(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-21
(54)【発明の名称】無人搬送車、並びに無人搬送車を制御するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
G05D 1/02 20200101AFI20230614BHJP
G01S 11/06 20060101ALI20230614BHJP
【FI】
G05D1/02 S
G01S11/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022570682
(86)(22)【出願日】2021-05-20
(85)【翻訳文提出日】2023-01-18
(86)【国際出願番号】 CN2021094931
(87)【国際公開番号】W WO2021233386
(87)【国際公開日】2021-11-25
(31)【優先権主張番号】202010436900.6
(32)【優先日】2020-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520208203
【氏名又は名称】ベイジン・ジンドン・チアンシ・テクノロジー・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】商 春▲鵬▼
(72)【発明者】
【氏名】王 真
(72)【発明者】
【氏名】辛 雪慊
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301BB05
5H301DD08
5H301DD17
5H301LL01
5H301LL02
5H301LL03
5H301LL07
5H301LL08
5H301LL11
5H301LL14
5H301QQ09
(57)【要約】
スマートデバイスの技術分野に関する無人搬送車(101)が開示される。無人搬送車(101)は、可動物体又は不動物体に備えられた第1の送信機(1021)によって送信された第1の周波数の第1の信号を受信するように構成された第1の受信機(1011)と、第1の受信機(1011)が第1の信号を受信しているかどうかに応じて無人搬送車(101)の走行を制御するように構成された制御機(1013)とを備える。無人搬送車(101)の走行を制御するように、無人搬送車(101)は、第1の受信機(1011)が信号を受信しているかどうかに応じて、無人搬送車(101)が保護対象物(102)に対して安全走行範囲内にあるかどうかを決定することができ、それによって、無人搬送車(101)が走行中に人又はデバイスなどの保護対象物(102)と衝突するのを防止することができる。無人搬送車(101)を制御するための方法及びシステムがさらに開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無人搬送車であって、
可動物体又は不動物体に備えられた第1の送信機によって送信された第1の周波数の第1の信号を受信するように構成された第1の受信機と、
前記無人搬送車が前記第1の送信機が備えられた前記可動物体又は前記不動物体と衝突するのを防止するために、前記第1の受信機が前記第1の信号を受信しているかどうかに従って前記無人搬送車の動作を制御するように構成された制御機と、
を備える、無人搬送車。
【請求項2】
前記制御機は、
前記第1の受信機が前記第1の信号を受信している状態において、停止又は減速するように前記無人搬送車を制御する、又は
前記第1の受信機が前記第1の信号を受信していない状態において、普通に動作するように前記無人搬送車を制御する、
ように構成される、請求項1に記載の無人搬送車。
【請求項3】
前記制御機は、
前記第1の受信機が前記第1の信号を受信している状態において、受信された前記第1の信号の強度に従って、前記第1の信号を送信する前記第1の送信機と前記無人搬送車との間の距離を決定し、
前記第1の信号を送信する前記第1の送信機と前記無人搬送車との間の前記距離に従って、前記無人搬送車が減速するための加速度を決定し、
前記加速度に従って減速するように前記無人搬送車を制御する、
ように構成される、請求項2に記載の無人搬送車。
【請求項4】
前記可動物体又は前記不動物体に備えられた第2の送信機によって送信された第2の周波数の第2の信号を受信するように構成された第2の受信機であって、前記第1の周波数は前記第2の周波数よりも低い、第2の受信機をさらに備え、
前記制御機は、前記第1の受信機が前記第1の信号を受信していない状態において、前記第2の受信機が前記第2の信号を受信しているかどうかに従って、前記無人搬送車の前記動作を制御するようにさらに構成される、請求項1に記載の無人搬送車。
【請求項5】
前記制御機は、
前記第1の受信機が前記第1の信号を受信していない状態において、前記第2の受信機が前記第2の信号を受信している場合、普通に動作するように前記無人搬送車を制御する、
ように構成される、請求項4に記載の無人搬送車。
【請求項6】
前記制御機は、
前記第1の受信機が前記第1の信号を受信していない状態において、前記第2の受信機が、前記第2の送信機によって送信されたか又は別の無人搬送車によって転送された前記第2の信号を受信している場合、普通に動作するように前記無人搬送車を制御する、
