(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-21
(54)【発明の名称】加速度計制御式表面温度を伴う点滴ポンプ
(51)【国際特許分類】
A61M 5/142 20060101AFI20230614BHJP
【FI】
A61M5/142 520
A61M5/142 500
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022570533
(86)(22)【出願日】2021-05-20
(85)【翻訳文提出日】2023-01-11
(86)【国際出願番号】 US2021033395
(87)【国際公開番号】W WO2021236924
(87)【国際公開日】2021-11-25
(32)【優先日】2020-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591013229
【氏名又は名称】バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
(71)【出願人】
【識別番号】501453189
【氏名又は名称】バクスター・ヘルスケヤー・ソシエテ・アノニム
【氏名又は名称原語表記】Baxter Healthcare S.A.
【住所又は居所原語表記】Thurgauerstr.130 CH-8152 Glattpark (Opfikon) Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】スラビー, ジリ
(72)【発明者】
【氏名】ウォティジアク, スラウォミール エドワード
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA07
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD11
4C066EE10
4C066EE14
4C066FF01
4C066QQ41
4C066QQ51
4C066QQ65
4C066QQ82
(57)【要約】
点滴ポンプは、筐体と、ポンピング機構と、ポンプ運動およびポンプ角度配向のうちの少なくとも1つを検出するように構成される加速度計と、温度制御ユニットとを含む。温度制御ユニットは、加速度計データを受信し、加速度計データに基づいて、ポンプ構成を判定するように構成される。ポンプ構成は、接触構成または非接触構成を含んでもよい。温度制御ユニットはまた、判定されたポンプ構成に基づいて、閾値筐体温度を確立するように構成される。加えて、温度制御ユニットは、閾値筐体温度を下回るように筐体を維持するために、少なくとも1つのポンプ特徴または機能を修正するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
点滴ポンプであって、
筐体と、
ポンピング機構と、
ポンプ運動およびポンプ角度配向のうちの少なくとも1つを検出するように構成される、加速度計と、
温度制御ユニットと
を備え、
前記温度制御ユニットは、
加速度計データを受信することと、
前記加速度計データに基づいて、ポンプ構成を判定することであって、前記ポンプ構成は、接触構成または非接触構成のうちの1つを含む、ことと、
前記判定されたポンプ構成に基づいて、閾値筐体温度を確立することと、
前記閾値筐体温度を下回るように前記筐体を維持するために、少なくとも1つのポンプ特徴または機能を修正することと
を行うように構成される、点滴ポンプ。
【請求項2】
1つ以上の温度センサをさらに備える、請求項1に記載の点滴ポンプ。
【請求項3】
前記温度制御ユニットは、前記温度センサから温度データを受信するようにさらに構成される、請求項2に記載の点滴ポンプ。
【請求項4】
前記温度制御ユニットは、前記温度データからのフィードバックに基づいて、前記少なくとも1つのポンプ特徴を動的に修正するようにさらに構成される、請求項3に記載の点滴ポンプ。
【請求項5】
前記接触構成は、歩行可能な構成である、請求項1に記載の点滴ポンプ。
【請求項6】
前記非接触構成は、歩行不可能な構成である、請求項1に記載の点滴ポンプ。
【請求項7】
前記ポンプは、歩行可能な点滴ポンプである、請求項1に記載の点滴ポンプ。
【請求項8】
前記点滴ポンプは、前記非接触構成であるとき、I.V.柱に接続される、請求項1に記載の点滴ポンプ。
【請求項9】
前記少なくとも1つのポンプ特徴または機能は、ポンプ通信設定と、バッテリ充電設定と、表示設定と、音設定と、アラート設定と、WiFi通信周波数とを含む、請求項1に記載の点滴ポンプ。
【請求項10】
方法であって、
加速度計データを監視することと、
前記加速度計データに基づいて、ポンプ構成を判定することであって、前記ポンプ構成は、接触構成および非接触構成のうちの1つを含む、ことと、
閾値筐体温度を下回るようにポンプ筐体を維持するために、少なくとも1つのポンプ特徴または機能を修正することであって、前記閾値筐体温度は、前記ポンプ構成に基づく、ことと
を含む、方法。
【請求項11】
前記閾値筐体温度を設定することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ポンプ構成を判定することは、前記加速度計データを事前に確立されたポンププロファイルまたはポンプシグネチャと比較することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記ポンプ構成を判定することは、前記加速度計データを瞬間閾値と比較することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記ポンプ構成を判定することは、前記加速度計データを累積閾値と比較することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記ポンプ構成を判定することは、前記加速度計データを構成予測関数に適用することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つのポンプ特徴または機能は、ポンプ通信設定と、バッテリ充電設定と、表示設定と、音設定と、アラート設定と、WiFi通信周波数とを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
