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特表2023-526350改善されたラッチアップ耐性を有する電荷ポンプセル及びそれを含む電荷ポンプ並びに関連するシステム、方法、及びデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-21
(54)【発明の名称】改善されたラッチアップ耐性を有する電荷ポンプセル及びそれを含む電荷ポンプ並びに関連するシステム、方法、及びデバイス
(51)【国際特許分類】
   H03K 17/687 20060101AFI20230614BHJP
   H02M 3/07 20060101ALI20230614BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20230614BHJP
【FI】
H03K17/687 A
H02M3/07
H01L27/04 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022570153
(86)(22)【出願日】2021-05-12
(85)【翻訳文提出日】2023-01-10
(86)【国際出願番号】 US2021031992
(87)【国際公開番号】W WO2021236392
(87)【国際公開日】2021-11-25
(31)【優先権主張番号】63/026,435
(32)【優先日】2020-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397050741
【氏名又は名称】マイクロチップ テクノロジー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】MICROCHIP TECHNOLOGY INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】フィノイ、トルビョルン ロエフセス
(72)【発明者】
【氏名】ゾウ、レイ
【テーマコード(参考)】
5F038
5H730
5J055
【Fターム(参考)】
5F038AV06
5F038BG03
5F038BH18
5F038CA09
5H730BB01
5H730EE59
5H730FD01
5J055AX35
5J055AX64
5J055BX16
5J055CX12
5J055CX19
5J055DX12
5J055DX17
5J055DX22
5J055DX43
5J055EY10
5J055EY21
5J055EZ54
5J055EZ55
5J055GX02
5J055GX03
(57)【要約】
改善されたラッチアップ耐性を示し得る電荷ポンプのための電荷ポンプセルが開示される。回路は、電荷ポンプセルにおいて、電荷転送トランジスタの第1の端子における電圧と、電荷転送トランジスタの第2の端子における電圧との間の関係に少なくとも部分的に応答して、そのような電荷ポンプセルの電荷転送トランジスタのバルク接点に電圧を印加するように配置され得る。1つ以上のそのような電荷ポンプセルを含む電荷ポンプは、電荷ポンプの出力電圧の状態に少なくとも部分的に応答してポンピング信号を制御するように構成されている制御ループを含み得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスであって、
CMOS構造と、
前記CMOS構造に設けられた第1のトランジスタと、
前記第1のトランジスタの第1の端子における電圧と、前記第1のトランジスタの第2の端子における電圧との間の関係に少なくとも部分的に応答して、前記第1のトランジスタのバルク接点にシールド電圧を印加するように配置された回路と、を備える、デバイス。
【請求項2】
前記回路は、前記第1の端子における電圧によって示される電圧レベル及び前記第2の端子における電圧によって示される電圧レベルのうちの低い方を示す前記シールド電圧を印加するように構成されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記回路は、前記CMOS構造に設けられた第2のトランジスタと、前記CMOS構造に設けられた第3のトランジスタと、を備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記第2のトランジスタは、前記第1の端子における電圧によって示される電圧レベルよりも高い電圧レベルを示す前記第2の端子における電圧に少なくとも部分的に応答してオンになり、前記第2の端子における電圧によって示される電圧レベルよりも高い電圧レベルを示す前記第1の端子における電圧に少なくとも部分的に応答してオフになるように配置されている、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記第3のトランジスタは、前記第2の端子における電圧によって示される電圧レベルよりも高い電圧レベルを示す前記第1の端子における電圧に少なくとも部分的に応答してオンになり、前記第2の端子における電圧によって示される電圧レベルよりも高い電圧レベルを示す前記第2の端子における電圧に少なくとも部分的に応答してオフになるように配置されている、請求項3に記載のデバイス。
【請求項6】
前記第1のトランジスタの前記第1の端子及び前記第2の端子は、それぞれ前記第1のトランジスタのドレイン及びソースである、請求項3に記載のデバイス。
【請求項7】
前記第2のトランジスタのドレインと前記第1のトランジスタの前記バルク接点とは電気的に結合され、前記第2のトランジスタのゲートと前記第1のトランジスタの前記ソースとは電気的に結合されている、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記第3のトランジスタのドレインと前記第1のトランジスタの前記バルク接点とは電気的に結合され、前記第3のトランジスタのゲートと前記第1のトランジスタの前記ドレインとは電気的に結合されている、請求項3に記載のデバイス。
【請求項9】
前記第2のトランジスタは、前記第1の端子における電圧によって示される電圧レベルよりも高い電圧レベルを示す前記第2の端子における電圧に少なくとも部分的に応答してオンになり、前記第2の端子における電圧によって示される電圧レベルよりも高い電圧レベルを示す前記第1の端子における電圧に少なくとも部分的に応答してオフになるように配置されている、請求項3に記載のデバイス。
【請求項10】
前記第3のトランジスタは、前記第2の端子における電圧によって示される電圧レベルよりも高い電圧レベルを示す前記第1の端子における電圧に少なくとも部分的に応答してオンになり、前記第1の端子における電圧によって示される前記電圧レベルよりも高い電圧レベルを示す前記第2の端子における前記電圧に少なくとも部分的に応答してオフになるように配置されている、請求項3に記載のデバイス。
【請求項11】
前記CMOS構造はNウェル及びP基板を備え、前記バルク接点は前記Nウェルに電気的に結合されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項12】
前記CMOS構造は、Pウェル、ディープNウェル、及びP基板を備え、前記バルク接点は、前記Pウェルに及び前記ディープNウェルに電気的に結合されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項13】
前記回路は、前記第1の端子における前記電圧によって示される電圧レベル及び前記第2の端子における前記電圧によって示される電圧レベルのうちのより高い方を示す前記シールド電圧を印加するように構成されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項14】
方法であって、
入力電圧を電荷ポンプセルの入力ノードに提供するステップと、
電荷転送トランジスタの第1の端子における電圧と、前記電荷転送トランジスタの第2の端子における電圧との間の関係に少なくとも部分的に応答して、前記電荷転送トランジスタのバルク接点にシールド電圧を印加するステップと、を含む、方法。
【請求項15】
前記電荷転送トランジスタの前記第1の端子における前記電圧と、前記電荷転送トランジスタの前記第2の端子における前記電圧との間の第1の関係に少なくとも部分的に応答して、第1の電圧レベルを示す前記電荷転送トランジスタの前記バルク接点に前記シールド電圧を印加するステップと、
前記電荷ポンプセルの前記入力ノードに電気的に結合された前記電荷転送トランジスタの前記第1の端子における前記電圧と、前記電荷ポンプセルの内部ノードに電気的に結合された前記電荷転送トランジスタの前記第2の端子における前記電圧との間の第2の関係に少なくとも部分的に応答して、第2の電圧レベルを示す前記電荷転送トランジスタの前記バルク接点に前記シールド電圧を印加するステップと、を含み、
前記電荷転送トランジスタの前記第1の端子は、前記電荷ポンプセルの前記内部ノードに電気的に結合され、
前記電荷転送トランジスタの前記第2の端子は、前記電荷ポンプセルの前記入力ノードに電気的に結合されている、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記電荷ポンプセルの前記第1の端子における前記電圧によって示される電圧レベルが前記電荷ポンプセルの前記第2の端子における前記電圧によって示される電圧レベルよりも低いことに少なくとも部分的に応答して、前記第1の関係を観察するステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記電荷ポンプセルの前記第2の端子における前記電圧によって示される電圧レベルが前記電荷ポンプセルの前記第1の端子における前記電圧によって示される電圧レベルよりも低いことに少なくとも部分的に応答して、前記第2の関係を観察するステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記方法は、
前記電荷転送トランジスタの前記第1の端子における電圧と、前記電荷転送トランジスタの第2の端子における電圧との間の第1の関係に少なくとも部分的に応答して、第1の電圧レベルを示す前記電荷転送トランジスタの前記バルク接点に前記シールド電圧を印加するステップと、
前記電荷ポンプセルの出力ノードに電気的に結合された前記電荷転送トランジスタの前記第1の端子における前記電圧と、前記電荷ポンプセルの内部ノードに電気的に結合された前記電荷転送トランジスタの前記第2の端子における前記電圧との間の第2の関係に少なくとも部分的に応答して、第2の電圧レベルを示す前記電荷転送トランジスタの前記バルク接点に前記シールド電圧を印加するステップと、を含み、
前記電荷転送トランジスタの前記第1の端子は、前記電荷ポンプセルの前記出力ノードに電気的に結合され、
前記電荷転送トランジスタの前記第2の端子は、前記電荷ポンプセルの前記内部ノードに電気的に結合されている、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記電荷ポンプセルの前記第2の端子における前記電圧によって示される電圧レベルが前記電荷ポンプセルの前記第1の端子における前記電圧によって示される電圧レベルよりも高いことに少なくとも部分的に応答して、前記第1の関係を観察するステップを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記電荷ポンプセルの前記第1の端子における前記電圧によって示される電圧レベルが前記電荷ポンプセルの前記第2の端子における前記電圧によって示される電圧レベルよりも高いことに少なくとも部分的に応答して、前記第2の関係を観察するステップを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
デバイスであって、前記デバイスは、
電荷ポンプと、
前記電荷ポンプの出力電圧を調整するように構成された制御ループと、を備え、
前記電荷ポンプは、少なくとも1つの電荷転送スイッチを含み、前記電荷転送スイッチは、