ように構成される、請求項5に記載の無人搬送車。
【請求項7】
無人搬送車を制御するための方法であって、
前記無人搬送車に備えられた第1の受信機をオンにするステップであって、前記第1の受信機は、可動物体又は不動物体に備えられた第1の送信機によって送信された第1の周波数の第1の信号を受信するように構成される、ステップと、
前記無人搬送車が前記第1の送信機が備えられた前記可動物体又は前記不動物体と衝突するのを防止するために、前記第1の受信機が前記第1の信号を受信しているかどうかに従って、前記無人搬送車の動作を制御するステップと、
を含む、方法。
【請求項8】
前記無人搬送車の動作を制御する前記ステップは、
前記第1の受信機が前記第1の信号を受信している状態において、停止又は減速するように前記無人搬送車を制御するステップ、又は
前記第1の受信機が前記第1の信号を受信していない状態において、普通に動作するように前記無人搬送車を制御するステップ、
を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
減速するように前記無人搬送車を制御する前記ステップは、
前記第1の受信機が前記第1の信号を受信している状態において、受信された前記第1の信号の強度に従って、前記第1の信号を送信する前記第1の送信機と前記無人搬送車との間の距離を決定するステップと、
前記第1の信号を送信する前記第1の送信機と前記無人搬送車との間の前記距離に従って、前記無人搬送車が減速するための加速度を決定するステップと、
前記加速度に従って減速するように前記無人搬送車を制御するステップと、
を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記無人搬送車に備えられた第2の受信機をオンにするステップであって、前記第2の受信機は、前記可動物体又は前記不動物体に備えられた第2の送信機によって送信された第2の周波数の第2の信号を受信するように構成され、前記第1の周波数は前記第2の周波数よりも低い、ステップをさらに含み、
前記無人搬送車の動作を制御する前記ステップは、前記第1の受信機が前記第1の信号を受信していない状態において、前記第2の受信機が前記第2の信号を受信しているかどうかに従って、前記無人搬送車の前記動作を制御するステップを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記無人搬送車の前記動作を制御する前記ステップは、
前記第1の受信機が前記第1の信号を受信していない状態において、前記第2の受信機が前記第2の信号を受信している場合、普通に動作するように前記無人搬送車を制御するステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記無人搬送車の前記動作を制御する前記ステップは、
前記第1の受信機が前記第1の信号を受信していない状態において、前記第2の受信機が、前記第2の送信機によって送信されたか又は別の無人搬送車によって転送された前記第2の信号を受信している場合、普通に動作するように前記無人搬送車を制御するステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
プロセッサによって実行されたとき、請求項7から12のいずれか一項に記載の無人搬送車を制御するための方法を実施するコンピュータプログラムを記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項14】
第1の周波数の第1の信号を送信するように構成された、移動物体又は不動物体に備えられた第1の送信機と、
請求項1から6のいずれか一項に記載の1以上の無人搬送車と
を備える、無人搬送車を制御するためのシステム。
【請求項15】
第2の周波数の第2の信号を送信するように構成された、前記可動物体又は前記不動物体に備えられた第2の送信機であって、前記第1の周波数は前記第2の周波数よりも低い、第2の送信機をさらに備える、
請求項14に記載の無人搬送車を制御するためのシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年5月21日に出願された中国特許出願第202010436900.6号に基づいており、その優先権を主張し、その開示の全体を本出願に組み込む。
【0002】
本開示は、インテリジェントデバイスの技術分野に関し、詳細には、無人搬送車、並びに無人搬送車を制御するための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
無人搬送車(AGV)は高度に自動化されインテリジェントであるため、倉庫業、製造、物流、及び危険な作業環境などのさまざまな適用シナリオに広く適用される。
【0004】
