(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-21
(54)【発明の名称】音響およびプロセス信号解析に基づく電池製造プロセスの改善
(51)【国際特許分類】
H01M 10/04 20060101AFI20230614BHJP
G01N 29/04 20060101ALI20230614BHJP
H01M 4/04 20060101ALI20230614BHJP
【FI】
H01M10/04 Z
G01N29/04
H01M4/04 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022570247
(86)(22)【出願日】2021-05-21
(85)【翻訳文提出日】2023-01-16
(86)【国際出願番号】 US2021033766
(87)【国際公開番号】W WO2021237166
(87)【国際公開日】2021-11-25
(32)【優先日】2020-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519157886
【氏名又は名称】リミナル・インサイト・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】LIMINAL INSIGHTS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ビスワス、シャウロー
(72)【発明者】
【氏名】シー、アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ジュズコウ、マーク
(72)【発明者】
【氏名】ドウ、シャン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン・タッセル、バリー
【テーマコード(参考)】
2G047
5H028
5H050
【Fターム(参考)】
2G047AA05
2G047AC10
2G047BA03
5H028AA05
5H028BB00
5H028BB11
5H028BB17
5H050GA10
5H050GA29
(57)【要約】
電池製造プロセスを制御するためのシステム、方法、およびコンピュータ可読媒体が提供される。たとえば、電池製造プロセスの第1のプロセスステップ中に、音響信号解析を含み得る信号ベースの解析が行われ得る。信号ベースの解析に基づいて、電池製造プロセスの第2のプロセスステップに関する少なくとも1つの調整が決定され得る。少なくとも1つの調整に関連する情報は、第2のプロセスステップに提供され得る。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造プロセスを制御する方法であって、
第1のプロセスステップ中に信号ベースの解析を行うことと、
前記第1のプロセスステップ中に行われた前記信号ベースの解析に基づいて第2のプロセスステップに対する少なくとも1つの調整を決定することであって、前記第1のプロセスステップおよび前記第2のプロセスステップは、電池製造プロセスに対応することと、
前記少なくとも1つの調整に関連する情報を前記第2のプロセスステップに提供することと
を備える方法。
【請求項2】
前記第2のプロセスステップは前記第1のプロセスステップより先であり、前記情報を提供することはフィードバックを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2のプロセスステップは前記第1のプロセスステップより後であり、前記情報を提供することはフィードフォワードを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のプロセスステップおよび前記第2のプロセスステップは、前記電池製造プロセスにおける同じプロセスステップに対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のプロセスステップ中に信号ベースの解析を行うことは、
前記第1のプロセスステップに関連する構成要素に向けて第1の音響信号を送信することと、
前記第1の音響信号に対応する少なくとも第2の音響信号を受信することと、
前記第1の音響信号および前記第2の音響信号に基づいて音響パラメータを決定することと
を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記音響パラメータに基づいて、少なくとも1つの製造パラメータが閾値要件未満であることを決定することであって、前記少なくとも1つの調整は、前記少なくとも1つの製造パラメータを調整するように構成されること
を更に備える、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの調整は、電極スラリーの密度、電極スラリーの沈殿、コーティングの厚さ、スラリーコータの速度、オーブン乾燥時間、およびオーブン乾燥温度の少なくとも1つに関連する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
製造プロセスを制御するための装置であって、
少なくとも1つのメモリと、
前記少なくとも1つのメモリに結合され、
第1のプロセスステップ中に信号ベースの解析を行い、
前記第1のプロセスステップ中に行われた前記信号ベースの解析に基づいて第2のプロセスステップに対する少なくとも1つの調整を決定し、ここで前記第1のプロセスステップおよび前記第2のプロセスステップは、電池製造プロセスに対応しており、
前記少なくとも1つの調整に関連する情報を前記第2のプロセスステップに提供する
ように構成された少なくとも1つのプロセッサと
を備える装置。
【請求項9】
前記第2のプロセスステップは前記第1のプロセスステップより先であり、前記情報を提供することはフィードバックを備える、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記第2のプロセスステップは前記第1のプロセスステップより後であり、前記情報を提供することはフィードフォワードを備える、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記第1のプロセスステップおよび前記第2のプロセスステップは、前記電池製造プロセスにおける同じプロセスステップに対応する、請求項8に記載の装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つのプロセッサに結合された少なくとも1つのトランスデューサを更に備え、前記少なくとも1つのプロセッサは更に、
前記少なくとも1つのトランスデューサを介して、前記第1のプロセスステップに関連する構成要素に向けて第1の音響信号を送信し、
前記少なくとも1つのトランスデューサを介して、前記第1の音響信号に対応する少なくとも第2の音響信号を受信し、
前記第1の音響信号および前記第2の音響信号に基づいて音響パラメータを決定するように構成される、請求項8に記載の装置。
【請求項13】
前記少なくとも1つのプロセッサは更に、
前記音響パラメータに基づいて、少なくとも1つの製造パラメータが閾値要件未満であることを決定するように構成され、前記少なくとも1つの調整は、前記少なくとも1つの製造パラメータを調整するように構成される、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記少なくとも1つの調整は、電極スラリーの密度、電極スラリーの沈殿、コーティングの厚さ、スラリーコータの速度、オーブン乾燥時間、およびオーブン乾燥温度の少なくとも1つに関連する、請求項8に記載の装置。
【請求項15】
1または複数のプロセッサによって実行されると、前記1または複数のプロセッサに、
第1のプロセスステップ中に信号ベースの解析を行わせ、
前記第1のプロセスステップ中に行われた前記信号ベースの解析に基づいて第2のプロセスステップに対する少なくとも1つの調整を決定させ、ここで前記第1のプロセスステップおよび前記第2のプロセスステップは、電池製造プロセスに対応しており、
前記少なくとも1つの調整に関連する情報を前記第2のプロセスステップに提供させる命令が格納された、非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項16】
前記第2のプロセスステップは前記第1のプロセスステップより先であり、前記情報を提供することはフィードバックを備える、請求項15に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項17】
前記第2のプロセスステップは前記第1のプロセスステップより後であり、前記情報を提供することはフィードフォワードを備える、請求項15に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項18】
1または複数のプロセッサによって実行されると、前記1または複数のプロセッサに、
前記少なくとも1つのトランスデューサを介して、前記第1のプロセスステップに関連する構成要素に向けて第1の音響信号を送信させ、
前記少なくとも1つのトランスデューサを介して、前記第1の音響信号に対応する少なくとも第2の音響信号を受信させ、
前記第1の音響信号および前記第2の音響信号に基づいて音響パラメータを決定させる命令を備える、請求項15に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項19】
