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特表2023-526497光通信送信機から放射されたレーザビームを受信局とアライメントするための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-21
(54)【発明の名称】光通信送信機から放射されたレーザビームを受信局とアライメントするための方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 17/66 20060101AFI20230614BHJP
   H04B 10/118 20130101ALI20230614BHJP
【FI】
G01S17/66
H04B10/118
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022571150
(86)(22)【出願日】2021-05-18
(85)【翻訳文提出日】2023-01-18
(86)【国際出願番号】 EP2021063069
(87)【国際公開番号】W WO2021233870
(87)【国際公開日】2021-11-25
(31)【優先権主張番号】20382426.3
(32)【優先日】2020-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.SMALLTALK
(71)【出願人】
【識別番号】522452134
【氏名又は名称】ウニバシダッド ミゲル エルナンデス デ エルチェ
(71)【出願人】
【識別番号】522452145
【氏名又は名称】エンベデッド インストゥルメンツ アンド システムズ エス.エル
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カラスコソ エルナンデス,ホセ アントニオ
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア デ キロス ニエト,フランシスコ ハビエル
(72)【発明者】
【氏名】モレノ ソリアーノ,イグナシオ
【テーマコード(参考)】
5J084
5K102
【Fターム(参考)】
5J084AA10
5J084AB04
5J084AD06
5J084BA04
5J084BA18
5J084BA19
5J084BA36
5J084BA37
5J084BA38
5J084BB20
5J084BB23
5J084BB40
5J084CA10
5J084EA23
5K102AA11
5K102AA15
5K102AA22
5K102AH02
5K102AH26
5K102MB02
5K102MB20
5K102MC11
5K102MD01
5K102MH02
5K102MH13
5K102MH22
5K102PH01
5K102PH31
5K102PH43
5K102RB02
5K102RD26
5K102RD28
(57)【要約】
【解決手段】
本発明は、レーザビームを介して光通信送信機から受信局に情報を送信し、前記光通信送信機から放射された前記レーザビームを前記受信局とアライメントするための方法、システム、および装置に関し、前記光通信送信機は、前記受信局に対して変位され、レーザと、無線受信機と、マイクロプロセッサと、回折素子を備える液晶オンシリコン空間光変調器とを備え、前記レーザビームは、前記レーザから放射され、前記液晶オンシリコン空間光変調器を使用した回折および反射によってある領域にわたって投射され、前記レーザおよび前記回折素子は、前記マイクロプロセッサによって制御され、前記レーザビームは、前記レーザビームの伝搬経路に平行な長手方向軸を有し、前記受信局は、前記送信されたレーザビームを検出するためのフォトダイオード受信機と、無線送信機とを備え、前記方法は、ポインティング回折マスクおよびトラッキング回折マスクを使用するステップを含み、各ポインティング回折マスクは、前記回折素子内のトラッキング回折マスクと組み合わせて生成される。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光通信送信機(100)からレーザビーム(18)を介して受信局(110)に情報を送信し、前記光通信送信機から放射された前記レーザビームを前記受信局とアライメントするための方法であって、
-前記光通信送信機が、前記受信局に対して変位され、レーザ(16)と、無線受信機(32)と、マイクロプロセッサ(14)と、回折素子を備える液晶オンシリコン空間光変調器(24)とを備え、前記レーザビームが、前記レーザから放射され、前記液晶オンシリコン空間光変調器を使用した回折および反射によって領域にわたって投射され、前記レーザおよび前記回折素子が、前記マイクロプロセッサによって制御され、前記レーザビームが、前記レーザビームの伝搬経路に平行な長手方向軸を有し、
-前記受信局が、前記送信されたレーザビームを検出するためのフォトダイオード受信機(52)と、無線送信機(60)とを備え、
-前記方法が、以下のステップ、すなわち、
(i)前記空間光変調器を使用した回折および反射によって前記受信局が位置する領域にわたって連続区間で前記レーザビームを投射するステップと、
(ii)前記投射されたレーザビームを、前記投射されたレーザビームの長手方向軸において交差する四分円に分割するステップと、
(iii)振幅変調を使用する前記レーザビームの脈動によって、および前記レーザビームの波面の歪みによって、連続区間のセットの各区間について前記回折素子において生成されたポインティング回折マスクを使用して、前記セットの各区間中に前記レーザビームの各象限の投射を中断するステップであって、前記投射されたレーザビームの任意の所与の象限が、前記レーザビームの他の象限が投射される前記区間のセットのサブセットとは異なる前記区間のセットのサブセットにわたって投射され、前記象限が、前記サブセットの少なくとも1つの区間にわたって排他的に投射され、
任意の所与の区間の間に放射される前記振幅変調されたレーザビームのパルスの周波数が、前記レーザビームが投射される全ての象限について同じであり、前記区間のセットの少なくとも1つの区間の間に放射される前記振幅変調されたレーザビームのパルスの周波数が、前記区間のセットの少なくとも1つの他の区間の間に放射される前記振幅変調されたレーザビームのパルスの周波数とは異なる、中断するステップと、
(iv)前記レーザビームの前記象限が投射される前記区間のセットの前記サブセットの前記パルスの周波数を決定することによって、前記受信局の前記フォトダイオード受信機において検出された前記投射されたレーザビームの前記象限を識別し、前記無線送信機および前記無線受信機を介して前記光通信送信機にこの情報を通信するステップと、
(v)ステップ(iii)において前記レーザビームの前記象限を排他的に投射した前記回折素子において生成された前記ポインティング回折マスクを使用して、前記レーザから放射された前記レーザビームの前記波面を歪ませることによって、ステップ(iv)において識別された前記レーザビームの前記象限が投射された領域にわたって連続区間で前記レーザビームを投射するステップと、
(vi)ステップ(ii)から(v)を少なくともさらに3回、またはステップ(v)において投射された前記レーザビームの前記長手方向軸とステップ(ii)において投射された前記レーザビームの前記長手方向軸との間の角度がπ/9500ラジアン未満になるまで繰り返すステップと、を含み、
ステップ(i)から(v)において前記投射されたレーザビームの長手方向軸が向けられる方向が、前記回折素子において生成されたトラッキング回折マスクを使用して前記レーザから放射された前記レーザビームの前記波面を歪ませることによって、前記受信局に対する前記光通信送信機の前記変位の関数としてt秒毎に変更され、
前記区間が、10から500Hzの間の値rの周波数を有し、前記パルスが、0.1kHzから100MHzの間の値fの周波数を有し、tが、0.001から10秒の間であり、
各トラッキング回折マスクが、
(a)ステップ(i)およびステップ(ii)の最初の反復において単独で、および
(b)ステップ(iii)から(v)およびその後のステップ(ii)の反復におけるポインティング回折マスクと組み合わせて、使用される、ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記受信局が位置する領域上に前記レーザビームを投射するステップ(i)が、
(a)前記受信局に対する前記光通信送信機の位置を推定し、前記光通信送信機に対する前記受信局の位置を推定するステップと、
(b)少なくとも1つのアクチュエータを使用して前記光通信送信機の姿勢を変更することによって、ステップ(a)において推定された前記受信局の位置に向かう方向Aに前記投射されたレーザビームの長手方向軸を向けるステップと、
(c)前記フォトダイオード受信機の方位角および/または高度角を変更することによって、ステップ(a)において推定された前記光通信送信機の位置に向かう方向Bに前記フォトダイオード受信機を向けるステップであって、前記方向Bが、前記フォトダイオード受信機の焦点面に垂直であり、前記方向Aに平行である、向けるステップと、
(d)ステップ(b)において投射されたレーザビームが前記フォトダイオード受信機を使用して検出されるまで、ステップ(b)および(c)を繰り返すステップと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法が、前記投射されたレーザビームの強度および振幅変調を制御することによってさらなる情報を前記受信局に送信するステップ(vi)の後の追加のステップ(vii)を含み、前記投射されたレーザビームの前記長手方向軸が投射される方向が、ステップ(v)の最後の反復で生成された前記ポインティング回折マスクと組み合わせてトラッキング回折マスクを使用して前記レーザから放射された前記レーザビームの前記波面を歪ませることによって変更される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
各トラッキング回折マスクまたはトラッキング回折マスクとポインティング回折マスクとの各組み合わせが、前記マイクロプロセッサ内で計算され、前記回折素子内に表示されるホログラフィックグレースケールパターン(41)に含まれ、このように表示される前記ホログラフィックグレースケールパターンが、前記投射されたレーザビームを、トラッキング回折マスクまたはトラッキング回折マスクとその前のポインティング回折マスクとの組み合わせを使用して投射された領域にわたって、またはトラッキング回折マスクまたはトラッキング回折マスクとその前のポインティング回折マスクとの組み合わせを使用して投射された前記領域のサブセットにわたって投射する、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ステップ(i)において前記レーザビームが投射される角度が、π/18850ラジアンとπ/180ラジアンとの間である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記回折素子において生成される各回折マスクまたは回折マスクの組み合わせが、前記レーザビームの前記波面を歪ませ、前記領域にわたって画像I(x,y)(42)を投射し、前記回折素子が、画素のマトリックスを備え、各画素が、p座標およびq座標によって画定され、画素(p,q)=(0,0)が、前記マトリックスの中心にある画素であり、前記回折マスクまたは回折マスクの組み合わせが、マイクロプロセッサにおいて計算されて前記回折素子に表示されるホログラフィックグレースケールパターンに含まれ、前記マトリックスの各画素(p,q)に、以下の式にしたがって計算される0からwの間の階調g’(p,q)が割り当てられ、
【数1】
式中、
【数2】
および
【数3】
であり、
式中、gθ(p’,q’)は、以下の回転マトリックスを使用してgθ(p,q)から計算され、
【数4】
式中、
【数5】
であり、
式中、
-pは、画素(p,q)の横座標であり、
-qは、画素(p,q)の縦座標であり、
-wは、前記回折素子において2πの位相変調を提供するグレー値であり、
-mod(w)は、wに対するモジュロ演算であり、
-ψ(p,q)は、前記画像の逆フーリエ変換の位相関数であり、以下の式にしたがって計算され、
【数6】
式中、
FT-1[I(x,y)]=前記画像の逆フーリエ変換であり、
A(p,q)=は、前記画像の逆フーリエ変換の振幅であり、
i=虚数単位であり、
-φは、前記長手方向軸に対するラジアンでの方位角偏向角であり、
-nは、以下の式にしたがって計算され、
【数7】
式中、
-λは、前記レーザビームの波長(メートル)であり、
-Iは、メートル単位の画素の1辺の長さであり、
-θは、前記長手方向軸に対する天頂偏角(ラジアン)であり、
-mod(2.π)は、角度関数に対するモジュロ演算である、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(iii)において、前記投射されたレーザビームの任意の所与の象限が、前記サブセットの各区間にわたって排他的に投射される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ステップ(iii)および(iv)が、
(iii)振幅変調を使用する前記レーザビームの脈動によって、および前記レーザビームの前記波面の歪みによって、連続区間のセットの各区間について前記回折素子において生成されたポインティング回折マスクを使用して、前記セットの各区間中に前記レーザビームの各象限の投射を中断するステップであって、前記投射されたレーザビームの任意の所与の象限が、前記レーザビームの他の象限が投射される前記区間のセットのサブセットとは異なる前記区間のセットのサブセットにわたって投射され、前記象限が、前記サブセットの少なくとも1つの区間にわたって排他的に投射され、
任意の所与の区間の間に放射される前記振幅変調されたレーザビームのパルスの周波数および/または持続時間が、前記レーザビームが投射される全ての象限について同じであり、前記区間のセットの少なくとも1つの区間の間に放射される前記振幅変調されたレーザビームのパルスの周波数および/または持続時間が、前記区間のセットの少なくとも1つの他の区間の間に放射される前記振幅変調されたレーザビームのパルスの周波数および/または持続時間とは異なる、中断するステップと、
(iv)前記レーザビームの前記象限が投射される前記区間のセットの前記サブセットの前記パルスの周波数および/または持続時間を決定することによって、前記受信局の前記フォトダイオード受信機において検出された前記投射されたレーザビームの前記象限を識別し、前記無線送信機および前記無線受信機を介して前記光通信送信機にこの情報を通信するステップと、を含み、
前記区間が、10から500Hzの値rの周波数と、r-1以下の持続時間とを有し、前記パルスが、0.1kHzから100MHzの値fの周波数と、f-1以下の持続時間とを有し、tが、r-1から10の間である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
光通信送信機(100)からレーザビーム(18)を介して受信局(110)に情報を送信し、前記光通信送信機から放射された前記レーザビームを前記受信局とアライメントするためのシステムであって、
-前記光通信送信機が、前記受信局に対して変位され、レーザ(16)と、無線受信機(32)と、マイクロプロセッサ(14)と、回折素子を備える液晶オンシリコン空間光変調器(24)とを備え、前記レーザビームが、前記レーザから放射され、前記液晶オンシリコン空間光変調器を使用した回折および反射によって領域にわたって投射され、前記レーザおよび前記回折素子が、前記マイクロプロセッサによって制御され、前記レーザビームが、前記レーザビームの伝搬経路に平行な長手方向軸を有し、
-前記受信局が、前記送信されたレーザビームを検出するためのフォトダイオード受信機(52)と、無線送信機(60)とを備え、
-前記システムが、以下のステップ、すなわち、
(i)前記空間光変調器を使用した回折および反射によって前記受信局が位置する領域にわたって連続区間で前記レーザビームを投射するステップと、
(ii)前記投射されたレーザビームを、前記投射されたレーザビームの長手方向軸において交差する四分円に分割するステップと、
(iii)振幅変調を使用する前記レーザビームの脈動によって、および前記レーザビームの波面の歪みによって、連続区間のセットの各区間について前記回折素子において生成されたポインティング回折マスクを使用して、前記セットの各区間中に前記レーザビームの各象限の投射を中断するステップであって、前記投射されたレーザビームの任意の所与の象限が、前記レーザビームの他の象限が投射される前記区間のセットのサブセットとは異なる前記区間のセットのサブセットにわたって投射され、前記象限が、前記サブセットの少なくとも1つの区間にわたって排他的に投射され、
任意の所与の区間の間に放射される前記振幅変調されたレーザビームのパルスの周波数が、前記レーザビームが投射される全ての象限について同じであり、前記区間のセットの少なくとも1つの区間の間に放射される前記振幅変調されたレーザビームのパルスの周波数が、前記区間のセットの少なくとも1つの他の区間の間に放射される前記振幅変調されたレーザビームのパルスの周波数とは異なる、中断するステップと、
(iv)前記レーザビームの前記象限が投射される前記区間のセットの前記サブセットの前記パルスの周波数を決定することによって、前記受信局の前記フォトダイオード受信機において検出された前記投射されたレーザビームの前記象限を識別し、前記無線送信機および前記無線受信機を介して前記光通信送信機にこの情報を通信するステップと、
(v)ステップ(iii)において前記レーザビームの前記象限を排他的に投射した前記回折素子において生成された前記ポインティング回折マスクを使用して、前記レーザから放射された前記レーザビームの前記波面を歪ませることによって、ステップ(iv)において識別された前記レーザビームの前記象限が投射された領域にわたって連続区間で前記レーザビームを投射するステップと、
(vi)ステップ(ii)から(v)を少なくともさらに3回、またはステップ(v)において投射された前記レーザビームの前記長手方向軸とステップ(ii)において投射された前記レーザビームの前記長手方向軸との間の角度がπ/9500ラジアン未満になるまで繰り返すステップと、を実行するための手段を備え、
ステップ(i)から(vi)において前記投射されたレーザビームの長手方向軸が向けられる方向が、前記回折素子において生成されたトラッキング回折マスクを使用して前記レーザから放射された前記レーザビームの前記波面を歪ませることによって、前記受信局に対する前記光通信送信機の前記変位の関数としてt秒毎に変更され、
前記区間が、10から500Hzの間の値rの周波数を有し、前記パルスが、0.1kHzから100MHzの間の値fの周波数を有し、tが、0.001から10秒の間であり、
各トラッキング回折マスクが、
(a)ステップ(i)およびステップ(ii)の最初の反復において単独で、および
(b)ステップ(iii)から(v)およびその後のステップ(ii)の反復におけるポインティング回折マスクと組み合わせて、使用される、ことを特徴とするシステム。
【請求項10】
光通信送信機(100)からレーザビーム(18)を介して受信局(110)に情報を送信し、前記光通信送信機から放射された前記レーザビームを前記受信局とアライメントするための光通信装置であって、前記光通信装置が、以下の構成要素、すなわち、
-レーザ(16)と、
-無線受信機(32)と、
-回折素子を備える液晶オンシリコン空間光変調器(24)と、
-マイクロプロセッサ(14)と、を備え、
前記レーザおよび前記回折素子が、前記マイクロプロセッサによって制御される、ことを特徴とし、
前記構成要素が、以下のステップ、すなわち、
(i)前記空間光変調器を使用した回折および反射によって前記受信局が位置する領域にわたって連続区間で前記レーザビームを投射するステップと、
(ii)前記投射されたレーザビームを、前記投射されたレーザビームの長手方向軸において交差する四分円に分割するステップと、
(iii)振幅変調を使用する前記レーザビームの脈動によって、および前記レーザビームの波面の歪みによって、連続区間のセットの各区間について前記回折素子において生成されたポインティング回折マスクを使用して、前記セットの各区間中に前記レーザビームの各象限の投射を中断するステップであって、前記投射されたレーザビームの任意の所与の象限が、前記レーザビームの他の象限が投射される前記区間のセットのサブセットとは異なる前記区間のセットのサブセットにわたって投射され、前記象限が、前記サブセットの少なくとも1つの区間にわたって排他的に投射され、
任意の所与の区間の間に放射される前記振幅変調されたレーザビームのパルスの周波数が、前記レーザビームが投射される全ての象限について同じであり、前記区間のセットの少なくとも1つの区間の間に放射される前記振幅変調されたレーザビームのパルスの周波数が、前記区間のセットの少なくとも1つの他の区間の間に放射される前記振幅変調されたレーザビームのパルスの周波数とは異なる、中断するステップと、
(iv)前記レーザビームの前記象限が投射される前記区間のセットの前記サブセットの前記パルスの周波数を決定することによって、前記受信局の前記フォトダイオード受信機において検出された前記投射されたレーザビームの前記象限を識別し、前記無線送信機および前記無線受信機を介して前記光通信送信機にこの情報を通信するステップと、
(v)ステップ(iii)において前記レーザビームの前記象限を排他的に投射した前記回折素子において生成された前記ポインティング回折マスクを使用して、前記レーザから放射された前記レーザビームの前記波面を歪ませることによって、ステップ(iv)において識別された前記レーザビームの前記象限が投射された領域にわたって連続区間で前記レーザビームを投射するステップと、
(vi)ステップ(ii)から(v)を少なくともさらに3回、またはステップ(v)において投射された前記レーザビームの前記長手方向軸とステップ(ii)において投射された前記レーザビームの前記長手方向軸との間の角度がπ/9500ラジアン未満になるまで繰り返すステップとを実行するように構成され、
ステップ(i)から(v)において前記投射されたレーザビームの長手方向軸が向けられる方向が、前記回折素子において生成されたトラッキング回折マスクを使用して前記レーザから放射された前記レーザビームの前記波面を歪ませることによって、前記受信局に対する前記光通信送信機の前記変位の関数としてt秒毎に変更され、
前記区間が、10から500Hzの間の値rの周波数を有し、前記パルスが、0.1kHzから100MHzの間の値fの周波数を有し、tが、0.001から10秒の間であり、
各トラッキング回折マスクが、
(a)ステップ(i)およびステップ(ii)の最初の反復において単独で、および
(b)ステップ(iii)から(v)およびその後のステップ(ii)の反復におけるポインティング回折マスクと組み合わせて、使用される、ことを特徴とする光通信装置。
【請求項11】
請求項10に記載の光通信装置を備える光通信送信機(100)。
【請求項12】
前記光通信送信機から放射された前記レーザビーム(18)を受信局(110)とアライメントするための、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法、または請求項9に記載のシステム、または請求項10に記載の光通信装置、または請求項11に記載の光通信送信機(100)の使用。
【請求項13】
前記光通信送信機から受信局(110)に情報を送信するための、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法、または請求項9に記載のシステム、または請求項10に記載の光通信装置、または請求項11に記載の光通信送信機(100)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信、特に光信号を使用した衛星通信の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
自由空間内の光通信システムは、技術の進歩により、特に移動局間のより典型的な無線周波数リンクに取って代わる、宇宙船などの商業用途における実用的な実装が可能になったことを考慮して、最近世界中で大きな注目を集めている。しかしながら、光通信システムは、送信機と受信機との間のポインティングおよびトラッキングの追加の問題を提示する。
【0003】
送信機、受信機、またはその双方が動いている状態でのポインティングおよびトラッキングは、典型的には、3度から6度までの細かい偏位および0.02度未満のレーザビーム誤差で実装されなければならない。これは、光通信システム、特に3から50kgの小型プラットフォームに複雑さ、重量、および嵩高性を追加するサーボモータ制御の推進器機械的実装または微小電気機械システム(MEMS)マイクロミラー(国際公開第2016022579号を参照)によって最初に達成され、それに加えて、機械的実装の使用は、燃料およびエネルギーの制限、ならびに摩耗のために長期のミッションには適しておらず、その結果、経時的なメンテナンスの必要性の増加および信頼性の低下をもたらす。
【0004】
衛星の3次元(3D)位置の正確な測定のために、スターセンサを使用して、固体レーザビームによって小型衛星のポインティングを実行し、衛星測位制御のみに作用することも可能である。あるいは、投射されたレーザビームが通過する液晶の屈折率を変化させることによって、ポインティングが達成されることができる。しかしながら、双方の方法は複雑であり、後者の場合、ビーム偏向を制御するために追加の光学系を必要とする。
【0005】
したがって、本発明の課題は、レーザビームを介して光通信送信機から受信局に情報を送信し、前記光通信送信機から放射された前記レーザビームを前記受信局とアライメントするための方法、システム、および装置を提供することであり、前記光通信送信機は、最小の機械的複雑性、軽量化、最小の摩耗、低メンテナンス、および/または信頼性の向上を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2016022579号
【発明の概要】
【0007】
本発明は、光通信送信機(100)からレーザビーム(18)を介して受信局(110)に情報を送信し、前記光通信送信機から放射された前記レーザビームを前記受信局とアライメントするための方法であって、
-前記光通信送信機が、前記受信局に対して変位され、レーザ(16)と、無線受信機(32)と、マイクロプロセッサ(14)と、回折素子を備える液晶オンシリコン空間光変調器(24)とを備え、前記レーザビームが、前記レーザから放射され、前記液晶オンシリコン空間光変調器を使用した回折および反射によって領域にわたって投射され、前記レーザおよび前記回折素子が、前記マイクロプロセッサによって制御され、前記レーザビームが、前記レーザビームの伝搬経路に平行な長手方向軸を有し、
-前記受信局が、前記送信されたレーザビームを検出するためのフォトダイオード受信機(52)と、無線送信機(60)とを備え、
-前記方法が、以下のステップ、すなわち、
(i)前記空間光変調器を使用した回折および反射によって前記受信局が位置する領域にわたって連続区間で前記レーザビームを投射するステップと、
(ii)前記投射されたレーザビームを、前記投射されたレーザビームの長手方向軸において交差する四分円に分割するステップと、
(iii)振幅変調を使用する前記レーザビームの脈動によって、および前記レーザビームの波面の歪みによって、連続区間のセットの各区間について前記回折素子において生成されたポインティング回折マスクを使用して、前記セットの各区間中に前記レーザビームの各象限の投射を中断するステップであって、前記投射されたレーザビームの任意の所与の象限が、前記レーザビームの他の象限が投射される前記区間のセットのサブセットとは異なる前記区間のセットのサブセットにわたって投射され、前記象限が、前記サブセットの少なくとも1つの区間にわたって排他的に投射され、
任意の所与の区間の間に放射される前記振幅変調されたレーザビームのパルスの周波数が、前記レーザビームが投射される全ての象限について同じであり、前記区間のセットの少なくとも1つの区間の間に放射される前記振幅変調されたレーザビームのパルスの周波数が、前記区間のセットの少なくとも1つの他の区間の間に放射される前記振幅変調されたレーザビームのパルスの周波数とは異なる、中断するステップと、
(iv)前記レーザビームの前記象限が投射される前記区間のセットの前記サブセットの前記パルスの周波数を決定することによって、前記受信局の前記フォトダイオード受信機において検出された前記投射されたレーザビームの前記象限を識別し、前記無線送信機および前記無線受信機を介して前記光通信送信機にこの情報を通信するステップと、
(v)ステップ(iii)において前記レーザビームの前記象限を排他的に投射した前記回折素子において生成された前記ポインティング回折マスクを使用して、前記レーザから放射された前記レーザビームの前記波面を歪ませることによって、ステップ(iv)において識別された前記レーザビームの前記象限が投射された領域にわたって連続区間で前記レーザビームを投射するステップと、
(vi)ステップ(ii)から(v)を少なくともさらに3回、またはステップ(v)において投射された前記レーザビームの前記長手方向軸とステップ(ii)において投射された前記レーザビームの前記長手方向軸との間の角度がπ/9500ラジアン未満になるまで繰り返すステップと、を含み、
ステップ(i)から(v)において前記投射されたレーザビームの長手方向軸が向けられる方向が、前記回折素子において生成されたトラッキング回折マスクを使用して前記レーザから放射された前記レーザビームの前記波面を歪ませることによって、前記受信局に対する前記光通信送信機の前記変位の関数としてt秒毎に変更され、
