(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-21
(54)【発明の名称】中足骨内転を治療するための装置及び技術
(51)【国際特許分類】
A61B 17/15 20060101AFI20230614BHJP
【FI】
A61B17/15
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022570675
(86)(22)【出願日】2021-05-19
(85)【翻訳文提出日】2022-11-18
(86)【国際出願番号】 US2021033256
(87)【国際公開番号】W WO2021236838
(87)【国際公開日】2021-11-25
(32)【優先日】2020-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517238835
【氏名又は名称】トリース メディカル コンセプツ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ジョディー マカリアー
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム ディカーボ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ハッチ
(72)【発明者】
【氏名】ポール デイトン
(72)【発明者】
【氏名】ロバート サントロック
(72)【発明者】
【氏名】ダブリュ.ブレット スミス
(72)【発明者】
【氏名】アドリアーン カイラー
(72)【発明者】
【氏名】ショーン スカンラン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL01
4C160LL12
4C160LL21
(57)【要約】
中足骨内転の技術は、第2中足骨及び中間楔状骨のうちの一方又は両方の端部を切断して、第2中足骨の端部と中間楔状骨との間に楔形の開口を作ることを含み得る。この方法は、第3中足骨及び外側楔状骨のうちの一方又は両方の端部を切断して、第3中足骨の端部と外側楔状骨との間に楔形の開口を作ることを更に含み得る。第2中足骨及び第3中足骨は次いで、横断面内で移動させられ、中足骨内転角を閉じることができる。第2及び第3中足骨の移動は、骨切断の間に形成される楔形の開口を閉じ得る。第2及び第3中足骨が適切に再調整されると、臨床医は、第2中足骨及び第3中足骨の移動させられた位置を固定することができる。
【選択図】
図5C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中足骨内転を治療するための方法であって、
第2中足骨及び中間楔状骨のうちの少なくとも一方の端部を切断して、前記第2中足骨の前記端部と前記中間楔状骨との間に開口を作ることと、
第3中足骨及び外側楔状骨のうちの少なくとも一方の端部を切断して、前記第3中足骨の前記端部と前記外側楔状骨との間に開口を作ることと、
前記第2中足骨及び前記第3中足骨を少なくとも横断面内で移動させて、中足骨内転角を閉じることと、
前記第2中足骨及び前記第3中足骨の移動させられた位置を固定することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記第2中足骨及び前記第3中足骨を移動させることは、前記第2中足骨及び前記第3中足骨を接合骨群として一緒に移動させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2中足骨及び前記第3中足骨を接合骨群として一緒に移動させることは、前記第2中足骨と前記第3中足骨との間の靭帯付着を保存することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2中足骨及び前記第3中足骨を接合骨群として一緒に移動させることは、前記第2中足骨と前記第3中足骨との間の中足骨間角度を著しく変化させることなく、前記第2中足骨及び前記第3中足骨を移動させることを含む、請求項2又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記第2中足骨及び前記第3中足骨を少なくとも前記横断面内で移動させて、前記中足骨内転角を閉じることは、前記骨の各々の前記中足骨内転角が15度以下になるまで、前記第2中足骨及び前記第3中足骨を前記横断面内で移動させることを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第2中足骨及び前記第3中足骨を少なくとも前記横断面内で移動させることは、前記第2中足骨の内側の面のまわりで、前記横断面内で前記第2中足骨及び前記第3中足骨を枢動させることを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第2中足骨及び前記中間楔状骨のうちの他方の端部を調製することと、
前記第3中足骨及び前記外側楔状骨のうちの他方の端部を調製することと、を更に含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第2中足骨及び前記中間楔状骨のうちの少なくとも一方の前記端部を切断すること、並びに前記第2中足骨及び中間楔状骨のうちの他方の前記端部を調製することは、前記第2中足骨の前記端部を切断すること、及び前記中間楔状骨の前記端部を調製することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記中間楔状骨の前記端部を調製することは、前記中間楔状骨の前記端部を開窓することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第2中足骨及び前記中間楔状骨のうちの少なくとも一方の前記端部を切断すること、並びに前記第2中足骨及び中間楔状骨のうちの他方の前記端部を調製することは、前記第2中足骨の前記端部を切断すること、及び前記中間楔状骨の前記端部を切断することを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第2中足骨の前記端部を切断し、及び前記中間楔状骨の前記端部を切断した後に、前記第2中足骨の前記端部を開窓すること、及び前記中間楔状骨の前記端部を開窓することを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第3中足骨及び前記外側楔状骨のうちの少なくとも一方の前記端部を切断すること、並びに前記第3中足骨及び外側楔状骨のうちの他方の前記端部を調製することは、前記第3中足骨の前記端部を切断すること、及び前記外側楔状骨の前記端部を調製することを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記外側楔状骨の前記端部を調製することは、前記外側楔状骨の前記端部を開窓することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記第3中足骨及び前記外側楔状骨のうちの少なくとも一方の前記端部を切断すること、並びに前記第3中足骨及び外側楔状骨のうちの他方の前記端部を調製することは、前記第3中足骨の前記端部を切断すること、及び前記外側楔状骨の前記端部を切断することを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記第3中足骨の前記端部を切断し、及び前記外側楔状骨の前記端部を切断した後に、前記第3中足骨の前記端部を開窓すること、及び前記外側楔状骨の前記端部を開窓することを更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第2中足骨及び前記中間楔状骨のうちの少なくとも一方の前記端部を切断して、前記開口を作ることは、前記第2中足骨及び前記中間楔状骨のうちの少なくとも一方の前記端部を切断して、楔形の開口を作ることを含み、
前記第3中足骨及び前記外側楔状骨のうちの少なくとも一方の前記端部を切断して、前記開口を作ることは、前記第3中足骨及び前記外側楔状骨のうちの少なくとも一方の前記端部を切断して、楔形の開口を作ることを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記第2中足骨及び前記中間楔状骨のうちの少なくとも一方の前記端部を切断して、前記楔形の開口を作ることは、前記横断面内で角度を付けた切断を行い、骨の楔形のセクションを作ることを含み、前記第2中足骨を移動させる前に、前記骨の楔形のセクションを除去することを更に含み、
前記第3中足骨及び前記外側楔状骨のうちの少なくとも一方の前記端部を切断して、前記楔形の開口を作ることは、前記横断面内で角度を付けた切断を行い、骨の楔形のセクションを作ることを含み、前記第3中足骨を移動させる前に、前記骨の楔形のセクションを除去することを更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第2中足骨を前記横断面内で移動させることは、前記第2中足骨の前記端部と前記中間楔状骨との間の前記楔形の開口を閉じることを含み、
前記第3中足骨を前記横断面内で移動させることは、前記第3中足骨の前記端部と前記外側楔状骨との間の前記楔形の開口を閉じることを含む、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
前記移動させられた位置を固定する前に、前記第2中足骨の前記端部を前記中間楔状骨の前記端部に対して圧縮し、前記第3中足骨の前記端部を前記外側楔状骨の前記端部に対して圧縮することを更に含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記第2中足骨及び前記第3中足骨のうちの少なくとも一方、並びに前記第2中足骨及び前記第3中足骨以外の骨に、骨位置決めガイドを係合させることを更に含み、前記第2中足骨及び前記第3中足骨を前記横断面内で移動することは、前記骨位置決めガイドを係合させることを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記骨位置決めガイドは圧縮器であり、前記第2中足骨及び前記第3中足骨のうちの少なくとも一方に前記骨位置決めガイドを係合させることは、前記圧縮器を、
前記中間楔状骨及び前記第2中足骨、並びに
前記外側楔状骨及び前記第3中足骨のうちの少なくとも一方に取り付けることを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記骨位置決めガイドは、(a)前記第2中足骨の内側及び前記第3中足骨の内側のうちの少なくとも一方と、(b)そこから外側方向に離隔された骨の外側と、に係合される、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
少なくとも前記横断面内で前記第2中足骨及び前記第3中足骨を移動させて、前記中足骨内転角を閉じることは、第4中足骨及び第5中足骨を少なくとも前記横断面内で移動させることを更に含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記第2中足骨及び前記第3中足骨を移動させる前に、前記第3中足骨と第4中足骨との間の軟組織を解放することを更に含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記第2中足骨及び前記第3中足骨の移動させられた位置を仮固定することを更に含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記第2中足骨及び前記第3中足骨の前記移動させられた位置を仮固定することは、前記第3中足骨を通して前記中間楔状骨にピンを挿入することを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記第2中足骨及び前記第3中足骨の前記移動させられた位置を固定することは、
前記第2中足骨と前記中間楔状骨との間の第2足根中足関節をまたいで少なくとも1つの固定装置を適用することと、
前記第3中足骨と前記外側楔状骨との間の第3足根中足関節をまたいで少なくとも1つの固定装置を適用することと、を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記第2足根中足関節をまたいで少なくとも1つの固定装置を適用することは、第1のプレートを前記第2中足骨及び前記中間楔状骨に取り付けることを含み、
前記第3足根中足関節をまたいで少なくとも1つの固定装置を適用することは、第2のプレートを前記第3中足骨及び前記外側楔状骨に取り付けることを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
少なくとも、
第1中足骨の端部を調製することと、
前記第1中足骨に面する内側楔状骨の端部を調製することと、
前記第1中足骨と前記第2中足骨との間の中足骨間角度を閉じるために、前記第1中足骨を少なくとも前記横断面内で移動させることと、
前記第1中足骨の移動させられた位置を固定することと、によって前記第1中足骨を再調整することを更に含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
少なくとも前記横断面内で前記第1中足骨を移動させることは、前記第1中足骨を前額面内で回転させることを更に含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記第1中足骨を再調整することは、前記第2中足骨及び前記第3中足骨を移動させた後に前記第1中足骨を再調整することを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
患者の足に対して切開を行い、第2足根中足関節及び第3足根中足関節へのアクセスを提供することと、
短母趾伸筋から短趾伸筋を可動化し、前記短趾伸筋を収縮させることと、を更に含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
ガイド面を画定する切断ガイドを前記第2中足骨の背側上及び前記第3中足骨の背側上に位置決めすることと、前記ガイド面を使用して切断具を前記ガイド面に沿って前進させて、前記第2中足骨の前記端部の一部を除去し、前記第3中足骨の前記端部の一部を除去することと、を更に含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記ガイド面は、前記第2中足骨の最内側から前記第3中足骨の最外側まで延在する連続的なガイド面を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記ガイド面は、第1のガイド面を画定し、前記第1のガイド面に平行な第2のガイド面であって、前記第1のガイド面と前記第2のガイド面との間に切断スロットを画定する第2のガイド面を更に含み、前記ガイド面を使用して前記切断具を前記ガイド面に平行な平面内で前進させることは、前記切断具を前記切断スロット内で前進させることを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記ガイド面を使用して、前記ガイド面に沿って前記切断具を前進させて、前記第2中足骨の前記端部の一部を除去し、前記第3中足骨の前記端部の一部を除去することは、
前記切断具を前記ガイド面に対して平行に外側方向に並進させて、前記第2中足骨の前記端部を切断し、その後に前記第3中足骨の前記端部を切断すること、又は
前記切断具を前記ガイド面に対して平行に内側方向に並進させて、前記第2中足骨の前記端部を切断し、その後に前記第3中足骨の前記端部を切断することを含む、請求項33~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記切断ガイドを前記第2中足骨の背側上及び前記第3中足骨の背側上に位置決めすることは、
前記切断ガイドに関連するピンを骨に挿入することと、
前記切断ガイドに関連するスペーサを隣接する骨の間に挿入することと、のうちの少なくとも一方を含む、請求項33~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記ピン及び前記スペーサのうちの前記少なくとも一方は、前記切断ガイドから分離可能であり、前記ピン及び前記スペーサのうちの少なくとも一方を挿入することは、
前記ピンを前記骨に挿入し、前記骨切断ガイドを前記ピン上へと滑動させることと、
隣接する骨の間に前記スペーサを挿入し、前記骨切断ガイドを前記スペーサ上へと滑動させることと、のうちの少なくとも一方を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記骨切断ガイドは、少なくとも1つの固定穴を含み、前記骨切断ガイドを前記ピン及び前記スペーサのうちの前記少なくとも一方上へと滑動させた後に、前記少なくとも1つの固定穴を通してピンをその下にある骨に挿入して、前記骨切断ガイドの位置を固定することを更に含む、請求項37又は38に記載の方法。
【請求項40】
前記ピン及び前記スペーサのうちの前記少なくとも一方は、前記切断ガイドと一体である、請求項37~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記第2中足骨及び前記中間楔状骨のうちの前記少なくとも一方の前記端部を切断すること、並びに前記第2中足骨及び中間楔状骨のうちの他方の前記端部を調製することは、前記第2中足骨の前記端部を切断すること、及び前記中間楔状骨の前記端部を切断することを含み、前記第3中足骨及び前記外側楔状骨のうちの少なくとも一方の前記端部を切断すること、並びに前記第3中足骨及び外側楔状骨のうちの他方の前記端部を調製することは、前記第3中足骨の前記端部を切断すること、及び前記外側楔状骨の前記端部を切断することを含み、
切断ガイドの楔状骨側ガイド面を、前記中間楔状骨の背側上及び前記外側楔状骨の背側上に位置決めすることと、
前記切断ガイドの中足骨側ガイド面を、前記第2中足骨の背側上及び前記第3中足骨の背側上に位置決めすることと、
前記楔状骨側ガイド面を使用して、切断具を前記楔状骨側ガイド面に平行に前進させて、前記中間楔状骨の前記端部の一部を除去し、前記外側楔状骨の前記端部の一部を除去することと、
前記中足骨側ガイド面を使用して、前記切断具を前記中足骨側ガイド面に平行に前進させて、前記第2中足骨の前記端部の一部を除去し、前記第3中足骨の前記端部の一部を除去することと、を更に含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記楔状骨側ガイド面は、前記中間楔状骨の最内側から前記外側楔状骨の最外側まで延在する、連続的な楔状骨側ガイド面を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記中足骨側ガイド面は、前記第2中足骨の最内側から前記第3中足骨の最外側まで延在する、連続的な中足骨側ガイド面を含む、請求項41又は42に記載の方法。
【請求項44】
前記中足骨側ガイド面は、前記第2中足骨をまたいで延在する第1の楔状骨側ガイド面、及び前記第3中足骨をまたいで延在する第2の楔状骨側ガイド面を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項45】
前記楔状骨側ガイド面は、第1の楔状骨側ガイド面を画定し、前記第1の楔状骨側ガイド面に平行な第2の楔状骨側ガイド面を更に含み、それらの間に楔状骨側切断スロットを画定し、前記楔状骨側ガイド面を使用して、前記切断具を前記楔状骨側ガイド面に平行な平面内で前進させることは、前記楔状骨側ガイド面の切断スロット内で前記切断具を前進させることを含み、
前記中足骨側ガイド面は、第1の中足骨側ガイド面を画定し、前記第1の中足骨側ガイド面に平行な第2の中足骨側ガイド面を更に含み、それらの間に中足骨側切断スロットを画定し、前記中足骨側ガイド面を使用して、前記切断具を前記中足骨側ガイド面に平行な平面内で前進させることは、前記切断具を前記中足骨側ガイド面の切断スロット内で前進させることを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項46】
前記楔状骨側ガイド面と前記中足骨側ガイド面との間の角度は一定である、請求項41~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記楔状骨側ガイド面と前記中足骨側ガイド面との間の角度は調節可能であり、前記楔状骨側ガイド面を使用して及び前記中足骨側ガイド面を使用して前記切断具を前進させる前に、前記楔状骨側ガイド面と前記中足骨側ガイド面との間の角度を設定することを更に含む、請求項41~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記切断ガイドの前記楔状骨側ガイド面を前記中間楔状骨の背側上及び前記外側楔状骨の背側上に位置決めすること、並びに前記切断ガイドの前記中足骨側ガイド面を前記第2中足骨の背側上及び前記第3中足骨の背側上に位置決めすることは、
前記切断ガイドに関連するピンを骨に挿入することと、
前記切断ガイドに関連するスペーサを隣接する骨の間に挿入することと、のうちの少なくとも一方を含む、請求項41~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記ピン及び前記スペーサのうちの前記少なくとも一方は、前記切断ガイドから分離可能であり、前記ピン及び前記スペーサのうちの少なくとも一方を挿入することは、
前記ピンを前記骨に挿入し、前記骨切断ガイドを前記ピン上へと滑動させることと、
隣接する骨の間に前記スペーサを挿入し、前記骨切断ガイドを前記スペーサ上へと滑動させることと、のうちの少なくとも一方を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記骨切断ガイドは、少なくとも1つの固定穴を含み、前記骨切断ガイドを前記ピン及び前記スペーサのうちの前記少なくとも一方上へと滑動させた後に、前記少なくとも1つの固定穴を通してピンをその下にある骨に挿入して、前記骨切断ガイドの位置を固定することを更に含む、請求項48又は49に記載の方法。
【請求項51】
前記ピン及び前記スペーサのうちの前記少なくとも一方は、前記切断ガイドと一体である、請求項48~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
中足骨内転を治療するための方法であって、
切断ガイドの楔状骨側ガイド面を、中間楔状骨の背側上及び外側楔状骨の背側上に位置決めすることと、
前記切断ガイドの中足骨側ガイド面を、前記中間楔状骨に対向する第2中足骨の背側上及び前記外側楔状骨に対向する第3中足骨の背側上に位置決めすることと、
前記楔状骨側ガイド面を使用して、切断具を前記楔状骨側ガイド面に沿って前進させて、前記中間楔状骨の一部を除去し、前記外側楔状骨の一部を除去することと、
前記中足骨側ガイド面を使用して、前記切断具を前記中足骨側ガイド面に沿って前進させて、前記第2中足骨の一部を除去し、前記第3中足骨の一部を除去することと、
前記第2中足骨及び前記第3中足骨を横断面内で移動させて、中足骨内転角を閉じることと、
前記第2中足骨及び前記第3中足骨の移動させられた位置を仮固定することと、
前記第2中足骨及び前記第3中足骨の前記移動させられた位置を永続的に固定することと、を含む、方法。
