、-N(R)C(S)N(R)
2、-N(H)C(S)N(R)
2、-N(H)C(S)N(H)(R)、および複素環からなる群から選択され;nは1、2、または3である。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、
【化59】
の化合物構造を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、
【化60】
の化合物構造を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、
【化61】
の化合物構造を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、
【化62】
の化合物構造を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0157】
本発明の組成物および方法に使用するのに適した他のカチオン性脂質には、その各々を参照によって本明細書に組み入れる、国際公開第2017/173054号および国際公開第2015/095340号に記載されるカチオン性脂質が含まれる。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、
【化63】
の化合物構造を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、
【化64】
の化合物構造を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、
【化65】
の化合物構造を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、
【化66】
の化合物構造を有するカチオン性脂質およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0158】
本発明の組成物および方法に使用するのに適した他のカチオン性脂質には、参照によって本明細書に組み入れる、国際公開第2012/170889号に記載される切断可能なカチオン性脂質が含まれる。一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、以下の式:
【化67】
のカチオン性脂質
(式中、R
1はイミダゾール、グアニジニウム、アミノ、イミン、エナミン、場合により置換されたアルキルアミノ(例えば、ジメチルアミノなどのアルキルアミノ)およびピリジルからなる群から選択され;R
2は以下の2つの式:
【化68】
の1つからなる群から選択され、R
3およびR
4は、場合により置換された、可変的に飽和または不飽和のC
6~C
20アルキルおよび場合により置換された、可変的に飽和または不飽和のC
6~C
20アシルからなる群からそれぞれ独立に選択され;nは0または任意の正の整数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20またはそれ以上)である)を含む。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、
【化69】
の化合物構造を有する、カチオン性脂質、「HGT4001」およびその薬学的に許容される塩を含む。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、
【化70】
の化合物構造を有する、カチオン性脂質、「HGT4002」およびその薬学的に許容される塩を含む。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、
【化71】
の化合物構造を有する、カチオン性脂質、「HGT4003」およびその薬学的に許容される塩を含む。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、
【化72】
の化合物構造を有する、カチオン性脂質、「HGT4004」およびその薬学的に許容される塩を含む。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、
【化73】
の化合物構造を有する、カチオン性脂質「HGT4005」およびその薬学的に許容される塩を含む。
【0159】
本発明の組成物および方法に使用するのに適した他のカチオン性脂質には、国際出願番号PCT/US2019/032522号に記載され、参照によって本明細書に組み入れる、切断可能なカチオン性脂質が含まれる。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、国際出願番号PCT/US2019/032522号に記載される一般式のいずれかまたは構造(1a)~(21a)および(1b)~(21b)および(22)~(237)のいずれかであるカチオン性脂質を含む。ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、式(I’)による構造を有するカチオン性脂質
【化74】
(式中、
R
Xは独立に、-H、-L
1-R
1、または-L
5A-L
5B-B’であり;
L
1、L
2、およびL
3の各々は独立に、共有結合、-C(O)-、-C(O)O-、-C(O)S-、または-C(O)NR
L-であり;
各L
4AおよびL
5Aは独立に、-C(O)-、-C(O)O-、または-C(O)NR
L-であり;
各L
4BおよびL
5Bは独立に、C
1~C
20アルキレン;C
2~C
20アルケニレン;またはC
2~C
20アルキニレンであり;
各BおよびB’はNR
4R
5または5~10員窒素含有ヘテロアリールであり;
各R
1、R
2、およびR
3は独立に、C
6~C
30アルキル、C
6~C
30アルケニル、またはC
6~C
30アルキニルであり;
各R
4およびR
5は独立に、水素、C
1~C
10アルキル;C
2~C
10アルケニル;またはC
2~C
10アルキニルであり;
各R
Lは独立に、水素、C
1~C
20アルキル、C
2~C
20アルケニル、またはC
2~C
20アルキニルである)
を含む。
【0160】
ある特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、
【化75】
の化合物構造を有する、国際出願第PCT/US2019/032522の化合物(139)であるカチオン性脂質を含む。
【0161】
一部の実施形態では、本発明の組成物および方法は、カチオン性脂質、N-[1-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド(「DOTMA」)を含む(参照によって本明細書に組み入れる、Feignerら、(Proc.Nat’l Acad.Sci.84、7413(1987);米国特許第4,897,355号)。本発明の組成物および方法に適した他のカチオン性脂質には、例えば、5-カルボキシスペルミルグリシンジオクタデシルアミド(「DOGS」);2,3-ジオレイルオキシ-N-[2-(スペルミン-カルボキサミド)エチル]-N,N-ジメチル--プロパンアミニウム(「DOSPA」)(Behrら、Proc.Nat.’l Acad.Sci.86、6982(1989)、米国特許第5,171,678号;米国特許第5,334,761号);1,2-ジオレオイル-3-ジメチルアンモニウム-プロパン(「DODAP」);1,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(「DOTAP」)が含まれる。
【0162】
本発明の組成物および方法に適した追加の例示的なカチオン性脂質には、1,2-ジステアリルオキシ-N,N-ジメチル-3-アミノプロパン(「DSDMA」);1,2-ジオレイルオキシ-N,N-ジメチル-3-アミノプロパン(「DODMA」);1,2-ジリノレイルオキシ-N,N-ジメチル-3-アミノプロパン(「DLinDMA」);1,2-ジリノレニルオキシ-N,N-ジメチル-3-アミノプロパン(「DLenDMA」);N-ジオレイル-N,N-ジメチルアンモニウムクロリド(「DODAC」);N,N-ジステアリル-N,N-ジメチルアンモニウムブロミド(「DDAB」);N-(1,2-ジミリスチルオキシプロパ-3-イル)-N,N-ジメチル-N-ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(「DMRIE」);3-ジメチルアミノ-2-(コレスタ-5-エン-3-ベータ-オキシブタン-4-オキシ)-1-(シス,シス-9,12-オクタデカジエノキシ)プロパン(「CLinDMA」);2-[5’-(コレスタ-5-エン-3-ベータ-オキシ)-3’-オキサペントキシ)-3-ジメチル-1-(シス,シス-9’,1-2’-オクタデカジエノキシ)プロパン(「CpLinDMA」);N,N-ジメチル-3,4-ジオレイルオキシベンジルアミン(「DMOBA」);1,2-N,N’-ジオレイルカルバミル-3-ジメチルアミノプロパン(「DOcarbDAP」);2,3-ジリノレオイルオキシ-Ν,Ν-ジメチルプロピルアミン(「DLinDAP」);1,2-N,N’-ジリノレイルカルバミル-3-ジメチルアミノプロパン(「DLincarbDAP」);1,2-ジリノレオイルカルバミル-3-ジメチルアミノプロパン(「DLinCDAP」);2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノメチル-[1,3]-ジオキソラン(「DLin-K-DMA」);2-((8-[(3P)-コレスタ-5-エン-3-イルオキシ]オクチル)オキシ)-N,N-ジメチル-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]プロパン-1-アミン(「オクチル-CLinDMA」);(2R)-2-((8-[(3ベータ)-コレスタ-5-エン-3-イルオキシ]オクチル)オキシ)-N,N-ジメチル-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]プロパン-1-アミン(「オクチル-CLinDMA(2R)」);(2S)-2-((8-[(3P)-コレスタ-5-エン-3-イルオキシ]オクチル)オキシ)-N,fsl-dimethyh3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]プロパン-1-アミン(「オクチル-CLinDMA(2S)」);2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノエチル-[1,3]-ジオキソラン(「DLin-K-XTC2-DMA」);および2-(2,2-ジ((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イル)-1,3-ジオキソラン-4-イル)-N,N-ジメチルエタンアミン(「DLin-KC2-DMA」)(参照によって本明細書に組み入れる、国際公開第2010/042877号;Sempleら、Nature Biotech.28:172~176(2010)参照)が含まれる(Heyes,J.ら、J Controlled Release 107:276~287(2005);Morrissey,DV.ら、Nat.Biotechnol.23(8):1003~1007(2005);国際公開第2005/121348号)。一部の実施形態では、カチオン性脂質の1つまたはそれ以上は、イミダゾール、ジアルキルアミノ、またはグアニジニウム部分の少なくとも1つを含む。
【0163】
一部の実施形態では、本発明の組成物および方法に適した1つまたはそれ以上のカチオン性脂質には、2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノエチル-[1,3]-ジオキソラン(「XTC」);(3aR,5s,6aS)-N,N-ジメチル-2,2-ジ((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル)テトラヒドロ-3aH-シクロペンタ[d][1,3]ジオキソール-5-アミン(「ALNY-100」)および/または4,7,13-トリス(3-オキソ-3-(ウンデシルアミノ)プロピル)-N1,N16-ジウンデシル-4,7,10,13-テトラアザヘキサデカン-1,16-ジアミド(「NC98-5」)が含まれる。
【0164】
一部の実施形態では、本発明の組成物は、組成物、例えば脂質ナノ粒子中の総脂質含有量の、重量によって測定される、少なくとも約5%、10%、20%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、または70%を構成する1つまたはそれ以上のカチオン性脂質を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物は、組成物、例えば脂質ナノ粒子中の総脂質含有量の、mol%として測定される、少なくとも約5%、10%、20%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、または70%を構成する1つまたはそれ以上のカチオン性脂質を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物は、組成物、例えば脂質ナノ粒子中の総脂質含有量の、重量によって測定される、約30~70%(例えば、約30~65%、約30~60%、約30~55%、約30~50%、約30~45%、約30~40%、約35~50%、約35~45%、または約35~40%)を構成する1つまたはそれ以上のカチオン性脂質を含む。一部の実施形態では、本発明の組成物は、組成物、例えば脂質ナノ粒子中の総脂質含有量の約30~70%(例えば、約30~65%、約30~60%、約30~55%、約30~50%、約30~45%、約30~40%、約35~50%、約35~45%、または約35~40%)を構成する1つまたはそれ以上のカチオン性脂質を含む。
【0165】
非カチオン性/ヘルパー脂質
一部の実施形態では、リポソームは1つまたはそれ以上の非カチオン性(「ヘルパー」)脂質を含有する。本明細書で使用される場合、「非カチオン性脂質」という句は、任意の中性、双性イオン性またはアニオン性脂質を指す。本明細書で使用される場合、「アニオン性脂質」という句は、生理学的pHなどの選択されたpHで正味の負の電荷を有するいくつかの脂質種のいずれかを指す。非カチオン性脂質には、それだけに限らないが、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)、パルミトイルオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(POPE)、ジオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン4-(N-マレイミドメチル)-シクロヘキサン-l-カルボキシレート(DOPE-mal)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジミリストイルホスホエタノールアミン(DMPE)、ジステアロイル-ホスファチジル-エタノールアミン(DSPE)、ホスファチジルセリン、スフィンゴ脂質、セレブロシド、ガングリオシド、16-O-モノメチルPE、16-O-ジメチルPE、18-1-トランスPE、l-ステアロイル-2-オレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(SOPE)、またはこれらの混合物が含まれる。
【0166】
一部の実施形態では、非カチオン性脂質は中性脂質、すなわち、組成物が製剤化および/または投与される条件で正味の電荷を有さない脂質である。
【0167】
一部の実施形態では、このような非カチオン性脂質は単独で使用されるが、好ましくは他の脂質、例えばカチオン性脂質と組み合わせて使用される。
【0168】
