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特表2023-526483娯楽音声に応答する走行雑音消去システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-21
(54)【発明の名称】娯楽音声に応答する走行雑音消去システム
(51)【国際特許分類】
   G10K 11/178 20060101AFI20230614BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20230614BHJP
【FI】
G10K11/178 120
B60R11/02 S
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022570704
(86)(22)【出願日】2021-05-20
(85)【翻訳文提出日】2023-01-17
(86)【国際出願番号】 US2021033410
(87)【国際公開番号】W WO2021236931
(87)【国際公開日】2021-11-25
(31)【優先権主張番号】63/028,179
(32)【優先日】2020-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591009509
【氏名又は名称】ボーズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】BOSE CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】シアマク・ファラバクシュ
(72)【発明者】
【氏名】ロハン・ローヒラー
(72)【発明者】
【氏名】トラヴィス・エル・ヘイン
【テーマコード(参考)】
3D020
5D061
【Fターム(参考)】
3D020BA10
3D020BC06
3D020BC11
3D020BD05
3D020BE04
5D061FF02
(57)【要約】
娯楽音声に応答する車両実装型の適応雑音消去システム(100)が提供される。雑音消去システムは、加速度計などの基準センサ(106)からの基準信号を使用して、雑音消去信号を生成し、車両乗客室内の走行雑音と弱め合い干渉する。娯楽音声閾値の第1の組は、システムを起動し、雑音消去システムの適応フィルタの適応を有効化又は無効化する。娯楽音声閾値の第2の組は、システムを起動し、雑音消去信号を有効化、減衰又は無効化する。娯楽音声が増大するにつれて、システムはまず適応フィルタの適応を無効化し、次に雑音消去信号を減衰させ、次に雑音消去信号を完全に無効化する。逆に、娯楽音声が減少するにつれて、システムは、最初に雑音消去信号を有効化し、次に雑音消去信号の減衰を低減させ(それによって、振幅を増加させ)、次に適応フィルタの適応を有効化する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両実装型雑音消去システムであって、
車両内に配置された雑音消去サブシステムであって、前記雑音消去システムが、基準信号及びエラー信号に従って調節される適応フィルタを備え、前記適応フィルタが雑音消去信号を出力し、スピーカによって雑音消去音声信号へと変換される場合に、前記車両の乗客室内の少なくとも1つの領域内の走行雑音を消去する、雑音消去サブシステムと
娯楽音声監視サブシステムであって、
前記車両の娯楽音声システムから生じる娯楽音声に対応する娯楽音声監視信号を生成し、
前記娯楽音声監視信号の振幅が適応制限閾値を超える場合に、前記適応フィルタの適応を無効化し、
前記適応フィルタの適応を無効化した後に、前記娯楽音声監視信号の前記振幅が適応有効化閾値未満である場合に前記適応フィルタの適応を有効化するように構成された、娯楽音声監視サブシステムと、を備える、車両実装型雑音消去システム。
【請求項2】
前記娯楽音声監視サブシステムが、
前記娯楽音声監視信号の前記振幅が消去無効化閾値を超える場合に、前記雑音消去音声信号を無効化し、
前記娯楽音声監視信号の前記振幅が消去有効化閾値を超える場合に、前記雑音消去音声信号を減衰させ、前記娯楽音声監視信号の前記振幅が前記消去無効化閾値未満である場合に、前記雑音消去音声信号の前記減衰が、前記娯楽音声監視信号の前記振幅に対して増大するように更に構成されている、請求項1に記載の車両実装型雑音消去システム。
【請求項3】
前記娯楽音声監視信号が、前記娯楽音声システムによって生成される1つ以上の娯楽音声信号のうちの少なくとも1つに基づく、請求項1に記載の車両実装型雑音消去システム。
【請求項4】
前記1つ以上の娯楽音声信号が、左チャネル音声信号及び右チャネル音声信号を含み、前記娯楽音声監視信号が、前記左チャネル音声信号と前記右チャネル音声信号との二乗平均平方根(「RMS」)推定値である、請求項3に記載の車両実装型雑音消去システム。
【請求項5】
前記1つ以上の娯楽音声信号が、前記左チャネル音声信号及び/又は前記右チャネル音声信号に基づく複数の出力音声チャネル信号を更に含み、前記娯楽音声監視信号が、前記複数の出力音声チャネル信号の加重RMS推定値である、請求項4に記載の車両実装型雑音消去システム。
【請求項6】
前記基準信号を生成するように構成された加速度計を更に備える、請求項1に記載の車両実装型雑音消去システム。
【請求項7】
車両実装型雑音消去システムであって、