無人搬送車の作業エリアには、作業者又は他のデバイスの進入があり得る。無人搬送車は、その動作中にこれらの作業者又は他のデバイスと衝突し得、負傷者又はデバイス損傷をもたらし得る。そのため、無人搬送車の運行中に、無人搬送車が人又は他のデバイスと衝突するのを防止することが緊急の課題となっている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のいくつかの実施形態によれば、無人搬送車が提供され、この無人搬送車であって、可動物体又は不動物体に備えられた第1の送信機によって送信された第1の周波数の第1の信号を受信するように構成された第1の受信機と、第1の受信機が第1の信号を受信しているかどうかに従って無人搬送車の動作を制御するように構成された制御機とを有する。
【0006】
いくつかの実施形態では、制御機は、第1の受信機が第1の信号を受信している状態において、停止又は減速するように無人搬送車を制御するか、又は第1の受信機が第1の信号を受信していない状態において、普通に動作するように無人搬送車を制御する、ように構成される。
【0007】
いくつかの実施形態では、制御機は、第1の受信機が第1の信号を受信している状態において、受信された第1の信号の強度に従って、第1の信号を送信する第1の送信機と無人搬送車との間の距離を決定し、第1の信号を送信する第1の送信機と無人搬送車との間の距離に従って、無人搬送車が減速するための加速度を決定し、その加速度に従って減速するように無人搬送車を制御する、ように構成される。
【0008】
いくつかの実施形態では、無人搬送車は、可動物体又は不動物体に備えられた第2の送信機によって送信された第2の周波数の第2の信号を受信するように構成された第2の受信機であって、第1の周波数は第2の周波数よりも低く、第1の周波数は第2の周波数よりも低い、第2の受信機をさらに備え、制御機は、第1の受信機が第1の信号を受信していない状態において、第2の受信機が第2の信号を受信しているかどうかに従って、無人搬送車の動作を制御するようにさらに構成される。
【0009】
いくつかの実施形態では、制御機は、第1の受信機が第1の信号を受信していない状態において、第2の受信機が第2の信号を受信している場合、普通に動作するように無人搬送車を制御するように構成される。
【0010】
いくつかの実施形態では、制御機は、第1の受信機が第1の信号を受信していない状態において、第2の受信機が、第2の送信機によって送信されたか又は別の無人搬送車によって転送された第2の信号を受信している場合、普通に動作するように無人搬送車を制御するように構成される。
【0011】
本開示のさらに他の実施形態によれば、無人搬送車を制御するための方法が提供され、この方法は、無人搬送車に備えられた第1の受信機をオンにするステップであって、第1の受信機は、可動物体又は不動物体に備えられた第1の送信機によって送信された第1の周波数の第1の信号を受信するように構成される、ステップと、第1の受信機が第1の信号を受信しているかどうかに従って無人搬送車の動作を制御するステップと、を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、無人搬送車の動作を制御するステップは、第1の受信機が第1の信号を受信している状態において、停止又は減速するように無人搬送車を制御するステップ、又は第1の受信機が第1の信号を受信していない状態において、普通に動作するように無人搬送車を制御するステップ、を含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、減速するように無人搬送車を制御するステップは、第1の受信機が第1の信号を受信している状態において、受信された第1の信号の強度に従って、第1の信号を送信する第1の送信機と無人搬送車との間の距離を決定するステップと、第1の信号を送信する第1の送信機と無人搬送車との間の距離に従って、無人搬送車が減速するための加速度を決定するステップと、その加速度に従って減速するように無人搬送車を制御するステップとを含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、方法は、無人搬送車に備えられた第2の受信機をオンにするステップであって、第2の受信機は、可動物体又は不動物体に備えられた第2の送信機によって送信された第2の周波数の第2の信号を受信するように構成され、第1の周波数は第2の周波数よりも低い、ステップをさらに含み、無人搬送車の動作を制御するステップは、第1の受信機が第1の信号を受信していない状態において、第2の受信機が第2の信号を受信しているかどうかに従って、無人搬送車の動作を制御するステップを含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、無人搬送車の動作を制御するステップは、第1の受信機が第1の信号を受信していない状態において、第2の受信機が第2の信号を受信している場合、普通に動作するように無人搬送車を制御するステップを含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、無人搬送車の動作を制御するステップは、第1の受信機が第1の信号を受信していない状態において、第2の受信機が、第2の送信機によって送信されたか又は別の無人搬送車によって転送された第2の信号を受信している場合、普通に動作するように無人搬送車を制御するステップを含む。
【0017】