一部の実施形態では、非カチオン性脂質は、組成物中に存在する全脂質の約5%~約90%、約5%~約70%、約5%~約50%、約5%~約40%、約5%~約30%、約10%~約70%、約10%~約50%、または約10%~約40%のモル比(mol%)で存在することができる。一部の実施形態では、全非カチオン性脂質は、組成物中に存在する全脂質の約5%~約90%、約5%~約70%、約5%~約50%、約5%~約40%、約5%~約30%、約10%~約70%、約10%~約50%、または約10%~約40%のモル比(mol%)で存在することができる。一部の実施形態では、リポソーム中の非カチオン性脂質のパーセンテージは、約5mol%超、約10mol%超、約20mol%超、約30mol%超、または約40mol%超であることができる。一部の実施形態では、リポソーム中の全非カチオン性脂質のパーセンテージは、約5mol%超、約10mol%超、約20mol%超、約30mol%超、または約40mol%超であることができる。一部の実施形態では、リポソーム中の非カチオン性脂質のパーセンテージは、約5mol%以下、約10mol%以下、約20mol%以下、約30mol%以下、または約40mol%以下である。一部の実施形態では、リポソーム中の全非カチオン性脂質のパーセンテージは、約5mol%以下、約10mol%以下、約20mol%以下、約30mol%以下、または約40mol%以下であることができる。
【0169】
一部の実施形態では、非カチオン性脂質は、組成物中に存在する全脂質の約5%~約90%、約5%~約70%、約5%~約50%、約5%~約40%、約5%~約30%、約10%~約70%、約10%~約50%、または約10%~約40%の重量比(重量%)で存在することができる。一部の実施形態では、全非カチオン性脂質は、組成物中に存在する全脂質の約5%~約90%、約5%~約70%、約5%~約50%、約5%~約40%、約5%~約30%、約10%~約70%、約10%~約50%、または約10%~約40%の重量比(重量%)で存在することができる。一部の実施形態では、リポソーム中の非カチオン性脂質のパーセンテージは、約5重量%超、約10重量%超、約20重量%超、約30重量%超、または約40重量%超であることができる。一部の実施形態では、リポソーム中の全非カチオン性脂質のパーセンテージは、約5重量%超、約10重量%超、約20重量%超、約30重量%超、または約40重量%超であることができる。一部の実施形態では、リポソーム中の非カチオン性脂質のパーセンテージは、約5重量%以下、約10重量%以下、約20重量%以下、約30重量%以下、または約40重量%以下である。一部の実施形態では、リポソーム中の全非カチオン性脂質のパーセンテージは、約5重量%以下、約10重量%以下、約20重量%以下、約30重量%以下、または約40重量%以下であることができる。
【0170】
コレステロール系脂質
一部の実施形態では、リポソームは1つまたはそれ以上のコレステロール系脂質を含む。例えば、適切なコレステロール系カチオン性脂質には、例えば、DC-Choi(N,N-ジメチル-N-エチルカルボキサミドコレステロール)、1,4-ビス(3-N-オレイルアミノ-プロピル)ピペラジン(Gaoら Biochem.Biophys.Res.Comm.179、280(1991);Wolfら BioTechniques 23、139(1997);米国特許第5,744,335号)、または以下の構造
【化76】
を有するイミダゾールコレステロールエステル(ICE)が含まれる。
【0171】
一部の実施形態では、コレステロール系脂質はコレステロールである。
【0172】
一部の実施形態では、コレステロール系脂質は、リポソーム中に存在する全脂質の約1%~約30%、または約5%~約20%のモル比(mol%)を構成することができる。一部の実施形態では、脂質ナノ粒子中のコレステロール系脂質のパーセンテージは、約5mol%超、約10mol%超、約20mol%超、約30mol%超、または約40mol%超であることができる。一部の実施形態では、脂質ナノ粒子中のコレステロール系脂質のパーセンテージは、約5mol%以下、約10mol%以下、約20mol%以下、約30mol%以下、または約40mol%以下であることができる。
【0173】
一部の実施形態では、コレステロール系脂質は、リポソーム中に存在する全脂質の約1%~約30%、または約5%~約20%の重量比(重量%)で存在することができる。一部の実施形態では、脂質ナノ粒子中のコレステロール系脂質のパーセンテージは、約5重量%超、約10重量%超、約20重量%超、約30重量%超、または約40重量%超であることができる。一部の実施形態では、脂質ナノ粒子中のコレステロール系脂質のパーセンテージは、約5重量%以下、約10重量%以下、約20重量%以下、約30重量%以下、または約40重量%以下であることができる。
【0174】
PEG修飾脂質
一部の実施形態では、リポソームは1つまたはそれ以上のPEG化脂質を含む。
【0175】
例えば、N-オクタノイル-スフィンゴシン-1-[スクシニル(メトキシポリエチレングリコール)-2000](C8 PEG-2000セラミド)を含む、誘導体化セラミド(PEG-CER)などの、ポリエチレングリコール(PEG)修飾リン脂質および誘導体化脂質の使用も、単独でまたは好ましくは導入ビヒクルを含む他の脂質製剤と組み合わせて(例えば、脂質ナノ粒子)、本発明によって企図される。
【0176】
企図されるPEG修飾脂質には、それだけに限らないが、C6~C20長のアルキル鎖を有する脂質に共有結合した最大5kDa長のポリエチレングリコール鎖が含まれる。一部の実施形態では、PEG修飾またはPEG化脂質はPEG化コレステロールまたはPEG-2Kである。このような成分の添加は複雑な凝集を防ぎ、循環寿命を増加させ、脂質-核酸組成物の標的組織への送達を増加させる手段を提供することもできる(Klibanovら(1990)FEBS Letters、268(1):235~237)、またはこれらはインビボで製剤から迅速に交換するよう選択される(米国特許第5,885,613号参照)。特に有用な交換可能な脂質は、より短いアシル鎖(例えば、C14またはC18)を有するPEG-セラミドである。
【0177】
本発明のPEG修飾リン脂質および誘導体化脂質は、リポソーム導入ビヒクル中に存在する全脂質の約0%~約20%、約0.5%~約20%、約1%~約15%、約4%~約10%、または約2%のモル比を構成することができる。一部の実施形態では、1つまたはそれ以上のPEG修飾脂質は、モル比で全脂質の約4%を構成する。一部の実施形態では、1つまたはそれ以上のPEG修飾脂質は、モル比で全脂質の約5%を構成する。一部の実施形態では、1つまたはそれ以上のPEG修飾脂質は、モル比で全脂質の約6%を構成する。
【0178】
両親媒性ブロックコポリマー
一部の実施形態では、適切な送達ビヒクルは両親媒性ブロックコポリマー(例えば、ポロキサマー)を含有する。様々な両親媒性ブロックコポリマーを使用して本発明を実施することができる。一部の実施形態では、両親媒性ブロックコポリマーは界面活性剤または非イオン性界面活性剤とも呼ばれる。一部の実施形態では、本発明に適した両親媒性ポリマーは、ポロキサマー(Pluronic(登録商標))、ポロキサミン(Tetronic(登録商標))、ポリオキシエチレングリコールソルビタンアルキルエステル(ポリソルベート)およびポリビニルピロリドン(PVP)から選択される。
【0179】
ポロキサマー
一部の実施形態では、適切な両親媒性ポリマーはポロキサマーである。例えば、適切なポロキサマーは以下の構造:
【化77】
(式中、aは10~150の間の整数であり、bは20~60の間の整数である)
のものである。例えば、aは約12であり、bは約20である、またはaは約80であり、bは約27である、またはaは約64であり、bは約37である、またはaは約141であり、bは約44である、またはaは約101であり、bは約56である。
【0180】
一部の実施形態では、本発明に適したポロキサマーは、約10~約150のエチレンオキシド単位を有する。一部の実施形態では、ポロキサマーは、約10~約100のエチレンオキシド単位を有する。
【0181】
一部の実施形態では、適切なポロキサマーはポロキサマー84である。一部の実施形態では、適切なポロキサマーはポロキサマー101である。一部の実施形態では、適切なポロキサマーはポロキサマー105である。一部の実施形態では、適切なポロキサマーはポロキサマー108である。一部の実施形態では、適切なポロキサマーはポロキサマー122である。一部の実施形態では、適切なポロキサマーはポロキサマー123である。一部の実施形態では、適切なポロキサマーはポロキサマー124である。一部の実施形態では、適切なポロキサマーはポロキサマー181である。一部の実施形態では、適切なポロキサマーはポロキサマー182である。一部の実施形態では、適切なポロキサマーはポロキサマー183である。一部の実施形態では、適切なポロキサマーはポロキサマー184である。一部の実施形態では、適切なポロキサマーはポロキサマー185である。一部の実施形態では、適切なポロキサマーはポロキサマー188である。一部の実施形態では、適切なポロキサマーはポロキサマー212である。一部の実施形態では、適切なポロキサマーはポロキサマー215である。一部の実施形態では、適切なポロキサマーはポロキサマー217である。一部の実施形態では、適切なポロキサマーはポロキサマー231である。一部の実施形態では、適切なポロキサマーはポロキサマー234である。一部の実施形態では、適切なポロキサマーはポロキサマー235である。一部の実施形態では、適切なポロキサマーはポロキサマー237である。一部の実施形態では、適切なポロキサマーはポロキサマー238である。一部の実施形態では、適切なポロキサマーはポロキサマー282である。一部の実施形態では、適切なポロキサマーはポロキサマー284である。一部の実施形態では、適切なポロキサマーはポロキサマー288である。一部の実施形態では、適切なポロキサマーはポロキサマー304である。一部の実施形態では、適切なポロキサマーはポロキサマー331である。一部の実施形態では、適切なポロキサマーはポロキサマー333である。一部の実施形態では、適切なポロキサマーはポロキサマー334である。一部の実施形態では、適切なポロキサマーはポロキサマー335である。一部の実施形態では、適切なポロキサマーはポロキサマー338である。一部の実施形態では、適切なポロキサマーはポロキサマー401である。一部の実施形態では、適切なポロキサマーはポロキサマー402である。一部の実施形態では、適切なポロキサマーはポロキサマー403である。一部の実施形態では、適切なポロキサマーはポロキサマー407である。一部の実施形態では、適切なポロキサマーはその組合せである。
【0182】
一部の実施形態では、適切なポロキサマーは約4,000g/mol~約20,000g/molの平均分子量を有する。一部の実施形態では、適切なポロキサマーは約1,000g/mol~約50,000g/molの平均分子量を有する。一部の実施形態では、適切なポロキサマーは約1,000g/molの平均分子量を有する。一部の実施形態では、適切なポロキサマーは約2,000g/molの平均分子量を有する。一部の実施形態では、適切なポロキサマーは約3,000g/molの平均分子量を有する。一部の実施形態では、適切なポロキサマーは約4,000g/molの平均分子量を有する。一部の実施形態では、適切なポロキサマーは約5,000g/molの平均分子量を有する。一部の実施形態では、適切なポロキサマーは約6,000g/molの平均分子量を有する。一部の実施形態では、適切なポロキサマーは約7,000g/molの平均分子量を有する。一部の実施形態では、適切なポロキサマーは約8,000g/molの平均分子量を有する。一部の実施形態では、適切なポロキサマーは約9,000g/molの平均分子量を有する。一部の実施形態では、適切なポロキサマーは約10,000g/molの平均分子量を有する。一部の実施形態では、適切なポロキサマーは約20,000g/molの平均分子量を有する。一部の実施形態では、適切なポロキサマーは約25,000g/molの平均分子量を有する。一部の実施形態では、適切なポロキサマーは約30,000g/molの平均分子量を有する。一部の実施形態では、適切なポロキサマーは約40,000g/molの平均分子量を有する。一部の実施形態では、適切なポロキサマーは約50,000g/molの平均分子量を有する。
【0183】
他の両親媒性ポリマー
一部の実施形態では、両親媒性ポリマーはポロキサミン、例えばtetronic 304またはtetronic 904である。
【0184】
一部の実施形態では、両親媒性ポリマーは、ポリビニルピロリドン(PVP)、例えば3kDa、10kDa、または29kDaの分子量を有するPVPである。
【0185】
一部の実施形態では、両親媒性ポリマーはポリエチレングリコールエーテル(Brij)、ポリソルベート、ソルビタン、およびこれらの誘導体である。一部の実施形態では、両親媒性ポリマーはポリソルベート、例えばPS20である。
【0186】
一部の実施形態では、両親媒性ポリマーはポリエチレングリコールエーテル(Brij)、ポロキサマー、ポリソルベート、ソルビタン、またはこれらの誘導体である。
【0187】
一部の実施形態では、両親媒性ポリマーはポリエチレングリコールエーテルである。一部の実施形態では、適切なポリエチレングリコールエーテルは、式(S-I)の化合物:
【化78】
またはその塩もしくは異性体
(式中、
tは1~100の間の整数であり:
R
1BRIJは独立に、C
10~40アルキル、C
10~40アルケニル、またはC
10~40アルキニルであり;場合によりR
5PEGの1つまたはそれ以上のメチレン基は、C
3~10カルボシクリレン、4~10員ヘテロシクリレン、C
6~10アリーレン、4~10員ヘテロアリーレン、-N(R
N)-、-O-、-S-、-C(O)-、-C(O)N(R
N)-、-NR
NC(O)-、-NRC(O)N(R)-、-C(O)O- -OC(O)-、-OC(O)O- -OC(O)N(R
N)-、-NR
NC(O)O- -C(O)S- -SC(O)-、-C(=NR
N)-、-C(=NR)N(R)-、-NRNC(=NR
N)- -NR
NC(=NR
N)N(R
N)-、-C(S)-、-C(S)N(R
N)-、-NR
NC(S)-、-NR
NC(S)N(R
N)-、-S(O)-、-OS(O)-、-S(O)O- -OS(O)O- -OS(O)
2- -S(O)
2O- -OS(O)
2O- -N(R
N)S(O)-、-S(O)N(R
N)- -N(R
N)S(O)N(R
N)- -OS(O)N(R
N)- -N(R
N)S(O)O- -S(O)
2- -N(R
N)S(O)
2- -S(O)
2N(R
N)-、-N(R
N)S(O)
2N(R
N)- -OS(O)
2N(R
N)-または-N(R
N)S(O)
2O-で独立に置き換えられており;
R
Nの各例は独立に、水素、C
1~6アルキル、または窒素保護基である)
である。
【0188】
一部の実施形態では、R
1BRIJはCはアルキルである。例えば、ポリエチレングリコールエーテルは、式(S-Ia)の化合物:
【化79】
またはその塩もしくは異性体(式中、sは1~100の間の整数である)である。
【0189】
一部の実施形態では、R
1BRIJはCはアルケニルである。例えば、適切なポリエチレングリコールエーテルは、式(S-Ib)の化合物:
【化80】
またはその塩もしくは異性体(式中、sは1~100の間の整数である)である。
【0190】
典型的には、両親媒性ポリマー(例えば、ポロキサマー)は、その臨界ミセル濃度(CMC)未満の量で製剤中に存在する。一部の実施形態では、両親媒性ポリマー(例えば、ポロキサマー)は、そのCMCより約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、または約50%低い量で混合物中に存在する。一部の実施形態では、両親媒性ポリマー(例えば、ポロキサマー)は、そのCMCより約0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%低い量で混合物中に存在する。一部の実施形態では、両親媒性ポリマー(例えば、ポロキサマー)は、そのCMCより約55%、60%、65%、70%、75%、80%、90%、または95%低い量で混合物中に存在する。