車両内に配置された雑音消去サブシステムであって、前記雑音消去システムが、基準信号及びエラー信号に従って調節される適応フィルタを備え、前記適応フィルタが雑音消去信号を出力し、スピーカによって雑音消去音声信号へと変換される場合に、前記車両の乗客室内の少なくとも1つの領域内の走行雑音を消去する、雑音消去サブシステムと、
娯楽音声監視サブシステムであって、
前記車両の娯楽音声システムから生じる音声に対応する娯楽音声監視信号を生成し、
前記娯楽音声監視信号の前記振幅が消去無効化閾値を超える場合に、前記雑音消去音声信号を無効化し、
前記娯楽音声監視信号の前記振幅が消去有効化閾値を超える場合に、前記雑音消去音声信号を減衰させ、前記娯楽音声監視信号の前記振幅が前記消去無効化閾値未満である場合に、前記雑音消去音声信号の前記減衰が、前記娯楽音声監視信号の前記振幅に対して増大するように構成された、娯楽音声監視サブシステムと、を備える、車両実装型雑音消去システム。
【請求項8】
前記娯楽音声監視サブシステムが、
前記娯楽音声監視信号の前記振幅が適応制限閾値を超える場合に、前記適応フィルタの適応を無効化し、
前記適応フィルタの適応を無効化した後に、前記娯楽音声監視信号の前記振幅が適応有効化閾値未満である場合に前記適応フィルタの適応を有効化するように更に構成されている、請求項6に記載の車両実装型雑音消去システム。
【請求項9】
前記娯楽音声監視信号が、前記娯楽音声システムによって生成される1つ以上の娯楽音声信号のうちの少なくとも1つに基づく、請求項7に記載の車両実装型雑音消去システム。
【請求項10】
1つ以上の前記娯楽音声信号が、左チャネル音声信号及び右チャネル音声信号を含み、前記娯楽音声監視信号が、前記左チャネル音声信号と前記右チャネル音声信号との二乗平均平方根(「RMS」)推定値である、請求項9に記載の車両実装型雑音消去システム。
【請求項11】
前記1つ以上の娯楽音声信号が、前記左チャネル音声信号及び/又は前記右チャネル音声信号に基づく複数の出力音声チャネル信号を更に含み、前記娯楽音声監視信号が、複数の前記出力音声チャネル信号の加重RMS推定値である、請求項10に記載の車両実装型雑音消去システム。
【請求項12】
前記基準信号を生成するように構成された加速度計を更に備える、請求項7に記載の車両実装型雑音消去システム。
【請求項13】
娯楽音声を監視するためのシステムであって、
車両の娯楽音声システムから生じる娯楽音声に対応する娯楽音声監視信号を生成し、
前記娯楽音声監視信号の前記振幅が適応制限閾値を超える場合に適応フィルタの適応を無効化し、
前記適応フィルタの適応を無効化した後に、前記娯楽音声監視信号の前記振幅が適応有効化閾値未満である場合に前記適応フィルタの適応を有効化するように構成された、娯楽音声を監視するためのシステム。
【請求項14】
前記娯楽音声監視信号の前記振幅が消去無効化閾値を超える場合に、前記雑音消去音声信号を無効化し、
前記娯楽音声監視信号の前記振幅が消去有効化閾値を超える場合に、前記雑音消去音声信号を減衰させ、前記娯楽音声監視信号の前記振幅が前記消去無効化閾値未満である場合に、前記雑音消去音声信号の前記減衰が、前記娯楽音声監視信号の前記振幅に対して増大する、
ように更に構成された、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記娯楽音声監視信号が、前記娯楽音声システムによって生成される1つ以上の娯楽音声信号のうちの少なくとも1つに基づく、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
1つ以上の前記娯楽音声信号が、複数の出力音声チャネル信号を含み、前記音声監視信号が、前記複数の出力音声チャネル信号の加重RMS推定値である、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
娯楽音声を監視するためのシステムであって、
車両の娯楽音声システムから生じる娯楽音声に対応する娯楽音声監視信号を生成し
前記娯楽音声監視信号の前記振幅が消去無効化閾値を超える場合に、前記雑音消去音声信号を無効化し、
前記娯楽音声監視信号の前記振幅が消去有効化閾値を超える場合に、前記雑音消去音声信号を減衰させ、前記娯楽音声監視信号の前記振幅が前記消去無効化閾値未満である場合に、前記雑音消去音声信号の前記減衰が、前記娯楽音声監視信号の前記振幅に対して増大するように構成された、娯楽音声を監視するためのシステム。
【請求項18】
前記娯楽音声監視信号の前記振幅が適応制限閾値を超える場合に、適応フィルタの適応を無効化し、
前記適応フィルタの適応を無効化した後に、前記娯楽音声監視信号の前記振幅が適応有効化閾値未満である場合に前記適応フィルタの適応を有効化する、
ように更に構成された、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記娯楽音声監視信号が、前記娯楽音声システムによって生成される1つ以上の娯楽音声信号のうちの少なくとも1つに基づく、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記1つ以上の娯楽音声信号が、複数の出力音声チャネル信号を含み、前記娯楽音声監視信号が、複数の前記出力音声チャネル信号の加重RMS推定値である、請求項19に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全体が参照として本明細書に組み込まれる、発明の名称:「Road Noise Cancellation System Responsive to Entertainment Audio」(2020年5月21日出願)の米国特許仮出願番号第63/028,179号に対する優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