方法であって、
デバイス運動およびデバイス配向のうちの少なくとも1つを検出することと、
前記デバイス運動および前記デバイス配向のうちの少なくとも1つに基づいて、デバイス構成を判定することと、
前記判定されたデバイス構成に基づいて、デバイスプロセスを調節することと
を含む、方法。
【請求項18】
前記デバイスは、点滴ポンプである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記点滴ポンプは、歩行可能な点滴ポンプである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
デバイスプロセスを調節することは、デバイス通信設定を調節すること、バッテリ再充電率を調節すること、ディスプレイ輝度を調節すること、ディスプレイのタイムアウトを調節すること、スピーカ設定を調節すること、アラート周波数を調節すること、およびWiFi通信周波数を調節することのうちの少なくとも1つを含む、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(関連出願)
本願は、参照することによって全体として本明細書に組み込まれる、2020年5月22日に出願され、「INFUSION PUMP WITH ACCELEROMETER CONTROLLED SURFACE TEMPERATURE」と題された、米国仮特許出願第63/028,640号の利益および優先権を主張する。
【0002】
(背景)
本発明は、ポンプに関し、より具体的には、患者への薬剤の送達のための点滴ポンプに関する。概して、内科患者は、時として、持続的な薬剤か、または設定された周期的間隔での薬剤かのいずれかの精密な送達を要求する。制御された薬物点滴を提供するために、医療用ポンプが開発されてきており、薬物は、治療限界内で、かつ不必要な、または場合によっては有毒な範囲外で、薬物濃度を保つ、ある精密な割合で投与されることができる。基本的には、医療用ポンプは、制御可能な率で、適切な薬物送達を患者に提供し、これは、頻繁な目配りを要求しない。
【0003】
医療用ポンプは、臨床の場および臨床の場以外の両方において、患者への静脈内療法の投与を促進し得る。臨床の場以外において、医師は、多くの事例において、患者が、薬剤の周期的または持続的な静脈内投与を受けることを前提として、実質的に通常の生活に戻ることができることを見出している。療法のタイプの中で、この種の投与を要求するものは、抗生物質療法、化学療法、疼痛コントール療法、栄養療法、および当業者によって公知である、いくつかの他のタイプである。多くの場合、患者は、複数の毎日の治療を受ける。ある内科疾患は、30分~2時間等の比較的短い周期にわたって、溶液中の薬物の点滴を要求する。これらの状況および他の状況は、患者によって着用されることができ、所望の率で、薬剤の持続的な供給量を投与する、または予定された間隔で、いくつかの用量の薬剤を提供することが可能であるような、ますます軽量で、携帯可能で、または歩行可能な点滴ポンプの開発を助長するために、組み合わせられてきた。
【0004】
点滴ポンプの構成は、患者への送達のためのIV管類の中に、バルーン等、可撓性コンテナから溶液を圧搾する、エラストマポンプを含む。代替として、ばね荷重式ポンプが、溶液コンテナまたはリザーバを加圧する。あるポンプの設計は、溶液を送出するために、加圧ローラによって圧搾される、可撓性区画を含有する、カートリッジを利用する。注射器を利用する点滴ポンプもまた、公知であり、駆動機構が、流体を患者に送達するために、注射器のプランジャを移動させる。典型的には、これらの点滴ポンプは、注射器アセンブリを受容するように適合された筐体と、注射器プランジャを移動させるように適合された駆動機構と、様々な動作制御装置を有するポンプ制御ユニットと、駆動機構および制御装置を含むポンプに電力を供給するための電源とを含む。
【0005】
加えて、いくつかの点滴ポンプは、可搬型であり、例えば、点滴ポンプは、歩行可能な患者または他の患者による、動かしやすい使用のために、より小型かつよりコンパクトであってもよい。当然ながら、可搬型ポンプは、ポンプモータに電力を供給するための手段として、同等に可搬型電源を供給されなければならない。バッテリは、可搬型ユニットのための電源の好適な選定である。いくつかのポンプは、使い捨てバッテリを使用し得る一方、他のポンプは、再充電可能バッテリを使用し得る。いくつかのポンプは、使い捨てバッテリを使用し得る一方、他のポンプは、再充電可能バッテリを使用し得る。ポンプはまた、I.V.柱に取り付けられるようにサイズ指定されてもよい。I.V.柱は、取り付けられたポンプとともに、定常のままであってもよい、または病院設定内で移動されてもよい。別の実施例では、ポンプは、病院のベッド、または他の支持構造に取り付けられてもよい。上記に言及されるように、ポンプは、可搬型であり得、例えば、パウチ内に、患者に接触して搬送され得る。ポンプは、患者の被服および/またはベルト、ベスト、または同等物等の他の支持衣料品に取り付けられ、支持されてもよい。
【0006】
ポンプが動作している間、バッテリ等の電源によって提供される電力は、エネルギーを消費し、ポンプ構成要素およびポンプ筐体を加熱し得る。高いポンプ表面温度は、患者にとって不快感を引き起こし得る。故に、安全なポンプ動作もまた維持しながら、ポンプ表面温度に対処することを含む、患者の快適性に対する複数の必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
(要約)
本発明は、表面温度を決定付けられる加速度計を伴う、点滴ポンプを提供する。本ポンプは、ポンプが、歩行可能な構成内にあるか、または歩行不可能な構成内にあるかを判定するために、様々な他のセンサと併せて使用され得る、加速度計を含む。ポンプ状態(例えば、歩行可能対歩行不可能)の判定に基づいて、電力消費、すなわち、ポンプの電力消費は、ポンプの表面温度を規定された閾値に限定するように調節されてもよい。