CMOS構造と、
前記CMOS構造に設けられた第1のトランジスタと、
前記第1のトランジスタの第1の端子における電圧と、前記第1のトランジスタの第2の端子における電圧との間の関係に応答して、前記第1のトランジスタのバルク接点に電圧を印加するように配置された回路と、を備える、デバイス。
【請求項22】
前記制御ループは、前記電荷ポンプが応答して動作するように構成されているポンピング信号を制御することによって、前記電荷ポンプの前記出力電圧を調整するように構成された負のフィードバックループを備える、請求項21に記載のデバイス。
【請求項23】
前記電荷ポンプは、少なくとも1つの電荷ポンプセルを備え、前記制御ループは、前記少なくとも1つの電荷ポンプセルが応答して動作するように構成されているポンピング信号を制御することによって、前記少なくとも1つの電荷ポンプセルの前記出力電圧を調整するように構成されている、請求項21に記載のデバイス。
【請求項24】
前記制御ループは、前記少なくとも1つの電荷ポンプセルの観察された出力電圧に少なくとも部分的に応答して、前記ポンピング信号を制御するように構成されている、請求項23に記載のデバイス。
【請求項25】
前記制御ループは、前記電荷ポンプの観察された出力電圧に少なくとも部分的に応答して、前記ポンピング信号を制御するように構成されている、請求項23に記載のデバイス。
【請求項26】
前記電荷ポンプは、2つ以上の電荷ポンプセルを備え、前記制御ループは、前記2つ以上の電荷ポンプセルが応答して動作するように構成されているポンピング信号を制御することによって、前記2つ以上の電荷ポンプセルのそれぞれの出力電圧を調整するように個々に構成されている2つ以上の負のフィードバックループを備える、請求項21に記載のデバイス。
【請求項27】
前記制御ループは、前記2つ以上の電荷ポンプセルのそれぞれの出力電圧の状態に少なくとも部分的に応答して、前記ポンピング信号を制御するように構成されている、請求項26に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願に対する相互参照)
本出願は、米国特許法119(e)条の下で、2020年5月18日に出願された米国特許仮出願第63/026,435号の利益を主張するものであり、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
1つ以上の実施例は、概して、電荷転送スイッチに関する。1つ以上の実施例は、概して、電荷ポンプのための電荷ポンプセル及び電荷ポンプセルを含む電荷ポンプに関する。そのような電荷転送スイッチ、電荷ポンプセル、又は電荷ポンプを含むCMOSデバイスは、そのようなCMOSデバイスの電源オン中に導通し得る寄生構造からラッチアップ耐性を示し得る。
【背景技術】
【0003】
相補型金属酸化物半導体(Complementary metal-oxide-semiconductor、CMOS)型電荷ポンプは、集積回路(integrated circuit、IC)デバイスが動作するために利用される電圧よりも供給電圧が低い用途などの様々な動作状況で使用される。CMOS電荷ポンプは、電圧増倍器として機能し得、その入力における電圧(例えば、限定するものではないが、供給電圧)によって示される電圧レベルの倍数である電圧レベルを示す電圧をその出力において提供し、それによって、供給電圧が低すぎるときにICデバイスが動作するのに十分な電圧を提供し得る。
【0004】
本開示の発明者らに知られている典型的なCMOS電荷ポンプの非限定的な実施例として、CMOS電荷ポンプは、入力電圧及びポンピング信号(例えば、限定するものではないが、クロック又は位相信号などのパルス信号)を受信し、第1の電荷転送スイッチを介してコンデンサの一方の側に結合されたノード(「ブーストノード」)に入力電圧を転送し、コンデンサの他方の側にポンピング信号を印加することによってブーストノードにおいて入力電圧をブーストし、ブーストされた電圧を第2の電荷転送スイッチを介して出力端子に転送する。CMOS電荷ポンプは、出力端子に結合された外部負荷での電流消費のため、常にブースト電圧を供給する必要があり得る。典型的なCMOS電荷ポンプは、転送スイッチとしてNMOS又はPMOSトランジスタを使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】ラッチアップリスクの影響を受けやすい、本開示の発明者らに知られている既存の電荷ポンプを示す図である。
図2図1に示す電荷ポンプセルのいずれか1つのNMOSトランジスタ(この特定の実施例では、ソース、ドレイン、及びゲートのための3つの端子を有するNMOSトランジスタ)を示す図である。
図3】1つ以上の実施例による、改善されたラッチアップ耐性を示し得る電荷ポンプセルを示す図である。
図4】1つ以上の実施例による、電荷転送スイッチを示す概略図である。
図5】1つ以上の実施例による、改善されたラッチアップ耐性を示し得る電荷ポンプセルを示す図である。
図6】1つ以上の実施例による電荷転送スイッチを示す概略図であり、図5に示す電荷転送スイッチの非限定的な実施例である。
図7A】1つ以上の実施例による、電荷転送スイッチの電荷転送トランジスタを動作させるためのプロセスを示すフロー図である。
図7B】1つ以上の実施例による、電荷転送スイッチの電荷転送トランジスタのバルク接点に電圧を印加するためのプロセスを示すフロー図である。
図7C】1つ以上の実施例による、NMOS又はPMOS電荷転送トランジスタの場合の、図7Bに示すプロセスの第1の関係及び第2の関係を観察するためのプロセスを示すフロー図である。
図7D】1つ以上の実施例による、NMOS又はPMOS電荷転送トランジスタの場合の、図7Bに示すプロセスの第1の関係及び第2の関係を観察するためのプロセスを示すフロー図である。
図8】1つ以上の実施例による、調整された出力電圧を有する電荷ポンプセル回路を示す図である。
図9】1つ以上の実施例による、電荷ポンプ及び電荷ポンプセルの電圧出力を調整するための例示的なトポロジを示す図である。
図10】1つ以上の実施例による、電荷ポンプ及び電荷ポンプセルの電圧出力を調整するための例示的なトポロジを示す図である。
図11】1つ以上の実施例について開示する特徴又は要素の一部又は全体を実行するための回路を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下の詳細な記載では、本明細書の一部を形成し、本開示が実施され得る特定の実施例を例示として示す添付の図面を参照する。これらの実施例は、当業者が本開示を実施することを可能にするために十分に詳細に説明されている。しかしながら、本開示の範囲から逸脱することなく、本明細書で可能にされる他の実施例が利用されてもよく、構造、材料、及びプロセスの変更が行われてもよい。
【0007】
本明細書に提示する図は、任意の特定の方法、システム、デバイス、又は構造の実際の図であることを意味せず、本開示の実施例を説明するために用いられる、単に理想化した表現である。場合によっては、様々な図面における類似の構造又は構成要素は、読者の便宜のために同一又は類似の付番を保持し得る。しかしながら、付番における類似性は、構造又は構成要素が必ずしもサイズ、組成、構成、又は任意の他の特性において同一であることを意味するものではない。
【0008】
以下の説明は、当業者が開示された実施例を実施することを可能にするのを補助するための実施例を含み得る。「例示的な」、「例として」、及び「例えば」という用語の使用は、関連する説明が説明的であることを意味し、本開示の範囲は、実施例及び法的等価物を包含することを意図するものであり、そのような用語の使用は、実施例又は本開示の範囲を特定の構成要素、ステップ、特徴、機能などに限定することを意図するものではない。
【0009】
本明細書に一般的に説明され、図面に例示される実施例の構成要素は、多種多様な異なる構成で配置され、設計され得ることが容易に理解されるであろう。したがって、様々な実施例の以下の説明は、本開示の範囲を限定することを意図するものではなく、単に様々な実施形態を表すものである。実施例の様々な態様が図面に提示され得るが、図面は、具体的に指示されていない限り、必ずしも縮尺通りに描かれていない。
【0010】
更に、図示及び説明する具体的な実装形態は、単なる例であり、本明細書において別段の指定がない限り、本開示を実施する唯一の方式と解釈されるべきでない。要素、回路、及び機能は、不要に詳述して本開示を不明瞭にしないように、ブロック図の形態で示され得る。逆に、図示し、説明する具体的な実装形態は、単に例示的なものであり、本明細書において別段の指定がない限り、本開示を実装する唯一の方法と解釈されるべきではない。
【0011】
更に、様々なブロック間での論理のブロック定義及びパーティショニングは、例示的な具体的な実装形態である。当業者には、本開示が多数の他のパーティショニングソリューションによって実施され得ることが容易に明らかになるであろう。大部分については、タイミングの考慮などに関する詳細は省略されており、そのような詳細は、本開示の完全な理解を得るために必要ではなく、当業者の能力の範囲内である。
【0012】
当業者であれば、情報及び信号は、様々な異なる技術及び技法のいずれかを使用して表され得ることを理解するであろう。いくつかの図面は、表示及び説明を明確にするために、単一の信号として信号を例示してもよい。当業者は、信号が信号のバスを表し得、このバスは様々なビット幅を有してもよく、本開示は、単一のデータ信号を含む任意の数のデータ信号で実施され得ることを理解するであろう。
【0013】
本明細書に開示する実施例に関連して説明される様々な例示的な論理ブロック、モジュール、及び回路は、汎用プロセッサ、専用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor、DSP)、集積回路(IC)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit、ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array、FPGA)若しくは他のプログラマブル論理デバイス、個別ゲート若しくはトランジスタ論理、個別ハードウェア構成要素、又は本明細書に説明される機能を実行するように設計されたそれらの任意の組み合わせを用いて実装又は実行され得、それらの全ては、「プロセッサ」という用語の使用によって包含される。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサであり得るが、代替的に、プロセッサは、任意の従来式プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、又はステートマシンであり得る。プロセッサはまた、DSPとマイクロプロセッサとの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと組み合わせた1つ以上のマイクロプロセッサ、又は任意の他のそのような構成の組み合わせとして実装されてもよい。プロセッサを含む汎用コンピュータは、専用コンピュータとみなされる一方で、汎用コンピュータは、本開示の実施例に関連するコンピューティング命令(例えば、限定するものではないが、ソフトウェアコード)を実行するように構成されている。
【0014】
実施例は、フローチャート、フロー図、構造図、又はブロック図として示すプロセスに関して説明され得る。フローチャートは、順次プロセスとして動作行為を説明し得るが、これらの行為の多くは、別の順序で、並行して、又は実質的に同時に実行され得る。加えて、行為の順序は再配置され得る。プロセスは、メソッド、スレッド、関数、プロシージャ、サブルーチン、サブプログラム、他の構造、又はこれらの組み合わせに対応し得る。更に、本明細書に開示する方法は、ハードウェア、ソフトウェア、又はその両方で実装されてもよい。ソフトウェアで実装される場合、機能は、コンピュータ可読メディアの1つ以上の命令又はコードとして記憶されてもよく、又は送信されてもよい。コンピュータ可読メディアは、コンピュータ記憶メディア及び、コンピュータプログラムのある場所から別の場所への転送を容易にする任意のメディアを含む通信メディアの両方を含む。