【請求項53】
中足骨内転の処置における使用のための骨切断ガイドであって、前記骨切断ガイドは、
足の中間楔状骨及び外側楔状骨の両方の背側上に位置決めされるように構成された楔状骨側ガイド面であって、前記楔状骨側ガイド面は、前記中間楔状骨及び前記外側楔状骨を切断するよう切断器具をガイドするように構成されている、楔状骨側ガイド面と、
足の第2中足骨及び第3中足骨の両方の背側上に位置決めされるように構成された中足骨側ガイド面であって、前記中足骨側ガイド面は、前記第2中足骨及び前記第3中足骨を切断するよう前記切断器具をガイドするように構成されている、中足骨側ガイド面と、を含み、
前記楔状骨側ガイド面と前記中足骨側ガイド面とは、前記中間楔状骨と前記第2中足骨との間の第2中足関節、及び前記外側楔状骨と前記第3中足骨との間の第3中足関節を横切るように構成された距離だけ、互いから離隔されている、骨切断ガイド。
【請求項54】
前記楔状骨側ガイド面は、前記中間楔状骨の最内側から前記外側楔状骨の最外側まで延在するように構成された連続的な楔状骨側ガイド面を含む、請求項53に記載の骨切断ガイド。
【請求項55】
前記中足骨側ガイド面は、前記第2中足骨の最内側から前記第3中足骨の最外側まで延在するように構成された連続的な中足骨側ガイド面を含む、請求項53又は54に記載の骨切断ガイド。
【請求項56】
前記中足骨側ガイド面は、前記第2中足骨をまたいで延在するように構成された第1の楔状骨側ガイド面と、前記第3中足骨をまたいで延在するように構成された第2の楔状骨側ガイド面とを含む、請求項53~55のいずれか一項に記載の骨切断ガイド。
【請求項57】
前記楔状骨側ガイド面は、第1の楔状骨側ガイド面を画定し、前記第1の楔状骨側ガイド面に平行な第2の楔状骨側ガイド面を更に含み、それらの間に楔状骨側切断スロットを画定し、
前記中足骨側ガイド面は、第1の中足骨側ガイド面を画定し、前記第1の中足骨側ガイド面に平行な第2の中足骨側ガイド面を更に含み、それらの間に中足骨側切断スロットを画定する、請求項53~56のいずれか一項に記載の骨切断ガイド。
【請求項58】
前記楔状骨側ガイド面と前記中足骨側ガイド面との間の角度は一定である、請求項53~57のいずれか一項に記載の骨切断ガイド。
【請求項59】
前記楔状骨側ガイド面と前記中足骨側ガイド面との間の角度は調節可能である、請求項53~58のいずれか一項に記載の骨切断ガイド。
【請求項60】
前記調節可能な角度をロックするように構成されたロックを更に含む、請求項59に記載の骨切断ガイド。
【請求項61】
前記楔状骨側ガイド面と前記中足骨側ガイド面との間の角度は、5度~20度のような、1度~40度の範囲内にある、請求項53~60のいずれか一項に記載の骨切断ガイド。
【請求項62】
前記骨切断ガイドに関連する少なくとも1つの配置機能を更に含み、前記少なくとも1つの配置機能は、前記骨切断ガイドを位置決めするために骨及び隣接する骨の間の関節のうちの少なくとも一方に挿入されるように構成されている、請求項53~61のいずれか一項に記載の骨切断ガイド。
【請求項63】
前記配置機能は、前記第2中足関節及び前記第3中足関節の両方の中に少なくとも部分的に位置決めされて、前記第2中足関節と前記第3中足骨との間をまたぐように構成されたスペーサを含む、請求項62に記載の骨切断ガイド。
【請求項64】
前記スペーサは、その長さに沿って背側から底側の方向に先細になっている、請求項63に記載の骨切断ガイド。
【請求項65】
前記骨切断ガイドをその下にある骨にピン留めするための固定ピンを受容するように構成された、少なくとも1つの固定穴を更に含み、前記少なくとも1つの固定穴は、少なくとも1つの次元において調節可能である、請求項53~64のいずれか一項に記載の骨切断ガイド。
【請求項66】
前記固定穴は、前記骨切断ガイドの長さに沿って調節可能である、請求項65に記載の骨切断ガイド。
【請求項67】
骨切断ガイドであって、前記骨切断ガイドは、
足の少なくとも1つの楔状骨上に位置決めされるように構成された楔状骨側ガイド面であって、前記楔状骨側ガイド面は、前記楔状骨の少なくとも1つを切断するよう切断器具をガイドするように構成されている、楔状骨側ガイド面と、
少なくとも1つの中足骨上に位置決めされるように構成された中足骨側ガイド面であって、前記中足骨側ガイド面は、前記少なくとも1つの中足骨を切断するよう前記切断器具をガイドするように構成されている、中足骨側ガイド面と、
前記骨切断ガイドをその下にある骨にピン留めするための固定ピンを受容するように構成された、少なくとも1つの固定穴であって、前記少なくとも1つの固定穴は、少なくとも1つの次元において調節可能である、少なくとも1つの固定穴と、を含む、骨切断ガイド。
【請求項68】
前記固定穴は、前記骨切断ガイドの長さに沿って調節可能である、請求項67に記載の骨切断ガイド。
【請求項69】
前記固定穴は、前記骨切断ガイドに対して回転的に調節可能である、請求項67又は68に記載の骨切断ガイド。
【請求項70】
少なくとも1つの次元において調節可能である前記少なくとも1つの固定穴は、前記中足骨上に位置決めされるように構成された固定穴を含む、請求項67~69のいずれか一項に記載の骨切断ガイド。
【請求項71】
少なくとも1つの次元において調節可能である前記少なくとも1つの固定穴は、少なくとも1つの次元において調節可能である少なくとも2つの固定穴を含む、請求項67~70のいずれか一項に記載の骨切断ガイド。
【請求項72】
前記骨切断ガイドをその下にある骨にピン留めするための固定ピンを受容するように構成された、最少の1つの固定された位置固定穴を更に含む、請求項67~71のいずれか一項に記載の骨切断ガイド。
【請求項73】
前記楔状骨側ガイド面は、足の中間楔状骨及び外側楔状骨上に位置決めされるように構成され、前記中足骨側ガイド面は、足の第2中足骨及び第3中足骨上に位置決めされるように構成されている、請求項67~72のいずれか一項に記載の骨切断ガイド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2020年5月19日に出願された米国仮特許出願第63/027,340号、及び2020年12月16日に出願された米国仮特許出願第63/126,207号の利益を主張するものであり、これらの各々の内容全体が、ここで参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0002】
本開示は、中足骨内転を治療するための装置及び技術に関する。
【背景技術】
【0003】
中足骨内転(MTA)は、中足骨が内転側に角度を付けられた足の変形である。MTAは、典型的には、横断面における中足骨の内側偏位によって特徴付けられる。例えば、MTAは、リスフラン関節(足根中足関節)に生じる構造的変形として説明されることが多く、中足骨は小足骨を基準にして内側方向に偏位している。
【0004】
一部の患者においては、MTAは、外反外転母趾とも称される外反母趾を呈する。外反母趾は、第一趾の外側偏位(外反、外転)及び第1中足指節関節の内側偏位によって特徴付けられる、複合的な進行性の状態である。外反母趾は、典型的には、横断面における第1中足骨と近位趾骨との長軸の間の角度である母趾内転角の増大に帰着する。
【0005】
いくつかの場合において、MTA及び/又は外反母趾の変形に対処するために、外科的介入が必要とされる。外科的介入は、足の1つ以上の骨を再調整し、患者の快適さを改善し、患者の可動性を増大させることを含み得る。
【発明の概要】
【0006】
概して、本開示は、単独で又は外反母趾の治療と組み合わせて、中足骨内転(MTA)を治療するための装置及び技術に向けられる。いくつかの実装例においては、臨床医は、足の第2及び第3足根中足関節に外科的にアクセスして、該関節を再調整及び融合のために調製する。臨床医は、例えば、背外側及び背内側のアクセスを提供して、第2及び第3足根中足関節に切開を行うことができる。関節が露出した状態で、臨床医は、第2及び第3中足骨の端面、並びに対向する中間及び外側楔状骨をそれぞれ調製することができる。切断ガイドを使用して又は使用せずに、臨床医は、第2足根中足関節を形成する骨の少なくとも1つの端部を切断し、また、第3足根中足関節を形成する骨の少なくとも1つの端部を切断し得る。切断は、狭い端部(例えば、頂点)から広い端部(例えば、基部)へと広がる楔のように、2つの骨の間の開口を画定するように、切断されている骨の端面に対して角度付けされてもよい。骨の切片(例えば、楔)が関節腔から除去されると、中足骨の端部と対向する楔状骨との間に間隙(例えば、楔形の間隙)が存在し得る。例えば、楔の狭い部分が関節の内側にある一方、楔の広い部分が関節の外側にあることとなり得る。中足骨は、骨位置決めガイドの使用の有無にかかわらず、少なくとも横断面内で回転させられて、骨楔を切断及び除去することによって形成された楔形の間隙を閉じることができる。例えば、中足骨は、中足骨を再調整させるために、横断面内で移動させられ、前額面内で回転させられ、及び/又は矢状面内で移動させられ得る。このことは、中足骨内転変形(又はその他の治療される骨の状態)を修正するために、骨を再調整することを支援し得る。
【0007】
いくつかの実装例においては、第2及び第3足根中足関節が調製され、第2及び第3中足骨が、横断面のような1つ以上の平面において互いから独立して移動させられる。他の実装例においては、第2及び第3足根中足関節が調製され、第2及び第3中足骨を一緒に移動させて中足骨の角度のずれに対処することができる。例えば、第2及び第3足根中足関節にアクセスして、調製するとき、底側足根骨靭帯及び第2及び第3中足骨間の靭帯を保存することができる(例えば、切断しないまま又は破断しないままである)。このことは、第2中足骨と第3中足骨との間の接続組織を維持することができ、角度再調整の間に第2中足骨及び第3中足骨を相互接続されたブロック又は群として操作することを可能とする。
【0008】
例えば、一実装例においては、臨床医は、第2及び第3足根中足関節にアクセスし、次いで、第2及び第3中足骨の端部並びに中間及び外側楔状骨の端部を調製することができる。臨床医は、第2中足骨及び中間楔状骨のうちの少なくとも一方の端部を切断して、例えば、2つの骨面の間に楔形の開口を画定してもよい。臨床医はまた、第3中足骨及び外側楔状骨のうちの少なくとも一方の端部を切断して、例えば、2つの骨面の間に楔形の開口を画定してもよい。臨床医は次いで、例えば、第2中足骨だけに力を加えることにより、第3中足骨だけに力を加えることにより、又は第2及び第3中足骨の両方に力を加えることにより、第2及び第3中足骨を一緒に移動させることができる。いずれの場合においても、第2中足骨及び第3中足骨の遠位端は、少なくとも横断面内で外側方向に移動することができ、一方、第2中足骨及び第3中足骨の近位端は、骨の調製の間に形成された開口(例えば、楔形の間隙)を閉じるように枢動する。リスフラン靭帯は、第2中足骨の基部においては、第2中足骨及び第3中足骨の回転が生じる繋留点として機能し得る。いくつかの実装例においては、第3中足骨と第4中足骨との間で軟組織解放が行われ、第3中足骨を可動化させ、向きを変えることを可能にすることを支援する。
【0009】
第2及び第3中足骨を再調整することに加えて、第4及び第5中足骨もまた、中足骨内転を矯正することを支援するように再調整されてもよい。第4及び第5中足骨の遠位端は、第2及び/又は第3中足骨の強制的な移動に伴って横断面内で自然に外側方向に枢動し得る。例えば、第2及び第3中足骨が、個別に又は相互接続されたブロックとして移動させられると、中足骨の回転が、第4及び第5中足骨の少なくとも横断面における自然な再調整(例えば、遠位端の外側方向の枢動)を引き起こし得る。第2及び第3中足骨に加えられる力は、第2及び第3中足骨を第4及び第5中足骨と相互接続する組織(例えば、1つ以上の靭帯)を通して伝達され得る。異なる実装例においては、第4及び/又は第5足根中足関節は、外科的にアクセスされ、融合のために調製されてもよいし、又はされなくてもよい(例えば、融合のために第4及び/若しくは第5中足骨の端部を調製することによって、かつ/又は中足骨と反対側の立方骨の端部を調製することによって)。1つ以上の小中足骨の再調整はまた、指の残りの部分、例えば、近位趾骨及びその他の相互接続された骨の再調整に帰着する。
【0010】
1つ以上の平面(例えば、少なくとも横断面)内で1つ以上の小中足骨が再調整された状態で、臨床医は、1つ以上の中足骨の移動させられた位置を固定することができる。いくつかの例においては、臨床医は、移動させられた位置を永続的に固定する前に、1つ以上の移動させられた中足骨を仮固定してもよい。例えば、臨床医は、第2中足骨を通して外側楔状骨のような別の骨に固定ピンを挿入してもよく、及び/又は、第3中足骨を通して中間楔状骨のような別の骨に固定ピンを挿入してもよい。仮固定の有無にかかわらず、臨床医は、例えば、第2足根中足関節をまたいで及び/又は第3足根中足関節をまたいで固定装置を適用することによって、移動させられた骨の位置を永続的に固定してもよい。
【0011】
本開示による外科的技術は、以上に議論されたように、第2及び第3足根中足関節のような足の複数の小足根中足関節に外科的にアクセスし、調製することを含み得るが、代替の実装例においては、単一の小足根中足関節(例えば、第2足根中足関節、第3足根中足関節、第4足根中足関節、及び/又は第5足根中足関節)上で技術が実施されてもよい。単一の小足根中足関節に対するこの処置は、単独で又は第1中足骨に対する外反母趾の治療と組み合わせて、実施されてもよい。例えば、MTA変形又はその他の骨の変形は、他の小足根中足関節を手術することなく、単一の小足根中足関節(例えば、第2足根中足関節、第3足根中足関節)を手術することによって、ここでもまた任意選択的に第1足根中足関節に対して実施される処置を通した第1中足骨の整列矯正とともに、矯正されてもよい。
【0012】
例えば、外科医は、第2足根中足関節、第3足根中足関節、又は更に他の小足根中足関節にアクセスすることができる。外科医は、中足骨の端部(例えば、第2中足骨、第3中足骨)及び/又は関節の他方の側の骨の端部(例えば、中間楔状骨、外側楔状骨)を調製することができる。いくつかの例においては、臨床医は、足根中足関節によって分離された骨の各々の端部を切断する。臨床医は次いで、小中足骨のうちの1つ以上(例えば、端部が調製された中足骨、端部が調製されていない隣接する中足骨)に力を加えることができる。この力は、中足骨を横断面及び/又は前額面のような1つ以上の平面内で移動させて、中足骨を再調整し得る。いくつかの実装例においては、力は、外科的にアクセスされ、手術されている小中足骨のみを実質的に移動させて、小中足骨を再調整する。他の例においては、力は、外科的にアクセスされ、手術されている小中足骨と、1つ以上の(例えば、全ての)他の隣接する中足骨及び/又は小中足骨とを移動させて、足における複数の骨を再調整する。
【0013】
患者が外反母趾のような第1中足骨の角度変形も呈する状況においては、臨床医は、第1中足骨の再調整も実施してもよい。第1中足骨再調整は、小中足骨(第2、第3、第4及び/又は第5中足骨)の再調整の前若しくは後に実施されてもよいし、又は小中足骨を再調整する工程と少なくとも部分的に同時に実施されてもよい。例えば、臨床医は、小中足骨を再調整し、再調整された小中足骨の移動させられた位置を固定する前又は固定した後に、1つ以上の平面内で第1中足骨を再調整してもよい。
【0014】
第1中足骨を再調整するために、臨床医は、関節にアクセスするために第1足根中足関節にわたる切開を実施してもよい。関節が露出させられた状態で、臨床医は、第1中足骨の端部を調製し、また内側楔状骨の対向する端部を調製し得る。一方又は両方の骨端部を調製する前又は調製した後に、臨床医は、第1中足骨を1つ以上の平面内で移動させることができる。例えば、臨床医は、第1中足骨と第2中足骨との間の中足骨間角度を閉じるために、第1中足骨の遠位端を横断面内で枢動させてもよい。これに加えて又は代替として、臨床医は、第1中足骨を前額面内で回転させ、及び/又は、第1中足骨の矢状面内での角度的な整列を調節してもよい。第1中足骨が好適に再調整された状態で、臨床医は、第1中足骨の移動させられた位置を固定することができる。
【0015】
治療処置の間に実施される特定の外科的技術とは独立して、骨調製及び/又は再調整技術を容易にすることを支援するため、様々な異なる器具が提供され得る。これらの器具は、中足骨内転治療処置又は更に他の治療処置(例えば、関節炎性関節の融合、中足骨以外の骨の再調整)の一部として利用され得る。例えば、骨切断ガイドは、骨間の再調整及び/又は融合を容易にするために、中足骨及び/又は楔状骨の端面を切断することを支援するために使用されてもよい。概して、骨切断ガイドは、切断されるべき1つ以上の骨の上に位置決めされるようなサイズ及び形状とされてもよい。骨切断ガイドは、それに沿って切断器具がガイド面に平行な平面内で骨を切断するようにガイドされ得る、少なくとも1つのガイド面を画定してもよい。例えば、骨切断ガイドは、切断器具が挿入され得る切断スロットをその間に画定する、一対のガイド面を画定してもよい。
【0016】
いくつかの例においては、骨切断ガイドは、切断されるべき中足骨及び/又は楔状骨(又は立方骨)の背側上に位置決めされるように構成されたガイド面を画定する。骨切断ガイドは、切断されるべき骨の上にガイド面を位置決めすることを支援するために、隣接する骨の間の関節腔に及び/又は骨の中にそれぞれ挿入することができる配置機能(例えば、スペーサ又はピン)を含んでもよい。スペーサ又はピンは、ガイド面に固定的に(例えば、非可動的に)接続されてもよいし、又はガイド面に対して移動可能であってもよい。例えば、スペーサ又はピンがガイド面に対して移動可能である場合、スペーサ又はピンは、関節腔に挿入されるか又は骨に挿入され、ガイド面を画定する構造体が次いで、スペーサ若しくはピンの上に挿入されるか又はその他の方法で(例えば、クランプ、ピン、ねじ又はその他の取り付け機構を介して)スペーサ又はピンに取り付けられてもよい。いくつかの構成においては、ガイド面は、例えば、制限された角度の移動範囲内で、スペーサ又はピンのまわりに回転して、臨床医がピン又はスペーサのまわりにガイド面を回転させることによって、切断されるべき骨の上のガイド面の位置決めを調整することを可能にしてもよい。好適に位置決めされると、1つ以上の他の固定ピンが、切断されるべき骨に対する切断ガイドの位置をロックするために任意選択的に使用されてもよい。
【0017】
外科的処置(例えば、中足骨内転処置)のために構成された骨切断ガイドは、単一の骨の切断をガイドするためのガイド面を有していてもよいし、又は複数の異なる骨を切断するために切断器具をガイドするように構成されていてもよい。例えば、骨切断ガイドは、中足骨の端部を切断するよう切断器具をガイドするための少なくとも1つのガイド面(例えば、少なくとも1つの切断スロット)、及び対向する楔状骨の端部を切断するよう切断器具をガイドするための少なくとも1つの追加的なガイド面(例えば、少なくとも1つの追加的な切断スロット)を含んでもよい。ガイド面は、切断ガイドが足に設置されたときに、例えば、足の外側に向かって開く角度で、互いに対して角度を付けられてもよい。ガイド面間の角度は一定であってもよいし、又は調節可能であってもよい。調節可能な角度で構成される場合、臨床医は、切断されるべき中足骨の上に位置決め可能な1つのガイド面と、切断されるべき対向する骨(例えば、楔状骨)の上に位置決め可能な別のガイド面との間の角度を調節することができる。
【0018】
第2及び第3中足骨にそれぞれ対向する中間及び外側楔状骨が切断を通して調製される場合、楔状骨は個別に切断されてもよいし、又は一緒に切断されてもよい。一実装例においては、例えば、中間楔状骨と外側楔状骨の両方の上に延在するように構成された、長細のガイド面を有する切断ガイドが使用されてもよい。ガイド面は、切断スロットを画定するために、隣接するガイド面と平行であってもよい。切断スロットは、中間楔状骨及び外側楔状骨の背側上に位置決め可能であり、少なくとも中間楔状骨の内側から外側楔状骨の外側まで延在していてもよい。このように構成された場合、臨床医は、切断器具をガイド面に沿って(例えば、切断スロットを通して)ガイドして、中間楔状骨及び外側楔状骨の両方を切断することができる。このことは、平行な切断端面を有する中間楔状骨及び外側楔状骨に帰着し得、中足骨内転角を閉じるための再調整を支援し得る。
【0019】
骨切断ガイドの使用に加えて又はこれに代えて、外科医が、後続の骨調製ステップを予め形成するための位置をマークするために調製されるべき1つ以上の骨に重ねることができる、骨調製テンプレートが提供されてもよい。骨調製テンプレートは、骨が切断されるべき又はその他の方法で調製されるべき1つ以上の場所を示す、1つ以上のその下にある骨(例えば、中足骨、楔状骨及び/又は関節線)に対する1つ以上の方向付け機能を含んでもよい。外科医は、骨調製テンプレートを使用して、調製が行われるべき1つ以上の下にある骨に印を付与してもよい。外科医はその後、骨調製テンプレートを使用してマークされた位置において1つ以上の骨を調製するために、ガイド付きの及び/又はフリーハンドの骨調製(任意選択的に骨調製テンプレートを予め除去する)を実施してもよい。外科医は、骨切断ガイドの使用に関連して議論されるように、1つ以上の骨を移動及び/又は固定してもよい。
【0020】
一例においては、中足骨内転を治療するための方法が説明されている。この方法は、第2中足骨及び中間楔状骨のうちの少なくとも一方の端部を切断して、第2中足骨の端部と中間楔状骨との間に楔形の開口を作ることを含む。この方法はまた、第2中足骨及び中間楔状骨のうちの他方の端部を調製することを含む。この方法は、第3中足骨及び外側楔状骨のうちの少なくとも一方の端部を切断して、第3中足骨の端部と外側楔状骨との間に楔形の開口を作ることを更に含む。この方法はまた、第2中足骨及び第3中足骨を横断面内で移動させて、中足骨内転角を閉じることを含む。この方法はまた、第2中足骨及び第3中足骨の移動させられた位置を固定することを規定する。
【0021】
別の実施例において、中足骨内転を治療するための方法が説明されている。この方法は、中間楔状骨の背側上及び外側楔状骨の背側上に、切断ガイドの楔状骨側ガイド面を位置決めすることと、中間楔状骨に面した第2中足骨の背側上及び外側楔状骨に面した第3中足骨の背側上に、切断ガイドの中足骨側ガイド面を位置決めすることと、を含む。この方法は、楔状骨側ガイド面を使用して、楔状骨側ガイド面に平行な平面内で切断具を前進させて、中間楔状骨の一部を除去し、外側楔状骨の一部を除去することと、中足骨側ガイド面を使用して、中足骨側ガイド面に平行な平面内で切断具を前進させて、第2中足骨の一部を除去し、第3中足骨の一部を除去することと、を含む。この方法は、第2中足骨及び第3中足骨を横断面内で移動させて中足骨内転角を閉じることと、第2中足骨及び第3中足骨の移動させられた位置を固定することと、を含む。
【0022】
1つ以上の例の詳細は、添付図面及び以下の説明において記載されている。他の機能、目的及び利点は、説明及び図面から、並びに特許請求の範囲から、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1A】正常な中足骨整列位置を示す、足の上面図である。
【
図1B】正常な中足骨整列位置を示す、足の正面図である。
