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特表2023-526321折り畳み拡張式の置換心臓弁のための装置、システム、及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-21
(54)【発明の名称】折り畳み拡張式の置換心臓弁のための装置、システム、及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/24 20060101AFI20230614BHJP
【FI】
A61F2/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022569476
(86)(22)【出願日】2021-05-17
(85)【翻訳文提出日】2023-01-11
(86)【国際出願番号】 US2021032817
(87)【国際公開番号】W WO2021232022
(87)【国際公開日】2021-11-18
(31)【優先権主張番号】63/025,881
(32)【優先日】2020-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522415922
【氏名又は名称】リバルブ ソリューションズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】サンズ ジュリー ローガン
(72)【発明者】
【氏名】ペリー ケネス ユージーン
(72)【発明者】
【氏名】ウルフマン エドワード イアン
(72)【発明者】
【氏名】アーレンス フィリップ アンドリュー
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA27
4C097BB01
4C097BB04
4C097BB09
4C097CC01
4C097DD09
4C097EE08
4C097MM10
4C097SB02
4C097SB06
(57)【要約】
本明細書には、置換心臓弁及び送達構成要素を備える、置換心臓弁送達システムのためのシステム及び方法が開示される。送達構成要素は、置換心臓弁の制御を可能にし、心臓弁の折り畳み及び拡張を制御することができるようになっている。心臓弁を構成する柔軟性のあるワイヤフレームの性質及びそのサイズにより、送達構成要素は、送達カテーテルの柔軟性を可能にする。従って、請求項に記載の発明は、外傷の少ない送達、より正確な送達、及び送達方法の多数の選択肢を可能にする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
置換心臓弁送達システムであって、
管状網組フレーム、リーフレット組立体、及び1又は2以上の交連タブを含む置換心臓弁であって、
前記管状網組フレームが、流入端、流出端、及び前記流入端と前記流出端の一方又は両方にある1又は2以上のループ構造を備え、
前記リーフレット組立体が、少なくとも1つの弁リーフレットを備え、前記少なくとも1つの弁リーフレットが、流入端、流出端、及び前記流入端から水平方向に離れて延び、前記管状網組フレームの前記流入端に接続する1又は2以上の交連タブを備える、
置換心臓弁と、
1又は2以上の縫合糸ラインと、ネジ付きロッドに保持されたチャネルに接続された1又は2以上のブッシングとを含む送達構成要素であって、
前記1又は2以上の縫合糸ラインは、1又は2以上のループ構造を通過し、前記1又は2以上のブッシングを通り、前記ネジ付きロッドのチャネルを通り、制御機構に接続する、
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記管状網組フレームは、1又は2以上のワイヤの網組であり、前記1又は2以上のワイヤの網組は、ジグザグ網組又はオーバーアンダー網組であり、前記1又は2以上のワイヤは、ニチノールワイヤ、ステンレス鋼、コバルトクロム、及びナイロンのいずれかからなる、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記制御機構は、前記1又は2以上の縫合糸ラインをノブに接続するためのリンク要素を備える、
請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記ノブは、前記1又は2以上の縫合糸ラインと前記1又は2以上のループ構造の動きとを制御する、
請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記1又は2以上の縫合糸ラインは、前記1又は2以上のブッシングの第1のブッシングから始まり、前記1又は2以上のループ構造を通り、前記1又は2以上のブッシングの第2のブッシングで終わる方向で交互になり、前記1又は2以上の縫合糸ラインは、前記送達構成要素の中心線を通って延びるベクトルでの張力を生成する、
請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
回収システムをさらに備え、前記回収システムは、前記1又は2以上のループ構造に組み込まれた紐を備える、
請求項2に記載のシステム。
【請求項7】
前記リーフレット組立体は、2又は3以上の弁リーフレットを含み、前記2又は3以上の弁リーフレットの前記1又は2以上の交連タブは接続され、前記2又は3以上の弁リーフレットの流出端は、Y字形状を形成するように接続される、
請求項2に記載のシステム。
【請求項8】
接続された前記1又は2以上の交連タブと、前記2又は3以上の弁リーフレットの接続された前記流出端は、裁縫、融着、及び縫合のうちの1又は2以上によって接続される、
