(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-21
(54)【発明の名称】抗体の定量的検出のための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
G01N 33/53 20060101AFI20230614BHJP
G01N 33/543 20060101ALI20230614BHJP
G01N 33/569 20060101ALI20230614BHJP
G01N 21/64 20060101ALI20230614BHJP
【FI】
G01N33/53 N
G01N33/53 U
G01N33/543 545A
G01N33/543 575
G01N33/569 L
G01N21/64 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022570535
(86)(22)【出願日】2021-05-19
(85)【翻訳文提出日】2023-01-17
(86)【国際出願番号】 US2021033186
(87)【国際公開番号】W WO2021236790
(87)【国際公開日】2021-11-25
(32)【優先日】2020-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】511172461
【氏名又は名称】ラボラトリー コーポレイション オブ アメリカ ホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】チュン, ケリー ワイ.
【テーマコード(参考)】
2G043
【Fターム(参考)】
2G043AA01
2G043BA16
2G043CA03
2G043CA05
2G043CA09
2G043DA02
2G043EA01
2G043EA06
2G043EA13
2G043EA14
2G043FA01
2G043FA02
2G043KA02
2G043LA03
2G043NA01
2G043NA02
(57)【要約】
本開示は、抗体の定量化のための方法、システム、キットおよびコンピュータープログラム製品に関する。本開示のある実施形態では、方法は、標準曲線を生成するステップ、およびその後、標準曲線を利用して目的の抗体を定量化するステップを含む。本明細書に記載される方法を使用する試料中の目的の抗体の定量的検出のためのシステム、キットおよびコンピュータープログラム製品も開示される。ある特定の実施形態では、標準曲線は、目的の抗体により認識される抗原を特異的に認識しないが、目的の抗体(IgG)と同じ免疫グロブリンクラスのものである免疫グロブリン(例えば、IgG)を使用して、作成される。このようにして、適用可能な標準曲線を目的の抗体の様々な単離物のために生成することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的の抗体の定量的検出のための方法であって、
(a)結合剤で被覆された表面を得るステップであって、前記結合剤が、必要に応じてストレプトアビジンである、ステップ;
(b)第1の抗体を添加するステップであって、前記第1の抗体が、前記結合剤に結合するリガンドとコンジュゲートされており、前記リガンドが、必要に応じてビオチンであり、第1の抗体-リガンド-結合剤複合体が形成される、ステップ;
(c)二次抗体を添加し、その結果、二次抗体-第1の抗体-リガンド-結合剤複合体が形成されるステップ;
(d)結合した前記二次抗体を測定するステップ;
(e)ステップa)~d)を様々な濃度の第1の抗体で繰り返して標準曲線を生成するステップ;および
(f)ステップe)の前記標準曲線を使用して試料中の前記目的の抗体の存在を定量化するステップ
を含み、前記試料中の前記目的の抗体の前記定量化が、
(i)前記目的の抗体の抗原を前記結合剤で被覆された前記表面に添加するステップであって、前記抗原が、前記リガンドにコンジュゲートされており、抗原-リガンド-結合剤複合体が形成される、ステップ;
(ii)前記目的の抗体を含む試料を前記表面に添加し、その結果、目的の抗体-抗原-リガンド-結合剤複合体が形成されるステップ;
(iii)前記二次抗体を前記表面に添加し、その結果、二次抗体-目的の抗体-抗原-リガンド-結合剤複合体が形成されるステップ;
(iv)結合した二次抗体を測定するステップ;および
(v)結合した前記目的の抗体の量を、ステップe)の前記標準曲線を使用して定量化するステップ
を含む、方法。
【請求項2】
前記第1の抗体が、精製IgGである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記二次抗体が、検出可能な部分で標識されている、請求項1および2に記載の方法。
【請求項4】
前記検出可能な部分が酵素である、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記検出可能な部分がフルオロフォアである、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記目的の抗体が、抗受容体結合ドメイン(RBD)IgGである、前記または後続の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記目的の抗体が、抗SARS-CoV-2 RBD IgGである、前記または後続の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記試料が血清試料である、前記または後続の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記試料が、乾燥血斑である、前記または後続の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記対象が、SARS-CoV-2に曝露された疑いがある、前記または後続の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記試料が、SARS-CoV-2への前記対象の疑われる曝露から3週間以内に採取される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記試料が、SARS-CoV-2への前記対象の疑われる曝露から2週間より後に採取される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記対象が、ヒト対象である、前記または後続の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記目的の抗体の前記抗原が、RBDである、前記または後続の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記受容体結合ドメインが、SARS-CoV-2のRBDである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記検出可能な部分が、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)である、請求項4に記載の方法。
【請求項17】
229E、NL63、OC43、HKU1およびMERS-CoVからなる群より選択されるヒトコロナウイルスに反応する抗体の存在を検出しない、前記または後続の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
人物が、SARS-CoV-2への免疫応答を開始したことを決定するステップをさらに含む、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
試料中の目的の抗体の定量的検出のための方法であって、
(a)前記目的の抗体により認識される抗原を、結合剤を含む表面に添加するステップであって、前記結合剤が、前記抗原にコンジュゲートされているリガンドに結合する、ステップ;
(b)前記試料を前記表面に添加し、その結果、前記目的の抗体が前記抗原に結合して、目的の抗体-抗原-リガンド-結合剤複合体を形成するステップ;
(c)二次抗体を、前記目的の抗体に結合する前記表面に添加して、二次抗体-目的の抗体-抗原-リガンド-結合剤複合体を形成するステップ;
(d)複合体化した前記二次抗体を検出するステップ;および
(e)結合した前記目的の抗体の量を検出された前記二次抗体に基づいて定量化するステップであって、定量化するステップは、同様のアッセイ条件下で形成された様々な濃度のリガンド-結合剤複合体で二次抗体-第1の抗体の複合体を検出することにより生成された非抗原特異的標準曲線を使用することを含み、前記第1の抗体が、前記目的の抗体と同じ抗体クラスのものである、ステップ
を含む、方法。
【請求項20】
前記第1の抗体が、精製IgGである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記二次抗体が、検出可能な部分で標識されている、請求項19から20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記検出可能な部分が酵素である、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記検出可能な部分がフルオロフォアである、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記目的の抗体が、抗受容体結合ドメイン(RBD)IgGである、前記または後続の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
前記目的の抗体が、抗SARS-CoV-2 RBD IgGである、前記または後続の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
前記試料が血清試料である、前記または後続の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
前記試料が、乾燥血斑である、前記または後続の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
前記対象が、SARS-CoV-2に曝露された疑いがある、前記または後続の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
前記試料が、SARS-CoV-2への前記対象の疑われる曝露から3週間以内に採取される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記試料が、SARS-CoV-2への前記対象の疑われる曝露から2週間より後に採取される、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記対象が、ヒト対象である、前記または後続の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
前記目的の抗体の前記抗原が、RBDである、前記または後続の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
前記受容体結合ドメインが、SARS-CoV-2のRBDである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記検出可能な部分が、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)である、請求項22に記載の方法。
【請求項35】
229E、NL63、OC43、HKU1およびMERS-CoVからなる群より選択されるヒトコロナウイルスに反応する抗体の存在を検出しない、前記または後続の請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
人物が、SARS-CoV-2への免疫応答を開始したことを決定するステップをさらに含む、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項37】
前記請求項のいずれかに記載の方法のいずれかによる抗体の定量的検出のためのシステム。
【請求項38】
前記請求項のいずれかに記載の方法のいずれかによる抗体の定量的検出のためのキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2020年5月19日に出願した米国特許仮出願第63/027,032号の優先権を主張するものである。前記仮出願の全内容は、あらゆる目的で参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本開示は、抗体の定量的検出に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
病原体、アレルゲン、ワクチン、薬物への、またはさらには自己免疫における自己への、対象の抗体の免疫応答を正確に定量化するアッセイの迅速な開発が、当技術分野において必要とされている。このアッセイは、正確でなければならず、高感度でなければならず、理想的にはハイスループットスクリーニングとして実行できなければならない。そのようなアッセイは、研究による目的の病原体に対する防御免疫レベルの確立を可能にするであろうし、個体の予後の予測および病原体による感染後の回復のモニタリングに寄与するであろう。加えて、このアッセイは、ワクチンおよび薬物での処置に対する体液性応答、アレルギー反応、自己免疫を研究するために、ならびに回復期の血漿療法のためのドナー血漿の選択を補助するために、使用することができるだろう。本開示は、標準試薬としての抗原特異的抗体の非存在下での定量的抗体アッセイの迅速な開発を可能にする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
概要
本開示は、抗原特異的抗体の定量的検出のための方法、システム、キットおよびコンピュータープログラム製品に関する。これらの方法、システム、キットおよびコンピュータープログラム製品を様々な方法で具現化することができる。
【0005】
一実施形態では、目的の抗体の定量的検出のための方法は、(a)結合剤で被覆された表面を得るステップであって、結合剤が、必要に応じてストレプトアビジンである、ステップ;(b)第1の抗体を添加するステップであって、第1の抗体が、結合剤に結合するリガンドとコンジュゲートされており、リガンドが、必要に応じてビオチンであり、第1の抗体-リガンド-結合剤複合体が形成される、ステップ;(c)二次抗体を添加し、その結果、二次抗体-第1の抗体-リガンド-結合剤複合体が形成されるステップ;(d)結合した二次抗体を測定するステップ;(e)ステップ(a)~(d)を様々な濃度の第1の抗体で繰り返して標準曲線を生成するステップ;および(f)ステップe)の標準曲線を使用して試料中の目的の抗原特異的抗体の存在を定量化するステップを含み得、この試料中の目的の抗体の定量化は、(i)目的の抗体の抗原を結合剤で被覆された表面に添加するステップであって、抗原が、リガンドにコンジュゲートされており、抗原-リガンド-結合剤複合体が形成される、ステップ;(ii)目的の抗体を含む試料を表面に添加し、その結果、目的の抗体-抗原-リガンド-結合剤複合体が形成されるステップ;(iii)二次抗体を表面に添加し、その結果、二次抗体-目的の抗体-抗原-リガンド-結合剤複合体が形成されるステップ;(iv)結合した二次抗体を測定するステップ;および(v)結合した目的の抗体の量を、ステップe)の標準曲線を使用して定量化するステップを含む。ある特定の実施形態では、標準曲線は、目的の抗体により認識される抗原を特異的に認識しないが、目的の抗体(IgG)と同じ免疫グロブリンクラスのものである免疫グロブリン(例えば、IgG)を使用して、作成される。このようにして、適用可能な標準曲線を目的の抗体の様々な単離物のために生成することができる。これは、有用であり得る。なぜなら、異なる患者は、抗原に対して異なる特異的な抗体を産生し得るが、標準曲線を使用して様々な患者血清を定量化することができるからである。これは、例えば、新たに同定された病原体(例えば、SARS-CoV-2)に対する抗体のような、標準曲線の生成に好適な目的の抗体が、容易に入手できない場合にも、有用であり得る。
【0006】
別の実施形態では、試料中の目的の抗体の定量的検出のための方法は、(a)目的の抗体により認識される抗原を、結合剤を含む表面に添加するステップであって、結合剤が、抗原にコンジュゲートされているリガンドに結合する、ステップ;(b)試料を表面に添加し、その結果、目的の抗体が抗原に結合して、目的の抗体-抗原-リガンド-結合剤複合体を形成するステップ;(c)二次抗体を目的の抗体に結合する表面に添加して、二次抗体-目的の抗体-抗原-リガンド-結合剤複合体を形成するステップ;(d)複合体化した二次抗体を検出するステップ;および(e)結合した目的の抗体の量を検出された二次抗体に基づいて定量化するステップであって、定量化するステップは、同様のアッセイ条件下で形成された様々な濃度の第1の抗体-リガンド-結合剤複合体で二次抗体-第1の抗体-リガンド-結合剤の複合体を検出することにより生成された標準曲線を使用することを含み、したがって、第1の抗体が、標準曲線を生成する場合に目的の抗体の代わりになる、ステップを含み得る。ある特定の実施形態では、標準曲線は、目的の抗体により認識される抗原を特異的に認識しないが、目的の抗体(IgG)と同じ免疫グロブリンクラスのものである免疫グロブリン(例えば、IgG)を使用して、作成される。このようにして、適用可能な標準曲線を目的の抗体の様々な単離物のために生成することができる。これは、有用であり得る。なぜなら、異なる患者は、抗原に対して異なる特異的な抗体を産生し得るが、標準曲線を使用して様々な患者血清を定量化することができるからである。これは、例えば、新たに同定された病原体(例えば、SARS-CoV-2)に対して、標準曲線の生成に適する目的の抗体が、容易に入手できない場合にも、有用であり得る。