本開示のさらなる実施形態によれば、プロセッサによって実行されたとき、実施形態のいずれか1つに記載の無人搬送車を制御するための方法を実施するコンピュータプログラムを記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体が提供される。
【0018】
本開示のなおさらなる実施形態によれば、無人搬送車を制御するためのシステムが提供され、このシステムは、第1の周波数の第1の信号を送信するように構成された、移動物体又は不動物体に備えられた第1の送信機と、実施形態のいずれか1つに記載の1以上の無人搬送車とを備える。
【0019】
いくつかの実施形態では、システムは、第2の周波数の第2の信号を送信するように構成された、可動物体又は不動物体に備えられた第2の送信機であって、第1の周波数は第2の周波数よりも低い、第2の送信機をさらに備える。
【0020】
実施形態又は関連技術の説明において使用され必要がある添付図面が以下に簡単に説明される。本開示は、添付図面を参照しつつ進行する以下の詳細な説明からより明確に理解されるであろう。
【0021】
以下の説明における図面は本開示のいくつかの実施形態にすぎないこと、及び他の図面も創造的な労力を費やすことなく当業者によって導出されることができることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本開示のいくつかの実施形態に係る無人搬送車を制御するためのシステムの概略図を示す。
【
図2】本開示のいくつかの実施形態に係る無人搬送車の概略図を示す。
【
図3】本開示のいくつかの実施形態に係る無人搬送車を制御するための方法のフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本開示の実施形態における技術的解決法は、本開示の実施形態における図面と併せて以下に明確かつ完全に説明される。
【0024】
本開示の実施形態は、無人搬送車がその動作中に人又はデバイスなどの物体と衝突するのを防止する解決法を提供する。
【0025】
本開示の実施形態では、無人搬送車の動作を制御し、それによって、無人搬送車が動作中に人又はデバイスなどの保護対象物と衝突するのを防止するように、無人搬送車には信号受信機が備えられ、保護対象である可動物体又は不動物体には信号送信機が備えられ、無人搬送車は、受信機が信号を受信しているかどうかに従って、無人搬送車が保護対象物に対して安全動作範囲内にあるかどうかを判定することができる。
【0026】
図1は、本開示のいくつかの実施形態に係る無人搬送車を制御するためのシステムの概略図を示している。
【0027】
図1に示されるように、この実施形態の無人搬送車を制御するためのシステム100は、信号受信機が備えられた1以上の無人搬送車101と、可動物体又は不動物体などの保護対象物102に備えられた信号送信機とを備える。信号送信機は、例えば、第1の送信機1021を含む。無人搬送車が第1の送信機1021の信号通信範囲に入った場合、それは、無人搬送車が第1の送信機1021が備えられた保護対象物に近く、危険動作範囲内にあることを示す。信号送信機は、例えば、第2の送信機1022をさらに含む。無人搬送車が第2の送信機1022の信号通信範囲にちょうど入ったところである場合、それは、無人搬送車が第2の送信機1022が備えられた保護対象物から遠く、現在は安全動作範囲内にあることを示す。第1の送信機1021と組み合わせて使用される信号受信機は第1の受信機1011と指定される。第2の送信機1022と組み合わせて使用される信号受信機は第2の受信機1012と指定される。
【0028】
第1の送信機1021は、例えば、可動物体又は不動物体などの保護対象物に備えられた信号送信機とすることができ、第1の送信機1021は、第1の周波数の第1の信号を送信するように構成される。例えば、第1の送信機1021は、人又は他の可動デバイスなどの可動物体に備えられることができるか、又は不動設備などの不動物体に備えられることができる。第1の信号は、第1の送信機1021によって送信される周期信号であり、第1の信号のデータ内容は、例えば、第1の送信機のID(Identity Document)識別情報である。第1の送信機の送信アンテナは、第1の送信機が備えられた物体に対して360度の保護動作を行うために、例えば、全方向性アンテナを使用することができる。
【0029】
第1の周波数が設定されるとき、第1の信号の伝送距離が無人搬送車の安全制動距離以上になるように、無人搬送車の安全制動距離が考慮される。いくつかの実施形態では、第1の周波数は、第1の信号の伝送距離が無人搬送車の安全制動距離よりもわずかに大きくなるように設定される。無人搬送車の安全制動距離が5メートルであると仮定すると、無人搬送車に十分な応答時間を確保するために、送信のための第1の周波数は、第1の信号が5.2メートルに達することができるように設定される。
【0030】
