(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-21
(54)【発明の名称】インピーダンスのモニタリングを用いた皮膚若返りのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 18/12 20060101AFI20230614BHJP
A61N 1/04 20060101ALI20230614BHJP
A61N 1/36 20060101ALI20230614BHJP
【FI】
A61B18/12
A61N1/04
A61N1/36
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022569450
(86)(22)【出願日】2021-05-13
(85)【翻訳文提出日】2023-01-10
(86)【国際出願番号】 US2021032279
(87)【国際公開番号】W WO2021231748
(87)【国際公開日】2021-11-18
(32)【優先日】2020-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519388952
【氏名又は名称】サイノシュア,エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Cynosure,LLC
【住所又は居所原語表記】5 Carlisle Road Westford,Massachusetts 01886 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100142608
【氏名又は名称】小林 由佳
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213470
【氏名又は名称】中尾 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100220489
【氏名又は名称】笹沼 崇
(74)【代理人】
【識別番号】100187469
【氏名又は名称】藤原 由子
(74)【代理人】
【識別番号】100225026
【氏名又は名称】古後 亜紀
(72)【発明者】
【氏名】ボール・ジェームス
(72)【発明者】
【氏名】ミルコフ・ミルコ・ゲルギエフ
(72)【発明者】
【氏名】マッセ・ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ブルース・サミュエル
(72)【発明者】
【氏名】アルベーテリ・クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】コフリン・ジェームス
(72)【発明者】
【氏名】ソネンシャイン・デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】サイモン・ジェフリー
【テーマコード(参考)】
4C053
4C160
【Fターム(参考)】
4C053BB13
4C053BB34
4C053JJ03
4C053JJ04
4C053JJ18
4C053JJ24
4C053JJ32
4C053JJ40
4C160KK20
4C160MM22
(57)【要約】
【課題】組織を処置するシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】一部を述べると、本開示は、美容組織処置の方法に関する。同方法は:複数のニードルを具備した電極アレイを有する処置アプリケータを、組織の部位に対して、当該電極アレイの領域が組織の同部位に接触するように配置する過程であって、各ニードルが、制御系統と電気的にやり取りする電極である、過程と;高周波(RF)エネルギーのパルスを、前記電極アレイから組織の前記部位に適用する過程と;電極アレイのインピーダンスを経時的に測定する過程と;電極アレイが組織の前記部位に接触した状態で、測定される前記インピーダンスの低下を検出する過程と;インピーダンスの、閾値ぶんの低下が検出されると、処置期間の後、RFエネルギーの前記パルスの適用を終了する過程と;を備える。
【選択図】
図2D
【特許請求の範囲】
【請求項1】
美容組織処置の方法であって、
複数のニードルを具備した電極アレイを有する処置アプリケータを、組織の部位に対して、当該電極アレイの領域が組織の同部位に接触するように配置する過程であって、各ニードルが、制御系統と電気的にやり取りする電極である過程と、
高周波(RF)エネルギーのパルスを、前記電極アレイから組織の前記部位に適用する過程と、
電極アレイのインピーダンスを経時的に測定する過程と、
電極アレイが組織の前記部位に接触した状態で、測定される前記インピーダンスの低下を検出する過程と、
インピーダンスの、閾値ぶんの低下が検出されると、処置期間の後、RFエネルギーの前記パルスの適用を終了する過程と、
を備える方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記パルスの長さが、約1ms~約12msである方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、インピーダンスが、約10KHz~約50KHzの範囲内のサンプリングレートで測定される方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法において、インピーダンスが、約30KHzのサンプリングレートで測定される方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法において、さらに、
処置期間のあいだ、筋攣縮が始まらないようにする過程、
を備える方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法において、前記電極アレイの出力電圧のランプ時間が、約100マイクロ秒~約5msの範囲内である方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法において、前記複数の電極が、並列に接続されている方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法において、さらに、
前記複数の電極のうちの一部との接触近傍の組織が除去されるように組織を変容させる過程を備える方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法において、さらに、
前記処置アプリケータを配置する前に、前記組織の前記部位に外用薬を塗布する過程を備える方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法において、さらに、
前記処置期間の後に、前記組織の前記部位に外用薬を塗布する過程を備える方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法において、さらに、
前記処置期間の後に、前記組織の前記部位に外用薬を塗布する過程を備える方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法において、前記外用薬が、保湿剤である方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法において、RFエネルギーのパルスが、電極の表面に沿って伝わり前記組織の前記部位に届けられることで、組織効果を惹起する方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法において、高周波(RF)エネルギーのパルスに応じて、1つ以上の円環状損傷部が組織に形成される方法。
【請求項15】
組織を処置する装置であって、
複数の第1ニードルを含む第1処置アプリケータヘッドと、
前記第1処置アプリケータヘッドと連結した第1端部を有するアプリケータ本体と、
を備え、前記アプリケータ本体が、高周波(RF)電源および制御系統とやり取りする第2端部を有し、
前記第1処置アプリケータヘッドは、前記アプリケータ本体に接続されることにより、前記第2端部とやり取りする前記RF電源と電気的に接続され、
前記制御系統は、処置期間の経過後、組織処置を終了させるように動作可能であり、前記処置期間は、インピーダンスが最初に上昇した後にインピーダンスの低下が検出されると開始する装置。
【請求項16】
請求項15に記載の装置において、前記複数のニードルの各ニードルは、鈍い先端部を有する装置。
【請求項17】
請求項15に記載の装置において、さらに、
複数の第2ニードルを含む第2処置アプリケータヘッドを備え、
前記アプリケータ本体の前記第1端部は、前記第2処置アプリケータヘッドと連結しており、前記第2処置アプリケータヘッドは、前記アプリケータ本体に接続されることによって前記RF電源と電気的に接続される装置。
【請求項18】
組織を処置する方法であって、
複数の電極から高周波(RF)電力を組織に適用する過程と、
前記RF電力の適用中に、前記組織のインピーダンスを周期的に測定する過程と、
測定されるインピーダンスの低下の計測後、処置を終了させるように、前記組織の前記インピーダンスに基づいてRF電力の前記適用を制御する過程と、
を備える方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法において、測定されるインピーダンスの前記低下は、前記複数の電極のうちの1つ以上が組織の未処置領域に接触したことと関連付けられる、方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法において、組織の前記未処置領域の第1導電特性が、組織の処置領域の第2導電特性と異なる方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法において、組織の前記処置領域が、組織の前記未処置領域の上に位置する方法。
【請求項22】
請求項18に記載の方法において、前記組織のインピーダンスの低下が検出されると、RF電力が減少させられる方法。
【請求項23】
請求項18に記載の方法において、前記RF電力が、約1ms~約12msの範囲内の処置期間にわたって適用される方法。
【請求項24】
請求項18に記載の方法において、測定されるインピーダンスの前記低下が、約10%~約90%低下の範囲内である方法。
【請求項25】
請求項18に記載の方法において、測定されるインピーダンスの前記低下が、約20%~約50%低下の範囲内である方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本願は、2020年5月13日付出願の米国仮特許出願第63/024,483号(“System and Method for Skin Rejuvenation Using Impedance Monitoring”)の優先権及び利益を主張する。同出願の全開示内容は、参照をもって本明細書に取り入れたものとする。