1または複数のプロセッサによって実行されると、前記1または複数のプロセッサに、
前記音響パラメータに基づいて、少なくとも1つの製造パラメータが閾値要件未満であることを決定させる命令を備え、前記少なくとも1つの調整は、前記少なくとも1つの製造パラメータを調整するように構成される、請求項18に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項20】
前記少なくとも1つの調整は、電極スラリーの密度、電極スラリーの沈殿、コーティングの厚さ、スラリーコータの速度、オーブン乾燥時間、およびオーブン乾燥温度の少なくとも1つに関連する、請求項15に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示される態様は、様々なプロセスステップの監視に基づく音響信号および/またはプロセス信号に基づいて電池製造プロセスを改善および制御することに向けられる。より具体的には、本技術の態様は、電池セルの製造に関与する1または複数のプロセスステップ中に得られる音響信号および/またはプロセス信号ベースの解析のフィードバックおよび/またはフィードフォワードに基づくプロセス改善およびプロセス制御に向けられる。
【背景技術】
【0002】
消費者用電子機器、自動車、クリーンエネルギなどの様々な産業からの電池セルに対する需要の増加により、電池セルの生産需要は増加傾向にある。電池の品質、寿命、および製造プロセス効率を高めるために、効率的かつ高速な電池診断方法が重要である。製造および生産の場合、コスト(たとえば1キロワット時(kWh)当たりの価格)の削減が重要な目標である。生産コストは、既存のプロセスの最適化および/または新たな技術の導入によって削減することができる。たとえば、改善された監視および診断分野における技術的進歩によって、生産プロセス時間の短縮(またそれによる生産中のエネルギ消費量の削減)と、損傷したセルおよびセル部品による廃棄物の削減との両方により、コスト効率が向上し得る。
【0003】
しかしながら、電池セル構成要素およびセルがセル製造の様々な段階を通して大規模に処理される際、それらを監視する高速で非破壊的かつ安価な監視方法が必要とされている。製造プロセス中の効果的な監視がなければ、低歩留り、低品質、および非効率な資源利用が生じる可能性がある。
【発明の概要】
【0004】
以下に、本明細書に開示される1または複数の態様に関する簡略化された概要を提示する。したがって、以下の概要は、意図された全ての態様に関する広範な概観と見なされるべきではなく、また、意図された全ての態様に関する重要または必須の要素を特定し、任意の特定の態様に関連する範囲の境界を定めるものと見なされるべきではない。したがって、以下の概要は、後述する詳細な説明に先立ち、本明細書に開示される機構に関連する1または複数の態様に関する特定の概念を簡略化して提示することのみを目的とするものである。
【0005】
電池製造プロセスを制御するためのシステム、方法、およびコンピュータ可読媒体が提供される。少なくとも1つの典型例によると、電池製造プロセスを制御する方法が提供される。この方法は、第1のプロセスステップ中に信号ベースの解析を行うことと、第1のプロセスステップ中に行われた信号ベースの解析に基づいて、第2のプロセスステップに対する少なくとも1つの調整を決定することであって、第1のプロセスステップおよび第2のプロセスステップは電池製造プロセスに対応することと、少なくとも1つの調整に関連する情報を第2のプロセスステップに提供することとを含んでよい。
【0006】
少なくとも1つの典型例によると、電池製造プロセスを制御するための装置が提供される。いくつかの態様において、この装置は、コンピュータ可読命令が格納されたメモリと、1または複数のプロセッサとを含んでよく、1または複数のプロセッサは、第1のプロセスステップ中に信号ベースの解析を行い、第1のプロセスステップ中に行われた信号ベースの解析に基づいて、第2のプロセスステップに対する少なくとも1つの調整を決定し、ここで第1のプロセスステップおよび第2のプロセスステップは電池製造プロセスに対応しており、少なくとも1つの調整に関連する情報を第2のプロセスステップに提供するように構成される。
【0007】
少なくとも1つの典型例によると、電池製造プロセスを制御するためのコンピュータ可読媒体が提供される。いくつかの態様において、非一時的コンピュータ可読媒体は、1または複数のプロセッサによって実行されると、1または複数のプロセッサに、第1のプロセスステップ中に信号ベースの解析を行わせ、第1のプロセスステップ中に行われた信号ベースの解析に基づいて、第2のプロセスステップに対する少なくとも1つの調整を決定させ、ここで第1のプロセスステップおよび第2のプロセスステップは電池製造プロセスに対応しており、少なくとも1つの調整に関連する情報を第2のプロセスステップに提供させる命令を含んでよい。
【0008】
本明細書に開示される態様に関連する他の目的および利点は、添付図面および詳細な説明に基づいて当業者には明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
添付図面は、本開示の様々な態様の説明を補助するために提示され、限定のためではなく単に例示のために提供されるものである。
【0010】
【
図1】本開示の態様に係る、サンプルの音響信号ベースの解析のための装置を示す。
【
図2】本開示の態様に係る、電池セル製造のためのプロセス例を示す。
【
図3】本開示の態様に係る、電池セルまたは電池構成要素の製造に関連する音響信号および/またはプロセス信号の使用のためのプロセス例を示す。
【
図4】本開示の態様に係る、電池製造解析プラットフォームのブロック図を示す。
【
図5】本開示の態様に係る、電池製造プロセスを制御するための方法例を示す。
【
図6】本開示の態様に係る、
図1のプロセッサとして利用可能なシステム例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本技術の態様は、以下の説明および関連図面において開示される。本開示の範囲から逸脱することなく、代替の態様が考案され得る。また、本開示に関連する細部を不明瞭にしないために、本開示の周知の要素は詳しく説明されず、または省略される。
【0012】
「典型的」という語は、本明細書において、「例、事例、または実例の役割を果たす」という意味で使用される。本明細書で「典型的」として説明される任意の態様は、必ずしも他の態様よりも好適または有利であると解釈されるものではない。同様に、「本開示の態様」という表現は、本技術の全ての態様が、論述された特徴、利点、または動作モードを含むことを必要とするものではない。
【0013】
本明細書で使用される用語は、特定の態様を説明することのみを目的としており、本開示の態様を限定することは意図されない。本明細書で使用される場合、単数形の「a」、「an」、および「the」は、文脈が特に明示しない限り、複数形も含むことが意図される。更に、本明細書で使用される場合、「備える」、「備えている」、「含む」、および/または「含んでいる」という用語は、記述された特徴、整数、ステップ、操作、要素、および/または構成要素の存在を明示するが、1または複数の他の特徴、整数、ステップ、操作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループの存在または追加を排除するものではないことが理解される。
【0014】
更に、多くの態様は、たとえばコンピューティングデバイスの要素によって行われる動作シーケンスの観点から説明される。本明細書で説明される様々な動作は、特定の回路(たとえば特定用途向け集積回路(ASIC))によって、1または複数のプロセッサによって実行中のプログラム命令によって、またはその両方の組み合わせによって行われ得ることが認識される。また、本明細書で説明される動作シーケンスは、実行時、関連するプロセッサに本明細書で説明される機能を行わせる対応するコンピュータ命令セットが格納された任意の形式のコンピュータ可読記憶媒体において、その全体が具体化されると考えられ得る。したがって、本開示の様々な態様は、数々の異なる形式で具体化されてよく、その全てが、特許請求の対象となる主題事項の範囲内であると考えられる。また、本明細書で説明される態様の各々に関して、任意のそのような態様の対応する形式は、本明細書において、たとえば説明された動作を行う「ように構成された論理」として説明され得る。
【0015】
電気化学エネルギ貯蔵デバイス(たとえば電池、電池セル、および/またはその任意の構成要素)の製造/生産における1または複数のプロセスステップを改善するためのシステム、装置、プロセス(方法とも称される)、およびコンピュータ可読媒体(集合的に「システムおよび技術」と称される)が開示される。いくつかの例では、システムおよび技術は、製造プロセスにおける1または複数のステップを修正、調整、または他の方法で実施するために使用可能なフィードバックおよび/またはフィードフォワードデータを提供するために、音響信号および/またはプロセス信号を用いて電池セルのための製造プロセスにおける1または複数のステップを監視することによって実施され得る。
【0016】