【0015】
「第1」、「第2」などの表記を使用して、本明細書の要素に対する任意の言及は、そのような制限が明示的に記載されていない限り、それらの要素の数量又は順序を限定しない。むしろ、これらの表記は、本明細書において、2つ以上の要素又は要素の例を区別する便利な方法として使用され得る。したがって、第1の要素及び第2の要素への言及は、2つの要素のみが用いられ得ること、又は何らかの様式で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味するものではない。加えて、特に明記しない限り、一組の要素は、1つ以上の要素を含み得る。
【0016】
本明細書で使用される場合、所与のパラメータ、特性、又は条件に言及する際の「実質的に(substantially)」又は「約(about)」という用語は、所与のパラメータ、特性、又は条件が、許容可能な製造公差又は動作公差の範囲内などの、わずかな程度の変動で満たされることを当業者が理解する程度を意味し、かつ含む。例として、実質的に満たされる特定のパラメータ、特性、又は条件に応じて、パラメータ、特性、又は条件は、少なくとも90%満たされ得るか、少なくとも95%満たされ得るか、更には少なくとも99%満たされ得る。
【0017】
本明細書で使用される場合、限定するものではないが、「上に(over)」、「下に(under)」、「に(on)」、「下にある(underlying)」、「上部(upper)」、「下部(lower)」などの任意の相対的な用語は、本開示及び添付の図面を理解する際の明瞭さ及び便宜のために使用され、文脈が明らかに他のことを示す場合を除いて、任意の特定の選好、向き、若しくは順序を含意せず、又はそれらに依存しない。
【0018】
この説明では、「結合された」という用語及びその派生語は、2つの要素が互いに協動するか、又は相互作用することを示すために使用され得る。ある要素が別の要素に「結合される」として説明されるとき、要素は、直接物理的若しくは電気的接触状態にあり得るか、又は存在する介在要素若しくは層であり得る。対照的に、ある要素が別の要素に「直接結合されている」と説明されるとき、介入する要素又は層は存在しない。「接続された(connected)」という用語は、本明細書において、「結合された(coupled)」という用語と交換可能に使用され得、別段に明示的に指示されない限り、又は文脈が当業者に別段に示す場合を除き、「結合された(coupled)」と同じ意味を有する。ある要素が第1の要素及び第2の要素を「接続する(connecting)」又は「結合する(coupling)」と称される場合、それは第1の要素に結合され、それは第2の要素に結合されることが理解されるであろう。
【0019】
ある要素が別の要素に「電気的に接続された(electrically coupled)」と本明細書において称されるとき、電荷又は信号のうちの1つ以上は、その要素と、他の要素の間で、直接的に又は介在要素が存在する場合はそれを介して伝達され得る。ある要素が第1の要素及び第2の要素を「電気的に接続する(electrically connecting)」と称されるとき、電荷及び/又は信号のうちの1つ以上は、要素を介して第1の要素と、第2の要素との間で、直接的に又は介在要素が存在する場合はそれを介して、転送され得ることが理解されよう。
【0020】
特定用途向けIC(application specific IC、ASIC)及び他のICの動作要件は、特定の用途に基づいて異なることが多い。非限定的な実施例として、自動車用途では安全性が懸念事項であり、自動車知的財産(intellectual property、IP)セル要件(すなわち、電子システムを実装するための集積回路設計の要件)は、安全性が主要な懸念ではない他の商業的要件とは異なることが多い。
【0021】
非限定的な実施例として、タッチASIC(例えば、限定するものではないが、タッチディスプレイ(スマートフォン、タブレットコンピュータ、装置の制御ユニット、又は自動車若しくは他の車両の制御ユニット)又はタッチ入力(例えば、限定するものではないが、タッチパッド又はタッチボタン)を制御するために利用されるASIC)の場合、他の利用可能な供給電圧よりもスクリーンをスキャンするのにより適した(例えば、限定するものではないが、より高い)電圧レベルを示す供給電圧を提供するために、電荷ポンプが利用され得る。
【0022】
本開示の発明者らに知られているCMOS技術に実装された電荷ポンプ及び他のデバイスは、非限定的な実施例として、電荷ポンプの電源オン中に「ラッチアップ」現象の影響を受けやすい場合がある。ラッチアップは、寄生構造(例えば、限定するものではないが、PNPバイポーラ接合トランジスタ(Bipolar Junction Transistor、BJT)又はPNダイオード)がCMOS構造において導通する状態であり、これは、CMOS構造及びそれを含むデバイスにおいて提供されるトランジスタ又は他のCMOSデバイスの正しい動作又は信頼性のある動作を損なうことがあり、時には、それらに永久的な損傷を引き起こすことがある。ラッチアップがデバイスにおいて発生する場合、デバイスは、限定するものではないが、自動車、医療、及びある特定の産業制御などの安全重視用途のための品質要件を満たさない場合がある。
【0023】
図1は、本開示の発明者らに知られている最新技術の実施例である電荷ポンプ100を示す図である。電荷ポンプ100は、入力ノード104と出力ノード106との間に直列に配置された3つの電荷ポンプセル、すなわち、電荷ポンプセル102a、102b、及び102cを含む。電荷ポンプセル102a~102cの各々はP側及びN側を含み、P側及びN側は、それぞれのポンピングコンデンサ108a~108c及び110a~110cに印加するために、一対の180度位相がずれたポンピング信号CLKP又はCLKNのうちの一方がその側に供給されることによって指定される。電荷ポンプセル102aを例にとると、ポンピング信号CLKPがポンピングコンデンサ108aに印加され、ポンピングコンデンサ108aは、ポンピング信号CLKPに応答して内部ノード112aに電荷を注入するように配置されている。電荷転送スイッチ114a~114c、内部ノード112a~112c、及びポンピングコンデンサ108a~108cは、本明細書では、それぞれの電荷ポンプセル102a~102c及び、より一般的に電荷ポンプ100の、「P側」にあると称される。同様に、電荷転送スイッチ116a~116c、内部ノード118a~118c、及びポンピングコンデンサ110a~110cは、本明細書では、それぞれの電荷ポンプセル102a~102c及び、より一般的に電荷ポンプ100の、「N側」にあると称される。
【0024】
ポンピング信号CLKP及びCLKNが電荷ポンプセル102a~102cに印加され、入力電圧VINが電荷ポンプ100の入力ノード104に印加される(この特定の実施例では、入力電圧VINは3Vに設定される)と、出力電圧VOUT(この特定の実施例では、12V)が出力ノード106で得られると予想される。図示するように、約6Vが電荷ポンプセル102aの出力で得られ、電荷ポンプセル102bの入力に供給されることがと予想され、約9Vが電荷ポンプセル102bの出力で得られ、電荷ポンプセル102cの入力に供給されることが予想される。出力電圧VOUTは、VINの倍数であり、その関係は、電荷ポンプセル102a~102cの個数、ポンピングコンデンサ108a~108c及び110a~110cの静電容量、並びにポンピング信号CLKN及びCLKPの周波数に少なくとも部分的に基づく。
【0025】
電荷ポンプセル102a~102cの各々は、交差結合PMOS(P-type Metal-Oxide-Semiconductor、P型金属酸化膜半導体)トランジスタ及び交差結合NMOS(N-type Metal-Oxide-Semiconductor、N型金属酸化膜半導体)トランジスタを含むCMOSデバイスであり、どちらの場合もエンハンスメント型である。電荷ポンプセル102a~102cのそれぞれのCMOSトランジスタのバルク及びソースは、電気的に結合されている。
【0026】
図2は、本開示の発明者らに知られている最新技術による、寄生構造を有する図1の電荷ポンプセル102a~102cのうちのいずれか1つの例示的なNMOS電荷転送スイッチ200を示す図である。NMOS電荷転送スイッチ200は、CMOS構造214のディープNウェル202及びPウェル204内に構築されたNMOSトランジスタであり、それらは、NMOSトランジスタのバルク接点B及びソース端子Sの電気結合212を介して電気的に結合されている。特に、ディープNウェル内に構築されたNMOSトランジスタは、設計目的のために、バルク及びドレイン電圧を、例えば、ラッチアップを回避するように試みるために、動作中に所定の電圧範囲内になるように制限し得る。
【0027】
ラッチアップに関して、NMOS電荷転送スイッチ200の電源オン中に、ディープNウェル202は、電荷ポンプ又は電荷ポンプセル(例えば、限定するものではないが、電荷ポンプ100又は電荷ポンプセル102a~102c)内の最高電圧レベル(すなわち、確実に利用可能な最高電圧レベル)に電気的に結合され、寄生PNPバイポーラ接合トランジスタ(BJT)208の導通を阻止するものであり、Pウェル204はエミッタであり、ディープNウェル202はベースであり、P基板206はコレクタである。寄生PNP BJT208は、そのエミッタ電圧(例えば、Pウェル204における電圧レベル)がそのベース電圧(例えば、ディープNウェル202における電圧レベル)よりも高く、かつそのベース電圧がそのコレクタ電圧(例えば、P基板206における電圧レベル)よりも高いときに導通する。ディープNウェル202における電圧を電荷ポンプ又は電荷ポンプセルにおいて示される最高電圧レベルに強制することは、ベース電圧が寄生PNP BJT208のエミッタ電圧以上であることを保証する。電荷ポンプ100では、最高電圧レベル(すなわち、確実に利用可能な最高電圧レベル)が電荷ポンプ100の出力電圧VOUTによって示されることが合理的に予想され得、したがって、電荷ポンプ100では、電荷転送スイッチ116a~116cのそれぞれのディープNウェルは、図2に示すように、出力電圧VOUTを受け取るために出力ノード106に電気的に結合され、図2では、ディープNウェル202は、出力電圧VOUTを受け取るために出力ノード106に電気的に結合されている。
【0028】
ここで、電荷ポンプ100並びに電荷ポンプセル102a、102b、及び102cの電源オン時に、出力ノード106の出力電圧VOUTは、初期は0Vであり、次いで、電荷ポンプ100における最高電圧レベルである電圧レベルに短い持続時間(本明細書では「ランプアップ期間」と称する)にわたってランプアップし、次いで、最終的に完全にブーストされた電圧レベルにランプアップすることが、本開示の発明者らによって諒解される。ランプアップ期間の初期持続時間中、出力電圧VOUTは電荷ポンプ100における最高電圧レベルではなく、したがって、寄生PNP BJT208は、そのエミッタ電圧(例えば、Pウェル204における電圧レベル)がそのベース電圧(例えば、ディープNウェル202における電圧レベル)よりも高く、かつそのベース電圧がそのコレクタ電圧(例えば、P基板206における電圧レベル)よりも高いときに導通し得る。図2に示す例示的なCMOS構造では、導通寄生PNP BJT208は、P基板206に電流を注入し得る(別の言い方をすれば、漏れ電流がPウェル204からP基板206に流れ得る)。NMOS電荷転送スイッチ200などのシリコン上のCMOSデバイスでは、P基板206への漏れ電流の流れは、ラッチアップ現象を引き起こし得、それにより、そのようなCMOSデバイス又は製品の信頼性が低下し得(例えば、限定するものではないが、電荷ポンプは完全にブーストされた電圧未満又は0ボルトを生成し得、接地に流れる電流からの大きな電力損失があり得る)、そのようなCMOSデバイス又は製品は、いくつかの場合では、不可逆的に故障するリスクを増大させ得る。そのため、寄生PNP BJT208による導通は、電荷ポンプセル(例えば、限定するものではないが、電荷ポンプセル102a~102c)及びそれを含む電荷ポンプ(例えば、限定するものではないが、電荷ポンプ100)のラッチアップのリスクを増大させる。