【技術分野】
【0002】
本開示は、一般的に、患者の皮膚(例えば、真皮、皮下等)やその他の標的組織を高周波(RF)エネルギーで処置するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
電気手術装置は、組織にRFエネルギーを適用することによって、高侵襲性処置(例えば、組織の焼灼、気化等)や低侵襲性処置(例えば、皮膚表面の穏やかな加熱等)を含めた様々な作用を引き起こすことが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば、皮膚を引き締める/滑らかにする(あるいは、そのように見えるようにする)ようにして皮膚の見た目を改善する等といった、美容用途および/または審美用途でのRFエネルギー提供の方法やシステムについては、依然として改良が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
各種実施形態において、本開示は、組織を処置するシステムおよび方法に関する。処置装置を作動させると、RFエネルギーが1つ以上の電極から組織に送り込まれる。処置前、処置中、処置後、およびこれら複数(subsets of the foregoing)など、処置に関係する1つ以上の期間中に、インピーダンスのモニタリング(監視)が行われる。インピーダンスのモニタリングは、組織除去などの組織変容に関連してインピーダンス値が上昇する期間中に実施される。インピーダンスのモニタリングは、インピーダンスが低下する期間中に実施される。処置が開始してからのインピーダンス低下は、今まで触れていた層とは異なる水分が豊富な組織層や、今まで触れていた層よりも低いインピーダンス、低い抵抗又は高い電気コンダクタンスと関連するその他の特性の組織層などの、変容対象の組織の特性と異なる特性の別の組織領域や別の組織体積と接触したことによるインピーダンス低下を示す信号が1つ以上の電極から送られたことと関連付けられる。各種実施形態では、上記インピーダンス低下が計測又は検出された時から測られる処置期間の後、RFエネルギーの供給停止などによって処置が停止させられる。
【0006】
一部を述べると、本開示は、美容組織処置の方法に関する。同方法は:複数のニードルを具備した電極アレイを有する処置アプリケータを、組織の部位に対して、当該電極アレイの領域が組織の同部位に接触するように配置する過程であって、各ニードルが、制御系統と電気的にやり取りする電極である、過程と;高周波(RF)エネルギーのパルスを、前記電極アレイから組織の前記部位に適用する過程と;電極アレイのインピーダンスを経時的に測定する過程と;電極アレイが組織の前記部位に接触した状態で、測定される前記インピーダンスの低下を検出する過程と;インピーダンスの、閾値ぶんの低下が検出されると、処置期間の後、RFエネルギーの前記パルスの適用を終了する過程と;を備える。
【0007】
一実施形態において、前記パルスの長さは、約1ms~約12msである。一実施形態では、インピーダンスが、約10KHz~約50KHzの範囲内のサンプリングレートで測定される。一実施形態では、インピーダンスが、約30KHzのサンプリングレートで測定される。一実施形態において、前記方法は、さらに:処置期間のあいだ、筋攣縮が始まらないようにする過程;を備え、任意で、前記電極アレイの出力電圧のランプ時間は、約100マイクロ秒~約5msの範囲内とされる。一実施形態では、前記複数の電極が、並列に接続されている。一実施形態において、前記方法は、さらに:前記複数の電極のうちの一部との接触近傍の組織が除去されるように組織を変容させる過程;を備える。一実施形態において、前記方法は、さらに:前記処置アプリケータを配置する前に、前記組織の前記部位に外用薬を塗布する過程;を備える。一実施形態において、前記方法は、さらに:前記処置期間の後に、前記組織の前記部位に外用薬を塗布する過程;を備える。一実施形態において、前記方法は、さらに:前記処置期間の前後に、前記組織の前記部位に外用薬を塗布する過程;を備える。一実施形態において、前記外用薬は、保湿剤である。一実施形態では、RFエネルギーの前記パルスが、電極の表面に沿って伝わり前記組織の前記部位に届けられることで、組織効果を惹起する。一実施形態では、高周波(RF)エネルギーのパルスに応じて、1つ以上の円環状損傷部が組織に形成される。
【0008】
一部を述べると、本開示は、組織を処置する装置に関する。同装置は、複数の第1ニードルを含む第1処置アプリケータヘッドと、前記第1処置アプリケータヘッドと連結した第1端部を有するアプリケータ本体と、を備え、前記アプリケータ本体が、高周波(RF)電源および制御系統とやり取りする第2端部を有し、前記第1処置アプリケータヘッドは、前記アプリケータ本体に接続されることにより、前記第2端部とやり取りする前記RF電源と電気的に接続され、前記制御系統は、処置期間の経過後、組織処置を終了させるように動作可能であり、前記処置期間は、インピーダンスが最初に上昇した後にインピーダンスの低下が検出されると開始する。一実施形態では、前記複数のニードルの各ニードルが、鈍い(尖っていない)先端部を有する。一実施形態において、前記装置は、さらに、複数の第2ニードルを含む第2処置アプリケータヘッド、を備え、前記アプリケータ本体の前記第1端部は、前記第2処置アプリケータヘッドと連結しており、前記第2処置アプリケータヘッドは、前記アプリケータ本体に接続されることによって前記RF電源と電気的に接続される。
【0009】
一部を述べると、本開示は、組織を処置する方法に関する。同方法は:複数の電極から高周波(RF)電力を組織に適用する過程と;前記RF電力の適用中に、前記組織のインピーダンスを周期的に測定する過程と;測定されるインピーダンスの低下の計測後、処置を終了させるように、前記組織の前記インピーダンスに基づいてRF電力の前記適用を制御する過程と;を備える。一実施形態において、測定されるインピーダンスの前記低下は、前記複数の電極のうちの1つ以上が組織の未処置領域に接触したことと関連付けられる。一実施形態では、組織の前記未処置領域の第1導電特性が、組織の処置領域の第2導電特性と異なる。一実施形態では、組織の前記処置領域が、組織の前記未処置領域の上に位置する。一実施形態では、前記組織のインピーダンスの低下が検出されると、RF電力が減少させられる。一実施形態では、前記RF電力が、約1ms~約12msの範囲内の処置期間にわたって適用される。一実施形態では、測定されるインピーダンスの前記低下が、約10%~約90%低下の範囲内である。一実施形態では、測定されるインピーダンスの前記低下が、約20%~約50%低下の範囲内である。
【0010】
本開示は様々な態様や実施形態に関するものであるが、本明細書で開示する各種態様や実施形態は、統合システムとして又は一部適宜別々の構成要素や装置やシステムとしつつ統合、合体又は共用できるものと理解されたい。つまり、各態様に対し、本明細書で開示する各自の実施形態を任意の程度で適宜組み込むことで、任意の実施態様とすることが可能である。また、前述の各種システム、プローブ、アプリケータ、ニードルアレイ、コントローラ、構成要素および部品は、任意の適切な組織表面や美容用途や医療用途やその他の方法において、その他のあらゆる装置やシステムと併用することが可能である。
【0011】
本明細書では、本願の出願人の教示内容の上記の構成やそれ以外の構成について説明する。
【0012】
本特許又は特許出願包袋には、色付きの図面が少なくとも1つ含まれている。必要な手数料を支払って特許庁に申請することで、色付きの図面を含んだ本特許又は特許出願の公報の写しが提供される。
【0013】
特記しない限り、添付の図面には、本明細書で説明する技術革新についての態様が描かれている。異なる図および本明細書をとおして、同一の符号は同一の構成/構成要素(parts)を指すものとする。図面を参照すると、本開示の原理の幾つかの実施形態が示されているが、これらは例示に過ぎず、本発明を限定するものではない。図面は、縮尺どおりでないものとする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1A】本開示の一実施形態において、非貫通RFニードル/電極が組織に接触している様子を示す図である。
【
図1B】本開示の一実施形態において、RFエネルギーが送達された後の、円環状損傷部の形成と、対応するRF電極/ニードルピンを示す図である。
【
図1C】本開示の一実施形態において、電極アレイ構成が異なる第1アプリケータと第2アプリケータとを示す図である。
【
図2A】本開示の一実施形態において、処置アプリケータ/プローブおよびその構成要素を示す図である。
【
図2B】本開示の一実施形態において、同処置アプリケータ/プローブおよびその構成要素を示す他の図である。
【
図2C】本開示の一実施形態において、同処置アプリケータ/プローブおよびその構成要素を示すさらなる他の図である。
【
図2D】本開示の一実施形態において、同処置アプリケータ/プローブおよびその構成要素を示すさらなる他の図である。
【
図3A】本開示の一実施形態において、組織の処置に適した処置アプリケータの本体を示す代替的な斜視図である。
【
図3B】本開示の一実施形態において、処置アプリケータヘッドの幾つかの部品例を示す分解画像である。
【
図4】本開示の一実施形態において、処置アプリケータ用の金属製の導電性ピン/ニードル電極を示す図である。
【
図5A】本開示の一実施形態において、処置アプリケータの電極のアレイが組織にRFエネルギーを適用する様子を示す簡略図である。
【
図5B】本開示の一実施形態において、処置アプリケータの電極のアレイが組織にRFエネルギーを適用する様子を示す他の簡略図である。
【
図5C】本開示の一実施形態において、処置アプリケータの電極のアレイが組織にRFエネルギーを適用する様子を示すさらなる他の簡略図である。
【
図6】本開示の一実施形態において、処置アプリケータを用いた組織処置前、組織処置後および組織処置中の電気信号を示す画面である。
【
図7】本開示の一実施形態において、処置アプリケータを用いてRFエネルギーを適用する処置中を含む様々な期間内の、電流、インピーダンスおよび電圧を含む電気信号を示すグラフ画面である。
【
図8】本開示の一実施形態において、処置アプリケータを用いてRFエネルギーを適用する処置中を含む様々な期間内の、電流、インピーダンスおよび電圧を含む電気信号を示す他のグラフ画面である。
【