前記区間が、10から500Hzの間の値rの周波数を有し、前記パルスが、0.1kHzから100MHzの間の値fの周波数を有し、tが、0.001から10秒の間であり、
各トラッキング回折マスクが、
(a)ステップ(i)およびステップ(ii)の最初の反復において単独で、および
(b)ステップ(iii)から(v)およびその後のステップ(ii)の反復におけるポインティング回折マスクと組み合わせて、使用される、ことを特徴とする方法に関する。
【0008】
本発明はまた、光通信送信機(100)からレーザビーム(18)を介して受信局(110)に情報を送信し、前記光通信送信機から放射された前記レーザビームを前記受信局とアライメントするためのシステムであって、
-前記光通信送信機が、前記受信局に対して変位され、レーザ(16)と、無線受信機(32)と、マイクロプロセッサ(14)と、回折素子を備える液晶オンシリコン空間光変調器(24)とを備え、前記レーザビームが、前記レーザから放射され、前記液晶オンシリコン空間光変調器を使用した回折および反射によって領域にわたって投射され、前記レーザおよび前記回折素子が、前記マイクロプロセッサによって制御され、前記レーザビームが、前記レーザビームの伝搬経路に平行な長手方向軸を有し、
-前記受信局が、前記送信されたレーザビームを検出するためのフォトダイオード受信機(52)と、無線送信機(60)とを備え、
-前記システムが、以下のステップ、すなわち、
(i)前記空間光変調器を使用した回折および反射によって前記受信局が位置する領域にわたって連続区間で前記レーザビームを投射するステップと、
(ii)前記投射されたレーザビームを、前記投射されたレーザビームの長手方向軸において交差する四分円に分割するステップと、
(iii)振幅変調を使用する前記レーザビームの脈動によって、および前記レーザビームの波面の歪みによって、連続区間のセットの各区間について前記回折素子において生成されたポインティング回折マスクを使用して、前記セットの各区間中に前記レーザビームの各象限の投射を中断するステップであって、前記投射されたレーザビームの任意の所与の象限が、前記レーザビームの他の象限が投射される前記区間のセットのサブセットとは異なる前記区間のセットのサブセットにわたって投射され、前記象限が、前記サブセットの少なくとも1つの区間にわたって排他的に投射され、
任意の所与の区間の間に放射される前記振幅変調されたレーザビームのパルスの周波数が、前記レーザビームが投射される全ての象限について同じであり、前記区間のセットの少なくとも1つの区間の間に放射される前記振幅変調されたレーザビームのパルスの周波数が、前記区間のセットの少なくとも1つの他の区間の間に放射される前記振幅変調されたレーザビームのパルスの周波数とは異なる、中断するステップと、
(iv)前記レーザビームの前記象限が投射される前記区間のセットの前記サブセットの前記パルスの周波数を決定することによって、前記受信局の前記フォトダイオード受信機において検出された前記投射されたレーザビームの前記象限を識別し、前記無線送信機および前記無線受信機を介して前記光通信送信機にこの情報を通信するステップと、
(v)ステップ(iii)において前記レーザビームの前記象限を排他的に投射した前記回折素子において生成された前記ポインティング回折マスクを使用して、前記レーザから放射された前記レーザビームの前記波面を歪ませることによって、ステップ(iv)において識別された前記レーザビームの前記象限が投射された領域にわたって連続区間で前記レーザビームを投射するステップと、
(vi)ステップ(ii)から(v)を少なくともさらに3回、またはステップ(v)において投射された前記レーザビームの前記長手方向軸とステップ(ii)において投射された前記レーザビームの前記長手方向軸との間の角度がπ/9500ラジアン未満になるまで繰り返すステップと、を実行するための手段を備え、
ステップ(i)から(vi)において前記投射されたレーザビームの長手方向軸が向けられる方向が、前記回折素子において生成されたトラッキング回折マスクを使用して前記レーザから放射された前記レーザビームの前記波面を歪ませることによって、前記受信局に対する前記光通信送信機の前記変位の関数としてt秒毎に変更され、
前記区間が、10から500Hzの間の値rの周波数を有し、前記パルスが、0.1kHzから100MHzの間の値fの周波数を有し、tが、0.001から10秒の間であり、
各トラッキング回折マスクが、
(a)ステップ(i)およびステップ(ii)の最初の反復において単独で、および
(b)ステップ(iii)から(v)およびその後のステップ(ii)の反復におけるポインティング回折マスクと組み合わせて、使用される、ことを特徴とするシステムに関する。
【0009】
さらに、本発明は、光通信送信機(100)からレーザビーム(18)を介して受信局(110)に情報を送信し、前記光通信送信機から放射された前記レーザビームを前記受信局とアライメントするための光通信装置であって、前記装置が、以下の構成要素、すなわち、
-レーザ(16)と、
-無線受信機(32)と、
-回折素子を備える液晶オンシリコン空間光変調器(24)と、
-マイクロプロセッサ(14)と、を備え、
前記レーザおよび前記回折素子が、前記マイクロプロセッサによって制御される、ことを特徴とし、
前記構成要素が、以下のステップ、すなわち、
(i)前記空間光変調器を使用した回折および反射によって前記受信局が位置する領域にわたって連続区間で前記レーザビームを投射するステップと、
(ii)前記投射されたレーザビームを、前記投射されたレーザビームの長手方向軸において交差する四分円に分割するステップと、
(iii)振幅変調を使用する前記レーザビームの脈動によって、および前記レーザビームの波面の歪みによって、連続区間のセットの各区間について前記回折素子において生成されたポインティング回折マスクを使用して、前記セットの各区間中に前記レーザビームの各象限の投射を中断するステップであって、前記投射されたレーザビームの任意の所与の象限が、前記レーザビームの他の象限が投射される前記区間のセットのサブセットとは異なる前記区間のセットのサブセットにわたって投射され、前記象限が、前記サブセットの少なくとも1つの区間にわたって排他的に投射され、
任意の所与の区間の間に放射される前記振幅変調されたレーザビームのパルスの周波数が、前記レーザビームが投射される全ての象限について同じであり、前記区間のセットの少なくとも1つの区間の間に放射される前記振幅変調されたレーザビームのパルスの周波数が、前記区間のセットの少なくとも1つの他の区間の間に放射される前記振幅変調されたレーザビームのパルスの周波数とは異なる、中断するステップと、
(iv)前記レーザビームの前記象限が投射される前記区間のセットの前記サブセットの前記パルスの周波数を決定することによって、前記受信局の前記フォトダイオード受信機において検出された前記投射されたレーザビームの前記象限を識別し、前記無線送信機および前記無線受信機を介して前記光通信送信機にこの情報を通信するステップと、
(v)ステップ(iii)において前記レーザビームの前記象限を排他的に投射した前記回折素子において生成された前記ポインティング回折マスクを使用して、前記レーザから放射された前記レーザビームの前記波面を歪ませることによって、ステップ(iv)において識別された前記レーザビームの前記象限が投射された領域にわたって連続区間で前記レーザビームを投射するステップと、
(vi)ステップ(ii)から(v)を少なくともさらに3回、またはステップ(v)において投射された前記レーザビームの前記長手方向軸とステップ(ii)において投射された前記レーザビームの前記長手方向軸との間の角度がπ/9500ラジアン未満になるまで繰り返すステップと、を含み、
ステップ(i)から(v)において前記投射されたレーザビームの長手方向軸が向けられる方向が、前記回折素子において生成されたトラッキング回折マスクを使用して前記レーザから放射された前記レーザビームの前記波面を歪ませることによって、前記受信局に対する前記光通信送信機の前記変位の関数としてt秒毎に変更され、
前記区間が、10から500Hzの間の値rの周波数を有し、前記パルスが、0.1kHzから100MHzの間の値fの周波数を有し、tが、0.001から10秒の間であり、
各トラッキング回折マスクが、
(a)ステップ(i)およびステップ(ii)の最初の反復において単独で、および
(b)ステップ(iii)から(v)およびその後のステップ(ii)の反復におけるポインティング回折マスクと組み合わせて、使用される、ことを特徴とする方法に関する。
【0010】
さらにまた、本発明は、本明細書に記載の装置を備える光通信送信機(100)に関する。
【0011】
さらに、本発明は、
-前記光通信送信機から放射されたレーザビームと受信局とをアライメントし、および/または
-前記光通信送信機から受信局へ情報を送信する
ための本明細書で説明される方法、システム、光通信装置、または光通信送信機の使用に関する。
【0012】
さらに、本発明は、衛星(100)からレーザビーム(18)を介して受信局(110)に情報を送信し、前記衛星から放射された前記レーザビームを前記受信局とアライメントするための方法であって、
-前記衛星が、前記受信局に対して変位され、レーザ(16)と、無線受信機(32)と、マイクロプロセッサ(14)と、回折素子を備える液晶オンシリコン空間光変調器(24)とを備え、前記レーザビームが、前記レーザから放射され、前記液晶オンシリコン空間光変調器を使用した回折および反射によって領域にわたって投射され、前記レーザおよび前記回折素子が、前記マイクロプロセッサによって制御され、前記レーザビームが、前記レーザビームの伝搬経路に平行な長手方向軸を有し、
-前記受信局が、前記送信されたレーザビームを検出するためのフォトダイオード受信機(52)と、無線送信機(60)とを備え、
-前記方法が、以下のステップ、すなわち、
(i)前記空間光変調器を使用した回折および反射によって前記受信局が位置する領域にわたって連続区間で前記レーザビームを投射するステップと、
(ii)前記投射されたレーザビームを、前記投射されたレーザビームの長手方向軸において交差する四分円に分割するステップと、
(iii)振幅変調を使用する前記レーザビームの脈動によって、および前記レーザビームの波面の歪みによって、連続区間のセットの各区間について前記回折素子において生成されたポインティング回折マスクを使用して、前記セットの各区間中に前記レーザビームの各象限の投射を中断するステップであって、前記投射されたレーザビームの任意の所与の象限が、前記レーザビームの他の象限が投射される前記区間のセットのサブセットとは異なる前記区間のセットのサブセットにわたって投射され、前記象限が、前記サブセットの各区間にわたって排他的に投射され、
任意の所与の区間の間に放射される前記振幅変調されたレーザビームのパルスの周波数および/または持続時間が、前記レーザビームが投射される全ての象限について同じであり、前記区間のセットの少なくとも1つの区間の間に放射される前記振幅変調されたレーザビームのパルスの周波数および/または持続時間が、前記区間のセットの少なくとも1つの他の区間の間に放射される前記振幅変調されたレーザビームのパルスの周波数および/または持続時間とは異なる、中断するステップと、
(iv)前記レーザビームの前記象限が投射される前記区間のセットの前記サブセットの前記パルスの周波数および/または持続時間を決定することによって、前記受信局の前記フォトダイオード受信機において検出された前記投射されたレーザビームの前記象限を識別し、前記無線送信機および前記無線受信機を介して前記衛星にこの情報を通信するステップと、
(v)ステップ(iii)において前記レーザビームの前記象限を排他的に投射した前記回折素子において生成された前記ポインティング回折マスクを使用して、前記レーザから放射された前記レーザビームの前記波面を歪ませることによって、ステップ(iv)において識別された前記レーザビームの前記象限が投射された領域にわたって連続区間で前記レーザビームを投射するステップと、
(vi)ステップ(ii)から(v)を少なくともさらに3回、またはステップ(v)において投射された前記レーザビームの前記長手方向軸とステップ(ii)で投射された前記レーザビームの前記長手方向軸との間の角度がπ/9500ラジアン未満になるまで繰り返すステップと、を含み、
前記受信局が前記衛星に対して変位され、前記衛星に対する前記受信局の前記変位が、前記受信局に対する前記衛星の動きを表すベクトルの成分であり、前記成分が、前記受信局と前記衛星との間の線に垂直な平面内にあり、
前記回折素子に生成されたトラッキング回折マスクを使用して、前記レーザから放射された前記レーザビームの前記波面を歪ませることにより、前記投射された前記レーザビームの前記長手方向軸がステップ(i)から(v)において向く方向をt秒毎に変化させ、
各トラッキング回折マスクが、
(a)ステップ(i)およびステップ(ii)の最初の反復において単独で、および
(b)ステップ(iii)から(v)およびその後のステップ(ii)の反復におけるポインティング回折マスクと組み合わせて、使用され、
各トラッキング回折マスクが、ホログラフィックグレースケールパターンに含まれ、前記ホログラフィックグレースケールパターンが、直前に使用された前記トラッキング回折マスクを使用して投射された領域にわたって前記投射されたレーザビームを投射し、トラッキング回折マスクとポインティング回折マスクとの各組み合わせが、
(a)各組み合わせで使用される前記ポインティング回折マスクが同じである場合、その直前に使用されたトラッキング回折マスクとポインティング回折マスクとの組み合わせを使用して投射された前記領域にわたって、または
(b)
(i)前記組み合わせがトラッキングマスクを使用した後に使用される第1の組み合わせである場合に前記組み合わせの前に使用されるトラッキング回折マスク、または
(ii)各組み合わせにおいて使用される前記ポインティング回折マスクが異なる場合に、その前に使用されたトラッキング回折マスクとポインティング回折マスクとの組み合わせ、を使用して投射された領域のサブセット上で、前記投射されたレーザビームを投射するホログラフィックグレースケールパターンに含まれ、
前記区間が、10から500Hzの間の値rの周波数およびr-1以下の持続時間を有し、前記パルスが、0.1kHzから100MHzの間の値fの周波数およびf-1以下の持続時間を有し、tが、0.001から10秒の間である、ことを特徴とする方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明のいくつかの態様および実施形態は、例としてのみ、以下の図を参照して説明される。
図1】本発明の一実施形態にかかる、UHF無線リンクを介して受信局からリンク品質データを供給し、空間内のその位置およびタイミングをGPS受信機でトラッキングする組み込み制御コンピュータに接続された精密ポインティングおよびトラッキングシステムを備える光通信送信機である。
図2】本発明の一実施形態にかかる光通信送信機システムの一部を形成する受信局からの受信機システムである。
図3】ホログラムが提示され、照射された正方形パターンを領域(例えば、地球の表面)上で移動させるために使用される、入射レーザがSLMの表面上でどのように反射されるかの絵画的表現である。
図4】A.5つのデジタルホログラム(a)から(e)が、それぞれ、174m-1、87m-1、0、-87m-1、および-174m-1の光パワーを実装することによって光送信機システム内のコリメーション不整合を補償するためのホログラフィックレンズを表している。B.レーザによって照射されたSLMに投射されると、それぞれ、-2°、-1°、0°、+1°、および+2°の角度でビームの反射を生成する5つのデジタルホログラムパターン(a)から(e)である。
図5】A.2つの定義された角度θおよびφ、ならびにBに依存する座標(y,x)によって定義された正方形パターン(例えば、地球の表面上)の位置の絵画的な定義である。B.角度変位φおよびθにそれぞれ対応する2つのホログラム(a)および(b)が組み合わせられて、センサの視野内の任意の位置において前記領域上に照射されたホログラフィックパターン(c)を取得する方法である。
図6】例として、ネルピオ(スペイン)に位置する前記受信局としての地球局110上の前記光通信送信機としての衛星100の絵画的状況であって、120は衛星視認円を表し、122は衛星のLCOS-SLM視野123のx正規直交軸を表し、124はその中心が衛星125を横切る地球の表面に垂直な線によって定義される対応するy軸を表し、陰影領域126は、LCOS-SLMのホログラムのデコンボリューションに対応する、その中心が伝搬経路127の軸によって定義されるレーザビームによって照射される領域を表し、128は衛星の進行方向を表し、角度θおよびφは、それぞれ、縦軸125に対する度での天頂偏角および方位偏角を表す。
図7A】A.前記光通信送信機としての衛星、B.前記受信局としての地球局を使用して例示された、本発明にかかる方法の第1の粗接触、ポインティング改良、および通信開始のための光通信送信機と受信局のアライメントのフロー図である。
図7B】A.前記光通信送信機としての衛星、B.前記受信局としての地球局を使用して例示された、本発明にかかる方法の第1の粗接触、ポインティング改良、および通信開始のための光通信送信機と受信局のアライメントのフロー図である。
図8】受信局(例えば、地球局)の位置として光通信送信機(例えば、衛星)に含まれるSLMの表面上に投射される一連のポインティング回折マスクのホログラムは、受信局のπ/9500ラジアン以内のレーザ光のポインティングで終わることが決定され、したがって、全ての利用可能な光が小さな領域(前記受信局が位置する投射されたレーザビームの長手方向軸に垂直な正方形平面であって、典型的には100から200mの長さの辺を有する正方形平面)にわたって集束されるため、最大効率を有するそれらの間の通信リンクをもたらす。各グリッドの外側の正方形は、SLMによって反射および回折された後にレーザによって照射されることができる総面積を表し、その中の暗い正方形は、その直下のポインティング回折マスクによって反射および回折された後にレーザによって実際に照射される面積を表す。A.各区間にわたって各ポインティング回折マスク内で生成された対応するホログラムを使用して、ポインティング方法の開始時に(この場合、左上象限から開始して反時計回りに)照射される4つの象限を表す。光通信送信機は、1msから200msの間、各正方形に投射し、受信局からフィードバックを受信した後、受信局が正方形番号3(右下)に在圏すると決定する。B.その後の反復では、光放射器のマイクロプロセッサは、回折パターンを再計算し、4つの回折マスクを生成して、各区間にわたって各ポインティング回折マスクにおいて生成された対応するホログラムを使用して、正方形番号3内の4つの象限を連続的に照射する。光放射器マイクロプロセッサは、受信局からフィードバックを受信することによって、受信局が正方形33(正方形3の右下)内に配置されていると決定する。C.その後、この手順は、受信局が正方形33内に位置していることを決定するこの正方形331(正方形33の左上)を用いて繰り返される。D.このようにして手順を(少なくとも)もう一度繰り返すことにより、レーザは、小さな正方形3311(正方形331の左上)(またはその中の正方形)を指す。この時点で、通信手順は、1Mbpsから100Mbpsの速度でレーザを切り替えることによって開始する。この動きを補償するために回転を行うことによって受信局に対する光通信送信機の相対運動を考慮に入れるために、(フーリエ変換を使用して)回折マスクにトラッキング回折マスクが追加されなければならないことに留意されたい。
図9】この変位が回折素子の水平座標と一致する方向に行われると仮定することによって、静止地球局に対する軌道上の光通信送信機(この実施形態では、衛星)の相対運動を補償するように配置されると、受信局(この実施形態では、地球局)のトラッキングに対応するホログラムである。A.(a)から(e)は、照射されている象限(この実施形態では、地球の表面にわたって)を示し、B.(a)から(e)は、これを達成するために回折素子の表面に投射されたホログラムをそれぞれ示す。特に、(a)は、地球局が配置され、レーザがπ/9500ラジアンの角度に集束されると、それぞれのホログラムによって照射される象限に対応する。(b)は、衛星が(a)の地球局の位置に対してπ/9500ラジアンの角度だけ移動したときに、LCOSに投射されたそれぞれのホログラムによって照射される象限に対応する。(c)は、(a)の地球局の位置に対して衛星が2・π/9500ラジアンの角度だけ移動したときに、LCOSに投射されたそれぞれのホログラムによって照射される象限に対応する。(d)は、(a)において衛星が地球局の位置に対して3・π/9500ラジアンの角度だけ移動したときに、LCOSに投射されたそれぞれのホログラムによって照射される象限に対応する。(e)は、(a)の地球局の位置に対して衛星が4・π/9500ラジアンの角度だけ移動したときに、LCOSに投射されたそれぞれのホログラムによって照射される象限に対応する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、電気制御可能な空間光変調器に基づく自由空間光通信のためのポインティングおよびトラッキング方法、システムおよび装置に関する。さらに、本発明は、前記装置を備える光通信送信機、ならびに、
-前記光通信送信機から放射されたレーザビームと受信局とをアライメントし、および/または
-前記光通信送信機から受信局に情報を送信する
ための前記方法、システム、装置または光通信送信機の使用に関する。好ましくは、前記自由空間光通信は、宇宙船間または宇宙船と基地局(例えば、地球局)との間であり、より好ましくは、前記自由空間光通信は、光通信送信機(100)としての衛星と、受信局(110)としての地球(地上)局との間である。
【0015】
本発明は、(図2の液晶オンシリコン空間光変調器によって回折および反射されると)レーザビーム(18)を介して光通信送信機(100)から受信局(110)に情報を送信し、前記光通信送信機から放射された前記レーザビームを前記受信局とアライメントするための方法、システム、および装置に関する。前記光通信送信機は、前記受信局に対して変位し(またはその逆に、前記受信局は、前記光通信送信機に対して変位され、すなわち、光通信送信機は、前記受信局から離れており、それに対して移動している)、前記レーザビームを介して情報を送信する。好ましくは、前記光通信送信機に対する受信局の変位は、前記受信局に対する光通信送信機の動きを表すベクトルの成分であり、前記成分は、前記受信局と前記光通信送信機との間の線に垂直な平面内にある。したがって、前記レーザビームは、光通信送信機と受信局との間の通信リンクを提供する。通信リンク効率を最大化するために、光通信送信機から投射されたレーザビームは、レーザビームによって投射された利用可能な光が可能な限り小さな領域に集束されるように、前記受信局と可能な限り密接にアライメントされる必要がある(すなわち、レーザビームは、前記受信局が位置する領域にわたって投射される)。したがって、本方法、システム、および装置は、ポインティングおよびトラッキングによって局発見を近似するように、前記受信局が位置する領域上に投射されたレーザビームを集束させる。したがって、本発明は、光通信送信機に対して変位されるときに受信局をトラッキングし、前記光通信送信機を前記受信局の方に向ける(特に、前記光通信送信機から投射されたレーザビームの伝搬経路の長手方向軸に向ける)ための方法、システム、および装置に関する。前記光通信送信機が前記受信局に対して変位したときに前記光通信送信機から放射されたレーザビームを前記受信局とアライメントするための他の方法、システム、および装置とは異なり、本発明の方法、システム、および装置は、前記光通信送信機に含まれる部品のいずれかをそれに対して移動させる必要なく、且つ受信局から光通信送信機に向かって光信号を送信する必要なく、トラッキングおよびポインティングを達成する。
【0016】
前記方法およびシステムに開示されているように、前記光通信送信機、および前記装置は、レーザ(18)と、無線受信機(32)と、マイクロプロセッサ(14)と、回折素子を備える液晶オンシリコン空間光変調器(24)とを備えることを特徴とする。
【0017】
前記レーザは、レーザビームを放射する。前記放射されたレーザビームは、前記液晶オンシリコン空間光変調器に含まれる回折素子によって回折および反射され、これは前記レーザビームをある領域にわたって投射し、したがって回折および反射される。前記領域は、前記受信局が位置する領域であり、前記領域が前記投射されたレーザビームの長手方向軸に垂直である場合には正方形であり、前記投射されたレーザビームの長手方向軸は、前記投射されたレーザビームの伝搬経路に平行である。
【0018】
前記レーザは、好ましくは150nmから30000nm、より好ましくは375nmから4600nm、さらにより好ましくは1000nmから2000nmの波長から選択される中心波長で光を放射する。さらにより好ましい実施形態では、前記波長は1550nmである。前記レーザは、好ましくは半導体レーザ、より好ましくはフォトダイオードレーザである。本明細書に記載の例示的な実施形態では、レーザは、1550nmの波長で発光する、Thorlabs社製のモデルL1550G1である。
【0019】
液晶オンシリコン(LCOS)空間光変調器(SLM)は、液晶ディスプレイスクリーン(LCDスクリーン)と同様の電子装置であるが、入射光の位相を制御するように設計されており、したがって、LCDスクリーンにおいて一般に使用される強度画像ではなく位相画像を生成する。それらは、その上に表示されるデジタルホログラムの種類によって回折格子またはレンズなどの回折光学素子のように動作することができるが、例えばマイクロプロセッサによって制御される駆動回路によって電気的にプログラム可能(機械的可動部品なし)である能力を有する。好ましくは、LCOS-SLMは、画像内の階調が衝突するレーザ内の-πから+πラジアンの位相レベルを再現するように、異なる階調を有するコンピュータ生成画像によって位相関数を符号化することによって、衝突するレーザビームの位相を修正するように構成されることができる。このようにして、SLMは、レーザビームが反射されるSLMスクリーン上に表示された符号化画像に応じて異なる光回折関数を反射レーザに与えることができる。さらに、SLM回折マスクは、1つの機能から別の機能に容易に切り替えることができ、またはいくつかのそのような機能を同時に実行することができる。したがって、前記液晶オンシリコン空間光変調器(LCOS-SLM)は回折素子を備える。このようなSLMサプライヤの例として、Holoeyeが挙げられる。
【0020】
前記回折素子は、そこに入射するレーザビームの位相を集合的に変調する画素のアレイを備える。一実施形態では、回折素子の各画素は、グレーのレベルを表示し、それにより、回折素子は、その中に生成された回折マスクまたは回折マスクの組み合わせを含むグレースケールホログラフィックパターンを表示し、前記レーザから放射されてそこに入射するレーザビームの回折および反射をもたらす。各マスクは、その機能とは無関係に、位相回折マスクである。各ホログラフィックパターンは、前記回折素子において生成され、ある区間の全期間にわたってその上に表示される回折マスク/回折マスクの組み合わせを含み、区間は、前記回折素子がリフレッシュされる時間(秒単位)によって定義される。したがって、回折素子が連続する一連の区間にわたって同じホログラフィックパターンを表示する場合、前記回折素子から投射されるレーザビームは、前記所与のホログラフィックパターンがその上に表示される前記一連の連続区間の各区間に対して同じ方法で投射される。
【0021】
本明細書に記載の方法でLCOS-SLMを使用することにより、他の変数の中でも、衝突するレーザビームが反射される幅(すなわち、角度)および/または方向を調整することが可能であり、このようにして、地球局などの受信局をトラッキングするための機械的可動部品を使用することなく、宇宙船などの光通信送信機から投射されたレーザビームのビーム整形および集束(すなわち、細かいポインティングおよびトラッキング)を実行することが可能であり、したがって、機械的ポインティングシステムに関連するコストおよび嵩高性を回避する。光通信送信機が衛星などの宇宙船である好ましい実施形態の場合、これは、より小さい宇宙船からの光通信との統合を可能にし、100kg未満、さらには3kgまでの衛星の使用の宇宙用途における現在の傾向にしたがうため、大きな利点である。
【0022】
さらに、本明細書に記載の方法でLCOS-SLMを使用することによって、ポインティングを実行して維持するために必要な制御ループを閉じるために、ポインティングに使用される戻り光リンク取得を、例えばUHFまたはVHFで実装される低速データ無線リンクに置き換えることによって、受信局(例えば、地球局)から光通信送信機(例えば、衛星)への戻り光リンクを使用する必要性が排除され、したがって、受信局の実装のモードをさらに簡素化する。
【0023】
前記マイクロプロセッサは、好ましくはその光強度および前記レーザビームの脈動を含むレーザおよびレーザからのレーザビームの放射、ならびに前記回折素子において生成される回折マスクを制御する。したがって、前記マイクロプロセッサは、好ましくはコンピュータ可読プログラム命令を使用して光通信送信機の電子機器の全部または一部を制御するコンピュータプログラム製品である。より好ましい実施形態では、前記回折素子において生成される回折マスクを制御するために、前記マイクロプロセッサは、デジタル画像を符号化し、前記デジタル画像は、コンピュータまたはテレビ画面と同様に機能するが位相値としてデジタル画像を表示する前記回折素子(すなわち、前記SLMスクリーン)において再生される。前記SLM上の符号化された画像をコンピュータ可読プログラム命令に変更することによって、SLMスクリーンに衝突するレーザビームがそこからの反射および回折によって投射される方向、スパン、焦点、およびタイミングを調整することが可能である。
【0024】