【0008】
本明細書に説明される主題の側面は、単独で、または本明細書に説明される、1つ以上の他の側面と組み合わせて、有用であり得る。本開示の例示的側面では、点滴ポンプは、筐体と、ポンピング機構と、ポンプ運動およびポンプ角度配向のうちの少なくとも1つを検出するように構成される、加速度計と、温度制御ユニットとを含む。温度制御ユニットは、加速度計データを受信し、加速度計データに基づいて、ポンプ構成を判定するように構成される。ポンプ構成は、接触構成または非接触構成のうちの1つを含んでもよい。温度制御ユニットはまた、判定されたポンプ構成に基づいて、閾値筐体温度を確立するように構成される。加えて、温度制御ユニットは、閾値筐体温度を下回るように筐体を維持するために、少なくとも1つのポンプ特徴または機能を修正するように構成される。
【0009】
前述の側面のうちの任意の1つ以上と組み合わせて使用され得る、本開示の別の例示的側面によると、点滴ポンプはさらに、加速度計を含む。
【0010】
前述の側面のうちの任意の1つ以上と組み合わせて使用され得る、本開示の別の例示的側面によると、加速度計は、ポンプの配向を検出するように構成される。
【0011】
前述の側面のうちの任意の1つ以上と組み合わせて使用され得る、本開示の別の例示的側面によると、加速度計は、ポンプの加速(例えば、速度の変化率)を検出するように構成される。
【0012】
前述の側面のうちの任意の1つ以上と組み合わせて使用され得る、本開示の別の例示的側面によると、加速度計は、ポンプ状態間(例えば、歩行可能対歩行不可能)を区別するために、ポンプの加速度計「シグネチャ」を提供するように構成される。
【0013】
前述の側面のうちの任意の1つ以上と組み合わせて使用され得る、本開示の別の例示的側面によると、点滴ポンプはさらに、1つ以上の温度センサを含む。
【0014】
前述の側面のうちの任意の1つ以上と組み合わせて使用され得る、本開示の別の例示的側面によると、温度制御ユニットはさらに、温度センサから温度データを受信するように構成される。
【0015】
前述の側面のうちの任意の1つ以上と組み合わせて使用され得る、本開示の別の例示的側面によると、温度制御ユニットはさらに、温度データからのフィードバックに基づいて、少なくとも1つのポンプ特徴を動的に修正するようにさらに構成される。
【0016】
前述の側面のうちの任意の1つ以上と組み合わせて使用され得る、本開示の別の例示的側面によると、接触構成は、歩行可能な構成である。
【0017】
前述の側面のうちの任意の1つ以上と組み合わせて使用され得る、本開示の別の例示的側面によると、非接触構成は、歩行不可能な構成である。
【0018】
前述の側面のうちの任意の1つ以上と組み合わせて使用され得る、本開示の別の例示的側面によると、ポンプは、歩行可能な点滴ポンプである。
【0019】
前述の側面のうちの任意の1つ以上と組み合わせて使用され得る、本開示の別の例示的側面によると、点滴ポンプは、非接触構成であるとき、I.V.柱に接続される。
【0020】
前述の側面のうちの任意の1つ以上と組み合わせて使用され得る、本開示の別の例示的側面によると、少なくとも1つのポンプ特徴または機能は、ポンプ通信設定と、バッテリ充電設定と、表示設定と、音設定と、アラート設定と、WiFi通信周波数とを含む。
【0021】
本明細書に説明される主題の側面は、単独で、または本明細書に説明される、1つ以上の他の側面と組み合わせて、有用であり得る。本開示の例示的側面では、方法は、加速度計データを監視することと、加速度計データに基づいて、ポンプ構成を判定することを含む。ポンプ構成は、接触構成および非接触構成のうちの1つを含む。本方法はまた、閾値筐体温度を下回るようにポンプ筐体を維持するために、少なくとも1つのポンプ特徴または機能を修正することも含む。閾値筐体温度は、ポンプ構成に基づく。
【0022】
前述の側面のうちの任意の1つ以上と組み合わせて使用され得る、本開示の別の例示的側面によると、本方法はさらに、閾値筐体温度を設定することを含む。
【0023】
前述の側面のうちの任意の1つ以上と組み合わせて使用され得る、本開示の別の例示的側面によると、ポンプ構成を判定することは、加速度計データを事前に確立されたポンププロファイル(例えば、定常または変動移動条件等の具体的な条件またはシナリオの下、ポンプの加速度計応答の特性評価に基づいて判定された、プロファイル)と比較することを含む。
【0024】
前述の側面のうちの任意の1つ以上と組み合わせて使用され得る、本開示の別の例示的側面によると、ポンプ構成を判定することは、加速度計データを瞬間閾値と比較することを含む。
【0025】
前述の側面のうちの任意の1つ以上と組み合わせて使用され得る、本開示の別の例示的側面によると、ポンプ構成を判定することは、加速度計データを累積閾値と比較することを含む。
【0026】
前述の側面のうちの任意の1つ以上と組み合わせて使用され得る、本開示の別の例示的側面によると、ポンプ構成を判定することは、加速度計データを構成予測関数に適用することを含む。
【0027】
前述の側面のうちの任意の1つ以上と組み合わせて使用され得る、本開示の別の例示的側面によると、少なくとも1つのポンプ特徴または機能は、ポンプ通信設定と、バッテリ充電設定と、表示設定と、音設定と、アラート設定と、WiFi通信周波数とを含む。
【0028】
本明細書に説明される主題の側面は、単独で、または本明細書に説明される、1つ以上の他の側面と組み合わせて有用であり得る。本開示の例示的側面では、方法は、デバイス運動およびデバイス配向のうちの少なくとも1つを検出することと、デバイス運動およびデバイス配向のうちの少なくとも1つに基づいて、デバイス構成を判定することと、判定されたデバイス構成に基づいて、デバイスプロセスを調節することとを含む。
【0029】
前述の側面のうちの任意の1つ以上と組み合わせて使用され得る、本開示の別の例示的側面によると、デバイスは、点滴ポンプである。
【0030】
