(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-21
(54)【発明の名称】コネクタ、コネクタアセンブリおよび電子デバイス
(51)【国際特許分類】
H01R 13/6471 20110101AFI20230614BHJP
【FI】
H01R13/6471
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022570354
(86)(22)【出願日】2021-01-04
(85)【翻訳文提出日】2022-12-22
(86)【国際出願番号】 CN2021070176
(87)【国際公開番号】W WO2021232825
(87)【国際公開日】2021-11-25
(31)【優先権主張番号】202010424559.2
(32)【優先日】2020-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504161984
【氏名又は名称】ホアウェイ・テクノロジーズ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リ、チアン
(72)【発明者】
【氏名】シャオ、コンツ
(72)【発明者】
【氏名】オウ、ジェンヤン
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA05
5E021FB14
5E021FC21
5E021LA09
5E021LA11
5E021LA15
(57)【要約】
コネクタ、コネクタアセンブリ、および電子デバイスが、信号間のクロストーク現象を改善するとともに信号送信性能を最適化するために提供される。コネクタは、アレイ方式で配置された複数の第1の端子モジュール(200)を備え、ここで、第1の端子モジュール(200)は、遮蔽ユニット(20)と第1の信号端子(10)とを含み、遮蔽ユニット(20)は、順に接続されて遮蔽キャビティ(22)を形成する複数の遮蔽板(21)を含む。背面が遮蔽キャビティ(22)に向いている遮蔽板(21)の第1の表面(211)は、ペアになったコネクタのピア遮蔽板(51)と協働するために使用されており、第1の表面(211)から突出している接触ユニット(30)が遮蔽板(21)の上にさらに配置されている。接触ユニット(30)は、ペアになったコネクタのピア遮蔽板(51)に電気的に接続するように構成されており、第1の信号端子(10)は、遮蔽キャビティ(22)に位置付けられている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アレイ方式で配置された複数の第1の端子モジュールを備え、前記複数の第1の端子モジュールは、遮蔽ユニットと第1の信号端子とを有する、コネクタであって、
前記遮蔽ユニットは、順に接続されて遮蔽キャビティを形成する複数の遮蔽板を含み、前記複数の遮蔽板のそれぞれの第1の表面であって背面が前記遮蔽キャビティに向いている第1の表面は、ペアになったコネクタのピア遮蔽板と協働するように構成されており、前記第1の表面から突出している接触ユニットが前記遮蔽板上にさらに配置されており、前記接触ユニットは、前記ペアになったコネクタの前記ピア遮蔽板に電気的に接続するように構成されており、
前記第1の信号端子は前記遮蔽キャビティに位置付けられている、コネクタ。
【請求項2】
前記接触ユニットは剛性接触ユニットまたは弾性接触ユニットである、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記剛性接触ユニットは突出構造を有する、請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記弾性接触ユニットは第1のスプリングアームであり、前記第1のスプリングアームは前記第1の表面から離れた方向において配置され且つ傾斜している、請求項2に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記第1のスプリングアームの長さは0.9mm~2.5mmであり得る、請求項4に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記弾性接触ユニットは2つの第2のスプリングアームを含み、前記2つの第2のスプリングアームは、前記第1の表面から離れた方向にそれぞれ配置され且つ傾斜しており、前記2つの第2のスプリングアームの第1の端部は前記遮蔽板に個別に接続されており、前記2つの第2のスプリングアームの第2の端部は互いに交差している、請求項2に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記遮蔽ユニット内の遮蔽板の数は4つである、請求項1から6のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記4つの遮蔽板のうち各2つは互いに対向して配置されており、互いに対向して配置された前記2つの遮蔽板において、少なくとも1つの遮蔽板上に配置された接触ユニットは弾性接触ユニットである、請求項7に記載のコネクタ。
【請求項9】
前記4つの遮蔽板はそれぞれ、第1の遮蔽板、第2の遮蔽板、第3の遮蔽板、および第4の遮蔽板であり、前記第1の遮蔽板と前記第3の遮蔽板とは互いに対向して配置され且つ列方向において配置されており、前記第2の遮蔽板と前記第4の遮蔽板とは互いに対向して配置され且つ行方向において配置されており、
前記複数の第1の端子モジュールの第1の遮蔽板であり且つ同じ行に配置された第1の遮蔽板は互いに接続されており、前記複数の第1の端子モジュールの第3の遮蔽板であり同じ行に配置された第3の遮蔽板は互いに接続されている、請求項7または8に記載のコネクタ。
【請求項10】
少なくとも1つの接触ユニットが各遮蔽板に配置されている、請求項1から9のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項11】