図9】本開示の一実施形態において、処置アプリケータを用いてRFエネルギーを適用する処置中を含む様々な期間内の、電流、インピーダンスおよび電圧を含む電気信号を示すさらなる他のグラフ画面である。
【
図10】本開示の一実施形態において、処置アプリケータを用いてRFエネルギーを適用する処置中を含む様々な期間内の、電流、インピーダンスおよび電圧を含む電気信号を示すさらなる他のグラフ画面である。
【
図11A】本開示の一実施形態において、インピーダンスのモニタリングを用いて決定した処置期間にわたって処置アプリケータで処置された組織の、第1の写真画像である。
【
図11B】本開示の一実施形態において、推奨される処置期間に満たない時間にわたって処置アプリケータで処置された組織の、第2の写真画像である。
【
図12A】本開示の一実施形態において、保湿剤の塗布後に処置(RFオン時間=約3ms)を施した第1の領域から得られた組織の組織学的画像である。
【
図12B】本開示の一実施形態において、保湿剤の塗布後に処置(RFオン時間=約5ms)を施した第1の領域から得られた組織の組織学的画像である。
【
図13】本開示の例示的な一実施形態において、電力やRFエネルギーの制御・送達に適したRFベースのシステムを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
一部を述べると、本開示は、高周波(RF)エネルギーなどの電磁エネルギーを1つ以上の組織領域、組織体積又は組織層へと送り込む及び/又は送達させることで、これらの組織を少なくとも1つの作用機序によって美容的変化及び/又は若返り的変化及び/又はその他の組織変化が直接又は間接的にもたらされるように又は惹起されるように変容させるシステム、装置および方法に関する。本明細書で開示するアプリケータや方法によって生じ得る又は惹起され得る組織の変容やその他の組織変化の例としては、組織又は組織の少なくとも1つの構成要素の、点状(フラクショナル)若返りやその他のメカニズムなどによる刺激及び/又は修復及び/又は成長が挙げられ得る。一実施形態では、RF処置が、コラーゲン産生を増やすことによって組織を変容させる。また、前記処置アプリケータは、プローブやRF処置装置、さらには、本明細書で言及するその他の名称でも呼称され得る。
【0016】
特定の理論やメカニズムを根拠とするものではないが、レーザ光などの光信号ではなく、ピン/ニードルベースの電極アレイを用いて電気信号を適用した場合にも、組織は変容を生じ得る。任意の処置セッションで組織に生じる又は惹起される具体的な種類の組織変容や効果としては、アブレーション、組織除去、焼灼、プラズマ生成、RF誘起プラズマ生成、非熱的RF誘起圧力波、組織炭化、組織気化、組織の機械的変化、傷害部形成、空隙部形成、組織陥凹化、組織化合物の産生増加、組織瘢痕化、およびこれらの組み合わせが挙げられ得る(但し、これらに限定されない)。インピーダンス変化のモニタリングを介して制御される処置期間により、任意の組織変容がユーザ毎に特別仕様化される。
【0017】
図1Aに、RF組織接触非貫通ニードル/電極Nが皮膚などの組織表面に押し付けられている様子を示す。ニードル/電極Nの外表面からのRFエネルギーは、同ニードル/電極Nの当該外表面に沿って伝わって組織表面と接触する。
【0018】
図1Aには、ニードル/電極Nの外表面及びそこから送り込まれるRFにより、同電極付近の又は同電極と接触した1つ以上の領域で電気的表皮効果が引き起こされる様子が描かれている。電気的表皮効果とは、導体内部の交流(AC)電流の分布傾向として、同導体の表面付近の電流密度が最大となり、同導体の深いところになるにつれて電流密度が指数関数的に減少するという傾向のことである。電流は、主に、同導体のうちの、電気的表皮深さと称される場所(level)と外表面との間にある「表皮」に流れる。電気的表皮深さは、交流電流の周波数に依存する。周波数が高くなるにつれて、電流が表面に移動し、電気的表皮深さは浅くなる。再び
図1Aを参照するが、具体的に述べると、導体内部の交流(AC)電流の分布傾向として、導体の表面付近の電流密度が最大となって導体の深いところになるにつれて電流密度が指数関数的に減少する結果、電気的表皮効果が引き起こされる。各種実施形態では、このような導体の表面が、ニードル/電極Nの表面に相当する。この電気的表皮効果現象は、交流の周波数に比例する。一実施形態において、ニードル/電極Nは、交流発電部で生成された約0.5MHz~約4MHzの範囲内の周波数のRFを受け取る。各種実施形態では、上記の高周波数範囲を選択することで、ニードル/電極Nによって生じる電気的表皮効果が強まる。電気的表皮効果は、皮膚表面(例えば、皮膚表層領域等)に組織効果を与える。
【0019】
少なくとも1つの非貫通ニードル/電極Nが皮膚に押し付けられる又は皮膚に向かって若しくは皮膚内へと付勢されることで
図1Aに示すような接触が確立されたとき、RFエネルギーは、まず、組織表面にぶつかる傾向にある。RFエネルギーが皮膚組織表面にぶつかると、ニードル/電極Nの外表面周辺に損傷部が形成される。各種実施形態では、皮膚表面とRFエネルギーとの衝突点でこの損傷部が生じる。このようにして得られる表皮効果の損傷部は、まず、ニードル/電極Nの外表面と皮膚表面との境界部に集中する。
【0020】
図1Bを参照すると、ニードル/電極Nの断面が円状である実施形態では、皮膚/組織表面に円環型の損傷部(
図1B)が形成され得る。ニードル/電極Nの外表面と皮膚表面との境界点にRFエネルギーが集中することで、同ニードル/電極Nによる円環状損傷部が形成される。損傷部の形状が円環状になる理由の少なくとも一部は、非貫通ニードル/電極Nの先端部が、同先端部と接触した組織表面を気化及び/又は焼灼させるからである。ニードル/電極Nの先端部は、事実上、同ニードル/電極Nの表面に沿ったRFエネルギーのRF中心点(RF focus)となる。RFエネルギーは、1つ以上の組織損傷部が形成される部分に隣接した組織表面にも伝播する。
【0021】
図1Bに示すように、穴/陥没部Wの底部又は下点LPの領域では、ニードル/電極NからのEF送達に応じて生じた組織損傷の結果、真皮又は表皮/真皮境界部が露出する。さらに、RFエネルギーが導電性ニードル/電極Nの点状先端部から組織内を伝播して下点LPに達するまでの、同ニードル/電極Nの表面に沿ったRFエネルギーの送達およびこれに伴う表皮効果により、熱的に影響を受けた1つ以上の区域TZが発生し得る。
【0022】
非貫通ニードル/電極Nの先端部と接触した組織が焼灼されることで、同組織に穴(又は陥没部又は凹み)Wが形成される。さらに、電極Nにより形成された穴又は陥没部Wの表面が焼灼される/気化する。この焼灼/気化は、穴又は陥没部Wの外観に貢献する又は同外観を形成すると共に、表面よりも下方の組織、例えば、真皮組織および/または表皮/真皮境界部組織も露出させる。陥没部Wの底部周辺の露出組織は、比較的無傷である(例えば、熱的影響が最小限である)。電極Nを用いたRF処置では、露出組織を覆っていた組織が焼灼されて且つ/或いは気化することで、1つ以上の組織部位が実質露わになる。新たに露出した組織は、外用剤(topical treatment)を吸収する及び/又は保持するものとなり得る。
【0023】
各種実施形態では、本明細書で説明するRFエネルギー送達によって露わになった又は露出した組織に、外用クリーム又は他種の薬剤が塗布され得る。本明細書では、露わになった又は露出した組織への塗布に適した様々な外用薬について詳述する。例えば、
図1Bに示すようなRF処置非貫通ニードル電極Nにより行われた損傷部には、特定の外用薬(例えば、親水性、疎水性等)が優先的に用いられ得る。外用剤によっては、
図1Bに示すような損傷部や本明細書で開示するその他の損傷部により、取込み及び/又は保持が向上するものと予想される。本明細書で説明するように、基本周波数を高く選択すると(例えば、約1kHz~約1GHz等)、電気的表皮効果を利用できることから、処置部位の熱的影響の度合いを決めることが可能になる。逆に、基本周波数を比較的低くすると(例えば、約100Hz~約1kHz等)、熱的効果を一様なものにすることができる。
【0024】
典型的に、皮膚若返り処置ではレーザ焼灼が用いられるが、複雑かつ高価な処置になり得る。一般的に言って、RF処置は、低価で且つ部品もそれほど脆弱でなかったり調達し易かったりするので有利である。不運なことに、RFエネルギーを適用する各種方法には、様々な短所がある。例えば、低いRFエネルギーの長パルスを利用しようとする処置システムがある。低いRFエネルギーの長パルスでは、皮膚の残留熱が多く残ってしまう。一般的に、皮膚は人それぞれであるから残留熱の管理は困難であり、熱が過度なものになると痛みや予期できない結果に繋がる。
【0025】
各個人の処置に必要なRFエネルギーの量は、数多くの変数(例えば、色素量、個人の皮膚の水分量等)に左右される。これらの技術的問題の一部に対処するために、本明細書で開示するシステムおよび方法では、皮膚を若返らせたり個人の組織を処置したりする手法として、経済的で且つ特別仕様の、各ユーザに特化した手法を提供するように工夫が施されている。一部を述べると、個人毎に処置期間を特別仕様化するメカニズムとしてインピーダンスのモニタリングを組み込むことにより、処置内容が対象者に特化したものとなり得る。
【0026】
各種実施形態として、本開示では、処置アプリケータが制御及び/叉は分析系統と接続されたシステムについて説明する。同制御及び/又は分析処置系統は、インピーダンス値又は閾値又はインピーダンス遷移の検出/計測後に且つ/或いはそのような検出後の所定の時間後にRFエネルギーの供給を停止する、少なくとも1つのASIC、回路、マイクロプロセッサ又はその他の制御系統を含む。
【0027】
各種実施形態において、前記処置アプリケータは、あるパターンで電極一式が設けられた処置アプリケータヘッドを有する。同処置ヘッドは、プローブ/アプリケータ本体に対して着脱可能/切離し可能であり得る。前記電極は、導電性表面に延設されているか又は分析制御処置系統と電気的にやり取りする導電性のピン又はニードル又はその他の突起である。一部の実施形態において、前記処置アプリケータの前記電極は、頂点及び/又は中央に電極が設けられた正多角形状又はその他の形状などのパターンで配置されている。例えば、一実施形態の処置アプリケータは、約10個の電極からなる行ごとに配置された約50個の電極又はアプリケータニードルを有する。同実施形態の電極同士は、前記処置アプリケータの組織接触領域内で等間隔に配置されている。
【0028】