【0191】
一部の実施形態では、製剤中に存在する両親媒性ポリマー(例えば、ポロキサマー)の元の量の約0.1%、0.09%、0.08%、0.07%、0.06%、0.05%、0.04%、0.03%、0.02%、または0.01%未満は除去時に残る。一部の実施形態では、両親媒性ポリマー(例えば、ポロキサマー)の残留量は除去時に製剤中に残る。本明細書で使用される場合、残留量は、組成物中の物質(本明細書に記載される両親媒性ポリマー、例えばポロキサマー)の実質的に全部を除去した後に残っている量を意味する。残留量は、公知の技術を使用して定性的または定量的に検出可能である。残留量は、公知の技術を使用して検出可能でない場合もある。
【0192】
一部の実施形態では、適切な送達ビヒクルは5%未満の両親媒性ブロックコポリマー(例えば、ポロキサマー)を含む。一部の実施形態では、適切な送達ビヒクルは3%未満の両親媒性ブロックコポリマー(例えば、ポロキサマー)を含む。一部の実施形態では、適切な送達ビヒクルは2.5%未満の両親媒性ブロックコポリマー(例えば、ポロキサマー)を含む。一部の実施形態では、適切な送達ビヒクルは2%未満の両親媒性ブロックコポリマー(例えば、ポロキサマー)を含む。一部の実施形態では、適切な送達ビヒクルは1.5%未満の両親媒性ブロックコポリマー(例えば、ポロキサマー)を含む。一部の実施形態では、適切な送達ビヒクルは1%未満の両親媒性ブロックコポリマー(例えば、ポロキサマー)を含む。一部の実施形態では、適切な送達ビヒクルは0.5%未満(例えば、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%未満)の両親媒性ブロックコポリマー(例えば、ポロキサマー)を含む。一部の実施形態では、適切な送達ビヒクルは0.09%、0.08%、0.07%、0.06%、0.05%、0.04%、0.03%、0.02%、または0.01%未満の両親媒性ブロックコポリマー(例えば、ポロキサマー)を含む。一部の実施形態では、適切な送達ビヒクルは0.01%未満の両親媒性ブロックコポリマー(例えば、ポロキサマー)を含む。一部の実施形態では、適切な送達ビヒクルは残留量の両親媒性ポリマー(例えば、ポロキサマー)を含む。本明細書で使用される場合、残留量は、組成物中の物質(本明細書に記載される両親媒性ポリマー、例えばポロキサマー)の実質的に全部を除去した後に残っている量を意味する。残留量は、公知の技術を使用して定性的または定量的に検出可能である。残留量は、公知の技術を使用して検出可能でない場合もある。
【0193】
ポリマー
一部の実施形態では、適切な送達ビヒクルは、担体としてのポリマーを単独で、または本明細書に記載される様々な脂質を含む他の担体と組み合わせて使用して製剤化される。よって、一部の実施形態では、リポソーム送達ビヒクルは、本明細書で使用される場合、ポリマーを含むナノ粒子も包含する。適切なポリマーには、例えば、ポリアクリレート、ポリアルキルシアノアクリレート、ポリラクチド、ポリラクチド-ポリグリコリドコポリマー、ポリカプロラクトン、デキストラン、アルブミン、ゼラチン、アルギネート、コラーゲン、キトサン、シクロデキストリン、プロタミン、PEG化プロタミン、PLL、PEG化PLLおよびポリエチレンイミン(PEI)が含まれる。PEIが存在する場合、これは10~40kDaの範囲の分子量の分枝PEI、例えば25kDa分枝PEI(Sigma 番号408727)であることができる。
【0194】
様々な実施形態によると、脂質ナノ粒子を構成するカチオン性脂質、非カチオン性脂質、PEG修飾脂質、コレステロール系脂質、および/または両親媒性ブロックコポリマーの選択、ならびにこのような成分(脂質)の互いに対する相対モル比は、選択される脂質の特徴、意図した標的細胞の性質、送達される核酸の特徴に基づく。追加の考慮事項には、例えば、アルキル鎖の飽和、ならびに選択される脂質のサイズ、電荷、pH、pKa、膜融合性および忍容性が含まれる。よって、それに応じてモル比を調整することができる。
【0195】
エタノールフリーLNP製剤における両親媒性ポリマーの使用
一部の実施形態では、本明細書の方法に使用される両親媒性ポリマーは、1つまたはそれ以上のpluronic、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール(PEG)、またはこれらの組合せを含む。一部の実施形態では、両親媒性ポリマーは、以下の1つまたはそれ以上から選択される:PEGトリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、PEG200、PEG300、PEG400、PEG600、PEG1,000、PEG1,500、PEG2,000、PEG3,000、PEG3,350、PEG4,000、PEG6,000、PEG8,000、PEG10,000、PEG20,000、PEG35,000、およびPEG40,000、またはこれらの組合せ。一部の実施形態では、両親媒性ポリマーはトリエチレングリコールである。一部の実施形態では、両親媒性ポリマーはテトラエチレングリコールである。一部の実施形態では、両親媒性ポリマーはPEG200である。一部の実施形態では、両親媒性ポリマーはPEG300である。一部の実施形態では、両親媒性ポリマーはPEG400である。一部の実施形態では、両親媒性ポリマーはPEG600である。一部の実施形態では、両親媒性ポリマーはPEG1,000である。一部の実施形態では、両親媒性ポリマーはPEG1,500である。一部の実施形態では、両親媒性ポリマーはPEG2,000である。一部の実施形態では、両親媒性ポリマーはPEG3,000である。一部の実施形態では、両親媒性ポリマーはPEG3,350である。一部の実施形態では、両親媒性ポリマーはPEG4,000である。一部の実施形態では、両親媒性ポリマーはPEG6,000である。一部の実施形態では、両親媒性ポリマーはPEG8,000である。一部の実施形態では、両親媒性ポリマーはPEG10,000である。一部の実施形態では、両親媒性ポリマーはPEG20,000である。一部の実施形態では、両親媒性ポリマーはPEG35,000である。一部の実施形態では、両親媒性ポリマーはPEG40,000である。
【0196】
一部の実施形態では、両親媒性ポリマーは、2つまたはそれ以上の種類の分子量のPEGポリマーの混合物を含む。例えば、一部の実施形態では、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12種の分子量のPEGポリマーが両親媒性ポリマーを構成する。したがって、一部の実施形態では、PEG溶液は1つまたはそれ以上のPEGポリマーの混合物を含む。一部の実施形態では、PEGポリマーの混合物は、別個の分子量を有するポリマーを含む。
【0197】
一部の実施形態では、脂質溶液は1つまたはそれ以上の両親媒性ポリマーを含む。一部の実施形態では、脂質溶液中の溶媒はPEGポリマーを含む。様々な種類のPEGポリマーが当技術分野で認識されており、そのうちの一部は別個の幾何学的構成を有する。本明細書の方法に適したPEGポリマーには、例えば、直鎖、分枝、Y状、またはマルチアーム構成を有するPEGポリマーが含まれる。一部の実施形態では、PEGは、別個の幾何学的構成の1つまたはそれ以上のPEGを含む懸濁液中にある。一部の実施形態では、脂質溶液は、溶媒としてPEG-6000を使用して達成される。一部の実施形態では、脂質溶液は、溶媒としてPEG-400を使用して達成される。一部の実施形態では、脂質溶液は、溶媒としてトリエチレングリコール(TEG)を使用して達成される。一部の実施形態では、脂質溶液は、溶媒としてトリエチレングリコールモノメチルエーテル(mTEG)を使用して達成される。一部の実施形態では、脂質溶液は、溶媒としてtert-ブチル-TEG-O-プロピオネートを使用して達成される。一部の実施形態では、脂質溶液は、溶媒としてTEG-ジメタクリレートを使用して達成される。一部の実施形態では、脂質溶液は、溶媒としてTEG-ジメチルエーテルを使用して達成される。一部の実施形態では、脂質溶液は、溶媒としてTEG-ジビニルエーテルを使用して達成される。一部の実施形態では、脂質溶液は、溶媒としてTEG-モノブチルエーテルを使用して達成される。一部の実施形態では、脂質溶液は、溶媒としてTEG-メチルエーテルメタクリレートを使用して達成される。一部の実施形態では、脂質溶液は、溶媒としてTEG-モノデシルエーテルを使用して達成される。一部の実施形態では、脂質溶液は、溶媒としてTEG-ジベンゾエートを使用して達成される。これらのPEGまたはTEG系試薬のいずれか1つを、LNP製剤中のmRNA溶液と混合される脂質溶液の溶媒として使用することができる。これらの試薬の各々の構造を表1において以下に示す。
【0198】
【0199】
一部の実施形態では、脂質溶液はPEGポリマー溶媒を含み、PEGポリマーはPEG修飾脂質を含む。一部の実施形態では、PEG修飾脂質は1,2-ジミリストイル-sn-グリセロール、メトキシポリエチレングリコール(DMG-PEG-2K)である。一部の実施形態では、PEG修飾脂質はDOPA-PEGコンジュゲートである。一部の実施形態では、PEG修飾脂質はポロキサマー-PEGコンジュゲートである。一部の実施形態では、PEG修飾脂質はDOTAPを含む。一部の実施形態では、PEG修飾脂質はコレステロールを含む。
【0200】
一部の実施形態では、脂質溶液は両親媒性ポリマーを含む。一部の実施形態では、脂質溶液は上記PEG試薬のいずれかを含む。一部の実施形態では、PEGは、約10%~約100%重量/体積濃度で懸濁液中にある。例えば、一部の実施形態では、PEGは、約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%重量/体積濃度、およびその間の任意の値で懸濁液中に存在する。一部の実施形態では、PEGは約5%重量/体積濃度で懸濁液中に存在する。一部の実施形態では、PEGは約6%重量/体積濃度で懸濁液中に存在する。一部の実施形態では、PEGは約7%重量/体積濃度で懸濁液中に存在する。一部の実施形態では、PEGは約8%重量/体積濃度で懸濁液中に存在する。一部の実施形態では、PEGは約9%重量/体積濃度で懸濁液中に存在する。一部の実施形態では、PEGは約10%重量/体積濃度で懸濁液中に存在する。一部の実施形態では、PEGは約12%重量/体積濃度で懸濁液中に存在する。一部の実施形態では、PEGは約15%重量/体積で懸濁液中に存在する。一部の実施形態では、PEGは約18%重量/体積で懸濁液中に存在する。一部の実施形態では、PEGは約20%重量/体積濃度で懸濁液中に存在する。一部の実施形態では、PEGは約25%重量/体積濃度で懸濁液中に存在する。一部の実施形態では、PEGは約30%重量/体積濃度で懸濁液中に存在する。一部の実施形態では、PEGは約35%重量/体積濃度で懸濁液中に存在する。一部の実施形態では、PEGは約40%重量/体積濃度で懸濁液中に存在する。一部の実施形態では、PEGは約45%重量/体積濃度で懸濁液中に存在する。一部の実施形態では、PEGは約50%重量/体積濃度で懸濁液中に存在する。一部の実施形態では、PEGは約55%重量/体積濃度で懸濁液中に存在する。一部の実施形態では、PEGは約60%重量/体積濃度で懸濁液中に存在する。一部の実施形態では、PEGは約65%重量/体積濃度で懸濁液中に存在する。一部の実施形態では、PEGは約70%重量/体積濃度で懸濁液中に存在する。一部の実施形態では、PEGは約75%重量/体積濃度で懸濁液中に存在する。一部の実施形態では、PEGは約80%重量/体積濃度で懸濁液中に存在する。一部の実施形態では、PEGは約85%重量/体積濃度で懸濁液中に存在する。一部の実施形態では、PEGは約90%重量/体積濃度で懸濁液中に存在する。一部の実施形態では、PEGは約95%重量/体積濃度で懸濁液中に存在する。一部の実施形態では、PEGは約100%重量/体積濃度で懸濁液中に存在する。
【0201】
一部の実施形態では、製剤は、約0.1~約5.0のPEGの総mRNA懸濁液容量に対する体積:体積比を含む。例えば、一部の実施形態では、PEGは、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.25、1.5、1.75、2.0、2.25、2.5、2.75、3.0、3.25、3.5、3.75、4.0、4.25、4.5、4.75、5.0の体積:体積比で製剤中に存在する。したがって、一部の実施形態では、PEGは約0.1の体積:体積比で製剤中に存在する。一部の実施形態では、PEGは約0.2の体積:体積比で製剤中に存在する。一部の実施形態では、PEGは約0.3の体積:体積比で製剤中に存在する。一部の実施形態では、PEGは約0.4の体積:体積比で製剤中に存在する。一部の実施形態では、PEGは約0.5の体積:体積比で製剤中に存在する。一部の実施形態では、PEGは約0.6の体積:体積比で製剤中に存在する。一部の実施形態では、PEGは約0.7の体積:体積比で製剤中に存在する。一部の実施形態では、PEGは約0.8の体積:体積比で製剤中に存在する。一部の実施形態では、PEGは約0.9の体積:体積比で製剤中に存在する。一部の実施形態では、PEGは約1.0の体積:体積比で製剤中に存在する。一部の実施形態では、PEGは約1.25の体積:体積比で製剤中に存在する。一部の実施形態では、PEGは約1.5の体積:体積比で製剤中に存在する。一部の実施形態では、PEGは約1.75の体積:体積比で製剤中に存在する。一部の実施形態では、PEGは約2.0の体積:体積比で製剤中に存在する。一部の実施形態では、PEGは約2.25の体積:体積比で製剤中に存在する。一部の実施形態では、PEGは約2.5の体積:体積比で製剤中に存在する。一部の実施形態では、PEGは約2.75の体積:体積比で製剤中に存在する。一部の実施形態では、PEGは約3.0の体積:体積比で製剤中に存在する。一部の実施形態では、PEGは約3.25の体積:体積比で製剤中に存在する。一部の実施形態では、PEGは約3.5の体積:体積比で製剤中に存在する。一部の実施形態では、PEGは約3.75の体積:体積比で製剤中に存在する。一部の実施形態では、PEGは約4.0の体積:体積比で製剤中に存在する。一部の実施形態では、PEGは約4.25の体積:体積比で製剤中に存在する。一部の実施形態では、PEGは約4.50の体積:体積比で製剤中に存在する。一部の実施形態では、PEGは約4.75の体積:体積比で製剤中に存在する。一部の実施形態では、PEGは約5.0の体積:体積比で製剤中に存在する。
【0202】
特定の実施形態では、PEGはmTEG(例えば、約100%または純粋なmTEG)である。特定の実施形態では、脂質溶液は約100% mTEG-脂質である。mRNA-LNP製剤中のmTEGの特に適切な最終濃度は約55~65%重量/体積、例えば約50%重量/体積である。実施例に示されるように、この濃度はmRNA溶解度および安定性を維持し、処理容量減少および大規模での製剤の容易な製造を可能にする。
【0203】
一部の実施形態では、mRNA溶液と脂質溶液(例えば、約100% mTEG-脂質溶液)は1~8:1、例えば1~4:1の比(v/v)で混合される。特定の実施形態では、mRNA溶液と脂質溶液(例えば、約100% mTEG-脂質溶液)は約1:1の比(v/v)で混合される。実施例に示されるように、mRNA溶液と脂質溶液のこの比はmRNA溶解度および安定性を維持し、処理容量減少および大規模での製剤の容易な製造を可能にする。
【0204】
