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特表2023-526420カテーテルアセンブリを含む迅速挿入型中心静脈カテーテルおよびその方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-21
(54)【発明の名称】カテーテルアセンブリを含む迅速挿入型中心静脈カテーテルおよびその方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/06 20060101AFI20230614BHJP
   A61M 25/09 20060101ALI20230614BHJP
   A61M 25/14 20060101ALI20230614BHJP
【FI】
A61M25/06 500
A61M25/06 580
A61M25/09 530
A61M25/14 512
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022570504
(86)(22)【出願日】2021-05-20
(85)【翻訳文提出日】2022-11-30
(86)【国際出願番号】 US2021033443
(87)【国際公開番号】W WO2021236950
(87)【国際公開日】2021-11-25
(31)【優先権主張番号】63/028,445
(32)【優先日】2020-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511300891
【氏名又は名称】バード・アクセス・システムズ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100116322
【弁理士】
【氏名又は名称】桑垣 衛
(72)【発明者】
【氏名】ハウエル、グレード エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】スタッツ、ジェイソン アール.
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA22
4C267AA24
4C267AA28
4C267BB02
4C267BB08
4C267BB09
4C267BB11
4C267BB19
4C267BB31
4C267BB37
4C267BB53
4C267CC08
(57)【要約】
カテーテルアセンブリを含む迅速挿入型中心静脈カテーテル(RICC)およびその方法が開示される。例えば、RICCアセンブリは、RICCおよびイントロデューサを含む。RICCは、前述の順序で連結された、カテーテルチューブと、カテーテルハブと、1つ以上の延長レッグとを含む。カテーテルチューブは側面開口を含み、該側面開口は、少なくとも該側面開口からRICCの遠位端まで延びる導入管腔内に開口する。イントロデューサは、格納式針デバイスと、シリンジと、RICCアセンブリの展開準備完了状態において側面開口の近位で格納式針デバイスとシリンジとを一緒に連結する連結ハブとを含む。格納式針デバイスは、イントロデューサ針を含む。イントロデューサ針のシャフトの遠位端部分内の針先は、RICCアセンブリがRICCアセンブリの展開準備完了状態にあるとき、RICCの遠位端を越えて延びる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
迅速挿入型中心静脈カテーテル(RICC)アセンブリであって、
RICCであって、
カテーテルチューブであって、第1のデュロメータ硬さを有する第1の材料で形成された第1の部分と、前記第1のデュロメータ硬さより低い第2のデュロメータ硬さを有する第2の材料で形成された第2の部分と、前記カテーテルチューブの遠位端部分であるが前記カテーテルチューブの前記第1の部分の近位に位置して前記カテーテルチューブの側面を通る側面開口とを含み、前記側面開口は、少なくとも前記側面開口から前記RICCの遠位端まで延びる前記カテーテルチューブの導入管腔内に開口している、カテーテルチューブと、
前記カテーテルチューブの近位端部分に連結されたカテーテルハブと、
1つ以上の延長レッグであって、前記1つ以上の延長レッグの各延長レッグは、該各延長レッグの遠位端部分によって前記カテーテルハブに連結されている、1つ以上の延長レッグと
を含むRICCと、
イントロデューサであって、
シャフトと前記シャフトの遠位端部分の針先とを有するイントロデューサ針を含む格納式針デバイスであって、前記針先は、前記RICCアセンブリが少なくとも前記RICCアセンブリの展開準備完了状態にあるときに前記RICCの前記遠位端を越えて延在する、格納式針デバイスと、
シリンジと、
少なくとも前記RICCアセンブリの展開準備完了状態において前記側面開口の近位で前記格納式針デバイスと前記シリンジとを一緒に連結する連結ハブと
を含むイントロデューサと
を備える迅速挿入型中心静脈カテーテルアセンブリ。
【請求項2】
前記イントロデューサ針の前記シャフトは、前記RICCアセンブリの少なくとも前記展開準備完了状態において、前記連結ハブの長手方向貫通孔を通り、前記カテーテルチューブの前記側面開口を通り、前記カテーテルチューブの前記導入管腔に沿って延びている、請求項1に記載の迅速挿入型中心静脈カテーテルアセンブリ。
【請求項3】
前記連結ハブは、シールされた血液フラッシュバックチャンバを含み、前記イントロデューサ針の前記シャフトの切欠きは、前記血液フラッシュバックチャンバ内に設けられ、前記針先が患者の血管管腔にアクセスすると血液を前記血液フラッシュバックチャンバ内に放出するように構成される、請求項1または2に記載の迅速挿入型中心静脈カテーテルアセンブリ。
【請求項4】
前記連結ハブは、該連結ハブの側面から延びるサイドアームを含み、前記シリンジは、前記血管管腔にアクセスしたときに血液を吸引するために、前記サイドアームのサイドアーム管腔によって前記血液フラッシュバックチャンバに流体連結されている、請求項3に記載の迅速挿入型中心静脈カテーテルアセンブリ。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の迅速挿入型中心静脈カテーテルアセンブリであって、前記イントロデューサはさらに、
シリンジクリップ部および針デバイスクリップ部を有するクリップであって、前記クリップの前記シリンジクリップ部が、前記シリンジのバレルにおいて前記シリンジをクリップするように構成され、前記クリップの前記針デバイスクリップ部が、前記格納式針デバイスが前記クリップの前記針デバイスクリップ部内で摺動することを許容しながら、前記格納式針デバイスの本体によって前記格納式針デバイスをクリップするように構成された、クリップ
を備える迅速挿入型中心静脈カテーテルアセンブリ。
【請求項6】
前記シリンジは、前記シリンジの前記バレル内に配置されたプランジャを含み、前記プランジャはプランジャ延長部を含み、前記プランジャ延長部は、臨床医が、前記連結ハブの周りで前記RICCアセンブリを取り扱いながら前記プランジャ延長部のタブを近位側に押すことによって前記プランジャを前記バレルから引き抜くことを可能にするように構成されている、請求項5に記載の迅速挿入型中心静脈カテーテルアセンブリ。
【請求項7】
前記連結ハブは、臨床医が、前記格納式針デバイスの遠位端部分を手の親指と別の1本または複数本の指との間に保持しながら、片手の1本の指で前記RICCを前記針先の上方で前進させることを片手で可能にするように構成されたタブを含む、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の迅速挿入型中心静脈カテーテルアセンブリ。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の迅速挿入型中心静脈カテーテルアセンブリであって、前記格納式針デバイスはさらに、
前記イントロデューサ針の針管腔内に配置されたアクセスガイドワイヤと、
前記アクセスガイドワイヤの遠位端部分を前記針先を越えて前進させるか、または前記アクセスガイドワイヤの前記遠位端部分を、前記針先の近位側に位置する前記イントロデューサ針の前記シャフトの前記遠位端部分の中に引き込むように構成されたアクセスガイドワイヤアクチュエータと
を備える迅速挿入型中心静脈カテーテルアセンブリ。
【請求項9】
前記アクセスガイドワイヤアクチュエータは、前記格納式針デバイスのハウジングの長手方向スロット内に摺動可能に配置されたスライダを含み、前記スライダは、前記ハウジングによって取り囲まれた前記格納式針デバイスの空洞内で前記アクセスガイドワイヤの近位端部分に連結された延長部を含む、請求項8に記載の迅速挿入型中心静脈カテーテルアセンブリ。
【請求項10】
前記イントロデューサ針の近位端部分は、前記格納式針デバイスのキャリッジ内に配置され、前記格納式針デバイスのイントロデューサ針アクチュエータは、作動されると、前記キャリッジの周囲にある圧縮された圧縮ばねを解放し、前記キャリッジおよび前記イントロデューサ針の両方を前記格納式針デバイスの前記空洞内に近位側に押し込むように構成されている、請求項9に記載の迅速挿入型中心静脈カテーテルアセンブリ。
