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特表2023-526422コロナウイルス抗原組成物及びそれらの使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-21
(54)【発明の名称】コロナウイルス抗原組成物及びそれらの使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/50 20060101AFI20230614BHJP
   A61K 39/00 20060101ALI20230614BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20230614BHJP
   A61K 39/09 20060101ALI20230614BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230614BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20230614BHJP
   A61K 39/39 20060101ALI20230614BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20230614BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20230614BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20230614BHJP
【FI】
C12N15/50 ZNA
A61K39/00 H
A61P31/14
A61K39/09
A61P43/00 121
A61K9/08
A61K39/39
A61K47/68
A61K31/7088
A61K48/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022570512
(86)(22)【出願日】2021-05-20
(85)【翻訳文提出日】2023-01-16
(86)【国際出願番号】 US2021033490
(87)【国際公開番号】W WO2021236980
(87)【国際公開日】2021-11-25
(31)【優先権主張番号】63/034,704
(32)【優先日】2020-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/068,936
(32)【優先日】2020-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/027,932
(32)【優先日】2020-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/074,442
(32)【優先日】2020-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/125,778
(32)【優先日】2020-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520445473
【氏名又は名称】フラッグシップ パイオニアリング イノベーションズ シックス,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100188374
【弁理士】
【氏名又は名称】一宮 維幸
(72)【発明者】
【氏名】カーベジアン,アバク
(72)【発明者】
【氏名】デ ブール,アレクサンドラ・ソフィー
(72)【発明者】
【氏名】エチェラード,ヤン・ポール・ガイ・レジス
(72)【発明者】
【氏名】プルギス,ニコラス・マッカートニー
(72)【発明者】
【氏名】ハジャール,ロジャー・ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】メルフィ,マイケル・ドナート
(72)【発明者】
【氏名】ネルソン,ジェニファー・エイ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA11
4C076AA95
4C076BB11
4C076CC35
4C076CC41
4C076EE41
4C076EE59
4C076FF11
4C076FF34
4C084AA13
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4C084MA17
4C084MA66
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZB33
4C084ZC75
4C085AA03
4C085BA14
4C085EE01
4C085EE03
4C085EE06
4C085FF11
4C085GG01
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA17
4C086MA66
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZB33
4C086ZC75
(57)【要約】
本開示は、コロナウイルス抗原をコードする配列を含む環状ポリリボヌクレオチドを含む組成物及び方法、並びにコロナウイルス抗原をコードする配列を含む線状ポリリボヌクレオチドを含む組成物及び方法を提供する。例えば、開示される環状ポリリボヌクレオチド又は開示される線状ポリリボヌクレオチドを用いて、ポリクローナル抗体を生成するための、関連する組成物及び方法が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コロナウイルス抗原をコードする配列を含む環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物。
【請求項2】
コロナウイルス抗原をコードする配列を含む環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物であって、前記コロナウイルス抗原が、配列番号1~10、13、15、17、19、21、23、25~30、48、及び49のいずれか1つから選択されるコロナウイルス抗原に対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する配列を含むか、又は前記環状ポリリボヌクレオチドが、配列番号12、14、16、18、20、22、及び24から選択される環状ポリリボヌクレオチドに対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する配列を含む、免疫原性組成物。
【請求項3】
前記コロナウイルス抗原をさらに含む、請求項1又は2に記載の免疫原性組成物。
【請求項4】
前記コロナウイルス抗原が、ベータコロナウイルス若しくはそのフラグメント又はサルベコウイルス若しくはそのフラグメントに由来する、請求項1~3のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項5】
前記コロナウイルス抗原が、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)若しくはそのフラグメント、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス1(SARS-CoV-1)若しくはそのフラグメント、又は中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)若しくはそのフラグメントに由来する、請求項1~4のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項6】
前記コロナウイルス抗原が、膜タンパク質又はその変異体若しくはフラグメント、ウイルスのエンベロープタンパク質又はその変異体若しくはフラグメント、ウイルスのスパイクタンパク質又はその変異体若しくはフラグメント、ウイルスのヌクレオカプシドタンパク質又はその変異体若しくはフラグメント、ウイルスのアクセサリータンパク質又はその変異体若しくはフラグメントである、請求項1~5のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項7】
前記コロナウイルス抗原が、スパイクタンパク質又はその変異体若しくはフラグメントの受容体結合ドメインである、請求項1~6のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項8】
前記スパイクタンパク質が、切断部位を欠く、請求項7に記載の免疫原性組成物。
【請求項9】
コロナウイルスのアクセサリータンパク質が、ORF3a、ORF7a、ORF7b、ORF8、ORF10、又はその任意の変異体若しくはフラグメントからなる群から選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項10】
前記環状ポリリボヌクレオチドが、抗原をそれぞれコードする複数の配列を含み、少なくとも1つの配列が、コロナウイルス抗原をコードする、請求項1~9のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項11】
前記環状ポリリボヌクレオチドが、2つ以上のORFを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項12】
前記環状ポリリボヌクレオチドが、少なくとも2つの異なる微生物からの抗原をコードする配列を含み、少なくとも1つの微生物が、コロナウイルスである、請求項1~11のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項13】
前記コロナウイルス抗原が、エピトープを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項14】
前記コロナウイルス抗原が、B細胞によって認識されるエピトープを含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項15】
第2の抗原をコードする配列を含む第2の環状ポリリボヌクレオチドをさらに含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項16】
第2のORFを含む第2の環状ポリリボヌクレオチドをさらに含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項17】
第3、第4、又は第5の抗原をコードする配列を含む第3、第4、又は第5の環状ポリリボヌクレオチドをさらに含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項18】
前記第1の抗原、第2の抗原、第3の抗原、第4の抗原、及び第5の抗原が、異なる抗原である、請求項1~17のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項19】
前記免疫原性組成物が、薬学的に許容される担体又は賦形剤をさらに含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項20】
前記免疫原性組成物が、薬学的に許容される賦形剤をさらに含み、いずれの担体も含まない、請求項1~19のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項21】
配列番号13、15、及び12のいずれか1つから選択される配列を含む線状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物。
【請求項22】
前記線状ポリリボヌクレオチドが、2つ以上の抗原をコードする配列を含み、少なくとも1つの抗原が、コロナウイルス抗原である、請求項21に記載の免疫原性組成物。
【請求項23】
前記線状ポリリボヌクレオチドが、少なくとも2、3、4、又は5つの抗原をコードする配列を含み、少なくとも1つの抗原が、配列番号13、15、及び12の配列によってコードされるコロナウイルス抗原である、請求項21又は請求項22に記載の免疫原性組成物。
【請求項24】
免疫原性組成物をヒト対象に送達する方法であって、a)請求項1~23のいずれか一項に記載の免疫原性組成物を、前記ヒト対象に投与することを含む、方法。
【請求項25】
非ヒト動物又はヒト対象におけるコロナウイルス抗原に対する免疫応答を誘導する方法であって、a)請求項1~23のいずれか一項に記載の免疫原性組成物を、前記非ヒト動物又はヒト対象に投与することを含む、方法。
【請求項26】
免疫原性組成物をヒト対象に送達する方法であって、a)請求項1~23のいずれか一項に記載の免疫原性組成物を前記ヒト対象に投与すること、及びb)前記非ヒト動物又はヒト対象からコロナウイルス抗原に対する抗体を採取することを含む、方法。
【請求項27】
非ヒト動物又はヒト対象におけるコロナウイルス抗原に対する免疫応答を誘導する方法であって、a)請求項1~23のいずれか一項に記載の免疫原性組成物を、前記非ヒト動物又はヒト対象に投与すること、及びb)前記非ヒト動物又はヒト対象からコロナウイルス抗原に対する抗体を採取することを含む、方法。
【請求項28】
補助剤を前記非ヒト動物又はヒト対象に投与することをさらに含む、請求項24~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記補助剤が、前記免疫原性組成物と合剤にされ、共投与されるか、又は前記免疫原性組成物と別々に製剤化され、投与される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記免疫原性組成物を担体と共に製剤化することをさらに含む、請求項24~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
少なくとも2回、前記非ヒト動物又はヒト対象に前記環状ポリリボヌクレオチドを投与するか、又は前記非ヒト動物又はヒト対象を前記環状ポリリボヌクレオチドで免疫化することをさらに含む、請求項24~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記非ヒト動物又はヒト対象に、ワクチンを投与するか、又は前記非ヒト動物又はヒト対象をワクチンで免疫化することをさらに含む、請求項24~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記ワクチンが、肺炎球菌多糖ワクチンである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記ワクチンが、細菌感染用である、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記非ヒト動物又はヒト対象が、注射によって前記環状ポリリボヌクレオチドで免疫化される、請求項24~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記ポリクローナル抗体の抗体が、前記コロナウイルス抗原に特異的に結合する、請求項24~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記ポリクローナル抗体の抗体が、ヒト化抗体又は完全ヒト抗体である、請求項24~36のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表
本出願は、ASCII形式で電子的に提出され、全体が参照により本明細書に援用される配列表を含む。2021年5月20日に作成された前記ASCIIコピーは、51509-020WO6_Sequence_Listing_5.20.21_ST25と命名され、207,385バイトのサイズである。
【背景技術】
【0002】
コロナウイルスに対して有効なワクチン及び治療薬に対する差し迫ったニーズがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示は、一般に、コロナウイルス抗原をコードする配列を含む環状ポリリボヌクレオチド及び環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物に関する。本開示は、さらに、コロナウイルス抗原をコードする配列を含む環状ポリリボヌクレオチド及び免疫原性組成物を使用する方法に関する。ある実施形態において、本開示の環状ポリリボヌクレオチド及び免疫原性組成物は、ポリクローナル抗体を生成する方法において使用される。生成されたポリクローナル抗体は、対象(例えば、ヒト対象)における予防の方法又はコロナウイルス感染を有する対象(例えば、ヒト対象)の治療の方法において使用され得る。生成されたポリクローナル抗体は、コロナウイルス感染への曝露のリスクが高い対象に投与され得る。
【0004】
本開示はまた、表3から選択される配列番号の配列をコードする配列を含む線状ポリリボヌクレオチド及び線状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物に関する。本開示は、さらに、コロナウイルス抗原をコードする配列を含む線状ポリリボヌクレオチド及び線状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物を使用する方法に関する。ある実施形態において、本開示の線状ポリリボヌクレオチド及び免疫原性組成物は、ポリクローナル抗体を生成する方法において使用される。生成されたポリクローナル抗体は、対象(例えば、治療のためのヒト対象)における予防の方法又はコロナウイルス感染を有する対象(例えば、治療のためのヒト対象)の治療の方法において使用され得る。生成されたポリクローナル抗体は、コロナウイルス感染への曝露のリスクが高い、治療のための対象に投与され得る。
【0005】
一態様において、本発明は、(a)コロナウイルス抗原をコードする配列、例えば、表1若しくは表2中の配列番号から選択される配列を含む環状ポリリボヌクレオチド、又は(b)表3中の配列番号から選択される配列を含む線状ポリリボヌクレオチドを含む組成物(例えば、免疫原性組成物)を特徴とする。
【0006】
一実施形態において、組成物は、非ヒト動物(例えば、ヒト化免疫系を含む非ヒト動物)又はヒト対象(例えば、免疫化のための対象の免疫化後)からの血漿をさらに含む。
【0007】
一実施形態において、組成物は、非ヒト動物(例えば、ヒト化免疫系を含む非ヒト動物)からの血漿及びコロナウイルス抗原(例えば、免疫化のための非ヒト動物対象の免疫化後)をさらに含む。一実施形態において、組成物は、ヒト対象(例えば、免疫化のためのヒト対象の免疫化後)からの血漿及びコロナウイルス抗原をさらに含む。
【0008】
ある実施形態において、組成物は、ヒト化免疫グロブリン遺伝子座及びヒト化B細胞受容体を含む非ヒトB細胞をさらに含み、ここで、ヒト化B細胞受容体は、コロナウイルス抗原に結合する。ある実施形態において、組成物又は免疫原性組成物は、複数の非ヒトB細胞をさらに含み、ここで、複数の非ヒトB細胞が、ヒト化免疫グロブリン遺伝子座を含み、ここで、複数の非ヒトB細胞が、コロナウイルス抗原の第1のエピトープに結合する第1のB細胞及びコロナウイルス抗原の第2のエピトープに結合する第2のB細胞を含む。
【0009】
ある実施形態において、コロナウイルス抗原は、ベータコロナウイルス若しくはそのフラグメント又はサルベコウイルス若しくはそのフラグメントに由来する。ある実施形態において、コロナウイルス抗原は、重症急性呼吸器症候群(SARS)関連コロナウイルス又はそのフラグメントに由来する。ある実施形態において、コロナウイルス抗原は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)若しくはそのフラグメント、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス1(SARS-CoV-1)若しくはそのフラグメント、又は中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)若しくはそのフラグメントに由来する。
【0010】
ある実施形態において、コロナウイルス抗原は、膜タンパク質又はその変異体若しくはフラグメント、ウイルスのエンベロープタンパク質又はその変異体若しくはフラグメント、ウイルスのスパイクタンパク質又はその変異体若しくはフラグメント、ウイルスのヌクレオカプシドタンパク質又はその変異体若しくはフラグメント、ウイルスのアクセサリータンパク質又はその変異体若しくはフラグメントである。ある実施形態において、コロナウイルス抗原は、スパイクタンパク質又はその変異体若しくはフラグメントの受容体結合ドメインである。ある実施形態において、スパイクタンパク質は、切断部位を欠く。ある実施形態において、コロナウイルスのアクセサリータンパク質は、ORF3a、ORF7a、ORF7b、ORF8、ORF10、又はその任意の変異体若しくはフラグメントからなる群から選択される。ある実施形態において、コロナウイルス抗原は、表1から選択される配列又は表2から選択される配列番号の配列に対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する配列を含む。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、表2から選択される配列番号の配列に対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する配列を含む。
【0011】
ある実施形態において、ポリリボヌクレオチドは、抗原をそれぞれコードする複数の配列を含み、複数のうちの少なくとも1つの配列が、コロナウイルス抗原をコードする。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、2つ以上のORFを含む。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、抗原をそれぞれコードする少なくとも5つの配列を含み、抗原の少なくとも1つが、コロナウイルス抗原である。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも2つのORF、例えば、少なくとも2、3、4又は5つのORFを含む。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、抗原をそれぞれコードする5~20個の配列を含み、抗原の少なくとも1つが、コロナウイルス抗原である。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、抗原をそれぞれコードする5~10個の配列を含み、抗原の少なくとも1つが、コロナウイルス抗原である。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも2つの異なる微生物からの抗原をコードする配列を含み、少なくとも1つの微生物が、コロナウイルスである。ある実施形態において、線状ポリリボヌクレオチドは、2つ以上の抗原をコードする配列を含み、少なくとも1つの抗原が、表3中の配列番号の配列によってコードされるコロナウイルス抗原である。ある実施形態において、線状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも2、3、4又は5つの抗原をコードする配列を含み、少なくとも1つの抗原が、表3中の配列番号の配列によってコードされるコロナウイルス抗原である。ある実施形態において、コロナウイルス抗原は、エピトープを含む。ある実施形態において、コロナウイルス抗原は、B細胞によって認識されるエピトープを含む。ある実施形態において、コロナウイルス抗原は、少なくとも2つのエピトープを含む。
【0012】
ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドを含む組成物又は免疫原性組成物は、第2の抗原をコードする配列を含む第2の環状ポリリボヌクレオチドをさらに含む。ある実施形態において、組成物又は免疫原性組成物は、第2のORFを含む第2の環状ポリリボヌクレオチドをさらに含む。ある実施形態において、組成物又は免疫原性組成物は、第3、第4、又は第5の抗原をコードする配列を含む第3、第4、又は第5の環状ポリリボヌクレオチドをさらに含む。ある実施形態において、組成物又は免疫原性組成物は、第2の抗原をコードする配列を含む第2の線状ポリリボヌクレオチドをさらに含む。ある実施形態において、線状ポリリボヌクレオチドを含む組成物又は免疫原性組成物は、第2のORFを含む第2の線状ポリリボヌクレオチドをさらに含む。ある実施形態において、組成物又は免疫原性組成物は、第3、第4、又は第5の抗原をコードする配列を含む第3、第4、又は第5の線状ポリリボヌクレオチドをさらに含む。ある実施形態において、第1の抗原、第2の抗原、第3の抗原、第4の抗原、及び第5の抗原が、異なる抗原である。
【0013】
ある実施形態において、組成物又は免疫原性組成物は、薬学的に許容される担体又は賦形剤をさらに含む。ある実施形態において、ポリリボヌクレオチドは、担体(「ネイキッド」)なしで投与される。他の実施形態において、ポリリボヌクレオチドは、担体、例えば、LNP、VLP、リポソームなどと共に製剤化される。
【0014】
ある実施形態において、組成物は、補助剤をさらに含む。ある実施形態において、組成物又は免疫原性組成物は、希釈剤をさらに含む。ある実施形態において、組成物又は免疫原性組成物は、プロタミンをさらに含む。
【0015】
別の態様において、本発明は、(a)本明細書に記載される組成物(例えば、(i)コロナウイルス抗原をコードする配列、例えば、表1、2若しくは3中の配列番号から選択される配列を含む環状ポリリボヌクレオチド、又は(ii)表3中の配列番号から選択される配列を含む線状ポリリボヌクレオチドを含む組成物)を、非ヒト動物又はヒト対象(例えば、抗原に対する免疫応答を誘導するため、又は免疫化のための非ヒト動物若しくはヒト対象において抗原に対するポリクローナル抗体を生成するため)に投与すること、及び(b)任意に、非ヒト動物又はヒト対象(例えば、免疫化のための非ヒト動物又はヒト対象)からの抗原に対する抗体を採取することを含む方法を特徴とする。
【0016】
ある実施形態において、本方法は、補助剤(例えば、Addavax(商標)補助剤、MF59、AS03、完全フロイントアジュバント)を、非ヒト動物又はヒト対象(例えば、免疫化のための非ヒト動物又はヒト対象)に投与することをさらに含む。補助剤は、ポリリボヌクレオチドと合剤にされ、共投与され得、又はそれは、別々に製剤化及び投与され得る。
【0017】
ある実施形態において、本方法は、免疫原性応答を改善するために、非ヒト動物又はヒト対象(例えば、免疫化のための非ヒト動物又はヒト対象)に薬剤、例えば、抗原を前投与(プライミング)することをさらに含む。例えば、本方法は、抗原をコードする配列を含むポリリボヌクレオチドの投与の前(例えば、1~7日前、例えば、1、2、3、4、5、6、7日前)に、タンパク質抗原を、非ヒト動物又はヒト対象(例えば、免疫化のための非ヒト動物又はヒト対象)に投与することを含む。タンパク質抗原は、タンパク質製剤として投与され得るか、又はプラスミド(pDNA)においてコードされ得るか、又はウイルス様粒子(VLP)において提示され得るか、脂質ナノ粒子(LNP)中で製剤化され得るかなどである。
【0018】
ある実施形態において、本方法は、対象(例えば、免疫化のための対象)にプロタミンを投与するか又はプロタミンで免疫化することをさらに含む。
【0019】
ある実施形態において、ポリリボヌクレオチドは、担体(「ネイキッド」)なしで投与される。他の実施形態において、ポリリボヌクレオチドは、担体、例えば、LNP、VLP、リポソームなどと共に製剤化される。
【0020】
ある実施形態において、本方法は、少なくとも2回、例えば、2、3、4、5回、対象(例えば、免疫化のための対象)にポリリボヌクレオチド(例えば、環状又は線状ポリリボヌクレオチド)を投与するか又はポリリボヌクレオチド(例えば、環状又は線状ポリリボヌクレオチド)で免疫化することをさらに含む。
【0021】
ある実施形態において、本方法は、対象(例えば、免疫化のための対象の免疫化後)から血漿を採取することをさらに含む。ある実施形態において、本方法は、対象(例えば、免疫化のための対象の免疫化後)からポリクローナル抗体を精製することをさらに含む。ある実施形態において、本方法は、対象(例えば、免疫化のための対象)にワクチンを投与するか又はワクチンで免疫化することをさらに含む。ある実施形態において、ワクチンは、肺炎球菌多糖ワクチン(例えば、PCV13又はPPSV23)である。ある実施形態において、ワクチンは、細菌感染症用である。ある実施形態において、対象(例えば、免疫化のための対象)は、注射によって環状RNAで免疫化される。ある実施形態において、対象(例えば、免疫化のための対象)は、注射によって線状RNAで免疫化される。
【0022】
実施形態において、対象は、ヒト対象(例えば、免疫化のためのヒト対象)である。ある実施形態において、ヒト対象(例えば、免疫化のためのヒト対象)は、コロナウイルス関連疾患のリスクがある対象、例えば、50歳を超えるヒト;免疫不全のヒト;肥満、糖尿病、癌などの慢性の健康障害を有するヒト;医療従事者である。
【0023】
実施形態において、対象は、非ヒト動物(例えば、免疫化のための非ヒト動物)である。ある実施形態において、非ヒト動物(例えば、免疫化のための非ヒト動物)は、家畜、例えば、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウマ、ヤギ;ペット、例えば、ネコ若しくはイヌ;又は動物園の動物、例えば、猫科の動物である。
【0024】
ある実施形態において、非ヒト動物(例えば、免疫化のための非ヒト動物)は、哺乳動物、例えば、げっ歯類(例えば、ウサギ、ラット若しくはマウス)、又は有蹄動物、例えば、ブタ、ウシ、ヤギ、若しくはヒツジである。ある実施形態において、非ヒト動物(例えば、免疫化のための非ヒト動物)は、ヒト化免疫グロブリン遺伝子座を含む人工染色体導入非ヒト動物である。ある実施形態において、非ヒト動物は、ヒト化免疫グロブリン遺伝子座を含むヒト人工染色体(HAC)ベクターを含む人工染色体導入ウシである。ある実施形態において、ヒト化免疫グロブリン遺伝子座は、免疫グロブリン重鎖をコードする。ある実施形態において、ヒト化免疫グロブリン重鎖は、IgGアイソタイプ重鎖を含む。ある実施形態において、ヒト化免疫グロブリン重鎖は、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4アイソタイプ重鎖を含む。
【0025】
ある実施形態において、非ヒト動物(例えば、免疫化のための非ヒト動物)は、B細胞受容体を有するB細胞を含み、B細胞受容体は、コロナウイルス抗原に結合する。ある実施形態において、非ヒト動物は、コロナウイルス抗原の第1のエピトープに結合する第1のB細胞及びコロナウイルス抗原の第2のエピトープに結合する第2のB細胞を含む複数のB細胞を含む。
【0026】
ある実施形態において、非ヒト動物(例えば、免疫化のための非ヒト動物)は、T細胞を含み、ここで、T細胞は、コロナウイルス抗原に結合するT細胞受容体を含む。ある実施形態において、活性化後、T細胞は、抗原に結合する抗体の産生を促進する。ある実施形態において、活性化後、T細胞は、コロナウイルス抗原に結合するB細胞による抗体産生を促進する。ある実施形態において、活性化後、T細胞は、コロナウイルス抗原に結合するB細胞の生存、増殖、形質細胞分化、体細胞超変異、免疫グロブリンクラススイッチ、又はそれらの組合せを促進する。
【0027】
ある実施形態において、非ヒト動物又はヒト対象(例えば、免疫化のための非ヒト動物又はヒト対象)は、コロナウイルス抗原に特異的に結合する抗体を産生する。ある実施形態において、抗体は、ヒト化抗体又は完全ヒト抗体である。ある実施形態において、抗体は、抗体IgG、IgA、又はIgMアイソタイプ抗体である。ある実施形態において、抗体は、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4アイソタイプ抗体である。ある実施形態において、非ヒト動物(例えば、免疫化のための非ヒト動物)は、環状ポリリボヌクレオチドによってコードされる少なくとも2つのエピトープに特異的に結合する複数のポリクローナル抗体を含む。ある実施形態において、非ヒト動物又はヒト対象(例えば、免疫化のための非ヒト動物又はヒト対象)は、線状RNAによってコードされる少なくとも2つのエピトープに特異的に結合する複数のポリクローナル抗体を含む。ある実施形態において、複数の抗体は、ヒト化抗体を含む。ある実施形態において、複数のポリクローナル抗体は、完全ヒト抗体を含む。ある実施形態において、複数のポリクローナル抗体は、IgG抗体、IgG1抗体、IgG2抗体、IgG3抗体、IgG4抗体、IgM抗体、IgA抗体、又はそれらの組合せを含む。ある実施形態において、免疫グロブリン重鎖は、IgM又はIgAアイソタイプ重鎖を含む。ある実施形態において、ヒト化免疫グロブリン遺伝子座は、免疫グロブリン軽鎖をコードする。ある実施形態において、免疫グロブリン軽鎖は、κ軽鎖又はλ軽鎖を含む。
【0028】
ある実施形態において、本方法は、非ヒト動物又はヒト対象(例えば、免疫化のための非ヒト動物又はヒト対象を免疫化した後)から血液を採取すること、及び血液から抗原に対する抗体を精製することをさらに含む。
【0029】
別の態様において、本発明は、(a)本明細書に記載されるポリリボヌクレオチドを含む組成物を、本明細書に記載される非ヒト動物(例えば、本明細書に記載されるヒト化免疫系を有するウシ)又はヒト対象(例えば、免疫化のための非ヒト動物又はヒト対象)に投与すること、及び(b)非ヒト動物又はヒト対象(例えば、免疫化のための非ヒト動物又はヒト対象を免疫化した後)から抗原に対する抗体を採取することによって製造される抗コロナウイルス抗体製剤(例えば、ポリクローナル抗体製剤)を特徴とする。
【0030】
実施形態において、ポリリボヌクレオチドは、(a)コロナウイルス抗原をコードする配列、例えば、表1、2若しくは3中の配列番号から選択される配列を含む環状ポリリボヌクレオチド、又は(b)表3中の配列番号から選択される配列を含む線状ポリリボヌクレオチドである。
【0031】
実施形態において、抗体製剤は、医薬組成物として製剤化される。
【0032】
別の態様において、本発明は、コロナウイルスに対する抗体を、コロナウイルス感染を有するか、コロナウイルス感染への曝露のリスクがあるか、又はそれを必要とする対象(例えば、治療のための対象)に送達する方法、例えば、コロナウイルス感染に対して対象(例えば、治療のための対象)を予防又は治療する方法を特徴とする。本方法は、コロナウイルス感染を有するか、コロナウイルス感染への曝露のリスクがあるか、又はそれを必要とする対象(例えば、治療のための対象)に、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチドで免疫化された、ヒト又はヒト化免疫系を有する動物(例えば、哺乳動物)から生成されたポリクローナル抗体、例えば、(a)コロナウイルス抗原をコードする配列、例えば、表1、2若しくは3中の配列番号から選択される配列を含む環状ポリリボヌクレオチド、又は(b)表3中の配列番号から選択される配列を含む線状ポリリボヌクレオチドを投与することを含む。
【0033】
特定の実施形態において、本方法は、ヒト抗体を産生するように遺伝子組み換えされた非ヒト動物(例えば、免疫化のための非ヒト動物)を、本明細書に開示されるポリリボヌクレオチドで免疫化すること、非ヒト動物から血液を採取すること、非ヒト動物から抗体を精製すること、医薬品用途のために抗体を製剤化すること、及び製剤化された抗体を、ヒト対象(例えば、治療のためのヒト対象)に投与することのうちの1つ以上をさらに含む。
【0034】
ある実施形態において、ヒト又はヒト化免疫系を有する哺乳動物は、ヒト(例えば、免疫化のためのヒト対象)である。
【0035】
ある実施形態において、ヒト又はヒト化免疫系を有する哺乳動物は、ヒト抗体を産生するように遺伝子組み換えされた非ヒト動物、例えばヒト化免疫グロブリン遺伝子座を含む非ヒト動物、例えば、ヒト免疫グロブリン遺伝子座を含むヒト人工染色体(HAC)ベクターを含む人工染色体導入ウシである。
【0036】
実施形態において、コロナウイルス感染を有するか又は治療を必要とする対象(例えば、治療のための対象)は、コロナウイルス関連疾患、例えば、Covid-19、SARS、MERSと診断されたヒト対象である。ある実施形態において、コロナウイルス感染への曝露のリスクがあるか又は治療を必要とする対象(例えば、治療のための対象)は、コロナウイルス関連疾患のリスクがある対象、例えば、50歳を超えるヒト;免疫不全のヒト;肥満、糖尿病、癌などの慢性の健康障害を有するヒト;医療従事者である。
【0037】
ある実施形態において、投与又は免疫化は、コロナウイルスへの曝露のリスクの前、後、又はそれと同時である。
【0038】
ある実施形態において、本方法は、例えば、投与の前及び/又は後に、コロナウイルスに対する抗体の存在についてヒト対象(例えば、治療のための対象)をモニターすることをさらに含む。
【0039】
本発明の例示的な実施形態が、以下の列挙された段落において記載される。
【0040】
E1.
a)コロナウイルス抗原をコードする配列を含む環状ポリリボヌクレオチド;又は
b)配列番号13、15、及び12のいずれか1つから選択される配列を含む線状ポリリボヌクレオチド
を含む免疫原性組成物。
【0041】
E2.コロナウイルス抗原をコードする配列を含む環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物であって、コロナウイルス抗原が、配列番号1~10、13、15、17、19、21、23、25~30、48、及び49のいずれか1つから選択されるコロナウイルス抗原に対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する配列を含むか、又は環状ポリリボヌクレオチドが、配列番号12、14、16、18、20、22、及び24から選択される環状ポリリボヌクレオチドに対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する配列を含む、免疫原性組成物。
【0042】
E3.非ヒト動物(例えば、ヒト化免疫系を含む非ヒト動物;例えば、免疫化のための非ヒト動物)又はヒト対象(例えば、免疫化のためのヒト対象)からの血漿をさらに含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の免疫原性組成物。
【0043】
E4.コロナウイルス抗原をさらに含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の免疫原性組成物。
【0044】
E5.組成物が、ヒト化免疫グロブリン遺伝子座及びヒト化B細胞受容体を含む非ヒトB細胞をさらに含み、ここで、ヒト化B細胞受容体が、コロナウイルス抗原に結合する、先行する実施形態のいずれか1つに記載の免疫原性組成物。
【0045】
E6.組成物が、複数の非ヒトB細胞をさらに含み、ここで、複数の非ヒトB細胞が、ヒト化免疫グロブリン遺伝子座を含み、ここで、複数のB細胞が、コロナウイルス抗原の第1のエピトープに結合する第1のB細胞及びコロナウイルス抗原の第2のエピトープに結合する第2のB細胞を含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の免疫原性組成物。
【0046】
E7.コロナウイルス抗原が、ベータコロナウイルス若しくはそのフラグメント又はサルベコウイルス若しくはそのフラグメントに由来する、先行する実施形態のいずれか1つに記載の免疫原性組成物。
【0047】
E8.コロナウイルス抗原が、重症急性呼吸器症候群関連コロナウイルス又はそのフラグメントに由来する、先行する実施形態のいずれか1つに記載の免疫原性組成物。
【0048】
E9.コロナウイルス抗原が、重症急性呼吸器症候群(SARS)関連コロナウイルス又はそのフラグメントに由来する、先行する実施形態のいずれか1つに記載の免疫原性組成物。
【0049】
E10.コロナウイルス抗原が、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)若しくはそのフラグメント、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス1(SARS-CoV-1)若しくはそのフラグメント、又は中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)若しくはそのフラグメントに由来する、先行する実施形態のいずれか1つに記載の免疫原性組成物。
【0050】
E11.コロナウイルス抗原が、膜タンパク質又はその変異体若しくはフラグメント、ウイルスのエンベロープタンパク質又はその変異体若しくはフラグメント、ウイルスのスパイクタンパク質又はその変異体若しくはフラグメント、ウイルスのヌクレオカプシドタンパク質又はその変異体若しくはフラグメント、ウイルスのアクセサリータンパク質又はその変異体若しくはフラグメントである、先行する実施形態のいずれか1つに記載の免疫原性組成物。
【0051】
E12.コロナウイルス抗原が、スパイクタンパク質又はその変異体若しくはフラグメントの受容体結合ドメインである、先行する実施形態のいずれか1つに記載の免疫原性組成物。
【0052】
E13.スパイクタンパク質が、切断部位を欠く、実施形態8に記載の免疫原性組成物。
【0053】
E14.コロナウイルスのアクセサリータンパク質が、ORF3a、ORF7a、ORF7b、ORF8、ORF10、又はその任意の変異体若しくはフラグメントからなる群から選択される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の免疫原性組成物。
【0054】
E15.環状ポリリボヌクレオチドが、抗原をそれぞれコードする複数の配列を含み、少なくとも1つの配列が、コロナウイルス抗原をコードする、先行する実施形態のいずれか1つに記載の免疫原性組成物。
【0055】
E16.環状ポリリボヌクレオチドが、2つ以上のORFを含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の免疫原性組成物。
【0056】
E17.環状ポリリボヌクレオチドが、抗原をそれぞれコードする少なくとも5つの配列を含み、少なくとも1つの抗原が、コロナウイルス抗原である、先行する実施形態のいずれか1つに記載の免疫原性組成物。
【0057】
E18.環状ポリリボヌクレオチドが、少なくとも2つのORF(例えば、少なくとも2、3、4、又は5つ)を含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の免疫原性組成物。
【0058】
E19.環状ポリリボヌクレオチドが、少なくとも2つの異なる微生物からの抗原をコードする配列を含み、少なくとも1つの微生物が、コロナウイルスである、先行する実施形態のいずれか1つに記載の免疫原性組成物。
【0059】
E20.線状ポリリボヌクレオチドが、2つ以上の抗原をコードする配列を含み、少なくとも1つの抗原が、コロナウイルス抗原である、先行する実施形態のいずれか1つに記載の免疫原性組成物。
【0060】
E21.線状ポリリボヌクレオチドが、少なくとも2、3、4、又は5つの抗原をコードする配列を含み、少なくとも1つの抗原が、表3中の配列番号の配列によってコードされるコロナウイルス抗原である、先行する実施形態のいずれか1つに記載の免疫原性組成物。
【0061】
E22.コロナウイルス抗原が、エピトープを含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の免疫原性組成物。
【0062】
E23.コロナウイルス抗原が、B細胞によって認識されるエピトープを含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の免疫原性組成物。
【0063】
E24.コロナウイルス抗原が、少なくとも2つのエピトープを含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の免疫原性組成物。
【0064】
E25.第2の抗原をコードする配列を含む第2の環状ポリリボヌクレオチドをさらに含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の免疫原性組成物。
【0065】
E26.第2のORFを含む第2の環状ポリリボヌクレオチドをさらに含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の免疫原性組成物。
【0066】
E27.第3、第4、又は第5の抗原をコードする配列を含む第3、第4、又は第5の環状ポリリボヌクレオチドをさらに含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の免疫原性組成物。
【0067】
E28.第2の抗原をコードする配列を含む第2の線状ポリリボヌクレオチドをさらに含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の免疫原性組成物。
【0068】
E29.第2のORFを含む第2の線状ポリリボヌクレオチドをさらに含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の免疫原性組成物。
【0069】
E30.第3、第4、又は第5の抗原をコードする配列を含む第3、第4、又は第5の線状ポリリボヌクレオチドをさらに含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の免疫原性組成物。
【0070】
E31.第1の抗原、第2の抗原、第3の抗原、第4の抗原、及び第5の抗原が、異なる抗原である、先行する実施形態のいずれか1つに記載の免疫原性組成物。
【0071】
E32.免疫原性組成物が、薬学的に許容される担体又は賦形剤をさらに含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の免疫原性組成物。
【0072】
E33.免疫原性組成物が、薬学的に許容される賦形剤をさらに含み、担体を含まない、先行する実施形態のいずれか1つに記載の免疫原性組成物。
【0073】
E34.環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド、又は免疫原性組成物が、担体(例えば、脂質ナノ粒子、ウイルス様粒子、又はリポソーム)と共に製剤化される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の免疫原性組成物。
【0074】
E35.免疫原性組成物が、補助剤をさらに含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の免疫原性組成物。
【0075】
E36.補助剤が、サポニン又は油エマルションである、実施形態35に記載の免疫原性組成物。
【0076】
E37.油エマルションが、スクアレン-水エマルション(例えば、Addavax(商標)補助剤、MF59又はAS03)である、実施形態36に記載の免疫原性組成物。
【0077】
E38.免疫原性組成物が、希釈剤をさらに含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の免疫原性組成物。
【0078】
E40.先行する実施形態のいずれか1つに記載の免疫原性組成物を含む脂質ナノ粒子(LNP)。
【0079】
E41.イオン化可能な脂質を含む、実施形態40に記載のLNP。
【0080】
E42.カチオン性脂質を含む、実施形態40に記載のLNP。
【0081】
E43.カチオン性脂質が、
【化1】
で表される構造を有する、実施形態42に記載のLNP。
【0082】
E44.1つ以上の中性脂質、例えば、DSPC、DPPC、DMPC、DOPC、POPC、DOPE、SM、ステロイド、例えば、コレステロール、及び/又は1つ以上のポリマーコンジュゲート脂質、例えば、ペグ化脂質、例えば、PEG-DAG、PEG-PE、PEG-S-DAG、PEG-cer又はPEGジアルコキシプロピルカルバメートをさらに含む、実施形態40~43のいずれか1つに記載のLNP。
【0083】
E45.免疫原性組成物を、非ヒト動物又はヒト対象(例えば、免疫化のための非ヒト動物又はヒト対象)に送達する方法であって、a)先行する実施形態のいずれか1つに記載の免疫原性組成物を、非ヒト動物又はヒト対象に投与すること、及びb)任意に、非ヒト動物又はヒト対象からコロナウイルス抗原に対する抗体を採取することを含む、方法。
【0084】
E46.非ヒト動物又はヒト対象(例えば、免疫化のための非ヒト動物又はヒト対象)におけるコロナウイルス抗原に対する免疫応答を誘導する方法であって、a)先行する実施形態のいずれか1つに記載の免疫原性組成物を、非ヒト動物又はヒト対象に投与すること、及びb)任意に、非ヒト動物又はヒト対象からコロナウイルス抗原に対する抗体を採取することを含む、方法。
【0085】
E47.補助剤を、非ヒト動物又はヒト対象(例えば、免疫化のための非ヒト動物又はヒト対象)に投与することをさらに含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0086】
E48.補助剤が、免疫原性組成物と合剤にされ、共投与されるか、又は免疫原性組成物と別々に製剤化され、投与される、実施形態47に記載の方法。
【0087】
E49.免疫原性組成物の投与前に、非ヒト動物又はヒト対象(例えば、免疫化のための非ヒト動物又はヒト対象)にコロナウイルス抗原を投与(例えば、前投与又はプライミング)することをさらに含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0088】
E50.免疫原性組成物を投与する1~7日前(例えば、1、2、3、4、5、6、又は7日前)に、コロナウイルス抗原を、非ヒト動物又はヒト対象(例えば、免疫化のための非ヒト動物又はヒト対象)に投与することをさらに含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0089】
E51.コロナウイルス抗原が、タンパク質製剤として投与されるか、プラスミド(pDNA)においてコードされるか、ウイルス様粒子(VLP)において提示されるか、又は脂質ナノ粒子(LNP)中で製剤化される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0090】
E52.担体なしで環状ポリリボヌクレオチド又は線状ポリリボヌクレオチドを投与することをさらに含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0091】
E53.担体(例えば、脂質ナノ粒子、ウイルス様粒子、又はリポソーム)と共に免疫原性組成物を製剤化することをさらに含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0092】
E54.少なくとも2回、(例えば、2、3、4、又は5回)、非ヒト動物又はヒト対象(例えば、免疫化のための非ヒト動物又はヒト対象)に環状ポリリボヌクレオチド又は線状ポリリボヌクレオチドを投与するか又は環状ポリリボヌクレオチド若しくは線状ポリリボヌクレオチドで免疫化することをさらに含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0093】
E55.非ヒト動物又はヒト対象(例えば、免疫化のための非ヒト動物又はヒト対象)から血漿を採取することをさらに含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0094】
E56.非ヒト動物又はヒト対象(例えば、免疫化のための非ヒト動物又はヒト対象)の血漿からポリクローナル抗体を精製することをさらに含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0095】
E57.非ヒト動物又はヒト対象(例えば、免疫化のための非ヒト動物又はヒト対象)にワクチンを投与するか又はワクチンで免疫化することをさらに含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0096】
E58.ワクチンが、肺炎球菌多糖ワクチン(例えば、PCV13又はPPSV23)である、実施形態51に記載の方法。
【0097】
E59.ワクチンが、細菌感染用である、実施形態57に記載の方法。
【0098】
E60.非ヒト動物又はヒト対象(例えば、免疫化のための非ヒト動物又はヒト対象)が、注射によって環状ポリリボヌクレオチド又は線状ポリリボヌクレオチドで免疫化される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0099】
E61.ヒト対象(例えば、免疫化のためのヒト対象)が、コロナウイルス関連疾患のリスクがある、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0100】
E62.ヒト対象(例えば、免疫化のためのヒト対象)が、50歳を超えるヒト、免疫不全のヒト、慢性の健康障害(例えば、肥満、糖尿病、癌)を有するヒト、又は医療従事者である、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0101】
E63.非ヒト動物(例えば、免疫化のための非ヒト動物対象)が、家畜(例えば、ブタ、ウシ、ヤギ、ニワトリ、ヒツジ)である、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0102】
E64.非ヒト動物(例えば、免疫化のための非ヒト動物対象)が、ペット(例えば、イヌ若しくはネコ)、動物園の動物(例えば、猫科の動物)、哺乳動物(例えば、有蹄動物(例えば、ブタ、ウシ、ヤギ、ヒツジ)、げっ歯類(例えば、ウサギ、ラット、マウス)である、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0103】
E65.非ヒト動物が、ヒト化免疫グロブリン遺伝子座を含む人工染色体導入非ヒト動物である、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0104】
E66.非ヒト動物が、ヒト化免疫グロブリン遺伝子座を含むヒト人工染色体(HAC)ベクターを含む人工染色体導入ウシである、実施形態65に記載の方法。
【0105】
E67.ヒト化免疫グロブリン遺伝子座が、免疫グロブリン重鎖をコードする、実施形態65又は66のいずれか1つに記載の方法。
【0106】
E68.ヒト化免疫グロブリン重鎖が、IgGアイソタイプ重鎖を含む、実施形態67に記載の方法。
【0107】
E69.ヒト化免疫グロブリン重鎖が、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4アイソタイプ重鎖を含む、実施形態67又は68のいずれか1つに記載の方法。
【0108】
E70.ヒト化免疫グロブリン遺伝子座が、免疫グロブリン軽鎖をコードする、実施形態65~69のいずれか1つに記載の方法。
【0109】
E71.免疫グロブリン軽鎖が、κ軽鎖又はλ軽鎖を含む、実施形態70に記載の方法。
【0110】
E72.非ヒト動物が、B細胞受容体を有するB細胞を含み、B細胞受容体が、抗原に結合する、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0111】
E73.非ヒト動物が、コロナウイルス抗原の第1のエピトープに結合する第1のB細胞及びコロナウイルス抗原の第2のエピトープに結合する第2のB細胞を含む複数のB細胞を含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0112】
E74.非ヒト動物が、T細胞を含み、ここで、T細胞が、コロナウイルス抗原に結合するT細胞受容体を含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0113】
E75.活性化後、T細胞が、コロナウイルス抗原に結合する抗体の産生を促進する、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0114】
E76.活性化後、T細胞が、コロナウイルス抗原に結合するB細胞による抗体産生を促進する、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0115】
E77.活性化後、T細胞が、コロナウイルス抗原に結合するB細胞の生存、増殖、形質細胞分化、体細胞超変異、免疫グロブリンクラススイッチ、又はそれらの組合せを促進する、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0116】
E78.非ヒト動物又はヒト対象(例えば、免疫化のための非ヒト動物又はヒト対象)の血漿からコロナウイルス抗原に対するポリクローナル抗体を精製することをさらに含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0117】
E79.ポリクローナル抗体の抗体が、コロナウイルス抗原に特異的に結合する、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0118】
E80.ポリクローナル抗体の抗体が、ヒト化抗体又は完全ヒト抗体である、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0119】
E81.ポリクローナル抗体の抗体が、IgG IgG、IgA、又はIgMアイソタイプ抗体である、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0120】
E82.ポリクローナル抗体の抗体が、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4アイソタイプ抗体である、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0121】
E83.非ヒト動物が、環状ポリリボヌクレオチドによってコードされる少なくとも2つのエピトープに特異的に結合する複数のポリクローナル抗体を含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0122】
E84.非ヒト動物が、線状ポリリボヌクレオチドによってコードされる少なくとも2つのエピトープに特異的に結合する複数のポリクローナル抗体を含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0123】
E85.複数のポリクローナル抗体が、ヒト化抗体を含む、実施形態81又は82のいずれか1つに記載の方法。
【0124】
E86.複数のポリクローナル抗体が、完全ヒト抗体を含む、実施形態83又は84のいずれか1つに記載の方法。
【0125】
E87.複数のポリクローナル抗体が、IgG抗体、IgG1抗体、IgG2抗体、IgG3抗体、IgG4抗体、IgM抗体、IgA抗体、又はそれらの組合せを含む、実施形態83~86のいずれか1つに記載の方法。
【0126】
E88.複数のポリクローナル抗体が、IgM又はIgAアイソタイプ重鎖を含むヒト化免疫グロブリン遺伝子座を含む、実施形態83~86のいずれか1つに記載の方法。
【0127】
E89.複数のポリクローナル抗体が、免疫グロブリン軽鎖をコードするヒト化免疫グロブリン遺伝子座を含む、実施形態83~88のいずれか1つに記載の方法。
【0128】
E90.免疫グロブリン軽鎖が、κ軽鎖s又はλ軽鎖を含む、実施形態89に記載の方法。
【0129】
E91.非ヒト動物又はヒト対象(例えば、免疫化のための非ヒト動物又はヒト対象)から血液を採取すること及び血液からコロナウイルス抗原に対する抗体を精製することをさらに含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0130】
E92.コロナウイルス抗原(例えば、抗コロナウイルス抗体製剤)に対するポリクローナル抗体製剤を製造する方法であって、
a)先行する実施形態のいずれか1つに記載の免疫原性組成物を、非ヒト動物又はヒト対象(例えば、免疫化のための非ヒト動物又はヒト対象)に投与すること;及び
b)非ヒト動物又はヒト対象から血液又は血漿を採取することを含む、方法。
【0131】
E93.ポリクローナル抗体製剤が、医薬組成物又は動物用組成物として製剤化される、実施形態92に記載の方法。
【0132】
E94.コロナウイルスに対するポリクローナル抗体製剤を、コロナウイルス感染を有する対象(例えば治療のための対象)に送達する方法であって、先行する実施形態のいずれか1つに記載のポリクローナル抗体製剤を、コロナウイルス感染を有する対象に投与することを含む、方法。
【0133】
E95.ポリクローナル抗体製剤を、コロナウイルス感染への曝露のリスクがある対象(例えば治療のための対象)に送達する方法であって、先行する実施形態のいずれか1つに記載のポリクローナル抗体製剤を、コロナウイルス感染への曝露のリスクがある対象に投与することを含む、方法。
【0134】
E96.コロナウイルス感染に対する予防又は治療を必要とする対象(例えば治療のための対象)を予防又は治療する方法であって、先行する実施形態のいずれか1つに記載のポリクローナル抗体製剤を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法。
【0135】
E97.