図1は、本開示の態様に係る、音響信号および/またはプロセス信号ベースの解析を用いてサンプル102を解析するためのシステム例100を示す。いくつかの例では、サンプル102は、電池セルまたは構成要素の生産または製造の任意の段階における電池セルまたはその構成要素を含んでよい。たとえば、サンプル102は、電池セル、電池セルを通る湿潤/分布の様々な段階における電解質、電池セルの1または複数の電極、薄膜、セパレータ、コーティングシート、集電体、電極スラリー、および/またはその製造に関連する任意の材料を含んでよい。生産段階および関連する構成要素の例は、
図2を参照してより詳細に説明される。
【0017】
いくつかの態様において、システム100は、サンプル102に励起音声信号を送信するために(たとえば、電池セルを通して超音波や他の音波、振動、共振測定の1または複数のパルスを送信するために)適した送信トランスデューサTx104または他の任意の構成要素を含んでよい。いくつかの例では、システム100は、信号(たとえば音声信号、反射信号、送信信号、および/またはTxトランスデューサ104によって送信された信号に関連する他の任意の信号)を受信および/または感知するために適した受信トランスデューサRx106または他の構成要素を含んでよい。
【0018】
いくつかの態様において、Txトランスデューサ104によって(たとえばサンプル102のTxトランスデューサ104が位置する側面から)送信される信号は、入力励起信号を含んでよい。場合によっては、(たとえばサンプル102の他方の側面からの)反射信号は、エコー信号を含んでよい。本明細書で使用される場合、応答信号は、入力励起信号(たとえばTxトランスデューサ104によって送信される信号)および/または任意の反射信号、エコー信号、音声信号などを含んでよい。いくつかの例では、Txトランスデューサ104は、応答信号を受信するようにも構成されてよく、同様に、Rxトランスデューサ106は、音響および/または他の種類の励起信号を送信するようにも構成され得る。
図1はTxおよびRxとして別々の構成要素を示すが、当業者は、各構成要素がTxおよびRx機能のいずれかまたは両方を行ってよいことを認識する。いくつかの実施形態において、1または複数のTxトランスデューサ(たとえばTxトランスデューサ104)および/または1または複数のRxトランスデューサ(たとえばRxトランスデューサ106)は、サンプル102の同じ側面または壁に、またはサンプル102の異なる(たとえば対向する)側面に配置され得る。
【0019】
いくつかの例では、音響信号(たとえば超音波信号)の送信を制御し、応答信号を受信するために、TxおよびRxトランスデューサ104、106に音響パルサ/受信器108が結合され得る。音響パルサ/受信器108は、たとえば送信信号の振幅、周波数、および/または他の信号特徴などの信号パラメータを調整するためのコントローラ(不図示)を含んでよい。場合によっては、音響パルサ/受信器108は、Rxトランスデューサ106からの信号を受信してもよい。いくつかの例では、音響パルサ/受信器108は複合ユニットとして構成され得るが、いくつかの例では、Txトランスデューサ104を介して励起信号を送信するための音響パルサは、Rxトランスデューサ106からの信号を受信するための受信器と通信する個別ユニットであってよい。いくつかの構成において、音響パルサ/受信器108と通信するプロセッサ110は、本技術の態様に従って応答信号波形を格納および解析するように構成され得る。プロセッサ110は、単一のプロセッサとして示されるが、リモートプロセッサ、クラウドコンピューティングインフラなどを含む1または複数のプロセッサを含んでよい。
【0020】
上述するように、
図1は、単一のTxトランスデューサ104および単一のRxトランスデューサ106を含む構成を示す。いくつかの態様において、1または複数のTxトランスデューサおよび/またはRxトランスデューサが、サンプル102に対する1または複数の空間位置に配置され得る。いくつかの例では、異なる位置で複数のトランスデューサを利用することは、サンプル102にわたる音響信号特徴の空間的変動を決定するために用いられ得る。いくつかの態様において、マルチプレクサ(不図示)は、送信される励起信号および受信される応答信号を分離およびチャネル化するために音響パルサ/受信器108と通信するように構成され得る。いくつかの例では、TxおよびRxトランスデューサ104、106とサンプル102との間の接触をもたらし、または強化するために、様々な音響カプラント(たとえば固体、液体、またはそれらの組み合わせ)が用いられ得る。場合によっては、TxおよびRxトランスデューサ104、106とサンプル102との間の接触を確立または強化するために、様々な取付け機構や固定機構(たとえば空気圧、圧縮、ねじなど)が用いられてもよい。
【0021】
いくつかの態様において、
図1に示すシステムは、(たとえば電池セルの)製造プロセスに関連する1または複数のパラメータまたはデータを決定するために、サンプル102の生産に関連する1または複数の信号を解析および/または処理するために用いられ得る。いくつかの例では、データは、製造プロセス中のどこかで行われる試験による機能品質試験結果に関連するデータ(たとえば形成容量、自己放電電圧降下など)を含んでよい。更なる例では、データは、プロセス検査データ(たとえば充填プロセス中に注入された電解質の重量、電極検査からのベータゲージデータ)を含んでよい。更なる例では、データは、上流の供給業者やベンダからの材料および/または構成要素の仕様および/または品質管理データを含んでよい。更なる例では、データは、環境データ(たとえば温度、湿度など)を含んでよい。更なる例では、データは、他のプロセス機器によって生成されるデータストリーム(たとえばカレンダー処理圧力、乾燥セル重量、電極厚さ測定値など)を含んでよい。1つの典型的な例において、(
図2に関して論述される)電解質湿潤中、システム100によって使用されるパラメータおよび/または製造プロセスデータは、追加された電解質の質量または体積、(プロセス初期の)カレンダー処理圧力、浸漬中の真空工程の回数または強度、セル組成に関する情報、供給者からの原材料に関する情報、温度、圧力、および湿度などの環境因子、先行プロセスステップからの検査結果、顧客/ユーザによって提供されるカスタム/任意データを含んでよい。
【0022】
図2は、1または複数の電池セルの生産または製造プロセス200の例を示す。示されるように、プロセス200は、段階またはプロセスステップ202~232を含む。いくつかの例では、プロセスステップ202~232は、順番に行われ得る(たとえば、電池セルの生産は、プロセスステップ202~232の昇順で進行してよい)。他の例では、プロセス200に含まれるプロセスステップ202~232の1または複数が除外され、または異なる順序で行われ得る。本明細書で使用される場合、フィードバックデータは、先行プロセスステップにおいて使用される、時間的に後のプロセスステップからの情報を含んでよい。同様に、フィードフォワードデータへの言及は、後のプロセスステップで使用される、時間的に先行するプロセスステップからの情報を含んでよい。
【0023】
本開示の様々な態様において、1つのプロセスステップにおける(たとえばシステム100などの仕組みを用いて行われる)音響信号および/またはプロセス信号ベースの解析に基づいて収集される情報は、音響信号および/またはプロセス信号ベースの解析のフィードバックおよび/またはフィードフォワードの任意の適当な組み合わせを用いて、1または複数の他のプロセスステップにおいて使用され得る。いくつかの例では、フィードバックデータおよび/またはフィードフォワードデータは、製造プロセス200を用いて生産される電池セルの全体品質、製造プロセス200の効率/コスト、製造プロセス200を用いて生産される電池セルの歩留りの改善/廃棄の低減、および/またはプロセスステップ202~232の1または複数の効率、機能、または性能を改善するために用いられ得る。
【0024】
図2を参照すると、製造プロセス200は、電極スラリーを混合するためのプロセスステップ202で開始し得る。電池(たとえばリチウムイオン電池)の製造のいくつかの例では、たとえば活性アノードまたはカソード電極材料などの活性電極材料は、溶媒中で結合剤および導電材料と混合されてスラリーを形成し、これはその後、ウェブまたはシート状の金属集電シートにコーティングまたは塗布され、これが焼かれて乾燥すると、電池に使用される電極が生じる。いくつかの態様において、金属集電体にスラリーを均一にコーティングすることは、電池の適切な機能および寿命に大きく影響し得る。スラリーは、高粘度で、様々な密度の固体粒子および液体成分を多量に含むため、コーティングの一貫性のために均一に混合されたスラリーを得ることは、複雑かつ困難なプロセスであり得る。その結果、電極コーティングは、集電体ウェブ全体に沿って著しい組成差を示し得る。組成差を検出し、それに応じてより均一な分布の電極コーティングを有する電池を製造することにより、電池性能および寿命の向上がもたらされ得る。したがって、本技術は、スラリーを混合するためのプロセスステップ202を改善することにより、1または複数の後続するプロセスステップ、ならびにスラリーから形成される電極を用いる最終的な電池の全体品質を改善させ得る。
【0025】