本開示は、一般に、娯楽音声に基づいて雑音消去出力信号を制御するためのシステム及び方法に関する。種々の実施例は、娯楽音声に基づいて雑音消去出力信号を制御するためのシステム及び方法に関する。
【発明の概要】
【0003】
下記で言及される全ての実施例及び特徴は、任意の技術的に可能な方式で組み合わされ得る。
【0004】
一般に、一態様では、車両実装型雑音消去システムが提供される。車両実装型雑音消去システムは、雑音消去サブシステムを含む。雑音消去システムは、車両内に配置される。
【0005】
雑音消去システムは、適応フィルタを含む。適応フィルタは、基準信号及び誤差信号に従って調節可能である。適応フィルタは、雑音消去信号を出力する。スピーカによって雑音消去音声信号に変換される場合、雑音消去信号は、車両の乗客室内の少なくとも1つの領域内の走行雑音を消去する。
【0006】
車両実装型雑音消去システムは、娯楽音声監視サブシステムを更に含む。娯楽音声監視サブシステムは、娯楽音声監視信号を生成するように構成されている。娯楽音声監視信号は、車両の娯楽音声システムから生じる娯楽音声に対応する。
【0007】
娯楽音声監視サブシステムは、娯楽音声監視信号の振幅が適応制限閾値を超える場合に、適応フィルタの適応を無効化するように更に構成されている。
【0008】
娯楽音声監視サブシステムは、適応フィルタの適応を無効化した後に、娯楽音声監視信号の振幅が適応有効閾値未満である場合に適応フィルタの適応を有効化するように更に構成されている。
【0009】
一実施例によれば、娯楽音声監視サブシステムは、娯楽音声監視信号の振幅が消去無効化閾値を超える場合に雑音消去音声信号を無効化するように、更に構成されている。本実施例では、娯楽音声監視サブシステムは、娯楽音声監視信号の振幅が消去有効化閾値を超える場合に雑音消去音声信号を減衰させるように、更に構成されている。雑音消去音声信号の減衰は、娯楽音声監視信号の振幅が消去無効化閾値未満である場合に、娯楽音声監視信号の振幅に対して増大する。
【0010】
一実施例によれば、娯楽音声監視信号は、娯楽音声システムによって生成される1つ以上の娯楽音声信号のうちの少なくとも1つに基づく。
【0011】
一実施例によれば、1つ以上の娯楽音声信号は、左チャネル音声信号と、右チャネル音声信号と、を含む。娯楽音声監視信号は、左チャネル音声信号と右チャネル音声信号との二乗平均平方根(「RMS」)推定値である。
【0012】
一実施例によれば、1つ以上の娯楽音声信号は、複数の出力音声チャネル信号を更に含む。出力音声チャネル信号は、左チャネル音声信号及び/又は右チャネル音声信号に基づく。娯楽音声監視信号は、複数の出力音声チャネル信号の加重RMS推定値である。
【0013】
一実施例によれば、車両実装型雑音消去システムは、加速度計を更に含む。加速度計は、基準信号を生成するように構成されている。
【0014】
一般に、別の態様では、車両実装型雑音消去システムが提供される。車両実装型雑音消去システムは、雑音消去サブシステムを含む。雑音消去システムは、車両内に配置される。
【0015】
雑音消去システムは、適応フィルタを含む。適応フィルタは、基準信号及び誤差信号に従って調節可能である。適応フィルタは、雑音消去信号を出力する。スピーカによって雑音消去音声信号に変換される場合、雑音消去信号は、車両の乗客室内の少なくとも1つの領域内の走行雑音を消去する。
【0016】
車両実装型雑音消去システムは、娯楽音声監視サブシステムを更に含む。娯楽音声監視サブシステムは、娯楽音声監視信号を生成するように構成されている。娯楽音声監視信号は、車両の娯楽音声システムから生じる娯楽音声に対応する。
【0017】
娯楽音声監視サブシステムは、娯楽音声監視信号の振幅が消去無効化閾値よりも大きい場合に雑音消去音声信号を無効化するように、更に構成されている。
【0018】
娯楽音声監視サブシステムは、娯楽音声監視信号の振幅が消去有効化閾値を超える場合に雑音消去音声信号を減衰させるように、更に構成されている。雑音消去音声信号の減衰は、娯楽音声監視信号の振幅が消去無効化閾値未満である場合に、娯楽音声監視信号の振幅に対して増大する。
【0019】
一実施例によれば、娯楽音声監視サブシステムは、娯楽音声監視信号の振幅が適応制限閾値を超える場合に、適応フィルタの適応を無効化するように更に構成されている。本実施例では、娯楽音声監視サブシステムは、適応フィルタの適応を無効化した後に、娯楽音声監視信号の振幅が適応有効閾値未満である場合に適応フィルタの適応を有効化するように、更に構成されている。
【0020】
一実施例によれば、娯楽音声監視信号は、娯楽音声システムによって生成される1つ以上の娯楽音声信号のうちの少なくとも1つに基づく。
【0021】
一実施例によれば、1つ以上の娯楽音声信号は、左チャネル音声信号と、右チャネル音声信号と、を含む。本実施例では、音声監視信号は、左チャネル音声信号と右チャネル音声信号とのRMS推定値である。
【0022】
一実施例によれば、1つ以上の娯楽音声信号は、複数の出力音声チャネル信号を更に含む。複数の出力音声チャネル信号は、左チャネル音声信号及び/又は右チャネル音声信号に基づく。音声監視信号は、複数の出力音声チャネル信号の加重RMS推定値である。
【0023】