【請求項11】
前記キャリッジは、該キャリッジが前記格納式針デバイスの前記空洞内に近位側に押し込まれるときに前記アクセスガイドワイヤアクチュエータの前記スライダに係合するように構成されていることにより、前記イントロデューサ針アクチュエータが作動されるときに前記イントロデューサ針とともに前記アクセスガイドワイヤの前記遠位端部分によって前記アクセスガイドワイヤを前記格納式針デバイスの前記空洞内に引き込む、請求項10に記載の迅速挿入型中心静脈カテーテルアセンブリ。
【請求項12】
前記RICCは、前記カテーテルハブと前記カテーテルチューブの前記側面開口との間の前記カテーテルチューブを覆う無菌バリアをさらに含み、前記無菌バリアは、該無菌バリアの近位端部分の無菌バリアタブが該無菌バリアタブによって前記カテーテルチューブから引き離されるときに分離するように構成されている、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の迅速挿入型中心静脈カテーテルアセンブリ。
【請求項13】
前記RICCは、3つの管腔のセットを含み、前記3つの管腔のセットは、3つのカテーテルチューブ管腔と3つのハブ管腔と3つの延長レッグ管腔との流体接続された部分から形成される遠位管腔、中間管腔、及び近位管腔を含み、前記カテーテルチューブの前記導入管腔は、前記遠位管腔の遠位端部分と一致する、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の迅速挿入型中心静脈カテーテルアセンブリ。
【請求項14】
前記遠位管腔は、前記RICCの前記遠位端に遠位管腔開口を有し、前記中間管腔は、前記遠位管腔開口の近位側に位置する前記カテーテルチューブの側面に中間管腔開口を有し、前記近位管腔は、前記中間管腔開口の近位側に位置する前記カテーテルチューブの側面に近位管腔開口を有し、前記カテーテルチューブの前記側面開口は、前記遠位管腔開口と前記中間管腔開口との間、前記中間管腔開口と前記近位管腔開口との間、または前記近位管腔開口の近位側に位置する、請求項13に記載の迅速挿入型中心静脈カテーテルアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
中心静脈カテーテル(CVC:central venous catheter)はデュロメータ硬さが比較的小さい材料で形成されており、それが、CVCが柱座屈強度を欠く一因となっている。柱座屈強度の欠如により、CVCは一般にセルジンガー法によって患者の体内へと導入され、その脈管構造内で前進させられる。セルジンガー法では、多くのステップと医療機器(例えば、針、外科用メス、ガイドワイヤ、イントロデューサシース、ディレータ、CVC等)が利用される。セルジンガー法は有効ではあるものの、多くのステップには時間がかかり、多数の医療機器を扱うことは煩雑であり、これらは何れも患者に外傷を負わせる可能性がある。それに加えて、セルジンガー法の多数のステップ中に交換が必要な医療機器が多いことから、接触による汚染の可能性が比較的高い。そのため、カテーテルを患者の体内へと導入し、CVCのようなカテーテルをその脈管構造内で前進させることに関わるステップと医療機器の数を減らす必要がある。
【0002】
本願では、上記に対処するカテーテルアセンブリを含む迅速挿入型中心静脈カテーテル(RICC:rapidly insertable central catheter)及びその方法が開示される。
【発明の概要】
【0003】
RICCアセンブリが本明細書に開示される。RICCアセンブリは、いくつかの実施形態では、RICCとイントロデューサとを含む。RICCは、カテーテルチューブと、前記カテーテルチューブの近位端部分に連結されたカテーテルハブと、1つ以上の延長レッグとを含み、前記1つ以上の延長レッグの各延長レッグは、該各延長レッグの遠位端部分によって前記カテーテルハブに連結されている。前記カテーテルチューブは、第1の部分と、第2の部分と、前記カテーテルチューブの遠位端部分であるが前記カテーテルチューブの前記第1の部分の近位に位置して前記カテーテルチューブの側面を通る側面開口とを含む。カテーテルチューブの第1の部分は、第1のデュロメータ硬さを有する第1の材料で形成される。カテーテルチューブの第2の部分は、第1のデュロメータ硬さより低い第2のデュロメータ硬さを有する第2の材料で形成される。前記側面開口は、少なくとも側面開口からRICCの遠位端まで延びる前記カテーテルチューブの導入管腔内に開口する。前記イントロデューサは、格納式針デバイスと、シリンジと、少なくともRICCアセンブリの展開準備完了状態において前記側面開口の近位で前記格納式針デバイスと前記シリンジとを一緒に連結する連結ハブとを含む。格納式針デバイスは、イントロデューサ針を含む。前記イントロデューサ針は、シャフトと、該シャフトの遠位端部分に針先とを有する。前記針先は、前記RICCアセンブリが少なくとも前記RICCアセンブリの展開準備完了状態にあるとき、前記RICCの前記遠位端を越えて延びている。
【0004】
いくつかの実施形態では、前記イントロデューサ針の前記シャフトは、前記RICCアセンブリの少なくとも前記展開準備完了状態において、前記連結ハブの長手方向貫通孔を通り、前記カテーテルチューブの前記側面開口を通り、前記カテーテルチューブの前記導入管腔に沿って延びている。
【0005】
いくつかの実施形態では、前記連結ハブはシールされた血液フラッシュバックチャンバを含む。前記イントロデューサ針の前記シャフトの切欠きは、前記血液フラッシュバックチャンバ内に配置される。前記切欠きは、前記針先が患者の血管管腔にアクセスすることに応じて、前記血液フラッシュバックチャンバ内に血液を放出するように構成される。
【0006】
いくつかの実施形態では、前記連結ハブは、該連結ハブの側面から延びるサイドアームを含む。前記シリンジは、前記血管管腔にアクセスしたときに血液を吸引するために、前記サイドアームのサイドアーム管腔によって前記血液フラッシュバックチャンバに流体連結されている。
【0007】
いくつかの実施形態では、前記イントロデューサは、シリンジクリップ部および針デバイスクリップ留め部を有するクリップをさらに含む。前記クリップの前記シリンジクリップ留め部は、前記シリンジのバレルによって前記シリンジをクリップ留めするように構成されている。前記クリップの前記針デバイスクリップ部は、前記格納式針デバイスが前記クリップの前記針デバイスクリップ部内で摺動することを許容しながら、前記格納式針デバイスの本体によって前記格納式針デバイスをクリップするように構成されている。
【0008】
いくつかの実施形態では、前記シリンジは、前記シリンジのバレル内に配置されたプランジャを含む。前記プランジャはプランジャ延長部を含み、前記プランジャ延長部は、臨床医が、前記連結ハブの周りで前記RICCアセンブリを取り扱いながら前記プランジャ延長部のタブを近位側に押すことによって前記プランジャを前記バレルから引き抜くことを可能にするように構成されている。
【0009】
いくつかの実施形態では、前記連結ハブは、臨床医が、前記格納式針デバイスの遠位端部分を手の親指と別の1本または複数本の指との間に保持しながら、片手の1本の指で前記RICCを前記針先の上方で前進させることを片手で可能にするように構成されたタブを含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、前記格納式針デバイスは、アクセスガイドワイヤおよびアクセスガイドワイヤアクチュエータをさらに含む。前記アクセスガイドワイヤは、前記イントロデューサ針の針管腔内に配置されている。前記アクセスガイドワイヤアクチュエータは、前記アクセスガイドワイヤの遠位端部分を前記針先を越えて前進させるように構成されている。また、前記アクセスガイドワイヤアクチュエータは、前記アクセスガイドワイヤの前記遠位端部分を、前記針先の近位側に位置する前記イントロデューサ針の前記シャフトの前記遠位端部分の中に引き込むように構成される。
【0011】
いくつかの実施形態では、前記アクセスガイドワイヤアクチュエータは、前記格納式針デバイスのハウジングの長手方向スロット内に摺動可能に配置されたスライダを含む。前記スライダは、前記ハウジングによって取り囲まれた前記格納式針デバイスの空洞内で前記アクセスガイドワイヤの近位端部分に連結された延長部を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、前記イントロデューサ針の近位端部分は、前記格納式針デバイスのキャリッジ内に配置される。前記格納式針デバイスのイントロデューサ針アクチュエータは、作動されると、前記キャリッジの周囲にある圧縮された圧縮ばねを解放し、前記キャリッジおよび前記イントロデューサ針の両方を前記格納式針デバイスの前記空洞内に近位側に引き込むように構成されている。
【0013】