【0024】
【
図2A】例示的な中足骨内転の骨のずれを示す、足の上面図である。
【
図2B】例示的な中足骨内転の骨のずれを示す、足の正面図である。
【0025】
【0026】
【
図3B】中足骨内転角によって特徴付けられる
図2A及び2Bの足の中足骨内転を示す。
【0027】
【
図4】中足骨内転変形を治療するために、融合のためにTMT関節を調製し、複数の中足骨を再調整するための、例示的な技術を示すフロー図である。
【0028】
【
図5A】関節調製の間に切断され得る例示的な骨楔を示すための、第2及び第3TMT関節上に位置決めされた例示的な切断ガイドを示す、足の上面図である。
【0029】
【
図5B】例示的な切断ガイドを使用して足に対して実施され得る、例示的な骨調製ステップを示す。
【
図5C】例示的な切断ガイドを使用して足に対して実施され得る、例示的な骨調製ステップを示す。
【
図5D】例示的な切断ガイドを使用して足に対して実施され得る、例示的な骨調製ステップを示す。
【
図5E】例示的な切断ガイドを使用して足に対して実施され得る、例示的な骨調製ステップを示す。
【0030】
【0031】
【
図7A】隣接する骨に対して中足骨を移動させるために使用され得る、例示的な骨位置決め器の側面斜視図である。
【0032】
【
図7B】第2及び第3中足骨の移動を容易にするために足と係合される、例示的な圧縮器の図である。
【0033】
【
図8A】例示的な仮固定ピンの構成を示す、例示的なX線画像の背側図である。
【0034】
【
図8B】別の例示的な仮固定ピンの構成を示す、例示的なX線画像の背側図である。
【0035】
【
図9A】
図4に関連して議論される外科的技術に従って実施される治療処置の前の、例示的な足の背側X線画像である。
【
図9B】
図4に関連して議論される外科的技術に従って実施される治療処置の後の、例示的な足の背側X線画像である。
【0036】
【
図10】
図5Aに関連して導入された例示的な切断ガイドを示す、足の上面図である。
【0037】
【
図11】切断ガイドの別の例示的な構成を示す、足の上面図である。
【0038】
【
図12A】切断ガイドの別の例示的な構成を示す、足の上面図である。
【
図12B】切断ガイドの別の例示的な構成を示す、足の上面図である。
【0039】
【
図13】ガイドの最遠位ガイド面と最近位ガイド面との間の角度が一定である、切断ガイドの例示的な構成の上面図である。
【0040】
【
図14A】切断ガイドの最遠位ガイド面と該ガイドの最近位ガイド面との間の角度が可変である、切断ガイドの別の例示的な構成の上面図である。
【0041】
【
図14B】ガイド面の角度位置がともに調節可能である、2つの中足骨を切断するための別個のガイド面を有する切断ガイドの一例を示す。
【0042】
【
図15】切断ガイドとともに使用することができる例示的な配置機能を示す、足の斜視図である。
【0043】
【
図16】切断されるべき1つ以上の骨の上で骨ガイドを方向付けることを支援するために、配置機能と係合させられ、該配置機能に沿って底側方向に前進させられる、例示的な切断ガイドを示す。
【0044】
【
図17】切断ガイドが、その下にある骨構造に挿入可能なスペーサ又はピンに対する限られた範囲の回転運動に制限されている、切断ガイドの2つの異なる構成を示す。
【
図18】切断ガイドが、その下にある骨構造に挿入可能なスペーサ又はピンに対する限られた範囲の回転運動に制限されている、切断ガイドの2つの異なる構成を示す。
【0045】
【
図19】関連する配置機能を有する例示的な切断ガイドの斜視図である。
【0046】
【
図20】切断されるべき1つ以上の骨の背側上に位置決めされた
図19の切断ガイドを示す、足の前面斜視図である。
【0047】
【0048】
【
図22】2つの関連する配置機能を有する例示的な切断ガイドの斜視図である。
【0049】
【
図23A】切断ガイドに関連する1つ以上の配置機能を挿入するための、足上の例示的な目標位置を示す。
【
図23B】切断ガイドに関連する1つ以上の配置機能を挿入するための、足上の例示的な目標位置を示す。
【
図23C】切断ガイドに関連する1つ以上の配置機能を挿入するための、足上の例示的な目標位置を示す。
【
図23D】切断ガイドに関連する1つ以上の配置機能を挿入するための、足上の例示的な目標位置を示す。
【
図23E】切断ガイドに関連する1つ以上の配置機能を挿入するための、足上の例示的な目標位置を示す。
【
図23F】切断ガイドに関連する1つ以上の配置機能を挿入するための、足上の例示的な目標位置を示す。
【
図23G】切断ガイドに関連する1つ以上の配置機能を挿入するための、足上の例示的な目標位置を示す。
【
図23H】切断ガイドに関連する1つ以上の配置機能を挿入するための、足上の例示的な目標位置を示す。
【
図23I】切断ガイドに関連する1つ以上の配置機能を挿入するための、足上の例示的な目標位置を示す。
【0050】
【
図24】少なくとも1つの調節可能な固定穴を有する切断ガイドの例示的な構成の斜視図である。
【0051】
【
図25】調節可能な固定穴を移動させることができる例示的な位置を示す、
図24の例示的な切断ガイドの上面図である。
【0052】
【
図26A】足上に位置決めされた
図24及び25の切断ガイドを示す、例示的な足の上面画像である。
【
図26B】足上に位置決めされた
図24及び25の切断ガイドを示す、例示的な足の上面画像である。
【0053】
【
図27A】2つの調節可能な固定穴の間の例示的な連結を示す、切断ガイドの例示的な構成の上面図である。
【
図27B】2つの調節可能な固定穴の間の例示的な連結を示す、切断ガイドの例示的な構成の上面図である。
【0054】
【
図28A】調節可能な固定穴のための例示的な回転再調整位置を示す、切断ガイドの例示的な構成の上面図である。
【
図28B】調節可能な固定穴のための例示的な回転再調整位置を示す、切断ガイドの例示的な構成の上面図である。
【0055】
【
図29】第2TMT関節と第3TMT関節との間の遠位オフセットを示す、例示的な患者の足の画像である。
【0056】
【
図30】突出する骨部分を除去するために使用することができる例示的な切断ガイドの斜視図である。
【0057】
【
図31】
図30の切断ガイドの例示的な位置決めを示す、足の上面図である。
【0058】
【
図32】ブロック要素が、隣接する中足骨の不注意な切断を防ぐことを支援するために、切断器具の動きを制限するように位置決めされた、例示的な切断ガイド及びブロック要素を示す足の斜視図である。
【0059】
【
図33】マーキング器具をガイドするために使用されることができる1つ以上のガイド面を画定する、例示的な骨調製テンプレートの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
概して、本開示は、融合のために1つ以上の足根中足関節(「TMT関節」)を調製し、足根中足関節によって対向する骨から分離された1つ以上の中足骨を再調整するための、装置及び技術に向けられている。開示による技術は、任意のTMT関節に対して実施され得るが、いくつかの実装例においては、外科的技術は、少なくとも第2TMT関節及び第3TMT関節に対して実施される。処置の間、臨床医は、第2中足骨及び対向する中間楔状骨のうちの一方又は両方の端部を切断してもよい。これに加えて又は代替として、臨床医は、第3中足骨及び対向する外側楔状骨のうちの一方又は両方の端部を切断してもよい。いくつかの例においては、臨床医は、切断器具を経路(例えば、直線状の経路及び/又は曲線状の経路)に沿って前進させて、1つの中足骨端部に続いて別の中足骨端部を切断し、及び/又は1つの楔状骨端部に続いて別の楔状骨端部を切断する。いずれの場合においても、第2TMT関節腔と第3TMT関節腔の両方の間のような、TMT関節腔から骨部分が除去されてもよい。骨部分及び/又は骨部分が除去された空間は、例えば、骨部分の除去の際に作られた空間を部分的に又は完全に閉じるように中足骨を移動させることによって、対向する楔状骨に対する中足骨の後続する再位置決めを容易にするような形状とされてもよい。
【0061】
1つ以上のTMT関節がどのように調製されるかとは独立して、臨床医は、第2及び/又は第3中足骨のような1つ以上の中足骨に力を加えて、少なくとも1つの平面(例えば、横断面、前額面及び/又は矢状面のうちの1つ以上)内で1つ以上の中足骨を回転させることができる。第2及び第3中足骨の両方を再位置決めするとき、第2及び第3中足骨は、底側靭帯及び/又は第2~第3中足骨間靭帯のような靭帯付着を通して相互接続されたままであってもよいし、又はそうでなくてもよい。相互接続されたままである場合、第2及び第3中足骨は、ブロックとして(例えば、横断面のような少なくとも1つの平面内で)一緒に枢動させられてもよい。例えば、第2及び第3中足骨は、横断面内で概ね第2TMT関節の内側の面(例えば、側面)のまわりに枢動し、関節の外側のより大きな開口を閉じてもよい。いくつかの実装例においては、第2及び/又は第3中足骨は、第2中足骨基部がリスフラン靭帯に取り付けられて、骨ブロックが回転することができる枢動点として機能する状態で、少なくとも横断面内で枢動させられてもよい。臨床医は、手で、及び/又は、第2及び第3中足骨のうちの少なくとも一方と係合する骨位置決め器と、骨位置決め器が係合されているもの以外の骨との助けを借りて、第2及び第3中足骨を枢動させることができる。
【0062】
第4及び第5中足骨もまた、例えば、第2及び/又は第3中足骨が1つ以上の平面内で枢動されるのと同時になど、1つ以上の平面(例えば、少なくとも横断面)内で枢動されてもよい。第4及び第5中足骨は、第4又は第5TMT関節にアクセス又は調製することなく再調整してもよい。とはいえ、いくつかの例においては、第4及び/又は第5中足骨は、第4中足骨の端部及び/又は対向する立方骨及び/又は第5中足骨の端部を調製することによって、外科的にアクセス及び調製されてもよい。第2、第3、第4及び/又は第5中足骨のうちの1つ以上を好適に再調整した後、1つ以上の中足骨の移動させられた位置が固定されてもよい。いくつかの例においては、1つ以上の仮固定ピンが配置されて、1つ以上の中足骨の移動させられた位置を保持する(例えば、固定ピンを、1つ以上の移動させられた中足骨を通して、1つ以上の隣接する骨に挿入することによって)、仮固定ステップが実施される。永続的固定装置は、後続する融合のために骨の移動させられた位置を保持するために使用され得る。例示的な永続的固定装置は、限定するものではないが、ピン(例えば、髄内釘、Kワイヤ、スタインマンピン)、プレート、ねじ、ステープル、及びこれらの組み合わせを含む。
【0063】
1つ以上の小中足骨(例えば、第2、第3、第4及び/又は第5中足骨のうちの1つ以上)の調製及び移動の前に、後に、又はそれと同時に、臨床医は第1中足骨を調製及び移動させてもよい。臨床医は、第1中足骨の端部を調製し、更に内側楔状骨の対向する端部を調製してもよい。一方又は両方の骨端を調製する前又は調製した後に、臨床医は、第1中足骨を1つ以上の平面内で移動させることができる。例えば、臨床医は、第1中足骨と第2中足骨との間の中足骨間角度を閉じるために、第1中足骨の遠位端を横断面内で枢動させてもよい。これに加えて又は代替として、臨床医は、第1中足骨を前額面内で回転させてもよく、及び/又は第1中足骨の矢状面内の角度的な整列を調節してもよい。第1中足骨が好適に再調整された状態で、臨床医は、第1中足骨の移動させられた位置を固定することができる。本開示に関連して使用することができる例示的な第1中足骨再調整器具及び技術についての詳細は、2017年4月18日に発行され「BONE POSITIONING AND PREPARING GUIDE SYSTEMS AND METHODS」と題された米国特許第9,622,805号、2019年4月2日に発行され、「BONE PLATING SYSTEM AND METHOD」と題された米国特許第10,245,088号、2020年1月16日に発行され「COMPRESSOR-DISTRACTOR FOR ANGULARLY REALIGNING BONE PORTIONS」と題された米国特許出願公開第2020/0015856号、及び2020年1月16日に発行され「MULTI-DIAMETER BONE PIN FOR INSTALLING AND ALIGNING BONE FIXATION PLATE WHILE MINIMIZING BONE DAMAGE」題された米国特許出願公開第2020/0015870号に記載されている。これらの特許文献の各々の内容全体が、参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0064】
1つ以上のTMT関節の調製及び融合は、様々な臨床的理由及び適応症のために本開示に従って実施され得る。TMT関節の調製及び融合は、中足骨内転、外反母趾、並びに/又はその他の骨及び/若しくは関節の状態を治療するために実施され得る。
【0065】
中足骨内転は、中足骨がリスフラン関節において内転している横断面変形によって特徴付けられる、足の変形である。中足骨内転の変形の程度は、中足骨内転角によって特徴付けられることができる。中足骨内転角は、第2中足骨の長軸(中足骨の長軸を表す)と小足根骨の長軸との間の角度として定義され得る。小足根骨の長軸の測定は、立方骨との第4中足骨の外側関節を基準として使用して、小足根骨の横軸に垂直な線によって特徴付けられることができる。
【0066】
外反母趾は、外転外反母趾とも称され、母趾の外側偏位(外反、外転)及び第1中足指節関節の内側偏位によって特徴付けられる、複合的な進行性の状態である。外反母趾は、典型的に、母趾内転角、すなわち横断面内における第1中足骨と近位趾骨との長軸の間の角度の、漸進的な増大に帰着する。母趾内転角の増大は、中足骨から母趾までの、第1中足指節関節を横切る底側腱膜並びに内在筋及び外在筋の腱を、外側方向に変位させる傾向があり得る。その結果、種子骨もまた、例えば、第1中足指節関節に対して外側方向に変位させられ、種子骨と第1中足骨頭との間の関節の亜脱臼に帰着し得る。このことは、内側種子骨と第1中足骨頭の稜との間の圧力を増大させ得る。
【0067】
本明細書では、特に足のTMT関節に関連して技術及び装置が説明されるが、これらの技術及び/又は装置は、手又は足の関節によって分離された他の同様の骨に対しても使用され得る。例えば、これら技術及び装置は、手の手根中手関節に対して実施されてもよい。別の例としては、1つ以上の技術及び/又は装置は、例えば、中足指節関節をまたいで、中足骨及び/又は趾骨に対して使用されてもよい。様々な実装例においては、これら装置及び/又は技術は、1つ以上の骨が所望の位置に調製及び/又は移動させられるべき骨整列、骨切り術、融合、骨折修復、及び/又はその他の処置の一部として使用されることができる。
【0068】
更に、本明細書に説明される技術及び装置は、概して、第2及び/又は第3TMT関節の調製及び融合に関連して議論されるが、これら装置及び技術は、これらの特定の解剖学的位置又は一緒に実施されることに限定されるものではない。様々な例において、本開示の装置及び/又は技術は、単一のTMT関節(例えば、第1TMT関節第2TMT関節、第3TMT関節、第4TMT関節、第5TMT関節)、及び/又はTMT関節の任意の組み合わせ(例えば、第1及び第2TMT関節、第2及び第3TMT関節、第1及び第3TMT関節、第1、第2及び第3TMT関節、第1及び第4TMT関節、第1、第2及び第4TMT関節など)にわたる融合を調製及び促進するために利用され得る。
【0069】
本開示の例示的な技術を更に理解するために、まず
図1~3に関連して、発生し本開示に従って矯正され得る例示的な不整列とともに、足の解剖学的構造が説明される。前述のように、骨のずれは、中足骨内転、外反母趾(腱膜瘤)、及び/又はその他の状態によって引き起こされ得る。この状態は、足における1つ以上の骨のずれを呈し得る。
【0070】
図1A及び1Bは、正常な中足骨整列位置を示す、足10のそれぞれ上面図及び正面図である。足10は、第1中足骨12、第2中足骨14、第3中足骨16、第4中足骨18、及び第5中足骨20を含む、複数の骨で構成されている。第1中足骨12は足の最内側にあり、第5中足骨20は足の最外側にある。中足骨は、遠位で趾骨22に接続され、より詳細には、各々がそれぞれの近位趾骨に接続されている。中足骨と対応する対向する近位趾骨との間の関節24は、中足指節(「MTP」)関節と称される。第1MTP関節は、
図1Aにおいて関節24としてラベル付けされているが、第2、第3、第4及び第5MTP関節もまた、第1MTP関節に隣接して直列に示されている。
【0071】
第1中足骨12は内側楔状骨26に近接して接続され、第2中足骨14は中間楔状骨28に近接して接続され、第3中足骨16は外側楔状骨30に近接して接続されている。第4及び第5中足骨18、20は、立方骨32に近接して接続されている。中足骨と対向する骨(楔状骨、立方骨)との間の関節は、足根中足骨(「TMT」)関節と称される。
図1Aは、第1TMT関節34、第2TMT関節36、第3TMT関節38、第4TMT関節40、及び第5TMT関節42を示す。隣接する中足骨の間の角度は、中足骨間角度(「IMA」)と称される。
【0072】
図1A及び1Bの例においては、足10は、概ね正常に整列した中足骨を有するものとして図示されている。正常な中足骨の整列は、数ある属性の中でも、第1中足骨と第2中足骨との間の小さい中足骨間角度(例えば、9度以下、例えば、5度以下)によって特徴付けられ得る。加えて、小中足骨は、足を近位から遠位に二等分する長軸に概ね平行であってもよい。
【0073】
図3Aは、前額面52、横断面54、及び矢状面56を含む、足10の種々の解剖学的平面を示している。前額面52は、冠状面としても知られ、概して、身体を前部と後部とに分割する任意の垂直平面とみなされる。足10においては、前額面52は、垂直方向に延在し、足の長さに沿って近位から遠位に延在する軸に垂直な面である。横断面54は、水平面、軸面又は軸横断面としても知られ、身体を上部と下部とに分割する任意の平面とみなされる。足10においては、横断面54は、水平方向に延在し、足をまたいで背側から底側に(上部から底部に)延在する軸に垂直な平面である。更に、矢状面56は、身体を左半身と右半身とに分割する、矢状縫合に平行な平面である。足10においては、矢状面56は、垂直方向に延在し、足の長さに沿って近位から遠位に延在する軸と交差する平面である。
【0074】
中足骨内転を患う患者の場合、小中足骨(第2~第5中足骨)のうちの少なくとも1つ以上が横断面内で内側方向に偏位し得る(例えば、標準的な患者集団に対して臨床的に定義された正常な解剖学的整列に対して、前額面において回転させられている、及び/又は矢状面において偏位させられていることに加えて又はそれに代えて)。
図2A及び2Bは、例示的な中足骨内転の骨のずれを示す、足10のそれぞれ上面図及び正面図である。この例に示されるように、中足骨は、足を二等分する軸に対して内側方向に偏位している。このことは、外科的介入から利益を得る異常な生体力学的構造をもたらし得る。
図3Bは、
図2A及び2Bからの足10の中足骨内転が、中足骨内転角50によって特徴付けられることを示している。
【0075】
骨位置決め技術及び器具は、中足骨内転及び/又は外反母趾の中足骨のずれのような、1つ以上の骨のずれを矯正するのに有用であり得る。
図4は、融合のためにTMT関節を調製し、少なくとも中足骨内転変形を治療するために1つ以上の(例えば、複数の)中足骨を再調整するための例示的な技術を示すフロー図である。この技術は、
図1A及び1Bに関連して導入された骨の番号付けに関連して説明されるが、他の骨に対しても実施され得る。議論の目的ため、
図4の技術は、種々の例示的な画像に関連して議論されるが、本明細書で議論されるように、かかる器具を使用せずに、又は異なる器具を使用して、実施され得る。
【0076】
図4を参照すると、例示的な技術は、少なくとも第2TMT及び第3TMT関節に外科的にアクセスすること(100)を含む。関節に外科的にアクセスするために、臨床医は、第2及び第3TMT関節を露出させる1つ以上の切開(例えば、足の背側で)を行い得る。臨床医は、皮膚、皮下組織及び筋膜を剥離し得る。臨床医は、短母趾伸筋から短趾伸筋腹を可動化し、筋を収縮させ得る。軟組織及び/又は過成長した骨は、関節の可視化を容易にするために除去されてもよい。
【0077】
臨床医が第1中足骨の矯正も実施する場合においては、臨床医は第1TMT関節にも外科的にアクセスし得る。臨床医は、第1、第2及び第3TMT関節にまたがる単一の切開を行い得るが、二重切開アプローチは、不必要な切断及び傷付けを回避することができる。二重切開アプローチでは、臨床医は、第1TMT関節への背側(例えば、背外側及び背内側)アクセス(及び/又はその他の例においては内側アクセス)を提供する1つの切開と、第2及び第3TMT関節への背側(例えば、背外側及び背内側)を提供する第2の切開とを行い、第1及び第2の切開の間の皮膚の中間部分に帰着し得る。二重切開を行う場合、外科医は、第2及び第3TMT関節への外科的なアクセスの前に、後に、又は該アクセスと同時に、第1TMT関節に外科的にアクセスし得る。
【0078】
実際には、特に骨の変形のためにオフセットされていることがある1つ以上の小TMT関節のような、患者の足における1つ以上のTMT関節の位置を、臨床医が迅速かつ正確に特定することは困難であり得る。臨床医は、例えば、皮膚を通して切開する前に及び/又は切開した後に、皮下で関節を見つけることを支援するために、TMT関節の位置を特定することを支援する関節発見ガイド(例えば、切開ガイド)を利用し得る。一例として、関節発見ガイドは、撮像下でTMT関節の位置を指定するために、少なくとも部分的に放射線不透過性材料から作製された器具であってもよい。例えば、関節発見ガイドは、撮像下でガイドの残りの部分から区別可能な1本以上の放射線識別可能なマーキング線を含んでもよい。1つ以上の放射線識別可能なマーキング線は、ガイドの残りの部分とは異なる材料から形成されてもよく、ガイドの残りの部分とは異なる厚さを有してもよく、及び/又はその他の方法でガイドの残りの部分と撮像下で区別可能であってもよい。いずれの構成においても、臨床医は、放射線識別可能なマーキング機能(例えば、線)を撮像下でTMT関節に整列させ、その後関節にアクセスするための場所を指定し得る。臨床医は、切開を行う前及び/又は切開を行った後に、目標のTMT関節を包含する足10の少なくとも一部の蛍光透視(例えば、X線)画像を撮影し得る。臨床医は、関節発見ガイド上の放射線識別可能なマーキングを使用して関節の位置を指定し、例えば、その後、関節の上を切開し、及び/又は指定された位置で関節を解放することができる。
【0079】
別の例として、関節発見ガイドは、臨床医が、TMT関節にツールが落ち込むまでTMT関節の領域を物理的に探索することを可能とするように構成された(例えば、そのようなサイズ及び/又は形状とされた)ツールの形をとってもよい。例えば、関節発見ガイドは、平頭ねじ回し、ロッド、又はその他の器具であってもよい。このツールは、TMT関節を探索する間に骨に接触し得るため、このツールは、尖っていない先端部を有してもよく、及び/又は、骨の切断若しくはその他の骨の除去を最小限にする若しくは防止するように選択されてもよい。臨床医は、切開を行う前及び/又は切開を行った後に、このツールを使用して関節を探索し得る。