一実施例によれば、車両実装型雑音消去システムは、加速度計を更に含む。加速度計は、基準信号を生成するように構成されている。
【0024】
一般に、別の態様では、娯楽音声を監視するためのシステムが提供される。本システムは、娯楽音声監視信号を生成するように構成されている。娯楽音声監視信号は、車両の娯楽音声システムから生じる娯楽音声に対応する。
【0025】
本システムは、娯楽音声監視信号の振幅が適応制限閾値を超える場合に、適応フィルタの適応を無効化するように更に構成されている。
【0026】
本システムは、適応フィルタの適応を無効化した後に、娯楽音声監視信号の振幅が適応有効閾値未満である場合に適応フィルタの適応を有効化するように、更に構成されている。
【0027】
一実施例によれば、本システムは、娯楽音声監視信号の振幅が消去無効化閾値を超える場合に雑音消去音声信号を無効化するように、更に構成されている。本実施例では、本システムは、娯楽音声監視信号の振幅が消去有効化閾値を超える場合に雑音消去音声信号を減衰させるように、更に構成されている。雑音消去音声信号の減衰は、娯楽音声監視信号の振幅が消去無効化閾値未満である場合に、娯楽音声監視信号の振幅に対して増大する。
【0028】
一実施例によれば、娯楽音声監視信号は、娯楽音声システムによって生成される1つ以上の娯楽音声信号のうちの少なくとも1つに基づく。
【0029】
一実施例によれば、1つ以上の娯楽音声信号は、複数の出力音声チャネル信号を含む。娯楽音声監視信号は、複数の出力音声チャネル信号の加重RMS推定値である。
【0030】
一般に、別の態様では、娯楽音声を監視するためのシステムが提供される。本システムは、車両の娯楽音声システムから生じる娯楽音声に対応する娯楽音声監視信号を生成するように、構成されている。
【0031】
本システムは、娯楽音声監視信号の振幅が消去無効化閾値を超える場合に雑音消去音声信号を無効化するように、更に構成されている。
【0032】
本システムは、娯楽音声監視信号の振幅が消去有効化閾値を超える場合に雑音消去音声信号を減衰させるように、更に構成されている。雑音消去音声信号の減衰は、娯楽音声監視信号の振幅が消去無効化閾値未満である場合に、娯楽音声監視信号の振幅に対して増大する。
【0033】
一実施例によれば、本システムは、娯楽音声監視信号の振幅が適応制限閾値を超える場合に、適応フィルタの適応を無効化するように更に構成されている。本実施例では、本システムは、適応フィルタの適応を無効化した後に、娯楽音声監視信号の振幅が適応有効閾値未満である場合に適応フィルタの適応を有効化するように、更に構成されている。
【0034】
一実施例によれば、娯楽音声監視信号は、娯楽音声システムによって生成される1つ以上の娯楽音声信号のうちの少なくとも1つに基づく。
【0035】
一実施例によれば、1つ以上の娯楽音声信号は、複数の出力音声チャネル信号を含む。音声監視信号は、複数の出力音声チャネル信号の加重RMS推定値である。
【0036】
種々の実施形態では、プロセッサ又はコントローラは、1つ以上の記憶媒体(本明細書では総称的に「メモリ」と称され、例えば、ROM、RAM、PROM、EPROM、及びEEPROMなどの揮発性及び不揮発性コンピュータメモリ、フロッピーディスク、コンパクトディスク、光ディスク、磁気テープ、フラッシュ、OTP-ROM、SSD、HDD等)に関連付けられ得る。いくつかの実装形態では、記憶媒体は、1つ以上のプロセッサ及び/又はコントローラ上で実行される場合、本明細書で説明する機能のうちの少なくともいくつかを実行する、1つ以上のプログラムで暗号化され得る。種々の記憶媒体は、プロセッサ又はコントローラ内に固定することができる、又は可搬型とすることができる。こうすることで、記憶媒体に記憶された1つ以上のプログラムをプロセッサ又はコントローラにロードして、本明細書で説明する種々の態様が実施され得る。用語「プログラム」又は「コンピュータプログラム」とは、本明細書では、1つ以上のプロセッサ又はコントローラをプログラムするために用いられ得る任意の種類のコンピュータコード(例えば、ソフトウェア又はマイクロコード)を指すために、一般的な意味で使用される。
【0037】
前述の概念及び以下でより詳細に論じられる追加の概念の全ての組合せ(このような概念が相互に矛盾しないことを条件として)は、本明細書に開示される本発明の主題の一部であると企図されることを理解されたい。特に、本開示の最後に登場する特許請求される主題の全ての組み合わせは、本明細書に開示される本発明の主題の一部であると企図される。参照により組み込まれる任意の開示にも登場し得る、本明細書で明示的に用いられる用語は、本明細書に開示される特定の概念と最も一致する意味を与えられるべきであることも、理解されたい。
【0038】
その他の特徴及び利点は、本明細書及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】一実施形態による、雑音消去システムの概略を示す。
図2】一実施例による、走行雑音消去システムのブロック図を表す。
図3】一実施例による、走行雑音消去システムを制御する閾値と、閾値に対するシステムの応答と、を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