前述の側面のうちの任意の1つ以上と組み合わせて使用され得る、本開示の別の例示的側面によると、点滴ポンプは、歩行可能な点滴ポンプである。
【0031】
前述の側面のうちの任意の1つ以上と組み合わせて使用され得る、本開示の別の例示的側面によると、デバイスプロセスを調節することは、デバイス通信設定を調節すること、バッテリ再充電率を調節すること、ディスプレイ輝度を調節すること、ディスプレイのタイムアウトを調節すること、スピーカ設定を調節すること、アラート周波数を調節すること、およびWiFi通信周波数を調節することのうちの少なくとも1つを含む。
【0032】
したがって、点滴ポンプのために、加速度計を提供し、ポンプ構成(例えば、歩行可能な構成対歩行不可能な構成)を判定することが可能な回路網を制御することが、本発明の第一の目標である。
【0033】
開示された点滴ポンプの付加的な特徴および利点は、以下の詳細な説明および図において説明され、そこから明らかであろう。本明細書に説明される、特徴および利点は、包括的ではなく、特に、多くの付加的な特徴および利点は、図および説明を考慮して、当業者にとって明らかであろう。また、任意の特定の実施形態は、本明細書に列挙される利点の全てを有する必要はない。さらに、明細書内で使用される用語は、主に、可読性および指導的目的のために選択されており、本発明の主題の範囲を限定しないことを留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1A】
図1Aは、本開示の例示的実施形態による、歩行不可能な構成における、点滴ポンプの斜視図である。
【0035】
【
図1B】
図1Bは、本開示の例示的実施形態による、歩行可能な構成における、点滴ポンプの斜視図である。
【0036】
【
図2】
図2は、本開示の例示的実施形態による、例示的点滴ポンプシステムのブロック図を図示する。
【0037】
【
図3】
図3は、本開示の例示的実施形態による、表面温度に対してプロットされた電力の電力消費グラフを図示する。
【0038】
【
図4】
図4は、本開示の例示的実施形態による、歩行不可能な構成における、ポンプの加速度計読取値を図示する。
【0039】
【
図5】
図5は、本開示の例示的実施形態による、歩行可能な構成における、ポンプの加速度計読取値を図示する。
【0040】
【
図6】
図6は、本開示の例示的実施形態による、ポンプ構成に基づいて、ポンプ電力消費を調節するための例示的プロセスのフローチャートである。
【0041】
【
図7】
図7は、ポンプ構成に基づいて、ポンプ電力消費を調節するための例示的プロセスの例示的フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
(例示的実施形態の詳細な説明)
下記の開示は、所定の分量で、流体(例えば、薬剤または栄養)を患者に送達するために使用される、点滴ポンプ110等の点滴送達システムに関する。点滴ポンプ110は、(
図1Aに図示される)歩行不可能な構成で、または(
図1Bに図示される)歩行可能な構成で使用されてもよい。
【0043】
図1Aに図示される歩行不可能な構成(例えば、非接触構成)では、ポンプ110は、柱アセンブリ、120(例えば、I.V.柱)に取り付けられるようにサイズ指定および成形されてもよい。例えば、ポンプ110は、ポンプ110を柱アセンブリ120(例えば、病院設定において使用される、柱アセンブリ)に搭載するように適合される、柱クランプを介して、柱アセンブリに取り付けられてもよい。手術中および歩行不可能な構成では、ポンプ110は、患者から離れ、患者と直接接触しないように、柱等の支持構造上に搭載されてもよい。
【0044】
典型的には、歩行不可能な(例えば、非接触)構成に関して、定常場所におけるポンプの病院使用および自宅使用を含む、2つのシナリオが存在する。ポンプの表面温度限界は、歩行不可能な構成においては、より高い。材料および接触時間に応じて、表面温度は、プラスチック材料上では、1秒触れただけで、71℃もの高温になり得る。71℃の表面温度は、デバイスが、患者の身体上ではなく、柱120上に位置付けられるため、歩行可能な使用事例よりも高い。表面温度限界は、使用事例、触れられることになる材料(プラスチック、金属等)、および触れる持続時間によって定義され得る。例えば、表面温度限界は、標準化団体によって確立されてもよい。表面温度限界は、触れる時間に基づいて、種々の材料に対する容認可能最大温度を定義し得る。例示的表面温度限界は、参照することによって本明細書に組み込まれる、IEC60601-1第3版に記載の「Tables 23 - Allowable Maximum Temperatures for ME EQUIPMENT Parts That are Likely to be Touched」および「Table 24 - Allowable Maximum Temperatures for Skin Contact With ME EQUIPMENT APPLIED PARTS」に説明される。
【0045】
図1Bに図示される歩行可能な構成では、ポンプ110は、ポンプ筐体が、患者の皮膚または患者の被服と直接、または搬送パウチを通して接触するように、患者に取り付けられてもよい。典型的には、歩行可能な(例えば、接触)構成に関して、患者上の自宅使用および患者上の病院使用を含む、2つのシナリオが存在する。歩行可能な構成では、患者は、患者の身体と直接接触し得る、ポンプ110を装着または携行する。したがって、表面温度は、材料にかかわらず、48℃の低温に限定され得る。上記に述べられたように、表面温度は、材料および予期される触れる時間に基づいて表面温度限界を説明する、確立された標準に基づいて限定されてもよい。構成にかかわらず、ポンプ110は、筐体、筐体に枢動可能に接続されるドア、ディスプレイ、およびキーパッド等を含んでもよい。ディスプレイおよびキーパッドは、ポンピング機構に後に通信される、流体送達量等を設定するために、点滴ポンプ110、より具体的には、ポンプ内のプロセッサをプログラミングするために使用されてもよい。種々の他の実施形態では、ディスプレイおよびキーパッドの1つ以上の要素は、中央タッチスクリーンにおいて組み合わせられ得ることを理解されたい。