a)ヒト抗体を産生するように遺伝子組み換えされた非ヒト動物を、先行する実施形態のいずれか1つに記載の環状ポリリボヌクレオチド又は先行する実施形態のいずれか1つに記載の線状ポリリボヌクレオチドで免疫化すること;
b)非ヒト動物から血液を採取すること;
c)非ヒト動物から抗体を精製すること;
d)医薬品用途のために抗体を製剤化すること;及び
e)製剤化された抗体をヒト対象に投与すること
をさらに含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0136】
E98.非ヒト動物が、ヒト化免疫系を有する、実施形態97に記載の方法。
【0137】
E99.非ヒト動物が、ヒト化免疫グロブリン遺伝子座を有する、実施形態97に記載の方法。
【0138】
E100.非ヒト動物が、ヒト免疫グロブリン遺伝子座を含むヒト人工染色体(HAC)ベクターを含む人工染色体導入ウシである、実施形態97に記載の方法。
【0139】
E101.投与又は免疫化が、それを必要とする対象の、コロナウイルスへの曝露のリスクの前、後、又はそれと同時に行われる、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0140】
E102.コロナウイルス感染を有する対象(例えば治療のための対象)、コロナウイルス感染への曝露のリスクがある対象、又は治療を必要とする対象が、ヒト対象である、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0141】
E103.ヒト対象(例えば治療のためのヒト対象)が、50歳を超えるヒト、免疫不全のヒト、慢性の健康障害(例えば、肥満、糖尿病、若しくは癌)を有するヒト、又は医療従事者である、実施形態102に記載の方法。
【0142】
E104.コロナウイルス感染への曝露のリスクがある対象(例えば治療のための対象)、又は治療を必要とする対象が、コロナウイルス関連疾患のリスクがあるヒト対象である、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0143】
E105.コロナウイルス感染を有する対象(例えば治療のための対象)、コロナウイルス感染への曝露のリスクがある対象、又は治療を必要とする対象が、コロナウイルス関連疾患(例えば、Covid-19、SARS、MERS)と診断されたヒト対象である、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0144】
E106.コロナウイルス感染を有する対象(例えば治療のための対象)、コロナウイルス感染への曝露のリスクがある対象(例えば治療のための対象)、又は治療を必要とする対象(例えば治療のための対象)が、非ヒト動物対象である、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0145】
E107.コロナウイルス感染を有する対象(例えば治療のための対象)、コロナウイルス感染への曝露のリスクがある対象(例えば治療のための対象)、又は治療を必要とする対象(例えば治療のための対象)が、家畜(例えば、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウマ、ヤギ)、ペット(例えば、ネコ若しくはイヌ)、又は動物園の動物(例えば、猫科の動物)である、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0146】
E108.ポリクローナル抗体の存在について、コロナウイルス感染を有する対象(例えば治療のための対象)、コロナウイルス感染への曝露のリスクがある対象(例えば治療のための対象)、又は治療を必要とする対象をモニターすることをさらに含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0147】
E109.モニターすることが、ポリクローナル抗体の投与の前及び/又はポリクローナル抗体の投与の後に行われる、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0148】
定義
本発明は、特定の実施形態に関して及び特定の図を参照して説明されるが、本発明は、それらに限定されず、特許請求の範囲のみによって限定される。これ以降に記載される用語は、一般に、特に示されない限り、それらの一般的な意味で理解されるべきである。
【0149】
本明細書において使用される際、「環状RNA(circRNA)」又は「環状ポリリボヌクレオチド」又は「環状RNA(circular RNA)」という用語は、同義的に使用され、遊離末端を有さない(すなわち、遊離3’及び/又は5’末端がない)構造を有するポリリボヌクレオチド分子、例えば、共有結合又は非共有結合を介して環状又はエンドレス構造を形成するポリリボヌクレオチド分子を意味する。
【0150】
本明細書において使用される際、「環状RNA製剤(circRNA preparation)」、「環状ポリリボヌクレオチド製剤」、及び「環状RNA製剤(circular RNA preparation)」という用語は、同義的に使用され、環状RNA分子及び希釈剤、担体、第1の補助剤、又はそれらの組合せを含む組成物を意味する。「免疫原性」環状RNA製剤は、動物に導入されるとき、動物の免疫系を、環状RNAによって発現される抗原に対してより反応性にさせるものである。
【0151】
本明細書において使用される際、「線状RNA」、「線状ポリリボヌクレオチド」、及び「線状ポリリボヌクレオチド分子」という用語は、同義的に使用され、5’及び3’末端を有するモノリボヌクレオチド分子又はポリリボヌクレオチド分子を意味する。5’及び3’末端の一方又は両方が、遊離末端であり得るか又は別の部分に結合され得る。ある実施形態において、線状RNAは、修飾された又は分解から保護された(例えば、5’末端保護剤又は3’末端保護剤によって)5’末端又は3’末端を有する。ある実施形態において、線状RNAは、非共有結合された5’又は3’末端を有する。線状RNAは、例えば、スプリントライゲーション、又は化学的、酵素的、リボザイム-若しくはスプライシング触媒環状化方法による環状化のための出発材料として使用され得る。
【0152】
本明細書において使用される際、「線状RNA製剤」及び「線状ポリリボヌクレオチド製剤」という用語は、同義的に使用され、線状RNA分子及び希釈剤、担体、第1の補助剤、又はそれらの組合せを含む組成物を意味する。「免疫原性」線状RNA製剤は、動物に導入されるとき、動物の免疫系を、環状RNAによって発現される抗原に対してより反応性にさせるものである。
【0153】
本明細書において使用される際、「総リボヌクレオチド分子」という用語は、リボヌクレオチド分子の総量によって測定される際、線状ポリリボヌクレオチド分子、環状ポリリボヌクレオチド分子、モノマーリボヌクレオチド、他のポリリボヌクレオチド分子、そのフラグメント、及びその修飾形態を含むいずれかのリボヌクレオチド分子の総量を意味する。
【0154】
本明細書において使用される際、「フラグメント」という用語は、ヌクレオチド分子より短い少なくとも1つのヌクレオチドであるヌクレオチド分子の任意の部分を意味する。例えば、ヌクレオチド分子は、線状ポリリボヌクレオチド分子であり得、そのフラグメントは、モノリボヌクレオチド又は線状ポリリボヌクレオチド分子の一部である任意の数の連続ポリリボヌクレオチドであり得る。別の例として、ヌクレオチド分子は、環状ポリリボヌクレオチド分子であり得、そのフラグメントは、ポリリボヌクレオチド又は環状ポリリボヌクレオチド分子の一部である任意の数の連続ポリリボヌクレオチドであり得る。ヌクレオチド分子のフラグメントは、少なくとも10個の核酸残基、例えば、少なくとも20個の核酸残基、少なくとも50個の核酸残基、及び少なくとも100個の核酸残基を含む。フラグメントはまた、ポリペプチド分子より短い少なくとも1つのペプチドであるポリペプチド分子の任意の部分を意味する。例えば、ポリペプチドのフラグメントは、ポリペプチド又は完全長ポリペプチド分子の一部である任意の数の連続アミノ酸であり得る。ポリペプチドのフラグメントは、少なくとも5個のアミノ酸残基、例えば、少なくとも10個のアミノ酸残基、少なくとも20個のアミノ酸残基、少なくとも50個のアミノ酸残基、少なくとも100個のアミノ酸残基を含む。
【0155】
本明細書において使用される際、「発現配列」という用語は、産物、例えば、ペプチド若しくはポリペプチド、又は調節核酸をコードする核酸配列である。ペプチド又はポリペプチドをコードする例示的な発現配列は、複数のヌクレオチド三つ組を含むことができ、これらは、それぞれアミノ酸をコードすることができ、「コドン」と呼ばれる。
【0156】
本明細書において使用される際、「修飾リボヌクレオチド」という用語は、糖、核酸塩基、又はヌクレオシド間結合に対する少なくとも1つの修飾を有するヌクレオチドである。
【0157】
本明細書において使用される際、「疑似らせん構造」という語句は、環状ポリリボヌクレオチドの高次構造であり、ここで、環状ポリリボヌクレオチドの少なくとも一部がらせん構造に折り畳まれる。
【0158】
本明細書において使用される際、「疑似二本鎖二次構造」という語句は、環状ポリリボヌクレオチドの高次構造であり、ここで、環状ポリリボヌクレオチドの少なくとも一部が内部二本鎖を形成する。
【0159】
本明細書において使用される際、「調節要素」という用語は、環状ポリリボヌクレオチド内の発現配列の発現を調節する核酸配列などの部分である。
【0160】
本明細書において使用される際、「反復ヌクレオチド配列」という用語は、DNA若しくはRNAのストレッチ内又はゲノム全体にわたる反復核酸配列である。ある実施形態において、反復ヌクレオチド配列は、ポリCA又はポリTG(UG)配列を含む。ある実施形態において、反復ヌクレオチド配列は、イントロンのAluファミリー中の反復される配列を含む。
【0161】
本明細書において使用される際、「複製要素」という用語は、複製に有用であるか、又は環状ポリリボヌクレオチドの転写を開始させる配列及び/又はモチーフである。
【0162】
本明細書において使用される際、「スタガー要素」という用語は、翻訳中のリボソームの休止を誘導するヌクレオチド配列などの部分である。ある実施形態において、スタガー要素は、強いαらせん傾向を有するアミノ酸の非保存配列、続いてコンセンサス配列-D(V/I)ExNPG P(ここで、x=任意のアミノ酸である)である。ある実施形態において、スタガー要素は、グリセロール、非核酸連結部分、化学修飾、修飾核酸、又はそれらの任意の組合せなどの化学部分を含み得る。
【0163】
本明細書において使用される際、「実質的に抵抗性」という用語は、対照と比較して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%の、エフェクタへの抵抗性を有するものである。
【0164】
本明細書において使用される際、「化学量論的翻訳」という用語は、環状ポリリボヌクレオチドから翻訳された発現産物の実質的に同等の生成である。例えば、2つの発現配列を有する環状ポリリボヌクレオチドでは、環状ポリリボヌクレオチドの化学量論的翻訳は、2つの発現配列の発現産物が実質的に等しい量を有すること、例えば、2つの発現配列間の量の差(例えば、モルの差)が、約0、又は1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、若しくは20%未満、若しくはそれらの間の任意のパーセンテージであることを意味し得る。
【0165】
本明細書において使用される際、「翻訳開始配列」という用語は、環状ポリリボヌクレオチド中の発現配列の翻訳を開始させる核酸配列である。
【0166】
本明細書において使用される際、「終止要素」という用語は、環状ポリリボヌクレオチド中の発現配列の翻訳を停止させる核酸配列などの部分である。
【0167】
本明細書において使用される際、「翻訳効率」という用語は、リボヌクレオチド転写産物からのタンパク質又はペプチド産生の速度又は量である。ある実施形態において、翻訳効率は、例えば、所与の翻訳系、例えば、ウサギ網状赤血球溶解物のようなインビトロ翻訳系において、又は真核細胞若しくは原核細胞のようなインビボ翻訳系において、例えば所与の期間で、タンパク質又はペプチドをコードする所与の量の1転写産物当たりで生成されるタンパク質又はペプチドの量として表され得る。
【0168】
本明細書において使用される際、「環状化効率」という用語は、得られる環状ポリリボヌクレオチドの、その非環状出発材料と比べた測定値である。
【0169】
本明細書において使用される際、「適応免疫応答」という用語は、液性又は細胞媒介性免疫応答のいずれかを意味する。液性免疫応答(抗体免疫応答とも呼ばれる)は、抗原に特異的に結合する抗体を放出するBリンパ球によって媒介される。細胞媒介性免疫応答(細胞性免疫応答とも呼ばれる)は、異物細胞又は感染細胞への細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の結合、その後の、これらの細胞の溶媒を含む。
【0170】
本明細書において使用される際、「補助剤」という用語は、環状RNA分子と組み合わせて使用されるとき、得られる免疫応答を増強又は他の形で変化させるか若しくは修正する化合物を指す。免疫応答の修飾は、抗体及び細胞性免疫応答のいずれか又は両方の特異性の強化又は拡大を含む。免疫応答の修飾はまた、特定の抗原特異的免疫応答を低下させるか又は抑制することを意味し得る。
【0171】
本明細書において使用される際、「ヒト抗体」、「ヒト免疫グロブリン」、及び「ヒトポリクローナル抗体」という用語は、同義的に使用され、同じ環状RNA製剤を接種されたヒトにおいて産生された抗体と区別できない、非ヒト動物において産生された1つ又は複数の抗体を意味する。これは、キメラの生成などによってヒト特性を有するように修飾されたが、それらが産生される宿主動物の属性を維持する「ヒト化抗体」と対照的である。本明細書に開示される方法に従って作製されたヒト抗体が、完全にヒトであるIgGから構成されるため、異種IgGに関連するアナフィラキシー及び血清病のリスクをなくすための酵素処理は必要ない。
【0172】
本明細書において使用される際、「線状同等物」という用語は、環状ポリリボヌクレオチドと同じか又は類似のヌクレオチド配列(例えば、100%、95%、90%、85%、80%、75%、又はそれらの間の任意のパーセンテージの配列類似性)を有し、且つ2つの遊離末端を有するポリリボヌクレオチド分子(及びそのフラグメント)(すなわち、環状化ポリリボヌクレオチドの非環状化形態(及びそのフラグメント))である。ある実施形態において、線状同等物(例えば、環状化前形態)は、環状ポリリボヌクレオチドと同じか又は類似のヌクレオチド配列(例えば、100%、95%、90%、85%、80%、75%、又はそれらの間の任意のパーセンテージ配列類似性)及び同じか又は類似の核酸修飾を有し、且つ2つの遊離末端を有するポリリボヌクレオチド分子(及びそのフラグメント)(すなわち、環状化ポリリボヌクレオチドの非環状化形態(及びそのフラグメント))である。ある実施形態において、線状同等物は、環状ポリリボヌクレオチドと同じか又は類似のヌクレオチド配列(例えば、100%、95%、90%、85%、80%、75%、又はそれらの間の任意のパーセンテージの配列類似性)及び異なる核酸修飾を有するか又は核酸修飾を有さず、且つ2つの遊離末端を有するポリリボヌクレオチド分子(及びそのフラグメント)(すなわち、環状化ポリリボヌクレオチドの非環状化形態(及びそのフラグメント))である。ある実施形態において、線状同等物であるポリリボヌクレオチド分子のフラグメントは、線状同等物ポリリボヌクレオチド分子より短い線状同等物ポリリボヌクレオチド分子の任意の部分である。ある実施形態において、線状同等物は、5’キャップをさらに含む。ある実施形態において、線状同等物は、ポリアデノシン尾部をさらに含む。ある実施形態において、線状同等物は、3’UTRをさらに含む。ある実施形態において、線状同等物は、5’UTRをさらに含む。
【0173】
本明細書において使用される際、「担体」という用語は、環状ポリリボヌクレオチドの共有結合修飾によって、部分的に若しくは完全に封入剤によって、又はそれらの組合せで、細胞内への組成物(例えば、環状ポリリボヌクレオチド)の輸送又は送達を容易にする化合物、組成物、試薬、又は分子を意味する。担体の非限定的な例としては、炭水化物担体(例えば、無水物修飾フィトグリコーゲン若しくはグリコーゲン型材料)、ナノ粒子(例えば、環状ポリリボヌクレオチドを封入するか若しくはそれに共有結合される、脂質ナノ粒子すなわちLNPなどのナノ粒子)、リポソーム、フソソーム、エクスビボ分化された網状赤血球、エキソソーム、タンパク質担体(例えば、環状ポリリボヌクレオチドに共有結合されるタンパク質)、又はカチオン性担体(例えば、カチオン性リポポリマー若しくはトランスフェクション試薬)が挙げられる。
【0174】
本明細書において使用される際、「ネイキッド」、「ネイキッド送達(naked delivery)」という用語及びその同根語は、担体を用いず、且つ細胞への送達を助ける部分への共有結合修飾を有さない、細胞への送達のための製剤を意味する。ネイキッド送達製剤は、任意のトランスフェクション試薬、カチオン性担体、炭水化物担体、ナノ粒子担体、又はタンパク質担体を含まない。例えば、環状ポリリボヌクレオチドのネイキッド送達製剤は、共有結合修飾を有さない環状ポリリボヌクレオチドを含み、且つ担体を含まない製剤である。ネイキッド送達製剤は、非担体医薬賦形剤又は希釈剤を含んでもよい。
【0175】
「希釈剤」という用語は、本明細書に記載される組成物(例えば、環状ポリリボヌクレオチドを含む組成物)が希釈又は溶解され得る不活性溶媒を含むビヒクルを意味する。希釈剤は、RNA可溶化剤、緩衝液、等張剤、又はそれらの混合物であり得る。希釈剤は、液体希釈剤又は固体希釈剤であり得る。液体希釈剤の非限定的な例としては、水又は他の溶媒、可溶化剤及び乳化剤、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、及びゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール及びソルビタンの脂肪酸エステル、及び1,3-ブタンジオールが挙げられる。固体希釈剤の非限定的な例としては、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸ナトリウムラクトース、スクロース、セルロース、微結晶性セルロース、カオリン、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、塩化ナトリウム、乾燥デンプン、トウモロコシデンプン、又は粉砂糖が挙げられる。
【0176】
本明細書において使用される際、「免疫化のための対象」は、免疫原性組成物(例えば、コロナウイルス抗原をコードする配列を含む環状ポリリボヌクレオチドを含む組成物又は表3中の配列番号から選択される配列を含む線状ポリリボヌクレオチドを含む組成物)を投与される対象である。免疫化のための対象は、非ヒト動物(「免疫化のための非ヒト動物対象」)(例えば、家畜、ペット、動物園の動物など)又はヒト対象(「免疫化のためのヒト対象」)である。
【0177】
本明細書において使用される際、「治療のための対象」は、予防的処置として又はコロナウイルス感染症を治療するために、コロナウイルスに対するポリクローナル抗体(例えば、コロナウイルスに対するポリクローナル抗体製剤)を投与される対象である。予防的処置は、コロナウイルスへの曝露のリスクがある対象(例えば、医療従事者)又はコロナウイルス関連疾患のリスクがある対象(例えば、50歳を超えるヒト;免疫不全のヒト;肥満、糖尿病、癌などの慢性の健康障害を有するヒト)への、コロナウイルスに対するポリクローナル抗体の投与を含む。免疫化のための対象は、非ヒト動物(「非ヒト動物治療のための対象」)(例えば、家畜、ペット、動物園の動物など)又はヒト対象(「治療のためのヒト対象」)である。
【0178】
本明細書において使用される際、「変異体」は、親又は野生型ポリペプチドと比較して、1つ以上の残基位置における少なくとも1つの改変、例えば、置換、挿入、欠失、及び/又は融合を含むポリペプチドを指す。変異体は、1~10、10~20、20~50、50~100個、又はそれ以上の改変を含み得る。
【0179】
参照による援用
本明細書に記載される全ての刊行物、特許及び特許出願は、それぞれの個々の刊行物、特許又は特許出願が具体的に及び個別に参照により援用されていることが示されているのと同程度に、参照により本明細書に援用される。
【0180】
本発明の新規な特徴が、添付の特許請求の範囲において具体的に記載される。本発明の特徴及び利点のより良好な理解が、本発明の原理が用いられる例示的な実施形態を記載する以下の詳細な説明、及び添付の図面を参照することによって得られる。
【図面の簡単な説明】
【0181】
図1】コロナウイルス抗原(例えば、スパイクタンパク質、スパイクタンパク質の受容体結合ドメイン(RBD)タンパク質)をコードする配列を含む例示的な環状ポリリボヌクレオチドを示す。
図2】ヒト対象に投与されるコロナウイルス抗原に結合するヒトポリクローナル抗体の生成についての概略図を示す。
図3】環状RNAによってコードされるRBD抗原が、BJ線維芽細胞及びHeLa細胞内で検出され、ビヒクル対照ではBJ線維芽細胞及びHeLa細胞内で検出されなかったことを示す。
図4】マウスモデルにおいて、カチオン性ポリマー(例えば、プロタミン)と共に配合された、SARS-CoV-2 RBD抗原をコードする環状RNAの投与後に、持続的抗RBD抗体応答が得られたことを示す。
図5】マウスモデルにおいて、カチオン性ポリマー(例えば、プロタミン)と共に配合された、SARS-CoV-2 RBD抗原をコードする環状RNAの投与後に、抗スパイク応答が得られたことを示す。
図6】マウスモデルにおいて、カチオン性ポリマー(例えば、プロタミン)と共に配合された、SARS-CoV-2 RBD抗原をコードする環状RNAの投与後に得られた抗RBD IgG2a及びIgG1アイソタイプレベルを示す。
図7】環状RNA製剤(Trans-IT配合、プロタミン配合、非配合)、プロタミンビヒクルのみの筋肉内注射後、及び非注射対照マウスの、長期間にわたるインビボでの環状RNAからのタンパク質発現を示す。
図8】(i)非配合環状RNA製剤(左側のグラフ)、(ii)TransITと共に配合された環状RNA(真ん中のグラフ)、及び(iii)プロタミンと共に配合された環状RNA(右側のグラフ)との、Addavax(商標)補助剤の同時筋肉内送達後の、長期間にわたるインビボでの環状RNAからのタンパク質発現を示す。それぞれの場合、Addavax(商標)補助剤を、0及び24時間の時点で個々の注射として送達した。
図9】(i)プロタミンと共に配合された環状RNA、(ii)24時間の時点でのAddavax(商標)補助剤の注射と共に、プロタミンと共に配合された環状RNA、(iii)プロタミンビヒクルのみの皮内送達後、及び(iv)非注射対照マウスの、長期間にわたるインビボでの環状RNAからのタンパク質発現を示す。
図10】2つの発現配列を含む例示的な環状RNAの概略図であり、ここで、各発現配列が、抗原をコードし、一方又は両方の発現配列が、コロナウイルス抗原をコードする。環状RNAは、各ORFが発現配列をコードする2つのオープンリーディングフレーム(ORF)を含み、ここで、各ORFが、IRESに動作可能に連結される。
図11】2つの発現配列を含む例示的な環状RNAの概略図であり、ここで、各発現配列が、抗原であり、一方又は両方の発現配列が、コロナウイルス抗原をコードする。環状RNAは、全てIRESに動作可能に連結される、2A配列によって隔てられた2つの発現配列を含む。
図12】複数のポリリボヌクレオチドの概略図を示し、ここで、各ポリヌクレオチドが、抗原をコードするORFを含み、一方又は両方のORFが、コロナウイルス抗原をコードする。
図13A】環状ポリリボヌクレオチドからの複数の抗原発現を示す。RBD抗原発現が、SARSs-CoV-2 RBD抗原及びGLucポリペプチドをコードする環状RNAから検出された。
図13B】環状ポリリボヌクレオチドからの複数の抗原発現を示す。GLuc活性が、SARSs-CoV-2 RBD抗原及びGLucポリペプチドをコードする環状RNAから検出された。
図14A】マウスモデルにおける環状RNAからの複数の抗原の免疫原性を示す。マウスに、SARS-CoV-2 RBD抗原をコードする第1の環状RNA及びGLucポリペプチドをコードする第2の環状RNAを接種した。抗RBD抗体が、注射の17日後の時点で得られた。
図14B】マウスモデルにおける環状RNAからの複数の抗原の免疫原性を示す。マウスに、SARS-CoV-2 RBD抗原をコードする第1の環状RNA及びGLucポリペプチドをコードする第2の環状RNAを接種した。GLuc活性が、注射の2日後の時点で検出された。
図15A】マウスモデルにおける環状RNAからの複数の抗原の免疫原性を示す。マウスに、SARS-CoV-2 RBD抗原をコードする第1の環状RNA及びインフルエンザ赤血球凝集素(HA)抗原をコードする第2の環状RNAを接種した。抗RBD抗体が、注射の17日後の時点で得られた。
図15B】マウスモデルにおける環状RNAからの複数の抗原の免疫原性を示す。マウスに、SARS-CoV-2 RBD抗原をコードする第1の環状RNA及びインフルエンザ赤血球凝集素(HA)抗原をコードする第2の環状RNAを接種した。抗HA抗体が、注射の17日後の時点で得られた。
図16A】マウスモデルにおける環状RNAからの複数の抗原の免疫原性を示す。マウスに、SARS-CoV-2スパイク抗原をコードする第1の環状RNA及びインフルエンザ赤血球凝集素(HA)抗原をコードする第2の環状RNAを接種した。抗RBD(スパイクのドメイン)抗体が、注射の17日後の時点で得られた。
図16B】マウスモデルにおける環状RNAからの複数の抗原の免疫原性を示す。マウスに、SARS-CoV-2スパイク抗原をコードする第1の環状RNA及びインフルエンザ赤血球凝集素(HA)抗原をコードする第2の環状RNAを接種した。抗HA抗体が、注射の17日後の時点で得られた。
図17】複数の抗原をコードする環状RNAを投与されたマウスにおける抗HA抗体応答を実証する。マウスに、SARS-CoV-2 RBD抗原、SARS-CoV-2スパイク抗原、インフルエンザHA抗原、SARS-CoV-2 RBD抗原及びインフルエンザHA抗原、SARS-CoV-2 RBD抗原及びGLucポリペプチド、又はSARS-CoV-2 RBD抗原及びSARS-CoV-2スパイク抗原をコードする環状RNAを投与した。赤血球凝集阻害アッセイ(HAI)を用いて、抗インフルエンザHA抗体を測定した。図24は、それが単独で投与された場合又はSARS-CoV-2抗原、例えばRBD又はスパイクと組み合わせて投与された場合の、インフルエンザHA抗原をコードする環状RNA製剤を投与されたサンプルにおけるHAI力価を示す。
【発明を実施するための形態】
【0182】
本開示は、一般に、コロナウイルスからの抗原及び/又はエピトープをコードする配列を含む環状ポリリボヌクレオチド、コロナウイルス抗原及び/又はエピトープをコードする環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物、並びにコロナウイルス抗原及び/又はエピトープをコードする環状ポリリボヌクレオチド及びコロナウイルス抗原及び/又はエピトープをコードする環状ポリリボヌクレオチドを含む組成物を生成するための方法に関する。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチド及び/又は免疫原性組成物は、環状ポリリボヌクレオチド及び/又は免疫原性組成物を対象に投与するか、又はコロナウイルス抗原及び/若しくはエピトープをコードする配列を含む環状ポリリボヌクレオチド及び/又は環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物で対象を免疫化することによって、コロナウイルスからの抗原及び/又はエピトープに対する免疫応答を生じさせる方法において使用される。対象(例えば、免疫化のための対象)は、有蹄動物などの哺乳動物であり得る。免疫化のための対象は、ヒトであり得る。ある実施形態において、免疫化のための対象は、ヒト化免疫系を有する非ヒト動物である。
【0183】
本開示はまた、一般に、コロナウイルスからの抗原及び/又はエピトープをコードする配列を含む線状ポリリボヌクレオチド、コロナウイルス抗原及び/又はエピトープをコードする線状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物、並びにコロナウイルス抗原及び/又はエピトープをコードする線状ポリリボヌクレオチド及びコロナウイルス抗原及び/又はエピトープをコードする線状ポリリボヌクレオチドを含む組成物を生成するための方法に関する。ある実施形態において、線状ポリリボヌクレオチド及び/又は免疫原性組成物は、線状ポリリボヌクレオチド及び/又は免疫原性組成物を対象に投与するか、又はコロナウイルス抗原及び/若しくはエピトープをコードする配列を含む線状ポリリボヌクレオチド及び/又は線状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物で対象を免疫化することによって、コロナウイルスからの抗原及び/又はエピトープに対する免疫応答を生じさせる方法において使用される。対象(例えば、免疫化のための対象)は、有蹄動物などの哺乳動物であり得る。免疫化のための対象は、ヒトであり得る。ある実施形態において、免疫化のための対象は、ヒト化免疫系を有する非ヒト動物である。
【0184】
本開示はまた、一般に、本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチド又は免疫原性組成物を用いて、対象においてコロナウイルスからの抗原及び/又はエピトープに結合するポリクローナル抗体を生成又は産生する方法に関する。ある実施形態において、免疫化のための対象は、ヒトである。ある実施形態において、免疫化のための対象は、非ヒト動物(例えば、有蹄動物)である。ある実施形態において、非ヒト動物は、ヒト化免疫系を有する。特定の実施形態において、コロナウイルスからの抗原及び/若しくはエピトープをコードする環状ポリリボヌクレオチド及び/又はコロナウイルス抗原及び/又はエピトープをコードする環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物は、ヒト化免疫系を有する非ヒト動物に投与され、それによって、コロナウイルスからの抗原及び/又はエピトープに結合するヒトポリクローナル抗体の産生を刺激する。
【0185】
本開示はまた、一般に、本明細書に記載される線状ポリリボヌクレオチド又は免疫原性組成物を用いて、対象においてコロナウイルスからの抗原及び/又はエピトープに結合するポリクローナル抗体を生成又は産生する方法に関する。ある実施形態において、免疫化のための対象は、ヒトである。ある実施形態において、免疫化のための対象は、非ヒト動物(例えば、有蹄動物)である。一実施形態において、コロナウイルスからの抗原及び/若しくはエピトープをコードする線状ポリリボヌクレオチド及び/又はコロナウイルス抗原及び/若しくはエピトープをコードする線状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物は、ヒト化免疫系を有する非ヒト動物に投与され、それによって、コロナウイルスからの抗原及び/又はエピトープに結合するヒトポリクローナル抗体の産生を刺激する。
【0186】
さらなる実施形態において、生成されたポリクローナル抗体は、精製される。精製されたポリクローナル抗体は、コロナウイルスに対する予防薬又はコロナウイルス感染の治療として使用するのに好適である。精製されたポリクローナル抗体は、免疫化のための対象に投与され得る。本明細書に記載される方法の概略的な例が、図2に示される。
【0187】
環状ポリリボヌクレオチド
本明細書に開示される環状ポリリボヌクレオチドは、コロナウイルスからの抗原及び/又はエピトープをコードする配列を含む。この環状ポリリボヌクレオチドは、対象(例えば、免疫化のための対象)においてコロナウイルスからの抗原及び/又はエピトープをコードする配列を発現する。ある実施形態において、コロナウイルス抗原及び/又はエピトープを含む環状ポリリボヌクレオチドは、対象(例えば、免疫化のための対象)において免疫応答を生じさせるのに使用される。ある実施形態において、コロナウイルス抗原及び/又はエピトープを含む環状ポリリボヌクレオチドは、本明細書に記載されるポリクローナル抗体を生成するのに使用される。
【0188】
コロナウイルス抗原及びエピトープ
環状ポリリボヌクレオチドは、コロナウイルス抗原又はエピトープをコードする配列を含む。本明細書に開示される抗原及び/又はエピトープは、コロナウイルスに関連する。ある実施形態において、抗原及び/又はエピトープは、コロナウイルスによって発現されるか、又はコロナウイルスによって発現される抗原及び/若しくはエピトープに由来する。
【0189】
抗原は、対象(例えば、免疫化のための対象)において適応免疫応答を引き起こす1つ以上のエピトープ(線状、立体構造のいずれか又は両方)を含有する分子である。エピトープは、所与の抗体若しくはT細胞受容体によって認識、標的化、又は結合される抗原の一部であり得る。エピトープは、線状エピトープ、例えば、アミノ酸の連続配列であり得る。エピトープは、立体構造エピトープ、例えば、タンパク質の折られた立体構造におけるエピトープを形成するアミノ酸を含有するエピトープであり得る。立体構造エピトープは、一次アミノ酸配列からの非連続アミノ酸を含有し得る。通常、エピトープは、約3~15個、一般に、約5~15個のアミノ酸を含むであろう。B細胞エピトープは、通常、約5つのアミノ酸であるが、3~4つ程度のアミノ酸であり得る。CTLエピトープなどのT細胞エピトープは、少なくとも約7~9つのアミノ酸を含み、ヘルパーT細胞エピトープは、少なくとも約12~20個のアミノ酸を含むであろう。通常、エピトープは、約7~15個のアミノ酸、例えば、9、10、12又は15個のアミノ酸を含むであろう。
【0190】
コロナウイルス抗原又はエピトープは、タンパク質、ペプチド、糖タンパク質、リポタンパク質、リンタンパク質、リボヌクレオタンパク質、炭水化物(例えば、多糖)、脂質(例えば、リン脂質若しくはトリグリセリド)、又は核酸(例えば、DNA、RNA)であり得るか、又はそれらの全て若しくは一部を含み得る。
【0191】
コロナウイルス抗原又はエピトープは、タンパク質抗原又はエピトープ(例えば、タンパク質、糖タンパク質、リポタンパク質、リンタンパク質、若しくはリボヌクレオタンパク質からのペプチド抗原又はペプチドエピトープ)を含み得る。抗原又はエピトープは、アミノ酸、糖、脂質、ホスホリル、若しくはスルホニル基、又はそれらの組合せを含み得る。
【0192】
コロナウイルスタンパク質抗原又はエピトープは、翻訳後修飾、例えば、グリコシル化、ユビキチン化、リン酸化、ニトロシル化、メチル化、アセチル化、アミド化、水酸化、硫酸化、又は脂質化を含み得る。
【0193】
ある実施形態において、コロナウイルスは、病原性コロナウイルスである。ある実施形態において、コロナウイルスは、呼吸器病原体である。ある実施形態において、コロナウイルスは、血液媒介病原体である。ある実施形態において、コロナウイルスは、腸内病原体である。
【0194】
本開示のコロナウイルスの非限定的な例としては、重症急性呼吸器症候群関連コロナウイルス(SARS-CoV、例えば、SARS-CoV-1、SARS-CoV-2)、中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)、コウモリコロナウイルス、ヒト又は他の動物を感染させ得る人畜共通コロナウイルス、新型又は新たに発見されたコロナウイルス、及び他のコロナウイルスが挙げられる。
【0195】
ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、重症急性呼吸器症候群関連コロナウイルス(SARS-CoV)抗原及び/又はエピトープを含む。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、SARS-CoV-1抗原及び/又はエピトープを含む。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、SARS-CoV-2抗原及び/又はエピトープを含む。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)抗原及び/又はエピトープを含む。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、ヒト又は他の動物を感染させ得る人畜共通コロナウイルス抗原及び/又はエピトープを含む。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、新型コロナウイルスからの抗原及び/又はエピトープを含む。
【0196】
ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、コロナウイルス科(Coronaviridae)抗原及び/又はエピトープを含む。
【0197】
ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、アルファコロナウイルス属(Alphacoronavirus)、ベータコロナウイルス属(Betacoronavirus)、ガンマコロナウイルス属(Gammacoronavirus)、デルタコロナウイルス属(Deltacoronavirus)、メルベコウイルス亜属(Merbecovirus)、又はサルベコウイルス属(Sarbecovirus)である属又は亜属からの抗原及び/又はエピトープを含む。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、ベータコロナウイルス抗原及び/又はエピトープを含む。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、サルベコウイルス抗原及び/又はエピトープを含む。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、メルベコウイルス亜属(Merbecovirus)抗原及び/又はエピトープを含む。
【0198】
ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、バイオセーフティーレベル2(BSL-2)病原体)であるコロナウイルスからの抗原のための配列を含む。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、バイオセーフティーレベル3(BSL-3)病原体であるコロナウイルスからの配列を含む。ある実施形態において、コロナウイルスは、バイオセーフティーレベル4病原体(BSL-4)である。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドによって発現される抗原が由来するコロナウイルスの感染を治療するための入手可能な承認薬(例えば、抗ウイルス薬又は抗生物質)はない。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドによって発現される抗原が由来するコロナウイルスを予防するか又は感染のリスクを低下させるための入手可能な承認されたワクチンはない。
【0199】
抗原及び/又はエピトープは、コロナウイルス表面タンパク質、コロナウイルス膜タンパク質、コロナウイルスエンベロープタンパク質、コロナウイルスカプシドタンパク質、コロナウイルスヌクレオカプシドタンパク質、コロナウイルススパイクタンパク質、スパイクタンパク質のコロナウイルス受容体結合ドメイン(RBD)、コロナウイルス侵入タンパク質、コロナウイルス膜融合タンパク質、コロナウイルス構造タンパク質、コロナウイルス非構造タンパク質、コロナウイルス調節タンパク質、コロナウイルスアクセサリータンパク質、分泌コロナウイルスタンパク質、コロナウイルスポリメラーゼタンパク質、コロナウイルスRNAポリメラーゼ、コロナウイルスプロテアーゼ、コロナウイルス糖タンパク質、コロナウイルス融合体、コロナウイルスらせんカプシドタンパク質、コロナウイルス20面体カプシドタンパク質、コロナウイルス基質タンパク質、コロナウイルスレプリカーゼ、コロナウイルス転写因子、又はコロナウイルス酵素に由来し得る。
【0200】
様々なコロナウイルスからの抗原及び/又はエピトープは、環状ポリリボヌクレオチドによって発現される。ある場合には、抗原及び/又はエピトープは、本明細書に開示される1つのコロナウイルスに関連するか又はそれによって発現される。ある実施形態において、抗原及び/又はエピトープは、本明細書に開示される2つ以上のコロナウイルスに関連するか又はそれによって発現される。
【0201】
ある場合には、2つ以上のコロナウイルスは、表現型が関連する。例えば、本開示の組成物及び方法は、呼吸器病原体である2つ以上のコロナウイルス、重症疾患に関連する2つ以上のコロナウイルス、免疫不全対象(例えば、免疫化のための対象)における有害転帰に関連する2つ以上のコロナウイルス、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)に関連する2つ以上のコロナウイルス、重症急性呼吸器症候群(SARS)に関連する2つ以上のコロナウイルス、中東呼吸器症候群(MERS)に関連する2つ以上のコロナウイルス、又はそれらの組合せからの抗原及び/又はエピトープを用い得る。
【0202】
環状ポリリボヌクレオチドは、例えば、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、又はそれ以上のコロナウイルスからの抗原及び/又はエピトープを含むか又はコードし得る。
【0203】
ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、2以下、3以下、4以下、5以下、6以下、7以下、8以下、9以下、10以下、15以下、20以下、25以下、30以下、40以下、50以下、60以下、70以下、80以下、90以下、100以下、又はそれ以下のコロナウイルスからの抗原及び/又はエピトープを含むか又はコードする。
【0204】
ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、又は100のコロナウイルスからの抗原及び/又はエピトープを含むか又はコードする。
【0205】
ある実施形態において、抗原及び/又はエピトープは、コロナウイルス、例えば、重症急性呼吸器症候群関連コロナウイルス(SARS-CoV、例えば、SARS-CoV-1、SARS-CoV-2)、中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)、又は別のコロナウイルスに由来する。ある実施形態において、本開示の抗原及び/又はエピトープは、コロナウイルスゲノムからの予測されるオープンリーディングフレームに由来する。
【0206】
新型SARS分離株が、既知のSARSウイルスの特定のゲノム領域のポリヌクレオチド配列との、新型ウイルスの特定のゲノム領域のポリヌクレオチド配列の99%、98%、97%、95%、92%、90%、85%、又は80%の相同性の相同性パーセントによって同定され得る。さらに、新型SARS分離株が、既知のSARSウイルスの特定の領域のポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチド配列に対する、新型SARSウイルスの特定のゲノム領域のポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチド配列の99%、98%、97%、95%、92%、90%、85%、又は80%の相同性の相同性パーセントによって同定され得る。これらのゲノム領域は、多くのコロナウイルスの間で典型的に共通である領域(例えば、遺伝子産物又はORF)、並びに基特異的領域(例えば、抗原基)、例えば、ウイルス学の当業者によって容易に同定され得る以下のゲノム領域のいずれか1つなどを含み得る:5’非翻訳領域(UTR)、リーダー配列、ORF1a、ORF1b、非構造タンパク質2(NS2)、赤血球凝集素-エステラーゼ糖タンパク質(HE)(E3とも呼ばれる)、スパイク糖タンパク質(S)(E2とも呼ばれる)、ORF3a、ORF3b、非構造タンパク質4(NS4)、エンベロープ(小膜)タンパク質(E)(sMとも呼ばれる)、膜糖タンパク質(M)(E1とも呼ばれる)、ORF5a、ORF5b、ヌクレオカプシドリンタンパク質(N)、ORF6、ORF7a、ORF7b、ORF8、ORF8a、ORF8b、ORF9a、ORF9b、ORF10、遺伝子間配列、スパイクタンパク質の受容体結合ドメイン(RBD)、3’UTR、又はRNA依存性RNAポリメラーゼ(pol)。SARSウイルスは、1つ以上の上記で特定されたゲノム領域を含む同定可能なゲノム領域を有し得る。SARSウイルス抗原は、これらのゲノム領域のいずれか1つによってコードされるタンパク質を含む。SARSウイルス抗原は、コロナウイルスと共に高度に保存された、タンパク質又はそのフラグメントであり得る。SARSウイルス抗原は、(公知のコロナウイルスと比較して)SARSウイルスに特異的なタンパク質又はそのフラグメントであり得る。
【0207】
ある実施形態において、本開示の抗原及び/又はエピトープは、SARS-CoVゲノムからの予測される転写産物に由来する。ある実施形態において、本開示の抗原及び/又はエピトープは、SARS-CoVゲノムからのオープンリーディングフレームによってコードされるタンパク質に由来する。SARS-CoVゲノムにおけるオープンリーディングフレームの非限定的な例は、ORF1a、ORF1b、スパイク(S)、ORF3a、ORF3b、エンベロープ(E)、膜(M)、ORF6、ORF7a、ORF7b、ORF8、ORF8a、ORF8b、ORF9a、ORF9b、ヌクレオカプシド(N)、及びORF10を含み得る。
【0208】
ORF1a及びORF1bは、16の非構造タンパク質(nsp)、例えば、nsp1、nsp2、nsp3、nsp4、nsp5、nsp6、nsp7、nsp8、nsp9、nsp10、nsp11、nsp12、nsp13、nsp14、nsp15、及びnsp16をコードする。非構造タンパク質は、例えば、ウイルス複製、ウイルスの組み立て、免疫応答調節、又はそれらの組合せに寄与する。ある実施形態において、抗原は、非構造タンパク質であるか、又は非構造タンパク質をコードする抗原配列である。ある実施形態において、エピトープは、コロナウイルス非構造タンパク質に由来する。
【0209】
スパイク(S)は、スパイクタンパク質をコードし、これは、ある実施形態において、宿主細胞受容体への結合、宿主細胞膜とのウイルスの融合、宿主細胞中へのウイルスの侵入、又はそれらの組合せに寄与する。スパイクタンパク質は、抗原であり得る。ある実施形態において、本開示のエピトープは、スパイクタンパク質に由来する。ある実施形態において、本開示のエピトープは、スパイクタンパク質の受容体結合ドメインを含む。ある実施形態において、本開示のエピトープは、スパイクタンパク質のACE2結合ドメインを含む。
【0210】
エンベロープ(E)は、エンベロープタンパク質をコードし、これは、ある実施形態において、ウイルスの組み立て及び形態形成に寄与する。エンベロープタンパク質は、抗原であり得る。ある実施形態において、本開示のエピトープは、コロナウイルスエンベロープタンパク質に由来する。
【0211】
膜(M)は、膜タンパク質をコードし、これは、ある実施形態において、ウイルスの組み立てに寄与する。膜タンパク質は、抗原であり得る。ある実施形態において、本開示のエピトープは、コロナウイルス膜タンパク質に由来する。
【0212】
ヌクレオカプシド(N)は、ヌクレオカプシドタンパク質をコードし、これは、ある実施形態において、ゲノムRNAとの複合体を形成し、ウイルスの組み立てに寄与し、及び/又はMタンパク質と相互作用し得る。ヌクレオカプシドタンパク質は、抗原であり得る。ある実施形態において、本開示のエピトープは、コロナウイルスヌクレオカプシドタンパク質に由来する。
【0213】
ORF3a、ORF3b、ORF6、ORF7a、ORF7b、ORF8、ORF8a、ORF8b、ORF9a、ORF9b、及びORF10は、アクセサリータンパク質をコードする。ある実施形態において、アクセサリータンパク質は、宿主細胞シグナル伝達を調節し得、宿主細胞免疫応答を調節し得、微量の構造タンパク質として成熟ビリオンに組み込まれ得、又はそれらの組合せである。アクセサリータンパク質は、抗原であり得る。ある実施形態において、本開示のエピトープは、コロナウイルスアクセサリータンパク質に由来する。
【0214】
本開示の組成物及び方法は、SARS-CoVゲノムの1つ以上のオープンリーディングフレームによってコードされるか又はそれから誘導される抗原及び/又はエピトープを用い得る。例えば、抗原及び/又はエピトープは、ORF1a、ORF1b、スパイク(S)、ORF3a、ORF3b、エンベロープ(E)、膜(M)、ORF6、ORF7a、ORF7b、ORF8、ORF8a、ORF8b、ORF9a、ORF9b、ヌクレオカプシド(N)、ORF10、又はそれらの任意の組合せによってコードされるか又はそれから誘導され得る。
【0215】
ある実施形態において、本開示のエピトープは、スパイクタンパク質に由来する。ある実施形態において、本開示のエピトープは、スパイクタンパク質の受容体結合ドメイン(RBD)を含む。ある実施形態において、本開示のエピトープは、スパイクタンパク質のACE2結合ドメインを含む。ある実施形態において、本開示のエピトープは、S1サブユニットスパイクタンパク質、スパイクタンパク質のS2サブユニット、又はそれらの組合せを含む。ある実施形態において、本開示のエピトープは、スパイクタンパク質の細胞外ドメインを含む。ある実施形態において、本開示のエピトープは、コロナウイルススパイクタンパク質からのGln498、Thr500、Asn501、又はそれらの組合せを含む。ある実施形態において、本開示のエピトープは、コロナウイルススパイクタンパク質からのLys417、Tyr453、又はそれらの組合せを含む。ある実施形態において、本開示のエピトープは、コロナウイルススパイクタンパク質からのGln474、Phe486、又はそれらの組合せを含む。ある実施形態において、本開示のエピトープは、コロナウイルススパイクタンパク質からのGln498、Thr500、Asn501、Lys417、Tyr453、Gln474、Phe486、スパイクタンパク質変異体若しくは誘導体からの1当量以上のアミノ酸、又はそれらの組合せを含む。ある実施形態において、本開示のスパイクタンパク質は、D614G突然変異を含み、すなわち、アスパラギン酸(D)の代わりに614位にアミノ酸グリシン(G)を有する。ある実施形態において、本開示のエピトープは、コロナウイルススパイクタンパク質からのスパイクタンパク質変異体若しくは誘導体からのGly614、又はそれらの組合せを含む。ある場合には、D614G突然変異は、S1シェディングの減少をもたらし、コロナウイルスの感染力を高め得る。
【0216】
ある実施形態において、抗原及び/又はエピトープは、ORF1aによってコードされるか又はそれから誘導される。ある実施形態において、抗原及び/又はエピトープは、SARS-CoV ORF1bによってコードされるか又はそれから誘導される。ある実施形態において、抗原及び/又はエピトープは、SARS-CoVスパイクによってコードされるか又はそれから誘導される。ある実施形態において、抗原及び/又はエピトープは、SARS-CoV ORF3aによってコードされるか又はそれから誘導される。ある実施形態において、抗原及び/又はエピトープは、SARS-CoV ORF3bによってコードされるか又はそれから誘導される。ある実施形態において、抗原及び/又はエピトープは、SARS-CoVエンベロープ(E)によってコードされるか又はそれから誘導される。ある実施形態において、抗原及び/又はエピトープは、SARS-CoV膜(M)によってコードされるか又はそれから誘導される。ある実施形態において、抗原及び/又はエピトープは、SARS-CoV ORF6によってコードされるか又はそれから誘導される。ある実施形態において、抗原及び/又はエピトープは、SARS-CoV ORF7aによってコードされるか又はそれから誘導される。ある実施形態において、抗原及び/又はエピトープは、SARS-CoV ORF7bによってコードされるか又はそれから誘導される。ある実施形態において、抗原及び/又はエピトープは、SARS-CoV ORF8によってコードされるか又はそれから誘導される。ある実施形態において、抗原及び/又はエピトープは、SARS-CoV ORF8aによってコードされるか又はそれから誘導される。ある実施形態において、抗原及び/又はエピトープは、SARS-CoV ORF9aによってコードされるか又はそれから誘導される。ある実施形態において、抗原及び/又はエピトープは、SARS-CoV ORF9bによってコードされるか又はそれから誘導される。ある実施形態において、抗原及び/又はエピトープは、SARS-CoVヌクレオカプシド(N)によってコードされるか又はそれから誘導される。ある実施形態において、抗原及び/又はエピトープは、SARS-CoV ORF10によってコードされるか又はそれから誘導される。ある実施形態において、抗原及び/又はエピトープは、SARS-CoVスパイク(S)、エンベロープ(E)、膜(M)、及びヌクレオカプシド(N)によってコードされるか又はそれから誘導される。
【0217】
ある実施形態において、抗原及び/又はエピトープは、SARS-CoV ORF1aによってコードされないか又はそれに由来しない。ある実施形態において、抗原及び/又はエピトープは、SARS-CoV ORF1bによってコードされないか又はそれに由来しない。ある実施形態において、抗原及び/又はエピトープは、SARS-CoVスパイクによってコードされないか又はそれに由来しない。ある実施形態において、抗原及び/又はエピトープは、SARS-CoV ORF3aによってコードされないか又はそれに由来しない。ある実施形態において、抗原及び/又はエピトープは、SARS-CoV ORF3bによってコードされないか又はそれに由来しない。ある実施形態において、抗原及び/又はエピトープは、SARS-CoVエンベロープ(E)によってコードされないか又はそれに由来しない。ある実施形態において、抗原及び/又はエピトープは、SARS-CoV膜(M)によってコードされないか又はそれに由来しない。ある実施形態において、抗原及び/又はエピトープは、SARS-CoV ORF6によってコードされないか又はそれに由来しない。ある実施形態において、抗原及び/又はエピトープは、SARS-CoV ORF7aによってコードされないか又はそれに由来しない。ある実施形態において、抗原及び/又はエピトープは、SARS-CoV ORF7bによってコードされないか又はそれに由来しない。ある実施形態において、抗原及び/又はエピトープは、SARS-CoV ORF8によってコードされないか又はそれに由来しない。ある実施形態において、抗原及び/又はエピトープは、SARS-CoV ORF8aによってコードされないか又はそれに由来しない。ある実施形態において、抗原及び/又はエピトープは、SARS-CoV ORF9aによってコードされないか又はそれに由来しない。ある実施形態において、抗原及び/又はエピトープは、SARS-CoV ORF9bによってコードされないか又はそれに由来しない。ある実施形態において、抗原及び/又はエピトープは、SARS-CoVヌクレオカプシド(N)によってコードされないか又はそれに由来しない。ある実施形態において、抗原及び/又はエピトープは、SARS-CoV ORF10によってコードされないか又はそれに由来しない。ある実施形態において、抗原及び/又はエピトープは、SARS-CoVスパイク(S)、エンベロープ(E)、膜(M)、及びヌクレオカプシド(N)によってコードされないか又はそれに由来しない。
【0218】
抗原及び/又はエピトープは、SARS-CoV2によってコードされるか又はそれから誘導され得る。
【0219】
SARS-CoV-2ゲノムの非限定的な例は、DB Source accession MN908947.3、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2分離株の完全ゲノム配列において提供され、その内容全体が参照により本明細書に援用される。DB Source accession MN908947.3:21563-25384は、Sタンパク質に対応し、その内容全体が参照により本明細書に援用される。SARS-CoV-2スパイクタンパク質の非限定的な例は、GenBank配列:QHD43416.1、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2分離株のスパイクタンパク質の配列において提供され、その内容全体が参照により本明細書に援用される。
【0220】
SARS-CoV-2ゲノムの非限定的な例は、配列NCBI参照配列受託番号NC_045512、version NC_045512.2、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2分離株Wuhan-Hu-1の完全ゲノム配列において提供され、その内容全体が参照により本明細書に援用される。
【0221】
SARS-CoV-2ゲノムの非限定的な例は、配列NCBI参照配列受託番号MW450666、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2分離株の完全ゲノム配列において提供され、その内容全体が参照により本明細書に援用される。
【0222】
SARS-CoV-2ゲノムの非限定的な例は、配列NCBI参照配列受託番号MW487270、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2系統B.1.1.7ウイルスの完全ゲノム配列において提供され、その内容全体が参照により本明細書に援用される。
【0223】
SARS-CoV-2ゲノムの非限定的な例は、配列GISAID参照配列受託番号EPI_ISL_792683、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2系統P.1ウイルスの完全ゲノム配列において提供され、その内容全体が参照により本明細書に援用される。
【0224】
SARS-CoV-2ゲノムの非限定的な例は、配列GISAID参照配列受託番号EPI_ISL_678615、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2系統B.1.351ウイルスの完全ゲノム配列において提供され、その内容全体が参照により本明細書に援用される。
【0225】
SARS-CoV-2ゲノムの非限定的な例は、配列NCBI参照配列受託番号MW972466-MW974550、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2系統B.1.427及びB.1.429ウイルスの完全ゲノム配列において提供され、その内容全体が参照により本明細書に援用される。
【0226】
SARS-CoV-2ゲノムの非限定的な例は、配列NCBI参照配列受託番号MZ156756-MZ226428、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2ウイルスの完全ゲノム配列において提供され、その内容全体が参照により本明細書に援用される。
【0227】
ある実施形態において、SAR-CoV-2ゲノムは、www.gisaid.orgにおけるGISAIDデータベースにおいて提供される。ある実施形態において、SARS-CoV-2ゲノムは、www.insdc.orgにおいて国際塩基配列データベース共同事業(INSDC)において提供される。
【0228】
ある実施形態において、本開示の抗原及び/又はエピトープは、SARS-CoV-2ゲノムからの予測される転写産物に由来する。ある実施形態において、本開示の抗原及び/又はエピトープは、SARS-CoV-2ゲノムからのオープンリーディングフレームによってコードされるタンパク質、又はその誘導体に由来する。SARS-CoV-2ゲノム中のオープンリーディングフレームの非限定的な例としては、ORF1a、ORF1b、スパイク(S)、ORF3a、エンベロープ(E)、膜(M)、ORF6、ORF7a、ORF7b、ORF8、ヌクレオカプシド(N)、及びORF10が挙げられる。ある実施形態において、SARS-CoV-2ゲノムは、ORF3b、ORF9a、ORF9b、又はそれらの組合せをコードする。ある実施形態において、SARS-CoV-2ゲノムは、ORF3b、ORF9a、ORF9b、又はそれらの任意の組合せをコードしない。
【0229】
アミノ酸配列の非限定的な例が、表1に示される。ある実施形態において、抗原は、表1からの配列に対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する配列を含む。
【0230】
【表1】
【0231】
【表2】
【0232】