【0007】
別の実施形態では、試料中の目的の抗体の定量的検出のための方法は、(a)結合剤で被覆された表面を得るステップであって、結合剤が、必要に応じてストレプトアビジンである、ステップ;(b)表面に、目的の抗体により認識される抗原を添加するステップであって、抗原が、結合剤に結合するリガンドにコンジュゲートされており、リガンドが、必要に応じてビオチンである、ステップ;(c)試料を表面に添加し、その結果、試料中に存在する目的の抗体が抗原に結合することになる、ステップ;(d)結合した目的の抗体を検出するステップ;およびe)結合した目的の抗体の量を定量化するステップを含み得る。ある特定の実施形態では、目的の抗体を定量化するために使用される標準曲線は、目的の抗体(例えば、抗RBD IgG)により認識される抗原を特異的に認識しないが目的の抗体(IgG)と同じ免疫グロブリンクラスのものである、免疫グロブリン(例えば、IgG)を使用して作成される。このようにして、適用可能な標準曲線を目的の抗体の様々な単離物のために生成することができる。これは、有用であり得る。なぜなら、異なる患者は、抗原に対して異なる特異的な抗体を産生し得るが、標準曲線を使用して様々な患者血清を定量化することができるからである。これは、例えば、新たに同定された病原体に対して、標準曲線の生成に適する目的の抗体が、容易に入手できない場合にも、有用であり得る。
【0008】
本開示の他の実施形態は、本明細書で開示される方法のいずれかによる目的の抗体の定量的検出のためのシステム、キットおよびコンピュータープログラム製品を含む。
【0009】
図面は、本技術のある特定の実施形態の説明に役立つものであり、限定するものではない。説明を明確かつ容易にするために、図面は、正確な縮尺で作成されたものではなく、一部の事例では、様々な態様が、特定の実施形態の理解を助長するために、誇張または拡大して示されることがある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、開示される方法のある実施形態を図示するフローチャートを示す。
【0011】
【
図2】
図2は、SARS-CoV-2感染後の予想IgGおよびIgM抗体応答曲線の例を描示する。
【0012】
【
図3】
図3は、本技術のある特定の実施形態をインプリメントすることができるシステムの例示的な実施形態を示す。
【0013】
【
図4】
図4は、本開示のある実施形態に従って標準曲線を生成するために使用される複合体化した二次抗体-第1の抗体-リガンド-結合剤を図示する。この特定の実施形態では、結合剤は、ストレプトアビジンであり、リガンドは、ビオチンであり、第1の抗体は、親和性精製されたポリクローナルヒトIgGであり、二次抗体は、HRPにコンジュゲートされた抗IgGである。
【0014】
【
図5】
図5は、本開示のある実施形態に従って生成された標準曲線を図示する。
【0015】
【
図6】
図6は、本発明のある実施形態に従って目的の抗体を定量化するために使用される複合体化した二次抗体-目的の抗体-抗原-リガンド-結合剤を図示する。この特定の実施形態では、結合剤は、ストレプトアビジンであり、リガンドは、ビオチンであり、抗原は、RBDであり、目的の抗体は、患者の抗RBD IgGであり、二次抗体は、HRPにコンジュゲートされた抗IgGである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
詳細な説明
以下の説明は、本組成物および方法の様々な態様および実施形態を述べるものである。特定の実施形態が本組成物および方法の範囲を規定するように意図されていない。もっと正確に言えば、これらの実施形態は、本組成物および方法の範囲内に少なくとも含まれる様々な方法、システム、キットおよびコンピュータープログラム製品の非限定的な例を提供するものに過ぎない。この説明は、当業者の視点で読まれるべきものであり、したがって、当業者に周知の情報は、必ずしも含まれていない。
【0017】
定義
本開示は、次に、下文にてより詳細に説明されることになる。本開示を多くの異なる形態で具現化することができるため、本明細書で示される態様に限定されると見なすべきではない。もっと正確に言えば、本開示が、適用される法的要件を満たすために、これらの態様が提供される。別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての専門および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されているのと同じ意味を有する。本明細書で言及されるすべての特許、出願、公開出願および他の公表文献は、それら全体が参照により本明細書に組み込まれる。このセクションで述べる定義が、参照により本明細書に組み込まれる特許、出願、公開出願および他の公表文献に示されている定義と相容れないまたは別様に矛盾する場合、このセクションで示される定義が、参照により本明細書に組み込まれる定義より優先する。
【0018】
本開示またはその実施形態の要素を紹介する際の冠詞「a」、「an」、「the」および「前記(said)」は、要素の1つまたは複数が存在することを意味するように意図されている。用語「含むこと(comprising)」、「含むこと(including)」および「有すること」は、包括的であるように意図されており、挙げられている要素以外の追加の要素がある可能性があることを意味する。本明細書に記載される本開示の態様および実施形態は、態様および実施形態「からなること」および/または「から本質的になること」を含むことを理解されたい。
【0019】
2つまたはそれより多くの項目のリストに使用される際の用語「および/または」は、挙げられている項目のいずれか1つが、単独で、または挙げられている項目のいずれか1つもしくは複数と組み合わせて用いられ得ることを意味する。例えば、表現「Aおよび/またはB」は、AおよびBのどちらかまたは両方、すなわち、単独でのA、単独でのB、または組合せでのAとBを意味するように意図されている。表現「A、Bおよび/またはC」は、単独でのA、単独でのB、単独でのC、組合せでのAとB、組合せでのAとC、組合せでのBとC、または組合せでのAとBとCを意味するように意図されている。
【0020】
本開示の様々な態様は、範囲形式で提示される。範囲形式での記載は、単に便宜上の、簡略して表現するためのものに過ぎず、本開示の範囲に対する確固たる制限と解釈すべきではないことを理解されたい。したがって、範囲の記載は、すべての可能な部分範囲はもちろん、その範囲内の個々の数値も具体的に開示したものと見なされたい。例えば、1~6などの範囲の記載は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6などのような部分範囲はもちろん、その範囲内の個々の数、例えば1、2、3、4、5および6も具体的に開示したものと見なされたい。これは、範囲の幅に関係なく当てはまる。
【0021】
方法
本開示は、目的の抗体の定量的検出のための方法を提供する。ある実施形態では、目的の抗体は、標準として使用するために十分な量が市販されていないような、希少なものである。本開示のある実施形態では、方法は、標準曲線を生成するステップ、およびその後、標準曲線を利用して目的の抗体を定量化するステップを含む。ある特定の実施形態では、標準曲線は、目的の抗体(例えば、特定の抗原に特異的なIgG)により認識される抗原を特異的に認識しないが、目的の抗体(IgG)と同じ免疫グロブリンクラスのものである免疫グロブリン(例えば、IgG)を使用して、作成される。このようにして、適用可能な標準曲線を目的の抗体の様々な単離物のために生成することができる。これは、有用であり得る。なぜなら異なる対象(例えば、患者)は抗原に対して異なる特異的な抗体を産生し得るが、標準曲線を使用して様々な患者血清における抗体価を定量化することができるからである。ある実施形態では、目的の抗体の定量化は、検体体積(例えば、mL)に対する抗体の質量(例えば、μg)である。例えば、アッセイは、大量の抗体を入手できない新たなウイルスまたは他の病原体への免疫応答の検出に使用され得る。ある実施形態では、方法は、対象からの試料中に存在する抗RBD IgGの測定によりSARS-CoV-2に対して潜在的に防御的な抗体をアッセイするために使用され得る。
【0022】
目的の抗体の定量的検出のためのアッセイを開発するための方法も開示される。ある実施形態では、目的の抗体は、標準として使用するために十分な量が市販されていないような、希少なものである。本開示のある実施形態では、方法は、標準曲線を生成するステップ、およびその後、標準曲線を利用して目的の抗体を定量化するステップを含む。ある特定の実施形態では、標準曲線は、目的の抗体(例えば、抗RBD IgG)により認識される抗原を特異的に認識しないが、目的の抗体(IgG)と同じ免疫グロブリンクラスのものである免疫グロブリン(例えば、IgG)を使用して、作成される。このようにして、適用可能な標準曲線を目的の抗体の様々な単離物のために生成することができる。これは、有用であり得る。なぜなら、異なる患者は、抗原に対して異なる特異的な抗体を産生し得るが、標準曲線を使用して様々な患者血清における抗体価を定量化することができるからである。ある実施形態では、目的の抗体の定量化は、検体体積(例えば、mL)に対する抗体の質量(例えば、μg)である。ある実施形態では、方法は、大量の抗体を入手できない新たなウイルスまたは他の病原体への免疫応答の検出に使用され得るアッセイの開発のために提供される。ある実施形態では、方法は、対象からの試料中に存在する抗RBD IgGの測定によるSARS-CoV-2に対して潜在的に防御的な抗体のアッセイに使用され得る。
【0023】
本開示のある実施形態では、方法は、標準曲線を生成するステップ、およびその後、標準曲線を利用して目的の抗体を定量化するステップを含む。方法のある実施形態が
図1に示される。ある特定の実施形態では、標準曲線は、目的の抗体(例えば、抗RBD IgG)により認識される抗原を特異的に認識しないが、目的の抗体(IgG)と同じ免疫グロブリンクラスのものである免疫グロブリン(例えば、IgG)を使用して、作成される。このようにして、適用可能な標準曲線を目的の抗体の様々な単離物のために生成することができる。これは、有用であり得る。なぜなら、異なる患者は、抗原に対して異なる特異的な抗体を産生し得るが、標準曲線を使用して様々な患者血清を定量化することができるからである。これは、例えば、新たに同定された病原体に対して、標準曲線の生成に適する目的の抗体が、容易に入手できない場合にも、有用であり得る。
【0024】
標準曲線を生成するために、表面を、先ず、ストレプトアビジンなどの結合剤で被覆することができる。または、他の結合剤(例えば、抗体、抗原、受容体、およびこれらに類するもの)を使用することができる。次に、結合剤のリガンドにコンジュゲートされている様々な濃度の第1の抗体を表面に添加することができる。必要に応じて、第1の抗体は、精製ヒトIgGであり得、リガンドは、ビオチンであり得る。または、免疫グロブリンのクラス(例えば、IgM、IgA、AgA、IgD、またはIgE)に特異的な抗体を、目的の抗体の抗体クラスに依存して使用することができる。または他のリガンド-結合剤の組合せを使用することができる。ある実施形態では、結合剤に対するリガンドの親和性は、第1の抗体および二次抗体および/または目的の抗体に対する親和性、ならびに二次抗体または目的の抗体と抗原の親和性より高いことがある。例えば、ある特定の実施形態では、結合剤に対するリガンドの親和性は、およそ10-14mol/Lまでの解離定数を有し得、第1の抗体と二次抗体および/または目的の抗体ならびに二次抗体および/または目的の抗体と抗原の親和性は、おおよそ10-6mol/L~10-12mol/Lの範囲であり得る。または、他の親和性の複合体を使用することができる。
【0025】
ある実施形態では、リガンド(例えば、ビオチン)と結合剤(例えば、ストレプトアビジン)間の結合の化学量論は既知であり、アッセイおよび標準曲線の生成に使用される条件下で一貫している。また、ある実施形態では、第1の抗体-リガンドの結合剤への結合の化学量論は、抗原-リガンドの結合剤への結合の化学量論と同じである。また、ある実施形態では、二次抗体の第1の抗体-リガンドへの結合の化学量論は、二次抗体の目的の抗体への化学量論と同じである。また、ある実施形態では、目的の抗体の抗原-リガンドへの結合の化学量論は、二次抗体の第1の抗体への結合の化学量論の結合と同じである。ある実施形態では、これらの相互作用の各々についての化学量論は、1:1である。このように、標準曲線と試料のアッセイとの間には1:1の相関関係がある。代替実施形態では、相対化学量論は異なることがあり、これらの差についての補正が行われる。
【0026】
次に、目的の抗体と一次抗体の両方を認識する二次抗体(例えば、目的の抗体と一次抗体が両方ともIgGである場合、抗IgG)が添加される。二次抗体を検出可能な部分にコンジュゲートすることができる。必要に応じて、二次抗体は、抗ヒトIgGであり得、検出可能な部分は、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ(AP)、ベータガラクトシダーゼ、またはルシフェラーゼなどの、しかしこれらに限定されない、酵素であり得る。必要に応じて、化学発光検出方法を使用して、検出可能な部分を検出することができる。必要に応じて、比色検出方法を使用して、検出可能な部分を検出することができる。検出可能な部分の測定の際に、標準曲線を生成することができ、それによって既知濃度の第1の抗体と各々のそれぞれの検出可能な部分の測定値を相関させることができる。
【0027】
この標準曲線を、同等のアッセイから得た測定値とともに使用して、患者試料中の目的の抗体を定量化することができる。定量化アッセイのために、表面を、先ず、標準曲線を生成するために使用した結合剤、例えばストレプトアビジン、で被覆することができる。次に、結合剤のリガンドにコンジュゲートされている目的の抗体の抗原を表面に添加することができる。例えば、SARS-CoV-2に対して潜在的に防御的な抗体についてのアッセイの場合、抗原は、SARS-CoV-2受容体結合ドメイン(RBD)であり得、リガンドは、ビオチンであり得る。次に、目的の抗体を含有する試料を表面に添加することができる。必要に応じて、目的の抗体は、抗SARS-CoV-2 RBD IgGであり得る。最後に、検出可能な部分、例えばHRP、にコンジュゲートされている二次抗体、例えば抗ヒトIgGを、表面に添加することができる。検出可能な部分の測定の際に、標準曲線を使用して試料中の目的の抗体の濃度を算出することができる。
【0028】
一実施形態では、目的の抗体の定量的検出のための方法は、(a)結合剤で被覆された表面を得るステップであって、結合剤が、必要に応じてストレプトアビジンである、ステップ;(b)第1の抗体を添加するステップであって、第1の抗体が、結合剤に結合するリガンドとコンジュゲートされており、リガンドが、必要に応じてビオチンであり、第1の抗体-リガンド-結合剤複合体が形成される、ステップ;(c)二次抗体を添加し、その結果、二次抗体-第1の抗体-リガンド-結合剤複合体が形成されるステップ;(d)結合した二次抗体を測定するステップ;(e)ステップ(a)~(d)を様々な濃度の第1の抗体で繰り返して標準曲線を生成するステップ;および(f)ステップ(e)の標準曲線を使用して試料中の目的の抗体の存在を定量化するステップを含み得、この試料中の目的の抗体の定量化は、(i)目的の抗体の抗原を結合剤で被覆された表面に添加するステップであって、抗原が、リガンドにコンジュゲートされており、抗原-リガンド-結合剤複合体が形成される、ステップ;(ii)目的の抗体を含む試料を表面に添加し、その結果、目的の抗体-抗原-リガンド-結合剤複合体が形成されるステップ;(iii)二次抗体を表面に添加し、その結果、二次抗体-目的の抗体-抗原-リガンド-結合剤複合体が形成されるステップ;(iv)結合した二次抗体を測定するステップ;および(v)結合した目的の抗体の量を、ステップ(e)の標準曲線を使用して定量化するステップを含む。ある特定の実施形態では、目的の抗体を定量化するために使用される標準曲線は、目的の抗体により認識される抗原を特異的に認識しないが目的の抗体と同じ免疫グロブリンクラスのものである免疫グロブリンを使用して作成される。
【0029】
