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特表2023-526510運動機能障害者用車椅子の車輪の並進移動のための組立体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-21
(54)【発明の名称】運動機能障害者用車椅子の車輪の並進移動のための組立体
(51)【国際特許分類】
   A61G 5/02 20060101AFI20230614BHJP
【FI】
A61G5/02 701
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022571204
(86)(22)【出願日】2021-05-17
(85)【翻訳文提出日】2023-01-06
(86)【国際出願番号】 FR2021050851
(87)【国際公開番号】W WO2021234259
(87)【国際公開日】2021-11-25
(31)【優先権主張番号】2005116
(32)【優先日】2020-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522452868
【氏名又は名称】トラスティス
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベルトラン,クロード
(72)【発明者】
【氏名】ベルナスコーニ,ジャン
(57)【要約】
通常の手動駆動式車椅子に適合可能な、1つ又は2つの装置を含む組立体又はキットである。前記装置は、迅速取り付け手段が設けられたガイド(1)と、後輪のための横方向ベアリングを有する車輪スライド(15)とを備えている。前記後輪は、前進位置と後退位置との間を回転し、前記後退位置において、前記後輪は座席の側部を超えて突出しない。前記装置は、さらに、関節接続された細長いレバー(28)を有し、当該レバーはスナップ嵌め要素(23,25)を有する。当該スナップ嵌め要素(23,25)は、前記前進位置と前記後退位置との間の距離に等しい距離だけ間隔を空けて配置されている。また、これらの位置において、前記スナップ嵌め要素(23,25)は、相補的スナップ嵌め要素(10)にスナップ嵌めされることができる。前記装置は、さらに、前記レバーをスナップ嵌めされていない位置に保持するための手段(10)を含み、前記スライド(15)の運動が前記レバーを、前記保持手段(10)から自動的に解放する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪上の円形押し輪により手動で駆動される通常の車椅子に取り付けられ得る組立体又はキットであって、1つ又は2つの装置を備え、当該装置が、互いに対して移動可能な2つの部品(すなわち、特にクランピングにより迅速に固定する手段(41)が水平位置に設けられたガイド(1)と、前記ガイド(1)によりガイドされる車輪スライド(15)と)を含み、当該スライド(15)が横方向アクスル又はスリーブ(48)を有し、当該スリーブ(48)の上又はその内部に後輪を取り付けることができ、これにより、前記後輪の回転が、前記スライド(15)を前記ガイド(1)に沿って、通常の回転前進位置と、前記後輪がもはや前記椅子の座席側部に突出しない後退位置との間で移動させ、前記装置が、さらに、前記スライド(15)の、前記前進位置、後退位置のそれぞれにおける固定化を手動で作動させるための手段を含み、前記細長いスライド(15)の長さは、前記後方又は後退位置において前記スライド(15)が、前記スライドの前部が前記ガイドに保持されたまま前記ガイド(1)の後端からはみ出でた状態で出ることができるような長さであり、前記前進位置及び後退位置固定化手段が、手動でロック解除可能なクリッピング手段(10,23,25)、及び、非クリッピング位置維持手段(7)を含み、当該維持手段(7)が、ユーザが手を自由にすることを可能にし、それによりユーザが前記椅子の前記車輪を前記前進位置と後退位置との間で駆動させることができ、前記装置が、さらに、自動ロック解除手段を含み、当該ロック解除手段が、前記車輪スライド(15)の移動時に、前記クリッピング手段の、前記クリッピング位置への戻りを可能にする組立体又はキットであって、
前記クリッピング手段(10,23,25)が細長いレバー(20,28)を含み、当該レバー(20,28)が前記部品(1,15)の一方に枢動式に関節接続され、且つ、ハンドレバー又はハンドル(21,31)により作動可能であり、前記レバー(20,28)と、前記レバーを担持していない前記部品(1,15)とが、それぞれ、相補的クリッピング要素(24,26)(すなわち、前記前進位置と後退位置との距離に等しい距離だけ間隔を空けて配置された2つの要素(24,26))を含み、前記装置が、さらに要素(10)を含み、当該要素(10)が、前記スライド(15)が前進位置、後退位置にそれぞれに達したときに一緒にクリップされるように適合されており、前記レバー(20,28)が、非クリッピング位置とクリッピングされた位置との間を枢動可能であることを特徴とする、組立体又はキット。
【請求項2】
前記レバー(20,28)が前記スライド(15)上に関節接続され、且つ、前記間隔を空けて配置されたクリッピング要素(24,26)を含み、前記ガイド(1)が前記相補的クリッピング要素(10)を担持していることを特徴とする、請求項1に記載の組立体又はキット。
【請求項3】
前記レバーが、前記固定されたガイド(1)上に関節接続され、前記スライド(15)が、前記間隔を空けて配置されたクリッピング要素を含み、前記レバーが前記相補的クリッピング要素(10)を含むことを特徴とする請求項1に記載の組立体又はキット。
【請求項4】
前記レバー(20,28)が関節を含み、且つ、前記レバー(20,28)の前記関節(22)の位置が、前記スライド(15)の移動により前記非クリッピング位置維持手段(7)から前記レバーが遠ざけられた後に前記レバーが前記クリップされた位置に重力だけで戻ることを可能にすることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の組立体又はキット。
【請求項5】
前記関節(22)が前記レバー(20,28)の端部の一方に向かって配置されていることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の組立体又はキット。
【請求項6】
前記関節レバー(20,28)が、クリッピングレリーフ、穴又はノッチ(23,25)を有し、これらのノッチ(23,25)が、前記スライド(15)の、前記前進車輪位置と前記後退車輪位置との間の移動に対応する距離だけ前記レバーに沿って分離されており、且つ、前記ガイド(1)上の相補的ノッチ、穴又はレリーフ(10)内にクリップ嵌めされることが意図されていることを特徴とする、請求項1、2又は5のいずれか一項に記載の組立体又はキット。
【請求項7】
前記レバーの前方クリッピングレリーフ、穴又はノッチ(23)が、クリップされていない上昇位置においても、後退し、且つ、前記固定されたレリーフ、穴又はノッチ(10)に突き当たって、前記レバーがさらに後退することを防止するように構成されていることを特徴とする、請求項5又は6に記載の組立体又はキット。
【請求項8】
前記非クリッピング位置維持手段が、磁気手段、特には1以上の磁石(7,68,69)を含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の組立体又はキット。
【請求項9】
前記レバー(20,28)の上縁が、前記クリッピングレリーフ、穴又はノッチ(23,25,72)の高さに、前記レバーが持ち上げられたときに1以上の磁石(7,68,69)に押し付けられ得る強磁性部品(24,26,73,74)を有することを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の組立体又はキット。