適応雑音消去システムは、雑音消去信号を生成するために、基準センサからの少なくとも1つの基準信号の使用を用いる。雑音消去システムが車両内に配設される場合、基準センサは、典型的には、車両に動作可能に搭載されてシャーシ内の振動を検出する加速度計であるが、この振動は、走行雑音として乗客によって知覚されるものに、シャーシにより変換される。車両の娯楽音声システムが大音量の音楽(具体的には、重低音衝撃又は打撃音を伴う大音量の音楽)を再生している場合、音楽は、加速度計を励振する車内の振動を引き起こす場合がある。これは、雑音消去システムに走行雑音の誤った表示を与え、したがってこれは雑音消去システムが二次雑音消去スピーカを通してこの励振を再生する原因となる場合がある。二次雑音消去スピーカを通してこの励振を再生することは、加速度計を破損させ得る、及び/又は車両の乗客室内の娯楽音声を混乱させ得る。更に、特定の大音量では、音楽は走行雑音のいずれかを完全に圧倒することができ、したがって、走行雑音消去の必要性を排除する。
【0041】
娯楽音声を監視するために提供されるシステムは、前述の問題に対処する。システムは2組の閾値を利用する。閾値の第1の組は、システムを起動させ、雑音消去システムの適応フィルタの適応を有効化又は無効化する。閾値の第2の組は、システムを起動させ、雑音消去信号を有効化、減衰又は無効化する。したがって、娯楽音声の音量及び規模が増大するにつれて、システムは、まず適応フィルタの適応を無効化し、次に雑音消去信号を減衰させ、次に雑音消去信号を完全に無効化する。逆に、娯楽音声が減少するにつれて、システムは、最初に雑音消去信号を有効化し、次に雑音消去信号の減衰を低減させ(それによって、振幅を増加させ)、次に適応フィルタの適応を有効化する。
【0042】
システムは、娯楽音声システムによって生成された信号に基づいて、娯楽を監視し得る。例えば、システムは、娯楽音声システムによって生成される左右の音声チャネル信号を監視し得る。代替的実施例では、システムは、車両拡声器に提供される多数の出力音声チャネル信号を監視する。システムは、娯楽音声監視信号を決定するために、監視された信号の加重二乗平均平方根又は非加重二乗平均平方根(RMS)計算を実行し得る。次に、システムは、娯楽音声監視信号と前述の閾値との関係に基づいて、適応フィルタ及び雑音消去信号の適応を制御する。
【0043】
このような車両実装型雑音消去システムの実施例を、図1及び図2に関連して、例示目的で簡潔に説明する。図1は、代表的雑音消去システム100の概略図である。雑音消去システム100は、車両乗客室内などの予め画定されている容積部104内の少なくとも1つの消去領域102における望ましくない音と弱め合い干渉するように、構成され得る。概して、雑音消去システム100の一実施例は、基準センサ106と、エラーセンサ108と、アクチュエータ110と、コントローラ112と、を含み得る。
【0044】
一実施例では、基準センサ106は、予め画定されている容積部104内の望ましくない音を表す雑音信号114、又は望ましくない音の源を生成するように、構成されている。例えば、図1に示すように、基準センサ106は、車両構造116を通して伝達される振動を検出するように搭載及び構成された、1つ又は複数の加速度計であり得る。車両構造116を通して伝達される振動は、構造によって車両乗客室内の望ましくない音(走行雑音として知覚される)に変換され、したがって、構造に搭載された加速度計は、望ましくない音を表す信号を提供する。
【0045】
アクチュエータ110は、例えば、予め画定されている容積部の周辺部周囲の別個の場所に分配されたスピーカであってもよい。一実施例では、4つ以上のスピーカを車両乗客室内に配置することができ、4つのスピーカの各々が、車両のそれぞれのドア内に設置され、音を車両乗客室内に伝えるように構成されている。代替的実施例では、スピーカは、ヘッドレスト内に、又は車両乗客室内のその他の場所に配置され得る。
【0046】
雑音消去信号118は、コントローラ112によって生成されて、予め画定されている容積部内の1つ以上のスピーカに提供され得るが、これは、雑音消去信号118を音響エネルギー(すなわち、音波)に変換する。雑音消去信号118の結果として生成される音響エネルギーは、消去領域102内の望ましくない音と約180°位相が異なり、したがって、望ましくない音と弱め合い干渉する。雑音消去信号118から生成された音波と予め画定されている容積部内の望ましくない音との組み合わせは、消去領域内の聴取者によって知覚されるような望ましくない雑音の消去をもたらす。
【0047】
予め画定されている容積部全体にわたり、等しく雑音消去することが可能ではないため、雑音消去システム100は、事前定義された容積部内の1つ以上の事前定義された消去領域102内で最大の雑音消去を発生させるように構成されている。消去領域内の雑音消去は、約3dB以上の望ましくない音の低減を達成し得る(ただし、種々の実施例では、異なる量の雑音消去が起こり得る)。更に、雑音消去は、約350Hz未満の周波数などの周波数範囲の音を消去し得る(ただし、その他の範囲も可能である)。
【0048】
予め画定されている容積部内に配置されたエラーセンサ108は、雑音消去信号118から生成された音波と消去領域内の望ましくない音との組み合わせから生じる残留雑音の検出に基づいて、エラーセンサ信号120を生成する。エラーセンサ信号120は、フィードバックとしてコントローラ112に提供され、エラーセンサ信号120は、雑音消去信号によって消去されなかった残留雑音を表す。エラーセンサ108は、例えば、車両乗客室内(例えば、天井、ヘッドレスト、ピラー又は乗客室内のその他の場所)に搭載された少なくとも1つのマイクロフォンであり得る。
【0049】