いくつかの実施形態では、前記キャリッジは、該キャリッジが前記格納式針デバイスの前記空洞内に近位側に押し込まれたときに前記アクセスガイドワイヤアクチュエータの前記スライダに係合するように構成されている。前記アクセスガイドワイヤは、前記イントロデューサ針アクチュエータが作動されると、その遠位端部分によって前記イントロデューサ針と一緒に前記格納式針デバイスの前記空洞内に引き込まれる。
【0014】
いくつかの実施形態では、RICCは、前記カテーテルハブと前記カテーテルチューブの前記側面開口との間の前記カテーテルチューブを覆う無菌バリアをさらに含む。前記無菌バリアは、前記無菌バリアの近位端部分の無菌バリアタブが該無菌バリアタブによって前記カテーテルチューブから引き離されるときに分離するように構成されている。
【0015】
いくつかの実施形態では、前記RICCは、3つの管腔のセットを含み、前記3つの管腔のセットは、3つのカテーテルチューブ管腔と3つのハブ管腔と3つの延長レッグ管腔との流体接続された部分から形成される遠位管腔、中間管腔、及び近位管腔を含む。前記カテーテルチューブの前記導入管腔は、前記遠位管腔の遠位端部分と一致する。
【0016】
いくつかの実施形態では、前記遠位管腔は、前記RICCの前記遠位端に遠位管腔開口を有する。前記中間管腔は、前記遠位管腔開口の近位側の前記カテーテルチューブの側面に中間管腔開口を有する。前記近位管腔は、前記中間管腔開口の近位側の前記カテーテルチューブの側面に近位管腔開口を有する。前記カテーテルチューブの前記側面開口は、前記遠位管腔開口と前記中間管腔開口との間、前記中間管腔開口と前記近位管腔開口との間、または前記近位管腔開口の近位側に位置する。
【0017】
また、RICCを患者の血管管腔内に挿入するための方法も本明細書に開示されている。本方法は、いくつかの実施形態では、RICCアセンブリ取得ステップと、針経路確立ステップと、RICC前進ステップと、イントロデューサ針引き抜きステップとを含む。RICCアセンブリ取得ステップは、RICCアセンブリを取得することを含む。RICCアセンブリは、前記RICCとイントロデューサとを含む。前記イントロデューサは、連結ハブによって互いに連結された格納式針デバイスおよびシリンジを含む。前記格納式針デバイスは、少なくとも前記RICCアセンブリの展開準備完了状態において、前記連結ハブの長手方向貫通孔を通り、前記RICCのカテーテルチューブの遠位端部分の側面開口を通り、前記カテーテルチューブの導入管腔に沿って、前記RICCの遠位端を越えて延在するシャフトを有するイントロデューサ針を含む。針経路確立ステップは、前記格納式針デバイスの遠位端部分を保持しながら、前記イントロデューサ針の針先で患者の皮膚の領域から血管管腔までの針経路を確立することを含む。前記RICC前進ステップは、前記カテーテルチューブの遠位端部分を前記針先を越えて前記血管管腔の中へ前進させることを含む。前記イントロデューサ針引き抜きステップは、前記カテーテルチューブの前記側面開口を介して前記導入管腔から前記イントロデューサ針の前記シャフトを引き抜くことを含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、前記針経路確立ステップは、血液が前記連結ハブの密閉された血液フラッシュバックチャンバ内に逆流することを確実にすることを含む。前記患者の前記血管管腔にアクセスする際に血液を前記血液フラッシュバックチャンバ内に放出するために、前記イントロデューサ針の前記シャフトの切欠きが前記血液フラッシュバックチャンバに設けられている。
【0019】
いくつかの実施形態では、方法は血液吸引ステップを含む。血液吸引ステップは、前記針経路確立ステップの後であって、前記イントロデューサ針引き抜きステップの前に、前記シリンジで血液を吸引することを含む。前記シリンジは、前記血液吸引ステップのために、前記連結ハブのサイドアームのサイドアーム管腔によって前記血液フラッシュバックチャンバに流体連結されている。前記血液吸引ステップは、前記針先が前記患者の前記血管管腔内に配置されたことを確認する。
【0020】
いくつかの実施形態では、前記RICC前進ステップは、前記格納式針デバイスの遠位端部分を手の親指と別の1本または複数本の指との間に保持しながら、片手の1本の指で前記カテーテルチューブを前記血管管腔の中へ前進させることを含む。前記連結ハブは、前記1本の指で前記カテーテルチューブを前記血管管腔内に前進させるように構成されたタブを含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、本方法は、アクセスガイドワイヤ前進ステップをさらに含む。前記アクセスガイドワイヤ前進ステップは、前記イントロデューサ針の針管腔内に配置されたアクセスガイドワイヤの遠位端部分を前記血管管腔内に前進させることを含む。前記アクセスガイドワイヤの前記遠位端部分は、前記格納式針デバイスのハウジングの長手方向スロット内に配置されたスライダを摺動させることによって前進する。前記スライダは、前記ハウジングによって取り囲まれた前記針ハブの空洞内に配置された前記アクセスガイドワイヤの近位端部分に連結された延長部を含む。前記アクセスガイドワイヤ前進ステップは、前記RICC前進ステップの前に実行される。
【0022】
いくつかの実施形態では、前記イントロデューサ針引き抜きステップは、前記格納式針デバイスのイントロデューサ針アクチュエータを作動させることを含む。前記イントロデューサ針の前記近位端部分は、前記キャリッジの周りで圧縮された圧縮ばねが前記イントロデューサ針アクチュエータによって解放されると、前記格納式針デバイスの前記空洞内に近位方向に押し込まれるように構成された、前記格納式針デバイスのキャリッジ内に配置される。
【0023】
いくつかの実施形態では、本方法は、操縦ガイドワイヤ前進ステップをさらに含む。前記操縦ガイドワイヤ前進ステップは、前記RICCの前記遠位端に遠位管腔開口を有する遠位管腔を介して、前記血管管腔の中に操縦ガイドワイヤを前進させることを含む。前記カテーテルチューブの前記導入管腔は、前記遠位管腔の遠位端部分と一致し、これは、前記操縦ガイドワイヤ前進ステップの前に前記イントロデューサ針引き抜きステップを実行することを要求する。
【0024】
いくつかの実施形態では、本方法は、無菌バリア除去ステップをさらに含む。無菌バリア除去ステップは、前記RICCのカテーテルハブと前記カテーテルチューブの前記側面開口との間で前記カテーテルチューブを覆って配置された無菌バリアを除去するステップを含む。前記無菌バリアは、前記無菌バリアを分離すべく前記無菌バリアの近位端部分の無菌バリアタブを前記カテーテルチューブから引き離すことによって除去される。
【0025】
いくつかの実施形態では、前記カテーテルチューブは、第1のデュロメータ硬さを有する第1の材料で形成された第1の部分と、前記第1のデュロメータ硬さより低い第2のデュロメータ硬さを有する第2の材料で形成され、前記第1の部分より近位側に位置する第2の部分とを含む。前記カテーテルチューブの前記第1の部分は、前記カテーテルチューブを前記血管管腔内に前進させるための柱座屈強度を有するように構成される。
【0026】
本明細書で提供される概念のこのよう特徴および他の特徴は、そのような概念の特定の実施形態をより詳細に記載する添付の図面および以下の説明を考慮して、当業者にとってより明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】いくつかの実施形態による、RICC及びイントロデューサを含むRICCアセンブリの斜視図を示す。
図2】いくつかの実施形態によるRICCアセンブリの上面図を示す。
図3】いくつかの実施形態によるRICCアセンブリの側面図を示す。
図4】いくつかの実施形態によるRICCアセンブリの長手方向断面図を示す。
図5】いくつかの実施形態によるRICCのカテーテルチューブの遠位端部分を示す。
図6】いくつかの実施形態によるカテーテルチューブの第1の横断面を示す。
図7】いくつかの実施形態によるカテーテルチューブの第2の横断面を示す。
図8】いくつかの実施形態によるカテーテルチューブの第3又は第4の横断面を示す。
図9】いくつかの実施形態によるRICCアセンブリ操縦ガイドワイヤ上の無菌バリアを示す。
図10】いくつかの実施形態によるカテーテルチューブ上の無菌バリアを示す。
図11】いくつかの実施形態によるイントロデューサのシリンジのプランジャ延長部を示す。
図12】いくつかの実施形態によるイントロデューサのクリップを示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
いくつかの特定の実施形態がより詳細に開示される前に、本明細書に開示される特定の実施形態は、本明細書に提供される概念の範囲を限定しないことを理解されたい。本明細書に開示される特定の実施形態は、特定の実施形態から容易に分離でき、任意選択で、本明細書に開示される他の多数の実施形態のいずれかの特徴と組み合わせるか、または置換することができる特徴を有することができることも理解されたい。
【0029】