一部の実施形態では、製剤はアルコールフリーである。一部の実施形態では、製剤は、いずれの非水性溶媒(例えば、アルコール)も使用しないで製造される。一部の実施形態では、溶媒は可燃性薬剤を含まない。一部の実施形態では、溶媒はエタノールを含まない。一部の実施形態では、溶媒は、イソプロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エタノール、メタノール、デナトニウム、およびこれらの組合せを含まない。一部の実施形態では、溶媒はアルコール溶媒(例えば、メタノール、エタノール、またはイソプロパノール)を含まない。一部の実施形態では、溶媒はケトン溶媒(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、またはメチルイソブチルケトン)を含まない。一部の実施形態では、製剤は水性である。
【0205】
一部の実施形態では、mRNAはエタノールの非存在下で封入される。一部の実施形態では、mRNAはエタノールの非存在下で精製される。一部の実施形態では、mRNA精製、mRNA封入、または両プロセスはエタノールの非存在下である。一部の実施形態では、mRNA精製、mRNA封入、または両プロセスは可燃性薬剤を含まない。一部の実施形態では、mRNA精製、mRNA封入、または両プロセスは非水性溶媒を含まない。
【0206】
別個の脂質成分の比
本発明の適切なリポソームは、カチオン性脂質、非カチオン性脂質、コレステロール脂質、PEG修飾脂質、両親媒性ブロックコポリマーおよび/または本明細書に記載されるポリマーのいずれかの1つまたはそれ以上を様々な比で含むことができる。一部の実施形態では、脂質ナノ粒子は5つおよび5つ以下のナノ粒子の別個の成分を含む。一部の実施形態では、脂質ナノ粒子は4つまたは4つ以下のナノ粒子の別個の成分を含む。一部の実施形態では、脂質ナノ粒子は3つまたは3つ以下のナノ粒子の別個の成分を含む。非限定的な例として、適切なリポソーム製剤は、cKK-E12(ML2としても知られる)、DOPE、コレステロールおよびDMG-PEG2K;C12-200、DOPE、コレステロールおよびDMG-PEG2K;HGT4003、DOPE、コレステロールおよびDMG-PEG2K;ICE、DOPE、コレステロールおよびDMG-PEG2K;またはICE、DOPE、およびDMG-PEG2Kから選択される組合せを含むことができる。
【0207】
様々な実施形態では、カチオン性脂質(例えば、cKK-E12、C12-200、ICE、および/またはHGT4003)は、モル比でリポソームの約30~60%(例えば、約30~55%、約30~50%、約30~45%、約30~40%、約35~50%、約35~45%、または約35~40%)を構成する。一部の実施形態では、カチオン性脂質(例えば、cKK-E12、C12-200、ICE、および/またはHGT4003)のパーセンテージは、モル比でリポソームの約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、もしくは約60%であるかまたはこれらを超える。
【0208】
一部の実施形態では、カチオン性脂質と非カチオン性脂質とコレステロール系脂質とPEG修飾脂質の比はそれぞれ約30~60:25~35:20~30:1~15の間である。一部の実施形態では、カチオン性脂質と非カチオン性脂質とコレステロール系脂質とPEG修飾脂質の比はそれぞれおよそ40:30:20:10である。一部の実施形態では、カチオン性脂質と非カチオン性脂質とコレステロール系脂質とPEG修飾脂質の比はそれぞれおよそ40:30:25:5である。一部の実施形態では、カチオン性脂質と非カチオン性脂質とコレステロール系脂質とPEG修飾脂質の比はそれぞれおよそ50:10:35:5である。一部の実施形態では、カチオン性脂質と非カチオン性脂質とコレステロール系脂質とPEG修飾脂質の比はそれぞれおよそ60:35:0:5である。一部の実施形態では、カチオン性脂質と非カチオン性脂質とコレステロール系脂質とPEG修飾脂質の比はそれぞれおよそ40:32:25:3である。一部の実施形態では、カチオン性脂質と非カチオン性脂質とコレステロール系脂質とPEG修飾脂質の比はおよそ50:25:20:5である。
【0209】
本発明で使用するための脂質の例示的な混合物は、4つの脂質成分:カチオン性脂質(例えば、ML-2またはMC-3)、非カチオン性脂質(例えば、DSPC,DPPC、DOPEまたはDEPE)、コレステロール系脂質(例えば、コレステロール)およびPEG修飾脂質(例えば、DMG-PEG2K)で構成される。一部の実施形態では、LNP中のカチオン性脂質(例えば、ML-2またはMC-3)と非カチオン性脂質(例えば、DSPCまたはDOPE)とコレステロール系脂質とPEG修飾脂質のモル比はそれぞれ約35~55:5~35:20~40:1~15の間であることができる。一部の実施形態では、LNP中のカチオン性脂質(例えば、ML-2)と非カチオン性脂質(例えば、DSPCまたはDOPE)とコレステロール系脂質とPEG修飾脂質のモル比は35~45:25~35:20~30:1~10である。特定の実施形態では、LNP中のカチオン性脂質(例えば、ML-2)と非カチオン性脂質(例えば、DSPCまたはDOPE)とコレステロール系脂質とPEG修飾脂質のモル比は約40:30:25:5である。一部の実施形態では、LNP中のカチオン性脂質(例えば、MC-3)と非カチオン性脂質(例えば、DSPCまたはDOPE)とコレステロール系脂質とPEG修飾脂質のモル比は45~55:5~15:30~40:1~10である。一部の実施形態では、LNP中のカチオン性脂質(例えば、MC-3)と非カチオン性脂質(例えば、DSPCまたはDOPE)とコレステロール系脂質とPEG修飾脂質のモル比は約50:10:35:5である。実施例に示されるように、これらの製造は、適切なmRNA-LNP径および封入効率を確保するので、本発明の製剤に使用するのに特に適している。
【0210】
一部の実施形態では、本発明で使用するための脂質の混合物は3つ以下の別個の脂質成分を含むことができる。一部の実施形態では、このような混合物中の1つの別個の脂質成分はコレステロール系またはイミダゾール系カチオン性脂質である。脂質の例示的な混合物は、3つの脂質成分:カチオン性脂質(例えば、コレステロール系またはイミダゾール系カチオン性脂質、例えばICE、HGT4001またはHGT4002)、非カチオン性脂質(例えば、DSPC、DPPC、DOPEまたはDEPE)およびPEG修飾脂質(例えば、DMG-PEG2K)で構成される。一部の実施形態では、カチオン性脂質と非カチオン性脂質とPEG修飾脂質のモル比はそれぞれ約55~65:30~40:1~15の間である。一部の実施形態では、LNP中のカチオン性脂質(例えば、ICE)と非カチオン性脂質(例えば、DSPC)とPEG修飾脂質のモル比は55~65:30~40:1~15である。特定の実施形態では、LNP中のカチオン性脂質(例えば、ICE)と非カチオン性脂質(例えば、DSPCまたはDOPE)とPEG修飾脂質のモル比は60:35:5である。実施例に示されるように、これらの製造は、適切なmRNA-LNP径および封入効率を確保するので、本発明の製剤に使用するのに特に適している。
【0211】
一部の実施形態では、mRMA-LNP中の脂質およびmRNAの濃度は、カチオン性脂質(例えば、ML-2またはMC-3)とmRNAのN/P比が約2、3、4、5または6となるようなものである。実施例に示されるように、特に適切なN/P比は約4であり、効率的なLNP形成およびmRNA封入効率を可能にする。
【0212】
脂質ナノ粒子が3つまたは3つ以下の別個の脂質の成分を含む実施形態では、全脂質含有量の比(すなわち、脂質成分(1):脂質成分(2):脂質成分(3)の比)をx:y:zとして表すことができ、ここでは、
(y+z)=100-x
である。
【0213】
一部の実施形態では、「x」、「y」、および「z」の各々は脂質の3つの別個の成分のモルパーセンテージを表し、比はモル比である。
【0214】
一部の実施形態では、「x」、「y」、および「z」の各々は脂質の3つの別個の成分の重量パーセンテージを表し、比は重量比である。
【0215】
一部の実施形態では、変数「x」によって表される、脂質成分(1)はステロール系カチオン性脂質である。
【0216】
一部の実施形態では、変数「y」によって表される、脂質成分(2)はヘルパー脂質である。
【0217】
一部の実施形態では、変数「z」によって表される、脂質成分(3)はPEG脂質である。
【0218】
一部の実施形態では、脂質成分(1)(例えば、ステロール系カチオン性脂質)のモルパーセンテージを表す変数「x」は、少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、または約95%である。
【0219】
一部の実施形態では、脂質成分(1)(例えば、ステロール系カチオン性脂質)のモルパーセンテージを表す変数「x」は、約95%、約90%、約85%、約80%、約75%、約70%、約65%、約60%、約55%、約50%、約40%、約30%、約20%、または約10%以下である。実施形態では、変数「x」は約65%、約60%、約55%、約50%、約40%以下である。
【0220】
一部の実施形態では、脂質成分(1)(例えば、ステロール系カチオン性脂質)のモルパーセンテージを表す変数「x」は、少なくとも約50%であるが約95%未満;少なくとも約50%であるが約90%未満;少なくとも約50%であるが約85%未満;少なくとも約50%であるが約80%未満;少なくとも約50%であるが約75%未満;少なくとも約50%であるが約70%未満;少なくとも約50%であるが約65%未満;または少なくとも約50%であるが約60%未満である。実施形態では、変数「x」は少なくとも約50%であるが約70%未満;少なくとも約50%であるが約65%未満;または少なくとも約50%であるが約60%未満である。
【0221】
一部の実施形態では、脂質成分(1)(例えば、ステロール系カチオン性脂質)の重量パーセンテージを表す変数「x」は、少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、または約95%である。
【0222】
一部の実施形態では、脂質成分(1)(例えば、ステロール系カチオン性脂質)の重量パーセンテージを表す変数「x」は、約95%、約90%、約85%、約80%、約75%、約70%、約65%、約60%、約55%、約50%、約40%、約30%、約20%、または約10%以下である。実施形態では、変数「x」は約65%、約60%、約55%、約50%、約40%以下である。
【0223】
一部の実施形態では、脂質成分(1)(例えば、ステロール系カチオン性脂質)の重量パーセンテージを表す変数「x」は:少なくとも約50%であるが約95%未満;少なくとも約50%であるが約90%未満;少なくとも約50%であるが約85%未満;少なくとも約50%であるが約80%未満;少なくとも約50%であるが約75%未満;少なくとも約50%であるが約70%未満;少なくとも約50%であるが約65%未満;または少なくとも約50%であるが約60%未満である。実施形態では、変数「x」は少なくとも約50%であるが約70%未満;少なくとも約50%であるが約65%未満;または少なくとも約50%であるが約60%未満である。
【0224】
一部の実施形態では、脂質成分(3)(例えば、PEG脂質)のモルパーセンテージを表す変数「z」は、約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、または25%以下である。実施形態では、脂質成分(3)(例えば、PEG脂質)のモルパーセンテージを表す変数「z」は、約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%である。実施形態では、脂質成分(3)(例えば、PEG脂質)のモルパーセンテージを表す変数「z」は、約1%~約10%、約2%~約10%、約3%~約10%、約4%~約10%、約1%~約7.5%、約2.5%~約10%、約2.5%~約7.5%、約2.5%~約5%、約5%~約7.5%、または約5%~約10%である。
【0225】
一部の実施形態では、脂質成分(3)(例えば、PEG脂質)の重量パーセンテージを表す変数「z」は、約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、または25%以下である。実施形態では、脂質成分(3)(例えば、PEG脂質)の重量パーセンテージを表す変数「z」は、約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%である。実施形態では、脂質成分(3)(例えば、PEG脂質)の重量パーセンテージを表す変数「z」は、約1%~約10%、約2%~約10%、約3%~約10%、約4%~約10%、約1%~約7.5%、約2.5%~約10%、約2.5%~約7.5%、約2.5%~約5%、約5%~約7.5%、または約5%~約10%である。
【0226】
3つおよび3つのみの別個の脂質の成分を有する組成物について、変数「x」、「y」、および「z」は、3つの変数の和が合計して総脂質含有量の100%になる限り、任意の組合せであることができる。
【0227】
mRNA合成
本発明によるmRNAは、様々な公知の方法のいずれかに従って合成することができる。様々な方法は米国特許出願公開第2018/0258423号に記載されており、これらの方法を使用して本発明を実施することができ、その全てを参照によって本明細書に組み入れる。例えば、本発明によるmRNAはインビトロ転写(IVT)を介して合成することができる。手短に言えば、IVTは、典型的にはプロモーターを含有する直鎖または環状DNA鋳型、リボヌクレオチド三リン酸のプール、DTTおよびマグネシウムイオンを含むことができる緩衝系、ならびに適切なRNAポリメラーゼ(例えば、T3、T7、またはSP6 RNAポリメラーゼ)、DNAse I、ピロホスファターゼ、および/またはRNAse阻害剤を用いて実施される。正確な条件は具体的な用途によって変化する。
【0228】
一部の実施形態では、適切なmRNA配列は、タンパク質またはペプチドをコードするmRNA配列である。一部の実施形態では、適切なmRNA配列は、ヒト細胞での効率的な発現のためにコドン最適化される。一部の実施形態では、適切なmRNA配列は天然に存在する配列または野生型配列である。一部の実施形態では、適切なmRNA配列は、アミノ酸配列に1つまたはそれ以上の突然変異を含有するタンパク質またはペプチドをコードする。
【0229】
本発明を使用して様々な長さのmRNAを送達することができる。一部の実施形態では、本発明を使用して、約0.5kb、1kb、1.5kb、2kb、2.5kb、3kb、3.5kb、4kb、4.5kb、5kb、6kb、7kb、8kb、9kb、10kb、11kb、12kb、13kb、14kb、15kb、20kb、30kb、40kb、もしくは50kb長のまたはこれを超えるインビトロ合成mRNAを送達することができる。一部の実施形態では、本発明を使用して、約1~20kb、約1~15kb、約1~10kb、約5~20kb、約5~15kb、約5~12kb、約5~10kb、約8~20kb、または約8~50kb長の範囲のインビトロ合成mRNAを送達することができる。
【0230】
一部の実施形態では、本発明によるmRNAを製造するために、DNA鋳型をインビトロで転写する。適切なDNA鋳型は、典型的にはインビトロ転写のためのプロモーター、例えば、T3、T7またはSP6プロモーター、引き続いて所望のRNAのための所望のヌクレオチド配列および終結シグナルを有する。
【0231】
ヌクレオチド