【0046】
筐体は、種々のタイプのプラスチックおよび金属を含む、様々な材料から作製されてもよい。上記に議論されるように、構成(例えば、歩行可能または歩行不可能)および筐体の材料に応じて、ポンプ110は、異なる表面温度順守限界を有してもよい。例えば、表面温度順守限界は、身体およびポンプ筐体材料への暴露(例えば、触れる)の持続時間に応じて異なる。確立された順守限界を下回るようにポンプ筐体の表面温度を維持するために、必要なときに、電力消費を低減させるために内部プロセスを調節するために、デバイスが、ポンプ構成(例えば、歩行可能または歩行不可能)を認識する必要性がある。歩行可能な使用事例または構成では、順守限界または閾値を上回る温度は、患者に不快感または傷害を引き起こし得る。本明細書に開示される例示的デバイスおよび方法では、ポンプ110は、処置の品質を犠牲にすることなく、患者の快適性および可動性を最大限にするように構成される。同様に、医療デバイスが、歩行不可能な目的のために使用されるとき、性能を最大限にする必要性がある。本明細書に開示される例示的デバイスおよび方法では、ポンプ110は、歩行不可能な構成において使用されるポンプ(例えば、非接触構成において、柱アセンブリ120上に位置付けられる)に対しては、より高い温度順守限界に従って、ポンプ性能を最大限にするように構成される。
【0047】
図2は、点滴ポンプシステムの高レベル構成要素図を描写する。点滴ポンプシステム200は、メモリ212と通信するプロセッサ210と、バッテリまたは電源230によって給電される、温度制御ユニット230とを含む。プロセッサ210は、ディスプレイ240と、モータ250および関連付けられるポンピング機構または駆動機構252と、通信モジュール260と通信する。加えて、点滴ポンプシステム200は、光学センサ282、圧力センサ284、加速度計286、温度センサ288、および/または周囲光センサ290等の種々のセンサモジュール280を含んでもよい。
【0048】
ポンプ110と関連付けられるセンサは、ポンプの機能、ポンプの場所、ポンプの温度(例えば、ポンプ筐体表面温度)、およびポンプの動作状態に関する情報を提供するように動作する。ある実施例では、センサは、外部ポンプ筐体温度、個別のポンプ筐体温度と関連付けられる、対応する時間周期、および点滴ポンプ110の構成要素(例えば、筐体)によって被られる力に対応する、加速度計データを示す、データを取得してもよい。例えば、温度センサ(例えば、サーミスタまたはサーモカップル)は、ポンプ筐体の温度(またはその少なくとも代表的である温度)を感知するように適合されてもよく、すなわち、筐体温度は、サーミスタ温度に対して特性評価される。
【0049】
電源230は、多くの異なる形態をとり得る。一好ましい実施形態では、電源230は、再充電可能バッテリユニットの形態であり得る。加えて、ポンプは、AC電源から給電され得る。AC電源アセンブリは、電源コードと、筐体の中に差し込まれる、関連付けられる端子とを有する。AC電源アセンブリは、必要なときに、再充電可能バッテリを再充電するために、標準電気コンセントの中に挿入され得る、プラグを有する。AC電力もまた、ポンプに給電するために、アセンブリを通して供給されることができる。
【0050】
(加速度計)
加速度計は、それ自体の瞬間静止座標における、本体の加速(速度の変化率)を感知および測定し得る。具体的には、加速度計は、x方向、y方向、およびz方向におけるポンプの加速データ(例えば、「g値」)を感知および測定し得る。ポンプ内の加速度計は、加速度計の挙動「シグネチャ」に基づいて、歩行可能対歩行不可能構成または使用事例を検出するために使用され得る。例えば、各構成または使用事例は、デバイスの運動(またはその欠如)および/またはデバイスの角度配向に基づいて、一意の加速度計シグネチャを提供し得る。例えば、
図4および
図5に図示されるように、加速度計は、サンプル周波数における、x、y、およびz方向に対するg値を提供し得る。異なるサンプリング周波数が、ポンプの用途に基づいて使用されてもよく、ポンプが、歩行可能な構成にあるか、または歩行不可能な構成にあるかを判定するためのポンプの能力を最適化し、バッテリ電力を節約しながら、ポンプの電力消費を調節し得る。
【0051】
上記に議論されるように、加速度計は、ポンプ110が、どの配向または構成であるか(例えば、歩行可能対歩行不可能)を区別することに役立てるために使用されてもよい。加速度計データは、ノイズを低減させるために、時間周期にわたって平均化され得る。代替実施形態では、デジタル移動平均フィルタが、望まないスパイクおよび/またはノイズ信号をフィルタリング除去するために使用されてもよい。例えば、ポンプ110は、それ自体が機械的に生成されたノイズを生成し得、または外部事象が、ノイズを生成し得、これは、データからフィルタリングされ得る。そのようなノイズの例示的源は、操作者が、点滴ポンプのドアを押すこと、操作者が、ポンプに衝突すること、操作者が、ポンプ(例えば、可動型I.V.柱120に接続されるポンプ)を移動させること、および点滴中の患者等に由来し得る。
【0052】
ある実施例では、加速度計が、ある検出基準(例えば、瞬間閾値を上回る、累積閾値を上回る、構成予測関数に従って)を上回る移動を検出した場合、ポンプ110は、歩行可能な構成にあるものとして分類され得る。閾値は、I.V.柱が転がること、エレベータの入口等に関して、確立されてもよい。同様に、加速度計が、その検出基準を下回る移動を検出した場合、ポンプ110は、歩行不可能な構成にあるものとして分類され得る。
【0053】
例えば、構成予測アルゴリズムは、ポンプ110が、適切に分類されることを確実にし、それによって、ポンプの外部筐体温度に対する適切な閾値が、確立され得る。わずかな移動/振動を検出するために十分に高感度な加速度計を用いると、患者の身体が「定常」であるときでさえ、運動が、加速度計によって記録される(例えば、身体は、呼吸、心臓の鼓動等に起因して、決して完全に動かないということはない)ため、歩行可能な構成は、正確に検出されることができる。例えば、わずかな移動および振動は、