本明細書で使用される用語に関して、用語は、いくつかの特定の実施形態を説明するためのものであり、用語は、本明細書で提供される概念の範囲を限定しないことも理解されたい。序数(例えば、第1、第2、第3など)は、一般に、複数の特徴または複数のステップのグループ内の異なる特徴またはステップを区別または識別するために使用され、連続的な限定または数値制限を提供するものではない。例えば、「第1」、「第2」、および「第3」の特徴またはステップは、必ずしもその順序で現れる必要はなく、そのような特徴またはステップを含む特定の実施形態は、必ずしも3つの特徴またはステップに限定される必要はない。「左」、「右」、「上」、「下」、「前」、「後」、などのラベルは、便宜上使用されており、例えば、特定の固定位置、向き、又は方向を意味するものではない。代わりに、そのような表記は、例えば、相対的な位置、向き、又は方向を反映するために使用される。単数形の「一」、「1つ」、および「前記」は、文脈で明確に指示されていない限り、複数形の参照も含む。
【0030】
「近位」に関しては、例えば、本明細書に開示されるカテーテルの「近位部分」または「近位端部分」は、カテーテルが患者に使用される場合、臨床医の近くにあることを意図したカテーテルの部分を含む。同様に、例えば、カテーテルの「近位長さ(proximal length)」は、カテーテルが患者に使用される場合、臨床医の近くにあることを意図したカテーテルの長さを含む。例えば、ニードルの「近位端」は、カテーテルが患者に使用される場合、臨床医の近くにあるように意図されたカテーテルの端部を含む。カテーテルの近位部分、近位端部分、または近位長さは、カテーテルの近位端を含むことができるが、カテーテルの近位部分、近位端部分、または近位長さは、カテーテルの近位端を含む必要はない。すなわち、文脈から示唆される場合を除き、カテーテルの近位部分、近位端部分、または近位長さは、カテーテルの末端部分または末端長さではない。
【0031】
「遠位」に関しては、例えば、本明細書に開示されているカテーテルの「遠位部分」または「遠位端部分」は、カテーテルが患者に使用される場合、患者の近くにあるか、または患者内にあることを意図したカテーテルの部分を含む。同様に、例えば、カテーテルの「遠位長さ(distal length)」は、カテーテルが患者に使用される場合、患者の近くまたは患者内にあることを意図したカテーテルの長さを含む。例えば、ニードルの「遠位端」は、カテーテルが患者に使用される場合、患者の近くまたは患者内にあるように意図されたカテーテルの端部を含む。カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長さは、カテーテルの遠位端を含むことができるが、カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長さは、カテーテルの遠位端を含む必要はない。すなわち、文脈から示唆される場合を除き、カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長さは、カテーテルの末端部分または末端長さではない。
【0032】
他に定義しない限り、本明細書中で使用される全ての科学技術用語は、当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。
上述したように、カテーテルを患者の体内へと導入し、CVCのようなカテーテルをその脈管構造内で前進させることに関わるステップと医療機器の数を減らす必要がある。
【0033】
上記に対処するカテーテルアセンブリを含むRICCおよびその方法が本明細書に開示されている。しかしながら、それらRICCは、本明細書で提供される概念が具体化され得るか、または組み込まれ得るカテーテルの1つのタイプにすぎないことを理解されたい。実際に、末梢静脈挿入式中心静脈カテーテル(PICC:peripherally inserted central catheter)、透析カテーテルなども、RICCのために本明細書で提供される概念、ならびにカテーテルアセンブリおよびその方法を具現化するか、または組み込むことができる。
【0034】
RICCアセンブリ
図1乃至図3は、いくつかの実施形態による、RICC102およびイントロデューサ104を含むRICCアセンブリ100の様々な図を示す。図4は、いくつかの実施形態によるRICCアセンブリ100の長手方向断面を示す。図5は、いくつかの実施形態によるRICC102のカテーテルチューブ106の遠位端部分を示す。図6乃至図8は、いくつかの実施形態によるカテーテルチューブ106の様々な横断面を示す。図9乃至図12は、いくつかの実施形態によるRICCアセンブリ100の様々な他の特徴を示す。
【0035】
図示されるように、RICCアセンブリ100は、いくつかの実施形態では、RICC102およびイントロデューサ104を含む。RICC102およびイントロデューサ104を、順次、以下に記載される各部分について説明するが、RICCアセンブリ100おけるRICC102およびイントロデューサ104の相互関連性を考慮すると、RICC102およびイントロデューサ104の各部分間には何らかの重複が存在する。
【0036】
RICC102は、カテーテルチューブ106と、カテーテルハブ108と、1つまたは複数の延長レッグ110とを含む。
カテーテルチューブ106は、カテーテルチューブ106の遠位端部分におけるカテーテルチップ112と、1つ以上のカテーテルチューブ管腔と、カテーテルチューブ106の遠位端部分におけるカテーテルチューブ106の側面を通る側面開口114とを含む2つ以上の部分を含む。
【0037】
カテーテルチューブ106の2つ以上の部分は、カテーテルチューブ106の本体およびカテーテルチップ112であってもよく、単一材料からなる単一押出片または2つの類似材料からなる単一共押出片として形成されてもよい。あるいは、カテーテルチューブ106の本体およびカテーテルチップ112は、2つの類似の材料からなる2つの異なる押出片として形成され、その後に連結されてもよい。しかしながら、図5は、カテーテルチューブ106が2つの異なる材料の2つの異なる押出片として形成され、その後に連結されるカテーテルチューブ106の実施形態を示す。実際、カテーテルチューブ106は、カテーテルチップ112を含む第1の部分116と、側面開口114を含む第2の部分118と、カテーテルチューブ106の第1の部分116及び第2の部分118が連結される態様に応じて、第1の部分116と第2の部分118との間に任意の移行部分120とを含む。例えば、カテーテルチューブ106の第1および第2の部分116,118は、第1および第2の部分116,118が互いに当接するように、熱、溶剤、または接着剤によって接合されてもよいし、または第2の部分118が第1の部分116に挿入され、熱、溶剤、または接着剤によって接合することにより、移行部分120を形成してもよい。有利なことに、第2の部分118を第1の部分116に挿入する後者の連結は、移行部分120への滑らかなテーパの組み込みを容易にするものであり、このテーパは、RICCアセンブリ100を使用中の拡張用に有用である。
【0038】
カテーテルチューブ106の第1の部分116は、第1のデュロメータ硬さを有する第1の材料(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、またはポリウレタンのようなパリマー材料)で形成され得るのに対して、カテーテルチューブ106の第2の部分118は、第1のデュロメータ硬さより小さい第2のデュロメータ硬さを有する第2の材料(塩化ポリビニル、ポリエチレン、ポリウレタン、またはシリコーンのようなパリマー材料)で形成され得る。例えば、カテーテルチューブ106の第1の部分116および第2の部分118の各部分は、異なるデュロメータ硬さを有する異なるポリウレタンから形成されてもよい。実際、カテーテルチューブ106のポリウレタンの部分が、室温では比較的に剛性を有するが、体温ではインビボでより柔軟になり、血管壁および静脈炎への刺激を低減するという点で、ポリウレタンは有利である。ポリウレタンは、他のいくつかのポリマーよりも血栓形成性が低いという点でも有利である。
【0039】
第1のポリマー材料からなる第1の部分116と、第2のポリマー材料からなる第2の部分118とを少なくとも有するカテーテルチューブ106は、カテーテルチューブ106が挿入部位に挿入されて患者の脈管構造を進む際にカテーテルチューブ106の座屈を防ぐのに十分な柱座屈強度を有している。カテーテルチューブ106の柱座屈強度は、セルジンガー法を使用することなく、カテーテルチューブ106を挿入部位に迅速に挿入し、カテーテルチューブ106を患者の脈管構造を通して前進させることができるという点で注目に値する。
【0040】
第1のデュロメータ硬さおよび第2のデュロメータ硬さは、異なるスケール(例えば、タイプAまたはタイプD)であってもよいため、第2のポリマー材料からなる第2のデュロメータ硬さは、第1のデュロメータ硬さよりも数値的に小さくない可能性があることを理解されたい。即ち、異なるスケール(それぞれ0から100の範囲)は、同様の硬度を有する材料のグループで異なる材料を特徴付けるために設計されているため、第2のポリマー材料の硬度は依然として第1のポリマー材料の硬度よりも小さい場合もある。