請求項1から9のいずれか一項に記載のコネクタと、介装方式で前記コネクタにペアリングされ且つ接続された、ペアになったコネクタとを備えるコネクタアセンブリであって、前記ペアになったコネクタは、アレイ方式で配置された複数の第2の端子モジュールを有し、前記複数の第2の端子モジュールは、第2の信号端子と、複数のピア遮蔽板とを含み、
前記複数のピア遮蔽板は、前記第2の信号端子の周辺に配置されており、前記複数の第2の端子モジュールのそれぞれにおけるピア遮蔽板の数は、第1の端子モジュール内の遮蔽板の数に等しく、
前記ペアになったコネクタと前記コネクタとが相互ペアリングされている場合、前記第2の信号端子は、対応する第1の信号端子に電気的に接続されており、前記ピア遮蔽板は、2つの隣接した第1の端子モジュール間に介装されており、前記ピア遮蔽板の2つの側は、前記2つの隣接した第1の端子モジュールの遮蔽板にそれぞれ電気的に接続されている、コネクタアセンブリ。
【請求項12】
前記複数の第2の端子モジュールのそれぞれにおけるピア遮蔽板の数は4つである、請求項11に記載のコネクタアセンブリ。
【請求項13】
前記4つのピア遮蔽板はそれぞれ、第5の遮蔽板、第6の遮蔽板、第7の遮蔽板、および第8の遮蔽板であり、前記第5の遮蔽板と前記第7の遮蔽板とは互いに対向して配置され且つ列方向において配置されており、前記第6の遮蔽板と前記第8の遮蔽板とは互いに対向して配置され且つ行方向において配置されており、
前記複数の第2の端子モジュールの第5の遮蔽板であり且つ同じ行に配置された第5の遮蔽板は互いに接続されて1枚の遮蔽板を形成しており、前記複数の第2の端子モジュールの第7の遮蔽板であり且つ同じ行に配置された第7の遮蔽板は互いに接続されて1枚の遮蔽板を形成している、請求項12に記載のコネクタアセンブリ。
【請求項14】
前記1枚の遮蔽板は、第1の方向に向いている第1側の表面を有しており、前記第1側の表面は、2つの端部に位置付けられた平坦部と、前記2つの平坦部間に配置された円弧状のノッチとを含み、
前記第1の方向は、前記ペアになったコネクタと前記コネクタとの介装方向である、請求項13に記載のコネクタアセンブリ。
【請求項15】
第1回路板と、第2回路板と、請求項11から14のいずれか一項に記載のコネクタアセンブリとを備える電子デバイスであって、前記コネクタは、前記第1回路板上に配置され、前記第1回路板に電気的に接続されており、ペアになったコネクタは、前記第2回路板上に配置され、前記第2回路板に電気的に接続されている、電子デバイス。
【請求項16】
前記第1回路板はラインカードであり、前記第2回路板はネットワークインタフェースカードである、請求項15に記載の電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、電子デバイス技術分野、特に、コネクタ、コネクタアセンブリおよび電子デバイスに関連する。
【背景技術】
【0002】
高速コネクタは、情報および通信技術に幅広く適用されており、大規模通信デバイス、超高性能サーバ、巨大コンピュータ、工業用コンピュータ、およびハイエンドストレージデバイスに一般的に使用されるコネクタの種類である。高速コネクタの主な機能は、ラインカードとネットワークインタフェースカードとを接続すること、ならびに、ラインカードとネットワークインタフェースカードとの間の高速差動信号またはシングルエンド信号等を送信することである。通信技術の継続的な改善に伴い、データ送信レートおよび送信品質に対する要件もまたますます高くなっている。現在、既存の高速コネクタについては、接地遮蔽板の構造の限定により、信号間のクロストークが深刻になり、これはデータ送信レートおよびデータ送信品質に影響を与える。
【発明の概要】
【0003】
本願は、信号間のクロストーク現象を改善し、信号送信性能を最適化するべく、コネクタ、コネクタアセンブリ、および電子デバイスを提供する。
【0004】
第1の態様によると、本願はコネクタを提供する。コネクタは、アレイ方式で配置された複数の第1の端子モジュールを含む。第1の端子モジュールは、遮蔽ユニットおよび第1の信号端子を含み得る。遮蔽ユニットは、複数の遮蔽板を含み得る。複数の遮蔽板は順に接続されて遮蔽キャビティを形成し得る。第1の信号端子は、遮蔽キャビティに位置付けられている。具体的な設定において、遮蔽板は、背面が遮蔽キャビティに向いている第1の表面を有する。コネクタと、ペアになったコネクタとが相互ペアリングされている場合、第1の表面は、ピア遮蔽板と協働して電気的接続を実装するために使用され得る。遮蔽板とピア遮蔽板との間の電気的接続の信頼性を向上させるために、第1の表面から突出している接触ユニットが、遮蔽板上に配置され得る。遮蔽板は、接触ユニットを使用することによって、ピア遮蔽板への電気的接続を具体的に実装し得る。
【0005】
前述の解決手段において、複数の遮蔽板が第1の信号端子の周辺に配置されており、各遮蔽板は、接触ユニットを使用することによって、ペアになったコネクタのピア遮蔽板に電気的に接続され得る。したがって、比較的十分な信号復帰経路が存在する。第1の信号端子を囲む遮蔽構造が形成され、比較的良好な遮蔽効果を実装するとともにコネクタのクロストーク性能を最適化し得る。
【0006】
具体的な設定において、前述の接触ユニットは剛性接触ユニットであり得、または、遮蔽板とピア遮蔽板とが確実に電気的に接続されることができる限り、弾性接触ユニットであり得る。これについては、本願において限定しない。
【0007】
接触ユニットが剛性接触ユニットである場合、接触ユニットは、具体的に、第1の表面から突出している突出構造であり得る。突出構造は比較的低い高さを有しているので、遮蔽板とピア遮蔽板との間に形成された復帰経路は非常に短く、良好な遮蔽効果を実装する。
【0008】