図4に図示される加速度計データによって示される一方、
図5は、増加された活動(例えば、歩行)と関連付けられる、移動または振動と関連付けられる、加速度計データを図示する。
【0054】
(温度制御ユニット)
ポンプ110はまた、温度制御ユニット230等のコントローラを含んでもよい。温度センサからの温度情報は、ポンプ110の電力消費を変更するために、ポンプパラメータおよびポンプ機能を修正するために、コントローラ、温度制御ユニット230、またはプロセッサに提供され得る。2つのポンプ状態(歩行可能対歩行不可能)を区別する能力は、次いで、温度制御ユニット230が、温度制御のために標的とされるべきデバイス構成要素、故に、修正する、調節する、低減させる、無効にするべき等のプロセス、およびそれらのポンププロセスの修正方法を判定することを可能にする。例えば、温度制御ユニット230は、下記に説明されるように、温度の関数として、バッテリ再充電プロセスを変調させ得る、または温度制御ユニット230は、ディスプレイおよびキーパッドのバックライト、ワイヤレス伝達周波数等を調節し得る。
【0055】
温度制御ユニット230は、バッテリおよび/または電力線アダプタ、および温度センサ等の電源と通信する、制御回路網を含んでもよい。ポンプ筐体の温度を制御すること以外に、温度制御ユニット230は、ポンプ筐体温度が、規定された閾値限界を超過した場合に、警告を提供するために使用されてもよい。
【0056】
いくつかの実施形態では、温度制御ユニット230は、ある時間間隔の間、ポンプ上の電力設定を制御するために、タイマまたはクロックリレーを含む。他の実施形態では、ポンプ筐体温度は、温度制御ユニット230および/または温度センサから受信される温度制御信号に基づいて調節され得、それによって、フィードバック情報を提供し、具体的なポンプ構成(例えば、歩行可能または歩行不可能)のために確立される、標準設定に加えて、ポンプ設定を動的に変更し得る。温度制御信号に基づくフィードバック制御は、有利なこととして、環境の周囲温度における変動、患者の活動レベル等を考慮するために、付加的な柔軟性をポンプ制御に提供する。いくつかの実施例では、他の温度センサは、ポンプ筐体が、所定の閾値温度を超過することを阻止するために、ポンプパラメータおよびポンプ機能の修正方法の決定をさらに精緻化するために、周囲温度(例えば、室温または外気温)に関するポンプ情報を提供するために、ポンプと通信してもよい。例えば、外部センサは、例えば、Bluetooth(登録商標)等のWiFiまたは他のRF技術を使用して遂行される、ワイヤレス伝達を介して、温度制御ユニット230に信号を送信してもよい。代替として、ローカルホームネットワークが、スマートサーモスタットを通して、温度制御信号を伝達するために使用されてもよい。
【0057】
(電力管理-バッテリ)
温度制御ユニット230は、点滴ポンプのための動的な電力および加熱管理を提供し得る。電力および加熱管理は、ポンプ110(例えば、歩行可能対歩行不可能)の構成に基づいてもよい。加えて、電力および加熱管理はさらに、ポンプが送達している薬剤の必須性に基づいてもよい。例えば、極めて必須である薬剤を送達しているポンプは、ACが除去された後、消耗されたバッテリからの患者へのリスクを低減させるレベルまで、バッテリが充電されるように、より多くの電力を割り当てられる。
【0058】
温度制御ユニット230は、以下のポンプ機能または特徴、すなわち、ポンプ通信、バッテリ充電、ディスプレイ(例えば、輝度およびタイムアウト)、音およびアラート、USB、アップロードおよびダウンロードを30秒毎の代わりに5分毎または2分毎に限定すること等のWiFi通信周波数、CPU率、CPU負荷等の設定を変更することによって、電力消費を調節し得る。例えば、歩行可能な構成であるとき、ディスプレイは、電力消費、したがって、電力消費を低減させるために、50%未満の輝度である、最大輝度設定に限定されてもよい。同様に、歩行可能な構成に関して、ポンプ110は、ディスプレイによって消費される電力量を低減させるために、より早いディスプレイタイムアウトを有してもよい。温度制御ユニット230はまた、薬剤の必須性に基づいて電力を管理し得、また薬剤の必要性に従って、モータ消費を管理し得る。
【0059】
例えば、温度制御ユニット230は、点滴ポンプのバッテリ消費および充電を制御するためのいくつかの方法または手順を実装し得る。温度制御ユニット230はまた、そのモータを駆動すること等、バッテリ充電以外のことために、ポンプが使用している電力量を管理し得る。
【0060】
温度制御ユニット230は、高い表面温度が容認可能である、歩行不可能な構成において位置付けられるとき、ポンプ電源または電源アダプタが、より早い充電のためにより高い電流を引き込むことを可能にし得る。温度制御ユニット230はまた、1つ以上のセンサ(例えば、加速度計、温度センサ等)からの読取値に基づいて、熱的制約の超過等の失敗モードを検出し得る。
【0061】
上記に説明されるように、温度制御ユニット230は、ポンプ構成および/またはポンプ温度の関数として、バッテリがポンプ110に供給可能な電力量を調節し得る。加えて、温度制御ユニット230は、ポンプ構成および/またはポンプ温度の関数として、バッテリ再充電プロセスを変調させ得る。バッテリからの熱は、使用中、再充電中、特に急速再充電中に、ポンプ筐体の温度を上昇させ得る。
【0062】
ポンプバッテリの再充電プロセスは、温度制御ユニット230と関連付けられる、またはそれと通信する回路網によって制御され得る。ポンプ110の構成および個別の構成に対して確立された表面温度限界に基づいて、温度制御ユニット230は、ポンプ構成、温度センサによって感知される温度、および閾値表面温度のうちの少なくとも1つの関数として、バッテリの再充電率を調節し得る。再充電率は、バッテリを急速に充電しながら、閾値表面温度に到達する、またはそれを超過することを回避するという両方のために有利に判定されてもよい。ある実施例では、再充電率は、ポンプ筐体が、閾値温度に接近するにつれて、急速な再充電を可能にしながら、ポンプ筐体の温度が、安全限界内にあるように、変調される、または動的に調節され得る。再充電プロセスの変調は、例えば、感知温度の関数として、バッテリの再充電率を選択的に増減することによって(例えば、電流を制御することによって)、遂行され得る。温度制御ユニット230は、ポンプ筐体に対する所定の最大値を下回る温度範囲内に、感知温度を維持するように構成されてもよい。