無人搬送車101は、第1の送信機1021によって送信された第1の信号を第1の受信機1011を介して受信し、第1の受信機1011が第1の信号を受信しているかどうかに従って、無人搬送車の動作を制御する、ように構成される。例えば、受信機1011が第1の第1の信号を受信している状態であって無人搬送車101が第1の送信機1021が備えられた保護対象物に近く危険動作範囲にあるということを示す状態において、無人搬送車101は、停止又は減速するように無人搬送車101を制御するように構成され、第1の受信機が第1の信号を受信していない状態であって無人搬送車が第1の送信機1021が備えられた保護対象物から遠く現在は安全動作範囲内にあるということを示す状態において、普通に動作するように無人搬送車101を制御する。
【0031】
いくつかの実施形態では、減速するように無人搬送車101を制御するための方法は、第1の受信機が第1の信号を受信している状態において、先ず、受信された第1の信号の強度に従って、第1の信号を送信する第1の送信機1021と無人搬送車101との間の距離を決定するステップと、次に、第1の信号を送信する第1の送信機1021と無人搬送車101との間の距離に従って、無人搬送車101が減速するための加速度を決定するステップと、そして、決定された加速度に従って減速するように無人搬送車101を制御するステップとを含む。
【0032】
受信された第1の信号の強度に従って、第1の信号を送信する第1の送信機1021と無人搬送車101との間の距離を決定するステップは、例えば、RSSI(Received Signal Strength Indication)法を使用して、第1の送信機1021(すなわち、第1の送信機が備えられた可動物体又は不動物体)と無人搬送車101との間の距離を計算するステップを含み、RSSI法は、例えば、Sと示される。例えば、無人搬送車が減速するための加速度は、以下の式、すなわち、
a=V2/(2×(S-S1))
を使用して決定されることができ、ここで、aは無人搬送車が減速するための加速度(これは、最小加速度とも称されることができ、すなわち、無人搬送車は、a以上の加速度で減速するということが許される)を示し、Vは無人搬送車の現在の速度であり、Sは、受信された第1の信号の強度に従って計算された距離であり、S1は、許容誤差のために予め設定された安全定数を示し、例えばS1=0.5mに設定する。
【0033】
いくつかの実施形態では、例えば、特定の距離区間が1つの決定された加速度値に対応すると設定することによって、無人搬送車はその加速度で減速することができ、また、特定の距離が達せられるまでは、無人搬送車は停止するように制御されることができる。例えば、無人搬送車と保護対象物との間の距離が距離区間[8,15)に属するとき、その距離区間に対応する、無人搬送車が減速するための加速度値は、a=5m/s2と設定され、無人搬送車と保護対象物との間の距離が距離区間[2,8)内であるとき、その距離区間に対応する、無人搬送車が減速するための加速度値は、a=10m/s2と設定され、無人搬送車と保護対象物との間の距離が距離区間[0,2)内であるとき、無人搬送車は停止するように制御される。無人搬送車と保護対象物との間の距離が15以上であるとき、その距離区間に対応する、無人搬送車が減速するための加速度値は、a=0m/s2と設定され、すなわち、無人搬送車は一定速度で普通に動作するように制御される。
【0034】
第2の送信機1022は、例えば、可動物体又は不動物体に備えられた第2の送信機とすることができ、第2の送信機1022は、第2の周波数の第2の信号を送信するように構成される。第2の信号は、第2の送信機1022によって送信される周期信号であり、第2の信号のデータ内容は、例えば、第2の送信機のID(Identity Document)識別情報である。例えば、第2の送信機1022は、人又は他の可動デバイスなどの可動物体に備えられることができるか、又は不動設備などの不動物体に備えられることができる。
【0035】
第1の周波数は第2の周波数よりも低く、すなわち、第2の信号は第1の信号よりも高い周波数を使用し、したがって、第2の信号の伝送距離はより遠くすることができる。無人搬送車を制御するためのシステムでは、第1の信号の伝送距離は設定された危険距離に関係し、無人搬送車が第1の信号を受信している場合、それは、保護対象物と無人搬送車との間の距離が危険であり、無人搬送車が減速又は停止するように制御される必要があることを示す。第2の信号の伝送距離は設定された安全距離に関係し、無人搬送車が第2の信号を受信している場合、それは、保護対象物と無人搬送車との間の距離が安全であり、無人搬送車が普通に動作するように制御されることができることを示す。第1の信号(短い伝送距離を有する)は、無人搬送車の動作のための危険距離を検出するために使用され、第2の信号(長い伝送距離を有する)は、無人搬送車の動作のための安全距離を検出するために使用され、無人搬送車が人又はデバイスなどの保護対象物と衝突するのを防止するために、第1の信号と第2の信号とを組み合わせて使用することによって、無人搬送車の安全制御のためのシステム全体の信頼性が向上されることができる。
【0036】
無人搬送車101は、第2の送信機1022によって送信された第2の周波数の第2の信号を第2の受信機1012を介して受信する。第1の受信機1011が第1の信号を受信していない状態において、無人搬送車101の動作は、第2の受信機1012が第2の信号を受信しているかどうかに従って制御される。例えば、第1の受信機1011が第1の信号を受信していない状態において、第2の受信機1012が第2の信号を受信している場合、それは、無人搬送車が第2の送信機1022が備えられた保護対象物から遠く、現在は安全動作範囲内にあることを示し、無人搬送車101は普通に動作するように制御されることができる。