突出構造の具体的な構造形態は限定されない。例えば、突出構造は、円弧状突出部、または柱状突出部等であり得る。加えて、突出構造とピア遮蔽板との間の接触面積を増加させるために、ピア遮蔽板と接触している突出構造の頂部は、平面状として設計され得る。
【0009】
接触ユニットが弾性接触ユニットである場合、具体的な実装において、弾性接触ユニットは、第1の表面から離れた方向に配置され且つ傾斜した第1のスプリングアームであり得る。弾性接触ユニットと、ペアになったコネクタとが相互ペアリングされている場合、第1のスプリングアームの端部であり且つ第1の表面から離れている1つの端部は、ピア遮蔽板に電気的に接続され得る。第1のスプリングアームは、遮蔽板とピア遮蔽板との間に信号復帰経路を形成する。
【0010】
具体的な設定において、第1のスプリングアームの長さは、例えば0.9mm~2.5mmのように比較的小さく設計され得、復帰経路の長さを短縮させ得る。
【0011】
加えて、第1のスプリングアームの比較的良好な弾力性性能を維持するために、第1のスプリングアームの幅寸法は比較的小さく設計され得、具体的には0.25mm~0.3mmの値であり得る。
【0012】
別の実装において、弾性接触ユニットは、代替的に、ダブルスプリングアーム構造であり得る。具体的には、弾性接触ユニットは、2つの第2のスプリングアームを含み得る。2つの第2のスプリングアームは、第1の表面から離れた方向にそれぞれ配置され且つ傾斜している。2つのスプリングアームの第1の端部は、遮蔽板に個別に接続されている。2つのスプリングアームの第2の端部は、第1の表面から離れて拡張している。2つのスプリングアームは、互いに交差している。ペアになったコネクタとの相互ペアリング中に、2つの第2のスプリングアームの交差位置は、ピア遮蔽板に電気的に接続され得る。このように、2つの第2のスプリングアームは、遮蔽板とピア遮蔽板との間で信号復帰経路を個別に形成し得る。したがって、この構造を使用することによって、1つの接触ユニットは2つの信号復帰経路を形成し得、これは、遮蔽ユニット全体と、ペアになったコネクタとの間の信号復帰経路の数を増加させて、それにより信号クロストーク性能を最適化することに役立つ。
【0013】
いくつかの可能な実装において、遮蔽ユニット内の遮蔽板の数は、様々な遮蔽板が、第1の信号端子を収容する遮蔽キャビティを形成できる限り、3つ、4つ、5つであってよく、またはそれより多くてよい。これについては、本願において限定しない。
【0014】
遮蔽ユニットが4つの遮蔽板を含む場合、4つの遮蔽板のうち各2つは、互いに対向して配置され得る。互いに対向して配置された2つの遮蔽板において、少なくとも1つの遮蔽板上に配置された接触ユニットは弾性接触ユニットである。このように、コネクタと、ペアになったコネクタとが相互ペアリングされている場合、ピア遮蔽板は、2つの隣接した第1の端子モジュールの2つの遮蔽板間に介装され得る。第1の端子モジュールのアレイ配置特徴により、弾性接触ユニットは、2つの遮蔽板のうちの少なくとも1つの上に配置されている。弾性接触ユニットを使用することによってピア遮蔽板の1つの側に適用された弾性力は、ピア遮蔽板を、他方側の接触ユニットに対して当接させ得る。このように、確実な電気的接続が、2つの側のピア遮蔽板と遮蔽板との両方に対して実装されることができる。
【0015】
前述の解決手段において、4つの遮蔽板はそれぞれ、第1の遮蔽板、第2の遮蔽板、第3の遮蔽板、および第4の遮蔽板であり得る。第1の遮蔽板と第3の遮蔽板とは互いに対向して配置され且つ列方向において配置されており、第2の遮蔽板と第4の遮蔽板とは互いに対向して配置され且つ行方向において配置されている。コネクタの構造および製造プロセスを単純化させるために、複数の第1の端子モジュールの第1の遮蔽板であり且つ同じ行に配置された第1の遮蔽板は、一体的構造として互いに接続され得る。同様に、複数の第1の端子モジュールの第3の遮蔽板であり且つ同じ行に配置された第3の遮蔽板もまた、一体的構造として互いに接続され得る。
【0016】
信号復帰経路を増加させるために、少なくとも1つの接触ユニットが各遮蔽板に配置され得る。
【0017】
加えて、遮蔽板およびピア遮蔽板の介装方向において、この方向における各遮蔽板上に配置された接触ユニットの垂直方向の長さは、1mm以内と設定され得、信号電流と接地復帰電流との変換点が基本的に同一平面上にあることを保証し、それにより、信号が基準接地に復帰する変換を低減し、クロストーク共振点の周波数の発生を遅らせ、コネクタが相互ペアリングされた後のクロストーク性能を向上させる。
【0018】
第2の態様によると、本願はさらに、第1の態様の任意の可能な実装におけるコネクタと、介装方式で当該コネクタにペアリングされ且つ接続されている、ペアになったコネクタとを含むコネクタアセンブリを提供する。ペアになったコネクタは、アレイ方式で配置された複数の第2の端子モジュールを含み得る。第2の端子モジュールは、第2の信号端子と、複数のピア遮蔽板とを含む。複数のピア遮蔽板は、第2の信号端子の周辺に配置されている。第2の端子モジュール内のピア遮蔽板の数は、第1の端子モジュール内の遮蔽板の数に等しく、ペアになったコネクタとコネクタとの間の適合と、相互ペアリング後の遮蔽効果とを保証する。ペアになったコネクタとコネクタとが相互ペアリングされている場合、第2の信号端子は、第1の信号端子に電気的に接続するように具体的に構成されている。ピア遮蔽板は、2つの隣接した第1の端子モジュール間に介装され得る。ピア遮蔽板の2つの側は、2つの隣接した第1の端子モジュールの2つの遮蔽板にそれぞれ電気的に接続され得る。
【0019】
前述の解決手段に提供されたコネクタアセンブリの場合、信号端子を囲む遮蔽構造が遮蔽板とピア遮蔽板との間の協働を通じて形成されることで、比較的十分な信号復帰経路を取得するとともに比較的良好な遮蔽効果を実装することができる。
【0020】