【請求項10】
前記ガイド(1)が薄い平面鉛直要素を含み、当該平面鉛直要素が、一方の側部に、前記椅子の前記シャーシの一部に固定するための手段(4)を有し、他方の側部に、前記スライド(15)を保持及びガイドする回転部材(5)を含み、前記スライドが、前記回転部材(5)により保持及びガイドされる薄い細長い平坦な要素を含み、前記クリッピングレバー(23,25)が、前記スライド(15)に平行に延在する平坦な細長いブレード形状であることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の組立体又はキット。
【請求項11】
前記スライドの前記平面要素が、その長い縁(19)の上及び下にて溝付きホイール(5)により保持及びガイドされることを特徴とする、請求項10に記載の組立体又はキット。
【請求項12】
前記椅子の前記シャーシに固定するための前記手段(4)が、椅子のシャーシの鉛直バー又はロッドにクランプされ得るクランピングフランジ又はカラー(41)であることを特徴とする、請求項9~11のいずれか一項に記載の組立体又はキット。
【請求項13】
前記ガイド(1)が、その前進位置で前記後輪の車軸又はベアリング(48)を受け入れるために、後方に向かって開いたノッチ(2)を有することを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の組立体又はキット。
【請求項14】
後輪が取り付けられ得る前記横方向スリーブ(48)が、異なる長さの大型後輪車軸をクリッピングにより固定できるように、間隔をあけて配置された内溝を特徴とすることを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の組立体又はキット。
【請求項15】
前記組立体の2つの前記スライド(15)の後端を接続する細長い要素又はクロスメンバー(53)を含むことを特徴とする、請求項1~14のいずれか一項に記載の組立体又はキット。
【請求項16】
前記スライド(15)が部品(34)を有し、当該部品上に、車輪ブレーキ(39)(詳細には、関連する前記車椅子の前記シャーシにより最初に担持されている車輪ブレーキ)が取り付けられることができ、この部品(34)が、前記スライド(15)の上縁に固定されることができるベース(34)を特徴とし、当該ベース(34)に、前記ブレーキがその上に通常固定される前記椅子の前記シャーシ部分と同一の直径を有する円筒又は管状セクション(36)が固定され得ることを特徴とする、請求項1~15のいずれか一項に記載の組立体又はキット。
【請求項17】
前記スライドの前記後端上に、プラットフォーム、グリッド又はプレートが水平に載せられ、このプラットフォームの前縁が、前記椅子シャーシの後部又はこの高さで前記スライドに接続され、これにより、このプラットフォーム上に荷物又はその他の物を置くことができることを特徴とする、請求項1~16のいずれか一項に記載の組立体又はキット。
【請求項18】
前記ガイド(1)が、任意選択的に所定距離にて、前記ガイド(1)に平行な第2の平面要素(65)を担持する平面要素であり、前記スライド、前記回転手段、及び前記レバーが、前記2つの要素を分離する空間に配置され、前記第2の平面要素(65)が、前記第1の平面要素に強固な連結部により連結されて、当該強固な連結部が、前記スライド(15)を前記回転手段(5)から分離させる傾向がある異常荷重の場合に、前記スライド(15)が前記椅子から離れるのを防ぐことを特徴とする、請求項1~17のいずれか一項に記載の組立体又はキット。
【請求項19】
前記装置が、車椅子の下部長手方向フレーム部材と上部長手方向フレーム部材との間にクランプされることが意図された伸縮可能な鉛直アップライト(57)を含むことを特徴とする、請求項1~18のいずれか一項に記載の組立体又はキット。
【請求項20】
前記装置の厚さが35mm以下、特には30mm以下であることを特徴とする、請求項1~19のいずれか一項に記載の組立体又はキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運動機能障害者用の手動駆動式車椅子のための、ユーザの、椅子への又は椅子からの横方向移動を容易にする、特にはキット形態の組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
手動式車椅子は、車輪上の円形の押し輪を駆動することにより手動駆動できるように、後輪の直径が大きい。これらの車輪は、障害者が車椅子の座席と別の隣の座席との間を横方向に移動する際に障害となる。
【0003】
直径が大きい後輪の片方又は両方が、シャーシの残りの部分に水平にスライドする部品に取り付けられている手動駆動の車椅子が既に提示されており、これは、車輪が、通常の使用位置と、障害者の移動を容易にするために座席の側部をフリーにする後退位置との間で後退されることを可能にしている。この種の椅子が、特許文献1、特許文献2,特許文献3,及び特許文献4に記載されている。これらは、特に長手方向の全体寸法が後方に突出する。さらに、前進位置及び後退位置でのロック解除がユーザにとって煩雑であり、ユーザは車輪を同時に作動させなければならない。これと同様のことが特許文献5,特許文献6にも当てはまる。特許文献7に記載されている車椅子は、後部キャスター車輪と、大型後輪のスライドを可能にするために座席を上昇させる手段との存在を必要とする。特許文献8は、複雑なスライド式シャーシを有する車椅子を記載している。
【0004】
特許文献9及び特許文献10は、車輪の作動及びロック解除が、これら2つの位置間の複雑な駆動機構により行われる車椅子を記載している。さらに、特許文献10は、長手方向における嵩張りはより少ないが、複雑で、レバーによる作動を必要とする伸縮式スライド装置を記載している。
【0005】
特許文献11及び特許文献12は、これらの問題を解決する組立体を記載しており、これらは、既存のほとんどの手動式車椅子に簡単に取り付けられるキットの形態であり得る。細長いスライドの長さは、後方又は後退位置において、ガイド(椅子の後部からあまり又は全く突出しない)の後端からはみ出ることができるようになっており、スライドはその前部がガイドに固定されたままである。
【0006】
特許文献13、特許文献14及び特許文献15は、この種の組立体を記載しており、これらは、後輪のロックを解除してユーザが後輪を動かすことを可能にし、その後、前進位置と後退位置に固定することが特に実用的である。
【0007】
特許文献16及び特許文献17は、特に軽量なこの種の組立体を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/133779号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2004/080137号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第102008013453号明細書
【特許文献4】特開2011104317号公報
【特許文献5】特開平10-234966号公報
【特許文献6】特開平11-226057号公報
【特許文献7】欧州特許第1192924号明細書
【特許文献8】英国特許第2141980号明細書
【特許文献9】仏国特許第2995209号明細書
【特許文献10】特開2009-178492号公報
【特許文献11】仏国特許第15/01566号明細書
【特許文献12】欧州特許第3120818号明細書
【特許文献13】仏国特許第16/01635号明細書
【特許文献14】仏国特許第17/00045号明細書
【特許文献15】欧州特許第3323400号明細書
【特許文献16】仏国特許第17/00593号明細書