別の実施形態では、試料中の目的の抗体の定量的検出のための方法は、(a)目的の抗体により認識される抗原を、結合剤を含む表面に添加するステップであって、結合剤が、抗原にコンジュゲートされているリガンドに結合する、ステップ;(b)試料を表面に添加し、その結果、目的の抗体が抗原に結合して、目的の抗体-抗原-リガンド-結合剤複合体を形成するステップ;(c)二次抗体を目的の抗体に結合する表面に添加して、二次抗体-目的の抗体-抗原-リガンド-結合剤複合体を形成するステップ;(d)複合体化した二次抗体を検出するステップ;および(e)結合した目的の抗体の量を検出された二次抗体に基づいて定量化するステップであって、定量化するステップは、同様のアッセイ条件下で形成された様々な濃度のリガンド-結合剤複合体における二次抗体-第1の抗体の複合体を検出することにより生成された標準曲線を使用することを含む、ステップを含み得る。ある特定の実施形態では、目的の抗体を定量化するために使用される標準曲線は、目的の抗体により認識される抗原を特異的に認識しないが目的の抗体と同じ免疫グロブリンクラスのものである免疫グロブリンを使用して作成される。
【0030】
別の実施形態では、試料中の目的の抗体の定量的検出のための方法は、(a)結合剤で被覆された表面を得るステップであって、結合剤が、必要に応じてストレプトアビジンである、ステップ;(b)表面に、目的の抗体により認識される抗原を添加するステップであって、抗原が、結合剤に結合するリガンドにコンジュゲートされており、リガンドが、必要に応じてビオチンである、ステップ;(c)試料を表面に添加し、その結果、試料中に存在する目的の抗体が抗原に結合することになる、ステップ;(d)結合した目的の抗体を検出するステップ;および(e)結合した目的の抗体の量を定量化するステップを含み得る。この実施形態では、結合した目的の抗体の量を定量化するステップは、上記のように生成された標準曲線を利用することができる。
【0031】
例えば、ある特定の実施形態では、表面をストレプトアビジンで被覆し、次いで、ビオチン化RBD(抗原)を添加する。次いで、表面を洗浄し、抗SARS-CoV-2 RBD IgG(すなわち、目的の抗体)を含有すると考えられる試料の一部分を添加し、放置してインキュベートし、その結果、抗SARS-CoV-2 RBD IgGが、表面に結合されているRBD抗原と複合体化する。洗浄後、抗SARS-CoV-2 RBD IgG-表面に結合されているRBDを、抗IgG二次抗体で検出することができる。次いで抗SARS-CoV-2 RBD IgG-表面に結合されているRBDの量を、検出された二次抗体の量に基づいて定量化する。
【0032】
本開示の一部の実施形態では、試料は、病原体による感染から回復している対象からのものである。本開示の一部の実施形態では、方法は、回復期の対象からの試料が、ドナー血漿として使用されることになる対象の血漿について十分な目的の抗体を含有するかどうかを決定するステップをさらに含む。
【0033】
本開示の一部の実施形態では、方法は、目的の抗体の定量化された量を使用して目的の抗体の防御免疫レベルを決定するステップをさらに含む。
【0034】
本開示の一部の実施形態では、方法は、第1の時点および少なくとも第2の時点で目的の抗体を定量化して目的の抗体の連続力価を生成するステップをさらに含む。一部の実施形態では、連続力価は、病原体による感染からの対象の回復を追跡するために使用され得る。一部の実施形態では、連続力価は、処置への対象の応答をモニターするために使用され得る。一部の実施形態では、連続力価は、ワクチンへの対象の応答をモニターするために使用され得る。一部の実施形態では、連続力価は、接触追跡アプリケーションを補助するために使用され得る。
【0035】
本開示の一部の実施形態では、方法は、目的の抗体の定量化された量を使用して患者の予後を予測するステップをさらに含む。
【0036】
本開示は、ある特定の実施形態では抗SARS-CoV-2 RBD IgGについての定量的アッセイとして例示されるが、目的の他の抗体のアッセイに本原理を適用することができることは、理解されるであろう。さらに、アッセイがIgG抗体のアッセイに限定されないこと、および第1の抗体および目的の抗体が両方とも同程度に二次抗体により認識される(すなわち、二次抗体が、第1の抗体および目的の抗体に対して同様の結合親和性を有する)限り、アッセイを抗体の他のクラス(例えば、IgM、IgE、IgD、IgA)に適用することができることは、理解されるであろう。
【0037】
結合剤およびリガンド
方法の一部の実施形態では、固体表面に結合された結合剤、およびそのリガンドは、結合対を構成する。結合対は、当技術分野において周知である。一部の場合には、結合対は、抗原、およびその抗原に結合できる抗体からなり得る。一部の場合には、結合対は、受容体およびリガンドからなり得る。一部の場合には、結合対は、酵素、およびその酵素の阻害剤からなり得る。一部の場合には、結合対は、酵素およびその補因子からなり得る。そのような特異的結合対の具体的な例としては、炭水化物とレクチン、ビオチンとアビジンまたはストレプトアビジンまたはニュートラアビジン、アミン改変オリゴと炭水化物、葉酸と葉酸結合タンパク質、ビタミンB12と内因子、プロテインAと免疫グロブリン、およびプロテインGと免疫グロブリンが挙げられるが、これらに限定されない。結合対のどちらかのメンバーが固体表面に結合され得る。
【0038】
方法の一部の実施形態では、結合剤は、ストレプトアビジンである。一部の実施形態では、結合剤は、ストレプトアビジン、アビジンおよびニュートラアビジンから選択され得る。本開示の一部の実施形態では、結合剤は、表面に高密度で結合される。
【0039】
方法の一部の実施形態では、リガンドは、ビオチンであり得る。
【0040】
抗体
方法の一部の実施形態では、第1の抗体は、精製IgGであり得る。方法の一部の実施形態では、第1の抗体は、精製IgAであり得る。方法の一部の実施形態では、第1の抗体は、精製IgMであり得る。これらの実施形態では、精製免疫グロブリンは、ヒト免疫グロブリンであり得る。
【0041】
方法の一部の実施形態では、二次抗体は、検出可能な部分で標識され得る。一部の実施形態では、検出可能な部分は、酵素であり得る。一部の実施形態では、検出可能な部分は、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)であり得る。一部の実施形態では、検出可能な部分は、アルカリホスファターゼ(AP)であり得る。一部の実施形態では、検出可能な部分は、フルオロフォアまたは化学発光であり得る。
【0042】
「抗体」は、別の分子の特定の空間的および極性の構造に結合し、それによってその構造と相補的であると定義される免疫グロブリンを意味する。抗体は、モノクローナル、ポリクローナル、または組換えであり得、当技術分野において周知である技法、例えば、宿主の免疫化および血清の収集によって(ポリクローナル)、または連続ハイブリッド細胞系の調製および分泌されたタンパク質の収集によって(モノクローナル)、または少なくとも結合に必要とされるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列もしくはその変異誘発バージョンのクローニングおよび発現によって、調製され得る。抗体は、完全な免疫グロブリンまたはその断片を含み得、この免疫グロブリンは、様々なクラスおよびアイソタイプ、例えば、IgA、IgD、IgE、IgG1、IgG2a、IgG2bおよびIgG3、IgMなどを含み得る。その断片は、Fab、FvおよびF(ab’)2、Fab’およびこれらに類するものを含み得る。抗体は、特定の結合部位に特異的である結合活性を保持する一本鎖抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体または当業者に公知の任意の他の抗体誘導体であることもある。加えて、特定の結合部位に対する結合親和性が維持される限り、免疫グロブリンまたはそれらの断片の凝集体、ポリマーおよびコンジュゲートを、適宜、使用することができる。イムノアッセイに使用するための抗体および抗体誘導体の産生および選択に関するガイドラインは、放出可能な分子タグを利用するそのようなアッセイ(下で説明されるような)を含めて、容易に入手可能な教科書およびマニュアル、例えば、Harlow and Lane, 1988, Antibodies: A Laboratory Manual, Cold SpringHarbor Laboratory Press, New York; Howard and Bethell, 2001, Basic Methods inAntibody Production and Characterization, CRC Press; Wild, ed., 1994, The ImmunoassayHandbook, Stockton Press, New Yorkにおいて、見つけることができる。
【0043】
抗原および目的の抗体
開示される方法およびシステムを使用して、抗原をアッセイすることができる。
【0044】
一部の実施形態では、抗原は、細菌抗原であり得る。
【0045】
一部の実施形態では、抗原は、薬物、ワクチン、ホルモン、アレルゲン、または内在性タンパク質であり得る。一部の実施形態では、抗原は、ウイルス抗原であり得る。一部の実施形態では、目的の抗体の抗原は、ウイルス受容体結合ドメインであり得る。一部の実施形態では、抗原は、SARS-CoV-2の受容体結合ドメイン(RBD)であり得る。
【0046】
SARS-CoV-2は、スパイクタンパク質、ヌクレオカプシドタンパク質、外被タンパク質、および膜糖タンパク質という、4つの構造タンパク質を有する。スパイクタンパク質は、サブユニットS1およびS2を含む。SARS-CoV-2 RBDは、ウイルス侵入のために宿主細胞ACE2受容体に結合するS1の一部である。SARS-CoV-2 RBDは、高度に抗原性であり、SARS-CoV-2 RBDに対する抗体は、in vitroでウイルス感染を中和および阻害することが示されている。
【0047】
一部の実施形態では、目的の抗体は、抗細菌抗原抗体であり得る。一部の実施形態では、目的の抗体は、抗ウイルス抗原抗体であり得る。
【0048】
方法の一部の実施形態では、目的の抗体は、抗受容体結合ドメイン(RBD)IgGであり得る。一部の実施形態では、目的の抗体は、抗RBD IgMであり得る。一部の実施形態では、目的の抗体は、抗RBD IgAであり得る。
【0049】
一部の実施形態では、目的の抗体は、抗SARS-CoV-2 RBD IgGであり得る。一部の実施形態では、目的の抗体は、抗SARS-CoV-2 RBD IgMであり得る。一部の実施形態では、目的の抗体は、抗SARS-CoV-2 RBD IgAであり得る。
【0050】
一部の実施形態では、アッセイは、目的の抗体に特異的であり、特定の微生物(例えば、ウイルス、細菌または他のもの)に曝露された個体に存在し得る他の抗体を検出しない。例えば、SARS-CoV-2についての方法の実施形態は、229E、NL63、OC43、HKU1およびMERS-CoVからなる群より選択されるヒトコロナウイルスに反応する抗体の存在を検出しない。
【0051】
一部の実施形態では、方法は、人物が、抗体応答をもたらす病原体(例えば、SARS-CoV-2)への免疫応答を開始したことを決定するステップをさらに含み得る。一部の実施形態では、方法は、人物が、抗体応答をもたらす病原体(例えば、SARS-CoV-2)への免疫応答を開始していないことを決定するステップをさらに含み得る。一部の実施形態では、目的の抗体の具体的な閾値(すなわち、定量的な量、例えば、マイクログラム/mL)を同定して、人物がSARS-CoV-2への免疫応答を開始したかどうかを決定することができる。一部の実施形態では、この閾値は、必要に応じて、約2μg/ml、約3μg/ml、約4μg/ml、約5μg/ml、または約6μg/mlであり得る。
【0052】
検出可能な部分
使用され得る一部の検出可能な部分の一部の非限定的な例が、下で説明される。
【0053】
蛍光色素
ある特定の実施形態では、検出可能な部分は、蛍光色素である。多種多様な化学構造および物理的特性の多くの既知蛍光色素が、本開示の実施における使用に適している。蛍光性の検出可能部分をレーザーにより刺激し、その放出された光を検出器により捕捉することができる。検出器は、その強度を記録する、電荷結合素子(CCD)または共焦点顕微鏡であり得る。
【0054】
適する蛍光色素としては、フルオレセインおよびフルオレセイン色素(例えば、フルオレセインイソチオシアニンまたはFITC、ナフトフルオレセイン、4’,5’-ジクロロ-2’,7’-ジメトキシフルオレセイン、6-カルボキシフルオレセインまたはFAMなど)、ヘキサクロロフルオレセイン(HEX)、カルボシアニン、メロシアニン、スチリル色素、オキソノール色素、フィコエリトリン、エリスロシン、エオシン、ローダミン色素(例えば、カルボキシテトラメチルローダミンまたはTAMRA、カルボキシローダミン6G、カルボキシ-X-ローダミン(ROX)、リサミンローダミンB、ローダミン6G、ローダミングリーン、ローダミンレッド、テトラメチルローダミン(TMR)など)、クマリンおよびクマリン色素(例えば、メトキシクマリン、ジアルキルアミノクマリン、ヒドロキシクマリン、アミノメチルクマリン(AMCA)など)、Q-DOTS、オレゴングリーン色素(例えば、オレゴングリーン488、オレゴングリーン500、オレゴングリーン514など)、テキサスレッド、テキサスレッド-X、SPECTRUM RED、SPECTRUM GREEN、シアニン色素(例えば、CY-3、CY-5、CY-3.5、CY5.5など)、ALEXA FLUOR色素(例えば、ALEXA FLUOR 350、ALEXA FLUOR 488、ALEXA FLUOR 532、ALEXA FLUOR 546、ALEXA FLUOR 568、ALEXA FLUOR 594、ALEXA FLUOR 633、ALEXA FLUOR 660、ALEXA FLUOR 680など)、BODIPY色素(例えば、BODIPY FL、BODIPY R6G、BODIPY TMR、BODIPY TR、BODIPY 530/550、BODIPY 558/568、BODIPY 564/570、BODIPY 576/589、BODIPY 581/591、BODIPY 630/650、BODIPY 650/665など)、IRDyes(例えば、IRD40、IRD 700、IRD 800など)、およびこれらに類するものが挙げられるが、それらに限定されない。適する蛍光色素、ならびに蛍光色素をタンパク質およびペプチドなどの他の化学的実体に結合させるための方法の、さらなる例については、例えば、"The Handbook of Fluorescent Probes and ResearchProducts", 9th Ed., Molecular Probes, Inc., Eugene, ORを参照されたい。蛍光標識剤の好適な特性としては、高いモル吸収係数、高い蛍光量子収率、および光安定性が挙げられる。一部の実施形態では、標識用フルオロフォアは、紫外スペクトル範囲(すなわち、400nm未満)ではなく可視の吸収および発光波長(すなわち、400~750nmの間)を示す。
【0055】
検出可能な部分は、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)の場合のような1つより多くの化学的実体を含み得る。共鳴移動は、発光強度の全般的増強をもたらす。例えば、Ju et. al. (1995) Proc. Nat'l Acad. Sci. (USA) 92:4347を参照されたく、この参考文献の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。共鳴エネルギー移動を達成するために、第1の蛍光分子(「ドナー」蛍光体(fluor))が光を吸収し、それを励起電子の共鳴によって第二の蛍光分子(「アクセプター」蛍光体)に移動させる。1つの手法では、ドナー色素とアクセプター色素の両方を連結させ、オリゴプライマーに結合させることができる。ドナーおよびアクセプター色素を核酸に連結させる方法は、例えば、Leeらの米国特許第5,945,526号に記載されており、この参考特許文献の全内容が参照により本明細書に組み込まれる。使用することができる色素のドナー/アクセプター対としては、例えば、フルオレセイン/テトラメチルローダミン、IAEDANS/フルオレセイン、EDANS/DABCYL、フルオレセイン/フルオレセイン、BODIPY FL/BODIPY FL、およびフルオレセイン/QSY 7色素が挙げられる。例えば、Leeらの米国特許第5,945,526号を参照されたい。これらの色素の多くはまた、例えばMolecular Probes Inc.(Eugene、Oreg.)から、市販されている。適するドナーフルオロフォアとしては、6-カルボキシフルオレセイン(FAM)、テトラクロロ-6-カルボキシフルオレセイン(TET)、2’-クロロ-7’-フェニル-1,4-ジクロロ-6-カルボキシフルオレセイン(VIC)、およびこれらに類するものが挙げられる。
【0056】
酵素