いくつかの可能な実装において、第2の端子モジュール内のピア遮蔽板の数は、具体的に、4つであり得る。4つのピア遮蔽板はそれぞれ、第5の遮蔽板、第6の遮蔽板、第7の遮蔽板、および第8の遮蔽板である。第5の遮蔽板と第7の遮蔽板とは互いに対向して配置され且つ列方向において配置されており、第6の遮蔽板と第8の遮蔽板とは互いに対向して配置され且つ行方向において配置されている。同様に、コネクタの構造を単純化するために、複数の第2の端子モジュールの第5の遮蔽板であり且つ同じ行に配置された第5の遮蔽板は互いに接続されて1枚の遮蔽板を形成し得、複数の第2の端子モジュールの第7の遮蔽板であり且つ同じ行に配置された第7の遮蔽板もまた互いに接続されて1枚の遮蔽板を形成し得る。
【0021】
長い遮蔽板は、実際の処理プロセスにおいて完全に直線にすることができないので、微細な撓みが生じ得る。1枚の遮蔽板と、コネクタの第1の遮蔽板または第3の遮蔽板によって形成された長い遮蔽板との間の円滑な介装を保証するために、設定において、ペアになったコネクタとコネクタとの介装方向は第1の方向として使用されている。円弧状のノッチと、円弧状のノッチの2つの端部に位置付けられた2つの平坦部とは、第1の方向において1枚の遮蔽板の第1側の表面に配置されている。介装接続が1枚の遮蔽板とコネクタの長い遮蔽板とに対して実装された場合、円弧状のノッチの構造は、コネクタの長い遮蔽板に対する撓みの反対方向において作用力を生じさせて、撓みを低減し、それにより、長い遮蔽板の屈曲ピンまたは破砕ピンのリスクを低減し、コネクタアセンブリの構造的信頼性を向上させ得る。
【0022】
第3の態様によると、本願は、電子デバイスをさらに提供する。電子デバイスは、第1回路板、第2回路板、および第2の態様の前述の可能な実装のいずれか1つにおけるコネクタアセンブリを含む。コネクタは第1回路板上に配置され得、第1回路板に電気的に接続されている。ペアになったコネクタは第2回路板上に配置され得、第2回路板に電気的に接続されている。このように、コネクタとペアになったコネクタとが相互ペアリングされ且つ接続されている場合、信号は、第1回路板と第2回路板との間で送信され得る。コネクタアセンブリの比較的良好な遮蔽性能により、信号間のクロストーク現象を改善することができ、信号送信性能を最適化することができる。
【0023】
第1回路板および第2回路板の具体的な種類は限定されない。例えば、いくつかの可能な実装において、第1回路板は具体的にラインカードであり得、第2回路板は具体的にネットワークインタフェースカードであり得る。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【0025】
【
図2】本願の実施形態に係る遮蔽板の構造の概略図である。
【0026】
【
図3】
図2の遮蔽板とピア遮蔽板との間の電気的接続の構造の概略図である。
【0027】
【
図4】本願の実施形態に係る別の遮蔽板の構造の概略図である。
【0028】
【
図5】
図4の遮蔽板とピア遮蔽板との間の電気的接続の構造の概略図である。
【0029】
【
図6】本願の実施形態に係る第1の端子モジュールの構造の概略図である。
【0030】
【
図7】
図6に示された第1の端子モジュールを特定の角度で回転させた後の構造の概略図である。
【0031】
【
図8】
図6に示された第1の端子モジュールとペアになったコネクタとの間の相互ペアリングの構造の概略図である。
【0032】
【
図9】本願の実施形態に係る第2の端子モジュールの構造の概略図である。
【0033】
【
図10】本願の実施形態に係る1枚の遮蔽板と長い雌型遮蔽板との間の介装接続の状態の図である。
【0034】
【
図11a】本願の実施形態に係る1枚の遮蔽板の応力状態の図である。
【0035】
【
図11b】本願の実施形態に係る長い雌型遮蔽板の応力状態の図である。
【0036】
【
図12】従来技術に係るコネクタのクロストークカーブである。
【0037】
【
図13】本願の実施形態に係るコネクタのクロストークカーブである。
【0038】
参照番号:
100:ベース 200:第1の端子モジュール 10:第1の信号端子 20:遮蔽ユニット 21:遮蔽板 22:遮蔽キャビティ 23:第1の遮蔽板 24:第2の遮蔽板 25:第3の遮蔽板 26:第4の遮蔽板
211:第1の表面 51:ピア遮蔽板 30:弾性ユニット 31:突出構造 32:第1のスプリングアーム 27:ノッチ
33:第2のスプリングアーム 300:第2の端子モジュール 40:第2の信号端子 52:第5の遮蔽板 53:第6の遮蔽板
54:第7の遮蔽板 55:第8の遮蔽板 56:1枚の遮蔽板 28:長い雌型遮蔽板 57:円弧状のノッチ
58:平坦部
【発明を実施するための形態】
【0039】
本願の目的、技術的解決手段、および利点をより明確にするために、以下では、添付図面を参照して本願をさらに詳細に説明する。
【0040】
本願の実施形態に提供されたコネクタの理解を容易にするために、以下では、まず、コネクタの適用シナリオを説明する。コネクタは電子デバイスに適用され得、高速差動信号、またはシングルエンド信号等を送信するように構成されている。電子デバイスは、従来技術における通信デバイス、サーバ、スーパーコンピュータ、ルータ、またはスイッチなどのデバイスであり得る。雄型コネクタと雌型コネクタとが相互ペアリングされている場合、信号送信品質を保証するために、一般に、接地遮蔽構造が信号間に配置されている。信号経路速度および密度が徐々に増加することにつれて、従来の遮蔽構造の場合、信号間のクロストーク共振などの現象は、比較的少ない数の接地点、および過度に長い復帰経路などの問題により生じる。特に、56GBpsのまたはより高速のデータ送信シナリオにおいて、コネクタのカプセル化クロストークは、デバイス全体のクロストークボトルネックとなる。遮蔽構造の設計は、信号送信品質が向上できるかどうかに対して重要な影響を与える。
【0041】