【0041】
上述した説明に関わらず、カテーテルチューブ106の柱座屈強度が、針管内に血管管腔まで挿入されて患者の血管系を通って前進したときにカテーテルチューブ106の座屈を防ぐのに十分であれば、カテーテルチューブ106の第1の部分116及び第2の部分118は、実質的に同じデュロメータ硬さを有する同じポリマー材料又は異なるポリマー材料で形成されてもよい。
【0042】
1つ以上のカテーテルチューブ管腔が、カテーテルチューブ106の全体にわたって延びてもよい。しかしながら、多管腔型RICC(例えば、二管腔型RICC、三管腔型RICC、四管腔型RICC、五管腔型RICC、六管腔型RICCなど)では、典型的には、1つのカテーテルチューブ管腔のみが、カテーテルチューブ106の基端からカテーテルチューブ106の先端まで延びている。実際、カテーテルチップ112は、典型的には、該カテーテルチップ112を通る単一の管腔を含む。任意選択的に、カテーテルチップ112を通る単一の管腔は、特にカテーテルチューブ106の第1の部分116に関して、「チップ管腔」と呼ぶことができ、これは、カテーテルチューブ106の残りの部分とは別個に形成されてカテーテルチューブ106の残りの部分に連結される。
【0043】
また、側面開口114は、カテーテルチューブ106の遠位端部分においてカテーテルチューブ106の側面を貫通しているが、側面開口114は、カテーテルチューブ106の第1の部分116の近位にある。側面開口114は、1つ以上のカテーテルチューブ管腔の導入管腔122に開口している。導入管腔122は、少なくともカテーテルチューブ106の第2の部分118の側面開口114から、その遠位側に位置するカテーテルチューブ106の第1の部分116を通って、RICC102の遠位端(たとえば、カテーテルチューブ106の遠位端またはカテーテルチップ112の遠位端)まで延びている。導入管腔122は、典型的にはカテーテルチューブ106の近位端からカテーテルチューブ106の遠位端まで延びる上述の1つのカテーテルチューブ管腔の遠位端部分、特に、側面開口114の遠位の前述のカテーテルチューブ管腔の遠位端部分と一致する。
【0044】
カテーテルハブ108は、カテーテルチューブ106の近位端部分に連結されている。カテーテルハブ108は、1つ以上のカテーテルチューブ管腔と数が対応する1つ以上のカテーテルハブ管腔を含む。1つ以上のカテーテルハブ管腔は、カテーテルハブ108の近位端からカテーテルハブ108の遠位端までカテーテルハブ108の全体を通って延びている。
【0045】
1つ以上の延長レッグ110の各延長レッグは、該各延長レッグの遠位端部分によってカテーテルハブ108に連結されている。1つ以上の延長レッグ110はそれぞれ、1つ以上の延長レッグ管腔を含み、延長レッグ管腔の数は、1つ以上のカテーテルチューブ管腔の数に対応する。1つ以上の延長レッグ管腔の各延長レッグ管腔は、延長レッグの近位端から延長レッグの遠位端まで延長レッグ全体を通って延びている。
【0046】
1つまたは複数の延長レッグ110の各延長レッグは、典型的には、延長レッグに連結されたルアーコネクタを含み、該ルアーコネクタを通して、延長レッグおよびその延長レッグ管腔を別の医療デバイスに接続することができる。
【0047】
RICC102は、単一管腔型または多管腔型RICC(たとえば、二管腔型RICC、三管腔型RICC、四管腔型RICC、五管腔型RICC、六管腔RICCなど)であり得るが、図1乃至図8に示すRICC102は、3つの管腔のセットを含む三管腔型である。例えば、3つの管腔のセットは、3つのカテーテルチューブ管腔と3つのハブ管腔と3つの延長レッグ管腔との流体接続された部分から形成される遠位管腔124、中間管腔126、及び近位管腔128を含む。RICC102が単一管腔であるか多管腔であるかに関わらず、RICC102は、少なくとも遠位管腔124を含む。遠位管腔124は、該遠位管腔124のカテーテルチューブ管腔部分として、典型的にはカテーテルチューブ106の近位端からカテーテルチューブ106の遠位端まで延びる上述の少なくとも1つのカテーテルチューブ管腔と、遠位管腔124の流体接続されたハブ管腔部分および延長レッグ管腔部分とを含む。前述のカテーテルチューブルーメンによれば、カテーテルチューブ106の導入管腔122は、遠位管腔124の遠位端部分、特に側面開口114の遠位の遠位管腔124の遠位端部分と一致する。
【0048】
さらに、LICC102の三管腔の実施形態に関して、遠位管腔124は、RICC102の遠位端(たとえば、カテーテルチューブ106の遠位端またはカテーテルチップ112の遠位端)に遠位管腔開口130を有する。中間管腔126は、該中間管腔126が遠位管腔開口130と近位管腔開口との間に位置するように、遠位管腔開口130の近位かつ後続の近位管腔開口の遠位のカテーテルチューブ106の側面に中間管腔開口132を有する。近位管腔128は、中間管腔開口132の近位側のカテーテルチューブ106の側面に近位管腔開口134を有する。カテーテルチューブ106の側面開口114は、図5に示すように、遠位管腔開口130、中間管腔開口132、および近位管腔開口134の各管腔開口が側面開口114の遠位に位置するように、遠位管腔開口130と中間管腔開口132との間、中間管腔開口132と近位管腔開口134との間、または近位管腔開口134の近位側にあってもよい。
【0049】
RICC102は、操縦ガイドワイヤ136をさらに含むことができる。図示されていないが、操縦ガイドワイヤ136は、非外傷性の先端(例えば、コイル状または部分的にコイル状の先端)と、操縦ガイドワイヤ136を心臓の上大静脈(SVC:superior vena cava)の下1/3まで前進させるのに十分な長さを有することができる。操縦ガイドワイヤ136は、少なくともRICCアセンブリ100の展開準備完了状態において、RICC102内に係留的に配置され得る。例えば、操縦ガイドワイヤ136は、操縦ガイドワイヤ136の近位端部分または中間部分が、遠位管腔124の延長レッグ管腔部分内に配置された状態で、操縦ガイドワイヤ136の中間部分または遠位端部分が、遠位管腔124のハブ管腔部分内に配置された状態で、かつ操縦ガイドワイヤ136の遠位端部分が、遠位管腔124のカテーテルチューブ管腔部分内に配置された状態で、RICC102の遠位管腔124内に配置することができ、カテーテルチューブ管腔部分は、典型的にはカテーテルチューブ106の近位端からカテーテルチューブ106の遠位端まで延びる上述の1つのカテーテルチューブ管腔から形成される。しかしながら、側面開口114の遠位の前述のカテーテルチューブ管腔の遠位端部分は、導入管腔122と一致し、以下に説明されるように、少なくともRICCアセンブリ100の展開準備完了状態において、イントロデューサ針146によって占有される。導入管腔122内にイントロデューサ針146が存在するため、操縦ガイドワイヤ136の遠位端は、少なくともRICCアセンブリ100の展開準備完了状態において、側面開口114のすぐ手前にある。
【0050】
操縦ガイドワイヤ136は、該操縦ガイドワイヤ136の停止端(例えば、ハブ端、ボール端、スラグ端など)を形成する操縦ガイドワイヤ136の近位端部分の周りに停止部138(例えば、ハブ、ボール、スラグなど)を含むことができる。操縦ガイドワイヤ136の停止端は、遠位管腔124の近位端開口部またはその延長レッグ管腔部分よりも大きいため、操縦ガイドワイヤ136をRICC102内に前進させるための遠位限界を提供する。加えて、操縦ガイドワイヤ136は、一定長さの無菌バリア188(例えば、長尺状バッグ)内に配置されてもよい。無菌バリア188は、閉鎖またはシールされた近位端と、必要なときに無菌バリアおよび操縦ガイドワイヤ188の両方を手動で取り外すために、延長レッグのルアーコネクタの近位端に取り外し可能に連結された(例えば、取り外し可能に接着された)別の開放された遠位端とを含む、一定長さの無菌バリア、無菌バリアの閉鎖またはシールされた近位端、およびルアーコネクタに連結された無菌バリアの遠位端の組合せは、操縦ガイドワイヤ136が近位側に移動可能な制限された経路を提供することによって、操縦ガイドワイヤ136をRICC102から引き込むための近位限界を提供する。近位限界は、操縦ガイドワイヤ136の非外傷性の先端を遠位管腔124内に保持するものであり、少なくとも、コイル状または部分的にコイル状の先端を有する非外傷性チップの実施形態では、非外傷性の先端は、例えば米国特許出願公開第2015/0038943号明細書および米国特許出願公開第2016/0015943号明細書(それぞれ、その全体が本願に援用される)に議論されるように、直線化した状態または非コイル状態のままである。これは、そのようなガイドワイヤをカテーテルなどの医療デバイスの管腔内に再挿入することが特に困難であり得るため、有利である。
【0051】