請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
置換心臓弁送達システムの経皮的展開及び配置のための方法であって、
前記置換心臓弁送達システムは、置換心臓弁及び送達構成要素を備え、
前記置換心臓弁が、管状網組フレーム、リーフレット組立体、及び1又は2以上の交連タブを備え、
前記管状網組フレームが、流入端、流出端、及び流入端と流出端の一方又は両方にある1又は2以上のループ構造を備え、
前記リーフレット組立体が、少なくとも1つの弁リーフレットを備え、前記少なくとも1つの弁リーフレットが、流入端、流出端、及び流入端から水平方向に離れて延び、管状網組フレームの流入端に接続する1又は2以上の交連タブを備え、
前記送達構成要素が、1又は2つ以上の縫合糸ライン、解放ライン、及びネジ付きロッドに保持されたチャネルに接続された1又は2以上のブッシングを備え、
前記1又は2以上の縫合糸ラインが、前記置換心臓弁の前記1又は2以上のループ構造を通過し、前記1又は2以上のブッシングを通り、前記ネジ付きロッドのチャネルを通り、前記解放ラインに接続し、制御機構に接続し、前記制御機構が、前記1又は2以上の縫合糸ラインをノブに接続するためのリンク要素を備え、
前記ノブで前記1又は2以上の縫合糸ラインを引っ張ると、前記1又は2以上のループ構造の拡張及び前記置換心臓弁の拡張が制御され、前記解除ワイヤを引っ張ると、前記縫合糸ラインが解放され、前記置換心臓弁が解放され、
前記方法は、
前記置換心臓弁送達システムを静脈又は動脈のいずれかに経皮的に配置するステップと、
前記置換心臓弁送達システムを本来の心臓弁に送達するステップと、
前記置換心臓弁送達システムを本来の心臓弁の位置に配置するステップと、
前記1又は2以上の縫合糸ラインを引っ張って、前記置換心臓弁を拡張するステップと、
前記解放ワイヤを引っ張って前記置換心臓弁を解放するステップと、
を含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項10】
前記静脈は大腿静脈であり、前記置換心臓弁送達システムを本来の心臓弁に送達するステップは、前記大静脈を介して前記置換心臓弁送達システムを送達することを含む、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記静脈は大腿静脈であり、前記置換心臓弁送達システムを本来の心臓弁に送達するステップは、前記大静脈及び心房中隔の穿刺を介して前記置換臓弁送達システムを送達することを含む、
請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記管状網組フレームは、1又は2以上のワイヤの網組であり、前記1又は2以上のワイヤの網組は、ジグザグ網組又はオーバーアンダー網組であり、前記1又は2以上のワイヤは、ニチノールワイヤ、ステンレス鋼、コバルトクロム、及びナイロンのいずれかからなる、
請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記1又は2以上の縫合糸ラインは、前記1又は2以上のブッシングの第1のブッシングから始まり、前記1又は2以上のループ構造を通り、前記1又は2以上のブッシングの第2のブッシングで終わる方向で交互になり、
前記ノブで前記1又は2以上の縫合糸ラインを制御して、前記送達構成要素の中心線を通って延びるベクトルでの張力を生成するステップをさらに含む、
請求項9に記載の方法。
【請求項14】
回収システムをさらに備え、前記回収システムは、前記1又は2以上のループ構造に組み込まれた紐を備える、
請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記リーフレット組立体は、2又は3以上の弁リーフレットを含み、前記2又は3以上の弁リーフレットの前記1又は2以上の交連タブが接続され、前記2又は3以上の弁リーフレットの流出端は、Y字形状を形成するように接続される、
請求項9に記載の方法。
【請求項16】
接続された前記1又は2以上の交連タブと、前記2又は3以上の弁リーフレットの接続された前記流出端は、裁縫、融着、及び縫合のうちの1又は2以上によって接続される、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記置換心臓弁送達システムを静脈又は動脈の一方に経皮的に配置するステップは、案内ワイヤを介して前記静脈又は前記動脈の一方に前記置換心臓弁送達システムを挿入することを含む、
請求項9に記載の方法。
【請求項18】
前記送達構成要素は、外側シースをさらに備え、前記置換心臓弁送達システムを本来の心臓弁の位置に配置するステップは、前記外側シースを解放して前記置換心臓弁が拡張することを可能にすることをさらに含む、
請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2020年5月15日出願の米国仮出願第63/025,881号「Devices, Systems, and Methods For a Collapsible and Expandable Replacement Heart Valve」の利益を主張し、その開示内容全体は、その全体が説明されるように及びその優先権及び利益が主張されるように参照により本出願に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本開示は、一般に、置換心臓弁の技術に関し、より具体的には、高度に柔軟で、弾力性があり、格納可能で、交換可能な、折り畳み式及び拡張式の心臓弁組立体のための装置、システム、及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