【0029】
典型的な電荷ポンプでは、NMOS電荷転送スイッチ200のPウェル204は、入力電圧VINに電気的に結合され、入力ノード104における入力電圧VINは、概して、その動作中にそのような電荷ポンプにおいて示される最低電圧レベルである。ここで、NMOS電荷転送スイッチ200の電源オン中に、入力電圧VINが少なくとも一時的に(すなわち、ランプアップ期間の少なくともある部分において)出力電圧VOUTよりも大きくなり、寄生PNダイオード210が(寄生PNP BJT208に追加的又は代替的に)導通し得、ここで、Pウェル204が、アノードであり、ドレイン(D)-N接合が、カソードであることが、本開示の発明者らによって諒解される。そのような寄生PNダイオード210は、アノードの電圧が寄生PNダイオード210のカソードの電圧レベルよりも大きいときに、Pウェル204に電流を注入し得る。CMOSデバイスのPウェル204への漏れ電流の流れは、ラッチアップ現象のリスクを増大させ、それに関連する上記で考察した問題を増大させる。図示しないが、寄生ダイオード又はBJTは、PMOSトランジスタのドレイン-P接合、Nウェル、及びP基板から同様に導通し得る。
【0030】
本開示の発明者らに知られているラッチアップ耐性を改善するための1つの選択肢は、電荷ポンプが動作し始める前に(例えば、限定するものではないが、電源オン前又は電源オン後であるが入力電圧VINを印加する前に)、電荷ポンプ(例えば、限定するものではないが、入力ノード、出力ノード、ブーストノード、又は電荷ポンピングに関連付けされていない内部ノード)のうちの1つ以上のノードを適切な高電圧にプリチャージすることである。例えば、これは、電荷ポンプ又は電荷ポンプセルの1つ以上の入力、出力、又は内部ノードをプリチャージするために補助電荷ポンプを利用することによって達成され得る。本開示の発明者らは、ここで、プリチャージを実行することが、電荷ポンプ又は電荷ポンプセルの起動までの時間(例えば、すなわち、「プリチャージ段階」)並びにシリコン占有コストを追加することを諒解する。
【0031】
本開示の発明者らは、ここで、(例えば、非限定的な実施例として、上記の補助電荷ポンプを利用する電荷ポンプと比較してシリコンの)低い面積コストを維持し、追加的に又は代替的に、(例えば、非限定的な例として、プリチャージ段階を付加する補助電荷ポンプを利用する電荷ポンプと比較して)短い電源オン持続時間を示す、ラッチアップ耐性が改善された及び低減されたラッチアップリスクからの性能が改善された(すなわち、ラッチアップ耐性を有する)電荷転送スイッチ又は電荷ポンプセルの望ましさを諒解する。
【0032】
1つ以上の実施例は、概して、ラッチアップ耐性を示す電荷転送スイッチに関する。そのような電荷転送スイッチを含む電荷ポンプセルは、増大したラッチアップ耐性を示し得、したがって、電荷ポンプはそれを含み得る。1つ以上の実施例では、そのような電荷ポンプセルは、入力ノードをブーストノードに電気的に結合するためのトランジスタ(及び本明細書では「電荷転送トランジスタ」とも称される)などのCMOS構造に設けられたトランジスタと、シールド電圧VSHをCMOS構造のバルク(例えば、限定するものではないが、Pウェル又はP基板)に提供するように配置された第1のシールド回路と、シールド電圧VSHをCMOS構造のディープNウェルに提供するように配置された第2のシールド回路と、を含む電荷転送スイッチを含み得る。1つ以上の実施例では、シールド電圧VSHは、より一般的に、電荷ポンプセル又は電荷ポンプにおいて示される利用可能な最低電圧レベルである電圧レベルを示し得る。第1のシールド回路は、トランジスタのソース(電荷ポンプセルの入力ノードに電気的に結合され得る)における電圧と、トランジスタのドレインにおける電圧(ポンピング信号に応答してブースト電圧が生成される電荷ポンプセルの内部ノード(その内部ノードは、本明細書では、「ブーストノード」とも称され得る)に電気的に結合され得る)との間で示される最低電圧レベルを選択するように構成された電圧セレクタを含み得る。
【0033】
特に、電荷ポンプセル又は電荷ポンプにおけるラッチアップ耐性の特定の程度は、明示的に述べられていない限り、本開示によって必要とされない。非限定的な実施例として、開示する電荷ポンプセルは、電荷ポンプの電荷ポンプセルの全体で又は電荷ポンプの電荷ポンプセルの全体よりも少なく利用され得、開示する電荷転送スイッチは、電荷ポンプセルの電荷転送スイッチの全体で又は電荷ポンプセルの電荷転送スイッチの全体よりも少なく利用され得、全ての場合において、本開示の範囲を超えることはない。
【0034】
図3は、1つ以上の実施例による、改善されたラッチアップ耐性を示し得る電荷ポンプセル300を示す図である。概して、電荷ポンプセル300は、ポンピング信号CLKP及びCLKN並びに入力電圧VINに応答して、出力ノード308において出力電圧VOUTを生成するように構成されている。電荷ポンプセル300は、本明細書では「第1のNMOS電荷転送スイッチ302」及び「第2のNMOS電荷転送スイッチ304」とも称される、交差結合されたNMOS電荷転送スイッチ302及び304と、交差結合されたPMOS電荷転送スイッチ316及び318とを含む。
【0035】
電荷ポンプセル300のNMOS電荷転送スイッチ302及び304は、それぞれ、単一のNMOS転送スイッチ(すなわち、第1の電荷転送スイッチ302及び第2の電荷転送スイッチ304)として、(すなわち、図3に示すようにそれらのそれぞれの端子及びバルク接点の電気的結合を介して)配置されている3つのNMOSトランジスタを含む。電荷転送スイッチ302及び304はそれぞれ、回路320によって支援されるNMOS電荷転送トランジスタM1(本明細書では「電荷転送トランジスタM1」として、より一般的には「第1のトランジスタ」と称する)を含み、回路320は、第1の端子における電圧によって示される電圧レベル及び第2の端子における電圧によって示される電圧レベルのうちの低い方を示すシールド電圧を印加するように概して構成されている。回路320は、2つのNMOSトランジスタM2及びM3(本明細書では「トランジスタM2」及び「トランジスタM3」と称され、より一般的には、「第2のトランジスタ」及び「第3のトランジスタ」と称される)の配置を含み得る。電荷転送スイッチ302及び304のそれぞれの電荷転送トランジスタのゲートは、それぞれ内部ノード310及び314に電気的に結合されている。図示を容易にするために、第1の電荷転送スイッチ302のトランジスタM1、M2、及びM3のみが図3に示しているが、第1の電荷転送スイッチ302の考察は第2の電荷転送スイッチ304にも適用される。
【0036】
1つ以上の実施例では、電荷ポンプセル300、より具体的には電荷転送スイッチ302の電源オン中に、シールド電圧VSHが電荷転送トランジスタM1のバルク接点312(例えば、電荷転送トランジスタM1が設けられたCMOS構造のPウェルに直接結合された導電性材料)に印加されて、図4に関連して以下に記載されるように、例えば、限定するものではないが、電源オン中に上記で考察したように、Pウェル404への漏れ電流の生成を阻止する。
【0037】
1つ以上の実施例では、トランジスタM2及びM3は、図4に関連して以下で更に記載するように、(以下で考察するように)最低電圧レベルを示す電圧を選択し、選択された電圧をシールド電圧VSHとして電荷転送トランジスタM1のバルク接点312に印加して、電荷転送トランジスタM1のPウェル404を電荷ポンプセル300内の最低電圧レベルにし、したがって、Pウェル404における電圧レベルがディープNウェル402における電圧レベルよりも高くならないことを保証するように構成された回路320として配置されている。そのような電圧セレクタは、電荷ポンプセル300の入力ノード306に結合されて入力電圧VINを受け取る電荷転送トランジスタM1のソースS1における電圧(本明細書では、より一般に、電荷転送トランジスタM1及び電荷転送スイッチ302の「第2の端子」とも称する)における電圧と、内部ノード310に電気的に結合されて、約0~約(S+1)*VINの範囲内の電圧レベルであって、Sは所与のノードへの電荷ポンプセルの段階の数である、電圧レベルを示すブースト電圧VBOOSTを受け取るトランジスタ電荷転送のM1ドレインD1における電圧(本明細書では、より一般に、電荷転送トランジスタM1及び電荷転送スイッチ302の「第1の端子」とも称される)における電圧との間で選択する。
【0038】
概して、電荷ポンプセル300及び電荷転送スイッチ302の電源オン中に、より具体的には、シールド電圧VSHは、(図4に示すように)電荷転送トランジスタM1のディープNウェル402に更に印加される。そのため、電荷転送トランジスタM1が設けられているCMOS構造のPウェル404及びディープNウェル402において示される電圧レベルは、実質的に同じである。寄生PNP BJTのエミッタ及びベースにおいて等しい電圧レベルを示すことによって、PNP BJTによる導通を阻止するため、P基板406に電流は注入されない。更に、寄生ダイオードのアノード及びカソードにおいて等しい電圧レベルを示すことにより、寄生ダイオードによる導通を阻止するため、Pウェルに電流は注入されない。
【0039】
図4は、1つ以上の実施例による、電荷転送スイッチ400を示す概略図である。電荷転送スイッチ400は、図3の電荷転送スイッチ302又は304の非限定的な実施例である。
【0040】
CMOS構造414は、単一のPウェル(Pウェル404)と、単一のPウェル404を実質的に封入する単一のディープNウェル(ディープNウェル402)と、を含む。トランジスタM1、M2、及びM3は、CMOS構造414内に、より具体的には、単一のPウェル404と、単一のPウェル404を実質的に封入し、共通のP基板406によって支持される単一のディープNウェル402との中に設けられている。ディープNウェル402は、これにより、Pウェル404と、P基板406との間に配置されている。
【0041】
トランジスタM2のゲートは電荷転送トランジスタM1のソースS1に電気的に結合され、トランジスタM3のゲートは電荷転送トランジスタM1のドレインD1に電気的に結合され、トランジスタM2のドレインD2は電荷転送トランジスタM1のバルク接点408に電気的に結合され、トランジスタM3のドレインD3は電荷転送トランジスタM1のバルク接点416に電気的に結合されている。バルク接点416は、Pウェル404及びディープNウェル402に電気的に結合されている。ソースS1において示される電圧レベルがドレインD1において示される電圧レベルよりも大きい(例えば、S1とD1との間の電圧差が閾値を超えるまで増大する)とき、トランジスタM2はオンになり(トランジスタM3がオフであり)、バルク接点408における電圧を、電荷転送トランジスタM1のドレインD1でもあるトランジスタM2のソースS2(集合的に電荷転送スイッチ400の第1の端子412)で示される電圧レベルにする。ドレインD1で示される電圧レベルがソースS1で示される電圧レベルよりも大きい(例えば、S1とD1との間の電圧差が閾値未満に減少する)とき、トランジスタM2はオフになり、トランジスタM3はオンになり、トランジスタM3は、バルク接点408における電圧を、電荷転送トランジスタM1のソースS1でもあり、集合的に電荷転送スイッチ400の第2の端子410でもあるトランジスタM2のソースS3において示される電圧レベルにする。
【0042】