【0080】
したがって、様々な例においては、臨床医は、視覚的及び/又は触覚的検査によって、及び/又はX線(例えば、蛍光透視)撮像を通して、TMT関節腔を特定し得る。臨床医がTMT関節の位置を特定することを支援するための1つ以上の関節発見ガイドを利用するか否かとは独立して、臨床医は、外科的に関節を露出させるために切開を行うことができる。関節が露出した状態で、臨床医は任意選択的に、アクセスされた各TMT関節から軟組織を解放して(例えば、関節に切断器具を挿入して)、後続する再調整のために関節を可動化することを支援し得る。
【0081】
TMT関節腔へのアクセスにより、
図4の技術は、第3TMT関節38において第2TMT関節36を形成する骨の端面を調製することを含む。特に、臨床医は、第2TMT関節に面する第2中足骨14の端部を調製し(102)、第3TMT関節に面する第3中足骨16の端部を調製し(104)、第2TMT関節に面する中間楔状骨28の端部を調製し(106)、及び/又は第3TMT関節に面する外側楔状骨30の端部を更に調製し(108)てもよい。
図4は、第2及び第3TMT関節を画定する骨が調製されることができる例示的な順序を模式的に示しているが、外科的技術は、調製のいかなる特定の順序にも限定されるものではないことは、理解されるべきである。例えば、臨床医は、1つ以上の中足骨を調製する前に一方の若しくは両方の楔状骨を調製してもよく、1つ以上の楔状骨を調製する前に一方の若しくは両方の中足骨を調製してもよく、一方のTMT関節を画定する一方の中足骨及び一方の楔状骨の端部を調製してから他方のTMT関節の骨端部を調製してもよく、又は更に別の順序で骨調製を実施してもよい。
【0082】
概して、臨床医は、再調整に続いてTMT関節にわたる骨端部の融合を促進するように、TMT関節を形成する各骨の端部を調製することができる。骨調製は、後続する融合を促進するために出血した骨面を作るように骨の端面に力を加えるため、切断器具とも称され得る組織除去器具を使用することを含み得る。使用されることができる例示的な組織除去器具は、限定するものではないが、鋸、回転掘削器具、骨鉗子、拡孔器、骨刀、鋭匙などを含む。組織除去器具は、軟骨及び/又は骨を除去するために調製されている骨の端面に適用され得る。例えば、組織除去器具は、軟骨下骨に至るまでの軟骨(例えば、全ての軟骨)を除去するために端面に適用され得る。これに加えて又は代替として、組織除去器具は、骨の端面を切断、開窓、モルタル化、及び/又はその他の方法で再成形するために、及び/又は融合を促進するために出血した骨面を形成するために、適用されてもよい。骨の端部を除去するために切断操作が実施される場合、この切断は、フリーハンドで、切断されるべき骨の部分の上に位置決め可能なガイド面を有する切断ガイドの助けを借りて、及び/又は、骨調製テンプレートの助けを借りて、実施されてもよい。切断ガイドを使用する場合、切断器具は、骨の除去のために切断器具をガイドするためガイド面に対して(例えば、2つのガイド面の間に画定されたスロットの間に)挿入され得る。骨調製テンプレートを使用する場合、骨調製テンプレートは、1つ以上の骨のどこに調製ステップ(例えば、切断)が実施されるべきかをマーク又はその他の方法で指定するために使用され得る。臨床医は次いで、骨調製テンプレートの使用を通して示された位置において、フリーハンドの骨調製ステップ(例えば、切断)を予め形成し得る。
【0083】
いくつかの例においては、臨床医は、第2TMT関節を画定する少なくとも1つの骨(例えば、第2中足骨14及び中間楔状骨28のうちの一方又は両方)を切断し、また第3TMT関節を画定する少なくとも1つの骨(例えば、第3中足骨16及び外側楔状骨30のうちの一方又は両方)を切断する。臨床医は、第2TMT関節を画定する両方の骨を切断してもよいし、又は、関節を画定する一方の骨のみを切断し、他方の骨に対しては異なる調製技術を実施してもよい。同様に、臨床医は、第3TMT関節を画定する両方の骨を切断してもよいし、又は、関節を定義する1つの骨のみを切断し、他方の骨に対しては異なる調製技術を実施してもよい。
【0084】
臨床医がTMT関節を形成する少なくとも1つの骨を切断する場合、かかる各切断は、前額面、横断面及び矢状面のうちの1つ以上において切断される骨の端部に対して平行であってもよいし、又は非平行であってもよい。例えば、切断は、横断面内で骨の端面に対して角度を付けられてもよく、前額面内で骨の端面に対して平行であってもよい。他の例としては、切断は、曲線状、弧状、球状、ジグザグであってもよく、又は、別の骨部分に対する1つの骨の再調整及び融合を容易にするための他の望ましい切断形状を画定してもよい。いくつかの例においては、TMT関節を画定する2つの骨の端面は各々、各骨の端部を切断して、端面間に成形された開口を作ることによって調製される。開口は、再調整及び後続する融合を容易にするために、骨が互いに対して再位置決めされる(例えば、再調整の過程において作られた開口を部分的に又は完全に閉じる)ことを可能にする形状を有していてもよい。
【0085】
一例においては、臨床医は、調製されている骨の端部を横断面内で端面に対してある角度で切断して、切断されている骨の残りの部分から解放される骨の楔形のセクションを形成してもよい。このことは、切断されている骨の新たに画定された端部と、調製されているTMT関節を挟んで対向する骨との間に、楔形の開口を作り得る。楔形の開口は、TMT関節の内側からTMT関節の外側へ移動して拡大し得る。例えば、楔形の骨部分及び対応する開口は、概して三角形の形状を有していてもよい。楔形の開口は、TMT関節にわたる間隙を提供することができ、該間隙は、後続する横平面内での中足骨の枢動によって閉じられることができる。しかしながら、ここでもまた、本開示の範囲から逸脱することなく、他の形状の切断が、TMT関節に面する一方の又は両方の骨に実施され得る。TMT関節を画定する1つ以上の骨端部において使用され得る例示的な骨切断形状及び構成は、2019年12月24日付けの「OSTEOTOMY PROCEDURE FOR CORRECTING BONE MISALIGNMENT」と題された米国特許第10,512,470号、及び2020年3月10日付けの「DEVICES AND TECHNIQUES FOR PERFORMING AN OSTEOTOMY PROCEDURE ON A FIRST METATARSAL TO CORRECT A BONE MISALIGNMENT」と題された米国特許第10,582,936号に記載されており、その両方の内容全体がここで参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0086】
図5Aは、関節の調製の間に切断され得る例示的な骨楔を示すための、第2及び第3TMT関節上に位置決めされた例示的な切断ガイド150を示す、足10の上面図である。この例においては、切断ガイド150は、切断されるべき第2中足骨14の部分及び第3中足骨16の部分の上に位置決めされた第1のガイド面152(切断スロットとして示されている)を画定するものとして示されている。切断ガイド150はまた、切断されるべき中間楔状骨28及び外側楔状骨30の部分の上に位置決めされた第2のガイド面154(切断スロットとして示されている)を画定するものとして示されている。臨床医は、切断器具を第1のガイド面152と平行に前進させて、第2中足骨14の端部を切断し、また第3中足骨16の端部を切断することができる。臨床医はまた、切断器具を第2のガイド面154に平行に前進させて、中間楔状骨28及び外側楔状骨30の端部を切断することができる。異なる実装例においては、切断ガイド150のガイド面は、直線状、曲線状、及び/又は更に他の形状を画定してもよい。したがって、切断器具をガイド面に平行にガイドするステップは、骨にわたる直線状の切断、曲線状の切断、又は更に他の形状の切断に帰着し得る。
【0087】
図5Aの例においては、第1のガイド面152は、第2及び第3中足骨14、16にわたる横断面内で角度を付けられて示されている。第1のガイド面152は、第2中足骨14の内側近位側から第3中足骨16の外側遠位側に向かって角度を付けられて示されている。第3中足骨16の外側遠位側は、第2中足骨上の近位位置よりも比較的遠位ではあるが、依然として中足骨の近位の半分上にあり得る。切断されている骨の端面に対して角度を付けられた切断を予め形成することによって、楔形の骨部分が骨から解放されてもよい。
図5Aにおいては、第2中足骨14の楔形のセクション156は、第2中足骨を切断する際に解放される。更に、第3中足骨16の楔形のセクション158は、第3中足骨を切断する際に解放される。切断を介して除去される骨の各楔形のセクションは、切断されている骨の内側において狭い幅(例えば、頂点)を有し、切断されている骨の外側においてより広い幅(例えば、基部)を有してもよい。切断の間に形成される骨楔の特定の次元における角度付けの程度は、患者の解剖学的構造及び矯正されている変形の程度に応じて変化し得る。いずれの場合においても、そのように切断された骨楔は、TMT関節腔から除去されて、対向する骨に対して楔形の開口を画定し得る。
【0088】
図5Aの例においては、臨床医は、中足骨の再調整に続く融合を促進するために、中間楔状骨28及び外側楔状骨30の端部を切断するように切断器具をガイドするため、第2のガイド面154を使用し得る。中間楔状骨28及び外側楔状骨30に対して実施される切断は、切断されている骨の端面に対して概ね平行であってもよいし(例えば、横断面内)、又は切断されている骨の端面に対して角度を付けられていてもよい。更に他の例においては、中間楔状骨28及び外側楔状骨30のうちの一方又は両方の端面は切断されなくてもよいが、以上に議論されたような異なる技術(例えば、開窓術)を使用して調製されてもよい。
【0089】
第2中足骨14及び第3中足骨16が切断によって調製されるいくつかの例においては、中足骨は、両方の中足骨にわたる単一の連続的な切断を使用して切断されてもよい。例えば、臨床医は、第2中足骨14の内側から第3中足骨16の外側に向かって、又は第3中足骨の外側から第2中足骨の内側に向かって、切断器具を直線的にガイドしてもよい。いずれの場合においても、臨床医は、第2中足骨及び第3中足骨の端部を横断する連続的な切断ラインを形成し得る。第2中足骨及び第3中足骨の基部を横断するかかる連続的な切断は、後続する骨の再調整の間に、中足骨内転角の確実な縮小を促進するのに有用であり得る。中間楔状骨28及び外側楔状骨30が中足骨の端部に加えて又はそれに代えて切断される応用例においては、2つの楔状骨は、2つの中足骨の端部にわたるかかる連続的な切断を使用して切断されてもよいし、又はそうでなくてもよい。
【0090】
外科的技術の他の応用例においては、第2中足骨14及び第3中足骨16の端部が独立して(例えば、切断器具を2つの中足骨にわたる連続的な切断線において移動させずに)切断されてもよい。例えば、患者が中間楔状骨28の端部と外側楔状骨30の端部との間に著しいステップ状のずれ(例えば、遠位オフセット)を呈する場合、対向する第2及び第3中足骨14、16の端部は、2つの中足骨の端部をまたいで連続した切断を形成する代わりに、独立して(例えば、2つの別個の切断を通して)調製されてもよい。対向する第2及び第3中足骨14、16の端部は、第2及び第3中足骨上の切断角度に対する独立した制御/調節可能性を提供するためのような、他の理由によって独立して調製されてもよい。
【0091】
図5Aは、第2及び第3TMT関節の端部を調製するために使用され得る1つの例示的な切断ガイド150及び1つの例示的な切断構成を示すが、本開示による技術は、かかる例示的なガイド又は切断構成に限定されるものではないことは、認識されるべきである。例えば、開示による技術は、フリーハンドで(切断ガイドの使用なしで)実施されてもよいし、又は異なる構成を有する切断ガイドを用いて実施されてもよい。切断ガイドの使用に加えて又はこれに代えて、臨床医は、後に切断されるべき1つ以上の骨部分上に骨調製テンプレートを位置決めしてもよい。骨調製テンプレートは、骨が切断されるべき又はその他の方法で調製されるべき、その下にある骨上の場所を示すように構成されてもよい(例えば、そのようなサイズ及び/又は形状とされてもよい)。骨調製テンプレートを、その下にある骨上で位置決めすることは、骨が調製されるべき場所を骨上にマークするか又はその他の方法で示し得、及び/又は、臨床医が、骨上のどこに骨が調製されるべきかをマークするために骨調製テンプレートを使用し得る。臨床医は続いて、骨調製テンプレートを取り外し、テンプレートを使用してマークされた又はその他の方法で示された位置において、骨調製ステップ(例えば、切断)を予め形成してもよい。
【0092】
更に、
図5Aは、第2中足骨14及び第3中足骨16の端部に実施されている角度を付けられた切断を示しているが、かかる角度を付けられた切断は必須ではない。概して、調製されているTMT関節を形成する中足骨及び楔状骨のいずれか一方又は両方は、1つ以上の平面(例えば、横断面)内で中足骨を回転させるための、及び/又は1つ以上の骨の再調整を容易にするための開口を確立するように切断されてもよい。TMT関節を形成する骨のうちの他方もまた、切断によって調製されてもよいし、又は異なる骨調製技術を使用して調製されてもよい。
【0093】
一例として、臨床医は、第2中足骨から骨の楔形のセクション156を除去し、第3中足骨から骨の楔形のセクション158を除去してもよい。臨床医は、対向する中間楔状骨28及び外側楔状骨30の端部を切断し、開窓し、及び/又はその他の方法で調製することができる。別の例においては、臨床医は、中間楔状骨28から骨の楔形のセクションを除去し、及び/又は外側楔状骨30から骨の楔形のセクションを除去してもよい。臨床医は、対向する第2中足骨14及び第3中足骨16の端部を切断し、開窓し、及び/又はその他の方法で調製することができる。更に別の例においては、臨床医は、第2及び第3TMT関節のうちの一方の楔状骨から骨の楔形のセクションを除去し、第2及び第3TMT関節のうちの他方の中足骨から骨の楔形のセクションを除去してもよい。対向する骨の端面は、骨の端面に平行に、ある角度を付けて、及び/又はその他の方法で(例えば、切断を伴って又は伴わずに)調製されてもよい。例えば、臨床医は、TMT関節を形成する両方の骨の端部から両方の楔形のセクションを除去してもよい。いずれの場合においても、TMT関節を画定する骨の端部間に作られる開口は、両方の骨の端部から除去された骨の累積量によって画定されてもよい。上述のように、外科的処置を受ける患者の特性に応じて、更に他の実施形態においては、臨床医は、第2及び第3TMT関節を画定する骨の端面を切断しなくてもよいし、又は骨の端面に平行に骨切断を実施してもよい。更に、前述の例は、骨の楔形のセクションを除去することによって実施されるものとして説明されているが、本明細書に記載されるように、別の形状を有する骨のセクションが除去されてもよい。
【0094】
臨床医が骨の端面を切断する例においては、臨床医は、端面を切断する前に又は切断した後に、端面に対して1つ以上の追加的な調製ステップを実施してもよいし、又は実施しなくてもよい。いくつかの例においては、臨床医は、骨を切断した後、骨の新たに形成された端面を開窓する。臨床医は、ドリルを使用して、切断されている骨の新たに形成された端面を開窓してもよく、このことは、再調整に続く骨の後続する融合を促進することを支援し得る。臨床医は、骨面において複数の開口(例えば、ドリル穴)を作ることによって骨面を開窓して、骨面の端部に複数の出血点を提供してもよい。各ドリル穴は、端面の断面積に対して比較的小さくてもよく、例えば、端面の断面積の10%未満、端面の断面積の5%未満、又は端面の断面積の1%未満であってもよい。複数の開口は、端面をまたいで融合を促進するための場所を提供するために、端面をまたいで異なる位置に配列されてもよい。開窓の間に形成される穴の数は様々であり得、いくつかの例においては、5より大きく、例えば、10より大きくてもよい。
【0095】
実施され得る調製ステップの別の例としては、臨床医は、第2TMT及び/又は第3TMT関節線内へと及び/又はそれらをまたいで延在する、1つ以上の突出する骨部分を除去してもよい。突出する骨部分は、楔状骨から関節腔内へ遠位に、及び/又は中足骨から関節腔内へ近位に、延在していてもよい。例えば、
図29に関連してより詳細に議論されるように、特定の患者は、隣接する関節平面間(例えば、第2TMT関節を画定する平面と第3TMT関節を画定する平面との間)に著しいステップ状のずれ、又は遠位オフセットを呈する場合がある。このことは、後続する再調整のための2つの関節間の相対的な動きを阻害し、かつ/又は、一方又は両方の関節腔への切断ガイドの挿入を阻害し得る。これらの及びその他の理由のため、臨床医は、例えば、第2TMT関節及び第3TMT関節をまたいで延在するポケット又は連続的な関節線を作るために、1つ以上の突出する骨部分を除去してもよい。臨床医は、フリーハンドで、及び/又は
図30に関連してより詳細に議論される切断ガイド292のような切断ガイドの助けを借りて、切断機器を使用して1つ以上の突出する骨部分を除去してもよい。
【0096】
別の例としては、臨床医は典型的に、例えば、1つ以上のガイド平面又はその他のガイド機能が1つ以上の下にある骨に対して適切に位置決めされることを確実にするために、X線撮像(例えば、蛍光透視)下で切断ガイド及び/又は骨調製テンプレートの位置を視覚化してもよい。臨床医は、例えば、1つ以上のガイド平面又はその他の整列機能が、マーキング、切断、及び/又はその他の方法で調製されるべき下にある骨の所望の部分又は領域上に位置決めされるまで、撮像下で切断ガイド又は骨調製テンプレートの位置を調節してもよい。
【0097】
図5B~5Eは、本開示の技術による切断ガイド150の例示的な構成を使用して足10に対して実施され得る、例示的な骨調製ステップを示す。特に、
図5B及び5Cは、足の背側上に位置決めされた切断ガイド150を示す、足10の斜視図及び上面図(背側)である。具体的には、切断ガイド150は、切断されるべき第2中足骨14の部分及び第3中足骨16の部分の上に位置決めされた第1のガイド面152を有して示されており、第2のガイド面154は、切断されるべき中間楔状骨28及び外側楔状骨30の部分の上に位置決めされている。この例においては、切断ガイド150は、第2中足骨14、第3中足骨16、中間楔状骨28、及び外側楔状骨30の各々の上に位置決め可能な、少なくとも1つの固定開口を画定している。臨床医は、固定開口の1つ以上(例えば、全て)を通して固定ピンを挿入して、切断ガイドをその下にある骨に固定することができる。
【0098】
使用時には、臨床医は、第1のガイド面152に沿って切断器具をガイドして、第2中足骨14の端部を切断し、また第3中足骨16の端部を切断することができる。臨床医はまた、切断器具を第2のガイド面154に沿ってガイドして、中間楔状骨28及び外側楔状骨30の端部を切断することができる。
図5Dは、切断後に除去され得る例示的な骨部分を示す足の斜視図であり、具体的には、第2中足骨14から除去された例示的な楔形のセクション156と、第3中足骨16から除去された例示的な楔形のセクション158とを示している。追加的な骨のセクションが、中間楔状骨28及び外側楔状骨30から除去されてもよい。
図5Eは、1つ以上の骨部分の除去の際に第2中足骨14と中間楔状骨28との間に形成される例示的な開口157と、1つ以上の骨部分の除去の際に第3中足骨16と外側楔状骨30との間に形成される例示的な開口159とを示している。
【0099】
図4を更に参照すると、例示的な技術は、第2中足骨14及び第3中足骨16を少なくとも1つの平面内で移動させる(110)ことを含む。
図4は、中足骨14、16の端面並びに対向する中間及び外側楔状骨28、30を調製した後に、第2及び第3中足骨14、16が移動させられる例示的な順序を模式的に示しているが、骨の調製及び移動の他の順序が実施されてもよい。例えば、臨床医は、1つ以上の中足骨及び/又は1つ以上の楔状骨を調製する前に(例えば、全ての骨の端面を調製する前に)、第2及び/又は第3中足骨14、16を移動させてもよい。例えば、臨床医は、第2及び第3中足骨14、16を移動させ、次いで中足骨14、16の端面並びに対向する中間及び外側楔状骨28、30を調製してもよい。これらの実装例においては、臨床医は、中足骨及び楔状骨の端面を調製した後に、第2及び/又は第3中足骨14、16を更に移動させてもよいし、又は移動させなくてもよい。別の例としては、臨床医は、1つ以上の骨(例えば、1つ以上の中足骨及び/又は楔状骨)の端面を調製し、第2中足骨14及び第3中足骨16のうちの一方又は両方を移動させ、次いで1つ以上の他の骨(例えば、1つ以上の中足骨及び/又は楔状骨)の端面を調製してもよい。
【0100】
移動及び骨の調製の順序とは独立して、臨床医は、例えば、中足骨をその近位端のまわりに枢動させて、中足骨の遠位端を横断面内で外側方向に移動させることによって、第2及び第3中足骨14、16を横断面のような1つ以上の平面内で移動させてもよい。骨形成の間に第2及び/又は第3TMT関節において楔形の開口が形成された例においては、第2及び第3中足骨の遠位端の外側方向への回転は、楔形の開口を閉じ得る(又は、非楔形の開口が作られた例においては、別の形の開口を閉じ得る)。例えば、第2及び第3中足骨14、16の遠位端の横断面内での外側方向への並進は、第2中足骨14及び対向する中間楔状骨28の端部、並びに第3中足骨16及び対向する外側楔状骨30の端部を、概ね平行に整列させ得る。臨床医は、1つ又は両方の骨を横断面内で移動させることに加えて又はそれに代えて、第2及び/又は第3中足骨を前額面及び/又は矢状面内で移動させてもよい。例えば、臨床医は、前額面内で一方若しくは両方の骨を回転させてもよく、及び/又は矢状面内で一方若しくは両方の骨を(例えば、背側に)並進させてもよい。
【0101】
概して、横断面内での第2中足骨14及び第3中足骨16の移動は、中足骨内転角を閉じ得る。中足骨内転角は、背臥位X線写真上の第2中足骨を二等分する線と小足骨を二等分する縦線との間に形成される角度測定値であり得る。いくつかの例においては、第2及び第3中足骨14、16は、各中足骨について中足骨内転角が15°以下、例えば、12°以下、10°以下、7°以下、5°以下、又は3°以下となるまで移動させられる。
【0102】
第2中足骨14及び第3中足骨16は、個別に又は合わせて(例えば、骨ブロックとして)移動させられ得る。第2及び第3中足骨14、16を接合された群として移動させることは、中足骨のより自然な再調整及び中足骨内転変形の矯正を達成するのに役立ち得る。第2及び第3中足骨14、16を接合された群として移動させることを支援するために、第2及び第3TMT関節の調製の間に、2つの中足骨の間の靱帯が保存されてもよい。例えば、底側TMT靭帯並びに第2及び第3中足骨14、16の間の靭帯は、第2及び第3中足骨の調製及び移動の間に保存されてもよい(例えば、切断されていないか又は破断されていないままである)。靭帯構造を保存することは、変形縮小中に第2及び第3TMT関節の不安定化を回避することを支援し得、このことは、骨構造の解剖学的再調整を改善し得る。
【0103】