心臓弁の介入、例えば完全な心臓切開手術は、血液が心臓を通って適切に流れるように協働する4つの心臓弁のうちの1又は2以上の疾患を治療するためにしばしば必要とされる。心臓弁の置換及び/又は修復は、弁が「漏れる」場合(例えば、僧帽弁逆流がある)、又は弁が狭くなって適切に開かない場合(例えば、僧帽弁狭窄症)にしばしば必要とされる。一般に、僧帽弁置換術などの心臓弁置換術は、心臓の元の弁(自然弁)を機械弁及び/又は組織弁(生体弁)に置換することを含む。しかし、このことは、弁及び/又は弁を支えるフレームを置換する際に、次のような問題が生じる、すなわち、a)リーフレット(弁様構造)の劣化、b)フレーム、詳細にはレーザー切断ニチノールフレームの破損又は機能不全、c)自然弁輪の望ましくないサイズ変化、である。置換心臓弁は、移植後にさらなる問題を引き起こす。例えば、置換心臓弁は、心臓の所望の場所に設置された後、動く又は移動する場合、又は、その位置が送出中に血液の適切な方向の流れを可能にしない場合がある。また、置換心臓弁は、多くの場合、回収が周囲の心臓組織を損傷する可能性があるので、即座に回収されない。このことは、例えば、置換心臓弁を心臓に移植する際に、置換心臓弁が適切かつ正確に所定の位置に配置されない場合、並びに置換心臓弁が機能不全になり始める場合(最初の移植から数年後に発生する場合がある)に特に問題となる可能性がある。さらに、一般的な置換心臓弁、特にレーザーカットされた弁フレームは、比較的硬く柔軟性がないため、心臓の拍動に伴って曲がらない弁につながるという問題もある。そのような柔軟性のない弁は、そのような動的な動きに適合しないので、心臓の表面に外傷を与え、フレーム自体に破損を引き起こす可能性、さもなければ移植中又は移植後の問題を引き起こすか又は悪化させる可能性がある。
【0004】
加えて、カテーテルを用いた人工弁の経皮的な実装が好ましいが(それは、外傷を伴う開腹手術を避け、大動脈を経由して大動脈弁に至る経カテーテル経路があまり蛇行しないため)、それもまた課題を伴う。例えば、他の機能不全の自然弁に人工弁を移植することは(自然僧帽弁への大静脈-経中隔ルート、三尖弁への大静脈ルートなど)、カテーテルが送達部位の近くで180度以上回転する必要がある場合があるので、屈曲性の点で大きな問題をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、心臓の中へのコンパクトかつ安全な送達と、好ましくは完全にカテーテルを介して移植又は除去される際の弁の拡張及び収縮の好都合な制御を可能にし、弁置換処置中及びその後に心臓を通る血液の適切な方向の流れを保証する置換心臓弁のための装置、システム、及び方法が必要とされる。また、人工弁の経カテーテル送達のための改良された装置、システム、及び方法が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下は、本発明の開示の一部の実施形態の基本的な理解を提供するために例示的実施形態の簡単な概要を提示するものである。この概要は、例示的な実施形態の広範な概要ではない。それは、例示的な実施形態の重要な又は決定的な要素を識別するようにも又は添付の特許請求の範囲を説明するようにも意図していない。その唯一の目的は、本明細書で以下に提示するより詳細な説明への導入として簡単な形態で例示的な実施形態の一部の概念を提示することである。以下の全体説明とそれに続く詳細説明との両方は、単に例示的かつ説明的であり、限定的ではないことは理解されるものとする。
【0007】
本開示は、高い柔軟性、弾力性、格納可能性、及び交換可能性の折り畳み式の置換心臓弁組立体(本開示全体を通して「弁組立体」と呼ばれる)のための装置、システム、及び方法に向けられる。さらに、心臓弁組立体の送達及び配置のための装置、システム、及び方法に向けられる。本明細書に開示されるように、弁組立体は、僧帽弁逆流の再発などの問題が生じた場合、移植から数年後に置換される能力を有する。
【0008】
本発明の開示の更に他の利点、実施形態、及び特徴は、本発明の開示を実施するのに最適な最良モードのうちの1つを単に例示的に本発明の開示の好ましい実施形態を示して説明している以下の説明から当業者には直ちに明らかになるであろう。以下で認められることになるが、本発明の開示は、全て本明細書の範囲から逸脱することなく又はそれを限定することなく他の異なる実施形態が可能であり、そのいくつかの詳細は、様々な明白な実施形態において修正が可能である。従って、図面及び説明は、限定的ではなく本質的に例示的であると見なされることになる。
【0009】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、本開示の実施形態を示し、上記の本開示の一般的説明及び以下の図面の詳細な説明とともに、本開示の原理を説明するのに役立つ。特定の例では、本開示の理解に必要でない詳細、又は他の詳細を理解するのを難しくする詳細は、省略されている場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本明細書に開示される折り畳み式の心臓弁組立体システムの一実施形態を概略的に示す。
図2】本明細書に開示される管状、網組フレームの一実施形態を概略的に示す。
図3】本明細書に開示される管状、網組フレームの一実施形態を概略的に示す
図4】本明細書に開示される管状、網組フレームの一実施形態を概略的に示す。
図5】本明細書で開示されるリーフレットパネルの一実施形態を概略的に示す。