図1Cに、2つの異なるアプリケータA1,A2を示す。第1アプリケータA1は、非貫通ニードル電極(例えば、ピン等)のアレイを1つ有する。第1アプリケータヘッドは、所与のアレイが支持又は連結されたものであり得る。一実施形態において、アプリケータA1の前記1つのアレイは、約1cm×約1cmの面積を占める。各種実施形態のアプリケータは、2つ以上のアプリケータヘッドを具備したものであってもよい。第2アプリケータA2は、アプリケータ表面の正方形又は長方形の4つの隅部に位置した4つの別々の約1cm×約1cmアレイを有しており、前記ピンの占める総面積が、約2cm×約2cmとなっている。各アレイ又はアレイ同士の各組合体は、アプリケータ本体に連結した1つ以上のアプリケータヘッドの一部であり得る。各種実施形態では、さらに、複数のアプリケータが使用されてもよい。
【0029】
各種実施形態では、各ニードルのエネルギー付与の一様性が維持されるように各アレイ内の個数のピンを分布させることから、任意のアレイ及び/又は任意のアプリケータにおける非貫通ニードル電極(例えば、ピン等)の数は、そのような分布による制限を受ける。1つのアレイ内のピン個数がそのことによる許容可能な閾値を超えると、エネルギー密度の分布が非一様となって、処置の所望の一様性が低下する。任意のアプリケータでの1つのアレイ内のピン個数の許容可能な閾値を決める要因は、様々である。同要因としては、ニードルの直径、隣接するニードル間のピッチ、ニードルの素材、周波数、モード(バイポーラモード、モノポーラモードのいずれか)、時間などが挙げられる。各アプリケータA1,A2は、アレイが1つであるのかアレイが複数であるのかにかかわらず、把持部、エフェクタおよびコードを有する。各コードは、それぞれのアプリケータをRF発電部および1つ以上の制御系統に接続する。
【0030】
複数のアレイが使用されている場合、これらのアレイは必ずしも同時に駆動される必要はなく、RFハンドピースの1回の駆動を構成する短いシーケンスで個々の小アレイ単位に電源を振り分けるような、任意の時間の順番で駆動するようにしてもよい。前記アレイを接触させた際、例えばフットスイッチ、ハンドスイッチ等による1回の駆動により、あるいは、インピーダンスのモニタリングによる組織への前記ピンの接触検出によって自動的に、各アレイに対するパルス供給が、個々のアレイを上回る面積をカバーする1つのパルスを呈するかの如く行われ得る。パルスの長さは数ミリ秒程度であり、かつ、パルス間のタイミングも1ミリ秒未満となり得る。これにより、理論上、足踏み手法に適した短期間パルス(約100ms未満)をなす装置の1回のパルス駆動であるにもかかわらず、数cm2をカバーすることが可能となる。一実施形態において、アプリケータA1のアレイは、約3msの長さのRFパルスで通電され得る。一実施形態において、アプリケータA2のアレイは、約3msの長さのRFパルスで同時に又はラウンドロビン方式などの切替りパターンに従って通電され得る。一実施形態において、アプリケータA2は、4つのアレイがそれぞれ約4ms通電されるかたちで、合計約12msの時間にわたって通電される。
【0031】
(処置部位に応じたアプリケータアレイの選択)
前記アプリケータアレイは、処置部位の表面湾曲形状に追従するように構成され得る。追従型の表面形状を有するアプリケータは、目下の皮膚に対して電極圧力を一様に適用することができるので有利である。追従型アプリケータの一様な電極圧力は、より一貫且つより予測可能な処置結果に繋がると予想される。各アレイ体は、剛体とされ得るが、サスペンションを用いて組織曲面に対して法線方向に正確に維持することも可能である。このような機構の一例は、ばね付きサスペンション機構によって各切断ヘッドが組織表面に追従する電気シェーバーに見受けられる。鼻周辺や上唇周辺などの特定の解剖学的領域にフィットする様々なアレイ形状が、想定され得る。
【0032】
(行や列の形態)
各種実施形態において、前記送達電極は、六角形又は長方形の格子状に配置され得る。六角形状の配置構成は、電極と該電極に最も近い近隣電極との距離が最も一様となると共に、処置による生体作用もそれに応じて一様になることから有利である。各種実施形態において、所望の生体作用に所望の向きがある場合には、先ほどの構成に代えて、送達電極間の間隔を非一様としたほうが有利となり得る。例えば、皮膚の引締め処置では、所望の引締め方向の送達電極の密度を高くし且つ横方向の密度を低くしたほうが、ある方向の引締め効果が最大となるように組織加熱および治癒時間が最適化されるほか、最小限の治癒時間と副作用で済むようになるので有利であり得る。
【0033】
(ピンの断面)
個々のピン又は送達電極の断面は、皮膚に押し付けられる同ピンの先端部が鈍い先端部となる幾何学的形状であれば、どのような形状であってもよい。鈍い先端部は、先端部のアレイが皮膚に押し付けられた際に、RFエネルギー送達に先立ってピンが表皮に刺さらないので好ましい。この配置構成により、表皮にはRF電力密度が高く送達され、真皮にはRF電力密度が低く送達されるので、送達が最適に行われる。前記鈍い先端部の皮膚表面接触面積は、本願で説明する組織効果やインピーダンス変化を惹起するのに十分なRF電力密度の送達となるように最適化される。
【0034】
(アプリケータによる処置前/後の外用薬の塗布)
RF電力送達の前及び/又は後には、外用薬が皮膚に塗布され得る。RF電力送達前の塗布が検討される外用薬の場合には、送達電極及び/又は目下の皮膚領域のインピーダンスに与える影響について、外用薬ごとに評価しておく必要がある。RF電力送達前の塗布が検討される外用薬として、RF電力送達中に化学的又は物理的又は構造的な変化が生じ得る外用薬については、外用薬ごとに評価しておく必要がある。RF電力送達後に皮膚に塗布される外用薬の場合には、インピーダンスやRF加熱を検討しなくてよい。一部の実施形態では、RF電力送達の前及び/又は後に、RF処置アプリケータによって所定用量の外用薬が皮膚に塗布され得る。
【0035】
(アプリケータの処置体制(Regime)/タイミング)
処置単位としては、最初の処置の後、任意で、約1週間ないし約3か月の処置間隔で複数のフォローアップ処置を行うものが想定され得る。比較的低いRF電力レベル及び/又は短い電力送達オン時間による複数の処置は、例えば約1週間ないし約3週間の短い処置間隔で行われるのが望ましい。比較的高いRF電力レベル及び/又は長い電力送達オン時間による複数の処置は、例えば約3週間ないし約3か月の長い処置間隔で行われるのが望ましい。また、処置単位として、対象者の処置レジメン上の全てのフォローアップ処置のRF電力レベル及び/又は電力送達オン時間を同じにしてもよい。
【0036】
処置アプリケータは、表皮などの組織に対して、傷害部、空隙部などの組織の変容を、例えば対象者上又は対象者内の処置領域に行き渡らせるパターンで引き起こすことが可能である。同アプリケータの任意のピン又はニードルの1つ以上の表面との接触箇所近傍の領域又は体積から、組織が除去される。各々の傷害部は、処置アプリケータ内の電極パターン内における、同傷害部に対応した電極によって形成される。各電極は、制御及び/又は分析系統から高RFエネルギーの短いバーストを受け取る。傷害部同士は、各傷害部が未損傷組織で取り囲まれるようにして隔てられる。
【0037】
上記の場合、未損傷組織によって損傷組織の隣接部位の修復が助けられるので、組織の損傷部位の素早い治癒及び/又は修復が促される。各種実施形態において、このような点状パターンは、様々なサイズの処置部位をカバーするように変更が可能である。一部の実施形態において、処置アプリケータは、複数の処置部位をカバーすることが可能である。同実施形態では、当該複数の処置部位のうちの1つ以上が同時に又は順番に処置されて、実質それ以上の範囲の皮膚部位が処置され得る。また、ピン/ニードルのアレイを含むアプリケータ又はパッドが、複数使用されてもよい。
【0038】
各種実施形態において、処置アプリケータは、点状パターンの傷害部を形成する。例えば、所与の傷害部は、約100ミクロン幅ないし約300ミクロン幅の範囲内であり得る。同様に、所与の傷害部は、約50ミクロン深さないし約300ミクロン深さの範囲内であり得る。とはいっても、他の実施形態では、各傷害部の大きさが、各電極から適用される電力のレベルや長さに応じて調節可能である。上記の深さ範囲や幅範囲は、約0.1~約10の範囲内の倍率で拡縮され得る。所与の処置セッションでは、傷害部の大きさ及び/又は深さを必要に応じて増やすように、RF電力及び/又は長さを変化させることが可能である。場合によっては、前記処置アプリケータを使って、より大きな傷害部や、より深い溝部や、異なる大きさの傷害部を形成するようにしてもよい。一部の実施形態では、各電極の大きさ及び/又は形状の変更によって、形成される傷害部の大きさ及び/又は深さを選択及び/又は調節するようにしてもよい。所与の処置セッションでは、RFエネルギーの送達に加えて、処置システムの操作者が、処置対象の組織にニードル/ピンアレイを押し込むように下方に圧力をかけてもよい。
【0039】
各種実施形態において、処置アプリケータは、処置中の皮膚内の様々な変化を検出する少なくとも1つのセンサを含む。例えば、一実施形態の処置アプリケータは、前記電極と皮膚との接触点における皮膚のインピーダンスを検出するインピーダンスセンサを含む。同実施形態の処置アプリケータは、高い周波数(頻度)でセンサ測定値を得ることが可能である。一実施形態では、アプリケータがセンサを含まず、同アプリケータへの入力信号と処置前や処置中や処置後のインピーダンス値の増加、略一定の維持、減少などの変化を伴う戻り信号を使って前記処置システムでインピーダンスが測定される。例えば、一実施形態の処置アプリケータは、約30kHzのサンプリングレートで測定の記録を行い得る。各種実施形態において、前記制御系統は、約20kHz~約50kHzの範囲内のサンプリングレートでインピーダンス値を測定するように動作可能な測定回路を含む。一実施形態において、前記サンプリングレートは、約1kHz~約1MHzの範囲内である。一部の実施形態において、前記処置アプリケータ又は処置システムは、測定を行うことのできる回数を変更することが可能であり、これにより、ユーザが前記サンプリングレートを選択できるようになっている。
【0040】
典型的には、前記アレイの少なくとも1つの電極からのRFエネルギーの適用時にインピーダンスが増加するものと予想されていた。この予想結果は、処置中に皮膚層が焼灼及び/又は炭化及び/又は気化した際の隙間又は障壁の出現が根拠であった。この種の隙間が電極に対して位置していると、インピーダンスの増加に繋がる。一般的に、組織から細胞が除去されると、同組織と電極の先端部との間に気化/蒸気障壁又は空隙が出現してインピーダンスを増加させる。これが、予想結果であった。
【0041】