消去領域(複数可)は、エラーセンサ108から遠隔に位置付けられ得ることに留意されたい。この場合、エラーセンサ信号120は、消去領域(複数可)内の残留雑音の推定値を表すようにフィルタリングされ得る。いずれの場合も、エラー信号は、消去領域内の望ましくない残留雑音を表すと理解される。
【0050】
一実施例では、コントローラ112は、非一時的記憶媒体122と、プロセッサ124と、を備え得る。一実施例では、非一時的記憶媒体122は、プログラムコードを記憶し得るが、当該プログラムコードは、プロセッサ124によって実行された場合に、下で説明する種々のフィルタ及びアルゴリズムを実施する。コントローラ112は、ハードウェア及び/又はソフトウェアに実装され得る。例えば、コントローラは、SHARC(Super Harvard Architecture Single-Chip Computer、スーパー・ハーバード・アーキテクチャ・コンピュータ)浮動小数点DSP(Digital Signal Processing、デジタル信号処理)プロセッサによって実装され得るが、コントローラ112は、任意のその他のプロセッサ、FPGA(Field Programmable Gate Array、フィールド・プログラマブル・ゲートアレイ)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit、特定用途向け集積回路)、又はその他の好適なハードウェアによって実装され得ることを理解されたい。
【0051】
図2を参照すると、コントローラ112によって実装された複数のフィルタを含む、雑音消去システム100の一実施例のブロック図が示されている。図示のように、コントローラは、Wadaptフィルタ126及び適応処理モジュール128を含む制御システムを定義し得る。
【0052】
adaptフィルタ126は、基準センサ106の雑音信号114を受信し、雑音消去信号118を生成するように構成されている。雑音消去信号118は、上記のように、アクチュエータ110に入力され、予め画定されている消去領域102内の望ましくない音と弱め合い干渉する雑音消去音声信号に変換される。Wadaptフィルタ126は、多入力多出力(multi-input multi-output MIMO)有限インパルス応答(finite impulse response、FIR)フィルタなどの、任意の好適な線形フィルタとして実装され得る。Wadaptフィルタ126は、雑音消去信号118を定義し、かつ走行入力(又は非車両の雑音消去の状況では、その他の入力)に対する車両応答性の挙動の変化に適応するように調節され得る、一組の係数を用いる。
【0053】
係数の調節は、適応処理モジュール128によって実行され得る。これは、入力としてエラーセンサ信号120及び雑音信号114を受信して、それらの入力を使用してフィルタ更新信号130を生成する。フィルタ更新信号130は、Wadaptフィルタ126に実装されたフィルタ係数に対する更新である。更新されたWadaptフィルタ126によって生成された雑音消去信号118は、エラーセンサ信号120を最小にし、その結果、消去領域内の望ましくない音を最小にする。
【0054】
時間工程nでのWadaptフィルタ126の係数は、以下の式に従って更新され得る。
【0055】
【数1】
ここで
【0056】
【数2】
は、アクチュエータ110と雑音消去領域102との間の物理的伝達関数の推定値であり、
【0057】
【数3】
は、
【0058】
【数4】
の随伴行列であり、eは誤差信号であり、xは、基準センサ106の出力信号である。更新式では、基準センサの出力信号xは、xのノルムで除算され、||x||として表される。
【0059】
本出願では、フィルタの総数は、基準センサ(M)の数にスピーカ(N)の数を乗じたものにほぼ等しい。各基準センサ信号は、N回フィルタリングされ、次に、各スピーカ信号が、合計M個の信号として取得される(各センサ信号は、対応するフィルタによってフィルタリングされる)。
【0060】
雑音消去システム100は、雑音消去信号118の電力、及び適応処理モジュール128によって実装されるような適応フィルタであるWadaptフィルタ126の適応率のうちの少なくとも1つを変化させるように構成された調節モジュール132を、更に含む。調節モジュール132は、娯楽音声システム136によって生成された1つ以上の娯楽音声信号140の電圧に従って、雑音消去信号118及び/又は適応フィルタ126の適応率を変化させる。これらの娯楽音声信号140は、直接的に、又は更なる処理に続いて、1つ以上の拡声器によって変換されて、音楽などの娯楽音声を生成する。例えば、車両は、周辺の音声サブシステムを形成するために車両の周囲に配置されたいくつかの拡声器を含み得る。いくつかの実施例では、16個又は32個もの拡声器が車両内で使用される。前述したように、重低音の大音量の音楽は、基準センサ106(加速度計など)を振動させて、走行雑音を誤って示す雑音信号114を生成し得る。この存在しない走行雑音を消去するために生成された雑音消去信号118は、乗客室内で再生される娯楽音声を混乱させ得る。
【0061】