図6】本明細書に開示されるZ弁インサートの一実施形態を概略的に示す
図7A】リーフレットパネルのためのパターンの実施形態を概略的に示す。
図7B】リーフレットパネルのためのパターンの実施形態を概略的に示す。
図7C】リーフレットパネルのためのパターンの実施形態を概略的に示す。
図7D】リーフレットパネルのためのパターンの実施形態を概略的に示す。
図7E】リーフレットパネルのためのパターンの実施形態を概略的に示す。
図7F】リーフレットパネルのためのパターンの実施形態を概略的に示す。
図7G】リーフレットパネルのためのパターンの実施形態を概略的に示す。
図8】本明細書に開示される折り畳み式の心臓弁組立体システムの一実施形態を概略的に示す
図9】本明細書に開示される折り畳み式の心臓弁組立体システムの一実施形態を概略的に示す。
図10A】本明細書に開示される折り畳み式の心臓弁組立体システムの一実施形態を概略的に示す。
図10B】本明細書に開示される折り畳み式の心臓弁組立体システムの一実施形態を概略的に示す。
図11】本明細書に開示される折り畳み式の心臓弁組立体のための送達システムの一実施形態を概略的に示す。
図12】本明細書に開示される折り畳み式の心臓弁組立体の送達システムの一実施形態を概略的に示す。
図13】本明細書に開示される折り畳み式の心臓弁組立体の送達システムの一実施形態を概略的に示す。
図14】本明細書に開示される折り畳み式の心臓弁組立体の送達システムの一実施形態を概略的に示す。
図15】本明細書に開示される折り畳み式の心臓弁組立体の回収システムの一実施形態を概略的に示す。
図16】本明細書に開示される折り畳み式の心臓弁組立体の網組フレームの一実施形態を概略的に示す。
図17】本明細書に開示される折り畳み式の心臓弁組立体システムの展開システムの一実施形態を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本システム及び方法を開示及び説明する前に、本システム及び方法は、特定の方法、特定の構成要素、又は特定の実装に限定されないことを理解されたい。また、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的だけのものであり、限定することを意図したものではないことも理解されたい。様々な実施形態が、図面を参照して説明される。以下の説明では、説明のために、1又は2以上の実施形態の完全な理解を可能にするために、多数の特定の詳細が記載される。しかしながら、様々な実施形態は、これらの具体的な詳細なしに実施され得ることは明らかであろう。場合によっては、これらの実施形態の説明を容易にするために、周知の構造及び装置はブロック図の形態で示される。
【0012】
本明細書には、一緒になってシール部分を提供する役割を果たす、少なくとも網組の折り畳み式のフレーム及びリーフレット(leaflet)組立体を含む折り畳み式の心臓弁組立体システム(「弁組立体」)が開示される。弁組立体は、カテーテルを介して送達され、独立した弁置換物又は既存の受容器構造に置かれるもののいずれかとして機能することができる。弁組立体は、カテーテル送達、位置決め及び部分的展開、並びに回収のためのアタッチメント及び追加の特徴をさらに含むことができる。
【0013】
図1は、本明細書に開示される折り畳み式の心臓弁組立体システムの一実施形態を概略的に示す。好ましい実施形態では、図1に示すように、弁組立体100は、管状網組フレーム110と、フレーム110に組み込まれたリーフレット組立体120とを備え、フレーム110は、1又は2以上の交連ポスト140を備えることができる。交連ポスト140は、リーフレット組立体120の下流部分のための取付け点として定めることができる。好ましい実施形態では、フレームは3つの交連ポストを備えるが、フレームが2又は4の交連ポストを有することは一般的である。交連ポスト140は、弁の周りに対称的に配置される必要はなく、同じ高さである必要もない。また、圧縮されると、交連ポストは弾性的に変形して、柔軟性のないリーフレット材料を変形させることなく収容することができる。
【0014】
弁組立体100は、1又は2以上のタブ130をさらに備えることができ、タブ130は、交連ポスト140に縫い付けられる。また、弁組立体100は、フレーム110の固定された交差点の列に沿ったベースステッチ150を備えることができ、ベースステッチ150は、リーフレット組立体の中心線160の円周に沿ってフレーム110をリーフレット組立体120に結合する。ベースステッチ150は、機能的なバルブ組立体100の流入端を線引きするステッチラインとして定めることができる。
【0015】
本明細書に開示される弁組立体は、最小限の網組ワイヤ構造を新規なリーフレット組立体設計と組み合わせて、両者を戦略的に一緒に統合して他の既存の経皮送達弁よりも非常に小型で薄型に圧縮することができる弁を提供するので、新規かつ先行技術に対する改善である。加えて、弁組立体の設計は、経皮的技術又は低侵襲外科的技術のいずれかによって、除去を容易にするための選択肢を与える。さらに、弁組立体は、事前に配置された受容器内に送達することができ、弁は、リーフレット組立体と組み合わされた最小のワイヤ構造及び取り付け戦略を有することができる。
【0016】
先行技術に対する本開示の利点は、限定されるものではないが、弁の送達に適合するための低侵襲性で外傷が少ない穿刺を伴うことである。さらに、弁の外形と、ワイヤ網組フレーム、リーフレット組立体、及び取り付け戦略との戦略的な組み合わせは、より柔軟性のある送達システムを可能にする。これは柔軟性のあるワイヤフレームの特性に起因し、弁が比較的短く、弁が送達カテーテルの柔軟性を可能にする送達システムの特徴を有するからである。これらの要因の組み合わせにより、外傷の少ない送達、より正確な送達、及び送達方法に関するより多くの選択肢が可能となる。