【0063】
ある実施例では、ポンプが、歩行不可能または非接触構成において位置付けられる間(例えば、I.V.柱120上に位置付けられるとき)、閾値温度は、71℃であり、ポンプが、歩行可能または接触構成において位置付けられる間、閾値温度は、48℃である。
【0064】
(警告)
ポンプ110は、筐体の温度が、所定の温度を超過したとき、警告がアクティブ化されるように構成されてもよい。例えば、温度制御ユニット230は、ポンプが、所定の温度を超過したとき、またはポンプ110が、所定の温度に近づいたときに、アラートまたは警告を始動し得る。いくつかの実施形態では、ポンプ110は、万一、筐体が、規定された閾値条件を超過した場合、筐体の表面温度を下降させるための冷却要素またはファンを含んでもよい。
【0065】
(補助的な入力)
他の実施例では、歩行可能対歩行不可能構成または使用事例の選択を向上または精緻化させるために、補助情報が、収集され、単独で、または加速度計データと組み合わせて使用されてもよい。加えて、補助情報は、電力および加熱管理決定を支援し得る。例えば、補助情報は、医療デバイス(例えば、ポンプ110)に統合される、センサから集められ得、これは、ジャイロスコープ、eCompass等からの多感覚応用入力を含み得る。これらの入力は、ポンプ構成検出プロセスをさらに精緻化するために使用されてもよい。ポンプ110から取得される他の情報は、電源ポンプ110が現在使用している電源(例えば、バッテリまたは電源コード)、およびポンプがバッテリ充電状態にあるかどうか(例えば、充電対非充電)を含んでもよい。医療デバイス(例えば、ポンプ110)はまた、バッテリタイプ(例えば、使い捨てAAバッテリ、再充電可能リチウムイオンバッテリ等)に関する情報も提供し得る。電源のタイプ、バッテリ充電状態、およびバッテリのタイプは、ポンプ110の表面温度プロファイルに影響を及ぼし得、補助情報を集めることは、ポンプ110の電力および加熱管理を改良し得る。
【0066】
他の補助情報は、医療デバイス(例えば、ポンプ110)、モバイルデバイス、医療デバイス(例えば、ポンプ110)に連結されるモノのインターネット(「IoT」)デバイス、または医療デバイス(例えば、ポンプ110)に連結される、モバイルデバイスに連結されるIoTデバイスから集められてもよい。上記デバイスのうちの任意の1つからの補助情報は、医療デバイス(例えば、ポンプ110)の前面から最近傍の物体を検出する、IR距離センサからの距離情報を含んでもよい。存在センサが、ポンプ110の場所を判定するために使用されてもよく、例えば、柱クランプ存在センサは、ポンプ110が、柱クランプ上に位置付けられているかどうかを検出し得る(患者が、恐らく屋内に存在し、定常であることを示す)。上記デバイスはまた、環境からの音情報も検出または感知し得る。
【0067】
加えて、上記デバイスのうちの任意の1つからの補助情報は、場所情報(例えば、GPS、WiFi、Bluetooth(登録商標)、または手動で入力された場所情報)を含んでもよい。より具体的には、あるWiFiネットワークは、あるネットワークの近接性が、歩行可能または歩行不可能なポンプ状態を結果としてもたらす可能性がある時間にわたって、信頼度を改良するために追跡されてもよい。例えば、いくつかのネットワークSSIDは、あるポンプ状態と関連付けられてもよい。加えて、上記デバイス、(例えば、デバイス上のセンサ)は、周囲光の変動性および波長も含め、周囲光が、UV光か、自然光か、または人工光であるかどうかの周囲光情報を提供し得る。周囲光情報は、ディスプレイ輝度およびタイムアウトを判定するときに使用されてもよい。同様に、デバイスは、周囲温度情報を提供し得、これは、周囲温度に最小差異が存在する(例えば、患者が屋内にいる)かどうか、または周囲温度に広範な差異が存在する(例えば、患者が、屋外にいる、および/または移動している)かどうかを示し得る。湿度情報はまた、ポンプ100が、屋内または屋外にいるかどうかを判定するために、集められ、使用され得る。他の情報は、特定の事柄の存在、空気の品質、時刻等を含んでもよい。
【0068】
前述のように、補助情報は、電力および加熱管理決定のために、収集され、単独で、または加速度計データと組み合わせて使用されてもよい。例えば、異なる表面温度標的が、病院使用および自宅使用のために使用されてもよい。加えて、バッテリが使用されているかどうか、またはポンプがプラグを差し込まれ、電力アダプタが使用されているかどうかに関する情報もまた、電力状態またはポンプ110が設置される電力モードに影響を及ぼし得る。例えば、ポンプ110がバッテリ電力を使用している場合、より低い電力モードが使用され得る一方、ポンプがプラグを差し込まれている間は、より高い電力モードが使用され得る。加えて、加速度計または他のセンサデータが、ポンプ110が、歩行可能な構成にあることを示す場合、ポンプ110は、より低い電力モードにおいて設置され得る。逆に言えば、ポンプ110が、歩行不可能な構成にある場合、ポンプ110は、より高い電力モードにおいて設置され得る。
【0069】
(サンプルデータ)
図3に図示されるように、電力または電力消費が、表面温度に対してプロットされる。ポンプ110は、より高い表面温度限界を伴って、より多くの電力を使用し得る。ポンプ110に対する表面温度限界は、ポンプ構成または使用事例(例えば、歩行可能対歩行不可能)に基づいて確立され得る。図示された実施例では、表面温度限界320は、歩行不可能な温度限界320のためのT
Hに設定され得る。加えて、表面温度限界310は、歩行可能な温度限界310のためのT
Lに設定され得る。例えば、
図3に図示されるように、表面温度限界T
Hは、ポンプ110が、P
Hワットの電力を使用することを可能にする。他方、表面温度限界T