コンピュータプログラム製品は、プロセッサに本発明の態様を実行させるためのコンピュータ可読プログラム命令を有するコンピュータ可読記憶媒体(または媒体)を含むことができる。
【0025】
コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行装置による使用のための命令を保持および記憶することができる有形の装置とすることができる。コンピュータ可読記憶媒体は、電子記憶装置、磁気記憶装置、光記憶装置、電磁記憶装置、半導体記憶装置、またはこれらの任意の適切な組み合わせを含むことができるが、これらに限定されない。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例の非網羅的なリストは、ポータブルコンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、ポータブルコンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、メモリスティック、フロッピーディスク、命令が記録されたパンチカードまたは溝内の隆起構造などの機械的に符号化された装置、および上記の任意の適切な組み合わせを含む。
【0026】
本明細書に記載のコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ可読記憶媒体から、またはネットワーク、例えばインターネット、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワークおよび/または無線ネットワークを介して外部コンピュータもしくは外部記憶装置を介してそれぞれのコンピューティング/処理装置にダウンロードされることができる。ネットワークは、銅伝送ケーブル、光伝送ファイバ、無線伝送、ルータ、ファイアウォール、スイッチ、ゲートウェイコンピュータおよび/またはエッジサーバを備えることができる。各コンピューティング/処理装置内のネットワークアダプタカードまたはネットワークインターフェースは、ネットワークからコンピュータ可読プログラム命令を受信し、それぞれのコンピューティング/処理装置内のコンピュータ可読記憶媒体に記憶するためにコンピュータ可読プログラム命令を転送する。
【0027】
本発明の方法の動作を実行するための、ならびに本発明のシステムおよび装置におけるコンピュータ可読プログラム命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、機械命令、機械依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データの形式の符号化情報とすることができ、Smalltalk、C++などのオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語または同様のプログラミング言語などの従来の手続き型プログラミング言語を含む、1つ以上のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコードまたはオブジェクトコードのいずれかとすることができる。コンピュータ可読プログラム命令は、完全にユーザのコンピュータ上で、部分的にユーザのコンピュータ上で、スタンドアロンソフトウェアパッケージとして、部分的にユーザのコンピュータ上で、部分的にリモートコンピュータ上で、または完全にリモートコンピュータもしくはサーバ上で実行することができる。後者のシナリオでは、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)またはワイドエリアネットワーク(WAN)を含む任意のタイプのネットワークを介してユーザのコンピュータに接続されてもよく、または外部コンピュータ(例えば、インターネットサービスプロバイダを使用してインターネットを介して)に接続されてもよい。いくつかの実施形態では、例えば、プログラマブル論理回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、またはプログラマブルロジックアレイ(PLA)を含む電子回路は、本発明の態様を実行するために、コンピュータ可読プログラム命令の状態情報を利用して電子回路をパーソナライズすることによってコンピュータ可読プログラム命令を実行することができる。
【0028】
本発明の態様は、光通信装置および光通信送信機に実装される本発明の方法およびシステムのフローチャート図および/またはブロック図(図7を参照)を参照して本明細書で説明される。フローチャート図および/またはブロック図の各正方形またはひし形のブロック、ならびにフローチャート図および/またはブロック図のブロックの組み合わせは、機械的手段、光学的技術またはコンピュータ可読プログラム命令、またはそれらの組み合わせによって実装されることができることが理解されよう。
【0029】
これらのコンピュータ可読プログラム命令は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、または他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサに提供されて機械を生成することができ、その結果、コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサを介して実行する命令は、フローチャートおよび/またはブロック図の1つ以上のブロックにおいて指定された機能/動作を実装するための手段を形成する。これらのコンピュータ可読プログラム命令はまた、コンピュータ、プログラマブルデータ処理装置、および/または他の装置に特定の方法で機能するように指示することができるコンピュータ可読記憶媒体に記憶されてもよく、その結果、記憶された命令を有するコンピュータ可読記憶媒体は、フローチャートおよび/またはブロック図の1つ以上のブロックにおいて指定された機能/動作の態様を実装する命令を含む製品を備える。
【0030】
コンピュータ可読プログラム命令はまた、上述したマイクロプロセッサ、コンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置、または他の装置にロードされて、コンピュータ、他のプログラマブル装置、または他の装置上で実行される命令がフローチャートおよび/またはブロック図の1つ以上のブロックにおいて指定された機能/動作を実装するように、一連の動作ステップをコンピュータ、他のプログラマブル装置、または他の装置上で実行させてコンピュータ実装プロセスを生成することができる。
【0031】
図中のフローチャートおよびブロック図は、本発明の様々な実施形態にかかる方法、システムおよび装置の可能な実装のアーキテクチャ、機能、および動作を示す。これに関して、フローチャートまたはブロック図の各ブロックは、指定された論理機能を実装するための1つ以上の実行可能命令を備えるモジュール、セグメント、または命令の一部を表すことができる。いくつかの代替実装では、ブロックに記載された機能は、図7に記載された順序から外れて行われてもよい。例えば、連続して示されている2つのブロックは、実際には、実質的に同時に実行されてもよく、またはブロックは、関連する機能に応じて、時には逆の順序で実行されてもよい。また、ブロック図および/またはフローチャート図の各ブロック、ならびにブロック図および/またはフローチャート図のブロックの組み合わせは、指定された機能または動作を実行するか、専用ハードウェアとコンピュータ命令との組み合わせを実行する専用ハードウェアベースのシステムによって実装されることができることにも留意されたい。
【0032】
前記無線受信機は、前記受信局から無線周波数送信を受信する。前記受信局からの各無線周波数送信は、通信リンクの効率に関する情報、ならびに受信局のフォトダイオード受信機において検出される投射されたレーザビームの象限に関する情報(すなわち、受信局が位置している領域に投射された象限に関する情報)を光通信送信機に提供する。この情報は、前記受信局において検出される前記レーザビームの象限が投射される区間のセットのサブセットのパルスの周波数を決定することによって取得される。
【0033】
前記受信局は、前記方法、システム、および装置において使用される場合、前記送信された(すなわち、投射された)レーザビームを検出するためのフォトダイオード受光器(52)と、無線送信機(60)とを備えることを特徴とする。好ましくは、受信局は、光検出装置の主焦点にある非常に狭い光フィルタの後ろにフォトダイオード受信機を備える。より好ましくは、前記光検出装置は、コンピュータ制御の経緯台式架台によって駆動される望遠鏡である。
【0034】
前記フォトダイオード受信機は、任意の所与の区間の間に放射された前記振幅変調されたレーザビームのパルスの周波数を含む、前記光通信送信機から投射されたレーザビームを検出する。任意の所与の区間の間に放射され、前記フォトダイオード受信機によって検出される前記振幅変調されたレーザビームのパルスの周波数は、投射されたレーザビームがその各象限にわたって投射される区間のセットのサブセットに固有である。したがって、前記受信局において検出される区間のセットのサブセットのパルスの周波数は、受信局によって検出される投射されたレーザビームの象限、したがって受信局が位置する象限を決定する。受信局のフォトダイオード受信機において検出された投射されたレーザビームの象限に関するこの情報(すなわち、受信局が位置している領域に投射された象限に関する情報)は、無線送信機を使用して前記光通信送信機に送信される。
【0035】
受信局の無線送信機は、好ましくは、UHF帯域またはVHF帯域で無線周波数通信を提供する。より好ましくは、コンピュータによって制御されるアンテナに接続され、より好ましくは、前記コンピュータによって制御される経緯台式架台によって駆動される指向性八木トポロジーによって実装される。
【0036】
なお、レーザから液晶オンシリコン空間光変調器に放射されたレーザビーム(すなわち、放射された、入射した、または衝突したレーザビーム)は、液晶オンシリコン空間光変調器に到達する前に、光通信送信機またはそれに含まれる光通信装置に含まれる少なくとも1つの他の光学部品を通過してもよく、光通信送信機を出る前に液晶オンシリコン空間光変調器から投射されたレーザビーム(すなわち、投射または透過されたレーザビーム)は、液晶オンシリコン空間光変調器を出た後に、少なくとも1つの他の光学部品を通過してもよいことに留意されたい。好ましくは、前記放射されたレーザビームおよび前記投射されたレーザビームのいずれかまたは双方は、前記光通信送信機または前記光通信装置に含まれる少なくとも1つの他の光学部品を通過し、各光学部品は、好ましくは、ビームエキスパンダ、レンズ、プリズム、光ファイバ、および平面平行板を含む群から選択される。より好ましくは、前記放射されたレーザビームおよび前記投射されたレーザビームのいずれかまたは双方は、少なくとも1つのビームエキスパンダを通過する。したがって、そうでなければ非常に狭いレーザビームは、空間光変調器に含まれる回折素子の全画面領域をカバーし、したがってその中に表示される画像を効率的に利用するように拡大されることができる。前記光学部品が光ファイバを備える場合、光ファイバカプラもその中に含まれることがより好ましい。
【0037】
本発明の方法およびシステムの特に好ましい実施形態では、前記光通信送信機は、光通信衛星であり、前記光通信装置は、光通信衛星に含まれる。したがって、本発明のより特に好ましい実施形態は、少なくとも1つの衛星と受信局とを備える方法およびシステムであって、さらにより好ましくは、前記受信局が地球局である、方法およびシステムに関する。
【0038】
前記方法は、以下のステップを含み、前記システムは、以下のステップを実行するための手段を備え、前記装置は、以下のステップ、すなわち、
(i)前記空間光変調器を使用した回折および反射によって前記受信局が位置する領域にわたって連続区間で前記レーザビームを投射するステップ、
(ii)前記投射されたレーザビームを、前記投射されたレーザビームの長手方向軸において交差する四分円に分割するステップ、
(iii)振幅変調を使用する前記レーザビームの脈動によって、および前記レーザビームの波面の歪みによって、連続区間のセットの各区間について前記回折素子において生成されたポインティング回折マスクを使用して、前記セットの各区間中に前記レーザビームの各象限の投射を中断するステップであって、前記投射されたレーザビームの任意の所与の象限が、前記レーザビームの他の象限が投射される前記区間のセットのサブセットとは異なる前記区間のセットのサブセットにわたって投射され、前記象限が、前記サブセットの少なくとも1つの区間にわたって排他的に投射され、
任意の所与の区間の間に放射される前記振幅変調されたレーザビームのパルスの周波数が、前記レーザビームが投射される全ての象限について同じであり、前記区間のセットの少なくとも1つの区間の間に放射される前記振幅変調されたレーザビームのパルスの周波数が、前記区間のセットの少なくとも1つの他の区間の間に放射される前記振幅変調されたレーザビームのパルスの周波数とは異なる、中断するステップ、
(iv)前記レーザビームの前記象限が投射される前記区間のセットの前記サブセットの前記パルスの周波数を決定することによって、前記受信局の前記フォトダイオード受信機において検出された前記投射されたレーザビームの前記象限を識別し、前記無線送信機および前記無線受信機を介して前記光通信送信機にこの情報を通信するステップ、(v)ステップ(iii)において前記レーザビームの前記象限を排他的に投射した前記回折素子において生成された前記ポインティング回折マスクを使用して、前記レーザから放射された前記レーザビームの前記波面を歪ませることによって、ステップ(iv)において識別された前記レーザビームの前記象限が投射された領域にわたって連続区間で前記レーザビームを投射するステップ、および
(vi)ステップ(ii)から(v)を少なくともさらに3回、またはステップ(v)において投射された前記レーザビームの前記長手方向軸とステップ(ii)において投射された前記レーザビームの前記長手方向軸との間の角度がπ/9500ラジアン未満になるまで繰り返すステップを実行するように構成され、
ステップ(i)から(v)において前記投射されたレーザビームの長手方向軸が向けられる方向が、前記回折素子において生成されたトラッキング回折マスクを使用して前記レーザから放射された前記レーザビームの前記波面を歪ませることによって、前記受信局に対する前記光通信送信機の前記変位の関数としてt秒毎に変更され、
前記区間が、10から500Hzの間の値rの周波数を有し、前記パルスが、0.1kHzから100MHzの間の値fの周波数を有し、tが、0.001から10秒の間であり、
各トラッキング回折マスクが、
(a)ステップ(i)およびステップ(ii)の最初の反復において単独で、および
(b)ステップ(iii)から(v)およびその後のステップ(ii)の反復におけるポインティング回折マスクと組み合わせて、使用される。
【0039】
ステップ(i)において、前記レーザビームは、前記空間光変調器を使用した回折および反射によって前記受信局が位置する領域にわたって連続区間で投射される。投射されたビーム内の前記連続区間の各区間は、それと同じまたは異なる新たなホログラムを表示する前に、ホログラムが空間光変調器に連続的に表示される区間に対応する(すなわち、前記空間光変調器の連続するリフレッシュ間の区間)。区間は、10から500Hzの間の値rの周波数を有する。前記空間光変調器がリフレッシュ周波数rを有する場合、各区間の持続時間は、r-1以下である。これは、投射されたレーザビームが、前記空間光変調器のリフレッシュ周波数によって定義されるパルスで放射されることを意味する。本発明のシステムの好ましい実施形態では、ステップ(i)を実行するために使用される手段は、マイクロプロセッサ、レーザ、およびSLM(したがって、その回折素子)を指し、前記マイクロプロセッサは、前記レーザおよび前記SLMとの間でコンピュータ可読プログラム命令または符号化された情報をそれぞれ提供/受信する。
【0040】
本発明の好ましい実施形態では、前記受信局が位置する領域上に前記レーザビームを投射するステップ(i)は、
(a)前記受信局に対する前記光通信送信機の位置を推定し、前記光通信送信機に対する前記受信局の位置を推定するステップと、
(b)少なくとも1つのアクチュエータを使用して光通信送信機の姿勢を変更することによって、ステップ(a)において推定された受信局の位置に向かう方向Aに前記投射されたレーザビームの長手方向軸を向けるステップと、
(c)前記フォトダイオード受信機の方位角および/または高度角を変更することによって、ステップ(a)において推定された前記光通信送信機の位置に向かう方向Bに前記フォトダイオード受信機を向けるステップであって、前記方向Bが、前記フォトダイオード受信機の焦点面に垂直であり、前記方向Aに平行である、向けるステップと、
(d)ステップ(b)において投射されたレーザビームが前記フォトダイオード受信機を使用して検出されるまで、ステップ(b)および(c)を繰り返すステップと、を含む。本発明のこの好ましい実施形態は、アクチュエータを含む「粗ポインティング」のステップを説明する。粗ポインティングは、典型的には、約π/950ラジアンの誤差角度Aを有し(すなわち、600kmの距離で長さがEkmの辺を有する正方形の上にあり、ここでEは約2kmであり、前記正方形は、前記受信局が位置する投射されたレーザビームの長手方向軸に垂直な平面であると解釈される)、したがって、前記光通信送信機におけるいかなる構成要素の移動も必要とせず、典型的には、π/9500ラジアン未満の誤差角度Aを有する(すなわち、600kmの距離で200m未満の辺を有する前述の正方形に対応する)ステップ(ii)から(vi)において使用される「精密ポインティング」と区別される。
【0041】
本発明の前記好ましい実施形態のステップ(a)において、光通信送信機の位置が受信局に対して推定され、受信局の位置が光通信送信機に対して推定される。前記推定は、
-光通信送信機に組み込まれたマイクロプロセッサによる光通信送信機の正確な位置の連続的な推定であって、それに接続されたGPSを使用することによって、その測地基準(すなわち、例えばETRS89による緯度および高度)を使用する受信局の位置とともに、計時のために光通信送信機に接続されたGPSを使用することによる、光通信送信機の正確な位置の連続的な推定と、
-光通信送信機の2線要素(TLE)および簡易軌道摂動4(SPG4)などの軌道伝搬アルゴリズムとともに、計時用に接続されたGPSおよびその測地基準(すなわち、例えばETRS89による緯度および高度)を使用することによる、受信局コンピュータの位置の連続推定、を含む。
【0042】
受信局に対する光通信送信機の位置および光通信送信機に対する受信局の位置が推定されると、ステップ(b)から(d)の粗ポインティングは、前記光通信送信機と受信局との間に(およびその逆に)見通し線が確立されるまで実行され、その後、本発明の方法、システムおよび装置のステップ(i)のように、前記レーザビームは、前記空間光変調器を使用した回折および反射によって前記受信局が位置する領域にわたって連続区間で投射される。前記受信局が前記レーザビームが投射される領域内に位置することを確実にするために、前記レーザビームは、好ましくは、前述の誤差角度Aよりも大きい角度にわたって最初に投射される。本発明のステップ(i)の好ましい実施形態では、レーザビームは、π/18850ラジアンとπ/180ラジアンとの間の角度にわたって(すなわち、長さが100mから10kmの間の辺を有する前述の正方形の上に)投射される。より好ましくは、前記レーザビームが最初に投射される角度は、π/950ラジアン未満(すなわち、2km未満の辺を有する前述の正方形の上)、さらにより好ましくはπ/1885ラジアン未満(すなわち、1km未満の辺を有する前述の正方形の上)である。その結果、ステップ(a)から(d)の反復プロセスは停止し、受信局がステップ(b)において投射されたレーザビームによって投射された角度内に入り、前記レーザビームが前記フォトダイオード受信を使用して検出されると、本発明の方法、システム、および装置のステップ(i)が行われることが可能になる。したがって、そのような状況下では、本発明の前述の好ましい実施形態のステップ(a)から(d)を含むステップ(i)による第1の投射は、「粗ポインティング」と考えることができる。受信局によって初期接続が確認されると、ステップ(ii)を開始し、したがって「精密ポインティング」のプロセスを開始する光通信送信機に信号が送信される。本発明のシステムの前述の好ましい実施形態では、ステップ(a)を実行するために使用される手段は、マイクロプロセッサ、より好ましくはマイクロプロセッサおよびGPSを指し、ステップ(b)および(c)を実行するために使用される手段は、マイクロプロセッサ、レーザ、SLM(したがって、その回折素子)、フォトダイオードおよびアクチュエータを指し、前記マイクロプロセッサは、前記レーザ、前記SLMおよび前記アクチュエータにコンピュータ可読プログラム命令または符号化された情報を提供および受信し、ステップ(d)を実行するために使用される手段は、マイクロプロセッサ、レーザ、SLM(したがって、その回折素子)、フォトダイオード、無線送信機および受信機を指す。
【0043】
本発明の前記好ましい実施形態において使用されるアクチュエータは、好ましくは電気的、機械的または電気機械的装置であり、より好ましくはモータ、スラスタ、反動ホイールまたは磁力計である。
【0044】
ステップ(ii)において、前記投射されたレーザビームは、前記投射されたレーザビームの長手方向軸において交差する四分円に分割される。前記分割は純粋に抽象的であり、概念的には、前記投射されたレーザビームの長手方向軸において交差する各象限に沿って1つずつ、4つの平行な伝搬経路をもたらし、レーザビーム、または各象限(すなわち、その伝搬経路に沿って)上に投射されるその部分は、後続のステップ(iii)から(v)において他の象限上に投射されるものとは異なる。このステップは、ステップ(ii)の最初の反復においてステップ(i)にしたがって投射されたレーザビームと、ステップ(ii)の後続の反復においてステップ(v)にしたがって投射されたレーザビームの双方に対して行われる。本発明のシステムの好ましい実施形態では、ステップ(ii)を実行するために使用される手段は、マイクロプロセッサ、レーザ、およびSLM(したがって、その回折素子)を指し、前記マイクロプロセッサは、前記レーザおよび前記SLMとの間でコンピュータ可読プログラム命令または符号化された情報をそれぞれ提供/受信する。
【0045】
ステップ(iii)において、前記レーザビームの各象限の投射は、連続区間のセットの各区間中に、振幅変調を使用する前記レーザビームの脈動によって、および前記セットの各区間について前記回折素子において生成されたポインティング回折マスクを使用する前記レーザビームの波面の歪みによって中断され、前記投射されたレーザビームの任意の所与の象限は、前記レーザビームの他の象限が投射される区間の前記セットのサブセットとは異なる区間の前記セットのサブセットにわたって投射され、前記象限は、前記サブセットの少なくとも1つの区間にわたって排他的に投射され、
任意の所与の区間の間に放射される前記振幅変調されたレーザビームのパルスの周波数は、前記レーザビームが投射される全ての象限について同じであり、前記区間のセットのうちの少なくとも1つの区間の間に放射される前記振幅変調されたレーザビームのパルスの周波数は、前記区間のセットのうちの少なくとも1つの他の区間の間に放射される前記振幅変調されたレーザビームのパルスの周波数とは異なる。本発明のシステムの好ましい実施形態では、ステップ(iii)を実行するために使用される手段は、マイクロプロセッサ、レーザ、およびSLM(したがって、その回折素子)を指し、前記マイクロプロセッサは、前記レーザおよび前記SLMとの間でコンピュータ可読プログラム命令または符号化された情報をそれぞれ提供/受信する。
【0046】
振幅変調を使用した前記レーザビームの脈動による一連の連続区間の各区間中の前記中断は、0.1kHzから100MHz、好ましくは1kHzから10MHzの周波数fで放射される一連のパルスをもたらす。周波数fは、任意の所与の時間(すなわち、任意の所与の区間の間)に放射されるレーザビームの全ての象限について同じであるが、前記レーザビームが投射される区間のセットの少なくとも1つの区間について異なる。他方、前記回折素子において生成されたポインティング回折マスクを使用した前記レーザビームの波面の歪みによる連続区間のセットの各区間中の前記中断は、前記レーザビームの他の象限が投射される前記区間のセットのサブセットとは異なる前記区間のセットのサブセットにわたって投射される前記投射されたレーザビームの所与の象限をもたらし、前記象限は、前記サブセットの少なくとも1つの区間にわたって排他的に投射される。本発明の好ましい実施形態では、図9に示すように、前記投射されたレーザビームの所与の象限は、前記サブセットの各区間にわたって排他的に投射される(すなわち、前記投射されたレーザビームの複数の象限は、任意の所与の区間にわたって投射されない)。
【0047】
振幅変調を使用した前記レーザビームの脈動による中断および/または各区間で生じる前記回折素子内で生成されたポインティング回折マスクを使用した前記レーザビームの波面の歪みによる中断の組み合わせ、および前記投射されたレーザビームの任意の所与の象限が、前記レーザビームの他の象限が投射される前記区間のセットのサブセットとは異なる前記区間のセットにわたって投射されるという事実は、前記投射されたレーザビームの各象限が中断される前記区間のセットにわたって、前記投射されたレーザビームの各象限が異なるように中断される(すなわち、所与の区間にわたって所与の象限を中断するポインティング回折マスクによって、または所与の区間の間に前記レーザビームの前述の脈動によって、前記ポインティング回折マスクが別の所与の区間の間にその投射を可能にする前記象限を中断するかどうか)ことを意味する。好ましくは、ポインティング回折マスクを使用した前記レーザビームの波面の歪みは、任意の所与の区間において、前記投射されたレーザビームの所与の象限が投射されることを意味し、投射される前記投射されたレーザビームの象限は、これらが他の区間中に投射されるときに前記投射されたレーザビームの他の象限を中断するために使用される周波数とは異なる周波数fでの前記レーザビームの脈動によって中断される。これは、前記投射されたレーザビームの各象限が、前記投射されたレーザビームの他の象限とは異なる「シグネチャ」を有することを意味する。
【0048】
ステップ(iv)において、受信局の前記フォトダイオード受信機において検出される前記投射されたレーザビームの象限は、前記レーザビームの象限が投射される区間のセットのサブセットのパルスの周波数を決定し、この情報を前記無線送信機および前記無線受信機を介して前記光通信送信機に通信することによって識別される。したがって、ステップ(iv)において、前記投射されたレーザビームのどの象限が前記受信局によって検出されたかを識別し、したがって、このように識別された前記象限が投射された領域に基づいて、前記受信局が位置する領域を識別するために、受信局によって検出されるレーザビームの「シグネチャ」が決定される。好ましくは、これは、タイミング信号を使用して光通信送信機と受信局とをさらに同期させることによって達成される。決定されると、この情報は、前記受信局に含まれる無線送信機から前記光通信送信機に含まれる無線受信機に電波を送信することによって前記光通信送信機に中継される。本発明のシステムの好ましい実施形態では、ステップ(iv)を実行するために使用される手段は、マイクロプロセッサ、レーザ、SLM(したがって、その回折素子)、フォトダイオード、無線送信機および無線受信機を指し、前記マイクロプロセッサは、前記レーザ、前記SLMおよび前記無線受信機との間でコンピュータ可読プログラム命令または符号化情報をそれぞれ提供/受信する。
【0049】
本発明の方法、システムおよび装置の好ましい実施形態は、以下のステップ(iii)および(iv)を含むものである:
(iii)振幅変調を使用する前記レーザビームの脈動によって、および前記レーザビームの波面の歪みによって、連続区間のセットの各区間について前記回折素子において生成されたポインティング回折マスクを使用して、前記セットの各区間中に前記レーザビームの各象限の投射を中断するステップであって、前記投射されたレーザビームの任意の所与の象限が、前記レーザビームの他の象限が投射される前記区間のセットのサブセットとは異なる前記区間のセットのサブセットにわたって投射され、前記象限が、前記サブセットの少なくとも1つの区間にわたって排他的に投射され、
任意の所与の区間の間に放射される前記振幅変調されたレーザビームのパルスの周波数および/または持続時間が、前記レーザビームが投射される全ての象限について同じであり、前記区間のセットの少なくとも1つの区間の間に放射される前記振幅変調されたレーザビームのパルスの周波数および/または持続時間が、前記区間のセットの少なくとも1つの他の区間の間に放射される前記振幅変調されたレーザビームのパルスの周波数および/または持続時間とは異なる、中断するステップ、
(iv)前記レーザビームの前記象限が投射される前記区間のセットの前記サブセットの前記パルスの周波数および/または持続時間を決定することによって、前記受信局の前記フォトダイオード受信機において検出された前記投射されたレーザビームの前記象限を識別し、前記無線送信機および前記無線受信機を介して前記光通信送信機にこの情報を通信するステップであり、
前記区間は、上記定義されたように、10から500Hzの値rの周波数と、r-1以下の持続時間とを有し、前記パルスは、上記定義されたように、0.1kHzから100MHzの値fの周波数と、f-1以下の持続時間とを有し、tは、上記定義されたように、0.001から10の間である。したがって、周波数だけでなく、区間およびパルスの持続時間も、投射されるレーザビームの「シグネチャ」の決定に関連する。
【0050】