図6は、足の靭帯構造を模式的に示す図である。図示されるように、底側TMT靭帯は、内側楔状骨26と第2及び第3中足骨14、16との間の第2底側中足靭帯を含む。底側TMT靭帯はまた、外側楔状骨30と第3中足骨16との間の第3底側中足靭帯を含む。第1底側中足靭帯は、第2中足骨14と第3中足骨16との間に延在している。第2及び第3底側中足靭帯及び第1底側中足靭帯のような、第2及び第3中足骨間の靭帯付着は、中足骨内転を矯正するための第2及び第3中足骨の調製及び移動の間に保存されてもよい。このことは、2つの中足骨が接合された骨群として一緒に移動することを可能とし得る。
【0104】
第2及び第3中足骨14、16を単独で又は組み合わせて移動させるために、骨はその近位基部のまわりに枢動させられて、骨の遠位端が横断面内で外側方向に並進するようにしてもよい。第2及び第3中足骨14、16を群として移動させる場合、臨床医は、第2及び第3中足骨ブロックを第2中足骨14の近位内側部分のまわりに枢動させてもよい。臨床医は、両方の骨を前額面内で同時に回転させること及び/又は骨の矢状面位置を調整することを伴って又は伴わずに、第2及び第3中足骨14、16を横断面内で複合群として移動させてもよい。いくつかの実装例においては、臨床医は、第2中足骨がリスフラン靭帯に付着したままで、第2及び第3中足骨14、16をリスフラン靭帯のまわりに群として移動させる。したがって、リスフラン靭帯は、第2及び第3中足骨群が横断面内でそのまわりに回転することができるヒンジ又は枢動点として機能し得る。
【0105】
他の例においては、臨床医は、第2及び第3中足骨14、16を実質的に独立して移動させてもよい(例えば、各中足骨に別個の移動力を加えることにより)。例えば、臨床医は、2つ以上の平面内で又は全ての3つの平面内でのように、1つ以上の平面内で第3中足骨16を移動させる力を加え、続いて1つ以上の平面内で第2中足骨14を移動させる(又はその代わりに第2中足骨14を移動させ、続いて第3中足骨を移動させる)力を加えてもよい。臨床医は、2つの骨の独立した再位置決めを容易にすることを支援するために、第2及び第3中足骨14、16を相互接続する1つ以上の靭帯付着を切断するか若しくはその他の方法で解放してもよいし、又はそうしなくてもよい。
【0106】
臨床医が第2及び第3中足骨14、16を一緒に移動させるか又は独立して移動させるかとは独立して、第2及び第3中足骨間の中足骨間角度は、中足骨内転の矯正の間に変化してもよいし、又は変化しなくてもよい。換言すれば、第2中足骨14と第3中足骨16との間の中足骨間角度は、矯正前の中足骨間角度から矯正後に呈される中足骨間角度に圧縮されてもよいし、又は圧縮されなくてもよい。いくつかの実装例においては、第2及び第3中足骨14、16は、第2及び第3中足骨間の中足骨間角度を実質的に変えることなく、横断面内で群として枢動させられる。例えば、第2及び第3中足骨間の中足骨間角度は、中足骨内転の矯正前に呈される角度から、矯正技術が実施された後に呈される角度まで、5°未満、例えば、2°未満、又は1°未満だけ変化(例えば、減少)してもよい。
【0107】
横断面内での第2及び第3中足骨の移動を容易にすることを支援するために、臨床医は、第3中足骨16と第4中足骨18との間の軟組織解放を実施してもよい。軟組織解放は、隣接する第4中足骨に対して第3中足骨を可動化させ、接合された第2-第3中足骨ブロックが横断面内で枢動させられることを可能にし得る。
【0108】
第2中足骨及び第3中足骨を横断面内で移動させることに加えて、臨床医はまた、例えば、それらの小中足骨によって呈される中足骨内転角を閉じるように、第4中足骨18及び第5中足骨20を1つ以上の平面(例えば、横断面、前額面及び矢状面のうちの1つ以上)内で移動させてもよい。実際には、1つ以上の平面(例えば、横断面)内での第2中足骨14及び第3中足骨16の移動は、第4及び第5中足骨18、20に対する別個の外科的介入を必要とせずに、同じ1つ以上の平面(例えば、横断面)内で第4及び第5中足骨を自然に矯正させ得る。例えば、臨床医が第2中足骨14及び第3中足骨16の遠位端を単独で又は組み合わせて回転させると、第4中足骨18及び第5中足骨20の遠位端もまた外側方向に移動し得る。第4中足骨18の近位基部及び第5中足骨20の近位基部は、立方骨32に対して向きを変えて、第4及び第5中足骨の中足骨内転角を閉じてもよい。特定の理論に拘束されることを望むものではないが、移動の間に第2及び/又は第3中足骨に加えられる力は、かかる中足骨を第4及び第5中足骨に相互接続する組織及び靭帯構造を通して伝達され、小中足骨を引っ張り、再調整するものと考えられる。
【0109】
第4中足骨18及び第5中足骨20の位置は、(第2中足骨14及び/又は第3中足骨16の矯正に応答して)中足骨に外科的にアクセスし、調製することなく矯正してもよい。しかしながら、他の応用例においては、臨床医は、1つ以上の他のTMT関節を調製することに加えて又はそれに代えて、第4TMT関節40及び/又は第5TMT関節42を画定する骨に外科的にアクセスして調製してもよい。例えば、第4中足骨18及び/又は第5中足骨20を1つ以上の平面内で移動させる前又は移動させた後に(例えば、第2中足骨14及び/又は第3中足骨16の移動とは別に又はこれと組み合わせて)、臨床医は、第4TMT関節40及び/又は第5TMT関節42を画定する骨に外科的にアクセスして調製してもよい。臨床医は、例えば、矯正されている変形の性質、並びに骨の再調整及び/又は融合のために関節を調製する必要性の認識に応じて、第4TMT関節40及び/又は第5TMT関節42を画定する骨にアクセスし、調製するか否かを決定してもよい。
【0110】
臨床医は、第4及び/若しくは第5中足骨18、20の端部を調製し、かつ/又は第4及び/若しくは第5中足骨の端部の反対側に立方骨32の端部を調製して、再調整及び/又は融合を容易にしてもよい。臨床医は、本明細書で議論される骨調製技術のいずれかを使用して、1つ以上の骨端部を調製することができる。様々な例においては、臨床医は、第4及び第5中足骨18、20の端部を独立して調製してもよいし、又は中足骨の端部を一緒に調製してもよい(例えば、第2中足骨14及び第3中足骨16の調製に関連して議論されたように、連続した切断を行うために両端部上に単一の連続した切断ガイド平面を位置決めするなど)。これに加えて又は代替として、臨床医は、第4及び/又は第5中足骨18、20に面する立方骨32の端面の部分を、一緒に又は別個の調製ステップを通して、調製してもよい。
【0111】
臨床医が第4TMT関節40及び/又は第5TMT関節42を画定する骨にアクセスして調製する例においては、第4中足骨18及び第5中足骨20のうちの一方又は両方は、第2及び/又は第3中足骨14、16に加わる力に応答して(例えば、中足骨を相互接続する組織及び靱帯構造を通して力を変換することにより)1つ以上の平面内で再調整されてもよい。これに加えて又は代替として、臨床医は、第4中足骨18及び/又は第5中足骨20に力を加えて、2つ以上の平面又は3つの全ての平面のような、1つ以上の平面内で、一方又は両方の中足骨を移動させてもよい。第4及び第5中足骨18、20は、接合された骨ブロックとして(例えば、第2及び第3中足骨14、16の骨ブロックにも接続された、又はそれらから分離した骨ブロック)移動させられてもよく、及び/又は(例えば、各中足骨に別個の移動力を加えることにより)互いから実質的に独立して移動させられてもよい。更に、臨床医は、第4又は第5中足骨のうちの一方だけを移動させる力を加えてもよい。
【0112】
典型的な中足骨内転変形では、中足骨は横断面内で実質的に一平面的なずれを呈し得る(ただし前額面及び/又は矢状面内でずれることもある)。この理由のため、
図4の例示的な技術は、概して、横断面内で第2及び第3中足骨14、16(及び任意選択的に第4及び第5中足骨18、20)を矯正するものとして説明されてきた。臨床医は、概ね一平面的なずれを矯正するために、中足骨を横断面内でのみ移動させてもよい。代替としては、臨床医は、再調整されている中足骨のうちの1つ以上を(例えば、再調整されている中足骨の複数又は全部を)、2つ以上の平面内で移動させてもよい。例えば、横断面内で中足骨を再調整することに加えて又はそれに代えて、臨床医は、前額面内で中足骨の回転角度を調節してもよく、及び/又は矢状面において中足骨の角度を調節してもよい。
【0113】
臨床医が多平面の再調整を実施する場合、臨床医は、例えば、中足骨を円弧状の又はその他の移動経路で移動させて、複数の平面内で中足骨の位置を調節することにより、単一の移動を通して1つ以上の中足骨を同時に複数の平面内で移動させてもよい。臨床医は任意選択的に、固定前に中足骨の位置を確定するために、例えば、骨位置決め装置の助けを借りて、及び/又は手で中足骨を把持することにより(例えば、中足骨に挿入されたピンの助けを借りて)、1つ以上の中足骨の移動させられた位置を更に微調節してもよい。
【0114】
他の例においては、臨床医は、1つ以上の中足骨を異なる平面内で移動させるために、異なる移動ステップを実施してもよい。例えば、臨床医は、最初に1つ又は2つの平面(例えば、横断面、前額面、矢状面)内で1つ以上の中足骨を移動させ、次いで1つ又は2つの他の平面(例えば、横断面、前額面、矢状面のうちの他の平面)内で1つ以上の中足骨を移動させ、任意選択的にこれに続いて第3の平面内で1つ以上の中足骨を移動させてもよい。換言すれば、臨床医は、1つ以上の中足骨を異なる平面内で移動させるために異なる動作を実施してもよい。各移動ステップは、骨位置決め装置(異なる移動ステップに対して同じ装置であってもよいし又は異なる装置であってもよい)の助けを借りて、及び/又は手で中足骨を把持することによって(例えば、中足骨に挿入されたピンの助けを借りて)、実施されてもよい。
【0115】
いくつかの例においては、臨床医は、中足骨を外側方向に移動させることに加えて又はそれに代えて、再調整されている中足骨のうちの1つ以上(例えば、第2中足骨14及び/又は第3中足骨16)を、対向する骨に向かって横断面内で近位に移動させてもよい。例えば、臨床医は、再調整されている中足骨(例えば、第2中足骨14及び/又は第3中足骨16)を円弧(例えば、放物線)で外側方向及び近位に同時に移動させ、一方又は両方の中足骨の移動させられた位置を確立してもよい。
【0116】
臨床医は、再調整されている1つ以上の中足骨(例えば、第2中足骨14及び/又は第3中足骨16)を手で、及び/又は1つ以上の器具の助けを借りて、移動させることができる。例えば、臨床医は、第2中足骨及び/又は第3中足骨を把持し、中足骨の遠位端を外側方向に前進させて、中足骨内転角を減少させることができる。臨床医は、骨の移動を操作するために把持され得るジョイスティック又は構造を提供するために、移動させられている中足骨(例えば、第2及び/又は第3中足骨)に1つ以上のピンを挿入してもよい。これに加えて又は代替として、臨床医は、再調整を容易にするために、第2及び第3中足骨のうちの一方又は両方を把持するために、支持鉤又はトングを利用してもよい。
【0117】
いくつかの例においては、臨床医は、再調整を容易にするために中足骨(例えば、第2中足骨14及び/又は第3中足骨16)に力を加えることを支援するため、骨位置決めガイド(骨位置決め装置とも称される)を使用してもよい。骨位置決めガイドは、力が加えられている中足骨と係合する1つの端部(例えば、仮固定されている又はされていない接触点)と、異なる骨と係合する別の端部(例えば、仮固定されている又はされていない接触点)とを含んでもよい。例えば、骨位置決めガイドは、第2中足骨14及び/又は第3中足骨16と係合する1つの端部と、第2及び/又は第3中足骨以外の骨(例えば、小中足骨、楔状骨、立方骨)と係合する別の端部とを有してもよい。骨位置決めガイドは、中足骨内転角を減少させるよう、2つの端部を互いに向かって付勢する機構を有してもよい。ガイドの2つの端部を互いに向かって移動させるように機能することができる例示的な骨位置決めガイド係合機構は、ねじ又はねじ切りされたロッド、ラチェット、ラックピニオン、及び/又は臨床医によって加えられた力を変換して骨位置決めガイドの2つの端部を互いに向かって移動させる更に他の機能を含む。使用され得る例示的な骨位置決めガイドの詳細は、2018年4月10日に発行され「BONE POSITIONING GUIDE」と題された米国特許第9,936,994号に記載されており、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0118】
図7Aは、隣接する骨に対して中足骨を移動させるために使用され得る例示的な骨位置決め器60(骨位置決め装置とも称される)の側面斜視図である。いくつかの実装例においては、骨位置決め装置は、中足骨係合部材と、先端部と、中足骨係合部材及び先端部を1つ以上の平面内で互いに対して相対的に移動させる機構と、を含む。例えば、この機構は、中足骨係合部材及び先端部を互いに向けて移動させてもよい(例えば、中足骨係合部材を先端部に向かって移動させる、先端部を中足骨係合部材に向かって移動させる、又は両方を同時に移動させる)。骨位置決め装置はまた、この機構を作動させるためのアクチュエータを含んでもよい。この機構が係合させられると、中足骨係合部材と係合させられた中足骨を移動させて、先端部と接触する第2の骨に対する少なくとも1つの平面内での整列を矯正することができる。
【0119】
図7Aの実施形態においては、骨位置決め装置60は、本体部材62と、シャフト64と、シャフトに接続された中足骨係合部材66とを含み、先端部68は、本体部材に接続されている。概して、本体部材62は、患者上で位置決めされている間に解剖学的構造又は他の器具(例えば、ピン及びガイド)の邪魔にならないようなサイズ及び形状とされてもよい。
図7Aの実施形態においては、本体部材62は、概ねC字形である。骨位置決め装置60は、2つの構成要素すなわち本体部材62及びシャフト64から形成されるものとして示されているが、ガイドは、ガイドを形成するために一緒に接合されるより多くの構成要素(例えば、3つ、4つ又はそれ以上)から作製され得る。
【0120】
シャフト64は、本体部材62に移動可能に接続されてもよい。いくつかの実施形態においては、シャフト64は、シャフトの回転が本体部材に対してシャフトを並進させるように本体部材62と係合する、ねじ山70を含む。他の実施形態においては、シャフトは、本体部材内で滑動することができ、止めねじで所望の位置においてそこに固定されることができる。更に他の実施形態においては、シャフトは、先端部68に対して中足骨係合部材66を回転させる及び/又は直線的に並進させるラチェット機構又は更に他の機構によって、本体に対して移動させることができる。図示される実施形態においては、シャフトは、先端部と交差する軸に沿って移動する。他の実施形態においては、シャフト及び/又は中足骨係合部材は、先端部からオフセットされている。
【0121】
概して、中足骨係合部材66は、再位置決めされるべき中足骨と直接に又は間接的に接触して位置決められるように構成され(例えば、そのようなサイズ及び/又は形状とされ)てもよい。例えば、中足骨係合部材66のサイズ及び/又は形状に応じて、中足骨係合部材は、再調整されるべき中足骨と接触して皮下に位置決めされてもよいし、又は再調整されるべき中足骨を覆う皮膚の外側と接触して位置決めされてもよい。例えば、いずれの構成においても、中足骨係合部材66は、再調整されるべき中足骨の内側(例えば、第2中足骨14、第3中足骨16、第4中足骨18、第5中足骨20の内側)に位置決めされ、先端部68が、外側に位置する骨のような別の骨と接触して(例えば、それに仮固定されて又はされずに)位置決めされてもよい。
【0122】
中足骨係合部材66は、その下にある円筒形の骨のまわりに概ね適合する及び/又は該骨を部分的に包み込むように、凹状の形状を画定し得る。この凹状の形状は、連続的な曲率半径、V字形状、外向きに延在する側壁の間の平面領域、及び/又はその他の凹部を有する形状を画定することを含んでもよい。更に他の例においては、中足骨係合部材66は平面状であってもよい。
【0123】
先端部68は、骨位置決め装置60によって移動させられている骨とは異なる骨のような骨に接触するのに有用であり得る。例えば、中足骨係合部材66が、1つの中足骨の内側上に位置決めされる場合、先端部は、異なる中足骨(例えば、第3、第4又は第5中足骨)の外側とともに、該骨と直接接触するか、又はかかる中足骨を覆う皮膚の外側上に、位置決めされ得る。異なる構成においては、先端部68は、直線状であってもよいし、経皮的な挿入及び骨との接触を容易にするために先細とされていてもよい。先端部はまた、先端部と骨との間の滑りを低減するために、鋸歯状とされたもの、粗面化されたもの、クロスハッチされたもの、刻み付きにされたものなどのような、テクスチャ加工された面を含んでもよい。図示される実施形態においては、先端部68は、深さ止め部74を更に含む。深さ止め部74は、中足骨間への挿入の深さを制限することができる(例えば、先端部68が位置決めされることが意図される中足骨の背側に接触することによって)。
【0124】
図7Aに示されるように、骨位置決め装置60はまた、この実施形態においてはシャフトに関連する、機構を作動させるためのアクチュエータ(例えば、ノブ又はハンドル)76を含んでもよい。図示される実施形態においては、アクチュエータは、ユーザが本体部材62に対してシャフトを回転させることを可能にするために有用であり得る。アクチュエータ76、シャフト64、及び/又は中足骨係合部材66は、これらの構成要素を通って、中足骨係合部材と係合した骨の中への又は該骨を通る固定ワイヤ(例えば、Kワイヤ)の設置を可能にするための、そこを通って延在する挿管78を含んでもよい。例えば、固定ワイヤは、骨に対する中足骨係合部材の位置を固定するために、中足骨係合部材66と係合した骨の中へと配置されてもよい。別の例においては、固定ワイヤは、中足骨係合部材と接触している骨を通って、隣接する骨の中へと配置されて、中足骨係合部材と接触している骨及び隣接する骨の位置を維持してもよい。シャフト64及びアクチュエータ76は、本体部材62の側面から離れるように突出するものとして示されているが、一方又は両方の機能は、中足骨間の空間における骨位置決めガイド60(例えば、特に中足骨係合部材66)の位置決めを容易にするために異なる位置に位置決めされてもよい(例えば、機械的連結を介して本体部材62を越えた背側に延在する)。
【0125】
本明細書に記載される任意の器具の実施形態(例えば、切断ガイド、骨調製テンプレート、骨位置決め装置)は、任意の好適な材料(例えば、金属、プラスチック)を含むか又はこれらから作製されてもよい。特定の実施形態においては、骨位置決め装置のような器具は、X線及びその他の形態の放射線によって比較的透過可能となるように、熱可塑性プラスチック及び炭素繊維材料のような放射線透過性材料から、少なくとも部分的に作製される。かかる材料は、器具が骨上に位置決めされたときに、撮像装置を使用した骨の視覚化を妨げないようにするために有用である。
【0126】
少なくとも横断面内で第2中足骨14及び第3中足骨16を移動させるために使用されるような、1つ以上の平面内で中足骨を移動させるために使用され得る別のタイプの骨位置決めガイドは、圧縮器器具である。例えば、骨端部の調製の間に第2及び第3TMT関節に開口(例えば、楔形の開口)が作られる場合、第2及び/又は第3中足骨と、中間楔状骨及び/又は外側楔状骨のような別の骨とに、それぞれ圧縮器が取り付けられてもよい。圧縮器は、第2及び/又は第3TMT関節をまたいで遠位から近位への力を加え、関節をまたいで作られた楔形の開口を閉じさせ得る。楔形の開口が閉じると、第2中足骨14及び/又は第3中足骨16の遠位端は、横断面内で枢動し得る。使用時に、圧縮器はまた、例えば、中間楔状骨28及び第2中足骨14を一緒に圧縮することにより、かつ/又は外側楔状骨30及び第3中足骨16を一緒に圧縮することにより、骨面の端部を一緒に圧縮して、後続する融合を容易にしてもよい。
【0127】
図7Bは、第2及び第3中足骨の移動を容易にするために足10と係合される例示的な圧縮器器具160の図である。この例においては、圧縮器器具160は、第2中足骨と係合する第1の端部162と、中間楔状骨と係合する第2の端部164とを有する。特に、図示された構成においては、圧縮器器具160の第1及び第2の端部162、164は、骨にピン止めされるものとして示されている。圧縮器器具160は、臨床医によって作動させられて、圧縮器の第1及び第2の端部162、164を互いに向かって移動させることができる。このことは、圧縮器が取り付けられている第2中足骨及び中間楔状骨の端部を互いに向かって引き寄せ、TMT関節腔における楔形の開口を閉じ、第2中足骨の遠位端を外側方向に並進させることができる。
図7に示されるように、第2TMT関節をまたいで加えられる力は、第3TMT関節における楔形の開口も閉じ、骨群として第2及び第3中足骨を移動させ得る。このことは次いで、第4及び第5中足骨も少なくとも横断面内で移動させ、それらの中足骨内転角を減少させることができる。
【0128】
本開示に従って使用され得る例示的な圧縮器構造に関する追加的な詳細は、2019年7月11日に出願され「COMPRESSOR-DISTRACTOR FOR ANGULARLY REALIGNING BONE PORTIONS」と題された米国特許出願公開第2020/0015856号に記載されており、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれるものとする。更に、
図7Bにおける例示的な圧縮器器具160は、第2TMT関節をまたいで取り付けられているものとして示されているが、圧縮器は、これに加えて又は代替として、第3TMT関節をまたいで(例えば、第1の端部162を第3中足骨16に取り付け、第2の端部164を外側楔状骨30に取り付けて)、又は更に他の骨のセットをまたいで(例えば、第4TMT関節40をまたいで、第5TMT関節42をまたいで)、取り付けられてもよい。
【0129】
図4を更に参照すると、例示的な技術は、第2中足骨及び第3中足骨の移動させられた位置を仮固定するステップ(112)を含むものとして示されている。例えば、第2中足骨及び第3中足骨を横断面のような1つ以上の平面内で所望の再調整位置に移動させた後(このことは第4中足骨及び第5中足骨の移動も含んでもよい)、臨床医は任意選択的に、移動させられた位置を仮固定してもよい。仮固定は、1つ以上の永続的固定装置の適用及び/又は追加的な外科的ステップ(例えば、第1中足骨の再調整)の実施のような、後続する外科的ステップを容易にするために、1つ以上の骨の移動させられた位置を保持してもよい。
【0130】
1つ以上の骨の移動させられた位置を仮固定するために、臨床医は、1つ以上のピンを、移動させられた骨の中に及び/又はそれを通して挿入し、隣接する骨に挿入してもよい。例えば、臨床医は、第2中足骨を通して隣接する骨(例えば、楔状骨)にピンを挿入し、及び/又は、第3中足骨を通して隣接する骨にピンを挿入してもよい。ピンは、ロッド及び/又はワイヤ(Kワイヤ)の形をとってもよく、例えば、ピンの先端が挿入される骨の外面に対して押し付け、それによって圧縮を加える、ピンの拡大領域を有することによって、ピンが挿入される骨の間の関節をまたいで圧縮を加えるように構成されていてもよいし又は構成されていなくてもよい。
【0131】
図8Aは、例示的な仮固定ピンの構成を示す例示的なX線画像の背面図である。この例においては、第1の固定ピン170が、第2中足骨14の遠位基部に挿入され、更にそこを通して、外側楔状骨に挿入される。第2の固定ピン172は、第3中足骨16の遠位基部に挿入され、更にそこを通して、中間楔状骨に挿入される。