ある特定の実施形態では、検出可能な部分は、酵素である。適する酵素の例としては、ELISAにおいて使用されるもの、例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、ベータ-ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼなどが挙げられるが、これらに限定されない。他の例としては、ベータ-グルクロニダーゼ、ベータ-D-グルコシダーゼ、ウレアーゼ、グルコースオキシダーゼなどが挙げられる。酵素を、カルボジイミド、ジイソシアネート、グルタルアルデヒドおよびこれらに類するものなどのリンカー基を使用して、分子にコンジュゲートすることができる。
【0057】
放射性同位体
ある特定の実施形態では、検出可能な部分は、放射性同位体である。例えば、分子を同位体で標識することができ(すなわち、分子が、天然で通常見られる原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する原子により置き換えられた1つまたは複数の原子を含有し得る)、または同位体を分子に結合させることができる。分子に組み込むことができる同位体の非限定的な例として、水素、炭素、フッ素、リン、銅、ガリウム、イットリウム、テクネチウム、インジウム、ヨウ素、レニウム、タリウム、ビスマス、アスタチン、サマリウムおよびルテチウムの同位体(すなわち、3H、13C、14C、18F、19F、32P、35S、64Cu、67Cu、67Ga、90Y、99mTc、111In、125I、123I、129I、131I、135I、186Re、187Re、201T1、212Bi、213Bi、21lAt、153Sm、177Lu)が挙げられる。
【0058】
デンドリマー
一部の実施形態では、シグナル増幅は、標識されたデンドリマーを検出可能な部分として使用して達成される(例えば、Physiol Genomics 3:93-99, 2000を参照されたく、この参考文献の全内容は、それら全体が参照により本明細書に組み込まれる)。蛍光標識されたデンドリマーは、Genisphere(Montvale、N.J.)から入手可能である。これらを、当技術分野において公知の方法によりオリゴヌクレオチドプライマーに化学的にコンジュゲートすることができる。
【0059】
試料
方法の一部の実施形態では、試料は、血清試料であり得る。方法の他の実施形態では、試料は、乾燥血斑(dried blood spot)であり得る。方法の他の実施形態では、試料は、鼻スワブに由来し得る。
【0060】
「試料」または「患者試料」または「生体試料」または「検体」は、本明細書では同義で使用される。試料の供給源は、新鮮な組織、凍結および/もしくは保存された臓器もしくは組織もしくは生検材料もしくは吸引物からのもののような、固体組織であることがある。試料の供給源は、液体試料であることもある。液体試料の非限定的な例としては、血液もしくは血液産物(例えば、血清、血漿、またはこれらに類するもの)、尿、鼻スワブ、生検試料(例えば、がんの検出のための液体生検)、上記の液体試料、これらに類するものまたは組合せが挙げられる。用語「血液」は、従来どおりの定義の、全血、血液産物、または血液の任意の画分、例えば、血清、血漿、バフィーコートまたはこれらに類するものを包含する。適する試料としては、血液、血漿、血清、尿、唾液、涙、脳脊髄液、臓器、毛髪、筋肉、または他の組織試料または他の液体吸引物などの、収集および乾燥のために基材上に堆積させることができるものが挙げられるが、これらに限定されない。ある実施形態では、試料体液を乾燥させる前に基材上で分離することができる。例えば、赤血球の移動を制限するサンプリング紙基材上に血液を堆積させ、血漿画分を分離させ、その後、分析用の乾燥血漿試料を作るために乾燥させてもよい。
【0061】
対象
一部の実施形態では、対象は、ヒト対象であり得る。
【0062】
方法の一部の実施形態では、対象は、目的の任意の病原体に曝露された疑いがあり得る。ある特定の実施形態では、病原体は、SARS-CoV-2である。SARS-CoV-2感染後の予想抗体応答曲線の例が、
図2に描示されている。感染後のセロコンバージョンまでの平均時間は、10~14日である。IgGおよびIgMは、ほぼ同時期に検出可能になるが、IgM応答は、おおよそ2カ月後に検出できなくなる。逆に、IgG応答は、通常は2カ月目にピークに達しておらず、最大2年間、検出可能なレベルで存続し得る。
【0063】
一部の実施形態では、試料は、SARS-CoV-2への対象の疑われる曝露から3週間以内に採取され得る。一部の実施形態では、試料は、SARS-CoV-2への対象の疑われる曝露から2週間以内に採取され得る。一部の実施形態では、試料は、SARS-CoV-2への対象の疑われる曝露から2週間より後に採取され得る。一部の実施形態では、試料は、SARS-CoV-2への対象の疑われる曝露から2カ月後までに採取され得る。一部の実施形態では、試料は、SARS-CoV-2への対象の疑われる曝露から1年後までに採取され得る。一部の実施形態では、試料は、SARS-CoV-2への対象の疑われる曝露から2年後までに採取され得る。
【0064】
本明細書で使用される場合、用語「対象」および「患者」は、同義で使用される。本明細書で使用される場合、用語「対象(単数)」および「対象(複数)」は、動物、好ましくは、非霊長類(例えば、雌ウシ、ブタ、ウマ、ロバ、ヤギ、ラクダ、ネコ、イヌ、モルモット、ラット、マウスまたはヒツジ)および霊長類(例えば、サル、例えば、カニクイザル、ゴリラ、チンパンジーまたはヒト)を含む哺乳動物を指す。一部の実施形態では、患者は、医学的評価または医療処置を受ける対象である。
【0065】
システム、キット、およびコンピュータープログラム製品
本開示の他の実施形態は、本明細書で開示される方法のいずれかによる目的の抗体の定量的検出のためのシステムおよびキットを含む。
【0066】
別の実施形態では、本開示は、生体試料からの目的の抗体を定量化するためのコンポーネントを含む、システムおよび/またはキットを含む。システムおよび/またはキットは、結合剤で被覆された表面を含み得る。システムおよび/またはキットは、結合剤のリガンドと複合体化した第1の抗体も含み得る。また、システムおよび/またはキットは、二次抗体を含み得る。システムおよび/またはキットは、本明細書に記載される方法により標準曲線を生成するためのステーションおよび/または指示も含み得る。システムおよび/またはキットは、目的の抗体をリガンドにコンジュゲートするための試薬、ならびに/または本明細書に記載される方法により標準曲線を使用して目的の抗体を定量化するためのステーションおよび/もしくは指示も含み得る。
【0067】
一実施形態では、以下のステップのうちの少なくとも1つを遂行するための少なくとも1つのステーション(例えば、システム)またはコンポーネント(例えば、キット)を含み得る方法による目的の抗体の定量的検出のためのシステムまたはキット:(a)結合剤で被覆された表面を得るまたは生成するステップであって、結合剤が、必要に応じてストレプトアビジンである、ステップ;(b)第1の抗体を添加するステップであって、第1の抗体が、結合剤に結合するリガンドとコンジュゲートされており、リガンドが、必要に応じてビオチンであり、第1の抗体-リガンド-結合剤複合体が形成される、ステップ;(c)二次抗体を添加し、その結果、二次抗体-第1の抗体-リガンド-結合剤複合体が形成されるステップ;(d)結合した二次抗体を測定するステップ;(e)ステップ(a)~(d)を様々な濃度の第1の抗体で繰り返して標準曲線を生成するステップ;および(f)ステップe)の標準曲線を使用して試料中の目的の抗体の存在を定量化するステップ[ここで、試料中の目的の抗体の定量化は、(i)目的の抗体の抗原を結合剤で被覆された表面に添加するステップであって、抗原が、リガンドにコンジュゲートされており、抗原-リガンド-結合剤複合体が形成される、ステップ;(ii)目的の抗体を含む試料を表面に添加し、その結果、目的の抗体-抗原-リガンド-結合剤複合体が形成されるステップ;(iii)二次抗体を表面に添加し、その結果、二次抗体-目的の抗体-抗原-リガンド-結合剤複合体が形成されるステップ;(iv)結合した二次抗体を測定するステップ;および(v)結合した目的の抗体の量を、ステップe)の標準曲線を使用して定量化するステップを含む]。ある特定の実施形態では、目的の抗体を定量化するために使用される標準曲線は、目的の抗体により認識される抗原を特異的に認識しないが目的の抗体と同じ免疫グロブリンクラスのものである免疫グロブリンを使用して作成される。ある特定の実施形態では、キットおよび/またはシステムのステーションについてのステップの少なくとも1つは、コンピューターにより制御され得る。
【0068】
別の実施形態では、試料中の目的の抗体の定量的検出のためのシステムまたはキットは、以下のステップのうちの少なくとも1つを遂行するための少なくとも1つのステーション(例えば、システム)またはコンポーネントもしくは試薬(例えば、キット)を含み得る:(a)目的の抗体により認識される抗原を、結合剤を含む表面に添加するステップであって、結合剤が、抗原にコンジュゲートされているリガンドに結合する、ステップ;(b)試料を表面に添加し、その結果、目的の抗体が抗原に結合して、目的の抗体-抗原-リガンド-結合剤複合体を形成するステップ;(c)二次抗体を目的の抗体に結合する表面に添加して、二次抗体-目的の抗体-抗原-リガンド-結合剤複合体を形成するステップ;(d)複合体化した二次抗体を検出するステップ;および(e)結合した目的の抗体の量を検出された二次抗体に基づいて定量化するステップであって、定量化するステップは、同様のアッセイ条件下で形成された様々な濃度の第1の抗体-リガンド-結合剤複合体で二次抗体-第1の抗体-リガンド-結合剤の複合体を検出することにより生成された標準曲線を使用することを含み、したがって、第1の抗体が、標準曲線を生成する場合に目的の抗体の代わりになる、ステップ。ある特定の実施形態では、目的の抗体を定量化するために使用される標準曲線は、目的の抗体により認識される抗原を特異的に認識しないが目的の抗体と同じ免疫グロブリンクラスのものである免疫グロブリンを使用して作成される。ある特定の実施形態では、キットおよび/またはシステムのステーションについてのステップの少なくとも1つは、コンピューターにより制御され得る。
【0069】
別の実施形態では、以下のステップのうちの少なくとも1つを遂行するための少なくとも1つのステーション(例えば、システム)またはコンポーネントもしくは試薬(例えば、キット)を含み得る方法による試料中の目的の抗体の定量的検出のためのシステムまたはキット:(a)結合剤で被覆された表面を得るステップであって、結合剤が、必要に応じてストレプトアビジンである、ステップ;(b)表面に、目的の抗体により認識される抗原を添加するステップであって、抗原が、結合剤に結合するリガンドにコンジュゲートされており、リガンドが、必要に応じてビオチンである、ステップ;(c)試料を表面に添加し、その結果、試料中に存在する目的の抗体が抗原に結合することになる、ステップ;(d)結合した目的の抗体を検出するステップ;および(e)結合した目的の抗体の量を定量化するステップ。ある特定の実施形態では、キットおよび/またはシステムのステーションについてのステップの少なくとも1つは、コンピューターにより制御され得る。
【0070】
一部の実施形態では、システムおよび/またはキットは、コンピューターおよび/またはデータプロセッサーをさらに含み得る。本明細書中で開示されるように、ある特定の実施形態では、システムは、1つまたは複数のデータプロセッサーでの実行時に、本明細書で開示されるいずれかの実施形態の、方法を遂行するための、またはシステムおよび/もしくはキットをインプリメントするための、動作を1つまたは複数のデータプロセッサーに遂行させる命令を含む非一時的なコンピューター可読記録媒体で有形に具現化される、1つもしくは複数のコンピューター、および/またはコンピューター製品を含み得る。本明細書に記載される1つまたは複数の実施形態を、プログラムモジュール、エンジンまたはコンポーネントを使用してインプリメントすることができる。プログラムモジュール、エンジンまたはコンポーネントは、1つまたは複数の定められたタスクまたは機能を遂行することができる、プログラム、サブルーチン、プログラムの一部分、またはソフトウェアコンポーネントもしくはハードウェアコンポーネントを含み得る。本明細書で使用される場合、モジュールまたはコンポーネントは、他のモジュールまたはコンポーネントとは無関係にハードウェアコンポーネント上に存在し得る。あるいは、モジュールまたはコンポーネントは、他のモジュール、プログラムまたは機械の共有要素またはプロセスであり得る。例えば、下で開示されるように、システムおよび/またはキットは、標準曲線をプロットするための、および目的の抗体を定量化するための、非一時的な機械可読記憶媒体で有形に具現化されるコンピューターおよび/またはコンピュータープログラム製品を含み得る。したがって、ある特定の実施形態では、システムおよび/またはキットは、測定を定量化するためのコンポーネントを含み得る。また、システムおよび/またはキットは、データの統計解析を遂行するためのコンポーネントを含み得る。
【0071】
使用に適するコンピューター、システム、装置、機械およびコンピュータープログラム製品は、多くの場合、コンピューター可読記憶媒体を含むか、またはコンピューター可読記憶媒体とともに利用される。コンピューター可読記憶媒体の非限定的な例としては、メモリー、ハードディスク、CD-ROM、フラッシュメモリーデバイスおよびこれらに類するものが挙げられる。コンピューター可読記憶媒体は、一般に、コンピューターハードウェアであり、多くの場合、非一時的なコンピューター可読記憶媒体である。コンピューター可読記憶媒体は、コンピューター可読伝送媒体ではなく、後者のコンピューター可読伝送媒体は、それ自体が伝送信号である。
【0072】
目的の抗体の定量的検出のための方法の実施形態のいずれか、または方法のいずれかの特定のステップ、を遂行するように構成されたコンピューターシステムが、本明細書で提供される。一部の実施形態では、本発明は、目的の抗体の定量的検出のためのシステムであって、1つまたは複数のプロセッサーと、1つまたは複数のプロセッサーに結合された非一時的な機械可読記憶媒体および/またはメモリーとを含み、プロセスを遂行するように構成された命令のセットがそのメモリーまたはその非一時的な機械可読記憶媒体にコードされている、システムを提供する。
【0073】
実行可能プログラムが記憶されているコンピューター可読記憶媒体であって、プログラムが、マイクロプロセッサーに、本明細書に記載される方法またはステップのいずれかを遂行するように命令する、コンピューター可読記憶媒体も、本明細書で提供される。実行可能プログラムモジュールが記憶されているコンピューター可読記憶媒体であって、プログラムモジュールが、マイクロプロセッサーに、本明細書に記載される方法の一部を遂行するように命令する、コンピューター可読記憶媒体も、本明細書で提供される。実行可能プログラムが記憶されているコンピューター可読記憶媒体を含む、システム、機械、装置およびコンピュータープログラム製品であって、プログラムが、マイクロプロセッサーに、本明細書に記載される方法を遂行するように命令する、システム、機械、装置およびコンピュータープログラム製品も、本明細書で提供される。実行可能プログラムモジュールが記憶されているコンピューター可読記憶媒体を含む、システム、機械および装置であって、プログラムモジュールが、マイクロプロセッサーに、本明細書に記載される方法の一部を遂行するように命令する、システム、機械および装置も、本明細書で提供される。
【0074】
一部の実施形態では、本発明は、1つまたは複数のプロセッサーによる実行時に、本明細書で開示される方法のいずれかを1つまたは複数のプロセッサーに遂行させるプログラム命令を含む、非一時的な機械可読記憶媒体を提供する。
【0075】
したがって、コンピュータープログラム製品も提供される。コンピュータープログラム製品は、内部に具現化されたコンピューター可読プログラムコードを含むコンピューター使用可能媒体であって、コンピューター可読プログラムコードが、本明細書に記載される方法または方法の一部のインプリメンテーションの実行に適応したものである、コンピューター使用可能媒体を、多くの場合、含む。コンピューター使用可能媒体および可読プログラムコードは、伝送媒体(すなわち、それ自体が伝送信号)ではない。コンピューター可読プログラムコードは、多くの場合、プロセッサー、コンピューター、システム、装置または機械による実行に適応している。
【0076】
一部の実施形態では、本明細書に記載される方法は、自動化法により遂行される。一部の実施形態では、本明細書に記載される方法の1つまたは複数のステップは、マイクロプロセッサーおよび/もしくはコンピューターにより行われ、ならびに/またはメモリーと連動して行われる。一部の実施形態では、自動化法は、本明細書に記載される方法を遂行する、ソフトウェア、モジュール、マイクロプロセッサー、周辺機器および/またはそのようなものを含む機械で、具現化される。本明細書で使用される場合、ソフトウェアは、マイクロプロセッサーにより実行されたときに本明細書に記載のコンピューター操作を遂行する、コンピューター可読プログラム命令を指す。