娯楽音声推定器134は、1つ以上の娯楽音声信号140に基づいて、単一の娯楽音声監視信号138を生成する。娯楽音声監視信号138は、1つ以上の娯楽音声信号140のRMS推定値であり得る。例えば、1つ以上の娯楽音声信号140は、娯楽音声システム136によって再生されるコンパクトディスク、デジタル音楽ファイル、又はデジタル音楽ストリーム上のステレオ音声トラックの左チャネル及び右チャネルなどの、左チャネル音声信号140a及び右チャネル音声信号140bを含み得る。娯楽音声監視信号138は、次に、左チャネル音声信号140aと右チャネル音声信号140bとのRMS推定値であり得る。本実施例は、1つ以上の音声信号のRMS推定値の結果として娯楽音声監視信号138を説明するが、更なる実施例では、娯楽音声監視信号138は、車両内の娯楽音声の音量に対応する任意のその他の基準値又は数値であり得る。
【0062】
更なる実施例によれば、1つ以上の娯楽音声信号140は、複数の出力音声チャネル信号を含み得る。娯楽音声システム136は、左チャネル音声信号140a及び/又は右チャネル音声信号140bに基づいて、車両内に配置された各拡声器のための出力音声チャネル信号を生成し得る。出力音声チャネル信号は、拡声器の種類(低音拡声器、高音拡声器、ミッドレンジドライバ等)、拡声器の周波数範囲、拡声器の車両配置、車両音声チューニング等の広範囲の要因に基づいて変化し得る。娯楽音声監視信号138は、複数の出力音声チャネル信号の加重RMS推定値であり得る。
【0063】
理想的には、娯楽音声監視信号138を生成するために使用される娯楽音声信号140は、拡声器によって再生される娯楽音声を可能な限り綿密に反映する。一実施例では、娯楽音声信号140は、1つ以上の等化器によって処理されている。等化器は、娯楽音声を車両の空間的特徴及び/又は音響的特徴に同調させるために、又は単にユーザの好みを考慮するために、使用され得る。更なる実施例では、娯楽音声監視信号138は、娯楽音声信号140の特定の周波数範囲に基づいて生成されてもよい。
【0064】
娯楽音声推定器134によって生成された娯楽音声監視信号138は、娯楽音声監視器142に提供される。娯楽音声監視器142は調節モジュール132を制御して、車両内で再生される娯楽音声の混乱を防止する。娯楽音声監視器134は、娯楽音声監視信号138の規模を追跡し、その程度を2組の閾値と比較する。第1の組の閾値142、144は、適応フィルタ126の適応を有効化又は無効化する。第2の組の閾値146、148は、雑音消去信号118の強度を制御する。
【0065】
最初の2つの閾値(適応制限閾値142及び適応有効化閾値144)は、ヒステリシスに従うことによって、適応フィルタ126(したがって、雑音消去システム全体)の適応の実地での作動及び停止に作用する。娯楽音声監視信号138が適応制限閾値142を超える場合、車両内の娯楽音声は、基準センサ106(例えば、加速度計)を破損させてしまうのに十分な大音量である場合がある。雑音消去システム100が適応することを許容される場合、システム100は、(任意の走行雑音ではなく)娯楽音声に適応し、所望の娯楽音声を本質的に混乱させる場合がある。したがって、娯楽音声監視信号138がこの適応制限閾値142を超える場合、システム100は(調節モジュール132を介して)、適応ステップサイズを0に設定することによって、走行雑音消去適応を停止させ得る。適応フィルタ126は、その後に娯楽音声監視信号138が適応有効化閾値144を下回る場合にのみ、再び適応し得る。
【0066】
2つの閾値の第2の組(消去有効化閾値146及び消去無効化閾値148)は、異なる目的を果たす。娯楽音声の音量の、運転者の選択は主観的であり、(消去有効化閾値に対応する)特定の時点において、娯楽音声は、全ての走行雑音を掩蔽し始めるほど大音量である場合がある。走行雑音が車両乗客室内の重要な可聴構成要素でない場合、走行雑音消去はもはや必要でない。したがって、娯楽音声がこの大音量に達する場合はいつでも走行雑音消去を停止させるため、娯楽音声監視信号138が消去有効化閾値146を超える場合に、走行雑音消去は、アクチュエータ110に関連する拡声器増大を1から0にランプダウンさせることによって無効化される。あるいは、雑音消去信号118は、アクチュエータ110による受信の前に、減衰器によってランプダウンされてもよい。娯楽音声監視信号138が消去無効化閾値148を超える場合、走行雑音消去システム100は、拡声器増大を0に設定することによって、完全に無効化される。
【0067】
図3は、上記で定義された4つの閾値142、144、146、148に従って、適応フィルタ126の適応及び走行雑音消去信号118の規模を制御するために、娯楽音声監視信号138がどのように使用され得るか、を示す。図3に示すように、娯楽音声監視信号138は、3秒の標点の直後に適応制限閾値142を横切るように、1秒の標点の後に増加する。この時点で、適応フィルタ126の適応は無効化され、娯楽音声監視信号138が4秒の標点の直後に適応有効化閾値144を下回るまで、無効化されたままである。適応は、娯楽音声監視信号138が5秒の標点と6秒の標点との間で適応制限閾値142を再び超えるまで、有効化されたままである。娯楽音声監視信号138は、次に、6秒の標点の直後から7秒の標点の直後までで消去有効化閾値146を超え、再び、約7.5秒の標点から8秒の標点までで消去有効化閾値146を超える。これらの期間中、雑音消去音声信号118は、娯楽音声監視信号138の振幅に対して減衰される。次に、娯楽音声監視信号138は、8秒の標点の直後から約8.5秒の標点までで消去無効化閾値148を超える。この期間中、走行雑音消去音声信号118は完全に無効化され、システム100はいかなる走行雑音をも消去しない。走行雑音消去は、8.5秒の標点の後に再び有効化され、8.5秒の標点と8.75秒の標点との間で増幅される。最後に、娯楽音声監視信号118が8.75秒の標点の後に減少し続けると、雑音消去信号118はもはや減衰されない。フィルタ126の適応は、娯楽音声監視信号138が約9.75秒で適応有効化閾値144を下回る場合に、再有効化される。