【0132】
図示される構成においては、第1及び第2のピン170、172は交差するものとして示されており、第1の固定ピン170のシャフトは近位内側から遠位外側の方向に延在し、第2の固定ピン172のシャフトは近位外側から遠位内側の方向に延在している。他の場合においては、第1及び第2のピン170、172は交差しないが、その代わりに、両方のピンのシャフトが遠位内側から近位外側の方向に延在するなどのように、平行に方向付けられてもよい。
図8Bは、第1及び第2のピン170、172がともに近位内側から遠位外側の方向に延在して位置決めされている仮固定ピンの構成を示す、別の例示的なX線画像の背面図である。
【0133】
臨床医は、固定ピンの異なる数、構成、及び/又は位置決めを使用し得る。例えば、調製されているTMT関節の数に応じて、臨床医は、第2中足骨14、第3中足骨16、第4中足骨18及び/又は第5中足骨20のうちの1つ以上の端部を通して仮固定ピンを挿入してもよく、このときピンは、中足骨の端部の中へと及び/又はそれを通って延在し、更に、例えば、対向する楔状骨及び/又は立方骨のような、別の骨の中へと延在する。これに加えて又は代替として、臨床医は、固定されている1つの中足骨の側面(例えば、内側、外側)を通して、隣接する中足骨に仮固定ピンを挿入してもよい)。
【0134】
臨床医が仮固定装置を配置するか否かとは独立して、臨床医は、中足骨内転角の低減に続いて第2及び第3TMT関節の融合を容易にするため、1つ以上の永続的な固定装置を適用してもよい(
図4のステップ114)。1つ以上の固定装置は、融合のために対向する骨端を一緒に固定し保持するために、第2及び/又は第3TMT関節(及び/又は、異なるTMT関節が融合のために調製される例においては他のTMT関節)をまたいで延在してもよい。例えば、臨床医は、第2TMT関節をまたいで第1の固定装置を適用し、第3TMT関節をまたいで第2の固定装置を適用してもよい。
【0135】
骨固定装置は、後続する治癒の間の骨部分の融合を容易にするために、2つの骨部分を互いに固定された関係に保持する、任意の機能又は機能の組み合わせであってもよい。使用され得る任意の1つ以上の骨固定装置は、限定するものではないが、骨ねじ(例えば、圧縮骨ねじ)、骨プレート、骨ステープル、外部固定器、髄内インプラント、及び/又はそれらの組み合わせを含む。選択された骨固定装置の種類に応じて、骨固定装置は、固定されている骨部分の外面に取り付けられてもよいし、骨部分の内部に髄内装置として設置されてもよい。
【0136】
一例においては、臨床医は、第2TMT関節をまたいで第1の骨プレートを設置してもよい。第1の骨プレートは、一方の側を第2中足骨14に固定され、第2TMT関節をまたいで、反対側を中間楔状骨28に固定され得る。臨床医は、第3TMT関節をまたいで第2の骨プレートを設置してもよい。第2の骨プレートは、一方の側を第3中足骨16に固定され、第3TMT関節をまたいで、反対側を外側楔状骨30に固定され得る。これに加えて又は代替として、臨床医は、第2及び第3TMT関節の両方をまたぐU字形プレート又はその他の形状のプレートを適用してもよい(例えば、U字形プレートがU字形の基部において中間及び外側楔状に取り付けられ、U字の脚部が中足骨に取り付けられるように)。使用されるプレートの数とは独立して、各骨プレートは、1つ以上のねじ、ステープル、及び/又はその他の固定機構を使用して、その下にある骨に固定されてもよい。骨プレートを使用する場合、各骨プレートは、直線状であってもよいし、Y字形、L字形、T字形、U字形、及び/又はその他の形状プロファイルのような非直線状の形状を有してもよい。本明細書においては、名詞を修飾するために用語「第1」及び「第2」が使用される場合、かかる使用は、単にあるアイテムを別のアイテムから区別することを意図されたものであり、特に明記しない限り、処置ステップを予め形成する順序を要求することを意図されたものでないことは、理解されるべきである。
【0137】
以上に簡単に議論されたように、中足骨内転変形は、一部の患者においては外反母趾のずれを呈することがある。したがって、中足骨内転の矯正処置を実施する臨床医は、治療を受けている患者に対して外反母趾の矯正も実施し得る。例示的な
図4においては、例示的な技術は、第1中足骨再調整ステップ(116)を含むものとして示されている。
図4の技術は、第2及び第3TMT関節の縮小及び永続的固定の後に第1中足骨の再調整が実施されることを示しているが、異なる外科的な順序が実施されてもよい。例えば、第1中足骨は、小中足骨(例えば、第2及び第3中足骨)を移動させる前に再調整されてもよいし、又は、小中足骨(例えば、第2及び第3中足骨)を移動させた後であるが、小TMT関節を永続的に固定する前に、再調整されてもよい。
【0138】
外科的処置の順序は変わり得るが、いくつかの応用例においては、第1中足骨の整列を矯正する前に、1つ以上の小中足骨(例えば、第2及び/又は第3中足骨)の整列を矯正することが有用である。第2及び第3中足骨のような小中足骨の位置を最初に矯正する(及び、いくつかの例においては、第4及び第5中足骨の位置も矯正する)ことによって、臨床医は、整列された小中足骨に対して第1中足骨を解剖学的により好適に再調整することが可能となり得る。小中足骨のうちの1つ以上の整列の矯正は、第1中足骨のずれの程度を変化させ得、これは次いで、後続する第1中足骨の再調整ステップの間に更に矯正され得る。
【0139】
第1中足骨12の整列を矯正するために、臨床医は、以上に議論されたように、第1TMT関節に外科的にアクセスし得る。アクセスされると、臨床医は、第1中足骨12の端部及び内側楔状骨26の対向する端部を調製し得る。臨床医は、第2中足骨14及び第3中足骨16の端部の調製に関連して以上に議論されたように、切断を使用して又は使用せずに骨の端部を調製し得る(例えば、本明細書で議論される任意の調製技術を使用して)。臨床医が切断器具を使用して1つ以上の骨端部を調製する例においては、臨床医は、骨端部の制御された切断をガイドするための切断ガイド、及び/又は骨調製が行われるべき場所を示すための骨調製テンプレートを利用してもよいし、又は利用しなくてもよい。
【0140】
第1中足骨12及び内側楔状骨26のうちの一方又は両方の端部を調製する前又は調製した後のいずれかにおいて、臨床医は、第1中足骨と第2中足骨14との間の中足骨間角度を閉じるために、少なくとも1つの平面(例えば、横断面、前額面)内で第1中足骨12を移動させてもよい。いくつかの例においては、臨床医は、横断面及び/又は前額面及び/又は矢状面のような複数の平面内で第1中足骨を移動させる。臨床医は、第2中足骨及び/又は内側楔状骨に対する第1中足骨の移動を容易にするために、骨位置決めガイドを利用してもよいし、又は利用しなくてもよい。第1中足骨が所望の位置に移動させられた状態で、臨床医は任意選択的に、第1中足骨の移動させられた位置を仮固定し、次いで、以上に説明されたもののような1つ以上の骨固定装置を使用して、移動させられた位置を永続的に固定してもよい。使用され得る例示的な第1中足骨再調整器具及び技術についての追加的な詳細は、2017年4月18日に発行された「BONE POSITIONING AND PREPARING GUIDE SYSTEMS AND METHODS」と題された米国特許第9,622,805号に記載されている。
【0141】
図9A及び9Bは、
図4に関して上述した例示的な外科的技術に従って実施される治療処置のそれぞれ前及び後の、例示的な足10の背側X線画像である。
図9Aは、中足骨内転及び外反母趾の変形を有する、足10を示す図である。
図9Bは、少なくとも横断面内での第2中足骨及び第3中足骨の再調整、並びに3つの全ての面内での第1中足骨の多面的矯正の後の、足10を示す。
図9Bは、3つの関節にわたる融合を容易にするために、第1、第2及び第3TMT関節をまたいで適用された、3つの骨プレートを示す。
【0142】
図4の技術は、概して、第2TMT関節36及び第3TMT関節38の調製並びに第2中足骨14及び第3中足骨16の両方の移動(任意選択的に第4中足骨18及び第5中足骨20の動きと組み合わせて)を参照して説明されてきたが、この技術及び/又は装置は、本開示の範囲から逸脱することなく、単一のTMT関節及び/又は異なるTMT関節に対しても実施され得る。例えば、
図4の技術は、第2TMT関節36のみ、第3TMT関節38のみ、第4TMT関節40のみ、又は第5TMT関節42のみのような、単一の小TMT関節に対して実施されてもよく、それぞれの場合において任意選択的に、第1TMT関節34の調製及び第1中足骨の再調整と組み合わせられてもよい。関節の調製の他の組み合わせもまた可能である。
【0143】
臨床医が融合のために単一の小TMT関節のみを調製する(ここでもまた、任意選択的に、第1TMT関節も調製する処置の一部として)応用例においては、臨床医は、例えば、本明細書に議論される装置及び/又は技術を使用して、そのTMT関節と関連する小中足骨を1つ以上の平面内で移動させてもよい。調製されている小TMT関節に関連する中足骨の再位置決めは、靭帯組織を通して移動させられている小中足骨に1つ以上の隣接する中足骨を移動させてもよいし、又は移動させなくてもよい。例えば、臨床医が第2TMT関節36を調製し、第2中足骨14を移動させる場合、第2中足骨の再位置決めは、第3中足骨16、第4中足骨18及び/又は第5中足骨20の再調整を引き起こし得る。
【0144】
以上に議論されたように、本開示による骨再調整技術は、楔状骨の端部及び/又は対向する中足骨の端部を切断することを含み得る。かかる応用例においては、臨床医は、フリーハンドで、又は1つ以上の切断ガイド(cut guide)(本明細書では交換可能に切断ガイド(cutting guide)とも称される)の助けを借りて、切断を実施し得る。切断ガイドの使用は、患者間のより正確で再現可能な切断を容易にし、解剖学的変形のある広範な患者をまたいでより一貫した臨床結果を促進し得る。切断ガイドが使用される場合、切断ガイドは、概して、背側のような切断されるべき骨の側の上に位置決め可能な少なくとも1つのガイド面を画定し得る。臨床医は、切断器具をガイド面に隣接して、及び任意選択的に接触させて配置し、切断器具をガイド面に対して相対的に並進させて、ガイド面に平行な平面内で切断を実施してもよい。例えば、臨床医は、切断器具をガイド面に接触させて配置し、次いで切断器具をガイド面に対して相対的に、例えば、底側から骨に、及び/又は内側方向若しくは外側方向に、並進させてもよい。ガイド面は、所望の切断方向への切断器具の移動を拘束し得る。
【0145】
図10は、以上の
図5Aに関連して導入された例示的な切断ガイド150を示す、足10の上面図である。切断ガイド150は、切断されるべき骨の背側上に位置決め可能な、少なくとも1つのガイド面を含む。例えば、切断ガイド150は、第2中足骨14及び第3中足骨16の背側上に位置決め可能な、ガイド面152Aを含む。ガイド面152Aは、背側から底側の方向に(換言すれば矢状面内で)直線状に(例えば、平行に)又は角度を付けて延在してもよく、ガイド面によって画定される方向に切断具をガイドすることができる。使用時には、臨床医は、切断具をガイド面152Aと当接関係に置き、切断具をガイド面に対して前進させて、切断されている中足骨(例えば、第2中足骨14及び/又は第3中足骨16)の端部を除去することができる。
【0146】
いくつかの例においては、切断ガイド150は、単一のガイド面を画定する。他の例においては、切断ガイド150は、例えば、ガイド面間に切断スロットを画定するために互いに離隔された、複数のガイド面を含んでもよい。図示された例においては、切断ガイド150は、第1の中足骨側ガイド面152Aと、第1のガイド面に平行な第2の中足骨側ガイド面152Bとを有して、2つのガイド面の間に切断スロットを画定していることが示されている。臨床医は、第2中足骨14の端部の一部及び第3中足骨16の端部の一部の除去をガイドするために、切断スロット内に鋸刃のような切断具を挿入することができる。
【0147】
図4に関連して以上に議論されたように、臨床医は、1つ以上の小中足骨(例えば、第2中足骨14及び第3中足骨16)を独立して調製してもよく、及び/又は、例えば、2つの中足骨を横断する連続切断を行うことにより、1つ以上の小中足骨の端部を一緒に調製してもよい。臨床医が2つの中足骨を横断する連続的な切断を行うことを望む応用例においては、切断ガイド150は、第2中足骨14と第3中足骨16の両方のような、複数の中足骨をまたいで延在するガイド面152A(又は図示されるように一対のガイド面152A、152B)を有して構成されてもよい。例えば、ガイド面は、第2中足骨14の最内側から第3中足骨16の最外側まで延在する、連続的なガイド面を画定してもよい。このことは、臨床医が、ガイド面を利用して、第2中足骨及び第3中足骨の全体を内側から外側の方向に切断することを可能し得る。そのように構成される場合、ガイド面(例えば、切断スロット)は、第2中足骨14の最内側及び/又は第3中足骨16の最外側において終端するようなサイズとされてもよいし、又はかかる境界位置を越えて延在してもよい。ガイド面をオーバーサイズにすることは、切断ガイド150がより広い患者集団セットに使用されることを可能とする。しかしながら、ガイド面をオーバーサイズにすることは、ガイド面を利用して1つ以上の切断を行うときに、臨床医のより緊密な注意を要求し得る。
【0148】
図11は、切断ガイドが、複数の中足骨(例えば、第2中足骨14及び第3中足骨16)をまたいで延在する連続的なガイド面を有するように構成されておらず、代わりに、中足骨の各々の上に別個に位置決め可能な不連続なガイド面、すなわち2つのガイド面を有する、切断ガイド150の別の例の構成を示す、足10の上面図である。そのように構成される場合、切断ガイド150は、2つの小中足骨(例えば、第2中足骨14及び第3中足骨16)の各々の上に位置決め可能なガイド面領域を有するが、ガイド面領域の間に、両方の中足骨を横断する連続的な切断が行われることを防ぐ、不連続又は中断を有してもよい。1つのガイド面は、1つの小中足骨(例えば、第2中足骨14)の内側から外側まで延在していてもよく、別のガイド面は、別の小中足骨(例えば、第3中足骨16)の内側から外側まで延在していてもよい。平行かつオフセットされたガイド面152Bは、例えば、第2中足骨及び/又は第3中足骨の上の切断スロットのような、切断スロットを画定するために備えられてもよい。
【0149】
図10及び11を更に参照すると、切断ガイド150は、中間楔状骨28及び外側楔状骨30の背側上に位置決め可能なガイド面154Aも有するものとして示されている。ガイド面154Aは、直線状に(例えば、平行に)又は背側から底側の方向に(矢状面内で)角度を付けて延在してもよく、ガイド面に平行な平面内で切断具をガイドしてもよい。使用時には、臨床医は、切断具をガイド面154Aと当接関係に置き、切断具をガイド面に対して前進させて、中間楔状骨28及び外側楔状骨30のような対向する楔状骨/立方骨の端部を除去することができる。
【0150】
中足骨側ガイド面152Aと同様に、楔状骨側ガイド面154Aは、単一のガイド面を画定してもよいし、又は、例えば、ガイド面の間に切断スロットを画定するために互いから離隔された、複数のガイド面を含んでもよい。図示された例においては、切断ガイド150は、第1の楔状骨側ガイド面154Aと、2つのガイド面の間に切断スロットを画定するために第1のガイド面に平行な第2の楔状骨側ガイド面154Bと、を有して示されている。臨床医は、中間楔状骨28及び外側楔状骨30の端部の一部の除去をガイドするため、切断スロットに鋸刃のような切断具を挿入することができる。
【0151】
いくつかの例においては、楔状骨側ガイド面154A(又は図示されるようにガイド面154A、154Bの対)は、中間楔状骨28及び外側楔状骨30の両方をまたいで延在している。例えば、ガイド面は、中間楔状骨28の最内側から外側楔状骨30の最外側まで延在する、連続的なガイド面を画定してもよい。このことは、臨床医が、ガイド面を利用して、中間楔状骨及び外側楔状骨の両方の端部を切断するための連続的な切断を実施することを可能とする。そのように構成された場合、ガイド面(例えば、切断スロット)は、中間楔状骨28の最内側及び外側楔状骨30の最外側において終端するようなサイズとされてもよいし、又はオーバーサイズとなるようかかる境界位置を越えて延在してもよい。
【0152】
他の実施例においては、切断ガイドは、中間楔状骨28及び外側楔状骨30をまたいで延在する連続的なガイド面を有するように構成されておらず、代わりに、楔状骨及び/又は立方骨の各々の上に別個に位置決め可能な不連続ガイド面、すなわち2つのガイド面を有する。そのように構成される場合、切断ガイド150は、中間楔状骨28及び外側楔状骨30のような複数の骨の各々の上に位置決め可能なガイド面領域を有するが、ガイド面領域の間に、両方の楔状骨を横断する連続的な切断が行われることを防ぐ不連続又は中断を有してもよい。1つのガイド面は、中間楔状骨28の内側から外側まで延在していてもよく、別のガイド面は、外側楔状骨30の内側から外側まで延在していてもよい。平行かつオフセットされたガイド面154Bは、例えば、中間楔状骨及び/又は外側楔状骨の上の切断スロットのような、切断スロットを画定するために設けられてもよい。
【0153】
切断ガイド150は、中足骨側ガイド面152A及び楔状骨側ガイド面154Aの両方を有するものとして図示されているが、代替の実装例においては、切断ガイドは、1つ以上の中足骨及び/又は1つ以上の楔状骨/立方骨のみを切断するためのガイド面を有して構成されてもよい。1つ以上の別個の切断ガイドは、中足骨又は楔状骨のうちの他方を切断するために利用されてもよい。代替としては、臨床医は、フリーハンドで切断を実施してもよいし、又は骨の切断を伴わない骨調製ステップを実施してもよい。
【0154】
更に別の例としては、切断ガイドは、複数の中足骨及び/又は楔状骨をまたいで位置決めされるように構成される代わりに、単一の中足骨及び/又は楔状骨を切断するために単一のTMT関節をまたいで位置決めされるように構成されてもよい。
図12A及び12Bは、切断ガイドが、それぞれ第2TMT関節及び第3TMT関節をまたいで位置決めされるように構成された(例えば、そのようなサイズ及び/又は形状とされた)、切断ガイド150の代替構成を示す、足10の上面図である。別の小TMT関節(第4TMT関節、第5TMT関節)をまたいで位置決めされるように構成された切断ガイドもまた、備えられてもよい。
【0155】
図12Aに示されるように、切断ガイド150は、第2中足骨14の最内側から最外側まで延在する中足骨側ガイド面152A(切断スロットとして示されている)を有する。切断ガイドはまた、中間楔状骨28の最内側から楔状骨の最外側まで延在する楔状骨側ガイド面154A(同様に切断スロットとして示されている)を有する。
【0156】
図12Bを参照すると、切断ガイド150は、第3中足骨16の最内側から中足骨の最外側まで延在する中足骨側ガイド面152A(切断スロットとして図示されている)を有して示されている。切断ガイドはまた、外側楔状骨30の最内側から楔状骨の最外側まで延在する楔状骨側ガイド面154A(同様に切断スロットとして示されている)を有する。
【0157】
図12A及び12Bにおける切断ガイド150は、第2TMT関節と第3TMT関節との間で移動させられる同じ切断ガイドであってもよい。代替としては、臨床医は、異なるTMT関節において利用される2つの同一の切断ガイド150を有していてもよい。更に他の応用例においては、第3TMT関節において第2TMT関節に対してそれぞれ異なるように構成された、2つの異なる切断ガイド150が備えられてもよい。切断ガイドは、ガイド面の異なる角度方向のような、異なるサイズ及び/又は形状を有することによって、異なるように構成されてもよい。
【0158】
切断ガイド150が中足骨側ガイド面及び対向する骨側ガイド面(例えば、楔状骨側ガイド面)の両方を有する構成においては、ガイド面は、所望の切断パターンを達成するために、互いに平行であるか、互いに対して角度を付けられている(例えば、楔形の領域を画定する)か、又はその他の態様で互いに対して方向付けられていてもよい。角度を付けられたガイド面構成を使用する場合、2つのガイド面の間の相対角度は、切断ガイド150を利用して除去される骨楔のサイズ及び形状を画定し得る。いくつかの例においては、中足骨側ガイド面と楔状骨側ガイド面との間の角度は、一定である。換言すれば、中足骨側ガイド面と楔状骨側ガイド面との間の角度は、切断ガイドの設計及び製造の間に設定され、臨床医によって変化させられることはできない。これらの例においては、臨床医は、複数の切断ガイド150(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ又はそれ以上)を有するシステムを提供されてもよく、ここで各切断ガイドは、ガイド面間の異なる角度を定義する。臨床医は、処置を受ける特定の患者の必要性に基づいて、種々のガイドのシステムから所望の角度を有する切断ガイドを選択することができる。しかしながら、他の例においては、中足骨側ガイド面と楔状骨側ガイド面との間の角度は、調節可能であってもよい。このことは、患者特有の解剖学的考察のために、中足骨側ガイド面と楔状骨側ガイド面との間の角度的な方向を調節する柔軟性を、臨床医に提供し得る。
【0159】
図13は、切断ガイドの最遠位ガイド面152A(中足骨の上に位置決めされたとき)と、該ガイドの最近位ガイド面154A(楔状骨又は立方骨の上に位置決めされたとき)との間の角度250が一定である、切断ガイド150の例示的な構成の上面図である。多くの臨床的な応用例については、角度250は75度未満、例えば、60度未満、45度未満、35度未満、20度未満、15度未満、10度未満、又は5度未満であってもよい。例えば、角度250は1度~20度の範囲、例えば、約5度~約20度、約5度~約10度、又は約6度~約9度であってもよい。他の例においては、角度250は、例えば、軽症例においては、往復平削りを可能にするために0度(平行なガイド面を提供する)であってもよい。本開示による外科的技術に従って切断及び/又は除去された骨楔は、本開示による切断ガイドを使用して切断されたか否かにかかわらず(例えば、フリーハンドで及び/又は骨調製テンプレートの助けを借りて切断された場合を含む)、前述の角度限界のいずれか(又は更に異なる限界)内で角度を画定し得る。更に、互いに対して角度を付けられた2つのガイド面を有する本明細書に記載のいずれの切断ガイドも、前述の角度又は角度範囲(又は更に異なる限界)のいずれかを実装し得る。
【0160】
図14Aは、切断ガイドの最遠位ガイド面152A(中足骨の上に位置決めされたとき)と該ガイドの最近位ガイド面154A(楔状骨又は立方骨の上に位置決めされたとき)との間の角度250が可変である、切断ガイド150の別の例示的な構成の上面図である。2つのガイド面(図示された例においてはガイドスロットとして示されている)は、ヒンジ式に又はその他の方法で移動可能に一緒に接続され、枢動軸252のまわりに互いに対して回転することを可能とされていてもよい。2つのガイド面の枢動軸252とは反対側の端部は、一緒に接続されてもよいし、又は接続されなくてもよい。図示された例においては、2つのガイド面の反対側の端部は、滑動接続部254を介して一緒に移動可能に接続されている。調節可能な切断ガイド構成は、以上に議論された角度の例示的な範囲のいずれか内で調節可能であってもよい。