【特許文献17】欧州特許第3412267号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、これらの組立体は、比較的コンパクトでほとんどの既存の車椅子にも取り付け可能ではあるが、大きい後輪間の距離を増大する厚さも有し、これにより、ドアや狭い通路に沿った通行に支障をきたす場合がある。
【0010】
本発明は、これらの欠点を改善し、且つ、非常に軽量なこの種の組立体であって、既存のほとんどの車椅子に、より簡単に取り付けられ、非常に単純で、後輪間の距離を維持できる組立体を提供することを提案する。この組立体は、単純な構造で取り付けも簡単である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、車輪上の円形押し輪により手動で駆動される通常の車椅子に取り付けられ得る組立体又はキットを目的とし、この組立体は、1つ又は2つの装置を備え、これらの装置は、互いに対して移動可能な2つの部品を含む。すなわち、これらの部品は、特にクランピングにより迅速に固定する手段が水平位置に設けられたガイド、及び、前記ガイドによりガイドされる車輪スライドである。当該スライドは、横方向アクスル又はスリーブを有し、当該スリーブの上又はその内部に後輪を取り付けることができ、これにより、前記後輪の回転が、前記スライドを前記ガイドに沿って、通常の回転前進位置と、前記後輪がもはや前記椅子の座席側部に突出しない後退位置との間で移動させる。前記装置は、さらに、前記スライドの、前記前進位置、後退位置のそれぞれにおける固定化を手動で作動させるための手段を含む。前記細長いスライドの長さは、前記後方又は後退位置において前記スライドが、前記スライドの前部が前記ガイドに保持されたまま前記ガイドの後端からはみ出でた状態で出ることができるような長さである。前記前進位置及び後退位置固定化手段は、手動でロック解除可能なクリッピング手段、及び、非クリッピング位置維持手段を含み、当該維持手段は、ユーザが手を自由にすることを可能にし、それによりユーザは前記椅子の前記車輪を前記前進位置と後退位置との間で駆動させることができる。前記装置は、さらに、自動ロック解除手段を含み、当該ロック解除手段は、前記車輪スライドの移動時に、前記クリッピング手段の、前記クリッピング位置への戻りを可能にする。このような前記組立体又はキットは、前記クリッピング手段(10,23,25)が細長いレバー(20,28)を含み、当該レバー(20,28)が前記部品(1,15)の一方に枢動式に関節接続され、且つ、ハンドレバー又はハンドル(21,31)により作動可能であり、前記レバー(20,28)と、前記レバーを担持していない前記部品(1,15)とが、それぞれ、相補的クリッピング要素(10,24,26)(すなわち、前記前進位置と後退位置との距離に等しい距離だけ間隔を空けて配置された2つの要素(24,26))を含み、前記装置が、さらに要素(10)を含み、当該要素(10)が、前記スライド(15)が前進位置、後退位置にそれぞれに達したときに一緒にクリップされるように適合されており、且つ、前記レバー(20,28)が、非クリッピング位置とクリッピング位置との間を枢動可能であることを特徴とする。
【0012】
A.好ましい実施形態において、前記クリッピング手段は、前記スライド上で(好ましくはほぼ鉛直の平面において)枢動するように関節接続された細長いレバーを含み、当該レバーはハンドレバー又はハンドルにより作動される。当該レバーはクリッピング要素を有し、これらのクリッピング要素は、前記前進位置と後退位置との距離に等しい距離だけ間隔を空けて配置されており、前記スライドが前記前進位置と後退位置のそれぞれに達したときに相補的クリッピング要素にクリップされることができる。前記レバーは、非クリッピング位置とクリップされた位置との間を枢動できる。
【0013】
B.別の実施形態において、前記レバーは、前記固定されたガイド(1)に、好ましくはほぼ鉛直な平面において関節接続されており、前記スライド(15)は、前記間隔を空けて配置されたクリッピング要素を含み、この場合、レバーが、前記相補的クリッピング要素(10)を含む。
【0014】
以下の特徴は、形態Aのみに適用されること、又は形態Bのみに適用されることを特定しない限り、上記の2つの実施形態A及びBに、個別に又は組み合わせて適用され得る。
【0015】
「水平位置」とは、水平な、又はわずかに傾斜した(好ましくは0度~5度の角度で後方に傾斜した)位置を意味する。
【0016】
前記車輪スライドの移動時に前記クリッピング手段を前記クリッピング位置に移動させることを可能にする前記自動ロック解除手段は、例えば、前記レバーを前記クリップされた位置に戻すためのばねを含み得る。しかし、これらの手段は、好ましくは、単に、前記レバーの前記関節の位置、すなわち、前記スライドの移動が前記レバーを前記維持手段から遠ざけた後に前記レバーが重力のみにより前記クリップされた位置に戻ることを可能にする位置により構成される。
【0017】
特徴Aによれば、前記レバーは、好ましくは、前記スライドに関節接続され、前記間隔を空けて配置されたクリッピング要素を担持している。前記ガイドは、前記相補的クリッピング要素を担持している。
【0018】
前記関節は、好ましくは前記レバーの一方の端部に向かって、より好ましくは前端に向かって位置する。
【0019】
特に好ましい実施形態において、前記関節接続されたレバーは、クリッピングレリーフ、穴又はノッチを特徴とし、これらのノッチは、前記レバーに沿って、前記スライドの、前記前進車輪位置と後退車輪位置との間の移動に対応する距離だけ分離されている。また、これらのノッチは、好ましくは前記ガイドが含む相補的ノッチ、穴又はレリーフにクリップされることが意図されている。従って、特に好ましい仕様において、前記レバーはその下縁に2つのノッチを有し、これにより、前記レバーが持ち上げられてスライドの動きによりわずかに移動されたならば、前記レバーの前記下縁は、前記固定されたレリーフ上をスライドし、このスライドは、他方のノッチが前記固定されたレリーフの上に到達してこのレリーフに、好ましくは重力のみによりクリップされるまで続く。
【0020】
前記非クリッピング位置維持手段は、好ましくは磁気手段であり、好ましくは単一の磁石から成り、好ましくは小さい鉛直ディスクの形態である。特徴A(前記レバーがその下縁にクリッピングノッチ又はレリーフを有する)による好ましい状況において、これらの手段は、単一の固定された磁石(好ましくは前記レバーの軌道の上方の前記ガイドにより担持されている)を含み、前記レバーの上縁は、各穴又はノッチの高さに強磁性部品を含み、この強磁性部品は、前記レバーが持ち上げられたときに前記磁石に押し付けられることができる。通常の前進車輪位置に対応する前記ノッチの高さに配置された前記強磁性部品は、他方の強磁性部品と比較して、前記レバーの長手方向幾何学軸よりも遠くにある。これは、前記レバーの関節軸がレバーのクリッピング要素を分離する距離以外に位置する好ましい状況において、前記レバーの回転時にその運動の最小振幅さえも補償するためである。もちろん変型例においては、前記レバーが2つの磁石を担持し、これらの磁石が、固定された強磁性部品と協働することも可能である。
【0021】
特徴Bの場合、これらの手段は、好ましくは前記スライドにより担持された2つの磁石を含み、これらの磁石が、前記レバーにより担持された2つの強磁性部品と協働することができる。
【0022】
従って、ロック解除位置維持手段により、前記レバーは自動的にロック解除され、これにより、前記スライドが前進位置又は後退位置から移動すると前記磁石から離れ、そして、前記レバーは自動的にクリッピング位置に戻る。
【0023】