これに基づいて、本願の実施形態は、コネクタを提供する。コネクタにおいて、遮蔽板は信号端子の周辺に配置されている。コネクタとペアになったコネクタとが相互ペアリングされている場合、各遮蔽板は、ペアになったコネクタのピア遮蔽板に個別に電気的に接続され得る。したがって、比較的十分な信号復帰経路が存在する。信号端子を囲む遮蔽構造が形成され、良好な遮蔽効果を実装するとともにコネクタのクロストーク性能を最適化し得る。以下では、添付図面を参照して、本願の実施形態に提供されたコネクタを詳細に説明する。
【0042】
図1は、本願に係るコネクタの構造の概略図である。本願のこの実施形態に提供されたコネクタは、ベース100と、複数の第1の端子モジュール200とを含み得る。第1の端子モジュール200はベース100上に配置され得、アレイ状態でベース100上に配置されている。具体的な実装において、第1の端子モジュール200は、第1の信号端子10と、遮蔽ユニット20とを含み得る。第1の信号端子10は、具体的に、ペアで配置された差動信号端子であり得る。コネクタとペアになったコネクタとが相互ペアリングされ且つ接続されている場合、第1の信号端子10は、ペアになったコネクタの第2の信号端子に電気的に接続されて、電子デバイスにおいて差動信号を送信するように構成され得る。遮蔽ユニット20は、複数の遮蔽板21を含み得る。設定において、複数の遮蔽板21は、第1の信号端子10を収容するために、遮蔽キャビティ22を形成するように順に接続され得る。このように、遮蔽板21は個別に接地されて、複数の信号復帰経路を生成するとともに、第1の信号端子10を囲む遮蔽構造を形成し、それにより、比較的均一な接地分布を実装するとともに、比較的良好な信号遮蔽効果を実装する。
【0043】
第1の端子モジュール200のアレイにおいて、各第1の端子モジュール200は、N個の他の第1の端子モジュール200に隣接して配置され得る。Nは遮蔽ユニット20内の遮蔽板21の数であることが理解され得る。具体的な実装において、Nは、様々な遮蔽板21が、第1の信号端子10を収容する遮蔽キャビティ22を形成できる限り、3つ、4つ、5つであってよく、またはそれより多くてよい。これについては、本願において限定しない。以下では、説明のために、4つの遮蔽板21を一例として具体的に使用する。
【0044】
説明を容易にするために、4つの遮蔽板21はそれぞれ、第1の遮蔽板23、第2の遮蔽板24、第3の遮蔽板25、および第4の遮蔽板26と称される。第1の遮蔽板23、第2の遮蔽板24、第3の遮蔽板25、および第4の遮蔽板26は、順に接続されている。第1の遮蔽板23と第3の遮蔽板25とは互いに対向して配置されており、第2の遮蔽板24と第4の遮蔽板26とは互いに対向して配置されている。第1の端子モジュールのアレイにおいて、第1の遮蔽板23と第3の遮蔽板25とはアレイの行方向(すなわち、x方向)において配置され得、第2の遮蔽板24と第4の遮蔽板26とはアレイの列方向(すなわち、y方向)において配置され得る。コネクタの構造および製造プロセスを単純化させるために、本願のこの実施形態では、複数の第1の端子モジュール200の第1の遮蔽板23であり且つ同じ行に配置された第1の遮蔽板23は、一体的構造として互いに接続され得る。同様に、複数の第1の端子モジュール200の第3の遮蔽板25であり且つ同じ行に配置された第3の遮蔽板25もまた、一体的構造として互いに接続され得る。
【0045】
本願のこの実施形態において、各遮蔽板21は、ペアになったコネクタのピア遮蔽板に電気的に接続された場合に、具体的に接地され得る。具体的な実装において、遮蔽板21は、背面が遮蔽キャビティ22に向いている第1の表面211を有する。第1の表面211は、ピア遮蔽板と協働している遮蔽板21の表面である。
図1における第1の端子モジュールAは一例として使用されている。第1の端子モジュールAの第1の遮蔽板23の位置は、上側の第1の端子モジュールBの第3の遮蔽板25の位置に相対的である。コネクタとペアになったコネクタとが相互ペアリングされている場合、ピア遮蔽板は、第1の端子モジュールAの第1の遮蔽板23と、第1の端子モジュールBの第3の遮蔽板25との間に具体的に介装され得る。換言すれば、第1の端子モジュールAの第1の遮蔽板23と、第1の端子モジュールBの第3の遮蔽板25とは、同じピア遮蔽板に電気的に接続されることで、ペアになったコネクタの構造を単純化するとともに、相互ペアリング後に形成されたコネクタアセンブリのサイズを低減し得る。
【0046】
同様に、第1の端子モジュールAの第2の遮蔽板24と、右側の第1の端子モジュールCの第4の遮蔽板26とは、同じピア遮蔽板に電気的に接続され得る。第1の端子モジュールAの第3の遮蔽板25と、下側の第1の端子モジュールDの第1の遮蔽板23とは、同じピア遮蔽板に電気的に接続され得る。第1の端子モジュールAの第4の遮蔽板26と、左側の第1の端子モジュールEの第2の遮蔽板24とは、同じピア遮蔽板に電気的に接続され得る。
【0047】
遮蔽板21とピア遮蔽板との間の電気的接続の信頼性を向上させるために、第1の表面211から突出している接触ユニットが、遮蔽板21上にさらに配置され得る。遮蔽板21とピア遮蔽板との間の電気的接続は、接触ユニットを使用することによって具体的に実装される。具体的な実装において、接触ユニットは、剛性接触ユニットであり得、または、弾性接触ユニットであり得る。これは、本願のこの実施形態において具体的に限定されるものではない。
【0048】
図2は、本願の実施形態に係る遮蔽板21の構造の概略図である。
図3は、
図2の遮蔽板21とピア遮蔽板51との間の電気的接続の構造の概略図である。この実施形態において、接触ユニット30が剛性接触ユニットである場合、接触ユニット30は、具体的に、突出構造31であり得る。ペアになったコネクタとの相互ペアリング中に、突出構造31の頂部は、ピア遮蔽板51との剛性接触を有することとなり、電気的接続を実装し得る。突出構造31の高さは比較的低いので、遮蔽板21とピア遮蔽板51との間に形成された復帰経路は非常に短く、比較的良好な遮蔽効果を実装するとともにクロストーク共振の周波数の発生を遅らせる。