様々な天然に存在するヌクレオチドまたは修飾ヌクレオチドを使用して本発明によるmRNAを作製することができる。一部の実施形態では、mRNAは、天然に存在するヌクレオシド(または未修飾ヌクレオチド;例えば、アデノシン、グアノシン、シチジン、ウリジン);ヌクレオシド類似体(例えば、2-アミノアデノシン、2-チオチミジン、イノシン、ピロロピリミジン、3-メチルアデノシン、5-メチルシチジン、C-5プロピニル-シチジン、C-5プロピニル-ウリジン、2-アミノアデノシン、C5-ブロモウリジン、C5-フルオロウリジン、C5-ヨードウリジン、C5-プロピニル-ウリジン、C5-プロピニル-シチジン、C5-メチルシチジン、2-アミノアデノシン、7-デアザアデノシン、7-デアザグアノシン、8-オキソアデノシン、8-オキソグアノシン、O(6)-メチルグアニン、シュードウリジン(例えば、N-1-メチルシュードウリジン)、2-チオウリジン、および2-チオシチジン);化学修飾塩基;生物修飾塩基(例えば、メチル化塩基);挿入塩基;修飾糖(例えば、2’-フルオロリボース、リボース、2’-デオキシリボース、アラビノース、およびヘキソース);および/または修飾リン酸基(例えば、ホスホロチオエートおよび5’-N-ホスホロアミダイト結合)であるか、またはこれらを含む。
【0232】
一部の実施形態では、適切なmRNAは、骨格修飾、糖修飾および/または塩基修飾を含有することができる。例えば、修飾ヌクレオチドには、それだけに限らないが、修飾プリン(アデニン(A)、グアニン(G))、またはピリミジン(チミン(T)、シトシン(C)、ウラシル(U))、およびプリンおよびピリミジンの修飾ヌクレオチド類似体または誘導体、例えば1-メチル-アデニン、2-メチル-アデニン、2-メチルチオ-N-6-イソペンテニル-アデニン、N6-メチル-アデニン、N6-イソペンテニル-アデニン、2-チオ-シトシン、3-メチル-シトシン、4-アセチル-シトシン、5-メチル-シトシン、2,6-ジアミノプリン、1-メチル-グアニン、2-メチル-グアニン、2,2-ジメチル-グアニン、7-メチル-グアニン、イノシン、1-メチル-イノシン、シュードウラシル(5-ウラシル)、ジヒドロ-ウラシル、2-チオ-ウラシル、4-チオ-ウラシル、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオ-ウラシル、5-(カルボキシヒドロキシメチル)-ウラシル、5-フルオロ-ウラシル、5-ブロモ-ウラシル、5-カルボキシメチルアミノメチル-ウラシル、5-メチル-2-チオ-ウラシル、5-メチル-ウラシル、N-ウラシル-5-オキシ酢酸メチルエステル、5-メチルアミノメチル-ウラシル、5-メトキシアミノメチル-2-チオ-ウラシル、5’-メトキシカルボニルメチル-ウラシル、5-メトキシ-ウラシル、ウラシル-5-オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル-5-オキシ酢酸(v)、1-メチル-シュードウラシル、キューオシン(queosine)、ベータ-D-マンノシル-キューオシン、ワイブトキソシン(wybutoxosine)、およびホスホロアミダイト、ホスホロチオエート、ペプチドヌクレオチド、メチルホスホネート、7-デアザグアノシン、5-メチルシトシンおよびイノシンが含まれる。このような類似体の製造は、例えばその開示全体を参照によって組み入れる、米国特許第4,373,071号、米国特許第4,401,796号、米国特許第4,415,732号、米国特許第4,458,066号、米国特許第4,500,707号、米国特許第4,668,777号、米国特許第4,973,679号、米国特許第5,047,524号、米国特許第5,132,418号、米国特許第5,153,319号、米国特許第5,262,530号および米国特許第5,700,642号から当業者に公知である。
【0233】
一部の実施形態では、mRNAは1つまたはそれ以上の非標準ヌクレオチド残基を含む。非標準ヌクレオチド残基には、例えば5-メチル-シチジン(「5mC」)、シュードウリジン(「ΨU」)、および/または2-チオ-ウリジン(「2sU」)が含まれる。このような残基およびこれらのmRNAへの組み込みの議論については、例えば米国特許第8,278,036号または国際公開第2011/012316号を参照されたい。mRNAは、U残基の25%が2-チオ-ウリジンであり、C残基の25%が5-メチルシチジンであるRNAとして定義されるRNAであることができる。RNAの使用についての教示は、共に全体を参照によって本明細書に組み入れる、米国特許出願公開第2012/0195936号および国際公開第2011/012316号に開示される。非標準ヌクレオチド残基の存在は、mRNAを、同じ配列を有するが、標準残基のみを含有する対照mRNAよりも安定におよび/またはあまり免疫原性ではなくすることができる。さらなる実施形態では、mRNAは、イソシトシン、シュードイソシトシン、5-ブロモウラシル、5-プロピニルウラシル、6-アミノプリン、2-アミノプリン、イノシン、ジアミノプリンおよび2-クロロ-6-アミノプリンシトシン、ならびにこれらの修飾および他の核酸塩基修飾の組合せから選択される1つまたはそれ以上の非標準ヌクレオチド残基を含むことができる。一部の実施形態は、フラノース環または核酸塩基に対する追加の修飾をさらに含むことができる。追加の修飾には、例えば、糖修飾または置換(例えば、2’-O-アルキル修飾、ロック核酸(LNA)の1つまたはそれ以上)が含まれる。一部の実施形態では、RNAは追加のポリヌクレオチドおよび/またはペプチドポリヌクレオチド(PNA)と複合体化またはハイブリダイズされる。糖修飾が2’-O-アルキル修飾である一部の実施形態では、このような修飾には、それだけに限らないが、2’-デオキシ-2’-フルオロ修飾、2’-O-メチル修飾、2’-O-メトキシエチル修飾および2’-デオキシ修飾が含まれる。一部の実施形態では、これらの修飾のいずれもヌクレオチドの0~100%-例えば、個別にまたは組み合わせて構成ヌクレオチドの0%、1%、10%、25%、50%、75%、85%、90%、95%超または100%で存在することができる。
【0234】
一部の実施形態では、mRNAはRNA骨格修飾を含有することができる。典型的には、骨格修飾は、RNAに含有されるヌクレオチドの骨格のリン酸エステルが化学修飾される修飾である。例示的な骨格修飾には、典型的には、それだけに限らないが、メチルホスホネート、メチルホスホロアミダイト、ホスホロアミダイト、ホスホロチオエート(例えば、シチジン5’-O-(1-チオホスフェート))、ボラノホスフェート、正に帯電したグアニジニウム基等からなる群の修飾が含まれる(他のアニオン性、カチオン性または中性基によってホスホジエステル結合に取って代わることによることを意味する)。
【0235】
一部の実施形態では、mRNAは糖修飾を含有することができる。典型的な糖修飾は、それだけに限らないが、2’-デオキシ-2’-フルオロ-オリゴリボヌクレオチド(2’-フルオロ-2’-デオキシシチジン5’-三リン酸、2’-フルオロ-2’-デオキシウリジン5’-三リン酸)、2’-デオキシ-2’-デアミン-オリゴリボヌクレオチド(2’-アミノ-2’-デオキシシチジン5’-三リン酸、2’-アミノ-2’-デオキシウリジン5’-三リン酸)、2’-O-アルキルオリゴリボヌクレオチド、2’-デオキシ-2’-C-アルキルオリゴリボヌクレオチド(2’-O-メチルシチジン5’-三リン酸、2’-メチルウリジン5’-三リン酸)、2’-C-アルキルオリゴリボヌクレオチド、およびこれらの異性体(2’-アラシチジン5’-三リン酸、2’-アラウリジン5’-三リン酸)、またはアジド三リン酸(2’-アジド-2’-デオキシシチジン5’-三リン酸、2’-アジド-2’-デオキシウリジン5’-三リン酸)からなる群から選択される糖修飾を含む、mRNAが含有するヌクレオチドの糖の化学修飾である。
【0236】
合成後プロセシング
典型的には、5’キャップおよび/または3’テールを合成後に付加することができる。キャップの存在は、ほとんどの真核細胞に見られるヌクレアーゼに対する耐性を提供するのに重要である。「テール」の存在は、mRNAをエキソヌクレアーゼ分解から保護するのに役立つ。
【0237】
5’キャップは、典型的には以下のように付加される:最初に、RNA末端ホスファターゼが5’ヌクレオチドから末端リン酸基の1つを除去して、2つの末端リン酸エステルを残し;次いで、グアノシン三リン酸(GTP)を、グアニリルトランスフェラーゼを介して末端リン酸エステルに付加して、5’5’5三リン酸結合を生成し;次いで、グアニンの7-窒素をメチルトランスフェラーゼによってメチル化する。キャップ構造の例としては、それだけに限らないが、m7G(5’)ppp(5’(A,G(5’)ppp(5’)AおよびG(5’)ppp(5’)Gが挙げられる。追加のキャップ構造は、参照によって本明細書に組み入れる、米国特許出願公開第2016/0032356号および米国特許出願公開第2018/0125989号に記載されている。
【0238】
典型的には、テール構造はポリ(A)および/またはポリ(C)テールを含む。mRNAの3’末端上のポリAまたはポリCテールは、典型的にはそれぞれ少なくとも50個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも150個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも200個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも250個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも300個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも350個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも400個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも450個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも500個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも550個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも600個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも650個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも700個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも750個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも800個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも850個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも900個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも950個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、または少なくとも1kbのアデノシンもしくはシトシンヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、ポリAまたはポリCテールは、それぞれ約10~800個のアデノシンまたはシトシンヌクレオチド(例えば、約10~200個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、約10~300個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、約10~400個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、約10~500個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、約10~550個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、約10~600個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、約50~600個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、約100~600個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、約150~600個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、約200~600個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、約250~600個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、約300~600個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、約350~600個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、約400~600個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、約450~600個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、約500~600個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、約10~150個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、約10~100個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、約20~70個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、または約20~60個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド)であることができる。一部の実施形態では、テール構造は、本明細書に記載される様々な長さのポリ(A)テールとポリ(C)テールの組合せである。一部の実施形態では、テール構造は、少なくとも50%、55%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、92%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のアデノシンヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、テール構造は、少なくとも50%、55%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、92%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のシトシンヌクレオチドを含む。
【0239】
本明細書に記載されるように、キャッピングおよび/またはテーリングがないと、早期中断mRNA転写産物のサイズがあまりに小さすぎて検出することができないために、5’キャップおよび/または3’テールの付加によって、インビトロ合成中に産生される中断転写産物の検出が容易になる。よって、一部の実施形態では、mRNAを純度(mRNA中に存在する中断転写産物のレベル)について試験する前に、5’キャップおよび/または3’テールを合成されたmRNAに付加する。一部の実施形態では、mRNAを本明細書に記載されるように精製する前に、5’キャップおよび/または3’テールを合成されたmRNAに付加する。他の実施形態では、mRNAを本明細書に記載されるように精製した後に、5’キャップおよび/または3’テールを合成されたmRNAに付加する。
【0240】