【0037】
第2の受信機1012が第2の信号を受信することは、第2の送信機1022によって直接送信された第2の信号を第2の受信機1012が受信することを含む。無人搬送車101と第2の送信機1022が備えられた保護対象物102との間の距離が第2の信号によって送信されることができる最大距離を超えるとき、無人搬送車101の第2の受信機1012は、別の無人搬送車101によって転送された第2の信号を受信することによって、無人搬送車が安全動作範囲内にあると決定することもでき、無人搬送車101が別の無人搬送車101によって転送された第2の信号を受信することができる場合、それは、無人搬送車101が、第2の送信機1022が備えられた保護対象物から遠く、現在は安全動作範囲内にあることを示し、無人搬送車101は普通に動作するように制御されることができる。第2の信号が可能な限り多くの無人搬送車をカバーすることができるように、無人搬送車は、第2の送信機によって直接送信された第2の信号を受信することができるだけでなく、他の無人搬送車によって転送された第2の信号を受信することもできる。無人搬送車が第2の信号を受信している場合、それは、無人搬送車が第2の送信機が備えられた保護対象物から遠く、現在は安全動作範囲内にあり、無人搬送車が普通に動作するように制御されることができることを示し、それによって、無人搬送車が人又はデバイスなどの保護対象物と衝突するのを防止することを確保する。
【0038】
いくつかの実施形態では、各保護対象物には、複数の第1の送信機、又は複数の第2の送信機が備えられることができる。特定の距離範囲内では、各可動物体又は不動物体にある任意の送信機(第1の送信機又は第2の送信機)は、任意の無人搬送車にある任意の受信機(第1の受信機又は第2の受信機)に信号を独立して送信することができ、各無人搬送車にある受信機は、可動物体又は不動物体に備えられた任意の送信機によって送信された信号を受信することができ、このことが、無人搬送車の安全制御に関するシステム全体の信頼性を向上させる。
【0039】
いくつかの実施形態では、第1の送信機に検出回路が追加され、その出力ポートは第2の送信機のイネーブルポートに接続される。すなわち、第1の送信機が第1の信号を送信することができない場合、第2の信号も送信されることができない。これによって、第1の送信機の故障によって引き起こされる無人搬送車の誤判定に起因して、普通に動作するように無人搬送車が制御されるという状況を回避し、すなわち、これによって、無人搬送車が他の物体と衝突するのを回避し、無人搬送車の安全な動作を確保する。
【0040】
図2は、本開示のいくつかの実施形態に係る無人搬送車の概略図を示している。いくつかの例示的な実施形態の無人搬送車101が
図2と併せて以下に説明される。
【0041】
図2に示されるように、本実施形態の無人搬送車101は、信号受信機を備える。信号受信機は、例えば、第1の受信機1011と制御機1013とを含み、第2の受信機1012も含むことができ、2つの受信機は異なる周波数(又は、異なる伝送距離)の信号を受信することができる。第1の受信機1011は1以上であるように設定されることができ、又は第2の受信機1012は1以上であるように設定されることができる。特定の距離範囲内では、任意の第1の受信機1011は第1の送信機によって送信された信号を受信することができ、任意の第2の受信機1012は第2の送信機によって送信された信号を受信することができ、2つ以上の信号受信機を設けることは、無人搬送車の安全制御に関するシステム全体の信頼性を向上させる。
【0042】
第1の受信機1011は、可動物体又は不動物体に備えられた第1の送信機(例えば、
図1に示される第1の送信機1021)によって送信された第1の周波数の第1の信号を受信するように構成される。制御機1013は、第1の受信機1011が第1の信号を受信しているかどうかに従って無人搬送車101の動作を制御するように構成される。
【0043】
いくつかの実施形態では、制御機1013は、第1の受信機1011が第1の信号を受信している状態において、停止又は減速するように無人搬送車101を制御し、及び、第1の受信機1011が第1の信号を受信していない状態において、普通に動作するように無人搬送車101を制御する、ように構成される。
【0044】
減速するように無人搬送車101を制御するステップは、第1の受信機1011が第1の信号を受信している状態において、先ず、例えば、第1の送信機と無人搬送車との間の距離を決定する前述の方法を参照しつつ、受信された第1の信号の強度に従って、第1の信号を送信する第1の送信機と無人搬送車101との間の距離を決定するステップと、次に、例えば、無人搬送車が減速するための加速度を決定するための前述の方法を参照しつつ、第1の信号を送信する第1の送信機と無人搬送車101との間の距離に従って、無人搬送車101が減速するための加速度を決定するステップと、そして、その加速度に従って減速するように無人搬送車101を制御するステップとを含む。