SARS-CoV-2ゲノムによってコードされるタンパク質のさらなる非限定的な例としては、NCBI受託番号MT334522、MT334523、MT334524、MT334525、MT334526、MT334527、MT334528、MT334529、MT334530、MT334531、MT334532、MT334533、MT334534、MT334535、MT334536、MT334537、MT334538、MT334539、MT334540、MT334541、MT334542、MT334543、MT334544、MT334545、MT334546、MT334555、MT334547、MT334548、MT334549、MT334550、MT334551、MT334552、MT334553、MT334554、MT334556、MT334557、MT334558、MT334559、MT334560、MT334561、MT334562、MT334563、MT334564、MT334565、MT334566、MT334567、MT334568、MT334569、MT334570、MT334571、MT334572、MT334573、MT326097、MT326106、MT326107、MT326116、MT326117、MT326124、MT326125、MT326126、MT326127、MT326134、MT326135、MT326136、MT326137、MT326138、MT326139、MT326140、MT326141、MT326142、MT326143、MT326144、MT326145、MT326146、MT326148、MT326149、MT326150、MT326151、MT326152、MT326158、MT326159、MT326160、MT326161、MT326162、MT326168、MT326169、MT326170、MT326171、MT326172、MT326178、MT326179、MT326180、MT326181、MT326182、MT326183、MT326188、MT326189、MT326190、MT326191、MT326129、MT326121、MT326120、MT326119、MT326118、MT326111、MT326023、MT326025、MT326033、MT326035、MT326036、MT326040、MT326043、MT326045、MT326053、MT326055、MT326056、MT326063、MT326066、MT326070、MT326071、MT326072、MT326075、MT326076、MT326078、MT326079、MT326089、MT325563、MT325565、MT325566、MT326155、MT326163、MT326177、MT326130、MT326128、MT326110、MT326109、MT326108、MT326101、MT326100、MT326099、MT326098、MT326094、MT326093、MT326092、MT325568、MT325569、MT325590、MT325640、MT325606、MT325607、MT325608、MT325609、MT325610、MT325611、MT325616、MT325618、MT325619、MT325620、MT325622、MT325623、MT325624、MT325599、MT325600、MT325601、MT325602、MT325612、MT325613、MT325615、MT325617、MT325625、MT324062、MT324684、MT325573、MT325574、MT325577、MT325579、MT325586、MT325592、MT325593、MT325594、MT325598、MT325605、MT325626、MT325627、MT325633、MT325634、MT326028、MT326031、MT326091、MT326090、MT326085、MT326084、MT326083、MT326082、MT326081、MT326080、MT326077、MT326067、MT326057、MT326024、MT326026、MT326027、MT326032、MT326034、MT326037、MT326039、MT326041、MT326042、MT326044、MT326046、MT326047、MT326049、MT326050、MT326051、MT326052、MT326054、MT326059、MT326060、MT326061、MT326062、MT326064、MT326065、MT326068、MT326069、MT326073、MT326074、MT326088、MT327745、MT324679、MT325561、MT325571、MT325572、MT325575、MT325583、MT325587、MT325588、MT325589、MT325596、MT325597、MT325603、MT325604、MT325614、MT325621、MT325629、MT325630、MT325631、MT325632、MT325635、MT325636、MT325637、MT325638、MT325639、MT326086、MT326096、MT326102、MT326104、MT326105、MT326112、MT326113、MT326114、MT326115、MT326122、MT328034、MT325564、MT325567、MT326164、MT326165、MT326173、MT326174、MT326184、MT326185、MT326186、MT326187、MT325584、MT325585、MT326087、MT326095、MT326103、MT326123、MT326131、MT326132、MT326133、MT328033、MT325562、MT326147、MT326153、MT326154、MT326156、MT326157、MT326166、MT326167、MT326175、MT326176、MT324680、MT325570、MT325576、MT325578、MT325580、MT325581、MT325582、MT325591、MT325595、MT325628、MT326029、MT326030、MT326038、MT326048、MT326058、MT324681、MT324682、MT324683、MT328032、MT328035、MT322404、MT039874、MT322398、MT322409、MT322421、MT322423、MT322408、MT322413、MT322417、MT322394、MT322407、MT322418、MT322424、MT322411、MT077125、MT322395、MT322396、MT322397、MT322399、MT322400、MT322401、MT322402、MT322403、MT322405、MT322406、MT322414、MT322416、MT322419、MT322420、MT322410、MT322412、MT322415、MT322422、MT320538、MT320891、MT308692、MT308693、MT308695、MT308696、MT308698、MT308699、MT308701、MT308703、MT308704、MT308694、MT308697、MT308700、MT308702、MT293547、MT304476、MT304474、MT304475、MT304477、MT304478、MT304479、MT304481、MT304482、MT304484、MT304485、MT304486、MT304487、MT304488、MT304491、MT304480、MT304483、MT304489、MT304490、MT300186、MT292571、MT292576、MT292578、MT293186、MT292570、MT292573、MT293173、MT292575、MT293179、MT293180、MT293184、MT293189、MT293192、MT293193、MT293194、MT293201、MT293202、MT292572、MT292577、MT293185、MT293187、MT293188、MT291826、MT291832、MT291833、MT291835、MT291836、MT291831、MT293170、MT292574、MT293178、MT293181、MT293183、MT293195、MT293196、MT293197、MT293203、MT293204、MT293223、MT293212、MT293214、MT293215、MT293216、MT293219、MT293224、MT293225、MT293206、MT293208、MT293209、MT293221、MT295464、MT293160、MT293166、MT293171、MT293190、MT293161、MT293167、MT293168、MT293174、MT293175、MT293182、MT293191、MT293158、MT293162、MT293163、MT293164、MT293156、MT293157、MT293159、MT291834、MT291829、MT291827、MT291830、MT291828、MT293169、MT293200、MT293210、MT293211、MT293217、MT293218、MT295465、MT293198、MT293205、MT293207、MT293213、MT293220、MT293222、MT292581、MT292569、MT293172、MT293177、MT293176、MT293199、MT292580、MT292582、MT293165、MT292579、MT273658、MT281577、MT281530、MT276597、MT276598、MT276323、MT276328、MT276331、MT276329、MT276330、MT276324、MT276325、MT276327、MT276326、MT263388、MT263392、MT262900、MT262902、MT262906、MT262908、MT262912、MT262913、MT262914、MT262993、MT263074、MT263381、MT263391、MT262901、MT262903、MT262907、MT262909、MT262911、MT262899、MT262904、MT262915、MT262916、MT262897、MT262898、MT262905、MT262910、MT263400、MT263382、MT263383、MT263384、MT263385、MT262896、MT263407、MT263415、MT263406、MT263408、MT263422、MT263469、MT263439、MT263457、MT263459、MT263432、MT263450、MT263458、MT263467、MT263401、MT263411、MT263413、MT263426、MT263421、MT263443、MT263412、MT263416、MT263417、MT263423、MT263431、MT263461、MT26341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T263414、MT263430、MT263390、MT263434、MT263436、MT263446、MT263448、MT263452、MT263453、MT263456、MT263462、MT263463、MT263386、MT263387、MT263389、MT263428、MT263429、MT263433、MT263435、MT263437、MT263438、MT263440、MT263447、MT263449、MT263455、MT263444、MT263445、MT263451、MT263466、MT263420、MT263441、MT263454、MT263464、MT263465、MT263468、MT263460、MT263393、MT263394、MT263395、MT263396、MT263397、MT259226、MT259275、MT259276、MT259279、MT259247、MT258377、MT258378、MT258379、MT259231、MT259228、MT259238、MT259248、MT256917、MT259227、MT259236、MT256918、MT258380、MT259235、MT259237、MT259239、MT259281、MT259282、MT259283、MT259240、MT259243、MT259249、MT259250、MT259251、MT259256、MT259258、MT259266、MT259267、MT259274、MT259286、MT259287、MT259241、MT259242、MT258381、MT259257、MT259261、MT259262、MT259263、MT259264、MT259268、MT259269、MT259270、MT259271、MT259272、MT259273、MT259277、MT259278、MT259280、MT258383、MT258382、MT259246、MT256924、MT259244、MT259245、MT259252、MT259253、MT259254、MT259255、MT259259、MT259284、MT259229、MT259230、MT259265、MT259260、MT259285、LC534419、LC534418、MT253710、MT253709、MT253705、MT253708、MT253701、MT253702、MT253703、MT253704、MT253706、MT253707、MT251972、MT251974、MT251975、MT251973、MT251976、MT251979、MT253697、MT253699、MT253696、MT253698、MT253700、MT251977、MT251978、MT251980、MT246451、MT246461、MT246471、MT246472、MT246474、MT246483、MT246450、MT246453、MT246454、MT246462、MT246463、MT246464、MT246470、MT246473、MT246480、MT246484、MT246449、MT246455、MT246456、MT246478、MT246485、MT246488、MT246452、MT246460、MT246465、MT246481、MT246482、MT246490、MT246459、MT246468、MT246475、MT246477、MT246479、MT246457、MT246458、MT246466、MT246467、MT246469、MT246476、MT246486、MT246487、MT246489、MT233526、MT246667、MT240479、MT232870、MT232871、MT233523、MT232869、MT232872、MT233519、MT233521、MT233522、MT233520、MT226610、MT198653、MT198651、MT198652、MT192773、MT192758、MT192772、MT192765、MT192759、MT188341、MT188340、MT188339、MT186676、MT186681、MT186677、MT186678、MT187977、MT186680、MT186682、MT186679、MT184909、MT184911、MT184912、MT184913、MT184910、MT184907、MT184908、CADDYA000000000、MT163718、MT163719、MT163720、MT163714、MT163715、MT163721、MT163717、MT163737、MT163738、MT163712、MT163716、MT159706、MT159716、MT159719、MT159707、MT159717、MT159709、MT159715、MT159718、MT159722、MT159708、MT161607、MT159705、MT159710、MT159711、MT159712、MT159713、MT159714、MT159720、MT159721、MT121215、MT159778、MT066156、LC529905、MT050493、MT012098、MT152900、MT152824、MT135044、MT135042、MT135041、MT135043、MT126808、MT127113、MT127114、MT127116、MT127115、LC528232、LC528233、MT123293、MT123291、MT123290、MT123292、MT118835、MT111896、MT111895、MT106052、MT106053、MT106054、MT093571、MT093631、MT081061、MT081063、MT081066、MT081062、MT081064、MT081065、MT081067、MT081059、MT081060、MT081068、MT072667、MT072668、MT072688、MT066157、MT066176、MT066159、MT066175、MT066158、LC523809、LC523807、LC523808、MT044258、MT044257、MT050416、MT050417、MT042773、MT042774、MT042775、MT042776、MT049951、MT050414、MT050415、MT042777、MT042778、MT039887、MT039888、MT039890、MT039873、LC522350、MT027062、MT027063、MT027064、MT020881、MT019530、MT019531、MT019533、MT020880、MT019532、MT019529、MT020781、LR757995、LR757998、LR757996、LR757997、MT007544、MT008022、MT008023、MN996531、MN996530、MN996527、MN996528、MN996529、MN997409、MN988668、MN988669、MN994467、MN994468、MN988713、MN938384、MN975262、MN985325、MN938386、MN938388、MN938385、MN938387、MN938390、MN938389、MN975263、MN975267、MN975268、MN975265、MN975264、MN975266、MN970004、MN970003、MN908947の内容を有するものが挙げられ、これらはそれぞれ、全体が参照により本明細書に援用される。
【0233】
特定の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、表2に記載されるSARS-CoV-2抗原を含む。ある実施形態において、抗原は、表2からの配列に対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有する配列を含む。
【0234】
【表3】
【0235】
【表4】
【0236】
【表5】
【0237】
【表6】
【0238】
【表7】
【0239】
表2において、「プロリン置換」は、残基986及び987におけるプロリン置換、並びにフリン切断部位(残基682~685)における「GSAS」置換を示す。「クローニング最適化」では、プラスミドDNA鋳型のゴールデンゲートクローニング(Golden Gate Cloning)構築を補助するBsaI部位を破壊するために座標2541で単一塩基置換がなされた。「環状化最適化」では:2307、2790、159及び315位における4つの単一ヌクレオチドが、スプリント核酸配列の環状化要素に潜在的に結合し得る部位を破壊するために置換され、それによって、効率的なライゲーションを潜在的に阻害する。タイプIIターミネーターが除去された構築物(例えば、p33、p35、p36、p39、p41、p44、及びp45)では:1047、1049における2つの単一ヌクレオチドが、タイプIIターミネーター部位を破壊するために置換された。GC最適化を有する構築物(例えば、p39及びp41)では、GC最適化が、GC含量が約50%であるように行われた。全ての単一塩基対置換が、翻訳的にサイレントであるように設計された。さらに、表2において、IRESは、EMCV(配列番号31)であるか又はCVB3(配列番号45)である。
【0240】
ある実施形態において、抗原又はエピトープは、宿主対象(例えば、免疫化のための対象)細胞に由来する。例えば、コロナウイルスの侵入をブロックする抗体が、ウイルスが侵入因子として使用する宿主細胞の成分からの抗原又はエピトープを用いることによって生成され得る。
【0241】
ある実施形態において、コロナウイルスエピトープは、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、少なくとも26、少なくとも27、少なくとも28、少なくとも29、若しくは少なくとも30のアミノ酸、又はそれ以上を含むか又は含有する。ある実施形態において、コロナウイルスエピトープは、4以下、5以下、6以下、7以下、8以下、9以下、10以下、11以下、12以下、13以下、14以下、15以下、16以下、17以下、18以下、19以下、20以下、21以下、22以下、23以下、24以下、25以下、26以下、27以下、28以下、29以下、若しくは30以下のアミノ酸、又はそれ以下を含むか又は含有する。ある実施形態において、コロナウイルスエピトープは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30個のアミノ酸を含むか又は含有する。ある実施形態において、コロナウイルスエピトープは、5個のアミノ酸を含有する。ある実施形態において、コロナウイルスエピトープは、6個のアミノ酸を含有する。ある実施形態において、エピトープは、7個のアミノ酸を含有する。ある実施形態において、コロナウイルスエピトープは、8個のアミノ酸を含有する。ある実施形態において、エピトープは、約8~約11個のアミノ酸であり得る。ある実施形態において、エピトープは、約9~約22個のアミノ酸であり得る。
【0242】
コロナウイルス抗原は、B細胞によって認識される抗原、T細胞によって認識される抗原、又はそれらの組合せを含み得る。ある実施形態において、抗原は、B細胞によって認識される抗原を含む。ある実施形態において、コロナウイルス抗原は、B細胞によって認識される抗原である。る実施形態において、コロナウイルス抗原は、T細胞によって認識される抗原を含む。ある実施形態において、抗原は、T細胞によって認識される抗原である。
【0243】
コロナウイルスエピトープは、B細胞によって認識されるもの、T細胞によって認識される抗原、又はそれらの組合せを含む。ある実施形態において、コロナウイルスエピトープは、B細胞によって認識されるエピトープを含む。ある実施形態において、エピトープは、B細胞によって認識されるエピトープである。ある実施形態において、コロナウイルスエピトープは、T細胞によって認識されるエピトープを含む。ある実施形態において、コロナウイルスエピトープは、T細胞によって認識されるエピトープである。
【0244】
インシリコで抗原及びエピトープを同定するための技術が、例えば、Sanchez-Trincado,et al.(2017),Fundamentals and methods for T-and B-cell epitope prediction.,Journal of immunology research;Grifoni,Alba,et al.A Sequence Homology and Bioinformatic Approach Can Predict Candidate Targets for Immune Responses to SARS-CoV-2.Cell host & microbe(2020);Russi et al.In silico prediction of T-and B-cell epitopes in PmpD:First step towards to the design of a Chlamydia trachomatis vaccine.biomedical journal 41.2(2018):109-117;Baruah,et al.Immunoinformatics‐aided identification of T cell and B cell epitopes in the surface glycoprotein of 2019‐nCoV.Journal of Medical Virology(2020)に開示されており;これらはそれぞれ、全体が参照により本明細書に援用される。
【0245】
本開示の環状ポリリボヌクレオチドは、様々なコロナウイルス抗原及び/又はエピトープの配列を含み得る。環状ポリリボヌクレオチドは、例えば、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも120、少なくとも140、少なくとも160、少なくとも180、少なくとも200、少なくとも250、少なくとも300、少なくとも350、少なくとも400、少なくとも450、少なくとも500、又はそれ以上のコロナウイルス抗原又はエピトープの配列を含む。
【0246】
ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、例えば、1以下、2以下、3以下、4以下、5以下、6以下、7以下、8以下、9以下、10以下、15以下、20以下、25以下、30以下、40以下、50以下、60以下、70以下、80以下、90以下、100以下、120以下、140以下、160以下、180以下、200以下、250以下、300以下、350以下、400以下、450以下、500以下、又はそれ以下のコロナウイルス抗原又はエピトープの配列を含む。
【0247】
ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、100、120、140、160、180、200、250、300、350、400、450、又は500のコロナウイルス抗原又はエピトープの配列を含む。
【0248】
環状ポリリボヌクレオチドは、コロナウイルス抗原からの1つ以上のコロナウイルスエピトープのための配列を含み得る。例えば、コロナウイルス抗原は、複数のコロナウイルスエピトープ(例えば、B細胞及び/又はT細胞によって認識されるエピトープ)を中に含有し得るアミノ酸配列を含み得、環状ポリリボヌクレオチドは、それらのコロナウイルスエピトープの1つ以上を含むか又はコードし得る。
【0249】
環状ポリリボヌクレオチドは、例えば、1つのコロナウイルス抗原からの少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも120、少なくとも140、少なくとも160、少なくとも180、少なくとも200、少なくとも250、少なくとも300、少なくとも350、少なくとも400、少なくとも450、少なくとも500、又はそれ以上のエピトープの配列を含む。
【0250】
ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、例えば、1つのコロナウイルス抗原からの2以下、3以下、4以下、5以下、6以下、7以下、8以下、9以下、10以下、15以下、20以下、25以下、30以下、40以下、50以下、60以下、70以下、80以下、90以下、100以下、120以下、140以下、160以下、180以下、200以下、250以下、300以下、350以下、400以下、450以下、若しくは500以下、又はそれ以下のコロナウイルスエピトープの配列を含む。
【0251】
ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、例えば、1つのコロナウイルス抗原からの約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、100、120、140、160、180、200、250、300、350、400、450、又は500のコロナウイルスエピトープの配列を含む。
【0252】
環状ポリリボヌクレオチドは、コロナウイルス抗原又はエピトープの変異体をコードし得る。変異体は、天然変異体(例えば、異なるコロナウイルス属、種、分離株、若しくは準種からの配列データにおいて同定された変異体)であり得るか、又はインシリコで生成された本明細書に開示される誘導体配列(例えば、野生型抗原又はエピトープと比較して1つ以上のアミノ酸挿入、欠失、置換、又はそれらの組合せを有する抗原又はエピトープ)であり得る。
【0253】
環状ポリリボヌクレオチドは、例えば、コロナウイルス抗原又はエピトープの少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも120、少なくとも140、少なくとも160、少なくとも180、少なくとも200、少なくとも250、少なくとも300、少なくとも350、少なくとも400、少なくとも450、少なくとも500、又はそれ以上の変異体の配列を含む。
【0254】
ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、例えば、コロナウイルス抗原又はエピトープの2以下、3以下、4以下、5以下、6以下、7以下、8以下、9以下、10以下、15以下、20以下、25以下、30以下、40以下、50以下、60以下、70以下、80以下、90以下、100以下、120以下、140以下、160以下、180以下、200以下、250以下、300以下、350以下、400以下、450以下、500以下、又はそれ以下の変異体の配列を含む。
【0255】
ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、例えば、コロナウイルス抗原又はエピトープの約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、100、120、140、160、180、200、250、300、350、400、450、又は500の変異体の配列を含む。
【0256】
環状ポリリボヌクレオチドのコロナウイルス抗原及び/又はエピトープ配列は、コロナウイルス発現配列とも呼ばれ得る。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、1つ以上のコロナウイルス発現配列を含み、これはそれぞれ、コロナウイルスポリペプチドをコードし得る。コロナウイルスポリペプチドは、かなりの量で生成され得る。コロナウイルスポリペプチドは、細胞から分泌されるか、又は細胞質、核若しくは細胞の膜区画に限局されるコロナウイルスポリペプチドであり得る。いくつかのコロナウイルスポリペプチドとしては、限定はされないが、本明細書に開示される抗原、本明細書に開示されるエピトープ、コロナウイルスタンパク質(例えば、ウイルスエンベロープタンパク質、ウイルス基質タンパク質、ウイルススパイクタンパク質、ウイルススパイクタンパク質のウイルス受容体結合ドメイン(RBD)、ウイルス膜タンパク質、ウイルスヌクレオカプシドタンパク質、ウイルスアクセサリータンパク質、そのフラグメント、又はそれらの組合せ)の少なくとも一部が挙げられる。ある実施形態において、本開示の環状ポリリボヌクレオチドによってコードされるコロナウイルスポリペプチドは、本明細書に開示されるコロナウイルス抗原のフラグメントを含む。ある実施形態において、本開示の環状ポリリボヌクレオチドによってコードされるコロナウイルスポリペプチドは、本明細書に開示される2つ以上のコロナウイルス抗原を含む融合タンパク質、又はそのフラグメントを含む。ある実施形態において、本開示の環状ポリリボヌクレオチドによってコードされるコロナウイルスポリペプチドは、コロナウイルスエピトープを含む。ある実施形態において、本開示の環状ポリリボヌクレオチドによってコードされるポリペプチドは、本明細書に開示される2つ以上のコロナウイルスエピトープを含む融合タンパク質、例えば、本開示の1つ以上のコロナウイルスからの複数の予測されるエピトープを含む人工ペプチド配列を含む。
【0257】
ある実施形態において、本明細書に開示される環状ポリリボヌクレオチドから発現される例示的なコロナウイルスタンパク質は、分泌タンパク質、例えば、シグナルペプチドを天然で含むタンパク質(例えば、抗原及び/若しくはエピトープ)、又は通常、シグナルペプチドをコードしないが、それを含むように修飾されたものを含む。
【0258】
ある場合には、環状ポリリボヌクレオチドは、血液中の短い半減期を有する分泌コロナウイルスタンパク質を発現し、又は細胞内局在化シグナルを有するタンパク質、若しくは分泌シグナルペプチドを有するタンパク質である。ある場合には、環状ポリリボヌクレオチドは、血液中の短い半減期を有する膜貫通ドメインを発現し、又は細胞内局在化シグナルを有するタンパク質、若しくは分泌ペプチドを有するタンパク質である。
【0259】
ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、1つ以上のコロナウイルス発現配列を含み、インビボで対象(例えば、免疫化のための対象)の細胞内での持続的発現のために構成される。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、より後の時点での細胞内の1つ以上のコロナウイルス発現配列の発現が、より早い時点に等しいか又はそれより高くなるように構成される。このような実施形態において、1つ以上のコロナウイルス発現配列の発現は、比較的安定したレベルに維持されるか又は時間と共に増加し得る。ある実施形態において、コロナウイルス発現配列の発現は、長期間にわたって比較的安定している。
【0260】
ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、例えば、一時的に又は長期間、対象(例えば、免疫化のための対象)において1つ以上のコロナウイルス抗原及び/又はエピトープを発現する。特定の実施形態において、コロナウイルス発現配列の発現は、少なくとも約1時間~約30日間、又は少なくとも約2時間、6時間、12時間、18時間、24時間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、22日間、23日間、24日間、25日間、26日間、27日間、28日間、29日間、30日間、60日間、若しくはより長く又はそれらの間の任意の時間にわたって持続する。特定の実施形態において、コロナウイルス抗原及び/又はエピトープの発現は、約30分~約7日間以下、又は約1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、24時間、36時間、48時間、60時間、72時間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、22日間、23日間、24日間、25日間、26日間、27日間、28日間、29日間、30日間、45日間、60日間、75日間、90日間以下、又はそれらの間の任意の時間にわたって持続する。
【0261】
ある実施形態において、コロナウイルス発現配列は、5000bps未満(例えば、約5000bps、4000bps、3000bps、2000bps、1000bps、900bps、800bps、700bps、600bps、500bps、400bps、300bps、200bps、100bps、50bps、40bps、30bps、20bps、10bps未満、又はそれ以下)の長さを有する。ある実施形態において、コロナウイルス発現配列は、独立して又はそれに加えて、10bps超(例えば、少なくとも約10bps、20bps、30bps、40bps、50bps、60bps、70bps、80bps、90bps、100bps、200bps、300bps、400bps、500bps、600bps、700bps、800bps、900bps、1000kb、1.1kb、1.2kb、1.3kb、1.4kb、1.5kb、1.6kb、1.7kb、1.8kb、1.9kb、2kb、2.1kb、2.2kb、2.3kb、2.4kb、2.5kb、2.6kb、2.7kb、2.8kb、2.9kb、3kb、3.1kb、3.2kb、3.3kb、3.4kb、3.5kb、3.6kb、3.7kb、3.8kb、3.9kb、4kb、4.1kb、4.2kb、4.3kb、4.4kb、4.5kb、4.6kb、4.7kb、4.8kb、4.9kb、5kb超又はそれ以上)の長さを有する。
【0262】
誘導体及びフラグメント
本開示の抗原又はエピトープは、野生型配列を含み得る。抗原又はエピトープを表す場合、「野生型」という用語は、天然であり、ゲノム(例えば、コロナウイルスゲノム)によってコードされる配列(例えば、アミノ酸配列)を指す。コロナウイルスは、1つの野生型配列、又は2つ以上の野生型配列(例えば、参照コロナウイルスゲノム中に存在する1つの標準野生型配列、及び突然変異から生じた存在するさらなる変異体野生型配列を有する)を有し得る。
【0263】
抗原又はエピトープを表す場合、「誘導体」及び「から誘導される」という用語は、1つ以上のアミノ酸が野生型配列と異なる、例えば、野生型配列と比べて1つ以上のアミノ酸挿入、欠失、及び/又は置換を含有する配列(例えば、アミノ酸配列)を指す。
【0264】
抗原又はエピトープ誘導体配列は、野生型配列、例えば、野生型タンパク質、抗原、又はエピトープ配列に対して、少なくとも60%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれ以上の配列同一性を有する配列である。
【0265】
「配列同一性」及び「配列類似性」は、グローバル又はローカルアライメントアルゴリズムを用いて2つのペプチド又は2つのヌクレオチド配列のアライメントによって決定される。配列は、それらが(例えば、デフォルトパラメータを用いてプログラムGAP又はBESTFITによって最適にアラインされる場合)少なくとも特定の最小パーセンテージの配列同一性を共有するとき、「実質的に同一」又は「本質的に類似」と称される。GAPは、Needleman及びWunschグローバルアライメントアルゴリズムを用いて、マッチの数を最大にし、ギャップの数を最小にするように、2つの配列をそれらの全長にわたってアラインする。一般に、GAPデフォルトパラメータは、ギャップ生成ペナルティ=50(ヌクレオチド)/8(タンパク質)及びギャップ伸長ペナルティ=3(ヌクレオチド)/2(タンパク質)で使用される。ヌクレオチドの場合、使用されるデフォルトスコアリングマトリックスは、nwsgapdnaであり、タンパク質の場合、デフォルトスコアリングマトリックスは、Blosum62(Henikoff & Henikoff,1992,PNAS 89,915-919)である。配列同一性パーセンテージについての配列アライメント及びスコアは、Accelrys Inc.,9685 Scranton Road,San Diego,CA 92121-3752 USAから入手可能なGCG Wisconsin Package,Version 10.3、又はEmbossWin version 2.10.0(プログラム「needle」を使用する)などのコンピュータプログラムを用いて決定され得る。その代わりに又はそれに加えて、類似性又は同一性パーセントは、FASTA、BLASTなどのアルゴリズムを用いて、データベースに対して検索することによって決定される。配列同一性は、配列の全長にわたる配列同一性を指す。
【0266】
ある実施形態において、抗原又はエピトープは、コードされるタンパク質の構造に影響を与える1つ以上のアミノ酸挿入、欠失、置換、又はそれらの組合せを含有する。ある実施形態において、抗原又はエピトープは、コードされるタンパク質の機能に影響を与える1つ以上のアミノ酸挿入、欠失、置換、又はそれらの組合せを含有する。ある実施形態において、抗原又はエピトープは、細胞によってコードされるタンパク質の発現又はプロセシングに影響を与える1つ以上のアミノ酸挿入、欠失、置換、又はそれらの組合せを含有する。
【0267】
アミノ酸挿入、欠失、置換、又はそれらの組合せは、翻訳後修飾のための部位を導入し得る(例えば、グリコシル化、ユビキチン化、リン酸化、ニトロシル化、メチル化、アセチル化、アミド化、水酸化、硫酸化、若しくは脂質化部位、又は切断のために標的化される配列を導入する)。ある実施形態において、アミノ酸挿入、欠失、置換、又はそれらの組合せは、翻訳後修飾のための部位を除去する(例えば、グリコシル化、ユビキチン化、リン酸化、ニトロシル化、メチル化、アセチル化、アミド化、水酸化、硫酸化、又は脂質化部位、又は切断のために標的化される配列を除去する)。ある実施形態において、アミノ酸挿入、欠失、置換、又はそれらの組合せは、翻訳後修飾のための部位を修飾する(例えば、グリコシル化、ユビキチン化、リン酸化、ニトロシル化、メチル化、アセチル化、アミド化、水酸化、硫酸化、若しくは脂質化部位、又は切断の効率又は特性を改変するように部位を修飾する)。
【0268】
アミノ酸置換は、保存的又は非保存的置換であり得る。保存的アミノ酸置換は、類似の生化学的特性(例えば、電荷、サイズ、及び/又は疎水性)の別のアミノ酸の代わりの1つのアミノ酸の置換であり得る。非保存的アミノ酸置換は、異なる生化学的特性(例えば、電荷、サイズ、及び/又は疎水性)を有する別のアミノ酸の代わりの1つのアミノ酸の置換であり得る。保存的アミノ酸変化は、例えば、ポリペプチドの二次又は三次構造に対して最小の影響を与える置換であり得る。保存的アミノ酸変化は、1つの親水性アミノ酸から別の親水性アミノ酸へのアミノ酸変化であり得る。親水性アミノ酸は、Thr(T)、Ser(S)、His(H)、Glu(E)、Asn(N)、Gln(Q)、Asp(D)、Lys(K)及びArg(R)を含み得る。保存的アミノ酸変化は、1つの疎水性アミノ酸から別の親水性アミノ酸へのアミノ酸変化であり得る。疎水性アミノ酸は、Ile(I)、Phe(F)、Val(V)、Leu(L)、Trp(W)、Met(M)、Ala(A)、Gly(G)、Tyr(Y)、及びPro(P)を含み得る。保存的アミノ酸変化は、1つの酸性アミノ酸から別の酸性アミノ酸へのアミノ酸変化であり得る。酸性アミノ酸は、Glu(E)及びAsp(D)を含み得る。保存的アミノ酸変化は、1つの塩基性アミノ酸から別の塩基性アミノ酸へのアミノ酸変化であり得る。塩基性アミノ酸は、His(H)、Arg(R)及びLys(K)を含み得る。保存的アミノ酸変化は、1つの極性アミノ酸から別の極性アミノ酸へのアミノ酸変化であり得る。極性アミノ酸は、Asn(N)、Gln(Q)、Ser(S)及びThr(T)を含み得る。保存的アミノ酸変化は、1つの非極性アミノ酸から別の非極性アミノ酸へのアミノ酸変化であり得る。非極性アミノ酸は、Leu(L)、Val(V)、Ile(I)、Met(M)、Gly(G)及びAla(A)を含み得る。保存的アミノ酸変化は、1つの芳香族アミノ酸から別の芳香族アミノ酸へのアミノ酸変化であり得る。芳香族アミノ酸は、Phe(F)、Tyr(Y)及びTrp(W)を含み得る。保存的アミノ酸変化は、1つの脂肪族アミノ酸から別の脂肪族アミノ酸へのアミノ酸変化であり得る。脂肪族アミノ酸は、Ala(A)、Val(V)、Leu(L)及びIle(I)を含み得る。ある実施形態において、保存的アミノ酸置換は、以下のグループ:グループI:ala、pro、gly、gln、asn、ser、thr;グループII:cys、ser、tyr、thr;グループIII:val、ile、leu、met、ala、phe;グループIV:lys、arg、his;グループV:phe、tyr、trp、his;及びグループVI:asp、gluのうちの1つの中の、1つのアミノ酸から別のアミノ酸へのアミノ酸変化である。
【0269】
ある実施形態において、本開示の抗原誘導体又はエピトープ誘導体は、本明細書に開示される配列(例えば、野生型配列)と比べて、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、又は少なくとも100個のアミノ酸欠失を含む。
【0270】
ある実施形態において、本開示の抗原誘導体又はエピトープ誘導体は、本明細書に開示される配列(例えば、野生型配列)と比べて、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、又は少なくとも50個のアミノ酸置換を含む。
【0271】
ある実施形態において、本開示の抗原誘導体又はエピトープ誘導体は、本明細書に開示される配列(例えば、野生型配列)と比べて、1以下、2以下、3以下、4以下、5以下、6以下、7以下、8以下、9以下、10以下、11以下、12以下、13以下、14以下、15以下、16以下、17以下、18以下、19以下、20以下、25以下、30以下、35以下、40以下、45以下、又は50以下のアミノ酸置換を含む。
【0272】
ある実施形態において、本開示の抗原誘導体又はエピトープ誘導体は、本明細書に開示される配列(例えば、野生型配列)と比べて、1~2、1~3、1~4、1~5、1~6、1~7、1~8、1~9、1~10、1~15、1~20、1~30、1~40、2~3、2~4、2~5、2~6、2~7、2~8、2~9、2~10、2~15、2~20、2~30、2~40、3~3、3~4、3~5、3~6、3~7、3~8、3~9、3~10、3~15、3~20、3~30、3~40、5~6、5~7、5~8、5~9、5~10、5~15、5~20、5~30、5~40、10~15、15~20、又は20~25個のアミノ酸置換を含む。
【0273】
ある実施形態において、本開示の抗原誘導体又はエピトープ誘導体は、本明細書に開示される配列(例えば、野生型配列)と比べて、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個のアミノ酸置換を含む。
【0274】
1つ以上のアミノ酸置換は、アミノ酸配列内の、又はそれらの組合せN末端、C末端にあり得る。アミノ酸置換は、連続、非連続、又はそれらの組合せであり得る。
【0275】
ある実施形態において、本開示の抗原誘導体又はエピトープ誘導体は、本明細書に開示される配列(例えば、野生型配列)と比べて、1以下、2以下、3以下、4以下、5以下、6以下、7以下、8以下、9以下、10以下、11以下、12以下、13以下、14以下、15以下、16以下、17以下、18以下、19以下、20以下、25以下、30以下、35以下、40以下、45以下、50以下、60以下、70以下、80以下、90以下、100以下、120以下、140以下、160以下、180以下、又は200以下のアミノ酸欠失を含む。
【0276】
ある実施形態において、本開示の抗原誘導体又はエピトープ誘導体は、本明細書に開示される配列(例えば、野生型配列)と比べて、1~2、1~3、1~4、1~5、1~6、1~7、1~8、1~9、1~10、1~15、1~20、1~30、1~40、2~3、2~4、2~5、2~6、2~7、2~8、2~9、2~10、2~15、2~20、2~30、2~40、3~3、3~4、3~5、3~6、3~7、3~8、3~9、3~10、3~15、3~20、3~30、3~40、5~6、5~7、5~8、5~9、5~10、5~15、5~20、5~30、5~40、10~15、15~20、20~25、20~30、30~50、50~100、又は100~200個のアミノ酸欠失を含む。
【0277】
ある実施形態において、本開示の抗原誘導体又はエピトープ誘導体は、本明細書に開示される配列(例えば、野生型配列)と比べて、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個のアミノ酸欠失を含む。
【0278】
1つ以上のアミノ酸欠失は、アミノ酸配列内のN末端、C末端、又はそれらの組合せにあり得る。アミノ酸欠失は、連続、非連続、又はそれらの組合せであり得る。
【0279】
ある実施形態において、本開示の抗原誘導体又はエピトープ誘導体は、本明細書に開示される配列(例えば、野生型配列)と比べて、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、又は少なくとも50個のアミノ酸挿入を含む。
【0280】
ある実施形態において、本開示の抗原誘導体又はエピトープ誘導体は、本明細書に開示される配列(例えば、野生型配列)と比べて、1以下、2以下、3以下、4以下、5以下、6以下、7以下、8以下、9以下、10以下、11以下、12以下、13以下、14以下、15以下、16以下、17以下、18以下、19以下、20以下、25以下、30以下、35以下、40以下、45以下、又は50以下のアミノ酸挿入を含む。
【0281】
ある実施形態において、本開示の抗原誘導体又はエピトープ誘導体は、本明細書に開示される配列(例えば、野生型配列)と比べて、1~2、1~3、1~4、1~5、1~6、1~7、1~8、1~9、1~10、1~15、1~20、1~30、1~40、2~3、2~4、2~5、2~6、2~7、2~8、2~9、2~10、2~15、2~20、2~30、2~40、3~3、3~4、3~5、3~6、3~7、3~8、3~9、3~10、3~15、3~20、3~30、3~40、5~6、5~7、5~8、5~9、5~10、5~15、5~20、5~30、5~40、10~15、15~20、又は20~25個のアミノ酸挿入を含む。
【0282】
ある実施形態において、本開示の抗原誘導体又はエピトープ誘導体は、本明細書に開示される配列(例えば、野生型配列)と比べて、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個のアミノ酸挿入を含む。
【0283】
1つ以上のアミノ酸挿入は、アミノ酸配列内のN末端、C末端、又はそれらの組合せにあり得る。アミノ酸挿入は、連続、非連続、又はそれらの組合せであり得る。
【0284】
環状ポリリボヌクレオチド
環状ポリリボヌクレオチドは、後述される要素並びに本明細書に記載されるコロナウイルス抗原又はエピトープを含む。
【0285】
ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも約20ヌクレオチド、少なくとも約30ヌクレオチド、少なくとも約40ヌクレオチド、少なくとも約50ヌクレオチド、少なくとも約75ヌクレオチド、少なくとも約100ヌクレオチド、少なくとも約200ヌクレオチド、少なくとも約300ヌクレオチド、少なくとも約400ヌクレオチド、少なくとも約500ヌクレオチド、少なくとも約1,000ヌクレオチド、少なくとも約2,000ヌクレオチド、少なくとも約5,000ヌクレオチド、少なくとも約6,000ヌクレオチド、少なくとも約7,000ヌクレオチド、少なくとも約8,000ヌクレオチド、少なくとも約9,000ヌクレオチド、少なくとも約10,000ヌクレオチド、少なくとも約12,000ヌクレオチド、少なくとも約14,000ヌクレオチド、少なくとも約15,000ヌクレオチド、少なくとも約16,000ヌクレオチド、少なくとも約17,000ヌクレオチド、少なくとも約18,000ヌクレオチド、少なくとも約19,000ヌクレオチド又は少なくとも約20,000ヌクレオチドである。
【0286】
ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、リボソームのための結合部位に対応するのに十分なサイズのものであり得る。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドの最大サイズが、環状ポリリボヌクレオチドを生成し、且つ/又は環状ポリリボヌクレオチドを使用する技術的制約の範囲内である程度の大きさであり得る。いずれかの特定の理論によって制約されることを望むものではないが、RNAの複数のセグメントが、DNA並びにRNAの「列」を生成するようにアニールされたそれらの5’及び3’遊離末端(それらは、最終的に、1つの5’遊離末端及び1つの3’遊離末端のみが残るときに環状化され得る)から生成され得ることが可能である。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドの最大サイズは、RNAをパッケージングと、標的に送達する能力によって制限され得る。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドのサイズは、本開示の抗原及び/又はエピトープなどの有用なポリペプチドをコードするのに十分な長さであり、したがって少なくとも20,000ヌクレオチド、少なくとも15,000ヌクレオチド、少なくとも10,000ヌクレオチド、少なくとも7,500ヌクレオチド又は少なくとも5,000ヌクレオチド、少なくとも4,000ヌクレオチド、少なくとも3,000ヌクレオチド、少なくとも2,000ヌクレオチド、少なくとも1,000ヌクレオチド、少なくとも500ヌクレオチド、少なくとも400ヌクレオチド、少なくとも300ヌクレオチド、少なくとも200ヌクレオチド、少なくとも100ヌクレオチド、又は少なくとも70ヌクレオチドの長さが有用であり得る。
【0287】
環状ポリリボヌクレオチド要素
ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、コロナウイルス抗原及び/若しくはエピトープをコードする配列を含むことに加えて、本明細書に記載される要素の1つ以上を含む。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、ポリ-A配列を欠き、遊離3’末端を欠き、RNAポリメラーゼ認識モチーフを欠き、又はそれらの任意の組合せである。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、全体が参照により本明細書に援用される国際公開第2019/118919号パンフレットに開示されるような任意の特徴又は特徴の任意の組合せを含む。例えば、環状ポリリボヌクレオチドは、調節要素、例えば、環状ポリリボヌクレオチド内の発現配列の発現を調節する配列を含む。調節要素は、発現産物をコードする発現配列に隣接して位置する配列を含み得る。調節要素は、隣接する配列に動作可能に連結され得る。調節要素は、調節要素が存在しない場合に発現される産物の量と比較して、発現される産物の量を増加させ得る。さらに、1つの調節要素が、並んで結合された複数の発現配列について発現される産物の量を増加させ得る。したがって、1つの調節要素が、1つ以上の発現配列の発現を促進することができる。複数の調節要素がまた、例えば、異なる発現配列の発現を異なって調節するのに使用され得る。ある実施形態において、本明細書において提供される調節要素は、選択的翻訳配列を含み得る。本明細書において使用される際、「選択的翻訳配列」という用語は、環状ポリリボヌクレオチド、例えば、特定のリボスイッチアプタザイム中の発現配列の翻訳を選択的に開始させるか又は活性化する核酸配列を指す。調節要素は、選択的分解配列も含み得る。本明細書において使用される際、「選択的分解配列」という用語は、環状ポリリボヌクレオチド、又は環状ポリリボヌクレオチドの発現産物の分解を開始させる核酸配列を指す。ある実施形態において、調節要素は、翻訳モジュレータである。翻訳モジュレータは、環状ポリリボヌクレオチド中の発現配列の翻訳を調節し得る。翻訳モジュレータは、翻訳エンハンサー又はサプレッサーであり得る。ある実施形態において、翻訳開始配列は、調節要素として機能し得る。調節要素のさらなる例が、全体が参照により本明細書に援用される国際公開第2019/118919号パンフレットの段落[0154]~[0161]に記載されている。
【0288】
ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、対象とするヒトポリクローナル抗体を生成し、翻訳開始配列、例えば、開始コドンを含む抗原をコードする。ある実施形態において、翻訳開始配列は、コザック又はシャイン・ダルガノ配列を含む。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、発現配列に隣接する翻訳開始配列、例えば、コザック配列を含む。ある実施形態において、翻訳開始配列は、非コード開始コドンである。ある実施形態において、翻訳開始配列、例えば、コザック配列は、各発現配列の1つの側又は両側に存在して、発現産物の分離をもたらす。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、発現配列に隣接する少なくとも1つの翻訳開始配列を含む。ある実施形態において、翻訳開始配列は、環状ポリリボヌクレオチドに立体配座柔軟性を与える。ある実施形態において、翻訳開始配列は、環状ポリリボヌクレオチドの実質的に一本鎖領域内にある。翻訳開始配列のさらなる例が、全体が参照により本明細書に援用される国際公開第2019/118919号パンフレットの段落[0163]~[0165]に記載されている。
【0289】
ある実施形態において、本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチドは、内部リボソーム侵入部位(IRES)要素を含む。環状ポリリボヌクレオチド中に含むのに好適なIRES要素は、核生物リボソームにかみ合うことが可能なRNA配列であり得る。IRESのさらなる例が、全体が参照により本明細書に援用される国際公開第2019/118919号パンフレットの段落[0166]~[0168]に記載されている。
【0290】
環状ポリリボヌクレオチドは、1つ以上の発現配列(例えば、抗体をエンコーディングするもの)を含み得、各発現配列は、終止要素を有していても又は有していなくてもよい。終止要素のさらなる例が、全体が参照により本明細書に援用される国際公開第2019/118919号パンフレットの段落[0169]~[0170]に記載されている。
【0291】
本開示の環状ポリリボヌクレオチドは、スタガー要素を含み得る。「スタガー要素」という用語は、翻訳中のリボソームの休止を誘導する、ヌクレオチド配列などの部分を指す。ある実施形態において、スタガー要素は、強いαらせん傾向を有するアミノ酸の非保存配列、続いてコンセンサス配列-D(V/I)ExNPGP(ここで、x=任意のアミノ酸である)(配列番号52)である。ある実施形態において、スタガー要素は、グリセロール、非核酸連結部分、化学修飾、修飾核酸、又はそれらの任意の組合せなどの化学部分を含み得る。
【0292】
ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、発現配列に隣接する少なくとも1つのスタガー要素を含む。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、各発現配列に隣接するスタガー要素を含む。ある実施形態において、スタガー要素は、各発現配列の1つの側又は両側に存在して、発現産物、例えば、ペプチド及び/又はポリペプチドの分離をもたらす。ある実施形態において、スタガー要素は、1つ以上の発現配列の一部である。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、1つ以上の発現配列を含み、1つ以上の発現配列のそれぞれが、環状ポリリボヌクレオチドにおけるスタガー要素によって後続の発現配列から隔てられる。ある実施形態において、スタガー要素は、(a)単一の発現配列の2回の翻訳から、又は(b)2つ以上の発現配列の1回以上の翻訳からの単一のポリペプチドの生成を防止する。ある実施形態において、スタガー要素は、1つ以上の発現配列から切り離された配列である。ある実施形態において、スタガー要素は、1つ以上の発現配列のうちの発現配列の一部を含む。
【0293】
スタガー要素の例が、全体が参照により本明細書に援用される国際公開第2019/118919号パンフレットの段落[0172]~[0175]に記載されている。
【0294】
ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、1つ以上の調節核酸配列を含み、又は調節核酸、例えば、内在性遺伝子及び/又は外来性遺伝子の発現を調節する核酸をコードする1つ以上の発現配列を含む。ある実施形態において、本明細書において提供される環状ポリリボヌクレオチドの発現配列は、限定はされないが、tRNA、lncRNA、miRNA、rRNA、snRNA、マイクロRNA、siRNA、piRNA、snoRNA、snRNA、exRNA、scaRNA、Y RNA、及びhnRNAなどの、ノンコーディングRNAのような調節核酸に対してアンチセンスである配列を含み得る。
【0295】
例示的な調節核酸が、全体が参照により本明細書に援用される国際公開第2019/118919号パンフレットの段落[0177]~[0194]に記載されている。
【0296】
ある実施形態において、本明細書において提供される環状ポリリボヌクレオチドの翻訳効率は、参照、例えば、線状同等物、線状発現配列、又は線状環状ポリリボヌクレオチドより高い。ある実施形態において、本明細書において提供される環状ポリリボヌクレオチドは、参照の翻訳効率より少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、125%、150%、175%、200%、250%、300%、350%、400%、450%、500%、600%、70%、800%、900%、1000%、2000%、5000%、10000%、100000%、又はそれ以上高い翻訳効率を有する。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、線状同等物のものより10%高い翻訳効率を有する。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、線状同等物のものより300%高い翻訳効率を有する。
【0297】
ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、化学量論的比の発現産物を生成する。ローリングサークル型翻訳は、実質的に同等の比率で発現産物を連続して生成する。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、発現産物が実質的に同等の比率で生成されるような化学量論的翻訳効率を有する。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、複数の発現産物、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、又はそれ以上の発現配列からの産物の化学量論的翻訳効率を有する。
【0298】
ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドの翻訳が開始されたら、環状ポリリボヌクレオチドに結合されたリボソームは、環状ポリリボヌクレオチドの少なくとも1回の翻訳を完了する前に環状ポリリボヌクレオチドから離脱しない。ある実施形態において、本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチドは、ローリングサークル型翻訳の能力がある。ある実施形態において、ローリングサークル型翻訳中、環状ポリリボヌクレオチドの翻訳が開始されたら、環状ポリリボヌクレオチドに結合されたリボソームは、環状ポリリボヌクレオチドの少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6回、少なくとも7回、少なくとも8回、少なくとも9回、少なくとも10回、少なくとも11回、少なくとも12回、少なくとも13回、少なくとも14回、少なくとも15回、少なくとも20回、少なくとも30回、少なくとも40回、少なくとも50回、少なくとも60回、少なくとも70回、少なくとも80回、少なくとも90回、少なくとも100回、少なくとも150回、少なくとも200回、少なくとも250回、少なくとも500回、少なくとも1000回、少なくとも1500回、少なくとも2000回、少なくとも5000回、少なくとも10000回、少なくとも105回、又は少なくとも106回の翻訳を完了する前に環状ポリリボヌクレオチドから離脱しない。
【0299】
ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドのローリングサークル型翻訳は、環状ポリリボヌクレオチドの2回以上の翻訳から翻訳されたポリペプチド産物(「連続した」発現産物)の生成をもたらす。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、スタガー要素を含み、環状ポリリボヌクレオチドのローリングサークル型翻訳は、環状ポリリボヌクレオチドの1回の翻訳又は1回未満の翻訳から生成されるポリペプチド産物(「別個の」発現産物)の生成をもたらす。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、環状ポリリボヌクレオチドのローリングサークル型翻訳中に生成される全ポリペプチド(モル/モル)の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%が別個のポリペプチドであるように構成される。ある実施形態において、全ポリペプチドにわたる別個の産物の量比率がインビトロ翻訳系において試験される。ある実施形態において、量比率の試験に使用されるインビトロ翻訳系は、ウサギ網状赤血球溶解物を含む。ある実施形態において、量比率は、真核細胞若しくは原核細胞、培養細胞又は生物内の細胞などのインビボ翻訳系において試験される。
【0300】
ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、非翻訳領域(UTR)を含む。遺伝子を含むゲノム領域のUTRは、転写され得るが、翻訳されていない。ある実施形態において、UTRは、本明細書に記載される発現配列の翻訳開始配列の上流に含まれ得る。ある実施形態において、UTRは、本明細書に記載される発現配列の下流に含まれ得る。ある場合において、第1の発現配列のための1つのUTRは、第2の発現配列のための別のUTRと同じであるか又はそれと連続しているか又はそれと重複している。ある実施形態において、イントロンは、ヒトイントロンである。ある実施形態において、イントロンは、完全長ヒトイントロン、例えば、ZKSCAN1である。
【0301】
例示的な非翻訳領域が、全体が参照により本明細書に援用される国際公開第2019/118919号パンフレットの段落[0197]~[201]に記載されている。
【0302】
ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、ポリA配列を含む。例示的なポリA配列が、全体が参照により本明細書に援用される国際公開第2019/118919号パンフレットの段落[0202]~[0205]に記載されている。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、ポリA配列を欠いている。
【0303】
ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、1つ以上のリボスイッチを含む。例示的なリボスイッチが、全体が参照により本明細書に援用される国際公開第2019/118919号パンフレットの段落[0232]~[0252]に記載されている。
【0304】
ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、アプタザイムを含む。例示的なアプタザイムが、全体が参照により本明細書に援用される国際公開第2019/118919号パンフレットの段落[0253]~[0259]に記載されている。
【0305】
ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、1つ以上のRNA結合部位を含む。マイクロRNA(又はmiRNA)は、核酸分子の3’UTRに結合し、核酸分子安定性を低下させるか又は翻訳を阻害することによって遺伝子発現を下方制御する短鎖ノンコーディングRNAであり得る。環状ポリリボヌクレオチドは、1つ以上のマイクロRNA標的配列、マイクロRNA配列、又はマイクロRNAシードを含み得る。このような配列は、内容全体が参照により本明細書に援用される米国特許出願公開第2005/0261218号明細書及び米国特許出願公開第2005/0059005号明細書において教示されるものなどの任意の公知のマイクロRNAに対応し得る。RNA結合部位のさらなる例が、全体が参照により本明細書に援用される国際公開第2019/118919号パンフレットの段落[0206]~[0215]に記載されている。
【0306】
ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、タンパク質、例えばリボソームが、RNA配列における内部部位に結合することを可能にする1つ以上のタンパク質結合部位を含む。タンパク質結合部位のさらなる例が、全体が参照により本明細書に援用される国際公開第2019/118919号パンフレットの段落[0218]~[0221]に記載されている。
【0307】
ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、スペーサー配列を含む。ある実施形態において、ポリリボヌクレオチドの要素は、スペーサー配列又はリンカーによって互いに隔てられ得る。スペーサー配列の例が、全体が参照により本明細書に援用される国際公開第2019/118919号パンフレットの段落[0293]~[0302]に記載されている。
【0308】
本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチドは、非核酸リンカーも含み得る。例示的な非核酸リンカーが、全体が参照により本明細書に援用される国際公開第2019/118919号パンフレットの段落[0303]~[0307]に記載されている。
【0309】
ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、別の核酸配列をさらに含む。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、DNA、RNA、又は人工核酸を含む他の配列を含み得る。他の配列としては、限定はされないが、ゲノムDNA、cDNA、又はtRNA、mRNA、rRNA、miRNA、gRNA、siRNA、若しくは他のRNAi分子をコードする配列が挙げられる。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、環状ポリリボヌクレオチドと同じ遺伝子発現産物の異なる遺伝子座を標的にするためにsiRNAを含む。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、環状ポリリボヌクレオチド中に存在する遺伝子発現産物と異なる遺伝子発現産物を標的にするためにsiRNAを含む。
【0310】
ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、5’-UTRを欠いている。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、3’-UTRを欠いている。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、ポリA配列を欠いている。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、終止要素を欠いている。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、内部リボソーム進入部位を欠いている。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、エキソヌクレアーゼによる分解感受性を欠いている。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドが分解感受性を欠いていることは、環状ポリリボヌクレオチドがエキソヌクレアーゼによって分解されないか、又は例えばエキソヌクレアーゼの非存在下と同等又は同様の限られた程度にエキソヌクレアーゼの存在下でのみ分解されることを意味し得る。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、エキソヌクレアーゼによって分解されない。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、エキソヌクレアーゼに曝されたときに減少した分解を有する。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、キャップ結合タンパク質への結合を欠いている。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、5’キャップを欠いている。
【0311】
ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、5’-UTRを欠いており、その1つ以上の発現配列からタンパク質を発現する能力がある。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、3’-UTRを欠いており、その1つ以上の発現配列からタンパク質を発現する能力がある。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、ポリA配列を欠いており、その1つ以上の発現配列からタンパク質を発現する能力がある。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、終止要素を欠いており、その1つ以上の発現配列からタンパク質を発現する能力がある。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、内部リボソーム進入部位を欠いており、その1つ以上の発現配列からタンパク質を発現する能力がある。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、キャップを欠いており、その1つ以上の発現配列からタンパク質を発現する能力がある。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、5’-UTR、3’-UTR、及びIRESを欠いており、その1つ以上の発現配列からタンパク質を発現する能力がある。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、以下の配列の1つ以上を含む:1つ以上のmiRNAをコードする配列、1つ以上の複製タンパク質をコードする配列、外来性遺伝子をコードする配列、治療薬をコードする配列、調節要素(例えば、翻訳モジュレータ、例えば、翻訳エンハンサー又はサプレッサー)、翻訳開始配列、内在性遺伝子(例えば、siRNA、lncRNA、shRNA)を標的にする1つ以上の調節核酸、及び治療用mRNA又はタンパク質をコードする配列。
【0312】
その環状化の結果として、環状ポリリボヌクレオチドは、それを線状RNAと区別するいくつかの特徴を含み得る。例えば、環状ポリリボヌクレオチドは、線状RNAと比較して、エキソヌクレアーゼによる分解に対する感受性がより低い。したがって、環状ポリリボヌクレオチドは、特に、エキソヌクレアーゼの存在下でインキュベートされるとき、線状RNAより安定している。線状RNAと比較した環状ポリリボヌクレオチドの増加した安定性により、環状ポリリボヌクレオチドが、ポリペプチドを生成する細胞形質転換試薬(例えば、抗体応答を引き起こす抗原及び/又はエピトープ)としてより有用になる。線状RNAと比較した環状ポリリボヌクレオチドの増加した安定性により、環状ポリリボヌクレオチドが、線状RNAより容易に及びより長く貯蔵可能になる。エキソヌクレアーゼで処理された環状ポリリボヌクレオチドの安定性は、RNA分解が起こったかどうかを決定する、当該技術分野において標準的な方法を用いて(例えば、ゲル電気泳動によって)試験され得る。
【0313】
さらに、線状RNAと異なり、環状ポリリボヌクレオチドは、環状ポリリボヌクレオチドが、仔牛小腸ホスファターゼなどのホスファターゼと共にインキュベートされるとき、脱リン酸化に対する感受性がより低い。
【0314】
ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、特定の配列特性を含む。例えば、環状ポリリボヌクレオチドは、特定のヌクレオチド組成物を含み得る。あるこのような実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、1つ以上のプリン(アデニン及び/又はグアノシン)リッチ領域を含み得る。あるこのような実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、1つ以上のプリンプア領域を含み得る。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、1つ以上のAUリッチ領域又は要素(ARE)を含み得る。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、1つ以上のアデニンリッチ領域を含み得る。
【0315】
ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、本明細書の他の箇所に記載される1つ以上の反復要素を含み得る。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、本明細書の他の箇所に記載される1つ以上の修飾を含む。
【0316】
環状ポリリボヌクレオチドは、参照配列に対して1つ以上の置換、挿入及び/又は付加、欠失、及び共有結合修飾を含み得る。例えば、親ポリリボヌクレオチドに対して1つ以上の挿入、付加、欠失、及び/又は共有結合修飾を有する環状ポリリボヌクレオチドは、本発明の範囲内に含まれる。例示的な修飾が、全体が参照により本明細書に援用される国際公開第2019/118919号パンフレットの段落[0310]~[0325]に記載されている。
【0317】
ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、高次構造、例えば二次又は三次構造を含む。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドの相補的セグメントが二本鎖セグメントに折り畳まれ、対間、例えば、A-U及びC-Gの水素結合で結合される。ある実施形態において、末端ループに連結された二本鎖セグメントを有する、ステムとしても知られているらせんが分子内に形成される。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、疑似二本鎖二次構造を有する少なくとも1つのセグメントを有する。
【0318】
ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドの1つ以上の配列は、実質的に一本鎖対二本鎖領域を含む。ある実施形態において、一本鎖対二本鎖の比率は、環状ポリリボヌクレオチドの機能性に影響を与え得る。
【0319】
ある実施形態において、実質的に一本鎖である環状ポリリボヌクレオチドの1つ以上の配列である。ある実施形態において、実質的に一本鎖である環状ポリリボヌクレオチドの1つ以上の配列は、タンパク質-又はRNA-結合部位を含み得る。ある実施形態において、実質的に一本鎖である環状ポリリボヌクレオチド配列は、増大した相互作用を可能にするために立体配座柔軟性であり得る。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドの配列は、結合するか又はタンパク質若しくは核酸結合を増加させるために、このような二次構造を含むように意図的に操作される。
【0320】
ある実施形態において、実質的に二本鎖である環状ポリリボヌクレオチド配列である。ある実施形態において、実質的に二本鎖である環状ポリリボヌクレオチドの1つ以上の配列は、立体配座認識部位、例えば、リボスイッチ又はアプタザイムを含み得る。ある実施形態において、実質的に二本鎖である環状ポリリボヌクレオチド配列は、立体配座的に固定され得る。あるこのような場合において、立体配座的に固定された配列は、環状ポリリボヌクレオチドを、タンパク質又は核酸の結合から立体的に遮蔽し得る。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドの配列は、タンパク質又は核酸結合を回避又は低減するために、このような二次構造を含むように意図的に操作される。
【0321】
16の可能な塩基対合があるが、これらの6つ(AU、GU、GC、UA、UG、CG)が実際の塩基対を形成し得る。残りは、ミスマッチと呼ばれ、らせん中に非常に低い頻度で存在する。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドの構造は、その機能に対する影響及び致命的な結果なしに容易に破壊することができず、それにより二次構造を維持する選択を与える。ある実施形態において、ステム(すなわちそれらのヌクレオチド配列)の一次構造は、らせん領域を依然として維持しながら、依然として変化し得る。塩基の性質は、より高次の構造に伴い、置換は、それらが二次構造を保つ限り可能である。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、疑似らせん構造を有する。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、疑似らせん構造を有する少なくとも1つのセグメントを有する。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、Uリッチ又はAリッチ配列又はそれらの組合せの少なくとも1つを含む。ある実施形態において、Uリッチ及び/又はAリッチ配列は、三重疑似らせん構造を生成し得るように配置される。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、二重疑似らせん構造を有する。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、二重疑似らせん構造を有する1つ以上のセグメント(例えば、2、3、4、5、6、又はそれ以上)を有する。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、Cリッチ及び/又はGリッチ配列の少なくとも1つを含む。ある実施形態において、Cリッチ及び/又はGリッチ配列は、三重疑似らせん構造を生成し得るように配置される。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、安定化を促進する分子内三重疑似らせん構造を有する。
【0322】
ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、2つの疑似らせん構造(例えば、ホスホジエステル結合によって隔てられる)を有し、それらの末端塩基対がスタックし、疑似らせん構造が同一直線上になり、「同軸上にスタックされた」部分構造をもたらすようになっている。
【0323】
ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、1つ以上のモチーフ、例えばシュードノット、グアニン四重鎖、らせん、及び同軸的スタッキングを有する三次構造を含む。
【0324】
本明細書に開示される環状ポリリボヌクレオチドの構造のさらなる例が、全体が参照により本明細書に援用される国際公開第2019/118919号パンフレットの段落[0326]~[0333]に記載されている。
【0325】
安定性及び半減期
ある実施形態において、本明細書において提供される環状ポリリボヌクレオチドは、参照、例えば同じヌクレオチド配列を有するが、環状されていない線状ポリリボヌクレオチド(線状同等物)より増加した半減期を有する。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、分解、例えば、エキソヌクレアーゼ分解に対して実質的に抵抗性である。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、自己分解に対して抵抗性である。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、酵素切断部位、例えばダイサー切断部位を欠いている。本明細書に開示される環状ポリリボヌクレオチドの安定性及び半減期のさらなる例が、全体が参照により本明細書に援用される国際公開第2019/118919号パンフレットの段落[0308]~[0309]に記載されている。
【0326】
生成方法
ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、非天然であり、組み換え技術(例えば、DNAプラスミドを用いてインビトロで得られる)、化学合成、又はそれらの組合せを用いて生成され得るデオキシリボ核酸配列を含む。
【0327】
RNA環を生成するのに使用されるDNA分子が、天然の元の核酸配列のDNA配列、その修飾形態、又は自然界で通常見られない合成ポリペプチド(例えば、キメラ分子又は融合タンパク質、例えば、複数の抗原及び/又はエピトープを含む融合タンパク質)をコードするDNA配列を含み得ることは、本開示の範囲内である。DNA及びRNA分子は、限定はされないが、部位特異的突然変異誘発、突然変異を誘発するための核酸分子の化学的処理、核酸フラグメントの制限酵素切断、核酸フラグメントのライゲーション、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅及び/又は核酸配列の選択された領域の突然変異誘発、オリゴヌクレオチド混合物の合成及び核酸分子の混合物を「構築する」ための混合物群のライゲーション並びにそれらの組合せなど、古典的な突然変異誘発技術及び組み換え技術を含む様々な技術を用いて修飾され得る。
【0328】
環状ポリリボヌクレオチドは、限定はされないが、化学合成及び酵素的合成を含む任意の利用可能な技術に従って調製され得る。ある実施形態において、線状一次構築物又は線状mRNAは、環状化又はコンカテマー化されて、本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチドを生成し得る。環化又はコンカテマー化の機構は、限定はされないが、化学的、酵素的、スプリントライゲーション)、又はリボザイム触媒方法などの方法によって行われ得る。新たに形成される5’-/3’-結合は、分子内結合又は分子間結合であり得る。
【0329】
本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチドを作製する方法は、例えば、Khudyakov & Fields,Artificial DNA:Methods and Applications,CRC Press(2002);in Zhao,Synthetic Biology:Tools and Applications,(First Edition),Academic Press(2013);及びEgli & Herdewijn,Chemistry and Biology of Artificial Nucleic Acids,(First Edition),Wiley-VCH(2012)に記載されている。
【0330】
環状ポリリボヌクレオチドを合成する様々な方法がまた、当該技術分野において記載されている(例えば、それぞれの内容全体が参照により本明細書に援用される米国特許第6210931号明細書、米国特許第5773244号明細書、米国特許第5766903号明細書、米国特許第5712128号明細書、米国特許第5426180号明細書、米国特許出願公開第20100137407号明細書、国際公開第1992001813号パンフレット及び国際公開第2010084371号パンフレットを参照されたい)。
【0331】
ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、精製され、例えば、遊離リボ核酸、線状又はニックRNA、DNA、タンパク質などが除去される。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、当該技術分野において一般的に使用される任意の公知の方法によって精製され得る。非限定的な精製方法の例としては、カラムクロマトグラフィー、ゲル排除、サイズ排除などが挙げられる。
【0332】
環状化
ある実施形態において、線状環状ポリリボヌクレオチドは、環状化又はコンカテマー化され得る。ある実施形態において、線状環状ポリリボヌクレオチドは、製剤化及び/又は送達前にインビトロで環状化され得る。ある実施形態において、線状環状ポリリボヌクレオチドは、細胞内で環状化され得る。
【0333】
a.細胞外環状化
ある実施形態において、線状環状ポリリボヌクレオチドは、化学的方法を用いて環状化又はコンカテマー化されて、環状ポリリボヌクレオチドを形成する。ある化学的方法において、核酸(例えば、線状環状ポリリボヌクレオチド)の5’末端及び3’末端は、互いに近づけると、分子の5’末端と3’末端との間で新たな共有結合を形成し得る化学的に反応性の基を含む。5’末端は、NHSエステル反応性基を含有し得、3’末端は、3’-アミノ末端ヌクレオチドを含有し得、有機溶媒中において、線状RNA分子の3’末端における3’-アミノ末端ヌクレオチドが、5’-NHS-エステル部分上で求核攻撃を起こして、新たな5’-/3’-アミド結合を形成するようになっている。
【0334】
ある実施形態において、DNA又はRNAリガーゼを用いて、5’-リン酸化核酸分子(例えば、線状環状ポリリボヌクレオチド)を核酸(例えば、線状核酸)の3’-ヒドロキシル基に酵素的に連結して、新たなホスホロジエステル結合を形成する。例の反応において、線状環状ポリリボヌクレオチドは、製造業者のプロトコルに従って1~10単位のT4 RNAリガーゼと共に1時間にわたって37℃でインキュベートされる(New England Biolabs,Ipswich,MA)。ライゲーション反応は、酵素的ライゲーション反応を補助するために並んだ5’-及び3’-領域の両方と塩基対合することが可能な線状核酸の存在下で起こり得る。ある実施形態において、ライゲーションは、スプリントライゲーションである。例えば、SplintR(登録商標)リガーゼのようなスプリントリガーゼがスプリントライゲーションに使用され得る。スプリントライゲーションでは、一本鎖RNAのような一本鎖ポリヌクレオチド(スプリント)は、2つの末端が一本鎖スプリントとのハブリダイゼーション時に並置され得るように線状ポリリボヌクレオチドの両方の末端とハイブリダイズするように設計され得る。したがって、スプリントリガーゼは、線状環状ポリリボヌクレオチドの並置される2つの末端のライゲーションを触媒して、環状ポリリボヌクレオチドを生成し得る。
【0335】
ある実施形態において、DNA又はRNAリガーゼは、環状ポリヌクレオチドの合成に使用される。非限定的な例として、リガーゼは、circリガーゼ又は環状リガーゼであり得る。
【0336】
ある実施形態において、線状環状ポリリボヌクレオチドの5’末端又は3’末端のいずれかは、インビトロ転写中、得られる線状環状ポリリボヌクレオチドが線状環状ポリリボヌクレオチドの5’末端を線状環状ポリリボヌクレオチドの3’末端にライゲートすることが可能な活性リボザイム配列を含むように、リガーゼリボザイム配列をコードし得る。リガーゼリボザイムは、グループIイントロン、デルタ肝炎ウイルス、ヘアピン型リボザイムに由来し得るか、又はSELEX(指数関数的濃縮によるリガンドの体系的な進化)によって選択され得る。リボザイムリガーゼ反応は、0~37℃の温度で1~24時間行われ得る。
【0337】
ある実施形態において、線状環状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも1つの非核酸部分を用いることによって環状化又はコンカテマー化される。一態様において、少なくとも1つの非核酸部分は、線状環状ポリリボヌクレオチドを環状化又はコンカテマー化するために、線状環状ポリリボヌクレオチドの5’末端の近傍及び/又は3’末端の近傍の領域又は特徴と反応し得る。別の態様において、少なくとも1つの非核酸部分は、線状環状ポリリボヌクレオチド5’末端及び/又は3’末端に位置するか又は連結されるか又はその近傍にあり得る。考えられる非核酸部分は、同種又は異種であり得る。非限定的な例として、非核酸部分は、疎水性結合、イオン結合、生分解性結合及び/又は切断可能な結合などの結合であり得る。別の非限定的な例として、非核酸部分は、ライゲーション部分である。さらに別の非限定的な例として、非核酸部分は、本明細書に記載されるアプタマー又は非核酸リンカーなどのオリゴヌクレオチド又はペプチド部分であり得る。
【0338】
ある実施形態において、線状環状ポリリボヌクレオチドは、線状環状ポリリボヌクレオチド5’及び3’末端における、その近傍における若しくはそのような5’及び3’末端に連結された、原子間、分子表面間の吸引力を引き起こす非核酸部分により、環状化又はコンカテマー化される。非限定的な例として、1つ以上の線状環状ポリリボヌクレオチドは、分子間力又は分子内力によって環状化又はコンカテマー化され得る。分子間力の非限定的な例としては、双極子-双極子力、双極子-誘起双極子力、誘起双極子-誘起双極子力、ファン・デル・ワールス力及びロンドン分散力が挙げられる。分子内力の非限定的な例としては、共有結合、金属結合、イオン結合、共鳴結合、アグノスティック結合(agnostic bond)、双極子結合、共役、超共役及び反結合が挙げられる。
【0339】
ある実施形態において、線状環状ポリリボヌクレオチドは、5’末端の近傍及び3’末端の近傍にリボザイムRNA配列を含み得る。リボザイムRNA配列は、配列がリボザイムの残りの部分に曝されるとき、ペプチドに共有結合し得る。一態様において、5’末端及び3’末端の近傍でリボザイムRNA配列に共有結合されたペプチドは、互いに結合して、線状環状ポリリボヌクレオチドを環状化又はコンカテマー化させ得る。別の態様において、5’末端及び3’末端の近傍でリボザイムRNAに共有結合されたペプチドは、限定はされないが、タンパク質ライゲーションなどの当該技術分野において公知の様々な方法を用いたライゲーションに線状一次構築物又は線状mRNAを供した後、それらを環状化又はコンカテマー化させ得る。本発明の線状一次構築物若しくは線状RNAに使用するためのリボザイムの非限定的な例又はペプチドを組み込み且つ/又は共有結合するための方法の非限定的な一覧が米国特許出願公開第20030082768号明細書に記載されており、その内容全体が参照により本明細書に援用される。
【0340】
ある実施形態において、線状環状ポリリボヌクレオチドは、例えば、5’トリホスフェートをRNA 5’ピロホスホヒドロラーゼ(RppH)又はATPジホスホヒドロラーゼ(アピラーゼ)と接触させることによって5’モノホスフェートに転化される核酸の5’トリホスフェートを含み得る。代わりに、線状環状ポリリボヌクレオチドの5’トリホスフェートを5’モノホスフェートに転化することは、(a)線状環状ポリリボヌクレオチドの5’ヌクレオチドをホスファターゼ(例えば、アンタークティック(Antarctic)ホスファターゼ、エビ由来アルカリホスファターゼ、又は仔牛小腸由来ホスファターゼ)と接触させて、3つ全てのホスフェートを除去する工程;及び(b)工程(a)後の5’ヌクレオチドを、1つのホスフェートを追加するキナーゼ(例えば、ポリヌクレオチドキナーゼ)と接触させる工程を含む2工程反応によって行われ得る。
【0341】
ある実施形態において、本明細書において提供される環状化方法の環状化効率は、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%又は100%である。ある実施形態において、本明細書において提供される環状化方法の環状化効率は、少なくとも約40%である。ある実施形態において、提供される環状化方法は、約10%~約100%の環状化効率を有し;例えば、環状化効率は、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、及び約99%であり得る。ある実施形態において、環状化効率は、約20%~約80%である。ある実施形態において、環状化効率は、約30%~約60%である。ある実施形態において、環状化効率は、約40%である。
【0342】
b.スプライシング要素
ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも1つのスプライシング要素を含む。例示的なスプライシング要素が、全体が参照により本明細書に援用される国際公開第2019/118919号パンフレットの段落[0270]~[0275]に記載されている。
【0343】
ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも1つのスプライシング要素を含む。本明細書において提供される環状ポリリボヌクレオチドにおいて、スプライシング要素は、環状ポリリボヌクレオチドのスプライシングを媒介し得る完全なスプライシング要素であり得る。或いは、スプライシング要素はまた、完了したスプライシング事象からの残留スプライシング要素であり得る。例えば、ある場合には、線状ポリリボヌクレオチドのスプライシング要素は、線状ポリリボヌクレオチドの環状化をもたらすスプライシング事象を媒介し得、それによって、得られた環状ポリリボヌクレオチドは、このようなスプライシング媒介環状化事象からの残留スプライシング要素を含む。ある場合には、残留スプライシング要素は、いずれのスプライシングも媒介することができない。他の場合、残留スプライシング要素は、特定の状況下で依然としてスプライシングを媒介することができる。ある実施形態において、スプライシング要素は、少なくとも1つの発現配列に隣接している。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、各発現配列に隣接するスプライシング要素を含む。ある実施形態において、スプライシング要素は、各発現配列の1つの側又は両側にあり、発現産物、例えば、ペプチド及び又はポリペプチドの分離をもたらす。
【0344】
ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、複製されると、スプライスされた末端が一緒に結合される内部スプライシング要素を含む。いくつかの例は、スプライス部位配列及び短い逆方向反復(30~40nt)、例えばAluSq2、AluJr、及びAluSz、隣接するイントロン中の逆方向配列、隣接するイントロン中のAlu要素、及びバックスプライス(backsplice)事象に近接するcis-配列要素に見られるモチーフ(サプタブル(suptable)4富化モチーフ)、例えば、隣接するエクソンを有するバックスプライス部位の200bp前にある(上流の)又は後ろにある(下流の)配列を有する小型イントロン(<100nt)を含み得る。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、内部スプライシング要素として本明細書における他の箇所に記載される少なくとも1つの反復ヌクレオチド配列を含む。このような実施形態において、反復ヌクレオチド配列は、イントロンのAluファミリーからの反復配列を含み得る。ある実施形態において、スプライシング反復リボソーム結合タンパク質が、環状ポリリボヌクレオチド生合成(例えば、Muscleblind及びQuaking(QKI)スプライシング因子)を調節し得る。
【0345】
ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、環状ポリリボヌクレオチドの頭-尾結合に隣接する標準スプライス部位を含み得る。
【0346】
ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、2つの3-ヌクレオチドバルジが隣接する4-塩基対ステムを含むバルジ-ヘリックス-バルジモチーフを含み得る。切断は、バルジ領域中の部位において生じ、末端5’-ヒドロキシル基及び2’、3’-環状ホスフェートを有する特徴的なフラグメントを生成する。環状化は、同じ分子の2’、3’-環状ホスフェートへの5’-OH基の求核攻撃によって進行して、3’、5’-ホスホジエステル架橋を形成する。
【0347】
ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、HPR要素を有する多量体反復RNA配列を含み得る。HPRは、2’,3’-環状ホスフェート及び5’-OH末端を含む。HPR要素は、環状化のために線状ポリリボヌクレオチドの5’-及び3’末端を自己プロセシングし、それによって末端を一緒にライゲートする。
【0348】
ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、自己スプライシング要素を含み得る。例えば、環状ポリリボヌクレオチドは、シアノバクテリアアナベナ属(Anabaena)からのイントロンを含み得る。
【0349】
ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、自己ライゲーションを媒介する配列を含み得る。一実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、自己ライゲートするためのHDV配列(例えば、HDV複製ドメイン保存配列、GGCUCAUCUCGACAAGAGGCGGCAGUCCUCAGUACUCUUACUCUUUUCUGUAAAGAGGAGACUGCUGGACUCGCCGCCCAAGUUCGAGCAUGAGCC(配列番号61)又はGGCUAGAGGCGGCAGUCCUCAGUACUCUUACUCUUUUCUGUAAAGAGGAGACUGCUGGACUCGCCGCCCGAGCC(配列番号62))を含み得る。一実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、自己ライゲートするためのループE配列(例えば、PSTVd中)を含み得る。別の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、自己環状化イントロン、例えば、5’及び3’スプライス結合、又は自己環状化触媒イントロン、例えば、グループI、グループII又はグループIIIイントロンを含み得る。グループIイントロン自己スプライシング配列の非限定的な例は、T4バクテリオファージ遺伝子tdに由来する自己スプライシング置換イントロン-エクソン配列、及びテトラヒメナ属(Tetrahymena)の介在配列(IVS)rRNAを含み得る。
【0350】
他の環状化方法
ある実施形態において、線状環状ポリリボヌクレオチドは、個々のイントロン内に又は隣接するイントロンにわたって反復又は非反復核酸配列を含む相補的配列を含み得る。反復核酸配列は、環状ポリリボヌクレオチドのセグメント内に存在する配列である。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、反復核酸配列を含む。ある実施形態において、反復ヌクレオチド配列は、ポリCA又はポリUG配列を含む。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、環状ポリリボヌクレオチドの別のセグメント中の相補的な反復核酸配列にハイブリダイズする少なくとも1つの反復核酸配列を含み、ハイブリダイズされたセグメントが内部二本鎖を形成する。ある実施形態において、2つの別個の環状ポリリボヌクレオチドからの反復核酸配列及び相補的な反復核酸配列がハイブリダイズして、単一の環状化ポリリボヌクレオチドを生成し、ハイブリダイズされたセグメントが内部二本鎖を形成する。ある実施形態において、相補的配列は、線状環状ポリリボヌクレオチドの5’及び3’末端において見られる。ある実施形態において、相補的配列は、約3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100又はそれを超える対合ヌクレオチドを含む。
【0351】
ある実施形態において、環状化の化学的方法が、環状ポリリボヌクレオチドを生成するのに使用され得る。このような方法としては、限定はされないが、クリック化学(例えば、アルキン及びアジドに基づく方法又はクリック可能な塩基)、オレフィンメタセシス、ホスホロアミデートライゲーション、ヘミアミナール-イミン架橋、塩基修飾及びそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0352】
ある実施形態において、環状化の酵素的方法は、環状ポリリボヌクレオチドを生成するのに使用され得る。ある実施形態において、ライゲーション酵素、例えばDNA又はRNAリガーゼは、環状ポリリボヌクレアーゼ若しくは相補体の鋳型、環状ポリリボヌクレアーゼの相補鎖又は環状ポリリボヌクレアーゼを生成するのに使用され得る。
【0353】
環状ポリリボヌクレオチドの環状化は、当該技術分野において公知の方法、例えばNucleic Acids Res,2015,43(4):2454-2465からのPetkovic及びMullerによる“RNA circularization strategies in vivo and in vitro”及びRNA Biol,2017,14(8):1018-1027からのMuller及びAppelによる“In vitro circularization of RNA”に記載されているものによって行われ得る。
【0354】
環状ポリリボヌクレオチドは、複製に有用な配列及び/又はモチーフをコードし得る。例示的な複製要素が、全体が参照により本明細書に援用される国際公開第2019/118919号パンフレットの段落[0280]~[0286]に記載されている。
【0355】
線状ポリリボヌクレオチド
本明細書に開示される線状ポリリボヌクレオチドは、コロナウイルスからの抗原及び/又はエピトープをコードする配列を含む。この線状ポリリボヌクレオチドは、対象(例えば、免疫化のための対象)においてコロナウイルスからの抗原及び/又はエピトープをコードする配列を発現する。ある実施形態において、コロナウイルス抗原及び/又はエピトープを含む線状ポリリボヌクレオチドは、対象(例えば、免疫化のための対象)において免疫応答を生じさせるのに使用される。ある実施形態において、線状ポリリボヌクレオチドは、mRNAであり、対象(例えば、免疫化のための対象)において免疫応答を生じさせるのに使用されるコロナウイルス抗原及び/又はエピトープを含む。ある実施形態において、コロナウイルス抗原及び/又はエピトープを含む線状ポリリボヌクレオチドは、本明細書に記載されるポリクローナル抗体を生成するのに使用される。
【0356】
コロナウイルス抗原及びエピトープ
線状ポリリボヌクレオチドは、コロナウイルス抗原又はエピトープをコードする配列を含む。本明細書に開示される抗原及び/又はエピトープは、コロナウイルスに関連する。ある実施形態において、抗原及び/又はエピトープは、コロナウイルスによって発現されるか、又はコロナウイルスによって発現される抗原及び/若しくはエピトープに由来する。
【0357】
抗原は、対象(例えば、免疫化のための対象)において適応免疫応答を引き起こす1つ以上のエピトープ(線状、立体構造のいずれか又は両方)を含有する分子である。エピトープは、所与の抗体若しくはT細胞受容体によって認識、標的化、又は結合される抗原の一部であり得る。エピトープは、線状エピトープ、例えば、アミノ酸の連続配列であり得る。エピトープは、立体構造エピトープ、例えば、タンパク質の折られた立体構造におけるエピトープを形成するアミノ酸を含有するエピトープであり得る。立体構造エピトープは、一次アミノ酸配列からの非連続アミノ酸を含有し得る。通常、エピトープは、約3~15個、一般に、約5~15個のアミノ酸を含むであろう。B細胞エピトープは、通常、約5つのアミノ酸であるが、3~4つ程度のアミノ酸であり得る。CTLエピトープなどのT細胞エピトープは、少なくとも約7~9つのアミノ酸を含み、ヘルパーT細胞エピトープは、少なくとも約12~20個のアミノ酸を含むであろう。通常、エピトープは、約7~15個のアミノ酸、例えば、9、10、12又は15個のアミノ酸を含むであろう。
【0358】
コロナウイルス抗原又はエピトープは、タンパク質、ペプチド、糖タンパク質、リポタンパク質、リンタンパク質、リボヌクレオタンパク質、炭水化物(例えば、多糖)、脂質(例えば、リン脂質若しくはトリグリセリド)、又は核酸(例えば、DNA、RNA)であり得るか、又はそれらの全て若しくは一部を含み得る。
【0359】
コロナウイルス抗原又はエピトープは、タンパク質抗原又はエピトープ(例えば、タンパク質、糖タンパク質、リポタンパク質、リンタンパク質、若しくはリボヌクレオタンパク質からのペプチド抗原又はペプチドエピトープ)を含み得る。抗原又はエピトープは、アミノ酸、糖、脂質、ホスホリル、若しくはスルホニル基、又はそれらの組合せを含み得る。
【0360】
コロナウイルスタンパク質抗原又はエピトープは、翻訳後修飾、例えば、グリコシル化、ユビキチン化、リン酸化、ニトロシル化、メチル化、アセチル化、アミド化、水酸化、硫酸化、又は脂質化を含み得る。
【0361】
抗原及び/又はエピトープは、コロナウイルス表面タンパク質、コロナウイルス膜タンパク質、コロナウイルスエンベロープタンパク質、コロナウイルスカプシドタンパク質、コロナウイルスヌクレオカプシドタンパク質、コロナウイルススパイクタンパク質、スパイクタンパク質のコロナウイルス受容体結合ドメイン、コロナウイルス侵入タンパク質、コロナウイルス膜融合タンパク質、コロナウイルス構造タンパク質、コロナウイルス非構造タンパク質、コロナウイルス調節タンパク質、コロナウイルスアクセサリータンパク質、分泌コロナウイルスタンパク質、コロナウイルスポリメラーゼタンパク質、コロナウイルスRNAポリメラーゼ、コロナウイルスプロテアーゼ、コロナウイルス糖タンパク質、コロナウイルス融合体、コロナウイルスらせんカプシドタンパク質、コロナウイルス20面体カプシドタンパク質、コロナウイルス基質タンパク質、コロナウイルスレプリカーゼ、コロナウイルス転写因子、又はコロナウイルス酵素に由来し得る。
【0362】
ある実施形態において、本開示の抗原及び/又はエピトープは、SARS-CoVゲノムからの予測される転写産物に由来する。ある実施形態において、本開示の抗原及び/又はエピトープは、SARS-CoVゲノムからのオープンリーディングフレームによってコードされるタンパク質に由来する。SARS-CoVゲノムにおけるオープンリーディングフレームの非限定的な例は、ORF1a、ORF1b、スパイク(S)、ORF3a、ORF3b、エンベロープ(E)、膜(M)、ORF6、ORF7a、ORF7b、ORF8、ORF8a、ORF8b、ORF9a、ORF9b、ヌクレオカプシド(N)、及びORF10を含み得る。ある実施形態において、SARS-CoVゲノムからのオープンリーディングフレームは、配列番号11を含む。
【0363】
特定の実施形態において、線状ポリリボヌクレオチドは、表3に記載されるSARS-CoV-2抗原を含む。
【0364】
【表8】
【0365】
表3において、「プロリン置換」は、残基986及び987におけるプロリン置換、並びにフリン切断部位(残基682~685)における「GSAS」置換を示す。クローニング最適化では、プラスミドDNA鋳型のゴールデンゲートクローニング(Golden Gate Cloning)構築を補助するBsaI部位を破壊するために座標2541で単一塩基置換がなされた。環状化最適化では、2307、2709、159及び315位における4つの単一ヌクレオチドが、スプリント核酸配列の環状化要素に潜在的に結合し得る部位を破壊するために置換され、それによって、効率的なライゲーションを潜在的に阻害する。全ての単一のbp置換が、翻訳的にサイレントであるように設計された。さらに、表3において、5’要素は、グロビン(配列番号32)であり;3’要素:グロビン(配列番号33)である。
【0366】
ある実施形態において、コロナウイルスエピトープは、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、少なくとも26、少なくとも27、少なくとも28、少なくとも29、若しくは少なくとも30のアミノ酸、又はそれ以上を含むか又は含有する。ある実施形態において、コロナウイルスエピトープは、4以下、5以下、6以下、7以下、8以下、9以下、10以下、11以下、12以下、13以下、14以下、15以下、16以下、17以下、18以下、19以下、20以下、21以下、22以下、23以下、24以下、25以下、26以下、27以下、28以下、29以下、若しくは30以下のアミノ酸、又はそれ以下を含むか又は含有する。ある実施形態において、コロナウイルスエピトープは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30個のアミノ酸を含むか又は含有する。ある実施形態において、コロナウイルスエピトープは、5個のアミノ酸を含有する。ある実施形態において、コロナウイルスエピトープは、6個のアミノ酸を含有する。ある実施形態において、エピトープは、7個のアミノ酸を含有する。ある実施形態において、コロナウイルスエピトープは、8個のアミノ酸を含有する。ある実施形態において、エピトープは、約8~約11個のアミノ酸であり得る。ある実施形態において、エピトープは、約9~約22個のアミノ酸であり得る。
【0367】
コロナウイルス抗原は、B細胞によって認識される抗原、T細胞によって認識される抗原、又はそれらの組合せを含み得る。ある実施形態において、抗原は、B細胞によって認識される抗原を含む。ある実施形態において、コロナウイルス抗原は、B細胞によって認識される抗原である。ある実施形態において、コロナウイルス抗原は、T細胞によって認識される抗原を含む。ある実施形態において、抗原は、T細胞によって認識される抗原である。
【0368】
コロナウイルスエピトープは、B細胞によって認識されるエピトープ、T細胞によって認識されるエピトープ、又はそれらの組合せを含む。ある実施形態において、コロナウイルスエピトープは、B細胞によって認識されるエピトープを含む。ある実施形態において、エピトープは、B細胞によって認識されるエピトープである。ある実施形態において、コロナウイルスエピトープは、T細胞によって認識されるエピトープを含む。ある実施形態において、コロナウイルスエピトープは、T細胞によって認識されるエピトープである。
【0369】
インシリコで抗原及びエピトープを同定するための技術が、例えば、Sanchez-Trincado,et al.(2017),Fundamentals and methods for T-and B-cell epitope prediction,Journal of immunology research;Grifoni,Alba,et al.A Sequence Homology and Bioinformatic Approach Can Predict Candidate Targets for Immune Responses to SARS-CoV-2.Cell host & microbe(2020);Russi et al.In silico prediction of T-and B-cell epitopes in PmpD:First step towards to the design of a Chlamydia trachomatis vaccine.biomedical journal 41.2(2018):109-117;Baruah,et al.Immunoinformatics‐aided identification of T cell and B cell epitopes in the surface glycoprotein of 2019‐nCoV.Journal of Medical Virology(2020)に開示されており;これらはそれぞれ、全体が参照により本明細書に援用される。
【0370】
本開示の線状ポリリボヌクレオチドは、様々なコロナウイルス抗原及び/又はエピトープの配列を含み得る。線状ポリリボヌクレオチドは、例えば、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも120、少なくとも140、少なくとも160、少なくとも180、少なくとも200、少なくとも250、少なくとも300、少なくとも350、少なくとも400、少なくとも450、少なくとも500、又はそれ以上のコロナウイルス抗原又はエピトープの配列を含む。
【0371】
ある実施形態において、線状ポリリボヌクレオチドは、例えば、1以下、2以下、3以下、4以下、5以下、6以下、7以下、8以下、9以下、10以下、15以下、20以下、25以下、30以下、40以下、50以下、60以下、70以下、80以下、90以下、100以下、120以下、140以下、160以下、180以下、200以下、250以下、300以下、350以下、400以下、450以下、500以下、又はそれ以下のコロナウイルス抗原又はエピトープの配列を含む。
【0372】
ある実施形態において、線状ポリリボヌクレオチドは、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、100、120、140、160、180、200、250、300、350、400、450、又は500のコロナウイルス抗原又はエピトープの配列を含む。
【0373】
線状ポリリボヌクレオチドは、コロナウイルス抗原からの1つ以上のコロナウイルスエピトープのための配列を含み得る。例えば、コロナウイルス抗原は、複数のコロナウイルスエピトープ(例えば、B細胞及び/又はT細胞によって認識されるエピトープ)を中に含有し得るアミノ酸配列を含み得、線状ポリリボヌクレオチドは、それらのコロナウイルスエピトープの1つ以上を含むか又はコードし得る。
【0374】
線状ポリリボヌクレオチドは、例えば、1つのコロナウイルス抗原からの少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも120、少なくとも140、少なくとも160、少なくとも180、少なくとも200、少なくとも250、少なくとも300、少なくとも350、少なくとも400、少なくとも450、少なくとも500、又はそれ以上のエピトープの配列を含む。
【0375】
ある実施形態において、線状ポリリボヌクレオチドは、例えば、1つのコロナウイルス抗原からの2以下、3以下、4以下、5以下、6以下、7以下、8以下、9以下、10以下、15以下、20以下、25以下、30以下、40以下、50以下、60以下、70以下、80以下、90以下、100以下、120以下、140以下、160以下、180以下、200以下、250以下、300以下、350以下、400以下、450以下、若しくは500以下、又はそれ以下のコロナウイルスエピトープの配列を含む。
【0376】
ある実施形態において、線状ポリリボヌクレオチドは、例えば、1つのコロナウイルス抗原からの約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、100、120、140、160、180、200、250、300、350、400、450、又は500のコロナウイルスエピトープの配列を含む。
【0377】
線状ポリリボヌクレオチドは、コロナウイルス抗原又はエピトープの変異体をコードし得る。変異体は、天然変異体(例えば、異なるコロナウイルス属、種、分離株、若しくは準種からの配列データにおいて同定された変異体)であり得るか、又はインシリコで生成された本明細書に開示される誘導体配列(例えば、野生型抗原又はエピトープと比較して1つ以上のアミノ酸挿入、欠失、置換、又はそれらの組合せを有する抗原又はエピトープ)であり得る。
【0378】
線状ポリリボヌクレオチドは、例えば、コロナウイルス抗原又はエピトープの少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも120、少なくとも140、少なくとも160、少なくとも180、少なくとも200、少なくとも250、少なくとも300、少なくとも350、少なくとも400、少なくとも450、少なくとも500、又はそれ以上の変異体の配列を含む。
【0379】
ある実施形態において、線状ポリリボヌクレオチドは、例えば、コロナウイルス抗原又はエピトープの2以下、3以下、4以下、5以下、6以下、7以下、8以下、9以下、10以下、15以下、20以下、25以下、30以下、40以下、50以下、60以下、70以下、80以下、90以下、100以下、120以下、140以下、160以下、180以下、200以下、250以下、300以下、350以下、400以下、450以下、500以下、又はそれ以下の変異体の配列を含む。
【0380】
ある実施形態において、線状ポリリボヌクレオチドは、例えば、コロナウイルス抗原又はエピトープの約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、100、120、140、160、180、200、250、300、350、400、450、又は500の変異体の配列を含む。
【0381】
線状ポリリボヌクレオチドのコロナウイルス抗原及び/又はエピトープ配列は、コロナウイルス発現配列とも呼ばれ得る。ある実施形態において、線状ポリリボヌクレオチドは、1つ以上のコロナウイルス発現配列を含み、これはそれぞれ、コロナウイルスポリペプチドをコードし得る。コロナウイルスポリペプチドは、かなりの量で生成され得る。コロナウイルスポリペプチドは、細胞から分泌されるか、又は細胞質、核若しくは細胞の膜区画に限局されるコロナウイルスポリペプチドであり得る。いくつかのコロナウイルスポリペプチドとしては、限定はされないが、本明細書に開示される抗原、本明細書に開示されるエピトープ、コロナウイルスタンパク質(例えば、ウイルスエンベロープタンパク質、ウイルス基質タンパク質、ウイルススパイクタンパク質、ウイルス膜タンパク質、ウイルスヌクレオカプシドタンパク質、ウイルスアクセサリータンパク質、そのフラグメント、又はそれらの組合せ)の少なくとも一部が挙げられる。ある実施形態において、本開示の線状ポリリボヌクレオチドによってコードされるコロナウイルスポリペプチドは、本明細書に開示されるコロナウイルス抗原のフラグメントを含む。ある実施形態において、本開示の線状ポリリボヌクレオチドによってコードされるコロナウイルスポリペプチドは、本明細書に開示される2つ以上のコロナウイルス抗原を含む融合タンパク質、又はそのフラグメントを含む。ある実施形態において、本開示の線状ポリリボヌクレオチドによってコードされるコロナウイルスポリペプチドは、コロナウイルスエピトープを含む。ある実施形態において、本開示の線状ポリリボヌクレオチドによってコードされるポリペプチドは、本明細書に開示される2つ以上のコロナウイルスエピトープを含む融合タンパク質、例えば、本開示の1つ以上のコロナウイルスからの複数の予測されるエピトープを含む人工ペプチド配列を含む。
【0382】
ある実施形態において、本明細書に開示される線状ポリリボヌクレオチドから発現される例示的なコロナウイルスタンパク質は、分泌タンパク質、例えば、シグナルペプチドを天然で含むタンパク質(例えば、抗原及び/若しくはエピトープ)、又は通常、シグナルペプチドをコードしないが、それを含むように修飾されたものを含む。
【0383】
線状ポリリボヌクレオチド
線状ポリリボヌクレオチドは、後述される要素並びに本明細書に記載されるコロナウイルス抗原又はエピトープを含む。
【0384】
本明細書に記載される線状ポリリボヌクレオチドは、5’及び3’末端を有するポリリボヌクレオチド分子である。ある実施形態において、線状RNAは、遊離5’末端又は3’末端を有する。ある実施形態において、線状RNAは、修飾されるか又は分解から保護された5’末端又は3’末端を有する。ある実施形態において、線状RNAは、非共有結合された5’又は3’末端を有する。ある実施形態において、線状RNAは、mRNAである。
【0385】
線状RNAは、安定性を改善し、及び/又は分解を低減するために、その末端において修飾され得る。例えば、5’遊離末端及び/又は3’遊離は、キャップ、ポリ-Aテイル、G-四重鎖、シュードノット、安定した末端ステムループ、U-rich発現、核保持要素(nuclear retention element)(ENE)、又はコンジュゲーション部分を含む。例えば、5’遊離末端及び/又は3’遊離は、末端保護剤、例えば、キャップ、ポリ-Aテイル、g-四重鎖、シュードノット、安定した末端ステムループ、U-リッチ発現、核保持要素(ENE)、又はコンジュゲーション部分を含む。
【0386】
ある実施形態において、線状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも約20個のヌクレオチド、少なくとも約30個のヌクレオチド、少なくとも約40個のヌクレオチド、少なくとも約50個のヌクレオチド、少なくとも約75個のヌクレオチド、少なくとも約100個のヌクレオチド、少なくとも約200個のヌクレオチド、少なくとも約300個のヌクレオチド、少なくとも約400個のヌクレオチド、少なくとも約500個のヌクレオチド、少なくとも約1,000個のヌクレオチド、少なくとも約2,000個のヌクレオチド、少なくとも約5,000個のヌクレオチド、少なくとも約6,000個のヌクレオチド、少なくとも約7,000個のヌクレオチド、少なくとも約8,000個のヌクレオチド、少なくとも約9,000個のヌクレオチド、少なくとも約10,000個のヌクレオチド、少なくとも約12,000個のヌクレオチド、少なくとも約14,000個のヌクレオチド、少なくとも約15,000個のヌクレオチド、少なくとも約16,000個のヌクレオチド、少なくとも約17,000個のヌクレオチド、少なくとも約18,000個のヌクレオチド、少なくとも約19,000個のヌクレオチド、又は少なくとも約20,000個のヌクレオチドである。
【0387】
ある実施形態において、線状ポリリボヌクレオチドは、リボソームのための結合部位に対応するのに十分なサイズのものであり得る。ある実施形態において、線状ポリリボヌクレオチドの最大サイズは、線状ポリリボヌクレオチドを生成する、及び/又は線状ポリリボヌクレオチドを使用する技術的制約内にあるような大きさであり得る。何らかの特定の理論によって制約されるのを望むものではないが、RNAの複数のセグメントが、DNAから生成され、それらの5’及び3’遊離末端が、RNAの「ストリング」を生成するようにアニールされ得ることが可能である。ある実施形態において、線状ポリリボヌクレオチドの最大サイズは、RNAを標的にパッケージング及び送達する能力によって制限され得る。ある実施形態において、線状ポリリボヌクレオチドのサイズは、本開示の抗原及び/又はエピトープなどの有用なポリペプチドをコードするのに十分な長さであり、したがって、少なくとも20,000個のヌクレオチド、少なくとも15,000個のヌクレオチド、少なくとも10,000個のヌクレオチド、少なくとも7,500個のヌクレオチド、又は少なくとも5,000個のヌクレオチド、少なくとも4,000個のヌクレオチド、少なくとも3,000個のヌクレオチド、少なくとも2,000個のヌクレオチド、少なくとも1,000個のヌクレオチド、少なくとも500個のヌクレオチド、少なくとも400個のヌクレオチド、少なくとも300個のヌクレオチド、少なくとも200個のヌクレオチド、少なくとも100個のヌクレオチド、又は少なくとも70個のヌクレオチドの長さが、有用であり得る。
【0388】
線状ポリリボヌクレオチド要素
ある実施形態において、線状ポリリボヌクレオチドは、コロナウイルス抗原及び/若しくはエピトープをコードする配列を含むことに加えて、本明細書に記載される要素の1つ以上を含む。例えば、線状ポリリボヌクレオチドは、調節要素、例えば、線状ポリリボヌクレオチド内の発現配列の発現を調節する配列を含む。調節要素は、発現産物をコードする発現配列に隣接して位置する配列を含み得る。調節要素は、隣接する配列に動作可能に連結され得る。調節要素は、調節要素が存在しない場合に発現される産物の量と比較して、発現される産物の量を増加させ得る。さらに、1つの調節要素が、並んで結合された複数の発現配列について発現される産物の量を増加させ得る。したがって、1つの調節要素が、1つ以上の発現配列の発現を促進することができる。複数の調節要素がまた、例えば、異なる発現配列の発現を異なって調節するのに使用され得る。ある実施形態において、本明細書において提供される調節要素は、選択的翻訳配列を含み得る。本明細書において使用される際、「選択的翻訳配列」という用語は、線状ポリリボヌクレオチド、例えば、特定のリボスイッチアプタザイム中の発現配列の翻訳を選択的に開始させるか又は活性化する核酸配列を指す。調節要素は、選択的分解配列も含み得る。本明細書において使用される際、「選択的分解配列」という用語は、線状ポリリボヌクレオチド、又は線状ポリリボヌクレオチドの発現産物の分解を開始させる核酸配列を指す。ある実施形態において、調節要素は、翻訳モジュレータである。翻訳モジュレータは、線状ポリリボヌクレオチド中の発現配列の翻訳を調節し得る。翻訳モジュレータは、翻訳エンハンサー又はサプレッサーであり得る。ある実施形態において、翻訳開始配列は、調節要素として機能し得る。
【0389】
ある実施形態において、線状ポリリボヌクレオチドは、対象とするポリクローナル抗体を生成する抗原をコードし、翻訳開始配列、例えば、開始コドンを含む。ある実施形態において、翻訳開始配列は、コザック又はシャイン・ダルガノ配列を含む。ある実施形態において、線状ポリリボヌクレオチドは、発現配列に隣接する翻訳開始配列、例えば、コザック配列を含む。ある実施形態において、翻訳開始配列は、非コード開始コドンである。ある実施形態において、翻訳開始配列、例えば、コザック配列は、各発現配列の1つの側又は両側に存在して、発現産物の分離をもたらす。ある実施形態において、線状ポリリボヌクレオチドは、発現配列に隣接する少なくとも1つの翻訳開始配列を含む。ある実施形態において、翻訳開始配列は、線状ポリリボヌクレオチドに立体配座柔軟性を与える。ある実施形態において、翻訳開始配列は、線状ポリリボヌクレオチドの実質的に一本鎖領域内にある。
【0390】
ある実施形態において、本明細書に記載される線状ポリリボヌクレオチドは、内部リボソーム侵入部位(IRES)要素を含む。線状ポリリボヌクレオチド中に含むのに好適なIRES要素は、真核生物リボソームにかみ合うことが可能なRNA配列であり得る。
【0391】
線状ポリリボヌクレオチドは、1つ以上の発現配列(例えば、抗原をコードする)を含み得、各発現配列は、終止要素を有していても又は有していなくてもよい。
【0392】
ある実施形態において、線状ポリヌクレオチドは、5’キャップを含み、ここで、mRNAの5’キャップ構造は、mRNA安定性を増大する。5’キャップは、mRNAキャップ結合タンパク質(MBP)に結合し、これは、細胞内のmRNA安定性、及びポリ-A結合タンパク質とのCBPの結合を介して翻訳能力に寄与して、成熟RNA種を形成する。
【0393】
ある実施形態において、線状ポリヌクレオチドは、5’末端キャップされ、線状ポリヌクレオチド末端グアノシンキャップ残基及び5’末端転写センスヌクレオチドの間の5’-ppp-5’トリホスフェート結合を含む。5’グアニル化キャップとしても知られているこの5’グアノシンキャップは、N7-メチル-グアニレートキャップを生成するようにメチル化され得る。
【0394】
ある実施形態において、線状ポリリボヌクレオチドは、非翻訳領域(UTR)を含む。遺伝子を含むゲノム領域のUTRは、転写され得るが、翻訳されていない。ある実施形態において、UTRは、本明細書に記載される発現配列の翻訳開始配列の上流に含まれ得る。ある実施形態において、UTRは、本明細書に記載される発現配列の下流に含まれ得る。ある場合には、第1の発現配列のための1つのUTRは、第2の発現配列のための別のUTRと同じであるか又はそれと連続しているか又はそれと重複している。ある実施形態において、イントロンは、ヒトイントロンである。ある実施形態において、イントロンは、完全長ヒトイントロン、例えば、ZKSCAN1である。
【0395】
ある実施形態において、線状ポリリボヌクレオチドは、ポリ-A配列を含む。ある実施形態において、ポリ-A配列の長さは、10ヌクレオチド長超である。ある実施形態において、ポリ-A配列は、15ヌクレオチド長超である(例えば、少なくとも、又は約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、70、80、90、100、120、140、160、180、200、250、300、350、400、450、500、600、700、800、900、1,000、1,100、1,200、1,300、1,400、1,500、1,600、1,700、1,800、1,900、2,000、2,500、及び3,000個超のヌクレオチドである)。ある実施形態において、ポリ-A配列は、約10~約3,000個のヌクレオチド(例えば、30~50、30~100、30~250、30~500、30~750、30~1,000、30~1,500、30~2,000、30~2,500、50~100、50~250、50~500、50~750、50~1,000、50~1,500、50~2,000、50~2,500、50~3,000、100~500、100~750、100~1,000、100~1,500、100~2,000、100~2,500、100~3,000、500~750、500~1,000、500~1,500、500~2,000、500~2,500、500~3,000、1,000~1,500、1,000~2,000、1,000~2,500、1,000~3,000、1,500~2,000、1,500~2,500、1,500~3,000、2,000~3,000、2,000~2,500、及び2,500~3,000)である。
【0396】
ある実施形態において、ポリ-A配列は、線状ポリリボヌクレオチド全体の長さに対して設計される。設計は、コード領域の長さ、特定の特徴又は領域(第1又は隣接する領域など)の長さに基づくか、又は線状ポリリボヌクレオチドから発現される最終産物の長さに基づき得る。これに関して、ポリ-A配列は、線状ポリリボヌクレオチド又はその特徴より10、20、30、40、50、60、70、80、90、又は100%長い長さであり得る。ポリ-A配列はまた、線状ポリリボヌクレオチドの一部として設計され得る。これに関して、ポリ-A配列は、構築物の全長又は構築物の全長マイナスポリ-A配列の10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又はそれ以上であり得る。さらに、ポリ-A結合タンパク質のための線状ポリリボヌクレオチドの操作結合部位及びコンジュゲーションが、発現を促進し得る。
【0397】
ある実施形態において、線状ポリリボヌクレオチドは、ポリA-G四重鎖を含むように設計される。G-四重鎖は、DNA及びRNAの両方におけるG-リッチ配列によって形成され得る4つのグアニンヌクレオチドの環状の水素結合されたアレイである。ある実施形態において、G-四重鎖は、ポリ-A配列の末端において組み込まれ得る。得られた線状ポリリボヌクレオチド構築物は、様々な時点で、安定性、タンパク質産生、及び/又は半減期を含む他のパラメータについてアッセイされ得る。ある実施形態において、ポリA-G四重鎖は、120個のヌクレオチドのみのポリ-A配列を用いて見られるものの少なくとも75%に相当するタンパク質産生をもたらし得る。
【0398】
ある実施形態において、線状ポリリボヌクレオチドは、中に埋め込まれたアデノシン及びウリジンの1つ以上のストレッチを有するUTRを含む。AU-リッチシグネチャが、発現産物のターンオーバー速度を上昇させ得る。
【0399】
UTR AU-リッチ要素(ARE)の導入、除去、又は修飾が、線状ポリリボヌクレオチドの安定性又は免疫原性を調節するのに有用であり得る。特定の線状ポリリボヌクレオチドを操作する場合、AREの1つ以上のコピーが、線状ポリリボヌクレオチドを不安定化するために導入され得、AREのコピーが、翻訳を低減し、及び/又は発現産物の産生を低減し得る。同様に、AREは、同定され、除去されるか、又は細胞内安定性を高め、したがって、得られるタンパク質の翻訳及び産生を増加させるように、突然変異され得る。
【0400】
任意の遺伝子からのUTRは、線状ポリリボヌクレオチド(例えば、5’末端又は3’末端における)のそれぞれの隣接する領域に組み込まれ得る。さらに、任意の公知の遺伝子の複数の野生型UTRは、用いられ得る。ある実施形態において、野生型遺伝子の変異体でない人工UTRが使用され得る。これらのUTR又はその部分が、それらが選択された転写産物と同じ配向で配置され得るか又は配向若しくは位置が改変され得る。したがって、5’-又は3’-UTRは、1つ以上の他の5’-又は3’-UTRにより逆位にされ、短縮され、延長され、又はキメラにされ得る。本明細書において使用される際、UTR配列に関連する際の「改変」という用語は、UTRが、参照配列に対して何らかの形で変化されたことを意味する。例えば、3’-又は5’-UTRは、上記に教示される配向若しくは位置の変化によって野生型又は天然UTRに対して改変され得るか、又はさらなるヌクレオチドの包含、ヌクレオチドの欠失、ヌクレオチドのスワッピング若しくは転移によって改変され得る。「改変」UTR(3’又は5’のいずれかにかかわらず)を生成するこれらの変化のいずれも、変異体UTRを含む。
【0401】
ある実施形態において、二重UTR、三重UTR、又は四重UTR、例えば、5’-又は3’-UTRが、使用され得る。本明細書において使用される際、「二重」UTRは、同じUTRの2つのコピーが連続して又は実質的に連続してコードされるものである。例えば、二重β-グロビン3’-UTRが、本発明のある実施形態において使用され得る。
【0402】
ある実施形態において、線状ポリリボヌクレオチドは、1つ以上の調節核酸配列を含むか、又は調節核酸、例えば、内在性遺伝子及び/又は外来性遺伝子の発現を調節する核酸をコードする1つ以上の発現配列を含む。ある実施形態において、本明細書において提供される線状ポリリボヌクレオチドの発現配列は、限定はされないが、tRNA、lncRNA、miRNA、rRNA、snRNA、マイクロRNA、siRNA、piRNA、snoRNA、snRNA、exRNA、scaRNA、Y RNA、及びhnRNAなどの非コードRNAのような調節核酸に対してアンチセンスである配列を含み得る。
【0403】
ある実施形態において、線状ポリリボヌクレオチドは、化学量論的比の発現産物を生成する。ある実施形態において、線状ポリリボヌクレオチドは、発現産物が実質的に同等の比率で生成されるような化学量論的翻訳効率を有する。ある実施形態において、線状ポリリボヌクレオチドは、複数の発現産物、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、又はそれ以上の発現配列からの産物の化学量論的翻訳効率を有する。
【0404】
ある実施形態において、線状ポリリボヌクレオチドは、1つ以上のリボスイッチを含む。
【0405】
ある実施形態において、線状ポリリボヌクレオチドは、アプタザイムを含む。
【0406】
ある実施形態において、線状ポリリボヌクレオチドは、5’-UTRを欠いている。ある実施形態において、線状ポリリボヌクレオチドは、3’-UTRを欠いている。ある実施形態において、線状ポリリボヌクレオチドは、ポリ-A配列を欠いている。ある実施形態において、線状ポリリボヌクレオチドは、終止要素を欠いている。ある実施形態において、線状ポリリボヌクレオチドは、内部リボソーム進入部位を欠いている。ある実施形態において、線状ポリリボヌクレオチドは、キャップ結合タンパク質への結合を欠いている。ある実施形態において、線状ポリリボヌクレオチドは、5’キャップを欠いている。
【0407】
生成方法
ある実施形態において、線状ポリリボヌクレオチドは、非天然であり、組み換え技術(例えば、DNAプラスミドを用いてインビトロで得られる)、化学合成、又はそれらの組合せを用いて生成され得るデオキシリボ核酸配列を含む。
【0408】
RNAを生成するのに使用されるDNA分子が、天然の元の核酸配列のDNA配列、その修飾形態、又は自然界で通常見られない合成ポリペプチド(例えば、キメラ分子又は融合タンパク質、例えば、複数の抗原及び/又はエピトープを含む融合タンパク質)をコードするDNA配列を含み得ることは、本開示の範囲内である。DNA及びRNA分子は、限定はされないが、部位特異的突然変異誘発、突然変異を誘発するための核酸分子の化学的処理、核酸フラグメントの制限酵素切断、核酸フラグメントのライゲーション、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅及び/又は核酸配列の選択された領域の突然変異誘発、オリゴヌクレオチド混合物の合成及び核酸分子の混合物を「構築する」ための混合物群のライゲーション並びにそれらの組合せなど、古典的な突然変異誘発技術及び組み換え技術を含む様々な技術を用いて修飾され得る。