製品開発段階でも、処置が開始した際の検出インピーダンスは増加したが、処置アプリケータ内の電極が皮膚などの組織の外層を破壊したところ、上記の予想に反し、同製品開発中の測定インピーダンス値は低下することが判明した。このインピーダンス低下は、予想外の結果であった。皮膚と電極との間に障壁や空隙が形成される代わりに、除去された皮膚層よりも測定インピーダンスが低い、水分が豊富で健康な下側の皮膚に電極が接触する。この予想外の結果が、インピーダンスのモニタリングのためのメカニズムと、そのようなモニタリングに基づく特別仕様処置のもとである。各種実施形態では、RF送達処置セッション中でインピーダンスが最初に上昇した後のインピーダンスの低下の計測に応じて、処置が停止させられる。
【0042】
各種実施形態において、前記処置アプリケータは、当該処置アプリケータにRFエネルギーを供給する制御及び/又は分析系統と接続可能なものである。1つ以上の実施形態において、前記制御及び/又は分析系統は、約150~約500ボルトRMS(二乗平均平方根電圧)を供給し得る。前記制御及び/又は分析系統は、設定可能な量のRFエネルギーを前記処置アプリケータに供給するように動作可能である。各種実施形態において、前記制御系統は、前記処置アプリケータからセンサデータを受け取って、RFエネルギーの遮断又はランプダウンをいつ行うべきかを判定する。各種実施形態では、インピーダンスを用いて、処置が完了したか否かが判定され得る。
【0043】
処置アプリケータがRFエネルギーで皮膚の外層を破壊すると、測定されるインピーダンスの低下によって、同処置アプリケータが健康な組織/未処置組織と接触したことが分かる。これは、ランプアップ段階のインピーダンス増加の後に発生する。一部の実施形態において、前記システムは、約30kHzなどの高いレートでインピーダンス値を測定するように動作可能である。各種実施形態では、ピン電極と処置対象の組織との接触点でインピーダンスの測定が行われる。各種実施形態において、インピーダンスの測定は、任意のアレイの電極と接触している全組織で並行して行われる。RFエネルギーを組織に適用した場合、同組織が焼灼する及び/又は炭化する及び/又はエネルギー源から切り離されるか、あるいは、同組織が本明細書で開示するその他の変容を起こすまで、同組織のインピーダンスレベルが増加する。
【0044】
特定の理論やメカニズムを根拠とするものではないが、インピーダンスレベルの増加は、RFエネルギーによる組織の加熱や乾燥によって生じる。初期のインピーダンス増加の理由は、組織の脱水であり得る。同実施形態では、前記処置アプリケータが処置対象の組織層の下にある未処置の組織層に接触すると、健康な組織層の導電率はRF送達の変容層の処置中インピーダンスに勝っていることから、インピーダンスレベルの低下が起こる。場合にもよるが、この導電率の高さは、皮膚の水分がより多く含まれているからである。1つ以上の実施形態では、インピーダンスが一定の百分率、閾値又はその他の数値の量ぶん低下すると、前記制御系統がRFエネルギーを遮断する。各種実施形態において、低下閾値は、設定可能なものである。一部の実施形態では、低下閾値(
図9および
図10を参照)が、患者間の違い(例えば、皮膚の色素の量、年齢、皮膚の水分等)に基づいて設定され得る。このようなインピーダンスの変化は、
図6~
図10のプロット/グラフから見て取れる。
【0045】
図2A~
図2Dは、高周波RFエネルギーなどの電磁エネルギーを対象者の様々な組織へと送り込むのに適したアプリケータ5を示す概略図である。同アプリケータは、皮膚若返り処置、美容処置、ニキビ処置、および本明細書で開示するその他の処置に利用され得る。
図2Aは、処置アプリケータの組織接触領域を示す図である。同アプリケータは、複数のニードル(全体に符号5を付しているが、具体的には、ニードルの行5a,5b,5c,5dとして描かれている)を有し得る。当該ニードル同士は、当該ニードル間の間隔が等間隔又は(of)様々となるパターンに従った電極アレイ7として配置されている。図示のように、ニードルアレイ7は、アプリケータ3の処置ヘッド10に対して設置されている。一実施形態において、アレイ7の各ニードル5は電極である。他の実施形態では、アレイ7全体が電極である。各ニードルは、組織接触面を有する。
【0046】
各種実施形態では、1つ以上のRFエネルギー送達装置が、組織の領域、体積又は部位を変容させる。同RF送達装置は、他の装置とは異なり、短パルスのRFパルスを高い電力出力で用いる。この設計により、処置セッション中の痛み管理の向上が促進されて、例えば、処置中の痛みが減少する。一実施形態において、RFエネルギーが供給される処置期間は、約3ミリ秒(ms)~約5msの範囲内とされる。一実施形態において、供給されるRF電力は、約200~約400ワットの範囲内である。一実施形態において、供給されるRF電力(RF powered)は、約250ワット~約350ワットの範囲内である。一実施形態において、任意の組織領域、部位又は体積に送り込まれる出力電圧の範囲は、約150ボルトRMSないし約550ボルトRMSの範囲内とされる。
【0047】
一実施形態において、前記ニードルは、六角形の各頂点に対して等間隔で配置されると共に同六角形の中央に1本配置されることで、中央のニードルに対して約60°の等間隔を形成している。一実施形態において、ニードル間の距離は、約0.5mm~約3mmの範囲内である。一実施形態において、前記ニードルの間隔は、約1.5mmである。前記処置アレイは、約1mm×約1mmないし約30mm×約30mmの範囲内であり得る。各種実施形態として、任意の電極アレイ内の各電極(ニードル/ピン)は、インピーダンス測定時、電圧測定時、抵抗測定時、電流測定時、ならびにその他の入力測定時、出力測定時および各処置セッションに応じた測定内容の測定時などのあいだ、並列に接続されて並行してモニタリング(監視)される。一部の実施形態では、選択的に指定可能な又は混在型の(hybrid)電極アレイが、それよりも広い処置部位をカバーする際の大規模アレイ内の電極のうちの、一部の電極を駆動するように動作可能な少なくとも1つの制御回路と共に用いられる。
【0048】
図示のように、処置アプリケータヘッド10は、電極ピンを進出及び/又は後退させることが可能な孔のアレイを有する内部部位を含む。一部の実施形態では、電極が進出状態で固定されている。
図2Bは、第1端部が処置アプリケータヘッド10を具備し第2端部(すなわち、アプリケータ末端部25)が分析及び/又は制御系統とやり取りする、テーパ状の軸体の処置アプリケータ3を示す側面図である。同末端部からは、共通外被内にまとめられた(nested)ケーブルなどの1本以上のケーブル30が延びており、前記分析及び/又は制御系統と接続されている。同1本以上のケーブルは、電力供給用の電気ケーブルおよび制御信号供給用の電気ケーブルを含み得る。そして、処置ヘッド10は、冷媒貯留部又はその他の冷媒系統と流体連通した1つ以上のポート又は表面部を有し得る。また、前記処置ヘッドは、1本以上のケーブル/導管30と共に束ねられた且つ/或いは当該ケーブル/導管30のうちの1つである導管と流体連通した吸引ポートを有し得る。処置ヘッド10は、各種締結具/取付部品群(assemblies)35によってアプリケータ3の本体3aに取り付けられ得る。
【0049】
図2Cに示すように、前記処置アプリケータヘッドは、前記処置アプリケータに着脱可能に取り付けられている。スイッチ38を作動させることで、処置アプリケータ3を同処置アプリケータの本体3aから外すことが可能である。一部の実施形態では、同スイッチがスライド可能なものである。他の実施形態では、同スイッチが押込み可能なものである。処置アプリケータ10は、各種圧縮嵌めや緊張ベースのその他の取付メカニズムによって本体3aに切離し可能に連結されるものとされてもよい。各種実施形態では、前記処置アプリケータが使い捨て品である。特定の実施形態では、処置アプリケータヘッド10が洗浄及び/又は殺菌のために取外し可能とされる。
【0050】
図3Aは、本開示の一実施形態における、皮膚若返りやその他の処置の用途に適した
図2A~
図2Dに示す処置アプリケータ本体3aの斜視図である。同図の処置アプリケータの本体には、着脱型の処置アプリケータが付いていない。同処置アプリケータの同本体の第2端部(すなわち、末端部)25には通信ケーブル30が接続されており、分析及び/又は制御系統との接続が可能となっている。
【0051】
図3Bは、本開示の一実施形態における、処置アプリケータヘッド10aの分解図である。同アプリケータヘッドは、例えば
図3Aに示すようなアプリケータ本体3a、電極アレイおよびその他の構成要素と共に用いられることで、処置アプリケータの全体を形成し得る。図示の処置アプリケータヘッド10aは、締結具35、(図示のような)ナットなどの固定具37、外側ハウジング41、内側ハウジング43、第1の支持具又はガスケット45、および第2の支持具又はガスケット47を含む。支持具又はガスケットは、ハウジング内に嵌装され得るか、あるいは、ハウジングに対して設置又は配置され得る。第1、第2の支持具という呼称は、限定的な意味を持たず、どちらの支持具を先に第1と称し、後の支持具を第2の支持具と特定するのかに関しては、特に決まりがないものとする。前記処置ヘッドには、さらに、導電性のピン又はニードルを組織対向方向へと外方に延在させるように有して且つ当該ピン又はニードルと電気的にやり取りする、導電プレートのような電極アレイ又はアセンブリが組み込まれている。また、ヘッド10aは、空気、煙、流体などを吸い込み且つ/或いは同ヘッド内の貯留部に又は組織に冷媒、薬剤又はその他の液体もしくはゲルを供給するのに適した1つ以上の導管及びポートが、同ヘッドの少なくとも1つの表面によって形成されたものであり得る。
【0052】
図4は、本開示の一実施形態における、処置アプリケータ用の複数のニードル5を具備した電極アレイ7aである。図示のように、電極同士は、行と行が揃えられるようなかたちで同じパッドに連結している。処置アプリケータ内に設置された状態の、前記電極のうちの個々の電極は、個別に制御可能であり得る。一実施形態では、前記ピン又はニードル(例えば、非貫通ニードル、鈍いニードル等)と同ピン又はニードルが延設されているプレートは、一体の導電性構造である。前記電極アレイは、1種の金属又は1種以上の金属(例えば、合金等)からなる。一実施形態では、制御系統により、全ての前記電極の指定及び並行した測定が行われる。
【0053】
図5A~
図5Cは、本開示の一実施形態において、処置アプリケータの電極のアレイがRFエネルギーを皮膚に適用する様子を示す簡略断面図である。同アレイにおける1行の電極は、図示のようにニードル又はピン5a,5b,5c,5dを含む。一実施形態では、ピン又はニードル5が、点状プローブピン/ニードルとも称される。ピン/ニードル5a~5dは、(
図2A~
図2Dや