プロセスステップ204は、上述したステップ202に関して言及されたコーティングおよび乾燥段階を含む。たとえば、スラリーは、金属シートまたは集電体にコーティングされると、乾燥される。乾燥は、加熱に基づいてコーティング材料が乾燥される乾燥オーブンを含んでよい。金属シートへのスラリーのコーティングは、電極、セパレータ、外装パッケージ、または他の電池構成要素に使用するための薄いシート状の構成要素の形成に用いられ得る。電池の安全性および性能に及ぼす影響を最小限にするために、コーティングプロセスにおける不均一性、損傷、汚染、異物混入、コーティングと基板との剥離、または不適切な/漏れやすいパッケージなどを避けるという点で、これらの薄いシート状の構成要素の高い品質を確保することが重要である。電池生産において、これらの品質問題をライン内で監視し、早期に捕捉することは、スクラップ率を下げるために望ましく、それによって電池(たとえばリチウムイオン電池)の生産コストが大幅に低減され得る。本明細書に開示されるシステムおよび技術(たとえば音響解析)は、先行する混合ステップ202および進行中のコーティングおよび乾燥プロセスステップ204にフィードバックされ、および/またはセルおよび構成要素の製造の後続ステップにおける電極問題を補償するためにフィードフォワードもされ得る是正措置を実施することによって、製造プロセスにおける品質問題を防止し、および/または最小限にするために用いられ得る。
【0026】
プロセスステップ206は、スリッティングを含み、コーティングされたシートまたは膜は、適当な寸法にスリッティングまたはダイシングされ得る。たとえば、いくつかの例では、幅広の電極シートがスラリーでコーティングされ、その後、狭い幅のストリップにスライスまたはスリットされ得る。スリッティングプロセスもまた、不均一性または凸凹をもたらすことがあり、これらを監視して任意の欠陥を特定することにより、品質が改善され得る。
【0027】
プロセスステップ208は、カレンダー処理を含み、コーティングされたシートは、所望の厚さ、嵩密度、および多孔性の電極を得るために圧縮される。電池生産は、カレンダー処理プロセスステップが適切に実施されるように監視することによって改善され得る。たとえば、湿潤および乾式、カレンダー処理または/および未カレンダー処理電極コーティングは、たとえば多孔性、局所密度、質量負荷、粒子凝集、および粒子サイズ分布の不整合性、たとえば空隙、筋、傷、またはひびなどの損傷、たとえば気泡および汚染粒子(金属性および/または非金属性)などの異物混入、電極コーティングの離層や剥離、電極コーティングと金属集電体との間の剥離、多孔性や密度における表面下変動などの欠陥の影響を受け易い場合がある。そのような欠陥を早期に検出および/または改善することが望ましいが、これらの欠陥の1または複数は、従来の光学および他の検査方法を介して検出可能でない場合がある。音響信号および/またはプロセス信号ベースの解析は、プロセスステップ208における1または複数の欠陥を識別するために使用可能であり、そのような情報は、このプロセスステップにおける欠陥の除去または軽減に加えて、セル製造における上流および/または下流の1または複数の他のプロセスステップを改善するために使用され得る。従来のプロセスデータ信号(たとえば光学または電気測定値など)は、欠陥検出の忠実性を高めるために、測定された音響信号と共に含まれてよく、上流および/または下流のプロセスステップに提供される情報を更に強化し得る。
【0028】
プロセスステップ210は、カレンダー処理されたシート上で行われ得る真空乾燥を含んでよい。真空乾燥は、プロセスステップ204を参照して説明した加熱乾燥に追加され得る。いくつかの例では、このステップ210は、ステップ204または208の後に起こってよい。乾燥温度、真空の持続時間、および真空圧は、電極に残る水分または溶媒の量に大きく影響し、その結果、セルの品質に影響を及ぼし得る。
【0029】
プロセスステップ212は、電極成形を含んでよく、(カレンダー処理および真空乾燥時に)プロセスステップ206におけるスリッティングによって得られる電極シートのストリップは、電池に使用するために特定の形状(たとえばタブを有する正方形または長方形状)のユニットに切断またはダイシングされ得る。正確な電極成形は、ゼリーロール型セルまたはカットアンドスタック型セルの両方にとって重要である。不十分に切断された電極は、複合物生成ステップ214における電極の位置ずれをもたらし得る。電極の成形またはスリッティングは、電極スタックに埋め込まれる可能性のあるバリおよび金属粒子も生成し得る。
【0030】
プロセスステップ214は、複合物生成を含んでよく、2つ以上の成形電極ユニットが結合または混合され得る。これは、アノード、カソード、およびセパレータをゼリーロールまたはスタック状に組み立てるためのプロセスステップである。
【0031】
プロセスステップ216は、電気的接触を含んでよく、2つ以上の電極ユニットまたは集電体の複合物が溶接または他の方法によって互いに、および/または外部電気接点やタブに結合され得る。タブの位置ずれ、不十分な溶接品質、および金属粒子不純物は、プロセスステップ216中に起こり得る一般的な問題である。これらの問題は、ステップ216またはセル製造における後続ステップ218~232の間に(たとえばシステム100などの仕組みを用いて行われる)音響測定および解析によって監視され得る。そのように収集された情報は、是正的なプロセスパラメータ変更を行うためにステップ216へのフィードバック経路において用いられ得る。
【0032】
プロセスステップ218は、ケース挿入を含んでよく、電気接点およびセパレータを有する1または複数の電極が、電解質充填および浸漬、および固体電解質相間(SEI)層形成のために適当なケース内に挿入され得る。
【0033】
プロセスステップ220は、ケース閉鎖を含んでよく、電極スタックまたはゼリーロールがケース内に挿入され、密封される。
【0034】
プロセスステップ222は、電解質充填および浸漬を含んでよい。いくつかの例では、電解質充填および浸漬は、電解質分布の均一性が形成およびエイジングなどの高費用の下流プロセスの歩留り率に直接影響を及ぼし得るため、電池セル生産における重要なプロセスステップであり得る。電池セルの電極およびセパレータの孔を湿らす電解質の品質は、電解質の分解生成物から電極粒子表面に形成されるパッシベーション層であるSEI層などの構造に大きな影響を与える。電解質分布と同様に、SEI形成の均一性および品質は、生産される電池セルの全体品質、性能、および安全性に強く影響する。また電解質湿潤品質は、電池セルの経時変化挙動(すなわち、電池セルが外部回路から電気的に絶縁されている間の電圧降下率)にも影響を及ぼす。湿潤が不十分なエリアは、内部イオン抵抗が大きく、放電容量、サイクル寿命、および安全性が低下することにより、電池セル性能に影響を及ぼす。電池セル内の電解質の量および分布は、電池セルの全体性能にとって重要である。電池セル電解質の浸水および枯渇は、電池セル性能を著しく低下させ、故障の原因になり得る。したがって、電解質の適切かつ十分な充填を確実にするために、充填および湿潤時間の正確な決定も重要である。音響信号および/またはプロセス信号ベースの監視技術は、電解質の湿潤および分布の様々な態様を識別するために使用可能であり、この情報は、製造プロセス200のプロセスステップの1または複数において使用され得る。
【0035】
プロセスステップ224は、事前充電を含み、形成ステップ228の前の電解質浸漬中、特定の期間にわたり、特定の充電電圧が電池セルに印加される。いくつかの例では、(たとえば集電体が腐食しないことを確実にするために)プロセスステップ222において電解質充填が完了すると、事前充電を適用することが望ましい。事前充電のレベルおよび事前充電の期間は、たとえば電解質充填および電極密度などの先行するプロセスステップの1または複数に依存してもよい。
【0036】
プロセスステップ226は、充填穴の閉鎖を含み、電解質充填に用いられる電池本体の穴が閉じられ得る。穴を閉じると、必要な場合の更なる電解質の充填または枯渇は困難である。したがって、製造プロセス200における適切な時間に穴の閉鎖が行われることを確実にするために先行するプロセスステップを監視することが重要である。いくつかの態様において、穴の閉鎖は、たとえばプリズムセルなどの電池セルに関連し得る。また穴の閉鎖の品質を監視することも、たとえばそれが溶接によって塞がれる場合、水分の浸入がないようにするために重要である。
【0037】
プロセスステップ228は、SEI形成を含む。リチウムイオン電池形成は、電池セルにおける初期充電/放電動作を行うプロセスである。この段階において、SEIは、電極(たとえばアノード)に形成される。この層は、多くの様々な要因の影響を受け易く、電池寿命にわたり電池性能に影響を及ぼし得る。電池形成は、電池の化学的性質に依存して多くの日数を要し得る。たとえば電解質湿潤の効果および品質といった先行ステップの影響は、電池形成中に観察され得る。
【0038】
プロセスステップ230は、エイジングを含み、各電池セルの開回路電圧の減衰(たとえば電池セルの自己放電率)が経時的に監視される。上述したように、電解質湿潤品質は、電池セルの経年変化挙動(たとえば、電池セルが外部回路から電気的に絶縁されている間の電圧降下率)に影響を及ぼし得る。
【0039】