図3に示す特定の非限定的な実施例では、電荷ポンプセル300のPMOS電荷転送スイッチ316及び318は、ラッチアップ耐性を増大させるための回路を含まない。図5及び図6に関して考察するように、1つ以上の実施例では、電荷ポンプセルは、ラッチアップ耐性を増大させるように構成されたPMOS電荷転送スイッチを含み得る。
【0043】
図5は、1つ以上の実施例による、改善されたラッチアップ耐性を示し得る電荷ポンプセル500を示す図である。電荷ポンプセル500は、電荷ポンプセル500の入力ノード510に電気的に結合されたNMOS型の交差結合電荷転送スイッチ506及び508(限定するものではないが、図3の電荷転送スイッチ302及び304など)を含み、電荷ポンプセル500の出力ノード512に電気的に結合されたPMOS型の交差結合電荷転送スイッチ502及び504を含む。電荷転送スイッチ502及び504は、本明細書ではそれぞれ「第1の電荷転送スイッチ502」及び「第2の電荷転送スイッチ504」と称され得る。
【0044】
ポンピング信号CLKP及びCLKNは、同じ周波数であるが互いに対して180°位相シフトされた2つの発振信号を提供するように構成されたデジタル回路によって提供され得る。開示する電荷転送スイッチ、電荷ポンプセル、及び電荷ポンプの動作周波数(又は周波数の範囲)は、ポンピング信号が(例えば、限定するものではないが、電荷ポンプセル300又は電荷ポンプセル500において)印加されるポンプコンデンサの静電容量に少なくとも部分的に基づき得る。概して、ポンピング信号がポンプコンデンサを十分に充電するための周波数の大きさは、ポンプコンデンサの静電容量の大きさと逆の関係を有する。非限定的な実施例として、小静電容量(例えば、限定するものではないが、オンチップに適合するコンデンサ、典型的には、電荷ポンプに対して約1pF~約100pF)ポンプコンデンサの場合、電荷転送スイッチ502、504、506及び508(並びに電荷転送スイッチ302及び304)は、少なくとも40MHzまで動作し得、電荷ポンプセル500(並びに電荷ポンプセル300)は、少なくとも40MHzまでのポンピング信号CLKP及びCLKNの周波数をサポートする。更に、ポンピング信号の周波数が高いほど、出力電圧VOUTによって示される電圧リップルが低くなり、これは、いくつかの用途では望ましい場合がある。そのため、1つ以上の実施例では、開示する電荷転送スイッチ、電荷ポンプセル、及び電荷ポンプの動作周波数(又は周波数の範囲)は、出力電圧VOUTによって示される電圧リップルの所望の大きさ(又は大きさの範囲)に(ポンプコンデンサの静電容量に追加的に又は代替的に)少なくとも部分的に基づき得る。大静電容量(例えば、オンチップに合理的に適合しない静電容量、典型的には約100pFよりも大きい)ポンプコンデンサの場合、ポンプコンデンサは、典型的にはオフチップである。大静電容量ポンプコンデンサの使用は、小静電容量ポンプコンデンサと比較して、電荷転送スイッチが動作し得る周波数及びサポートされるポンピング信号の周波数を低減する。
【0045】
電荷転送スイッチ502及び504はそれぞれ、単一のPMOS電荷転送スイッチとして(すなわち、図5に示すように、それらのそれぞれの端子の電気的結合を介して)配置された3つのPMOSトランジスタを含む。電荷転送スイッチ502及び504の両方は、PMOS電荷転送トランジスタM4(本明細書では「電荷転送トランジスタM4」、より一般的には「第1のトランジスタ」と称される)を含み、PMOS電荷転送トランジスタM4は、2つのPMOSトランジスタM5及びM6(本明細書では「トランジスタM5」及び「トランジスタM6」、より一般的には「第2のトランジスタ」及び「第3のトランジスタ」と称される)の配置を含む回路518によって支援される。記載を簡単にするために、トランジスタM4、M5、及びM6は、電荷転送スイッチ502に関してのみ描かれている。
【0046】
概して、電荷転送スイッチ502の動作中、シールド電圧VSHが電荷転送トランジスタM4のバルク接点516(例えば、図6に示すように、電荷転送トランジスタM4が設けられたCMOS構造606のNウェル602に電気的に結合された導電性材料を含む導電性構造)に印加されて、(例えば、限定するものではないが、上記で考察したように、電源オン中に導通PNダイオード又はBJTからNウェル602又はP基板604への)漏れ電流の生成を阻止する。
【0047】
図6は、1つ以上の実施例による電荷転送スイッチ600を示す概略図であり、これは、図5の電荷転送スイッチ502又は504の非限定的な実施例である。
【0048】
より具体的には、図5に戻ると、回路518は、概して、第2の端子(例えば、約0V~約(S+1)*VINの範囲の電圧レベルを示す電荷ポンプセル500の内部ノード514に電気的に結合された電荷転送トランジスタM4のドレインD4)における電圧によって示される電圧レベル、及び第1の端子(例えば、約0V~約(S+1)*VINにランプする出力ノード512に電気的に結合された電荷転送トランジスタM4のソースS4)における電圧によって示される電圧レベルのうちの高い方を示すシールド電圧を印加して、CMOS構造606のバルク接点608及びNウェル602を電荷ポンプセル(例えば、電荷ポンプセル500)おいて最高電圧レベルで示すように構成されている。
【0049】
トランジスタM5は、回路518において、PMOS電荷転送トランジスタM4のソースS4(トランジスタM5のゲートに電気的に結合された「第1の端子610」)における電圧によって示される電圧レベルを示すPMOS電荷転送トランジスタM4のドレインD4(トランジスタM5のソースS5でもある「第2の端子612」)における電圧に少なくとも部分的に応答してオンになり、PMOS電荷転送トランジスタM4のソースS4における電圧によって示される電圧レベルよりも低い電圧レベルを示すPMOS電荷転送トランジスタM4のドレインD4における電圧に少なくとも部分的に応答してオフになるように配置されている。トランジスタM6は、回路518において、PMOS電荷転送トランジスタM4のドレインD4(トランジスタM6のゲートに電気的に結合された「第2の端子612」)における電圧によって示される電圧レベルよりも高い電圧レベルを示すPMOS電荷転送トランジスタM4のソースS4(トランジスタM6のソースS6でもある「第1の端子610」)における電圧に少なくとも部分的に応答してオンになり、PMOS電荷転送トランジスタM4のドレインD4によって示される電圧レベルよりも低い電圧レベルを示すPMOS電荷転送トランジスタM4のソースS4における電圧に少なくとも部分的に応答してオフになるように配置されている。
【0050】
電荷転送スイッチ600そしてより具体的には回路518、の配置は、ソースS4及びドレインD4における電圧の間の最高電圧レベルを示す電圧を、3つのPMOSトランジスタM4、M5、及びM6の全てが設けられているCMOS構造606のバルク接点608及びNウェル602に連続的に印加する。PNダイオード(上記で考察したように、Nウェル602はカソードであり、P-S4接合又はP-D4接合のいずれかがアノードである)が導通する機会はない(すなわち、あったとしても取るに足らない)。そのため、Nウェル602に流れる漏れ電流(すなわち、あったとしても取るに足らない量)は生成されず、したがって、電荷ポンプセル500の電荷転送スイッチ502及び504のPMOS電荷転送トランジスタにおけるラッチアップリスクが低減される。
【0051】
図7Aは、1つ以上の実施例による、より一般的に、電荷ポンプセル又は電荷ポンプの電源オン中に電荷転送スイッチの第1のトランジスタ(例えば、限定するものではないが、NMOS又はPMOS電荷転送トランジスタ)を動作させるためのプロセス700aを示すフロー図である。図7Aの動作は、非限定的な実施例として、図3の回路320又は図5の508によって実行され得る。
【0052】
動作702において、プロセス700aは、電荷ポンプセルの入力ノードに入力電圧を提供する。電荷ポンプセルは、CMOS構造に設けられた第1のトランジスタ(例えば、限定するものではないが、NMOS又はPMOS電荷転送トランジスタ)を含み得る。
【0053】
動作704において、プロセス700aは、第1のトランジスタの第1の端子(例えば、限定するものではないが、NMOS電荷転送トランジスタのドレイン又はPMOS電荷転送トランジスタのソース)における電圧と、第1のトランジスタの第2の端子(例えば、限定するものではないが、NMOS電荷転送トランジスタのソース又はPMOS電荷転送トランジスタのドレイン)における電圧との間の関係に応答して、第1のトランジスタのバルク接点にシールド電圧を印加する。第1のトランジスタがNMOS電荷転送トランジスタである場合、バルク接点は、NMOSトランジスタのPウェルに電気的に結合されている。第1のトランジスタがPMOS電荷転送トランジスタである場合、バルク接点は、PMOSトランジスタのNウェルに電気的に結合されている。
【0054】
図7Bは、1つ以上の実施例による、電荷ポンプセルの電荷転送スイッチのトランジスタのバルク接点に電圧を印加するためのプロセス700bを示すフロー図である。図7Aの動作は、非限定的な実施例として、図3の回路320又は図5の508によって実行され得る。
【0055】
動作706において、プロセス700bは、第1のトランジスタの第1の端子(例えば、限定するものではないが、NMOS電荷転送トランジスタのドレイン又はPMOS電荷転送トランジスタのソース)における電圧と、第1のトランジスタの第2の端子(例えば、限定するものではないが、NMOS電荷転送トランジスタのソース又はPMOS電荷転送トランジスタのドレイン)における電圧との間の第1の関係に応答して、第1の電圧レベルを示す第1のトランジスタ(例えば、限定するものではないが、NMOS又はPMOS電荷転送トランジスタ)のバルク接点にシールド電圧を印加する。
【0056】
動作708において、プロセス700bは、第1のトランジスタの第1の端子(例えば、限定するものではないが、NMOS電荷転送トランジスタのドレイン又はPMOS電荷転送トランジスタのソース)における電圧と、電荷転送トランジスタの第2の端子(例えば、限定するものではないが、NMOS電荷転送トランジスタのソース又はPMOS電荷転送トランジスタのドレイン)における電圧との間の第2の関係に応答して、第2の電圧レベルを示す第1のトランジスタ(例えば、限定するものではないが、NMOS又はPMOS電荷転送トランジスタ)のバルク接点にシールド電圧を印加する。1つ以上の実施例では、第2の関係は第1の関係とは異なり、第1の関係とは反対であってもよい。
【0057】
1つ以上の実施例では、NMOS電荷転送トランジスタの実施例では、第1の端子は任意選択的に、電荷ポンプセルの内部ノード若しくは出力ノード(例えば、限定するものではないが、ブーストノード)又は電荷ポンプの出力ノードに電気的に結合され得、第2の端子は、任意選択的に、電荷ポンプセル又は電荷ポンプの入力ノードに電気的に結合され得る。1つ以上の実施例では、PMOS電荷転送トランジスタの実施例では、第1の端子は、任意選択的に、電荷ポンプセル又は電荷ポンプの出力ノードに電気的に結合され得、第2の端子は、任意選択的に、電荷ポンプセルの内部ノード(例えば、限定するものではないが、ブーストノード)に電気的に結合され得る。
【0058】
図7C及び図7Dは、1つ以上の実施例による、それぞれNMOS又はPMOS電荷転送トランジスタの場合のプロセス700bの第1の関係及び第2の関係を観察するためのプロセス700c及び700dを示すフロー図である。図7Cの動作は、非限定的な実施例として、図3の回路320によって実行され得、図7Dの動作は、非限定的な実施例として、図5の回路508によって実行され得る。
【0059】
プロセス700bの第1のトランジスタがNMOS電荷転送トランジスタ(例えば、限定するものではないが、図3又は図4の電荷転送トランジスタM1)である1つ以上の実施例では、プロセス700cは、1つ以上の実施例による、第1の端子における電圧によって示される電圧レベル及び第2の端子における電圧によって示される電圧レベルのうちの低い方を示すシールド電圧を印加するためのプロセスである。