Lは、ポンプが、約P
Hワットの電力を使用するように制限し、これは、約3分の1の低電力消費である。各温度限界310、320の間の電力差340(例えば、P
H-P
Lワットに近似する値)は、歩行不可能な使用事例におけるポンプ110が、種々のポンプ特徴を完全に利用することを可能にする。性能および機能性を最大限にするために、ポンプ特徴のそれぞれを使用することは、P
Lワットを上回って、電力消費を増加させ得、したがって、T
Lを上回って、表面温度を上昇させ得、そうでなければ、ポンプ110が、歩行可能な構成において使用された場合、容認不可能になるであろう。
【0070】
図4は、本開示の例示的実施形態による、歩行不可能な構成100Aにおける、ポンプの加速度計読取値を図示する。
図4に図示されるように、加速度計読取値(例えば、「g値」)は、x方向、y方向、およびz方向において、ポンプ110に関して、比較的平坦である。その3つの「g値」の結果として生じるベクトルは、重力の方向と関連して、ポンプの角度配向を判定するために使用され得る。
図4に図示される加速度計読取値は、柱搭載部上のポンプの角度配向(例えば、重力の方向と関連して、約10~20度の角度配向)を表し得る。歩行不可能または非接触構成に対する加速度計の挙動シグネチャは、ポンプの運動欠如およびポンプの定角度配向を示す。
【0071】
図5は、本開示の例示的実施形態による、歩行可能な構成100Bにおける、ポンプ110の加速度計読取値を図示する。
図5の領域510に図示されるように、加速度計読取値(例えば、「g値」)は、患者が定常であるとき、比較的平坦であるが、
図4に図示される読取値と比較して、依然として、有意な差を示す。歩行可能または接触構成に対する加速度計の挙動シグネチャは、患者が移動しているとき、領域520においてより顕著でさえあり、これは、ポンプの運動およびポンプの変化する角度配向を示す。
【0072】
(方法)
図6は、ポンプ構成に基づいて、ポンプ電力消費を調節する方法を図示する。ブロック610において、加速度計は、デバイス運動を検出する。例えば、加速度計は、x方向、y方向、およびz方向における、ポンプ110の加速データ(例えば、「g値」)を検出し得る。検出された運動(例えば、「g値」の大きさ)は、ポンプの加速度計「シグネチャ」の一部を形成し得る。ブロック620において、加速度計は、デバイス配向を検出する。例えば、加速度計は、ポンプの角度配向を検出し得る。検出された角度配向は、ポンプの加速度計「シグネチャ」の一部を形成し得る。ブロック630において、コントローラは、運動および配向に基づいて、使用シナリオを判定する。例えば、温度制御ユニット230は、加速度計「シグネチャ」に基づいて、使用シナリオを判定し得、これは、運動および角度配向の読取値を含む。「シグネチャ」は、ある検出基準(例えば、瞬間閾値を上回る、累積閾値を上回る、構成予測関数に従って)と比較され得る。その比較に基づいて、ポンプ110は、歩行可能な構成または歩行不可能な構成のいずれかにあるものとして分類され得る。ある実施例では、検出基準または構成予測アルゴリズムは、ポンプ110が、適切に分類されることを確実にし、それによって、ポンプの外部筐体温度に対する適切な閾値が、確立され得る。ブロック640において、コントローラは、表面温度閾値に従って、ポンプパラメータを調節する。温度制御ユニット230は、以下のポンプ機能または特徴、すなわち、ポンプ通信、バッテリ充電、ディスプレイ(例えば、輝度およびタイムアウト)、音およびアラート、USB、WiFi通信周波数、CPU率、CPU負荷等の設定を変更することによって、電力消費を調節し得る。
【0073】
図7は、ポンプ構成に基づいて、ポンプ電力消費を調節するための方法を図示する。ブロック710において、加速度計は、デバイス運動を検出する。例えば、加速度計は、x方向、y方向、およびz方向における、ポンプ110の加速データ(例えば、「g値」)を検出し得る。検出された運動(例えば、「g値」の大きさ)は、ポンプの加速度計「シグネチャ」の一部を形成し得る。ブロック720において、加速度計は、デバイス配向を検出する。例えば、加速度計は、ポンプの角度配向を検出し得る。検出された角度配向は、ポンプの加速度計「シグネチャ」の一部を形成し得る。ブロック730において、コントローラは、運動および配向のうちの少なくとも1つに基づいて、使用シナリオを判定する。例えば、温度制御ユニット230は、加速度計「シグネチャ」に基づいて、使用シナリオを判定し得、これは、運動および角度配向の読取値を含む。「シグネチャ」は、ある検出基準(例えば、瞬間閾値を上回る、累積閾値を上回る、構成予測関数に従って)と比較され得る。その比較に基づいて、ポンプ110は、歩行可能な構成または歩行不可能な構成のいずれかにあるものとして分類され得る。ある実施例では、検出基準または構成予測アルゴリズムは、ポンプ110が、適切に分類されることを確実にし、それによって、ポンプの外部筐体温度に対する適切な閾値が、確立され得る。ブロック740において、コントローラは、表面温度閾値に従って、ポンプパラメータを調節する。温度制御ユニット230は、以下のポンプ機能または特徴、すなわち、ポンプ通信、バッテリ充電、ディスプレイ(例えば、輝度およびタイムアウト)、音およびアラート、USB、WiFi通信周波数、CPU率、CPU負荷等の設定を変更することによって、電力消費を調節し得る。
【0074】
本開示の多くの特徴および利点が、文書化された説明から明らかであり、したがって、添付の請求項は、本開示の全てのそのような特徴および利点を網羅することが意図される。さらに、多数の修正および変更が、当業者にとって容易に想起されるであろうため、本開示は、図示および説明されるような正確な構築および動作に限定されない。したがって、説明される実施形態は、例示的かつ非制限的なものとして捉えられるべきであり、本開示は、本明細書内に与えられる詳細に限定されるべきではなく、以下の請求項およびその同等物の全範囲によって、現在または将来において、予測可能または予測不可能であるかどうかにかかわらず、定義されるべきである。
【国際調査報告】