プロセスステップ232は、品質管理(QC)および品質保証(QA)を含み、DC抵抗、ACインピーダンス、充電および/または放電容量、および開回路電圧が電気的に監視される。音響信号および/またはプロセス信号ベースの解析は、たとえば電極およびセパレータの裂傷、折り目、損傷、電極の位置ずれ、タブの位置ずれ、金属または他の異物粒子、不十分な電解質分布、不十分なSEI形成および分布などの内部欠陥を特定するために、製造ステップ232においてセルに行われ得る。欠陥に加えて、音響解析は、セルの寿命性能を推定するために用いられ得る。ステップ232において検出される欠陥または問題に関するこの情報および他の情報は、誤りを是正し、またはプロセス歩留りおよびセル品質を改善するために、関連する製造プロセスステップへのフィードバック経路において用いられ得る。
【0040】
図3は、電池セルまたは電池構成要素の製造に関連して音響信号および/またはプロセス信号を使用するためのプロセス例を示す。示されるように、プロセスステップ302a~dは、製造プロセス200のプロセスステップ202~232の1または複数、または電池またはその構成要素の製造(たとえばセル/構成要素の進行中のバッチ)に関与し得る他のプロセスステップに対応してよい。更に、
図3は電池製造プロセスを参照して説明されるが、当業者は、本技術が特定の製造プロセスに限定されるものではなく、他の任意のプロセスに関連して実施され得ることを認識する。
【0041】
プロセスステップ302a~dの1または複数において、音響測定および解析306は、たとえば
図1のシステム100を参照して示すようなデバイスおよび仕組みを用いて行われ得る。各ブロック306に後続し得る対応する決定ブロック308において、音響測定および解析システムは、進行中のバッチにおける電池セルまたは構成要素の品質が(たとえば既知の電池セルまたは構成要素の参照音響測定データを用いて、または他のメトリックを用いて)予想通りであるかを決定してよい。決定ブロック308の各々において、品質が予想通りである(たとえば測定値またはパラメータが閾値を満たす、または超える)場合、後続するプロセスステップ302a~dへ進むことが決定され得る。対応するプロセスステップに関連する品質メトリックが所定の要件を満たさない場合、システムによって得られた情報(たとえば音響および/または信号測定)のフィードバックが、構成要素/セルの後続バッチに関する製造プロセスのいずれかで使用され得るか、および/または情報のフィードフォワードが進行中のバッチにおける1または複数の構成要素/セルのために使用され得るかを決定するために、プロセス300は決定ブロック310へ進んでよい。
【0042】
決定ブロック312において、音響解析が行われたプロセスステップにおいてエラー/プロセスドリフトが検出された場合、それに応じて、たとえばブロック304aに示すように、後続するバッチの製造における先行プロセスステップのためのプロセス条件/パラメータに調整が行われ得る。いくつかの態様において、情報は、たとえば現在のプロセスステップ302bを改善するために、ブロック304bにおいて同じプロセスステップによって使用され得る。同様に、フィードフォワード情報は、たとえばブロック304c~dに示すように、後続のプロセスステップにおけるエラー/プロセスを補償するためにパラメータを調整するために使用され得る。いくつかの例では、プロセス解析情報/データは、現在のプロセスならびに後続のプロセスの調整または改善を行うために使用され得る(たとえばデータのフィードバックおよびフィードフォワード)。
【0043】
次に、
図2に関連して説明したような電池セル/構成要素を製造するプロセスにおける改善の典型的な実施例を参照して、プロセス300が説明される。
【0044】
一例では、ステップ202における不均一な混合は、ステップ204におけるコーティング電極に沿った密度勾配をもたらし、その結果、ステップ208におけるカレンダー処理の後、電極の不均一な多孔性および蛇行が生じ得る。電極の不均一な多孔性により、ステップ222における充填および浸漬中に電解質の不均一な分布が生じる。セル全体での不十分な電解質分布により、セル内にドライスポットが生じ、ステップ228において品質不良の固体電解質相間(SEI)が形成され、最終的にセルの性能および寿命が不十分となる。混合ステップ202の後の電極スラリーの密度および組成は、(たとえばシステム100などの仕組みを用いて行われる)音響信号および/またはプロセス信号ベースの解析によって監視され得る。スラリーにおける任意の欠陥または懸念事項の特定は、フィードバックまたはフィードフォワード情報として使用され得る。たとえば、フィードフォワード機構において、たとえば不均質性、変動する固体粒子量(たとえば混合物中の固体の割合)の均一性、一貫性などのスラリー混合物の不整合性が音響解析によって識別された場合、その情報は、浸漬プロセスを適合させる(電解質分布を均一にすることによりこの特定のセルの性能を改善するために、組み立てられたセル内のこの多孔性が低い電極をより長時間浸漬することを可能にする)ために、電解質充填および浸漬ステップ222へのフィードフォワード経路において使用され得る。他の例では、音響解析に基づいてステップ222で記録された電解質の不均一な分布問題を調整するために混合プロセスを適合させる(たとえば混合時間、混合速度、混合温度などを増大させる)ために、ステップ202においてスラリーミクサへのフィードバック経路において不整合性が報告され得る。
【0045】
いくつかの態様において、デバイス(たとえばシステム100)は、電極コータ(たとえばスロットダイ、ドクターブレードなど)へのパイプを通るスラリーの流れの音響信号特性を監視するために使用することができ、この情報は、スラリーのためのフィードバックとして使用され得る。スラリー混合タンクから収集された音響解析情報のフィードフォワードもまた、フローパイプパラメータに任意の調整を行うために(たとえばパイプを通るスラリーの流れの速度を制御するために)使用され得る。
【0046】
たとえば、製造の過程で、スラリーの沈降または沈殿は、より重い粒子を沈殿させることにより、たとえばスラリーミクサ内で結合剤含有量が高い、または結合剤含有量が低いスラリー領域をもたらすなどの不完全な混合の原因になり得る。そのような影響は、集電体にスラリーをコーティングするためにパイプを通ってスラリーがどのようにコータに堆積するかを変化させ得る。いくつかの例では、プロセスの音響信号および/または監視は、スラリーの沈降および/または沈殿を検出するために使用され得る。
【0047】
いくつかの態様において、上記構成要素または関連プロセスの1または複数を監視することは、たとえばコーティングなどの後続プロセスにおけるフィードフォワード情報として使用され得る。たとえば、デバイス(たとえばシステム100)の1または複数を監視することにより、スラリーが電極スラリーとして集電体に堆積されるコーティングプロセスに行われる調整が決定され得る。たとえば、スラリー条件に基づいてコーティングプロセスパラメータが制御されてよく、たとえば電極スラリーのコーティング層の厚さ、コータにおけるスラリーの流速、コーティングの幅および均一性などに関する決定が導かれる。
【0048】
電極スラリー/集電体は、コーティングプロセス時、乾燥のための乾燥オーブンで処理され得る。(たとえばシステム100などの仕組みを用いて行われる)音響測定のためにTxおよびRxトランスデューサが埋め込まれた1または複数のローラが、乾燥プロセスを通して電極スラリーコーティング/集電体を搬送してよい。音響測定デバイスは、乾燥オーブンを制御するために監視されているステップ202および204からの電極スラリー/集電体に基づくフィードフォワード情報を提供し得る。たとえば、音響ベースの測定デバイスを用いて行われた音響信号および/またはプロセス信号ベースの解析に基づいて特定のレベルの湿潤、厚さ、一貫性などが決定されると、電極スラリー/集電体に関して最適な乾燥時間および温度が決定され、この情報は、乾燥オーブンに関する設定をプログラムするために使用され得る。いくつかの例では、音響信号および/またはプロセス信号を用いて収集されたデータは、プロセスおよび/または任意の関連プロセスパラメータに対する調整または修正を決定するために、たとえば製造プロセスデータなどの他のデータと共に使用され得る。コーティングおよび/またはカレンダー処理のいくつかの例(たとえばプロセスステップ204、208を参照)では、電極スラリーのコーティングにおいて測定された不整合性は、加熱/乾燥段階に情報をフィードフォワードすることの追加または代替として、スラリー混合または結合剤形成プロセスにフィードバックされてもよい。スラリー混合速度、乾燥温度、および同様のプロセスパラメータは、製造プロセス信号として音響信号解析に含まれ得る。
【0049】
いくつかの例では、たとえばプロセスステップ208におけるカレンダー処理などの電極形成プロセス中に適用される圧縮の大きさは、たとえば
図2のプロセスステップ222における電解質充填などの更に下流のプロセスに役立ち得る電極の多孔性に影響を及ぼすことがある。たとえば、電解質がどの程度の速度で、またはどの程度容易にセル全体に分布され飽和するかは、電極の多孔性に基づき得る。たとえばシステム100に示されるTxおよびRxトランスデューサなどの1または複数のデバイスを用いてカレンダー処理中の電極を解析することにより、電解質を電池セルに浸漬させる時間、電池セル内に注入される電解質の量、たとえば形成(たとえばプロセスステップ228)中に真空が引かれる回数、エイジング(たとえばプロセスステップ230)のために電池セルが保存される温度などに関するプロセスパラメータなど、浸漬または他の下流のプロセスが行われる温度が決定または改良され得る。
【0050】