合成されたmRNAは、さらに精製することなく本発明に使用することができる。特に、合成されたmRNAは、ショートマーを除去する工程なしに本発明によって使用することができる。一部の実施形態では、合成されたmRNAを本発明により使用するためにさらに精製することができる。様々な方法を使用して合成されたmRNAを精製することができる。例えば、遠心分離、濾過および/またはクロマトグラフィー法を使用して、mRNAの精製を実施することができる。一部の実施形態では、合成されたmRNAは、エタノール沈殿もしくは濾過もしくはクロマトグラフィー、もしくはゲル精製または任意の他の適切な手段によって精製される。一部の実施形態では、mRNAはHPLCによって精製される。一部の実施形態では、mRNAは、当業者に周知の、標準フェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール溶液中で抽出される。一部の実施形態では、mRNAはタンジェンシャルフローフィルトレーションを使用して精製される。適切な精製方法には、その全てを参照によって本明細書に組み入れ、本発明を実施するために使用することができる、米国特許出願公開第2016/0040154号、米国特許出願公開第2015/0376220号、米国特許出願公開第2018/0251755号、米国特許出願公開第2018/0251754号、2018年11月8日に出願された米国仮特許出願第62/757,612号、および2019年8月26日に出願された米国仮特許出願第62/891,781号に記載されるものが含まれる。
【0241】
一部の実施形態では、mRNAは、キャッピングおよびテーリング前に精製される。一部の実施形態では、mRNAは、キャッピングおよびテーリング後に精製される。一部の実施形態では、mRNAは、キャッピングおよびテーリングの前と後の両方で精製される。
【0242】
一部の実施形態では、mRNAは、遠心分離によって、キャッピングおよびテーリングの前もしくは後のいずれか、または前と後の両方で精製される。
【0243】
一部の実施形態では、mRNAは、濾過によって、キャッピングおよびテーリングの前もしくは後のいずれか、または前と後の両方で精製される。
【0244】
一部の実施形態では、mRNAは、タンジェンシャルフローフィルトレーション(TFF)によって、キャッピングおよびテーリングの前もしくは後のいずれか、または前と後の両方で精製される。
【0245】
一部の実施形態では、mRNAは、クロマトグラフィーによって、キャッピングおよびテーリングの前もしくは後のいずれか、または前と後の両方で精製される。
【0246】
一部の実施形態では、mRNAは、エタノールもいずれの他の可燃性溶媒も使用しないで精製される。
【0247】
精製されたmRNAの特性評価
本明細書に記載されるmRNA組成物は、短い中断RNA種、長い中断RNA種、二本鎖RNA(dsRNA)、残留プラスミドDNA、残留インビトロ転写酵素、残留溶媒および/または残留塩を含む汚染物質を実質的に含まない。
【0248】
本明細書に記載されるmRNA組成物は、約60%~約100%の間の純度を有する。したがって、一部の実施形態では、精製されたmRNAは約60%の純度を有する。一部の実施形態では、精製されたmRNAは約65%の純度を有する。一部の実施形態では、精製されたmRNAは約70%の純度を有する。一部の実施形態では、精製されたmRNAは約75%の純度を有する。一部の実施形態では、精製されたmRNAは約80%の純度を有する。一部の実施形態では、精製されたmRNAは約85%の純度を有する。一部の実施形態では、精製されたmRNAは約90%の純度を有する。一部の実施形態では、精製されたmRNAは約91%の純度を有する。一部の実施形態では、精製されたmRNAは約92%の純度を有する。一部の実施形態では、精製されたmRNAは約93%の純度を有する。一部の実施形態では、精製されたmRNAは約94%の純度を有する。一部の実施形態では、精製されたmRNAは約95%の純度を有する。一部の実施形態では、精製されたmRNAは約96%の純度を有する。一部の実施形態では、精製されたmRNAは約97%の純度を有する。一部の実施形態では、精製されたmRNAは約98%の純度を有する。一部の実施形態では、精製されたmRNAは約99%の純度を有する。一部の実施形態では、精製されたmRNAは約100%の純度を有する。
【0249】
一部の実施形態では、本明細書に記載されるmRNA組成物は、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、および/または0.1%未満の完全長mRNA以外の不純物を有する。不純物には、IVT汚染物質、例えばタンパク質、酵素、DNA鋳型、遊離ヌクレオチド、残留溶媒、残留塩、二本鎖RNA(dsRNA)、早期中断RNA配列(「ショートマー」または「短い中断RNA種」)、および/または長い中断RNA種が含まれる。一部の実施形態では、精製されたmRNAはプロセス酵素を実質的に含まない。
【0250】
一部の実施形態では、本発明の精製されたmRNA中の残留プラスミドDNAは、約1pg/mg未満、約2pg/mg未満、約3pg/mg未満、約4pg/mg未満、約5pg/mg未満、約6pg/mg未満、約7pg/mg未満、約8pg/mg未満、約9pg/mg未満、約10pg/mg未満、約11pg/mg未満、または約12pg/mg未満である。したがって、精製されたmRNA中の残留プラスミドDNAは約1pg/mg未満である。一部の実施形態では、精製されたmRNA中の残留プラスミドDNAは約2pg/mg未満である。一部の実施形態では、精製されたmRNA中の残留プラスミドDNAは約3pg/mg未満である。一部の実施形態では、精製されたmRNA中の残留プラスミドDNAは約4pg/mg未満である。一部の実施形態では、精製されたmRNA中の残留プラスミドDNAは約5pg/mg未満である。一部の実施形態では、精製されたmRNA中の残留プラスミドDNAは約6pg/mg未満である。一部の実施形態では、精製されたmRNA中の残留プラスミドDNAは約7pg/mg未満である。一部の実施形態では、精製されたmRNA中の残留プラスミドDNAは約8pg/mg未満である。一部の実施形態では、精製されたmRNA中の残留プラスミドDNAは約9pg/mg未満である。一部の実施形態では、精製されたmRNA中の残留プラスミドDNAは約10pg/mg未満である。一部の実施形態では、精製されたmRNA中の残留プラスミドDNAは約11pg/mg未満である。一部の実施形態では、精製されたmRNA中の残留プラスミドDNAは約12pg/mg未満である。
【0251】
一部の実施形態では、本発明による方法は、約90%、95%、96%、97%、98%、99%超または実質的に全ての早期中断RNA配列(「ショートマー」としても知られる)を除去する。一部の実施形態では、mRNA組成物は早期中断RNA配列を実質的に含まない。一部の実施形態では、mRNA組成物は、約5%未満(例えば、約4%、3%、2%、または1%未満)の早期中断RNA配列を含有する。一部の実施形態では、mRNA組成物は、約1%未満(例えば、約0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、または0.1%未満)の早期中断RNA配列を含有する。一部の実施形態では、mRNA組成物は例えば高速液体クロマトグラフィー(HPLC)(例えば、ショルダーピークまたは別々のピーク)、臭化エチジウム、クーマシー染色、キャピラリー電気泳またはグリオキサールゲル電気泳動によって決定される、検出不能な早期中断RNA配列(例えば、別々の低いバンドの存在)。本明細書で使用される場合、「ショートマー」、「短い中断RNA種」、「早期中断RNA配列」または「長い中断RNA種」という用語は、完全長より短い任意の転写産物を指す。一部の実施形態では、「ショートマー」、「短い中断RNA種」、または「早期中断RNA配列」は、100ヌクレオチド長未満、90ヌクレオチド長未満、80ヌクレオチド長未満、70ヌクレオチド長未満、60ヌクレオチド長未満、50ヌクレオチド長未満、40ヌクレオチド長未満、30ヌクレオチド長未満、20ヌクレオチド長未満、または10ヌクレオチド長未満である。一部の実施形態では、ショートマーは、5’キャップ、および/または3’ポリAテールを付加した後に検出または定量化される。一部の実施形態では、早期中断RNA転写産物は15個未満の塩基(例えば、14個、13個、12個、11個、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、または3個未満の塩基)を含む。一部の実施形態では、早期中断RNA転写産物は、約8~15個、8~14個、8~13個、8~12個、8~11個、または8~10個の塩基を含有する。
【0252】
一部の実施形態では、本発明の精製されたmRNAは、それだけに限らないが、T7 RNAポリメラーゼ、DNAse I、ピロホスファターゼ、および/またはRNAse阻害剤を含む、インビトロ合成に使用される酵素試薬を実質的に含まない。一部の実施形態では、本発明による精製されたmRNAは、約5%未満(例えば、約4%、3%、2%、または1%未満)のインビトロ合成に使用される酵素試薬を含有する。一部の実施形態では、精製されたmRNAは、約1%未満(例えば、約0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、または0.1%未満)のインビトロ合成に使用される酵素試薬を含有する。一部の実施形態では、精製されたmRNAは、例えば銀染色、ゲル電気泳動、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、超高速液体クロマトグラフィー(UPLC)、および/またはキャピラリー電気泳動、臭化エチジウムおよび/またはクーマシー染色によって決定されるものを含む、インビトロ合成に使用される検出不能な酵素試薬を含有する。
【0253】
様々な実施形態では、本発明の精製されたmRNAは高い完全性の程度を維持する。本明細書で使用される場合、「mRNA完全性」という用語は、一般的に精製後のmRNAの質を指す。mRNA完全性は、例えば、RNAアガロースゲル電気泳動によって、当技術分野で周知の方法を使用して決定することができる。一部の実施形態では、mRNA完全性は、RNAアガロースゲル電気泳動のバンドパターンによって決定することができる。一部の実施形態では、本発明の精製されたmRNAは、RNAアガロースゲル電気泳動の参照バンドと比較してほとんどまたは全くバンドを示さない。一部の実施形態では、本発明の精製されたmRNAは、約95%超(例えば、約96%、97%、98%、99%超またはそれ以上)の完全性を有する。一部の実施形態では、本発明の精製されたmRNAは98%超の完全性を有する。一部の実施形態では、本発明の精製されたmRNAは99%超の完全性を有する。一部の実施形態では、本発明の精製されたmRNAはおよそ100%の完全性を有する。
【0254】
一部の実施形態では、精製されたmRNAを以下の特徴:外観、同一性、量、濃度、不純物の存在、微生物学的評価、pHレベルおよび活性のうちの1つまたはそれ以上について評価する。一部の実施形態では、許容される外観には、目に見える粒子を本質的に含まない、無色透明溶液が含まれる。一部の実施形態では、mRNAの同一性は、配列決定法によって評価される。一部の実施形態では、濃度は、UV分光光度法などの適切な方法によって評価される。一部の実施形態では、適切な濃度は約90%~110%公称の間(0.9~1.1mg/mL)である。
【0255】
一部の実施形態では、mRNAの純度の評価は、mRNA完全性の評価、残留プラスミドDNAの評価、および残留溶媒の評価を含む。一部の実施形態では、mRNA完全性の許容されるレベルは、アガロースゲル電気泳動によって評価される。ゲルを分析して、結合パターンおよび見かけのヌクレオチド長が分析参照標準と一致しているかどうかを決定する。RNA完全性を評価する追加の方法には、例えば、キャピラリーゲル電気泳動(CGE)を使用した精製されたmRNAの評価が含まれる。一部の実施形態では、CGEによって決定される精製されたmRNAの許容される純度は、精製されたmRNA組成物が約55%以下の長い中断/分解された種を有することである。一部の実施形態では、残留プラスミドDNAは、当技術分野の方法によって、例えば、qPCRの使用によって評価される。一部の実施形態では、10pg/mg未満(例えば、10pg/mg未満、9pg/mg未満、8pg/mg未満、7pg/mg未満、6pg/mg未満、5pg/mg未満、4pg/mg未満、3pg/mg未満、2pg/mg未満、または1pg/mg未満)が残留プラスミドDNAの許容されるレベルである。一部の実施形態では、許容される残留溶媒レベルは、10,000ppm、9,000ppm、8,000ppm、7,000ppm、6,000ppm、5,000ppm、4,000ppm、3,000ppm、2,000ppm、1,000ppm以下である。したがって、一部の実施形態では、許容される残留溶媒レベルは10,000ppm以下である。一部の実施形態では、許容される残留溶媒レベルは9,000ppm以下である。一部の実施形態では、許容される残留溶媒レベルは8,000ppm以下である。一部の実施形態では、許容される残留溶媒レベルは7,000ppm以下である。一部の実施形態では、許容される残留溶媒レベルは6,000ppm以下である。一部の実施形態では、許容される残留溶媒レベルは5,000ppm以下である。一部の実施形態では、許容される残留溶媒レベルは4,000ppm以下である。一部の実施形態では、許容される残留溶媒レベルは3,000ppm以下である。一部の実施形態では、許容される残留溶媒レベルは2,000ppm以下である。一部の実施形態では、許容される残留溶媒レベルは1,000ppm以下である。
【0256】
一部の実施形態では、例えば、細菌内毒素の評価を含む微生物試験が精製されたmRNAに実施される。一部の実施形態では、細菌内毒素は、0.5EU/mL未満、0.4EU/mL未満、0.3EU/mL未満、0.2EU/mL未満または0.1EU/mL未満である。したがって、一部の実施形態では、精製されたmRNA中の細菌内毒素は0.5EU/mL未満である。一部の実施形態では、精製されたmRNA中の細菌内毒素は0.4EU/mL未満である。一部の実施形態では、精製されたmRNA中の細菌内毒素は0.3EU/mL未満である。一部の実施形態では、精製されたmRNA中の細菌内毒素は0.2EU/mL未満である。一部の実施形態では、精製されたmRNA中の細菌内毒素は0.2EU/mL未満である。一部の実施形態では、精製されたmRNA中の細菌内毒素は0.1EU/mL未満である。一部の実施形態では、精製されたmRNAは、1CFU/10mL、1CFU/25mL、1CFU/50mL、1CFU/75mL以下、または1CFU/100mL以下を有する。したがって、一部の実施形態では、精製されたmRNAは1CFU/10mL以下を有する。一部の実施形態では、精製されたmRNAは1CFU/25mL以下を有する。一部の実施形態では、精製されたmRNAは1CFU/50mL以下を有する。一部の実施形態では、精製されたmRNAは1CFU/75mL以下を有する。一部の実施形態では、精製されたmRNAは1CFU/100mLを有する。
【0257】
一部の実施形態では、精製されたmRNAのpHを評価する。一部の実施形態では、精製されたmRNAの許容されるpHは5~8の間である。したがって、一部の実施形態では、精製されたmRNAは約5のpHを有する。一部の実施形態では、精製されたmRNAは約6のpHを有する。一部の実施形態では、精製されたmRNAは約7のpHを有する。一部の実施形態では、精製されたmRNAは約7.5のpHを有する。一部の実施形態では、精製されたmRNAは約8のpHを有する。
【0258】
一部の実施形態では、精製されたmRNAの翻訳忠実度を評価する。翻訳忠実度は、様々な方法によって評価することができ、例えば、トランスフェクションおよびウエスタンブロット分析を含むことができる。精製されたmRNAの許容される特徴には、参照標準と同様の分子量で移動するウエスタンブロットでのバンドパターンが含まれる。
【0259】