【0017】
加えて、この弁組立体の特有の利点は、これを経皮的又は低侵襲的な技術によって除去できる点である。現在の最先端の移植弁は、誤動作する又は無効になった場合、大がかりな外科手術によって除去するか、又は誤動作している弁の内部に第2の弁を移植する必要がある。どちらも大きな欠点がある。大がかりな手術は、患者の年齢又は体質によって回避される場合が多い。そして、既存の弁の内部に弁を移植することは、新しく移植された弁を危険にさらし、それが意図したように機能しない場合の選択肢を減らす。
【0018】
図2は、本明細書に開示される管状網組フレームの実施形態を概略的に示す。網組の弁フレームは、リーフレットを支持し、シール部分を提供する、シングルワイヤ又はマルチワイヤの、網組、自己拡張式フレームとして定めることができる。図2に示されるように、対応する長さ、直径、遠位端、及び近位端を有する管状フレーム200は、遠位端における1又は2以上の交連ポスト210、及び遠位端及び近位端の両方におけるループ220を備える。交連ポスト210は、典型的には、管状フレーム200から最小量、例えば、フレーム200の長さの10%から30%だけ外方に延びる。ループ220は、フレーム200を構成する材料の単純な300から360度のループバックとすること又は360度以上、すなわちフレーム材料を2回転させることができる。ループ220は、フレーム200に対して安定した端部をもたらし、送達機構に縫合糸をループさせる手段を与え、リーフレット構造120のための取り付け手段を提供し、巻回部(turn)でのピーク応力/歪みを低減させる。これらの特徴は、システムの半径方向力を強化又は低減するように設計することができる。加えて、ループ220は、蛍光透視法で可視化するためのX線不透過性マーカーを位置決めするために使用することができる。
【0019】
図3は、本明細書に開示される管状網組フレームの一実施形態を概略的に示す。図3に示すように、網組フレーム300は、大きさが異なる場合がある。例えば、交連ポスト310は、フレーム300の遠位端からさらに遠くに延びることができる。この実施形態では、交連ポスト310は、360度より大きいループ320を有し、ほぼ2つの完全なループを形成する。フレーム300の本体の中心部330は、フレーム300の遠位端と近位端との間のしっかりした中心線を提供し、ここでは、リーフレット構造の近位端に縫い付けるための縫合糸ラインを生成することができる。この実施形態は、網組固定であり、網組の交差点の動きを拘束するために用いられる縫合糸ラインとして定められ、水平方向及び/又は垂直方向に方向付けることができる。フレーム300の近位端は、典型的には、360度の縫合糸ラインでリーフレット構造を接続するための構造を提供し、弁が受容器に挿入される場合に弁機能のためのシールゾーンを形成するために使用することができる。シールゾーンは、一般に、その上で密封が生じるより大きな領域を提供するように、流入ステッチ(以下に開示する540を参照されたい。流入ステッチは、一般に、ベースステッチの流入側に平行であり、フレーム又はカフにリーフレット組立体を取り付けるのに役立つ)とベースステッチ(上記に開示する150を参照されたい)との間のフレームの外側上の領域を意味する。シールリングの使用などによるシールは、リーフレットが流れの制御を提供する間、両側からの血流の阻止を意味する。この中心線は、網組構造が送達のために圧縮されると伸長するので、近位端及び遠位端が中心から等距離で互いに離れるので、安定している。
【0020】
図4は、本明細書に開示される管状網組フレームの一実施形態を概略的に示す。図4に示すように、網組フレーム400は、交連ポスト410及びシールゾーン420を備えることができ、網組フレーム400は、本明細書に開示される他の実施形態と比較するとかなり短くされた網組チューブ長を有し、これは依然としてリーフレット構造への接続に必要な最小限のフレームを提供する。
【0021】
図5は、本明細書に開示されるリーフレットパネルの実施形態を概略的に示す。リーフレットパネルは、単一のリーフレットとして機能する、合成材料又は生物学的材料からカットされたパターンとして定めることができる。例えば、切除されたブタ又はウシの心膜は、リーフレットパネルに使用することができる。2又は3以上のリーフレットパネルを組み合わせて取り付けることで、Z弁インサートのようなリーフレット組立体が形成される。図5に示すように、リーフレットパネル500は、完成した弁に組み込まれると、弁の接合閉鎖ゾーンとなる遠位端510を備えることができ、この場合、3つの近位端は、互いに強制的な「接合(co-apt)と呼ばれるY字形にされて弁を閉じる。遠位端510の外側端520は、リーフレットを交連ポストに縫い付けるためのタブを有する。近位端に向かって、ベースステッチゾーン530は、それ自体で、又は流入ステッチゾーン540と組み合わせて、シールゾーンを作るために使用される。流入ステッチ540は、一般にベースステッチに平行で流入側にあり、Z弁インサートをフレーム又はカフに取り付ける役割を果たす。流入ステッチとベースステッチとの間の材料は、Z弁インサートの連続部分とすること又はZ弁インサートに縫い付けられた別の材料とすることができる。
【0022】