任意選択的に、操縦ガイドワイヤ136の停止端は、操縦ガイドワイヤ136の停止端を無菌バリアの近位端に維持するために無菌バリアの近位端に連結(例えば、接着)されることによって、RICC102の近位端(例えば、ルアーコネクタの近位端)を越えて延びる操縦ガイドワイヤ136の近位端部分の長さと無菌バリアのプリーツ加工されていない長さとの間の不一致を低減する。前述した長さ間の不一致を低減することは、再び一致させるための時間および労力を必要とし得る、無菌バリアの中間部分において操縦ガイドワイヤ136の停止端を失う可能性を低減するものであり、これにより、患者に注意を向ける時間が長くなる。
【0052】
操縦ガイドワイヤをRICC102から引き込むための近位限界を提供することに加えて、無菌バリアは、RICCアセンブリ100の使用前(たとえば、輸送および取扱い、保管など)およびRICCアセンブリ100の使用中の両方において、操縦ガイドワイヤ136の無菌性を維持するように構成される。RICCアセンブリ100の使用中、無菌バリアは、患者の血管管腔への針経路が確立されることに応答して、操縦ガイドワイヤ136を患者の血管管腔内に前進させるための非接触前進手段を提供するように構成されている。同様に、無菌バリアは、例えば、カテーテルチューブ106が操縦ガイドワイヤ136上を前進した後に、患者の血管管腔から操縦ガイドワイヤ136を引き出すための非接触引き出し手段を提供するように構成される。
【0053】
図示されていないが、RICC102は、RICC102を補強するために、RICC102の3管腔の実施形態の中間管腔126および近位管腔128のいずれかの管腔または両方の管腔内のスタイレットなどの補強スタイレットをさらに含むことができ、それによって、カテーテルチューブ106が挿入部位に挿入され、患者の血管系を通して前進させられるときに、カテーテルチューブ106の座屈を防止するための追加の柱座屈強度を提供する。
【0054】
RICC102は、カテーテルチューブ106を患者の血管管腔に挿入する前に、カテーテルハブ108とカテーテルチューブ106の側面開口114との間でカテーテルチューブ106の無菌状態を維持するように構成された無菌バリア190(たとえば、バッグ、ケーシングなど)をさらに含むことができる。存在する場合、無菌バリア190は、少なくともRICCアセンブリ100の展開準備完了状態において、カテーテルハブ108とカテーテルチューブ106の側面開口114との間でカテーテルチューブ106を覆う。無菌バリア190は、無菌バリア190の近位端部分の無菌バリアタブ192がカテーテルチューブ106から引き離されたときに分離するように構成されていることにより、カテーテルチューブ106から無菌バリア190を取り外すための非接触機構を提供する。
【0055】
イントロデューサ104は、格納式針デバイス140などの安全針デバイスと、シリンジ142と、格納式針デバイス140およびシリンジ142を互いに連結するように構成された連結ハブ144とを含む。例えば、以下に記載されるイントロデューサ針146の遠位端部分を除いて、イントロデューサ104は、図4に示されるように、少なくともRICCアセンブリ100の展開準備完了状態において、カテーテルチューブ106の側面開口114の近位にある。
【0056】
安全針デバイスは、RICCアセンブリ100を使用中における損傷(たとえば、不注意な針刺し)、汚染、またはその両方について臨床医の安全性を確保するように構成される。例えば、格納式針デバイス140は、イントロデューサ針146と、イントロデューサ針146を格納するように構成されたイントロデューサ針作動機構と、アクセスガイドワイヤ148と、アクセスガイドワイヤ148を前進または引き込むように構成されたアクセスガイドワイヤ作動機構とを含む。損傷を防止するためにイントロデューサ針146を格納するイントロデューサ針作動機構、および汚染を防止するためにアクセスガイドワイヤ148を引き込むアクセスガイドワイヤ作動機構の一例は、AccuCath Ace(商標)血管内カテーテルシステム(ニュージャージー州、ブランクリンレイク所在のベクトン・ディッキンソンアンドカンパニー社(BD))であり、その態様は、米国特許第8,728,035号明細書、米国特許第9,162,037号明細書、および米国特許第10,220,191号明細書に開示されており、各々はその全体が本出願に援用されている。あるいは、安全針デバイスは、PowerGlide PRO(登録商標)ミッドラインカテーテル(ニュージャージー州、ブランクリンレイク所在のBD)などのPowerGlide(登録商標)ミッドラインカテーテル製品の設計原理に基づくことができ、その態様は、米国特許第8,721,546号明細書、米国特許第8,932,258号明細書、米国特許第8,986,227号明細書、米国特許第8,998,852号明細書、米国特許第9,757,540号明細書、米国特許第9,872,971号明細書、米国特許第9,950,139号明細書、米国特許第10,086,171号明細書、米国特許第10,384,039号明細書、および米国特許第10,426,931号明細書に開示されており、各々はその全体が本出願に援用されている。
【0057】
イントロデューサ針146は、シャフトと、シャフトの長さに沿った針管腔と、針管腔内に開口するシャフトの側面の切欠き149と、シャフトの遠位端部分の針先150(例えば、傾斜先端)とを有する。少なくともRICCアセンブリ100の展開準備完了状態において、切欠き149を含むシャフトの近位端部分は、以下に記載される連結ハブ144の血液フラッシュバックチャンバ182内に配置され、シャフトの遠位端部分は、RICCアセンブリ100の展開準備完了状態において、以下に記載される連結ハブ144の長手方向貫通孔を通り、カテーテルチューブ106の側面開口114を通り、カテーテルチューブ106の導入管腔122に沿って延びている。針先150は、RICCアセンブリ100が少なくともRICCアセンブリ100の展開準備完了状態にあるとき、RICC102の遠位端を越えて延びている。
【0058】
イントロデューサ針作動機構は、イントロデューサ針アクチュエータ152と、格納式針デバイス140の本体形成ハウジング158によって囲まれた、即ち画定された空洞156内に配置されたキャリッジ154とを含む。イントロデューサ針146の近位端部分(例えば、シャフトの近位端部分)もキャリッジ154内に配置されている。キャリッジ154は、キャリッジ154の周りで圧縮された圧縮ばね160によってばね荷重をかけられ得るものであり、圧縮ばね160は、少なくともRICCアセンブリ100の展開準備完了状態において、キャリッジ154の近位フランジ162と格納式針デバイス140の遠位端片(たとえば、ハウジング158の遠位壁)との間で圧縮される。イントロデューサ針アクチュエータ152は、格納式針デバイス140またはそのハウジング158の遠位端を通って延びるキャリッジ154の連結ハブ接続部分の相補的な凹部166によって、ばね荷重をかけられたキャリッジ154を保持するように構成されたキャッチ164を含むことができる。前述のイントロデューサ針アクチュエータ152が、例えばイントロデューサ針アクチュエータ152のボタン168によって切り替えられると、イントロデューサ針アクチュエータ152は、キャリッジ154の連結ハブ接続部分の凹部166からキャッチ164を移動させることによって、ばね荷重キャリッジ154およびその周囲の圧縮ばね160を解放する。ばね荷重をかけられたキャリッジ154を解放することによって、圧縮された圧縮ばね160が弛緩可能となるため、圧縮された圧縮ばね160によって蓄積された位置エネルギーを解放することができる。弛緩すると、圧縮ばね160は、近位方向に伸び、キャリッジ154およびイントロデューサ針146の両方を格納式針デバイス140の空洞156内に押し込む。
【0059】
アクセスガイドワイヤ148は、格納式針デバイス140の空洞156とイントロデューサ針146の針管腔との組み合わせ内に係留的に配置される。少なくともRICCアセンブリ100の展開準備完了状態では、アクセスガイドワイヤ148の近位端部分は空洞156内に配置され、アクセスガイドワイヤ148の遠位端部分は針管腔内に配置される。有利には、アクセスガイドワイヤ148の大部分は、RICCアセンブリ100のいくつかの動作状態のうちのすべてではないにしてもほとんどの動作状態の間、格納式針デバイス140内に収容される。格納式針デバイス140内にアクセスガイドワイヤ148を収容することは、患者の血管管腔からアクセスガイドワイヤ148を引き出すことから生じるいくらかの血液または他の体液を格納式針デバイス140内に収容することでもある。これは、術野内で手術する任意の臨床医または術野が血液または他の体液で汚染される可能性を最小限にしたり、または防止したりする。
【0060】