【0409】
線状ポリリボヌクレオチドは、限定はされないが、化学合成及び酵素的合成を含む任意の利用可能な技術に従って調製され得る。ある実施形態において、線状一次構築物又は線状mRNAは、又はコンカテマー化されて、本明細書に記載される線状ポリリボヌクレオチドを生成し得る。コンカテマー化の機構は、限定はされないが、化学的、酵素的、スプリントライゲーション)、又はリボザイム触媒方法などの方法によって行われ得る。新たに形成される5’-/3’-結合は、分子内結合又は分子間結合であり得る。
【0410】
本明細書に記載される線状ポリリボヌクレオチドを作製する方法は、例えば、Khudyakov & Fields,Artificial DNA:Methods and Applications,CRC Press(2002);Zhao,Synthetic Biology:Tools and Applications,(First Edition),Academic Press(2013);及びEgli & Herdewijn,Chemistry and Biology of Artificial Nucleic Acids,(First Edition),Wiley-VCH(2012)に記載されている。
【0411】
線状ポリリボヌクレオチドを合成する様々な方法がまた、当該技術分野において記載されている(例えば、米国特許第6210931号明細書、米国特許第5773244号明細書、米国特許第5766903号明細書、米国特許第5712128号明細書、米国特許第5426180号明細書、米国特許出願公開第20100137407号明細書、国際公開第1992001813号パンフレット及び国際公開第2010084371号パンフレット;それぞれの内容全体が参照により本明細書に援用される、を参照されたい)。
【0412】
免疫応答を生じさせる方法
本開示は、上述される環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物を提供する。本開示は、上述される線状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物を提供する。本発明の免疫原性組成物は、希釈剤又は担体、補助剤、又はそれらの任意の組合せを含み得る。本発明の免疫原性組成物は、1つ以上の免疫調節剤、例えば、1つ以上の補助剤も含み得る。補助剤は、さらに後述されるTH1補助剤及び/又はTH2補助剤を含み得る。ある実施形態において、免疫原性組成物は、担体を含まない希釈剤を含み、対象(例えば、免疫化のための対象)への環状ポリリボヌクレオチドのネイキッド送達に使用される。ある実施形態において、免疫原性組成物は、担体を含まない希釈剤を含み、対象への線状ポリリボヌクレオチドのネイキッド送達に使用される。
【0413】
本発明の免疫原性組成物は、対象(例えば、免疫化のための対象)における免疫応答を高めるのに使用される。免疫応答は、抗体応答(通常、IgGを含む)及び/又は細胞媒介性免疫応答を含み得る。ある実施形態において、免疫原性組成物は、本明細書に記載されるポリクローナル抗体を生成するのに使用される。例えば、対象は、コロナウイルス抗原及び/又はエピトープに結合するポリクローナル抗体の産生を刺激するために、コロナウイルス抗原及び/又はエピトープを含む環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物で免疫化される。別の例では、対象は、コロナウイルス抗原及び/又はエピトープに結合するポリクローナル抗体の産生を刺激するために、コロナウイルス抗原及び/又はエピトープを含む線状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物で免疫化される。ある実施形態において、対象は、ヒトである。ある実施形態において、対象は、非ヒト動物である。ある実施形態において、非ヒト動物は、ヒト化免疫系を有する。ある実施形態において、対象は、補助剤でさらに免疫化される。ある実施形態において、対象は、ワクチンでさらに免疫化される。任意に、環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物による免疫化の後、生成されたポリクローナル抗体は、対象から採取され、精製される。任意に、線状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物による免疫化の後、生成されたポリクローナル抗体は、対象から採取され、精製される。ある実施形態において、組成物は、本明細書に記載される免疫原性組成物の投与後に採取された血漿を含む。
【0414】
免疫化
ある実施形態において、本開示の方法は、対象(例えば、免疫化のための対象)を、本明細書に開示される環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物で免疫化することを含む。ある実施形態において、コロナウイルス抗原及び/又はエピトープは、環状ポリリボヌクレオチドから発現される。ある実施形態において、免疫化は、環状ポリリボヌクレオチドから発現されるコロナウイルス抗原及び/又はエピトープに対する、対象における免疫応答を誘導する。ある実施形態において、免疫化は、環状ポリリボヌクレオチドから発現されるコロナウイルス抗原及び/又はエピトープに結合するポリクローナル抗体の産生を誘導する。ある実施形態において、免疫原性組成物は、単一の組成物中に環状ポリリボヌクレオチド及び希釈剤、担体、第1の補助剤又はそれらの組合せを含む。ある実施形態において、対象は、第2の補助剤でさらに免疫化される。ある実施形態において、対象は、ワクチンでさらに免疫化される。
【0415】
ある実施形態において、本開示の方法は、対象(例えば、免疫化のための対象)を、本明細書に開示される線状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物で免疫化することを含む。ある実施形態において、コロナウイルス抗原及び/又はエピトープは、線状ポリリボヌクレオチドから発現される。ある実施形態において、免疫化は、線状ポリリボヌクレオチドから発現されるコロナウイルス抗原及び/又はエピトープに対する、対象における免疫応答を誘導する。ある実施形態において、免疫化は、線状ポリリボヌクレオチドから発現されるコロナウイルス抗原及び/又はエピトープに結合するポリクローナル抗体の産生を誘導する。ある実施形態において、免疫原性組成物は、単一の組成物中に線状ポリリボヌクレオチド及び希釈剤、担体、第1の補助剤又はそれらの組合せを含む。ある実施形態において、対象は、第2の補助剤でさらに免疫化される。ある実施形態において、対象は、ワクチンでさらに免疫化される。
【0416】
本明細書に開示される環状ポリリボヌクレオチドは、対象(例えば、免疫化のための対象)の免疫化後の適応免疫応答を刺激することによって、ヒトポリクローナル抗体の産生を刺激する。ある実施形態において、対象の適応免疫応答は、環状ポリリボヌクレオチドによって発現されるコロナウイルス抗原に特異的に結合するポリクローナル抗体を放出するためのBリンパ球の刺激を含む。本明細書に開示される線状ポリリボヌクレオチドは、対象の免疫化後に適応免疫応答を刺激することによって、ヒトポリクローナル抗体の産生を刺激する。ある実施形態において、対象の適応免疫応答は、線状ポリリボヌクレオチドによって発現されるコロナウイルス抗原に特異的に結合するポリクローナル抗体を放出するためのBリンパ球の刺激を含む。ある実施形態において、対象の適応免疫応答は、細胞媒介性免疫応答を刺激することを含む。
【0417】
対象(例えば、免疫化のための対象)は、いくつもの環状ポリリボヌクレオチドを含む1つ以上の免疫原性組成物で免疫化される。対象は、例えば、少なくとも1つの環状ポリリボヌクレオチドを含む1つ以上の免疫原性組成物で免疫化される。非ヒト化免疫系を有する非ヒト動物は、例えば、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも20の異なる環状ポリリボヌクレオチド、又はそれ以上の異なる環状ポリリボヌクレオチドを含む1つ以上の免疫原性組成物で免疫化される。ある実施形態において、対象は、1つ以下の環状ポリリボヌクレオチドを含む1つ以上の免疫原性組成物で免疫化される。ある実施形態において、ヒト化免疫系を有する非ヒト動物は、2以下、3以下、4以下、5以下、6以下、7以下、8以下、9以下、10以下、11以下、12以下、13以下、14以下、15以下、20以下の異なる環状ポリリボヌクレオチド、又は21未満の異なる環状ポリリボヌクレオチドを含む1つ以上の免疫原性組成物で免疫化される。ある実施形態において、対象は、約1つの環状ポリリボヌクレオチドを含む1つ以上の免疫原性組成物で免疫化される。ある実施形態において、ヒト化免疫系を有する非ヒト動物は、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、又は約20の異なる環状ポリリボヌクレオチドを含む1つ以上の免疫原性組成物で免疫化される。ある実施形態において、対象は、約1~20、1~15、1~10、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、1~2、2~20、2~15、2~10、2~9、2~8、2~7、2~6、2~5、2~4、2~3、3~20、3~15、3~10、3~9、3~8、3~7、3~6、3~5、3~4、4~20、4~15、4~10、4~9、4~8、4~7、4~6、4~5、4~4、4~3、5~20、5~15、5~10、5~9、5~8、5~7、5~6、5~10、10~15、又は15~20の異なる環状ポリリボヌクレオチドを含む1つ以上の免疫原性組成物で免疫化される。異なる環状ポリリボヌクレオチドは、互いに異なる配列を有する。例えば、それらは、異なる抗原及び/若しくはエピトープ、重複抗原及び/若しくはエピトープ、類似の抗原及び/若しくはエピトープ、又は同じ抗原及び/若しくはエピトープ(例えば、同じか又は異なる調節要素、開始配列、プロモータ、終止要素、又は本開示の他の要素と共に)を含むか又はコードし得る。対象が、2つ以上の異なる環状ポリリボヌクレオチドを含む1つ以上の免疫原性組成物で免疫化される場合、2つ以上の異なる環状ポリリボヌクレオチドは、同じか又は異なる免疫原性組成物中にあり、同時に又は異なる時点で免疫化され得る。2つ以上の異なる環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物は、同じ解剖学的位置又は異なる解剖学的位置に投与され得る。
【0418】
2つ以上の異なる環状ポリリボヌクレオチドは、本明細書に開示される同じコロナウイルス、異なるコロナウイルス、又はコロナウイルスの異なる組合せからの抗原及び/又はエピトープを含むか又はコードし得る。2つ以上の異なる環状ポリリボヌクレオチドは、同じコロナウイルス又は異なるコロナウイルス、例えば、異なる分離株からの抗原及び/又はエピトープを含むか又はコードし得る。
【0419】
対象(例えば、免疫化のための対象)は、いくつもの線状ポリリボヌクレオチドを含む1つ以上の免疫原性組成物で免疫化される。対象は、例えば、少なくとも1つの線状ポリリボヌクレオチドを含む1つ以上の免疫原性組成物で免疫化される。非ヒト化免疫系を有する非ヒト動物は、例えば、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも20の異なる線状ポリリボヌクレオチド、又はそれ以上の異なる線状ポリリボヌクレオチドを含む1つ以上の免疫原性組成物で免疫化される。ある実施形態において、対象は、1つ以下の線状ポリリボヌクレオチドを含む1つ以上の免疫原性組成物で免疫化される。ある実施形態において、ヒト化免疫系を有する非ヒト動物は、2以下、3以下、4以下、5以下、6以下、7以下、8以下、9以下、10以下、11以下、12以下、13以下、14以下、15以下、20以下の異なる線状ポリリボヌクレオチド、又は21未満の異なる線状ポリリボヌクレオチドを含む1つ以上の免疫原性組成物で免疫化される。ある実施形態において、対象は、約1つの線状ポリリボヌクレオチドを含む1つ以上の免疫原性組成物で免疫化される。ある実施形態において、ヒト化免疫系を有する非ヒト動物は、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、又は約20の異なる線状ポリリボヌクレオチドを含む1つ以上の免疫原性組成物で免疫化される。ある実施形態において、対象は、約1~20、1~15、1~10、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、1~2、2~20、2~15、2~10、2~9、2~8、2~7、2~6、2~5、2~4、2~3、3~20、3~15、3~10、3~9、3~8、3~7、3~6、3~5、3~4、4~20、4~15、4~10、4~9、4~8、4~7、4~6、4~5、4~4、4~3、5~20、5~15、5~10、5~9、5~8、5~7、5~6、5~10、10~15、又は15~20の異なる線状ポリリボヌクレオチドを含む1つ以上の免疫原性組成物で免疫化される。異なる線状ポリリボヌクレオチドは、互いに異なる配列を有する。例えば、それらは、異なる抗原及び/又はエピトープ、重複抗原及び/又はエピトープ、類似の抗原及び/又はエピトープ、又は同じ抗原及び/又はエピトープ(例えば、同じか又は異なる調節要素、開始配列、プロモータ、終止要素、又は本開示の他の要素と共に)を含むか又はコードし得る。対象が、2つ以上の異なる線状ポリリボヌクレオチドを含む1つ以上の免疫原性組成物で免疫化される場合、2つ以上の異なる線状ポリリボヌクレオチドは、同じか又は異なる免疫原性組成物中にあり得、同時に又は異なる時点で免疫化され得る。2つ以上の異なる線状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物は、同じ解剖学的位置又は異なる解剖学的位置に投与され得る。
【0420】
2つ以上の異なる線状ポリリボヌクレオチドは、本明細書に開示される同じコロナウイルス、異なるコロナウイルス、又はコロナウイルスの異なる組合せからの抗原及び/又はエピトープを含むか又はコードし得る。2つ以上の異なる線状ポリリボヌクレオチドは、同じコロナウイルス又は異なるコロナウイルス、例えば、異なる分離株からの抗原及び/又はエピトープを含むか又はコードし得る。
【0421】
ある実施形態において、対象(例えば、免疫化のための対象)は、いくつもの環状ポリリボヌクレオチドを含む1つ以上の免疫原性組成物及び本明細書に開示されるいくつもの線状ポリリボヌクレオチドを含む1つ以上の免疫原性組成物で免疫化される。ある実施形態において、本明細書に開示される免疫原性組成物は、本明細書に開示される1つ以上の環状ポリリボヌクレオチド及び1つ以上の線状ポリリボヌクレオチドを含む。
【0422】
ある実施形態において、免疫原性組成物は、環状ポリリボヌクレオチド及び希釈剤、担体、第1の補助剤、又はそれらの組合せを含む。特定の実施形態において、免疫原性組成物は、本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチド及び担体、又は担体を含まない希釈剤を含む。ある実施形態において、担体を含まない希釈剤と共に環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物が、対象への環状ポリリボヌクレオチドのネイキッド送達に使用される。別の特定の実施形態において、免疫原性組成物は、本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチド及び第1の補助剤を含む。
【0423】
特定の実施形態において、対象(例えば、免疫化のための対象)に、第2の補助剤がさらに投与される。補助剤は、自然免疫応答を促進し、これが、ひいては、対象におけるポリクローナル抗体の産生のための適応免疫応答を促進する。補助剤は、後述される任意の補助剤であり得る。特定の実施形態において、補助剤は、免疫原性組成物の一部として環状ポリリボヌクレオチドと共に配合される。特定の実施形態において、補助剤は、環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物の一部でない。特定の実施形態において、補助剤は、環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物と別々に投与される。この態様において、補助剤は、対象に環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物と共投与されるか(例えば、同時に投与される)又は異なる時点で投与される。例えば、補助剤は、環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物の、1分、5分、10分、15分、30分、45分、60分、90分、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、若しくは24時間後、又はそれらの間の任意の分若しくは時間の後に投与される。ある実施形態において、補助剤は、環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物の、1分、5分、10分、15分、30分、45分、60分、90分、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、若しくは24時間前、又はそれらの間の任意の分若しくは時間の前に投与される。例えば、補助剤は、環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物の、1、2、3、4、5、6、7、14、21、28、35、42、49、56、63、70、77、若しくは84日後、又はそれらの間の任意の日数の後に投与される。ある実施形態において、補助剤は、環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物の、1、2、3、4、5、6、7、14、21、28、35、42、49、56、63、70、77、若しくは84日前、又はそれらの間の任意の日数の前に投与される。補助剤は、環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物と同じ解剖学的位置又は異なる解剖学的位置に投与される。
【0424】
ある実施形態において、免疫原性組成物は、線状ポリリボヌクレオチド及び希釈剤、担体、第1の補助剤、又はそれらの組合せを含む。特定の実施形態において、免疫原性組成物は、本明細書に記載される線状ポリリボヌクレオチド及び担体、又は担体を含まない希釈剤を含む。ある実施形態において、担体を含まない希釈剤と共に線状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物が、対象(例えば、免疫化のための対象)への線状ポリリボヌクレオチドのネイキッド送達に使用される。別の特定の実施形態において、免疫原性組成物は、本明細書に記載される線状ポリリボヌクレオチド及び第1の補助剤を含む。
【0425】
特定の実施形態において、対象(例えば、免疫化のための対象)に、第2の補助剤がさらに投与される。補助剤は、自然免疫応答を促進し、これが、ひいては、対象におけるポリクローナル抗体の産生のための適応免疫応答を促進する。補助剤は、後述される任意の補助剤であり得る。特定の実施形態において、補助剤は、免疫原性組成物の一部として線状ポリリボヌクレオチドと共に配合される。特定の実施形態において、補助剤は、線状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物の一部でない。特定の実施形態において、補助剤は、線状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物と別々に投与される。この態様において、補助剤は、対象に線状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物と共投与されるか(例えば、同時に投与される)又は異なる時点で投与される。例えば、補助剤は、線状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物の、1分、5分、10分、15分、30分、45分、60分、90分、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、若しくは24時間後、又はそれらの間の任意の分若しくは時間の後に投与される。ある実施形態において、補助剤は、線状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物の、1分、5分、10分、15分、30分、45分、60分、90分、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、若しくは24時間前、又はそれらの間の任意の分若しくは時間の前に投与される。例えば、補助剤は、線状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物の、1、2、3、4、5、6、7、14、21、28、35、42、49、56、63、70、77、若しくは84日後、又はそれらの間の任意の日数の後に投与される。ある実施形態において、補助剤は、線状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物の、1、2、3、4、5、6、7、14、21、28、35、42、49、56、63、70、77、若しくは84日前、又はそれらの間の任意の日数の前に投与される。補助剤は、線状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物と同じ解剖学的位置又は異なる解剖学的位置に投与される。
【0426】
ある実施形態において、対象(例えば、免疫化のための対象)は、環状ポリリボヌクレオチドでない第2の薬剤、例えば、ワクチン(後述されるような)でさらに免疫化される。ワクチンは、対象に環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物と共投与されるか(例えば、同時に投与される)又は異なる時点で投与される。例えば、ワクチンは、環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物の、1分、5分、10分、15分、30分、45分、60分、90分、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、若しくは24時間後、又はそれらの間の任意の分若しくは時間の後に投与される。ある実施形態において、ワクチンは、環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物の、1分、5分、10分、15分、30分、45分、60分、90分、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、若しくは24時間前、又はそれらの間の任意の分若しくは時間の前に投与される。例えば、ワクチンは、環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物の、1、2、3、4、5、6、7、14、21、28、35、42、49、56、63、70、77、若しくは84日後、又はそれらの間の任意の日数の後に投与される。ある実施形態において、ワクチンは、環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物の、1、2、3、4、5、6、7、14、21、28、35、42、49、56、63、70、77、若しくは84日後、又はそれらの間の任意の日数の後に投与される。
【0427】
ある実施形態において、対象(例えば、免疫化のための対象)は、線状ポリリボヌクレオチドでない第2の薬剤、例えば、ワクチン(後述されるような)でさらに免疫化される。ワクチンは、対象に線状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物と共投与されるか(例えば、同時に投与される)又は異なる時点で投与される。例えば、ワクチンは、線状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物の、1分、5分、10分、15分、30分、45分、60分、90分、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、若しくは24時間後、又はそれらの間の任意の分若しくは時間の後に投与される。ある実施形態において、ワクチンは、線状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物の、1分、5分、10分、15分、30分、45分、60分、90分、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、若しくは24時間前、又はそれらの間の任意の分若しくは時間の前に投与される。例えば、ワクチンは、線状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物の、1、2、3、4、5、6、7、14、21、28、35、42、49、56、63、70、77、若しくは84日後、又はそれらの間の任意の日数の後に投与される。ある実施形態において、ワクチンは、線状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物の、1、2、3、4、5、6、7、14、21、28、35、42、49、56、63、70、77、若しくは84日前、又はそれらの間の任意の日数の前に投与される。
【0428】
対象(例えば、免疫化のための対象)は、所望の応答を得るために、任意の好適な回数、免疫原性組成物、補助剤、ワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)、又はそれらの組合せで免疫化され得る。例えば、プライム-ブースト免疫化手法が、本開示の抗原及び/又はエピトープに結合する抗体を高濃度で含有する高度免疫血漿を生成するのに用いられ得る。対象は、本開示の免疫原性組成物、補助剤、ワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)、又はそれらの組合せで、例えば、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、又は少なくとも15回、又はそれ以上、免疫化され得る。
【0429】
ある実施形態において、対象(例えば、免疫化のための対象)は、本開示の免疫原性組成物、補助剤、ワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)、又はそれらの組合せで、2回以下、3回以下、4回以下、5回以下、6回以下、7回以下、8回以下、9回以下、10回以下、15回以下、若しくは20回以下、又はそれ以下で免疫化され得る。
【0430】
ある実施形態において、対象(例えば、免疫化のための対象)は、本開示の免疫原性組成物、補助剤、ワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)、又はそれらの組合せで、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、又は20回、免疫化され得る。
【0431】
ある実施形態において、対象(例えば、免疫化のための対象)は、本開示の免疫原性組成物、補助剤、ワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)、又はそれらの組合せで、1回免疫化され得る。ある実施形態において、対象は、本開示の免疫原性組成物、補助剤、ワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)、又はそれらの組合せで、2回免疫化され得る。ある実施形態において、対象は、本開示の免疫原性組成物、補助剤、ワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)、又はそれらの組合せで、3回免疫化され得る。ある実施形態において、対象は、本開示の免疫原性組成物、補助剤、ワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)、又はそれらの組合せで、4回免疫化され得る。ある実施形態において、対象は、本開示の免疫原性組成物、補助剤、ワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)、又はそれらの組合せで、5回免疫化され得る。ある実施形態において、対象は、本開示の免疫原性組成物、補助剤、ワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)、又はそれらの組合せで、7回免疫化され得る。
【0432】
好適な時間間隔は、2回以上の免疫化の間隔を空けるように選択され得る。時間間隔は、同じ免疫原性組成物、補助剤、又はワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)、又はそれらの組合せによる複数回の免疫化に適用され得、例えば、同じ免疫原性組成物、補助剤、又はワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)、又はそれらの組合せが、同じ免疫化経路又は異なる免疫化経路を介して、同じ量又は異なる量で投与され得る。時間間隔は、異なる薬剤、例えば、第1の環状ポリリボヌクレオチドを含む第1の免疫原性組成物及び第2の環状ポリリボヌクレオチドを含む第2の免疫原性組成物による免疫化に適用され得る。時間間隔は、第1の線状ポリリボヌクレオチドを含む第1の免疫原性組成物及び第2の線状ポリリボヌクレオチドを含む第2の免疫原性組成物に適用され得る。3回以上の免疫化を含むレジメンでは、免疫化の間の時間間隔は、同じか又は異なり得る。いくつかの例では、2回の免疫化の間に、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、16、17、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、40、48、又は72時間が経過する。ある実施形態において、2回の免疫化の間に、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、16、17、18、20、21、24、28、又は30日が経過する。ある実施形態において、2回の免疫化の間に、約1、2、3、4、5、6、7、又は8週間が経過する。ある実施形態において、2回の免疫化の間に、約1、2、3、4、5、6、7、又は8か月が経過する。
【0433】
ある実施形態において、2回の免疫化の間に、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも24、少なくとも36、若しくは少なくとも72時間、又はそれ以上が経過する。ある実施形態において、2回の免疫化の間に、1時間以下、2時間以下、3時間以下、4時間以下、5時間以下、6時間以下、7時間以下、8時間以下、9時間以下、10時間以下、15時間以下、20時間以下、24時間以下、36時間以下、若しくは72時間以下、又はそれ以下が経過する。
【0434】
ある実施形態において、2回の免疫化の間に、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、少なくとも26 少なくとも27、少なくとも28、少なくとも29、若しくは少なくとも30日、又はそれ以上が経過する。ある実施形態において、2回の免疫化の間に、2日以下、3日以下、4日以下、5日以下、6日以下、7日以下、8日以下、9日以下、10日以下、15日以下、20日以下、21日以下、22日以下、23日以下、24日以下、25日以下、26日以下、27日以下、28日以下、29日以下、30日以下、32日以下、34日以下、若しくは36日以下、又はそれ以下が経過する。
【0435】
ある実施形態において、2回の免疫化の間に、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも7週間、若しくは少なくとも8週間、又はそれ以上が経過する。ある実施形態において、2回の免疫化の間に、2週間以下、3週間以下、4週間以下、5週間以下、6週間以下、7週間以下、8週間以下、又はそれ以下が経過する。
【0436】
ある実施形態において、2回の免疫化の間に、少なくとも1か月、少なくとも2か月、少なくとも3か月、少なくとも4か月、少なくとも5か月、少なくとも6か月、少なくとも7か月、若しくは少なくとも8か月、又はそれ以上が経過する。ある実施形態において、2回の免疫化の間に、2か月以下、3か月以下、4か月以下、5か月以下、6か月以下、7か月以下、8か月以下、又はそれ以下が経過する。
【0437】
ある実施形態において、ヒト化免疫系を有する非ヒト動物は、3~4週間の間隔で3回、免疫化される。
【0438】
ある実施形態において、本方法は、免疫原性応答を改善するための薬剤を、非ヒト動物(例えば、ヒト化免疫系を有する非ヒト動物)又はヒト対象(例えば、免疫化のための非ヒト動物又はヒト対象)に前投与することをさらに含む。ある実施形態において、薬剤は、本明細書に開示される抗原(例えば、タンパク質抗原)である。例えば、本方法は、タンパク質抗原をコードする配列を含む環状ポリリボヌクレオチドの投与の1~7日前に、タンパク質抗原を投与することを含む。ある実施形態において、タンパク質抗原は、タンパク質抗原をコードする配列を含む環状ポリリボヌクレオチドの投与の1、2、3、4、5、6、又は7日前に投与される。例えば、本方法は、タンパク質抗原をコードする配列を含む線状ポリリボヌクレオチドの投与の1~7日前にタンパク質抗原を投与することを含む。ある実施形態において、タンパク質抗原は、タンパク質抗原をコードする配列を含む線状ポリリボヌクレオチドの投与の1、2、3、4、5、6、又は7日前に投与される。タンパク質抗原は、タンパク質製剤として投与され得るか、プラスミド(pDNA)においてコードされ得るか、ウイルス様粒子(VLP)において提示され得るか、脂質ナノ粒子中で製剤化され得るかなどである。
【0439】
対象(例えば、免疫化のための対象)は、任意の好適な数の解剖学的部位で、免疫原性組成物、補助剤、又はワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)、又はそれらの組合せで免疫化され得る。同じ免疫原性組成物、補助剤、ワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)、又はそれらの組合せが、複数の解剖学的部位に投与され得、同じか又は異なる環状ポリリボヌクレオチド、補助剤、ワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)又はそれらの組合せを含む異なる免疫原性組成物が、異なる解剖学的部位に投与され得、同じか又は異なる環状ポリリボヌクレオチド、補助剤、ワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)又はそれらの組合せを含む異なる免疫原性組成物が、同じ解剖学的部位に投与され得、又はそれらの任意の組合せである。例えば、環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物が、2つの異なる解剖学的部位に投与され得、及び/又は環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物が、1つの解剖学的部位に投与され得、補助剤が、異なる解剖学的部位に投与され得る。同じ免疫原性組成物、補助剤、ワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)、又はそれらの組合せが、複数の解剖学的部位に投与され得、同じか又は異なる線状ポリリボヌクレオチド、補助剤、ワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)又はそれらの組合せを含む異なる免疫原性組成物が、異なる解剖学的部位に投与され得、同じか又は異なる線状ポリリボヌクレオチド、補助剤、ワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)又はそれらの組合せを含む異なる免疫原性組成物が、同じ解剖学的部位に投与され得、又はそれらの任意の組合せである。例えば、線状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物が、2つの異なる解剖学的部位に投与され得、及び/又は線状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物が、1つの解剖学的部位に投与され得、補助剤が、異なる解剖学的部位に投与され得る。
【0440】
いずれか2つ以上の解剖学的経路における免疫化は、免疫化の同じ経路(例えば、筋肉内)を介するか又は免疫化の2つ以上の経路によるものであり得る。ある実施形態において、本開示の環状ポリリボヌクレオチド、補助剤、若しくはワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)、又はそれらの組合せを含む免疫原性組成物が、対象(例えば、免疫化のための対象)の少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は少なくとも6つの解剖学的部位に接種される。ある実施形態において、本開示の環状ポリリボヌクレオチド、補助剤、若しくはワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)、又はそれらの組合せを含む免疫原性組成物が、対象の2つ以下、3つ以下、4つ以下、5つ以下、6つ以下、7つ以下、8つ以下、9つ以下、若しくは10個以下、又はそれ以下の解剖学的部位に接種される。ある実施形態において、本開示の環状ポリリボヌクレオチド又は補助剤を含む免疫原性組成物が、対象の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個の解剖学的部位に接種される。ある実施形態において、本開示の線状ポリリボヌクレオチド、補助剤、若しくはワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)、又はそれらの組合せを含む免疫原性組成物が、対象の少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は少なくとも6つの解剖学的部位に接種される。ある実施形態において、本開示の線状ポリリボヌクレオチド、補助剤、若しくはワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)、又はそれらの組合せを含む免疫原性組成物が、対象の2つ以下、3つ以下、4つ以下、5つ以下、6つ以下、7つ以下、8つ以下、9つ以下、若しくは10個以下、又はそれ以下の解剖学的部位に接種される。ある実施形態において、本開示の線状ポリリボヌクレオチド又は補助剤を含む免疫原性組成物が、対象の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個の解剖学的部位に接種される。
【0441】
免疫化は、任意の好適な経路によるものであり得る。免疫化経路の非限定的な例としては、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、関節包内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、気管内、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、硬膜外、胸骨内、脳内、眼内、病巣内、脳室内、嚢内、又は実質内、例えば、注射及び注入が挙げられる。ある場合には、免疫化は、吸入によるものであり得る。2つ以上の免疫化は、同じ経路又は異なる経路によって行われ得る。
【0442】
任意の好適な量の環状ポリリボヌクレオチドが、本開示の対象(例えば、免疫化のための対象)に投与され得る。例えば、対象は、少なくとも約1ng、少なくとも約10ng、少なくとも約100ng、少なくとも約1μg、少なくとも約10μg、少なくとも約100μg、少なくとも約1mg、少なくとも約10mg、少なくとも約100mg、又は少なくとも約1gの環状ポリリボヌクレオチドで免疫化され得る。ある実施形態において、対象は、約1ng以下、約10ng以下、約100ng以下、約1μg以下、約10μg以下、約100μg以下、約1mg以下、約10mg以下、約100mg以下、又は約1g以下の環状ポリリボヌクレオチドで免疫化され得る。ある実施形態において、対象は、約1ng、約10ng、約100ng、約1μg、約10μg、約100μg、約1mg、約10mg、約100mg、又は約1gの環状ポリリボヌクレオチドで免疫化され得る。
【0443】
任意の好適な量の線状ポリリボヌクレオチドが、本開示の対象(例えば、免疫化のための対象)に投与され得る。例えば、対象は、少なくとも約1ng、少なくとも約10ng、少なくとも約100ng、少なくとも約1μg、少なくとも約10μg、少なくとも約100μg、少なくとも約1mg、少なくとも約10mg、少なくとも約100mg、又は少なくとも約1gの線状ポリリボヌクレオチドで免疫化され得る。ある実施形態において、対象は、約1ng以下、約10ng以下、約100ng以下、約1μg以下、約10μg以下、約100μg以下、約1mg以下、約10mg以下、約100mg以下、又は約1g以下の線状ポリリボヌクレオチドで免疫化され得る。ある実施形態において、対象は、約1ng、約10ng、約100ng、約1μg、約10μg、約100μg、約1mg、約10mg、約100mg、又は約1gの線状ポリリボヌクレオチドで免疫化され得る。
【0444】
ある実施形態において、本方法は、抗原に対する抗体応答について非ヒト動物又はヒト対象(例えば、免疫化のための対象)を評価することをさらに含む。ある実施形態において、評価することは、コロナウイルス抗原をコードする配列を含む環状ポリリボヌクレオチドの投与の前及び/又は後である。ある実施形態において、評価することは、コロナウイルス抗原をコードする配列を含む線状ポリリボヌクレオチドの投与の前及び/又は後である。
【0445】
希釈剤
ある実施形態において、本発明の免疫原性組成物は、環状ポリリボヌクレオチド及び希釈剤を含む。ある実施形態において、本発明の免疫原性組成物は、線状ポリリボヌクレオチド及び希釈剤を含む。
【0446】
希釈剤は、非担体賦形剤であり得る。非担体賦形剤は、本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチドなどの、組成物のためのビヒクル又は媒体として働く。非担体賦形剤は、本明細書に記載される線状ポリリボヌクレオチドなどの、組成物のためのビヒクル又は媒体として働く。非担体賦形剤の非限定的な例としては、溶媒、水性溶媒、非水性溶媒、分散媒、希釈剤、分散体、懸濁助剤、表面活性剤、等張剤、増粘剤、乳化剤、保存料、ポリマー、ペプチド、タンパク質、細胞、ヒアルロニダーゼ、分散剤、造粒剤、崩壊剤、結合剤、緩衝剤(例えば、リン酸緩衝生理食塩水(PBS))、滑沢剤、油、及びそれらの混合物が挙げられる。非担体賦形剤は、米国食品医薬品局(United States Food and Drug Administration)(FDA)によって承認され、細胞透過効果を示さないInactive Ingredient Databaseに列挙された非有効成分のいずれかであり得る。非担体賦形剤は、例えば、獣医学的使用に好適な非ヒト動物への投与に好適な任意の不活性成分であり得る。組成物を様々な動物への投与に好適にするための、ヒトへの投与に好適な組成物の変更は、十分に理解されており、通常の技能を有する獣医薬理学者は、あったとしても通常の実験のみでこのような変更を設計及び/又は行うことができる。
【0447】
ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、希釈剤を含むものなどのネイキッド送達製剤として送達され得る。ネイキッド送達製剤は、担体を用いずに、修飾又は環状ポリリボヌクレオチドの部分的若しくは完全な封入、キャップされたポリリボヌクレオチド、又はその複合体なしで、環状ポリリボヌクレオチドを細胞に送達する。
【0448】
ネイキッド送達製剤は、担体を含まない製剤であり、ここで、環状ポリリボヌクレオチドは、細胞への送達を助ける部分に結合する共有結合修飾を有さず、又は環状ポリリボヌクレオチドの部分的若しくは完全な封入なしである。ある実施形態において、細胞への送達を助ける部分に結合する共有結合修飾を有さない環状ポリリボヌクレオチドは、タンパク質、小分子、粒子、ポリマー、又はバイオポリマーに共有結合されないポリリボヌクレオチドである。細胞への送達を助ける部分に結合する共有結合修飾を有さない環状ポリリボヌクレオチドは、修飾リン酸基を含まない。例えば、細胞への送達を助ける部分に結合する共有結合修飾を有さない環状ポリリボヌクレオチドは、ホスホロチオエート、ホスホロセレネート、ボラノホスフェート、ボラノリン酸エステル、水素ホスホネート、ホスホロアミダート、ホスホロジアミダート、アルキル又はアリールホスホネート、又はホスホトリエステルを含まない。
【0449】
ある実施形態において、線状ポリリボヌクレオチドは、希釈剤を含むものなどのネイキッド送達製剤として送達され得る。ネイキッド送達製剤は、担体を用いずに、修飾又は線状ポリリボヌクレオチドの部分的若しくは完全な封入、キャップされたポリリボヌクレオチド、又はその複合体なしで、線状ポリリボヌクレオチドを細胞に送達する。
【0450】
ネイキッド送達製剤は、担体を含まない製剤であり、ここで、線状ポリリボヌクレオチドは、細胞への送達を助ける部分に結合する共有結合修飾を有さず、又は線状ポリリボヌクレオチドの部分的若しくは完全な封入なしである。ある実施形態において、細胞への送達を助ける部分に結合する共有結合修飾を有さない線状ポリリボヌクレオチドは、タンパク質、小分子、粒子、ポリマー、又はバイオポリマーに共有結合されないポリリボヌクレオチドである。細胞への送達を助ける部分に結合する共有結合修飾を有さない線状ポリリボヌクレオチドは、修飾リン酸基を含まない。例えば、細胞への送達を助ける部分に結合する共共有結合修飾を有さない線状ポリリボヌクレオチドは、ホスホロチオエート、ホスホロセレネート、ボラノホスフェート、ボラノリン酸エステル、水素ホスホネート、ホスホロアミダート、ホスホロジアミダート、アルキル又はアリールホスホネート、又はホスホトリエステルを含まない。
【0451】
ある実施形態において、ネイキッド送達製剤は、トランスフェクション試薬、カチオン性担体、炭水化物担体、ナノ粒子担体、又はタンパク質担体のうちのいずれか又は全てを含まない。ある実施形態において、ネイキッド送達製剤は、フィトグリコーゲンオクテニルスクシネート、フィトグリコーゲンβ-デキストリン、無水物修飾フィトグリコーゲンβ-デキストリン、リポフェクタミン、ポリエチレンイミン、ポリ(トリメチレンイミン)、ポリ(テトラメチレンイミン)、ポリプロピレンイミン、アミノグリコシド-ポリアミン、ジデオキシ-ジアミノ-β-シクロデキストリン、スペルミン、スペルミジン、ポリ(2-ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、ポリ(リジン)、ポリ(ヒスチジン)、ポリ(アルギニン)、カチオン化ゼラチン、デンドリマー、キトサン、1,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(DOTAP)、N-[1-(2,3-ジオレオイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)、1-[2-(オレオイルオキシ)エチル]-2-オレイル-3-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリニウムクロリド(DOTIM)、2,3-ジオレイルオキシ-N-[2(スペルミンカルボキサミド)エチル]-N,N-ジメチル-1-プロパンアミニウムトリフルオロアセテート(DOSPA)、3B-[N-(N,N’-ジメチルアミノエタン)-カルバモイル]コレステロール塩酸塩(DC-コレステロールHCl)、ジヘプタデシルアミドグリシルスペルミジン(DOGS)、N,N-ジステアリル-N,N-ジメチルアンモニウムブロミド(DDAB)、N-(1,2-ジミリスチルオキシプロパ-3-イル)-N,N-ジメチル-N-ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DMRIE)、N,N-ジオレイル-N,N-ジメチルアンモニウムクロリド(DODAC)、ヒト血清アルブミン(HSA)、低比重リポタンパク質(LDL)、高比重リポタンパク質(HDL)、又はグロブリンを含まない。
【0452】
ある実施形態において、ネイキッド送達製剤は、非担体賦形剤を含む。ある実施形態において、非担体賦形剤は、細胞浸透効果を示さない不活性成分を含む。ある実施形態において、非担体賦形剤は、緩衝液、例えばPBSを含む。ある実施形態において、非担体賦形剤は、溶媒、非水性溶媒、希釈剤、懸濁助剤、表面活性剤、等張剤、増粘剤、乳化剤、保存料、ポリマー、ペプチド、タンパク質、細胞、ヒアルロニダーゼ、分散剤、造粒剤、崩壊剤、結合剤、緩衝剤、滑沢剤、又は油である。
【0453】
ある実施形態において、ネイキッド送達製剤は、希釈剤を含む。希釈剤は、液体希釈剤又は固体希釈剤であり得る。ある実施形態において、希釈剤は、RNA可溶化剤、緩衝液、又は等張剤である。RNA可溶化剤の例としては、水、エタノール、メタノール、アセトン、ホルムアミド、及び2-プロパノールが挙げられる。緩衝液の例としては、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、ビス-トリス、2-[(2-アミノ-2-オキソエチル)-(カルボキシメチル)アミノ]酢酸(ADA)、N-(2-アセトアミド)-2-アミノエタンスルホン酸(ACES)、ピペラジン-N,N’-ビス(2-エタンスルホン酸)(PIPES)、2-[[1,3-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-2-イル]アミノ]エタンスルホン酸(TES)、3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)、トリス、トリシン、Gly-Gly、ビシン、又はホスフェートが挙げられる。等張剤の例としては、グリセリン、マンニトール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、トレハロース、又はスクロースが挙げられる。
【0454】
担体
ある実施形態において、本発明の免疫原性組成物は、環状ポリリボヌクレオチド及び担体を含む。ある実施形態において、本発明の免疫原性組成物は、線状ポリリボヌクレオチド及び担体を含む。
【0455】
特定の実施形態において、免疫原性組成物は、小胞又は他の膜ベースの担体中に本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチドを含む。特定の実施形態において、免疫原性組成物は、小胞又は他の膜ベースの担体中に本明細書に記載される線状ポリリボヌクレオチドを含む。
【0456】
他の実施形態において、免疫原性組成物は、細胞、小胞若しくは他の膜ベースの担体中に又はそれらを介して環状ポリリボヌクレオチドを含む。他の実施形態において、免疫原性組成物は、細胞、小胞若しくは他の膜ベースの担体中に又はそれらを介して線状ポリリボヌクレオチドを含む。一実施形態において、免疫原性組成物は、リポソーム又は他の同様の小胞中に環状ポリリボヌクレオチドを含む。一実施形態において、免疫原性組成物は、リポソーム又は他の同様の小胞中に線状ポリリボヌクレオチドを含む。リポソームは、内部の水性区画を取り囲む単層又は多重膜脂質二重層及び比較的不透過性の外側の親油性リン脂質二重層から構成される球形の小胞構造である。リポソームは、アニオン性、中性又はカチオン性であり得る。リポソームは、生体適合性であり、非毒性であり、親水性及び親油性の両方の薬物分子を送達することができ、そのカーゴを血漿酵素による分解から保護し、生体膜及び血液脳関門(BBB)を越えてそのロードを輸送する(例えば、概説については、Spuch and Navarro,Journal of Drug Delivery,vol.2011,Article ID 469679,12 pages,2011.doi:10.1155/2011/469679を参照されたい)。
【0457】
小胞は、いくつかの異なるタイプの脂質から作製され得るが;リン脂質が、薬物担体としてリポソームを生成するために、最も一般的に使用される。多重膜小胞脂質の調製のための方法が、当該技術分野において公知である(例えば、多重膜小胞脂質調製に関連するその教示内容が参照により本明細書に援用される、米国特許第6,693,086号明細書を参照されたい)。脂質膜が水溶液と混合されるとき、小胞形成が自然に起こり得るが、それはまた、ホモジナイザー、ソニケーター、又は押し出し装置を用いることによって、振とうの形態の力を加えることによって促進され得る(例えば、概説については、Spuch and Navarro,Journal of Drug Delivery,vol.2011,Article ID 469679,12 pages,2011.doi:10.1155/2011/469679を参照されたい)。押し出された脂質は、押し出された脂質の調製に関するその教示内容が参照により本明細書に援用される、Templeton et al.,Nature Biotech,15:647-652,1997に記載されるように、減少したサイズのフィルタに通して押し出すことによって調製され得る。
【0458】
特定の実施形態において、本発明の免疫原性組成物は、本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチド及び脂質ナノ粒子、例えば、脂質ナノ粒子製剤を含む。特定の実施形態において、本発明の免疫原性組成物は、線状ポリリボヌクレオチド及び脂質ナノ粒子を含む。脂質ナノ粒子は、本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチド分子のための生体適合性及び生分解性送達システムを提供する担体の別の例である。脂質ナノ粒子は、本明細書に記載される線状ポリリボヌクレオチド分子のための生体適合性及び生分解性送達システムを提供する担体の別の例である。ナノ構造脂質担体(NLC)は、SLNの特性を保持し、薬物安定性及び負荷容量を改善し、薬物漏出を防止する、修飾された固体脂質ナノ粒子(SLN)である。ポリマーナノ粒子(PNP)は、薬物送達の重要な構成要素である。これらのナノ粒子は、薬物送達を、特定の標的に有効に指向し、薬物安定性及び制御薬物放出を改善し得る。リポソーム及びポリマーを組み合わせる新しいタイプの担体である脂質-ポリマーナノ粒子(PLN)も、用いられ得る。これらのナノ粒子は、PNP及びリポソームの補完的な利点を有する。PLNは、コア-シェル構造から構成され;ポリマーコアは、安定した構造を提供し、リン脂質シェルは、良好な生体適合性を提供する。したがって、2つの構成要素が、薬物封入効率を増加させ、表面修飾を促進し、水溶性薬物の漏出を防止する。概説については、例えば、Li et al.2017,Nanomaterials 7,122;doi:10.3390/nano7060122を参照されたい。
【0459】
担体のさらなる非限定的な例としては、炭水化物担体(例えば、無水物修飾フィトグリコーゲン若しくはグリコーゲン型材料)、タンパク質担体(例えば、環状ポリリボヌクレオチドに共有結合されたタンパク質又は線状ポリリボヌクレオチドに共有結合されたタンパク質)、又はカチオン性担体(例えば、カチオン性リポポリマー又はトランスフェクション試薬)が挙げられる。炭水化物担体の非限定的な例としては、フィトグリコーゲンオクテニルスクシネート、フィトグリコーゲンβ-デキストリン、及び無水物修飾フィトグリコーゲンβ-デキストリンが挙げられる。カチオン性担体の非限定的な例としては、リポフェクタミン、ポリエチレンイミン、ポリ(トリメチレンイミン)、ポリ(テトラメチレンイミン)、ポリプロピレンイミン、アミノグリコシド-ポリアミン、ジデオキシ-ジアミノ-b-シクロデキストリン、スペルミン、スペルミジン、ポリ(2-ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、ポリ(リジン)、ポリ(ヒスチジン)、ポリ(アルギニン)、カチオン化ゼラチン、デンドリマー、キトサン、l,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(DOTAP)、N-[1-(2,3-ジオレオイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)、l-[2-(オレオイルオキシ)エチル]-2-オレイル-3-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリニウムクロリド(DOTIM)、2,3-ジオレイルオキシ-N-[2(スペルミンカルボキサミド)エチル]-N,N-ジメチル-l-プロパンアミニウムトリフルオロアセテート(DOSPA)、3B-[N-(N\N’-ジメチルアミノエタン)-カルバモイル]コレステロール塩酸塩(DC-コレステロールHC1)、ジヘプタデシルアミドグリシルスペルミジン(DOGS)、N,N-ジステアリル-N,N-ジメチルアンモニウムブロミド(DDAB)、N-(l,2-ジミリスチルオキシプロパ-3-イル)-N,N-ジメチル-N-ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DMRIE)、及びN,N-ジオレイル-N,N-ジメチルアンモニウムクロリド(DODAC)が挙げられる。タンパク質担体の非限定的な例としては、ヒト血清アルブミン(HSA)、低比重リポタンパク(LDL)、高密度リポタンパク質(HDL)、又はグロブリンが挙げられる。
【0460】
エキソソームはまた、本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチド分子のための担体又は薬物送達ビヒクルとして使用され得る。エキソソームはまた、本明細書に記載される線状ポリリボヌクレオチド分子のための担体又は薬物送達ビヒクルとして使用され得る。概説については、Ha et al.July 2016.Acta Pharmaceutica Sinica B.Volume 6,Issue 4、Pages 287-296;https://doi.org/10.1016/j.apsb.2016.02.001を参照されたい。
【0461】
エクスビボ分化された赤血球も、本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチド分子のための担体として使用され得る。エクスビボ分化された赤血球も、本明細書に記載される線状ポリリボヌクレオチド分子のための担体として使用され得る。例えば、国際公開第2015073587号パンフレット;国際公開第2017123646号パンフレット;国際公開第2017123644号パンフレット;国際公開第2018102740号パンフレット;国際公開第2016183482号パンフレット;国際公開第2015153102号パンフレット;国際公開第2018151829号パンフレット;国際公開第2018009838号パンフレット;Shi et al.2014.Proc Natl Acad Sci USA.111(28):10131-10136;米国特許第9,644,180号明細書;Huang et al.2017.Nature Communications 8:423;Shi et al.2014.Proc Natl Acad Sci USA.111(28):10131-10136を参照されたい。
【0462】
例えば、国際公開第2018208728号パンフレットに記載されるようなフソソーム組成物も、本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチド分子を送達するための担体として使用され得る。例えば、国際公開第2018208728号パンフレットに記載されるようなフソソーム組成物も、本明細書に記載される線状ポリリボヌクレオチド分子を送達するための担体として使用され得る。
【0463】
ビロソーム及びウイルス様粒子(VLP)も、本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチド分子を標的細胞に送達するための担体として使用され得る。ビロソーム及びウイルス様粒子(VLP)も、本明細書に記載される線状ポリリボヌクレオチド分子を標的細胞に送達するための担体として使用され得る。
【0464】
例えば、国際特許公開番号国際公開第2011097480号パンフレット、国際公開第2013070324号パンフレット、国際公開第2017004526号パンフレット、又は国際公開第2020041784号パンフレットに記載されるような植物ナノ小胞及び植物メッセンジャーパック(PMP)も、本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチドを送達するための担体として使用され得る。植物ナノ小胞及び植物メッセンジャーパック(PMP)も、本明細書に記載される線状ポリリボヌクレオチド分子を送達するための担体として使用され得る。
【0465】
マイクロバブルも、本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチド分子を送達するための担体として使用され得る。マイクロバブルも、本明細書に記載される線状ポリリボヌクレオチドを送達するための担体として使用され得る。例えば、米国特許第7115583号明細書;Beeri,R.et al.,Circulation.2002 Oct 1;106(14):1756-1759;Bez,M.et al.,Nat Protoc.2019 Apr;14(4):1015-1026;Hernot,S.et al.,Adv Drug Deliv Rev.2008 Jun 30;60(10):1153-1166;Rychak,J.J.et al.,Adv Drug Deliv Rev.2014 Jun;72:82-93を参照されたい。ある実施形態において、マイクロバブルは、アルブミン被覆されたペルフルオロカーボンマイクロバブルである。
【0466】
脂質ナノ粒子
本発明によって提供される組成物、方法、及び送達システムは、特定の実施形態において、脂質ナノ粒子(LNP)を含む任意の好適な担体又は送達モダリティを用い得る。脂質ナノ粒子は、ある実施形態において、1つ以上のイオン性脂質、例えば、非カチオン性脂質(例えば、中性又はアニオン性、又は両性脂質);1つ以上のコンジュゲート脂質(PEGコンジュゲート脂質又は全体が参照により本明細書に援用される国際公開第2019217941号パンフレットの表5に記載されるポリマーにコンジュゲートされた脂質など);1つ以上のステロール(例えば、コレステロール)を含む。
【0467】
ナノ粒子形成において使用され得る脂質(例えば、脂質ナノ粒子)は、例えば、参照により援用される国際公開第2019217941号パンフレットの表4に記載されるものを含み-例えば、脂質含有ナノ粒子は、国際公開第2019217941号パンフレットの表4中の脂質の1つ以上を含み得る。脂質ナノ粒子は、さらなる要素、例えば、ポリマー、例えば、参照により援用される国際公開第2019217941号パンフレットの表5に記載されるポリマーを含み得る。
【0468】
ある実施形態において、コンジュゲート脂質は、存在する場合、PEG-ジアシルグリセロール(DAG)(l-(モノメトキシ-ポリエチレングリコール)-2,3-ジミリストイルグリセロール(PEG-DMG)など)、PEG-ジアルキルオキシプロピル(DAA)、PEG-リン脂質、PEG-セラミド(Cer)、ペグ化ホスファチジルエタノールアミン(PEG-PE)、PEGスクシネートジアシルグリセロール(PEGS-DAG)(4-0-(2’,3’-ジ(テトラデカノイルオキシ)プロピル-l-0-(w-メトキシ(ポリエトキシ)エチル)ブタンジオエート(PEG-S-DMG)など)、PEGジアルコキシプロピルカルバム、N-(カルボニル-メトキシポリエチレングリコール2000)-1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミンナトリウム塩、及び国際公開第2019051289号パンフレット(参照により援用される)の表2に記載されるもの、並びに上記のものの組合せのうちの1つ以上を含み得る。
【0469】
ある実施形態において、脂質ナノ粒子に組み込まれ得るステロールとしては、参照により援用される国際公開第2009/127060号パンフレット又は米国特許出願公開第2010/0130588号明細書に記載されるものなどの、コレステロール又はコレステロール誘導体の1つ以上が挙げられる。さらなる例示的なステロールとしては、参照により本明細書に援用される、Eygeris et al.(2020)、dx.doi.org/10.1021/acs.nanolett.0c01386に記載されるものを含む植物ステロールが挙げられる。
【0470】
ある実施形態において、脂質粒子は、イオン化可能な脂質、非カチオン性脂質、粒子の凝集を阻害するコンジュゲート脂質、及びステロールを含む。これらの構成要素の量は、独立して、所望の特性を達成するために変化され得る。例えば、ある実施形態において、脂質ナノ粒子は、総脂質の約20mol%~約90mol%の量のイオン化可能な脂質(他の実施形態において、それは、脂質ナノ粒子中に存在する総脂質の20~70%(mol)、30~60%(mol)又は40~50%(mol);約50mol%~約90mol%であり得る)、総脂質の約5mol%~約30mol%の量の非カチオン性脂質、総脂質の約0.5mol%~約20mol%の量のコンジュゲート脂質、及び総脂質の約20mol%~約50mol%の量のステロールを含む。総脂質対核酸の比率は、必要に応じて変化され得る。例えば、総脂質対核酸(質量又は重量)比は、約10:1~約30:1であり得る。
【0471】
ある実施形態において、脂質対核酸比(質量/質量比;w/w比)は、約1:1~約25:1、約10:1~約14:1、約3:1~約15:1、約4:1~約10:1、約5:1~約9:1、又は約6:1~約9:1の範囲であり得る。脂質及び核酸の量は、所望のN/P比、例えば、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれ以上のN/P比を得るために調整され得る。一般に、脂質ナノ粒子製剤の全脂質含量は、約5mg/ml~約30mg/mLの範囲であり得る。
【0472】
本明細書に記載される組成物、例えば、本明細書に記載される核酸(例えば、RNA(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド))の送達のための脂質ナノ粒子を形成するために(例えば、他の脂質成分と組み合わせて)使用され得る脂質化合物のいくつかの非限定的な例としては、以下のものが挙げられる。
【0473】
【化2】