この装置は、好ましくは、当該装置のスライドが前記ガイド内でその通常の前進回転位置を超えて前進することを防止するアバットメント手段と、前記スライドがその後退位置を超えて後退してガイドから脱出することを防止するアバットメント手段とを含む。後者の手段は、単に、前記レバーの前方クリッピングレリーフ、穴又はノッチのリムが、固定されたレリーフ、穴又はノッチに突き当たり、クリップされていない上昇位置においても前記レバーがさらに後退することを防止することにより形成され得る。
【0024】
後方に向かって開いたノッチは、前記ガイド内に、有利には、前進位置にある前記後輪の車軸又はベアリングを受け入れるために設けられ得る。このノッチの底部は、好ましくは、前記スライドの前方への抜け出しを防止するアバットメント手段を形成する。
【0025】
特に有利な実施形態において、前記ガイドは薄い平面鉛直要素を含み、この要素は、一方の側部に、この要素を前記椅子の前記シャーシの一部に固定するための手段を有し、他方の側部には、前記スライドを維持及びガイドする回転部材を有することを特徴とする。前記スライドは、平らで薄く細長い鉛直要素を含む。この要素は、前記回転部材により、(好ましくは、この要素の長い方の縁より上又は下にて)保持及びガイドされる。前記クリッピングレバーは平坦な細長いブレード形状であり、前記スライド(前端及び/又は後端に向かって位置するハンドレバー又はハンドルにより作動され得る)に平行に延在する。前記レバーは、好ましくは前記スライドにより担持され、好ましくは、前記スライドの面の一方に、前記スライドの前方に向かって関節接続されている。
【0026】
この平面要素は、好ましくは、これに平行な第2の平面要素を、所定の距離を有して担持することができ、前記スライド、前記回転手段及び前記レバーが前記2つの要素を分離する空間内に配置される。この第2の平面要素は、前記第1の平面要素に、例えばボルトなどの強固な連結部により連結されることができ、これにより、前記回転手段から分離される傾向のある異常荷重が生じた場合に前記スライドが前記椅子から離脱することを防止できる。
【0027】
この第2の平面要素は、有利には第1の平面要素と同一であってもよく、これにより製造が簡素化される。
【0028】
前記ガイドの薄い平面要素とは、例えばプレートであり、例えば厚さ5mm~12mm、より好ましくは厚さ8mm~12mmの要素を意味する。前記ガイドの長さは、好ましくは8cm~12cmであり、前記ガイドの高さは、前記ガイドが担持しているガイド及び回転手段が、前記スライドの上縁及び下縁より上及びより下に位置し得るような高さである。
【0029】
前記ガイドを前記椅子の前記シャーシに固定する手段は、好ましくは、前記椅子の前記シャーシの要素(例えば鉛直ロッド又はバーであり、これらは、通常、本発明による組立体を取り付ける前に、前記椅子の大型後輪を担持している)をクランプできるクランピングカラー又はフランジである。これらのカラー又はフランジは、好ましくは、ガイドの穴にねじ込むことにより固定され、締め付けられる。
【0030】
前記スライドの薄く細長い平坦な要素とは、例えばプレートであり、好ましくは厚さ8mmから10又は12mmの要素を意味する。前記スライドの高さは、好ましくは50mm~80mmを超えず、この高さは、好ましくは約50mm~60mmである。前記スライドの長さは、好ましくは約30cm~40cmであり、後退位置でのはみ出しの長さは、好ましくは約17cm~22cmである。
【0031】
一実施形態において、前記回転及びガイド部材は、前記スライドの丸みを帯びた上下の縁をガイドする凹状の、特には溝付きの外周を有するホイールである。これらの縁は、好ましくは、前記縁の細長い溝に係合されたロッドにより形成され、当該ロッドの厚さ又は直径は、好ましくは約4mm~6mmである。
【0032】
別の実施形態において、前記ホイールは凸状の外周を有し得る。この場合、前記スライドの上縁と下縁が、ホイールがその内部で回転する溝を有する。
【0033】
前記クリッピングレバーは、好ましくは、前記スライドの大きい長さにわたって延在する平坦な要素であり、好ましくは、厚さが4mm~6mmである。
【0034】
2つの隣接するガイド及びスライドと、平坦なクリッピング要素との間の距離又は間隙は、好ましくは2mm以下である。
【0035】
前記スライドには、前記ガイドに面した反対側の面に、有利には、例えば5mm未満の厚さの薄いコンシーラが設けられ得る。
【0036】
特に好ましい実施形態において、前記大型後輪がその上又はその内部に取り付けられる前記スライドの固定された横方向アクスル又はスリーブは、前記椅子が通常有する前記固定された対応する車軸又はベアリングの距離よりも短い距離だけその装置から出現する。この、より短い距離は、好ましくは、前記通常の距離から前記スライドの厚さにほぼ等しい値を差し引いた値にほぼ等しい。
【0037】
この距離は、好ましくは5mm~20mmであり、30mmを含む距離である。
【0038】
従って、本発明は、前記組立体の前記2つの装置の各々の合計厚さを35mm以下、特には30mm以下にすることができ、これは、本発明による組立体を取り付けた後の2つの後輪間の距離を、組立体を取り付ける前の車椅子の距離とほぼ同一に維持することを可能にする。
【0039】
後輪をその上に取り付けることができる、前記スライドの後端に向かって取り付けられたトランスファースリーブ(transfer sleeve)は、有利には、大型後輪の異なる長さの車軸のクリッピングによる固定を可能にするために、間隔を空けて配置された内溝を含み得る。
【0040】
例えば前記スライドの前部に関節接続された前記レバーは、好ましくは、延長部、ハンドレバー又はハンドルを有し、これらのハンドルは、ユーザがハンドルを作動させて非クリッピング位置まで動かすことができるように前記スライドの前端を超えて出現し、且つ/又は、ヘルパーがハンドル作動させることができるように前記スライドの後端を超えて出現している。しかし、代替案として、ハンドル又はハンドレバーを前端と後端との間に配置して、手動で作動できるようにしてもよい。
【0041】
この組立体は、また、各装置に対して、下部長手方向シャーシ部材と上部長手方向シャーシ部材との間でクランプされることが意図された伸縮可能な鉛直アップライトも含み得る。このアップライトは、好ましくは、スタッド上にそれぞれねじ込まれた2つのスリーブを含み、各スリーブは、その自由端に、フレア状の(例えばV字状の)ブラケットを有し、この長手方向部材に押し付けられるようになっているか、又は、逆に、ブラケット及び中央スリーブを担持している2つのスタッドを含み、ねじ込むことにより前記ブラケットが互いに遠ざかることができ、且つ前記アップライトが前記シャーシに対して鉛直方向にクランプされ得るようになっている。
【0042】
この鉛直アップライトは、第2のガイド(第1のガイドと同様であるが、クリッピング手段、及び、ロック解除位置を維持する手段を有さない)を、例えば、フランジにより固定するために使用することができ、前記第1ガイドの前に位置合わせされることになり、これにより、非常に重い荷重を支えるスライドを後退位置に保持するためのより長いガイドを形成する。
【0043】
また、このアップライトは、例えば椅子のシャーシが通常のアップライトを前記大型後輪の車軸高さに有さない場合、前記ガイド自体を固定するために使用されることも可能である。
【0044】
好ましい実施形態において、前記組立体は、好ましくは、着脱可能な細長い要素又はクロスメンバーをさらに含む。このクロスメンバーは、例えばシャフトの形態であり、前記組立体の前記2つのスライドの後端を、好ましくは前記後輪の車軸と位置合わせして接続する。この細長い要素は、各端部に、関連する前記装置から出現している前記スライドの固定された横方向ベアリングを有し得るが、前記ベアリングが前記スライドに直接固定されることが好ましく、前記細長い要素は、その端部が前記スライドに、好ましくは前記車輪の車軸又はベアリングの高さで固定されるように適合されている。
【0045】