アクセスガイドワイヤ作動機構は、格納式針デバイス140のハウジング158内に配置されたアクセスガイドワイヤ148の近位端部分に連結されたアクセスガイドワイヤアクチュエータ170を含む。例えば、アクセスガイドワイヤアクチュエータ170は、格納式針デバイス140のハウジング158の閉鎖端長手方向スロット内に摺動可能に配置されたスライダ172を含み、長手方向スロットの閉鎖端は、アクセスガイドワイヤ148をそれぞれ前進および後退させるための遠位停止部および近位停止部を提供する。図示されていないが、スライダ172は、格納式針デバイス140の空洞156内に延びる延長部を含むことができ、延長部はアクセスガイドワイヤ148の近位端部分に連結される。前述のアクセスガイドワイヤアクチュエータ170は、アクセスガイドワイヤアクチュエータ170が長手方向スロットに従って遠位側に移動するとき、針先150を越えてアクセスガイドワイヤ148の遠位端部分を前進させるように構成されている。同様に、アクセスガイドワイヤアクチュエータ170は、アクセスガイドワイヤアクチュエータ170が長手方向スロットに従って近位側に移動するとき、アクセスガイドワイヤ148の遠位端部分が針先150の近位のシャフトまたは針管腔の遠位端部分の中に入るように、アクセスガイドワイヤ148を格納式針デバイス140の中に引き込むように構成される。
【0061】
アクセスガイドワイヤアクチュエータ170は、上述した手動による作動または自動的な作動によって、アクセスガイドワイヤ148を格納式針デバイス140内に引き込むように作動させることができる。自動的な作動に関して、イントロデューサ針作動機構のキャリッジ154は、圧縮ばね160が弛緩するにつれて、キャリッジ154が圧縮ばね160によって格納式針デバイス140の空洞156内に近位側に押し込まれたときに、アクセスガイドワイヤアクチュエータ170に係合するように構成されてもよい。例えば、キャリッジ154の近位端は、キャリッジ154が圧縮ばね160によって格納式針デバイス140の空洞156内に近位側に押し込まれたときに、スライダ172の遠位端またはその延長部に係合するように構成されてもよい。アクセスガイドワイヤ148は、イントロデューサ針アクチュエータ152が自動的に作動されると、その遠位端部分によってイントロデューサ針146と一緒に格納式針デバイス140の空洞156内に引き込まれる。
【0062】
シリンジ142は、バレル174と、バレル174内に配置されたプランジャ176と、少なくともRICCアセンブリ100が少なくとも展開準備完了状態にあるときに、以下で説明する連結ハブ144のサイドアーム180に流体接続される、バレル174の遠位端から延びるシリンジ先端178とを含む。
【0063】
図示されるように、プランジャ176は、プランジャの遠位端部分からシリンジのバレル174に沿って遠位側に延びるプランジャ延長部194を含むことができる。プランジャ延長部194はタブ196を含み、タブ196は、臨床医が、以下に記載される血液吸引ステップ中などにタブ196を近位側に押すことによって、シリンジ142のバレル174からプランジャ176を引き抜くことを可能にするように構成される。バレル174からプランジャ176を引き抜くためのそのような構成は、連結ハブ144の周りでRICCアセンブリ100を取り扱うときに有利であり、それは、RICC102の遠位端部分における大きな動きを最小限に抑えるためにRICCアセンブリ100を取り扱うための好ましい位置である。実際、RICCアセンブリ100が取り扱われる位置が近位側であればあるほど、RICC102の遠位端部分における手のより大きいな或いは小さな偶発的な動きが生じる。
【0064】
上述したように、連結ハブ144は、RICCアセンブリ100の展開準備完了状態などにおいて、格納式針デバイス140とシリンジ142とを互いに連結するように構成される。連結ハブ144は、キャリッジ154の連結ハブ接続部に接続するように構成されたキャリッジコネクタと、連結ハブ144の側面から延びるサイドアーム180と、シリンジ142のシリンジ先端178に接続するように構成されたサイドアーム180のサイドアームコネクタとを含む。
【0065】
連結ハブ144は半透明であり、イントロデューサ針146による静脈穿刺からの血液フラッシュバックを観察するために無色であることが好ましい。実際、連結ハブ144は、血液フラッシュバックを観察するために、連結ハブ144の長手方向貫通孔の近位に封止された血液フラッシュバックチャンバ182を含む。上述したように、切欠き149を含むイントロデューサ針146のシャフトの近位端部分は、血液フラッシュバックチャンバ182内に配置され、切欠き149は、イントロデューサ針146の針先150が患者の血管管腔にアクセスすると、血液を血液フラッシュバックチャンバ182内に放出するように構成されている。加えて、連結ハブ144のサイドアーム180は、少なくともRICCアセンブリ100の展開準備完了状態においてシリンジ142を血液フラッシュバックチャンバ182に流体接続するサイドアーム管腔を含む。イントロデューサ針146による静脈穿刺から血液フラッシュバックチャンバ182内への血液フラッシュバックが観察されると、シリンジ142を使用して、血管管腔へのアクセス確認のために追加の血液を吸引することができる。血液フラッシュチャンバの近位端部分および遠位端部分におけるシール(例えば、ガスケット)、ならびにアクセスガイドワイヤ148の裸の巻かれていない部分が通過するイントロデューサ針146のシャフトの近位端の周りのシール184(例えば、ガスケット)は、シリンジ142による追加の血液の吸引を可能にする。
【0066】
また、連結ハブ144は、連結ハブ144の遠位端部分にタブ186を含むことができる。タブ186は、臨床医が、格納式針デバイス140の遠位端部分を同じ手の親指と別の1本または複数本の指との間に保持しながら、片手の1本の指でRICC102を針先150の上方で前進させることを片手で可能にするように構成されている。タブ186は、RICC102、具体的にはカテーテルチューブ106の遠位端部分を、針先150、アクセスガイドワイヤ148の遠位端部分、またはそれらの組合せの上方で、患者の血管管腔の中へ前進させるための非接触機構を容易にする。
【0067】
サイドアーム180を含む連結ハブ144は、少なくともRICCアセンブリ100の展開準備完了状態において、RICCアセンブリ100内の格納式針デバイス140に沿って適所でシリンジ142を保持するために硬質であってもよい。それに代えて、サイドアーム180は、いくつかの実施形態では可撓性を有してもよい。そのような実施形態では、RICCアセンブリ100または該RICCアセンブリ100のイントロデューサ104は、バレル174によってシリンジ142をクリップ留めするように構成されたシリンジクリップ留め部と、本体形成ハウジング158によって格納式針デバイス140をクリップ留めするように構成された針デバイスクリップ留め部とを有するクリップ198を含む。クリップ198の針デバイスクリップ留め部は、格納式針デバイス140が摺動することを許容するように構成されている。換言すれば、格納式針デバイス140は、クリップ198の針デバイスクリップ留め部内に摺動可能に配置されており、これにより、以下に記載されるイントロデューサ針引き抜きステップが可能となる。
【0068】
図1乃至図4は、少なくともその展開準備完了状態にあるRICCアセンブリ100を示す。RICCアセンブリ100が配備準備完了状態にあるとき、イントロデューサ針146の針先150よりわずかに、静脈穿刺のためにRICC102の遠位端から延びている。実際、イントロデューサ針146のシャフトの遠位端部分(例えば、約7cm)は、RICCアセンブリ100が少なくともその展開準備完了状態にあるとき、連結ハブ144の長手方向貫通孔を通り、カテーテルチューブ106の側面開口114を通り、カテーテルチューブ106の導入管腔122に沿って、RICC102の遠位端を通って延びている。しかしながら、いくつかの実施形態では、シャフトの遠位端部分の1乃至3cm以上が、RICC102の遠位端から静脈穿刺まで延びてもよい。そのような実施形態では、カテーテルチューブ106の第1の部分116は、シャフトの長さがより長いのとは対照的に、長さがより短い。RICCアセンブリ100のいくつかの動作状態のうちの追加の動作状態は、上記で説明したRICCアセンブリ100の機能的態様、または以下で説明するRICC102を挿入するための方法のステップから理解され得る。
【0069】
方法
RICCアセンブリ100の方法は、RICC102を患者の血管管腔に挿入するための方法を含む。そのような方法は、いくつかの実施形態では、RICCアセンブリ取得ステップと、針経路確立ステップと、RICC前進ステップと、イントロデューサ針引き抜きステップとを含む。
【0070】
RICCアセンブリ取得ステップは、RICCアセンブリ100を取得することを含む。上述のように、RICCアセンブリ100は、RICC102およびイントロデューサ104を含む。イントロデューサ104、連結ハブ144によって互いに連結された格納式針デバイス140およびシリンジ142を含む。
【0071】
本方法は、針経路確立ステップの前に、イントロデューサ針146の針先150がRICC102の遠位端から延びることを確実にする針先確実化ステップをさらに含むことができる。上述したように、格納式針デバイス140は、少なくともRICCアセンブリ100の展開準備完了状態において、連結ハブ144の長手方向貫通孔を通り、RICC102のカテーテルチューブ106の遠位端部分の側面開口114を通り、カテーテルチューブ106の導入管腔122に沿って、RICC102の遠位端を越えて延びるシャフトを有するイントロデューサ針146を含む。