腹部ステッチは、Z弁インサートの端部継ぎ目を起点とし、ワイヤに沿ってリーフレットの端部を定め、選択肢としてフレーム及び/又はカフのワイヤの1つに取り付くステッチとして定められる。腹部ステッチが取り付けられるワイヤは、リーフレットの耐久性及び性能をさらに向上させるように形状を設定することができる。カフは、フレームの外側又は内側に配置される追加材料として定められ、フレームの上部及び下部に沿って延びることができるが、最低限、ベースステッチの上方及び下方に取り付けられる。腹部ステッチは、リーフレットの耐久性及び血行動態性能を向上させるという目的を果たす。弁腹部ステッチ550は、遠位外側セクションからリーフレットの中間中心に向かって角度が付けられ、一実施形態では、網組フレーム又は外側カフのいずれかに縫い付けることができる。蛇腹部分560は、腹部の底部を形成し、フレームに縫い付けられる場合又は縫い付けられない場合がある。腹部ステッチ550の蛇腹部分560は、一般にリーフレットの中心で、折り畳み性を改善するように機能する取り付け中断部又は腹部ステッチの続きとして定めることができる。
【0023】
図6は、本明細書に開示されるZ弁インサートの一実施形態を概略的に示す。図6に示すように、Z弁インサート600は、3つのリーフレットパネルを備えることができ、各リーフレットパネルの交連端部610は、この端部に沿って接続されて縫い付けられ、管状の円筒形構造を形成することができる。端部は、平行とすること又は耐久性及び血行動態性能を最適化するように所定の角度を有することができる。また、Z弁インサート600は、Z弁インサート600の下部タブを重ねることによって作成された、ベースステッチの流入側の何らかの管状部分を備えることができる。1つの実施形態では、Z弁インサート600は、ベースステッチを介して管状フレームの交連ポストに取り付けられる。ベースステッチは、管状フレームの上部、中間部、又は底部に沿って配置することができる。別の実施形態では、ベースステッチライン及び流入ステッチラインは、リーフレット、網組、及びカフを通過することができ、ベースステッチと流入ステッチとの間の弁フレームの外側の領域は、シールゾーンを生成する。
【0024】
図7Aから7Gは、リーフレットパネルのためのパターンの実施形態を概略的に示す。図7Aの実施形態は、リーフレット組立体500の図を開示する。図7Bは、3つの別々のリーフレットを組み合わせたパターンを開示する。図7Cは、追加のカフ材料を取り付けることを可能にする直線縁部を示す組立体の変形例である。
【0025】
図7Dは、近位端にカフ755を有する弁リーフレットパターン750の好ましい実施形態を開示する。カフ755は、フレームの近位端の上に巻き付いて、内側シールゾーンに加えて外側シールゾーンを生成するために使用することができる。図7Eは、組み合わされてカフを組み込んだ3つのリーフレットを示す。図7Fは、弁組立体の長さわたって完全な外側フレームをシールするように機能することができる、より大きなカフを組み込んだ図7Eの組み合わせを開示する。図7Gは、組み合わされた3部品リーフレットの拡大バージョンを開示する。
【0026】
図8は、本明細書に開示される折り畳み式の心臓弁組立体システムの一実施形態を概略的に示す。図8の弁組立体は、中心線160及びベースラインステッチで構造に縫い付けられ、さらに流入ステッチライン810に沿って近位網組端部に縫い付けられたより長いリーフレットによって作られた拡張シールゾーンを備える。
【0027】
図9は、本明細書に開示される折り畳み式の心臓弁組立体システムの一実施形態を概略的に示す。図9に示すように、弁組立体900は、管状網組フレーム110及びフレーム110に組み込まれたリーフレット構造120に加えて、カフ910を備えることができ、カフ910は弁組立体900の近位部分をカバーする。カフ910は、フレーム110に取り付けられる材料として定めることができ、カフ910は、フレームの外側又は内側のいずれかに配置することができ、フレームの上部及び下部に沿って延在することができるが、少なくともベースステッチ920の上方及び下方に取り付けられる。別の実施形態では、カフ900は、流入ステッチライン930と並行して取り付けることができる。カフ材料は、1)弾性であり、網組と共に変形する、2)非弾性であり、網組ワイヤが取り付けられたカフの中を/周りを摺動する、又は3)両方の組合せとすることができる。また、カフは、ポリマーコーティング(例えばクロノシル)又は連続的な編布、織布又は編組布で構成することができる。さらに、カフは、継ぎ目構造又は管状構造で巻き上げることができる。
【0028】
別の実施形態では、連続カフは、網組弁フレームの外側でカフになるように、ベースラインステッチ位置でZ弁インサートに縫い付けて網組弁フレームの流入縁に巻き付けることができる。さらに、別の実施形態では、弁は、内側カフと外側カフの両方、及び/又は、網組弁フレームの離散的な部分をカバーする部分的なカフを有することができる。
【0029】
一般に、カフ910は、シールゾーンを提供するようにフレーム110のワイヤをカバーするために用いられ、シールゾーン又はリングは、リーフレットが流れ制御を行う間に、両側からの血流を阻止するように形成される。シールゾーンは、可撓性材料又は非可撓性材料のいずれかで構成される。また、カフ910は、Z弁インサート120をフレーム110に取り付ける目的も果たす。好ましい実施形態では、カフ910は、フレーム110の上縁及び下縁に沿って、又は交差点の列に沿って取り付けられる。カフ910は、網組の交差点の動きを妨げないステッチなどを用いて、全ての隣接するワイヤに沿ってフレーム110に取り付けることができる。
【0030】