前記細長い要素は、好ましくは長さが調節可能であり、従って、前記組立体の前記2つの装置を、前記車椅子の各側に1つずつ取り付けた後に取り付けられることができる。
【0046】
前記スライドは、好ましくは、その前端に、車輪ブレーキがその上に取り付けられ得る部品を含み得る。好ましくは、前記車輪ブレーキは、関連する前記車椅子のシャーシにより最初に担持されている。この部品は、好ましくは、前記スライドの上縁に固定されることができるベースを含み、且つ横方向フランジを有し、この横方向フランジの上に、円筒状又は管状のセクションが固定され得る。このセクションは、前記椅子のシャーシ部分(この上に前記ブレーキが通常固定されている)と同一の直径を有する。
【0047】
本発明による組立体は、さらに、プラットフォーム(例えば格子又はプレートの形態)を含み得る。このプラットフォームは、前記スライドの後端上(好ましくは、前記スライドを連結している細長い要素上)に水平に載ることになり、このプラットフォームの前縁は、前記椅子の前記シャーシの後部に接続されるか、又はこの高さにて前記スライドに接続され、これにより、このプラットフォーム上に、物体、荷物又はその他のアイテムを置くことができる。
【0048】
本発明のその他の利点及び特徴は、添付図面を参照しつつ非限定的な例として与えられる以下の説明を読めば、明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】本発明によるガイドの立面図である。
図2】このガイドの側面図である。
図3】本発明によるスライドの立面図である。
図4】このスライドをガイドに取り付けた状態の側面図である。
図5】本発明によるクリッピングレバーの立面図である。
図6】本発明によるクリッピングレバーの別の実施形態を示す立面図である。
図7】これらのレバーの後方強磁性部品の側面図である。
図8】これらのレバーの前方強磁性部品の側面図である。
図9】車輪ブレーキ固定部品を担持しているスライドの立面図である。
図10】この車輪ブレーキ付き固定部品を担持しているスライドの側面図である。
図11】この部品の、所定の直径を有するブレーキキャリア要素の側面図である。
図12】この部品の、図11の直径とは異なる直径を有するブレーキキャリア要素の側面図である。
図13】ガイドの取り付けフランジを上から見た図である。
図14】車椅子のシャーシアップライトに取り付けられたガイドの立面図である。
図15】ガイドに係合されたスライドの側面図である。
図16】車椅子のシャーシに取り付けられ、コンシーラを担持している、通常の前進位置にある本発明による装置の立面図である。
図17】車椅子のシャーシに取り付けられ、コンシーラを担持している、後退位置にある本発明による装置の立面図である。
図18】スライドの後端及び大型後輪車軸キャリア要素の分解斜視図である。
図19】スライドのこの後端の組み立てた状態の斜視図である。
図20】本発明による組立体のための車椅子大型車輪を連結するクロスメンバーの、格納位置での立面図である。
図20】このクロスメンバーの展開位置における立面図である。
図22】前方且つクリップされた位置での、スライドがガイドに係合されている状態を示す立面図である。
図23】前方且つ非クリッピング位置での、スライドがガイドに係合されている状態を示す立面図である。
図24】後方且つクリップされた位置での、スライドがガイドに係合されている状態を示す立面図である。
図25】後方且つ非クリッピング位置での、スライドがガイドに係合されている状態を示す立面図である。
図26】細長いガイドを備えた装置の立面図である。
図27】この装置を車椅子のフレームに取り付けた状態の側面図である。
図28】凸状の丸味を帯びた形状のホイールによりガイドされるスライドの側面図である。
図29】レバーがガイド上に関節接続されている組立体の背面からの側面図である。
図30】この組立体のスライドの異なる位置の1つにおける立面図である。
図31】この組立体のスライドの異なる位置の1つにおける立面図である。
図32】この組立体のスライドの異なる位置の1つにおける立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1及び2を参照すると、本発明による装置のガイドが見られ、このガイドは、平面要素、例えば、好ましくはアルミニウムからつくられたプレート1を含む。プレート1は、その後縁に、大型後輪の車軸を受け入れるためのノッチ2を有する。プレート1は、複数の穴、好ましくはねじ穴を含み、これらの穴は、それぞれプレートの上縁及び下縁の付近に位置し、好ましくは、プレートの幾何学的水平軸に対して対称に配置されており、すなわち、前、中央、及び後ろの3つの穴3の2つの列(これらの穴に車軸が固定され又はねじ込まれ得る)と、対応する穴3の間に配置された2つの穴4の2つの列とである。穴4内にフランジ固定ねじがねじ込まれ又は固定され得る。
【0051】
溝付きホイール5が、それらのアクスル6を穴3にねじ込み又は固定することにより取り付けられ、例えば、上縁に向かって、後方ホイール及び前方ホイールが取り付けられ、下縁に向かって、後方ホイール、中央ホイール及び前方ホイールが取り付けられ、すなわち、5つのホイールが取り付けられる。上方の中央ホイールを追加することにより、6つのホイールを同様に設けてもよく、或いは、4つのホイールのみ、すなわち、2つの下方ホイール及び2つの上方ホイールを設けてもよい。
【0052】
これとは逆に、凸状の外周を有し、好ましくは丸みを帯びた断面を有するホイールを使用することもでき、その場合、スライドは、その下縁及び上縁に沿って直線状の溝(好ましくはこれらの縁内に直接凹んでいる)を有する。
【0053】
上部中央の穴3の高さに、穴にねじ込まれる又は固定されたロッド8により担持される円形状の磁石7が取り付けられている。また、ロッド8は、プレート1と磁石7との間に配置された枢動ホイール5を担持するためにも使用され得る。前下方の穴3には、アバットメント部品10(例えば小さい矩形のプレートの形態)が、ロッド9のねじ込み又は固定により取り付けられている。アバットメント部10のいずれの回転も防止するために、アバットメント部10は、プレート1の下端付近に位置する穴12を貫通している下部ロッド11を担持し得る。
【0054】
ガイドプレート1は、大型後輪のベアリング面の通過を可能にするノッチ2と同じ高さに穴14を有することを特徴とし得る。これは特に、特定の車椅子、すなわち、取り外し不可能なベアリング面が設けられている車椅子の場合であり、このベアリング面が、ガイド1がそこに固定されるべきリヤシャーシアップライト上で大型後輪の車軸を受ける。
【0055】
場合によっては、標準的な厚さ(例えば10mm)を有するプレート1の重量を減らすために、幅広凹部13をプレートに、プレートの上端及び下端の幅を変更せずに形成してもよい。凹部の高さにおけるプレートの厚さは、好ましくは8mm~10mmである。
【0056】
図3及び図4を参照すると、細長い矩形のプレート(好ましくはアルミニウム又はその他の非磁性(amagnetic)材料から作られた)で形成された、この装置のスライド15が見られる。スライド15は、その前端に向かって、好ましくねじ切りされたねじ穴16を有し、ねじ穴16は、クリッピングレバー関節ピンを、例えばねじ込みにより受け入れることができる。スライドは、その後端に向かって、好ましくねじ切りされた大きい穴17を有することを特徴とし、大きい穴17は、大型後輪の回転のためのベアリング又はシャフトを受けるためにある。スライドは、その前端及びその上縁付近に向かって、2つのねじ穴18の列を有し、穴18は、車輪ブレーキ部品(図10及び図15に示す)を取り付けることを可能にしている。また、同様の2つ穴を下縁付近にも設けてもよい。
【0057】
穴16は、プレート15のほぼ中間の高さに配置されているが、より低い位置に同様に配置されてもよく、本質的なことは、クリッピングレバーが十分な回転を描けるようにすることである