ステップ(v)において、レーザビームは、ステップ(iii)においてレーザビームの前記象限のみを投射した前記回折素子において生成されたポインティング回折マスクを使用してレーザから放射されたレーザビームの波面を歪ませることによって、ステップ(iv)において特定されたレーザビームの前記象限が投射された領域にわたって連続区間で投射される。換言すれば、ステップ(v)において、レーザビームは、ステップ(iv)において前記受信局によって検出されたレーザビームの象限が投射された領域にわたって連続区間で投射される。本発明のシステムの好ましい実施形態では、ステップ(v)を実行するために使用される手段は、マイクロプロセッサ、レーザ、およびSLM(したがって、その回折素子)を指し、前記マイクロプロセッサは、前記レーザおよび前記SLMとの間でコンピュータ可読プログラム命令または符号化情報をそれぞれ提供/受信する。
【0051】
ステップ(vi)において、前の連続するステップ(ii)から(v)は、少なくともさらに3回、またはステップ(v)において投射された前記レーザビームの前記長手方向軸とステップ(ii)において投射された前記レーザビームの前記長手方向軸との間の角度[すなわち、ステップ(v)の反復の前のステップ(ii)の反復]がπ/9500ラジアン未満になるまで繰り返される。したがって、ステップ(ii)から(v)は、レーザビームの投射角度を連続的に狭めるために反復され、それにより、レーザビームは、受信局が位置するますます小さな領域にわたって投射される。一実施形態では、ステップ(ii)から(v)は、好ましくはさらに3から5回(すなわち、合計4から6回)、より好ましくはさらに6回繰り返される。別の実施形態では、ステップ(ii)から(v)は、好ましくは、ステップ(v)において投射された前記レーザビームの長手方向軸とステップ(ii)において投射された前記レーザビームの前記長手方向軸との間の角度がπ/10000ラジアン未満、より好ましくはπ/12000ラジアン未満になるまで繰り返される。このようにして、前記投射されたレーザビームによって投射される利用可能な光は、可能な限り小さい領域に集束され、前記投射されたレーザビームの長手方向軸は、受信局のレーザビームの実際の位置と密接にアライメントされる。まとめて、ステップ(ii)から(v)およびステップ(vi)の反復プロセスは、「精密ポインティング」と考えることができる。本発明のシステムの好ましい実施形態では、ステップ(vi)を実行するために使用される手段は、マイクロプロセッサ、およびステップ(ii)から(v)を実行するために使用される前述の手段を指す。
【0052】
上述した「精密ポインティング」の反復プロセスは、ポインティング回折マスクの使用によって達成される。要約すると、精密ポインティングは、前記受信局が位置する領域にレーザビームを投射することによって、投射されたレーザビームが投射する角度を狭め、
-回折素子に表示されたコンピュータ生成ホログラフィックパターンを使用して、放射されたレーザビームの波面を変更することであって、各ホログラフィックパターンが、ポインティング回折マスクを含み、前記受信局が、前記投射されたレーザビームの1つの象限が投射される前記領域のサブセット内に配置される、変更することと、
-前記レーザビームを前記検出された象限が投射される領域にわたって投射する前に、受信局内のフォトダイオード受信機において、このように投射された前記レーザビームの前記象限を検出し、前記検出された象限に関する情報を、前記無線送信機および前記無線受信機を介して前記光通信送信機に通信することと、
-投射されたレーザビームが投射され、前記受信局がその中に位置する角度を、好ましくは投射されたレーザビームの発散の限界内まで狭めるために、前の2つのステップを再帰的に繰り返すことと、を含む。
【0053】
これが行われている間、毎秒数分の1度で受信局に対する光通信送信機(例えば、上空の衛星)の変位も行われ、それにより、この動きを補正する、前記回折素子に表示された各ホログラフィックパターンにトラッキング回折マスクが含まれる。したがって、前述の「ポインティング」プロセスに加えて、「トラッキング」のプロセスもトラッキング回折マスクの使用によって達成され、各トラッキング回折マスクは、
(a)ステップ(i)およびステップ(ii)の最初の反復において単独で、および
(b)ステップ(iii)から(v)およびその後のステップ(ii)の反復におけるポインティング回折マスクと組み合わせて、使用される。
【0054】
トラッキングは、前記回折素子に回折マスクを生成し、その結果、投射されたレーザビームが受信局が位置する領域上に投射された後、時間tが経過し、その間に受信局に対する光通信送信機の変位が起こったために必要とされる。したがって、トラッキングは、本発明によれば、ステップ(i)から(v)において投射されたレーザビームの長手方向軸が向けられる方向を、前記回折素子において生成されるトラッキング回折マスクを使用してレーザから放射されるレーザビームの波面を歪ませることによって受信局に対する光通信送信機の変位に応じてt秒毎に変更することによって達成され、tは、0.001秒から10秒である。したがって、新たなトラッキング回折マスクがt秒毎に前記回折素子において生成され、このようにして生成された各新たなトラッキング回折マスクは、前記投射されたレーザビームの長手方向軸がその前の区間において指されていた方向を新たな方向に変更する(すなわち、光通信送信機から投射される角度が変更され、レーザビームの長手方向軸が、その前のステップにおいて前記レーザビームが投射された領域の中心とアライメントされる)。換言すれば、前記レーザビームは、その前の区間において前の回折マスクを使用するときに且つ前記変位にもかかわらず前記受信局が位置する投射されたのと同じ領域にわたって(すなわち、前記投射されたレーザビームの長手方向軸に垂直な、前記受信局が位置する平面の領域にわたって)投射される。好ましい実施形態では、このようにして生成された各新たなトラッキング回折マスクは、受信局に対する光通信送信機の変位がそれより前の区間で生じたと仮定して、前記投射されたレーザビームの長手方向軸がその前の区間において指されていた方向を新たな方向に変更する。新たなトラッキング回折マスクが、(精密ポインティングにより)前の回折マスクを使用して投射された領域のサブセット上に投射されたレーザビーム(またはその象限)を指すポインティング回折マスクと組み合わせて使用される場合、新たなトラッキング回折マスクは、前の回折マスクを使用したときに投射されたのと同じ領域上に投射され、ポインティング回折マスクは、それと組み合わせて使用され、前記領域の前記サブセット上に投射されたレーザビーム(またはその象限)を指す。このようにして、時間tによって分離された2つの連続区間I1およびI2について、区間I2の間にレーザビーム(またはその象限)が投射される領域は、I1およびI2の間に前記回折素子に異なる回折マスクが生成されるとしても、レーザビーム(またはその象限)がI1に投射される領域または前記領域のサブセットと同じである。
【0055】
任意の所与の区間または区間のセットにわたって前記回折素子に表示される各ホログラフィックグレースケールパターンは、回折マスクまたは回折マスクの組み合わせを含むように計算される。前記ホログラフィックグレースケールパターンは、常にトラッキングマスクを含むため、それが表示される任意の所与の区間について、(少なくとも瞬間的に)前記投射されたレーザビームの長手方向軸を、その前に回折マスクを使用したときに投射されたのと同じ領域にわたって投射することを意味する方向に向け、それと組み合わせて使用されるポインティング回折マスクは、トラッキングを達成するために、前記領域の前記サブセットにわたって投射されたレーザビーム(またはその象限)を指す。
【0056】
したがって、本発明の方法、システムおよび装置の好ましい実施形態では、各トラッキング回折マスクまたはトラッキング回折マスクとポインティング回折マスクとの各組み合わせは、前記マイクロプロセッサ内で計算され、前記回折素子内に表示されるホログラフィックグレースケールパターン(41)に含まれ、このように表示される前記ホログラフィックグレースケールパターンは、投射されたレーザビームを、トラッキング回折マスクまたはトラッキング回折マスクとその前のポインティング回折マスクとの組み合わせを使用して投射された領域にわたって、またはトラッキング回折マスクまたはトラッキング回折マスクとその前のポインティング回折マスクとの組み合わせを使用して投射された前記領域のサブセットにわたって投射する。換言すれば、各トラッキング回折マスクは、ホログラフィックグレースケールパターンに含まれ、ホログラフィックグレースケールパターンは、直前に使用されたトラッキング回折マスクを使用して投射された領域上に投射されたレーザビームを投射し、トラッキング回折マスクとポインティング回折マスクとの各組み合わせは、
(a)各組み合わせにおいて使用されるポインティング回折マスクが同じである場合、トラッキング回折マスクとその直前に使用されたポインティング回折マスクとの組み合わせを使用して投射された領域にわたって、または
(b)
(i)前記組み合わせがトラッキングマスクを使用した後に使用される第1の組み合わせである場合に、前記組み合わせの前に使用されるトラッキング回折マスク、または
(ii)各組み合わせにおいて使用されるポインティング回折マスクが異なる場合に、その前に使用されていたトラッキング回折マスクとポインティング回折マスクとの組み合わせ、を使用して投射された領域のサブセット上、のいずれかに投射されたレーザビームを投射するホログラフィックグレースケールパターンに含まれる。
【0057】
本発明の方法、システム、および、装置の好ましい実施形態では、前記回折素子において生成される各トラッキング回折マスク、または、トラッキング回折マスクとポインティング回折マスクとの組み合わせは、レーザビームの波面を歪ませ、画像I(x,y)(42)を前記領域にわたって投射し、前記回折素子は、画素のマトリックスを備え、各画素は、p座標およびq座標によって画定され、画素(p,q)=(0,0)は、前記マトリックスの中心にある画素であり、前記回折マスク、または、回折マスクの組み合わせは、マイクロプロセッサにおいて計算されて前記回折素子に表示されるホログラフィックグレースケールパターンに含まれ、前記マトリックスの各画素(p,q)には、以下の式にしたがって計算される0とwとの間の階調g’(p,q)が割り当てられる:
【0058】
【数1】
式中、
【0059】
【数2】
および
【0060】
【数3】
であり、
式中、gθ(p,q)は、以下の回転マトリックスを使用してgθ(p,q)から計算される:
【0061】
【数4】
式中、
【0062】
【数5】
であり、
式中、
-pは、画素(p,q)の横座標であり、
-qは、画素(p,q)の縦座標であり、
-wは、前記回折素子において2πの位相変調を提供するグレー値であり、
-mod(w)は、wに対するモジュロ演算であり、
-ψ(p,q)、前記画像の逆フーリエ変換の位相関数であり、以下の式にしたがって計算され:
【0063】
【数6】
式中、
FT-1[I(x,y)]=前記画像の逆フーリエ変換であり、
A(p,q)=は、前記画像の逆フーリエ変換の振幅であり、
i=虚数単位であり、
-φは、長手方向軸に対するラジアンでの方位角偏向角であり、
-nは、以下の式にしたがって計算される:
【0064】
【数7】
式中、
-λは、レーザビームの波長(メートル)であり、
-Iは、メートル単位の画素の1辺の長さであり、
-θは、長手方向軸に対する天頂偏角(ラジアン)であり、
-mod(2.π)は、角度関数に対するモジュロ演算である。
【0065】
このような各トラッキング回折マスクまたはトラッキング回折マスクとポインティング回折マスクとの組み合わせの計算の利点は、マイクロプロセッサメモリ内で既に計算されているいくつかのフーリエ変換関数のおかげで前述の式によって単純化されたフーリエ変換を含むため、より大きなマイクロプロセッサパワーを必要とする複雑な計算を実行するのではなく、回転および乗算を実行するだけでよいということである。
【0066】
好ましくは、wは150から500の間、より好ましくは200から360の間、さらにより好ましくは250から260の間、さらにより好ましくは255である。
【0067】
本発明の方法、システム、および装置の好ましい実施形態は、投射されたレーザビームの強度および振幅変調を制御することによってさらなる情報を受信局に送信するステップ(vi)の後の追加のステップ(vii)を含み、投射されたレーザビームの長手方向軸が投射される方向は、ステップ(v)の最後の反復で生成されたポインティング回折マスクと組み合わせて、トラッキング回折マスクを使用してレーザから放射されたレーザビームの波面を歪ませることによって変更される。したがって、ステップ(vi)は、前記投射されたレーザビームによって符号化された情報を前記受信局に送信することを含む。好ましくは、情報の送信は、オンオフキーイングなどの標準的な送信プロトコルを使用して行われてもよい。さらなる情報を送信するこのステップは、前記さらなる情報を送信しながら前記受信局に対する光通信送信機の変位を考慮するために、t秒毎にステップ(v)の最後の反復で生成されたポインティング回折マスクと組み合わせて使用されるトラッキング回折マスクを変更することを必要とする。したがって、さらなる情報を送信するこのステップは、光通信送信機(例えば、その軌道に沿った衛星として)の固有の動きを補正するトラッキング回折マスクと組み合わせて、受信局にわたって集束されたレーザビームを維持するポインティング回折マスクを使用する。同時に、受信局は、より好ましくは、コンピュータは、光通信送信機の記憶されたTLE(2線要素)およびSPG4アルゴリズムを使用して、光通信送信機の動きを推定し、それに追従し、こうして光通信リンクを維持する。この光リンクの自由空間における通信伝送速度は、10Mbps(10メガビット毎秒)以上が好ましく、50Mbps以上がより好ましく、100Mbps以上がさらに好ましい。本発明のシステムの好ましい実施形態では、ステップ(vi)を実行するために使用される手段は、受信局のマイクロプロセッサ、レーザ、SLM(したがって、その回折素子)およびフォトダイオードを指し、前記マイクロプロセッサは、前記レーザおよび前記SLMとの間でコンピュータ可読プログラム命令または符号化された情報をそれぞれ提供/受信する。
【0068】
さらなる情報を送信するためのリンクの品質に関する情報は、八木アンテナを介して無線リンクを使用することによって受信局によって光通信送信機にフィードバックされる。さらなる情報の伝送のためのリンクの品質に悪影響を及ぼすことがあるトラッキングの小さな誤差は、好ましい実施形態では、通信の品質を改善するためにSLMに表示されるホログラフィックパターンとして回折素子に生成される回折マスクまたは回折マスクの組み合わせの特性を変更する光通信送信機のマイクロプロセッサによって補償される。
【実施例
【0069】
本明細書では、前述の図を参照して、本明細書で採用された符号にしたがって、本発明にかかるシステム、方法、装置、および光通信送信機の好ましいが限定的ではない例を説明し、以下は、本明細書で定義された制限内の好ましい非排他的な実施形態の例である。
【0070】
したがって、本明細書では、精密なポインティングおよびトラッキングシステムおよび装置が説明され、前記システムまたは装置は、光通信送信機として衛星(100)上に実装されると、回折反射によって地球ベースの受信局(110)への精密ポインティングおよびトラッキングに関連するビーム整形を実行するように構成される。したがって、本発明にかかるシステム、方法、装置、および光通信送信機は、図1に示されたもののような光送信機システムまたは装置(10)を実装することによって衛星通信に用途を見出す。図1に示す実施形態では、放射器制御電子回路(12)は、衛星のオンボードコンピュータ(OBC、マイクロプロセッサ14)と通信し、レーザフォトダイオード(16)の光強度およびスイッチング周波数(すなわち、パルス周波数)を制御して、液晶オンシリコン空間光変調器(LCOS-SLM、24)装置上に表示される干渉パターンによって回折および反射されることによって情報を送信する。
【0071】
生成されたレーザ光(18)は、光ファイバカプラ(20)によって光ファイバ(15)に導入され、アイソレータ(21)によって実行された測定から閉ループで強度が制御され、制御電子機器(12)のアナログデジタル変換器に接続されたフォトダイオード(13)によって検知される。光ファイバ(15)は、SLMスクリーン(24)全体を覆うためにビームエキスパンダ(22)およびコリメーションレンズ(23)を通過し、後者で反射されると、受信機に向かって保護平面平行板(26)を通って自由空間に向かって投射される。
【0072】
本発明のこの実施形態では、衛星プラットフォームにおいて通信を生成するレーザは、1550nm波長の赤外線レーザであるThorlabs社製のモデルL1550G1であり、空間光変調器は、Holoeye社のモデルGAEA-2-TELCO-033である。このSLMは、JD2704マイクロディスプレイ駆動ICによって処理され、4160×2464画素の解像度を有する制御電子機器(12)によってコンピュータモニタとして見られる。ホログラムを構築するために、2464×2464画素の最大正方形が使用される。
【0073】
この実施形態では、LCOS-SLMは、レーザビームを反射することに加えて、前記画像I(x,y)の各画素(x,y)に対してグレーの強度を確立することによって位相関数を符号化する回折画像を表示するように電気的にプログラムすることによってプログラム可能な光学ユニットとして使用され、前記強度は、関数exp(iψ(x,y))内の位相によって与えられ、ここで、
【0074】
【数8】
であり、x、およびyは画素座標を表し、γおよびγは、SLM画素アレイのxおよびy方向の位相の導関数であり、(mod 2π)は、角度関数にわたるモジュロ演算である。
【0075】
図1の1つの可能な実装では、光ファイバカプラおよびスプリッタは、Thorlabs製のモデルTW1550R1A1と、Hyperion Optics製のHBE-1064-20x部品によるビームエキスパンダとを用いて実装される。
【0076】
放射器の電子機器(12)は、Microsemi製のSmartFusion 2 SoCを使用して、LVDSを介して、レーザダイオード(16)の光強度およびスイッチングを制御するIC-Haus製のIC-HC集積回路と通信する。G8935 MSM GaAs光検出器(13)は、レーザダイオードによって放射された光の一部を検知し、LTC6268演算増幅器によって線形から増幅された後、ADS1278アナログ-デジタル(A/D)変換器によってデジタルに変換され、光強度のフィードバックとしてSmartFusion 2 SoCに送信される。このA/D変換器は、最大8個のA/D変換を独立して処理することができ、レーザおよびSLMサーマルブロック(30および31)の温度を取得するためにも使用される。サーマルブロックは、各ペルチェに対して1つのLMD1820集積回路を駆動する2つのPWM波形を生成することによって、SmartFusion 2 SoCから適切にバイアスされたRMTからのペルチェモジュールモデル2MC10-081-20によって実装される。温度に関するフィードバックは、RTDインターフェースソリューションズ(http://www.ti.com/lit/an/snoa481b/snoa481b.pdf)と題するTexas Instruments Application Note AN-1559の図番2に特徴がある回路によって調整され、ADS1278 A/D変換器の2つの入力に接続された、各ペルチェモジュールに1つずつある2つのPT1000抵抗器によって実現される。
【0077】
放射器の電子機器(12)は、CANインターフェースを介して衛星のオンボードコンピュータ(14)に接続され、これは、全方向アンテナ(34)に接続されたUHF無線送受信機(32)を有する光通信およびテレメトリおよびテレコマンド(TM/TC)インターフェースを処理するSTM32H743VIマイクロプロセッサによって実装される。オンボードコンピュータは、衛星のペイロード、特に衛星のメモリとの通信を処理して、高データレートを生成し、光放射器に送信し、TM/TCを無線トランシーバに送信する。計時や位置推定のために、オンボードコンピュータは、Septentrio社のAsteRx4を使用して実装されたGPS受信機を使用する。位置推定は、その軌道を伝播し、GPSユニットによって供給されるデータを使用して軌道を補正するためにSPG4アルゴリズムに依存するオンボードコンピュータによって処理される。TM/TC無線トランシーバは、RS-422ポートを介してオンボードコンピュータに接続するSTM32F405マイクロプロセッサによって制御されるADF7021トランシーバICを使用することによって実装される。トランシーバICは、RF6886増幅器を使用して送信用の0.5Wの無線電力を生成し、TQP3M9007を使用して受信無線電力を増幅する。マイクロプロセッサによって制御されるPE4250 RFスイッチは、TxまたはRxのいずれかの通信モードを選択する。TM/TCコマンドは、衛星の側面に取り付けられた4つの500mmフレックスアンテナダイポールを使用して送受信される。
【0078】
図2に示す光受信局(110)は、衛星から受信される低い光強度およびそれに到達するのに必要な無線電力に適した同様のシステムによって実装される。コンピュータ制御された経緯台式架台(54)に取り付けられた望遠鏡(50)は、衛星放射器からレーザ光(18)を受信し、この場合にはその主焦点に位置する狭帯域赤外線フィルタを有するアバランシェフォトダイオードである受信センサ(52)にレーザ光を集光する。放物面ミラー(56)は、典型的にはスペクトルの赤外側に位置するレーザ波長で反射するのに十分な光増幅能力を有しなければならない。コンピュータ(58)は、USBインターフェースを介して、フォトダイオードアンプおよびアナログ-デジタル変換ステージ(59)からデータを受信し、無線送信機または無線局(60)と通信して衛星との通信ループを閉じ、衛星のポインティングおよびその後のトラッキングを指示することを可能にする。無線送信機は、回転機(64)によって駆動される八木アンテナ(62)、すなわち基本的には単純な経緯台式架台に接続され、回転機コントローラ(66)と無線送受信機とを接続してUHFまたはVHF帯域で衛星と通信する。GPS受信機(68)は、局と衛星(100)との間の通信を同期させるためのタイミング信号を受信するために使用される。
【0079】
地球局の典型的な実装形態では、Meade ACF-SC 355/3550 355.6mm(14インチ)UHTC LX200 GoTo望遠鏡が、Hamamatsu社製のG6849 MSMフォト光検出器をその焦点に取り付け、1550nmのレーザ波長の赤外線検出能力を有する。受光器の信号対雑音比を増加させるために、Edmund Optics社からの1550nmハードコート帯域通過干渉フィルタがフォトダイオード光学窓の上部に取り付けられる。前述の望遠鏡は、SkiFi IIIアダプタを使用してCOMからUSBまたはwifiを介してPCコンピュータに接続することができる独自の高度経緯台式架台を組み込んでいる。
【0080】
フォトダイオードは4つの検出器からなり、これらの検出器のそれぞれは、フォトダイオードに衝突する光に比例する電流を生成し、最大120MHzの通信リンクを確立するために光パルスに応答することができる。使用されるフォトダイオードに4つの検出器を有することは、それらのそれぞれの光強度を使用して望遠鏡のポインティングを放射器に導くという利点を有する。
【0081】
各フォトダイオード電流は、LTC6268演算増幅器によって実装された電流電圧変換器によって電圧に変換され、DCバイアスをフィルタリングした後、LTC6268によって実装されたコンパレータによって整形される。整形された電圧は、最終的にデジタル信号を受信するSmartFusion 2 SoCに接続されるLVDSラインに変換するLTC6754コンパレータに供給される。次いで、この信号は、USBポートへのインターフェースとしてFTDIを使用して制御コンピュータに送信される。受光フォトダイオード用のサーマルブロックは、ペルチェに接続された1つのLMD1820集積回路を駆動する1つのPWM波形を生成することによって、SmartFusion 2 SoCから適切にバイアスされたRMTペルチェモジュールからの2MC10-081-20によって実装される。温度制御のためのフィードバックは、RTDインターフェースソリューションズと題するTexas Instruments Application Note AN-1559の図番2に特徴がある回路によって調整され、ADS1278 A/D変換器の2つの入力に接続されたPT1000抵抗器によって実現される。
【0082】
アンテナは、MD-01回転機コントローラに接続されたAlpha Spid BIG-RAS HR回転機上のWiMo Antennen社製のX-Quadアンテナで実装され、これはUSBインターフェースを介してPCコンピュータによって構成および制御される。無線送受信機は、COM-USBインターフェースを介してCOMポートを介してコンピュータに接続されたKenwood TS-2000によって実装されてもよい。コンピュータは、以下の3つのソフトウェアパッケージを使用して衛星との無線通信を制御する:
-Ham Radio Deluxeプロ衛星テレコマンドおよびテレメトリ、ドップラ補正および回転機制御
-MD-1回転機コントローラと通信するためのHDR回転機制御。
-HRD衛星トラッキングは、その軌道上の衛星をトラッキングし、接触瞬間を決定し、望遠鏡の衛星経緯台式架台を地球局上のその通過路上の衛星に向ける。
【0083】
最後に、時間トラッキングは、USBを介してコンピュータに接続されたSeptentrio PolaRx5多周波GNSS参照受信機によって取得され、これは10ms毎に時間情報を更新する能力を有する。
【0084】
実際の実装では、TM/TC無線リンクは、10Wの電力と、AX.25プロトコルの番号なし情報フレーム(UIフレーム)に基づく単純なデータ層プロトコルとを使用して437,405MHzの周波数で実装される。通信を実装するために、James Miller(G3RUH)による「9600 Baud Packet Radio Modem Design」、http://www.amsat.org/amsat/articles/g3ruh/109.htmlの参照が使用される。
【0085】
図2に示すように説明された実装形態を使用することにより、光自由空間通信ダウンリンク、すなわち、衛星から地球局までを確立することが可能である。図3は、SLM(24)に表示された位相面が地球(40)の表面にどのように投射されて画像(42)を生成するかを示しており、それは、明確にするために図に示されている正方形によって表されているが、実際には地球に投射されているわけではなく、その辺の長さLは、以下の式によって与えられる:
【0086】
【数9】
【0087】
ここで、λは光リンクを設定するために使用される光の波長(m)であり、hは衛星の軌道の高さであり、spはSLMの画素サイズ(すなわち、各画素の辺の長さ、m)の4倍で与えられるSLM(24)に表示される位相の最小空間周期である。SLMが地球上に投射される画像の効率を低下させないように、4の最大周波数が選択される。
【0088】
フレーム周囲領域(42)は、実際には投射されず、明確にするために図3に含まれ、SLMの最大視野を表す。地球の表面に投射され、したがってレーザ光によって照射されるものは、正方形(43)(すなわち、画像)であり、これは、本発明の特徴的な態様の1つである本明細書で説明される参照フレームワーク内に留まる限り、移動および/または大きくまたは小さくされることができる。
【0089】
本発明の実施形態では、Holoeye社によるGAEA-2-TELCO-033の画素サイズに対して、λ=1550nm、h=600km、sp=4×3.74μm(周期4)を有することができる。これは、片側125kmのSLMの視野のサイズをもたらす。GAEA-2-TELCO-033は、その小さい側に2464個の画素を有するため、これは、SLM上の全ての画素が、適切な位相マスク(41)を用いて、地球の表面上の50mの正方形(43)上に投射される能力を有することを意味する。本発明の典型的な実施形態では、SLMは、長さ4000m、2000m、1000m、500mおよび200mの地球の正方形の表面上に突出するように構成され、これは妥当なスポットサイズを提供する(以下を参照)。図4A(a)から(e)は、高さ600kmの軌道にある衛星について、前記寸法の二乗にわたって中心画像を作成するために、光送信機システム内のコリメーション不整合を補償するためにSLMに投射されることができる位相ホログラムを示している。地球の表面に投射されたこれらのホログラムは、一旦地球局が位置すると、地球局に向かう衛星の精密ポインティングを達成するために使用される。
【0090】
地球局基準座標系から見て高さ600kmまたは0.72°・s-1の軌道に対して7.6km・s-1の衛星の軌道速度を補償するために、2つのプログラムされた角度θおよびφ[図3の(44)および(46)によって表される]のいずれかによるレーザビームの偏向は、SLM(24)上の適切なホログラムを使用することによって達成されることができる。定義された周期を有する繰り返しバーパターンホログラムをSLMに投射することは、回折方程式によって与えられるように、入射角θ[図3の(45)によって表される]を変更する:
【0091】
【数10】
式中、λおよびspは、先に定義されたのと同じ意味を有する。λ=1550nmおよびsp=4×3.74μmをとることにより、±6°の偏向角、すなわち、12°の投射スパンを有する。
【0092】
地球の表面に画像I(x,y)を投射したい場合、光通信送信機のマイクロプロセッサは、以下の関数によってその画素の階調を定義する関数g’(p,q)によって表されるSLMの表面に投射するホログラムを作成する:
【0093】
【数11】
式中、
【0094】
【数12】

であり、
式中、ψ(p,q)は、前記画像の逆フーリエ変換の位相関数であり、wは、回折素子内の画素(p,q)の最大階調値である。
【0095】
x軸上でのみ偏向を仮定する場合、以下の式によって与えられる座標(p,q)によって定義されるSLM上の任意の所与の画素に階調gψθ(p,q)を割り当てることによってホログラムを作成することによって、参照されるスパン間の任意の角度が取得されることができる:
【0096】
【数13】
式中、
【0097】
【数14】
であり、
式中、pは、アレイの中心の座標を(0,0)とするSLMアレイの任意の所与の画素の横座標であり、は、画素(p,q)の階調であり、nは、先に定義されたspとI=3.74μm(選択されたSLMの画素サイズ)との比である。
x軸に制限された偏向の場合、同じp座標を有する任意の点(p,q)の対応する階調は同じになり、すなわち、gψθ(p,q)=g(p)である。
【0098】
実際の例として、図4B(a)は、x方向に角度-2度を変更することによって図1の衝突光(28)を反射する回折パターンを示し、図4B(b)は、x方向に角度-1度を変更する角度を反射し、図4B(c)は、角度の変更を行わず、図4B(d)は、角度を+1度変更し、図4B(e)は、角度を+2度変更する。図3は、SLMにおける適切なホログラム(41)の投射が画素(43)の投射をα(44)によって与えられる角度だけ偏向させ、地球の表面上の新たな位置(45)に光を向ける方法を示している。
【0099】
y軸の方向の角度の変化は、回転なしの階調を有するホログラムから、点(p’,q’)にある階調を有するホログラムを生成する回転マトリックスによって定義される、その角度φ(図5Aを参照)だけ回折パターンを回転させることによって生成され、すなわち、
【0100】
【数15】
であり、
ここで、gψθ(p,q)は、


【0101】
【数16】
によって与えられ、
式中、gθは、以下のように定義される:
【0102】
【数17】
mod(2.π)は、角度関数に対するモジュロ演算である。
【0103】
図5Bは、SLMに投射される図4B(a)のホログラムが30°回転された例を示しており、したがって、地球の表面上に投射される画素の回転は、x軸上の2°の偏向に加えて30°[図3の(46)によって表される]だけ生じる。説明したように進めることにより、センサ(42)の視野内の任意の画素に対処することができる。
【0104】
自由空間レーザベースの光放射器(10)は、6U Cubesat衛星(100)内のオンボードコンピュータ(14)、RF無線リンク(32)、およびGPSモジュールと一体化され、提案された実装形態では、衛星および地球局が直視するたびに大量のデータをダウンロードするための効果的な実装形態を提供する。ダウンリンクのリンクバジェットは、1Wのレーザ出力を想定し、地球への送信における以下の損失を考慮する:
-3dBを占める、放射器内の光学素子およびSLMに起因する50%の挿入損失。
-ISO 80000-3:2006において測定されるように、側面が4kmの正方形および355.6mm(14インチ)望遠鏡にわたって受光された受光エネルギーの比によって与えられる-82dBの幾何学的損失。
-ISO 80000-3:2006において測定されるように、100kmの高さであると想定される地球大気を通る移動距離(km)の1%としてモデル化された大気分子吸収による1dBの損失。
-ISO 80000-3:2006において測定されるように、望遠鏡および1550nmフィルタの損失から導出され、全ての光が受信フォトダイオードに当たっていると仮定して、入射光の20%と見なされる受信機の挿入損失としての1dB。
-ISO 80000-3:2006において測定されるように、選択された望遠鏡(5に等しいf数)について、その焦点で6mmに変換され、光検出器を非合焦に位置決めし、5dBの損失を生じさせる、600kmでの12°の円弧に相当する2kmであると仮定される衛星に望遠鏡を向ける際の誤差。
【0105】
これらの損失は、全て、ISO 80000-3:2006において測定されるように合計92dBになり、フォトダイオードにおける受信電力は0.6nWになる。G8931光検出器は、6 pWを受信することによって識別可能な信号を生成することができるため、放射器と受信機との間の光通信が実現可能であることを証明するために+20dBのマージンでカウントする。
【0106】
衛星(100)と地上基地局(110)との間の精密ポインティングの問題は、基地局位置が数メートルの誤差で知られている場合であっても(地球の表面に対して移動可能ではなく、その位置はGPS要素および測地測定によって決定することができるため)、衛星位置の決定は、典型的には2kmよりもはるかに低いが、時には地球から600kmの典型的な衛星軌道に対して2kmの大きさになることがある誤差を意味する可能性があるために生じる。この誤差は、衛星の観点から、衛星内のレーザ送信機によって補正されなければならない基地局の位置において≦0.2°である。
【0107】
この誤差が補正されると、衛星は、高さ600kmの軌道で0.72°/sに対応する7.6km/sの自身の動きを補償するトラッキングを実行しなければならない。さらに、光通信送信機システムは、例えば100Mbpsの目的のデータ速度を達成するために、地上基地局に最大の光を集束させなければならず、したがって、最高の信号対雑音比を生成しなければならない。
【0108】
衛星と地球局との間の光通信リンクを設定するために必要な3つの効果、すなわち、トラッキングおよび集束およびポインティングは、LCOS-SLM装置によって達成されることができる。実際の実装では、衛星および地球局の双方が、本明細書で説明されるように、新規な通信リンクを確立するための手順に関与する。図6は、例として、ネルピオ(スペイン)に位置する地球局(110)上の衛星(100)の典型的な状況を示しており、衛星のLCOS-SLM視野の衛星視界円(120)、x正規直交軸(122)および対応するy軸(124)、LCOS-SLMにおけるホログラムのデコンボリューションに対応するレーザビーム(127)によって照射される領域を表す陰影領域(126)、ならびに前記衛星(128)の進行方向を示している。
【0109】
レーザビーム(18)を介して光通信送信機(100)から受信局(110)に情報を送信し、前記光通信送信機から放射された前記レーザビームを前記受信局とアライメントするための方法およびシステム(前記アライメントは、前記方法およびシステムによる情報の送信を含むことに留意されたい)は、図7に開示されるような光通信リンクの確立を含む。これは、光通信送信機(衛星、図7Aを参照)および受信局(地球局、図7Bを参照)の観点から生じる。衛星コンピュータおよび地球局コンピュータの双方は、SPG4に基づくアルゴリズムを使用して伝搬されるTLE要素の形態の衛星軌道のモデル、および基準システムとしての地球局に対するそのベクトルを有し、したがって、地球局上の衛星の視覚的通過(すなわち、視認性の衛星円を示す)の正確なタイミングを予測することができる[図7A(ボックス200)および図7B(ボックス202)をそれぞれ参照]。衛星と地球局との視線接触前:
衛星のオンボードコンピュータ(マイクロプロセッサ)は、衛星の姿勢システムに、リアクションホイールおよびマグネトルカーを使用して操縦し、地球局に向かう粗ポインティングを実行するように命令する(図7Aのボックス204)。
地球局コンピュータは、高度経緯台式架台に、望遠鏡を空の衛星の位置に向けるよう命令し(図7Bのボックス206)、検知フォトダイオードおよび関連する電子機器の動作を開始する(図7Bのボックス210)。
【0110】
地球局への直接の視界を有する衛星が計算すると、レーザ放射器(ボックス208)を始動させ、中心に置かれたホログラムを調整して、検出を示すデータパケット(図7Aのボックス212)を発信しながら、地球の表面にわたって約4kmの長さの辺を有する地球スポット(地球の表面の正方形領域)をカバーする。データパケットの符号化のためのプロトコルは、物理層のパルス位置変調を用いた光オンオフキーイングである。リンク層は、CCSDSプロトコルを使用して構築され、検出キーは、プロトコルのパケットデータフィールドに含まれる。
【0111】
4kmの初期スポットサイズは、SPG4アルゴリズムによって与えられる軌道決定の不正確さを説明するために計算されており、企業Planetによって運営されるコンステレーションによって提供されるデータ(企業のウェブページで公開されている)によれば、最大2kmを占める。地球局フォトダイオード検出器による照射を検知し(図7Bのボックス214)、データパケットを識別すると、地球局は、RF無線機を使用して衛星に確認応答データパケットを送信し、第1の接触が確立されたことを示す(図7Bのボックス216)。
【0112】
衛星が確認応答データパッケージを受信すると(図7Aのボックス218)、それは、SLMに表示されるホログラフィックパターンを変更することによって、地球上にレーザビームが投射される前記正方形領域の長さを半分にし(2000mまで)、100ms毎に、第1、第2、第3、および第4象限[図8B(a)、(b)、(c)および(d)]を中心とする以前のもののサイズの半分の正方形のサイズの地球の表面上への投射に対応する放射器のSLMにおける一連のホログラフィックパターンの繰り返し表示を開始し[図7Aのボックス220、222、224および226は、それぞれ、図8A(a)、(b)、(c)および(d)に示すホログラフィックパターンに対応する]、GPS時間信号でスタンプされたラベル付きデータパケットを放射する。図8Aでは、軸90および正方形91は、明確にするために示されているが、ホログラムには含まれていない。
【0113】
地球局は、UHFを介して、GPS時間信号によってスタンプされたデータパッケージ(図7Bのボックス214および216)の受信を確認し、これは、地球局が位置する象限を示し、次いで地球局に対する衛星の位置の不確実性を半減する。図7Aの一連のボックス220、222、224および226は、その軌道に沿ったその衛星の速度を補償するために、図3に記載された手順にしたがって100ms毎のレーザビームの偏向と組み合わされなければならない。
【0114】
投射された正方形サイズの半分(図7Aのボックス230)は、サイズ1000m、500m、および200mについて繰り返される。この最終サイズに到達すると(図7Aのボックス232)、地球局は、レーザビーム内に集束され、通信は、自由空間光リンクを使用して衛星から地球局に100Mbpsでデータを転送することによって開始することができる。この時点でのさらなる集束は、地球局において使用されるG6849フォトダイオード内の4つのダイオードのアレイによって検出される差動照射を検知することによって行われることができる。
【0115】
図9は、通信が確立され、進行中であるときにSLMの表面に投射されたホログラムを表している。光通信送信機(例えば、衛星)に焦点が合わされると、衛星から見てπ/9500ラジアンの角度に対応する長さ200mの辺を有する正方形が照射される。高度600kmの軌道の衛星が、トポセントリック座標の受信局(例えば、地球局)から見て、7.6km・s-1、または同等に0.7°・s-1(約π/250ラジアン/秒)で移動しているため、回折素子に表示されるホログラムは、t=27ms毎に更新される必要があり、すなわち、トラッキングマスクのリフレッシュ周波数は、少なくとも9500/250Hzである必要がある。図9では、一旦配置されると受信局(この実施形態では、地球局)のトラッキングに対応するホログラムが表されており、この変位が回折素子の水平座標と一致する方向に行われると仮定することによって、静止地球局に対する軌道上の光通信送信機(この実施形態では、衛星)の相対運動を補償する。A.(a)から(e)は、照射されている象限(この実施形態では、地球の表面にわたって)を示し、B.(a)から(e)は、これを達成するために回折素子の表面に投射されたホログラムをそれぞれ示す。特に、(a)は、地球局が配置され、レーザがπ/9500ラジアンの角度に集束されると、それぞれのホログラムによって照射される象限に対応する。(b)は、衛星が(a)の地球局の位置に対してπ/9500ラジアンの角度だけ移動したときに、LCOSに投射されたそれぞれのホログラムによって照射される象限に対応する。(c)は、(a)の地球局の位置に対して衛星が2・π/9500ラジアンの角度だけ移動したときに、LCOSに投射されたそれぞれのホログラムによって照射される象限に対応する。(d)は、(a)において衛星が地球局の位置に対して3・π/9500ラジアンの角度だけ移動したときに、LCOSに投射されたそれぞれのホログラムによって照射される象限に対応する。(e)は、(a)の地球局の位置に対して衛星が4・π/9500ラジアンの角度だけ移動したときに、LCOSに投射されたそれぞれのホログラムによって照射される象限に対応する。
【0116】
本発明のこの例示的な実施形態の最後の態様として、通信の確立は、TLEデータを改良して次の通過の計算を行い、それぞれの位置の推定誤差を低減するために、衛星および地球局の双方によって使用された。この目的のために、地球局および衛星は、http://sat.belastro.net/satelliteorbitdetermination.com/において入手可能なELFIND、SATFIT、ELCORDおよびDPFITソースコードから生成されたソフトウェアを使用する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2021-09-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光通信送信機(100)からレーザビーム(18)を介して受信局(110)に情報を送信し、前記光通信送信機から放射された前記レーザビームを前記受信局とアライメントするための方法であって、
-前記光通信送信機が、前記受信局に対して変位され、レーザ(16)と、無線受信機(32)と、マイクロプロセッサ(14)と、前記レーザビームを回折および反射する前記素子を備える液晶オンシリコン空間光変調器(24)とを備え、前記レーザビームが、前記レーザから放射され、前記液晶オンシリコン空間光変調器を使用した回折および反射によって領域にわたって投射され、前記レーザおよび前記レーザビームを回折および反射する前記素子が、前記マイクロプロセッサによって制御され、前記レーザビームが、前記レーザビームの伝搬経路に平行な長手方向軸を有し、それによって、前記光通信送信機に対する前記受信局の前記変位が、前記受信局に対する前記光通信送信機の動きを表すベクトルの成分であり、前記成分が、前記受信局と前記光通信送信機との間のラインに垂直な平面内にあり、
-前記受信局が、前記送信されたレーザビームを検出するためのフォトダイオード受信機(52)と、無線送信機(60)とを備え、
-前記方法が、以下のステップ、すなわち、
(i)前記空間光変調器を使用した回折および反射によって前記受信局が位置する領域にわたって連続区間で前記レーザビームを投射するステップと、
(ii)前記投射されたレーザビームを、前記投射されたレーザビームの長手方向軸において交差する四分円に分割するステップと、
(iii)振幅変調を使用する前記レーザビームの脈動によって、および前記レーザビームの波面の歪みによって、連続区間のセットの各区間について前記レーザビームを回折および反射する前記素子において生成されたポインティング回折マスクを使用して、前記セットの各区間中に前記レーザビームの各象限の投射を中断するステップであって、前記投射されたレーザビームの任意の所与の象限が、前記レーザビームの他の象限が投射される前記区間のセットのサブセットとは異なる前記区間のセットのサブセットにわたって投射され、前記象限が、前記サブセットの少なくとも1つの区間にわたって排他的に投射され、
任意の所与の区間の間に放射される前記振幅変調されたレーザビームのパルスの周波数が、前記レーザビームが投射される全ての象限について同じであり、
前記区間のセットの少なくとも1つの区間の間に放射される前記振幅変調されたレーザビームのパルスの周波数が、前記区間のセットの少なくとも1つの他の区間の間に放射される前記振幅変調されたレーザビームのパルスの周波数とは異なる、中断するステップと、
(iv)前記レーザビームの前記象限が投射される前記区間のセットの前記サブセットの前記パルスの周波数を決定することによって、前記受信局の前記フォトダイオード受信機において検出された前記投射されたレーザビームの前記象限を識別し、前記無線送信機および前記無線受信機を介して前記光通信送信機にこの情報を通信するステップと、
(v)ステップ(iii)において前記レーザビームの前記象限を排他的に投射した前記レーザビームを回折および反射する前記素子において生成された前記ポインティング回折マスクを使用して、前記レーザから放射された前記レーザビームの前記波面を歪ませることによって、ステップ(iv)において識別された前記レーザビームの前記象限が投射された領域にわたって連続区間で前記レーザビームを投射するステップと、
(vi)ステップ(ii)から(v)を少なくともさらに3回、またはステップ(v)において投射された前記レーザビームの前記長手方向軸とステップ(ii)で投射された前記レーザビームの前記長手方向軸との間の角度がπ/9500ラジアン未満になるまで繰り返すステップと、を含み、
ステップ(i)から(v)において前記投射されたレーザビームの長手方向軸が向けられる方向が、前記レーザビームを回折および反射する前記素子において生成されるトラッキング回折マスクを使用して、前記レーザから放射されたレーザビームの波面を歪ませることによって、受信局に対する光通信送信機の変位の関数としてt秒毎に変更され、
前記区間が10から500Hzの間の値rの周波数を有し、前記パルスが0.1kHzから100MHzの間の値fの周波数を有し、tが0.001から10秒の間であり、各トラッキング回折マスクが、
(a)ステップ(i)およびステップ(ii)の最初の反復において単独で、および
(b)ステップ(iii)から(v)およびその後のステップ(ii)の反復におけるポインティング回折マスクと組み合わせて、使用され、
(c)各トラッキング回折マスクが、前記レーザビームを回折および反射する前記素子において生成されると、前記レーザから放射される前記レーザビームを回折および反射し、その直前に使用された前記トラッキング回折マスクを使用して、投射された前記領域にわたって前記投射されたレーザビームを投射するホログラフィックグレースケールパターンに含まれ、
(d)トラッキング回折マスクとポインティング回折マスクとの各組み合わせが、前記レーザビームを回折および反射する前記素子において生成されると、前記レーザから放射される前記レーザビームを回折および反射し、
-各組み合わせで使用される前記ポインティング回折マスクが同じである場合、その直前に使用されたトラッキング回折マスクとポインティング回折マスクとの組み合わせを使用して投射された前記領域にわたって、または
・前記組み合わせがトラッキングマスクを使用した後に使用される第1の組み合わせである場合に前記組み合わせの前に使用されるトラッキング回折マスク、または
・各組み合わせにおいて使用される前記ポインティング回折マスクが異なる場合に、その前に使用されたトラッキング回折マスクとポインティング回折マスクとの組み合わせ、
-を使用して投射された領域のサブセット上で、
前記投射されたレーザビームを投射する、ホログラフィックグレースケールパターンに含まれる、ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記受信局が位置する領域上に前記レーザビームを投射するステップ(i)が、
(a)前記受信局に対する前記光通信送信機の位置を推定し、前記光通信送信機に対する前記受信局の位置を推定するステップと、
(b)少なくとも1つのアクチュエータを使用して前記光通信送信機の姿勢を変更することによって、ステップ(a)において推定された前記受信局の位置に向かう方向Aに前記投射されたレーザビームの長手方向軸を向けるステップと、
(c)前記フォトダイオード受信機の方位角および/または高度角を変更することによって、ステップ(a)において推定された前記光通信送信機の位置に向かう方向Bに前記フォトダイオード受信機を向けるステップであって、前記方向Bが、前記フォトダイオード受信機の焦点面に垂直であり、前記方向Aに平行である、向けるステップと、
(d)ステップ(b)において投射されたレーザビームが前記フォトダイオード受信機を使用して検出されるまで、ステップ(b)および(c)を繰り返すステップと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法が、前記投射されたレーザビームの強度および振幅変調を制御することによってさらなる情報を前記受信局に送信するステップ(vi)の後の追加のステップ(vii)を含み、前記投射されたレーザビームの前記長手方向軸が投射される方向が、ステップ(v)の最後の反復で生成された前記ポインティング回折マスクと組み合わせてトラッキング回折マスクを使用して前記レーザから放射された前記レーザビームの前記波面を歪ませることによって変更される、請求項1および2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(i)において前記レーザビームが投射される角度が、π/18850ラジアンとπ/180ラジアンとの間である、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記レーザビームを回折および反射する前記素子において生成される各回折マスクまたは回折マスクの組み合わせが、前記レーザビームの前記波面を歪ませ、前記領域にわたって画像I(x,y)(42)を投射し、前記レーザビームを回折および反射する前記素子が、画素のマトリックスを備え、各画素が、p座標およびq座標によって画定され、画素(p,q)=(0,0)が、前記マトリックスの中心にある画素であり、前記回折マスクまたは回折マスクの組み合わせが、マイクロプロセッサにおいて計算されて前記レーザビームを回折および反射する前記素子に表示されるホログラフィックグレースケールパターンに含まれ、前記マトリックスの各画素(p,q)に、以下の式にしたがって計算される0からwの間の階調g’(p,q)が割り当てられ、
【数1】

式中、
【数2】

および
【数3】

であり、
式中、gθ(p’,q’)は、以下の回転マトリックスを使用してgθ(p,q)から計算され、
【数4】

式中、
【数5】

であり、
式中、
-pは、画素(p,q)の横座標であり、
-qは、画素(p,q)の縦座標であり、
-wは、前記レーザビームを回折および反射する前記素子において2πの位相変調を提供するグレー値であり、
-mod(w)は、wに対するモジュロ演算であり、
-ψ(p,q)は、前記画像の逆フーリエ変換の位相関数であり、以下の式にしたがって計算され、
【数6】

式中、
FT-1[I(x,y)]=前記画像の逆フーリエ変換であり、
A(p,q)=は、前記画像の逆フーリエ変換の振幅であり、
i=虚数単位であり、
-φは、前記長手方向軸に対するラジアンでの方位角偏向角であり、
-nは、以下の式にしたがって計算され、
【数7】

式中、
-λは、前記レーザビームの波長(メートル)であり、
-Iは、メートル単位の画素の1辺の長さであり、
-θは、前記長手方向軸に対する天頂偏角(ラジアン)であり、
-mod(2.π)は、角度関数に対するモジュロ演算である、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ステップ(iii)において、前記投射されたレーザビームの任意の所与の象限が、前記サブセットの各区間にわたって排他的に投射される、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(iii)および(iv)が、
(iii)振幅変調を使用する前記レーザビームの脈動によって、および前記レーザビームの前記波面の歪みによって、連続区間のセットの各区間について前記レーザビームを回折および反射する前記素子において生成されたポインティング回折マスクを使用して、前記セットの各区間中に前記レーザビームの各象限の投射を中断するステップであって、前記投射されたレーザビームの任意の所与の象限が、前記レーザビームの他の象限が投射される前記区間のセットのサブセットとは異なる前記区間のセットのサブセットにわたって投射され、前記象限が、前記サブセットの少なくとも1つの区間にわたって排他的に投射され、
任意の所与の区間の間に放射される前記振幅変調されたレーザビームのパルスの周波数および/または持続時間が、前記レーザビームが投射される全ての象限について同じであり、前記区間のセットの少なくとも1つの区間の間に放射される前記振幅変調されたレーザビームのパルスの周波数および/または持続時間が、前記区間のセットの少なくとも1つの他の区間の間に放射される前記振幅変調されたレーザビームのパルスの周波数および/または持続時間とは異なる、中断するステップと、
(iv)前記レーザビームの前記象限が投射される前記区間のセットの前記サブセットの前記パルスの周波数および/または持続時間を決定することによって、前記受信局の前記フォトダイオード受信機において検出された前記投射されたレーザビームの前記象限を識別し、前記無線送信機および前記無線受信機を介して前記光通信送信機にこの情報を通信するステップと、を含み、
前記区間が、10から500Hzの値rの周波数と、r-1以下の持続時間とを有し、前記パルスが、0.1kHzから100MHzの値fの周波数と、f-1以下の持続時間とを有し、tが、r-1から10の間である、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
光通信送信機(100)からレーザビーム(18)を介して受信局(110)に情報を送信し、前記光通信送信機から放射された前記レーザビームを前記受信局とアライメントするための光通信装置であって、前記光通信装置が、以下の構成要素、すなわち、
-レーザ(16)と、
-無線受信機(32)と、
-前記レーザから放射された前記レーザビームを回折および反射する前記素子を備える液晶オンシリコン空間光変調器(24)と、
-マイクロプロセッサ(14)と、を備え、
前記レーザおよび前記レーザビームを回折および反射する前記素子が、前記マイクロプロセッサによって制御され、
前記構成要素が、以下のステップ、すなわち、
(i)前記空間光変調器を使用した回折および反射によって前記受信局が位置する領域にわたって連続区間で前記レーザビームを投射するステップと、
(ii)前記投射されたレーザビームを、前記投射されたレーザビームの長手方向軸において交差する四分円に分割するステップと、
(iii)振幅変調を使用する前記レーザビームの脈動によって、および前記レーザビームの波面の歪みによって、連続区間のセットの各区間について前記レーザビームを回折および反射する前記素子において生成されたポインティング回折マスクを使用して、前記セットの各区間中に前記レーザビームの各象限の投射を中断するステップであって、前記投射されたレーザビームの任意の所与の象限が、前記レーザビームの他の象限が投射される前記区間のセットのサブセットとは異なる前記区間のセットのサブセットにわたって投射され、前記象限が、前記サブセットの少なくとも1つの区間にわたって排他的に投射され、
任意の所与の区間の間に放射される前記振幅変調されたレーザビームのパルスの周波数が、前記レーザビームが投射される全ての象限について同じであり、前記区間のセットの少なくとも1つの区間の間に放射される前記振幅変調されたレーザビームのパルスの周波数が、前記区間のセットの少なくとも1つの他の区間の間に放射される前記振幅変調されたレーザビームのパルスの周波数とは異なる、中断するステップと、
(iv)前記レーザビームの前記象限が投射される前記区間のセットの前記サブセットの前記パルスの周波数を決定することによって、前記受信局の前記フォトダイオード受信機において検出された前記投射されたレーザビームの前記象限を識別し、前記無線送信機および前記無線受信機を介して前記光通信送信機にこの情報を通信するステップと、
(v)ステップ(iii)において前記レーザビームの前記象限を排他的に投射した前記レーザビームを回折および反射する前記素子において生成された前記ポインティング回折マスクを使用して、前記レーザから放射された前記レーザビームの前記波面を歪ませることによって、ステップ(iv)において識別された前記レーザビームの前記象限が投射された領域にわたって連続区間で前記レーザビームを投射するステップと、
(vi)ステップ(ii)から(v)を少なくともさらに3回、またはステップ(v)において投射された前記レーザビームの前記長手方向軸とステップ(ii)で投射された前記レーザビームの前記長手方向軸との間の角度がπ/9500ラジアン未満になるまで繰り返すステップとを実行するように構成され、
(vi)ステップ(i)から(v)において前記投射されたレーザビームの長手方向軸が向けられる方向が、前記レーザビームを回折および反射する前記素子において生成されるトラッキング回折マスクを使用して、前記レーザから放射されたレーザビームの波面を歪ませることによって、受信局に対する光通信送信機の変位の関数としてt秒毎に変更され、それによって、前記光通信送信機に対する前記受信局の前記変位が、前記受信局に対する前記光通信送信機の動きを表すベクトルの成分であり、前記成分が、前記受信局と前記光通信送信機との間のラインに垂直な平面内にあり、
前記区間が10から500Hzの間の値rの周波数を有し、前記パルスが0.1kHzから100MHzの間の値fの周波数を有し、tが0.001から10秒の間であり、
各トラッキング回折マスクが、
(a)ステップ(i)およびステップ(ii)の最初の反復において単独で、および
(b)ステップ(iii)から(v)およびその後のステップ(ii)の反復におけるポインティング回折マスクと組み合わせて、使用され、および