【0077】
抗体の量、濃度、レベルおよび/または測定値は、「データ」または「データセット」と呼ばれることもある。ある特定の実施形態では、データまたはデータセットを、1つまたは複数の特徴または変数に基づいて2つまたはそれより多くの次元を持つ行列にまとめることができる。行列にまとめられるデータを、任意の適切な特徴または変数を使用してまとめることができる。ある特定の実施形態では、1つまたは複数の特徴または変数により特徴付けられたデータセットが計数後に処理されることもある。
【0078】
機械、ソフトウェアおよびインターフェースを使用して、本明細書に記載される方法の任意のステップを行うことおよび/または本明細書に記載される組成物のいずれかを生成することができる。機械、ソフトウェアおよびインターフェースを使用して、ユーザーは、特定の情報、プログラムまたはプロセスを使用するための選択肢を入力、リクエスト、クエリまたは決定することができ、これは、例えば、統計解析アルゴリズム、統計的有意性アルゴリズム、統計アルゴリズム、反復ステップ、検証アルゴリズム、およびグラフィック表示のインプリメンテーションを伴い得る。一部の実施形態では、データセットは、ユーザーにより入力情報として入力されることがあり、ユーザーは、適したハードウェア媒体(例えば、フラッシュドライブ)により1つもしくは複数のデータセットをダウンロードすることができ、ならびに/またはユーザーは、アウトカムのその後の処理および/もしくは提供のためにデータセットをあるシステムから別のシステムに送信する(例えば、配列リードのマッピングのためにシーケンサーからコンピューターシステムに配列リードデータを送信する;マッピングされた配列データを、アウトカムおよび/もしくはレポートを処理するおよび生じさせるために、コンピューターシステムに送信する)ことができる。
【0079】
システムは、開示される方法のある特定のステップを遂行するための、または開示される組成物を生成するための、1つまたは複数の機械および/またはステーションを通常は含む。各機械は、メモリー、1つまたは複数のマイクロプロセッサー、および命令のうちの1つまたは複数を含み得る。システムが、2つまたはそれより多くの機械を含む場合、機械の一部もしくはすべてが、同じ場所に位置してもよく、機械の一部もしくはすべてが、異なる場所に位置してもよく、機械のすべてが、1つの場所に位置してもよく、および/または機械のすべてが、異なる場所に位置してもよい。システムが、2つまたはそれより多くの機械を含む場合、機械の一部もしくはすべてが、ユーザーと同じ場所に位置してもよく、機械の一部もしくはすべてが、ユーザーとは異なる場所に位置してもよく、機械のすべてが、ユーザーと同じ場所に位置してもよく、および/または機械のすべてが、ユーザーとは異なる1つもしくは複数の場所に位置してもよい。
【0080】
システムは、計算機と、シーケンシング装置またはシーケンシング機とを含むこともあり、この場合、シーケンシング装置またはシーケンシング機は、物理的核酸を受け取り、配列リードを生成するように構成されており、計算装置は、シーケンシング装置またはシーケンシング機からのリードを処理するように構成されている。計算機は、配列リードから分類アウトカムを決定するように構成されていることもある。
【0081】
ユーザーは、例えば、ソフトウェアに対してクエリを行うことができ、次に、インターネットアクセス経由でデータセットを獲得することができ、ある特定の実施形態では、プログラム可能マイクロプロセッサーに、所与のパラメーターに基づいて適するデータセットを獲得するように指示することができる。プログラム可能マイクロプロセッサーが、ユーザーに、所与のパラメーターに基づいてマイクロプロセッサーにより選択された1つまたは複数のデータセット選択肢を選択するように促すこともある。プログラム可能マイクロプロセッサーは、ユーザーに、インターネット経由で見つかった情報、他の内部もしくは外部情報、またはこれらに類する情報に基づいてマイクロプロセッサーにより選択された1つまたは複数のデータセット選択肢を選択するように促すことができる。方法、機械、装置、コンピュータープログラム、または実行可能プログラムが記憶されている非一時的なコンピューター可読記憶媒体についての、1つまたは複数の特徴選択、1つまたは複数の統計アルゴリズム、1つまたは複数の統計解析アルゴリズム、1つまたは複数の統計的有意性アルゴリズム、反復ステップ、1つまたは複数の検証アルゴリズム、および1つまたは複数のグラフィック表示を選択するために、選択肢を選択することができる。
【0082】
本明細書で取り扱われるシステムは、例えば、ネットワークサーバー、ラップトップシステム、クラウドまたはウェブベースのシステム、デスクトップシステム、携帯型システム、携帯情報端末、コンピューティングキオスク(computing kiosk)およびこれらに類するものなどの、コンピューターシステムの一般的なコンポーネントを含み得る。コンピューターシステムは、ユーザーによるシステムへのデータの入力を可能にする、キーボード、タッチスクリーン、マウス、音声認識または他の手段などの、1つまたは複数の入力手段を含み得る。システムは、表示スクリーン(例えば、CRTもしくはLCD)、スピーカー、FAX機、プリンター(例えば、レーザー、インクジェット、インパクト、白黒もしくはカラープリンター)、または情報(例えば、アウトカムおよび/もしくはレポートの)の視覚的、聴覚的および/もしくはハードコピー出力の提供に有用な他の出力要素を含むがこれらに限定されない、1つまたは複数の出力要素をさらに含み得る。
【0083】
システム内で、入力および出力コンポーネントを中央処理ユニットに接続することができ、この中央処理ユニットは、数あるコンポーネントの中でも特に、プログラム命令を実行するためのマイクロプロセッサーと、プログラムコードおよびデータを記憶するためのメモリーとを含み得る。一部の実施形態では、プロセスを、単一の地理的位置に位置するシングルユーザーシステムとしてインプリメントすることができる。ある特定の実施形態では、プロセスを、マルチユーザーシステムとしてインプリメントすることができる。マルチユーザーインプリメンテーションの場合、複数の中央処理ユニットをネットワークによって接続することができる。ネットワークは、建物の一部分にある単一の部署を包含する、ローカルなものであることもあり、建物全体であることもあり、複数の建物にわたることもあり、地域にわたることもあり、国全体にわたることもあり、または世界中であることもある。ネットワークは、プロバイダーにより所有され、制御される、プライベートなものであることもあり、またはユーザーがウェブページにアクセスして入り、情報を取り出す、インターネットベースのサービスとしてインプリメントされることもある。したがって、ある特定の実施形態では、システムは、ユーザーを基準にしてローカルであることもあり、または遠隔であることもある、1つまたは複数の機械を含む。1つの場所または複数の場所の1つより多くの機械にユーザーはアクセスすることができ、順次および/または並行してデータをマッピングおよび/または処理することができる。したがって、複数の機械を、例えば、ローカルネットワーク、遠隔ネットワーク、および/または「クラウド」コンピューティングプラットフォームで使用して、データをマッピングおよび/または処理するために、適する構成および制御を利用することができる。
【0084】
システムは、一部の実施形態では、通信インターフェースを含むことができる。通信インターフェースは、コンピューターシステムと1つまたは複数の外部デバイスとの間のソフトウェアおよびデータの転送を可能にする。通信インターフェースの非限定的な例としては、モデム、ネットワークインターフェース(例えば、イーサネット(登録商標)カード)、通信ポート、PCMCIAスロットおよびカード、ならびにこれらに類するものが挙げられる。通信インターフェース経由で転送されるソフトウェアおよびデータは、一般に、通信インターフェースによって受信され得る電子、電磁、光および/または他の信号であり得る、信号の形態である。信号は、多くの場合、チャネルを介して通信インターフェースに提供される。チャネルは、多くの場合、信号を伝達し、ワイヤもしくはケーブル、光ファイバー、電話線、携帯電話リンク、RFリンクおよび/または他の通信チャネルを使用して、チャネルをインプリメントすることができる。したがって、一例では、通信インターフェースを使用して、信号検出モジュールにより検出され得る信号情報を受信することができる。
【0085】
手動入力デバイスまたは直接データ入力デバイス(DDE)を含むがこれらに限定されない、適するデバイスおよび/または方法により、データを入力することができる。手動デバイスの非限定的な例としては、キーボード、コンセプトキーボード、タッチ式スクリーン、ライトペン、マウス、トラッカーボール、ジョイスティック、グラフィックタブレット、スキャナー、デジタルカメラ、ビデオデジタイザーおよび音声認識デバイスが挙げられる。DDEの非限定的な例としては、バーコードリーダー、磁気ストリップコード、スマートカード、磁気インク文字認識、光学式文字認識、光学式マーク認識、およびターンアラウンドドキュメントが挙げられる。
【0086】
一部の実施形態では、シーケンシング装置またはシーケンシング機からの出力は、入力デバイスによって入力することができるデータとして役立ち得る。ある特定の実施形態では、模擬データは、in silicoプロセスにより生成され、模擬データは、入力デバイスによって入力することができるデータとして役立ち得る。用語「in silico」は、コンピューターを使用して遂行される研究および実験を指す。
【0087】
システムは、本明細書に記載されるプロセスまたはプロセスの一部の遂行に有用なソフトウェアを含むことができ、ソフトウェアは、そのようなプロセス(例えば、標準曲線を生成すること、目的の抗体の定量的な量を決定すること、およびデータ表示)を遂行するための1つまたは複数のモジュールを含むことができる。用語「ソフトウェア」は、コンピューターにより実行されたときにコンピューター操作を遂行する、コンピューター可読プログラム命令を指す。1つまたは複数のマイクロプロセッサーによる実行可能な命令は、実行されたときに1つまたは複数のマイクロプロセッサーに本明細書に記載される方法をインプリメントさせることができる実行コードとして提供されることがある。
【0088】
本明細書に記載されるモジュールは、ソフトウェアとして存在することができ、ソフトウェアで具現化される命令(例えば、プロセス、ルーチン、サブルーチン)がマイクロプロセッサーによりインプリメントまたは遂行され得る。例えば、モジュール(例えば、ソフトウェアモジュール)は、特定のプロセスまたはタスクを遂行するプログラムの一部であり得る。用語「モジュール」は、より大型の機械またはソフトウェアシステムで使用され得る自己完結型機能ユニットを指す。モジュールは、モジュールの機能を行うための一組の命令を含むことができる。モジュールは、データおよび/または情報を変換することができる。データおよび/または情報は、適切な形態であり得る。例えば、データおよび/または情報は、デジタルまたはアナログであり得る。ある特定の実施形態では、データおよび/または情報は、ときにはパケット、バイト、文字またはビットであり得る。一部の実施形態では、データおよび/または情報は、任意の収集された、アセンブルされた、または使用可能なデータまたは情報であり得る。データおよび/または情報の非限定的な例としては、適する媒体、写真、ビデオ、音(例えば、周波数、可聴のまたは非可聴の)、数、定数、値、オブジェクト、時間、関数、命令、マップ、参照、配列、リード、マッピングされたリード、レベル、範囲、閾値、信号、これらの表示(display)、表現(representation)または変形(transformation)が挙げられる。モジュールは、データおよび/または情報を受け入れることまたは受信すること、データおよび/または情報を第2の形態に変換すること、第2の形態を機械、周辺機器、コンポーネントまたは別のモジュールに提供または転送することができる。マイクロプロセッサーは、ある特定の実施形態では、モジュールで命令を実行することができる。一部の実施形態では、モジュールまたはモジュール群で命令を実行するために1つまたは複数のマイクロプロセッサーが必要とされる。モジュールは、データおよび/または情報を別のモジュール、機械または供給源に提供することができ、データおよび/または情報を別のモジュール、機械または供給源から受信することができる。
【0089】
コンピュータープログラム製品は、有形のコンピューター可読媒体で具現化されることがあり、または非一時的なコンピューター可読媒体で有形に具現化されることもある。モジュールは、コンピューター可読媒体(例えば、ディスク、ドライブ)に記憶されていることもあり、またはメモリー(例えば、ランダムアクセスメモリー)に記憶されていることもある。モジュール、およびモジュールからの命令を実行することができるマイクロプロセッサーは、機械内にまたは異なる機械内に位置することができる。モジュール、および/またはモジュールからの命令を実行することができるマイクロプロセッサーは、ユーザーと同じ場所に位置することができ(例えば、ローカルネットワーク)、またはユーザーとは異なる場所に位置することができる(例えば、遠隔ネットワーク、クラウドシステム)。方法が2つまたはそれより多くのモジュールと連動して行われる実施形態では、モジュールは、同じ機械内に位置することができ、1つまたは複数のモジュールは、同じ物理的な場所にある異なる機械内に位置することができるが、1つまたは複数のモジュールが、異なる物理的な場所にある異なる機械内に位置することもある。
【0090】
システムは、ある特定の実施形態では、1つまたは複数のマイクロプロセッサーを含むことがある。マイクロプロセッサーを通信バスに接続することができる。コンピューターシステムは、メインメモリー、多くの場合、ランダムアクセスメモリー(RAM)を含むことがあり、二次メモリーを含むこともできる。一部の実施形態でのメモリーは、非一時的なコンピューター可読記憶媒体を含む。二次メモリーは、例えば、ハードディスクドライブおよび/またはリムーバブル記憶ドライブを含むことができ、リムーバブル記憶ドライブは、フロッピー(登録商標)ディスクドライブ、磁気テープドライブ、光ディスクドライブ、メモリーカードおよびこれらに類するものを意味する。リムーバブル記憶ドライブは、多くの場合、リムーバブル記憶ユニットから読み込む、および/またはリムーバブル記憶ユニットに書き込む。リムーバブル記憶ユニットの非限定的な例としては、例えば、リムーバブル記憶ドライブによって読み込まれ得る、かつリムーバブル記憶ドライブに書き込まれ得る、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気テープ、光ディスク、およびこれらに類するものが挙げられる。リムーバブル記憶ユニットは、コンピューターソフトウェアおよび/またはデータが内部に記憶されているコンピューター使用可能記憶媒体を含むことができる。
【0091】
マイクロプロセッサーは、システム内のソフトウェアをインプリメントすることができる。一部の実施形態では、マイクロプロセッサーを、ユーザーが遂行し得る本明細書に記載されるタスクを自動的に遂行するようにプログラムすることができる。したがって、マイクロプロセッサー、またはそのようなマイクロプロセッサーにより実行されるアルゴリズムは、ユーザーによる監視も入力も殆どないしは全く必要としない可能性がある(例えば、ソフトウェアを、自動的に機能をインプリメントするようにプログラムすることができる)。一部の実施形態では、プロセスの複雑性が非常に高いので、1名の人物、または人物群が、遺伝的バリエーションまたは変更の存在または不在を決定できるほどの短い時間枠ではプロセスを遂行することができないだろう。
【0092】
機械は、一部の実施形態では、モジュールで命令を行うための少なくとも1つのマイクロプロセッサーを含む。一部の実施形態では、機械は、マイクロプロセッサー(例えば、1つまたは複数のマイクロプロセッサー)を含み、このマイクロプロセッサーは、モジュールからの1つまたは複数の命令(例えば、プロセス、ルーチンおよび/またはサブルーチン)を遂行および/またはインプリメントすることができる。一部の実施形態では、機械は、複数のマイクロプロセッサー、例えば、連携しており、並行して働くマイクロプロセッサーを含む。一部の実施形態では、機械は、1つまたは複数の外部マイクロプロセッサー(例えば、内部または外部ネットワーク、サーバー、記憶デバイスおよび/または記憶ネットワーク(例えば、クラウド))とともに動作する。一部の実施形態では、機械は、モジュール(例えば、1つまたは複数のモジュール)を含む。モジュールを含む機械は、多くの場合、データおよび/または情報の1つまたは複数を他のモジュールへおよび他のモジュールから受信および転送することができる。
【0093】