【0068】
更なる実施例では、娯楽音声監視器142は、追加の車両サブシステムを無効化/有効化するために、追加の閾値を使用してもよい。例えば、車両接近通報装置(Acoustic Vehicle Alerting System、AVAS)などの電気車両歩行者警告システムによって生成された音声は、娯楽音声監視信号138に従って有効化、無効化、増幅及び/又は減衰されてもよい。
【0069】
上記の雑音消去システム100は、このようなシステム100の実施例として提供されているにすぎない。本システム100、本システム100の変形形態及びその他の好適な雑音消去システムを、本開示の範囲内で使用し得る。
【0070】
本開示の目的のために、値を決定するために使用されている等式(例えば、中間値を決定するために使用される等式)の任意の実例は、ルックアップテーブルとして実施され得、その値は、等式によって指図される、又は実時間で計算され得る。
【0071】
本明細書に記載される機能又はその部分、及びその種々の修正(以下「機能」)は、少なくとも部分的に、コンピュータプログラム製品(例えば、1つ以上のデータ処理装置、例えば、プログラム可能プロセッサ、コンピュータ、複数のコンピュータ、及び/若しくはプログラム可能論理構成要素による実行のための、又はその動作を制御するための、1つ以上の非一時的機械可読媒体又は記憶デバイスなどの情報キャリアにおいて有形に具現化されたコンピュータプログラム)を介して実装され得る。
【0072】
コンピュータプログラムは、コンパイル型言語又はインタプリタ型言語を含む任意の形態のプログラム言語で書き得るが、それは、独立型プログラムとして、又はコンピューティング環境での使用に好適なモジュール、構成要素、サブルーチン若しくはその他のユニットとして含む任意の形態で配設され得る。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ上で、若しくは1つの設置先における複数のコンピュータ上で実行されるように配設され得るか、又は複数の設置先にわたって配信されて、ネットワークによって相互接続され得る。
【0073】
機能の全部又は一部を実装することと関連した動作は、較正プロセスの機能を実施するために1つ以上のコンピュータプログラムを実行する1つ以上のプログラム可能なプロセッサによって、実施され得る。機能の全部又は一部は、特殊目的論理回路、例えば、FPGA及び/又はASIC(特定用途向け集積回路)として実装され得る。
【0074】
コンピュータプログラムの実行に好適なプロセッサとしては、例として、汎用マイクロプロセッサ及び特殊目的マイクロプロセッサの両方並びに任意の種類のデジタルコンピュータの任意の1つ以上のプロセッサが挙げられる。一般的に、プロセッサは、読取り専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、又はその両方から命令及びデータを受信することになる。コンピュータの構成要素は、命令を実行するためのプロセッサ並びに命令及びデータを記憶するための1つ以上のメモリデバイスを含む。
【0075】
本明細書において、いくつかの発明実施形態について記述し説明してきたが、当業者であれば、種々のその他の手段及び/若しくは機能の実行及び/若しくは結果を得るための構造、並びに/又は本明細書に記載される1つ以上の利点を容易に想起するであろう。加えて、こうした変更形態及び/又は修正のそれぞれは、本明細書に記載される発明実施形態の範囲内にあると見なされる。より一般的には、当業者であれば、本明細書に記載のパラメータ、寸法、材料及び構成の全てが例示的であること、実際のパラメータ、寸法、材料、及び/又は構成が、特定のアプリケーション又は本発明の教示が使用されるアプリケーションに依存するであろうことを、容易に理解するであろう。当業者であれば、本明細書に記載される特定の本発明の実施形態に対する多くの同等物を、通常の実験のみを使用して認識する、又は確認するであろう。したがって、前述の実施形態は、単なる例として提示されたものであり、添付の特許請求の範囲及びその等価物の範囲内で、明確に記載され特許請求された以外の別のやり方で発明の実施形態を実践することができるということを、理解されたい。本開示の発明実施形態は、本明細書に記載される各個々の特徴、システム、物品、材料、及び/又は方法に関する。更に、2つ以上のこうした特徴、システム、物品、材料及び/又は方法のいかなる組む合わせも、こうした特徴、システム、物品、材料及び/又は方法が相互に矛盾しない場合、本開示の発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0076】
100 雑音消去システム
102 消去領域
104 容積部
106 基準センサ
108 エラーセンサ
110 アクチュエータ
112 コントローラ
114 雑音信号
116 車両構造
118 雑音消去信号
120 エラーセンサ信号
122 非一時的記録媒体
124 プロセッサ
126 Wadapt
128 適応処理モジュール
130 フィルタ更新信号
132 調節モジュール
134 娯楽音声推定器
136 娯楽音声システム
138 娯楽音声監視信号
140 娯楽音声信号
142 娯楽音声監視器
144 適応有効化閾値
146 消去有効化閾値
148 消去無効化閾値
図1
図2
図3
【国際調査報告】