(c)各トラッキング回折マスクが、前記レーザビームを回折および反射する前記素子において生成されると、前記レーザから放射される前記レーザビームを回折および反射し、その直前に使用された前記トラッキング回折マスクを使用して、投射された前記領域にわたって前記投射されたレーザビームを投射するホログラフィックグレースケールパターンに含まれ、
(d)トラッキング回折マスクとポインティング回折マスクとの各組み合わせが、前記レーザビームを回折および反射する前記素子において生成されると、前記レーザから放射される前記レーザビームを回折および反射し、
-各組み合わせで使用される前記ポインティング回折マスクが同じである場合、その直前に使用されたトラッキング回折マスクとポインティング回折マスクとの組み合わせを使用して投射された前記領域にわたって、または
・前記組み合わせがトラッキングマスクを使用した後に使用される第1の組み合わせである場合に前記組み合わせの前に使用されるトラッキング回折マスク、または
各組み合わせにおいて使用される前記ポインティング回折マスクが異なる場合に、その前に使用されたトラッキング回折マスクとポインティング回折マスクとの組み合わせ、
-を使用して投射された領域のサブセット上で、前記投射されたレーザビームを投射する、ホログラフィックグレースケールパターンに含まれる、ことを特徴とする光通信装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0004】
衛星の3次元(3D)位置の正確な測定のために、スターセンサを使用して、固体レーザビームによって小型衛星のポインティングを実行し、衛星測位制御のみに作用することも可能である。あるいは、投射されたレーザビームが通過する液晶の屈折率を変化させることによって、ポインティングが達成されることができる。しかしながら、双方の方法は複雑であり、後者の場合、ビーム偏向を制御するために追加の光学系を必要とする。
米国特許第5,475,520号は通信衛星システムに関連し、該通信衛星システムは、電磁放射線の複数の一方向性ビームを送信するための手段を含み、各ビームは光ファイバによって送信される。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明は、光通信送信機(100)からレーザビーム(18)を介して受信局(110)に情報を送信し、前記光通信送信機から放射された前記レーザビームを前記受信局とアライメントするための方法であって、
-前記光通信送信機が、前記受信局に対して変位され、レーザ(16)と、無線受信機(32)と、マイクロプロセッサ(14)と、前記レーザビームを回折および反射する前記素子を備える液晶オンシリコン空間光変調器(24)とを備え、前記レーザビームが、前記レーザから放射され、前記液晶オンシリコン空間光変調器を使用した回折および反射によって領域にわたって投射され、前記レーザおよび前記レーザビームを回折および反射する前記素子が、前記マイクロプロセッサによって制御され、前記レーザビームが、前記レーザビームの伝搬経路に平行な長手方向軸を有し、前記光通信送信機に対する前記受信局の前記変位が、前記受信局に対する前記光通信送信機の動きを表すベクトルの成分であり、前記成分が、前記受信局と前記光通信送信機との間のラインに垂直な平面内にあり、
-前記受信局が、前記送信されたレーザビームを検出するためのフォトダイオード受信機(52)と、無線送信機(60)とを備え、
-前記方法が、以下のステップ、すなわち、
(i)前記空間光変調器を使用した回折および反射によって前記受信局が位置する領域にわたって連続区間で前記レーザビームを投射するステップと、
(ii)前記投射されたレーザビームを、前記投射されたレーザビームの長手方向軸において交差する四分円に分割するステップと、
(iii)振幅変調を使用する前記レーザビームの脈動によって、および前記レーザビームの波面の歪みによって、連続区間のセットの各区間について前記レーザビームを回折および反射する前記素子において生成されたポインティング回折マスクを使用して、前記セットの各区間中に前記レーザビームの各象限の投射を中断するステップであって、前記投射されたレーザビームの任意の所与の象限が、前記レーザビームの他の象限が投射される前記区間のセットのサブセットとは異なる前記区間のセットのサブセットにわたって投射され、前記象限が、前記サブセットの少なくとも1つの区間にわたって排他的に投射され、
任意の所与の区間の間に放射される前記振幅変調されたレーザビームのパルスの周波数が、前記レーザビームが投射される全ての象限について同じであり、前記区間のセットの少なくとも1つの区間の間に放射される前記振幅変調されたレーザビームのパルスの周波数が、前記区間のセットの少なくとも1つの他の区間の間に放射される前記振幅変調されたレーザビームのパルスの周波数とは異なる、中断するステップと、
(iv)前記レーザビームの前記象限が投射される前記区間のセットの前記サブセットの前記パルスの周波数を決定することによって、前記受信局の前記フォトダイオード受信機において検出された前記投射されたレーザビームの前記象限を識別し、前記無線送信機および前記無線受信機を介して前記光通信送信機にこの情報を通信するステップと、
(v)ステップ(iii)において前記レーザビームの前記象限を排他的に投射した、前記レーザビームを回折および反射する前記素子において生成された前記ポインティング回折マスクを使用して、前記レーザから放射された前記レーザビームの前記波面を歪ませることによって、ステップ(iv)において識別された前記レーザビームの前記象限が投射された領域にわたって連続区間で前記レーザビームを投射するステップと、
(vi)ステップ(ii)から(v)を少なくともさらに3回、またはステップ(v)において投射された前記レーザビームの前記長手方向軸とステップ(ii)において投射された前記レーザビームの前記長手方向軸との間の角度がπ/9500ラジアン未満になるまで繰り返すステップと、を含み、
ステップ(i)から(v)において前記投射されたレーザビームの長手方向軸が向けられる方向が、前記レーザビームを回折および反射する前記素子において生成されたトラッキング回折マスクを使用して前記レーザから放射された前記レーザビームの前記波面を歪ませることによって、前記受信局に対する前記光通信送信機の前記変位の関数としてt秒毎に変更され、
前記区間が、10から500Hzの間の値rの周波数を有し、前記パルスが、0.1kHzから100MHzの間の値fの周波数を有し、tが、0.001から10秒の間であり、
各トラッキング回折マスクが、
(a)ステップ(i)およびステップ(ii)の最初の反復において単独で、および
(b)ステップ(iii)から(v)およびその後のステップ(ii)の反復におけるポインティング回折マスクと組み合わせて、
(c)各トラッキング回折マスクが、前記レーザビームを回折および反射する前記素子において生成されると、前記レーザから放射される前記レーザビームを回折および反射し、その直前に使用された前記トラッキング回折マスクを使用して、投射された前記領域にわたって前記投射されたレーザビームを投射するホログラフィックグレースケールパターンに含まれ、
(d)トラッキング回折マスクとポインティング回折マスクとの各組み合わせが、前記レーザビームを回折および反射する前記素子において生成されると、前記レーザから放射される前記レーザビームを回折および反射し、
-各組み合わせで使用される前記ポインティング回折マスクが同じである場合、その直前に使用されたトラッキング回折マスクとポインティング回折マスクとの組み合わせを使用して投射された前記領域にわたって、または
・前記組み合わせがトラッキングマスクを使用した後に使用される第1の組み合わせである場合に前記組み合わせの前に使用されるトラッキング回折マスク、または
・各組み合わせにおいて使用される前記ポインティング回折マスクが異なる場合に、その前に使用されたトラッキング回折マスクとポインティング回折マスクとの組み合わせ、
-を使用して投射された領域のサブセット上で、
前記投射されたレーザビームを投射する、ホログラフィックグレースケールパターンに含まれる、ことを特徴とする方法に関する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
明細書はまた、光通信送信機(100)からレーザビーム(18)を介して受信局(110)に情報を送信し、前記光通信送信機から放射された前記レーザビームを前記受信局とアライメントするためのシステムであって、
-前記光通信送信機が、前記受信局に対して変位され、レーザ(16)と、無線受信機(32)と、マイクロプロセッサ(14)と、前記レーザビームを回折および反射する前記素子を備える液晶オンシリコン空間光変調器(24)とを備え、前記レーザビームが、前記レーザから放射され、前記液晶オンシリコン空間光変調器を使用した回折および反射によって領域にわたって投射され、前記レーザおよび前記レーザビームを回折および反射する前記素子が、前記マイクロプロセッサによって制御され、前記レーザビームが、前記レーザビームの伝搬経路に平行な長手方向軸を有し、
-前記受信局が、前記送信されたレーザビームを検出するためのフォトダイオード受信機(52)と、無線送信機(60)とを備え、
-前記システムが、以下のステップ、すなわち、
(i)前記空間光変調器を使用した回折および反射によって前記受信局が位置する領域にわたって連続区間で前記レーザビームを投射するステップと、
(ii)前記投射されたレーザビームを、前記投射されたレーザビームの長手方向軸において交差する四分円に分割するステップと、
(iii)振幅変調を使用する前記レーザビームの脈動によって、および前記レーザビームの波面の歪みによって、連続区間のセットの各区間について前記レーザビームを回折および反射する前記素子において生成されたポインティング回折マスクを使用して、前記セットの各区間中に前記レーザビームの各象限の投射を中断するステップであって、前記投射されたレーザビームの任意の所与の象限が、前記レーザビームの他の象限が投射される前記区間のセットのサブセットとは異なる前記区間のセットのサブセットにわたって投射され、前記象限が、前記サブセットの少なくとも1つの区間にわたって排他的に投射され、
任意の所与の区間の間に放射される前記振幅変調されたレーザビームのパルスの周波数が、前記レーザビームが投射される全ての象限について同じであり、前記区間のセットの少なくとも1つの区間の間に放射される前記振幅変調されたレーザビームのパルスの周波数が、前記区間のセットの少なくとも1つの他の区間の間に放射される前記振幅変調されたレーザビームのパルスの周波数とは異なる、中断するステップと、
(iv)前記レーザビームの前記象限が投射される前記区間のセットの前記サブセットの前記パルスの周波数を決定することによって、前記受信局の前記フォトダイオード受信機において検出された前記投射されたレーザビームの前記象限を識別し、前記無線送信機および前記無線受信機を介して前記光通信送信機にこの情報を通信するステップと、
(v)ステップ(iii)において前記レーザビームの前記象限を排他的に投射した前記レーザビームを回折および反射する前記素子において生成された前記ポインティング回折マスクを使用して、前記レーザから放射された前記レーザビームの前記波面を歪ませることによって、ステップ(iv)において識別された前記レーザビームの前記象限が投射された領域にわたって連続区間で前記レーザビームを投射するステップと、
(vi)ステップ(ii)から(v)を少なくともさらに3回、またはステップ(v)において投射された前記レーザビームの前記長手方向軸とステップ(ii)において投射された前記レーザビームの前記長手方向軸との間の角度がπ/9500ラジアン未満になるまで繰り返すステップと、を実行するための手段を備え、
ステップ(i)から(vi)において前記投射されたレーザビームの長手方向軸が向けられる方向が、前記レーザビームを回折および反射する前記素子において生成されたトラッキング回折マスクを使用して前記レーザから放射された前記レーザビームの前記波面を歪ませることによって、前記受信局に対する前記光通信送信機の前記変位の関数としてt秒毎に変更され、
前記区間が、10から500Hzの間の値rの周波数を有し、前記パルスが、0.1kHzから100MHzの間の値fの周波数を有し、tが、0.001から10秒の間であり、
各トラッキング回折マスクが、
(a)ステップ(i)およびステップ(ii)の最初の反復において単独で、および
(b)ステップ(iii)から(v)およびその後のステップ(ii)の反復におけるポインティング回折マスクと組み合わせて、使用される、ことを特徴とするシステムも開示している
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
さらに、本発明は、光通信送信機(100)からレーザビーム(18)を介して受信局(110)に情報を送信し、前記光通信送信機から放射された前記レーザビームを前記受信局とアライメントするための光通信装置であって、前記装置が、以下の構成要素、すなわち、
-レーザ(16)と、
-無線受信機(32)と、
前記レーザから放射された前記レーザビームを回折および反射する前記素子を備える液晶オンシリコン空間光変調器(24)と、
-マイクロプロセッサ(14)と、を備え、
前記レーザおよび前記レーザビームを回折および反射する前記素子が、前記マイクロプロセッサによって制御される、ことを特徴とし、
前記構成要素が、以下のステップ、すなわち、
(i)前記空間光変調器を使用した回折および反射によって前記受信局が位置する領域にわたって連続区間で前記レーザビームを投射するステップと、
(ii)前記投射されたレーザビームを、前記投射されたレーザビームの長手方向軸において交差する四分円に分割するステップと、
(iii)振幅変調を使用する前記レーザビームの脈動によって、および前記レーザビームの波面の歪みによって、連続区間のセットの各区間について前記レーザビームを回折および反射する前記素子において生成されたポインティング回折マスクを使用して、前記セットの各区間中に前記レーザビームの各象限の投射を中断するステップであって、前記投射されたレーザビームの任意の所与の象限が、前記レーザビームの他の象限が投射される前記区間のセットのサブセットとは異なる前記区間のセットのサブセットにわたって投射され、前記象限が、前記サブセットの少なくとも1つの区間にわたって排他的に投射され、
任意の所与の区間の間に放射される前記振幅変調されたレーザビームのパルスの周波数が、前記レーザビームが投射される全ての象限について同じであり、前記区間のセットの少なくとも1つの区間の間に放射される前記振幅変調されたレーザビームのパルスの周波数が、前記区間のセットの少なくとも1つの他の区間の間に放射される前記振幅変調されたレーザビームのパルスの周波数とは異なる、中断するステップと、
(iv)前記レーザビームの前記象限が投射される前記区間のセットの前記サブセットの前記パルスの周波数を決定することによって、前記受信局の前記フォトダイオード受信機において検出された前記投射されたレーザビームの前記象限を識別し、前記無線送信機および前記無線受信機を介して前記光通信送信機にこの情報を通信するステップと、
(v)ステップ(iii)において前記レーザビームの前記象限を排他的に投射した前記レーザビームを回折および反射する前記素子において生成された前記ポインティング回折マスクを使用して、前記レーザから放射された前記レーザビームの前記波面を歪ませることによって、ステップ(iv)において識別された前記レーザビームの前記象限が投射された領域にわたって連続区間で前記レーザビームを投射するステップと、
(vi)ステップ(ii)から(v)を少なくともさらに3回、またはステップ(v)において投射された前記レーザビームの前記長手方向軸とステップ(ii)において投射された前記レーザビームの前記長手方向軸との間の角度がπ/9500ラジアン未満になるまで繰り返すステップと、を含み、
ステップ(i)から(v)において前記投射されたレーザビームの長手方向軸が向けられる方向が、前記レーザビームを回折および反射する前記素子において生成されたトラッキング回折マスクを使用して前記レーザから放射された前記レーザビームの前記波面を歪ませることによって、前記受信局に対する前記光通信送信機の前記変位の関数としてt秒毎に変更され、それによって、前記光通信送信機に対する前記受信局の前記変位が、前記受信局に対する前記光通信送信機の動きを表すベクトルの成分であり、前記成分が、前記受信局と前記光通信送信機との間のラインに垂直な平面内にあり、
前記区間が、10から500Hzの間の値rの周波数を有し、前記パルスが、0.1kHzから100MHzの間の値fの周波数を有し、tが、0.001から10秒の間であり、
各トラッキング回折マスクが、
(a)ステップ(i)およびステップ(ii)の最初の反復において単独で、および
(b)ステップ(iii)から(v)およびその後のステップ(ii)の反復におけるポインティング回折マスクと組み合わせて、使用され、および、
(c)各トラッキング回折マスクが、前記レーザビームを回折および反射する前記素子において生成されると、前記レーザから放射される前記レーザビームを回折および反射し、その直前に使用された前記トラッキング回折マスクを使用して、投射された前記領域にわたって前記投射されたレーザビームを投射するホログラフィックグレースケールパターンに含まれ、
(d)トラッキング回折マスクとポインティング回折マスクとの各組み合わせが、前記レーザビームを回折および反射する前記素子において生成されると、前記レーザから放射される前記レーザビームを回折および反射し、
-各組み合わせで使用される前記ポインティング回折マスクが同じである場合、その直前に使用されたトラッキング回折マスクとポインティング回折マスクとの組み合わせを使用して投射された前記領域にわたって、または
・前記組み合わせがトラッキングマスクを使用した後に使用される第1の組み合わせである場合に前記組み合わせの前に使用されるトラッキング回折マスク、または
各組み合わせにおいて使用される前記ポインティング回折マスクが異なる場合に、その前に使用されたトラッキング回折マスクとポインティング回折マスクとの組み合わせ、
-を使用して投射された領域のサブセット上で、
前記投射されたレーザビームを投射する、ホログラフィックグレースケールパターンに含まれる、ことを特徴とする方法に関する。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
さらにまた、本明細書は、本明細書に記載の装置を備える光通信送信機(100)も記載する
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
さらに、本明細書は、
-前記光通信送信機から放射されたレーザビームと受信局とをアライメントし、および/または
-前記光通信送信機から受信局へ情報を送信する
ための本明細書で説明される方法、システム、光通信装置、または光通信送信機の使用も記載する
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
さらに、一実施形態において、本発明は、衛星(100)からレーザビーム(18)を介して受信局(110)に情報を送信し、前記衛星から放射された前記レーザビームを前記受信局とアライメントするための方法であって、
-前記衛星が、前記受信局に対して変位され、レーザ(16)と、無線受信機(32)と、マイクロプロセッサ(14)と、前記レーザビームを回折および反射する素子を備える液晶オンシリコン空間光変調器(24)とを備え、前記レーザビームが、前記レーザから放射され、前記液晶オンシリコン空間光変調器を使用した回折および反射によって領域にわたって投射され、前記レーザおよび前記レーザビームを回折および反射する前記素子が、前記マイクロプロセッサによって制御され、前記レーザビームが、前記レーザビームの伝搬経路に平行な長手方向軸を有し、それによって、前記光通信送信機に対する前記受信局の前記変位が、前記受信局に対する前記光通信送信機の動きを表すベクトルの成分であり、前記成分が、前記受信局と前記光通信送信機との間のラインに垂直な平面内にあり、
-前記受信局が、前記送信されたレーザビームを検出するためのフォトダイオード受信機(52)と、無線送信機(60)とを備え、
-前記方法が、以下のステップ、すなわち、
(i)前記空間光変調器を使用した回折および反射によって前記受信局が位置する領域にわたって連続区間で前記レーザビームを投射するステップと、
(ii)前記投射されたレーザビームを、前記投射されたレーザビームの長手方向軸において交差する四分円に分割するステップと、
(iii)振幅変調を使用する前記レーザビームの脈動によって、および前記レーザビームの波面の歪みによって、連続区間のセットの各区間について、前記レーザビームを回折および反射する前記素子において生成されたポインティング回折マスクを使用して、前記セットの各区間中に前記レーザビームの各象限の投射を中断するステップであって、前記投射されたレーザビームの任意の所与の象限が、前記レーザビームの他の象限が投射される前記区間のセットのサブセットとは異なる前記区間のセットのサブセットにわたって投射され、前記象限が、前記サブセットの各区間にわたって排他的に投射され、
任意の所与の区間の間に放射される前記振幅変調されたレーザビームのパルスの周波数および/または持続時間が、前記レーザビームが投射される全ての象限について同じであり、前記区間のセットの少なくとも1つの区間の間に放射される前記振幅変調されたレーザビームのパルスの周波数および/または持続時間が、前記区間のセットの少なくとも1つの他の区間の間に放射される前記振幅変調されたレーザビームのパルスの周波数および/または持続時間とは異なる、中断するステップと、
(iv)前記レーザビームの前記象限が投射される前記区間のセットの前記サブセットの前記パルスの周波数および/または持続時間を決定することによって、前記受信局の前記フォトダイオード受信機において検出された前記投射されたレーザビームの前記象限を識別し、前記無線送信機および前記無線受信機を介して前記衛星にこの情報を通信するステップと、
(v)ステップ(iii)において前記レーザビームの前記象限を排他的に投射した前記レーザビームを回折および反射する前記素子において生成された前記ポインティング回折マスクを使用して、前記レーザから放射された前記レーザビームの前記波面を歪ませることによって、ステップ(iv)において識別された前記レーザビームの前記象限が投射された領域にわたって連続区間で前記レーザビームを投射するステップと、
(vi)ステップ(ii)から(v)を少なくともさらに3回、またはステップ(v)において投射された前記レーザビームの前記長手方向軸とステップ(ii)で投射された前記レーザビームの前記長手方向軸との間の角度がπ/9500ラジアン未満になるまで繰り返すステップと、を含み、
前記受信局が前記衛星に対して変位され、前記衛星に対する前記受信局の前記変位が、前記受信局に対する前記衛星の動きを表すベクトルの成分であり、前記成分が、前記受信局と前記衛星との間の線に垂直な平面内にあり、
前記レーザビームを回折および反射する前記レーザビームを回折および反射する前記素子に生成されたトラッキング回折マスクを使用して、前記レーザから放射された前記レーザビームの前記波面を歪ませることにより、前記投射された前記レーザビームの前記長手方向軸がステップ(i)から(v)において向く方向をt秒毎に変化させ、
各トラッキング回折マスクが、
(a)ステップ(i)およびステップ(ii)の最初の反復において単独で、および
(b)ステップ(iii)から(v)およびその後のステップ(ii)の反復におけるポインティング回折マスクと組み合わせて、使用され、
各トラッキング回折マスクが、ホログラフィックグレースケールパターンに含まれ、
前記ホログラフィックグレースケールパターンが、前記レーザビームを回折および反射する前記素子において生成された場合、前記レーザから放射されたレーザビームを回折および反射し、および直前に使用された前記トラッキング回折マスクを使用して投射された領域にわたって前記投射されたレーザビームを投射し、トラッキング回折マスクとポインティング回折マスクとの各組み合わせが、前記レーザビームを回折および反射する前記素子において生成されると、前記レーザから放射される前記レーザビームを回折および反射し、
(a)各組み合わせで使用される前記ポインティング回折マスクが同じである場合、その直前に使用されたトラッキング回折マスクとポインティング回折マスクとの組み合わせを使用して投射された前記領域にわたって、または
(b)
(i)前記組み合わせがトラッキングマスクを使用した後に使用される第1の組み合わせである場合に前記組み合わせの前に使用されるトラッキング回折マスク、または
(ii)各組み合わせにおいて使用される前記ポインティング回折マスクが異なる場合に、その前に使用されたトラッキング回折マスクとポインティング回折マスクとの組み合わせ、を使用して投射された領域のサブセット上で、前記投射されたレーザビームを投射するホログラフィックグレースケールパターンに含まれ、
前記区間が、10から500Hzの間の値rの周波数およびr-1以下の持続時間を有し、前記パルスが、0.1kHzから100MHzの間の値fの周波数およびf-1以下の持続時間を有し、tが、0.001から10秒の間である、ことを特徴とする方法に関する。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
本発明のいくつかの態様および実施形態は、例としてのみ、以下の図を参照して説明される。
図1】本発明の一実施形態にかかる、UHF無線リンクを介して受信局からリンク品質データを供給し、空間内のその位置およびタイミングをGPS受信機でトラッキングする組み込み制御コンピュータに接続された精密ポインティングおよびトラッキングシステムを備える光通信送信機である。
図2】本発明の一実施形態にかかる光通信送信機システムの一部を形成する受信局からの受信機システムである。
図3】ホログラムが提示され、照射された正方形パターンを領域(例えば、地球の表面)上で移動させるために使用される、入射レーザがSLMの表面上でどのように反射されるかの絵画的表現である。
図4】A.5つのデジタルホログラム(a)から(e)が、それぞれ、174m-1、87m-1、0、-87m-1、および-174m-1の光パワーを実装することによって光送信機システム内のコリメーション不整合を補償するためのホログラフィックレンズを表している。B.レーザによって照射されたSLMに投射されると、それぞれ、-2°、-1°、0°、+1°、および+2°の角度でビームの反射を生成する5つのデジタルホログラムパターン(a)から(e)である。
図5】A.2つの定義された角度θおよびφ、ならびにBに依存する座標(yn,xn)によって定義された正方形パターン(例えば、地球の表面上)の位置の絵画的な定義である。B.角度変位φおよびθにそれぞれ対応する2つのホログラム(a)および(b)が組み合わせられて、センサの視野内の任意の位置において前記領域上に照射されたホログラフィックパターン(c)を取得する方法である。
図6】例として、ネルピオ(スペイン)に位置する前記受信局としての地球局110上の前記光通信送信機としての衛星100の絵画的状況であって、120は衛星視認円を表し、122は衛星のLCOS-SLM視野123のx正規直交軸を表し、124はその中心が衛星125を横切る地球の表面に垂直な線によって定義される対応するy軸を表し、陰影領域126は、LCOS-SLMのホログラムのデコンボリューションに対応する、その中心が伝搬経路127の軸によって定義されるレーザビームによって照射される領域を表し、128は衛星の進行方向を表し、角度θおよびφは、それぞれ、縦軸125に対する度での天頂偏角および方位偏角を表す。
図7A】A.前記光通信送信機としての衛星、B.前記受信局としての地球局を使用して例示された、本発明にかかる方法の第1の粗接触、ポインティング改良、および通信開始のための光通信送信機と受信局のアライメントのフロー図である。
図7B】A.前記光通信送信機としての衛星、B.前記受信局としての地球局を使用して例示された、本発明にかかる方法の第1の粗接触、ポインティング改良、および通信開始のための光通信送信機と受信局のアライメントのフロー図である。
図8】受信局(例えば、地球局)の位置として光通信送信機(例えば、衛星)に含まれるSLMの表面上に投射される一連のポインティング回折マスクのホログラムは、受信局のπ/9500ラジアン以内のレーザ光のポインティングで終わることが決定され、したがって、全ての利用可能な光が小さな領域(前記受信局が位置する投射されたレーザビームの長手方向軸に垂直な正方形平面であって、典型的には100から200mの長さの辺を有する正方形平面)にわたって集束されるため、最大効率を有するそれらの間の通信リンクをもたらす。各グリッドの外側の正方形は、SLMによって反射および回折された後にレーザによって照射されることができる総面積を表し、その中の暗い正方形は、その直下のポインティング回折マスクによって反射および回折された後にレーザによって実際に照射される面積を表す。A.各区間にわたって各ポインティング回折マスク内で生成された対応するホログラムを使用して、ポインティング方法の開始時に(この場合、左上象限から開始して反時計回りに)照射される4つの象限を表す。光通信送信機は、1msから200msの間、各正方形に投射し、受信局からフィードバックを受信した後、受信局が正方形番号3(右下)に在圏すると決定する。B.その後の反復では、光放射器のマイクロプロセッサは、回折パターンを再計算し、4つの回折マスクを生成して、各区間にわたって各ポインティング回折マスクにおいて生成された対応するホログラムを使用して、正方形番号3内の4つの象限を連続的に照射する。光放射器マイクロプロセッサは、受信局からフィードバックを受信することによって、受信局が正方形33(正方形3の右下)内に配置されていると決定する。C.その後、この手順は、受信局が正方形33内に位置していることを決定するこの正方形331(正方形33の左上)を用いて繰り返される。D.このようにして手順を(少なくとも)もう一度繰り返すことにより、レーザは、小さな正方形3311(正方形331の左上)(またはその中の正方形)を指す。この時点で、通信手順は、1Mbpsから100Mbpsの速度でレーザを切り替えることによって開始する。この動きを補償するために回転を行うことによって受信局に対する光通信送信機の相対運動を考慮に入れるために、(フーリエ変換を使用して)回折マスクにトラッキング回折マスクが追加されなければならないことに留意されたい。