図1Cに示す)処置アプリケータの電極のうちの一部を表す。同図では、前記ニードルや前記電極アレイ全体が、組織の処置領域(同例では、皮膚)に接するように配置されている。一実施形態では、操作者が前記電極アレイの表面を皮膚に押し込むことで、皮膚がニードル接触点で変形する。他の実施形態では、前記アレイの前記ピン/ニードルが皮膚表面に載置された後、同ピン又はニードルのうちの1つ以上又は全てからRFエネルギーが適用されて組織の変容又は除去が生じることで、同ピン/ニードルが皮膚内へと下がり込む。
【0054】
接触が生じると、制御及び/又は分析系統が各電極からRFエネルギーをパルス供給する。パルス供給されたRFエネルギーにより、接触点で又は本明細書で開示するその他の変容点もしくは変容過程点で、組織の除去などの組織の変容が発生する。一部の実施形態では、(
図5Bに示す)皮膚組織変容によって組織の除去が生じる。他の実施形態では、前記電極の加熱により、各電極と接した組織が炭化して皮膚から除去される。一部の実施形態では、RFエネルギーの適用により、前記電極と接した組織が気化する。他の実施形態では、前記電極アレイにRFエネルギーが印加されることにより、本明細書で開示する様々な変容の組合せを含む1種以上の変容が組織に関して発生する。
【0055】
各種実施形態では、組織が変容を受けることで除去される。圧縮、気化、炭化、プラズマ形成や、RFエネルギー送達によって引き起こされたか又は惹起されたその他の変容などの変容を経て対象者から実質除去されたか又は形態が変化した組織の存在していた組織体積に、電極アレイの前記ピン/ニードルが移動する。(
図5Cに示すように)組織が除去されることで、前記電極が下方の健康な組織に接触する。組織は、対象者によって異なる例えば、色素、水分、組織厚等の1つ以上のパラメータを有し得る。一部の実施形態では、組織が煙化又は気化し得るが、前記アプリケータの一部又は前記アプリケータとは別の装置であり得る流体移送装置によって除去することが可能である。
【0056】
各種実施形態では、処置アプリケータが皮膚に配置されてRF信号/エネルギーを皮膚に送り込むと、前記処置アプリケータとやり取りする前記制御系統又はインピーダンス検出副系統が皮膚のインピーダンス値を測定する。RFエネルギーが各電極から皮膚に加わるにつれて、前記電極アレイが組織の領域に接した箇所で組織の変容が起こり、測定されるインピーダンスが上昇する。RFエネルギーによって傷害部などの1種以上の組織変容が起こると、同組織の除去又は変容によって、同組織のインピーダンスがゆっくりと上昇する。
【0057】
前記電極アレイが組織内にさらに入り込んで下方の組織層に接触すると、インピーダンスの低下が検出される。一実施形態において、インピーダンスの低下又は減少は、変容処置を受けたばかりの組織よりも下の、より導電性の高い組織層に前記電極アレイが接触したことと関連付けられる。インピーダンスの最初の上昇はインピーダンスのランプアップと称され、その後のインピーダンスの予想外の減少はインピーダンスのランプダウンと称される。
図2A~
図5Cやその他の各図との関連で開示する前記アプリケータ及び/又はアレイの態様は、本明細書で開示する例えば
図1B、
図1C、
図2A等のその他のアレイ及び/又はアプリケータとの関連で用いられてもよい。
【0058】
図6は、本開示の一実施形態における、皮膚の一部の処置作用を表した画面である。図示のグラフには、デューティ(すなわち、前記システムの電力出力)、前記処置アプリケータで供給される電流、検出される抵抗、および測定される電圧が示されている。図示のとおり、デューティとは、DCバック(降圧)コンバータトランジスタのデューティ比のことであり、DCバックコンバータの直流出力電圧に対応している。各種実施形態において、デューティ=0は電圧ゼロであり、デューティ=1.0は最大直流電圧である。各種実施形態では、所与の負荷インピーダンスに対する降圧直流電圧がRF出力電圧と比例することに基づいて、前記システムがRF出力電圧(対象者に適用される電圧)を制御する。各種実施形態において、電源の電圧出力の範囲は、
図8に示すように高、中、低の設定点などの各種設定点を含み得る。同図に記載の「DCバックデューティ最大」とは、前記電源の最大出力電圧のことを指す。一実施形態において、前記電源はバックブースト(昇降圧)電源である。各図及び本明細書で言及する「抵抗」とは、各種実施形態のインピーダンスと相関するもの又は同一のものである。
【0059】
RFエネルギー送達前に測定される抵抗は約3017Ωで、対応する電流は約67mA(RMS)で電圧は約204V(RMS)である。抵抗曲線は、測定又は算出される抵抗値に基づいてプロットされたものであるが、最初にランプアップした後、ランプダウンする。対象の組織に処置エネルギーが送達された後の抵抗は約1417Ωにランプダウンし、対応する電流は約277mA(RMS)で電圧は約393V(RMS)となる。一実施形態において、この抵抗/インピーダンスの変化は、抵抗/インピーダンスのランプアップ開始から約600μ秒後に起こる。各種実施形態では、抵抗/インピーダンスが最初に上昇/ランプアップした後の、同抵抗/インピーダンス低下の検出/計測後に、組織の処置期間が発生する。
【0060】
図7~
図10は、本開示の一実施形態における、処置アプリケータの電極アレイからのRFパルスエネルギーの適用時の、様々な電気信号及び同電気信号の変化を示すグラフ画面である。
図7に示すように、同画面は、電力出力、電流、インピーダンスおよび電圧を時間に対してグラフ化したものである。処置が始まると、出力電力が約500マイクロ秒程度にわたってランプアップする。任意で、他の実施形態では、処置の当初(start)に、出力電力が約100マイクロ秒ないし約5ms、または約500マイクロ秒ないし約1msにわたってランプアップする。同図の線T2は、最大インピーダンスに達した時間を指す。また、各種実施形態において、T2は最大抵抗の発生に相当する。また、T2は、その前のランプアップが終わった後の、略平坦な出力電力の始まりを表す。T1は、インピーダンスが低下して平坦な定常状態に達した後の時間を指している。パルス全体としては数ミリ秒内で起こるものであり、T1とT2の差は約1.3msである。
【0061】
一実施形態では、RFエネルギーの供給時間が、約0.3ms~約50msの範囲内である。一実施形態では、インピーダンスの低下値が、本明細書にあるように、インピーダンス又は抵抗の、閾値又は低下閾値とも称される。
図9では、同閾値がr_drop_thresholdと示されている。同低下閾値は、インピーダンス低下の達成を判定するための閾値に相当する。想定低下閾値を満たす又は上回る抵抗/インピーダンス低下が起こると、前記制御系統が、RFエネルギーによる処置を継続させるためのタイマーを開始する。各種実施形態では、身体の異なる組織/部位に対して、異なるインピーダンス/抵抗閾値が定められ得る。一部の実施形態では、T2から出力電圧のランプダウンまでの期間が、処置期間に相当する。
【0062】
時間T1では、前記処置アプリケータの電極が、組織の外層を破壊して下方の組織に接した状態となっている。一実施形態において、下方の組織の導電率は、処置対象の組織よりも高い。各種実施形態において、処置期間とは、出力電力のプロットのうち、上斜め方向の(upward slowing)ランプアップ線と下斜め方向のランプダウン線との間にある略平坦な領域、すなわち、同ランプ間のプラトー領域のことである。一実施形態において、ランプ時間は、筋組織の攣縮(twitching)又は不随意収縮/痙攣を軽減又は阻止するように管理される。一実施形態において、ランプ時間は、約0超ないし約500msの範囲内である。他の実施形態において、出力電圧のランプ時間は、500マイクロ秒程度又は約500マイクロ秒である。任意で、他の実施形態では、出力電圧のランプ時間が、約100マイクロ秒ないし約5ms、または約500マイクロ秒ないし約1msの範囲内である。一実施形態において、パルスの長さおよび出力電力は、ユーザが選択可能なものであり、任意の処置対象者/組織種類に関連した1つ以上のパラメータに基づいて調節され得る。
【0063】
各種実施形態において、ユーザは、処置システムを操作することによって運転設定点およびパルスの長さを選択することが可能である。各種実施形態において、設定点とは、前記処置アプリケータから送られるRFエネルギーの量のことを指す。設定点変数は、high(高)、medium(中)またはlow(低)に設定され得る。これらは、測定されるインピーダンスを用いて自動的に設定され得るか、または各種組織種類/皮膚パラメータについての操作者の経験に基づいてユーザ側で指定され得る。各種実施形態において、パルスの長さは、RFエネルギーパルスがアクティブ(有効)になっている時間の量に相当する。1つ以上の実施形態において、パルスの長さは、約1ms~約12msに設定され得る。
【0064】
各種実施形態において、パルスの長さは、所定の処置に基づいて調節され得る。一部の実施形態では、パルスの開始を操作するためのフットペダルが、前記システム内に組み込まれている。同実施形態では、同フットペダルを踏み込むことでRFパルスが開始し、ユーザが同ペダルを離しても離さずとも、同RFパルスは終了する。一実施形態では、最大作動周波数が約1.5Hzである。他の実施形態では、最大作動周波数が約3Hzである。さらなる他の実施形態では、最大作動周波数が約5Hzである。作動周波数は、約0.5Hz~約10Hz、約0.5Hz~約5Hz、または約1.5Hz~約5Hzの範囲内であり得る。各種実施形態では、前記システムの作動により、可聴音が発生して約500ms続く。各種実施形態において、前記処置アプリケータは、約200ワットの最大電力出力で実施される。各設定点は、前記システムにより提供されるRF出力の量に相当する。下記の表に、各種システム値の一部の例を示す。同表の下側に、関連するスケーリング係数を記載する。
【0065】
【0066】
上記の各数値は、同数値に「約」が付いているものとし、また、同数値を約1~約50の範囲内から選択された係数で乗算又は除算した値を境界値とする範囲内で変化してもよい。
【0067】
例えば、一実施形態において、「high(高)」はhigh_setpoint×DCバックデューティ最大へのDCバックデューティのランプアップに相当する。「Medium(中)」はmed_setpoint×DCバックデューティ最大へのDCバックデューティのランプアップに相当する。「Low(低)」はlow_setpoint×DCバックデューティ最大へのDCバックデューティのランプアップに相当する。各種実施形態において、DCバックデューティ最大とは、処置アプリケータとやり取りする制御及び/又は分析系統により供給されることが可能なRFエネルギーの最大量のことを指す。