ある実施形態において、式(i)を含むLNPが、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)組成物を、細胞に送達するのに使用される。
【0474】
【化3】
ある実施形態において、式(ii)を含むLNPが、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)組成物を、細胞に送達するのに使用される。
【0475】
【化4】
ある実施形態において、式(iii)を含むLNPが、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)組成物を、細胞に送達するのに使用される。
【0476】
【化5】
ある実施形態において、式(v)を含むLNPが、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)組成物を、細胞に送達するのに使用される。
【0477】
【化6】
ある実施形態において、式(vi)を含むLNPが、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)組成物を、細胞に送達するのに使用される。
【0478】
【化7】
ある実施形態において、式(viii)を含むLNPが、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)組成物を、細胞に送達するのに使用される。
【0479】
【化8】
ある実施形態において、式(ix)を含むLNPが、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)組成物を、細胞に送達するのに使用される。
【化9】
式中、
が、O、NR、又は直接結合であり、Xが、C2~5アルキレンであり、Xが、C(=O)又は直接結合であり、Rが、H又はMeであり、Rが、C1~3アルキルであり、Rが、C1~3アルキルであり、又はRが、それが結合される窒素原子及びXの1~3個の炭素原子と一緒になって、4員、5員、若しくは6員環を形成し、又はXが、NRであり、R及びRが、それらが結合される窒素原子と一緒になって、5員若しくは6員環を形成し、又はRが、R及びそれらが結合される窒素原子と一緒になって、5員、6員、若しくは7員環を形成し、Yが、C2~12アルキレンであり、Yが、
【化10】
から選択され、
nが、0~3であり、Rが、C1~15アルキルであり、Zが、C1~6アルキレン又は直接結合であり、

【化11】
であるか又は非存在であり、ただし、Zが直接結合であり、Zが非存在である場合;
が、C5~9アルキル又はC6~10アルコキシであり、Rが、C5~9アルキル又はC6~10アルコキシであり、Wが、メチレン又は直接結合であり、Rが、H又はMe、又はその塩であり、ただし、R及びRが、C2アルキルであり、Xが、Oであり、Xが、直鎖状C3アルキレンであり、Xが、C(=0)であり、Yが、直鎖状Ceアルキレンであり、(Y)n-Rが、
【化12】
であり、Rが、直鎖状C5アルキルであり、Zが、C2アルキレンであり、Zが、非存在であり、Wが、メチレンであり、Rが、Hである場合、R及びRが、Cxアルコキシでない。
【0480】
ある実施形態において、式(xii)を含むLNPが、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)組成物を、細胞に送達するのに使用される。
【0481】
【化13】
ある実施形態において、式(xi)を含むLNPが、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)組成物を、細胞に送達するのに使用される。
【0482】
【化14】
ある実施形態において、LNPは、式(xiii)の化合物及び式(xiv)の化合物を含む。
【0483】
【化15】
ある実施形態において、式(xv)を含むLNPが、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)組成物を、細胞に送達するのに使用される。
【0484】
【化16】
ある実施形態において、式(xvi)の製剤を含むLNPが、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)組成物を、細胞に送達するのに使用される。
【化17】
【0485】
ある実施形態において、本明細書に記載される組成物、例えば、本明細書に記載される核酸(例えば、RNA(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド))の送達のための脂質ナノ粒子を形成するのに使用される脂質化合物は、以下の反応のうちの1つによって作製される:
【化18】
【0486】
ある実施形態において、本明細書に記載される組成物(例えば、核酸又はタンパク質)は、イオン化可能な脂質を含むLNP中で提供される。ある実施形態において、イオン化可能な脂質は、例えば、米国特許第9,867,888号明細書(全体が参照により本明細書に援用される)の実施例1に記載されるようなヘプタデカン-9-イル8-((2-ヒドロキシエチル)(6-オキソ-6-(ウンデシルオキシ)ヘキシル)アミノ)オクタノエート(SM-102)である。ある実施形態において、イオン化可能な脂質は、例えば、国際公開第2015/095340号パンフレット(全体が参照により本明細書に援用される)の実施例13において合成されるような9Z,12Z)-3-((4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノイル)オキシ)-2-((((3-(ジエチルアミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)メチル)プロピルオクタデカ-9,12-ジエノエート(LP01)である。ある実施形態において、イオン化可能な脂質は、例えば、米国特許出願公開第2012/0027803号明細書(全体が参照により本明細書に援用される)実施例7、8、又は9において合成されるようなジ((Z)-ノナ-2-エン-1-イル)9-((4-ジメチルアミノ)ブタノイル)オキシ)ヘプタデカンジオエート(L319)である。ある実施形態において、イオン化可能な脂質は、例えば、国際公開第2010/053572号パンフレット(全体が参照により本明細書に援用される)の実施例14及び16において合成されるような1,1’-((2-(4-(2-((2-(ビス(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)ピペラジン-1-イル)エチル)アザンジイル)ビス(ドデカン-2-オール)(C12-200)である。ある実施形態において、イオン化可能な脂質は、イミダゾールコレステロールエステル(ICE)脂質(3S、10R、13R、17R)-10、13-ジメチル-17-((R)-6-メチルヘプタン-2-イル)-2、3、14、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17-テトラデカヒドロ-lH-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル3-(1H-イミダゾール-4-イル)プロパノエート、例えば、国際公開第2020/106946号パンフレット(全体が参照により本明細書に援用される)からの構造(I)である。
【0487】
ある実施形態において、イオン化可能な脂質は、カチオン性脂質、イオン化可能なカチオン性脂質、例えば、pHに応じて正荷電若しくは中性形態で存在し得るカチオン性脂質、又は容易にプロトン化され得るアミン含有脂質であり得る。ある実施形態において、カチオン性脂質は、例えば、生理的条件下で、正に荷電することが可能である脂質である。例示的なカチオン性脂質としては、正電荷を有する1つ以上のアミン基を含む。ある実施形態において、脂質粒子は、中性脂質、イオン化可能なアミン含有脂質、生分解性アルキン脂質、ステロイド、多価不飽和脂質を含むリン脂質、構造脂質(例えば、ステロール)、PEG、コレステロール及びポリマーコンジュゲート脂質のうちの1つ以上との配合物中のカチオン性脂質を含む。ある実施形態において、カチオン性脂質は、イオン化可能なカチオン性脂質であり得る。本明細書に開示される例示的なカチオン性脂質は、6.0を超える有効pKaを有し得る。実施形態において、脂質ナノ粒子は、第1のカチオン性脂質と異なる有効pKa(例えば、第1の有効pKaより高い)を有する第2のカチオン性脂質を含み得る。脂質ナノ粒子は、40~60molパーセントのカチオン性脂質、中性脂質、ステロイド、ポリマーコンジュゲート脂質、及び治療剤、例えば、脂質ナノ粒子内に封入されるか又はそれと結合された本明細書に記載される核酸(例えば、RNA(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド))を含み得る。ある実施形態において、核酸は、カチオン性脂質と同時に配合される。核酸は、LNP、例えば、カチオン性脂質を含むLNPの表面に吸着され得る。ある実施形態において、核酸は、LNP、例えば、カチオン性脂質を含むLNP内に封入され得る。ある実施形態において、脂質ナノ粒子は、例えば、標的化剤で被覆された標的部分を含み得る。実施形態において、LNP製剤は、生分解性である。ある実施形態において、本明細書に記載される1つ以上の脂質、例えば、式(i)、(ii)、(ii)、(vii)及び/又は(ix)を含む脂質ナノ粒子は、少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%又は100%のRNA分子を封入する。
【0488】
脂質ナノ粒子製剤に使用され得る例示的なイオン化可能な脂質としては、限定はされないが、参照により本明細書に援用される国際公開第2019051289号パンフレットの表1に列挙されるものが挙げられる。さらなる例示的な脂質としては、限定はされないが、以下の式の1つ以上:米国特許出願公開第2016/0311759号明細書のX;米国特許出願公開第20150376115号明細書又は米国特許出願公開第2016/0376224号明細書のI;米国特許出願公開第20160151284号明細書のI、II又はIII;米国特許出願公開第20170210967号明細書のI、IA、II、又はIIA;米国特許出願公開第20150140070号明細書のI-c;米国特許出願公開第2013/0178541号明細書のA;米国特許出願公開第2013/0303587号明細書又は米国特許出願公開第2013/0123338号明細書のI;米国特許出願公開第2015/0141678号明細書のI;米国特許出願公開第2015/0239926号明細書のII、III、IV、又はV;米国特許出願公開第2017/0119904号明細書のI;国際公開第2017/117528号パンフレットのI又はII;米国特許出願公開第2012/0149894号明細書のA;米国特許出願公開第2015/0057373号明細書のA;国際公開第2013/116126号パンフレットのA;米国特許出願公開第2013/0090372号明細書のA;米国特許出願公開第2013/0274523号明細書のA;米国特許出願公開第2013/0274504号明細書のA;米国特許出願公開第2013/0053572号明細書のA;国際公開第2013/016058号パンフレットのA;国際公開第2012/162210号パンフレットのA;米国特許出願公開第2008/042973号明細書のI;米国特許出願公開第2012/01287670号明細書のI、II、III、又はIV;米国特許出願公開第2014/0200257号明細書のI又はII;米国特許出願公開第2015/0203446号明細書のI、II、又はIII;米国特許出願公開第2015/0005363号明細書のI又はIII;米国特許出願公開第2014/0308304号明細書のI、IA、IB、IC、ID、II、IIA、IIB、IIC、IID、又はIII~XXIV;米国特許出願公開第2013/0338210号明細書の;国際公開第2009/132131号パンフレットのI、II、III、又はIV;米国特許出願公開第2012/01011478号明細書のA;米国特許出願公開第2012/0027796号明細書のI又はXXXV;米国特許出願公開第2012/0058144号明細書のXIV又はXVII;米国特許出願公開第2013/0323269号明細書の;米国特許出願公開第2011/0117125号明細書のI;米国特許出願公開第2011/0256175号明細書のI、II、又はIII;米国特許出願公開第2012/0202871号明細書のI、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XII;米国特許出願公開第2011/0076335号明細書のI、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、X、XII、XIII、XIV、XV、又はXVI;米国特許出願公開第2006/008378号明細書のI又はII;米国特許出願公開第2013/0123338号明細書のI;米国特許出願公開第2015/0064242号明細書のI又はX-A-Y-Z;米国特許出願公開第2013/0022649号明細書のXVI、XVII、又はXVIII;米国特許出願公開第2013/0116307号明細書のI、II、又はIII;米国特許出願公開第2013/0116307号明細書のI、II、又はIII;米国特許出願公開第2010/0062967号明細書のI又はII;米国特許出願公開第2013/0189351号明細書のI~X;米国特許出願公開第2014/0039032号明細書のI;米国特許出願公開第2018/0028664号明細書のV;米国特許出願公開第2016/0317458号明細書のI;米国特許出願公開第2013/0195920号明細書のI;米国特許出願公開第10,221,127号明細書の5、6、又は10;国際公開第2018/081480号パンフレットのIII-3;国際公開第2020/081938号パンフレットのI-5又はI-8;米国特許出願公開第9,867,888号明細書の18又は25;米国特許出願公開第2019/0136231号明細書のA;国際公開第2020/219876号パンフレットのII;米国特許出願公開第2012/0027803号明細書の1;米国特許出願公開第2019/0240349号明細書のOF-02;米国特許出願公開第10,086,013号明細書の23;Miao et al(2020)のcKK-E12/A6;国際公開第2010/053572号パンフレットのC12-200;Dahlman et al(2017)の7C1;Whitehead et alの304-O13又は503-O13;米国特許第9,708,628号明細書のTS-P4C2;国際公開第2020/106946号パンフレットのI;国際公開第2020/106946号パンフレットのIが挙げられる。
【0489】
ある実施形態において、イオン化可能な脂質は、例えば、国際公開第2019051289A9号パンフレット(全体が参照により本明細書に援用される)の実施例9に記載されるようなMC3(6Z,9Z,28Z,3lZ)-ヘプタトリアコンタ-6,9,28,3l-テトラエン-l9-イル-4-(ジメチルアミノ)ブタノエート(DLin-MC3-DMA又はMC3)である。ある実施形態において、イオン化可能な脂質は、例えば、国際公開第2019051289A9号パンフレット(全体が参照により本明細書に援用される)の実施例10に記載されるような脂質ATX-002である。ある実施形態において、イオン化可能な脂質は、例えば、国際公開第2019051289A9号パンフレット(全体が参照により本明細書に援用される)の実施例11に記載されるような(l3Z,l6Z)-A,A-ジメチル-3-ノニルドコサ-l3、l6-ジエン-l-アミン(化合物32)である。ある実施形態において、イオン化可能な脂質は、例えば、国際公開第2019051289A9号パンフレット(全体が参照により本明細書に援用される)の実施例12に記載されるような化合物6又は化合物22である。
【0490】
例示的な非カチオン性脂質としては、限定はされないが、ジステアロイル-sn-グリセロ-ホスホエタノールアミン、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、ジオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)、パルミトイルオレオイルホスファチジルエタノールアミン(POPE)、ジオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン4-(N-マレイミドメチル)-シクロヘキサン-1-カルボキシレート(DOPE-mal)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジミリストイルホスホエタノールアミン(DMPE)、ジステアロイル-ホスファチジル-エタノールアミン(DSPE)、モノメチル-ホスファチジルエタノールアミン(16-O-モノメチルPEなど)、ジメチル-ホスファチジルエタノールアミン(16-O-ジメチルPEなど)、l8-l-trans PE、l-ステアロイル-2-オレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(SOPE)、水素化大豆ホスファチジルコリン(HSPC)、卵ホスファチジルコリン(EPC)、ジオレオイルホスファチジルセリン(DOPS)、スフィンゴミエリン(SM)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジミリストイルホスファチジルグリセロール(DMPG)、ジステアロイルホスファチジルグリセロール(DSPG)、ジエルコイルホスファチジルコリン(DEPC)、パルミトイルオレオイルホスファチジルグリセロール(POPG)、ジエライドイル-ホスファチジルエタノールアミン(DEPE)、レシチン、ホスファチジルエタノールアミン、リゾレシチン、リゾホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴミエリン、卵スフィンゴミエリン(ESM)、セファリン、カルジオリピン、ホスファチジン酸、セレブロシド、ジセチルホスフェート、リゾホスファチジルコリン、ジリノレオイルホスファチジルコリン、又はそれらの混合物が挙げられる。他のジアシルホスファチジルコリン及びジアシルホスファチジルエタノールアミンリン脂質も使用され得ることが理解される。これらの脂質中のアシル基は、好ましくは、C10~C24炭素鎖を有する脂肪酸に由来するアシル基、例えば、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル、又はオレオイルである。さらなる例示的な脂質としては、特定の実施形態において、限定はされないが、参照により本明細書に援用される、Kim et al.(2020)dx.doi.org/10.1021/acs.nanolett.0c01386に記載されるものが挙げられる。このような脂質としては、ある実施形態において、mRNA(例えば、DGTS)との肝臓トランスフェクションを改善することが分かっている植物脂質が挙げられる。
【0491】
脂質ナノ粒子に使用するのに好適な非カチオン性脂質の他の例としては、限定はされないが、非リン脂質、例えば、ステアリルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、パルミチン酸アセチル、リシノール酸グリセロール、ステアリン酸ヘキサデシル、ミリスチン酸イソプロピル、両性アクリルポリマー、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、アルキル-アリールサルフェートポリエチルオキシ化脂肪酸アミド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムブロミド、セラミド、スフィンゴミエリンなどが挙げられる。他の非カチオン性脂質が、国際公開第2017/099823号パンフレット又は米国特許出願公開第2018/0028664号明細書(全内容が参照により本明細書に援用される)に記載される。
【0492】
ある実施形態において、非カチオン性脂質は、オレイン酸又は米国特許出願公開第2018/0028664号明細書(全体が参照により本明細書に援用される)の式I、II、若しくはIVの化合物である。非カチオン性脂質は、例えば、脂質ナノ粒子中に存在する総脂質の0~30%(mol)を占め得る。ある実施形態において、非カチオン性脂質含量は、脂質ナノ粒子中に存在する総脂質の5~20%(mol)又は10~15%(mol)である。実施形態において、イオン化可能な脂質対中性脂質のモル比は、約2:1~約8:1の範囲(例えば、約2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、又は8:1)である。
【0493】
ある実施形態において、脂質ナノ粒子は、いずれのリン脂質も含まない。
【0494】
ある態様において、脂質ナノ粒子は、膜完全性を提供するために、ステロールなどの成分をさらに含み得る。脂質ナノ粒子に使用され得る1つの例示的なステロールは、コレステロール及びその誘導体である。コレステロール誘導体の非限定的な例としては、極性類似体、例えば、5a-コレスタノール、53-コプロスタノール、コレステリル-(2-ヒドロキシ)-エチルエーテル、コレステリル-(4’-ヒドロキシ)-ブチルエーテル、及び6-ケトコレスタノール;非極性類似体、例えば、5a-コレスタン、コレステノン、5a-コレスタノン、5p-コレスタノン、及びデカン酸コレステリル;及びそれらの混合物が挙げられる。ある実施形態において、コレステロール誘導体は、極性類似体、例えば、コレステリル-(4’-ヒドロキシ)-ブチルエーテルである。例示的なコレステロール誘導体が、PCT公開国際公開第2009/127060号パンフレット及び米国特許出願公開第2010/0130588号明細書(これらはそれぞれ、全体が参照により本明細書に援用される)に記載される。
【0495】
ある実施形態において、ステロールなどの、膜完全性を提供する成分は、脂質ナノ粒子中に存在する総脂質の0-50%(mol)(例えば、0~10%、10~20%、20~30%、30~40%、又は40~50%)を占め得る。ある実施形態において、このような成分は、脂質ナノ粒子の総脂質含量の20~50%(mol)30~40%(mol)である。
【0496】
ある実施形態において、脂質ナノ粒子は、ポリエチレングリコール(PEG)又はコンジュゲート脂質分子を含み得る。一般に、これらは、脂質ナノ粒子の凝集を阻害し、及び/又は立体安定化を提供するのに使用される。例示的なコンジュゲート脂質としては、限定はされないが、PEG-脂質コンジュゲート、ポリオキサゾリン(POZ)-脂質コンジュゲート、ポリアミド-脂質コンジュゲート(ATTA-脂質コンジュゲートなど)、カチオン性ポリマー脂質(CPL)コンジュゲート、及びそれらの混合物が挙げられる。ある実施形態において、コンジュゲート脂質分子は、PEG-脂質コンジュゲート、例えば、(メトキシポリエチレングリコール)コンジュゲート脂質である。
【0497】
例示的なPEG-脂質コンジュゲートとしては、限定はされないが、PEG-ジアシルグリセロール(DAG)(l-(モノメトキシ-ポリエチレングリコール)-2,3-ジミリストイルグリセロール(PEG-DMG)など)、PEG-ジアルキルオキシプロピル(DAA)、PEG-リン脂質、PEG-セラミド(Cer)、ペグ化ホスファチジルエタノールアミン(PEG-PE)、PEGスクシネートジアシルグリセロール(PEGS-DAG)(4-0-(2’,3’-ジ(テトラデカノイルオキシ)プロピル-l-0-(w-メトキシ(ポリエトキシ)エチル)ブタンジオエート(PEG-S-DMG)など)、PEGジアルコキシプロピルカルバム、N-(カルボニル-メトキシポリエチレングリコール2000)-l,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミンナトリウム塩、又はそれらの混合物が挙げられる。さらなる例示的なPEG-脂質コンジュゲートが、例えば、米国特許第5,885,6l3号明細書、米国特許第6,287,59l号明細書、米国特許出願公開第2003/0077829号明細書、米国特許出願公開第2003/0077829号明細書、米国特許出願公開第2005/0175682、米国特許出願公開第2008/0020058号明細書、米国特許出願公開第2011/0117125号明細書、米国特許出願公開第2010/0130588号明細書、米国特許出願公開第2016/0376224号明細書、米国特許出願公開第2017/0119904号明細書、及び米国特許出願第099823号明細書(これらは全て、全内容が参照により本明細書に援用される)に記載される。ある実施形態において、PEG-脂質は、米国特許出願公開第2018/0028664号明細書(全内容が参照により本明細書に援用される)の式III、III-a-I、III-a-2、III-b-1、III-b-2、又はVの化合物である。ある実施形態において、PEG-脂質は、米国特許出願公開第20150376115号明細書又は米国特許出願公開第2016/0376224号明細書(これらは両方とも、全内容が参照により本明細書に援用される)の式IIのものである。ある実施形態において、PEG-DAAコンジュゲートは、例えば、PEG-ジラウリルオキシプロピル、PEG-ジミリスチルオキシプロピル、PEG-ジパルミチルオキシプロピル、又はPEG-ジステアリルオキシプロピルであり得る。PEG-脂質は、PEG-DMG、PEG-ジラウリルグリセロール、PEG-ジパルミトイルグリセロール、PEG-ジステリルグリセロール、PEG-ジラウリルグリカミド、PEG-ジミリスチルグリカミド、PEG-ジパルミトイルグリカミド、PEG-ジステリルグリカミド、PEG-コレステロール(l-[8’-(コレスタ-5-エン-3[β]-オキシ)カルボキサミド-3’,6’-ジオキサオクタニル]カルバモイル-[ω]-メチル-ポリ(エチレングリコール)、PEG-DMB(3,4-ジテトラデコキシルベンジル-[ω]-メチル-ポリ(エチレングリコール)エーテル)、及び1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-2000]のうちの1つ以上であり得る。ある実施形態において、PEG-脂質は、PEG-DMG、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-2000]を含む。ある実施形態において、PEG-脂質は、
【化19】
から選択される構造を含む。
【0498】
ある実施形態において、PEG以外の分子とコンジュゲートされた脂質も、PEG-脂質の代わりに使用され得る。例えば、ポリオキサゾリン(POZ)-脂質コンジュゲート、ポリアミド-脂質コンジュゲート(ATTA-脂質コンジュゲートなど)、及びカチオン性ポリマー脂質(GPL)コンジュゲートが、PEG-脂質の代わりに又はそれに加えて使用され得る。
【0499】
例示的なコンジュゲート脂質、すなわち、PEG-脂質、(POZ)-脂質コンジュゲート、ATTA-脂質コンジュゲート及びカチオン性ポリマー-脂質が、国際公開第2019051289A9号パンフレット(これらは全て、全内容が参照により本明細書に援用される)の表2に列挙されるPCT及びLIS特許出願に記載される。
【0500】
ある実施形態において、PEG又はコンジュゲート脂質は、脂質ナノ粒子中に存在する総脂質の0~20%(mol)を占め得る。ある実施形態において、PEG又はコンジュゲート脂質含量は、脂質ナノ粒子中に存在する総脂質の0.5~10%又は2~5%(mol)である。イオン化可能な脂質、非カチオン性脂質、ステロール、及びPEG/コンジュゲート脂質のモル比は、必要に応じて変化され得る。例えば、脂質粒子は、組成物のモル又は総重量当たり30~70%のイオン化可能な脂質、組成物のモル又は総重量当たり0~60%のコレステロール、組成物のモル又は総重量当たり0~30%の非カチオン性脂質及び組成物のモル又は総重量当たり1~10%のコンジュゲート脂質を含み得る。好ましくは、組成物は、組成物のモル又は総重量当たり30~40%のイオン化可能な脂質、組成物のモル又は総重量当たり40~50%のコレステロール、及び組成物のモル又は総重量当たり10~20%の非カチオン性脂質を含む。ある他の実施形態において、組成物は、組成物のモル又は総重量当たり50~75%のイオン化可能な脂質、組成物のモル又は総重量当たり20~40%のコレステロール、及び、組成物のモル又は総重量当たり5~10%の非カチオン性脂質及び組成物のモル又は総重量当たり1~10%のコンジュゲート脂質である。組成物は、組成物のモル又は総重量当たり60~70%のイオン化可能な脂質、組成物のモル又は総重量当たり25~35%のコレステロール、及び組成物のモル又は総重量当たり5~10%の非カチオン性脂質を含有し得る。組成物はまた、組成物のモル又は総重量当たり最大で90%のイオン化可能な脂質及び組成物のモル又は総重量当たり2~15%の非カチオン性脂質を含有し得る。製剤はまた、例えば、組成物のモル又は総重量当たり8~30%のイオン化可能な脂質、組成物のモル又は総重量当たり5~30%の非カチオン性脂質、及び組成物のモル又は総重量当たり0~20%のコレステロール;組成物のモル又は総重量当たり4~25%のイオン化可能な脂質、組成物のモル又は総重量当たり4~25%の非カチオン性脂質、組成物のモル又は総重量当たり2~25%のコレステロール、組成物のモル又は総重量当たり10~35%のコンジュゲート脂質、及び組成物のモル又は総重量当たり5%のコレステロール;又は組成物のモル又は総重量当たり2~30%のイオン化可能な脂質、組成物のモル又は総重量当たり2~30%の非カチオン性脂質、組成物のモル又は総重量当たり1~15%のコレステロール、組成物のモル又は総重量当たり2~35%のコンジュゲート脂質、及び組成物のモル又は総重量当たり1~20%のコレステロール;或いは組成物のモル又は総重量当たり最大で90%のイオン化可能な脂質及び組成物のモル又は総重量当たり2~10%の非カチオン性脂質、或いは組成物のモル又は総重量当たり100%のカチオン性脂質を含む脂質ナノ粒子製剤であり得る。ある実施形態において、脂質粒子製剤は、50:10:38.5:1.5のモル比で、イオン化可能な脂質、リン脂質、コレステロール及びPEG化脂質を含む。ある他の実施形態において、脂質粒子製剤は、60:38.5:1.5のモル比で、イオン化可能な脂質、コレステロール及びPEG化脂質を含む。
【0501】
ある実施形態において、脂質粒子は、イオン化可能な脂質、非カチオン性脂質(例えばリン脂質)、ステロール(例えば、コレステロール)及びPEG化脂質を含み、ここで、脂質のモル比は、イオン化可能な脂質では20~70モルパーセントの範囲であり、目標は40~60であり、非カチオン性脂質のモルパーセントは、0~30の範囲であり、目標は0~15であり、ステロールのモルパーセントは、20~70の範囲であり、目標は30~50であり、PEG化脂質のモルパーセントは、1~6の範囲であり、目標は2~5である。
【0502】
ある実施形態において、脂質粒子は、50:10:38.5:1.5のモル比で、イオン化可能な脂質/非カチオン性脂質/ステロール/コンジュゲート脂質を含む。
【0503】
一態様において、本開示は、リン脂質、レシチン、ホスファチジルコリン及びホスファチジルエタノールアミンを含む脂質ナノ粒子製剤を提供する。
【0504】
ある実施形態において、1つ以上のさらなる化合物も含まれ得る。それらの化合物は、別々に投与され得、又はさらなる化合物は、本発明の脂質ナノ粒子に含まれ得る。言い換えると、脂質ナノ粒子は、核酸又は第1の核酸と異なる少なくとも第2の核酸に加えて、他の化合物を含有し得る。限定はされないが、他のさらなる化合物は、小型若しくは大型有機又は無機分子、単糖、二糖、三糖、オリゴ糖、多糖、ペプチド、タンパク質、ペプチド類似体及びその誘導体、ペプチド模倣薬、核酸、核酸類似体及び誘導体、生体材料から作製された抽出物、又はそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され得る。
【0505】
ある実施形態において、LNPは、生分解性、イオン化可能な脂質を含む。ある実施形態において、LNPは、(9Z,l2Z)-3-((4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノイル)オキシ)-2-((((3-(ジエチルアミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)メチル)プロピルオクタデカ-9,l2-ジエノエート(3-((4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノイル)オキシ)-2-((((3-(ジエチルアミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)メチル)プロピル(9Z,l2Z)-オクタデカ-9,l2-ジエノエート)とも呼ばれる)又は別のイオン化可能な脂質を含む。例えば、国際公開第2019/067992号パンフレット、国際公開第/2017/173054号パンフレット、国際公開第2015/095340号パンフレット、及び国際公開第2014/136086号パンフレット、並びにその中に提供される参考文献の脂質を参照されたい。ある実施形態において、LNP脂質に関するカチオン性及びイオン化可能という用語は、同義的であり、例えば、イオン化可能な脂質は、pHに応じてカチオン性である。
【0506】
ある実施形態において、LNP製剤の平均LNP直径は、例えば、動的光散乱(DLS)によって測定される、数10nm~数100nmであり得る。ある実施形態において、LNP製剤の平均LNP直径は、約40nm~約150nm、例えば、約40nm、45nm、50nm、55nm、60nm、65nm、70nm、75nm、80nm、85nm、90nm、95nm、100nm、105nm、110nm、115nm、120nm、125nm、130nm、135nm、140nm、145nm、又は150nmであり得る。ある実施形態において、LNP製剤の平均LNP直径は、約50nm~約100nm、約50nm~約90nm、約50nm~約80nm、約50nm~約70nm、約50nm~約60nm、約60nm~約100nm、約60nm~約90nm、約60nm~約80nm、約60nm~約70nm、約70nm~約100nm、約70nm~約90nm、約70nm~約80nm、約80nm~約100nm、約80nm~約90nm、又は約90nm~約100nmであり得る。ある実施形態において、LNP製剤の平均LNP直径は、約70nm~約100nmであり得る。特定の実施形態において、LNP製剤の平均LNP直径は、約80nmであり得る。ある実施形態において、LNP製剤の平均LNP直径は、約100nmであり得る。ある実施形態において、LNP製剤の平均LNP直径は、約lmm~約500mm、約5mm~約200mm、約10mm~約100mm、約20mm~約80mm、約25mm~約60mm、約30mm~約55mm、約35mm~約50mm、又は約38mm~約42mmの範囲である。
【0507】
LNPは、ある場合には、比較的均質であり得る。多分散指数は、LNPの均質性、例えば、脂質ナノ粒子の粒度分布を示すのに使用され得る。小さい(例えば、0.3未満の)多分散指数は、一般に、狭い粒度分布を示す。LNPは、約0~約0.25、例えば、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.10、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.20、0.21、0.22、0.23、0.24、又は0.25の多分散指数を有し得る。ある実施形態において、LNPの多分散指数は、約0.10~約0.20であり得る。
【0508】
LNPのゼータ電位は、組成物の界面動電位を示すのに使用され得る。ある実施形態において、ゼータ電位は、LNPの表面電荷を表し得る。より高度に荷電された種は、身体内の細胞、組織、及び他の要素と不必要に相互作用し得るため、正又は負の比較的低い電荷を有する脂質ナノ粒子が一般に望ましい。ある実施形態において、LNPのゼータ電位は、約-10mV~約+20mV、約-10mV~約+15mV、約-10mV~約+10mV、約-10mV~約+5mV、約-10mV~約0mV、約-10mV~約-5mV、約-5mV~約+20mV、約-5mV~約+15mV、約-5mV~約+10mV、約-5mV~約+5mV、約-5mV~約0mV、約0mV~約+20mV、約0mV~約+15mV、約0mV~約+10mV、約0mV~約+5mV、約+5mV~約+20mV、約+5mV~約+15mV、又は約+5mV~約+10mVであり得る。
【0509】
タンパク質及び/又は核酸の封入の効率は、提供される初期量と比べた、調製後にLNPで封入されるか又は他の形でLNPと結合されるタンパク質及び/又は核酸の量を表す。封入効率は、高い(例えば、ほぼ100%)のが望ましい。封入効率は、例えば、1つ以上の有機溶媒又は洗浄剤で脂質ナノ粒子を分解する前及び後で脂質ナノ粒子を含有する溶液中のタンパク質又は核酸の量を比較することによって、測定され得る。アニオン交換樹脂が、溶液中の遊離タンパク質又は核酸(例えば、RNA)の量を測定するのに使用され得る。蛍光が、溶液中の遊離タンパク質及び/又は核酸(例えば、RNA)の量を測定するのに使用され得る。本明細書に記載される脂質ナノ粒子の場合、タンパク質及び/又は核酸の封入効率は、少なくとも50%、例えば50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%であり得る。ある実施形態において、封入効率は、少なくとも80%であり得る。ある実施形態において、封入効率は、少なくとも90%であり得る。ある実施形態において、封入効率は、少なくとも95%であり得る。
【0510】
LNPは、任意に、1つ以上のコーティングを含み得る。ある実施形態において、LNPは、コーティングを有するカプセル、フィルム、又は錠剤に製剤化され得る。本明細書に記載される組成物を含むカプセル、フィルム、又は錠剤は、任意の有用なサイズ、引張り強さ、硬度又は密度を有し得る。
【0511】
LNPのさらなる例示的な脂質、製剤、方法、及び特性評価が、国際公開第2020061457号パンフレット(全体が参照により本明細書に援用される)によって教示される。
【0512】
ある実施形態において、インビトロ又はエクスビボ細胞リポフェクションが、Lipofectamine MessengerMax(Thermo Fisher)又はTransIT-mRNA Transfection Reagent(Mirus Bio)を用いて行われる。特定の実施形態において、LNPは、GenVoy_ILMイオン化可能な脂質混合物(Precision NanoSystems)を用いて製剤化される。特定の実施形態において、LNPは、2,2‐ジリノレイル‐4‐ジメチルアミノエチル‐[1,3]‐ジオキソラン(DLin‐KC2‐DMA)又はジリノレイルメチル‐4‐ジメチルアミノブチレート(DLin-MC3-DMA又はMC3)を用いて製剤化され、その製剤及びインビボでの使用が、Jayaraman et al.Angew Chem Int Ed Engl 51(34):8529-8533(2012)(全体が参照により本明細書に援用される)に教示される。
【0513】
CRISPR-Casシステム、例えば、Cas9-gRNA RNP、gRNA、Cas9 mRNAの送達のために最適化されたLNP製剤が、国際公開第2019067992号パンフレット及び国際公開第2019067910号パンフレット(両方とも参照により援用される)に記載され、環状ポリリボヌクレオチド及び本明細書に記載される線状ポリリボヌクレオチドの送達のために有用である。
【0514】
核酸(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)の送達に有用なさらなる特定のLNP製剤が、米国特許第8158601号明細書及び米国特許第8168775号明細書(両方とも参照により援用される)に記載され、これは、ONPATTROの名称で販売されているパチシラン中で使用される製剤を含む。
【0515】
ポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)LNPの例示的な投与量は、約0.1、0.25、0.3、0.5、1、2、3、4、5、6、8、10、又は100mg/kg(RNA)を含み得る。本明細書に記載されるポリリボヌクレオチドを含むAAVの例示的な投与量は、約1011、1012、1013、及び1014vg/kgのMOIを含み得る。
【0516】
補助剤
補助剤は、補助剤及び/又は補助剤を含む免疫原性組成物を投与される対象(例えば、免疫化のための対象)において引き起こされる免疫応答(液性及び/又は細胞性)を促進する。ある実施形態において、補助剤は、本明細書に開示される環状ポリリボヌクレオチドからのポリクローナル抗体の産生のために、対象(例えば、免疫化のための対象)に投与される。ある実施形態において、補助剤は、本明細書に開示される線状ポリリボヌクレオチドからのポリクローナル抗体の産生のために、対象に投与される。ある実施形態において、補助剤は、本明細書に記載されるポリクローナル抗体を産生するために、本明細書に記載される方法において使用される。特定の実施形態において、補助剤は、環状ポリリボヌクレオチドから発現されるコロナウイルス抗原及び/又はエピトープに対する、対象におけるポリクローナル抗体の産生を促進するのに使用される。ある実施形態において、補助剤及び環状ポリリボヌクレオチドは、別個の組成物中で共投与される。ある実施形態において、補助剤は、対象に投与される免疫原性組成物を得るために、単一の組成物中で環状ポリリボヌクレオチドと混合又は配合される。特定の実施形態において、補助剤は、線状ポリリボヌクレオチドから発現されるコロナウイルス抗原及び/又はエピトープに対する、対象におけるポリクローナル抗体の産生を促進するのに使用される。ある実施形態において、補助剤及び線状ポリリボヌクレオチドは、別個の組成物中で共投与される。ある実施形態において、補助剤は、対象に投与される免疫原性組成物を得るために、単一の組成物中で線状ポリリボヌクレオチドと混合又は配合される。
【0517】
補助剤は、TH1補助剤及び/又はTH2補助剤であり得る。好ましい補助剤としては、限定はされないが、以下のものの1つ以上が挙げられる:
鉱物含有組成物。本発明における補助剤として使用するのに好適な鉱物含有組成物は、アルミニウム塩、及びカルシウム塩などの無機塩を含む。本発明は、水酸化物(例えばオキシ水酸化物)、リン酸塩(例えばヒドロキシリン酸塩、オルトリン酸塩)、硫酸塩などの無機塩、又は様々な無機化合物の混合物を含み、化合物は、任意の好適な形態(例えば、ゲル、結晶、非晶質など)を取る。カルシウム塩は、リン酸カルシウム(例えば、「CAP」)を含む。アルミニウム塩は、水酸化物、リン酸塩、硫酸塩などを含む。
【0518】
油乳剤組成物。本発明における補助剤として使用するのに好適な油乳剤組成物は、スクアレン-水エマルション、例えば、MF59(5%のスクアレン、0.5%のTween 80及び0.5%のSpan、マイクロフルイダイザーを用いてサブミクロン粒子に製剤化される)、AS03(水中油型エマルション中のα-トコフェロール、スクアレン及びポリソルベート80)、Montanide製剤(例えばMontanide ISA 51、Montanide ISA 720)、不完全フロイントアジュバント(IFA)、完全フロイント補助剤(CFA)、及び不完全フロイントアジュバント(IFA)を含む。
【0519】
小分子。本発明における補助剤として使用するのに好適な小分子は、イミキモド又は847、レシキモド又はR848、又はガルジキモド(gardiquimod)を含む。
【0520】
ポリマーナノ粒子。本発明における補助剤として使用するのに好適なポリマーナノ粒子は、ポリ(a-ヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリラクトン(ポリカプロラクトンを含む)、ポリジオキサノン、ポリバレロラクトン、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリシアノアクリレート、チロシン由来ポリカーボネート、ポリビニル-ピロリジノン又はポリエステル-アミド、及びそれらの組合せを含む。
【0521】
サポニン(すなわち、グリコシド、1つ以上の糖側鎖に結合された多環式アグリコン)。本発明における補助剤として使用するのに好適なサポニン製剤は、精製された製剤、例えば、QS21、並びに脂質製剤、例えば、ISCOM及びISCOMマトリックスを含む。QS21は、STIMULON(商標)として販売されている。サポニン製剤は、コレステロールなどのステロールも含み得る。サポニン及びコレステロールの組合せは、免疫刺激複合体(ISCOM)と呼ばれる独自の粒子を形成するのに使用され得る。ISCOMは、典型的に、ホスファチジルエタノールアミン又はホスファチジルコリンなどのリン脂質も含む。任意の公知のサポニンが、ISCOMにおいて使用され得る。好ましくは、ISCOMは、QuilA、QHA及びQHCのうちの1つ以上を含む。任意に、ISCOMSは、さらなる洗浄剤を含まなくてもよい。
【0522】
リポ多糖。本発明において使用するのに好適な補助剤は、腸内細菌性リポ多糖(LPS)の非毒性誘導体を含む。このような誘導体は、モノホスホリル脂質A(MPLA)、グルコピラノシル脂質A(GLA)及び3-O-脱アシル化MPL(3dMPL)を含む。3dMPLは、4、5又は6つのアシル化鎖を有する3 De-O-アシル化モノホスホリル脂質Aの混合物である。他の非毒性LPS誘導体は、モノホスホリル脂質A模倣体、例えば、アミノアルキルグルコサミニドホスフェート誘導体、例えばRC-529を含む。
【0523】
リポソーム。本発明における補助剤として使用するのに好適なリポソームは、ビロソーム及びCAF01を含む。
【0524】
脂質ナノ粒子。本発明において使用するのに好適な補助剤は、脂質ナノ粒子(LNP)及びそれらの成分を含む。
【0525】
リポペプチド(すなわち、1つ以上の脂肪酸残基及び2つ以上のアミノ酸残基を含む化合物)。本発明における補助剤として使用するのに好適なリポペプチドは、Pam2(Pam2CSK4)及びPam3(Pam3CSK4)を含む。
【0526】
糖脂質。本発明における補助剤として使用するのに好適な糖脂質は、コードファクター(トレハロースジミコラート)を含む。
【0527】
MDP(N-アセチル-ムラミル-L-アラニル-D-イソグルタミン)などの(合成又は精製)グラム陰性又はグラム陽性菌に由来するペプチド及びペプチドグリカンが、本発明における補助剤として使用するのに好適である。
【0528】
補助剤として使用するのに好適な炭水化物(炭水化物含有)又は多糖は、デキストラン(例えば、分岐微生物多糖)、硫酸デキストラン、レンチナン、ザイモサン、β-グルカン、デルチン(deltin)、マンナン、及びキチンを含む。
【0529】
RNAベースの補助剤。本発明において使用するのに好適なRNAベースの補助剤は、ポリIC、ポリIC:LC、5’三リン酸を有するか又は有さないヘアピンRNA、ウイルス配列、ポリU含有配列、dsRNA天然又は合成RNA配列、及び核酸類似体(例えば、環状GMP-AMP又は他の環状ジヌクレオチド、例えば、環状ジ-GMP、免疫刺激塩基類似体例えば、C8-置換及びN7,C8-二置換グアニンリボヌクレオチド)である。
【0530】
DNAベースの補助剤。本発明において使用するのに好適なDNAベースの補助剤は、CpGs、dsDNA、及び天然又は合成免疫刺激DNA配列を含む。
【0531】
タンパク質又はペプチド。本発明における補助剤として使用するのに好適なタンパク質及びペプチドは、フラジェリン-融合タンパク質、MBL(マンノース結合レクチン)、サイトカイン、及びケモカインを含む。
【0532】
ウイルス粒子。補助剤として使用するのに好適なウイルス粒子は、ビロソーム(リン脂質細胞膜二重層)を含む。
【0533】
本発明において使用するための補助剤は、フラジェリン、LPS、又は細菌毒素(例えば、エンテロトキシン(タンパク質)、例えば、易熱性毒素又はコレラ毒素)など、細菌由来であり得る。本発明において使用するための補助剤は、イミキモドにコンジュゲートされたCpGなどのハイブリッド分子であり得る。本発明において使用するための補助剤は、キチン又はβ-グルカンなどの、真菌又は卵菌綱(oomycete)MAMPであり得る。ある実施形態において、補助剤は、金ナノロッド又はシリカ系ナノ粒子(例えば、メソ多孔質シリカナノ粒子(MSN))などの無機ナノ粒子である。ある実施形態において、補助剤は、多成分補助剤又は補助剤系、例えば、AS01、AS03、AS04(MLP5+ミョウバン)、CFA(完全フロイントアジュバント:IFA+ペプチドグリカン+トレハロースジミコラート)、糖脂質免疫調節剤(マイコバクテリア細胞壁に位置するコードファクターの合成変異体であり得るトレハロース6,6-ジベヘネート(TDB))で安定化されたCAF01(カチオン性リポソームビヒクルの2成分系(ジメチルジオクタデシル-アンモニウム(DDA))である。
【0534】
サイトカイン。補助剤は、サイトカイン、例えば、炎症性サイトカイン(例えば、GM-CSF、IL-1α、IL-1β、TGF-β、TNF-α、TNF-β)、Th-1誘導性サイトカイン(例えば、IFN-γ、IL-2、IL-12、IL-15、IL-18)、又はTh-2誘導性サイトカイン(例えば、IL-4、IL-5、IL-6、IL-10、IL-13)をコードする部分又は完全長DNAであり得る。
【0535】
ケモカイン。補助剤は、ケモカイン、例えば、MCP-1、MIP-1α、MIP-1β、ランテス(Rantes)、又はTCA-3をコードする部分又は完全長DNAであり得る。
【0536】
補助剤は、共刺激分子、例えば、CD80、CD86、CD40-L、CD70、又はCD27をコードする部分又は完全長DNAであり得る。
【0537】
補助剤は、自然免疫センチネル(部分、完全長、又は突然変異された)又は構成的活性(ca)自然免疫センチネル、例えば、caTLR4、キャスティング(casting)、caTLR3、caTLR3、caTLR9、caTLR7、caTLR8、caTLR7、caRIG-I/DDX58、又はcaMDA-5/IFIH1をコードする部分又は完全長DNAであり得る。
【0538】
補助剤は、アダプター又はシグナル伝達分子、例えば、STING、TRIF、TRAM、MyD88、IPS1、ASC、MAVS、MAPK、IKK-α、IKK複合体、TBK1、β-カテニン、及びカスパーゼ1をコードする部分又は完全長DNAであり得る。
【0539】
補助剤は、免疫応答(例えば、AP1、NF-κB、IRF3、IRF7、IRF1、又はIRF5)を上方制御し得る転写活性化因子などの転写活性化因子をコードする部分又は完全長DNAであり得る。補助剤は、IL-2β、IFN-γ、又はIL-6などのサイトカイン受容体をコードする部分又は完全長DNAであり得る。
【0540】
補助剤は、フラジェリン又はMBLなどの細菌成分をコードする部分又は完全長DNAであり得る。
【0541】
補助剤は、自然免疫系の任意の成分をコードする部分又は完全長DNAであり得る。
【0542】
特定の実施形態において、本発明において使用される補助剤は、SABの専有の補助剤製剤、SAB-adj-1又はSAB-adj-2である。
【0543】
ワクチン
本明細書に記載される方法のある実施形態において、第2の薬剤がまた、対象(例えば、免疫化のための対象)に投与され、例えば、第2のワクチンがまた、対象(例えば、免疫化のための対象)に投与される。ある実施形態において、対象に投与される組成物は、本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチド及び第2のワクチンを含む。ある実施形態において、ワクチン及び環状ポリリボヌクレオチドは、別個の組成物中で共投与される。ワクチンは、環状ポリリボヌクレオチド免疫化と同時に投与され、環状ポリリボヌクレオチド免疫化の前に投与され、又は環状ポリリボヌクレオチド免疫化の後に投与される。
【0544】
例えば、ある実施形態において、対象(例えば、免疫化のための対象)は、非環状ポリリボヌクレオチドコロナウイルスワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)及び環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物で免疫化される。ある実施形態において、対象は、第1の微生物(例えば、肺炎球菌)のための非ポリリボヌクレオチドワクチン及び本明細書に開示される環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物で免疫化される。ワクチンは、任意の細菌感染ワクチン又はウイルス感染ワクチンであり得る。特定の実施形態において、ワクチンは、PCV13又はPPSV23などの肺炎球菌多糖ワクチンである。ある実施形態において、ワクチンは、インフルエンザワクチンである。ある実施形態において、ワクチンは、RSVワクチン(例えば、パリビズマブ)である。
【0545】
ある実施形態において、対象に投与される組成物は、線状ポリリボヌクレオチド及びワクチンを含む。ある実施形態において、ワクチン及び線状ポリリボヌクレオチドは、別個の組成物中で共投与される。ワクチンは、線状ポリリボヌクレオチド免疫化と同時に投与され、線状ポリリボヌクレオチド免疫化の前に投与され、又は線状ポリリボヌクレオチド免疫化の後に投与される。
【0546】
例えば、ある実施形態において、対象(例えば、免疫化のための対象)は、ポリリボヌクレオチド(例えば、非線状ポリリボヌクレオチド)コロナウイルスワクチン(例えば、タンパク質サブユニットワクチン)及びコロナウイルス抗原をコードする配列を含む本明細書に開示される線状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物で免疫化される。ある実施形態において、対象は、第1の微生物(例えば、肺炎球菌)のための非ポリリボヌクレオチドワクチン及びコロナウイルス抗原をコードする配列を含む本明細書に開示される線状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物で免疫化される。ワクチンは、任意の細菌感染ワクチン又はウイルス感染ワクチンであり得る。特定の実施形態において、ワクチンは、PCV13又はPPSV23などの肺炎球菌多糖ワクチンである。ある実施形態において、ワクチンは、インフルエンザワクチンである。ある実施形態において、ワクチンは、RSVワクチン(例えば、パリビズマブ)である。
【0547】
免疫化のための対象
本開示は、対象(例えば、免疫化のための対象)に、コロナウイルス抗原及び/又はエピトープをコードする配列を含む環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物を投与するか又はそのような免疫原性組成物で免疫化することを提供する。本開示は、対象(例えば、免疫化のための対象)に、コロナウイルス抗原及び/又はエピトープをコードする配列を含む線状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物を投与するか又はそのような免疫原性組成物で免疫化することを提供する。ある実施形態において、対象(例えば、免疫化のための対象)は、動物である。特定の実施形態において、対象(例えば、免疫化のための対象)は、哺乳動物である。特定の実施形態において、対象(例えば、免疫化のための対象)は、ヒトである。ある実施形態において、対象(例えば、免疫化のための対象)は、非ヒト動物である。ある実施形態において、非ヒト動物は、ヒト化免疫系を有する。対象の血漿又は血液が、高度免疫血漿、例えば、対象とするコロナウイルス抗原及び/又はエピトープに結合する高濃度の抗体を含む血漿を生成するのに使用される。
【0548】
免疫化のための非ヒト動物
本開示は、非ヒト動物(例えば、免疫化のための非ヒト動物)に、コロナウイルス抗原及び/又はエピトープをコードする配列を含む環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物を投与するか又はそのような免疫原性組成物で免疫化することを提供する。本開示は、非ヒト動物(例えば、免疫化のための非ヒト動物)に、コロナウイルス抗原及び/又はエピトープをコードする配列を含む線状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物を投与するか又はそのような免疫原性組成物で免疫化することを提供する。
【0549】
ある実施形態において、非ヒト動物(例えば、免疫化のための非ヒト動物)は、ペットである。ある実施形態において、非ヒト動物(例えば、免疫化のための非ヒト動物)は、家畜動物である。ある実施形態において、非ヒト動物(例えば、免疫化のための非ヒト動物)は、農場動物である。ある実施形態において、非ヒト動物(例えば、免疫化のための非ヒト動物)は、動物園の動物(例えば、トラ、ライオン、オオカミなど)である。
【0550】
ある実施形態において、非ヒト動物(例えば、免疫化のための非ヒト動物)は、哺乳動物である。非ヒト動物(例えば、免疫化のための非ヒト動物)は、有蹄動物、例えば、ロバ、ヤギ、ウマ、ウシ、又はブタを含む。非ヒト動物(例えば、免疫化のための非ヒト動物)は、ウサギ、ラット、又はマウスも含む。ある実施形態において、非ヒト動物(例えば、免疫化のための非ヒト動物)は、ウシ(ウシ亜科の動物)である。他の実施形態において、非ヒト動物は、ヤギである。
【0551】
ある実施形態において、非ヒト動物(例えば、免疫化のための非ヒト動物)は、ニワトリである。
【0552】
ある実施形態において、非ヒト動物(例えば、免疫化のための非ヒト動物)は、ヒト化免疫系を有し、ヒトポリクローナル抗体を産生するのに使用される。
【0553】
ヒト化免疫系
ヒト化免疫系を有する非ヒト動物(例えば、ヒト化免疫系を有する免疫化のための非ヒト動物)は、有蹄動物、例えば、ロバ、ヤギ、ウマ、ウシ、又はブタを含む。ヒト化免疫系を有する非ヒト動物は、ウサギ、ラット、又はマウスも含む。ある実施形態において、ヒト化免疫系を有する非ヒト動物は、ウシ(ウシ亜科の動物)である。ある実施形態において、ヒト化免疫系を有する非ヒト動物は、ヤギである。ある実施形態において、ヒト化免疫系を有する非ヒト動物は、ニワトリである。
【0554】
ヒト化免疫系を有する非ヒト動物(例えば、ヒト化免疫系を有する免疫化のための非ヒト動物)は、ヒト抗体、又は抗体変異体、フラグメント、及びその誘導体を産生する動物である。ヒト化免疫系は、ヒト化免疫グロブリン遺伝子座、又は複数のヒト化免疫グロブリン遺伝子座を含む。
【0555】
ある実施形態において、ヒト化免疫グロブリン遺伝子座は、ヒト免疫グロブリンの生殖細胞系配列を含み、非ヒト動物が、ヒト化抗体(例えば、完全ヒト抗体)を産生するのを可能にする。
【0556】
ある実施形態において、本開示のヒト化免疫系を有する非ヒト動物は、ヒト化免疫グロブリン遺伝子座を有する非ヒトB細胞を含む。ヒト化免疫グロブリン遺伝子座は、B細胞発生中にVDJ組み換えを生じ、それによって、抗原結合特異性の大きな多様性を有するB細胞の生成を可能にする。
【0557】
抗体の結合特異性は、VDJ組み換えのプロセスによって生成される。抗原結合部分(可変領域)をコードするエクソンは、B細胞を発生する際に染色体切断及び再結合によって組み立てられる。抗原結合ドメインをコードするエクソンは、「カット・アンド・ペースト」DNA再構成によって、いわゆるV(可変)、D(多様性)、及びJ(結合)遺伝子セグメントから組み立てられる。V(D)J組み換えと呼ばれるこのプロセスは、一対のセグメントを選択し、各セグメントに隣接する二本鎖切断を導入し、介在DNAを除去し(又は、選択された場合には、逆にする)、セグメントを一緒にライゲートする。再構成は、Vセグメントが再構成されたDJセグメントに結合される前に、DからJへの結合が進行するように、秩序ある方式で起こり得る。組合せアセンブリのこのプロセス-いくつかの(場合により多くの)可能性から各タイプの1つのセグメントを選択することは、哺乳動物における抗原受容体多様性を駆動する基本エンジンである。多様性は、様々なセグメント間の結合部における特徴的な変動性(小数のヌクレオチドの減少又は増加)によって大幅に増幅される。このプロセスは、生殖細胞系列コード能力への比較的少ない投資により、潜在的な抗原結合特異性のほぼ制限のないレパートリーをもたらす。
【0558】
ある実施形態において、ヒト化免疫系を有する非ヒト動物は、例えば、ヒト化免疫グロブリン遺伝子座の、VDJ組み換えによって生成される多様な特異性の複数のB細胞を含む。本開示の抗原及び/又はエピトープに特異的に結合するB細胞受容体(及び抗体)をコードするB細胞が、例えば、本開示の環状ポリリボヌクレオチドから発現される抗原及び/又はエピトープに遭遇した後、同種抗原に対抗する際に活性化される。本開示の抗原及び/又はエピトープに特異的に結合するB細胞受容体(及び抗体)をコードするB細胞が、例えば、本開示の線状ポリリボヌクレオチドから発現される抗原及び/又はエピトープに遭遇した後、同種抗原に対抗する際に活性化される。活性化B細胞は、本開示の抗原及び/又はエピトープに特異的に結合する抗体を産生する。活性化B細胞は、増殖する。ある実施形態において、活性化非ヒトB細胞は、メモリーB細胞及び/又は形質細胞へと分化する。ある実施形態において、活性化非ヒトB細胞は、本明細書に開示される異なるアイソタイプの抗体を生成するためにクラススイッチを起こす。ある実施形態において、非ヒトB細胞は、より高い親和性で抗原及び/又はエピトープに結合する抗体を生成するために体細胞超変異を起こす。
【0559】
複数の抗原及び/又はエピトープを発現する本開示の1つ以上の環状ポリリボヌクレオチドを含む1つ以上の免疫原性組成物による免疫化の際、複数のB細胞クローンが、それらのそれぞれの同種抗原に応答し、複数の結合特異性を有するポリクローナル抗体の生成をもたらす。ある実施形態において、本開示の1つ以上の環状ポリリボヌクレオチドを含む1つ以上の免疫原性組成物による本開示の非ヒト動物の免疫化は、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、又は少なくとも100個の非ヒトB細胞クローンを活性化する。ある実施形態において、本開示の1つ以上の環状ポリリボヌクレオチドを含む1つ以上の免疫原性組成物による本開示の非ヒト動物の免疫化は、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、又は少なくとも100個の本開示の抗原及び/又はエピトープに特異的に結合する抗体を含むポリクローナル抗血清の産生をもたらす。
【0560】
複数の抗原及び/又はエピトープを発現する本開示の1つ以上の線状ポリリボヌクレオチドを含む1つ以上の免疫原性組成物による免疫化の際、複数のB細胞クローンが、それらのそれぞれの同種抗原に応答し、複数の結合特異性を有するポリクローナル抗体の生成をもたらす。ある実施形態において、本開示の1つ以上の線状ポリリボヌクレオチドを含む1つ以上の免疫原性組成物による本開示の非ヒト動物の免疫化は、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、又は少なくとも100個の非ヒトB細胞クローンを活性化する。ある実施形態において、本開示の1つ以上の線状ポリリボヌクレオチドを含む1つ以上の免疫原性組成物による本開示の非ヒト動物野免疫化は、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、又は少なくとも100個の本開示の抗原及び/又はエピトープに特異的に結合する抗体を含むポリクローナル抗血清の産生をもたらす。
【0561】
非ヒト動物(例えば、免疫化のための非ヒト動物)のゲノムを修飾するための様々な技術が、ヒト化抗体を産生することが可能な動物を発生するために用いられ得る。非ヒト動物は、トランスジェニック動物、例えば、1つ又は複数のヒト化免疫グロブリン遺伝子座の全て又はかなりの部分を含むトランスジェニック動物であり得る。非ヒト動物は、人工染色体導入動物、例えば、ヒト人工染色体又は酵母人工染色体を含む非ヒト動物であり得る。
【0562】
ヒト化免疫グロブリン遺伝子座は、ベクター、例えば、ヒト人工染色体又は酵母人工染色体(YAC)上に存在し得る。ヒト化免疫グロブリン遺伝子座を含むヒト人工染色体(HAC)は、動物中に導入され得る。ベクター(例えば、HAC)は、ヒト抗体重鎖遺伝子(ヒト染色体14からの)及びヒト抗体軽鎖遺伝子、例えば、κの一方又は両方(ヒト染色体2からの)及びλ(ヒト染色体22からの)の生殖細胞系列レパートリーを含有し得る。HACは、非ヒト動物種の細胞中に導入され得、トランスジェニック動物が、体細胞核移植によって生成され得る。トランスジェニック動物はまた、ヒト化免疫グロブリン遺伝子座を含む非ヒト動物を生成するように繁殖され得る。
【0563】
ある実施形態において、ヒト化免疫グロブリン遺伝子座は、非ヒト動物のゲノムに組み込まれる。例えば、相同的組み換え又は相同組み換え修復を含む技術が、ヒトヌクレオチド配列を導入するために動物のゲノムを修飾するために用いられ得る。CRISPR/Cas、TALEN、及びジンクフィンガーヌクレアーゼなどのツールが、統合を目的とするために使用され得る。
【0564】
ヒト化免疫系を有する非ヒト動物(例えば、ヒト化免疫系を有する免疫化のための非ヒト動物)を生成する方法が、開示されている。例えば、ヒト人工染色体が、生成され、対象とするさらなるゲノム修飾(例えば、内因性非ヒト免疫系遺伝子の欠失)を含む細胞中に導入され得、細胞が、トランスジェニック非ヒト動物を生成するための核ドナーとして使用され得る。
【0565】
ある実施形態において、ヒト化免疫系は、1つ以上のヒト抗体重鎖を含み、ここで、抗体重鎖をコードする各遺伝子が、クラススイッチ調節要素に動作可能に連結される。動作可能に連結されるとは、第1のDNA分子(例えば、重鎖遺伝子)が、第2のDNA分子(例えば、クラススイッチ調節要素)に結合されることを意味することができ、ここで、第1及び第2のDNA分子は、第1のDNA分子が、第2のDNA分子の機能に影響を与えるように配置される。2つのDNA分子は、単一の連続するDNA分子の一部であっても又はなくてもよく、隣接していても又は隣接していなくてもよい。例えば、プロモータが、転写可能なDNA分子の転写又は翻訳に影響を与えることが可能であるように、プロモータは、転写可能なDNA分子に動作可能に連結される。
【0566】
ある実施形態において、ヒト化免疫系は、1つ以上のヒト抗体軽鎖を含む。ある実施形態において、ヒト化免疫系は、1つ以上のヒト抗体サロゲート軽鎖を含む。
【0567】
ある実施形態において、ヒト化免疫系は、非ヒト動物に由来するアミノ酸配列、例えば、定常領域、例えば、重鎖定常領域又はその一部を含む。ある実施形態において、ヒト化免疫系は、非ヒト動物からのIgM重鎖定常領域(例えば、有蹄動物に由来するIgM重鎖定常領域)を含む。ある実施形態において、1つ以上のヒト抗体重鎖をコードする遺伝子の少なくとも1つのクラススイッチ調節要素は、例えば、抗体が、非ヒト動物内の本開示の抗原及び/又はエピトープに対して引き起こされるとき、抗体クラススイッチを可能にするように、非ヒト(例えば、有蹄動物に由来する)クラススイッチ調節要素で置換される。