図9】この変位が前記レーザビームを回折および反射する素子の水平座標と一致する方向に行われると仮定することによって、静止地球局に対する軌道上の光通信送信機(この実施形態では、衛星)の相対運動を補償するように配置されると、受信局(この実施形態では、地球局)のトラッキングに対応するホログラムである。A.(a)から(e)は、照射されている象限(この実施形態では、地球の表面にわたって)を示し、B.(a)から(e)は、これを達成するために前記レーザビームを回折および反射する素子の表面に投射されたホログラムをそれぞれ示す。特に、(a)は、地球局が配置され、レーザがπ/9500ラジアンの角度に集束されると、それぞれのホログラムによって照射される象限に対応する。(b)は、衛星が(a)の地球局の位置に対してπ/9500ラジアンの角度だけ移動したときに、LCOSに投射されたそれぞれのホログラムによって照射される象限に対応する。(c)は、(a)の地球局の位置に対して衛星が2・π/9500ラジアンの角度だけ移動したときに、LCOSに投射されたそれぞれのホログラムによって照射される象限に対応する。(d)は、(a)において衛星が地球局の位置に対して3・π/9500ラジアンの角度だけ移動したときに、LCOSに投射されたそれぞれのホログラムによって照射される象限に対応する。(e)は、(a)の地球局の位置に対して衛星が4・π/9500ラジアンの角度だけ移動したときに、LCOSに投射されたそれぞれのホログラムによって照射される象限に対応する。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
本発明は、電気制御可能な空間光変調器に基づく自由空間光通信のためのポインティングおよびトラッキング方法および装置に関する。本明細書には、電気制御可能な空間光変調器に基づく自由空間光通信のためのポインティングおよびトラッキングシステムも記載されている。さらに、本明細書は、前記装置を備える光通信送信機、ならびに、
-前記光通信送信機から放射されたレーザビームと受信局とをアライメントし、および/または
-前記光通信送信機から受信局に情報を送信する
ための前記方法、システム、装置または光通信送信機の使用も開示する。好ましくは、前記自由空間光通信は、宇宙船間または宇宙船と基地局(例えば、地球局)との間であり、より好ましくは、前記自由空間光通信は、光通信送信機(100)としての衛星と、受信局(110)としての地球(地上)局との間である。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
本発明は、(図2の液晶オンシリコン空間光変調器によって回折および反射されると)レーザビーム(18)を介して光通信送信機(100)から受信局(110)に情報を送信し、前記光通信送信機から放射された前記レーザビームを前記受信局とアライメントするための方法および装置に関する。同様に、本明細書はこれらの目的のためのシステムについても開示する。前記光通信送信機は、前記受信局に対して変位し(またはその逆に、前記受信局は、前記光通信送信機に対して変位され、すなわち、光通信送信機は、前記受信局から離れており、それに対して移動している)、前記レーザビームを介して情報を送信する。前記光通信送信機に対する受信局の変位は、前記受信局に対する光通信送信機の動きを表すベクトルの成分であり、前記成分は、前記受信局と前記光通信送信機との間の線に垂直な平面内にある。したがって、前記レーザビームは、光通信送信機と受信局との間の通信リンクを提供する。通信リンク効率を最大化するために、光通信送信機から投射されたレーザビームは、レーザビームによって投射された利用可能な光が可能な限り小さな領域に集束されるように、前記受信局と可能な限り密接にアライメントされる必要がある(すなわち、レーザビームは、前記受信局が位置する領域にわたって投射される)。したがって、本方法、システム、および装置は、ポインティングおよびトラッキングによって局発見を近似するように、前記受信局が位置する領域上に投射されたレーザビームを集束させる。したがって、本発明は、光通信送信機に対して変位されるときに受信局をトラッキングし、前記光通信送信機を前記受信局の方に向ける(特に、前記光通信送信機から投射されたレーザビームの伝搬経路の長手方向軸に向ける)ための方法および装置に関する。同様に、本明細書はこれらの目的のためのシステムについても開示する。前記光通信送信機が前記受信局に対して変位したときに前記光通信送信機から放射されたレーザビームを前記受信局とアライメントするための他の方法および装置とは異なり、本発明の方法および装、ならびに本明細書のシステムは、前記光通信送信機に含まれる部品のいずれかをそれに対して移動させる必要なく、且つ受信局から光通信送信機に向かって光信号を送信する必要なく、トラッキングおよびポインティングを達成する。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
前記方法およびシステムに開示されているように、前記光通信送信機、および前記装置は、レーザ(18)と、無線受信機(32)と、マイクロプロセッサ(14)と、前記レーザから放出されたレーザビームを回折および反射する素子を備える液晶オンシリコン空間光変調器(24)とを備えることを特徴とする。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
前記レーザは、レーザビームを放射する。前記放射されたレーザビームは、前記液晶オンシリコン空間光変調器に含まれる前記レーザビームを回折および反射する素子によって回折および反射され、これは前記レーザビームをある領域にわたって投射し、したがって回折および反射される。前記領域は、前記受信局が位置する領域であり、前記領域が前記投射されたレーザビームの長手方向軸に垂直である場合には正方形であり、前記投射されたレーザビームの長手方向軸は、前記投射されたレーザビームの伝搬経路に平行である。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
液晶オンシリコン(LCOS)空間光変調器(SLM)は、液晶ディスプレイスクリーン(LCDスクリーン)と同様の電子装置であるが、入射光の位相を制御するように設計されており、したがって、LCDスクリーンにおいて一般に使用される強度画像ではなく位相画像を生成する。それらは、その上に表示されるデジタルホログラムの種類によって回折格子またはレンズなどの回折光学素子のように動作することができるが、例えばマイクロプロセッサによって制御される駆動回路によって電気的にプログラム可能(機械的可動部品なし)である能力を有する。好ましくは、LCOS-SLMは、画像内の階調が衝突するレーザ内の-πから+πラジアンの位相レベルを再現するように、異なる階調を有するコンピュータ生成画像によって位相関数を符号化することによって、衝突するレーザビームの位相を修正するように構成されることができる。このようにして、SLMは、レーザビームが反射されるSLMスクリーン上に表示された符号化画像に応じて異なる光回折関数を反射レーザに与えることができる。さらに、SLM回折マスクは、1つの機能から別の機能に容易に切り替えることができ、またはいくつかのそのような機能を同時に実行することができる。したがって、前記液晶オンシリコン空間光変調器(LCOS-SLM)は前記レーザビームを回折および反射する素子を備える。このようなSLMサプライヤの例として、Holoeyeが挙げられる。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
前記レーザビームを回折および反射する素子は、そこに入射するレーザビームの位相を集合的に変調する画素のアレイを備える。一実施形態では、前記レーザビームを回折および反射する素子の各画素は、グレーのレベルを表示し、それにより、前記レーザビームを回折および反射する素子は、その中に生成された回折マスクまたは回折マスクの組み合わせを含むグレースケールホログラフィックパターンを表示し、前記レーザから放射されてそこに入射するレーザビームの回折および反射をもたらす。各マスクは、その機能とは無関係に、位相回折マスクである。各ホログラフィックパターンは、前記レーザビームを回折および反射する素子において生成され、ある区間の全期間にわたってその上に表示される回折マスク/回折マスクの組み合わせを含み、区間は、前記レーザビームを回折および反射する素子がリフレッシュされる時間(秒単位)によって定義される。したがって、前記レーザビームを回折および反射する素子が連続する一連の区間にわたって同じホログラィックパターンを表示する場合、前記レーザビームを回折および反射する素子から投射されるレーザビームは、前記所与のホログラフィックパターンがその上に表示される前記一連の連続区間の各区間に対して同じ方法で投射される。
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
前記マイクロプロセッサは、好ましくはその光強度および前記レーザビームの脈動を含むレーザおよびレーザからのレーザビームの放射、ならびに前記レーザビームを回折および反射する素子において生成される回折マスクを制御する。したがって、前記マイクロプロセッサは、好ましくはコンピュータ可読プログラム命令を使用して光通信送信機の電子機器の全部または一部を制御するコンピュータプログラム製品である。より好ましい実施形態では、前記レーザビームを回折および反射する素子において生成される回折マスクを制御するために、前記マイクロプロセッサは、デジタル画像を符号化し、前記デジタル画像は、コンピュータまたはテレビ画面と同様に機能するが位相値としてデジタル画像を表示する前記レーザビームを回折および反射する素子(すなわち、前記SLMスクリーン)において再生される。前記SLM上の符号化された画像をコンピュータ可読プログラム命令に変更することによって、SLMスクリーンに衝突するレーザビームがそこからの反射および回折によって投射される方向、スパン、焦点、およびタイミングを調整することが可能である。
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0027】
本発明の方法の動作を実行するための、ならびに本明細書のシステムと同様に、本発明の装置におけるコンピュータ可読プログラム命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、機械命令、機械依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データの形式の符号化情報とすることができ、Smalltalk、C++などのオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語または同様のプログラミング言語などの従来の手続き型プログラミング言語を含む、1つ以上のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコードまたはオブジェクトコードのいずれかとすることができる。コンピュータ可読プログラム命令は、完全にユーザのコンピュータ上で、部分的にユーザのコンピュータ上で、スタンドアロンソフトウェアパッケージとして、部分的にユーザのコンピュータ上で、部分的にリモートコンピュータ上で、または完全にリモートコンピュータもしくはサーバ上で実行することができる。後者のシナリオでは、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)またはワイドエリアネットワーク(WAN)を含む任意のタイプのネットワークを介してユーザのコンピュータに接続されてもよく、または外部コンピュータ(例えば、インターネットサービスプロバイダを使用してインターネットを介して)に接続されてもよい。いくつかの実施形態では、例えば、プログラマブル論理回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、またはプログラマブルロジックアレイ(PLA)を含む電子回路は、本発明の態様を実行するために、コンピュータ可読プログラム命令の状態情報を利用して電子回路をパーソナライズすることによってコンピュータ可読プログラム命令を実行することができる。
【手続補正18】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0028】
本発明の態様は、光通信装置および光通信送信機に実装される本発明の方ならびに本明細書のシステムのフローチャート図および/またはブロック図(図7を参照)を参照して本明細書で説明される。フローチャート図および/またはブロック図の各正方形またはひし形のブロック、ならびにフローチャート図および/またはブロック図のブロックの組み合わせは、機械的手段、光学的技術またはコンピュータ可読プログラム命令、またはそれらの組み合わせによって実装されることができることが理解されよう。
【手続補正19】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
図中のフローチャートおよびブロック図は、本発明の様々な実施形態にかかる方法および装置ならびに本明細書にかかるシステムの可能な実装のアーキテクチャ、機能、および動作を示す。これに関して、フローチャートまたはブロック図の各ブロックは、指定された論理機能を実装するための1つ以上の実行可能命令を備えるモジュール、セグメント、または命令の一部を表すことができる。いくつかの代替実装では、ブロックに記載された機能は、図7に記載された順序から外れて行われてもよい。例えば、連続して示されている2つのブロックは、実際には、実質的に同時に実行されてもよく、またはブロックは、関連する機能に応じて、時には逆の順序で実行されてもよい。また、ブロック図および/またはフローチャート図の各ブロック、ならびにブロック図および/またはフローチャート図のブロックの組み合わせは、指定された機能または動作を実行するか、専用ハードウェアとコンピュータ命令との組み合わせを実行する専用ハードウェアベースのシステムによって実装されることができることにも留意されたい。
【手続補正20】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0036】
なお、レーザから液晶オンシリコン空間光変調器に放射されたレーザビーム(すなわち、放射された、入射した、または衝突したレーザビーム)は、液晶オンシリコン空間光変調器に到達する前に、光通信送信機またはそれに含まれる光通信装置に含まれる少なくとも1つの他の光学部品を通過してもよく、光通信送信機を出る前に液晶オンシリコン空間光変調器から投射されたレーザビーム(すなわち、投射または透過されたレーザビーム)は、液晶オンシリコン空間光変調器を出た後に、少なくとも1つの他の光学部品を通過してもよいことに留意されたい。好ましくは、前記放射されたレーザビームおよび前記投射されたレーザビームのいずれかまたは双方は、前記光通信送信機または前記光通信装置に含まれる少なくとも1つの他の光学部品を通過し、各光学部品は、好ましくは、ビームエキスパンダ、レンズ、プリズム、光ファイバ、および平面平行板を含む群から選択される。より好ましくは、前記放射されたレーザビームおよび前記投射されたレーザビームのいずれかまたは双方は、少なくとも1つのビームエキスパンダを通過する。したがって、そうでなければ非常に狭いレーザビームは、空間光変調器に含まれる前記レーザビームを回折および反射する素子の全画面領域をカバーし、したがってその中に表示される画像を効率的に利用するように拡大されることができる。前記光学部品が光ファイバを備える場合、光ファイバカプラもその中に含まれることがより好ましい。
【手続補正21】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0037】
本発明の方法および本明細書のシステムの特に好ましい実施形態では、前記光通信送信機は、光通信衛星であり、前記光通信装置は、光通信衛星に含まれる。したがって、本発明のより特に好ましい実施形態は、少なくとも1つの衛星と受信局とを備える方法およびシステムであって、さらにより好ましくは、前記受信局が地球局である、方法およびシステムに関する。
【手続補正22】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0038】
前記方法は、以下のステップを含み、前記システムは、以下のステップを実行するための手段を備え、前記装置は、以下のステップ、すなわち、
(i)前記空間光変調器を使用した回折および反射によって前記受信局が位置する領域にわたって連続区間で前記レーザビームを投射するステップ、
(ii)前記投射されたレーザビームを、前記投射されたレーザビームの長手方向軸において交差する四分円に分割するステップ、
(iii)振幅変調を使用する前記レーザビームの脈動によって、および前記レーザビームの波面の歪みによって、連続区間のセットの各区間について前記レーザビームを回折および反射する前記素子において生成されたポインティング回折マスクを使用して、前記セットの各区間中に前記レーザビームの各象限の投射を中断するステップであって、前記投射されたレーザビームの任意の所与の象限が、前記レーザビームの他の象限が投射される前記区間のセットのサブセットとは異なる前記区間のセットのサブセットにわたって投射され、前記象限が、前記サブセットの少なくとも1つの区間にわたって排他的に投射され、
任意の所与の区間の間に放射される前記振幅変調されたレーザビームのパルスの周波数が、前記レーザビームが投射される全ての象限について同じであり、前記区間のセットの少なくとも1つの区間の間に放射される前記振幅変調されたレーザビームのパルスの周波数が、前記区間のセットの少なくとも1つの他の区間の間に放射される前記振幅変調されたレーザビームのパルスの周波数とは異なる、中断するステップ、
(iv)前記レーザビームの前記象限が投射される前記区間のセットの前記サブセットの前記パルスの周波数を決定することによって、前記受信局の前記フォトダイオード受信機において検出された前記投射されたレーザビームの前記象限を識別し、前記無線送信機および前記無線受信機を介して前記光通信送信機にこの情報を通信するステップ、
(v)ステップ(iii)において前記レーザビームの前記象限を排他的に投射した前記レーザビームを回折および反射する前記素子において生成された前記ポインティング回折マスクを使用して、前記レーザから放射された前記レーザビームの前記波面を歪ませることによって、ステップ(iv)において識別された前記レーザビームの前記象限が投射された領域にわたって連続区間で前記レーザビームを投射するステップ、および
(vi)ステップ(ii)から(v)を少なくともさらに3回、またはステップ(v)において投射された前記レーザビームの前記長手方向軸とステップ(ii)において投射された前記レーザビームの前記長手方向軸との間の角度がπ/9500ラジアン未満になるまで繰り返すステップを実行するように構成され、
ステップ(i)から(v)において前記投射されたレーザビームの長手方向軸が向けられる方向が、前記レーザビームを回折および反射する前記素子において生成されたトラッキング回折マスクを使用して前記レーザから放射された前記レーザビームの前記波面を歪ませることによって、前記受信局に対する前記光通信送信機の前記変位の関数としてt秒毎に変更され、
前記区間が、10から500Hzの間の値rの周波数を有し、前記パルスが、0.1kHzから100MHzの間の値fの周波数を有し、tが、0.001から10秒の間であり、
各トラッキング回折マスクが、
(a)ステップ(i)およびステップ(ii)の最初の反復において単独で、および
(b)ステップ(iii)から(v)およびその後のステップ(ii)の反復におけるポインティング回折マスクと組み合わせて、使用される。
【手続補正23】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0039】
ステップ(i)において、前記レーザビームは、前記空間光変調器を使用した回折および反射によって前記受信局が位置する領域にわたって連続区間で投射される。投射されたビーム内の前記連続区間の各区間は、それと同じまたは異なる新たなホログラムを表示する前に、ホログラムが空間光変調器に連続的に表示される区間に対応する(すなわち、前記空間光変調器の連続するリフレッシュ間の区間)。区間は、10から500Hzの間の値rの周波数を有する。前記空間光変調器がリフレッシュ周波数rを有する場合、各区間の持続時間は、r-1以下である。これは、投射されたレーザビームが、前記空間光変調器のリフレッシュ周波数によって定義されるパルスで放射されることを意味する。本明細書のシステムの好ましい実施形態では、ステップ(i)を実行するために使用される手段は、マイクロプロセッサ、レーザ、およびSLM(したがって、前記レーザビームを回折および反射するその素子)を指し、前記マイクロプロセッサは、前記レーザおよび前記SLMとの間でコンピュータ可読プログラム命令または符号化された情報をそれぞれ提供/受信する。
【手続補正24】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0040】
本発明および本明細書の好ましい実施形態では、前記受信局が位置する領域上に前記レーザビームを投射するステップ(i)は、
(a)前記受信局に対する前記光通信送信機の位置を推定し、前記光通信送信機に対する前記受信局の位置を推定するステップと、
(b)少なくとも1つのアクチュエータを使用して光通信送信機の姿勢を変更することによって、ステップ(a)において推定された受信局の位置に向かう方向Aに前記投射されたレーザビームの長手方向軸を向けるステップと、
(c)前記フォトダイオード受信機の方位角および/または高度角を変更することによって、ステップ(a)において推定された前記光通信送信機の位置に向かう方向Bに前記フォトダイオード受信機を向けるステップであって、前記方向Bが、前記フォトダイオード受信機の焦点面に垂直であり、前記方向Aに平行である、向けるステップと、
(d)ステップ(b)において投射されたレーザビームが前記フォトダイオード受信機を使用して検出されるまで、ステップ(b)および(c)を繰り返すステップと、を含む。本発明および本明細書のこの好ましい実施形態は、アクチュエータを含む「粗ポインティング」のステップを説明する。粗ポインティングは、典型的には、約π/950ラジアンの誤差角度Aを有し(すなわち、600kmの距離で長さがEkmの辺を有する正方形の上にあり、ここでEは約2kmであり、前記正方形は、前記受信局が位置する投射されたレーザビームの長手方向軸に垂直な平面であると解釈される)、したがって、前記光通信送信機におけるいかなる構成要素の移動も必要とせず、典型的には、π/9500ラジアン未満の誤差角度Aを有する(すなわち、600kmの距離で200m未満の辺を有する前述の正方形に対応する)ステップ(ii)から(vi)において使用される「精密ポインティング」と区別される。
【手続補正25】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0041】
本発明および本明細書の前記好ましい実施形態のステップ(a)において、光通信送信機の位置が受信局に対して推定され、受信局の位置が光通信送信機に対して推定される。前記推定は、
-光通信送信機に組み込まれたマイクロプロセッサによる光通信送信機の正確な位置の連続的な推定であって、それに接続されたGPSを使用することによって、その測地基準(すなわち、例えばETRS89による緯度および高度)を使用する受信局の位置とともに、計時のために光通信送信機に接続されたGPSを使用することによる、光通信送信機の正確な位置の連続的な推定と、
-光通信送信機の2線要素(TLE)および簡易軌道摂動4(SPG4)などの軌道伝搬アルゴリズムとともに、計時用に接続されたGPSおよびその測地基準(すなわち、例えばETRS89による緯度および高度)を使用することによる、受信局コンピュータの位置の連続推定、を含む。
【手続補正26】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0042
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0042】
受信局に対する光通信送信機の位置および光通信送信機に対する受信局の位置が推定されると、ステップ(b)から(d)の粗ポインティングは、前記光通信送信機と受信局との間に(およびその逆に)見通し線が確立されるまで実行され、その後、本発明の方法および装置のステップ(i)のように、ならびに本明細書のシステムのステップ(i)のように前記レーザビームは、前記空間光変調器を使用した回折および反射によって前記受信局が位置する領域にわたって連続区間で投射される。前記受信局が前記レーザビームが投射される領域内に位置することを確実にするために、前記レーザビームは、好ましくは、前述の誤差角度Aよりも大きい角度にわたって最初に投射される。本発明および本明細書のステップ(i)の好ましい実施形態では、レーザビームは、π/18850ラジアンとπ/180ラジアンとの間の角度にわたって(すなわち、長さが100mから10kmの間の辺を有する前述の正方形の上に)投射される。より好ましくは、前記レーザビームが最初に投射される角度は、π/950ラジアン未満(すなわち、2km未満の辺を有する前述の正方形の上)、さらにより好ましくはπ/1885ラジアン未満(すなわち、1km未満の辺を有する前述の正方形の上)である。その結果、ステップ(a)から(d)の反復プロセスは停止し、受信局がステップ(b)において投射されたレーザビームによって投射された角度内に入り、前記レーザビームが前記フォトダイオード受信を使用して検出されると、本発明の方法および装置のステップ(i)、ならびに本明細書のシステムのステップ(i)が行われることが可能になる。したがって、そのような状況下では、本発明および本明細書の前述の好ましい実施形態のステップ(a)から(d)を含むステップ(i)による第1の投射は、「粗ポインティング」と考えることができる。受信局によって初期接続が確認されると、ステップ(ii)を開始し、したがって「精密ポインティング」のプロセスを開始する光通信送信機に信号が送信される。本明細書のシステムの前述の好ましい実施形態では、ステップ(a)を実行するために使用される手段は、マイクロプロセッサ、より好ましくはマイクロプロセッサおよびGPSを指し、ステップ(b)および(c)を実行するために使用される手段は、マイクロプロセッサ、レーザ、SLM(したがって、前記レーザビームを回折および反射するその素子)、フォトダイオードおよびアクチュエータを指し、前記マイクロプロセッサは、前記レーザ、前記SLMおよび前記アクチュエータにコンピュータ可読プログラム命令または符号化された情報を提供および受信し、ステップ(d)を実行するために使用される手段は、マイクロプロセッサ、レーザ、SLM(したがって、前記レーザビームを回折および反射するその素子)、フォトダイオード、無線送信機および受信機を指す。
【手続補正27】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0043】
本発明および本明細書の前記好ましい実施形態において使用されるアクチュエータは、好ましくは電気的、機械的または電気機械的装置であり、より好ましくはモータ、スラスタ、反動ホイールまたは磁力計である。
【手続補正28】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0044】
ステップ(ii)において、前記投射されたレーザビームは、前記投射されたレーザビームの長手方向軸において交差する四分円に分割される。前記分割は純粋に抽象的であり、概念的には、前記投射されたレーザビームの長手方向軸において交差する各象限に沿って1つずつ、4つの平行な伝搬経路をもたらし、レーザビーム、または各象限(すなわち、その伝搬経路に沿って)上に投射されるその部分は、後続のステップ(iii)から(v)において他の象限上に投射されるものとは異なる。このステップは、ステップ(ii)の最初の反復においてステップ(i)にしたがって投射されたレーザビームと、ステップ(ii)の後続の反復においてステップ(v)にしたがって投射されたレーザビームの双方に対して行われる。本明細書のシステムの好ましい実施形態では、ステップ(ii)を実行するために使用される手段は、マイクロプロセッサ、レーザ、およびSLM(したがって、その前記レーザビームを回折および反射する素子)を指し、前記マイクロプロセッサは、前記レーザおよび前記SLMとの間でコンピュータ可読プログラム命令または符号化された情報をそれぞれ提供/受信する。
【手続補正29】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0045
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0045】
ステップ(iii)において、前記レーザビームの各象限の投射は、連続区間のセットの各区間中に、振幅変調を使用する前記レーザビームの脈動によって、および前記セットの各区間について、前記レーザビームを回折および反射する前記素子において生成されたポインティング回折マスクを使用する前記レーザビームの波面の歪みによって中断され、前記投射されたレーザビームの任意の所与の象限は、前記レーザビームの他の象限が投射される区間の前記セットのサブセットとは異なる区間の前記セットのサブセットにわたって投射され、前記象限は、前記サブセットの少なくとも1つの区間にわたって排他的に投射され、