ある特定の実施形態では、機械は、周辺機器および/またはコンポーネントを含む。ある特定の実施形態では、機械は、データおよび/または情報を、他のモジュール、周辺機器および/またはコンポーネントへ、ならびに他のモジュール、周辺機器および/またはコンポーネントから転送することができる、1つまたは複数の周辺機器またはコンポーネントを含むことができる。ある特定の実施形態では、機械は、データおよび/または情報を提供する周辺機器および/またはコンポーネントと交信する。ある特定の実施形態では、周辺機器およびコンポーネントは、機能の実行において機械を支援しモジュールと直接交信する。周辺機器および/またはコンポーネントの非限定的な例としては、スキャナー、プリンター、ディスプレー(例えば、モニター、LED、LCTもしくはCRT)、カメラ、マイクロホン、パッド(例えば、iパッド、タブレット)、タッチスクリーン、スマートフォン、携帯電話、USB I/Oデバイス、USB大容量記憶デバイス、キーボード、コンピューターマウス、デジタルペン、モデム、ハードドライブ、ジャンプドライブ、フラッシュドライブ、マイクロプロセッサー、サーバー、CD、DVD、グラフィックカード、特化したI/Oデバイス(例えば、シーケンサー、光電池、光電子増倍管、光学式読み取り装置、センサーなど)、1つまたは複数のフローセル、流体操作コンポーネント、ネットワークインターフェースコントローラー、ROM、RAM、ワイヤレス転送法およびデバイス(Bluetooth(登録商標)、WiFi、およびこれらに類するもの)、ワールド・ワイド・ウェブ(www)、インターネット、コンピューターおよび/または他のモジュールを含むがこれらに限定されない、適するコンピューター周辺機器、I/Oまたは記憶方法またはデバイスが挙げられる。
【0094】
プログラム命令を含むソフトウェアは、コンピューター可読媒体に記録されたプログラム命令を含むプログラム製品で提供されることが多く、コンピューター可読媒体としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクおよび磁気テープを含む、磁気媒体;ならびにCD-ROMディスク、DVDディスクを含む、光媒体;光磁気ディスク、フラッシュメモリーデバイス(例えば、フラッシュドライブ)、RAM、フロッピー(登録商標)ディスク、これらに類するもの、ならびにプログラム命令を記録することができる他のそのような媒体が挙げられるが、それらに限定されない。オンラインインプリメンテーションの場合、団体(organization)により維持されているサーバーおよびウェブサイトは、遠隔ユーザーにソフトウェアダウンロードを提供するように構成されていることがあり、または遠隔ユーザーは、団体により維持されている遠隔システムにアクセスして、ソフトウェアに遠隔アクセスすることができる。ソフトウェアは、入力情報を得るまたは受信することができる。ソフトウェアは、データを特異的に得るまたは受信するモジュールを含むことができ、データを特異的に処理するモジュール(例えば、受信したデータを処理する(例えば、アウトカムおよび/またはレポートをフィルタリングする、正規化する、提供する)処理モジュール)を含むことができる。入力情報を「得ること」および「受信すること」という用語は、データ(例えば、配列リード、マッピングされたリード)を、人間によるローカルもしくは遠隔サイトデータ入力からコンピューター通信手段により、または任意の他のデータ受信方法により、受信することを指す。入力情報を、それを受信する場所と同じ場所で生成することができ、またはそれを異なる場所で生成し、受信場所に伝送することができる。一部の実施形態では、入力情報は、処理される前に修正される(例えば、処理に適用可能な形式にされる(例えば、表形式にされる))。
【0095】
ソフトウェアは、ある特定の実施形態では、1つまたは複数のアルゴリズムを含み得る。アルゴリズムは、命令の有限シーケンスに従ってデータを処理するならびに/またはアウトカムもしくはレポートを提供するために、使用され得る。アルゴリズムは、多くの場合、タスクを完了するための定義済み命令のリストである。初期状態から開始して、命令は、定義された一連の連続状態を経て最終的に最終終了状態で終了する計算を記述し得る。ある状態から次の状態への移行は、必ずしも確定的ではない(例えば、一部のアルゴリズムは、乱数性を取り入れている)。例として、限定としてではなく、アルゴリズムは、検索アルゴリズム、ソートアルゴリズム、マージアルゴリズム、数値アルゴリズム、グラフアルゴリズム、文字列アルゴリズム、モデリングアルゴリズム、計算幾何学アルゴリズム(computational genometric algorithm)、組合せアルゴリズム、機械学習アルゴリズム、暗号学アルゴリズム(cryptography algorithm)、データ圧縮アルゴリズム、構文解析アルゴリズムおよびこれらに類するものであり得る。アルゴリズムは、1つのアルゴリズム、または組合せで働く2つもしくはそれより多くのアルゴリズムを含み得る。アルゴリズムは、任意の適する複雑性クラスおよび/またはパラメーター化された複雑性のものであり得る。アルゴリズムを演算および/またはデータ処理に使用することができ、一部の実施形態では、決定論的または確率論的/予測アプローチで使用することができる。アルゴリズムを、適するプログラミング言語の使用によりコンピューティング環境でインプリメントすることができ、そのようなプログラミング言語の非限定的な例は、C、C++、Java(登録商標)、Perl、Python、FORTRANおよびこれらに類するものである。一部の実施形態では、アルゴリズムを、許容誤差、統計解析、統計的有意性、および/または他の情報もしくはデータセット(例えば、固定カットオフアルゴリズム、動的クラスタリングアルゴリズム、もしくは個々の多型核酸標的閾値アルゴリズムなどの、無細胞核酸断片のライブラリーを分析するためのアルゴリズムを、例えば、使用するときに適用可能な)との比較を含むように、構成または修正することができる。
【0096】
ある特定の実施形態では、いくつかのアルゴリズムをソフトウェアでの使用のためにインプリメントすることができる。これらのアルゴリズムを、一部の実施形態では、生データで訓練することができる。新たな生データ試料ごとに、訓練されたアルゴリズムが、代表処理データセットまたはアウトカムを生成し得る。処理データセットは、処理された親データセットと比較して複雑性が低下したものであることもある。処理セットに基づいて、訓練されたアルゴリズムの性能を感度および特異度に基づいて評価することができる。感度および/または特異度が最も高いアルゴリズムを特定し、利用することができる。
【0097】
ある特定の実施形態では、模擬(またはシミュレーション)データは、例えば、アルゴリズムを訓練することまたはアルゴリズムを検査することにより、データ処理を補助することができる。一部の実施形態では、模擬データは、配列リードの異なるグループについての仮定的な様々なサンプリングを含む。模擬データは、現実の集団から予想され得るものに基づくこともあり、またはアルゴリズムを検査するおよび/もしくは正しい分類を割り当てるために偏らせられ得る。模擬データは、本明細書では「仮想」データとも呼ばれる。ある特定の実施形態では、コンピュータープログラムによりシミュレーションを行うことができる。模擬データセットを使用する場合の可能性のある1つのステップは、特定された結果の信頼度、例えば、無作為サンプリングが、どれ程、元データとよくマッチするか、または元データを最良に表すのかを、評価することである。1つのアプローチは、選択された試料より良好なスコアを有する無作為試料の確率を推定する、確率値(p値)を算出することである。一部の実施形態では、少なくとも1つの試料が参照試料と(分解された変動を伴ってまたは伴わずに)とマッチすると仮定する、経験的モデルを評価することができる。一部の実施形態では、例えばポアソン分布などの別の分布を使用して、確率分布を定義することができる。
【0098】
一部の実施形態では、二次メモリーは、コンピューターシステムへのコンピュータープログラムまたは他の命令のローディングを可能にするための他の同様の手段を含み得る。例えば、システムは、リムーバブル記憶ユニットおよびインターフェースデバイスを含むことができる。そのようなシステムの非限定的な例としては、プログラムカートリッジおよびカートリッジインターフェース(例えば、ビデオゲームデバイスに見られるもの)、リムーバブルメモリーチップ(例えば、EPROMまたはPROM)および付随するソケット、ならびにソフトウェアおよびデータをリムーバブル記憶ユニットからコンピューターシステムに転送することを可能にする他のリムーバブル記憶ユニットおよびインターフェースが、挙げられる。
【0099】
図3は、本明細書に記載される様々なシステム、方法、アルゴリズム、およびデータ構造をインプリメントすることができる、コンピューティング環境110の非限定的な例を示す。コンピューティング環境110は、適するコンピューティング環境の一例に過ぎず、本明細書に記載されるシステム、方法、およびデータ構造の使用または機能性の範囲についての何らかの制限を示唆するように意図されたものではない。コンピューティング環境110を、コンピューティング環境110に示されているコンポーネントのいずれか1つまたは組合せに関連する何らかの依存または要件を有すると解釈すべきでない。
図3に示されているシステム、方法、およびデータ構造のサブセットをある特定の実施形態では利用することができる。本明細書に記載されるシステム、方法、およびデータ構造は、多数の他の汎用または特殊用途コンピューターシステム環境または構成で使用可能である。適切であり得る公知のコンピューティングシステム、環境および/または構成の例としては、パーソナルコンピューター、サーバーコンピューター、シンクライアント、シッククライアント、携帯型またはラップトップデバイス、マルチプロセッサーシステム、マイクロプロセッサーベースのシステム、セットトップボックス、プログラム可能な家電製品、ネットワークPC、ミニコンピューター、メインフレームコンピューター、上記システムまたはデバイスのいずれかを含む分散コンピューティング環境、およびこれらに類するものが挙げられるが、それらに限定されない。
【0100】
図3の動作環境110は、処理ユニット121と、システムメモリー122と、システムメモリー122を含む様々なシステムコンポーネントを処理ユニット121に動作可能に結合するシステムバス123とを含む、コンピューター120の形態の汎用コンピューティングデバイスを含む。処理ユニット121が、1つだけあることもあり、または1つより多くあることもあり、したがって、コンピューター120のプロセッサーは、単一の中央処理ユニット(CPU)を含むか、または複数の処理ユニットを含み、これは一般に、並列処理環境と呼ばれる。コンピューター120は、従来のコンピューター、分散コンピューター、または任意の他のタイプのコンピューターであり得る。
【0101】
システムバス123は、様々なバスアーキテクチャーのいずれかを使用する、メモリーバスまたはメモリーコントローラー、周辺機器用バスおよびローカルバスを含む、いくつかのタイプのバス構造のうちのいずれかであり得る。システムメモリーは、単にメモリーと呼ばれることもあり、リードオンリーメモリー(ROM)124およびランダムアクセスメモリー(RAM)を含む。起動中などの、コンピューター120内の要素間の情報を伝達するのに役立つ基本ルーチンを含有する、基本入出力システム(BIOS)126は、ROM124に記憶されている。コンピューター120は、示されていない、ハードディスクから読み込むためのまたはそれに書き込むためのハードディスクドライブインターフェース127;リムーバブル磁気ディスク129から読み込むためのまたはそれに書き込むための磁気ディスクドライブ128;およびCD ROMまたは他の光媒体などの、リムーバブル光ディスク131から読み込むためのまたはそれに書き込むための光ディスクドライブ130を、さらに含み得る。
【0102】
ハードディスクドライブ127、磁気ディスクドライブ128、および光ディスクドライブ130を、それぞれ、ハードディスクドライブインターフェース132、磁気ディスクドライブインターフェース133、および光ディスクドライブインターフェース134によりシステムバス123に接続することができる。ドライブおよびそれらの関連コンピューター可読媒体は、コンピューター120にコンピューター可読命令、データ構造、プログラムモジュールおよび他のデータの不揮発性記憶をもたらす。コンピューターによりアクセス可能であるデータを記憶することができる任意のタイプのコンピューター可読媒体、例えば、磁気カセット、フラッシュメモリーカード、デジタルビデオディスク、ベルヌーイカートリッジ、ランダムアクセスメモリー(RAM)、リードオンリーメモリー(ROM)、およびこれらに類するものを、動作環境で使用することができる。
【0103】
オペレーティングシステム135、1つまたは複数のアプリケーションプログラム136、他のプログラムモジュール137、およびプログラムデータ138を含む、いくつかのプログラムモジュールを、ハードディスク、磁気ディスク129、光ディスク131、ROM124、またはRAM上に記憶することができる。ユーザーは、コマンドおよび情報を、キーボード140およびポインティングデバイス142などの入力デバイスによってパーソナルコンピューター120に入力することができる。他の入力デバイス(示されていない)としては、マイクロホン、ジョイスティック、ゲームパッド、サテライトディッシュ、スキャナー、またはこれらに類するものを挙げることができる。これらおよび他の入力デバイスは、多くの場合、処理ユニット121に、システムバスに結合されているシリアルポートインターフェース146によって接続されるが、それらを他のインターフェース、例えば、パラレルポート、ゲームポート、またはユニバーサルシリアルバス(USB)により接続することもできる。モニター147または他のタイプの表示デバイスを、システムバス123に、ビデオアダプター148などのインターフェースを介して接続することができる。モニターに加えて、コンピューターは、典型的に、スピーカーおよびプリンターなどの他の周辺機器出力デバイス(示されていない)を含む。
【0104】
コンピューター120は、リモートコンピューター149などの1つまたは複数のリモートコンピューターへの論理接続を使用してネットワーク環境で動作し得る。これらの論理接続は、コンピューター120にもしくはその一部に結合された通信デバイスにより、または他の方法で達成され得る。リモートコンピューター149は、別のコンピューター、サーバー、ルーター、ネットワークPC、クライアント、ピアデバイスまたは他の一般的なネットワークノードであってもよく、メモリー記憶デバイス150のみが
図3に示されているが、コンピューター120に関連して上に記載された要素の多くまたはすべてを通常は含む。
図3に描示されている論理接続は、ローカルエリアネットワーク(LAN)151および広域ネットワーク(WAN)152を含む。そのようなネットワーキング環境は、オフィスネットワーク、企業規模のコンピューターネットワーク、イントラネットおよびインターネットでは、当たり前のものであり、これらはすべてネットワークのタイプである。
【0105】
LANネットワーキング環境で使用される場合、コンピューター120は、ローカルネットワーク151に、通信デバイスの1タイプである、ネットワークインターフェースまたはアダプター153によって、接続される。WANネットワーキング環境で使用される場合、コンピューター120は、通信デバイスの1タイプであるモデム154、または広域ネットワーク152にわたって通信を確立するための任意の他のタイプの通信デバイスを、多くの場合、含む。モデム154は、内部のものであることもあり、または外部のものであることもあり、システムバス123にシリアルポートインターフェース146を介して接続されている。ネットワーク化された環境では、パーソナルコンピューター120に関して描示されているプログラムモジュール、またはその部分は、リモートメモリー記憶デバイスに記憶され得る。示されているネットワーク接続が非限定的な例であり、コンピューター間の通信リンクを確立するために他の通信デバイスを使用することができることは、理解される。
【0106】
本発明の特定の実施形態の以下の実施例は、単に例証を目的として提供されるものであり、いかなる点においても本発明の範囲を限定するためのものではない。
【実施例】
【0107】
(実施例1)
図4に描示するアッセイ設定を使用して、標準曲線を作出した。手短に述べると、ストレプトアビジン被覆プレートを、複数の濃度のビオチンにコンジュゲートした精製ヒトIgGとともにインキュベートした。標準曲線を生成するために使用した精製ヒトIgGの濃度は、0.010μg/ml~2.500μg/mlの範囲であった-0.010μg/ml、0.020μg/ml、0.040μg/ml、0.080μg/ml、0.156μg/ml、0.313μg/ml、0.625μg/ml、1.250μg/ml、および2.500μg/ml。血清をこのアッセイのために100倍希釈したとき、これらの標準は、1.0ug/ml~250.0ug/mlの範囲の血清IgGレベルと相関した。次いで、プレートを、HRPにコンジュゲートした抗ヒトIgGとともにインキュベートした。HRPの検出の際に、