【0049】
前述の実施形態において、突出構造31の具体的な構造形態は限定されない。例えば、突出構造31は、円弧状突出部または柱状突出部であり得る。接触ユニット30とピア遮蔽板51との間の確実な接触を保証するために、本願のこの実施形態では、突出構造31の頂部は、平面状で設計され、突出構造31とピア遮蔽板51との間の接触面積を増加させ得る。
【0050】
図4は、本願の実施形態に係る別の遮蔽板21の構造の概略図である。
図5は、
図4の遮蔽板21とピア遮蔽板51との間の電気的接続の構造の概略図である。この実施形態において、接触ユニット30が弾性接触ユニットである場合、接触ユニット30は、具体的に、スプリングアーム構造、すなわち、
図4に示された第1のスプリングアーム32であり得る。具体的な設定において、第1のスプリングアーム32は、第1の表面211から離れた方向に配置され且つ傾斜し得る。第1のスプリングアーム32の第1の端部は遮蔽板21に接続されており、第2の端部は第1の表面211から離れた方向において拡張している。ペアになったコネクタとの相互ペアリング中に、第1のスプリングアーム32の第2の端部は、ピア遮蔽板51との弾性接触を有することとなり、電気的接続を実装し得る。この事例では、第1のスプリングアーム32は、遮蔽板21とピア遮蔽板51との間に信号復帰経路を形成する。
【0051】
前述の実施形態において、第1のスプリングアーム32の長さ範囲は、0.9mm~2.5mmであり得る。例えば、第1のスプリングアーム32の長さは、具体的に0.9mm、1.1mm、1.3mm、1.5mm、1.7mm、1.9mm、2.1mm、2.3mm、または2.5mmであり得る。従来技術における3mmより大きい長さを有するスプリングアームと比較して、この解決手段において、復帰経路の長さは、明らかに短縮されることができる。加えて、第1のスプリングアーム32の比較的良好な弾力性性能を維持するために、第1のスプリングアーム32の幅寸法は比較的小さく設計され得る。本願のこの実施形態において、第1のスプリングアーム32の幅範囲は、0.25mm~0.3mmであり得る。例えば、第1のスプリングアーム32の幅は、具体的に0.25mm、0.26mm、0.27mm、0.28mm、0.29mm、または0.3mmであり得る。第1のスプリングアーム32の長さ寸法と幅寸法との両方が比較的小さいので、形成された復帰経路の誘導性は低減する。したがって、30GHzを上回る高周波数信号共振が効果的に低減できる。
【0052】
加えて、本願のいくつかの実施形態において、ノッチ27が遮蔽板21上にさらに配置され得る。第1のスプリングアーム32は、遮蔽板21の総厚を低減するために、ノッチ27に具体的に配置され得る。具体的な実装において、第1のスプリングアーム32の第1の端部はノッチ27の内壁に接続され、第1のスプリングアーム32の構造的安定性を向上させ得る。
【0053】
図6は、本願の実施形態に係る第1の端子モジュール200の構造の概略図である。前述のシングルスプリングアーム形成に加えて、本願のこの実施形態では、接触ユニット30が弾性接触ユニットである場合、接触ユニット30はダブルスプリングアーム構造としてさらに設計され、コネクタとペアになったコネクタとの間により多くの信号復帰経路を形成し得る。具体的に、接触ユニット30は2つの第2のスプリングアーム33を含む。2つの第2のスプリングアーム33はそれぞれ、第1の表面211から離れた方向に配置され且つ傾斜している。2つの第2のスプリングアーム33の第1の端部は、遮蔽板21に個別に接続されている。2つのスプリングアーム33の第2の端部は、第1の表面211から離れた方向において拡張している。2つのスプリングアーム33は、互いに交差している。換言すれば、接触ユニット30はV字型構造である。ペアになったコネクタとの相互マッチング中に、2つの第2のスプリングアーム33の交差位置は、ピア遮蔽板51と接触されて、電気的接続を実装し得る。このように、2つの第2のスプリングアーム33は、遮蔽板21とピア遮蔽板51との間で信号復帰経路を個別に形成する。換言すれば、接触ユニット30はダブルスプリングアーム構造として設計されている。1つの接触ユニット30は2つの信号復帰経路を形成し得、これは、遮蔽ユニット全体と、ペアになったコネクタとの間の信号復帰経路の数を増加させて、信号クロストーク性能を最適化することに役立つ。
【0054】
同様に、本願のいくつかの実施形態において、弾性接触ユニットは代替的に、遮蔽板のノッチ27に具体的に配置されて、遮蔽板21の総厚を低減し得る。具体的な実装において、2つの第2のスプリングアーム33の第1の端部はノッチ27の内壁に個別に接続され、接触ユニット30の構造的安定性を向上させ得る。
【0055】
図7は、
図6に示された第1の端子モジュール200を特定の角度で回転させた後の構造の概略図である。
図8は、
図6に示された第1の端子モジュール200とペアになったコネクタとの間の相互ペアリングの構造の概略図である。
図6、
図7、および