【0060】
動作710において、プロセス700cは、NMOS電荷転送トランジスタの第1の端子(任意選択的に、電荷ポンプセルの内部ノード(例えば、限定するものではないが、ブーストノード)に電気的に結合された)における電圧によって示される電圧レベルが、NMOS電荷転送トランジスタの第2の端子(任意選択的に、電荷ポンプセルの入力ノードに電気的に結合された)における電圧によって示される電圧レベルよりも低いことに応答して、第1の関係を観察する。電荷ポンプセルの少なくとも初期電源オン持続時間(すなわち、上記で考察したランプアップ期間)中、電圧の低い方は内部ノードにおける電圧であり、高い方の電圧は入力ノードにおける電圧であり、プロセス700cは、内部ノードにおける電圧レベルをNMOS電荷転送トランジスタのバルク接点に印加する。
【0061】
動作712において、プロセス700cは、NMOS電荷転送トランジスの第2の端子タ(任意選択的に、電荷ポンプの入力ノードに電気的に結合された)における電圧によって示される電圧レベルが、NMOS電荷転送トランジスタの第1の端子(任意選択的に、電荷ポンプセルの内部ノード(例えば、限定するものではないが、ブーストノード)に電気的に結合された)における電圧によって示される電圧レベルよりも低いことに応答して、第2の関係を観察する。ランプアップ期間の後、そのような内部ノードにおける電圧レベルは、ポンピング信号の印加に応答して増大し(すなわち、ランプアップし)、入力ノードにおける電圧レベルが内部ノードにおける電圧レベルよりも低いとき、プロセス700cは、入力ノードにおける電圧レベルをNMOS電荷転送トランジスタのバルク接点に印加する。
【0062】
プロセス700bの第1のトランジスタがPMOS電荷転送トランジスタ(例えば、限定するものではないが、図5又は図6の電荷転送トランジスタM4)である1つ以上の実施例では、プロセス700dは、1つ以上の実施例による、第1の端子における電圧によって示される電圧レベル及び第2の端子における電圧によって示される電圧レベルのうちの高い方を示すシールド電圧を印加するためのプロセスである。
【0063】
動作714において、プロセス700dは、PMOS電荷転送トランジスタの第2の端子(任意選択的に、電荷ポンプセルの内部ノード(例えば、限定するものではないが、ブーストノード)に電気的に結合された)における電圧によって示される電圧レベルが、PMOS電荷転送トランジスタの第1の端子(任意選択的に、電荷ポンプセルの出力ノードに電気的に結合された)における電圧によって示される電圧レベルよりも高いことに応答して、第1の関係を観察する。電荷ポンプセルの少なくとも初期電源オン持続時間(すなわち、上記で考察したランプアップ期間)中、電圧の高い方が電荷ポンプセルの内部ノードにおける電圧であり、プロセス700bは、内部ノードにおける電圧レベルをPMOS電荷転送トランジスタのバルク接点に印加する。
【0064】
動作716において、プロセス700dは、PMOS電荷転送トランジスタの第1の端子(任意選択的に、電荷ポンプセルの出力ノードに電気的に結合された)における電圧によって示される電圧レベルが、PMOS電荷転送トランジスタの第2の端子(任意選択的に、電荷ポンプセルの内部ノード(例えば、限定するものではないが、ブーストノード)に電気的に結合された)における電圧によって示される電圧レベルよりも高いことに応答して、第2の関係を観察する。出力ノードにおける電圧によって示される電圧レベルが電荷ポンプセルの内部ノードにおける電圧によって示される電圧レベルよりも高いとき、プロセス700bは、出力ノードにおける電圧レベルをPMOS電荷転送トランジスタのバルク接点に印加する。
【0065】
特に、1つ以上の実施例では、プロセス700a~700dの動作は、本明細書で考察するように、電荷ポンプセルの電源オン中に電荷ポンプセルのNMOS及びPMOS電荷転送トランジスタの両方(例えば、それぞれ、図3及び図4のNMOS電荷転送トランジスタM1、並びに図5及び図6のPMOS電荷転送トランジスタM4)において実行され得る。
【0066】
開示する電荷ポンプセル及びそれを含む電荷ポンプのいくつかの使用事例では、電荷ポンプセルの出力ノードの付加(例えば、瞬間負荷電流又は負荷によって引き起こされる負荷電流の変動)は、出力電圧Voutが(S+1)*VINである電圧レベルを確実に示さないようなものであり得る。1つ以上の実施例は、概して、調整された出力電圧を有する電荷ポンプセルに関する。
【0067】
図8は、1つ以上の実施例による、調整された出力電圧を有する電荷ポンプセル回路800を示す図である。電荷ポンプセル回路800は、電荷ポンプセル802(例えば、限定するものではないが、電荷ポンプセル300又は500)及び出力電圧VOUTによって示される電圧レベルを制御するように配置された制御ループ816を含む。図8よって示す特定の非限定的な例では、制御ループ816は、出力ノード812と、電荷ポンプセル802における信号CLKP及びCLKNをポンピングするためのそれぞれの入力との間に配置された負のフィードバックループ814内に配置された、抵抗分圧器808、比較器804、及びゲート806(本明細書では「ANDゲート806」とも称する)を含む(場合によっては、CLKP又はCLKNを位相シフトするための遅延回路も含むが図示しない)。
【0068】
概して、負のフィードバックループ814は、出力電圧Voutを、VREF*(R1+R2)/R2として表される確実に一定の電圧レベルに調整するように構成され、ここで、R1及びR2は、抵抗分圧器808内の抵抗器のそれぞれの抵抗を表す。そのため、入力ノード810における出力電圧Vout及び入力電圧Vinの電圧レベルの関係は、基準電圧VREFの所定の電圧レベル及び所定のそれぞれの抵抗R1及びR2に少なくとも部分的に基づいており、出力ノード812の負荷電流によって影響されない。抵抗R1及びR2が同じであるように設定される非限定的な実施例として、1/2VOUT(N-1)(ここで、VOUT(N-1)は、制御ループ816に提供される電圧出力VOUTの状態を示すために使用される)がVREFを下回ることに応答して、比較器804は、論理「1」を出力するように構成されている。ANDゲート806は、ブールAND演算子として構成されている。ANDゲート806が比較器804から論理「1」を受信すると、その出力における波形は、発振信号CLKの波形、電荷ポンプセル802におけるポンピング信号CLKN及びCLKPのソース、非限定的な実施例として、デジタル回路のクロックソースによって生成された方形波を実質的に追跡する。1つ以上の例では、発振信号CLKは、上記で考察したように、ポンピング信号CLKN及びCLKPの所望の周波数に少なくとも部分的に基づく周波数を示し得る。非限定的な実施例として、発振信号CLKは、CLKN及びCLKPの周波数と実質的に同じ周波数、又はCLKN及びCLKPの周波数の倍数である周波数を示し得る。
【0069】
1/2VOUT(N-1)はVREFを下回っている間、ポンピング信号CLKP及びCLKNのソースは事実上オンであり、ポンピング信号は電荷ポンプセル802に供給される。1つ以上の実施例では、ポンピング信号CLKP及びCLKNの波形は、周波数に関してCLKの波形を追跡し、CLKP及びCLKNのうちの一方の波形は、CLKと実質的に同じ位相であり得、CLKP及びCLKNの他方の波形は、CLKの波形に対して実質的に180°位相シフトされる。CLKP/CLKNとCLKとの間の位相及び周波数関係は、本開示の範囲を超えることなく、本明細書において考察される実施例によって異なり得る。例えば、いくつかの実装形態では、CLKN及びCLKPのそれぞれの波形は、CLKの周波数から(例えば、限定するものではないが、分周器を介して)導出される周波数を示し得、又はCLKN若しくはCLKPの波形の一方は、CLKの位相から位相シフトされ得、CLKN及びCLKPの波形の他方は、そこから実質的に180°位相シフトであり得る。
【0070】
1/2VOUT(N-1)がVREFを超えることに応答して、比較器804は、論理「0」を出力するように構成されている。ANDゲート806が比較器805から論理「0」を受信すると、その出力の波形は、発振しないロジック「0」になる。1/2VOUT(N-1)はVREF以上である間、ポンピング信号CLKP及びCLKNは事実上オフにされ、ソースは電荷ポンプセル802に供給されない。ポンピング信号がオフになると、電荷ポンプセル802は、出力ノード812に電荷を供給するためにVINをブーストせず、出力電圧VOUTの電圧レベルは、VOUTが負荷電流によって引き下げられるにつれて減少する(負荷電流は図示せず)。1/2VOUT(N-1)がVREF未満に低下すると、比較器804は、ポンピング信号CLKN及びCLKPを事実上オンにする出力「1」を生成し、電荷ポンプセル802は、出力ノード812に電荷を供給し、したがって、出力電圧VOUTの電圧レベルが増大する。オン/オフによる周期的な動作により、平均1/2VOUT(N-1)が実質的にVREFに等しく、出力電圧VOUTが出力電圧の所望の電圧レベルに調整される平衡が達成される。
【0071】
当業者は、多くのトポロジが、開示する電荷ポンプセル及び調整された出力を有する電荷ポンプのために利用可能であることを理解するであろう。図9及び図10は、1つ以上の実施例による、電荷ポンプ及び電荷ポンプセルの電圧出力を調整するための例示的なトポロジを示す概略図である。
【0072】
図9に示す例示的なトポロジでは、電荷ポンプ900の1~N個の電荷ポンプセル902、904及び906(例えば、限定するものではないが、電荷ポンプセル300又は500の各々)は、電圧出力VOUTを調整するために、電荷ポンプ900の電圧出力VOUTを調整するために、負のフィードバックループ908(例えば、限定するものではないが、負のフィードバックループ814)によって制御される。図9は、1~N個の電荷ポンプセル902、904、及び906の各々において実行される制御操作を示しているが、1つ以上の実施例では、負のフィードバックループ908は、1~総数N個までの電荷ポンプセル902、904、及び906の任意の数(例えば、限定するものではないが、電荷ポンプセルのうちの少なくとも1つ)において制御操作を実行するように構成又は配置され得る。
【0073】
図10に示す例示的なトポロジでは、電荷ポンプ1000の1~N個の電荷ポンプセル1002、1004、及び1006は、1~N電荷ポンプセル1002、1004、及び1006のそれぞれの電圧出力を調整するために、それぞれ1~N個の負のフィードバックループ1008、1010、及び1012によって個々に制御される。特に、図10に示すトポロジでは、複数の調整された出力電圧が、実質的に同時に、それぞれの1~N個の電荷ポンプセル1002、1004、及び1006の電圧出力において取得され得る。
【0074】
図11は、回路1100のブロック図であり、いくつかの実施例では、回路1100は、本明細書において開示する様々な機能、動作、行為、プロセス、及び/又は方法を実装するために使用され得る。回路1100は、1つ以上のデータ記憶デバイス(本明細書では「記憶装置1104」と称されることがある)に動作可能に結合された1つ以上のプロセッサ(本明細書では「プロセッサ1102」と称されることもある)を含む。記憶装置1104は、それに記憶された機械実行可能コード1106を含み、プロセッサ1102は、論理回路1108を含む。機械実行可能コード1106は、論理回路1108によって実装され(例えば、実行され)得る機能要素を記述する情報を含む。論理回路1108は、機械実行可能コード1106によって記述される機能要素を実装(する例えば、実行する)ように適合されている。回路1100は、機械実行可能コード1106によって記述された機能要素を実行するとき、本明細書において開示する機能要素を実行するように構成された専用ハードウェアとしてみなされるべきである。いくつかの実施例では、プロセッサ1102は、機械実行可能コード1106によって記述された機能要素を、順次に、同時に(例えば、1つ以上の異なるハードウェアプラットフォームで)、又は1つ以上の並列処理ストリームにおいて実行するように構成され得る。