図5に示すように、標準の各濃度で収集したデータを使用して標準曲線を作出した。
【0108】
血清試料を、
図6に描示するアッセイ設定を使用して分析した。手短に述べると、ストレプトアビジン被覆プレートを、ビオチンにコンジュゲートしたSARS-CoV-2受容体結合ドメイン(RBD)とともにインキュベートした。次いで、プレートを、SARS-CoV-2に曝露された疑いがある患者からの二連の血清試料とともにインキュベートした。これらの患者試料は、SARS-CoV-2 RNAおよびIL-6陽性であった。プレートを、陽性であることが分かっているおよび陰性であることが分かっている対照血清試料とも二連でインキュベートした。次いで、プレートを、HRPにコンジュゲートした抗ヒトIgGとともにインキュベートした。検出の際に、表1に示すように標準曲線を使用して試料ごとに抗RBD IgGの量を決定した。
【表1-1】
【表1-2】
【0109】
(実施例2)
ある特定の実施形態の実施例
A1.目的の抗体の定量的検出のための方法であって、
(a)結合剤で被覆された表面を得るステップであって、結合剤が、必要に応じてストレプトアビジンである、ステップ;
(b)第1の抗体を添加するステップであって、第1の抗体が、結合剤に結合するリガンドとコンジュゲートされており、リガンドが、必要に応じてビオチンであり、第1の抗体-リガンド-結合剤複合体が形成される、ステップ;
(c)二次抗体を添加し、その結果、二次抗体-第1の抗体-リガンド-結合剤複合体が形成されるステップ;
(d)結合した二次抗体を測定するステップ;
(e)ステップ(a)~(d)を様々な濃度の第1の抗体で繰り返して標準曲線を生成するステップ;および
(f)ステップe)の標準曲線を使用して試料中の目的の抗体の存在を定量化するステップ
を含み、試料中の目的の抗体の定量化が、
(i)目的の抗体の抗原を結合剤で被覆された表面に添加するステップであって、抗原が、リガンドにコンジュゲートされており、抗原-リガンド-結合剤複合体が形成される、ステップ;
(ii)目的の抗体を含む試料を表面に添加し、その結果、目的の抗体-抗原-リガンド-結合剤複合体が形成されるステップ;
(iii)二次抗体を表面に添加し、その結果、二次抗体-目的の抗体-抗原-リガンド-結合剤複合体が形成されるステップ;
(iv)結合した二次抗体を測定するステップ;および
(v)結合した目的の抗体の量を、ステップe)の標準曲線を使用して定量化するステップ
を含む、方法。
【0110】
A2.第1の抗体が、精製IgGである、A1の方法。
【0111】
A3.二次抗体が、検出可能な部分で標識されている、A1およびA2の方法。
【0112】
A4.検出可能な部分が酵素である、前記または後続の実施形態のいずれかの方法。
【0113】
A5.検出可能な部分がフルオロフォアである、前記または後続の実施形態のいずれかの方法。
【0114】
A6.目的の抗体が、抗受容体結合ドメイン(RBD)IgGである、前記または後続の実施形態のいずれかの方法。
【0115】
A7.目的の抗体が、抗SARS-CoV-2 RBD IgGである、前記または後続の実施形態のいずれかの方法。
【0116】
A8.試料が血清試料である、前記または後続の実施形態のいずれかの方法。
【0117】
A9.試料が、乾燥血斑である、前記または後続の実施形態のいずれかの方法。
【0118】
A10.対象が、SARS-CoV-2に曝露された疑いがある、前記または後続の実施形態のいずれかの方法。
【0119】
A11.試料が、SARS-CoV-2への対象の疑われる曝露から3週間以内に採取される、実施形態A10の方法。
【0120】
A12.試料が、SARS-CoV-2への対象の疑われる曝露から2週間より後に採取される、実施形態A10の方法。
【0121】
A13.対象が、ヒト対象である、前記または後続の実施形態のいずれかの方法。
【0122】
A14.目的の抗体の抗原が、RBDである、前記または後続の実施形態のいずれかの方法。
【0123】
A15.受容体結合ドメインが、SARS-CoV-2のRBDである、実施形態A14の方法。
【0124】
A16.検出可能な部分が、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)である、実施形態A4の方法。
【0125】
A17.229E、NL63、OC43、HKU1およびMERS-CoVからなる群より選択されるヒトコロナウイルスに反応する抗体の存在を検出しない、前記または後続の実施形態のいずれかの方法。
【0126】
A18.人物が、SARS-CoV-2への免疫応答を開始したことを決定するステップをさらに含む、前記または後続の実施形態のいずれかの方法。
【0127】
A19.目的の抗体を定量化するために使用される標準曲線が、目的の抗体により認識される抗原を特異的に認識しないが目的の抗体と同じ免疫グロブリンクラスのものである免疫グロブリンを使用して作成される、前記実施形態のいずれかの方法。
【0128】
A20.回復期の対象からの試料が、ドナー血漿として使用されることになる対象の血漿について十分な目的の抗体を含有するかどうかを決定するステップをさらに含む、前記または後続の実施形態のいずれかの方法。
【0129】
A21.目的の抗体の定量化された量を使用して目的の抗体の防御免疫レベルを決定するステップをさらに含む、前記実施形態のいずれかの方法。
【0130】
B1.試料中の目的の抗体の定量的検出のための方法であって、
(a)目的の抗体により認識される抗原を、結合剤を含む表面に添加するステップであって、結合剤が、抗原にコンジュゲートされているリガンドに結合する、ステップ;
(b)試料を表面に添加し、その結果、目的の抗体が抗原に結合して、目的の抗体-抗原-リガンド-結合剤複合体を形成するステップ;
(c)二次抗体を目的の抗体に結合する表面に添加して、二次抗体-目的の抗体-抗原-リガンド-結合剤複合体を形成するステップ;
(d)複合体化した二次抗体を検出するステップ;および
(e)結合した目的の抗体の量を検出された二次抗体に基づいて定量化するステップであって、定量化するステップは、同様のアッセイ条件下で形成された様々な濃度のリガンド-結合剤複合体で二次抗体-第1の抗体の複合体を検出することにより生成された標準曲線を使用することを含む、ステップ
を含む、方法。
【0131】
B2.第1の抗体が、精製IgGである、B1の方法。
【0132】
B3.二次抗体が、検出可能な部分で標識されている、B1およびB2の方法。
【0133】
B4.検出可能な部分が酵素である、前記実施形態のいずれかの方法。
【0134】
B5.検出可能な部分がフルオロフォアである、前記実施形態のいずれかの方法。
【0135】
B6.目的の抗体が、抗受容体結合ドメイン(RBD)IgGである、前記または後続の実施形態のいずれかの方法。
【0136】
B7.目的の抗体が、抗SARS-CoV-2 RBD IgGである、前記または後続の実施形態のいずれかの方法。
【0137】
B8.試料が血清試料である、前記または後続の実施形態のいずれかの方法。
【0138】
B9.試料が、乾燥血斑である、前記または後続の実施形態のいずれかの方法。
【0139】
B10.対象が、SARS-CoV-2に曝露された疑いがある、前記または後続の実施形態のいずれかの方法。
【0140】
B11.試料が、SARS-CoV-2への対象の疑われる曝露から3週間以内に採取される、実施形態B10の方法。
【0141】
B12.試料が、SARS-CoV-2への対象の疑われる曝露から2週間より後に採取される、実施形態B10の方法。
【0142】
B13.対象が、ヒト対象である、前記または後続の実施形態のいずれかの方法。
【0143】
B14.目的の抗体の抗原が、RBDである、前記または後続の実施形態のいずれかの方法。
【0144】
B15.受容体結合ドメインが、SARS-CoV-2のRBDである、実施形態B14の方法。
【0145】
B16.検出可能な部分が、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)である、実施形態B4の方法。
【0146】
B17.229E、NL63、OC43、HKU1およびMERS-CoVからなる群より選択されるヒトコロナウイルスに反応する抗体の存在を検出しない、前記または後続の実施形態のいずれかの方法。
【0147】
B18.人物が、SARS-CoV-2への免疫応答を開始したことを決定するステップをさらに含む、前記実施形態のいずれかの方法。
【0148】
B19.目的の抗体を定量化するために使用される標準曲線が、目的の抗体により認識される抗原を特異的に認識しないが目的の抗体と同じ免疫グロブリンクラスのものである免疫グロブリンを使用して作成される、前記実施形態のいずれかの方法。
【0149】
B20.回復期の対象からの試料が、ドナー血漿として使用されることになる対象の血漿について十分な目的の抗体を含有するかどうかを決定するステップをさらに含む、前記または後続の実施形態のいずれかの方法。
【0150】
B21.目的の抗体の定量化された量を使用して目的の抗体の防御免疫レベルを決定するステップをさらに含む、前記実施形態のいずれかの方法。
【0151】
C1.試料中の目的の抗体の定量的検出のための方法であって、
(a)結合剤で被覆された表面を得るステップであって、結合剤が、必要に応じてストレプトアビジンである、ステップ;
(b)表面に、目的の抗体により認識される抗原を添加するステップであって、抗原が、結合剤に結合するリガンドにコンジュゲートされており、リガンドが、必要に応じてビオチンである、ステップ;
(c)試料を表面に添加し、その結果、試料中に存在する目的の抗体が抗原に結合することになる、ステップ;
(d)結合した目的の抗体を検出するステップ;および
(e)結合した目的の抗体の量を定量化するステップ
を含む、方法。
【0152】
C2.結合した目的の抗体が、二次抗体を使用して検出される、実施形態C1の方法。
【0153】
C3.二次抗体が、検出可能な部分で標識されている、実施形態C2の方法。
【0154】
C4.検出可能な部分が酵素である、実施形態C3の方法。
【0155】
C5.検出可能な部分がフルオロフォアである、実施形態C3の方法。
【0156】
C6.定量化ステップが、標準曲線を利用する、前記または後続の実施形態のいずれかの方法。
【0157】
C7.目的の抗体が、抗受容体結合ドメイン(RBD)IgGである、前記または後続の実施形態のいずれかの方法。
【0158】
C8.目的の抗体が、抗SARS-CoV-2 RBD IgGである、前記または後続の実施形態のいずれかの方法。
【0159】
C9.試料が血清試料である、前記または後続の実施形態のいずれかの方法。
【0160】
C10.試料が、乾燥血斑である、前記または後続の実施形態のいずれかの方法。
【0161】
C11.対象が、SARS-CoV-2に曝露された疑いがある、前記または後続の実施形態のいずれかの方法。
【0162】
C12.試料が、SARS-CoV-2への対象の疑われる曝露から3週間以内に採取される、実施形態C11の方法。
【0163】
C13.試料が、SARS-CoV-2への対象の疑われる曝露から2週間より後に採取される、実施形態C11の方法。
【0164】
C14.対象が、ヒト対象である、前記または後続の実施形態のいずれかの方法。
【0165】
C15.目的の抗体の抗原が、RBDである、前記または後続の実施形態のいずれかの方法。
【0166】
C16.受容体結合ドメインが、SARS-CoV-2のRBDである、実施形態C15の方法。
【0167】
C17.検出可能な部分が、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)である、実施形態C4の方法。
【0168】
C18.229E、NL63、OC43、HKU1およびMERS-CoVからなる群より選択されるヒトコロナウイルスに反応する抗体の存在を検出しない、前記または後続の実施形態のいずれかの方法。
【0169】
C19.人物が、SARS-CoV-2への免疫応答を開始したことを決定するステップをさらに含む、前記実施形態のいずれかの方法。
【0170】
C20.目的の抗体を定量化するために使用される標準曲線が、目的の抗体により認識される抗原を特異的に認識しないが目的の抗体と同じ免疫グロブリンクラスのものである免疫グロブリンを使用して作成される、前記実施形態のいずれかの方法。
【0171】
C21.回復期の対象からの試料が、ドナー血漿として使用されることになる対象の血漿について十分な目的の抗体を含有するかどうかを決定するステップをさらに含む、前記または後続の実施形態のいずれかの方法。
【0172】
C22.目的の抗体の定量化された量を使用して目的の抗体の防御免疫レベルを決定するステップをさらに含む、前記実施形態のいずれかの方法。
【0173】
D1.目的の抗体の定量的検出のためのアッセイを開発するための方法であって、
(a)結合剤で被覆された表面を得るステップであって、結合剤が、必要に応じてストレプトアビジンである、ステップ;
(b)第1の抗体を添加するステップであって、第1の抗体が、結合剤に結合するリガンドとコンジュゲートされており、リガンドが、必要に応じてビオチンであり、第1の抗体-リガンド-結合剤複合体が形成される、ステップ;
(c)二次抗体を添加し、その結果、二次抗体-第1の抗体-リガンド-結合剤複合体が形成されるステップ;
(d)結合した二次抗体を測定するステップ;
(e)ステップ(a)~(d)を様々な濃度の第1の抗体で繰り返して標準曲線を生成するステップ;および
(f)ステップe)の標準曲線を使用して試料中の目的の抗体の存在を定量化するステップ
を含み、試料中の目的の抗体の定量化が、
(i)目的の抗体の抗原を結合剤で被覆された表面に添加するステップであって、抗原が、リガンドにコンジュゲートされており、抗原-リガンド-結合剤複合体が形成される、ステップ;
(ii)目的の抗体を含む試料を表面に添加し、その結果、目的の抗体-抗原-リガンド-結合剤複合体が形成されるステップ;
(iii)二次抗体を表面に添加し、その結果、二次抗体-目的の抗体-抗原-リガンド-結合剤複合体が形成されるステップ;
(iv)結合した二次抗体を測定するステップ;および
(v)結合した目的の抗体の量を、ステップe)の標準曲線を使用して定量化するステップ
を含む、方法。
【0174】
D2.目的の抗体を定量化するために使用される標準曲線が、目的の抗体により認識される抗原を特異的に認識しないが目的の抗体と同じ免疫グロブリンクラスのものである免疫グロブリンを使用して作成される、前記実施形態のいずれかの方法。
【0175】
E1.目的の抗体の定量的検出のためのシステムであって、前記実施形態のいずれかの方法のステップのいずれかを遂行するためのステーションおよび/またはコンポーネントを含む、システム。
【0176】
E2.目的の抗体を定量化するために使用される標準曲線が、目的の抗体により認識される抗原を特異的に認識しないが目的の抗体と同じ免疫グロブリンクラスのものである免疫グロブリンを使用して作成される、前記または後続の実施形態のいずれかのシステム。
【0177】
E3.結合剤で被覆された表面を含む、前記または後続の実施形態のいずれかのシステム。
【0178】
E4.結合剤のリガンドと複合体化した第1の抗体を含む、前記または後続の実施形態のいずれかのシステム。
【0179】
E5.二次抗体を含む、前記または後続の実施形態のいずれかのシステム。
【0180】
E6.前記方法実施形態のいずれかにより標準曲線を生成するためのステーションおよび/またはコンポーネントを含む、前記または後続の実施形態のいずれかのシステム。
【0181】
E7.目的の抗体をリガンドにコンジュゲートするための試薬を含む、前記または後続の実施形態のいずれかのシステム。
【0182】
E8.前記方法実施形態のいずれかにより標準曲線を使用して目的の抗体を定量化するためのステーションおよび/またはコンポーネントを含む、前記または後続の実施形態のいずれかのシステム。
【0183】
F1.目的の抗体の定量的検出のためのキットであって、前記実施形態のいずれかの方法のいずれかのステップのいずれかによる目的の抗体の定量的検出のための少なくとも1つのコンポーネントを含む、キット。
【0184】
F2.目的の抗体を定量化するために使用される標準曲線が、目的の抗体により認識される抗原を特異的に認識しないが目的の抗体と同じ免疫グロブリンクラスのものである免疫グロブリンを使用して作成される、前記または後続の実施形態のいずれかのキット。
【0185】
F3.結合剤で被覆された表面を含む、前記または後続の実施形態のいずれかのキット。
【0186】
F4.結合剤のリガンドと複合体化した第1の抗体を含む、前記または後続の実施形態のいずれかのキット。
【0187】
F5.二次抗体を含む、前記または後続の実施形態のいずれかのキット。
【0188】
F6.本明細書に記載される方法により標準曲線を生成するための指示を含む、前記または後続の実施形態のいずれかのキット。
【0189】
F7.目的の抗体をリガンドにコンジュゲートするための試薬を含む、前記または後続の実施形態のいずれかのキット。
【0190】
F8 標準曲線を使用して目的の抗体を定量化するための指示を含む、前記または後続の実施形態のいずれかのキット。
【手続補正書】