【0568】
ヒト化免疫グロブリン遺伝子座は、非ヒト動物との適合性のために組み込まれる非ヒト要素を含み得る。ある実施形態において、非ヒト要素は、非ヒト動物の免疫系のいずれかの残りの要素による認識を低下させるために、ヒト化免疫グロブリン遺伝子座中に存在し得る)。ある実施形態において、免疫グロブリン遺伝子(例えば、IgM)は、非ヒト動物からのアミノ酸配列で部分的に置換され得る。ある実施形態において、非ヒト動物内の遺伝子座の発現及び調節を促進するためにヒト化免疫グロブリン遺伝子座中に存在する非ヒト調節要素。
【0569】
ヒト化免疫グロブリン遺伝子座は、ヒトDNA配列を含み得る。ヒト化免疫グロブリン遺伝子座は、非ヒト動物内の包含される遺伝子(例えば、抗体遺伝子)の発現を促進するようにコドン最適化され得る。
【0570】
ヒト化免疫系を有する非ヒト動物(例えば、ヒト化免疫系を有する免疫化のための非ヒト動物)は、内因性非ヒト免疫系成分を含み得るか又はそれを欠き得る。ある実施形態において、ヒト化免疫系を有する非ヒト動物は、非ヒト抗体を欠き得る(例えば、非ヒト抗体を産生する能力を欠く)。ヒト化免疫系を有する非ヒト動物は、例えば、1つ以上の非ヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子、1つ以上の非ヒト免疫グロブリン軽鎖遺伝子、又はそれらの組合せを欠き得る。
【0571】
ヒト化免疫系を有する非ヒト動物(例えば、ヒト化免疫系を有する免疫化のための非ヒト動物)は、例えば、非ヒト免疫細胞を保持し得る。ヒト化免疫系を有する非ヒト動物は、非ヒト自然免疫系成分(例えば、細胞、補体、抗菌性ペプチドなど)を保持し得る。ある実施形態において、ヒト化免疫系を有する非ヒト動物は、非ヒトT細胞を保持し得る。ある実施形態において、ヒト化免疫系を有する非ヒト動物は、非ヒトB細胞を保持し得る。ある実施形態において、ヒト化免疫系を有する非ヒト動物は、非ヒト抗原提示細胞を保持し得る。ある実施形態において、ヒト化免疫系を有する非ヒト動物は、非ヒト抗体を保持し得る。
【0572】
ある実施形態において、ヒト化免疫系は、ヒト自然免疫タンパク質、例えば、補体タンパク質を含む。
【0573】
ある実施形態において、ヒト化免疫系は、ヒト化T細胞及び/又は抗原提示細胞を含む。
【0574】
ある実施形態において、本開示の組成物及び方法は、T細胞を含む。例えば、本開示の環状ポリリボヌクレオチドは、B細胞及びT細胞によって認識される抗原を含み得、ヒト化免疫系を有する非ヒト動物の免疫化の際、T細胞は、T細胞ヘルプを提供し、それによって、非ヒト動物における抗体産生を増加させ得る。別の例では、本開示の線状ポリリボヌクレオチドは、B細胞及びT細胞によって認識される抗原を含み得、ヒト化免疫系を有する非ヒト動物の免疫化の際、T細胞は、T細胞ヘルプを提供し、それによって、非ヒト動物における抗体産生を増加させ得る。
【0575】
ある実施形態において、ヒト化免疫系を有する非ヒト動物(例えば、ヒト化免疫系を有する免疫化のための非ヒト動物)は、任意の特徴又は特徴の任意の組合せ又は全体が参照により本明細書に援用される米国特許出願公開第20170233459号明細書に開示されるような任意の作製方法を含む。ある実施形態において、ヒト化免疫系を有する非ヒト動物(例えば、ヒト化免疫系を有する免疫化のための非ヒト動物)は、任意の特徴又は特徴の任意の組合せ又はKuroiwa,Y et al.Nat Biotechnol,2009 Feb;27(2):173-81;Matsushita,H.et al.PLos ONE,2014 Mar 6;9(3):e90383;Hooper,J.W.et al.Sci Transl Med,2014 Nov 26;6(264):264ra162;Matsushit,H.et al.,PLoS ONE 2015 Jun 24;10(6):e0130699;Luke,T.et al.Sci Transl Med,2016 Feb 17;8(326):326ra21;Dye,J.et al.,Sci Rep.2016 Apr 25;6:24897;Gardner,C.et al.J Virol.2017 Jun 26;91(14);Stein,D.et al.,Antiviral Res 2017 Oct;146:164-173;Silver,J.N.,Clin Infect Dis.2018 Mar 19;66(7):1116-1119;Beigel,J.H.et al.,Lancet Infect Dis,2018 Apr;18;(4):410-418;Luke,T.et al.,J Inf Dis.2018 Nov 33;218(suppl_5):S636-S648(これらはそれぞれ、全体が参照により本明細書に援用される)に開示されるような任意の作製方法を含む。
【0576】
血漿採取
本明細書に開示される環状ポリリボヌクレオチドから発現されるコロナウイルス抗原及び/又はエピトープをコードする環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物から生成されるポリクローナル抗体を含む血漿が、環状ポリリボヌクレオチドで免疫化された対象(例えば、免疫化のための対象の免疫化後)から採取され得る。これらのポリクローナル抗体は、環状ポリリボヌクレオチドから発現される抗原及び/又はエピトープに関連するコロナウイルスの予防又は治療において使用され得る。本明細書に開示される線状ポリリボヌクレオチドから発現されるコロナウイルス抗原及び/又はエピトープをコードする線状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物から生成されるポリクローナル抗体を含む血漿が、線状ポリリボヌクレオチドで免疫化された対象(例えば、免疫化のための対象の免疫化後)から採取され得る。これらのポリクローナル抗体は、線状ポリリボヌクレオチドから発現される抗原及び/又はエピトープに関連するコロナウイルスの予防又は治療において使用され得る。血漿は、血漿交換によって採取され得る。血漿は、同じ対象(例えば、免疫化のための対象の免疫化後)から1回又は複数回採取され得、例えば、免疫化の後、それぞれ所与の期間を空けて、複数回、免疫化の後に複数回、免疫化の間に複数回、又はそれらの任意の組合せである。
【0577】
血漿は、免疫化、例えば、最初の免疫化、最も近い免疫化、又は中間の免疫化の、任意の好適な時間の後、対象(例えば、免疫化のための対象の免疫化後)から採取され得る。血漿は、免疫化の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、少なくとも26 少なくとも27、少なくとも28、少なくとも29、若しくは少なくとも30日後、又はそれ以上後に、対象から採取され得る。ある実施形態において、血漿は、免疫化の2以下、3日以下、4日以下、5日以下、6日以下、7日以下、8日以下、9日以下、10日以下、15日以下、20日以下、21日以下、22日以下、23日以下、24日以下、25日以下、26日以下、27日以下、28日以下、29日以下、30日以下、35日以下、42以下、49日以下、又は56日以下後に、対象から採取される。ある実施形態において、血漿は、免疫化の約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、16、17、18、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、若しくは42日後、又はそれ以上後に、対象から採取される。ある実施形態において、組成物は、本明細書に記載される免疫原性組成物の投与の後に採取された血漿を含む。
【0578】
血漿は、凍結され得る(例えば、凍結された状態で貯蔵又は輸送される)。ある実施形態において、血漿は、新鮮に維持され、又は抗体は、新鮮な血漿から精製される。
【0579】
ある実施形態において、組成物は、採取された血漿を含む。例えば、組成物は、対象からの血漿及び抗原をコードする配列を含む環状ポリリボヌクレオチドを含む。ある実施形態において、組成物は、対象からの血漿及び抗原をコードする配列を含む環状ポリリボヌクレオチド、及び抗原を含む。一例では、組成物は、対象からの血漿及び抗原をコードする配列を含む線状ポリリボヌクレオチドを含む。ある実施形態において、組成物は、対象からの血漿及び抗原をコードする配列を含む線状ポリリボヌクレオチド、及び抗原を含む。
【0580】
ポリクローナル抗体精製
本開示は、本発明のコロナウイルス抗原及び/又はエピトープに特異的なポリクローナル抗体、並びに有効量のポリクローナル抗体を、対象(例えば、対象の治療)に投与することによる、コロナウイルス関連疾患又は感染症の治療又は予防の方法を提供する。ポリクローナル抗体は、本明細書に開示されるように生成され、環状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物で免疫化された対象(例えば、免疫化のための対象)からの血漿採取後に精製される。ポリクローナル抗体は、本明細書に開示されるように生成され、線状ポリリボヌクレオチドを含む免疫原性組成物で免疫化された対象(例えば、免疫化のための対象)からの血漿採取後に精製される。
【0581】
ポリクローナル抗体は、当業者に周知の技術を用いて、血漿から精製される。例えば、血漿は、4.8にpH調整され(例えば、20%の酢酸の滴下添加によって)、1.0のカプリル酸/総タンパク質比でカプリル酸によって分画され、次に、遠心分離(例えば、室温で20分間にわたって10,000gで)によって浄化される。ポリクローナル抗体(例えば、IgGポリクローナル抗体)を含有する上清が、1Mのトリスを用いてpH7.5に中和され、0.22μMがろ過され、抗ヒト免疫グロブリン特異的カラム(例えば、抗ヒトIgG軽鎖特異的カラム)によりアフィニティー精製される。ポリクローナル抗体は、不純物、例えば、非ヒト動物からの非ヒト抗体に特異的に結合するアフィニティーカラムへの通過によってさらに精製される。ポリクローナル抗体は、好適な緩衝液、例えば、10mMのグルタミン酸一ナトリウム塩、262mMのD-ソルビトール、及びTween(0.05mg/ml)(pH5.5)からなる滅菌ろ過された緩衝液中で貯蔵される。精製されたポリクローナル抗体の量及び濃度が、決定される。HPLCサイズ排除クロマトグラフィーが、凝集体又は多量体が存在するかどうかを決定するために行われる。
【0582】
ある実施形態において、ヒトポリクローナル抗体は、全体が参照により本明細書に援用される、Beigel,JH et al.(Lancet Infect.Dis.,18:410-418(2018)、添付文書を含む)に従って、ヒト化免疫系を有する非ヒト動物から精製される。簡潔に述べると、ヒト化免疫系を有する非ヒト動物からのヒト化IgGポリクローナル抗体は、クロマトグラフィーを用いて精製される。完全ヒトIgGが、捕捉工程としてヒトIgG κ鎖特異的アフィニティーカラム(例えば、GE healthcare製のKappaSelect)を用いて非ヒト動物IgGから分離される。ヒトIgG κ鎖特異的アフィニティーカラムは、非ヒト動物IgG Fc及びIgGに対する最小の交差反応性で完全ヒトIgGに特異的に結合する。さらなる非ヒト動物IgGが、非ヒト動物IgG(例えば、ウシの場合、GE healthcare製のCapto HC15)に特異的に結合するIgG Fc特異的アフィニティーカラムを用いて除去され、これが、非ヒト動物IgGを特異的に除去するネガティブアフィニティ工程として使用される。アニオン交換クロマトグラフィー工程がまた、宿主DNA、エンドトキシン、IgG凝集体及び滲出されたアフィニティーリガンドなどの汚染物質をさらに減少させるために使用される。
【0583】
ポリクローナル抗体
開示されるように生成されたポリクローナル抗体は、コロナウイルス抗原及び/又はエピトープ(例えば、SARS-CoV-2抗原及び/又はエピトープ)に結合する。これらのポリクローナル抗体は、コロナウイルス-関連疾患又は感染症(例えば、COVID-19又はSARS-CoV-2感染症)の治療又は予防の方法において使用され、例えば、抗体は、抗原及び/又はエピトープ又は同様の抗原及び/若しくはエピトープを発現するコロナウイルスからの防御を提供し得る。
【0584】
本開示のポリクローナル抗体は、例えば、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも120、少なくとも140、少なくとも160、少なくとも180、少なくとも200、少なくとも250、少なくとも300、少なくとも350、少なくとも400、少なくとも450、少なくとも500、又はそれ以上のコロナウイルス抗原又はエピトープに結合する。
【0585】
ある実施形態において、本開示のポリクローナル抗体は、例えば、5以下、6以下、7以下、8以下、9以下、10以下、15以下、20以下、25以下、30以下、40以下、50以下、60以下、70以下、80以下、90以下、100以下、120以下、140以下、160以下、180以下、200以下、250以下、300以下、350以下、400以下、450以下、500以下、又はそれ以下のコロナウイルス抗原又はエピトープに結合する。
【0586】
ある実施形態において、本開示のポリクローナル抗体は、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、100、120、140、160、180、200、250、300、350、400、450、又は500のコロナウイルス抗原又はエピトープに結合する。
【0587】
本開示のポリクローナル抗体は、コロナウイルス抗原からの1つ以上のエピトープに結合する。例えば、コロナウイルス抗原は、複数のエピトープ(例えば、B細胞及び/又はT細胞によって認識されるエピトープ)を中に含有するアミノ酸配列を含み、抗体クローンが、それらのエピトープの1つ以上に結合する。
【0588】
ある実施形態において、本開示のポリクローナル抗体は、例えば、1つのコロナウイルス抗原からの少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも120、少なくとも140、少なくとも160、少なくとも180、少なくとも200、少なくとも250、少なくとも300、少なくとも350、少なくとも400、少なくとも450、少なくとも500、又はそれ以上のエピトープに結合する。
【0589】
ある実施形態において、本開示のポリクローナル抗体は、例えば、1つのコロナウイルス抗原からの2以下、3以下、4以下、5以下、6以下、7以下、8以下、9以下、10以下、15以下、20以下、25以下、30以下、40以下、50以下、60以下、70以下、80以下、90以下、100以下、120以下、140以下、160以下、180以下、200以下、250以下、300以下、350以下、400以下、450以下、若しくは500以下、又はそれ以下のエピトープに結合する。
【0590】
ある実施形態において、本開示のポリクローナル抗体は、1つのコロナウイルス抗原からの例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、100、120、140、160、180、200、250、300、350、400、450、又は500のエピトープに結合する。
【0591】
本開示のポリクローナル抗体は、コロナウイルス抗原又はエピトープの変異体に結合する。変異体は、天然変異体(例えば、異なるコロナウイルス種、分離株、若しくは準種からの配列データにおいて同定される変異体)であり得、又はインシリコで生成された本明細書に開示される誘導体配列(例えば、野生型抗原若しくはエピトープと比較して、1つ以上のアミノ酸挿入、欠失、置換、若しくはそれらの組合せを有する抗原若しくはエピトープ)であり得る。
【0592】
ある実施形態において、本開示のポリクローナル抗体は、例えば、コロナウイルス抗原又はエピトープの、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも120、少なくとも140、少なくとも160、少なくとも180、少なくとも200、少なくとも250、少なくとも300、少なくとも350、少なくとも400、少なくとも450、少なくとも500、又はそれ以上の変異体に結合する。
【0593】
ある実施形態において、本開示のポリクローナル抗体は、例えば、コロナウイルス抗原又はエピトープの、2以下、3以下、4以下、5以下、6以下、7以下、8以下、9以下、10以下、15以下、20以下、25以下、30以下、40以下、50以下、60以下、70以下、80以下、90以下、100以下、120以下、140以下、160以下、180以下、200以下、250以下、300以下、350以下、400以下、450以下、500以下、又はそれ以下の変異体に結合する。
【0594】
ある実施形態において、本開示のポリクローナル抗体は、例えば、コロナウイルス抗原又はエピトープの、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、100、120、140、160、180、200、250、300、350、400、450、又は500の変異体に結合する。
【0595】
特定の実施形態において、本開示の抗体は、中和抗体、非中和抗体、又はそれらの組合せである。
【0596】
ヒト化抗体、又は変異体、フラグメント、及びその誘導体は、ヒトへの投与のために製剤化され得る抗体であり得る。ヒト化抗体は、キメラヒト化抗体又は完全ヒト抗体であり得る。
【0597】
ヒト化抗体は、例えば、ヒト抗体アミノ酸配列、及び非ヒトアミノ酸配列からの又はそれとの類似性を有するアミノ酸配列を含むキメラヒト化抗体であり得る。例えば、キメラヒト化抗体の重鎖及び/又は軽鎖の一部が、ヒト抗体中の対応する配列と同一又は類似であり得る一方、鎖の残りの部分は、非ヒトであり得、例えば、別の種に由来するか、又は別の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一又は類似である。非ヒト配列は、例えば、非ヒト動物において抗体を産生する遺伝子の遺伝子配列へのヒトDNAの組み込みによって、標的特異性を保ちながら免疫原性の可能性を低下させるようにヒト化され得る。
【0598】
ヒト化抗体は、例えば、ヒト抗体アミノ酸配列であるアミノ酸配列を含有する完全ヒト抗体であり得る。
【0599】
ある実施形態において、ヒト化免疫系を有する非ヒト動物は、完全ヒト抗体のみを産生する。
【0600】
本開示の抗体は、基本的な4つの鎖抗体単位を含む抗体であり得る。基本的な4つの鎖抗体単位は、2つの重鎖(H)ポリペプチド配列及び2つの軽鎖(L)ポリペプチド配列を含み得る。重鎖のそれぞれが、1つのN末端可変(V)領域及び3つ又は4つのC末端定常(C1、C2、C3、及びC4)領域を含み得る。軽鎖のそれぞれが、1つのN末端可変(V)領域及び1つのC末端定常(C)領域を含み得る。軽鎖可変領域は、重鎖可変領域と整列され、軽鎖定常領域は、第1の重鎖定常領域CH1と整列される。重鎖可変領域及び軽鎖可変領域の対形成は、単一の抗原-結合部位を一緒に形成する。各軽鎖が、1つのジスルフィド共有結合によって重鎖に連結される。2つの重鎖が、重鎖アイソタイプに応じて、1つ以上のジスルフィド結合によって互いに連結される。各重鎖及び軽鎖が、規則的間隔の鎖内ジスルフィド架橋も含み得る。重鎖のC末端定常領域は、抗体のFc領域を含み、これが、例えば、Fc受容体又は補体タンパク質との相互作用によって、エフェクター機能を媒介し得る。
【0601】
軽鎖は、定常領域のアミノ酸配列に基づいて、指定のκ又はλであり得る。重鎖は、定常領域のアミノ酸配列に基づいて、指定のα、δ、ε、γ、又はμであり得る。抗体は、重鎖に基づいて、5つの免疫グロブリンクラス、又はアイソタイプに分類される。IgAは、α重鎖s、IgDは、δ重鎖を含み、IgEは、ε重鎖を含み、IgGは、γ重鎖を含み、IgMは、μ重鎖を含む。IgG、IgD、及びIgEクラスの抗体が、上述される4つの鎖単位(2つの重鎖及び2つの軽鎖)のモノマーを含む一方、IgM及びIgAクラスは、4つの鎖単位の多量体を含み得る。α及びγクラスは、重鎖定常領域の配列及び機能の相違に基づいて、サブクラスにさらに分けられる。ヒトによって発現されるIgA及びIgGのサブクラスは、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2を含む。
【0602】
ヒト定常ドメイン配列の例示的なアミノ酸配列は、表4に示される。ある実施形態において、本開示の抗体、非ヒト動物、又は非ヒトB細胞は、ヒトIgG1定常ドメイン配列を含み、例えば、配列番号34、又はその変異体、誘導体、若しくはフラグメントを含む。ある実施形態において、本開示の抗体、非ヒト動物、又は非ヒトB細胞は、ヒトIgG2定常ドメイン配列を含み、例えば、配列番号35又はその変異体、誘導体、若しくはフラグメントを含む。ある実施形態において、本開示の抗体、非ヒト動物、又は非ヒトB細胞は、ヒトIgG3定常ドメイン配列を含み、例えば、配列番号36又はその変異体、誘導体、若しくはフラグメントを含む。ある実施形態において、本開示の抗体、非ヒト動物、又は非ヒトB細胞は、ヒトIgG4定常ドメイン配列を含み、例えば、配列番号37又はその変異体、誘導体、若しくはフラグメントを含む。ある実施形態において、本開示の抗体、非ヒト動物、又は非ヒトB細胞は、ヒトIgE定常ドメイン配列を含み、例えば、配列番号38又はその変異体、誘導体、若しくはフラグメントを含む。ある実施形態において、本開示の抗体、非ヒト動物、又は非ヒトB細胞は、ヒトIgA1定常ドメイン配列を含み、例えば、配列番号39又はその変異体、誘導体、若しくはフラグメントを含む。ある実施形態において、本開示の抗体、非ヒト動物、又は非ヒトB細胞は、ヒトIgA2定常ドメイン配列を含み、例えば、配列番号40又はその変異体、誘導体、若しくはフラグメントを含む。ある実施形態において、本開示の抗体、非ヒト動物、又は非ヒトB細胞は、ヒトIgM定常ドメイン配列を含み、例えば、配列番号41又はその変異体、誘導体、若しくはフラグメントを含む。ある実施形態において、本開示の抗体、非ヒト動物、又は非ヒトB細胞は、ヒトIgD定常ドメイン配列を含み、例えば、配列番号42又はその変異体、誘導体、若しくはフラグメントを含む。
【0603】
【表9】
【0604】
【表10】
【0605】
本開示の抗体は、ヒト軽鎖定常ドメイン配列、例えばκ(IgK)又はλ(IgL)鎖を含む。ある実施形態において、本開示の抗体、非ヒト動物、又は非ヒトB細胞は、ヒトIgK定常ドメイン配列を含み、例えば、配列番号43又はその変異体、誘導体、若しくはフラグメントを含む。ある実施形態において、本開示の抗体、非ヒト動物、又は非ヒトB細胞は、ヒトIgL定常ドメイン配列を含み、例えば、配列番号44又はその変異体、誘導体、若しくはフラグメントを含む。
【0606】
表5は、例の軽鎖定常ドメイン配列を提供する。
【0607】
【表11】
【0608】
シグナルペプチドは、細胞によるより高いタンパク質発現及び/又は分泌をもたらし得る。ある実施形態において、本開示の抗体は、シグナルペプチドを含む。シグナルペプチダーゼは、例えば、分泌プロセス中に、タンパク質からシグナルペプチドを切断して、シグナルペプチド配列を含まない成熟タンパク質を生成し得る。ある実施形態において、シグナルペプチドは、本開示の化合物又は抗体から切断される。ある実施形態において、本開示の成熟化合物又は抗体は、シグナルペプチドを含まない。
【0609】
定常領域は、様々なエフェクター機能を媒介し得、抗原結合に最小限に関与し得る。異なるIgGアイソタイプ又はサブクラスは、例えば、異なるFc受容体及び/又は補体タンパク質との相互作用のため、異なるエフェクター機能又は治療特性に関連し得る。活性化Fc受容体にかみ合うFc領域を含む抗体は、例えば、抗体依存性細胞媒介性細胞毒性(ADCC)、抗体依存性細胞食作用(ADCP)、補体依存性細胞毒性(CDC)、免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)によるシグナル伝達の誘導、及びサイトカイン分泌の誘導に関与し得る。阻害Fc受容体にかみ合うFc領域を含む抗体は、例えば、免疫受容体チロシンベースの阻害モチーフ(ITIM)を介して、シグナル伝達を誘導し得る。
【0610】
異なる抗体サブクラスは、免疫エフェクター機能を引き起こす異なる能力を含む。例えば、IgG1及びIgG3は、補体を有効に動員して、CDCを活性化し得、IgG2は、最小のADCCを引き起こす。IgG4は、免疫エフェクター機能を引き起こすより低い能力を有する。定常領域に対する修飾はまた、抗体特性、例えば、Fc受容体ライゲーションの促進若しくは低減、ADCCの促進若しくは低減、ADCPの促進若しくは低減、CDCの促進若しくは低減、ITAMを介したシグナル伝達の促進若しくは低減、サイトカイン誘導の促進若しくは低減、ITIMを介したシグナル伝達の促進若しくは低減、半減期の促進若しくは低減、又はFc受容体との抗原の共エンゲージメント(co-engagement)の促進若しくは低減に影響を与え得る。修飾は、例えば、アミノ酸突然変異、翻訳後修飾の改変(例えば、グリコシル化)、異なるアイソタイプ若しくはサブクラスからのドメインを組み合わせること、又はそれらの組合せを含み得る。
【0611】
本開示の抗体は、好適な抗体特性、例えば、本明細書に開示される疾患又は病態を治療するのに好適な特性を提供するように選択又は修飾される定常領域又はFc領域を含み得る。ある実施形態において、IgG1は、例えば、感染症の治療のために、炎症、免疫活性化、及び免疫エフェクター機能を促進するために使用され得る。ある実施形態において、IgG4は、例えば、低下した免疫エフェクター機能を有する抗体の拮抗特性が所望される場合に使用され得る(例えば、炎症及び免疫活性化を促進せずに、コロナウイルス抗原を中和し、細胞内へのウイルス侵入を阻害するため)。
【0612】
抗体修飾及びそれらの効果の非限定的な例が、表6に示される。
【0613】
【表12】
【0614】
可変(V)領域は、抗原結合を媒介し、抗原に対する特定の抗体の特異性を規定し得る。可変領域は、フレームワーク領域と呼ばれる比較的不変の配列、及び異なる結合特異性の抗体中でも配列がかなり異なる超可変領域を含む。各抗体重鎖又は軽鎖の可変領域は、3つの超可変領域によって隔てられる4つのフレームワーク領域を含む。重鎖及び軽鎖の可変領域は、超可変領域を一緒にごく近接させて抗原結合部位を生成するように折り畳まれる。4つのフレームワーク領域は、主に、f3-シート形態を採る一方、3つの超可変領域は、f3-シート構造を連結し、ある場合には、f3-シート構造の一部を形成するループを形成する。
【0615】
超可変領域内に、抗体の結合特異性を主に決定するアミノ酸残基がある。これらの残基を含む配列は、相補性決定領域(CDR)として公知である。抗体の1つの抗原結合部位は、6つのCDR、軽鎖の超可変領域中に3つ、及び重鎖の超可変領域中に3つを含み得る。軽鎖中のCDRが、指定のLCDR1、LCDR2、LCDR3であり得る一方、重鎖中のCDRは、指定のHCDR1、HCDR2、及びHCDR3であり得る。
【0616】
ある実施形態において、本開示の抗体は、その変異体、誘導体、及び抗原結合フラグメントを含む。例えば、非ヒト動物は、抗体の変異体、誘導体、及び抗原結合フラグメントを生成するように遺伝子組み換えされ得る。ある実施形態において、抗体は、単一のドメイン抗体(sdAb)、例えば、重鎖のみの抗体(HCAb)VHH、又はナノボディであり得る。抗原結合フラグメントの非限定的な例としては、Fab、Fab’、F(ab’)、Fabコンジュゲートの二量体及び三量体、Fv、scFv、ミニボディ、二重-、三重-、及び四重特異性抗体、及び線状抗体が挙げられる。Fab及びFab’は、ジスルフィド結合を介して軽鎖のV及びCドメインに連結された重鎖のV及びC1ドメインを含み得る抗原結合フラグメントである。F(ab’)は、ジスルフィド結合によって結合される2つのFab又はFab’を含み得る。Fvは、非共有相互作用によって結び付けられるV及びVドメインを含み得る。scFv(一本鎖可変フラグメント)は、ペプチドリンカーによって結合されるV及びVドメインを含み得る融合タンパク質である。V及びVドメインの配向及びリンカー長さの操作を用いて、モノマー、二量体(ダイアボディ)、三量体(トリアボディ)、又は四量体(テトラボディ)であり得る異なる形態の分子を生成し得る。ミニボディは、2価二量体へと組み立てられるscFv-C3融合タンパク質である。
【0617】
ある実施形態において、本開示の抗体は、本明細書に開示される免疫原性組成物を、非ヒト動物又はヒト対象(例えば、免疫化のための非ヒト動物又はヒト対象)に投与することによって生成される抗コロナウイルス抗体である。ある実施形態において、本開示の複数の抗体は、非ヒト動物又はヒト対象(例えば、免疫化のための非ヒト動物又はヒト対象)を、本明細書に開示される免疫原性組成物で免疫化することによって生成される複数の抗コロナウイルスポリクローナル抗体である。ある実施形態において、抗コロナウイルス抗体又は複数の抗コロナウイルスポリクローナル抗体は、薬学的に許容される担体又は賦形剤をさらに含む。ある実施形態において、非ヒト動物(例えば、免疫化のための非ヒト動物対象)は、ヒト化免疫系を有する非ヒト動物である。
【0618】
医薬組成物
ある実施形態において、対象(例えば、免疫化のための対象)に投与される免疫原性組成物は、医薬組成物である。本発明によって想定される医薬組成物は、薬学的に許容される賦形剤も含み得る。
【0619】
本開示はまた、本明細書に開示されるコロナウイルスに対する複数のポリクローナル抗体又はポリクローナル抗体製剤及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0620】
薬学的に許容される賦形剤は、非担体賦形剤であり得る。非担体賦形剤は、本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチドなどの、組成物のためのビヒクル又は媒体として働く。非担体賦形剤は、本明細書に記載される線状ポリリボヌクレオチドなどの、組成物のためのビヒクル又は媒体として働く。非担体賦形剤の非限定的な例としては、溶媒、水性溶媒、非水性溶媒、分散媒、希釈剤、分散体、懸濁助剤、表面活性剤、等張剤、増粘剤、乳化剤、保存料、ポリマー、ペプチド、タンパク質、細胞、ヒアルロニダーゼ、分散剤、造粒剤、崩壊剤、結合剤、緩衝剤(例えば、リン酸緩衝生理食塩水(PBS))、滑沢剤、油、及びそれらの混合物が挙げられる。非担体賦形剤は、米国食品医薬品局(United States Food and Drug Administration)(FDA)によって承認され、細胞透過効果を示さないInactive Ingredient Databaseに列挙された非有効成分のいずれか1つであり得る。医薬組成物は、1つ以上のさらなる活性物質、例えば治療的及び/又は予防的に活性な物質を任意に含み得る。本発明の医薬組成物は、滅菌されており且つ/又はパイロジェンフリーであり得る。医薬品の製剤化及び/又は製造における概論は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy 21st ed.,Lippincott Williams & Wilkins,2005(参照により本明細書に援用される)に見られる。
【0621】
本開示の医薬組成物は、本開示のポリクローナル抗体、本開示の環状ポリリボヌクレオチド、又はそれらの組合せを含み得る。本開示の医薬組成物は、本開示のポリクローナル抗体、本開示の線状ポリリボヌクレオチド、又はそれらの組合せを含み得る。本開示の医薬組成物は、本開示のポリクローナル抗体、本開示の環状ポリリボヌクレオチド、本開示の線状ポリリボヌクレオチド、又はそれらの組合せを含み得る。
【0622】
ある実施形態において、本明細書において提供される医薬組成物は、ヒトへの投与に好適である。ある実施形態において、本明細書において提供される医薬組成物(例えば、本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド、又は免疫原性組成物を含む)は、対象(例えば、免疫化のための対象)への投与に好適であり、ここで、対象はヒトである。ある実施形態において、本明細書において提供される医薬組成物(例えば、本明細書に記載される複数のポリクローナル抗体又はポリクローナル抗体製剤を含む)は、対象(例えば、免疫化のための対象)への投与に好適であり、ここで、対象はヒトである。
【0623】
ある実施形態において、本明細書において提供される医薬組成物(例えば、本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド、又は免疫原性組成物を含む)は、対象(例えば、免疫化のための対象)への投与に好適であり、ここで、対象は、例えば、獣医学的使用に好適な非ヒト動物である。組成物を様々な動物への投与に好適にするための、ヒトへの投与に好適な医薬組成物の変更は、十分に理解されており、通常の技能を有する獣医薬理学者は、あったとしても通常の実験のみでこのような変更を設計及び/又は行うことができる。医薬組成物の投与が想定される対象としては、限定はされないが、ヒト及び/又は他の霊長類;商業的に関連する哺乳動物、例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ネコ、イヌ、マウス、及び/又はラットなどのペット及び家畜動物;及び/又はオウム、家禽、ニワトリ、カモ、ガチョウ、めんどり若しくはおんどり、及び/又はシチメンチョウなどの商業的に関連する鳥類を含む鳥類;動物園の動物、例えば、猫科の動物を含む哺乳動物;非哺乳動物、例えば、は虫類、魚類、両生類などの任意の動物が挙げられる。
【0624】
ある実施形態において、本明細書において提供される医薬組成物(例えば、本明細書に記載される複数のポリクローナル抗体又はポリクローナル抗体製剤を含む)は、対象(例えば、免疫化のための対象)への投与に好適であり、ここで、対象は、例えば、獣医学的使用に好適な非ヒト動物である。組成物を様々な動物への投与に好適にするための、ヒトへの投与に好適な医薬組成物の変更は、十分に理解されており、通常の技能を有する獣医薬理学者は、あったとしても通常の実験のみでこのような変更を設計及び/又は行うことができる。医薬組成物の投与が想定される対象としては、限定はされないが、ヒト及び/又は他の霊長類;商業的に関連する哺乳動物、例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ネコ、イヌ、マウス、及び/又はラットなどのペット及び家畜動物;及び/又はオウム、家禽、ニワトリ、カモ、ガチョウ、めんどり若しくはおんどり、及び/又はシチメンチョウなどの商業的に関連する鳥類を含む鳥類;動物園の動物、例えば、猫科の動物を含む哺乳動物;非哺乳動物、例えば、は虫類、魚類、両生類などの任意の動物が挙げられる。
【0625】
医薬組成物の投与が想定される対象(例えば、免疫化のための対象又は治療のための対象)としては、任意の有蹄動物が挙げられる。
【0626】
本明細書に記載される医薬組成物の製剤は、薬理学の技術分野において公知であるか又は今後開発される任意の方法によって調製され得る。一般に、このような調製方法は、有効成分を賦形剤及び/又は1つ以上の他の補助成分と組み合わせて、次に必要に応じて及び/又は望ましい場合、生成物を分割、成形及び/又は包装する工程を含む。
【0627】
医薬組成物は、滅菌され得、製造及び貯蔵の条件下で、安定性であり得る。組成物は、溶液、マイクロエマルション、リポソーム、又は高い薬物濃度に好適な他の秩序ある構造として製剤化され得る。本発明の医薬組成物において用いられ得る好適な水性及び非水性組成物の例としては、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、及びそれらの好適な混合物、オリーブ油などの植物油、及びオレイン酸エチルなどの注射用有機酸エステルが挙げられる。適切な流動性が、例えば、レシチンなどのコーティング材料の使用によって、分散体の場合、必要な粒径の維持によって、及び界面活性剤の使用によって維持され得る。
【0628】
滅菌注射用溶液は、必要に応じて、例えば上記に列挙される成分の1つ又は組合せと共に適切な溶媒中で必要な量の活性化合物(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド、又は抗体などの薬剤)を組み込み、その後、滅菌精密ろ過を行うことによって調製され得る。一般に、分散体は、塩基性分散媒及び必要な他の成分、例えば上記に列挙されるものを含む滅菌ビヒクルに活性化合物を組み込むことによって調製される。滅菌注射用溶液の調節のための滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、予め滅菌ろ過されたその溶液からの任意のさらなる所望の成分に加えて有効成分の粉末を生じる真空乾燥及びフリーズドライ(凍結乾燥)である。
【0629】
本開示の薬剤(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド、又は抗体)は、急速な放出からそれらを保護する組成物中で調製され得、例えば、インプラント、経皮パッチ、及びマイクロカプセル化送達システムを含む制御放出製剤などである。エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、及びポリ乳酸などの、生分解性、生体適合性ポリマーが使用され得る。このような製剤の調製のための方法は、当業者に一般に知られている。例えば、Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems,J.R.Robinson,ed.,Marcel Dekker,Inc.,New York,1978を参照されたい。本開示の組成物は、例えば、即時放出形態又は制御放出製剤であり得る。即時放出製剤は、化合物(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド又は抗体などの薬剤)が急速に作用するのを可能にするように製剤化され得る。即時放出製剤の非限定的な例としては、容易に溶解可能な製剤が挙げられる。制御放出製剤は、活性薬剤の放出速度及び放出プロファイルが、生理学的及び時間治療学要件に適合され得るように適合されたが、或いは、プログラムされた速度で活性薬剤の放出を行うように製剤化された医薬製剤であり得る。制御放出製剤の非限定的な例としては、顆粒、遅延放出顆粒、ヒドロゲル(例えば、合成又は天然由来の)、他のゲル化剤(例えば、ゲル形成性食物繊維)、マトリックスベースの製剤(例えば、少なくとも1つの有効成分が分散されたポリマー材料を含む製剤)、マトリックス中の顆粒、ポリマー混合物、及び粒状の塊が挙げられる。
【0630】
投与用の医薬製剤は、水溶性形態の活性化合物(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド、又は抗体などの薬剤)の水溶液を含み得る。活性化合物の懸濁液は、油性注射用懸濁液として調製され得る。好適な親油性溶媒又はビヒクルとしては、脂肪油、例えば、ゴマ油、又は合成脂肪酸エステル、例えば、オレイン酸エチル若しくはトリグリセリド、又はリポソームが挙げられる。水性注射用懸濁液は、懸濁液の粘度を増加させるための物質、例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトール、又はデキストランを含有し得る。懸濁液は、好適な安定剤又は高度に濃縮された溶液の調製を可能にするために薬剤の可溶性を増加させる薬剤も含有し得る。有効成分は、使用前に、滅菌ビヒクル、例えば、滅菌発熱性物質除去蒸留水による構成のために粉末形態であり得る。
【0631】
本明細書に記載される薬剤を含む組成物の調製のための方法は、1つ以上の不活性な薬学的に許容される賦形剤又は担体とともに薬剤を製剤化して、固体、半固体、又は液体組成物を形成することを含む。固体組成物としては、例えば、粉末、分散性顆粒、及びカシェが挙げられる。液体組成物としては、例えば、薬剤が溶解された溶液、薬剤を含む乳剤、又はリポソームを含む溶液、ミセル、又は本明細書に開示される薬剤を含むナノ粒子が挙げられる。半固体組成物としては、例えば、ゲル、懸濁液及びクリームが挙げられる。組成物は、液体溶液又は懸濁液、使用前に液体中の溶液若しくは懸濁液に好適な固体形態において、又は乳剤としてであり得る。これらの組成物は、少量の非毒性の、補助物質、例えば、湿潤剤又は乳化剤、pH緩衝剤、及び他の薬学的に許容される添加剤も含有し得る。
【0632】
本開示において使用するのに好適な剤形の非限定的な例としては、液体、粉末、ゲル、ナノ懸濁液、ナノ粒子、ミクロゲル、水性若しくは油性懸濁液、乳剤、及びそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0633】
ある実施形態において、本開示の製剤は、熱安定剤、例えば、糖若しくは糖アルコール、例えば、スクロース、ソルビトール、グリセロール、トレハロース、若しくはマンニトール、又はそれらの任意の組合せを含有する。ある実施形態において、安定剤は、糖である。ある実施形態において、糖は、スクロース、マンニトール又はトレハロースである。
【0634】
本明細書に記載される医薬組成物は、例えば、医薬品賦形剤又は担体を含むように製剤化され得る。医薬担体は、膜、脂質二重層、及び/又はポリマー担体、例えば、リポソーム又は粒子、例えば、ナノ粒子、例えば、脂質ナノ粒子であり得、環状ポリリボヌクレオチドの部分的又は完全な封入などによる公知の方法によって、それを必要とする対象(例えば、免疫化のための対象又は免疫化のための対象)(例えば、ヒト又は非ヒト農用動物又は家畜、例えば、ウシ、イヌ、ネコ、ウマ、家禽)に送達され得る。
【0635】
送達の方法
本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチド又は本明細書に記載されるその医薬組成物は、本明細書に記載される小胞又は他の膜ベースの担体中で細胞に投与され得る。本明細書に記載される線状ポリリボヌクレオチド又は本明細書に記載されるその医薬組成物は、本明細書に記載される小胞又は他の膜ベースの担体中で細胞に投与され得る。
【0636】
ある実施形態において、細胞は、真核細胞である。ある実施形態において、細胞は、哺乳動物細胞である。ある実施形態において、細胞は、有蹄動物細胞である。ある実施形態において、細胞は、動物細胞である。ある実施形態において、細胞は、免疫細胞である。ある実施形態において、組織は、結合組織、筋肉組織、神経組織、又は上皮組織である。ある実施形態において、組織は、器官(例えば、肝臓、肺、脾臓、腎臓など)である。ある実施形態において、対象(例えば、免疫化のための対象)は、哺乳動物である。ある実施形態において、対象(例えば、免疫化のための対象)は、有蹄動物である。
【0637】
ある実施形態において、本明細書に開示される医薬製剤は、(i)本明細書に開示される化合物(例えば、環状ポリリボヌクレオチド又は抗体);(ii)緩衝液;(iii)非イオン性洗浄剤;(iv)等張化剤;及び(v)安定剤を含み得る。ある実施形態において、本明細書に開示される医薬製剤は、(i)本明細書に開示される化合物(例えば、線状ポリリボヌクレオチド又は抗体);(ii)緩衝液;(iii)非イオン性洗浄剤;(iv)等張化剤;及び(v)安定剤を含み得る。ある実施形態において、本明細書に開示される医薬製剤は、安定した液体医薬製剤である。
【0638】
治療方法
本開示は、治療又は予防として有用な組成物及び方法、例えば、コロナウイルス感染の影響から対象(例えば、免疫化のための対象又は治療のための対象)を保護するのに使用され得る抗体を含む組成物及び方法を提供する。例えば、本開示の環状ポリリボヌクレオチドは、所望のコロナウイルス抗原/及び又はエピトープに結合する抗体(例えば、ヒトポリクローナル抗体)の産生を刺激するために、対象(例えば、免疫化のための対象)に投与され得る。本開示の線状ポリリボヌクレオチドは、所望のコロナウイルス抗原/及び又はエピトープに結合する抗体(例えば、ヒトポリクローナル抗体)の産生を刺激するために、対象(例えば、免疫化のための対象)に投与され得る。抗体は、対象(例えば、免疫化のための対象の免疫化後)から得られ、例えば、治療又は予防として、対象(例えば、免疫化のための対象、例えば、治療のためのヒト対象)への投与のために製剤化され得る。抗体は、例えば、抗原及び/又はエピトープを発現するコロナウイルスからの保護を提供し得る。別の例では、環状ポリリボヌクレオチドは、所望の抗原/及び又はエピトープに結合する、ヒト対象における抗体の産生を刺激するために、ヒト対象(例えば、免疫化のためのヒト対象)に投与され得る。別の例では、線状ポリリボヌクレオチドは、所望の抗原/及び又はエピトープに結合する、ヒト対象における抗体の産生を刺激するために、ヒト対象(例えば、免疫化のためのヒト対象)に投与され得る。ある実施形態において、本開示は、コロナウイルス感染の治療又は予防に使用するための組成物を提供する。
【0639】
本開示の組成物及び方法によって治療され得る病態及び疾患の非限定的な例としては、本明細書に開示されるコロナウイルスによって引き起こされるか又はそれに関連するもの、例えばコロナウイルス感染症が挙げられる。ある実施形態において、病態は、SARS-CoVによって引き起こされるか又はそれに関連する。ある実施形態において、病態は、SARS-CoV-2によって引き起こされるか又はそれに関連する。ある実施形態において、病態は、2019コロナウイルス感染症(COVID-19)である。ある実施形態において、病態は、MERS-CoVによって引き起こされるか又はそれに関連する。
【0640】
ある実施形態において、ポリクローナル抗体は、非ヒト動物又はヒト対象(例えば、免疫化のための非ヒト動物又はヒト対象)を、本開示の環状ポリリボヌクレオチドで免疫化することによって生成され、血漿は、非ヒト動物又はヒト対象(例えば、免疫化のための非ヒト動物又はヒト対象の免疫化後)から採取され、ポリクローナル抗体は、血漿から精製される。ある実施形態において、ポリクローナル抗体は、非ヒト動物又はヒト対象(例えば、免疫化のための非ヒト動物又はヒト対象)を、本開示の線状ポリリボヌクレオチドで免疫化することによって生成され、血漿は、非ヒト動物又はヒト対象(例えば、免疫化のための非ヒト動物又はヒト対象の免疫化後)から採取され、ポリクローナル抗体は、血漿から精製される。任意に、2以上の非ヒト動物又はヒト対象(例えば、2以上の非ヒト動物又は免疫化のためのヒト対象の免疫化後)からの精製されたポリクローナル抗体、同じ非ヒト動物又はヒト対象(例えば、免疫化のための非ヒト動物又はヒト対象の免疫化後)からの複数の精製されたポリクローナル抗体サンプル、又はそれらの組合せが、一緒にプールされ、それを必要とする対象(例えば、免疫化のための対象)、例えば、それを必要とするヒト対象(例えば、治療のためのヒト対象)に投与される。ある実施形態において、ポリクローナル抗体は、ポリクローナル抗体製剤、例えば、コロナウイルスに対するポリクローナル抗体製剤中で製剤化される。コロナウイルスに対するヒトポリクローナル抗体製剤を製造する方法であって、(a)抗体を産生することが可能な動物(例えば、免疫化のための動物)に、コロナウイルス抗原をコードする配列を含むポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド又は線状ポリリボヌクレオチド)を含む免疫原性組成物を投与すること、(b)哺乳動物から血液又は血漿を採取すること、(c)血液又は血漿からコロナウイルスに対するポリクローナル抗体を精製すること、及び(d)ヒト使用(例えば、治療のためのヒト対象のための投与)のための治療用又は医薬製剤として又は非ヒト動物使用(例えば、非ヒト動物治療のための対象への投与)のための動物用製剤として、ポリクローナル抗体を製剤化することを含む、方法。
【0641】
ある実施形態において、本方法は、コロナウイルス抗原に対するポリクローナル抗体の存在について、コロナウイルス感染を有する対象(例えば、治療のための対象)、コロナウイルス感染への曝露のリスクがある対象(例えば、治療のための対象)、又はそれを必要とする対象(例えば、治療のための対象)をモニターすることをさらに含む。ある実施形態において、モニターすることは、ポリクローナル抗体の投与の前及び/又はポリクローナル抗体の投与の後である。
【0642】
本明細書において提供される治療の方法又は使用を実施する際、治療有効量の、本明細書に記載される化合物(例えば、環状ポリリボヌクレオチド又は抗体などの薬剤)が、治療される疾患若しくは病態を有するか、又は予防を必要とする対象(例えば、免疫化のための対象又は治療のための対象)に、医薬組成物中で投与される。本明細書において提供される治療の方法又は使用を実施する際、治療有効量の、本明細書に記載される化合物(例えば、線状ポリリボヌクレオチド又は抗体などの薬剤)が、治療される疾患若しくは病態を有するか、又は予防を必要とする対象(例えば、免疫化のための対象又は治療のための対象)に、医薬組成物中で投与される。ある実施形態において、対象(例えば、免疫化のための対象又は治療のための対象)は、ヒトなどの哺乳動物である。治療有効量は、疾患の重症度、対象(例えば、免疫化のための対象又は治療のための対象)の年齢及び関連する健康、使用される化合物の効力、所与のコロナウイルスの特徴、及び他の要因に応じて、広く変化し得る。
【0643】
投与の方法及び経路
本明細書に開示される組成物(例えば、医薬組成物)は、例えば、経口、又は局所投与を含む様々な形態及び経路によって、治療有効量で投与され得る。ある実施形態において、組成物は、非経口、静脈内、皮下、筋肉内、皮内、腹腔内、脳内、くも膜下、眼内、胸骨内、眼内、内皮、局所、鼻腔内、肺内、直腸、動脈内、髄腔内、吸入、病巣内、皮内、硬膜外、関節包内、被膜下、心臓内、気管内、表皮下、くも膜下、又は髄腔内投与、例えば、注射又は注入によって投与され得る。ある実施形態において、組成物は、上皮又は皮膚粘膜ライニング(mucocutaneous lining)を介した吸収(例えば、口腔粘膜、直腸及び腸粘膜投与)によって投与され得る。ある実施形態において、組成物は、複数の投与経路によって送達される。
【0644】
ある実施形態において、組成物は、静脈内注射によって投与される。ある実施形態において、組成物は、24時間超などの長期間にわたってゆっくりとした持続注入によって投与される。ある実施形態において、組成物は、静脈注射又は短時間の注入として投与される。
【0645】
医薬組成物は、局所的に、例えば、直接、器官への薬剤の注射によって、任意に、デポー又は持続放出製剤又はインプラント中で投与され得る。医薬組成物は、即放性製剤の形態で、持続放出製剤の形態で、又は中間型放出性(intermediate release)製剤の形態で提供され得る。即放性形態は、即時放出を提供し得る。持続放出製剤は、制御放出又は持続遅延放出を提供し得る。ある実施形態において、ポンプが、医薬組成物の送達のために使用され得る。ある実施形態において、ペン型送達デバイスが、例えば、本開示の組成物の皮下送達のために使用され得る。
【0646】
本明細書において提供される医薬組成物は、他の療法、例えば、抗ウイルス療法、抗生物質、細胞療法、サイトカイン療法、又は抗炎症剤と共に投与され得る。ある実施形態において、本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチド又は抗体は、単独で、又は混合物の成分として1つ以上の治療剤と組み合わせて使用され得る。ある実施形態において、本明細書に記載される線状ポリリボヌクレオチド又は抗体は、単独で、又は混合物の成分として1つ以上の治療剤と組み合わせて使用され得る。
【0647】
用量及び頻度
本明細書に記載される治療剤は、疾患若しくは病態の発生の前、その際、又はその後に投与され得、治療剤を含有する組成物を投与するタイミングは変化し得る。ある場合には、組成物は、予防薬として使用され得、コロナウイルスに対する感受性又はコロナウイルスに関連する病態若しくは疾患に対する傾向を有する対象(例えば、免疫化のための対象又は治療のための対象)に連続的に投与され得る。予防薬投与は、感染症、疾患若しくは病態の発生の可能性を低下させ得、又は感染症、疾患若しくは病態の重症度を低下させ得る。
【0648】
組成物は、症状の発生の後(例えば、症状の発生の後できるだけ直ぐに)対象(例えば、免疫化のための対象又は治療のための対象)に投与され得る。組成物は、試験結果、例えば、診断を提供する試験結果、対象(例えば、免疫化のための対象又は治療のための対象)におけるコロナウイルスの存在を示す試験、又は病態の経過、例えば、低下した血液酸素レベルを示す試験の後(例えば、試験結果の後できるだけ直ぐに)対象(例えば、免疫化のための対象又は治療のための対象)に投与され得る。治療剤は、疾患又は病態の発生が検出されたか又は疑われた後(例えば、検出されたか又は疑われた後できるだけ直ぐに)投与され得る。治療剤は、コロナウイルスへの潜在的な曝露の後(例えば、曝露の後実行可能な限り直ぐに)、例えば、対象(例えば、免疫化のための対象又は治療のための対象)が、感染した対象と接触した後、又は感染力があり得る感染した対象と接触したと分かった後に投与され得る。
【0649】
本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチド、抗体、又は治療剤は、所望の任意の間隔で投与される。本明細書に記載される線状ポリリボヌクレオチド、抗体、又は治療剤は、所望の任意の間隔で投与される。
【0650】
本開示の薬剤(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド、抗体、又は治療剤)の実際の投与量レベルは、対象(例えば、免疫化のための対象又は治療のための対象)に対して毒性でなく、特定の対象、組成物、及び投与方法について所望の治療反応を達成するための薬剤の量を得るように変化され得る。選択された投与量レベルは、用いられる本発明の特定の組成物の活性、投与経路、投与の時期、排せつ速度、治療の期間、用いられる特定の組成物と組み合わせて使用される他の薬物、化合物及び/又は材料、治療される患者の年齢、性別、体重、病態、全体的な健康及び過去の病歴、並びに医療分野において周知の同様の要因を含む様々な薬物動態学的要因に依存し得る。
【0651】
投与レジメンは、最適な所望の応答(例えば、治療及び/又は予防応答)を提供するように調整され得る。例えば、単回ボーラスが、投与されてもよく、いくつかの分割用量が、時間と共に投与されてもよく、又は用量は、治療状況の緊急性によって示されるように比例的に減少若しくは増加され得る。投与の容易さ及び投与量の均一性のために、投与単位形態で非経口組成物を製剤化することが特に有利である。本明細書において使用される際の投与単位形態は、対象(例えば、免疫化のための対象又は治療のための対象)のための単位投与量として適した物理的に別個の単位を指し;各単位は、必要な医薬担体と共に所望の治療効果を生じるように計算された所定の量の活性薬剤を含有する。本開示の投与単位形態の仕様は、(a)活性薬剤の独自の特性及び達成される特定の治療効果、及び(b)個体における感受性の治療のためにこのような活性薬剤を配合することの当該技術分野において固有の制約によって、及びそれらに応じて直接、決定され得る。用量は、環状ポリリボヌクレオチド又は抗体の血漿濃度又は局所濃度を参照して決定され得る。用量は、線状ポリリボヌクレオチド又は抗体の血漿濃度又は局所濃度を参照して決定され得る。
【0652】
本明細書に記載される医薬組成物は、正確な投与量の単回投与に好適な単位剤形であり得る。単位剤形において、製剤は、適切な量の1つ以上の環状ポリリボヌクレオチド、抗体、及び/又は治療剤を含有する単位用量に分割され得る。単位剤形において、製剤は、適切な量の1つ以上の線状ポリリボヌクレオチド、抗体、及び/又は治療剤を含有する単位用量に分割され得る。単位投与量は、個別の量の製剤を含有するパッケージの形態であり得る。非限定的な例は、包装された注射剤、バイアル、及びアンプルである。本明細書に開示される水性懸濁液組成物は、単回用量の再封不可能な容器中に包装され得る。複数回用量の再封可能な容器は、例えば、保存料と組み合わせて又は保存料なしで使用され得る。本明細書に開示される注射用製剤が、単位剤形で、例えば、アンプル中で、又は保存料を含む複数回用量容器中に存在し得る。
【0653】
用量は、対象(例えば、免疫化のための対象又は治療のための対象)の体重のキログラム当たりの薬剤の量に基づき得る。薬剤(例えば、抗体)の用量は、10~3000mg/kg、例えば、100~2000mg/kg、例えば、1~10日間又は1~5日間にわたって300~500mg/kg/日;例えば、3~6日間にわたって400mg/kg/日;例えば、2~3日間にわたって1g/kg/日の範囲である。
【0654】
対象
組成物は、コロナウイルスによる感染などの、本明細書に開示される病態の治療又は予防に使用するために提供される。組成物は、コロナウイルス感染又は関連する疾患若しくは病態を有する対象(例えば、免疫化のための対象又は治療のための対象)に投与され得る。組成物は、感染症、疾患若しくは病態の可能性を低下させるか、又は感染症、疾患若しくは病態の重症度を低下させるために、コロナウイルス感染に対する傾向又は関連する病態若しくは疾患に対する感受性を有する対象(例えば、免疫化のための対象又は治療のための対象)に、予防薬として投与され得る。
【0655】
対象(例えば、免疫化のための対象又は治療のための対象)は、コロナウイルスに感染した対象であり得る。対象(例えば、免疫化のための対象又は治療のための対象)は、コロナウイルス検査で陽性になった対象であり得る。対象(例えば、免疫化のための対象又は治療のための対象)は、コロナウイルスに曝露された対象であり得る。対象(例えば、免疫化のための対象又は治療のための対象)は、コロナウイルスに曝露された可能性がある対象であり得る。対象(例えば、免疫化のための対象又は治療のための対象)は、コロナウイルスによる感染と一致する1つ以上の兆候及び/又は症状を示す対象であり得る。
【0656】
ある実施形態において、対象(例えば、免疫化のための対象又は治療のための対象)は、本開示のコロナウイルスと接触する高いリスクがある対象である。例えば、対象(例えば、免疫化のための対象又は治療のための対象)は、本開示のコロナウイルス(例えば、SARS-CoV2)と接触する可能性がより高い、医療従事者、実験室研究者、又はファーストレスポンダーであり得る。対象(例えば、免疫化のための対象又は治療のための対象)は、医療施設、例えば、病因、医師の診察室、入院施設、外来患者用施設、緊急医療施設、老人ホーム、老人介護施設、又は介護施設で働いている場合がある。
【0657】
ある実施形態において、対象(例えば、免疫化のための対象又は治療のための対象)は、本開示のコロナウイルスに感染している場合、合併症の高いリスクがある対象である。例えば、対象(例えば、免疫化のための対象又は治療のための対象)は、併存疾患、50歳を超える年齢、1型糖尿病、2型糖尿病、インスリン抵抗性、又はそれらの組合せを有し得る。ある実施形態において、対象は、免疫不全対象である。ある実施形態において、対象(例えば、免疫化のための対象又は治療のための対象)は、免疫抑制剤を服用している。ある実施形態において、対象(例えば、免疫化のための対象又は治療のための対象)は、免疫抑制剤を服用している移植レシピエントである。ある実施形態において、対象(例えば、免疫化のための対象又は治療のための対象)は、免疫系の機能を低下させ得る、癌の治療、例えば、化学療法を受けている。
【0658】
対象(例えば、免疫化のための対象又は治療のための対象)は、哺乳動物であり得る。対象(例えば、免疫化のための対象又は治療のための対象)は、ヒトであり得る。対象(例えば、免疫化のための対象又は治療のための対象)は、非ヒト動物であり得る。非ヒト動物は、家畜、例えば、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウマ、又はヤギ;ペット、例えば、ネコ若しくはイヌ;又は動物園の動物、例えば、猫科の動物であり得る。
【実施例
【0659】
以下の実施例は、例示のために含まれるに過ぎず、本発明の範囲を限定することは意図されていない。
【0660】
実施例1:環状RNA構築物
この実施例は、新規なSARS-CoV-2オープンリーディングフレーム(ORF)及び環状RNA構築物の設計を記載する。
【0661】
この実施例において、SARS-CoV-2 ORF及びSARS-CoV-2 ORFをコードする環状RNA構築物を、表2に記載されるように設計した。
【0662】
実施例2:SARS-CoV-2抗原をコードする環状RNAのインビトロ産生
この実施例は、環状RNAのインビトロ産生を実証する。
【0663】
環状RNAを、IRES、修飾SARS-CoV-2スパイク抗原又はRBD抗原をコードするORF(実施例1に記載されるような)、及びIRES-ORFに隣接する2つのスペーサー要素を含むように設計した。環状化は、ローリングサークル型翻訳、別個のORF発現及び制御されたタンパク質化学量論のための交互のスタガー要素を有する複数のORF、及びリボソーム進入のためのRNAを標的にするIRESを可能にする。コロナウイルス抗原をコードする配列を含む環状ポリリボヌクレオチドの例示的な図面が、図1に示される。
【0664】
この実施例において、環状RNAを、以下のように生成した。非修飾線状RNAを、DNAセグメントから、T7 RNAポリメラーゼを用いてインビトロ転写によって合成した。転写されたRNAを、RNA精製システム(New England Biolabs,Inc.)を用いて精製し、製造業者の説明に従ってRNA5’ホスホヒドロラーゼ(RppH)(New England Biolabs、M0356)で処理し、RNA精製システムを用いて再度精製した。RppH処理された線状RNAを、スプリントDNAを用いて環状化した。5’RppHによる処理の代わりに又はそれに加えて、RNAを、GTPより過剰なGMPを用いる条件下で転写した。
【0665】
スプリントライゲーションを、以下のように行った:環状RNAを、T4 DNAリガーゼ1(New England Bio,Inc.、M0437M)を用いて転写された線状RNA及びDNAスプリント(5’-GTTTTTCGGCTATTCCCAATAGCCGTTTTG-3’)(配列番号47)の処理によって生成した。環状RNAを精製するために、ライゲーション混合物を、4%の変性PAGEにおいて分解し、環状RNAのそれぞれに対応するRNAを切除した。切除されたRNAゲルフラグメントを破砕し、RNAを、37℃で1時間にわたってゲル溶離緩衝液(0.5Mの酢酸ナトリウム、0.1%のSDS、1mMのEDTA)で溶離させた。溶離された緩衝液を収集し、ゲル溶離緩衝液を破砕されたゲルに加えることによって、RNAを再度溶離させ、1時間にわたってインキュベートした。ゲル破片を遠心分離フィルタによって除去し、RNAをエタノールで沈殿させた。アガロースゲル電気泳動を、純度及び環状化を確認するための品質管理測定として使用した。それに加えて又はその代わりに、環状RNAを、カラムクロマトグラフィーを用いて精製した。
【0666】
実施例3:mRNA構築物
この実施例は、SARS-CoV-2 ORFをコードする新規なmRNA構築物の設計を記載する。
【0667】
この実施例において、SARS-CoV-2 ORFをコードする線状RNA構築物を、表3に記載されるように設計した。
【0668】
実施例4:SARS-CoV-2抗原をコードするmRNAのインビトロ産生
この実施例は、mRNAのインビトロ産生を実証する。
【0669】
この実施例において、mRNAを、実施例3に記載されるような修飾SARS-CoV-2スパイク抗原又はRBDをコードするORFを用いて設計した。
【0670】
この実施例において、修飾mRNAを、インビトロ転写によって作製した。RNAは、シュードウリジン及び5-メチル-Cで完全に置換され、CleanCap(商標)AGでキャップされ、5’及び3’ヒトα-グロビンUTRを含み、ポリアデニル化された。mRNAは、Urea-PAGE精製され、緩衝液(0.5Mの酢酸ナトリウム、0.1%のSDS、1mMのEDTA)中で溶離され、エタノールが沈殿し、RNA貯蔵溶液(ThermoFisher Scientific、cat# AM7000)中で再度懸濁された。アガロースゲル電気泳動を、純度及び環状化を確認するための品質管理測定として使用した。
【0671】
実施例5:哺乳動物細胞における環状RNAからの分泌されたSARS-CoV-2抗原の発現
この実施例は、哺乳動物細胞における環状RNAからウイルス抗原を発現する能力を実証する。
【0672】
この実施例において、SARS-CoV-2 RBD抗原をコードする環状RNAを、本明細書に記載される方法によって、設計し、生成し、精製した。
【0673】
RBDをコードする環状RNAの発現を、ウエスタンブロットと組み合わされた免疫沈降(IP-ウエスタン)によって試験した。簡潔に述べると、RBDをコードする環状RNA(0.1ピコモル)を、Lipofectamine MessengerMax(ThermoFisher、LMRNA015)を用いて、BJ線維芽細胞及びHeLa細胞(96ウェルプレート中のウェル当たり10,000個の細胞)中にトランスフェクトした。MessengerMax単独を、対照として使用した。上清を、24時間の時点で収集し、免疫沈降を、タンパク質G-Dynabeads(Invitrogen、10003D)に結合されたSARS-CoV-2 RBD-スパイク糖タンパク質(Sino Biologicals、Cat:40592-T62)に特異的なウサギ抗体を用いて行い、同じ抗体を用いて、PAGEによって分解された免疫沈降された産物を検出した。組み換えRBD(42ng)免疫沈降を、対照として使用し、細胞タンパク質発現を定量した。膜化学発光を、Image Studio(商標)Liteウエスタンブロット定量ソフトウェア(Li-COR Biosciences)を用いて定量した。
【0674】
環状RNAによってコードされるRBD抗原が、BJ線維芽細胞及びHeLa細胞上清において検出され、対照では検出されなかった(図3)。
【0675】
この実施例は、SAR-CoV-2 RBD抗原(分泌されたタンパク質である)が、哺乳動物細胞における環状RNAから発現されたことを示す。
【0676】
実施例6:哺乳動物細胞におけるRNAからの非分泌SARS-CoV-2抗原の発現
この実施例において、SARS-CoV-2スパイク抗原をコードする環状RNA又はmRNAを、本明細書に記載される方法によって、設計し、生成し、精製した。環状RNA及びmRNAは、MessengerMaxにおいて製剤化され、0.1ピコモルの環状RNAが、製造業者の説明に従ってHEK293細胞(ウェル当たり10 000個の細胞)中にトランスフェクトされる。
【0677】
スパイク抗原発現が、24、48、及び72時間の時点でSARS-CoV-2スパイク抗原特異的ELISAを用いて測定される。発現を測定するために、細胞が、溶解緩衝液及びプロテアーゼ阻害剤を用いて、適切な時点で、各ウェル中で溶解される。細胞溶解物が、回収され、10分間にわたって12,000rpmで遠心分離される。上清が収集される。この実施例において、SARS-CoV-2 2019スパイク抗原検出サンドイッチELISAキットが、製造業者の説明に従って使用される(SARS-CoV-2(2019-nCoV)Spike Detection ELISA Kit,Sino Biological,KIT40591)。