いくつかの例では、電解質分布および湿潤特性は、たとえば、プロセスステップ222の間に、電池セルの様々な位置に沿って配置されたTxおよび/またはRxトランスデューサのセットを用いて解析され得る。電解質分布および湿潤特性に関する音響信号情報を用いて、プロセスステップ222中に電極の多孔性または他の特性に対する調整が識別または推測され得る場合、プロセスステップ204、208におけるコーティングおよびカレンダー処理段階に影響を与えるためにフィードバックが提供され得る。いくつかの例では、情報は、たとえばプロセスステップ224において事前充電を安全にトリガするために使用される特定の湿潤レベルの決定など、プロセスステップ222からフィードフォワードされ得る(たとえば、湿潤がまだ完全ではなくドライスポットが残っている時に過度に早期に事前充電を行うことは安全ではない場合がある)。
【0051】
いくつかの例では、不均一な電解質の分布またはドライスポットの存在により、プロセスステップ228において(たとえばアノード材料粒子上の)不均一なSEI形成がもたらされることもある。したがって、プロセスステップ228において音響信号および/またはプロセス信号ベースの解析を用いて観察された不均一なSEI形成は、プロセスステップ228における形成プロトコルを改善するためにプロセスステップ222から得られた電解質分布情報を使用しながら、その情報を電解質充填にもフィードバックすることの追加または代替として、プロセスステップ222における電解質充填にフィードバックされ得る。
【0052】
いくつかの例では、1つのプロセスステップから後続する下流のプロセスステップへのフィードフォワード情報は、同じセットまたはバッチの電池セルの品質に影響を及ぼし得る。いくつかの例では、進行中のバッチの電池セルの製造からのフィードバック情報は、後続するバッチの電池セルの製造プロセスに影響を及ぼすために有用であり得る。たとえば、プロセスステップ230における電池セルのバッチのエイジング中またはプロセスステップ232における品質管理(QC)中に音響信号および/またはプロセス信号ベースの測定を用いて問題が識別されると、この情報は、後続するバッチの電池セルに関するプロセスステップ202~228の1または複数を改善するために使用され得る。いくつかの例では、1つの生産ラインまたは設備における(たとえば電池セルの第1の形状因子および/または第1の化学的性質を有する)1つのセル型の製造中に材料および構成要素に関して得られたフィードバック情報は、同じまたは別の生産ラインまたは設備における(たとえば第2の形状因子および/または第2の化学的性質を有する)別のセル型の製造におけるプロセスの適合に有用であり得る。いくつかの例では、ライン内測定は、プロセス条件を改善するために即時に適用され得るが、いくつかの例では、それらはプロセス条件の参照データベースまたはデータレポジトリを作成するために使用され得る。
【0053】
図4は、電池製造解析プラットフォーム400のブロック図を示す。いくつかの例では、電池解析プラットフォーム400は、音響信号解析システム402(たとえばシステム100)を含んでよい。いくつかの例では、音響解析システムは、電池製造および電池の健全性に関するデータを収集および解析するために使用され得るハードウェアおよびソフトウェア構成要素を含んでよい。いくつかの例では、音響信号解析システム402は、電気化学音響信号問合せ(EASI)を行うことができ、これは、電池の状態および健全性および電池製造プロセスを決定し、これらのプロセスを経時的に監視するように構成されたハードウェアおよびソフトウェアを含んでよい。
【0054】
いくつかの例では、EASI技術は、機械学習ツールおよび概念を含む数々のデータ処理および解析技術を利用し得る。これらの技術は、音響信号解析システム402が測定および収集可能な音響信号データ、ならびに他の任意の製造または電池データストリームに適用され得る。いくつかの態様において、音響信号解析システム402は、音響データを収集するためのハードウェア、ならびに電池、電池構成要素、および/または電池製造プロセスに関連するデータを提供するためのソフトウェア、アルゴリズム、およびデータ処理アルゴリズムを含んでよい。
【0055】
いくつかの例では、音響信号解析システム402への入力は、超音波データ404、機能試験結果406、他のプロセス検査データ408、プロセス機器からのデータ410、供給者の品質管理データ412、カスタムデータストリーム414、および/または電池および/または電池製造プロセスに関連する他の任意のデータを含んでよい。いくつかの態様において、音響信号解析システム402からの出力は、リアルタイム工場監視416、ライン内合格/不合格検査結果418、ライン品質および歩留り監視420、歩留り管理422、および/または電池および/または電池製造プロセスに関連する他の任意の関連出力パラメータ/メトリックを含んでよい。
【0056】
図5は、電池製造プロセスを制御するための方法例500を示すフローチャートである。
図5のプロセスは、
図1の装置100、およびたとえばプロセッサ110などのその構成要素によって実施され得る。当業者には、プロセッサ110が、1または複数のプロセッサによって実行されるとプロセッサ110に
図5のステップを行わせるコンピュータ可読命令が格納された1または複数のメモリ(非一時的コンピュータ可読媒体)を有し得ることが明らかである。
【0057】
ブロック502において、方法500は、第1のプロセスステップ中に信号ベースの解析を行うことを含む。いくつかの例では、信号ベースの解析を行うことは、第1のプロセスステップに関連する構成要素に向けて第1の音響信号を送信することと、第1の音響信号に対応する少なくとも第2の音響信号を受信することと、第1の音響信号および第2の音響信号に基づいて音響パラメータを決定することとを含んでよい。たとえば、Txトランスデューサ104は、サンプル102に向けて音響信号を送信するために使用され、Rxトランスデューサ106は、対応する音響信号を受信するために使用され得る。いくつかの態様において、プロセッサ110は、送信および受信された音響信号に基づいて音響パラメータを決定するために(たとえば音響パルサ/受信器108と共に)使用され得る。
【0058】
ブロック502において、方法は、第1のプロセスステップ中に行われた信号解析に基づいて、第2のプロセスステップに対する少なくとも1つの調整を決定することを含み、第1のプロセスステップおよび第2のプロセスステップは、電池製造プロセスに対応する。いくつかの例では、少なくとも1つの調整は、電極スラリーの密度、電極スラリーの沈殿、コーティングの厚さ、スラリーコータの速度、オーブン乾燥時間、およびオーブン乾燥温度の少なくとも1つに関連してよい。いくつかの態様において、音響パラメータは、少なくとも1つの製造パラメータが閾値要件未満であることを決定するために使用されてよく、少なくとも1つの調整は、少なくとも1つの製造パラメータを(たとえば閾値要件を満たすように)調整するように構成され得る。
【0059】
ブロック504において、方法は、第2のプロセスステップに対する少なくとも1つの調整に関連する情報を提供することを含む。いくつかの例では、第2のプロセスステップは第1のプロセスステップよりも先であってよく、情報を提供することは、フィードバックを含んでよい。場合によっては、第2のプロセスステップは第1のプロセスステップより後であってよく、情報を提供することは、フィードフォワードを含んでよい。いくつかの例において、第1のプロセスステップおよび第2のプロセスステップは、電池製造プロセスにおける同じプロセスステップに対応してよい。
図6は、本開示の態様に係る、
図1のプロセッサとして利用可能なシステム例を示す。示されるシステム例は、
図1のプロセッサ110を実装するために使用され得る。より適切なシステムは、様々な実施形態を実施する際、当業者に明らかである。当業者は、他のシステムが可能であることも容易に認識する。
【0060】
図6は、システムの構成要素がバス605を用いて互いに電気通信しているバスコンピューティングシステム600の例を示す。コンピューティングシステム600は、処理ユニット(CPUまたはプロセッサ)610と、システムメモリ615、読取専用メモリ(ROM)620、およびランダムアクセスメモリ(RAM)625を含む様々なシステム構成要素をプロセッサ610に結合し得るシステムバス605とを含んでよい。コンピューティングシステム600は、プロセッサ610の近傍で直接接続された、またはプロセッサ610の一部として統合された高速メモリのキャッシュ612を含んでよい。コンピューティングシステム600は、プロセッサ610による迅速なアクセスのために、メモリ615、ROM620、RAM625、および/または記憶デバイス630からのデータをキャッシュ612にコピーしてよい。このように、キャッシュ612は、データを待機する間のプロセッサ遅延を回避する性能向上を提供し得る。これらのモジュールおよび他のモジュールは、様々な動作を行うためにプロセッサ610を制御し得る。他のシステムメモリ615も同様に使用可能であってよい。メモリ615は、様々な性能特性を有する多数の様々な種類のメモリを含んでよい。プロセッサ610は、任意の汎用プロセッサ、および記憶デバイス630に格納されプロセッサ610を制御するように構成された、たとえばサービス(SVC)1 632、SVC2 634、SVC3 636などのハードウェアモジュールまたはソフトウェアモジュールと、ソフトウェア命令が実際のプロセッサ設計に組み込まれた専用プロセッサとを含んでよい。プロセッサ610は、基本的に、複数のコアまたはプロセッサ、バス、メモリコントローラ、キャッシュなどを含む完全自己完結型コンピューティングシステムであってよい。マルチコアプロセッサは、対称性または非対称性であってよい。