【0058】
図4に見られるように、スライドプレート15の下縁及び上縁の縁面は、各々、フライス加工された溝を特徴とし、この溝内に、細長い円筒状ロッド19(好ましくは鋼製)がクランプされている。ロッド19は、ロッド19が受け入れられている溝内で、ホイール5のためのベアリング面として機能する。その機能は、図4図10及び図15に示されているようにスライド15がガイド1に取り付けられたならば、スライド15がガイド1から離れることもガイドに向かって動くこともなく、図4に見られるようにガイドに対して水平方向にのみスライドできるように保持されるような機能である。
【0059】
一方、図28に示されている変型例においては、ガイドのホイール5’は、スライド15をガイドして保持する、丸みを帯びた断面の外周を有し、スライド15の上縁及び下縁は、凹んだ断面の溝を特徴としている。このようなホイール及びスライドは、説明した全ての実施形態で使用可能である。
【0060】
これらの図に示したスライドは、スライドの縁をガイドするホイールが設けられたその他のガイドにも同様に関連付けられることができる。
【0061】
図5を参照すると、フラットなクリッピングレバー20が見られる。レバー20は、その前端から後端において、ハンドルを形成するか又は別個のハンドルを受けるように適合された部分21と、好ましくはレバーの上縁に対してオフセットされた関節穴22と、下向きに開いた第1の前方ノッチ又は凹部23と、上向きに延在する大きい強磁性ラグ24と、下向きに開いた第2の後方ノッチ又は凹部25と、そして、最後に、上向きに延在する小さい強磁性ラグ26とを含む。ノッチ23とノッチ25との距離は、スライド15の、従って大型車輪の前進位置と後退位置との間の移動の振幅に対応している。ラグ24とラグ26との間の距離も実質的に同じである。
【0062】
レバー20の厚さは、例えば3mm~6mmであってよく、レバーは、例えばフラットシートを単に切断することにより得られるであろう。レバーの幅は、レバーが持ち上げられてスライド15がその前進位置と後退位置との間を移動するときに、レバーの下縁27がアバットメント10の頂上を通過できるように十分に小さい。
【0063】
図6の実施形態では、クリッピングレバー28は、その短くされた前端29に、レバーを延長するハンドル(図示せず)を固定するための穴を有し、部品26が設けられた後端30は、好ましくはクランク状であるリヤハンドル部品31を担持できる。リヤハンドル部品31は、上方に延在して、リヤハンドル(車椅子の後ろを歩くヘルパーにより持ち上げられ得る)を形成するか、又は、リヤハンドルを受ける。
【0064】
図6に見られるように、レバー28の幅は、ノッチ23(レバー27の下縁から低下している)の前縁32を構成するように前部の底部に向かって増大され得る。この結果、スライド15が後方に押されるとレバーが上昇され、ノッチ付き縁32が最終的にアバットメント10に突き当たり、これにより、スライドは、後方に逃げてガイド1から出るということができなくなる。一方、スライドがその前方位置に向かって押されると、車輪の車軸又はその車軸-ベアリング面がノッチ2の底部に突き当たる。また、レバー後部をより幅広にして、その後縁に、スライドの前方への脱出を防止するノッチ25を設けてもよい。
【0065】
レバー20のような一定幅のレバーの場合、スライドの後方への脱出は、例えば、スライドの下縁に向かってアバットメント(例えば、スライドにより担持されるねじ)を配置し、そして、アバットメント10の前縁に遭遇させることにより防止され得る。
【0066】
図7及び図8に見られるように、強磁性ラグ24及び強磁性ラグ26は、より薄い延長部33を有する四角形の形状であってもよく、延長部33は、レバーに、レバー14の対応する穴を通過するねじにより固定されることができる。
【0067】
例えば、車椅子に座った障害者がレバーを作動できることが好ましくない場合など、レバーのクリッピング位置以外での回転を防止するために、取り外し可能又は格納可能なロッキング要素を設けてもよい。例えば、レバーの回転を防止する横ねじ又はデテントをスライド15に、ねじ止め又はその他の方法で固定してもよい。このロッキング要素には、好ましくはヘルパーが容易にアクセス可能である。代替案として、レバーに対して横方向の取り外し可能な部品(車椅子シャーシの要素又は長手方向部材に迅速に突き当たり、それによりレバーの回転を防止又は制限できる)をレバーに固定してもよく、こうしてレバーはクリップされた位置に留まる。
【0068】
これらの図に示されたレバーは、図3及び図4に示したものとは異なるスライドに同様に関連付けられ得る。
【0069】
図9及び図10を参照すると、ハンドブレーキ固定部品34がその上にねじ止めされたスライド15が見える。この部品は取り付け部品35を含み、取り付け部品35は、下部鉛直コア、平坦部、及び、下部コアに対してずらされた上部鉛直コアを含む。下部コアはスライド15に対して、穴18にねじ込まれたねじにより固定されている。上部コアは、平坦部より上に、水平な丸いシリンダ又は管セクション36を有し、管セクション36は、上部コアから出現しているねじ37により担持されている。このセクション(その直径が椅子のシャーシの水平長手部材(通常、その上に大型後輪の手動ブレーキが固定されている)の直径と同じである)の上に、2つのジョーから形成されたブレーキ39の本体38が取り付けられてクランプされている。本体38は椅子から予め取り外されており、ブレーキ39の位置と車軸穴17との距離は、大型車輪車軸と、そのシャーシ上の初期位置におけるとブレーキとのずれに相当している。従って、本発明による組立体を組み込むことは、新しいハンドブレーキの購入を必要としない。
【0070】
好ましくは、本発明による組立体の装置に、複数の円筒状又は管状のセクション、例えば部品36が設けられる。部品36は、様々な椅子のシャーシの長手方向部材の直径に対応する様々な直径を有し、これらの直径は、例えば、部品36では20mm、部品36a(図11)では22mm、部品36b(図12)では25mmである。これらの部品の長さは、好ましくは50mm~80mmである。
【0071】
図13及び図14を参照すると、ガイドプレート1が手動駆動車椅子のシャーシ(大型後輪が予め取り外されている)の通常のリヤ鉛直アップライト40に取り付けられた様子が見られる。プレート1は、2つのクランピングフランジ41によりアップライト40に対してクランプされている。クランピングフランジ41は、矩形のノッチ42及び2つの穴43を特徴とし、2つの穴43は、プレート1の2つの穴4にその都度位置合わせされ、この穴を、ねじ穴4にねじ込まれたクランピングねじ44(図15参照)が通る。
【0072】
ノッチ42の底部は、好ましくは、円弧形断面の凹部を特徴とし、ねじ付き中央穴45を有する。穴45内にねじ(図示せず)がねじ込まれ得る。このねじは、アップライト40の対面する面にしっかりと押し付けられることになり、或いは、場合によっては、シャーシアップライトの穴(そのような穴を含む場合)にねじ込まれる。
【0073】
ノッチ42の幅は、好ましくは約32mmであり、通常の正方形又は矩形の断面のシャーシアップライトの幅に対応している。従って、ノッチは、管状のアップライト40(一般的に20mm、22mm又は25mmの直径を有する)を受け入れることも可能である。
【0074】
代替案として、丸みを帯びた断面の管状アップライト40の場合、2つの類似のフランジを同様に設けることができるが、これは、傾斜したV字形の縁を有するフレア状のノッチを特徴とする。全ての場合において、一対のフランジ41が、ガイドを非常にしっかりと固定するために有効であることが分かっているが、各々がアップライト40の特定のセクションに適合するフランジの対のセットを設けることも同様に可能である。
【0075】