【0161】
2つのガイド面の互いに対する所望の角度的な方向をロックするために、ロック256が備えられてもよい。ロック256は、ガイド面の角度的な方向をロックするための摩擦係合を提供するために、表面に抗するねじ又はその他の移動機能として実装されてもよい。別の例としては、ロック256は、ガイド面の角度的な方向をロックするために一連の戻り止めのうちの1つと係合する、突出部又は凹部であってもよい。ロック機能を提供する他の機能も、本開示の範囲から逸脱することなく使用され得る。切断ガイド150が滑動接続部254及び/又はロック256なしで構成される場合、ガイド面のうちの一方又は両方は、外科的処置の間にガイド面の位置を一時的に固定するために、各ガイド面がその下にある骨にピン留めされることを可能とする、関連するピン穴を有してもよい。
図14Aにおける切断ガイド150は、調節可能な切断ガイドを実装する1つの例示的な構成を示すが、他の実装例も可能である。
【0162】
例えば、
図14Bは、ガイド面の角度位置がともに調節可能である、第2及び第3中足骨を切断するための別個のガイド面を有する切断ガイド150の一例を示している。図示されているように、2つのガイド面は、接合バーによって接続されており、2つのガイド面の角度が一緒に調節されることを可能としている(例えば、それにより各ガイド面が同じ角度を画定する)。他の例においては、ガイド面は、独立して調節可能であってもよい(例えば、接合バーを省略することによって)。
【0163】
切断されるべき1つ以上の骨の上での切断ガイド150の位置決めを容易にするために、切断ガイドは、1つ以上の配置機能を含んでもよい。配置機能は、臨床的処置を受ける患者の足の解剖学的構造に対して切断ガイド150を方向付けるための解剖学的基準位置を提供するために、骨及び/又は隣接する骨の間の関節腔に挿入可能であってもよい。例えば、切断ガイド150は、切断ガイドに関連し、患者の解剖学的構造に対して切断ガイドを方向付けることを支援するために使用される、1つ以上のピン及び/又はスペーサを含んでもよい。
【0164】
本開示において使用される、切断ガイドに関連する配置ピンとは、概して、骨に挿入され、切断されるべき骨に対して切断ガイドを位置決めすることを支援するために使用することができる機能を指す。対照的に、切断ガイドに関連するスペーサとは、概して、隣接する骨の間の関節腔に挿入され、切断されるべき骨に対して切断ガイドを位置決めすることを支援するために使用されることができる機能を指す。配置ピン又はスペーサとして記載される各機能は、円弧状形状(例えば、円形、楕円形)、多角形形状(例えば、正方形、長方形、T字形)、及び/又は円弧状形状と多角形形状との組み合わせを含む、任意の適切なサイズ及び断面形状を有してもよい。配置機能なる用語は、配置ピン及び/又はスペーサの両方を包含する。各配置機能は、骨及び/又は関節腔に挿入可能なシャフトを有してもよい。
【0165】
切断ガイド150が1つ以上の関連するピン及び/又はスペーサを含む場合、かかる機能は、切断ガイドの本体と一体であってもよい(例えば、永続的に接続される)し、又は切断ガイドから脱着可能及び分離可能であってもよい。切断ガイド150を、例えばそれぞれ骨の間の関節腔内に又は骨内に別個に設置されることができるスペーサ及び/又はピンのような、少なくとも1つの配置機能とともに使用されるように構成することは、有用であり得る。そのように構成される場合、スペーサ及び/又はピンは、切断ガイドとは独立して骨構造内に設置され、切断ガイドが次いで、挿入されたスペーサ及び/又はピンと係合させられてもよい。例えば、切断ガイドは、配置機能上で滑動させられるか、配置機能の側面に取り付けられるか、又は配置機能に他の方法で動作可能に接続されてもよい。切断ガイドが位置決め機能上に設置されると、切断ガイドと配置機能との間の接続は、固定されてもよいし(例えば、2つの機能間の相対的な移動を防止する)、又は相対的に移動可能な接続であってもよい(例えば、2つの機能の間の回転若しくはその他の相対的な移動を許容する)。いずれの場合においても、スペーサ及び/又はピンは、切断ガイド150を位置決めするための解剖学的な目印を特定するために使用されることができ、切断ガイドが次いで、スペーサ及び/又はピンに係合させられる。
【0166】
図15は、切断ガイド150とともに使用されることができる、スペーサの形をとって示される例示的な配置機能260を示す、足10の斜視図である。使用時には、臨床医は、隣接する骨の間の関節腔に配置機能260を挿入し、次いで、例えば、骨切断ガイドをスペーサ上で滑動させることによって、骨切断ガイド150を配置機能に係合させることができる。
図15の具体例においては、配置機能260は、内側楔状骨26と中間楔状骨28との間の関節腔に挿入されるものとして図示されている。
図16は、切断されるべき1つ以上の骨の上で骨ガイドを方向付けることを支援するために、配置機能260と係合させられ、該配置機能に沿って底側方向に前進させられる、切断ガイド150を示す。特に、
図16の例においては、切断ガイド150は、第2及び第3中足骨並びに中間及び外側楔状骨の両方の背側上で方向付けられるものとして図示されている。
【0167】
上述したように、切断ガイド150は、1つ以上の関連するピン及び/又はスペーサを有してもよく、それらの各々は、切断ガイドの本体に永続的に固着されてもよく、及び/又はそこから分離可能であってもよい。
図16においては、切断ガイド150は、切断ガイドの本体が分離可能である第1の配置機能260と、同様にスペーサの形をとって図示され、切断ガイドの本体に永続的に固着される第2の配置機能262と、を含むものとして示されている。第2の配置機能262は、切断ガイドの異なる部分、具体的には図示される例においては切断ガイドの外側の半分に位置決めされる。切断ガイド150が第1の配置機能260と係合させられる(例えば、配置機能260上で底側方向に前進させられることによって)と、臨床医は、第2の配置機能262を目標挿入位置の上に位置決めするために、横断面内で配置機能260のまわりに切断ガイドを回転させてもよい。目標挿入位置は、図示されているように、第3TMT関節腔であってもよいし、又はその他の任意の関節腔及び/又は骨挿入位置であってもよい。
【0168】
本開示による切断ガイド150は、任意の好適な数の配置機能を含んでもよく、これらは切断ガイドの本体に永続的に固着されてもよく、及び/又は切断ガイドの本体から分離可能であってもよい。例えば、切断ガイド150は、単一の配置機能又は複数の配置機能(例えば、2つ、3つ又はそれ以上)を含んでもよい。1つ又は複数の配置機能を有して構成される場合、1つ以上の配置機能は、切断ガイドの本体に沿った異なる位置に配置されてもよい。
【0169】
例えば、切断ガイドが切断されるべき骨の上に位置決めされるとき、1つの配置機能は、切断ガイドの内側の半分(例えば、内側の1/4)上にあってもよく、及び/又は、1つの配置機能は、切断ガイドの外側の半分(例えば、外側の1/4)上にあってもよい。これに加えて又は代替として、1つのかかる配置機能は、切断ガイドの遠位側(例えば、切断ガイドがTMT関節の上に位置決めされる場合には該関節の遠位)にあってもよく、及び/又は、1つの配置機能は、切断ガイドの近位側(例えば、切断ガイドがTMT関節の上に位置決めされる場合には該関節の近位)にあってもよい。使用時には、臨床医は、切断されるべき1つ以上の骨に対する1つ以上のガイド面の整列を調節するために、取り付けられた配置機能とともに、及び/又は配置機能のまわりに、切断ガイド150を回転させてもよい。いくつかの例においては、切断ガイド(例えば、それに関連するガイド面)は、第1の端部から第2の端部まで延在する長さを有し、配置機能は、ガイドがそのまわりで回転することを可能とするように、ガイドの端部において又はこれに隣接して位置決めされる。
【0170】
切断ガイド150に関連する1つ以上の配置機能は、切断されるべき1つ以上の目標の骨の上に切断ガイドを位置決めするのに適した、任意の所望の骨及び/又は関節腔内に位置決めされることができる。これに対応して、切断ガイド150は、1つ以上の配置機能がそれらの目標位置に位置決めされ、切断ガイドがそれと係合させられるとき、切断ガイドの1つ以上のガイド面を、切断されるべき1つ以上の目標の骨の上に位置決めするように構成され(例えば、そのようなサイズ及び/又は形状とされ)てもよい。
【0171】
図23A~23Iは、切断ガイド150に関連する1つ以上の配置機能を挿入して、切断ガイドを切断されるべき1つ以上の骨の上に位置決めするための、足上の例示的な目標位置を示す。臨床医は、例えば、切断ガイド150が取り付けられた状態で、及び/又は関節腔内に挿入された後に切断ガイドが配置機能に係合可能な状態で、配置機能のシャフトを、示された関節腔内に挿入することができる。
図23A~23Iの各々は、切断ガイド150に関連する配置機能を挿入するための単一の関節腔位置を示しているが、図示された関節腔位置のうちの2つ以上の任意の組み合わせが、組み合わせて利用され得る(例えば、複数の配置機能を採用する切断ガイドについて)。切断ガイド150の各配置機能は、特定の目標の骨及び/又は関節腔内に位置決めされるように構成され(例えば、そのようなサイズ及び/又は形状とされ)てもよい。
【0172】
図23Aは、配置機能のための目標位置としての、第2中足骨近位基部の内側の角及び中間楔状骨を示す。
図23Bは、配置機能のための目標位置としての、第2TMT関節を示す。
図23Cは、配置機能のための目標位置としての、第3TMT関節を示す。
図23Dは、配置機能のための目標位置としての、第2及び第3TMT関節の組み合わせを示す。
図23Eは、配置機能のための目標位置としての、第2及び第3中足骨の近位基部の間の空間を示す。
図23Fは、配置機能のための目標位置としての、第3中足骨と第4中足骨との間の空間を示す。
図23Gは、配置機能のための目標位置としての、中間楔状骨と外側楔状骨との間の空間を示す。
図23Hは、配置機能のための目標位置としての、介在楔状骨と中間楔状骨との間の空間を示す。
図23Iは、配置機能のための目標位置としての、第4TMT関節を示す。
【0173】
図15及び16を更に参照すると、切断ガイド150のいくつかの構成においては、切断ガイドは、配置機能のまわりに自由に回転可能であってもよい(例えば、スペーサ又はピンのまわりに360°回転することができる)。他の構成においては、スペーサ又はピンに対する切断ガイドの回転は、90°以下、45°以下、又は25°以下の範囲のような、限られた角度範囲内の移動に制限されてもよい。
図17及び18は、切断ガイドが、その下にある骨構造に挿入可能な配置機能に対する限られた範囲の回転運動に制限されている、切断ガイド150の2つの異なる構成を示す。
【0174】
図17の例においては、配置機能260が、切断ガイド150の本体の一部が挿入されるスロット270を画定していることが示されている。切断ガイド150は、スロット270のサイズによって画定される限られた移動範囲内で回転することができる。
図18の例においては、配置機能260が、切断ガイド150の本体によって画定されるスロット272に挿入されていることが示されている。ここでもまた、切断ガイド150は、スロット272のサイズによって画定される限られた移動範囲内で回転することができる。いくつかの例においては、回転運動の限定された範囲は、60度未満、45度未満、30度未満、又は15度未満のような、90度未満の有界範囲である。
【0175】
図13~18を更に参照すると、切断ガイド150は、切断ガイドがその下にある骨に仮固定されることを可能にする、1つ以上の固定穴264を含んでもよい。1つ以上の固定穴は、固定ピンを受容するように構成されてもよい。使用時には、臨床医は、切断されるべき1つ以上の骨の上に切断ガイド150を設置してもよく、及び/又は、かかる1つ以上のガイド面が切断されるべき骨の部分に対して適切に位置決めされるまで、切断ガイドの1つ以上のガイド面の向きを調節してもよい。例えば、臨床医は、切断ガイドの回転位置が切断されるべき骨に対して切断ガイドの1つ以上のガイド面を適切に位置合わせするまで、配置機能260のような配置機能(例えば、ピン又はスペーサ)のまわりに切断ガイド150を回転させてもよい。切断ガイド150の構成に応じて、臨床医は、ガイド面間の相対角度250を更に調節してもよい。いずれの場合においても、切断されるべき骨に対して切断ガイド150が適切に位置決めされると、臨床医は、1つ以上の固定穴264の各々を通して、その下にある骨にピンを挿入してもよい。固定穴264を通して設置された1つ以上の固定ピンは、臨床医が後に切断ガイドを利用して切断器具の移動をガイドするために、所望の位置に切断ガイド150を固定及び保持することができる。
【0176】
いくつかの例においては、切断ガイド150は、関節によって分離された2つの異なる骨(例えば、中足骨及び対向する楔状骨)の背側上に配置されるように位置決めされた2つの穴のような、少なくとも2つの平行な固定穴264を含む。使用時には、臨床医は、この2つの穴を通して固定ピンを挿入して、切断ガイドをそれぞれ中足骨及び楔状骨に取り付けることができる。臨床医は、使用後、平行ピンを適所に残したまま切断ガイドを取り外してもよい(例えば、切断ガイドを平行ピンから離れるよう上に滑動させることにより)。臨床医は次いで、2つの平行固定穴を有する第2の器具を、骨に依然として残っている平行固定ピンの上に下向きに挿入して戻してもよい。例えば、臨床医は、骨位置決め器及び/又は圧縮器を平行固定ピンの上に下向きに挿入してもよい。臨床医は次いで、器具を使用してピンを通して力を加えて、骨を移動させることができる。2つの平行な固定穴を備えることに加えて又はそれに代えて、切断ガイド150は、1つ以上の(例えば、2つの平行な)固定穴に対して角度を付けられた(0度でない角度で)又はその他の方法で歪まされた、1つ以上の固定穴を画定してもよい。
【0177】
いくつかの構成においては、切断ガイド150によって画定される固定穴264のうちの1つ以上(任意選択的に全て)の位置は、切断ガイドの本体に対して固定的に(例えば、非可動的に)配置される。しかしながら、実際には、切断ガイドによって画定された固定穴264に対する患者の骨の表面の位置は、患者の解剖学的構造及び患者の骨の変形の程度に応じて変化し得る。これらの理由及びその他の理由により、切断ガイド150は、1つ以上の調節可能な固定穴264を有して構成されてもよい。固定穴は、固定穴が切断ガイド150の本体の長さ及び/又は幅に対して移動可能であり、及び/又は切断ガイドによって画定される1つ以上のガイド面の向きに対して固定穴の向きを調整するよう回転可能であるという点で、調節可能であってもよい。
【0178】
図24は、少なくとも1つの調節可能な固定穴264を有する切断ガイド150の例示的な構成の斜視図である。
図24における切断ガイド150は、各々が固定ピンを受容することができる、複数の固定穴264A~264Dを有するものとして示されている。切断ガイド150は、少なくとも1つの調節可能な固定穴264を含み、このことは、切断ガイドの異なる側に位置する2つの調節可能な固定穴264A、264Bにより実装されるものとして示されている。切断ガイドはまた、少なくとも1つの非調節可能な固定穴を含んでもよく、このことは、切断ガイドの異なる側に配置された2つの非調節可能な固定穴264C、264Dにより実装されるものとして示されている。
【0179】
図24の切断ガイド150における各調節可能な固定穴264A、264Bは、固定穴を境界付けて画定する穴本体180によって画定されてもよい。穴本体180は、アーム182に取り付けられて、切断ガイドを画定する本体の残りの部分(例えば、ガイド面を画定する切断ガイドの部分)からオフセットされた穴本体180を位置決めし得る。穴本体180は、アーム182が並進することができるレール184を介してのように、切断ガイド本体に動作可能かつ移動可能に接続されてもよい。したがって、調節可能な固定穴264A、264Bは、切断ガイドを画定する本体の長さに対して相対的に移動して、本体に沿った異なる相対位置に穴を再位置決めすることができる。
【0180】
図25は、調節可能な固定穴264A、264Bが移動させられることができる例示的な位置を示す、
図24の例示的な切断ガイド150の上面図である。特に、
図25は、切断ガイドの長さに対する移動範囲に沿った第1の位置(例えば、内側位置)に位置決めされた第1の調節可能な固定穴264Aと、切断ガイドの長さに対する移動範囲に沿った第2の位置(例えば、外側位置)に位置決めされた第2の固定穴264Bとを示す。調節可能な固定穴264A、264Bは、本開示の範囲から逸脱することなく、図示されたものとは異なる位置に移動させられてもよく、及び/又は異なる調節可能性又は移動の長さを有してもよい。
【0181】
前述のように、1つ以上の調節可能な固定穴を有する切断ガイド150を構成することは、切断ガイドを骨にピン留めするために、その下にある骨に対して固定穴が移動させられることを可能にするために有用であり得る。調製されるべき1つ以上の目標の骨の上に切断ガイド150が位置決めされるとき、切断ガイドによって画定される固定穴の、その下にある骨に対する位置は、例えば、穴の位置及び/又は処置を受ける患者の解剖学的構造に応じて変化し得る。1つ以上の調節可能な固定穴を提供することにより、固定穴は、固定穴を通してピンを挿入する前に、患者の解剖学的構造とより好適に整合するように移動させられ得る。
【0182】
例えば、
図26A及び26Bは、足上に位置決めされた
図24及び25の切断ガイド150を示す、例示的な足の上面画像である。
図26Aは、調節可能な固定穴264Aが、その下にある骨(本例においては第3中足骨16)の長さに沿った中心線に対してオフセットされている、例示的な構成を示す。
図26Bは、その下にある骨の中心線上に実質的に中心合わせされるように再位置決めされた、調節可能な固定穴264Aを示す。
【0183】
切断ガイド150は、1つ以上の調節可能な固定穴264A、264Bを有して構成されてもよい。切断ガイド150が複数の調節可能な固定穴を含む場合、調節可能な固定穴の各々は、互いに独立して移動してもよい。代替としては、少なくとも2つの調節可能な固定穴は、互いに動作可能に接続され、一緒に移動するように構成されてもよい。例えば、
図27A及び27Bは、2つの調節可能な固定穴264A、264Bの間の例示的な連結を示す、切断ガイド150の例示的な構成の上面図である。図示された例においては、ブリッジ186の形をとる機械的連結が、2つの調節可能な固定穴264A、264Bを連結している。ブリッジ186は、切断ガイド150の側面(例えば、外側)及び/又は切断ガイドの上(例えば、背側上方)に外向きに延在していてもよい。いずれの場合においても、ブリッジは、固定穴が接合された対として移動するように、2つの調節可能な固定穴264A、264Bを機械的に相互接続してもよい。固定穴の間の他のタイプの連結もまた、使用され得る。
【0184】
切断ガイド150に関連する調節可能な固定穴は、概して、切断ガイドの長さに沿って(例えば、長さに平行に)並進可能であると説明及び図示されてきたが、調節可能な固定穴は、長さに関連して調節可能であることに加えて又はこれに代えて、切断ガイドに対して他の次元において調節可能であってもよい。一例として、調節可能な固定穴は、切断ガイドの幅(例えば、切断ガイドが足上に位置決めされたときの近位から遠位方向)に関連して調節可能であってもよい。例えば、調節可能な固定穴を切断ガイド本体に接続するアーム182は、調節可能な長さを有してもよく、及び/又は、調節可能な固定穴は、レール又はその他の切断ガイド本体の幅に対して調節可能な機能に装着されてもよい。
【0185】
別の例としては、切断ガイド本体の長さ及び/又は幅に対して調節可能であることに加えて又はそれに代えて、調節可能な固定穴は、切断ガイド本体に対して角度的に調節可能(例えば、前額面内で回転可能)であってもよい。例えば、調節可能な固定穴は、例えば切断ガイド本体の長さ及び/又は幅に対する固定穴の位置とは独立して、ピンが固定穴を通ってその下にある骨に挿入される角度を調節するために、回転軸のまわりに回転可能であってもよい。
【0186】
図28A及び28Bは、調節可能な固定穴のための例示的な回転再調整位置を示す、切断ガイド150の例示的な構成の上面図である。特に、
図28Aは、調節可能な固定穴264Bと同一平面上となるように角度的に方向付けられた、調節可能な固定穴264Aを示す。
図28Bは、調節可能な固定穴264Bとは同一平面上ではない固定穴を位置決めするために回転的に再調整された、調節可能な固定穴264Aを示す。回転的に調節可能となるように構成される場合、調節可能な固定穴は、360度回転してもよいし、又は、180度以下、例えば、120度以下、90度以下、又は45度以下の範囲にわたってのように、境界付けられた円弧内でより小さい回転の角度だけ回転してもよい。
【0187】
1つ以上の調節可能な固定穴を使用する場合、調節可能な固定穴が移動させられる位置を保持するために、位置決めねじ、アーム182がそこまで移動させられることができる一連の戻り止め、及び/又はその他の係合/ロック機能が使用されてもよい。したがって、使用時には、臨床医は、切断ガイドによって画定される1つ以上のガイド面を使用して、切断されるべき1つ以上の骨部分の上に切断ガイド150を位置決めしてもよい。臨床医は次いで、その下にある骨に対する切断ガイドの1つ以上の調節可能な固定穴の位置を(例えば、1つ以上の次元において)調節し得る。臨床医は、後にそこを通して挿入されるピンが、その下にある骨の中心線について実質的に中心合わせされるように、調節可能な固定穴の位置を調節してもよい。所望の位置に調整されると、臨床医は、固定穴の調整された位置をロックし、次いで、調節された固定穴を通して固定ピンをその下の骨に挿入し得る。
【0188】
切断ガイド150は、以上に議論されたように、様々な異なる構成を有し得る。例えば、切断ガイド150は、1つ以上の関連する配置機能(例えば、ピン及び/又はスペーサ)を有してもよく、これらの各々は、切断ガイドの本体に永続的に固着されてもよいし、又は該本体から分離可能であってもよい。ピン及び/又はスペーサは、臨床処置を受けている患者の足の解剖学的構造に対して切断ガイド150を方向付けるための解剖学的基準位置を提供するための、それぞれ隣接する骨の間の骨及び/又は関節腔内に挿入可能な配置機能として機能し得る。
図19は、キールの形をとるスペーサとして示されている関連する配置機能280を有する切断ガイド150の別の例示的な実装例の斜視図である。スペーサ280は、切断ガイド150に永続的に固着されてもよいし、又は着脱可能に結合可能であってもよい。スペーサ280は、切断されるべき1つ以上の骨の複数の関節腔をまたぐように、1つ以上の関節腔内に位置決めされるように構成され(例えば、そのようなサイズ及び/又は形状とされ)てもよい。
【0189】