【0045】
いくつかの実施形態では、第2の受信機1012は、移動物体又は不動物体に備えられた第2の送信機(例えば、
図1に示される第2の送信機1022)によって送信された第2の周波数の第2の信号を受信するように構成され、第1の周波数は第2の周波数よりも低い。第1の信号(短い伝送距離を有する)は、無人搬送車の動作のための危険距離を検出するために使用され、第2の信号(長い伝送距離を有する)は、無人搬送車の動作のための安全距離を検出するために使用され、第1の信号と第2の信号とを組み合わせて使用することによって、無人搬送車の安全制御に関係するシステム全体の信頼性が向上されることができ、このことで、無人搬送車が人又はデバイスなどの保護対象物と衝突するのを防止されることを確保する。
【0046】
いくつかの実施形態では、任意の無人搬送車101の第2の受信機1012が第2の送信機1022によって送信された第2の信号を受信した後、無人搬送車101は、例えば、ブロードキャストによって、それ自体の第2の受信機1012によって受信された第2の信号を他の無人搬送車に転送することができる。
【0047】
このとき、制御機1013は、第1の受信機1011が第1の信号を受信していない状態において、第2の受信機1012が第2の信号を受信しているかどうかに従って無人搬送車101の動作を制御するように構成される。いくつかの実施形態では、制御機1013は、第1の受信機1011が第1の信号を受信していない状態において、第2の受信機1012が第2の信号を受信している場合、普通に動作するように無人搬送車101を制御するように構成される。第2の受信機1012が第2の信号を受信することは、第1の受信機1011が第1の信号を受信していない状態において、第2の受信機1012が第2の送信機によって送信された第2の信号を受信すること、又は第2の受信機1012が別の無人搬送車101によって転送された第2の信号を受信することを含む。
【0048】
図3は、本開示のいくつかの実施形態に係る無人搬送車を制御するための方法のフロー図を示している。
【0049】
図3に示されるように、この実施形態のための方法は、ステップ301からステップ304を含む。
【0050】
ステップ301において、無人搬送車に備えられた第1の受信機がオンにされ、第1の受信機は、可動物体又は不動物体に備えられた第1の送信機によって送信された第1の周波数の第1の信号を受信するように構成される。
【0051】
例えば、各無人搬送車に備えられた第1の受信機は、作業者によってすべての無人搬送車のコンソールコマンドを制御することによってオンにされることができる。各無人搬送車にある任意の第1の受信機が第1の送信機によって送信された第1の信号を受信することができるように、第1の受信機は複数とすることができ、このことで、無人搬送車の安全制御に関するシステム全体の信頼性を向上させ、システム全体の信頼性を確保する。
【0052】
ステップ302において、第1の受信機が第1の信号を受信しているかどうかに従って無人搬送車の動作が制御される。
【0053】
無人搬送車の動作を制御するステップは、第1の受信機が第1の信号を受信している状態において、停止又は減速するように無人搬送車を制御するステップと、第1の受信機が第1の信号を受信していない状態において、普通に動作するように無人搬送車を制御するステップとを含む。
【0054】
減速するように無人搬送車を制御するステップは、第1の受信機が第1の信号を受信している状態において、先ず、例えば、第1の送信機と無人搬送車との間の距離を決定する前述の方法を参照しつつ、受信された第1の信号の強度に従って、第1の信号を送信する第1の送信機と無人搬送車との間の距離を決定するステップと、次に、例えば、無人搬送車が減速するための加速度を決定するための前述の方法を参照しつつ、第1の信号を送信する第1の送信機と無人搬送車との間の距離に従って、無人搬送車が減速するための加速度を決定するステップと、そして、その加速度に従って減速するように無人搬送車を制御するステップとを含む。
【0055】
いくつかの実施形態では、第2の受信機が無人搬送車に備えられている場合、方法はステップ303及び304をさらに含む。
【0056】
各無人搬送車にある任意の第2の受信機が第2の送信機によって送信された第2の信号を受信することができるように、第2の受信機は複数とすることができ、このことで、無人搬送車の安全制御に関するシステム全体の信頼性を向上させ、システム全体の信頼性を確保する。
【0057】
ステップ303において、無人搬送車に備えられた第2の受信機がオンにされる。第2の受信機は、可動物体又は不動物体に備えられた第2の送信機によって送信された第2の周波数の第2の信号を受信するように構成され、第1の周波数は第2の周波数よりも低い。
【0058】
ステップ304において、第1の受信機が第1の信号を受信していない状態において、無人搬送車の動作は、第2の受信機が第2の信号を受信しているかどうかに従って制御される。
【0059】