【0068】
図8では、設定点が「high(高)」に設定されており、かつ、ランプアップ・ランプダウン時間は500μsとなっている。同例において、ランプアップ・ランプダウン時間は、RFエネルギーを皮膚に適用した際の筋肉反応の可能性が最小限になるように設定されている。
【0069】
図9では、前記制御および分析の系統が、インピーダンスの20%低下に相当する低下閾値=0.2に設定されている。同例の処置(T2とT1との間で抵抗20%低下)は、成功である。r_drop_thresholdの値は、破線で示す。インピーダンスは、最初に上昇した後、T2以降低下する。一実施形態では、処置期間がT2に開始し、本明細書で開示するように数ミリ秒間にわたって続く。各種実施形態において、インピーダンス/抵抗の低下閾値は、約5%~約80%、約10%~約90%、または約20%~約50%の範囲内である。
【0070】
図10に示すように、処置期間は、低下閾値とパルスの長さとによって定まる。処置期間は、インピーダンスが図示の破線のr_drop_thresholdで表される低下閾値に相当する量ぶん低下した際に開始する。各種実施形態において、パルスの長さはユーザによって設定される。
【0071】
図11Aは、本開示の一実施形態における、処置後の皮膚の写真である。図示のように、処置アプリケータによって皮膚内に点状の処置パターンが形成され、組織の外側部分が除去されている。電極との接触領域は、破線で囲っている。インピーダンスのモニタリングに応じて、用いる処置期間を選択した。同期間は、処置を受ける個人に合わせて調節されることになる。このように、インピーダンスのモニタリングを行うことにより、任意の対象者の水分レベル、年齢、色素、組織症状およびその他の要因を考慮しながら、処置期間を設定することが可能となる。再び
図1Bを参照するが、同図に示した穴/陥没部Wを含む組織損傷部は、
図11Aに示す線で囲った点状の処置パターンによる損傷部のうちの一つの断面を描写したものである。
【0072】
図示の点状の損傷部パターンは、皮膚若返りを実施する際に幾つかの利点を奏する。点状の処置パターンでは、表皮の損傷部位が、健康な/未処置の組織に囲まれた島状の損傷部となる。健康な/未処置の組織に取り囲まれた処置組織は、素早く治癒/回復することができる。細かく散らばった点状損傷部のこのような素早い治癒は、所与の部位の組織全体に大型の集中的処置損傷部を生じさせるという総回復時間が遅くなるアプローチと対照をなす。点状アプローチは、大型の集中的処置アプローチに比べて素早い組織修復・若返りを促すことができる。
【0073】
図11Bは、本開示の一実施形態における、処置後の皮膚の写真である。
図11Aとは異なり、
図11Bは、処置が成功しなかった場合を示したものである。同例では、処置期間が、組織の外層を除去するのに十分な長さでなかった。処置を試みた領域を、破線で囲んでいる。このように、同処置では、下方の健康な組織に達するほどの十分な組織が除去されなかった。
【0074】
図1Aは、前述の例示的な装置によるRF点状処置後の点状皮膚表層損傷部を観察したものである。組織学的臨床検査を実施し、観察対象の皮膚表層損傷部を微視的スケールで評価した。
【0075】
腹壁形成術(abdominoplasty)が予定されている患者をリクルートし、組織学的臨床検査の対象とした。腹壁形成術の前に、切開予定の部位に印を付けて、4つの処置領域(1、2、3および4)に分けた。領域1および領域2により、処置前に保湿剤を塗布した場合と塗布しない場合との、インピーダンス検出タイミングでの処置を評価した。領域3および領域4により、処置前に保湿剤を塗布した場合と塗布しない場合との、インピーダンス検出タイミングでない処置、すなわち、一般的(normal)タイミングでの処置を評価した。領域1および領域3には、処置30分前に保湿剤を塗布した。4つ全ての領域で、処置電力レベルはレベル1、レベル2、レベル3と変化させた。また、電力供給期間は約1ms~約8msの範囲内とする。領域1および領域3に付けられた保湿剤は、RFフラクショナル(点状)が処置部位に適用された際の電気特性の一貫性を高めることを目的としたものである。
【0076】
どの処置も、患者が麻酔下の状態で行われた。腹壁形成術の部位の切開後、各処置領域から6mm程度のパンチ生検試料を得た。同生検試料をヘマトキシリンエオジン(H&E)染料で処理し、光学顕微鏡で評価した。
図12A及び
図12Bに、顕微鏡写真の例を示す。いずれの写真も、処置前に保湿剤を塗布し、かつ、インピーダンス検出タイミング(レベル3)で処置を施した、領域1由来の組織を示している。
図12Aの組織は約3msのオン時間で処置したものであり、
図12Bの組織は約5msのオン時間で処置したものである。
【0077】
皮膚組織の検査が業務の一つである皮膚科開業医による組織学的見解は、「表皮と真皮乳頭表層が完全に点状焼灼されているほか、真皮乳頭層近隣の60~80マイクロメートルに開放性損傷部(wounding)が生じており、オン時間が延びるほど焼灼深さが深くなり、外用保湿剤を塗布したほうは、外用保湿剤を塗布していない試料に比べて、組織学的結果の一貫性が優れている」というものであった。
【0078】
観察された焼灼領域および真皮乳頭層の開放性損傷部は、外用塗布化合物又は化合物の混合物の導通部(conduit)となる。無傷の表皮からは十分に吸収されない大型の分子や非脂溶性の外用薬やその他の外用薬であっても、本明細書で開示するシステム、装置および方法によって形成された点状皮膚形成体(features)では吸収が増加し得る。点状皮膚形成体で吸収が増加すると期待される外用剤や分子/化合物の例としては:成長因子;ビタミンCや同様の特性を有するその他の分子などの抗酸化剤;PRP(血小板豊富血漿);トラネキサム酸;アゼライン酸;などが挙げられる。各種実施形態では、様々な水性や非水性のローション剤や外用薬が用いられ得る。浸透性が向上するこのような外用薬で対処される症状には、ニキビ、肝斑、ニキビ跡、傷跡、シワ、非一様な色素、赤み、および酒さ(rosacea)が含まれ得る。
【0079】
本明細書で開示するシステム、装置および方法によって形成された、表皮および真皮を伴う組織学的損傷部は、しばしば、低出力のフラクショナル(点状)CO2処置やフラクショナルEr:YAG処置により形成された組織学的損傷部と類似している。したがって、フラクショナルCO2装置やフラクショナルEr:YAG装置を使って集められた薬剤浸透性のデータは、本装置により形成されたRF点状損傷部にも適用可能である。フラクショナルCO2やフラクショナルEr:YAGでの薬剤浸透性が確かめられている薬剤やそれらと同様の薬剤も、RF点状損傷部を介した送達に利用されてよい。フラクショナルCO2装置やフラクショナルEr:YAG装置で皮膚浸透性が向上すると報告されている薬剤や物質の例は、Haedersdal, Merete達による"Fractional CO2 laser‐assisted drug delivery." Lasers in Surgery and Medicine: 42.2 (2010): 113-122 やLin, Chih-Hung,達による"Lasers as an approach for promoting drug delivery via skin." Expert Opinion on Drug Delivery 11.4 (2014): 599-614に提示されており、同文献の全開示内容は参照をもって本明細書に取り入れたものとする。
【0080】
これらの文献に報告されている、RF処置時の外用薬としての用途に適した薬剤や物質の例としては:ナルブフィンおよびインドメタシン;モルヒネ、ナルブフィンおよびブプレノルフィン;5-アミノレブリン酸;メトトレキサート;リドカイン;デキストラン;オリゴヌクレオチド類およびプラスミドDNA;ペプチド類およびワクチン;低分子干渉RNAおよびプラスミドベクター;TiO2ナノ粒子(100nm)およびAl2O3マイクロ粒子(27μm);ビタミンCおよびアスコルビルリン酸マグネシウム;3-O-エチルアスコルビン酸およびアスコルビン酸-2-グルコシド;ジクロフェナク;プレドニゾン;ALA;イミキモド、ペプチド類およびデキストラン類;オボアルブミン;ATGおよびバシリキシマブ;CpG-アジュバント含有アレルゲン;メチルALA;アスコルビン酸-2-グルコシド;ポリエチレングリコール(400Da、1000Da、2050Daおよび3350Da);低分子干渉RNAおよびプラスミドDNA;デキストランおよび量子ドット;などが挙げられる。表皮の身体的改善処置後に皮膚浸透性が向上すると報告されている薬剤や物質の例は、Benson, Heather AEによる"Transdermal drug delivery: penetration enhancement techniques." Current drug delivery 2.1 (2005): 23-33やCross達による"Physical enhancement of transdermal drug application: is delivery technology keeping up with pharmaceutical development?" Current drug delivery 1.1 (2004): 81-92に提示されており、同文献の全開示内容は参照をもって本明細書に取り入れたものとする。
【0081】
RF点状処置の前には、RF点状エネルギーを処置部位に適用した際の電気特性の一貫性を高めるために、1種以上の外用薬が塗布され得る。また、外用薬は、RF点状装置処置で形成されたRF点状損傷部に浸透させるために塗布され得る。各種実施形態では、RFエネルギーの送達時の1つ以上の電気特性又はその他の特性を向上させるために、保湿剤などの外用薬が1種だけ用いられ得る。外用薬は、本明細書で開示するRFベースのシステムや方法により形成された組織損傷部に対する優れた浸透性などの、組織浸透性の向上に基づいて選択され得る。任意の外用薬が、処置前に塗布されたり、処置中に塗布し直されたり、処置後に塗布されたりしてもよく、また、これらの組合せが行われてもよい。
【0082】
当然ながら、RF点状装置による処置前の1回目の外用薬塗布と組織に形成されたRF点状損傷部への2回目の外用薬塗布とからなる複数段階の処置が用いられてもよい。この複数段階の処置では、同じままの外用薬が塗布されてもよいし、別の外用薬に変えられてもよい。
【0083】
最後に、一部の実施形態では、外用薬が塗布されていない皮膚を処置するようにRF点状装置が使用されて、組織にRF点状損傷部が形成された後に、同RF点状損傷部に外用薬が塗布され得る。
【0084】