図8を参照すると、第1の端子モジュール200において、上側の第1の端子モジュール200の第1の遮蔽板23および第3の遮蔽板25は、同じピア遮蔽板51に電気的に接続され得ることが、前述の説明から分かり得る。下側の第1の端子モジュール200の第3の遮蔽板25と第1の遮蔽板23とは、同じピア遮蔽板51に電気的に接続され得る。したがって、行方向(すなわち、x方向)に配置されたピア遮蔽板51の場合、ピア遮蔽板51は常に、2つの隣接した第1の端子モジュール200の第1の遮蔽板23と第3の遮蔽板25との間に介装されている。ピア遮蔽板51と、対応する第1の遮蔽板23および第3の遮蔽板25の各々との間の電気的接続の信頼性を保証するために、本願のこの実施形態では、第1の遮蔽板23および第3の遮蔽板25のうち少なくとも1つの遮蔽板上に配置された接触ユニット30は、弾性接触ユニットである。例えば、第1の遮蔽板23上に配置された接触ユニット30は弾性接触ユニットであり、第3の遮蔽板25上に配置された接触ユニット30は剛性接触ユニットである。このように、コネクタとペアになったコネクタとが相互ペアリングされている場合、ピア遮蔽板51は、第1の遮蔽板23と第3の遮蔽板25との間に円滑に介装されることができる。加えて、弾性接触ユニットを使用することによってピア遮蔽板51の1つの側に適用された弾性力は、ピア遮蔽板51を、他方側の剛性接触ユニットに対して当接させ得る。このように、確実な電気的接続が、ピア遮蔽板51と第3の遮蔽板25との間に実装されることができる。
【0056】
第2の遮蔽板24および第4の遮蔽板26の場合、右側の第1の端子モジュール200の第2の遮蔽板24と第4の遮蔽板26とは同じピア遮蔽板51に電気的に接続され得、左側の第1の端子モジュール200の第4の遮蔽板26と第2の遮蔽板24とは同じピア遮蔽板51に電気的に接続され得る。したがって、列方向において配置されたピア遮蔽板51の場合、ピア遮蔽板51は常に、2つの隣接した第1の端子モジュール200の第2の遮蔽板24と第4の遮蔽板26との間に介装されている。同様に、ピア遮蔽板51と、対応する第2の遮蔽板24および第4の遮蔽板26の各々との間の電気的接続の信頼性を保証するために、本願のこの実施形態では、第2の遮蔽板24および第4の遮蔽板26のうち少なくとも1つの遮蔽板上に配置された接触ユニットは、弾性接触ユニットである。例えば、第2の遮蔽板24上に配置された接触ユニット30は弾性接触ユニットであり、第4の遮蔽板26上に配置された接触ユニット30は剛性接触ユニットである。具体的な接続効果は前述の解決手段と同様である。ここでは詳細について改めて説明しない。
【0057】
コネクタとペアになったコネクタとの介装方向において、この方向における第1の遮蔽板23、第2の遮蔽板24、第3の遮蔽板25、および第4の遮蔽板26の各々の上に配置された接触ユニット30の垂直方向の長さは、1mm以内であるように設定され得ることに留意されたい。この設計において、信号電流と接地復帰電流との変換点が基本的に同一平面上にあることを保証し、それにより、信号が基準接地に復帰する変換を低減し、クロストーク共振点の周波数の発生を遅らせ、コネクタが相互ペアリングされた後のクロストーク性能を向上させる。
【0058】
加えて、1つまたはより多くの接触ユニット30が、各遮蔽板21上に配置され得る。配置された接触ユニット30の具体的な数は遮蔽板21のサイズに基づいて決定されて、可能な限りコネクタの正常動作に影響を与えることなく、コネクタとペアになったコネクタとの間の信号復帰経路を増加させ、それにより、コネクタが相互ペアリングされた後の信号クロストーク現象を改善し得る。例えば、
図8に示された実施形態において、2つの突出構造31が、第3の遮蔽板25上に配置されている。したがって、2つの信号復帰経路が、第3の遮蔽板25とピア遮蔽板51との間に形成され得、2つの信号復帰経路が、第1の遮蔽板23上に配置されたV字型の弾性接触ユニット30によって提供され、2つの信号復帰経路が、第2の遮蔽板24上に配置されたV字型の弾性接触ユニット30によって提供され、1つの信号復帰経路が、第4の遮蔽板26上の突出構造31によって提供されている。結論として、遮蔽ユニットは、合計7つの信号復帰経路を提供し、コネクタのクロストーク性能を効果的に向上させることができる。
【0059】
結論として、本願のこの実施形態はコネクタを提供する。遮蔽板は、第1の信号端子の周辺に配置されている。各遮蔽板は、接触ユニットを使用することによって、ペアになったコネクタのピア遮蔽板に電気的に接続され得る。したがって、比較的十分な信号復帰経路が存在する。信号端子を囲む遮蔽構造が形成され、良好な遮蔽効果を実装するとともにコネクタのクロストーク性能を最適化し得る。
【0060】
図12は、別の解決手段を使用することによって準備されたコネクタのクロストークカーブである。
図13は、本願の実施形態に係るコネクタのクロストークカーブである。別の解決手段を使用することによって準備されたコネクタの遮蔽構造において、近端クロストークと遠端クロストークとは約20GHzで共振することが分かり得る。共振ピーク値は-23dBに到達し得、これは、コネクタの信号送信品質に著しく影響を与える。本願のこの実施形態に提供されたコネクタの場合、十分な信号復帰経路が設定されており、比較的均一な接地分布が相互ペアリングされた信号端子の周辺に実装されており、25GHz前の近端クロストークと遠端クロストークとの間に明らかな共振は生じない。したがって、本願のこの実施形態において、コネクタのクロストーク共振周波数は20GHzから約25GHzに増加し、高周波数クロストーク性能を最適化することができ、その結果、コネクタは、56GBpsおよびさらに高速のデータ送信をサポートするのに使用することができるようになる。
【0061】
依然として
図8を参照すると、本願の実施形態はさらに、コネクタアセンブリを提供する。コネクタアセンブリは、前述の実施形態のいずれか1つにおけるコネクタと、それを用いて当該コネクタに対して相互ペアリングおよび介装が実装された、ペアになったコネクタとを含む。本願のこの実施形態において、コネクタは具体的に雌型コネクタであり得、ペアになったコネクタは雄型コネクタであり得る。
【0062】
ペアになったコネクタは、アレイで配置された複数の第2の端子モジュールを含み得る。第2の端子モジュールは、具体的に、第2の信号端子40と、複数のピア遮蔽板51とを含み得る。複数のピア遮蔽板51は、第2の信号端子40の周辺に配置され得る。ペアになったコネクタとコネクタとが相互ペアリングされ且つ接続されている場合、第2の信号端子40は、第1の信号端子10に電気的に接続し、電子デバイス内で差動信号を送信するように具体的に構成されている。ピア遮蔽板51は、2つの隣接した第1の端子モジュール間に介装され得る。ピア遮蔽板51の2つの側は、2つの隣接した第1の端子モジュールの2つの遮蔽板21にそれぞれ電気的に接続され得る。