一部の実施形態では、精製されたmRNAをコンダクタンスについて評価する。一部の実施形態では、精製されたmRNAの許容される特徴には、参照標準の約50%~約150%の間のコンダクタンスが含まれる。
【0260】
精製されたmRNAをキャップパーセンテージおよびポリAテール長についても評価する。一部の実施形態では、許容されるキャップパーセンテージには、キャップ1、%面積:NLT90が含まれる。一部の実施形態では、許容されるポリAテール長は、約100~1500ヌクレオチド(例えば、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、および1000、1100、1200、1300、1400、または1500ヌクレオチド)である。
【0261】
一部の実施形態では、精製されたmRNAを残留PEGについても評価する。一部の実施形態では、精製されたmRNAは、10ng PEG/精製されたmRNAのmg~1000ng PEG/精製されたmRNAのmgの間未満を有する。したがって、一部の実施形態では、精製されたmRNAは約10ng PEG/精製されたmRNAのmg未満を有する。一部の実施形態では、精製されたmRNAは約100ng PEG/精製されたmRNAのmg未満を有する。一部の実施形態では、精製されたmRNAは約250ng PEG/精製されたmRNAのmg未満を有する。一部の実施形態では、精製されたmRNAは約500ng PEG/精製されたmRNAのmg未満を有する。一部の実施形態では、精製されたmRNAは約750ng PEG/精製されたmRNAのmg未満を有する。一部の実施形態では、精製されたmRNAは約1000ng PEG/精製されたmRNAのmg未満を有する。
【0262】
mRNA純度を検出および定量化する様々な方法は当技術分野で公知である。例えば、このような方法には、ブロット法、キャピラリー電気泳動、クロマトグラフィー、蛍光、ゲル電気泳動、HPLC、銀染色、分光法、紫外線(UV)、もしくはUPLC、またはこれらの組合せが含まれる。一部の実施形態では、mRNAを、ゲル電気泳動(「グリオキサールゲル電気泳動」)の前にまずグリオキサール色素によって変性させる。一部の実施形態では、合成されたmRNAをキャッピングまたはテーリング前に特性評価する。一部の実施形態では、合成されたmRNAをキャッピングおよびテーリング後に特性評価する。
【0263】
組成物の治療的使用
インビボでのmRNAの発現を容易にするために、リポソームなどの送達ビヒクルを、1つもしくはそれ以上の追加の核酸、担体、標的化リガンドもしくは安定化試薬と組み合わせて、または適切な賦形剤と混合される薬理学的組成物に製剤化することができる。薬物を製剤化および投与するための技術は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、Mack Publishing Co.、ペンシルバニア州イーストン、最新版に見られる。
【0264】
一部の実施形態では、組成物は、送達ビヒクルにより封入されたまたは送達ビヒクルと複合体化したmRNAを含む。一部の実施形態では、送達ビヒクルは、リポソーム、脂質ナノ粒子、固体-脂質ナノ粒子、ポリマー、ウイルス、ゾル-ゲル、およびナノゲルからなる群から選択される。
【0265】
提供されるmRNA搭載ナノ粒子、および同ナノ粒子を含有する組成物は、対象の臨床状態、投与の部位および方法、投与のスケジュール、対象の年齢、性別、体重、ならびに当業者の医師に関連する他の因子を考慮して、現在の医療行為に従って投与および投薬することができる。本明細書における目的のための「有効量」は、実験臨床研究、薬理学、臨床および医学分野の当業者に公知であるような関連する考慮事項によって決定することができる。一部の実施形態では、投与される量は、症状の少なくとも一部の安定化、改善または排除および当業者によって、疾患の進行、退行または改善の適切な尺度として選択されるような他の指標を達成するのに有効である。例えば、適切な量および投薬レジメンは、少なくとも一過的なタンパク質(例えば、酵素)産生を引き起こすものである。
【0266】
本発明は、インビボタンパク質産生のためにmRNAを送達する方法であって、mRNAを、送達を必要とする対象に投与する工程を含む方法を提供する。一部の実施形態では、mRNAは、静脈内送達、皮下送達、経口送達、真皮下送達、眼送達、気管内注射肺送達(例えば、噴霧または点滴注入)、筋肉内送達、髄腔内送達、または関節内送達からなる群から選択される送達経路を介して投与される。したがって、一部の実施形態では、本発明は、静脈内送達を含む、インビボタンパク質産生のためにmRNAを送達する方法を提供する。一部の実施形態では、本発明は、筋肉内送達を含む、インビボタンパク質産生のためにmRNAを送達する方法を提供する。一部の実施形態では、本発明は、気管内注射肺送達を含む、インビボタンパク質産生のためにmRNAを送達する方法を提供する。
【0267】
エタノールフリーLNP製剤の開発によって、火災安全性への懸念が大いに減少する、および/または排除され、投薬により適しているであろう1:1のシトレート-mRNAと溶媒-脂質の比を有する低容量製剤の製造をもたらすベッドサイド混合も可能になる。したがって、一部の実施形態では、mRNA LNP製剤は、例えばベッドサイド混合、病院現場での混合、および薬局現場での混合を含む、様々な設定での製造および投与に適している。
【0268】
適切な投与経路には、例えば、経口、直腸、膣、経粘膜、気管内もしくは吸入を含む肺、または腸投与;真皮内、経皮(局所)、筋肉内、皮下、髄内注射、ならびに髄腔内、直接脳室内、静脈内、腹腔内、または鼻腔内を含む非経口送達が含まれる。一部の実施形態では、筋肉内投与は、骨格筋、平滑筋および心筋からなる群から選択される筋肉に対するものである。一部の実施形態では、投与によってmRNAが筋細胞に送達される。一部の実施形態では、投与によってmRNAが肝細胞(すなわち、肝臓細胞)に送達される。特定の実施形態では、筋肉内投与によってmRNAが筋細胞に送達される。
【0269】
肺送達および噴霧の追加の教示は、その各々全体を参照によって組み入れる、米国特許出願公開第2018/0125989号および米国特許出願公開第2018/0333457号に記載されている。
【0270】
あるいはまたはさらに、本発明のmRNA搭載ナノ粒子および組成物は、例えば、好ましくは徐放性製剤での、医薬組成物の標的組織への直接の注射を介して、全身的ではなく局所的に投与される。局所送達は、標的化される組織に応じて、様々な方法で行うことができる。例えば、本発明の組成物を含有するエアロゾルを吸入することができ(経鼻、気管、もしくは気管支送達のため);本発明の組成物を、例えば、傷害、疾患顕在化、もしくは疼痛の部位に注射することができ;組成物を経口、気管、もしくは食道施用のためにロゼンジで提供することができ;胃もしくは腸への投与のために液体、錠剤もしくはカプセル剤形態で供給することができ;直腸もしくは膣施用のために坐剤形態で供給することができ;またはクリーム、液滴、もしくはさらには注射の使用によって眼に送達することさえできる。治療用分子またはリガンドと複合体化した提供される組成物を含有する製剤を、例えば、ポリマーまたは組成物が埋込部位から周囲の細胞に拡散するのを可能にすることができる他の構造もしくは物質と合わせて、外科的に投与することさえできる。あるいは、これらを、ポリマーも支持体も使用することなく外科的に施用することができる。
【0271】
本発明の提供される方法は、治療上有効量の本明細書に記載される治療剤(例えば、mRNA)の単回ならびに複数回投与を企図する。治療剤は、対象の状態の性質、重症度および程度に応じて、一定の間隔で投与することができる。一部の実施形態では、治療上有効量の本発明の治療剤(例えば、mRNA)を一定の間隔で定期的に(例えば、1年に1回、6か月に1回、5か月に1回、3か月に1回、隔月で(2か月に1回)、毎月(1か月に1回)、隔週で(2週間に1回)、1か月に2回、30日に1回、28日に1回、14日に1回、10日に1回、7日に1回、毎週、1週間に2回、毎日、または連続的に)髄腔内投与することができる。
【0272】
一部の実施形態では、提供されるリポソームおよび/または組成物は、その中に含有されるmRNAの延長放出に適するように製剤化される。このような延長放出組成物は、延長された投薬間隔で対象に都合よく投与される。例えば、一実施形態では、本発明の組成物は、1日2回、毎日、または1日おきに対象に投与される。好ましい実施形態では、本発明の組成物は、1週間に2回、1週間に1回、7日に1回、10日に1回、14日に1回、28日に1回、30日に1回、2週間に1回、3週間に1回、またはより好ましくは4週間に1回、1か月に1回、1か月に2回、6週間に1回、8週間に1回、隔月1回、3か月に1回、4か月に1回、6か月に1回、8か月に1回、9か月に1回、または毎年、対象に投与される。長期間にわたって治療剤(例えば、mRNA)を送達または放出するデポー投与(例えば、筋肉内、皮下、硝子体内)のために製剤化された組成物およびリポソームも企図される。好ましくは、使用される延長放出手段は、安定性を増強するためにmRNAになされる修飾と組み合わせられる。
【0273】
本明細書で使用される場合、「治療上有効量」という用語は、主として、本発明の医薬組成物中に含有される治療剤の総量に基づいて決定される。一般的に、治療上有効量は、対象に対する意味のある利益(例えば、疾患または障害を処置する、調節する、治癒する、予防する、および/または改善する)を達成するのに十分である。例えば、治療上有効量は、所望の治療および/または予防効果を達成するのに十分な量である。一般的に、それを必要とする対象に投与される治療剤(例えば、mRNA)の量は、対象の特徴に依存する。このような特徴には、対象の状態、疾患重症度、健康全般、年齢、性別および体重が含まれる。当業者であれば、これらのおよび他の関連する因子に応じて適切な投薬量を容易に決定することができるだろう。さらに、客観的アッセイと主観的アッセイの両方を場合により使用して最適な投薬量範囲を同定することができる。
【0274】
治療上有効量は、複数単位用量を含むことができる投薬レジメンで一般的に投与される。特定の治療用タンパク質について、治療上有効量(および/または有効投薬レジメン内の適切な単位用量)は、例えば、投与経路、他の医薬品との組合せに応じて変化する。また、特定の患者のための具体的な治療上有効量(および/または単位用量)は、処置される障害および障害の重症度;使用される具体的な医薬品の活性;使用される具体的な組成物;患者の年齢、体重、健康全般、性別および食事;投与時間、投与経路、および/または使用される具体的なタンパク質の排泄もしくは代謝率;処置の持続時間;ならびに医学分野で周知である同様の因子を含む様々な因子に依存する。
【0275】
一部の実施形態では、治療上有効用量は、約0.005mg/kg体重~500mg/kg体重、例えば約0.005mg/kg体重~400mg/kg体重、約0.005mg/kg体重~300mg/kg体重、約0.005mg/kg体重~200mg/kg体重、約0.005mg/kg体重~約100mg/kg体重、約0.005mg/kg体重~90mg/kg体重、約0.005mg/kg体重~80mg/kg体重、約0.005mg/kg体重~70mg/kg体重、約0.005mg/kg体重~60mg/kg体重、約0.005mg/kg体重~50mg/kg体重、約0.005mg/kg体重~40mg/kg体重、約0.005mg/kg体重~30mg/kg体重、約0.005mg/kg体重~25mg/kg体重、約0.005mg/kg体重~20mg/kg体重、約0.005mg/kg体重~15mg/kg体重、約0.005mg/kg体重~10mg/kg体重の範囲である。
【0276】
一部の実施形態では、治療上有効用量は、約0.1mg/kg体重超、約0.5mg/kg体重超、約1.0mg/kg体重超、約3mg/kg体重超、約5mg/kg体重超、約10mg/kg体重超、約15mg/kg体重超、約20mg/kg体重超、約30mg/kg体重超、約40mg/kg体重超、約50mg/kg体重超、約60mg/kg体重超、約70mg/kg体重超、約80mg/kg体重超、約90mg/kg体重超、約100mg/kg体重超、約150mg/kg体重超、約200mg/kg体重超、約250mg/kg体重超、約300mg/kg体重超、約350mg/kg体重超、約400mg/kg体重超、約450mg/kg体重超、約500mg/kg体重超である。特定の実施形態では、治療上有効用量は1.0mg/kgである。一部の実施形態では、1.0mg/kgの治療上有効用量が筋肉内または静脈内投与される。
【0277】
本明細書では、本明細書に開示されるリポソームの1つまたはそれ以上を含む凍結乾燥医薬組成物および例えば、その教示全体を参照によって本明細書に組み入れる、2011年6月8日に出願された米国仮特許出願第61/494,882号に開示されるこのような組成物を使用するための関連する方法も企図される。例えば、本発明による凍結乾燥医薬組成物は、投与前に再構成することができる、またはインビボで再構成することができる。例えば、凍結乾燥医薬組成物は、適切な剤形(例えば、ディスク、ロッドまたは膜などの真皮内剤形)に製剤化され、剤形が個体の体液によってインビボで時間とともに再水和されるように投与される。
【0278】
提供されるリポソームおよび組成物は任意の所望の組織に投与される。一部の実施形態では、提供されるリポソームまたは組成物によって送達されるmRNAは、リポソームおよび/または組成物が投与された組織で発現される。一部の実施形態では、送達されたmRNAは、リポソームおよび/または組成物が投与された組織とは異なる組織で発現される。送達されたmRNAが送達および/または発現される例示的な組織には、それだけに限らないが、肝臓、腎臓、心臓、脾臓、血清、脳、骨格筋、リンパ節、皮膚、および/または脳脊髄液が含まれる。
【0279】
一部の実施形態では、提供される組成物の投与が、処置前のベースライン発現レベルと比較して、対象由来の生物学的サンプルにおいて上昇したmRNA発現レベルをもたらす。典型的には、ベースラインレベルは処置直前に測定される。生物学的サンプルには、例えば、全血、血清、血漿、尿および組織サンプル(例えば、筋肉、肝臓、皮膚線維芽細胞)が含まれる。一部の実施形態では、提供される組成物の投与によって、処置直前のベースラインレベルと比較して、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または95%上昇したmRNA発現レベルが得られる。一部の実施形態では、提供される組成物の投与によって、処置されていない対象のmRNA発現レベルと比較して上昇したmRNA発現レベルが得られる。
【0280】
様々な実施形態によると、送達されたmRNAの発現のタイミングを、特定の医療ニーズに適するように調整することができる。一部の実施形態では、送達されたmRNAによってコードされるタンパク質の発現は、提供されるリポソームおよび/または組成物の投与1、2、3、6、12、24、48、72、および/または96時間後に検出可能である。一部の実施形態では、送達されたmRNAによってコードされるタンパク質の発現は、投与1週間、2週間、および/または1か月後に検出可能である。
【0281】
本発明はまた、対象、例えばヒト対象またはヒト対象の細胞または処置され、ヒト対象に送達される細胞の処置に使用するための目的のペプチドまたはポリペプチドをコードするmRNA分子を有する組成物の送達を提供する。
【実施例】
【0282】
本発明のある特定の化合物、組成物および方法をある特定の実施形態によって具体的に説明してきたが、以下の実施例は本発明を単に例示するのに役立ち、これを限定することを意図するものではない。
【実施例1】
【0283】
エタノールの代わりに溶媒としてポリマーを使用したエタノールフリー脂質ナノ粒子(LNP)製剤の封入効率