以上に議論されたように、切断ガイド150は、第2中足骨14及び第3中足骨16をまたいで、及び/又は中間楔状骨28及び外側楔状骨30をまたいでのように、切断されるべき複数の骨をまたいで延在するように構成された、1つ以上のガイド面を含んでもよい。したがって、スペーサ280は、少なくとも部分的に第2足根中足関節腔(第2中足骨14と中間楔状骨28との間)内に、また少なくとも部分的に第3足根中足関節腔(第3中足骨16と外側楔状骨30との間)内に、のように、少なくとも部分的に複数の関節腔内に位置決め可能となるように構成されてもよい。スペーサ280は、第2中足骨14と第3中足骨16との間の中足骨間の空間をまたいでもよい。スペーサ280を2つの足根中足関節腔において同時に位置決め可能となるように構成することは、両方の関節腔のいずれかの側で切断されるべき骨に対して切断ガイド150を適切に整列させるために有用であり得る。
【0190】
図20は、スペーサ280が2つの足根中足関節腔に(底側に)挿入された、切断されるべき1つ以上の骨の背側上に位置決めされた切断ガイド150を示す、足10の前面斜視図である。特に、図示された例においては、スペーサ280は、第2中足骨14と第3中足骨16との間の中足骨間の空間をスペーサがまたいだ状態で、第2中足関節腔及び第3中足関節腔内に少なくとも部分的に位置決めされている。いくつかの例においては、スペーサ280は、第2中足骨14の端面及び中間楔状骨28の対向する端面の少なくとも内側の1/4、例えば、少なくとも内側の半分、又は第2中足骨及び中間楔状骨の全端面と、接触するよう構成される。これに加えて又は代替として、スペーサ280は、第3中足骨16の端面及び外側楔状骨30の対向する端面の少なくとも外側の1/4、例えば、少なくとも外側の半分、又は第3中足骨及び外側楔状骨の全端面と、接触するように構成されてもよい。スペーサ280は、2つの足根中足関節腔の間の中足関節間の空間をまたいでもよい。
【0191】
実際には、特定の患者は、隣接する関節面間(例えば、第2TMT関節を画定する面と第3TMT関節を画定する平面との間)で著しいステップ状のずれ、又は遠位オフセットを呈し得る。その結果、患者は、スペーサ280が挿入されるべき目標とされる組み合わせられた関節腔をまたいで、突出する骨部分を呈し得る。このことは、臨床医が、隣接する関節腔をまたいでスペーサ280を挿入することを困難にし得る。
【0192】
例えば、
図29は、第2TMT関節36と第3TMT関節38との間の遠位オフセットを示す、例示的な患者の足10の画像である。この例においては、突出する骨部分290は、スペーサ280の挿入の目標となる第2TMT関節36と第3TMT関節38との間の領域を少なくとも部分的にまたいで突出している。特に、図示された例は、第2中足骨14の外側に近位突出骨先端部290、第3中足骨16の内側に遠位突出骨先端部290を示している。スペーサ280の挿入を容易にするために、臨床医は、例えば、スペーサ280を受容するために第2TMT関節及び第3TMT関節をまたいで延在するポケット又は連続的な関節線を作るため、1つ以上の突出する骨部分290を除去してもよい。
【0193】
いくつかの例においては、臨床医は、1つ以上の突出する骨部分290をフリーハンドで(例えば、切断ガイドの助けを借りずに)除去する。しかしながら、他の例においては、臨床医は、1つ以上の突出する骨部分を除去することを支援するための切断ガイドを利用してもよい。
図30は、突出する骨部分を除去するために平削りガイドとして使用されることができる例示的な切断ガイド292の斜視図である。
図31は、
図30の切断ガイドの例示的な位置決めを示す、足の上面図である。この例に示されるように、切断ガイド292は、それに沿って切断器具がガイドされることができる、少なくとも1つのガイド面294Aを画定してもよい。例えば、切断ガイドは、切断器具が挿入されることができる切断スロットを間に画定する、一対のガイド面294A、294Bを画定してもよい。
【0194】
切断ガイド292の少なくとも1つのガイド面294Aは、突出する骨を除去するために、1つ以上の骨及び/又は関節腔を少なくとも部分的にまたいで延在するように構成されてもよい。例えば、切断ガイドは、1つ以上の骨(例えば、第2中足骨14)の内側から1つ以上の骨(例えば、第3中足骨16)の外側まで延在するようなサイズとされてもよい。例えば、少なくとも1つのガイド面294Aは、予備的切断ガイド292を使用して関節腔を開いた後に設置されるべき切断ガイド150の対応する配置機能280のサイズに対するサイズとされてもよい。少なくとも1つのガイド面294Aは、スペーサ280の幅(内側から外側の方向)と少なくとも同じ長さ(内側から外側の方向)を有してもよい。
【0195】
使用時には、臨床医は、切断ガイド292を、一対の隣接する関節腔(例えば、第2TMT関節腔36及び第3TMT関節腔38)に少なくとも部分的にまたがるように位置決めしてもよい。例えば、臨床医は、2つの関節腔の間の実質的に中心合わせされた(例えば、第2中足骨14と第3中足骨16との近位基部の間の交点に実質的に中心合わせされた)足の背側上で、切断ガイド292を位置決めしてもよい。臨床医は次いで、少なくとも1つのガイド面294Aに沿って切断器具をガイドして、突出する骨部分を除去してもよい。このことは、スペーサ280が次いで挿入され得る開口又はポケットを作り得る。
【0196】
1つ以上の関節腔にまたがる切断ガイド292の位置決めを支援するために、切断ガイドは、1つ以上の配置機能を含んでもよい。例えば、切断ガイド292は、切断ガイドの内側における第1の配置機能296A、及び切断ガイドの外側における第2の配置機能296Bを含んでもよい。2つの配置機能は、比較的小さな断面積を有し、間隙によって分離されていてもよい。その結果、第1の配置機能296Aは、第2TMT関節腔36の内側上に位置決めされ、第2の配置機能296Bは、第3TMT関節腔38の外側上に配置され得、このとき間隙は、切断ガイドを使用して切除されるべき任意の突出する骨部分にまたがる。
【0197】
切断ガイド292は、後に配置機能を挿入するために隣接する関節腔間に受容空洞を開くのに有用であり得るが、切断ガイドは他の目的にも使用されることができる。例えば、切断ガイド292は、切断ガイド150を使用して骨の初期部分を除去した後に、例えば、骨端部における修正処置又はトリミングの一部として、骨端部の一部を除去するために腋窩用器具として使用され得る。別の例としては、臨床医は、切断ガイド292を使用して、例えば、融合を促進するために関節腔に面する両方の骨の端面において実質的に平削り切断を行うことによって、融合のための関節を調製してもよい。このことは、例えば、関節炎のある関節を融合のために調製するのに有用であり得、骨端部を調製する前又は調製した後に、関節を画定する骨の再調整を伴って行われてもよいし、又は伴なわずに行われてもよい。
【0198】
更に、切断ガイド292は、切断ガイドの少なくとも1つのガイド面から離れる方向に上向き及び外向きに延在する、任意のハンドル298を有するものとして示されている。本明細書に記載されるいずれの切断ガイドも、切断ガイドの臨床医の操作を支援するために、ハンドル298のようなハンドルを有していてもよいし、又は有していなくてもよい。使用時には、ハンドルは、切断ガイドの残りの部分に永続的かつ一体的に接続されてもよいし、又は切断ガイドの残りの部分に脱着可能に接続されてもよい(例えば、切断ガイドの残りの部分を所望の位置に位置決めした後にハンドルが取り外されることを可能とするために)。必要に応じて、臨床医は、1回以上の切断を行っている間、ハンドルを把持して切断ガイドを適所に保持することができる(例えば、切断ガイドをその下にある骨にピン留めして又はピン留めせずに)。
【0199】
図19を更に参照すると、切断ガイド150は、切断されるべき骨の背側上に位置決め可能な少なくとも1つのガイド面を含む。
図19の図示された例においては、切断ガイド150は、第1の中足骨側ガイド面152Aと、第1のガイド面に平行な第2の中足骨側ガイド面152Bとを含み、これら2つのガイド面の間に切断スロットを画定している。切断ガイドはまた、第3の中足骨側ガイド面152Cと、第3のガイド面に平行な第4の中足骨側ガイド面152Dとを含み、これら2つのガイド面の間に第2の切断スロットを画定している。第2の切断スロットは、第1の切断スロットの遠位に位置決めされる。
【0200】
加えて、
図19における切断ガイド150は、第1の楔状骨側ガイド面154Aと、第1のガイド面に平行な第2の楔状骨側ガイド面154Bとを含み、これら2つのガイド面の間に切断スロットを画定している。切断ガイドはまた、第3の楔状骨側ガイド面154Cと、第3のガイド面に平行な第4の楔状骨側ガイド面154Dとを含み、これら2つのガイド面の間に第2の切断スロットを画定している。第2の楔状骨側切断スロットは、第1の楔状骨側切断スロットの近位に位置決めされる。切断ガイド150は、以上に議論されたように、異なる数又は構成のガイド面を有してもよい。
【0201】
互いからオフセットされた(例えば、近位又は遠位に)複数のガイド面(例えば、切断スロット)を有する切断ガイド150を構成することは、除去する骨の量を選択する際に臨床医に柔軟性を与えるために有用であり得る。臨床医は、除去する骨の所望の量に基づいて複数の平行なガイド面(例えば、2つ、3つ、4つ又はそれ以上のガイド面)のうちの1つを選択し、選択されたガイド面に沿って切断器具をガイドして、所望の量の骨を除去することができる。複数のガイド面を有する切断ガイド150を構成することは、再度の切断を可能にするためにも有用である。例えば、臨床医が1つのガイド面を使用して最初の量の骨を除去した後、臨床医は、所望の矯正を達成するために追加的な骨の除去が適切であると決定し得る。したがって臨床医は、同じ切断ガイドを再使用して、骨の追加部分を除去するために、骨の長さに沿ってより遠くにある異なるガイド面を選択し得る。本明細書に記載された切断ガイド150の任意の構成は、臨床医によって選択された特定のガイド面に応じて異なる量の骨を除去することを容易にするために、互いに平行に整列されたものであってもよいし又はそうでなくてもよい、互いから(例えば、近位に及び/又は遠位に)離隔された複数のガイド面(例えば、切断スロット)を含んでもよい。
【0202】
図19を参照すると、切断ガイド150は、切断される2つの骨をまたいで(例えば、第2中足骨14の最内側から第3中足骨16の最外側まで)延在するように構成された連続的なガイド面を有して構成されてもよいし、又は切断されるべき別個の骨の上に位置決めされるように構成された別個の部分を有する不連続なガイド面を有してもよい。いずれの場合においても、切断ガイド150は、切断されるべき内側の骨(例えば、第2中足骨14、中間楔状骨28)上に位置決めされるように構成された1つ以上のガイド面の部分と、切断されるべき外側の骨(例えば、第3中足骨16、外側楔状骨30)上に位置決めされるように構成された1つ以上のガイド面の部分との間に、非ゼロ度の角度282を画定してもよい。切断ガイド150の内側及び外側部分を互いに対して角度を付けることは、例えば、
図20に示されるように、ガイドによって画定されるガイド面を、足の解剖学的輪郭に対して方向付けるために有用であり得る。いくつかの例においては、切断ガイド150は、内側骨上に位置決めされるべきガイド面と、隣接する外側骨上に位置決めされるべきガイド面との間に、110~175度、125~170度、又は135~165度のような、90~179度の範囲の角度282を画定する。
【0203】
切断ガイド150が、該切断ガイドの内側部分と外側部分との間で角度を付けられた形状を有して構成される場合、切断ガイドの底側(例えば、切断ガイドの骨接触面)及び切断ガイドの背側(例えば、切断ガイドの外向き側)の両方が角度を付けられてもよい。例えば、
図19は、切断ガイド150の骨接触側面284と切断ガイドの外向き側面286との両方が、実質的に同じ角度282で角度を付けられていることを示している。この配置は有用であり得、これにより切断ガイド150の骨接触側面284が、その下にある骨のプロファイルに適合し、このプロファイルが、切断ガイドの外向き側面286のミラーリングされたプロファイルを通して臨床医に観察可能である。しかしながら、他の例においては、切断ガイドの一方又は両方の側面284、286は、直線状(例えば、角度を付けられていない)であってもよく、又は、骨接触側面284が、切断ガイドの外向き側面286とは異なる角度で角度を付けられてもよい。
【0204】
切断ガイド150は、切断ガイドの骨向き面及び/又は外向き面を画定する異なる面間の鋭い遷移を画定してもよいが、他の例においては、切断ガイドは、骨によって画定される異なる面間の遷移をもたらすために、曲線状の骨向き面及び/又は外向き面を画定してもよい。例えば、切断ガイド150の骨向き面284は、骨向き面をその下にある骨の背側と接触するように位置決めする曲線状のプロファイルを画定してもよい。外向き面286は、曲線状の骨向き面をミラーリングしてもよいし、又はしなくてもよい。
【0205】
実際には、切断ガイドの外側部分が切断ガイドの内側部分に対して底側方向にオフセットされるように、切断ガイド150の外向き面286を角度付けること及び/又は湾曲させることが有用であり得る。このことは、臨床医が第2中足骨と第3中足骨との間の矢状面オフセットを視覚化することを支援し得る。例えば、臨床医は、切断器具を切断ガイド150の外向き面に対して垂直に動かすように指示され、その結果、該器具が切断ガイドの角度を付けられた外側部分に移動する際に、切断器具の角度の再方向付けが行われることとなり得る。このことは、臨床医が不注意に隣接する第4中足骨に切り込んでしまうことを防止するのに役立ち得る。
【0206】
臨床医の切断動作のガイドを支援するため、及び/又は隣接する中足骨への不注意な切り込みを防ぐことを支援するために、ブロック要素又はフェンス要素が切断ガイドの側面(例えば、外側)上に位置決めされてもよい。
図32は、例示的な切断ガイド150及びブロック要素288を示す足の斜視図であり、ここでブロック要素は、切断器具の動きを制限して、隣接する中足骨の不注意な切断を防ぐことを支援するように位置決めされる。ブロック要素は、ピン、骨刀又はその他の機能であってもよい。ブロック要素288は、切断ガイド150に接続されてもよいし、又は切断ガイドとは別個の機能であってもよい。ブロック要素288は、切断ガイド150の最上面より上に延在する長さを定義してもよい。例えば、ブロック要素288は、切断ガイド150の上面が延在する高さの少なくとも2倍である中足骨の背側上の高さまで延在してもよい。図示された例においては、ブロック要素は、第3中足骨16と第4中足骨18との間に挿入される。いずれの場合においても、ブロック要素288は、臨床医による切断器具の外側方向の動きを制限するための視覚的及び/又は触覚的障壁として機能し得る。
【0207】
使用時には、スペーサ280は、2つの異なる隣接する関節腔内に少なくとも部分的に位置決めされてもよく、ここで各関節腔は、2つの対向する骨端部を分離している。このことは、切断ガイド150の1つ以上のガイド面を、切断されるべき隣接する骨端の背側上に方向付け得る。
図21は、切断されるべき骨端部によって画定される隣接する関節腔に挿入されたスペーサ280を有する、切断されるべき隣接する骨端部上に位置決めされた切断ガイド150の例示的な構成を示す、足10の上面図である。
図21における切断ガイド150は、単一の楔状骨側切断スロット及び単一の中足骨側切断スロットを有するものとして示されているが、以上に議論されたような異なる設計を有してもよい。
【0208】
概して、スペーサ280は、切断ガイド150に取り付けられた又は取り付け可能な第1の端部から、隣接する関節腔に底側方向に挿入可能な第2の端部まで延在してもよい。
図19の例のようないくつかの例においては、スペーサ280は、第1の端部から第2の端部まで幅(例えば、スペーサが隣接する関節腔にまたがる距離)及び/又は厚さが先細になっていてもよい。他の例においては、スペーサ280は、スペーサの長さにわたって一定の幅及び/又は厚さを有していてもよい。
【0209】
図19においては、スペーサ280は、隣接する足根中足関節腔に挿入可能なブロックとして示されており、ここでスペーサブロックは、2つの足根中足関節腔の間にまたがっている。他の例においては、切断ガイド150は、隣接する関節腔内に別個に位置決め可能な2つのスペーサに取り付けられ、又は取り付け可能であり、これら2つのスペーサの間に間隙又は空隙スペースを有していてもよい。例えば、
図22は、2つのスペーサ280A、280Bに関連する切断ガイドを示す、切断ガイド150の別の構成の斜視図である。スペーサ280Aは、第1足根中足関節腔(例えば、第2中足骨14と中間楔状骨28との間)に位置決めされてもよく、スペーサ280Bは、第2の第1足根中足関節腔(例えば、第3中足骨16と外側楔状骨30との間)に配置されてもよい。
【0210】
切断ガイド150及び関連する位置決め機能の前述の説明は、概して、第2足根中足関節及び第3足根中足関節上に位置決めするための構成に焦点を当ててきたが、切断ガイドは、任意の足根中足関節又は関節の組み合わせを切断するように構成され得る。例えば、切断ガイド150及び関連する位置決め機能(使用される場合)は、第2及び第3足根中足関節の代わりに、第3足根中足関節及び第4足根中足関節、又は第4足根中足関節及び第5足根中足関節を画定する1つ以上の骨端の上に、1つ以上のガイド面を位置決めするように構成され得る。したがって、第2中足骨14の端部及び/又は中間楔状骨28の端部(及び/又は第3中足骨16の端部及び/又は外側楔状骨30の端部)を調製するための器具及び技術の議論は、他の小足根中足関節腔及び/又はその他の骨端部に同様に当てはまると理解されるべきである。
【0211】
更に、本明細書における任意の装置(例えば、骨位置決め器、切断ガイド)についての中足骨側及び楔状骨側への参照は、該装置が一方の側において中足骨、他方の側において楔状骨があるTMT関節を横断する場合の、機能の相対的な位置及び方向を記述することを意図している。装置が、第4中足骨及び立方骨又は更に他の2つの骨若しくは骨部分(例えば、関節によって分離された2つの骨部分)のような2つの異なる骨をまたいで配置される場合、用語はその解剖学的構造に基づいて変更され得る。
【0212】
技術及び器具の前述の説明は、例示的な切断ガイドの議論を含むものであったが、1つ以上の技術の一部又は全部は、切断ガイドを使用せずに実施され得ることは、理解されるべきである。例えば、開示による技術は、フリーハンドで(切断ガイドを使用せずに)、又は切断ガイドの使用に加えて若しくはそれに代えて骨調製テンプレートの助けを借りて、実施されてもよい。概して、骨調製テンプレートは、後に切断されるべき1つ以上の骨部分を重ねるように構成された(例えば、そのようなサイズ及び/又は形状とされた)装置であってもよい。骨調製テンプレートは、その下にある骨の上のどこで骨が切断されるべきか、又はその他の方法で調製されるべきかを示すように構成されてもよい。骨調製テンプレートを、その下にある骨の上に位置決めすることは、骨が調製されるべき場所を骨上にマークするか又はその他の方法で示すことができ、及び/又は、臨床医は、骨上のどこに骨が調製されるべきかをマークするために骨調製テンプレートを使用することができる。臨床医はその後、骨調製テンプレートを除去し、該テンプレートを使用してマークされた又はその他の方法で示された位置において、骨調製ステップ(例えば、切断)を予め形成してもよい。
【0213】
一例として、骨調製テンプレートは、骨調製テンプレートの骨接触側において底側方向に突出する鋭くされた面のような、鋭くされた面を有していてもよい。鋭くされた面は、チゼル、切り込み線又はその他の機能であって、該機能によって接触される面(例えば、骨表面)上に指示マークを付与する機能として実装され得る。臨床医は、例えば、1つ以上の配置機能及び/又はその他の方向付け機能を使用して、調製されるべき1つ以上の骨に対してテンプレートを位置決めして、患者の1つ以上の目標となる解剖学的位置に対してテンプレートを位置決めすることができる。テンプレートが1つ以上の骨表面に接触すると(例えば、臨床医がテンプレートを骨表面に対して下向きに押すことによって、及び/又はテンプレートを骨に対して前後に滑動させることによって)、鋭くされた面が骨に指示マークを付与することができる。これに加えて又は代替として、臨床医は、テンプレートを通して及び/又はテンプレートに隣接してエネルギー(例えば、高周波電流、レーザエネルギー)を印加して、1つ以上の骨に焼く、切り込む及び/又はその他の方法で、指示マークを形成してもよい。臨床医はその後、指示マークに従うか又は追従する組織除去器具を使用して、フリーハンドの骨調製(例えば、切断)を実施することができる。
【0214】
別の例として、骨調製テンプレートは、1つ以上の骨において及び/又はその上に照明テンプレートを表示する光源(例えば、内蔵レーザ光又はその他の光標的装置)を含んでもよい。光源は、例えば、患者の1つ以上の標的となる解剖学的位置に対して光源を位置決めするために、1つ以上の配置機能及び/又はその他の方向付け機能を使用して、調製されるべき1つ以上の骨に対して位置決めされてもよい。光源は、調製されるべき1つ以上の骨において及び/又はその上に1つ以上の光線又はその他の指示光マークを表示するように作動させられ得る。臨床医は、光源によって放送されたマーク又は線に従うか又は追従する組織除去器具を使用して、フリーハンドの骨調製(例えば、切断)を実施することができる。
【0215】
別の例としては、骨調製テンプレートは、マーキング源をガイドするために使用されることができる1つ以上のガイド面(例えば、任意選択的にスロットを有さない)を有する成形構造(例えば、金属又はプラスチックで作製されたもの)であってもよい。マーキング器具をガイドするためのガイド面は、例えば、1つ以上の配置機能及び/又はその他の方向付け機能を使用して、表面を患者の1つ以上の目標の解剖学的位置に対して位置決めして、調製されるべき1つ以上の骨に対して位置決めされることができる。臨床医は次いで、テンプレートを使用して、マーキング源(例えば、外科用マーカーペン、メス、又はその他の骨表面にスクライブ又はマーキングする鋭い器具)をガイドして、調製されるべき骨表面に1つ以上の指示マークを付与することができる。臨床医はその後、指示マークに従うか又は追従する組織除去器具を使用して、フリーハンドの骨調製(例えば、切断)を実施することができる。
図33は、マーキング器具をガイドするために使用されることができる1つ以上のガイド面302を画定する、例示的な骨調製テンプレート300の斜視図である。
【0216】
骨調製テンプレートの任意の構成においては、テンプレートは、1つ以上の骨端部を調製するために臨床医によって使用され得る骨調製位置(例えば、1つ以上の切断線)を指定するために使用され得る。骨調製位置は、切断ガイドに関して以上に議論されたものであってもよく、例えば、切断ガイドを用いて形成されるものとして議論されたように、除去された骨部分及び/又は関節開口に帰着する。また、骨調製テンプレートとともに使用される配置機能は、切断ガイドに関して以上に議論されたものであってもよい。本明細書に記載されるような骨調製テンプレートは、第1中足骨及び/又は1つ以上の小中足骨を含む、任意の骨又は骨の組み合わせを調製するために使用されることができる。
【0217】
様々な実施例が説明されてきた。これら及びその他の実施例は、以下の請求項の範囲内である。
【国際調査報告】