任意の所与の区間の間に放射される前記振幅変調されたレーザビームのパルスの周波数は、前記レーザビームが投射される全ての象限について同じであり、前記区間のセットのうちの少なくとも1つの区間の間に放射される前記振幅変調されたレーザビームのパルスの周波数は、前記区間のセットのうちの少なくとも1つの他の区間の間に放射される前記振幅変調されたレーザビームのパルスの周波数とは異なる。本明細書のシステムの好ましい実施形態では、ステップ(iii)を実行するために使用される手段は、マイクロプロセッサ、レーザ、およびSLM(したがって、その前記レーザビームを回折および反射する素子)を指し、前記マイクロプロセッサは、前記レーザおよび前記SLMとの間でコンピュータ可読プログラム命令または符号化された情報をそれぞれ提供/受信する。
【手続補正30】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0046
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0046】
振幅変調を使用した前記レーザビームの脈動による一連の連続区間の各区間中の前記中断は、0.1kHzから100MHz、好ましくは1kHzから10MHzの周波数fで放射される一連のパルスをもたらす。周波数fは、任意の所与の時間(すなわち、任意の所与の区間の間)に放射されるレーザビームの全ての象限について同じであるが、前記レーザビームが投射される区間のセットの少なくとも1つの区間について異なる。他方、前記レーザビームを回折および反射する前記素子において生成されたポインティング回折マスクを使用した前記レーザビームの波面の歪みによる連続区間のセットの各区間中の前記中断は、前記レーザビームの他の象限が投射される前記区間のセットのサブセットとは異なる前記区間のセットのサブセットにわたって投射される前記投射されたレーザビームの所与の象限をもたらし、前記象限は、前記サブセットの少なくとも1つの区間にわたって排他的に投射される。本発明および本明細書の好ましい実施形態では、図9に示すように、前記投射されたレーザビームの所与の象限は、前記サブセットの各区間にわたって排他的に投射される(すなわち、前記投射されたレーザビームの複数の象限は、任意の所与の区間にわたって投射されない)。
【手続補正31】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0047
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0047】
振幅変調を使用した前記レーザビームの脈動による中断および/または各区間で生じる、前記レーザビームを回折および反射する前記素子内で生成されたポインティング回折マスクを使用した前記レーザビームの波面の歪みによる中断の組み合わせ、および前記投射されたレーザビームの任意の所与の象限が、前記レーザビームの他の象限が投射される前記区間のセットのサブセットとは異なる前記区間のセットにわたって投射されるという事実は、前記投射されたレーザビームの各象限が中断される前記区間のセットにわたって、前記投射されたレーザビームの各象限が異なるように中断される(すなわち、所与の区間にわたって所与の象限を中断するポインティング回折マスクによって、または所与の区間の間に前記レーザビームの前述の脈動によって、前記ポインティング回折マスクが別の所与の区間の間にその投射を可能にする前記象限を中断するかどうか)ことを意味する。好ましくは、ポインティング回折マスクを使用した前記レーザビームの波面の歪みは、任意の所与の区間において、前記投射されたレーザビームの所与の象限が投射されることを意味し、投射される前記投射されたレーザビームの象限は、これらが他の区間中に投射されるときに前記投射されたレーザビームの他の象限を中断するために使用される周波数とは異なる周波数fでの前記レーザビームの脈動によって中断される。これは、前記投射されたレーザビームの各象限が、前記投射されたレーザビームの他の象限とは異なる「シグネチャ」を有することを意味する。
【手続補正32】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0048
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0048】
ステップ(iv)において、受信局の前記フォトダイオード受信機において検出される前記投射されたレーザビームの象限は、前記レーザビームの象限が投射される区間のセットのサブセットのパルスの周波数を決定し、この情報を前記無線送信機および前記無線受信機を介して前記光通信送信機に通信することによって識別される。したがって、ステップ(iv)において、前記投射されたレーザビームのどの象限が前記受信局によって検出されたかを識別し、したがって、このように識別された前記象限が投射された領域に基づいて、前記受信局が位置する領域を識別するために、受信局によって検出されるレーザビームの「シグネチャ」が決定される。好ましくは、これは、タイミング信号を使用して光通信送信機と受信局とをさらに同期させることによって達成される。決定されると、この情報は、前記受信局に含まれる無線送信機から前記光通信送信機に含まれる無線受信機に電波を送信することによって前記光通信送信機に中継される。本明細書のシステムの好ましい実施形態では、ステップ(iv)を実行するために使用される手段は、マイクロプロセッサ、レーザ、SLM(したがって、前記レーザビームを回折および反射するその素子)、フォトダイオード、無線送信機および無線受信機を指し、前記マイクロプロセッサは、前記レーザ、前記SLMおよび前記無線受信機との間でコンピュータ可読プログラム命令または符号化情報をそれぞれ提供/受信する。
【手続補正33】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0049
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0049】
本発明の方法および装置、ならびに本明細書のシステムの好ましい実施形態は、以下のステップ(iii)および(iv)を含むものである:
(iii)振幅変調を使用する前記レーザビームの脈動によって、および前記レーザビームの波面の歪みによって、連続区間のセットの各区間について前記レーザビームを回折および反射する前記素子において生成されたポインティング回折マスクを使用して、前記セットの各区間中に前記レーザビームの各象限の投射を中断するステップであって、前記投射されたレーザビームの任意の所与の象限が、前記レーザビームの他の象限が投射される前記区間のセットのサブセットとは異なる前記区間のセットのサブセットにわたって投射され、前記象限が、前記サブセットの少なくとも1つの区間にわたって排他的に投射され、
任意の所与の区間の間に放射される前記振幅変調されたレーザビームのパルスの周波数および/または持続時間が、前記レーザビームが投射される全ての象限について同じであり、前記区間のセットの少なくとも1つの区間の間に放射される前記振幅変調されたレーザビームのパルスの周波数および/または持続時間が、前記区間のセットの少なくとも1つの他の区間の間に放射される前記振幅変調されたレーザビームのパルスの周波数および/または持続時間とは異なる、中断するステップ、
(iv)前記レーザビームの前記象限が投射される前記区間のセットの前記サブセットの前記パルスの周波数および/または持続時間を決定することによって、前記受信局の前記フォトダイオード受信機において検出された前記投射されたレーザビームの前記象限を識別し、前記無線送信機および前記無線受信機を介して前記光通信送信機にこの情報を通信するステップであり、
前記区間は、上記定義されたように、10から500Hzの値rの周波数と、r-1以下の持続時間とを有し、前記パルスは、上記定義されたように、0.1kHzから100MHzの値fの周波数と、f-1以下の持続時間とを有し、tは、上記定義されたように、0.001から10の間である。したがって、周波数だけでなく、区間およびパルスの持続時間も、投射されるレーザビームの「シグネチャ」の決定に関連する。
【手続補正34】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0050
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0050】
ステップ(v)において、レーザビームは、ステップ(iii)においてレーザビームの前記象限のみを投射した、前記レーザビームを回折および反射する前記素子において生成されたポインティング回折マスクを使用してレーザから放射されたレーザビームの波面を歪ませることによって、ステップ(iv)において特定されたレーザビームの前記象限が投射された領域にわたって連続区間で投射される。換言すれば、ステップ(v)において、レーザビームは、ステップ(iv)において前記受信局によって検出されたレーザビームの象限が投射された領域にわたって連続区間で投射される。本明細書のシステムの好ましい実施形態では、ステップ(v)を実行するために使用される手段は、マイクロプロセッサ、レーザ、およびSLM(したがって、前記レーザビームを回折および反射するその前記素子)を指し、前記マイクロプロセッサは、前記レーザおよび前記SLMとの間でコンピュータ可読プログラム命令または符号化情報をそれぞれ提供/受信する。
【手続補正35】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0051
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0051】
ステップ(vi)において、前の連続するステップ(ii)から(v)は、少なくともさらに3回、またはステップ(v)において投射された前記レーザビームの前記長手方向軸とステップ(ii)において投射された前記レーザビームの前記長手方向軸との間の角度[すなわち、ステップ(v)の反復の前のステップ(ii)の反復]がπ/9500ラジアン未満になるまで繰り返される。したがって、ステップ(ii)から(v)は、レーザビームの投射角度を連続的に狭めるために反復され、それにより、レーザビームは、受信局が位置するますます小さな領域にわたって投射される。一実施形態では、ステップ(ii)から(v)は、好ましくはさらに3から5回(すなわち、合計4から6回)、より好ましくはさらに6回繰り返される。別の実施形態では、ステップ(ii)から(v)は、好ましくは、ステップ(v)において投射された前記レーザビームの長手方向軸とステップ(ii)において投射された前記レーザビームの前記長手方向軸との間の角度がπ/10000ラジアン未満、より好ましくはπ/12000ラジアン未満になるまで繰り返される。このようにして、前記投射されたレーザビームによって投射される利用可能な光は、可能な限り小さい領域に集束され、前記投射されたレーザビームの長手方向軸は、受信局のレーザビームの実際の位置と密接にアライメントされる。まとめて、ステップ(ii)から(v)およびステップ(vi)の反復プロセスは、「精密ポインティング」と考えることができる。本明細書のシステムの好ましい実施形態では、ステップ(vi)を実行するために使用される手段は、マイクロプロセッサ、およびステップ(ii)から(v)を実行するために使用される前述の手段を指す。
【手続補正36】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0052
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0052】
上述した「精密ポインティング」の反復プロセスは、ポインティング回折マスクの使用によって達成される。要約すると、精密ポインティングは、前記受信局が位置する領域にレーザビームを投射することによって、投射されたレーザビームが投射する角度を狭め、
前記レーザビームを回折および反射する前記素子に表示されたコンピュータ生成ホログラフィックパターンを使用して、放射されたレーザビームの波面を変更することであって、各ホログラフィックパターンが、ポインティング回折マスクを含み、前記受信局が、前記投射されたレーザビームの1つの象限が投射される前記領域のサブセット内に配置される、変更することと、
-前記レーザビームを前記検出された象限が投射される領域にわたって投射する前に、受信局内のフォトダイオード受信機において、このように投射された前記レーザビームの前記象限を検出し、前記検出された象限に関する情報を、前記無線送信機および前記無線受信機を介して前記光通信送信機に通信することと、
-投射されたレーザビームが投射され、前記受信局がその中に位置する角度を、好ましくは投射されたレーザビームの発散の限界内まで狭めるために、前の2つのステップを再帰的に繰り返すことと、を含む。
【手続補正37】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0053
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0053】
これが行われている間、毎秒数分の1度で受信局に対する光通信送信機(例えば、上空の衛星)の変位も行われ、それにより、この動きを補正する、前記レーザビームを回折および反射する前記素子に表示された各ホログラフィックパターンにトラッキング回折マスクが含まれる。したがって、前述の「ポインティング」プロセスに加えて、「トラッキング」のプロセスもトラッキング回折マスクの使用によって達成され、各トラッキング回折マスクは、
(a)ステップ(i)およびステップ(ii)の最初の反復において単独で、および
(b)ステップ(iii)から(v)およびその後のステップ(ii)の反復におけるポインティング回折マスクと組み合わせて、使用される。
【手続補正38】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0054
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0054】
トラッキングは、前記レーザビームを回折および反射する前記素子に回折マスクを生成し、その結果、投射されたレーザビームが受信局が位置する領域上に投射された後、時間tが経過し、その間に受信局に対する光通信送信機の変位が起こったために必要とされる。したがって、トラッキングは、本発明によれば、ステップ(i)から(v)において投射されたレーザビームの長手方向軸が向けられる方向を、前記レーザビームを回折および反射する前記素子において生成されるトラッキング回折マスクを使用してレーザから放射されるレーザビームの波面を歪ませることによって受信局に対する光通信送信機の変位に応じてt秒毎に変更することによって達成され、tは、0.001秒から10秒である。したがって、新たなトラッキング回折マスクがt秒毎に前記レーザビームを回折および反射する前記素子において生成され、このようにして生成された各新たなトラッキング回折マスクは、前記投射されたレーザビームの長手方向軸がその前の区間において指されていた方向を新たな方向に変更する(すなわち、光通信送信機から投射される角度が変更され、レーザビームの長手方向軸が、その前のステップにおいて前記レーザビームが投射された領域の中心とアライメントされる)。換言すれば、前記レーザビームは、その前の区間において前の回折マスクを使用するときに且つ前記変位にもかかわらず前記受信局が位置する投射されたのと同じ領域にわたって(すなわち、前記投射されたレーザビームの長手方向軸に垂直な、前記受信局が位置する平面の領域にわたって)投射される。好ましい実施形態では、このようにして生成された各新たなトラッキング回折マスクは、受信局に対する光通信送信機の変位がそれより前の区間で生じたと仮定して、前記投射されたレーザビームの長手方向軸がその前の区間において指されていた方向を新たな方向に変更する。新たなトラッキング回折マスクが、(精密ポインティングにより)前の回折マスクを使用して投射された領域のサブセット上に投射されたレーザビーム(またはその象限)を指すポインティング回折マスクと組み合わせて使用される場合、新たなトラッキング回折マスクは、前の回折マスクを使用したときに投射されたのと同じ領域上に投射され、ポインティング回折マスクは、それと組み合わせて使用され、前記領域の前記サブセット上に投射されたレーザビーム(またはその象限)を指す。このようにして、時間tによって分離された2つの連続区間I1およびI2について、区間I2の間にレーザビーム(またはその象限)が投射される領域は、I1およびI2の間に前記レーザビームを回折および反射する前記素子に異なる回折マスクが生成されるとしても、レーザビーム(またはその象限)がI1に投射される領域または前記領域のサブセットと同じである。
【手続補正39】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0055
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0055】
任意の所与の区間または区間のセットにわたって前記レーザビームを回折および反射する前記素子に表示される各ホログラフィックグレースケールパターンは、回折マスクまたは回折マスクの組み合わせを含むように計算される。前記ホログラフィックグレースケールパターンは、常にトラッキングマスクを含むため、それが表示される任意の所与の区間について、(少なくとも瞬間的に)前記投射されたレーザビームの長手方向軸を、その前に回折マスクを使用したときに投射されたのと同じ領域にわたって投射することを意味する方向に向け、それと組み合わせて使用されるポインティング回折マスクは、トラッキングを達成するために、前記領域の前記サブセットにわたって投射されたレーザビーム(またはその象限)を指す。
【手続補正40】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0056
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0056】
したがって、本発明の方法および装置、ならびに本明細書のシステムの好ましい実施形態では、各トラッキング回折マスクまたはトラッキング回折マスクとポインティング回折マスクとの各組み合わせは、前記マイクロプロセッサ内で計算され、前記レーザビームを回折および反射する前記素子内に表示されるホログラフィックグレースケールパターン(41)に含まれ、このように表示される前記ホログラフィックグレースケールパターンは、投射されたレーザビームを、トラッキング回折マスクまたはトラッキング回折マスクとその前のポインティング回折マスクとの組み合わせを使用して投射された領域にわたって、またはトラッキング回折マスクまたはトラッキング回折マスクとその前のポインティング回折マスクとの組み合わせを使用して投射された前記領域のサブセットにわたって投射する。換言すれば、各トラッキング回折マスクは、ホログラフィックグレースケールパターンに含まれ、ホログラフィックグレースケールパターンは、直前に使用されたトラッキング回折マスクを使用して投射された領域上に投射されたレーザビームを投射し、トラッキング回折マスクとポインティング回折マスクとの各組み合わせは、
(a)各組み合わせにおいて使用されるポインティング回折マスクが同じである場合、トラッキング回折マスクとその直前に使用されたポインティング回折マスクとの組み合わせを使用して投射された領域にわたって、または
(b)
(i)前記組み合わせがトラッキングマスクを使用した後に使用される第1の組み合わせである場合に、前記組み合わせの前に使用されるトラッキング回折マスク、または
(ii)各組み合わせにおいて使用されるポインティング回折マスクが異なる場合に、その前に使用されていたトラッキング回折マスクとポインティング回折マスクとの組み合わせ、を使用して投射された領域のサブセット上、のいずれかに投射されたレーザビームを投射するホログラフィックグレースケールパターンに含まれる。
【手続補正41】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0057
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0057】
本発明の方法および装置、ならびに本明細書のシステムの好ましい実施形態では、前記レーザビームを回折および反射する前記素子において生成される各トラッキング回折マスク、または、トラッキング回折マスクとポインティング回折マスクとの組み合わせは、レーザビームの波面を歪ませ、画像I(x,y)(42)を前記領域にわたって投射し、前記レーザビームを回折および反射する前記素子は、画素のマトリックスを備え、各画素は、p座標およびq座標によって画定され、画素(p,q)=(0,0)は、前記マトリックスの中心にある画素であり、前記回折マスク、または、回折マスクの組み合わせは、マイクロプロセッサにおいて計算されて前記レーザビームを回折および反射する前記素子に表示されるホログラフィックグレースケールパターンに含まれ、前記マトリックスの各画素(p,q)には、以下の式にしたがって計算される0とwとの間の階調g’(p,q)が割り当てられる:
【手続補正42】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0062
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0062】
【数1】

であり、
式中、
-pは、画素(p,q)の横座標であり、
-qは、画素(p,q)の縦座標であり、
-wは、前記レーザビームを回折および反射する前記素子において2πの位相変調を提供するグレー値であり、
-mod(w)は、wに対するモジュロ演算であり、
-ψ(p,q)、前記画像の逆フーリエ変換の位相関数であり、以下の式にしたがって計算され:
【手続補正43】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0067
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0067】
本発明の方法および装置、ならびに本明細書のシステムの好ましい実施形態は、投射されたレーザビームの強度および振幅変調を制御することによってさらなる情報を受信局に送信するステップ(vi)の後の追加のステップ(vii)を含み、投射されたレーザビームの長手方向軸が投射される方向は、ステップ(v)の最後の反復で生成されたポインティング回折マスクと組み合わせて、トラッキング回折マスクを使用してレーザから放射されたレーザビームの波面を歪ませることによって変更される。したがって、ステップ(vi)は、前記投射されたレーザビームによって符号化された情報を前記受信局に送信することを含む。好ましくは、情報の送信は、オンオフキーイングなどの標準的な送信プロトコルを使用して行われてもよい。さらなる情報を送信するこのステップは、前記さらなる情報を送信しながら前記受信局に対する光通信送信機の変位を考慮するために、t秒毎にステップ(v)の最後の反復で生成されたポインティング回折マスクと組み合わせて使用されるトラッキング回折マスクを変更することを必要とする。したがって、さらなる情報を送信するこのステップは、光通信送信機(例えば、その軌道に沿った衛星として)の固有の動きを補正するトラッキング回折マスクと組み合わせて、受信局にわたって集束されたレーザビームを維持するポインティング回折マスクを使用する。同時に、受信局は、より好ましくは、コンピュータは、光通信送信機の記憶されたTLE(2線要素)およびSPG4アルゴリズムを使用して、光通信送信機の動きを推定し、それに追従し、こうして光通信リンクを維持する。この光リンクの自由空間における通信伝送速度は、10Mbps(10メガビット毎秒)以上が好ましく、50Mbps以上がより好ましく、100Mbps以上がさらに好ましい。本明細書のシステムの好ましい実施形態では、ステップ(vi)を実行するために使用される手段は、受信局のマイクロプロセッサ、レーザ、SLM(したがって、前記レーザビームを回折および反射するその前記素子)およびフォトダイオードを指し、前記マイクロプロセッサは、前記レーザおよび前記SLMとの間でコンピュータ可読プログラム命令または符号化された情報をそれぞれ提供/受信する。
【手続補正44】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0068
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0068】
さらなる情報を送信するためのリンクの品質に関する情報は、八木アンテナを介して無線リンクを使用することによって受信局によって光通信送信機にフィードバックされる。さらなる情報の伝送のためのリンクの品質に悪影響を及ぼすことがあるトラッキングの小さな誤差は、好ましい実施形態では、通信の品質を改善するためにSLMに表示されるホログラフィックパターンとして前記レーザビームを回折および反射する前記素子に生成される回折マスクまたは回折マスクの組み合わせの特性を変更する光通信送信機のマイクロプロセッサによって補償される。
【手続補正45】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0069
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0069】
本明細書では、前述の図を参照して、本明細書で採用された符号にしたがって、本発明にかかる方法および装置、ならびに本明細書にかかるシステムおよび光通信送信機の好ましいが限定的ではない例を説明し、以下は、本明細書で定義された制限内の好ましい非排他的な実施形態の例である。
【手続補正46】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0070
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0070】
したがって、本明細書では、精密なポインティングおよびトラッキングシステムおよび装置が説明され、前記システムまたは装置は、光通信送信機として衛星(100)上に実装されると、回折反射によって地球ベースの受信局(110)への精密ポインティングおよびトラッキングに関連するビーム整形を実行するように構成される。したがって、本発明にかかるおよび装置、ならびに本明細書にかかるシステムおよび光通信送信機は、図1に示されたもののような光送信機システムまたは装置(10)を実装することによって衛星通信に用途を見出す。図1に示す実施形態では、放射器制御電子回路(12)は、衛星のオンボードコンピュータ(OBC、マイクロプロセッサ14)と通信し、レーザフォトダイオード(16)の光強度およびスイッチング周波数(すなわち、パルス周波数)を制御して、液晶オンシリコン空間光変調器(LCOS-SLM、24)装置上に表示される干渉パターンによって回折および反射されることによって情報を送信する。
【手続補正47】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0094
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0094】
【数12】

であり、
式中、ψ(p,q)は、前記画像の逆フーリエ変換の位相関数であり、wは、前記レーザビームを回折および反射する素子内の画素(p,q)の最大階調値である。
【手続補正48】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0115
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0115】
図9は、通信が確立され、進行中であるときにSLMの表面に投射されたホログラムを表している。光通信送信機(例えば、衛星)に焦点が合わされると、衛星から見てπ/9500ラジアンの角度に対応する長さ200mの辺を有する正方形が照射される。高度600kmの軌道の衛星が、トポセントリック座標の受信局(例えば、地球局)から見て、7.6km・s-1、または同等に0.7°・s-1(約π/250ラジアン/秒)で移動しているため、前記レーザビームを回折および反射する前記素子に表示されるホログラムは、t=27ms毎に更新される必要があり、すなわち、トラッキングマスクのリフレッシュ周波数は、少なくとも9500/250Hzである必要がある。図9では、一旦配置されると受信局(この実施形態では、地球局)のトラッキングに対応するホログラムが表されており、この変位が前記レーザビームを回折および反射する前記素子の水平座標と一致する方向に行われると仮定することによって、静止地球局に対する軌道上の光通信送信機(この実施形態では、衛星)の相対運動を補償する。A.(a)から(e)は、照射されている象限(この実施形態では、地球の表面にわたって)を示し、B.(a)から(e)は、これを達成するために前記レーザビームを回折および反射する前記素子の表面に投射されたホログラムをそれぞれ示す。特に、(a)は、地球局が配置され、レーザがπ/9500ラジアンの角度に集束されると、それぞれのホログラムによって照射される象限に対応する。(b)は、衛星が(a)の地球局の位置に対してπ/9500ラジアンの角度だけ移動したときに、LCOSに投射されたそれぞれのホログラムによって照射される象限に対応する。(c)は、(a)の地球局の位置に対して衛星が2・π/9500ラジアンの角度だけ移動したときに、LCOSに投射されたそれぞれのホログラムによって照射される象限に対応する。(d)は、(a)において衛星が地球局の位置に対して3・π/9500ラジアンの角度だけ移動したときに、LCOSに投射されたそれぞれのホログラムによって照射される象限に対応する。(e)は、(a)の地球局の位置に対して衛星が4・π/9500ラジアンの角度だけ移動したときに、LCOSに投射されたそれぞれのホログラムによって照射される象限に対応する。
【国際調査報告】