無人搬送車の動作を制御するステップは、第1の受信機が第1の信号を受信していない状態において、第2の受信機が第2の信号を受信している場合、普通に動作するように無人搬送車を制御するステップを含む。第2の受信機が第2の信号を受信することは、第2の受信機が第2の送信機によって送信された第2の信号を受信すること、又は第2の受信機が別の無人搬送車によって転送された第2の信号を受信することを含む。
【0060】
上記の実施形態では、無人搬送車は第1の受信機を備え、無人搬送車の動作は第1の受信機によって受信された第1の信号に従って制御されることができ、第1の信号の伝送距離は設定された危険距離に関連し、無人搬送車が第1の信号を受信している場合、それは、保護対象物と無人搬送車との間の距離が危険であり、無人搬送車が安全に走行することができるように、無人搬送車が減速又は停止するように制御される必要があることを示し、信号受信機と信号送信機との1つのグループによって、安全走行が比較的低いコストで実現されることができる。又は、無人搬送車は、第1の受信機と第2の受信機とを備え、無人搬送車の動作は、第1の受信機と第2の受信機とによってそれぞれ受信された第1の信号と第2の信号とに従って制御され、第1の信号(短い伝送距離を有する)は、無人搬送車の動作のための危険距離を検出するために使用され、第2の信号(長い伝送距離を有する)は、無人搬送車の動作の安全距離を検出するために使用され、第1の信号と第2の信号とを組み合わせて使用することによって、無人搬送車の安全制御に関係するシステム全体の信頼性が向上されることができ、このことで、無人搬送車が人又はデバイスなどの保護対象物と衝突するのを防止されることを確保する。加えて、各無人搬送車にある任意の第1の受信機又は任意の第2の受信機が、対応する第1の送信機又は第2の送信機によって送信された信号を受信することができるように、無人搬送車に備えられた第1の受信機は複数とすることができ、又は無人搬送車に備えられた第2の受信機も複数とすることができ、このことで、無人搬送車の安全制御に関するシステム全体の信頼性を向上させる。
【0061】
本開示の実施形態は、方法、システム、又はコンピュータプログラム製品として提供されることができることが当業者によって理解されるべきである。それに応じて、本開示は、完全なハードウェアの実施形態、完全なソフトウェアの実施形態、又はソフトウェア態様とハードウェア態様とを組み合わせた実施形態の形をとることができる。さらに、本開示は、コンピュータ・プログラム・コードをその中に有する1以上のコンピュータ非一時的可読記憶媒体(ディスクメモリ、CDーROM、光メモリなどを含むが、これらに限定されない)に実施されたコンピュータプログラム製品の形をとることができる。
【0062】
本開示は、本開示の実施形態に係る方法、デバイス(システム)、及びコンピュータプログラム製品のフロー図及び/又はブロック図を参照しつつ説明される。フロー図及び/又はブロック図の、各フロー及び/又はブロック、並びにフロー図及び/又はブロック図の、フロー及び/又はブロックの組合せは、コンピュータプログラム命令によって実施されることができることが理解されるべきである。コンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理デバイスの、プロセッサによって実行される命令が、フロー図のうちの1以上のフローで、及び/又はブロック図のうちの1以上のブロックで指定された機能を実施するための手段を生成するように、これらのコンピュータプログラム命令は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、組込プロセッサ、又は機械を生成するための他のプログラマブルデータ処理デバイスの、プロセッサに提供されることができる。
【0063】
コンピュータ可読メモリに記憶された命令が、フロー図のうちの1以上のフロー、及び/又はブロック図のうちの1以上のブロックで指定された機能を実施する命令手段を含む製品を生成するように、これらのコンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理デバイスを特定の方法で機能するように誘導することができるコンピュータ可読メモリに記憶されることもできる。
【0064】
一連の動作ステップが、コンピュータ実施プロセスを生成するためにコンピュータ又は他のプログラマブルデバイス上で実行され、したがって、コンピュータ又は他のプログラマブルデバイス上で実行される命令が、フロー図のうちの1以上のフローで、及び/又はブロック図のうちの1以上のブロックで指定された機能を実施するためのステップを提供するように、これらのコンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理デバイスにロードされることもできる。
【0065】
上記の説明は、本開示の好ましい実施形態にすぎず、本開示を限定するために使用されるものではなく、本開示の精神及び範囲内で行われる任意の修正、等価、改善などは、本開示の保護範囲に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0066】
100 システム、101 無人搬送車、102 物体、1011 第1の受信機、1012 第2の受信機、1013 制御機、1021 第1の送信機、1022 第2の送信機
【国際調査報告】