図15を参照すると、ガイド1、スライド及びクリッピングレバー27、並びに、上部の磁石7及びアバットメント部品10(共にガイド1により担持されている)に関する配置が見られる。フラットなコンシーラ45がスライド上に、スライド15に設けられたねじ穴47(図3参照)にねじ込まれたねじ46により取り付けられている。図面を簡略化するためにラグ24及びラグ26は示されていない。様々な平坦な構成要素1,15,27は互いに非常に近接しており、従って、コンシーラ45を含む装置の厚さを、30mm未満、すなわち、椅子のシャーシから大型車輪を通常分離している距離にできることが分かる。
【0076】
また、代替案として、スライド15を、これらの間にレバー20又はレバー27を挿入するためにガイド1から遠ざけること、ホイール5をさらに遠ざけること、そして、磁石7とアバットメント部10とを互いに近づけることが可能であることは明らかである。しかし、図面に示した配置は装置に大きい剛性を与え、これが好ましい。
【0077】
これらのフランジ以外の固定手段、例えば、フレームアップライト上にクランプするカラーも使用可能である。
【0078】
図16及び図17を参照すると、本発明による装置が、車椅子シャーシのリヤアップライト40上に、それぞれ、前進位置、後退位置で取り付けられ、コンシーラ45(スライド15上に所定距離を有してねじ46により固定されている)により覆われている様子が見られる。レバー27は、その前端に、スライダ及びコンシーラの前部から大きい距離に出現している作動ハンドル47を担持し、コンシーラは、穴17に位置合わせされた穴を有することを特徴とする。
【0079】
図18図19を参照されたい。
【0080】
現在販売されている車椅子の通常の態様では、大型車輪のハブは、車輪の片側から延在する車軸に取り付けられており、この車軸は、椅子のシャーシの要素、一般的にはリヤアップライトに取り付け可能又は固定可能であり、この要素は、この目的のために一般に円筒状の穴を特徴とする。この車軸は、それ自体が中空であり、車軸内でスライド可能な固定ロッドを含み、且つ、放射状のばね荷重されたデテント(例えばボール)を有する。このデテントは、車軸の自由端の高さに位置し、このシャーシ要素の後ろで、車軸の抜け出しを防止するように係合する。このロッドは、車輪の自由側部からアクセス可能なボルトを含み、これにより、車輪を容易に着脱可能にするためにロッドをスライドさせてデテントを後退させ得る。
【0081】
車椅子の大型後輪を担持するために、スライド15の後方穴17に大型後輪の車軸を受けることが意図された円筒状の車輪スリーブ又はベアリング面48が取り付けられている。このスリーブ48の長さは、好ましくは、大型車輪が通常取り付けられる椅子に通常存在するベアリング面又は穴の長さと同一であり、スリーブ48の円筒状内部通路の直径は、フレームのこの円筒状穴又はベアリング面の直径と同一である。スリーブ48はスライド15の穴17内に取り付けられ、そして、スライドの、ホイールに面する側から、ナット49により、好ましくは間にワッシャ50を挟んでクランプされる。反対側では、スリーブは、別のナット52(好ましくはそれらの間にワッシャ51を有する)によりクランプされ、スリーブは、これらのナットを受けるために外ねじを有する。スリーブ48の、車輪側のスライドから出現している部分の長さは、有利には、約5mm~10mmである。
【0082】
スリーブを取り付けたならば、車輪車軸をスリーブ48内に、スリーブ48の自由端にて半径方向に直立しているラグが係合するまで押し込めば十分である。
【0083】
キットの形態の装置は、有利には、異なる長さの複数のスリーブ48、例えば、異なる直径の2つのセットを、直径が12mm及び12.7mmの車輪車軸のために含み得る。
【0084】
しかし、スリーブは、好ましくは、車輪車軸が取り付けられるその円筒状の内面に、1以上の円形の内溝(好ましくは、正方形又は長方形の断面、例えば幅5mm、高さ5mm)を特徴とすることができ、この内溝内にそこにばね荷重されたボールを入り込ませてアクスルの抜け出しを防止できる。これらの溝は、好ましくは、車輪に近いスリーブの端から開始して、以下の方法で間隔をあけて配置される。すなわち、
-直径12mmの車輪車軸の場合、33mm、50mm、60mm、スリーブの全長は75mm
-直径12.7mmの車輪車軸の場合、51mm、56mm、60mm、スリーブの全長は69mm。
【0085】
図20図21を参照されたい。
【0086】
本発明による2つの装置を車椅子の各側に1つずつ取り付ける場合には、2つの車輪スリーブと、従って2つのスライドとを、クロスメンバー(横材)53を用いて連結することが有利であり得る。
【0087】
このクロスメンバーは、有利には、2つの管状スリーブ54を含み得る。スリーブ54は、ねじ付き中央ロッド55の両端上にねじ込まれており、選択された位置に部品を保持するためのロックナット56を有する。図30の格納位置から開始して、スリーブ54の一方がスリーブ48の1つの上にねじ込まれ、その後、スリーブ54は、他方のスリーブが他方のスリーブ48上にねじ込まれることができるまで互いから遠ざけられる。クロスメンバーをスリーブ48に、又は各スライドの後端に直接固定することが、その他の方法で実行され得ることは明らかである。
【0088】
本発明による組立体は、任意選択的に、さらに、プラットフォーム(例えば剛性格子の形態)を含むことができ、このプラットフォームは、椅子のシャーシに、シャーシの座席の後ろで水平に固定され、その後縁がクロスメンバー上に載ることになり、こうして、手荷物又はバスケットなどの物品の搬送を可能にする。
【0089】
図22図25を参照されたい。
【0090】
図22に、スライド15が通常の前進回転位置にある様子が見られる。この位置において、レバー28は重力によって下げられた位置にあり、アバットメント部10が後方ノッチ23に入っている。この位置では、穴17に取り付けられた後輪ベアリング48(図示せず)が、ガイド1のノッチ2内に位置している。
【0091】
車輪の後退位置に行くために、ユーザはレバー28のハンドル29を下げ、するとレバーの後部が上昇してノッチ25をアバットメント10との係合から外す(図23)。これは、強磁性ラグ26が磁石7に接触し、それによりレバー28を上昇位置に保持するまで続く。その後、ユーザは、ホイールと、従ってスライド15とを後方に向かって動かせば十分である。この動作によりラグ26が磁石7から水平に移動して離れると、レバー28は降下位置に落ちるが、ノッチ25は既にアバットメント部10からわずかに離れているので、レバーの下縁27はアバットメント上に落ちてその上をスライドする。従って、スライドの後退運動は、レバー17の前方ノッチ23がアバットメント10に達するまで続けることができ、その結果、レバーは再び降下してアバットメント上にクリップされる(図24)。この位置において、椅子の大車輪は後方へとずらされており、従って、もはや障害物を形成せず、その結果、椅子に座っているユーザは、その座席から、椅子、ベッド、その他の家具又は車両に横方向にスライド移動でき、持ち上げられる必要がない。
【0092】
スライド15をこの後退位置から前進させるためには、ハンドル29を再び下げ(図25)、これにより大きいラグ24を磁石7に接触させ、次いで、大車輪を、反対方向の前進運動で、レバー28がその後方ノッチ25によりアバットメント部分10にクリップされるようになるまで作動させれば十分である。図25の後退位置において、ノッチ23の前縁32がアバットメント10により固定化され得ることから、スライド15がこの後方位置を超えて後退されることはできないということに留意されたい。
【0093】
図26図27を参照されたい。
【0094】
例えば、車椅子が重い荷重を受ける場合、後退位置にあるスライドが、より大きい長さにわたってガイドにより支持されるように、上述のガイドよりも長いガイドを設けることが有用であろう。