RF点状装置と外用薬の併用によって対処される症状としては、ニキビ、肝斑、ニキビ跡、傷跡、シワ、非一様な色素、赤み、および酒さが挙げられる。
【0085】
図13は、RF電力送達中のインピーダンス診断や対象者の処置にてインピーダンス評価フィードバックがやり取りされる制御系統を示すブロック図である。同系統では、交流電力が、AD変換部で直流電圧に変換される。同直流電圧は、RF電力増幅部に供給された後、患者絶縁コンポーネント(例えば、変圧部等)に進入する。同患者絶縁部からのRF電力は、ハンドピース/電極と同ハンドピース(例えば、
図1C、
図2B~
図2D等)に取り付けられている電極アレイ(例えば、
図1C、
図2A、
図4、
図5A~
図5C等を参照)とに供給された後、同アレイの前記ニードル又は非貫通ニードル電極(例えば、ピン等)から患者へと送り込まれる。
【0086】
前記RF電力は、モノポーラモードおよびバイポーラモードのいずれかで送達されるものとされてもいし、あるいは、同じシステムでモノポーラモードとバイポーラモードの両方を届けることが可能とされてもよい(例えば、Potenza(登録商標)RFマイクロニードル穿刺システム(Jeisys Medical,Inc.社製)は、1MHz又は2MHzのモノポーラRFとバイポーラRFを同一装置内に統合している)。前記電極アレイの電極は、ニードルや鈍いニードルとも称される。患者には、対象の症状(例えば、皮膚若返り等)の処置に適したレベルや皮膚への外用薬の浸透性を向上させる点状損傷部の形成に適したレベルのRF電力が届けられ得る。浸透性が向上する外用薬で対処される症状には、ニキビ、肝斑、ニキビ跡、傷跡、シワ、非一様な色素、赤み、および酒さが含まれ得る。処置用のRF電力範囲は、約1ミリワット~約10キロワット、または約100ミリワット~約500ワットの範囲内である。
【0087】
図13には示していないが、任意で、直流電圧がDCバックコンバータに進入するようにしてもよい。供給された直流電圧は、当該DCバックコンバータで目的のRF周波数に制御可能に変換される。制御後の直流電圧は、前記RF電力増幅部に供給されてから患者絶縁部(例えば、変圧部等)に進入する。そして、同患者絶縁部からのRF電力が、本明細書で開示したハンドピース/電極アレイから患者に送り込まれる。
【0088】
(治療処置)
再び
図13を参照する。前記ハンドピース上の単一の電極又は選ばれた一部の個々の電極(モノポーラモード)、あるいは、前記ハンドピース上の一部の電極対(バイポーラモード)が、目的の処置による効果が得られる部位であると特定された部位を治療処置するように通電される。同治療処置を実施するために、RF電力が、前記ハンドピース上に存在する電極から患者に送り込まれる。前記制御系統は、制御信号を供給することにより、前記ハンドピース上に存在する電極のアレイから患者の同組織へのRF電力の多重化を行う。
【0089】
各種実施形態において、前記制御系統は、前記ハンドピース上の単一の/個々の電極を介した多重化(モノポーラモード)、あるいは、一部の電極対を介した多重化(バイポーラモード)を行う。例えば、対象の症状の処置(例えば、皮膚若返り等)に適したレベルや皮膚への外用薬の浸透性を向上させる点状損傷部の形成に適したレベルのRF電力が患者に届けられる。浸透性が向上する外用薬によって対処される症状には、ニキビ、肝斑、ニキビ跡、傷跡、シワ、非一様な色素、赤み、および酒さが含まれ得る。処置用のRF電力範囲は、約1ミリワット~約10キロワット、または約100ミリワット~約500ワットの範囲内である。
【0090】
一般的に述べると、本明細書で開示した方法やシステムは、美容処置、審美処置、これらの組合せなどの非医療的な各種処置を行うのに利用され得る。皮膚若返りや皮膚への外用薬の浸透性を向上させる点状損傷部の形成のための組織の美容処置や、本明細書で開示したその他の美容処置は、前述の症状や本明細書で開示したその他の症状に悩む人々の見た目や幸福感を改善することができる。各種実施形態において、本開示は、1つ以上の組織標的に対する美容処置によって本明細書で開示した1つ以上の望ましくない症状を軽減、予防、反転または美容処置するようにRFエネルギーの伝達を制御する方法に関する。
【0091】
RFとインピーダンス検出を用いて組織を処置する各種システムのさらなる詳細は、米国特許出願公開第20200352633号(“NON-INVASIVE, UNIFORM AND NON-UNIFORM RF METHODS AND SYSTEMS RELATED APPLICATIONS”)に開示されている。同公報の全開示内容は、参照をもって取り入れたものとする。
【0092】
RFとインピーダンス検出を用いて組織を処置する各種システムのさらなる詳細は、米国特許出願公開第20190239939号(“METHODS AND APPARATUS FOR CONTROLLED RF TREATMENTS AND RF GENERATOR SYSTEM”)に開示されている。同公報の全開示内容は、参照をもって取り入れたものとする。他にも、RFとインピーダンス検出を用いて組織を処置する各種システムのさらなる詳細は、2021年5月5日付出願の米国特許出願第17/308,898号(“Needle-Array Devices and Related Methods”)に開示されている。同出願の全開示内容は、参照をもって取り入れたものとする。
【0093】
本明細書では、RFエネルギーを用いて、組織表面よりも深いところの個人の皮膚(例えば、真皮、皮下等)又はその他の標的組織に対してRFエネルギー処置を行うシステムおよび方法が開示されている。各種態様において、本願の教示内容は、ボディスカルプティング(脂肪分解術)、脂腺処置、腺損傷/非活性化、皮膚引締め(弛み改善)、セルライト処置装置、膣緩み処置又は膣若返り、尿失禁処置、便失禁処置、その他の泌尿生殖器症状の処置など(但し、これらに限定されない)の1つ以上を達成する非侵襲性の冷却ありの(又は冷却なしの)RFベース処置を提供し得る。
【0094】
分かり易いように、以下の説明では、そのほうが好都合又は適切と考えられる場合に一部具体的な細部を省略しながら本出願人の教示内容の実施形態の各種側面について説明していることを理解されたい。例えば、代替的な実施形態については、同様または類似の構成の説明を多少省略している場合がある。また、周知の思想や概念についても、簡略性のために詳述していない場合がある。当業者であれば、本出願人の教示内容の実施形態によっては、具体的に説明した一部の細部が、同実施形態の完全な理解をもたらすためだけに本明細書に記載した物であって、必ずしも全ての実施態様で必須とならない可能性があることが分かるであろう。同じように、本開示内容の範囲を逸脱しない範囲で、一般常識に応じて変更や変形が記載の実施形態に施されてもよいことは明らかである。実施形態についての以下の詳細な説明は、本出願人の教示内容の範囲を限定するかの如く決して見なされるべきでない。
【0095】
本明細書で使用する「約」及び「実質/略」という用語は、例えば、実世界での測定又は取り扱い手順や、これらの手順における不注意な誤りや、電気素子の製造における差異/欠陥や、電気損失等によって起こり得る数値量の変動、さらには、同等といって差し支えないと当業者に認識される変動(但し、その変動が先行技術によって実施されている既知の値を包含している場合は除く)を指す。一般に、「約」という用語は、記載された値または値の範囲よりも1/10だけ大きいか小さいこと、例えば、±10%を意味する。例えば、ある素子に約+3Vの直流(DC)電圧を印加することは、+2.7VDCと+3.3V DCの間の電圧を意味することができる。同様に、「実質的に同一」とされる値についても、最大で5%異なる場合がある。「約」または「実質的に」同一という用語によって修飾されているか否かにかかわらず、特許請求の範囲に記載された定量的な値は、記載された値に対する同等物、例えば、当該値の数値量に起こり得る又は当業者によって同等物と認識されるであろう変動も含む。
【0096】
さらに、本明細書に開示されたものは、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に記載されているか否かにかかわらず、一般に公開されることを意図していない。特許庁および本出願に基づいて発行された特許の読者が本出願又は継続出願に添付された特許請求の範囲や本出願又は継続出願の審査中に提示された特許請求の範囲を解釈する際の助言になるが、特定の請求項において「~する手段」や「~する工程/過程/ステップ」という表現を明示的に使用している場合を除き、同請求項に記載されたあらゆる構成は、米国特許法第112条(f)項の規定に基づく解釈や類推を生じないものとする。
【0097】
本書に添付されたすべての図面には、1つまたは複数の装飾的な特徴および図が含まれ、各図面には実線が含まれ、そのいずれかが点線にも組み込まれ、対応し、支持を提供し、代わりに、各図面には点線が含まれ、そのいずれかが実線にも組み込まれ、対応し、支持を提供する。
【0098】
用語「備える」、「具備する」、「含有する」、「含む」、「有する」、「持つ」の使用は、特に断りのない限り、一般に開放的かつ非限定的なものとして理解されるべきである。
【0099】
本書では、特に断らない限り、単数形の使用は複数形を含む(逆も同様)。さらに、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上明らかにそうでないと指示されない限り、複数形を含む。さらに、用語「約」の使用が定量的な値の前である場合、本教示は、特に断らない限り、特定の定量的な値自体も包含する。
【0100】
本教示が動作可能である限り、過程/工程の順序または特定の動作を実行するための順序は重要でないことを理解されたい。さらに、2つ以上の過程/工程または行為が同時に実施されてもよい。
【0101】
値の範囲またはリストが提供される場合、その範囲または値のリストの上限と下限の間に介在する各値は、個別に想定され、各値が本明細書に具体的に列挙されるかのように、本開示内に包含される。さらに、所与の範囲の上限と下限との間及びそれを含むより小さな範囲も、本開示内に企図され、包含される。例示的な値又は範囲の列挙は、所与の範囲の上限と下限との間及びそれを含む他の値又は範囲を否定するものでない。
【0102】
本開示の実施形態には、本願の教示内容の範囲を逸脱しない範疇で数多くの変更が施されてもよいと理解されたい。前述した図や例では特定の構成/構成要素に言及しているが、これは例示に過ぎず本発明を限定するものではない。当業者であれば、添付の特許請求の範囲に包含される教示内容の範囲を逸脱しない範疇で、本開示の実施形態の形式や細部に様々な変更が施されてもよいことを理解するであろう。
【国際調査報告】