【0075】
プロセッサ1102の論理回路1108によって実装されるとき、機械実行可能コード1106は、本明細書において開示する実施例の動作を実行するようにプロセッサ1102を適合させるように構成されている。例えば、機械実行可能コード1106は、図3図10に示すブロック及びプロセスの少なくとも一部分又は全体を実行するようにプロセッサ1102を適合させるように構成され得る。別の実施例として、機械実行可能コード1106は、開示する電荷転送スイッチ、電荷ポンプセル、又は電荷ポンプについて考察された動作の少なくとも一部分又は全体を実行するようにプロセッサ1102を適合させるように構成され得る。
【0076】
特定の非限定的な実施例として、機械実行可能コード1106は、限定するものではないがプロセス700a~700dを含む、開示する電荷転送スイッチ、電荷ポンプセル、又は電荷ポンプを動作させるためのプロセスを実行するようにプロセッサ1102を適合させるように構成され得る。
【0077】
プロセッサ1102は、汎用プロセッサ、専用プロセッサ、中央処理装置(central processing unit、CPU)、マイクロコントローラ、プログラマブル論理コントローラ(programmable logic controller、PLC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)若しくは他のプログラマブル論理デバイス、個別ゲート若しくはトランジスタ論理、個別ハードウェア構成要素、他のプログラマブルデバイス、又は本明細書において開示する機能を実行するように設計されたそれらの任意の組み合わせを含み得る。プロセッサを含む汎用コンピュータは、専用コンピュータとみなされるが、同時に、汎用コンピュータは、本開示の実施例に関連する機械実行可能コード1106(例えば、ソフトウェアコード、ファームウェアコード、ハードウェア記述)に対応する機能要素を実行するように構成されている。汎用プロセッサ(本明細書では、ホストプロセッサ又は単にホストとも称されることもある)は、マイクロプロセッサであってもよいが、代替的に、プロセッサ1102は、任意の従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、又はステートマシンを含んでもよいことに留意されたい。プロセッサ1102はまた、DSPとマイクロプロセッサとの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと組み合わせた1つ以上のマイクロプロセッサ、又は任意の他のそのような構成の組み合わせなど、コンピューティングデバイスの組み合わせとして実装され得る。
【0078】
いくつかの実施例では、記憶装置1104は、揮発性データ記憶装置(例えば、限定するものではないが、ランダムアクセスメモリ(random-access memory、RAM))、不揮発性データ記憶装置(例えば、限定するものではないが、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(erasable programmable read-only memory、EPROM))を含む。様々な実施例では、プロセッサ1102及び記憶装置1104は、単一のデバイス(例えば、限定するものではないが、半導体デバイス製品、システムオンチップ(system-on-chip、SOC)、又はシステムベースチップ)に実装され得る。様々な実施例では、プロセッサ1102及び記憶装置1104は、別個のデバイスに実装され得る。
【0079】
様々な実施例では、機械実行可能コード1106は、コンピュータ可読命令(例えば、ソフトウェアコード、ファームウェアコード)を含み得る。非限定的な実施例として、コンピュータ可読命令は、記憶装置1104によって記憶され、プロセッサ1102によって直接アクセスされ、少なくとも論理回路1108を使用してプロセッサ1102によって実行され得る。また、非限定的な実施例として、コンピュータ可読命令は、記憶装置1104に記憶され、実行のためにメモリデバイス(図示せず)に転送され、少なくとも論理回路1108を使用してプロセッサ1102によって実行され得る。そのため、様々な実施例では、論理回路1108は、電気的に構成可能な論理回路1108を含む。
【0080】
様々な実施形態では、機械実行可能コード1106は、機能要素を実行するために、論理回路1108内に実装されるハードウェア(例えば、回路)を記述し得る。このハードウェアは、ローレベルトランジスタレイアウトからハイレベル記述言語までの様々な抽象化レベルのいずれかで記述され得る。高レベルの抽象化では、IEEE Standardハードウェア記述言語(hardware description language、HDL)などのハードウェア記述言語(HDL)が使用されてもよい。非限定的な実施例として、Verilog(商標)、SystemVerilog(商標)又は超大規模集積(very large scale integration、VLSI)ハードウェア記述言語(hardware description language、VHDL(商標))が使用されてもよい。
【0081】
HDL記述は、所望に応じて、多数の他の抽象化レベルのうちのいずれかにおける記述に変換され得る。非限定的な実施例として、高レベル記述を、レジスタ転送言語(RTL)、ゲートレベル(GL)記述、レイアウトレベル記述、又はマスクレベル記述などの論理レベル記述に変換することができる。非限定的な実施例として、論理回路1108のハードウェア論理回路(例えば、限定するものではないが、ゲート、フリップフロップ、レジスタ)によって実行されるマイクロ動作は、RTLで記述され、次いで合成ツールによってGL記述に変換され得、GL記述は、配置及びルーティングツールによって、レイアウトレベル記述に変換され得、このレイアウトレベル記述は、プログラマブル論理デバイス、個別ゲート若しくはトランジスタ論理、個別ハードウェア構成要素、又はそれらの組み合わせの集積回路の物理的レイアウトに対応する。そのため、様々な実施形態では、機械実行可能コード1106は、HDL、RTL、GL記述、マスクレベル記述、他のハードウェア記述、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0082】
機械実行可能コード1106が(任意の抽象化レベルにおける)ハードウェア記述を含む実施例では、記憶装置1104を含むシステム(図示せず)は、機械実行可能コード1106によって記述されたハードウェア記述を実装するように構成され得る。非限定的な実施例として、プロセッサ1102は、プログラマブル論理デバイス(例えば、FPGA又はPLC)を含み得、論理回路1108は、ハードウェア記述に対応する回路を論理回路1108に実装するように電気的に制御され得る。また、非限定的な実施例として、論理回路1108は、機械実行可能コード1106のハードウェア記述に従って製造システム(図示しないが、記憶装置1104を含む)によって製造されたハードワイヤード論理を含み得る。
【0083】
機械実行可能コード1106がコンピュータ可読命令又はハードウェア記述を含むかどうかにかかわらず、論理回路1108は、機械実行可能コード1106の機能要素を実装するときに、機械実行可能コード1106によって記述された機能要素を実行するように適合される。ハードウェア記述は機能要素を直接記述しなくともよいが、ハードウェア記述は、ハードウェア記述によって記述されたハードウェア要素が実行することができる機能要素を間接的に記述することに留意されたい。
【0084】
当業者であれば、本明細書において開示する電荷ポンプセルの様々な実施例から多くの利点及び利点を理解するであろう。非限定的な実施例として、
(1)寄生PNP BJTは、エミッタ(Pウェル)及びベース(ディープNウェル)が同じ電圧レベルを示すように結合されているため、NMOS型の開示する電荷転送スイッチにおいて決して導通しない(すなわち、あったとしても取るに足らない)。ディープNウェルは、電荷ポンプセルの最低電圧レベルを示すように強制されるが、そのエミッタ及びベースにおける電圧レベルが同じであるとき、寄生PNP BJTが導通する機会はない。そのため、開示する電荷転送スイッチのP基板には、寄生PNP BJTから漏れ電流は注入されない。
(2)Pウェルは、電圧セレクタ(M2、M3の配置)によって最低電圧レベルに設定される。Pウェルでは、Pウェルがアノードであるダイオードは、そのアノードにおける電圧が常にそのカソード(ドレインD1のN領域)における電圧よりも常に低いために、導通することができない。そのため、Pウェルを通って流れる漏れ電流はない(すなわち、あったとしても取るに足らない)。
【0085】
本記載において、「典型的な」、「従来の」、又は「既知の」とされるものなどの、特徴評価は、先行技術で開示されていること、又は考察された態様が先行技術で認識されていることを必ずしも意味しない。関連分野において、広く知られているか、十分理解されているか、又は日常的に使用されていることも必ずしも意味しない。これは、本開示の発明者らによって知られているか、又は理解されることを意味するに過ぎない。
【0086】
本開示で使用される場合、複数の要素に関連する用語「組み合わせ」は、全ての要素の組み合わせ、又は要素の一部の様々な異なる部分的組み合わせのいずれかを含み得る。例えば、「A、B、C、D、又はそれらの組み合わせ」という句は、A、B、C、又はD;A、B、C、及びDのそれぞれの組み合わせ;並びにA、B、C、及びDの任意の組み合わせ、例えば、A、B、及びC;A、B、及びD;A、C、及びD;B、C、及びD;A及びB;A及びC;A及びD;B及びC;B及びD;又はC及びDのうちのいずれか1つを指し得る。
【0087】
本開示で使用される用語、及び特に添付の特許請求の範囲(例えば、限定するものではないが、添付の特許請求の範囲の本文)において使用される用語は、概して、「オープン」用語として意図される(例えば、「含んでいる(including)」という用語は、「含んでいるが、これに限定されない」と解釈されるべきであり、「有している(having)」という用語は、「少なくとも有している」と解釈されるべきであり、「含む(includes)」という用語は、限定するものではないが、「含むが、これに限定されない」と解釈されるべきである)。本明細書で使用される場合、「各々」という用語は、一部又は全体を意味する。本明細書で使用される場合、「各々及び全て」という用語は、全体を意味する。
【0088】
加えて、特定の数の導入された特許請求項列挙が意図される場合、そのような意図は特許請求項に明示的に列挙されることになり、そのような列挙がない場合には、そのような意図は存在しない。例えば、理解を助けるものとして、以下の添付の請求項は、請求項の列挙を導入するための導入句「少なくとも1つ」及び「1つ以上」の使用を含むことがある。しかしながら、そのような句の使用は、同じ特許請求の範囲が「1つ以上の」又は「少なくとも1つの」という導入句、及び「1つの(a)」又は「1つ(an)」などの不定冠詞を含む場合であっても、「1つの(a)」又は「1つの(an)」という不定冠詞による特許請求の範囲の記載の導入が、そのような導入された特許請求の範囲の記載を含む任意の特定の特許請求の範囲を、1つのみのそのような記載を含む実施例に限定するものと解釈されるべきではない(例えば、限定するものではないが、「1つの(a)」及び/又は「1つの(an)」は、限定するものではないが、「少なくとも1つ」又は「1つ以上」を意味すると解釈されるべきである)。特許請求項列挙を導入するために使用される明確な冠詞の使用についても同じことが当てはまる。本明細書で使用される場合、「各々(each)」という用語は、いくつか又は全体を意味し、「各々及び全て(each and every)」という用語は、全体を意味する。