【0095】
これは、前方に向かって長く、有利にはプレートの下縁及び上縁に沿って位置合わせされたホイールを含むガイドプレートを使用することによっても達成され得る。
【0096】
有利な解決策において、ガイドは、2つの連続したガイド、すなわち、上述したガイド1と、ガイド1’とから形成されてもよい。ガイド1’は、ガイド1と同一であるが、非クリッピング位置におけるガイドの保持のための手段(例えば磁石7)、及び、相補的クリッピング要素(例えばアバットメント10)を有さない。従って、スライド15は、後輪の後退位置を含めて、ガイドプレート1’のホイール5によっても保持される。
【0097】
プレート1’を車椅子のシャーシ又はフレームに固定するために、シャーシの下部長手方向部材58と上部長手方向部材58との間にクランプされるための調節可能な鉛直アップライト57を設けることができ、アップライト57は2つのスリーブ59を含み、これらのスリーブ59は、それぞれ、2つのクランプ用ナット61を用いてスタッド60上にねじ込まれ、各スリーブは、その自由端に、ピン63の周囲を自由に回転するように取り付けられた、フレアV字状のブラケット62を有し、且つ、その長手方向部材58に押し付けられる。従って、スリーブ59をスタッド60に沿って鉛直方向に遠ざけることにより、着脱可能なアップライト57をしっかりとクランプすることが可能である。こうして、ガイドプレート1’は、例えば図13及び図14に示したようなクランピングフランジを用いて、ガイドプレート1と位置合わせされて固定される。
【0098】
また、伸縮可能な鉛直アップライト58を用いることで、ガイド1を、適切なシャーシリヤアップライトを有さない椅子に固定することもできる。
【0099】
本発明による車椅子のための組立体は、本発明による1つ又は2つの、好ましくはキット形態の装置を含み得る。各装置は、以下のものを含み得る。すなわち、ガイド、ホイール、磁石、アバットメント(好ましくはガイドに既に取り付けられている)、及び、クランプねじを有する2つのフランジ;スライド;ブレーキ取り付け部品(好ましくはスライドに既に取り付けられている)、及びその円筒状部品(複数可);その強磁性ラグを有するクリッピングレバー(好ましくはスライドに既に取り付けられている);ホイールスリーブ又は異なる長さ及び/若しくは直径のスリーブ(且つ/又は、1つ以上の内溝を含む)、並びに、スリーブを固定するためのナット及び任意選択的なリング;好ましくは、コンシーラ及びその固定ねじ;クロスメンバー(任意選択的)である。
【0100】
図29図32を参照されたい。
【0101】
この別の実施形態においては、レバー64が、ガイド1に平行な部品又は第2の平面要素65に関節接続され、平面要素65に固定手段(図示せず)、例えばボルトにより固定される。スライド15は、プレート1とプレート65との間の空間を、ガイド1上に関節接続されたホイール5により保持されて移動できる。ガイドの前方に向かってプレート65により担持されたピン66を中心としてレバー64の後端が関節接続されており、鉛直平面内で枢動可能である。レバー64の後端67は、好ましくは、ピン66に向かう方向において先細状になっている。
【0102】
スライドは、保持手段として、その側面の1つの上に、且つその上縁に向かって、後方磁石68を担持し、これは、ガイドの前進位置において、ガイド1の前縁の、従ってプレート65の高さに位置する。第2の前方磁石69もまた、スライドによりその上縁に向かって側方に担持され、磁石68と磁石69との距離は、スライド15の前進位置と後退位置との距離に等しい。スライド15は、同じ側において、且つその下縁に向かって、2つの鉛直アバットメント70及び71を担持している。これらのアバットメントは、この同じ距離だけ間隔をあけて、好ましくは、磁石68、磁石69のほぼ下に位置する。
【0103】
レバー64の下縁上にノッチ72があり、ノッチ72は、アバットメント70,71上での、重力のみによる、スライドの位置に応じたクリッピングを可能にする。このノッチ72は、有利には、プレート65及びガイド1の前縁に向かって配置され得る。レバー64は、その上縁に、2つの強磁性部品、すなわち1つの前方部品73、別の後方部品74を有し、これらは、スライド15の前進位置と後退位置との間の距離だけ互いに間隔をあけて配置されている。後方部品74は、好ましくは、ノッチ72のほぼ上方に位置する。強磁性部品74は、レバー64の上縁からより遠く離されており、ラグ75により担持されるか又は形成されている。
【0104】
動作は以下の通りである。
【0105】
スライド15と、従って穴17に取り付けられた大型後輪の通常の前進回転位置では、レバー64は降下位置にあり、後方アバットメント71はノッチ72内にクリップされており(図30、破線で示したレバーの位置を参照)、従って、スライド15は固定化されている。大車輪を後退させるために、椅子に座っているユーザはレバー64を、後方強磁性部品74が後方磁石68に接触するまで上げ、この上げた位置でレバーを固定化する(図30、実線で表したレバーの位置を参照)。すると、ユーザは両手を自由にし、大車輪を回転させてスライド15を後方に駆動させることができる。そのとき、磁石68は部品74から離れており、その結果、レバー67は戻って前進位置に下がり、尚且つ、アバットメント71はもはやノッチ72に面していない(図31を参照)。
【0106】
スライド15がその後退位置に達したとき(図32を参照)、前方アバットメント70がノッチ72の下に位置することになり、その結果、アバットメント70は重力によりノッチ内にクリップされ、これによりスライド15をその後退位置で固定化する。その時、後方強磁性部品は、鉛直方向に間隔を有する前部磁石69の高さに位置している。
【0107】
スライド15をこの位置から前進させるためには、ユーザは再びレバー64を、強磁性部品74が磁石に接触するように持ち上げ、この上昇した位置でレバーを固定し、クリッピング動作のロックを解除する。すると、ユーザは大車輪を作動させてスライド15を前進させることができ、その結果、磁石69から遠ざかったレバー64は再び下がり、その下縁がアバットメント70上をスライドし、このスライドは、前進位置(レバーが後方アバットメント70上にクリップされる)(図30)まで続く。レバーの前方部分76は、好ましくはレバーの残りの部分よりも薄く、その結果、レバーは、スライドのスライド中に非常に低い位置に存在する。
【0108】
説明した様々な実施形態を、例えば幾何学的水平面に対して対称的に逆にすることができることは明らかであるが、この場合、レバーをクリッピング位置に上昇させるために十分に強くばね荷重をかけることが必要であろう。しかし、このばね荷重は、レバーが保持手段に押し付けられたときに非クリップ低位置に維持するために十分に弱いことが必要である。
【0109】
椅子の特性が分かっている場合、装置又はキットは、1つの円筒状ブレーキ部品及び1つの車輪スリーブのみを含むことができ、これらの部品は、好ましくはそれぞれの支持体に既に取り付けられている。この場合、装置にコンシーラを既に取り付け、2つのフランジをそれらのクランプ用ねじと共に出荷することも可能である。
【符号の説明】
【0110】
1 ガイドプレート
2 ノッチ
5 ホイール
7 磁石
10 アバットメント
15 スライド
19 ロッド
20 レバー
22 関節
23 ノッチ
24 クリッピング要素(ラグ)
25 ノッチ
39 車輪ブレーキ
40 アップライト
41 クランピングフランジ
45 コンシーラ
48 スリーブ
53 クロスメンバー
58 長手方向部材
64 レバー
65 プレート(第2の平面要素)
66 ピン
70 アバットメント
71 アバットメント
73 強磁性部品
図1
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【国際調査報告】