図10Aは、本明細書に開示される折り畳み式の心臓弁組立体システムの一実施形態を概略的に示す。図10Aに示すように、一実施形態では、弁組立体1010は、図2と同様の網組フレームと、外側にある長いカフカバー1015とを備える。完全な外側フレームをカバーするこのカフは、拡張シールゾーンとして機能することができる。腹部ステッチ1025がフレームに縫い付けられていないのに対して、腹部ステッチ1020はフレームに縫い付けることができる。この実施形態では、遠位リーフレット端部1030は、緩いY字形で弁を閉じるように接合されるように示されている。いくつかの実施形態では、3つのリーフレットの間の十分かつ効果的な接触を保証し、弁の完全な閉鎖を保証するように、弁接合領域は、何らかの「弛緩性」を含むことができる。リーフレットは、豚の心膜などの組織又は当技術分野で知られている他の材料で構成することができる。場合によっては、動物から切除した弁又はその一部を開示されたフレーム構造に縫い付けることができる。
【0031】
図10Bは、本明細書に開示される折り畳み式の心臓弁組立体システムの一実施形態を概略的に示す。図10Bに示すように、弁組立体は、組み合わされた交連ポスト及びリーフレットタブ1040、リーフレット端部、接合ゾーン1030、腹部ステッチ1020、蛇腹ステッチ1025、ベースステッチ1045、及び流入ステッチ1050を備えることができる。
【0032】
図11は、本明細書に開示される折り畳み式の心臓弁組立体のための送達システムの一実施形態を概略的に示す。好ましくは、近位又は流入側の送達システムである。図11に示すように、送達システムは、圧縮された弁1110と、縫合糸ライン1130によって摺動可能に保持されるループ1120とを備えることができる。縫合糸ライン1130は、送達カテーテル1150に組み込まれたブッシング1140を通る経路をたどる。縫合糸ライン1130は、所望に応じて弁組立体の拡張及び保持を制御することができる。
【0033】
図12は、本明細書に開示される折り畳み式の心臓弁組立体のための図11で説明した送達システムの一実施形態を概略的に示す。図12に示すように、各ループ1220は、それに通された縫合糸1230を有し、縫合糸1230は、マニホールド1210上のブッシング1240から抜け出てそこに戻る。縫合糸1230のパターンは、ループの反対側のブッシングから始まり、ループを通り、次にブッシングに戻る方向で交互に入れ替わり、縫合糸は、中心線を通るベクトルで張力を発生させるようになっている。これは、各フレームループに上述の中心線張力ベクトルを与えながら、送達カテーテルの中心を通って延びる管体を回避するという利点を有する。また、このパターンは、ループを縮小して、できるだけ中心の近くに保つ張力を与えるという利点を有する。各縫合糸は、送達カテーテルに対して固定されている端部と、長さが適切に構成される場合に、弁の拡張を正確に制御するために残りの縫合糸と協働して引っ張るか又は解放することができる反対側の端部とを有する。弁が解放される場合、縫合糸を切断/解除して引き出すことができる。この機構は、近位弁の拡張を優先的に制御するために使用することができるが、遠位弁を制御するためにも使用することが可能である。
【0034】
図13は、本明細書に開示される折り畳み式の心臓弁組立体の送達システムの一実施形態を概略的に示す。図13に示すように、遠位弁の制御のための送達システム1300は、短い縫合糸1320に摺動可能に接続される遠位弁ループ1310を備えることができる。縫合糸1320は、漏斗形ブッシング1330を通り、ネジ付きロッド1350内のチャネル1340を通って案内され、遠位先端1380内に摺動可能に保持されているワイヤ1370上のループ1360で終端する。ワイヤ1370は、送達システムの近位端でアクセス可能である。ノブ1390は、送達前にブッシング1330を押して、ループ1310を圧縮位置に引っ張るために回される。弁は、ワイヤ1370を引っ張って縫合糸1320の一端を解除することによって解除される。
【0035】
図14は、本明細書に開示される折り畳み式の心臓弁組立体の送達システムの一実施形態を概略的に示す。図14は、追加の構造と共に図11から13に記載された組み合わせた組立体の遠位切断側面図1400及び遠位外側図1495を開示する。図14は、近位解除機構マニホールド1420を有する圧縮形態の弁1410を開示する。マニホールド1420は、ベアリング1430に当接することができ、ベアリング1430は、マニホールド1420と場合によっては別のブッシング1440との間で何らかの角度のある関節結合を可能にする。これらのブッシングは、縫合糸及び中心管体を通過させながら、何らかの角度のある関節結合をもたらすことができる。遠位弁の解除機構は、漏斗形ブッシング1450、ノブ1460、ネジ付きロッド1470、及び遠位先端1480を備える。また、身体への挿入のための弁の完全な圧縮及び滑らかな外側表面を保証するために送達前に組立体の上に押し付けられる外側シース1485が示されている。このシースは、次いで、弁及び解除機構を露出させるために、身体の外側から近位に引き戻すことができる。角度のある関節結合ゾーンは、点1490で示され、そこでは、構造設計によって何らかの柔軟性が得られる。いくつかの実施形態では、シース1485は、シース1485の中心軸に平行に延在する分離可能な継ぎ目を有するジャケットのように構成することもでき、ジャケット継ぎ目の解放が弁の拡張を可能にするように、継ぎ目は、プルワイヤに接続され、身体の外側位置からワイヤが近位に引き寄せられた場合に継ぎ目が分離するようになっている。
【0036】