この実施例は、エタノールフリーLNP製剤の製造において、ML-2およびICEを含む様々なカチオン性脂質の溶解に例示的な溶媒としてトリエチレングリコールモノメチルエーテル(mTEG)を使用することによって達成される封入効率を例示する。エタノールフリーLNP製剤の開発は、火災安全性への懸念を大いに減少させるおよび/または排除し、投薬により適するような1:1シトレート-mRNAと溶媒-脂質の比を有する低容量製剤の製造をもたらすベッドサイド混合を可能にするだろう。このような低容量製剤は、溶媒としてエタノールを使用して得ることが現在困難である。
【0284】
例示的なLNP製剤を、水溶液中のmRNAを、両親媒性ポリマー溶液に溶解した脂質(例えば、カチオン性脂質、非カチオン性脂質、およびPEG修飾脂質)と混合して、LNP内に封入されたmRNA(mRNA-LNP)を形成することによって製造した。この実施例では、脂質をエタノールフリーmTEG溶液またはエタノール系溶液中で製造した。2つの異なるカチオン性脂質、ML-2およびICEを評価し、エタノールフリーポリマー混合物とエタノール含有混合物の両方で各カチオン性脂質についてPEG:カチオン性脂質:コレステロール:非カチオン性脂質の同じ比を使用した(表2参照)。エタノールフリーポリマー混合物およびエタノール含有混合物からのLNPの粒径、多分散指数および封入効率を評価した。
【0285】
【0286】
表2に見られるように、mTEG製造製剤は、エタノール製造LNP製剤と比較して同等のまたは改善された封入効率を有する同等の径のLNPをもたらした。多分散指数は、エタノール製剤と比較してmTEG製剤でわずかに高いことが観察された。
【0287】
結果は、mTEGを使用して脂質を溶解し、同等のまたは改善された封入効率を有するエタノールフリーLNP製剤の安全な製造を可能にすることができることを示した。
【実施例2】
【0288】
脂質用のエタノール溶媒を使用した場合と比較した脂質用のポリマー溶媒を使用して製造されたmRNA-LNPの封入効率
この実施例は、脂質用のエタノール溶媒を使用して製剤化されたLNP製剤と比較した脂質用のポリマー溶媒を使用して製剤化されたLNP製剤で得られた平均粒径、多分散指数(「PDI」)および封入効率を例示している。ポリマー溶媒(mTEG)またはエタノールを使用して製剤化されたLNPは、PEG修飾脂質、ML-2またはMC3のいずれかのカチオン性脂質、コレステロールおよびヘルパー脂質(DSPC)で構成されていた。
【0289】
LNP用の脂質を100% mTEG溶液または100%エタノール溶液に溶解することによって、例示的なmRNA-LNP製剤を製造した。脂質は、カチオン性脂質としてのML-2またはMC-3のいずれか、PEG修飾脂質、コレステロールおよびヘルパー脂質(DSPC)を含んでいた。mTEG-脂質またはエタノール-脂質溶液を、それぞれ1対4(mTEG-脂質溶液対mRNA溶液またはエタノール-脂質溶液対mRNA溶液)の容量比でmRNAの水溶液(クエン酸緩衝液中)と混合した。混合前に、水溶液中のmRNAは0.08mg/mLの濃度であり、脂質溶液中の脂質は、4のカチオン性脂質(ML-2またはMC-3)とmRNAのN/P比を提供するのに必要な濃度であった。PEG修飾脂質、コレステロールおよびヘルパー脂質(DSPC)濃度は、表3に提供される標的比(カチオン性脂質に対する)に従って製造した。得られたmRNA-LNPの粒径、多分散指数および封入効率を分析した(表3)。
【0290】
【0291】
表3に示されるように、MC-3がカチオン性脂質であるmTEG製造製剤およびエタノール製造製剤において、同等の径のmRNA-LNPが得られた。カチオン性脂質としてML-2を有する製剤については、mRNA-LNPがエタノール製造脂質に対してmTEG製造脂質から得られたもので大きかった。対応するエタノール製造MC-3 mRNA-LNP製剤で得られた90%の封入効率と比較して、mTEG製造MC-3 mRNA-LNP製剤で97%の高い封入効率が得られた。カチオン性脂質としてML-2を有する製剤については、封入効率がエタノール製造脂質に対してmTEG製造脂質から得られたmRNA-LNPで同等であった。エタノール製造mRNA-LNP製剤と比較してmTEG製造MC-3 mRNA-LNP製剤で多分散指数が増加した。
【0292】
これらの結果は、ポリマー製造LNP製剤、特にmTEG製造LNP製剤が、エタノール製造LNP製剤と比較して同等のLNP径および潜在的に高い封入効率を提供することを示した。エタノールフリーmTEG製剤はエタノール系製剤と比較して安全に大規模で製造することができ、脂質組成物に使用される溶媒を除去する後の処理をあまり要さないので、エタノールの代わりにmTEGを使用してmRNA封入LNPを調製することは有利である。
【実施例3】
【0293】
エタノールフリー製剤は低容量混合を要する
この実施例は、特に例えば投薬のための、mRNA-LNP製剤の製造において必要とされる容量を低下させることに関して、mRNA-LNPの製造において脂質用にエタノール溶媒に対してmTEG溶媒を使用することの有意な利点を示している。特に、1:1(v/v)比で脂質を含む100%エタノール溶液を、mRNAを含む水溶液と混合することによって、得られた混合物中の高濃度(50%vol/vol)のエタノールにより、不安定なmRNA溶解度がもたらされ、場合によっては、mRNA沈殿がもたらされる。したがって、本発明の前に、この問題に対処するためのアプローチは、得られた混合物中のより低いエタノール濃度をもたらし、それによって、mRNA不安定性およびmRNA沈殿の可能性を回避するために、エタノール-脂質溶液中のエタノール成分を希釈すること(これは脂質溶解度に影響を及ぼすおそれがある)および/またはmRNA水溶液の容量を増加させることおよび/または第3の水溶液流を添加することを含んでいた。例えば、1:4(v/v)の比でエタノール-脂質溶液(100%エタノールを有する)をmRNA水溶液と混合することによって、得られた混合物中のエタノールの量が低くなり(20%v/v)、それによって、エタノールによって引き起こされるmRNA不安定性および沈殿を回避するのが助けられる。不幸なことに、これらのアプローチは全て、典型的にはそれぞれの溶液で実質的に希釈された量の脂質およびmRNAを用いた、必要とされるよりも大容量(例えば、最低溶解濃度および所望のN/P比によって要求される)の混合を要し、これは大規模処理レベルでは、時間およびコストを有意に増加させると同時に、エタノール除去工程に加えて、その後の濃縮工程を要し、これにより時間および費用がさらに増加する。
【0294】
しかしながら、脂質を含む100% mTEG溶液を、mRNAを含む水溶液と1:1(v/v)比で混合してmRNA-LNPを作製する場合、得られた混合物中の高濃度のmTEG(50%v/v)は、mRNA不安定性も沈殿ももたらさないように見える。最適化された低容量の、すなわち、それぞれ高い脂質濃度およびmRNA濃度を有する、脂質を含むmTEG溶液およびmRNAを含む水溶液を使用して大規模で製造されたこのようなmRNA-LNP製剤は、処理容量を減少させ、それによって、製造における処理の容易さを増加させるのに有利である。
【0295】
脂質用のエタノール溶媒に対して脂質用のmTEG溶媒がmRNA-LNP製剤に使用される容量を最適化する能力を評価するために、mRNA-LNP製剤を、脂質を含む脂質容量を100% mTEGまたは100%エタノールのいずれかに溶解して、低容量比(1:1の脂質容量対mRNA容量)および高容量比(1:4の脂質容量対mRNA容量)で製造した。溶解した脂質は、PEG修飾脂質、ML-2またはMC3のいずれかのカチオン性脂質、コレステロールおよびヘルパー脂質(DSPC)を含んでいた。各プロセスで同じ総量のmRNAを混合するように、混合する前に、低容量混合用のmRNA水溶液は、高容量混合用のmRNA水溶液の0.08mg/mLのmRNA濃度の4倍である0.33mg/mLのmRNA濃度を有していた。脂質溶液中、脂質(100% mTEGまたは100%エタノール溶液のいずれか)は、表4に提供される(カチオン性脂質に対する)標的比に従って製造されたPEG修飾脂質、コレステロールおよびヘルパー脂質(DSPC)濃度により、4のカチオン性脂質(ML-2またはMC-3)とmRNAのN/P比を提供するのに必要な濃度であった。各製造を低容量(1:1脂質溶液対mRNA溶液)または高容量(1:4脂質溶液対mRNA溶液)の容量で混合し、得られたmRNA-LNPを径、多分散度(PDI)およびmRNAの封入パーセント(%EE)について評価した。
【0296】
カチオン性脂質としてML-2を含み、mTEGに溶解した脂質を使用して製造された低容量(1:1)mRNA-LNP製剤は69%の封入効率を達成した。対照的に、カチオン性脂質としてML-2を含み、エタノールに溶解した脂質を使用して製造された低容量(1:1)mRNA-LNP製剤は、安定的に低容量製剤に製造することができず、混合後に沈殿を示した。
【0297】
カチオン性脂質としてMC-3を含み、mTEGに溶解した脂質を使用して製造された低容量(1:1)mRNA-LNP製剤は99%の封入効率を達成した一方で、カチオン性脂質としてMC-3を含み、エタノールに溶解した脂質を使用して製造された低容量(1:1)mRNA-LNP製剤は95%の封入を示した。
【0298】
【0299】
結果は、mTEGが低容量エタノールフリーmRNA-LNP製剤に使用するのに適しており、エタノール製造LNP製剤と比較して混合後の改善されたmRNA安定性および潜在的に改善された封入効率を提供することを示した。
【実施例4】
【0300】
様々なポリマーおよび脂質を使用したエタノールフリー製剤の試験
この実施例は、様々なポリマーおよび脂質を使用したエタノールフリーLNP製剤を試験する。
【0301】
それだけに限らないが、ポリエチレングリコール(PEG)、mPEG、テトラエチレングリコールモノメチルエーテルおよびペンタエチレングリコールモノメチルエーテルを含む様々な両親媒性ポリマーを使用してLNP製剤を製造する。
【0302】
ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)、パルミトイルオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(POPE)、ジオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン4-(N-マレイミドメチル)-シクロヘキサン-1-カルボキシレート(DOPE-mal)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジミリストイルホスホエタノールアミン(DMPE)、ジステアロイル-ホスファチジル-エタノールアミン(DSPE)、ホスファチジルセリン、スフィンゴ脂質、セレブロシド、ガングリオシド、16-O-モノメチルPE、および16-O-ジメチルPE、18-1-トランスPE、1-ステアロイル-2-オレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(SOPE)を含む1つまたはそれ以上の非カチオン性脂質を使用してLNP製剤を製造する。
【0303】
分解を示さない成分を使用したLNP製剤を、実施例2に記載されるように封入効率、LNP径および多分散指数についてさらに分析する。
【0304】
好ましい封入効率を示すLNP製剤を、実施例3に記載されるように低容量製剤で試験する。
【0305】
上記の工程に従うことによって、安全で、費用対効果が高い、低容量エタノールフリーLNP製剤がmRNA送達用に製造される。
【実施例5】
【0306】
インビボでのエタノールフリーLNP製剤におけるmRNA送達の試験
この実施例は、エタノールフリーLNP製剤のインビボ効能の測定を例示する。
【0307】
エタノールフリーLNP製剤およびエタノールLNP製剤を実施例1に記載されるようにmRNA送達用に製造した。
【0308】
エタノールフリー製剤のインビボ効能を試験するために、mRNA封入LNPを含むエタノールフリーLNP製剤およびエタノールLNP製剤を、0.1~1.0mg/kgの範囲の様々な用量、例えば0.5mg/kgマウス体重で、尾静脈注射を介してマウスに静脈内(IV)または気管内送達した。
【0309】
様々な器官中でのLNP生体内分布を、生物発光試験によって、ならびにmRNAおよびタンパク質発現の定量的測定によって評価した。エタノールフリーLNP製剤で得られた生体分布、mRNAおよびタンパク質発現結果を、エタノールLNP製剤で得られた生体分布、mRNAおよびタンパク質発現と比較した。
【0310】
肺送達
マウスに、エタノールフリー封入プロセスまたはエタノール含有封入プロセスのいずれかを使用して製造されたLNPに封入されたホタルルシフェラーゼ(FFL)mRNAを投与した。これらのインビボ試験のために、マウスに、カテーテルを介してmRNA含有LNPを気管内投与し、投与約24時間後にFFLタンパク質発現について評価した。
【0311】
マウスに投与したFFL mRNA LNPの特徴を以下の表5に示す。表5に要約されるように、エタノールフリー条件(例えば、エタノールの代わりにmTEGを使用)で封入された、またはエタノール含有条件で封入された、低容量(1:1脂質溶液対mRNA溶液)または高容量(1:4脂質溶液対mRNA溶液)製剤をこの試験に使用した。
【0312】
【0313】
表5は、エタノールフリーmRNA条件を使用したmRNA LNP製剤の封入が、エタノール含有mRNA-LNP製剤(1:4脂質溶液対mRNA溶液;高容量条件)と同様の、またはエタノール含有mRNA-LNP製剤(1:1脂質溶液対mRNA溶液;低容量条件)より優れた封入および径パラメータを有していたことを示している。
【0314】
インビボ肺送達試験の結果を
図1に要約する。
図1は、エタノールフリー封入プロセス(例えば、mTEG)を使用して高容量条件(1:4脂質溶液対mRNA溶液)を使用して封入されたmRNA LNPを投与されたマウスが、高容量(1:4脂質溶液対mRNA溶液)エタノール含有封入プロセスを使用して封入されたmRNA LNPを受けた動物と比較して、動物内でより多量のタンパク質が発現されたことを示している。
【0315】
結果は、インビボでのmRNA送達におけるエタノールフリーLNP製剤の効能および実行可能性を示した。
【0316】
静脈内送達
マウスに、エタノールフリー封入プロセスを使用して製造されたLNPに封入されたオルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)mRNAを投与した。これらのインビボ試験のために、マウスにmRNA含有LNPを尾静脈注射を介して静脈内投与し、その後、投与24時間後に血清および肝臓でのOTCタンパク質発現について評価した。
【0317】
マウスに投与したOTC mRNA LNPの特徴を以下の表6に示す。表6に要約されるように、エタノールフリー条件で封入された低容量(1:1脂質溶液対mRNA溶液)または高容量(1:4脂質溶液対mRNA溶液)製剤をこの試験に使用した。この試験の対照として、MC-3およびDOPEを使用して製剤化されたOTC mRNA LNPを使用した。
【0318】
【0319】
これらの試験からのデータを
図2に提示する。データは、以下のmRNA-LNP製剤:(MC-3)1:1 mTEG;(ML-2)1:4 mTEG;および(ML-2)1:1 mTEGの使用において、OTCの発現が血清および肝臓に存在していたことを示している。結果は、インビボでのmRNA送達におけるエタノールフリーLNP製剤の効能および実行可能性を示した。
【0320】
数時間および数日間にわたる測定を行うことによって、mRNAおよびタンパク質発現のさらなる安定性試験をエタノールフリーLNP製剤およびエタノールLNP製剤で比較する。
【0321】
等価物および範囲
当業者であれば、日常的な実験でしかないものを使用して、本明細書に記載される本発明の具体的な実施形態の多くの等価物を認識するか、または確認することができるだろう。本発明の範囲は、上記の明細書に限定されることを意図するものではなく、むしろ以下の特許請求の範囲に示される通りである。
【国際調査報告】