【提出日】2023-01-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的の抗体の定量的検出のための方法であって、
(a)結合剤で被覆された表面を得るステップであって、前記結合剤が、必要に応じてストレプトアビジンである、ステップ;
(b)第1の抗体を添加するステップであって、前記第1の抗体が、前記結合剤に結合するリガンドとコンジュゲートされており、前記リガンドが、必要に応じてビオチンであり、第1の抗体-リガンド-結合剤複合体が形成される、ステップ;
(c)二次抗体を添加し、その結果、二次抗体-第1の抗体-リガンド-結合剤複合体が形成されるステップ;
(d)結合した前記二次抗体を測定するステップ;
(e)ステップa)~d)を様々な濃度の第1の抗体で繰り返して標準曲線を生成するステップ;および
(f)ステップe)の前記標準曲線を使用して試料中の前記目的の抗体の存在を定量化するステップ
を含み、前記試料中の前記目的の抗体の前記定量化が、
(i)前記目的の抗体の抗原を前記結合剤で被覆された前記表面に添加するステップであって、前記抗原が、前記リガンドにコンジュゲートされており、抗原-リガンド-結合剤複合体が形成される、ステップ;
(ii)前記目的の抗体を含む試料を前記表面に添加し、その結果、目的の抗体-抗原-リガンド-結合剤複合体が形成されるステップ;
(iii)前記二次抗体を前記表面に添加し、その結果、二次抗体-目的の抗体-抗原-リガンド-結合剤複合体が形成されるステップ;
(iv)結合した二次抗体を測定するステップ;および
(v)結合した前記目的の抗体の量を、ステップe)の前記標準曲線を使用して定量化するステップ
を含む、方法。
【請求項2】
前記第1の抗体が、精製IgGである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記二次抗体が、検出可能な部分で標識されている、請求項1および2に記載の方法。
【請求項4】
前記検出可能な部分が酵素である
、請求項
3に記載の方法。
【請求項5】
前記検出可能な部分がフルオロフォアである
、請求項
3に記載の方法。
【請求項6】
前記目的の抗体が、抗受容体結合ドメイン(RBD)IgGである
、請求項
1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記目的の抗体が、抗SARS-CoV-2 RBD IgGである
、請求項
1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記試料が血清試料である
、請求項
1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記試料が、乾燥血斑である
、請求項
1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記対象が、SARS-CoV-2に曝露された疑いがある
、請求項
1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記試料が、SARS-CoV-2への前記対象の疑われる曝露から3週間以内に採取される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記試料が、SARS-CoV-2への前記対象の疑われる曝露から2週間より後に採取される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記対象が、ヒト対象である
、請求項
1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記目的の抗体の前記抗原が、RBDである
、請求項
1~13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記受容体結合ドメインが、SARS-CoV-2のRBDである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記検出可能な部分が、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)である、請求項4に記載の方法。
【請求項17】
229E、NL63、OC43、HKU1およびMERS-CoVからなる群より選択されるヒトコロナウイルスに反応する抗体の存在を検出しな
、請求項
1~16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
結合した前記目的の抗体の量は、人物が、SARS-CoV-2への免疫応答を開始した
かどうかを示す、請求項
1~17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
試料中の目的の抗体の定量的検出のための方法であって、
(a)前記目的の抗体により認識される抗原を、結合剤を含む表面に添加するステップであって、前記結合剤が、前記抗原にコンジュゲートされているリガンドに結合する、ステップ;
(b)前記試料を前記表面に添加し、その結果、前記目的の抗体が前記抗原に結合して、目的の抗体-抗原-リガンド-結合剤複合体を形成するステップ;
(c)二次抗体を、前記目的の抗体に結合する前記表面に添加して、二次抗体-目的の抗体-抗原-リガンド-結合剤複合体を形成するステップ;
(d)複合体化した前記二次抗体を検出するステップ;および
(e)結合した前記目的の抗体の量を検出された前記二次抗体に基づいて定量化するステップであって、定量化するステップは、同様のアッセイ条件下で形成された様々な濃度のリガンド-結合剤複合体で二次抗体-第1の抗体の複合体を検出することにより生成された非抗原特異的標準曲線を使用することを含み、前記第1の抗体が、前記目的の抗体と同じ抗体クラスのものである、ステップ
を含む、方法。
【請求項20】
前記第1の抗体が、精製IgGである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記二次抗体が、検出可能な部分で標識されている、請求項19から20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記検出可能な部分が酵素である
、請求項
21に記載の方法。
【請求項23】
前記検出可能な部分がフルオロフォアである
、請求項
21に記載の方法。
【請求項24】
前記目的の抗体が、抗受容体結合ドメイン(RBD)IgGである
、請求項
19~23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
前記目的の抗体が、抗SARS-CoV-2 RBD IgGである
、請求項
19~24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
前記試料が血清試料である
、請求項
19~25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
前記試料が、乾燥血斑である
、請求項
19~25のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
前記対象が、SARS-CoV-2に曝露された疑いがある
、請求項
19~27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
前記試料が、SARS-CoV-2への前記対象の疑われる曝露から3週間以内に採取される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記試料が、SARS-CoV-2への前記対象の疑われる曝露から2週間より後に採取される、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記対象が、ヒト対象である
、請求項
19~30のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
前記目的の抗体の前記抗原が、RBDである
、請求項
19~31のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
前記受容体結合ドメインが、SARS-CoV-2のRBDである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記検出可能な部分が、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)である、請求項22に記載の方法。
【請求項35】
229E、NL63、OC43、HKU1およびMERS-CoVからなる群より選択されるヒトコロナウイルスに反応する抗体の存在を検出しない
、請求項
19~34のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
結合した前記目的の抗体の量は、人物が、SARS-CoV-2への免疫応答を開始した
かどうかを示す、請求項
1~35のいずれかに記載の方法。
【請求項37】
請求項
1~36のいずれかに記載の方法のいずれかによる抗体の定量的検出のためのシステム。
【請求項38】
請求項
1~36のいずれかに記載の方法のいずれかによる抗体の定量的検出のためのキット。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0190
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0190】
F8 標準曲線を使用して目的の抗体を定量化するための指示を含む、前記または後続の実施形態のいずれかのキット。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
目的の抗体の定量的検出のための方法であって、
(a)結合剤で被覆された表面を得るステップであって、前記結合剤が、必要に応じてストレプトアビジンである、ステップ;
(b)第1の抗体を添加するステップであって、前記第1の抗体が、前記結合剤に結合するリガンドとコンジュゲートされており、前記リガンドが、必要に応じてビオチンであり、第1の抗体-リガンド-結合剤複合体が形成される、ステップ;
(c)二次抗体を添加し、その結果、二次抗体-第1の抗体-リガンド-結合剤複合体が形成されるステップ;
(d)結合した前記二次抗体を測定するステップ;
(e)ステップa)~d)を様々な濃度の第1の抗体で繰り返して標準曲線を生成するステップ;および
(f)ステップe)の前記標準曲線を使用して試料中の前記目的の抗体の存在を定量化するステップ
を含み、前記試料中の前記目的の抗体の前記定量化が、
(i)前記目的の抗体の抗原を前記結合剤で被覆された前記表面に添加するステップであって、前記抗原が、前記リガンドにコンジュゲートされており、抗原-リガンド-結合剤複合体が形成される、ステップ;
(ii)前記目的の抗体を含む試料を前記表面に添加し、その結果、目的の抗体-抗原-リガンド-結合剤複合体が形成されるステップ;
(iii)前記二次抗体を前記表面に添加し、その結果、二次抗体-目的の抗体-抗原-リガンド-結合剤複合体が形成されるステップ;
(iv)結合した二次抗体を測定するステップ;および
(v)結合した前記目的の抗体の量を、ステップe)の前記標準曲線を使用して定量化するステップ
を含む、方法。
(項目2)
前記第1の抗体が、精製IgGである、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記二次抗体が、検出可能な部分で標識されている、項目1および2に記載の方法。
(項目4)
前記検出可能な部分が酵素である、前記項目のいずれかに記載の方法。
(項目5)
前記検出可能な部分がフルオロフォアである、前記項目のいずれかに記載の方法。
(項目6)
前記目的の抗体が、抗受容体結合ドメイン(RBD)IgGである、前記または後続の項目のいずれかに記載の方法。
(項目7)
前記目的の抗体が、抗SARS-CoV-2 RBD IgGである、前記または後続の項目のいずれかに記載の方法。
(項目8)
前記試料が血清試料である、前記または後続の項目のいずれかに記載の方法。
(項目9)
前記試料が、乾燥血斑である、前記または後続の項目のいずれかに記載の方法。
(項目10)
前記対象が、SARS-CoV-2に曝露された疑いがある、前記または後続の項目のいずれかに記載の方法。
(項目11)
前記試料が、SARS-CoV-2への前記対象の疑われる曝露から3週間以内に採取される、項目10に記載の方法。
(項目12)
前記試料が、SARS-CoV-2への前記対象の疑われる曝露から2週間より後に採取される、項目10に記載の方法。
(項目13)
前記対象が、ヒト対象である、前記または後続の項目のいずれかに記載の方法。
(項目14)
前記目的の抗体の前記抗原が、RBDである、前記または後続の項目のいずれかに記載の方法。
(項目15)
前記受容体結合ドメインが、SARS-CoV-2のRBDである、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記検出可能な部分が、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)である、項目4に記載の方法。
(項目17)
229E、NL63、OC43、HKU1およびMERS-CoVからなる群より選択されるヒトコロナウイルスに反応する抗体の存在を検出しない、前記または後続の項目のいずれかに記載の方法。
(項目18)
人物が、SARS-CoV-2への免疫応答を開始したことを決定するステップをさらに含む、前記項目のいずれかに記載の方法。
(項目19)
試料中の目的の抗体の定量的検出のための方法であって、
(a)前記目的の抗体により認識される抗原を、結合剤を含む表面に添加するステップであって、前記結合剤が、前記抗原にコンジュゲートされているリガンドに結合する、ステップ;
(b)前記試料を前記表面に添加し、その結果、前記目的の抗体が前記抗原に結合して、目的の抗体-抗原-リガンド-結合剤複合体を形成するステップ;
(c)二次抗体を、前記目的の抗体に結合する前記表面に添加して、二次抗体-目的の抗体-抗原-リガンド-結合剤複合体を形成するステップ;
(d)複合体化した前記二次抗体を検出するステップ;および
(e)結合した前記目的の抗体の量を検出された前記二次抗体に基づいて定量化するステップであって、定量化するステップは、同様のアッセイ条件下で形成された様々な濃度のリガンド-結合剤複合体で二次抗体-第1の抗体の複合体を検出することにより生成された非抗原特異的標準曲線を使用することを含み、前記第1の抗体が、前記目的の抗体と同じ抗体クラスのものである、ステップ
を含む、方法。
(項目20)
前記第1の抗体が、精製IgGである、項目19に記載の方法。
(項目21)
前記二次抗体が、検出可能な部分で標識されている、項目19から20のいずれかに記載の方法。
(項目22)
前記検出可能な部分が酵素である、前記項目のいずれかに記載の方法。
(項目23)
前記検出可能な部分がフルオロフォアである、前記項目のいずれかに記載の方法。
(項目24)
前記目的の抗体が、抗受容体結合ドメイン(RBD)IgGである、前記または後続の項目のいずれかに記載の方法。
(項目25)
前記目的の抗体が、抗SARS-CoV-2 RBD IgGである、前記または後続の項目のいずれかに記載の方法。
(項目26)
前記試料が血清試料である、前記または後続の項目のいずれかに記載の方法。
(項目27)
前記試料が、乾燥血斑である、前記または後続の項目のいずれかに記載の方法。
(項目28)
前記対象が、SARS-CoV-2に曝露された疑いがある、前記または後続の項目のいずれかに記載の方法。
(項目29)
前記試料が、SARS-CoV-2への前記対象の疑われる曝露から3週間以内に採取される、項目28に記載の方法。
(項目30)
前記試料が、SARS-CoV-2への前記対象の疑われる曝露から2週間より後に採取される、項目28に記載の方法。
(項目31)
前記対象が、ヒト対象である、前記または後続の項目のいずれかに記載の方法。
(項目32)
前記目的の抗体の前記抗原が、RBDである、前記または後続の項目のいずれかに記載の方法。
(項目33)
前記受容体結合ドメインが、SARS-CoV-2のRBDである、項目32に記載の方法。
(項目34)
前記検出可能な部分が、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)である、項目22に記載の方法。
(項目35)
229E、NL63、OC43、HKU1およびMERS-CoVからなる群より選択されるヒトコロナウイルスに反応する抗体の存在を検出しない、前記または後続の項目のいずれかに記載の方法。
(項目36)
人物が、SARS-CoV-2への免疫応答を開始したことを決定するステップをさらに含む、前記項目のいずれかに記載の方法。
(項目37)
前記項目のいずれかに記載の方法のいずれかによる抗体の定量的検出のためのシステム。
(項目38)
前記項目のいずれかに記載の方法のいずれかによる抗体の定量的検出のためのキット。
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
【国際調査報告】