【0061】
コンピューティングシステム600とのユーザインタラクションを可能にするために、入力デバイス645は、たとえば音声用マイクロフォン、ジェスチャまたはグラフィック入力用のタッチ保護スクリーン、キーボード、マウス、動作入力、音声などの任意の数の入力機構を表してよい。出力デバイス635もまた、当業者には既知である数々の出力機構の1または複数であってよい。いくつかの例では、マルチモーダルシステムにより、ユーザは、コンピューティングシステム600と通信するために複数の種類の入力を提供することが可能であり得る。通信インタフェース640は、ユーザ入力およびシステム出力を統制および管理してよい。任意の特定のハードウェア構成での動作に制限はないので、ここでの基本的特徴は、改良されたハードウェアまたはソフトウェア構成が開発されると容易に代替される場合がある。
【0062】
記憶デバイス630は、不揮発性メモリであってよく、たとえば磁気カセット、フラッシュメモリカード、ソリッドステートメモリデバイス、デジタルバーサタイルディスク、カートリッジ、ランダムアクセスメモリ、読取専用メモリ、およびそれらのハイブリッドなど、コンピュータによってアクセス可能なデータを格納し得るハードディスクまたは他の種類のコンピュータ可読媒体であってよい。
【0063】
上述したように、記憶デバイス630は、プロセッサ610を制御するためのソフトウェアSVC632、634、636を含んでよい。他のハードウェアまたはソフトウェアモジュールが考えられる。記憶デバイス630は、システムバス605に接続され得る。いくつかの実施形態において、特定の機能を行うハードウェアモジュールは、機能を実行するために、たとえばプロセッサ610、バス605、出力デバイス635などの必要なハードウェア構成要素と関連してコンピュータ可読媒体に格納されたソフトウェア構成要素を含んでよい。
【0064】
当業者は、情報および信号が様々な異なる技術および技法のいずれかを用いて表され得ることを認識する。たとえば、上記説明を通して言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、記号、およびチップは、電圧、電流、電磁波、磁場または磁粒子、光場または光粒子、またはそれらの任意の組み合わせによって表され得る。
【0065】
更に、当業者は、本明細書に開示される態様と関連して説明された様々な例示的な論理ブロック、モジュール、回路、およびアルゴリズムステップが、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、またはその両方の組み合わせとして実装され得ることを認識する。このハードウェアとソフトウェアとの相互置換性を明確に示すために、様々な例示的な構成要素、ブロック、モジュール、回路、およびステップは、それらの機能の観点から一般的に説明された。そのような機能がハードウェアとして実装されるかソフトウェアとして実装されるかは、特定の用途およびシステム全体に課された設計制約に依存する。当業者は、各特定の用途のために様々な方法で説明された機能を実装し得るが、そのような実装は、本開示の範囲からの逸脱をもたらすものと解釈すべきではない。
【0066】
上記開示は、本技術の例示的な態様を示すが、添付の特許請求の範囲によって定義される本技術の範囲から逸脱することなく、本明細書において様々な変更および修正がなされ得ることに留意すべきである。本明細書で説明される本開示の態様に係る方法クレームの機能、ステップ、および/または動作は、任意の特定の順序で行われる必要はない。また、本開示の要素は単数形で説明され、または特許請求の範囲に記載され得るが、単数形への限定が明示されない限り、複数形も考慮される。
【0067】
本開示においてセットの「少なくとも1つ」および/またはセットの「1または複数」を述べるクレーム言語またはその他の言語は、そのセットの1つのメンバまたは(任意の組み合わせの)複数のメンバがクレームを満たすことを示す。たとえば、「AおよびBの少なくとも1つ」または「AまたはBの少なくとも1つ」を述べるクレーム言語は、A、B、またはAおよびBを意味する。他の例では、「A、B、およびCの少なくとも1つ」または「A、B、またはCの少なくとも1つ」を述べるクレーム言語は、A、B、C、またはAおよびB、またはAおよびC、またはBおよびC、またはAおよびBおよびCを意味する。セットの「少なくとも1つ」および/またはセットの「1または複数」という言語は、そのセットをセット内に挙げられた項目に限定するものではない。たとえば、「AおよびBの少なくとも1つ」または「AまたはBの少なくとも1つ」を述べるクレーム言語は、A、B、またはAおよびBを意味し、AおよびBのセットに挙げられていない項目を更に含むこともできる。
【手続補正書】
【提出日】2023-01-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造プロセスを制御する方法であって、
第1のプロセスステップ中に信号ベースの解析を行うことと、
前記第1のプロセスステップ中に行われた前記信号ベースの解析に基づいて第2のプロセスステップに対する少なくとも1つの調整を決定することであって、前記第1のプロセスステップおよび前記第2のプロセスステップは、電池製造プロセスに対応することと、
前記少なくとも1つの調整に関連する情報を前記第2のプロセスステップに提供することと
を備える方法。
【請求項2】
前記第2のプロセスステップは前記第1のプロセスステップより先であり、前記情報を提供することはフィードバックを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2のプロセスステップは前記第1のプロセスステップより後であり、前記情報を提供することはフィードフォワードを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のプロセスステップおよび前記第2のプロセスステップは、前記電池製造プロセスにおける同じプロセスステップに対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のプロセスステップ中に信号ベースの解析を行うことは、
前記第1のプロセスステップに関連する構成要素に向けて第1の音響信号を送信することと、
前記第1の音響信号に対応する少なくとも第2の音響信号を受信することと、
前記第1の音響信号および前記第2の音響信号に基づいて音響パラメータを決定することと
を備える、請求項1
~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記音響パラメータに基づいて、少なくとも1つの製造パラメータが閾値要件未満であることを決定することであって、前記少なくとも1つの調整は、前記少なくとも1つの製造パラメータを調整するように構成されること
を更に備える、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの調整は、電極スラリーの密度、電極スラリーの沈殿、コーティングの厚さ、スラリーコータの速度、オーブン乾燥時間、およびオーブン乾燥温度の少なくとも1つに関連する、請求項1
~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
製造プロセスを制御するための装置であって、
少なくとも1つのメモリと、
前記少なくとも1つのメモリに結合され、
第1のプロセスステップ中に信号ベースの解析を行い、
前記第1のプロセスステップ中に行われた前記信号ベースの解析に基づいて第2のプロセスステップに対する少なくとも1つの調整を決定し、ここで前記第1のプロセスステップおよび前記第2のプロセスステップは、電池製造プロセスに対応しており、
前記少なくとも1つの調整に関連する情報を前記第2のプロセスステップに提供する
ように構成された少なくとも1つのプロセッサと
を備える装置。
【請求項9】
前記第2のプロセスステップは前記第1のプロセスステップより先であり、前記情報を提供することはフィードバックを備える、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記第2のプロセスステップは前記第1のプロセスステップより後であり、前記情報を提供することはフィードフォワードを備える、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記第1のプロセスステップおよび前記第2のプロセスステップは、前記電池製造プロセスにおける同じプロセスステップに対応する、請求項8に記載の装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つのプロセッサに結合された少なくとも1つのトランスデューサを更に備え、前記少なくとも1つのプロセッサは更に、
前記少なくとも1つのトランスデューサを介して、前記第1のプロセスステップに関連する構成要素に向けて第1の音響信号を送信し、
前記少なくとも1つのトランスデューサを介して、前記第1の音響信号に対応する少なくとも第2の音響信号を受信し、
前記第1の音響信号および前記第2の音響信号に基づいて音響パラメータを決定するように構成される、請求項8