【0072】
針経路確立ステップは、格納式針デバイス140の遠位端部分を保持しながら、イントロデューサ針146の針先150で患者の皮膚の領域から血管管腔までの針経路を確立することを含む。針経路確立ステップは、血液が連結ハブ144の密閉された血液フラッシュバックチャンバ182内に逆流することを確実にすることを含んでもよい。上述したように、患者の血管管腔にアクセスする際に血液を血液フラッシュバックチャンバ182内に放出するために、イントロデューサ針146のシャフトの切欠き149が血液フラッシュバックチャンバ182に設けられている。
【0073】
方法は血液吸引ステップをさらに含むことができる。血液吸引ステップは、針経路確立ステップの後であって、イントロデューサ針引き抜きステップの前に、シリンジ142で血液を吸引することを含む。また、シリンジ142は、血液吸引ステップのために、サイドアーム180のサイドアーム管腔によって連結ハブ144の血液フラッシュバックチャンバ182に流体連結されている。血液吸引ステップは、針先150が患者の血管管腔内に配置されたことを確認する。
【0074】
本方法は、アクセスガイドワイヤ前進ステップをさらに含むことができる。アクセスガイドワイヤ前進ステップは、アクセスガイドワイヤ148の遠位端部分をイントロデューサ針146の針管腔から血管管腔の中へ前進させるステップを含み、これにより、RICCアセンブリ100のわずかな意図しない移動に起因して血管管腔の血管が失われ得る前に、アクセスガイドワイヤ148を直ちに利用可能にすることによって、最初の穿刺成功を容易となる。アクセスガイドワイヤ148の遠位端部分は、いくつかの実施形態では、格納式針デバイス140のハウジング158の長手方向スロット内でスライダ172を遠位方向に摺動させることによって前進する。上述したように、スライダ172は、格納式針デバイス140のハウジング158によって画定された空洞156内に配置されたアクセスガイドワイヤ148の近位端部分に連結された延長部を含むことができる。アクセスガイドワイヤ前進ステップは、カテーテルチューブ106の遠位端部分が、アクセスガイドワイヤ148及びイントロデューサ針146の針先150の上方を前進することができるように、第1のRICC前進ステップの前に行われる。
【0075】
第1のRICC前進ステップは、カテーテルチューブ106の遠位端部分を針先150、アクセスガイドワイヤ148又は両方を越えて血管管腔の中へ前進させることを含む。上述したように、カテーテルチューブ106は、第1のデュロメータ硬さを有する第1の材料で形成された第1の部分116と、第1のデュロメータ硬さよりも低い第2のデュロメータ硬さを有する第2の材料で形成された第2の部分118とを含む。カテーテルチューブ106の第1の部分116は、カテーテルチューブ106をアクセスガイドワイヤ148または操縦ガイドワイヤ前進ステップにおいて提供される以下に記載される操縦ガイドワイヤ136の上方で血管管腔内に前進させるための柱座屈強度を有するように構成されている。例えば、第1のRICC前進ステップは、格納式針デバイス140の遠位端部分を同じ手の親指と別の1本または複数本の指との間に保持しながら、(指のフリック式の動きによって)片手の1本の指でカテーテルチューブ106を血管管腔の中へ前進させることを含むことができる。連結ハブ144は、1本の指でカテーテルチューブ106を血管管腔内に前進させるように構成されたタブ186を含む。連結が1本の指で進められると、次に、連結ハブ144は、カテーテルチューブ106を血管管腔内に進める。
【0076】
イントロデューサ針引き抜きステップは、カテーテルチューブ106の側面開口114を介して、患者の血管管腔及びRICC102の導入管腔122からイントロデューサ針146のシャフトを引き抜くことを含む。イントロデューサ針引き抜きステップは、格納式針デバイス140のイントロデューサ針アクチュエータ152を(例えば、ボタン168によって)作動させることを含む。上述したように、イントロデューサ針146の近位端部分は、キャリッジ154の周りで圧縮された圧縮ばね160がイントロデューサ針アクチュエータ152によって解放された場合に、格納式針デバイス140の空洞156内に近位方向に押し込まれるように構成された、格納式針デバイス140のばね荷重をかけられたキャリッジ154内に配置される。
【0077】
方法は、アクセスガイドワイヤ148を少なくとも患者の血管管腔から引き抜くアクセスガイドワイヤ引き抜きステップをさらに含むことができる。アクセスガイドワイヤを引き抜くステップは、アクセスガイドワイヤアクチュエータ170を手動で作動させることによって手動で行うことができる。例えば、アクセスガイドワイヤ148は、格納式針デバイス140のハウジング158の長手方向スロット内でスライダ172を近位方向に摺動させることによって、患者の血管管腔から手動で引き抜くことができる。あるいは、アクセスガイドワイヤを引き出すステップは、アクセスガイドワイヤアクチュエータ170の自動作動によって自動的に実行されてもよい。例えば、イントロデューサ針作動機構のキャリッジ154は、キャリッジ154が圧縮ばね160によって格納式針デバイス140の空洞156内に近位側に押し込まれたときに、アクセスガイドワイヤアクチュエータ170(例えば、スライダ172またはその延長部)に係合するように構成されてもよい。したがって、イントロデューサ針アクチュエータ152が、イントロデューサ針引抜きステップにおいて、ばね荷重をかえられたキャリッジ154を解放するように作動されると、アクセスガイドワイヤ引込みステップも実行される。
【0078】
組み合わされて、イントロデューサ針引き抜きステップおよびアクセスガイドワイヤ引き込みステップは、イントロデューサ104をRICC102から完全に取り外すイントロデューサ取り外しステップと見なすことができる。しかしながら、アクセスガイドワイヤ148の長さに応じて、イントロデューサ取り外しステップは、カテーテルチューブ106の側面開口114を介して、アクセスガイドワイヤ148をRICC102の導入管腔122から完全に引き抜くのに十分な距離だけ、イントロデューサ104をRICC102から分離することをさらに含むことができる。イントロデューサ取り外しステップは、カテーテルチューブ106の遠位端部分が、針先150およびアクセスガイドワイヤ148の両方の上方で血管管腔内に好適に配置された後等、第1のRICC前進ステップの後に行われてもよい。
【0079】
方法は、操縦ガイドワイヤ前進ステップをさらに含むことができる。操縦ガイドワイヤ前進ステップは、例えば、RICC102の遠位端に遠位管腔開口130を介して、血管管腔の中に操縦ガイドワイヤ136を前進させることを含む。上述したように、カテーテルチューブ106の導入管腔122は、遠位管腔124の遠位端部分、特に側面開口114の遠位の遠位管腔124の遠位端部分と一致する。したがって、RICC102からイントロデューサ104を完全に取り外すイントロデューサ取り外しステップは、遠位管腔124または導入管腔122がイントロデューサ針146およびアクセスガイドワイヤ148の両方から自由であることを確実にするために、操縦ガイドワイヤ前進ステップの前に要求される。
【0080】
方法は、カテーテルチューブ106の遠位端部分を操縦ガイドワイヤ136の上方で血管管腔の中へ、例えばSVCまでさらに前進させる第2のRICC前進ステップをさらに含むことができる。操縦ガイドワイヤ136は、カテーテルチューブ106の第2の部分118に、第2のRICC前進ステップのための十分な柱座屈強度を提供する。
【0081】
方法は、無菌バリアがRICC102のカテーテルハブ108とカテーテルチューブ106の側面開口114との間でカテーテルチューブ106の上方に存在する場合、無菌バリア除去ステップをさらに含むことができる。無菌バリア除去ステップは、無菌バリアを除去することを含む。無菌バリアは、無菌バリアを分離すべく無菌バリアの近位端部分の無菌バリアタブをカテーテルチューブ106から引き離すことによって除去される。
【0082】
方法は、患者の血管管腔から操縦ガイドワイヤ136を引き込むとともに、RICC102から操縦ガイドワイヤ136を完全に取り外す操縦ガイドワイヤ引き込みステップをさらに含むことができる。
【0083】
いくつかの特定の実施形態が本明細書に開示されており、特定の実施形態がある程度詳細に開示されているが、特定の実施形態が本明細書で提供される概念の範囲を制限することは意図されていない。当業者は、より広い態様において、付加的な適応をおこなったり、および/または改変を行ったりすることを理解することができ、これらの適応および/または改変も包含される。したがって、本明細書で提供される概念の範囲から逸脱することなく、本明細書で開示される特定の実施形態から外れて実施されてもよい。
図1
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【国際調査報告】