【0063】
具体的な実装において、3つ、4つ、5つ、またはより多くのピア遮蔽板51が第2の端子モジュール内に代替的に存在し得る。これについては、本願において限定しない。ペアになったコネクタとコネクタとの間の適合と、相互ペアリング後の遮蔽効果とを保証するために、第2の端子モジュール内のピア遮蔽板51の数は、第1の端子モジュール内の遮蔽板21の数に等しくてよいことが理解され得る。
【0064】
同様に、4つのピア遮蔽板51が一例として使用されている。
図9に示された第2の端子モジュール300の構造の概略図を参照すると、4つのピア遮蔽板51はそれぞれ、第5の遮蔽板52、第6の遮蔽板53、第7の遮蔽板54、および第8の遮蔽板55であり得る。第5の遮蔽板52と第7の遮蔽板54とは互いに対向して配置されており、第6の遮蔽板53と第8の遮蔽板55とは互いに対向して配置されている。第2の端子モジュール300のアレイにおいて、第5の遮蔽板52と第7の遮蔽板54とはアレイの行方向(すなわち、x方向)において配置され得、第6の遮蔽板53と第8の遮蔽板55とはアレイの列方向(すなわち、y方向)において配置され得る。コネクタの構造および製造プロセスを単純化するために、本願のこの実施形態では、同じ行に配置された複数の第2の端子モジュール300の第5の遮蔽板52は互いに接続されることで1枚の遮蔽板を形成し得、同様に、同じ行に配置された複数の第2の端子モジュール300の第7の遮蔽板53もまた互いに接続されることで1枚の遮蔽板を形成し得る。
【0065】
図10を参照すると、1枚の遮蔽板56は具体的に、第1の端子モジュールの第1の遮蔽板と第3の遮蔽板との間に介装され得る。複数の第1の端子モジュールのものであり同じ行に配置された第1の遮蔽板または第3の遮蔽板もまた一体構造、例えば、
図10に示された長い遮蔽板、を形成する場合、コネクタ内の長い遮蔽板は、以下では、説明を容易にするために、長い雌型遮蔽板28と称される。
1つの長い遮蔽板は、実際の処理プロセスにおいて完全に直線にすることができないので、微細な撓みが生じ得る。ペアになったコネクタとコネクタとが相互ペアリングされている場合、介装は、2つの側における長い遮蔽板に対して円滑に実装されない場合がある。
【0066】
図11aおよび
図11bに示されるように、この事例の発生リスクを低減するために、本願のいくつかの実施形態においては、ペアになったコネクタとコネクタとの介装方向は第1の方向(すなわち、z方向)であり、1枚の遮蔽板56は、第1の方向において第1側の表面上の円弧状のノッチ57と、円弧状のノッチ57の2つの端部上に位置付けられた平坦部58とを有している。このように、介装が1枚の遮蔽板56と長い雌型遮蔽板28との間で実装される場合、円弧状のノッチ57の側壁は、雌型遮蔽板28と接触し得る。1枚の遮蔽板56と雌型遮蔽板28とは互いに完全に平行ではないので、接触力Fが、介装プロセスにおいて円弧状のノッチ57の側壁に課される。接触力Fは、法線方向における分力Faと、接線方向における分力Fbとに分解され得る。分力Faは、長い雌型遮蔽板28上の反力Fa(角度により図示せず)を形成し得る。撓みの存在により、Fa'は、長い雌型遮蔽板28が位置付けられた平面に対して平行でなく、分力Fa'
1とFa'
2とに分解され得る。Fa'
1の方向は、1枚の遮蔽板56と長い雌型遮蔽板28との間で介装が実装された後の積層方向である。したがって、分力Fa'
1は常に、撓みの反対方向を指向し、相互ペアリングおよび介装における撓みを低減する機能を提供し、それにより、長い遮蔽板の屈曲ピンまたは破砕ピンのリスクを低減し、コネクタアセンブリの構造的信頼性を向上させることができる。このように、コネクタは、ペアになったコネクタに成功裏に接続できる。
【0067】
本願のこの実施形態に提供されたコネクタアセンブリは、遮蔽板とピア遮蔽板との間の協働を通じた比較的良好な遮蔽効果を実装するのみならず、長い遮蔽板の構造を向上させることもできることが分かり得る。このように、2つの側のコネクタが相互ペアリングされた場合に屈曲ピンが生じやすいという問題が解決でき、コネクタアセンブリの構造的信頼性を向上させることができる。
【0068】
本願の実施形態はさらに、前述の実施形態におけるコネクタを使用した電子デバイスを提供する。電子デバイスは、従来技術における通信デバイス、サーバ、スーパーコンピュータ、ルータ、またはスイッチなどのデバイスであり得る。電子デバイスは、前述の実施形態における第1回路板、第2回路板、および回路基板アセンブリを含み得る。コネクタは第1回路板上に配置され得、第1回路板に電気的に接続されている。ペアになったコネクタは第2回路板上に配置され得、第2回路板に電気的に接続されている。このように、コネクタとペアになったコネクタとがペアリングされ且つ接続されている場合、信号は、第1回路板と第2回路板との間で送信され得る。コネクタアセンブリの比較的良好な遮蔽性能により、信号間のクロストーク現象を改善することができ、信号送信性能を最適化することができる。
【0069】
前述の解決手段において、第1回路板および第2回路板の具体的な種類は限定されない。例えば、いくつかの実装において、第1回路板は具体的にラインカードであり得、第2回路板は具体的にネットワークインタフェースカードであり得る。
【0070】
前述の説明は、本願の単なる具体的な実装例に過ぎず、本願の保護範囲を限定することを意図するものではない。本願において開示した技術的範囲内で当業者が容易に考え出す変形または置換はいずれも、本願の保護範囲に含まれるものとする。したがって、本願の保護範囲は特許請求の範囲の保護範囲に従うものとする。
【国際調査報告】