~11のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
前記少なくとも1つのプロセッサは更に、
前記音響パラメータに基づいて、少なくとも1つの製造パラメータが閾値要件未満であることを決定するように構成され、前記少なくとも1つの調整は、前記少なくとも1つの製造パラメータを調整するように構成される、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記少なくとも1つの調整は、電極スラリーの密度、電極スラリーの沈殿、コーティングの厚さ、スラリーコータの速度、オーブン乾燥時間、およびオーブン乾燥温度の少なくとも1つに関連する、請求項8
~13のいずれかに記載の装置。
【請求項15】
1または複数のプロセッサによって実行されると、前記1または複数のプロセッサに、
第1のプロセスステップ中に信号ベースの解析を行わせ、
前記第1のプロセスステップ中に行われた前記信号ベースの解析に基づいて第2のプロセスステップに対する少なくとも1つの調整を決定させ、ここで前記第1のプロセスステップおよび前記第2のプロセスステップは、電池製造プロセスに対応しており、
前記少なくとも1つの調整に関連する情報を前記第2のプロセスステップに提供させる命令が格納された、非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0067
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0067】
本開示においてセットの「少なくとも1つ」および/またはセットの「1または複数」を述べるクレーム言語またはその他の言語は、そのセットの1つのメンバまたは(任意の組み合わせの)複数のメンバがクレームを満たすことを示す。たとえば、「AおよびBの少なくとも1つ」または「AまたはBの少なくとも1つ」を述べるクレーム言語は、A、B、またはAおよびBを意味する。他の例では、「A、B、およびCの少なくとも1つ」または「A、B、またはCの少なくとも1つ」を述べるクレーム言語は、A、B、C、またはAおよびB、またはAおよびC、またはBおよびC、またはAおよびBおよびCを意味する。セットの「少なくとも1つ」および/またはセットの「1または複数」という言語は、そのセットをセット内に挙げられた項目に限定するものではない。たとえば、「AおよびBの少なくとも1つ」または「AまたはBの少なくとも1つ」を述べるクレーム言語は、A、B、またはAおよびBを意味し、AおよびBのセットに挙げられていない項目を更に含むこともできる。
[1]
製造プロセスを制御する方法であって、
第1のプロセスステップ中に信号ベースの解析を行うことと、
前記第1のプロセスステップ中に行われた前記信号ベースの解析に基づいて第2のプロセスステップに対する少なくとも1つの調整を決定することであって、前記第1のプロセスステップおよび前記第2のプロセスステップは、電池製造プロセスに対応することと、
前記少なくとも1つの調整に関連する情報を前記第2のプロセスステップに提供することと
を備える方法。
[2]
前記第2のプロセスステップは前記第1のプロセスステップより先であり、前記情報を提供することはフィードバックを備える、[1]に記載の方法。
[3]
前記第2のプロセスステップは前記第1のプロセスステップより後であり、前記情報を提供することはフィードフォワードを備える、[1]に記載の方法。
[4]
前記第1のプロセスステップおよび前記第2のプロセスステップは、前記電池製造プロセスにおける同じプロセスステップに対応する、[1]に記載の方法。
[5]
前記第1のプロセスステップ中に信号ベースの解析を行うことは、
前記第1のプロセスステップに関連する構成要素に向けて第1の音響信号を送信することと、
前記第1の音響信号に対応する少なくとも第2の音響信号を受信することと、
前記第1の音響信号および前記第2の音響信号に基づいて音響パラメータを決定することと
を備える、[1]に記載の方法。
[6]
前記音響パラメータに基づいて、少なくとも1つの製造パラメータが閾値要件未満であることを決定することであって、前記少なくとも1つの調整は、前記少なくとも1つの製造パラメータを調整するように構成されること
を更に備える、[5]に記載の方法。
[7]
前記少なくとも1つの調整は、電極スラリーの密度、電極スラリーの沈殿、コーティングの厚さ、スラリーコータの速度、オーブン乾燥時間、およびオーブン乾燥温度の少なくとも1つに関連する、[1]に記載の方法。
[8]
製造プロセスを制御するための装置であって、
少なくとも1つのメモリと、
前記少なくとも1つのメモリに結合され、
第1のプロセスステップ中に信号ベースの解析を行い、
前記第1のプロセスステップ中に行われた前記信号ベースの解析に基づいて第2のプロセスステップに対する少なくとも1つの調整を決定し、ここで前記第1のプロセスステップおよび前記第2のプロセスステップは、電池製造プロセスに対応しており、
前記少なくとも1つの調整に関連する情報を前記第2のプロセスステップに提供する
ように構成された少なくとも1つのプロセッサと
を備える装置。
[9]
前記第2のプロセスステップは前記第1のプロセスステップより先であり、前記情報を提供することはフィードバックを備える、[8]に記載の装置。
[10]
前記第2のプロセスステップは前記第1のプロセスステップより後であり、前記情報を提供することはフィードフォワードを備える、[8]に記載の装置。
[11]
前記第1のプロセスステップおよび前記第2のプロセスステップは、前記電池製造プロセスにおける同じプロセスステップに対応する、[8]に記載の装置。
[12]
前記少なくとも1つのプロセッサに結合された少なくとも1つのトランスデューサを更に備え、前記少なくとも1つのプロセッサは更に、
前記少なくとも1つのトランスデューサを介して、前記第1のプロセスステップに関連する構成要素に向けて第1の音響信号を送信し、
前記少なくとも1つのトランスデューサを介して、前記第1の音響信号に対応する少なくとも第2の音響信号を受信し、
前記第1の音響信号および前記第2の音響信号に基づいて音響パラメータを決定するように構成される、[8]に記載の装置。
[13]
前記少なくとも1つのプロセッサは更に、
前記音響パラメータに基づいて、少なくとも1つの製造パラメータが閾値要件未満であることを決定するように構成され、前記少なくとも1つの調整は、前記少なくとも1つの製造パラメータを調整するように構成される、[12]に記載の装置。
[14]
前記少なくとも1つの調整は、電極スラリーの密度、電極スラリーの沈殿、コーティングの厚さ、スラリーコータの速度、オーブン乾燥時間、およびオーブン乾燥温度の少なくとも1つに関連する、[8]に記載の装置。
[15]
1または複数のプロセッサによって実行されると、前記1または複数のプロセッサに、
第1のプロセスステップ中に信号ベースの解析を行わせ、
前記第1のプロセスステップ中に行われた前記信号ベースの解析に基づいて第2のプロセスステップに対する少なくとも1つの調整を決定させ、ここで前記第1のプロセスステップおよび前記第2のプロセスステップは、電池製造プロセスに対応しており、
前記少なくとも1つの調整に関連する情報を前記第2のプロセスステップに提供させる命令が格納された、非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
[16]
前記第2のプロセスステップは前記第1のプロセスステップより先であり、前記情報を提供することはフィードバックを備える、[15]に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
[17]
前記第2のプロセスステップは前記第1のプロセスステップより後であり、前記情報を提供することはフィードフォワードを備える、[15]に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
[18]
1または複数のプロセッサによって実行されると、前記1または複数のプロセッサに、
前記少なくとも1つのトランスデューサを介して、前記第1のプロセスステップに関連する構成要素に向けて第1の音響信号を送信させ、
前記少なくとも1つのトランスデューサを介して、前記第1の音響信号に対応する少なくとも第2の音響信号を受信させ、
前記第1の音響信号および前記第2の音響信号に基づいて音響パラメータを決定させる命令を備える、[15]に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
[19]
1または複数のプロセッサによって実行されると、前記1または複数のプロセッサに、
前記音響パラメータに基づいて、少なくとも1つの製造パラメータが閾値要件未満であることを決定させる命令を備え、前記少なくとも1つの調整は、前記少なくとも1つの製造パラメータを調整するように構成される、[18]に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
[20]
前記少なくとも1つの調整は、電極スラリーの密度、電極スラリーの沈殿、コーティングの厚さ、スラリーコータの速度、オーブン乾燥時間、およびオーブン乾燥温度の少なくとも1つに関連する、[15]に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【国際調査報告】