【0089】
加えて、導入された特許請求の範囲に記載の特定の数が明示的に記載されている場合であっても、当業者は、かかる記載が少なくとも記載された数を意味すると解釈されるべきであることを、認識するであろう(例えば、他の修飾語なしでの「2つの記載」の明白な記載は、限定するものではないが、少なくとも2つの記載又は2つ以上の記載を意味する)。更に、「限定するものではないが、A、B、及びCのうちの少なくとも1つ」又は「限定するものではないが、A、B、及びCのうちの1つ以上」に類似した慣例が使用される場合、概して、そのような構造は、限定するものではないが、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A及びBを一緒に、A及びCを一緒に、B及びCを一緒に、又はA、B、及びCを一緒に含むことを意図する。
【0090】
更に、2つ以上の代替用語を提示する任意の離接語又は語句は、明細書、特許請求の範囲、又は図面にかかわらず、用語のうちの1つ、用語のいずれか又は両方の用語を含む可能性を企図するものと理解されるべきである。例えば、語句「A又はB」は、「A」又は「B」又は「A及びB」の可能性を含むと理解されるべきである。
【0091】
本開示の非限定的な実施例の様々な実施例は、以下を含む。
【0092】
実施例1:CMOS構造と、CMOS構造に設けられた第1のトランジスタと、第1のトランジスタの第1の端子における電圧と、第1のトランジスタの第2の端子における電圧との間の関係に少なくとも部分的に応答して、第1のトランジスタのバルク接点にシールド電圧を印加するように配置された回路と、を備える、デバイス。
【0093】
実施例2:回路は、第1の端子における電圧によって示される電圧レベル及び第2の端子における電圧によって示される電圧レベルのうちの低い方を示すシールド電圧を印加するように構成されている、実施例1に記載のデバイス。
【0094】
実施例3:回路は、CMOS構造に設けられた第2のトランジスタと、CMOS構造に設けられた第3のトランジスタと、を備える、実施例1又は2に記載のデバイス。
【0095】
実施例4:第2のトランジスタは、第1の端子における電圧によって示される電圧レベルよりも高い電圧レベルを示す第2の端子における電圧に少なくとも部分的に応答してオンになり、第2の端子における電圧によって示される電圧レベルよりも高い電圧レベルを示す第1の端子における電圧に少なくとも部分的に応答してオフになるように配置されている、実施例1~3のいずれか一例に記載のデバイス。
【0096】
実施例5:第3のトランジスタは、第2の端子における電圧によって示される電圧レベルよりも高い電圧レベルを示す第1の端子における電圧に少なくとも部分的に応答してオンになり、第2の端子における電圧によって示される電圧レベルよりも高い電圧レベルを示す第2の端子における電圧に少なくとも部分的に応答してオフになるように配置されている、実施例1~4のいずれか一例に記載のデバイス。
【0097】
実施例6:第1のトランジスタの第1の端子及び第2の端子は、それぞれ第1のトランジスタのドレイン及びソースである、実施例1~5のいずれか一例に記載のデバイス。
【0098】
実施例7:第2のトランジスタのドレインと第1のトランジスタのバルク接点とは電気的に結合され、第2のトランジスタのゲートと第1のトランジスタのソースとは電気的に結合されている、実施例1~6のいずれか一例に記載のデバイス。
【0099】
実施例8:第3のトランジスタのドレインと第1のトランジスタのバルク接点とは電気的に結合され、第3のトランジスタのゲートと第1のトランジスタのドレインとは電気的に結合されている、実施例1~7のいずれか一例に記載のデバイス。
【0100】
実施例9:第2のトランジスタは、第1の端子における電圧によって示される電圧レベルよりも高い電圧レベルを示す第2の端子における電圧に少なくとも部分的に応答してオンになり、第2の端子における電圧によって示される電圧レベルよりも高い電圧レベルを示す第1の端子における電圧に少なくとも部分的に応答してオフになるように配置されている、実施例1~8のいずれか一例に記載のデバイス。
【0101】
実施例10:第3のトランジスタは、第2の端子における電圧によって示される電圧レベルよりも高い電圧レベルを示す第1の端子における電圧に少なくとも部分的に応答してオンになり、第1の端子における電圧によって示される電圧レベルよりも高い電圧レベルを示す第2の端子における電圧に少なくとも部分的に応答してオフになるように配置されている、実施例1~9のいずれか一例に記載のデバイス。
【0102】
実施例11:CMOS構造はNウェル及びP基板を備え、バルク接点はNウェルに電気的に結合されている、実施例1~10のいずれか一例に記載のデバイス。
【0103】
実施例12:CMOS構造は、Pウェル、ディープNウェル、及びP基板を備え、バルク接点は、Pウェル及びディープNウェルに電気的に結合されている、実施例1~11のいずれか一例に記載のデバイス。
【0104】
実施例13:回路は、第1の端子における電圧によって示される電圧レベル及び第2の端子における電圧によって示される電圧レベルのうちのより高い方を示すシールド電圧を印加するように構成されている、実施例1~12のいずれか一例に記載のデバイス。
【0105】
実施例14:入力電圧を電荷ポンプセルの入力ノードに提供するステップと、電荷転送トランジスタの第1の端子における電圧と、電荷転送トランジスタの第2の端子における電圧との間の関係に少なくとも部分的に応答して、電荷転送トランジスタのバルク接点にシールド電圧を印加するステップと、を含む方法。
【0106】
実施例15:電荷転送トランジスタの第1の端子における電圧と、電荷転送トランジスタの第2の端子における電圧との間の第1の関係に少なくとも部分的に応答して、第1の電圧レベルを示す電荷転送トランジスタのバルク接点にシールド電圧を印加するステップと、電荷ポンプセルの入力ノードに電気的に結合された電荷転送トランジスタの第1の端子における電圧と、電荷ポンプセルの内部ノードに電気的に結合された電荷転送トランジスタの第2の端子における電圧との間の第2の関係に少なくとも応答して、第2の電圧レベルを示す電荷転送トランジスタのバルク接点にシールド電圧を印加するステップと、を含み、電荷転送トランジスタの第1の端子は、電荷ポンプセルの内部ノードに電気的に結合され、電荷転送トランジスタの第2の端子は、電荷ポンプセルの入力ノードに電気的に結合されている、実施例14に記載の方法。
【0107】
実施例16:電荷ポンプセルの第1の端子における電圧によって示される電圧レベルが電荷ポンプセルの第2の端子における電圧によって示される電圧レベルよりも低いことに少なくとも部分的に応答して、第1の関係を観察するステップを含む、実施例14及び15のいずれかに記載の方法。
【0108】
実施例17:電荷ポンプセルの第2の端子における電圧によって示される電圧レベルが電荷ポンプセルの第1の端子における電圧によって示される電圧レベルよりも低いことに少なくとも部分的に応答して、第2の関係を観察するステップを含む、実施例14~16のいずれか一例に記載の方法。
【0109】
実施例18:電荷転送トランジスタの第1の端子における電圧と、電荷転送トランジスタの第2の端子における電圧との間の第1の関係に少なくとも部分的に応答して、第1の電圧レベルを示す電荷転送トランジスタのバルク接点にシールド電圧を印加するステップと、電荷ポンプセルの出力ノードに結合された電荷転送トランジスタの第1の端子における電圧と、電荷ポンプセルの内部ノードに電気的に結合された電荷転送トランジスタの第2の端子における電圧との間の第2の関係に少なくとも部分的に応答して、第2の電圧レベルを示す電荷転送トランジスタのバルク接点にシールド電圧を印加するステップと、を含み、電荷転送トランジスタの第1の端子は、電荷ポンプセルの出力ノードに電気的に結合され、電荷転送トランジスタの第2の端子は、電荷ポンプセルの内部ノードに電気的に結合されている、実施例14~17のいずれか一例に記載の方法。
【0110】
実施例19:電荷ポンプセルの第2の端子における電圧によって示される電圧レベルが電荷ポンプセルの第1の端子における電圧によって示される電圧レベルよりも高いことに少なくとも部分的に応答して、第1の関係を観察するステップを含む、実施例14~18のいずれか一例に記載の方法。
【0111】
実施例20:電荷ポンプセルの第1の端子における電圧によって示される電圧レベルが電荷ポンプセルの第2の端子における電圧によって示される電圧レベルよりも高いことに少なくとも部分的に応答して、第2の関係を観察するステップを含む、実施例14~19のいずれかに記載の方法。
【0112】
実施例21:電荷ポンプと、電荷ポンプの出力電圧を調整するように構成された制御ループと、を備え、電荷ポンプは、少なくとも1つの電荷転送スイッチを含み、電荷転送スイッチは、CMOS構造と、CMOS構造に設けられた第1のトランジスタと、第1のトランジスタの第1の端子における電圧と第1のトランジスタの第2の端子における電圧との間の関係に応答して、第1のトランジスタのバルク接点に電圧を印加するように配置された回路と、を備える、デバイス。
【0113】
実施例22:制御ループは、電荷ポンプが応答して動作するように構成されているポンピング信号を制御することによって、電荷ポンプの出力電圧を調整するように構成された負のフィードバックループを備える、実施例21に記載のデバイス。
【0114】
実施例23:電荷ポンプは、少なくとも1つの電荷ポンプセルを備え、制御ループは、少なくとも1つの電荷ポンプセルが応答して動作するように構成されているポンピング信号を制御することによって、少なくとも1つの電荷ポンプセルの出力電圧を調整するように構成されている、実施例21及び22のいずれか一例に記載のデバイス。
【0115】
実施例24:制御ループは、少なくとも1つの電荷ポンプセルの観察された出力電圧に少なくとも部分的に応答して、ポンピング信号を制御するように構成されている、実施例21~23のいずれか一例に記載のデバイス。
【0116】
実施例25:制御ループは、電荷ポンプの観察された出力電圧に少なくとも部分的に応答して、ポンピング信号を制御するように構成されている、実施例21~24のいずれか一例に記載のデバイス。
【0117】
実施例26:電荷ポンプは、2つ以上の電荷ポンプセルを備え、制御ループは、2つ以上の電荷ポンプセルが応答して動作するように構成されているポンピング信号を制御することによって、2つ以上の電荷ポンプセルのそれぞれの出力電圧を調整するように個々に構成されている2つ以上の負のフィードバックループを備える、実施例21~25のいずれか一例に記載のデバイス。
【0118】
実施例27:制御ループは、2つ以上の電荷ポンプセルのそれぞれの出力電圧の状態に少なくとも部分的に応答して、ポンピング信号を制御するように構成されている、実施例21~26のいずれか一例に記載のデバイス。
【0119】
本明細書に記載の様々な実施例の特徴は、相互に排他的ではなく、本開示の範囲から逸脱することなく、そのような組み合わせ又は置換が本明細書で明示的に記載されていない場合でも、様々な組み合わせ又は置換で存在することができる。実際、本開示の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載されるものの変形形態、修正形態、及び他の実装形態が当業者には思い浮かぶであろう。こうして、本発明は、前述の例示的な記載によってのみ定義されるべきではなく、以下の特許請求の範囲及びその法的等価物によってのみ定義されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
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図10
図11
【国際調査報告】