【0678】
実施例7:非ヒト動物への投与のためのRNAの配合
この実施例において、SARS-CoV-2 RBD抗原をコードする環状RNA又はmRNAを、本明細書に記載される方法によって、設計し、生成し、精製した。
【0679】
精製の後、環状RNA又はmRNAを、以下のように配合した:
A.環状RNA又はmRNAを、50uL中2.5又は25ピコモルの最終濃度になるまでPBS中で希釈して、環状RNA製剤又は線状RNA製剤(非配合)を得た。
【0680】
B.環状RNA又はmRNAを、製造業者の説明(15%のTransIT、5%のブースト)に従って、脂質担体(例えば、TransIT(Mirus Bio))及びmRNAブースト試薬(Mirus Bio)と共に配合して、50uL中2.5又は25ピコモルの最終RNA濃度を得て、環状RNA製剤又は線状RNA製剤を得た。
【0681】
C.環状RNA又はmRNAを、カチオン性ポリマー(例えば、プロタミン)と共に配合した。簡潔に述べると、環状RNA又はmRNAを、純水中で希釈した。プロタミン硫酸塩を、乳酸リンゲル液(4000ng/uL)に溶解させた。撹拌しながら、プロタミン-乳酸リンゲル液を、RNA:プロタミンの重量比が2:1になるまで環状RNA又はmRNA溶液の半分まで加えた。溶液を、さらに10分間にわたって撹拌して、安定した複合体の形成を確実にした。次に、残りの環状RNA又はmRNAを加え(すなわち、残りの環状RNAを環状RNA溶液に加え、残りのmRNAをmRNA溶液に加えた)、溶液を短時間撹拌した。混合物(すなわち、環状RNA混合物又はmRNA混合物)の最終濃度を、乳酸リンゲル液を用いて調整して、50uL当たり2.5又は25ピコモルの最終RNA濃度を有する環状RNA製剤又は線状RNA製剤を得た。
【0682】
D.環状RNA又はmRNAを、脂質ナノ粒子と共に配合した。簡潔に述べると、環状RNA又はmRNAを、25mMの酢酸塩緩衝液pH=4(0.2umのフィルタに通してろ過された)中で、0.2ug/uLの濃度になるまで希釈した。脂質ナノ粒子(LNP)を、50/38.5/10/1.5mol%のモル比で、イオン化可能な脂質(例えばALC0315)、コレステロール、DSPC、及びDMG-PEG2000をエタノール(0.2umの滅菌フィルタに通してろ過された)にまず溶解させることによって配合した。最終的なイオン化可能な脂質/RNA重量比は、8/1w/wであった。脂質及びRNA溶液を、3/1緩衝液/エタノールの流量比及び1ml/分の総流量で、マイクロ流体システムを用いてマイクロミキサーチップ中で混合した。次に、LNPを、3時間にわたってPBS pH=7.4中で透析して、エタノールを除去した。LNPの内部のRNA濃度及び封入効率を、Ribogreenアッセイを用いて測定した。必要に応じて、LNPを、Amicon遠心分離フィルタ、100kDaカットオフを用いて、所望のRNA濃度になるまで濃縮した。粒子のサイズ、濃度、及び電荷を、Zetasizer Ultra(Malvern Pananaytical)を用いて測定した。RNA濃度を、PBSを用いて、0.1又は0.2ug/ulの最終濃度になるまで調整した。2つのRNA配列を含む製剤では、LNP中で配合する前又は各RNAが別々に配合された後に、RNAを混合した。インビボ実験では、LNP中で配合された最終RNAを、滅菌0.2um再生セルロースフィルタに通してろ過した。
【0683】
実施例8:非ヒト動物へのRNAの投与
この実施例において、マウスに、後肢への単回筋肉内注射又は背中への単回皮内注射のいずれかによって、各環状RNA製剤又は線状RNA製剤の50uLの注射を与えた。
【0684】
実施例9:血液中の分泌された抗原の検出
血液サンプル(約25μL)を、顎下腺抽出によって分析のために各マウスから採取した。血液が、環状RNAの投与の0、6時間、24、48時間及び7日後の時点で、EDTAチューブに採取される。血漿が、4℃で、1300gで30分間にわたって遠心分離によって単離される。分泌された抗原の発現が、実施例5に記載されるような方法を用いて、例えばRBD抗原について、ELISA又はウエスタンブロットを用いて評価される。
【0685】
実施例10:抗原に対する抗体の検出
この実施例は、抗原に対する抗体の存在を決定する方法を記載する。
【0686】
ELISAが、Chen X et al.(medRxiv、doi:doi.org/10.1101/2020.04.06.20055475(2020))によって記載されるように使用される。簡潔に述べると、ウェル当たり100uLのPBS中のSARS-CoV-2タンパク質が、4℃で一晩、ELISAプレート上に被覆される。次に、ELISAプレートが、ブロッキングバッファー(5%のFBS及び0.05%のTween 20)で1時間にわたってブロックされる。次に、10倍希釈された血漿が、1時間にわたって100uLのブロッキングバッファー中で各ウェルに加えられる。Tween(登録商標)洗浄剤(PBST)を含む1倍リン酸緩衝生理食塩水で洗浄した後、結合抗体が、30分間にわたって抗マウスIgG HRP検出抗体(Invitrogen)と共にインキュベートされた後、PBST、次にPBSで洗浄され、テトラメチルベンゼンが加えられる。ELISAプレートが、5分間にわたって反応させられ、次に、1MのHCl停止緩衝液を用いてクエンチされる。光学密度(OD)値が、450nmで決定される。
【0687】
A.SARS-CoV-2 RBD抗原に対する抗体の場合、使用されるSARS-CoV-2タンパク質は、SARS-CoV-2 RBD(Sino Biological、40592-V08B)である。
【0688】
B.SARS-CoV-2スパイク抗原に対する抗体の場合、使用されるSARS-CoV-2タンパク質は、SARS-CoV-2スパイクタンパク質(Sino Biological、40591-V08H)である。
【0689】
実施例11:SARS-CoV-2に対する中和抗体の評価
SARS-CoV-2ウイルス中和アッセイが、SARS-CoV-2感染に対する抗体の中和能力を試験するのに使用される。このようなアッセイの一例が、Okba NMA et al.(Emerg Infect Dis.、doi:10.3201/eid2607.200841(2020))によって記載される。このアッセイは、ウイルスプラークの数の減少によって実証されるウイルス感染を機能的に阻害する抗体の産生を検出する。このアッセイのわずかな変更が、Gauger PC & Vincent AL(in Animal Influenza Virus:Methods and Protocols,3rd edition,ed.E.Spackman,pp.311-320(2014))及びWilson HL et al.(J.Clin.Microbiol.,55(10):3104-3112(2017))に記載される。簡潔に述べると、SARS-CoV-2ウイルス中和アッセイは、SARS-CoV-2抗原をコードする環状RNAによる免疫化に応答してマウスによって産生される抗SARS-CoV-2抗体を含有する血漿の中和能力を決定する。ビヒクルのみ(環状RNAなし)を注射された未処置マウスからの血漿が対照として使用される。
【0690】
実施例12:マウスモデルにおけるSARS-CoV-2 RBD抗原の免疫原性
カチオン性ポリマー(例えば、プロタミン)と共に配合された、SARS-CoV-2 RBD抗原をコードする環状RNAの免疫原性を、マウスモデルにおいて評価した。カチオン性ポリマーと共に配合された、SARS-CoV-2 RBD抗原に対する抗体の産生も、マウスモデルにおいて評価した。
【0691】
この実施例において、環状RNAを、本明細書に記載される方法によって、IRES及びSARS-CoV-2 RBD抗原をコードするORFを用いて設計した。非修飾線状RNAを、DNAセグメントからT7 RNAポリメラーゼを用いて、過剰なグアノシン5’モノホスフェートによるインビトロ転写によって合成した。転写されたRNAを、製造業者の説明に従って、RNA精製システム(New England Biolabs,Inc.)を用いて精製した。精製された線状RNAを、スプリントDNAを用いて環状化した。
【0692】
環状RNAを、以下のようにスプリントライゲーションによって生成した:転写された線状RNA及びDNAスプリント(5’-GTTTTTCGGCTATTCCCAATAGCCGTTTTG-3’)(配列番号47)を混合し、アニールし、RNAリガーゼで処理した。環状RNAを精製するために、ライゲーション混合物を、逆相クロマトグラフィーによって分解した。環状RNAを、移動相の有機含量を増加させることによって線状RNAから選択的に溶離させた。溶離されたRNAを部分的に収集し、環状RNA純度についてアッセイした。選択された画分を組み合わせて、緩衝液を交換して、移動相塩及び溶媒を除去した。アクリルアミドゲル電気泳動を、純度及び環状化を確認するための品質管理測定として使用した。
【0693】
精製された環状RNAを、1100ng/uLの濃度になるまで純水中で希釈した。プロタミン硫酸塩を、乳酸リンゲル液(4000ng/uL)に溶解させた。撹拌しながら、プロタミン-乳酸リンゲル液を、RNA:プロタミンの重量比が2:1になるまで、環状RNA溶液の半分まで加えた。溶液を、さらに10分間にわたって撹拌して、安定した複合体の形成を確実にした。次に、残りの環状RNAを加え(すなわち、残りの環状RNAを、環状RNA:プロタミン溶液に加えた)、溶液を短時間撹拌した。混合物(すなわち、環状RNA混合物)の最終濃度を、乳酸リンゲル液を用いて調整して、50uL中2ug又は10ugのRNAの最終RNA濃度を有する環状RNA製剤を得た。
【0694】
群当たり3匹のマウスに、0日目及び21日目に、2ug若しくは10ugの用量の環状RNA製剤、又はプロタミンビヒクル対照で筋肉内に又は皮内に接種させた。Addavax(商標)補助剤(Invivogen)を、0日目及び21日目の環状RNA製剤の投与の24時間後に、各マウスの筋肉内に又は皮内に1回投与した。Addavax(商標)補助剤を、製造業者の説明に従って、50uL中1×PBS中50%で投与した。
【0695】
各マウスからの血液採取を、顎下腺抽出によって行った。血液を、環状RNAの投与の7、14、21、23、28、35、41、49、56、63、69、77、84、108及び115日後の時点で、乾燥抗凝固剤フリーチューブ中に採取した。血清を、4Cで30分間にわたって1200gにおける遠心分離によって、全血から分離した。血清を、1時間にわたって56℃で加熱することによって熱不活性化した。個々の熱不活性化された血清サンプルを、酵素結合免疫吸着法(ELISA)によって、RBD特異的IgGの存在についてアッセイした。ELISAプレート(MaxiSorp 442404 96ウェル、Nunc)を、100uLのPBS中のSARS-CoV-2 RBD(Sino Biological、40592-V08B;100ng)で、4℃で一晩被覆した。次に、プレートを、ブロッキングバッファー(2%のFBS及び0.05%のTween 20を含むTBS)で1時間にわたってブロックした。次に、血清希釈物を、100uLのブロッキングバッファー中で各ウェルに加え、室温で1時間インキュベートした。Tween(登録商標)洗浄剤(TBS-T)を含む1倍トリス-緩衝生理食塩水で3回洗浄した後、プレートを、1時間にわたって抗マウスIgG HRP検出抗体(Jackson 115-035-071)と共にインキュベートした後、TBS-Tで3回洗浄し、次に、テトラメチルベンゼン(Pierce 34021)を加えた。ELISAプレートを、5分間にわたって反応させ、次に、2Nの硫酸を用いてクエンチした。光学密度(OD)値を、450nmで決定した。
【0696】
各血清サンプルの光学密度を、バックグラウンド(二次抗体のみと共にインキュベートされた、RBDで被覆されたプレート)で除算した。各サンプルのバックグラウンドを超える倍数をプロットした。
【0697】
結果は、抗RBD抗体が、環状RNA製剤による注射の14、21、23、28、35、41、49、56、63、69、77、84、108及び115日後の時点で得られたことを示した(図4)。抗RBD抗体は、プロタミンビヒクルによる注射の後、得られなかった。これらの結果はまた、RBD抗原をコードする環状RNAが、マウスにおける抗原特異的免疫応答を誘導したことを示した。
【0698】
同様のELISAを用いて、スパイク特異的IgGの存在について血清サンプルをアッセイした。ELISAプレート(MaxiSorp 442404 96ウェル、Nunc)を、100uLのPBS中のSARS-CoV-2スパイク(Sino Biological、40589-V08B1;100ng)で、4℃で一晩被覆した。次に、プレートを、ブロッキングバッファー(2%のFBS及び0.05%のTween 20を含むTBS)で1時間にわたってブロックした。次に、血清希釈物を、100uLのブロッキングバッファー中で各ウェルに加え、室温で1時間インキュベートした。Tween(登録商標)洗浄剤(TBS-T)を含む1倍トリス-緩衝生理食塩水で3回洗浄した後、プレートを、1時間にわたって抗マウスIgG HRP検出抗体(Jackson 115-035-071)と共にインキュベートした後、TBS-Tで3回洗浄し、次に、テトラメチルベンゼン(Pierce 34021)を加えた。ELISAプレートを、5分間にわたって反応させ、次に、2Nの硫酸を用いてクエンチした。光学密度(OD)値を、450nmで決定した。
【0699】
結果は、抗スパイク抗体が、環状RNA製剤による注射の35日後に得られたことを示した(図5)。抗スパイク抗体は、ビヒクルによる注射の後、得られなかった。
【0700】
投与の14日後の時点の血清抗体を、相対的なIgG1対IgG2aアイソタイプを測定するためのアッセイを用いて特性評価し(図6)、ウイルスを中和する血清抗体の能力を、PRNT中和アッセイを用いて特性評価した。結果は、補助剤とともに筋肉内に投与された2ugのRBD eRNAが、中和能力を有していたことを示した。
【0701】
実施例13:定時補助剤送達を用いた、マウスにおける環状RNAからのガウシアルシフェラーゼのインビボ産生の調節
この実施例は、免疫応答を刺激するために補助剤も送達しながらの、インビボでの環状RNAからのタンパク質の発現を実証する。
【0702】
この実施例において、環状RNAを、IRES及びガウシアルシフェラーゼ(GLuc)ポリペプチドをコードするORFを用いて設計した。この実施例において、環状RNAを、本明細書に記載される方法によって生成し、精製した。環状RNAを、実施例7に記載されるように配合して、環状RNA製剤(例えば、TransIT配合、プロタミン配合、PBS/非配合)を得た。マウスに、実施例8に記載されるように各環状RNA製剤を筋肉内に投与する。
【0703】
免疫応答を刺激するために、MF59(登録商標)補助剤と同様の配合を有するスクアレンベースの水中油型ナノエマルションであるAddavax(商標)補助剤(Invivogen)を、0時間(環状RNA製剤と同時の送達)又は24時間の時点でマウス後肢に注射した。Addavax(商標)補助剤を、製造業者の説明に従って50uLで投与した。
【0704】
血液サンプル(約25μL)を、顎下腺抽出によって各マウスから採取した。血液を、環状RNAの投与の0、6、24及び48時間後の時点で、EDTAチューブ中に採取した。血漿を、4℃で、1300gで30分間にわたる遠心分離によって単離し、ガウシアルシフェラーゼ、分泌された酵素の活性を、ガウシアルシフェラーゼ活性アッセイ(Thermo Scientific Pierce)を用いて試験した。50μLの1×GLuc基質を5μLの血漿に加えて、GLucルシフェラーゼ活性アッセイを行った。プレートを、発光測定装置(Promega)において混合した直後に読み取った。
【0705】
この実施例は、(a)補助剤なしで(図7)、及び0及び24時間の時点で送達される補助剤と共に(図8)、TransIT配合、プロタミン配合及び非配合環状RNA製剤の筋肉内注射;並びに(b)補助剤なしで、及び24時間の時点で送達される補助剤と共に、プロタミン配合環状RNA製剤の皮内注射(図9)を用いた、長期間にわたるインビボでの環状RNAからの成功したタンパク質発現を実証した。
【0706】
実施例14:人工染色体導入(Tc)ウシへの、SARS-CoV-2抗原をコードするRNAの投与
この実施例は、コロナウイルス抗原をコードする環状RNAからの、ヒト化免疫系を有する非ヒト哺乳動物におけるコロナウイルス抗原に対する完全ヒト中和ポリクローナル抗体の産生を記載する。
【0707】
この実施例において、SARS-CoV-2抗原をコードする環状RNA又はmRNAを、本明細書に記載される方法によって、設計し、生成し、精製した。
【0708】
この実施例において、一手法において、RNAを、実施例7に記載されるように配合して(例えば、脂質担体(例えば、TransIT)と共に配合し、カチオン性ポリマー(例えば、プロタミン)と共に配合するか又は非配合)、第1の組の環状RNA製剤又は第1の組の線状RNA製剤を得る。第2の手法において、Addavax(商標)補助剤(Invivogen)、MF59(登録商標)補助剤、完全フロイントアジュバント、AS03又はSABの専有の補助剤製剤(SAB-adj-1)を、Beigel JH et al.(Lancet Infect.Dis.,18:410-418(2018))に記載されるように、RNA-脂質担体混合物又は非配合RNA製剤(例えば、環状RNA製剤又は線状RNA製剤)と共に配合して、100uL中25ピコモルの最終RNA濃度を有する第2の組の環状RNA製剤又は第2の組の線状RNA製剤を得る。各手法について、8mLの総体積が、2ナノモルの環状RNA又は線状RNAに対応して生成される。環状RNA又は線状RNAを配合して、動物への注射の直前に環状RNA製剤又は線状RNA製剤を得る。
【0709】
この実施例において、Tcウシが、筋肉内又は皮内注射によって、環状RNA製剤(すなわち、第1の環状RNA製剤又は第2の環状RNA製剤)、線状RNA製剤(すなわち、第1の環状RNA製剤又は第2の環状RNA製剤)又はビヒクルのみ対照(すなわち、非RNA対照)で免疫化される。
【0710】
A.筋肉内注射:合計4回の注射が、以下の部位に各時点で投与される:各耳の後ろに2mL(それぞれ)の1回の注射;及び首の両側に2mL(それぞれ)の1回の注射。
【0711】
B.皮内注射:合計4回の注射が、以下の部位に各時点で投与される:首と肩の境界部における個々の部位に2mLの4回の注射。
【0712】
合計8つの時点が使用される:0、3、6、9、12、15、18及び21週。
【0713】
第1の組のRNA製剤(例えば、環状RNA製剤又は線状RNA製剤)が投与される場合、Addavax(商標)補助剤(Invivogen)、MF59(登録商標)補助剤、完全フロイントアジュバント、AS03又はSABのSAB-adj-1が、最初の3つの時点について各注射部位(合計2mL)に隣接して(1~2cm)別々に投与される。第1の注射(V1)の前、ある体積の注射前血漿が、陰性対照として使用されるために各試験Tcウシから採取される。ウシの体重の2.1%までの血液サンプルが、各時点での注射の8、9、10、11、12及び14日後、及び最後の注射の60日後のさらなる時点で、頸静脈穿刺によって採取される。血漿は、自動血漿交換システム(Baxter Healthcare、Autopheresis C Model 200)を用いて採取される。次に、血漿は、抗原ベースのELISAを用いて抗原特異的抗体について確認される。ヒトポリクローナル抗体は、実施例21において後述されるように抗原特異的ポリクローナル抗体のために、Cohn-Oncley精製及びカプリレート分画を用いて血漿から精製される)。
【0714】
実施例15:Tcウシに投与される環状RNAから発現される分泌された抗原の検出
環状RNAからのSARS-CoV-2 RBD抗原、分泌タンパク質の発現を検出するために、ウシの体重の2.1%までの血液サンプルが、注射の1、3、5、7、14及び21日後の時点で頸静脈穿刺によって採取される。血漿は、自動血漿交換システム(Baxter Healthcare、Autopheresis C Model 200)を用いて採取される。次に、血漿は、SARS-CoV-2 RBD抗原の発現について確認される。RBD抗原の発現が、実施例5に記載されるように評価される。これらのアッセイでは、抗ヒトIgG HRP検出抗体(Invitrogen)が使用される。
【0715】
実施例16:Tcウシに投与される環状RNAから発現される非分泌抗原の検出
環状RNAからのSARS-CoV-2スパイク抗原、非分泌タンパク質の発現を検出するために、組織が、タンパク質発現の分析のために採取される。投与の0、2、5、7、及び21日後の時点で、Tcウシが殺処分され、肝臓、脾臓及び筋肉(注射の部位から)が採取される。スパイク抗原の発現が、各組織から抽出されたタンパク質において実施例6に記載されるように評価される。これらのELISAにおいて、抗ヒトIgG HRP検出抗体(Invitrogen)が、抗マウスIgG HRP検出抗体の代わりに使用される。
【0716】
実施例17:Tcウシに投与される環状RNAからのSARS-CoV-2抗原に特異的なヒトポリクローナル抗体の産生
SARS-CoV-2抗原に対する抗体の存在を決定するために、ウシ対象の体重の2.1%までの血液サンプルが、注射の8、9、10、11、12、14、20、40、及び60日後の時点で、頸静脈穿刺によって採取される。血漿は、自動血漿交換システム(Baxter Healthcare、Autopheresis C Model 200)を用いて採取される。次に、血漿は、抗原特異的抗体について確認される。SARS-CoV-2抗原に対する抗体の存在が、実施例10に記載されるように決定される。これらのアッセイにおいて、抗ヒトIgG HRP検出抗体(Invitrogen)が使用される。
【0717】
実施例18:Tcウシに投与される環状RNAからのSARS-CoV-2に対するヒト中和ポリクローナル抗体の産生
ウシ対象の体重の2.1%までの血液サンプルが、各時点での注射の8、9、10、11、12及び14日後、及び最後の注射の60日後のさらなる時点で、頸静脈穿刺によって採取される。血漿は、自動血漿交換システム(Baxter Healthcare、Autopheresis C Model 200)を用いて採取される。次に、血漿は、抗原特異的抗体について確認される。SARS-CoV-2ウイルス中和アッセイが、実施例11に記載されるように血漿における抗体の中和能力を決定するために行われる。
【0718】
実施例19:補助剤投与と共に、人工染色体導入(Tc)ウシへの、SARS-CoV-2抗原をコードするRNAの投与
この実施例において、SARS-CoV-2抗原をコードする環状RNA又はmRNAを、本明細書に記載される方法によって、設計し、生成し、精製した。
【0719】
環状RNA及びmRNAが、以下のように補助剤と共に又は補助剤なしで配合される:
A.RNA(例えば、環状RNA又はmRNA)及び補助剤が、独立して投与される。RNAを、実施例7に記載されるように配合して(例えば、脂質担体(例えば、TransIT)と共に配合し、カチオン性ポリマー(例えば、プロタミン)と共に配合するか又は非配合)、環状RNA製剤又は線状RNA製剤を得る。最終RNA濃度は、100uL中25ピコモルである。8mLの総体積が、2ナノモルの環状RNA又はmRNAに対応して生成される。環状RNA又はmRNAは、動物への注射の直前に配合される。合計8回の注射の場合、合計64mLの環状RNA又はmRNAが配合される。この実施例において、Tcウシが、筋肉内注射又は皮内注射によって、環状RNA製剤、線状RNA製剤又はビヒクルのみ対照(すなわち、非RNA対照)で免疫化される。
【0720】
(i)筋肉内注射:合計4回の注射が、以下の部位に各時点で投与される:各耳の後ろに2mL(それぞれ)の1回の注射;及び各後肢への2mL(それぞれ)の1回の注射。
【0721】
(ii)皮内注射:合計4回の注射が、以下の部位に各時点で投与される:首と肩の境界部における個々の部位への2mLの4回の注射。
【0722】
合計8つの時点が使用される:0、3、6、9、12、15、18及び21週。Addavax(商標)補助剤(Invivogen)、MF59(登録商標)補助剤、完全フロイントアジュバント、AS03又はSABの専有の補助剤製剤(SAB-adj-1)が、最初の3つの時点について各ワクチン接種部位(合計2mL)に隣接して(1~2cm)投与される。
【0723】
B.RNA(例えば、環状RNA又はmRNA)及び補助剤が投与される。RNAを、実施例7に記載されるように配合する(例えば、脂質担体(例えば、TransIT)と共に配合し、カチオン性ポリマー(例えば、プロタミン)と共に配合するか又は非配合)。次に、Addavax(商標)補助剤(Invivogen)、MF59(登録商標)補助剤、完全フロイントアジュバント、AS03又はSABの専有の補助剤製剤(SAB-adj-1)を、Beigel JH et al.(Lancet Infect.Dis.,18:410-418(2018))に記載されるように、RNA-担体配合、RNA-ポリマー配合又は非配合RNAと共に配合して、100uL中25ピコモルのRNAの最終濃度を有する環状製剤又は線状RNA製剤を得る。8mLの総体積が、2ナノモルのRNAに対応して生成される。環状RNA及びmRNAは、動物への注射の直前に配合される。合計8回の注射の場合、合計64mLの環状RNA及び合計64mLのmRNAが配合される。
【0724】
この実施例において、Tcウシが、筋肉内注射又は皮内注射によって。環状RNA製剤、線状RNA製剤又はビヒクルのみ対照(すなわち、非RNA対照)で免疫化される。
【0725】
A.筋肉内注射。合計4回の注射が、以下の部位に各時点で投与される:各耳の後ろに2mL(それぞれ)の1回の注射;及び各後肢に2mL(それぞれ)の1回の注射。
【0726】
B.皮内注射。合計4回の注射が、以下の部位に各時点で投与される:首と肩の境界部における個々の部位への2mLの4回の注射。
【0727】
実施例20:Tcヤギにおける環状RNAからのSARS-CoV-2に特異的な中和ポリクローナル抗体の産生
この実施例において、SARS-CoV-2抗原をコードする環状RNA又はmRNAを、本明細書に記載される方法によって、設計し、生成し、精製した。
【0728】
環状RNA及びmRNAを、実施例7に記載されるように配合して(例えば、脂質担体(例えば、TransIT)と共に配合し、カチオン性ポリマー(例えば、プロタミン)と共に配合するか又は非配合)、環状RNA製剤又は線状RNA製剤を得る。最終RNA濃度は、100uL中25ピコモルである。1mLの総体積が、0.25ナノモルの環状RNA又は0.25ナノモルのmRNAに対応して生成される。環状RNA及びmRNAが、動物への注射の直前に環状RNA製剤及び線状RNA製剤を得るように配合される。合計4回の注射の場合、合計4mLの環状RNA及び合計4mLの線状RNAが配合される。
【0729】
この実施例において、生殖細胞系列配置における全体ヒト免疫グロブリン(Ig)遺伝子レパートリーを含むヒト人工染色体(HAC)が、家畜のヤギの遺伝子構造に導入された人工染色体導入ヤギ(Tcヤギ)が使用される。Tcヤギは、血清中でヒトポリクローナル抗体を産生する(Wu H et al.(Sci Rep,9(1):366,doi:doi.org/10.1038/s41598-018-36961-5(2019)を参照されたい)。
【0730】
この実施例において、Tcヤギは、筋肉内又は皮内注射によって、環状RNA製剤、線状RNA製剤又はビヒクルのみ対照(すなわち、非RNA対照)で免疫化される。
【0731】
A.筋肉内注射。合計2回の注射が、以下の部位に各時点で投与される:首の両側に0.5mL(それぞれ)の1回の注射。
【0732】
B.皮内注射。合計2回の注射が、以下の部位に各時点で投与される:下頸部-肩の異なる側に0.5mL(それぞれ)の1回の注射。
【0733】
合計4つの時点が使用される:0、3、6及び9週。
【0734】
Addavax(商標)補助剤(Invivogen)、MF59(登録商標)補助剤、完全フロイントアジュバント、AS03又はSABの専有の補助剤製剤(SAB-adj-1)が、最初の3つの時点について各注射部位(合計0.5mL)に隣接して(1~2cm)投与される。
【0735】
血液サンプル(40mL)が、各時点での注射の8及び14日後、及び最後の注射の60日後のさらなる時点で、頸静脈穿刺によって採取される。血漿は、自動血漿交換システム(Baxter Healthcare、Autopheresis C Model 200)を用いて採取される。次に、血漿は、抗原特異的抗体について確認される。
【0736】
実施例21:ポリクローナル抗体分画の精製
この実施例は、ヒト化免疫系を有する非ヒト哺乳動物の血漿からのヒトポリクローナル抗体の精製を記載する。
【0737】
採取された血漿からのヒト抗SARS-CoV-2ポリクローナル抗体の精製及びヒト対象におけるその後の使用のために、タンパク質抗原-不活性化及び除去が必要とされる。この実施例において、ヒトポリクローナル抗SARS-CoV-2抗体が、(Ofosu et al.FA(Thromb.Haemost.,99(5):851-862(2008));Buchacher A and Iberer G(Biotechnol.J.,1(2):148-163(2006));Buchacher A and Curling JM(in Biopharm.Process.,Chap 42,pp.857-876,doi:https://doi.org/10.1016/B978-0-08-100623-8.00043-8(2018))に記載されるようなCohn-Oncley方法を用いて血漿から精製される。Cohn-Oncley方法によって得られた画分(I+)II+IIIが採取され、及びヒトポリクローナル抗SARS-CoV-2抗体が、Lebing et al.(Vox Sanguinis,84(3):193-201(2003))によって記載される方法を用いてこの画分から精製される。簡潔に述べると、画分II+IIIが、pH4.2における12体積の注射用水(WFI)中に懸濁される。カプリル酸ナトリウム(20mM)が加えられ、pHが、水酸化ナトリウムによりpH5.1に調整される。この工程中、リポタンパク質、アルブミン及びカプリレートの一部が沈殿される。沈殿物は、フィルタの補助の存在下で布ろ過によって除去される。ろ過の後、カプリレート濃度は、20mMになるまで再調整され、溶液は、25℃で1時間にわたってpH5.1でインキュベートされて、エンベロープウイルスを不活性化する。溶液は、フィルタの補助を用いた深層ろ過によって精製される。次に、ろ液は、pH5.2で2つの連続するアニオン交換クロマトグラフィーカラム(QセファロースFF、続いてANXセファロースFF)に通される。溶出液は、限外ろ過(BioMax 50KDaカセット、Millipore)によって濃縮され、同じシステムを用いてWFIから透析される。精製されたIgG溶液は、pH4.25、0.2Mのグリシン及び100mg/mLのタンパク質に調整される。バルクIVIGが、滅菌ろ過され、10、50、100、又は200mLバイアルを満たすのに使用される。最終生成物は、2~8℃での貯蔵の前に、ウイルス不活性化のために23~27℃で21日間インキュベートされる。
【0738】
IVIGの富化を確認するために、酢酸セルロース電気泳動が使用される。臨床用途では、95%の純度が典型的であり、この精製手順の結果として予想される。
【0739】
実施例22:ヒト対象の治療のための完全ヒトポリクローナル抗体の製剤化
この実施例において、精製された抗体が、中性pH(pH7.2)で製剤化され、塩化ナトリウムを含有するイオン性溶液中で希釈される。アメリカ薬局方(United States Pharmacopoeia)(USP)グレード注入溶液、0.9%の塩化ナトリウムが使用される。臨床用製剤は、以下のものを含むいくつかの溶液組成物に基づき得る:
1.トレハロース、クエン酸ナトリウム、クエン酸、ポリソルベート80。
2.コハク酸ナトリウム、スクロース、ポリソルベート20。
3.塩化ナトリウム、トロメタミン、ポリソルベート80。
4.スクロース、塩化ナトリウム、リン酸ナトリウム、デキストラン40。
【0740】
実施例23:SARS-CoV-2に感染したヒト対象の治療
この実施例は、SARS-CoV-2を有するヒト対象への、完全ヒト抗SARS-CoV-2ポリクローナル抗体の投与を記載する。
【0741】
この実施例において、COVID-19を有する成人対象に、注入によって静脈内に、単回用量(400mg/kg)の製剤化されたポリクローナル抗体が投与される。注入は、1.0mg/kg/分の速度で開始され、20分後に1.5~2.5mg/kg/分に増加する。当該技術分野において公知の注入の他の好適な速度も使用され得る。
【0742】
COVID-19に対するポリクローナル抗体の効果が、ウイルス負荷、血清抗体力価、体温の変化、順次臓器障害評価(Sequential Organ Failure Assessment)(SOFA)スコア(0~24の範囲であり、より高いスコアほど、より重度の疾患を示す)、Pao2/Fio2、慣例的な血液生化学的指標、ARDS、及び注入の前及び後のヒト対象における呼吸及び膜型人工肺(ECMO)補助などのCOVID-19のマーカーを評価することによって評価される。
【0743】
実施例24:SARS-CoV-2感染に対する健康なヒト対象の受動免疫化
この実施例はは、ヒト化免疫系を有する非ヒト哺乳動物において産生された、SARS-CoV-2に対する完全ヒトポリクローナル抗体による、SARS-CoV-2感染からのヒト対象の受動免疫化を記載する。
【0744】
この実施例において、健康なヒト対象に、単回用量(400mg/kg)の製剤化されたポリクローナル抗体又はプラセボ(生理食塩水対照)を、注入によって静脈内に投与した。注入は、1.0mg/kg/分の速度で開始され、20分後に1.5~2.5mg/kg/分に増加する。当該技術分野において公知の注入の他の好適な速度が使用される。3日後、治療対象から血液が抜かれ、血漿が、実施例11に記載されるようにプラーク減少中和アッセイを用いて抗体の中和能力について試験される。
【0745】
この実施例において、血清学的検査が、製剤化されたポリクローナル抗体の投与の14日後にヒト対象において行われる。SARS-CoV-2についての血清学的検査が、例えば、Gonzalez JM et al.medRxiv、(doi:doi.org/10.1101/2020.04.10.20061150(2020))を含め、当該技術分野において公知である。
【0746】
実施例25:健康なヒト対象の予防的処置
この実施例は、ヒト化免疫系を有する非ヒト哺乳動物において産生された、SARS-CoV-2に対する完全ヒトポリクローナル抗体による、SARS-CoV-2感染に対するヒト対象の予防的処置を記載する。
【0747】
この実施例において、SARS-CoV-2に対する精製されたヒトポリクローナル抗体が、実施例21に記載されるように得られる。精製されたポリクローナル抗体が、実施例22に記載されるように得られ、その後、実施例24に記載されるように健康なヒト対象に投与される。
【0748】
3日後、血液が、製剤化されたポリクローナル抗体又はプラセボ(生理食塩水対照)を投与された健康なヒト対象から抜き取られ、血漿が、実施例11に記載されるようにプラーク減少中和アッセイを用いて抗体の中和能力について試験される。
【0749】
実施例26:非ヒト霊長類の予防的処置
この実施例は、ヒト化免疫系を有する非ヒト哺乳動物において産生された、SARS-CoV-2に対する完全ヒトポリクローナル抗体による、SARS-CoV-2感染に対する非ヒト霊長類の予防的処置を記載する。
【0750】
この実施例において、SARS-CoV-2に対する精製されたヒトポリクローナル抗体が、実施例21に記載されるように得られる。精製されたポリクローナル抗体は、実施例22に記載されるように製剤化され、その後、成体アカゲザルに投与される。簡潔に述べると、ポリクローナル抗体製剤は、アカゲザルに10mg/kgの用量で静脈内投与される。対照として、ビヒクルのみ(環状RNAなし)を注射された人工染色体導入ウシからのポリクローナル抗体が使用される。
【0751】
次に、アカゲザルは、1×10個の50%の組織培養感染用量(TCID50)のSARS-CoV-2を気管内に接種され、体重、体温、X線、血清のサンプル採取、鼻腔/咽頭スワブ及び全ての一次組織が、Bao L et al.(bioRxiv,doi:doi.org/10.1101/2020.03.13.990226(2020))に記載されるようにスケジュールどおりに実施される。サンプル採取は、接種の30日後までかかり、ウイルス負荷について評価される。
【0752】
実施例27:ヒト対象への、SARS-CoV-2抗原をコードするRNAの投与
この実施例は、ヒト対象への、SARS-CoV-2抗原をコードする環状RNAの投与を記載する。
【0753】
この実施例において、SARS-CoV-2抗原をコードする環状RNA又はmRNAを、本明細書に記載される方法によって、設計し、生成し、精製した。
【0754】
この実施例において、一手法において、RNAを、実施例7に記載されるように配合して(例えば、脂質担体(例えば、TransIT)と共に配合し、カチオン性ポリマー(例えば、プロタミン)と共に配合し、脂質ナノ粒子と共に配合するか、又は非配合)、第1の組の環状RNA製剤又は第1の組の線状RNA製剤を得る。第2の手法において、Addavax(商標)補助剤(Invivogen)、MF59(登録商標)補助剤、又は完全フロイントアジュバントを、Beigel JH et al.(Lancet Infect.Dis.,18:410-418(2018))に記載されるように、RNA-脂質担体混合物又は非配合RNA製剤(例えば、環状RNA製剤又は線状RNA製剤)と共に配合して、第2の組の環状RNA製剤又は第2の組の線状RNA製剤を得る。環状RNA又は線状RNAが、ヒト対象への注射の直前に環状RNA製剤又は線状RNA製剤を得るように配合される。
【0755】
この実施例において、ヒト対象が、筋肉内又は皮内注射によって、環状RNA製剤(すなわち、第1の環状RNA製剤又は第2の環状RNA製剤)、線状RNA製剤(すなわち、第1の環状RNA製剤又は第2の環状RNA製剤)で免疫化される。環状RNA製剤又は線状RNA製剤は、ヒト対象における免疫原性応答を引き起こすために、少なくとも1回、少なくとも2回、少なくとも3回、又はそれ以上、ヒト対象に投与される。
【0756】
実施例28:哺乳動物細胞における環状RNAからの複数の抗原の発現
この実施例は、哺乳動物細胞における環状RNAからの複数の抗原の発現を実証する。これらの構築物の例示的な概略図が、図12に示される。
【0757】
実験1
SARS-CoV-2 RBD抗原(核酸配列番号56;アミノ酸配列番号55)をコードする第1の環状RNAを、本明細書に記載される方法によって、設計し、生成し、精製した。SARS-CoV-2スパイク抗原(核酸配列番号54;アミノ酸配列番号53)をコードする第2の環状RNAを、本明細書に記載される方法によって、設計し、生成し、精製した。第1の環状RNA及び第2の環状RNAを、一緒に混合して、混合物を得た。混合物(環状RNAのそれぞれを1ピコモル)を、Lipofectamine MessengerMax(ThermoFisher、LMRNA015)を用いてHeLa細胞(24ウェルプレート中でウェル当たり100,000個の細胞)中にトランスフェクトした。対照として、第1の環状RNA及び第2の環状RNAも、MessengerMaxを用いてHeLa細胞中に別々にトランスフェクトした。
【0758】
RBD抗原発現を、SARS-CoV-2 RBD抗原特異的ELISAを用いて24時間の時点で測定した。スパイク抗原発現を、フローサイトメトリーによって24時間の時点で測定した。
【0759】
混合物によるトランスフェクションから、SARS-Co-V-2 RBD抗原が、HeLa細胞上清において検出され、SARS-CoV-2スパイク抗原が、HeLa細胞の細胞表面において検出された。第1の環状RNAによるトランスフェクションから、SARS-CoV-2 RBD抗原が検出されたが、SARS-CoV-2スパイク抗原は検出されなかった。第2の環状RNAによるトランスフェクションから、SARS-CoV-2スパイク抗原が検出されたが、SARS-CoV-2 RBD抗原は検出されなかった。これは、SAR-CoV-2 RBD及びSARS-CoV-2スパイク抗原の両方が、環状RNAの組合せ混合物からの哺乳動物細胞において発現されたことを実証する。
【0760】
実験2
SARS-CoV-2 RBD抗原(核酸配列番号56;アミノ酸配列番号55)をコードする第1の環状RNAを、本明細書に記載される方法によって、設計し、生成し、精製した。第2の環状RNAを、IRES及びモデル抗原としてガウシアルシフェラーゼ(GLuc)ポリペプチド(核酸配列番号58;アミノ酸配列番号57)をコードするORFを用いて設計し、本明細書に記載される方法によって記載されるように生成し、精製した。第1の環状RNA及び第2の環状RNAを、Lipofectamine MessengerMax(ThermoFisher、LMRNA015)と共に別々に複合体形成し、次に、一緒に混合して、混合物を得た。混合物(0.1ピコモルの各環状RNA)を、HeLa細胞(96ウェルプレート中のウェル当たり20,000個の細胞)中にトランスフェクトした。対照として、第1の環状RNA及び第2の環状RNAも、MessengerMaxを用いてHeLa細胞中に別々にトランスフェクトした。
【0761】
RBD抗原発現を、SARS-CoV-2 RBD抗原特異的ELISAを用いて24時間の時点で測定した。GLuc活性を、ガウシアルシフェラーゼ活性アッセイ(Thermo Scientific Pierce)を用いて24時間の時点で測定した。
【0762】
混合物によるトランスフェクションから、SARS-CoV-2 RBD抗原及びGLuc活性が、24時間の時点でHeLa細胞上清において検出された。第1の環状RNAによるトランスフェクションから、SARS-CoV-2 RBD抗原が検出されたが、GLuc活性は検出されなかった。第2の環状RNAによるトランスフェクションから、GLuc活性が検出されたが、SARS-CoV-2 RBD抗原は検出されなかった。これは、SAR-CoV-2 RBD及びGLuc抗原の両方が、環状RNAの組合せ混合物からの哺乳動物細胞において発現されたことを実証する。
【0763】
実験3
SARS-CoV-2 RBD抗原(核酸配列番号56;アミノ酸配列番号55)をコードする第1の環状RNAを、本明細書に記載される方法によって、設計し、生成し、精製した。第2の環状RNAを、IRES、続いてインフルエンザA H1N1、A/California/07/2009からの赤血球凝集素(HA)抗原(核酸配列番号60;アミノ酸配列番号59)をコードするORFを含むように設計し、本明細書に記載される方法によって生成し、精製した。第1の環状RNA及び第2の環状RNAを、一緒に混合して、混合物を得た。混合物(1ピコモルの各環状RNA)を、Lipofectamine MessengerMax(ThermoFisher、LMRNA015)を用いてHeLa細胞(24ウェルプレート中でウェル当たり100,000個の細胞)中にトランスフェクトした。対照として、第1の環状RNA及び第2の環状RNAも、MessengerMaxを用いてHeLa細胞中に別々にトランスフェクトした。
【0764】
RBD抗原発現を、SARS-CoV-2 RBD抗原特異的ELISAを用いて24時間の時点で測定した。HA抗原発現を、免疫ブロット法を用いて24時間の時点で測定した。簡潔に述べると、免疫ブロット法では、トランスフェクションの24時間後に、細胞を溶解させ、ウエスタンブロットを行って、一次抗体としてインフルエンザA H1N1 HA(A/California/07/2009)モノクローナル抗体(MA5-29920(Thermo Fisher))及び二次抗体(Abcam、ab 97023)としてヤギ抗マウスIgG H&L(HRP)を用いて、HA抗原を検出した。ローディングコントロールのために、αチューブリンを、一次抗体としてαチューブリン(DM1A)マウス抗体(Cell Signaling Technology、CST #3873)及び二次抗体としてヤギ抗マウスIgG H&L(HRP)(Abcam、ab 97023)と共に使用した。
【0765】
混合物によるトランスフェクションから、SARS-CoV-2 RBD及びインフルエンザHA抗原の両方が検出された。第1の環状RNAによるトランスフェクションから、SARS-CoV-2 RBDが検出されたが、インフルエンザHA抗原は検出されなかった。第2の環状RNAによるトランスフェクションから、インフルエンザHA抗原が検出されたが、SARS-CoV-2 RBD抗原は検出されなかった。これは、SAR-CoV-2 RBD及びインフルエンザHA抗原の両方が、環状RNAの組合せ混合物からの哺乳動物細胞において発現されたことを実証する。
【0766】
実験4
SARS-CoV-2スパイク抗原(核酸配列番号45;アミノ酸配列番号53)をコードする第1の環状RNAを、本明細書に記載される方法によって、設計し、生成し、精製した。第2の環状RNAを、IRES、続いてインフルエンザA H1N1、A/California/07/2009からのHA(核酸配列番号60;アミノ酸配列番号59)をコードするORFを含むように設計し、本明細書に記載される方法によって生成し、精製した。第1の環状RNA及び第2の環状RNAを、一緒に混合して、混合物を得た。混合物(1ピコモルの各環状RNA)を、Lipofectamine MessengerMax(ThermoFisher、LMRNA015)を用いてHeLa細胞(24ウェルプレート中でウェル当たり100,000個の細胞)中にトランスフェクトした。対照として、第1の環状RNA及び第2の環状RNAも、MessengerMaxを用いてHeLa細胞中に別々にトランスフェクトした。
【0767】
スパイク抗原発現を、フローサイトメトリーによって24時間の時点で測定した。HA抗原発現を、実験3において上述されるように免疫ブロット法によって24時間の時点で測定した。
【0768】
混合物によるトランスフェクションから、SARS-CoV-2スパイク抗原及びインフルエンザHA抗原の両方が検出された。第1の環状RNAによるトランスフェクションから、SARS-CoV-2スパイク抗原が検出されたが、インフルエンザHA抗原は検出されなかった。第2の環状RNAによるトランスフェクションから、インフルエンザHA抗原が検出されたが、SARS-CoV-2スパイク抗原は検出されなかった。これは、SAR-CoV-2スパイク及びインフルエンザHA抗原の両方が、環状RNAの組合せ混合物からの哺乳動物細胞において発現されたことを実証する。
【0769】
この実施例は、複数の抗原が、環状RNAの異なる組合せを含む環状RNA製剤から哺乳動物細胞において発現されたことを示す。
【0770】
実施例29:環状RNAからの複数の抗原発現
この実施例は、哺乳動物細胞における環状RNAからの複数の抗原の発現を実証する。これらの構築物の例示的な概略図が、図10及び11に示される。
【0771】
実験1
この実施例において、環状RNAを、IRES、続いてGLucポリペプチドをコードするORF、終止コドン、スペーサー、IRES、SARS-CoV-2 RBD抗原をコードするORF、及び終止コドンを含むように設計した。環状RNAを、本明細書に記載される方法によって生成し、精製した。対照として、以下の環状RNAを、上述されるように生成した:(i)IRES及びSARS-CoV-2 RBD抗原をコードするORFを有する環状RNA;(ii)IRES及びGLucポリペプチドをコードするORFを有する環状RNA。
【0772】
環状RNAs(0.1ピコモル)を、Lipofectamine MessengerMax(ThermoFisher、LMRNA015)を用いてHeLa細胞(96ウェルプレート中のウェル当たり10,000個の細胞)中にトランスフェクトした。
【0773】
RBD抗原発現を、SARS-CoV-2 RBD抗原特異的ELISAを用いて24時間の時点で測定した。GLuc活性を、ガウシアルシフェラーゼ活性アッセイ(Thermo Scientific Pierce)を用いて24時間の時点で測定した。
【0774】
RBD抗原発現が、SARS-CoV-2 RBD抗原及びGLucポリペプチドをコードする環状RNAから検出された(図13A)。GLuc活性が、GLucポリペプチドをコードする環状RNAから検出された(図13B)。これは、SAR-CoV-2 RBD及びGLuc抗原の両方が、SARS-CoV-2 RBD及びGLuc抗原の両方をコードする環状RNAから哺乳動物細胞において発現されたことを実証する。
【0775】
実験2
この実施例において、環状RNAを、IRES、続いてSARS-CoV-2 RBD抗原をコードするORF、終止コドン、スペーサー、IRES、中東呼吸器症候群(MERS)RBD抗原をコードするORF、及び終止コドンを含むように設計した。環状RNAを、本明細書に記載される方法によって生成し、精製する。
【0776】
環状RNAを、Lipofectamine MessengerMax(ThermoFisher、LMRNA015)を用いてHeLa細胞(96ウェルプレート中のウェル当たり10,000個の細胞)中に様々な濃度でトランスフェクトする。
【0777】
SARS-CoV-2 RBD抗原発現が、SARS-CoV-2 RBD抗原特異的ELISAを用いて24時間の時点で測定される。MERS RBD抗原発現が、検出が可能なMERS RBD抗原特異的抗体を用いて24時間の時点で測定される。
【0778】
実施例30:マウスモデルにおける環状RNAからの複数の抗原の免疫原性
この実施例は、複数の環状RNA分子を投与することによる、対象における複数の抗原の発現を実証する。
【0779】
実験1
脂質ナノ粒子中で製剤化された、(a)SARS-CoV-2 RBD抗原をコードする環状RNA及び(b)モデル抗原としてGLucポリペプチドをコードする環状RNAを含む環状RNA製剤の免疫原性を、マウスモデルにおいて評価した。SARS-CoV-2 RBD抗原に対する抗体の産生及びGLuc活性も、マウスモデルにおいて評価した。
【0780】
SARS-CoV-2 RBD抗原(核酸配列番号56;アミノ酸配列番号55)をコードする第1の環状RNAを、本明細書に記載される方法によって、設計し、生成し、精製した。第2の環状RNAを、IRES及びGLucポリペプチド(核酸配列番号58;アミノ酸配列番号57)をコードするORFを有するように設計し、本明細書に記載される方法によって生成し、精製した。第1の環状RNA及び第2の環状RNAを、一緒に混合して、混合物を得た。次に、この混合物を、実施例7に記載されるように脂質ナノ粒子と共に配合して、第1の環状RNA製剤を得た。第1の環状RNA及び第2の環状RNAはまた、実施例7に記載されるように脂質ナノ粒子と共に別々に配合し、次に、一緒に混合して、第2の環状RNA製剤を得た。
【0781】
3匹のマウスに、0日目に第1の環状RNA製剤(10ugのRBD+10ugのGLucの総用量で)及び12日目に第2の環状RNA製剤(10ugのRBD+10ugのGLucの総用量で)を筋肉内に接種させた。さらなるマウス(群当たり3又は4匹)にも、0日目及び12日目に、(i)脂質ナノ粒子と共に配合された10ugの用量の第1の環状RNA;(ii)脂質ナノ粒子と共に配合された10ugの用量の第2の環状RNA;又は(iii)PBSを筋肉内に接種させた。
【0782】
各マウスからの血液採取を、顎下腺抽出によって行った。血液を、第1の環状RNA製剤によるプライミングの2及び17日後の時点で乾燥抗凝固剤フリーチューブ中に採取した。血清を、4℃で30分間にわたって1200gにおける遠心分離によって、全血から分離した。個々の血清サンプルを、酵素結合免疫吸着法(ELISA)によって、RBD特異的IgGの存在についてアッセイした。ELISAプレート(MaxiSorp 442404 96ウェル、Nunc)を、100uLの1×コーティング緩衝液(Biolegend、421701)中のSARS-CoV-2 RBD(Sino Biological、40592-V08B;100ng)で、4℃で一晩被覆した。次に、プレートを、ブロッキングバッファー(2%のBSA及び0.05%のTween 20を含むTBS)で1時間にわたってブロックした。次に、血清希釈物(1:500、1:1500、1:4500、及び1:13,500)を、100uLのブロッキングバッファー中で各ウェルに加え、室温で1時間インキュベートした。Tween(登録商標)洗浄剤(TBS-T)を含む1倍トリス-緩衝生理食塩水で3回洗浄した後、プレートを、1時間にわたって抗マウスIgG HRP検出抗体(Abcam、ab97023)と共にインキュベートした後、TBS-Tで3回洗浄し、次に、テトラメチルベンゼン(Biolegend、421101)を加えた。ELISAプレートを、10~20分間にわたって反応させ、次に、0.2Nの硫酸を用いてクエンチした。光学密度(O.D.)値を、450nmで決定した。
【0783】
各血清サンプルの光学密度を、バックグラウンド(二次抗体のみと共にインキュベートされた、RBDで被覆されたプレート)で除算した。各サンプルのバックグラウンドを超える倍数をプロットした。
【0784】
GLucの活性を、ガウシアルシフェラーゼ活性アッセイ(Thermo Scientific Pierce)を用いて試験した。50uLの1×GLuc基質を、10uLの血清に加えて、GLucルシフェラーゼ活性アッセイを行った。プレートを、発光測定装置(Promega)において混合した直後に読み取った。
【0785】
結果は、抗RBD抗体が、プライムの17日後(すなわち、第1の環状RNA製剤の注射の17日後)の時点で得られ(図14A)、GLuc活性が、プライムの2日後(すなわち、第1の環状RNA製剤の注射の2日後)の時点で検出された(図14B)ことを示した。
【0786】
これらの結果は、異なる抗原をコードする2つの環状RNAを含む環状RNA製剤が、マウスにおける抗原特異的応答を誘導したことを示した。
【0787】
実験2
脂質ナノ粒子中で製剤化された、(a)SARS-CoV-2 RBD抗原をコードする環状RNA及び(b)インフルエンザ赤血球凝集素(HA)抗原をコードする環状RNAを含む環状RNA製剤の免疫原性を、マウスモデルにおいて評価した。SARS-CoV-2 RBD及びインフルエンザHA抗原に対する抗体の産生も、マウスモデルにおいて評価した。
【0788】
SARS-CoV-2 RBD抗原(核酸配列番号56;アミノ酸配列番号55)をコードする第1の環状RNAを、本明細書に記載される方法によって、設計し、生成し、精製した。第2の環状RNAを、IRES、続いてインフルエンザA H1N1、A/California/07/2009からの赤血球凝集素(HA)(核酸配列番号60;アミノ酸配列番号59)をコードするORFを含むように設計し、本明細書に記載される方法によって生成し、精製した。第1の環状RNA及び第2の環状RNAを、一緒に混合して、混合物を得た。次に、この混合物を、実施例7に記載されるように脂質ナノ粒子と共に配合して、第1の環状RNA製剤を得た。第1の環状RNA及び第2の環状RNAはまた、実施例7に記載されるように脂質ナノ粒子と共に別々に配合し、次に、一緒に混合して、第2の環状RNA製剤を得た。
【0789】
3匹のマウスに、0日目に第1の環状RNA製剤(10ugのRBD+10ugのHAの総用量で)及び12日目に第2の環状RNA製剤(10ugのRBD+10ugのHAの総用量で)を筋肉内に接種させた。さらなるマウス(群当たり3又は4匹)にも、0日目及び12日目に、(i)脂質ナノ粒子と共に配合された10ugの用量の第1の環状RNA;(ii)脂質ナノ粒子と共に配合された10ugの用量の第2の環状RNA;又は(iii)PBSを筋肉内に接種させた。
【0790】
血液採取は、実験1に記載されるとおりであった。ELISAによるRBD特異的IgGの存在が、実験1に記載されるように決定された。
【0791】
個々の血清サンプルを、ELISAによってHA特異的IgGの存在についてアッセイした。ELISAプレートを、HA組み換えタンパク質(Sino Biological、11085-V08B;100ng)で、4℃で一晩被覆し、プレートを、実験1に記載されるように処理した。各血清サンプルの光学密度を、バックグラウンド(二次抗体のみと共にインキュベートされた、HAで被覆されたプレート)の光学密度で除算した。各サンプルのバックグラウンドを超える倍数をプロットした。
【0792】
結果は、抗RBD及び抗HA抗体が、プライムの17日後(すなわち、第1の環状RNA製剤による注射の17日後に得られたことを示した(図16A及び16B)。
【0793】
結果はまた、異なる抗原をコードする2つの環状RNAを含む環状RNA製剤が、マウスにおける抗原特異的免疫応答を誘導することを示した。
【0794】
実験3
脂質ナノ粒子中で製剤化された、(a)SARS-CoV-2スパイク抗原をコードする環状RNA及び(b)インフルエンザ赤血球凝集素(HA)抗原をコードする環状RNAを含む環状RNA製剤の免疫原性を、マウスモデルにおいて評価した。SARS-CoV-2スパイク及びインフルエンザHA抗原に対する抗体の産生も、マウスモデルにおいて評価した。
【0795】
SARS-CoV-2スパイク抗原(核酸配列番号54;アミノ酸配列番号53)をコードする第1の環状RNAを、本明細書に記載される方法によって、設計し、生成し、精製した。第2の環状RNAを、IRES、続いてインフルエンザA H1N1、A/California/07/2009からの赤血球凝集素(HA)(核酸配列番号60;アミノ酸配列番号59)をコードするORFを含むように設計し、本明細書に記載される方法によって生成し、精製した。第1の環状RNA及び第2の環状RNAを、一緒に混合して、混合物を得た。次に、この混合物を、実施例7に記載されるように脂質ナノ粒子と共に配合して、第1の環状RNA製剤を得た。第1の環状RNA及び第2の環状RNAはまた、実施例7に記載されるように脂質ナノ粒子と共に別々に配合し、次に、一緒に混合して、第2の環状RNA製剤を得た。
【0796】
3匹のマウスに、0日目に第1の環状RNA製剤(10ugのスパイク+10ugのHAの総用量で)及び12日目に第2の環状RNA製剤(10ugのスパイク+10ugのHAの総用量で)を筋肉内に接種させた。さらなるマウス(群当たり3又は4匹)にも、0日目及び12日目に、(i)脂質ナノ粒子と共に配合された10ugの用量の第1の環状RNA;(ii)脂質ナノ粒子と共に配合された10ugの用量の第2の環状RNA;又は(iii)PBSを筋肉内に接種させた。
【0797】
血液採取は、実験1に記載されるとおりであった。血清を、40Cで30分間にわたって1200gにおける遠心分離によって、全血から分離した。個々の血清サンプルを、実験1に記載されるようにELISAによってRBD(すなわち、スパイクのRBD)特異的IgGの存在についてアッセイした。
【0798】
個々の血清サンプルを、ELISAによってHA特異的IgGの存在についてアッセイした。ELISAプレートを、HA組み換えタンパク質(Sino Biological、11085-V08B;100ng)で、4℃で一晩被覆し、プレートを、実験1に記載されるように処理した。各血清サンプルの光学密度を、バックグラウンド(二次抗体のみと共にインキュベートされた、HAで被覆されたプレート)の光学密度で除算した。各サンプルのバックグラウンドを超える倍数をプロットした。
【0799】
結果は、抗RBD抗体及び抗HA抗体が、プライムの17日後(すなわち、第1の環状RNA製剤の注射の17日後に得られたことを示した(図15A及び15B)。
【0800】
結果はまた、異なる抗原をコードする2つの環状RNAを含む環状RNA製剤が、マウスにおける抗原特異的免疫応答を誘導したことを示した。
【0801】
実施例31:マウスモデルにおける複数の抗原を含む環状RNAの免疫原性
この実施例は、複数の抗原を含む環状RNAの免疫原性を記載する。この実施例はまた、単一の環状RNAによってコードされる複数の抗原に対する、マウスモデルにおける抗体の産生を記載する。
【0802】
実験1
この実施例において、環状RNAを、IRES、続いてGLucポリペプチド(モデル抗原として)をコードするORF、終止コドン、スペーサー、IRES、SARS-CoV-2 RBD抗原をコードするORF、及び終止コドンを含むように設計し、実施例29に記載されるように生成し、精製した。対照として、以下の環状RNAを、上述されるように生成した:(i)IRES及びSARS-CoV-2 RBD抗原をコードするORFを有する環状RNA;(ii)IRES及びGLucポリペプチドをコードするORFを有する環状RNA。
【0803】
環状RNAを、実施例7に記載されるように脂質ナノ粒子と共に配合して、環状RNA製剤を得る。
【0804】
群当たり3匹のマウスに、0日目及び12日目に10ug又は20ugの総用量の環状RNA製剤を筋肉内に接種させる。
【0805】
血液採取は、実施例30に記載されるとおりである。ELISAによるRBD特異的IgGの存在が、実施例30に記載されるように決定される。GLuc活性が、実施例30に記載されるように測定される。
【0806】
実験2
脂質ナノ粒子中で製剤化された、IRES、続いてSARS-CoV-2 RBD抗原をコードするORF、終止コドン、スペーサー、IRES、MERS RBD抗原をコードするORF、及び終止コドンを含むように設計された環状RNAを含む環状RNA製剤の免疫原性が、マウスモデルにおいて評価される。SARS-CoV-2 RBD及びMERS RBD抗原に対する抗体の産生も、マウスモデルにおいて評価される。
【0807】
次に、この環状RNAを、実施例7に記載されるように脂質ナノ粒子と共に配合して、環状RNA製剤を得る。
【0808】
マウスに、0日目に及び最初の投与の少なくとも1日後に再度、5μg、10μg、20μg、又は50μgの量の環状RNA製剤を筋肉内に又は皮内に接種させる。
【0809】
血液採取は、実験1に記載されるとおりである。ELISAによるSARS-CoV-2 RBD特異的IgGの存在が、実験1に記載されるように決定される。MERS RBD特異的IgGの存在も、ELISAによって決定される。
【0810】
個々の血清サンプルが、抗SARS-CoV-2 RBD結合抗体、抗MERS RBD結合抗体、SARS-CoV-2 RBD抗原に対する中和抗体、MERS RBD抗原に対する中和抗体、SARS-CoV-2抗原に対する細胞応答、及びMERS RBD抗原に対する細胞応答の存在についてアッセイされる。
【0811】
実施例32:T細胞応答の評価
ELISpotアッセイを用いて、SARS-CoV-2スパイク又はRBD特異的T細胞又はインフルエンザHA特異的T細胞の存在を検出する。このアッセイは、実施例30からのマウスの以下の群において行われる:
1.RBD
2.GLuc
3.HA
4.スパイク
5.RBD+HA
6.スパイク+HA
7.PBS
【0812】
マウス脾臓を、ブーストの30日後(すなわち、第1の環状RNA製剤による注射の30日後)に採取し、単一の細胞懸濁液中で処理する。脾細胞を、IFN-g又はIL-4 ELISpotプレート(ImmunoSpot)においてウェル当たり0.5Mの細胞で平板培養する。脾細胞を、刺激のない状態のままにするか又はSARS CoV-2及びHAペプチドプール(JPT、PM-WCPV-SRB及びPM-IFNA_HACal)で刺激する。ELISPOTプレートを、製造業者のプロトコルに従って処理する。
【0813】
実施例33:複数の抗原をコードする環状RNAを投与されたマウスにおける抗体応答の評価
この実施例は、複数の抗原の発現をコードする環状RNAの投与から得られる抗体応答を実証する。
【0814】
赤血球凝集阻害アッセイ(HAI)を用いて、マウスからの血清中の赤血球凝集を防止する抗インフルエンザHA抗体を測定した。マウスに、環状RNAの製剤を投与し、これはそれぞれ、本明細書に記載される方法によって設計され、生成され、SARS-CoV-2 RBD抗原、SARS-CoV-2スパイク抗原、インフルエンザHA抗原、SARS-CoV-2 RBD抗原及びインフルエンザHA抗原、SARS-CoV-2 RBD抗原及びGLucポリペプチド、又はSARS-CoV-2 RBD抗原及びSARS-CoV-2スパイク抗原の発現をコードする。血液採取は、実施例30、実験1に記載されるとおりであり、注射の2日後及び17日後に行われた。
【0815】
2日目及び17日目にマウスから採取されたサンプルの2倍連続希釈物を調製した。ウイルスを加えなかった血清対照ウェルを除いて、既知の赤血球凝集素(HA)力価を有する一定の量のインフルエンザウイルスを、96ウェルプレートの全てのウェルに、4つの赤血球凝集素単位に相当する濃度まで加えた。プレートを、室温で60分間静置させ、その後、赤血球サンプルを加え、4℃で30分間インキュベートさせた。赤血球凝集を防止した最高血清希釈は、血清のHAI力価であることが決定された。17日目に採取されたサンプルは、それが単独で投与された場合又はSARS-CoV-2抗原、例えばRBD又はスパイクと組み合わせて投与された場合の、インフルエンザHA抗原をコードする環状RNA製剤を投与されたサンプルにおけるHAI力価を示した(図17)。17日目にHAI力価が、HA抗原が投与されていないサンプル、例えばSARS-CoV-2 RBD抗原単独又はSARS-CoV-2スパイク抗原単独から見られなかった。
【0816】
本発明の好ましい実施形態が、本明細書に示され、記載されているが、このような実施形態が、例として示されるに過ぎないことが、当業者に明らかであろう。多くの変化、変形、及び置き換えが、本発明から逸脱せずに当業者に想到されるであろう。本明細書に記載される本発明の実施形態に対する様々な代替例が、本発明を実施するのに用いられ得ることが理解されるべきである。本発明の範囲の規定する以下の特許請求の範囲並びにこれらの特許請求の範囲及びその均等物の範囲内の方法及び構造が、それによって包含されることが意図される。
【0817】
【表13】
【0818】
【表14】
【0819】
【表15】
【0820】
【表16】
【0821】
【表17】
【0822】
【表18】
【0823】
【表19】
【0824】
【表20】
【0825】
【表21】
【0826】
【表22】
【0827】
【表23】
【0828】
【表24】
【0829】
【表25】
【0830】
【表26】
【0831】
【表27】
【0832】
【表28】
【0833】
【表29】
【0834】
【表30】
【0835】
【表31】
【0836】
【表32】
【0837】
【表33】
【0838】
【表34】
【0839】
【表35】
【0840】
【表36】
図1
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図13A
図13B
図14A
図14B
図15A
図15B
図16A
図16B
図17
【配列表】
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【国際調査報告】