図15は、本明細書に開示される折り畳み式の心臓弁組立体のための回収システムの一実施形態を概略的に示す。図15は、送達後に心内構造物及び受容器から弁を取り出すための回収システム1500の実施形態を開示する。回収システム1500は、網組フレームのループ1520に永久的に組み込むことができる紐1510を備えることができる。いくつかの実施形態では、紐1510は、蛍光透視下で可視化するために放射線不透過性材料で構成することができる。紐1510は、その後、カテーテル又は特別に設計された回収手段に引き込むことができる、カテーテル上の1又は2以上の回収フックによって捕捉することができる。紐1510及びフックの張力は、弁を部分的に圧縮し、それを受容器から分離させることができる。
【0037】
図16は、本明細書に開示される折り畳み式の心臓弁組立体システムの網組フレームの一実施形態を概略的に示す。図16は、フレーム円周の接線に平行な軸を有するワイヤコイル1620及び1630との交連1610などの追加の特徴を備える網組フレーム1600を開示する。コイル1620及び1630は、バネとして作用して交連1610の強度を高めることができ、これは結果的に弁閉鎖中の流動力に対する抵抗力を与える。コイルは、ワイヤ径、ループコイル径、及びコイル巻数などの弁性能を最適化するためのパラメータを用いて設計することができる。さらに、コイル1620及び1630は、フレームを受容器に取り外し可能に接合するためのラッチを生成するように設計された変形例を含むことができる。コイルの丸い性質は、円筒形又は特別仕様の非対称形状のような受け入れ幾何学的形状を係合するためのバネ状のラッチを作り出す。コイル1630の拡張ラッチ機能は、ラッチコイル1630を弁軸線の中心に向かって引き込むことになる紐1510と協働して使用することができ、ラッチコイル1630を曲げて受容部から解放する。
【0038】
図17は、本明細書に開示される折り畳み式の心臓弁組立体システムのための展開システムの一実施形態を概略的に示す。図17に示すように、所望の標的心内構造への置換心臓弁システムの構成要素の展開には、いくつかの方法が利用可能である。図17は、構成要素を僧帽弁構造に送達するのに適した少なくとも3つの異なる経路を描いている。「経心尖」手法は、鼠径部1720で案内カテーテル1710を静脈に挿入し、心房中隔を経由して僧帽弁に至るまで挿入することを含む。「経大動脈」手法は、鼠径部1730で案内カテーテル1710を動脈に挿入し、大動脈弁を経由して僧帽弁に至るまで挿入することを含む。代替の「経心尖」手法1740は、心臓を手術で露出させ、案内カテーテル1710を標的心臓の心尖部に挿入することを含む。また、心臓弁組立体システムを送達するための方法は、案内ワイヤ1750の使用を含むことができ、心臓弁組立体システムは、案内ワイヤを介して静脈に挿入される。
【0039】
他の実施形態は、例えば、説明した実施形態の場合とは異なる順序で特徴を与えるか又は適用すること、一実施形態から個々の特徴を取り出し、そのような特徴を別の実施形態の中に組み込むこと、実施形態から1又は2以上の特徴を除去すること、又は実施形態から1又は2以上の特徴を除去し、それと共に1又は2以上の他の実施形態から取り出した1又は2以上の特徴を追加することに対応する実施形態を含むいくつかの図で説明した又は図示した特徴の組合せ及び部分結合をそのような組み合わせ及び部分的組み合わせに組み込まれる特徴の利点をもたらしながら含むことができる。この段落に使用する1又は複数の「特徴」は、装置の構造及び/又は機能、製造又はシステムの製品、及び/又は方法の段階、実施、又は方法様式を指す場合がある。
【0040】
本明細書を通じて「1つの実施形態」、「一実施形態」、「例示的な実施形態」などへの参照は、説明する実施形態が特定の特徴、構造、又は特性を有することができるが、全ての実施形態が必ずしもこれらの特定の特徴、構造、又は特性を含まない場合があることを示している。さらに、そのような語句は、必ずしも同じ実施形態を指しているとは限らない。さらに、特定の特徴、構造、又は特性を1つの実施形態に関して説明する時は、明示的に説明するか否かに関わらず、この説明が、他の実施形態に関するそのような特徴、構造、又は特性に影響を及ぼすことは当業者の知識範囲内であろう。
【0041】
状況が明らかに他を示さない限り、(1)「及び」という言葉は接続的であることを示し、(2)「又は」という言葉は離接的であることを示し、(3)物品を離接的に表し、それに「又はこれらの両方」、という言葉が続く時に、接続的であること及び離接的であることの両方を意図し、(4)連記する最後の2つの品目の間の「及び」又は「又は」という言葉は、連記する全ての項目に適用される。
【0042】
複数の名詞が後に続く「1又は2以上」という用語を用いて群を表す場合に、この群の1又は2以上の構成要素を指示するための当該名詞のいずれかの追加の使用は、その名詞の単数形と複数形の両方を示すものとする。例えば、群の「構成要素」の記載が後に続く「1又は2以上の構成要素」を有するとして表す群は、当該群に唯1つの構成要素しか存在しない場合は「当該構成要素」を意味するものとする。
【0043】
複数形ではない名詞は、単数又は複数を意味する。従って、本明細書では、単数形の名詞、複数形ではない名詞、および少なくとも1つを付した名詞は、交換可能に使用することができる。用語「備える」、「含む」、及び「有する」は、交換可能に使用することができることにも留意されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図7G
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【国際調査報告】